1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十二日(水曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 矢尾喜三郎君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 徳田與吉郎君 理事 吉田 重延君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 加藤 精三君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
楠美 省吾君 渡海元三郎君
古井 喜實君 今村 等君
大矢 省三君 北山 愛郎君
門司 亮君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局地方資
金課長) 鈴木 喜治君
参 考 人
(千葉県小見川
町長) 山本 力蔵君
参 考 人
(埼玉県蕨町議
会議長) 岡田 徳輔君
参 考 人
(北海道津別町
長) 林 利博君
参 考 人
(北海道新得町
議会議長) 石畑 久成君
参 考 人
(公営企業金融
公庫理事長) 三好 重夫君
専 門 員 円地与四松君
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三月十一日
自転車、荷車の鑑札存続に関する請願(大野市
郎君紹介)(第一七三〇号)
遊興飲食税減免に関する請願(菅野和太郎君紹
介)(第一七三一号)
町村議会事務局設置に関する請願(田中伊三次
君紹介)(第一七三二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、
地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付
税法の一部を改正する法律案について参考人よ
り意見聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/0
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001・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 これより会議を開きます。
本日は、まず地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案の両案について参考人より意見を聴取いたします。なお公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきましては、参考人の意見聴取は午後の予定でありますので、この点御了承願いたいと存じます。今日御出席の参考人は、お手元に配付いたしました名簿の通りでございます。
この際私より参考人各位に一言ごあいさつ申し上げたいと存じます。参考人各位には、遠路また御多用中にもかかわりませず御出席下さいまして、ここに厚くお礼申し上げます。なお時間の都合もありますので、参考人の御意見の開陳は御一名十分程度とし、発言の順序につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。
では地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案の両案につきまして、御意見を伺うことにいたします。
まず千葉県小見川町町長山本力蔵君よりお願いいたします。山本力蔵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/1
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002・山本力蔵
○山本参考人 目下御審査中の地方税法の一部改正の法律案並びに地方交付税法の一部改正の法律案につきまして意見を申し述べさしていただきますることは、私のまことに光栄と存ずるところであります。
まず地方税法の改正法案に対しまして総合的な結論として申し上げますと、今日の地方税財政の現状から見まして個々の税種の改廃など部分的な改訂を軽々に行なっておることは適当でないと存ずるものでございます。すなわち現在の地方税制は、昭和二十五年の大改正以来の実績と経験により総合的再検討を要する時期であります。また昨秋の地方制度調査会の地方制度の根本改革に対する答申より見ましても、この際これに照応する税制全般の基本的検討が必要と認められるからでございます。全国町村会はかねてから地方税制に対し、地方制度改革に照応し、市町村優先の原則に基き町村自主財源の充実を骨子とした根本主張を堅持しております。そのためにも町村の既定財源はこれを確保すべしとする意見を有しておるのでございます。この趣旨から見ましても今回の税法改正に基本的に賛成し得ないのみならず、むしろ自治の逆行を結果するものであることを憂慮するものでございます。
その問題点の第一は、自転車荷車税の廃止でございます。第二点は、木材引取税の標準税率の半減の措置でございます。自転車荷車税は、本来農村においても大衆課税的な性格を有しており、将来においてはこれを再検討することに反対する事由はないのでございますが、今日の町村財政の実情ともかかわりなく突如としてこれを廃止することはあまりに唐突に過ぎるものではないかと考えます。しかもこれが、たばこ消費税市町村分の税率二%引き上げをかわり財源としております。たばこ消費額の差から町村部に薄く都市部に厚いことは明白であり、おのおのの総額では差引なしとしても都市、町村間では相当の不均衡が生ずるのでございます。例を昭和三十一年度決算の計数から推定してみますと、この改正の結果、町村関係は約七億円の減収でありまして、中都市以上のところは逆に同額程度の増額という結果が出ております。結局この税法の改正は町村の自主財源を収奪し、多数町村をして交付税への依存度を高めしめておるというものでございます。
第二の木材引取税については、これにより最も甚大な影響を受けておりますところの北海道の町村代表よりの陳述がございますので、ここに再言の要はございませんが、要するに全国的に見ても税率を半減して、なお既定の税収を確保するとの方針は、それ自体、きわめて多くの矛盾と不合理を含むことを断言せざるを得ないのでございます。しかもこれを主要財源とする山間市町村にあってはいかに課税の適正化をはかっても相当の歳入欠陥を生ずることは明瞭であり、伝えられるごとき特別交付税による補てんもあまりに一時的糊塗的便法でございまして、適切な方法とは考えられないのでございます。この点はただに関係町村のみの利害のみでなく、全国町村会としても町村の自主財源が適切なかわり財源の補てんもなく軽々剥奪されるという事柄に対し、深く遺憾の意を表するものでございます。
以上要するに今回の税法改正は市町村税の改廃が市町村自体の財政事情と関係なく一方的に予定されている点よりして、町村としてはとうてい賛成し得ないものでございます。しかも国税の法人税減税に対する住民税への影響調整など当然、行うべき措置が無視され、さらにまた本会初め地方団体多年の主張である非課税範囲圧縮の意見に逆行して、電気ガス税に対する非課税対象がさらに拡大されていることなども真に遺憾とするものでございます。
かりに税制改正を行うとすれば、さしあたりは国税の減税影響の調整とか、事務的な手直しにとどめるべきであると考えます。今日のごとく、部分的な税制改正のたびに税源の都市集中が助長され、農村部の税源が枯渇する反面、都市部に過度の超過財源を招来するがごとく危惧されることは将来の税体系のあり方よりしても憂慮にたえないものでございます。
われわれはかりに自転車荷車税の廃止が不可避とするならば、かわり財源たるたばこ消費税について、人口割配分による譲与税方式を導入することを要望しておりますが、やむを得ざる場合の次善の措置として、ぜひ何分の御考慮をわずらわしたいと存ずる次第でございます。
この点はただに当面の措置にとどまらず、将来の税制改正に当っても過度の税源偏在を是正する方策として、特に御検討願うよう御要望する次第でございます。
次に御審査中の地方交付税法の一部を改正する法律案につきましては、繰入率の一・五%の引き上げの御処置を願いましたことは、まことに感謝にたえないところでございます。なお単位費用の改訂や、特別交付税を百分の六とする改正が主なるものと認められますが、基本的には賛成でございます。
ただ今回特別地方債償還費を恒久化することが予定されておりますが、本会は、従来より公債費処理対策として、義務教育施設債等については少くも利子の全額補給を要望しているので、この点はぜひ何分の御検討をわずらわしたいと存ずるものでございます。
また必ずしも法律のみの問題ではございません、全国町村会としては従来より補正の内容について各種の改正意見を有しておりますが、その結論といたしますところは、算定、配分について町村のおくれた行政水準を向上せしめるべき十分な財政需要を御考慮願いたいということでございます。
この点についても今日の交付税総額が二千億をこえ、単に財政調整にとどまらず重要な財源付与の機能を果している現状よりいたしまして、この際特に御留意願うよう御要望する次第でございます。
以上を申し上げまして私の意見といたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/2
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003・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 次に、埼玉県蕨町議会議長岡田徳輔君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/3
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004・岡田徳輔
○岡田参考人 ただいま議題となっております地方税法及び地方交付税法の一部改正法律案等につきまして、全国町村会議長会の意見を申し上げたいと存じます。
先ほど来から町村会側の詳細にわたる意見がありましたので、私としては重複することを避けるために、総括的に二、三の点につきまして、ごく簡単に申し述べさせていただきたいと存じます。
地方税制の改革に当っては、まず第一に地方自主財源の強化という点に十分なる御配慮をなされたいと願うのでございます。このことは言うまでもなく、現行地方税制の基本理念でありまして、私ども地方団体が絶えずお願いいたしておる問題でございます。私どもといたしましては、真に基礎的地方公共団体にふさわしい町村を経営するためには、歳入の四〇%程度にすぎない地方税収入の現状から、少くとも六〇%以上にこれを引き上げられることが最も至当であると考えるのでございます。
次に、町村の行財政能力の実態を十分に配慮されたいという点でございます。町村の現況は、最低行政水準のもとに新町村の経営体制建設の途上にありまして、財政につきましては一面税制の改正によって住民の負担が軽減されております。この点は私どもといたしましても喜ばしいことでございまするが、これによって町村の自主財源が大幅に減収を来し、財政運営に多大な支障を及ぼすごとき改革は、絶対に避けられたいのであります。ことに町村においては、経済界の好況等による自然増収は多く期待できない実情からしても、やむを得ずかかる措置がなされる場合においては、必ずそれにかわるべき自主財源の補てんの措置をとることを切望するものでございます。
以上のことから、問題とされております自転車荷車税の廃止措置等について申し上げたいと存じます。自転車荷車税は、町村の固有財源として長年にわたって課税されて参ったのでございます。今回これを廃止して、そのかわり財源として市町村たばこ消費税率二%と、軽自動車税の移譲によって、これを補てんしようとしておるのでございますが、たばこ消費税は都市偏在のきらいがありますので、このまま実施されます場合におきましては、ほとんどすべての町村では減収を来たすことが明らかでございます。この措置が実施された場合、私は埼玉県でございますので、埼玉県下の市町村について例示いたしますと、お手元に差し上げた資料の最後に表がつけてございますが、県全体といたしましては二千五百二十六万七千円という、今回の措置による減収になるのでございます。もっともこれは大きな市——埼玉県で市が十八ございますが、そのうちの四つか五つの市では幾分の増収がある。それから町村といたしますと、町村の数が八十ほどあるのでございますが、そのうち東京都に近い方の大きな町、五、六カ町村が増収になる、あとは全部が赤字になる、その結果県全体としては、ここにございますように二千五百二十六万七千円というマイナスになるような次第でございます。こういうふうに、東京都に最も近い埼玉県においてすら、このような減収となっておりまして、大都市に遠い農村地帯の町村についてははなはだしいものがあるのでございます。この措置は、町村の固有財源を奪うことにもなるのでございますから、あくまで既定額は確保することによって、そういう方針で措置せられたいと思うのでございます。
その他地方交付税交付金の配分等の問題がございまするが、これにつきましては、お手元に差し上げてございます意見書によりまして御承知を願いたいと存じます。はなはだ簡単でございまするが、以下をもって私の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/4
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005・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 ただいま山本参考人及び岡田参考人より御意見を聴取いたしたのでありますが、両参考人の御意見は、自転車荷車税に関するものでありますので、この際両参考人に対する質疑を許します。質問は通告順によってこれを許します。中井徳次郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/5
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006・中井徳次郎
○中井委員 参考人にお尋ねをいたしますが、同時に財政局長にちょっとお尋ねしておきたいと思います。委員長よろしいですか、参考人と関連して。
自転車荷車税の減税は、山本さんの御説明では町村で七億円というふうなことでございましたが、これは町全体の収支で、先ほど関連しまして岡田さんの御説明もあったのですけれども、ちょっとわからないのです。プラスの面、マイナスの面の差引が七億円でありまするのか、あるいはまたプラスの面は全部とりまして、マイナスの町村の合計が七億円でありまするのか、その辺のところを、ちょっとお伺いしておきたいと思います。なお岡田さんにも、関連でありますが、培玉県の実情をお話がありましたが、たとえば町村が五十ばかりあって、そのうち五つか六つが増収になる。あと四十五、六が減収になる。その増収分と減収分の合計差引しての計算で二千五百万円になられるのか、あるいは今の減収の総計だけが二千五百万円になられるのか、その辺ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/6
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007・山本力蔵
○山本参考人 私が申し上げました三十一年度の決算から推定いたしました町村関係の七億の減収につきましては、これは今度新たな税法でできますところの軽自動車の増収の分は見てございません。ただしかしこの七億の推定は三十一年度でございまするが、三十二年度の実際の税収から見ますると、七億以上、十億以上の減収だと思います。かりに軽自動車が市町村税になりまして、この収入を町村分として三億と見ますると、実際には七億以上の減収と考えます。例を私の町に見ましても、三十二年度の自転車税は、やはり努力いたしますると相当に捕捉ができるわけであります。三十二年度の調定収入から見ますると、軽自動車を抜きまして二百十三万四千円でございまするが、これがなくなりまして、このかわり財源のたばこ消費税二%が百六万でございまして、差引百六万、約半額の減収になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/7
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008・中井徳次郎
○中井委員 私のお尋ねしていますのはそうじゃありませんで、たとえば一つの県で五十なら五十の町村があると、そのうち五つはプラスになる、四十五はマイナスになる。そのプラスが五百万円でマイナスが三千万円だ、差引二千五百万円だ、こういう御意見なのか、それともプラスの面は除いてマイナスの面だけが三千万円というその数字であるのか、その辺のところがちょっとわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/8
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009・山本力蔵
○山本参考人 それは差引でございます。プラス、マイナス差し引いて純減収がそうなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/9
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010・中井徳次郎
○中井委員 そうなりますと、そんな数字は意味ないじゃございませんか。問題は各村々の減収の総計が問題になるのでありまして、プラスになる面を比較をされましても、政府は手当をなさろうというお考えのようにわれわれは聞いておるのであります。まだ正式な質疑はしてないのでありますが、差引を町村にされても各町村にとっては問題になりません。ですからマイナスになる総計が幾らか、こういうことにせられないと私ども審議を進めますのにちょっと参考にならないように思うのですがいかがですか。岡田さんからでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/10
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011・岡田徳輔
○岡田参考人 私の埼玉県の場合の例でお話ししてよろしいのですか。——先ほど申し上げましたのは差引が二千五百二十六万七千円、こういうのでございまして、埼玉県は市は十八なんでございますが、そのうちで差引をして黒字になりますものは五つでございます。おのおのの金額については十一万なんというのもございます。ともかくもそれが黒字。それから町村の数は八十ほどあるのでございますが、そのうちのたった三千円ですけれども、こんなのまで数え上げれば十五ほどは差引が黒字になる、そういう意味でございます。それで大きい、人口の多い町あるいは駅等を持っておる町あるいは東京都に近い町、そういうようなものは黒字になるので、それは三十万、五十万あるいはもう少し多く百万ぐらいの黒字になる町もあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/11
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012・中井徳次郎
○中井委員 どうもよくわからないのですが、たとえば八十万あって、十五は黒字、そうしますと六十五は赤字ですね。その六十五の赤字の総計が二千五百万円でありますのか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/12
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013・岡田徳輔
○岡田参考人 そうじゃないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/13
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014・中井徳次郎
○中井委員 その総計は幾らでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/14
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015・岡田徳輔
○岡田参考人 それはここに表がございますので、赤字だけの差引……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/15
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016・中井徳次郎
○中井委員 そこでこの前も政府にこの点についての資料を要求しましたところが、政府から資料をもらいましたが、これもやはり鹿児島県の差引トータル、こういうようなことで、そういたしますと、どれだけ赤字の町村があって、それの総計は幾らか、こういうことがわかりませんので、これはどうも今ここで七億といわれたけれども、これは差引勘定で、それだから黒字の村は赤字の村へ金をやれるのならこれはいいのですが、これはやれないのですから、ほんとうの赤字ということになると、もっと大きな金額になってくる、こういうことになってこようと思うのですが、財政局長、どのくらいの赤字になるものとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/16
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017・奧野誠亮
○奧野政府委員 先般来たびたび御意見もございましたように、傾向といたしましては、町村におきましては、たばこ消費税の増率による増収よりも、自転車荷車税の廃止によります減収の方が大きいわけでございます。むしろ例外的にたばこ消費税の増率の増収分の方が多いということがある程度でございますから、大体の傾向を考える意味の数字としては、単なる差引計算でもそう大きな違いはないのだ、こう思っておるわけでございます。中井さんの御指摘になりましたような計算をするのが、最も正しいわけでありますけれども、全国の町村につきましてそのような計算を、今すぐいたしますことは、ことに軽自動車及び二輪の小型自動車の移譲の問題もございますので、なかなかやり切れないわけでございます。町村全体として見ました場合には、平年度計算で自転車荷車税の廃止に伴います減収額が、二十三億九百万円でございます。これに反しまして、たばこ消費税の増率に伴いまする増収分が、十五億三千三百万円でございます。差し引きいたしますと、八億円足らずのものが町村分に減って参る、こういうことになるわけであります。ただしかしながら、自転車荷車税の場合には、少くとも二割内外の徴税費を要しているだろうと思っております。そうしますと、二十三億九百万円は見てありますが、同時に、かりにこの二割の徴税費が減ると考えますと、実質的には十八億四千八百万円程度の減収にとどまる、こういうことになるわけであります。同時にまた、たばこ消費税の増収のほかに、軽自動車及び二輪の小型自動車に対します課税の権限が市町村に移譲されるわけでありますから、これに、その部分が少くとも三、四億円プラスになる、こう考えておるわけであります。従いまして総体計算では、この辺ではそう大きな違いはないだろうと思っております。しかしながら今御指摘になったように、個々の市町村については、かなりの違いが出て参るだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/17
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018・中井徳次郎
○中井委員 今の説明は非常に上手ですが、はなはだずさんです。きょうは参考に聞くのですが、大体徴税費が二割といったところで、人の首が切れますか。去年まで、自転車荷車税をやっておった者を四月一日からやめてくれなんて言えやしませんよ。せいぜいこれは物件費です。あるいは自転車につけてある標識だとか、こういうもので、私は二割というのはちょっと多過ぎると思います。それから今の御説明でも、差額が八億以上ある。そのうちで今の埼玉県のお話でも、プラスのところがあるのですから、プラスのところがマイナスのところに金を送るのならいいですけれども、送りはせぬのですから、金額はもっと私は大きいものだ、こう思わざるを得ぬ。きょうはそれだけ申し上げておきます。それから小林さんにお尋ねするのですが、大臣の説明によれば、この差額は何とか行政措置でもって迷惑のかからぬようにする、きのうもそういうお答えがありましたが、政府はどういうふうに考えているか、もう少し具体的にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/18
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019・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは御承知のように、ある程度そういう減が出てくるのは事実だろうと思いますが、結局交付税の配分で、基準財政需要に対して基準財政収入が減れば、交付税の流れがおのずから変って参りまして、そっくり一○○%埋められるかというと、一○○%というわけにはもちろんいかぬだろうと思いますが、交付税の配分を通じて、われわれはおおむね是正される、非常な激変というものがあれば格別ですけれども、この程度の実態ならばおおむね国税の流れでもって是正されると考えていいのではないか、こういうふうに現在考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/19
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020・中井徳次郎
○中井委員 どうも、あなたは激変ではないと言うが、小さな町村になりますと、さっきお話があったように、半分以下になるところがあるのです。これは激変ですよ。それから交付税でやると言うが、具体的にどういうふうにやるか。今交付税の改正案が出ているが、その中にどんな形で出ているのか、それをちょっとお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/20
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021・小林與三次
○小林(與)政府委員 交付税の法律の改正には、別に特別関係はございませんが、要するに基準財政収入と基準財政需要の計算の問題でございまして、税が減れば基準財政収入が減って、そのかわり普通交付税が穴埋めに流れていく、そういうもので自動的な調節というものが大体行われる。これは理屈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/21
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022・中井徳次郎
○中井委員 県は八割だったと思いますが、町村の場合は何割まで見るのでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/22
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023・小林與三次
○小林(與)政府委員 七割です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/23
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024・中井徳次郎
○中井委員 その七割と八割の違いを私はいつも問題にするのですが、どうして町村を七割にして、県を八割にしたか。これはどうなんですか。こういうような事態が起って参りますと、私はどうも県も財政難だというような理由だけで二、三年前に八になった。町村が七になった。これは実は交付税の中で隠された一番大きな盲点だろうと思うのです。そういう点についての政府の今の考え方を、きょうは参考ですから簡単にしておきますが、ちょっと伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/24
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025・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは一つの議論になるところだろうと思います。問題は県の場合なら、要するに基準財政需要額の算定が割と各県を通じて行政いが、きょうはこれ以上追求しませんが、おおむね均一化しておりますから、捕えやすいのでございますが、千差万別の数千の市町村の問題になりますというと、基準財政需要額というものは、そう正確に全部満足させるような計算はできないのであります。そこでやむを得ず自己財源の方をゆとりを与えてやる、こういう考え方で従来参っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/25
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026・中井徳次郎
○中井委員 今の御返事ははなはだ乱暴ですよ。町村の財政需要額は千差万別でよくわからない。それじゃ書類はどうしてできるんですか。冗談じゃなが、どうもそういうことで七と八にするということじゃ困る。やはり原因は、府県財政の方がここ四、五年前は、市町村財政よりも非常に困難であったからという理由だけであったと思う。その状況が今でも続いているかどうかということになると、町村の方は、あとから木材引取税の問題が起るか、だんだんとこういう事態が起ってくる。そうして実際今国会で道路法の審議などやっておりますが、国道だけよくなったって、日本の道路はちっともよくならぬので、もっと下から積み上げていくという考え方でないとだめなんだが、そういう面からいって、今のように正確に把握できないから、まあ七くらいにしておいたというようなことでは、あなたは当局としてどうもはなはだ回答になっておらぬように思うんですが、どうですか。ほかになにか理由はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/26
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027・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは県のやつは八割でなければいかぬのか、九割でいいのか、いろいろ理屈もあろうと思いますが、県と市町村と区別してる一つの趣旨は、逆に市町村の財政需要というもの、これが正確に全市町村に通ずる完全把握ができれば、また一つの考え方ですけれども、そこは府県ほどなかなかいかない。そういうことだから、むしろ市町村の自己財源にゆとりを与えてやる。自己財源について市町村側にゆとりを与えてやるという仕組みになっておるわけでありまして、問題点であることは私も事実だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/27
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028・中井徳次郎
○中井委員 仕組みを与えてるんじゃないですよ。七割しか補てんしない。三割損する。はっきり言うと。そういうわけでしょう。この点はそんなずさんなことではいけない。やはり力の強い知事会の意見を聞いてるからじゃないですか、非常に俗な表現ですけれども。そういうことではいけないというのであります。この点だけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/28
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029・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 ほかに質疑ございませんか——亀山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/29
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030・亀山孝一
○亀山委員 私は山本、岡田両参考人のどちらでもけっこうですが、御回答を願いたいと思います。この自転車荷車税の廃止問題というものは、多年の要望であった問題で、今回思いきって自転車荷車税を廃止したわけですが、そのかわり、今いろいろお話がありましたように、たばこ消費税のパーセンテージの増では、あるいは御満足するかもしれませんが、一体自転車荷車税というものが永続できる、長らく町村の分与財源として永続できる——徴収手続の複雑その他把握の問題等お考えになりまして、これが長く永続できるとお考えになりますかどうでございますか、その点を一つ。むしろこの際思い切って、今お話しのように市町村には多少影響があるかもしれませんが、たばこ消費税なり、あるいは同僚中井委員の御質問にお答えがありました地方交付税その他の措置によって、できればこの際廃止するのがいいのではないかと考えるのであります。この点お二人いずれでも、そろってでもけっこうですからお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/30
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031・山本力蔵
○山本参考人 自転車荷車税の問題につきましては、ただいまの御質問の通り将来検討を要すべき問題と私ども思っております。ただ私どもがここで申し上げたいのは、こういう地方税の問題を突然御提案になったことについてであります。別にわれわれはあくまでも自転車税を存続するということではございません。大衆課税であり、当然将来地方税全般あるいはその地方を通じての税制全般を検討する際には、いろいろ検討する場があるということには同感でございます。ただ突如として取り上げる必要はないじゃないか、さらに検討していただいたらどうかと思うのであります。ことに今度のたばこ消費税を御配慮いただいた点はありがたいのでございますが、ますます都市と農村との税の配分が開いてくる、都市に厚く農村に薄くなるということを憂えるのでございまして、廃止はさらに研究して一連の税制改革のときにお取り上げになってはどうか、こう言うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/31
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032・岡田徳輔
○岡田参考人 ただいまの問題でございますが、私どもとしては自転車荷車税を、決していい税とは思っておらぬ、悪税と言ってはどうかわかりませんが、とにかくいい税とは思っておりませんので、これの廃止されることについては非常にけっこうなことだと考えております。ただそれがために町村の財源が急激にぽかっと抜かれた、それを適当に補てんしていただきたいというのが先ほど申し上げたわけなのでありまして、今も山本さんからお話がございましたが、税そのものが早晩なくなるべき運命のものかもしれぬし、長くああいうものがない方がいいということについては私も同感でございます。従って問題は早く穴を適当に埋めていただきたいということで、たばこ消費税が人口の多いところや駅などを持っている交通の便利なところに偏重するという点があります。これには配分の方法がいろいろ考えられておるようでございますが、今日すぐには困難でも、できるだけ早い機会に配分の方法を公正に、公正にと申しますより適正にやっていただきたいということを申し上げるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/32
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033・亀山孝一
○亀山委員 山本参考人のお言葉はよくわかるのでありますけれども、結局今回交付税の一・五%の増率を見、軽自動車税その他を町村税におろし、たばこ消費税の増率を見たこの機会に、従来悪税といわれた自転車荷車税を廃止するという問題は、根本的な地方税制の改革の問題その他の点もありますけれども、ある程度それをカバーしていると考えております。その点について町村財政に税源の手当がないというだけの御意見では、われわれちょっと納得しかねるわけであります。根本的の地方税制の問題もいろいろありますが、これはいわゆる悪税といわれた中の特に悪税である自転車荷車税の問題ですから、廃止には賛成されると思っていたのです。いかがですか、もう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/33
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034・山本力蔵
○山本参考人 ただいま御質問の通り自転車荷車税の廃止につきましての政府与党の皆様方の御配慮はよくわかるのでございます。ただ、私ども少し原則論に流れ過ぎておるのでございますが、三十三年度の地方財政の自然増加等が非常にあるといいまするが、農村ことに町村におきましては増収はあまりないのでございます。全般的に見ますると地方財政は相当の自然増収があるようでございまするが、実際は、農村を中心とした町村にはあまりございません。いろいろ町村のこともお考えを願い、しかも平衡交付税でめんどうを見るから、この際自転車荷車税くらいはという御意見ごもっともでございますが、われわれといたしましては自主財源ということに大きな関心を持っておるのでございまして、内容がよくなったからこの際廃止したらいいということには、御好意は感謝いたしますが、原則的には賛成ということは申し上げられないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/34
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035・中井徳次郎
○中井委員 ちょっと関連して。先ほどのお尋ねはその目的でしたのですが、今亀山さんからも御質問がありましたから言うのですが、社会党も自転車荷車税の廃止については前から言うておる。ただ問題は、そのことによって下部の町村に御迷惑をかけてはいかぬ、だからそれに対する財政の裏づけを一○○%やるということになれば皆さんだって御賛成であろう、そういうふうに私どもは感じとって、そういう意味で政府にこれから質問しよう、こういうことなんでありますが、そこまでやっても反対ということにはならぬでしょう、どうなんです。その辺のところをはっきりして下さい。そうでないと僕らがこれから審議をいたしますのに、それでも反対というのじゃ……。一○○%の財源の確保ができる方法がないわけじゃないから、今日おいでを願ってこれについてお尋ねしておるわけなんですが、そこはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/35
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036・岡田徳輔
○岡田参考人 私どもといたしましては、自転車荷車税の廃止されることについては、けっこうだ、ありがたく考えておるのです。ただ、それであいた穴を、今中井先生は一○○%とおっしゃったが、ぜひ一○○%穴埋めをしていただければ、それに越したことはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/36
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037・門司亮
○門司委員 私はこの機会にちょっとだけ聞いておきたいのですが、さっき中井君からもお話がありましたけれども、政府の説明を聞いておりますと、結局二十三億ぐらいの減収になって、たばこ消費税で十五億三千三百万が埋まり、差引約八億くらいの減収になる。その中で二割の徴税費がかかっておるとすればこれが大体四億六千万円、それを差し引くとあと減収分が四億ぐらい残る、しかしこれについては軽自動車税が三億七千万入ってくる、そういうことになると、数字だけはとんとんになるわけですね。残された問題は、徴税費の四億六千万円が削れるかどうかということなんですね。これがもし削れるということになれば大体数字はとんとんになる。削れぬということになると政府の数字は少しおかしいということになって、明らかに四億六千万円穴があいたことになるのですが、この徴税費は削れますか。政府の言う通りになりますか。そういう見込みがあるなら一つこの際お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/37
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038・山本力蔵
○山本参考人 はなはだ不勉強で申しわけございませんが、二割節減できるという確信は持っておりません。確かに非常に手数のかかる税制事務でございますから、二割削減できるという自信はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/38
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039・門司亮
○門司委員 現実に二割削減ができないということになると、四億六千万円だけは、政府の説明を聞いても、総体的な穴があくという結論が出てくるわけです。それがさらに個々の町村に行くと、今お話のようなことになると思う。こうなって参りますと、問題はかなりめんどうな問題になるかと思いますが、もう一つ、この機会でありますから、聞いておきたいと思います。この税金を離れてもう一つ聞いておきたいことは、御承知のように自治庁が去年の暮れに、固定資産税の強化の、いわゆる課税客体に対する値上げを大体五%指示をいたしたのであります。家屋の方が五%下って土地が五%上ったのだから、数字から言えばとんとんになるかもしれません。しかし、農村の土地はほとんど家屋は建っておりません。都会の土地は、土地の上に家屋が建って、しかも家屋の方が高いのであるから、家屋が五%下れば、土地が五%上っても大して影響がないと思います。ところが農村は全く逆である。土地が広く、家が建っておるのが少いから、結局五%課税の客体になる山林あるいは田畑というものがみんな上ってきますと、それだけの増収になると私は思います。この増収の関係は政府に聞いてもいいが、あなた方にお聞きしておきたいことは、どのくらい増収になる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/39
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040・山本力蔵
○山本参考人 これは私の町で予算の検討をいたしましたが、人口二万四千おるところでございますが、固定資産税につきましては、前年度と大体とんとんという情勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/40
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041・門司亮
○門司委員 これも少しつじつまが合わないのですが、政府が指示した価額からいきますと、どうしても私は農村地帯におきましては、固定資産税はふえなければならぬ、こう考えております。課税客体を五%よけい見積れということになって、課税価額が五%上れば、税収も五%ふえなければならぬことは事実である。その上に立って家屋だけ五%下げてみたところで、農村ではその開きは非常に大きなもので、従って町村地帯では固定資産税がふえると思っておったんだが、とんとんであれば、なおこの四億六千万というものを何かで埋めなければならぬということが出てくるわけです。そうすると、政府の考え方では、今のところ皆さん方の御懸念のようなことになります。変なことを聞くようですが、この穴埋めについて、たばこの消費税の配分の方法を変えるか、あるいは例の交付税で埋めるかという二つの方法が、さしあたりは考えられる。政府は交付税でこれをカバーしようというように考えておるようでありますが、交付税でのカバーについては、私ども少し異論があるのであります。これは政策的な問題でありまして、実質的の問題には大して影響がないかと思いますが、政府があくまでも、一・五ふやしたのは公債の根本策だということを、大蔵大臣も言えば、予算書にもみんな書いてあるが、地方の公債費が困っておるから、これの解決策に一・五ふやしたという宣伝を盛んにやっておる。裏を見ると、足らないものはみんなこっちで埋めるんだということになって、一体何を言っているんだかわからない。この点は政府に聞きますが、あなた方の見解として、それじゃこの穴を何で埋めればいいかということになりますと、何か具体案でもございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/41
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042・山本力蔵
○山本参考人 先刻意見として申し上げました通り、たばこ消費税で埋めていただくとすれば、現在のような従価税で配分いたしますると、ますます都市に集中いたすことになり、これを調整する意味におきまして、これは配付税になるわけでございますが、人口割等でしていただきますと、アンバランスが相当直るのではないか、こう考えております。従来からお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/42
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043・門司亮
○門司委員 この上は自治庁に聞いてもこの問題は解決せぬと思うのだが、自治庁は今のように四億六千万円、これはとれないものをとれると勘定しておるが、これがとれないということになると、どこまで行っても穴になる。従価にしても穴になると思う。これを自治庁は何で埋めようとしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/43
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044・奧野誠亮
○奧野政府委員 今度の荷車税の廃止はどういう立場から考えたかというのは、どちらかというと、私は納税者の立場からとられた措置だと思います。その結果、市町村の財政に影響がありますので、これにつきましても相当な措置がとられた、こう思っておるわけでございます。租税負担の公平化をはかっていこう。そうしますと、今まで恵まれていなかった地域の住民の負担が過重であった。そこの負担を下げるわけでありますから、そういう地域の独立税収は減ってくる、これは当然の傾向ではないかと思っております。第二に、何といたしましてもやはり産業の高度化に伴いまして、税収というものは片寄って参りました。同時に、社会連帯主義の高度化なり産業文化の進展に伴いまして、財政需要が増加し、しかも不均衡の傾向をたどってきておると思います。そうしますと、いわゆる恵まれない地域におきます財政需要をまかなうための財源といたしましては、どうしても全国的に集められた財源を、その地域に相当補填していくという行き方をせざるを得ないんじゃないか。そういたしますと、また地方自治という見地から考えました場合に、好ましくない影響が起って参るわけでありますから、原則的にはどうしても、しばしば御指摘になっておりますように、市町村の財源は独立税収入でまかなえる限りはまかないたい、あとの足らない分を国の依存財源に持っていきたい。これは原則論でございます。その場合に私たちは、市町村の財源を税でまかないたいというのは、税という名前さえつければよろしい財源じゃないのでございます。その市町村内にあります税源—税源といたしましては、結局は住民の所得ということになるわけでございましょうが、そういう形のものでなければならない、こう思っておるわけであります。市町村たばこ消費税はやはり消費税と考えておるわけでございまして、消費の面から住民の担税力を捕捉していく、こういうものでございますので、やはり市町村たばこ消費税を独立税として維持していきます限りは、今のような価格が課税標準となるものでなければならないと思うのであります。そうしますと、市町村といたしましても、市町村たばこ消費税の増収を得ていくためには、究極的には市町村のたばこの消費額が多くなる、さらにこれをさかのぼれば、市町村住民の所得が増大していく、こういうことになるわけでございまして、やはり市町村自治の方向は、市町村住民の所得増大という方向に結びつけていかなければならぬじゃないか、こういう考え方を持っておるわけであります。そういう意味におきまして、私たちは、今山本さんがおっしゃいました、市町村たばこ消費税を人口配分にしていく—これは実質の税でなくしていくことであります。こういうことでありましたならば、地方交付税の一部を人口配分にしても、何も変りはないのでありまして、たばこに結びつきません所得税、法人税、酒税に結びつきましても、これは大同小異になると思っておるわけであります。その意味におきまして、今われわれがとろうといたしております処置は、住民の租税負担の公平化を一歩前進させなければならぬ、しかも市町村財政におきまして独立税収入をなるべく減らさないようにしていく上において考えられる最善の処置ではなかろうか、こういうふうな考え方を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/44
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045・門司亮
○門司委員 部長の言う最善の措置は、そのまま最善の措置でいいと思います。ただ誤まりは、徴税費が二割削減ができないという町村に対して、これをしいている。私は問題はそこだと思います。これは政府の誤まりです。政府が実態を知っておれば、今日の町村における税の徴収その他については、総合的な行政を行なっております以上は、自転車税をやめて軽自動車税にするから、お前これをやめてしまえというわけにはいかぬと思う。それをつじつまを合わせることのために、四億六千万というものは、これは架空なものです。ここに政府の誤まりがあると思う。政府は一体こういうことがわかっておるなら、なぜこれを二%でなくて三%に上げなかったか、その交渉がどうしてできなかったか。あなた方が機械的に、二割ぐらい徴税費がかかっておるから四億六千万ぐらいは浮くんだからと言っても、実際は浮かないとおっしゃる。また私どもも浮かないと思う。そうすると、この税金を別な—奥野税務局長が言うように、これは正しいんだということであるならば、われわれは正しいことは正しいとして認めようが、誤まりは誤まりとしてあなた方は認めなければならぬ。この四億六千万円をどうして埋めようとするのか。何で埋めるのですか。首切りをしいるのか、あるいはほかに何か方法があるのか。その辺をもう一応聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/45
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046・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほども申し上げましたように、自転車荷車税の源収分を個々の市町村に全部独立税収入で補てんする、こういうような措置にはなっていないわけであります。そこまでしようといたしますと、永久に自転車荷車税の廃止はできないんじゃないだろうか、私はこう思っておるわけでございます。基本的にはやはり地方交付税制度で多少の増減はカバーされる、こういうことでございまして、地方交付税が三百億近くふえるわけでございますし、地方税もまた五百億から増額になるわけでございますので、基準財政需要額が相当引き上げられていると思います。従いまして基準財政需要額と基準財政収入額との差額がずっと多くなりますし、また基準財政収入額に加えられておりました自転車荷車税がなくなって参りますと、それだけその差額が一そう多くなってくるわけでございますので、一般財源としてはそれによって補てんされるじゃないか、こう思っておるわけであります。徴税費の問題につきましては、個々の市町村によってかなり違ってくると思いますけれども、少くとも自転車荷車税が廃止になりますと、それに使われておりました二割内外の徴税費は浮くように、市町村としては当然そこまでやっていただかなければならなぬ、こういうふうな考え方を持っておるわけであります。人の問題につきましても、配置転換その他の問題でやっていただかなければならぬ。また鑑札の問題につきましても、氏名さえ書かせれば、それで盗難の問題なんかにつきましても相当解決はつくんじゃないか、こういうふうな考え方を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/46
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047・門司亮
○門司委員 交付税がふえたから、こっちが減ってきてもいいんだ、そんなつじつまの合わない議論をしたってしょうがないですよ。私は、政府の誤まりの四億六千万円を何で埋めるかということを聞いている。交付税をふやしたのは、ふやす原因があってのことで、自転車税を減らしたから交付税をふやしたわけではない。自転車税のかわり財源として、どうしても出さなければならないものとして、たばこ消費税をふやしたことは間違いないです。そうすれば、私が今考えているような徴税費についても、やはり具体的に二割くらいかかっておるだろうから、これを差し引いてもいいんだというようなことを考えたら、市町村はやっていけるものじゃないです。だから自転車税をやめられることはけっこうだが、財政措置についてもう少し政府も考えておいてもらいたい。
それからもう一点だけ町長さんにお聞きしておきたいと思うのですが、これがなくなって参りますといろいろと起ってくる問題は、自転車の問題として直接響いてくるであろうと考えられるのは、県庁から来る軽自動車の関係であります。これの税収は、これまた町村にはかなり片寄っていると私は思うのです。なぜかと申しますと、この軽自動車というようなものについては、町村の純農家には大した影響はないものなんです。やはりある程度都会地であって、広域の商売を行う人でなければ比較的使わないものなんですね。ですからこれは数字の上ではなるほど四億と出ておりますが、個々の自治体、特に僻村へ参りますと、県庁から来るといったって、ほとんどないと思うのですよ。実際は村の中に二台あるか一台あるかという程度のものであって、ほとんどないと思う。その辺の関係はどうなるか。自治庁の方は数字で大体これが四億くらいになってくるからいいのだと言うけれども、個々の町村になると、そういうものはほとんどないと思うのですよ。こういう数字のつじつまだけを合せるために説明を聞いておると、実際私どもも誤まって見るようなことがありはしないかと思うのです。この実態はどうでございますか。軽自動車がどのくらい一体町村に普遍的にあるものかということ、むずかしい注文ではない、この機会に一応聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/47
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048・山本力蔵
○山本参考人 ただいまの御意見の通り、やはり軽自動車が町村税になりましても、僻村の方はあまり恩恵に浴しませんで、やはり都市の方が多くなるというのが実態だろうと存じます。ちょうどたばこ消費税と同じような傾向にあろうと思います。しかし全体的に町村分として、先ほどの局長からのお話の通り三億くらい増収になるということでございましょう。個々に参りますと同様な傾向が現われると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/48
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049・門司亮
○門司委員 よろしゅうございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/49
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050・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 次に、木材引取税の問題について林参考人及び石畑参考人より御意見を伺うわけでありますが、まず北海道津別町長林利博君にお願いいたします。林参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/50
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051・林利博
○林参考人 本日の衆議院地方行政委員会におきまして、地方税法の一部改正の中で木材引取税の改正に対し、参考意見を口述の機会を与えていただきましたことを、関係町村とともに感謝申し上げる次第であります。伺いますれば、本日は口述の時間に制限があるようでございますから、結論的に申し述べて、時間の許される場合は補述いたすことにいたしたいと思います。
一、木材引取税は、昨三十二年に標準税率の五%を一%引き下げ、四%とせられたばかりのところ、さらに昭和三十三年に四%を二%に引き下げて二%にすると申されますが、これは税額にして五〇%の減税とするわけで、はなはだ極端ではないか、何とかいま少しくお手やわらかな処置はないものかと思われる次第であります。ことに北海道のごときは、価格は実際取引価を採用し、税率は制限を用いて、例年の冷害、凶作に処しておるところでございまして、この極端な処置には手の施しようもない痛手でございます。この処置は、われわれから見ればまさに朝令暮改と申すほかなく、せっかく昨年改正したばかりであるから、いましばらく現行法のままでよく調査研究をして、真に適正な改正を準備した上で、処置していただきたいと思います。
第二は、聞くところによりますれば、近く地方税法を全般的に根本的に改革せらるる御方針があるとのことでありまするが、それが事実でありまするならば、その時期も遠くあるまいかと思いますので、そのときまで本税を現行のままにして、今にわかに林野関係市町村の住民に不安を与えぬようにしていただきたいと思う次第であります。
三は、本税がもしどうしても減廃を必要とするようでありまするならば、改正案と同時にそのかわり財源として確実な補てん案を並行していただくことが特に必要なことで、山岳国であるわが日本の実情から、自然的に林野関係の市町村が多いことは事実でございまして、従って一部の市町村に本税にかかる不合理があったといたしましても、大多数の市町村は現行税法をもって主要な自主財源としておりまするから、今日の改正に際し、確実かつ恒久的な財源措置が講ぜられずに、単なる暫定措置をもってこの恒久的な税法を改めることは、林野市町村の財政を危うくし、かつ一般町村民への負担転嫁となるので、確実かつ恒久的なかわり財源措置が具体的にされた上で、改正が行われるようお願い申し上げるものであります。ことに北海道林野市町村約二百の中には、町村税総収入の三〇%から七〇%を木材引取税に依存しておる町村が多数あることは、この問題を重視するゆえんでございます。
四つには本税の徴収に対しては、今後さらに自治庁と林野庁の連絡協調を密にして、地方公共団体の本税に対する捕捉徴収に寄与していただくならば、既往のたまたま聞くような不都合は解消できると考えるのでございます。現に北海道における実情は、そのよい一例であるのでございまして、特にこのことに御配慮を願いたい次第であります。
五つには、終りに本委員会を通じて、自治庁の最高首脳部に対する要望でございます。自治庁は地方公共団体の世話役として、その信頼の上に立ち、その保護指導育成に真実を示されて、真の民主自立による社会福祉と健全なる民主国家の基礎たる市町村の確立を進めておられまするのでありますが、特に最高首脳部はその本来の使命に基く一貫性を持って一段の御努力がお願いしたい次第でございます。このことはわれわれ地方住民に直結する町村首長も誠意を持って進むのでありまするが、去る本年の一月二十三日の、われわれ木引税に関する全国大会における自治庁の最高首脳部のごあいさつで、本年は木材引取税の引き下げには手を触れぬことを言明された当時の状況を想起いたしまして、特に自治庁の最高首脳部はぜひ公約の履行を厳にして、信を保つように御留意していただきたい。そうして地方公共団体、すなわち地方民の信頼を失わぬよう常に責任を明らかにして、いよいよ地方振興とともに、健全なる民主国家の進展に寄与されんことを切にお順いしてやまぬ次第でございます。
私の意見はこれで終ります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/51
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052・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 次に北海道新得町議会議長石畑久成君にお願いいたします。石畑参考人発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/52
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053・石畑久成
○石畑参考人 町村議会議長を代表いたしまして、今回行われんとしております地方税法の一部改正のうち木材引取税率引き下げに対して、意見を申し上げる機会を与えていただきましたことをお礼申し上げます。
御承知のごとく農山市町村における自主財源として最も重要なる木材引取税率を引き下げることは、自治体である市町村の進展を妨げることはもちろん、町村理事者が常に強く主張して参りました自主財源の充実強化とは正反対のはなはだしいものであろうと思います。これを木材業者の言わるるところによりますと、悪税なりと批評しておりますが、木材搬出のために市町村住民に多大の迷惑をかけておることも忘れておるようであります。また多年惨禍を予防し、縁化を強調しつつ百年の計を守り通して来ましたのは町村民でございます。この山林を伐採して利益を得んとさるる業者は、わずか百分の四の税金を拒み、町村民の多大なる努力を無視することは、共存共栄の趣旨目的に反するものと言うべきであります。住民の福祉と利益を守らなければならないわれわれ町村代表者は、でき得る限り住民の直接負担を軽減して、他の自主財源の確立をはかろうとしておるとき、特に北海道のごときは連続的凶作のため税収総額の平均約四〇%、最高六七・一六%、最低八・四七%を木引税に依存しておるほとんどの農山市町村からこの税の半額を奪うことは、財政に及ぼす影響はまことに甚大であり、三十三年度予算編成の上にも迷っておるような状態で、いわゆる町村の死活問題ともいうべきであろうと思います。政府におかれましては、このかわり財源として特別交付税を充てられると聞いておりますが、三三十年度はともかくといたしまして、これは不確定的のものと存じます。従いましていつこれを廃されるも、われわれとしてはどこに取りつくすべもないわけでありまして、またかくのごとき財源に永久依存することは、常に市町村財政に不安がたえないことにもなるのでありまして、今回この税の五割減税を発表されるや、われわれ市町村議会人はもちろん関係住民にとりましても意外なるできごとで、政府のとられましたこの処置に対しまして、関係住民ひとしく政府に対する批判の声が高いのであります。かくのごときはひいては政府並びに政党に対する国民の不信ともなるべきものであって、十分御考慮の上減税されるとすれば、補てん財源の永久確定的処置をとっていただき自給体財政に混乱を来たさざるよう御善処方を強く要望申し上ぐるものでございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/53
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054・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。中井徳次郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/54
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055・中井徳次郎
○中井委員 今私伺いましたが、林さんにちょっと一点だけ私参考にお尋ねしたいのですが、あなたの御説明の第三項でありましたか、どうしてもやるというならば、かわり財源をはっきりしてやってもらいたいということであります。それに関連しまして当委員会におきましても木材引取税のことは数年前から議論になっておりまして、私ども社会党といたしましては相当年数のたった立木に、たとえば三十年以上とか何とかいう一定の標準を設けまして、その立木にごく軽い固定資産税的なものをかけたらどうか。今の率は百分の一・四でありましたが、それをもっとうんと低くしてやって、それでも今の木材引取税ぐらいの税源は確保できるし、しかもそれは安定をする、もうきまれば毎年入る、はっきりと入る、ということで、そういうことを一つ考えてはいかん。そういうことはできるかどうかということを、政府にたびたび質問をいたしますると、政府は非常に困難だというのであります。非常に困難で、実際問題としてはなかなかできにくい。僕らはそんなばかなことはない、できるじゃないか、材木の売買をそれじゃどうしてやるんだ、値段をきめないで売るのか、できるにきまっておる。ただそれは普通の土地や家屋よりはやや困難であるかもしれない。しかし家屋にいたしましても、内地にありますると、もう建ててから百年たった、百五十年たった、私の郷里なんか、元禄時代の建物がまだ残っていますが、やはり評価をして固定資産税をちゃんと納めている。そういうことで、立木に固定資産税的なものをかけられないわけはない、こう言っておるわけです。そしてそれは町村等において固定資産の評価委員のような制度を設けましたならば、必ずや私はうまくいくと思う。今の木材引取税は、北海道と内地ではだいぶ事情が違います。おそらく北海道の方は国有林が多いのでありますが、多ければ多いほどできると思うのでありますが、内地におきましても、大体山の立木はどれくらいの価格だ、これについてはこの程度の税金——三十年以上もたちましたら、間伐もいたしますから、その間伐をした材木の代金のごく一部で十分それはまかなっていけるというような私どもは意見なんです。ところが政府におきましては、非常に困難だ。またこれは裏の事情でありますが、森林組合とか木材業者とか、いろいろな業界が、税金といえば何でもかんでも反対しておれというので、私どものこのまじめな議論が実際問題として技術面にひっかかって、なかなか前進を見ておらぬというのが現状なんです。私はできると確信をいたしておるのでありますが、そういう点について実際現地で、林さんのところは、承わりますと、非常に木材引取税の税金が高い、額が多いということも承わっております。大体その額はどれくらいで、町税の中の比率はどんなものであるかというお話やら、今冒頭に申し上げましたように、そういう立木に固定資産税的なものをかけるということは、実際問題として政府のいうように、はなはだ困難であるのかどうか。困難であるならば、伐採税というような概念も出ておりますが、これは奈良県におきまして数年前に問題になって、引取税との相関関係、所得税との相関関係で、県税としてはそれは無理だということになった。これは私どもわかりますが、さっきの立木にかけるということの技術的な困難性というものは、政府が言うごとく実際問題であるかどうかについて、私は率直な御意見を伺っておきたいと思うのであります。この一点だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/55
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056・林利博
○林参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、そのことは、人工造林のようなものでございますれば、調査はまあできょうかと思います。ただし北海道のごとく原始林の多いところでございましては、相当に困難な問題ではなかろうか。山林に対しては、われわれ市町村長は、法の示すところによりまして火災から守らなければならぬ義務を負わせられておりまして、北海道のごときところは大体五月から十一月ごろまでしか農耕はできませんが、その五月、六月の一番忙しいときに、煙が見えると、総動員をしていく。一日千金というようなものを住民は覚悟して山を守っておるというような状態から、ほんとうは今先生がおっしゃったように、山に対しても何らかの方法で——山地に対しても固定資産税の身がわりと称して交付金をもらっておりますが、これは固定資産税に比べれば非常に僅少なものでありますが、何かそういう税をと考えてみておるのでありますが、この森林の育成というような見地から見まして、収入のない林木に課税をすることは、いろんな面から、まだはっきりした確信がないわけでございますが、少くとも長い期間かかりまして、その森林所有者はもちろん非常な苦労をいたしますけれども、町村がこの山を守る問題やら、いろいろ山林切り出しに伴う公共施設というようなことから考えまして、一回はこれに課税をさしてもらわなければならない性質のものである。その方法は研究いたすといたしましても、これは植えてから処分して収入があっても、なおかつ林木には一厘も課税ができぬということになれば、町村の義務は一方的になってしまう。将来非常な不合理な状態になろうかと思うわけでございますから、この点は為政の皆さんにおかれましても、とくに御研究を願いたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/56
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057・中井徳次郎
○中井委員 今の御意見だと、植林のものはできるが、原始林はなかなか困難だということが一つと、それから収入はないと言う。しかし固定資産税を厳格に言いますと今でも収入のない者からどんどん取っております。農家の家屋なんかみなそうでありまして、りっぱな家屋であったら農家でも坪二万円というようなことで、おばあちゃんが国で一人留守番をしておる、むすこは東京で働いているが、税金だけはうんと高い。それだけでは困るので生活保護を受けようというような者まであるのであります。収入は今日なくても五年十年あとにはどかっとある。それもどかっという表現以上に、実に最近の山林業者は収入がある。今の日本の農村で、あなたの方は国有林ですが、内地に参りますと裕福なのは山林業者だけであります。全然収入はありません、植林もしなくちゃいかぬ、山守りもせねばいかぬ、五十年に一回であるといいますから、私がそのうちに行ってみますと、山の中に自動車を持ち、テレビを持っている。テレビの普及率なんというものは、今の山林は大へんなものですよ。そういうものを見ますと、どうも非常に困難だができないわけではない。そうでなければ売買できないのですからね。林野庁その他の関係は別でございますが、そういう面からどうも納得ができない。特に内地方面はほとんど植林ですから、今の御意見によってはできるということになりますが、問題はそうなると北海道の原始林というようなことだが、これは林野庁と関係町村との関係において今交付金が出ておりますが、これは増額の問題とかなんとかということで、私は片がつくのではないかと思うのですが、いかがでしょう、非常に浮動性のある木材引取税よりも、むしろ安定性のある、確実性のある財源としてそういうものが考えられないか、こういうことでありますが、いま一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/57
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058・林利博
○林参考人 その問題は私ども山林地帯の町村でございますから、一方山林に適正な課税をしなければならぬという考えはございますが、また一方山林を育成するという立場から考えまして、今おっしゃいました家屋のようなものは収入がないけれども固定資産がございますが、これはどうしても住居の上でかけねばならぬものでございますが、山林の場合は収入のないのに税をかけられることになりますと、人工造林をしなくなりはせぬか、要するに造林の実績が非常に低下していきはせぬかという心配がございます。それで、やはり山林の場合は、土地はともかくとして、林木はその収入の時期に、今ぽくっととおっしゃいましたが、ぽくっと徴収をかけるとしましても、そのときに徴収をすることであれば、私はそう無理でないのじゃないか。私ども何十年も守ってきておりますから、今先生がおっしゃったように年々いただくのをためておいて、そうしてそのつど全部切るわけでありませんから——私の町なんか六万町歩ございますが、そのうち百町歩切るか、二百町歩切るかは別としまして、五十年か百年かにわたって年々切るから、毎年もらっても同じことになるというように考えますから、やはり山林育成の見地から見まして、育成中は課税をせぬ、ただし収入の機会に適正な課税をさしてもらうということがよくはなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/58
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059・中井徳次郎
○中井委員 御意見のほど、林さんの町村における御事情はよくわかりましたが、内地に参りますと、そういうふうな広い何万町歩というのはほとんどありませんので、非常に小さい地域になります。それからこの把握を北海道では厳格にやっておられて敬意を表しておるのでございますが、内地に参りますと、これは率直に申しますと、一年に少くとも十億くらいの取引があるところの町村の木材引取税が、百五十万なんというところがあるわけです。これは厳格に言うと四千万円取れなければならぬ、それが百五十万——私は実際を知っております。そういうことがあるからこの引取税の撤廃の問題が起ってくる。従ってそういうところではどうでもいいと思うんです。ところが厳格に取っておる北海道の皆さんの方から猛烈ななにがあるという、日本の内政のでこぼこの集約がここに出てきたような感じがありますが、そういたしますると、皆さんのところで、もしこの政府の案のようになると、どれくらいの減収になるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/59
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060・林利博
○林参考人 これは御参考にと思いまして、北海道東北六県における木材引取税の税率の引き下げによる減収見込額というものを、ごく内輪になりまするが、昭和三十二年度の地方交付税の算定基礎とした課税標準額を一応定めまして、それに現行の百分の四を乗じた額と、それから今の課税標準額の二%を差し引いたもの、従って減収見込額を調べたこともございますが、実際はこの二倍から三倍に実収の減はなるわけであります。そういうことから言いますと、北海道の場合は一億四千二百三十七万三千円ということになっておりますから、これの二倍としますれば二億八千万、三倍とすれば三億円以上になりますけれども、二倍半くらいじゃないかと思います。それから青森県が二千百七十五万円になっておりますし、秋田県が三千四百万円になっておりますし、岩手県が三千四百九十九万円になっております。福島県が二千九百六十六万円というようなわけですから、各府県の割合がどうか知りませんが、北海道の場合は二倍半くらいが適当な実収減じゃなかろうかと思うわけでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/60
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061・中井徳次郎
○中井委員 小林君、今の説明ですが、それに対する裏づけというのはやはり先ほどの自転車荷車税と右へならえですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/61
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062・小林與三次
○小林(與)政府委員 木材の引取税の場合は、一般的に言えば、普通の交付税の問題と同じ問題でございますが、団体によって激減が特にはなはだしいのではないか、こういうので、そのはなはだしい部分につきましては特別交付税で措置をしよう、こういう方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/62
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063・中井徳次郎
○中井委員 さっきも門司さんからお話があったのでありますが、特別交付税で、買いものかごみたいに何でもそこにほうり込んで格好をつけるというのですが、金額としてどれくらいのものになるのですか、それで補てんすべきものですね。これはきょうでなくてもいいです。きょうわからなければあとでその資料を出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/63
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064・小林與三次
○小林(與)政府委員 これはおって数字がはっきりすれば申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/64
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065・門司亮
○門司委員 ごく簡単に一つだけ聞いておきたいと思いますが、この税金は今地方の自治体では非常に困るところがたくさんあるから、何とかしなければならない、このことは今のお話でよくわかります。しかし先ほどの中井君の質問に対して、山林に対する税金のかけ方を、かけないでいいとは考えないが、一ぺんに何か収益のあったときにかけるようにしたらどうかというような御意見だったと思いますが、それではこの問題の解決はつかないと思います。ことに政府が今考えておりますように、特別交付税でこれをまかなっていこうというのはことし一年だけのことであって、毎年これを特別交付税で穴埋めするというのじゃ、税金の本質からいってもおかしい話で、そういうことはできもしないし、許してもおけない。従って何らかの恒久策が必要になってくる。切ったときに一ぺんにというお話でありますが、これは一面において所得税を実はかけております。従ってもしこれをとろうとすれば、町村の新しい法定外の普通税として立木伐採税というものでもかければ、私はかけられないことはないと思うが、そういう方法以外にこれをカバーするものは、今のところないのではないかというように実は考えられて参ります。この点についてもしお考えがございますれば、一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/65
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066・林利博
○林参考人 そのことは林野町村の自
主財源に対する大へん深い御配慮と思います。気持の上では感謝にたえないわけでございますが、先刻も申し上げましたように、たとえばある一定のいわゆる伐期に達したものからというお話が、中井さんからあったようでございますが、そういうことならば、いわゆる実力がありまして、いつでも切れる、金になるけれども、都合で切らぬでおくということですから、そういうものはいいと思いますが、そういうものは課税がきまりますれば、きっとさっそく伐採しはせぬか、そういうことになりますと、今度も課税をかけたとたんになくなってしまうというようなことになれば心配だというわけで、私先刻から申し上げますように、立木というものは植栽して早くて三十年、おそいものは五十年も六十年も七十年も、直接間接に山林の擁護をしておりますものが課税するようになったら、すぐ切られてしまうということになれば、この点にわれわれは抜け穴が生ずるという心配がございますので、その点の処置が何か明確につきますれば、この点も考えられることじゃなかろうかと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/66
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067・亀山孝一
○亀山委員 ただいま非常に有益な御意見を拝聴いたしましたが、中井委員及び門司委員の言われました立木税の問題は、傾聴すべき議論だと思いますが、私はこの際ちょっとお伺いしたいことは、今、林さんからお述べになりましたように、木材引取税については北海道、東北方面には減収になるという問題になるのですが、木材引取税全般に対して、業者はもちろんいろいろな方面から、これの撤廃もしくは減税の主張の非常に強いことは御存じと思いますが、この点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/67
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068・林利博
○林参考人 それは木材引取税ばかりでなくて、すべての税に対しては、納税義務者から考えますと、悪税ならざる税はなかろうと思っております。ほんとうからいうと税というものはない方がよろしゅうございますが、そういうわけには行きませんで、ことに民主主義で自主独立の自治行政をやる者といたしましては、いかに自治行政が法律化しましても、財源の伴わない自主行政というものはあり得ない実情でございますので、どうしてもそれぞれの地方の資源状態その他によりまして、適正な課税は必要である。ことにこうした生産物に対しまして、収入に対しましては、もちろん所得税がございますけれども、ことに山林、林木に対しましては、われわれ自治体の首長は法のもとに、だれの山林でもこれを擁護していかなければならぬ義務がございますから、ことに山林の木材のごときはわれわれの一番大きく要するところの土木費の問題に関係のあるものでありまして、かれこれ考えますればほかの物品に関するもの以上に、これに対する適正な課税というものは絶対に必要じゃなかろうかと、私どもは信じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/68
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069・亀山孝一
○亀山委員 今最後にお述べになりました適正課税という問題が、結局は国有林の多い地方としからざるところとの違い、たとえば国有林であれば納付金制度があり、しかるざるところはない。しかも現在の税の立て方が従価税であって、これに付随して従量税になっている、こういう点がいろいろ問題があるわけですね。そこで結局はこの木材引取税の問題として、一番問題点は適正課税だと思います。この点が今度政府案によって、ある程度解決しようということになっておりますが、そうなると今るるお述べにありましたように、北海道、東北地方というものは減税がはなはだしい。よくわかりますが、その点はこの際適正な処置を講ずれば、そうあながち強い御反対はないのじゃないか。また特別交付税というものは安定せぬというお話でありますけれども、これは木材引取税の減税の結果を見つつ、相当期間これを続けていくということであれば、絶対反対とまでおっしゃらなくてもいいんじゃないかと思いますが、その点はどうですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/69
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070・林利博
○林参考人 これは絶対反対と申すことは、先刻からるる申し上げますように、こうした林野町村の多い日本におきまする自主財源を極端にこうして引き下げるのに対しましては、法の改正をしなければ永久的に下ってしまう。ところが財源補てんの方法はきわめて暫定的であって、今も財政局長さんのおっしゃるように、計算しなければわからぬという程度の腹構えであるし、そして減らされる税率に対してははっきり税額が現われておる。こういう不安定のもとに減税処置を講ずるということは絶対反対であります。ただしそれが道があきまして、財源措置が具体的になっていきますれば、正しいことに従うだけの余裕は持っておりますが、片一方は厳格な減税処置をし、収入においてはまことにあいまいなものをもってこれにかえておるということは、絶対反対せざるを得ない事情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/70
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071・門司亮
○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますが、この問題は掘り下げて参りますと二つに問題が分れるかと思うのであります。一つの問題は、国有林がたくさんあるということ。一つは民有林であること。従って町村が山林を育成いたします場合における考え方としては、民有林はまず山持ちにまかしておけばよろしい。しかし国有林は町村の維持管理というものが、相当大きなウェートを占めておらなければ完全な育成はできない。そうなって参りますと、これを一つの目的税的のものとして一応考えて参りますと、もう一つ出てくるのは、山林開発その他に要する、さっきお話のありましたような町村の土木費が非常に大きな関連性を両方に持っております。そこで頭は二つあるが、しかし町村の関するものは、民有林に対しては土木工事その他の産業の開発といわれる林道その他の開設が、やはり大きな村の費用を食っておるということに間違いはない。従ってこれに適正な課税をするということは当然だと思う。そうすることによって初めてこの山林の価値が出てくるのであります。従って今のような課税方法がもし工合が悪いとするなら、さっき申しましたように、これを二つに分けて、一つは目的税的の感覚からくる税金のかけ方、一つは国有林として育成していく町村の責任と努力に対する国の補償というものが当然考えられなければならぬ。こういうふうに二つに分けて考えて参りますと、案外具体的に問題の処置がつくのではないかというように考えます。従って立木に税金をかけるということは一つの考え方でありましょうし、あるいは今どこかの村や県でとっておると思いますが、二十六の法定外の税の中に立木税というものがあるように記憶しております。そういう形でとるということが一つ、いわゆる民有林に対しましてはそういう形で一応とっていく、国有林については村のそうした負担にこたえるだけの国が負担をしていくということ、こういう形でこれを処置していけば、ある程度の財源の確保というものが完全にできるのじゃないか。同時に、ことに北海道、東北のような国有林の多いところは、伐採したときだけの価値でなくて、日ごろ育成開発することに町村が努力しておる、それに対して国が補償する。いわゆる国と町村との話し合いの中に、この問題の解決がつくのではないかと考えられますが、この点について一つ参考人の御意見がありましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/71
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072・林利博
○林参考人 大へん御研究の行き届いた御質問に対して敬意を表するのでありますが、ただこの問題は、民有林の場合に目的税としてしまうということは、ちょっと無理があるのじゃなかろうか、これはやはり町村の税収が、ただ道路とか、山を守るとかいうだけでありませんで、やはり教育にも関係があるし、衛生にも関係がございますし、やはりそうした面にもつながりのある自主財源でございますから、その辺についてはもう少し御研究をお願いいたしたいと思うわけでございますが、大体におきまして国有林並びに県有林のようなものに対しては、今仰せられたような処置が講ぜられますれば、要するに町村の自主財源としての数字が得られることになりますれば、私どもとしてはけっこうだと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/72
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073・北山愛郎
○北山委員 木材引取税の問題で、ちょっとわからぬことがありますのでお伺いするのですが、今度は税率が百分の四から百分の二に下った、当然半分になった、こういうふうに考えておるのです。ところが税収の方から見ると、むしろ去年よりも多い見積りをしておる。三十二年度の当初の見込みが十八億四百万円ですが、ことしの改正案によると二十一億なんです。二億九千六百万円だけ増収になる財政の見積りになっておるのですが、税率が半分になったら普通の常識からいえば半分にならなければならぬ。税率の方は半分にしておいて、見積りの方はふやしておるというのはおかしいじゃないか。これは一体どういうふうな関係なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/73
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074・奧野誠亮
○奧野政府委員 三十二年度の木材引取税の収入見込み額が二十二億円くらいでございます。十八億四百万円は当初計画ですが、三十一年度の決算にすでにそれをオーバーする財政収入が上っているわけであります。今度の改正に当りまして、大体現在程度の税収入が維持できるように課税の適正化によってはかりたい。その場合にどこまで税率を下げられるだろうか、こういうようなことからその税率が生まれ、財政収入の見込み額も生まれてきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/74
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075・北山愛郎
○北山委員 それは少しばかりの率を下げて、そしてあとは適正化でもって前と同じくらいの税収を上げるというならまだ別ですよ。ところが税率は半分に軽減しておいて、税収入の方はむしろ当初見積り——今回も当初見積りなんですが、昨年と比べてみれば三億もふやしておるというのはどうしても納得できない。適正化という魔術の内容を一つ明らかにしてもらわなければわからぬと思う。ほかの税だって、税率は半分にしておいて税収入は同じだと言ったってだれも納得しませんよ。おそらく北海道の人なんかは、税率は半分にしておいて前年と同じ収入を上げろといったって、そんなことは不可能だというところから反対するのだと思う。その魔術を一つ明らかにしてもらわないとわからぬと思うのだが、どうなんです。それが先ほどの小林財政局長のいわゆる特別交付税という、その交付税でやる分が幾らかということとも関連するのですが、これは私はわからないので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/75
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076・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほど三十一年度の実際の数字を申し上げませんでしたが、約二十億円であります。三十二年度の実績見込みが二十二億、これらの基礎に立ちまして三十三年度の見込み額を計算しております。なお御指摘になりましたように税率を半減しながら従来の税収入を維持できるのは魔術だということでございます。まさしくそう言われればそういう問題になるわけでありますが、そういう疑問が起ってくるくらいに、木材引取税の課税の状況の悪い地域が多かったこともまたほんとうだろうと思うのであります。課税適正化の方法といたしましては、現在国有林野につきまして営林署が木材引取税の特別徴収の義務を励行しているところもございますし、やってくれていないところもございます。こういう問題につきましては、林野庁は全面的に営林署に特別徴収の義務を行わせる、こういう確約をいたしておるわけでございます。もう一つは容積を課税標準として木材引取税を課していくところがあるわけでございますが、その場合の価格につきまして林野庁と話し合いをした上、昭和二十九年であったと思いますが、市町村に標準的な価格を示しているわけでございます。その後木材の価格が二割近く上っているわけでございますので、その価格をこの際引き上げいたしたい、こう考えておるわけでございます。
なお従来木材引取税の撤廃運動が非常に激しく行われておったわけでございまして、私たちが今回この改正をいたします前提といたしましては、木材関係の人たちで廃止運動をやっておるが、この廃止運動は取り下げられるという前提に立って、そうしてこういう人たちも林野庁も、木材引取税の適正な運営に協力をしていただく、そういう前提に立っておるわけでございまして、協力が得られますならば課税客体の把握の問題につきましても、従来よりもかなりよい成績をあげることができるのではないだろうか、こういうような総合的な施策なりあるいは考え方なりのもとに、税率は半減いたしますが、大体従来と変らない収入があげられるのではないだろうか、こういう期待を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/76
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077・北山愛郎
○北山委員 木材引取税の税率が下ったのは、これはもうだれもわかっておる通りで、木材業者が税金が高いから安くしてくれ、そういうことから運動をやっているのだと思うのですよ。従来の二十億という税収は十億にしてもらいたいというのが、この木材引取業者の要求だろうと思う。それを税率が四%ではいかぬから二%にしよう、税金の方は減らなくてもいいなんぞという気持じゃないと思う。そうでしょう。税率は収入にさわるから下げてくれ、税金は納めます、下げなくてもいい、こういうことなんですか。どうもわからぬのだがな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/77
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078・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税撤廃運動をやっておられました方々一人々々に聞いてみないと、正確なことがあるいはわからないかもしれません。しかしながら私たちが立案に当りました経過だけを申し上げておきたいと思います。撤廃運動をやっておられた方々で、私たちにいろいろと御意見のありました際には、木材引取税というものが市町村間において非常に区々なんだ、そのことが自分たちの仕事の上にも非常な障害を及ぼしているのだ。もちろん廃止が望ましいけれども、少くとも個々の市町村間において適正な課税の行われるようにしてもらいたい、また税率を下げても適正課税が行われるならば収入は維持できるじゃないか、大体従来通りの収入を木材引取税において得られていく、そういうことについては異存はない。問題は個々の町村間の負担が適正になることだ、こういうことでございます。またそういうことをも目途に税率を思い切って下げてもらうことによって撤廃運動もやめてしまい、むしろ協力したい、こういうふうに承わっておったわけでありまして、そのことが結果的にそうなるかどうかは知りませんけれども、私たち立案の過程においてはそれを信頼して、あえてそういうような立法に携わったということは事実でございます。もとより木材引取税の収入を重要な財源としておられまする市町村の財政のことも、よく考えていかなければならないわけでありますが、経過を率直に申し上げますと、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/78
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079・北山愛郎
○北山委員 私から言うならば、こういう魔術は、奧野さんが言うように、木材業者一人々々に当って調べなければならぬ。私どもはそういう気持になるのです。こういう魔術はわからない。だが、きょうは参考人の方々もおられるのですから、別に政府の方へお伺いをするわけなんですが、少くとも税の制度を作るときに、納税義務者の意見を信用して——その個々の業者は、全体の木材引取税は二十億確保されようが、三十億になろうが、そんなことに責任を持てるものじゃないですよ。持つ資格がないのです。そのことくらいはわかっておるはずです。まさか請負じゃないのですからね。全国の木材業者が二十億出します、こう言うのじゃないでしょう。そんなことを信用して税法の改正なんかやるということは、まことにこれは不届きというか、軽率だと私は思うのです。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/79
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080・奧野誠亮
○奧野政府委員 三十二年度に五%を四%に下げ、三十三年度に四%を二%に下げたという経過から見ますと、まことに先を見通さないで改正の立案に当ったと、どういうお叱りを受けても私はこれに抗弁のしようがないと思います。しかしながら三十二年度で二%を引き下げましたその後の運営の状況等を見ておりますと、やはり何らかの措置をとらざるを得なかっただろう、こう思うのであります。二%に下げましたことが適正であったか適正でなかったか、今後の運営を見てみませんと、正しい判断はできないだろうと思うのです。しかしながら実際いたしました点については、二%に下げることによって、むしろ今まで撤廃運動をされておった人々が協力をする、こういうことであったことも事実でございます。これを百パーセント信用していいかどうか、いろいろ問題がありましょう。また経過的には業界が二十億円のものをかわって徴収して納めてもいいのだ、こういうことは制度的に考えられぬわけでございますが、そういう意見が業界から出ておったことも、これも事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/80
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081・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 これにて地方税法改正案及び地方交付税法改正案について参考人の意見の聴取はすべて終りました。
この際参考人の方々に対しまして一言ごあいさつ申し上げます。
本日は長時間にわたりまして有益な御意見を述べていただきましてありがとうございました。各位の御意見は両案審査の上に多大の参考になるものと存じまして、ここに厚くお礼申し上げる次第でございます。
午後一時半まで休憩いたします。
午後零時四十三分休憩
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午後一時五十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/81
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082・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
本日の午後は、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、参考人公営企業金融公庫理事長三好重夫君より意見を聴取いたすことになっております。
この際私より一言ごあいさつ申し上げます。
三好参考人には御多用中にもかかわりませず御出席下さいまして、ここに厚くお礼申し上げる次第でございます。御意見の開陳は本案審査の上に多大の参考になるものと存じますので、忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。三好参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/82
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083・三好重夫
○三好参考人 私ども公庫の仕事は、御承知のように、昨年六月出発いたしまして、本格的な活動を開始いたしましたのは九月でございます。幸いにいたしまして、各方面の御協力によりまして、今日まできわめて順調に円滑な運営をいたしておる次第でございます。資金の調達の面におきましても、また貸し出しの面におきましても順調な運営をいたしておる次第であります。
本年度は、御承知のように、政府資金五億のうちの四億を貸し出し、なお債券発行七十億を資金源といたしておるのでございますが、その七十億のうち四十億が純粋の公募でございまして、三十億が縁故募集ということに相なっておるのであります。縁故募集と申しますのは、主として地方団体並びにその関係の団体に債券の引き受けを願いまして資金の調達をいたしておる、そのものをさすのでございますが、いずれも円滑に参っておるのであります。
本年度の運営につきまして特に私意見を申し上げまする点が一つございますのは、政府におかれましてこの公庫の本質とでもいいますか、働きといいますか、そういうものについての御理解が多少足りないのじゃないかということを伺った事件がございます。それは当初この七十億の計画が国会におきまして御議決を願ったのでございまするが、御承知のような金融情勢の変化によりまして、当面応急の対策を講ぜられるに当りまして、私どもの公庫の方の資金も十億削減するというお話を持ち出されました。多分に私どもの想像でございますすけれども、それによりまして地方団体の設備資金を制約するという御趣旨があったのではないかと考えるのでございますが、実際私どもの公庫は起債の許可のありましたもののみに限って貸し出しをいたすのでございますから、私どもの方の貸し出し資金量を減らされましても、地方の事業分量には影響はございません。地方はどこからかその十億を調達いたしまして、事業をいたすはずでございますから、従いましてそういうことをやられてもおそらくねらわれる効果は実現しないということであったと思うのでありますが、一応そういう話が出まして、その結果すったもんだの末、結局政府側におかれましては、当初五十億の公募の計画でございましたものを四十億に減じ、二十億の縁故募集の計画でございましたものを三十億にふやしまして、七十億の総額をお認め願いました。それが順調に参っておることは先ほど申し上げた通りでございますが、その際示されましたこの公庫の姿といいますか、そういうものについての誤解というものを、非常に私どもは残念に思ったのであります。真に政府筋において理解しておっていただけないのじゃないかという不満を感じたことがございます。いずれにいたしましても、やって参ったのでありますが、明年度の予算要求に際しまして、意見を徴せられましたから具申いたしました事項が三、四項目ございますので、これを意見としてお聞きとり願いたいと思うのであります。
今日までの経験によりますと、地方をいろいろ回ってみまして御注文がございます。その御注文をしんしゃくし、ごもっともであると思いまする点が幾つもあるのでございますが、その一つは指定地方債の問題でございます。御承知のように、東京、大阪、兵庫の三都府県と五大市の起債につきましては、公営企業におきましては、旧指定地方債の取扱いがされております。これは現実に見ますと、十分なる消化が行われておりません。従いまして地方団体の中には私どもにこれを取り扱うようにということを、ひそかに要請される向きがあるのでございます。ひそかにと申しまするのは、これをおおっぴらにあまりやられますと、その消化を引き受けてくれる金融機関に影響がある、あるいは監督官庁の思惑もある、その他のいろいろな事情でごしんしゃくの上、こっそり言われる形ではないかと想像するのでありますが、相当強い要望がございます。従いまして数字的に調べました結果は、大体明年度におきましてもおそらく月二十億くらいのベースで消化されなければ、指定地方債の消化はできないのではないかというふうに今考えられるのであります。と申しますることは、昭和三十三年度のワクに加えまして、本年度未消化で繰り越しますもの、明年度におきまして借りかえ時期の到来いたしますもの、これを加えましてやはり二百四、五十億になるのではないかと想像されるのでありますが、これは今日の金融市場の情勢からいたしましては、なかなか消化困難な問題ではないかというふうに見受けます。従いまして団体によりまして、何とかならぬかという御希望があるのも、ごもっともであるように私どもは考えております。従いまして予算請求の際には、ぜひこれを取り扱うワクに入れていただきたい、せめて道だけでも開いていただきたいというお願いをいたしたのでございますが、お取り上げに相なっておりません。これは思いまするに、私どもの方でも取り扱うというふうに相なりますれば、金融機関におかれましては、自然ある程度は現在の形でも消化にもっと協力される姿が出てくるのではないかというふうにも想像いたします。と申しまするのは、われわれの方の貸し出しは、後にあるいは申し上げるかも存じませんが、大体七分六厘で貸し出しをいたす予定でおるのでありますが、現在指定地方債で調達せられております利子は八は分三厘を越えておるはずでございます。七厘以上の開きがあります。従って私どもの方の貸し出しをすれば、その面からも、これはいわゆる指定地方債を発行しております団体が助かるわけでありますが、同時に、銀行の方、金融機関の方からいえば、同じ貸し出しならば利率の高い方を扱おうという空気も一部にあるのじゃないかと想像いたしますので、私の方が扱うという道が開ければ直接貸付もいたしまするとともに、側面から銀行がそれを引き受ける方の援助になるのではないか、かように考えておるのであります。
いま一つの点は、高利債の低利借りかえでございますが、これも各地方を回りましていろいろ聞きますと、ぜひやってほしいという希望が非常にございます。数字的に調べましても相当高い、八分、八分五厘、九分以上のものが多額にあるのでありまして、公営企業経営の健全化の面から、あるいは料金策定の面からいたしましても、要望されるのがごもっともであるというふうに考えております。これも予算要求の際には、ぜひ取り扱う範囲に入れていただきたいというお願いをいたしました。ことにこの問題につきましては、国会におきまして皆様方の附帯決議の御趣旨もございまして、その点も強調いたしたのでございますが、政府側においてはお取り上げに相ならなかったのであります。
第三の問題は一時借入金の問題でございます。地方団体の公営企業の内部におきまして、金繰り上一時資金の調達に困られる向きがある、それをぜひ公庫においてめんどうを見てもらいたいという御要求がしばしばございます。だんだんお話を承わりますと、政府資金の貸し出しの面におかれまして、起債許可前にも相当貸し出しをいたしておられるようでございますが、それをやられる場合におきましても非常にやかましく言われる。そうしてせっかく出されましても出来高の八割程度にとどめられるというふうになりまして、全部の資金の調達ができない。その残額を非常に高利なもので地方の金融機関から借りるというようなことをやっておられるという向きが、ちょいちょいあるようでございまして、私どもの方に扱ってくれないかと言っていただくのもごもっとものように思うのであります。これも予算要求の際にはお願いをいたしたのでございますが、取り上げてもらえなかった問題の一つでございます。
それから第四番目の問題は、私どもの方の手持ちの資金が、年度末におきましては調達しただけを、全額貸し出すという格好になりまするけれども、年度の途中におきましては多少金繰り上の余裕を生ずることがございます。これは債券発行によって主たる資金を調達いたすのでございまするがゆえに、自然毎月大体平準化した金額で調達をいたさなければ相ならない。そういたしますと、地方団体の借してくれという需要の面とマッチしないことが起りまして、ある程度資金が寝ることがございます。従いましてその間できるだけ有利に運用をしていきたい。それにはまあ金融情勢が変れば別でございますけれども、今日の状況におきましてはコールに放出することを認めていただきまするならば、相当有利に運用できる。そこでそういう道を開いておいてもらいたい。必ずコールに出すというのじゃありませんが、そういう道を開いておいてもらえば、せっかく手元に寝ておる金がある程度有利に運用できる。ひいては地方団体のためになるのだというふうに考えるのでありますが、この道が閉ざされている。しばしばこれも何とかしていただきたいという要求を予算の際にお願いしたのでありますが、認められておりません。その理由もわれわれには納得しがたいもののようでございますが、そういうことで今日まで参っておるのであります。もしできますならば、かようなことが公庫の運営に合理的なものであり、地方団体のためになるものであるということでございますならば、適当な時期に私どもの考えておりますことが実現するようになるならば、非常に仕合せと思うのであります。
なお最後に一言付加しておきたいと思うのでございますが、私どもは公庫の運営に当りまして、根本の指導精神といいますか、運営の方針を、何とかして地方団体のためにプラスになるように、少しでも地方団体のお役に立つようにという念願で運営をいたしておるのであります。従いまして今まで国会の方でもそういう御方針でお扱い願ったと思っており、予算請求に対してもさように考えておったのでございますが、業務経費、まあ私どもの月給初め諸掛りが要りますが、こういうものは政府出資からの利益でまかなう、その他のものは結局調達する資金の関係において考える、こういう原則をはっきりと打ち立てていただくならばありがたいということを考えておるのでありますが、そういう原則に立って、地方団体のお役に立つというにつきましては、できるだけまず安い金利の金をお貸しするという努力をいたしたいのでございます。高利で利ざやかせぎをいたしたいというのも、多少そういうことの表われでございますが、とにかく調達しましても、貸し出すまでにあまり時間をかけないようにして、いわゆるロスをなくするということも、私どもの方の努力の一つでなければならぬと思うのでありますが、もし理想の形が地方団体に対して多少援助という意味になりますならば、そのやむを得ざる時間的ロスの利子分だけは、政府出資の利益でカバーするというふうにしていただければ非常に仕合せではないか。これは私どもの仕事のためでございませんで、地方団体自身のために考えまして、さように思うのであります。数字的に申し上げますと、本年度調達いたしております債券発行による金は、応募者利回りが七分三厘一毛三糸、発行者利回りが七分五厘二毛二糸ということになっております。もしできますならば、この七分五厘二毛二糸というネットのコストで貸し出しができますならば、地方団体はそれだけ仕合せじゃないかと思うのでありますが、そこに若干のロスがございますので、私どもの計画でも七分六厘で貸し出さなければならぬことになるのであります。これは公庫の経営という面を離れて地方団体のために考えまして、こういう意見を御参考までに申し上げる次第でございますけれども、そういう考え方は成り立たぬであろうかというふうに感ずるのであります。なおこの問題につきまして差しさわりがあって怒られては困るのでありますけれども、私どもの方では、本年度は少くとも七分六厘で貸せる。あらゆるロスをカバーしてそれで貸せるという計算で、七分六厘で貸したいというお願いを政府にいたしております。ところが政府の一部には、七分七厘で貸さなければいかぬじゃないか、金融機関だからもうけるのは当然だというお説もございまして、どうも話が、私どもから言わせると逆のような気がするのでありまして、私は七分七厘で貸して楽な運営をいたす方がけっこうでありますが、従ってそういうことを、七分七厘で貸すということを私どもの方から持ち出して、政府の方からおしかりがあって、七分六厘で貸せるんだから、七分六厘で貸せというふうなお話があってしかるべき筋合いじゃないかと思うのが、逆のようなことが起っておる。今日まだはっきり片づいておらないというような状況でございます。現在正規の借りかえの、御承知のように今まで貸しておりますのは起債の前貸しの形式で貸しております。年度末になりましたので、正規の借りかえをしてもらう手続に事務員を地方に派遣してやっておるのでございますけれども、その点がややペンディングな問題になっておるので、事務的にも困るというふうなことが起っておるのが実情でございます。この席でこういうことを申し上げて、あとでたたりがきても困るのでございますけれども、実情がそういう次第でございまして、ざっくばらんに申し上げて、私の意見の補足にいたす次第でございます。いずれにしましても、根本の考え方を、どうかして少しでも地方団体のお役に立つように運営していきたい、こういうふうに考えておるのが根本でございまして、その根本の考えから割り出しまして、本年度のわずかな経験ではございますが、その実情から考えて、こうでもしてもらったらもっとよくなるのじゃないかということを率直に皆様に申し上げて、御参考に供したいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/83
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084・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 三好参考人の御意見の開陳は終りました。質疑がございますので、通告順によってこれを許します。中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/84
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085・中井徳次郎
○中井委員 今三好参考人から率直な御意見を伺いまして大へん参考になりました。私どもも一向不勉強で、伺いましてもまだ十分納得できない点もありまするし、御意見の中でごもっともと思われる点も多いのでございます。そこで四、五点の問題についてお尋ねをしたりまた意見を伺ってみたいと思います。
はなはだどうも不勉強で恐縮なんですが、まず第一に、四十億は公募ということでありますが、公募の手続といたしましては、やはり銀行にかわって窓口でやってもらっておられるのでありましょうか。どういう形で公募を今やっておられるのか、それをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/85
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086・三好重夫
○三好参考人 四十億の公募は、金融機関にシンジケート団を組織してもらいまして、それで三月までに全額お引き受けを願う。毎月適当量を、監督官庁と御相談の上、本月は五億、本月は八億ということでお引き受けを願い、また御償還を願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/86
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087・中井徳次郎
○中井委員 シンジケート団のメンバーと、それから指定債のシンジケートのようなものはあろうかと思いますが、そのメンバーはどういうメンバーでございますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/87
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088・三好重夫
○三好参考人 私どものシ団のメンバーは統計四十というほかに例のない非常に多いものでありまして、普通都市銀行が十五行、地方銀行が二十行、それから証券会社が五社、こういうふうに組織されております。地方銀行は二十社でございますが、いわば代表銀行のようなものでございまして、実際の引き受けは地方銀行六十五行全部に、一定の率に従ってお引き受けを願っております。また証券会社も五社になっておりますけれども、四大証券のほかに一社入っておられますのは、いわゆる新五社と称するものの代表でありまして、実質上はそれだけ多くの会社が関係していただくのであります。そういう組織で運営いたしておるのであります。きわめて順調に行っております。それから指定地方債の方は、これは自治庁の方でないとよくわからないかもしれませんが、私の聞いておりますのでは、シ団に引き受けさせておるところと、しからざるところと二種類あるようでありまして、シ団を結成されておるのはおおむね都市銀行ではないか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/88
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089・中井徳次郎
○中井委員 今伺いまして大へん広範な引き受け団体でありまするから、そうしますと地方の相互銀行だとか、あるいは信用金庫だとか、そういうもの以外に、一般の普通銀行はほとんど入っておられます。大へんけっこうだと思いますが、そういうふうになりますと、私先ほどの指定債との相関関係が全く銀行間の利害とか、そういうものに非常に影響のあるような気がいたしまして、政府におかれてはおそらくこの公庫ができましてからまだ一年たっておらぬから、もう少し様子を見て、堅実な発展をすれば大いに活用してやろうというふうなお見込みであろうと、善意に私は解釈するのですが、いかがですか。小林さんに考え方を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/89
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090・小林與三次
○小林(與)政府委員 自治庁といたしましては、今中井委員のおっしゃった通りの考え方を持っておりまして、できるものならばことしからでもその道を実現したい、こういう気持でございますが、なかなか話が合いませんで、今日実現を見なかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/90
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091・中井徳次郎
○中井委員 それはどこで合わなかったのですか。おそらくきょう大蔵省の方はお見えになっておると思うけれども、私は非常に善意に申し上げておるのでありますから、大蔵省の方も率直な意見を聞かしていただいて、まだ信用が足らぬならば、信用がならぬとはっきり一つどうでしょうか、その辺のことを。——大蔵省が来ておらぬじゃしようがない。だいぶ関係があるのですがね。大蔵省の方が見えておらぬと、はなはだどうもお尋ねすることも範囲が限定されると思いますが、今伺いますと、七分六厘でお貸しになっていると言いますが、これは三好理事長もよく御案内の通り、戦前は三分七厘とか四分三厘とかいいまして、現状とは非常な差があると思う。こういうものをせっかくお作りになったのですから、なるべく安くと思うのですが、一般の金融情勢とのにらみ合いもあろうと思いまするが、しかし先ほどの御意見の中にちょっとありましたように、もう一厘よけい高く貸せというふうなことは、どういうところに原因があるのでしょうか。そうでないと公庫の活発な活動ができない、あるいは公庫の先が案ぜられるというふうなことであるのか。それに関連しまして、私はここでコールの問題も伺いました。まことにこれは技術的なことで、けっこうだと思うが、しかしまだ七分六厘を七分七厘に貸せなどというふうな監督官庁の意向のもとにおいては、とうていコールまではいかないような感じもいたしますが、どうなんです。その辺の金利の問題についてのもっと打ち割った内輪話でも聞かしていただけないか。これは指定債との関係もございましょうし、また金融機関は地方の団体の起債については、一般中小企業の金融等を阻害するというので、口ではいやじゃ、いやじゃと言うてはおりますが、私はいつも申し上げるのですが、これほど安全確実なものはないので、実はのどから手が出ているという状態が、私は実情じゃなかろうかと思う。そういうときに際しては、むしろ逆にお前の方は世話にならぬでもいいという大きな態度で出るべきであると、実は考えておるのです。こういう面で、七分六厘という金利の問題、また日本の全般の金利はもちろん高いし、これはできれば下げなければいかぬのですが、その突破口は何としても地方債、国債あたりからやっていくべきであると思いまするし、そういう面で、今の政府が言うておりますることと現実に行なっていることと、どうも隔たりがあるように思えてならないのですが、その金利の問題について、もう少し打ち割った話を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/91
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092・三好重夫
○三好参考人 金利の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、現在発行いたしております債券の発行者・利回り、つまり私どもの手元で要ります利子が七分五厘二毛二糸なんでございます。ところがこの金は、御承知のように三日間というものは入りましてもシ団の責任銀行で寝ております。この間は無利子でございます。あと貸し出しに回しますまで、また何がしかの日にちを自然要します。その間の利子は私どもの方でせいぜい運用いたしまして、普通ならば日歩一銭で運用いたしておるのでありますが、払う方はもっと高いものを、二銭ばかりつきますものを払っているわけでありますから、その間の損が出てきます。それらをカバーいたしますために、またその損をなるべく少額にいたしましても結局七分六厘というところが最低のぎりぎりではなかろうかということで、七分六厘で貸し出しをするというふうに考えているのであります。ただこれを市中金利に比較いたしますと、現在指定債として有力な五大市のような団体が調達いたしましても八分三厘以上につく、いわんや貧弱な団体におきましては八分五厘とか九分とか、そういうふうにつくのでございまして、七分六厘という絶対数字は一見高いようでございますが、現在の金融情勢から言うならば非常に安くなっている、かように考えているのであります。
それからなお先ほど申し落したのでありますが、公庫の信用の問題についての関係もございますので、一言申し上げておきたいと存ずるのでありますが、シンジケート団で引き受けてくれましても、その一部は一定率で一般に売り出されます。従って毎月三千万なり四千万なりが売り出されていくわけでありますが、それが幸いにいたしまして相互銀行なりあるいは信用金庫なりいろいろな組合その他の金融機関等に買っていただきまして、ほとんど毎月私どもの方はフルに消化ができております。その意味におきましては金融機関の面におきましても、少し手前みそになりますが割合に評判はよろしくなっている。公庫によりましては少しも売れないというところもあるやに聞いているのでありますが、幸いにそういうふうに買っていただいている状況で、公庫といたしましては比較的信用がある方じゃないかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/92
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093・中井徳次郎
○中井委員 それからこの実際の運用から見ますと、前貸しをされまして年度末で一括振りかえるというような状況に伺ったのでありますが、前貸しをされるにいたしましても、その前にはやはり認可のあったものでないといけない、これは厳格なんですか、その辺を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/93
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094・三好重夫
○三好参考人 何条でございましたか、公庫法の規定によりまして起債の認可の確実であるものには、前貸しすることができることになっておりまして、その起債の認可の確実であるかどうかは、政府の方から材料をいただきまして、その材料に基きまして前貸しをいたしております。前貸しの利子は日歩二銭一厘で出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/94
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095・中井徳次郎
○中井委員 そうなって参りますと、きのう山野君と当委員会の委員といろいろ問答があったのですが、厳格に起債の許可のものに限るものだから、借りかえその他については非常に困難だというようなことであります。私どもは借りかえなんというものに、そんな認可もくそもあるものか、期限が来て金がないものはしようがない。一度数年前に認可を得ているものであるから、これは継続するのだから、そこまで厳格にやるべきでないという議論も出ておったのでありますが、今伺いますと正式の認可は得ないが大体資料で認可されるだろう。これは大臣が判を押さなければつぶれてしまうというようなところまで、実際の運営としてやわらかくやっておられる。それはけっこうだと思う、私は否定するわけじゃない。それで今度は借りかえその他については厳格な何をなさるというのは、どうもよくその辺のところはわかりません。それだけ一つ申し上げます。
それから指定債の関係ですが、今三好参考人のお話では、月二十億要る。そういうことなら、今の公庫の資本や七十億ばかりではとてもいけないのですが、そういうものについても、これはいつか転換をしなければいけまいと思うのですがどうですか。私は実は昔経験があるのですが、金融機関というものは、今の日本におきましては、地方団体より上位にあるかのごとき錯覚に陥っている、この点です。この間も建設委員会との連合会におきまして、どうも道路公団とか住宅公団というものは、地方団体より上位にあるかのごとき錯覚に基いて、地方税なんかでも、これは実際に取りに来るまでほっておけ。取りに来たら家賃に含めて見ていけというような、そういう思想はけしからぬと実は思っておるのです。国にはぺこぺこしますが、地方団体には上に座って、シンジケートなんかを招待して大へんなんです。それは実力の関係もありましょうが、今のはあまりひどいように思いますので、こういう公団を作られた機会に、そういうものを払拭される。この間の福岡県の事件にいたしましても、今愛知県にも大へんな事件が起っておるようでありますが、金融機関との間の関係が、裏に回りますと非常にきたないものがある。金を借りに行くときには上座に座るが、今度は金が少し余ると預託をしてくれ、預託をしてくれということになって、地方の県会議員などは、県会議員に当選したら、あくる日に地方銀行の頭取からあいさつに来た。県と銀行と何の関係があるのだろうと、全くしろうとですからいってみたら、なかなか甘い汁があるわいということなんです。これは地方自治体を育てるためには、こういうことであっては、ほんとうの住民本位の政治はできないように思えてなりません。大へん前おきが長くなりましたが、指定債は、単に金額が大きいだとか、あるいは大都市であるとかいうのじゃなくして、これは早急に抜本的な解決をしてもらいたいと思うのです。先ほどのせいぜい努力しますというふうなことでなくて、きょうは大臣がおりませんからなんですが、こういうものの考え方についても、私はこの際将来の質疑を続ける上の参考として御意見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/95
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096・三好重夫
○三好参考人 まことにごもっともな御意見と思って拝聴いたしたのでございます。私ども地方を回りまして、中井さんと同じように地方において苦しんだ経験もございますし、また本来の公庫の使命が、地方団体へのサービス機関であるというふうに考えておりますがゆえに、貸し出しを非常に簡単にいたしております。従いまして地方団体におかれても、わかっていただくところでは、その点を非常に喜んでもらっていただいております。北海道の市町村のごときは、一般会計の地方債は各団体とも全部政府資金がついている。それから公営企業に関する公募債は、みんな私の方でお引き受けいたしておる。それから年度間の一般会計その他における一時借入金は、北海道庁が特に資金をこしらえておられまして、それから貸し出しをしておられます。そんなことで市町村は今日金融機関にも頭を下げることが一つもなくなっているということで、非常に喜んでおられるような状況でございまして、各府県あるいは市に参りましても、そういう苦労が減ったということで、まあ言葉は悪いのですが、利子が高かろうが、金が短かかろうが、それにかえられぬありがたいことだというふうに喜んでもらっておるような次第でありまして、できるだけ私どもの方へおじぎをしてもらわぬでも、頼んでいただかなくても貸し出すものは貸し出すというふうに運営をいたして参りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/96
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097・中井徳次郎
○中井委員 あと縁故募集の点は北山さんからお尋ねがあるそうですから、私は省略をいたしますが、最後にちょっとこれは事情がわかりませんので伺いたいのですが、業務的な経費、皆さんのほんとうに純粋の業務経費は、政府の出資金で出せるようにしたいというふうなお話がありましたが、この点はしろうと考えでは、そういうことにいたしますと逆に非常に窮屈になるのじゃないかというような感じを持つものであります。
大体政府の出資について、これは配当というふうなことまでは行っていないと思うのですが、そういう関係はどうでございましょうか。どれくらいの利益が計上されるのか。また将来はどういうことになるか。これをちょっと最後に伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/97
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098・三好重夫
○三好参考人 政府の出資金につきましては、私どもの手元に金が入りまして、若干の日にちは寝るかもしれませんが、できるだけ早く貸し出しをいたします。貸し出しいたしますと、前貸しとしますと、やはり日歩二銭一厘の利息をかせいでおるわけで、それだけの収入が年度間を通じて入ってくるわけであります。ただいまのところ、十億の出資に相なりますれば業務経費はまかなえるという建前に相なっております。これを将来もこういう考え方のもとにやっていただくならば、私どもが使う金は地方団体の犠牲において出してもらうということなしに済むというふうに考えておるのであります。なお、お話のように政府出資だけにたよっていると、なかなかいわば査定がきびしくなって苦しくないかという、まことにありがたいお話でありますが、幸いにいたしまして政府当局におかれましても、予算の面についてはそう窮屈な無理なことをおっしゃらないので、私どもの方で少しよけい働けば、あるいは始末すればやっていけるという状況でございます。こういうふうな程度のことでやっていただけるならば、御心配いただくような懸念はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/98
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099・中井徳次郎
○中井委員 最後に借りかえの問題についてちょっと政府の意見を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/99
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100・小林與三次
○小林(與)政府委員 借りかえの問題は、きのういろいろお話がございましたが、その後私の方と大蔵省の方と協議いたしました結果、大体結論を先に申しますと、事実上借りかえの道は開ける、可能である、こういう結論に達したのでございます。その解釈の内訳の話を申し上げる必要もないと思いますが、従来公募債の許可の仕方がいろいろございまして、一つは償還期間三十年以内とかいうような形で、普通の政府資金と同じ形で許可をして、そのワク内で銀行と七年とかというような短期でやっておったのです。そういう三十年以内という形で許可をしているものは、その許可のワク内で三十年はだれでも伸ばすことは、これは当然な話だから、理屈なしにその解釈の中へ入れて差しつかえないのではないか。それからまた許可が、かりに十年とか十五年とか、特定をして許可をしておった場合に、十五年で動きがつかぬというような場合には、これは借りかえすれば、もう一ぺん許可をとるという問題が出てくると思います。そういうものは許可をすればいいのですから、われわれ自治庁の扱いで始末をつければいいわけですから、そういうことにのっとって許可をすることにして、これも公庫の方で引き受けてもらうようにしようじゃないか、解釈上はそういうことで話をつけまして、公庫に資金のゆとりがあれば、その制度を一つ活用するようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/100
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101・亀山孝一
○亀山委員 関連して。昨日もこの問題で自治庁当局及び大蔵当局にいろいろ質問を申し上げたのですが、公営企業金融公庫が創立して一年にもならないのに、非常に好成績を上げておられますことは、本日の参考人の三好理事長初め金融公庫の各位の非常な努力だと思いまして、深甚なる敬意を表します。そこでこの際一つお伺いしたいのは、昨日私は一時借入金の問題及び借りかえの問題、それから指定債の問題について御質問を申し上げたのですが、本日は三好参考人からこの公庫の資金に余裕のある場合に、コール・ローンの問額を話されました。これは非常にわれわれ参考になった問題であります。ことにこれに関連して今七分六厘の貸付利率を、大蔵当局とは言いませんけれども、おそらく政府当局といえば大蔵当局のことだと思うのですが、これをなお一厘上げるという問題についてわれわれは非常に不満の意を持つものなので、昨日もその点については大蔵省の特別金融課長でしたかにそういうことのないようにという質問をしたのでありますが、この際一つその経過について小林財政局長から、コール・ローンがどういうわけで政府当局、大蔵当局の了解を得られないのか。また大蔵当局はどういうわけで今一厘の利率引き上げ、——これは中井委員が先ほど言われたように問題にならないことだと思う。また三好理事長も言っておられるように、どうしてこういうことを考えておられるのか、われわれ納得できない。そこで一つ小林財政局長、苦しいかもしれないけれども、折衝経過における過程をはっきり御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/101
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102・小林與三次
○小林(與)政府委員 政府部内のことでありますが、お尋ねでございますから申し上げたいと思います。
利率の問題は今理事長がおっしゃいました通り、われわれは全く当りまえの話で、公庫といたされましては非常に窮屈な思いをして経営していただいておりますが、できるだけ公庫の経費は少くして利率をできるだけ安くしたい。もうわれわれは公庫と全く同じ気持であって、公庫にも非常に御無理をお願いしておるわけであります。それでございますから、そういう状況で計算をいたしますれば少くとも三十二年度につきましては当然七分六厘で十分運転がつくのでございます。これは運転がつくという事実は大蔵省もいろいろ計数上議論はやりましたけれども、向うも認めざるを得ないのでございまして、三十二年は運転がつくということはわかる。問題は三十三年度以降にそれでやっていけるか、やっていけぬか、こういう議論がいろいろございまして、これは三十三年度以降の問題になれば、お互いに見込みの問題でございますから、見込みの立てようがいろいろあろうと思います。それからさらにそれはそういう問題になれば、出資金の問題などもいろいろ背後に頭にあるかもしれません。利率を高くして出資金をふやさなくたって運転がつくではないか。こういう問題にもっていこうということもあり得ると思うのでございます。現に来年の予算を組むときに、この利率をどうきめるかというので、もう予算書ができ上る前まで大げんかが実は続いたのであります。七分六厘で予算書を組むか、あるいは七分七厘で組むか、向うは七分七厘を主張する、こちらは七分六厘を主張する、そこで一般の予算書ができてしまって、公庫の分だけがおくれて何とも因るという事態まで追い込んだこともあったのでございますが、そのときは利率の問題はあらためて協議することにして、予算書をおくらすというわけにもいかぬというので、あのとき日歩二銭一厘で前貸しをしておるから、二銭一厘をそのままころばしたところで一応話を妥協しようじゃないかというところで、予算書は実はその間をとったような形になって、今の予算書ができておるはずでございます。そこで今度本格的な問題になりまして、来年はそれは来年の問題であって、出資がどうなるか、公庫債の発行額がどうなるかということはこれはもっぱら来年の問題で、今から予測する必要は一つもない。少くとも今年度可能ならば今年度の分として利率をきめればいい、年はまた来年の実情に即してきめればいいという話であって、自治庁といたしましては当然本年度の利率は七分六厘でやって参りたい、いろいろ経緯がありましたが、私は大体そういうことで話がつくだろうと思います。また時日が正式の書類の手続は二十日までにやらなければならないので、その前にこの問題のけりをつけなかったら地方も非常に困るのでありまして、このきわめて近いうちにわれわれの考えておる、公庫も考えておられる線で、本年度の分は話はつくだろう、こういう予想を持っております。これは自治庁だけの予想でございますが、大体そういうことになろうと思います。
それからもう一つのコール・ローンの問題でございますが、これはわれわれ公庫法を立案する際にともかく公庫の資金にゆとりがあるならば、やはり有利に運転ができる道を開いておくことが、公庫の経営を合理化するゆえんでもあるし、また地方についての負担を軽減する道にもなるのでございまして、できたらそうしたい。現在の公庫法ではそれはどうにもやりようがないので、できたら法律を改正したいということでいろいろ論議折衝したのであります。ところが現在こういう政府関係の金融機関でその道を開いてあるのは普通の公庫にはございません。ただ現実に預金業務をやっておるのは中小企業金融公庫と農林漁業公庫でございますが、そのうちに金融業務をやっておるものについては、そういう可能な道が開かれておるのであります。コール・ローンはいろいろ商習慣として実際やっておりますが、制度的にもいろいろはっきりしない問題もあることはあるようでございます。要するに金融機関相互の間における一つの回し金と申しますか、融通措置と申しますか、そういうような形で発達してきておるので、公庫のように預金業務を扱っていないところに、その道を開くということはいかがなものか、ほかの公庫にも例はなし、新しい制度をこの公庫だけに認めるということについては、まだなかなか話がつかぬ、こういう形でいろいろ時間をかけたわけでございますがそういうことで話がつかなかったものですから、話のつく範囲内において公庫法を改正しようというので、その問題を後日に譲ったわけであります。私はやはり率直に申しまして、ともかく公庫の手もとに金をためておくことは公庫の希望するところでもありませんし、一日も早く地方に貸したいことは間違いないのですが、二日でも三日でも現実にゆとりがあり得る、そうすれば二日でも三日でもその間にできるだけ有利に回す道を開く、しかもそれが金融の取引上当然認められておる道ならば、開いておいた方があらゆる面から考えて、これは国自身の立場から考えたって、きっといいことだろうと思いますけれども、今日までのところはそういう事情で話がついておりませんので、また今後の折衝の問題に残したい、こういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/102
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103・亀山孝一
○亀山委員 大蔵当局は来られましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/103
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104・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 見えました。理財局の鈴木地方資金課長が来ておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/104
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105・亀山孝一
○亀山委員 まず今お話のありました公庫の貸し出し利率の問題で、七分六厘から七分七厘というこの問題は、これは先ほど三好参考人からもお話がありましたが、早急にきめるべきである。二十日と言われるけれども、これは一つわれわれ審議中に——われわれあしたと限るのもたびたびでありますけれども、これはあしたまでに何分の御返事をいただきたい。議論は尽きておると思う。われわれの希望としては、先ほど来のお話を伺って、ことに地方団体の実情から見て当然七分六厘にすべきである。もしこれが今後いろいろ変動する——金利はすべてそうです。これは来年も同じように問題になるので、むしろ法制化したらいい。はっきり法に七分六厘と入れてしまってもいいのです。しかしそれはどうかと思うから、その点はどうか明日までにはっきりとお話を願って、われわれにお示しを願いたい。
それからいま一つのコール・ローンの問題、これは今他の農林あるいは商工その他の現在これに類似する金庫の問題もありましたけれども、多少私は公営企業金融公庫はこれらのものとは性質が違う。だから他にこういう例がないということだけではどうかと思うので、この際コール・ローンについての大蔵当局の御見解を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/105
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106・鈴木喜治
○鈴木説明員 きょう御質問の点がわかりませんで、私地方資金課長が大蔵省を代表して参りましたのですが、御質問の点からいいますと、昨日こちらに見えたと思いますが銀行局の方が実はその窓口でございますが、私の知っておる限りでよろしかったらお答えしたいと思います。
最初の点でございますが、七分六厘がいいか七分七厘がいいか、お話のように非常に幅のある問題でございまして、率直に申し上げましてわれわれ大蔵省の中でも七分六厘がいいとする部局と七分七厘でなければ困るという部局とございます。実は公庫にはだいぶ御迷惑をかけましておそくなりましたが、窓口が銀行局でございますので、できるだけあした中にはきめるように私の方からも連絡しておきます。
第二点のコールの点につきましても同様窓口が銀行局でございますので、決定的な意見にならなくて恐縮でございますが、先ほど財政局長からもお話があったと思いますが、現にやっております各公庫の方でも例がございませんし、私考えますのに三日でも四日でも余裕があれば三日、四日早く地方団体に貸すというのが公庫の使命ではないかというふうに存じておりますので、将来どうしても事務的にそういう遊ばざるを得ない期間ができますればやむを得ませんが、現在のところ発足早々でもございまするし、趣旨からいいましても一日も早く地方団体に貸し付けるのが本来の使命でございますのえで、コール・ローンを考えるまでの段階に至っていないのではないかというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/106
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107・亀山孝一
○亀山委員 ただいまの地方資金課長の御説明によると、金は遊んでいるから早く出したらいいだろう、こういうことですか、その点で三好参考人に、そう言われてみればわれわれもそんな気がするし、わからないのですよ。はなはだおかしいのですけれども、その辺の実情を一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/107
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108・三好重夫
○三好参考人 私どもの方は、地方団体で借り入れの希望があり、手元に金がありますれば一日も早く貸してあげます。ただ先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、資金の調達面におきましては大体毎月平均した収入が入っておる。借り入れを希望する地方団体は必ずしもそれにマッチした希望を持ってこない。極端な場合をいいますと、大体年度末に非常にたくさん集まってくるという格好がございます。そうすると一月、二月に調達した金は寝せて三月に貸さなければならぬ。借りたくない団体に無理にお前利子を払って借りろということは言えない。——もっともないしょでは多少そういうこともはからいまして、ばからしいことにならぬようにしております。これは率直に言ってそうです。そうしなければ年度末になって一度に殺到してきて査定して貸さなければいかぬようになるから、どうしても要るなら少し早目に借りてくれぬかということを例外的に言うことがございます。ただいま大蔵省の方から御説明がありましたが、金があるならすぐ貸せと言ったって、借り手がないのですからこれは貸すわけにいかない。ここで議論して悪いのですが、逆に預金部などは貸してくれといっても貸されないのですから、まるで事柄が違うと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/108
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109・亀山孝一
○亀山委員 ああいうような御説明だと、われわれ聞いていると三好理事長の方がどうもいいような気がするのですが、大蔵当局どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/109
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110・鈴木喜治
○鈴木説明員 ほかのことをお話しして申しわけないのでございますが、先ほどの金利の点で七分六厘の案と同時に七分七厘でなければ困るという意見がありますのも、実はその点にも関連するのでございます。資金を貸して公庫に金ができましても、借りる方がすぐ続いてというか、むしろたまっていて即日に貸すような状況でない限り遊ぶ期間ができるのではないかというので、ロスを見まして七分七厘にしたらどうか。これとうらはらの話が、ちょうど公庫の理事長の方からお話がありましたように、遊ぶ期間があるともったいないからコールに出されておる、実は私どもで七分七厘というのもコールの話と同じような精神になってしまうかと思います。そこは考えようでございまして、私はそれほど遊ばせるというか、むしろ需要が殺到して困るのじゃないかというように、わきから考えましても感じておるのでございまして、現実にそういう遊ぶ期間があるということになりますれば、また別途検討しなければならぬ時期がくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/110
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111・亀山孝一
○亀山委員 私は今のあなたの御説明はちょっと変だと思うのですよ。つまり七分七厘にしろというのは遊ぶ期間が多いかもしれぬから、ますますその説が強くなるんだという御議論ですが、ほんとうのところは政府出資を少くするためにこれを主張するのではないですか。ことに今のように地方団体に貸すと利が下るのは当然なんです。実情において金が遊んでおることが定期的ではないんだから、その間はコール・ローンによって少しでも収益を上げていこう、これに関連させてコール・ローンするくらいなら利子を上げろ、利子をよう上げぬならコール・ローンはいかぬ、これは少し理屈に合わぬと私は思うんだが、あなたは主管でないからあまり責めないけれども、聞いてあまりに都合のいい御議論で、いわゆる大蔵省式議論と申し上げていいと思う。私にはわからない。だからわれわれの方から見れば、地方団体の維持のためには七分六厘という低利でいく、そのかわりこっちの方で余っておるもので、今理事長の説明されたように預金と貸し出しがマッチしないからその間コール・ローンをやって少しでも資金をかせいでおく、これが妥当じゃないですか。それをどうも天びんにかけるような御説明はわれわれ納得できないのです。あなたの所管でないから無理かもしれぬが、もう一度あなたの御見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/111
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112・鈴木喜治
○鈴木説明員 ただいま七分七厘とひっかけまして答弁いたしまして、誤解ができたかもしれないのですが、三十二年度の起債の許可から特に自治庁の方で起債の許可が非常に早くなりまして、四、五月においてはあるいは問題があるかもしれないのですが、六月以降ほとんどもう起債がきまって、需要の方といいますか、地方団体の方から借りたいという希望の方が殺到するような状況になるのが、今後通例だと思いますので、遊ばせる期間というのは事実上あまりないというように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/112
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113・亀山孝一
○亀山委員 今のはどうもおかしい。そういう見込みかもしれぬが、世の中はそうはいかぬ。その間はコール・ローンの道を開くのが当然だと思うのです。これはこれ以上追及しません。
それでこの際、昨日私が今日までに当局の回答をお願い申し上げた低利借りかえの問題は、今財政局長から説明されましたが、それで間違いありませんね。もう一ぺん念を押しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/113
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114・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/114
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115・亀山孝一
○亀山委員 それからもう一点、昨日お伺いした例の指定債の問題も、この際協議せられた結果を御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/115
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116・小林與三次
○小林(與)政府委員 指定債の問題はきのう大蔵省の当局からも説明がございましたが、要するに第一条の目的で、特に低利かつ安定した資金を必要とする地方公共団体の公営企業の地方債につき公庫が貸す、それで現実の問題といたしまして指定債を発行しておるところにおいても、指定債の消化がもう事実上できない、この条件に合致したようにできないとなれば、私はこの条件に入るものとしての解釈が成り立つ、これは大蔵省の方もそういう考え方をとっておられます。だからどんな団体でも当然になるんだということじゃなしに、それぞれの団体の実情によってこの中に当然入り得る、こういうふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/116
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117・亀山孝一
○亀山委員 それは先ほどの低利借りかえの問題とちょっと説明があれなんだが、それは大蔵、自治庁の了解、いわゆる政府の解釈としてそうなるものだと了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/117
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118・小林與三次
○小林(與)政府委員 大蔵省の課長もおられますが、そういふうに御了解願ってよかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/118
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119・亀山孝一
○亀山委員 大蔵省、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/119
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120・鈴木喜治
○鈴木説明員 いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/120
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121・亀山孝一
○亀山委員 幸いに二つの問題を解決しましたが、残る問題は一時借入金の問題です。一時借入金の問題は三好参考人もきょうるる述べられましたが、これに対しては、結局現行法ではできないのですか、あるいは現行法で今のような解釈でできますか、その点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/121
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122・小林與三次
○小林(與)政府委員 現行法では先ほど三好理事長も申されました通り、本来許可になる起債の前貸しという限度でだけは、一時借り入れを明文をもって認めております。それでございますから十九条の二項にございますが、「当該方債について地方自治法第二百五十条の規定による許可があるまでの間において特別の必要があり、かつ、当該許可があることの見込が確実であるときに限り、当該許可に係る地方債の額を限度として、資金の貸付をすることができる。」つまり前貸しのためにはそれは可能であると思います。しかしながらそれ以外の、たとえば運転資金で一時要るという場合のような一時貸付は、現行法では絶対にやれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/122
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123・亀山孝一
○亀山委員 ただいまのような公庫法の解釈について、三好参考人どういう御不便がありますか、これをもう一度お話しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/123
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124・三好重夫
○三好参考人 先ほど私意見として開陳いたしました問題の二つ、指定地方債の取扱いの問題、高利債の借りかえ資金の取扱いの点でございますが、これを私ども主張いたしますのも、全部それを必ずやらなければならぬというふうにしていただかなくともよろしい、せめて扱い得る道は開いていただきたい、同時に、それを考慮してワクを少し大きくしていただきたいというお願いをいたしておったような次第であります。従いまして解釈上やれるのだということに相なりますれば——私どももそういう主張をいたしたことがあるのでありますが、それがきまりますれば、あと残ります問題は、三十三年度において資金の余裕があれば、そういうものも扱ってやれということが、政府の方々から私どもの方に言いつけていただければ、これに越したことはありません。その点だけが問題として残るわけであります。解釈上扱い得るということになれば、それでけっこうです。ただ本年度のワクが八十四億でございますから、三十三年度、それで扱い得るかどうか、これは将来の問題でございます。しかし扱い得る場合においては、やってやったらいいじゃないかというふうに政府の方からおっしゃっていただけば、私どもの希望はまず最小限度には達成されるという次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/124
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125・亀山孝一
○亀山委員 一時借入金は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/125
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126・三好重夫
○三好参考人 一時借入金の方はおそらく法律の改正がなければこれは取り扱い得ないと思います。地方団体が現在一時借入金の問題において困りますのは、おおむね運転資金の問題です。しからざるものの多くは場合によれば、ここで申し上げると悪いのですが、起債のもぐりのようなものがあるかもしれませんけれども、そういうものには私どもの方で貸し出すわけには参らない。実際に一時借入金の性質を持っているものでなければ扱えないと思いますので、それは法律の改正を待って初めて開かれる道の問題だと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/126
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127・亀山孝一
○亀山委員 今の参考人の御意見によりまして、大蔵当局一時借入金の問題はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/127
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128・鈴木喜治
○鈴木説明員 一時借入金につきましては、現在の法律上はできないというふうに考えておりますが、同時に実態的に申しますと、現在地方団体に短期融通しております簡保及び資金運用部の金が、毎月約二百億くらいになっておりますが、たとえば運用部だけ申し上げますと、そのうち三十五、六億が運用部でございます。運用部のワクとしましては、七十億のワクで一応財務局にまかしてあるのでございますが、常に三十五、六億融通があるような状態でございまして、ただ手続上のいろんな不便その他評判の点はございますかもしれませんが、現在のところ短期融通は簡保及び資金運用部の金で十分間に合うというふうに考えておりますし、事実上われわれの運用方針から行きましても、収益事業その他公営事業につきましても、運転資金を貸せるような格好になっておりますので、特にその点について、公庫が一時貸し出しをする必要はないというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/128
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129・亀山孝一
○亀山委員 昨日もそういうふうな御答弁が資金課長からあったのですが、あまり突っ込んでも言いたくありませんけれども、財務局、財務部、財務出張所を通じて地方公共団体が起債をしあるいは一時借入金をするときのそのむずかしいことは、課長よく御存じでしょうね。これはあなた口でそうおっしゃるけれども、実に容易ならざるものです。まあ全般的な問題としては、たびたび国会で私と中井委員とよく共同戦線を張って大蔵当局に迫るのですが、実際公庫で一時借入金を容易に貸し出すような工合におやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/129
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130・鈴木喜治
○鈴木説明員 従来からいろいろ評判を聞いておりますし、私自身が地方におりまして借りる立場になったこともございますので、昨年以来特に、一つはこれは制度なり手続の問題のほかに態度の問題がございますから、態度につきましては厳重に地方に対しましても、借りる立場に立って貸すようにということをよく申しておりますし、手続につきましても来年度には、現在短期融通の要領を今案を作っておりますが、できるだけ簡素化するように努力しておりますので、御了承おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/130
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131・中井徳次郎
○中井委員 関連して。さっき大蔵省の人が見えてなかったので、二点だけ念のために聞いておきますが、一点は、鈴木君の側の方はなるべく安い方に賛成であろうと思うが、さっきのあなたの説明を聞いておると、七分七厘か七分六厘で非常にもめたその内容は全く事務的であって、なかなか金がダブついておるので遊ばせておかなければならぬ、そういう経費も考えなければいけないという、まあ公庫に対する親切な大蔵省の方の御意見のようであるが、私はどうも横から聞いておりまして、この問題はそれだけではない。はっきり言いますと、こんなことまで言うとどうかと思うのですが、指定地方債その他は八分三厘だ、三好さんのやっておるやつは七分六厘だ、あんまり開き過ぎる、どうも一般の金利の概念からいくと安過ぎる、これじゃ銀行も困るだろうというふうな、大蔵省的な見方がこの中に入っておるのじゃないか。あなたは事務的とお答えになったが、それは事務だけじゃない、そういう思想、そんな下げんでいいという思想が私はあると思うのですが、そういう点について、あなたは地方におられて苦い経験を持っていられるので、率直な意見を私はこの際聞かしていただきたい。大蔵省の地方団体に対する認識の問題にも関連するのですが、これが一つ。
それからもう一つは、今コールの問題が盛んに出ておりましたが、私は三好さんの意見とちょっと違うのです。コールまでやれるというふうな幅があるならば、一時借入金もこれは当然やってもらうのが筋だ、公庫としてはそれが筋だ。そこまで行く前に、やはり一般の府県の一時借入金の援助をやる、同じ遊ばすのならそれでやるべきである、こう考えるわけですが、この二点についての鈴木君の意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/131
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132・鈴木喜治
○鈴木説明員 どうも私大蔵省を代表できませんので、個人的な意見になりまして申しわけないのでございますが、私地方資金課長としまして、地方資金課の立場でお話申し上げますれば、当然に金融公庫としての安全を害しない限り、できるだけ低利であるべきが当然だと思いまして、率直に言いましてわれわれの意見は、七分六厘にすべきだというふうに考えておりますが、また別な立場、金融機関として安全性を強調する立場からいきますと、若干たとえば回収した金をまた貸し出す間にずれがありまして危険があるということ、それで多少大目に考えますと七分七厘という説も出て参りますので、いずれにしろ先ほどの御要望もございますし、銀行局の方に連絡いたしまして、できるだけ明日中にまとまった意見を出すように努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/132
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133・中井徳次郎
○中井委員 今の話ですが、その裏にあるものについて、これはあるいはあなたじゃ返事ができないかと思いますが、どうでしょうかね。もう少し率直に言っていただけませんか。大いに努力するというのもまあ努力だろうけれども、あしたじゅうに返事をいただけますか、その点重ねて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/133
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134・三好重夫
○三好参考人 よけいなことのようですけれども、中井さんのお話がございましたので……。私の言葉が足りませんで、もし誤解があるといけないと思いまして、一言つけ加えさしていただきたいと思います。私どもはコールをぜひやりたい、こういうのではございませんので、手元に資金が遊んでおるときに、みすみす——私どもの努力で一銭でも実はよけいにしたいのです。それが二銭、三銭に回るのならば回したい、こういうふうに思いますので、事態のいかんによってそういう道が開かれてさえおれば、そういうことができる。従って一時借入金の問題も同じでございますが、一時借入金の貸付をやらしていただくということになれば、さらに私どもの方の借入金の問題ともからんで起ってくるのじゃないかと思うのであります。裏づけとして私どもの方の借入金という問題も起ってくると思いますが、いずれにしても資金のあるときに、みすみす寝せておかないで、そういう活用の方法があるならば、活用し得るような道を開いておいていただきたい、こういうのが念願なのでございます。なおここで大へんおせじを言うようで悪いのでありますが、私どもの方の問題の折衝に当りまして、大蔵省ではここにおられる鈴木さんが一等理解者であります。これは鈴木さんの御経歴が地方におられました関係と、お取り扱いになっておる仕事が地方団体を対象にされておる仕事が大きい部分を占めておる関係かと思うのでありまして、その点は、私、口が悪いものでありますから、悪口を申しますけれども、どうぞ一つ御了解を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/134
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135・亀山孝一
○亀山委員 今、中井委員からも適切な話があり、三好参考人からもそれに対する御説明がありましたが、伺えば鈴木課長は非常に理解がある、どうか一つなお一そうこの方面に御努力願いたいと思います。
最後に私伺いたいと思いますことは、一体公営企業金融公庫は将来どういうような出資金なりあるいは地方債の引き受けに対して理想を持っておられるか、計画を持っておられるか、その点もしお漏らし願えればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/135
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136・三好重夫
○三好参考人 私どもは、与えられた仕事としてこういう仕事をやらしておっていただくのでありますから、その立場からのみ先ほど来希望なり意見なりを申し述べました。それを要約いたしますれば、要するに私どもの貸し出しの範囲を広げていただきたい、できるだけ地方へのサービス面を広くしていただきたいということに尽きるのでございますが、公庫自体の立場を多少離れて将来の大きい理想として考えますならば、また今日までの経験をもとにして申し上げますならば、将来においては、今すぐというわけにもいかぬと思いますが、私どものような仕事を、ひとり公営企業の範囲にとどまらずして、一般会計までも包括した機関にしていただくべきじゃないかということが一つ、同時に、これは鈴木さんに非常に悪いのでありますが、他の公庫においては政府資金は一括して公庫に出されまして、公庫が個々の貸し出しに当っておるのであります。ひとり地方団体に対する関係におきましてのみ、政府資金が個々の団体に政府から直接に貸し出される、これは私のように地方自治に多年関係さしていただきました者の目から見ますれば、大蔵省がお取り扱いになることは、地方自治の監督に類する危険がございますから、地方自治の立場からいうならば、他の公庫並みに一括して——新しい私どもの公庫と違った性格の公庫に政府資金をお貸し出しになる、個々の団体に対する貸し出しはその公庫が当る、こういうふうにされるのが理想じゃないか。地方自治という広い立場から考えれば、そういうふうに私どもの仕事を通じて考えるのであります。ただしこれは、私が公庫の理事長として、今の公庫をそういうふうにしてもらいたいという意味合いで申し上げるのではございません。御参考になるかと思いまして、そういうことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/136
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137・北山愛郎
○北山委員 三好さん相変らず練達なところを見せていただきまして——まとめてお伺いするのですが、ただいまの質問に関連をいたしますが、公庫の資金の調達でありますが、これは今貸付の利子を七分六厘あるいは七厘というようなお話がありましたが、かりに七分五厘というものを、現在における理想とするならば、政府出資をどの程度にしたらいいか、公庫としてはどの程度の政府出資を希望しておるか、ただいまの三好さんのお話とも関連いたしますが、五十億あればいいのか、百億あればいいのか、そういう点。
それから三十三年度の資金の計画は七十億で、そのうち縁故の分が三十億ということでありますが、それは一体どういうところから期待しておるのか。今までば縁故募集というのは一体どういうころからとったのか。これは、当然考えられるのは、例の恩給組合の積立金ああいうものがたしか二百億ぐらいあるはずです。これがそれぞれ府県の組合で金融機関に預けてある。でき得るならば、地方団体の金でありますから、地方団体の経費に運用されるのが適当だと思うのですが、本年の三十億はどういう考え方で、どういう方面から期待しているのか、またその恩給組合、共済組合等の資金を掘り出すということになれば、そういう縁故募集というのはどの程度に期待ができるのか、今までおやりになった経験を通じてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/137
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138・三好重夫
○三好参考人 第一点につきましては、ちょっと計算しまして申し上げます。お許しを願います。
それから縁故募集の問題でございますが、本年度三十億という縁故募集になりましたのは、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、当初国会で議決せられました当時の御計画は、縁故募集二十億であった。いろいろな経緯から十億円というものが公募の方から縁故に回されまして三十億に増額された。消化についてなみなみならぬ努力を要する次第であります。その消化先は大ざっぱに申しますと、八億余りが恩給組合、三十億の半額以上が府県でありまして、その残りが市その他の市関係の団体、かような数字に相なっております。それで将来どの程度にいくであろうかという問題でございますが、今後の地方財政状況によることでございますけれども、本年度三十億という数字を、三十三年度において期待することは無理であろう、大体二十億程度は明年度においてもやる気でやればいくのではないか、かように思うのであります。なお私の方は、正直に申し上げますと、縁故募集に多少の執着を持っております。と申しますことは、御承知のように公庫に対しては政府出資のみでございまして、地方団体の出資がございません。貸付を受ける団体のみが利害関係を持っておるのが現状でございます。私どもは、これは地方団体の共同の地方債の消化機関、その意味において地方団体にサービスしなければならぬという考えで運営いたしておりますが、その見地からいたしますと、出資にかえてできるだけ地方団体が私どもの債券を持っていただくということが、この運営に関心を持っていただくゆえんじゃないかというふうに考えまして、できるだけそういうものがあることを期待いたしております。明年はおそらく八十億全額公募になると思いますが、そのうちでできるだけ地方団体においても公募されたものを買い取っていただく、引き受けていただくというふうに計らいたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/138
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139・北山愛郎
○北山委員 ただいま申した恩給組合の積み立て、これは相当額があるわけです。どのくらい現在あるか自治庁の方からお伺いしたいのですが、その金がどういう形で運用されておるか、地方銀行に預金されておるものもあると思うのです。しかし地方から中央の、たとえば勧銀、開銀等の中央銀行に預金されて、それが中央の資金となって運用されている面も多いのじゃないか。そうしますと、本来地方団体の金であり、また毎年々々恩給組合の負担金として市町村等の予算から出されておる金ですから、これをよその方に回してしまう、とられてしまうということは損じゃないか、こういうふうに思いますので、公庫の努力もさることながら、自治庁当局が号令を一つかけてもらえば、恩給組合などの金は相当に公庫の資金となって運用できるのじゃないか、こう思うのですが、小林さんはどのようなお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/139
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140・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは仰せの通りでございまして、恩給組合だけでございませんで、いろいろな火災共済とか、あるいは共済組合とか、府県にも市にも町村にも、それぞれ類似の団体があるのでありまして、われわれといたしましては、その資金はできるだけ地元に還元をして活用したい、こういう考えを持っております。実際のその資金の貸付の状況は、ちょと今資料がございませんが、これは千差万別でありまして、地元銀行にも入れておりますが、必ずしも地元銀行だけではなく、中央銀行の勧銀とか、そういう大銀行にも行っておると思います。あるいは投資信託のような形で持っておるものも相当あろうと思います。これは今いろいろな形になっておりますが、これもまたそれぞれの団体の運用の問題があって、できるだけ高利にという気持が一面においてあるのも事実でありまして、われわれといたしましても、その要求はできるだけ満たしてやる必要はあろうと思います。しかしながら公庫の債券もむしろ有利な債券の一つでございます。共同の機関でございますから、われわれといたしましてもできるだけそちらへ流すように考えたいと思います。そこで結局もとは公庫の発行限度額を、むしろどうするかということに帰着するのでございまして、わずか七十億か八十億の程度では——先ほどいろいろ指定債の問題とか、借りかえ債の問題とか、一時貸付の問題とか出ましたけれども、率直に申しまして、この発行限度額の程度ではなかなかこれは役に立たない。だからそもそも発行限度額そのものをもう少し大きくして、そしてその資金源として、今仰せのようなものと、もう少しリンクを考える。それからまた一般における市中公募ももちろん考える。そういうことで総合的に考えていかなければいかぬのでございまして、もともと去年作ったときには、こんな公庫債の消化ができるかというような議論もあって、今七十億になったのですが、実際はもう十分に消化してまだ余力がある、こういう情勢でございますので、そこらのワクの問題とのからみ合いで、われわれも一つぜひ考えたい、今仰せになった趣旨は全く同感で、そういうところに道をつけたいというので、去年も縁故のワクを最後にこっちへ回すというような仕組みも考えたわけでございます。これは公庫の方とも連絡をとりながら、自治庁といたしましても、道だけはつけつつ行きたい、目標はもう少し公庫のワクをふやして資金を百パーセント活用できるような態勢にできるだけ持っていきたいというのが、われわれの念願でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/140
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141・北山愛郎
○北山委員 この点は今小林さんのお話の通りで、私どもは昨年できたときには、ワクを消化し切れないのじゃないかというような心配を持っておったのですが、なかなか公庫の当局者というのが練達の士ばかりで、ワクを十分に消化して、なお拡大してもいいという実態を聞きまして、非常にうれしく思うのです。今お話しになったような線でワクをふやし、また資金源をそういう方面に拡大するということで進んでいただきたいと思います。地方団体の関係の資金が集中的に公庫に集まるということになれば、たとい三好さんのお話のように天下を押えるわけには行かなくとも、重要な地方団体関係の金融機関になり得ると思う。
なおこの際お伺いしておきたいのは、三十二年度の財政投融資の地方債の繰り延べの分五十八億、これの解除の点はどうなっておるのか、全部話がついたのか、幸い資金課長がおられますので、この五十八億の解除についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/141
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142・小林與三次
○小林(與)政府委員 これはもう百パーセント話がついて、許可の手続を進めつつあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/142
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143・三好重夫
○三好参考人 先ほど北山さんのお尋ねのございました、七分六厘で貸すべきものを七分五厘で貸したとすれば、政府出資がどのくらいあればカバーできるかというお話でございますが、結局ワクの問題に関係がございまして、七十億ないし八十億の現在のべースにおいて考えますれば、一カ年一億もあればカバーできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/143
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144・北山愛郎
○北山委員 今の数字はちょっと納得しかねるのですが、資金課長の方にもう一点お伺いしたいのは、今年の地方団体が政府資金関係に償還する元利償還ですね、それは一般会計で八百二十八億、公営企業等ではどのくらいの元利償還が資金運用部ないし簡保等に償還されるか、この金額を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/144
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145・鈴木喜治
○鈴木説明員 資料を持って参りませんので、今お答えできませんが、別途他の機会に申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/145
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146・北山愛郎
○北山委員 実はこの前この委員会でお伺いしたのですが、八百二十八億の大部分は政府資金関係なんですね。百億引いても七百億以上は政府資金に返されていく元利償還なんです。それ以外に公営企業等の関係があったということになると、今年は貸付、起債のワク、地方債の計画から見ると、一般会計がわずかに四百五十億ですよ。それから公営企業が三百四十億ですか、全部で八百五十億ですから、地方団体から返される分だけ貸しておる、あるいはそれよりも貸す方が少いかもしれません。そういたしますと、郵便貯金とか簡易保険で集まる金、そういう原資は地方団体の方には返らない、地方債としてではなく、別の方の財政投融資の方に全部回っていく、そういう格好になって、はなはだおかしいのじゃないかと思うのでお伺いするのであります。もし資料が今なければ、一つ別の機会においでを願って、資料を持ってきていただいてお伺いしたいと思います。
それから先ほどの借りかえ債のことで大へんわかったようですが、私はわからないので聞きますが、地方債の借りかえ債というのは、毎年の地方債のワクの中で借りかえ債を認めるというのですか。ワク外で認めるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/146
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147・小林與三次
○小林(與)政府委員 この借りかえ債は、先ほど概略を申し上げたので、公庫としましては公庫の資金のワク内で考えるということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/147
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148・北山愛郎
○北山委員 やはり全体としては地方債のワク内でしか認められない、こういうことになるんじゃないですか。ワク外でも認めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/148
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149・小林與三次
○小林(與)政府委員 私の申しましたのは、財政計画の地方債計画の上におきましては、借りかえはワク外でやっております。しかし公庫は公庫の債券発行限度額の中でしか、資金のゆとりのある中でしか行えない、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/149
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150・北山愛郎
○北山委員 すると、地方債計画のワク外で低利借りかえはできるというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/150
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151・小林與三次
○小林(與)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/151
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152・北山愛郎
○北山委員 それは無制限にできますか。高利債を低利に借りかえるという場合に、地方債のワク外で原則的に全面的に認められるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/152
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153・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは全面的に、むしろできるだけ、それを極力慫慂いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/153
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154・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 ほかに御質疑ありませんか。御質疑がなければ、これにて三好参考人よりの意見の聴取を終ることにいたします。
一言ごあいさつを申し上げます。三好参考人には、長時間にわたりまして有益な御意見を述べていただきまして、ありがとうございました。御意見は本案審査の上に多大の参考になるものと存じまして、厚く御礼を申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X01519580312/154
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