1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月五日(水曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 中村 寅太君
理事 川村善八郎君 理事 吉川 久衛君
理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君
理事 原 捨思君 理事 芳賀 貢君
五十嵐吉藏君 大野 市郎君
木村 文男君 草野一郎平君
小枝 一雄君 椎名 隆君
鈴木 善幸君 田口長治郎君
中馬 辰猪君 綱島 正興君
永山 忠則君 松浦 東介君
松野 頼三君 赤路 友藏君
伊瀬幸太郎君 楯 兼次郎君
中村 英男君
出席政府委員
農林政務次官 本名 武君
農林事務官
(農地局長) 安田善一郎君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局農
業協同組合部
長) 河野 恒雄君
農林事務官
(農地局管理部
長) 庄野五一郎君
農林事務官
(農地局管理部
入植営農課長) 安藤文一郎君
専 門 員 岩隈 博君
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三月三日
委員大森玉木君辞任につき、その補欠として綱
島正興君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
委員永山忠則君辞任につき、その補欠として河
野金昇君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員河野金昇君及び稲富稜人君辞任につき、そ
の補欠として永山忠則君及び井手以誠君が議長
の指名で委員に選任された。
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三月一日
酪農振興基金法案(内閣提出第一一六号)
二月二十八日
狩猟法の一部改正に関する請願(助川良平君紹
介)(第一一八〇号)
同(大高康君紹介)(第一二七八号)
同(小川半次君紹介)(第一二七九号)
同(久野忠治君紹介)(第一二八〇号)
同(志賀健次郎君紹介)(第一三二〇号)
同(田村元君紹介)(第一三二一号)
昭和三十三年度林野関係予算増額に関する請願
(中馬辰猪君紹介)(第一一八一号)
繭糸価格安定法に基き玉糸の一般買入実施に関
する請願(荒舩清十郎君紹介)(第一二一八
号)
水協組役職員年金制度実現に関する請願(大橋
武夫君外四名紹介)(第一二一九号)
農地、農業用施設工事の借入金に対する利子補
給に関する請願(牧野良三君紹介)(第一二二
〇号)
農地法の一部改正に関する請願(牧野良三君紹
介)(第一二二一号)
千走漁港の第四種漁港指定等に関する請願(正
木清君紹介)(第一二三五号)
中海干拓計画調査の早期完結に関する請願(永
山忠則君紹介)(第一二八三号)
農協役職員年金制度実現に関する請願外三件(
中村寅太君外一名紹介)(第一三二二号)
中央卸売市場法の一部改正に関する請願外一件
(五十嵐吉藏君紹介)(第一三二三号)
同外一件(椎名隆君紹介)(第一三二四号)
同(中馬辰猪君紹介)(第一三二五号)
同外十五件(林博君紹介)(第一三二六号)
の審査を本委員会に付託された。
三月三日
市町村土地改良事業職員の共済組合制度確立に
関する陳情書
(第五二一
号)
湿田単作地域の農業改良促進等に関する陳情書
(第五六九
号)
急傾斜地帯の農業振興関係予算確保等に関する
陳情書
(第五七〇
号)
積雪寒冷単作地帯の土地条件整備強化等に関
する陳情書
(第
五七一号)
国有林野払下げ価格引下げ等に関する陳情書
(第五七二号)
農業委員会に対する補助金増額に関する陳情書
(第五
七三号)
防災事業と農業共済事業の一元化等に関する陳
情書
(第五七五号)
農協役職員の年金制度実現に関する陳情書外十
四件
(第五七六号)
漁港整備促進に関する陳情書
(第五八六号)
沼津、田子浦両港の修築整備に関する陳情書
(第五八七号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に
ついて、内閣委員会に連合審査会開会申入れに
関する件
地方税法の一部を改正する法律案について、地
方行政委員会に連合審査会開会申入れに関する
件
開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六号)
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
閣提出第六五号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/0
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001・中村寅太
○中村委員長 これより会議を開きます。
この連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。ただいま地方行政委会で審査中の地方税法の一部を改正する法律案は、木材引取税の税率改正の規定を含んでおりますので、この際地方行政委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/1
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002・中村寅太
○中村委員長 御異議なしと認めさよう決定いたしました。次に、ただいま内閣委員会で審査中の行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、これは各行政機関の定員規模の適正化をはかるため所要の改正を行わんとするものであり、農林省関係の定員につきましても改正を加えておりますので、この際内閣委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/2
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003・中村寅太
○中村委員長 御異議なしと認めさよう決定いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/3
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004・中村寅太
○中村委員長 次に開拓融資保証法の一部を改正する法律案、及び開拓者資金融通法の一部を改正する法律案を一括議題といたし、審査を進めます。
両案について質疑なり御意見があればこれを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/4
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005・芳賀貢
○芳賀委員 昨年の国会で成立しました開拓営農振興法について、約一年間たっておるわけですが、その一年の間に開拓営農振興法計画というものはどの程度に進んで、所期の成果を上げ得る見通しがついたか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/5
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006・庄野五一郎
○庄野説明員 お答えいたします。三十二年度に臨時振興法が制定されましてから、その振興計画の提出を各事務所を通じまして、県から各開拓農協にその通達をしたわけであります。それによりまして本年の三月末までには、不振と目せられまする開拓農協に対しまして、大体五割程度の振興計画が出る目標になっております。今営農指導員を督励いたしまして、できるだけ早く計画の提出を促進しまして、それを大体五割程度は承認できる、こういう格好になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/6
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007・芳賀貢
○芳賀委員 そこで全国で不振組合の中で振興計画を立てて、振興組合としての認定を受け得る組合の数が、総体どのくらいあるのですか。その計画の内容は主としてどこに重点を置いた計画が立てられておるのかという点と、それから振興計画の中においてたとえば負債整理みたいな事業に対して、そういう具体的な計画とか、資金需要等はどういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/7
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008・庄野五一郎
○庄野説明員 大体開拓者が十四万程度に今なっておりますが、そのうちの大体十万四千戸、約七割でございますが、それが不振開拓者としてこの臨時振興法による振興計画を立てる、こういうことになっております。大体その五割程度を本年度に承認をして、そうして三十二年度から三十三年度にかけて所要の資金需要に投資していく、こういうことになっております。それで振興計画の内容といたしまては大体四年から五年を目標にいたしまして振興するということで、おおむね平均いたしまして農業所得として三十五万円前後の所得を確保させるように資金需要に応じて営農を改善していく。営農改善の方法といたしましては、従来の経営が地底農協に重点を置かれた、そういう点と、非常に災害等に抵抗力がなかった、そういう点につき改めまして、酪農とかあるいは現地の事情に応じましては果樹園芸、そういうものを取り入れてもっと弾力性ある近代化した経営に持っていきたい。こういうことで時に資金の点といたしましては、開拓者資金融通特別会計から、そういう酪農化の方法といたしましては、今御審議願っております資金需要として来年は大体十六億程度を家畜なりあるいはそれに見合うサイロ、畜舎あるいは動力のカッター、そういうものを導入する資金を振興計画によって開拓者に貸し付けていく。それを大体三十三年度を初年度として五カ年計画で貸し付ける、こういうことになります。大体三十五万円程度の農業所得を確保させる、こういう目標でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/8
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009・芳賀貢
○芳賀委員 営農振興計画が出る前に不振地区の振興計画の問題は進められておったのですが、これは全部この振興計画の中へ吸収して営農類型の改善という形でやっていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/9
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010・庄野五一郎
○庄野説明員 御質問の通りでございまして、今度の振興計画に吸収される。そういうところはなお経営面積が小さい、あるいは開墾作業が進んでない、そういう点についての措置は経営診断によってさらに促進していく、資金需要等のものは振興計画でできました分で融資していく、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/10
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011・芳賀貢
○芳賀委員 その場合に営農類型に基いて振興計画を進めることになりますと、当然問題になるのは、昭和二十七年以前の入植の中には、これは政府の開拓行政の不手ぎわにもよるわけなんですが、現実の問題として過剰入植の傾向ができて、培地増反とが耕地の拡大を行うようなことも進められておるけれども、これは培地の場合は飛び地が非常に多くて一カ所に集約した経営をやることがなかなか困難な実情におかれておる。ですから当然過剰入植の適正な整理ということについては振興計画の中でも取り上げていく必要があると思います。特に培地増反を行なった飛び地は距離的にも非常に遠隔なところに増地が行われておるのがそのまま放置されておるわけです。これは既存農地の場合においても交換分合とかいろいろな作業が行われるけれども、開拓の場合はそこまでまだ実際の作業か行われていないわけです。ですからこういう営農を改善する場合の障害になるような実態は、どういうふうにして改善していくかという具体的な方針を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/11
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012・庄野五一郎
○庄野説明員 終戦直後から始まりました緊急開墾のものについては、計画的には非常に未熟なままに入植さした。非常な情勢の逼迫等もありまして、そういう点で御質問の通りでございます。そういう点が非常に原因になりまして営農不振等も招来している、こういうふうに思っております。そのおもな原因は、経営面積が過小であるとかあるいは計画通りに開墾建設作業が進んでいないということも原因であります。それに対しまして、先ほども申し上げましたように経営診断をやって、それに基いて個々の農出家として手当すべきもの、あるいは開墾作業等の残事業を促進する、あるいは経営面が非常に過小でございますので、そういう点には再配分するとか、あるいは間引きしまして用地の再配分をするとか、あるいは川地を政府からさらに売り渡しまして、耕地面積なり付帯地を増加してやる、あるいはただいま御質問のありえましたような飛び地がある場合には交換分合をやる、そういうふうな方向を今後とも強力に推進したいと思っております。特にこの振興計画でございますけれども、振興計画の目標は二十七年からやっております現行の営農類型を、過去のいろいろな経験かり新類型に今度改めて、これは新しい入植者から実施するわけであります。新類型の趣旨にのっとりまして現行類型も修正して今後やっていく。新類型は機械開墾を中心にしてやっていくわけでございますが、修正のものはどの地区でも機械が入るとは限りませんので、人畜力による開墾等もやる地区はあります。それは現行類型を修正してやっていくという形でございますが、過去に入りました入植者の中で不振に陥っている者は修正いたしました新しい類型を目標にして振興計画を立てるということになります。そして大体先ほども申しました全国平均で、普及後は農業所得三十五万円以上を確保する、こういうことになります。それにあわせまして経営の規模等も、今申しました用地の再配分なりあるいは間引きしまして、その跡地を配分して経営面積をふやしてやる、それから交換分合等の措置を講じて、飛び地があり経営上困るところはこれをまとめるとか、移改築の補助を出して飛び離れたところに住宅のある開拓者には耕地の近くにこれを移してやる、そういった予算も組んでそういう経営の不振の原因になったものはできるだけ除去していきたい、こういうふうな考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/12
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013・芳賀貢
○芳賀委員 新類型に移行させる場合、今言われたように、たとえば再配分をやるとか、間引きをやるとかいう計画は一応立つとしても、それを実施に移す場合にどういうふうなことにしてやるかということですね。それに対して政府は、どの程度に予算上の責任を持つか、そういう点はなかなか明確になっていない。特に間引き等の場合はどういう形で間引きをやるわけですか。政府が離農勧告をして、そこから出ていってもらいたいというようなことになれば、結局それに対する離作の問題とか、その後の生活に対する何らかの補償の問題とか、当然これは社会問題として出てくる場合もあると思うのです。そういう点は今度の振興計画の中においてはあまり明確になっていない。ですから現実の問題として再配分をやるとか、飛び地の整理をやる場合とか、あるいはどうしても間引きをやらなければ適当な類型がそこで行われないというような事態に対しては、どの程度に政府言が責任を持って、やるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/13
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014・庄野五一郎
○庄野説明員 経営面積が過小だ、こういったような場合の問題でございますけれども、先ほど申しましたように、経営診断等でそういうものがはっきり出てきた場合には、配分面積の過小地区については追加売り渡し、たとえば政府の未懇心地がまだその付近にあるような場合には、追加売り渡しをやりたい、そういうようなことでそれに対する土地配分の是正というようなことも一応事務費等で組んでおるわけで刈ります。それによって売り渡していく、そういうこと、それから間引きということでも強制的に間引くというわけではございません。やはり新しい開懇建設か進んでいきまして、条件のよいところがありましたら、入植者をそこに移していく、あるいは干拓等によって新しい農地が造成された場合に一部をそういうところに移入植させる、そういったようなことも考えたい、こういうようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/14
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015・芳賀貢
○芳賀委員 具体的な問題として経営が過小である場合には、売り渡し等を行なって農地の増反を行なってやる、そうなれば必然的に飛び地になる。そういうことでは合理的な経営ができない。ですからもう一回配分の仕直しをするような事態ができてくるわけです。そういう場合、入植当時の土地が経営の一番基礎をなしておる。そこに住宅とかいろいろな施設が置かれておる。再配分して今度は適正に整理統合してやる場合には、だれか別なところへ移らなければならない。交換分合の場合には、移転とか、それに伴う経費は相当な額になると思う。これを一体だれが見てやるかということになる。間引きの場合でも本人の意思によって、他に新しい開墾地に希望を持って転出するという事態になればそれはよいのですが、しかし、こういう機会にむしろ食えない百姓をやめて他に転職したいというような希望者も中にある。しかし、それらの開拓者本人が今まで持っておる開拓者としての負債あるいは連帯負債、そういうものはその土地を離れることによって一応解決できるということにならなければ、他に転ずるのは容易なことではないわけです。そういう場合、この計画の中でこれをこうすればいいということかわかって計画が立てられた場合においては、それに対して政府が、単に精神的な指導をやるというだけでなくて、移転の問題とか、あるいは離作して転出する等の場合において、その整理をやる場合にはどういうふうにして指導し、あるいは政府が経済上の責任を持った解決に対しても助力することができるかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/15
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016・庄野五一郎
○庄野説明員 具体的な事例といたしましては、福島県の白河の先の方に西郷という開懇地がございます。それは台上と台下に分れておりまして、住宅地が台下にあって耕地が上にあって、非常に飛び地になって、そのために経営が非常に困難だという事例があります。それは不振地区になっておりましたので、何とか経営の適正な運営をはかりたいということでいろいろ手を尽しましたが、台下におりました入植者の方を台上に上げまして、それの移転については、当時は未開地区の費用補助がなかったものですから、公営住宅の費用を入れまして、台上に住宅地を建設してそこに移転させて、そして適正な再配分をして経営が持ち直しつつある、こういう事例もございます。あるいは離農したいという希望者がありましたときには、それの負債というようなものを、営農指導員等も実際に関与いたしまして、現地で、それをあとに残る開拓者の手でどの程度引き受ける、それから個人がどの程度引き受ける、そういう点の実際の負担の割合を実情に応じてやらせる、そしてその跡地等を引き受ける人等のこれを引き受ける限度というものもあわせて、離農される人にも無理がいかないように、あと入植される人にも、あるいはそれを引き受けて増反に使われる人の引き受ける限度にも無理がいかないような調整をやらしておる、こういう指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/16
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017・芳賀貢
○芳賀委員 離農していくという場合、その跡始末の問題ですが、それは土地の処分の問題なんです。そういう場合、残った仲間にそれを渡していくという場合も、農地の対価の問題とかあるいは負債の総額がどれだけあってという問題もいろいろあるのですが、それをただ現地だけの責任で解決するということになると、なかなかこれはむずかしいと思うのです。間引きが行われたりすることによって、残ったものの経営が改善された類型の方向に進むものはいいのですが、そういう場合に、残った入植者が今度は農地を拡大できるという場合は、政府があっせんするような場合にはどういう資金によりますか。たとえば農地等の場合には、自作農創設維持資金等によってそれをあっせんして取得させるようにするとか、あるいはそれ以上の負債等に対しては、たとえば資金融通法によるか、あるいは営農振興法による資金措置でまかなってやるとか、そういう方針はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/17
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018・庄野五一郎
○庄野説明員 農地の拡張等になりますので、これは自作農創設維持資金、そういう点で農地の取得資金等はまかなうようにいたしております。なおそういう点で負債等の問題が、そういう土地取得とは別に、個人負債といったようなものが残っておりますれば、そういう点は先般御決議になりました自作農創設維持資金の借りかえというような形になりますが、あとに残りました施設、土地を引き継いでいくという場合には、自作農創設資金をそのまま引き継いでいくような措置を講じておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/18
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019・芳賀貢
○芳賀委員 さらにお伺いしたい点は、不振組合の育成をやる場合には、ほとんど開拓農業協同組合が主体をなしておるのですが、組合の育成強化については、農業協同組合法に規定された協同組合としての考えで今後育成強化していく考えか、あるいは開拓行政の現地における一つの協同体として特別の任務を与えた組合としての育成をはかるのか、こういう点の方針が明らかでない。所管が、開拓の方は農地部でやっておるでしょう、それから普通の総合における場合は経済局でやっておるし、地方へ行っても、たとえば北海道庁のごときは、普通の協同組合は農務部が所管しておるし、開拓農協の場合は開拓部ということになっておる。同じ農協法の規定の上に立って営まれる組合言の指導とか経営というものは、それぞれ中央においても地方においても所管が違っておるのですね。こういう点に対しては一貫性に欠けている点がある。そのあたりはどう考えておりますか。これはむしろ政務次官にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/19
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020・本名武
○本名政府委員 御指摘の通り、総合農協と開拓農協の色分けは、開拓農協の施策が徹底してきますと、これはむしろ区別をつけるべきでないかもしれませんが、開拓の本質から参りまして、総合農協とこれは画然とその対策において施策が違っておりますので、これは当然分れていくべきであるし、また分れた方向において発達していくことが望ましいと考えております。しかし一面におきまして、開拓農家といえども既存農家以上のりっぱな経営をしている点もありますし、また開拓農協は個々の農民の完成がなされますときには、ほとんど総合農協と仕事の上において区別をつけなくてもいい段階までくる場合もあると思います。それらは今後の開拓農協の全体の発展過程において判断すべきであって、今ここで総合していくことがいいとか、あるいは区別を緩和するとかいうことは別に考えてやるつもりはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/20
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021・芳賀貢
○芳賀委員 そういう意味のことを聞いておるのではないのです。この営農振興法等が出たり、開拓行政を進める上に特殊の立法も行われておるわけです。しかし現地における開拓者の生産とか、経済面の行為は、やはり開拓農協ですね。それは農業協同組合法の規定の上に立った組合なんですよ。しかしそうではあるけれども、この開拓組合に対してはある意味においては国の行政面の補助機関ということではないとしても、ある意味における国の開拓行政上の一つの仕事を分担させておるということは今までは言えたと思うのです。そういうことで結局、普通言われるところの協同組合としての単に取扱いを行われるのでは困難な事態が起きてくるのです。ですから今後開拓営農振興の計画に基いて、組合の強化をやっていく場合には、その基本を単に協同組合の一つの種類として扱っていくのか、開拓組合はそれ以外に特別の任務があるのだということで強化していくのかという点は、政府としてはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/21
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022・本名武
○本名政府委員 先ほども申し上げましたように、開拓農協おのずからの行き方と申しますか、そのあり方が違うのは当然だと思います。従って総合農協に対する政府としての対策とはおのずから違った上に立って、しかも開拓事業の困難性や、あるいは営農自体の後進性を取り戻すためには、総合農協とは別個な角度から強力に助成保護していかなければならない。従って開拓、農協自体の運営においても、総合農協とは違った角度において運営していかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/22
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023・芳賀貢
○芳賀委員 開拓者に対しては戦後いろいろな施策によって政府としても特別な手を加えておるけれども、協同組合としての開拓農協に対して特別の庇護を与えたという事例はあまりないと思うのですが、もしあれば具体的に述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/23
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024・庄野五一郎
○庄野説明員 御質問の通り開拓農家は特別に指導し、また経済的にも団結していかなくちゃならぬということで開拓農協ができておるわけです。やはり開拓農協は政務次官が仰せになりましたように、一般農協の原則にはよっておりますけれども、組合員であります開拓者のそういった経済的な地位なり、あるいは立地的な条件なりから、開拓者に対するそれ以上のめんどうを見てやらねばならぬ、こういうことでわれわれも開拓農協の育成なり、その発展ということには努力しているわけであります。そういう点で今後ともわれわれは開拓農協を中心に経済的にも自然的にも非常に条件の悪い開拓者の地位の向上なり、営農の振興なりをやっていく、そういうふうに考えております。そういう点からいたしまして不満足ではございますけれども、開拓農協の経営の指導といった面で、補導員等を不振な開拓農協に派遣して経営のの合理化なり、健全化なりの育成指導をやっていく、そういう考え方で補導員制度をとっております。それから経理講習等で開拓農協の単位農協の経理担当者等の能率の向上、資質の向上、そういう点も予算措置を講じでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/24
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025・芳賀貢
○芳賀委員 開拓者が開拓農協を通じて生産あるいは経済的な欲求の充足をしておるというところにはいってないと思うのです。ほとんどの開拓者の場合には一応開拓農協には入っておるけれども、またその地域における総合農協、既存農協に加入して、いわゆる二重加入の形でやっておるところが大部分だと思います。ですから政府の方針があくまでも開拓者は開拓の組合の将来の発展、確立を期することによって、安定させるのだということであれば、その線をずっと伸ばしていかなければならぬ。それから開拓者が自立的に、一人前の農家としての条件が備わるような段階になった場合には、これは既存農協に本人の意思なら意思で加入することによって、その全体の地域内における農民と共同してやっていくということになるべきだと思うが、そういう方針が明らかでないのです。任意だということになると、力のついた開拓者だけが開拓農協から離脱して、総合農協に加入する。弱い人たちだけが開拓組合に残るということになれば、これもまたゆゆしい問題だと思うわけです。どういうふうにしてこれをやっていきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/25
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026・庄野五一郎
○庄野説明員 相当部分が御質問の通り二重加入しているというような点が見受けられます。これは開拓農協か団体加入というよりは、個々の開拓農家が総合単協に入っておる、こういうような事例でありますが、これはやはり御質問の通り開拓農協の経済的ないろいろな購販売事業等にも問題がある、あるいは資金の融資を受ける場合の資金力等の問題もあって、総合農協に入った方がそういう点の便宜が受けられる、そういうような点から個々の開拓農協が総合農協に入っておる、こういうような事例がしばしばあるのであります。われわれといたしましては、できますればさらに開拓農協に力をつけていく、そうしてそこでできるだけ開拓農家が二重加入しなくても経済的にもあるいは融資的にも便宜がはかられるようにしたい、こういうような気持でおりまして、やはり開拓農家が少いとか何とかいうことで、その力が弱いといったような場合には、やむを得ず総合農協の援助なり協力を仰ぐ、そういうふうな事態はあります。われわれといたしましては、今申しましたように開拓農協の経済的な力、資金力とかそういうものを育成していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/26
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027・芳賀貢
○芳賀委員 今の庄野さんのお話によると、将来は開拓農協を健全なものにして、その開拓農協が総合事業までも完全にやれるようなところまで高めさせていきたいということですが、そういう場合も二つの種類があるのです。同一市町村の中で一区域だけに開拓者が集団してやっていく場合においては、その地域内における農協としての将来の発展の可能性があるということも言えるが、同じ市町村の中において散在して開拓者が入植しておる、それらの人たちが開拓農協を形成しておるというような場合、将来開拓農協も既存農協も同じように総合事業をやっていくということになれば、やはり地域的に見てそこに競合とかいろいろな問題が出てくると思う。そういう場合でもやはり開拓の組合は組合として、将来総合事業を完全に行なえるような健全なあらゆる条件を具備できた組合に育成していく、そういう方針なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/27
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028・庄野五一郎
○庄野説明員 私の説明が非常に不完全でそういうような誤解を生んだことは恐縮に存ずる次第でございます。私が御説明申し上げておる点は、開拓者が自然条件的にも、経済条件的にも非常に劣弱な状態にあるので、それを一般の農家まで引き上げるためには、やはり開拓者が組織する開拓農協を通じて、指導なり育成なり振興の措置を講じなくちゃならぬ。それにはやはり開拓農協を強めていかなくちゃならぬ、こういうような考えでおるわけでございますが、今芳賀先生が御質問になりましたように、非常に分散していてそれが地域的に集団化していない、そういったような場合は、なかなかそういった方向に持っていくのは困難じゃないか、だから一般農協に力を変えた方がよいんじゃないか、ただ地域的に集団化しておりまして、集団化したその地域で開拓農協が経済単位として活動できる、そういった場合にはできるだけ育成していきたい。そういうような考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/28
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029・芳賀貢
○芳賀委員 その辺のけじめをはっきりつけてやっておかないと、現地においてはいろいろな問題が出てくるのですよ。特に二重加入の場合も、そういう場合には主として政府資金とか、特に開拓者に対して保護的な政策を通じて流れる資金は開拓農協に流れていくわけです。それから開拓者か生産農民として必要な肥料とか、一般の生産質材等に対しては、二重加入している場合においては普通農協との取引でそれをやっていくということになっておりますから、従ってその経済行為が二分されるような場合もあるのです。ですから開拓者の経済力の認定にしても、信用度合いを確認する場合においても、二重加入の場合にはその把握がなかなか困難なことになるわけです。ですからそういう状態の中で振興組合を作ってやっていくという場合においても末端においていろいろな困難性があると思うわけです。こういう点に対しても、振興計画を立てる場合に、現地における協同組合を通じての経済行為をやる場合のあり方というものを明らかにしていく方がいいんじゃないか、そういうように考えられるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/29
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030・庄野五一郎
○庄野説明員 先ほど申しました点でございますが、分散しているとか、あるいは集団化しているということは、やはり現地の実情に応じて具体的にその一つ一つを把握して指導していかなければならぬと思うのありますが、そういう点についての特別の基準を作るということは困難じゃないかと思います。具体的に現地の実情に応じて経済的なあるいは自然的な条件で考えていく、こういうふうに考えております。それからそういうように二重加入をいたしておる場合におきましても、振興法によりまして振興計画を立て、それによっていろいろな指導をやっていくというような点につきましては、開拓農業を中心にやっていく、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/30
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031・芳賀貢
○芳賀委員 今までの説明の中にも開拓農協の一つの任務ともいうべきものに対して特別触れておられないようですが、私は開拓農協の場合は、むしろ協同組合として生産面の、生産の共同体というところに開拓農協の主たる任務が置かれなければいけないと思うのです。戦後の新しい開拓者としての意欲を持って入植された諸君ですから、時代感覚というものは既存農家より一歩前進しておることは考えられるわけです。実際の生産をやる場合とか経済能力というものは別としても、感覚の点においては開拓者の諸君の方が知性的には進んでおるのじゃないかとわれわれは考えております。ですからむしろ協同組合を作って事業をやる場合には、生産面の共同化に対しても少し真剣にやるべきであるし、また政府としてもそういう点に対しては強力な指導を加えていくべきであったと思うのですが、そういうことがあまり行われていないのです。ただ金を借りるための便宜的な組合というような、非常に安易な、借金の窓口的な考えで行われておる組合経営が非常に多いのじゃないかと思う。ですからこの機会に――全国の開拓者の七割程度が不振開拓者であるというような認定が行われる場合においては、個々の農家の実力では何ともできないのです。ですからやはり共同化された態勢の中で完全な営農が行われ、また開拓者としての仕合せがそこから生まれるような形がどうしても必要じゃないかと思うのです。そういう点は今度の営農振興の基本的な指導目標になっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/31
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032・庄野五一郎
○庄野説明員 振興法によります振興計画も、新組合を結成して組合を中心にして個々の開拓農家の出した振興計画を実施していく、こういうふうなことでやはり共同的に不振組合に対する進行を推進するという態勢で進むことになっております。そういう点もございまして、開拓営農指導員も来年はとりあえず九十三名を増員して、そういう点の実地の計画の樹立とその営農指導面の強化をやっていきたい、さらに営農指導の強化等を三十四年度からも必要とあらば考えていきたいという考えでおります。また御審議願っております融資保証制度等も、これは開拓農協の経営資本等もこれでまかなえる、こういうわけで、営農資金の確保等もこういうことでやっていくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/32
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033・芳賀貢
○芳賀委員 最後に、融通法に基く特別会計の内容ですが、資金源が主として回収金を重点にしておるでしょう。これは今年度の計画は資金回収が七%くらい見こまれておるのですが、現実の問題としてこの程度の回収が可能であるかどうか。これに対しては確信があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/33
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034・庄野五一郎
○庄野説明員 来年は資金融通特別会計の収入は、資金運用部の借入金が十八億と、償還金が大体償還予定分の七割、これは前年度並みでございますが、七〇%大体償還できる。償還金として目されるものの七〇%が大体来年の三月までに入ってくる、こういうことで二十七億を償還できると思いますが、運用部からの借入金が大部分でございます。
それで営農振興の途上において七〇%の償還が可能か、こういうような問題になるわけでございますが、私どもといたしましては、先般振興方を御審議願いましたが、開拓者の経営を圧迫いたしております天災法による借入金等も、改善資金として従来五年ものを十二年まで延ばしていく、それによりまして開拓者の負担を軽くする。あるいは個人債として非常に高率なものがあるわけですが、そういうものにつては自作農資金から三十二年度は最低五億――これはもう少し出せるのじゃないかと思って今検討しておりますが、三十二年度以降三十三年度は最低五億以上のものをさらに融資する、そういうことによりまして開拓者の負担力を軽くする。そういった点あるいは積極的に融資保証法による経営資金を貸し出していくとか、あるいは開拓者資金融通法からも振興法によって融資額をふやしていく、そういったいろいろな積極面と消極面の両方から開拓者の負担力を軽くしていけば、来年は大体七割程度の償還は確保できるのじゃないか、こういうような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 最近開拓者の負債に対する考え方も、単に条件緩和のようなことでやっているでしょう。償還年限を延長するとか、融通法等においてもそういうことがしばしば行われておるのですが、一体返せると思って条件を緩和しておるか、その場のがれで引き延ばしさえすれば何とかなるだろうというような考え方でおるのか。実際融通法に基く分はやはり国の財源でしょう。そういう場合返す能力があるとなっておるのか、あるいは今までの累積した負債は返す能力がない、能力がないということは今までの開拓行政の中の大きな不手ぎわです。国の責任も一半の原因をなしているということが明らかになれば、返せない分くらいは、ある程度思い切って捨てるとかなんとかやらないといけないのじゃないですか。国の債権だけを確保するような考えで、年限の引き延ばし等をやっている程度では、このしわ寄せはまたどこかに行くのです。国の貸付金はどうしても返さなければならないということになれば、それよりも少しは何とかなる借金はあと回しということに当然なるのです。そんな返済不能力の人たちが多いいうことになるのです。毎年度の回収成績はいいとしても、一方において開拓者の負債が全体を通じて漸滅しているのか、急増しているのか、どっちの方向をたどっているかということを見れば、能力の判断はつくのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/35
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036・庄野五一郎
○庄野説明員 条件緩和だけやっているわけではございません。条件緩和もやりながら、資金融通法による資金額を来年は確実にふやしていく、こういう積極的な措置を講じているわけでございます。それから本法によりまして八年を十二年にいたしました理由は、やはり家畜と畜舎、サイロといった固定施設も同じ融資のやり方で、家畜と一緒に貸し出していく、こういった関係から、一般の公庫融資などの畜舎、サイロなり、農機具等の融資期間とも大体均衡をとりまして十二年というふうに延ばした次第であります。これはやはり振興計画をやっていきますと、その振興によって開拓者が農業所得を得ます。その所得から返せる限度も八年よりは十二年の法が計算上いいというので十二年にしたのです。そういう点は、消極的ばかりでなしに、積極的にも営農の振興のための措置を講ずる。こういうふうにいたしたいと思います。
なお開拓者に対します政府資金の貸し出しにつきましては、営農振興の状況によって将来履行延期といったような措置も講じて、振興が可能になるように、あるいは履行延期の措置を講じてもなお工合が悪いという場合には、御質問のような打ち切りということも考えられると思います。しかし、とりあえずは履行延期などの措置を考えて、営農振興の度合いとにらみ合わせて、償還不能にならないようにしたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 最後に本名さんにお尋ねしますが、政府が貸し付けた金融は主として政策金融です。ですから資金融通法等に基いて開拓者に資金を貸し付けて、全く回収能力がないその原因は、天災等が累年起こるような場合もありますし、それから条件が非常に劣悪なところに入植したために生産が上がらなくて借金が返せない、本人の責任でなくていろいろな生産上の条件が劣悪なために借金が返せないという人もあるのです。そういう場合には、国の債権確保は十分やらなければならぬわけですが、そういう能力を失ったような人たちには、債権を切り捨ててやるとか、相当減額してやれば何とか立ち直れるというような見通しとかあるいは計画がもし立った場においては、思い切ったことをやる。十年、十五年たっても開拓者が一人前になれないということは、人間的に見ても悲しむべきことなんです。こういう点に対して、この際思い切った施策をやるお考えはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/37
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038・本名武
○本名政府委員 御指摘の通りに、不振開拓者の現われた原因はいろいろあろうと思いますが、特に入植計画あるいは入植の前提となる土地初めその営農上の立地的、経済的な環境の不備のところにそのまま入植させられたという過去における緊急開拓を初め、入植の実情に矛盾しているという点は実はわれわれも聞いているわけでありますが、それならばそのような条件のもとに入植させた今日の不振開拓者に対して、再建の見通しのない者に対して、いきなり責務を切り捨てるとかなんとかいう方法がとれるかとれないかということは非常にむずかしい問題だと思います。ただ問題は、過去においてそういった誤った入植方式がとられたといたしましても、まずこの段階においては、先ほどから御説明申し上げている対策によって何とか救い上げて参りたい、救い上げた上いよいよどうにもならないということがあれば、当然最後の措置は考えなければならないと思いますが、現在では振興対策を講じた結果をもう少し見てからでなければ、御指摘のような思い切った対策はなかなかとれないのではないかと思われるのであります。いずれにいたしましても、再びそういう劣悪な条件を繰り返すことのないような入植方式あるいは計画を実行すると同時に、一方、既往の不振開拓者に対してはできるだけの措置を講ずる、思い切った手段の前に一応この方針で進んでいきたい。なおまた条件緩和だけでは、もうこの段階においては到底救えないということは、御判断の一つとしては考えられます。それだからこそこの条件緩和と同時に、返済を不能に陥らした原因をこの機会に是正して、もうしばらく再建策を実施していきたい、このように考えておりますので、御指示のような政府として最終の断を下して、債務の切り捨てであるとか、あるいは再建策として、このような対策でなくもっと思い切ったことをやれということについては、今後十分検討する必要があると同時に、検討いたしておりますが、今の場合そう思い切ったことはできないということと同時に、半面振興策についてもう少し努力をしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/38
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039・芳賀貢
○芳賀委員 この問題は、本名さんも御承知と思いますが、国の債権確保に関する法律があるのです。その法律の規定によって一部やっている点もありますが、あまりにこれは苛酷過ぎて、運営がうまくいっていないのです。ですから、今次管が言われたようなところは、解釈を拡大すれば相当これは適用になる人も出てくると思うので、単にこの場だけの答弁でなく、解釈を引き伸ばしてぜひやってもらいたい。
もう一点お伺いしたい。これは開拓に関係あるが、農地の開墾建設を、特定の地域を選定して、予備自衛官を入植させ、防衛庁費から一部金を出してやっているが、これは、どのような成果が上っているか、今後これを基礎にしてどの程度開拓農地の造成とか開墾をやっていく考えか、まだあまり年月はたっていないが、今まで行われた成果と、今後の方針がもしあれは聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/39
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040・本名武
○本名政府委員 前段の、ただいま行なっております国の債権に関する法律の処置としては、私の記憶するところでは、大体においてもう経営が続く、続かないでなく、離農してしまった人に対する回収について主として、取り扱っておるように考えております。先ほど御指摘のように、今後何らかの思い切った処置によって再建できるという見通しのあるものについては、ただいま行おうとする対策とあわせて将来のことも一段と検して実施に移していきたい、かように考えております。
それから防衛費をもって特定の土地の開拓、入植をやるということについて、詳細は部長から御説明いたさせますか、ただ私としては、この開墾事業ということ自体を考えますと、国費の窮屈な折から、開墾建設効果を上げるために何とか一つ防衛庁の費用をもって農林省の仕事を手伝ってくれないか、これは特定の入植ということでなく、一般の農林省入植計画において防衛庁が協力してくれないかということを、実は個人的に申し入れをしたのでございますが、防衛庁としてはぜひその点を考慮するとともに、積極的に実行に移すように努力をしたいという返事をもらっております。これは私は、農林省として正式に防衛庁に対して申し入れをしたいと考えております。そういうようなことで、一応今まで狭い範囲で防衛庁の考えております入植計画というものを範囲を広げるか、あるいは特定というものを除いて、一般の農林省の入植計画に対して防衛庁の建設設備あるいは建設力というものを何とか一つ開拓の方に活用したいという考えでおります。
なおその他の防衛庁の関係については、部長から御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/40
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041・庄野五一郎
○庄野説明員 防衛庁が予備自衛隊といったような形で北海道に一部入植等の事業を行なっておるということを承知いたしておりまして、一昨年ごろからそういうことが始まっておる次第でございます。今ちょっと詳しい資料をこちらに持っておりませんので、至急取り調べましてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/41
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042・芳賀貢
○芳賀委員 これは多分小倉農地局長時代から始まったのです。ですから、やはりその後の成果というものは一応わかると思うのです。入植関係では成功しておらぬと思う。ただそのシステムについて、方式としてはやはりこれは一応考えるべきものだと思う。特にわが党の場合は、むしろ今の自衛隊の機構というものを国土の開発とか、建設に向けなければならぬということを言っておるわけですから、本名さんだいぶわかるような店を今しておるので、ぜひその程度でも、やればやられた方がいいと思うので、この点は政策上の重大問題ですから、自衛隊に平和建設とか、国土の開発とか、農地の造成等をやらすということ等については、いずれ当委員会としても総理大臣及び関係大臣の出席を求め十分質疑をしたいと思います。その点は後刻資料を一つ提供してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/42
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043・中村寅太
○中村委員長 他に御発言もないようでありますので、直ちに採決いたしたいと存じますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/43
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044・中村寅太
○中村委員長 御異議なしと認め、採決いたします。
まず開拓融資保証法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/44
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045・中村寅太
○中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
次に、開拓君資金融通法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/45
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046・中村寅太
○中村委員長 乱立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
両案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/46
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047・中村寅太
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
本日は、これに散会いたします。
午後零時十五分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805007X01019580305/47
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