1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月十一日(金曜日)
午後三時二十分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君
理事 田中 正巳君 理事 野澤 清人君
理事 八田 貞義君 理事 滝井 義高君
理事 八木 一男君
大橋 武夫君 亀山 孝一君
小島 徹三君 中山 マサ君
古川 丈吉君 山下 春江君
井堀 繁雄君 受田 新吉君
五島 虎雄君 多賀谷真稔君
中原 健次君 山花 秀雄君
吉川 兼光君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
厚生事務官
(引揚援護局
長) 河野 鎭雄君
農林事務官
(畜産局長) 谷垣 專一君
労働事務官
(労政局長) 澁谷 直藏君
労働事務官
(労政局長) 亀井 光君
労働事務官
(労働基準局
長) 堀 秀夫君
委員外の出席者
労働事務官
(大臣官房労働
統計調査部長) 大島 靖君
専 門 員 川井 章知君
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四月十一日
委員加藤常太郎君、亀山孝一君、福田赳夫君、
淺沼稻次郎君及び栗原俊夫君辞任につき、その
補欠として小坂善太郎君、遠藤三郎君、保利茂
君、多賀谷真稔君及び受田新吉君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員遠藤三郎君辞任につき、その補欠として亀
山孝一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
最低賃金法案(内閣提出第五七号)
最低賃金法案(和田博雄君外十六名提出、第二
十六回国会衆法第三号)
家内労働法案(和田博雄君外十六名提出、第二
十六回国会衆法第四号)
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第九五号)
中央競馬会の馬丁労働組合に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、最低貨金法案及び和田博雄君外十六名提出最低賃金法案、家内労働法案、以上三案を一括して議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますから順次これを許します。中原健次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/1
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002・中原健次
○中原委員 まず最初に最低賃金法との関係の最も緊密であるはずの中小企業あるいは商店等々の部門における労働組織の状況、数その他の様子をお聞かせ願いたい。
〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/2
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003・大島靖
○大島説明員 中小企業における労働組合の組織率の問題についての御質問でございますが、規模別の事業所の推定組織率を申上げますと、五百人以上の事業所におきましては大体八九・二%の組織率になっております。百人から四百九十九人のところで約六〇%、それから三十人から九十九人のところで約二割になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/3
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004・中原健次
○中原委員 そこでこれらの中小企業あるいは商店の労働者あるいは従業員の諸君が順次さらに組織を作るの傾向が当然出てくるわけであります。その傾向に対して大臣はどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/4
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005・石田博英
○石田国務大臣 労働条件の向上のために喜ばしいことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/5
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006・中原健次
○中原委員 労働条件の向上のために喜ばしいことである、こういうことはまことに当然と思いまするし、私も賛成です。そこでそうであるならば今度の政府提案の最低賃金法の中に労働団体の発言する機会、そういう構想をなぜお持ちにならぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/6
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007・石田博英
○石田国務大臣 現実に労働者の組合が組織せられておるところでは労使の協定というものが行われるわけであります。労使の協定を基礎といたしましてこれを拡張適用せしめる条項は挿入してございます。ただし先ほども御説明申し上げましたように規模の小さいところで組織率が非常に低い、組織がまだ行われていないところに対しましては、これは業者間協定をもってやるよりしょうがない。そこで、しかしそれでもなおそこに労働者側の立場に立った発言なりあるいは影響なりがこの最低賃金の上に及ばなければなりませんので、中央及び地方の最低賃金審議会に労働者の代表を参加せしめまして、それによって最低賃金を決定する場合の有力な労働者側の発言を確保いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/7
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008・中原健次
○中原委員 この法律案によりますと、労働者がこの最低の賃金決定の機関に、この法律の限りでは参加しておることに解釈できませんが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/8
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009・石田博英
○石田国務大臣 最低賃金決定については、これはお読みいただくとよくおわかりと思いますが、四つの方式をとっておる。そのうちの法第十一条、これは労働者の組織が行われている場合におきましては労働協約があるわけでありますから、その労働協約に基く地域的最低賃金の決定というものが行われるわけであります。組織がまだ行われていない場合におきましては、これはやむを得ませんから業者間協定で行いまして、それを制度化いたします場合に、中央地方の最低賛金審議会に労働者の代表の参加を求めまして、そこで労働者代表の発言をしていただく、そうしてその影響を最低賃金の決定に与えてもらうという仕組みになっておるわけでございますから、いずれの場合におきましても、あとう限り労働者側の意図なり発言なりが最低賃金の決定に影響を及ぼすようにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/9
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010・中原健次
○中原委員 影響を及ぼすという、そういう消極性の意味ではなくして、影響ではなくて、その業者間で協定することになっておる賃金の審議に当って、労働者が直接その審議の機関に参加する、ただ審議会で云々というのじゃなくて、業者間の協定をする場合に、その協定の場に労働者の発言が持ち込まれていく、こういう形にならなければ、真実に労働者の発言を重要視したことにならぬのではないか、私はそう思うのです。それはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/10
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011・石田博英
○石田国務大臣 先ほども申しましたように、中小企業における労働者の組織率というものはまだ低いのであります。そしてこれがだんだん高まってくることが、労働条件の向上のために私は喜ばしいと思っております。おりますが、それには相当の時日を要するのであります。また時日を要しますし、その組織ができ上ったものについては、法第十一条による最低賃金の決定方式がとられるわけです。しかし組織ができ上っていない場合におきましては、その企業なりその業種における正しい意味の労働者代表というものは選びようがございません。そこで救済措置として、あるいは経過的措置として業者間協定という制度を採用しておるわけであります。しかしこれが刺激剤となりまして、労働組合の結成あるいは組織化が進行する、進行して参りまするならば、十一条による労使協約に基く最低賃金に切りかえていくわけでありますから、むしろこれは現実の状態に一番適合したものでありまして、さらにいうなればこの法律によって中小企業の労働者の組織化が進んでいくものだ、私はこう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/11
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012・中原健次
○中原委員 そうであれば、この業者間の協定の規定の中で、明確に労働組織が参加して発言をなし得る、そしてそれが尊重される、そういう条件をまず一番先端のところでやるべきじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/12
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013・石田博英
○石田国務大臣 これはさっきから何度も申し上げておるから、同じことになりますが、現在労働者の組織が行われているところと、行われていないところとあるわけです。その行われているところに対しては、十一条の規定に基く労使間の協約も拡張適用ということは行われるわけです。組織がまだ進んでいないところでは、労働者側の代表というものの選び方、あるいは労働者側の代表の発言を行う背景というものがまだできないわけであります。それが行われていないところには、業者間協定でやりました。しかしそれが労働者の発言あるいは労働者側の立場からいう発言ができないという場合がございますから、それの最終決定の場合は最低賃金審議会の構成員の中に労働者側の代表に参加してもらいまして、それによって労働者の意見も最低賃金の最終決定に反映してもらうという建前をとっておるわけであります。ところがその後時間的経過をたどって組織化が進行し、組合ができて参りますと、組合と使用者との間に労使協約が結ばれるわけでありますから、そうしたら十一条の方に切りかえてもらえばいいわけであります。組合の組織が進んでいないところに対する経過的救済措置というものはどうしても必要なのであって、そういう意味で業者間の協定というものを設けてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/13
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014・中原健次
○中原委員 現在東京の問屋街、たしか横山町とかいったと思うのですが、その問屋街の中では、長い年代の慣習を破りまして、いわゆる週給制あるいは時間制というふうなものが、いわゆる労働時間の制定というものがすでに実施されておるということを聞いておるわけです。これは実情です。これはすでに労働組合結成と同じ条件が出ているわけであります。そういう一つの地域的な協定ができた。さらに品川方面では、全区一斉に小売商店がいわゆる日曜日の休業制というものをすでに実行しておる。こういうことは、言葉をかえて言いますと、残業した場合には残業手当等々を支払う、こういうことをすでに含んでおるわけです。従ってそういうような諸条件が、すでに現実の問題として実行されておる。こういうような傾向に対して、大臣はどういうふうに考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/14
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015・石田博英
○石田国務大臣 横山町その他の問屋街の週給制の実施は、実は長い聞非常に大きな懸案となっておりました。これは私から申し上げるのはなんでございますが、私が就任早々労働基準局長に命じまして、促進をしてもらったものであります。これは政府の具体的な施策としてやってもらいました。品川の一斉休業も同様であります。これらの横山町及び品川の商店街等は、それぞれの企業におきまして労働組合ができていないばかりでなく、全体としてもそういう従業者の中に組合ができておりません。従ってこれは使用者側の同意と協定を基礎といたしまして、これを労働基準局の方で指導をいたしまして、実行せしめたものであります。従っていわゆる労働組合というものがまだ未組織の現段階におきまして、使用者側の協定、使用者側に対する指導によって、労働条件の向上をはからなければならない。これは完全な形ではございませんが、組合ができていない状態においてはやむを得ない。しかもそれをもってなお労働条件の向上に十分役立っておる有力な証拠である、使用者側の話し合いだけにまかしておけば、労働条件の向上にならないという御議論に対する有力な反証であると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/15
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016・中原健次
○中原委員 そういった状態の場合に、当然起ってくることが予想されるのは、いわゆる地域の商店並びに経営者、従業員の諸君が一緒に相談する、いわば統一的な団体交渉の形をとる、こういうことは当然発生するわけです。それはある意味では労働組合結成の一つの基礎条件が出てきたということになるのです。これは考えられるわけですね。そういうような問題が持ち上ったときに、最近政府では労働者が少しでも集まると、何だかばかに神経をとがらす傾向があるのです。それでちょっと気づかって私話しておるわけなんです。労働者はそういうような集まりの場合において、いわゆる労働者のなすべき限度というものは、ちゃんと了解しておるわけです。決してそのことは、手放しのものではない。これはみずから自主的になし得ることなのですが、そういう自主的になし得る条件の中で始めた統一交渉、統一行動というふうなもの、こういうものに対してどういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/16
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017・石田博英
○石田国務大臣 労働組合の組織が進んで参りますことは、労働条件の向上のために喜ばしいと政府は考えているわけであります。今御指摘のように、そういう組織化の傾向あるいは労働者の諸君がそういう組織を行い、あるいは組織を通じて団体交渉を行う場合の集まりに対して政府が神経をとがらしているとか、あるいは干渉しているというお話でありますが、そういう事実があれば御指摘を願いたいと思います。そういう覚えはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/17
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018・中原健次
○中原委員 事実があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/18
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019・石田博英
○石田国務大臣 では御指摘を願いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/19
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020・中原健次
○中原委員 労働者が、しかもこれは組織を持っておる場合なのです。先般来よく起りましたいわゆる春季闘争の一翼の中で、これはあげれば限りがありませんが、たとえば先般、これは岡山の話になりますけれども、岡山における国鉄が、団体で交渉をする、あるいは交渉を促進するために労働組織の組合員が多数集まった。こういうような場に、政府はいち早く警察官憲を動員してやっておる。経営側の方では公安職員を動員してやっておる。公安職員プラス警察官、そういうような形の中で、しかもそのことが、両者の話し合いの進行の過程の中で実力行使に転換しておるのです。これもいろいろ調査してみると、実力行使をするまでもなく話し合いは進行しておる。その進行の中で、じゃあ警察官も引いてくれ、公安官も引きなさい、おれの方も引きましょう、こういうところまで話し合いが進んでおるのにかかわらず、実力行使をもってなぐり込みを断行しておるのです。しかもその結論は、大きなあやまちをしておる、負傷者を出しておる、こういう実態があるわけなのです。あなたが、とんでもないことを言うなと言われるような実情と違うわけなんです。これは一つの話をしたにすぎませんですよ。こういう場合に、私は思うのです。これをもし政府が、そういう考え方を持たずに話を解決しようとする熱意を持つなら、話はおそらく解決がついたはずです。むしろ実力行使を促進したことによって話し合いがこじれた、こういう事実があるわけなのです。これはとんでもないことだというわけにいかない。しかもこれは組織労働者の場合なのです。それでさえそういうことをやっている。そうすると、組織労働者でない場合には、もっと政府はあわてるに違いないということが考えられても別に無理じゃない。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/20
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021・石田博英
○石田国務大臣 まず問題を整然と分けて御議論を願いたい。あなたが提起せられている問題は、第一はこの最低賃金法案に関連をして、中小企業の組織のない労働者が組織を持とうとするために行う集合とかあるいは協議とか、そういうことを前提としての御質問であります。従って私どもは中小企業の労働者の組織化が進むことを望ましいと思っておりますから、そういう組合を組織結成するための集合、会合というものに政府が神経をとがらしているという事実はないということを明確に申し上げた。同時に労働組合が、その組合の組織化を行うためにいろいろ相談したり集合したりしたことに対して政府が神経をとがらしているという事実があるなら御指摘を願いたい、こういうことを申し上げた。あなたが今例としておあげになった岡山県の場合は、この最低賃金法の審議の対象となっている事態とは、これは明確に違う。すでに組織が行われている。あなたの前提は、組織が行われていない組合が組織を行うための労働者の会合ということをおっしゃる。岡山で行われていることは、すでに組織が行われている組合のその組織による活動なんです。しかしそのいずれを問わず、ただそれだけの行動に対して政府が法によらずしてあるいは理由なくして圧迫を加えるような行動は間違いであります。しかし岡山県で起った事態というものは、これは公安維持という建前から別個に行われた事実でありまするし、それぞれの当時の責任者からすでにお答えをしてございますから私は別に申しません。問題は未組織の中小企業の労働者が組織を拡大する場合に行う行為に限定して御議論を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/21
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022・中原健次
○中原委員 きわめてどうも巧妙な頓知をもって答えられるが、むしろ組織を持てるものの場合の方が組織を持たざる場合よりは責任があり秩序を持っておるわけなんです。このものに対して加えた政府側、当局側の実力行使それ自体が今あなたが片づけられたような実情とは違うわけなんです。当局がそれぞれ答弁をしておる。それは答弁は当局の主観で答弁しておるわけで、客観的に見てこの問題はそういう単純な答弁で終る実情とは違うわけなんです。これはいわゆる管理局の構舎の中で起った事件なんです。公安に何を与えましたか。公安に支障を与えるような条件があったでしょうか。ないのです。きょうその議論をしようとは思いませんけれども、それを、とんでもない、政府は当然合理合法的な手段を講じたにすぎないというふうに言い切るのは言い過ぎなんです。私は与えられた時間が一時間しかないそうですからこの問題に触れるのはいやです。触れませんけれども、そういうような片づけ方では解決つきません。やはりもう少しほんとに責任を感じて、ほんとに親切な気持であるいは労働組合の育成をはかろうという熱情から話してもらいたいのです。
そこで私が申し上げているのは、そういう場合においてさえ実力行使をした。実力行使の必要でない条件であった。私しばしば言うことですが、警察官憲の行動というのは実に微妙なんですよ。ちょっと範疇を越えましたら持っておるこん棒が凶器になるのです。同時にその凶器を持って行動すれば暴力になるのです。その間の境は非常に微妙なのです。それだけによほど慎重を期さなければならぬのです。ことに最近は労働組合というのは労働者自身の行動が国民に消化され理解されなければならぬのであります。これは労働組合自身が認めておる。これが消化され理解されぬような行動をしたのでは労働組合側の失敗なのです。これはあなたの方で御心配になるまでもなく労働組合自身が自主的に判断しておりますからその点は御安心願いたいと思います。
なおただいまのお言葉をそのままに受け取りましょう。そうでありますならば、今後労働組合あるいは労働組合を育成しようとするための労働者の集団的な行動が秩序と責任を持つ限りにおいては断じて干渉をしないということを明らかにしておいていただきたい。このことが労働組合の育成発展のための大きな条件なんです。政府が要らざる干渉をするということはいつも頭についているのです。ほんとうを言えぱそういう条件では労働組合の責任ある成長、発展は望みがたい、こういうことになりますから、ぜひこの点は確認しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/22
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023・石田博英
○石田国務大臣 岡山県で起った事態について政府が答弁いたしたことは政府の主観であったとおっしゃるなら、それに対するあなたの御質問もあなたの主観でありまして、別に政府側が逸脱した行為を行なったものとは私は考えておりません。おりませんが、これは私の方から岡山県の事件を問題にしたのではなくて、本日の議論の対象とは違いますからこの程度でおいておきますが、いかなる建前でも公共の建物はやはりその管理を行い、その公共の建物の中で仕事をしていく者は秩序の中で仕事をしなければならぬという公的責任があります。しかしいかなる建物で行われいかなる密封されたところで行われても、それが公共の利益と相反しないとは言えないということも明書しておきたいと思います。
政府は先ほどから申し上げております通り、労働組合の組織化の推進とその健全なる成育を期待をいたします。従ってそういう行動が秩序と公共の利益を守る建前の中で行われる限りにおいては、それを勧奨いたすことがありましても、それに対して干渉いたしましたり押えつけたりする意思はありません。前に申しました勧奨というのは、勧めるという意味の勧奨であります。あとで申し上げました干渉ということは、いろいろのことをくちばしをいれるという意味の干渉であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/23
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024・中原健次
○中原委員 国鉄岡山の議論をする場ではありませんから私もそれを控えます。控えますけれども、大臣の御答弁をもって得心しておるわけではありません。主観と主観とのけんかでは決してありません。私は客観的に言うことはできるわけであります。この点もつけ加えておきます。
さてもとへ戻りましょう。今度のこの最低賃金法をながめて私は感じるのです。この政府の最低賃金法というのを施行いたしますと、底なしの最賃というものになる。ということは業者間の協定ということが前提なんです。何と言われても業者間の協定が前提となって確定された賃金というものは、やはりいやおうなしに上にいくはずがない。これは日本の現在の関係業界の状態を見たらわかるのです。どうしてもこれは最低賃金が底なし最低賃金になってくる、こういうことになるおそれがあるのです。この点についてはおそれなしとなされるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/24
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025・石田博英
○石田国務大臣 まず第一に、業者間や使用者側で行います協定は、全部労働者の利益に反するという前提に立っておられるわけでありますが、その前提の誤まりであることは、先ほど御自分でおっしゃった横山町の週休制の実施、品川の一斉休業というものが使用者側の率先した協定、話し合いによって行われたという事実をごらんになってもわかると思う。
いま一つの事実を申し上げますならば、政府はすでに約二十件にわたりまして業者間協定を勧奨いたしました。そうしてそれを実施せしめております。その実施の実績は、平均をいたしますと一割ないし二割の賃金の上昇になっておるわけであります。なお現在四十数件進行中であります。
こういう社会情勢の中にあって、業者間協定が賃金のくぎづけ、あるいは賃金の低下を来たすなどという議論は成り立たないばかりでなく、事実がそれに全く正反対であるということを示しておるわけであります。しかしさらにそれを向上発展せしめますためには、やはりそれぞれの企業において、一企業にできなければ多くの企業の連合体において労働者の組織化が望ましいのであります。そうなって参りますと、これは法十一条によります労使間の協定の拡張適用に進歩していくものであります。従って当初は労働者の組織化が進んでおりませんから、業者間協定という手続をとるのでありますが、それが労働者の組織化が進んでいくに従って、漸次十一条による労使間協定の拡張適用になって参りますから、将来にわたってこの法律が労働者の賃金をくぎづけにするなどということは、事実をしいるもはなはだしい御議論であると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/25
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026・中原健次
○中原委員 先ほど私が引例しました地域の週休制その他のいわゆる労働条件の上昇した姿、これは経営者側の発意によってなされたというふうに限定されておるのであります。すべて問題はそこにあると思う。そういうふうにあなたがすぐにきめてかかってしまう。この問題を盛り上げるためにはやはり関係従業員、労働者がそういう問題を実現させようする意欲に燃えておる。その意欲に燃えておればこそ、その意欲が業者の方に反映する、業者がその意欲に押されて、しかもそれが妥当適正なものであるがゆえにそれは一つのもうじゃないか、こういうことになるわけであります。従って一方的にただ労働者側ががえんじていないけれども、あるいはその方に傾いていないけれども、あるいはそのことに何らの関心を持っていないけれども、業者間の方でかくのごとくしかるべくやったのだ、こういう判断はおそろしいと思う。そういう判断を持っておいでになるから、今のような答弁が平気でできる。人間のどこかには良心があるわけです。その良心がひそんでおるとすれば、その答弁はいささか恥かしくないか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/26
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027・石田博英
○石田国務大臣 少しも恥かしくはございません。というのは問題は、たとえば週休制の実施、一斉休業というものを実行する直接的契機が何であるかということと、それをもたらすに至った客観的条件が何であるかということに分けて考える。私は直接的契機のことを問題にいたしておりますし、この法律におきまする業者間協定というのも、最終的に表に現われる直接的な行為を言うております。その行為に至るまでの背景の条件はそれはあなたのおっしゃったようないろいろな条件がございましょう。しかしその条件は業者間協定や最低賃金の場合における業者間協定を行う場合でも同様であります。私の申し上げたいのは、最終的な段階において、直接的に表に現われる段階において、業者間の協定や使用者の発意という形で現われても、それが労働者の条件向上に役立つ実例はたくさんあるということを申し上げておるわけであります。背景をなすことはそれはいろいろな条件があることはきまり切っておるのです。こういう週休制の実施でも、もちろん明治五年や十年にやろうと思っても実行できません。それは一世紀にわたる長い間の社会の進歩と良識の向上と諸条件の改善があってここまでくる、あるいは勤労者の諸君の希望、意欲、そういうものもありましょう。そういうものがあればこそできる。それは業者間協定も同様であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/27
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028・中原健次
○中原委員 そうなんですね。だからそういうふうな、いわゆる客観性といいますか、そういうものはきわめて重大なんです。そういうものを重大視すればするほど、たとえば横山町あるいは品川の地域における状態を見ても、そこにそういう盛り上った客観情勢がある。労働者の意欲もある。あるいはもっと広い意味の客観条件の中にこれが育ってくるわけです。これはきわめて当然のことです。だからそれをことさらに、経営者の方が非常によくものがわかって、願ってもないことを与えてやったんだ、そういうふうに説明される、そういう考え方に私は良心の所在を疑う。良心があればそういうことは言えない。それが悪いというのではないけれども、そういうような結論が出てくるためにはそういう客観的なはぐくみがあるということを申し上げているのです。それはあなたも賛成されたから議論する必要はないけれども、それならなおさらものの言い方を気をつけてもらいたい。いくらあなたが雄弁でも、そういうふうに片づけられては了解ができない。納得できない雄弁は雄弁としても価値がいささかわ疑しくなるわけです。私は反感を持って言ったのではない。実際問題として……。
そのことはよろしいのですけれども、そういうふうな諸条件の中で、とにかくあなたの方でお調べになったこういう調査をいただきました。これの中にも静岡が漏れておりますね。静岡の状態をちょっと聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/28
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029・石田博英
○石田国務大臣 これは討論会ではありませんから討論はしたくないのですが、私は何も使用者側が積極的な意図だけでやっているのだということを言っているわけじゃないのです。私の申し上げた前提は使用者や業者間の協定では労働条件の向上はできないとおっしゃるから、そういうものでもありませんということを言っているのであって、私どもの方から積極的に使用者や業者にまかせておけば労働条件の向上は勝手にできるんだということを申し上げているのではないということをはっきりさせておきたいと思います。静岡県の前例をよくおっしゃいますが、静岡県では一番最初にできたことでありまして、これは上昇率がそう高いものではありません。それについての説明は政府委員からいたさせますが、やはりこういうことというものは、全体をごらんいただいて御議論をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/29
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030・堀秀夫
○堀政府委員 静岡県のカン詰業界の業者間協定につきましては、これはただいま大臣からお話がありましたが、労働省が昨年の五月以来事務次官通牒を出しまして、正式に援助を行なった以前の問題でありますが、これが一つの事例として世上よく引用されておるわけであります。静岡カン詰業界の最低賃金協定は、業者は約六十八事業場のうち、五十事業場が協定に参加いたしました。約四千人なり五千人の従業員に対して適用になったわけであります。その協定の内容は、満十五才のカン話調理工の初給賃金を、一日百六十円とするという協定であります。満十六才以上のカン話調理工につきましては、標準能力者と標準以下能力者に分けまして、それぞれ段階を設けて適用することを協定したものであります。これにつきましてはただいまも申しました通り、労働省が正式に援助をする以前の問題でありますが、それにつきましても協定を実施する前、実施する以後と比べますと、賃金は約一〇%ないし一五%の上昇になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/30
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031・中原健次
○中原委員 静岡県のみならず他府県の関係もありますが、実働の関係あるいは時間延長の関係等を考慮した中で、実際にこれらの中で平均的なものが出ると思います。それでもつかめなければ話にならないわけです。その平均的なものということになるとどの程度になるのですか。一応聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/31
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032・堀秀夫
○堀政府委員 これにつきましてはいろいろ各県、それから産業がそれぞれいろいろな業態に及んでおりますので、その業態と職種に応じまして、相当幅のある最低賃金が決定されておりますが、最も大規模であるようなものを一々申し上げてみますと、最初の神奈川の手捺染の業界におきましては、これは最低賃金を従来は十五才の初任給約百八十円程度でありましたものを、三百十円に引き上げておるわけであります。それから十八才以上につきましては、二百四十円ということになっております。これを月給に直しますと十五才の初任給が、未経験の初任給で五千二百五十円、それから十八才以上の勤続一年未満の未経験者につきましては六千円。勤続三年以上の者については六千四百円、このようなことになっております。
それからまた次にあります和歌山の新宮地区の鉄工業の最低賃金協定につきましてはこれはやはり新制中学校卒業、十五才の初任給を百八十円といたしたのでありますが、これは従来の百五十円ないし百六十円から相当上ったわけであります。これは四千五百円くらいの月給になっております。三年以上になると日給三百円、これは約七千五百円程度の月給になるわけであります。以下いろいろありますが、大体その業態それから職種に応じまして、低いものは四千円、高いものは六千円あるいは七千円、七千五百円にいうような、いろいろな幅があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/32
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033・中原健次
○中原委員 そこでこういう実情が考えられるわけです。なるほどこの調査に基いて大体妥当適正といいますか、だれでも一応常識で考える、その考え方に答えるような数字が出ておるわけです。ところがこの法律案から考えますと、こういうような協定金額が全国的に大体実現し得るだろうかどうか。全国的に考えますと大体その表に現われておるような条件が出るとお思いになるのですか、この点一つ大臣の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/33
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034・石田博英
○石田国務大臣 私は出てくるものと考えております。事実今御説明を申し上げましたように、仕事によりましてあるいはその地域によりまして、幅はございます。しかし、現在の段階におきましてはその幅は認めていかなければならぬ。認めていかなければならないが、この二十件今進行しておりますほかに、現在すでに話が進んでおりますものが約四十ございます。法律ができますと、きわめて急速な速度を持ちまして実現して参る、またそういう趨勢になる、空気が出てくる、こういうただいままで出てきたような水準に、それぞれの段階で参るもの、こう私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/34
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035・中原健次
○中原委員 労働者の実態を見ると、そう簡単には実は言い切れぬのです。これは東京都の中にもあるのです。実際は、何ととんでもない低賃金で働かせておる場所があるわけです。そういう場合にどういうふうな説明がなされておるかといえば、経営者は必ずこう言うわけです。もう少し上げてやりたい。しかしおれのところの事業は、そう簡単に上げられない条件におるんだから、かんべんしてくれ。情を尽すわけです。確かに情を尽す。いまに上げてやる。だからいましばらくはこのままでかんべんしろというので、それが三千円であり、三千五百円であり、二千五百円であるという実情が、ないことはないのです。東京でさえあるんだから、いわんや地方に行くと、もっともっとひどいのがあるかもしれない。これは皆さんちょっとびっくりなさるかもしれない。びっくりするような実情があることを知らないのではいけない。知っていなければいけない。ことに労働省当局自身が、これは知っていなければいかぬ。そんなことがあるもんかともしおっしゃるならば、一つ行脚してごらんなさい。行脚するのはちょっと無理ですが、全国歩いてみたらわかりますよ。何とかくもひどいことがあるものか。ことにこういう場合に、労働条件というのは、しばしば残業に残業を重ねるわけです。朝は七時、晩は九時から十時、これは常識です。そういうような労働時間を強要せられて、果して文化生活なんというものが許されるでしょうか。私は断じて許されないといっても言い過ぎではない。これが実情なんです。そういう実情があることも知らないでおったのでは、基準局はちょっと失敗なんです。一体基準局は何をしおるということになってくるんですが、しかし働く労働者からいいますれば、それがよしんぱ過重労働であったにいたしましても、その過重労働に服従しなければ食っていけない。まず今飯が食えない。そういう追い詰められた条件にあるわけです。そこで矛盾が出てきます。その矛盾を救うために、最低賃金法などということが問題になってくるんだろうと私は思うのですが、そうであるならば、せっかく成った最低賃金法というものが、大臣が言われるように、そうきれいに片づくだろうかどうか。だから、それをきれいに片づけるためには、きれいに片づくような構造が要るということを言おうとしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/35
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036・石田博英
○石田国務大臣 私が最低賃金法案を国会に提出をして、その成立を期さなければならないと決意しましたのも、実はただいま中原君の御発言にありましたような実情を、まのあたりに見たからであります。そういう実情については、十分承知いたしております。それであればこそ、この最低賃金法案というものの成立が必要であり、そしてこの法律案の成立によって、そういう低賃金の存在が社会悪であるということを明確にする空気を作り上げていかなければならぬ、こう考えるわけであります。しかし、それと同時に、やはりわが国経済の実情と、労働者の組織状況という現実の上に立っていかなければなりません。
〔田中(正)委員代理退席、委員長着席〕
私は本法案はそういう現実の上に立って、しかもただいま中原君指摘のような実情を改善するためには最も時宜に適したものと確信をいたして、提案をいたしておるわけであります。そういう実情をよく御存じで、その改善を熱望されるならば、どうかすみやかに本法案の成立に御協力あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/36
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037・中原健次
○中原委員 大臣は話を先へ先へと持っていかれるので、あと質問するなということでしょうけれども、しかし幾らでも質問します。あなたの独断にかかわらず、実情はそういかぬということを私は言っているわけです。ことに賃金の協定を業者間でやってしまうということになって参りますと、なるほど、これに出ている調査それ自身が、あるいはある程度まで承認されたといたしましても、その実情が全国にそのまま及ばぬであろうし、これは相当でこぼこができるわけです。大臣はそう言われているわけです。でこぼこが想像されるわけです。そういう場合に、業者にまかすという形ではやはり妥当適正なものが生まれがたい。なるほど業者も、いろいろな客観的な条件の中でそうもいかないという良識はあるでしょう。あるでしょうけれども、やはり自己経営というものを気にするからには、この点が非常に問題になってくるわけです。今度は、その問題になった問題をどこに転化するかということなんです。もし万一大臣が言われたようなよき条件が生まれると仮定するならば、今度は人員の整理という問題が当然起ってくるわけです。そういう協定で人を使うのをいやがるわけです。いやがってきた。求人の方向は何かといえば、家内工業です。家内工業に出してくる。下請に出してくるということになってくる。これは大体想像がつくわけです。家内工業の方に方向を転換するであろうということが予想されてくるわけです。そうすると、政府があわせて家内工業労働法というものを出さなければ、これはやはり理屈が合うてこないのです。いわゆる具備しないわけです。この点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/37
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038・石田博英
○石田国務大臣 第一に、この法案は私の独断ではございません。労、使、公益三者によって構成せられておる中央賃金審議会の答申に基いて作られたものでありまして、その答申作成者である小委員長は、まず九十五点つけられるであろうという法案でございます。決して独断ではございません。
それから第二には、この業者間協定というものが推進されないだろう、もし推進されるならば、人員の整理あるいは家内労働への転化という現象が現われてくるだろうということでありますが、この二つは矛盾した話ではないか。推進されない、労働者にとって役に立たないものなら、経営の基礎を脅かすことにならないでしょう。経営の基礎を脅かし、あるいは経営者が労働条件の他の面における改悪を考えざるを得ないものならば、少くともこの法律案の影響するところは、労働者にとっては相当な利益をもたらすということでなければならぬ。だから、もたらすという前提の上に立たれた議論であるとするなら、私と同じ立場でございますから、その上に立ってお答え申し上げたいと思うのでございますが、私は今まで現実にやって参りました業者間協定というものは決してそういう結果をまず第一にもたらしていない。またこの法律の実施によって起ります労働条件の向上というものは、言いかえればよき労働力の確保とよき労働生産性の向上をもたらし、中小企業の近代化に役立ち、その体質改造に役立って、ひいては中小企業の経営の基礎、いわゆる使用者側に近代化というものを通じて不利益をもたらさない、こう私どもは考えておるわけであります。現に、たとえば先ほどの御指摘の週給制の実施にいたしましても、あるいは政府でやっております業者間協定の実行にいたしましても、当初なかなか賛成者は得られない。それはなぜかというと、それによってもたらされる結果というものについてのいろいろな誤解、不安、そういうものがある。ところが、そういうものが出てこないということが明確になり、むしろ近代化されることによって労使双方に利益を及ぼすんだということが、次第に明確になってきつつありますから、私はこの法案が実行されるということは中原さん御心配のような、中小企業の経営の基礎を脅かして、それがより違った形の労働条件悪化という方へはいくものではない、こう思います。もっとも、中原さんのおっしゃるように、労働者の低賃金のくぎづけになるという御議論なら、そんな中小企業その他の影響をお考えになる必要はないでありましょうし、どうもその御質問の御議論は、全く異なった二つの前提の上に立って御質問をされているように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/38
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039・中原健次
○中原委員 なかなかどうもけしからぬことになって参りました。あなたの議論を肯定して考えていけばそうなるんじゃないか。それならばなぜ家内工業労働法というようなものを出されぬか、こう言っているのです。そういうあなたの観点に立てば労使双方がよくなるんだ、そういうことになれば、われわれから言えばよくならないんだ。労使双方がよくなるんじゃなくて、資本の方の側で言えば、あなたの議論によればそれじゃ困るということになる。(石田国務大臣「いや、それはあなたの議論です」と呼ぶ。)いや、あなたの議論によれば資本の方はそれじゃ困るということになるんだから、困るということになってくれば、経営の方は相当犠牲を払っておるということになるのです。そうでしょう。犠牲を払っておればこそあなたがそういう議論をなさるのです。そうであるならば当然方向転換が起ってくる。その方向転換は何かと言うと、家内工業に手を伸ばしていくことになるんじゃないか。そうなれば家内工業法というものを出しておくのが当りまえじゃないか。それが出してないんじゃないか。そこに矛盾があるじゃないか。議論はそこなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/39
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040・石田博英
○石田国務大臣 この法律の実施に伴って将来を予測した議論が二つあるのです。
一つはあなた方の御議論をなさっておるように、この法律は労働者にとってはむしろ低賃金のくぎづけだ、労働条件の向上にならないという議論、その議論からいけば、中小企業の経営の基礎を脅かすことにもならないし、従って家内工業への転換なんということを考える必要はないわけだ。
しかしあなたはもう一つの質問をされておる。それは違った立場で、この法律を実行した場合には中小企業の経営の基礎を脅かし、従って違った条件、違った方法による労働条件の改悪を資本は行なってくるだろう。そうした場合に、家内工業に対してどう考えておるか、こういうお考えです。そういう御質問なんです。
これはこの法案のもたらす影響について、二つ全く違った立場から御議論されている。それで後者のお立場ならば私と同じ御議論なんです。それで私と同じならば、現実に私は今までの実例をあげて、そういう状態はもたらしていない。むしろ最低賃金制の実施ということは、労使間の条件というものを近代化させ、それによって中小企業の体質の改造、近代化に役立ってくる。従って家内工業べの転換ということは、直接この法律の結果としては起ってこない。現実に起っておりませんということを言っている。中小企業の経営にも役立っておる。ただこの法律を実効あらしめるために、一時的でも労使の事業について家内工業への転換が行われるようなことがあれば、この法律の実施というようなことについて悪影響を与えますから、その部分については最低工賃の制度を設けることができるように法律で規定しております。しかしこの法律をより以上効果あらしめるためには、おっしゃる通り家内工業法の制定が必要であります。必要であるという前提の上には立っておりますけれども、わが国の家内工業の実情というものは簡単につかむことができない。そこでこの実情を今調査をいたしまして、それに基いてできるだけすみやかに家内工業法の制定をいたそうといたしておるわけでございます。
そこでもう一つのこの法律が施行せられても、労働者の条件がよくならないばかりか悪くなる、こういう御質問あるいは御議論に対しましては先ほどから繰り返して申し上げておりますように、そうではないという実例を申し上げておる。
それから業者間協定だけでは労働者の意見が反映しないという御議論については、組織がないところにはしようがないじゃないか、しかし組織が行われたら十一条の労使間協定の拡張適用に切りかえたらよろしい。さらに十六条の規定がございますから、社会党が天下をおとりになって、その責任において全国一斉におやりになりたければ、十六条の規定を適用なさればいいのであって、この法律はいかなる場合においても、いかなる御主張に対しても応ぜられるように作り上げられておるものだということを申し上げておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/40
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041・森山欽司
○森山委員長 中原君に申し上げますが、申し合せの時間があと五分でありますから簡潔に質疑を終了願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/41
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042・中原健次
○中原委員 そこで私が尋ねたいことは、業者間協定という形がとりあえず出ておるわけです。その業者間協定で協定された賃金がかりに月額三千五百円と仮定する。そういう場合に、この法律によればそれも認めなければならぬことになるでしょう。それはお認めになるかどうか。非常に安い価格が決定される場合に、それも業者間協定だから仕方がない、こういうことになるですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/42
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043・石田博英
○石田国務大臣 それは法律をよくごらんいただけばおわかりになりますが、それを最低賃金制として公示をいたしますためには、その地方の最低賃金審議会の議を経なければなりません。その地方の最低賃金審議会には労働者の代表が入っておるのです。不当に低いものは公示を却下することができます。なお審議会を通過いたしたものでも、行政機関はその責任において不当に低いと認めました場合には公示をしないで済むのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/43
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044・中原健次
○中原委員 労働組合の代表も入っておる、ここに問題があると思う。この審議会には構成に問題があると思うのですが、その議論は控えましょう。いずれにしましても貸金決定に関する場合の重要な構成要件は、やはり労働者自身の直接的な意見が反映なし得るように組み立てる、これが大事なんです。そのためには審議会だけにまかしていいかどうか、審議会というものだけですべてが片づくと考えるかどうか、これはいろいろ議論があると思う。審議会の構成の問題が出てくると思う。こうなってくれば審議会は一体だれがきめるのか、どういうふうに構成するのかということが問題になってくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/44
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045・石田博英
○石田国務大臣 だからさっきから申し上げております通り、労働者の組織があり、その代表が選ばれてそれが代表しておる。使用者側と協定ができる状態にある場合においては十一条の労使間協定の拡張適用ができるのです。しかしその組織がなくて、正規の代表が選べない場合にはどうするか、その場合には業者間の協定をやるよりしようがない、やって、それが不当に高いか、不当なものであるかどうかは、それは最低賃金審議会の議を経てやるわけなんです。そこで組織がないからといって、その状態のままで労働者の発言あるいは労働者の意見をいれる場所がなければ困るので、それだからこそ最低賃金審議会というものを設けて、そこに労働者の代表を参加せしめて、そこで発言をしてもらう。組織があり、その代表が認められるやつは十一条でやるのだから問題にならない。ない場合の救済措置を考えておる。それから審議会の構成については政府委員からお答えをいたしますけれども、私どもはあらゆる場合を考えて、でき得る限りその最低賃金を決定する場合に、労働者の発言の機会を与えようとするが、組織がないときはしようがありますまい。ないときはしようがないから、その地域なり全国的なある審議会の中に労働者の代表を参加せしめるよりしようがない、何か組織がないところでも適当に合理的な方法で労働者代表が選ばれる。当該企業なりあるいは同種の企業なり選ばられる。組織がないければ、選びようがないではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/45
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046・堀秀夫
○堀政府委員 最低賃金審議会の構成は、二十八条にありますように、「労働者を代表する委員、使用者を代表する委員及び公益を代表する委員各同数をもって組織する。」ことになっております。それからなお必要がある場合には専門部会を置きまして、やはり関係労働者を代表する委員、関係使用者を代表する委員、公益を代表する委員同数をもって組織する。このようにしてなるべくなまの意見も反映させていきたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/46
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047・森山欽司
○森山委員長 時間が切迫しましたので簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/47
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048・中原健次
○中原委員 その場合に労働者を代表する委員、あるいは学識経験者といいますか、公益を代表する委員、こういうものの選択の仕方はどういうふうになさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/48
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049・石田博英
○石田国務大臣 それは他の労働委員会――中央、地方の労働委員会の選任と同様であります。具体的には政府委員より申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/49
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050・堀秀夫
○堀政府委員 最低賃金審議会の労使代表の委員の選任につきましては「政令で定めるところにより、」という工合に二十八条でなっておりますが、政令に基いて、おのおの労使から推薦を得た委員をもってこれに充てる予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/50
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051・中原健次
○中原委員 その場合に、労使から推薦したときにその推薦した者の中からだれが選ぶのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/51
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052・堀秀夫
○堀政府委員 これは労働大臣であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/52
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053・森山欽司
○森山委員長 中原君、申し合せの時間が参りましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/53
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054・中原健次
○中原委員 わかりました。しかし問題点はそこにあるのです。それを私は大臣にしっこく言うのです。労働大臣が選ぶということになると、労働大臣というものをここに超然化することになってくる。そういうことでなくて――労働委員の選定の問題がかねて議論になったことがあるのですが、当然なことです。何も県知事が選ばなくてもいいじゃないか、労働大臣が選ばぬでもいいじゃないか、労働者の代表は労働者が選ぶじゃないか、労働組合が選ぶじゃないか、こういう議論があったわけです。これなら何ぼか納得がいくわけです。幾ら推薦をしておいても、知事がきめれば、その推薦の中で甲乙をつけるわけです。これは当然つけるのですよ。幾らそうじゃないと言ってみたところで、事実つくのだからしようがない。その構成が間違っているんだ。だからなぜその構成の中に労働者の考え方が直結するように組み立てぬかということが、当然起ってくるのですよ。そういうことで構成された審議会を最高の決定機関だというようにあなたが答弁なさるから問題だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/54
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055・石田博英
○石田国務大臣 審議会の委員は公務員です。労働行政というものには、憲法上労働大臣が責任を持つのです。推薦をされない人から。ピック・アップするならそういう御議論が出ましょう。しかし推薦された人の中から労働大臣が最終的に責任を持って選任するという責任の所在を明確にしなければならない。事実問題として、それでは推薦された部分の中から実際の実情に合わないように今まで選ばれてきているかどうか。労働行政に対する責任を労働大臣に追及なさるとするなら、やはり最終的なそういう任命権というようなものは労働大臣が持つよりしようがない。ただしゴボウ抜きか何かするようなことがあってはいけないから、推薦された者の中から選ぶのであります。責任のあるところには権利が伴わなければしょうがないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/55
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056・中原健次
○中原委員 これは非常に重大です。こういうことになると議論は重大になりますよ。今できておる既成の法律、それがそれでよろしいというのと違うのですよ。そのことが議論になってくるのです。だからそのことをもとに返してもう一度あらためて実際問題として討論しなければならぬことになってくるのです。今まで決定されておる法律はみな絶対であるという考えのものを言うからそういうことになってくる。あなたはそういうように思っておいでになるが、しかしそれは単にあなたの見解なんです。それに対する議論が出るのは当然なんです。その出る議論に対してそういうはじき返しの答弁とは何事です。少々けしからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/56
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057・石田博英
○石田国務大臣 私が申し上げているのは、労働大臣が最終的に任命するということ自体がすでに最低賃金審議会というものの構成を害するんだという御議論ですが、ゴボウ抜きでやるのならそういうことが言えましょう。しかし母体は労働者の団体から推薦された者の中から選ぶのです。最終の任命権というものは労働大臣が持たなければだれが持つのです。労働行政については労働大臣が責任を持つんだから、最終の任命権というものは、たとい推薦された者の中から選んだからといってもその選んだ人が間違いを起した場合には、その労働行政上の責任は労働大臣が負わなければならない。だから私は、労働大臣が最終の任命権を持つのはやむを得ないということを申し上げている。その例として労働委員会のことを申し上げたのであって、労働委員会のものが絶対だということを申し上げているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/57
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058・中原健次
○中原委員 そこに問題があるのです。いわゆる責任を持つ、だから責任を持つ者が任命の権利を持つ、こういうふうにあなたは言っておいでになる。その考え方に議論があると私は言っておるのです。なぜあなたがそういう審議会の委員を任命しなければならぬかという議論が出てくるわけです。これはやはりそれぞれの立場から公けに公正に適正に推薦していく、その推薦が決定権でいいわけです。何も大臣が選ぶ必要はない、また知事をして選ばしめる必要はない。そういうところに官僚独裁といわれる一つの傾向が出ておるわけです。これは現実の日本の一つの憎むべき傾向です。そういう中でだんだん民主制が阻害されておる、私はそういうふうに思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/58
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059・石田博英
○石田国務大臣 私は、民主的な選挙制度の中で、民主的に議会で指名せられた内閣総理大臣から任命せられた労働大臣であります。従って、任命の過程は民主的な過程をたどって任命せられた。そうして民主的な社会構成の中で責任を持っておるわけであります。それがピック・アップしていく。勝手にゴボウ抜きをしていくというなら官僚独裁という非難も当りましょう。推薦をされた人の中から――たとえば三人任命するのに二十人も三十人も推薦を要求するという形は現実にとられていないのです。そういう形の中から限定せられた者が、つまり労働者の意見が十分反映せられた者の中から労働大臣がその責任において任命する。その責任とは何か。あなたはしきりに公正、自主的、公明ということを言われるが、公正、自主的、公明というものはいかなるものであるか、客観的にどう判断すべきものであるか。それはやはり民主的に選ばれた議会で、民主的に指名せられた現在の政府の責任者が責任を持って選任せざるを得ないのです。これはデモクラシーの社会の通常の例であるばかりでなく、しかも審議会の委員は公務員です。公務員についての最終の責任は労働大臣が負うのです。そういう建前から、労働大臣が任命権を持つのは――労働大臣に限らず、それぞれ所管の大臣が最終的に責任を持つのは、どの法律においてもその建前になっておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/59
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060・中原健次
○中原委員 そういうことになると、今僕はだれにも遠慮せずに自分の思うことを十分言っております。しかし、この審議会の委員がやれますかピック・アップされて任命されて、やれますか。やれませんよ。やれるはずがないのです。もしやれるにしても限界があるのです。やはりそこに民主制というものの判断が違ってくるのです。あなたとやれば幾らでも議論になりますよ。あなたがやれば私もやる。私は何ぼでもやりますよ。やめませんよ。そういうところに問題がある。そのことを今議論にしておる。そういうようなことで構成された審議会の決定を最後の決定権なりと独断するところに問題がある。その問題をどうしようこうしようということはきょうの話ではない。ないのだけれども、議論としてはそうなってくる。それをあなたが最後の総仕上げのものであるかのごとくに規定してかかるところに問題がある。だからその構成なり選定の方法は何かということを私は問題にしておるのです。そういうことですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/60
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061・森山欽司
○森山委員長 最低賃金法案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/61
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062・森山欽司
○森山委員長 次に、中央競馬会馬丁労働組合問題について調査を進めます。質疑の通告かありますのでこれを許します。吉川兼光君。
吉川君に申し上げますが、時間の都合上十五分以内に質疑をとどめていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/62
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063・吉川兼光
○吉川(兼)委員 さっそくお願いいたしますが、これは最低賃金制をしきまするための一つの重大な前提問題ともなりますので、委員長の特別な計らいで発言さしていただくのでありますが、中央競馬会所属――正確には所属という言葉はまだ使えないかもしれませんが、その関係下にありまする馬丁の労働条件に関することでございます。前にちょっと資料として特に労政局長さんあたりにこの際明らかにしておいていただきたいと思いまするのは、きょうの中労委におきまして、従来のあっせん案は組合側は一応のんでおったのですが、いわゆる使用者側で拒否しておりましたのが、どうやら午後になりましてのんだという情報がきておりまするが、その内容をちょっと簡単にお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/63
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064・亀井光
○亀井政府委員 四月六日に出されましたあっせん案につきましては、先ほど御質問の中にございましたように、組合側がこれを受諾し、調教師側が拒否いたしましたので、その後紛争が続いておったのでございますが、昨晩から本日にかけまして、さらに中労委におきまして紛争の処理に入りました。四月六日のあっせん案によりまして、労使双方一応これを受諾しまして当面の紛争は解決したと私は見ております。その内容のおもなものは、被解雇者六名を原職に復帰せしめる、おそくとも六月末日までには普通の作業に従事せしめるということ、さらに賃上げの問題につきましては、四月以降実施することとしてさらに労使で交渉すること、さらに第三点は、従来労働協約の調印につきまして紛争がございましたものにつきましても、正式に労使双方調印をすること、第四点は組合側から千葉の地労委に対しまして申し立てのございました不当労働行為につきましては、これを取り下げるというふうなものを骨子とするものでございます。残余の問題についてはさらに双方で協議するということでございまして、おもなところは今申しました四点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/64
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065・吉川兼光
○吉川(兼)委員 そこで大臣にちょっとお伺いしておきたいのは、昨年の十一月であったと思いまするが、参議院の社労委員会におきましてこの問題の質疑が行われました際に、大臣及び基準局長が御出席になっておられまして、特に大臣は馬丁の労働条件が非常に悪いということが初めてわかった、お気の毒であるから、十分な監視をもって今後は合理的な体制を作り上げるように努力したいということを言われておるのでありますが、その事実をここで確認いたしたいのと、それからその後どういう行政指導をやられたかということをお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/65
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066・石田博英
○石田国務大臣 馬丁の労働条件あるいは雇用関係は、私はその当時初めてこれを知りまして適当でないものと考えました。従ってそれの改善方を基準局長に命じて実行いたさせておったわけであります。その経過その他については基準局長から報告をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/66
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067・堀秀夫
○堀政府委員 中山競馬場の馬丁の問題につきましては、ことしの初め以来千葉労働基準局におきましてこの雇用関係にある馬丁に対しまして、労働基準法その他の関係法規が合理的に守られるように指導をしてきておるところでありまして、具体的に申し上げますと、まず最初調教師団体に対しまして、従来不備でありました就業規則とかあるいは賃金台帳あるいは労働者名簿というようなものを整備いたさせまして、労働条件が不明確でありますものをなるべく明確にするという指導をいたしております。その他労働基準法違反の事実につきましては是正をいたさせるべく、最近におきましても、たとえば本月の二日、三日の両日にわたりまして千葉の労働基準局長がみずから現地に出かけまして、監督官十数名の応援のもとに労働基準法違反の事実ありやなしやという点について監督を実施いたしました。その結果に基いて違反のおそれがあるというふうなものについては、なるべくすみやかに是正させるように目下指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/67
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068・吉川兼光
○吉川(兼)委員 競馬会で働いております馬丁の労働条件というのは実に驚くべき前時代的なものでございますが、一番大事なことはこの使用者の関係が実ははなはだ不明確であります。この問題につきましては、たしか参議院の社労委員会での質問に対しまして基準局長から、現在のところでは調教師がその雇用者であるというはなはだ条件付の御答弁があったのであります。これは畜産局長が見えておるそうでありますから後ほどその方の関係で伺おうと思っておりますけれども、私どもは、なるほど基準局長がそれだけの幅をもって答えておりますことはやむを得ないとして認めますけれども、しかし今後この膨大な、たとえば国営競馬だけでも八百人からの馬丁がおります。それから県市営でやる地方競馬あるいは牧場の牧夫というようなものを入れますと全国で数万からに上るでございましょう。そうして早く言えば昔の炭鉱の大納屋という中間搾取機関のようなものに握られるわけであります。私は調教師の搾取しておる事実を幾つも知っておりますが、きょうは時間がありませんから省きますけれども、そういう者が使用者であるという御認定は、現在のところはやむを得ませんが、それを将来とも堅持していかなければならないものと考えておるかどうか。たとえば、すでによく御承知と思いますけれども、この福祉関係に対して何らの施設も調教師は持っておりません。またそれをする実力もありません。現在は共助会というものがありまして、それに対して中央競馬会から年額三千万円の金を出し、馬丁はそれに加入金を一回に百円払う。そこで馬丁に対していろいろ福祉的、救済的な仕事をやっているのでありまして、この三千万円の金も、これを競馬会で出すとすれば国費でありますが、このような変則な状況を今後も続けていくべきであると思うかどうか。もしこれを切りかえられるとすればどういうふうに切りかえられるか。第一調教師自身この共助会に、馬丁と同じようにわずかの入会金をもってこれに入って、むしろ救済される側に立っておると私は認識いたしますが、そういう者が果してこの膨大な数の馬丁を雇用する経済的実力があるかどうか、こういうことに対する御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/68
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069・堀秀夫
○堀政府委員 基準局の見解につきましては、先ほどもお話がありましたが、従来この馬丁の労働関係につきましては、一体だれが使用者としての責任を持つか、その点がはっきりしなかったような状況でありまして、そのため、労働基準法上の注意を与えるにいたしましても、直接だれに与えるかという点が不明確であったために、基準法が守られなかった一つの原因になっているのではないかと思うのでありますが、馬丁組合の方からの御要望もありまして、とりあえず、現状でだれが使用者であるか早くきめてもらいたいという御要望に沿いまして実態を調査いたしました結果、現在のところは馬丁の作業の指揮監督その他の問題につきましては、やはり調教師が労働基準法上の使用者と認められる。従ってこれに対して基準法上の責任者としていろいろ注意を与えていく、このような見解をとったわけであります。ただしこれは現在がそのような指揮監督の状況になっているので、法律の建前をそのように解釈したわけでございます。その内容がまたさらに合理的になって作業の指揮監督が変って参りますれば、それに応じて基準法上の使用者がだれであるかという問題についても再検討はもちろんいたすつもりでございます。そこで労働条件もだんだんと明確にされて参りまして、今後使用者側あるいは労働者側との話し合い等によりまして、さらに合理的な関係が築き上げられていくことを期待するものであります。どのような形が理想的であるかは農林当局の方からのお答えがあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/69
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070・吉川兼光
○吉川(兼)委員 それでは大臣お急ぎのようだから、もう一つだけ大臣に私は伺いたいのですが、ただいま基準局長から基準法上から見ました雇用関係の御説明がございましたが、これはあなたが今も言われましたように非常におくれた馬丁の労働条件、雇用関係というものでございまするが、基準局長が純法律的な解釈をもってしても、なおこれは現在においてはという前提を置いておるような間違ったといいますか、非常に疑問のありまする雇用関係であり、労働条件であります。あなたが石田労政をひっさげて新しい労政を立てようといたしております際に、こういう問題があなたの足もとに今大きくころがっておる。ことにこの間の日曜にも二十四時間ストという大問題が起りまして、馬丁と取締りの警察官との間に五十何名の、軽傷ではありますが負傷者が出るという騒ぎが起ったばかりでございますが、この問題に対しまして、あなたは将来、純法律的な立場だけからではなく、政治的にわが国の労政のゆがめられたところを立て直すという立場から、どういうふうにお考えになっておるかという、将来へのあなたのお考えを一つお漏らしいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/70
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071・石田博英
○石田国務大臣 この種の非常に古い不明確な雇用関係というものはまだ方々に残っております。これは一種の盲点ともいうべきものだろうと思うのでありますが、この盲点を明確にあるいは明快に処理いたさなければならぬと思っております。従って馬丁の使用者が調教師であるという状態については、正直なところ法律上の解釈を幾らお聞きしても私としては納得しかねるものが多いのであります。従って直接監督の衝に当られる農林省とすみやかに連絡、調整をとって、もっと現実的に責任を負えるものが使用者であるようにならなければならない、そういう職制にもしなければならず、明確にもしなければならぬ、こう思っておる次第であります。
〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/71
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072・吉川兼光
○吉川(兼)委員 農林省関係で実はいろいろお聞きしたいのですが、時間があまりないようですから、一応私が項目的にここに読み上げますから、それに対する御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
申すまでもありませんが、競馬法といいまするのは、競馬を公正に行うというのがその根本の精神のようでございます。従って公正な競馬を行うに必要な条件といたしまして、私は馬丁の雇用関係の安定ということに対しての御質問を申し上げたい。実は非常に時間がないので、三問一答でやりたいところですけれども、要項を少し述べますから、そちらで御意見を聞かしてもらいたい。たとえば今も労働省との間に質疑がありましたように、現状におきましては馬丁の使用者は調教師であることに基準法上はなっておるのでございます。ところがそれは次の例によりまして適当ではない。むしろ中央競馬会、あるいは共助会、共助会も現在の組織はもう少し改めなければならぬと思いますけれども、とにかく中央競馬会がいけなければ、せめて改編されました共助会あたりが馬丁の雇用者になるべきではないか、こういうふうな意見を持っております。項目別に申し上げますと、たとえば調教師はそれ自体がはなはだ不安定なものでありまして、たとえば共済制度なんかにしても政府から三千万円も出してもらっておりますような共助会から調教師が共済を受ける、こういうようなところが馬丁の雇用主であるよりは、三千万の金を共助会へ出してやる実力のありまする日本競馬会、あるいはその金を受け取って今共済の仕事をやっておりまする共助会、こういうものが馬丁の雇用者でありまする方がはるかに雇用関係が安定すると考えるのが一つの理由であります。
それから第二といたしましては、今も基準局長のお話にありましたように、調教師の個人及び団体はいずれにいたしましても、使用者として当然行うべきところの基準法上の義務を行なっておりません。これはもうあなたも御存じでしょうが、たとえば社会保険の加入も行なっておりません。給付に類するものも共助会に頼っておるのであります。それから賃金の一部と考えられますところの家族手当あるいは勤続手当、休業手当等も調教師は馬丁にやっておらないのであります。従ってただいまのところは共助会は中央競馬会の外郭団体でありますけれども、年額三千万円という金をもらって、馬丁からわずかに入会金をとっただけで月々の会費はたしかとっておらぬと思いますが、そういうような軽い関係で馬丁の共済をやっておるというのでありますから、これはやはり中央競馬会ないしは改編されました共助会が当然馬丁の雇用者になるべきではないか、こういうふうに考えておるのであります。さらに調教師は中央競馬会から例の厩舎を借用して借用賃を払っておるようであります。従ってこの馬丁は厩舎に付属した職員というふうに考えることによりまして、いわゆる馬丁の身分は中央競馬会にこれを属さしめて、もし調教師の方から馬丁の賃金を出すということになりまするならば、馬丁と厩舎と一緒に使いまするから、厩舎だけの使用料だけでなしに、馬丁の使用料といいますか、そういうものを競馬会なり共助会に納めてそちらから馬丁の給与を払う、こういうやり方がいいのではないか、ただいまのところでは馬丁は全然競馬会の職員ではないのでありますから、従って調教師の気に入る者は仕事が続きますけれども、何か気に入らないことがありますと簡単に首を切られる、これは労働省の認定ではそれが雇用者でありますからやむを得ませんけれども、その雇用関係特に解雇関係なんというものは、現にこの間からあの問題が起りましてから、それぞれの所有の馬を擬装してよそに預けまして、それを馬主が馬をよそへ売ったから君の預かっている馬はいなくなったからこれで君は要らなくなったといってお払い箱になったという例は、この問題が起ってから数十人あるのです。そういうことを簡単にやられないために、ともすればこの炭鉱の大納屋のような存在になりがちでありますところの調教師が馬丁の雇用者であるということは、きわめて不適当であるというふうに考えるのでございます。いろいろほかに言いたいことがあるのでありますが、大体大まかなところはそういうことでありまして、馬丁に対しまして、統一された指導とか教育というようなことも、競馬会とか共助会が雇用者であれば、今の調教師のように、全然ほうり出したまま馬丁のことなど考えておらない、馬丁と馬と同様に考えるというような非人格的な、人権無視のようなことは行われないのではないか、大体そういうことを少し拾ってみたのでございますが、この辺で、今私が意見として申し上げました馬丁を中央競馬会ないしは改編されました共助会の雇用者にするという考え方に対する畜産局長の御見解なり将来への見通しのようなものを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/72
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073・谷垣專一
○谷垣政府委員 調教師と馬丁との間に雇用関係があるということは吉川先生もお認めになっていただいているようなのですが、これは基準局の方でもそういうふうに規定をいたしておるわけであります。現在調教師と馬丁との問は、現実に賃金を調教師がきめておりますし、雇用契約をまたそこで結んでおるわけであります。あるいは解雇等も調教師がやっておる。こういうような関係でございますので、やはり現在のところの馬丁と調教師との関係は、共助会あるいは日本競馬会が馬丁の使用者でないということは先生も御了承願っておる通りであります。そこで、これを将来競馬会もしくは共助会の直接の雇用関係に使用者として考えていったらどうか、こういう御意見でございまするが、御存じのように、競馬会といたしましての主たる務めは、いわば公正な競馬が行われまして、そうしてこれを快適な環境のもとでそこに集まってこられる方の一種のレクリエーションとしての役割を保っていただく、こういうように、競馬の開催というものが公正な形で行われるということが競馬会の一つの主要な役割になっておるかと思います。従いまして現在そういう場合に、競馬に参加いたしておりまするものと、競馬自体を開催いたしておりまするものとはこれは俄然と実は区別をいたしまして、そういうふうに公正な競馬がやれるようにいたしております。競馬会は、御存じの通り、開催主体でございますので、競馬そのものに参加いたします、あるいは関係いたしておりまするところの調教師あるいは騎手あるいは馬丁というような競走そのものに直接関係いたしておりまするものは、開催主体でありまする競馬会との関係におきましては、これは直接的な使用関係、雇用関係等にするということはなじまない性格を持っております。
〔大坪委員長代理退席、田中(正)委員長代理着席〕
かように私たちは考えておるわけであります。従いまして、今御指摘のように、確かに厩舎は競馬会が調教師に貸与さしておるわけでありますが、その厩舎に付属しておる一つの職員として馬丁を考えて、そして直接に競馬会との雇用関係を結んだらどうかという点につきましても、やはり何と申しましても、競走いたしまする馬の素質それから馬の飼養、管理、あるいは調教をいたしまする現実的な世話、そういうようなことが競走の優劣に非常に強い影響を持ちまするので、現在一つの厩舎に付属された職員として馬丁を考えて、競馬会の直接の雇用関係に立たせるということは適当ではないというふうに考えておるわけであります。
それからなお、共助会を改編いたしまして、共助会自体の雇用者として考えていったらどうかという意見の点でございまするが、御指摘になっておりますように、確かに共助会の経費等は競馬会から相当多額の経費が出て参っております。助成をいたしております。共助会は、御存じのように、関係いたしておりまする調教師をも含めましての騎手、馬丁、その他競馬に関係しておりまする職員の一つの共済事業と申しますか、そういうような関係でできておる団体でございまするが、そういう事業のほかに、馬丁をそこの使用者、雇用者として考えたらどうかという問題につきましても、私はなお十分検討を要する問題ではないかというふうに考えております。現在の競馬の建前から申しますると、馬主は調教師に自分の持ち馬を預託いたしまして、調教、飼養、管理その他一切をまかしております。従いまして、調教師としましては馬主から受託いたしましたそういう馬を最もいい状況に置いて競馬に出走させるという仕事いたしておりまするために、それに適した能力のある馬丁その他、自分がこれはいいと思う人を雇うという格好になって現在調教師と馬丁との間の雇用関係が成り立っておると思うのであります。従いまして、そういう式のやり方で共助会に馬丁を従属させまして、そこから調教師に対して供給するという形につきましては、今のやり方の相当な変革に相なりますので、これは十分検討さしていただかなければ、ここでそれが将来の方向としても妥当であるというふうには私は実はまだお答えをする結論に達しておりませんので、十分に検討さしていただきたいと思うわけであります。ただ御指摘になっておりまするように、現在の調教師が馬丁の雇用契約自体につきましていろいろと紛争を起しており、あるいは古いものの考え方でこれを律しているためになかなかその間に十分な関係が成り立たない、こういう点につきましては、私たち関係をいたしております者といたしまして十分に指導をする必要がある、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/73
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074・田中正巳
○田中(正)委員長代理 吉川君に申し上げます。約束の時間がもうはるかに過ぎておりますから、結論だけに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/74
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075・吉川兼光
○吉川(兼)委員 委員長からの注意であまり時間がないので、根本的な問題はあれですが、そこで今のあなたの御議論から参りますと、たとえば調教師と馬丁との雇用関係を原因とする紛争など起った場合に、競馬会とか共助会とかいうものがその外に立っておる、こういうふうにお考えになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/75
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076・谷垣專一
○谷垣政府委員 直接の紛争からは圏外に立っておると思いますが、競馬を施行いたしまする建前から十分な関係あるいは関心を持つべきもの、こういうように了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/76
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077・田中正巳
○田中(正)委員長代理 約束の時間から三十分もたっているのですが、約束を踏みにじってもらっては困ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/77
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078・吉川兼光
○吉川(兼)委員 そこで私がこの際聞いておきたいことは、この間中山の競馬場で一年ほど前から紛争が起りまして、きわめて穏健な争議でありましたが、過ぐる六日の日曜にはとうとう実力行使という形になって現われてきたのであります。私はそのときに初めてギャンブルの現場を見に行きました。ところが私どもが一年くらい前にあそこをたずねていったときには、いわゆる労働組合が使っておる建物は、あの厩舎の付属物の住宅などの中にある食堂であって、きわめて開放的な建物になっておったのでありますが、今度行ってみますと、まずあの厩舎の周囲に、今までは竹でしたか、木でしたかのごく簡単なへいでございましたのが、コンクリート建ての刑務所みたいなりっぱなへいが並んでいる。さらにその中にある労働組合の事務所のありまする食堂の周囲にはにわか作りのトタンのナマコ板を使った高いへいがめぐらされておりまして、出入りも自由でないというような状態に立ち至っておってびっくりしたのですが、これはいわゆる中央競馬会の施設なんですね。急速にそういうへいをめぐらしたりして、労働組合諸君の出入が自由でない、こういうことをやっておる。あなたの今の雇用関係に対する解釈はやや条件をつけた幅の広い解釈でそういっておる。これは労働組合側でその雇用関係を明確にしてくれという要求があってあわててやって出てきたのが、調教師の雇用主というウエートが重いというのでありまして――これは時間がないから申しませんけれども、雇用するにも解雇をするにも、解雇の方はあまりたくさんありませんが、雇用のごときは競馬場長の承認であるとかいろいろな問題が四つか五つあるわけでありまして、調教師会だけがオンリーな雇用者とはいえない、しかしウエートは重い、こういうふうに私どもは解釈しております。それならば、当然そういう紛争の場合に公平な立場にありそうな競馬会がやっていることは、調教師に味方をするというか、調教師の側にウエートを重くかけるような、そういう施設をやっておる。これは、私は特にあなたの御認識の中にこれを入れておいてもらいたいと思うのであります。
そこで、実はいろいろ聞きたいことがありまするが、時間があまりないので、根本的な問題としては今のように調教師が馬丁の雇用者であったのでは馬丁の人権はどこまでいっても認められない。しかも労働組合法上あるいは労働関係のいろいろな法律の上で保障されておる労働者の当然の権利というようなものも、また従って雇用者の当然の義務といったようなものも、そこでは調教師によっては尊重されておらない、こういう事態がありまするので、どうか一つ農林省の当局者でありまするあなたのところで――労働大臣は現に農林省と協議をして、是正すべきものは是正したいということをただいまはっきりあなたの目の前で言って帰られたあとでありますから、農林省といい、労働省と申しましても、働く者の方から申しますと、これはひとしく政府機関でありますから、政府機関の間で議論が二つにわたらないように、一番大事な労働権の確立という面について、労働省との間に十分な御検討とお打ち合せをして善処される御意思があるかいなかということを伺って私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/78
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079・谷垣專一
○谷垣政府委員 調教師と馬丁との関係は、私たちは基準局その他の御意見に照らしましても、雇用契約、雇用関係は、この両者の間にあるかと思いますが、その間の雇用契約が法律その他常識に照らしまして適当なものでないという場合に、それを是正することは、これは私たちもお手伝いをして十分にしかるべきものだと考えております。ただし、しかるがゆえにこの馬丁を競馬会の雇用人という形にするかどうかという問題につきましては、先ほど来申し上げました理由によりまして、不適当であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/79
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080・吉川兼光
○吉川(兼)委員 これでもう終ります。今の状況で競馬会の被雇用者に馬丁がなるというふうに私も断定をいたしておりません。しかしながら少くとも公正な競馬を行おうとする中央競馬会法ですか、そういうふうないろいろな立法の精神から申しましても、何よりもそこで働いております一番数の多い、直接馬に接しまするところの馬丁の労働権というものが確立されなくては、公正な競馬が行われるわけがないと思う。たとえば現在でも第二組合というものがありまして、これはいわゆる調教師の方から特にいろいろ金などをもらって、今の第一組合と言いますか、その労働組合を制約するためにできた組合と言われているのでありますが、私どもいろいろ事例が知っております。たとえば調教師の中に悪い者もおりまして、馬丁に旨を含めて競馬に出まする馬に、その直前に興奮剤を注射させたりして、それが表に出てきますると、その責任は注射した馬丁みずからが負って首になる。どんなに調教師やボスから命令されましても、注射しないに越したことはありませんが、あの社会には古い伝統がありまして、なかなか使われている馬丁では断われない。従って調教師が馬丁を使っておりまするところの現在の雇用関係であれば、競馬が公正に行われるけれども、もしその雇用関係をもっと確立するために、たとえば中央競馬会、あるいは共助会というようなものが雇用者になると、競馬の公正が期せられない。そういうふうにあなたおっしゃったわけではないが、そういうふうにとればとれるような先ほどの御答弁ですが、要するに公正な競馬をやるという競馬行政の根本義から考えましても、私は馬丁の身分を早く安定させるために、今のような調教師という力のない者との間の雇用関係というものは、すべからく是正すべきであると思うのでありますが、その点簡単でいいですから、もう一度はっきりお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/80
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081・谷垣專一
○谷垣政府委員 競馬を公正に行いまする場合に、それをでかし上げますために必要な条件というものはいろいろあると思うのです。しかし一番私たちが大切だと考えておりますのは、その出走いたしまする競馬そのものに直接的に関係のある人が、開催主体である競馬会と面接の関係があるということは、私は不適切である、かように申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/81
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082・吉川兼光
○吉川(兼)委員 それではあなたの御答弁によりますると、公正な競馬をやるために、競馬開催者に直接馬を扱う馬丁は属しない方がよろしい、こういう解釈ですね。そうすると結局公正な競馬をやるためには今のような非常に前時代的な労働条件で、馬丁が馬以下の扱いを受けておってもかまわないというふうにあなたが見ている、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/82
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083・谷垣專一
○谷垣政府委員 私は馬丁が馬以下の条件でよろしいということは申し上げておりません。馬丁の雇用関係が安定されることは非常に望ましいことと存じております。ただ申し上げておりますることは、競馬の開催主体である競馬会が競馬の能力と直接関係のあります人たちと直接の関係を持つことはよくない、こういうことを申し上げておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/83
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084・吉川兼光
○吉川(兼)委員 これは見解の違いですから、この辺で質問を一応打ち切っておきましょう。また時間を十分もらったときにもう一度御質問いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/84
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085・田中正巳
○田中(正)委員長代理 次に戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑に入ります。受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/85
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086・受田新吉
○受田委員 私はこの法案の審査をするに当りまして、時間も迫っておりますので、根本的な問題点二つ、三つをあげて、十分ばかりで本日は質問を打ち切り、大臣にもお帰りを願いたいと思いますので、その十分間ばかりどうぞ精励恪勤を願いたいと思います。
まずこの法律の中に、国際的な問題になる問題があるのです。それは第十一条、日本の国籍を有しないか、または失った者という条項があるわけです。これはこの法律にうたっておる遺族年金とか障害年金、今度できました遺族給与金というような、そうした国家の支出金を受けることのできない者の対象になるものです。この日本の国籍を有しないかまたは失った者ということになりますと、たとえば韓国の人が日本の国籍を有して、日本人として戦争に参加した。しかるところ終戦とともに韓国の国籍を獲得して日本人でなくなった、こういう場合に、事実日本におって、日本軍人として、日本軍属としてあるいは準軍属として御苦労を下さって身体を傷つけ、生命をなくされた人たちに対して、これは日本の国籍を失っておるのだからといってほうりっぱなしにする、それを単に生活保護の対象のようなものにして、国の責任という問題を果さないような軽々しいことはよもやしておられないと思うのでありますが、かりそめにもそういうようなことをしておられるとすれば、日本国政府は国際的にも重大な信用を失うと思うのです。この重大な問題の取扱いをいかにしておられるか、明快なる御答弁を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/86
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087・河野鎭雄
○河野政府委員 戦傷病者遺族等援護法におきましては、ただいま御指摘がございましたように、日本国民を対象とした制度だということででき上っておるわけでございます。この点は恩給法の復活の一年前にそのつなぎのような意味でできた法律の性格からいたしましても、そういうふうな建前をとった次第でございますが、ただいま御質問のございました国籍を失った者に対しましてはただいま申し上げました趣旨によりまして、対象外に置いておるわけであります。生活保護その他はまた別の見地から平等に扱っておるわけでありますが、援護法といたしましては、ただいま申し上げましたような措置をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/87
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088・受田新吉
○受田委員 日本人としてからだをそこない、あるいは生命を絶った、すなわち国家の公務に従って、日本人としてそうした戦争犠牲者になった方、それが戦後たまたま日本の国籍を失ったという場合に、国際的に見てもその人に対する処遇というものはその傷を受け、生命を失った当時は日本人だったのですから、そのことに対する責任を免れるということは私はあり得ないと思うのです。それは何か変った形において国際的な責任を負う、たとえば条約によってそういう人に対する債務の履行をするとかいうような格好をとるとか何かをしなければ、これは日本国の威信にも関する問題である。私はアメリカの軍人であった人が、アメリカの人民であるところの国籍を離脱して日本国に帰っておる人をよく知っておりますが、日本国民となった後にも、アメリカの軍隊におったときの恩給や傷病手当をそのままこっちへ送ってもらっております。日本の国民として傷つき、倒れ、生命を失ったその人を、国籍を失ったからというのでほうりっぱなしにしておって、まあ因ったら生活保護で救ってやろうというこの考え方は、私は重大な問題だと思うのですけれども、これは大臣いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/88
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089・堀木鎌三
○堀木国務大臣 この法律の解釈といたしましては、私は先ほど政府委員から御答弁申し上げた通りだと思うのであります。しかし受田さんのおっしゃるように、実情から見ますと、率直にいって当時は日本人であり、そして日本の国の要請に従って軍務に服したというふうな者につきましては、平和条約が回復したり、その他の場合に十分考慮すべき問題である。実は私も身近にそういう実例を知っているのがあるのであります。現在の国内法的には今おっしゃったことがとうてい解決するわけはないのであります。それらにつきましては今後の国交回復と同時に考えるべき重要な問題の一つでなかろうかというふうに考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/89
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090・受田新吉
○受田委員 そうしますと、台湾――今は中国と称しておるわけですが、国府と日本とは国交は回復しているわけです。台湾から日本に来ておって戦争にかり出されて、その結果なくなられたりあるいは傷ついたりしておる人々、これは今のような障害年金、遺族年金を現に支払っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/90
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091・堀木鎌三
○堀木国務大臣 結局国交回復のときのその国との相関関係においてすべてのものが私はきまるわけだと思うのであります。結局相手国がその問題についてどう処置することを考えるかということとの相関関係においてものを考えていく、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/91
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092・受田新吉
○受田委員 そうしますと、台湾にはなぜ支払わなかったのでしょうか、どういう相関関係の結果支払わないということになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/92
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093・堀木鎌三
○堀木国務大臣 私その間の事情は正確に調べてみなくちゃわかりませんが、台湾政府自身がそういうふうな問題について、すべて問題を処理する方法でございますね、たとえばそういうことに対する請求の権利を放棄する、全体の観点からそういう請求権を放棄する、あるいはその他の法律関係を新しく条約において規定するならば、それに従う、台湾との関係はそういう関係で、日本にそういう義務が生じなかったのだ、それはむろんこの法律にいうところの障害年金なり遺族給与金なりその他の恩給法上のものとは別個のものだ、こういうふうに解釈しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/93
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094・受田新吉
○受田委員 別個のものといたしましても、それは国内法と国際法の関係で別個のものとして取扱いをすることはけっこうです。しかしながら国内法で定められたそうした国の補償責任のあるその金額を、国際的な通貨の換算によって向うへ支払ってあげるという形が、当然今度は国際的な関係でとられなければならぬと思うのです。それをやらないでおるところがあるということになれば、日本国政府は非常に怠慢であるということになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/94
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095・堀木鎌三
○堀木国務大臣 御承知の通り相手国と平和条約を結びます場合には、ただその問題だけを取り上げて物事を解決するのでなしに、全体の関係において物事を解決するわけであります。従いまして相手国がいろいろな請求権の一つの要素としてこの種の問題を取り上げるか、あるいはほかの――むろんこの問題だけでありようがありませんので、御承知の通り韓国との間にも各種の財産権をめぐって法律関係が生じておる、それらの問題を両国政府の間において総合的に勘案すると同時に、相手国の主張との相関関係において物事が解決されるのである、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/95
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096・受田新吉
○受田委員 その相関関係の中にこうした生命あるいは身体の犠牲を受けた人々に対するものがはっきりと規定されていなければならぬと思うのです。そんなものをほうりっぱなしにしておいて双方の国際的取りきめをするということは、これはどこかに人道的な精神の抜けた外交が行われてきたと思うわけです。私はどうも納得できないのでございまするが、すでに、諸外国においても、こうした権利が発生した者に対しては、たとい国籍を失った後においてもその給付責任を果しておるということを考えたときに、日本国においてはどこかに片手落ちがあるような感じがするのです。これは国際的な関係でありますのでつまびらかになし得ないとすれば、関係法律の中にこういう規定を持っておられる厚生省の責任で一つ御調査をして、次会までにその点を明らかにしていただきたいと思います。
もう一つ、今度は国内法の立場でこの問題を考えていきましょう。少くとも日本国の軍人軍属、準軍属として戦争に参加して生命を失い、身体を傷つけたという点においては、現在日本国民である人と相違ないと思うのです。たまたま国際的な事情で、日本に現に居住して、日本国民と溶け合った生活をして内地のそれぞれの地域に暮しておるが、ただ国籍が離脱されておるだけという立場の人がたくさんあるわけです。その人には、戦時中に戦死したむすこに対して、そのお父さんに対する給付金その他の年金が出ていないということになれば、これは非常な不公平が生まれてくると思うのです。従って日本国としては、こういう人々に対して、日本の国内法で規定するこうした給付金額そのままの形で、特別措置でこれを支給するという形のものを国内法として規定することが違反になるのかどうか伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/96
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097・河野鎭雄
○河野政府委員 ただいまの問題は法律論として違反になるかどうかというふうな観点からいいますと、これは必ずしも法律論として違反になるというふうな問題は出てこないのじゃないか、むしろそういうふうな角度からこの問題を考えていくという筋合いのものではないのではないか、先ほど来大臣からお答えがございましたように、国際的な問題としてこの援護法とは別個の立場からこの問題を考えていくべきものではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/97
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098・受田新吉
○受田委員 軽々しく取り扱う問題ではないと思うのです。今現に日本に、同じところに住んでおって、一方日本人である人は当りまえに遺族年金をもらっておる、韓国人であったような人は国籍を失ったというので、戦傷病者戦没者遺族等援護法あるいは恩給法というものの適用を何ら受けていないということは、これは片手落ちだと思うのです。少くとも日本が苦労して大事なむすこをささげたという形になっておる、それをあなた方はこの法律とは関係のないものだからほうりっぱなしにしておいていいのだという考え方でこれを軽く取り扱っておられるということは、厚生大臣あなたとしてもちょっとしのびないだろうと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/98
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099・山下春江
○山下(春)委員 ただいま受田委員の御質問は、受田委員御自身でも参画せられて法改正をされたことがあるのでありまして、台湾に対しましては先ほど大臣の答弁の通り、日本とは国交回復のされた間柄でありますから、たとえば巣鴨に五十七人であったかと思いますが、戦犯者としておられた方が出所されるときに、出所される日に引き揚げたものとして一万円の手当を支給する、なお恩給法の特別措置をとりまして、一時恩給に合せたものとして手当を差し上げる、その後厚生省が約三百万円だと思いますが、金を出して寮を建てまして、日本に残って住むことを希望される方はそこに入っておられ、すでに結婚生活等が始まっておるようでありまして、その点に対しては国際上日本が非常な大きなあやまちを犯したというようことでなく措置しておることは受田委員は当時の法改正に参画された方でありますが御記憶が喪失したのかと思いますが、その点は国際上非常な非難を受ける点はないと思います。大臣が、朝鮮及び中国に対しても国交が回復すればしかるべく考えることが妥当だという答弁をされたので、それで適当ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/99
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100・受田新吉
○受田委員 私が今お尋ねしておるのは、現に国交が回復しておる国との関係を出し上げておる。それからもう一つは、国交の回復していない国に対しては、国内法をもってこの人々に対して日本国民である人たちと同様の措置をしてあることが正義人道にかなうのではないか、従って国内法で、こうした国籍を有しない者を除外しなくとも、当時日本国籍を有しておった者、日本国民として戦争に参加し、その結果傷つきあるいは死亡した者という形をとって、この人たちを処遇しても法律違反とは思わないがどうかということをお尋ねしておるのであって、山下さんのお尋ねとは変った意味のお尋ねをしておることをよく御了承の上御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/100
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101・堀木鎌三
○堀木国務大臣 これは受田さんのような法律専門家から純法律論的になると、非常にたくさん問題があると思います。国際間の条約の問題がありましょうし、あるいは国際私法上の問題もあるだろうし、国内法との関連もあるだろう、それらについて十分研究しなければ、率直に言って法律的には私今お答えする用意がございません。しかし今お尋ねになりましたのは、法律論的でなしに、法律以上に離れて国際間にそういう考え方を持って問題を処理すべく考えるべきではないかという御質問だと思うのであります。これらにつきましては、私今後とくと研究いたしてみたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/101
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102・受田新吉
○受田委員 約束の五時半が来たので質問を終らざるを得なくなったのですが、これは今申し上げた世界的な道義心を高めるという意味からも――日本で同じところに一緒に住んでいて、一方は外国人になったというので手当も何も受けていない、一方は手当を受けている、こういう並んだ家族が各所にあるわけです。それはあまりにも著しい比較になりますので、一つ日本国内法をもって、法律論の立場からも、また一方においては現実の問題としても、その両面から一つ検討すべき問題じゃないかと思うのです。厚生大臣十分検討したいとおっしゃいましたのて、大臣にその検討の結果を近き将来においてお伺いし、大臣の政治力の偉大さを大いに敬服する日の近からんことを期待してやみません。
遺族給付金の問題等その他準軍属の資格とか傷害年金の受給資格、介護手当等の関連においておもなところをお尋ねしようと思いましたが、これは次の機会に譲ることといたしまして、これをもって私の質問を終りたいと思います。御苦労でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/102
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103・田中正巳
○田中(正)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X03719580411/103
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