1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月五日(水曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 矢尾喜三郎君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 徳田與吉郎君 理事 吉田 重延君
理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君
青木 正君 加藤 精三君
川崎末五郎君 菅野和太郎君
楠美 省吾君 渡海元三郎君
早川 崇君 古井 喜實君
松澤 雄藏君 今村 等君
大矢 省三君 北山 愛郎君
門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 郡 祐一君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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三月五日
委員伊東隆治君辞任につき、その補欠として川
島正次郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九九号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/0
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001・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。まずこの両案についてそれぞれ補足説明を求めることにいたします。
まず地方税法の一部を改正する法律案について、奥野税務局長より補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/1
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002・奥野誠亮
○奥野政府委員 地方税法の一部を改正する法律案をごらんいただきたいと思います。最初のページの終りから五行目、まん中へんに書いております第二十三条第一号の改正規定、これは府県民税の所得税額についての定義を改める規定でございます。従来所得税法の規定によって納付すべき所得税額をいうものとしておったわけでありますが、正確には所得税に関する規定が所得税法一本にまとめられておりませんで、租税特別措置法その他の規定を設けておりますので、「所得税法その他の所得税に関する法令の規定によって納付すべき所得税額をいう。」ものと改めたいのであります。なお二ページのところに書いております「ただし、租税特別措置法第四十一条の三第一項の規定によって控除された所得税額を含むものとし、」と書いておりますのは今回貯蓄控除の制度が所得税について認められるわけでありますが、その控除をしないものを府県民税の場合には課税標準とするという意味で、この規定を置こうとしているわけであります。なお二行目に書いております「法人税法」の下に「その他の法人税に関する法令」を加えましたのも、法人税額についての定義を、所得税額についての定義と同じような意味で、法人税に関するものが、法人税法だけじゃございませんで、租税特別措置法その他の法律にも法人税に関する規定があるから、このような改正をいたしたいわけであります。
二ページの終りから三行目のところ、第百四十五条第一項中「自動車」の下に「軽自動車税の課税客体である自動車その他政令で定める自動車を除く。」と、こう書きますのは自動車税の課っ税客体となる自動車の範囲を明確にしようとすることであります。現在その一部を市町村税に戻そうといたしておりますので、軽自動車税の課税客体である自動車は除かれることになります。なお「その他政令で定める自動車を除く。」とありますのはキャタピラを有する自動車でありますとか、ロード・ローラーでありますとか、ブルドーザーでありますとか、そういうようないわゆる特殊自動車は自動車税の課税客体から現在でも除いておりますが、除いておりますことを明確にしたいわけであります。従いましてそれらのいわゆる特殊自動車は固定資産税の課税客体になるわけであります。
三ページの四行目、これは市町村民税につきまして、所得税額の定義を府県民税の場合と同じように改めるという趣旨であります。なお終りから五行目のところ、「同条第二号中「給与所得をいう。」」その「給与所得(同条第二項において給与所得とみなされるものを含む。)」というように改めますのは社会保険制度に基いて支給されます年金等につきましても、所得税の場合と同じように、給与所得に含めまして取り扱っていきたいというように考えたわけであります。
なおその終りの方に書いております問題はやはり府県民税について申し上げましたと全く同じことでありまして、所得税について行われます貯蓄控除、その影響を市町村民税については排除したいということでございます。
四ページの初めのところ、「「遺族年金」の下に「(恩給法第七十五条第一項第二号に規定する場合の扶助料でその給与事由及び金額が当該遺族年金に準ずるものとして政令で定めるものを含む。)」」と、こう加えますのはやはり恩給法の改正に伴いまして、所得税についてもこの種の改正が加えられたわけでございますが、住民税についてもこの種の改正を加えまして、寡婦について特別な配慮をいたしているわけでございますが、その寡婦は扶養親族を持っている者に限っているわけであります。しかし遺族年金を受けるようなものであります場合には扶養親族を持たなくても特別な取扱いを受ける、その範囲を若干拡大いたしているわけであります。
それから次の部分は住民税につきまして所得税等の定義を明確にいたしますために改正を加えたわけでありまして、貯蓄控除等は住民税に影響を加えませんが、それ以外は全面的に所得税や法人税に関する法令によって計算をするんだということを明らかにするための改正でございます。
五ページの初めのところ、「第三百四十一条第四号ただし書中「自転車荷車税の課税客体である自転車及び荷車」を「軽自動車税の課税客体である原動機付自転車、軽自動車及び二輪の小型自動車」に改める。」、これは固定資産税の課税客体である償却資産とは何をいうかということを規定したところであります。事業用の資産に対しまして固定資産税が課せられるわけでありますが、自転車荷車税がございますので、二重課税を排除する意味において、自転車荷車税の課税客体である自転車及び荷車は除くといたしているわけであります。ところが自転車荷車税が廃止されまして軽自動車税ができてくるわけでありますので、その規定を「軽自動車税の原動機付自転車、軽自動車及び二輪の小型自動車」に改めたいのであります。その結果自転車や荷車でありましても、一般の事業用の資産と同じように事業用の資産として置かれておりますものは償却資産の価額を計算いたします場合にはその価額の中に入ってくるということになるわけであります。もとより事業用の資産だけでございます。また自転車などにつきましては事業用と非事業用の両方の用途に供されている場合も多いと思うのでありますが、非事業用の用途にも供されております限りは事業用の資産に含めないというように指導して参りたい考えを持っているわけでございます。
四行目の「第三百四十九条の四第三項中「存続する市町村」の下に「及び新市町村建設促進法第二条第一項の新市町村で前年度の地方交付税の額の算定について同法附則第五項の規定の適用を受けたもの」を加える。」これは町村の区域の変更等が行われました場合に、たまたまそこに大規模償却資産がある。その場合に、その市町村の課税限度額は基準財政需要額の百分の百三十まで保障されているわけであります。この場合の基準財政需要額の計算をどうするかということは総理府令で定めることができるとされております。ところが町村合併などを行いまして、その新町村の受ける地方交付税が減額することはおもしろくないということから、合併前の個々の町村について交付税の計算をして、そうして出てきた財源不足額を合算して普通交付税を計算するというような特例措置が認められているわけでございます。大規模償却資産の固定資産税の課税限度額を計算する場合の基準財政需要額につきまして、新市町村一本で計算する場合と、合併前の市町村の個別の基準財政需要額を計算して、これを合算する場合とどちらが多いかということは必ずしも一つではないわけであります。なるたけ有利に計算させた方がよろしいわけでありますので、そういう意味で、新市町村建設促進法の関係から、今申し上げましたような地方交付税の計算の特例規定の適用を受けるような市町村につきましては、基準財政需要額の計算を総理府令で定めまして、有利なように市町村の計算をして参りたいというように考えているわけであります。
五ページの後段の方の規定は、市町村の課税します固定資産の価額を、都道府県知事や自治庁長官が決定する場合がございます。その決定された価額の通知がおくれます場合には前年度の課税標準額の範囲内で、かりに課税していけるという規定を置いているわけであります。その関係の規定を若干明確にする意味において改正を加えるわけでありまして、本質的には何ら変りはございません。前年度の課税標準額を基礎にして、かりに算定した税額の範囲内で課税していけるのだと書いてありましたのを、若干正確な表現にいたしますために、前年度の課税標準額を基礎にして計算した額を、当該年度の納期の数で除して得た額の範囲内においてそれぞれの納期において徴収することができるのだ、こういうように書き改めようとしているわけであります。
六ページの三百六十四条の二の改正規定はやはりこれと同趣旨でございまして、従来そういう場合に異議の申し立ての規定を置いておったわけでありますが、これは正確には固定資産税の額につきまして修正の申し出をするという申出権になろうかと思いますので、そのような趣旨において規定を改めたわけであります。違法の賦課につきましては当然本来の規定に基いて異議の申し立てばできると考えているわけであります。それ以外に固定資産税の修正の申出権を与えることの方が正当である、こういうふうに考えたわけであります。実体的な改正ではございません。
七ページの終りから五行目、第四百四十二条、軽自動車税に関する用語の意義であります。原動機付自転車、軽自動車、二輪小型自動車、いずれも道路運送車両法にいわれておるそれぞれ該当のものをいうものと定義いたしたわけであります。
八ページに参りまして、四百四十二条の二の軽自動車税の納税義務者等であります。二項の規定は自動車税について置かれております規定をこの場合においても同じように残したわけであります。三項も同じでございます。
九ページの第四百四十四条、軽自動車税の標準税率、これはいずれも現行の税率をそのままここに掲げたわけでございます。
十ページのこの条文の二項の規定も、自動車税について置かれております規定を移したわけでございます。
第四百四十五条、軽自動車税の賦課期日、四月一日とする。「軽自動車税の納期は四月中において、当該市町村の条例で定める。」自動車税の場合と同じように四月中に決定することが課税客体の補足その他において便宜であろう、かように考えて法定したわけであります。
四百四十五条の二、これは自動車税に関します規定と全く同じように、月割り課税の制度をとることにいたしたわけであります。なお月割り課税の方式をとります結果、軽自動車等を譲り渡した、納税義務は消滅した、先に納めた税金を返さなければならない、それには還付加算金をつける、その場合にどのような計算をするかということで三項と四項の規定を置いたわけでありまして、三項では「第一項の賦課期日後に納税義務が消滅した場合においては当該納税義務が消滅した者は当該納税義務が消滅した日から三十日以内に、その旨を市町村長に申告しなければならない。」四項では「第一項の賦課期日後に納税義務が消滅した場合において、当該納税義務が消滅した者からすでに徴収した軽自動車税額が第二項の規定によって課することができる軽自動車税額をこえるため当該こえる部分の税額及びこれに係る地方団体の徴収金をその者に還付するときは、前項の規定による申告があった日から起算して十日を経過した日に当該還付すべき税額及びこれに係る地方団体の徴収金の納付があったものとみなして、第十八条第一項の規定を適用する。」こうしたわけであります。要するに納税義務が消滅しますと、三十日以内に申告をする、申告をした日から十日経過した日を起点として還付加算金の計算をしていく、こういうことでございます。
十三ページは全く自転車荷車税を軽自動車税という字句に改めるだけの改正でございます。
十四ページの終りから五行目、四百六十五条中「百分の九」を「百分の十一」に改める。これは市町村たばこ消費税の税率を二%引き上げる部分でございます。平年度でこれによりますと、増収額が五十億円余りになりまして、自転車荷車税の廃止によります減収分の平年度額五十億に見合っておるわけであります。
四百八十九条第一項第九号の二以下を改めます部分は電気ガス税の賦課税品目に若干のものを追加するわけであります。一つは原子炉の炉台に使われますジルコニウム地金の関係、二十二の二の部分はいわゆる石油化学の製品、二十三号の方は合成繊維に関するものでございます。いずれも三十二年以後に製造の開始されました新規産業でありまして、原価の中に占めます電気料金の割合がいずれも五%をこえておるものばかりでありまして、要するに電気ガス税の基礎資材につきまして原材料課税になることは避けたいという考え方に基くものでありまして、従来からずっとこの種の考え方で新規製品につきましては賦課税品目に追加して参っておるわけであります。
十五ページの中ほど、第五百五十二条第一項中百分の四を百分の二、百分の五を百分の三に改めますものは木材引取税の標準税率を百分の二に、制限税率を百分の三に改正しようとするものであります。木材引取税につきましてはいろいろ紛争が絶えませんので、現在徴収されております税額を目途に、適正な課税が完全に行われるものとした場合に、どの程度の税率であるかというようなところからこの税率が定められたわけでございます。七百条の三に一項を加えます。軽油引取税は前項に規定する場合のほか、自動車の保有者、保有者といいますのは自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で自己のために自動車を運行の用に供するものをいうことにしております。これは自動車損害賠償法の場合の賠償責任者に使われております保有者と同じ定義でありますが、軽油及び揮発油以外の炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費した場合、この場合におきましても、カッコ内に書きましたように「当該自動車を道路において運行の用に供するため消費した場合に限る。」ことにいたしまして、農耕作業等に使います場合には課税をしないようにいたしているわけであります。「当該炭化水素油の消費に対し、消費量を課税標準として当該自動車の主たる定置場所在の道府県において当該自動車の保有者に課する」ことといたします。ディーゼル・エンジンの車に軽油が使われておるわけでありますが、揮発油と軽油の間に灯油があるわけであります。灯油に軽油をまぜたりして揮発油税や軽油引取税のかけられない車をディーゼル・エンジンの車に使用するような行為が、若干増加して参ってきております。現在全国で二万キロリットルをこえているのではないか、こう思っているわけであります。税のかからない油を無理に使う結果、一方ではエンジンを痛めるわけであります。他方では税が負担されませんために、同じように道路を痛めるのに自動車相互間において負担の不均衡を来たす、こういうような弊害が生じてきておるわけであります。そういうような事情から考えますと、課税されます油の規格を広げまして、広く課税をするという措置をとってもよろしいわけでありますが、そうしますと工場用の油等にも課税されることになりますので、そういうような規格外の油につきましては、使用した場合に自動車の保有者が申告納付をしていかなければならない、こういうことにいたしたいと考えたのでございますが、このような規定が置かれます結果は、おそらく無理な油を使ってエンジンを痛めるというような傾向がなくなって、本来通り税の課せられた油を使っていくということになるのではなかろうか、こう考えております。増収をはかろうといたしますよりも、無理な油の使い方をやめてもらいたい、そういうような意味で、この規定を定めておきたいと考えたのでございます。
十六ページの最後のところの規定、「第七百条の三第二項の自動車の保有者にあっては毎月十五日までに、前月の初日から末日までの間における当該消費に係る軽油引取税の課税標準量、税額その他当該道府県の条例で定める事項を記載した申告書を当該消費に係る自動車の主たる定置場所在地の道府県知事に提出すること。」といたしまして、申告納付を毎月やっていくということにいたそうとするわけでございます。
その次の七百条の四十九第一項中、都道府県道の下に「当該指定府県又は指定市がその管理について経費を負担しないものその他総理府令で定めるものを除く」を加える。こういたしますのは五大市の所在地であります府県が徴収しました軽油引取税につきましては五大市の区域内にあります国道や府県道に相応する部分の軽油引取税を、五大市に府県から軽油引取税交付金として交付することにいたしております。その場合に道路の面積に按分して交付金額を定めるのでございますが、その道路の面積の中からカッコ書きに書いてありますようなものを除いた計算をした方が公平な配分になる、かように考えたわけでございます。
附則の第一項「この法律は昭和三十三年四月一日から施行する。ただし、軽油引取税に関する改正規定は昭和三十三年五月一日から、電気ガス税一及び木材引取税に関する改正規定は昭和三十三年七月一日から施行するということにいたしております。若干準備期間をこれらについては必要といたしますので、この程度のずれを定めておきたいのであります。
第二項でこの改正後の地方税法の規定は昭和三十三年度分の地方税から適用するということにいたしております。第三項は「昭和三十三年一月一日現在において自転車荷車税の課税客体であった自転車及び荷車については昭和三十三年度分の固定資産税に限り、新法第三百四十一条第四号の規定にかかわらず、なお従前の例による。」と定めようとしております。これは自転車荷車税がなくなりますから非事業用ではなくて、事業用の自転車、荷車でありますと、固定資産税の課税客体の償却資産の中に入って参ります。従いまして一月一日現在で償却資産の申告をします場合には事業用であるならば自転車荷車の価格も合せて申告しなければならない。現在すでに昭和三十三年度分の償却資産に対する固定資産税についての申告は済んでおるわけでありますので、この部分だけあらためて追加して申告しなければならないということになりますと、申告を受ける方でも、また計算に非常に煩瑣な問題が起って参りますので、昭和三十三年に関しましては償却資産の申告についても自転車、荷車の申告は要らない、こういたしたいわけであります。従いまして昭和三十三年度に関しまする限り、自転車荷車税もなくなりますし、自転車、荷車に対する固定資産税の問題も起らないわけであります。三十四年以降においてその問題が起ってくるというわけであります。
第四項の規定はたばこ消費税の適用時期でありまして、昭和三十三年四月一日以後小売人または国内消費用として直接消費者に売り渡される製造たばこについて適用するということにいたすわけであります。毎月専売公社から市町村へ申告納付されておるわけでありますので、こういう規定をいたします結果、昭和三十三年度分の市町村たばこ消費税の増率分は十一カ月分ということになるわけであります。これで自転車荷車税の昭和三十三年度分の減収と見合ったことになるわけであります。
第六項、第七項、第八項はいずれも法律が変りましたり、自動車税が軽自動車税に変りましたことに伴います読みかえないし改正の規定であります。
二十ページの第九項、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律、それから二十一ページの第十項、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律の規定はいずれも自動車税が軽自動車税に変り、自転車荷車税がなくなったことに伴う字句の修正だけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/2
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003・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 次に地方交付税法の一部を改正する法律案について、自治庁小林財政局長より補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/3
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004・小林與三次
○小林(與)政府委員 お手元にお配りしてあります要綱を基礎にして説明を申し上げたいと思います。
第一は交付税の総額の問題、これはもう御説明するまでもなく国税三税の二六%を二七・五%に改めたのでありまして、第六条関係の改正でございます。
それからその次は普通交付税の総額と特別交付税の総額の割合を一部変えたいと思っております。今まで普通交付税が交付税総額の百分の九十二であったのを百分の九十四、特別交付税は百分の八であったのを百分の六、特別交付税の割合を一部減らしまして普通交付税の割合をふやすことにいたしたのでございます。交付税の配分はなるべく一般的なルールに従って配った方が、交付税の方式としては合理的でありますので、今度交付税の総額がふえました機会に、特別交付税の実質上の額は現状にとどめる程度にいたしまして、そして率を改訂した方がよかろう、こういう考えでございます。その結果ことしの特別交付税は百四十九億くらいあるのでございますが、この率に改めますと百三十四、五億になるはずでございます。形式上は十五億ほど減っておりますが、従来特別交付税で配っておりました経費のうちでも、普通交付税に振りかえた方がよかろうと思うものを一部振りかえることにいたしまして、実質上は現在の特別交付税の額を確保する、こういう建前で率を変えたのでございます。実質的には金額が十五億くらいはふえることになりやせぬかと思っております。
それからその次は基準財政需要額に関する問題でございまして、基準財政需要額の算定方法を合理化し、かつ明確化する、こういう考え方で修正をやりたいと思っております。その問題点といたしまして、新たに測定単位を一部設けることにいたしたのでございますが、これはできるだけ交付税は測定単位、単位費用を明確にして、そちらへ配れるものはそれで配った方が合理的でありますので、従来の経費のうちで一つは恩給費を新たに測定単位に加えることにいたしたのでございます。恩給費は従来は各経費の中へぶち込みでやっておったのでございますが、これはもうほとんど義務的な経費でございまして、明確に恩給受給権者数というものをとらまえまして恩給費を算定した方が、各団体に作為の起しようもない明確な経費でございますから、これをはっきりさせようというので、新たに立てることにいたしたのでございます。
それからもう一つは土木費のうちに新たに海岸保全施設の延長を測定単位に加えることにいたしたのでございます。これは御承知の通り海岸保全法ができまして、これに基いて海岸保全施設の区域というものも明確になり、海岸保全施設の台帳も整備されておりますので、そういうものを基礎にして交付税を配った方がよかろう、こういう考えでございます。これに関連して御承知の通り今度の国会に地すべり法案が出ております。そういう問題も同じ問題じゃないかということがあるのでございますが、これは法案が通って地すべりの台帳のようなものが整備されて、測定単位も明確につかまえられるようになれば、私はやっぱりこういうように法律上あげまして、適正な配分をやった方がよかろうと思っておりますが、今日の段階は法案が今通る段階でございますから、これは後日に譲りたいと考えておるのでございます。
それから次に小学校費及び中学校費の測定単位を教職員数と学校数に改めたいのでございます。従来は学級数というものも考えておったのでありますが、府県につきましてはもっぱらこの教職員の人件費が主体でございますので、教職員の数につきましては今度文部省の方から標準定数に関する法律が提案になっておると思いますが、それに基きまして各府県の標準的な教職員数が一応算定されることになるのでございます。もっともこれは実施の細目は経過的に政令に譲っておりますので、まだ具体的にどういう数字が各県に出てくるかわかりません。技術的にいろいろ調整しなければならね問題もあろうと思っておりますが、いずれにいたしましてもその法律の施行によって、ともかく標準的な定数が各府県にきまりますから、きまった以上はその数を基礎にして交付税を配分して、交付税の上において教職員の適正な財源を保障する、こういう建前をとるのが筋だと考えられますので、教職員数をとることにいたしたのでございます。
それからいま一つの問題は公債費対策の問題で、御承知の通り三十二年度におきましては暫定的に八十六億円の額を特別公債の償還費として、交付税法の附則で公債費対策に充てるために配分をしておったのでございますが、幸いにいたしまして交付税率の引き上げによりましてこの公債費対策を恒久的に解決することができましたので、
これを本則に入れまして恒久化することにいたしたのでございます。それを恒久化するとともに、この公債費につきましての中身の配分につきましても、一つ配慮を加えたいという考えがございまして一部改正をいたしております。それは現在のところでは御承知の通り特定の給与等のために発行した公債費につきましては、一〇〇%元利の償還を見ることにしておりますが、そうでない公共事業等に対するものは利子の半額、こういう建前になっておるのでございます。しかしながらこの利子の半額だけを見て、それで済ますことができるかと申しますと、これは必ずしも適当じゃない。と申しますのは今後だんだん償還期間が進んで行きますと、利子が減りまして相対的に元金の方がふえていきます。それでありますから利子の半額だけに手当しておったのではなかなか公債費対策として十分ではないのでございまして、元金につきましても何か見る措置を講じなければ困りはせぬか、こういうので測定単位には元利償還金を測定単位にいたしまして、そしてそれの一応四分の一、従来利子の半額としておりましたのを一応四分の一ということにして、百円につき二十五円というように一応はいたしております。しかし一応はそうしましたもののそれだけで済ますわけにいかぬので、公債費も団体によって非常に模様が違いまして、団体によっては公債費が一般財源あるいは税収等に比して、非常におもしにかかっておる団体があるのでございます。理由はともあれこの始末をつけなければそういう団体は動きがつかぬので、そうした財政力に比して非常に公債費の重圧のあるところはむしろある程度財政力を勘案して補正を加えて、その団体に交付税が流れる方式を考えるべきじゃないか、こういう考え方をあわせてとりまして、そこでこれはあとから態容補正の方でその改正を加えることにいたしたのでございますが、それで本格的に公債費の問題のけりをつけるということにして参りたいと存ずるのでございます。
大体財政需要の方の改正に新たに測定単位を加えたのはそういう問題でございまして、あとは個々の測定単位費用の問題でございますが、これにつきましては別途項目別単位費用の算定基礎の資料をお配りしてございますので、個々のケースにつきましてはそれで御了承願いたいのでございますが、全体的な問題といたしましては前年度期末手当が増額になっておるのであります。今度新たに通勤手当の制度が設けられますので、そういう制度の改正に伴う給与関係の部分を全般的に是正をする、これは全部に通ずる問題でございます。それからいま一つは投資的経費をできるだけ充実いたしたい、こういうので、道路、河川、港湾、もうほとんど全部の事業につきまして、投資的経費をできるだけ実態に合うように充実しようということで、経費を見たのでございます。もっともこれは交付税の総額の問題がございますから、そのワク内において調整するよりしようがなかったのでございますが、そういうものを全面的にできるだけ見るという考え方で、単位費用の改訂を全般的に行なったのでございます。新旧の対照表がございますので、そこでそれぞれの単位費用の変化の工合をごらん願いたく、細目はさっきの算定基礎によって、一つ御承知おきを願いたいと思うのでございます。説明がこまかくなりますから、これは避けたいと思います。
それからもう一つは基準財政収入の問題でございまして、基準財政収入は今の自転車荷車税が廃止されまして、それに伴うて税の制度が若干変っておりますので、これはそこへ右へならえをしたのでございます。特別な措置は講じておりません。ほとんど規定の整備ということで、御了承を願いたいのでございます。
それからいま一つは態容補正の関係の規定、これは十三条でございますが、若干改正を加えております。これは先ほど申しました公債費に対する償還について、財政力補正をやるということが一番中心でございます。その他府県の態容補正の問題で、従来府県の態容補正をやる場合には御承知の通りその府県内の市町村を基礎にして態容補正をやっておったのでございますが、府県の経費のうちにはむしろその府県全般の市町村をならしたものよりも、県庁所在地というものを基礎にして経費を見ぬといかぬ、人件費なんかはみな県庁の所在地にあるわけでございますから、そういうものを土台にして経費を見るものは全市町村をならしますと、度が下るものがありまして、そういう経費はむしろ県庁所在地の市を中心に見れるようにして実態に合わしたい、そういう意味の改正をやれるようにいたしたのでございます。そのほかは特に変っておりません。
それからあとの改正はいずれも技術的の改正でございまして、一つは十六条交付時期の規定でございますが、交付時期につきまして、これは特別に交付時期そのものを変えたわけじゃございませんが、御承知の通り個々の団体によっては税収等の関係で去年交付団体であったものが不交付団体になるという団体があるのでございます。しかしながら現在の建前におきましては最初の四月、六月の二回の交付は前年度の実績を基礎にして、ともかく概算交付するという建前になっておりますので、明白に交付団体になるであろう、あるいは交付税がえらく減っちまうということがわかっておる団体につきましても、法律上一応概算交付せざるを得ないという仕組みになっておるのであります。そうしますと、あとからその団体から交付税をまた召し上げるということになりまして、これはその団体にとっても迷惑な話でありますし、また交付税の金の配り方としても適当でないので、そういうふうにもう明白に交付税が前年度より減る、あるいは不交付団体になるというものにつきましては四月、六月の概算交付を手控えする、場合によっては交付しないことができる、あるいは減額する、こういう趣旨の規定を入れたのでございます。全くこれは技術的な改正でございます。
それからいま一つ、十七条の三という新しく条文を設けております。これは交付税の額の算定に用いた資料の検査に関する規定でございまして、これは交付税算定上いろいろな資料を歳入面、歳出面において使っておるのでございますが、その資料につきましてときどき誤まりと申しますか、そういうものもあり得るので、この資料の検査を自治庁長官なり知事なりが、もう少し目を届かせるような検査の規定を入れることにしたのであります。ときどき交付税の額の決定をめぐりまして、会計検査院等においても指摘される事例も少くないので、基礎の資料だけは明確にしていけるように、この検査の規定を入れることにしたのでございます。
それからあとは附則を若干変えておりますが、これはもう全く技術的でございまして、法人税割及び事業税中法人の行う事業に対する事業税等につきまして、基準税額を算定する場合に、過大算定とか過小算定ということがあり得る場合に、後年度において調整する規定が実はあるのであります。現行法によりますと、前年度分の基準税額のうち過大または過小と認められた額についての調整の規定がございますが、実際はその調整がおくれまして、前年度だけでは片がつかぬ、それで前年度または前々年度と実際に合わせるだけの全く技術的な改正でございます。
以上が今度の交付税法の改正の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/4
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005・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 これにて両案に対する補足説明は終りました。
これより両案に対する質疑に入ります。質疑は通告順によりこれを許します。北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/5
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006・北山愛郎
○北山委員 その前に、大臣はきょうはお見えにならぬのですか。——きょうは地方財政計画だとかあるいは地方税法の最初の質疑ですから、都合がつくならば出るように一つお取り計らいを願います。
その前にお伺いしたいのですが、税収の見積りについて、三十二年度の税収がどういうふうな工合であるか、また三十三年度に五百二十五億円という税の増収見積りをしている、これは三十二年度の財政計画の当初計画に比べて一一%くらいふえておるわけであります。そういたしますと、一般の経済の成長率等に比べて非常に大きいのではないか、こういうふうに考えられるのですが、三十二年度の実績というか、これからの見通し、それとあわせて御説明が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/6
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007・奥野誠亮
○奥野政府委員 三十二年度当初において計画いたしました地方税の収入見込み額が、地方譲与税を合せまして四千九百一億円であったわけでありますが、同じベースでもって最近の府県、市町村の徴税実績を基礎にして算定がえをいたして参りますと、五千三百八十二億円になるようであります。大体四百八十一億円くらいふえてきているというように見込んでおるわけであります。それらの増収の最も大きい部分はやはり法人所得の伸びということでございます。従いまして、また事業税において百四十八億円の増が見込まれる、大部分は法人事業税であります。同時にまた固定資産税等におきましても償却資産に対する課税部分がかなりふえてきている、こういう傾向を示しております。三十三年度の収入見込額を三十二年度の当初と比べてみますと、御指摘になりましたように五百二十五億の増が見込まれておるわけでございます。しかし今も申し上げましたように、三十二年度においてその大部分が増収になるわけでございますので、荒っぽく申し上げますと、三十二年度の実績が大体三十三年度において横すべりで持続されるだろう、こういうような見方をしているわけでございます。法人所得の方はむしろ若干減ってくるんじゃないだろうかというように考えておるわけでありますが、他の部分において増収の部分もございますので、差引いたしますとやはり若干増加する、こういうように考えられるわけでございます。なおこれらの増収の中には制度が安定して参りましたし、また府県や市町村の税務行政が改善され、また納税者の協力的な態度もふえて参りました結果、徴税成績あるいは徴収率といいましょうか、そういうものが年々向上の一途をたどっております。従いまして私どもが税収入を見込みます際にも、こういうような徴収率の引き上げもやっておるわけでありまして、そういう面の増収も若干あるわけでございます。三十三年度の計画と三十二年度の計画と比べました場合に、徴収成績が引き上げられる結果ふえるという額だけでも四十六億円程度を見込んでおるわけでございます。大体そういうような事情でございますので、三十三年度の税収入の見込みは私たちとしては過大ではない、まずこの程度のものは十分確保されるだろうというように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/7
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008・中井徳次郎
○中井委員 議事進行について。きょうから始まるわけですが、いろいろお尋ねしたいことがありますし、政府当局とされましては、特に地方税法は本月中に何としても上げてもらいたいというふうな御要望であります。私どもも特に自転車荷車税というような問題につきましては、財源の措置についてっ大いに疑問がありますけれども、自転車荷車税を廃止するという大綱についてはむしろ社会党の方から言い出しておりましたような次第でございますので、そういう点においては協力するっにやぶさかではありませんけれども、きょう初めてお尋ねするのに大臣がおいでになっておらぬということでありますので、お尋ねするにいたしましても技術的な面にとどめざるを得なくなるのであります。今の四百数十億の増収があるかどうかというふうなことは今度の財政計画の基本をなす問題だろうと私は思いますから、この面については私どももきょうは質疑を続行はいたしますが、保留をいたしまして、そういう大綱については大臣が出てからゆっくりお尋ねをいたしたい、慎重にやりたい、こういうふうに思います。そこで政府の方におかれても、そういう点について十分勘案を願いたい。きょうは参議院の予算委員会ということでありますからやむを得ないかもしれませんが、どうも近ごろ大臣の出席の状況を見ておりますと、大臣は参議院出身であるかどうか知りませんが、参議院ばかり出まして、なかなかこちらへ出てこられる機会も少い。これではいけないので、この点私は一言政府に申し上げて、与党の皆さんにもそういう点において御協力を願いたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/8
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009・北山愛郎
○北山委員 では続行いたしますが、今三十二年度の地方税の自然増が相当あるということなんですが、三十一年度あるいは三十年度各年度とも財政計画に比べて数百億の増収があったじゃないか。三十二年度は特に景気がよかったという関係上伸びたと思うのですが、財政計画と比べて多少とも各年度とも上回っているということ、これは今まで年々の傾向だと思うのです。そういういわば弾力性があるから、地方財政計画が多少無理でもやっていけるといいますか、財政需要額の方も実は計上されない分がうんとあるわけです。歳入の方も幾らかの弾力性があるから、そこで多少の無理が何とかごまかしていける。ところが今御説明のように、三十二年度は五千三百億あったから、まあこれくらいはあるだろうというようなことで歳入の方は一ぱいに見るということであれば、歳出の方も一ぱいに見て参らなければならぬ。決してけっこうなことではありませんけれども、ともかく今までの財政計画における税収見積りというものは多少実績よりは下回る、一種の弾力性をそこに残してある、こういう点を考えてみれば、三十一年度、三十年度はそれぞれ計画に比して実績はどうであったか、これもあわせてお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/9
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010・奥野誠亮
○奥野政府委員 御指摘のように昭和三十一年度におきましても、財政計画額よりも相当な増収を上げたわけでございます。しかしそれ以前におきましてはそれほど大きな差はなかったというように考えております。あとで資料を見ましてから御報告を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/10
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011・北山愛郎
○北山委員 たしか二百億くらいはあったのじゃないかと私は記憶しておりますが、いずれにしろ三十二年度の実績というものはこの表を見ましてもわかる通りで、事業税なりあるいは固定資産税、いわゆる投資景気と法人の内容がよかった、収益が多かった、こういうことが地方税の上にもはっきりとはね返ってきている。そうなりますと、地方税の増収というものは相当地域的な不均衡が生じてきているわけなんで、そこで交付税をもらっている団体とそうでないもらわない団体、交付団体と不交付団体においてその自然増というものがどの程度に出てきているか、こういうものの資料はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/11
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012・奥野誠亮
○奥野政府委員 法人所得の伸びが地方税の増収をもたらしております有力な原因であります。しかしながら三十三年度に至りましては若干それが下降傾向をたどるというような想定をしているわけでございまして、三十一年の十二月から三十二年の十二月でまの実績、これの九一・二%を三十三年度においては見込んでいるわけでございます。ただ繰り越しにかかる分等がございますので、全体を計算いたしますと九一・二%よりも多いわけでございますけれども、その間におきます申告納税の基礎になります法人所得としてつは九一・二%に押えて見込んでいるわけであります。
〔委員長退席、中井委員長代理着席〕
なお御指摘のように、やはり地方交付税の交付団体に増収が多いのじゃないかということ、これは法人所得の伸びが大きければ自然、法人税あるいは法人税割の増収が多いわけでございます。これらの部分は交付団体に多いわけでありますから、おっしゃる通りだと思います。しかしながら当初計算いたしました法人事業税や法人税割についての見込み額はあとで見込み違いの部分を交付税の計算において是正して参っておりますので、結果的には実績が基礎になって地方交付税の配分が決定されてくる、こういうように考えているわけでございます。不交付団体におきましては交付税の増額ということはございませんで、独立税で増額になっていくわけであります。交付団体の方は、その後逐次地方交付税が増額されて参っておりますので、地方交付税の増額分によって財源の増強がなされて参って、両者合せまして、大体において全体を通じまして財源が潤ってきているのじゃないだろうか、こういうよりうに私たち考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/12
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013・北山愛郎
○北山委員 これは資料がないようでありますからいたし方ないのですが、やはり三十二年度の地方税の状況などを見ますと、全般的には確かに伸びておる。こういうように思います。しかしその中でも大法人、工場等のあるところが非常によかった。ところがことしは少くとも今まで三十一年、三十二年ずっと活発であった法人事業の活動というものが低下している。ことに繊維工業というものは軒並みに操短をして失業者も出しておるというようなことでありますから、少くとも繊維産業を中心とするような地帯においては、急速に三十三年度は税収が悪くなる。これだけははっきりしております。それ以外の鉄鋼にしろ非鉄金属にしろ、あるいはソーダとかそういうふうな関係にしろ、紙も悪いのです。そういうふうな産業の地帯は地方税においてもはっきりと現われておる。急角度に悪くなるのではないか、こういうふうに想像されるわけであります。そういう点はどういうふうに考えておるのか、それから三十二年度の地方税の見積りを去年聞いたときに、非常に設備投資が多いのだ、建築関係が多いのだというようなことでありましたが、三十三年度の設備投資というものはこれまた急速に減るのじゃないか、従っ
て不動産取得税なり、固定資産税というものは去年のようなわけにはいか
ぬのだ、こういうふうに私どもは大ざっぱに考えておるのです。なぜならば、設備投資の資金というものは、ことしは資金源がないのです。なるほど財政投融資の面からは、去年並みくらいのものは用意してあるけれども、設備投資の資金源の大部分はやはり民間資金なんです。その民間資金源というものが非常にことしは窮屈なんですかすら、そういう点から見ても、経済の先行きが悪いというような点から見ても、ことし新たにどんどん工場を増設したり設備をよくしたりするような企業意欲というものは起らないのじゃないか、こういうふうに思われるので、
一体今年度におけるそういうふうな設備投資あるいは建築の活動、こういうものがどの程度にどういうふうになっていくのか、その見通しをどうつけておるのか、それによって固定資産税なり不動産取得税というものがどういうふうになると考えているのか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/13
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014・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話しになりましたように、繊維関係の景気は非常に沈滞をいたして参ってきております。従いましてその関係の地区におきます法人事業税、あるいは法人税割はそのことに関しまする限り、相当な減収をすでに示してきておるわけでございます。ただ地方税収全体が地方交付税の計算の基礎になって参りますので、それらの部分につきましては地方交付税制度を通じまして、調整されていくものだというように考えておるわけでございます。なお個々の措置によりましても、そういう点は十分考えていかなければならないというふうには思っておりますが、特にそのために地方財政全体の措置において、狂いが生じてきておるということにはならないというふうに存じておるわけでございます。なおおっしゃいますように、設備投資が減少をし始めているじゃないかということでございます。この点につきましては償却資産に対しまする固定資産税の新規の増加分を計算いたします場合にも、法人企業統計によります実績を基礎にして見込んでおりますので、私たちの見込みが過大ということにはならないと存じておるわけでございます。三十四年度以降におきましては、なお数字があるいは下っていくかもしれませんが、三十三年度分に関しまする限り三十三年一月現在の償却資産を押えるわけでございますので、過去の投資額——投資いたしまして償却資産になりますまでには若干の時期的なずれがあろうかと思いますので、やはり現在見込んでおります程度の増収は見込める、またこれが法人企業統計によります固定資産の額を基礎にした見込みでございますので、間違いはなかろう存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/14
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015・北山愛郎
○北山委員 事業税におきましても、三十三年度は百四十八億、町村民税、道府県民税においても百五十億ばかりの増収に見ておるのですが、住民税の点について多少ずれ込みがあるといいますか、その経済活動の下降よりは地方税においてはそれほどの影響は受けないのだということはおそらく前年度——三十二年度の所得を基礎にしておるから、三十三年度の住民税等は減らないのだ、こういうことだろうと思うのですが、これは私は地方税制度の中での一つの問題点だろうと思うのです。どうしてその年度の所得に所得税と同じように住民税がかけられないのか、前年度の所得を基礎にしなければならぬのか、その点をはっきりしていただきたいのであります。ことにたとえば今申し上げたような繊維産業地帯において、労働者の給与所得、それに対する住民税を取っておった。そして今年度になればもう工場が休んでしまって給料も賃金ももらえないというような事態になってきた。ところが住民税は前年度の基準で取ることを見込んでおる。しかしこれが実際に取れるかどうかという問題です。そういうふうな、前年度を基礎にするということは経済の変動によって非常に困る場合があるので、私はやはり所得税と同じように、その年度の所得から住民税も取るという建前の方がいいと思うのです。今まで前年度のものを基礎にしてきたけれども、これは直せないものかどうか、一体どこに直せない理由があるのか、それを一つはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/15
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016・奥野誠亮
○奥野政府委員 第一点は法人事業税の増収の問題でありますが、三十三年度の法人事業税の収入額は千四十一億円でございます。別途資料として提出しております三十二年度の実績見込みは千六十七億でございまして、二十六億ほど落ちております。なお三十三年度の収入を見込みます場合には徴収成績が若干上っておりますので、その関係で十五億の増を見込んでおります。もう一つは租税特別措置の税の平年度化によりまして二十四億ほど増を見込んでおります。両者合せますと、四十億近い増があるわけでございますので、これらがないものといたしますと、六十五、六億の減を見る、こういうことでございますので、やはり法人所得が若干下降する。それに即応した見方をしておるということを御了解願っておきたいと思います。
第二点は国税で現年所得を課税標準に採用しておるならば、地方税においても採用したらいいじゃないかということでございます。またそういう見地で法人事業税や法人税割は現年所得を課税標準に採用しておるわけであります。ただ個人の所得につきましては御指摘の通り前年所得であります。前年所得でありますが、これは一月から十二月までの暦年によっておるわけであります。個人の所得税につきまして確定申告を提出いたします期限が、三月十五日でございまして、その後いろいろ争いなどがございまして、ほんとうにすっかり問題なく落ちつくのはやはり五月、六月になってしまうのじゃないかと思います。市町村民税でも現年所得をとるということになりますと、国と所得税の納税義務者との問題が片づかないうちに、市町村と納税義務者の間におきまして、やはり所得の申告額がいいか悪いか争いが続けられなければならないようなことになってしまうわけであります。いずれ五月、六月になりませんと確定いたしませんので、確定したところを直ちに捕捉して市町村が課税をしていく。そうすれば納税者といたしましても二重の争いを繰り返さなくて済むわけでございますし、また徴税の成績の上から見ましても、大へん軌道に乗った運営ができるんじゃないかと思うのであります。そういう意味で、市町村民税の第一期の納期は六月から始まるわけでございまして、大体国税についての問題が固まると直ちに市町村民税の納期が始まっていくことによりまして、その間円滑な運営ができるんじゃないだろうか、こういうように思います。現年所得をとりましても、やはり十二月を過ぎましてから相当の期間がたちませんと、所得の確定について争いがない状態になりませんので、今のような、国税は現年所得を基礎にするが、地方税の方は前年所得を基礎にする、しかしその間大体国税について固まれば、直ちに市町村がこれを受けて課税をしていく、こういうやり方が一番穏当なところじゃなかろうか、こういうように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/16
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017・北山愛郎
○北山委員 取る方の都合から言うと、そういうことになるわけです。しかし確かに今のような技術的な問題はあるにしても、それは解決できないものじゃないんで、その年度の当初においてはかりに一応前年度を基礎にしてかけていく、そうして年度のおしまいで調整すればできるんですよ。そういうことはほかにもあるはずです。国税なんかでもあるはずです。一応現年を基礎にしてやっていって、年度末において調整するというやり方はそうめんどくさいことじゃないと思う。そういうことはとれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/17
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018・奥野誠亮
○奥野政府委員 私たちもし取る方法があるといたしますならば、源泉徴収の場合、毎月々々給料が支払われる、そういうものについて現年所得を基礎にして徴収していくということは、私は考えられるだろうと思います。それ以外の面につきましてはやはり納税者の立場に立って考えても因るんじゃないだろうかというように思うわけであります。所得の確定につきまして両方からいろいろ調査を受けざるを得ないことになってしまいます。国の方の調査で固まったところをそのまま受け継いでいくとしますならば、今の制度になるだろうと思うのであります。どうしても両方が現年所得をとるということになりますと、どっちが先にきまるか知りませんが、納税者は国と地方団体両方を相手にして、所得の決定額がいいとか悪いとか、こういう争いをしていかなければならないようなことになってしまうのではないか、そういう心配をするわけであります。なお源泉所得につきましては地方税は税率は個々の地方団体がきめるわけでございますので、源泉徴収する側が手続の煩瑣なために非常に迷惑をするんじゃないだろうか。やはり市町村側から通知を受けた額を定期に徴収をしていく、それを市町村へ納入していく、今のようなやり方がまず穏当なところじゃないだろうかと思います。しかし国税の取扱い方もどう変えていくかという問題もございますので、今の北山さんのお話も、そういう意味においてなお将来とも十分研究は続けていきたいというように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/18
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019・北山愛郎
○北山委員 それはお話によると源泉徴収の方はやりよいのだということですね。ただし申告所得についてはいろいろ問題があるのではないかという話ですが、申告所得についても、原則としては税務署の決定の方を基準にするということでやっていけば、ただ年度の初めにおいては前年度所得というものを一応かりに基礎にして賦課していき、あとで精算をするのだということにすれば、納税者としたって何も税務署と役場と両方にかけ合わなくてもよいのであって、二重の争いにはならぬ。技術的にそういうことはきめ得る。かりに前年度のもので一応やっておくが、あとで年度末において税務署と話し合いがつけば、それによって調整をするというのですから、何も争いが二重になるということはないのじゃないですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/19
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020・奥野誠亮
○奥野政府委員 おっしゃいました前年所得で、かりに予定納税をしていくと、前年所得をとったのとあまり変りはないのではないかと思います。最後に納めるところで調整するわけですから、それまでの間は一応前年所得でいく、それが結局今やっているところじゃないか。ただ最後の調整が行われるか行われないかという問題では違ってくると思いますけれども、そういう程度であれば、固まったところで課税した方がよろしいのではないかという感じがするわけであります。国税につきましても、申告納税につきましても、いろいろ問題がございまして、今おっしゃいましたように、確定申告いたしますものは、前年度所得で予定納税するというふうに最近切りかえたばかりでございまして、この問題につきましてはなお今後研究を要するし、おっしゃっている点もよく考えまして、今後もなお検討を続けていきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/20
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021・北山愛郎
○北山委員 これは労働者にしても、事業者にしても非常に安定した経営、大体その変動がないという事態のもとでならばいいのですよ。しかし今のように非常に激動する、たとえば繊維産業地帯なんか、ぐっと去年はよかった、ことしは悪いというようなことがどんどん起るのですから、そういうときに去年並みにかけなければならないということになれば、これは税金取る方だって取られる方だって困るわけです。従ってこういう事態においてはやはり現年度で行くということで、あと技術的なことは私が申し上げた通りで大したむずかしいことはないと思うのですが、これは一つ考えてもらいたいと思います。
大臣もお見えになりましたが、私今度の地方税法でふしぎに思うことは従来自治庁では地方税の中での非課税規定というものはできるだけなくして整理していくという御方針であって、今まで何べんもそういうことが言われておったが、今度の税法を見ると、電気ガス税にしろ非課税範囲をふやしている。そういうことは矛盾しているのではないかと思う。ふやしていくつもりなのか、整理していく方針なのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/21
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022・郡祐一
○郡国務大臣 私は非課税規定は規定全体をできるだけ合理的にいたしますために、全体について一つ見直していきたいと思っております。現在非課税のものでも課税して差しつかえない状態になっているものもあろうと思います。軽重の度合いに応じて一つ全部を見直すという作業に当りたいと思っております。累年ややそういう傾向がございますので、できる限り押えては参っておりますけれども、しかしながらこのたび非課税規定に加えましたものは、新しい種類の工業でありますとか、原子炉についてでありますとか、若干のものについてでありまして、現在非課税にしておりますものとの均衡なり、またその仕事自体から見て、これはやむを得ない最低限のところにとめるつもりで加えたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/22
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023・北山愛郎
○北山委員 どうも御答弁では方針がどこにあるかさっぱりわからぬ。とにかく今までの方針では、非課税規定をなるべく整理して、みんな公平に租税の原則に従ってとるべきものは一応とるというような方向に進むのだということでありましたが、今度はそうじゃなくて全体として見ていく、全体として見るのは当りまえのことです。その中に今の方針があったはずです。今度のやつはむしろ逆行して、電気ガス税の中に新しく非課税の事業種類を追加しておるのですね。これは矛盾でないかということなんで、今の答弁ではわからぬのですが、電気税の非課税の分というのは重要な産業について非常に大きな額に上っておる。資料をいただいたのですが、それによりますと肥料であるとかセメントであるとか石炭、鉄鉱、そういうものが電気税を払わない税の額が百二十数億に上っておるのです。それはなぜであるか、何の効果があるのか、これを一つ説明願いたい。それがないと追加する意味もないわけです。
先ほどの税務局長のお話ですと、やはり原料として電気を使うものには課税しないという建前だというのですが、しかし去年だったかおととしだったか聞いたところではこれは統制経済時代の遺物であって、統制経済時代にはそういう重要物資の価格統制があったのだ。従ってコストを下げなければいっかぬ。税法上優遇を与えてコストを下げるために、そういうふうな特定の重要な商品を作るための電気には、電気税をかけないという方針で行ったが、統制経済の価格統制の方は撤廃になったが、こっちの方は遺物として残っているのだ、こういう鈴木次官の説明だったのですが、一体何のためにこういうものがあって、どういう効果を来たしておるのか。そういうために肥料が下っているのか、石炭が下っているのか、どういう効果があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/23
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024・郡祐一
○郡国務大臣 非課税規定を全体として見直すことは当然だということは北山さんも言っておられるように、ぜひ私どもは現在の非課税規定をできる限り整理いたしまして、負担の公正を確保して参りたいと思っております。電気ガス税については私はこれは消費税へ純化して参るということが方針だと思います。今御指摘のように、電気ガス税については沿革もございます。しかし税の性質は私は消費税へ純化して参るという点であろうと存じております。なお、さらにつけ加えました点を税務局長からお聞き取りを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/24
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025・奥野誠亮
○奥野政府委員 電気ガス税の沿革につきまして北山さんからお話がありまして、大体その通りだと思っております。昭和二十一年でありましたか二年でありましたか、国税としてございました電気ガス税の廃止のあとを受けて、地方税として法定して参ったのであります。国税として課税されておりましたときには家庭用の電気には課税をするが工業用の電気には課税しない、こういう方針をとっておったわけであります。しかしながら、工業用であるか家庭用であるか、なかなか区分がむずかしいわけでございます。そういうところから価格を統制する、採算倒れになる、価格差補給金を国が出さなければなりません。そういうふうに限定をして、さしあたり非課税の線を引いたわけでありまして、その後今大臣からお話のございましたように、消費税に純化するということも頭に置きながら電気産業等につきましては基礎資材であります限り、電気料金が原価の中に高いウエートを占めておる、そういうものは除外をする方向べ改正を逐次加えて参ったわけであります。その結果料金の面からいいますと、非課税の部分が三割余りになっております。ところが電力料金の方からいいますと、私たち六割に近いものが非課税になっておる、こういうふうに思っているのでありまして、こういう基礎資材で電気を原料にして肥料その他を作っておるものについてまで、電気ガス税を課税していきますことは国際競争その他の面からいいましても相当大きな問題がある、こういうように思っておるのでありまして、電気ガス税の非課税規定は、他の税につきましての非課税規定とは相当趣きを異にしているのではないか、こういうように私たちは考えております点を御了解願っておきたいと思います。
なお先ほどの御質問で地方財政の税収額の見込額と決算額との食い違いの数字がございましたので御報告さしていただきます。なお地方財政計画で税収入を見込みます場合には標準税率に対応した税収入を見込んでおります。従って決算の場合は標準税率の超過課税分も当然加わって参りますから、百億内外は絶えず多くなければ、かえって財政計画の数字が間違っておったということになるのでありまして、その点は御了解願っておきたいと思います。二十六年で二百十二億、二十七年で百四十四億円、二十八年で二百九十五億円、二十九年で百四十七億円、三十年で二百三十八億円、三十一年、三十二年がぐっとふえておるわけであります。いわゆる神武景気等といわれておる面が数字にも現われて参ったわけであります。三十一年で五百二十一億円、三十二年では四百八十一億円ということを申し上げておりますが、これは財政計画に対応する計算として四百八十一億でありまして、決算におきましては、標準税率超過課税分がこれにさらに加わって参りますので、もう少し大きな開きを見せると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/25
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026・北山愛郎
○北山委員 今の電気税の問題は私何べん聞いてもどうも納得できないのです。政策の趣旨というものはわかったにしても、その効果があがっておるかということが問題なんで、輸出のために産業を保護するということなんですけれども、この電気税をかけないという措置が、果して直接にその面に役立っておるかどうか、いろいろなクッションがあって、おそらく結果としてはその企業の利益に役立っておるかもしれぬ。しかし実際にその目標に達しておるかどうかということは私は非常に疑問じゃないかと思う。ことにこの前田中大臣も言われましたが、そういう国の産業政策なり、経済政策の問題を、地方税の中に持ち込むべきじゃないという御意見を言われたことがある。これは補助金を出すなり何なり、別な調整をやればいいのであって、国税の面でやればいい。たとえば地方税に持ってきて、電気会社の発電施設についての固定資産税を三分の一にするとか、そういうことを地方団体の負担に持ってくるべきじゃない。別な方法でその産業を育成すればいいんだ、こういうことを田中さんも言われた。いろいろ矛盾した答弁がなされておる。そういう点で、電気についても、電気税が非課税になっておるような業種の使う電気というものは御承知の通り非常に安くなっておる。電気料金そのものが何分の一かになっておる。もうそれだけでも産業政策が役立っておる。その上に一〇%の電気税をかけないのですから、ずいぶん優遇じゃないかと思う。そういう企業については税法の上においても金融の面においても、また使う電気においても、こういう優遇を受けておる原料として使う電気が非課税ならば、町工場で使う電気も非課税にしたらいい。これでは非常な不公平じゃないですか。どうしてもこの点は納得がいかないが、まあこの問題はあと回しにしまして、時間もないようですから最後にお伺いいたしたいのはこの前田中大臣も言われたのですが、地方団体の住民の寄付金が非常に多くなってきておる。それを抑制をしなければならぬ。寄付金の制限をするということを言われた。また郡さんもこの前の国会でありましたか、これは財源措置の問題であるから、財源措置の方から考えて参りたいということをたしか答弁されておる。今度の財政計画の上において、あるいは税法の上において、どういう考慮がなされたか、これを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/26
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027・郡祐一
○郡国務大臣 税外負担をできる限り緩和いたすと申しますか、公費で負担すべきものははっきり公費で負担をする。そうして負担の区分を正確にするということはこれは北山さん御指摘の通り大事なことでありまして、私どももその気持で絶えず努力をいたしております。むしろ率直に申して、このたびのいろいろな財政措置の中で、将来ぜひやりたいことがまだ幾つか残っておるのでありますが、その一つとして、税外負担——寄付等の負担を、筋を通すと申しますか、公費でやるべきものを寄付金でとっておる、こういうことの補てんはぜひいたしたいと思っております。その点がこのたびの財政計画の上で目的を十分に達せられておりませんことを残念に思い、さらに将来ぜひそういう措置はとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/27
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028・北山愛郎
○北山委員 これは今まで再々この委員会でも問題になってきておるのだから、今度の財政計画等においても相当考慮しておるだろう、私はこう思っておったんですが、ほとんど見るべきものはないわけです。たとえば学校の教材費にしても、二分の一負担だ、こういうことになっておるのですが、予算の上から見ればたしか二億円くらいしか補助がふえてないのですね。それじゃどうにもならないので、今までのそういう御方針が具体化されておらないという点については私は非常に残念なんです。これは一つには財源措置においてやると同時に、別な法的措置において、今の野放しの寄付募集についての制限というものも並行してやらなければならぬと私どもは考えておる。寄付募集の制限についてのお考えもたしか自治庁にはあったやに聞いておるのですが、それが出されなければ私らの方で提案をいたしますぞと、たしかこの前も申し上げたと思います。政府の方からは出しませんので、社会党から寄付募集の規制に関する法案というものを出しましたが、この案に対して自治庁長官はどのようにお考えですか。賛成ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/28
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029・郡祐一
○郡国務大臣 法的措置ということも、よく目的を達しますような内容のものを得ますならば、これは考えるべきことだと思いまするが、さような意味合いで社会党から御提案になり、また北山さんの御説明を臨時国会とこのたびと二度拝聴いたしまして、これらも貴重な——まだ御審議中のことでありまするから、言葉が間違っておったらお許しを願いますが、私どもとしては貴重な参考にいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/29
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030・北山愛郎
○北山委員 本来ならばこれは政府がやるべき責任があるのですよ。だから私はやることを待っておったのですが、なかなか政府の部内というのはめんどうくさいと見えて話がまとまらない。従って出したわけなんです。われわれの案が決して最善のものとは言わぬのでありますけれども、いいものであればどんどん進めるように、積極的な賛成をして、貴重な資料であるとか、そんなことはやせがまんであって、いいものならいいものとして協力してもらいたい、こういうふうに考えますので、この点も要望いたしておきます。
それからもう一つ、最近ちょっと聞いたことでありますが、地方財政再建促進法のたしか二十三条に、ある年度、地方行財政の基礎が確立した年度以降においては赤字を出した団体に対して地方債の制限をするかもしれぬぞという規定があるわけであります。その年度というのは政令できめるということになっておる。これは三十三年度がその年度であるというふうな話も聞いております。私どもから見ると、この財政計画をよく見ますと、また地方の実情やらあるいは経済の実情なんかを見ますと、まだまだこれは容易でない年だと私どもは考えております。ところが自治庁の方では三十三年度こそ地財再建法二十三条の第一項を発動すべき年である、こういうふうな考えがあるやに聞いておるので、これははなはだ危険だと私は思う。政府でそういうことを考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/30
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031・郡祐一
○郡国務大臣 私は二十三条の政令というものはやはりこしらえた方がよろしいという考えを持っております。用意はいたしたいと思っております。しかしながら地方財政の基礎が確立した年度、地方財政の基礎の確立したのをどういう状態と考えるべきか、これは私はさらに検討しなければ相ならぬと思っております。地方財政の基礎がこの程度なら、ほんとうに確立したといえるならば二十三条の政令は私は出した方がよろしいと思います。また従ってその政令の中身等の用意は私どももいたす考えでおります。しかしながら、繰り返しまするが、地方財政がほんとうに基礎が確立したかどうか、いつの年度をもってそういう工合に考えるべきかという点はさらに十分間違いのないように考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/31
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032・北山愛郎
○北山委員 問題は三十三年度からがその年であると見ておるかどうかの問題なんです。ああいう規定があるので、私どもはそういう規定そのものが好ましくないと思って、あんな規定はおどかしの規定なんだからやめた方がいいといっておるのですが、規定はある。あるが、しかしこれはだれが見ても、今日の地方財政がこれで基礎の確立したものであるということは常識的に、まあ地方財政をよく知っておる人なら、そんな考え方が出るはずはない、こう思っておるのです。しかし自治庁の内部に、三十三年度こそその年である、地方財政確立の年だ、地方交付税は一・五%ふえたのだというようなことで、それを発動するような考え方があると聞いておりますので、それがないならない、あるならあるというふうにお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/32
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033・郡祐一
○郡国務大臣 私は三十三年度、よくなって参ってきていると思います。ただ御指摘のような寄付の問題もあります。それから交付公債の利子の問題、解決しなければならない問題がまだ残っております。そのような意味合いで、私は一つ地方財政がほんとうに基礎が確立したかどうか検討してみたい、こういう考えを持っておりますのが、現在の段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/33
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034・北山愛郎
○北山委員 確立しておるかどうかこれから検討するのですか。そんな答弁でいいですか、一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/34
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035・小林與三次
○小林(與)政府委員 この政令の問題につきましては今大臣から話があった通りでございまして、三十三年度から直ちにやる、そういう結論にまだ達しておるわけでもございません。しかしながら大体地方財政の問題も調子がかなりよくなったということも事実だし、赤字団体等におきましてはやはり赤字の解消というものを真剣に考えて、地方債に対処すべきものだという考え方はわれわれもとっております。従いまして、一方にむやみに赤字を持って、それについての始末を考えずに、いたずらに起債を重ねていくという考え方は私はやはりとるべきではないと思うのでございます。しかし二十三条の政令を直ちに三十三年度から適用するかどうかということになれば、これは相当検討すべき問題がございまして、現在のところまだそこまで結論に達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/35
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036・北山愛郎
○北山委員 この点は国家財政全体とも関係があるのですけれども、政府の方では本年は下半期には経済が回復をするだろう、こういうことを基礎にして予算を組んでおられる。しかし私どもから見れば、楽観は許されないのではないかということなんで、こういう見解の根本の点から地方財政なんかについても考え方が相当違ってくるのではないかと思うのです。税収の見積りにしても、もしもこのままの景気でどんどん悪くなっていくということになったならば、財政計画に載っておる歳入は確保できない。いろいろな深刻な問題がそこに発生してくるわけなんです。そういうふうな一つの見方の違いが基本にあると思うのですが、よほど慎重に考えないと、少くとも、三十三年度こそ地方財政は確立したなどというようなことを今考えるということは大体非常に安易にすぎると思うのです。この点は一つ慎重にしてもらいたいと思うのです。それは赤字財政、赤字の借金がふえていくというようなことは好ましくないことは事実です。これはしかし一般的にそうなんです。ただ、もう安定した、安定した年からあと借金を残すような団体はそれはその団体が悪いのだというような、少くともけじめをつけることはないのじゃないか。その点は慎重にしてもらいたいといこと申し上げまして、時間も来たようですから、これで質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/36
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037・中井徳次郎
○中井委員長代理 大矢省三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/37
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038・大矢省三
○大矢委員 大臣に、各省とも関係がございますから、二点ほどお伺いしたいのですが、例の去年問題になりました府県の公営住宅の問題です。固定資産税に相当する納付金をつけたことですが、これは特別交付税の形でカバーするから昨年は問題がなかった。ところが本年はまた結局この納付税を納付しなければならぬということに相なるのですが、昨年と同様に特別交付税の形においてこれらの問題をカバーするかどうか。
〔中井委員長代理退席、川村(継)委員長代理着席〕
申すまでもなく、住宅公団の住宅政策と、それから府県におけるところの住宅政策というものはおのずから違っておる。これは非常な困難の中から、低家賃で、住宅の困難を緩和するために犠牲を払って府県がやっている。それにさらに固定資産税相当額を納付金として府県が負担するということになると、せっかく政府に協力した住宅政策をやったために負担が多くなるという結果になる、これは非常に問題でございます。さらに、低家賃で契約して入っておるその人たちには家賃の値上げになる。これは非常に大きな問題であるとしてみな心配もしております。これは建設省の管轄の住宅公団の問題とあわせて考慮しなければならぬ問題だと思う。一番納得のいかないところは、得心のいかないところは自分の、個人の永久に所有にあらざるところのものに固定資産税を課するということは、これはどうしても承知できないのです。この点ことしも、わずか四億円程度だと思っておりまするが、特別交付金の形でこの問題を処理するのか、あるいはちょうど住宅公団がつやっているように、その固定資産税相当額の納付を府県が背負わなければならぬかどうか、その点を一つ、去年問題になりましたが、お尋ねしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/38
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039・郡祐一
○郡国務大臣 この点は御承知のように、当初は一年間だけ特別交付税で、そのようなつもりでおりましたけれども、法律施行前に家賃のきまっておりました部分についてはこれはそのつもりで借りる人も借りておるのであります。従いまして、将来家賃調整をいたしますれば、格別、今年度も家賃の引上げを阻止いたしますためにも、調整が行われますまでの間は交付金を従来通り交付いたしまして、それをカバーすることにいたして織り込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/39
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040・大矢省三
○大矢委員 それからいま一つ、近く通産省から出るだろうという中小企業振興法というもの、いわゆる各府県を中心に振興センターを作って、指導なり育成なりをやるという、中小企業振興に対する施策が今度法律として出るように聞いておりますが、これについては御承知のように五大都市はりっぱな設備を持っておる。工業試験場だとかあるいは工場を視察するあるいは技術指導あるいは金融の面、いろいろな面について莫大な金をかけて、中小企業に対する指導育成については大きな設備なりその他の方法をとっておる。今度もし府県が中心になってやりますると、これは府県がそういうことを主としてやりますから、せっかく設備があり、あるいは今日までやってきた五大都市の施設が十分活用できない。この問題につきましてはしばしばこの間環境衛生の問題もひっかかった。五大都市問題は何か十六項目譲って、今後一切がっさい関係ないということにしてありますが、これは五大都市の産業の実態から見まして、非常に大きな問題だと思う。従って県がやることはけっこうですが、大いにやってもよろしいが、同時にまたそういう施設を持っておるものを最高に、有効に活用するということを何か考慮しないと、そういうことは府県にやったのだから、この法律通りやれということになりますと、大都市なり特に五大都市一の施設というものはせっかくこの施設がむだになりますから、この点は五大都市をも含めてやるか、何らかの形においてほんとうに振興になるように、有効に施設が活用できるように、これは特に通産省と自治庁との間に話をまとめてもらって、法律を出してもらいたい、こういうことは私ども地元の要求であると同時に、われわれが平素から考えて、そういうことを非常に危惧しておりますから、その点について大臣の御意思をこの際聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/40
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041・郡祐一
○郡国務大臣 通産省でいろいろ検討しておるようでございますが、まだ私の方へ十分な連絡をいたして参っておりません。また私の方でも、積極的に一つ通産省とよく協議をいたしまして、実情に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/41
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042・大矢省三
○大矢委員 これは一つ奥野さんにお尋ねしたいのですが、今度地方税のうちの自動車税の中の、特に軽自動車、これが市町村に移ることになる。それについての徴税の方法、技術。今までは御承知の通りに自動車は大小にかかわらず、全部あげて陸運局が許可をやっておった。従って、陸運局の方でナンバーをもらうと同時に納税をやり、納税証明書がなければナンバーを渡さない。今度は市町村になりますと、非常に遠方のところに納めに行って、その手続をしなければならない。これは一体どういうふうにして徴収するか。大てい陸運事務所のあるところは県庁あるいは府庁の所在地でありますから、府県税の場合にはちっとも不便がなかった。ところが今度は全部市町村になりますと、みんなばらばらになってきますから、それをどうしてやるかということは非常に問題が起きると思う。ことに御承知のああいう自動車のナンバーを取るとか、許可とかいうものは大てい販売業者が手続しておる。だから販売業者がそういうことを簡単に納税もできれば、そういう許可でも、ナンバーでも取ることまでできましたけれども、今度市町村に移りますと、これは大へんなことになる。それで様式がみんな違う。納税申告の様式が市町村によって違うから、陸運局でナンバーを渡して、すぐ市町村に通知するということはよその仕事だからする必要はない、このように必ず陸運局は言うでしょう。そうすると、非常に不便である。特に奥野さん御承知の通り、大てい軽自動車その他は割賦販売であります。割賦販売になりますと、所有権は完納するまでは販売業者にあります。そうなりますと、一体だれが納めるのか、手続をどうするのか、せっかく市町村のためにといってそこに下げたけれども、徴税方法がきわめて困難だから、これは徴収することがむずかしいのじゃないか。特に地方に移譲した結果からして、府県税の自動車税が約十二億円減っておる。それに対して今度は逆に二十一億円に市町村税が、軽自動車がふえておる。一方がふえたのだから、率は違うかもしれませんけれども、結局増税になるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この数字の上の問題と、税の徴収方法、これを一体どう考えてこれを立案したか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/42
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043・奥野誠亮
○奥野政府委員 現在自動車税の場合に、自動車の車体検査を陸運事務所で受けます。その場合には自動車税の滞納がないということを証する書面を持っていかなければならないわけであります。ところが今回自動車税の一部を市町村に移譲するわけでありますけれども、そのうちの軽自動車については車体検査が行われておりません。現在でも御指摘のような、滞納のないことを証する書面をつけて車体検査を受けるということ自体が行われていないわけであります。大体軽自動車が七十万台余りと考えておるのであります。ところが軽自動車税の対象になりますもう一つの小型自動車で二輪のもの、これは六万台あまりでありますが、この部分は二年に一度ずつ車体検査を受けておりますので、やはり滞納のないことを証する書面をその際に提出しておるわけであります。これは軽自動車税になりましても、やはり車体検査の方は残っていくわけでありますから、滞納のないことを証する書面をつけてもらわなければならないというように存じております。しかしこういう制度を七十万台をこえておりまするスクーター、この部分にまで拡張していこうというような考え方は現在持っており一ませんので、御安心いただきたいのであります。なお府県税の自動車税の滞納のないことを証する書面を——自動車税納税地はそれぞれの府県の税務事務所になっておりまして、県庁に全部納めに行くわけではございませんので、税務事務所が市町村になりましても、それほど大きな違いはないんじゃないだろうか、かように考えておるわけでございます。なお自動車税の減収額と軽自動車税の額と違いますのは軽自動車税収入の方は自動車税の一部と、もう一つは原動機付自転車に自転車荷車税が課せられておった。この原動機付自転車の方はやはり残していくわけでありまして、この部分の収入額が十億円くらいございます。自転車荷車税が六十億、そのうち原動機付自転車に対する税が十億円、この部分が軽自動車税になって入って参ります。それと、軽自動車と、二輪の小型自動車に対する自動車税であった部分が軽自動車税に参ります。これが十億円ばかりでありまして、合せまして二十億円くらいになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/43
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044・大矢省三
○大矢委員 いま一つだけ。昨年、例の遊興飲食税が二百円が三百円になり、さらに、五百円までは五%を倍の一〇%に上げました。その結果がどうか知りませんが、この参考資料によりますと、約二十億円の増収になる。最近免税点を引き上げたために、税務署としては総売上高の二〇%が課税対象となるということで、それに達しないものは実にわれわれ想像もしないような、何と申しますかおかっぴきみたいな態度をもってこれに対する徴収をやっている。たとえば料理屋や小さな飲み屋の前に立って、出てくる人に聞くとか、自分でお客さんに化けるとか、これは千葉県の船橋にあったということですが、結局六十何円かの税の領収書を出さないために脱税になった。それを一カ月にし、さらに一年にして追徴金をとりますと、約七万円近くになる。六十何円が七万円近くになる。これを負けてくれといっても絶対負けない。今度御承知の青線地帯、赤線地帯が廃止になって、これらの人には所得税も納められない人が相当出てくると思うが、こういうやり方はどうかと思う。税金をとるということは法律できめてあるのだが、そこまでして一体とらなければならぬか。こういう徴税の方法について、ずいぶん残酷な徴税だけれども、聞くところによりますと、その人たちが時間外に出て、そういうことを摘発するために一日五百円の手当まで出しておる。そういうことまでしてやらなければとれない、そういうような残酷なことをやっていいのかどうか。私はもっと人間味のある、思いやりのある、たとえば一例を申しますと、私どもの聞くところでは、一升の酒が十二本に計算されて税金をとられておる。なるほど一合ないから十二本ということになるかもしれません。しかし割ることもあるし、そんなことまでしてきちんととらなければならぬというのはちょうどおかっぴきのやり方だ。あなた方はそこまでしなくても、しかも二十億円である。減税だ減税だと言って、政府は非常に宣伝しておりながら、このあなた方の方だけで二十億円の増収になっておる。これは結局大衆飲食だ、大衆飲食でこういう増収になっておる。こういうことだから、私はこの点はよく実情を調べていただいてもけっこうだが、こういうやり方についてはもっと一つ自治庁の間で、税の徴収方法についての何をしなければ、かえって捕捉がむずかしくなってくる。その目的に反する結果になりはせぬかと、こういうふうに考えておりますが、その点はもし事実を知りたかったら、私ども詳しく報告しますが、それについて、大体そういうことは想像できる、もっと注意するというのなら、それでけっこうでありますが、この機会にお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/44
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045・奥野誠亮
○奥野政府委員 遊興飲食税について行き過ぎた点があるという御指摘でございます。そういうことのございませんように、将来ともなお機会あるごとに注意をいたして参りたいと思います。ただ業者の方の中には、ちょっと想像もされないような非常に悪質な方もおられます。悪質な方がおられますと、やはりほかの人との関係上、どうしてもそこはある程度相当突っ込んだ調査をせざるを得ませんので、どちらの方が大矢さんのお耳に入ったのか知りませんが、私たちも今の御注意を十分体しまして、指導に当って参りたいと存じております。
なお、遊興飲食税が大衆飲食の方に重課されておるようなお話がございましたが、これは累次の税法改正の経過からも御判断いただけますように、むしろ高級面といいましょうか、遊興面に移っているわけでありまして、たしか税負担の額でも、もう高級面が八割くらいになっているのじゃないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。将来ともそういう考え方で、この税を持っていきたいというように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/45
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046・川村継義
○川村(継)委員長代理 中井委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/46
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047・中井徳次郎
○中井委員 時間もたちましたので、一般的なお尋ねは、先ほど大臣のお留守のときに申し上げたが、あと二週間ほどこの委員会で慎重に審議したい、こういう計画でありますので、あとに譲りますが、きょうは先ほどの交付税の改正案の問題で、小林君の説明に関連しまして、一点だけお尋ねをいたしてはっきりしておきたいと思うのですが、それは一部改正法案の中で、交付税の算定資料についての検査規定を新しく設けられた、こういうことであります。実はこの交付税の交付につきましては、皆さんの耳にはあまり入っていないかもしれませんけれども、やはりこれには相当政治力が働きかけることができるというふうな流説が、ここ四、五年の間横行いたしております。私どもはそういうことはない、そういうふうな政府の地方団体に対する権威を低めるようなことはないということを、しょっちゅう言っておるのでありまするが、たまたま去年、自治庁の内部におきまして、この問題に関連して疑獄事件が、小さなものでありましたが、汚職のようなものが起りまして、そこでやはりあるんじゃないかというふうなことになりまして、私どもも全国に参って返事に困ったようなこともあった。政府はこういう点を考えられて、今度検査規定を設けられたんだろうと思うのであります。しかしこれは行き過ぎますると多少問題もあろうと思いまするが、大体の考え方としましてはそういうことだろうと私どもは了解しております。そこであの昨年起りました事件につきましては、その当時、そういうものを大きく取り上げることによって、自治体に混乱を巻き起してはいけないというふうな気持から、この委員会においても正式にはっきりとした発言も実はなされなかった。その後の休会中の委員会等において、どなたからかお尋ねがありまして、そうしてこの職員の処遇なんかについて、休職にしたいとか、退職にされたとか、解職されたとか、そういうような、私も忘れましたが、どっちかにきめられたということを伺ったのでありますが、あの事件で実害があったのかどうか、実際そういうことによってどの程度の金額が不正に配分されたのかどうか。そういう面について、この際ちょうどいい機会でありまするから、概略を一つ伺わせていただきたいと思います。なおこういう事件に対する、自治庁というところはきわめてまじめなところだというので、他の官庁から比べますると、非常にそういう意味では権威を持っておったと思うのですが、大臣の感想なども聞かしていただきたい。なお今後の決意等についても聞かしていただきたい。実はこれは私遠慮しいしい尋ねておるようなものですが、実際は非常にそういううわさがあります。一般の交付税についてはこれはその通りなんですが、特別交付税についてはいろいろなうわさを聞きますので、これは後刻あらためていろいろ聞きますが、ただ去年の事件の結末、実際にそれは不正に行われて、どの程度の金額を迷惑を及ぼしたか。事件はおもに大阪府の管内の自治体であったように記憶しておりますが、この際はっきりと政府のわかっていることだけを話してもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/47
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048・小林與三次
○小林(與)政府委員 この前の事件は、われわれといたしましても非常に遺憾に存じておりまして、まことに申しわけないと思っております。しかし交付税の配分につきましては全然問題はありません。金額につきまして何らこれによって左右されてはおりませんから、その点は御安心願いたいと思います。本人自身の個人的事件のあったことは非常に遺憾でございまして、直ちに休職に付しまして、今公判中でございます。この結果の次第によって、自治庁といたしましてもさらに処分をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/48
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049・中井徳次郎
○中井委員 今金額には全然関係ないというのは、これはどうでしょうか。ほんとうに関係ないということになれば、贈賄をした団体は全く詐欺にかかったようなものですが、そういう点についても、そう簡単に言わずに、実はこういう点でこうであったと、もう少し詳細にこの際参考に聞かしてもらいたい。こういう方法で資料を出しなさい、おそらくそういう程度のことは言ったことは事実であろうと思います。そうでなければ、一体何のことか、わけがわからぬのですが、どんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/49
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050・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは交付税の算定そのものはもうきまりきった資料に基いて始末をいたしておりますから、それによってとやかくされていることはございません。それで事実、ある程度の金と申しますか、そういうものの関連のあることがあったことは事実でございます。しかしながらそれが特定の経費の算定とか、資料の提出とか、そういうものに結びついて行われたことは全然なく、それによって金額が動いていることも全然ございません。たまたまそういう地位にあったので、某市のそれぞれの関係者との間において、多少そういう意味の、何と申しますか、会食等のことが行われたことは事実でございます。しかしながら交付税の問題につきましては全然問題ございませんので、この点は御安心を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/50
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051・中井徳次郎
○中井委員 そういうならこだわりますよ。実績がないのですか。私はそういう甘い調査では承知ならぬと思うのですが、どうなんですか。それはその一年だけのことじゃなかろうと思いまするし、相当続いたことだろうと思います。私は関係しておる団体の長から聞きましたところによりますと、転勤に際してわざわざ東京から電話をかけて、いつかわるから、東京へ出てきてくれ、こういうことがあったということです。たまたまその人は金銭の問題には関係なかったようでありますけれども、そんなことでありますので、そう簡単に返事をされると、私どもこだわらざるを得ないのですが、調査も何もやっておらぬ、全部検察庁におまかせしている、こういう形ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/51
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052・小林與三次
○小林(與)政府委員 本人の問題につきましては、もちろんわれわれの方でも行政上の措置をとる必要がございますから、調べるだけのことは調べております。本人が関与した刑事被容疑事件につきましても、もちろん私どもの方でも調べるだけ調べております。それとともに、交付税の配分そのものについて影響があったかなかったかということも、当然われわれの責任でございまして、また交付税の配分は大臣を首長にいたしましてわれわれの責任できめている問題でございますので、その間に問題があったかなかったかということも調べております。しかしながら、それによっては交付税の配分そのものには何ら影響されているという事実を認めておりません。その点だけを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/52
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053・中井徳次郎
○中井委員 この問題は、きょうは時間がありませんから、もうやめますが、そういうことでございましたら、私どもはこの問題に対する限りだけでも質問を次会に保留さしてもらいたい、かように思います。私が申し上げたいのはそういう点をきれいにするためにお尋ねしている。疑惑を一掃するためにお尋ねしておるのでありますから、自治庁におかれて、何にもなかった、何にもなかったというほおかむりでは、ちょっと承知ならぬというような気持なんであります。そのことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/53
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054・門司亮
○門司委員 大蔵省から出ている「国民所得に対する租税負担率調」と、自治庁から出ている「国民所得に対する国税及び地方税負担の累年比較」これは数字が違うのですが、どっちがほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/54
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055・奥野誠亮
○奥野政府委員 数字の違いのありますことを承知してないのですが、調べましてお答えをいたしたいと思います。なお地方税に関する参考計数資料の中で若干ミス・プリントがございまして、正誤表を出すことにしておりますので、それもあらかじめ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/55
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056・門司亮
○門司委員 今の御答弁は要領がいい。国の方に直せばそれでいいから……。
もう一つ、これは基本的なことで大臣に聞いておきたいのであるが、政府は減税をするといっておりますが、国税の方はずっとパーセンテージも、国民所得に対する割合も幾らか減っております。ところが地方税の方は国民所得に対する負担額というものは年々ふえております。これは数字的に申し上げますと、三十三年度は予算、三十二年度、これも大体推計と書いておりますが、三十二年度が国民所得に対する納税の全体が二〇・六、国税が一四・四、だから地方税は六・二、三十三年度は地方税の負担が六・一、三十一年度は五・九であり、三十年度は五・七である。二十九年度は六・一にふえておりますが、それ以前は二十八年度にさかのぼり、二十七年、二十六年、二十五年、二十四年、二十三年とずっと累計をして参りますと、結局国税においては減税が数字的に現われてきているが、地方税においては増税が数字的に現われてきている、こういう形を示しております。従って国の方針が減税を方針とするなら、やはり地方税も減税にならないと、国税は減税しているが、地方税の方はよけいとっているということになると、国民は欺された形になる。決して減税になっていない。数字が明らかにそうなっている。だから大臣に聞いておきたいのであるが、内閣の方針はどうなんですか。国税の減税を減税と称して、地方税は税金でないと考えているのか。地方税もやはり国民の負担なんです。だから国の方針とちょっと違うようですが、この点を大臣から聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/56
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057・郡祐一
○郡国務大臣 国民の負担は国税、地方税を通じて考うべきものであり、事実、戦争中のことは別といたしましても、戦後におきまするいろいろな特別の事情のもとにありました時期と、それから地方に対して国が与えるべき税源も与えずにおりました状態から見、また地方の行政水準等の次第に向上して参らなければならない点から見まして、地方税がこの状態でありますということ、国、地方を通じての負担が次第に適正な状態に持っていけるならば、このことが地方税だけをとってみまして、直ちに負担が過重になってくるというような見方には相ならぬと思いまするが、足らぬ点があれば税務局長から補足して説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/57
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058・奥野誠亮
○奥野政府委員 数字はおっしゃいましたような傾向をたどっておるわけでございます。どちらかといいますと、戦争中あるいは戦後、経済統制を必要としたような時代、こういう場合には税収入は国に集中的に持っていかれたと思います。従いまして、その間におきます地方税のウエートは、戦前よりもずっと下っているわけでありまして、だんだん戦前に復していくような格好になっておるわけでございます。国と地方の財政状況もだいぶん違っておりますので、今大臣が言われたような国税、地方税を通じましての間の傾向で、地方税としてはむしろ若干ウエートが上った方がいいのではなかろうかという感じを持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/58
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059・川村継義
○川村(継)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01219580305/59
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