1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十五日(火曜日)
午前十一時四十五分開議
出席委員
委員長 矢尾喜三郎君
理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君
理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 加藤 精三君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
楠美 省吾君 松澤 雄藏君
井岡 大治君 今村 等君
大矢 省三君 加賀田 進君
北山 愛郎君 芳賀 貢君
門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 郡 祐一君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
農林事務官
(林野庁林政部
長) 戸嶋 芳雄君
専 門 員 圓地興四松君
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三月二十五日
委員伊藤卯四郎君辞任につき、その補欠として
柳田秀一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員柳田秀一君辞任につき、その補欠として芳
賀貢君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九九号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一○五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/0
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001・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によってこれを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 委員長に申し上げますが、実は農林委員会において地方税法の一部改正案に関して、当委員会に連合審査の申し入れを行なっております。当委員会におきましても先般連合審査申し入れを受けるという決議が行われたように私は了承しておりますが、いろいろな都合で連合審査を行われないということになりましたので、今日はかわって質問をするわけであります。そういう関係で、すでに当委員会において同僚委員各位が数次にわたって質疑を行われたと思うわけでありますが、主として地方税法の改正の中における木材引取税の改正について、政府並びに政府委員に質問を行いたいと思うわけであります。まず自治庁長官にお尋ねしますが、昨年度において木材引取税は従前の五%より四%に引き下げが行われたわけであります。一年もたたない今日、再びそれを半減するような税率の引き下げが政府の改正案に出て参ったわけでありますが、その主たる理由を、この際御説明願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/2
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003・郡祐一
○郡国務大臣 木材引取税は、御承知のようにこれが実施されまして市町村の税となりましてから、あまり時期もたっておりません。従いましてその間徴収成績を必ずしもあげておりません。ことにこれは特別徴収義務者の力を非常に借りなければならぬのでございますが、特別徴収義務者との間をもっと円滑にいたす必要がある。それで今までもしばしば努力をいたして参りましたが、ことに林野当局と今後は絶対に完全な協力をいたすということ、またこの点も林野当局の協力を得なければ十分いかぬことでありますけれども、価格が従来に比べまして——一応二十九年で価格をきめておりますが、このときに比べてかなりな値上りをいたしております。その値上りの状況によりまして価格をきめる、従量価格の場合にも石当りの価格等をそのようにきめて参る、それから民有林等についても同じような手配をして参る、このようなことにいたしますならば、とかく紛議の起っておりましたこの税というものが、従来のような紛争を避けながら正確な把握をして徴収していくことができる、このような見当がつきましたので、それで歳入にさしたる異同がなく税率を引き下げることが可能だ、こういう考え方で税率の引き下げをいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 今の説明によりますと、従来の木引税はたとえば納税者に対して税が過重であるからこれを軽減するということでなくて、ただ単に、今日までの実情から見ると、税の捕捉が非常に困難であった、それで税率を思い切って引き下げることによって全国的な適正化が行われるということになれば、ただ税の捕捉を容易にするために、税率を低減することによってこれが的確性を増すことになる、そういう意図だけで引き下げを行うわけなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/4
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005・郡祐一
○郡国務大臣 これは御承知のように北海道、東北では従来もかなりよく捕捉できておったのであります。ところがそれ以外の地方においては、捕捉ができずに、むしろその都度町村当局との間に、とかくいざこざができる場合が多いのでありまして、これは決して他の習熟した税に比べて円滑な徴収ができているとは私は申せないと思います。従いましてこうした価格と税率とをにらみ合せまして、もとが適正なる価格が捕えられていないということは、まことに遺憾なのであります。そのような意味合いにおいて、価格を適正にするという点を主に考えましたならば、税率の引き下げということは私は可能だ、こういう判断に出たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 価格の適正な捕捉なんですが、これは私の記憶では、昭和二十九年に自治庁の通達をもって全国に指示価格というものを示して、これによって適正な運営をすべきであるということが、通達によって行われておるわけなんです。これはどういうような推移において、現地において実施されておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/6
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007・郡祐一
○郡国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、昭和二十九年の価格の大体二割以上の価格の増が、現実に見込まれております。それが正しい価格なのであります。さらにこれは御承知のように、市町村間の不均衡というものが、きわめて目立つ税であります。それの是正というようなことを考えて、このように措置をとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 特に指示価格を示すと同時に、木材引取税に対しては、指示された価格を尊重して、そうして基準財政収入の見積りを完全にやらなければいかぬ、これに疎漏があったり、怠った場合においては、財政法等の定めるところに従って、指導官庁としては、今後相当きびしい態度で臨む、こういうことが明確に通達されておるわけですね。ですから、町村財政の確立のために、熱意を持ってこの税の確保を行おうとすれば、必ずしも木引税だけが把握が困難であるということはないと思うのです。しかも一方においては、特別徴収義務者というものは、主として林野庁当局の条例によって指定しておるわけなんですが、自治庁とたとえば林野当局の、政府機関部内における協力というものは、これは当然期待が持てたんじゃないかと思うのです。どういうわけで、政府の機関の内部において、そういう協力態勢ができなかったか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/8
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009・郡祐一
○郡国務大臣 この点は、従来もおっしゃる通り政府部内において努力はいたしておりました。しかし、見まして遺憾の点が、率直に申してございました。何と申しましても、特別徴収義務者の方が——そうでなくても、特別徴収義務者を通します税というものは取りにくい場合がございます。しかしこれは御指摘のように、相手が官庁なんであります。それは十分努力いたせば、改善することが可能な種類のものでございます。従いまして、このたびは私も事務当局を督励いたしまして、かなりきびしく林野庁当局に要求をいたしまして、そうしてこのたびのような——これは事実両者の間にかなりこまかくいろいろな相談をきめまして、そうして正確に把握できる、こういう状態になりましたので、先ほど申し上げましたような、今度は十分指示価格も改めて、そうして正しい土台を押えるというようなめどがついたわけであります。率直に申せば、あるいは従来の特別徴収義務者等の協力において、やや不完全なところがあったかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 その点、税率が下れば捕捉が容易だという点は、いかがですか、どうも理由が薄弱だと思うのです。今までは税率が高過ぎたから捕捉が困難であって、今回の改正によって税率が半減すれば、捕捉が容易であるというのは、その根拠がちょっと理解に苦しむのです。どういう点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/10
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011・郡祐一
○郡国務大臣 それは今までの価格の捕捉というものが十分でなかった。これがいけない。完全なはずであった、また完全でなければならないはずでございます。これが何といっても十分ではなかった。それでありますから、実際申して、特別徴収をしなかった営林署もあるのであります。その事実をとらえて、率を下げたから価格がはっきり押えられたのじゃなくて、価格をはっきり押える措置を講じまして、そうして率を下げた、こういう経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 たとえば特別徴収義務者の場合、全国三百三十六の営林署のうち、条例で特別徴収義務者に指定された営林署は、わずかに二百一しかない。あとの百三十五の営林署は特別徴収義務者に指定されていないのですか、市町村自身が条例で、特別徴収義勝者として営林署を指定しなかったのは、営林署が指定されることをがえんじなかったのか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/12
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013・郡祐一
○郡国務大臣 その点は営林署ががえんじないのでございます。承知をしなかったのでございます。しかし、特別徴収義務者に営林署を指定しなければ取りにくい税金なので、今度は条例できめて、全部営林署を指定するということは、林野庁との間に約束をいたしました。お話のような点は、三十三年度から解決されることに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 この点は、立木処分の一年間の全体の数量から見ると、国有林が扱っている数量は、民有林に比べて四分の一ぐらいしかないのですよ。長官は、国有林関係の直営生産あるいは立木処分の特別徴収義務者として営林者の協力が求められなかったので、今回の改正の挙に出たということなんですが、全体の数量から見ると、むしろ民有林の関係の方が、はるかに総体の生産石数が多いわけです。たとえば昭和三十二年度の計画から言いますと、全国で一億四千五百十万石の生産数量があるわけなんですが、そのうち、民有林と推定されるものは一億一千二百五十万石、あとの三千二百万石程度が国有林関係ということになるのです。しかも徴税率の場合は、国有林の中の直営生産の場合には、大体一〇〇%の捕捉が行われておるわけです。それから国有林の立木処分の場合には、大体七二%程度、民有林の場合には、わずかに五六%という低い数字になっておるわけです。これを考えた場合において、林野庁関係当局の協力が得られれば、これがすべて解決するということにはならないと思うわけです。当然対象は、国有林といわず、あるいは民有林といわず、すべてが課税客体になるわけですから、それが非常に不的確、不均衡であるというところに問題が非常に多いと思う。こういう是正については、一体今後どういうことでこれが行われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/14
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015・郡祐一
○郡国務大臣 おっしゃる通り民有林の方がむずかしいのであります。これにつきまして、従来市町村がずいぶん苦労をいたしております。それから土地々々によって、かなりよくできておるところもございますが、また全国を見ますと、市町村の努力が必ずしも十分でないところがあります。この点につきましては、林野庁が十分協力し得る態勢をとっております。しかし、私どもも、予算を組みます際にも、民有林についてはなかなかひまがかかるなという見込みは持ちますけれども、林野庁に十分協力させる態勢は、従来に比べては格段にとれるような状態に相なっておると思います。従いまして、国有林についての問題が解決すれば、次の努力は民有林に向けて参るべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 これは委員長にもお願いしますが、国有林関係については、林野庁長官に出席してもらいたいと思うわけです。
それで長官にお尋ねいたしますが、今回の税率半減によって、なおかつ従来の大体二十億の木引税の確保ができる。ですから、税率が半減しても、従前と同じような税額の確保ができるというところに、了承しがたい点がある。ただ特に北海道に一例をあげると、北海道の場合には最高税率を限界まで課税しておるわけです。標準の四%ではなくて、五%の最高税率まで確保して、市町村の財政の健全化に十分な努力をしておるわけです。今度はこれが二%に下り、あるいは最高限度三%でありまするが、これが半減した場合においては、直ちに北海道においては二億五千万円程度の減収というものが現われてくるわけなんです。そういう激減があって、内地府県においては、それに見合うだけの増収があるから、二十億ということになると思うのですが、今まで十分なる税の把握に努めた地方団体に対して、極端に税収面において欠陥の生ずるところに対しては、木引の改正の規定は今年七月一日からということに改正案では予定されておるのですが、当年度の場合には、これに対してどうするか、今後恒久的にこの大きな財政欠陥に対して、地方財政を守る自治庁の立場において、将来の問題としてこの財源確保に対してはどういうような配慮をし、地方団体に対して将来の安心感を与えるという見通しがあるか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/16
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017・郡祐一
○郡国務大臣 税率を引き下げまして、そして予算に予定しておりまするような歳入を得ますことは政府委員から数字について申し上げることにいたしまするが、実例といたしまして昨年も一%引き下げた。ところが九州地方は二倍の収入になっております。これはややルーズな従来の徴収等につきまして是正をいたした点もあるのでございます。しかし北海道、東北が確かに適正な徴収をいたしておりまするが、また歳入の激変を生ずるおそれがありますることは仰せの通りであります。それにつきましてはすべての税についてそのような処置をとるわけでございます。さしあたり特別交付税を考え、また山村を対象にしました自主財源を強化するということにつきましては、今後この国会に引き続きまして政府としましては国、地方を通じて十分検討をいたすことにしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 具体的な内容なんですが、本年度の場合は長官は、この木引税の引き上げをする場合は、その結果については特別交付税でみますということを、すでに言明しておるわけです。ですけれども当年度分について極端な税収の変化が生ずるのですから、これは特別交付税等によってこれを補てんすることは当然であるとしても、明年度以降にこのような改正案が成立した場合は、自主財源がそれだけ極端に減るわけですから、特に山村において林野に依存したような経済基盤の上に立った市町村の場合には、取り返しのつかない財源の欠陥に対しては、これは恒久的な政府の対策とかいうものの明確な裏づけができなければ、今後安心して町村財政の運営をやることはできないと思うのです。特に現在各関係市町村の予算の編成、審議の過程においても、この問題は非常に大きな問題として取り上げられておると思うわけです。ですから今年度の場合の分とそれから将来においてはこれをいかように扱っていくかという点を明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/18
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019・郡祐一
○郡国務大臣 お答えいたします。明後年以降につきましても、激変のありまする場合につきましては、当然これを特交で補てんいたすことに相なります。しかしただいまも申しました通り、山村の自主財源については、私は特に大きい問題として税財政の改革について考えてみたいと思います。
ちょっと芳賀さん、私失礼しまして、すぐ帰って参りますから先ほどの御答弁を政府委員から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 それでは政府委員にお尋ねしますが、結局木引税の引き下げを行うのは、これは私の判断では自治庁の意思ではなかったと思うのです。それは昨年度すでに一%引き下げを行なって、特に地方団体に対してはこの木引税の確保に対しては従前と違った態度で臨まなければいかぬというような強い指導を加えておいて、そして今日またそれを半減させるなんということは、これはあまりにも無定見だと思う。ですからこれは自治庁の意思ではないというならわかるのですが、どういう方面からこういう改正をしなければならなかったかという客観的な事情を、一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/20
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021・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税の問題につきましては、数年来廃止運動、存置運動いろいろございまして、かなり混乱した状態に置かれておったわけでございます。このような事情から昨年木材引取税の税率を一%引き下げまして、その半面適正課税を行うことによって減収を生じないようにしよう、こう考えたわけであります。ところがその措置をとりました結果は、税率が一%引き下げられましたにもかかわりませず、石当りの税額が二倍以上になるような地域が生じて参ったわけであります。適正課税をやっていただいておりまする北海道の市町村から見ましたら、おそらく想像もできないことだろうと思うのでございます。そういうような事態が出て参りましたので、一そう混乱が起って参りまして、むしろ税率をもっと下げても現在の税収を確保できるのではないか、また市町村間の課税の均衡をはかることが、この税を安定した状態に置くゆえんではないか、こういうような考え方が出て参ったわけであります。そういうようなところから、現在全国的に見て確保されている税収を維持していくのには、どの程度の税率でよろしいか、こういうような検討に入って参ったわけでございまして、そういうようなところから二%の税率で現在の税収を確保できるのではないか、しかし市町村問にそういうような措置をとった場合は収入に激変を生ずる団体もありますので、そういう団体については特別な措置をとることにして、この際税率を一挙に二%に引き下げて、いろいろのいざこざを絶滅させた方がよろしいんじゃないかこういう総合的な判断の結果が今回の措置になったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 前段の大衆運動が行われて、そうしてそういう力も加わってというようなお話なんですが、木材引取税の納税者は、言うところの大衆じゃないのです。市町村においてもこの納税者というものが果してどの程度を占めているかというと、特定の業者なんです。立木を所有したり生産するものが義務者じゃないのですから、特定の業者ということにしかならぬと思うのです。これの全国的な組織は御承知の通り全木連という組織があってこの組織は全国的な木材業者の結集をはかる一つのスローガンとして、木材引取税の全廃と木材運賃の引き下げというものを掲げて、今日まで運動を続けてきておるわけです。ですから大衆運動と言われるのはおそらく全木連が中心になって、これが圧力団体となって、政府当局に対してこの木材引取税の税率引き下げをやる運動をし、さらに明年度は全廃してくれというような、そういう強い運動が持続されておる。ですからおそらくそういう業界の圧力に屈して、不本意ながら税の改正をやらなければならなかったというふうに、一般国民は理解しているのです。その解釈は間違いないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/22
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023・奧野誠亮
○奧野政府委員 私は大衆運動と言ったんじゃなくて、廃止運動と言いましたのをお聞き違いになったんじゃないかと思います。
なお今回の措置は、木材引取税の廃止運動の廃止にくみしているわけじゃありませんで、この税を安定したものにして、将来とも山村においてこういう形による税収入を確保できるような態勢を確立したい、こういう考え方に基いておるものでございますので、その点は御了解願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 それから少し具体的な問題になりますが、この税の納税者の実態はどうなんですか。たとえば国有林の立木の払い下げ等をやる場合、その払い下げ価格の算定というものはどうなっておるかということは御承知と思うのです。これは今日国有林の払い下げの場合は、払い下げ予定価格をきめる場合は、木引税に相当する部分をそれだけ控除して、そうして払い下げを行なっておる。特に特売と称して指名入札等については、もうすでに国が実質的には木引税を負担するという建前の上に立って、木材の払い下げを行なっておるわけですね。公入札の場合にはそういうことを予定価格に見積っても、それ以上に高く払い下げが行われる場合はこれは別ですが、特定のしかも巨大な資本を持ったそういう業者ほど、国に実質的には木引税を負担させて、みずからは何ら負担しておらぬというのが実態なんですね。ですからそういうことを考えた場合に、単に木引税を下げるということが業者に対する税の軽減のみにはならないということは、大体御承知と思いますがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/24
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025・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税がどう転化して参りますかということは、私たちやはり経済の実勢いかんによることだと思っておるのであります。立木の所有者の負担に逆転していくか、あるいは木材の所有者に前転していくか、これはやはり木材価格の実勢によることではなかろうかと思っておるのでありまして、木材引取税の軽減そのままが素材業者の負担の軽減になるんだというようにも思っていないわけであります。一般的にはそう考えてよろしいと思いますが、やはり究極的には経済の実勢によって前転したり逆転したりするものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/25
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026・芳賀貢
○芳賀委員 一般の取引はそうなんです。木材価格の変化に伴って取引を行う場合において、それが立木の所有者に転嫁されて取引される場合もあるし、いろいろあると思うんです。しかし前段に私が言った、国の財産である国有林の払い下げを行う場合には、払い下げ予定価格の中からこの木引税に相当するものは差し引いた価格で業者に払い下げを行なっておるということを私は指摘したのです。この事実は御存じですかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/26
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027・奧野誠亮
○奧野政府委員 そういう話も話としては聞いておるわけでございます。林野庁がどういうような形式をとって処分されたか、さほど突っ込んでは別に調査はいたしておらぬわけであります。話としてはいろいろ伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/27
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028・芳賀貢
○芳賀委員 そういう点は十分勉強してもらわぬと困るんですね、あなたたちは同じ政府の機関に籍を置いているんですから。実態はそうなんですよ。ですからこれを半減した場合、減額された分は、結局国の収入がそれだけ減らなくて済むということに一面にはなるわけです。ですからそういう厳然たる例が一方においてあるのですから、これは改正案が強行されて成立して、従来の市町村の税収がそれだけ減ったという場合においては、やはりその分は国の責任において相当将来にわたって恒久的にこれをカバーしてやるというような責任というものは一方において生まれてくると思うわけなんです。この点は関係市町村においては非常に心配しておる点なんです。ですからこの点に対しては、具体的に事務当局としてどのような措置を講じて、この税の実績の激減する市町村に対して安心感を与えるお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/28
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029・奧野誠亮
○奧野政府委員 申し上げるまでもなく、個々の市町村が適正な行政を運営して参りますように、財政的措置を講じていかなければならないと思います。このたびの木材引取税の改正によりまして収入が激減する団体がございますので、これにつきましては激減緩和の措置を特別交付税制度をもってとって参りたいと考えておるわけであります。しかし基本的には御承知のように地方交付税制度を通じまして、必要最小限度の財源は各地方団体を通じて維持していくという建前をとっておるわけでございますので、恒久的にはこの制度を通じて、個々の団体に必要な財源を確保する、こういうことになるのではなかろうかと思います。ただ改正をいたしました場合には、いろいろと激減を生じますので、その激減緩和を特別交付税制度をもって講じていくということにならざるを得ないと思います。
なお大臣もお話ございましたように、山村でありますと、とかく自主財源がない、木材引取税によって、比較的そういう欠陥が補てんされておったと思うのでございまして、なおそれ以外に適当な方法がないかどうかということを考究していきたいのだ、こういうことが先ほど大臣のお話であったように、私承知いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/29
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030・芳賀貢
○芳賀委員 自治庁から木引税の税率引き下げに伴う特別交付税の交付措置の見解が発表になっておるのですが、これは「木材引取税の税率の引下げに伴い、課税の適正化を図るも、なお従前に比し減収が生ずると認められる市町村については、差当り昭和三十三年度において、同年度分の木材引取税に係る基準財政収入額を基確として算定した税収入見込額が前年度の木材引取税の収入済額に満たない市町村に対して、当該満たない額を特別交付税として当該市町村に交付する。」これは自治庁から出された発表だと思いますが、この内容には相違ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/30
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031・奧野誠亮
○奧野政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/31
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032・芳賀貢
○芳賀委員 これは昭和三十三年度に適用するという意味ですか、三十四年度以降においても、極端に自主財源の乏しい町村であって、非常に木材引取税が前年実績に比べて激減しておる町村に対しては、これを適用するというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/32
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033・奧野誠亮
○奧野政府委員 激減緩和の措置でありますので、三年程度の間考えたらよろしいのではないかというようなことを、税務局と財政局との間で話しておるわけでありまして、次年度は初年度に考えた程度の半分くらいにする、三年度にはさらにその半分くらいにするというようなことで、激減緩和の措置を講じたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/33
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034・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、これは必ずしも本年度に限るというのではないのですね。——そこでお伺いしたいのは、特別交付税の目的と精神は、こういう場合に当てはまると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/34
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035・奧野誠亮
○奧野政府委員 当てはまると考えております。また従来制度改正を行います場合には、こういう措置をとることを例といたして参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/35
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036・芳賀貢
○芳賀委員 恒久的な具体策については、いずれまた長官が出席されてからお尋ねしますが、さしあたり二%に税率が下った場合、なお二十億の差額ができるというその数字上の根拠、これは何かはっきりしたものをお持ちになってやられると思うのですが、その点内容を具体的に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/36
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037・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、従量課税を行なっておりますところにおきまして、その価格をかなり低いものに基礎を置いております結果、税率は高くても税収入は少いというような団体がかなり多いわけであります。そういう点につきましては、税率引き下げの機会に、全般的に思い切った適正課税をやっていきたい、同時に課税客体の捕捉につきましても、林野庁その他の協力を得まして、従来よりも一そう的確な方向に進みたい、かように考えておるわけであります。二%の税率によりましても大体現在確保されておる程度の収入が上げ得るものといたしております計算の基礎は、課税客体の総額を先ほど芳賀さんがおっしゃいました一億四千五百万石ではございませんで、一億一千百万石という数字を使っております。一億四千五百万石という数字は消費面から捕捉された数字というふうに考えております。生産面から捕捉されます数字は一億一千百万石と承知しております。そのうち国有林の直営生産分が千九百七十八万六千石、立木のままで売り払います部分が千二百八十三万三千石、民有林が七千九百万石、かように見ておるわけであります。直営生産の分につきましては一〇〇%捕捉ができる、立木のままで売り払います部分は、捕捉は九〇%、こう見ておるわけであります。民有林材につきましては今年はやはり七五%程度の捕捉にとどまるが、三十四年度以降は八五%まで捕捉できるだろう、こういう見方をいたしております。同時に石当りの価格につきましては、先ほどお話のございました昭和二十九年に出しました素材価格の樹種別加重平均いたしました額が九百八十三円でありましたが、その後素材価格の値上りがございますので、これの一六・三%増しで計算をいたしております。それに対しまして二%の税率を採用して参りますと、二十二億五千七百万円の平年度の税収入を確保できる、かように考えておるわけであります。今年度七月以降直ちに捕捉率が急激に上昇するとも思えませんので、今年度に関しましては若干減収は生ずるだろう、こういう見方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/37
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038・芳賀貢
○芳賀委員 特に今日まで民有林関係の捕捉は非常に困難であったわけですが、これは事情はいろいろわかるわけであります。ただ内地府県等における捕捉率が非常に低いのですが、これは町村財政が富裕であるからして、それほど木引税に依存しなくてもよかろうというのか、あるいは木材関係の業者といいますか、発言権の強い勢力、いわゆるボス的な勢力があって、それで木引税の民有林関係の捕捉が困難であったのか、その間の事情はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/38
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039・奧野誠亮
○奧野政府委員 いろいろな事情があろうかと思いますが、私はやはり基本的には昭和二十五年に府県税から市町村の方で独立税になったばかりだということ、同時にそれまでは木材の検査が行われておったけれども検査が廃止されたということ、この二つが一番大きな原因ではないかと思います。その後市町村の努力によりまして逐次成績が上ってきておるわけであって、成績の向上する過渡期にあるのではなかろうか、こういう見方をいたしておるわけであります。御指摘になりましたようないろいろな問題もあろうかと思いますが、基本的にはやはり今申しましたような事情が木材引取税の運用を軌道に乗せるに相当なお年月を要しておる事情ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/39
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040・芳賀貢
○芳賀委員 そこで民有林関係の捕捉ですが、今まで市町村におけるたとえば森林法によって規定されている森林組合等はどのような協力を示しておるのか御存じですか。市町村の森林組合の協力関係です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/40
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041・奧野誠亮
○奧野政府委員 森林組合にもよるわけでありますけれども、森林組合が税金の徴収をやっておるというところも相当多いわけでございます。森林組合費を取ります場合にも、伐木量に一部よっているところもありますので、そういう場合には木材引取税もそれに比例して徴収できるというふうな事情もあるからだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/41
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042・芳賀貢
○芳賀委員 町村で立木を伐採する場合の数量の把握なんですが、これは規則によって、所有者が任意に切るわけじゃないですね、結局森林組合等がありまして、その適齢樹種の伐採計画というものを所有者が出して、そうしてその承認を得て、それから伐採するというふうになっておるわけですね。ですからこういう法的な森林組合なら森林組合が協力するという態勢になれば、生産された数量の把握ということはやや的確に行われるのじゃないかと考えられるのです。そういう協力態勢というものが出てこなければ、税率だけ下げてもそれで十分の捕捉ができるということには断じてならないですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/42
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043・奧野誠亮
○奧野政府委員 おっしゃった通りだと考えております。また今まで町村間におきます税負担が区々でありましたために、廃止運動その他をめぐりまして紛糾が絶えなかったわけでございますけれども、税率引き下げの機会に市町村間を通ずる適正課税に関係業界でも協力しよう、こういうふうな話し合いが起きて参っているようでございまして、そういう方向で木材引取税の運営が円滑になるものだというように、私たち深く期待をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/43
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044・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 ちょっと芳賀君に申し上げますが、先ほど御要求がございました林野庁の長官はただいま参議院の予算委員会に出席しているそうですが、かわりに林野庁の林政部長の戸嶋芳雄君が出席されておりますので、お伝えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/44
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045・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、昭和二十九年に自治庁が、全国八地区に分けて、木材の樹種別に杉、ヒノキ、松、広葉樹等四種目に分けて、そうして平均の税額表というものを示されておるわけですね。これは結局木材価格というものが基準になって算出されたと思うのですが、その後相当木材価格の高騰等があるからして、それで税率が下っても税額の把握は相当期待ができるという話でありましたが、二十九年の指示価格に比べて、たとえば今年度予定されている価格というものは、大体どのくらいの価格を基準価格にして指示するお考えであるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/45
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046・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほど木材引取税の改正後の収入見込額につきましては今御指摘になりました価格の一六・三%増しで見ている、こういうことを申し上げたわけでありまして、この数字を中心にして、七月から改正になるわけでございますので、その後の状況をも考慮した上で決定いたしたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/46
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047・芳賀貢
○芳賀委員 この場合は結局従量制によるわけでございますが、これが適用になると思いますが、たとえば北海道等においてはいわゆる従価制ですね、こういう場合にはその年度の実勢価格というものがやはり根拠になると思うのです。この基準の引き上げということは現実の問題としてできないと思うのです。ですからその場合、税収をできるだけ維持したいという場合においては、従来従価制をとっておった方式を、たとえば従量制に改めたような場合はどういうことになりますか、それを比較した場合に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/47
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048・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話になりましたように従価制でしかも素材の引き取り価格を的確に把握しておりました地域においては、税率を引き下げましただけ減収になるだろうと考えております。私たちあくまでも従来の総額を維持すると申し上げておりますのは、全国の市町村の木材引取税収入の総額のことでございまして、個々の市町村に対しましては相当な迷惑を与える、ことに北海道の市町村に対しましては迷惑を与えるだろう、こう考えているわけであります。その結果特別交付税につきましても、先ほどお話のございましたような措置を考えておるわけでございます。しかし全国的に見ますと、従量課税でやっておりましてその場合の素材石当りの価格が、自治庁から示しています価格よりも、さらに相当下回っているというようなところが多いわけでございます。そういう地区につきましては減収にならない、逆に適正課税を行う結果、捕捉も十分を期し得て増収になる団体も場合によってはあり得るだろう、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/48
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049・芳賀貢
○芳賀委員 林野庁の林政部長がお見えになっているそうでありますからお尋ねします。先ほどから質疑を行なっているのですが、国有林関係の直営生産あるいは立木処分の場合、林野庁の下部機関である営林署が地方団体の条例に基いて特別徴収義務者になって協力しておるわけなんですが、全国の営林署の中で大体三分の二くらいは徴収義務者になっておるようですが、あとの三分の一くらいは徴収義務者になっていないのですね。それで先ほど自治庁長官の説明を聞くと、これは条例で決定しなかったのではなくて、地元の営林署がこれに対してがえんじなかったから徴収義務者になっていないのだというような答弁もあったのです。これはわれわれとしてはまことに了解に苦しむ点なんですが、どういう事情で特別徴収義務者にならなかったのか、その間の理由を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/49
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050・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 確かにここ四、五年くらい前まではおっしゃるように、非常に営林署長の認識が足らないためにおっしゃるようなことも多々あったと思いますが、昨年には自治庁と共同通牒を出しまして、そういう趣旨をよく了解するようにということも末端まで徹底させるべく努めております。特に今回引取税の率の改正等がございまして、さらに適正課税という目標を達成するためには、どうしてもそういったことが必要でございますので、自治庁ともはっきりした申し合せをしておりまして、この改正法が通過いたしまして実施になりますまでには、さらにその趣旨を徹底させるようにいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/50
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051・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いているのは、どうして全国で百三十ほどの営林署が特別徴収義務者にならなかったか、その理由なんです。いろいろ理由はあると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/51
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052・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 やはり問題は、この趣旨の徹底を欠いておったということが一番大きな問題だと思います。従いまして今申しましたように、今後はそういうことのないように趣旨を十分徹底いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/52
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053・芳賀貢
○芳賀委員 こういうような現地の営林署の不協力の態度というものは、考えようによっては業者擁護の立場になって、そして業者と営林署が地方団体に協力しないから結局捕捉が困難である。税率引き下げをやれば、今度協力するということになると、これは全く国の機関である林野庁が何か木引税に対して実質的に反対しているのではないかというような考えを持たざるを得ないのです。これは本意ではないと思うのですが、特にその理由としてあげられている点には、人員が不足で、そういう事務ができないというのが一点。これは大体内容は了承できますが、第二点は現金徴収はしたくないという点。第三点は問題なんですが、これは業者の感情を害し、入札が困難になるから特別徴収義務者にならぬ、もし第三の理由を建前に営林署長が特別徴収義務者にならぬ、こういう考えを持っておるとすればこれはゆゆしい問題だと思うのです。戸嶋さん、こういう実情を御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/53
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054・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 そういったことは私も実はあまりよく存じなかったわけでございますが、もしかりにそういうことありとせば、これはおっしゃるようにゆゆしき問題だ、こう思います。従いましてそういったことは今後絶対に改めるように十分指導を加えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/54
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055・芳賀貢
○芳賀委員 私どもはそういうことが理由になってはおらぬと信じているのですが、たまたまその事例が理由の一つにあげられているのです。
そこで次にお尋ねしたい点は、国が立木の払い下げ処分をやるような場合、私の承知している範囲においては、払い下げ予定価格をきめる場合に木材引取税に相当する分を、もうすでに予定価格から控除して払い下げを行なっているわけです。そうなると、何も業者が実質的に税金を負担しているということと違うと思うのです。林野庁が木引税を負担するような建前に立って予定価格をきめているということになると、この点は木引税の性格の上からいっても、やはり今後検討すべき問題じゃないかと思う。特にこの恩恵を受けている業者は特売を受けられる業者です。競争入札をしなくても林野庁がきめた価格で大量な立木の払い下げを受けられる、そういう大きな業者に対しては国が木引税を負担してやるというようなことが、現実の問題として行われているわけですが、こういう点に対する検討はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/55
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056・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 今の入札の場合の予定価格から木引税に引き当てている分だけを差引いて、入札の場合の予定価格にしているということのお話でございますが、実情がそういうものであるかどうか、実は私その点ちょっとつまびらかにしない点がございます。ただここでお話の点から推測されますことは、徴収義務者になっているために、それを確実に納税するための一つの方法といたしまして、そういうことでなくて、入札した場合にその中から差し引くぞという約束か何かをしてやっているのじゃないかと思いますが、なおその点は調べまして、あとの機会にお話し申し上げるようにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/56
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057・中井徳次郎
○中井委員 ちょっと関連して。いろいろ今林野庁の方と問答がありましたが、私はちょっと変った観点からお尋ねしたいのです。この間も建設省関係の機関との間に問答がありましたが、地方税に対する官庁の下部機構の考え方が浸透していないのじゃないかと思います。地方税はやはり国会できめた税金ですから、これは国税と何ら変りがない。たとえば営林署の末端に行きますと、あれは村の税金だからおれらは知らぬ、この思想が先ほどからの芳賀君の質問の根本のように思うのです。さっき過去のことで今後は気をつけるというお話がありましたけれども、たとえば金勘定をするのはいやだとか、人が足りない、人は足らぬでしょう、足らぬでしょうけれども、これは率を変えたらいいのです。簡単なことだと思うのです。やはり根本は地方税に対して国税と区別して非常に軽く見る、おれたちは下部機構だ、おれたちのところにいつも陳情にくる村長さんなんかが取る税金だ、その根本を林野庁の方からやかましく言ってもらわないことには、この問題は片づかない、こう私は思うが、その点の意見を私は聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/57
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058・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 先ほど芳賀委員の方からもお話があり、また今の御指摘もございます。確かにそういった認識の欠けておる署長等もあることと存じます。従いまして御指摘の点は、今後絶対に、そういった認識に欠けることのないように、十分監督をいたしていきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/58
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059・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、従来木材業者が、全国の団体、いわゆる全国木材組合連合会が中心になって、木引税の撤廃運動を盛んにやっておるわけです。こういう運動の中心になっておるのは、やはり国有林に非常に依存しておる大きな業者が、地方においても、木材協会と組合の役員になっておりますね。その人たちは実質的には自分が木引税を納めないで、林野庁に納めさして、そうして木引税の撤廃運動をやっておる。税金は国に納めさして、自分たちはまた引取税の廃止をねらって、さらに有利な取引をやるというのは、一石二鳥の方式でやっている運動というのは、なかなか巧妙だと思うのです。こういう点に対しては、やはり林野庁としてもう少し指導的な立場で、山村の林野等によって町村財政が堅持されたり、あるいは町村の住民がそれに非常に依存しておるというような地域については、特段の配慮が払えないかと思うわけなのです。こういう税金は業者や何かの圧力とか、団体にだんだん押されて、地方団体の自主財源がなくなってしまうということは、これは林政の上から見てもゆゆしい問題だと思うわけなのです。そういう点を戸嶋さん、純理的な気持からして、どういうふうにお考えになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/59
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060・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 おっしゃるように、ここに何年か以来業者方面からの木引税の撤廃とかあるいは減税といったような運動が毎年のように続けられておることは、おっしゃる通りでございます。林野庁の方の考え方といたしましては、業者のほんとうに納められ得る税率であると同時に、その税率がきまったならば、確実にそれは納めなくてはいけない、こういう立場でもって、今回の引き下げについても対処いたしております。従いまして、今度の税率の引き下げによって、実際の実収額というものは絶対に影響させないように業者の方も協力するようにという考え方を、われわれは大いに強調しておるわけなのです。従って今後そういった何と申しますか、ワクをはずしたような考え方は、絶対に持たしたくない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/60
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061・芳賀貢
○芳賀委員 この機会にお尋ねしておきますが、先ほど自治庁当局の答弁によると、暫定措置として、当分の間収入の欠陥を特別交付税で見るということなのですが、これにかかわる具体的な措置というものはまだ明確になっていないのです。それで問題になるのは、林野庁が毎年交付しておるいわゆる地元交付金、これは民間の、たとえば固定資産税等によって対比される山林に対する課税相当額より非常に低過ぎるのです。ですから、その山村の税収等が非常に減るような場合は、一方において地元の交付金等に対しては、今後林野庁当局としては、もう少し積極的にこれを検討して改善するような御意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/61
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062・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 今のお話の国有林野の所在町村に対する交付金は、総額にいたしまして毎年大体四億余になっております。しかしてそのもとになります財産価格が、一般の民有の森林原野等の価格に比べて低いという声も聞いております。従いましてわれわれの方としてもその実態をもう少し検討いたしまして、そういう声がどういうところにあるかということを究明いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/62
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063・芳賀貢
○芳賀委員 特に北海道においては木引税の引き下げによって少くとも二億五千万ぐらいの税の減少ということになるのです。それらの主たる町村を見るとほとんど国有林の所在町村が非常に多いわけなんです。特に旭川営林局にしても上川町、これは上川に営林署があるのですが、これは三十二年度の調定額が約六千四百万ぐらいになるのです。それから占冠村というのがありますが、これが千百万円程度、それから下川町というのが千七百万、それから朝日村というのが千九百万、こういうように相当巨額な木引税の実績があるわけです。これが税率二分の一ということになると、大体半減するということになって、町村の税収面においては大きな打撃を与えることになるわけです。これらの村にはほとんど営林署が所在しておるわけなんです。ですからこれらの税の改悪と見合って、国においてもやはり林野と最も密接な関係にある町村の今後の財政面の育成等についても、これはやはり林野行政の一面から見ても当然考えていかなければならぬ点ではないかというふうに思うわけですが、今まではとにかく消極的であったようにも考えられるわけですが、今の御答弁によると今後十分検討したいということでありますが、この点に対しては具体的な対策を早急に講じて近い機会に方針を示すというような意図はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/63
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064・戸嶋芳雄
○戸嶋説明員 お話の点でございますが、交付金は全国で四億のうちで北海道が大体九千万円程度でございます。これを見込みまして、たとえば一割上ったところで大した額になりません。従って自治庁の方でお考えの特別交付税等で当分はまかなっていただきますが、交付金だけの操作でもって、今のような影響をできるだけ最小限度にとどめるということはなかなかむずかしいのじゃないかと考えます。従いましてもし考えるとすれば、それ以外の国有林野事業として協力し得る何らかの考え方をなさなければならないのじゃないか、この点はもう少し総合的に考えなくてはいけない、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/64
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065・芳賀貢
○芳賀委員 委員長に申し上げますが、そろそろ締めくくりをつけたいと思いますが、長官は今出席できるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/65
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066・矢尾喜三郎
○矢尾委員長 今確かめに行っておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/66
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067・芳賀貢
○芳賀委員 それでは政府委員にお尋ねしますが、私どもの社会党で主張している点なのですが、この木引税の制度をこれよりは非常に萎縮する場合に、これにかわるような税の措置として、たとえば立木伐採税のような問題も取り上げられたわけです。これは全国的にどういう事例があるかしれませんが、たとえば法定外の普通税として、こういう税の設定は必ずしも不可能ではないと私は考えておりますが、全国的に見た事例はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/67
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068・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税につきましては、その課税のあり方につきましていろいろの問題が起って参りましてからは、それぞれの市町村で最もやりやすい方法で課税をするのがよかろうというようなことから、立木伐採税の形式をとりましたり、あるいは木材移出税の形式をとりましたり、いろいろ市町村の希望をされております通りにやってもらうというようなことで、法定外普通税の新設のことが出て参りましても、これを許可することにいたしております。従いましてまた御指摘になりました立木伐採税の形式をとっている団体が、かなりの数があるわけでございまして、それぞれ一長一短ではなかろうかというように思っておるわけでございます。
〔委員長退席、中井委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/68
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069・芳賀貢
○芳賀委員 立木伐採税を設定しているような事例については、資料を、あとでよろしいから一つ御提出願いたいと思います。
本会議も時間になっているようですから、最後に申し上げますが、先ほど政府委員からお話があった通り、もし改正案が成立した場合、その税の減税分に対しては、本年度はもちろんでありますが、今後数年間にわたっては、根本的な対策が確立されるまでの間は、主として特別交付税によって、この調整をはかっていきたいというような御意思の表明があったのでありますが、これは関係町村等に対しても、すでに自治庁の意のある点というものは、大体伝わっているわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/69
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070・奧野誠亮
○奧野政府委員 改正法案を国会で御審議いただいているわけでありますので、改正法案が成立いたしました暁には、市町村に連絡をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/70
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071・芳賀貢
○芳賀委員 残余の質問は長官が出席になるまで保留して、きょうはこの程度でとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/71
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072・中井徳次郎
○中井委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804720X02019580325/72
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