1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月二十二日(火曜日)
午後三時五十七分開議
出席委員
委員長 片島 港君
理事 上林山榮吉君 理事 小泉 純也君
理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 森本 靖君
秋田 大助君 伊東 岩男君
川崎末五郎君 椎熊 三郎君
南條 徳男君 杉山元治郎君
羽藤 榮市君 松井 政吉君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 田中 角榮君
出席政府委員
郵政事務官
(電波監理局
長) 濱田 成徳君
委員外の出席者
郵政事務官
(電波監理局次
長) 荘 宏君
郵政事務官
(電波監理局法
規課長) 石川 義憲君
郵政事務官 川島 隆雄君
専 門 員 吉田 弘苗君
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四月十八日
委員秋田大助君辞任につき、その補欠として高
瀬傳君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員高瀬傳君辞任につき、その補欠として秋田
大助君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
委員武藤運十郎君辞任につき、その補欠として
原彪君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十八日
電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
一九号)(参議院送付)
同月十九日
本郷に無集配特定郵便局設置の請願(竹内俊吉
君紹介)(第三一〇五号)
結核療養者のラジオ聴取料免除に関する請願(
五島虎雄君紹介)(第三一八七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第一二五号)
電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
一九号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/0
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001・片島港
○片島委員長 これより会議を開きます。
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。森本靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/1
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002・森本靖
○森本委員 このお年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案について、この間から懸案になっております最後の質問をしたいと思いますが、それは例のこの法律案が通る前に行なっておりますところの、郵政大臣と厚生大臣との三協定の問題でありますが、この三協定の問題については、これはこの法律案が可決になって、その法律の上に立ってこういう協定を結ぶべきであって、この協定は一応この法律が通る前には私は破棄するというのがほんとうであるというふうに考えますが、一応この協定については破棄をせられまして、そうしてこの法律が通った暁において、この法律の施行の条件の上に立って協定を結ぶというのが、妥当だと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/2
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003・田中角榮
○田中国務大臣 お答えいたします。先回の委員会においても御同様の発言がございましたので、すでに厚生大臣との間にはその件に関して話し合いをしてございますので、御意見でございますから、一応破棄いたしまして、後に協定書を作るようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/3
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004・森本靖
○森本委員 そうすると一応この三条件については、これはひとまず破棄をして、そうしてこの法律が通過後に、この法律の施行に従ってその条件を作る、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/4
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005・田中角榮
○田中国務大臣 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/5
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006・片島港
○片島委員長 別に質疑がなければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/6
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007・片島港
○片島委員長 御異議がなければ、これにて本案に対する質疑を終了いたしました。
この際森本靖君より本案に対する修正案が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。森本靖君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/7
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008・森本靖
○森本委員 私は自由民主党、日本社会党の共同提案として、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。修正案の案文を朗読いたします。
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正
案
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のよ
うに修正する。
第五条第二項の改正規定中「又は原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行
う団体」を「、原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体又は逓信省の
職員の保健若しくは保養を目的とする事業を行う団体」に改める。
第七条第一項の改正規定に後段として次のように加える。
この場合において、逓信省の職員の保健又は保養を目的とする事業を行う団体に
対する寄附金の配分額の総額は、配分団体に対する寄附金の配分額の総額の百分の
十をこえることができない。
附則第十四項を附則第十五項とし、附則第十二項から附則第十三項までを一項ずつ
繰り下げ、附則第十項の次に次の一項を加える。
郵政省の省名が逓信省に改められるまでの間、新法中「逓信大臣」とあるのは「郵
政大臣」と、「逓信省」とあるのは「郵政省」とし、この法律の
附則第二項、第四項及び第五項中「逓信大臣」とあるのは「郵政大臣」とする。
以上が修正案でありまするが、この理由につきましては省略をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/8
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009・片島港
○片島委員長 これにて修正案の趣旨説明は終了いたしました。
修正案に対する質疑の通告がありますのでこれを許します。竹内俊吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/9
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010・竹内俊吉
○竹内委員 この修正案の「原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体又は逓信省の職員の保健若しくは保養を目的とする事業を行う団体」こうありますが、この職員の保健あるいは保養を目的とする事業を行う団体とはどういう団体であるか、またこの保健の、何といいますか、どういう方面に具体的にはこれをお使いになるという御意思でありますか、提案者というよりも、むしろ郵政当局にお尋ねいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/10
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011・田中角榮
○田中国務大臣 財団法人の郵政関係保健もしくは保養に関する団体を設立しまして、その団体の行う業務というものは、郵政関係の特殊な疾病、ガンとかその他いろいろな治療を行わなければならないような目的を明確にいたしまして、この団体に交付を行なって、その団体をしていろいろな事業を行わしめる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/11
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012・片島港
○片島委員長 別に質疑がないようでありますから、これより本案並びに修正案を一括して採決いたします。
まず森本靖君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/12
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013・片島港
○片島委員長 起立総員。よって森本靖君提出の修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/13
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014・片島港
○片島委員長 起立総員。よって本案は森本靖君提案のごとく修正議決せられました。
お諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/14
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015・片島港
○片島委員長 御異議なければさよう取り計らいます。
〔委員長退席、橋本(登)委員長代理着席〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/15
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016・橋本登美三郎
○橋本(登)委員長代理 電波法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告があります。竹内俊吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/16
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017・竹内俊吉
○竹内委員 前回の委員会で、この電波法改正についての第百四条の二「予備免許、免許又は許可には、条件又は期限を附することができる。」この条項についてお聞きしたのでありますが、大臣の御答弁も事務当局の御答弁も、聞けば聞くほど、この条件または期限という点——期限はとにかくとして、条件の内容が必ずしも明確ではなくて、何と申しますか、かなり疑念の多い法文になっているわけであります。重ねてこのことをお聞きするわけでありますが、この条件の正体を明確にして、この法文からくるところの、言論または事業に対する官僚統制の心配が全然ないという具体的な内容を御説明願わなければ、納得しがたいのでありますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになっているか、重ねて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/17
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018・田中角榮
○田中国務大臣 竹内さんの御発言ごもっともでございまして、本法の改正案による百四条の二項の運用に対しましては厳密に基準を設けまして、ただいま御発言のありましたようなおそれのないように十分考えたいと思います。その基準案といたしまして、ただいま作ってありますものを申し上げます。
その第一といたしましては、本条第二項の制限を厳守するものとし、特に憲法及び法律上の権利として保障せられているところにつきましては、これをごうも侵すものであってはならないということが原則であります。その次は、条件及び期限は次の場合において特に必要があり、かつ前号に反しないということが明らかなものに限り付するものといたして、それも相当幅を狭めて厳密に規定いたしてございます。その第一は設立中の法人に対しまして、その設立を効力発生の条件として予備免許を与える場合が一つございます。もう一つは、法令に定める手続の完了、たとえば他の法律による事業免許の取得、電波法による工事設計の一部変更を効力発生の条件として予備免許を与えます場合、もちろん免許及び許可を含むのでありますが、与える場合、もう一つは、再免許の効力発生期日、周波数及び空中線電力指定の効力発生または効力消滅の期日を定める場合、なお周波数、空中線電力につきまして昼夜間別通信の相手方別——電波発射地点海域を含むものでございますが——等により制限を付す場合というふうに純技術的な面に幅を狭めて、厳密な基準によって条件もしくは期限を付することにいたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/18
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019・竹内俊吉
○竹内委員 ただいまの大臣の御答弁で条件の内容がはっきりしてきたわけでありますが、この通りであれば申し上げたような心配はないと思いますが、この電波法の一部を改正する法律案百四条の二の運用の基準をどういう形で実施されるのであるか。これを省議に付してあるいは政令とするとか、いろいろな方法があろうと思いますが、この運用の基準の実施方法について明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/19
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020・田中角榮
○田中国務大臣 厳密を期する意味において省議に付し、この基準案は政令として公布してもよろしい考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/20
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021・竹内俊吉
○竹内委員 政令として公布してもよろしいというのは、政令としてお出しになる意味と、こう解釈してもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/21
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022・田中角榮
○田中国務大臣 政令でもって基準を定めることにいたします。
〔橋本(登)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/22
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023・片島港
○片島委員長 森本靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/23
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024・森本靖
○森本委員 電波法の一部を改正する法律案についての質問を行いたいと思いますが、この法律の条項が非常にややこしい改正になっておりまして、事務的な改正が非常に多いわけでありますので、一つ前の公衆電気通信法と同様に電波監理局の方から逐条的にこの改正案の内容について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/24
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025・濱田成徳
○濱田政府委員 逐条説明を石川法規課長にやってもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/25
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026・石川義憲
○石川説明員 電波法の一部を改正する法律案の改正につきまして説明を申し上げます。逐条的に申し上げますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/26
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027・田中角榮
○田中国務大臣 では私から……。改正の趣旨は私がさきに述べた通りでございますが、そのおもなものは無線局の免許について一つでありますし、その次は無線従事者の資格を終身免許といたしたことでありますし、次には郵政大臣が行う検査の回数を減らして合理化したことであります。その次には手数料が現行では実情に合いませんので、手数料に対しましては最高限度額を定めまして、その他のこまかいものに対しては政令にゆだねることにいたしました。なお次の問題は、アマチュア無線技士の制度を設けましたこと、それから手数料に対しまして現在までは国にも適用いたしておりましたが、この改正案によりまして国からは手数料を徴収しないという制度にいたしたことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/27
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028・森本靖
○森本委員 これは大臣にもよくお聞き願いたいのでありますが、少くともこの電波法の改正というのは、放送法の改正とからんで日本の電波界としては非常に注目をしておる法律案であります。法律を改正をする趣旨というものは、大臣が言われた趣旨であるということはよく承知をしております。ただしかしこれが事務的にいろいろ煩雑な改正をしておりますので、われわれ立法府といたしましてはこの問題については一つ一つ解明を与えていって、そうして万事了解の上においてこの法律案を通すというのが立法府の責務であります。それはいかに解散をあと三日に控えておりましても、私は最後までこの法律案については慎重審議をいたしまして、そうしてその重要な部分については速記録に残しまして今後の法律の施行に参考にしよう、こういう考え方から私は質問をしておるわけでありまして、故意にこの法律案の審議を延ばそうとか、あるいはじゃまをしようとか、そういう考え方でもって私はやっておりませんので、その点を一つ十分に大臣としても御了解を願っておきたい。わが党としてもこの法律案についてはいろいろの意見がありましたけれども、最終的には賛成をしようという態度は持っておるわけであります。しかし賛成をするにしても、この条項の内容については一つ一つ審議をして、将来のために、あるいは一般のこの電波法の改正について注目をしておる人々に対して参考にしたい、こういうところから私は質問を開始しておるわけであります。前の公衆電気通信法の改正にしても、一応政府当局の方から、電気通信監理官から一つ一つ詳細に丁寧に説明がありました。それに対してわれわれの方からおかしなところについては質問をしておる。そうしてその了解の上に立ってあれが満場一致で通っておるわけであります。この経緯を十分御承知になって一つ答弁を願いたいということを前もってお断りしておきます。そこでせっかく法規課長の石川氏が来られておりますので、石川氏の方からこの細部にわたる詳細な説明を一通り願って、そうしてその中でこれは不審にたえないというところのみをわれわれの方から聞くことにして、わかったところはそのままにする、こういう趣旨でありますので、大臣もそうあわてずに一つ質疑応答を聞いてもらいたい、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/28
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029・石川義憲
○石川説明員 それでは御趣旨によりまして説明を申し上げます。
まず第五条の改正であります。第五条第四項を追加いたしておりますが、一般の無線局のうち放送する無線局はマス・コミニュケーションの最先端をいくものでありまして、非常に高い公共性を要求されておりますので、免許の欠格事由を他の無線局のものよりも厳格にする必要から、案のような改正をしようとするものでございます。
第六条につきましては、これはいろいろこまかくなっておりますけれども、第二項第四号の改正は、無線設備の設置場所を記載させるということにいたしております。その意味は、電波監理上いろいろな無線局が出て参りまして、従来設置場所という観念でとらえておりましたものを、電波の発射源を把握する必要がございますので、移動する無線局につきましては設置場所に相当するものにつきまして移動範囲ということにしていただくことにしようとするものでございます。
次に同項第七号の改正は、第三十条の規定によりまして無線設備に施設しなければならない安全設備、第三十二条の規定によりまして船舶局の無線設備に備えつけなければならない計器及び予備品、第三十三条の規定により船舶局に備えつけなければならない非常灯、送話管等の無線設備の付属設備につきましては、免許申請の審査及び免許後の検査におきましてこれらのものが法令に適合しているかどうかを見る必要がございますので、これを加えようとしているものでございます。
第二項の改正は、第五条の欠格事由の改正に伴う条文の整理でございます。
第三項及び第四項の改正は、船舶局または航空機局は義務船舶局または義務航空機局になるものであるかどうかということによりまして、無線設備、時計、送話管その他の要件が異なるものであります。また国際航海に従事する船であるかどうかということにつきましては、救命艇用の携帯無線電信の設置が義務となるかどうかということにつながるものでありますので、免許の申請の審査の際にこれを装置しておく必要がありますので、その旨を新たに追加規定しようとするものでございます。さらに不必要なものについてはこれを削除しようというものでございます。
第九条の工事設計等の変更につきましては、第九条第四項を追加いたしておりますが、無線局の予備免許中でありましても、通信の相手方、通信事項、放送事項、放送区域もしくは無線設備の設置場所の変更を必要とする場合もございますので、現在の法律の建前によりますと、予備免許中のものはそういう変更申請ができないことになっておりますものを、予備免許中のものでも変更申請ができるということにいたしたいというのでございます。
第十条は落成後の検査でありますが、落成後の検査はこれに合格したならば無線局の免許が与えられ、直ちに運用ができる地位が与えられるものでありますので、無線局の運用に不可欠であります時計及び書類というものを検査の項目に加えようというのでございます。
第十二条は、第十条の改正に伴う自動的な改正でございます。
第十五条は、これは実は非常に重要な点でございますが、現在の第十五条は、再免許につきまして簡易な手続を省令で定めることができるというふうに規定されておりますが、無線局の種別が非常に多くなりまして、従来予想もしていなかったものがたくさん出て参っております。従って免許手続上簡略化するのが当然であるというものが非常に多いのでありますが、現在はそういう簡略化する法的な根拠がございません。従いましてこの条項に従いまして省令を制定し、ラジオ・ブイであるとかラジオゾンデ、レーウインというような非常に小さな簡易な無線局の免許、手続を簡易にする根拠規定としたいというのであります。
第十六条は、運用の開始及び休止の届出でありますが、無線局の通用の開始及び休止の届出は、電波の監視規制その他監督上、無線局が運用中であるかどうかを知る必要があるために提出をしてもらっておるのでありますが、今日のように無線局の種別が非常に多種となっておりますときには、すべての無線局についてこういうものを提出していただくということは実際上適当でないので、こういうことをしなくてもよろしいというふうなものを置きたいというので、法律の根拠をここに求めたものでございます。
第十九条は、予備免許を受けたものの呼出符号もしくは呼出名称及び電波の型式でありますとか周波数、空中線電力または運用許容時間の指定の変更の申請ができますようにするものでございます。
第二十条は免許の承継でありますが、無線局の免許人であります法人に合併がありました場合に、合併後存続する法人もしくは合併によって新たに設立される法人につきまして、自然人の相続の場合と同様に免許人の地位を承継させるということは、周波数の割当等の電波監理上の見地から見て適当でないので、これを郵政大臣の許可にかからせようとしておりまして、その基準は第七条の審査基準を準用しようというのでございます。
第四項の規定は、現行の第二項の規定を移しかえたものでありますし、第五項に新たに一項を設けましたのは、航空機局のある航空機の運航者に変更があった場合、現在ではこれは船舶と同様であるにかかわらず、これが規定されておりません。そもそも電波法ができましたときには航空機局がなかったという事情もありまして、その後航空機局も発生しておりますので、これもつけ加えるべきであるという趣旨でございます。
なお第六項の規定は現行の第三項の規定を移しかえたものでありますし、また第七項の規定は第九条第四項の追加の場合と同様の理由によりまして、予備免許を受けた者の免許人の地位の承継に関する規定を準用するためのものでございます。
第二十二条は無線局の廃止でございますが、運用休止届に関する規定を十六条に移したためにこういう改訂になっております。
第二十五条は、無線局の公示に関することでございますが、現行法によりますと無線局は一切公示をすることになっておりますが、先ほど来申しましたように各種の無線局が実際承知しており、それで無線局を公示しても実益がないというものがかなり多いのでございます。従いましで、そういうものは公示をする必要がないというので、省令できめましてたとえばラジオ・ブイであるとか、簡易無線局であるとか、気象援助局であるとか、実用化試験局であるとか、そういうふうなものを公示から落そうという趣旨でございます。
第二十七条は、免許の特例と書いてありますが、二十五条の改正に伴うものでございます。
それから第四十条の改正でございますが、現行四十条は無線従事者の種別とその種別の操作の範囲というものが規定されてございますが、最近の著しい技術の進歩発達に伴いまして、この操作範囲というものもすみやかに改正する必要が生じておりますので、その操作範囲につきましてはその内容を政令できめさしていただきたいということでございます。その政令の内容につきましては現在考えておりますことは、まず無線従事者の資格の範囲で、第一に第二級無線通信士は現在では国際通信というものができないことになっております。それをこの際通信をできるようにしたいということでございます。おもな点はそういうことでございます。ただし第一級につきましては現在でも従来の経過によりましてこれを認めておりますが、公衆通信以外の通信については全世界で認めるかわりに、第一級につきましては公衆通信もやらせないという趣旨にしたいと考えております。それからアマチュアにつきましては、現在では一級と二級というふうになっておるだけでありますが、アマチュア連盟の熱烈な要求によりまして、かつ日本のアマチュアの進歩、ひいては科学技術の進歩という点を目途といたしまして、新しい初心者級として電話級、電信級という制度を作ろうというふうに考えております。なおこの際現実にそういう資格を持っておる人が不利をこうむらぬように適当な措置をする考えでおります。
それから免許の有効期間でありますが、現在では無線局の免許人は有効期間が五年と限定されておりますが、実績から見ましてほとんど九〇何%というものが再免許を受けておりますので、この際は免許の更新という特段の手続を経ずとも、一生涯一度免許をとった人は有効にしようという改正をしようというのでございます。
第五十条に通信長の配置というものがございますが、これは単なる条文の整理であります。第五十二条に目的外使用の禁止という規定がございます。
第五十三条の改正は、免許人が無線局を運用いたします場合には、許可された無線設備の設置された場所において行わなければならないのでございますが、電波監理の実績から見まして、この旨を明確に規定をしておく必要がありますので、こういうふうに改正しようとしておるのであります。
第五十八条は条文の整理でございます。
第六十条は、電波の利用分野の拡大に伴いまして無線局の種別が非常に多種化しておりますし、また過去の電波監理の実績から見まして、すべての無線局に対し画一的に時計、業務書類を備えつけるという備えつけの義務を負わせることは、実際その必要もありませんので、郵政省令でそういうものにつきましてば備えつけの省略ができるというものを認めたい。その根拠規定として六十条を改正したいというのでございます。たとえばラジオ・ブイの局などには、時計とか業務用言類とかいうものは実際問題として備えつけの必要はないというのであります。
第七十条の二といたしましては、第七十条の改正は条文の整理でございます。
第七十三条は、検査であります。現在定期検査と称して毎年一回郵政大臣は検査をしなければならぬにとになっておりますが、これも先ほどから申し上げましたようにいろいろなものがたくさん出てきておりますので、ものによっては毎年一回やる必要はないというものも生じております。それで郵政大臣の考えで支障がないと認められる無線局については、その検査を省略することができるようにしたいという趣旨であります。
第七十五条は、無線局の免許の取消しでありますが、これは第五条の欠格事由の改正に伴いまして、郵政大臣は、放送局の免許人が欠格事由に該当し、または免許を受けることができない者となったときには、その免許を取り消さなければならない肝を追加しようというのでございます。
第七十九条は、無線従事者が第四十二条三号、すなわち「著しく心身に欠陥があって無線従事着たるに適しない者」、そういうものの欠格事由に該当するように至りましても、その免許の取消しができなかったのであります。ただいまそういうものは有効期間の制度でこれを救済するのでありますが、今度有効期間がなくなりましたので欠格事由に加えたのであります。
第八十条の改正は、第二十五条の改正に伴う改正であります。
第八十二条は、現在電波法第四条第一項のただし書きの規定によりまして、微弱電波局は免許を要しないことになっておりますが、免許を要しない、しかも郵政省の把握してない微弱電波局が、現実に他の公共的に非常に重要な無線局の運用に妨害を与えるということもありますが、そういう場合これについて何ら手が打てない。これは電波監理上重大な問題でありますので、現在の受信機に対する妨害排除と同様に、そういう免許を要しない微弱電波局につきましては、若干の手が打てるようにしようというのであります。
第九十九条の十一は、条文整理であります。それから同項第三号の改正は、放送局の放送事項の変更につきまして、その許可に当りこれを電波監理審議会に諮問することが適当と認められるのでこの旨を追加しようというのであります。
第百条は、条文の整理であります。
第百三条は、手数料の改正でございます。電波利用の分野が非常に広くなりましたので、無線局の規模及びその種別が非常に多種化してきておりますため、手数料の徴収単位、すなわちその額について実際に適しないというものが生じつつあります。従いましてこれを合理化するとともに、経済事情に適合するように改正したいというものであります。その内容は、第一点は、従来無線局の手数料は局単位に徴収しておったのでございますが、実際に検査いたしますのは送信機であります。今度は送信機台数別に料金を算定する方法を考えていこうということが合理化の一点であります。第二は、現行の電波法には非常にこまかいパワー別の区分が書いてあります。この区分によりますと、非常に大きな区分でありますために、こまかい電波、こまかい電力を持つものに対して料金の軽減ができない。非常にこまかいものが多額の金を取られるということは不合理である。従って、この間仕切りは、そのときの電波の技術の実情に即するように、政令できめさせていただきたいというのでありまして、その政令におきましては現在の電波の電力別を現状に即するように改正したいというふうに考えております。その次の点は、新たに無線従事者の免許申請手数料を設けたのでございますが、従来は試験を受けましたならば、それは免許の試験の手数料と免許の手数料を一緒に取られておったということになりますので、これは試験に合格しない人にとって非常に不都合であると思われますので、今回は試験のと手数料と免許の手数料を別個にすべきであるというふうに考えたわけであります。
その次に第百四条でありますが、先ほど大臣からお話がありましたように、現在国に対しても検査その他の手数料をいただいておりますけれども、これは同じ会計の中から手数料を取って同じ会計に入れるという不合理を除こうというだけの趣旨でございまして、特に公共性があるからとかいう考え方ではありません。それでこの結果として公社と国有鉄道は現行の通りになりますが、国からは手数料はいただかないということになるのでございます。
それから第百四条の二は、最近の立法例にならいまして、このような明文規定がありますので、これはかねがね議論があったのでありますが、こういう規定をつけたいというのであります。
以上、はなはだ簡単でございましたが、概略説明を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/29
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030・森本靖
○森本委員 今御説明をお聞きいたしましたが、この問題については相当重要な事項が、簡単な条文の改正においてなされておるということがよくわかったわけであります。私としてはこの一つ一つを聞いていきたいと思いますけれども、まず私のお聞きしたいのは、第四十条の改正であります。この改正について全国の諸君が要望しておる点がこういうところにかなりあるのではないかと思いますが、この「無線従事者の資格は、第一級無線通信士」云々とあり、「前項の資格を有する者の行うことができる無線設備の操作の範囲は、資格別に政令で定める。」というふうにあるわけでありますが、この政令の内容というのはどういう内容ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/30
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031・石川義憲
○石川説明員 今概略説明いたしたのでありますが、これは要綱程度のものは準備いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/31
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032・森本靖
○森本委員 私も、これはしろうとではなしに、現在無線の通信士の免状も持っておるわけでありますから、特にこの内容については注目しておるわけでありまして、今回の新しい改正においては、これがどういうふうな要件になるだろうということであります。だからこれを一つ一つ御説明願いたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/32
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033・石川義憲
○石川説明員 それではこの資料が参りますから、しばらくお待ち下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/33
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034・森本靖
○森本委員 もう一点は、「第七十五条中「及び第二項」を「、第二項及び第四項一に改める。」ということでありますが、この第五条の第四項を追加した理由はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/34
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035・石川義憲
○石川説明員 ただいま説明を申し上げましたように、欠格事由に該当するようになったときには、その免許を取り消さなければならぬということは、現行法にあってもしかるべき欠格事由でそういうふうに免許を与えないとなっておるのに、現行法上取り消し事由に入っていないというので、これをつけ加えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/35
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036・森本靖
○森本委員 第五条では一、二、三、四とあるわけですね。そこで第七十五条には、現在までは第五条の第一項及び第二項とあるわけですね。その第二項に今回第四項を加えたわけでしょう。だからその第四項を加えた理由はどういうことか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/36
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037・石川義憲
○石川説明員 五条に四項が新設になったからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/37
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038・森本靖
○森本委員 そうですると、今の五条の四項が切り下ってくるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/38
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039・石川義憲
○石川説明員 現在の第五条は三項までになっております。それに四項をつけ加えましたために、七十五条の中に四項をつけ加えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/39
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040・森本靖
○森本委員 次に今回の手数料でありますが、これは非常に複雑な手数料でありまして、この金額についても、妥当であるかどうかということについては、調査してみぬとなかなかわからぬわけてありますが、それよりも、今回この中から国に対する適用除外を行なっておりまするが、国に対する適用除外と同様に公社関係なんかは除いておるわけでありますが、これはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/40
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041・石川義憲
○石川説明員 お答えいたします。先ほど説明を申し上げましたように、検査手数料等は、国から取って国に納めるという形になりますので、手続が煩瑣になるとそのために所要の事務がふえる、その不合理を訂正しようというだけの趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/41
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042・森本靖
○森本委員 もう一ぺん言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/42
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043・田中角榮
○田中国務大臣 国から取って国へ納めるということになりますと、例をあげますと、郵政省の電波監理局が自分で無線を使い、自分で金を納め、自分が受け取る、こういうことでありますから、一般会計から一般会計へ納めるものは、同じことでありますからやめようということだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/43
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044・森本靖
○森本委員 その国の適用除外ということはわかりましたが、公社関係のものを除外した、これは取ることにしたということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/44
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045・田中角榮
○田中国務大臣 これは取ることではなく、今までは国も取ておったのでありますから、現行で徴収しておったものから国だけをはずしたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/45
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046・森本靖
○森本委員 だから、国だけははずすのだったら、一応国と同様に扱っておるところの公社関係もはずしていいじゃないか。公社関係についても、政府関係機関予算として国会の議決を経て行われておるわけでありますが、それを除いたということはどういうわけか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/46
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047・田中角榮
○田中国務大臣 除いたのではなく、この改正では、国をまずはずそう。国が一般会計で支出をして一般会計で受け入れるのでありますから、事務が煩瑣になるだけであります。公社関係は在来通りであります。国をはずす場合に公社関係も同じようにはずしたらどうかということでありますが、公社や特別会計等に対しては会計が別でありますから、私人たると公社たるとを問わず、いずれにしても現行通り据え置いたというだけであります。でありますが、公社に対して将来一般の私人と違って手数料免除の恩典を与えてはどうかという意見もありましたので、そういう問題に対しては十分慎重に検討いたします。こういう段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/47
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048・森本靖
○森本委員 大体政府の理由はわかりましたが、これは前に公社関係の固定資産税の納付のときにも、当委員会において同じような問題が論議されて、郵政大臣としては納付に反対である。けれども、政府全体の財政的見地から納付するようにせざるを得なかった、こういう答弁があって、まあこれは直接当委員会には関係なかったが、ああいう納付金制度ができたわけであります。金額は小さいけれどもそれと同様の形式になってくるわけです。だからこういうささいな問題についても、郵政省としてはあの納付金について反対だという態度であったならば、やはりこれも手数料を取らないのが筋が通ってくるわけです。そういう点から、このやり方についてはおかしいのじゃないかと考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/48
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049・田中角榮
○田中国務大臣 そういう議論も一部成り立ちます。また一部で言われておりますが、なかなかこの問題はむずかしいのであって、公社に特権を与える場合には法律で明確にしなければいけません。しかし今公社等も税金を納めておるということでありますし、特に法律で除外せられていないものに対しては、国家が義務を課しておるという現状であります。でありますので、公社まで道を開くということになると、一体特殊法人などはどういうところで線を切るべきかという問題もあり、今日直ちにこの問題に対して結論を得ることはなかなかうまくいきません。それで現行通りといたしたわけであります。公社は一切手数料も取らない、何も取らないということになりますと、公社というような政府関係機関はほんとうに一般会計と同じ立場であって、税金の対象にもしない、場合によれば郵便切手等も無料でやってやるというようなことにもなるのです。現在の法律が国まで含んでおりますから、同じ財布から出て同じ財布に納まるということでは全く事務を繁雑にするだけであるので、公社等に対して今直ちに免除しようという考えはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/49
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050・森本靖
○森本委員 その考え方がないというのはおかしい。あなたのような意見で言うならば、電電公社も営業してもうけておるのだから、営業税を取らなければいかぬ。その点やはり公社というものは特殊事情があるので、あの納付金すら、非常にもめたけれども、そのときの政治情勢によって、公社だけは一応認めるということになったわけです。そのときやはり郵政大臣も反対だということであった。だから今回のこの手数料についても、そういう大きな観点から考えていくならば、私はやはり国と同じように除外するのが適当だと思うのです。修正したらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/50
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051・田中角榮
○田中国務大臣 先ほども申し上げた通り、今そこまで道を開く考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/51
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052・森本靖
○森本委員 現在そういう考えがないというふうに大臣はおっしゃられますけれども、当委員会のこういう問題についてのやりとりをずっと聞いておったら、今私が言ったような意見に同調せられると思います。これは一ぺん速記録を見てもらいたいと思います。納付金のときに与野党こぞってそれには反対だということでやった経験がありますから、その点も十分考えてもらいたい。
それから二十条の2は「免許人たる法人が合併したときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、郵政大臣の許可を受けて免許人の地位を承継する」ということで、前の条項ともあまり変っておらぬようでありますが、実際問題としてこれはどういうときのことをさすわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/52
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053・石川義憲
○石川説明員 あまり適当な例かどうかわかりませんけれども、たとえばタクシー会社などが合併をいたします場合、その会社の規模やなにかに応じましてある波を割り当てておる。ところが、その二つが合併したためにその免許が当然移るということになりますと、割当上いろいろな不均衡が生じたりなにかする例もございますので、当然それが移るということではおかしいではないか。そこで、割当上再検討を要するケースがありますので、こういうことにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/53
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054・森本靖
○森本委員 タクシー会社以外の例はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/54
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055・石川義憲
○石川説明員 まだ具体的な例はないようでありますが、たとえば放送局、放送会社などもそういう例かと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/55
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056・森本靖
○森本委員 放送会社についてこの問題を一応明らかにしてみたいと思うわけですが、「免許人について相続があったときは、その相続人は、免許人の地位を承継する。」という条項があって、放送会社なんかについても当然そのものが地位を承継するということになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/56
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057・石川義憲
○石川説明員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/57
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058・森本靖
○森本委員 そうすると、放送局と放送会社等においては具体的にどういう状況になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/58
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059・荘宏
○荘説明員 「相続」という文字がこの法案に使ってありますのは、自然人の場合をさしております。それから放送会社としてやっている場合において、A放送会社が一つ放送局を持っており、B放送会社が一つ放送局を持っており、そのAB二社が合併をした場合、合併後の会社が二つの放送局を、持つのではなくして、郵政大臣の許可を受けて免許人の地位を承継することができる、こういうことにしたいというのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/59
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060・森本靖
○森本委員 それは第二項の問題です。よくある問題で、例の文化放送の切りかえの問題がありましたが、AとBの会社が合併して一つのものになった場合、そのものがもう一回郵政大臣の許可を受けてやることはわかりますが、Aの会社が内部的に機構を改革したとかいうふうなことが出てくると思うのです。あるいは同じ資本形態であっても、たとえば、私もはっきり覚えておりませんが、文化放送みたいに全面的に性格が変ってくるような会社も出てくるのじゃないか。そういう場合に、一体この条項においてどうなるのだろうか、こういう意味で聞いたわけであります。たとえば放送局に対して、それが一つの株式会社であるという場合は、その株式会社に対して免許が与えられるわけですか。あるいは株式会社の代表に対して与えられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/60
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061・荘宏
○荘説明員 会社に対してでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/61
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062・森本靖
○森本委員 そこで、その会社の性格と申しますか、こういうものが変ってきたときには第二項になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/62
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063・荘宏
○荘説明員 第二項はあくまで法人の合併の場合のことのみを規定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/63
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064・森本靖
○森本委員 それではちょっとお聞きしますが、荘さんはよく御承知だろうと思いますが、前の文化放送のときですね、あれは変ってきたのはどういうふうに変ってきましたか。たしか当委員会でも問題になって論じたことがありますので、御記憶があろうと思いますが、ああいう例のときにどういうふうに具体的に当てはまるかということを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/64
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065・荘宏
○荘説明員 多分間違いないと思いますが、文化の場合は元財団法人でございましたので、財団法人の局が廃止をいたしました。そして新たにできた株式会社に新設免許を与えた、かよりに記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/65
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066・森本靖
○森本委員 そういう場合にもやはりこの第二項に準じて扱っておるわけですか、具体的にその場合は。おそらくこういうことが将来その会社の中で出てくるのじゃないかということを考えるので、特にこの際明らかにしておきたいと思うのですが、そういうのは一体新設として許可したというふうにあなたの方はおそらく言われるけれども、やはり実際にはこれは現実の問題としては前の文化放送のものをほとんど継承してやっている。こういう問題が起きた場合、これは一体どう解釈をするかということを、この条項の改正の際に明らかにしておきたい、こう思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/66
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067・荘宏
○荘説明員 文化放送の場合は廃止新設でございましたけれども、その場合に新設の免許を与えるに際しては、森本先生のただいまのお話のごとく、実態的に、実質的に前者の引き継ぎであるというその内容に着目いたしまして、新しくできるものの審査においてその点を十分配慮して新設免許を与えた、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/67
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068・森本靖
○森本委員 そこで今後もそういう例があり得るということですね。これは非常に重大なことでありますが、たとえばいわゆる出力と周波数とを与えて、そうして一つの一定した放送を行なっておる。ところがその会社の性格そのものがかなり変ってきた。変ってきたが実際に営業する内容というものは従来とあまり変らない。しかしその経営者すべてのやり方というものは変ってきたという場合に、その現実を認識して、そのものをそのままこれは継承ということではないけれども、現実には新設免許ということだけれども、やはりその実績というものを加味をして継承的な考え方に立えて、現実には新設免許、こういうことをやり得る、今後もそういうことはあり得る、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/68
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069・田中角榮
○田中国務大臣 御承知の通り現行二十条によりますと、免許人の相続及び会社等が合併した場合には、地位を継承するというふうに明確になっております。でありますが、今度の場合は今の文化放送のような例もありますので、新たに改正条項を入れて郵政大臣の許可を受けて免許人の地位を継承する、郵政大臣の許可事業としたわけであります。そこが違うわけであります。でありますので、今までは文化放送のようなものは実際は廃止の届出を受理し、新しく設立したものに対して実際はその事情を勘案して再免許式なものを新免の名において交付をしておるわけでありますが、今度は郵政大臣の認可を得れば免許人の地位を継承できる、こういうふうにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/69
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070・森本靖
○森本委員 いやこれは大臣そうおっしゃいますけれども、これは「免許人たる法人が合併したときは、合併後存続する法人又は合併により」ということで、これは先ほど荘君が言ったようにAとBが合併したというときの条件であります。私が言っておるのはそういうことでなしに、文化放送みたいな現実には廃止をして、そうして新設免許ということでこれはおりておるわけです。ところが新設免許ということでおりておるけれども、実際は現実に継承的なものになって免許になっておるわけでしょう、現実の問題としては。だからこの条項にはそういうことについては関係がないけれども、将来も放送会社においてああいう文化放送的なものが起きた場合は、現実の問題の処理として法的には新設免許ということであるけれども、精神においてはこれを継承という形の免許のあり方があり得るかどうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/70
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071・田中角榮
○田中国務大臣 もちろん電波法及び放送法の精神に逆行するような形態になる場合は別でありますが、両法律の精神を守っていけるようなよりよい形態ができた場合には、別なものでも文化放送に与えたと同じような行政措置によって与えるということは、原則は変らないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/71
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072・森本靖
○森本委員 その場合はむろんこれは放送法と電波法に基いた一つの内容でなければ、これはどんなものでも、たとえば継承であろうともあるいはまたそれが相続であろうとも、私はそれはやはりこの電波法と放送法に基準を置いた免許でなければそれはできぬと思う。だからむろんそういう場合はこの電波法、放送法に基準を置いた免許になると思います。ただ繰り返して申し上げておきますのは、おそらく今後文化放送みたいな例が出てくるのじゃないかということも考えられるわけです、各放送会社において。具体的には法的には新設免許ということであるけれども、精神ではこれが継承である。この第二十条にある、そういうふうにとるところの現実の処理の仕方の問題が将来も出てくるかどうか。このことを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/72
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073・田中角榮
○田中国務大臣 法律的にはあくまでも廃止新免でございますが、実際の免許を与える場合に、行政措置としてその間の事情は十分調査をして、今の方針をくずさないでいくことは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/73
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074・森本靖
○森本委員 それでは先ほどのこの第四十条の項目をちょっと説明願いたいと思います。資料が来たと思いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/74
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075・石川義憲
○石川説明員 詳しい説明員がおりますから、川島説明員とかわります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/75
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076・川島隆雄
○川島説明員 第一級無線通信士の操作の範囲は、現行電波法第四十条の操作の範囲のほかに、無線電信及び無線電話以外の五百ワット以下の無線設備の技術操作を加える。従来の第一級の無線通信士の操作範囲がありますが、これに新しく追加しようとする改正でございます。第二級無線通信士の操作の方につきましては、現行の操作範囲の一部を次の通りに改める。通信操作につきましては、先ほどもお話がありましたように近海第一区における国際公衆通信のための船舶局の無線設備の通信操作を除くということが第一点の改正でございます。それに伴いまして国際公衆通信以外の国際通信は全世界的に行わせよう、こういうのが一つの改正でございます。経過措置といたしまして一応考えておりますのは、従来の国際公衆通信ができるその資格を五年間は継続的に認めよう、こういうようなことが考えられているのでございます。それから技術操作につきましては、放送局以外の百ワット以下のものの操作を行い得ることとすることが第一点の追加の改正でございます。そのほかに無線電信無線電話以外の百ワット以下の無線設備の操作。無線電信無線電話以外の百ワット以下の無線設備と申しますと、これはナインとかファクシミリとかあるいは標識局とかレーダーとか、こういったものがすべて合まれることになります。それから従来の操作の範囲にもう一つつけ加えますものは、第一級無線通信士の指揮のもとにおいて第一級無線通信士の操作の範囲に属する操作はすべて行い得るように新しく改正しようとするものであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/76
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077・森本靖
○森本委員 今この資料をもらいましたので、それ以下の点についてはこの資料で見ていきたいと思いますからけっこうです。
そこで、この第一級の無線通信士から技術士に分れておりまするが、今度は電話級アマチュア無線技士まで資格を与えるには全部試験するわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/77
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078・石川義憲
○石川説明員 現行の通りであります。現行の通り試験があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/78
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079・森本靖
○森本委員 現在この通信士の全国的な免許の有資格者は何人おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/79
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080・石川義憲
○石川説明員 全部含めて約十三万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/80
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081・森本靖
○森本委員 この中でいわゆる海上の船舶無線に従事しておる人々は何人おりますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/81
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082・石川義憲
○石川説明員 ただいまの資料ではそこまでわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/82
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083・森本靖
○森本委員 この船舶無線の場合は、この一級と二級の無線通信士でいいわけですね。技術士の方は要らぬわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/83
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084・石川義憲
○石川説明員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/84
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085・森本靖
○森本委員 そこでまずお聞きしたいのは、こういうことなんですよ。現在船舶無線の通信士が足らぬという声が全国的に非常に多いのです。というのは、新しく無線通信士の養成が非常にむずかしいということなんです。これは試みに今年でも去年でもかまいませんが、一級通信士と二級通信士と三級通信士の応募者とその合格者の数を言ってもらえば直ちにわかると思いますが、その比較例はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/85
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086・石川義憲
○石川説明員 ただいまその資料を持ってきておりませんが、漸次改善されておるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/86
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087・森本靖
○森本委員 漸次改善されておるというふうに、ばく然としたことでなしに、この前の委員会において私はこの問題については数字をあげて追及したことがあります。これは各電波監理局を全部私が現場を視察した場合でも、地方の電波監理局長の要望はあまりにも試験がむずかし過ぎるということです。合格者が非常に少い、それで船に乗る無線通信士というものは非常に少い、しかも無線通信士というのは、有資格者であっても、なるべくならば船に乗るよりは陸の通信士をやりたいというのが要望であります。そこで具体的に、現在通信士として船舶に乗り得る者が何人おって、そして現在需要がどれだけあって、そしてどれだけ足らぬ、それから毎年試験を受けるところの人間はどれだけおる、それで合格しておるのがどれだけおる、こういうように、この問題については全国的ないわゆる無線の行政として考えてやっていかなければならぬ。ところが現在試験が非常にむずかしいのでなかなか通りにくい。アマチュアはこのごろ全国的になかなか広がりまして、おそらく今回の改正においてもアマチュア無線というのはかなり拡大をせられて、これは非常に貢献になると私は思いますが、今言った肝心の専門の方が非常に不備になっておるという点を心配するわけです。アマチュアはどんどん開拓せられて、そういうことから科学技術精神というものが国民の中に旺盛になっていくということは私は大賛成であります。しかし肝心の無線通信士なりあるいは技術士というものが、だんだん需要に応ずることができないということでは、私は非常に心配になるわけであって、その辺の答弁を、そうじゃない、心配要りません、こういう具体的な資料があるならその資料を出してもらいたい、こう考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/87
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088・石川義憲
○石川説明員 ただいまのお話の点でございますが、確かに従来、最近の例で見ますと一級通信士の合格率は大体一割くらいの例もございますが、漸次上りつつありますし、また別途無線通信協会という格上げのための特別な団体ができておりまして、現在の通信士の不足を補うように特別の措置を講じておりますので、それで十分だとは申しませんけれども、若干解決し得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/88
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089・森本靖
○森本委員 その試験以外の特別な措置というのはどういう措置ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/89
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090・石川義憲
○石川説明員 特別の措置ということではなしに、無線通信協会というものができまして、そうして現在主として二級もしくは三級の人を入れて特別に、特別と言ってはおかしいですけれども研修をやっているわけです。学校でそういう特別な法人がありまして、訓練をして、試験を受けて、そうして一級になる、そういうような法人がございます。それが名称は無線通信協会でございますが、その最近の合格率は大体九〇何%とかいっておりまして、従ってそこに来る人は非常に向学心に燃えておる人たちでありまして、常に勉強するために非常に高い合格率を示しておるのであります。従ってその信協会はかなりの成果を上げているということは考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/90
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091・森本靖
○森本委員 今の特別の措置というのは私の希望には合わないことになりますが、この第一級、第二級、第三級の無線通信士、あるいは航空機級無線通信士というものは、率直なところがそんなにこれは頭の程度が違うものじゃないですよ。技術関係についてもそんなに違うものではありません。三級の無線通信士においても、第一級の無線通信士が行うところの通信が十分にできるわけです。そこでこれは、船舶職員法でも電波法でもそれぞれ船に乗る乗組員については資格がはっきりきまっておって、それぞれ資格がないと乗れない。そこで問題の試験制度というものも、現行の試験制度の率を下げろということを私は言っているのではない。現実に現場において第三級の無線通信士を五年なり六年なり一生懸命やっておって、そうしてその合間に勉強して次の二級なり一級なりをとろうということは、今日の学力程度では率直なところなかなかむずかしいのです。われわれが今一級の無線通信士をとろうとしたところで、学力ではねられるというところが非常にある。これは技術的には完全にできてもそういう点が非常にあるのです。だから現実の問題として、たとえば第三級の無線通信士を現場において、どこかの通信施設において三年なら三年やったら、別の選考試験というようなものを設けて、選考の上において、これを二級に上げてやる、二級になった人がまた三年なり四年なり現実にこれをやっていった場合に、そこで一般の二級の通信士と違ったところの選考試験をやって一級に上げてやる、こういうようなことを考えてやる必要があるのではないか。そうしないと、現在の非常に労働強化になっているところの三級の無線通信士が上に上っていこうということについては、なかなかむずかしいのじゃないかと思う。これは昔は確かに級を上げる場合に選考試験ということがあったはずです。そういうふうな点について、現在の無線界の実情から考えで、考えてやる必要があるのではないか。ただ頭からむずかしい試験をやるばかりが能じゃないと思う。そうかといって、その無線技士の能力が低下をしてはいけない。だから現場にそれだけとどめた者についてはそういうふうな特権を与えてやるいうようなことを、現実の問題として考えてやる必要があるのではないか。法案と関係はないというが、第四十条がここに出ているから、第四十条に関係があるから私は将来のことを考えて言っているわけですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/91
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092・田中角榮
○田中国務大臣 非常に重要な御発言でありまして、私からお答えを申し上げます。もちろん有能なまた事故を起さない無線技術士に資格を与えるべきものでありますが、いずれにしても博士を作るために必要な試験ではございませんから、ある一定の限度に達し、実用的に問題はないということであれば、少くとも試験は現実的なところに根拠を置くべきであると思います。でありますので私は特にそういう考えを持っておりますが、ただ試験問題があまりにも専門化しておって、実用にはるか遠いものであるというならば、改める必要があるでしょう。でありますので、問題の選び方、それから実務経験者の救済規定をどういうふうにして作るかというような問題に対しては、できるだけ早い機会に実情に即したものを一つ考えて、立案をしてみたいという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/92
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093・松井政吉
○松井委員 関連。一番重要なところだからお伺いいたしますが、大体通信士の免許、それから一級通信士、二級通信士、三級通信士その他通信関係資格別に政令を定める、こういう法律なんでしょう。そうするとその資格別の政令の内容というものは、こういう資料に基いた政令を出そうというのでであるかどうか。これが非常に重要なものになってきます。それからこういう法律を出すときには、船舶無線通信士の場合には、御承知のように一級通信と二級通信士しか船に乗れない。その場合に、かりにオート・アラームをつけた船が何ぼ、つけない船が何ぼ、そうしてすでに船舶会社において二級通信士を、オート・アラームがついておるというのでおろしたところがあるかないか、それから二級通信士はオート・アラームがついても船舶には必要だという解釈で電波監理局は考え方を一致しているのか、そういう点の一切の資料が出て、通信士の免許という問題が議論にならなければ、親切な法案審議にはならないのです。そういう資料は一体お出しになる意思があるのかないのか、資料がなくても具体的にすべてが説明できるのか、これをはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/93
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094・田中角榮
○田中国務大臣 ただいま松井さんが言われた通りの資料は、なくはありません。(松井委員「出しますか」と呼ぶ)出しますか出しませんかという問題ではななくて、この段階で申し上げたいのはいづれにしても森本さんが今申された通り、実際実用的に必要な人であっても、一級、二級でなければ船に乗れないというようなことで、試験の制度が悪いという面は、これはすぐ直さなければいかぬ。もちろん私が申し上げたのは、博士を作る試験ではありませんから、実用化されて、これで十分船に乗れるというのであったならば、もっと実際面に合うような問題を、出すようにしなければならぬ。あと問題が残るのは、この一級、二級、三級、航空、電話級というような問題に対して、一級はこれだけの仕事しかできないというワクをはめるという場合に、非常にはめ過ぎては困るだろうという御意見でありますから、それは現行よりも緩和をしようというための改正でありますので、その間の事情は一つおくみいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/94
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095・松井政吉
○松井委員 資格別の政令というのが一番問題になるのですよ。一体資格別にどういう政令を出して、どういう資格をきめようかというのが一番問題になる。もう一つ、船舶の関係で、この法案に関係がないというが、すでに参議院においては議員立法で、船舶の二級通信士とオート・アラームの関係が現実に出ておるのです。それとこの法案の通信士の資格免許というものが関係ないというわけには参らないのです。その辺の考え方の筋を通しているのか。それから少くとも通信士の資格別の政令をきめるという法律を作る限りにはその政令の中身と、それから船舶無線通信士が不足をしているのですから、不足をしているにもかかわらず、参議院では議員立法でで、不足している情勢に現実に反する中身の法案が出ているわけなんです。そういうことについて明確に、電波監理局なら電波監理局、郵政省なら郵政省の、通信士の資格と、通信士の免許、それから通信士の扱いについての一貫した考え方というものが資料で出るとともに、御説明なさらないと、これが了解できないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/95
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096・石川義憲
○石川説明員 参議院に出ております議員立法のものでありますが、あのものは実は四十条とは直接に関係がないと思います。というのは、執務時間というもの、つまり電波法の六十三条というあの執務時間でくるのでありまして、そこにオート・アラームがあった場合には、どう、ない場合にはどうという規定がありますから、関係がないと思います。政令で考えておりますことは、実は大臣がただいま申し上げましたように、現行のものよりも実際に船舶通信士などの執務の状況やそういう意見をいれまして、かなり拡大した幅でやろうとしておるものでありまして、現実にはこれを提案いたします前に関係者に集まっていただきまして、安を示して意見を聞いたことがあります。そのときにこれならけっこうだという御意見をいただいておりますので、特段の問題はその点についてはないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/96
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097・松井政吉
○松井委員 その部分については説明の通りでけっこうです。しかし関係がないということではないのですよ。聞き違えておるのではないかと思うが、森本君の質問で船舶通信士は不足をしておる。それでその船舶に乗れる通信士は一級通信士と二級通信士以外は乗れない、そうでありましょう。ところが参議院の方は時間の問題とオート・アラームがついた場合に二級通信士は要るか要らないかという改正なんですよ。そこに直接条文上の関連はないのですよ。ないのですが、この電波法の改正を出す場合にはどうしても船舶通信士の関係が出てくるわけです。そこでやはり一級通信士、二級通信士が不足をしておる、特に船舶通信士は不足をしておる。それを補う場合にやはり資格別の免許等はやわらかくした方がいいという意見が出ておりますが、そこの関連が明らかにならなければいかぬので、法案の条文としては関連がございませんけれども、一貫した通信士の行政をあずかる郵政省なり電波監理局としては、通信士を監理しなければならぬという立場からは、明確な考え方を持っておらなければならぬ。そうじゃございませんか。だからそれは関連があるのですよ。その基本的なものを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/97
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098・田中角榮
○田中国務大臣 お答えします。今参議院で議員提案として出ておりますものは、三人のものを一人でいいか、二人でいいかという問題でありますが、この問題は一人でいいのか、二人でいいのか、三人の現行のまま据え置くべきかということについての政府の態度は決定しておりません。しかし今森本さんが言われたように、少くとも一級、二級の無線士に対しての資格が厳重で、あって、足らないという問題もありますので、そういう面からいたして、一級、二級その他の無線士は少くとも今までよりも緩和して、乗れなかった人まで乗せようというのがこの法律案の改正の要点であります。政令案もできておりますから、あとから御提示を申し上げてもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/98
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099・松井政吉
○松井委員 大臣の説明はよくわかりますよ。よくわかりますが、乗せようというような改正だだけはよけいなことだと思う。一級通信士、二級通信士以外に船舶に乗せられないのだから、そこのところはよけいなことだと思います。乗せるようにしようと思っても、三級通信士は乗せられません。とにかく厳格にしようという意味ではなくて、緩和しようというところでいいのじゃないかと思うのだが、それで関連をしますからちょっとお伺いをしますが、この六条の改正で船舶安全法とこの条文改正正との関連についてちょっと御説明願えませんか。船舶安全法の条文はこうで、それを改正しようとする場合はこういう関係になる、その筋道でよろしゅうございますが、御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/99
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100・石川義憲
○石川説明員 はなはだ何ですが、船舶安全法のどういう点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/100
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101・片島港
○片島委員長 松井君、質問の趣旨がよくわからぬそうですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/101
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102・松井政吉
○松井委員 第六条の改正の中に、船舶安全法という文字がありますね。これは船舶安全法の関連においてこの条文を改正しようというわけでしょう。従って船舶安全法は何をうたっているのか、それに基いて改正をやろうとるるのか、この説明を求めておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/102
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103・石川義憲
○石川説明員 はなはだ失礼いたしまして。船舶安全法によりますと救命艇に無線機を備えつけなければならぬというふうな規定がございますので、そういう点を十分知りたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/103
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104・松井政吉
○松井委員 そうすると救命艇に無線設備をしなければならないという条項があるので、第六条を改正する場合にはこの条文が必要だ、こう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/104
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105・石川義憲
○石川説明員 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/105
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106・松井政吉
○松井委員 この改正がなくてもいいのじゃないですか、なければいかぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/106
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107・石川義憲
○石川説明員 これは当然ほかのところでそういうことを書いていただかなければなりませんので、免許の申請書を検査したり実態検査したりする場合に、ここで書いていただく方が好都合であるということで、書いていただくというふうに入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/107
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108・松井政吉
○松井委員 そうすると、先ほども森本君がお伺いしましたがわからなかったのですが、一級通信士、二級通信士、三級通信士別に十三万の数の内訳がわかりますか。先ほど船舶に何ぼ乗っているとお伺いしたら、それはきょうわからぬと言われたのですが、資格別の数の内訳はおわかりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/108
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109・石川義憲
○石川説明員 それは手元に数字がございます。昭和三十二年の年度末現在で申しますと、第一級無線通信士は五千八百八十五名、第二級は六千五百六十五名、第三級は九千八百八十四名、航空級八百四十九名、電話級九千八百四名、小計三万二千九百八十七名ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/109
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110・松井政吉
○松井委員 これは私の聞き違えかもしれませんが、先ほど無線通信士の合計は約十三万とお答えになったのですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/110
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111・石川義憲
○石川説明員 今のは無線通信士のところだけを申し上げましたけれども、先ほどのは従事者の総数が十三万という意味でございますから御了承願います。ただいま申し上げましたのは、アマチュアなどや技士も除きまして、無線通信士の数が三万何がしということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/111
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112・松井政吉
○松井委員 そうすると先ほどの十三万というのは従事員の数であって、通信士というのはただいまお答えになった数だ、こう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/112
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113・石川義憲
○石川説明員 試験をとって無線局の操作ができる方を電波法上従事者と言っておりますが、その数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/113
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114・松井政吉
○松井委員 通信士のそれはよろしゅうございます。
それでは一つほかのところについてちょっと質問しますが、第五条は、従来は一項、二項、三項でよかったものを、新たに四項を加えなければならなかった理由は、従来の取扱い上に工合の悪い点があったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/114
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115・田中角榮
○田中国務大臣 四項も当然入っておるべきであったものが法律に抜けておるということで、これを入れようということが一つもう一つは、今度の免許に当って、御質問もありました通り、特にこの四項が重要になったということで入れたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/115
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116・松井政吉
○松井委員 あるべきものが抜けておったのではないのですよ。一項、二項、三項の方が扱いやすいのです。四項を設けたので扱いにくくなるのです。だから従来扱いやすくなっていたものをなぜ四項が必要か。従来あるべきものがなかったというのですが、あるべきものがなかった場合にどういう欠陥があったかということを私は聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/116
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117・荘宏
○荘説明員 放送につきまして、新たに第四項で、従来の規定よりも厳重にいたしました理由は、放送は非常に重要な公器と申すべきものだと存じますので、他の一般の無線局よりも外国の排除の度をきつくすべきである、かように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/117
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118・松井政吉
○松井委員 それは逆ですよ。四項を設けたのでこれが緩和されたのです。一項、二項、三項は三分の一であろうと、四分の一であろうと、五分の一であろうと、一号の日本人の国籍を有しない者、二号の外国政府またはその代表者、三号の外国の法人または団体と明確になっておる。ところが今度四項を設けたので、外国の法人または団体であっても、三分の一以上もしくは議決権の三分の一以外ならばいいという解釈に通ずるのです。これはきつくじゃないですよ。緩和したのですよ。従って従来の三項の場合、こういう問題が起きたので今度改正を必要としたのか、従来は何らさしつかえないけれども、いわゆるあるべきものがないから入れたのか、それとも特にこういうことを、設けなければならないという必要性の具体的なものがあったのか、その点を一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/118
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119・荘宏
○荘説明員 従来の第一項の四号に外国関係の法人、団体につきましては、役員の三分の一もしくは議決権の三分の一以上を占めるものは免許をやらない。三分の一をもって仕切りとしておりまして、三分の一まではいいということになっておったわけであります。これに対しまして通常の無線局は、その従来の四号の通りでいくけれども、新たに四項を設けて放送については三分の一などになってはいけない、五分の一までであるぞよ、こういうようにしぼった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/119
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120・松井政吉
○松井委員 それならば郵政大臣の答弁はてんでとんちんかんで、あるべきところにあるものがないのでなくて、前にもあったのだが、あり方の問題について直したということになるので、それはもう全然違う。そういう御答弁をされるからひまがかかるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/120
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121・田中角榮
○田中国務大臣 訂正しておきます。これは四項と四号との間違いでありますから、ただいま荘次長が申した通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/121
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122・森本靖
○森本委員 それでは最後に重要な点でありますが、これは竹内委員からも質問がありましたが、まだその点が明確になっておりません。第百四条の二の「予備免許、免許又は許可には、条件文は期限を附することができる。」この条項が入っておるわけでありますが、この期限ということについては私はある程度了解ができます。免許、予備免許の場合に相当期限を付さなければならぬということについては、私としてはある程度の了解がいきますけれども、この条件ということになりますと相当問題が出てくるわけであります。これは正式に印刷された文書かどうか知りませんけれども、電波法の一部を改正する法律案百四条の二の運用の基準案というのがここにありますが、これは政府の正式の考え方でありますかどうか、まずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/122
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123・田中角榮
○田中国務大臣 憲法及び法律上の権利として保障せられておるものをごうも侵してはならないという原則に立って、政府として明確に規定した案であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/123
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124・森本靖
○森本委員 「憲法及び法律上の権利として保障せられておるところについては、これを毫も侵すものであってはならない。」ということは当然なことであります。しかし政府は再々憲法及び法律を犯すようなことをやるときもあるわけでありますが、この憲法及び法律上の権利として保障せられておるところについては云々ということは一項の言葉であります。その次の二の項の小さい(1)、(2)、(3)、(4)というのが正式の政府の考え方であるかどうか、これをまず聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/124
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125・田中角榮
○田中国務大臣 (1)、(2)、(3)、(4)は正式なものでありまして、これ以上拡大をしない、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/125
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126・森本靖
○森本委員 そうすると、この間の平井大臣から田中大臣に移りましたときに、テレビの放送その他についてかなりの条件を郵政大臣はつけたはずであります。郵政省がそのつけた条件によって免許したわけでありますが、あの条件はすべて非合法、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/126
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127・田中角榮
○田中国務大臣 非合法ということではないかわかりませんが、行政上つけたものであります。しかもこれはこちらがつけたのではなくて、一応表面上は申請者が自発的につけたという形式をとっております。私はあくまでもその間の事情をあからさまに申し上げておるのですから御了承いただきたいのですが、そういう意味で形式上は申請者がつけたということになっておりますが、私たちはこれを条件ということで、もちろん本人が申請をして出したものでありますから、守ってもらいたいものでありますが、法律的に強制力はありません。あくまでも方針であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/127
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128・森本靖
○森本委員 法律的に強制力があの条項についてないことはないはずです。法的にあるなしにかかわらず、あの条件が満たされなければ仮免許は取り消すということをあなたの方が言っておるわけですから、これはやはり法律的云々というよりも、行政上ははっきり条件として権限が郵政大臣にあるわけです。だからああいうふうなことをやったことについては、私はいいところもあれば悪いところもあると思う。だから今の段階においてはあの条項については、かなりいいところがあるということは言えると思うのです。それと同時にこの前の委員会でも問題になりましたたとえば新聞、ラジオ、テレビの兼営等の問題についても、私は郵政省の今回とった条件についてはかなりほめていい点があると思うのです。だからこの条項をこういうふうに加えるということになれば、この条件がこの(1)、(2)、(3)、(4)だけであるというふうにあなた方がここで言うということになると、今までやった行政上の措置というものが非合法ということになる。そうすると今まで郵政大臣は、法律にない、非合法的なものをもって一般の民間放送会社を押えつけておったということになりかねない。法的にはそうなる。だから将来もこの間つけたような条件は、この百四条の二によってつけ得ることはあり得るということでなければ、この第百四条の二という項は生きてこない。ここに書いてあるような(1)、(2)、(3)、(4)の条項ならこれは技術的な条項なんです。こんなものは何もわざわざ条件なんてやらなくても、電波法その他によってこの条件はつけられる。その他の条項においてこれはつけられるわけです。そういう点から見て、この条件というものはこれだけだというふうに一体あなたは言い切れるかどうか。これは非常に大事な問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/128
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129・田中角榮
○田中国務大臣 放送業者等に免許を与える場合には、放送法の精神に逆行するような条件はつくべきでないという考えを持っております。でありますから技術的なもの等も、免許に当ってやむを得ざる限度における条件、期限ということでありますから、おおむね現在の段階において、ただいまお示ししておるような、(1)、(2)、(3)、(4)というようなものでしぼっておるわけでありますが、百四条の二において、この間の予備免許でつけたものということと同じもの以上のものができないということになると、またやれないということであって、前のものが違法であるというのでありますが、これはあくまでも行政措置であります。行政措置にも限界があります。もちろん法律でもってやってはならないという明確な規定があるものはやってはなりませんし、また法律上の明文がなくても、別の法律の精神を侵すような条件をつけるべからざることは言うをまたないのであります。しかし私どもが行いましたものは、もう必要やむを得ざる限度においてあの程度の条件をつけたのであります。私はあえて自分でつけたということを明確に言っておりますが、形式上は、申請者の自発的意思に基いて、放送法の精神を十分に守って、社会公益のために貢献しますからという方向でこういう条件を提示して参りましたので、私の方もこれが守られるということを前提にして予備免許を与えたわけであります。しかもその予備免許を与えた場合には、左の条項、すなわち提出書類記載の条項が守られないと認めた場合には免許は失効する、こういうことになっておりますから、相当手きびしい条件といわれるかもしれません。しかしこれはあくまでも効力停止条件つきの免許でありますので、将来は放送や言論の自由を抑圧すると思われるようなものは、いやしくも行政措置であってもできるだけつけないようにすべきであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/129
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130・森本靖
○森本委員 これは将来においても放送界にとっては大事な点でありますので、念を押しておきたいと思います。せっかくここで条件を法律的に入れるならば、この間つけた条件の中のよい条件をつけたって私はかまわぬと思う。悪い条件、放送界の言論を抑圧するような条件をつけることはないけれども、少くとも言論、放送の民主化に役立つような問題については、たとえばこの間の新聞、ラジオ、テレビの兼営は、なるべくやめた方がよろしいというような条件は、放送界の民主化に役立つわけでありますから、これは全然つけていかぬということにはならぬと思う。だからそういう問題についてこれを(1)、(2)、(3)、(4)に全部限定をせられたということでは、あなたのつけた意思が実際に明確になってこぬのだ。あなたはこの法律の通過に一生懸命であって、何とかかんとか両方によいようなことを言っておるけれども、これこそ明確にしておかなければならぬ問題だと思う。だからここにある(1)、(2)、(3)、(4)の条件を時の政府が悪用してはならぬと思う。絶対に言論、放送を抑圧し、統制する方向にこれを悪用してはならぬけれども、日本の放送界にとってにれを善導していこうという政府のよい解釈であれば、ある程度の条件をつけることについてはやむを得ないと思う。現在の放送界の現状からして、これは現実の問題としては正しい意見だ。だからこの条件は(1)、(2)、(3)、(4)だけだということを言明してもらうと、将来の放送行政にとっては非常に大きな障害になるのではないかと思う。この条件というものは、時の政府のやり方によっては悪用せられる危ない条項であると思うけれども、時の政府がこれを善意に解釈をして、善意に放送界というものを善導するならば、やはりある程度この間つけた条件の中でも、私はつけていい条件はたくさんあると思う。だからその点を明確に大臣から答弁を願わないと、この条項については非常に疑問が残るわけです。大臣が(1)、(2)、(3)、(4)と単なる技術的な問題だけであるということになりますと、私は将来にとって大きな束縛になると思う。だからその点については明確に答弁を願いたい。この間のような条件であっても、やはりこれが放送界にとって非常にいいという段階になるならば、そういう条件もつけることはあり得るということをはっきりしておかぬとこれは問題になる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/130
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131・田中角榮
○田中国務大臣 御承知の通り放送局の免許に当っては、ある程度の条件を付さなければならない、また付した方がいいということはよくわかります。わかりますが、法律でもって百四条の二項を聞くことによって、無制限に条件をつけられるということであっては断じていかぬ、こう思いますので、現在の段階においてはお手元に明示をしました通り、少くとも奔放になってある時の政府に利用せられて、この条文が無制限に拡大をせられて、言論の抑圧になるような道を開いてはならないということを厳に考えておるために、こういうふうに非常に現実的にしぼって考えております。でありますが、ただいまも森木さんが言われたようないろいろな条件は、これから後も政府の行政権を行う場合に、政府の責任において行政措置として間違いのない条件等を付して免許を与えるということは、これは将来もあることでありますので、少くともこの法律の百四条の二項で、政府は「条件文は期限を附することができる。」という明確な規定を置いた以上、この条文によって何でもかんでも条件、期日をつけられるとは考えておりません。できるだけしぼろうという意思のあるところを率直に申し述べた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/131
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132・森本靖
○森本委員 これは一番大事なところでありますので、将来の放送界にとって——これは少くとも十一月になれば、あるいはそれよりも早い機会においてFM放送の全国的な許可ということは当然出てくるわけです。だからこそこのことを考えて、私はこの問題について言っておるわけです。ここで大臣がこの法律を一生懸命通そうということに努力して、そこで(1)、(2)、(3)、(4)だけしか条件がありませんということになると、この条文を一体何のために出したかということに私は非常に疑念を抱かざるを得ない。だから今日の段階においては、この(1)、(2)、(3)、(4)というものは最小限にしぼった段階である。しかし実際に放送局に対するところの免許の許可に当っては、いわゆる自主的に業界が今日の放送界の自粛ということを考えて、そういう条件を提案してくるならば、その条件というものも、一応郵政大臣がそれを条件としてその免許を認め得る。これ以外にもそういうことがあり得るということを私は考えていいのじゃないか。ただし断わっておきますが、そういうことを放送界の言論統制、あるいは言論抑圧には絶対使ってもらっては困る。けれどもそういう条件というものは、やはりある程度この条項以外にも出てくることがあり得る。たとえばこの間のテレビの免許につけたところの条件というものも、あり得るというふうに解釈していいかどうか。その点をお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/132
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133・田中角榮
○田中国務大臣 先ほど申し上げました通り、こういう条件をつけられる、期限を付し得るということは、無制限に解釈してはならないということで、非常にしぼって申し上げましたが、いずれにしてもこの百四条二順によって付し得る条件及び期限というものは、電波法、放送法の条件に合ったこの規定を犯さない限度内においてつけられる。またつけなければならない、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/133
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134・森本靖
○森本委員 私はこの放送局の免許等に際しては、その放送の内容その他については、政府は決して条件をつけるべきではない。しかしその放送を行おうとする企業体のあり方等については、やはり相当サゼスチョンしてもやむを得ないのではないか。今日の日本の状況から考えたならば、そういうことはあり得ると思う。だから放送の番組とか、その放送の内容ということについては、これは一切政府が干渉してはならぬ、こう思いますけれども、その放送の企業体のあり方等については、郵政省としては相当条件その他を付する場合もあり得る、こう考えるわけでありまするが、大臣はその点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/134
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135・田中角榮
○田中国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でありまして、私はあなたの言うことが非常によくわかるのです。私はあなたが今おっしゃったより以上な条件をつけたのでありますから、非常にわかるのですが、この条文を作ったために無制限につけられるということを私は申したくないので、今まで申しておるわけでありますが、いずれにしても先ほど申し上げた通り、電波法及び放送法の精神を絶対に踏みにじってはならないということが前提でありますが、この法律の精神に逆行せず、しかもこの法律を行うために必要な限度において条件を付し得る、こういう考えでありますから、おおむねあなたの考えでよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/135
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136・片島港
○片島委員長 別に質疑はございませんか。——質疑がなければ、これにて本案に対する質疑は終了したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/136
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137・片島港
○片島委員長 御異議なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
これより討論に入りますが、別に討論の通告もありませんので、これより直ちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/137
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138・片島港
○片島委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/138
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139・片島港
○片島委員長 御異議なければさよう取り計らいます。
郵政大臣より発言を求められておるので、これを許します。田中郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/139
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140・田中角榮
○田中国務大臣 ただいま電波法の一部を改正する法律案の御議決をいただきましてありがとうございました。これが公布、執行に当りましては、委員会審議の過程において述べられました御発言等に対して、十分万遺憾なきを期したいつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804816X03019580422/140
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141・片島港
○片島委員長 次会は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。
午後六時七分散会
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