1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年二月二十八日(金曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 小平 久雄君
理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君
理事 笹本 一雄君 理事 島村 一郎君
理事 長谷川四郎君 理事 加藤 清二君
理事 松平 忠久君
大倉 三郎君 川野 芳滿君
神田 博君 齋藤 憲三君
中垣 國男君 福田 篤泰君
横井 太郎君 佐竹 新市君
田中 利勝君 多賀谷真稔君
永井勝次郎君 帆足 計君
水谷長三郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 小笠 公韶君
通商産業事務官
(通商局長) 松尾泰一郎君
通商産業事務官
(企業局長) 松尾 金藏君
通商産業事務官
(軽工業局長) 森 誓夫君
工業技術院長 黒川 眞武君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
—————————————
二月二十七日
委員櫻内義雄君辞任につき、その補欠として植
木庚子郎君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
二月二十七日
合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇六号)の審査を本委員
会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
企業合理化促進法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五九号)
日本貿易振興会法案(内閣提出第八八号)
合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/0
-
001・小平久雄
○小平委員長 これより会議を開きます。
日本貿易振興会法案を議題とし、審査を進めます。
質疑に入ります。通告があります。これを許します。横井太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/1
-
002・横井太郎
○横井委員 私は、貿易振興会法案について、若干質疑をいたしたいと思うのでございますが、それにつきまして、まず最初に、貿易政策に関する基本的考え方につきまして、一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。
政府は、この貿易の基本的考えについて、どの方面に、どういう品物を輸出しようとするのか、大体の考えでよろしゅうございますから、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/2
-
003・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 ただいまのお尋ねに対しましては、三十三年度の輸出計画を御説明申し上げた方がいいと思うのでありますが、御存じのように、日本の貿易は、はっきりとどの市場に、またどの商品を重点にということ、言いにくいような状況でありまして、率直に申しますならば、あらゆる地域に、あらゆる商品をというような現状に相なっております。従いまして、輸出計画から申しましても、特徴的な面については、なかなか説明しにくいのでございますが、概観いたしますと、まず、先進諸国に対しましては、絶対額はさほどのことはないのでありますが、三十二年度と比較をしてみますと、三十三年度は、ヨーロッパ地域には比較的多く伸びると想定をしておるわけでありまして、一五%程度の増を見る。それから北米市場につきましては、絶対額は、現在のところ日本の輸出市場としては、一番大きいのでございますが、いろいろ現地の事情等を判断いたしまして、大体一割七分くらいの増加というふうに考ております。それから、比較的低開発国に対しましては、一番伸びると期待をいたしておりますのは近東諸国でございまして、そこに対しましては、三十三年度は三十二年度に比べまして一五・四%くらい伸びる。それから南米に対しましては、やはり二五%程度の増加を見込んでおります。その他中米に対しまして一〇%程度の増、東南アジアに対しましては、最近の東南アジアの情勢から見まして、大体伸びる率は九・四%くらいに、やや低目に考えておるようなわけであります。アフリカに対しましても、従来リベリア向けの船舶の輸出が非常に多くありましたので、絶対額は、三十三年度におきましても、かなり多いのでございますが、増加率としては一%程度の増加を見込んでおります。その次に大洋州につきましては、日豪との通商協定以来、オーストラリアヘの輸出が割合に順調に伸びてきておりますので、まだ、絶対額にいたしますれば、さほどのことはございませんが、増加率といたしましては、三〇%程度の増加になるのではないかというふうに見ているわけであります。従いまして、金額別に見ますならば、北米市場が第一位になりまして、第二位が東南アジア地域、第三位がアフリカ地域、その次が近東諸国、ヨーロッパ、中南米、大洋州というような順序に市場の順序としては考えておるのであります。
〔委員長退席、笹本委員長代理着席〕
次に、商品別でございますが、傾向といたしましては、機械類の伸びの率が割合大きいのでありますが、しかし三十三年度といたしましては、船舶の新規契約が若干最近不振でございますので、三十三年度におきましては、やはり繊維、雑貨を中心として考え、なお、三十二年度におきましては、金属及びその製品が、いろいろな国内の事情から伸び悩みましたが、最近国内のデフレ傾向を反映しまして、輸出に対する意欲も非常に伸びて参っておりますし、契約も増加しつつありますので、鉄鋼を含みまするところの金属及び同製品が、比較的多く出るのではないであろうかというふうに見ているわけであります。その他食料、飲料につきましては、これは比較的確実なぺースでは伸びておりますが、海外にも若干の市場がありますので、一般の平均率よりは若干伸びが落ちるのではなかろうか、かような考え方をいたしております。従いまして、金額別に見まするならば、繊維及び同製品が一番大きな金額であります。その次が、いわゆる広義の雑貨類になるわけであります。その次が機械類、その次が金属及び同製品、その次が食料及び飲料の類、こういうふうに考えているわけであります。前年に比べまして、増加率から申しますならば、金属及び同製品が一四%程度の増、繊維及び同製品は一〇%、雑貨が一九%、それから食料及び飲料が八%、機械類が四%程度の増というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/3
-
004・横井太郎
○横井委員 ただいま承わりますと、大体の方針としては、あらゆる地域にあらゆる商品を送るという考え方のようでございますが、それは、一般の商社もしくは業者というものが、あらゆる手を使ってそれぞれの方面に向っていっている。だから、その業者、商社等がやっていることを自然に放任しておいても、そう伸びるものだという考え方か。それとも、政府自体が、こちらの方へはこう伸ばさなければならぬという方針を持っておやりになるのか、その点を一つ承わりたいと思うのでございます。たとえば、東南アジアの開発等は、政府においても相当やかましく言っておられるし、重要施策の一つに取り入れられておられるのでございますが、それが全体からいうと、たとえば伸びの方で言うと一五・四%、それから順位から言うと第四番目というようなことになっておりますが、その関係ですね。ただ単に自然に伸びるままにしていくのか、それとも政府の、特に重点的にこの方へ伸ばそうという方面に対しては、特にいろいろな施策を講じていくのか、その点です。このパーセントというものは、何パーセント伸びるとか、あるいは順位をおっしゃいましたが、順位をおっしゃったのは、自然にまかせたものの順位であるのか、それともあなた方が努力をしてこう伸ばしたいというのか、その点を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/4
-
005・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 ただいま申し上げましたのは、もちろん政府の意図するいろいろな施策を加味しての輸出の見通しであります。ただ単なる業者、商社の活動だけから見たものでは、もちろんないわけであります。日本の輸出品は、軽工業品、重工業品に大きく分れておるのであります。軽工業品の方は、国際的な競争力も十分ありますし、その方の輸出の増進については、どちらかというと、安値を防止したり、あるいは輸出秩序を確立する、あるいは現地の駐在員を拡充して、もっと現地の流行に合ったものを送るといったような施策でいいわけであります。そういうふうな商品は、主として北米なりあるいはヨーロッパ市場の先進国をねらっておる。あと重工業品につきましては、各開発国の方におのずから重点が向いておるわけであります。われわれとしましては、重工業品の輸出が、今後の世界の方向からいいましても、また近隣諸国の開発国を多く控えているという状況から見ましても、その方面に重点を置いておるわけでありますが、何分現地側のいろいろな事情もありまして外貨事情もありますし、いろいろな政治不安の事情もあり、なかなか日本が意図するだけについてこないというふうないろいろな事情もありますので、重点はそういうところに志向いたしましても、絶対的な金額あるいはその増加率ということから見ますと、ただその数字あるいは増加率を平均的に見ますならば、あまり重点を置いたような工合に見えぬ点もあろうかと思いますが、施策の方向としては、今御指摘にありましたような近隣のアジア諸国、あるいは中南米方面の諸国に対して、重工業品を今後伸ばさなければならぬということで、いろいろ施策をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/5
-
006・横井太郎
○横井委員 私は、施策の方向としまして、たとえば、東南アジア等につきましては、わが党の基本政策でもあり、政府の方策でもありますので、重点的に——重点というと語弊がありますが、その方面には特に力を入れていくというようにやっていくのが、当然だろうと思うのでございます。
その次にお伺いいたしたいのは、現在までのジェトロ自体の駐在員とか調査員とかいうものの配置の状況でございますね。この配置の状況は、どうも今までの状態を見ると、漫然と配置をしたようにも考えられる、一定の方針をもって配置をせられたのでないようにも受け取れるのでございますが、この点はどうであるか。また、将来に向って、この予算でも通過すれば、根本的に配置がえをするというような考え方か、その点を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/6
-
007・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 現在の調査網といたしましては、日本から長期派遣員の格好で出している者は二十名、それから現地の人間に委託して調査をします委託調査員が十五名、それから貿易斡旋所が四カ所、この三つが、いわゆる調査網になっておるわけであります。
今、漫然と、という御指摘でございますが、そもそも、めくら貿易を打開するために調査員の制度というものは、やられたのであります。その後、在外公館の整備拡充に伴いまして、若干配置を考え直す点もあるかと思っておるのでありますが、この点については、常時外務省とも十分連絡をいたしておるのでありますが、外務省も現地の総領事館なり領事館なりが非常に手不足でありますので、調査員が一体になって活動されることを、非常に希望されておるという点もありまして、今のところは、人数が割に少いために、われわれとしては、これが不要であるとは考えておりませんし、また現地の在外公館からいいますと、急に人がいなくなることも、かえって歓迎されぬという点もあります。しかし、今度新法人の発足したあとにおきましてはわずかな人間ではありますが、在外公館との関係もありまして、できるだけ再配置方を考えてみたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/7
-
008・横井太郎
○横井委員 調査員、駐在員の配置並びに在外公館との関係については、あとで少し聞きたいと思いますから、この際はこれ以上お尋ねいたしません。ただ、ここで調査——それはひとり調査員等による調査ばかりではございませんが、私、通産当局の調査ということについて、若干の疑問を持っておるのでございます。それは、現実の問題として、ともかく昨年の五月までは、神武景気とかなんかいって参ったのでございますが、五月になって、がぜん一般大衆は、ドルがなくなっておったということを知ったような状態でございます。ああいうように急変した状態になるまでに、輸出のバランス等については、十分調査がいっておったはずでございますが、あのとき、初めて神武景気が直ちに奈落の底に陥るようになったことに対して、一体統計というものはどういうようになっているのか。統計調査というものに対する今までのやり方、これは、もちろん企画庁にも関係するかもしれませんが、どういうふうになっておったか。また、それ以来この統計調査については、どういうふうに改められたか。こういうことは漠然としておりますが、ともかく国民としては、ああいうことを当局も知らなんだ。景気だ、景気だといって、急にドルが減ってしまったということを言い出したのだが、一体、あれは統計調査はないのか、調査は行き届いておらぬのかということが、非常に疑問になっておるのですが、この際それを一つ明らかにしていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/8
-
009・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 ただいまのお尋ねは、非常にむずかしいお尋ねでございまして、私の方だけでも、実は答弁しかねるかと思うのでございますが、現在のところ通産省、大蔵省、それから日銀等で、各種の統計を持っております。それらを常時密接に連絡してやっておるのでありますが、一昨年末、特には昨年の初めからでございますが、外貨収支は毎月赤字を繰り返して、ちょうど昨年の九月ころまで、ほとんど毎月赤字だったと思います。その根本の原因を簡単に申してみますと、輸出の見通しが非常に狂ったということではないのでありまして、輸出の見通しは、大よそ目標通りあるいはそれ以上くらいにいっておったわけであります。従いまして、結局収入面が非常に変化したというよりは、支払い面の方が変化したというべきである。
その変化した事情については、申し上げる必要もなかろうかと思いますが、ただ、われわれの予測しておったものよりも、非常に狂いました点は、御存じのように、外貨予算というものを毎六カ月ごとに編成しておるわけであります。従いまして、その外貨予算の、現実の外貨の支払いになる時期というものも、大体予測をして従来やって参ったのであります。たとえて申しますと、その期で十億なら十億の輸入を見通しをして外貨予算を作り、輸入発表をし、外貨割当あるいは輸入許可をしたという場合においては、その期において実際に支払いになるものが、若干景気の変動によって差はございますが、四割前後、それからその次の六カ月間に支払いとなるものが五割から五割五分くらい、結局第三期目の支払いになりますのが五%くらいというのが通例のような状況であります。ところが、国内の有効需要の非常に旺盛な、どっちかというとインフレ的な要因によりまして、需要が非常に急激に殺到したというようなことで、われわれが予測しておりました外貨予算と、その期ごとの支払いの落ち率の間に、非常な食い違いが出て参ったことが、一つのあれであります。たとえば、十億の外貨予算を編成した場合には、その期で四億支払いになると思いましたのが、五億も六億もにふえて参ったとか、あるいはまたあの当時、物価対策の関係もありまして、鋼材その他のものにつきましても、非常に輸入を促進するというふうな状況であった。そういうときには、もちろんわれわれといたしましては、外貨予算を編成した場合に、それが百パーセント実施されるならば、どういう外貨のポジションになるということは、十分了解しておったわけでございますが、あの当時の情勢として、こうやっても、多分国際価格その他の趨勢からいえば、その輸入が実行されずに終るであろうという見通しも、かなりあったわけであります。従って、かりにかくかくの種類については、追加予算を幾ら組んでも、この程度の支払いになるであろうというふうな推定もいたしておったものが、若干予想が狂って、急激に世界の相場が下ったために、入らないであろうと思ったものが急に入るようになった。その結果、輸入が上って、非常に物価が下ったというふうなこともございます。率直に申しますならば、もともと有効需要の旺盛なために、外貨予算を多く組まざるを得なかったことが、第一の原因ではございますが、それにしましても、若干の技術的な見込み違いといたしましては、そういう外貨予算と現実の支払いとの見通しの差、あるいは輸入が実現できないであろうと思ったものが、国際情勢の急変によって輸入を見たというふうなことから、ああいう外貨事情の急変を来たしたような次第でございます。
そこで、その後われわれといたしましては、統計上につきましては、これは主として大蔵当局の問題になろうかと存じますが、毎十日ごとの収入支出の点を非常に厳密な注意をして調べておるような点が違いましたことで、統計の根本的なとり方については変更を加えておりません。まあ大体従来のやり方でいいのじゃなかろうかと思っております。もう一つは、予算の編成そのものについて、現実の支払いが、その当期の外貨予算のみならず、その前の期あるいは前の前の期の外貨予算が響いて参りますので、いわば未確定の債務的なものになる割当額は、できるだけ減少しておく方が、外貨の確保という点からいえば安全である。しかし、これまた需要者あるいは輸入業者が、国際相場の変動の間に間に、一番有利な買い付け方をするということになりますと、比較的外貨割当額を多く持たしておく方が、有利な買付が可能になるわけでございます。そういう相矛盾した要因もありますが、今のところは、外貨の安全確保という点から見ますならば、キャリオーバーされる割当額を比較的少くする方向に、この外貨予算を運用していく方がベターではないかということで、前期から、若干そういう配意をしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/9
-
010・横井太郎
○横井委員 今、話を聞いておると、われわれにぴんとこないのでありますが、大蔵省にしろ通産省にしろ、こういうものは——私の聞きたいところは、景気だ、景気だと言っておる間にがぜん急変するというようなことでありましたが、こういうものは何ですか、通産省あたりで、ちゃんと毎日見ておる。毎日というわけにもいきますまいけれども、たとえば、一カ月の状態とか、あるいは半月の状態とか、あるいは十日の状態とか——もちろん外貨が減ったとか、ふえたとかいうことは、大蔵省の関係ですが、貿易上の関係においても、統計上見ておって、わからぬものですか。それは半期なら半期済んでみぬとわからぬとか、去年の五月に急に発表されたというような形になったのですが、この貿易じりというものは、よく統計を見ておって、わかるような状態になっておらぬのですか。また、そういうふうにしていかなければ、うそではないですか。毎日毎日、そうバランスが出てくるということにもできないかもしれないけれども、大体それはやろうと思えば、できることだが、そういう統計というものは、ないものですか。また、そうせなければ、今後も危ないじゃないですか。不景気だ、不景気だといって、案外もうかっておった方はいいけれども、景気だ、景気だといって、奈落の底にどかりと落されるような、そういう発表の仕方は、国民を非常に苦しめる。喜ぶ方はいいですよ。だから、そういう統計でバランスを見ておれば、わかりそうなものですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/10
-
011・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 現在の統計によりますと、もちろん、今、御指摘の点は、わかるわけであります。しかし、わかるからといって、どうすればいいかという問題に帰着するであろうと思います。輸出の方が大体予定通りに進んでいるという場合は、結局輸入で調節するよりほか、しょうがないわけであります。輸入の活動というものは、実際の金の支払いにして毎年三億円以上、現実の貨物の輸入にしまして約四十億円くらいの輸入があるわけでありますが、結局その物の買い方に帰着するわけでありまして、俗な言葉でいえば、一升買いをやるかどうかという問題、一升買いをして、ここに金があるから、今、綿を何ぼ買う、今、大豆を何ぼ買うということで、小口に買っていくようなことでありますれば、外貨の安全確保という点からいくと、非常にうまくいくだろうと思うのであります。ところが、その三十億、四十億の年間輸入の取引をいたします場合に、相場の変動もございまして、そうはできないわけでありますので、現在は六カ月間の外貨予算というものを編成してやっておるわけであります。そこで、ある程度輸入の許可あるいは割当額というものが、常時五億なり六億なり、あるいは場合によれば七億なりがずっとあるわけでありまして、そのうちから現実に物が到達するということで、手形の支払いによっているわけであります。ところが、景気のいい悪いによりまして、非常にそれが伸びる場合と、それが急激に、日本の相場が高く、今早く輸入をした方がいいということで急ぐ場合と、伸縮があるわけであります。従って、今度の場合は、その伸縮が、従来のテンポで来るならば、ああいうようなことは起らなかったのでありますが、国内の、要するにインフレ要因のために急に殺到したというところに、大きな原因がありまするのと、それから、先ほど申しましたように、物価対策という面が非常に強調された。ある程度外貨があるならば、これは物価対策のために輸入を多くしなくてはいかぬという要請があったわけでありまして、何も必要がなくて外貨予算を大きくしてやったというわけでは、もちろんなかったわけであります。それを一たん乗り切った場合には、外貨は若干減りましても、その当時は在庫がふえますし、そうすれば、またそこで安定に向うであろうということで、国内はどうなっても、十億なり十五億なり外貨はじっと抱いておけばいいという考え方では、あの当時はなかったわけでありまして、外貨があるならば、今、国内がこういうインフレ傾向のときに輸入を多くして、それを鎮静した方がよかろうというふうに、われわれ政府というよりも、国会の御意見もそうであったと私思いますし、業界その他一般の御意見も、そうであったと私は思うのでありますが、そういうことであったと思います。だから、ここで一々通商局長に聞かれましても、私自身も、なかなか十分な御答弁はできませんが、あの当時の気分としてはやむを得なかったのじゃないか、私はこういうふうに考えておるわけです。今後はああいう経験にもかんがみまして、われわれも、どっちかといいますと、安全なやり方をとるということで、大蔵省とも協議してやっておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/11
-
012・横井太郎
○横井委員 国会にまで言及されますので、これはいろいろ意見もあると思うのでございますが、これ以上は質問は控えたいと思います。
これから、この法案につきまして、お尋ねをいたしたいと思うのでございます。今度、日本貿易振興会法案というものをお作りになって、二十億の、考えによっては巨費を投じて、貿易の振興に努められるというのでございますから、事は非常にけっこうでございますが、こういうような法案を出されるにつきましては、従来の海外貿易振興会というものでは間に合わなかった、非常に問題があった、だからこういうように新しく再発足をしよう、こういう意味かどうか、その点を承わりたいと思うのでございます。もちろん、この際、貿易の振興を大いにやろうということには違いないのだが、従来の振興会というものは、あまりに問題も多く、しかも、機能をあまり発揮していなかったのだ、こういう点もあるのじゃないですか。その点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/12
-
013・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 御存じのように、従来は、民法上のいわゆる財団法人の海外貿易振興会で、輸出振興の事業をやってきておったわけであります。ところが、最近の一般情勢から見まして、輸出振興を、もっと積極的に、大々的にやらなければいかぬ、こういうことになってきますと、資本金も、ごくわずかであるような財団法人では、りっぱな人もなかなか集まって参りませんし、要するに、輸出振興を腰を入れて長期に安定してやろうというのにはどうしても不十分なわけであります。そこで、この際、輸出振興の重要性にかんがみまして、安定して、落ちついて輸出振興に大馬力をかけたいというようなことから、二十億円をいただいて、この新しい法人を作ってやろう、こういうことでございます。率直に申しますれば、従来の振興会の事業、あるいはああいう形態では不十分で、国の補助金にいたしましても、従来せいぜい七億円程度の補助金をいただいておりましたが、一機関に七億円程度の補助金をいただくということは、かなり大きな金額でありますが、民法上の一財団法人ということになりますと、監督その他もなかなか十分にいかぬというような点もありますので、新しい特殊法人を作りまして、ここに補助金もふやしていただいて、腰を入れて、安定してやろうというのがこの趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/13
-
014・横井太郎
○横井委員 私があえてこういうことを聞きますのは、この際、とにかく二十億の巨費を投じてやることであり、そのほか、補助金等もあることでございますので、従来のような、ああいう行き方であってはならぬという意味において、お尋ねをするわけでございます。局長は、今まで、従来の振興会が運営委員会があっても、一度も開かれぬ。年に一度も開かれぬほどの運営委員会であったということを、お知りになっておられるかどうか。従来の行き方についても、この際反省してもらわなければならぬので、そういうことを、私、聞きましたが、ほんとうでございますか、一つ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/14
-
015・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 運営委員会と申しますよりは、理事会のことじゃなかろうかと思うのであります。財団法人でございますので、いわゆる執行機関である常務理事のほかに、何といいますか、実際は評議員というような性格のものでなかろうかと思います。各府県からいろいろ寄付をいただき、各民間からも多額の寄付金をいただいておるというような関係で、理事会は、たしか百数十名であったと思いますが、この百数十名の会をたびたびやるというわけにいきませんので、どっちかといいますと、財団法人には総会というようなものがないわけでありますが、まあ総会的な運用を、その理事会を開いてやっておったということでありまして、理事会の開き方が、横井さんの言われる運営委員会というものが理事会であるとするならば、まさしく言われますように、年二回ほどしか開いていなかったわけであります。しかし、顧問会議というようなものもありますしするので、業務の実際の運営につきましては関係団体と、そのつど連絡し、また顧問会議を開いて、いろいろ御協力を願うというようなことは、ある程度はやってきておったと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/15
-
016・横井太郎
○横井委員 地方で聞きますと、寄付金だけ取っておいて、一ぺんも寄り合いもなく、会合もない、何のために寄付金を出すのか。これはまた、あとから、今後どういう方針でいかれるか、ちょっと聞きたいと思うのですが、そういう不平が非常に多いのです。割当で寄付金をとっておいて、一ぺんも寄せずに、しかも、貿易振興だ、振興だ。何が振興だ、こういって、地方はだいぶ怒っているのです。だから、あなた方が知っておいでになるか、おいでにならぬか、それを聞いたのですけれども、どうも暗々裏に聞いておらないことを認めておるのですが、実態はそうなんですよ。銭だけとっておいて、貿易振興だ、振興だ。とにかく一府県で、これはあなた方知っておられるでしょうが、百五十万か二百万か三百万か、それくらいとっておられるのです。だから、そういうことのために、非常に不平があるのです。おそらくこれは知っておいでになるでしょう。はっきりは言えぬかもしれないが、知っておいでになるだろうと思います。それはそれとして、将来は、一つ気をつけていただきたいと思います。
それから、外務省との関係でございます。出先において、いろいろなごたごたが起きるそうでございますが、その点は、おわかりになっておるかどうか、ということです。それから、これは共管でもなんでもないのでありますが、やはり外務省との間はどうしていかれるか、こういうことを一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/16
-
017・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 現在のジェトロにいたしましても、今後の新しい日本貿易振興会にいたしましても、業務の主体は、やはり海外でやることであります。従いまして、現在も、ジェトロの業務状況あるいは運営の仕方等につきましては、外務省とは密接な連絡をいたしております。これは、役人の習慣みたいたものでございますが、いわゆる覚書その他を作りまして、その間十分な連絡のできるような体制になっておるわけであります。この貿易振興会におきましても、在外機関は、在外公館長の指導監督を受けるというふうなことを初めとしまして、外務省との間に十分連絡をして、そういうことのないような運営をしたいというようなことで、覚書なり何なりをかわしておる次第でございます。ただ、今、先生の御指摘がございましたので、私つけ加えたいと思うのでありますが、現在までのジェトロの海外における活動でもって、外務省の在外公館と摩擦があったかという問題でございます。私は、これは絶対ないと申したいのでございます。私は、実は聞いておりません。過去において、戦前におきましても、貿易斡旋所というようなものがありまして、その当時は、若干のいざこざがあったのであります。その当時の印象でもって、今、想像して、何かあるだろう、うまくいっていないのではないかというようなお考えは、やはり古い外交官の方には、持っておられるのではないかと思います。今、われわれ毎日顔を合せて仕事をしております経済局の者、それが海外を回りましても、現地の総領事にしても、領事にしても、今度斡旋所を置くときには自分の方に置いてくれ、駐在員を置くときは、今度は自分の方に置いてくれ、部屋も、それじゃおれの中に入ってもらおうというような工合でありまして、今は相助けて非常にうまくいっているし、またそれが当然のことじゃないかと思うのであります。ときどき非難があるとおっしゃるのでありますが、私は、具体的に、どの地域についてどういうことでありましたか、知りたいと思いまして、ときどき担当官にも言っておりますが、私は、そういうことは、今のところはない。ただ、過去の悪例から、そういうことがあるだろうということを心配していただいておるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/17
-
018・横井太郎
○横井委員 今、外務省との間に覚書があるとおっしゃったのですが、覚書の内容には、どういうことが書いてあるか。それから、今度新しく再発足するのでございますから、その場合において、あらためて覚書の交換をせられるのかどうか。もし、せられるとすれば、どういうことを書くつもりか。そういう内容を、一つこの際承わりたいと思います。
それから、先ほど、別にいざこざがあるように考えておらぬとおっしゃるのでございますが、私どもの聞くところでは、あなたの方と外務省との間に、いざこざというよりも、向うに行った業者とか、あるいは商社の人というような人々が、この振興会自体の駐在員とか調査員と、それから在外公館との間の板ばさみになって困ることがあるということを聞くのでございます。どちらの言うことを聞いていいかわからぬというようなことがあり得るのだ、こういうことを業者から聞くのでございますが、その点は、どうお聞きになっておるか。この二点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/18
-
019・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 外務省との連絡の方法でございますが、現在のジェトロが、過去におきまして、三団体を漸次統合してできてきております。従って、そのつど覚書をかわしまして、やっておるわけでありますが、今、私、ちょっとその原文を持っておりませんので、もし御入用でございますなら、あとで写しを差し上げます。
それで、今後の新しい貿易会の方でございますが、これも、先ほど申し上げましたように、ジェトロの在外の駐在員なり斡旋所が、在外公館長の指導監督を受けるということを中心としまして、いろいろ場所の選定をする場合、あるいはその事業計画なり何なりをする場合に、相談をするというような趣旨の覚書を、もうすでにかわしておる。趣旨は、そういうものでありますが、これは率直に申しましたならば、役所同士のあれでありますので、外部にこれを出すということはできるだけわれわれとしても避けたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/19
-
020・横井太郎
○横井委員 どんなことが書いてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/20
-
021・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 今申しますような点でございます。在外機関の活動につきまして、在外公館長の指導監督を受けるということを中心としまして、趣旨はそれに尽きるわけでございますが、若干詳しい文章になっておる、こういうことでございます。
それから、もう一つ、業者が板ばさみぎみということでございますが、私はどうもふに落ちないのでございます。在外公館のやっていますことと、ジェトロの海外の駐在員あるいは斡旋所が今やっておりますこととは、性格も違いまして、業者に対して指導監督をするという式のことは、ジェトロの方は、何もやる権限もございませんし、やっておらぬわけでありますから、どういうことで板ばさみになるのか、私は見当がつかないのでありまして、何かの誤解ではなかろうかと思います。ただ業者のお手伝いをしているというにすぎないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/21
-
022・横井太郎
○横井委員 その次にお尋ねしますが、私ども、貿易団体が三十八団体あるということを聞いておるのでございますが、それと今度の振興会との関係を、どう結びつけていくか。あるいはこれらのただ雑然とあるものを、漫然と見ておるというのか、これをどういうふうに指導しておいでになるのか。そういう関連の問題は、どうお考えになるか、その点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/22
-
023・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 日本貿易振興会といたしましては、第一条にもうたわれておりますように、「わが国の貿易の振興に関する事業を総合的かつ効率的に実施することを目的とする。」ということになっておるわけであります。しかし、この意味は、何も従来からいろいろあった団体振興事業を全部やめて、ここで統合するんだという排他的な一元的な考え方をいたしておりません。がしかし、これは貿易振興の中枢機関として、できるだけ有機関連的にやった方がいいものは、できるだけここで一緒にやった方がよかろうというふうに考えております。今、お尋ねの、幾つかの貿易関係の団体でありますが、われわれとしましては、一番密接な関連にありますのは輸出組合であります。これは三十四個ばかりの輸出組合が現在できておりますが、輸出組合につきましては、輸出組合の事業が、過当競争の防止とか、あるいは輸出取引秩序の確立とかいう、どっちかというと調整事業を最近重点に置いてやっておりまして、貿易の振興事業は、どっちかというと、もちろん法律ではやることにはなっておりますが、予算その他の関係からは、副次的な業務になっておる。ただ、ミシンだとか農機具の輸出組合につきましては、どっちかというと輸出振興事業の方に重点を置いているというところもあるわけです。それらの輸出組合とは、率直に申しまして、実は共同事業の格好でいたしておるわけです。人を派遣するにしましても、あるいは事務所を借りるにしましても、それぞれが同じ地域にばらばらにやるよりは、やはり一元的にやった方がいいということで、在外の事務所につきましては、ジェトロということに集中しまして、しかし、関係団体とは、もちろん協力的な動き方をいたしてもらわねばいけませんので、人等につきましては、組合の推薦する人が出ていってもらっているということで、相協力してやっております。今のところ、何らその間の摩擦というものはありません。かえって、その方が相協力して強くやれるということで、みなに歓迎されているという状況であります。ただ、機械類の問題になりますと、アフター・サービスの問題とか、いろいろ基礎的事情が、一般の商品と若干違いますので、たとえば、日本プラント輸出協会というものは、この機関以外の独立の機関として、その業務をやっております。あるいはまた、見本巡回船を出すというような場合につきましても、これは機械輸出組合を中心として見本船協会というようなところでやっているということもあるわけでございますが、貿易の中心をなしますこの輸出組合の関係におきましては、今申し上げたように、相協力して円満にやっているし、今後もそういくであろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/23
-
024・横井太郎
○横井委員 次に、役員の問題について一、二お尋ねをいたしたいのでございますが、この理事者というものは、営利を目的とする団体の役員となったり、あるいはみずから営利事業に従事してはならぬと書いてございます。これは要するに、専任をいたされるということになりますので、従って、どの級の人を一体迎えられるか、私はこの点についてお尋ねをいたしたいのでございます。こうやって二十億の巨費を投じてやられるのでございます。相当の予算をもってやられるのでございますから、相当大物を迎えられるのか。それとも、こういう営利の目的の団体の役員を兼ねてはいかぬとか、事業を経営してはいかぬとか書いてございますので、俸給のあまり高くない人を迎えるつもりか。率直に申しますと、また俗にいう官僚のうば捨て山になるようなものか、疑問を持ちますので、どういう大物か、小物かと言うとなんですが、こういう言葉を使って失礼だが、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/24
-
025・小笠公韶
○小笠政府委員 役員の選任の問題につきましては、まだ具体的に話は進めておりません。ただ問題は、本貿易振興会というものの日本の輸出振興において果させるべき役割の重大にかんがみまして、その代表者と主要役員については、お話しのような練達たんのうの士をもって充てるべきものとは私は考えているのであります。でありまするが、具体的にどういうふうな人を選ぶかという日程には、まだ実は入っておりません。各種公団その他こういうものはありますが、私は、貿易振興会こそほんとうに働いてもらわなければならぬ団体の一つだ、こういうような考え方でいや、これは国際的な関係がございますので、特に国際的な視野のある人を選ぶのが適当であろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/25
-
026・横井太郎
○横井委員 どうも通産関係の公団等の総裁とか理事長とかいう人は、とかく局長さんとか次官をやった人がおなりになるようにきまっているようでございますが、たとえば新しい原子力等の委員長とかなんとかいうものは、相当大物を引っぱってきてやっておられるので、こいねがわくは、今、次官が言われたような趣旨において、大物を引っぱってきてもらいたいと思うのでございます。これはまだ考慮の段階だそうでございますから、できれば、これは大臣にお聞きしたいのでございますが大臣が見えぬから、副大臣である政務次官の言葉を信じて、こいねがわくは大物を引っぱってきていただきたい、こういうことを申し上げておきます。
それから、運営審議会でございますが、この運営審議会というのは、いわゆる理事長との関連が非常にあると思うのでございます。そこで、ほんとうのおっしゃった大物を引っぱってこられれば、それらしいまた運営審議会もできるでございましょうが、この運営審議会の性格でございますね。単なる諮問機関か、それとも、もっとこの運営審議会自身にも大いに意見を持って、意見の具申をし、それを取り上げていくという運営審議会か。運営審議会の性格について、一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/26
-
027・小笠公韶
○小笠政府委員 この運営審議会の法律的性格は、諮問機関であることは申し上げるまでもありません。問題は、運営審議会の運用の問題が、私はこの振興会の運用を左右するものだと、実は考えているのであります。単純に理事者のきめたものを御承認願うというような運用をすることは、適当でないのでありまして、少くとも理事長のブレーンになって、従ってパッシヴでなくして、アクチヴに、いろいろな貿易、輸出振興に関する建言をする、そういうふうな方向に、この運営審議会を動かして参りたい、こういうふうに実は考えているのであります。法律論、性格論よりも、実際の運用の問題が、特に本振興会の一つの重点になるのじゃないか、そういうように実は考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/27
-
028・横井太郎
○横井委員 今の政務次官の意向には、私も同感でございます。そこで、お尋ねいたしたいのでございますが、財界方面で聞いてみますと、これには意見が二通りあるわけでございます。たとえば、社長クラスの大物をもってそれに充てよというようなことを言う人もあるし、あるいは常務とか専務とかいうような、実務担当のよく名実ともにわかった人をもって充てよというようなことを言う人もあるのでございますが、そこで、どちらをおとりになるかということです。あなたの方は、どちらというわけにはいかぬと思いますが、しかし、大体財界なんというものはきまっておって、社長クラスの会合なら社長クラスの会合、専務クラスの会合なら専務クラスの会合ということに自然になるのでございます。実際、そういうことになるのでございます。そこで、どちらの方をお考えになっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/28
-
029・小笠公韶
○小笠政府委員 どういう程度の人をもって運営審議会委員に充てるかということは、まだきまっておらぬのでございますが、社長クラスか専務クラスかという点から申しますと、先ほどの、運営審議会はどういうふうな形において運用していくかという問題に関連いたしまして、少くとも私はこれこそ練達たんのうな人を充てる。特に第一線で働いておるいわゆる部長クラスのような人は、この下の専門委員的に使った方がいいんじゃないかというような、ここに若い専門家の知識を表現できるような形にした方が、運営審議会の実が備わってくるのじゃないか、こういうふうな実は考え方をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/29
-
030・横井太郎
○横井委員 それからその次には、業務について二、三点お伺いをいたしたいのでございます。この振興会の業務は、そこにずっと個条書きにいろいろと書いてございますが、実際の運用にわたって、あれもやる、これもやるというような総花式に運営される考え方が当面でございます。それとも重点的に考えていかれるのか、その点を承わりたいと思うのであります。業界方面では、これを専門家としていろいろ考えておられるようでありますが、当局の考えとしては、今申しました通りにあれもやる、これもやる、こういうことについて、どうお考えになるか。と申しますことは、今までのやり方は、何でもそうでございますが、はなばなしいことは、みんなやりたがるのでございます。たとえば、見本市をやるとか、貿易あっせんをやるとかいう、対外的に見て働きがいのあるような、ああよく働いておるなというようなことを、とかくやりたがるのであります。ところが、肝心の調査なんというものは、やりたがらぬ。ところが、その調査なんというものが、非常に必要なものでございます。そういうようなものがずらっと並べてございます。こういう法律を作るのには、予算をつけるには、ずらっと並べぬと予算の獲得上にもいけないから、そうおやりになるのでありましょうけれども、総花式にやるか、重点式にいくか、この点は非常に重要な点だと思うのでございますが、今後の振興会の業務の運営について、実際にどういうふうに運営していかれるか、こういうことを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/30
-
031・小笠公韶
○小笠政府委員 ごもっともなお尋ねでありますが、別途参考資料として日本貿易振興会の昭和三十三年度事業計画案という資料をお配りいたしておるのでありまして、これによって昭和三十三年度の事業計画を執行していきたい、こう考えておりますが、会の事業の重点をどこに置くかという点になりますと、私は輸出の振興の一つは、相手市場及び国内市場の調査を十分しなければいかぬ。これができておらぬところに、いろいろ問題があると思うのであります。こういうじみな仕事は、その人を得ることが第一でありますが、なかなかやりにくいものであります。ぜひとも調査事業、特に日本の中小企業の輸出の振興という問題から考えますと、こういうところは直接大事になって参りますので、そういう点に重点を置いて、輸出の基盤を順次拡大強化していくという方向に重点を置いて、事業を運営さしていった方がいいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/31
-
032・横井太郎
○横井委員 今、政務次官から御意見を承わって、わが意を得たりと思うのでございますが、そこで、一つお聞きしたいことは、今度の振興会の——従来もそうでございましたが、大体業務は、調査と見本市とあっせんと、こういうことが取り上げられておるようでございます。従来でも、これはやっておったことでございますが、そこで、従来やっておったことについて、いろいろの意見を聞くので、この際申し上げて、当局の御意向を承わっておきたいのです。第一、見本市でございます。見本市の出品者に対する一コマ、一コマのコマ代が高過ぎるというのです。一コマ出して三十万、四十万、五十万出したのでは、とても中小業者は出せないという声が高いのであります。一コマの代が三十万、四十万では、中小企業者はとても出せっこないのです、大企業の者はいいかもしれませんが。これは何とか一つ考えられぬかという声を聞くのでございます。
それから、あっせんでございますが、あっせんは、ほとんど機能を発揮していない、こういうことでございます。とにかく各業者、商社は、現地に相当のりっぱな人がたびたび行っておる。中には駐在員がおって専門的にやっておるのに、ジェトロの方のあっせん員がおってあっせんするぐらいじゃ、とてもかないっこないと思う。あんなものはあってもなくても同じだ。あっせんなんというものは、口では言うのだけれども、ほとんど何もやっていないのだ、こういうことを聞くのでございますが、この点について、どういうことをお聞きになっておるか、その点を一つ承わりたいと思います。
今の政務次官が言われた調査の点につきましては、私も、これは非常にじみではあるけれども、重要なことである、こういう意味において、ぜひとも調査をやっていただかなければならぬのでございますし、またそれに重点を置いていただかなければならぬのでございますが、今申しましたような見本市とかあっせん等につきましては従来からも非常な非難がある。この点を、どうお聞きになっており、将来どうしていくか、こういう点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/32
-
033・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 コマ代でございますが、これは向うの国によっても、だいぶ違えておるわけでありまして、今ここにある資料によりますと、一コマ平均二十万円くらいになっておるそうであります。しかし、中共は五十万円。これは向うが高いので、やむを得ないということであります。もちろん補助費が多くなれば、コマ代もジェトロ側で持つということも考えられるわけでありますが、なかなか今そこまでいきませんので、建物を建てる、飾りつけ、あるいは商品の管理費用はジェトロ側で持っておりますが、コマ代そのものは、出品をされる業者側に負担していただかなければいかぬということになっております。高いというのは、現地の相場というと語弊がありますが、そういうことになっておりますので、やむを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。別段ジェトロが高く取って、中間的にピンはねしておるというわけのものでは全然ないわけであります。その点は、一つ御了解願いたいと思います。
それから、あっせんでございますが、多分今のような御非難は、大きな商社が出す非難だろうと思います。確かにニューヨークにしても、サンフランシスコにしても、大手の商社は自分でそれぞれ店を持っておりますので、あまり必要はないわけでありますが、今、政務次官が言われましたように、現地に店を持たない中小企業のために、大部分この斡旋所というものがあっせんの労をとっておるわけでありまして、かなりの成績をあげておるわけであります。それと、もう一つは、あっせんそのものも、もちろん必要でありますが、ニューヨーク、サンフランシスコあるいはトロント、カイロ等におきまして、常時日本から新しい商品を送りまして、展示をして関係者に見せておる、いわば小規模の展示会を毎年数回そこでやっておる。それに関連して、いろいろな宣伝もするし、現地の報道機関にもいろいろ見てもらって、新聞にも書いてもらっておるというふうな面が非常に多いわけでありまして、具体的な取引として、ある人に手紙で頼まれてあっせんをすることは、もちろんやっておりますが、それよりも、物を見せて、そこで需要を喚起するという非常な役目をやっております。また、ひとり遠方に出かけておる調査員と違いまして、そこに店を持っておりますので、落ちついた調査もいたしておるわけであります。斡旋所といいますと、ただあっせんだけをやっておる、あっせんはあまり効果を発揮しておらぬじゃないかという御非難がございますけれども、あっせん以外の重要な事務もやっておるわけでありまして、斡旋所とはいうものの、いわばジェトロの在外支部として動いているのでありまして、その点、一つ御了解を願いたいと思うのであります。確かに大商社からいいますと、若干の不満はあろうかと思いますが、中小企業のためにというのが、大部分の仕事になっておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/33
-
034・横井太郎
○横井委員 見本市のコマ代ですが、中小企業者には、どうも現在のコマ代では、なかなか出品ができない。そこで、これはせっかく相当張り込んでやられることですから、将来、それは補助金等によってカバーしていただくように、ぜひとも御配慮を願いたいと思うのでございます。
それから、駐在員とか調査員の向うにおる期間でございます。私は、これは二年だと聞いておるのですが、あるいはもっと長いかもしれません。これを一つ聞かしていただきたいと思うのです。またある人に聞いてみると、とにかく二年やそこらおったところが、初めの一年間は語学を習って、それでしまい、あとの一年間はもう帰り支度で、あちらこちら見物して歩いてしまい、結局駐在員を海外に出張させて、遊ばせにやったようなものだと悪口を言う人があるのです。将来、そういうことがあっては、せっかく政府がおやりになるのに、相ならぬと思うのでございますが、その点、相当長く駐在させて、その機能を発揮するように、ただ遊ばせにやってもらっては困るのだから、一つ聞かせていただきたい。今までお聞きになっておる状態と今後のお考え方、これを一つお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/34
-
035・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 若干地域によって異なっておりますが、平均にしましては三年くらい駐在期間を置いております。東南アジア方面は二年半、それから先進国の方は三年くらい、大体三年くらいになっておるようであります。
それから、語学をけいこするだけに終っておるところがあるのじゃないかというお尋ねでありますが、確かに一、二の者につきまして、そういう非難も、実は私自身も聞いたことがあるわけであります。実は技術者の派遣を非常に要請される地域につきまして、技術者で語学のできる者をということで、その当時選考されたようでありますが、なかなか有能な人が見つからぬということから、便宜役所技官が駐在員になって行った。勢い語学の点で劣るというようなことで、しばらく半年くらいの間は語学の勉強に当ったというようなことで、たまたまその間に行かれた人は、そういう印象を持たれたということを伺っておりますが、今のところは、私はそういうことはなかろうと思いますし、今後の運営につきましては、できるだけ人選につきましても、そういうことが絶対ない、すぐ能率が発揮できるようにしなければならぬ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/35
-
036・横井太郎
○横井委員 今の話は、実際に各方面で聞くことでございますので、この点は十分お考え願いたいと思います。
それから、最後に承わりたいことは、予算関係、事業関係のことについてでございますが、その二十億というのは、全部使うわけではなくて、その利子程度のものか、その運営の面について、ちょっと承わりたいと思います。
それからもう一つ、寄付金というものは、従来通りおとりになるのか。ことに地方の寄付金というものは、割当でございまして、先ほども言ったように、割当をしておいて、一ぺんも集めもしないで、ただ貿易振興、貿易振興と言われるのでは、何をやっておいでになるのかわからぬ。今度は政府が二十億も出すそうだ、もう出さぬでもいいだろうというので、地方の府県では、もう予算を組まぬでもいいだろうということも聞いておるのですが、その点を、とるならとるで、そのかわり、運営においていろいろ相談をするとか何かしなければ、ただとられて——実際、今予算を組んでおるが、もう二十億出したからよかろうということを、府県で言っておるのですが、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/36
-
037・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 二十億円の資本金の方は、その利子をいただくことになるわけでございまして、大体六分といたしまして、一億二千万円の利子収入をいただくことになるわけであります。それは主として本部の人件費、事務費に充当される、こういうことになります。
それから、地方庁等からの寄付金でございますが、何も強制ということではございませんで、自発的に御協力を得てやっておるわけであります。若干、習慣的になると、強制的な感じを出す方ではお持ちになるのかもしれませんが、決して割当強制というようなことはいたしておりませんで、話し合いで気持よくお出し願っておるというのが実情でございます。ただ、今度新機関の収支予想の中でもございますが、大体従来通り、あるいは従来よりも若干多くいただけるのではないかというふうに見ております。率直に申しまして、国の方でそうやるなら、自分の方では少し減らそうという気分よりも、私が一、二受けている印象では、国もやるなら、一つ府県も大いに力を入れよう、去年よりももっと出そうというような気分があるように伺っておるのでありまして、われわれは、できるだけ多くお出し願って、一緒になって振興事業を拡大してやりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/37
-
038・横井太郎
○横井委員 局長は、大いに寄付金をとって下さいと聞いておられるそうですが、これは、とにかく何か頼みに行った人がおせじに言ったことだろうと思います。そんなことを言う人はおそらくなかろうと思う。現に私は、こんなものはもう来年出さないでもよかろうということを、某県の知事から聞いた。そう言っておるのでありまして、おせじに言うのを、ほんとうに受けてもらっては困るのであります。局長みずからが言われる通り、寄付金は強制でなく、気持よく出せるようにしていただきたいと思う。その点をお願い申し上げまして、私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/38
-
039・笹本一雄
○笹本委員長代理 長谷川四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/39
-
040・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 私は、一点だけ承わりたいのですが、二月の十一日の私の質問の中に、大臣の答えがあります。そうすると、今のあなたのお話を承わっていると、大へんな食い違いがあるように私は考えます。たとえば、今の寄付金の問題にしても、気持よく出すというのには、気持よく出せるような方途を選び、その方向に向って、果して海外市場調査会が今日推進しているかどうか。しているとすればその結果はどう現われているかということがなければならない。そのときの速記録をちょっと読みますから、あなたのお考えをここに一つ発表してみて下さい。私はこのときにこういうふうに申し上げました。ジェトロを通じていろいろ各国の市場の調査が行われておると思う、云々。わが国が今後海外に伸びていくについてどういうような産業が伸びていくか。すなわち、わが国として国是と考えるような商売、営業、企業というものが、ジェトロ誕生以来九年間たっておる今日、その調査の結果、日本の製品の進出はかくのごときものに重点を置くべきであろうという結論じみたものは出ておらないか、こういうふうに聞いてみました。ところが大臣いわく「将来輸出をどういう品目で伸ばしていくかという問題でありますが、御承知のように、現在すでに文化程度の高い米国等におきましては、日本品が進出いたしますのは雑貨であります。」と書いてある。海外市場調査会が九年間調査した結果、日本の将来をになって伸びていくものは雑貨であるという考え方、これが果して調査会から出た調査の結果であるかどうか。従って、局長は、この問題に対して、どういうふうなお考えを持っておられるか、これを承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/40
-
041・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 先ほども申し上げておったのでありますが、アメリカ市場を特にとって考えてみますと、なかなか日本の重工業品が出にくいこと、これまた事実であります。現在のところは、どっちかといいますと、広義の雑貨を中心にして伸びているのであります。しかしながら、このジェトロの調査の結果そうだということではないのでありまして、現実がそういうことであり、雑貨の面につきましては、いろんな工夫の仕方によりまして、もちろん輸入制限運動の点も考えなければいけませんが、まだまだかなり伸びる余地があると、こういう意味で大臣が言われたのではないかと思うのであります。しかし、最近は雑貨と申しましても、御存じのように、いわゆるがらくたの雑貨ではない。たとえばトランジスター・ラジオとか、あるいは自転車とか、写真機とかいうふうなものが、非常な勢いで出ようとして参っております。従いまして、商品の中にも、新しい商品が漸次生まれつつあるわけでありますが、広義にはやはり雑貨というふうなことになりますので、そう言われたのではないかと思います。しかし、これはあくまでもアメリカ等の先進国を中心としたことでありまして、調査員の報告によりましても、東南アジア、あるいは中近東、中南米の方面においては、それらの国の経済政策等から見まして、雑貨あるいは繊維等の輸出は、漸次影が薄くなっております。重化学工業品に重点を指向しなければならないことは、先ほども申し上げました通りであります。調査員の報告等も、もちろんそれを裏づけておるのであります。従いまして、日本の輸出政策としては、どこに重点を置くかということになりますと、低開発国に対する重工業品というものに重点を置かなければならないことは当然ではございますけれども、日本の今の産業構造から見まして、両手使いをやらなければいかぬ、先進国に対する広義の雑貨も重点を置いていかなければならぬというようなことになるのでありまして、その意味において、重工業品一本ということは言い切れない、若干焦点がぼけるようなきらいがございますが、とにかくわれわれとしましては、あらゆる地域に売れる優秀なものは、なるたけ売るという態勢でいく。ただその中に、低開発国に対しては、重工業品を今後伸ばすという線も入れていくということではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/41
-
042・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 そういたしますと、海外市場調査会というのは、アメリカにだけ派遣をされているのか。他にもあるかどうか、それを承わりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/42
-
043・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 貿易斡旋所の方はアメリカが二カ所、カナダに一カ所、エジプトに一カ所、こういうふうになっているわけであります。今度三十三年度の予算におきまして、二カ所増設を認められることになろうかと思いますが、これはヨーロッパ地域に一カ所、それからあと大洋州または中南米諸国に一カ所ぐらい予定をしておるのですが、まだこれははっきり最終的にはどうなるか私にはわからないのでありますが、予定されております。調査員の方は、どっちかと申しますと、東南アジアあるいはアフリカ、中南米等に多く出ておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/43
-
044・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 そうしますと、派遣先というものは、大体アメリカが中心であって、あとはもう一カ所あるだけだ、こういうことでございます。そうすると、今までの調査、つまりジェトロの調査またはあっせんに当ったというところは、その程度のアメリカを中心としただけの調査であり、あっせんもその程度で終っておった、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/44
-
045・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 私も、実はジェトロの業務の実際まで存じませんが、「海外市場」という雑誌をお配りしておると思いますが、これでごらん願いますと、アメリカだけでなしに、東南アジア各方面の地域について非常に調査をしていることは、御了解願えるかと思います。あっせんに関しましては、今のところは、そういうふうに四つのうち三つが北米にあります関係上、あっせんの事務は、東南アジアその他ではやりにくいことになっております。しかし、調査員といえども、そこにおりますと、いろいろやはり頼まれるわけであります。頼まれた分につきましては、もちろんやっているのでありますが、しかし、本部がそこにございませんので、あっせんは、どっちかというと、片手間にやられておる、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/45
-
046・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 政務次官に伺います。今日まで、われわれは、いかに日本の企業を合理化し、新技術というものを中心に、より以上日本の産業を拡大強化し、もって究極の目的とするところは、輸出産業というものに重点が置いてあると私は考えております。今日に至って、大体日本の貿易の将来を背負うものは雑貨であるというようなお考えを、果して通産省の責任者が持っているかどうか、この点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/46
-
047・小笠公韶
○小笠政府委員 日本の産業の実際から見まして、輸出に依存していかなければいけないことは、国内市場の狭隘なことから考えて、当然に考えられることであります。そこで、日本産業の構造が、漸次高度化して重工業化していくという傾向も、またこれは一つの明らかな傾向であります。これらのものが、その製品の販路を海外に求めていかなければいかぬ。一例をとりましても、機械にいたしましても、肥料にいたしましても、当然考えられるのであります。従いまして、ごく大ざっぱに申しますと、私はだんだんに高級品というようなものを、輸出の方向に持っていくというのが、方向であると考えておりますが、日本の産業構造から申しまして、中小企業の製品というものが、主として雑貨あるいは手先の器用さを利用した工芸的な要素を含めたものを生産いたしておりますので、これらも輸出にドライブしていかなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。もちろん、輸出というのは、相手方のあることでありますから、相手市場の産業の発展程度等に合せて、輸出を伸ばしていかなければいかぬと考えております。従いまして、お尋ねのように、雑貨を中心として輸出製品を伸ばしていくというふうな一面的な考え方をとると、日本の産業政策と矛盾を来たす、私はこういうふうに実は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/47
-
048・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 科学技術の振興が、今日また非常に広く大きく議論となって現われていることも事実であります。従って、今日、われわれ日本の従来の考え方というものをここに一擲し、さらに日本の国是として進むような産業というものを、通産省としても当然考えていかなければならない問題だと私は考えるのでありまして、その国是としてもって進むべきものが、その種類としては雑貨であるというようなことに帰するということは、私たちは納得することができ得ない。従って、この問題はあとに譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/48
-
049・笹本一雄
○笹本委員長代理 次に、企業合理化促進法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑に入ります。通告がありますので、順次これを許します。長谷川四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/49
-
050・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 企業の合理化促進につきまして、二、三伺ってみたいと思います。企業合理化促進法に関連をいたしまして、国産の新技術にのみこれらを行うのだというようにも書いてあります。しかし、国産のプラントの中に、ある程度の外国の特許を得たものが入るとした場合には、どういうような考え方を持っておるか。これが一点でございます。
それと、外国からの企業と日本の企業とをまぜて一つのプラントができ上ったとして、それを新技術として、企業家が国民経済上緊要として認めていくかどうか。
もう一つ、企業の合理化促進という点について実施された今までの、これがためにどの程度まで日本の産業が向上した例があるかという点、結果はどうであったか、その結果を一つ承わりたい。
従って新技術というものに対してのもっと具体的な面、たとえばどういうようなものを対象とするということが、法文の上には表わすことはできなくても、はっきりしたものをわれわれには与えてもらいたい、こういうことであります。以上の三点につきまして御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/50
-
051・黒川眞武
○黒川政府委員 御承知のように、わが国の科学技術は、すでに外国技術によりまして相当進められて参りましたが、しかし、この間におきまして、技術振興に対する研究ということも、同時になされて参りました。戦後十五年に相なりました関係上、日本の技術というものを特に進めまして、やむを得ない技術は、外国技術を入れるといたしましても、日本の資源にも立脚いたしました技術を大いに伸ばしまして、今後わが国の発展に尽さなければならないと思うのでございます。そういう関係におきまして、ただいまわれわれが一番ネックと考えておりますものは、研究が推進いたしましてこれが実用化する段階におきまして、そこになかなか大きな金が要るために、比較的安易な外国技術を導入するというような傾向も、多々現われております。それではほんとうの日本の科学技術は、今後大いに伸展することができないので、わが国で発明されました技術は、なるべくこれが実用化しやすいようにしていかなければならぬということで、今回ここに提出されました企業合理化法の改正案が出たわけでございます。
それでは、もう少し具体的に、どういう技術が日本の技術として生まれてきたかという御質問でございます。これは、いろいろございますが、たとえば工業技術院におきまして、昭和二十五年から研究補助金というものを出しております。その中で、ただいま生まれました二、三の例をとりまして、御説明いたしますと、たとえば、科学の方面で申しますと、チタニウムという金属がございますが、これの製錬につきましては、日本独得の技術が研究をされまして、過去五年におきまして、大体一千トンの金属をアメリカに輸出いたしまして、その金額は百五億円ほど入っております。あるいはまた、昨今三番目の繊維といわれておりますカネカロンというような繊維も、またこの工業化補助金から生まれたものでございます。その他あげますと枚挙にいとまないのでございますが、これは単に大きな工業ばかりでなく、比較的小さな中小企業におきましても、いろいろ効果を現わしております。御承知のように、高周波のトランジスターというようなものも、日本に初めてできまして、この技術は、逆にアメリカに輸出されておるような状況でございますし、また、御承知の電子顕微鏡におきましても、その改良は、補助金によりまして、最近超高圧の電子顕微鏡の完成ということにまで立ち至っておりますし、光学レンズにおきましても、従来、やけその他のいろいろな欠点もあったのでございますが、共同研究の結果、そういったような障害も排することができまして、大いに輸出に役立っておる次第でございます。あるいはまた、もっとわれわれの身近な例でございますと、製くつの自動化というようなことも完成いたしまして、相当実用化されておる次第でございます。そういった日本独得の技術が実用化される場合に、相当の資金も要りますし、あるいはまた、生産技術としても、そこに幾多のリスクが存在しておるのであります。そういうリスクをなるべく少くする意味におきまして、この企業合理化法の一部を改正することになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/51
-
052・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 ただいまお話のございました第一点について、私から御説明申し上げます。この改正法律案の根本の趣旨が、今御指摘のあったような、わが国での試験研究の成果の企業化に当っての特別償却の措置を主としておるのであります。御承知のように、試験研究を積み重ねる段階におきまして、その中に海外の試験研究の技術なりその他が全く入っていないということを、必ずしも潔癖に申すわけではございませんけれども、今回の趣旨が、主としてわが国で行われた試験研究の成果の企業化についての特別措置でございますので、その辺の判断、認定等は、この法案に書いてあるような主務大臣及び大蔵大臣が具体的なケースを承認するに当って、十分検討して実証していくということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/52
-
053・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 松尾さんに、もう一点伺います。そういたしますと、国産の新技術で新たなる特許を受けたものの実用化というところに重点が置いてある、こういう解釈でよろしいかということが一つ。
それから、たとえば、プラントは外国から持ってきたとして、その原料が純国産資源であるという場合は、果してそれが対象になるかどうか、この二点についてお考えを述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/53
-
054・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 わが国で行われた試験研究の成果が企業化される場合でありますれば、その試験研究の成果が、必ずしも特許権の形になっていない場合でも、承認の際の対象になり得ると思います。
それから第二点の、輸入機械を使った場合はどうかという点でございますが、これは試験研究の成果を実際に企業化いたします際に、その手段として若干の機械設備等の輸入が伴う場合は、あるいはあり得るかと思いますが、技術そのものは、やはりわが国で試験研究せられたものというふうに考えていくのが、この立法の趣旨であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/54
-
055・長谷川四郎
○長谷川(四)委員 外国に支払う特許料、こういうものも非常に高額になって、年間百二十億以上だといわれる。先日来、大臣にも承わったのでございますが、本年はこれがさらにふえていくであろうと想像される。しかし、反面、日本の国内において日本の技術がそれほど低下しているかというと、各国に比較してみて、決して低下はしておらないと考えている。でありますから、こういう面に対し、今後、日本の企業を育成する上において、ただ単に、外国の技術を導入したからそれでいいのだという考え方でなく、日本の技術をいかに育成していくかというところに、重点を置かなければならないと考えるのであります。ただいまお話のように、たとえば、特許を受けていなくても、国産の技術でも、各層各界が認めた場合は、その対象にすべきものだ、私もそう考えております。従って、純国産の資源であっても、こういう点については、今後十分考慮を加えていかなければならない、こう信じております。企業の合理化促進、先ほどチタニウム、さらにまたカネカロン等の例もありましたが、何かこれに対してデーターを出してもらえましたら、それを一部ずつ配付していただきたい。これはほかの委員からも注文がありますので、そうしていただきたいと思います。
以上で、私の質問は終りといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/55
-
056・笹本一雄
○笹本委員長代理 この際、理事の協議により、昨二十七日、本委員会に付託されました合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案を追加して議題とし、審査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/56
-
057・笹本一雄
○笹本委員長代理 御異議なしと認めます。よって、合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
まずその趣旨の説明を求めます。小笠政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/57
-
058・小笠公韶
○小笠政府委員 合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
昨年の第二十六国会においてゴムの供給の確保をはかるための措置といたしまして、合成ゴム製造事業特別措置法が制定されたのでありますが、昨年十二月には、日本合成ゴム株式会社が、この法律に基く承認を受けて設立され、目下同社においては、製造技術の導入、その他工場建設の準備を着々進めているのであります。
しかしながら、現行の合成ゴム製造事業特別措置法におきましては、その附則第三項及び第四項の規定により、法律施行後一年を経過したときは、日本開発銀行の出資による方式を、政府の出資による方式に切りかえ、あわせて、その切りかえに伴い必要な事項を法律で定めなければならないことになっているのであります。従って、政府におきましては、三十三年度予算案においてこれに必要な予算措置を講じますとともに、立法措置としては、今回この改正案を提出した次第であります。
次に、この法案の要点を申し上げます。その第一は、出資方式の変更でありまして、現行法の第二条を改正し、日本開発銀行の出資の方式を、政府の出資の方式に改めたことであります。すなわち、現行法の第二条によれば、合成ゴム製造事業者であって大蔵大臣及び通商産業大臣の承認を受けたものには、日本開発銀行が十億円を限度として出資できることになっているのであります。しかしながら、日本開発銀行は、金融情勢の変化等から、いまだこの十億円の出資の全部を終了しておりませんので、今回の改正におきましては、経過的に、三十三年度中に限って、なお日本開発銀行が出資できることとするとともに、政府は日本開発銀行の出資の完了を待って、三十三年度中においてできる限り早くその株式を譲り受けることとし、これによって政府出資の方式に切りかえることとしているのであります。
なお、今回の改正におきましては、すでに出資の対象となる会社が明らかになっておりますので、法律上もこれを特定することといたしたのであります。
要点の第二は、監督規定の強化であります。会社に対しましては、従来から相当の監督を行なっており、これを今後も継続して参りますのはもちろんでありますが、政府出資への切りかえに伴い、新たに規定を設け、会社の重要な財産の譲渡、社債の募集、長期の資金の借り入れ等については、通商産業大臣の認可を受けなければならないこととし、さらに通商産業大臣は、その職員をして、会社に対し監督上必要な立ち入り検査を行わせることができることとしたのであります。また、これらの監督規定の強化に伴い必要な罰則の整備をはかった次第でありますが、これによりまして、会社の監督に関する規定については、一そう整備されたと考えているのであります。
要点の第三といたしましては、政府は、会社の経理的基礎が確立したと認めるときは、有価証券市場の状況を考慮し、なるべくすみやかにその所有する会社の株式を処分する旨の規定を新たに設けたことであります。日本合成ゴム株式会社は、その事業計画等から見ましても、数年後には民間企業の採算ベースに乗り得る会社でありますので、その時期には政府は、所有株式を処分するものとして、本法があくまでも臨時的な措置であるという性格を、ここに明らかにいたしたのであります。
以上申し上げましたのが、改正の要点でございますが、これに伴い、従来の題名では、法律の内容を言い表わしますのに、必ずしも十分ではないと考えられますので、題名を「日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律」に改めることといたしたのであります。
この改正法案の提案理由並びにその要点は、右の通りであります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/58
-
059・笹本一雄
○笹本委員長代理 本案に関する質疑は、後日に譲ることといたします。本日はこの程度でとどめます。次会は来たる三月四日午前十時より開会する予定であります。
これにて散会いたします。
午後零時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X01119580228/59
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。