1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月二十一日(金曜日)
午前十一時三十二分開議
出席委員
委員長 中村 寅太君
理事 川村善八郎君 理事 吉川 久衛君
理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君
理事 原 捨思君 理事 中村 時雄君
安藤 覺君 五十嵐吉藏君
大野 市郎君 小枝 一雄君
鈴木 善幸君 田口長治郎君
松浦 東介君 松野 頼三君
阿部 五郎君 赤路 友藏君
石田 宥全君 石山 權作君
中村 英男君 山田 長司君
出席政府委員
農林政務次官 本名 武君
農林事務官
(農林経済局
長) 渡部 伍良君
委員外の出席者
専 門 員 岩隈 博君
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本日の会議に付した案件
農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第六四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/0
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001・中村寅太
○中村委員長 これより会議を開きます。
農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。本案に対し質疑なり御意見があればこれを許します。中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/1
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002・中村時雄
○中村(時)委員 法案そのものとしては一応私たちも承認をするのにやぶさかでないのでありますが、せっかくここに農業協同組合整備特別措置法としての関係資料が出ているので、これに対する経済局長の説明並びに付帯的に何かお考えがあるなれば、将来への見通し、そういうような問題に関して発表していただければ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/2
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003・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 お手元に配付しておる表について御説明申し上げます。この表は、第一は特別措置適用計画、一番上の欄でありますが、これは三十年三月現在の調査で、そのときの総合組合数が一万二千九百八十三ありまして、その中で整備特別措置、すなわち法律にありますような整備計画を立てて欠損金を補てんする計画を立てる必要がある組合、そういうものを報告させた、その組合が三千三百二十九あったのであります。ところがこの不振組合の中で、そのときに県からの報告によりますとにっちもさっちもいかないで解散さしたらいい、こういうのが不振組合の内訳で解散該当のもの三百十七、それから自力再建可能のものが八百四、自力再建困難なもの二千二百八、こういう数字が出てきたのであります。これに基きまして法律の適用を考える、こういうことで三十一年、三十二年度の計画として千三十二、三十三年度以降に二百二十六、合計千二百五十八が利子補給の対象になる、こういうふうに認定したのであります。そこでこれは法律の第一三条、第四条に基きまして欠損金を補てんするために、第十条によって信連から借り入れておる金の利子の減免をしようという対象として選んだものであります。そのほかに第十条の第二号による府県の補助によって中央会から職員を派して駐在さして再建の指導をしていく、これが四百五十八、それから県の見込みでその当時合併によって再建していこうというのが五百四十七、こういう数字になっておるのであります。その中で千二百五十八の利子補給の対象にする組合の実施の状況を見ますと、三十一年度に四百九十八の組合が再建整備計画を立ててこの法律の適用を受けるのであります。三十一年度の実績では十二月までに二百五十八、三十三年三月三十一日までに二百二十四、こういうもの、が指定可能であるということの表が出たのであります。御承知のように昨年度は協同組合の役員の改選期等に当りまして、予定通りの三十三年三月三十一日までに指定ができないことになった組合が五十二出てきたのであります。従いましてどうしてもこのものをさらに救済していく必不要がある、こういうのでこの法律の改正をお願いしておるのであります。この組合の欠損の状況を見ますと、利子補給対象組合の欠損金の欄を見ていただきますと、欠損金の総額が七十一億六百万円になりまして、一組合平均いたしますと、五百六十四万八千円、こういう数字が出てきております。この組合は私どもが指定するときには、大体最低百五十万円程度の欠損金以上の組合を選んでおります。百五十万円以下であれば組合が自力更生できるというふうに考えまして、それを選んでこの平均を出しますと、五百六十万円の欠損であります。最高どれくらいあるかといいますと、一組合四千万円以上の欠損が出ておる組合もあります。大体欠損金の多い組合は、七、八百万円程度のものが相当多いようであります。これは全部の組合を今までの実績によって調べてみますと、大体三百万円から五百万円、五百万円から八百万円、こういう程度の欠損金のあるのが一番多いのであります。さらに駐在員派遣の組合の状況を見ますと、四百五十八の組合に駐在員を派遣しております。三十一年度に百五十三組合、そのうちで三十一年度限りで済んだものを差し引きますと、三十一年度から引き続いてやっておるのは百二十八、それから三十二年度から新たに駐在員を派遣するものが二百二十、こういうふうになっております。
それから合併の状況であります。これが非常に進歩率はまずいのであります。当初五百四十七という予定をしておりましたけれども、三十一年度の実績はわずかに四十七、三十二年度の実績並びに見込みは百三十程度でありまして、五百四十七の予定に対して、合計百七十七しか進歩しておらないのであります。
以上組合の状況でありますが、これに対しまして政府が補助金を出しておるのが第五の表で、二枚目の表であります。法律の第五条によりまして、整備計画を立てるときには学識経験者の委員会を各県ごとに置くことになっております。それの金が三十一年度二百二十二万円、三十二年度百六十二万円、三十三年度百四十三万円、こういうふうになっております。利子補給の額は、再建整備の指定以後に、五ヵ年計画で五ヵ年後の事業年度までの再建整備計画を立てまして、信連から借りている金の金利を補給するということになって、おります。それが三十一年度は三千二百万円、三十二年度は一千百万円、三十三年度は一千百四十万円、こういうことになっております。駐在指導は三十一年度は年度途中でありますので四百四十万円、二十二年度は千八百五十一万円、三十三年度は千六百三十二万円。合併奨励金は三十一年度で四百七十万円、三十二年度は三千万円、三十三年度は千二百八十万円、こういうふうになっております。利子補給は、従いまして、三十三年度をもう一年延ばして、この法律の改正によって三十四年の三月三十一日まで延ばしていただきますと、三十九年の三月三十一日までに払う、あとずっと引き続いて出てくるのであります。これらの総額は、当初の三十二年までであれば五億一千万円程度を予定しておったのでありますか、法律を延ばすことによって約八千万円総額がふえることになりまして、五億九千万円程度の補助が、全体としてこの事業のために予定されておるのであります。資料についての御説明は以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/3
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004・中村時雄
○中村(時)委員 先ほど言ったように、概念的な問題としては、一応私たちも承認するのですが、この法律の通過によりまして、五億九千万円からの補助をしていくわけなので、それをいとも簡単に見込みを立てていらっしゃるようですが、これは実際に当ってみるとなかなか大へんな問題であろうと思うのです。そこで時間の関係もありますから、一点だけお聞きしておきたいのは、たとえば合併状況の問題において、当初の予定が五百四十七となっている。それが実質的にはわずか四十七しかなってないということは、おそらく市町村合併に伴っていろいろな問題があると思うのです。その一つの現われが、この前の農業委員会法にも出てきたように、おそらく地方行政としまして、そういう市町村を作っていくという今までの皆さん方の考え方、現在の与党の考え方、そういうものが当然ここに援助していく方向をとってすべり出さなければならぬものが、いろいろな実情があるからという建前からそれを分断していった。そういうところに、農業委員会法の問題すら。こういうような状態ですから、実質的に実行している経済的な基盤を持つ協同組合においては、なおさら私は困難性があると思う。そういうところからこういう合併という一つの問題が非常に私は大きな将来への禍根となって現われてくるのではないか。それに伴うところの一つの考え方を、大臣がいらっしゃらぬから、政務次官としては、今の政府関係の中においてどういうふうに政治的に取り上げていこうとしていらっしゃるか、どういう御構想を持っていられるか。それからもう一つは、こういうような非常に膨大な補助をしていくわけですが、それが、この改正案が通って一年間となっているわけですが、一年間において適切にこれが処理できるものかどうか、おそらく私の考えでは、今までの実績からいっても、なかなかそう簡単には処理できないのではないか。そうなってくると、次には別の角度からこれを取り上げようというお考えか。もしも別に取り上げるお考えとするならば、今この際はっきりさした方がいいのではないか、そういう複雑な状況の中に追い込むよりも、いま一つの法律案を出していくのですから、それに併合さしてしまった方がいいのではないか、こういう考え方が浮ぶわけです。それに伴う二点を一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/4
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005・本名武
○本名政府委員 御指摘の通り合併の事業が非常に渋滞困難をきわめているということは、先ほど局長が数字をもって御説明申し上げた通りでありますが、なおまた市町村の合併と協同紹介の合併とが政府部内において同一の合併方針のもとに運営がなされなかったということも一つの原因じゃないかという御指摘のようですが、現実にはそのようなことは私どもも察知できます。と申しますのは、行政的な場合と経済行為をやる経済団体の場合とは、おのずからその方向なり方法が変ってくることは当然でありますので、そういうようなところに一つの難関があったのではないかと思います。しかしこれは、深い関連のあることであり、むしろ同一的な考えに立って両者を進めていくことが理想であるということは、御指摘の通りわれわれもそう思っておりますので、今後においてこの点を善処したいと思っております。なお具体的なことについては局長から御説明申し上げます。
それからもう一つ、問題はこのように困難をきわめている合併の事業が整特法のみによって実現するかしないか、もししないとすればそれはどうするかという、この整特法を一年延期するということの時限的なきめ方についてもいろいろ問題があろうと思いますが、私の考えているところでは、この整特法だけで合併事業が完全に行われないというような事態がかりに一年後、来年度においてあった場合には、これは法の建前からいきましても、また協同組合自体の性格からいきましても、それからその困難性の内容からいきましても、整特法とは別にこれは解決しなければならない事態が到来するのではないかと考えると同時に、そういうような方向で今後も別途に考えていかなければならないというふうに今のところは思っております。なお詳しくは局長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/5
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006・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 政務次官の御説明に補足さしていただきます。合併の問題は、農業委員会の方は大体町村合併に伴って去年の秋調べたのですが、四千前後までいっております。町村の数は三千数日まで減っておると思います。協同組合の方は今お話し申し上げましたように非常にむずかしいわけです。その一つは、昨年協同組合の役員の改選が全国一斉にありまして、そういうところからこの整特の進行状況もおくれたし、それから合併の方もおくれてきておるのであります。その後私の方で昨年十月末現在の調査をいたしました。それで問題になっている個々の組合の具体的事情を県から吸い上げて、それに基いてこの整特を一年延長するかどうかということをきめたのであります。その中で、結局この法律でいけないものをどうするかという問題ですが、私たちは、一方においても合併も進めなければいかぬし、協同組合の拡充三カ年計画もやっておりますから、それによって救えるものも出てくる。しかしどうしてもはしにも棒にもかからないのがあるわけです。これはたとえば会社の再建で別会社を作る、こういうふうな考え方がありますが、一ぺん解散をして整理してもう一ぺん再発足したらどうかという意見も県から出てくるのもあります。そういうことも考えなければいけない。それから役員を新しく更迭して、出資の増加、協同組合三カ年計画の波に乗っていけばやれる、こういうのもありますから、それぞれの具体的な組合について進めていく以外には方法はないのじゃないか、こういうふうに考えております。従いましてこの整備特別措置法では、法律の建前からいきますと、利子補給と駐在指導、合併奨励がありますから、それで救えるものはこの際救っていく。そうでないものは別途の措置を考えていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/6
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007・中村時雄
○中村(時)委員 今言っているのはそれなんですがね。要するに二つの面が出てくると思うのです。一つは農業経営自体としての問題がからんで、こういうふうな不振な状況になってきたのが一点あると思う。それから一つは、法律の建前からいったその面だけの利用度を取り上げて、利子補給なりあるいは駐在員の派遣なりそういう面で解決していこうという考え方を持っていらっしゃるのが一つ、二つの面が出てくると思うのです。私の今聞いているのは農業の実態の上に立った能力査定、それによって再建ができるという考え方、その方が実際は重大な問題であって、農政の根本的な問題をその中から導き出さなければならぬということの方がより重大な私たちが取り組まなければならぬ問題じゃないかと思うのです。だからただ単に利子補給しただけで安易な解決ができないのはもちろんのことなんです。将来においても、この面においてまだ問題が出てきはせぬか、こういうことになってくると思うのです。そこであなた方が言うように、責任を持って一年間で利子補給なり、駐在員の問題なり合併の問題などは解決できぬものがあるのではないか、こういうふうに私は思っているわけですが、その場合にどういうふうにするのかということを聞いている。だから第二段の法律の内容だけの問題を私は言っているのであって、実態の内容の中からくるところの再建の問題はここではと取り上げません。従って今言った三点、すなわち利子補給の問題、駐在員の問題、合併の問題、これが法律の骨子になっているから、その面だけからいって一年間で解決できるかどうかということをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/7
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008・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 これは先ほど御説明が不十分でありましたが、組合の実態を調べますと、御指摘のようにはっきり出てきているわけです。平坦部で相当経営面積の多い組合ならば、これは少々欠損が出ておっても、利子補給をやるとか何とかすれば、比較的よく立ち直る。それはなぜかというと、組合を構成する農家が相当程度実力がある。ところが山村とか漁村になって、組合員の営む農業経営の基盤それ自体が弱いところは、相当の欠損が出ている場合に少々の利子補給をやっても、もともと組合が経済単位になっていないところがあるわけです。そういうものはこの法律ではできないのでありまして、先ほど申し上げましたように、そういう問題の組合を昨年の十月三十一日現在で県から全部拾い上げさせて仕訳させたわけです。そうするとこの法律でやるものはこれだけやればよろしいということで、一つ一つの組合の検討をして仕訳させて、それに基いてそれを除いてやっているわけであります。今のところ私どもはこの法律でいけば、もう一年延ばせばできる。それ以上のことは結局今の拡充三カ年計画もあるし、あるいはもっと根本的な問題を片づけなければいけないので、別途に措置を考えたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/8
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009・中村時雄
○中村(時)委員 だからそういうふうに今経済局長のおっしゃったような答弁の仕方をすれば、要するに関連させてきているのです。これから農家の経営状態というものがほんとうに向上をするという前提があれば、この問題の解消は可能であるという考え方、ところが今の数字から見ていったならば、今の農家の経営状態はそう安易なものではない。そうするとこの問題はそれだけでは解決できないのではないか。それで今言った実態の面とが相関連して、この法律案に出されている面すらもなかなかうまくいかないのではないかと思うのです。私としてはそういう点であなたの方が考えるような、今の法律によるところの内容的なものだけで解決できると解釈していては、誤まった方向が出てきはしないかという心配があるわけです。あなたは一年間で大体できるのだというふうな断言の仕方をしているのですが、私はその断言は非常に危険じゃないかという考え方があるから老婆心といいますか、将来への一つのきずなを考えて言っているわけです。あなたがあくまでも本年度これが通れば解決ができると考えられるならそれでけっこうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/9
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010・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 これは何と申しますか、私どもの方としましては、府県の調査なり中央会の調査に基いて、この法律でいくのはここが限度だ、そういう限度をいっているわけです。ですから、この法律でやれるものがもっとよけいありはしないかという御質問であると受け取っているのですが、私の方の調査ではこれだけやればよろしい、それ以外のものはこれだけではいかない、もっと別の対策を講じなければ救えませんので、これは別途措置を考えたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/10
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011・中村時雄
○中村(時)委員 最後に、私はそういう見解を持っているので、将来ともそういうふうに局長のおっしゃるようになればけっこうな話ですが、ただ机上プランでこの法律がこう出ているから、その範囲内でこうするのだそれだけで自分の責任はなくなるのだというお考えからもう一歩進めて、その経営実態の内容からくるところの取り上げ方を今後はよく努力をしていただきたいということで一応質問は打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/11
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012・中村寅太
○中村委員長 他に御意見もないようでありますので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/12
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013・中村寅太
○中村委員長 御異議なしと認め、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/13
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014・中村寅太
○中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。なお本案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/14
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015・中村寅太
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
なお散会後、法案の取り扱いについて理事会を開きますので、理事の方の御参集を願います。本日はこれにて散会いたします。
午後零時一分散会
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〔参照〕
農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)に関する報告書
〔別冊附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X00719580221/15
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