1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月二十八日(金曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 矢尾喜三郎君
理事 亀山 孝一君 理事 徳田與吉郎君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君
青木 正君 加藤 精三君
川崎末五郎君 菅野和太郎君
木崎 茂男君 楠美 省吾君
渡海元三郎君 早川 崇君
古井 喜實君 加賀田 進君
北山 愛郎君
出席政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警 視 監
(警察庁長官官
房長) 坂井 時忠君
警 視 長
(警察庁長官官
房会計課長) 後藤田正晴君
警 視 監
(警察庁刑事部
長) 中川 董治君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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本日の会議に付した案件
銃砲刀剣類等所持取締法案(内閣提出第一二
号)(参議院送付)
警察法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
二七号)
遺失物法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第二八号)(参議院送付)
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001・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 これより会議を開きます。
警察法等の一部を改正する法律案、銃砲刀剣類等所持取締法案、遺失物法等の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたしまして、質疑を行います。質疑は通告順によってこれを許します。北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/1
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002・北山愛郎
○北山委員 この前に続いて、主として警察法の改正をめぐりましてお伺いします。
まず最初に、今度の改正法によりますと、内部部局について第十九条で、警察に保安局というのができるわけですが、保安というものと公安というものとは、一体どういうふうな区別があるのですか。法律用語辞典なんかを見ましても、同じようなことが書いてあるのですが、保安と公安とはどういうふうに意味が違うのですか。同じように使っておる。どうもしろうとではわからないから、保安と公安はどういうふうに意味、内容が違うのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/2
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003・坂井時忠
○坂井政府委員 御指摘の通り、保安あるいは公安はなかなかわかりにくい面もあるわけでございますが、公安という場合には、非常に広い意味で、公共の安寧秩序という意味に使っておる場合が多いようでございます。それから保安という場合にも、非常に広義に解釈する場合と、狭義に解釈する場合がございますが、ただ最近におきましては、保安というのは狭義に使う場合が通例のように考えております。この狭義における保安というのは、たとえば銃砲、火薬であるとか、あるいはその他の危険物関係、あるいは交通機関というような狭義の、司法警察ならざる行政警察——司法警察、行政警察と分けて言うのも、このごろではあまりはやらないのでありますが、いわゆる刑事手続関係の刑事警察以外のものを、かりに行政警察という言葉で言うならば、そのうちの交通関係であるとか、あるいはまた危険物であるとかいうものをさしておる、こういうふうに考えております。過去におきましても、この保安という言葉は、あるいは特高警察の別称みたいに使った点もあろうかと思うので、その点は語感はあまりよくないかもしれませんが、ただ過去におきましても各府県の保安課というのは、大体交通課を主体とした危険物関係をやっておったのでありまして、最近におきましてはその方に大体固まりつつある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/3
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004・北山愛郎
○北山委員 確かに公安というものは、国家公安委員会というような、非常に広い意味に、公共の安寧秩序といいますか、警察法の第一条にも「公共の安全と秩序を維持するため、」というようなことで、非常に広いようにも考えられるのですが、公安調査庁というようなものとか、あるいは警視庁における公安課、警備部なんか思想的な犯罪予防というような面が——最近においては公安の内容が、そういうふうに変ってきたんじゃないかと思うのです。非常に広い、国家公安委員会というようなものと、それから非常に狭い、警備関係の、しかもどちらかというと特高的なものに、保安という名前が使われておる。一体保安というのは、どの部分を占めるのが保安であるのか、はっきりせぬのです。辞書を見ても、用語の意味がはっきりしていないです。同じように説明してある。その点の定義をはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/4
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005・坂井時忠
○坂井政府委員 おっしゃる通り、公安という意味は非常に広い意味と、やや狭い意味に使われておる場合があるのでありますが、保安というのは先ほども申しましたように、最近におきましては、大体狭義に使われておる。従いまして風俗、危険物、交通の取締りというようなものでありまして、これに火薬類取締法、高圧ガス取締法でいう保安、あるいは鉱山保安法にも保安という文字もありますが、そういうものがこれに入ってくる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/5
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006・北山愛郎
○北山委員 その警備の方は、警視庁の警備部の中に公安第一課、第二課というふうにあるように、むしろ今の公安は警備の方に属するので、今お話のような公安というものは、まあ警備というふうに考えられるのですが、それでいいかどうか。それから警視庁の公安第一課第二課は、それぞれどういう仕事をしておるのか、これを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/6
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007・坂井時忠
○坂井政府委員 警視庁の点は、後ほど調べましてお答えいたしたいと思います。
公安という言葉も、御指摘の通り、非常にあいまいな点がありまして、たとえば警察法で管区警察局というものがあることは御承知の通りでありますが、管区警察局に公安部というのがございます。これは本庁の警備関係の仕事、それから刑事関係の仕事もやっておるのでございまして、そういう意味におきましては非常に広く使っておるわけでございます。公安という文字は公共の安全維持という意義でありますが、この公安の意義もさらに段階を踏んだ意味で使われる場合があり、そういう意味におきましては、まだはっきりした定義というものは下せないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/7
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008・北山愛郎
○北山委員 警視庁の第一課、第二課というのはあとでお答えになるわけですね、大体常識的に考えて砂川事件のようなものをやるのが公安部で、その第一課と第二課とはどういうふうに違うのですか。共産党の方をやるのが第一課とか、そういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/8
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009・坂井時忠
○坂井政府委員 警視庁のことはあまり知りませんで申しわけありまんでしたが、公安部に一課、二課というのがあることは御指摘の通りでありますが、第一課におきましては、主として破壊活動防止関係、いわゆる革命勢力の視察、内偵ということを仕事といたしておるのであります。それから公安二課におきましては、いわゆる労働紛争議に随伴する不法行為、それから集団を背景とする犯罪というようなものの捜査、そういうものをやっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/9
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010・北山愛郎
○北山委員 まあ文字の定義をお伺いしたのです。
次に監察に関する事項、この前もお伺いしましたが、今の地方管区警察局ですか、それは警察法の第五条の二項ですか、二項に列挙しておるような仕事をやるわけなんですが、しかし第五条の第二項に列挙してある事項は、おおむね都道府県警察自体が実際はやる。直接管区警察局がやるということはほとんどないと思うのですが、これは警察法が二十九年の当初におきましてもいろいろ論議されたのですが、管区警察局というのは一体どんな仕事をするのか。大した仕事はないのじゃないかというふうな質問があったのですが、一体現状はどういうふうな仕事をやっておるのか、それからどういうふうな人員を管区警察局に置いておるか、これを一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/10
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011・坂井時忠
○坂井政府委員 御指摘の管区警察局は全国で八つほどございますが、警察法の三十条によりまして、第五条の仕事のうちで第二項第二号から第四号まで、第六号から八号まで、それから十一号から十二号に掲げるものを分掌させるということになっておるわけでございます。内部組織は現在のところ総務部、公安部及び通信部というものがございまして、総務部は行政管理面でございますが、公安部でいろいろの警察庁の仕事の分掌を受けて各府県の警察活動につきましての仕事をやっておるわけでございます。また通信部は御承知のように集中的な仕事が多いものでございますので、現業的な仕事もここでやっておるということになっております。この管区警察局の現在の陣容は、合計いたしまして五千百九十九名、このうち六百七十七名は、管区ごとに設けられておりまする警察学校の職員でございまして、あとの四千五百二十二名がいわゆる管区の内部部局の職員でございます。内部部局の職員のうち、警察通信関係の仕事が非常に大きな部面を食っておりまして、警察通信関係の仕事をしておる者は、大体八割ぐらいになっておるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/11
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012・北山愛郎
○北山委員 現在監察官というのが置かれておるというのですが、これは何名ぐらい置かれておって、どういう仕事をやっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/12
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013・坂井時忠
○坂井政府委員 現在警察庁の本庁に監察官というものがございまして、現在三名でやっております。警察庁の組織令によりまして、「警察職員の服務及び所管行政の監察に関する事務をつかさどる。」ということになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/13
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014・北山愛郎
○北山委員 これは今度の監察に関する事項をふやすということは、この前の説明でも警察法第五条の二項に掲げるような事務について、警察庁が管区警察局を監督をするという範囲において監察をしよう、こういうことでありますが、現在でも今お話のように管区警察局というものがあって、相当な人員が今おるのに、そういうもので間に合わないのですか。別にまた監察官を置かなければならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/14
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015・坂井時忠
○坂井政府委員 今度の改正案によりまして監察の事項を加えましたのは、現在やっておるものを明文化するにとどまるということでありまして、これによりまして急に監察事務がふえるというふうには考えておらないのでございます。これは二十九年の改正のときに当然こういう条項は入っていなければならぬ性質だとも考えられるのでありまして、ただ明文化にとどまるというふうに考えておるわけであります。ちもろんこの仕事は管区警察局にも相当やってもらうことは当然のことでありまして、これも現在通りでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/15
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016・北山愛郎
○北山委員 監察官の数はふやさないわけですか。ふやす計画があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/16
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017・坂井時忠
○坂井政府委員 監察官の数はふやさない。むしろ保安局を作る関係で各部局から人員をこちらに持っていく必要もありますので、少くなるのではないかという考えさえ持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/17
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018・北山愛郎
○北山委員 今の警察庁の仕事の中には、警察職員の教養に関する事項というようなものがあって、全国の警察の教養に関しては一般的な責任を警察庁長官は持っておるわけです。そこでお伺いをするのですが、これはこの前の国会でも具体的な例をあげてお伺いをしたのですが、警官の拷問といいますか、人権じゅうりんの問題であります。ところが最近も全国あっちこっちに警察官の拷問事件が出ておるわけであります。一つの例は千葉県の旭署において昨年の四月起った自白強要拷問事件これでもって千葉県の警察本部に対して人権擁護局から最近、公務員による拷問自白強要というものは、憲法違反であるから、今後再び同様の事件を起さないように、部下の教養訓練に努められたいというような勧告を行うように、千葉の法務局に指示をしたということであります。この事件の内容については、当然警察庁の方では御承知かと思うのですが、一つこの千葉県の旭署で起った拷問事件について御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/18
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019・中川董治
○中川政府委員 全国の警察官が拷問とか。こういった人権侵犯の事件があってはなりませんので、そういった点から教養はしっかりやっておるのですけれども——こういった事件は従来ともございましたのですが、統計によりますとだんだん減っております。滅っておりつつありますけれども、たとい一件ありましてもいかぬことですから、こういう問題につきましては厳重に調べて参りたいと思います。
千葉県の事件も私ども聞きましたので、今正確に調べております。正確な調べができましてから申し上げた方がよいと思いますので、正確な調べができましてからお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/19
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020・北山愛郎
○北山委員 しかしこれは当然知っていなければならぬ問題だと思うのです。一応人権擁護局の方でも問題になった事件であり、勧告を受けておる。しかも私が一番問題だと思うのは、旭署の警官の看守係ですか、丸山という巡査が拷問を受けた被害者に対して、不満があるならば人権擁護局へ行ったらよいということを話をした、親切な注意をしたわけなんです。そこでこの拷問を受けた、しかもけがをしたのでありますが、この人が診断書をとって千葉の法務局にこれを訴えた。初めは警察の方では否定をしたわけでありますが、診断書があるために、ついにその事実を認め、そうして千葉県の警察本部はこの二人の警官を戒告処分にしたのであります。そこまではまずいいとしても、ところがその親切に被害者に教えてやった丸山という巡査は、留置人をアジったという理由で免職になった。これが私は問題だと思うのです。人権じゅうりんをやり拷問をやった警官の方は戒告処分であって、被害者の方に親切に教えてやった者がよけいなことを言ったというわけで退職させられた。ここに私は問題があると思う。こういう措置をするならば警察内の拷問というものは跡を断たないわけです。警察の方が拷問をやる方をむしろ守って、大目に見て、そういうことをしてはならぬといって親切に教えてやるような警官の方を退職させた、こういうことをやっておるから私はこういう事件が跡を断たないのじゃないかと思う。たまたま全国の警察のことでありますから行き過ぎがあるということはあり得るでありましょう。しかしその後の取扱いをして拷問をやった者を厳重に正しく処分をするというのでなければならぬのであって、それを留置人に教えた方の巡査がよけいなことをするということで、留置人に知恵をつけるようなことで処分をされたんじゃかなわない。そういうことが一番この事件としては問題だと思う。どうでしょう、その事実については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/20
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021・中川董治
○中川政府委員 今北山委員御指摘の事実は、もう少し正確に調べて参りませんと、私たち責任を持ってお答えできませんものですから、まことに恐縮ですが正確に調べておりますから調査が済むまで御猶予願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/21
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022・北山愛郎
○北山委員 この事件は、御存じだろうと思うのですが旭署の事件です。その前後のいきさつ、これは新聞にも詳しく載っておるのですよ。朝鮮の人ですが、その人が窃盗の疑いで検挙された。そしてその容疑が晴れて不起訴になって釈放された、この事件に関連した問題であります。警察の方でも行き過ぎがあった、暴行をやってけがをさしたということを認めて、その二人の警官を一応戒告処分にしたわけであります。ところが今申し上げたように、大事な非常に重大な余分なことがくっついておるので、人権擁護局の方でも職権をもって警官の暴行は人権上重大な問題だ、警察はともかく都合の悪いことを隠しておるが、ミスはミスとして認めてほしい、こういうことを談話として言っておる。私もこの前の岩手県の暴行被疑事件について、隠してはならぬということを強く長官にも申し上げたわけでありまして、同じようなケースだと思うのです。一つこの事件についての詳しい調査をされて、その報告をこの委員会にしてもらいたい。同時にその他の八海事件であるとか二俣事件であるとか、いろいろあちこちにある。最近統計上は減っておると言われるのですけれども、どうもわれわれが見るところでは、重要な警察のミスがたくさんあっちこっちに起っておる。これはやはり警察というものに対する一般国民の信頼ということに、非常に関係があるのでありますから、全国的に警官の拷問事件について問題になっておるところ、これは調査があると思うのですが、そういうものを一つ列挙して、ここ数年来問題になったところを資料としてお出しを願いたい。以上要望しておきます。
それから道路交通の問題に移りますが、幹線道路についての交通速度というものの規制をなさるというわけですが、幹線道路というものは一体どういうものを言うのであるか、これを一つ御説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/22
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023・坂井時忠
○坂井政府委員 ここで言います全国的な幹線道路というのは、さしあたって高速自動車道、それから一級国道及び二級国道を考えておるわけでございますが、さらにそれを将来ふやすかどうかということは、そのときの道路の整備状況に照して考えなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/23
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024・北山愛郎
○北山委員 一級国道、二級国道をさらに追加になるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/24
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025・坂井時忠
○坂井政府委員 現在は一級国道、二級国道までを考えておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/25
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026・中井徳次郎
○中井委員 ちょっと関連して。今道路の幹線の定義で非常に簡単な御説明だったが、もう少し慎重に調べてもらいたいものだと思う。あなた方一級国道、二級国道と言いますが、二級国道を入れると大へんな数字になりますよ。御存じなんですか。たとえば大都市の附近におきましては二級国道も必要でありましょう。しかし地方に行きますと二級国道ということになれば、今自動車が通れないような二級国道がたくさんあるのです。半分ぐらい通れないのです。そんなものまで入れたら大へんなことになりますよ。
私どもは実はきょうは銃砲刀剣所持等取締法案は質疑打ち切りにしたいと思うのだが、警察の問題がそういうようにずさんなことではほんとうに困るのです。これは一つ研究してもらいたいと思うのですが、どうですか。今のことだけでも、二級国道を全部入れるというそんな野放図なとほうもないことを言って、それでは警察機構の大改正になってきますよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/26
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027・坂井時忠
○坂井政府委員 全国的な幹線道路という字義だけを解釈しますと、一応そういうことに考えられるわけでありますが、この前もお話し申し上げましたように、二十六条の四というのを実際に発動する場合はきわめてまれである。各府県の話し合いによってどうしても解決がつかない場合に、しかもそれが全国的な観点から見て、この条文にあります通り、斉一をはかる必要があると認められる場合において初めてやるのでございまして、おそらく実際問題としましては、きわめてまれにしか発動しないことになるだろう、こういうように考えておるわけであります。全国的な幹線道路というのは、一応一級、二級国道と申し上げましたので、何でもかんでもそういうものを国家公安委員会の指示によってやるというふうにお聞き取りになったかと思うのでありますが、幹線道路という字義を、一応そういうふうに考えておるだけのことでありまして、この条文全体の考え方は、きわめてまれな場合の適用にすぎないというふうに御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/27
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028・中井徳次郎
○中井委員 お気持はわかっておるのでありますが、そういうことになれば、幹線道路というものの指定をするのかどうか。一級国道は全部、そうして二級国道のうちのこの線とこの線というふうにするのかどうか。それからこの問題は、実はこれまであまり論ぜられておらぬが、最近テレビ等でアメリカあたりのハイウェイ・パトロールというのが盛んにやられて非常に人気を博しておる。また能率的でもあるから、私どもはそういう意味においては何も反対ではないのです。ただ、今の公安委員会との調節問題の陰に隠れて、そうして中央集権的なことになっては困るという消極的な非常な心配を持っておるわけなんですから、皆さんにおかれては、もっと合理的、科学的にこの問題を扱わないと、一たん法律を通しておいてからそれから研究するかというようなことではいけない。従って場合によっては府県道だって入れてもいいと私は思うのです。大阪—神戸間とか、東京—横浜間とか、第一国道、第二国道いろいろなものがございます。またさらにこの理論を発展させますと、国鉄が公安官などというものを持ってやっておるというふうな横の連絡等においても、交通を扱う限りにおいては私鉄との関係もありましょうし、犯罪捜査なんかについては総合的な判断をしてもらいたい。こういうようなまじめな態度で研究していかなければならぬ。しかるにあなた方は、幹線とは一応一級、二級でありますというふうなことでは、全国の幹線を一ぺん調べてごらんなさい。二級国道はどれくらいあってどうなっているのか。中には道がなくてこれから入れようというような二級国道もあるのです。線路の地図だけは書いてあるが、国鉄の予定線みたいなものだってあるのです。そういうものを現実の犯罪を捜査する警察が入れるということになると、これは世間の笑われものになりますからお尋ねをしているのです。そういう点をこの次の委員会までによく研究しておいてもらわぬと困ります。そういう意味で申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/28
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029・坂井時忠
○坂井政府委員 私の説明が足りなかったので誤解をされたのじゃないかと思うのですが、全国的な幹線道路というのは、道路法によって定義が一応私が今申しましたように高速道路、一級国道、二級国道というふうにきまっておるわけでございます。そういう意味におきまして、全国的な幹線道路はこれこれであるというふうに申し上げたのでございますが、そのときにも私どもの気持を申し上げました通り、全国的な観点において、斉一を期する必要がある場合においてだけ発動する。従いまして「政令で定めるところにより、」とあります政令で具体的に道路の整備状況をにらみ合せまして、幹線道路というものをその中からさらにしぼりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/29
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030・中井徳次郎
○中井委員 そういうことでありますならば、北山さんの質問時間をこれ以上とるつもりはありませんが、われわれ審議の過程におきまして必要だと思うので、幹線の地図面で現実にお考えになっておるものをこの次に出して下さい。またこれは簡単に出せるものだと私は思います。それを一つお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/30
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031・坂井時忠
○坂井政府委員 一級国道が現在五十、それから二級国道が大体百五十あるそうでありますが、地図を後ほど資料として提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/31
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032・北山愛郎
○北山委員 私も同じような疑問を持っておるのですが、この幹線道路が一級国道、二級国道それ以上にも及ぶというふうなお考え、これはやはりその範囲によってこういう規定の必要性が問題になると思います。それをただ政令にまかせてしまうということも問題だと思いますので、これはこの法律の施行ということを予定しておられると思いますが、施行されたならばどういう政令の内容になるのか。そういうお考えがあると思うので、その政令の内容等についても大略のところをお示し願いたいと思います。またあとの方に政令のことがありますが、政令で指定する事項、それから速度制限、その他の事項ということになると非常に広範なんです。この地方の公安委員会の権限の中で、最高速度の制限以外の事項というのはどういうことを考えておるのか。これをただ「その他政令で指定する」とあるその政令というものがなかなかくせ者でありまして、われわれ法律審議をする場合に、その内容を検討しないままにやりますと、その政令が非常に拡大されて法律そのものの精神を逸脱するような政令すらもあり得るのです。ですから「政令で指定する事項」ということについても、内容の大要はこういう事項なんだ、こういうことを予想しておるのだということを説明していただかないと、この二十六条の四の規定全体の必要性、妥当性というものを判断しかねる。これを一つ要望いたしておきます。
それから次に第六十六条ですが、移動警察に関する職権行使、これなんかも現実の必要性が一体どの程度にあるのか、こういう区域にまたがって警察官が活動し得るという規定なんですが、そういう点がはっきりと納得できない。まず第一項の方では、前には「関係都道府県警察の協議により定められた当該関係都道府県警察の管轄区域内において、」とあるのを、今度は「協議して定めたところにより、」こういうふうに変っておるわけですが、どういう必要性があってこういうふうにきめたのか、これをお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/32
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033・坂井時忠
○坂井政府委員 第一の御質問の道交法の改正に伴う政令の問題でありますが、一応こういうふうに考えております。
第一点は、先ほども申しましたように、全国的な幹線道路の中に、さらにどういう区域にするかをしぼって特定をいたしたい。
それから第二に、国家公安委員会が交通の規制の処理について指示を行う場合においては、交通の安全、円滑及び道路利用の効率化の観点から合理的にこれを行わせるための指示基準というものを設けたい、こういうことでございます。それから国家公安委員会が指示をすることができる事項というのは、スピードの点以外にどういう点を考えておるかという御質問でございますが、たとえて申しますと、道路の通行の禁止または制限に関する事項、それから車馬の併進または転回についての制限に関する事項、たとえばある県では左側を貨物自動車、右側を自家用車としておるのが、県によってこれが逆になるというようなものについての制限指示、それから停車または駐車を禁止する場所の指定に関する事項、それから追い越し禁止の場所の指定に関する事項、こういうようなことにつきまして指示をいたすことができるようにいたしたい、こういう考えでございます。
それから第二の御質問でありまする移動警察関係のことでございますが、「協議して定めたところにより、」という字句の改正は、これは字句の改正だけでございまして、内容は別段変ってはいないわけであります。ただはっきりした文句にしたいという気持だけでございます。それから第二に、各府県にまたがる「二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる政令で定める道路」といいますのは、現在のところ政令で予定しておりますのは、関門のトンネルの国道ができたようでありますが、ああいうものを予定いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/33
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034・北山愛郎
○北山委員 そうすると、移動警察の方の第一項は、「協議により定められた」区域というのと、今度の「協議で定めたところにより」というのは変らないというのですが、これは文句が変っておるし、意味が変っておるのですよ。従来であれば区域々々について協議すれば、それ以外についてはできないわけなんです。今度は非常に広範にやり方から何から協議をして定めれば、移動警察は何でもできるといえば何でもできるわけです。今の御説明ではどうも納得できないですね。明らかに違う。違うものでなければ改正はしないはずなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/34
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035・坂井時忠
○坂井政府委員 現在の六十六条に、「関係都道府県警察の協議により定められた当該関係都道府県警察の管轄区域内において、」とありますので、おっしゃる通りこれは従来は区域のみが協議で定められておったという点でございますが、今度は区域以外に事件の引き継ぎ、実施方法も関係府県の協議によってきめるようにした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/35
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036・北山愛郎
○北山委員 交通機関における移動警察というのはどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/36
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037・坂井時忠
○坂井政府委員 交通機関における移動警察というのは、現在やっております電車とか汽車とかについての移動警察、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/37
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038・北山愛郎
○北山委員 交通機関の内部においての移動警察ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/38
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039・坂井時忠
○坂井政府委員 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/39
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040・北山愛郎
○北山委員 要するに汽車とか電車とか、自動車、バスもあるわけですが、そういうものの内部における犯罪防止とか警察ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/40
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041・坂井時忠
○坂井政府委員 御承知の通り、数府県にまたがっておる際に、県境で汽車に飛び乗って、引き継ぐというわけにも参りませんので、最初から乗ってやっていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/41
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042・北山愛郎
○北山委員 バスの内部における警察はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/42
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043・坂井時忠
○坂井政府委員 現在は、大体汽車、電車だけしかやっておりませんので、バスについては今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/43
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044・北山愛郎
○北山委員 そうすると考えてはおらないのだが、あした考えるかもしれぬですね。バスの移動警察ということはあり得るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/44
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045・坂井時忠
○坂井政府委員 バスも非常にこのごろ発達いたしまして、きわめて大型のバスも通るようでございますが、これは道路が発達いたしますれば、さらに大型のバスも通るようになろうかと思います。しかもそういうバスにつきまして犯罪が相当起り、移動警察の必要があるということになれば、これはやらなければならぬことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/45
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046・北山愛郎
○北山委員 まあ私が非常にこまかく聞くということは、これは移動警察というものは、今この規定されたところを非常に広く解釈すると、何でもかんでも警察の区域というものはなくなってしまう。これは拡張の解釈をすれば、よその県の警官をこっちへ連れていって、どんどん移動警察で、お互いに全国の警察というものは一体として使えるということになるのですね。今までであれば、ただ区域ということだけ協議しておるのだからまだよかったが、今度は協議して、その協議の内容が、いろいろなことについて、こういう犯罪についてこうしようとかいうことで、みんなそれを移動警察にしてやればやれぬことはない。どうも従来警察法の第五条にしてもその後の実施状況を見ると、少し法律のほんとうのあれからは行き過ぎているのじゃないかというふうに私どもは考えておるので、お伺いをするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/46
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047・坂井時忠
○坂井政府委員 移動警察を非常に拡張する意思があるのではないかというお話でございますが、汽車、電車等におきましては相当すり等がありまして、実際問題としまして乗り込んでやらなければ犯罪の取締りができない、こういう必要性から生まれてきておるわけでございます。各府県それぞれの自治体警察でございますので、自治体警察の建前でやり得るところはもちろんそれでやっておるわけでございます。ただ県境等はうまく事務引き継ぎができない、相手がずっと動いておるものである。県境で完全に事務引き継ぎができるようなものにつきましては、もちろん各府県がそれぞれやるわけでございまして、うまくそういう事務引き継ぎができないので、そこで移動警察という必要が生まれてくる、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/47
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048・北山愛郎
○北山委員 それで今の六十六条第二項ですが、「警察官は、二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる政令で定める道路の政令で定める区域における交通の円滑と危険の防止を図るため必要があると認められる場合においては、前項の規定の例により、当該道路の区域における事案について、当該関係都道府県警察の管轄区域内において、職権を行うことができる」というのですが、こうなると、道路の交通の円滑と危険の防止をはかるためという目的のために、道路というものはどこにもあるのだから、お互いに関係の都道府県警察というのは警官を応援したりいろいろなことができるようになるのじゃないか、この規定はそういう危険があるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/48
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049・坂井時忠
○坂井政府委員 先ほど申しました通り、関門トンネルというように県境がはっきりしない、あるいは県境においてはっきり事務引き継ぎができないというところにつきましてのみ、こういうことが予想されるわけでございまして、しかもその関門トンネルの国道等につきましても、その道路全部を言うわけではないのでありまして、道路をさらに区切った区域、ここに書いてありますように、政令で定める区域における取締りを考えておるわけであります。従いまして交通の円滑と危険の防止をはかるための取締りがおもなる目的でございますが、ただその道路で自殺しようとしておるような者があると、それをほうっておくというようなことも、これは警察官としてはどうかと思われますので、警察官等職務執行法各条に定められたようなことは、ここにいう当該道路における事案というところでやれると解釈をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/49
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050・北山愛郎
○北山委員 ここにも政令で定める道路とありますので、やはりこの点も一つ、関門道路なら関門道路というふうに、この法律が施行される場合にまずやるようなところを、この政令の内容として出していただかぬと、これだけを見ると、どこにでも、政令できめさえすれば交通安全と危険の防止ということで、警官をそこに発動し、警察の活動区域というものを広げることになる。そういう指示が中央の警察庁によって指示したところで行われるということになるわけなんで、これをうまいこと、二十六条にしても何にしても、関連して動かせば、各都道府県警察という自治体警察の建前を持っておるものを相互に転用できるので、全国警察になって、国家警察的な色彩が非常に濃くなる。私はそういうふうな規定に悪用する危険性がある、こういうふうに考えるのです。特に今の二つの条項の中には、政令というものの予定されておる内容等は、ある程度明確にしていただきたい。これはあとでもいいですから一つ出してもらいたいと思うのです。
警察法について私は大体以上ですが、この前警察法の第三十七条のことで不明確でございましたから、さらにお伺いしておきますが、経費です。都道府県警察に渡してある国費、こういうものがどういうふうに会計経理をされておるか、支出官がだれであって、そして出納はどうしているのか、現金の取扱いはどうしているのか、こういうことをもう少し詳しくお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/50
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051・坂井時忠
○坂井政府委員 第一の御質問であります六十六条の政令の問題でございますが、交通機関が非常に発達すると、それが走る道路が非常に発達して参るということになりますと、県境ということが非常に問題になるわけでございます。そこで府県警察という建前と、それからそういう経済的な要求というものを、どこで総合的に調整していくかということが問題であろうかと思うのでございます。現在のところわれわれとしましては、この府県警察の建前をくずす意思は毛頭ないのでございます。ただ関門国道トンネルとか、あるいは阪神間の自動車専用の高速道路というようなものが設けられますと、事業者、その他関係者からきわめて強力な要求といたしまして、一本の交通を作ってくれというようなことも言われておるのでございます。われわれとしましては、将来の問題として考えたいとは思っておりますが、やはり府県警察の建前というものはあくまでも建前として尊重する、そうして時代の要求に応じた経済的ないろいろの要請は、できるだけ満たしていくというふうに考えたいと存じておる次第でございます。
それから第二の御質問であります各府県に国費をどういうふうにして配当し、どういうふうな支出をしておるかという御質問でございますが、この前御要求がありました資料はこの前の委員会でお配りしてあるのでございますが、三十三年度すなわち来年度にお願いをしております予算では総額五十三億四千万円余りあるわけでございます。国費で都道府県に行くものがそれだけあるわけでございます。これは御承知のように、各府県の警察本部長というものが国家公務員でございますので、この国家公務員である都道府県本部長を支出官といたしまして、経理をいたしておるわけでございます。国費以外の地方費でもそうであろうと思いますが、現金取扱いはやらないのが建前でございます。従いまして警察でも現金経理ということはきわめて例外的な場合にしかないのでございまして、各府県に行きました国費も、全部現金経理は例外的にしか認めていない。すなわち、言いかえますれば、各府県の警察本部長が支出官となりまして、その支出官の責任においてすべて会計経理をやっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/51
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052・北山愛郎
○北山委員 そうすると旅費とか、そういうものも小切手で払うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/52
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053・坂井時忠
○坂井政府委員 そのような建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/53
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054・北山愛郎
○北山委員 現金取扱いの場合というのは、全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/54
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055・後藤田正晴
○後藤田政府委員 お答え申し上げます。ただいま官房長からお答えいたしましたように、国費につきましては、支出官を府県本部長、支出負担行為担当官をやはり府県本部長、そういたしまして、県によってはさらに会計課長を出納官吏に任命をいたしておるところもございます。そこでただいま官房長が申しました旅費等について小切手払いというのは、出納官吏を設けていない県においては、そういう扱いをいたしております。また出納官吏を設けてあるところにおきましては、旅費等については現金の支払い、こういうようにいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/55
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056・北山愛郎
○北山委員 この会計課長というのは地方公務員じゃないですか。今出納官吏というか出納扱い者をこの会計課長にやらせるというが、これは地方公務員じゃないですか、国家公務員ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/56
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057・後藤田正晴
○後藤田政府委員 地方公務員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/57
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058・北山愛郎
○北山委員 その地方公務員に国の公金を出納させるという根拠をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/58
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059・後藤田正晴
○後藤田政府委員 会計法四十八条でさような取り扱いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/59
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060・北山愛郎
○北山委員 この国費支弁の警察費というのは、各府県の知事の方に通知をしておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/60
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061・後藤田正晴
○後藤田政府委員 各都道府県の本部長の方から、国費として流れてきておる経費はこの程度であるということは連絡をさせるように、私の方で指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/61
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062・北山愛郎
○北山委員 三十三年度は五十三億確保、これは前にはこんなに多くなかったと私は覚えておるのですが、警察法の改正ができましてから、二十九、三十年、それ以降どういうふうになっておるのか。この予算は初めは五十三億というような、こんなに多くはなかったと思うのですが、その変遷経過を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/62
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063・後藤田正晴
○後藤田政府委員 昭和三十一年度が、国費総額が百十五億、昭和三十二年度が百二十一億四千万円、三十三年度が百二十七億円、こういうように変遷をいたしておりますが、その大部分は国の公務員に対する給与改善の関係、この経費の当然増の分が一番多いのでございまして、府県に流れております経費はそうふえておりません。ただ今御質疑にございました五十三億四千万円と申しますのは、これはものによって中央調弁で流れていく部分を含めての金額でございます。経費として流れていきますのは、府県分の予算といたしましては三十三年度を例にとって申しますと、二十九億七千三百万円でございます。従って中央調弁による現物配分の分が二十三億六千八百万円、こういうことでございます。三十一年度以降の変遷もそうふえておるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/63
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064・北山愛郎
○北山委員 わかりました。ところで中央で調弁した資材とかそういうもの、それは国のものになっておるわけですか。府県の方へ貸しておく、こういう格好になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/64
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065・後藤田正晴
○後藤田政府委員 警察法の七十八条によりまして府県が国の物品を無償使用する、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/65
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066・北山愛郎
○北山委員 それからこの前と関連してですが、こういうやり方は私どもから見れば、やはり地方財政法の第九条の原則に違反しているわけです。地方財政法の第九条にはこう書いてある。「地方公共団体がその全額を負担する経費、地方公共団体又は地方公共団体の機関の事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する。但し、次条から第十条の四までに規定する事務を行うために要する経費については、この限りでない。」という規定で、一応原則的には地方公共団体またはその機関の事務の経費は地方公共団体が全部負担するのだが、しかしそれから数条にわたりましていろいろな項目をあげて、国がその一部を負担するというものを掲げてあるわけなんです。ところがその中には、今の警察のあれはないのです。例外規定は、項目はたくさんあるのだが、その中にはない。ほんとうはなければならぬはずですよ。だから、地方財政法としては建前上この団体とその機関、すなわち公安委員会の警察の経費も、建前は都道府県費で支弁するのがほんとうだ。しかし例外はここにこうあるのだ。こうあるのですが、それと今の警察法のようなやり方、それは法律からいえば特別法だ、警察法にそういう規定があるからいいんだ、こういうふうに御説明なさるでしょうが、しかし地方財政の原則からいえば矛盾しているのです。こういう例はほとんどないと思う。だから、その金額というのは相当大きくて、費目が全然別個ならいいのですよ。全然特殊な経費で分割ができるものならいいが、同じ事案について捜査なら捜査というものについて、府県の予算からもとってくる、国の支弁金も使うというふうに競合で使う、こういう形になっておる、これはおかしいじゃないかと私は思うのです。それならば、やはり補助金という制度があるから、警察費についてもなぜ補助金の方にぶち込めないか。おかしいじゃないですか。この建前から見ても、わざわざその都道府県に補助金を出しておるそれ以外に、国が直接支弁をするものがあるということはおかしいと思う。しかも警視正以上は国家公務員だからというのですが、それは給与ならまだいい。国の公務員だから国の方から直接出すということは、それはいいとしても、人に事業がくっついていくのではない。これは身分は国家公務員であるけれども、その職務はやはり都道府県警察の職員としてやるのですから、その仕事は自治体警察の仕事をやる。その経費はその仕事の経費なんで、給与とは別なんです。なぜ国家公務員の地方警察官が国の予算を背負って持っていかなければならぬのか。おかしいじゃないですか。こういうことからして、私の言うことが間違っておるならば、どういうわけで間違っておるかを示してもらいたい。私どもは地方自治あるいは地方財政という建前から行けば、こういう例外的なものは地方財政という原則から見ても好ましくないばかりではなしに、警察運営から見ても好ましくないと考える。私の言うことが間違っておるなら指摘してもらいたい。間違っていないなら直すか直さないか、検討するか検討しないか、これを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/66
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067・後藤田正晴
○後藤田政府委員 確かに北山委員の御意見のような考え方もあろうかと思いますが、現在この経費負担の建前というのは、警察事務の特殊性というものを考えまして、国の公安にかかわる犯罪とか、あるいは数府県にまたがるような広域的な警察活動に要する経費というような、当該都道府県のみに負担させることは必ずしも適当でない、見方によれば、言葉はおかしいのですが、気の毒ではないか、こういうものについては国費で負担すべきが建前ではなかろうか、こういうようなことで一定の経費について国が負担する——国が負担というのは、負担金の意味ではなしに、国庫が直接支弁する、そうする以上は、当該経理についても、国の職員を持ち、しかもその職員の下に十分な会計組織というものを持っておるという以上は、当該府県本部長に執行の面についても処理をさせて、国の責任を明確化する、こういう建前がいいのではないか、こういうことで現行の経費負担の制度及び予算の執行という執行機関の立て方というものを作ってあるわけでございます。まあ、これは経費の面でございますが、同様なことが都道府県警察、これも自治体警察であるということの建前から見れば、そもそも府県本部長という国家公務員を置いて、当該国家公務員が警察以下の府県の公務員、つまり吏員の任命権を持つということも、これもまた理論的に見れば、北山先生のおっしゃるような御意見が成り立つかと思います。しかしここは、私どもは警察事務というもののいわば特殊性というような面から、そういう例外的な扱いをいたしておる、こういうように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/67
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068・北山愛郎
○北山委員 だから、いいとは言わない。ただ国家公務員と地方の警察官がおるということ自体もおかしいじゃないかと、それを援用されるわけですが、それも問題なのです。しかしそれもおかしいとなれば、おかしいものを二つダブらせる必要はなかろう。少くとも費用については、建前を通しても通せないことはない。今のお話のように、やはり国家事務とか国家目的とか、そういうことにも関連があるということならば、これは地方団体がやっておる教育にしろ社会保障にしろ、みんな国にも関係があることなんです。あるからこそ半額国庫負担であるとかいって国の方でも負担している。ただ負担しているやり方は、これとは全然違って一定の率の負担をするという形でやっている。なぜそういう形でやれぬかというのです。こういうことはすべて人件費がかかるのですよ。その人件費の方は地方で負担しているのでしょう。分けることはできないのです。この捜査の経費だって、それは分析して給与から何から原価計算するわけにいかないでしょう。だからこそ大ざっぱにいって、地方の警察の経費の三分の一なら三分の一を補助するとか、二分の一を補助するとか、それならば話はわかるが、補助は補助としてやっておいて、その上にちゃんとがっちり警察庁が予算を握って、これを分けてやるというやり方、これはこうしなくてもいいでしょう。よくないことでしょう。ほんとうに例外的なんです。ほかの仕事と比べて何ら特異性はないのですよ。品物もまとめて買う方が有利だというなら、ほかの教育だって何だって同じです。国が調弁して品物を府県や市町村に分けてやったらいい。同じ理屈が立つのです。だから今の御説明はお答えにならないと思う。きょうは長官も見えませんが、この点は現在の警察として、警察ばかりでなくて、全体の国と地方の関係から見て好ましくないあり方だし、これからいろいろな弊害が起るし、不経済も起るし、警察運営にも一種の影がさしてくる。そこでこの制度の検討を願いたいと私は思う。別の機会に長官にも最終的にまたお尋ねをしたいと思うのですが、とにかく今までの御答弁では、それはもうだれも納得できないと思う。ですからこういうような直接に国費を出して支弁するということじゃなくて、むしろ一定率の補助金、三分の一でもいいし、そういうふうにやられるように検討してもらうように、きょうは私は要望だけしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/68
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069・坂井時忠
○坂井政府委員 長官からは、またあらためて御趣旨の点は長官としてのお考えを述べられると思うのでありますが、ただいま後藤田会計課長が話しました通り、先生みたいな考え方もできる。しかしそういう考え方からいけば、まあそうなるかもしらぬ、こういうことを申し上げたと思うのであります。御承知のように警察という仕事は、国の直接利害に関係がある面と、地方の利害に直接関係がある面と二つあると思うのであります。それを警察組織の面では一応都道府県警察ということで割り切ったのでございます。やはり国の利害に直接関係があることを、府県のみの負担にさせるということはおかしいのではないかということで、国費を直接出しておる、こういうことになっておると思うのでございます。都道府県警察を作るときに、いろいろ論議があったと思うのでありますが、警察というものは国と地方の両方に利害関係がある。それを実際の場合にどちらに分配するかということは、国としての行政上の責任と、それから地方自治の本旨というものを総合的に考えて、法律できめなければならぬ問題であるというふうに考えるのでありますが、そういう結果、都道府県警察というものが生まれた。しかし国の利害に直接関係のある費用を、その一地方のみの費用負担にしては、これはかわいそうじゃないかという建前から、直接国費を支出する方がむしろ実情に合っている、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/69
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070・北山愛郎
○北山委員 そういうふうに言われますと、なお言わなければならぬ。その趣旨はわかる。わかるけれども、それは教育でもその他のいろいろな地方団体の仕事でもそうでしょう。純粋に地方団体だけで負担しないものがたくさんありますよ。補助金というのはたくさんあるわけですよ。なぜ補助金でいけないのか。今の趣旨を生かすのに、国費として、地方財政の原則を破って、国が予算を握って、地方の警察をやる職員、かりに国家公務員であろうとも、それに直接金をやって、そこで経理をしなければなぜいかぬのか。そういうことは財政上よくないのですよ。財政の責任とか事務の限界から見てよくない。今のお話のような目的は別な方法でやれるのです。またほかの事務はやっている。警察みたいに自分のところに予算をあっためておこうというような考えのところはないんですよ。そういう方法で、今の御説明の趣旨は貫ける。それをとらないで、警察にはまた別に補助金をやっているでしょう。そうしてなおかつその上に国庫支弁金というのを持っているのはおかしいではないか。それでは答弁にならないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/70
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071・坂井時忠
○坂井政府委員 御趣旨の点はよくわかるのでありますが、教育なんかと似た点は、これは補助金でまかなっておる。しかし、たとえて申しますと、神奈川県で神奈川県という自治体警察には全然関係のない国家的な事件が起ったという場合に、やはりこれは国費でまかなうのがほんとうではないか、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/71
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072・北山愛郎
○北山委員 そういう趣旨ならば、そういうものに限ってやればいいのではないですか。この三十七条の中には——これは政令か何かに別にあるのだが、ずいぶんいろいろな項目がたくさんあるのですね。補助金の中へぶち込んでもかまわないようなものまで入れてあるのですね。お話のようであれば、そういう地方的な、地方団体に負担させるのが不適当なような特殊な事件、そういう経費というのであれば、そういうものに限って何らかの措置がとれるのではないか。ところが三十七条はそうでないのです。相当広範なんですよ。お話のようであれば、それ以外のものは全部補助金へぶち込んで、そういう特殊なものだけを残すというやり方もあるだろうと思います。その場合でも補助金の中の操作でもできるのです。追加して補助金を出してやればいいのだから、できないことはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/72
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073・中川董治
○中川政府委員 神奈川の特殊な事件については、きわめて顕著な例を申し上げたのでありますが、今国費でまかなっておるのはそれに右へならえをした事例である、補助金というのはそれまでいかないものだ、こういうことになろうかと思うのであいます。それではどこで線を引くか、もう少し補助金の方に持っていく項目を多くしたらどうかというのが、北山先生のお話の要点だと思うのでありますが、これらもよく検討いたしたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/73
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074・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/74
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075・加賀田進
○加賀田委員 警察法の改正案の詳細な内容に入る前に、警察職員の給与の問題に対してお尋ねをいたしたいのでありますが、御存じのように警察法の先般の改正に基いて警視正以上は国家公務員、警視は地方公務員という形になったようであります。給与が地方公務員と国家公務員とに分れておるために、警視正と警視との間の給与のアン・バランスといいますか、断層ができている場合も相当あるし、あるいは逆に警視正になったために給与が下って、表面的には出しておりませんでも内心的におもしろくないという立場をとっている人が相当私はあると思う。この点に対して警察庁の方でどのように考えておるのか、どう調整しょうとしておるのか、一応お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/75
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076・坂井時忠
○坂井政府委員 二十九年の制度改正のときに町村警察、市警察が廃止になりまして県警察になった。その際に給与が非常に違ったということで、暫定的な調整措置を警察法によってとったのでございますが、お話のように警視から警視正になった、いわゆる地方公務員から国家公務員になったことによって給与が下るという事例は、地方によっては現在起っておるのでございます。もちろん大体の県におきましてはそう下ってはいないと思うのでありますが、六大都市みたいな割合財政的に余裕があるところにおきましては、国家公務員たる警察官よりも地方公務員たる警察官の方が給与ベースがいい関係上、御指摘のように警視から警視正になると下るという事例もあるのでございます。これは現在の段階におきましてはやむを得ないことである、こういうふうに考える次第でございます。できるだけ国家公務員の給与べースを将来も考慮していただくということで調整をしていかなければならぬかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/76
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077・加賀田進
○加賀田委員 やむを得ぬという言葉で今放置されておりますが、実際問題として警察職員だって労働者でありますから、やはり給与によって生活を維持しておるわけでありまして、職制が上って給与が下るというようなことはどこの職制においてもないと私は思う。従ってそのことは特別調整をするとかなんとかいう方法によって行うべきが正しいのじゃないかと思う。ただ地方公務員から国家公務員になって、給与体系が別個になったのだからやむを得ぬという形で放置しておくことは、私は警察庁としても職務怠慢だと思う。将来それを何とか調整する方法を、ただ国家公務員に準じて地方公務員の給与を直してもらいたいということで、逆に給与を下げなくちゃならないという現状が起ってくるということは望ましくない状態だと思う。そういう状態の中で、特に六大市はそういう形になっておると思いますが、その点は特に今申し上げたように改正のときでもそういう問題が起って特別な調整方法を講じたわけでございますから、現在もなおそういう特殊な問題は特殊の調整方法を講ずべきが正しい行き方じゃないかと思うのです。その点に対してもう一度御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/77
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078・坂井時忠
○坂井政府委員 これは国家公務員の給与体系と地方公務員の給与体系との全般的な問題であろうと思うのでございます。私どもの考えとしましては地方公務員も国家公務員も勤務の内容が同じであれば、給与ベースはやはり同じであるのが理想的であろうと思うのであります。そうしますと現在の国家公務員のべースが高いのかあるいは低いのか、地方公務員のべースが低いのか高いのかという問題になってきまして、これは単に警察だけの問題ではなかろうと思うのであります。できるだけ御趣旨のような点は将来も考えまして、階級が上ることによって給与が下ることのないように検討いたしていきたいと私は思っております。ただ今申しましたようにこれは警察だけの問題ではないのでありまして、地方の県庁の課長から本省の国家公務員である課長なんかになりますと、やはり給与べースが下るのでございます。その点はまことに残念なことではございますが事実問題としてあるわけでございまして、やはり将来の検討問題かと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/78
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079・加賀田進
○加賀田委員 それで警察職員の給与の問題で、御存じのように警察職員の方は一般の労働者と違って三つの権利がないわけなんですが、しかし実は昨年の春、国家公務員、地方公務員全般にわたり給与ベースを引き上げたときに、都道府県の警察の代表と申しましょうか、団体交渉という形ではないのですが、法律的には認められておりませんけれども、やはり実質的には集団交渉という形で、警察職員の給与を上げてもらいたいという交渉が相当強く行われたと私は聞いております。そういう交渉の上に立って、やはり今申し上げたように交渉されることは法律的には保障されておりませんけれども、実質的には団体交渉という形が現在行われており、府県知事の方においても非常に困っておるという状態も私は聞きますが、ちょうど警察法が改正されたのですから、この際スト権を与えるということはいろいろ治安の問題で困難であろうが、団結権あるいは交渉権ぐらいは与えて、給与というものを交渉の過程を通じて正しくするという形をとることが正しいと思うのですが、警察当局はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/79
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080・石井榮三
○石井(榮)政府委員 昨年の給与改訂に際して、地方で警察職員が事実上集団交渉のような形をとったというふうなお話でございますが、私寡聞にしてそういうことがあったことは承知をいたしておらないのでございます。給与の改訂は確かに都道府県の本部長としましては大事な問題であるので、本部長が責任を持って知事といろいろ折衝したということは聞いておりますが、集団交渉の形をもってこれに臨んだといったようなことは聞いておらないのでございます。ただいまお話もありましたように、御承知のように警察官には団結権、交渉権といったものは認められておりません。これを認めたらどうかというただいま御意見のようでございましたが、これは権力機関と申しますか、強い国家権力を持っております警察の組織としましては、そうしたものはよほど慎重に考慮を要する問題ではないかと思うのでありまして、この点につきましては今後御意見もございましたので十分検討はいたしますけれども、軽々にここで決断を申し上げることはいかがかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/80
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081・加賀田進
○加賀田委員 二名以上寄れば集団ですから、代表の方が二名ないし三名交渉されることは集団交渉、警察の解釈はそうだと私は思うのです。従って実質的にやはり警察本部の方々が賃金やそういう問題を交渉されてはおるわけです。その交渉というのは法律的には規定されておりませんから団体交渉とかそういうことは、言葉の上では言えないと思うのですが、そういう交渉をされておるのですから、実質的に私は同じじゃないかと思うのです。そういう交渉をすることは警察として——もちろん本部長として部下の職員の給与の高くなるということを望んで、それは内々に談合をやる場合もあるでしょうけれども、しかし交渉的な形態をとることも私は事実だと思うのですが、そういうことは警察としてはどう考えておるのか、それは正しいのか、そういう方向で将来とも地方公務員である警察職員の給与を上げることがいいのかどうか、その点を明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/81
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082・石井榮三
○石井(榮)政府委員 御承知のように現在都道府県のいわゆる地方財政というものは非常にまちまちでございます。きわめて富裕な県もあります反面、きわめて財政的に不如意な県も多数あることは御承知の通りであります。そういう財政不如意なところは、いわゆる赤字団体財政再建計画を自治庁の指導のもとに立てておる、こういう県が十数県あることも御承知の通りであります。おそらくそういう府県におきましては、本部長としましては昨年の給与改訂に際しては、かなり苦心をしたと思うのでございます。と申しますのは、そういう赤字団体である関係上、警察官に適用するいわゆる公安職の俸給表というものがあるわけでございますが、国家公務員の公安職の俸給表は地方公務員たる警察官にもそのまま当てはめるようにしようというふうに、府県財政当局の方で考えたのはこれは無理からぬことと思うのであります。それならば府県庁の職員の一般行政職の俸給表を適用する者にも、国家公務員の一般行政職の俸給表がそのまま適用されるというのであれば、これは府県本部長としても当然是認をしたであろうと思うのでありますが、府県によりまして、その問題につきまして一般行政職の俸給表は国家公務員に適用する一般行政職の俸給表に若干手直しをした、つまり府県庁職員に幾らか有利になるような俸給表を作りながら、警察官に適用する公安職俸給表については、国家公務員の公安職俸給表そのままを適用するようにというふうに、知事部局の方で方針をきめた場合、本部長としてはそれは承服しがたいということで、熱心な交渉が行われたということは、これは本部長の立場として当然考えられることでございまして、御承知の通り一般行政職と公安職の間には警察官の職務の特殊性にかんがみまして、本来若干の水準差が設けてあるのでございます。従いまして県の財政事情等の関係で、一般行政職の俸給表を国家公務員のものをそのまま適用するというのであるならば、公安職についてもそのまま適用するというのであるならば、これはそのままの水準が維持されておるわけでございますから、たまたまそうした赤字団体に警察官を拝命したことが不幸であったということであきらめがつくでありましょう。一般県庁の職員の方は、国家公務員の一般行政職よりも若干色をつけて有利な俸給表に改訂されるにもかかわらず、公安職の俸給表は国家公務員並みにそのままであるということであるならば、そこに本来職務の性質から水準差が設けてある、その水準差というものがくずれてくるわけでございますから、本部長としてはこれは容易ならぬ問題である、警察官の士気にも関する重大問題であるということで、真剣にその点の是正方を要望したということが、あるいは特殊の府県においてはあったのではないかと思います。それは本部長の立場として、私は当然であろうと思うのでございまして、その際にあるいは本部長のほかにだれかその担当の部長なり課長がお供をするという場合があったかもしれませんが、それをもってして集団の圧力による交渉であるというふうにお取りいただくことはいかがか、かように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/82
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083・加賀田進
○加賀田委員 もちろん国家公務員である警察職員も一般職の給与と異なった、少し有利にされておることは事実でありますし、地方の方にもそれだけの格差は当然つけなければなりませんが、そういう意味だけじゃなくして、本部長以下幹部の方々がそういう問題に対して——これは態度にもよるだろうと思いますが、ただそういう相談あるいは要請という形じゃなくて、実質的によく言われておる団体交渉的な形態というものは、これは厳に慎しんでもらわなければならぬ。そういう矛盾がある、その矛盾を解明するためのお互いの誠意ある話し合いというものは、私は当然続けていかなければならないと思いますが、そうでなくて、今申し上げたような国家権力を背景とする二名以上の集団の圧力を、もし知事が感じたとするならば、これは集団交渉的な内容を生むわけでありますから、この点は十分注意をしていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/83
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084・北山愛郎
○北山委員 関連して。今の警察官の給与の問題ですが、私の聞いておるところでは、県の本部長ばかりでなくて、石井長官も地方の警察官の今の給与改訂の問題については、相当な関心と熱意を持たれて、そうして自治庁の方に集団交渉じゃない、単独交渉かもしれませんが、相当交渉されておったやに聞いております。ところがその結果は、どうやら超過勤務手当を三%上げるくらいなところで妥協したようにも見えるのですが、この地方団体の給与改訂、まだこれは片づいておらない、再建団体のせっかくきめた条例までまたひっくり返そうというのが、自治庁の長官の考え方なんです。そういうようなわけでわれわれとしても非常に関心を持って、この委員会でやらなければならぬと思うのですが、長官としては、やはり府県の警察官の特殊な地位、ことに警察官は現場の仕事が多いので役づきが少いわけです。現在の給与体系というものは職階制というか、役によってその給与と合せて、役によって給与を上げるというような建前になってきておる、そういう関係上、役づきの少い警察官は給与の条例というか、給与額表というものを別としても、実質上損するのではかなろうか、現場の仕事が多い関係で、いつまでも現場におるという人もある、そうなればやはり長い間には結局待遇上は損じゃないか、現場は現場として、特に警官のような場合においては優遇されなければならぬ職務の性質じゃないか、こういうふうに思うのですが、今の警察官のそういうような給与体系、ことに役づきばかり偏重するような給与体系、こういうような問題について一体どう思っておるのか。また今問題になっておる再建団体の給与改訂、これは一応地方団体としてきまった条例はきまった条例として、またもとへひっくり返してしまうということのないように希望しておるのかどうか、この際長官から伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/84
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085・石井榮三
○石井(榮)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、この給与改訂の問題につきましては、一般行政職と公安職——本来国家公務員についての給与をきめる場合には、職務の特殊性を考慮して水準差が設けてある、これはどこまでも堅持したいというのが、私の最小限度の要望でございました。自治庁次官等とも話し合いをいたしましたのも、もっぱらその点にあるのであります。各都道府県が地方公務員たる警察官の給与に関する条例をきめるものであることは、御承知の通りでございますが、地方の府県議会等において条例がきめられる状況も、各府県の財政事情によりましてまちまちでございます。いずれもその府県の県庁職員の給与関係等を考慮して均衡の保たれた、しかも警察官の勤務の特殊性というものを考慮に入れて、それぞれ条例が定められておるものと思うのであります。従いまして私どもといたしましては、都道府県が議会において成規の手続によってきめられたものはあくまでも尊重すべきものである、かように考えておるのでございます。自治庁におきましては、特に財政再建団体につきましては、本来の権限に基いて、特別の地方公共団体に対する指導権と申しますか、そういう見地から何がしかの特別な措置がとられておるようでございますが、私といたしましては、どこまでも先ほど申します通り、一般行政職と公安職との勤務の違いから来る水準差を、あくまで堅持するという基本線に即応して、各都道府県の個々具体的な事情の相違がありましょうから、それらもあわせ考慮されて、それぞれ適当な条例による公安職の俸給表というものが作られてしかるべきである。一たん成規の手続によって作られたものは、これはどこまでも尊重していくというのが建前ではなかろうかと思うのでありますが、現実にいろいろ自治庁と府県の間に交渉があるやに聞いております。その最終的結論を得る際にも、今私が申しましたような考え方の基本に立って、それぞれの特殊事情も考慮しつつ円満に事態が解決されることを希望いたしたい、これが私の今日の心境であります。警察官の待遇につきまして、いろいろと御好意ある御質問のようでございますが、私も実は警察官の待遇というものは、これはきわめて大事な問題で、今日の警察官の待遇が必ずしも十分でないことは承知をいたしております。あらゆる機会にいろいろな方法をもちまして、警察官の待遇改善のためには一そう努力して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/85
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086・加賀田進
○加賀田委員 給与の問題ですが、やはり各都道府県の給与状態というものを調べて、高いところに自分たちが要望するということは人情であります。それで三年前の警察法の改正に基いて、実質的に給与条件というものは悪くなっております。調整手当というものを特別にしたが、数次にわたって、それが昇給と同時に削られているという状態で、実際には下っていっておるのですから、だからやはり警察職員としても低賃金の中で苦しい生活をしていることは長官もよく御存じだと思います。この点はやはりもっと熱意をもって、指導監督の権力を持っておるのでありますから、都道府県に対しても十分それを発揮してもらいたいということを要望しておきます。
それからなお、この法律を見ますと、提案理由の中でも、交通道路の非常に著しい変化に伴って、交通警察を充実しなければならないということを最も大きく取り上げておりますが、内容を見ますと、機構が相当改革されて、機構改革に重点があるのじゃないかという印象を私は持つわけであります。そこでお尋ねいたしたいのですが、先般来の答弁を聞いておりますと、やはり各都道府県ではスピードも相当相違があるし、統一的な条件じゃないので、これを何とか整理して統一いたしたい、こう言っておりますけれども、現在の警察法におきましてもそういう全国的な統一というものはできないのかどうか。警察法第二条には、警察庁の権限、任務というものを規定してありますし、国家公安委員と都道府県公安委員とのいわゆる緊密な連係をしなければならないということも法律では明確になっておりますから、それらの問題をうまく運営すれば、この際新たにそういうものを改正しないでも、今まで全国的に不統一なスピードの制限とかその他いろいろな不統一な問題が、警察庁の指導監督に基いてうまく運営できるのじゃないかと思いますが、その点は現在の法律を改正しなければできないのか、あるいはできないとするなら、従来どこにそういう欠陥があったのか、この点を明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/86
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087・坂井時忠
○坂井政府委員 最初の御質問の機構改革の点でございます。保安局を設けまして交通課その他防犯課あるいは保安課、警ら課というものを考えておる次第でございますが、従来ある警察庁の組織は、旧国警時代の組織をそのまま踏襲しておりまして、特に中都市、大都市の警察を受け入れた後の中央組織といたしましては、きわめてかたわな組織になっておるわけでございます。交通問題を御指摘いただきましたが、交通の問題はその最も大きな問題の一つでございます。中都市、大都市における各般のこうした市民に直接した問題を処理する機構が、中央に非常に不足しておるということで、保安局という考えを今度打ち出した次第でございます。考え方によりますれば、二十九年の改正にこの機構改革もやるべきではなかったかということでございますが、その後数カ年の経験に徴しましても、少年の問題あるいは警ら、パトロールの問題、交通の問題、防犯の問題、売春の問題、いろいろ出て参りまして、やむにやまれぬようになりまして、こういう機構改革を考えて参った次等でございます。
それから第二の交通問題につきまして、道路交通取締法をどうして改正しなければならないかというお尋ねでございますが、お話の通り、これは各府県の公安委員会がそれぞれ責任をもってやっておる事柄でございまして、その府県のでこぼこは警察庁としましてもできるだけないようにして、交通がうまく行われるように指導しておりますが、問題は、その指導の面でどうしても行かない場合がやはり出て参ったわけでございます。ただいまも御指摘になりましたように、県境におきましてスピードの差が非常に著しい、あるいはまた県が違うことによりまして車の種類によって通る道がまるっきり違うとか、あるいはまた標識の色が違っておるとかいう点がございまして、なかなか調整は警察庁の指導のみによってはできない面もあるように思うのであります。しかしこの改正によりましてすぐこれを振り回して何でもかんでも斉一にしてしまうという意味ではないのでありまして、各府県の話し合いによってできるだけ解決をしていく、そうしてどうしても解決できない場合、しかも全国的に見てそれがいかにもおかしいという場合にのみ、この指示をしようとするものでございます。こういう指示の権能が中央にあるということであれば、私たちの方で進めておる各府県の話し合いもまた円滑に行くのではないか、こういうふうに予想をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/87
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088・加賀田進
○加賀田委員 そこで、今までできなかったというのですが、それは都道府県の警察が自主性を堅持してなかなか譲らなかったのか、あるいは警察庁としてそういう調整役というものに努力しなかったのか。先般も滋賀県と京都府で非常にスピードが違うので、県境においてブレーキをかけなければならぬというので非常に不便だということがあったのですが、そういうような問題を都道府県が話し合ってお互いに譲れないのか、それとも警察庁としてその調整役といいますか、そういう立場に立って、全国的な視野に立っての調整をしなかったのか。いわゆる法律を改正して権力さえ握ればそれができるのだという考え方であれば、それは法律を改正しなくちゃいけないでしょうが、いわゆる民主警察としては、そういう点をできるだけ排除するために努力しなくちゃならないと思う。努力したけれども、どこがそのネックになっているか、そういう問題に対して一ぺん明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/88
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089・坂井時忠
○坂井政府委員 従来も極力努力いたしたのでございますが、この前の委員会でございましたかお話しました通り、警察庁でも交通関係の定員がわずかに五名でございまして、十分行き届いた指導ができなかった点も、これは率直に申し上げましてその通りでございます。従いまして今度機構を変えまして、その点の足らなかった点も補いたいと思っておるのでございますが、また他面、指導しましてもなかなか行われなかっか事態もやはりあるのでございまして、従いまして建設省あるいは運輸省あたりから強い要望があって、こういう条文の改正をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/89
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090・加賀田進
○加賀田委員 それでは機構の問題で、現在の警察庁にある四つの部を五つの局に変えるわけですが、これは部を局と変えたのはどうして変えたのか。自治庁が部長が局長になった、あるいは自衛隊にも局長がある、ちょっと格式を上げるためには局長にしなくちゃならぬだろうという簡単な考え方ですか。まあそれは部長と言われるよりも局長と言われる方が気持がいいということですか。そういう点はどうしてこういう名称になったのか、まずこれを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/90
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091・坂井時忠
○坂井政府委員 今回の改正によりまして部を局にしようとするものでございますが、これは昨年の夏御指摘の通り、自治庁その他部が局になったわけでございます。そのとき当然警察庁もその規模内容等からしまして局にすべきであったのでございますが、警察庁の内部組織が国家行政組織法の規定からはちょっとはみ出ておる面がございまして、内部組織は警察法によってきまっておるものございますので、今回まで延びておった、こういう関係であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/91
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092・加賀田進
○加賀田委員 そうすると、まあ自治庁あたりが部長が局長になったので、同格の格式を持ちたいというところが名称変更の理由だと思うのですが、そこで、ここで特に変るのは、警察庁に五局ができる、いわゆる保安局という一局が設けられるということと、管区警察局に関東と近畿だけに保安部というものが設けられる、これだけですね、変ったのは。そうすると、現在までの都道府県における警察の機構というものはこれに準じて変更されなくちゃならないのですが、その変更の大体の方向といいましょうか、その事情というものを明らかにしてもらいたいと思います。それからなお、それと同時に、今まで四部であった。この四部の中には、大体三つの課がございますが、これも相当再配分をしなくてはならぬということになるわけですね。この点の構想を一ぺん明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/92
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093・坂井時忠
○坂井政府委員 中央組織及び管区警察局の組織改変に伴いまして、第一線の都道府県警察の内部組織も変える必要があるのではないかという御意見でございますが、昭和二十九年の警察制度の改正によりまして、第一線の都道府県警察では、すでにその実態に合う内部組織をとっておりまして、今度設けようとする中央の保安局で所掌しておるような仕事は、第一線におきましては、すでにその体制をとっておるわけでございます。警視庁を初め五大市警等、交通問題、防犯問題が非常に多いところは、すでにそういう部局も専門に設けておりますし、今回の改正によりまして、各府県の内部組織を直ちに変えなければならぬというところはなかろうかと考えております。
それから第二の御質問は、中央の保安局を設置することによりまして、すでにある部課の組織の改編をするであろうというお話でございますが、お話の通り、今警備部の中に警ら交通課というのがございます。この警ら部面と交通部面を担当しておるものは新しい保安局の方に移る。それから刑事部の中にありまする防犯課の仕事、この中にもたくさんの仕事があるわけでございます。今問題になっておりますこの少年警察の問題とか密貿易の問題であるとか、あるいはまた売春の問題であるとか、いろいろあるのでございますが、そういう防犯課の仕事は新しい保安局の方に移したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/93
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094・加賀田進
○加賀田委員 時間の関係で、まだ警察学校やその他の問題を質問いたしたいと思いますが、次会に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/94
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095・亀山孝一
○亀山委員 この際銃砲刀剣類等所持取締法案につきまして、一点お伺いしたいと思います。前の委員会で中井委員より御質疑があった問題であります。当時中川刑事部長からもこれに対する御回答がありましたが、もう一度繰り返して一つ御質問申し上げたい。それは同案の第四条の規定によりますと、銃砲刀剣類の所持の許可について、狩猟、有害鳥獣駆除、屠殺、人命救助、これはそれぞれ行為がある。しかるにそれに引き続き、漁業、建設業、これは一般的に業をあげてある。そこでどうもこれらとの均衡上この範囲が広過ぎるのではないか。いいかえれば漁業、建設業のうちで、これら銃砲刀剣類を使用、所持したいものをはっきりと明示した方がいいのじゃないか、こういうふうに思いますので、その点について修正を加えたらどうかという意見さえある。それについての中川刑事部長のはっきりした御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/95
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096・中川董治
○中川政府委員 さらに詳しく、お答えいたしたいと思います。お手元に差し上げました資料の三十四ぺ一ジの新旧対照表に基いて具体的にお答えいたしたいと思います。上欄の四条にありますのが、今度の改正で、新法でお願いいたしたいという条文なのでございます。下段の三条許可とありますのは現行規定でございます。それで御指摘のように、旧法も新法も、ともにこの点について同じ文字を用いておるわけでございますが、「狩猟、有害鳥獣駆除、と殺、人命救助」というのは、おおむね行為を中心としたものでございます。漁業、建設業については行為の集積である事業でございます。事業にいたしましたのはこの前も申し上げましたように、なるべくこれは具体的にしぼりたいという意図を持っておるのですけれども、具体的にしぼった結果、その事業が円滑に施行できない、こういうことになりますと、また国民生活上大へんな問題が起りますので、それを勘案して規定いたしたのでございます。
漁業から申します。漁業について申せば、漁業に必要な刀剣は前条三条の八号の「捕鯨用標識銃」というものが、大体定型化されたものでございますけれども、それ以外に全国各地に、漁業はいろいろ回って漁撈する作業でございます。漁撈については漁業法及び水産資源保護法で規制がございますので、その規制に従わねばなりませんが、漁撈するにつきまして、特殊の刀剣が要る、特殊の銃砲が要るという面が、数は多くございませんがありますので、そういう面につきましては、やはり無制限に許可するわけには参りませんけれども、公安委員会の、職務によって許可する道を認めていかないと、漁業という活動が円滑にいかない、こういう必要に基きまして、かねてから掲げておるのでございます。
次に建設業について申せば、これも前条の八号について定型化したものについては「建設用びょう打銃又は建設用鋼索発射銃」が定型化したものでございますけれども、「建設業」の実態は以上申した二つの銃砲のほかに科学が日進月歩しまして、こういうふうに銃砲を用いた方がいい、こういうのが出て参りますので、これも無制限に認めるわけには、危険予防上参りませんけれども、公安委員会が建設業の用途に必要と認める限りにおいて許可の道を認めていく方が、建設業の円滑な発展を阻害しないで済む、こういう意味合いで「建設業」を用いたのであります。従って「建設業」という言葉は、非常に不正確な言葉でありますので、またまぎらわしくなりますので、現行実定法に「建設業」という言葉を用いた法律がございます。これは、建設省設置法にも明確に規定しておりますほかに昭和二十四年の法律で建設業法という法律がございまして、そこで明確に規定しておりますので、この言葉があいまいなために起る弊害はないと考えておるのであります。繰り返して申しますが、現行実定法上建設業と認めるものについて、その業の用途に供するため必要と認められるものについては無制限に許可する限りではございませんが、行政庁たる都道府県公安委員会の行政処分により、これを認めていく道を開く、残しておく方が、科学の進歩によって日進月歩する建設業の円滑な運営を妨げなくて済む、こういう念慮から、この原案を作成いたされたのであります。しかしてこのことは今回の改正案についても慎重御審議お願いいたしたいのでございますが、昭和三十年、二十二国会におきましてこの「建設業」というものがなかったのでありまして、そのときにはこの条文は「又は建設業」という文字がなかったものですから、建設業界でだんだん日進月歩して、いろいろな器具が出てくるについて困るという必要から、二十二国会で内閣より「又は建設業」を加えるということを提案いたしまして、当委員会におきましても慎重御審議いただきまして、この「建設業」の文字をお入れいただいたのでございまして、その建設業という文字があいまいのために弊害が起るということになれば、大へん申しわけないのでございますが、そのときも考えたのでございますが、現行実定法上建設業法というものがある、並びに昭和二十三年に制定されました建設省設置法にも建設業という文字が明確に用いてございますので、その明確な概念上できている言葉の範囲に属することであって、しかも都道府県公安委員会が必要だと認められるものであるならば、それを認めておく方が科学の進歩にこたえ得る。並びに危害予防上の目的もあわせて達成できますので、内閣が提案いたしております法律案もその趣旨でございますので、何とぞその趣旨を御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/96
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097・亀山孝一
○亀山委員 そうしますと、前に中井委員から質疑があり、また御懸念があったが、その点については心配ない。従ってこの法案を修正する必要はない、こういうお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/97
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098・中川董治
○中川政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/98
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099・亀山孝一
○亀山委員 大体わかりました。いま一点ちょうど長官もおられますから念を押して伺いたいと思いますが、これは私からいろいろ質疑申し上げた問題なのでありますが、今度銃砲刀剣類に関する所持取締法ができます。ところが従来から同じように取り扱ってきました火薬類及びこれに関するいわゆるガスの問題等について、やはり同様な制限が必要じゃないかということを御質疑申し上げたい。これについては所管が違っておりますので、当時通産当局にも来てもらいまして、いろいろ聞いたのでありますが、この火薬類等も、やはり同様の取締りについて、検察庁は今後大いに一つ通産省と交渉せられまして、必要があれば次期国会にこれを提案されたい。言いかえれば、今もやっておるような単に産業上だけの取締りにあらずして、公安上の取締りの必要上、あの火薬等については警察と手を握って、これを取り締ってもらいたい、こういう問題なのですが、それについての一つ御所見を繰り返してお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/99
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100・石井榮三
○石井(榮)政府委員 火薬類の取締りにつきましては、現行法のもとにおきまして、関係機関とわれわれ警察とは緊密な連絡をとって、十分その目的を達成するように努力はいたしておるのでございます。しかし必ずしも十分とは申しかねる面があるようでございまして、そうした点につきましては今後十分検討を加えまして、ただいまお話しのように、近い将来これが改善の方途を講ずるように、最善の努力をいたしたい、かように考えております。しかし果して次の国会にそれがそうした関係の法案の御審議をいただくようになるかどうかという点は、今直ちに申し上げることはいかがかと思いますが、要するにこの問題につきましては深い関心を持ち、十分関係機関と緊密な連絡のもとに再検討いたしたいということだけは申し上げて、御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/100
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101・亀山孝一
○亀山委員 大体以上で銃砲刀剣類所持取締りに関する私の質疑は終りまして、次に遺失物関係の問題に対して三点お伺いしたいと思います。
まず第一点は、遺失物取扱いの現在の実情は、一体どういうふうになっているか。この点はまだお伺いしてないので、時間もあまりありませんが、簡単にして要を得た名答弁を一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/101
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102・中川董治
○中川政府委員 名答弁ではありませんが、簡単にお答えいたします。
遺失届は昭和二十六年には六十六万件ございます。三十年には九十四万件、三十一年には百万件、逐次多くなっております。拾得届は遺失届よりも多うございまして、二十九年九十一万件、三十年は百十四万件、三十一年は百四十三万件、これもともに増加しております。従って落したと言われる方も、拾ったと言われる方も多くなってきておる。こういうのが現状であります。それを通貨とそれ以外のものとにつきまして区別いたしますと、通貨につきましては落したと言われる方が多い。拾ったと言われる方が少い。それ以外は逆でございまして、物品につきましては落したと言われる方が比較的少くて、拾ったと言われる方が多い、こういう現状であります。そういうことに基いて、警察におきましていろいろ照合して遺失者の発見に努めて、なるべくこういったものがほんとうに遺失者に返るように努力して参っておるのでございます。
それからそういった内容の遺失物はどういうものかということも調べたのですけれども、一番多いのはめがね、手袋、帽子の類でございます。第二位は財布、ハンドバックの類、第三位がふろしきの類、第四位がこうもりがさその他その類でございます。
それからそういうものにつきまして、警察におきましては、公告後一年間落し主がわからない場合におきまして、拾得者が所有権を取得する、こういうことになっておるのでございます。落し主がわかったものについては、おおむね公告後一カ月以内に大体九〇%余がわかってしまう、三ヵ月もすれば九九%わかってしまう、六ヵ月もたてばほとんど一〇〇%わかっている、こういう実情でございます。
それから落しものの中で鉄道が取り扱っておるものは全部の遺失物のおおむね二割六分でございます。大体そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/102
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103・亀山孝一
○亀山委員 一体遺失物というのは金額にしてどのくらいのものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/103
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104・中川董治
○中川政府委員 現金の遺失届がありましたものが十億円であります。それから拾ったと言われる方の届を合計いたしますと五億三千万円、こういう状況でございます。それ以外の物品になりますと、価格の関係がやや不明確になって数字としてはきちっと計算はできません。統計でも物品の方は点数で出ておりますので、ちょっと計算はすぐに出ませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/104
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105・亀山孝一
○亀山委員 非常に遺失物が多いのには驚いたのですが、そこで拾得者が所有権を取得するときは、現行法では公告のときから一年後ですが、改正案では六ヵ月に短縮する、こういうような御説明で、今大体一〇〇%は六カ月以内に出る、こういうことでありましたが、それならばそれでよろしいのですが、どうも私ども考えると、公告のときからの期間を半分に短縮すると、落した人の方の権利を侵害するのじゃないかという懸念があるのです。その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/105
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106・中川董治
○中川政府委員 この点はわれわれも特に長い歴史を持った法律でありますので、慎重に検討したのであります。この一年という制度ができましたのは、相当古い制度でございますので検討したのですが、徳川時代には六カ月であった、こういう文献等もございますので、そういうことも念頭に置いた。それから現在の状況についていろいろ個々に当ってみたのですけれども、六カ月をこえて遺失物のわかるものはほとんどない、こういう実情でもありますので、遺失者の権利も十分に考えなければならぬと思うのですけれども、それをあまり落し主がわからぬものをまたもう半年も置いておくということになりますと、こうもりがさの類もだんだん持ちが悪くなりますので、そういう物件の活用、ことに拾得者がなるべく届けてくることを助長するということを考えますと、六カ月をこえてわからない人たちの権利はほとんどありませんので、その点はごかんべん願った方がよかろう、こういうふうに考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/106
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107・亀山孝一
○亀山委員 今この期間の点を、徳川時代を引用されて、非常に学のあるところをお示しになりましたが、それでは外国の立法例は一体どうなっていますか。これを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/107
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108・中川董治
○中川政府委員 学はあまりないのですが、徳川時代は確かに六カ月でありました。それで現在の各国の状況ですが、アメリカ合衆国は御案内のように州によって異なりますので、一概に言えないのですけれども、ハワイでは三カ月間でございます。ハワイは、三カ月間警察署長が保管して、三カ月をこえても落し主がわからないときには、拾得者に所有権が帰属する、こうなっております。それからフロリダ州は六カ月でございます。イリノイ州も六カ月でございます。その他三カ月としている州も少くございません。ニューヨークのセントラル鉄道で取り扱っておるものにつきましては三カ月でございます。それから英国へ参りますと、英国の鉄道で取り扱っておるものにつきましては三カ月でございます。従って三カ月、六カ月というのが相当多いのですけれども、ドイツにおきましては、わが日本の遺失物と同じように一年でございます。ところが、ドイツの事情が日本とちょっと違います点は、この期間は日本と同じように一年ですけれども、拾った人が原則として自分で保管する。私がこうもりがさを拾うと私が保管する。ただし警察署には届出だけ出す、こういう制度に相なっておるのでございます。それで各国の事情が三カ月、六カ月相当多いことであり、ドイツは一年でございますけれども、そのこうもりがさは拾った者が自分で保管しておる、こういう事情等も勘案いたしまして、慎重検討いたしまして、内閣といたしましは六カ月が相当じゃなかろうか、こう考えまして、提案になっております法案のように改正していただきたいとお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/108
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109・亀山孝一
○亀山委員 詳細に伺いまして満足いたしました。討論ではございませんけれども、この銃砲刀剣類等所持取締法にしても、また遺失物取扱いにしましても、時宜を得た改正だと思うのですが、要は運用の問題だ。ことに銃砲刀剣火薬類については、国際競技を控えており、また参議院の修正等もありましたことで、十分この点は御留意願いたいと思います。
以上をもって私の質疑を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/109
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110・渡海元三郎
○渡海委員 私は質問ではありませんが、この機会に、先般この委員会で家庭用の燃料ガスの圧搾容器が、中央で検査をされて、地方では検査の機構をやっていないのではないかというお尋ねをいたしましたところが、そういうことはないというお答えで、もしそういう事実があるならばという御返事をいただきまして、よく調べてみましたら、私の県でやってはいませんが、設備とか技術者がいないので今までやらなかったので、これからやるということでございましたから、ちょっとこの機会に……。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/110
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111・中井徳次郎
○中井委員 関連して。ちょっと一、二、亀山さんからお尋ねがあったことに関連しますが、お尋ねしたいと思うのです。
まず第一に遺失物の方ですが、一年を半年にした、これについては異議はありませんが、ついでに伺っておきたいのですが、遺失物を、今度半年になるわけですが、期限が来ました場合にどういう処置をしておるか、公売をやっておるのだろうと思うのですが、具体的にはどういうことになっておるか、一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/111
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112・中川董治
○中川政府委員 まず申し上げますが、公売をいたしますのは、腐敗するという要件か、保管に大へん手数と費用を要する、この要件に該当しないと、途中で公売いたしません。そういうものは公売いたしますけれども、それ以外のものは公売しません。公売したものは金、公売しないものについては物で、ずっと保管して参ります。そして新法によれば、六カ月たちますと拾得者に権利が行く。物はそのものずばりが行きますし、公売したものにつきましては売却代金が行きます。これはたくさんある事件でございますので、警察としては皆さんに親切であると同時に、仕事をスムーズに運ばなければなりませんので、私どもの考えでは、最初届けられたときにきれいにした一定の定型的な受け取りを差し上げる。そして六カ月間の満了する時期を明示しておく。そして満了した時期にはお取り願いたい、こういうことをきちっと書いて渡しておく。と申しますのは、拾われた方々が、原則として受け取りに基いて取りに来てもらう関係をはっきりいたしたい。そして仕事を定型化いたしましていざこざがないように、またなるべくサービスが行き届くようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/112
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113・中井徳次郎
○中井委員 それはそうでありましょうけれども、実際鉄道の中などで落しますと、一々名前を言わずに、落ちていますよと言う。今度は少し変りまして、そういう拾い主がわからないものはどこで公売するのですか。
それから通知をしましても一向取りに来ない。帽子一つぐらいではちょっと行けません。私も一、二度拾ったけれども、実は落した方が多いのだが、落して行きますと、判をとって、母印を押されて大へんなんですけれども、結局拾い主も取りに来ないというようなものは、やはり公売だろうと思うのですが、そういうものはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/113
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114・中川董治
○中川政府委員 そうです。落し主も見つからない、拾い主も権利を放棄する、こうなりますと、警察署長が保管するものにつきましては、都道府県に所有権が移るわけです。それから鉄道等で、特定法人として指定を受けたものが保管するものにつきましては、鉄道へ所有権が移転する。こうなりまして所有権が都道府県という公共団体になってしまいますと、都道府県の自由になりますので、おおむね都道府県としては公売なさるだろうと思いますし、公売しても大した財産にならぬからというので、社会事業その他にお使いになろう、こういう面もあるだろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/114
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115・中井徳次郎
○中井委員 そうしますと警察自体が公売することはないわけですね、そういうように了解してよろしいね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/115
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116・中川董治
○中川政府委員 問題を分けてお答えいたしたいと思います。保管の途中において腐りそうなもの、かさばるものは警察署長が公売をいたします。ところが所有権が都道府県に移ったものにつきましては、当該公共団体たる都道府県の定めるところによってやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/116
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117・中井徳次郎
○中井委員 わかりました。
それから先ほど亀山さんからもお尋ねがあったと思うのでありますが、銃砲刀剣で前の委員会でもお尋ねいたしましたが、漁業及び建設業というものについて何か説明を必要としないか。この法律案はなるべく狭義に解釈するという法の建前でありましようから、そういうことについて今ちょっと同僚委員に伺いましたら、そういう心配はないというふうな御答弁であったということでありまするが、どうなんですか。私どもの考えでは、今暴力さたというのは、大体パチンコ屋だとか料亭だとか、そういうもの以外は業種別に見ればやはり建設業に従事している連中がやるとか、あるいは漁業等については最近各地区で漁業権の問題でなぐり込みその他がある。そこでこの業種としましては、漁業、建設業を特に私はこれは業界の皆さんからおしかりを受けるかもしれませんが、親切丁寧にやっていくが法の建前であるように思えてならない。あとの処置を地方の警察やなんかに渡して、警察もそれは間違いはないかもしれませんけれども、はっきりしておく方がいいように思えてなりませんのですが、この点についてあなたは自信をお持ちになっているか知りませんが、あなたは署長をやっておられるわけではありませんので、どうでしょうか。私どもはこれをさらに親切に説明をつけることについては政府当局としては別にこれに反対する筋合いのものでもないように思いますし、これは参議院から回ってきた法案ですから、もう一ぺん参議院に戻すということの手続はありましょうけれども、参議院としてはそういうことについて反対する筋合いは毛頭考えられないというふうに思いますると、私はどうもそれの方がいいように思えてならないのですが、この点はいかがでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/117
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118・中川董治
○中川政府委員 中井委員の御指摘のように、こういった点をなるべく慎重に練っていただいて、原案よりもさらにいい案ができてくるということは私どもむしろ希望するわけです。そういう角度で研究して——その研究の状況を率直に申し上げたいと思うのですが、これがなるべく狭くなるという点については危害予防上の見地から確かにいいのです。いいのですけれども、それを過ぎて、漁業とか建設業というものは十年一日のごとく昔の式でやっておれ、こういうふうになってもまた困るんじゃないか。そこをどう調和しょうか、こういうこになろうかと思うのです。中井委員が御指摘の点は、まことに私たちも同様に考えるのですけれども、そこの解釈を、これをあいまいもこたる言葉を用いると確かにいかぬと思うのです。幸いにして漁業という言葉は、漁業法という法律もございますし、それから水産資源保護法ということによって水産資源を保護する道が、国の法律できちんときまっておると考えておりますし、それから建設業につきましても実定法が二つもあるということで、この概念ははっきりする。そうすると何かそこへしぼりを加えますと、たとえば一案を申しますと、政令で定める漁業とか、政令で定める建設業というふうに用いますと、法規として一ぺんにやれますから、そこに工夫というものがなくなってくる、工夫というものがなくなると、日進月歩に進歩する漁業とか建設業というものを妨げやせぬか、こういうふうに考えるのです。ところが政令で定めるとかいうまくら言葉をやめて、何でも漁業といえば勝手に許可するということになっては困ると思うのです。それで現行法でも改正法でもそうですけれども、漁業の用途に供するため必要な銃砲または刀剣と、こう読ませる。そうすると漁業の用途に供するため必要なる銃砲または刀剣類であるかどうかは客観的にきまってくる。恣意は加わらぬ。恣意は加わらぬが、神様が認定するといっても神様に聞くわけにはいきませんから、具体的には行政機関たる都道府県公安委員会が認定する。都道府県公安委員会がこの四条を拡張解釈して漁業にはめったに必要ないもの、漁業の用途に供するため必要と認めがたいものを許可をするということはしては困るので、その点については厳重に法の趣旨を徹底して参りたい、こう思うのであります。
それから幾ら漁業に必要な銃砲であり建設業に必要でありましても、それをやたらにいろいろなところに用いる、暴力ざたに用いるということになれば困ります。それで現行法ではその規制がなかったのです。規制がなかったので中井委員の御指摘のような弊害が起って参りましたので、ただいま御審議願っている法律では十条という規定を置きまして、幾ら客観的に漁業に必要な銃砲であり、人命の救助に必要な銃砲であり、あるいは狩猟に必要な銃砲であっても、十条の規制を完全に受ける。この十条という規定は今度新しく御審議をお願いする条文でございますが、この十条によって厳重な規制を受けて、漁業なら漁業というものの本来の目的を越えて使用していけば、直ちに犯罪である、こういう形にいたしまして、中井委員御心配の点を、これは現行法になかったのですけれども、今度新法においてこれを厳正に規定いたしまして、客観的に漁業に必要な銃砲である、客観的に人命救助に必要な銃砲である、客観的に狩猟、ハンティングに必要な銃砲であるのだが、ハンティングに用いることなくして人をおどかすために用いたり、おどかせば脅迫罪になると思いますが、おどかすまでに至らない変な行為に用いるということは十条違反である、こういうふうに規制していくということが、公共の福祉に合致するのではなかろうか。言いかえれば、漁業とか建設業の進歩発達をつむということはしない、同時にそれから起る弊害は極度に制限していく、制限するには、必要な銃砲というものを客観的に正確に認定する行政処分と、加うるに十条及び十六条の使用の制限でこれをやっていく、これによって善良な国民の方々の銃砲とか刀剣類によるところの被害をなくしていこう、こういうことを考えましていろいろ大へん苦心をいたしたつもりでございますが、中井委員の御指摘のことはまことに賛成なんですが、その趣旨に基いて私どもずっと条文を整理したつもりでございますので、一つ御了承いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/118
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119・中井徳次郎
○中井委員 お話の趣旨は一応わかりました。特に積極的に、漁業及び建設業の発達を阻害しては困るということをお考えになっておることもよくわかったのですが、しかし現実の、実際の民衆と警察の許可認可の関係を考えますと、これは判もろたらこっちのものやという考え方は、どうしても私は抜けないと思うのです。あなたの御意見等も、これは中和的な意見になりますが、やはり銃砲等を業務として使用する漁業及び建設業といったふうにやった方が、さらに親切ではないか。警察官がみんなこの条文を暗記しているわけではありませんから、出すときにはこの第四条をまず見ると思うのです。その場合に、一般的に漁業とありますと、私はやはりどうもそんな気がいたします。それから漁業の内容については、私は海岸ではございませんので全くのしろうとなんですが、どうなんですか、捕鯨船には一応鉄砲は使いますね。それ以外に何か日本刀だとかそういうものを使うような場合はあるのでしょうか。あるいは人命救助の関係で、暴風や何かのときにのろしでも上げるというような習慣でもまだあるのでしょうか。その点を一つ伺っておきたいのと、それから前段の、そういう銃砲等を業務として使用するという文句を入れると、さらに私は親切だと思うのです。皆さんの議論は筋が通って、それはその通りですが、現実にどうだということになりますと、現実に山の中で電源開発なんかやると、これはえらいさびしいところで、こわいので一つ鉄砲でもたのもうじゃないかということが、逆に、酒でも飲んだら一発やろうかということになってくると私は思う。これから見ると、この法律はまだその意味の親切さという点においてはどうか、こういう気持で私はお尋ねしておるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/119
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120・中川董治
○中川政府委員 中井委員のいろいろ御苦心なさっておる点についてはまことに頭が下るのですが、その業務のために使用するという点を、私ども考えたわけです。それをだんだん整理して参りますと、銃砲を業として所持するということと使用ということを分けて考えないと、どうもうまくいかないのです。業に必要な銃砲として持っておって、それから業に必要な銃砲を業務以外に使ってはいけない、二つに分けて概念整理をしないと刑罰法規が成り立たないのです。これは中井委員の御指摘の通り書いたつもりなんですが、四条で業に必要な銃砲ということで第一関門をやりまして、使用については、業務その他正当な理由でないと使ってはいかぬということを第二段として十条に書いてある。中井委員御指摘の社会的実態をずっと掘り割ってみると、所持という概念と使用という概念が出てくると思います。使用という概念は、この法案でいえば十条である、所持という概念は四条である、こういうふうになりまして、中井先生のおっしゃる通りが、この原案ではなかろうかと思うのですが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/120
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121・中井徳次郎
○中井委員 漁業の場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/121
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122・中川董治
○中川政府委員 あわてまして答弁漏れがありました。大部分の銃砲は御指摘の通りでありますが、漁業ではきわめてレア・ケースなんです。これは私ずっと各地を回ってきているのですが、新潟県の西蒲原郡の漁師さんたちは、日本海の海岸ではよくあることだと思うのですが、全く刀剣の形をしているのです。刀剣の形をしているやつを、漁撈のときにえさをまくために切る、こういうのに用いているのです。ほかのナイフでもよさそうじゃないかと思うのですが、漁民の立場としてはやはり刀剣のような形をした方が使い安いというのです。これがこの規定でいくと、もう全面的に禁止になってしまう、こういう実情が新潟県の西蒲原郡にあるのです。それはそう大した分量ではないと思いますけれども、全国の漁村にはたくさんありますから、そういう例があったときに、この規定によって大へん気の毒なことになってしまうことは申しわけない、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/122
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123・中井徳次郎
○中井委員 これで最後ですが、そういたしますと、私の言いますように銃砲等を業として使用するという文句を入れても、さらに親切であるという程度でありますな。そういうことですな。それで差しつかえるというようなことはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/123
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124・中川董治
○中川政府委員 これはちょっとお言葉を返すようですけれども、十条と四条の関係がわからぬので、刑罰法規の適用に困ってしまう。そういう技術上のことで、できればこの原案をお願いしたい。といいますのは、先生が御指摘になっている分が四条の規定概念に一ぺん入りまして、使用の面が六条に入っていますので、それを四条に入れてしまいますと、四条と十条の関係が不明確になりまして、刑罰法規の適用条項の概念整理がちょっとできなくなってしまう。それで先生のおっしゃっている実態は賛成なんですけれども、形式はこの四条と十条に分けて規定せざるを得ないのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/124
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125・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 この際お諮りいたします。ただいま議題となっております警察関係三案中、銃砲刀剣類等所持取締法案、及び遺失物法等の一部を改正する法律案の両案につきまして、ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、右両案について質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/125
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126・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 御異議がなければ、これにて銃砲刀剣類等所持取締法案及び遺失物法等の一部を改正する法律案の両案に対する質疑を終了することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01019580228/126
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