1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月三日(木曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 小平 久雄君
理事 阿左美廣治君 理事 笹本 一雄君
理事 島村 一郎君 理事 長谷川四郎君
理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君
有馬 英治君 大倉 三郎君
川野 芳滿君 菅 太郎君
神田 博君 齋藤 憲三君
櫻内 義雄君 首藤 新八君
福田 篤泰君 南 好雄君
村上 勇君 横井 太郎君
山手 滿男君 伊藤卯四郎君
佐竹 新市君 田中 武夫君
田中 利勝君 多賀谷真稔君
水谷長三郎君 横錢 重吉君
出席国務大臣
通商産業大臣 前尾繁三郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 白浜 仁吉君
通商産業政務次
官 小笠 公韶君
通商産業事務官
(大臣官房長) 齋藤 正年君
通商産業事務官
(通商局長) 松尾泰一郎君
通商産業事務官
(重工業局長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(石炭局長) 村田 恒君
通商産業事務官
(鉱山保安局
長) 小岩井康朔君
委員外の出席者
通商産業事務官
(石炭局炭政課
長) 町田 幹夫君
通商産業事務官
(公益事業局次
長) 東 澄夫君
通商産業事務官
(公益事業局ガ
ス課長) 渡辺 五六君
労働事務官
(職業安定局失
業対策部長) 三治 重信君
参 考 人
(石炭鉱業整備
事業団理事長) 田口 良明君
専 門 員 越田 清七君
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四月二日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
上林與市郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月三日
委員戸塚九一郎君、上林與市郎君、帆足計君及
び八木昇君辞任につき、その補欠として山手滿
男君、多賀谷真稔君、横錢重吉君及び伊藤卯四
郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員山手滿男君辞任につき、その補欠として戸
塚九一郎君が議長の指名で委員に選任された。
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四月三日
航空機工業振興法案(内閣提出第一五三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一四八号)航空機工業振興法
案(内閣提出第一五三号)
ガス事業に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/0
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001・小平久雄
○小平委員長 これより会議を開きます。
まず、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/1
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002・小平久雄
○小平委員長 お諮りいたします。本案の審査のため、参考人として石炭鉱業整備事業団理事長田口良明君より、質疑応答の形式により意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/2
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003・小平久雄
○小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/3
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004・小平久雄
○小平委員長 質疑に入ります。伊藤卯四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/4
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005・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 今、議題にされております石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正等の問題について、若干質問をいたしたいと存じます。
まず最初に、さきの石炭鉱業合理化法制定の目的は、御存じのように、非能率炭鉱を買いつぶし、いわば不況対策として、この法律は制定されたのであります。従って、買い取りも、すでに三百万トン以上という、予定以上の成果をあげておるようであります。ところが、このたび提案されております同法の一部改正法案は、新たな炭田の開発をする、いわば、増産対策として提案されたものだと思うのであります。それならば、なぜ石炭の計画開発、増産対策として、単独法としてこれをお出しにならないのかということを考えるのであります。買いつぶして整理をする法律に、開発増産計画を組み合せるということは、矛盾をしておるのじゃないか。そういう点から、法律案自身としてもはなはだ権威がないし、また、そういう点に自信を持ち得ないところから、いわば整備法案に増産計画を便乗さしてやるがごときは、私ははなはだ遺憾であると思うのであります。今度の一部改正の提出というものは、石炭の開発の年次計画というものが、これに作られてあるようでありまして、こういうものを一部改正案として出してくるという点は、何としても了解に苦しむのであるが、この点について、われわれの納得のできるような答弁をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/5
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006・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 合理化臨時措置法の出されましたときの情勢とただいまとは、多少の食い違いがあるかと思っております。しかし、合理化という考え方の中には、非能率的なものは排除しながら、極力能率化し、従ってそのことは、われわれから考えて、増産をしていくという考え方のもとにあるのであります。従って、今後の行き方としましては、能率的なものは、あくまで開発して参らなければなりませんし、また非能率的なものは、ある程度押えていかなければなりません。そうして、総体として増産もされ、しかも割安になる、こういう二つのねらいがあると思います。従って、いろいろ錯綜しておる事情で、たとえば、この事業団のごときにつきましても、現在進行中であり、この一部改正が行われました後におきましても、存続するわけであります。目的は、結局先ほど申し上げました能率的なものを広げ、非能率的なものを押える。ときによって、どちらに重点が置かれるかの違いはありましても、私は合理化というこの法律の範囲外のものであるとは考えておりませんので、この一部改正をお願いしておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/6
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007・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 今の大臣の御意見では、私はこの買いつぶし時限立法に、増産計画の長期法案ともいうべきものをからめて出されたということは、法の体系の上から見ても、行わんとする事業の目的の上から見ても、これが矛盾しないとおっしゃるのは、大臣の頭はどうかしておらぬかと思うのですが、どうですか。こんなばかな法律は、今までありませんよ。この事業団の整備事業の法律は、このままあっていいと思うのです。期間一ぱいおやりになったらいいと思う。すでに目的の三百万トンを達成して、なお金が余っておるし、幾らか時間もあるから、なおあと何十万トンか、事業として買いつぶすというのがあってもいいと思う。これはこれで目的が終るのです。そこで、さらに今度の案は、長期増産計画、新たな開発計画を作られているのであるから、これをどうして独立立法として出すわけにいかぬのですか。この辺は、何かそこに割り切ることのできないものがあるわけで、その意味をもっと明確にしてもらわぬと、われわれはこの法案の審議というか、あるいは通過の上に、協力できないと思うのです。やはり法というものは、体系というものがあるのであるから、その体系の上に立って、筋を通したものでなければならぬと思う。こういう点を明らかにしてもらわなければ、われわれは、簡単にこの法案というものの審議に協力することはできない。一つ、もっとはっきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/7
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008・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 私は、合理化というのは、何も整備するだけが合理化だとは思っておりません。先ほど来申しますように、合理化という名前につきましては、長期的に能率的な開発をやるということも、私は合理化の定義の中に十分入ると思う。また非能率なものを整備するということも、私は合理化の一つだと思う。従って、現在の合理化法の改正によりますことは、これは便宜の問題でありまして、従って、目的につきましても、今度は追加をすることにはなりますが、またそのときによって、やることは違うかと思いますが、しかし、合理化という考え方の範疇に十分入れていい事項だというふうに考えておりますので、必ずしもこれは矛盾しておるものではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/8
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009・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうもあなたのお答えは、はっきりしないのですが、くどく申し上げるようだが、さきの合理化法案の制定の目的は、不況対策として、非能率炭鉱というかそういうものを買いつぶして、そうして要らざるものを制限していこう、こういう目的で作られたのです。ところが、この一部改正は、増産計画として、いわば経済景気に備えるために、順次年次計画として増産をして、経済計画にこたえていこうというために作られてあるのです。これは矛盾しませんか。片方は、不況対策として買いつぶして、それで炭鉱を整備していこう。今度の一部改正は、経済の景気に備えるために、新たな炭鉱を開発して、増産年次計画を立てていこうというのだから、これは違いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/9
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010・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 要するに、合理化ということは、先ほど来申しておりますように、一面においては能率的なものを開発し、一面においては非能率的なものを整備する、こういう両面を持っておるわけであります。むしろ私は、二本の法律にいたしますと、かえって、その間の矛盾があるのではないかというふうにお考えになりやすいのと、あるいは、その法律の間にどういう関連性があるかということについて、かえってわかりにくくなる。一本の法律にしておきましたら、その両面について、そうして法律の各条項に矛盾したことがありましたら、直さなければなりません。しかし、矛盾せずに合せて一本という姿にすることについては、私は矛盾とは考えておらぬのであります。あるいは、当時は不況なときであった、あるいは現在がその当時とは事情が変ったという点はありましても、これは法律の各条項に矛盾がなければ、その法律は継続して何ら差しつかえないと思っておるのでありまして、その間、観念的には、おっしゃるようなことも、わからぬわけではありませんが、私は合理化という中に一本にして、そしてその両面が相矛盾しないような姿においてやっていった方が、むしろ混同がなくなる、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/10
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011・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうも大臣が答弁しておられるその程度の内容では、私、承服はできません。これは、あなたと、この問題だけで押し問答しておったところで、仕方がないのですが、おそらく大臣も、今おっしゃるように、どうも矛盾しておるようにも思うけれども、まあ一本の方がいいのじゃないか、こういうことを言われておる点にも、私ははっきりした強い自信をお持ちになって出されていないということだけを、うかがい知ることができるのです。それはそうでしょう。片方は、殺してお葬式を出していこうというその人間を、今度は、同じ棺おけの中で、またもう一ぺん生かして元気をつけていこうというのだから、これは法の体系からいって、全く間違っていますよ。しかし、これはあなたとここで議論をしても、水かけ論で、いたずらに時間をとりますから、私はこれは了解できないものとして、あとあとのためにここではっきりしておきます。いずれあとでこの法案の討論などという問題が出てくると思いますから、そういう場合において、私は、もっとこの点は筋を通してやるべきであるということを、明らかにいたしていきたいと思います。私は、新たな炭田開発増産計画を立てていくことに反対じゃないのです。そういう国策ともいうべき新たな一つの目的を持つものであるから、単独立法を出されて、それでやられたらどうかということを言っておるのです。だから、そういう点からお考えになれば、それは大臣も、伊藤君、君の言うことの方がどうも筋が通っておるように思うと、きっと私は腹の中では思っておられると思うのだ。だから、私はそういうことで、あとであなたも考え直して、私どもの方から筋を通していく場合に対しては、その方に多分御賛成をされるだろうと思うから、この点は私の質問、意見等を留保しておきます。
それから、新たな炭田開発をするには、鉱区の整理統合を必要としなければならぬ。そのために鉱区の調整協議会というものを設けて、これにやらしたい。これは、私はいいと思っております。そこで、たとえば何十年というように鉱区を持ち続けておる場合、しかも、それが採掘鉱区であれば、整理統合の問題について、なかなか問題があるので、政府としても、なかなかやれないでおる現状でございます。ところが、古い既設の炭田では、最も接近をしておる鉱区というか、あるいは上層と下層があれば、その上層と下層を別な人々が鉱業権を持っておるというところから、やはりそういう点に絶えず問題が起っておる。それからまた、計画的な増産計画も立てられなければならぬ。さらに鉱害の問題も、どっちの鉱害かということが、なかなか判定がつかないので、そのために、被害者は絶えず困っておる。そういう問題が非常に起っておることは、私は大臣もお聞きになっておられると思います。そこで、これらの既設炭鉱において、鉱区の整理統合をしなければならぬということは、これは何十年来叫ばれておる問題であるのです。たとえば、業者の中でも、あるいは政府みずからの直接の関係者の人々の中でも、このことは言われておることです。新たな炭田開発のための鉱区の統合も必要であるが、既設の炭田の鉱区こそを整理統合することが、経済出炭の上から見ても非常に大事なことです。こういう点等を、なぜお入れになっておらないか。しかも、さっき大臣が、買いつぶす、いわゆる整備法案の中に、増産計画開発計画の一部修正を加えることは、矛盾しないのだとおっしゃるならば、なおさらのこと、これをなぜお入れにならぬのか。この点は、先ほどから御答弁になっておることと、切々として叫ばれておる国家的見地からやらなければならぬ。これをお入れにならぬということは、どういうわけですか、この点も一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/11
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012・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 古い鉱区についての鉱区調整の問題につきましては、すでに規定があるわけでありますが、その規定が、実際言いますと、確かに今まであまり発動されておらぬということであると思います。それにつきましては、もっと強力に行政指導を行わなければならぬというふうにも考えておるのであります。さしあたっては、とにかく最も必要性もあり、またある地域を指定する、いわゆる指定地域につきましては、強力に進めなければならぬというふうな考え方をいたしまして、指定地域だけについては、さらに、譲渡につきましても、勧告だけではなしに、決定ができるということにしてあるのであります。あるいは鉱区の増減についても、範囲を広げるとかいうようなことをいたしておるのであります。もちろん、私は、鉱業権についても、いろいろ検討しなければならぬ問題があると思います。それらにつきましては、極力行政指導を強く推進して、根本的な検討を早く進めていきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/12
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013・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 大臣も、すでに、古い炭田における既設のそれぞれの鉱区が、ばらばらになっておったのではいかぬ、だから、何とかこれを整理統合しなければならぬということは、お認めになっておるようであります。それから、従来からやらんとしてやれないでおるということも、お認めになっておる。こういう点は、もっとはっきり、行政の権威というか、そういう一つの政治の力でこれを解決してやらなければ、できないことです、こういう点を、全然取り上げないでおられる。いわんや新鉱区の開発等の点についても、先願権というようなものについても、全然お触れになっておらないようであるが、鉱業権というものは、先願権というものが優先して権利を持っているところに、どんなに国家的に見て損失を与えておるか。また関係のそれぞれの者に、いかに迷惑をかけておるかということも、これは御存じであると思うのです。そういうことも全然触れておられない。一部改正の中に説明されておられる点は、先ほどから申し上げるように、法の体系からいっても矛盾しておるし、問題の重要な点というものを、全くそれぞれ取り上げておられないのである。何のためにやられているのか、私は全く、何かセミの抜けがらみたようなものを一部改正として出されておるような気がしてならぬのであるが、今申し上げたような点等の総合的なものを、この鉱区の調整協議会というものに、相当従来から問題として解決できないでおるそういうもろもろの鉱区の問題を、ここで取り上げさすようにするということについて、なぜ加えることができないのか。そういう点等を、一つはっきりお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/13
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014・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 鉱業法につきましては、いろいろ問題があると思います。また私は、根本的に改正しなければならぬというふうに考えておるものであります。ただ、これはよほど慎重に、他の法律との関係もありますから、省内におきましても、十分な調査をする反面、審議会というようなものを設けまして、根本的に検討してやらなければならぬというふうに思っております。ただ、ただいま申し上げましたような今度の合理化で改正をお願いしておりますのは、新炭田の開発ということについての予算もとる。これは相当長い期間にわたって準備が要るわけでありますから、早くこの点については手をつけておきませんと、将来にいろいろ禍根を残すというような点も考えまして、部分的な改正をお願いしたわけでありまして、これですべてが事足りるというふうに考えておるのではありません。全般的な鉱業法の改正ということについては、早く推進していきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/14
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015・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 やはり私には、なかなか了解ができません。というのは、私は、鉱業法の改正とかなんとかいう、そういう鉱業憲法ともいうべき基本の問題を論じておるのじゃないのです。今度の一部改正というものは、国の年次増産計画を立てられておるのである。その目的を達成するためにはかくなければならぬというもろもろの問題が、これを総合して解決をされなければ、合理化の工事は進行しないと私は言うのです。先ほどから言うように、この鉱区の先願権の問題などについても、十分検討さるべきだとか、あるいは古い炭田におけるところの、先ほど申し上げたような接近鉱区の整理統合の問題であるとか、そういう問題を総合的に取り上げてやられるところに、一つの年次増産計画というものが立つのであって、それらをそのままばらばらにさせておいたならば、新たな炭田開発というような問題について、絶えずいろいろな問題が、国全体の立場からいうと、起ってくる。蹉跌が起ってくるのです。それを私は言っておるのです。だから、一つの国策ともいうべき増産計画を立てるなら、それにすべてを集中して、それが完全にやられるようにするというところに、私は法の改正なり国の予算を投入していくというこの目的が達成されると思うのです。そういう点がどうも一貫していないが、これは十分検討されて改正案をお作りになったのですか、どうですか。何かにちょっと追われたような形で、急場の間に合うようなことで作られたような気がしてならないが、こういう点について、もっと基本的な考え方を一つお聞かせ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/15
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016・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 先ほど来申しておりますように、鉱業法の改正ということを、全般的に考えていかなければならぬと思います。いろいろなただいまお話しのような問題も、やはり鉱業権の根本に触れる問題であります。従って、部分的な改正を、鉱業法にただいますぐ加えるというわけには参らぬと思うのであります。これは、先ほど来申しておりますように、鉱業法の根本的改正ということは、別個にまた並行してやっていかなければならぬのであります。とりあえずのところは、新炭田の開発ということについて、どういう考え方によってやっているかということを明らかにして、今後極力早く準備をしていかなければなりません。ことに予算的にも調査費をとり、その目的はどこにあるかという点もありますので、その関連いたしました点を、この合理化法の中に取り入れたのでありまして、これと根本的改正とは、私は並行していくべきだというふうに考えておりますので、その点は、これで事足れりという考えでやっているわけではありません。今後、これをわれわれも推進することについては、十分努力して参りたい、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/16
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017・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 この鉱区の問題を調整機関にかけて扱わせようといわれるのは、これはやはり鉱業権の問題にも関連するのです。私はそれをきょう追及してやろうとは思いませんが、大臣の考えは、そういう鉱業法の改正という基本的な問題には触れたくないのだということをおっしゃっておりますが、鉱区問題というものは、鉱業権の問題に触れることなのです。そういう点からも、われわれが見て、今度の一部改正のみでこういうことを扱おうということは、そういう相当重大な根本問題にも触れる問題を、軽く扱われておるという点から見ても、私、今、大臣のおっしゃったような考え方というものでは、了解できない。だから、これを議論すれば、私は言い分がたくさんあるけれども、時間の関係で言いませんけれども、それは、これをやること自身も、鉱業法の基本権にも触れるのです。だから、そういう問題にも触れる問題をここでやろうとするのであるから、それなら、私がさっきから質問しているように、もっと根本的な問題にも触れて、総合的にこれを調整するような形でやったらどうかと言いたい。必要とあらば鉱業法改正の法案も、今国会に出さなくても、次の国会ぐらいに出してくる、そういうことも十分持っている立場からこれを扱っておるのだとおっしゃるなら、話はまだわかるのです。そういう点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/17
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018・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 大体、おっしゃるような考え方で、私は、とりあえずのところこれを提案しておるのでありまして、ただいまお話しのような点は、十分並行して検討し、極力早い機会に、あるいは御審議願いたいという考えは、私自身も持っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/18
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019・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 次にお尋ねしたいと思いますのは、御存じのように、この石炭鉱業は、地下資源の産業というか、そういう特殊な事業でありますから、従って、生産というものに、計画的な弾力性というものが非常に乏しいわけです。それだけに、景気の変動に対しても、また実は非常に弱いのです。それだから、たとえば好況の場合には、非常な乱掘をやっている。これはもう絶えず行われている事実です。ところが、今度、その反面に不況になって参りますと、今度は、原価を全然無視して、いわば乱売競争をやっている。こういうことが、石炭鉱業というものを健全化し得ないということは、これはもう前尾通産大臣も、百も御存じであろうと私は思うのです。こういう点から、一方的な見方でやりますと、需給の関係とか、そういう点においても、従って非常な不安定というか、そういうことが、絶えずこの需要関係にも問題が起ってくるわけです。だから、政府は、総合的なエネルギー計画と対策というものを持って、やらなければならぬはずです。ところが、何か法案をお出しになったときには、必ず総合計画の上に立ってやっているのだということを口癖のようにおっしゃるけれども、それが国策として、総合的にこの燃料対策というものが行われた事実を、私はいまだかつて知りません。そういうことでございますから、今度のこの一部改正についても、いろいろのことを、大臣が趣旨説明の中にも申されておりますが、こういう今私がお尋ねしたような大事な点において、これをどう扱うか。年次増産計画と需給関係においての総合的な立場から、どう扱うかという点等が、一向述べられておりません。こういう点から見まして、今後、石炭鉱業を合理化しつつ生産を高めていく、わが国の総合エネルギーの政策というものをはっきりされることが、燃料対策として、いろいろ問題を起す点を解決される上に、重要なことだと思うが、大臣はどういうふうにお考えになっているか、この点を一つ伺いたい。
それから、そのためには、競合をしていきます他のエネルギー、たとえば重油であるとか、こういうものの需要関係、こういう点も、どういうふうにしていくかということが、はっきりしたことが示されておりません。こういうものも、当然私は考うべきことだと思うのであるが、一向加えられておりませんが、なぜこういう点等も無視されているのかということも伺いたい。
それから、最近、この問題等を閣議で論議されていることを、しばしば新聞などにも拝見したことがあります。そのとき前尾通産大臣は、燃料としては石炭を主とし油を従として取扱いをしていきたい、こういうことを言われたようであります。ところが、これも閣議決定になるものかと思っておりましたところが、閣議決定になりません。了解事項ですか、何かそういうことでやるのだということで、始まりは相当石炭関係の者に期待をされておったようであるが、何だかあとから妙によろめいてきたようになってしまっております。もっとも、よろめきということは、岸内閣のお家芸ですから、やむを得ませんけれども、こういう点も、もう少しはっきりされる必要があると思う。そんなことでは、私はとても経済性を持つ石炭の増産計画というものに期待ができない。石炭の長期増産計画対策というようなものについて、ほんとうに今度こそは年次計画に信念を持って、確固不動のものとして計画性を持ってやるのだというようなことの上に立ってやっておられるような気がしないが、日本の石炭政策というか、総合エネルギー国策というか、こういう点について、一つはっきりした点をお示し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/19
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020・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 エネルギーの総合的な考え方につきましては、すでに十二月に策定されました新長期経済計画の中にあるわけでございます。そしてその必要量につきましては、これまたその中に言われておるのであります。
また、今後の石炭政策について、どういう考え方を持つか。ただいまお話しのように、そのときによって需給が非常に変ってくる。それに対する対策といたしましては、私が前からしばしば申し上げておりますように、極力国内資源は依存する、そこに重点を置くということは、これは外貨節約の問題からいいましても、当然のことであります。それで、炭主油従という考え方でいきますことについては、何ら疑いのない問題であります。ただ、どうしても石炭で足りないという場合には、これはもちろん輸入エネルギーに待たなければなりません。従って急速に開発をやるにいたしましても、足らざるところは輸入に待っていかなければならぬ。またエネルギーの必要量が非常にふえて参りましたので、輸入エネルギーが非常にふえて参りまして、昭和五十年度であったかにつきましては、十五億ドルの外貨で輸入エネルギーに待たなければならぬというような状況でありますから、極力国内資源によっていくということについては、当然のことでありまして、これは、今後だれが考えても、変ることはない、かように私は信じておるわけであります。
ただ、今度は、逆に余ってくるというような場合が多かろうかと思います。それに対する対策は、十分考えていかなければなりません。それについては、極力長期契約をしてもらう、あるいは貯炭場を作るというようなことで、需要の少いときに対する対策も考えていくわけであります。この考え方につきましては、それに対して政府資金を極力投入するということも当然のことであります。また、この考え方を閣議決定とするかどうかということにつきましては、当然のことでありまして、それを閣議決定するということになりますと、ほかの問題についても、すべて閣議決定をとらなければならぬ。あるいは各省も、みんなそういうような閣議決定という形式をとるということになりますと、戦時中のような、ああいう閣議決定の誘発といいますか、あまりにも多くの閣議決定ということになりますので、私が従来考えておりますのは、一つもよろめいておるわけでも何でもありませんし、これはどなたがお聞きになりましても、当然のことでありますし、また確固不動の考え方だというふうに考えておりますので、特に閣議決定という形式をとらなかったにすぎないのであります。今後におきましても、あくまでそういう考え方で進むつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/20
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021・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 よろめいちゃおらぬ、確固不動の信念でやっておるという、なかなか前尾さんにしては珍しく強いことをおっしゃったが、さてなかなかそうじゃありませんわ。私がその事実をここであげますから、お聞き取り下さい。大体おやりになっていることは、場当り主義です。それだから、事実は、絶えず後手々々を打っておるというのが、大体あなたのところでやっておられることである。たとえば、御存じのように、今、貯炭が六百万トン以上もあって、およそ日本に炭鉱開発して以来、こんなに貯炭がたくさんできたことはないと言われておるのです。そういう膨大な貯炭が三十二年度にできておる。そこで、原料炭であるとか、もしくは無煙炭であるとかいうようなものは、日本に足らざるものを入れることは当然です。ところが、一般炭は、御存じのように、それこそあなたの方でおっしゃる神武以来の貯炭になっておるはずだ。ところが、三十二年度に一般炭の外来炭を八十二万二千トン入れておるじゃありませんか。国内炭が六百何十万トンも余って、開闢以来の貯炭というのに、何で一般炭の外来炭を八十二万二千トンも入れなければならぬのですか。そうしたら、今度はびっくりして、三十三年度には輸入しませんと言っておる。これは後手じゃありませんか。鉄鋼の場合も、そうじゃありませんか。去年、私があれほどやかましく言いました。ところが、去年どうであるかというと、鉄鋼を、しかも輸入関税を免税をして、特例を設けて鋼材を五十何万トン入れていましょう。それで、日本の鉄鋼界というのは、御存じのように鉄鋼が余って、いかにしてこれを操短して在庫を少くするかというところから、業者も青息吐息でしょう。従って、昨年度行われた鉄鋼労働争議のごときも、このために、労働者側の要求というものはゼロ回答で、いわば惨敗という形になっておるではありませんか。争議団を惨敗に陥れたり、切りくずしたということは、ある程度政府の無計画からだということもいえる。そうして、日本の鉄鋼業界を今日の状態に陥れたというのも、やはりあなたの無計画の結果がさせているのじゃありませんか。申し上げるように、石炭だって、今、貯炭をどうすることもできないというときに、外国炭の一般炭を八十二万二千トンも入れておって、それで確固不動でございます、よろめいちゃおりません、後手じゃありません。それなら、なぜことしも入れませんか。ことしは入れないようにしているじゃありませんか。こういう無計画、無方針で、一体やれますか。これで一体、確固不動でござい、よろめいちゃいないということが言えますか、ちょっと聞かして下さい。伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/21
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022・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 御承知のように、昨年八十二万トンの石炭を入れましたのは、上期であります。下期以降におきましては、入れておりません。あの当時といたしましては、それだけの需要があったわけであります。鉄鋼にしましても、石炭にしましても、それだけの需要が実際にあった。しかし、他の面から、御承知のように国際収支の悪化という面から、今度は事業を繰り延べさすというようなことをやりましたので、そこから起りまして、今度は経済活動を縮小した。従って、石炭の計画というものは縮小して需要が縮小して参ったのです。これは、鉄鋼につきましても同様であります。これは当時として、何も入れたくて入れたというのではない、それだけの需要があって、やむを得ず入れた。鉄鋼につきましても、石炭につきましても、相当な値上りをし、需要が足らぬということによって入れたのであります。この経済計画全部が、国際収支というような点についての配慮が足りなかったということは、言えると思います。しかし、そのために石炭政策が変ったとか、あるいは鉄鋼政策が変ったというものではないのであります。そういうことのないように、今後増産をいたしまして、そうして少々のことでは何も外国からあわてて入れなければならぬということのないようにしようというのが、現在の新長期経済計画の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/22
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023・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうも、今あなたのおっしゃることを伺っておると、自民党あるいは岸内閣政府等が、いろいろこの長期経済計画、長期石炭政策、そういうものを発表されるのと、私は非常に矛盾しておりはせぬかと思うのです。今あなたのおっしゃることを伺うと、それならば、自民党や政府の方から、経済やら燃料やら、そういうものについて長期計画を発表するということは、あれはみんな自信のない、いいかげんなものを発表しておるのだと、私はいわざるを得ないと思うのです。たとえば、今あなたのお出しになっておるこの中にも、計画を昭和五十年まで書いておられる。昭和五十年までお書きになるほどの計画を持っておやりになっておるものが、今あなたの答弁を伺っておると、上期は必要だったが下期は要らなくなった。何カ月の先じゃありませんか。二カ月か三カ月の先で、もう見通しが立たなくてどうすることもできない。そういうその日暮しのことをやっておって、一体長期計画を立てるとは何ごとですか。あなた方には、長期計画を立てる資格はありませんよ。まるでその日暮しじゃありませんか。鉄にしても石炭にしても、私は何年も先のことを言うのじゃありません。少くとも半年や一年ぐらいの見通しは立ててやれなかったら、政権をとっておる資格はありませんよ。そうじゃありませんか。上期には必要だったから八十何万トン入れた、ところが、下期になったら六百何十万トンも貯炭になった。これは、もうすでに去年の上期からわかっておることじゃありませんか。それを、もしあなたがわからなかったというなら、これは岸内閣の経済政策の失敗だ。一萬田さんが、あなたと一緒に大蔵大臣になったときに、さきの予算は大腸カタルだったから、今度はおれは下痢どめ予算をやるのだというので、今日の経済危機に陥れておる。そのときに、あなたは、そんなことをやられたら、貯炭もたくさんできるし、おれの管轄はえらいお手上げになるから困るといって議論をされたということは、私は新聞でも一回も見たことはありません。これはその日暮しじゃありませんか。そういうことで、一体経済計画であるとか、今度の一部改正の長期計画だって、出す資格がありますか。もっとしゃんとして下さい。これは私は、今もっと追及したいが、あなたばかりいじめても、岸内閣の全体の責任だから、そうあなたばかりいじめないが、もう少しそういうことをお考え下さい。
政府の長期エネルギー対策でも、石炭に、今、相当期待をしてやっていこうというあなたのお考えは、だんだん伺ってきました。そこで、石炭を日本の経済的な、いわば経済性というか、そういうものを失わない範囲内で計画を立てることは、私は非常に大事なことだと思うのです。そこで、そういう点において、一つの大きな国策、といっても、あなたの方でやっておられるのは、国策なんというのは、あなたもおっしゃることもなかなかできないだろうが、私も、国策でございますかといって伺う勇気がちょっとなくなりましたが、しかし、こういう点においては、やはり国策の見地からお立てにならなければならぬ。それをまた実行するの熱意と勇気を常に持って、やはり責任を持ってやるということをやられなかったら、国民は信用しなくなると思うのです。そこで、油も近来、工業燃料として、また原料として非常に重要な役割を勤めておるエネルギーでありますことは、申すまでもありません。しかし、これはおのずから制約をされるものがございます。たとえば、日本の外貨というものに、おのずから限度があります。従って油の輸入というものは、国際収支が許す範囲内でなければなりませんから、おのずから非常な制約があることは申すまでもありません。そういう点からして、やはり一応国内資源というか、国内エネルギーというか、こういう点に、それこそ確固たる方針を立ててやられるということでなければ、経済界に与える動揺も大きいのですから、そういう点においての点も一つ十分お考えになるように、私は御注意を申しておきたい。現在、各国とも、やはりその国の燃料、原料というものに重点を置いてやっておることも、申すまでもありません。そこで、政府が今度、今あなたがお出しになっておるこの計画を見ましても、昭和三十七年——昭和三十七年というとあと五年目になりますが、そうすると、五年後には六千四百万トンまで石炭を出炭さす。そうしますと、これは現在の出炭量からいきますと、年々二百万トン以上の増産をしていかなければならぬということになります。そうすると、現在六百万トン以上の貯炭がある、それに年々二百万トン以上、昭和三十七年までに六千四百万トンまで増産していくというのであるが、この消費について、それこそ、あなたのおっしゃる確固不動たる需給調整においての問題を起さないように解決していくという自信の上に立ってお出しになっていますか。この昭和三十七年までに六千四百万トン、年々二百万トン以上増産をする。それから今度は昭和五十年、これはなかなかえらいことを書いていますが、昭和五十年には七千二百万トンまで出す。これは年間六十四、五万トンずつ増産をしていくということになります。そうすると、これは三十七年までは年々二百万トン以上、それから三十七年以後昭和五十年までは年間六十四、五万トンぐらいずつふやしていく。こういう段階をつけられておりますが、これは日本の経済界の計画、見通し、これに対する石炭の需要、こういう点を相当組み合せて、それこそ確信を持ってお出しになっておるのかどうか。これらの目標量は、政府がお出しになっておるのだから、やはり日本経済の全体の総合計画の上から出されておるだろうと私は思うが、そうであるかどうか。それとも、いやそうじゃない、大体日本の炭田の上から見て、こういう程度なら採掘能力が可能だ。これは経済とのかみ合せで出しているのじゃない、経済出炭じゃない、採掘可能の数字を出しておるのだというお考えであるのかどうか。この辺を、一つはっきりお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/23
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024・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 長期計画と短期経済とはマッチいたしません。経済は一本調子にいくわけではありません。いろいろな小波動を描きながら、全体としてはそういう長期計画に近づいていくということでありまして、ある短期の間だけを取ってみて、それが長期計画に合わぬからどうかというようなことは——もちろんそこに多少の食い違いが出てくることは当然でありますが、しかし、長期計画は、長期計画としてそれだけの理由を持ち、また総合的に考えて、ただいまお話しのように、三十七年において六千四百万トンの出炭を考え、また昭和五十年度については七千二百万トンという数字を掲げておるのは、御承知のように、鉱工業生産につきましては、長期計画として年率大体六・五%の経済成長率がある。これは、今までの経済成長率の実績をとってみますと、可能であり、またそこまでいかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、石炭につきましては、実際に採掘できるというものを基礎にして考えていかなければなりません。そして他の輸入エネルギーも、どういうふうになるかという計算をいたしておるわけでありまして、一々これを積み上げて計算はいたしておりますし、また一面におきましては、他の経済の全般の成長率なり、経済の動き、大きさというようなものを頭に入れて、総合、関連的に策定されておるのであります。そのこまかい数字の点につきましては、政府委員から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/24
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025・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 なるほど経済界は、日本が孤立してやっておるわけでもありませんし、世界経済の影響を最も敏感に受けやすいのは、貧弱な日本経済の現状ですから、やむを得ないが、しかし、そういう波動的ないろいろな問題が起ってくるといたしましても、やはりこういう計画をお出しになる場合には、もっと説明が十分つくような資料をお出しになって、そしてあなたの説明等も、もっとわれわれが聞くに値するものを説明されるのでなければ、なかなかわれわれは納得できないと思うのです。それは自民党や政府が、選挙対策として外にお出しになるなら、自由ですけれども、少くとも法案を提出され、それにからませてお出しになる場合においては、もっと権威のあるものをお出しにならないと、国会審議の権威の上からいっても、われわれは認めるわけにはいかぬと思うのであります。私は、今あなたの答弁をだんだん伺っておって、はなはだ遺憾にたえぬという気がいたしております。
それから、政府がこの法律の一部改正による事業を行うためにお出しになっているいろいろな資料によりますと、この振興開発計画で増産するために、昭和三十七年度までの五カ年間に、一千六百億円の資金を必要とするということがあるようであります。この膨大な資金を調達されるには、政府もよほど強い力を持って、そして協力されないと、これも絵にかいた数字に終ってしまうのではないかという気がします。そこで、この膨大な資金調達については、いかなる困難があろうとも、前尾通産大臣は必ず責任を持ってやる。もっとも、今度選挙になると、その結果もどうなるかわかりませんが、あなたが現在大臣でおられるわけですから、国務大臣として責任ある答弁をしておかれると、選挙後、だれが通産大臣になろうとも、あなたのおっしゃったことは生きていくわけでありますから、そういう意味において、私は、それこそあなたの確固不動の資金調達についての信念をお聞かせ願いたいと思うわけです。
それから、たとえば昭和三十七年までに六千四百万トンを出していく、この期間における日本の石炭の価格は一体どういうように見ておられるのか。それから、三十七年以後五十年までに七千二百万トン、こういうように変ってくるに従って、日本の炭価というものは一体どういうようにしていこうとお考えになっているのか。これは単に炭鉱の問題だけではなくて、日本の経済界に与える重大な影響があるわけですから、そこで、増産計画とこの炭価、これらについて、どういう見通しを持ってこれをおやりになろうとしているのか、この点も、一つはっきりお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/25
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026・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 この長期計画におきまして、三十七年度までの五カ年間に、一千六百億の資金を調達するということも、これはみな総合されて作っているのでありまして、もちろん前提は、貯蓄いかんにかかわるわけでありますが、私といたしましては、あくまでこの計画に従って、それを守っていくという強い決心をいたしておるのであります。もちろん、そのときの事情によりまして、短期においては多少のそういう波動はあるかもしれません。本年におきましても、財政資金としましては百億でありましたが、極力それを確保したのであります。その他の民間資金につきましても、これは政府が命令をするわけには参りませんが、その確保につきましては、あらゆる努力をいたしておるわけであります。また炭価等の点につきましては、政府委員からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/26
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027・村田恒
○村田(恒)政府委員 ただいま昭和三十七年度の実際の炭価がどういう数字になるかという資料は、持ち合せておりませんけれども、本計画を実行することによりまして、逐次能率は上昇して参ります。すなわち、昭和三十二年におきます能率は、御承知のように一五・五トンでございますが、昭和三十七年におきましては一八・八トン、昭和四十二年におきましては二〇・七トン、昭和五十年に参りまして、二二・六トン、こういうような上昇を示すと考えております。
また特に現有炭鉱は、昭和四十年を契機といたしまして、逐次減産の態勢に入るわけでありますが、これからこの法律をうしろだてといたしまして、高能率の炭鉱を作っていく。そういうものの能率は、これよりさらに高くなって参りまして、新炭鉱につきましては、昭和三十七年におきます能率は二二・二トン、昭和四十二年におきましては二六・九トン、昭和五十年におきましては二九・五トン、こういう高い能率を考えております。
従いまして、これに伴うところの生産費の低減ということも、当然生じて参るわけでございまして、かりに物価、賃金が現在の横ばいということを前提として考えますると、昭和四十二年におきましては、現在の炭価の二三%減、昭和五十年におきましては二五%低くなる、こういうような想定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/27
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028・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 炭価の問題についてですが、この合理化法を制定しました当時、炭価をかくするということを当時の通産大臣並びに政府側は明言しました。それは、これによって炭価を下げることができるということも言っていました。ところが、その後に至って、炭価は下っていません。もちろん、石炭が足らなかったのだから、炭価の上るということはやむを得ないでしょうが、政府がこの法案を制定された当時、ちょうどこの部屋でした、ここで私も質問しました。それについては、合理化することによって、相当炭価を下げさすことができると明言されたのだが、実は炭価はウナギ登りにだんだん上ってきた。これは自由主義経済の法則に従って自由奔放という形であって、政府は、これに対して、何らの政治的な手も打たなかった。また手を打ち得なかった、それは全く問題にならなかった。そこで今度は、現在は貯炭が非常にできてきておるから、炭鉱不況ということが言えましょう。そうすると、だんだん今また下りつつある。これでは、政府が一つの法案を制定するときに、いや、炭価はこう抑制しますと言っても、これがかって行われた例がない。これは、もう自由主義経済の法則に従って、自由自在に動いておる。上るも下るも、政府の抑制干渉によるものじゃない、これは全く民間経済界の自由奔放にまかされている。こういう状態でありますから、従って炭価問題について、あなた方が計画の立たないのも無理はないと思うが、また恥かしくて言えもすまいが、しかし、一応こういう計画を立てられたら、一ぺんぐらいは責任を持って実行したらどうです。さすがに岸内閣なり、あるいは政府なり、あるいは行政官庁が、法の制定当時に国会で約束したことについては、責任を持って実行している。こういうことを三べんに一ぺんぐらいでなくても、百ぺんに一ぺんぐらいはやれるだけのなにがなかったら、信用はできません。今度の計画について、今おっしゃるようなことをはっきり言って、そうして、今度政府が変っても、行政官庁が必ず責任を持ってやるぞというくらいな——もっとも、行政官庁といっても、政府あってのことであるから、やむを得ないけれども、政府委員もはなはだ弱い。政府も問題にならないから、しょうがないけれども、もう少しこういう点ははっきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/28
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029・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 石炭の価格ばかりでなしに、あらゆるものの価格というものが変動することについては、これはもうやむを得ないと思います。また従来、予想以上の生産設備ができ、増産されてきたという関係から、炭価も上っておりますし、あるいはべース・アップ等の関係から上ってきたものもあります。しかし、極力その変動をなくし、また価格を引き下げるということについては、当然われわれとしてもやらなければならない問題でありまして、ただいまの長期計画に従って、それがそごしないようにということで参りますなら、価格が安定をされる。また、新炭田の開発あるいはそれに対する合理化の工事を進めることによって、極力下げていきたいというわけで、だいぶ努力をいたしておるわけでありまして、今後におきましても、あるいは今まで、計画通りの経済の伸びでなしに、予想以上の伸び率を示して参りまして、エネルギーが不足するというために炭価が上ってきたという面は、まことに計画としてはまずかったかもわかりません。しかし、合理化法に基いて極力上げることを押えてきたということも、また事実であります。今後におきましても、ただいま申し上げました長期計画を極力推進することによって、価格が安定するというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/29
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030・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうせできもしないところに、私が声を大にして言ってみたところで、頼りない話だから、私も言う勇気が実はなくなっておるけれども、しからばといって、あまりだらしのないのに言わないわけにもいきませんから、実は言っておるわけです。
さらに伺いたいことは、この石炭生産並びに今までの価格の問題等にも関係をしてくるわけですが、そこで、こういう問題を取り扱う場合には、これは炭価だけの問題でなくて、あらゆる関連した問題等が、これに並行して解決されなければ、この目的を達成することはできないわけでございます。これはもう御存じの通りです。そこで、炭価の中の三割以上というものは、輸送費であるとか、あるいはその他の炭鉱以外の諸経費がかかっておるのです。だから、炭価を安定さすためには、炭鉱自身の山元のいろいろな合理化というのも必要であるが、その他輸送であるとか、あるいは貯炭場であるとか、港であるとか、そういうようなものをも並行して計画を立ててやらなければ、石炭の価格をきめることはできないのです。こういう点について、出されております説明も、資料の中にも、その総合的な計画というものが、少しも出されてございません。この三割以上の、炭鉱以外の途中においてかかる経費というものについて、これをどのように扱うかということが、一つも出されていない。これで一体、炭価を安定さすことに持っていくということは言えません。必ずその場合には、山元もかくするが、あるいは輸送その他の関係等においても、すべて関連するところにおいては、かくこれらを整備し合理化して、そうして炭価をかくするということでなければならぬはずです。それらに対する具体的なことは、一つも説明も、また資料も出されていないが、こういう点においてはどうですか、もっとはっきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/30
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031・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 お話しの通りに、炭価の問題につきましては、鉄道、港湾等の関連施設に対する配慮がなければならぬことは、当然であります。この点は、ただいま閣僚審議会を設けております。そうしてその問題も取り上げまして、極力それに対する計画を樹立する。そうして、今後の出炭なり、また炭価の面に資しようというので、審議会の問題として極力推進していく、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/31
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032・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうも何を聞いてもかにを聞いても、もの足らぬことおびただしいです。もう私も、ちょっと勇気がなくなってしまいました。しかし、それは与党のつけ目かもしれぬけれども、時間の関係がございますし、まだだいぶ質問したいが、なおあとで同僚の多賀谷委員から、相当専門的に掘り下げて質問してくれるだろうと思いますから、私はあと二、三点だけ簡単にお伺いして、やめることにします。またやったって、のれんに腕押しみたいで張り合いがないのです。
それで、実はこの間から、大臣の方にも相当陳情されておると思いますが、石炭がこんなにたくさん貯炭になってきたので、置き場がない。しからばといって、山を縮小するわけにはなかなかいかぬ。政府はまた、いや、三十二年度より三十三年度は二百万トンでも、もっとでも出せ、こう命令する。ところが、出すけれども貯炭になる、売れない。業者は一体どっちへどうしたらいいのだろうかということが、今悩みです。だから、政府は、本年五千六百万トン出せといっても、実は業者の方では、非常に今疑問を持っておるのです。そんなに出したって、今でさえこんなに売れないものを、出して一体売れるだろうかというので、政府から指示しておる三十三年度の出炭計画については、炭鉱経営者はこれを信用していないのです。それは無理ないです。この三十二年度の年度末において、六百五十万トン以上も貯炭になっておるし、炭価は下ってくるし、売れない。そこに去年の五千二百七十万トンに加えるの本年は五千六百万トン、こんなに出したって、一体どうなるだろうか。政府の言うことなんて聞いておれぬ、信用できぬというのが、業者の声です、そこで、出したところで、置くところがない。そういうところから、貯炭場を増設してくれということで、あなたのところにも相当陳情がされておると思いますが、この貯炭場増設についての増設資金、あるいはどういうようにこれを指導し、貯炭場を増設しようとしておられるか。そして、六百万トンが一千万トンの貯炭になってもよろしい、これは景気対策のために置いておこう。あるいはまた外国炭との関係、重油との関係で、その辺は調整するから、これは貯炭場を相当作って、相当貯炭になってもよろしいから置いておこう、そういう計画を持ってやろうとしておられるかどうか、その辺のところを一つはっきりお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/32
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033・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 御承知のように、本年は非常な豊水でありましたために、貯炭がかなり多くなっております。しかし、大体におきまして、本年度五千六百万トンで、需給の均衡は得られるというふうに考えておりますが、お話しの通りに、これは長期計画をやる反面におきまして、共同貯炭場を設けなければならぬことは、当然でありまして、われわれとしても、九州におきまして五十万トンの貯炭場を設けるというふうに考えておるのでありまして、これは大体十億円くらいかかります。従って、開銀資金として五億円程度を考えればいいのじゃないかというので、その手配をし、その開設につきまして、いろいろ協議をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/33
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034・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 大体、この貯炭場の増設は、いつごろまでに完成さすか。それから、新たにどのくらい置ける貯炭場をお作りになるか、その辺を一つお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/34
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035・村田恒
○村田(恒)政府委員 実は、この貯炭場の問題につきましては、ただいま伊藤委員からお示しのございましたように、特に過剰貯炭の場合のみならず、また非常に逼迫して参りました場合にも、ここにある程度のストックを持っておりますことは、需給のバランスをとります上に、非常に大事なことだと考えまして、当初、石炭の一番多い需要者である電力部門を中心として、貯炭場の問題を研究し始めたわけでございます。そのうちに、また石炭業界の方としまして、自分たちの方からも、やはりこういう貯炭場の増強——現在石炭業者の持っておる貯炭場には、相当余力がございますので、これらについても、あわせて両者相談の上で進めたいという話がございまして、まだはっきり具体的な結論は出ておりませんが、終局目標としまして、ただいま大臣から申し上げましたように、九州で五十万トン、また北海道地域に五十万トン、合せて百万トンの貯炭の施設を拡充したいと考えております。いつごろできるかというお話でございますが、これは一挙に五十万トンまでの能力に今年のうちに行くわけには参りませんので、さしあたってそのうちの若干のもの、部分的にその二割くらいのものを、本年度中にこれを完成していきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/35
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036・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 この貯炭場増設については、一番大口需要家は電力会社ですが、その電力会社が、ここ数年間、非常に雨がよけいに降っておりまして、従って渇水準備金が、全体として三百十四億ですか、今出ておるようであります。この渇水準備金というものは、これは、いわば天が与えた幸いである。その後を見ると、ずっと渇水準備金というものはふえてきている。これは決して電力会社が私すべきものじゃない。これこそは、やはり貯炭場を作るとか、あるいは石炭鉱業のいろいろなそういう方面にこれを使わせるようにするとか、こういう配慮は当然しなければならぬと思うのであります。ところが、最近のなにを見ると、電力会社は、公益事業として独占的に非常な保護等を受けております関係上、東北、北陸を除く以外は、御存じのように、経営状態が非常にいいことは申し上げるまでもない。そういう電力会社自身の金が非常に余ってきておるというところから、あるいはダムの建設とか、そういう建設会社に投資をする、あるいは機械工業に投資をする。あるいは、最近中東方面の油田の方に投資をする、こういうことをどんどんやっておるようでありますが、電力会社というものは、電力を公益として国家国民に奉仕をするというのが目的でなければならぬ。それが、いろいろ関連産業に、膨大な金を投資をしていきつつある。この国家の資金を受けておる、援助を受けておるものが、こういうことを勝手にやっておるように思われるが、これは政府と相談をして、政府がそういうことにどんどん金を使ってよろしいといったかということをお伺いしたい。
それから、この渇水準備金で、貯炭場の問題あるいは炭鉱に対するこういうものをどう扱ってやるのか。あるいは、今申し上げるようなことで、関連産業に膨大な金をどんどん投資をしていくようであるが、そういうことは、政府は認めておるのであるか。こういう点を、はっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/36
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037・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 電力会社が、その資金を、目的外といいますか、逸脱した方面に出すということについては、私は厳に戒めなければならぬと思っております。ただ、今後非常に重油の需要があるという場合におきまして、その油田開発のためにだれも投資に応じてくれないというような場合に、極力援助をするという意味で投資をしますことは、これはやむを得ないことかと思います。もちろん、これが外部に流れたのではいけません。私は、直接その事情は聞いておりませんが、おそらく政府にも御相談があったことだと思います。また、ただいま石炭の関係についてお話がありましたが、私はそういうことはないかと思います。しかし、これも、場合によっては考えていくべき問題じゃないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/37
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038・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 電力会社が、今申し上げるようないろいろ関連方面に投資をやっていくことを、政府の方には話しておるかもしれないけれども、おれは知らないと言われるが、あなたは、主管大臣ではないか。あなたが知らないのにやっておったということになったら、あなたは何しておるのですか。あなたの許可、あなたの承認がなければ、やれぬはずだ。そんなにあなたは無視されているわけではないはずだ。だから、そういう点は、もっとお調べになっていただきたい。いずれ後日伺います。今の油等の問題については、日本の国内油田の開発の問題が、非常に重要ですが、これについても、大蔵省あたりからの引き締めで、これが思うように計画通りやれないでおって、外国にどんどん投資しているということは、はなはだわれわれとしては遺憾である。こういうことは、あわせて後日伺いますから、あらかじめ今の件についても、あなたの方でお調べおきを願いたいと思います。
それから、もう一つ答弁漏れになっております。この渇水準備金というもので、電力会社みずからに、貯炭場を相当作らせておるということについて伺っておりますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/38
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039・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 私が就任しましてからの問題は、みな私は承知いたしております。それ以前の問題については、実はあまり確かめておりませんから、ただいま申し上げたようなことを言ったのであります。渇水準備金を、全部というわけには参りませんが、貯炭場等に振り向けるというようなことは、場合によって考えていいのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/39
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040・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 まだ何件かありますけれども、あと一点だけにいたします。
最後に、一つお伺いいたしたいのは、これは前尾通産大臣、百も御存じです。去年、私も、国会であなたに御質問申し上げた。それは炭鉱ばかりでもありませんが、地上権と地下権との調整をしなければならぬということです。近代国家、重化学日本としては、どうしてもそういう地区においては、地下と地上との調整法を作って、国家がこの問題の調整解決をしてやらなければならぬということは、これはもうあなたが十分御存じです。すでに、昨年私があなたにお伺いしたときも、やはり八幡の問題がありました。ところが、最近また小倉の問題も起っております。こういうことは、次から次へ何カ所かに、重要地区に起ってくると思うのです。そういう点から、あなたも、ぜひこの国会に、地上と地下との調整に関する法案を提案して、そして新たに起ってくるこれらの問題について、十分一つ問題の解決用にしたいという意味のことをお答えになっております。そういう点から、私も、多分今国会にお出しになるものであろうと期待しておったところが、なかなかそれが出てきそうもありません。これは、何も地下権を持っておる者を圧迫する意味において、また極度に制限する意味において、私は言っているのではありません。これは国家として当然やらなければならぬ大事な仕事であると、こう思うのです。現にヨーロッパ各国においても、今、日本で取り上げなくてはならぬというこの問題については、それぞれ問題を取り上げてやっております。これは今後どうしてもやらなくてはならぬ重大な問題です。だから何も、たとえば炭鉱業者をそのために制限するとか、あるいは圧迫するとか、あるいは地上者のみを特別に保護するという意味でなく、こういうような現状に立ち至っている国としては、国として、地下の資源というものを大事にし、しからばといって、地上の公共的なもの、あるいは工業用水とか、あるいは重工業、そういうものがどうなってもよろしいというわけにはいかぬのである。当然私は、それらに対して、国として地上と地下との調整関係をはかって、それで、地下資源が大事なら、地下資源に対しても、十分これはやり得るように方法を考えなければいかぬ。しからばといって、地上のことを全然考えないで、むちゃくちゃにやらすわけにもいかぬ。そこで、当然、石炭などを採掘していきますと、陥落し、鉱害も起ってくることは明らかであるから、そういうものについては、最小限度どのようにしたら食いとめることができるか。あるいはまた、地上が重大なところがあれば、掘らしてはならぬというところがあれば、これらに対してはその鉱区を国家が買い取るというか、そういう形で地上を守ってやるとか、あるいはまた、どうしても地下資源を掘らなくてはならぬというところであるならば、そういう地上には、公共施設のようなもの、あるいは工業用水道、あるいは重化学工業というようなものを作らせないようにするとか、いろいろそういうあんばい調整をやらなければならぬのです。これは、何もどっちを重く見るとか、軽く見るとかいうものでなくて、国家的見地から、これはやらなければならぬのです。放任しておけぬのです。これは、おそらくあなたのところの石炭局長は、そこにおられるが、なるべく石炭をよけい掘りたいから、地上のことはあまり問題にせぬで掘らしてくれと言うだろうし、そこに重工業局長がおられるが、これは、どうもそんなことをやられちゃ困るということになるだろう。その辺は、通産大臣、あなたが国家的見地から、こういう問題を調整解決するということは、これは当然やらなければならぬことです。いろいろ、あなたはやるということを、私にも相当回答され、あるいはその関係者にも、あなたは相当やりますということを言われておったが、その後一向お出しにならぬようである。どういう理由でそういうものを作ってお出しにならぬのであるか、その辺を一つはっきりお聞かせ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/40
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041・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 鉱業の採掘と地上権の関係、その点につきましては、実に重要なものであることを認識をいたしております。従ってまた、これは石炭だけに限りませんが、あらゆる鉱業権そのもの、鉱業法そのものの根本的な問題だと思います。従いまして、省内に調査会を設け、その結論、また従って、今後審議会というようなものを設けまして、そうして根本的に私は鉱業法の改正をやらなければならぬ、かように考えておるのでありますが、御承知のように、非常に広範囲にわたっての検討を要しますので、極力進めて参りたいと思うのでありますが、ただいまのところ、まだ調査会の結論というようなところまでいっておりませんので、今後極力推進していきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/41
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042・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 その推進をするためには、何か特別な機関でも、あなたのもとにお作りになって、そういうところで検討さして、それで一つ具体案を作って、近いうちに法案としてお出しになるおつもりであるか。あるいはまた、鉱業法を改正しなければならぬから、鉱業法改正とあわせておやりになるつもりであるか。あるいはまた、何かそういう研究促進の機関をお作りになって、臨時特別立法のような形ででも、この調整方法をお考えになるつもりであるか。その辺のあなたの構想を、一つ聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/42
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043・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 これは各局にわたりますので、省内に調査会を持ってもらって、いろいろ検討してもらっているのでありますが、まだ臨時立法にするか、根本法にするかは、結論が出ておりません。しかし、私は、やはりこれは鉱業法全般の根本的問題であるというふうに考えておりますので、鉱業法全般の改正というようなことで審議会を設けまして、その結論を得るべきであろう、かように私自身は考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/43
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044・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 それでは、審議会は、近日のうちにお作りになることにしておられますか。もしくは、そういう他にも関係があるものであるから、通産省だけが提案者になるということでは、いろいろ問題があるからというのであれば、あるいはその他の関係方面との間においてお出しになるつもりであるか。あるいは総合的な意味で、企画庁あたりがそういう責任者になってやった方がいいというお考えであるかどうか。その辺の点を、もう少しはっきりとお聞かせ願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/44
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045・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 審議会そのものは、やはり民間の方に入ってもらいますので、極力これも早い機会に作りたいと思っております。しかし、この法律そのものは、あるいは企画庁に所属することになるかとも考えますが、それにつきましては、一番大きな利害関係を持っておりますのは通産省でありますので、通産省が主体になって推進したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/45
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046・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 次期国会には、いずれにしても、そういう調整に関する法案としてお出しになるという積極的なお考えを、あなたは持っておられるかどうか。この点を最後に伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/46
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047・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 私自身としましては、極力早くやりたい、鉱業法自身の改正は、私は急いでやるべきだ。先ほどお話しになりましたように、いろいろな面に、古い法律でありますから不備がある、それがみな根本問題に触れてくると考えておりますので、極力早い機会にやりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/47
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048・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 大体本日のところは、この程度で終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/48
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049・小平久雄
○小平委員長 お諮りいたします。この際、ただいま本委員会に付託されました航空機工業振興法案を議題とし、審査に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/49
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050・小平久雄
○小平委員長 御異議なしと認めます。
航空機工業振興法案を議題とし、審査に入ります。まずその趣旨の説明を求めます。前尾通商産業大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/50
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051・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 航空機工業振興法案につきまして、その提案理由と法律案の概要を御説明申し上げます。
航空機工業が代表的な総合工業であり、かつ、きわめて高度の技術を必要とする精密工業であることは、よく知られているところであります。すなわち、航空機は、機械、電気、化学その他あらゆる技術の総合の上に成り立っており、その生産には、これら関連諸産業の緊密な協力を必要といたします。また航空機工業の技術は、産業の技術の最先端をいくものでありまして、これは航空機が、きわめて高度の性能を必要とし、かつ、その進歩が著しいことによるものであります。このような航空機工業の基本的性格から、これが発達は、同時に一国の産業技術の水準向上に資するところきわめて大なるものがあるといえるのであります。
また、従来わが国の航空機、特に民間輸送機は、ほとんど全部輸入している状況でありますが、航空機、特に輸送機の国産化を促進することにより、航空機とその補用部品の輸入を防遏し、さらに進んで国産機とその部品を輸出することも考えられますので、将来における国際収支の改善のためにも、航空機工業の振興をはかる必要性が痛感される次第であります。特に、航空機は、その構造の複雑性、精密性から、その生産に当ってきわめて多くの部分を熟練した作業に依存しなければならないので、多くの労務者を雇用することとなり、コスト中に占める付加価値の比率もまたきわめて高いのであり、わが国情に適した産業と称し得るのであります。
戦前において世界の第一流に属していたわが国航空機工業は、戦後約七年間の空白により、世界の水準から全く立ちおくれるのやむなきに至りましたが、昭和二十七年四月講和条約発効後、ようやく航空機の生産が再開され、その後官民一致の協力により、ようやく再建の軌道に乗り、その技術の進歩、工場の整備等も著しく、特に最近ではジェット機及びジェット・エンジンの国産化に手をつけるに至り、これに伴い関連機器の国産化も、着々進展しつつある状況であります。もっとも、その内容をしさいに検討すれば、生産再開以来今日までの航空機及び関連機器の生産は、ほとんどすべてが外国との技術提携によるものであり、わが国独自の試験研究、設計研究によるものではないのであります。しかしながら、これらの経過を通じて、関係企業の技術水準も、かなり高まりましたので、この際国際収支対策上、最も急がれております中型輸送機の国産化を推進することとし、昭和三十二年度及び昭和三十三年度において所要の補助金交付の予算を計上し、必要な設計研究のほか、さらに木型製作等の段階にまで進ましめんとしつつあることは御承知の通りであります。
以上のような航空機工業の現状にかんがみ、今後政府及び民間の総力を結集し、できる限りすみやかに航空機等の国産化を促進するための措置を講じて、航空機工業の振興をはかるべく、各方面からの検討を加えた結果、ようやく成案を得て上程する運びとなった次第でありまして、その骨子は、おおむね次の通りであります。
まず、本法案の対象となる航空機等とは、航空機のほか、その関連機器、部品及び材料で、このうち関連機器、部品及び材料につきましては、別途通商産業省令で定めることになっておりますが、それぞれ当面最も急を要する重要なものを取り上げていきたいと考えております。
次に、航空機工業審議会の設置につきましては、前述のごとく航空機工業の振興が、政府及び民間の総力をあげて行われるべきであるとの趣旨により、航空機工業のみならず、将来の需要者側たる航空運送事業に関する学識経験者をも加えて組織した審議会において、国産化の促進のための諸措置を検討していこうとするもので、特に輸送用航空機の国産化に重点を置く旨を、規定の上でも明らかにした次第であります。
最後に、航空機工業振興のための具体的措置として、国有試験研究施設の使用に関する優遇措置と設備資金の確保について、特に規定を設けております。もともと国有試験研究施設は、その設置の目的に反しない限り、民間の使用をも認める建前になっておりますが、航空機等の国産化を促進するため、特に必要があると認める場合は、航空機等に関する試験研究を行う者に、時価よりも低い対価で使用させる旨の根拠規定を設けたもので、その施設の種類、使用条件等につきましては、政令で定めることにしております。また、資金の確保につきましては、政府といたしましては、如上の航空機等の国産化の必要性にかんがみ、そのために必要な設備資金の確保に努める所存であります。
以上、本法案の提案理由及び内容の概略につき御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上可決されますよう切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/51
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052・小平久雄
○小平委員長 本案に関する質疑は、後日に譲ることにいたします。
この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
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午後二時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/52
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053・小平久雄
○小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前の会議に引き続き、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/53
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054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の質問に入る前に、まず石炭鉱業合理化臨時措置法の成果についてお尋ねいたしたい、かように考える次第であります。
政府は、昭和三十年度に本法案を提出されたわけでありますが、その際の見通しと現在の需給の状態が、非常に著しく変動があります。これは、単に一般景気の変動ともいえない、それ以上深刻なものがあり、それ以上大きなそごがあると思うわけでありますが、この点について、石炭独自にその要素があったのか、ただ一般景気変動の見通しのあやまちと同じように並行してあったのか、この点、どういうようにお考えであるか、政府から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/54
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055・村田恒
○村田(恒)政府委員 石炭鉱業も、もちろん全産業の中の一環として、一般的な景気変動による影響を大きくこうむっておることは、申すまでもない次第でありますが、特に石炭鉱業は、御承知の通り、景気の変動に対する弾力性がきわめて乏しい。ある程度の施設を作りました場合に、簡単にそれの生産制限というものが、それ以外の一般製造工業と違いまして、景気が悪いときに生産縮小をするというようなことが、容易に行われないという特殊性がございまして、その意味におきまして、石炭鉱業は景気の上昇あるいは下降という場合に、ほかの産業以上に、その本質的な性格から、特に打撃を大きくこうむってきたと申し上げられると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/55
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056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、打撃をこうむったという問題を、指摘しておるのではありません。需要の問題について、非常に変動があるじゃないか、見通しのそごがあるじゃないか。ことに本法が出されました際に、当時エネルギー需給見通しとして政府が発表されました数字によりますと、昭和三十年が四千三百万トン、三十一年が四千五百万トン、三十二年が四千六百五十万トン、三十三年が四千八百五十万トン、三十四年が四千九百万トン、三十五年が五千万トン、こういう数字になっておる。ところが、すでに三十一年度におきまして五千万トン近くなり、三十二年度、三十三年度は非常な需要増という形になっておる。政府の言われるところによりますと、三十三年度は五千六百万トン、こういうことである。そうしますと、三十三年度、当初予定をいたしておりますのは、四千八百五十万トンですから、これは八百万トンからのそごがある。当時の最終年度の三十四年度は四千九百万トンですから、もうすでに三十一年度の末において、その数字をオーバーしている。こういう見通しのそごは、どこからきておるのか。これは、石炭界が打撃を受けておるという問題ではなくて、需要の想定が著しく違うじゃないか、こういうことをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/56
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057・村田恒
○村田(恒)政府委員 御存じの通り、当初に計画いたしました消費見込みというものと現実の消費との間に、数字の狂いを生じておることは事実でございます。ただ、石炭の生産の向上というものは、合理化の促進とあわせて、若干の増産態勢を過去においてもとっておるわけでございますが、それらの関係は、やはりそのときどきにおきますいろいろな客観的条件の変化、たとえて申しますと、三十二年度におきましては、午前の委員会においても伊藤委員から御指摘がありましたように、外国の一般炭を上期において輸入しておりました。そういったことは、何からきておるのかといいますと、三十一年度の下期におきましては、スエズ動乱の影響により、油の輸入が非常に枯渇してきた。それから異常渇水によって、電力向けの石炭の需要が非常に増大した。と同時に、鉱工業生産というものも、三十二年にかけまして相当伸びて参りまして、そのために石炭の需要も非常に増大して参りました。そういう関係から三十一年下期から三十二年上期にかけましては、石炭の供給を思い切って上げなければならないという事情から、緊急輸入をいたしたような事情がございます。ところが、三十二年に入りまして、いわゆる国際収支の悪化に伴いまする金融引き締め措置等の影響を受けまして、漸次鉱工業生産は、需要面がむしろ減って参りました。その意味において、現在のように、従来に比べますと、相当大きな貯炭をかかえ込むというふうな結果になったわけであります。しかしながら、これはあくまで短期的な現象でございまして、将来の計画といたしましては、昭和五十年におきまして七千二百万トン出炭態勢をとっていきますには、三十三年におきましては五千六百万トンの生産を確保するということが、全体としてのエネルギー需要のみならず、石炭鉱業のあり方としても必要なことである、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/57
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058・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、石炭独自に、やはり別の要素があったのではなかろうかと思うわけです。それは一番不況であると言われました昭和二十九年におきましては、実際の需要は四千二百九十万トン、これはいわば国内炭の生産と申してもいいわけでありますが、この四千二百九十万トンの実績のあった二十九年度におきまして、二十九年の三月の予算委員会において、当時の愛知通産大臣は、昭和二十九年度は四千八百万トン必要である、こうおっしゃっておるわけです。ところが、そのうちに四千六百万トンになり、四千四百万トンになり、四千二百万トンになってしまった。一体これだけのそごが、どこからきておるのか。こういうところに非常に問題がある。昭和二十九年といいますと、確かに一般的にも、まだ好況になっていないわけですけれども、他の産業の景気の上昇率からいうと、石炭は逆に非常に下向している。これは何らか石炭特有の要素があるのじゃないか、こういうように感じておるわけです。それで、どうしてこの需要がこんなに拡大をしてきたのか。これは一般鉱工業水準よりも、ずっと拡大しておるわけです。これは、輸入炭を入れてなお足りないという状態であったのですから、異常渇水は別にいたしましても、確かに見通しが違っておったのではないか、こいううように考えるわけです。これらの点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/58
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059・村田恒
○村田(恒)政府委員 一番端的に石炭固有の事情として影響を受けましたのは、スエズの動乱によりまして、非常に油の輸入が枯渇したということだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/59
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060・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この合理化法案を出すときには、見通しが僅少に過ぎたのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/60
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061・村田恒
○村田(恒)政府委員 この合理化法案を昭和三十年に制定されました当時の状況から申しますと、これほど大きなエネルギー需要が見込まれるというような政策が打ち立てられておりません。つい昨年から、新しい長期経済計画というものがはっきり策定されまして、それに基いて七千二百万トンの出炭態勢なり、あるいは昭和三十三年度におきます五千六百万トン態勢というものが、産業基盤の強化の問題として取り上げられて参りました。今、御指摘の通り、その当時におきましては、それほど大きな伸びが出るというような策定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/61
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062・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、私たちの調べたところによると、石炭の消費効率、いわゆる石炭を使う場合の効率、たとえば、電力用炭なら電力用炭、こういうような石炭を使う効率が、いわゆる需要者側の研究が非常に進んだ結果、非常によくなって、需要が減ったという面がある。ところが、それがある一定の限界に来たものですから、今度は一般の景気に従って伸びてきた。ところが、石炭の需要を見通す場合には、鉄鋼なら鉄鋼一つをとりましても、鉄鋼の需要の伸びと同じような需要の伸びを、石炭には必ずしも見なかった。こういうところにも、原因があるのではないかと思いますが、どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/62
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063・村田恒
○村田(恒)政府委員 仰せの通り、三十年度当時におきまして、石炭の方の伸びが非常におくれておったということは、事実でございます。しかしながら、その後回復いたしまして、一般鉱工業生産の伸びに対応した伸び方をいたしておるのが、現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/63
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064・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、石炭政策を樹立する場合に、こんなに見通しのつかないことでは、政策の樹立はできないと思うのです。いかに石炭というものが、需要に弾力性がなくて、あるいはまた供給にも弾力性がなくて、そうして常に景気変動の波にさらされておるか。こういうことは、現実です。しかし、政府がお立てになる需要あるいは供給の見通しが、これほど差がありますと、石炭政策は、立てない方がいいのです。むしろ、これはある方がマイナスになる、あとは全部業者におまかせになった方がいい。と申しますのは、昭和二十九年には四千八百万トンあるのだと今言った。それががたがたと落ちて四千二百万トンぐらいになった。一体、わずか半年の間に、どうしてあれだけ見通しが狂ったか。あるいは三十年から三十一年、あるいは三十二年にかけますと、それは一般の鉄鋼材、その他の生産の向上もあります、あるいは需要の拡大もあります。しかし、石炭ほどひどくはない。一体、石炭産業というものは、大体長期的に計画の立つ産業であるのかないのか、自由経済ではできないのか、こういう点を簡単に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/64
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065・村田恒
○村田(恒)政府委員 基本的な石炭政策、しかも恒久的な石炭政策の樹立が、可能であるかどうかという点でございますが、これは現象的に短期々々的な現象を見て参りますと、いかにも石炭政策というものは、景気の変動に対して弾力性がない産業であるだけに、恒久的な政策というものは立ちにくいような印象を受けるわけでございます。と同時に、従来におきまして、ややもすれば輸入エネルギーとの競合の関係におきまして、必ずしも国内炭の増産絶対に必要であるというような強い踏み切りということも、今までには見られなかったのじゃないか。こういう点が、むしろ今お話しのように、基本的な恒久的な石炭政策の樹立というものを困難にしてきたことは、事実でございます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、あくまで、国際収支の改善及びそれに伴います外貨消費の節約と、さらに、日本の各産業に対しまして、国際競争力に耐えるようなエネルギーを供給していこう、こういう方針が最高の方針としてきめられました以上、今後におきまする石炭政策というものは、確立したものとして、動かないものとしてこれを盛り立てていくということは可能である、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/65
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066・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今後は石炭政策としても確立しておるのだから、大丈夫だという話でありますが、私は、三十三年度の上期についても、確立された石炭政策がその通り行われていないということを、後ほど指摘したいと思う。輸入エネルギーとの競合の問題については、すでに本法案が発足する三十三年度の上期において十分でない。一体こういうことで、できますか。これは重大問題でありますから、あとからまたこの点について発言いたしたいと思いますので、先に進みますが、こういうように第一歩から誤まっておるのです。
そこで続いて、三年前に石炭合理化法が実施された、その実績について、私は質問をしたいと思います。一体、石炭合理化法の買上額というものは、ほんとうに本法が考えておったような方向で行われたものであるかどうか、そしてそれが日本の石炭政策の合理化に役立ったかどうか。こういう点、どういうように御判断になっておりますか、局長から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/66
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067・村田恒
○村田(恒)政府委員 昭和三十年におきまして、この合理化法が制定されましたときにおける合理化の根本となります基本計画の場合に、三十四年度の目標を立てたわけであります。その場合に、石炭鉱業整備事業団を設置いたしまして、この整備事業団が買い取ります数量を、年間出炭にいたしまして三百万トンというふうにこれを予定したわけであります。それで、一体現在までの結果がどうなっておるかということでございますが、本年三月中旬までの売り渡しの申し込みは、百五十七炭鉱、三百六万五千トンであります。このうち契約が締結されたものが九十七炭鉱、数量にして百八十一万一千トンというような数字を示しております。従いまして、整備事業団の事業に関しましては、当初この合理化法制定のときに予想されました通りの目標を買い取り、また本年中にはこの契約を締結する予定でありますが、所期の目的を達成している、こう申し上げていいのではないかと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/67
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068・多賀谷真稔
○多賀谷委員 三百万トンの買い上げそのものは、なるほど達成しておるのですが、これは炭鉱政策としての合理化の方向にいっているのかどうか。一体、石炭合理化臨時措置法という名前にふさわしい買い上げの状態になっておるのか。買い上げは達成しておるかもしれませんが。買い上げたこと自体によって、石炭政策は確立され、炭鉱は立ち直ったかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/68
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069・村田恒
○村田(恒)政府委員 石炭鉱業の合理化を進めますには、この整備事業団の買い上げという一事のみをもってしては全きを得ないということは、当然のことであります。御承知のように、合理化法が考えておりますことは、合理化工事、縦坑工事等を進めるということ、能率を上げていくこと、生産費を極力引き下げていくこと、さらにそれらのいろいろな施策の一環として、この三百万トンの買い取りが行われておるわけでございまして、単に買い取りがうまくいったという一時のみをもってしては、決して全体としての石炭鉱業の合理化の施策を完全にしたということは言えないと思います。ただしかしながら、かりに、整備事業団のこういう買い取りがなかった場合を考えました場合には、おそらくまた昭和二十八、九年ごろにおけるところのような、低品位炭のダンピングが行われるということも考えられますし、またそれに伴いまして、整備事業団が買い取ったからこそ、鉱害の復旧にいたしましても、あるいは労務者の賃金の支払いにいたしましても、ある程度の措置が国家としてできてきたのであって、もし、それがなかったならば、鉱害復旧なり労務者の救済措置についても、あれだけの措置はできなかったであろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/69
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070・多賀谷真稔
○多賀谷委員 買い上げの方は、確かに順調にいっておると思う。お説のように、鉱害の問題とか、あるいは労働者救済の点は、比較的よくいっていると思います。大体においてよくいっておる。問題は、法が最初考えておったように、とにかく炭鉱は不況であって、合理化をするためには、今後合理化された炭鉱における出炭を、少くともどこかで減らさなければならぬ。その非能率炭鉱があることによって、一般の合理化が阻害をされてはならぬというのが、本法であったと思います。ところが、なるほど買い上げられる炭坑は、確かに救済の面があったでしょう。あるいは社会的には、あまり摩擦がなく行われたと思います。しかし、問題は、需要がずっと伸びたのでありまして、少くとも石炭が足らないという状態になったわけでありますから、本法が出ました少くとも半年くらい、あるいは八カ月くらいは、確かに効果があったと思いますが、その後におきましては、そういった一般的な石炭の合理化には、あまり役に立たなかったのではないか。こういうように考えるわけですが、どういうふうに御判断になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/70
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071・村田恒
○村田(恒)政府委員 一つの心理的な問題といたしまして、今、多賀谷委員の御指摘の通り、とにかく非能率であった、あるいは経営がまずかったという場合に、これを事業団に買い取ってもらうということは、心理的な面におきまして、御指摘のように、合理化の非常に力強い前進というものに対する若干の妨げはあったかもしれませんが、私どもは実はこの買い上げという方策をも含めました一連の合理化方策というものは、石炭鉱業全体の合理化に、非常に大きな貢献をなしたと考えております。数字をもって申し上げますと、かりに、今まで事業団が買い取って参りましたような非能率な低品位な炭鉱の買い上げをやらなかったといたしますと、目標といたします能率は一七・五トンになるわけであります。すなわちそれらの非常に質の悪い炭、及び能率の悪い炭鉱からの出炭が、一般市場にまざって出て参りました場合を考えますと、生産の方から見ますと、これは能率は一七・五トンになる。ところが、本来の能率のわれわれの目標は一八・六トンでございまして、この一八・六トンの能率を五%引き下げる結果になる。逆に言いますと、この整備事業団の買い取りのために、五%だけは能率を引き上げてきた、こういうことを申し上げていいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/71
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072・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは、ないより、ある方がスムーズにいくということは確かです。非能率炭鉱をかかえておるよりも、買い上げた方が、能率面がよくなるということは、数字を見れば、小学校の生徒でも、算術ができる人なら、みなわかるのです。そういうことを聞いておるわけじゃないのです。本来、合理化をし開発をすれば、需要を上回る供給が出てくる。その需要を上回る供給をチェックすれば、合理化が進まない。その需要を上回る分について、非能率炭鉱の出炭を買い上げよう。すなわち、炭鉱を買い上げようというのが、合理化の主たる目的ではなかったか、こう考えるわけです。しかし、環境が違いまして、非常に異常な変化がありましたから、その面が出なかったのだが、その面については、どういうようにお考えであるか、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/72
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073・村田恒
○村田(恒)政府委員 能率の点は、ただいま申しましたように、品位が六〇%以下のものを、全国推定六百万トンといたしまして、その半数の三百万トンを買い上げておる、こういうことでありますから、これは明らかに、その合理化に役立っております。
今、お話の中にありました、事業団は、単に非能率、低品位のものを買うのみにとどまらないで、ある需要を上回る部分は事業団が買い取っていくことによって、需給のバランスをとっていく、そうして合理化を推進さしていくのだ。こういうふうなお言葉があったように思いますが、そう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/73
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074・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/74
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075・村田恒
○村田(恒)政府委員 そういうことでございますと、事業団の今までの業務というものは、非能率、低品位の炭鉱を買いつぶして、そして鉱害の復旧なり労務者の手当なりをやるのに、今まで追われております。それで、もっと大きな問題でありますところの供給が需要を上回る分については、それの救済策の一環として、事業団をどういうふうに活用するかという一つの大きな政策問題でありますが、その点につきましては、結果的には、ある三百万トンについては、そういう機能を果してきたわけでございますが、さらにこれを上回る大きな機能としては、これは今後の研究問題として、事業団の将来の機能をどう持っていくかということに関連いたしまして、研究しなければならぬ問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/75
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076・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今後の研究問題だということでございますが、私はその点を、きわめて重要視しておるわけです。確かに、炭鉱が最初考えておりましたような状況でなくなった。そして神武景気といわれるくらいの高原景気を作った。その間にも、やはり買い上げざるを得ない炭鉱が出てきた。そういたしますと、今後だんだんに需要が伸びていきますけれども、炭鉱には、おのずから炭脈に制限があり、そして非能率炭鉱がだんだん老朽炭鉱には出てくる。そこで、当分の間、ここ数年間は、もう整理済みで、そういう炭鉱は出ないと、一体確信をされておるのかどうか。と申しますのは、整備事業団の方は、もうこれを延長するということは、この法案にないわけですからね。納付金の方も、本法が予想しておった通りにいくのですし、それ以上延長しようということはないのですから。そこで、あの高原景気を続けておったときですら、非能率炭鉱として買い上げざるを得なかったが、今後、確かに、一般的には、需要はどんどん伸びるかもしれませんけれども、そういう炭鉱が出てきはしないだろうか。それについては、一体どのように考えておるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/76
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077・村田恒
○村田(恒)政府委員 ただいまの御質問は、今後の事業団の機能のみならず、今後の石炭需給を、どういうふうに持っていくかということに関連して、非常に大きな政策問題だと存じます。そこで、まず第一に、今後数年間に、今まで買い取らなければならなかったような、そういうふうな炭鉱が出ないと考えておるかという御質問でございますが、そのように、非能率であって経営が非常にうまくいかないために、廃山あるいは休山にしなければならない炭鉱が、ある程度出てくるように私は考えております。ただ、ここで新長期経済計画に結びつきます増産態勢をとっていきたいということは、ちょうど昭和四十年くらいには、現有炭鉱が次第に出炭が落ちて参りますし、またそれだけの意味において労務者も余って参りますが、それらの余った労務者を、新しい山の造成というものに関連して吸収していく、そういう面に救済策が打ち出せるというように考えております。
ただ問題は、そういうふうにやめていった山の、あるいは鉱害復旧の問題とか、あるいは従来の債務処理の問題とか、それらに関連いたしまして、今後この買取業務というものを、三十五年八月末をもって打ち切っていいかどうかという問題につきましては、先ほど申し上げました通り、今後研究いたしたい。ただ、今回ここで御審議をお願いしております法律の改正案を提出いたしまするまでの段階におきましては、今後、整備事業団を、そういうふうな形において存続せしめるか、あるいは一歩進んで、整備事業団の性格に若干変更を加えまして、余剰の石炭を買い取るような機能を営ませるようにするか、そういうことにつきまして、まだ成案を得なかったので、今回の御審議には間に合わなかったというのが、実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/77
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078・多賀谷真稔
○多賀谷委員 なかなか局長は頭がいいものですから、先を見通して御答弁になっておりますけれども、実態をついていない。たとえば、新しく開発をする、既存の炭鉱はだんだん下り坂になる、そこで労働者の配置転換をする、こうおっしゃいますけれども、労働力の配置の有機的な総合政策というものが、何らない、ただ局長の頭にあるだけです。ですから、それを今後やろうとおっしゃるのかもしれませんけれども、少くとも、今お話しになりましたように、未開発地域の開発をやるのだ、そうして既存炭鉱はだんだん下り坂になって、失業者がその中から出る、しかしそれは労働力の配置転換をやるのだ、こうおっしゃいますけれども、労働力の配置については、何ら法律もないし、またほかの行政措置でも、法律を作ったからといって、これはなかなかできるわけでもないし、なかなか困難な問題である。そういう点は触れておられないが、そういった点が、石炭合理化法案を施行する際にも、やはり起った問題だと私は思うわけです。そこで、この点につきましては、後ほど質問をいたしますが、今、事業団の理事長が見えておりますから、もう少し具体的に質問をいたしておきたいと思います。
買上炭鉱に支払われました代金のうち、大体大ざっぱに見まして、たとえば労働者の未払い賃金が幾ら、あるいは離職金が幾ら——離職金というのは別勘定ですから、あるいは違うかもしれませんが、あるいは資材代金が幾ら、金融機関には幾ら返済をした、こういう内訳がわかりましたら、一つお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/78
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079・田口良明
○田口参考人 私は、石炭鉱業整備事業団の理事長をいたしております田口でございます。
ただいまの御質問につきまして、お答え申し上げますが、事業団がただいままでに買い上げました炭鉱数は、申し込みは、先ほど石炭局長からお話がございました通りであります。この三月末現在で、売買契約の締結を完了した炭鉱は百二炭鉱ございまして、その年間生産数量は百八十五万五千二百五十四トン、これの労務者数が一万二千六百四十九人となっております。
そこで、ただいまの御質問の買上代金あるいは離職金、そういう問題でございますが、これに支払いました大体の金額はトン当り千八百円ぐらいになっております。今ここに数字を持ち合せておりませんので、大体の数字を申し上げますと以上の通りであります。また離職金の問題にしましては、ただいま申し上げました一万二千人の労務者の中で、二月末日現在で事業団が離職金として支払った金額は約一億二千五百万円、労務者数が約一万人でございます。
それから、未払い賃金の問題でございますが、未払い賃金の問題は、的確なところが、事業団といたしましてはわからないわけであります。と申しますのは、それぞれの買い上げました炭鉱のうちで、特に債権債務の問題がうるさい炭鉱だけが、事業団がその間に処して、仲裁あるいはあっせんという面をやっておりますので、未払い賃金については、事業団で取り扱いました炭鉱数は、ただいま申し上げた約百炭鉱のうちで、半分の五十炭鉱ぐらいでございます。そのうちで事業団が代位弁済、あるいはあっせんで払ってやった額が、ただいま数字ははっきりいたしておりませんが、未払い賃金総額に対して約九五%ぐらいになっております。この数字につきましては、御必要があれば、いずれ帰りまして後刻御報告申し上げたいと思います。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/79
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080・多賀谷真稔
○多賀谷委員 資料が手元にありませんでしたら、後ほどお届け願いたいと思います。と申しますのは、われわれが法律を制定いたします際に、法律を制定いたしまして後の法律の執行というものについて、とかく立法の機関ではあまり審査をしていない。そこで、私はこの機会に、ことに経済立法については、その後どういう情勢になり、どういう点に法案の欠陥があったか、こういう点は、将来のためにやはり参考にしたい、こういう気持から、過去のことをかなり詳しく聞いておるわけでありますから、一つ提出願いたいと思います。
そこで、金融機関に対する債務は、かなりあったと思いますが、大体どの程度それが支払われましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/80
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081・田口良明
○田口参考人 ただいままで事業団で買い上げました炭鉱は、おおむね債務過多でございまして、平均いたしまして、買い上げ代金に対して三倍ぐらいな債務過多の傾向を示しております。これも、後刻詳細な数字は申し上げますが、立法当時に、この法律は金融機関の救済以外の何ものでもないというようなお話もございましたが、ただいま申しましたように、買い上げの炭鉱は、ほとんど三倍ぐらいの債務過多である。従いまして、これにつきましては、政府当局におきましても、関係各省との十分な打ち合せのもとに、ただある一部門のみが債務の完済を強要するということなしに、互譲の精神をもって、お互いに、何と申しますか、泣くというような方針のもとに、買い上げ炭鉱の債務過多を処理して参りましたので、金融機関あたりは非常に弁済率が悪うございまして、第一が、先ほど申し上げましたように、未払い賃金の返済が九五%以上を占めておる。それから公租公課、こういう面が大体四割から五割程度、金融機関その他の一般債務が二割前後を往復しておると思います。なお、この詳細なデータにつきましては、後刻提出いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/81
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082・多賀谷真稔
○多賀谷委員 労働省にお尋ねいたしますが、解雇された労働者に対する失対事業というものは、政府が発表されましたようにその後施行されましたかどうか、これをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/82
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083・三治重信
○三治説明員 大体当初計画したよりか、若干失業者の出方が少いわけでございますが、閣議決定いたしました数に大体において合うように、主として公共事業、災害復旧事業の予算を、昨年並びに本年度の措置としまして、この石炭合理化に関する特別地域対策といたしまして、北九州におきましては、三十二年度四十九億三千六百万円の事業費をやるようにいたしまして、現在われわれの方でわかっておるところの資料によりますと、二十八億五千万円の事業を本年度実施しておるというふうに承知しております。実際においては、吸収人員が実人員で二千二、三百人程度就労しておるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/83
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084・多賀谷真稔
○多賀谷委員 当時の労働大臣は、昨年だったと思いますけれども、結果的にみると、かなり詳細にお話しになったわけです。しかし、よくもこれだけ確信を持って話したものだと思います。三十年度においては、この法律で買い上げ対象になる炭鉱の失業者は四千七百名。それを電源開発工事に四百名、河川改修その他に千七百五十、遠賀川に五百名、その他に千二百五十名、道路工事に千五十名、それから鉄道建設改良に九百名、合計四千百名、初年度からこの失業対策を行う、こう言ったのです。この法律は、施行後すぐ買い上げができませんでしたから、あるいは三十年度はそれほどひどくなかった。しかし、道路の建設事業などというのができたのは、ごく最近ですよ。しかも、まだそれほど人を使っておらない。よくもこれほどずうずうしく言ったものだと、われわれは驚くわけです。やはり国会で、法案のときに失業者を心配したわけでありますから、その心配したときに答弁なさったことを、実施してもらいたい。国会が法案を審議する際には、詳細報告しておいて、法案が出てしまうと、全く知らぬ顔をしておる。法案の直接担当の役所は、比較的熱心ですけれども、ほかの省は知らぬ顔をしておる。そこで、駐留軍と石炭労務者、これは国の政策によって失業するのであるから、特別に見るということを、何回もおっしゃっておられる。そうして、石炭のこの臨時措置法によって出るところの失業者は、当時「マル石」といいまして、特別扱いとして一般の失対外に扱う。ところが、今日はマル石というものはありません、廃止されておる。でありますから、一世帯で二人の従業員がおって、二人とも失業しておるという場合には、一人しか日雇いに行けない。一人は就労することができない。要するに、日雇い労働者になることができない、登録ができないという現状である。そこで私たちは、当時非常に心配して、現在の失対事業というものは、一世帯について一人しか稼働ができない状態になっておるから、一世帯について二人、三人とこの従業員がおる場合には、困るじゃないかということを言いましたところが、いや、それは心配ない、こう言っておきながら、現実はそういう処置をされていない。一体これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/84
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085・三治重信
○三治説明員 その三十年の法律の御審議のときには、通産省とも連絡して、政府としてその失業対策の万全を期するというので、そういう案を立てたので、御説明したことと思います。従って、現実においても、三十年の五月二十四日には「石炭鉱業の合理化に伴う失業対策について」というふうな閣議決定まで、あらかじめしておったのですが、事業団の実際の行動がおくれたために、失業者が出ないために、閣議決定は空文に帰した。実は失業者が出ないのですから、空文に帰してもやむを得ないと思うのですが、三十一年度に入りまして実際に事業団ができまして、その買い上げが始まって、現実に失業者が出るようになって参りましたので、通産省ともお話して「石炭鉱業の合理化に伴う失業対策について」という、またあらためて三十一年十月十九日に閣議決定をして、その具体的な対策をとっておるのでございまして、三十二年につきましては、石炭鉱業ばかりでなくて、さらに、御承知のように駐留軍、国連軍の離職者に対しても、特別の多発地域対策として、先ほど多賀谷委員のお話しのように、政府の責任において出る失業者についての特別措置として、当該地域に公共事業を特別配賦し、その公共事業に吸収して、しかも当該土地における産業開発の基盤を育成する事業に資するというふうに、政府としては対策をとっておりました。先ほど申し上げましたように、一般の失対のほかに、そういうふうな各省関連した予算を持ち寄って、当該地域にそれぞれ出しておるわけでございまして、各省なおざりにしておるということではなくして、この政府の責任としての失業対策については、できるだけの対策をとっているつもりでございます。
なお、先ほどマル石ということを禁止したというお話でございますが、こういうふうに、われわれの方としては、たとえば多発地域特別対策についての公共事業の施行につきましては、従来通りの措置をとってやっておりまして、決して禁止した覚えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/85
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086・多賀谷真稔
○多賀谷委員 現在もやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/86
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087・三治重信
○三治説明員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/87
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088・多賀谷真稔
○多賀谷委員 三十年度には実際出なかったというお話でありますが、三十年の下期には出てきたわけです。当時は、最初出ましたのは直方地区でありましたけれども、非常に困ったわけです。特別失対があるじゃないかというお話をしますけれども、なるほど、特別失対があるのですけれども、その特別失対の個所が、必ずしも通勤できる個所ではない。これは、建設省は建設省で、道路五カ年計画に沿うてその地域を指定するものですから、労働省の間とうまくいかない。そうして失業者がいないようなところに特別失対のワクがいく、こういうようなきわめて不合理なことが、現実には行われたわけです。今、いかにも失対は完璧なような話がありましたが、当時法案ができるときには、市町村には迷惑をかけません、こういう話である。市町村は、これによって鉱産税も少くなるし、その他いろいろな福利厚生施設も見なければならない。生活保護法の適用者も多くなる、ですから、市町村の財政は非常に窮迫するということをお話ししましたところが、いや、政府の方で全額見るから、というお話であった。ところが政府は、全額を見ないのです。われわれが、全額補助率の法案を出しても、政府与党は、全然振り向いてくれない、わずか高率の行政措置がなされたという程度なんです。これも、当時の答弁とその後の実施が違う、かように考えるわけです。一体、その後どうなっておるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/88
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089・三治重信
○三治説明員 その全額補助とか、高率補助の点につきましては、私よく存じておりませんですが、先ほど申し上げましたように、多発地域対策としての特別地域対策は、先ほど御説明したようにやっておりまして、その全額補助、高率補助の点につきまして、各省から予算が流れますので、私よく存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/89
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090・多賀谷真稔
○多賀谷委員 三治さんは、御存じなかったかもしれませんが、当時そういう論議が繰り返された。私はここへ持ってきておりますけれども、当時町村からのものすごい陳情があった。それは、合理化法案施行後の問題として、市町村財政はこういうふうに窮迫する。そうして失業者については万全な措置をとってもらいたい。現在の補助率では少いから、全額見てもらいたい。これに対して、労働省は、イエスという返事をしておるのです。そうしてこの法案が通過したわけです。その後になって、そういう高い率ということは言うたけれども、全額とは言っていないというのです。ところが、法律は全部または一部国家補助ということになっていますから、全額というのは当然ですね。法律では、何も全額出しても違反にならない、そういう法律のシステムになっている。これは別の機会に追及いたしますけれども、とにかく法律が通過するときには、非常にいい作文を発表されますけれども、実施後きわめて不親切である。このことを指摘しておきたいと思うわけです。ましてや、合理化法案が出ましてから二年、三年とたちますと、この法律によって今ごろ失業していく人は、どこの官庁でも、きわめて不親切に扱う。最初この法律が施行になって出ました失業者は、確かにみじめでした。その中間ごろ出ましたのは、率直に一般的にいいますと、神武景気という景気に乗りまして、比較的よかった。ところが、今ごろ買い上げされる炭鉱から出る失業者というものは、これはまた非常に悲惨な状態になる。ですから、こういう事情も十分一つ勘案していただきたい、こういうことを要請しておきます。
そこで、理事長にお尋ねいたしますが、住宅問題は、一体労働省との間は円満にいっておるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/90
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091・田口良明
○田口参考人 事業団がただいままでに買い上げました炭鉱住宅の数は、約二千戸でございますが、すでに事業団が買い上げ業務を開始いたしましてから、二年と二、三カ月たっておるわけでございます。もとより、この中で、早く買い上げた炭鉱もあり、また最近買い上げた炭鉱もあるわけでございます。その中で、ただいままだその前の鉱業権者の時代からおった労務者が住んでおるのが、約七割でございます。その七割以外の三割につきましては、これが処理について、事業団は努力しておりますが、ただ困ったのは、買い上げるときに、前の鉱業権者は、全部きれいにして出すから買い上げてくれ、こういうことで、私どもの方は買い上げたわけであります。しかるに、実際は、この失業者の中には、職もなく、また職にありついても、非常に難儀をしておるという者もございまして、この人たちを強制的に立ちのかせるということは、社会問題を起すおそれもございますので、私どもも、できるだけ穏便な措置をもってこれが配置転換に協力してもらう、こういうふうにしておるわけでございます。結局この問題も、失業者の就職問題に帰するかと思いますが、しかし、長年住みなれた今までの炭鉱住宅を移るということは、いろいろな面から見ましても、困難であるということも、私どもも承知しておるわけでございます。しかし、また一方、私どもの方は、買い上げましたこの炭鉱住宅を、そのまま放置しておくこともできないということで、昨年の暮れに、初めて、この出ない人たちに、できるだけ一つ早く明け渡してくれという内容証明を出しました。とにもかくにも、事業団の所有権を明らかにしておく必要があるということで、出したわけでございます。しかし、これも全部に出したわけではございませんで、中には、ぜひ一つ安く払い下げてくれというような希望の人もあるわけであります。そういうところは、事業団の買取業務の非常に忙しい中でございますが、逐次そういうものは、比較的安い値段で、その希望者に優先的に払い下げるという方法をとっております。その間に一部、去年新聞や何かで、事業団が非常に冷酷なことをするというような新聞記事も出たこともございますが、私どもは、何も腕力や何かそういうことで、この人たちを出すというような考えは毛頭ないのであります。そういうことで、若干の意思疎通を欠くという点もございましたが、まあまあというところで今日に来ておるというふうに、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/91
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092・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この労働者の住宅の問題は、きわめて深刻な問題であります。そこで、私たちも一、二タッチした問題もありますけれども、この合理化法案が制定されます際には、従業員のことが第一大きな問題として取り扱われた。その点を十分勘案されて処置されるようにお願いしておきます。
さらに、続いて局長に御答弁願いたいのは、かなり埋蔵量を持つ鉱業権があるわけですが、一体これはどういうように考えられておるのか、この点、法律制定当時から懸案として残されておりまして、すでに三年の月日がたっておるわけですが、合理化法の一部改正をなさるについては、もうすでにこの鉱業権の問題については、十分お考えであると思うのです。一体この鉱業権をどう処置されるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/92
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093・村田恒
○村田(恒)政府委員 公団の買い上げました炭鉱の中には、全くもう低品位であり、自然条件が悪くて、あるいはもう終掘に近くなってこれを買い上げたものと、さらに今お話しのように、相当まだ使い方によっては使えるような山であって、経営の方針がうまくないというような関係で事業団に売り渡したもの、この二つの玉石が混淆していると思われます。従いまして、そのいい品質の方のものを、ただもう坑口を全部閉鎖し、中を水没さしてしまうということは、国家の大事な資源をむだに使うことになりますので、今後これらのものをいかに有効に利用していくかということは、考えなければならない問題であります。そこで、事業団といたしまして、現在事業団が、買い取った以上鉱業権者になっているわけでありますが、事業団がそういうふうな営利行為をやることは、まだ許されておりません。しかしながら、今後これをどういうふうにしていくか。たとえば国有財産として大蔵省の方に引き渡すといった場合におきましても、今後それをどういうふうに処理していくか。ただそれを捨ててしまうというわけに参りませんので、それを何とか有効に利用していきたい。有効利用できるかどうかということは、まずその前提として、どういうようにそれが企業的に価値があるものであるかということを、やはり徹底的に調査しなければならないわけであります。買い上げますときには、ともかく一つの客観的な基準に基きまして、急いで買い取っていくというふうな買い方をしております関係上、その山自体が、一つの企業の対象としてどの程度の価値があるものかという徹底的な調査は行われておりません。そこで、本年始めたわけでございますが、事業団としては、その山の経済的価値を、全部炭鉱の専門家にお願いいたしまして調査いたしております。また今後買い上げていきます炭鉱は、従来の買い上げ方と違いまして、それを今後企業的にどういうふうに有効に活用していけるかという点を、あわせて調査するようにいたしております。この結果がまとまりましたときに、初めてこの山とこの山はこれだけの有望な山である、だとすれば、この鉱業権を今後どういうように処理するか、あるいは民間の人に払い下げていくとか、あるいは場合によっては事業団がそういう山を経営していくとか、いろいろな方法があると思いますけれども、これは今後の宿題として残されている問題でありますが、さしあたっては、その企業的な利用価値というものを徹底的に調査しておるというのが、現在の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/93
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094・多賀谷真稔
○多賀谷委員 現在でも保坑している山があるのですか。私は全部水没しているのかと思ったのですが、保坑している山があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/94
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095・村田恒
○村田(恒)政府委員 私の説明、間違いました。現在買い上げました山は、全部水没しております。今申し上げましたのは、これから買っていきます山につきましては、徹底的な企業的な価値調査を並行してやっていくという意味で、申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/95
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096・多賀谷真稔
○多賀谷委員 非能率炭鉱として、あるワクがあり、基準があったわけでしょう。ですから、今からまた水没した炭坑を、水を揚げてさらに保坑し直して使うということは、これは絶対困難じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/96
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097・村田恒
○村田(恒)政府委員 完全水没いたしましたものを、今までの姿のままでこれを復活していくということは、仰せの通り困難でございます。しかしながら、すでに鉱業権者としての立場をとりました以上、たとえば、隣接鉱区とあわせて、自分の方から採掘していったら、この方が有利な採掘ができるのだというようなケースが出て参ります。そういうような非常にほかの鉱区との関連性、抱き合せにおいて、今後いかにそれを有効に利用することができるかということの調査をやっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/97
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098・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それでわかりました。実は買い上げ炭鉱の周囲にある鉱区がえらく評価が上っているのですよ。それで、どうして買い上げ炭鉱の周囲にある鉱区が評価が上っているかというので、私、疑問に思って質問してみたのですが、なるほど、将来あるいは鉱区の一部が譲渡されるのではないだろうか、こういう予想が、思惑といいますか、あるいは官庁の若干の意思が漏れているのかもしれませんが、そういうことで、かなりその付近の鉱区をあさろうとする連中が多くなってきていることは事実です。私たちは、非能率炭鉱であるから、これは鉱業権をつぶして政府自体が鉱業権を持つか、あるいは政府が鉱業権を持つことが不可能であるならば、永久に石炭の鉱区は設定させない、こういう禁止区域にでもするのかと、こう考えておったわけでありますが、今承わったところによると、そういう事情のようであります。しかし、私はあとから質問いたしますが、日本は、炭量が少いという状態にはないわけです。埋蔵炭量からいえば、かなりあるわけです。ですから、そういった点は、あまり当面の姑息なことをされますと、今後、こういった政策をとる場合に、非常に支障がある、こういうことを考えるわけです。そういう点も一つ十分に考えていただいて、研究していただきたい、かようにお願いをしておきます。
そこで、今までの経過はわかりましたので、一応この改正案について質問してみたいと思いますが、輸入エネルギーに、昭和五十年度においては四八%も依存するというのが、今度の計画になっているわけであります。この四八%も輸入エネルギーに待つということになりますと、十五億ドルも外貨を要しますし、将来こういった基礎的な産業、基礎的なエネルギーが、外国にこれほど依存度が高いということになりますと、やはり外貨危機を招来する憂いが非常に大きい。あるいは国内の資源の活用からいっても、これはむだである。また最近における雇用量の拡大を考えてみましても、なかなか雇用量拡大の産業というのはありません。最近のようなオートメーション化に従いまして、雇用量を維持することがやっとであるという産業が非常に多い。一億円の投資をいたしましても、水力発電で一人から一人半ぐらいしか雇えませんし、火力で三人から三人半ぐらいしか雇えない。あるいは鉄綱については、十七人くらい雇えますけれども、パルプその他の化学工場では八人くらいである。そういった中で、機械工業と石炭鉱業は、雇用量から見まして、非常に多くのものを吸収するわけであります。最近三菱の古賀山とかあるいは明治佐賀のような新しい炭田でも、大体一億円程度の投資に対して、四十七、八名雇用しております。ですから、雇用拡大の面から見ましても、石炭鉱業の開発ということは、非常に重大なことであると思うわけでありますが、一体政府は、四八%も輸入エネルギーに待つという政策を本気に考えておるのか。一体これはどういうような積算からこういうものが出てきたのか、これをお聞きかせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/98
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099・村田恒
○村田(恒)政府委員 積算の基礎は、新長期経済計画におきまして、産業の成長率を、毎年六・五%ずつ上っていく。しかし、産業の成長率の中には、農業を含んでおりますので、実際の鉱工の生産の伸びというものは八・二%ずつ毎年上っていく。そういうことを基礎にいたしまして、総エネルギーの所要量は、昭和五十年度において石炭に換算いたしまして二億七千六百万トンという算定をいたしておるわけでございます。これが積算の基礎でございます。それでは一体七千二百万トンの出炭をいたしましたときに、ただいま御指摘のように四八%、第一次的なエネルギーの輸入に対して、十五億ドルもの外貨を使うというふうな国際収支の姿であろうかどうかということは、非常にむずかしい問題でありますが、ただ一つの目標として、そういうものを立てておるわけでございます。しかしながら、ただ単に、輸入のエネルギーに漫然と依存しておるという形ではございませんので、非常な困難を含んでおりますけれども、七千二百万トンは国内炭で出していこう。さらに油の関係でございますが、油の方も製品としての重油の輸入は極力押えまして、昭和五十年度においてはこれをゼロとするという計画にいたしております。またその場合、原油の輸入はふえて参りますけれども、製品としての重油輸入は昭和五十年度ゼロでございます。さらに石炭の輸入でございますが、これは一般炭につきましての石炭の輸入というものは、昭和三十年の下期以降においては、特殊な、たとえば日ソ交渉でありますとか、あるいは日中貿易の問題でありますとか、そういう特殊の関係の問題は別といたしまして、一般炭の輸入というものは考慮いたしておらないわけでございます。主として鉄鋼その他の部門の生産の伸びに対応いたしまする原料炭の輸入及び無煙炭の輸入、これはヴィエトミンの関係もございますが、それらの関係を考慮しての輸入の増大でございます。従いまして、たまたま日本におきましては、強粘結炭は、御承知のように非常に少い。弱粘結炭においても、外国に依存せざるを得ないという現状において、国内で間に合う一般炭については、輸入いたしませんけれども、どうしても国内で間に合わない分だけを、油なりあるいは外国炭でまかなっていくということにいたしておるわけであります。さらに、問題を複雑化するかもしれませんが、将来におきまして、やはり原子力発電というものが相当程度伸びてくるということも、考慮に入れての計算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/99
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100・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石炭局長に聞くのは非常に無理ですから、これはあとから大臣に聞きたいと思います。石炭だけとりましても、若干国内生産がございますけれども、石炭に換算して約一億トンの石油を使う。石油だけでいいますと、原子力エネルギーもありますけれども、一応それを換算に入れませんと七千六百万キロリットル、こういう状態であります。そうして石炭換算が一億トンというのですから、同じカロリーにいたしますと、日本の精炭六千三百七十万トンに比べますと、優に一・五倍の石油を使うわけです。なるほどこういう数字はできておりますけれども、一体エネルギー政策として、確立されているかどうかという点を見ますと、私は、どこの国の政治家がこれを作ったのかということを、疑わざるを得ないのです。これは率直に言いますと、国内石炭の供給の面からの制約ではないかと考えますが、どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/100
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101・村田恒
○村田(恒)政府委員 現在、景気の短期的な観点に立ちまして、多少景気の上昇、下降というものをも、ある程度考慮に入れまして、現在われわれの考えておりますのは、昭和五十年七千二百万トン、これを最高の出炭量と考えております。しかしながら、今後におきまする技術の革新、あるいは総合的な今後の開発計画が合理的に行われるということ、特に今後における最大の問題は、技術の革新だと思いますが、それらの点を考え合せますと、この七千二百万トンはマキシマムだということは言い切れないのでございます。埋蔵炭につきましては、御承知のように十分なものがございますので、さらに努力次第によっては、七千二百万トン以上の出炭も不可能ではない。そういう場合におきましては、当然輸入エネルギーというものは、それに応じて減らさるべきものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/101
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102・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この長期エネルギー供給の見通しということは、まず需要の面からエネルギーの積算——今、局長は、鉱工業生産の伸びをお話しになりましたが、いい悪いは別として、一応品目別に、かなり詳しいものができているわけです。需要の想定は、石炭の方はむしろ供給で考えている、こういう点があるのではないか。供給は何かというと、各社が、一体昭和五十年になると、どのくらいのところが出せるかというのを全部集めて、最初は六千五百万トン、やかましく言ったら七千二百万トン、こういうことで、これは、あつものにこりてなますを吹くというか、それで今の業界が積算をしたのであって、これは率直に言いますと、何も政府の供給見通しじゃないでしょう。業界のを全部集めてきて、政府においてこうだと言っているのであって、これは政府自体が、かくあるべきだという数字じゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/102
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103・村田恒
○村田(恒)政府委員 仰せの通り、積み上げました七千二百万トンの数字は、当初六千五百万トンが、業界の数字でございました。それが、その後、五十年度におきまする総エネルギーの所要量が増大してくるという見通しのもとに、七千二百万トンまで上って参ったわけであります。これは、単に業界の考え方を、そのまま裸で、右から左へ移したものじゃございません。政府におきましても、これを十分検討した上で、七千二百万トン出炭可能というふうな考えのもとに、こういう数字をはじいているわけであります。
なお、先ほど申し上げましたように、七千二百万トン自体というものが、これをもって決してマキシマムというわけではないという裏づけといたしましては、過去におきまして、景気の変動の際に、石炭鉱業が非常に痛手をこうむったという経験に基きまして、大幅な投資力というものが、石炭鉱業になかったと同時に、輸入エネルギーとの競合関係に対する、政府のはっきりした恒久的な政策が打ち出されていなかったために、増産態勢に踏み切るという形が、憶病な形で現われておったのでありますが、今回の新長期経済計画に基いて、業界の気持というものはすっかり変って参りまして、増産によるところの能率増進、あるいは七千二百万トン出炭態勢というものをやるために、大幅な設備投資をやろうという強い気持に変ってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/103
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104・多賀谷真稔
○多賀谷委員 少くとも電力については、政府が、しっかりもしておりませんけれども、計画通りやると、石炭の供給力というものは、かなり大幅に増大すると思う。率直に言いますと、今だって、石炭政策はどっちを向いているか、わからないですよ。一体、日本の石炭政策はどちらに向いて走っておるか、われわれ石炭に関係している者ですから、わからない。三十三年の上期が、現実においてはっきりしないでしょう。大きな線で、大体の大ワクでずっと行くならば別です。しかしながら、この七千二百万トンというものは、むしろ現在の実情から、非常に不況を経験した経営者が、一番安全な経営として七千二百万トン、こう踏んだ数字であろうと思う。でありますから、政府の政策としては、四八%も外国のエネルギーに待つ。しかも、その石油を使うのが、石炭の一・五倍のものを使うというような、ばかな政策を立てられるべきでないと思うのです。もう少し大胆率直に、日本の埋蔵量からいうならば、このくらいは可能である、こういう政策が必要ではないか。かように考えるのですが、局長はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/104
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105・村田恒
○村田(恒)政府委員 これは仰せの通り、国内でできるものならば、しかも、それが日本の各産業の国際競争力を阻害しないという範囲における価格において出るものであるならば、絶対に国内を優先させて、輸入というものを思い切って切るべきであるということは、全然だれも異存のないところだと存じます。そういう点で、先ほど申し上げましたように、今後におきまして財政投融資、あるいは財政のみならず、一般のものも全部含めまして、相当大幅な投融資というものが今後継続され、同時に、短期的な変動に対する需給安定対策というものを考慮していくならば、七千二百万トン以上の出炭というものは、現在の企業形態をもってしても、不可能ではない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/105
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106・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一体、局長は、石炭政策を行う場合に、日本の資源を最大限活用するという意味で、いわば、永遠に石炭というものは需要があるから、最大効率で常に掘ろうと考えられておるのか。少くとも、原子力エネルギーが予想される今日においては、石炭はここ二、三十年が山だ、だからどんどん掘っていくという態度でいかれるのか、一体どういう考えであるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/106
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107・村田恒
○村田(恒)政府委員 それは、ひとえにかかって、石炭の価格というものは、日本の中だけの経済は存在し得ない、国際経済の一環として、初めて日本経済が成り立つわけでありますから、その際において、日本の石炭鉱業の国際経済の中におけるあり方、位置づけというものによって決定されると考えております。従いまして、あくまで先ほど申し上げましたような段階で、合理的なものである限り、石炭資源の続く限りは、国内炭をもって需要に充てるべきである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/107
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108・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石炭資源の続く限りということは、一体どういうことですか。率直に言いまして、ここ二、三十年から、長くても五十年くらいの間は、日本の石炭をどんどん掘ってしまえ。掘ってしまえといえば、語弊がありますけれども、どんどん開発せよ、資源愛護で少しでもむだなく掘っていけという態度でいくのか、これを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/108
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109・村田恒
○村田(恒)政府委員 私は、資源を愛護して、けちけち掘るという考え方は間違っておると思います。といって、短期間の間に、無理をして、あるだけ、いいところだけ掘ってしまって、あとは捨ててしまうという考え方も、これは絶対に間違っておると思います。あくまで鉱業法に規定しておりますように、鉱業法の基本精神というものが、地下資源の残っておるものを合理的に、経済的に開発していくという建前をとっておりますので、そういう方針で、石炭鉱業の開発ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/109
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110・多賀谷真稔
○多賀谷委員 言葉はりっぱですけれども、実際問題として、新鉱を開発して価格が高くなるようなら、開発しない方がいいのです。しかしながら、今から予想される新鉱開発というのは、安くつくだろうという想定のもとに行われておるのです。ですから、今からどんどん掘るということになると、私はそう高い価格ということは考えられない。やはり価格は、十分ペイする価格であるべきである、かように考えるわけです。ですから、そういった面について積極的に、とにかく四八%の輸入エネルギー依存率を打破するような考え方でいかれておるのか、それとも、企業家にまかせて、安全経営の範囲内でぼつぼついこうと考えられておるのか。一体日本の石炭政策は、どちらに向いておるのか、これをお聞かせ願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/110
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111・村田恒
○村田(恒)政府委員 旧鉱業法におきましては、はっきり書いてございましたように、未開発の鉱物は国の所有とするという規定がございました。それから今の鉱業法におきましても、鉱業権設定以後六カ月以内に事業に着手しないときは、鉱業権を取り消すという規定があります。また各国の今までの考え方を見ましても、地下資源というものに対しては、単に一企業の利益追求だけの立場においてこれを律すべきでなく、あくまで国家としてそれだけの貴重な資源を持っておるのだから、国家的観点から開発すべきである、あるいは育成すべきであるというふうに、すべての主張は流れているように了解しております。ただいまの数字で申しますならば、七千二百万トンというのは、最低の出炭量であって、今後、技術の革新なり経営の合理化なりが進むことによって、七千二百万トン以上の出炭は、ぜひやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/111
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112・多賀谷真稔
○多賀谷委員 長期エネルギーの供給見通しで、なぜ石炭だけが最低ですか。ほかのものだって、上ったり下ったりするでしょう。石炭だけが最低だというのは、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/112
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113・村田恒
○村田(恒)政府委員 決して石炭だけを最低に扱ったわけではございませんで、総需要二億七千六百万トンの中で、先ほど申しましたように、一応現在の客観的情勢のもとにおいて、各企業が積み上げて、昭和五十年まで今後出炭できるというものを全部集計して、さらにそれを政府において検討した結果が、七千二百万トンという数字になったわけでございます。ほかのエネルギーに比較して、これだけが最低であるということには、決してならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/113
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114・多賀谷真稔
○多賀谷委員 局長は、最低七千二百万トンだという意味だ、こうおっしゃられるから、それじゃ石炭だけが最低ですか。ほかの方は一応目標を掲げておるのに、石炭だけが最低目標を掲げておるというのは、おかしいじゃないか、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/114
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115・村田恒
○村田(恒)政府委員 最低という言葉は、少し表現が強過ぎたかもしれませんけれども、私の心がまえを、少くともこのくらいは出したいということを、最低と申し上げたわけでございまして、現在のところ、われわれの目標としては七千二百万トンでございますけれども、これが引き上げられるに従って輸入エネルギーは減らすべきだ、これは当然のことだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/115
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116・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、やはりここ二、三十年が、石炭の山ではないかと思う。でありますから、むしろ徹底的に開発すべきではないか、こう考えるわけです。と申しますのは、一体四八%も外国からエネルギーを買わなければならぬというようなエネルギー政策があるか。しかも、水力はだんだんその単価の基点が高くなってきておる、あまりよくない、こういう状況において、石炭だけが、いわば日本の伸び得るエネルギーだと思う。もちろん石炭といいましても、火力発電を含めてそうですが、ですから、そういった場合には、もう少し石炭というものは大幅に開発していいのじゃないか。とにかく輸入する重油の七割程度ということでは、私はどうしても石炭政策が確立したとは考えられない。縮小生産で確立したといえば、確立しておるかもしれない、安定したといえば、安定しておるかもしれない。しかし、国全般から見ますと、これは大きな損失を持っておる。しかも、今申しましたように、生産性の向上をしました今日、雇用量を十分吸収し得る産業は、あまりないのです。機械工業か、あるいは石炭工業というものが、まだ比較的に雇用量を多くかかえられる。だから、今からの政策というものは、雇用量の吸収度を無視しての産業政策というものは、できないと思うのです。そういう点から考えても、また資源の点から考えても、五十億トンくらい埋蔵量を持っておりますフランスでも、御承知のような出炭です。安全炭量とか、その他いろいろ確定炭量とかいうことを言えば、また問題がありますでしょうけれども、とにかく、あなたの方で調査された埋蔵量は二百二億トンで、その比率から申しましても、非常に少いのじゃないか、こう考えておるわけです。この点は、やはり石炭局長が踏み切らなければ、日本の行政官庁において踏み切る人はないのですから、四八%も外国のエネルギーに待つというようなエネルギー政策が一体あるか、こう言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/116
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117・村田恒
○村田(恒)政府委員 ヨーロッパにおきましても、今お話がありましたように、原子力の発電を早急に伸ばしていくという、原子力グループの中から、油の依存をだんだん減らしていって、ヨーロッパの中における石炭の増産をはかるべきである。その意味において、ポーランドの石炭を大いに注目して、今開発をやっておるという現状のように承知いたしておりますが、今後、日本における原子力発電というものが、どの程度伸びを示すかということは、非常に予想のむずかしい問題だと存じますけれども、それとの関連におきましても、石炭が一番確実であり、一番安定した供給ができる。つまり、そのときだけのフレートによって左右されない、あるいはそのときだけの外国のいろいろな政治情勢等によって左右されない、国内にある資源という意味におきまして、今、お話がございましたように、国内炭の増産を徹底的にやるべきだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/117
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118・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで、徹底的にやるべきであると局長は考えても、徹底的にできないものがあるでしょう。局長はいかに旗を振っても、ついていけないシステムになっておる。やはり、制度的なものが必要ではないか。その制度的な改革が必要ではないかと私は思う。それは、今の日本の経済が、ただ自由経済であるということだけではないと思うのです。それは、根本的にいえば、計画経済にして、われわれの言う通りにすればいいのですが、しかし、それだけではない。ただ自由経済であるからということだけではないと思うのです。自由経済である国においても、やはりそういった点は、十分政策が確立し、調整ができておる。そこで、一体日本の増産態勢ができないガンというのは、何と考えられておるか、これを一つ率直にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/118
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119・村田恒
○村田(恒)政府委員 増産態勢の今までとれなかった一番大きなガンというものは、やはり調査が不十分であったということだと思います。それは、今まですでに埋蔵炭量の調査は、実施いたして参ったわけでございますが、さらにそれをもう一歩踏み込んで参りまして、ほんとうにその埋蔵炭量のある、しかも非常に有望な地域について、企業としては企業化調査をしておるが、どの程度調査してきたかというと、ほとんどそれぞれ個々の企業にゆだねられておる。個々の企業にゆだねておる限りにおいて、個々の企業としては、先ほど来何べんも申しましたように、過去における景気の変動に伴ういろいろ痛い目にあっております。また大幅な設備投資に対する意欲に欠けておったというふうな点もございまして、思い切った調査もできない。調査ができないところには、非常に不安感も伴いまして、そして大幅な増産ができなかったということにあると思います。
いま一つは、過去におけるエネルギー政策というものは、そのとき、そのときのいろいろな客観情勢によって、絶えず動いてきた。すなわち、国内炭を主として、足りないところは輸入エネルギーで補っていくのだという態勢が、はっきり確立されていなかったために、なかなか踏み切りがつかなかったというところにあると思います。今回、妙な表現でありますが、炭主油従というような政策が、はっきり国策としてきめられておりますので、今後は思い切った増産態勢がとれる、こういうふうに確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/119
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120・多賀谷真稔
○多賀谷委員 炭主油従ということは、どこできめて、実際どういう実効が上っておるのですか。三十三年度の原油の輸入を見てごらんなさい。三十二年の下期、上期に比べても、著しく大幅に輸入されておるじゃありませんか。しかも、一般経済の伸びというのは、御存じのようにわずかに三%、厳格にいうと二・三%という伸びを示しておる。そういう状態の中に、重油はものすごく大幅な外貨の割当が、すでに三十三年の上期において行われておるのではありませんか。炭主油従という言葉はいいですけれども、三十三年のきめた当初から、実効が伴っていない。これで石炭政策確立というわけにいきますか。まず外貨の割当から、一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/120
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121・村田恒
○村田(恒)政府委員 最近策定されました外貨予算の中におきまして、仰せの通り、原油につきましては、三十二年度が七千八百一万バーレルに対しまして、三十三年度は一億二千二百十八万バーレルという大幅な増加を示しております。しかしながら、成品の輸入の方を見ますと、二十二年度が二百七十四万キロリットルに対しまして、三十三年度は百二十五万キロリットル、こういうふうに成品の輸入は削減いたしております。
なお、上期、下期を考えますと、上期においては、なかなか調整が困難でございますので、思った通りの石炭を主とする政策は打ち出されなかったようでございますが、下期におきましては、相当程度はっきりした形でこれが出て参る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/121
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122・多賀谷真稔
○多賀谷委員 成品の輸入減を入れましても、全般的にいいましても、三十二年度の上期、三十三年度の下期よりも、著しく伸びておるでしょう。金額で言いましても、石油は一億四千五百三十万ドル、これは三十三年度上期の外貨割当です。三十二年度の上期は一億九百万ドル、三十二年の下期は九千六百万ドル、ですから、この点から見ましても、三十二年の上期にも下にもなかったような大幅な輸入外貨の割当になっておる。一体これはどういうわけですか。あなたの題目と違うじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/122
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123・村田恒
○村田(恒)政府委員 数字で申し上げますと、三十二年度三十三年度の重油の消費の見通しでございますが、トータルでは、三十二年度が九百三万キロリットルになっておるのに対して、三十三年度はこれが九百二十八万キロリットルと増加いたしております。その中で、増加している部門は、どういう部門かと申しますと、水産の部門が百三十七万キロリットルが百四十九万キロリットルにふえております。また機帆船等の海運部門が百七万キロリットルが百十三万キロリットルにふえております。それから、都市生活の向上その他に関連いたしまして、ガスの部門が十七万キロリットルが十九万キロリットルにふえております。その他鉱工業につきましては、四百六十万キロリットルが四百五十八万キロリットルと若干減っておりますが、大体横ばいでございます。そういう関係で、これをまとめて申し上げますと、公益事業の部門とか水産、海運、そういったような特殊な部門を除く一般鉱工業部門につきましては横ばい。それに反しまして、石炭の需要は、六・八%三十三年度には引き上げておる。まだ徹底したあれにはいきませんけれども、方向として第一年度においてこれを踏み出しておるということは、申し上げられるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/123
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124・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも初年度から踏み出したとは考えられません。公益事業といいましても、今後エネルギーの伸びる最も大きなものは、公益事業ですからね。しかも、今申しましたように、三十二年の上期にも下期にもなかった大幅な原油が、三十三年度の上期には割当になっておる。しかも、炭主油従という政策が掲げられてきたというのですからね。どうも掲げられていないのじゃないですか。普通の状態よりも悪くなったのに、どうしてこれだけの政策が確立しておるのですか。これは言葉と実体が伴わない。羊頭狗肉ということを、盛んに国会でも言われるけれども、全くこれは羊頭狗肉ですよ。ほんとうはどこに原因があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/124
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125・村田恒
○村田(恒)政府委員 今、数字で申し上げましたように、原油につきましては増加いたしておりますが、成品輸入の面においては、石炭を主にいたしまして油を従にするということが、上期及び下期の見通しにおきましてもはっきり出ておる、こう申し上げられると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/125
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126・多賀谷真稔
○多賀谷委員 成品は、今、御存じのように、精油会社はキャパシティが大きくなって困っておるでしょう。ですから精油を入れちゃ大へんですよ。それでなくても、原油の割当がその生産能力に及ばないといって、わんわん言っておるのですからね。ですから、成品を入れるというようなことは言語道断。ただ、ガソリンと重油との差があって、日本の場合には、一般の国のようにはガソリンを多く使用しない。この点から原油の割当のみでなく、成品を入れざるを得ない、こういう事情があるというのならばわかります。しかし、何か成品を入れないことを盛んに強調されますけれども、それは全く聞えません。それでごまかそうとなさっても、われわれはごまかされませんよ。やはり、どこにその原因があるのか。それは三十三年度の上期だけの問題か。たとえば、船の契約の問題で上期はやむを得ぬ、こういう事情であるのか、それを率直におっしゃったらどうですか。船の都合で、契約を全部違約すれば、違約金をとられるから、やむなくタンカーの問題で、この際、上期には重油を入れるのだけれども、あるいは原油を入れるのだけれども、しかし、三十三年度の下期からはそうはいかない、こういう見通しがあるのかどうか。そういう点、率直におっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/126
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127・村田恒
○村田(恒)政府委員 原油の輸入が増加いたしております主とした理由は、石油化学の発展、それから航空機用ガソリンの消費が増加して参りましたこと、さらに輸出の増加を考えております。それにある程度の在庫の補てん、いわゆる在庫の補てんを三・二カ月程度に持っていきたいという観点から、原油の輸入がふえておるわけであります。上期、下期におきましていろいろ事情が異なっておると思いますけれども、下期におきましては、先ほど申し上げましたように、上期よりは炭主油従というものが、相当やりよくなる形がはっきり出てくるのではないか、こういう見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/127
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128・多賀谷真稔
○多賀谷委員 役所というものは、いいかげんな答弁ばかりするところですね。これが軽工業局長だったら、そういう答弁はしないのです。軽工業局長は、石油化学というようなものは、あまり原油は要らないのだ、こういう答弁を従来してきた。一体、廃ガスを使うのか、あるいは成品を使うのかと言いましたところが、いや、廃ガスで十分だとか、そのうちには二%ないし三%くらいしか要らないとか、あるいはだんだんふえてきて、いや見通しが違っておるとか、役所というところは、勝手な答弁ばかりして、そのときそのときを糊塗していかれる。そこで私たちは、石油化学をするについては、かなり原油が要るのじゃないか、こういう話をしたわけです。これは吉岡さんが軽工業局長のときだったと思いますが、いや、そんなものは要らない、現在の原油のわずか二、三%あれば、石油化学の現在継続しておるものがフルに動けるようになってもできるのだ。それは三井、三菱以下、あるいは住友あるいは日本石油、丸善石油、全部合せての話ですよ。ですから、そのときそのときでそういう答弁をされると、われわれしろうとですから、非常に困ってしまうのです。ですから、なるほど、石油化学に対して、石油その他の割当が若干多くなったことは知っております。しかし、これは今お話のあるような昭和三十二年度の上期あるいは昭和三十二年度の下期をさらに上回るほどの需要ではない、かように考えるわけです。ですから、どういう点に、どうしても原油の外貨を割り当てざるを得なかった理由があるのか。これを率直にお聞かせ願わないと、せっかく炭主油従ということを申しましても、それはわれわれには通用しない、かように考えざるを得ないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/128
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129・村田恒
○村田(恒)政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、石炭需要につきましては六・八%の増加を考えております。石炭の方はフルに使いまして、その足りない分は油で埋めていこうという考えのもとに立ちまして、需要の方を算定して参りますと、たまたま原油の輸入がふえてきておる、こういう結果になっておるように了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/129
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130・多賀谷真稔
○多賀谷委員 わかりました。そうしますと、現在八百万トンも貯炭があるのに、しかも五千六百万トンも石炭が要るといって掘らしておるのに、さらに石炭の需要は相当あるから、原油を入れても大丈夫だ、こうおっしゃるわけですか。五千六百万トンがどうかというのが、今問題になっておる。しかも貯炭をかかえておる。一方においては、石炭の需要は六・八%伸びるので、原油を入れても大丈夫だから入れたのだ、しかもまだ足らないのだ、こういう話でありましたけれども、五千六百万トンの石炭そのものが、今ゆらいでおるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/130
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131・村田恒
○村田(恒)政府委員 現在、年度末におきまして、約七百万トン以上の貯炭をかかえ込むことは事実でございますが、ただいまのこの貯炭の存在の仕方が、主として大口消費工場に片寄っておりますので、業者貯炭の方は、正常貯炭の段階まではいっていない。言いかえると、業者の方の状態は、まだ余力があるが、消費の面を考えますと、御指摘のように楽観を許さないのであります。そこで、今お話がありました外貨予算の面におきましては、そういう形をとっておりますけれども、たとえば、一例をとって申し上げますと、電力部門につきまして、昭和三十三年においては千四百万トンの配炭をしたいという考えを、われわれは持っております。これにつきまして、現在のところ、いろいろと折衝を重ねておりますけれども、そういった折衝の過程におきまして、なお、今後、電力部門においては、油を遠慮してもらうとか、油をもっと切っていただくということが可能であるならば、その場合に、そのときどきの実行予算の現実の輸入許可の段階、あるいは現実に電力部門が消費していく段階、そういう段階において、油の消費を規制していくということは不可能ではない。そういう方向において、石炭を主としていくという方策は、現実の運用の面においても今後とり得る、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/131
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132・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、今年の五千六百万トンというのは、きわめて確実であって、しかも貯炭も減る、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/132
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133・村田恒
○村田(恒)政府委員 それは、現在までわれわれが各担当者部門と折衝を続けておりますところの配炭、炭つけというものを実施することによりまして、三十三年度末におきまするところの貯炭というものは、ノーマルな姿に持っていきたい、五千六百万トンという数字は、決して過大な数字ではない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/133
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134・多賀谷真稔
○多賀谷委員 局長の五千六百万トンが、五千四百万トンになり五千三百万トンにならないことを、私は切望し期待しておきますが、しかし、どうもすでに雲行きが悪いようで、外貨の割当をしたそのときに、すでに三十三年度の上期の日本経済の動向を誤まっているのではないか、こういう感じさえ受けるわけです。生産調整もなかなか思うようにいかない、それが時期的にずれてきている。この問題は、大臣がお見えになってから、別の機会にでもお聞かせ願いたいと思うのですけれども、どうも政策と実行が合わないのではないだろうか。そうして、外貨ならば外貨の割当をされる場合に、前の時点でそれを考えられている。しかも、経済は、すでにその時期を失している。こういう点が、経済政策全般として、非常にあるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。そこで私は、三十三年度の上期において、炭主油従という政策がはっきり打ち出されたというようには、残念ながら受け取れません。これについては、石炭局長に聞く方が無理かもしれませんから、大臣がお見えになってから十分聞きたい、私はかように思います。
そこで、法案に入っていきたいと思いますが、先ほどから、伊藤委員から盛んにこの一部改正の法律案の性格について、質問がありましたが、どうも私たちも納得し得ないものがあるわけです。これは暫定的な、いわば一部改正であって、石炭の開発については、別の機会にすっきりしたものを出すという気持であるかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/134
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135・村田恒
○村田(恒)政府委員 御承知の通り、これは、今回制定されました新長期経済計画というものを背景にいたしまして、昭和三十三年度を初年度としてスタートを切ります増産態勢というものを至急に織り込みますために、この一部改正をお願いしたわけでございます。同時に、坑口の開設とかいうものが、本年八月をもって期限が満了いたしますので、これは多賀谷委員に、前前からこの委員会におきましても、非常に御心配をいただいてきておりますように、保安の観点その他の観点から、坑口の開設というものを存続しなければならない、こういうような観点から、今度の一部改正をお願いしたわけであります。
ところで問題は、この合理化法と一体化しましたところの増産法でございますが、今後の推移を見まして、なおこれ以上に強力なる増産態勢を、法律に裏づけをもってする必要があるという事態が生じました場合には、またあらためて案を具しまして、国会の方とも御相談しなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/135
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136・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、いわば買上事業団も残っており、また買い上げの法律が現在施行中であるし、一方においては増産という面が出てきた。そこで、増産を別法案で打ち出すには、従来の石炭合理化臨時措置法と若干矛盾をする点もある。そこで、別法案を出すのも困るし、それかといって、やはり長期経済計画に相応した法案の必要もあるし、こういうわけで、いわば経過的にここに入れられた、こう了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/136
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137・村田恒
○村田(恒)政府委員 この法律は、今御指摘のように、やはり今要請されております客観情勢を反映しておると思います。すなわち、長期エネルギーの増産態勢を、一面において推進しながら、なお一面において、合理化というものを推進しなければならないという客観情勢を、正直にそのまま反映して、両方をまぜ合せたもののように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/137
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138・多賀谷真稔
○多賀谷委員 未開発炭田の開発について、地域指定をされて、通産省としては、どの程度開発されるのですか。どの程度まで通産省がおやりになり、さらに鉱業権者はどの程度からおやりになるのですか、具体的にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/138
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139・村田恒
○村田(恒)政府委員 政府は、直接開発をいたさないようになっております。すなわち、政府が策定いたしますのは、開発の基本の計画を樹立いたしますために、それに必要なる調査を実施いたすわけでございます。もちろん、これは政府が単独でいたすわけではございませんで、ボーリングにいたしましても、抱き合せまして、業界に委託いたしますボーリングというものも、あわせ実施をいたすことになっております。もう一度申し上げますが、直接開発をいたすのではなくして、開発基本計画を策定いたすに必要なる調査を、政府が実施いたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/139
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140・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、開発計画を実施するに必要なる調査をやるにとどまって、それ以上は鉱業権者がやる、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/140
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141・村田恒
○村田(恒)政府委員 政府がまず作りますのは、開発計画を作るわけでございますが、それからあと、業者にまかせきりではありません。指定地域内に鉱区を持っております業者は、その政府の立てました開発計画に準拠して、具体的な開発の計画を届け出なければなりません。届け出ました場合に、それに対して、政府が不満があります場合には、変更すべきことを指示することができる、こういう規定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/141
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142・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、届け出を行わないものについては、どういう処置が考えられておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/142
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143・村田恒
○村田(恒)政府委員 あとの方に書いてありますが、それに対しましては、罰則がついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/143
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144・多賀谷真稔
○多賀谷委員 鉱業権の取り消しは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/144
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145・村田恒
○村田(恒)政府委員 八十六条でございます。それから、なお、それに関連いたしまして、この指定地域内におきましては、届出をさせて、届出に対して不満がある場合には、変更の指示を行なっています。これらに違反した場合には、八十六条の罰則を適用いたしますが、同時に、同じく今度の改正の中に入れておりますように、指定地域外に鉱業権を持っておりますものは、現在、一般的には、石炭については、着手義務を、鉱業法の規定にかかわらず、これをはずしておりますが、この指定地域内にあります石炭の鉱業権者に対しては、着手義務を負わしております。着手義務を負わしますことは、言いかえますと、六カ月以内に事業を着手しないときには、鉱業権の取り消しを命ずることができる、こういう鉱業法の規定が適用されるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/145
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146・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この法律の裏づけになります融資とかそういったものは、どういうようになっておりますか。ことに、指定地域内において、あなたの方で計画を策定され、公示されて、そうして届出を求めておられますが、この開発計画の届出に対しては、どういう裏づけを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/146
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147・村田恒
○村田(恒)政府委員 どういうふうな金額をどの程度出すかということにつきましては、主として自己資金なり市中なり、それらの面は、できるだけ業界でやってもらうわけでありますが、それ以上に、これだけの大きな義務を負わせます以上は、大幅な財政投融資というものを今後考えていかなければならぬと考えております。さしあたり、一例をとって申し上げますと、昨年度におきましては、開銀の融資は三十八億のワクにとどまったわけでございますが、三十二年度の末から三十三年度にかけましては約百億程度の財政投融資が行われる、こういうふうな見通しを持っております。なお、どのくらいの金額が今後必要かということでございますが、これは財政投融資のみならず、全開発資金を含めて、三十三年から三十七年までに一千五百八十四億円、三十三年から四十三年までは三千二百七十二億円、三十三年から五十年までに五千五百八十七億円、これらの大幅な投資が行われるわけでございますが、これらに対しては、この法律の裏づけもあることであり、また着手義務等の相当強い規定もございます、あるいは鉱区調整等の強い規定がございますので、今後できるだけ財政投融資の大幅な投入ということについて努力いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/147
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148・多賀谷真稔
○多賀谷委員 政府がいかに規制をされようとしても、自由経済における企業、自由性を持つ私企業が行なっておるわけです。そこで、私企業としては、単独の山でありますと、問題ないでしょうけれども、各地に山を持っておる。Aという山はだんだん老朽に近づきつつある。そこで、このAという山の老朽化を見て、新しいXならXという鉱区を開発したい。この時間的なずれ、これをいかに調整するかというのが、現在労務者をかかえておる大きな企業家の悩みである。そういった場合に、単にあなたの方で規制をされるだけで、果して実効が上るかどうか。こういう点は、どういうようにお考えであるか、この点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/148
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149・村田恒
○村田(恒)政府委員 たとえば、北九州におきます山が、だんだんあがり山になってきた、しかし、たまたま同じ会社が北海道に鉱区を持っておる。従って、九州の労務者を、将来北海道に配置転換していく、こういうことは、特に炭鉱労務者は定着性が強いという実情から見まして、非常に困難な問題を含んでおると考えられます。この法律は、こういう問題は、今ここで取り上げておりませんので、とりあえず、国家的な要請に基きまして、指定地域における積極的な開発、増産というものを、主体として考えておるわけであります。今、御指摘のように、次第にあがり山になっておる山の労務者を、どういうふうに処理していくかということについては、これは今後重大な問題で、研究問題であると思います。しかし、この法律の施行によりましても、たとえば、九州の有明地区の大幅な開発をやるという場合におきましては、同じ日鉄鉱業の中におきましても、ほかの地域の労務者を有明の新しい地域、同じ九州の中で、近い地域にこれを配置転換が可能であるという利点というものは、多々数えることができるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/149
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150・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は、私が聞いておるのは、ちょうどその逆でありまして、Aという老朽山をかかえておる、そしてその稼働は、年数でどの程度しかない。そうするとXという鉱区を早く開発せいという命令が出ても、円滑な労働者の移動を考えるならば、Xの開発をあるいは数年後にしたい、こう考えるかもしれない。こういうことを言っておるわけです。そこでXという鉱区を新たに開発すれば、そこで一企業では労働者がダブるわけです。そうしますと、せっかく計画的に総合的にその企業としては考えておったものが、ダブって労働者を雇用するということになりますと、将来、Aという老朽山の労働者は、全部解雇しなければならない。吸収をする山がない、こういう面も出るのではないか。そういう点は、どういうようにお考えであるのか。ただ届出によって、早急に開発されると考えられておるかどうか、これをお聞かせ願いたい、こういうわけです。ちょうどあなたのお答えになったことと逆に考えて質問しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/150
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151・村田恒
○村田(恒)政府委員 積極的な開発をやると申しましても、御承知のように、決して一年や二年でできるものではございませんで、数年を要して、初めて本格的な対策に入るわけでございます。当初においては、それだけたくさんの労務者は、新炭鉱においてはこれを必要といたさないわけであります。それぞれの企業におきましても、また全体としての石炭業界を見ましても、そういうあがり山となるといっても、いきなり、すぐあした、あさってからあがり山になってしまうものではない。その間には、相当時間的なずれが、新しく開発するものについても、また次第に衰えていくものについても、あるわけであります。その時間的なずれを十分考えあわせまして、労務者の配置転換を円滑に行うことは、最も必要であると思います。この七千二百万トンの出炭計画におきましても、将来において雇用の大幅増大ということは、決して考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/151
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152・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は大幅な増大でないから、質問しているわけです。どんどん雇用が吸収されるという状態であるならば、何も問題はないわけですが、大幅な増員はない。そこで、自分が今、全企業として雇用しているのを維持するのがやっとだ。しかも、新鉱を開発する、それを予定をしてやっとだ、こういう場合があるわけですね。そういうようなときに、早急に開発しようといっても、新たにそこで雇用するということになると、せっかく今まで企業計画として持っておったA山の老朽化あるいは廃山に伴う失業者の吸収という点が欠けるではないか。こういう点は、どういうふうにお考えであるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/152
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153・村田恒
○村田(恒)政府委員 炭鉱の開発が、今まであまり進まなかったとか、あるいは炭鉱の開発に関連して、きわめて重要な、今後なさなければならない大きな問題としましては、関連産業施設の整備ということが、非常に重要な問題だと思われます。従来、関連産業施設の整備というものが、出炭態勢というものと見合わない。そういう見合わないような形でもって、片方では出炭をする、片方ではその計画に合わないような新しい鉄道の敷設あるいは港湾の整備計画というものが行われてきたところに、非常に片ちんばな状態があったわけであります。ところが、こういうふうな総合的な計画を樹立いたしますと、必ず関連産業施設の整備というものが、どういうような形になるかということを、全部計画に載せて、そこで出炭が何年から始まって、どういう出炭態勢になるかというような問題が出てくるわけであります。また、これを裏返して申し上げますと、関連産業施設がこういうふうに整備されるならば、従来やや後順位に置いておったところの開発地域であっても、この指定地域におきまして有望であるということになれば、これはむしろ順位を繰り上げて開発していこう、こういうことが、企業内部においても可能であります。具体的な例を申し上げますと、三井鉱山におきましては、たとえば三池等の大幅な増産計画を、一時若干頭を押えまして、そのかわりに、思い切って北海道の芦別の開発を行うというふうに、資金的な配分を振りかえておるような現状がございます。これは何に基くかと申しますと、新しい鉄道路線が明確に引けるのだということを前提として、初めてこういう資金計画の変更を行なっておるわけであります。こういう状態から見ますと、あくまでこれを計画的にやります場合には、決してダブって労務者を雇用し、その結果不必要なる失業者を出すというような事態は起らない。また起してはならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/153
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154・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、むしろ政府の態度は逆であると考えておったわけです。増産のためにはやむを得ないのだ、まあこういうお考えであったかと思いますが、起してはいけないのだということは、言葉では納得しますけれども、しかし、その対策はその対策として、別個に国家の要請に沿うてやるのだ。政府があとは見るのだ、こういう態度であってほしかったわけです。何か積極的にやるのかやらないのか、はっきりしないような事態になってしまったことを、遺憾に思うのです。この点は、非常にむずかしい点でありますから、その点、政府がいかに計画をされても、なかなか困難な点がある、こうお察しするわけです。
そこで、今、関連産業の話が出ましたが、工業配置的な開発ですね、たとえば、有明炭田を開発するについても、あるいは天北炭田を開発するについても、ただ石炭の開発だけを考えられておるのか。やはりそういった点に、総合的な工業立地条件をそろえて、その炭田地帯の高度な工業計画を持っておられるのか、これを一つお聞かせ願いたい。ただ石炭を掘るというだけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/154
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155・村田恒
○村田(恒)政府委員 今度の新長期経済計画は、数量だけを出しておりますが、私どもがここで法律の改正までお願いいたしまして、積極的に地域を指定して、重点的な増産をやっていくということを、国会にお願いいたしました大きなゆえんのものは、根本的に、関連産業施設を、どういうふうに計画的に整備していくか、一つの地域としての発展をどうしていくかということが、最大の眼目でございます。従いまして、今申し上げましたように、単に無計画に、将来の出炭態勢と関係なく鉄道路線を引いてみたり、港湾の整備をやってみたりするようなことなくして、あくまでこれを計画的に実施していこうという考え方でございまして、すでに、毎年度の出炭計画におきまして、港湾局あるいは国鉄、それらと絶えず連絡をとりまして、われわれの要望をいれたような形において、それぞれの官庁におきましては、今後における港湾整備計画あるいは鉄道の路線あるいは道路の建設というものをやっていただくように、今進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/155
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156・多賀谷真稔
○多賀谷委員 輸送の問題は、当然重要な問題でありますから、私、山の中の貯炭を持っておくということを言っておるわけではありません。それは当然なされることですから、そのことを聞いているわけではありませんが、その産炭地域の産業誘致計画というものがあるのですかということを、お聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/156
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157・村田恒
○村田(恒)政府委員 私、申し落しましたけれども、積極的に開発していく場合の関連産業施設の整備については、今申し上げた通りでございますが、ただそれは、仰せの通り、単に開発ばかりで、産炭地域に近いところにおいてそれぞれの需要がなければ、これは非常にロスが多くなるわけであります。一例をとって申し上げますれば、たとえば、私どもは、本年度はできませんけれども、将来におきまして、北海道の天北地域の天北炭の開発ということも考えております。天北炭は、これはきわめて距離的に遠い、しかも、非常に粉化しやすい炭でございます。これをどうかして、現場に近いところで利用させるということを考えなければ、あそこに大きな電力を興すとか、あるいは大きな化学工業を興すということをやらなければ、天北炭の消費というものは、全きを期し得ないわけであります。また、さらに九州におきましても、相当程度の一般炭の増産なり何なりの増産に伴いまして、極力産炭地に近いところにおける、たとえば低品位炭を利用して発電をやるとか、あるいは製塩をやるとか、そういうふうな石炭を利用するという面を、徹底的に並行して進めまして、それをできるだけ産炭地に近いところで消費を喚起していく、こういう政策をあわせて行う方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/157
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158・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ことに、天北地域の問題は、あのカロリーの低い、粉化しやすい石炭を、長距離に輸送しても、あまり意味がないと思うのです。そこで、あの産炭地域において消費する産業が必要ではないか。こうしなければ、とてもあの原料炭を使いまして長距離を輸送をしても、引き合うものではない、こういうふうに私も考えて、質問をしておるわけです。そこで、このことは、やはり国が総合的な計画を立てなければ、できないと思うのです。最近の工業配置の状態を見ますと、やはり需要地に近いところに工場ができる。原料地よりも少々遠ざかっても、やはり需要地に近い方が勝ちだというような状態が、起ってきておる。これは日本全般的に、そういう問題が起ってきておる。ですから、需要地中心主義にとかくなりやすいわけですね。ですから、ほうっておきますと、二五%も鉄道の輸送を使っている石炭が、さらに開発するに従って、鉄道の伸びよりも、石炭の方がよけいに伸びて、そうして、それが三分の一も鉄道で送らなければならぬ、こういうようなことがあっては大へんだと、一例でありますが、考えるわけです。ですから、少くとも総合的に未開発地域開発をやるのならば、これはやはりその産炭地でかなり消費していかなければ、だめだ。こういうふうに考えて、質問をしたわけですが、そういう計画は、企画庁その他で総合的に考えられておるのですか、ただ局長の頭だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/158
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159・村田恒
○村田(恒)政府委員 ただいま天北炭について申し上げましたが、さらに、これを詳細に申し上げますと、実は私ども、本年度の予算要求の中に、天北炭の利用につきまして、この天北の炭をドイツのルルギーに送りまして、ルルギーでもって、あれを完全ガス化するテストをやってもらうその予算を要求したわけであります。これは、本年度は見送られました。本年度は、さらにこれを要求いたすつもりでおりますが、あそこでもって、それの完全ガス化をやりまして、そこで化学工業に使っていくということが行われるならば、天北炭の将来というものは、非常に明るくなっていくということが考えられるわけであります。そういう意味におきまして、私どもは、できるだけ産炭地に近いところにおける需要を興していこうという、そういう方針をとっております。たとえば、最近における傾向といたしましても、北海道炭を大阪から西に送るというような、ばかなことは、だんだんやめるというふうな方向に、指導もいたしておりますし、業界も、そういう方向に動いているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/159
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160・多賀谷真稔
○多賀谷委員 日本の石炭の炭価の問題を考える場合に、今、御指摘のように、運賃の問題を考えずには論ぜられない。ですから、この運賃問題というのは、きわめて重大な問題である。ところが、そのことよりも、むしろ山元のコストということに重点が置かれている。これは、無理からぬ話でありますけれども、運賃の面が非常に軽んぜられておる。こういう点は、非常に遺憾であると考えるわけですが、今御指摘がありましたから、その点についても、十分推進をしていただきと思います。
そこで、私は、次に質問をするわけですが、私の質問は、まだ三時間くらいかかるわけです。そこで、田中君が質問をしたいそうですから、一応私の質問は保留して、続いて質問いたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/160
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161・小平久雄
○小平委員長 この際、ガス事業に関する件について調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/161
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162・小平久雄
○小平委員長 御異議なしと認めます。よってガス事業に関する件について調査を進めます。
質疑に入ります。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/162
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163・田中武夫
○田中(武)委員 この際、天然ガスの料金の問題について、若干の質問をいたします。通産省の公益事業局長が来ていないようですから、次長に、公益事業局の考え方等をただしてみたい、こういうように考えるわけです。と申しますのは、すでに次長も御承知のことと思いますが、千葉県茂原市にある大多喜瓦斯株式会社が、今回天然ガスの家庭用及び工業用の値上げをしようということで、地元住民あるいは市会その他消費者から、大きな反対を受けて、いろいろ問題になっておるわけであります。そこで、お伺いいたしたいのですが、会社がガスの料金の値上げを申請して参りましたのは、一体いつでございますか。それから、その値上げの理由はどういうところにあったのか。その内容はどういうことであって、現在当局としては、どのように考えておるのか。そういった経過等を、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/163
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164・東澄夫
○東説明員 ただいまお尋ねの大多喜天然瓦斯の料金値上げの申請は、本年の一月十七日に正式の申請が提出をいたされました。ただ、これにつきましては、会社側から、料金改定の要望がございましたのは、昨年夏ごろから、ぼつぼつそういうお話があったかと記憶をいたしております。その改定を必要といたしますおもな理由は、設備の改修、改善、新設等が主たる理由になっておりますが、そのほかに、副産物として売っております圧縮ガスの市況と申しますか、そういう副産物収入の前途が非常に暗くなってきたというようなことも一つの理由になっております。主たる理由は、先ほど申し上げましたような、いわゆる資本費の高騰というものが、おもな理由になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/164
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165・田中武夫
○田中(武)委員 正式には一月十七日に申請がなされたが、実は昨年の夏ごろから、私は昨年の八月と聞いておりますが、そのころから値上げの運動といいますか、動きが当局に対して出たことは明らかであります。ところが、この大多喜天然瓦斯会社が、消費者代表ともいうべき人に、そういう点を明らかにしたのは、ごく最近であって、ことに茂原市の市民代表ともいうべき市長に対して、そういうことを公式に話したのは三月十一日の由であります。そういうところから、この問題が大きな波紋を描く一つの理由になったのではなかろうかと思います。と申しますのは、昨年八月から、すでにそういうことを用意をし、当局に対して、いろいろ陳情あるいは運動をしておる。しかるに、その消費者であるべき人たち、関係を持っている人たちに対して、これを極秘と申しますか、明らかにせず参りました。茂原市民の家庭経済に、最も大きな影響のあるガス料金値上げについて、市民の意見といいますか、消費者の意見等を、全然無視した形において行われておると考えるのですが、そういう動きに対して、公益事業局としては、どのような見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/165
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166・東澄夫
○東説明員 一般に、ガス会社等が料金改定を希望いたします場合には、これは家庭の必需物資でありまして、非常に重要なウエートを占めているわけでございます。従いまして、これが改定ということになりますと、これは法律的な要件ではございませんけれども、地元消費者各位の理解を得るように、できるだけ努力をする。いわゆるPRをして、自分たちの立場を理解をしてもらうということが、必要なわけでございまして、法律的要件であるといなとにかかわらず、そういうことが必要である。一般にそういう申請があります会社につきましては、地元に対してPRを行なっておるのが、常でございますが、お話しのように、この大多喜天然瓦斯については、できるだけ地元の理解を得るようにということを申しておりますのに、実際はそういう措置がとられておりませんことは、はなはだ遺憾であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/166
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167・田中武夫
○田中(武)委員 大体、こういった家庭経済に大きな影響を持つ電気料金あるいはガス料金の値上げは、とかく問題を起しがちであります。従って、こういった性格のもの、いわばあなたの局で担当しておられるのは、名の示すごとく公益関係でございます。従いまして、そういうものの値上げについては、今まで、どういう行政指導をしておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/167
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168・東澄夫
○東説明員 ただいまも少し申し述べましたように、私どもが地元の意見を聞きますのは、法律的には、公聴会等の措置によりまして聞くわけでございますが、やはり地元の理解を得ることが、民主的なやり方でございますので、料金改定を申請いたします会社は、できるだけその理解を深めるようなPR活動をすることを勧奨いたしております。また私どもは、公聴会を通じまして、法的に意見を聞くわけでございますけれども、そのほかにも、陳情等がございました場合には、公聴会で伺いますと同じ程度に重要性をもって、その陳情の趣旨をよく考えて措置をいたすことにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/168
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169・田中武夫
○田中(武)委員 聞くところによると、この大多喜天然瓦斯会社から供給を受けている世帯数は、茂原市は、人口三万六千だそうで、世帯数が三千戸、そのほかに市外の五百戸があるそうですが、考えてみると、供給地域が狭いというようなところから、この問題について、当局としては、安易な考え方を持っていなかったかどうか。性格からいえば、東京瓦斯の事業も、この大多喜天然瓦斯、これは、いわば中小企業かもわかりませんが、こういったところの事業の性格は、一緒だと思う。ただ、供給の範囲が小さい。こういうようなところから、当局の扱いの上において、何らかの安易な考え方といいますか、そういった手抜かりはなかったか。今後も、そういうことについては、どういうように考えておられるか、そういう点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/169
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170・東澄夫
○東説明員 私どもは、需要家戸数が大きい会社であっても、小さい会社であっても、これは影響を受ける消費者各戸から申しますと、同じでございますので、会社の大小によって軽重あるいは態度を改めるということは、やって参りませんでしたし、今後も、そういう意図はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/170
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171・田中武夫
○田中(武)委員 今までもそうであったし、今後もそうである。すなわち、大きな地域に関係のある電気料金、あるいは供給地域の広い、たとえば東京瓦斯というようなところの値上げも、こういった一地方に関係を持つ大多喜天然瓦斯というようなところの値上げについても、同じように考えていく。こういうことは、確約を得たと見てよろしいですね。
そこで、お伺いいたしたいのですが、ざっくばらんに言って、そういう申請をすることについて、下相談があった場合、法律的には、地元の了解を必要とするとかいうことは、ないと思う。しかし、民主的に物事を運ぶということ、ことに、消費者に大きな関係を持つこういった公益事業については、そういう話のあったときに、どうだ、地元の方では少し了解をしてもらっているのかどうか、こういうようなことを、ざっくばらんに聞かれた方がいいのじゃないか。あるいは、そういうことがなければ、まずそういうことをやってから考えたらどうか、こういうことを言う方が、いいのじゃないかと思うのですが、実際問題としてはどうでしょうか。そういうことがないとすれば、この申請書は当分受けつけられない、こう言うことが、ほんとうの民主的な行政じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/171
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172・東澄夫
○東説明員 私どもの側から、改定することに決定をするかどうかということが、まだきまっておりませんものを、消費者、特に地元の方に直接お話しする、あるいは呼びかけるというのも、一つの考え方でございますけれども、今までのやり方といたしましてはむしろ申請をいたします会社が、自分でPRする、こういうふうにしようとしておるのだということを地元に話をする、またそれが新聞等にも掲載をされるのが普通でございまして、従って、そういう動きがございますと、むしろ地元からそういうお話があるのが一般でございましたことは、ほかのケースにおきましても御承知の通りでございますので、そんなやり方でいいじゃないか。
それからまた、公聴会については、われわれ正式に意見を聞くことになるわけですが、今回は残念ながら事前のPRが非常に不足でございましたから、地元の方々が公聴会に参加をなさるというような機会を失せられたのは、はなはだ遺憾でありますことは、先ほど申し上げた通りでございます。今後におきましては、私どもの公聴会の法律的要件は、官報に告示すれば、それでいいのですけれども、予算的な制約があって、われわれの側から新聞に公告することは不可能ですが、できるだけ新聞発表——書いて下さるかどうかわかりませんが、記事等に書いていただくというようなことを講じてみたら、より参加の機会も得られるのじゃないか、こんなふうにも考えたりいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/172
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173・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、ともかく、この大多喜天然瓦斯株式会社が、料金値上げについて申請をしたことに関しまして、その経過について、これは法律的には必要条件ではないが、いわゆる民主的なものの運び方といいますか、あるいは物事をスムーズに運んでいくという上に立って、十分な手が打たれていなかったといいますか、今の次長の言葉をもってすれば、十分なPRも行われていない。従いまして、この申請には、ある程度法律的には問題はないとしても、実際上手抜かりがあったということは、お認めになっておられるのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/173
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174・東澄夫
○東説明員 手抜かりと申しますと、少し語弊がございますが、法律的には、ずっと筋が通っているわけでございます。先ほど申したように、私どもの方としては通常の態度で、そういう改定の希望がございますと、むしろ会社の会計監査あるいは経理監査、そういうものをずっと厳重に夏以降行なって参ったわけであります。会社側が、従来のような一般的なやり方をしなかったのが、実際問題として、はなはだ遺憾であった、こういうようなまぎわになって知るというような結果を生じてしまった。これは、ほかにはあまり例がないものですから、はなはだ残念だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/174
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175・田中武夫
○田中(武)委員 申請の経過について、次長自体も、万全の措置を講じていなかったという点については、お認めになっているわけですね。
そこで、法律的な問題です。それは公聴会というものがあるのですが、一体公聴会はいつ開かれて、どういうメンバーが来て、どういった内容であったか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/175
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176・東澄夫
○東説明員 言葉を返すようでございますが、私どもの方は、先ほども申し上げましたように、会社側に対しましては、十分に理解を得るようにPRをせよということを、ほかの会社の場合と同じように言ってあるわけでございまして、私どもの方には、別に手抜かりという点はなかったと思うわけでございます。
それから、公聴会の点でございますが、公聴会には、正式公述人といたしましては、大多喜天然瓦斯会社側が参加をいたしました。そのほか傍聴には、市会の方も、おくればせながら見えておられました。そのほかガス協会の方、その他傍聴の方は、相当多数あったように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/176
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177・田中武夫
○田中(武)委員 ちょっと言葉のあれがあったんですが、あなたの方に手抜かりがあったと言っているのじゃない。会社の方において申請をするに際して、若干遺憾の点があった、こういうことは、当局自体も認められるか、こう言っているわけです。
それから公聴会ですが、手続としては、官報に告示をするだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/177
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178・東澄夫
○東説明員 私どもは、公聴会というものの設置されている趣旨からいいますと、できるだけ広く目につくように、一般市中の新聞等にも掲載をしたいのでございますけれども、これは予算的な制約があって、ほかの公聴会あるいは聴聞会といったものと同じように、政府側としては、官報だけにしか告示ができないのです。それは、一般の場合には、会社側がそういう動きのあることを、地元の新聞などが知っておりますから、いつ公聴会が開かれるかということが、自然に知れ渡り、それで、関係者の各位においては、そのニュースを見まして、それによって法律的な手続をとられるというのが、一般であったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/178
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179・田中武夫
○田中(武)委員 法律的に言ったら、政府としては官報に掲載する。だが、実際問題としては、官報なんて読んでいるのは、一体何人いるか。特に、家庭においてこういうものの値上げに一番関係を持つ主婦の人たちが官報なんて読まないことは、次長もよくお認めになっていることと思う。そこで、政府としては官報の掲載、告示だけだが、少くとも会社は、そういう公聴会の行われるということを、自分のところの供給範囲の消費者たちには知らしめる必要があると思うが、そういう措置はとっておらなかったと思う。従って、公聴会も知らないうちに行われた、こういうことになっておりますので、そういう点についても、会社の手続といいますか、配慮といいますか、そういうことにおいて万全でなかったと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/179
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180・東澄夫
○東説明員 会社側の配慮については、仰せの通り、十分でなかった、遺憾な点があったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/180
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181・横錢重吉
○横錢委員 関連して。
今の田中委員の質問に対して、御答弁は、要望は昨年の夏ごろあって、一月の十七日に正式の申請が出た、こういうのであるが、要望があってから正式の申請書が出るまでに、こういうような事業では、通常、当局の了解を得ることが必要になっておるわけです。従って、あなたの方では、正式の書類を出してもよいという了解を与えたものと思う。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/181
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182・東澄夫
○東説明員 先ほども少し触れましたように、そういう要望がございましてから、私どもの職員を直接派遣をいたしまして会社の経理監査、会計監査等をいたしました。その結果、先ほども、値上げの理由になっておると申しました資本費の高騰その他経費等、ある程度の料金改定はやむを得ないではないか。ただし、これについて幾ら料金率を上げるかどうかというようなことについては、もとより別問題でございますが、正式の申請を出しても差しつかえないという了解は、われわれは与えたわけでございます。ただし、これについて慎重研究の上に、どのような時期にどのような額を認めるかということについては、もとより別問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/182
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183・横錢重吉
○横錢委員 それでは、あなたの方では、監査をした結果、経理上値上げもやむを得ない、こういうような了解点に達して書類を受け付けた、こういうわけですね。そうすると、値上げの理由となっておるものを、どういう点で、これはやむを得ないと考えたのか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/183
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184・東澄夫
○東説明員 たとえば、会社の設備の改善という問題がございます。これはガスを引っぱります導管などが、従来は、非常に継ぎはぎのものと申しますか、古いものを使いましたり、あるいはサイズのまちまちであるものを使いましたり、そういうことをいたします結果、ガスが漏れたり、あるいはまた圧力の自動調整装置がないとか、あるいは圧送機、ブローアでございますか、そういうものを設置をしておりませんとか、そうするために、家庭で使いますときのガスの圧力がまちまちになってしまうというような点がございました。これを修整をいたしますために、パイプ等の取りかえを行い、ブローアあるいは自動調整機等の設置をするというような点を行いましたのと、また東洋高圧等の進出に伴いまして、新しい需用家が相当数ふえて、それに対する供給設備を新設しなければならなかったというような点がございまして、従って、それに九十人そこそこの会社でございまして、もともとが小さい会社であり、設備等もそれほど巨大ではない、しかも従来使っておりますものが償却済みのような資材を使っておったわけでありまして、従って新しいものと取りかえますと、資本費の増高ということがやむを得ない結果と、われわれとしては認められるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/184
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185・横錢重吉
○横錢委員 その設備の改修あるいは新設に要する当面の費用は、大体どの程度必要と見込んだのか。それからまた、会社の申請によるところの値上げというものは、どの程度値上げになり、増収になる、こういうふうに見込まれたのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/185
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186・東澄夫
○東説明員 会社が申請をいたしておりますのは、これは工業用と一般家庭用とございますが、家庭用について申しますと、一九%あまりの料金値上げを申請をいたしております。なお、内容の経費項目について、どの程度これを認めるべきかということについては、先ほど来御指摘の通り、このようなガス料金という問題は、家庭生活にも及ぼす影響が非常に重要でございますので、われわれの側において、目下慎重に検討いたし、値上げ要因があるといたしましても、できるだけこれを少な目に押えることが必要でございますので、目下検討を加えておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/186
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187・横錢重吉
○横錢委員 大体、会社の方で申請したところの新設、改修に要する費用は五千万円と思われる。そしてこの値上げの金額を見るならば、一年間の増収は二千万円に達する。そこで改修に要するいわゆる投下資本といいますか、それは増収によって二年半でまかなわれる勘定になる。ところが、この投下資本は、一度おろしたならば、これは五年、十年というように、相当程度持つところのものでありますから、相当長期にわたって回収すべきものであろうと思うのです。ところが、これが申請の内容によると、これを一立方メートル当り十一円三十五銭を一円九十銭上げて十三円二十五銭にする、こういうような方法が行われた。これは、きわめて会社に都合のよい解釈のもとに、値上げの申請が行われておるが、こういうような点については、検討を加えないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/187
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188・東澄夫
○東説明員 値上げ申請のおもな理由は、ただいま申しましたような資本費の増高でございますが、これについては、御指摘のように、会社側からの申請によりますと、五千万円の評価をいたした、こういうことでございます。これについては、われわれの方が料金の算定をいたします場合には、仰せの通り二年、三年でこれを償却するのではなくて、おっしゃいましたように、それぞれの耐用命数がございまして、それの償却年限十年のものは十年、二十年のものは二十年というふうに区別をいたしまして、その償却一年間の経費として計上されるものは、償却に必要なだけを計上いたしました。ただ会社側からの申請によりますと、そのほかに、労務費の高騰でございますとか、あるいは副産物収入の減退でございますとか、そういった事項も入っておりまして、あわせて検討を要するかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/188
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189・横錢重吉
○横錢委員 設備の減価償却は、ガス事業の場合には、大体何年と見ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/189
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190・東澄夫
○東説明員 導管につきましては、約二十年になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/190
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191・横錢重吉
○横錢委員 あなたの方で、正式の書類を受け付け、また値上げの理由を認めておる中に、こういう二年半で投下資本を全部償却できるというような値上げ率の申請を許したということは、少しくずさんな手続の仕方ではなかったか、こういうように思うのですが、何かそれ以上に、あなたの方で、値上げはやむを得ない、この程度の料率は出さしても差しつかえない、こういうような内定を与えた理由がおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/191
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192・東澄夫
○東説明員 私の言葉が足りませんために、誤解をお与えしたような感じがございますが、その五千万円の資本費の投下に対しましては、決して二十年のものを三年で償却をするというふうには、いたしておりませんわけでございまして、二十年のものは三十年の減価償却費のみしか、査定の場合には見ませんわけでございます。なお、会社側から申請がございましても、これについては、われわれの方が、それを認めようという前提に立って申請を受け付けるわけではございませんで、出てきたものに対して、いろいろな観点から、先ほど申しましたように、できるだけ低位に押えることを目途といたしまして、それぞれの項目について査定を加えることになるわけでございます。それについて、目下そういうような趣旨から、慎重に検討を加えておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/192
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193・横錢重吉
○横錢委員 先ほど、そのほかの理由として、あなたの方では、労務費の高騰ということと、それから圧縮ガスの市況が暗くなってきたということを言われておる。そこで、労務費の高騰とは、大体どの程度上っているのか。それから、圧縮ガスの市況が暗くなったと言われておるが、この生産減は、どの程度現実の問題として出てきたのか。この点の調査は、どの程度できておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/193
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194・渡辺五六
○渡辺説明員 話がちょっとこまかいことになりますので、担当課長の私から、今の御質問にお答え申し上げたいと思います。労務費は、昨年の十月ですか、約二千円のアップをしております。これは従来のベースが、かなり安かったということと、それから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/194
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195・横錢重吉
○横錢委員 従来は幾らですか、総支出でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/195
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196・渡辺五六
○渡辺説明員 原価計算の中に入れております労務費の平均べースは、基準内一万九千五百九十五円、基準外九百十一円、賞与手当が二・六カ月分というふうにはじいております。
それから兼業部門の圧縮ガスの販売収益でありますが、その原価計算は、一応都市ガス事業といいますか、導管で供給する部分だけ摘出しまして、原価計算をし、附帯事業部門は別に考えまして、圧縮ガス部門の売り上げが今後減退するであろうということによる減収というものを、都市ガスの料金原価にはね返すことはいたしてありません。ただ、会社全体の収益の見通しを検討する上には、兼業部門の収益というものも、一応考慮に入れているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/196
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197・横錢重吉
○横錢委員 私が今答弁を求めたのは、圧縮ガスの市況が暗くなったということが、値上げの申請を受け付けた要件の一つになっておる。従って、その一つであるところの要件の内容を、具体的に述べてもらいたい、こういうことで、今答弁を求めた。これがわかっていないはずはないわけです。その点を示して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/197
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198・渡辺五六
○渡辺説明員 兼業部門の減収が、直接の値上げの原因ということではありませんで、会社の収支に影響があるということで、われわれは兼業部門の販売見通しも検討をしたわけであります。
〔委員長退席、阿左美委員長代理着席〕
三十二年の圧縮ガスの売り上げは、約三百万立米くらいの売り上げがあったのですが、三十二年は東京瓦斯の千葉工場だとか葛飾瓦斯、あるいは近くの成田天然瓦斯というところに圧縮ガスの供給をして、ボンベで販売をしていましたが、東京瓦斯の千葉工場なり葛飾瓦斯あるいは成田天然瓦斯は、それぞれ自分のところで天然ガスの井戸を掘っていまして、三十三年以降は、そういう臨時売り上げといいますか、三十二年で大幅にふえた売り上げが期待できない。それでいわゆる原価計算の期間の三十三年は、圧縮ガスの販売量というのは、約一割減の三百八十万立米を見込んでおります。それから、圧縮ガスの単価でありますが、これは最近のプロパンの進出によりまして、大多喜天然の販売しておりますメタンというのは、酸素ボンベに充填して運搬するために、運搬費が非常にかさむというようなところで、プロパンに蚕食されつつあるということで、販売量の減退も一応見込まれますし、また価格も軟調を示すというようなことが予想されますが、売り値は、一応横ばいというふうに推定して、収支見通しを立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/198
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199・横錢重吉
○横錢委員 あなたの方で値上げを認めた一つの理由としての、圧縮ガスの市況が暗くなってきたということは、これによって死命を制されるというだけの条件ではない。従って、この程度のものが値上げの申請の中に入ったという点は、これは、いわば刺身のつまのようなものであって、取り上げる段階ではないはずです。そして、そのほかに問題となるのは、それならば天然ガスの湧出量は、一体減っておるのかふえておのか。湧出量といっても、これは売った湧出量でなければ何にもならぬわけですが、売った湧出量は、年間ごとにふえておるのか減っておるのか、この点の調査はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/199
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200・渡辺五六
○渡辺説明員 圧縮ガスの販売の軟調といいますか、それが今度の料金改訂の原因にはなっていません。これは、先ほど説明が不十分だったかと思いますが、会社の収支見通しを立てる上に、一応参考にしましたが、料金算定の上では、全然別個に考えております。それで、天然ガスの採取量ですが、これは関東天然瓦斯開発という会社が、開発部門を担当しておりまして、大多喜天然は、その会社から卸売を受けているということでありまして、必要量を、関東天然瓦斯開発から受け入れをしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/200
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201・横錢重吉
○横錢委員 質問の要点に、よく答えてもらいたい。私の言うておるのは、湧出量をどの程度売っておるかということなのです。関東天然瓦斯から受けたのならば受けた量というものが、昨年幾らくらい受けた、今年幾らくらい受けたと、漸次ふえているような数字を示しておるのか、あるいはまた、年ごとにだんだん減っておるような経営状態なのか、その点を聞いておる。この点を答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/201
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202・渡辺五六
○渡辺説明員 ガス事業部門の三十二年における販売量は約四百九十万立米であります。それが三十三年は五百八万立米、これは概数を申し上げますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/202
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203・横錢重吉
○横錢委員 三十年、三十一年は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/203
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204・渡辺五六
○渡辺説明員 三十年は四百五十五万立米でございます。三十一年は四百二十万立米、三十年よりも三十一年の販売量が減っているのは、大口の工業用の需要が減退したということによってでありますが、三十二年は、またそれがさらに増加している、こういうようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/204
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205・横錢重吉
○横錢委員 あなたのその答弁は、まことに奇々怪々である。先ほどの値上げの理由として、圧縮ガスの市況が暗くなってきたというものをその中に認めたのは、あなたの上司であるところの次長が、田中委員の質問に対してやった。それをあなたが否定するとは、一体何事か。こういうようなことは別個の問題である、改定の理由になっていないというようなことで、あなたが否定するということは、両者の間に、意見の食い違いがあるのじゃないか。それから、もう一つの年々市況が悪いようなことを言うておるが、具体的な数字をただしてみれば、余っているじゃないですか。三十一年四百二十万立米、三十二年四百九十万立米、三十三年の見込みが五百八万。経営状況は、年々うなぎ上りに上っておる。こういうような状況において、この経営状態が悪いというような点は、一体どこからくるのですか。この値上げになっている理由は、こんなところにあるのじゃないはずです。この点の問題がわからなかったならば、この役所としての役が勤まらぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/205
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206・東澄夫
○東説明員 先ほど、私が圧縮ガスについて申し上げましたのは、申請の際の営業の収支についての方に載っておりますために、私が申請理由として御説明を申し上げましたけれども、ガス課長の言う方が、ほんとうでございまして、訂正をさしていただきます。
それから、一般都市ガスの販売量の推移でございますが、先ほどガス課長が申し上げましたのは、多少あっちこっちになりましたので、もう一度申し上げますと、三十年が四百五十五万、三十一年が四百二十万、三十二年が四百九十万、これに対しまして需用家戸数が三十年が三千五十、三十一年が三千三百六十六、三十二年が三千七百二十八、三十三年が三千九百戸でございます。従いまして過去の実績から見ますと、需用家戸数が伸びております割合には、ガスの販売量そのものは伸びておらないという結果になっておりますが、将来につきましては、さらにガスの需用家戸数の販売量も伸びるものとして、計算をいたしておるわけでございます。もとよりその計算は、会社からの申請に記載をされておるものでございまして、私どもが査定をいたします場合には、またその実情等をよく見まして、査定を加えることになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/206
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207・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど私が質問したときの次長の答弁、これを横錢委員が質問をいたしましてガス課長の答弁、これが食い違って、次長は訂正せられた。そうすると、値上げの理由は、設備の改修、改善、新設と若干の労務費、こういうことですね。われわれがこういうことについて質問すると、賃金の値上げだといえば、社会党は若干ほこ先をゆるめるだろう、こういうことかしらぬが、いつでもそういうことを言われるのですが、これは設備の改修、改善、新設ということが、大きな値上げの理由のファクターであることだけは、明らかであると思う。そこで、お伺いしたいのですが、先ほどの次長の御答弁等から考えてみますと、そうするならば、会社が設備を新設し、これを改善することは、すべて需用者の、いわゆる消費者の負担において行われる。これを通産省の公益事業局は、若干の理由ありということは、とりもなおさず消費者の負担、消費者の犠牲において会社が設備を改善し、新設をすることを、認められるということになるのですが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/207
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208・東澄夫
○東説明員 会社が設備をいたしまして、消費者が負担をするという結果には、なるわけでございますが、安定した供給あるいはサービスの改善、たとえば、圧力が、御飯どきでも落ちないようにするというようなことをするためには、やはりその新設を認めなければなりませんし、それによって生じました増加経費が妥当でありますれば、やはりある程度消費者に負担をしていただきますことが、将来、また結局は消費者のためになるものと考えまして、通常一般の場合には、そういう考え方で査定をいたしております。もとより、会社が健全経営でなければならぬ。そのために、不当な利益を得るとか、法外な配当をするとかいうようなことになりますれば、これは、はなはだ問題でございますけれども、そういう法外な利益、法外な利益といいますと語弊がございますが、適当以上の利益は、われわれの方は考えない。それで、健全な経営をしていただく、設備の改修をしてもらう、それによって供給の安定を期し、サービスの改善をはかっていく、こういうことが、結局消費者の利益にもなるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/208
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209・田中武夫
○田中(武)委員 大多喜天然瓦斯は、資本金は二千万円、この従業員は、先ほどおっしゃったように九十六名。三十二年度の決算の結果は、約六百万円の黒字を出しております。これは御調査になったから、わかると思います。二千万円の資本金で、年額純益六百万円の黒字を出しておることは、決して経理内容は、悪いとはいえないと思う。そういう会社であって、設備の改善、新設、いわば会社の資本投資、こういうもののしわ寄せを、終局的に消費者に持たしめること、こういう点については、どうも納得がいかぬのですが、こういうような経理内容であっても、かつ通産省としては、その資本の投下に対して、消費者に、終局のしわ寄せを若干でも負担せしむるのが正しいとお考えになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/209
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210・東澄夫
○東説明員 三十二年度の決算について、われわれが調べたところによりますと、御指摘の通り、会社全体としては五百九十万円の利益を計上をいたしております。この内容を見ますと、これは先ほど申しました値上げの理由とは、別個にいたしましてお聞きを願いたいと思いますが、圧縮ガス部門で九百八十万円の利益を計上いたしております。その反面、ガス事業部門では、先ほど申し上げましたような導管の新規延長や、あるいは改良、取りかえ等の償却費が入りましたために、そのほかの理由もございますが、四百八十万円の赤字を出しておる。差し引き、事業税を含めて五百九十万円の利益を計上し得た。従って、会社経理といたしましては、圧縮ガス部門で黒字、ガスの一般供給部門では赤字を出しておる。その結果、事業税等を支払いますと、従来は一割の配当をいたしておりましたが、三十二年度は五分配当の決算をいたした模様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/210
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211・田中武夫
○田中(武)委員 特別な日の当る産業は別として、五分配当ならけっこうじゃないかと思うのです。このような状態ならば、決して会社経理が悪いとは思わぬ。二千万円の会社で、まあ資本金ですから、借入金等いろいろあると思います。それで、直ちに五千万円の資本投下をやる、こういうことでなければ、消費者にいわゆるサービスの万全が期せられないということならば、今まで会社それ自体は、設備の改善、いうならば、消費者に対するサービス、こういうことを怠っておった、こういうことにもなろうと思うのですが、過去の経理の状況、今までは一割だったが五分だということならば、過去はなおよかった、こう言わざるを得ないのです。そういった過去において、ガスの供給業者としては、当然なすべき修理修繕、そういうものは常時なされなければならぬ。それを怠っておって、今直ちに固めてそれをやるために五千万円の金が要る、だから値上げをきせてくれ、こういうことが、理論的に、あるいは公益性という上から立って、筋が通るかどうかということが問題だと思うのです。
それから、もう一つは、これはガスの供給をやっているわけですが、いわゆる会社が関東瓦斯から受けて、そうして配給する。それでは、会社の受ける天然ガスの料金は、変っているのか変っていないのか。それから天然ガスの料金が、たとえば、先ほど話がありました今度の値上げということで、家庭用が一立方メートル十一円三十五銭が一円九十銭上って十三円二十五銭になる、こういうことは、一般ガスと比べて、料金の点について、どういうことになるのですか。それらの点について、御見解を伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/211
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212・東澄夫
○東説明員 今まで改修すべきものを怠っておって、一挙にやって、それをかぶせるのはおかしいじゃないかという御指摘でございますが、これは、会社経営のやり方等にも関連がございますし、また、そういうような悪い設備で細々出しても、安い方がいいじゃないかという考え方と、また、多少は上りましても、質のいいガスを供給するサービスのいい方がいいじゃないかという考え方とございまして、いろいろむずかしいと存じますけれども、われわれといたしましては、規定の圧力でコンスタントリーに供給ができるという態勢の方が、ほんとうの態勢ではないかと考えるわけでございます。
それから、会社の買います料金、これは、実は御存じの通り、大多喜天然瓦斯は、在来、採掘をする会社であると同時に、一般供給をする二つの性格を兼ねておったわけでございます。これが、東洋高圧の進出に伴いまして、会社の改組を行い、関東天然瓦斯という会社を設立をいたしまして、これが開発をいたします会社になりました。一般供給を担当いたしますのは、大多喜天然瓦斯株式会社、同じ大多喜天然という名前ではございますが、二つの会社に分れたわけでございます。従いまして、卸を受ける関東瓦斯からの買い入れ値段につきましては、原価を査定をいたしまして、去年の末ごろであったと思いますが、関東天然瓦斯の卸供給値段として認可をいたしております。それまでは、自分のところで作りまして、自分で供給をしておったわけでございます。
それから、ほかの料金との関係でございますが、これは天然ガスでございますので、一般プロデューサー・ガスやコークス炉ガスと違いまして、相当安価にできております。今までは、全国で一番料金が安い会社になっておりました。それから、申請のあります料金率を、ほかのガス会社に比べてみますと、たとえば、東京では、約十六円が平均でございます。それから新設会社でございますと、二十六、七円になっております。従いまして、申請率でも、ほかの会社に比べれば、安いのでございますが、これは、何分にも天然ガスを原料といたしておりますので、石炭を原料とするものと比べて見るのも適当でない。やはりほかの天然ガスを原料に使っております会社と比べて見るのが、至当かと思いますが、申請によりますと、やはりこれよりも高い天然ガスを原料として供給している会社もございますれば、それよりも低いものもある、ちょうど中ほどに、今度の申請通りであれば、くるのではないか。ただし、これは申請でございまして、なお、われわれはこれについて、慎重な査定を加えるべきであるということは、もとよりでございます。
〔阿左美委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/212
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213・田中武夫
○田中(武)委員 いろいろと、もっと詳細に伺いたいのですが、まだ多賀谷委員の御質問もあるようでありますし、それから、私よりも事情のよくわかっている横錢委員がおられるので、私の時間の関係もあるから、あまり深くは言わないつもりですが、話を聞いておりますと、どうもわれわれ、この申請を直ちに取り上げて検討するということについて、若干納得いかない点が多々あります。というのは、先ほどの資本金と、この会社の一番近い期末における純益の問題、あるいは、この値上げによって年間一千万円近い利益が上る。これら資本金の関係、あるいは理由が、どらも新設とか修理とかいうことで、それを直ちに需用者に負担をしわ寄せするというような問題等々いろいろあるし、ことに、最初私がお伺いして、若干会社側にいわゆるPRその他の手抜かりがあったというようなこと、それに従って地元に、御承知と思いますが、猛烈な反対、ことにほとんど全戸が反対署名をしていると聞いております。こういうような中にあって、直ちに考えられるということは、私はどうかと思う。私としては、こういう問題については、十分考えてやってもらいたい、このように思いますが、なお横錢委員から質問がせられるそうですから、あとは横錢君に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/213
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214・横錢重吉
○横錢委員 値上げの理由については、経理も見、内容も見、いろいろされて申請を受け付けているわけだが、実態をほんとうに知っていないのじゃないか、こう思うのです。というのは、この大多喜天然瓦斯が、資本金二千万円、それから従業員九十六人というようなことは、これはいわゆるかっての姿であって、今日では、日本における独占資本の雄といわれた三井系の東洋高圧が実体なんです。この実体が移っていること、これを考えずに、この問題を表面だけ見て、値上げがやむを得ないであろうというようなことを考えるのは、これは通産行政として、最もきらうべきところだと思う。なぜならば、この実権が東洋高圧に移っておって、東洋高圧の工場がここにできて、メタノール、硫安、こういうものの生産にかかっている。その方面にこの会社から流れているところの料金というものは、これは大体キロ四円程度で流している。しかも、大多喜天然瓦斯の九〇%を越えるものが、東洋高圧の会社に、キロ当り四円程度で流れている。残りの一〇%程度を、その他の工業用、消費者用に回されている。そうして、その面の値段というものが実に十一円三十五銭で、そこにさらに申請一円九十銭、合計十三円二十五銭というような、こういう高いものを押しつけて、そうして、この独占資本の東洋高圧だけは、その三分の一に足りないところの料金でこの供給を受ける、こういうような芝居がここにある。これを知らないで、値上げの申請を受け付けるとか、経理内容がもっともだ、こんなことでもって、この役が勤まりますか。問題はここにある。この点の検討を、あなたの方ではされたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/214
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215・東澄夫
○東説明員 東洋高圧は、最近進出をいたしまして、ガス化学をやることになりましたことは、ただいま仰せの通りでございますが、一般供給に充てておりました、従来の大多善天然瓦斯が持っておった井戸のものは、従来通り、全部市販に回すわけでございます。それから東洋高圧に関東天然瓦斯が回しますものは、新しく井戸を開発しまして、それを東洋高圧が原料として使っておるわけであります。従いまして、一般供給のものは、従来からございますものをそのまま使いまするし、東洋高圧の方への供給は、新しいものでございまして、地域的にも、違った場所から採掘したガスで、それぞれ別個の計算になるわけでございます。それから、その掘ります会社と、それから受けて売ります会社とは、別の会社になっておるわけでございまして、これはやはり、適正報酬というものは認めていかなければならないのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/215
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216・横錢重吉
○横錢委員 東洋高圧には、キロ当り幾らで売っていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/216
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217・東澄夫
○東説明員 新しい井戸を掘りまして、この分を原料用として東洋高圧に供給するわけでございますが、これについては、まだ料金が決定をしておらない。関東天然瓦斯から供給する料金でありますから、これが決定をしていないで、まあこれが、かりに四円なり五円ときまるといたしましても、供給の場所、供給の態様というものが違いますので、そういったものをそれぞれ原価計算をして、高い低いということを考えなければならないと思いますが、この場合には、一応別個の井戸になっておりまして、東洋高圧の方は、全部新しい井戸からのガスになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/217
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218・横錢重吉
○横錢委員 井戸は別個であろうと別個でなかろうと、天然ガスは、井戸を方々に掘らなければならないのです。早いものは三月くらいで使えなくなるし、長いものでは三年も使える。こういうように、いろいろ井戸によって違う。さっきあなたが、全国で一番安いと言ったけれども、茂原というところは、土地からガスが湧出しておる。歩いているところに火をつければ、そこが燃える、こういうような所です。あの辺の農家は、みな、土を少し掘ってはドラムカンをかぶせて、これでガスを利用しておるというような、地下が非常に浅い所です。全国で、こんな井戸の浅い所はない。そのさく井の費用がかからないということが、値段の安い理由です。全国で一番安いなんという、そういうような答弁で、ごまかすことはできない。しかも、東洋高圧の場合において、メタノールを生産すると、この原料は天然ガスである。これがキロ幾らにつくかということが、実は問題になってくる。これが高ければ生産ができない、安ければ利益が出てくる。この観点から、キロ四円程度にして、そのしわ寄せが、一般工業と家庭用に向いてきたわけです。この事実を地元の者が知っておって、それでよろしゅうございますなどと受けるばかがおりますか、いるわけがない。そこのところを、あなたの方が判定しなければいけない。これは単なる一事業会社の仕事とは違うのである。ガスの供給は、少くとも公共性を大きく取り上げなければならないはずです。この公共性という理由から、今まで国としても、県としても、この茂原の天然ガスのさく井に当っては、ずいぶん援助をしてきたはずです。これは大多喜天然瓦斯の時代から、営々として今日まで発展をさしてきて、そして茂原を中心として、天然ガスを利用するところの工場を誘致しようということが、地元の一体となっての念願なのです。そこに幾つもの工場ができてきた。それは、安いガスがどんどん供給される。従って、工場を持っておるものは、自分のところで掘ってもいいのだが、掘るよりも、やはり大多喜天然瓦斯というものを置いて、ここから供給される。それはどこの会社に対しても、同じようなエネルギー原価主義に基くところの考え方によって提供されるということを条件として、工場を持ってきておる。それが、独占資本であるところのものが大多喜天然瓦斯そのものを買収してしまって、そうして、自分のところで使うところのものは一立方メートル四円くらいで、ほかの方に提供するものは、資材の値上りだの、あるいは設備の改修だの、あるいは労賃だの、そういうふうなことを理由として、大幅な値上げをして、向うに犠牲を転嫁させよう。こういうようなばかげた申請を、受け付けるということがありますか、これは出直して考えるべき問題である。ましてや、あなたの方では、公聴会を開いたというが、公聴会とは、一体いかなる精神で、どういうようなおつもりでお開きになっているのですか、これはまことに奇々怪々である。あなたの方の先ほどの答弁を聞けば、公聴会のメンバーは大多喜天然瓦斯、いわゆる会社側の代表を出して、その他市会の者多数が傍聴に見えましたとあるが、少くとも公聴会というものは、この値上げに伴って利害関係相対立するものの声を聞いてこそ、公聴会でしょう。それを、申請しているところの会社側だけ呼んで、どうしてほんとうの公聴会ができるのですか。こんな八百長の公聴会をあなたの方はやっているのですか、これは大問題ですよ。通産省として、監督官庁として、こんな公聴会を、あなたの方は今までやっているのか。この、天然ガスの問題だけに限って、こういう変なやり方をなさったのか、あるいはいつでもこういうやり方をしているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/218
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219・東澄夫
○東説明員 一番最初に御説明を申し上げましたように、今回は、公述人が、会社側の人しか出なかった。それは一般に知られておらなかったということは、遺憾であると申しました通りでございまして、なお、公聴会のいかんにかかわりませず、地元の意見は、十分これを拝聴すべきものと考えまして、公聴会にお出しになると同じ程度のウエートを持って、御提出を願いました意見書につきましては、十分われわれの方で趣旨を尊重いたして、今後の検討に資したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/219
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220・横錢重吉
○横錢委員 ばかなことを言いなさるな。一月の十七日に正式の申請書を受け付けて、受け付けるまでには、相当の理由ありと認めてこれを受け付けておるということを、あなたはさっき言っておる。その上に、三月の十八日に官報で公示をして公聴会を開いて、その公聴会のメンバーには申請者だけが入っている。こういうようなやり方で、このときに、三日前に、茂原の市会、茂原の消費者、茂原の関係者というようなものが気がついたから、そこで異議を申し込んで、市会の全員の決議によって反対陳情が出たから、今日のような状態にとどまったのです。その反対の陳情がなかったら、あなたの方はすらすら通った。通さない理由は、何もないでしょう。書類は受けつけた、公聴会は開いた、反対はなかった、みな申請者の方だけなんだから、満場異議なしで通ってしまう。そういふうなことをやったならば、その次には、あなたの方では、この値上げを制限する、あるいは値上げを認めないというふうな理由は、何一つとしてないでしょう。これに待ったをかけたならば、おかしいでしょう。当然これは、あなたの方では、これだけのものをやって通してしまうというだけの考え方をもって、やっておったのでしょう。これはおかしな話ですよ。行政として、これが正しいと、あなたは考えておりますか。あなたの方では、初めから公聴会に、利害関係相対立すると予想される者を呼ばないで公聴会をやるようなやり方をしているのですか。その点、もう少しはっきりと聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/220
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221・東澄夫
○東説明員 公聴会の趣旨は、御指摘の通りでございまして、官報に告示をいたしますのも、利害関係者の皆さんが出てこられて、それぞれの御意見を、それぞれのお立場からお述べになる機会を与えるということでございました。これにつきましては、先般来申し上げましたように、一般的には、会社側に大いにPRをせよ、こういう申請があることを、地元の有力者等にお話をして、一般の理解を得るようにせよ、そういうことが普通に行われておりまして、そのために、一般の新聞等にも報道をせられ、告示は官報だけではございますけれども、一般の新聞にも出るのが普通でございました。それによって、法律的な手続、これはガス事業法によってきめられた手続でありまして、意見をお述べになりたい人は、しかるべき書面をしかるべき日にちまでに提出するという手続をとっておるのが、一般でございます。私どもも、大多喜天然瓦斯に対しましても、その他の会社と同じように、やはり地元の御理解を得るように努力をせよということは、かねがね申しておりましたために、一般の方々が御存じないということを、予想をいたしておらなかったわけでございます。従いまして、市会の方々もおいでになり、公聴会には御出席にならないけれども、同じようなウエートをもって取り扱うから、意見書を提出をしていただきたい、またそれについては、十分な御説明を承わらしていただきたいということで、やって参りましたわけであります。それからまた、そういうことになっておりましたために、本件につきましては、別に市会にも特別委員会が設置せられたことでございますので、会社側にも、その委員会に、いろいろ会社側の立場というものをよく御説明申し上げよ、なおかたわら、われわれの方といたしましては、お出し願いました意見書も、公聴会でお聞きしたと同じ程度にしんしゃくをいたしまして、慎重な検討を今後加えていきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/221
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222・小平久雄
○小平委員長 横錢君にちょっと申し上げますが、二、三十分という約束で始めたのですから、なるべく簡単にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/222
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223・横錢重吉
○横錢委員 あなたの方で、公聴会における重大なる手落ちをされたということは、お認めだと思う。これは、当然聞くべき人の意見を聞かなかった。少くとも、ガス料金の値上げという問題に関して、しかも、これは茂原市を中心とするところのガス料金の値上げであって、一般の多くの人に供給されているものではない。従って、これを官報に告示した、読んだのは申請者側だけ、公聴会の場所は東京、こういうようなことで、地元における消費者の意見が反映されないということは、あなたの方として、百も承知だと思う。しかも、承知のはずでありながら、これをやらないというのは、故意にやったか、あるいはまたぼんくらであって、うかつであったか、そのどっちかに帰するものです。これは、公聴会における重大なるあなた方の手落ちだ。こういうような手落ちのままに申請書を受け付けて、これでもって料金の値上げを進めているならば、大問題です。従って、この問題は、もとに返してやり直すべきである。しかも、申請の理由となっているものは、一つとして納得のできないものばかりである。もし、設備の改善、あるいは新設、そういうような点で、ほんとうにこうしなければガス事業が発展しない、消費者に対して、より多くのよりよいガスを供給することができない、こういうような正当な理由があるならば、堂々とそれを出して、そうして検討させて、地元の消費者の納得の上にこれをさせるべきである。これが、ガス事業における公共性のゆえんです。これをやらなかったら、どうしてほかの会社が安心をして茂原地帯に、ガスを原料とするところの工場を持っていくことができますか。三井系の系列産業だけは、三分の一足らずの安い料金をもってこれを受けることができて、その他の企業というものは全部三倍以上の料金をとられる。こういうような不公平なことをされて、工場を持っていくばかがありますか。持っていったならば、その会社は、必ず競争に負けて、つぶれてしまう。これでは、あなたの方として、大事なガスの公共性というものを守ることができない。ガスの公共性を守るからには、この東洋高圧に対する供給も、これは別個の意図でやるとかなんとかいう逃げ言葉でごまかすのでなくて、ほんとうにガスをエネルギーとして使うものの立場、今後工場をここに持っていくものの立場、そういうものを十分に考えて、あなたの方が大事な判定をされなかったら、これは大へんなことになりますぞ。その点を、一つ十分に考えられて、この問題はあらためて公聴会を開く、あるいはまた申請の理由については、この書類を関係会社に却下をして、そうして地元の十分なる納得の上に立ってこの問題を考えてもらいたい。このことをあなたの方に強く要望しておいて、私のきょうの質問を終りたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/223
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224・小平久雄
○小平委員長 再び、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/224
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225・多賀谷真稔
○多賀谷委員 未開発炭田の開発について、鉱区の調整について、特別規定が設けられておるようでありますが、この特別規定によって、果して適正規模の鉱区ができるかどうか。なるほど、錯綜した鉱区の是正は、若干可能であるかもしれませんが、果して、それで適正規模の鉱区になり得るかどうか、これをどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/225
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226・村田恒
○村田(恒)政府委員 適正規模の鉱区を何とか造出いたしますために、まず基本的な調査を実施しまして、その中において鉱区の調整を必要と認める場合には、当然適正な規模の鉱区を造出するということを勘案いたしまして、鉱区の調整に関する勧告等も行うわけでございますので、全部が全部適正な規模の鉱区ができるというわけには、個々の企業が、個々の鉱区を持っております現状のもとにありましては、なかなか一時には理想まではいかないと思いますけれども、一歩々々その理想の方に近づいていくことは、可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/226
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227・多賀谷真稔
○多賀谷委員 未開発炭田の開発というのは、やはり処女地でありますから、鉱区の適正規模の配置ということが、一番必要ではないか。ただ錯綜せる部分だけを是正いたしましても、根本において、鉱区が十分適正規模に置かれておるかどうかというのが問題です。そこで、適正規模の鉱区にするには、どうしたらいいか、この点が検討されなければならない。せっかくあなたの方で、錯綜鉱区の一部について、いろいろ鉱業法より一歩乗り出した前進的規定がありますけれども、肝心な点が抜けておる。ドイツの石炭事業の、最も合理化の進んだといわれます一九三〇年代を見ましても、切羽の集約、抗口の集約というのが、最も合理化の形式として行われておる。フランスの戦後の合理化も、結局は集約合理化であります。そこで、ドイツの場合は、一九二七年から一九三四年までに、切羽の数は五分の一に減って、そうして切羽単位の出炭は四倍にふえておる。フランスにおいても、御存じのように、フランスは、現在鉱区は国有になっておりますから、最も適正単位の規模において開発が進められておる。要するに、炭鉱の合理化というのは、集約合理化であるといわれておる。でありますから、処女地である未開発地域においては、やはり適正規模の鉱区を造出するというのが、最も必要である。ただ部分的に錯綜しておる部分だけを直すということでは、完成しないのではないか、私はこういうように考えますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/227
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228・村田恒
○村田(恒)政府委員 ただいま多賀谷委員の御指摘の通りであります。従来の鉱業法の観念からいたしますと、いつでも、この錯綜するという言葉に、とらわれがちなわけでございますが、今度改正いたしましたところには「さくそうする地域において採掘権の譲渡又は採掘鉱区相互の間の鉱区の増減を行うことによってその地域の鉱床の急速かつ計画的な開発を行うことができると認めるときは」云々という規定になっておりまして、このどこに重点があるかと申しますと、「その地域の鉱床の急速かつ計画的な開発を行う」というところが、ねらいになっておるわけでございます。これは、法制局の解釈といたしましても、非常に小さい規模の鉱区が隣接して点在しておるという場合も、鉱区の錯綜するという中に、広い意味においてこれを包含する、こういう法制局の解釈でございます。従いまして、今後の運用におきましては、あえて錯綜するという言葉にとらわれることなく、あくまで「鉱床の急速かつ計画的な開発を行う」ということに重点を置いて、この運用を実施する方針でございます。
なお、その点をさらに強く裏づけできます理由といたしましては、御承知のように、従来の鉱業法によりますと、鉱区の増減に関しまする通産局長の決定権というものは、あくまで鉱区の位置、形状が、鉱床の位置、形状と異なっておって、そのために合理的な開発ができない場合に、その鉱区の位置、形状が、自分の持っておる鉱床の位置、形状と異なっておるということを条件としておるわけでございます。しかるに、本法におきましては、そういう条件をはずしまして、単に、急速かつ計画的な開発を行うために必要なるという、非常にゆるい条件でもって鉱区の調整を行う、こういう規定になっておるわけであります。
以上申し上げましたように、錯綜するということは、ただいまではきわめて小規模のものをまとめていくという場合も、広い意味において含むという法制局の解釈と、さらに、その鉱業法において、鉱区調整を適用する条件がさらに緩和されておるという二つの点において、今申しましたお示しのような方向においてこれを運用することが可能である、またそういう趣旨によって運用したい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/228
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229・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この六十八条の七で、果して小さな鉱区は全部譲渡命令ができる、一本にし得る、こういう解釈が出ますか。これは大丈夫ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/229
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230・村田恒
○村田(恒)政府委員 仰せの通り、錯綜するという意味を特に広義に解釈するという法制局の解釈でありますから、それは可能だと思います。
なお、新しい処女地でありますが、これにつきましては、租鉱権等の設定は一切認めない、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/230
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231・多賀谷真稔
○多賀谷委員 採掘権の譲渡だけを隔離することはできますか。これは当事者がだれかいなくても、できますか。Aという者に譲渡せよという場合、そのAという譲渡を受ける側がいなくて、譲渡命令ができますか。率直に言いますと、A、B、C、Dという小さい鉱区がありますね、これを一本にするためには、だれか主体がなければならぬでしょう。この主体は、どうして作るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/231
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232・村田恒
○村田(恒)政府委員 その場合におきましては、主体はないと申されますけれども、ともかくA、B、C、Dという鉱区が存在するわけでございます。従いまして、そのA、B、C、Dのいずれかにくっつけていくということをやるより、しようがないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/232
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233・多賀谷真稔
○多賀谷委員 いろいろ小さな鉱区が散在する場合も、一体にできるということですから、それに期待をしておくわけですが、これはきわめてむずかしいと思います。
それからA、B、Cでなくとも、だれか全然別個のXという人に対して、譲渡命令ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/233
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234・村田恒
○村田(恒)政府委員 全然鉱業権を持っていない者には、それは不可能であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/234
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235・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この問題は、先ほど伊藤委員からもお話がありましたが、既設鉱区にも、やはり大きな問題があると思うのです。むしろ未開発鉱区の場合は、それが行われなければ、その炭鉱が命脈が終って全部閉山のうき目にあうということは、未開発炭田ですから、ありません。ところが、既設鉱区においては、その点が今非常に問題であります。現実に、一方の炭鉱では二百年もの鉱区をかかえておる、一方はもうここ五、六年しかない、あるいは明年の三月に切れるのだ、こういった切迫した状態にある。一方は、今申しましたように、百年も二百年もの鉱区を持っている、こういった場合こそ、かなり必要ではないか。しかも、その炭脈のないという鉱区の施設が、老朽化しておるかというと、必ずしもそうでない。まだその炭鉱に、ここ二十年ぐらいの鉱区を分ち与えれば、さらに隆々とする、生きかえる、こういう事情にもある。しかも、その場合には、多くの鉱区を持っておる側からはとてもとれない。ところが、隣接鉱区からは容易に採掘し得る、こういう場合がかなりあると思います。ですから、未開発鉱区においてそれだけ踏み切られるならば、既設鉱区にも、なぜ踏み切られないのか。この点どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/235
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236・村田恒
○村田(恒)政府委員 仰せの通り、現在あります既存の鉱区につきましても、このような鉱区の調整というものを、事実上行なっていかないと、非常な不都合を生ずるという場合が多々あることは、御指摘の通りでございます。しかしながら、法律の建前といたしましては、本法は、あくまで鉱業権というものを扱うのでございまして、鉱業権の基本をなしておりますのは、もちろん鉱業法でございます。ところが、この鉱業法で課しておる鉱区の調整ができる適用条件、それを、よりゆるめておるわけでございますから、鉱業法以上にさらに強い規定を適用し得るようにいたしますためには、特別に、そのために公益上の強い理由がなければなりません。その公益上の強い理由というのは、未開発炭田を、国家の要請に基いて積極的に開発していくという、公益上の強い要請がありますために、これだけのゆるい条件でもって、鉱区の調整を一定の地域内に限ってできるという、ここまで現在の鉱業法の権利そのものに対する修正と申しまするか、いろいろ今後の観念の整理というものをいたさない限り、法律の建前としては、一般地域につきましては、鉱業法をさらに進めるということは不可能である、こういう観点に立って、こういう指定地域に限ったわけであります。しかしながら、既存の鉱区におきましても、今申し上げましたように、そういう必要があることは、多々ありますので、これは現行の鉱業法の適用を、できるだけうまく運用いたしまして、支障のないように運営していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/236
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237・多賀谷真稔
○多賀谷委員 未開発炭田においてできるならば、既存の炭田においても、できないというわけはないのです。公益上の点をおっしゃるならば、同じです。その点からいうならば、石炭が出さえすればいいのですから、増産ということは、何も未開発地域だけではないのです。ただ未開発地域には、総合的にできやすいというだけであって、そのほかに廃山防止とか、あるいは失業者の防止とか、雇用の維持、そういう面からいうならば、むしろ既存鉱区の方が、より重大で緊急性がある。しかも、増産という面から見れば同じです。ですから、公益性を言われるならば、あなた方が法律に書きさえすれば、できるのです。あなた方が踏み切れば、できるのです。それを、緊急かつ計画的にやる、こうおっしゃれば、できるのです。なぜおやりにならないのか。先ほど申しておりますように、そういったところに、やはり七千二百万トンしか計画できない隘路がある、かように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/237
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238・村田恒
○村田(恒)政府委員 指定地域についてだけ適用いたしましたのは、法律的には、現在鉱業法で規定しております以上に強い規定を、指定地域外に及ぼすということは、鉱業法の建前上むずかしいということと、いま一つは、この指定地域につきましては、国が、まず基本となります計画を策定して、その計画に準拠して事業計画の届出をさせまするし、さらに、事業着手の義務も負わしていく、こういう強い要請がありますので、この点において、鉱区の調整を実施していくということは、当然であると思います。既存鉱区におきましては、既存地域としての総合的な計画を急速に立てるという段階に、まだ至っておりません。そのために、既存鉱区につきましては、これを適用することは、まだ時期尚早である、こういうような考え方から、今回はこれを規定に入れなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/238
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239・多賀谷真稔
○多賀谷委員 時期尚早というのは、逆じゃありませんか。既存鉱区の関係の方が、緊急性を持っておるわけです。ただ、あなたの方は、やりやすいところからやろうと言われるならば、わかりますよ。着手義務があるといいましても、新たに譲渡したところには、着手義務を書けばいいのですから、何も問題はない。ただ石炭局の方が踏み切れないから、できないだけであって、法律上も、未開発地点ができれば、既存地域においてできないはずは、理論的にはないのです。ただし、ないだけです。ですから、ここまであなたの方が鉱業法を一歩踏み込んで前進してきたのですから、私は当然——今非常に問題になっている廃山のうき目にあおうとしている炭鉱は、幾らもありますよ。そうして率直に言って、最近も上京しております佐賀のある炭鉱のごときは、もう来年しかない。しかも、あなたの方が今考えられております未開発炭田の新しい鉱区を持っておるところの、時間的なずれをどうするかという問題ですね。一回首を切って、二、三年たってやっと開発されましたでは、だめなんです。一日もその間をブランクにするわけにはいかない。こういうものこそ緊急性があるのではないか、かように考えるわけです。ですから、せっかく臨時措置法の一部改正をなさって、ここまで未開発炭田について踏み切られたなら、もう一歩前進をされたらどうですか。局長が、法律的にここまで前進をされるなら、私は、もう一歩既存鉱区についても、前進をしたらどうかと思う。これはきわめて重大な問題ですよ。それは、もう両方とも石炭がないという事情なら、別ですよ。一方においては、五十年から百年の埋蔵量を持っておる。一方においては明年あぶないという、こういう事情ですから、私はここを解決してやるのが、政治ではないかと思うのです、今まで、鉱業法をたてにとって、しかも、鉱業法に規定されておる鉱区というものは、本来国民のものです。先ほどお話がありましたように、従来は国有とするという条項が、はっきり入っておったわけですから、やはり国民の手に返す。何かこれは一回出願して権利をとったら、永久に自分の私有物であるというような考え方、また鉱区というものが最も大事だ、これはまあそうでしょう。私有経済、あるいは現在の私企業の間においては、鉱区が最も大事なものでしょうけれども、これを不可侵的に考えておる。そこで、私は、不可侵的に考えておるならば、まあやむを得ぬと思いますけれども、ここであなたが一歩踏み出したなら、なぜ既存鉱区のところまでお考えにならなかったか。現在、日本の政治の中で、一番重要であるのは、やはり雇用の維持というのが最も重大ですよ。その点から見るならば、あなたの方が一歩踏み切れば、これは相当解決しますよ。そういった点は、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/239
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240・村田恒
○村田(恒)政府委員 今御指摘の佐賀県の例、あるいは宇部、沖宇部等の例を見ましても、これは明らかに何らかの調整措置を、行政指導によるなり——当面行政指導を第一段階といたしますが、あるいはさらに鉱業法の幅の広い運用によりまして、これを何とか解決しなければならない問題を控えておることは、事実であります。ただ、今回の改正は、あくまで新長期経済計画を背景といたしまして、特に新しい炭田の総合的な開発をやっていこうということをねらいましたので、その地域に限定した次第であります。その地域を総合的に開発するためには、鉱区調整が必要だから、鉱区調整をやっていこうという建前で、出発いたしておりますので、今後、さらにその他の地域につきますいろいろな調整問題については、今後の研究をさらに進めていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/240
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241・多賀谷真稔
○多賀谷委員 もう研究は十分進んでおるのだけどれも、決断ができないというのが実情でしょう。何ももう研究することないでしょう。もうだれが考えても、同じであります。あなたの方で法律さえ作っておやりになれば、りっぱにできる。今から調査して研究しようという性質のものではありませんよ。その事案が起きたときに、初めてその事案をどうするかという具体的な問題なのです。しかし、それは調整機関でおやりになればけっこうです。そこで、休眠鉱区については、どういうふうに考えられておるか。ことに、休眠鉱区の場合は、そういうことは可能ではないか。もっとも、休眠鉱区と既存鉱区との関係といいますと、既存鉱区は、隣接が稼働しておるのは、これはあまり例がないかもしれませんけれども、休眠鉱区についてはどういうようにお考えであるのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/241
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242・村田恒
○村田(恒)政府委員 休眠鉱区につきまして、御承知のように、この合理化法は、二十年に制定されました当時、鉱業法に規定されております着手義務は、石炭鉱業については、片方において坑口の開設の方を制限し、しかも、反面において着手義務を負わせるということは、矛盾でありますので、全面的に着手義務をはずしたわけでございます。しかしながら、ここにまた国としての新しい要請が起りまして、特に総合炭田開発地域におきましては、本法の改正によって、着手義務を復活しております。従って、この場合には、その地域が総合炭田開発地域として指定されましてから、六カ月以内に着手しなかった場合には、鉱業権の取り消しを行う、こういう規定が適用されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/242
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243・多賀谷真稔
○多賀谷委員 従来の既存炭田は、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/243
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244・村田恒
○村田(恒)政府委員 既存炭田については、さしあたり今回は、その範囲まで全部広げておりません。これはまだ依然として合理化を促進し、坑口開設許可を残しておりますので、特に積極的に国が力を注いで解決していこうという指定地域以外のところに、着手義務を復活することは、時期尚早であるというので、これは復活しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/244
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245・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、休眠鉱区の問題も、徹底的に考えていかなければならないと思います。
日本の、今、確定炭量と言われておるのは、何億トンですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/245
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246・村田恒
○村田(恒)政府委員 端数は覚えておりませんが、約五十七億かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/246
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247・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その五十数億トンの中で、三井、三菱、北炭が持っておるのは大体その半数、二十四億三千万トン。これはおそらく財産目録として、株主総会に出したのでしょう。私、日本経済新聞の上場会社要覧から、ずっと各炭田別に集めてみたのですが、二十四億三千万トンの確定炭量があるといわれておる。ですから、この数字はきわめて大きいものだと思う。大体半分持っておる。これは別のことでありますが、こういうように鉱区が独占的に扱われておる。ほかの炭鉱は、なかなか鉱区を得ることができない。これが埋蔵炭量になると、さらに大きな数字になるわけです。要するに、確定炭量もその程度であります。それで、これらの休眠鉱区を含めての炭田に、やはりメスを入れていかなければ、結局七千二百万トン以上は出ないということになるわけです。
さらに、一体日本の資本家というのは、日本の経済界というのは、炭鉱に投資をする意欲があるのかないのか。炭鉱自体は、その気持を持っておるでしょうが、日本の経済界は、一体、炭鉱に資本を投下する気持があるのかどうか、これを疑わざるを得ない点を、いろいろ聞いておるのであります。日本の経済界、ことに日本の財界は、炭鉱開発に熱意があるのかどうか。この点、石炭局長は、どういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/247
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248・村田恒
○村田(恒)政府委員 先ほど申し上げましたように、過去におきます短期的な景気の変動によりまして、石炭鉱業は、しばしばその根底からゆすぶられてきております。従って、石炭鉱業が、ある程度危険を伴うリスキーな産業であるということについて、みな不安を持っておることは、事実だろうと思います。しかしながら、それも、国の政策が、あくまで日本の国内炭の増産を考え、国内の民族産業を盛り立てていくのだという建前がはっきりいたしました現在においては、御心配のような点は解消している。むしろ、石炭鉱業に対する投資意欲というものは、現在石炭鉱業に従事しておる経営者のみならず、それ以外の部門からの投資意欲というものも今後増大していく、こういうように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/248
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249・多賀谷真稔
○多賀谷委員 投資意欲が増大をしておると言いましても、平均利潤率はだんだん下っておるのですよ。これは客観的に見まして、炭鉱の平均利潤率は、世界的に下っておる。ですから、平均利潤率が下っておるところに、投資意欲が起ろうはずはありません。これは、純経済的に私は話しておる。炭鉱は、平均利潤率がずっと下っておる。炭鉱だけではありません、下っている企業もある。しかし、第二次加工、第三次加工の企業というのは、非常に利潤率が高い。ところが、炭鉱のような第一次基礎産業で、しかも、今申しましたようないろいろな制約の条件がある産業は、平均利潤率は低下している。日本の各産業の利潤率の不均衡が、だんだん出てきておる。ですから、局長が、いかに投資意欲が盛んだと言いましても、現実、投資意欲はないですよ。それは、平均利潤率の下っておる産業に、どんどん投資をする人がありますか。一体こういう点は、どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/249
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250・村田恒
○村田(恒)政府委員 ただいま私どもでちょっと調査いたしました炭鉱の利益率を、ほかの産業と比較いたしますと、たとえば、昭和三十一年上期に、総資本利益率は、石炭鉱業二・八%、下期は三・四%でありますが、これに対しまして、一般製造工業は三十一年上期が七・二%、三十一年下期が八・四%、こういうような工合で、明らかに一般製造工業に対しましては非常な——また、従業員一人当りの純収益率というものも低いわけであります。しかしながら、それは今までの姿でございまして、石炭鉱業というものが、単に燃料としての石炭を掘っていくのだ、こういう姿である限りにおいては、なかなかいろいろな問題があると思います。しかしながら、石炭鉱業も、現在の産業資本の中において生きていくためには、このような状態をいつまでも継続するということは、自己防衛の点でも、できないのであります。その意味におきまして、たとえば、低品位炭を利用いたします発電の問題でありますとか、あるいは、流動乾溜によりますいろいろな豆炭、あるいはガスの製造そういうような広い意味におきます石炭化学というものは、今非常な発展を見せておる段階でございます。さらに、これにあわせて、今回のような措置によりまして、法律の裏づけまで持って徹底的な増産態勢をとり、あるいは徹底的な合理化施策を講じていく、それによって次第にコストを低減していくのだ、こういう方策が打たれる場合におきましては、今、御心配のような問題は、すぐには解決されないにいたしましても、何年かたちますれば、この問題は逐次解決されるもの、こういうふうに期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/250
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251・多賀谷真稔
○多賀谷委員 局長が、企業家のような話をしても、いかぬと思う。行政府は、やはり行政府らしい解決の方向を見出さなければ、いかぬのです。それは企業家の言うことです。いわば自己の企業の安定を保つために、あるいは石炭化学をやったり、あるいはまた低品位炭利用をやったり、工場を起してやったり、それは日本経済から見れば、確かに、産炭地においてそういうことが行われるならば、あるいは損失が少い、輸送費が要らないという面があるでしょう。しかし、それは、日本経済全般から見るよりも、むしろ企業家の立場から見た場合に、企業が安定するわけですね。しかし、政府から考えるならば、この傾向というものは、やはり簡単にもとに返るという状態にはないわけです。この傾向は、世界的にだんだんひどくなってきておる。ですから、この傾向をどういうように調整するかというのが、やはり政策です。そこで、結局この利潤率の問題が、一方において低下する企業があり、産業があり、一方においては、ずっと上昇のカーブをたどっていく産業がありますから、この調整はどこでやるかといえば、これは財政でやるのです。結局、財政を通じて再配分をする以外にないのです。石炭局長がその気持でないと、なかなか融資はとれませんよ。ですから、これは財政を通じて再配分をするという制度を確立しなければ、一方においては平均利潤率が下る企業、一方においては非常に上る企業、この調整はできないと思う。これをどういうふうにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/251
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252・村田恒
○村田(恒)政府委員 先ほど申しましたのは、企業自体が、自分が生き抜いていくためには、どういうような企業努力を続けているかということについて、申し上げた次第でありまして、石炭のような大事な地下資源に対します国の立場というものは、これに対するいろいろな監督なり干渉というものは、国としてもだんだん強くなると同時に、また一面、今お示しのように、国はその発展のために、徹底的なうしろだてになってやる。裏づけとして財政投融資等についても、大幅な援助を与えていくということは、当然必要とされるわけであります。特に七千二百万トンあるいはそれ以上の出炭を考えていくという場合には、大幅な財政投融資というものを継続していかなければ、国の要望するような出炭態勢というものはとれないということは、明白でございます。その意味におきまして、今までより飛躍的に、三十三年度におきましては、開発銀行の融資は百億に達するわけでございます。また明年度以降も、こういう法律があります以上、こういう法律の力を背景として出炭態勢を督励する、同時に、大幅な財政投融資というものを継続していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/252
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253・多賀谷真稔
○多賀谷委員 炭価は、世界的に見ますと、生活水準の上昇に比例して上っていっておるのです。これは実は労務費が、どの国の労務費を見ても六〇%から七〇%。日本は、労務費が多い、多いというけれども、率は西ドイツと大体同じくらいで、決して西欧諸国やアメリカなどの国に比べて、多くないのです。労務費のコストに占める割合というものは、アメリカあるいはイギリス、フランスに比べて、日本はドイツと同じように低いのです。そこで、石炭産業の場合、炭価と申しますのは、生活水準の上昇と大体比例して、遺憾ながら上っておる。これは長期計画を組まれる場合に、長期計画の方は消費水準をずっと上げておいて、炭鉱の労賃だけを下げようといったって、下らないですね。ただ、コストに占める割合を、増産して補う以外にないわけです。ですから、やはり消費水準、生活水準が一般に上れば、一般に上るだけの労賃を上げてやらなければならぬ、ここに大きな悩みがある。そこで、今申しましたように、どの国でも、この悩みが、現実に平均利潤率の低下という形で現われておる。これは、現実の姿です。ですから、これを解決するためには、今申しましたように、石炭だけではございませんけれども、財政を通じての再配分ということが、最も必要ではないか、こういうことを考えるわけです。そこで、一つ、一そう局長に努力してもらいたい、かように思います。
そこで、次に、私は、需給の調整について、お尋ねをいたしたいのですが、先ほどから、需要に対する生産の弾力性の乏しいということが、かなり言われた。そこで、需要期に対しても生産が伸びないと同様に、また需要が減退をいたしましても、生産の縮小というものは事実上困難である。これは、単に石炭だけでなくして、労働賃金でも同じです。労働賃金の実質低下というものは、非常に困難です。これは、労賃というものは、固定化しますから、なかなか困難である。昔のように、需要と供給とでバランスがとれるという状態には、ないのです、そこで、一体、需要に対する生産の弾力性のない企業、しかも生産の縮小がきわめて困難なこの企業について、需給調整をどういうようにお考えであるか。これは、やはり制度的に考えなければだめだと思うのです、糊塗的にお考えになっても、私は解決しないと思うのです。これは、局長は、どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/253
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254・村田恒
○村田(恒)政府委員 基本的な態度としましては、先ほど来御指摘のありましたように、あくまで国の要請いたしまする所要エネルギーと供給は、まず国内の石炭を主体として供給の確保をはかり、その足りない分について、輸入エネルギーによって補足していく、こういう建前をとることが、根本であると存じます。それが第一であります。第二には、そういうことをやりましても、なお、このような長期増産態勢をとります場合には、短期的な景気変動に伴いまする貯炭の増加というものを、見ざるを得ない場合が考えられます。それに対しましては、石炭の一番大きな消費部門であります電力部門を中心といたしまして、年間約百万トンの貯炭設備を増強してもらいたい。御承知のように、現在の電力部門の貯炭能力は、全国で三百十万トンほどの能力を持っております。このキャパシティを、さらに百万トン引き上げたいというのが、われわれの考え方です。この考え方の具体的な方法といたしましては、九州地区に、とりあえず今年から手をつけまして、約五十万トンの貯炭場を作りたい。さらにそれにおっかけまして、北海道の地域に五十万トンの貯炭場を増設したい、こういうふうに考えております。それと、また同時に並行いたしまして、制度的なものとしては、これはまだ具体化いたしておりませんけれども、石炭業界の方で、一種の買取機関と申しますか、不況対策、中小の中でも、特に小炭鉱が、一時需給のアンバランスが起りました場合に投げものを出す、非常にダンピングを行う、これをある程度防止いたしまするために、一種の買取機関というものを考えようという案が、今研究されております。私どもといたしましては、これら石炭業界の貯炭対策、電力業界を中心とした貯炭対策、この両方の制度をあわせまして、制度的な運用をはかっていきたい、こう考えております。
それから、先ほどの財政投融資に関連いたしまして、ちょっと申し落しましたので、追加いたしますが、単に財政投融資のワクを確保するというだけでは、石炭鉱業のように、弾力性の乏しい産業につきましては、きわめてむずかしい問題がございますので、われわれは、さらにこれを特に長期な形にしていきたい。現在、開銀融資は、平均七年程度でございますが、これをマキシマム十五年まで持っていってもらいたい、こういう交渉を、開銀及び大蔵省と折衝中でございまして、それと同時に、金利の問題につきましても、事業団が三十五年八月になくなりまして、一応現在の納付金の規定はなくなるわけでございますが、約定金利が九分で、実際上石炭鉱業に対しては六分五厘でございます。整備事業団の納付金を納めさせることが取りやめになりました後におきましても、なおかつ六分五厘程度の金利は継続してほしい。これも金融当局と、折衝をずっと続けておる段階でございます。これをつけ加えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/254
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255・多賀谷真稔
○多賀谷委員 かって石炭合理化法案が出ましたときに、われわれは別の案を出したのですが、どうもその案にだんだん近づいてきつつある、そういう感じを持つわけです。ここに、当時の参考資料がありますが、われわれの提案をした通りに、だんだんなってきておる。これは、政策がだんだん一致してきて、政権の授受が容易にできることを意味しておると思って、喜ばしく思っておるわけであります。そこで、当時非常に問題になりました豊渇水の場合の、石炭の需給がくずれるという問題ですが、四%という豊水を当時見られておった。これは町田さん、よく御存じで、あなたの方が四%という豊水を見られておったのですが、そこで私は、年間を通じて、三十年、三十一年、三十二年と、大体何%くらいの豊渇水になっておるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/255
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256・村田恒
○村田(恒)政府委員 説明員より補足説明をすることをお許し願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/256
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257・町田幹夫
○町田説明員 私から御説明を申します。三十年の出水率は一〇五%でございます。三十一年度は一〇六%、三十二年度は上期が一一二%、三・四半期は九七%、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/257
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258・多賀谷真稔
○多賀谷委員 年間を通じた二十二年度は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/258
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259・町田幹夫
○町田説明員 年間を通じては、まだ計算できて起りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/259
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260・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大体年間を通ずると、一〇五%くらいになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/260
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261・町田幹夫
○町田説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/261
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262・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると現在、電力に渇水準備金という制度があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/262
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263・町田幹夫
○町田説明員 ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/263
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264・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、渇水準備金の方は、もう是正をする時期に来ておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/264
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265・町田幹夫
○町田説明員 渇水準備金につきましては、是正と申しますか、電力会社によりまして、非常にアンバランスになっておりまして、渇水準備金が非常にないところと、それから非常にあるところ、こういうふうな状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/265
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266・多賀谷真稔
○多賀谷委員 各社において、水火力の割合が違いますし、また自流式水力の場合と、大容量の場合は違いますから、おのずからそういう点が出てくると思います。そこで、最初一〇四%の豊水を見られたというのが卓見であるならば、渇水準備金の方の一〇〇%というのも、やはり是正をすべき段階に来ておるのではないか、こういうように考えるわけですが、これは石炭局長に質問しても、所管外の質問ですから、お答えを願うというわけにいきませんから御遠慮申し上げますが、こういう点も、やはり政策は統一的に行うべきである、こういうように考えます。
そこで、炭鉱の場合は、局長十分御存じのように、供給が非常に過剰になりましても、またあるいは需要が供給を上回りましても、すぐ両方とも投機の対象になる。一方においては値上りの投機の対象になり、一方においてはダンピングの対象になる。それが投機を伴って、さらにダンピングがひどく行われる、こういう状態にあるわけです。そこで、今、買取機関の問題が出ましたが、これは具体的にかなり進んでおるわけですか、実際どういう構想を持って行われておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/266
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267・村田恒
○村田(恒)政府委員 これはまだ具体的には進んでおりません。ただ、そういうふうな考え方を業界として持っておるが、政府としてはどう思うかということより、もう一歩進みまして、大いにこういう考え方を支持してもらいたいという申し出がある段階でございます。大よその考え方といたしましては、非常に投げものが出るおそれが予想されます場合に、別会社を一つ各炭鉱で出資して作りまして、その会社が、一定の基準を設けて、ダンピングをするおそれのある石炭を一定量買い取りまして、これを凍結しておく、こういうふうな考え方でございます。ただ、これに関しましては、公正取引の法律との関係がございますので、一体、会社組織というものが妥当であるか、あるいは組合のような組織を持っていくのがいいか、あるいは全然これを離れまして、特に関係の深い中小炭鉱と、買い取りを今後行おうというような希望を持っております会社との、個別な取引にこれをまかせるか、これは今後さらに研究を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/267
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268・多賀谷真稔
○多賀谷委員 販売の面で、各社とも、それぞれ出張所ないし支店を持っておるわけです。しかも、炭鉱の石炭の成品というものは、質的競争というものはあまりないわけです。若干選炭をよくしてアッシュをなくするという程度で、質的な競争というものはないわけです。一種の運搬業で、下にあるものを上に出すのですから、物を作って製品をよくするというようなことは、あまり考えられないわけです。ですから、普通の電気器具のメーカーとかその他のように、競うて製品を作るというものではない。この企業は、石炭の質を変えるというわけにはいかないのですから、自由競争をやっても、生産性の向上という点は、その点においては現われないのです。そこで、販売の面で、名古屋とか大阪とかいうところに、おのおの支店を設けて、むだな競争をしている。これも国家的に見ると大きな損失です。雇用量から見ると、若干人がふえておりますから、いい点もあるでしょうけれども、これはきわめてむだな話です。販売量というのは、コストの中にかなり大きなウエートを占めてきている。ですから、こういった面も、やはり共同組織にする必要があるのじゃないか。販売で競争しましても、プラスの面は一つも出てこない、マイナスの面だけです。ですから、こういった点も、一般製品とは違うのではないかと考えるわけですが、このことについては、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/268
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269・村田恒
○村田(恒)政府委員 これは中小企業の協同組合の場合に、一般の場合には三百人でございますが、炭鉱の場合には、それを引き上げまして、千人を単位として組合の結成、協同行為を得るようなあれを認めております。この規定をフルに活用することによりまして、次第に販売面におきますそういうロスをなくしていきたい、このように考えております。
さらに、これはまだ先の問題でございますけれども、たとえば、共同貯炭場というふうなものが実現いたしました場合には、次第々々に現在の販売形態というものにも、ある程度の修正が加えられてくるだろう。と同時に、現在二千七百以上ありますところの炭の銘柄という、非常に複雑をきわめております銘柄売炭というものに関しましても、次第にこれは規格売炭的な性格のものに修正されていくだろう、こういうふうな見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/269
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270・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今の中小企業の協同化の話ですが、よくわからなかったので、もう一度説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/270
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271・町田幹夫
○町田説明員 今度、中小企業団体法に基きまして、石炭の販売業者の組合を作りたいという機運がございまして、中小企業安定法におきましては、三百人以下のものが作るということでございますが、それを石炭の販売業につきましては、もう少し人員をふやしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/271
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272・多賀谷真稔
○多賀谷委員 こういう協同組織の問題は、私的独占の問題と非常に関連があり、こういう問題点があるわけです。そこで、私的利潤と結びつくところに、非常に問題があり、われわれも、私的利潤の追求の場合には、制約せざるを得ない面が出てくるわけです。これは大きな政治問題ですから、一応フランクに議論してみたいと思いますけれども、ドイツは御存じのように、連合企業体制というのが非常に強い。これは協同体の観念というのが、非常に伝統的に強い面もあります。そこで、輸送とか、汚水の処理とか、鉱害とか、販売というもの、これは石炭価格の共同研究というものは、全部一致してやっておるわけです。そうして、むだなく行われておる。日本は企業が小さいくせに、競争はものすごくやって、そうして販売費をずいぶん使っておる、こういうむだがある。あるいは輸送でも、もう少し、私は、港における荷役施設なんかは共同してやったらいいじゃないか、何もAの会社もBの会社も、別個にやる必要もないだろうということも、考えられるわけです。あるいは、さらに一歩進んで、鉱害の賠償なんかにいたしましても、もう少し組織的にあれをやれば、あれほど混乱をしなくてもいいのじゃないか。被害者の面からいいますと、大企業から損害を受けた場合と、中小企業から損害を受けた場合、これは、大企業であるから十分賠償をもらえ、中小企業であるからもらえないというようなばかな話はない。これは純然たる第三者ですから、これも一つ何らか制度的に考えれば、できぬことはないと思うのです。労災保険などというものは、その一例です。これは保険制度ですけれども、それをメリットにして、そうして行えば、できぬことはない。これは技術的に、かなりむずかしいという点はあるでしょう。しかし、従来、鉱害の賠償の経費もわかっておりますし、また具体的に、今すでに事業団などをおやりになっている実例もあるし、何らか制度的に統一すれば、あそこにおる従業員だって、相当のものですよ、鉱害賠償一つだけ取り上げましても……。こういう点も、やはりかなり共同的にできるのじゃないか。また紛争が避けられるのではないか、こういうようにも考えますけれども、当面の問題は、やはり流通機構の問題が、最も大きな問題だと思うのです。ですから、流通機構を一元化して、いかにスムーズにやるかということが、必要ではあると思うのですが、部分的に解決されつつあります。しかし、やはり制度的に解決されない。これに問題があると思うのです。ことに電力用炭は豊渇水によっては非常に違うわけでありますけれども、その電力用炭が、さらに今後は大きく伸びていく。しかし、大容量のダムの関係になりますからそれほど比例をしては、豊渇水の影響は受けないと思いますけれども、しかしそれでも、かなり豊渇水によって影響を受けていく。そこで、ただこれは長期契約という形でいいのでしょうか、もう少し制度的に必要ではないか。先ほど、伊藤委員からもお話がありましたように、渇水準備金という弾力性を持たしておるのですから、炭鉱の方にも、そういう弾力性は必要ではないか。このコネクションを、どうして橋渡しをやるか、こういった問題は、局長はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/272
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273・村田恒
○村田(恒)政府委員 ただいまお話にありましたように、炭鉱業界におきましては、整備事業団にいたしましても、鉱害復旧の事業団等にいたしましても、比較的石炭業界、一つの産業全体のために、出炭トン当り幾らの金を納めよというような、共同してその産業全体の起してきたところの問題を解決していこうという空気が、相当出ていると考えられるわけでございます。そこで、ただいまお話しの、この次の問題としましては、何といっても、コストの中に非常に大きな比率を占めております輸送費の軽減ということが、重要な問題でございます。これは、まず積み出しの方の施設を、できるだけ整備していくこと、それから、積み出しの施設が整備され、港が整備されていくと同時に、そこに一つの共同貯炭場というものを持っていく。そういたしますと、どうしてもいい条件の港のところへいきますれば、そこで、従来の機帆船で何回もやっているよりも、もっと大容量の輸送が可能になり、それによる輸送費の低減というものは、非常に大きなものと考えられます。ただ、これを一挙に、今出炭を行なっております全部の石炭業者の共同行為として実施させるかどうかということは、今すぐには、そこまでは進み得ないと思いますけれども、少くとも電力を中心といたしました共同貯炭場の思想、あるいは買い取り会社の思想というものが出てきておるということは、そこまで次第片々に、一歩々々進みつつある、そういうことを立証し得るのではないか、そういうことに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/273
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274・多賀谷真稔
○多賀谷委員 方向としては、漸次進んでおりますから、私はそれを推進していただきたいと思いますが、やはり流通機構の問題は、きわめて大きな問題だと思います。
次に、低品位炭利用ですが、これは不況時代には、非常に叫ばれたわけですが、好況になりますと、あまりその声を聞かなくなります。不況のときに低品位炭利用を叫びますと、考え方によれば、逆に供給をふやすことになるのですからね。これは一面において、石炭はますます要らなくなるじゃないかという面も出てくる。しかし、炭鉱企業自体を見ますと、今まで売れないものが売れるようになったのですから、企業の安定にはなる。しかし、全般的な需給関係から見ますと、今まで石炭でなかったものが、石炭になるのですから、これは需給関係を大へん乱すことにもなる。しかし、その当時は、低品位炭利用が非常に叫ばれた。ところが、今日炭界が好転をしたときにおきましては、ちょっとわれわれから見ると、逆のような状態になっておるように感ずる。むしろ石炭の需要が増大しておるときにこそ、低品位炭利用を叫ぶべきじゃないだろうか。どうも低品位炭利用が叫ばれたのが、炭鉱の企業の安定のみをねらって、大きな声として出たのか、あるいは国全般の目から見れば、現在こそ低品位炭利用の方が叫ばれてしかるべきだ、こういうように考えるわけです。自家発電の問題にしましても、炭鉱で自家発電が増設されたということは、あまり聞かない。若干ありますけれども、あまり聞かない。それは、結局大容量のものが作れないから、効率が悪いからできないのか、あるいは負荷が悪いからできないのか、あるいはまた、良質の水量がとれないからできないのか、一体どういう点に原因があるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/274
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275・村田恒
○村田(恒)政府委員 低品位炭利用というものは、この低品位炭を利用していく技術と、一番深い関係を持っていると思われます。要は、ほんとうに低品位炭を利用して、あくまでその事業を伸ばしていこうという気持に、その会社がなっているかどうかということに、関連するわけでございますが、われわれの考え方としては、決して、それは単に石炭鉱業の利益のためとか、安定のためとか、そういうために低品位炭利用というものを考えているわけではございません。こういった国家の貴重な未利用資源が、むざむざと捨てられていく。しかも、それをりっぱに利用すれば、昭和五十年におきましては、百五十万キロワットくらいの電力の供給が可能だというような理論的な数字も出ておりますので、そういう国家的な見地から、この低品位炭利用の問題を、非常に推進している段階でございます。と同時に、今後機械化が進みますし、また次第に自然条件も悪くなって参りますれば、どうしても低品位炭の副次的に出てきます数量が、ふえるわけでございます。そういうふうにふえて参りますと、これは先ほどの企業の安定にも関係いたしますけれども、どうしてもドイツやベルギー等でやっておりますように、自分の炭鉱に近い所で、兼営の事業として何らかの仕事を、低品位炭利用でやっていくことが必要になるわけでございます。そこで、自家発電があまり進んでいないというお話でございますけれども、最近では一つの新しい方向といたしまして、常磐共同火力というものが、常磐地帯の炭田を背景としてスタートしております。これは四十万トンの石炭で、七万五千キロワットの出力を持つ第一次計画を完成して、非常に成績がいいようでありますが、さらに、そのほかに、三井、三菱、住友も行なっております例の製塩、塩を作っております事業がございます。それから、現在計画中のものといたしましては、三菱では高島、古河の好間で、やはり低品位炭を使って自家発電をやろうという計画がございます。それから北炭の夕張が、コークスの製造に低品位炭利用を考えておる。さらに、太平洋の都市ガスの利用、雄別が低品位地区でございますが、豆炭を作っていこう、豆炭を作るというのは、ちょっと誤解を招きやすいのでございますが、コーライトを作ってやろうという例の流動乾溜のシステムをここに持ってくるという計画でございます。さらに大きなものといたしましては、北海道及び九州、さしあたって九州でございますが、ここの地域において、大規模な低品位炭の発電を興したいというふうな計画を持っております。このために、電力会社の調査が相当程度進んでおりまして、やがて北九州におきまして、低品位炭を利用した大規模な発電が実現するのも、遠くないというふうに考えております。
もう一つは、この低品位炭利用というものを、最近近いうちに、ブラッセルで、国際選炭会議が開かれます。その国際選炭会議にも、リポートが出されておりますけれども、超音波による回収というものが、技術的に成功いたしております。これは非常に回収率もよろしゅうございますし、危険もない。もちろん、山々によって事情が違いますから、全部が全部、超音波による回収ができるとは申せません。浮遊選鉱によるやり方がいいのだというところもありましょうし、それぞれの山々によって、やり方が違うと思いますが、少くとも超音波の利用によります低品位炭回収というものが、非常な成功を収めたということは、画期的なことであると考えております。これで五千カロリーのものを取り出しておりますか、これは同時に、こういうふうな沈澱バッグを増設し、そうして回収をよくやっていくということは、結局、鉱害問題として非常にやかましく言われております水質汚濁という問題を防止し得るという、副次的な、しかも、きわめて大きな効果を持っているという意味におきましても、国家的に今後大いに奨励しなければならない事業だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/275
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276・多賀谷真稔
○多賀谷委員 強粘結とか弱粘結の原料炭の使用を、節約するといいますか、こういう意味において、どういう手が打たれておるか。これも、当時かなり問題になったわけです。日本の、ことに鉄鋼その他は、大体欧米の炭鉱と見合った様式をやっておるじゃないか。だから、原料炭をかなり使うのだ。であるから、もう少し原料炭というものについて考える必要があるのではないか。要するに、日本式の鉄鋼、あるいはガスでもそうですが、ガス会社でも、原料炭を使わないでやる必要があるのではないか、こういうことがかなり言われました。あるいは鉄鋼のごときは、なかなか困難かもしれませんけれども、ガスにつきましては、御存じのように、当時は、コークス市況が非常に悪かった。石炭の市況が悪いときには、コークスの市況が悪いものですから、ガス会社自身も、当時原料炭を使うことを考えたわけです。ところが、その後は、コークスの市況も非常によくなったものですから、この問題も、あまり大きな題としてその後は進んでいないようであります。先ほど天北の炭田の問題から、ルルギー方式というものが出ましたけれども、当時の水準からいきますと、かなり推進されるとわれわれは期待しておったのですが、残念ながら、やなりこの原料炭を使ってコークスを出して、そうしてガスを売り、コークスを売っておる、こういう方式が圧倒的に出てきておる。こういった問題については、どういうようにお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/276
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277・村田恒
○村田(恒)政府委員 これも広い意味におきます新しい石炭化学、流動乾溜とかあるいは水素添加、フィッシャー法、そういった一連の技術の推進に待つわけでありますが、たとえば、鉄鋼の部門にいたしましても、原料炭節約の一つの方法として、今、大いに補助金を出して研究しております問題として、弱粘結炭を強粘結炭に変えていく。これもコーライトの形式をとるわけでございますが、そういった研究を進めております。これは現在のところ、鋳物用のコークスとして、非常に固いものができておりまして、いま一歩歩を進めますと、冶金用のコークスに使えるのではないかというような研究も進めておるわけでございます。
それから、いろいろさっき申しましたけれども、今お話しのように、ルルギーに送りましたのは、天北炭のような粉化しやすいものを、あそこでもってガスができるかどうかという研究をしております。そういう意味で、天北炭のガス化をはかりたい。そのほか、いろいろあるようでございますが、極力粘結炭、原料炭の消費を節約するという方向における技術改善を、今奨励している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/277
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278・多賀谷真稔
○多賀谷委員 坑内ガスの、いわゆるガス抜き問題は、大体成功しておるのですか。最近、天然ガスその他が多く出て、坑内のガス抜きの問題は、少し低調になったように見受けられますが、これは推進されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/278
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279・村田恒
○村田(恒)政府委員 実はむしろ逆でありまして、天然ガスの問題が盛んに推進されるのに伴いまして、今まで、どちらかといえば、あまり一生懸命でなかった炭田ガスのガス抜きというものが、今真剣に取り上げられて、進められております。昨年の十二月現在でガス抜きを実施しておりますのは、北海道で十三、常磐地区で三、九州で十一、合計二十七の炭鉱でやっておりますが、そのガス抜きの量を申し上げますと、毎分三百二十五立米になっております。これは三十年に比較いたしまして一・八倍の増加でございます。この三百二十五立米のうち、二百十八立米が現実に利用されております。この利用されておりますのを、三十年度の利用率に比較いたしますと、三・六倍、こういう数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/279
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280・多賀谷真稔
○多賀谷委員 率からいえばいいですが量からいえば至って少いので、これは今後ぜひ伸ばしていただきたいと思います。どうもこういったものが、割合に恒久的に推進されない。線香花火的に終るという可能性が、従来非常に強いものですから、これは一つ積極的に指導していただきたいと思うわけであります。
非常におそくなりまして、関係者に御迷惑と思いますが、最後に一、二点質問さしていただきたいと思います。今度、坑口開設許可の問題が、さらに延長されておりますけれども、このこと自体は、非常にけっこうなことである、かように考えるわけです。坑口開設許可というものがなかったら、神武景気という時代には、かなり安易に坑口が開設されて、そしてさらに現在のような、いわば貯炭を持った時代になってきますと、ダンピングという状態が深刻に現われてくるのではないかと思うのですが、その点、貯炭がかなりありましても、ダンピング的な動きがない。この点は非常にけっこうであると思います。そこで、坑口開設許可制度というものが持続されることは、けっこうですけれども、今まで許可基準につきましては、審議会の方で常に運営されておった。ところが今度は、基準は省令でやって、そして実際は行政官庁が、その具体的な問題については処分をされ、運用される、こういうことになっておりますが、これは、一体どうしてこういうように変えられたのか。現実に事務的に非常に複雑で自由にならなかった、こういうような事情があったわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/280
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281・村田恒
○村田(恒)政府委員 昭和三十年にこの合理化法が制定されましたときに、坑口開設許可制度をしきましたときには、むしろ極力出炭を制限するという主張が、非常に強くこの法律を支配しておったわけでございますが、今回の改正によりまして、ある特定地域を限りましては、むしろ増産に転じていくのだ、こういうふうな基礎的な考えを背景にいたしまして、坑口開設許可制度の運用を、それほど厳格でないように、少し運用を変えたわけであります。厳格でないと申しますのは、今までの行き方は、法律の中に一定の基準をきめまして、その基準に合致しないものは、一切許可しないのだというやり方を取っておりました。これを、今度は省令にゆだねたわけでございますが、省令にゆだねましても、決してルーズな運用をするわけではございませんので、ただ法律で、たとえば油立坑については一五〇%、特詮坑については一〇〇%というふうな、あまり弾力性のない規定をするというようなことを避けまして、若干そこの運用をゆるめたわけでございます。同時に、行政官庁だけでやるのではないかというお言葉でございますが、これは、行政官庁だけでやるのではございませんので、従来は、地方別にそれぞれ坑口開設の専門分科会がございまして、ここに学識経験者が入っていただいて、その専門分科会で、それぞれ独立坑、一般坑あるいは特詮坑、そういうふうな坑口の許可をみな処分をいたしまして、これをもう一回東京の中央審議会に上げて参りまして、青山先生を委員長とします審議会にかけているのでございますが、この二重の手間は、あまりに繁文褥礼に過ぎる。従いまして、中央におきましては、基本となる厳格な基準だけをきめていただきまして、一件一件許可するとか不許可にするとかいう処分は、地方の専門分科会の意見を聞いて、地方の通産局がきめる、こういうふうに運用を改めた次第であります。これは行政の簡素化といいますか、そういう形の改善でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/281
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282・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、地方の専門分科会には、おかけになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/282
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283・村田恒
○村田(恒)政府委員 地方の坑口開設の専門分科会には、これをかけます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/283
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284・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実はこの点を、審議会の委員に聞いてみたわけですが、なかなか複雑で、一々持ってこられても困るという話でありましたので、一応了承したいと思いますが、一つこういった点も、ルーズにならないように気をつけていただきたい、こう思います。
そこで、最後にお尋ねいたしたいのですが、それは中小炭鉱の運営といいますか、中小炭鉱問題というものは、やはり今後真剣に扱わなければならないと思うのです。それは、だんだん鉱区がなくなり、しかも、現在未開発の鉱区を持っている炭鉱は、いわゆる財閥系の炭鉱でございます。独占資本なのです。ですから、中小企業がだんだん衰微をしていく。これは炭鉱だけの問題ではないでしょうけれども、ことに炭鉱には、埋蔵量という宿命的なものが大きく制約をしている。でありますから、この要素をわれわれは考えざるを得ない。ましてや、適正規模の単位にするということになりますと、だんだん中小炭鉱というものはなくなる。そこで、中小炭鉱には共同開発とか、あるいは、何か協同組織的な方向で開発させてやる、あるいは代替炭鉱も見つけてやる、こういう方式をとらざるを得ないのではないか、またとらなければならないのではないか、こういうように考えるのですが、これについてはどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/284
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285・村田恒
○村田(恒)政府委員 一口に中小炭鉱と申しましても、A、B、Cくらいのクラスがございまして、中小炭鉱の非常に上位のものは、大手と十分匹敵するようなものもあるわけでございます。また生産規模の非常に少いものになりますと、全く、ことしやったら来年はやめてしまうかもしれないというようなものも含んでおりまして、一口に中小炭鉱と申しましても、その業態というものは、非常に複雑多岐をきわめているわけでございます。従いまして、これらの中小炭鉱に向って、一つの統一的な、形式的な制度をもってこれに当っていくということは、今の大手に一つの統一的な方式を当てはめるよりも、もっとむずかしいものを含んでいるのではないかと考えられますけれども、これはむずかしいからといって、何もやらないわけにはいきませんので、今後、中小炭鉱が次第にあがり山になってなくなっていきます場合には、労務対策を含めました一連の施策とか、ただいまお示しの方向において、研究を進めていきたいと考えております。さしあたって、われわれの今やっておりますことは、主として中小炭鉱に対する技術指導——これは巡回して技術指導をやっているわけでありますが、その技術指導を行なっております。これは政府予算をもって行なっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/285
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286・多賀谷真稔
○多賀谷委員 長期計画の見通し、あるいは輸入エネルギーへの依存度、さらに現在の時点における炭界の見通し、生産調整の問題との関連、こういう点は、大臣がお見えになったときに、別の機会に質問を保留したいと思います。
本日はこれをもって終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/286
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287・小平久雄
○小平委員長 本日はこの程度にとどめます。
次会は明四日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。
午後六時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02619580403/287
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