1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月九日(水曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 小平 久雄君
理事 内田 常雄君 理事 笹本 一雄君
理事 島村 一郎君 理事 長谷川四郎君
理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君
神田 博君 久野 忠治君
齋藤 憲三君 櫻内 義雄君
佐々木秀世君 田中 彰治君
中垣 國男君 原 健三郎君
藤枝 泉介君 南 好雄君
山手 滿男君 佐竹 新市君
田中 武夫君 帆足 計君
出席国務大臣
通商産業大臣 前尾繁三郎君
出席政府委員
総理府事務官
(首都圏整備委
員会事務局長) 吉岡 惠一君
大蔵事務官
(管財局長) 賀屋 正雄君
通商産業事務官
(通商局長) 松尾泰一郎君
通商産業事務官
(重工業局長) 岩武 照彦君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 稲益 繁君
労働事務官
(職業安定局失
業対策部長) 三治 重信君
専 門 員 越田 清七君
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四月九日
委員川野芳滿君、首藤新八君、松岡松平君及び
横井太郎君辞任につき、その補欠として原健三
郎君、山手滿男君、藤枝泉介君及び久野忠治君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員久野忠治君、原健三郎君、藤枝泉介君及び
山手滿男君辞任につき、その補欠として横井太
郎君、川野芳滿君、松岡松平君及び首藤新八君
が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
航空機工業振興法案(内閣提出第一五三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/0
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001・小平久雄
○小平委員長 これより会議を開きます。
まず航空機工業振興法案を議題とし、審査を進めます。
質疑を継続いたします。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/1
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002・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまから、航空機工業振興法案について、若干の質問をいたしたいと思いますが、まず、最初にお伺いいたしたいことは、本法案の第一条に目的、第二条に定義、それから第四条の第二号には「その他航空機工業の振興に関する」云々、こういうようになっておりまして、一応目的をうたっておりますが、この第一条の条文だけでは、もう一つはっきりいたしませんので、お伺いいたしたいのですが、本法の目的はどこにあるのですか、本法制定の目的を、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/2
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003・岩武照彦
○岩武政府委員 本法案の目的は、第一条にありますが、これを簡単に申しますと、航空機の将来を考えますと、どうしても輸送機というものが今後の重点になってくるわけであります。ちょうど自動車や何かと同じような地位を占めてくるだろうと思っております。ところが、日本においては、不幸にしまして、戦後、軍用機の生産ばかりで、輸送機の方の施策はほとんど講ぜられておりませんが、三十二年度の予算におきまして、中型輸送機の設計、研究の補助ということで、わずか三千五百万円の補助金が認められて、本年度はそれより増加しております。これがおそらく唯一の輸送機の対策であります。ところが、実際の状況を見ますと、日航で使っておりますローカル線のDC3の代替の飛行機は、現在世界のどこでも使っております。それから全日本空輸も同様に、DC3をかなり使っておりますが、これも代替機でございます。そういうふうな現状で、しかも将来航空輸送の輸送人員あるいは輸送距離等は、飛躍的に増加いたすことが考えられますので、この際、輸送機工業を中心といたしました飛行機産業の振興をはかることが、必要だと考えられます。その意味におきまして、この第一条に、その目的を掲げたわけであります。
あわせまして、御承知のように、航空機の生産の技術は、各分野にわたりまして、非常に高い水準を要求しております。それから、非常に関連の産業分野が広いわけでございます。従って、非常に広い分野にわたりまして、高度の技術的な水準を向上させるという見地が、産業政策としましても、非常に貴重なものと考えられます。
また、今申しましたように、今後の増加する飛行機の需要に対処しまして、これを輸入するといたしますと、これはおそらく毎年三千万ドル近い輸入になるのではないかと考えられます。現に、民間航空開始以来、昨三十二年度までの輸送機の輸入も、一億ドルになっております。そういうことでございまするから、国産の飛行機で国内の航空輸送を行わせますことは、外貨収支の改善にも非常に寄与する、そういうような副次的な目的を持っておりますが、主眼は、やはり自動車同様、将来の輸送、ことに人員輸送の中心であります輸送機を、何とかして国産しよう、これが一番のねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/3
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004・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの局長の御答弁によると、輸送機の国産ということが目的だと、そのようでありますが、第一条を見れば、航空機等の国産化の促進、あるいは航空機工業の振興と、こういうように、単に航空機ということになっております。航空機の中には、輸送機はもちろん入りますが、同時に、戦闘機、爆撃機等々も入ると思うのです。従って、この航空機産業、あるいは航空機の国産、こういう言葉の中に、軍用機を含むのか含まないのか、それをはっきりしていただきたい。もし含まないのなら、そういった趣旨のことを、たとえば、言葉は適当でないかもわからぬが、「平和のための」とか、あるいは「軍事用は含まない」とか、こういうようなことを特にうたう必要もあるかと思うのですが、そういう点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/4
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005・岩武照彦
○岩武政府委員 御指摘のように、航空機という文字を考えますれば、これは、自衛隊で使っております軍用機も、入らないわけではございませんが、しかし、御承知のごとく、自衛隊の使いまする戦闘機等の生産その他につきましては、これは事こまかに国防会議等で検討されますし、また毎年度の防衛庁予算で、その機種とか数量とか、あるいは納入の時期等がきまって参っております。あえて本法によりまして、この審議会等で検討する必要はないわけでございます。それでございますから、本法のねらいといたしますところは、先ほど申しましたように、そういう軍用機とは離れまして、輸送機の国産化ということを、目的としておるわけでございまして、ほかの規定の関係を申しましても、たとえば、国有のいろいろな試験研究施設の使用につきましても、軍用機の方は、御案内のように、すでに技術提携等によりまして、もう技術的に設計その他は、確定いたしました最終のデータの供与を受けまして、生産に着手するのでございますから、今さら試験研究等で、風洞を使うというような必要はないわけでございます。規定の方といたしましても、軍用機の適用は、ほとんどないわけでございます。従いまして、先ほど来申しましたように、目的も内容も、輸送機の国産化ということを目的にしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 今の局長の御答弁では、輸送機の国産化であって、軍用機というようなことはほとんどない。ほとんどないということで、絶対という言葉ではなかった。われわれがこの法案を見て、第一に感ずることは、航空機の国産化、これが平和的なものであるなら、けっこうだと思う。だがしかし、これは、やはり直ちに軍事目的につながるものじゃなかろうか。原子力平和利用というような問題についても、そういうことが一番大きく懸念せられたわけであります。
そこで、大臣にお伺いいたしますが、政府は、このような法律を制定することによって、むしろ軍事産業の強化、あるいは、ひいては再軍備の思想を強化していく、こういうふうに受け取れるのですが、政府は、この法律制定の目的の裏に、そのような意図が絶対にないのかどうか。もし、ないとするならば、今、局長から御答弁がありましたが、私は、この法律に、国民がそういう懸念を持たないような、明確な条文を入れる必要があろうと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/6
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007・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 先ほど来、局長が説明いたしておりますように、この法律は、あくまで輸送機の製作の振興ということから起っているのであります。そして、軍用機につきましては、自衛隊自身が作りますので、それは予算に十分盛られることでありますし、これを別個にして強化するという必要はないのであります。ただ、それを作ります企業者は、おそらく同じものの場合が多いのであります。そして国産輸送機の振興は、ひいては、やはり多少は軍用機の分にもはね返ってくるということは、いなめない事実だと思います。しかし、この法律自身は、あくまで輸送機であり、いわゆる平和利用ということで、もちろん他意あって作っている法律ではないのでありまして、その点につきましては、私は十分保証できると思います。ただ、それをはっきり平和利用とか、そういうふうに限定するかどうかということにつきましては、ただいま申しましたように、はね返ってくるというようなことを考えますと、その点は多少ダブってくる場合も考えられます。部分品とか、そういうことになりますと、いろいろ重複する場合もあるというふうに考えますが、はっきりそれを限定して、規定が作り得るかどうかという点については、私も疑問でありますので、必ずしもそうしなくても、法律の目的としましては、はっきりしていることでありますし、その運用におきましても、もちろんその趣旨を誤まらぬようにやるというふうに考えておりますので、法案自体を修正する必要はないのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 大臣が、ここで、この裏には軍事産業強化を目的としております、こういうことは、うそでも答弁できないと思う。今のような御答弁があって、当りまえです。しかし、御答弁の中からも、若干そのにおいがしているわけです。きのうも、法務委員会において、暴力団集合罪の問題に関連して、これが労働組合等の民主団体の運動に適用せられないかという問いに対して、参考人で来ておった小野教授は、政府委員や大臣が、ここでどんなに答えても、それは何にもならぬ。法ができても、法を運用するのは裁判所である、こういうような答弁をしておられた。だから、ここで大臣が、いかにうまく答弁をせられようとも、できてしまった法によって、これがどう適用せられるかということは、そのときどきのこの行政の衝に当る人がやるわけです。大臣が、永久に通産大臣をするわけでもない。従って、大臣が、ここでどう答弁せられようとも、それが永久にいけるものではございません。従って、そういった疑問というか、国民の疑惑、危惧、こういったものを除くためには、そういった心配のないような措置が必要だと思う。重ねて伺いますが、私が言っている言葉は、どういう言葉でもけっこうですが、そういった心配が将来起らない、危惧を持たしめない、こういうことについての法の修正なり、特別な措置等について、もう一ぺん考えられる余地があるかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/8
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009・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 法律案の内容をごらんになりましても、実は別に特段の保護をやる、こういう意味合いの法律でもございません。また、先ほど来申しておりますように、部分品等におきましては、これは私は、必ずしも明確に輸送機の場合あるいは軍用機の場合、こう区別するわけにはいかぬかと思います。しかし、先ほど来申しておりますように、軍用機でありましたら、あくまで防衛庁の予算によってやるわけでありますから、この法律の適用を受けましても、大した恩恵も何もないのであります。この法律の意味は、一般の軍用機以外の平和利用の飛行機に適用して、初めて意味がある法律なのであります。将来、そういうおそれはないか、こういうことでありますが、この法律自身は、ただいま申しましたように、平和利用の場合に適用して、初めて意味があるので、防衛庁で作ります飛行機に関してこの法律を適用いたしましても、大した意味がない。その点は、私がただいま言いますように、これを限定するということになりますと、部分品等におきましては、かえってわずらわしく、ほとんど無意味になってくるというような面も考えられます。もちろん、法の運用につきましては、われわれも、今後において考えて参りますすし、そのことは、法律案自体の内容をお考えになりましても、将来にわたって、そういうような意味を持つものでないということは明確ではないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 大臣の御答弁では、私、納得がいきません。しかし、これだけにこだわっておっては、質問が続きませんので、これはこの程度にしておきますが、私は、さらにそのことについて、今申しましたようなおそれといいますか、国民が持つ危惧、こういうものを除く適当な措置が望ましい、こう思っておりますから、御再考をお願いしますと同時に、われわれも、審議の過程において、適切な方法を考えていきたい、こう考えております。
次に進みたいと思います。そこで、今この内容見てもらってもおわかりになるように、こういうことだったが、この内容を見ましたところ、一体これで何がきまっておるかというと、いわゆる審議会の組織に関する問題と、それから国有施設を安い料金で使用ができるということと、それから政府が資金の確保に努める、これだけしか内容はないのです。そうすると、この法律案のほんとうの必要性というものは、一体どこにあるか。たとえば、審議会の組織の問題については、これは諮問機関ですから、何も本法でしなくてもできるものです。そうすると、あとで、これもさしあたっての計画を伺いたいと思いますが、何か一億七千万ですかの補助金云々等もあるそうですが、そういうことも、行政措置でできるわけです。資金の確保といっても、これまた行政措置でできると思う。そうすると、本法に残るのは、国有施設の使用といいますか、そういうことだけが残ってくると思う。少くとも大きく大上段に振りかぶって振興法というなら、もっと振興法らしく、私が言うように、この法律によってほんとうに生きてくる個所というものは、どこですか。ほとんどのものが、法を待たずともできるような問題ばかりと思うのですが、この法律案の特に必要とする理由を、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/10
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011・岩武照彦
○岩武政府委員 この法律案の重点は、やはりこの審議会にございます。それは、御指摘のように、この法律がなくても、審議会は作れるじゃないか、あるいはなくてもやれるじゃないかという御意見かとも存じますが、こういう新しい高性能の機種を製作いたしますにつきましては、各方面の権威を集める必要もございますし、また具体的に試作研究の段階が済みまして、あるいは営業生産に入るというふうな時期になりますれば、どういう企業形態がいいかというような問題も出てくるだろう。そこで、その試作研究から始めまして、営業生産に入りますまでのいろいろ必要といたしまする振興策につきまして、審議会に諮る。あるいは、その結果につきまして、将来、この法律を改正いたしまして、必要な事項を盛り込むということも考えられると思います。何分、今まだ卵の状態でございまして、ひながだんだん大きくなるに従いまして、それぞれ入れものも大きくなる。そういう意味で、実はその発端の衆知を集める組織といたしまして、審議会を設けた次第であります。
それから、国有施設の問題は、各国有の試験所、研究所にあります風洞の使用が中心でございます。これは、それぞれ一定の使用料がきまっておりますが、これはこの明文がないと、それを減額するわけに参らぬようでありますから、これは御指摘のように、法律の規定が要ると思います。しかし重点は、今申しましたように、審議会で将来の試作の基を作り、それを通じて、あるいはこの法律の体制を将来確立いたしまして、名実ともに内容の充実した振興法になるというふうに、お考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 今の局長の御答弁では、この法律案の中心は、組織といいますか、審議会の組織と、それからこの十一条、いわゆる国有施設の使用権は法律でなければできぬ、法律でなければできないものというのは、そこだけじゃないかと思う。もし審議会なら、これは法律できめた方が強いかもわからない。しかし、現に航空機生産審議会ですか、何かありますね。それから、技術庁にも同じようなものがあるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/12
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013・岩武照彦
○岩武政府委員 航空技術審議会です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 航空技術審議会ですか、そういった、現に通産省には航空機生産審議会、それから技術庁には航空技術審議会、そういうようなものがある。そこへもってきて、この法律案によってこの審議会ができたときに、これら各審議会の相互の関係は、どういうことになるか。また、そういった審議会がすでにあるのに、今の御答弁では、この法律案の中心は審議会にあるということですが、なお法律を作って審議会を作らねばならなかった理由は、どこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/14
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015・岩武照彦
○岩武政府委員 ごもっともなお尋ねでございます。航空技術審議会の方は、これは科学技術庁にございまして、現在、官立の航空関係の研究所は、たしか十近くありますが、その各研究所の運用の方針、研究テーマの調整、あるいは世界の航究技術の振興状況から見て、どういうふうなことを新しくなすべきかというような、もっぱら技術面の検討が中心でございます。私も、先日の審議会に出席してみましたが、これは生産面なり、あるいは輸送面の要請等を、そのまま取り上げて議題とするのではなくて、各国の技術的なレベルから、日本の航空機に関係しておる研究所は、いかなることをなすべきかという点を中心に検討しておるようであります。それから、御指摘のありました、通産省にあります航空機生産審議会でございますが、これは、今度本法によります航空機工業審議会に改組いたします。この前の生産審議会の方は、現在ございます航空機製造事業法の——これは、おもに飛行機の生産企業を規制するという色彩の強い法律でございますが、その法律の施行に関係しますいろいろな事柄、あるいは認可の基準でありますとかいうふうな、いわば比較的消極面の審議事項が中心になっております。今回、これを航空機工業審議会と改組いたしまして、新しい機種の開発といった積極面の仕事も、あわせて持たせたいと考えております。この航空機製造事業法関係の審議事項は、あまり実はございませんで、大体、山を越しておりますので、むしろ、今後改組いたしますに従いまして、積極的な面の審議事項が中心になるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、今まであった航空機生産審議会、これは航空機製造事業法によるものですね。それは、この法律が通れば改組をして、なくなって、そうしてこの法律による航空機工業審議会に吸収せられる。それで一つになるわけですね。そして、技術庁にある航空技術審議会は、やはり別に存在をする。その方は特に技術的な面を検討する。そうして、この法律によってできる工業審議会の方は、この法の目的に沿った審議をやっていくのだ、運用をやっていくのだ、そういうことになるのですね。そうしますと、この組織の中において、特に第四条の第二号に「その他航空機工業の振興に関する重要事項」、こういう言葉があがっているのですが、これは一体どういうことを中心に考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/16
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017・岩武照彦
○岩武政府委員 これは、航空機企業といいますか、事業の方のいろいろな問題が、将来出てくるかと考えております。航空機の振興をはかりますために、あるいは税制上の問題でありますとか、あるいは償却の問題でありますとか、いろいろな問題が出てくることも考えられますので、そういうふうな事項を審議していただく、こういうふうに考えております。そうしますと、一号の方の「航空機等の国産化に関すること。」というのは、やや技術的というと、言葉が狭過ぎますが、比較的ものに即しました事項を考えておりまして、二号の方は、事業に関したことが中心になるかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 また最初の質問に戻ってくるようなことになるのですが、第四条の第一号は、特に「輸送用航空機」とうたってある。第二号の方は「その他航空機工業」と書いてある。そうすると「その他」の中に、またぞろ軍用目的ということが、頭の中に浮んでくるわけです。先ほど来私、法自体において、そういう心配のないような措置はできないかと申しましたが、同時に、十条で、この審議会の運営についての省令をきめることになっておりますね。通産省令への委任、こういう十条によって出される省令の中に、第四条第二号の「その他航空機工業」というものの定義というか、そういったものを、はっきりさすことが必要だと思うのですが、どうなんでしょう。ということは、この航空機工業審議会は、あくまでも、当初大臣が答弁せられたように、軍用目的のものではない。従って、この審議会が扱うものは、そういうものではないということを、明確にする必要があろうと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/18
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019・岩武照彦
○岩武政府委員 十条の省令に委任しておりますのは、これは、いわば議事規則といった範囲のことを考えておるわけでございまして、審議事項を省令であれするというのは、ちょっとどうかと思ったわけでございます。むしろ、先ほど申しましたように、航空機事業と申しましても、軍用機も作りますほかに、先ほど来申し述べます中型の輸送機でありますとか、あるいはヘリコプターもあるだろうと思います。そういうようないろいろなシビル・ユースのものを作る、あるいは修理するという事柄もあるかと思います。それで、振興の方策としましては、一口に事業といいましても、軍用機の面を大いに振興するということは考えておらない。それは先ほど申し上げた通りであります。端的に申しますれば、同じ償却あるいは税の問題にしましても、そういうシビル・ユースのものについての償却であるとか、あるいは税であるとかいうことについて、必要な措置を講ずるというようなことが、審議事項になるかと思っております。この点は、十分に運用上分けられると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 結局、この航空機工業審議会は、通産大臣の諮問機関だと思うのです。従って、大臣から諮問を受けたことに対して、答申するという格好になる。そこで、この十条で私が言っているのは、それは組織及び運営のことをきめるのだ、こうこういう事項について審議するのだ、こういうことを具体的にあげることは可能じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/20
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021・岩武照彦
○岩武政府委員 これは、むしろ大臣から諮問されるときに、左記事項を諮問するといって、その中で、そういうふうな輸送機なりあるいはその他のシビル・ユースの飛行機の振興方策いかんというような形になるのじゃないかと考えております。省令で考えておりますのは、組織、運営と申すようなことは、大体は通常で申しますれば、いわば議事規則とか細則とかいうことでございますので、審議事項は、むしろ大臣の御発意で、その内容を大臣が必要と思われる方面に限定されることが適当かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/21
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022・田中武夫
○田中(武)委員 もちろん、諮問機関だから、大臣の方が能動的というか、諮問していく。従って、大臣の方でそういうことを諮問しなければ、いいわけです。ところが、どうも足りないと思うのです。だから、そういうことがあっても、そういうことは審議せぬのだ、こういうような、どこかに一本筋を入れておく必要があろう。そこで、私は、最初に、法自体に、例外規定か何かで、ただし、こういうものは含まないのだ、こういうことを明確にすべきではないか。それができなければ、第四条の一号に「輸送用航空機」と特に「輸送」と出しておいて、二号には「その他」と、こうなっておるところに、どうも軍用機等も含まれるような感じを持つ。そこで、そういうことを申し上げておるわけです。これは、どこかにそういった危険といいますか、心配のないような措置が必要と思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/22
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023・岩武照彦
○岩武政府委員 ごもっともな御質問でございます。こまかい議論になりますが、輸送用航空機工業というのは、言葉としましてもあまり熟しておりませんので、航空機工業というふうに含めた。実際の運用は、これは法律の目的に従いまして、大臣の御諮問も、これは輸送機に関しまする航空機工業の振興ということになるかと思います。あるいは輸送機を中心とした航空機工業の振興、こういうことに相なるだろうと思います。この根本の目的に反しまする御諮問を通産大臣がいたされることは、万々ないと考えております。立法の技術的な言葉の言い回しで、輸送用航空機工業というのは、どうもあまり言葉としても熟しておりませんし、また現に輸送用航空機工業というものも、日本ではまだないわけでございます。そこらあたりは、実際の本法の目的に即しまして、通産大臣が運用されるということに、御信頼願えればと思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/23
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024・笹本一雄
○笹本委員 昨日、航空機工業振興法に関連して、国有施設の使用について、委員長に、大蔵省とか労働省とか首都圏整備委員会あるいは調達庁の意見を聞きたいという申し出をしておったのでありますが、今その関係の人たちが見えておりますから、逐次お伺いしたいと思うのであります。これは国有施設の使用に関連しているのでありますが、きのうの委員会において、私はこの具体的な問題をお尋ねしたのであります。それは、私の選挙区に尾島のキャンプというのがある。それと太田小泉のキャンプがある。尾島の方は、すでにもう返還されて、そうして、これに対して、三菱電機が、この施設を大蔵省から払い下げを受ける、そこで電機産業をやるというようなことで、すでに払い下げの申請をしておるという話であります。これについて、大蔵省の管財局の方では、どの程度調査され、あるいはまた、払い下げに対する行政上の処置が行われておるか、その点を一つ大蔵省にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/24
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025・賀屋正雄
○賀屋政府委員 お答え申し上げます。お尋ねの元中島の工場でございました尾島の工場でございますが、御指摘の通り、三菱電機株式会社から、売却の申請が出ております。大蔵省におきましては、別に競願がございませんければ、適当に処理いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/25
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026・笹本一雄
○笹本委員 せっかく産業の見通しをつけて施策をするのでありますから、今、局長の答弁で、競願がないから、なるべく早くこれを決定したいというお話でありますが、こういうものは、いろいろ経過もありましょうが、なるべく早く決裁をしてもらいたい。
続いて、太田小泉のキャンプが、近く引き揚げになり、返還になるとかいうことで、地元ではこれに対して非常に動揺しているのでありますが、この過程を話せる程度において、調達庁から話していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/26
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027・小平久雄
○小平委員長 笹本君、調達庁はまだ見えていませんから、もうちょっとあとにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/27
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028・笹本一雄
○笹本委員 それでは、労働省の方がおいでになっておりますが、この問題によりまして、二、三千人の失業者が出るというので、県の方でも、いろいろこれに対する意見書や決議を持ってきておるのでありますが、この失業労働者に対して、労働省としては、どういう手を打っておるか。先般来、閣議決定か何かによりまして、米軍引き揚げ後の労働者に対しては特別の措置をとる、あるいは技術指導施策なんかをやっておるわけでありますが、その点に対して、労働省の意見を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/28
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029・三治重信
○三治説明員 お答えします。駐留軍関係の太田小泉地区の離職者は、三十二年度で三千百九十一名、三十三年度で、大体今の見通しでは、二千五百人程度の解雇者が出る見込みでございます。これに対しまして、われわれの調査では、地元の方も相当多いようでございますし、全部が全部、要退職者でもございませんので、大体われわれは、千名程度は救済対策をとらなくちゃならぬのじゃないかというふうなことで、現在、こういう駐留軍地区の大量の失業者に対しましては、従来やっております特殊地域として、各省によっての公共事業その他の事業をやる場合に、集中的、優先的にやっていただく特別の地域の指定をやっておりますが、これにつきまして、目下各省と連絡して、企画庁の方で連絡調整をやっていただきまして、近くきまる予定でおります。なお、当面の対策といたしましては、現在、これは失業保険の受給者が大部分であると思いまして、来年度の前半につきましては、失業保険の受給と職業紹介をやる。さらに、受給後においても、職がなくて生活に困られる方につきましては、この特殊地域としての公共事業、並びに、さらに足りない場合には、失対事業をやる予定にしております。なお、技術の再訓練のための職業補導の問題につきましては、今、検討中でございまして、その希望職種なり、そういうものにつきまして、できるだけ職業補導をやれるように交渉しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/29
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030・笹本一雄
○笹本委員 今の御答弁によると、失業者が出ても、万全の手を打っておるというふうに聞き取れるのでありますが、実際問題は、なかなかそうでない。この職業訓練をやりましても——それは訓練をやった者とやらない者は、就職の率は、だいぶ違っておるようでありますが、とにかく二千人からの失業者が出るということでは、県だけでは、どうしてもあっせんというようなことはでき得ない。これは労働省及び調達庁とともに、他地区に家族、あげて行かれるような者は、そこへあっせんしてやるというように、積極的にこれを指導してもらいたい。六カ月の保険が切れると、即生活保護を受けるような人も、たくさんおるような状態でありますが、こういうふうなことで、地方では非常に不安にかられておると同時に、また商業関係におきまして、その売れ行きは、ぴたりとまったというような状態でありますから、今の御説明を、実際に即して強力に一つ指導していただきたいということを要望しておきます。
それから首都圏整備の方でありますが、首都圏整備は、特に工場誘致については、立地条件によって、その土地を国が買って、そして工場誘致をしてくれることになっておる。しかも、国有の土地であるというので、地方では積極的に首都圏整備委員会の方に、非常にたよっておるような実情であります。首都圏整備の方では、工場誘致その他に対しては、どういうお考えを持っておるかという点について、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/30
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031・吉岡惠一
○吉岡政府委員 ただいまの首都圏整備の問題でございますが、太田をいわゆる市街地開発区域に指定しますかどうかは、従前、あすこは、航空機工業をやっておったところでありまして、工場があったところでありますから、工場を将来相当発達させるについて、適当な土地と考えるのであります。しかし、ほかのいろいろな関係もありますので、従来、通産省、建設省その他と一緒に調査をしまして、市街地開発区域に指定するかどうかを、きめておるような状況であります。現在のところは、まだ接収中でありますので、市街地開発区域にするということをきめておりませんが、ただ、今お話しのように、土地の関係で、非常に有利な条件にあるということは、疑いあるまいと思います。市街地開発区域にするということを、もし決定になりますれば、その上で工場誘致というような問題も起きてくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/31
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032・小平久雄
○小平委員長 関連ですから簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/32
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033・笹本一雄
○笹本委員 関連ですから、これでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/33
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034・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、引き続きまして質問を続けたいと思いますが、ちょっと具体的な面で、これからお伺いしたいと思います。もうすでに御説明があったとは思うのですが、もう一度お伺いするのですが、この法律によって、さしあたり計画しておられる点を、一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/34
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035・岩武照彦
○岩武政府委員 先ほど来ちょっと触れましたが、現在、日本の国内の航空路で使用しておりまする航空機は、ダグラス3、4といったあたりの、いわば載せる人間からいいますれば、二、三十人から、せいぜい六十人どまりといった飛行機が、一番適して利用されております。しかも、それらの飛行機の、一番用いられておりますダグラスにつきましては、もう世界で、生産をしておるところがないという状況であります。そういうものの代替機の補充と、それから新しい需要に応じまする性能のものを作りたいということで、昨年来、一応の目安として、目下設計研究の段階に入っておりますのは、われわれ、俗に中型輸送機と申しておりますが、大体の大きさ、あるいは性能等は、次のようなものであります。座席五十ないし六十、重さ約二十トン弱、長さ二十六メートル、幅二十八メートル、翼面積八十平方メートル、巡航速度五百十キロ、航続距離八百キロから千六百キロくらいのものでございまして、エンジンは、現在の世界のこの種の輸送機の趨勢といたしまして、もはやプロペラは使っておりません。ターボ・ブロックが多いようでありまして、もちろんプロペラは使っておりますが、純粋のピストンのプロペラではないわけでございます。ただエンジンの方は、日本で国産化ということは、見通し得る期間内にはなかなかむずかしい、むしろ至難でございますから、これは、とりあえずは輸入してつけざるを得ない。もちろん、この国産化を断念したわけではございませんで、機体に続きまして、できるだけ早く作りたいということは考えておりますが、最初はロールス・ロイスあたりのエンジンを輸入してつけるのが、一応の目標になるかと考えておりまして、大体この程度の性能を持っております中型輸送機を、三十七年度の中ごろまでに、試験飛行機の二号機までの生産を完了いたしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/35
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036・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、さしあたっては、中型輸送機といいますか、それを二機三十七年までに試作する、こういうことのようですが、それでは、それを現実に試作せしめるところ、会社ですか、そういうところは、予定にあるのですか、それともこれからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/36
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037・岩武照彦
○岩武政府委員 これは目下試作研究、つまり、設計の段階あるいは木型製作の段階でございますので、財団法人の輸送機設計研究協会というのを昨年設けまして、これは、現在航空機の生産修理をやっております関係の会社七社、これを加入させまして組織している団体でございまして、そこで、設計研究におきましては、いろいろなテーマをそれぞれ共同して分担し合ってやらしております。今後、だんだんこの試作の段階が進みまして、ある程度性能等につきましても安定した形のものが得られて、営業生産に入ることになりますと、どういう企業体にこの生産を担当させるかということが、御指摘のように問題になると思います。これにつきましては、実は今はっきりした考えは持っておりません。おそらくもう少し試作の段階を進めて参りませんと、いろいろ情勢の変化もあるだろうと思いますし、あるいは各社それぞれの得意とするところがあるだろうと思いますから、どこにこれを担当さすかということは、まだ申し上げるには早過ぎるかと思っております。あるいは、しいて一社とせずに、現在、ある種の軍用機で行なっておりますようすに、各社でそれぞれの部分を分担して作るということも、あるいは考えられるかと思います。いずれにしましても、もう少したってみませんと、はっきりした方向は得られないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/37
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038・田中武夫
○田中(武)委員 この法律によって、国有施設を特に安く使用するとか、あるいは資金の確保について政府が努力するとか、こういったような一つの特権的な規定もあるわけです。従って、本法の適用によって、特定の会社といいますか、そういうのが、特に利潤追求の目的のために、本法を利用せられないように、十分な配慮を願いたい、こう思うわけであります。
次にお伺いいたしたいのですが、この第一条にも、いわゆる国産化することによって、国際収支の改善に寄与すると、こううたってありますし、先ほど来の局長の御答弁にも、中型輸送機といいますか、航空機の国産化促進によって、国際収支の改善に寄与するのだ、こういうことですが、将来——相当先の将来はともかくとして、現在においては、先ほどのお話にもあったように、やはり一部は外国のエンジンを買わねばならない。あるいはまた、各社ともそれぞれアメリカその他の航空機会社と技術提携をやっている。こういうような状況にあって、これは下手をやると、むしろ外貨の支払いがふえるのじゃないかと思うのですが、そういうような点は、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/38
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039・岩武照彦
○岩武政府委員 エンジンの代金、これははっきりあれしておりませんが、大体十万ドルくらいで済むのじゃないかと思っております。この種の航空機を、かりにエンジン付で輸入するといたしますれば、大体六十万ドルないし七十万ドルは、少くともすると思っております。その点は、かなり改善になると思います。
それから、御指摘の技術提携の問題でございますが、現在行なっておりますのは、軍用機の生産でございますから、これは特殊の性能発達のあれを持っておりますので、必要でございますが、この中型輸送機につきましては、まだはっきり断言はできませんけれども、そう融通契約がたくさん要ることはないだろうと思います。ただ、一部の部品、あるいは搭載いたします機器の一部につきまして、既存の技術契約で間に合うものがあるのじゃないかと思います。いろいろな操縦装置その他につきまして、あるいは間に合うのがあるかもしれません。それから新しく基本的な設計なり、あるいは工作の面におきまして技術提携をするということは、これは全然考えておりません。もし、それをやります必要があれば、国産化のために補助金なんか出さぬで、手っとり早く適当な外国の会社と技術提携をすればいいわけです。そういうことは、国内の技術振興上の見地から、われわれとしては、とらぬところであります。やはり、困難でありましょうが、数年かかって、技術的に根本から日本の力でやっていくという態度をとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/39
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040・田中武夫
○田中(武)委員 私は、航空機の技術提携の内容というようなことを、よく知らないのですが、私の出身は電気通信機ですが、現に技術提携をして、その後どんどんと国産をやっているわけです。ところが、その技術提携といいますか、契約の本旨に従ってどんどん作っても、やはり一定期間何%かのロイアルティを払う、パテントの使用料を払う、こういうことで、むしろ今日では、それが大きな負担になる。従って、外貨の支払いも、それだけ増している、こういうのが実情でございます。そこで、この中型輸送機を国産に移していく、こういう過程において、技術提携も若干必要であろうし、またアメリカその他のパテントを使用する必要もあろう。そういうことなら、国産化していっても、作れば作るほど、やはりそのロイアルティというか、パテントの使用料、そういうものを払っていく。従って、目的にうたっているような国際収支の改善に、むしろ逆になって、外貨の支払い増になるのじゃないか、そういうような気がするのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/40
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041・岩武照彦
○岩武政府委員 技術提携の条件は、通常、それで作ります品物の価格の五%前後、幾ら高い場合でも、一割は下っているのでございます。しかも、部分品でありますれば、その部分品の価格となっておりますので、完成品を輸入します場合に比べますれば、これはもうはるかに少い支払いで済むわけでございます。先ほど申しましたように、現在、軍用機の生産修理を単価といたしまして、技術提携の契約を、かなりの件数に上って提携しております。ある種のものは、もう期限の切れるものもあるかと思いますが、そういう契約で、この輸送機の部品なり、あるいは材料あるいは搭載品等に使えるものも、若干あるだろうと思います。その面も、やはり金額的には、支払いますものは、先ほどから申しましたような率でございますから、あるいは全然作らない場合に比べますれば、若干これはふえるかもしれないと思いますけれども、完成した飛行機を輸入することに比べますれば、はるかに少いもので足るわけでございます。やはりこれは国際収支の改善には、大いに寄与するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/41
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042・田中武夫
○田中(武)委員 それは、まるまる輸入するよりか、いいだろうと思います。そこで、特に要望しておきたいことは、この計画推進に当って、本法施行に当って、新たに技術提携をやるとか、そういうような必要のあるような場合には、そういう点について、十分考慮をしてもらいたい、こう思うわけです。
次にお伺いしたいと思いますのは、第二条の二号、三号に関連しているのですが、二号では「前号に規定する航空機の一部を構成し、又はこれに装備される機械器具であって、通商産業省令で定めるもの」、三号の方は「前二号に掲げる物の部品及び材料であって、通商産業省令で定めるもの」となっておりますので、従って、この二条二号ないし三号に関連する通産省令が、どのような範囲において定められるのか。たとえば、航空機に搭載する機械器具、こういうことになると、たとえば無線機というようなところまで入ってくるのか。そうなると、いろいろな他の産業分野といいますか、航空機に直接関連するものと、直接関連はしていないが、装備搭載しているもの、こういうことになると、ものすごく範囲が広くなるのですが、一体どういう範囲に省令を定め、それらの産業について、特別な措置を講じようとしているのか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/42
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043・岩武照彦
○岩武政府委員 最初にちょっと申し上げましたように、航空機産業は、非常に広い分野の工業に関係しているわけでございますので、この規定で考えております物品の範囲も、相当実は広くならざるを得ないわけでございます。一番関係の機械器具の方から申しますれば、発動機、プロペラあるいは各種の電気通信機器、これはもちろんでございますが、いろいろ燃料関係の装置、あるいは操縦関係の装置、あるいはプロペラをコントロールします装置等は、もちろん入るわけでございます。それから部品材料といたしますれば、これは一々あげることもなんでございますが、車輪のブレーキ・ライナーでありますとかあるいは翼のマグネシウムの合金の板でありますとか、あるいはジェット・エンジンに使いますところの耐熱鋼であるとかというようなものも、材料として指定することになるかと思います。かなり広い分野に及ぶわけでございますが、反面冒頭に申し上げましたように、非常な精密な規格、精度を要求されますので、そういうものの生産を通じまして、かなり広い分野の技術水準が、さらに向上するというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/43
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044・田中武夫
○田中(武)委員 今のお話であると、航空機に直接関連するということですが、装備せられる機械機器となると、航空機には、やはり無線がなければ飛べない、絶対必要なものである。そうなると、無線なんかはどうなのですか。これは別の電子工業振興法、こういうところにいくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/44
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045・岩武照彦
○岩武政府委員 機上無線の関係は、この法で指定されております。ただ、機上無線に使います——これはトランジスターになりますかどうか、私もよく存じませんが、かりにトランジスター等を使うとなれば、そういうトランジスターの生産促進、あるいは精度向上といった面は、これは電子工業振興法の方で措置されることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/45
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046・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、航空機工業の技術の向上発展というものが、相当広い範囲において他の産業分野の技術の発展にも寄与すると思うのです。具体的に言って、今までの航空機の発展が、どういったような産業分野の技術向上、あるいはその産業自体の発展に、実際に寄与したといいますか、現われておるのか。そういう点について、具体的な一、二の例をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/46
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047・岩武照彦
○岩武政府委員 一番いい例は、バスの車体であります。御承知のように、戦争中の日本の航空機工業は、相当大きな規模を持っておりまして、そういうジュラルミンあるいはアルミニウム等の、軽金属関係の板金作業を行なっておったのでありますが、高度のびょう打ち技術を持っておったわけです。それが、戦後バスの車体の生産に転換いたしまして、現在そういうボディ・メーカーは、大体航空機関係の産業が、いわば片手間と申しますか、あるいは本業と申しますか、よくわかりませんが、相当やっておられるわけです。その結果、びよう打ちの精度あるいは全体の鍛圧と申しますか、プレスのでき上り工合が、非常によくなりまして、日本のバスは、それだけでも、現在おそらく世界でも、まず一、二を争う位置になっておるだろうと思います。それからもう一つは、これも航空機工業の発達がもたらした一つの成果としましては、自動車のネジであります。これも御承知のように、航空機関係のネジは、昔から精密ネジというのは、実は航空機ネジを意味するのだといわれておりますように、非常に精密な規格が必要でありましたが、この製造技術が、戦争中にある程度培養されておりまして、戦後、それが自動車ネジの方に応用されまして、自動車のネジが、非常にいいものができ上っております。これも、ちょうど航空機産業の技術レベルが、ほかの産業の分野の技術向上に資した一番適例であると思います。その他いろいろな面で、かなり航空機産業の技術が、ほかの産業のレベル・アップになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/47
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048・田中武夫
○田中(武)委員 その点は、よくわかりましたが、第二条第一号で、航空機製造事業法の第二条第一項に定める航空機というのが、いわゆる本法適用の航空機である、こういうように規定せられてあるわけです。それで、航空機製造事業法第二条は、「この法律において「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船その他政令で定める航空の用に供することができる機械器具をいう。」こうなって、そうして、政令で定めるというところで、この航空機製造事業法施行令の第一条の第四号に「左に掲げる電気通信機器」と、こうなっておる。そうすると、第二条の第一号から言うならば、この航空機製造事業法の第二条第一項に規定してある。そしてまた、それは政令で規定してあり、その政令には今言ったように、無線機まで入っている。こうならば、本法の適用範囲は無線機まで入る、こういうことになると思いますが、先ほどのトランジスターは電子工業法の方に入り、その他のものはこれに入るのですか。その限界は、どういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/48
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049・岩武照彦
○岩武政府委員 そこは振興政策の進め方の問題でございます。御承知のように、昨年御審議御議決を願いました電子工業振興法では、電子の特性を利用しました工業の振興をはかったわけでございまして、一番端的に申しますればトランジスターなり、あるいは真空管なり、その他を使った産業の振興にあったわけでございます。それで、一般的に申しまして、電子工業の方では、そういうものの部品、材料等の精度向上、あるいは量産、あるいは中には試験研究の促進といったことを計画して進めておるわけでございます。電子工業の部品、材料等を使いましてでき上った製品でも、特殊なものは、電子工業の分野で処理しておるものもあります。たとえば、電子計算機等は、その例でございまして、通信関係は、非常に分野が広うございますし、それぞれの分野で、いろいろ異なった性能を要求されておりますので、いろいろな製造過程なり技術の問題等も、かなり違ったものもございます。そこで、航空機関係につきましては、機上無線あるいは方向探知機とか、あるいは機上のいろいろ関係あります管制機器につきましては、やはり航空機工業関係の法律で措置した方がいいと思います。そういうふうに、一般と特殊というふうなものになるかと思いますので、原材料の面は向うの電子工業の振興法で、製品の面はこちらの法律で措置して参るということが、より振興することを有効に進めて参ることができるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/49
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050・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、いわゆる航空機製造事業法施行令の第一条第四号に掲げる、このイからへまであるこれはすなわち、航空機用の無線機その他レーダー、こういうことになっておりますが、こういうものはこの法律のいわゆる航空機の概念の中に入れて解釈していい、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/50
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051・岩武照彦
○岩武政府委員 御質問の通り考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/51
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052・田中武夫
○田中(武)委員 次にお伺いいたしたいのは、先ほどちょっと御質問いたしましたが、もう一度はっきりしたことをお伺いしたいと思います。第十条のいわゆる審議会の組織及び運営に関して、通産省としては、どのような省令を考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/52
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053・岩武照彦
○岩武政府委員 これは、先ほど申し上げましたごとく、議事細則といったものが中心でございまして、必要な部会を設けます規定でありますとか、あるいは議事の進め方、たとえば何人の出席を得て開き、議決はどうするかというふうなことが、大体中心になってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/53
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054・田中武夫
○田中(武)委員 たとえば議決なんかは、全会一致制をとっておるのですか、過半数制をとるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/54
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055・岩武照彦
○岩武政府委員 一応今のところは、やはり多数決という形で考えております。可否同数のときは、通常ありますように、会長が決する、こうなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/55
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056・田中武夫
○田中(武)委員 それから、十一条のいわゆる国有施設の使用権といいますか、国有施設を特に安い料金で使用できる、こういう規定が特にありますが、そういった国有施設を特に安く使用せしめねばならないという必要性が、どこにあるのか。それと同時に、これは何か別な政令で定めるとなっておりますが、この政令は、どのような政令を考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/56
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057・岩武照彦
○岩武政府委員 航空機関係におきまして、いろいろ研究といいますか、あるいは試験の過程ないし種類が非常に多いことは、御承知の通りでございます。そのために、国立の航空機関の試験所におきましても、特に航空技術研究所におきましては、各研究所あるいは企業家が、めいめい単独で持つことがなかなかできないような大規模、高性能の施設を持って、それを共用しようということで、スタートした試験所でございます。そこで行いますおもなものは、風洞関係の試験が多いのであります。その他、たとえば防衛庁の技術研究所でありますとか、あるいは運輸技術研究所でありますとか、あるいは東京大学の航空研究所、これはもとの理工研でありますが、これらあたりにも、それぞれの性能の風洞、その他を持っております。そういうところで、たやすく使うというような問題もございますが、それよりも一番問題になりますのは、そういう使用料が高くなりますと、結局研究費がかさみまして、それを売ります航空機の値段で償却するということになりますので、航空機の売り値にも響いてくるわけであります。そこで、われわれとしましては、できるだけ慎重な研究等のため、風洞その他の施設を、数多く利用することが望ましいのでございますが、できれば、無償というふうにも考えております。何分、無償と申しましても、そういう風洞でございますと、むしろ風洞を運転する経費がかなりかかる。電気代でありますとか、あるいはジュット・エンジンでございますれば、油代等がかかる。そこで、無償ということになると、かえって研究所や試験所の方が持ち出しになるということもございますから、そういう直接の費用は、これは負担するのもやむを得ぬだろう。ただ償却費でありますとか、あるいは人件費というような、いわば間接費とか共通費のものは、これは一つ減額してもらいたいという趣旨で、大蔵省なり関係の試験所と協議を進めまして、大体現在のところでは、そういうふうな間接費に当ります部分、一般費に当ります部分は、減額して使用させてもらうということで、大体話をつけております。そういうことで、政令もきまってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/57
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058・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、時価よりも低く、時価よりも安く——私は、こういう航空施設の使用の時価が、どういうことできまるか知りませんが、時価よりも低くという意味は、いわゆる直接の使用料というよりか、むしろそれを使用するために必要な費用といいますか、電気代とか油代、そういうことを意味しておるというふうに理解してよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/58
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059・岩武照彦
○岩武政府委員 大体さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/59
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060・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、法律によって、航空機産業振興のためにそういう措置をとるということは、わかりましたが、そうするならば、国あるいは社会にとって必要な他の産業にも、こういった特別な、いわゆる国の施設等を使用することを認める、あるいは安くすることを承知さす、こういうことも考えておられるか。
それからもう一つは、先ほど、いわゆる第二条第一号の定義に関連して申しましたが、たとえばレーダーの研究とか、あるいは航空無線の研究、そういうことも、やはりこの十一条の範疇に入るものと考えますが、そういうふうに解釈してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/60
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061・岩武照彦
○岩武政府委員 御質問の最後の分からお答えしますと、今御質問の点は、特殊の装置を用いまして——低温、低圧でありますとか、そういうものを用いて試験する場合は、そういう試験所にありますものを使いますから、これは適用になると思います。
それから、他の産業の問題でございますが、先ほど来申し上げましたようにこの種の研究施設は、通常の企業等では得ないほど、設置費を食いまするし、また使用費も食うというようなものであるので、国が供用する目的をもって作ったものが多いのでございます。それで、他の産業におきましては、あるいは自分のところで、ある程度の試験設備を持っておることもございましょうし、ちょっと航空機関係とは、事情が若干違っておるのでございます。しかし、われわれ産業の主管官庁といたしましては、国立の試験所の施設はできるだけ安く使わしてもらいたいというのは、これは念願でございますが、なかなかいろいろな事情もございますので、他の産業も一律に右へならえというわけには、なかなか参らぬかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/61
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062・田中武夫
○田中(武)委員 ちょっと確認してきますが、結局、他の産業では、こういう必要もないかもわからぬが、もし必要な場合には、航空機だけに特権を与えるということでなく、考えていく、こういうふうに了解してよいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/62
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063・岩武照彦
○岩武政府委員 場合々々によりまして、そういうふうな配意は、用いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/63
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064・田中武夫
○田中(武)委員 大臣が退席せられるそうですが、一つだけ大臣にお尋ねしておきます。第十二条に、資金の確保として、政府は「資金の確保に努めるものとする」と、こうなっておる。これは、この法律による政府に対する一つの義務規定といいますか、こういうふうに解釈されますが、これは政府としては、どのような責任をお負いになるか、もう一つ、これは公式には聞いておりませんが、何か本法施行に関連して、本年度当初では五億七千万円ですかの、資金というか、補助金を考えておったが、それは削られて、一億二千万円になった。こういうふうなことも聞いておりますが、その間のこまかいことは、局長から聞くとして、大臣に、この法律の第十二条の規定と政府の責任といいますか、義務、それと本年度の予算が四分の一近くになってしまった、こういうことの政治的ないきさつ、そういう点について、お伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/64
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065・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 資金の確保に政府が極力努める、これは一応の宣言規定といいますか、額をこれだけは確保しなければならないというものではありませんが、極力政府資金を調達することについて努力をする、こういうことであります。もちろん、民間資金につきましても、ある程度の援助はしなければならぬと思います。しかし、これは、民間資金について、政府がどうこうするという最終的な権限は、何も持っておりません。従って、政府資金をできるだけ心配する、こういう意味であります。
それから、予算におきまして、最初五億というのが、結局において一億二千万円になりましたいきさつは、機型を全部やりますのにつきましては、四億と思います。しかし、全額補助ではなしに、大蔵省としては、負担がかさみますので、ゼロ、こういうような話も出ておりましたが、結局半額補助、こういうことになりました。一億二千万円というのは、そういうようないきさつで、別に大きな政治的な問題というのではなしに、全額補助か半額補助になった、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/65
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066・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、大臣けっこうですが、ちょっと一言だけ言うことを聞いておいてもらいたい。私たちは、最初から言っているように、これが、やっぱり軍事目的あるいは再軍備の思想につながるのではないか、こういうことを懸念している。だから、そういうことが絶対にないということであれば、航空機の国産化ということは、大いに振興する。この法律で見ると、大きく振りかぶった割には、内容が少い。だから、どっちかにはっきりしたらいい。軍事目的でなく、ほんとうに平和のためであるというのなら、もっと思い切って強いものを作ったらいい。先ほどから見ておると、審議会と国有施設の使用権、それから資金の確保というのは、この資金についても、何か宣言規定だ、こういうことを言う。だから、やられる以上は、いい方面なら強力にやってもらいたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/66
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067・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 先ほど来、申しておりますように、あくまで平和目的のためでありまして、ただ、技術的にこれを分けて考えるということは、非常にむずかしいために、そういうことになっておるわけであります。内容については、あるいは非常に微弱だ、こういうお考え方もあり、われわれも、もう少し強力なものにしたいという考えは、持っておったわけでありますが、いろいろな事情におきましてそれだけ強力なものになし得なかったわけではあります。しかし、とにかく、これによって航空機、ことに輸送機の国産化ということについての、長期にわたる政府の考え方、少くとも振興していくのだという強い考え方と、審議会によりまして、一応の変らぬ方針をきめていくということに、非常な意味があると思いますので、どうぞ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/67
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068・田中武夫
○田中(武)委員 第十二条の関連ですが、大臣は、宣言規定だということですが、これは、宣言規定であろうが、やはり政府は確保に努めるものとする、こういうことになると、一つの義務といいますか、そういう面も考えられるわけです。そこで、さしあたっては、資金確保については、具体的にどのようなことを考えておられるか。たとえば、予算による補助、あるいはまた財政投融資金の運用ということなども考え、またあるいは市中銀行といいますか、あるいは開発銀行等の融資のあっせん、こういうことも含んでおるのか、具体的にどの程度のことをお考えになっておるのか、あるいは、将来どういうようなことを考えられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/68
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069・岩武照彦
○岩武政府委員 試作段階の資金でございますが、これは国の補助金が中心になるわけでございます。先ほど来、大臣が、今年度予算では、所要資金の二分の一程度というふうに申し上げましたが、実はわれわれは、もう少し政府資金をよけい出したいというふうに、いろいろ予算折衝で努力いたしましたが、いろいろな関係もありまして、この程度にとどまったわけでございます。残りの資金は、これは先ほども申しました財団法人に加入しておりまする企業各社から、寄付金という形で出るわけでございます。それにつきましても出しやすいようにいろいろ配意しているわけでございます。それから、試作が終りまして営業製作に入りますときには、設備資金としまして、そう巨額なものになるとは存じませんけれども、やはりある程度の冶工具の整備等が要ると思いますので、これにつきましては、さしあたり考えられますのは、やはり開発銀行の融資だと思います。それと市中の融資とが協調いたしまして、所要の資金を得ることになりましょうが、場合によりましては、長興銀等の資金の参加を求めることもあろうかと思います。われわれとしましては、その際には、政府といたしましても中へ立ちましていろいろなあっせん、あるいは政府の施策の説明等を行いまして、円滑に資金が集まるようにしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/69
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070・田中武夫
○田中(武)委員 輸送用の航空機の国産化及びそれの振興、こういうことについて、必要な資金を確保するように努めてもらうのは当然ですが、また一面、その方面にばかり偏して、他の産業が資金難に悩むということも、考えなければいけない。そういういろいろな問題があろうと思いますが、本法の目的に沿っての努力をしてもらう、そういうことをお願いいたしておきます。
それから、何回も言いますが、これがあくまで軍事目的にはつながらないのだ、こういうことを明確にいたしたい、こう思って、いろいろと質問したわけですが、そういうことがはっきりするならば、大いにやっていただきたい、こう思うわけです。
終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/70
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071・小平久雄
○小平委員長 本日はこの程度にとどめます。
次会は、明十日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804461X02919580409/71
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