1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年二月十九日(水曜日)
午前十一時二分開議
出席委員
委員長 矢尾 喜三郎君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君
理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
理事 中井 徳次郎君
青木 正君 伊東 隆治君
加藤 精三君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 楠美 省吾君
渡海元三郎君 古井 喜實君
松澤 雄藏君 永井勝次郎君
北山 愛郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 郡 祐一君
出席政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警 視 監
(警察庁長官官
房長) 坂井 時忠君
警 視 監
(警察庁刑事部
長) 中川 董治君
自治政務次官 中島 茂喜君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 圓地與四松君
――――◇―――――
二月十五日
委員北山愛郎君辞任につき、その補欠として西
村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員西村榮一君辞任につき、その補欠として北
山愛郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十九日
委員川島正次郎君及び三宅正一君辞任につき、
その補欠として伊東隆治君及び永井勝次郎君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員永井勝次郎君辞任につき、その補欠として
三宅正一君が議長の指名で委員に選任された。
―――――――――――――――――――――
二月十七日
町村議会事務局設置に関する請願外十八件(原
茂君紹介)(第九〇七号)
同(中馬辰猪君紹介)(第九七一号)
大工、左官及び板金業者の事業税軽減に関する請願(大
矢省三君紹介)(第九〇八号)
同(亀山孝一君紹介)(第九〇九号)
同(川崎末五郎君紹介)(第九七〇号)
同(北山愛郎君紹介)(第九八九号)
遊興飲食税減免に関する請願(西村直己君紹
介)(第九一〇号)
同(川村継義君紹介)(第九八八号)
新町村育成強化等に関する請願(八木一郎君紹
介)(第九七二号)
の審査を本委員会に付託された。
二月十五日
地方自治法の一部改正に関する陳情書
(第三二七号)
事業税軽減等に関する陳情書
(第三三一号)
国税の減税に伴う地方税減収額補てん等に関す
る陳情書
(第三三四号)
地方交付税法の特例の平年度化等に関する陳情
書(第三三五
号)
自主再建団体借入金の利子補給に関する陳情書
(第三三六号)
地方公務員の停年制実現に関する陳情書
(第三三七号)
地方公務員の給与改訂に伴う財政措置に関する
陳情書(第三三
八号)
国民健康保険税の賦課に関する地方税法の改正
に関する陳情書
(第三四八号)
市町村道路整備費の財源措置に関する陳情書
(第三九一号)
府県制度改革に関する陳情書
(第二六六号)
同(第三三三号)
消防組織法の一部改正に関する陳情書
(第二六七号)
消防施設強化に関する陳情書
(第二六八号)
地方公務員の給与改訂表是正に関する陳情書
(第二七〇号)
地方交付税率引上げに関する陳情書
(第二七一号)
同外一件
(第三二八号)
町村議会事務局設置に関する陳情書外三件
(第二七二号)
同外八件
(第三二五号)
公営住宅建設の地方負担金全額起債承認に関す
る陳情書(
第三一三号)
を本委員会に参考送付された。
―――――――――――――――――――――
本日の会議に付した案件
寄附募集の規制に関する法律案(北山愛郎君外
十名提出、第二十七回国会衆法第一一号)
銃砲刀剣類等所持取締法案(内閣提出第一二
号)(予)
警察法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
二七号)
遺失物法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第二八号)(予)
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四八号)
地方財政に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/0
-
001・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 これより会議を開きます。
去る十三日本委員会に付託になりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題として、政府より趣旨説明を求めます。
郡国務大臣。
—————————————————————
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
奄美群島復興特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項中「五箇年」を「十箇年」に改める。
第三条第三項を削り、同条第四項中「第一項及び第二項」を「前二項の規定」に改め、同項を同条第三項とし、以下一項ずつ繰り上げる。
第四条の見出しを「(復興実施計画の作成及び変更)」に改め、同条第三項中「第六項」を「第五項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 復興実施計画が作成された後、特別の必要が生じた場合においては、前二項の規定の例により、復興実施計画を変更することができる。
第六条に次の一項を加える。
6 奄美群島における災害復旧事業については、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第三条の規定により地方公共団体に対して国がその費用の一部を負担する場合における当該災害復旧事業費に対する国の負担率は、同法第四条の規定によって算出した率が五分の四に満たない場合においては、同法同条の規定にかかわらず、五分の発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/1
-
002・郡祐一
○郡国務大臣 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概要を御説明申し上げます。
戦後八年間にわたる行政分離の後、昭和二十八年十二月に本土に復帰した奄美群島の復興を促進するため、翌二十九年六月奄美群島復興特別措置法が制定され、同法に基いて五カ年間の復興計画が樹立されまして、現在まで四カ年間諸般の復興事業が実施されて参ったのであります。
これらの復興事業の実施によりまして群島の産業経済その他公共施設の復興ぶりはまことに目ざましく、群島の面目は一新せられつつあるのでありまして、昭和三十一年における群民所得は復帰当時の二十八年に比べて五割以上の増加をみているのでありますが、復興計画樹立後現在に至りますまでの四カ年間の事業実施の状況にかんがみまして、計画事業の内容について種々再検討を加え、計画の期間を延長することが必要と考えられるに至ったのであります。
奄美群島復興特別措置法に基き内閣総理大臣の諮問機関として設置されております奄美群島復興審議会におきましても、昨年末、立ちおくれた民度を向上し群島経済の自立化を促進するために現在の復興計画を改訂し、その実施期間を十カ年間に延長する必要が認められるので、すみやかに所要の法律改正を行うべき旨の意見を提出している次第であります。
以上申し上げましたような事情にかんがみまして、今回法の有効期間及び復興計画の期間の延長を中心とする奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を提案いたした次第でありますが、この際あわせて、奄美群島の特殊事情を考慮して、同群島における公共土木施設災害復旧事業の国の負担率に特例を設けることといたしますほか、法施行の実情にかんがみまして必要な規定の整備をはかりたいと存じます。
以上この法律案の提案理由並びにその内容の概要について御説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/2
-
003・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 本案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/3
-
004・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 次に、寄附募集の規制に関する法律案を議題といたします。
本法律案は御承知の通り前国会よりの継続審議でありまして、すでに前国会において提出者より趣旨説明を聴取いたしておりますが、会期も改まりましたので、あらためて提出者より趣旨説明を求めることにいたします。北山愛郎君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/4
-
005・北山愛郎
○北山委員 それでは寄附募集の規制に関する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
本法案については、去る第二十七臨時国会の提案の際の説明資料をお手元に配付してありますので、これをごらんいただければ大体おわかりと存じますが、若干敷衍をいたしまして御説明申し上げたいと存じます。
寄付募集については戦後ほとんど野放しの状態でございまして、何らの規定のないままに、諸種の行事、施設、事業のための募集が盛んになって、その中には戸別訪問、一方的な割当等、心理的な強制にわたるものも少くない状況でありまして、特に募集金品の処分がどのようになったかも公開されないで、寄付の行方が住民にわからないという批判が強いのでございます。寄付負担金等がどのくらいあるのかという統計資料はきわめて不完全でありますが、文部省の調査、昭和三十一年度地方教育財政の調査、中間報告によりますると、教育関係の寄付金は百七十一億円となっており、全国町村会の調査、昭和三十一年度町村財政調査集計要約集によると、昭和三十年度の住民税外負担の推計は百四十八億円となっております。公費で支弁すべきものの税外負担は、シャウプ勧告当時におきましても約四百億と推計をされておりますが、今日では相当この金額を上回るものがあると存じます。比較的東京都は寄付金の少いところであると思いますが、それでも東京都の条例である、金銭物品の寄附募集に関する条例による許可の状況を見ますと、昭和三十年度二千三百八十九件、二十九億三千九百万円、昭和三十一年度は三十六億円をこえて、都民一人当り四百五十一円と相なっているのであります。このように寄付募集の盛んに行われることに対して、一部の地方公共団体は自主的に条例を設けて規制を行なっているのでありますが、それは資料としてもあげておりますが、五つの都府県、十一の市、十八町村等、三十四団体に及んでいるのであります。
本法案は寄付募集のこのような実情に対しまして、全国的に規制の範囲を広げて、募集方法を民主的かつ公明なものとしてその健全化をはかり、あわせて住民の負担が重くならないようにしようとするものであります。
本法案の作成について考慮した二、三の点を申し上げますと、第一に自発的に行われる寄付を抑圧することなく、寄付者の自主的な意思によって寄付が行われるように留意したことでありまして、これがため寄付の強制にわたるような行為を禁止するとともに、街頭募金、ビラ、ポスター、放送等、一般的周知方法だけによるものは許可を要せず、届出だけでやれることとし、個別訪問や割当等の方法をとる場合だけを許可制とし、寄付者の意思を尊重するように配慮したのであります。
第二点は寄付募集について関係住民に公表することにし、許可届出の双方とも市町村長、知事、自治庁長官がそれぞれその要旨及び募金の結果も公開するようにしたのであります。
第三点は寄付募集の責任者には募集の際の証票の携帯、関係書類の備付、所定の報告等の義務を課して、募集金品の目的外処分使用を禁じ、不正、不当を防止したことであります。また関係法令及びこれに基く処分に違反するような場合、許可または届出を受理した市町村長、知事、自治庁長官は必要な措置を要求し、募集停止を命ずることができるようにしたのであります。
第四点は市町村長が寄付の許否を決定する場合は、寄付募集審査会の議を経ることとし、寄付募集審査会の委員には産業団体、労働団体、文化団体の構成員中識見のあるも者または学識経験者七名以内を充てて、寄付募集の適否が大衆の前で審議されるように考慮しております。
次に本法の適用除外でありますが、第一には国及び地方公共団体の行う寄付募集は適用除外をいたしております。その例は少いと思いますが……。次には政党、政治団体の政治活動のための資金募集、これは除外いたしております。これは政党としての我田引水ではございませんが、これについては御承知のように政治資金規正法というものが別にございますので、その方で規正する方が適当と考えたわけであります。その他現行の社会福祉事業法その他の法令によって認められておる寄付募集については適用除外としたわけであります。それ以外に法人その他の団体がその内部における寄付募集、この点は規定が非常にむずかしいのでありますが、一応原則的には適用除外とし、ただし地域的団体、すなわち部落会とか町内会というような地域住民を構成員とするような地域的団体、あるいはまた青年会、婦人会、後援会等で地域性を有するもの、一定の地域というものを条件としているようなその種の団体で、政令で定めるようなものが個別訪問とか割当等の方法によって募集する場合は適用を受ける、こういうことにしたわけであります。なお冠婚葬祭やせんべつ、お祝いというようなものは、本法による寄付募集というのは特定の行事、施設事業のためのものであるというふうに規定されておりますので、当然除外されるわけであります。
なお罰則については最小限度に、五万円以下あるいは一万円以下という罰金を課することにいたしております。
なお経過規定として、現在この法案の施行期日は本年の四月一日となっておりますが、その施行の際にすでにやっておる寄付については一応やれるものとして、ただし募集期間内に、それがあまり長くては困りますが、最大限三カ月以内に政令の定めるところによって市町村長、知事、自治庁長官に届出をしたものは本法の許可または届出をしたものとして本法を適用する、こういうことにいたし、また本法が施行とともに地方の条例は効力を失うのでありますが、現に地方公共団体の条例によって行なっておる寄付募集については、従前の例によるという経過規定を設けております。
本法案は全体としてわかりやすくできておりますので、あとは一読してすぐにおわかりになると存じますが、一面から見れば、微温的で、はなはだ弱いというような批判もあるとは存じますが、寄付募集というものを取り締るという形ではなくて、野放しのものを全部許可申請あるいは届出を得ることにして技術的な規制を加える、また募集方法を戸別訪問や割当ではなくて、一般的な周知方法による方向に導いて、心理的強制の弊を除く、また経理内容を公開し、募集金品の処分等を適正ならしめる等を主眼として作成されたものであります。
提案者としましては、この法案は最低賃金法等にも劣らない重要法案であると考えております。またこの前も申し上げました通り、これは軍人恩給のように圧力団体からの要請によったものではないのであります。しかし全国至るところの町や村の中に寄付の横行に対する不平不満が満ち満ちておるのでございまして、国会はこれら声なき声を取り上げるということも重要な仕事ではないかと信ずるものであります。
これは社会党の提案でありますが、社会党は批判の党、常に反対ばかりしておる政党であるようにいわれており
ますが、多数与党の政府の提案した法律、条約案の大部分、七、八割くらいはわが党も常に賛成しておるのでありまして、反面では与党たる自民党は、社会党の提案に賛成したということをほとんど聞いたことがないのは、まことに残念でございます。私は、もし本法案が与党の賛同を得て通過成立することができるならば、国民大衆は提案者たる社会党よりも大政党の襟度を示した自民党に盛んな拍手を送るだろうということを固く信ずるものであります。
以上提案の理由の概要を申し上げまして皆様方の御賛成を得たいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/5
-
006・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 本案の趣旨説明は終りました。本案に対する質疑も次会に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/6
-
007・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 次に警察法案等の一部を改正する法律案、銃砲刀剣類等所持取締法案及び遺失物法等の一部を改正する法律案の三案を一括議題として、前会に引き続き質疑を行います。質疑は通告順によってこれを許します。川村継義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/7
-
008・川村継義
○川村(継)委員 一つ二つお尋ねしておきたいと思いますが、質問いたします前に、ちょっと長官にお聞きしたいのですが、警察法の一部改正と、それから道路交通取締法の一部改正、これを全く別の法案として提案されないで、一本の形で提案されましたのには、何か理由がおありでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/8
-
009・石井榮三
○石井(榮)政府委員 双方関係のきわめて深いものであり、しかも道路交通取締法の多くの警察法に関係のない点を改正するような場合には、むろん別個に改正すべきものでございますが、きわめて限られた一部分だけの、しかも関連の深い改正でありますので、警察法の改正とあわせて道路交通取締法の一部分を改正することにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/9
-
010・川村継義
○川村(継)委員 警察法の一部改正について一つ二つお尋ねいたしますが、今度の改正の提案理由並びに内容につきまして、先週の十二日の委員会であったかと思うのですが、与党の永田委員からも、大変中央集権的なにおいがする、そういう心配があるのだというようなことで、いろいろお尋ねがあったようでありますけれども、実はそれについて長官としては、そういうことはない、こういう御答弁でありました。しかし私といたしましても、その点についてはよほど注意していかねばならない点があるのではなかろうか、こういうふうに感ぜられる。提案理由の説明書の初めの方に「警察庁及び北海道における警察組織を合理的に改編整備する」こういうような言葉も述べてあります。なおそのあとに続いて、「民主的警察制度のもとにおいて社会情勢の変化に即応し、警察事務を能率的に遂行しようとする目的を持つものにほかならないのであります。」こういうようなことも書いてありまして、提案理由の説明をなさるについて、あるいはそういうような誤解を生むのじゃなかろうかというので、わざわざそういうようなことはないんだという意図のもとにおいて御説明もなさっておるように見受けるわけであります。そこで私は長官に質問申し上げる前に、二十九年度の警察法の改正のときにいろいろと問題になった問題点、あるいは相当混乱を生んで警察法ができ上ったというようないきさつ、そういう点について十分一つ思い起していただきたいものだ、こういうふうに思うわけであります。
お尋ねいたします第一点は、いわゆる警察庁の権限は従来よりも相当大きく拡大される、これは間違いないことだと思うのでありますが、北海道における方面公安委員会の一つである札幌地区の公安委員会を廃止して、その地区を道警察の直轄とする、こういうようなことが出てくるようでありますが、これはあるいは、合理的にするのだ、こういうお答えがあると思うのですけれども、どうしてこの札幌地区の公安委員会を廃止しなければならないかという、その点がどうもこの前の応答では納得いかない点が多うございます。従来のように方面公安委員会を置いておいても、これはほんとうに民主的警察を育てるという観点からすると、差しつかえないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点について長官から一つ十分なる御説明をまずいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/10
-
011・石井榮三
○石井(榮)政府委員 前回の当委員会におきまして御質問のありました場合にお答えしたことを繰り返すようなことになりますが、今回の警察法の改正は、決して中央集権化を考えたり、警察の国家化をはかろうというような意図は毛頭ございません。現在の警察制度の基本には何ら変更を加えようとするものではないのでございます。ただ二十九年の制度改正以来今日まで三年有半の実績に徴しまして、この現行警察制度の基本を堅持しつつ、より一そう能率的に、合理的に警察運営が行われるように、二、三の点について改正を試みようとするものにほかならぬのでございます。警察庁の権限が特に著しく強化されるといったようなことはないのでございます。あるいは監察に関する事項を取り上げました関係上、何かあらゆるものについて、従来より以上に都道府県警察に対して中央がにらみをきかし、はしの上げおろしまで監督するのではないかというふうな印象をお持ちになっておられるのではないかと思うのでございますが、決してそういうものではないのでございます。本来監察というものは、現在の法の建前におきましても、これは警察庁の所掌事項に関する限り、この所掌事項を合理的、適正に運営するためには、当然その手段として監察ということは許されるものと私どもは解しておるのでございまして、それがただ明文の規定を欠いておるというにすぎないのでごいざいますので、今回の改正の際にそれを明文化しておこうというにとどまるのでございます。
北海道の関係の改正について御指摘がございましたが、道警察本部の所在する方面である札幌方面本部の警察運営について、これまた二十九年の制度改正以来今日までの経験に徴しまして、道警察本部が直接これを掌握する方がきわめて能率的であり、札幌方面本部を廃止することによって生ずる人員、経費等を他の方面に振り向けることによって、北海道警察全体の能率的な運営が可能になるということにほかならないのでございまして、札幌方面本部を廃止することによって、勢い札幌方面を管理いたしておりまする札幌方面の公安委員会は廃止になりますけれども、北海道警察全体を管理いたしております北海道公安委員会は依然として健在なのでございます。この北海道公安委員会の管理のもとに、北海道警察本部が中心となりまして、北海道全道の警察行政の円滑なる運営に当るという現在の建前は何ら変更されることはないのでございまして、ただ札幌方面本部すなわち道警察本部の所在するおひざ元の方面だけ、道本部が直接指揮監督することの方が、より一そう能率的であり、しかも先ほど申しました通り、そのことによって生ずる人員、経費等の節約できる分を他へ転用することによって、一そう効果ある警察運営をいたそうということにほかならないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/11
-
012・川村継義
○川村(継)委員 今のお答えでございますが、札幌地区の公安委員会を廃止するということに伴って、経費の節減もできるし、そういう経費を他の方面に転用して効率的に使うことができる、あるいは直接道警察が担当することによって非常に能率的だ、こういうことでありますが、おそらくその点はそういう形に出てくるだろうと思います。果してそれでは札幌地区の公安委員会を廃止することによってどれくらいの経費が浮いてくるのか、そんなに長官が考えられるように非常に有効な経費が生み出されるのか、それが私は一つの疑問となってくるわけです。それから能率的だという。なるほど考え方によりましては、そのように一つの筋につないでおいて、中央でもって一々行政上の差配をすることが能率的な場合は多いと思います。ただわれわれが心配いたしますことは、日本の民主主義というものはまだどうも足踏みをしている。そういうような状態においては、私たちは能率的だ、あるいは合理的だ、こういう美名のもとに改革を急ぐということは非常に危険じゃないか、こう思っている。今日までの政府というものは、これは教育行政を考えても、ほかの行政を考えても、よく合理的だ、あるいは能率的に改善するのだという言葉を使いまして非常に改革を急いでいる。御承知の通り、今日までいろいろと教育上の行政問題で大きな波乱を起しております教育委員会制度の問題にしても、都道府県の教育委員会、それから市町村の教育委員会、こういうような民主的な教育運営の基盤をなす、基礎となるところの委員会制度ができた。今日は御承知の通りにそれが公選が廃止されて任命制に変えられた。逐次その委員会の存在というものはもう不必要なものとなる、こう考えられる部面がたくさん出てきた。委員会というものの存在の意義がなくなっているという状況にあるわけです。ということは、御承知の通り一方から教育行政のことを考えても、文部省が全国的に教育を支配しようという意図があらゆる行政の上に現われてきつつあります。こんなことをいろいろくどく申し上げる必要はありませんけれども、そういうものと比べてみると、どうも合理的にやるとか、あるいは経済的に考えるとか、能率的に考えるとか、こういうことでせっかくの民主主義の基盤たる諸制度をつぶしていくということは、非常に注意しなければならぬじゃないかと私たちは思っている。警察の行政にいたしましても、何といいましても公安委員会というようなものが、私は民主制度における大きな柱となるものだ、こういうふうに思っているわけですが、そういうような点から考えて参りますと、あるいは民主主義を育てる、民主警察を育てていくというときには、ある程度の非能率ということも忍ばなければならぬ。忍んでいかなければならぬこともあると思う。それで今長官のお話でありますけれども、石井長官が警察庁長官として警察行政を担当しておられますときには、あなたの人格あるいはお考え等から、われわれは決してこのような中央集権的なものになるとか、そういうような形になろうとは思いません。それは長官をわれわれは非常に信頼するわけです。ところがあなたがもしもおやめになった場合には、今ここでそういうことは考えていないということが、今度は大きな問題となってまた変更されるおそろしい状態が出てくるかもしれない、こういうことが心配されるわけです。そういう意味から考えて参りますと、何も今経済的だといって、幾らの経費の節減になるかわかりませんけれども、道警察を直轄に置いた方がいいということで、札幌地区の公安委員会等を廃止される必要はないじゃないか。もっと突っ込んで考えますと、今度は来年になるか再来年になるかわかりませんが、この次にはこの前、道警察が札幌地区の公安委員会を廃止して直轄にしたところが非常にいい、能率的であった、だからして今度はほかの四地区の公安委員会も廃止して、北海道全体を道警察がやった方がもっと合理的だ、もっと能率的だ、こういう議論が必ず出てくる。私はそういう点を心配するわけです。長官がおられる間はおそらくそういうことはないと思いますけれども、そういう方向に行くのじゃなかろうか、こういうことを考えざるを得ないのです。そういうことを思ってみますと、何もこの際今まで通りに方面の公安委員会というものは置かれてもさしつかえないのじゃないか。あるいは皆さん方の行政上やや非能率的なところもあるかもしれないし、経済的にもあるいは十分でないところもあるかもしれないけれども、それくらいのことは忍んで、この方面公安委員会というものが民主警察の支柱となっておるならば、私はこれは従来通りに置くべきではないか、こういうふうに考えるのでありますが、長官はその点についてどうお考えでございますか。さらに突っ込んで申し上げますならば、将来他の方面の公安委員会を廃止することは絶対にないのだ、こういうお考えが不動なものであるかどうか、そういう点を一つお聞きかせおき願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/12
-
013・石井榮三
○石井(榮)政府委員 北海道は北海道という一つの自治体の単位でございます。現在の都道府県警察が、たびたび申し上げておりますように、都道府県の自治体警察である、ただ警察事務の性格上一部国家的性格の仕事を持っておる関係上、純粋の自治体警察として人事的にも、あるいは予算的にも一切地方でまかなわれておる建前にはなっていないで、やはり最小限度の中央の制約がここにつけられておるというのにすぎないのでございます。北海道全体が一つの自治体単位であり、北海道警察というのは、他の都府県と全く同じ性格のものなのでございますが、ただ御承知のように北海道は広い地域でございますので、便宜上これを従来旧国警時代から五方面に分ちまして、五つの方面本部を置きまして、それぞれ統括区域をきめて警察事務をやってきたということに相なっておるのでございます。二十九年の制度改正の際に、本来ならば五方面のうち北海道警察本部の所在する札幌方面本部は廃止して、他の四方面だけを残すというのが適当であったという考え方もあったのでございますが、当時御承知のように従来の五方面に分れておりますいきさつ、その五方面内のそれぞれの自治体警察と旧国警の部面との統合という、その統合の事務等の関係上、便宜上従来の五つの方面をそのまま残したといういきさつになっておるのでございまして、先ほど申しました通り、二十九年以来今日までの三年有半の実際運営の経験に徴しまして、他の四方面はそれぞれ存在の意義が十分ありますが、札幌方面に関する限り、むろん存在の意義はありますが、能率的にこれを運営するという見地から考えます場合に、これを道本部が直接指揮監督するということが十分運営の全きを期し得るのみならず、札幌方面本部を廃止することによって人員の相当の節約ができるわけでございまして、それを人員の不足を感じておりますこの際、もっと効率的に他の方に転用することが北海道警察全体の運営上大きなプラスになる、かように考える次第でございます。
今回札幌方面本部を廃止し、これを足がかりにして、行く行くは他の方面本部をも廃止するのではないかという御懸念でございますが、そうしたことはわれわれ全然考えておりません。北海道の特殊事情に基きましてこうした方面本部が置かれておる事情を考えますならば、この姿で将来も行くべきものである、かように考えるのであります。他の府県におきましては、御承知の通りそれぞれの府県警察本部が直ちに県内の各警察署を直接掌握しておるわけでございます。北海道におきましても他の府県と同様に、方面本部というような中間的な本部を置かないで、北海道警察本部が直接道内の各警察署を掌握しても差しつかえないわけでございますが、先ほどから申します通り、北海道の地域のきわめて広大であることにかんがみまして、道民の方々の便宜等も考えまして、五つの方面に分ち、それぞれ方面本部を置き、それを管理する公安委員会を置いて今日警察行政を運営してきておる、こういう実情になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/13
-
014・川村継義
○川村(継)委員 今長官のお考えをるる述べていただいたのですが、北海道に五方面の公安委員会が置かれた。ところが北海道そのものが道警察が自治体警察であるから、北海道全体の警察行政については自治体警察の方でいろいろやっている。面積が広いから、便宜上五方面のものを置いた、こういういきさつも今お話しになったのですが、今長官の御説明を聞いておりますと、従来北海道は広くはあっても、ちゃんと道警察の方で一本でやってよかったのだけれども、面積が広い等の関係で五方面に分けておった、便宜的にこれを設置したのだ、こういうようなお考えでありますが、その底を考えてみると、五つの方面公安委員会というものは、何も民主警察のほんとうの行政上の柱となって存在するのだ、そういうよう
な強い認識でなくて、何かしらんこの前の警察改正等のいろいろの複雑ないきさつ等から、実は道一本でやってもよかったのだけれども、そうやったのだというようなお考えも、警察当局にはまつわりついているのじゃないか、こういうような疑問さえ出て参ります。ほんとうに北海道が面積が広くて警察行政をやっていく上において、あるいは民主警察の浸透をはかるために考えるならば、この五方面の公安委員会が必要だということでありますならば、面積も大きいことでありますし、またあのような地勢、産業上の構造を持っておりますから、やはりこの方面公安委員会はそのまま存置されても一向差しつかえないのではないか。ただ道警察の足元にあるからというような理由で、その方が合理的だ、能率的だというような、ただそれだけの理由で札幌の方面公安委員会を廃止される必要はないのじゃないか。かえって札幌地区の警察行政は札幌の方面公安委員会によって運営せられ、道警察は道全体のいろいろの大きな立場から警察行政の円滑を期する、こういうような考え方がよくはないか、こういう考え方が出てくるわけです。大へんくどくなりますけれども、おそらく残った四つの方面公安委員会というものは、いろいろ警察の仕事がうまく行くとか、あるいは複雑になってくるとかいうことになりますと、何かしらん長官は今否定はされておりますけれども、あとでこの四つの方面公安委員会というのを廃止されて、やはり民衆の意思を代表する形でなくて、北海道自治体警察というものの名において北海道全体の警察がここに一本化される、集中されるというような形になるのじゃないかということがさらに心配になってくるわけですが、その辺のところをもう少しお聞かせおき願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/14
-
015・石井榮三
○石井(榮)政府委員 現在の公安委員会制度が新しい警察の民主的運営の保障のためのきわめて重要な使命を持っておりますことは、申すまでもないところでございます。公安委員会の管理のもとに警察が民主的に運営されておるこの姿は、きわめて重視しなければならぬことであります。今回提案の、北海道の道警察本部の所在する札幌方面本部を廃止することに伴いまして、札幌の方面公安委員会は必要がなくなるということにすぎないのでございまして、私ども札幌方面の公安委員会を廃止することをまず考えて、そのために、廃止すればその下の管理に属する札幌方面本部が要らなくなるから廃止するのではなくして、むしろ逆でございまして、先ほど来申し上げます通り、札幌方面本部を廃止することによりまして道本部がこの地域を直接掌握し、それによって生ずる人員の節約等を他の方面に有効に活用しようということを考えているにすぎないのでございまして、他の四つの方面の公安委員会は、これは道民の利便等から考えまして、どうしても置いておかなければならぬという必要を痛切に感じておるのでございまして、今後ともこの四つの方面の公安委員会をどうこうしろというようなことは毛頭考えておりませんので、御安心を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/15
-
016・川村継義
○川村(継)委員 経費の問題でございますが、きょういただいた資料の中にも少し説明してあるようでありますけれども、この警察の経費は大きく分けて、国庫が全額を負担する、直接支弁をする経費と、国庫から都道府県に補助金として支出される経費、都道府県自体が負担する経費、こういう三本立になっているようであります。私は犯罪捜査とか、そういうような問題は第二番目に申し上げました都道府県負担に対して国庫から補助するというような経費になるのじゃないかと思うのです。それから警察官のいわゆる超勤手当であるとか、あるいは報償金というものがあるようでありますが、そういうものはこれは都道府県の直接負担になっているということであります。それについて私たちはかねて第一線で非常に苦労をしております警察官諸君の待遇問題については、これは与野党を問わずたびたび質問にも出ておりますように、大きな関心とその待遇の改善をされることを常に考えて来ているわけでありますが、末端の第一線の警察官の人たちは、ほんとうに薄い手当で日夜苦労をしております。ところがこの捜査費あるは報償金といわれるようなものが、県のいろいろの支出の状態を聞いてみますと、すっきりしないところがあります。私は、こういうところに警察費の非常にまずい、あるいは不当なと言っていいぐらいな使い方がありはしないかと常日ごろ思っておるわけであります。今ある県の——ちょうど県の決算がいろいろ行われておりますけれども、そこでも問題になっております。ということは、一例を申し上げますと、そういうことはないとは思いますけれども、実は捜査費等につきまして各末端の警察署にやはり予算の範囲内において適正に配付されなければならぬと思うのですが、ただ地方の警察署長の判こだけもらって、書類上は整っておりますけれども、それが地方本部の警察で大部分は使われる。あるいは報償金というのがあるそうでありますが、こういうようなものについても結局判こだけもらって、それが末端の警察に、あるいは警察官の諸君に適正に配付され、支給される、こういうようなことが正しく行われていない、そういうようなことなどをよく聞くのですが、おそらく長官はこういうことは知らない、そういうことはないというお答えがあるのじゃないかと思いますけれども、私たちはそういう点についても、警察費の正しい使い方については非常に疑問な点があるということを聞いておるわけなんです。これはよほど注意をしていただかなければならぬと思うのですが、それらの捜査費とかあるいは報償金といわれるようなものがどういう形で支出されて、実際はどういうふうにして支給されるものであるか、これを一つお聞かせ願いたい。でなければ、今長官が経費の節減とかなんとかいうことを言われましたけれども、ただ人員の配置がえをしたとかいうようなことだけでは私は問題は解決しないのじゃないか、こういうような考え方をするわけです。その点について一つ長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/16
-
017・石井榮三
○石井(榮)政府委員 都道府県の警察運営に要する費用はどういう建前になっておるかということついては、先ほどお話もありました通り、国で直接支弁するものと、都道府県がすべて負担をするものと、国が半額を補助するものと、この三本立になっておることは御承知の通りであります。いずれの費目に属するものでありましても、およそ警察の予算が警察行政運営のために適正に使用されなければならぬことは申すまでもないことでございます。ただいま御例示になりました捜査に要する費用等が末端に十分必要なだけ配分されないで、都道府県本部に偏した使用がなされておるというようなことがもしありとするならば、これは重大な問題で、あくまで警察運営の実態に即して警察予算が最も有効適切に使用されなければならぬことは申すまでもないところでございます。こういう点につきましては、私ども十分都道府県の実情をよく見きわめまして、もし適正でないものがあるとするならば、十分これを是正するように指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/17
-
018・川村継義
○川村(継)委員 他にも御質問があるようでありますから、ほかの問題点はまた後日に譲りますが、今の点につきましても、各県の決算状況等がわかりましたら、またお尋ねをすることができると思いますので、その点につきましての質問を保留いたします。
最後に一つお聞きしておきたいと思いますが、今度の改正で警察庁に保安局をお作りなさる。大体機構改革等はいただいた資料によって明らかでありますが、そのまたねらい、趣旨もよく了解できます。ただ刑事部が、その持っておった権限を保安局の方に相当程度移していくわけでありますが、この保安局の設置に伴って、警察本庁の人的構成というものはどういうふうになってくるか、どれくらい増員されることになるのか、この辺のところを一
つお聞かせおき願いたい。と申しますのは、私の記憶によりますと、昭和二十九年度、警察官は警察法の施行に伴って、向う三カ年間で相当程度の整理を計画されておったようでありますが、二十九年度、三十年度には約三千数百名、あるいは四千名程度の一応の整理ができたことになっておりますけれども、三十一年度からはこれがストップになっておる、これはもうその通りだと思います。今度保安局の設置に伴って、本庁の人的構成、あるいは増員計画というふうなものがどのようになるか、また北海道では道警察が札幌地区を直轄する、こういうことになるならば、どれくらい人員が浮いてくるのか、その辺のところを少しお聞かせおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/18
-
019・石井榮三
○石井(榮)政府委員 新設しようと思っております保安局は、その所掌事務については、御承知のように、現在の警備部に所属いたしております警ら交通の部面、現在刑事部に属しております防犯関係の仕事、これを一つにまとめまして、新しい保安局を設置し、保安局の中には防犯課、少年保安課、交通課、警ら課という四つの課を作りたい、かように考えておるのでございますが、その人員は、結局現在の警備部において警ら交通の仕事を担当しておる人員、現在の警備部において防犯関係の仕事をしております人員、これを統合いたしまして、それに加うるに新しく新規増員になるものは二十名でございます。現在御審議願っております三十三年度予算に増員が二十名計上されておるのでございます。新規増員はそれのみでございます。
なお北海道の札幌方面本部を廃止することによって人員がどの程度節約されるのかというお尋ねでございますが、今正確な数字を私記憶いたしておりませんが、おそらく百名ぐらいの数字が他に転用できるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/19
-
020・川村継義
○川村(継)委員 これで終りますが、北九州の警察、いわゆる警備力が非常に不足である、何とか考えてもらいたいということは、たびたび警察庁の方にも意見具申がされておると思う。また当委員会もたびたびそういう陳情を受けたことがあります。あの問題について何か警察庁としては御考慮になっておるかどうか。この際一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/20
-
021・石井榮三
○石井(榮)政府委員 各都道府県とも、大なり小なり程度の差はありますが、いずれも現在の定員をもって必ずしも十分じゃない、むしろ若干の増員をしてほしいという要望が強いのでございます。なかんずく、ただいま御指摘になりました福岡県は、北九州のある特殊の事情に基きまして、特に人員不足を感じておるのでございまして、たびたび県の関係者からもそういった実情については、私どもお話も伺っておるのでございまして、将来は何とかこうした点についての解決をはからなければならぬということは考えておるのでございますが、御承知の通り二十九年の制度改正当時からのいきさつ、先ほどもお話がございましたように、制度改正に伴って大幅な警察官の定員を整理するという建前で出発をいたしたのでございますから、初年度及び第二年度におきましては、約束通りの警察官の定員の整理が実現を見たのでございますが、第三年度、すなわち昭和三十一年度は、制度改正後の情勢の変化によりまして、整理をするよりもむしろ新たに増員を必要としなければならぬ部面が多々生じて参りました関係上、現在整理を一応取りやめるということで、三十一年度暫定措置がとられたことも御承知の通りでございます。三十二年度に入りまして、その情勢は何ら緩和されなくて、むしろさらに、たとえば交通事故の激増等に徴しましても交通取締りの警察官をもっと増員すべきではないかというような声がますます強くなって、またその必要が一そう増大されました関係上、ここに二十九年制度改正に伴う警察官の行政整理というものは将来に向ってもこれを行わないということに相なったのでございまして、現在の都道府県警察の定員というものは、ここに一応安定を見た定員ということに相なっておるのでございますが、先ほど申します通り、この定員をもってしては、各府県の警察のいろいろな取締り対象等も増加しております今日、決して十分でないということを痛感いたしております。府県の実情によりまして程度の差はありますが、いずれもひとしく警察官の増員を要望いたしておりますので、将来はこの問題については十分に検討を加えまして、その方向に考えて参りたいと思っております。とりあえず三十三年度におきましては、従来のいきさつもございますので、第一線の警察官の増員ということは一応考えなかったのでございますが、そのかわりに警察カの充実を他の面に方途を求めまして、警察の機械化、近代化と申しますか、いわゆるパトロール・カー等の飛躍的増加によりまして、警察力の足らざる点を補う、こういう考え方をもちまして、三十三年度の予算におきましても、そういう面の費用を計上いたしておるような次第でございまして、北九州におきましては、従いまして人員の手当は直ちにはできませんけれども、今申し上げましたような機械力、機動力の増強という見地から、他の府県よりも特に厚く考慮することによって何らかの解決の一助にしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/21
-
022・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁に関連して……。今あなたは増員の計画があるようなことばかりおっしゃっておられたのですが、警察官の定員の配分については自衛隊ができるまで、あるいは何といいますか、防衛隊というか、ああいういろんなものができる前に、警察の定員というものをきめられた。従って大都市においては非常に多いのです。あなたは定員が不足するということばかり言うが、余っておるところもたくさんあると思うのです。そういう意味においては、私はそういうふうな御意見ならば、この際抜本的に全国の警察官の定員について再検討をしてもらいたいと思う。これは少いどころじゃなくて、多くてごろごろしているような警察官もおりますよ。東京の警視庁の何とか隊とかいうのはあれはどうですか。こういうものとの相関関係において考えてもらわなければいかぬ。この点について私率直に意見を今言ったわけだが、皆さんの御意見もちょっと漏らしてもらいたい。それは余っておるところはやめてもらいたいですよ。近ごろの予算などちょっと見せてもらっておるのだが、どうもこの間の疑問もだいぶあります。その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/22
-
023・石井榮三
○石井(榮)政府委員 警察官の定員をそろえます場合には、いろいろな要素に基きまして考えておるのでございます。たとえば管内の人口が幾らあるか、面積がどうであるか、あるいは犯罪発生の状況がどうであるかというようないろいろな要素を積み重ねまして、それに対応した警察官の定員というものを考えておるのでございます。ただいま御指摘になりました警視庁の定員が多過ぎるのではないかというようなことでございますが、警視庁の管轄いたしております現在の東京都の最近の人口の増加の状況をかりに一つとらえて考えてみましても、年間地方の中都市一個、たとえば岡山市の人口に相当するくらいのものが年間増加している、こういう状況にあるのでありまして、警視庁の警察官は必ずしも多きに過ぎるということはないのではないかと私は考えておるのでございますが、せっかくの御意見なので、私どもも今後定員の問題をどう考えるかという場合には十分検討いたしまして、今日の各府県の定員が果して実情に即しているかどうか、不足の点がどの程度であるか、あるいは現状程度でいいところがあるかどうか、そういう点は十分に検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/23
-
024・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁の中にもあったが、それは人口がふえたし、あるいはまた交通関係の事故がふえた、こういうことはわれわれもよくわかっています。しかし今の警察官の配置の根本は、占領中にマッカーサーの指令で、大都市だけは非常に多いのであります。このことは皆さんはっきり御存じです。世の中がだいぶん落ちついて参りましたし、自衛隊も十何万名もおるという今日、やはり警察は警察本来の姿に帰っていくということになれば、この際もう私は抜本的に改正する時期である、こう思うのですよ。そういう意味から申し上げているのです。十分研究してもらいたい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/24
-
025・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 次に地方財政に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/25
-
026・永井勝次郎
○永井委員 この席には優秀な政務次官が見えておられ、また能吏の局長等もお見えになっておられるわけでありますけれども、木材引取税についてお尋ねしたいわけであります。これらについては一応大臣から基本的な態度を伺っておかなければならないと思うのであります。それで大臣がこちらにお見えになる時間がどのくらいかかるのか、その時間関係を政務次官から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/26
-
027・中島茂喜
○中島政府委員 ただいま大臣は他の委員会に出席をいたしておりますので、今連絡をとらしております。間もなくこちらに見えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/27
-
028・永井勝次郎
○永井委員 大臣がお見えになるようでありますから、それじゃお見えになってから質問をいたしたいわけであります。
その前に二、三お尋ねをしたいと思いますが、自転車荷車税等が廃止になって、たばこ消費税でこれが補いをつける、こういうことになっているわけですが、これを町村別、地方別に見ますと、たばこ消費税の還元と自転車荷車税の廃止とは必ずしも正比例をしない。各地にそういうアンバランスが出ているわけでありますが、そういう関係はどういうふうに調整せられる考えでありますか、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/28
-
029・中島茂喜
○中島政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、地方に交付税制度がございますので、交付税によって調整をはかっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/29
-
030・永井勝次郎
○永井委員 そうしますと、各市町村別に検討して、現在の自転車荷車税の廃止によって財源に穴があかないように交付税であんばいする、こういう措置が講じられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/30
-
031・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように地方交付税の交付を受けておりますような団体でありますと、税収入が減少すれば基準財政収入額が減額して計算されることになりますので、自動的に交付基準が増加いたしまして地方交付税が増額されるという仕組みになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/31
-
032・永井勝次郎
○永井委員 それじゃ大臣お急ぎのようでありますから、木材引取税についてお尋ねをいたしたいと思います。自治庁では大臣の手元で木材引取税の標準税率を引き下げようとする作業が進められている、こういうふうに承わっているわけでありますが、現在それがどのような状況にありますか、詳しく伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/32
-
033・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税の問題につきましては、従来から与野党を通じましていろいろと問題を指摘されて参ったのでございます。そういうような状況にかんがみまして、昨年は税率を一〇%引き下げて徴税の合理化をはかりたい、こう考えて措置いたしたわけでございますが、なお問題が十分に解決に至りませず、いろいろとこれについての批判が多かったわけであります。そういうことにかんがみまして、さらに現在程度の税額の徴収を目途にして思い切って徴税の合理化をはかったらどうだ、こういうようなところから標準税率、現在の四%を二%に引き下げたいというふうに考えております。最終的に確定いたしたわけではございませんが、大体そういう方向で検討いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/33
-
034・永井勝次郎
○永井委員 これは大臣から御答弁願いたい。その標準税率を二%に引き下げた場合における各市町村における財政に及ぼす影響についてどのような基礎資料に基いて、どのような判断に基いて引き下げることが税の合理化になる、あるいは市町村財政の合理化になるという結論がお出になったのか、その基礎について、各市町村別の財政の及ぼす影響について、どのように把握されておるかを大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/34
-
035・郡祐一
○郡国務大臣 木材引取税につきましては、もう永井さんよく御承知の通り、素材価格が今日はかなり重要な財源として町村でもいろいろ調べておられ、努力しておられることもよく承知いたしております。ただ素材価格の点等につきましては、二十九年の素材価格が今日かなりに上ってきておる点もございます。また率直に申しまして特別徴収義務者の協力の点も、最近自治庁の当局と林野庁の当局との間によく意見の交換をいたしまして、そうして特別徴収義務者の協力も十分得られる態勢をこしらえております。いろいろの点を合理化いたしまして、そして町村の財政には支障のないように考えて参る、こうした作業をいたしまして、そうして町村財政の点は十分考慮いたして結論に参っておる次第でございます。さらに町村間の模様等につきましては政府委員の方から申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/35
-
036・永井勝次郎
○永井委員 大臣は徴税及び市町村財政の合理化の立場からこの税率を引き下げるのだ、こういう御答弁であります。そこで合理化とは何かということが明確になりません。そこでどういう合理化を所期して、そのような作業を進められたのか、重ねて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/36
-
037・郡祐一
○郡国務大臣 従価によっております場合も、従量によっております場合も、価格の点でまた石当りという点で、どうも正確な捕捉ができておりません。こうした点につきましては、一方におきまして負担の均衡を十分得ますように、また民有林については町村の当局が努力をされてもどうも捕捉がしにくかった、こうした点は、もっと率直に申しまして、林野当局が努力をしてくれなければ相ならぬ。こうしたことにつきましては両者のこれからやって参りますやり方についての歩調が合いましたので、そういう点から十分これらの価格の点でも、また従量によっておる場合におきましても、先ほど申し上げました特別徴収義務者の協力の程度も——また民有林につきましては私も次第によくして参る。民有林の問題はなかなか一挙にいかぬ。むずかしいが、これはどうしても民有林についても是正して参らなければ相ならぬ。こうした方々からいろいろの是正と申しますか合理化がはかられて参りましょうし、またそのようにして一つ今までのやり方を変えて参ることが、今度の作業の一つのねらいにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/37
-
038・永井勝次郎
○永井委員 大臣の言われる合理化ということは木材引取税の運営の合理化、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/38
-
039・郡祐一
○郡国務大臣 今私は、木材引取税について合理化をいたし、さらに非常に広い、幾つもある町村につきましてのそれぞれの財政については、またその財政についてよく考えてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/39
-
040・永井勝次郎
○永井委員 考えてみたいということは、引き下げることを決定して、その後に現われた事象について、事後的に善後策的に考えようというのか、引き下げた場合における、あるいは現在実施されておる実態調査の上に立って、このようにしてもこのようになるのだ、これがこの合理化の全体なんだ、こういう総合的な判断の上に立って一つの結論が出た。私は今までの御答弁でこういうふうに承わったところが、その事後の問題は引き下げることをきめてから現われたらそれについて考えよう、こういうので、総合的な合理化の作業、判断、あるいはその実態調査というものが不十分のように思えるのであります。その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/40
-
041・郡祐一
○郡国務大臣 私申し上げましたのは、この木材引取税自体といたしまして、そうして実際町村がやっておられる町村として精一ぱいやっておられるわけでありますけれども、私どももまたそれに指導もいたし、実際協力もいたしまして、そうして町村財政上支障のないようにいたして参る、その税自体について考えております。しかしながら現在御承知のように地方自治体というものは、——これはお尋ねとちょっとはずれるかもしれませんが、全体を見まして地方の税財源というもの
がまだまだ乏しい状態にあります。これは財政、税制全部を通じて一考えをいたさなければならぬ問題が残っておると思います。そうした意味合いで、私ちょっと言葉が足りませんでしたが、申し上げたことが何か事後的という御印象になったかと思いますが、私は税制、財政を通じて広く考える問題が残っておると思います。しかし木材引取税そのものとしては合理化と申しますか、あらゆる手だてを講じまして、そうして町村財政に支障のないようにということ、それが一つの大きい主眼で考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/41
-
042・永井勝次郎
○永井委員 税制の合理化、あるいは市町村財政の合理化という一つの旗じるしを掲げる以上は、総合税制の上から判断が下されなければいけない。ところが総合税制の立場における検討は何らなされないで、ただ木材引取税の税率を引き下げるというこの目的を実行するためにそういう旗じるしを掲げておるようである。それから引き下げたらその結果どうなるかという実態調査については調査もろくにしないで、そうして現われたら抽象的に影響のないように処置をしよう、こういう程度の構想にすぎないように考えるわけでありますが、木材引取税を合理化する、市町村財政を合理化するというためには、少くとも総合財政の上からの所見を確立されなければいけないと思う。その点について大臣はどのように、総合税制の立場において木引税の合理化というものを取り上げておられるのか。合理化の性格なり何なりについてもっと明確に示されないと、言葉だけあって内容がないように私は了承いたします。もっと地方税制の、税の総合税制の上に立ってどういう判断を下されたのか、その基礎を明確にしていただかないと、これからお尋ねをしていく上について非常に支障になります。この際これらの点を明確に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/42
-
043・郡祐一
○郡国務大臣 これはよく御承知のことだと思いますが、基確資材についての負担の均衡がとれておるやいなやについての問題の点、また納税者と徴税者との間にかなりあつれきのある——全部とは申しませんが、町村もある。こうしたことと近時相当税収入は上って参りましたが、これはごく近ごろのことでありまして価格の面にしても、従量の面にしても、さらに納税者と徴税者とのあつれきを防止いたしますために、実際のそれに当っておる特別徴収義務者のやり方というようなことをどうしても直して参らなければいかぬ。また直して参るならば、率を引き下げてもやっていける、こうした判断のもとに立ちまして、そうして十分——これはこの年度を通じましてもいろいろと問題がありましたので、税務局でも十分調査をいたしておりますから、それでは税務局長から申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/43
-
044・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税改正の及ぼします影響は、全体の問題と個々の市町村の問題とあろうかと思います。木材引取税全体としては、先ほど大臣からお答えのありましたような措置を講ずることによって、おおむね確保できるんじゃないかというように考えているわけであります。個々の市町村につきましては、やはり相当な減収を与えざるを得ない段階もできてくると思います。しかし、だから制度改正をしないということになりますと、今生じております問題は永久に解決ができないということになりますので、やはり相互勘案した結果思い切った改正措置をとるべきだ、こういうことになったわけであります。その結果個々の市町村においてお困りの問題が起って参りますので、そういう場合は、従来から制度改正の結果起っております措置を、地方交付税の配分その他運営面において考慮して参りましたと同じように、できる限りその団体に不測の打撃を与えないような措置を講じて参らなければならない、そういうことは考えているわけでありまして、そういう措置をとりながら、やはり木材引取税全般に起っております問題の解決をぜひはかりたい、かような考え方をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/44
-
045・永井勝次郎
○永井委員 大臣がほかの委員会に呼ばれていて時間がないそうでありますから、それじゃ大臣に基本的な問題点だけ質問していって、あと事務的な関係はほかに聞きたいと思います。そういうことで私も簡単にしますから、大臣も明確にしていただきたいと思います。
納税者とそれから取り立てる方との間に摩擦があるということは、これはひとり木引税ばかりでなくて、あらゆる税金がそうであります。そういうことが問題になるから、それを問題のないようにしようというので、納税者のごきげんだけをとるというような方向へ問題の解決を進めるならば、一切の税金がそうせざるを得ませんでしょう。それから素材が値段が上っているから税率を引き下げてもいいんだ、そうしてこの財源を確保して課税すればいい。これは運用の上において十分に果せるというならば、この法律の税率を引き下げるというような措置をしなくても、この中において十分そういう指導なり何なりができるじゃありませんか。最高百分の五まではとれる、百分の一が標準だ、こういうことはありましても、とらない方法だって——それ以下ならば幾らでも運用の面においてできるのであります。でありますから大臣の言う素材が上っているから少い税率でもいいというならば、この税制をそのままに置いておいて、運用で幾らでもできるものであって、税制そのものの合理化ということには何ら触れない問題です。それをなぜ合理化ということではなくて、運用の上において、適正を期するというような方向において自治庁が指導するという態度をとらないで、そうしていきなり納税者から文句があるんだからそれを調整するんだといって、法律改正まで態度を決定しなければならないような重大な問題がどこにあるんですか。その法律改正をしなければならぬという根拠を一つ承わりたい。運用でできないというそういう根拠があるならそれを示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/45
-
046・郡祐一
○郡国務大臣 この年度あたりでも問題が起りますのは、市町村間における負担額というのが非常に酷であるという点が指摘されるのでございます。それからそれの原因をさらに見ていきますと、結局特別徴収義務者が入る。その特別徴収義務者が全面的に協力をいたし、またその態度をきちんと全国確立できますならば、市町村の当局がそれほどの、今やっておられるような苦労をされなくても、特別徴収義務者がない税に比べますと、特別徴収義務者がありますだけに、市町村の当局が苦労されているところが非常に多い。こうした点から特別徴収義務者がほんとうに市町村の当局のような徴税者の態度でやってくれることが望ましい。そうしてその折衝を重ねて参りました。
一応の結論を得まして、これならばやっていけもしますし、ことに従量課税を行なっている市町村が相当多い、こうしたところでは指示価格を引き上げることによって収入が確保できる、こうした見通しがつきましたので、今度の措置を講じたのでありまして、私どもの立場はどこまでも市町村の立場、こうしたところから考えて参りまして、このたびの改正措置をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/46
-
047・永井勝次郎
○永井委員 大臣の答弁は、市町村の立場に立ってこういう措置をとった、大へんけっこうなようでありますが今度の税率引き下げはだれが一体希望し、だれが反対しているか、大臣御存じですか。木材業者がこれの廃止あるいは税率の引き下げに猛烈に運動している。市町村及び市町村民はこれに反対しているのです。どこでこの見当違いをしたのですか。ほんとうにこの税金を中心にして動いている実態が、あなたが色めがねをかけないで正しい目で見るならば、わかるはずだ。また市町村の財政の実情からいったって、こんな市町村の立場に立っているという大きな口は自治庁長官もきけないはずだ。いかに歴年にわたって木材業者が税の廃止のために運動しているか。廃止ができないならばせめて税率を引き下げろ、こういうことに木材業者がずいぶん動いているじゃないですか。
また自治庁にいたしましても、最初はこの改正に対して反対しておった。それが途中から市町村の財政のために、あるいは市町村の立場に立ってと言う、そういう大きな口はあまりきかない方がよろしい。それから第三者を通して税金を徴収するというか、こういうやり方がいけないというならば、遊興税だって入場税だって、入湯税だってみんなそうじゃないですか。それから地域的な差があると言う。地域的な差があるのはこの税の建前です。それは最初からわかっている。普遍的な税でないことはわかっている。交付税にいたしましても、入湯税にいたしましても、木材引取税にいたしましても、これはそれぞれの市町村の実情に即した——たとえば入湯税ですと、温泉だけはあるが、ほかの住民は少いという関係、交付税だと石炭山なり鉱山だけあって、ほかの住民は少いという関係、そうして税の対象になる財源がないということ、そういうことを勘案して、今日の税制というものは、よかれあしかれ一応体系を整えた一つの総合税制の中できめられた税であります。もし町村別に差異があっていけないというなら、こんな税金はやめたらいい。根本的に廃止するという立場において税制全体を操作されたらいい。そういうことでなしに運用の面の合理化という、そんなことでどうして市町村の立場に立ってどうこうということが言えますか。たとえば北海道の場合上川などは木材引取税を、三十二年度の実績で申しますと、六千四百八十何万円というものをとっておる。三十一年は五千万円をとっております。これだけが部分的にぽかっと穴があくのです。そのほかにいたしましても何千万円というところがずっとあります。そういうところはどういうところかといえば、山林だけあって人口が少いというところです。唯一の財源なんです。そういうところに一体交付税でそれを調整したり、ほかの税でどういうふうにして調整できますか。これだけの財源を調整するような方法が講ぜられるというならばその方法を示していただきたい。一体部分的な山村に対するところの財源として、この税が特設されたものであると思うのです。町村別に差異があるのは、この税金の最初からの性格なんです。それを地ならししようとでも自治庁は考えておられるのですか。これを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/47
-
048・郡祐一
○郡国務大臣 なるほど特別徴収義務者を置いてある税は幾つもございます。しかし一体この税のように指示価格というものの押え方が、これをもし完全にその特別徴収義務者の力を借りませずに、また特別徴収義務者の判断によらずに正確に把握しようということは、おそらく市町村当局としてはそのために非常な徴税費も使わなければならないし、それはできないことでもありますので、正確な指示価格をほんとうに市町村当局のためにとる側になって協力させなければ、私はこの税の運用はついて参らないと思います。その運用をつけて参ることに相なりますれば、先ほど申しましたようにかなりに税の徴収額が引き上げられる。今のままで措置を講ぜずに率を引き上げるのではなくて、先ほど来申し上げましたいろいろな措置を講じ、また農林省、自治庁間の申し合せの趣旨を完全に自治庁は履行いたさせますから、そういたしますならば、全国的な差があるのが当りまえだというよりも、全国的な差も一方では縮まって参り、そして一つの税として全国を通じての税として適当な態勢をとれる方がより望ましい、こういう考えでございます。御指摘の点は町村の幾つかの問題ということになりますれば、これは政府委員の方から答弁させることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/48
-
049・永井勝次郎
○永井委員 政府委員はあとからお答え願います。現在長官の考えていられるようなそういう措置は税率を引き下げるという措置以外にできないわけですか、税率を引き下げなければ林野庁側は現行法では協力できないというのですか。現行法の中でそういうことが運営の面で自治庁の指導なりあるいは林野庁との話し合いなり、そういうことではできないんだ、税率を引き下げなければそういうことはできないんだ、そういうことを林野庁から言ってきているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/49
-
050・郡祐一
○郡国務大臣 そうじゃございませんで、順序が逆でございまして、こういう措置を講じなければ相ならぬ、今までの模様で木引税の税収入というのがどうも予定より上っておらなかった、ようやく予算に近いものを累年上げ得るようになってきた、しかし今申しましたようないろいろな点を解決しなければならない、そして解決いたすとすれば税率を引き下げても地方財政がまかない得るという見込みがつきましたので、そのような措置をとりまして、そうして税率を引き下げていくという段取りに運んだ次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/50
-
051・永井勝次郎
○永井委員 協力、協力と言いますけれども、北海道の場合は現在十分林野庁の協力のもとに、あなたの方に統計があるでしょうが、そのような税収というものを確保し、そうして実績を上げております。本州の方面でそういう財源を確保し、あるいは徴税を実行しないということは、それだけその市町村に財源上の余力があるのでしょう。あるいは余力なしにそういうことができていないとすれば、その町村における木材業者というボスの圧力に屈して執行者がそれを執行しないということでしょう。そういうことこそ自治庁の指導によって適正な課税というものを確保するように指導すればよろしいのであって、だからといってこの税率引き下げという逆な方向をとるということは、不正なものあるいは不当なものに協力する態度である。そういう態度を示すことが自治庁の市町村に対する指導の態度であるというならば、これは私は何をか言わんやです。別な角度から自治庁というものの行政についてわれわれは断固批判しなければいけない。しかし現在の操作の中で十分にとれないところがあるから、それで実情に合せるように引き下げるんだ、不当なことを実施しておるものを合法化するんだ、こういう態度はいかがでありましょう。長官のそういうものに対する態度を承わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/51
-
052・郡祐一
○郡国務大臣 お言葉ではありますが、このたびの地方財政についてとりました措置を全般的にごらん下さいますならば、地方団体特に市町村というものについて現在の政府としてはでき得る限り強い手当をいたそう、ことにいろいろな論点はございますけれども、市町村が基礎的な地方団体である、これに対しても力をできるだけつけよう、徴税費のかかる税は徴税費のかからない税に転換していこう、あらゆる方途をとっておるのでありますし、また一つ一つの税につきましても、自治庁また私自身は絶対に市町村の立場においてものを考えておるつもりでございます。従いまして十分な価格をとっておられると町村自身お考えになることについて私は異論を申すものではございません。しかしながら素材価格等につきまして果して適正にとっておるであろうか、まだとれるのじゃないかという点は、私どもの聞いておる範囲におきましてはかなりにあるのであります。私はどこまでも市町村の財政というものの立場からものを考えて参っておるつもりでありますし、このたびの激変というようなことにつきましては十分そういうことがないように、またその措置についても考えをいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/52
-
053・永井勝次郎
○永井委員 どうも市町村の立場を考える、考えると言うが、ちっとも具体的に考えておることが示されないのです。言葉だけを自治庁長官は言っておるように聞えるわけです。だから税率を引き下げるという法律的な措置をしなければできないのかということです。できるじゃないですか。とり過ぎておるなら最高限度までとらないでこの程度とればいいじゃないか、とれないところはもっとこの程度までとればいいじゃないか、こういうふうに指示すればその中の運営でそういう問題は十分解決できる問題ではありませんか、こういうことが一つ。
それから徴税費がかかるかかると言いますが、北海道の場合かかっておりません。これは林野庁の協力によりま
して伐採した数量というものは確実につかめるし、そのときにおける木材価格というものは正確につかめるし、その中において現在のような徴税がスムーズに運んでおるのです。問題は本州の方のとらないところに問題があるので、とらないところをもっとここまでとれということをどうして運営の中で指示できないのか。それから今年の予算の中で、地方財政の関係を十分に考慮しておると言いますが、税全体から申し上げまして、一体市町村における独立財源というものが何割になりますか、ずっと戦前の状況と戦後の状況等から比べてみて、市町村民税その他の独立税関係のものがどのような比率で高まっておりますか。国民の収益に対する市町村の独立財源の負担率というものは上っておらないのです。その財源もないのです。それを自転車荷車税ははずす、あるいは木材引取税は税率を引き下げる、こういうふうに独立自治体の自主的な税というものはどんどん削っていって交付金、交付税で調整し、中央集権によって地方自治体を操作しよう、財源の上で押え込まう、こういうふうな方向に行くことが自治庁長官としての自治行政のあり方である、あるいは市町村のことを考えてやるやり方である、こういうのならばこれは意見が違うからなんでありますが、少くとも市町村の自治行政を振興するという立場に立つならば、もう少しどんどん独立財源を与えて、それぞれの地区における実情に即した市町村行政を自主的にやらせるような方向に導くことが、自治庁長官としてほんとうに市町村を考える態度ではないかと思うのです。そういうことはこの予算の中ではちっとも示されておりません。逆な方向に私は動いておると思う。この点について御答弁をわずらわしたいと思います。それから市町村別に非常なへこみ方をするわけです。たとえば北海道の上川支庁管内の占冠という村、これは財政規模が三千百万円、交付税が六百万円、税収が二千五百万円であります。この税収のうちの二千万円というものが木引税、これは全くの山村で、木材以外には税の対象になるものがないようなところです。そうしてこれほどたくさん木材を造材しあるいは搬出するということは、これはただぼろもうけをするのではなくて、橋梁なり道路なり木材輸送のために町村道というものが非常に破壊される、こういう特殊な財源でも裏づけにならなければ、こういう山村というものはやっていけないのです。そういうようなことも十分お考えになっておるのかどうか、町村別に大きな何千万という穴があく部分については、それに付随したところの措置が税制上今回の中央の調整によって十分裏づけされる、現在の町村財政で木引税のへこみ分を裏づけするという措置が考えられているならば、どういうふうにしてそれをなさるというのか、具体的に数字を示して御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/53
-
054・郡祐一
○郡国務大臣 私は自転車税、荷車税を廃止いたしましたことが町村の自主財源を奪うという論がありますならば、自転車税、荷車税というものは徴税費がかかる。府県の持っております車税に比べまして、町村の方がいかにも徴税費がかかる。何べんもサンプル調査をさしてみましたが、どうも出てくるのは——サンプルにとりましたものが間違っていると言われればそれまででありますが、徴税費がかかっております。それから今の体系から申しまして、たばこ消費税というものは決して交付金ではございませんで、いい種類の地方税だと私は思います。それから市町村の方が御承知のように府県よりも自主財源の割合がずっと高くなっております。交付税の税率もこのたび上げております。こうした場合により根本の問題に入りまして、地方税の税収は国税に比べて貧弱である、これは言えることであります。こうしたものについては私はぜひ引き続いてほんとうに取り上げて考えてみたいと思っております。しかし現在の状況におきましては、独立税それから交付税というようなものの割合、これも私考えてみたいとは思っておりまするが、交付税というものによりまして、すべての団体について激変の緩和措置は、交付税特に特別交付税の形において満たして参りたい、また激変の緩和措置をとらなければ、これは自治庁として責任を果したことにならぬのでありますから、それらの措置については十分尽して参りたいと思いますし、またいろいろな数字につきましては、事務の方から申し上げた方がよろしいと思いますから、私はその点は申し上げずにおきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/54
-
055・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 ちょっと永井君にお諮りしますが、郡国務大臣に対してほかの委員から強く要求が来ておりますし、約束の時間も経過しておりますので、長官に対する質問は簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/55
-
056・永井勝次郎
○永井委員 郡長官に対する質問は、いずれまた機会がありましたら詳しくいたしたいと思いますが、最後に、こういうやり方は一体総合税制の上から見て望ましいと考えておるかどうか、これが一点。それから部分的ではあるが、もともとこの税金が部分的なものですから——市町村財政を破綻させるとかいうことが部分的に起っている。その面については、具体的に現在程度以下に財政収入を下げないように措置するという、そういう確約ができるのかどうか、これが一点。それからこの事柄がこの税の問題については木材業者が利害の当事者である。木材業者が連年非常な運動を続けておるのであって、市町村民及び市町村長関係は、これにずっと反対をし続けてきておる、その実情を御存じであるのかどうか。それからその実情を知りながらこういう逆な措置をするということは、自治庁が、あなたの行政下にある市町村民の福祉を犠牲にして、そうして少数業者の利益と圧力に屈した、こういうふうに理解せざるを得ないのでありますが、その点についてどう考えるか。この三点について一応締めくくりの答弁をわずらわしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/56
-
057・郡祐一
○郡国務大臣 税制につきましてはまだ私どもの努力の至らない点があるかもしれません。しかしながら地方税制全体を見まして、比較的金額の小さい、また税として適当であろうかどうかというようなことで、かなり地方は苦労をしておられる。これらについては機会あるごとに私どもは今までよりももっと政府の努力を加えまして、税制を改善して参りたい、御批判もあろうかと思いますが、今度の木引税についてもそういう考え方であります。
また第二点の激変緩和の措置につきましては、これは必ず講じます。私どもは三千八百の市町村というものを対象にいつも考えております。そうして今の窮屈な地方の財政、税制の範囲の中で、それによりまして負担が激増したり、また財政が成り立たないようなものを出しませんためには、十分責任をもってその措置を講じて参ります。
また第三のお尋ねの点でありまするが、私どもはもっぱら自治体が健全に発達することを考えております。これについての運動めいたことはいささかも念頭に置いておりません。またそうしたお話を聞いたこともございませんし、また私の部下等もそうしたものを取り上げるというようなことは全然なく、地方財政、地方行政全体の健全化ということのみを考えております。また私どもの足りない点はいろいろとお教えをいただいて、これからさらにその方向に努力をして参りたいと思います。
〔「名答弁」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/57
-
058・永井勝次郎
○永井委員 最後に一つだけ伺いますが、名答弁という声があったが、口先だけでどんなことを言っても、その裏づけがなくてはだめなんです。自治庁長官は木材業者がこれだけ運動しているということを聞いたことがないと言う、それは事実ですか。その動きも全然聞いたことがないのですか。そういう実情も知らないのですか。知らないでひたすら象牙の塔にこもって、世の中のざわめきなんか全然耳に入れないで、ひたすら市町村民の福祉を願って、そうしてこういうふうに措置するということなんですか。それからこれに対してこれだけ市町村民の反対意見というものがある以上は、自分の主観的な考え方が妥当かどうかということ
について話し合いをして反省する、こういう機会を持とうとする態度すらないのでありますか。ひたすら象牙の塔に閉じこもってお祈りする、こういう爾光尊的な態度で断行するお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/58
-
059・郡祐一
○郡国務大臣 少しお言葉が過ぎやしないかと思います。私が申しましたのは、いろいろな運動がかりにあっても、それにいささかも影響されておらないということを申したのであります。もし私に爾光尊的な態度がありますならば、それは御指摘を願いたい。私はそれについて反省をいたすものであります。しかしながら、私は、いろいろな運動がありましても、部下を戒めておりますところは、また私自身も戒めておりますところは、そうしたものに一切影響を受けずに、もしありといたしますならば市町村の声にはこまかいところまで、これは私どもの職責として耳を傾けてしておる、その態度のつもりでおります。しかしながら、まだどこかによろしくない点がありましたら、どうか御指摘を願いたいと思います。私どもは十分反省をいたして善処して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/59
-
060・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X00619580219/60
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。