1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月二十日(木曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 福永 健司君
理事 相川 勝六君 理事 高橋 等君
理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君
理事 山本 正一君 理事 受田 新吉君
大村 清一君 小金 義照君
北 れい吉君 辻 政信君
中川 俊思君 中嶋 太郎君
永山 忠則君 原 健三郎君
堀川 恭平君 眞崎 勝次君
粟山 博君 山本 猛夫君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
淡谷 悠藏君 稻村 隆一君
中村 高一君 西村 力弥君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
出席政府委員
内閣官房副長官 岡崎 英城君
総理府総務長官 今松 治郎君
総理府事務官
(内閣官房内閣
審議室長兼内閣
総理大臣官房審
議室長) 吉田 信邦君
行政管理政務次
官 榊原 亨君
総理府事務官
(行政管理局
長) 岡部 史郎君
自治政務次官 中島 茂喜君
総理府事務官
(自治庁長官官
房総務参事官) 佐久間 彊君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 小林與三次君
防衛政務次官 小山 長規君
科学技術政務次
官 吉田 萬次君
厚 生 技 官
(公衆衛生局環
境衛生部長) 尾村 偉久君
農林政務次官 瀬戸山三男君
通商産業政務次
官 小笠 公韶君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁長官官
房財政再建課
長) 長野 士郎君
厚生事務官
(大臣官房総務
課長) 牛丸 義留君
厚生事務官
(引揚援護局庶
務課長) 石塚 富雄君
厚生事務官
(引揚援護局未
帰還調査部長) 吉田 元久君
専 門 員 安部 三郎君
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二月十九日
委員茜ケ久保重光君辞任につき、その補欠とし
て田万廣文君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員田万廣文君辞任につき、その補欠として茜
ケ久保重光君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員田村元君、永山忠則君、粟山博君及び山本
粂吉君辞任につき、その補欠として中嶋太郎君、
原健三郎君、山本猛夫君及び堀川恭平君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員中嶋太郎君、原健三郎君、山本猛夫君及び
堀川恭平君辞任につき、その補欠として田村元
君、永山忠則君、粟山博君及び山本粂吉君が議
長の指名で委員に選任された。
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二月十八日
通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第六九号)(予)
同月十九日
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五二号)
漁業制度調査会設置法案(内閣提出第六六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三六号)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三七号)
青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第三八号)
内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
〇号)
自治庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四七号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、第二十六回国会閣法第一五五号)
通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第六九号)(予)
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五二号)
漁業制度調査会設置法案(内閣提出第六六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/0
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001・福永健司
○福永委員長 これより会議を開きます。
通商産業省設置法の一部を改正する法律案について、まず政府の提案理由の説明を求めます。小笠通商産業政務次官。
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―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/1
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002・小笠公韶
○小笠政府委員 通商産業省設置法の一部を改正する法律案についてその趣旨を御説明申し上げます。
改正の要点は、第一に通商局に振興部を設置することであります。今後におけるわが国経済の安定的成長を期するためには、輸出の振興がその基本的要件であることはいうまでもないことでありまして、通商産業省としてもあらゆる施策を結集して努力を重ねておりますが、この際通商局に新たに振興部を設置し、海外における貿易振興の中核体としての日本貿易振興会の運営の強化、今後ますます活発化するものと期待される海外諸国との経済協力の促進並びに輸出保険、輸出検査、意匠の奨励及び盗用の防止等の事務をあわせ行うことにより、輸出の振興に関する行政の態勢を格段に強化することといたしました。
なお、意匠に関する奨励の事務は従来特許庁において行なっておりましたが、最近において輸出品の意匠の改善及び外国品の意匠の盗用の防止等、意匠問題が国際的にも国内的にも重要な問題となっている状況にかんがみまして、これを通商局において行うこととし、あわせて従来特許庁の付属機関として設置されていた意匠奨励審議会を本省の付属機関とすることといたしました。
第二は、軽工業局にアルコール事業部を設置することであります。アルコール専売事業は、約千四百名の職員を擁し、年間売り上げも三十数億円に達しており、加えて公共企業体としての特殊性にもかんがみ、アルコール事業部を設けて業務態勢を確立し、より一そう事業運営の合理化をはかることといたしました。
第三は、金沢繊維製品検査所高岡支所を本所に昇格させることであります。高岡支所における輸出絹人絹織物の検査高は、富山県下における繊維産業の発展に伴って逐年増加の一途をたどり、昭和三十二年度においては、全国検査高の一三%に達し、既設の九検査所に比較しても福井繊維製品検査所及び金沢繊維製品検査所(高岡支所を除く。)に次ぐ地位を占めておりますので、この際本所に昇格させることにより、その機能の充実をはかるとともに民間検査機関の指導監督にも万全を期することといたしました。
第四は、特許庁に工業所有権研修所を設置することであります。最近における急速な技術の進歩と経済の発展に伴い、工業所有権出願は、急激に増加するとともに内容的にも高度化、複雑化の一途をたどっております。このため、三十一年度以降引き続き特許庁の審査、審判関係要員の増加を行なって参りましたが、このたび工業所有権研修所を設置して、審査、審判に必要な職務上の研修を行い、審査官、審判官の職務能率の向上をはかることといたしました。
以上がこの法律案の提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたします次第であります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/2
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003・福永健司
○福永委員長 次に漁業制度調査会設置法案を議題とし、政府の提案理由の説明を求めます。瀬戸山農林政務次官。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/3
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004・瀬戸山三男
○瀬戸山政府委員 ただいま上程せられました漁業制度調査会設置法案の提案の理由を御説明申し上げます。
わが国の漁業は戦後の復興に伴い次第に漁場が拡大されるとともに、漁業に関する政府の諸施策とも相待ちまして、急速な発展を遂げ、昭和二十七年度においてはその生産高において戦前の最高水準に復帰し、以来世界有数の水産国の実をあげておりますことは御承知の通りであります。
しかしながら、この間沿岸漁場における漁業生産は、必ずしも十分な伸展を見せず、漁業経営体総数の八割五分を占める漁家層は低い生産性と所得水準にとどまり、またこの漁場における漁業調整、特に沖合漁業との問題は近来深刻化して参っているのであります。一方、近年におきましては、遠洋漁場において、沿岸国との調整をはかる必要が漸次増大するほか、水産資源の最高生産性を維持するための国際協調が進められ、漁業に関する諸条約が締結されまして、従来のように、漁場の拡大により問題を解決する方途にも慎重なる態度をとらざるを得ない事態に至っているのであります。
このような事態のもとにおきましては、従来にも増して、一そう水産資源の維持培養をはかり、漁場を高度に利用し、漁業の調整に意を用いまして、漁業の生産性を向上し、漁業者の協同組織を整備しその経営の安定を期して参らねばならないと思うのであります。従いまして、この時に当り、ただに従来とられております各種の漁業振興施策を強化するのみならず、現行の漁業に関する基本的制度も検討し、これが改善措置を講ずる必要があると存ずるのであります。
現行漁業法によりますと、昭和三十六年度におきまして、一部の漁業権につきましては、第二回目の、その他の漁業権につきましては第一回目の更新時期に際会いたすことでもあり、この間の漁業事情の推移をあわせ考えまして、現行の漁業生産及び漁業者の協同組織に関する制度を検討し、一そうの生産性の向上と漁業経営の安定を期するために、現在これら諸制度の改善をはかる要緊切なるものがあると存ずるのであります。もとより、行政庁におきましても、かねて研究調査を重ねて参っているのでありますが、これら制度の改善に当ってはその影響するところも多く、またこれら諸制度は、相互に複雑な関連を有しており、専門的に深く検討する必要がありますので、この際、水産庁に漁業制度調査会を設置し、広く学識経験者の御参集を得て、慎重に審議を重ねていただくことが最も適当であると存じ、この法律案を提出する次第であります。
以下、この法律案の内容について概略御説明申し上げます。
まず本調査会の所掌事務でありますが、本調査会は、農林大臣の諮問に応じまして、漁業の許可、免許を初めといたしまして漁業調整、水産資源の保護等漁業生産に関する制度及びこれらの制度と密接なる関係を有しまする漁業協同組合等の漁業者の協同組織に関しまして、その改善の方途につき重要事項を調査審議し、またこれらに関し必要と認める事項を関係行政庁に建議することを、その任務といたしたのであります。
次に、本調査会の組織でありますが、本調査会は、委員二十五人以内で組織するものとし、必要に応じ、十人以内の専門委員を置くことができるものといたしました。これら委員及び専門委員は、学識経験者のうちから、農林大臣が任命することとし、会区長は委員の互選によって定めることといたしました。
このほか、この法律の制定に伴いまして、水産庁設置法の一部改正を行なっております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/4
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005・福永健司
○福永委員長 次に科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府に提案理由の説明を求めます。吉田科学技術政務次官。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/5
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006・吉田萬次
○吉田(萬)政府委員 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の提出理由を申し述べます。
ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につき、御説明申し上げます。この法律案は最近における電子技術の著しい進歩に対処するため、科学技術庁に諮問機関として電子技術審議会を新たに設置しようとするものであります。
そもそも電子技術は従来とも、無線通信、テレビジョン、エックス線、電子顕微鏡等において電子の運動の独特な性質を利用する技術として、各方面に利用されて参ったものであります。しかしながら、最近におけるその発達はまことに驚くべきものがあり、電子技術は今日、電子計算機、オートメーション、航空機、原子力利用等からさらに医療にまでわたる広い分野において利用される一方、これら各部門はすべて電子技術を離れてはもはやその発展を期しがたい段階にまで到達いたしたのであります。
政府といたしましてはすでに昭和三十一年九月科学技術庁の諮問機関である科学技術審議会に電子技術部会を置き、自来、この電子技術部会の意見を尊重して科学技術庁は電子技術振興のため、外国技術の導入、電子技術に関する技術者の海外派遣、関係行政機関の電子技術に関する試験研究費の見積り方針の調整等諸般の措置を講じて参ったのであります。しかしながら、最近における電子技術の進歩はますます急速で、電子技術部会の審議事項はおのずから広範多岐にわたることとなったため、現在の機構では、審議を行うに必ずしも十分でないと考えられるに至ったのであります。よって、政府といたしましては従来の電子技術都会を発展的に解消させて、電子技術審議会を新たに設置することを決定いたし、ここに科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を提案いたした次第であります。
電子技術審議会の組織、所掌事務、議事等は政令で定められることとなっておりますが、御参考までにその概要を申し上げますれば、審議会の組織といたしましては、学識経験者および関係行政機関の職員から選任される二十五名以内の委員と三十名ないし四十名の専門委員が置かれ、また専門の事項を調査審議するため必要に応じ幾つかの部会を設ける予定であります。このような組織の審議会におきまして、電子技術の飛躍的振興をはかるために、電子技術に関する、研究とその成果の利用開発の促進方策等について、活発な審議の行われることを期待いたしている次第であります。
以上、はなはだ簡単でございますが、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げました。皆様の慎重なる御審議をお願い申し上げます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/6
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007・福永健司
○福永委員長 次に第二十六回国会よりの継続法案であります防衛庁設置法の一部を改正する法律案について、政府に提案理由の説明を求めます。小山防衛政務次官。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/7
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008・小山長規
○小山(長)政府委員 防衛庁設置法の一部改正法律案の提案理由及び概要につきましては、昨年五月二十六日本委員会において御説明申し上げたところでございますが、同法律案はその後継続して御審議をいただき、今国会においてもさらに御審議を賜わることとなっております。前回御説明申し上げましてから相当の時日を経過しておりますので、前回と同一の内容ではございますが、あらためて御説明いたしたいと存じます。
政府は行政機構改革の一環として、調達庁を防衛庁の所轄のもとに置くことといたしました。
調達庁は、駐留軍が必要とする施設区域及び労務を提供し、また駐留軍から需要を解除された施設区域を保管、返還もしくは処分し、または駐留軍の行為により生じた損害に対する補償請求の処理等を主たる任務とするものであることは、御承知の通りであります。
これら施設区域及び労務の提供等の業務は、わが国の安全に寄与するために駐留する外国軍隊の任務の遂行を円滑ならしめるために行われているものでありますが、なかんずく提供施設区域については自衛隊の施設区域とも密接な関係があり、これらの点から最近防衛庁と調達庁との関係はいよいよ緊密の度を加えて参ってきております。従って今回わが国の防衛に関する行政事務を一体的に処理しようとする趣旨から調達庁を従来その担当大臣であった防衛庁長官の統括の下に置くこととしようとするものであります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/8
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009・福永健司
○福永委員長 これにて各法案についての提案理由の説明は終了いたしました。以上四法案についての質疑は次会以後にこれを譲ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/9
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010・福永健司
○福永委員長 次に、内閣法の一部を改正する法律案を議題としてこれより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/10
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011・受田新吉
○受田委員 内閣法の改正の骨子は定員数の増員という問題にあるのでありまして、しかもその目的が情報収集の機関に定数をふやすというところに目的があるようでございます。これは従来非常に問題であったのでございまするが、政府が情報収集機関を強化して、何かの目的のためにこれを利用するのではないかという批判が巷間にしばしば繰り返されてきたのです。ところがことしはしなくとも、十五名というこの定数の増員計画は、政府が秘密情報収集の目的をもって、何らかの思想的な対策を考慮しておるのではないかという批判が非常に強化しているわけです。提案者である政府側の意向として、情報収集に、この大幅の定員増加の方途を講ぜられた目的が那辺に存するか、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/11
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012・岡崎英城
○岡崎政府委員 このたび内閣調査室を中心として定員を増加いたしまする真の目的は、ただいまの御質疑にございましたような意図ではなく、従来内閣調査室を中心として情報収集並びに整理統合をいたしておったのでございますが、最近内外の情勢その他の非常に広範な範囲においての動きがございまして、情報その他の整理は、今までの定員ではとうていすることができない。整理も事務的な整理ではなく、やはりある程度の知識を持った者が判断をして整理を行わなければならぬので、その整理統合のために人員を増加しなければならぬというのがおもな目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/12
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013・受田新吉
○受田委員 その整理統合の目的ということでございますが、もともと内閣調査室というものが設けられた主目的は、いずれの任務を持っておったかということについて、幾つかの柱となる中身があるはずです。内閣調査室の任務ですね。その内容を一つ最初御答弁願って、お尋ねを続けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/13
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014・岡崎英城
○岡崎政府委員 内閣調査室を設けましたのは、内閣の重要政策に関する情報の収集調査並びにこれに関する政府機関の事務の連絡調整に関するということが、その設立の趣旨にも述べられておりますように、そういう点に目的があるのでございますが、このたび皆様に増員をお願いしますのは、そのうちの収集調査をいたしましたものの整理をいたすということに重点を、主目的を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/14
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015・受田新吉
○受田委員 その情報収集というのは、幾つかの方面的な分類がされていると聞いております。たとえば対米あるいは対ソ、対中共、こういうふうな、それぞれの方面によって収集の度合いが違うのではないかというような疑いも持たれておるのですが、重点の置きどころが違うのではないかというようなわれわれとしては危惧を持っておるのでございますが、そうした情報一収集の中身、方面の分類をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/15
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016・岡崎英城
○岡崎政府委員 情報収集の中身、内容といいますのは、広範にわたるわけでありますが、世界各国、日本と関連のあるあらゆる国々の情報等の収集をしておりまして、特に特定な国に対して特別な収集をするということはございません。またもちろん国内におきまする、そういう方面についてのあらゆる情報収集もやっておるわけでございますので、それも特に特定な分野に対して特別な方途をもって情報収集をやるということはしていない。世界万般、国内万般の点についてやっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/16
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017・受田新吉
○受田委員 ではお聞きしますが、三十六人の定数はどういうふうに任務を持ってその職務を行なっておるのか。今私がお尋ねしたような、各国あるいは各方面別の担当職員というものがあるはずです。そういう職員の定数の分野をお示しを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/17
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018・岡崎英城
○岡崎政府委員 ただいまの三十六名の内閣調査室の定員のうち、八名は調査室外の審議室の方に七名と参事官一名で、八名だけは内閣調査室以外の定員でございます。残りの二十八名を庶務に若干名とあと四班くらいだと記憶しておりますが、そういうふうに英米別並びに各国別、国内別と分けておりまして、三、四名ずつに分けてその衝に当らせておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/18
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019・受田新吉
○受田委員 その四班に分けてやる中身ですが、英米別、各国別、国内別という今の御答弁でございましたが、四班は、第一班、第二班、第三班、第四班として、さらに具体的な担当区域をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/19
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020・岡崎英城
○岡崎政府委員 こまかい担当区域になりますとあれですが、欧米並びにアジア、アジアを二つに分けて、東南アジアと普通のアジア、それから日本の中を二つに分ける、そういうふうに四つに分けておると記憶しております。あまり明確な事務分掌を作ってやらしておるわけではありませんが、大体目標はそういうふうにやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/20
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021・受田新吉
○受田委員 今副長官、はっきり四班に分けてあるというお言葉でございましたが、欧米と東南アジアと普通のアジア、それから国内を二つに分ける、そういうような格好に分けておるのでございますが、ほんとうですか。それが四班ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/21
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022・岡崎英城
○岡崎政府委員 名前を特に書いてありませんが、第一、第二、第三、第四班と分けてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/22
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023・受田新吉
○受田委員 そうしますと、英米それから東南アジア、普通のアジア、国内が一、二……。五班じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/23
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024・岡崎英城
○岡崎政府委員 国内は一つです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/24
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025・受田新吉
○受田委員 さっき国内が二つに分れておると言ったのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/25
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026・岡崎英城
○岡崎政府委員 国内は一つです。間違いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/26
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027・受田新吉
○受田委員 そうしますと、この四班がそれぞれの地区別に分れて情報収集に当り、さらにそれを連絡調整するのでありますが、その情報収集には、外務省にはまた外務省の特殊の機関があり、また警察庁、法務省、それぞれの機関があるわけであります。それぞれの機関のそうした情報収集というものとの関係というものは、ただ単に連絡調整というだけですか。あるいはもっと深いものがあるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/27
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028・岡崎英城
○岡崎政府委員 各省との連絡は、各省から情報の御提供をしていただいておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/28
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029・受田新吉
○受田委員 そうすると、単に情報収集の機関として資料を提供していただき、それの連絡調整をはかって、国策の一翼に資するというような形の機関でございますか、それ以外に任務はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/29
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030・岡崎英城
○岡崎政府委員 内閣調査室においても若干委託情報をいたしましたり、また各方面からの直接御提供いただいておる面もございますが各省の情報も、先ほど申し上げましたように、提供していただいて、両方総合調整いたしまして、整理して、国策に必要な情報を内閣から各省にまた流すというふうにしております。ただここでもって政策を立てたり方針を立てたりということはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/30
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031・受田新吉
○受田委員 そうすると、各省にある情報収集機関の連絡調整だけでいい
じゃないですか。別に情報収集を別の機関で、さらに屋上屋を重ねるような格好でそれに職員を置いてまでやる必要はないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/31
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032・岡崎英城
○岡崎政府委員 各省の情報は、または情報の整理等は、各省のお立場でやっておるわけでございまするから、それを総合的にいたしまするについては、やはり各省から総合情報を提供してもらうと同時に、やはり統制、統合的な政治の中心的な立場からの情報というようなものを、若干収集調整する必要があるというので、若干の情報を提供してもらったものを基礎にいたしまして、各方面に直接情報収集をいたしておる面も若干ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/32
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033・受田新吉
○受田委員 若干というので軽く見ておられるようでございますが、三十六人の職員、特に二十八人を四班に分けて分担しておられるこの情報収集は、これは人的構成からいったら、大した効果はないと思うのです。むしろ各省にあるそういう情報機関で収集された情報の方がもっと的確なものであろ
う、それを屋上屋を重ねるような総合的な情報収集という今お言葉がありましたが、総合的な情報収集をする人間をそこに新たに作って、そしてそこへ何らかの政府の意図する目的のもとにこれを集めさせるというような格好になるおそれもあるのです。従ってもしこういう機関を置こうとされるならば、単にそれらの情報の連絡調整だけで、収集は各省各庁にまかしておかれるべきじゃないかと思うのです。総合的な情報収集機関を設けるというところに問題があると私は思うのですが、そこにまた十五名も定数をふやしてまで、その情報収集をする必要がございますか。各省の情報収集機関で十分じゃございませんか。十五名という職員は相当やはり有能な人だと私は思うのです。そういう有能な人を、そういう各省の情報収集で安心できないから、その上にもっと高い高度の情報収集をやらすなどということになると、これはどうも国家統制の目的があるような印象を国民に与えると思うのです。単にこれは定数十五名ふえているというような簡単な法案でありまするけれども、その背後に横たわるものは、おそるべき思想国家を建設するのじゃないか、そういう危険があるのです。これはささいに見えまして非常に重大な問題だと私は思うのですが、もう一度各省にまかした情報収集を単に連絡調整されて、そして政府がこれに対する施策を講ぜられる程度でいいのじゃないか。総合的な情報収集という目的をここへ別にうたわなくてもいいじゃないかということを感ずるのですが、副長官、あなたは責任ある答弁はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/33
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034・岡崎英城
○岡崎政府委員 先ほどから申し上げましたように、政府の重要施策に関する情報の収集という面も、設立の当初からの目的にうたわれておるわけですが、その面については、現在の段階においては、特に増員する必要を認めませんので、その整理統合はうまく参りませんものですから、整理統合をよくしていきたいというのが、今度の増員の目的でございまして、情報収集のためにはこの十五名は、今私は使う必要を感じておらないので、整理統合させるためにこの十五名を今度増員するのでございます。ただしかしながら、総合的な情報収集ということもやはり若干はなければ、各省に分散された情報に、やはり欠陥の出る面もあると思いますので、従来のやはり総合的な情報収集は、従来の定員の範囲においてやっていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/34
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035・中川俊思
○中川委員 ちょっと関連して。私は先ほどから受田君と副長官の答弁を聞いているのですが、受田君の言われる点と、私の疑念とするところはちょっとニュアンスが違うのです。ニュアンスは違うが、私の考えておることは今まで三十六名でやっておられたの
を五十一人になぜ急にふやさなければいけないか。それは今あなたと受田君とのやりとりを聞いていると、これは水かけ論ですよ。だからそういうことでなく、根本的に十五名というものをふやさなくてはならぬという理由が、今の御説明だけではどうもはっきりしないのです、私ども与党の一員として考えても。ですからそこをもっと明確に、総務長官が見えておるのですから、総務長官からもっと明確に、どうしてもこれは十五人ふやさなければならないのだ、そういうことを一つ御説明していただくのがいいじゃないか。大体鳩山内閣以来、行政整理をして、役人の数は少くして行政機構を簡単にしようというのが、わが党の一貫した理念であったと思うのです。それに今回の内閣委員会に持ち込まれました各省設置法というのは、ほとんど各省が出してきた。どんどん機構を大きくして役人の数をふやすことばかりを検討しておるような考えを私は国民に持たせるのじゃないかと思うのです、これがするする通過しますと。ですからこれは政府においても十分にお考えいただいて、必要なものは私どもは与党でございますから、社会党のいかなる反対があっても断固押し切ります。押し切りますが、しかしやはり国民の血税を私どもは監視する義務がございます。やはり役人はただ働きはしてくれないのですから、月給も相当にとる、やめれば恩給もとる、十分に。孫子の末まで国民は血税をもってまかなわなければならないのですから、こういうような定員を増加させることについては、よほど慎重にやっていただかないと、ただ役所がどんどん出してくるものをうのみにして、そうして各省設置法というのでどんどん、今まで一つのものを二つに分けてみたり、中に部を設けてみたりして、結局今の定員でおやりになるのならまだいいけれども、定員をふやすことになる。ほとんどふやすことになると私は思う。そういう方面にむだな費用を使わないで、まだ国家として大きな費用を使う方面があるわけでありますから、私どもは大局的見地から決して政府にいやがらせをいうのではありません、私どもの作っておる内閣でございますから。私どもとしてこの内閣の政策をあくまでも推進していかなければならぬということはよくわかっておるのでありますが、しかし国民に納得のいくやり方をしませんと、やはり政府のマイナスになり、私どものマイナスになるわけでございますから、そういう点を私どもは勘案して申し上げるのですが、従ってこの内閣委員会に付託され、また今後付託されんとしております各省設置法につきましては、十分に私どもは再検討をしなければならぬ面があるように実は今のところ考えておるわけです。従ってこの問題につきましても、ただ今岡崎さんと受田さんとのやりとりを聞いてみますと、私ども公平な立場で見ても水かけ論にしか見えない、水かけ論というと何ですが、国民が納得するだけの御説明をまだいただいていないと思いますから、なぜ三十六名でやっておったものを五十一名にふやさなければならないか、三十六名でできないか、一体私は小さな仕事をしておりますが、人数をよけいふやしたからといって仕事の能率は上るものじゃございません。むしろ人数の少い方が仕事の能率が上るのです。あなた方も仕事をなすっておるのであるから、これは一つの小さな私企業を見ましても、私は同様だろうと思うのです。政府でもただ役人をどんどんふやしてばかりいて、そして今や国滅びて官僚栄えるというような事態が起きるのじゃないか。これは決して笑いごとでなく、私は真剣に皆さんに考えていただきたいと思うのですが、日本は軍閥が滅びて、今度は官僚で日本が滅びるのじゃないかというような危惧さえ実は私は持っておる。そういうことになりかねない状態になっておる。このたびの予算の編成なんかを見ましても、全く大蔵官僚は勝手なことをやっておる。呼び出して聞いてみれば、答弁のできないような事態がままございました。いたずらに人数が多いから私はそういうような結果に陥るのじゃないかと思います。だから人数が多いから必ず仕事の能率が上るということは言えないと思う。ですから、むしろ税金を預っておりますものは、できるだけ人数を縮小して、そうして仕事の能率を上げるという方面に意を注いでいただかないと困る。ただ役所が出してきたやつ、各省が出してきたやつを今のままで全くうのみにしてどんどん――各省設置法だけは、一体大蔵省は予算査定に当っても、私はどれだけの熱意を持って査定したかと思うのです。これだけはほとんどうのみにしておるじゃないかというくらいに考えられる節があるのであります。ですからこれらの点は十分に私は、決していやがらせを言うのでも何でもございません。十分に考えていただいて、十五名をふやすのはやむを得ずこういうふうな事態になるのだという、根拠がありませんと、また国民がだれが聞いても納得する面がございませんと、今後の各省の設置法についても私は同様な意見が述べられると思います。これは最初でございますから、それらの点について総務長官も見えておるのですから、十分に一つわかるように御説明を願っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/35
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036・福永健司
○福永委員長 中川君ただいまの御意見は、これからたくさん出てくる――すでに幾つも出ておりますが、さらに出てくることでありますし、これから出てくるものとも関連しますので、全体についての見解は、たとえば官房長官なら官房長官ということになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/36
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037・中川俊思
○中川委員 官房長官じゃない。ほんとうは総理大臣に私はただしたかったのです。けれども総理はお忙しいから、私は決してそれを固執するわけじゃございませんが、総務長官が見えておるのですから、一応総務官から政府の十分に責任を持ったお考えを一度聞いておかないと、これはただ与党であるから、何でも与党の政府が出してきたものをどんどんうのみにするというなら与党の議員は必要ない。ただ採決のときに手を上げるだけではだれでも雇ってくればよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/37
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038・福永健司
○福永委員長 では総務長官でよろしければ、総務長官から答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/38
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039・今松治郎
○今松政府委員 お答えをいたしますが、今問題になっておりまする調査室の増員の問題は、これは実は私の方の所管ではないので、経過を私承知しておりません。従って私から答弁することをちょっと差し控えさしてもらいたいと思いますが、全体の今回の予算に各省の増員が非常に多い、こういうお話につきましては、実はまだ私の所管というわけでもないので、検討しておりませんが、いずれ官房長官とも相談しまして、そういう全体についての増員に対する政府の意見というものを適当な機会に述べてもらうことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/39
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040・中川俊思
○中川委員 それでけっこうですから、どうか官房長官と御相談下さって、政府としての、やはりわれわれが納得するような説明をしていただきませんと、今後いろいろの設置法に関連すると思いますから、特にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/40
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041・受田新吉
○受田委員 では内閣法に関係する問題は非常に複雑多岐になってきましたし、重大になりましたので、質疑を残すこととしまして、一応副長官にお伺いしておきたいことは、情報収集という任務のために今調査室ができているという一つの目的があるわけですね。高度の総合的情報収集――非常に名前は美しいけれども、問題がある。この情報収集によって得られかつそれを連絡調整された結果、情報白書というようなものが用意されているかどうか。これは公開できますか、できませんか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/41
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042・岡崎英城
○岡崎政府委員 ただいまの情報白書を公開するかどうかという御質問でございますが、これは万般の問題にわたっておりますので、総合的な情報白書といようなわけにはなかなか参らないのじゃないかと思うのですが、個別的には過去におきましてもいろいろ情報を一般に公開いたしておりますし、できるだけ総合的な、あらゆる問題について適正に整理調整して将来一般国民の皆様にも御発表し、または内閣官房から提供する、こういうふうにいたしたい。それには不十分だというのがこのたびの増員を要求したおもな理由でございまして、情報を直接とるということにはこのたびの増員は向けない、こういうつもりでございます。でございますから、従来もいろいろな情報を公開しておりますが、総合的な白書を出すということはなかなかむずかしいのじゃないかと思います。しかし従来もやっておりますことは、将来ともますます公表していくように努力いたしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/42
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043・受田新吉
○受田委員 それでは情報収集の秘密はありませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/43
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044・岡崎英城
○岡崎政府委員 情報収集に秘密はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/44
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045・受田新吉
○受田委員 そうすると、情報収集は思想的な情報ですか、そのほかの情報も入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/45
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046・岡崎英城
○岡崎政府委員 思想というようなことを中心に何もやっておりません。実態を把握するとか、またいろいろな意見を聞くとかというような点もございます。思想というようなことを中心には絶対にしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/46
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047・受田新吉
○受田委員 どうもはっきりしない。そうすると、実態を把握するという実態調査ということならば、それは別に調査室でなくしても、審議室世論調査部といったような仕事をする機関で十分間に合う。それをわざわざ内閣の中に置く必要はないと思う。私は何かもっと高度の情報収集という目的があるのではないかと思ったのですが、その内容はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/47
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048・岡崎英城
○岡崎政府委員 高度という意味はどういう意味か私ちょっと理解に苦しむのですが、政治、経済、外交あらゆる問題についての情報を統合調整するような目的を持って集めておる、またはそれを整理するというのでございますので、審議室その他で個別的な問題を一つ一つ情報をとるというのとは趣きは変っておりますが、何も高度な思想的な意図をもってやるというものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/48
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049・受田新吉
○受田委員 あなたが考えられたような情報収集でしたら、外務省の情報収集機関を通じて国外の問題はやらせることができる。国内の問題は法務省とかあるいはその他の機関でこれが十分できるはずです。わざわざ内閣調査室を設ける必要はないと思うのです。そういう専門の機関がちゃんとあるじゃないですか。専門の機関で安心できないというところに、われわれは政府自身が安心できないという考え方があると思うのです。ちゃんとしたれっきとした機関があるのです。そのために外務省がある。外務大臣にはまかせられない、だから内閣に重要な機関を置くのだというこの心得違いが、今の政府を独裁的な方向に追いやっておると私は思うのですが、もう一度御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/49
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050・岡崎英城
○岡崎政府委員 統制をしたり、または一つの思想的な立場でものを求めて調査しようという意図では絶対ございませんが、ただ国策として総理のもとにいろいろなものを統合整理して参りますには、各省の立場だけの情報収集整理では私は不十分だと思います。やはりこれを統合整理するということが必要ではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/50
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051・受田新吉
○受田委員 副長官に対する質問はこれでおきまして、官房長官に御苦労願って次会に責任のある答弁をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/51
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052・福永健司
○福永委員長 北れい吉君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/52
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053・北昤吉
○北委員 ちょっと質問いたしますが、私は前官房長官から聞いたのですが、名前はコンフィデンシャルな話であるから今ここで申し上げませんが、私は中国から日本に金がだいぶ来ておる事実を述べた。ところが、そんなものじゃない。私は内閣調査室から聞いたのですが、それは自民党の人たちが集まって聞いたところが、昨年は四億何千万日本に来ておる。秘密の数量まで入れたら七億ぐらい来ておるだろうと言えば、そんな小さなものではない、二十億から来ておる。ロシヤからは来ておらぬなと言ったら、ロシヤから十億来ておる。私は情報を調べるならば、そういう点が根本だろうと思います。これは事実でありますか、ないでしょうか。またこれを食いとめる道はないでしょうか、それを承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/53
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054・岡崎英城
○岡崎政府委員 あらゆる国と日本との、いろいろ交渉関係の面についてのいろいろな情報が各機関に入るわけでございますが、その正確なものであるかどうであるか、またはほんとうの的確な基礎によって流れたものであるかどうかということを、総合的に、調査整理するのもこの調査室の目的だと思いますが、ただいま先生のおっしゃいました点については、私は十分の知識を持っておりませんから、その問題についてだけのお答えはできませんが、できるだけあらゆる情報を整理統合して、その的確性を把握して、施策の参考にしていきたいというためには、現在までの人数その他ではとうてい整理統合が的確に参らぬというところが、今度の人員を増加いたします大きな目標でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/54
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055・北昤吉
○北委員 私の質問は、前国防長官が言ったんだから相当根拠があると思います。私は内閣調査室の人を呼んで聞いたところでは、昨年来たのが四億だと言っている。秘密のものが三億ぐらいあるだろうという話でありました。それを問うたら、そんなものじゃない、昨年は中国から二十億来ておる。ロシヤからは来ないだろうと言ったら、ロシヤから十億来ておる、こう言うのですから、そういうことの根拠が明らかでないならば、情報局などは設けても私はちっとも役に立たないと思います。これは法律ではないだろうと思うのですが……(発言する者あり)やらぬと思ったって、ロシヤから相当金が来ておると言っておるのですが、私はアメリカは三億くらい使っておるだろうと思います。国内で情報をわれわれにくれますから。アメリカのために情報を出すのでありましょうが、それは公けにやっております。ところが、中共やソ連の方は公けでないから、われわれしろうとには分らないけれども、前国防長官の話であるから、私は根拠があると思います。それを食いとめる道はないか、そうしなければ、食いとめる道がないのにどんどん金が来たならば、私はいかに情報機関を設けても役に立たぬと思うのですが、それを根本的に突きとめたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/55
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056・福永健司
○福永委員長 北委員に申し上げますが、前国防長官とおっしゃったが、官房長官ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/56
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057・北昤吉
○北委員 いや、国防長官です、日本の国防長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/57
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058・福永健司
○福永委員長 防衛庁長官ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/58
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059・北昤吉
○北委員 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/59
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060・福永健司
○福永委員長 そうすると、先ほどから官房長官とか国防長官とかおっしゃいましたのは、防衛庁長官という意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/60
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061・北昤吉
○北委員 だから私も驚いた。私も相当そういうことに注目する方であるが、昨年はまず四億ぐらい来ていると思ったのです。秘密のものが三億ぐらいあるだろうということは推察でありますが……。ところが二十億来ている。ロシヤは来ないかと言ったら、ロシヤから十億来ている。これがどんどん来たならば、自民党の方がいかに選挙費を集めても……。
〔「議事進行」と呼び、その他発言する者あり」〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/61
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062・福永健司
○福永委員長 静粛に願います。
北委員に申し上げますが、ちょっとこの前防衛庁長官云々とおっしゃったのは誤解が生じやすいのですが、前ということは元も含むということなんですか。――前防衛庁長官という言葉は元というのも含んでのことだそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/62
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063・西村力弥
○西村(力)委員 議事進行について。ただいま北委員の発言は、私たちとしては全然これは問題にもならないことでございますけれども、委員会の席上で公式に今回は発言になったわけです。しかも前国防長官、それは訂正されて防衛庁長官になりましたが、そういう人を指定して言われた。これはこの前、そこにおられる辻委員が新聞かなんかに投書せられた問題とはちょっと問題の性質の重要度が違ってきた、こういう工合に私は考える。それで、やはりこの発言の問題については、私たちこれから急遽協議をしなければならない。これは委員長においても当然御理解がいくだろうと思う。それで暫時休憩を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/63
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064・福永健司
○福永委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
[速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/64
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065・福永健司
○福永委員長 速記を始めて下さい。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/65
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066・福永健司
○福永委員長 前回青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行ったのでありますが、その残りがございますので、この質疑を許します。受田新吉君。――同じ問題で西村君の質疑をまず許します。西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/66
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067・西村力弥
○西村(力)委員 休憩の動議は、一応この前の約束もありますので、青少年問題協議会の法案を約束通り採決に持ち込んで、その後休憩して、もらう、こういうことを委員長約束して下さいましたので、さように私は確認をして、これから簡単に質問申し上げたいと思います。
青少年問題協議会の意見書の中を見ますると、不良出版物や不良映画、そういう問題について自己規制を強く要請する意見が出ております。その自己規制を要請するのは、映倫に対してその機能を十分に発揮してもらおうという要請があるわけですが、その中に、外国映画ことにアメリカから入ってくる映画については、それを要請しておるのかどうか、現状は一体そのように映倫の関門をくぐるような工合に進められておるかどうか、その点について、この意見を具申された協議会の立場から現状を一つ御説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/67
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068・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 映倫等に対しまして、青少年に悪影響を及ぼす映画等を適切に措置するようにということにつきましては政府自体が直接にそういうことを命ずるとかなんとかいうことではなくして、そういう民間の団体において自主的に判断し、そうして措置していただくようになっておる次第でございます。ただいまお話がございました外国映画等につきましても、国内映画と同様に、同一の立場において御処置いただくことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/68
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069・西村力弥
○西村(力)委員 われわれの承知しておった限りでは外国映画のアメリカを除いたものは映倫か何か、検閲とまではいかないにしても、一応そういう関門をくぐるのに、アメリカ映画に限ってはフリー・パスで通過しておるのだということを聞いておったのですが、現状はそれが改善せられて、現在はアメリカ映画もこの関門を通過するという工合に変っておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/69
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070・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 昨年二月、新映倫と申しますか、新しい映倫が発足して、それ以来いずれのものも同一に扱うようになっておると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/70
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071・西村力弥
○西村(力)委員 その次に私お聞きしたいのはアメリカが行う映画、テレビその他を通じての文化工作、それについてはこの青少年問題協議会においてはいろいろ論議あるいは検討せられたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/71
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072・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 いわゆる文化工作に対してまで検討いたしてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/72
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073・西村力弥
○西村(力)委員 そのことはどの委員からも発言がなくて全然問題にされなかったのか、その協議会の事務を担当するもとの方からそういうものは除いて問題提供をやっておるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/73
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074・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 これにつきましては一般的に申しますと、事務当局の方で問題を提起する場合もあり、また多くの場合は委員の方から問題を提起される場合が、今までの結果から申しますれば多いかと存じます。今の文化工作云々につきましては、いわゆる思想の問題ともからみますので、これはお互いの良識の立場から、文化工作というものまでは触れないという、おのずからな自制から来るものではなかろうかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/74
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075・西村力弥
○西村(力)委員 私が文化工作という言葉を用いたから、極限されたもののようにあなたはとっておられるようでございますが、アメリカのいろいろな映画その他の、青少年の前に出てくるすべてのものに対して、やはり検討せられるということは非常に大事ではないだろうか。今までテレビなんかの出たVOAあるいはUSISなどの提供されたものを見ますと、水爆論争などに対しましても、水爆は平和を守るのであるからこれは大事なものである、お母さん私は初めてわかりましたと、子供は返事をする。こういう仕組みのテレビなんかがかかっているのです。こういう問題について、これをはっきりこの問題の中に入れてこの協議会で検討しないとすれば、大きな片手落ちになるのではないか。問題を国内の性的映画とかそういうものだけに限局してやるということだけでは、非常に狭められて誤まった方向にいくのではないだろうか。将来の問題としてその点については十分に考えていただかなければならぬのではないだろうか、私はこう思うわけですが、御所見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/75
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076・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 この映画にいたしましても、あるいは新聞、テレビ等にいたしましても、いろいろな角度から問題を提起することは必要であろうかと存じております。そういう意味におきまして、今の御意見は私どもとして非常にけっこうなことだと思うのでございますが、ただ問題の取り上げ方があまり漠とした――漠としたと申しては間違いかもしれませんが、まず現在かなりどぎついはっきりした意味のものが多うございます。たとえば青少年に対して犯罪を示唆するおそれがあるとか、あるいはまた遊蕩的な気分にさせるものがあるとか、そういうかなりはっきりしたものも多うございますので、そういったものがまず具体的に取り上げられることになっておると思います。今後の問題としてはさらに広い立場からこれらの問題について検討を加えていく必要があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/76
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077・福永健司
○福永委員長 受田信吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/77
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078・受田新吉
○受田委員 今松総務正長官が御出席でありますので、前回質問をしておりません残余の問題並びに総括的な問題をお尋ねしてみたいと思います。
総理府の中に青少年問題協議会という機関を設けられておることは総務長官としてはその調整の責任があられるので、十分内容その他について検討を加えられた上での法案の御提出であろう、また付属機関の立場からのいろいろな御検討もされておられると思うのでございますが、こうした協議会というものが、その目的を十分達成するためにはそこに出ておられる委員の皆さん並びにそこで協議せられる協議事項というようなものが、重要な役割を果すと思います。従って青少年問題協議会が単におざなりの協議会であるならば、わざわざ付属機関としてこのようなものを設ける必要はない。ところがここへ事務局というものを置いてこれを大いに取り上げられようとするところに、何か青少年問題に対する大きな意義を見出したい、青年の将来を明るくしたいというようなお気持があると思います。従って私たちも根本的には事務局を置くことに反対ではないのです。反対ではないのでありますが、岸内閣がすでに青少年の育成をその政策の中に取り入れられている今日、この青少年問題協議会というものの果す役割は現在の政府の立場からしても非常に大事な役割だと思います。もう一つは青少年を一党一派の政策の具に供したり、あるいはこれを利用したりしようとすることになるおそれもあるわけでございますから、青少年の育成ということとその不良化防止ということは高い立場で党派を越えた、将来の青少年を育成するという形でやられなければならぬと思うのです。その意味におきまして、あなたは総理にかわって御答弁が願えると思いますが、この青少年問題協議会を通じての全国の青年団、少年団の育成というものをどういうふうに考えておられるか、青少年の団体との関係をどう考えておられるか、これをどういうふうに育てようとしておられるか、岸内閣の性格から、青少年団の育成というものをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/78
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079・今松治郎
○今松政府委員 お答えいたします。青少年問題の協議会に今度事務局を置きまして、その仕事を強化して参ろうということが今回御提案をいたしました理由でありますが、実は総理府の方の所管しておりますいろいろ各省にまたがる仕事が、大体二十六ほど審議会というものがございまして、これをわずかな審議室の職員でそれぞれ調査をするということは非常に手薄でもございまするし、今ほど受田委員も申されましたように、将来わが国を背負う青少年の問題は、特に政府といたしましても力を入れて、これが従来の非行防止とか不良化防止ということでなしに、積極的に何か青少年に希望を持たすようなものを一つここで作定する必要があるのではないか、こういうような考え方で予算をお願いしているような次第でございます。
ただいまお話しのように、青年の方向を一党一派の方向に持っていくというような考えは毛頭いたしておりませんので、われわれといたしましては差し当り青年が集まっていろいろ打ち合せをしたり協議をしたりするようなことにいたしましても、その場所がなかったり、また勤労精神を植えつけるために、従来やっております建設省や農林省の方策も、まだ改善の余地もあるし、強化の必要もあるのじゃないか。こういうようなことで、今度事務局を置きまして、そこで専門的の知識と長期の研究を遂げてもらいまして、将来に資したいというのが目的でございます。従ってわれわれといたしましては、今後、従来の消極的方面から積極的に多少乗り出していく。それにつきまして現在ある青年団運動等の関係をどういう工合に持っていったら一番効果的であるかというようなことは、今後の最初の課題として検討したい、こういうように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/79
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080・受田新吉
○受田委員 この間委員会で、私政府側の答弁資料を要求しておいた六点の問題があるわけです。それは文書で御回答願えますか、あるいは口頭をもって御答弁願えますか。膨大なものであれば文書でけっこうです。要点さえいただければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/80
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081・今松治郎
○今松政府委員 ただいま文書をもって差し上げたいというので検討しているそうでございます。しばらくお待ち願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/81
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082・受田新吉
○受田委員 資料が出ないうちに採決をするということになると問題が起るわけですが、要点だけについてはお答えをいただかなければならない問題がある。それは、全国で青年団が団体を結成している状況はどうか。団員数がどれだけあるかという問題。もう一つは、自民党の青年団とか社会党の青年団とか――青年部と称しておりますが、政府はこの青少年協議会に今千五百万円かなんか金を持っている。その協議会の金の使い方が、自民党の青年育成のためにわれわれ国民の血税をばらまかれるというようなことになったならば、これは大へんな問題であるということになるので、その金の使い方は、自党の青年部を大いに育てるために使うという意味でなくして、日本の青少年を育成することに持っていかなければいかぬわけです。そういうお心づかいは常に留意されているかどうか。これらの問題をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/82
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083・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 現在協議会といたしましては、直接に青年団等を糾合してどうするという仕事はいたしておりません。協議会といたしましては総合調整なり方針の作定なりというところに重点がございますので、委員の方々も各省関係の事務次官とかあるいは検察庁関係の方々あるいは一般の学識経験者というようなものをもって組織いたしております。従いまして具体的な青少年団体との関係と申しては、おもな団体にこういった協議会できまりましたことを通知する。また必要な場合にいろいろな御報告をいただくという程度にとどめておるのでございまして、団体に対して直接補助金というような正式のものは、一銭も使っておらないわけでございます。協議会として補助金がございますが、これは地方における協議団組織、全国各府県はもちろん、市町村のうちも相当数ございますが、大体数を申しますと約手七百の市町村に協議会が設けられておりますが、こういった地方の協議会に対する事務費の補助というような面に使用しております。あとは青年白書といったようなものの印刷代とか会議費、こういったものに使用しておるのでありまして、具体的な団体に及んでおりませんことはもちろん、一党一派の団体をどうするというような考え方は当初から毛頭含まれておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/83
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084・受田新吉
○受田委員 もう一つここでぜひ答弁を願っておかなければならぬ重大な点があります。それはこの間お尋ねした青少年問題協議会と、文部省あるいは厚生省、検察庁、法務省、こういうような他の団体との連絡調整でございます。特に教育方面におきましては、文部省が社会教育の立場から担当しておるのでございますが、青少年問題協議会がある結論を出す、それを今度実際に運営するに当って文部省とか厚生省、検察庁とかいうところに適当に指示するのか、あるいは勧告をするのか。党派を超えて各省にまたがって、有能な委員たちによって得られた結論が、どういう形で生かされるか、その生かされ方を一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/84
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085・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 その点につきましては、この協議会におきましては内閣総理大臣の諮問に答え、また内閣総理大臣に意見を具申するという形になっております。同時に委員会の構成としては、先ほど申しましたように、各省の代表者たる次官が出ておられまして、従いましてそこで論議されることは同時に各省の責任者の耳にも入っておるわけでございますが、内閣総理大臣にそういう意見の具申がありました場合にそれを受けまして、各省において、それぞれ必要な処置をとっておるのでございます。たとえて申しますれば、学校関係の問題は、これは本来からいえば文部省の専管であり、文部省といたしましても、中央教育審議会その他いろいろな諮問機関を持って措置してきておるところでございますが、同時にこの協議会はさらに広い青少年問題一般という立場から、問題を取り上げますだけに、広い立場からも意見が出てくるわけでございます。そういうような立場から、具体的にいろいろな意見具申があるわけでございまして、たとえば先般もちょっと申し上げましたが、定時制高等学校につきまして、先般地方団体の再建整備のために、地方団体の財政を締めるというような関係から、その際に定時高校に対する市町村の寄付金を制限するというような問題が起りかけたことがございます。そのときにこの協議会といたしましては、定時制高等学校に対する財政措置についてという意見具申を総理大臣に対していたしましたが、これにこたえまして自治庁においても、直ちに寄付金の承認の暫定措置についてというような名前の通達を発しまして、こういった再建整備の関係から地方財政を締めなければならないことはもちろんだが、しかしそれだからといって定時制高等学校に対する寄付金を抑制するというようなことはしてはならないというような通達を自治庁から発しております。大体一例でございますが、そういったような形におきまして中央の方針にこたえ、各省においてそれぞれ措置するような形で運営されておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/85
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086・受田新吉
○受田委員 あなたの今の御説明の勤労青少年、特に定時制高校の生徒に対する協議会の御意見が効果的に現われておるということは、私非常に同慶に存ずるのですが、そういう形において、今問題とされているような、たとえば大学の通信教育に学ぶ者が、夏季一カ月にわたってスクーリングで東京に来る、こういうときに雇用しておる経営者が、一カ月職場を抜けて出ることに非常に反対して、学問の道を閉ざしているというような問題がある。こういうような問題を真剣に協議会の方で考えていただいて、勤労と教育というような問題はなかなか文部省でもできぬし、労働省でもできぬというようなときには、やはりこれは協議会でもって取り上げなければいけないのじゃないか。協議会はこういう大事なことを抜かしているのではないか。勤労青少年に将来希望を与えるという意味から、そういうところで意見を出して、これを労働省もしくは通産省もしくは文部省などを通じて、効果を現わすようにされる必要があると思うのです。こういう問題こそ、事務局を作ってやる以上は協議会の大きな仕事じゃないか。そういうところに乗り出して、そうして学資が足りない、職場で働かなければならない、家庭の事情が十分でないというようなこういう気の毒な青年に、一つの希望を与えてやるような仕事、これが健全な青少年の育成の問題じゃないかと思います。そういう具体的の問題について御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/86
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087・吉田信邦
○吉田(信)政府委員 青少年教育一般については、今の定時制高校の場合と同時に、地方団体の行なっておる定時制の通信教育については、今申しましたと同趣旨の措置をとったことがございますが、今御指摘の点につきましては、十分な措置がとられておらなかったことを非常に残念に思いますし、また今後この協議会においてぜひ取り上げて推進をはかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/87
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088・受田新吉
○受田委員 これで一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/88
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089・福永健司
○福永委員長 質疑はこれにて終了いたしました。討論もないようでございますので、直ちに採決をいたします。
本策に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員規律〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/89
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090・福永健司
○福永委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。
なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/90
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091・福永健司
○福永委員長 御異議なしと認めます。よってそのように取り計らいます。
暫時休憩をいたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後一時二十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/91
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092・福永健司
○福永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
自治庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。淡谷悠藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/92
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093・淡谷悠藏
○淡谷委員 まずお聞きしておきたいのは、青森県の県議会が決議をしました公務員に対する給与の問題について、自治庁が圧をかけてもう一ぺん決議をやり直させた、その給与表を再改訂させたと、いう事例が起りました。大へんな混乱を重ねた末に、きのうまたこの再改訂を議会がやり直したということでありますが、このいきさつについて、私は新聞紙の報ずるところしか存じておりませんので、実態を自治庁が詳しく把握しておりますならば、この際御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/93
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094・中島茂喜
○中島政府委員 ただいまの淡谷委員のお尋ねの点でございますが、まだ自治庁では正式に報告を聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/94
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095・淡谷悠藏
○淡谷委員 今度配布になりました自治庁設置法の一部を改正する法律案参照条文の四ページに、「都道府県に関する直接請求の結果、都道府県の議会の会議の結果、都道府県の予算及び決算並びに条例の制定又は改廃に関する報告を受理すること。」こういう規定をされております。そういたしますと、昨年の六月に青森県の決議をしたこの結果はあるはずなんです。しかも知事が圧を受けてこれを取り消されるような重要な問題に対して、次官が知らぬということはないと私は思うのですが、これはどうしたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/95
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096・中島茂喜
○中島政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、淡谷委員が御指摘になりましたのは、昨日青森県の方で議決したということを知っておるかというお尋ねだと思いましたので、そのことはまだ報告を受けていないということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/96
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097・淡谷悠藏
○淡谷委員 それでは昨年六月に、これを自治庁が改めさせなければならないような決議を青森県議会でやったことは御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/97
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098・中島茂喜
○中島政府委員 そのことにつきましては報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/98
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099・淡谷悠藏
○淡谷委員 そのことにつきまして、青森県知事の山崎岩男君が上京しまして、再々自治庁と折衝しておるはずであります。最後に彼は、相手が自治庁だからどうにもならないと言ってあきらめております。新聞記事に載っておる。相手が自治庁だからどうにもならないと言わせるほどあなたは圧迫を加えたのですか。その交渉のいきさつをお示し下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/99
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100・中島茂喜
○中島政府委員 自治庁といたしましては、再建団体の指定を受けました県につきましてはその給与の面を国家公務員並みにしていただきまして、再建が一日も早く達成できるように、県に対しまして指導をし要請をしたことはあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/100
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101・淡谷悠藏
○淡谷委員 再建整備法の適用を受けております県に対しましては、一律に例外なくその公務員は国家公務員と同じ給与でなければならないという規定がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/101
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102・中島茂喜
○中島政府委員 再建団体に指定されております県は、国家公務員と同じ並みの給与にしなければならないという規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/102
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103・淡谷悠藏
○淡谷委員 それではその県の財政内容によりまして、国家公務員よりも上回るような給与をやりましても、他の事案において十分に再建できる見通しがついた場合にはこれは国家公務員並みでなくてよろしいということはお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/103
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104・中島茂喜
○中島政府委員 御指摘のような財源的にも余裕がございまして、十分立ち直っていくという見通しのつきました県につきましては、その給与の面も若干国家公務員より上回ってもやむを得ない――大体再建団体は低い行政水準で押えておりますので、できるだけ早く立ち直っていただきまして、自主的に給与が決定せられることを望んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/104
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105・淡谷悠藏
○淡谷委員 私の入手しましたこの新聞による情報によりますと、青森県だけじゃなくてこのような例は十七県に及んでおります。そして山崎青森県知事が赤字県の知事会議の席上で、私がトップを切って一つの新例を開くからお前たちも全部かえた方がよろしいといって、県に帰ったということさえ言われておるのであります。そうするとこれは自治庁との間に折衝のあった問題だと思う。なおこの十七県の労働組合あるいは公務員の団体は、こんな事例がどんどんうつっていって先例をなすのでは容易ならぬことだといって、拠点闘争を作って激しく県庁の中で紛争が生じているのであります。ここまでいっているのをまだ自治庁がおわかりにならないということは、私はわかりませんが、ここまで至る前に山崎青森県知事がしばしば自治庁へ行ってどういう折衝をされたのか、この点だけはおわかりだろうと思いますから、その点の御説明をなるべく詳しくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/105
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106・中島茂喜
○中島政府委員 その折衝につきましては、財政局長が当っておりまして、私は詳細にわたってのことを承知いたしませんので、財政局長に後刻御説明させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/106
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107・淡谷悠藏
○淡谷委員 それでは財政局長が見える前に、これは次官に今後のこともありますので確かめておきますが、どうもこの再建整備法というものをたてにとって、ややともすれば自治庁が金を見せびらかして自治県を圧迫しようという形が、随所に見えてきておるのです。これは何と否定されましても見えてきております。この再建整備法というものを適用するのに、従来この審議に当ってきました委員会があるはずでありますが、この案によりますと、この委員会は廃止して参与制に変えようということを聞いておりますが、これは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/107
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108・佐久間彊
○佐久間政府委員 ただいまお話になりましたのは、何かお取り違えになっておる点があろうかと思いますが、この参与と申しますのは、財政一再建だけに関係いたすわけじゃございませんで、自治庁の所掌事務全般につきまして、自治庁長官に重要な問題について意見を申し述べるというものでございます。
なおこの地方財政再建促進特別措置法の一部改正で削除をいたしておりますのは、財政再建債消化促進審議会を廃止するということで、これは財政再建債のうち、公募債の関係の消化促進をいたしますために当初置いた審議会でありますが、これはその任務を終了いたしましたので廃止をいたすということにいたしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/108
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109・淡谷悠藏
○淡谷委員 それではこの再建整備法の地方から出てきます計画を審議するのは、一体どこで審議するのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/109
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110・佐久間彊
○佐久間政府委員 現在は官房に財政再建課、調査課というのがございまして、都道府県の関係の財政再建に関する事務は財政再建課でいたしております。市町村に関する財政再建の仕事は調査課でいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/110
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111・淡谷悠藏
○淡谷委員 この自治庁設置法の一部を改正する法律案参照条文の十二ページに「地方自治に影響を及ぼす国の施策の企画、立案及び運営に関し、必要な意見を関係行政機関に申し出ること。」こういう一項がございますが、今度の青森県の事件を起すようになるまでに、この項に基いて青森県に何か意見を申し出た事例がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/111
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112・佐久間彊
○佐久間政府委員 ただいま御指摘の項に基きまして意見を申し出ましたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/112
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113・淡谷悠藏
○淡谷委員 山崎知事の折衝の始末は財政局長の方からお聞きしますが、それ以前に昨年の六月に決定したことなんでございますから、この決議に対して何らかこっちから積極的に注意を与えた事例はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/113
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114・中島茂喜
○中島政府委員 その点につきましては財政局長からお答えさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/114
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115・淡谷悠藏
○淡谷委員 それでは財政局長が来なければ話が進みませんから、来るまで待ちます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/115
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116・福永健司
○福永委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/116
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117・福永健司
○福永委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/117
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118・淡谷悠藏
○淡谷委員 財政局長にさっそくですがお尋ねいたします。青森県の知事の山崎岩男君がこの地方財政再建法に基きまして県会が決議をしたことを携えまして自治庁に折衝に再々来ているはずでありますが、来ておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/118
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119・小林與三次
○小林(與)政府委員 再建計画の承認につきまして、山崎知事が自治庁にお見えになったことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/119
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120・淡谷悠藏
○淡谷委員 新聞記事によりますと、自治庁の圧迫を受けて自治庁にはかなわねから、自分の手で去年の六月にやっておる県会の決議案をもう一ぺんやり直して、昨日これをやったはずでございます。まだ自治庁には報告が来ておらぬという次官の答弁でございますが、来ておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/120
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121・小林與三次
○小林(與)政府委員 私もその話は正式に聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/121
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122・淡谷悠藏
○淡谷委員 山崎知事の従来参りました話のいきさつをできるだけ詳しくお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/122
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123・小林與三次
○小林(與)政府委員 山崎知事が見えられましたのは、いろいろ話がございまして、要するに青森が、東北開発促進法ができましたので東北開発促進法にのっとって同法の恩典を受けたい、こういうのが県当局の基本的な考え方でございまして、あの東北開発促進法によりますと、赤字のある団体が再建法に基きまして再建計画を施行することになれば、東北開発促進法の適用を受けることができる、そうして同法に基く補助率のかさ上げの保証ができる、こういう建前になっておりましたので、それで同法が施行になりましてから、青森県におきましては同法に基いて再建団体として事を進めたいというお考えをおきめになったようでございます。そこで再建計画の案を県の方でお立てになりまして、その承認を自治庁になるべくすみやかにするようにということで、再建計画の内容等につきましてもわれわれの方にお見えになったことが何回かございます。その間におきまして、今お尋ねは給与条例の問題だろうと思いますが、給与につきましては自治庁といたしまして全再建団体を通じまして、再建団体である限り、やはり特に給与は国家公務員並みの給与は自治庁としても保障することは考えなければいけないが、国家公務員より上回るような給与条例を作るということは将来の財政運営に至大な影響があるからこれは考え直すべきだろう、そうするのが適当である、こういう考え方で青森県知事にも申したところでございます。知事もその事情を了とされまして、われわれの方でもそういうことに協力もするから、こういう話であったのでございます。大体問題点はそういうようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/123
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124・淡谷悠藏
○淡谷委員 その県ごとの財政の内容いかんにかかわらず、再建整備法あるいはその他の振興法等によって処理される県は、給与は国家公務員よりも上回ってはならないという何か特別な規定がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/124
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125・小林與三次
○小林(與)政府委員 給与は上回ってはならぬとかどうこうという法律で特別に縛ってある規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/125
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126・淡谷悠藏
○淡谷委員 それではもしも国家公務員よりも上回る給与を与えても十分再建整備ができるという県については干渉しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/126
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127・小林與三次
○小林(與)政府委員 給与が上回るとか下回るとかという問題は二つございまして、要するに現実の個々の職員の給与が、計算すれば国家公務員並みより高いか低いか、こういう問題が一つと、それから給与の基本的な制度である給与条例がもとから違うか違わぬか、こういう問題が二つあろうと思うのでございます。それで御案内の通り地方団体におきましては職員費というものが地方財政の半分近い比重を占めておりまして、この給与費をどうするかということが、地方財政運営の基本的な問題点の一つなのでございます。これを合理的にやるということが財政の運営を合理化するとともに、再建を合理的に遂行せしめる基本的な要件である、こういうのがわれわれの考え方でございまして、それで特に給与制度のような基本的な制度は従来から国家公務員に準じてやるというのが、地方公務員法なり警察法なりあるいは教育公務員特例法なりの趣旨でございまして、それぞれの法律の趣旨にのっとって給与制度が行わるべし、こういう前提でわれわれは考えて参っておりまして、再建団体につきましては、特にそういう方針にのっとって行うことが、再建を合理的に遂行せしめるゆえんであるという趣旨で指導して参っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/127
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128・淡谷悠藏
○淡谷委員 それじゃ今後も再建整備法の適用を受ける自治体に対して、その給与の方向はそれ一本でやらしていくのですか。内容がどうであろうとも、それ一本で通しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/128
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129・小林與三次
○小林(與)政府委員 それは再建団体の内容がどうあろうともというお話でございますが、結局再建団体は何だかんだといって赤字が出て、その赤字をどう解消していくか、こういう問題でございます。それでございますから、この赤字を解消していくためには経費の内容を合理化して、節すべき経費を節するか、しからずんば住民に税金をよけい課して税金をとるか、簡単に申せば二つしか道がないのでございます。われわれといたしましては、合理的な負担は、当然法律が予定しているような負担はそれは課すべきものは課さなくてはいけません。これはどこの団体でもすでに課しております。それ以上のことをやっておる団体がむしろ多いのでございまして、むしろ経費の内容を合理的にするということが重要な問題点だと思うのでございます。それでございますから特に公務員につきましてはこの給与は妥当なものはもちろん確保しなくちゃいけませんが、それはやはり国家公務員というものにつきまして論議をして、給与制度というものは常にきまるのでありますから、それに準ずる制度を行うということが一つの重大な問題点であろう。それがまた先ほど申しましたいろいろな地方公務員に関する法律の趣旨、精神でもある。こういう考え方に立脚いたしまして、そういう方向にのっとって事が進められることをわれわれといたしましては強く要望をいたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/129
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130・淡谷悠藏
○淡谷委員 もう一点あらためて私はお聞きしたいと思うのですが、地方自治体の赤字は給与の不適正なために起る事例が多いと言われますが、それ以外にやはり赤字の原因が存在しておることを考えなければならない。給与そのものに触れなくても赤字が解消できさるような状態であれば、それでもなお給与は国家公務員並みに全部一致しなければならぬという建前ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/130
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131・小林與三次
○小林(與)政府委員 今お話の通り赤字の原因は私はそれはいろいろあろうと思います。そのほかの問題ももちろん合理的に改善しなければならないとともに、給与につきましても、やはり合理的な水準を保つということは財政の構造を適正にするゆえんでありまして、一方におきまして再建団体として国からいろいろな特別の措置を受けてやるというからには、給与制度というものも国家公務員に準ずるやはり妥当な水準を保って、それぞれの公務員の諸君並びに住民の各位も再建に協力していただく、これがやはり基本的な態勢でなくちゃなるまい、こういうふうに存じております。ただ現実に高い職員の月給をすぐに下げるか、そういう問題はわれわれはそれは既得権をとやかく申し上げるという気持は一つもございませんが、やはり給与制度というものはきちんとしておきませんと、そこの上に上積み上積みというように、今後の給与というものが行われるのでありますから、そうすればその団体の将来の運営上から見ても、これは適当なものとは考えられない、こういう考え方でわれわれも参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/131
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132・淡谷悠藏
○淡谷委員 あなたのお答えの中に矛盾があるじゃありませんか。既得権は侵すべきじゃないというのは、青森県の場合は去年の六月にはっきりきまった既得権なんです。それを侵しておる。そんならやはり青森県の場合はこれ以外には道がなかったというお考えなんですか。これはりっぱな既得権なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/132
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133・小林與三次
○小林(與)政府委員 既得権という言葉を使いましたけれども、それは現に個人の給与のきまっておるものを引き下げる、こういう意味で申し上げたのではないのでございまして、制度の改正そのものは私はとやかく、そこまで入ることは考えておりません。結局青森の問題は、今後の昇給期間をどうするか、端的に申せばそういう問題が一番大きいのでございまして、それを国家公務員並みに今後の昇給期間を調整してもらう、こういう問題でございまして、私の申しました既得権という問題は、その場合にはまあ当てはまらない、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/133
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134・淡谷悠藏
○淡谷委員 この場合には当てはまらないことをなぜ、言われたのですか。既得権は侵すべきじゃないということがあるなら、青森県の場合も当てはめたらいいじゃないですか、青森県は特別扱いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/134
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135・小林與三次
○小林(與)政府委員 先ほど申しました通り、私が既得権と申しましたのは、個人が現に二万円なら二万円ときまっておる、これを一万八千円に引き下げる、こういうことは、きまった月給を引き下げるというのだから、これは私はすぐに適当だと思いません。そういう意味じゃなしに、青森の問題は要するに給与の制度をきめる条例をどうするかという問題でございまして、将来の昇給期間をどうきめるかという問題でございますから、その条例の改廃は当然に考えられる、それが直ちに個人のきまった月給を下げるとか、そういうようなことをさせるような改廃は、これはもちろん行き過ぎでございますが、今後の給与の扱いをきめる改正は当然考えられてよかろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/135
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136・淡谷悠藏
○淡谷委員 あなたは、去年の六月に青森県会がきめました給与条例の内容がわからぬはすはないと思うのです。どういう意味に解しておるか、内容の御理解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/136
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137・小林與三次
○小林(與)政府委員 今ここに一つ一つ覚えておりませんが、要するに、先ほど申しました通り、青森県で一応きめました給与の条例が、国家公務員についてそれぞれ定まっております給与法から見ると、上回っておる部分が少くない。その上回っておる部面を国家公務員の給与法に合うように考えてもらいたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/137
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138・淡谷悠藏
○淡谷委員 どうも私はあなたの御答弁には満足できないのです。これは単に青森の問題じゃないのです。赤字県がたくさんありますが、その赤字県の給与についても起る問題なんです。さっきさあなたの方から私の質問について内容を聞きに来ましたので、青森県のこの問題をやるのだと言っておきましたから、材料を持ってないことはないと思う。ちゃんとここにも規定されておる通り、都道府県の議会の会議の結果都道府県の予算及び決算並びに条例の制定については、あなたの方で報告を受理する権限がある。去年の六月に青森県の議会の決定したこの給与条例の内容を、あなたはどう把握しておられるか、どう理解しておられるか、私は的確にここで御答弁願いたい、事は重大です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/138
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139・小林與三次
○小林(與)政府委員 それは先ほど申しました通り、青森県の定めました給与条例の内容が、国家公務員の給与法に定まっておる規定よりも上回っておる点が少くない、そういう事実があったのでございます。その事実を前提にいたしまして、再建団体として再建計画を合理的に進めていくためには、給与制度というものは国家公務員並みに調整した方がよかろう、こういう考え方で自治庁は指導して参ったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/139
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140・淡谷悠藏
○淡谷委員 私は少くとも県段階におきましては、県の議会が決定した条例に基く給与というものは、既得権だと思っております。あなたはそれは既得権じゃないと言うのですか。青森県で去年の六月に決定した給与の内容は既得権じゃないという理由を私はあなたから聞きたい。どういう点で既得権じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/140
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141・小林與三次
○小林(與)政府委員 それは、既得権という言葉の使いようの問題があろうと思います。私が申し上げましたのは個人の確定的に発令されてしまった給与、これを引き下げる、これはわれわれも直ちにそこまで要求してはおりません。そういう意味じゃなしに、これからあとの給与の扱いをどうするか、こういうことになれば、その扱いは将来の問題でございますから、これは条例の改廃によって当然なし得ると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/141
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142・淡谷悠藏
○淡谷委員 おかしいじゃないですか。既得権というものは将来にわたるものだと思う。去年まで払ったものは仕方がないが、今後からは改めよということでは、既得権の引き下げじゃないですか。そんな考えで地方議会の決議を圧迫してなにすることは根本的に間違いだと思う。あなたは、一たんきまった以上は去年までは仕方がないが、今年からは直せというのは既得権の侵害じゃないと思っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/142
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143・小林與三次
○小林(與)政府委員 私の申しましたのは、給与条例の改廃ということはこれはもちろん率直に申し上げまして自由にできるだろうと思うのであります。ただその条例に基いて、個人のもうすでにきまった既得権である給与というものを引き下げるとかなんとかすることはそれは私は行き過ぎだろうと思います。そうではなしに将来いつ昇給則問が来るか、この扱いをどうするか、こういう問題は私は是正し得る問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/143
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144・福永健司
○福永委員長 西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/144
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145・西村力弥
○西村(力)委員 今の既得権の論争でありますが、再建整備法の制定の場合において、自治庁が干渉する権限を与えられるのは、まず第一段としては事業計画設定の場合においてこれを指導するという問題、これが一番中心としてあの法律が生まれたわけであります。しかし実際に事業の計画が予算化された場合においても、この計画があまりに適当を欠いておるという場合においては、ある程度その修正を求めることができるということになっておったわけでございますが、しかしその場合において、私たちがあの際の論議においてやられたものは、これは個人の確定された権利というものに対する侵害ということは全然考えないし、考えられない問題だと思う。それでどこを考えるかというと、一般事業費についての繰り延べなり一割削減なりとか、たまたまそういう方向でもって事業計画の変更というものが、第二段目においての自治庁の干渉として許される、こういう工合に一段二段と考えて、あの法律が作ってあったと思うわけであります。ところが今職員の給与に対してその変更方を自治庁が要求するということは、あの法律を制定した場合の私たちが論議した限界というものをこえておると私は思うのです。
それから二番目は、現在発令されたものを取り消すというのじゃないといいますけれども、給与条例が一ぺん制定された場合においては、そのとき雇用されておる全公務員は、その給与条例を前提とした雇用契約をもって成り立ったのだ、だから今勤務している職員というものは、その給与条例によって保障される、自分の給与が改善されるということを、はっきり自分の権利として受け取って、そうして雇用契約を今までしてきたのだという立場になってくる。だからあなたが既得権ということは侵さないのだが、今後は条例改訂によってそれにまた従わせていくのだということは、この条例が設定された場合における権利というものをやはり侵害することになる。新しい給与条例を作って、その後に雇用された人ですと、それは権利の侵害にはならないかもしれませんが、今雇用されておる人たちに対しては、やはりそういうふうな格下げの条例改正を行うということは権利の侵害になる、こういう工合に考えなければならないと思うのです。私たちはそういうはっきりした立場をとっておるわけですが、これはまた軍人恩給の問題についても、これは既得権として絶対に侵せないものであるということは私たちもはっきり認めておる。もちろんこれに対して、僕らの方にも反対の人もありますが、しかし既得権は絶対に侵せないという立場をとっておる。こういうときにおいて、あの条例を格下げして作って、まあ今までのは下げないけれども、あとのものは下げるのだということは、これはやはり既得権を侵すことになるのじゃないか。そういう既得権を侵すということはやはり憲法にも反することだと思う。これはどうしても地方自治というものが尊重されなければならない日本の建前からいいまして、一ぺん県条例で設定したことを自治庁の権限でくつがえすということは、おろそかにやってはならないことだと思う。だからできる範囲は、事業費なんかの一割削減とか、それを明年度に回すとかいうこと、これは一年とか半年の繰り延べだけなのですから、そうあまりに権益の侵害ということにもならないし、そういう方向で赤字団体の放漫計画というものにもいかない、好ましくない一つの支出に対してはチェックしていく、こういう立場で整備法を作ったわけなのです。それを作ってきたとたんに、そういう工合に条例を作って、県議会の権威に基いて作ったものを修正させるとか、そして既得権益云々の論争も、将来の問題だといったって、今使われている人々が侵されるのですよ。そういうことまでごまかしてやっていくのはおかしいじゃないか。だからなかなか法律的には心配だから、ちょっとあなた方にまかせるときには抑えていかないと、こういう工合になってしまうのじゃないか。私たちは慎重を期さなければならないと思うわけですが、大体今地方自治団体もおかげさまで財政状態も好転しておる時期でもあるし、予算折衝も終ったし、大蔵省に対する一つの立場もあったかもしれませんけれども、今は地方自治の本旨を守るという立場で自治庁が進まなければ、自治庁そのものの立っている立場というものをくずすことになるじゃないか、私たちはそう思うわけです。それで、既得権益の侵害になるのだから、それに対して反論があったら聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/145
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146・小林與三次
○小林(與)政府委員 既得権ということでえらい論議になりましたが、再建計画につきましては今西村委員より給与費中心にした人件費をどう扱うかという問題について御意見を拝聴いたしたのであります。われわれといたしましても、これは給与費その他人件費に再建のしわを寄せるということは、とるべきじゃないと思います。これは一貫した考え方でございます。しかしながら、それならば給与費、人件費等に全然手を触れずに考えるべきか、これにもやはり一つの問題があるのでございまして、先ほど申しました通り、やはり、人件費が地方団体財政の上に非常に大きな比重を占めておる。これが大きいから、地方財政が弾力性がないといわれておるゆえんでもありまして、場合によっては給与支払い団体かといわれるくらいの実態があるのでございます。それでございますから、その人件費というものが、やはり合理的に仕組まれるということが、財政を健全に運営していく私は基本だろうと思うのであります。それとともに、またそれが住民のためにいろいろサービスをする仕事をやっていける基本でもあるのでございまして、われわれといたしましては人件費、物件費みんな総合的に考えてバランスのとれた調整を考えていくべきじゃないか。そうしなければ、なかなか再建を合理的にも達成できないし、今後の財政の運営を合理的に推進もできない、こういう考え方を持っておるのでございます。そこで人件費を合理的にするという一つのレベルをどこに置くか、こういう問題になりまして、これは私は当然中央地方を通ずる公務員制度というものが考えられるのでございまして、今までも御案内の通り、地方が貧乏をしておった場合に、いかにして国家公務員に準ずる給与を保障するかということがわれわれの長い間の苦労だったわけでございまして、どんな苦しい場合においても、国家公務員に準ずるものだけはぜひ保障してやりたいということで、今日まで参ったのであります。それでありますから、その線はやはり確保をしてやりたい。しかしながら国家公務員よりも上回った基準で給与制度を動かす。これは、たとえば警察法を見ましても、教育公務員法の特例法を見ましても、それぞれ国家公務員の給与の額及び種類というものは国家公務員法に準じてやるという趣旨を明定いたしておるのでございまして、やはりそこに準じて国とのバランスその他を考えて定めなければ、適当な運営というものはできないという考え方をとっておるのでございます。そういう意味で人件費ばかりどうこう申すつもりはございませんが、全体の経費を合理的に調整するという意味におきまして、給与費につきましても、合理的な計画を立てるということが再建の一つの重要な要素である。これはもうそう考えざるを得ない。今後もそういう考え方で指導せざるを得ないと存じておるのでございます。そこで給与の問題につきましては、青森の場合は再建団体になりましたのが最近でございまして、再建団体になる前に今の問題が実は行われたのでございます。しかしながら再建団体としてほんとうに計画を合理的にやるためには果すべきものは果す、延ばすべき仕事は延ばす、やはりそういうことを総合的に考える必要があろうと存ずるのでございます。一ぺんきまった条例はこんりんざい動かしていかぬか、私はそういうものだとはそこは考えられぬのでございまして、個人がもはや確定的な既得の権益としてきまっているものまで直ちにひっくり返すいうとことは、それは至当だとは思いませんが、今後の給与をどう扱うか、現に今までも府県で自主的に、たとえば昇給期間を延伸する条例をしばしば作っております。これはみな違反か。これはなかなか私はそういうわけにも参らぬと思うのでありまして、やむを得ない場合において、合理的な範囲内において調整せざるを得ない場合は、やはり調整を考えてもらわざるを得まい、またこれは私は特にそれで憲法どうの自治法どうのという問題でもないのじゃないかというふうに、今考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/146
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147・西村力弥
○西村(力)委員 国家公務員の給与に比較して地方公務員の給与が上回っておるという断定そのものに私たちは問題があるのですが、それはどういうことかというと、やはり地方公務員の場合においては、国家公務員のような職制的な人員配置が行われていない、国家公務員の場合には相当職制的にもたくさん配置しておるために、あの条例適用の場合には相当有利になっていくわけです。地方公務員はそういかないものですから、それをそのままにして、比較するから地方公務員の方が幾らかよいような、工合にあなた方は見るだろう。こう思うのであります。そういう比較の仕方そのものがいけないことではないか、その点からいうて地方公務員の給与が上回っておる、こういう断定はまず間違いだ、こう申し上げたい。それは除くにしましても、今申されたいろいろのお話について、私はやはり既得権利というものははっきり確定したのだがら、それを侵すということは、いろいろ延伸条例なんかはありますが、あれはいけない、事実行われたのは結局財政事情からやむを得ない措置であります。それもいけないのだとこういいますけれども、現実に地方自治体の意思としてそれがきめられたのですから、その場合においてはやむを得ない場合もあるし、今現われておる事態は地方自治団体がそれをがえんじないのに対して、それを指導育成するという立場に隠れてそれを変更させようとする国の出方が私はいけないと思う。はっきりそれは自治庁のほんとうのあり方から逸脱してきておるのだ、また私が再建整備法を作った場合の論議のことを申し上げたことに対しては、あなたは反論せられない。ただ希望としては人件費が比重を大きく占めるから、そっちも無視するわけにいかぬのだ、こう言いますけれども、それはその通りでいいでしょう。いいでしょうけれども。そういう場合においては、新規採用をチェックするとか、さまざまのことでそのことは行われたのであって、今論議になっておる問題をそこまで発展させる、そういう希望からそこまでいけるのだというところに論理を持ってくるということは正しくないではないかとこう思うわけなんです。ぜひこの問題は地方自治体のほんとうのあり方というものをゆがめる大事な問題でありますので、ここのところは自治庁は自治庁の本質的なあり方からいうても、それぞれ別の方法をとってもらわなければいけないのじゃないか、こういう工合にわれわれは希望する。一ぺん県民の支持を受けた県会議員がきめたものを、あなた方に言われて決議し直すということは、一体地方自治体として存在できるか、こういうことをはっきり考えていかなければいかぬじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/147
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148・小林與三次
○小林(與)政府委員 これはお説ごもっともでございまして、私も再建団体などのために、再建計画などを作って、一々こっちがとやかく言うことは全く本意でありません。早くああいう事態を脱却して自主的な経営をやってもらわなくてはいけない。私はそういうふうに念願をしておるものであります。しかしながら再建法に基いて再建を達成するためには、ある程度合理的な経営ができなければこれはむずかしいのでございまして、そこは私は自治団体もそれぞれ自主的に考えて、抑えるべきものは抑える。節すべきものは節する。そういう態勢にぜひこれはいってもらいたいと思うのでございます。人件費の問題につきましては、これは先にもお話の通り、数の問題が一つございます。数が多いか少いかという問題が一つ、それからもう一つは給与のベースが高いか低いかという両方の問題がございまして、両方の問題についてそれぞれ合理的であるということが私は必要だろうと思うのでございます。われわれがとやかく言うまでもなく、一つ地方団体におかれましても、それぞれ自治体の内面の経営について最も合理的に適正にやるように、ぜひこれは自主的に考えてもらいたい。われわれの方の立場からもそこは強くお願いいたしたいところなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/148
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149・福永健司
○福永委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/149
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150・受田新吉
○受田委員 自治庁設置法関係の質問を一、二申し上げておきたいと思います。行管の政府委員もおいでになっておりますので、一応私は行政組織上から見た自治庁設置法の改正案をお尋ねいたします。今度自治庁設置法改正の第一の重点が特別な職として長官官房に官房長を置くことにあるようです。この総理府の一外局にすぎないこの自治庁に官房長を置くということは、これはどういうことであるか。大体行管当局は一昨年行政の簡素化をスローガンに掲げて部課の整理をされたはずです。そして課長を大量に整理されたのでございまするが、実質的には課長の職務を行うような参事官等の名称をもって、同一人物を要領よく転進さしております。こういうことを考えると、行政の簡素化になっていない。実際は行政の複雑化をはかっておるということなんです。そこでこの総理府の一外局にすぎないこの役所に、官房長を一人前に置くという考え方がどうかしておるのじゃないですか、一つそこをお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/150
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151・岡部史郎
○岡部政府委員 ただいまの受田委員のお尋ねにお答え申し上げますが、自給庁は仰せの通り総理府の外局でございますが、それでは総理府の外局における官房長はどうなっているかということを比較上申し上げますと、総理府の外局といたしましては、自治庁のほかに防衛庁、それから経済企画庁、科学技術庁というような外局がございますが、これらはいずれも官房長がおりまして、それぞれ適切な機能を発揮しております。そのほかに外局といたしまして、現在官房長を置いてない外局といたしましては北海道開発庁と行政管理庁、こういうことと相なるわけであります。それから先ほど課の整理に関連いたしまして、お尋ねがございましたが、行政がいろいろ複雑になるに従いまして、課という一つのはっきりした職務権限を持つところで仕事をすることが適当な行政事務と、それから参事官とか調査官というような、非常に個人的な調整能力、企画能力あるいは調査能力というものをいわば一括してブレーン的立場にある官職、これは必ずしも課にしておく必要がないのじゃないかということで、行政の合理化のためにそれぞれ課を整理し、あるいは参事官等の職を置いたわけであります。行管といたしまして、一貫して機構の簡素化、合理化ということに努力していることは変りございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/151
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152・受田新吉
○受田委員 へ理屈を言うておられる。行政の簡素化、合理化をはかると仰せられながら、一方においては官房長のごとき無用の官を設けて、しかも名称が特別の職である、こういうものをどんどん置いておかれる。今すでに官房長を置いている役所――防衛庁その他例をあげられたわけでありますが、防衛庁のごときは非常に人数が多いという問題もあって、特殊の事情があるということも考えられますが、そのほかの役所に官房長を置いておるそのことが私は問題だと思う。この官房長というものは、これは一体特にこれを「特別な職」として掲げてそれに特殊な任務を与える必要のある仕事かどうか、大体今まで官房長が置かれているところで、官房長にどういう人がなっておられるか、そういう人事の具体的な例からも私は一つお尋ねしてみたい。一体どういう人を官房長に初めて任用されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/152
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153・岡部史郎
○岡部政府委員 この官房というのは、国家行政組織法第七条におきましては、省及び庁の内部機構として官房及び局または部を置くということになっておるわけでありまして、組織上、局には局長を置く、部には部長を置く、官房には官房長を必ず置くということにはなっておりませんので、これは各省の事情によって官房長を置いてもいい、あるいは置かないでもいいということになっておるわけであります。これは官房という組織が局あるいは部という組織とどこが違うかという点でございますが、官房の機能というのが――少し理屈めいて申し上げますれば、まだ発展段階にあるので、そういう点で官房長というものを必置のものと考えてなかったわけでありますが、しかし官房長という制度が非常に各省にとって有効適切な制度だということが実際に認識されまして、各省とも官房長を置くという要求が非常に強うございます。各省ほとんど官房長を置いておるというような状態でございますし、またお尋ねのどういう人物を各省で置いておるかということに関しましては、各省いろいろ事情がございます。その省の中の局長の最上位の者をあげておる場合もありますし、中くらいの者をあげておる、局長を経て官房長にするという場合もございますし、比較的若い人を抜擢することもございますし、これは人事管理上の問題でございますので一様ではございませんが、いずれも局長クラスの優秀な人物をあげでおることは間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/153
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154・受田新吉
○受田委員 各省がこぞって官房長を置くような傾向がある。官房の責任者を置くことに自然の要求が高まってきたということですが、これは行政管理庁の指導よろしきを得ないからです。行政管理庁というものは、行政各部の管理の任にある以上は、各省が区長官官房あるいは大臣官房に官房長を作らなければならないようにしむけるやり方が問題だと思う。大体行政の簡素化、合理化というものは役人のポストが一つ、二つふえたことによって目的を達するものじゃない、むしろそういう役職を少くして能率を上げさせるというところにあなた方の目ざされる意味があると思うのです。ところが今あなたはずいぶん張り切って各省に官房長を置くような傾向になった、ほとんど置かぬところがないくらいになった――なるほど今回出された文部省設置法を拝見しましても、文部省が従来官房長を置く必要なしとして張り切って官房長設置に反対してこられた。ところがことして番茶の出しがらになるのも忍びないというので、今年はかつてまだ官房長を置くことを主張しなかった文部省すら頭をもたげました。行政管理庁の指導よろしきを得ない証拠じゃないですか。行政管理庁などは置く必要がないと言ったところに、ことし置くようになぜ主張されたか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/154
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155・岡部史郎
○岡部政府委員 私もがまんできる官職はなるべく置かないようにということに最善の努力をいたしておることを、一つお認めいただきたいと同時に、根本におきましては受田委員の御指摘に十分同感の意を表する次第でごいます。ただ機構というものを考えますと、機構のあり方といたしまして、ある程度まで機能的に、すなわちファンクショナルに局が分れていきますにつきまして、同時にこれを総合調整するという機構が確立する要請も強くなって参ってくるわけでありまして、そういう意味におきまして、各省において官房長を要求するということは決してただ官職が一つほしいということではないと私は了解しておりますし、文部省の場合におきましては、昨年までの官房長のいきさつにおきましては文部省の機構全体をある程度まで一つ練り直すようなことを考えておりましたので、その際にあわせて、待ってもらっていいんじゃなかろうかというような気持だったのでありますが、体育局設置、その他の関係もございまして、いよいよ総合調整の必要もあるというようなことなので、認めた次第なのでございますので、その点御了承いただきたいと思います。
〔「勝手なことを言うな」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/155
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156・受田新吉
○受田委員 与党の内部にも正義の声がどんどん聞えてくるようになりました。私はこれは国民の声だと思うのです。こういうことを平然とおくめんもなく相次いでお出しになるということに、政府が目ざしておられる行政簡素化の目的とは相反した方向を現実問題としてはやっておられると思います。ことに自治庁というのは総理府の外局ですよ。独立の機関としての性格を持っていないわけです。この一外局にすぎない自治庁に官房長を置くということになれば、今置いておらないところの北海道開発庁と行政管理庁も早晩置くということになるおそれもある。あなたのところは絶対に置かない、行管だけは絶対に官房長を将来も置かないで済むという自信があるかどうか、そこを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/156
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157・岡部史郎
○岡部政府委員 お答え申し上げますが、機構というものはそれぞれの事務権限と相対的に発達し、あるいは消長するものであるのでありまして、今現在総理府の外局で官房長を置いていないところが、将来絶対に置かないとか置くとかいうようなことを申し上げるのは私の立場でございませんが、本年に関する限りにおきましては、もちろん置かない予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/157
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158・受田新吉
○受田委員 置かない予定で、予定が変更される場合がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/158
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159・榊原亨
○榊原政府委員 ただいまいろいろ官房長のお話がございますが、行政管理庁あるいは北海道開発庁につきましてはただいまの機構そのものが変革せざる限り、私どもは官房長を置く意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/159
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160・受田新吉
○受田委員 ちょっとここで横道にそれるようなことでありますが、あなた方の特別な職の設け方について、法律にうたってある言葉が変なものがあるわけです。横道にそれるようなことですけれども、大事なことなのでお尋ねしますが、自治庁設置法のこの改正法を拝見しますと、第六条は「特別な職」とあるが、総理府設置法を見ると、第五条「特別の職」とある。これはどういう違いがあるのですか。同じ総理府の外局の方は「特別な職」であり、総理府設置法の方は「特別の職」である。このテニヲハの「の」と「な」の用い方、これは微妙なものがあるのですが「の」と「な」の相違がどこにあるか、これをお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/160
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161・岡部史郎
○岡部政府委員 これは全く修辞上の問題でございますので、正確には法制局にお聞きいただきたいと思いますけれども、これを書きましたときの言葉の使い方によりましてそういうような表現をしたわけでございまして、意味は全く変りございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/161
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162・受田新吉
○受田委員 そういう法律の文句を、でたらめな考え方で作っておられるところに、政府部内の不統一がある。また、政府部内が非常にでたらめだということになるのです。大体法律を作ったとき総理府設置法を作ったときと、自治庁設置法を作ったときと、期間的には、総理府設置法は二十四年にできた、自治庁設置法は二十七年にできている。三年のずれです。その三年のずれによってその「な」と「の」が、そのときどきの情勢によって違うのだ。こういう考え方というものは私は許されないと思います。特別の目的を有する職とか、あるいは特別な任務を持つとかいう「な」と「の」の使い方ですね。これは大へん簡単なようであって、実は重大な問題だと思うのです。こういう用語の問題さえ統一ができておらぬような法律を、われわれは信用することができなくなるのです。「特別な職」と総理府の親法にはあるのですよ。その子の方は「特別な」とここでわがままをやっているわけです。これはいかなる理由か、もう一度一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/162
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163・岡部史郎
○岡部政府委員 各省庁に置かれます官職で、特に国家行政組織法に載っていないものにつきましては、これをそれぞれの設置法で特別な職という表現で書くことが普通でございます。現在におきましては、今言ったような意味の官職はすべて特別な職ということでやるのを例としておりますが、やはりこれは言葉でございますから、特別の職でも間違いはないということ、あるいは特別の職という意味におきまして、特別の職というものはあくまで組織法上にない職という意味でございます。
御承知の通り、自治庁の次長というようなもの、あるいは防衛庁の次長というようなものはそれぞれ特別な職としてそれぞれの設置法に書いてございましたが、昨年これが事務次官になりましてからは、特別な職でなくなりました、国家行政組織法の一般的な官職としての事務次官となりましてそれは取りましたが、そういうように現在のところは特別な職ということで、私は統一しているように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/163
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164・受田新吉
○受田委員 恩給局の次長は「特別の職」になっているわけです。これはどういう理由ですか。今のあなたのお説と比較したら、全く最初の御見解が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/164
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165・岡部史郎
○岡部政府委員 恩給局の次長は、組織法上一般的の官職でございませんから、特別な職として列記しているわけでございます。「特別の」となっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/165
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166・受田新吉
○受田委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/166
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167・岡部史郎
○岡部政府委員 ですから、それは三十四年の総理府設置法時代の内局としての恩給局でございますので、そこに規定した場合におきまして総理府設置法と同じように、その時代には「の」という言葉を使ったように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/167
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168・受田新吉
○受田委員 あなたは言葉を適当にごまかして説明しておられるわけですが、その特別の職という官職というものは内局と外局とによって違う。性格を異にするということはあり得ないじゃないですか。内局であろうと外局であろうと、官職の任務というものは同じものなのです。内局になればこれが「の」であり、外局になれば「な」であるというような考え方で、そういう誤解をさせるよりは、ちゃんと「の」なら「の」に統一されて法律を改正されて、たとえば一字でも誤解を生むような文句があるならば、これを直させることが行政管理庁としては大事な仕事ではないか。法律の文句の統制にまで心を配るところまで努力をされる必要があるのじゃないですか。「な」と「の」の説明をするのにこれほど骨を折って説明しなければならないほどならば、なぜちゃんとした法律改正で出されませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/168
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169・岡部史郎
○岡部政府委員 全く仰せの通りでございますが、ただ私が内局、外局の違いと申し上げましたのは、総理府設置法は総理府の内局のみ規定しておりまして外局に及ばぬ。外局の自治庁はあとからできまして、これは自治庁設置法という別個の法律ですから、その間に時間のずれの関係もあって「な」という言葉を用いるということになりまして、今ではみな「な」を用いているのです。それを「な」に統一するということは私も望ましいと思っておりますので今後御趣旨通りにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/169
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170・受田新吉
○受田委員 そう言うていただけば事は簡単に済んでいたわけなのですが、ずいぶん時間をとったことはまことに相済まぬと思います。それは直ちに改正の手続をするというお約束でございますので……。もう一つ私から本日お尋ねする問題は、この官房長の任務でございますが、この官房長の任務が列記してある中に、長官官房の事務の掌理というこの事柄はこれは各部局の連絡、調整という意味の文句をここに一応うたっておりまするけれども、この連絡調整の中にはそれぞれの部局に対して指示を与えるような要素を持っているかどうか、それをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/170
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171・岡部史郎
○岡部政府委員 官房長は指示権はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/171
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172・受田新吉
○受田委員 そうすると、単なる連絡、調整機関と、そして他の部局に属せざる事務の掌理というだけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/172
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173・岡部史郎
○岡部政府委員 大体仰せの通りでございまして、調整権は本来大臣を補佐して事務次官が持っている。その事務次官の調整権を補佐するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/173
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174・受田新吉
○受田委員 そうすると、官房長はいわばアメリカなどにある事務次官補というような性格も一部に持ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/174
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175・岡部史郎
○岡部政府委員 事務次官補というものが、これはアメリカにある制度でございますが、事務次官補は事務次官の下で、数名おりまして局長の上において行政事務を分担するという意味におきましては違います。しかし事務次官補と若干機能において似ているところもそれは否定できないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/175
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176・受田新吉
○受田委員 今あなたは官房長になる人物は人事管理の上において長老を持っていく場合もあるし、若い人を抜擢する場合もあるのだということでございましたが、それは各省によってそれぞれニュアンスがあると思いますけれども、事務次官補の性格を一部に持つということになるならば、各部局の最上位に立つ地位、かように機構上は考えられていいものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/176
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177・岡部史郎
○岡部政府委員 官房あるいは官房長の職責というものは、その省におけるスタッフでございますので、各局と重要さにおいて上下はないのでありまして、要するに機能の分れ方でございますので、必ずしもこれが上位であるとか、あるいは他の原町よりもどうであるとかいうようなことは言えないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/177
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178・受田新吉
○受田委員 あなたの理論をもってするならば、また官房長をぜひ置く空気がどうもあるという自然の要請にこたえんとするならば、むしろ事務次官補というような形のものにして、事務次官を補佐するような形のポストにするという方が筋が通ることになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/178
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179・岡部史郎
○岡部政府委員 それは一番最初申し上げました通り、官房というもののあり方に関係して参るわけでありまして、一つの官房は固有の文書、予算、法規、構成というような仕事がかなりあるわけでございます。そのほかに全体の調整の仕事もやるということになりますと、これを事務次官補で変えていくというのもお説のように一つの考え方であろうと思います。また官房長はそのままにいたしまして、その省の特別に重い、質量ともに重い一つのブロックの仕事を事務次官補にやらせるというような考え方もあるわけでございます。これは現実にまだ事務次官補の制度というものもできておりませんので、お考えはまことにヒントに富むお考えだと思いますが、なおよく検討してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/179
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180・受田新吉
○受田委員 一応私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/180
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181・福永健司
○福永委員長 淡谷悠藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/181
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182・淡谷悠藏
○淡谷委員 財政局長にさっきの質問から引き続いて確めておきたいのですが、西村委員からも質問がございましたが、今度青森県の知事に対してあなたが出された勧告は公務員の既得権を侵害していないという立場に立って出されたように思いますが、地方の自治団体、すなわち県会あたりが決議したことを取り消さして、その決議によって生じた給与の変更をまた自治庁の手によって行われるということは、これは既得権の侵害になりませんか。非常にあなたの御答弁があいまいですから、既得権は侵害しないということを言われるのか、あるいはまたそのままでいいのかどうか、この点を明確に答えられたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/182
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183・小林與三次
○小林(與)政府委員 われわれは、青森県の県会の条例のような場合には、既得権の侵害だとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/183
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184・淡谷悠藏
○淡谷委員 そうしますと、さっきのあなたの御答弁に従いまして、今後とも赤字県に対しては、まっ先に給与を国家公務員とひとしくしなければ金は出してやらぬという態度をあなたはおとりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/184
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185・小林與三次
○小林(與)政府委員 今後とも再建団体は、御承知の通り、新しく発生することはないのでございまして、再建団体として承認を受けておるものきりでございます。それでこれらの再建団体につきましては、給与の問題につきまして、われわれとして適当でないと思っておるものにつきましては、従来から再検討するように申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/185
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186・淡谷悠藏
○淡谷委員 この事例は十七県に上っておりますが、十七県とも全部国家公務員と同じような給与ベースに地方公務員を持っていこうという説でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/186
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187・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは私は再建団体だけでなしに、地方の公務員の給与は国家公務員に準じて作らるべし、こういう基本的な考え方を持っておるのでございます。一般の自治団体に対しましても、給与につきましては、そういうふうに考えるように一般的な指導をいたしております。特に再建団体につきましては再建団体という特殊な性格にもかんがみまして、その要請が特別に強い、そういう意味で、再建団体のうちの一部の県につきましては、そうした上回った処置が行われておるところについてはその再検討を求めておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/187
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188・淡谷悠藏
○淡谷委員 さっきの次官の答弁と食い違うのです。次官は再建計画を見て、給与に触れなくても赤字を補てんするような方法が立っておれば、必ずしも給与改訂は求めないと答弁しておる、政務次官と財政局長の答弁が食い違う。この点は一体どういうわけなんです。自治庁自体が部内における意見の統一ができていない。それで一体他の自治団体であるところの県会の決定なんかくつがえされていく、そんなことはあなた一人の権限ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/188
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189・中島茂喜
○中島政府委員 先ほどの淡谷委員の質問に対しまして、私が答えましたことと、今の財政局長の答弁に食い違いがある、こういう御指摘でございます。私といたしましては国家公務員のベースに必ずしも合せなければならぬ、こういう厳密な意味でなく、現実に各県へこちらから指導いたしておりまするのは、それに近い線に指導しておるわけでございます。そういう意味からさっきそういうことを申し上げたのでございます。国家公務員のベースにぴっちり合せなければならぬという考え方ではございません。それからなお将来再建団体といえども、地方団体の自主性を考えますときに、地方の府県は給与を自主的にきめ得るような財政に立ち返ることが望ましい、こういうことを私申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/189
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190・淡谷悠藏
○淡谷委員 今お聞きの通り政務次官は国家公務員のベースと同じじゃなくてもということを言っておられる。あなたは国家公務員のベースまで持っていく、こう言う。はっきりこの席上で食い違っておる。あなたの御答弁は間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/190
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191・小林與三次
○小林(與)政府委員 私は別に違っておるとは考えておりません。政務次官の仰せられましたのも、どんなことでもいいという趣旨じゃないのでございまして、国家公務員の給与に準じて作らるべしというお考えだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/191
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192・淡谷悠藏
○淡谷委員 さっき受田委員からの話で、「な」と「の」のかな一つでも大へん問題になった。国家公務員と同じべスというのと、これに近いという考え方とこれはてんで違うのです。あなたは準じてと今度言う。「な」と「の」どころじゃないですよ。しかも一歩踏みはずせば、自治庁が再建整備に理由をかりまして、赤字県の貧乏につけ込んで、自治権の侵害を一々やるような危険が出てくる。一体青森県他十七県の再建整備については、まず地方公務員の給与ベースを国家公務員と同じくするのか、これに準ずるのか、これに近くするのか、この三つの考え方はどれが正しいのですか、はっきり御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/192
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193・小林與三次
○小林(與)政府委員 国家公務員に準ずるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/193
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194・淡谷悠藏
○淡谷委員 そうしますと、今後どのような再建整備の計画を持ってきましても、国家公務員に準ずるような給与ベースを立てない限りは、この計画は認めないという基本的な方針を変えませんか、これは責任のある御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/194
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195・小林與三次
○小林(與)政府委員 先ほど申しました通り、新しく再建団体になるという団体は今の法制上ございません。現在なっておる再建団体につきまして、給与の問題につきましては、給与を国家公務員に準ずるようにするように強く指導いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/195
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196・淡谷悠藏
○淡谷委員 重大な点ですからなお確かめておきますが、他に給与以上に大きな赤字の原因があっても、その方針は変えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/196
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197・小林與三次
○小林(與)政府委員 他の原因は他の原因で是正すべし、給与の問題は給与の問題として合理化すべし、こういう考え方で参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/197
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198・淡谷悠藏
○淡谷委員 そうすると、あなたの御答弁は再建整備を離れて給与の問題にしぼった考え方じゃないかと思う。再建整備はどうあろうとも、まず地方公務員の給与ベースは国家公務員に準ずべしといったような権限の逸脱をやっているじゃないですか。再建整備ができないから給与を直さなければならぬ。しかし地方公務員の給与ベースはすべて国家公務員に準ずべしという基本方針を立てられるならば、再建整備があるなしにかかわらず、あなたの基本方針は立っていなければならぬ、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/198
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199・小林與三次
○小林(與)政府委員 一般的には先ほど申しました通り、地方自治団体の給与を国家公務員に準じてきめる、これは一般的な原則であろうと思います。再建団体であろうがなかろうが、私はそうなると思います。現在の法制の建前も大体そうなっております。しかし私の方といたしましては個々の団体について一々発言権を持っておるわけではございません。だから再建団体につきましては、再建という至上命令がございまして、これを早く達成させたい、こういうことでございますから、やむを得ず団体の財政運営について、われわれが承認の手続をとらせられているわけでございまして、その場合におきましては、先ほど申しました通り、給与というものは再建計画の上において大きな比重を占めておりますから、これをやはり合理化することが再建を達成させるための一つの大きな要素であろう、そういうふうに考えております。それでございますから、その合理化はわれわれといたしましては求めざるを得ないというのがわれわれの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/199
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200・淡谷悠藏
○淡谷委員 再建が至上命令だ、こう言っておりまするが、そんならば、再建整備法をあなたの方ではたてにとりまして、その整備計画を見る、その権限に基いて地方の議会の決議はいつでも変更させるといったような、基本方針は今後もお変えにならないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/200
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201・小林與三次
○小林(與)政府委員 誤解があってはいけませんが、われわれといたしましては、再建計画の承認並びに再建計画の実施ということにつきましては、財政の再建に関係のあるものについては発言権を持たざるを得ない。しかしながら団体の議会活動を一々とやかく申すというのではないのでございまして、再建計画の達成に関係のある部面においては、最小限度のことはやらざるを得ない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/201
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202・淡谷悠藏
○淡谷委員 私はその点に再建整備法というものの危険性があると思うのです。これは法案を作る当時に非常に論議されました。今日財政的に赤字を出している県は国家の資金を融通してもらうことは非常な魅力なんです。その魅力につけ込んで圧力を加えて出るならば、これは全く金の力をもって自治権を侵害するものです。青森県の知事の山崎岩男君はかって国会に籍を持っておりましたが、鼻っぱしが強いので有名でした。みずから称して豆タンクと言っておった。新聞記事で見ますと、県会で決議したことを自治庁にのませるために、この知事を青森県の選手として送ったと書いている。その選手があなたの前に出て、どうも自治庁にはかなわぬといって頭を下げた。その給与ベース改訂の一線に乗り出したときに、私は折衝の上に金を見せびらかして非常に圧力が加わったと思いますが、そういうことはございませんか。知事はあったと言っている。あなたの方で、君なら君でいいが、県会が再改訂しなければこの計画は認めるわけにいかぬ、金は出ないのですよといったような、金縛りを受けたように聞いておりますが、かけませんでしたか。かけないというならば、山崎知事の言うことは私は信用できないのですが、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/202
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203・小林與三次
○小林(與)政府委員 県の再建計画の承認に当りましては、給与を是正するということが一つの条件として指示されているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/203
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204・淡谷悠藏
○淡谷委員 言葉に拘泥するようですが、あなたは一つの条件と言った、他の条件を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/204
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205・小林與三次
○小林(與)政府委員 ここに承認をいたしました書類を持っておりませんが、要するに再建計画の承認につきまして、再建を達成するために所要の注意事項を与えることにいたしておりまして、青森の場合におきまして、この給与につきましては将来の財政計画に影響があるから、これを合理化する、こういうふうに調整するということを条件として指示いたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/205
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206・淡谷悠藏
○淡谷委員 青森県以外の府県の再建整備計画はどうですか。やはり給与ベースに手をつげなければ直りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/206
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207・小林與三次
○小林(與)政府委員 給与の改訂を求めている団体もほかにございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/207
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208・淡谷悠藏
○淡谷委員 求めない団体もあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/208
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209・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは国家公務員の基準に準じて作っている団体も幾つかあるのでございまして、そういった団体につきましては、給与については特別に申しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/209
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210・淡谷悠藏
○淡谷委員 それらの団体は、給与ベースに手をつけなければ絶対再建がむずかしいとあなたの方で態度をきめておりますか。具体的に伺いたい。あとの十七県です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/210
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211・小林與三次
○小林(與)政府委員 先ほど申しました通り、給与という問題が地方団体において財政上大きな比重を持っておりますし、給与の問題は一つ大まかにきめれば将来永久に響く問題でございますから、給与の是正は常に一つの大きな問題点として扱っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/211
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212・淡谷悠藏
○淡谷委員 一般のじゃなく具体的に言ってもらいたいのですが、十七県の区再建整備計画をあなた方がいろいろ調査研究されまして、この十七県ともに第一に給与改訂を条件にする、もしくは国家公務員に準ずるような給与べースはいいとして、他のものは全部引き下げるという態度をもうおきめになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/212
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213・小林與三次
○小林(與)政府委員 県は十幾つの問題ですが、その県は今仰せの十七県全部じゃございません。そのうちで、われわれの見るところで、公務員の基準をはずれている、そういう県についてだけ申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/213
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214・淡谷悠藏
○淡谷委員 私はどうもあなた方の計画承認の態度について同意できかねるものがあります。資料を請求いたしたいと思いますが、この再建整備法を適用される県の再建整備計画と申しますものを当委員会へお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/214
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215・小林與三次
○小林(與)政府委員 再建計画はきわめて膨大なものでございますが、それぞれの県の要点をまとめたものは準備してお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/215
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216・福永健司
○福永委員長 次に厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/216
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217・受田新吉
○受田委員 厚生省設置法の一部を改正する法律案で今度は相当思い切った機構のいじくりをやっているわけです。それで私は、この改正の第一の柱である公衆衛生局を予防局と環境衛生局に分離する問題、これをお尋ねしたいのでありますが、この二つの局をどうして置かなければならないかということについて、ここに一応の理由が書いてございます。書いてあるけれども、従来公衆衛生局として一応まとまってきたお仕事を、わざわざこれを予防局と環境衛生局と二つに分離して、それぞれの色合いをはっきりして仕事をさせなければならないほど、最近事情が逼迫したのかどうか。今までにおいても何とかたえられてきているこの問題をわざわざ分けるに至ったのは、ごく最近において容易ならぬ事態が起ったということでなければ、私はここに新局を作るということは問題だと思うのです。少くとも一つの局を二つに分けるというようなことは、これはまれに見る改革であって厚生省としてはよほど勇気を持って法案をお出しになったのだろうと思うので、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/217
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218・尾村偉久
○尾村政府委員 公衆衛生局は現在は十課と一室がありまして、厚生省内では一番膨大な局でございます。課の数から見てこれは各省を通じましても最も大きな局の一つでございます。以前にはこの十課一室に当りますこれらが二つの局に属しておりまして、かつてはこれが公衆衛生局と予防局という形であったのでございますが、これがかつて局の数を減らすというようなときに、直ちに一局に入れまして、局長のもとに十課と一課を並列させませんで、そのうちの主として公衆衛生局に属しておりましたいわゆる環境衛生的な方面を環境衛生部という形にいたしまして、いわゆる部長制をしいて、局の中に部長を置き、そのもとに環境衛生関係の課を置く、その残りの課は局に直結する課ということで、課の中にいわゆる中二階の部長をいただいて、さらに局長に属する十課と、それから直結する課と、この二種類でここしばらくやってきたのであります。ところが今、先生の御説のように、第一に環境衛生の仕事が最近非常に忙しくなって参りました、特に都市の屎尿処理の問題が激しく壁にぶち当りまして、農村への屎尿還元等が非常に激減いたしたために、屎尿処理の問題がいずれの自治体でも急速に困難な事態になりました。これを国庫の補助なり、あるいは起債の世話なり、あるいはその対策方法の技術的な指導を受ける等で、この厚生省の当該の課なりあるいは局、部に非常な折衝の要望が強くなって参ったのであります。いま一つは、この環境衛生部の三課一室で扱っております中に、食品衛生関係が全部所属しておるのでございますが、これが最近世の中の進展とともに、食品衛生の内容をできるだけ安全――これは過去からもそうでございますが、国民の知識の向上とともに、一そうその安全性と同時に、これが文化に合うような内容の進展というところに要望が強まって参りまして、この点でも食品衛生関係の業務が一昨年あたりから急速に増量いたして参りました。ことに一昨年、森永の砒素事件等が起りましたときに、この折衝、指導に当りまして、今の中二階的になっております部長の仕事と、それから各省を通じまして対外的な責任という慣例になっております局長の仕事というものがあいまいになりまして、非常な不便を感ずる。所属の課におきましても、これらの上司の裁断を仰ぐ、指導を仰ぐ上におきまして非常に輻湊いたしまして、現在これらの対象になっておりますのが、食品衛生関係のみで七十万軒の業者があります。これがそれぞれ府県の行政指導を受けながら、全国的に流通する食品衛生関係でございますので、これは共通的な指導の分量が相当多い、こういう形になっております。さらに昨年二十六国会で御通過を願いました環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律が、去る十月一日から施行になりまして、これが対象業者も約七十万軒ございますが、これが各府県それぞれ同業組合を一つずつ作りまして、さらに中央におきまして、これらの業種を通ずるそれぞれの連合会ができまして、これがいずれも定款を初め適正化規程、これは消費者とも非常に関連が深いものは全部本省が直接指導する、こういう規定になっておりますので、この点におきましても、今の中一階の中における課を持っておる部というものが非常に責任上あいまいになっております。これらの仕事の分量の増大のために、一部局でこれらを全部やるためには非常に行政の支障が起るということと、それからその指導責任ということを、今分担したような監督下にあるような形をこの際明白にいたしまして、それぞれ人を対象にする疾病中心の予防局、それから環境衛生初め、その施設あるいは営業というような関係を中心にする環境衛生局に分けまして、行政の考え方も、これは二大分類できる性質のものでございますので、これを二つにした方が、受ける側も非常に便利で、どこに相談にいけば受けられる。府県側も同様な意見でございますので、かようお願いしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/218
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219・福永健司
○福永委員長 中川俊思君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/219
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220・中川俊思
○中川委員 午前中の委員会でもちょっと述べましたように、この国会にはほとんど各省が設置法の改正を出しているのですが、説明を聞けば、一々もっともらしい説明を各省はするのですけれども、しかしここへきて急にそういうふうに仕事の量がふえたわけでもなし、今話を聞いておっても、ことしになって国民がよけいふんをし始めたわけではない、極端な例ですが。だから、理屈はいろいろあるだろうが、私どもは国民の税金を有効に使うという意味から、できるだけ機構は簡素にして、そうして役所は能率的にこれを運営してもらいたいというのは、ひとしく私ども議員として当然の責務であるし、またみんなそういう考えを持っておることだろうと思う。だから、いたずらに機構をどんどん拡大して、人員をふやすということは、多くの人件費も要するし、これに逆行することになるわけである。私、小さな企業をやっておるのから見ましても、たくさん人を使っておると能率は上らない。これは役所でも同じだろうと思う。だから、むしろ人数を少くして、給料をよけいやって、そうして一生懸命働いてもらうというような方面にやはり役所は頭を使ってもらわなければいけないと思う。そういう機構をみなもっともらしい説明はされますが、今私がこっちへ来ようと思うところへ突然中国四国建設局の職員の方が見えて、こういう要求を持ってこられたのです。定員外職員の実態と二万二百三十六名の定員化の要求という、全建設省の労働組合からこういう要求が来たのですが、私はこのことをよく知らなかった。定員をふやしてもらいたいというから、定員をふやすことは反対なんだ、今も午前中、委員会でそのことを一席ぶってきたくらいだから、定員をふやすことは反対だと言った。だんだん聞いてみると、いやそうじゃない、臨時雇とかいうのでおるやつを普通の職員にしてもらいたいという要求だ。それならいいだろうと言ったんですが、こういうようなものをいつまでもほうっておかないで、これを普通の常雇なら常雇にして、有効に使うということをあなた方は心がけられるべきじゃないかと思うんです。いたずらに局を二つふやしても三つふやしても同じですよ。要するに、あなた方は人のためにそういうポストを作っているようにしか見えない。事実はそうでないか知らないが、どうも私どもが各役所のなにをいろいろ検討してみても、そういうふうに考えられる。一体行政管理庁はこういうような問題についてどの程度に研究なさったのか。こういうようにたくさん設置法を出しておられますが、この国会を通過すると思っておるのですか。そう甘い国会じゃありませんよ。われわれ与党といえども、政府が出してきた法案だから何でもかんでもうのみにするというようなことには相なりませんよ、どう考えておられるか知らないが。だからこれは十分再検討さるべきものである。私は委員長にお願いをしますが、午前中から引き続いて、こうしてどんどん各省の設置法が出てきて、説明を聞いておるわけですけれども、委員長としても一つ十分にお考えいただきたいと思いますことは私が午前中からるる述べておりますように、この問題はしかく簡単に、私どもとしても委員会で異議なし、異議なしでやっていける問題じゃないと思うんです。大きな問題なんです。だからそういうような点について、行政管理庁等からも十分意見を聴取なさって、そうしてほかにやることがなければ、こういう問題の説明を聞いておくくらいいいかしりませんけれども、いたずらに時間をむだに使わないように、有効にこの委員会を運営していただきたいと思うんです。この問題は重大な問題でございますし、また簡単に、政府が出した法案であるから委員会はすらすら通るというふうな甘いお考えでもお持ちになっておると、あとがっかりなさることになりはしないかと思いますから、この点については十分に一つ御検討をしていただいて、ただいなかから陳情に来た人に対して、その場当りのもっともらしい説明をしてごまかしておられるようなことで、私どもはなかなかごまかされませんから、十分に一つ慎重に考えていただきたいと思います。何でもかんでも役所の機構をふやすということ、今までやってこられたものを、急に今年になってふやさなければならぬというようなことは考えられない。先ほど行政管理庁のどなたからか答弁があったが、文部省もことしは体育局などがふえたから官房長をふやすのだというようなお話だが、体育局などというものは元あったのだ。それならそのときに官房長というものがおったかというと、いなかった。だからそういうような、しろうとをごまかすような、きわめて簡単なごまかし文句で官房長を作らねばならぬというようなことを言っておられるのだが、そういうことではなかなか私どもは承服できないのですから、十分に御検討いただいて進めていただきたいということを、委員長に特にお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/220
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221・福永健司
○福永委員長 ただいまの中川君の御発言の件につきましては私に対する部分につきましてはこれを参考にいたしまして善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/221
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222・堀木鎌三
○堀木国務大臣 行政管理庁に関する部分は実は私の方にも相当関係はあるのであります。長い間定員外の職員として扱って参りまして、すでに大学を出て四、五年たったような人間も相当あるので、この際定員化を相当数、年次計画を立ててやりたいということはこれは中川さんのおっしゃるように、現員を能率化し、責任を持たせる。決して人間をそのために特にふやそうという考え方ではございません。
それからただいま政府委員から、環境衛生局の問題につきまして御審議をわずらわす際に御説明申し上げたのですが、私ぜひお聞き取りを願いたいことが一言ございます。確かに、人口がふえることは別といたしましても、清掃施設なり下水施設なり、簡易水道なり、あるいは上水道の、今までできておりません事柄に対する国民の要望と申しますか、民衆の強い要求というものは、私は近代化の社会を作る上において日本社会が非常にネグレクトしておった。民主化と言われますが、そういうことを考えない。土台の事柄が、日本の社会においては非常におろそかにされておる。実はそういう点につきましては、もう今さら中川さんに私が申し上げるまでもないことでございまして、現に国会におきましても、最近この種の予算につきましては従来より飛躍的に増大いたしております。そういうふうなことは民主社会及び近代社会を作ります上において、ぜひ必要でなかろうか。こまかい理屈は申し上げません。そういう点は政府委員からお聞き取りを願っておることでもありますので、私から申し上げませんが、こういうものが近年飛躍的に、国民の区要望として強く上ってきた。しかもそれは近代社会を建設し、民主主義社会を建設しようとする考え方からは当然の要求であり、また国会自身においてもそれをお取り上げになっておるというふうな点で、明らかに予算的な処置も、ここ二年ばかりに急速にふえて参っておるような次第でございます。学界におきましても、衛生工学のような講座なんというものは、私どもがいるときにはほとんど無視されておったが、今度新しくそういうものも考えられるようになっておるというふうな点から考えますと、この種の問題につきましては特にウエートを置いてお考え願いたい。官吏がいたずらに部局をふやし、そして定員を増すようなことは私自身反対でございますが、事環境衛生関係の仕事というものにつきましては、特に今私が申し上げましたような観点からお取り上げを願いたいということを、切にお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/222
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223・中川俊思
○中川委員 私は別に厚生大臣と議論をしようとは思いません。議論しようとは思いませんが、環境衛生の問題とか、あるいは個々の問題については、私はかれこれ言っているのじゃない。いたずらに各省の機構が膨大になることについては十分考えなければならぬということは――各省一律に全部、こういうものは考えなければならぬと言うのじゃない。どうしても必要なものは今大臣のおっしゃるようにやらなければならぬ面もあるだろうと思いますが、大体大臣も政党人ですから御存じですが、最近官僚機構というものがいたずらに膨大になってきておる。しかも次から次に出される法案――内容を見てみますと、役人でもって停年になってやめそうな者はちゃんと在任中にもっともらしい理屈をつけて、自分のポストを作っておく。だから役人をやめた者には失業者がないでしょう。今一般の国民が失業にあえいでおるときに、役人だけ実に特権階級というか、そこに陣取っておって、そして失業者がない。全く人のために機構を作っていっている感がかなりございます。ことに、堀木厚生大臣に限ってそういうことはないだろうと思うが、まず大臣になったら、役人のきげんをとらなかったら大臣が勤まらない。だから役人の言うことは無条件にのんでおる大臣が多いのです。そうして大臣がここへ出てもっともらしい説明をされると、大臣が出てこられたんだから、大臣の顔を立てなけりゃならぬだろう、ことにわが党の同士だから、こういうことは一応考えられる。一応は考えられますが、しかしそういうことでなく、ただおのれの保身術だけにきゅうきゅうとされないで、やはり国家の大局から考えていただきたいと思う。これは堀木さんだけに言うんじゃございません。各大臣とも、そういう考えを持ってやっていただきたい。大きな見地から考えられましたならば、このたびのように何省設置法、何省設置法というので、みな右にならえをして出てきて、そうしてこれをのめというようなことになりましても、私は先ほど来申し上げます通り、国民の血税でございますから、これは有効に使わなけりゃならぬ。必要なところにはむろん使わなければなりませんが、不必要なことはこれをスポイルして、できるだけ有効に使わなければなりませんから、そういう見地から申し上げておるのでございます。環境衛生がどうとか何がどうとか、私は個々の問題にわたって考えておるわけじゃございません。こういう問題を監督する立場にある行政管理庁が、一体どういう考えでこれを全部受け入れたか、大蔵省がまたどういう考えで、こういう予算だけはすらすら通したか。必要なものに対しても――もう堀木さんなんかずいぶん御苦労なさっただろうと思うのです。大蔵省の主計官なんというのは、普通の役所の局長なんか、主計官の前に行ったら頭が上らないということを聞いておりますけれども、私どもがあの予算編成最中に大蔵省に行ってみても、実に主計官天皇ですわ、あれは……。とにかく大いばりにいばっておって、必要なものでも削っておきながら、こういう官僚の機構を拡大することだけはすらすらやっておる。これはもう大蔵省の官僚とか厚生省の官僚とかいうような、個々の問題じゃございません。われわれ政党人として考えなければならぬ点は、官僚機構がいたずらに膨大になっていっている――私は午前中にも申し上げたのですが、国滅びて官僚だけが栄えておるのが、今の日本の現状です。官僚の諸君は耳が痛いだろうけれども、これはそういうことで、慎重に考えていただきたいと思う。実際にそういう傾向がある。軍閥によって日本を滅ぼしたけれども、このままいったら、官僚によって国が滅ぼされるのではないかとさえ心配している向きが、全国にかなりあると思う。中央ではまだそうではありませんが、地方へ行ってみましたら、もう実に官僚というものは、一般国民に対してごう然と控えておる。しかも国民の正当な要求もなかなか受け入れてくれない。そういう官僚機構をどんどんどんどんと大きくしていって、しかもそれは国民の血税でまかなわなければならないのでありますから、私は必要なものは、むろんこれは考えなければならぬのではありますけれども、行政管理庁あたりは一体、こういう機構を拡大することは全部うのみにして出してこられたような感じがするのです。そういう点については、私どもは国会審議の過程において十分に考えなけりゃならぬという見地から申し上げておるのでありまして、決して一部局がどうとかというような、ちっぽけな問題を取り上げて言っているのではない。先ほど委員長にこの点について善処方をお願いいたしましたのも、そういう見地から全般について再検討していただきたい、こういう考えから申し上げたのでございます。従って、厚生省の今の環境衛生がどうだとか何だとかいうような問題、どうしても必要なものでありますならば、私どももさらに検討をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/223
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224・福永健司
○福永委員長 西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/224
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225・西村力弥
○西村(力)委員 堀木厚生大臣のだんだんのお話を聞きましたが、私たちとしましても、環境衛生の向上のためにいろいろ施策が整備促進されなければならないという点については、私たちもそういう考えを持っておるのです。ただ今回のそういう方面に関連する予算を見ますと、まくらを並べて無視されておるのではないか。こういう予算を出しながら、一方においてこの部局を拡大するという法律を出してくるのは、あなた方恥しくないのかと思う。岸内閣としても自己矛盾じゃないかと私は思う。そういう状態に予算をやっておいて、そして役所の機構だけふやして、それでそういう趣旨は進められるんだという考え方は、これは全く今中川委員から言うような工合にならざるを得ないのです。曲げて考えれば、こういう状態に幾らがん張っても予算が削られて思うようにいかないからこの組織を整備して、分け前もよけいになるんだとか、当る勢いも少し士けいになるんだとか、これから処するためにこのような機構改革というか、変更というか、そういう方面に出たのではないか、こういうような逆な観測も言わざるを得ないような状態になってくるのです。一体岸内閣として予算をこういう工合にしておいて機構の拡大をはかってくる、内閣の自己矛盾的な政策をあなたはどう考えるかという問題なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/225
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226・堀木鎌三
○堀木国務大臣 大へんおしかりを受けたのでございますが、率直に申し上げますが、確かに環境衛生関係の予算につきましては、御承知の予算編成で物価の幾分の低落を見ております。そのために初めの査定におきましてはどうしても私ども承服できがたい予算であった。私としてもこういう現状では逆行するにすぎないと思いましたので、努力をいたしましたわけで、大体実質的には去年より環境衛生関係の費用はふえております。決してこれだけで――私はますますもっとやっていかなくちゃならないという考え方は持っておりますが、一例をあげましても、清掃施設が三十一年度までは予算的にはほとんど無視されていて、一億と出ておりません。それが清掃施設関係は三十二年度、三十三年度で五億数千万円になっております。それから下水道の終末処理も三十一年度まではほとんど問題にならなかったのが、三十二年度、三十三年度で一億数千万円にふえております。来年度予算も大体本年度よりややふえております。簡易水道も、これは農村及び都市以外の地域におきましては非常な国民の幸福をはかれる問題だというので、十億を下ってはいけないというのが私の考え方でありました。第一次としましては少し下っておりましたが、これは今申し上げました一律基準でたしか八億くらいになっておりましたのが、去年の十億がことし十億九千万円にいたしました。それから上水道関係も起債等を考えまして、起債等で二百五億円になっております。こういうものを二年前と比べますと格段の差がございます。私ども厚生行政を扱っていく上におきまして、確かに日本の社会はこの点はおくれているという考え方を持って、今御鞭撻を受けたような方向に努力は重ねて参るつもりでございます。むろんこれをもって私は言いわけをしようとは思っておりません。ますます日本の民主化、日本の社会の近代化というためには努力をいたしたいというつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/226
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227・西村力弥
○西村(力)委員 一億や二億の金がふえたからといって、それがいかにもこの環境衛生の促進であるというような言い方をなされても、たとえば屎尿処理の問題だけを取り上げても、あなた方はこの問題についてはいろいろ算定したり計画をしたりしておられるだろうと思うのですが、こんなことで一体どれだけの処理ができるか。一億や二億の金なんか上げられても、現実に起きている問題を調査してそれを処理する年次計画を立てた場合に、いかにも些少で焼け石に水ではないかということはおわかりだろうと思う。こういうことはどうしてもその方面における熱意というものがこの内閣において本年度は全然考えられなかったというふうに断ぜざるを得ない。だから私は環境衛生局と予防局に別に分けるという考え方に賛成したいんだけれども、こんな状態にしておいて機構だけどうこうということを言っても、ちょいとこれは簡単には賛成できないのじゃないか、こういうことなんです。これはやはり来年度あたり予算獲得に努力されて、その成果を基礎にしてこの機構の改革に当たられたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/227
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228・堀木鎌三
○堀木国務大臣 あなたからそういうお話を承わるのは非常に意外で、むしろ私のしりをひっぱたいて下さるんだという意味におきまして、私はありがたく感じます。私は現在をもって満足いたしておりません。こういう面こそ日本の近代社会を作り上げる上においておくれた部面であるということを痛感いたしております。一方予防局の方も、これはあなたの方から多分攻撃をいただくのだろうと思うのですが、結核対策及びその他各種の伝染病、地方病、いわゆる人を対象とした各種の病気に対するところの積極政策がなくてはならぬ。一億や一億ではほんとうにしようございませんが、とにかくもここ二、三年来一億にもならなかったのが十億とか相当大きな金額が盛られるようになって参りましたのはこれは皆さん方自身がそうお考えになってこの予算を御編成なさっていただいている。私はそれこそ釈迦に説法だと思う。今後とも努力をいたすつもりでおります。率直に言ってよけいなことでございますが、私も尿処理や下水処理場を見て参りました。最近痛感いたしておりますが、大阪でスイスの会社に注文いたしましたら、ごみの化学的分析を注文して参りました。注文いたしましたら、すぐその機械が来るんだと思いましたら、会社の方から、どういうごみがあるんだというように、こまかいデータを、要求して参りまして、それでなければ機械は送れない。しかもその会社はりっぱな研究室を持っている、しかもその国はりっぱなこういう方面の学者が集まっておる。日本ではやっとことし京都に衛生工学の講座ができるように相なるというような状況であります。私はこれは日本の一番おくれた一つの社会断層じゃないか、これこそ私どもが努めていかなくちゃならぬ、これはうわべの病気になった人だけの対策ではだめだということで努力いたしておるつもりでございます。どうか力が足りないとおっしゃることは、俗に言うしりをどんどんおたたき願って、一そう努力いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/228
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229・福永健司
○福永委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/229
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230・受田新吉
○受田委員 環境衛生局と予防局に分離する問題はまた問題にする時間もあるでしょうが、ただ私ここではっきりさしてもらいたいことは今環境衛生部長の申されたことのうちに、責任の所在がはっきりしないおそれがある、責任のなすり合いの傾向がある、こういうお話があったんですが、事務の分掌において直接担当者、その直上の責任者というのははっきりしているわけなんですから、別に現在の機構の中において責任の所在がはっきりしないが、今度新しく二つに分けると責任の所在がはっきりするというようなことは私はあり得ぬと思うのです。あなたの御発言は私はお役人のお言葉としては非常に責任のないお言葉であると思うのです。公衆衛生局長というものがおる以上は公衆衛生局に関係した諸般の事務は全部公衆衛生局長が責任を持つはずです。部長の失敗は局長が責任を持つはずです。そこはどうです。今あなたの申されたお言葉には私はなはだ了解に苦しむ言葉があったと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/230
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231・尾村偉久
○尾村政府委員 私の説明がまずうございまして、私の意図しておったところと違ったような表現になりましておわび申し上げます。今申し上げましたのは、これは全部局長が対外的な責任者になっておりましてこれには間違いはないのでございます。一切の通牒その他も局長名をもって対外的には出すということになっております。ただ非常に膨大で、今十課一室を持っておる大きさな局でございますから、現実に相談に支障を来たすことが多く、非常に錯綜しておるのでございます。ことに環境衛生部長は三課を所管しておりますが、もちろんこれに対するすべての処理は局長に連絡をとってやるのであります。従いましてそこに非常に遅延その他受ける側から不便がある、こういうわけでございまして、そういう意味で申し上げたので、決してこの責任を二分して対等な形にしておりませんで、あくまで局内の部を置くようにちゃんとなってありますが、責任の点の二階建の従属関係ははっきりいたしてやっておりますので、その点言葉が足りませんので取り消します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/231
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232・受田新吉
○受田委員 今ここにおられた中川委員はかつて厚生省の政務次官として飛ぶ鳥も落すほどの権勢をほしいままにした方であります。御存じの通り厚生省官僚を全く身ぶるいせしめた御存在だったのです。そういう中川さん自身があの機構改革、定員問題について非常に批判的なごあいさつがあったので、特に私厚生省の所管事項に関して思い出したわけですが、この行政事務というものは幾つかのポストをふやすことで緩和するとか、あるいは能率が上るとかいう問題ではないと私は思うのです。責任をはっきり果すことによってこれが目的を達するのでありますから、むしろ行政事務にそそうなからしめようとするならば、普通ならば課長から部長へ行くところを、さらに部長を通じて局長へ行くというほど念を入れた方が行政事務は徹底するのです。従って環境衛生局長になって、課長、局長の二段どまりを課長、部長、局長といった方が徹底するという意味においては公衆衛生局は大きな機構を持っておるけれども、むしろ大きな光栄というものが裏にあるはずなんです。私はその意味でわざわざ二つにしなくても、それぞれの責任者が誠意を持って忠実にその事務に精励するならば、現在の機構がますます広がろうとも、光栄ある大公衆衛生局としての誇りを持ち得ると思うのです。今厚生大臣が幾つかの例をあげられて最近の厚生行政の事務の複雑化、また大衆に喜んでいただけるたくさんの仕事ができたことを申されたのですが、私自身厚生省のお仕事というものは国民に喜ばれる大事な仕事であって、国民に喜んでいただける厚生行政が徹底することが文化国家らしい一つの誇りでもあると思うのです。そういう意味においても大きな役所であることを、単に局をふやすことやら定員をふやすことで満足されるよりは、そうした国民に喜んでいただける仕事を精励するという喜びの方がむしろ大きくはないでしょうか、大臣よりも御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/232
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233・堀木鎌三
○堀木国務大臣 率直に申して、さっき中川さんのおっしゃったことも、私も基本的には同感なんです。ことに私は前身が官吏でございます。官僚のいいところも悪いところもよくわかっております。場合によると厚生官僚の言うことをきかないから、あの大臣は事務官僚から浮いているから、答弁にしくじるだろうという新聞記事が出たくらいであります。私は官僚の弊をため直すことも、私自身の責任であるというふうに考えております。今おっしゃったように、確かに大公衆衛生局というものが考えられますが、これは何度も申し上げる必要もないように、今あなた自身がおっしゃるように、文化国家を建設するあるいは民主国家としての社会を建設して、われわれがそのサービス官庁として果してあやまちなきを得るかどうかということが一番基本だと思うのであります。そういたしますと、御承知の通り公衆衛生局の方面におきましては、人、病気というものを中心にした問題を相当専門的に考えなければならぬ。片一方は新しい社会の物的な状態をいかにして衛生と結びつけていくかということを、考えていかなければならぬ。おのずから人の専門を見て考えなければなりません。むろん私自身は何も局長をふやしたいとは思いません。ほんとうに国民の要望に沿うたサービスができるかという考え方から参りたい。責任の所在はもうこの種の問題につきましては、最近は大臣自身がやらないと承知されません。これは確かです。昔の古い内務省官僚時分にはこれがあるいは下級官吏によってそのことが処理されておった。しかしもう現代においてはそういうことではございません。私はそういう考え方を持ちまして皆さんに御了解を得たい、こう思っておるような次第で、全くあなたのおっしゃるような気持でこの問題を処理して参りたい。このために定員を要求しておるわけでもございません。よりよきサービスを厚生官僚としていかにしたら提供できるかということに専念いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/233
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234・受田新吉
○受田委員 大臣のお気持はわからないことはありませんが、定員を全然いじくらないで機構だけいじるということになっているから、そこに私問題があると思うのです。つまり現在の人員をそのままの形で、ただ局長を二人にする、これは一級官の局長が一人ふえることで、厚生省の役人は前局長という肩書きをもって民間に払い下げを受けられる者もあるわけです。そういう意味で、一人でも多くの高級官僚を作るという形にしかならぬと思う。人員を全然ふやさぬのですから、判こを三回とるところを二回で済むというような事務の簡素化ができるという程度じゃないか。むしろ公衆衛生局として大きな力で大衆に接触するという必要はないか。特に府県においては、民政部とか衛生部とかいうので、厚生省所管が三つも四つもある府県さえあるので、末端においてはいかに厚生省所管事務が広範な分野にわたっているかというのを私わからぬことはありません。そういう点からも厚生省の仕事が民衆に接触する面が非常に手広くなっているということはわかるのですけれども、それは広くてもいいのです。広くても現在の格好で、もっと大衆にサービスをしてあげる方法は幾らもあると思うのです。この点は一応私希望を申し上げておきまして問題を次に移します。
行政管理庁に関連してお答え願いたいのですが、行政管理庁の付属機関として行政審議会というものがあります。この行政審議会というものはこうした行政関係に関するいろいろな諮問に応じ、それに答申をする機関になっているわけです。この行政審議会が政府に答申をされた。その中に機構上の問題として、たとえば官房長を各省に設置するのが適当であるとか、あるいは局を多く作るのがいいというような意味の各省別の答申が出た例がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/234
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235・岡部史郎
○岡部政府委員 今お尋ねの行政審議会の答申について特に御指摘のような点はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/235
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236・受田新吉
○受田委員 従って行政上の問題について、行政審議会というものはそういう具体的な問題に触れておらぬ、特に今私が申し上げたような問題についての具体的なものに触れておらぬということになるならば、行政管理庁としては各省の機構上の問題についてはあなた方が持っておられる任務の第二条第二号に書いてある、行政機関の機構、定員及び運営の総合調整に関するこの事項を、あなた方の役所の任務の上から一つ高い立場で判断しなければならぬと思う。それを各省が競って持ち寄ったものを大幅に認められて、これをほとんど野放図に国会に出されたような、百花繚乱、全山春景色というような形でこの法案が出されておるわけです。こうなると野党ならずとも、与党内部にきびしい批判の声が起って、承知しないぞというような強硬な意見が出ておる。この内閣委員会の空気は、あげて政府案に対するきびしい批判で包まれておると言っても過言でないような状況に置かれておることを、ゆめ忘れてはならぬと思うのです。だから一つ再検討する必要があるならば、さらにこの機会に行政管理庁において公平な判断をされて、各省の区要求はやむを得ないと認められたものだけを取り上げることにして、あとは一つ整理される御用意はないか、これも一つ伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/236
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237・岡部史郎
○岡部政府委員 行政管理庁の権限といたしまして、各行政機関の機構の審査ということがその大きな任務でございますが、根本態度としては先ほど来中川委員あるいは西村委員、受田委員から仰せのようなつもりでやっておるわけでございます。ただ中川委員も仰せられました通り、個々の行政をこの時勢に合うように、あるいは時勢の要求に応じてどうこれを最小の費用で最大の能率を発揮していくことができるかということにつきまして、個々に審査して参ったわけでございまして、ただいまの厚生省から公衆衛生局を廃止いたしまして環境衛生局と予防局を作るというようなことにつきましても、ずいぶん長い間検討いたしましたが、ただいま厚生大臣から申されたような点を十分検討いたしまして、個々に見て厚生省の機構をこのように改めることが国家社会のためにいいというように判断いたしたわけであります。他の機構につきましても、それぞれ個別に判断いたして、これが今一番適切な機構のあり方として国会に御審議をお願いするのが正しい、こういうように考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/237
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238・受田新吉
○受田委員 行政管理庁の政府委員の方は、これからこの行政機構及び定員に関する法案が出るつど御説明をいただかなければならぬと思いますので、大へん相済みませんが常時おいでいただいて質問にお答えを願いたいと思います。
それでもう一つ厚生省として思い切った措置をされた、逆な措置をされていることは、未帰還調査部の仕事を整理されておる。特に舞鶴の援護局を廃止する。それから復員業務を中央に一括するというような措置をされているわけです。この問題は機構の縮小であり、廃止である。ここに厚生省の仕事として戦後十三年に及んだ、当初予想された六百万に余る人々が大半帰ったので、もうこの復員業務も引き揚げ業務も、出先機関は要らぬのだ、これからは中央にある引揚援護局で一切を引き受けたという格好にされることが時宜に適しておるかどうかということを今からお尋ねしたいのです。
そこで、このたびの第二の重要な改革点であります今申し上げた引き揚げ業務及び復員業務、この二つの仕事の整理でありますが、すでにこれらの問題は大半片づいて、これからは大した問題はないという観点に立たれたと私は判断いたします。しかるがゆえにこの改正案をお出しになったと思いますが、その判断に基いてのお尋ねです。この世紀の悲劇とも申すべき敗戦の結果、海外に残された方々が相次いで引き揚げられたわけでありますが、しかしながら今日依然として行方正不明のままで祖国の土を踏んでおらない方々、また生存しておることははっきりしておるけれどもお帰りできない方々が相当数に上っておることは御承知の通りです。そこで、最近数名帰った人たち等も入れて最近における未帰還者の正確な数字をまずお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/238
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239・吉田元久
○吉田説明員 正確な統計は四半期ごとに機械統計によって集計しておりますが、ただいま手元にあります最新の統計は三十二年十月一日の統計であります。一月一日調べの統計は目下集計作業中ででき上っておりません。
まずその数を申し上げます。十月一日調べの未帰還者の総計は四万六千六百五十名でございます。ただしこれには、その後における樺太からの引き揚げが二回ございましたが、それが入っておりますから、その数を別に申し上げます。三十二年十月に従来未帰還者としてつかんでおりました者から四十五名帰還しております。同じく本年一月に、十月統計で未帰還者としてつかんでおりました者の中から二百十名帰っております。これだけが帰還者として十月一日統計から差し引く数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/239
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240・受田新吉
○受田委員 その地域的分野をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/240
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241・吉田元久
○吉田説明員 各地域の数を申し上げます。ソ連地域はソ連本土、樺太、千島を含めまして八千九百四十二名、中共地域三万二千三百三十三名、北鮮地域二千四百四十三名、その他の地域、主として南方諸地域でございますが、二千九百三十二名、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/241
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242・福永健司
○福永委員長 山本正一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/242
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243・山本正一
○山本(正)委員 各省庁の設置法の一部改正案がだいぶ出ておりますが、かつてこの委員会でも例を見ざるごとく量が多い。それで非常に感ずることは各省庁がこれを国会に提案する前に、政府部内でまず行政管理庁が審査をしておるようでありますから、それでこのような設置法改正が必要しかも適当と認めて出しておるのですから、本来はそういうことから考えると、この質疑に応ずるものは、もっぱら行政管理庁がその審査に供せられた資料あるいはその判断をもとにして質疑に応ぜられる、それで足らざるものを各省庁担任者が補うということが本来の行き方であろうと私は考える。ここ数日の審議の状況を見ておると、事はまさに本末逆であって、まず各省庁担任者が質疑に応ずる、たまたま足らざる他のものを行政管理庁が補うことくに私には見受けられる。これでは非常に能率が上らぬ。各省庁の実際上の各委員会における審議に大臣も出られぬ、幹部も出られぬ、これでは非常に困る。それで今受田君が要求された、今後その設置法改正の審議にはすべて行政管理庁の責任者が質疑に応じてもらわねば困るという要求はもっとものことです。これは一つお帰りになって長官とあなたとよく検討していただいて、どうか本来の正常な形でスムーズに能率的に審議が進むように、私これは希望いたします。
本来、案件の内容を見ますと、機構の拡大――課を部に、部を局に、一局を二局に分けるということで機構を拡大する、あるいはそれに伴いもしくはそれと関連なく人員をふやすということにあるのです。これの必要のもとになるものは、作業の内容が質的に変ったということか量的にふえたということか、要するに根本は在来の機構ではこれの要求に応じられないということでございましょう。むろんそれ以外の理由はないと私は思う。そうして今ここに出されておる、もしくは今まで伺った説明というものをつなぎ合せて考えてみますと、作業の性質にどういう変化があったのか、作業の分量にどれだけの増減があったのか、しかも従来の消化能力というものが性質的に適当でないとか量的に不十分であるとかいうふうなことは、非常に熱心にお答えは上っておるようであるが聞く方からするとどうも十分な理解を得ることに困難です。ことさらここで項目別の資料の要求は、私は与党でありますからきょうだけは差し控えておこうと思いますが、作業の質的変更とか分量の増減とか、従来のこれを消化した公務員の消化能力であるとか、――これは言い古された言葉でありますが、量的に人間の数さえふやせば一切が解決するという安易な考え方では困る。もうちっと機構を同じいじるなら合理的にただすとか、あるいは能率を上げることに何か工夫の余地はないものか、もう少し国民全体が聞いて、だれしもそうかなというふうに、えらいめんどうな説明を加えずとも端的に理解されるような説明というものが実はほしいのです。これは非常に審議の進行上重大な関係がありますので、われわれは時間と並行的にこのことを考えていかなければ、法案の審議というものは完了しないのですから、政府の方もそういう点は御承知ではありましょうけれども、今のように、一つ根本的にこの委員会に臨む方針、態度というものを再検討していただきたい。今申し上げた資料のなかには、国内的なものはむろんでありますが、もし時間が許すならば、日本と異なった事情の国のものもあるいは類似の事情の国のものも一つそろえて――繰り返して申し上げますが、作業の質的の変化、量的の増減、これを消化する人間の消化能力、そういうようなものをもっと総合的にそろえて出していただいたら、非常にこの審議の上に便宜であろうと思う。今受田君の御要求によって、未帰還者の事務処理の実態などをお答えいただいた、非常に事柄が明確でよろしいのですが、そういうように分散的になにしましても、どうしてもその法案全体に対する判断の資料には非常に価値が乏しくなる。どうか一つ体系を立ててやっていただきたい。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/243
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244・受田新吉
○受田委員 山本委員から私に対する御協力の発言があって、大へん感謝しております。
私が今から申し上げることは、特に舞鶴引揚援護局の廃止と復員業務の整理という問題、これは人道的な問題として超党派的に従来考えられてきた問題でありますので、それだけに厚生省当局のとられる態度は国民全体に影響力があると思います。従って今から申し上げることは、与党の諸君も私の声と同じものを持っておるという御認識の上に、一つお答え願いたいと思います。
舞鶴引揚援護局は、その歴史十三年の長きに及んで、ソ連地区、中共地区、樺太地区からの引揚者をお迎えしたお役所であります。これをことしの十一月十六日という日を切って廃止されることにしてしまった。その理由の中には、十一月までには樺太地区からの引き揚げも完了するであろうということが書いてあるのでありますが、これはどういう根拠からこれをお示しになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/244
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245・堀木鎌三
○堀木国務大臣 非常に長い歴史を持ち、地方の援護局といたしましては国家的に重要であるのみならず、本人たちも長い問苦労して引き揚げ援護の処理に当って参りましたので、ほんとうに歴史的なものであるということはお説の通りでございます。ただ現在ソ連地区に残っておる、あるいは主として樺太地区が多いのでありますが、そこからの引き揚げの模様を見ますと、数がだんだん減って参っております。そういう点から見ますのと、ただいま申し上げました残存の、今後引き揚げ対象になります人間というものも、推定いたしますと、これについてはただいま申し上げた数よりははるかに少い数が出て参るのではなかろうかということが考えられるのであります。御承知の通り、最近に引き揚げて参ります内容を見ましても、樺太地区から来るのはほとんど国際結婚の状況である。そういたしますと、相当残留者も出て参るのではなかろうか。ソ連政府は従来からしばしば帰国したい者は帰すというふうな言明をいたしておりますが、最近これらの一、二の引き揚げを見ましても、その数というものはほとんど限定されて参っておる。中共地区につきましては相当の人間がいると予想いたされますが、しかし前年度から本年度にかけましての様子を見ますと、戦犯及び一般引揚者の数も非常に減って参っておる。いわゆる里帰り婦人と申しますうちにもいろいろありますし、純然たる戦犯及び引揚者の数は相当減って参っておる、そういうふうに考えますと、あそこに引揚援護局を置いておく必要もないのじゃないか、置かないでも業務の遂行には支障がないのでなかろうか、こういうふうに考えられますので、私どもとしては非常に歴史的な問題ではありますが、この際これを廃止するのが適切でなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。むろんこれらの事務は最初よりはなかなかむずかしいこともできて参っております。かえって数だけで判断するわけにいかない分もできて参っております。もしもこういうふうな状態が恒常的な状態として考えられるときには、厚生省として検疫所その他の施設において業務を行わしめるということも実際の実務の上からは支障ないであろう、またこれこそ支障があっては困る仕事なのでありまして、個々の場合に適切な措置が打てる、かように考えましてかく決定いたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/245
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246・受田新吉
○受田委員 十一月十六日を期限とした理由は、もっと根本的なものがあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/246
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247・石塚富雄
○石塚説明員 樺太地区の引き揚げにつきましては、大臣からただいま御説明申し上げましたごとく、現在樺太地区の残留人員というものは約七百くらいおります。このうち国際結婚その他で帰れない者もかなりあるのでありますが、今までの引揚者の情報その他から総合いたしますと、今後帰国を希望しておる者は五百ほどおるようにいわれております。しかしこれらの方々の中には国籍問題あるいは身分の登録の問題等によりまして、早急に帰国が期待できない方もあるのじゃないか。とりあえず近く帰国を期待できる者は二、三百名程度じゃないかと想像いたしておるのであります。こういった方々の引き揚げは、おそらく近いうちにできると私どもとしては期待いたしておるのでありますが、御承知のように、棒太地区は冬季に入りますと非常に船の運航その他に不便な点もございますので、おそらく三十三年度の上半期にはこういった引き揚げは期待できるのじゃないか、こういうことに期待いたしまして、舞鶴引揚援護局の閉鎖は十一月十六日に決した決第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/247
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248・受田新吉
○受田委員 私は質問をごく要点だけかいつまんで単刀直入に申し上げますから、お答えも単刀直入に時間を節約して、四時半ごろまでには終るように御協力を願いたいと思います。私が不安に思うことは、政府が最近未帰還者の問題について非常な冷淡な立場をおとりになっておるのじゃないかという不安です。それはさしあたり昭和三十四年七月三十一日をもって未帰還者留守家族援護法による留守家族手当の打ち切りがされるわけです。従ってそれまでに政府はこの留守家族援護法等の精神により、帰還促進と調査究明の重大な責任を果さなければならぬ。しかしながら努力してもなかなかできそうにないので、さしあたり、この行方不明で最近において七年以内も生存資料のないような者はこれは死亡と同じような形のものにして、これに遺族に支給する公務扶助料と同額のものを支給するような形をとったらどうかという法案を用意されたと聞いておるのでありますが、それはどういう状況になっておりますか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/248
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249・堀木鎌三
○堀木国務大臣 実は援護法に関連しましていろいろ誤解が生じて残念に思っておるのであります。私としては遺族会の方々の代表者と数回会って、そのお気持を十分存じ上げておるつもりでございます。まずこれらの方々のお考え方は政府において手を尽す、それから第二は、それにしてもやむを得なかったならば援護法の有効期間終了と同時に他の法令を考える、そうして遺家族に対しての処置を考えるという二つだと思います。たまたま実は一方から、法律を用意いたしますとすれば相当早目にいたしたいと思いまして、事務当局に法律の用意を命じましたことから法律だけで始末するのじゃなかろうかという誤解を生じましたような状態かと思うのであります。決して一片の法律ですべての問題を処理しようなんという考え方はございませんので、遺族の心を心として当りたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/249
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250・受田新吉
○受田委員 すでに堀木厚生大臣は留守家族を遺族と考えておられるようです。先ほどからもほとんど全部遺族にしておられるようですが、留守家族は遺族じゃないのです。十数年夫の、父の、わが子の帰りを待ちわびし、生存をしておってもらえるように、早く肉親が帰れるようにという気持で待ちわびておる留守家族なんです。そういう立場から、先ほど来遺族々々と御連発されておるところを見ると、すでに留守家族を遺族の取扱いにする先入観が堀木先生の脳裏を常にかすめておられるのじゃないかと私は考えるのです。(「堀木大臣はそんな人じゃないよ」と呼ぶ者あり)
それで死亡推定に対する法律が出るのじゃないか、事務当局に調査を命じたのがそういうような誤解を受けたということでざいますので、それを前提として質問を続けますが、未帰還調査部がそういう死亡を推定――死亡推定ということは大へん問題になるのでございますが、とにかく何かの形で処理をしたいという気持のもとに未帰還調査部が動いたとしたら、もう未帰還調査部の仕事は調査究明ということはそこのけで、そういう死亡推定処理に忙殺されるおそれがあって、調査事務というものはだめになってしまう。未帰還調査事務所でなくて未帰還死亡処理事務所ということになってくる。そういうおそれがあるので、私はここで非常に心配したのであります。その心配は未帰還調査部の事務の中においても、そういうような死亡推定のための調査をするような仕事は絶対にしませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/250
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251・堀木鎌三
○堀木国務大臣 まず第一につつしんで用語の不適正をおわび申し上げます。つい遺家族というふうな考え方、何と申しますか、遺族会その他の人もずいぶんこっちと連絡があるものですから……。留守家族援護法でございます。むろんおっしゃる通りにいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/251
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252・受田新吉
○受田委員 そこで厚生大臣、一つ問題があるわけですが、今留守家族の人々は――大体今数字を示していただいたのですけれども、五万に近い数字の中には大体一割ちょっとが生存資料があるという格好になっておる、あとは生存資料がない、こういう形になっておるのです。従って生存資料のない家族の不安は自分の肉親がまだあちらに生きているという非常に大きな期待を持って、いつまでも待って元気な顔を見ようという気持ですね。厚生大臣としては国が責任を持って調査究明をし、その帰還促進をはかって、最終の生死の状況がわかるまではその気持をくずさぬように政府は努力していこうという気持には毛頭お変りはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/252
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253・堀木鎌三
○堀木国務大臣 従来の方針に毛頭変りがございませんのみならず、私は一そう努力をいたしておるつもりであり、その足らざるを常に憂えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/253
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254・受田新吉
○受田委員 厚生大臣の熱意を伺いました。しからばここで一つお尋ねするのでございますが、未帰還者留守家族等援護法という法律は国の責任という目的のもとに生まれた法律であって、国家補償の精神に立脚していない。戦傷病者戦没者遺族等援護法の方は国家補償の精神でこの援護をはかることになっておる。留守家族手当の支給される留守家族等援護法の方は国の責任という言葉でこれが処理されているわけです。従ってこの法律の内容を拝見しますと、留守家族の中で手当をいただいておる人は、生計主体者である人々がわずかにお手当を受けているだけで、二男とか三男とか、両親が六十才未満の人たちは援護の対象からはずされております。ところがこれらの未帰還者の立場を考えてみると、国家の公務で外地へ連れていかれて、国の政治上の責任において敗戦という悲劇を受け、そして国の政治上の努力が足りなくて帰還促進が今日実を結ばずして海外におるという立場ですから、りっぱに国家の公務に従事して海外に残った人といえるわけですね。
それが一つと、その国家の公務で海外に残っている公務員である特殊な立場に立つ未帰還公務員である人々に、国家が何ら給与を支給していない対象があるということです。つまり生計主体者以外は一文も金をもらっていないのです。現実にもらっていない。こういうように国家の公務に従事しておって国が何らの給与も支給しない、手当も支給しないというように、ただ奉公をさせておるという形にしてあることは給与制度上及び援護制度上一大欠陥ではないかと思うのですが、今熱情あふるる御発言をいただいた堀木厚生大臣としての御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/254
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255・堀木鎌三
○堀木国務大臣 未帰還者のうちには一がいにいえない分があると私は思います。しかも未帰還者の留守家族にも自分の生活条件その他社会的な環境等からいろんな考え方をお持ちになっている方もおる。これらをひっくるめまして、法律的に一つの準備をいたしますことは、非常に広範な――あなたの言われる調査も前提になる。それから現におられる未帰還者の家族の事柄も問題になる。それらをひっくるめまして法制的に非常にむずかしいものがあることはあなたの方がよく御承知だと思う。そのために私は、何らわれわれのことを法律的にも一ぺん考えてみるだけのあたたかみがないじゃないかということをかつて言われたことがあるわけです。それで、これは相当準備がかかる問題である、何もそう急がぬと言いましたのも、実は急いでやりながら相当期間がかかる問題だと思って私が準備を命じたために誤解が起って参った、これが実情でございます。今それらについて十分検討いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/255
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256・受田新吉
○受田委員 第二の問題で、国が何らの処遇をしていない特殊な未帰還公務員という職種の立場の人があるわけです。国が一文も給与を出さないような、あるいはほかのこれに類似した手当を出さないようなそういう公務員がおるということを大臣御認識の上、これをどうしたらいいかということを今お尋ねした分がある。その方がお答えがなかった。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/256
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257・石塚富雄
○石塚説明員 御承知のごとくただいまの未帰還者留守家族等援護法というものは未復員者給与法から発展してきた法律でございます。未復員者給与法の時代におきましては未復員者に対しては給与という形で支給しておったわけであります。しかしその後未復者という立場を離れまして、留守家族援護という趣旨でこの法律ができたわけでございます。従ってこの法律の趣旨は今先生おっしゃったごとくに、未帰還者が生計の中心であり、留守家族が年令あるいは身体上の障害によって稼働力を失っておる、そういうことを条件にして援護してきておるわけであります。今お尋ねの、それ以外の方に対してはどうかということでありますが、これは、ただいま未帰還公務員というお話がありましたが、なるほど未帰還者の中にも公務員の方がありますが、未復員者は現在は公務員とははっきり言えないような状態であります。ただいろいろな援護の措置を講ずる意味で未復員者という地位を法律で特定しているわけであります。それから未帰還者の中には一般の邦人も含まれております。そこでこういった一般の邦人の留守家族も広く援護対象に入れる、こういうような社会立法的な見地からこの法律ができたわけであります。現在未帰還者の実態を見ますと、先ほど先生の御指摘になりましたごとくに、四万六千の未帰還者がありますうち、残存生存者が一万前後だろうと思います。あと三万六千何がしの未帰還者の大部分は大陸において二十一年前後に戦闘間または撤退間において消息を断った方々であります。未帰還者の実態はそういう実態でございますので、もしこれらの方に対する何らかの処置を講ずるとすれば、こうした実態に応じた処置をとることが適当ではないか、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/257
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258・受田新吉
○受田委員 石塚さんの御発言の中に重大な誤謬があると思うのです。それは現在海外に残っている立場の人は公務員とはいえないという言葉があったわけですが、昭和二十八年に改正された恩給法附則第三十条をごらんいただいたならば、未帰還公務員には恩給を支給するという規定があることは御存じの通りであります。未帰還公務員で昭和二十八年七月一三十一日現在において十二年に達した兵は普通恩給を支給するという規定があるわけであります。結局恩給法としてできた法律には未帰還公務員とはっきり銘を打っているのです。従って未帰還公務員に対しては恩給を支給するという特例が開かれているわけです。恩給を支給するということはこれは公務執行中における経済取得能力を喪失した代償として反対給付をするのだということになるわけなんですから、公務を執行している者に対する特例として恩給を出すのだ、普通だったら給与を出すところを恩給を出すという格好になっている。従って帰らざる未復員者は未復員者給与法の適用を受けた人々はその後の留守家族等援護法で吸収をされましたけれども、恩給法においてはれっきとした公務員として保護されているということになる。そこに非常に問題がある。恩給法で未帰還公務員と銘打って恩給を支給している、一方において留守家族等援護法で留守家族手当を出している。かつては未復員者給与という特殊の給与を出しているという、ここに問題がある。二十八年に留守家族等援護法を作るときに厚生省の失敗だと高級官僚が言っておられた通り、未帰還公務員の一般政府職員でまだ帰らぬ人がおるわけです。昔の役員でソ連へ連れていかれた人がたくさんおりますが、そういう人まで一括して全部留守家族等援護法の中に入れてしまったところに問題がある。従って今この誤まりを是正する方法としてあなた方が考えているのは、死亡処理によって遺族に対して公務扶助料を支給すると同じような形のものを支給しようとするお考えがあるようです。そういうようなことをして、死亡者として遺族に支給する公務扶助料と同額のものを支給するという措置をとるよりはその同じ額を留守家族手当として給与の形で出すか、手当の形で出すかして支給する方が、留守家族に対して、長期にわたって帰らざる人を待つ家庭に対する贈りものじゃないでしょうか。私は従って、政府が今回のこの法律改正に伴う措置として留守家族を安心させようとするならば、死亡処理をしたと同じような効果を持たせようとするならば、死亡処理を期待しない留守家族に対しては待ち受けるという気持から、何かの形で、恩給法の言葉を使うならば、未帰還公務員給与特例法というような形のものにでもして、遺族に支給する場合の公務扶助料と同額のものを、生計主体者であるといなとを問わず、全員に、その帰る日まで支給してあげるという――戦後十二年、十三年の苦しみを、遺族となった人よりもっともっと大きな苦痛をしておられるこの留守家族の人に対して、はなむけてやるというような態度で、もっと真剣に、もっと深刻にこの問題を考えると言った人情大臣堀木さんのお考えとして、そういう態度をとるべきだと思うのです。私の申し上げたこういう措置を、大臣、いかがお考えでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/258
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259・堀木鎌三
○堀木国務大臣 今御指摘の点は十分考えまして、せっかく法律案を練ってみたい、こういうふうに考えております。御承知の通り非常に法律関係が複雑でございます。私自身もほんとうにまたこの問題と取っ組んで、事務の方がある程度参りましたら、いかがいたすかということを十分考えてみたいと思います。その際に、お説についても十分考慮してみたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/259
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260・受田新吉
○受田委員 非常に信頼申し上げていい大臣の御発言がありました。お説の通り、この問題の処理は非常に複雑です。政府職員であった公務員はこれは政府職員としての給与をもらっておった、そして軍人であった未復員者の給与が問題である。階級差もある。そうしてもう一つは一般邦人の問題がある。こういうようなところで、非常にここはデリケートな問題があると思いますが、しかし戦後十二年の空白を埋めてあげるために、死亡処理の前提としての法案を出すよりは、その給与を支給してあげて、生きた未帰還者に対するあたたかい心づかいという形で処理をしていただくならば、これは画期的な事業だと思います。大臣が、そういうものを考慮に入れて検討をしたい、直ちに技術的な困難を克服して何とかやりたいという画期的な御発言が今あったわけです。これは私非常にありがたいことだと思いますが、しかしこれはもし給与法の形態をとるならば、これは人事院の問題や総理府の関係にもなってくる。援護法の形をとるならば、援護というならば、生計主体者でなければならないじゃないかという批判も受けるので、技術上の問題としては大へん困難があると思う。この困難を乗り越えて、断固としてしかばねを乗り越えていく御決意があるかどうか、厚生大臣、もう一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/260
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261・堀木鎌三
○堀木国務大臣 私何も殺人立法を作るつもりはないのでありまして、ほんとうに何とかこういう人に対して新しい構想のもとにわれわれが、何と申しますか、処理をして参りたいというふうな気持でかかっておる次第でございますので、各方面の御意見は十分取り入れ、かつ未帰還者の家族等の心持ちの十分くんだ法律案を作るという点につきましては決して人後に落ちないつもりで参りたいと思っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/261
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262・受田新吉
○受田委員 それで大臣のそうした御決意を具体化する日を、あまり先に延ばしたらまた問題になるのですが、できるだけ最近のうちに具現をしていただきたいという了解のもとにお話を次に進めます。
韓国抑留漁夫が最近日本へ帰られた。この人々は今まで毎月々々相当額の援護費をもらっていたと思うのです。これは幾らずつもらっていたのか、私ちょっと記憶しておりませんが、今度日本へ帰ってこられるまでどのくらいずつ渡しておられたのでしょう。――これは少くとも五千円から一万円の間だと私は思っていたのですが、その金額はっきり覚えてないので問題があるのですが、大体最低五千円から二万円の間だと記憶しております。はっきりしません。しかしこれは月です。そうすると一年に六万円、最低私の計算でみれば六万円になるのです。これはちょっと調べてもらいたいのですが、そうしますると、留守家族援護法による人々には、少くともこの韓国に抑留されたあの漁夫の留守家族に出したくらいの金額の手当は最低出さなくちゃ、政府のとった処置としては公平を欠くと思うのです。そういうところも一つ考えていただきたい。
それからもう一つは私たちとして胸の痛む思いがするのですが、先般韓国抑留漁夫が三年間の苦しみを忘れるようにして日本へ帰られた。そういう、一方に喜びの千名の方々がおられたと同時に、今未帰還調査部長の言われたように、北鮮にはいまだ帰らざる二千四百名の未帰還者があるのです。韓国からは千名の抑留漁夫が帰り、北鮮には二千四百名の抑留者いまだ帰らざるこのときに、北鮮の留守家族の方々がどのような胸中に姿を描いておられたであろうかということを察したときに、まことに胸が詰まる思いがします。しかも南国の韓国から帰られた方々は、常時留守家族に対して月五千円から一万円の手当が毎月いっておったが、北鮮の抑留者の方には、生計主体者に限って三万五千二百四十五円の留守家族手当が出ておるだけで、そのほかの方々には、一文の手当も出ておらない、こういう著しい待遇差が同じ政府の留守家族対策の上にあるわけです。これは明瞭に不公平です。韓国抑留漁夫にはそういう手当がはっきり出ておるのです。北鮮の抑留同胞にはびた一文もらっておらない人が半数以上ある、こういうことになると、これは非常な片手落ちだと思うのでございますが、御見解いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/262
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263・石塚富雄
○石塚説明員 ただいま北鮮の抑留、未帰還者数――抑留といいますか、未帰還者が二千数百名いるというお話ですがこの北鮮未帰還者の二千数百名の大部分は国際結婚している方々であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/263
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264・受田新吉
○受田委員 国際結婚をされた人は別にして、国際結婚をしないで帰ることを期待している人がおるわけですね。全部が国際結婚しているわけじゃないのです。それではあなた方の調査で、国際結婚している方は何人おるか、はっきり資料があるものを示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/264
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265・吉田元久
○吉田説明員 今北鮮地域の二千何百名と出しますのは、日ソの開戦時以来の消息のある者全部の数であります。最近北鮮に何名残っておるかということの資料は、一昨年でございましたか、北鮮赤十字から日本赤十字に通告がありまして、数がはっきりしております。それでこれらの人のその時期に通報のありました者の一部は、すでに一昨年帰還をしております。それらの帰還者の証言によりますと、終戦前から韓国人と結婚しておった者であって、現に留守宅等にはごく一部通信のあるものがあります。私どもの判断では、その留守宅通信や帰還者の証言によりますと、二百名前後の生存しておる者はほとんど全部が帰国の意思がない。残ります二千数百名の者は、資料の状態を見ますと、二十年終戦の年並びに二十一年の資料だけの者が圧倒的でありまして、これらは現在は未帰還の状態でありますけれども、残念ながら事実は、北鮮なり、あるいはその後満州に動いて死亡しておるがゆえに、その事実がわからないために未帰還の状態にある、客観的にはこう判断できるのであります。個人々々についてその死亡か、生存かを判明しますのは私どもが努力しております調査によって個人々々には判明できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/265
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266・受田新吉
○受田委員 いずれにしても政府の調査究明に事を欠いて、状況を分明にしていないということは、これは現実ですから、そういう意味から、留守家族にしてみれば、その生死不明の人はまだ帰らざる人だと考えておるわけです。これは現実なんですよ。従ってその韓国に抑留された家族は、毎月五千円から一万円もらっておる。北鮮に抑留されて帰らざる人は、国際結婚していれば別ですが、そうでない者は、まだ帰ってくると待ちわびておる家族にはびた一文も出ぬというような片手落ちはどうかとお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/266
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267・石塚富雄
○石塚説明員 びた一文も出ていないわけではないのでありまして、現在留守家族援護法の条件に合致した方は留守手当を支給しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/267
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268・受田新吉
○受田委員 留守手当を支給しているのは生計主体者、両親の年令が六十歳以上、あるいは不具廃疾の対象になっている人とか、そういう人たちだけです。それ以外の人は留守援の対象になっていない。びた一文も出ていない。そういう人が半数はおるわけです。それを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/268
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269・石塚富雄
○石塚説明員 現行法をもちましては、そういった留守家族に対しましては、支給の方法はないわけであります。それは先生御承知の通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/269
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270・受田新吉
○受田委員 従ってその問題もあわせて大臣が考慮していただく問題だということを、大臣御答弁していただかなくても、そういうことで御答弁あったものと了承してよろしいでしょう。――うなずきのお姿をもって私は了承いたします。
そこでもう一つ、厚生省は最近第一線の方で、死亡処理を非常に督促しておられるということが新聞にどんどん出ておる。きのうですか、神奈川新聞をあそこで見ていたら、そういった記事が出ておりましたが、つまり死亡処理は二十八年八月に恩給法ができた、その作られた法律によって、昭和二十年の九月一日まで、つまり戦争の継続と見られるその日までの間に死亡したと認められる分は二十八年にさかのぼって公務扶助料を支給するから、今の間にどんどん届け出をせよ、死亡処理の要求をせよという要求をどんどんしておられるという記事が出ておるのです。厚生省としてはそういう指導を、来年度になるとどうなるかわからぬから、今の間に、特にこの間臨時恩給制度調査会等で答申した公務扶助料の支給遡及規定の答申などもあるから、今の間にやっておけば、二十八年八月にさかのぼって扶助料がもらえるから、二十年九月一日までの死亡者と思われる者は早く届け出よということを、どんどん御要求になっておるという記事が出ておるが、この記事はうそか、あるいはあなた方が言っておられるのがうそか、われわれに言おうとされるのがうそか、いずれがうそか、ほんとうか、一つ確認をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/270
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271・堀木鎌三
○堀木国務大臣 全然そういう事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/271
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272・受田新吉
○受田委員 神奈川新聞の二月十九日、きのうの新聞です。未帰還者特別措置法という意味で、県世話課で大いにハッパをかけているという記事が出ているわけです。これは中央において政府が大いにハッパをかけたような印象があるような書きぶりですが、そういう死亡処理を急ぐようなことが全然ないとすれば、この新聞が間違いです。結局今御本人から御発言があったので間違いないと思います。私は今後未処理の方々に対する、今申し上げたような意味の、別の意味の帰らざる人としての手当を出すという形で一つ御処理を願いたい。
それから、できれば、きょうこの問題に関しては岸総理にも御足労願いたかったのですが、堀木さんかわって総理の意思を御答弁願いたいのですが、中央に今三万二千幾ら残っておられる。これが一番数が多いわけです。この中共の実態がはっきりしないということは岸総理の特に昨年七月二十五日台湾における発言に対して周恩来総理が怒った声明がありましたね。そうしてわれわれ国会からも代表者を送ろうという要請に対しても、岸総理のような、貴国のような国ではなかなかそれはむずかしいというのでけ飛ばされた事実もあるわけです。中共は日本に対して非常に反感的です。こういう反感的な、国交を回復どころじゃない、にらみ合いをするような形で三万二千の人々の消息を明らかにするということは容易でないと思う。むしろ中共との親善を十分はかって、この三万二千の行方不明の方々の処理をはっきりするという立場の外交をお進めになる必要はないか。石橋内閣、鳩山内閣のアジアの方にも目を向けたああいう形であるならば、ソ連等から帰ってこれる。中共に対して外交方針を変えて一つ帰還促進をはかるという努力を堀木厚生大臣において岸総理にかわって御発言を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/272
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273・堀木鎌三
○堀木国務大臣 総理大臣の考えにかわりまして、と申しますよりは岸内閣といたしましても、今この問題を処理するに当っては、御承知の通り人道問題であるという前提に立ってやっているわけであります。また私は中共の方が紅十字会を通じてこの問題の処理に当って下さるのも、率直に申して、やはり現在の段階においてはいろいろ支障があるが、人道的見地に立ってこの問題を処理しようという気持に相違ないという考え方で、終始貫いておるものである。率直にいえば、その関係においては、私はどなたでもほんとうに高い見地からこの問題を処理してもらいたい、そういう考え方から、どなたにでも御助力を得られる限りは得たいというくらいな気持でおります。過般、有田八郎氏の行かれたときも、私は行かれることを聞いてすぐ連絡して、この問題は実際非常に困っておる問題だ、どうかわれわれの真意をくんでもらって、向うが応ずるならば相当力を尽していただきたいということすらお願いしたくらいであります。従いまして、いろいろ政治上の問題をひっからめてものをおっしゃることは非常に困るのであって、むしろもっと高い人道的見地からこの問題の処理に当りたい、これが私の考え方であります。
なお岸総理に対する御注意に対しましては私からしかと御伝言いたすことは間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/273
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274・受田新吉
○受田委員 堀木先生、この前、藤山外務大臣が親善使節を出して残留者の実態を明らかにするところに協力するかといったら、それはいいことだということだったのですが、親善使節を派遣するような外交上の努力をするとかいうふうにして、今あなたの仰せられたように、岸総理に申し入れをしていただくそうですから、国務大臣としてあなたの御管轄の中にこういう悲しい人がいるのですから、これを救うために、おれは厚生大臣をやめるくらいの決意で総理の考え方をかえていただく、チェンジしてもらうということを御努力願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/274
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275・堀木鎌三
○堀木国務大臣 私、岸総理の考え方を変えるといったって、引揚者の問題に関する限りは私責任者として、従って私が岸内閣におる限りは私自身が責任をもって解決しなければならぬ問題であります。岸総理の考え方をまたここで御披露するには及ばぬと思いますが、私自身は私の責任においてこの問題に最善を尽したいという気でございます。ことにその基くところは高い人道的見地に立って、こちらのやるべきことはやる。そのかわり向うさんにそれと同じような立場でやっていただく。なお岸総理に対する御忠言はお伝えするだけにとどめさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/275
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276・受田新吉
○受田委員 それではこれで最後の質問にします。政府が非常に誠意ある答弁を、特に堀木先生におかれては非常に誠意をもってやっておられる点はわかったのです。これ以上はお尋ねしません。
最後に法案へ帰りますが、定員法に関係する問題でありますので、行管の方からも御答弁願いたいのです。未帰還調査部の職員は漸次減少せしめられて、本年は昨年の三割減ということになっておるはずです。この未帰還調査部の職員は三年計画を四年に延ばして減らす計画をやられたわけですが、これは未帰還調査部としてこの職員の定数を、今何名ですか、ちょっとはっきり記憶しておりませんが、二百名ばかりしかいなくなったのじゃないですか。そういうものをだんだん減らすことと仕事の量とこれをどのように考えておられるか、残存人員をもってよく所期の目的を達成し得るかということについての見通し、現在の職員定数として定数がだんだん減らされる見通しの上に立つ事務進捗の状況とを御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/276
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277・石塚富雄
○石塚説明員 ただいま受田先生から未帰還調査部の三割減というお話がありましたが、未帰還調査部そのものは三割減ではないのでございまして、全体としてはことし百三十名の定員の縮減でございます。前年度の定数から見ますると、二割ちょっとでございます。未帰還調査部につきましては現在二百二名ございます。二百二名のうち実質的には三十六名の縮減になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/277
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278・受田新吉
○受田委員 それに対して、定員以外の臨時職員を置いておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/278
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279・石塚富雄
○石塚説明員 定員外の七十名の常勤を置いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/279
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280・受田新吉
○受田委員 舞鶴の引揚援護局の職員、この役所が廃止された後の職員の処理はどうするのか、及び復員連絡局及びこの支部職員のその役所がなくなって後の処遇、その行方に対する見通し、こういうものを考えておかぬと、法律で簡単に成立しただけでは困ると思うのですが、ちゃんとそういう行き先も考えてやり、そうして定数全体からくる調整もよくとってこの問題を解決するという用意がされておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/280
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281・石塚富雄
○石塚説明員 明年度において整理されます分につきましては、部内で配置転換できますものは、できるだけ配置転換をはかりたい、こういうふうに考えております。なお居住の関係その他で配置転換できないものにつきましては、できるだけ民間の就職あっせんに努めたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/281
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282・受田新吉
○受田委員 それは十一月までの間に適当にやるわけですね。つまり舞鶴援護局におられる方はあの地域から通う人が多いので、そういうものの数をちょっと示して下さい、配置転換その他可能のものと、それから現地で移動ができない立場にあるものというものの数字が出ておるはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/282
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283・石塚富雄
○石塚説明員 舞鶴につきましては、もともと舞鶴にずっとおった方で居住を変更できない方につきましては、京都あるいは近畿地方でできるだけ消化したい、あるいは部内で配置転換いたしますとすれば、国立病院あるいは国立療養所あるいは保健関係その他へ配置転換する、こういうように努力したいと思っております。数はちょっとここにありませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/283
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284・受田新吉
○受田委員 やはり地元の出身者でよそへ移動できないものの数がどれだけあり、また東京へ来れる人がどれだけあるというようなものをちゃんと用意して、そうして役所を廃止するということは重大なことですからね。官庁そのものの存在がなくなるというくらい悲劇はないですから。そこに勤めておった人はさびしいのです。永久に忘れられない建物を振り返って、郷愁をそそられる人々です。そういう人が何人おってというおぜん立てができてからこういうものを出すべきなのに、法律を作って、それから配置転換を考えられるのは前後が反対なわけです。大臣、あなたの部下に職場を失う悲しき人が多数出る、一つこういう人々に対しての対策を最後にお示しいただきまして、大臣に対する質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/284
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285・堀木鎌三
○堀木国務大臣 おっしゃることは一々ごもっともでございます。私はやめてから何にもしないで遊んでおりました。五年間は遊んでおりますが、しかしほかの人は全部始末しておりました。私自身が政治に出ます前は民間の社会事業をやっておりまして、こういう人の救済とか外地からの引き揚げに当ってきた経験がございます。従来の実績を見ましても大した数ではないと思いますが、なおようお世話しないのがあるのです。私はまあ率直に申して、この程度の人を私自身が世話できないようじゃしようがないので、そういうふうにお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/285
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286・受田新吉
○受田委員 これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/286
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287・福永健司
○福永委員長 本日はこの程度にとどめて、次回は公報をもってお知らせいたします。
これにて散会いたします。
午後四時四十六分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804889X00519580220/287
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