1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月九日(水曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君
理事 田中 正巳君 理事 野澤 清人君
理事 八田 貞義君 理事 滝井 義高君
理事 八木 一男君
安藤 覺君 稻葉 修君
加藤鐐五郎君 亀山 孝一君
久野 忠治君 倉石 忠雄君
小島 徹三君 田子 一民君
中山 マサ君 古川 丈吉君
眞崎 勝次君 松浦周太郎君
亘 四郎君 赤松 勇君
井堀 繁雄君 岡本 隆一君
栗原 俊夫君 五島 虎雄君
多賀谷真稔君 中原 健次君
山花 秀雄君 吉川 兼光君
出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
法制局長官 林 修三君
厚生事務官
(保険局長) 高田 正己君
労働政務次官 二階堂 進君
労働事務官
(労働局長) 亀井 光君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 鳩山威一郎君
厚生事務官
(保険局健康保
険課長) 小沢 辰男君
専 門 員 川井 章知君
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四月九日
委員小川半次君、大橋武夫君、小林郁君、山下
春江君及び松岡駒吉君辞任につき、その補欠と
して稻葉修君、久野忠治君、眞崎勝次君、安藤
覺君及び栗原俊夫君が議長の指名で委員に選任
された。
同 日
委員安藤覺君、稻葉修君、久野忠治君及び眞崎
勝次君辞任につき、その補欠として山下春江君、
小川半次君、大橋武夫君及び小林郁君が議長の
指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
母子年金法案(長谷川保君外十六名提出、第二
十四回国会衆法第七〇号)撤回の件
日本労働協会法案(内閣提出第三九号)
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇三号)
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(八木一男君外十二名提出、第二十四回国会衆
法第四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。第二十四国会より継続審議となっております長谷川保君外十六名提出の母子年金法案について、提出者より撤回の申し出があります。本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/1
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002・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、撤回を許可するに決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/2
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003・森山欽司
○森山委員長 次に、日本労働協会本法案を議題とし、審査を進めます。質疑を許します。滝井義高君。
この際滝井義高君に申し上げますが、総理の出席時間の都合上、滝井委員の質問は四十分以内に限り、おおむね十一時半までに終了されるように望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/3
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004・滝井義高
○滝井委員 日本労働協会法に関する質疑を、総理を中心にやらせていただきたいと存じます。石田労働大臣の見解は一応お聞かせいただきましたので、総理の見解をお聞かせ願いたいと思います。この法案は、今後日本の労働運動に対して、一つの歴史的な役割を演ずる法案になる可能性のある法案でございます。従って、特に岸総理の御出席を願ったわけでございますが、私はまず第一に、岸総理にお尋ねをいたしたい点は、この法案のねらいとして、近代的な労使関係というものを確立をしていきたいということをいっておるわけでございます。一体岸総理は、現在の日本における近代的な労使関係の姿というものを、どういうようにお描きになっておるのか、総理の見解を一つお聞かせ願いたいと思います。近く選挙が行われますと、やがて内閣は総辞職して、再び岸首班ができるだろうと思うのですが、その際石田労働大臣が労働大臣に居すわっておるということになれば、まあまあ安心でございますが、必ずしもそうでないかもしれません、こういうことになると、岸総理の意向を、この際やはりお聞きしておく以外にはないだろうと思います。こういうことでありますので、近代的な労使関係の姿を、どういうようにあなたはお考えになっておるのか、これをまずお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/4
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005・岸信介
○岸国務大臣 御承知のように日本の労使関係は、戦前と戦後におきましては、非常な大きな相違が出てきておることは私が言うまでもないところであります。しかるに実際を見ますると、経営者側におきまして、ほんとうの労組の使命及び労組の意義というものに対して、十分の理解を持たない者もなお相当あるように思います。また労組自体の行動を見ましても、やはり戦後における非常な変革時に、こういういろんな、憲法を初め、労組に対する根本の考え方が変ったために、その実行面において、その精神を正当に履行せずして、行き過ぎた部面もあるように思います。また国民全体から見ましても、ずいぶんこの労使の関係について、正当な認識の欠けておる状況があることは、これは日本の社会一般の状況でございます。私が言うまでもなく、労使両方面というものは産業、経済の基本として、おのおのその立場なり、その職分と職責というものがありまして、自主的な立場において正当に、あらゆる労働条件その他あらゆる問題を話し合い、これによって両方の適正なあり方というものがきまっていくということが望ましいことであることは言うを待ちません。しこうして、言うまでもなく、労働者が労働組合に団結せられまして、そしてあらゆる面における労働の条件及び労働者の福祉を増進することを念願してこれを追求し、これを実現するように努力し、また使用者側におきましても、この経営を合理的に、かつその事業を繁栄せしめるようにして、労使ともにこれによってその福祉が増進されるように考えていかなければならぬ、こういう考えでありまして、言うまでもなく民主主義の立場でありますから、従来の封建的な考え方や、あるいは戦前にありました温情主義的な考え方でこの問題が解決されまた近代的な労使の関係ができるのではなく、あくまで民主的な自主的な立場における労使の正常な関係が樹立される、こういうことが望ましいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/5
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006・滝井義高
○滝井委員 どうもきわめて抽象的な御答弁であります。経営者なり労働組合なり、あるいは一般の国民の立場というものを抽象的にお述べいただいたのですが、少くとも日本経済の中で労働者と、それから資本家と申しますか使用者と申しますか、それらの二つの相互関係というものを一体どういう工合にしていくかということを、もう少し具体的に言ってもらいたいと思う。たとえば、先般石田労働大臣はこういう三つの立場をはっきりした。まず、この法律を通すことによって労使対等の立場を明らかにしていかなければならぬ。いま一つは合理的な労使双方の共存の道を確立しなければならぬ。いま一つは企業の繁栄の道を切り開いていかなければならぬ。この三つをはっきりした。そうしますと、こういう形になって、封建的な日本の労使関係を近代的な関係に持っていく三つの足場というものは、これは企業の経営権に対する労働組合の立場を一体どういう工合に考えるか。たとえば西ドイツのように、ある程度企業の経営権にまで労働者というものを入れていくのかどうか、こういう関係がはっきりしてこなければならぬと思うのです。こういうところまではっきりしてくると、初めてこの法律の歴史的な役割というものが、われわれ疑いを持たずに受け入れることができると思うのです。こういう点、どういう工合にお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/6
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007・岸信介
○岸国務大臣 今、労働大臣が三つのことを申し上げたということでありますが、私の申し上げたことも、根本的におきまして大体そういう考えであることは、私の説明をお聞きになれば当然御理解できると思います。労働者が企業経営に参加するという問題につきましては、一部ドイツ等におきましてその実現を見ているところもございます。私はこのことにつきましては、やはりその国の一般産業事情、また国におきましても各種産業の実情から申しまして、画一的にある形が考えられるというわけにはいかぬと思います。ドイツにおきましても、現にその実際やっているところを見ますと、ドイツのすべての産業の経営に労働者が参画しているというわけでもありませんし、またその参画の方法、形式内容等につきましても、やはりその国の国情とかいろいろな産業の事情等を十分考えてみなければならぬことであります。従いまして私は、日本においてこの労働者の企業参加ということを今画一的に認めるのだとか、こういう方法でやるのだという結論は、日本においてまだ出ておらぬと思います。今中すように、企業の繁栄のために、産業の発達のために、また労使の独立した対等の関係が樹立されるということから見まして、いろいろな産業の事情なり、また今後の労働問題の発達というようなものとにらみ合せてこれが解決さるべき問題であって、今日これを画一的に否定することも適当でありますまいし、またこれを肯定して必ずやるのだということを申し上げることも、私は実際問題として適当でない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/7
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008・滝井義高
○滝井委員 もちろん日本の資本主義の発展には、日本の資本主義発展の特殊性があります。ドィッの資本主義の発展にも、ドイツの資本主議発展の特殊性があると思います。しかし少くとも近代的な労使関係を確立しようとするならば、やはり労使対等の立場という基本線というものは貫かなければならないと思うのです。労使が対等の立場に立つということになると、やはりわれわれは西ドイツにおける資本と労働と経営という三位一体の姿をとる。たとえば鉄鋼とか石炭において互いに生産向上の問題を対等の立場で語り、そして生産の向上ができたならば、利潤の分配の問題についても対等に語り合っていくという姿が作られても何も支障はない。ドイツの資本主義と日本
の資本主義とそれぞれ特殊性があるとしても、少くとも近代的な労使関係を作ろうとするならば、まず経営権の範囲は明確にされても、労働者をある程度経営に参加せしめていって生産向上なり経営参加なりを許しても、私は日本経済発展の特殊性から考えてもそう支障になるものではないと思うのです。従って労働教育をやるばかりではなく、同時に資本家の教育もやるのだという打ち出し方なんです、ですから、前時代的な資本家が日本においてはたくさんあるが、それを進歩的な方向に持っていくということがこの際必要ではないかと私は思うのです。もう
一回そういう点について、ことに私の方から具体的に聞いてきたのですから、もう少し岸総理の経営権に対する考え方、経営に対する労働組合なり労働行の参加に対する考え方、仕方、こういうものを突っ込んで御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/8
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009・岸信介
○岸国務大臣 お話の通り、この労使が対等の立場でその従事しておるところの事業の繁栄を期すために協力し、できるだけ協議その他の方法をとっていくということは、方向として非常に望ましことであると思います。ただ私の申し上げたのは、やはり産業が発達してその企業が繁栄していくためには、大いに生産性も向上しなければならない。ただ現在の日本の実情を見ますと、生産性向上の問題に関しましても、労働組合のすべてがこのことに対して協力するという態度でもまだないようであります。こういうような事情があり、いろいろその国の実情がありますので、私は方向としてそういう考え方は非常に望ましいことであるということを承認するのにやぶさかではございませんけれども、それを実行する面において、またかりに経営に参加するという抽象的な言葉でありますが、それをどういうふうにするのだということになりますと、労働者の意思を全然無視して、経営者は経営権があるのだから自分だけで独立にやるという考え方でなしに、これについていろいろな協議をするとかいろいろな話し合いをしていくということもありましょうし、あるいはさらに経営者の中に労働組合の代表者を理事その他で入れろとう議論もあろうかと思います。そういうようなことは、よほどその国の産業事情、労働組合の発達状況、経営者の心がまえの問題等を考えていかなければならない。方向としては、私はその事業を繁栄せしめ、その生産性を向上するという意味からいって、労使が協力し、その協力を作るために話し合いなり協議なりを進めていくような形が生まれてくることは望ましい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/9
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010・滝井義高
○滝井委員 いろいろ御説明がありましたが、とにかく労使対等の立場でそれぞれの分野を守りながら日本の近代的な労使関係を確立する方向については異議がないということでございます。一応方向がきまれば、その方向を今度は具体的にどういう工合に実施していくかということになってくるわけであります。そこでまず方向がきまれば、それから先の問題の解決はやさしくなっていくと私は考えております。ところが日本で近代的な労使関係を打ち立てていく上において、過去の日本の労働運動に対する歴史を見てみますと、政府は非常に大きな役割を演じてきております。昨年十二月までにおける石田労政のいろいろな批評を見てみますと、石田労政というものは警告労政であり弾圧労政であるという批判が多くの総合雑誌その他に書かれております。その政治的、経済的ないろいろな背景を見てみますと、三つのことがあげられております。そういう警告ないし弾圧労政をやる石田労政というものが一段と計画的できびしくなってきておるということは、まず第一には、石田労働大臣の個人的な野心というものが一つある。これは何か一つ業績を残しておかなければならないという個人的なあせりというか、そういうものが世の中の批判となっておるのです。いま一つは、選挙対策です。ここらあたりでまあ一つ世論を、総評なり全労なり社会党に対して悪い方向に向けなければならない、これはやはり労働対策を出すことによって追い込んでいこう、こういう選挙対策が一つあるのだ。いま一つは景気が次第に不況の状況をたどってき始めて、いわゆる景気の反動に直面して、資本家のあせりに対して何らか一つ一はだ脱ぐ必要がある、こういうことから、そこにきびしい警告というか弾圧というか、計画的な労政が行われてきた。こういう政治的、経済的な背景を持って、昨年の十二月ごろまでの総合雑誌その他の批判は、石田労政をそう批判しておった。当時石田さんは、自分の労働行政にやはり三つの柱を立てた。一つはよきで労働慣行を立てるのだということと、一つは賃金の格差をなくするということ、もう一つは雇用の増大をはかっていくこと、こういうことだった。最後の雇用の増大をはかるということは、石橋さんの衣鉢を受け継いで言わなければならなかったのだが、今の段階では実現できない。前の二つが今度の国会できわめて具体的になってきた。その一つがすなわち労働教育の振興ということです。よき労働慣行を確立するということは、今まではわれわれも法律を守るが労働組合も守れ、こういう抽象的なことであったのだが、今度はずばり教育を振興するという形で打ち出された。さらにいま一つは、職業訓練、職業教育を振興するという形、もう一つは賃金格差を縮めるための最低金貸制度の措置を講じていく、こういうきわめて具体的な労政を打ち出してきた。今までの警告、弾圧労政から少し転換が起ってきたというのが私の見方であり、世の中もそういう見方をしてきておる。
そこで、その石田労政の三本の柱の中の労働教育のことなんですが、過去の石田労政の動き、あるいは日本の保守党の労政の動きから見えまして、今度この法律を見ると、建前は自主的な教育活動をやることになっておる。労働協会というものが自主的な教育活動をやるということは、政府なり地方自治体はこういうことが不得手だったから、一つ民間の教育機関に労働教育をやらせていこう、こういうことなんです。
ここで岸総理にお尋ねをし、岸総理の見解を承わっておきたいのですが、まずこの協会の会長さんは労働大臣が任命いたします。それから大事な諮問機関である評議員も労働大臣が任命します。理事は五人おりますが、理事は会長が任命しますが、労働大臣の認可、承認を必要とするわけです。そうすると人的な構成、機構というものは大体労働大臣が握る形になる。それから少し非行があった場合にも、解任は労働大臣がやります。お金はどこから出るかというと、これは岸さんも御存じの通り、経済基盤強化資金の中から十五億出して、その利子でまかなう、こうなっておる。そうすると、一体自主的な中立的な労働教育というものがそういう形でできるかどうかということなんです。どうもこれでは労働教育の政府の御用機関ができる感じがするのだが、一体御用機関とならないという断定、ならないというその保証をあなたはどういう形でわれわれに与えるか、この点を一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/10
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011・岸信介
○岸国務大臣 この労働教育が必要だということはおそらくだれもが異存のないところだと思います。また先ほど申しましたように、経営者側におきましてもまた労働者側におきましてもあるいは国民全般におきましても、この近代的労使関係のあり方というものに対しての十分の認識が欠けておるということは日本の実情であることについて、だれも異存なかろうと思います。その場合に、そういうことをやらせるのにどういうものを設けたらいいか。政府みずからやったらいいのかというと、これに対しては、政府だとか地方公共団体では適当でないということも、私異存なかろうと思います。またそういうものは労働組合やあるいは資本家といいますか経営者側だけでやるということ、これがまたどういうことになるかというと、これも十分でないので、何かこういう問題を取り扱うできるだけ中立的な、しかも事業が安定をし、継続される形においてできるだけ中立な公正なものがどういう形でできるかということをいろいろ考えてみますと、私どもの提案しておるこの形が一番いいのじゃないか。今会長の任命は労働大臣が持っておる、あるいは監事の任命も持っておるというようなお話もございます。しかしその場合において、労働問題に関して十分な学識経験を持っておられる人から公正な人事をやっていく。やることについては労働大臣の責任であり、政府の責任であります。従ってそれに対しては、もちろん国会に対し、あらゆる面においてわれわれ責任を持っておることは当然でありまして、そういう人事の条件なり資金のこういう形における作り方というものが、今日われわれが考え得る、こういう機関のあり方に対して、中正かつ公正な立場をとらせようとするとこの形が一番いいのではないか。なおいろいろの御指摘のありましたような危険があるということに関しましても、本法案には従来こういう機関に見ないような理事会であるとかあるいは評議員会というような制度も設けておりますし、運営の上におきましても十分公正な何を期しております。また人事について今申しましたような人事をしていくということをはっきりいたしておりますならば、今御懸念のような点は、労働大臣、政府全体が国会に対して責任を持つということで、決して行き過ぎやあるいはある方向に偏するようなことはない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/11
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012・滝井義高
○滝井委員 今の岸総理の御答弁は、この法案に現われた、どうも教育のための政府の御用機関になりはしないかということをどうして防ぐかということについての答弁にはならない。総理は全面的にこの法案の通り会長その他を労働大臣が任命した方がいいのだ、こういう形になっておる。これは昨日もここで参考人を呼んでいろいろ意見を聞かしてもらいました。たとえば評議員会なんかを見ると、大臣が学識経験者を任命してしまいます。そうすると、少くとも諮問機関で労働者なり資本家の教育をしようとするならば、やはりそこには労働者の代表なり資本家の代表なりが入っていって、やはり意見を述べるだけのゆとりというものを持たしておく必要があると思うのです。たとえばそういう形になれば、最近立法の上で政党の幹部は入ってはいかぬということになっておるが、こういうものは、むしろ政党政治ならば、政党を入れるべきだということで、この前の理研法案なんというものは政党の幹部を入れることになっておる。そういう点を考えて参りますと、やはり何かここに防ぐ方法、われわれの納得いく方法を教えてもらわなければいかぬ。このままを認めて、これでいいんだということは、われわれは納得いかない。昨日の参考人もそういう意見なんです。これではあまり労働大臣ばかりの力がぎらついて、われわれはどうも考えなければいかぬという、学識経験者みんなのそういう意見がある。これをどうして御用機関になることを防ぐか、そういうことについて確信のあることを述べていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/12
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013・岸信介
○岸国務大臣 評議員等にはもちろん労働組合やあるいは資本家側において適当な人を入れることは、やはり当然であろうと私は思います。また政党の何につきましても、これは逆に書いてありまして、二人以上は同一の政党に属するところの者を何することができないようになっておりますが、この反面からいうと、一人はでき得るような形にもなっておる。いずれにいたしましても私どもの考えは、今御論議になっておるような、これを御用機関にしようというような意思や、あるいは特別に偏したところのことを考えておるわけじゃございませんで、先ほど申したような考え方でこういう案を立案いたしておるのでありますから、その御懸念のあるような人事は絶対にしない、またいろいろな御希望なりあるいは御議論なりというものは十分に尊重して人事の公正を期していくということにいたしますれば、決して御心配のような点は私起ってこないだろう、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/13
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014・滝井義高
○滝井委員 その具体的なあり方が法文の上に出ておれば、われわれはこういう質問をいたしません。ところがそういうことが出ていないところにわれわれの懸念があるわけです。かってあなたの前の保守党の総理大臣が、再軍備はいたしませんと言ったらいたしません、こうおっしゃっておったけれども、現実の日本の自衛隊というものはもう二十万をこえて、今あれが軍備でないなんていうものはだれもいませんよ。みんな軍備だと思っている。三才の童子でさえ軍備だと思っております。あるいは労働運動は弾圧いたしませんと言っておりながら、明治三十三年の治安警察法以来弾圧の連続じゃなかったですか。だからこういう点からもはやわれわれは、あつものに懲りてなますを吹くということではございませんけれども、やはり近代的な労使関係を確立するというにしきの御旗を掲げたならば、そのにしきの御旗は、にしきの御族の姿がそのままわれわれ勤労大衆に映る形のものが法文の上に出てこなければならぬ。そういう点でわれわれはことに疑い深くなった。日本の保守党の指導政策のために疑い深くなった。一体こんな私にだれがしたということになってしまった。こういう点についてはやはり岸総理は率直に考えてもらわなければならぬと思う。従って私はどうも今の答弁では納得ができません。そこでこの労働協会が出てから私たちが思い出すのは、これはどうも大正七年の米騒動の後にできた労使協調、産業平和の協調会の戦後版ではないかという、こういう感じなんです。あの協調会と違うところはどこかというと、仲裁和解の項がないだけなんです。その上に、労働大臣が任命するとかなんとかいうことが違うところであります。あとは全部ほとんど同じなんです。しかしやることは民間でやると同じなんです。むしろ私はこんな形でやるならば、民間に作らした方がいいと思う。労働省なんかにまかせずに民間にやらせた方がいいと思う。あの協調会というのは資本家が前に出て、三井、三菱がそれぞれ百万円ずつ金を出して、そして政府が補助金を出してやっておったが、資本家が前に出てやっておった。むしろあれの方がはっきり形が出てきていい。むしろ今の状態は、この協会というものは、何か資本家が政府のうしろに隠れてしまって政府が前に出てくる、こういう形が出て、労働教育というものが、にしきの御旗をうまいこと掲げておるけれども、どうも実態が違う、やることが違うのじゃないか、こういう疑いを持たれる。それは歴史的な一つの経過がそういう疑いを持たせたということにもなると思う。これは日本のわれわれの先輩の為政者の責任であるかもしれません、そういう遺産をわれわれが受け継いでおることでやむを得ないかもしれないが、そういう悪い遺産はこの際やはり清算をして、ほんとうににしきの御旗が翻える形を作ってもらわなければならぬ。協調会とこれの関係というものをどうもわれわれは連想しがちなんですが、岸総理は一体どういう工合にその点お考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/14
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015・岸信介
○岸国務大臣 これはまず第一、協調会ができました社会事情と、今日これを提案いたしております社会事情というものが根本的に違っていることを前提といたすわけでありますが、さらにこの構成から見ましても、今お話のように、協調会の方はその資金の基礎がいわゆる当時の大きな財閥を中心としての民間の資金で何されておる。どうしてもその資金がその性格をきめることになりますから、政府がこういうふうに中立的に出しておいて、そうして利子でもって安定して継続して運営できるというのとは非常に性格が違っておると思います。そうしてまた仕事自身の内容から申しましても、今言ったように仲裁とか、そういうような個々の労働争議にこれが介入するものでないという性格等、私は協調会とこれとは全然考えが基本的に違っており、また構成の上において、運営の上において違っておる、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/15
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016・滝井義高
○滝井委員 まあ、カニはおのれの甲らに似せた穴を掘ると申します。どうもこれはいろいろな点で似ておる。あなたは似てないとおっしゃるけれども、似ておる。われわれは協調会の亡霊みたいな感じがする。そういう点で今後岸さんは運営を十分に考えてもらわないと、協調会のたどった運命、すなわち昭和十五年には産業報国会になり、そして昭和二十五年にはGHQから解散団体になり、そして今あの協調会の持っておった労働運動に対する膨大な文献は多分法政大学に行って、日本の労働運動の研究に役立ってはおります、役立ってはおりますけれども、やはりそういう運命にならぬように、今度はカニがおのれの甲らに似せた穴を掘っても再びああいう歩みを、しないように私は特にあなたにお願いをしなければならぬと思うのです。
そこで協調会によく似ているとわれわれが思っているこの労働協会は、経済基盤強化資金の中から十五億円出るわけです。その六分の利子九千万円で運営をせられることになります。石田労働大臣はかってこの委員会で、今までの日本の長期経済計画というものは物と金とが中心になって立てられた、今度は自分が労働大臣になったのだから、河野企画庁長官と話して雇用の問題を長期経済計画のまん中に据えるのだ、少くとも物と金と人というものがかなえの三つの柱になるのだ、こういうことを答弁せられたと思う。ところが実際はそういうことが行われなかった。今度の長期経済計画を見ても雇用というものが中心になっておりません。これは石田さんもこの前認めた。自分もそうやろうと思っておったけれども、何せ就任日浅くして達成できなかったということを白状された。問題はそのように日本では雇用というものが軽くあしらわれておるのです。これは岸さん注意してもらわなければならぬ。やはり何といっても、日本の産業の基盤を強化するためには人間です。そこで教育ということをやることになったのだと思いますが、その教育というものが経済基盤の強化資金、資本蓄積を中心とするその金から持ってこられると、どうも労働教育というものが資本のしもべに成り下ったような感じがするのです。これに対してあなたはどういう見解をお持ちになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/16
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017・岸信介
○岸国務大臣 私は労働大臣がどういう御返事をしているか、そのことについては聞きませんけれども、私どもが経済計画を立てる上において雇用という問題はもちろん中心の問題であり、今滝井君のお話のように、われわれが産業基盤を拡大しようとか、あるいはこの成長を幾らの何に見てそして成長を期していくということは、その基礎は言うまでもなく日本の国民の雇用を増大し、全体の福祉を増進するという以外には目的はないのですから、もちつろんそのことが中心になってああいう計画を立てておるわけでございます。決して今お話のように雇用ということを無視していろいろなものが立てられる性質のものではないと思います。
なお御質問の、資金をどういう何から何しますかという点については、言うまでもなくこの四百三十六億の三十一年度の剰余金をどうするかという何に対しまして、これを広義の意味においてたな上げしている、こういう関係でたな上げした四百三十六億の一部である十五億というものをこの労働協会の資金として置く、こういうことでございます。政府のこういう剰余金というものは言うまでもなく国民の税金からとってきたものでありますから、一部の資本家が出している資金とかいうような意味と違って、国民の全体の税金から出てきている剰余金の一部をこれに充てるという意味でございまして、今お話のように人間が資本の下につくというような感触は私は全然持たない。むしろそういうことを持たれることの方が不思議なように思うのでありますが、そういう意味において、こういう資金を民間から出させてやるということになれば、むしろそういう感触が非常に多いでしょうが、こういう場合におけるこの十五億というものをこれに充てるということは、そういう感触を払拭する意味においても私はむしろ必要である、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/17
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018・石田博英
○石田国務大臣 先ほど滝井さんが長期経済計画についての私の答弁を引用されたのでありますが、私が申し上げましたのは、長期経済計画の柱に、これから財政やあるいは物の面と同様に、あるいはそれ以上に雇用の問題をむしろ柱にしていかなければならぬ、こういう方針で経済企画庁とも折衝してきたのでありますが、本年度は国際収支の改善、あるいはその他の理由に基きまして、必ずしも私の考えている通り、つまり新規労働人口の増加に見合った雇用の増大ということは正確には期せられなかった、しかしこれを柱にして長期経済計画の運用に当らなければならぬ、それについて一そうの努力をするということを申し上げたのでありまして、そういう考え方を私自身が放棄したり、あるいは政府がそれを放棄しているということを申し上げたのでございませんから念のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/18
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019・森山欽司
○森山委員長 この際滝井君に申し上げますが、先ほど御注意申し上げました時間が切迫しておりますから、簡潔に質疑を終了せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/19
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020・滝井義高
○滝井委員 そこで長期経済計画の中における礎用の問題はいずれまた機会を改めて石田さんに御質問申し上げますが、今年はできていないことは確実でございます。
そこで岸総理にお尋ねしたいのですが、あなたは一体労働者教育というものはどういうことにお考えになっておるか。現在会社もそれぞれ労働者教育をやっております。組合もやっております。それから社会教育団体もやっております。それから地方自治体における労政事務所もやっております。そして今回この協会もやることになるのだが、一体労働者教育というものをあなたはどういうようにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/20
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021・岸信介
○岸国務大臣 今お話のように、広い意味における労働教育というものを労働組合もやっておられますし、あるいは大きな事業会社等におきましても、そういう教育をいたしております。ただ御承知の通り、日本におきましては、組合を結成しておらない労働者もたくさんこあることでありますし、また事業省がやっておるのも、すべての内容のいい会社はそういう余裕がありますけれども、そうでないところもあります。また労働組合のやっておられる教育も、必ずしもこれで完全無欠だという状況ではないと思います。私はやはりこういう問題については、できるだけ中立性を持った、労使のどちらへも偏しない立場であり、同時にこれは日本の繁栄のために、先ほど来御議論のありました近代的労使関係を打ち立てるということについては、国民一般も理解しなければならぬし、経営者もあるいは労働者も、その点について十分な理解を持ってこなければならぬと思います。そういう教育をするのには、できるだけ中立性を持っており、また同時にその教育が大衆性を持っておることが必要であろうと思います。一部のただ労働者の技術教育をするということだけで、これが達せられるものではございません。そういう意味合いにおいて、この労働協会ができ上った上においてやる労働教育というものは、非常に広範な、中立的な、また大衆的な性格を多分に持ったものになるだろう、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/21
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022・森山欽司
○森山委員長 滝井君、御注意申し上げた時間はすでに経過しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/22
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023・滝井義高
○滝井委員 二時間の約束をしておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/23
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024・森山欽司
○森山委員長 滝井君に申し上げます。御注意申し上げた時間はすでに経過しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/24
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025・滝井義高
○滝井委員 お尋ねしますが、今このように労働者教育というものをどうもぼやけた形でなくて、――労働者教育は三つあると思うのです。まず一つは、労働者の成人教育ということでやるのか、いま一つは、労働組合のアクチブ教育なのか、いま一つは技能教育なのか、これはいろいろあります。ILOの労働者教育専門家会議でも、労働者教育とは一体何だということが問題になった。ところがこれはなかなか定義が出なかった。岸内閣が労働協会をお作りになってやる労働者教育というようなものは、今言った三つのうちの一体どれなのかということなんです。昨日ここへ参考人に来ていただきました。そうしたらこういう意見を述べる方がありました。労働者教育というのは労働者としてのあり方、組合員としてのあり方、そういうモラルの教育ということが一つ。いま一つは技術教育と申しますか、こういう二つの面がある。私はもう一つ労働組合のアクチブ教育をあげましたが、一体政府はどこに重点を置いて労働者教育をやろうとするのか、この基本的な方針がはっきりしておらないと、これはぐらつくのです。その基本的方針は一体どこに置いてやられようとするのか、これを総理にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/25
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026・岸信介
○岸国務大臣 私の理解しておるところでは、実はこの労働協会でやりますのは、具体的に労働者の教育ということではなしに、労働問題に関する、先ほど私が申し上げました日本のなにからいいますと、労働者も経営者も、あるいは国民全般も、労働問題の近代的なあり方というものに対する十分な認識と理解を欠いておるということでございますので、もちろんこの教育だけで私はすべてが終るというのじゃなしに、労働者の訓練法だとかいろいろななにによって技術教育はやる面もありましょうし、あるいはまた労働組合のアクティヴィティというような問題につきましては、労働組合等が中心になってやられる点もありましょうし、いろいろつな点があると思います。しかしこの労働協会でやるのは、一般的な労働問題に関する国民の認識を広くなにするというところに主眼があり、また労働者だけに対する関係から申しますと、むしろあなたのおあげになりました二つの中では、技術ということよりは、一つのモラルに中心を置くということになると思いますが、私どものねらいは今申した通り、国民全体に対して広く労働問題に対する認識を深めていくということを企図しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/26
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027・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この基本方針は、調査研究、啓蒙をやることがこの機関の主たるものなのか、いわゆる労働教育、労働者教育をやることが主たる目的なのか、それをはっきりしてもらっておいて、私はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/27
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028・岸信介
○岸国務大臣 この一条に目的、それから業務のところにはっきり書いてありますが、今お話の前段の方が目的であって、具体的の労働者教育をやるという意味ではございません。いろいろ総合的な調査研究をして、それに対して国民にその結果を明らかにし、全体になにする啓蒙の中に、私の言っておる教育というものの主眼があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/28
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029・滝井義高
○滝井委員 わかりました。一つそれを確認をいたしておきます。これでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/29
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030・森山欽司
○森山委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/30
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031・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず総理大臣に簡潔にお尋ねいたしたいと思いますが、労使関係における国家の役割はどういうようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/31
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032・岸信介
○岸国務大臣 ちょっと御質問の極意がわかりませんけれども、私どもの考えておるのは、国家はあくまでも中立的な公正な立場に立ってこれらの問題に処すべきである、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/32
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033・森山欽司
○森山委員長 多賀谷君にこの際申し上げます。総理の出席時間の都合上恐縮でありますが、質疑は二十分以内に終了されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ことに払は国家規範、すなわち法律の関係についてお尋ねしたいと思います。労使の間を規作するものは、規範としては自主規範を尊重することが最も必要である。そこで国家的規範は、この自主的規範を自由に満たし得る条件を労働者のために保障してやるということが必要であると思うのです。そこで労働法の分野というものは、実質的にむしろ国家制定法規の中にあるよりも、直接には労使関係で規律する自主的な規範の中にあると思います。そこで国の法律というものは、自主的規範を制定することを妨げるような干渉規定とか、あるいはおせっかいな規定というものは、禁物であると考えるのですが、総理はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/34
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035・岸信介
○岸国務大臣 原則として、労使関係が自主的に規制され、自主的な方法によってきめられていくということは、これは望ましいことは言うを待ちませんが、すべての自主性というものの範囲は、公共の福祉であるとか、いわゆる公共性というものの範疇内において、そういうことが許されることは言うまでもないことでございまして、私はそういう意味においては自主性を大いに尊重していかなければならぬ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 歴代の保守党の労働政策を見ますと、次から次へと労働法の改悪をおやりになっておる。あるいはスト規制法をお出しになっておる。あるいは公労法にしても、国際的に問題になっておるにかかわらず、依然として変更をされない。こういうようにだんだんと自主的規範というものは浸食され、制限されつつある。しかも最近においては、法律によらずして行政解釈ということで実質的立法の分野にまで乗り出してきて、そうして実質的に労働法の改正をおやりになろうとしておる。具体的に申し上げますと、最近における次官通牒というもの、あるいは部分ストにおける賃金カットというもの、公労法の統一解釈と称するもの、あるいはまた同情ストに対する石田労働行政の警告なるもの、こういったことは私は行政官の限度を越えておると思うのです。行政の解釈というのは事務上の必要なるものにとどまっておって、いやしくも一般の労働運動をこうやっていくべきものだというような解釈は、私は行政官の範囲を越えておる、かように考えるのですが、総理はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/36
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037・岸信介
○岸国務大臣 今の通牒とか、あるいは労働大臣がその責任におきまして警告を出しておるというような、具体的の問題の具体的内容は、私承知いたしておりませんし、それがどういうところに触れておるか知りませんが、法の解釈として、立法の趣旨なり、あるいは法の解釈の不明確なことを明確にし、行政官庁としてはこう考えるということをあらかじめ明確にするということは、他の行政事務においてもありますが、決して行き過ぎでもないと思います。ただ内容自体が法の正当なる解釈を逸脱しておったり、あるいは法の立法趣旨を誤解しておったりすることがあるならば、これはいけないことでありますけれども、そうでない限りにおいては、そういう方法をとるということは、行政事務からいうと当然のことのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は事務の処理上、または監督の必要上お出しになる行政解釈というのは、これはやむを得ないと思います。ところが日本の労働運動を批判したり、あるいはまた実際民事均なものに対して、すなわち労使双方で決定すべきものに対して、いやしくも行政解釈と称するものをお出しになっておる。これは純然たる裁判事項であります。何も監督の問題じゃありません。こういうことに対してどういうようにお考えですか。総理のお考えと違うことが現実に行われておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/38
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039・岸信介
○岸国務大臣 もちろん法の解釈の最後の決定は裁判所で決定されることは当然でございます。しかし私どもが行政の衝に当っております限り、法の解釈というものを行政官庁としてどう解釈するかということがもしも不明確であり、まちまちであり、そのために混乱を生ずるというような場合において、行政官庁としてはこう解釈するということをすることは当然であって、しかしそれに対してもし不服があり、それが違法であるということになれば、裁判所において最後の決定を見ることは当然でございますが、その一段として行政官庁としてそういうことをやるのは、私は行政事務としては当然考えられていいことじゃないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は事務必要上、監督必要上の解釈ということはあるいは必要がある、こういうことは認めるわけでありますが、最近はややその線を逸脱しておるのではないか。これがやはり労働協会法案を審議する際に、かなり重要な要素になるわけである。そこで次にお尋ねいたしたいのですが、一体労使協調という問題をどういうようにお考えでありますか、これを総理大臣から率直に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/40
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041・岸信介
○岸国務大臣 労使協調ということは、これは言葉だけの観念ではなしに、日本におきましては歴史的に一つの意義を持っておる。その言葉だけの意味として労使が協力をする、その事業を繁栄せしめ、経営を合理的にやり、労使の関係をりっぱにやっていくという意味で、言葉だけから言えば労使協調ということはちっとも差しつかえないことでありますけれども、日本における労使協調というものは歴史的意義がある。それは先ほどから議論されておった独立の、対等の立場において近代的労使関係を作るということとはその意味が違っておった、こういう意味において解釈すべきものであろう。その言葉だけの解釈から言えば、私は差しつかえないことである、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、日本における労使協調主義ともいうのは、歴史的の意味においては総理は現在のところそういう考えはない。そこで日本の労働法は労使対立ということを前提として規定しているものである、こういうように理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/42
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043・岸信介
○岸国務大臣 労使対立という言葉が、こうなりますと言葉の問題でありますが、私は労使関係は対等な立場においていろんなものを規定しているということは、これは日本の各法律の中心をなしているだろうと思います。対立と言うと何かちょっとまた意味が違うかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 対等というのは、むしろ団結権によって力のバランスを合せたということでありまして、私が聞いているのは、利害関係の対立ということを前提に考えてよろしいか、こう言っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/44
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045・岸信介
○岸国務大臣 一体労使関係が、全面的に利害が対立しているとは私は考えておりません。それは部分的の、賃金の問題をどうするかというような単個の具体的事実をとらえてくると、これは利害の対立があるだろうと思います。しかし究極においてその事業が繁栄し、その事業によって労使ともに共存共栄できるということが結局の理想である、そういう意味においてはむしろ共通しているものだ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 労働法の原理はやはり労使の対立を前提としているものだ、階級的対立を前提としているものだ、こういうことが言えると思いますが、どういうようにお考えですか。労働法に流れている原理、たとえば使用者からの組合の自主性、そういう幾多の点において、不明確ではありますけれども、日本の労働法というのはやはり対立を前提として書かれている、こういうようこ理解してもよろしいでしょうか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/46
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047・岸信介
○岸国務大臣 先ほど来私がお答え申し上げているように、私は労使の対立
を前提としているという、対立という言葉の意味でありますが、対立というと、何か両方が結局においては相いれないということを意味しているのだから、そういう性質のものではない。個々の具体的の問題で労使の間に意見が違い、そして利害が衝突するということはもちろんあります、ありますけれども究極においてはそういうことではない、むしろ労使の何は資本家を優位の地位に置くとか、労働者を優位の地位に置くとかいうことではなしに、対等の地位において自主的にこの間のことを律していくということが労働法の根本の考え方である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういうお話をされますと、やはり総理大臣の言葉の中に、あるいは頭の中に、かつての事業一家論あるいは全産業一体の思想があるのではないか。労働法が前提にしているものは対立ではないか。だから労働組合は使用者から独立しているのだとか、あるいは自主性を侵してはならないとか、こういう規定が幾つもここにある。それは企業を行なっている上において一致した面があるでしょう。しかし労働法が前提としているものは、団体交渉にいたしましても何にいたしましても、そういうことを対立としているじゃありませんか、こう言っているのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/48
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049・岸信介
○岸国務大臣 私はあくまでもそれは対等の立場において労使を律するということであって、対立という考え方ではどうも多賀谷君と……。それからまたそう申し上げることがかって日本にあった協調主義の考え方によって言っているのではなしに、労働立法の考え方が、私が言うように対等の立場において自主的に民主的に事をきめていくということにこの基本があるのです。労使が相いれない対立したものであって、階級的闘争によって実力によって、この問のものをどちらかを一方が抑えつけて決するのだという考え方ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は対等ということと対立ということとは違うと思いますが、時間がありませんからこの程度にとどめておきますが、しかしこれが非常に私は危惧がある。そこで率直に言いますと、かつてのやはり協調会の話も出ましたが、産報運動が昭和十五年になって、これは精神運動から離れて組織運動になって、労働組合は解消したわけです。総理御存じの通りです。そこで今労働協会法案を審議するに先だって、私の一番心配しておるのはやはり労働教育ということです。この労働教育が違った方向に行きはしないかということを心配しておるのです。そこでむしろ協会発足に当っては、まず一番現在の日本の労働界で不足しておるといわれます調査研究にとどめられたらどうか、総理はどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/50
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051・岸信介
○岸国務大臣 もちろん調査研究というものは私非常に必要であると思います。しかしその調査研究というものも、資料を集め、ただそこに組織している人だけが研究するということだけではなしに、日本の先ほど来言っているような労働問題に対する国民の認識もまだ十分でないのですから、これをやはり公表し、これによって啓蒙をするということは、調査研究と不可分の重要性を持っておる。先ほど来申し上げておりますように労働者教育ということを実は考えておるわけではない。労働者を集めて、何かこの機関が教育するというのじゃなしに、先ほど来言っているように調査研究、啓蒙することによって、労働問題に関する認識を広く高め、これに対する理解を深めていくということが必要である。そういう意味において啓蒙ということはどうしてもやるべきである、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/51
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052・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は私たちは対組合員を相手に、あるいは対国民を相手に直接啓蒙され、教育されるということについて、岸内閣だけではありませんが、従来の歴代保守政権のおやりになったことから考えても、あるいは戦前の状態から考えても、どうも私たちは心配でならないのです。岸さん御存じのように、満州に参られまして、満州国労工協会法というものをあなたが産業部次長のときにお作りになっておる。それからまた昭和十五年には内地に帰られてからやはり商工次官として、従来の道義的な産業報国運動から、これを組織的な運動、いな運動ではなくして組織そのものにされた。こういう経緯を見て、ここにまた日本労働協会法というものをお作りになる。どうも私たちは過去を言うわけではございませんけれども、心配は杞憂かもしれませんが一掃できないのです。そこでこの法案が発足するに当っては、一つ研究機関におとどめになったらどうか。そうしてそれをやってみてこれは安心だということなら、対国民あるいは対労働組合、こういうように直接乗り出してもけっこうじゃないか、こういうように思うわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/52
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053・岸信介
○岸国務大臣 私の過去のことを申されましたが、やはりこういう問題はその当時の社会情勢なり経済情勢なり一般情勢と非常な関係があると思うのです。私自身がこの新憲法のもとにおいて、そうして日本のこの民主主議の発展を考えておる今日におきまして、満州におって私が出した法律や、あるいは大戦直前にやった施策と今日同じよ問うな考えを持たないことは言うを待たないのであります。ただいろいろな御懸念もあるようでありますが、私は調査研究ということは、当然これを発表するということが伴わないと意味をなさないことであると思いますし、それは先ほど申しているような日本の健全な労働運動を発達せしめ、労使の間の近代的関係を樹立するということについては、資本家も労働者も、また国民大衆も、労働問題というものの実情を正確に把握し、これに対して非常な理解を持たないと、結局今言っているように、まだ今日といえども労働組合というものはよけいなものだというような考えを持っておる経営者もあることはいなむことができませんし、また労働組合のうちにも行き過ぎがあるということは、これは多賀谷君も御否認になるまいと思います。また労働組合の組織されておらない部門が非常に多いというような実情から見ましても、どうしても私は、日本に近代的の労使の関係を樹立するためには、こういうできるだけ中立的な、しかも永続し安定をしておる研究調査の機関を一つ作り、それがその資料に基いての発表やあるいは啓蒙をするということについては、今の日本のような事情においては特に必要であり、これが決して過去における私の考えが尾を引いているものではなしに、むしろ今の時世でこういうものが必要だという考え、その基本はあくまでも憲法のもと民主的な考え方から出発しておるものであるということを繰り返して申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/53
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054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石田労働大臣にお尋ね問いたしますが、大臣は自民党の幹部として、また国務大臣として、ことに政党内閣でありますから、一応自民党の政調会の労働部会の決定した労働新政策についてお尋ねいたしたい。すなわち九月四日政調会労働部会は、労使関係安定策として労働関係における健全民主的な労働慣行の確立を促進し、極左勢力の強力な宣伝活動に対処するため強力な民間団体を設置する、こういう発表をなされた。この発表が言葉が過ぎたとか、あるいは刺激するとかいうので、後に九月十七日に発表を変えられました。そうしてその発表によりますと、労働運動の健全のため、調査研究啓蒙の機関を整備強化する、こういうように文章が直っております。しかし、そういうような政策が発表されまして、ここにわれわれは労働協会法案の提案を見たわけでございます。この問に何らか関係があるのではないか。そこで私は、一体組合の強力な宣伝活動に対処するという意図は那辺にあるのか、これを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/54
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055・石田博英
○石田国務大臣 私は政党内閣の閣僚といたしまして、政党の政調会なりあるいは政党の機関の発表決定せられましたものを尊重いたします。しかし一面において行政機関の責任者といたしまして、私は私の独自の判断と責任において法律案を提出いたしておるわけでございます。従って常の労働都会が結論を出されるのに当って、経過的にどういう議論をなさったかということについては、私は直接的にまた間接的にも責任をとるものでございませんし、責任も感じません。私が議会に提出し、私が世間に対して行なった施策についてのみ、私は責任を負うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/55
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056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 政党政治でありますから、党の労働新政策として発表された、それに基いて大臣はこの法案を提案されたと私たちは考えるわけです。そうしなければきわめておかしいのです。党の政策とは別に自分はやるのだということになれば、政党政治は要りません。これは純然たる超党的な政府になる。総理が何も一党の総裁を兼ねる必要はないのです。そこで私は素直にいって、常が発表されたことに基いて大臣はお出しになったのだ、かように考えるわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/56
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057・石田博英
○石田国務大臣 私が申し上げますのは、政党内閣の閣僚でございますから、政党の立てられた施策を尊重し、それを参考にいたします。しかしそれに全面的に支配されるものではございません。私はその緩急の度合いについて、あるいはその施策の前後について、私は私の独自の判断と責任において行うのだということを申し上げたのであります。
それからもう一つは、ましてやその結論を得るまでの経過的な論議の過程について、私は関与いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/57
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058・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大坪労働部長がおられますけれども、どうもこの点は明確でない。でありますから、いやしくも政党が発表したことに基いて、われわれはこれが出されたものである、こう判断せざるを得ないのです。そこで、私は聞くところによると、十五億円という金、この金は実は最初は三十億円要求された、こう聞いておりますが、それに間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/58
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059・石田博英
○石田国務大臣 その通りであります。それから先ほどの議論は、政党内閣のあり方について、非常に根本的な問題でございますからはっきりと申し上げておきます。政党の政策を尊重することは当然であります。しかしそれに完全に支配されるならば、内閣というものは必要がなくなる。政府がその政党の政策を尊重いたしまして、それを実行いたします緩急あるいは前後というものは、政府それ自身の責任において行うということであります。
それから私が承知しないというのは、その党の機関が最後の決定を見るまでの間の経過的な議論をお聞きになっていらっしゃるので、経過的な議論というものについて、私は出席したわけでもなければ、関与したわけでもございません。こういうことを申し上げておきます。
それから要求金額はお説の通り三十億円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/59
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060・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その三十億円というのは、実はわれわれが聞くところによると、昨年の六月。総評は総評新聞を日刊紙にするというので、三十億円の予算を執行部は提案した。同じく労働科学研究所を作るというので、七百万円の予算を提案いたしました。ところが、七百万円の方は金額が少なかった関係でしょう、通りました。そして三十億の日刊紙の方は否決になりました。そこでその空気を見て、政府としてもまごまごしておられぬ。あの総評が日刊紙を出すなら大へんだということで、これこそてんやわんやで新労働政策の発表になり、それからここに日本労働協会法の提案を見たと聞いておる。そこで、その点についてどういう事情であったのか、大臣一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/60
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061・石田博英
○石田国務大臣 総評が日刊紙の発行について三十億円要求されたということは私は初耳でございます。存じません。しかしそれと同時に、私は長年新聞界で育った人間でございまして、三十億円が五十億円おかけになりましょうとも、日刊紙などというものは、そう簡単にできるものではございません。それは長年の経験と、それから信用、それが相伴ってこそ、日刊紙というものの権威が持続されるものでありまして、金と組織だけで、この日刊紙というものができるなら――その組織内部だけで強制的に買わせるものならできましょう。しかし日刊紙が、一般の市中の新聞やその他と対抗し得られるものを期持されるとするならば、むしろ税金か何かにお納めになった方が効果的だろうと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/61
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062・多賀谷真稔
○多賀谷委員 新聞界におられたことは知っておりますけれども、経営に参加したということは残念ながらあまり知りません。記事は扱われたかもしれませんが、どうも経営の能力があるようには私は残念ながら見受けられませんが……そこで一体民間専門機関を設置する必要があるかどうか。それだけならばむしろ政府の責任でおやりになったらどうか。このことはすでに質問があったと思いますけれども、どうも大臣の、大衆性あるいは機動力、こういうことでは私は納得できないものがある。その真意はどこにあるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/62
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063・石田博英
○石田国務大臣 これはたびたび申し上げておるのでありますが、宣伝とか啓蒙とか研究調査というものを、いわゆる官僚組織の中でやりますには、おのずからその構成員の能力、経験から申しまして限度がございます。またその発表するもの、あるいは研究するものが大衆の中にオーソリティを持って参りますためには、やはり政府から離れたものが必要であろう、またそうでなければならない、こういうふうに考えておるのでありまして、一つは日本の政府内部の行政組織の構成員の能力の限界、いま一つはその啓蒙活動の権威と公正性の維持のために、あるいは効果の維持のために、民間団体が必要である、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/63
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064・多賀谷真稔
○多賀谷委員 構成員の能力という点はわからないこともありませんが、権威の維持のためということは、私はここにきわめて問題があると思うのです。先ほど私は総理にもお尋ねいたしましたが、いわば国家法規というのは、自主的な労働関係法規を侵食し、あるいは制限してはならない。国家は労使関係においては中立である、こういうような立場であるにもかかわらず、最近はわれわれからいうならば目に余る行政解釈というものの乱発をなされ、あるいは世に警告労働行政――いいか悪いかわかりません、立場によって違うでしょうけれども――という名前をあなたは得られておる。その石田労働行政をもってしてもまだなし得ないものがある。それは国家の中立性という原則は、いかに石田さんの心臓をもってしても逸脱のできない線がある。その逸脱のできない線をこの専門機関をしておやりになる、こういうような考え方があるのではないか、かように私は考えるのっですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/64
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065・石田博英
○石田国務大臣 私のやり方についてのニック・ネームについては私は責任を負いません。それからもう一つ申し上げておきたいことは、行政機関が行いますことは、やはり行政目的というものによって支配されるのではないか、あるいは行政目的という方向づけが与えられるのではないかという前提を客観的に持たれるのであります。そこで行政機関から離れた民間機関によって行いたいと考える、つまりこの活動の中に、あるいはこれの行います行為の中に一定の方向づけの制約を持たないもの、それが公正妥当を確保し得る根拠である、こう私は考えておるわけであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/65
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066・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その表面には本協会の自主性をいわれ、あるいは公正性を唱えられる。ところが実体はどうかというと、先ほどからお話がたびたび出ておりましたように、会長あるいは監事の任命、さらに理事の任命の認可権、あるいはそれぞれの罷免権、あるいは業務計画の認可、あるいは予算、決算における認可、こういうように、いわばこの協会は、労働大臣の鼻息をうかがわなければできないような仕組みになっておる。まさに機関としては、労働大臣の隷属機関になっておるわけです。一体これで自主的な教育ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/66
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067・石田博英
○石田国務大臣 これは厳格に申しますと会長の任命権だけにしぼられる問題であります。理事については、会長が選任をいたしましたものを労働大臣が認可をすることになっておりますけれども、しかしこれは実際問題として、この会の自主性ということが法律全体の中に貫かれております以上は、政府の不当な干渉は世論の前からいってもできません。それから役員の罷免の問題を御指摘になっておりますが、役員の罷免は軽々にできない厳重な制約がございます。法第十六条の二項をお読みいただけばおわかりいただけます通り、まず第一心身の故障ということが条件であります。これは近代社会においては、明治の中ごろにおきましてお家騒動なんかで気違いにして牢屋に入れたということはございましたでしょうけれども、現在においては心身の故障ということは医師の科学的証明がなければ、だいぶお医者様もいらっしゃるからおわかりでありましょうが、医師の科学的証明がなければこういうことは証明されない。それから職務上の義務違反というのは、行政処分あるいは刑事処分の対象になります。それから第二項の前段にあります「その他役員たるに適しない非行」というようなこともこれは明らかに行政処分や刑事処分の対象になるものであります。そういうものがあった場合におきましては、それはたとい労働大臣の監督権がないといたしましても、こういう公共的な機関の場合はやめてもらわなければならないのであります。それから評議員等の任命について、具体的に労使あるいは公益その他三者構成の構成内容の規定がないとおっしゃいましたが、これはこの協会自体がいわゆる第三者的な立場を守りたいという立場から、具体的には書いておりませんけれども、当然その中には労働者側も使用者側の代表者も入っていくことは当然であります。それから業務上の監督、これも自主性を確保するようにちゃんとしてございます。会計上の所要の監督は、国費でもって事業の経営をしておりまする以上、行政機関の当然の責任であります。そうなりますとしぼられるのは会長の任命権だけの問題というところに私はくると思う。そこでその会長の任命については、何度も繰り返して申し上げております通り、良心にかけて中正公平な人を選ぶ確信を持っているということを私は申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/67
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068・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石田さんは自画自讃で、都会の悪いところは抜かしてとうとうとしておやりになっておるけれども、役員たるに適しない非行というようなことは、これはきわめて抽象的で、どうでも解釈できる。(「言葉のやり取りばかりしているじゃないか」と呼ぶ者あり)言葉のやり取りを僕がしているのじゃない。向うからしてきているのだ。こんな医師の診断なんてわかりもしないことをとうとうとされるから、時間が長くなって二時間でも三時間でもやらなければならぬことになる。
そこで私は次に石田労政の労働法の理念についてお尋ねいたしたい。これは総理に少し聞きましたけれども、総理は時間がございませんから十分に聞くことができなかったのですが、この問題については私大臣が御就任になりましてから初めて聞くわけです。労使関係については今まで一投的な基本的な問題として聞いたことがなかったので、この際お聞きいたしたいと思います。
先ほど労使対立ということを言いましたところが、対等だということでお話がありましたけれども、私は労働法を貫いておる原理はやはり対立ということを前提にしておると思う。そしてそのことは、組合の自主性を侵してはならないとか、いろいろな点において、これは対立ということを前提にしておる。労働法を離れた後の問題はまた別です。労働法外の問題は別として、労働法としては流れておる原理の一つには対立が前提とされておる。このことについて労働大臣はどういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/68
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069・石田博英
○石田国務大臣 労働者と使用者との関係において対立する問題が起り得ることは十分想像されます。また現実に起っておる。そういう状態をいかなる関係のもとにおいて処理すべきかという建前で書かれておるのが労働法規であると私は考えております。しからばいかなる状態において処理すべきであるかということは、労使対等の立場において処理すべきである。その対等の立場というものはいかにして維持さるべきか、労働組合の自主性を確立することによって、あるいはその団結権を守ることによって維持せられておる、こういうふうに私は解釈しております。しかしこの法規の目的は、対立しておる状態を解決するところにあるのでございますから、従って対立という状態を恒久的、永続的なものと考えて立法されたものではございません、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/69
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070・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで対立を前提にしておる、こういうことについては一応お認めになりました。対立を前提にしてあるから労働法というものはいろいろの点において規定をしておる。その対立を否定しては労働法というのは、これは近代的労働法でなくて、むしろ政府が乗り出していく干渉法規になる。これはフアッショの労働統制法に勝つ、こういうことを私は懸念をするわけです。そこで労働教育の場合に、この労使の対立というものを十分考えて、それを前提に教育がなされなければならない、かように考えますが、大臣はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/70
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071・石田博英
○石田国務大臣 私が申し上げたのは、対立という現象は時限的に起り得る、時限的に始終ある、それを解決することを目標として労働法規が作られておる、従って対立の状態が継続的、永久的なものとは解釈しないということを申し上げておるわけであります。従って労働協会が取り扱う労働問題は、この時限的にときどき起り得る労働者及び使用者間の対立の問題の処理あるいは対立の実情、あるいは処理すべき手段、そういうものについての列国の事情を調べ、研究調査をいたしまして、より良識的なあり方というものを追求していくというところにあると思います。共通する基盤は何か、この時限的に起る対立の状態というものをでき得る限り平和裏に解決することによって産業平和を確保し、そうしてその企業あるいはその国の経済力、生産性を向上させることによって労働者はもちろん、使用者側の両方とも両立し得られる境地を求めていくというところにあると私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/71
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072・多賀谷真稔
○多賀谷委員 続いて問題の業務の範囲というものについてお聞かせ願いたいと思います。
そこで放送ということをうたっておりますが、一体放送とは具体的にはどういうことをおやりになるつもりであるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/72
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073・石田博英
○石田国務大臣 具体的な業務の内容は、たびたび申し上げております通り、会長が選任せられましてから、その会長のもとに構成された陣容によって具体的に研究をしてもらい、きめてもらうということであります。しかし法律としてその行う範囲というものは明確にしなければなりませんから、行う範囲の総ワクを規定しておるわけであります。そこでこの放送ということは通常電波を利用して、そうして広報活動をすることをさすのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/73
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074・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうもあとがやはり蛇足ですね。私は今政府がどういうことを考えてこの放送ということをこの中に入れられておるかということを聞いておるわけです。具体的には会長がきまって、会長があなたの方と相談をして業務計画というものを認可をされるわけですから、あなたの方はそこできまるわけでありますが、しかし放送は私はきわめて重大な問題があると思う。これは総評があるラジオ放送に申し入れをしてスポンサーになろうとしてけられた。日経連もその通り、こういうことになりますと、将来放送のスポンサーになるのは日本労働協会だけだということになる。そこで、日本労働協会だけということになりますが、これはまさに放送を独占するわけです。一体この放送については現在労働省はどういうようにお考えであるのか。どういう構想をもって放送というのを入れられたのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/74
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075・石田博英
○石田国務大臣 どの放送会社で総評なり日経連なりがスポンサーになろうと思って断わられたか、それは知りませんが、いわゆる放送活動というものは必ずしもスポンサーになって時間を買い取るだけを放送活動としてさすのではございません。あらゆる放送の面を利用していく、あるいはニュースの形あるいはそのほかいろんな形がございましょう。そういう形の中に入れていくということでございます。労働協会がこの既定予算の中で労働問題についての放送を独占し得るような大きな時間を取り得るかどうか、これは経理上のいろいろのことをやってみなければわからぬと思います。
それから、これも念のために申し上げておきたいと思いますが、業務計画ということの認可、こういうことでありますが、この認可の範囲はこの協会の目的を逸脱していないかどうかということだけに限られます。その内容はあくまで自主性にまかせる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/75
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076・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次にこの放送ですが、やはり私は非常に危惧される。そこで、具体的な争議がある、あるいは春闘というものが行われる、こういう場合に、そういった具体的なことに関して日本労働協会としては労使を呼んだりあるいは協会からだれか第三者を呼んだりして討論会をやる、こういうことを考えられておるかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/76
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077・石田博英
○石田国務大臣 それもやはり新しい陣容の決定せられることでございますが、本協会の目的としておりますのは、そういう時事問題と申しますか、時々に起ってくる事態についての見解をやるわけではございません。もっと恒久的な労働問題の全体についての調査研究をやりまして、基本的なあり方を探究していこうというところにあるのでございます。従って今申しましたような時々に起った労働争議とかなんとかいうことを、そのままにジャーナリスティックに取り上げていくということが目的ではございませんから、それは念のために申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/77
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078・森山欽司
○森山委員長 この際五島虎雄君から関連質問を求められておりますので、これを許します。五島虎雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/78
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079・五島虎雄
○五島委員 いろいろ大臣は説明されるわけですけれども、私はここに一点明らかにしておきたいことがあります。わが党の議員は従来再三にわたっていろいろの点から質問しておりますけれども、その要点とするところは、人事の構成における大臣への隷属は御用機関となるということが重点である。それからもう一つは、この事業は啓蒙、宣伝、教育の範囲の広いところに政府の企図があって、それが基点であるということ、それから労働問題に対する大きな介入のおそれがあるということが、われわれの質問の重点であるわけです。ところが大臣は従来協会の目的は自主独立、そうして公正をずっと悦明してこられたわけです。ところが評議員の問題、人事権の問題については会長、監事、理事、評議員まで、それぞれ大臣が掌握されておる。そこでそういうようなことでは、労働者の意見もこの中に入っていかないのじゃないかというように質問をしておりましたところが、先々週まではずっと評議員等々はできるだけ中立的な人を持っていきたい、こういうように言われる。ところが先週はちょっぴり労働者代表もこの中に入れるのだというようなことを言われた。ところがわれわれがここにはっきりしておきたいのは、労働者代表やあるいは使用者の代表をこの評議員会にどういうように入れていくかというようなり姿を、ここにはっきりしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/79
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080・石田博英
○石田国務大臣 基本的にはこの協会の運営は、労使対立の中に中立性を求めていこうとするのではなくて、労使いずれにも片寄らない人々によって運営していこうということが、この基本的な考え方でございます。しかしそういう建前から評議員を選びましても、結局実際上の問題といたしましては、労働者の代表の人たちあるいは使用者側において労働問題を扱っておられる人たちが入ってくるのは、またそういう人にお願いしなければならぬのは、これは当然である、こういうことを言っておるのでありまして、それは三月四日であったと覚えておりますが、滝井委員の御質問にも私は終始一貫同様にお答えを申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/80
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081・五島虎雄
○五島委員 なお明らかにしなければならないのは、それじゃ十五人以内という人員がここに示されておる、そうすると使用者側と思われる人たちを何人入れ、労働者側と思われる人たちを何人入れるかということをここに明らかにしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/81
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082・石田博英
○石田国務大臣 何度も繰り返して申し上げております通り、この協会の運営はそういう建前からいくのではなくて、労使いずれにも足をつっ込んでいない、第三者的な立場の人によって運営せられていくことが望ましい、そういう方向で法律案を作成いたしております。従ってそういう労使、公益五人五人というような考え方で、そういうワクをあらかじめきめて人を選ぼうとは思っておりませんけれども、しかし公正を期するということから参りますると、おのずから帰結するところは、賢明な五島君にはおわかりいただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/82
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083・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは具体的な争議について、ジャーナリスティックに扱わない、こう了承していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/83
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084・石田博英
○石田国務大臣 その通りであります。そういうことを目的に作っておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/84
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085・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私はさらに業務の範囲の四、労働教育活動ということについて、使用者団体の行う労働教育活動、こういうことについて質問いたしたいと思います。これは使用者が労働教育をするということを前提に考えられておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/85
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086・石田博英
○石田国務大臣 使用者側で、使用者の労務担当者、たとえば大きな会社企業等あるいは企業の団体等におきまして、いろいろ自分の会社内あるいは自分の団体内において、労働問題についての講演会なりあるいは展覧会なり、展示会なりをなさる場合があり得るでしょう。そういう場合に資料その他の提供をいたそうということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/86
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087・田中正巳
○田中(正)委員 この際動議を提出いたします。本案についての質疑を打ち切られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/87
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088・森山欽司
○森山委員長 ただいまの田中君の動議に……。
〔発言する者、起立する者多く、議場騒然、聴取不能〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/88
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089・森山欽司
○森山委員長 ……よって本動議のごとく決しました。
これより討論に入ります。討論の通告がありますのでこれを許します。多賀谷真稔君。(「休憩々々」と呼び、その他発言する者多し)多賀谷真稔君。(「やれやれ。」「やらなければ採決しろ。」「暫時休憩だ。」と呼び、その他発言する者多し)
ちょっと速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/89
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090・森山欽司
○森山委員長 速記を始めて。これより討論に入ります。討論の通告があるのでこれを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/90
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091・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は日本社会党を代表し、日本労働協会法案に対し、反対の討論を行わんとするものであります。
まず第一に、本法提出の動機についてであります。本労働協会設立の直接の動機は、昨年六月総評大会において、総評執行部は総評新聞を日刊紙にして組合員を啓蒙しようとして、三十億の予算と労働科学研究所設置七百万円の予算を提案したことに刺激されたものといわれております。しかもそれを裏づけるごとく、九月四日自民党政調会労働部会は労働新政策を打ち出し、その中に労使関係安定策として、民間労働教育機関の設置が掲げられ、労働関係における健全かつ民主的な労働慣行の確立を促進し、極左勢力の強力な宣伝活動に対処するため強力な民間団体を設置すると発表いたしました。このときの発表は、全体がかえって組合を刺激する結果になるということより、この案は一応撤回され、その後緩和された表現でなすことになり、九月十七日の発表では、この点に関し、労働運動の健全化のため調査、研究、啓蒙の機関を整備強化するということになりましたが、基本的には何ら変っていないのであります。すなわち本協会は総評等に対抗して、その行き過ぎ是正と称し、その組合の批判の上に設置されんとするところにこの根本的なねらいがあるといわざるを得ません。
第二点は労働教育を行わんとする場合の態度についてであります。わが国の労働関係の諸法律はあるいはマッカーサーによって与えられたものというかもしれませんけれども、これらの法律の一条々々は、各国の先輩労働者の血と汗によって戦いとったものであり、その闘争の記録が集積されたものであります。この国際的、階級的労働軍動の歴史的成果が、不十分ながらも労働者の基本権の保障として新憲法と労働関係諸法規の上に記録されているのでありまして、労働法の背後に存す指導的理念は労使の階級的利害対立を一応承認し、前提としているということであります。さればこそ労働法規は、労働者をその生活の基礎から把捉し、その基本権を使用者から守り、労働者組織の自主性を保障しようとしているのであります。もっともこれらの点も相次ぐ労働法の改悪により若干不明確になった点もなしといたしませんけれども、それにもかかわらず、ナチス労働秩序法における経営協同体論や、戦時中における産業報国精神に基く全産業一体、事業一家論と異なって、根本的には労使の階級的対立を容認しているのであります。超階級的な立場、中立的な立場ということも、労使の階級的対立を否定しては、かつての協調会が演じたあの末路をたどることになるでありましょう。このことは、労働組合法のいう経済の興隆が、団結権、団体交渉権、団体行動権の保障による労働者の地位の向上を度外視しては産業報国に転落し、公共の福祉も労働者の基本権を否定しては公益優先原則と相なると同様であります。ましてや最近の政府の労働政策を見ると、団結権等に関する次官通牒を初め、チェック・オフに対する見解、公労法の統一解釈、炭労同情ストに対する警告等に見るごとく、政府の警告は資本家側の一方的解釈を政府の名において行なったものであり、中立性とは全くほど遠いものであります。
第三点は、自主的労働教育機関と称し、実体は労働大臣の下請機関であるところにも問題があります。労働協会と政府との関係を法律的に見ますと、ます労働大臣は協会の人事権を掌握しております。すなわち会長、監事の任命権、理事の任命の許可権、評議員の任命権及びそれぞれの解任権をことごとく有しておるのであります。次に業務上は事業計画の認可及び業務に関する監督任命権を持ち、予算、決算についても認可を有しておるのであって、協会は全く労働大臣の隷属機関となっているのであります。かように協会は自主性がないにもかかわらず、政府がその自主性を強調するゆえんのものは何でありましょうか。私はここにも政府の意図が隠蔽されていると思うのであります。労働教育はその性質上または技術上政府が行うことを不得手とする分野も少くないので、民間機関の指導性、大衆性を強調しておりますけれども、労働教育を行う場合、いかに反動的な政府とはいえ、いかに強心臓の労働大臣といっても、争議行為に対する政府の中立性の原則は表面上堅持せなければならず、次官通牒以来打ち出した警告行政も、これ以上乱発し、露骨に政府の意図を出すこともできず、ここに民間機関の設立をし、自主性を有せしめるごとく装うて、実質は隷属下に置き、政府のよくなし得ない反労働者的教育、啓蒙、宣伝をなさんとするものであります。
第四点は、戦後における歴代の反労働者政策の総仕上げをなすものといわねばなりません。歴代の保守政権は労働基本権を次々と剥奪してきました。しかも行政解釈と称して行政権の限度を越えた法律の解釈を行なって労働法体系を崩壊せしめ、まさに政府は行政権と立法権をかざした独占資本の代弁者に化してしまった感があります。労働組合の育成を忘れ、その弾圧に終始してきた政府が、ここにまた労働教育をせんとすることは、まさに反労働者的政策の総仕上げともいうべきものでありましょう。しかも労働大臣は国際研究会の新国策の雑誌において次のように言っております。その会議は各社の労務担当の第一線の幹部が出ておると言われておりますけれども、大臣は今悪く言われても、将来にわたって、あれは石田のときにやったのだと言われるほどのものであるならば、一つや二つはやっておきたいと思って努力しておる、これ滝井君の言う、労働大臣の野心であります。しかも満州国にあって満州労工協会の設立に参画され、日本に帰って産報運動を道議的運動としてではなく、従来の労働組合を崩壊せしめ、産業報国会を唯一の労働組織として改変せしめた当時の責任者の一人としての岸さんが、またここに民主国家の総理となり、日本労働協会の設立を提案されたことはまことに意義深いものがあり、本協会の設立の意図は、岸総理の頭のすみに次の産報運動の趣意書及び大日本産業報国会の綱領が浮んでいはしないかということをおそれるのであります。それはすなわち産報運動の趣意書は「一君の下、万民和親団結して各々共の分を尽し以て皇運を扶翼し奉ることは我国体の精華であって、日本精神の真髄も亦之を措いて他にはない。……皇運扶翼の精神は日本精神の真髄であり、此の精神が産業労働部門に顕現したるもの、之れ即労資一体、産業報国の精神に他ならぬのであって、産業報国運動とは実に此の精神を以て我国産業労働界の全分野を席捲風擁せんとする運動なのである」。さらにまた産業報国会の綱領は「勤労は皇国民の奉仕活動としてその国家性、人格性、生産性を一体的に高度に具現すべきものとす」「我等は産業の使命を体し事業一家職分報国の誠を致し以て皇国産業の興隆に総力を竭さむことを期す」以上産業報国運動の趣意書並びに産業報国会の綱領一部を述べ、日本労働協会がかかる役割を果すようになることをおそれ、ここに本法案に対し反対の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/91
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092・森山欽司
○森山委員長 田中正巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/92
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093・田中正巳
○田中(正)委員 私は自由民主党を代表して、日本労働協会法案につき賛成の意見を表明せんとするものであります。
わが国の労働運動及び労使関係は、戦後十三年急激に近代化し、発達を見ましたが、なおその歴史も浅く、またあの敗戦のさなか、混迷の世の中から再び立ち上ったものであるだけに、そのつめあとを強く今日まで残しておる事実も否定できないところであり、今日なお幾多の改革を要する点を包蔵することは、ひとしく国民の認めるところであります。 このことは一部使用者側が正しい近代的な労使関係を理解し得ないことに起因する面も多くありましょうし、また一般国民の労働問題に対する正しい理解と批判を欠くという事実によるものでありましょう。他面、労働組合側も、戦後急激に外部から与えられた労働運動の自由を正しい意味に理解し、あるべき方向に向けることができずに、国民経済の実態を離れ、国家の繁栄と安定に相いれない形において具体的な行動をとりつつある反面もまた否定できないと思われるのであります。
かくのごとき現実を前にして政府がこのような傾向を是正して、正しい労働関係を樹立するために政策を打ち立てることは、政府のなすべき当然の責務であり、今日本案のごときものが取り上げられるに至つたことは、若干おそきに過ぎるきらいはありますが、すこぶる当を得たものと申さねばなりません。
本案に反対して社会党の諸君は、本案の運営内容なりその指向するところが労働運動の中立性をそこなうものであるということを申しておりますが、まず第一に本協会は、法案に明らかであるごとく、政府資金十五億円を基金として一般会計より受け入れ、これを預金都資金に預託してその利子収入をもって運営されるものでありまして、そのつど政府の補助や助成を受ける方法をとるよりも安定かつ恒常的な軍営ができるばかりでなく、この協会の業務の中立性を確保するためにも、しごく好適な方法をとったものと申さねばなりません。またこの基金が経済基盤強化資金等の中から出ておることをもって、使用者側の資金蓄積のためにのみ役立ち得るもののごとき議論をなす者がありますが、われわれは経済基盤の強化が単に使用者側にのみ有利に展開するものとは考えられないのであって、国民経済の繁栄、経済基盤の強化は、すなわち労使相ともに好ましい影響をもたらすものと考えるべきであり、また経済基盤強化資金より基金を受けたということは、本協会基金の獲得の技術的理由によるものであり、本質的なものでないという、予算編成上の経過を知らないために起った御議論であると存じます。またこの協会は、法案において見るがごとくに、会長以下役員の任命は、公正な判断をなし得る学識経験者の中から任命することになっており、主要事項はすべて理事会において民主的に決定することになっており、さらに評議員会制度により広く労使関係者の意見が反映されるようにする等、その地本法案の数多くの個所にその自主的運営を確保するために、細心なる注意が払われておるのであります。会長の任命が労働大臣によること等をもって、この協会の中立性がそこなわれるがごときことを申す者がありまするが、本協会のごとく全額政府出資の団体においてはやはり政府の責任者が会長を任命するくらいのことは、政府資金を基金とし、その利子収入をもって運営するというものの、国民の税金を使用して設立される団体である以上当然のことであり、これをしも中立性をそこなうゆえんであるかのごときことを申すのは、ためにせんとする議論にすぎないものと申さねばなりません。
また本協会をもって、わが国にかってあった協調会と対比して、これと同様なことをなすものであって賛成できないとの議論を申す者がありますがこの点は形において若干似ておる点はありますが、協調会の時代には今日と違い憲法上労働者の基本権が規定されておらず、また労働組合法を初め今日のごとき進んだ労働法はなく、一般的に申しても今日と労働法体系が全く趣きを異にしておった時代であり、むしろ労働運動や労働争議はこれを否定せんとする一般的風潮下にあり、また協調会は率直に申すならば、当時の使用者側にとって理想的な労働関係を作り上げんとしたものであったに対して、今日の労働協会はその運営される政治的基盤や社会的事情を全く異にしておる事実を忘れるか、あるいは故意にこれに言及することを逝けた立論と申さねばなりません。また協調会は、その具体的任務として労働争議の調停解決ということを相当重要なものとして持っておったのでありますが、労働協会はこのような任務を全然持たないものであることも法案において明らかであります。また労働教育は労働者みずからの手により、ないしは労働組合の内部においてのみやるべきものであり、外部より働きかけるべきものでないという御議論でありますが、もちろん労働者みずからの手によりやる労働者教育はますますこれを実施しなければなりませんが、反面、さればといって政府または協会を通じて行うことが不適当であるという議論は了解できません。冒頭申すがごとく、今日の労働関係が不完全、不健全であるという国民の認識と不満がある以上、そして労働組合内部の労働教育というものに一定の制約と限度がある以上、これに対して適正なる外部の援助と働きかけは何ら否定すべき根拠を見出し得ないのであります。
ここで私は本協会の中立性に関連して労働運動の中立性について申し上げたいと思います。われわれ自由民主党こそ労働運動の中立性ないしは政治的無色ということを希求するものであり、かえって本案に反対する諸君こそ労働運動に政治的な面を期待しておるのではないかということであります。反対者は口に労働運動の中立性を確保するために反対を唱えるのだと申しておる。そのことは、その人々が労働組合運動に期待する政治性を中立化されるものでないかという危惧の念を持っているもののごとく、およそ語るに落ちるというべきでありましょう。またこの点に関して私どもが平素不可解に存ずるのは、今日国会内部におけるただ一つの大野党である日本社会党は、全国の数多くの労働運動の中には必ずや批判の対象になったり国民のひんしゅくを買うものがあるのにもかかわらず、これらに対しては終始弁護的立場こそとれ、決して一言半句も批判的態度や矯正的態度をとることなく、現にわれわれはこのようなことを寡聞にして聞かず、逆に労働組合団体からは社会党に対し、その政策や運動方針等には相当手きびしい批判や詰問を受けておるのもこれまた事実であります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/93
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094・森山欽司
○森山委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/94
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095・田中正巳
○田中(正)委員 ともあれ、以上述べたところにより、私は本協会が現下きわめて重要なる使命を有するものであり、今日すみやかに本法案が可決さるべきものであるということを申し上げるとともに、反面本協会のごとき重要かつ多方面なる任務を持つ協会がその基金として有するところが若干少な過ぎることを思い、今後政府はこの基金の増額につき予算的措置を逐次おとりになることを希求して、私の賛成討論を終了いたしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/95
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096・森山欽司
○森山委員長 これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/96
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097・森山欽司
○森山委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/97
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098・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
午後二時まで休憩いたします。
午後零時五十四分休憩
――――◇―――――
午後二時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/98
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099・森山欽司
○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案及び八木一男君外十二名提出の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑を許可いたします。滝井義高君。
〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/99
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100・滝井義高
○滝井委員 日雇労働者健康保険の被保険者の総数は、昭和三十三年では八十一万八千人に見積っておるわけでございますが、これを四等級に分けておったものを二等級に分けることに変更したわけです。そのために五千六百万円の赤字が実際には出ることになり、その五千六百万円の赤字は行政努力によって解消をしていくというのが保険局長の答弁でございました。そこで私1がお尋ねいたしたい点は、八十一万八区千人の被保険者を二百八十円以上と、二百八十円以下と二つに分けた場合に、一体その割合はどういうことになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/100
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101・高田正己
○高田(正)政府委員 第一級が八五、六%であったと記憶いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/101
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102・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、一級が八五、六%とすると二等級の方は一四、五%ということになるわけでございます。そうしますと、一体一カ月の稼働日数はどの程度を見て保険料の計算をされておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/102
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103・高田正己
○高田(正)政府委員 全体の平均は稼働日数は十八・五日くらいでございます。ただ保険料の計算はさような計算をいたしておりません。過去の保険料の総収入から一括して推計をする方法をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/103
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104・滝井義高
○滝井委員 保険料の計算は過去の実績を推計して一括してやられておるということでございますが、実はわれわれの手元に全国建設業協会清水康雄さんから日雇健康保険法改正に関する件陳情という書類がきておるわけなんです。この書類によって保険料の状態を見てみますと、政府の昭和三十三年の保険料の収入予算額は三十四億一千二万一千円になっておるわけですね。この方たちの計算の基礎は八十一万八千人を二百八十円以上は八六・三%、二百八十円以下は一三・七%、こういう計算をしております。今の局長さんの御答弁で一級が八四、五%、従って二級が一五、六%、大体合っておる。それから一カ月の稼働日数が十八・五日くらいだ、こういうことでございますが、これも十八。七日くらい、こうなっておるわけです。実質的には二十日前後あるかと思いますが、幾分確実に見積ってそうなっておるのだと思います。そうしますと、この建設業協会の計算によって見ますと、大体三十六億八千六百八十三万二千四百二十一円、こういう計算になるようでございます。今のようなことを基礎にして一級、二級の保険料の総収入を計算してみると三十六億程度です。そうしますと、政府の予算額は三十四億何がしでございますから、差引き実質的には二億七千六百八十三万一千円の差がそこに出てくるわけです。もしこういう計算が事実だとするならば、待期を四日を三日にしても平年度三千二百万円だったと思います。傷病手当金を十四日を二十一日にしたところで一億五千万円、二等級に縮めることによる赤字五千六百万円を一括しても二億七千万円にならない。実はきょう大蔵省の主計局にも来てもらいたいのですが、これは事業主が計算をしたのだから間違っていない。従って事業主の方は保険料二十一円を二十円、十円、十円にしてくれ、こういうことになるのだろうと思いますが、政府原案の通り十一円、十円でやっていきますと、二億七千万円ばかりの金が余ることになる、余る金ならば私は待期や傷病手当金をやるべきだと思うのです。この点あなた方はどういう反論をそれに対しておやりになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/104
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105・小沢辰男
○小沢説明員 数字の計算のことでございますので、私から最初にお答えをさしていただきますが、実は建設業協会の方の御意見につきましては、私らもその御意見を承わりまして、なお私どもの詳細な計算方法もお示しいたしまして、両者いろいろ突き合せをいたしたのでございます。今お読み上げ下さいました数字は、当初計算をされた建設業協会の御計算の資料かと思います。そのときには確かに若干の食い違いがありました。それは一つの原因は実は稼働日数の点にお触れになりましたが、稼働日数を二十日ないし二十一日ぐらいに計算をされましてやったものだ、こういう御説明があったわけでございます。それを私どもの計算のやり方を御説明申し上げましたところが、なるほどそういう事情ならばよくわかった、ということでありました。そこでさらに第二回目に、お前の方の言う通りの計算でやってみてもなお若干食い違いがあるがというお尋ねがまた再度ございました。それで私どもが参りましたら、大体計算の仕方は全部一致しております。数字の食い違いが若干あるためでありますか、それは実は私の方の予算書にもありますように、保険料収入のほかに一般会計からの手数料補てんというものがあるわけでございます。保険料収入の受け入れの方に手数料補てんの金額を足していただいて、いろいろ突き合せましたところが、なるほど大体わかりました、保険料の計算もどうやら一枚しましたというような経過があったのでございます。私ども実は稼働日数を基準にしていろいろ計算をするというような方法を、先ほど局長が申されましたようにとらなかったのでございます。と申しますのは、実は稼働日数は、全国から就労日数としての統計を各保険官署からとりまして、私の方で実績表を作っておるわけでありますけれども、これによりますと、最近は若干減りつつあるのでございます。しかもその平均が昨年の一八・七日という数学をさらに少しずつ下回りつつあるような現状でございます。従いまして、この稼働日数だけで考えて参りました場合には、ある期間の実績を見た場合にどうしてもその実績との違いが計算上出て参ります。従いまして、私どもとしては、前回滝井先生の御質問につきまして保険料の計算の仕組みを申し上げたように、三十二年度の十月までの実績額と、それを前年同期と比較してみました上昇率を出しまして、その上昇率をもって来年の保険料の伸びを考えていくというような実績をもとにした計算方法に一括して切りかえていった次第でございます。従いまして、稼働日数を計算の重要な要素にして保険料を計算するという行き方はとっていないのでございます。そういう点に若干建設業協会の方の計算とは合わない面があるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/105
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106・滝井義高
○滝井委員 問題は稼働日数の見方がどういうことかということも一つの重要なポイントになってくると思いますが、とにかく一日に十一円なり十円を払うのだ、こうきまったら、やはりこれは何といっても重要なポイントは稼働日数だと私は思うのです。そうしますと、日雇い労働者の諸君が望んでいるのは、月に少くともやはり二十二日から二十五日は働かしてくれという最低の要求がある。それを一八・七がだんだん下回ってきているということは、これは労働行政としても私は許されぬことだと思うし、またそういう実態では日雇い労働者の健康保険というものはうまくいくはずもない。だから、そういう実態があれば、当然厚生省は労働省の失業対策の方のしりをたたいて、やはり二十日、二十一日と稼働日数をふやさせなければいかぬと思う。失業対策の事業は労働省がやるからおれの方はただ保険のことだけやっていればいいということではないと思う。労働行政と厚生行政が車の両輪のようになってこそ初めて日雇い労働者の健康保険の運営というものはうまくいくものだと思う。そういう観点からすると、最低限二十日前後あるものと固く見て十八・七、こう見積られて、それを全般的なことを考えるにしても、稼働日数というものは一つの考え方としては非常に重要なポイントだと私は思うのです。そうしますと、これはあとは四月から六月までと、七月から昭和三十四年の三月までと、こう料率が違うのだから、それで掛算をすれば数字はきわめて正直に出てくるわけです。簡単な数字で百万か二百万あるいは一千万くらいの違いなら、私はそう言いません。しかし二億七千万、約三億近くあるのです。これだけの計算の違いがあるとするならば、これは私は施策に使うべきだと思う。特にこういう保険ですから、何もその金を残す必要はないと思う。それで、最近の健康保険の状態を見ると、予算より決算の方がずっと縮小してきているわけです。健康保険の実績は大体予算額の方が見積りが多いのです。ところが日雇い労働者の健康保険は幾分予算と決算、特に医療給付費を中心として見ると少し違うようであります。予算よりか決算の方が多くなっておるという傾向があるようであります。私よく見ておりますが、大体そういう傾向がある。健康保険はそうじゃない。縮小してきております。だからこそ健康保険には黒字が出てきておるのです。この点はやはり健康保険と日雇い労働者健康保険とが幾分本質的に違うところがあるじゃないかという感じを私は持っております。しかしそういう本質労的な違いはありますが、これは日雇い労働者健康保険をだんだん国民皆保険の精神にのっとりまして健康保険の給付率に近づけていくと、健康保険に近づけていくにつれてだんだん健康保険に似たような姿がおそらく出てくるだろうと思う。健康保険に近づけるというのは、傷病手当金をふやしたり、出産手当金をふやしたり、待期をもっと短かくするということですが、そういうことをやれば近づいてくるだろうと思いますので、財政のことばかり、支出のことばかりを考えずに、前進するもの、同時に支出の減少を来たす、こういうことも一ぺん考えてみて、もし算術計算で三億近くの違いがあるとするならば、それを受け入れて――この際くどいようですが、実際金が余るのです。これは私の計算と同時に建設業協会の計算によっても余るのです。だから、これは大蔵省は何と言うか知りませんけれども、まあやるべきじゃないかと思う。私は大蔵省を呼んで大蔵省の計算も一ぺん聞いてみたいと思うのでございますが、大蔵省は大蔵省独自の計算の立て方をしていらっしゃるだろうと思う。あなた方の受け売りならこれはちょっと問題がある。その点、大蔵省の来るまでこの問題はあとに保留したいと思いますが、何かあなたの方から御意見があればそれを先に聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/106
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107・小沢辰男
○小沢説明員 実は保険料の見込み、あるいは給付の見込みその他につきましては大蔵省の計算によっているのではないのでございまして、私ども保険行政をあずかるものが計算をしまして、それに対して大蔵省が異論があればそのときにいろいろと議論をするということでございます。日雇いの見込みにつきましては、全くその点についての見解の相違はありませんので、前回及び今回先ほど申し上げましたような計算の方法につきましては大蔵、厚生両省の一致した意見でございます。二億幾らの余りがあるというお話でございましたが、先ほど申しましたように、建設業協会でお出しになりました数字は最初私の方とお互いに意見を交換しない前の数字でございまして、その後意見を交換しましたところが、よくわかっだ、こちらと同じような計算方式をとってみるとなるほどその金額はそうなるな、ということで、十分御了承していただいておるものと一考えておるわけでございます。なお手数料補てんの金額が約一億六千五百万円ございますので、それらを合せますとほぼそれに近い数字になるわけでございます。
それから稼働日数の点でございますが、なるほど労働行政では公共事業あるいは失対事業等におきまして二十一日を確保するということで予算を組んでおられるのでありまして、確かに失対事業の方はそうした就労日数になっておるということは私ども十分承知いたしております。私どもの被保険者手帳の交付数、それを簡単に被保険者数と申し上げておるわけでございますが、この手帳の交付数というものと日雇い労務者が就労している現実の数字とは必ずしも合わないのでございまして、私どもが交付した有効手帳数というものを基礎にして就労日数を出して参りますと、実績として昭和三十一年度に十八・七日という数学が出ております。三十二年度の九月までは、大体十八日から十九日の問、若干十八日に近く推移している、こういうことを申し上げたのでございまして、この就労労日数と労働省の失対事業でいっております就労号数とは、若干対象も意味も違うわけでございますので、その点は御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/107
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108・滝井義高
○滝井委員 二百八十円以上と以下の占めるパーセンテージも同じであるし、稼働日数の見方も、大体私の説明したのと局長の答弁は同じである。そういうことになりますと、計算がそうニ億も三億も違うはずはないと思うどうも合この御答弁では納得がいかぬ。大蔵省の見解をもう一回たださせていただきたいと思います。
それから手数料の補てんの問題ですが、これは一億六千七百五十五万円というものは一般会計から受け入れることになるのか、保険料とは関係ないはずです。保険料は予算の面でも保険料収入として全然別個の科目になっておるわけですから、これはどうして関係がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/108
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109・小沢辰男
○小沢説明員 実は保険料を切手で納めてもらいますので、その切手の売りさばき手数料を差し引かれたものが保険料として入ってくるわけであります。それでは私どもの会計が困りますので、それを一般会計から今度手数料補てんとして受け入れをいたしておるわけであります。これが給付費に対する二割五分の国庫負担とか、あるいは傷病手当金に対する三分の一国庫負担というものとは全然別に入ってくるわけでございます。従いましてこの売りさばき手数料を含めた額が保険料収入に実質的にはなるわけでございますが、会計上の整理として分けておるわけであります。ところが建設業協会の方はこれらを含めまして一括して保険料と、こういう計算をいたしておるわけであります。その点を私申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/109
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110・滝井義高
○滝井委員 一億六千万円を引いてもなお一億一千万円の開きが出てくるわけですね。だから私がさいぜん言うように、百万か二百万の問題ならこんなけちなことは言いません。しかし一億あれば、とにかく少し倹約して逆選択その他をきちっとすれば、三七、二十一日の傷病手当金はつくんですよ、そこを言っている。だからこういう日雇い労働者の健康保険なんか搾取といってはおかしいけれども、そう隠し金を持つ必要はない、赤字なら赤字で一般会計から出させればいい。その点についてはどうも私は納得がいかない。あとでもう少し詳しい計算を資料として出してもらいたいと思うのです。掛け算ですから簡単でしょう。これは大蔵省の見解をもう少し聞かしてもらいま
す。
次には零細企業の従業員の日雇い労働者健康保険との関係です。これはすでに先般厚生省が五人末満の事業所を調査されりたときに、われわれ説明をいただいたので、私うろ覚えに覚えておりますが、多分百三十七万くらいの五人未満の事業所の従業員があったと思います。それと家族が六、七十万あったと記憶しております。これと家族を合せて二百万。そのほかに五人未満の事業所には日雇い的な者が多分四、五十万あったと記憶しております。そういう五人米満の事業所には非常に複雑な実態があったと私は記憶している。あるいは私の記憶に間違いがあるかと思いますが、そういう御説明があって、資料もいただいてそういうものを見上にと記憶しておりますが、一体皆保険の実施を目睫に控えて、この日雇い労働者健康保険と五人未満の関係はとりあえずあとにして、皆保険政策と日雇い労働者健康保険の制度とは一体どういう関係になってくるかということです。これは三十六年度から国民健康保険は強制実施になりますから、当然皆保険における日雇い労働働者健康保険との関係というものをどういう工合にお考えになっているのか、お聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/110
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111・高田正己
○高田(正)政府委員 国民健康保険との関係につきましては、すでに御提案を申し上げておりまする国民健康法の方ではっきりと区画整理をいたしております。一日に申し上げますれば、日雇い労働者健康保険の手帳の交付を受けている者は国民健唐保険の被保険者にならないということでございます。これの関係は普通の健康保険あるいは共済組合の被保険者といったものと同じ関係でございます。国民健康保険法案の第六条の第五号にそのことが書き入れられてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/111
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112・滝井義高
○滝井委員 それだけではちょっと答弁が足らぬのです。そのくらいの答弁なら知っているのです。それは制度としてただ条文の上にこうなっておりますということなんで、皆保険になったときに日雇い労働者の健康保険というものは今のような姿でいいかどうかということなんです。問題はここなんです。それは日雇い労働者の手帳を持っている者は国民健康保険にかかれないことはあなたに言われなくてもみな知っております。しかし皆保険をやろうというときに、あなた方の第一陣に出してきたものは、日雇い労働者の健康保険の改正案です。そうすると皆保険を目前に控えて、日雇い労働者健康保険というものがこの程度でよろしいかどうかということなんです。もうちょっと突っ込んで言えば、私が一昨日ですか、すでに指摘したように、保険料の十円とか十一円とかいう定額制であるということは、もはや日雇い労働者健康保険というものが限界に来ているということです。これ以上背伸びするためには、ホルモン注射か何かやらなければ太らぬでしょう。小人だ。だから何かこれに人為的な手を加えなければ今この皆保険の水準に達することはできさない。合この国民健康保険の水準に達することさえできない状態です。傷病手当金なんかはいいですが、その他の給付とか何にしても国民健康保険に劣っている。
一方において定額制という手かせ足かせの保険料の中にはめられている。そうして一方皆保険政策を推准されているが、これを一体どう均衡をとっていくか。すでに国民健康保険法案を出されている政府としては、具体的に次の段階においてこういう場合には引き上げますという手がなければ、これではわれわれ満足できないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/112
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113・高田正己
○高田(正)政府委員 われわれの申しております皆保険計画というのは、滝井先生よく御承知のように、大筋としては被用者保険、それから地域保険である国民健康保険、この大きな二本立でやっております。しかも被用者保険につきましては、いろいろな制度があるわけでございますので、これを今一ぺんに統合するとか何とかいうことよりは、むしろどこの綱の中にも人ってない人を保険の綱の中に一日も早く入れていこうということが第一である。ただいろいろな施策を進めるに当って給付内容の調整というようなことについてはできるでけ努力をして参りたい、こういう考え方が基本的な考え方になっておるわけでございます。それで国民皆保険を進めるというのであれば、日雇い健康保険の給付内容はこれでいいのかというような趣旨の御質問でございます。それからなお国保の方が日雇い健康保険よりはいいじゃないかというふうな御趣旨もございましたようでございますが、ある意味におきましては、たとえば給付の期間等につきましては国保の方が長うございますけれども、給付率が一番問題になるわけでございます。給付率におきましては、御存じのように日雇い健康保険は健康保険と同じでございます。給付の範囲も健康保険と同じでございます。むしろ給付期間の問題を除きますれば、これは国民健康保険よりは日雇い健康保険の方がずっとまさっておる、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。給付期間がなぜ短かいかという問題でございますけれども、これは日雇い健康保険というものの特殊性からきておるのでありまして、二カ月間に二十八枚の切手を張っておけば、あとは全然働かなくて保険料を納めなくても、その給付期間内は給付がしてもらえるわけであります。国民健康保険とかその他の健康保険というものは、これは引き続き保険料というものは払っていくわけなんです。そこが、日雇い健康保険というのは被用者保険でありますけれども、非常に違ったところなんであります。そういうところから、給付期間等はまだ一年ということにしかなっておりませんけれども、他の部面を除けばそれは今申し上げたように日雇い労務というものの実態からくることなんでございまして、他の面から申せばこれは健保並みでございます。従って日雇い健康保険の方が国保よりはむしろまさっておる、私はかように考えておるわけでございます。さような意味合いにおきまして、国民皆保険計画を進めるその大きな柱としては、ミニマムが五割給付の国民健康保険を全面的に実施するという政策と、日雇い健康保険をこのまま推し進めて参る――今回給付内容の改善をいたそうとして御審議をいただいておるわけでございますが、こういう程度で日雇い健康保険の制度を維持していくということにつきましては、別に先生御指摘のように、大きな矛盾があるというふうには私は考えておらないような。次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/113
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114・滝井義高
○滝井委員 私が今から指摘しようとするところをあなたが答弁で言ったわけなんですが、皆保険ですからなるほど日雇い労働者健康保険の資格を得るためには二カ月について二十八枚、六カ月について七十八枚の印紙を貼付する、そうすると資格が得られるわけです。ところがその資格を得て病になると、その保険で見れるのは一年なんです。一年たったときは一体その人間はどうなるのだというにとです。一年たった後にはその人は今度は国民健康保険に返っていく以外にないのです。だから皆保険の構想を描こうとするならば、これは国民健康保険に返っていくか、生活保護にいく以外にないとするならば、一体皆保険というものはその最後の段階ではどうなるかということなんです。だから一番問題は、それは傷病手当金があるとかないとかということの問題ではない。少くとも皆保険ということは、医療給付をやるということが主眼なんです。そうして短期の給付の中にお金をやるものがいろいろつくことは、これはむしろ別のものでする方がいいのです。医療保険にそういうものがつくといふことは本筋ではない。日本の制度では歴史的にそういうものが加っておるからつけておるだけです。だから問題は、被保険者であった者が一年たった後に、この者は生活保護にいくということは例外なんだから、保険の本筋からいけば国民保険にいかなければならない。そうすると収入を絶たれて、今度投げ出された国民が、またのこのこと皆保険のにない手である国民健康保険にいかなければならないという、こういう制度の立て方が体いいのか悪いのかということなんです。こういう点は、この日雇い労働者健康保険の改正を皆保険というスローガンを掲げて発足していくからには、やはりそれを考慮した親心、考慮した政策というものは当然立てられなければならぬということだ。皆保険になったときに、またそれはそれで別に国民保険に入れるということでは問題なんです。一年たったときには、その人たちは国民健康保険に入ろうとしても、入ったところですぐに治療は受けられない。こういう盲点がこの制度の中にあるということはもうわかり切っているのですから、今からそれは考えておかなければならぬと思う。そうしますと、国民健庭保険というものは除外をしておるが、では一年の期間が切れた後は一体どういうことになるのか、国民健康保険の関係は一体どうなるのか、一年が切れた後の盲点に対して、一点政府はその人をどうして救ってくれるのか、この二点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/114
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115・高田正己
○高田(正)政府委員 各被用者保険と地域保険であります国保との関係は、日雇い健康保険だけでなく、全般的に給付期間というものがあります以上は、今のような関係が出てくるわけであります。その関係といたしましては、他の保険から排除された場合におきましては当然に国民健康保険の被保険者になる、こういう整理のいたし方をしておるわけでございます。しからば健康保険等では給付期間を三年とし、日雇い労働者健康保険では一年としておるから、おそらく滝井先生の御質問の中には、そこに二年足りぬじゃないかというお気持があるいはあるのじゃないかと思いますが、それは先ほど私が申し上げましたように、日雇い労務というものの実態、従って日雇い健康保険のその実態からくる一つの保険技術上の制約でございまして、一年ということに今日ではなっておるわけでございます。しかし私どもといたしましては、この一年で決してもうこれ以上は延ばさぬのだというつもりを持っておるわけじゃございませんので、これは逐次保険運営の状況をにらみ合せましてできるだけ延ばして参りたい、こういう気持は持っておるわけでございます。今の先生の御質問の御趣旨を私あるいは取り違えておるかもしれませんが、被用者保険と国民健康保険との関係が、かりに日雇い健康保険が三年の給付期間をとっておるといたしましても、同じように皆保険の立場からつじつまが合わぬじゃないかという御趣旨の御質問であるとしますれば、それは被用者保険全体と国民健康保険との関連になる。これの関係は国民健康保険法で今回新たにはっきりいたしまして、他の保険から排除された、他の保険の被保険者でなくなった人は全部国民健康保険の被保除者になる、こういう建前なんです。国民健康保険の被保険者になりますれば、これは別に資格、期間等が必要ではございませんので、給付は直ちに受けられる、こういう格好に整理がいたしてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/115
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116・滝井義高
○滝井委員 少し突っ込みが足らないのです。皆保険の制度になりますと、この給付の期間をつけてはだめだということなんです。どうしてかというと、国民保険は今三年になっています。では三年が切れた四年からは一体だれが救うのだということです。そうしますと、それらの諸君は、もはや掛金がかけられないならば生活保護です。われわれの税金ですし。しかしもし掛金がかけ得たとするならば、これはもうその疾病については三年で打ち切られるのだから自費です。皆保険のもとで自費なんということを許すこと、こんなばかな制度はない。従って理論的に突き詰めていけば転帰までということになってくる。これが私は皆保険の一番いいところだと思うのです。ところが現在日本の保険制度を見てみると、今あなたは、日雇いが一年にしなければならぬということは日雇いという労務の特殊性から来ている――なるほどそればその通りなんです。しかし皆保険のもとにおける日雇い労働者の健康保険というものはその特殊性を乗り越えなければならぬ段階に来ておるのです。これは少くとも保守党の政策でなければならぬ。特殊性を乗り越えるということは何かというと、結局一年たっておっぽり出されて健康保険に行ったって保険料がかけ得ないとすれば生活保護に行く、生活保護は何かというとわれわれの税金なんです。だとすれば結局制度審議会が答申しておるように、まず第一段階としては健康保険の水準に持っていけ、足らぬ部分は国が出せ、こういう社会保障制度審議会の答申です。結局突き詰めていけば同じです。最後は生活保護に落ち行くものなら、前の段階で国が出しておった方が合理的なんですよ。その本人を日雇いから今度は国民健康保険に変らせ、国民健康保険から今度は生活保護に陥らせる、こういう二段、三段の島流しみたいな状態を作るよりは、もはやずばりそのもので国民健康保険なら国民健康保険、日雇いなら日雇いでやることの方が割り切れていいのです。だから問題は、皆保険をやらしてやると言うなら、何も特殊性々々々と言ってアン・バランスを今の段階でつける必要はない、できるだけアン・バランスのないようにもうすでに制度を立てていくことが必要だと思う。どうもあなた方のものの考え方は、私に言わせるならば皆保険に徹していない、やはりまだ今までの事務的ななごりをとどめていっておる、こういう感じが非常に濃厚なんです。もちろんこれは議論のあるところです。議論のあるところだけれども、少くとも三十五年度までに皆保険をやってしまいますぞという割り切り方をしたからには、三十六年度からはどの制度の中においてもアン・バランスのないレベルまでそろっていなければならぬですよ。それが日雇いだから、二カ月で二十八枚しか切手を張らぬから、お前たちは低くてもいいということは、社会保険のもとでは、福祉国家を作るという理論のもとでは成り立たぬということです。その点私と高田さんとは幾分――もう少し議論をしたら最後の段階では一緒になるかもしれませんが、今の段階では食い違っておる。いずれまた国民健康保険でやりますが、意見があったら言ってみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/116
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117・高田正己
○高田(正)政府委員 滝井さんの御趣旨がだいぶわかって参りました。そうすると先生の御意見では、健康保険も共済組合も何もかも転帰までやれ、日雇い健康保険もやれ、国保もやれ、それが皆保険だ、こういう御趣旨のように拝承いたしました。そういう御意見もあるでございましょう。しかし私どもはそれでなくては皆保険ではないというふうには考えておらない。私どもは、最初から申し上げておるように、国民皆保険というのは、大筋としては地域保険と被用者保険――被用者保険も一ぺんに今これを統合したり何かするよりは、それぞれの制度発達の経緯もあるのだから、これをそれぞれ生かして、どこかの保険に国民全都が入るということがまず第一である、そういうものを三十五年までを目途として推し進めていこうというのが、政府が言っておられる皆保険の考え方なんです。そういうふうな考え方をいたしておりまして、従って先生の仰せのようにしなければ皆保険じゃないというふうには考えておらない。しかしここは御意見の分れるところであろうかと思います。
それからいま一つ、保険と公的扶助との関係でございますが、公的扶助が全然なくなるようなものでなければ皆保険でないということも、これもまた議論の分れるところだと思います。やはり公的扶助というものは、医療保険の部面においてもそうでございまするし、また将来所得保障としての年金、保険の原理に即した年金というものが出て参りました場合におきましても、私は公的扶助というものはやはり社会保障制度の一つの柱として残って参るものだと考えておるわけでございます。従ってそれを全然なくしてしまうという考え方に立って医療保障というものを考えれば、あるいは今先生御指摘のようなことに一つの構想が描けるかもしれない、しかしこの辺は議論の分れるところでございまして、ただ私どもはさような考え方で実は皆保険政策を進めてはいないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/117
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118・滝井義高
○滝井委員 私は一挙に全部の保険が転帰まで見ることにしようということを言っておるのじゃない。問題はせんじ詰めていったときに一体どうなんだということを言っておる。突き詰めたときのものの考え方をきちっとしておいていかないと途中でぐらつくのです。だから私の言わんとするところは、何も日雇い労働者の健康保険を今一挙に転帰までということは必要はないが、まず第一段階としては、少くとも健康保険くらいまでは持っていくべきだ、今一年を、結核ならば三年、平病ならば一年半、このくらいまで持っていくか、その金は、あなたは二カ月で二十八枚の現実という特殊性があるからとおっしゃる、もちろんそれはだんだん引き上げていくとおっしゃっておるけれども、その分はやはり国で入れるという形をとることをはっきりしておく方がいいと思う。どうしてかというと、おっぼり出されれば結局それは国民健康保険か生活保護に行く、こういう形なのです。だから私は突き詰めたところを言っておる。皆保険というものはやはりそういう形でなければいかぬのじゃないか。段階は今のあなたのようなことでいいのですよ。まだ今の日本の医療保険というものはばらばらなのですから、ばらばらのものを一挙に一年間にそろえるということはとてもできません。しかし方向としては、突き詰めたところをやはりねらっておかなければいかぬのじゃないかということなのです。
〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕
それから生活保護、公的医療扶助の問題ですが、私個人は公的な医療扶助というものは皆保険のもとにおいてはやはりなくすべきだという考え方です。うちの党も大体そういう考え方です。それでは一体どういうようにするのだ、それは国民健康保険ができておる地帯を、同じような人口で同じような経済のところをお調べになってみますと、国民健康保険ができておる地区の生活保護の医療扶助というのは、できていないところの半分以下です。国民健康保険というものができますと、生活保護の医療扶助というものはそれだけ吸収してしまう、肩がわりをしているのです。従ってそういう形が実態としてありとするならば、この際思い切って――やはりわれわれが一個の人間として考える場合に、あの医療券を福祉事務所に行って頭を下げて、財産まで調べ上げられて、三拝九拝をしてもらって、そうして医者に行って、その初診券でかようしかじかと症状を書いてもらって、また再び病気の子供を背負って福祉事務所に行って医療券をもらっていく、こういうめんどうなことをやらせずに、たとえば生活保護者ならばその分の保険料を地域の国民健康保険に政府が払ってくれたらいい。そうして堂々と保険証をあげておくがいい。そうして半額負担のものについては政府の機関に払い込む、なるべくこういう医療担当者と患者との問の事務を――あとで事務については触れますが、簡素化していく方向に持っていかなければだめなのです。今や事務が多くて日本の医療というものはどうにもならない。医者は聴診器を捨ててもペンは捨てるべからずということがはやり始めている。ペンを捨ててはいかぬ、ペンで書く請求事務の方が大事だという観念が出てき始めた。これでは日本の医療の冒涜なのです。そういう点を、まだ厚生省の方は実施しないから、いずれ国民健康保険のときにもう一ぺん社会局長を呼んでやりますが、それは実に複雑です。だからそれだったら国民健康保険に政府が二百五億の金を入れてくれれば、その点はわけなく楽に片づくのです。われわれはそういう考えを持っておるのです。それは議論のあるところでしょう。われわれの考えと自民党の考え厚生省の考え、大臣個人の考え、いろいろあると思います。あるでしょうが、とにかくそういう形で皆保険になった場合の日雇い労働者の健康保険のあり方については、やはり真剣な討議をやらなければならぬ。今のあなたの答弁その他を通じてみましても、今度の日雇い労働者の健康保険法の一部を改正する法律案というものは、皆保険体制の改正としてはどうも用意が足らぬという感じがはっきりしてきたような感じがします。
それはそういうことで次に移りますが、今回五人未満の失業保険に失業保険事務組合というものができる。これはきのう法案が提出されました。事務組合が五人未満の事業所の保険料を一括してとって納めることになる。先般この委員会であったか岡本君だったかが、保険料徴収の代行機関があって、それが着服してしまって、被保険者だろうと思っておって病気で行ってみたら被保険者じゃなかったということがありましたが、こういう失業保険の事務組合というものを、五人未満の中小の事業所に作ってもらって失業保険の円満な実施をやろうとしておるわけなんです。そうしますと一体八十一万八千人だったですかの日雇い労働者の諸君の中で、これは幸いにこれらの諸君というものはニカ月に二十八枚印紙を張る、六カ月で七十八枚張ったから資格ができた。そうでしょう。被保険者の資格、受給の要件ができたわけです。そうするとそれ以外の日雇い労働者の資格を得ない諸君がたくさんいるわけです。これらの諸君というものは範疇は同じ日雇労働者でしょう。一体これらの諸君はどうするということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/118
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119・高田正己
○高田(正)政府委員 八十万人というのは手帳を交付する人でございまして、今の先生御指摘の受給資格を持つか持たないかということは、その人の就労状態によって違ってくるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/119
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120・滝井義高
○滝井委員 予算は八十一万八千人持つことで組んであるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/120
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121・高田正己
○高田(正)政府委員 そうじゃありません、可能性あるものとしては考えておりますが。それで、そうすると手帳を持っていないその他の人はどうするのかという御質問でございますが、これは日雇い労働者という格好になれば手帳は請求をしてもらえることになるわけでありまして、手帳をもらっていただくか、あるいはそうでなければ、住所はみなあるわけでございますから、地域の国民健康保険の被保険者としてこれを保険の綱の中に入れていこう、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/121
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122・滝井義高
○滝井委員 どうもそこらあたりはあなた方は簡単に国保とこう割り切られておるけれども、これは日雇い労働者であることは間違いないのです。そうしますとそこに今度は任意包括との関係が出てくるわけです。こういう点はもう少し突っ込んだ議論をしなければならぬので、これは私いずれ国民保険のときにはやらしてもらいましょう。
それから大都市におけるボーダー・ライン層との関係です。ボーダー・ライン層の中の二割というものは低賃金労働者だ。これらの者はほとんど保険を持っていない。八十一万八千人の対象にならない失業者というものが相当おるのですが、これらの諸君が、いわゆる一千万のボーダー・ライン層の中に相当含まれている。これらの関係がありますが、時間がありませんので、まだ単価と日雇い労働者の財政との関係がありますが、最後にその事務だけお伺いします。
今回の改正の要点で事務の簡素化が行われているのです。今まで御存じの通りこの日雇い労働者健康保険で被保険者手帳で印紙を張ってもらうと資格ができる。そうすると受給資格証明書というものをもらって医者に行ったわけです。今度はこの条文を見ると、前もって資格があるという証明をしてくれることになるわけですが、一体事務的に、受診する場合に具体的にどれだけ簡素化されてくるのか。どうしてわれわれがこの前言っておったように日雇労働者健康保険被保険者手帳でいけないのかということなのです。これでごらんになると、受給資格者証明言交付記録というのがあるわけです。だからここにぼっとこの人は資格ありという判を押してくれさえすれば、これは一冊持っていけば、医者に二十八枚張っておるかどうか見てもらえばそれでいい。この前八木さんも私もその事務の簡素化をずいぶん言っておったわけです。一体どういう工合に簡素化になっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/122
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123・小沢辰男
○小沢説明員 確かに先生のおっしゃるように、被保険者手帳というものですべて一括処理した方がいいのじゃなかろうかというような意見もわれわれの中にありまして、いろいろ議論したのでございますが、御承知の通り療養の給付を受けます場合には、医療機関にそれを呈示いたしまして、一応、転医なりあるいは療養の給付が終るまでは医療機関の手元に置いておきますので、その間に働きに行った場合に切手を張れないという事態も起って参りますので、そういうようなことも考えまして一応今度のような別の証明書にしたわけでございますが、この証明書は健保の被保険者手帳と同じように考えていただいてけっこうなのです。ただ一カ月に一回だけでも受給資格の確認を受けませんと、資格要件がある以上はどうしてもいけませんので、一カ月一回だけはいつでもその時を選ばずとにかく受給資格を証明してもらいたい。それでどうして簡素化になるかということでございますが、今までは法規的には病気のつど必ず証明をもらわなければならぬ、その疾病についてもらいにいかなければならぬということになっておりました。従いまして一枚もらってもまた家族なりあるいは他の疾病の場合には全部それぞれもう一回ずつ手続をしなければならぬというような非常に煩瑣なことがあるわけです。で、被保険者側の方々ともいろいろお話し合いをして今回のような制度に改正をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/123
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124・滝井義高
○滝井委員 私はそれではいかぬと思うのです。どうしてこの手帳で行かないか、何もこの手帳を医者に置く必要はないじゃないですか。一カ月の初めに、職安で資格のあるという、六カ月資格という判をぱっと押してもらえば、受診をするときに医者に行ってこれを見せたらいい。それから先は医者は請求書を出しますから、水増し請求その他があると思えば、監査の制度もあるし審査の制度もあるのですから、何も今の証明を医者のうちに置いておかなければならぬということはないですよ。だからもう少し患者なり療養担当者なりを信頼をするあれをやらなければいかぬ、まだあなた方疑っておるからこういうものを置かしておいて、毎月これをつけて出します。こんなものをつけて出すと途中でなくなったり何かする。なくなるとまた医者の家に行って再交付を受けるというように実にややっこしいのです。こんなことを
一々医者に書かせることが間違いなんです。こんなものは、一々何月何日に来て請求は何ぼで、判を押したって、あなたの方は見やしない。ただ気休めに書かしておるだけなんです。気休めに書かすくらいならそれだけ医者に勉強してもらった方がいい。私はこれ一枚で、資格という判を押せばけっこうだと思うのです。これを作るだけの金があったらもう一日出産手当金をふやせますよ。一カ月に八十一万八千人と予定をされる被保険者に、病気になるたびごとにこれを一枚ずつやる、家族にもやるということになれば、家族は三十二年三月で八十九万、約九十万おるのですから、こういうものを一々月の初めに一カ月に一枚ずつやるならば十二枚やらなければならぬ、これを一年に一回でもいいですから倹約すれば、その事務費と紙代で傷病手当金が一日ふやせますよ。金のない保険なんですから、なるべくそんなむだはしないでほしい。わずかに一日三百六円しかもらえぬ中から、反対だ反対だと言っているのに十一円も取り上げる。それはむだですよ。判を押しただけでけっこうです。私は前から言っている。八木さんも言っている。労働者諸君もこれだけでいいと言っている。それをあなた方は事務にこだわる役人根性を出して、こういうものを作るというのはけしからぬ。これだけでけっこうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/124
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125・高田正己
○高田(正)政府委員 滝井先生だいぶ誤解しておられますが、被保険者手帳とそれから別の証明書を作ったゆえんは、被保険者手帳は、毎日就労する場合には持って行って切手を張ってもらわなければならぬ。ところが家族がその同じ日に医者にかかりたいという場合に、それはおやじさんが持っているわけですから困るわけです。そういう点をいろいろ考えて別なものにした。その別なものというのは、今先生の御指摘のような従来のように一枚々々家族にもやるというものではなく、ちょうど健保の被保険者手帳と同じように一人の日雇い労働者に渡しておくものなんです。そうしてそれを自分の好む日に行って確認をしておいてもらえば、ある一定期間は家族も本人もそれを持って行けばお医者さんに見てもらえるということです。だからむしろこういうようにお考えいただければいいと思う。被保険者手帳のほかにもう一枚健保の被保険手帳のようなものを持って行けばいつでも医者に見てもらえる、こういう格好になったのだというふうにお考えいただければいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/125
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126・滝井義高
○滝井委員 あとでいいから一応実物を私に見せて下さい。それによってわれわれの態度をきめます。せっかく鳩山さん、来ていただきましたけれども済みませんでした。本会議のベルが鳴ってできませんから、あとで個人的に伺います。これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/126
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127・森山欽司
○森山委員長 他に両案についての御質疑はありませんか。――別に質疑もないようですから両案の質疑は終了したものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十五分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03519580409/127
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