1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月三十一日(月曜日)
午後二時三十八分開議
出席委員
農林水産委員会
委員長 中村 寅太君
理事 川村善八郎君 理事 吉川 久衛君
理事 笹山茂太郎君
安藤 覺君 木村 文男君
清瀬 一郎君 小枝 一雄君
椎名 隆君 鈴木 善幸君
中馬 辰猪君 綱島 正興君
永山 忠則君 丹羽 兵助君
松田 鐵藏君 松野 頼三君
伊瀬幸太郎君 稲富 稜人君
楯 兼次郎君 細田 綱吉君
山田 長司君
大蔵委員会
委員長 足鹿 覺君
理事 大平 正芳君 理事 藤枝 泉介君
足立 篤郎君 有馬 英治君
加藤 高藏君 川野 芳滿君
小西 寅松君 杉浦 武雄君
竹内 俊吉君 夏堀源三郎君
古川 丈吉君 前田房之助君
山手 滿男君 山本 勝市君
石野 久男君 石村 英雄君
久保田鶴松君 横錢 重吉君
横路 節雄君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局次長) 佐藤 一郎君
農林政務次官 本名 武君
農林事務官
(畜産局長) 谷垣 專一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 高木 文雄君
大蔵事務官
(主税局税制第
二課長) 吉国 二郎君
農林事務官
(畜産局酪農課
長) 松田 寿郎君
大蔵委員会専門
員 椎木 文也君
農林水産委員会
専 門 員 岩隈 博君
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本日の会議に付した案件
酪農振興基金法案(内閣提出第一一六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/0
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001・中村寅太
○中村委員長 これより農林水産委員会、大蔵委員会連合審査会を開会いたします。
先例により私が委員長の職務を行います。
酪農振興基金法案を議題といたし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/1
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002・中村寅太
○中村委員長 質疑に入ります。横路節雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/2
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003・横路節雄
○横路委員 質問いたしますが、政府委員が畜産局長一人では、これは答弁するのになかなか容易でないだろうと思うのです。もともとこの問題は昨年の六月末で終る大カン練乳に対する免税の問題を、大蔵委員会でこのことが問題になって、そこでとりあえず三カ月暫定的に延ばして、そして本格的な乳価安定についてやる、とこういうことで端を発して、そのときにこの酪農振興基金法についても一応の構想が発表されたので、従ってほんとうからいうと、ここへ大蔵省の主税局長それから少くとも主計局長、これらの諸君が並んでいなければ、畜産局長に何ぼ聞いたってこれはわからぬのですから。——それではまあ主計局の次長が来られたからこれから質問いたします。
畜産局長にお尋ねしますが、私どもちょっとふに落ちないのは、この酪農振興基金の問題もさることであるけれども、それよりは根本的な乳価安定の対策をどうするか。一つはもちろん学童給食その他年間を通して余ってくるものが大体三十五万石ぐらいあるだろう、こういう計算でやった。その他滞貨しているバター等の問題もあるけれども、一番の問題は、生産者側が乳業者との間にどんどん乳価が下げられる現状なんですが、生産者側に立った乳価安定について一体どうするか。畜産局長は一応大蔵委員会において、構想として、その点については生産者側の団体と乳業者側との間に乳価並びに乳量について大体期間を一年として、長期にわたる契約をする、そこで当事者間においてその乳価について不満であるということになれば、都道府県の中に設ける酪農委員会、ちょうど労働組合法によるところの労働委員会のようなものを設けて、法的に拘束力を持たしてやるのだ、こういうことであなたから構想があったのに、そちらの方は何も触れていない。今現実に生産者である酪農民からすれば、乳業者の方から乳価が切り下げられてくるのを一体どうやったならば一応生産費を償うことのできる乳価を維持できるかというところに中心があるのであって、あなたのこの考え方は私は本末転倒していると思う。基本的にそのことが出てこなければ、この法案について審議するのは私はおかしいと思う。農林委員会にかかっているのですから、他の委員会のことですからとやかく言いませんが、しかしもともと大蔵委員会で、その大カン練乳の免税から端を発したこれは一つの考え方なんです。この生産者側に立った乳価安定について、あなたが大蔵委員会で述べた基本的な構想について、半年以上たっているのにどうしておやりにならないのですか。この国会に出すなら出す、そしていつ出すのか、その点を一つはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/3
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004・谷垣專一
○谷垣政府委員 酪農振興の問題につきましては、いろいろと対策があろうかと思います。御指摘がございましたように乳価そのものに対しましてどういうふうな対策をとるかということも一つの重要な問題であろうかと思います。今政府の方で施策をいたそうといたして起りまする問題は、まず昨年の大力ン練乳の免税措置撤廃がきまりました以後、それに対する対策といたしましたのは、主としまして大カン練乳、乳製品の過剰部分と見られたもののたな上げ措置に対しまする補完、あるいは利子負担等のものを国で補助育成をしていく、こういう対策を立てる。それから当時の金融等が逼迫しておったという状況がございましたので、それに対しまする必要な資金のあっせん、さらに年間を通じまして若干の余剰部分が見通されましたので、それらを対策といたします学校給食の実施、さらに政府と民間とが出資をいたしまして、そういう非常事態におきまする金融力あるいは大カン練乳の問題に関しまする設備資金等のあっせん融資というものに対しまするための債務保証制度を作る、こういうようなものが対策として取り上げられたわけでございます。さようにいたしまして、たな上げの問題、あるいは融資あっせんの問題、さらには学校給食の実施等、それぞれすでに措置をいたして参ったわけでございます。基金の問題に関しましては、予算的措置に関しまする法案の御審議を今お願いしておる、こういう順序に相なっておるわけでございます。
それでこの価格そのものに対しまする直接的な措置という問題は、当時も御答弁したかと思いまするが、今のように非常に生産と消費ともどもに急速に伸びて参っておりまする状況、あるいは乳製品の売れ行き等に関しましても、その内容におきまして、非常に変化の激しい状況、つまり非常に上昇期の激しい、変転を予想されておりまするこういう状態のもとにおきまして、乳価そのものを直接的に支持するあるいは統制するという考え方は政府としてはとらない、むしろ間接的な方法という形において、それらの乳業農家がもう少し十分に伸びていく態勢を見守っていきながらその周辺の事情を改善していく方法が妥当ではないか、かような考え方をいたしてそれぞれの措置を講じて参ったわけでございます。当時、私たちのこれらの立案をいたしまする以前に、酪農審議会に対策について諮問をいたしたわけでありますが、酪農審議会の答申は、全般の問題に関しましてかなり広範に答申がなされております。上述いたしました諸点につきましてももちろん答申を得たわけでありますが、さらにそのほかに、酪農委員会というものを作りまして、これに対してあっせん調停等の措置をとらすべきである、実はこういう答申をいただいておるわけであります。農林省といたしましても、これらの点につきまして種種検討を重ねて参ったわけでございますが、御承知のように、私たちの指導方針といたしましても、酪農生産農民が共販あるいは団体契約等の措置をとる、そういうような形におきまして乳業者との間に安定した取引の状況が確保されるということは、これは当然に望ましく考えているわけでありまして、そういう方向のもとに私たちも指導を続けて参りました。今後も指導を続けて参るつもりでおります。これらの点につきましていろいろ議論を車ねてみますというと、まず第一に問題になりましたのは、農民と組合、組合員と組合との間に強固な一つの出荷態勢を作らせる、こういうところが問題の第一点になったわけであります。これは具体的には農業協同組合法十九条等に関連いたしまする専属利用契約の問題に帰着することになると思うのであります。この問題につきましては農林省の中でもいろいろ議論をいたしました。さようにいたしまして、農協法の改正でこれをやるべきだ、こういうような形で議論をいたして参ったわけでありますが、種々な各方面の意見その他によりまして、十分なる調整ができないままになっております。従いまして農協法で十九条問題をやらないという場合に酪振法でこれをやるべきだという議論があったわけでありますが、酪振法におきましてこの問題を議論いたしましたが、これまた現在のところ、これを酪振法で計上してやるべきだという結論に実は到達いたしておりません。さような形、あるいは酪農委員会の問題にいたしましても、これの権限と機能につきまして種々問題がございます。さような形に起きまして問題がございまして、酪農振興法の改正をいたすならば、もう少し多般にわたって議論をいたしまして検討いたすべきである、こういうような結論に相なったわけでございます。さような形に相なりましたので、今国会においてこれを議会の方に御提案いたしまして御審議を願うという段階には至りません。できるだけ近い時期におきまして、これらの点についての成案を得て御審議をお願いするようにいたしたい、かように現在なっておるわけでございます。ただ先ほど来御指摘になっておりまする生産者の団体の共販あるいは団体契約というような形のものを強化いたして参るという点につきましては、これは法律改正を待ちませずとも行政措置、行政指導で十分可能なものもあろうかと存じますので、私たちといたしましてはそういう方向にこれを指導して参りたいと考えております。その中に契約の期間が従来非常に短かかったというような問題、あるいは数量等についても十分な確保がなされていないというような事情、これらの問題につきましては、できるだけ長い期間におきまして、安定した形で取引ができるように、私たちは指導をやっていかなければならぬと現在もなお存じておるわけでございます。ただこの問題を法律で規制するかいなかの問題につきましては。現在こういう問題についてなお契約自由の問題もございますので、法律規制の問題にはいき得ないかと思いますが、指導的にそういったような指導を加えていくことは、今後十分考えて参りたい、かように考えておる現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/4
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005・横路節雄
○横路委員 今のお話で、乳価については政府の方で直接的にこれを定めるということでなしに、間接的な方法で乳価の安定をはかる、それのための酪農振興基金法を出したのだ、こういったお話でしたが、私は政府の方のことを聞いておるのではない。私のお聞きしたいのは、生産者が自分の酪農を安定させるために、乳価という問題については何といってもこれは経営の第一義的な問題である。従って当然生産者団体と乳業者との間に——今までの力関係からいけば、乳価についてはどちらかというと生産者側が弱いわけです。これは乳業者の方が強い、買わないと言えば買わなくて済むのですから。生産者は、売らなければどうしても処置ができないから売る。だからあなたの方では、そういう生産者の立場を保護するために都道府県に酪農委員会を設置して、生乳取引に関するあっせん、調停、勧告を行わせるのだ、こう言っておった。それが生産者側の一番期待しておることであって、この酪農振興基金法案が通って酪農振興基金が設置されて、一体どの程度生産者はそれによって乳価が安定してくるのですか。あなたはどういうように思うのです。あなたは、直接的にやらないのだ、間接的にやるのだ、間接的にそばの方をずっと製品その他についてやれば、ひとりでに乳価が安定してくるのだと言うが、生産者はそんなことを希望しておるのではないのです。実は法律は今検討中だが、この国会に出ないということになるならば、本来からいえばこの法案だってそれと不離一体の形で出なければならぬ。この酪農振興基金法によってこれが設置されたら、生産者はどういうように乳価が安定するのですか。その点を一つお話願いたい。私の聞いているのは、たとえば一升五十円なら五十円だ、こういうように希望しております。乳業者の方は四十二円だと言ってきたときに、これがどうやって自分たちの希望している五十円というものを維持できるのか。そういううまい方法があったら、一つここで明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/5
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006・谷垣專一
○谷垣政府委員 振興基金そのものは乳価そのものの決定に直接的に関係はありません。昨年から下りました乳価の状況を考えてみますと、乳価の下りまする原因は、市乳の場合はそれほどの価格低減の問題はないわけでありますが、問題は原料乳から生産されました乳製品の滞貨状況が非常に悪い状況になってくるという問題になって出てくるかと思いますが、昨年来の状況を考えてみますと、この乳製品の滞貨という形、従いまして乳製品価格が下る、それが反射的に農民に対しまする乳価値下げという動きになって出て参ったわけでございます。当時もこれの資金のあっせんをいたしまして、たな上げの力を強くする。こういう必要が実は乳業者の方だけではなく、生産者の団体からも出て参ったわけでございます。ところが乳価が下り、乳製品の乳貨が非常にふえてくる可能性のある場合には、御存じのように、先安の見込みのときにはどの程度まで下るかということの予想はつきません。また乳製品の特質から見まして、これが長く保持保管ができていくものとは性質が違うわけでございまして、数カ月たてば少くとも品質の低下、変質等の問題があるわけでございます。従いましてそういう際にはなかなか通常の金融ではこれに対する融資が動かない状況でございます。昨年暮れからの状況も、これに対してあっぜんをする必要を私たちも認めまして、いろいろとあっせんに努力いたしましたが、なかなかそれが思った通りに参らない。それぞれの金融機関にある程度の融資のワクをお願いしておりましても、実際に融資されるものはそれほど多くない。こういう事情でございます。これは単に乳業者だけがそういう心配をしているにとどまりませず、生産者の団体にいたしましても、乳製品の価格下落というものが依然として続いていく場合には、これは納入いたしまする、いわゆる農民に対する乳価の問題にすぐ影響するわけでございまして、生産者団体の方からも私たちの方に対して、乳業者に対する資金のあっせんを早くしてもらいたいという強い要望がございました。そういうふうな形をいたしまして、若干の融資のあっせんに成功したわけでございますが、そういう事情にございます。従いましてこの場合に基金というようなものができておりまして、そういう際の債務保証がやれるという形になりますと、まことに時宜に即した機敏な対策ができるかと思います。またそういう制度があるということ自体が、そういう先安の場合におきましても、金融機関等の安心感を確保することも可能であって、それに対する融資が円滑にいくことは考えられるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、この基金制度は、平常こういったものができておりますと、そういう滞貨がふえまする際の動きとして即時の活動が可能になるわけでございます。そういう乳製品の状況でございますから、そういう事態が出て参りましてからこういう制度を作るといっても、これは実際上あとになってしまう。そういう意味におきまして、乳製品の価格支持が、ひいてはその農民の納めます乳価の問題に影響する、こういうことに相なろうかと思います。また現在御審議をお願いしております基金法におきましては、生産者の諸君の団体が、そういう自分の組合員に再生産をして参りますための生産資金の貸与をいたします場合に債務保証の制度を考えておるわけでありますが、そういうように、乳業者だけにとどまりませず、生産者団体に対しても、そういう再生産の資金を確保するための措置がとられておりますから、これの運用によりまして農民の手取りをいたします乳価が、間接的ではございますがしかし確実な形で調整できる、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/6
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007・横路節雄
○横路委員 畜産局長の話を聞いていると、率直なところ私は、酪農の問題について、乳価安定の問題は根本的に違うのではないかと思う。今のあなたの答弁は、普通の金融べースに乗らないものは不況の場合に滞貨が出てくる。そこでこの基金の方でこれを保証して貸してやるのだ、そのことが間接的には生産者に対するところの乳価の安定になる、こういうことらしいのだが、私は、乳価の安定というのはそういうことでなしに、一体どういうようにしたならば乳価の安定ができるのか。ただ不況の場合におけるところのバターやチーズその他の滞貨について、金融べースに乗らないものを基金で保証してやるのだということで、一体根本的に乳価が安定できますか。ただいま乳価の安定の一つの方法として、あなたの方は学童給食で一合五円ですか、それで補助をしてやっておる。今全国的に乳価安定を本年度から来年度にかけてやると年間約百二十万石ぐらいふえるだろうと言われておる。それを今生産者側は多くの飲用者、とりわけ労働者たちの間にできれば十円牛乳——実際には中間のマージンですな、配達する方が非常に利益をとっておる。これが何とか直接的に、生産者と飲用する側、多くの工場の労働者、学童その他一切の人たちの間に実際に市販されるものが十円なら十円で飲まれてくる、こういうことになれば、年に百二十万石ふえようが百五十万石ふえようが、それはどんどんこちらでもってやる。あなたは今市乳は困らぬと言っておる。ただあなたは今乳価安定というのは、金融ベースに乗らないそういうものに対して、在庫その他がふえてきたときに、それを不況対策の一つとしてやる。これは不況対策ですよ。根本的な乳価安定ではないですよ。私は畜産局長の考え方としてはどうも納得できないですな、こんなことで乳価安定ができるなんて。あなた、酪農民を集めてしゃべってごらんなさい、これは間接的に乳価安定になるのだ、それならば直接的な乳価安定はどうなのか、必ずそう聞きます。私はあなたにお尋ねしたい。直接的な乳価安定に対する農林省の考え方はどうなのか、直接的な乳価安定について何を考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/7
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008・谷垣專一
○谷垣政府委員 御指摘のように、基金だけが乳価安定の問題に対する施策ではないと思います。生産と消費がお互いに順調に伸びて参りますことが基本の問題であろうかと思います。生産に関する種々なる対策は、これはもう横路先生よく御存じのことでありますから略しまして、問題は、流通あるいは消費の問題であろうかと存じますが、もちろん消費が増大いたしますれば、生産が伸びても何ら心配はない、値段が高くなるという形が出ましても、生産の方には悪影響がないわけであります。最近の状況を見ておりますと、年率一五%、あるいは昨年のように一八%というような伸びを示す場合もございますが、ともかく生産も消費もともに非常な伸展をしております。昨年の暮れからの状況のごときものは、私はその間の一時的な生産過剰の問題だと考えておりますが、ともかく生産も消費もともに非常に躍進的な伸びを示しておるのが現在の酪農界の状況ではないかと思います。それで消費の面を考えました場合に、もちろんできるだけ安い価格で大勢の人に飲んでもらう、国民食としてやっていくということが必要であろうかと思います。そこで国民食としてやっていくいろいろな方法といたしまして、流通経費を安くするとか、それを加工する経費を安くするとかいろいろな方法があろうかと思います。集団飲用と申しますか、これは確かに今後考えていかなければならない、拡大していかなければならない重要な部門だと思います。学校給食は集団飲用という形におきましてまず第一に取り上げらるべき問題だと考えております。このことによりまして学童の体位が向上される、これから第二の中堅の国民になるそういう少年少女諸君に牛乳の習慣をつけて、そして広範な層に牛乳飲用の態勢を作り上げていく、こういう意味におきまして、学童給食はいろいろな立場から考えましても集団飲用の確立をいたそうとする場合に、まず第一に取り上げらるべき問題であろうかと考えております。そういう観点から学校給食をとにもかくにも実現をいたしまして、相当な経費をもってこれに助成していく、こういうことに相なったわけてございます。さらにこれを追随いたしまして、職場におきます集団飲用の問題は大いに奨励する必要があろうかと思います。これはすでに民間におきます運動として、ある程度の実現を見つつある状況でございますし、さらにこれは単に民間運動だけにとどめずに、政府も参画いたしましてこれに対する拡大をやっていく必要があろうかと思います。ただ順序といたしましては、集団飲用の場合に、何と申しましても学校給食という問題がまず第一に取り上げらるべき問題ではなかろうか、かように考えておりまして、いわば順序よく集団飲用の方向に持っていきたい、かように考えて措置をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/8
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009・横路節雄
○横路委員 私はこういう不況の際の滞貨融資に対して、金融ベースに乗らないものについてやる、こういう方法よりは根本的にやったらよいと思う。たとえば酪農施設のうちの集乳の処理施設であるとかあるいは乳製品の製造施設は、農業協同組合であるとか、農業協同組合連合会でなければ農林中央金庫の長期にわたる貸付の対象にならないわけですね。あなたがほんとうに間接的な乳価の安定をやるんだ、そういうことを考えるならば、不況の際の滞貨の融資というようなこそくな手段でなしに、この際酪農に関しては農林漁業金融公庫法の一部改正をして、そして酪農の集乳施設とか、生乳処理施設とか、乳製品の製造施設であるとか、こういうものに対して一般の農業協同組合、並びに連合会同業に長期にわたる低利資金を貸した方がはるかにいいのです。こそくな手段で、不況のときの滞貨だけを、金融ベースに乗らないものをやるんだという考え方では、根本的な乳価安定にはならないんですよ。それからあなたの方では間接的なあれをするのだというのが、今の集団飲用のことでも、生産者側の方がせっぱ詰まって、このままではどうしてもだめだというので、生産者がそれぞれの地域における工場だとか労働組合だとか、そういうものとタイアップして、中間の利潤、中間の搾取というものを排除して直接やって、そして乳価を安定しようとこういうように今は動いておる。どうも私は農林省の考え方は、根本的な乳価の安定の方からいうとふに落ちない。
それから私はあなたにお尋ねしたいのだが、金融ベースに乗らないところというのは、実際にはこれは直接的には生産者を対象にしたものではないと思うのですね。あなたの言うように間接なんです。あなたからいえば乳代を払わないから、そこで第八条の第四号で牛乳の「生産者が直接又は間接の構成員となっている農業協同組合又は農業協同組合連合会」ですか、これに出資をして、これもどこかの会社が払わなければそこで肩がわりをしよう。これはあまりにもこそくな手段です。あなたはどうですか。根本的に乳価安定については間接的な乳価安定をやるんだということになったら、あなたは一つ思い切って農林漁業金融公庫法を改正して、そして特に酪農施設に関してはただ農業協同組会、並びに連合会だけでなしに、そういう乳製品の製品施設とか生乳の処理施設については長期にわたる低利資金を貸す、こういうように直した方が、はるかに乳業界全体としても私は安定してくると思う。そういう意思ございませんか。政務次官いががですか。私はその方がいいと思う。農林漁業金融公庫法の一部を改正してやった方がはるかに抜本的な対策になると私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/9
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010・本名武
○本名政府委員 この法案からだけ判断いたしますと、お説の通り乳価に関して直接の手だてがないということで、いろいろ御心配なさることは私ども全く同感なわけでございますが、ただ一気に先ほどのお説のように、乳価そのものに対策をとれないというところに今日われわれが苦労して検討しているわけでありますが、特にただいま御指摘の生産者の施設、その他に対して特別の融資をしろ、これはそれぞれ協同組合に対しての融資の道はあっても、一般の会社、企業体に対しての道を同時に講じなければ効果がないから、その方にも考えろということでございますが、私は当然牛乳に対する対策としては考えなければならないことであると思いますし、またこのことは十分検討いたしまして、その流通過程におけるそごのないような方法を、将来において早急に決定していかなければならないというふうに考えております。今日考慮しておりますことについては、局長からいろいろお話もございましたが、いずれにいたしましても牛乳という特殊な製品でありますので、そのときどきの生産、需要の変化というものに応ずる対策が必要であると同時に今日牛乳の一番の問題は、何といっても生産も需要も伸びてはおりますが、まだまだ需要の面に未開発の市場が国内にたくさんあるという、この現実と、実際の牛乳の流れあるいは乳製品の流れというものに非常な矛盾がある、あるいは隘路があるということが、今日の乳価不安定の大きな原因になっていたので、まずもってこの点から一つ打開していこうというので、この法案を先に出したようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/10
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011・横路節雄
○横路委員 農林省はこれをやろうと思ったらできると私は思う。今度大蔵委員会にかかっている経済基盤の強化に関する法律案の中で、農林漁業金融公庫で、今までたとえば小団地に対しては国で補助金をやっておる、これを農林省側では——これは大蔵委員会にかっているので、またあなたにきてもらってやりますが、私どもはそれに反対ですが、あなたたちの一応の考え方としては、補助金は全部打ち切って、今度は長期にわたる低利資金でやろうとしているのでしょう。土地改良については長期にわたる低利資金でやろうとしておるじゃありませんか。それであればこの乳価安定のためには農林漁業金融公庫法の適用を受けないのだから、これは長期の低利資金を借りられない。それぞれの会社においては設備資金であってもやはりある一定の限度がある。だからそれを全部償還計画を立てていく間、それが全部製品にかかっていく。製品が高い、思うように売れない。滞貨していく。だから乳価についてはある程度押えなければならぬということになる。どの工場だって何億という設備資金を投資してやっておるじゃありませんか。これが長期の低利資金ということになれば、これは長期にわたって償還していけばよいのだから、あなたの方で農林漁業金融公庫法でやることは、今までそういうように小団地の土地改良については国の補助金を四割五分やっていたものを、今度は全部削って、それを農林漁業金融公庫法の適用による低利資金でやろうとしているのだから、やれないことはないじゃないですか。これはさっそくおやりになったらどうです。畜産局長どうです。これをやった方が早いですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/11
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012・谷垣專一
○谷垣政府委員 御指摘になっておる問題は、主として設備資金の拡充の問題であるかと思います。もちろん設備資金の問題であろうかと思いますがとにかく消費と生産がそれぞれ相対応して伸びていくということが必要なわけでございます。順序もいろいろあろうかと思いますが、設備資金の拡充も私ども不必要とは考えておりません。これは非常に重要な問題であろうかと思いますが、とにかく生産と消費というものをできるだけ均衡させて拡大していく、こういうところに問題が一つあろうかと思います。基金の問題はひとり乳業者だけの問題というふうな形ではつかまえておりませんので、乳業者に対する融資の保証というものが、やはり生産農民に乳代という形において確実に払われていとくいうところが、一つのめどになっておるわけでございます。農林漁業金融公庫等のものをこういう乳業者の設備資金に適用するかどうか、この問題はこれは単にそれだけの議論はできないのではないかと私は思います。御指摘のありまする酪農の生産が拡大されますと、当然にこれを処理いたします施設も、消費の拡大とともに必要になろうかと思います。そういう設備資金に対すまする対策というものについての問題は、これは私たちも十分慎重に検討していかなければならぬと考えておりますが、とりあえずの問題としましては、現在の基金で大カン練乳等の免税措置を撤廃しましたために起きてきまするそれぞれの改造、あるいは新しい方向に向いまするための施設新設というものに一応限定をして考えておるわけであります。現在の農林漁業金融公庫におきましては、御存じのように農林漁業者というものを主体にした融資をいたしておりまして、あるいは協同組合とかいうような生産者団体に対しましてはあの融資が行われるわけであります。しかしそのほかの企業形態、違った企業形態をとっておりまするものには、御存じのようにそれの株主あるいは出資の構成が非常に強く農林漁業者に色彩の強いものというふうに限定をされておるわけでございまして、従いましてこの酪農に関しまする、乳業に関しまする設備資金を今直ちに農林漁業金融公庫によってまかなうかどうかという問題は、私たちとしてはもう少し慎重に検討いたしたいと考えるわけでございます。もちろんこれらの企業が乳業の企業、酪農から消費に至りまするものまでが非常に強度の統制という形において議論をされていきますると、また話はおのずから違った形をとる可能性もあるかと思いますが、現在の段階におきましては、そういう乳業の実態ではございませんので、現在のところ農林漁業金融公庫に今直ちに当てはめるということはもう少し慎重な検討を要するもの、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/12
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013・横路節雄
○横路委員 あなたの方で酪農法の改正をやって、そうして生産者と乳業者との間の取引を円滑にさせる、安定させる、もしもその場合にいろいろ不満があれば酪農委員会を組織して都道府県内である程度強制力を持たしてやる。これはいつやるんですか。今度の特別国会でやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/13
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014・谷垣專一
○谷垣政府委員 先ほど申しましたように、十分なる検討を要する問題と考えております。現在の酪振法におきましても、契約そのものの内容を規制するということは考えておりません。御存じのように、現在の酪振法の言っておりますのは、文書契約の締結ということはうたっております。また文書契約の締結その他契約の締結に関しまして改善すべきものがあれば、勧告権を知事が持っておる、こういうことに相なって起ります。あるいはそれに対しまする種々なる紛争が生じました場合に、あっせん委員にそれを持っていってあっせん調停にまかせる、こういう態勢になっておるわけでございます。従いまして酪振法の改正につきましは、単にその点だけではなく、もっと広範な問題について検討を要する問題があるわけでございますが、それを急いで検討をする必要を感じております。できるだけ早い機会にそういう結論を得たいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/14
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015・横路節雄
○横路委員 政務次官にお尋ねしますが、私はこの酪農振興基金法案というのは、これは結局のところ中小メーカーにおいて不況の際に在庫品がどんどん出てくる、その場合になかなか一般の金融べースでは貸してくれない、そういう場合に不況対策の一つとしてやるのだ、端的に言えば私はこうだと思う。そうなるとここに「酪農振興基金は、乳業者と生乳の生産者との間の生乳取引関係の改善に資するため、」ということはちょっとおかしいと思うのです。そこで私が特に伺いたい点は、第六条に基金の資本金は、五億円と第八条に規定する者が出資する金額との合計額とする。」こうなっておりまして、附則の第七条に「基金の成立の当初における資本金は、六億円を下るものであってはならない。」第八条のところにさらに五カ年のうちに総額五億円を出資するようになっておりますが、問題は第七条のところなんです。これは畜産局長にお尋ねしますが、これはことし一億円集まる見込みがあるのですか。またあなたの方で何か法律で規制して一億円絶対に集めることができるのですか、どういう確信があるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/15
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016・谷垣專一
○谷垣政府委員 政府が設立当初に五億出資いたしまして、それから五年の間に民間の出資をそれに相対応いたします五億に持って参る、こういうことがこれの構想になっております。従いまして、設立当初におきまして民間出資が一億ということに相なっておるわけでありまして、この点に関しましては業界等ともそういう意味の誓約書をとりまして進めて参ってきたわけであります。従いまして初年度にできるだけ努力をいたしまして一億以上が集まるようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/16
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017・横路節雄
○横路委員 今のあなたの話は違いませんか。三十二年九月二十六日になるほど雪、明治、森永、クロバー、協同乳業、日本製酪協同組合で農林大臣あてに振興基金の設立の趣旨に賛同して出します、こうなっている。なるほどあなた方にそういうことになっておりましょうが、三月の十四日に日本乳製品協会の会長の植垣氏は、農林大臣に「酪農振興基金の設立に関する件」というので「昭和三十二年九月二十五日付、貴大臣あて会員各社の出資引き受けに関する回答一件書類は、残念ながらこれを撤回することに決議いたしましたので、右御了承賜わりたく御報告申し上げます。三月十四日には出しませんぞと言っているじゃありませんか。何かこの法律が出れば全部頭割りにしてとれる法的な拘束力があるのですか。政務次官、どうなんですか。九月二十六日には出しますと言ったが、話が違いますから出しませんぞと言っている。それを法律でどうやってとるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/17
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018・本名武
○本名政府委員 民間の出資は法的な拘束はもちろんございません。ただ私どもはいろいろ申し上げましたように、この対策が生産者特に乳価対策にそのものずばりといった処置でないことは御指摘の通りであります。しかしながら少くとも今日まで乳価不安定の隘路なりあるいは困難性を打破するためには、まさに前進した法案であるというつもりで出したのであります。特にこの法案を作ります過程におきまして、酪農審議会の御意見をいろいろ承わりまして、同時にまたその御意見を努めて尊重いたしました。そのときにおきましても民間の出資というものはある程度可能であるという御意見もあり、またわれわれもそのように考えてこの法案を進めてきたわけであります。しかも文書をもって農林大臣あてに出資をするということを申し出られたのは、先ほど横路先生がおっしゃった通りであります。その後におきましていろいろ検討なさった結果、民間加工業者の方では、どうも初めの考えと将来を見越すと考えが違ってくる、あるいは約束が違うというような御見解のもとに撤回の文書が出された。これは私はこういう法案のでき上ります過程においていろいろその立場々々で御意見が出るのは当然だと思います。さらにまたこの法案の一つの大きなねらいと同時に大きな使命は、生産者と加工業者を一体として処置しようというところに非常な意義があり、かつまた考え方によってはむずかしさがあろうと思いますけれども、これはこの段階でどうしても生産者並びに加工業者が一体となって需給の上からするところの価格安定に一歩でも近づけていくという努力はやらなければならない日本の酪農の実情に置かれている。こういうふうに考えますことと、それから途中において御意見がいろいろあろうが、政府といたしましては一応諸般の手続の上に立って御相談を申し上げて決定したことでございますので、今後においてさらに一そう御検討をいただいて、深い御理解のもとに協力していただけるという確信のもとにこの法案を出したわけでございます。従いまして途中において変更の御意見が出たことは非常に遺憾でございますけれども、今後われわれの努力またはそういう御意見を出されたメーカーの方々のより一そうの御理解によって、ぜひこの一億という出資はまとめていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/18
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019・横路節雄
○横路委員 せっかく政務次官からそういう話がありましたが、出さないというわけですね。私も考えてみるのに、五年間に五億出資する、ある会社によっては一億ということもあるでしょう。まあ自分の資本金のところから一億持ってくるとしても、やはり出資するのにはどこかから金を借りてきてやるでしょう。それに対しては金利がかかるわけですね。今度はあなたの方でそれを積んでおいて一億持ってきた、それは金利がかかる。今度はそれを借りる場合に、それに金利がかかる。そのほかに基金では三厘ですか、それに上積みされる。そうすると、銀行から借りてくる方に普通の金利がかかって、さらに基金の方でどこかの市中銀行をあっせんして借りる。その場合に基金の方では保証の意味で三厘をあげる。金利はべらぼうに高いものになる。しかしどうしても高いものであっても、そういう金融ベースに乗らないで借りなければならないものがある。それは中小の乳業者だと思う。だからちょうど信用保証協会というのがあって中小企業に対するところの信用をやっているように、やはり酪農基金というのはこの法案の建前からいけば、本質的に中小乳業者に対するところの保証ということであるべきだと思う。そこで主計局の次長にお尋ねしますが、この第七条というのは非常に困った条文だと思うのです。基金の設立の当初における資本金は六億円を下るものであってはならない。これはこうなっておれば、六億円にならない限り、この基金は営業開始できないのでしょう。こういう第七条の条文はあったけれども、実際に集めてみたら五億四千万円だった、五億五千万円だった、それでもある程度目的が産するから不況の場合の在庫等に対する、あるいは金融ベースに乗らぬものに対して基金が保証してやる、こういうことになりますかね、これはどうなるのです。六億までということになると、政務次官の言うように、これからみんな業界を呼んで説得するのだそうだが、だいぶ説得するのに時間がかかるので、時間がかかっておる間に六億にならないから、せっかく法律は通ったけれども、とうとう役に立たなくなったということになるのだと思うのだが、この点の解釈はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/19
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020・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 これは法制局長官の方がいいと思いますが、従来こういう規定は、私今はっきり覚えておりませんが、法律の建前から申しますと、もしこれに達しない場合においては認可をこの基金に与えることができない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/20
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021・横路節雄
○横路委員 政務次官、これは大へんだと思うのです。あなたはこれから説得するというけれども、しかしがんとしてそれは約束が違うじゃないかといえばそれまでだけれども、しかし衆議院の農林水産委員会の調査室で出ているものですが、あなたの方でもなるほど九月の二十六日には出たけれども、三月の十四日にはそうやって出ている。それからまた日本製酪協同組合の方から別な意見が出ておる。これはなるほど農林省というのは一応監督官庁だから、お前たち出さなければどこかで懲罰してやるぞといううまい手でもあればそういうことでおどかして集めることもできるかもしれませんが、そうでない限りこれはなかなか容易ではないと思うのです。私は第七条についてはほんとうにあなたの方で不況対策の一つとしてやるのだ、それが乳代がたまっている酪農民に対する間接的な乳価安定の一つにもなるというのであるならば、これはさっそくこの法律が通ったならば、第六条にありますように基金は設立の登記をすることによって成立するとなっているのだから、直ちにこの業務が開始できるようにするためには、この六億円を下るものであってはならないという点は、こうでなしに、別な書き方をしておかなければならない。現状において、あなたの方で出されたのと、その後の情勢は違うのだから政務次官、どうですか。私はそれくらいは少しゆとりもあっていいと思うのです。そうでないと、せっかくこれはできたけれども、第七条にひっかかって業務の開始ができないということになりますよ。そうでないですか。政務次官、これはもう少しゆとりのある答弁をしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/21
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022・本名武
○本名政府委員 提案いたしました法律ですから、私どもはあくまでも最後まで努力をいたすつもりでございます。先生は説得というお言葉をお使いになったが、私は説得でなくて、御協力をいただけるような話し合いはまだ続けていきたいと考えております。御指摘のようにわれわれの最初に考えましたことは、何と申しましても今日牛乳を扱う上に一番困っているのは市乳の乳価の問題と、中小メーカーの加工業者の問題である。従って基金制度なり、あるいはその他の乳価対策、生産対策をとるのには、やはり中小メーカーを中心にした、重点にした考え方に立って今今日まで進んできております。今日においても変りないわけでございます。しかしながらそのメーカーの資金や、設備やその他の大小によってこれを区別するということは非常な問題があろうと思います。そこで大メーカーも中小メーカーも一本になりてこの制度に御協力いただきたい。それから実はこれは具体的に申し上げますと、先生も御指摘のように、金利が二重払いのような格好になって非常に不都合だとおっしゃいますが、実は出資額と同等の保証をするならば非常な矛盾が生じて参りますが、民間出資だけを考えますと、一応一億出して三十億の保証が得られるという、今日の金融事情その他から申しまして、私はこのことは金利が高くなることは避けるべきではありますけれども、この制度の上においては非常に役立つことではないか、このように考えておりますので、ぜひこれは今後において実行に移せるようにいたしたい、こういうふうに考えて参りますと、私は一億の出資というものは、あるいは最後に御出資なさるときには、それぞれ最初予定いたしました、あるいは想像されます大メーカー、中小メーカーの出資の割合というものは変るかしれませんが、この出資に御協力いただいて一億というものはぜひまとめたい、かように考えておりますが、しかし御指摘のように文書をもって意見も来ている、しかも出資しないというような御意見にもうかがえる、そういうことが現実にあるとするならば、御心配のようにこの法律はできても、実際は設立できないのじゃないかという御意見もごもっともだと思いますが、われわれとしてこれをあらためて文字を書き直すという気持は、今のところ全然持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/22
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023・横路節雄
○横路委員 政務次官からそういうお話だが、しかしこの条文がある限りは、六億円にならない限り、業務の開始はできないわけです。だからそういう意味からすれば、われわれの方でこれを修正する以外はないが、これは畜産局長、国会でこれを修正することについて、あなたの方でとやかく言われる筋はないけれども、この条文からすれば、六億円でなしに、五億五千万円を下るものであってはならない、かえってそういうふうに下げておいて、あと農林省の努力で、五億五千万円の予定だった、それが六億になったり、六億五千万円になることは差しつかえないので、この点については、直ちに業務開始ができるように、そういうゆとりをもってしておいた方がいいのじゃないでしょうか。あわせて第八条については、今の関係で、これば五年間に——その後四年間に四億、これもかりに第七条で五億五千万円ということになれば、五年間というのでなしに——実際私は中小メーカーの建前からすれば、政府の方で安い金利で金を貸すのが一番いいと思う。自分の方で出さないでも……。そういう意味からいけば、何も五年にしなくたって十年でもいいと思う。十年にわたって、政府の方で出した五億をフルに運転をして貸付をしてやる、こういう格好の方が、私は中小メーカーとしては歓迎するだろうと思う。もちろん第七条と第八条は不即不離だと思うが、これは五年が十年であってもいいのでしょう。畜産局長どうですか。どうして五年にしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/23
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024・谷垣專一
○谷垣政府委員 私どもの方といたしましては、先ほど政務次官がお答えいたしましたように、できるだけの努力をいたしまして関係各位の御協力を得たい。さようにして原案のようにもって参りたいと考えております。第八条の五年——四年と書きましたのは、合せて九年でありますが、これは従来こういうことをいたしておりますいろいろなものの前例にかんがみ、あるいはまた常識的な観点、両方から五年、こういうふうにいたした次第であります。なお、やはり酪農の問題といたしましては、確かに乳業界におきましても、大企業と中小企業との間に、あるいはまた大企業の内部におきましても、それぞれ一面競争関係があるわけであります。従いまして、いろいろな利害の対立の問題はあろうかと思いますが、やはりこういうふうに、乳業が安定して全体として伸びていく必要があろうかと思いますので、そういう立場から考えますと、その規模の大小を問わずに、やはりこういう基金に、それぞれ力のあるものは力を出し合うというのが、建前であろうかと考えております。いろいろと出資をいたすまでに議論がありますけれども、私たちは全力を尽して、そういう人たちの協力を得てこれをやって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/24
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025・横路節雄
○横路委員 政務次官、この法案を作るときにだいふ大蔵省に痛めつけられたのではないですか。初め私ども聞いておったのでは、政府の出資は五百億円、それから民間の方は三億、合計八億の出資をするのだというように、大蔵委員会では去年九月畜産局長から説明を承わっておるのです。たしかそうです。今ここで酪農審議会の答申案を見ましても、政府の出資額については総額の三分の二程度とする、こうなっておる。きっと大蔵省からだいぶ痛めつけられて、しまいに仕方がないから五億、六億ということになったのではないか。だからそういう意味で、これは中小メーカーの方の団体からすれば、大体一年間に二千五百万円くらいで、十年間に二億五千万円、合計七億五千万円程度という希望もあるというように聞いておりますが、さきに畜産局長の方から大蔵委員会で、一応の構想としては政府出資五億、民間三億でという話があった。これが五億、五億でなければならぬということは、だいぶ大蔵省の横やりが入っているのじゃないかと思いますが、これは政務次官どうですか。私はどうもそうだと思う。初めの話とはだいぶ違うのです。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/25
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026・本名武
○本名政府委員 大蔵省に痛めつけられたというお話ですが、実は、主計局次長を前に置いて申し上げてはどうもおかしいのですが、私の方は、むしろ大蔵省はよく言うことを聞いてくれたと思っているくらいです。しかし、これは見解の問題ですから論外ですが、ただ今のお話の、それは大蔵省と打ち合せ過程におきましては、政府と民間の出資の割合というもののいろいろな話は出ましたが、国会において、大蔵省と一応政府五億、民間三億という話は、しているとか進めているとかいうことは、おそらく局長も申し上げていないと思います。ただ審議会の御相談の過程において、あるいは審議会の御意見として、そういう意見がございましたので、その審議会の意見の御説明を申し上げたときに、あるいはそういう数字が出たかもしれませんけれども、農林省が大蔵省との話し合いにおいて、そういう案であるということは、申し上げたことがないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/26
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027・横路節雄
○横路委員 畜産局長にお尋ねしますが、第八条の点は、別に五年でなくてもいいのでしょう。「その日から起算して四年を経過した日を含む事業年度の末日までに、」というのは、その日から起算して九年を経過した日を含む事業年度の末日までに、というように、十年間であっても私は差しつかえないと思うのです。特にあなたの方で、不況対策に対するものとしてやるのだ、しかも中小企業というものが主眼だということになれば、やはり政府の方で出したその基金を、上分運転をするということであって、中小企業の出資に対しては、できるだけ長期にわたってやらせるべきである。こういう意味からいって、この第七条と第八条では、これは社会党の立場からすると、このままではなかなか法案の審議が進みません。だからあなたの方でも、年数については、何も五年というようにきめなくても差しつかえないと思う。十年でなぜ悪いのですか。十年では悪いという理由があるならば、一つはっきりおっしゃってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/27
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028・谷垣專一
○谷垣政府委員 先ほど私の説明が、それに触れて申しませんで、誤解を招いたかと思いますが、実は大体これを検討いたします場合に、年々の生産、消費の状況というものを、過去の実績等からも判定いたしまして、大体どの程度の余裕をもってこういう債務保証を見ればいいかという算定を実はいたしております。さようにいたして考えてみますと、ちょうど五年後におきまして五十億程度のものが債務保証の対象になれば、その当時にもし起きたといたしましても、大体の余剰問題に対する融資ができるのじゃないか。かように過去における状況と、将来における生産の見込みというようなものとを対比いたしまして、この数字をはじいて参ったわけであります。もちろんこれは生産、消費両方のにらみがございますから、将来若干の動きはもちろんあるかと思いますけれども、一応今まて起きてきましたような状況、それが生産、消費の規模がずっと拡大をいたします。さようにいたしますと、やはりそのひずみというものが生じた場合には、どの程度まで余裕を見たらいいか、こういう関係が出て参るわけであります。それらの数字を勘案いたしまして、この程度の数字を出したわけでございます。従いまして、中小企業、あるいは大企業全部を含めましての、全体といたしましてのつかみ方として考えてみますと、やはり五年後には五十億程度のものを持っておる必要があるのではないか、つまり異常在庫の問題を考えますと、そういう予想をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/28
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029・横路節雄
○横路委員 あなたの方で異常在庫に対するところの対策としては、大体まあ五十億程度のものを考えた方がいいだろう、そういうことで五年間に五億ということのようですけれども、しかし実際には酪農というものについては、農林省の方でも、日本の農業の振興のためには酪農振興をやるのだ、こう言っているけれども、あまり政府の方では、ほかの関係に比べて大した施策をやっていないでしょう。そういう意味で私はこの法案の根本になっている中小メーカーの諸君は、やりは本来からいえば、国の出資金でやってくれということになると思う。私はそういう意味で、政府の方でどうしても五億積まなければならぬという考え方はやめて、この際私は政府の出資金で十分にまかなってやれる。だからことし政府は五億、来年また政府は五億やればいいのです。業界の方に五年たったらなんというようなことを考えないで、政府の方でことし五億やったから、また来年五億——これは初めの約束はこうだった。大カン練乳で取っている税金は、たしか十三億あるはずだから、十三億まるまる使うということだった。取るものは取ります、出すものは出します、こういうことだった。ことし五億だけやって、来年は政府は出資しないのですか。来年はまたやるのでしょうね。これはどうですか、これっきりで政府の出資はやめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/29
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030・谷垣專一
○谷垣政府委員 大体ものの考え方を、政府が半分、民間半分のフィフティ・フィフティの考え方になっております。従いまして、民間の出資が政府の出資の額に満ちました後におきまして、どういうふうにやるかということは、これまた政府出資を増額すべきだという意見が出ることは予想されます。しかし現在の状況のもとにおきまして、来年度において政府の出資のみを増加するというふうには、今のところ私たちは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/30
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031・横路節雄
○横路委員 政務次官、今お聞きの通りで、私は畜産局長の話はおかしいと思う。これは初め大蔵省の主税局との間には、取るものは取ります、出すものは出します、こういうことだった。だから大カン練乳の税を取ることによって、年間たしか十三億くらいあるはずだったと思う。この点について、ことしだけ五億やって、あとは民間の方で五億が積まれてこなければ、政府の方では出資については考えないというのは、初めの話とはだいぶ違う。局長、今の点はどうですか。もう少しあなたの方で大蔵省に強腰になって、そしてことし五億であとは民間で五億積まなければ、農林省としてはその出資について見ないんだというようなことは、あまりにもどうも退嬰的な考え方ですよ。そうでなしに、やはりこれは毎年毎年政府の方の出資は、民間の出資との関係はありましょうけれども、毎年毎年税金の方は取っていくのですから、当然出資の方だって、毎年々々政府の方でふやしていかなければならぬ。それをこの法文によって五年間五億積まなければ、それ以上政府の出資を見ないということは、これは初めの減税に端を発した問題としてはおかしいですよ。畜産局長そうではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/31
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032・谷垣專一
○谷垣政府委員 当時の大蔵省との話は、税金で取るものは取る、必要な出すものは出すと、起っしゃる通りそういう話し合いでございます。私たちの方としましては、出すものは出してもらいたい、こういうふうに考えております。これは基金の問題といたしましては、先ほどお答えいたしましたようなことになろうかと思いますが、また三十三年度の問題を考えましても、酪農の問題そのものとして考えておりますが、学校給食に七億、それから基金の出資に五億、合せて十二億。もちろん酪農振興のためには、生産の振興でありますとか、そのほかにもいろいろの対策をいたして、新しい目立った事業といたしましては学校給食のものと基金の出資と、こういうことに相なる。三十四年度におきましては、私たちの方としては、酪農振興のために必要な経費は遠慮なく大蔵省の方に御相談を申し上げて、できるだけの措置をとるようにいたしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/32
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033・横路節雄
○横路委員 そうすると局長にお尋ねしますが、学童給食はこれからずっと毎年七億幾らは継続しておやりになるのですね。そういうふうにわれわれ考えておいていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/33
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034・谷垣專一
○谷垣政府委員 学校給食に関しましては、三十四年度以降どうするかという問題については、まだ大蔵省と議論をいたしておりません。農林省といたしましても、その結論には達しておりませんが、現在の学校給食の状況その他を考えますと、やはり永続的にやりたいという希望はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/34
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035・横路節雄
○横路委員 あなた今、取るものは取るのだ、出すものは出すのだ、だからことしは出資五億、学童給食七億、ちょうど十三億と見合う、こういうふうに答弁されたのだから、あなたの方は来年以降は考えてない、まだ折衝してないというのはおかしいので、今の御答弁では来年以降も農林省は責任をもってやりますと、こうならなければおかしいですよ。責任をもってやるのでしょう。七億何ぼについては、そうおっしゃったらいいでしょう。そうでなければおかしいですよ。税金はことしと同じように十三億取るのだから、来年七億何ぼかわからぬ、そういうおかしい話はないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/35
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036・本名武
○本名政府委員 今局長からお答え申し上げましたように、大蔵省と具体的な話し合いはいたしておりませんが、農林省としてはぜひこの制度は続けていきたいと念願に燃えております。しかし念願だけではいけませんので、今後において大蔵省と大いに折衝しながら努力いたします。ただ大力ン練乳の砂糖消費税十三億が、音産振興のために常に毎年予算のベースであるという考え方は、私どもは持ちたくないのであります。たまたま三十三年度において三十二年の砂糖消費税十三億が標準になって論義されましたけれども、今後においては、私はかりにこの十三億というベースがあるとすれば、それを上回るような予算を取りたいというのは、局長が申し上げた通りであります。さらにまた十三億にこだわりますことは大カン練乳の生産がぐっと減ったときには、それじゃ予算を減らしていいのかということを大蔵省に言われそうでございますから、私の方としては、大力ン練乳の税金の問題は一応この辺で切りかえて考えていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/36
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037・横路節雄
○横路委員 政務次官のお話を聞いて、非常に見通しが明るくて、大へんけっこうだと思う。そこで畜産局長にお尋ねしますが、十三億にこだわらぬでやるのだ、それでいいのです。そこであなたの方の学童給食です。市乳だけですと、やはり都会に限られると思う。そういう意味で全粉乳が今アメリカから来ている。しかしたしか国内におけるものが相当滞貨している。この全粉乳の滞貨がずっと学童給食でさばけるということになると、ずいぶん私は、あなたのいう間接的な乳価安定になると思う。そういう意味で、一ポンド当りのアメリカ側と、計算からすれば同じように、これを溶かして、一合当り何ぼといいますか、四円ですか、そうしてやはり全粉乳に対しても補助をなさって、一般市乳——都会ではない漁村であるとか、あるいは工場地帯であるとか、そういうところに対しても、全粉乳でやった方が、今の政務次官の趣旨にも沿いますし、学童全体に対しても、私はよき影響を及ぼすと思うんですが、その点については考慮されていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/37
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038・谷垣專一
○谷垣政府委員 御存じのように、一月から三月まで実施いたしました生乳に換算いたしまして約十万石の学校給食の実情は、その中に乳製品といたしましてのバター及び全粉乳を含んでおる。これは日本の状況から申しまして、関西、九州に起きまする生乳の状況と、関東、東北、北海道におきまする生乳の状況とはかなり違ったものがございます。市乳にとどまりませずに、そういう意味の乳製品を学校給食に使うことは妥当な方法であろうと私たちは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/38
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039・横路節雄
○横路委員 そうすると局長、これはますます拡大していくわけですね。ぜひ私はそうあってもらいたいと思う。
次に政務次官にお尋ねしますが、第十七条に「基金に、役員として、理事長一人、理事二人及び監事二人以内を置く。」というんですが、これはやはり給料は相当払うんでしょうね。このごろ何とか基金、何とか協会等がいろいろできて、農林大臣やその他の大臣が任命するんですが、われわれ考えてみると、それぞれの官庁で適当な人をうまくポストにはめる。しかし結果的に見ると、各省の事務次官や政務次官よりも、もっと高い給料をもらうということにどうもなりそうで、だれもわれ先にとこういうところに行きたくなるのじゃないかと思うんですが、もし予算がきまっていれば、差しつかえなければ、理事長は月何ぼ、理事一人月幾らということをここで話してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/39
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040・本名武
○本名政府委員 他の基金、その他との振り合いなどもございますし、ある程度の俸給はもちろんお払いしなければならぬと思います。予算はまだきまっておりませんから、従ってお説のようにどの程度で高い安いという御批判は今のところまだいただけないと思います。
それから役人その他行きたがる者、特に役人を引っぱり込むのじゃないかという御心配のようですが、これはどういう人を大臣が任命するかわかりませんが、かりにそういうことに弊害があるとするならば、その弊害は除去しなければならぬと思いますが、どういう人を幾らの俸給でということは、もちろんまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/40
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041・横路節雄
○横路委員 結果的には政務次官よりも給料が多いということになるのじゃないですか。こういうものを作ったら、結果的には中小メーカーに対する対策よりは、実際こういう人々のための対策ということになって——まだ予算を作ってないというのであれば、私はすなおにはあそうですかと聞いておきますけれども、あとで設立したときにあらためて聞きますよ。そのときに、いや、理事長については十五万やっています、あるいは理事については十二万やっていますというようなことになると大へんですよ。だからこういうものに対してはもっとすっきりしておかないと、どうもこういうものを作ったけれども、何人かの役員の生活を保障する——保障する程度ならいいけれども、保障をはるかに上回って、その者だけが非常なよき待遇を受けるということに結果的になりがちなんです。あなたの方で、予算はまだ検討してないとおっしゃれば、私もすなおにはあそうですがと聞いておきますが、いろいろの批判がここから生まれると思う。私はこれでやめますが、第七条と第八条については、このままでは私たち社会党としてはこの法案は簡単にはよう通せぬと思う。この点は政府の方でもはっきりと——今あなた自身も、これは中小メーカーに対する不況対策、在庫等に対する普通金融ベースに乗らないものに対してやると言うのだから、その筋を通す点からいけば、六億を下ってはならないというふうにきめておけば、せっかくこの法案が通って施行されても業務開始はできない。しかも五年間でそれを令部集めるということでなしに、この点もやはり中小メーカーの立場からいって十年なら十年ということにならなければ、この法案はなかなか通りませんよ。
もう一つは、この法案には生産者のことも書いてあるけれども、生産者のことについては、生産者とそれから生産者の側に立った乳価安定というものについて農林省は考えなければならぬし、さらに根本的な乳価安定についてどこか筋が抜けておると思う。そういう意味で乳価安定に対してもっと基本的な全般的な構想を農林省は明らかにされて、そういう関係法案を出されて、その一環としてこれを論議するというならば私は筋が通ると思う。そういう意味で、私は今回の農林省のこれはやや片手落ちの観があると思います。しかし他の方も御質問があるようですから私はこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/41
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042・中村寅太
○中村委員長 山本勝市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/42
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043・山本勝市
○山本(勝)委員 この法案の目的ですが、中小乳業者は不況で苦しんでおる、それを救うということに主眼があるのか。それとも牛乳の生産を安定させよう、そのためには価格の安定をさせなければならぬ、そのどちらに主眼があるのか。まずそれを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/43
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044・谷垣專一
○谷垣政府委員 この法案の目標は、単に乳業者に対しまして融資保証をするというだけにとどまっておりません。やはりそのことが生産者に乳代の支払いという形において支払われる、そこまでのことを含めて目標としておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/44
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045・山本勝市
○山本(勝)委員 要するに目的は両方に融資するということが書いてありますが、しかし主眼点は生産者を第一に置いて、こういう方法をとれば、完全ではないけれども、とにかく生産者の安定に資するということで、こういう方法をとろうというのか。あるいはさしあたって中小の乳業者が困っておる、それを救済しようということが主眼なのか、まずその点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/45
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046・谷垣專一
○谷垣政府委員 これは単に乳業者のところに滞貨の融資あるいはその場合の経営資金を融資するというだけにとどまっておりません。もちろん生産者の諸君に対しましても融資保証をいたします。同時に乳業者が融資保証を受けましたものが生産者に対して支払われる。つまりそこまでの広がりがこれの目標になっております。もちろん直接的に対象になりますものは乳業者及び生産者団体の乳代資金ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/46
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047・山本勝市
○山本(勝)委員 融資の対象は両方やるということですが、たとえば中小乳業者に融資することが中小企業者の救済が目的なのか、それとも結局そういう方法によって間接的にではあるけれども、究極のねらいは日本の酪農振興——酪農振興には生産者が安んじて生産していけるということが基本的なものでありますが、その基本的な生産者の安定をねらう、しかし直接そこをねらわないで、間接的な方法だけれども、結局は作ったものは幾ら作らしてみても適当な安定した値段で売れないところに隘路がある。その隘路を打開する意味でもしこういうことをやるのならば、生産者をねらいにおいてやることになる。従って乳業者に融資するにしても、いつでも融資のときの頭はその生産者との関連で融資することになる。そうではなくて、さしあたって困っておる乳業者を救うのだということが主眼であるならば、そこまで考えなくてもいい。結果においては影響を持つ程度で、それはいいことになるだろうし、大きな違いになるだろうと思う。要するに基本的な目的にやはり酪農振興ということがあるのでしょう。そうすれば私の理解ではやはり生産者の生産品が完全な安定は不可能ですけれども、できるだけ安定した値段で売れるように、そのためには中小企業者が資金に困っておることが実は障害になっておるから、とこういうことになってくる。私の質問意味が御了解願えるかどうか知りませんが、ただ両方に融資することになっていることはここに書いてあるのだからわかるのですよ。しかし融資の目的が乳業者自身の救済が目的なのか、もしくは生産者に融資する場合がここにもありますが、それは生産をふやす場合にも融資できますね。しかしほんとうの目的が乳価の安定ということがねらいならば、値段が下っていくときにますます生産をふやすために、売れる、売れないにかかわらず、ふやすことは逆の結果を見る。やっぱり究極は生産者がねらいなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/47
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048・谷垣專一
○谷垣政府委員 御存じのようにミルクの生産をいたしまして、それがメーカしのところにいきまして、メ—カーの手を通じて消費者に参る、こういう順序になります。ミルクの特性上生産制限が一気になかなかやれない状況になっておるわけであります。また御存じのように夏場はかなり消費がふえて参ります。需要がかなりふえるわけでありますが、生産者はどちらかというと、逆に減る場合がある。秋口から冬にかけましては品物によりますが、大体において需要は減退してストックがふえる、こういうことに相なるわけであります。それの波が若干のひずみを生じて参りますと、その影響が過度になって出て参る、御存じのように、現在のところは生産と消費の間に立っておりまするものはメーカーでございます。もちろん生産者の組織いたしまするものもございますが、大体メーカーがそれをコントロールする、こういう形に相なります。従いまして、しかもミルクの特性が、この生産制限というものがそう簡単にできない、この基金の目的といたしておりますのは、そういう需要と供給のアンバランスが一年の間にも交互に起って参りますわけですが、その際における乳価の急落を回避する一つの手段というところが一つの目標になっておるわけです。もちろんそれをやりますやり方といたしましては、メーカーの人たちに対して融資保証をいたします。かようなことに相なるわけでありますが、しかしそれはやはりメーカーの方に融資をいたしますが、そのことがこの酪農の特質からいいまして、住産者の方にもよい影響が及ぼされるということがやはり必要であろうかと思います。しかし先ほど山本委員が御心配になっておりますように、そういう場合に生産がどんどん増すようではまずいではないか、こういうお話でございますが、もちろん生産過剰になっておるというような場合に、どんどん生産を伸ばせるというようなところまでこれは考えておりませんが、ただ急速に乳価の下落が参ります。さようにいたしますと非常に激しい曲線を描いて参りますために、そのショックがかなり大きいわけでございます。通常あるべきものより大きい、しかし夏場まで品物を持っておればその波はゆるやかな形になって参る、こういうような商品の性格がございます。この基金で直接に融資保証対象にいたしておりますものは、生産者の場合におきましては乳代の立てかえ払いの形のものでございます。これは乳業の一つの性格から申しまして、メーカーの方の集乳の競争はございますけれども、やはりこういうようなときには生産者の方に対してメーカーが必ずしも競争をしない、メーカーの集乳の地域にほかからあまり手が出ないという場合も考えられるわけであります。独占と言っては言い過ぎになりますが、一つのそういう形になるからといって、生産者の方から参りますと、これに対しまして十分な生産制限なり何なりはなかなかできない、こういうかっこうでございますので、乳業者がそういう意味のこの基金の債務上の対象になるものを出資が不足しておりますあるいは出資していないというような場合におきましては、生産者自体としましても、代金を受けまするまでの間において、それに見返るだけのものをもって農民の方に対して、ある程度の乳牛を飼養していきます場合の資金は確保する必要がある、かような考え方で、そういう全体のいき方が生産者に対しましての乳代の支払いという形に確保される形をとって参る必要ある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/48
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049・山本勝市
○山本(勝)委員 私の質問がよく通じないようですが、その点は置きます。もし中小乳業者というものの救済ということがもし重点ならば、私はこの資金で全部の乳業者を救済できるかどうかということを念頭に置かないと乳業者の中で何分の一かの人間だけが救済される、乳業者が何軒あるかしれませんが、小さなものはみな資金に困っております。それが資金を申込んできた場合、その中で一割とか二割だけがこれで融資されることになると、その連中は救われるでしょう。それは救われますけれども、その残った八割なら八割のものはかえってその二割のものが有利な金融を受けたということで逆にマイナスの影響を受ける、それは業者が競争しておるから、その場合に競争しておる一部分がこういう国の有利な資金を受けるということは、その受けた人は確かに恩恵を受ける。その恩恵を受けただけ今度は受けられない者はマイナスの影響を受ける。ですから、そういう中小乳業者の救済というところにもし主眼があるのなら、融資の仕方——一部の者を有利にして、ランニングをやっておる者を一人だけ引っぱって、あとの者をそのために落伍させるというふうな結果が生じないように注意しなければならぬ。これはすべて民間の全金融機関の場合も起るのですけれども、民間はそろばんでやっておるのですからいいが、国がやるという場合、業者の中で一部の者だけ優待して、その優待したことが競争しておる他の者をシャット・アウトするような影響力を与えるということは非常に慎しまねばならぬ、これは私の考えです。資金をうんとふやして、救済しようという目標のものが大体救われるようなところにいけば別です。資金が少い場合はよほど貸し方を注意しないといかぬと思う。しかしそれよりも生産者が日本の酪農を振興させるということが、日本農業のただ一つというか、決定された一つの路線だ。米とかああいったものは、幾ら景気がよくても、豊かになっても、需要が一定量以上は、人口がふえない限りはふえないのですから、そうすると、豊かになるにつれて消費がふえていくものといえば、どうしても野菜にしても上等な野菜それから酪農、こういうところへ積み重ねていかなければ、米や麦ばかりでやっておったら、これは水のようになってしまう。ある限度以上は増産したら水のようになってしまいますから、どうにもならない。ですから、酪農の道というものは日本農業の行く決定的な道だと思う。その一番大きな問題は、生産者にどうしてよけい生産させるかというよりも、どうすれば生産したものが生産費をカバーして売れていくかということを考えないと、せっかく政府が勧めて作ったけれども、乳価が下って困ったということになる。そういう意味で、この法案は、おそらく酪農振興という日本の大きな基本線に従って、生産者の安定、そのためには販路の安定、その販路が、今のあなたの説明のように、ただ販路をふやしていくということだけならば、これは必らずしも乳価の安定にならぬと思う。ただ値段が上っていくということだけで、安定して、あまり急激に上り下りのないようにということがやはり必要だと思う。それには冬はそう心配はないが、夏は同じ一年の中でこういう変動がくる。これが資金関係からきておるというのは仰せの通りであると思います。そういう意味で、この法案そのもののねらいは私は非常にいいと思うのです。それは賛成なのですが、しかし今申しました通り、中小乳業者の窮況を救うということならば、先ほど言った点をどうしても考えなければならない。しかしそれよりも私は生産者の安定ということがもっと大事だと思う。先ほど横路君の質問を聞いておりまして、不況のときにおける中小企業者の云々ということを言いましたけれども、しかしあなたの説明では、不況というのじゃなしに、一年間にやはり季節的に変動があるのだ、その季節的な変動のないようにそこヘクッションを作っていこうというように聞いたのですが、あなたの説明の通りならばこの法案は非常に効果があるだろうと思う、こういうふうに考えて、実はどこに主眼があるのかということを伺ったわけですが、あなたの説明は両方にやるんだけれども、結果においては生産者にも影響するのだといって、生産者の方は非常に軽く聞えるのです。私はそういう意味でなしに賛成の気持を持っておるのです。生産者のためにこれは必要なんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/49
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050・谷垣專一
○谷垣政府委員 御存じのように、数年の日本の酪農の状況を見ていますと、夏と冬の間に生産と消費のアンバランスがある、従いまして乳価もそういうふうに違いがある状況でございますが、やはりその間の状況が数年に一度かなり大幅の変動を示す場合がございます。最近におきましては二十九年の秋から非常に生産が上りまして、需要とのアンバランスがあって乳価の急落が来まして非常な大騒ぎになったこともございます。ところが三十年の夏になりますと、その状況が吸収されて平常の状況に戻った。どちらかというと、むしろミルクを集めるのに競争があるというふうな状況になっております。しかしその間におきまする乳価の変動あるいはそれが農民に与えました影響、乳牛の手放しが行われたり、あるいは乳牛の屠殺が行われたりする状況、これはやはりばかにならない状況で、相当な大問題があったわけであります。これは順調にいっておりましても、夏と冬との間に問題がありますが、今度三十二年の秋口から、結果的には二十九年ほど激しくはございませんでしたが、しかし状況は二十九年と同じような様相を呈した問題がこの年の初めにかけてあったわけであります。そういうふうに、この基金がおそらく非常に効果を表わすであろうと思いますのは、そういう数年に一度従来の経緯から見ますとありますようなアンバランスのときだろうと思います。しかしそれにいたしましても、一年の間に、先ほど申しましたような夏と冬とのアンバランスがあるわけであります。それに対しましてもこの基金が力を出すものだ、かように考えているわけであります。御存じのように、これが一部の者に対しましてのみ債務保証をやるというようなことのないようにいたさなければならないと思いますが、ただ問題は、滞貨時の不況の時期になりますと相場はずっと先安になって参ります。そのときに、一、二の非常に耐久力の弱い者が品物を市場に投げ出しますと、実際の実勢以上に相場が急落をいたします。これは御存じの通りの状況だと思います。それが実際の実勢以上の形になって参りますので、これは非常に値幅の変動が激しい形になって、乳業界全体あるいは農民の方へそれがすぐ値下げの形になって出て参ります。そういう問題を救う必要があろうかと思うのであります。従いまして、実際にこれを運営いたします場合には、そこらの事情をよくわきまえた運営をいたさねばならぬと考えております。それからもう一つ、この軍用をいたします場合に、出資をいたしましたものの限度を一応十倍に押えております。十倍を限度としての債務保証ということにいたしております。もちろん当初の場合には政府の五億とそれから民間の一億でございますから、十倍ではなお債務保証の余力が若干残ることになろうかと思います。そういうものは特別の限度外の債務保証という形で制限をしながら認める必要があろうかと思いますが、とにかく一応の各個人々々の出資に対しましては出資に応じた分度を考えていく、またそのことは、もちろん債務保証をいたします場合にはその企業自体のいろいろな状況も問題になると思いますが、全体といたしまして、乳業界に悪い影響を及ぼさないというものに対してやはり重点的にいく、こういうことになるのじゃないかと思います。そのことが乳業界全体の、直接に債務保証を受けない諸君に対しましてもいい影響を及ぼす、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/50
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051・中村寅太
○中村委員長 細田綱吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/51
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052・細田綱吉
○細田委員 時間もおそいですから、畜産局長には次会にいろいろ教えていただくことにしまして、主計局の次長にお伺いいたします。御承知のようにこの法案の第七条に「基金の成立の当初における資本金は、六億円を下るものであってはならない。」こう書いてあるのですが、六億円というのは引き受け資本ですか、あるいは現実に払い込んだ資本ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/52
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053・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 このうち御承知のように、民間からは一億を予定いたしておりますが、その民間の一億といいますのは、払い込みを予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/53
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054・細田綱吉
○細田委員 そこで、八条ですが、この条文に「四年を経過した日を含む事業年度の末日までに、資本金の額の」云々と書いて、「五億円以上の額とするようにその資本金を増加するものとする。」とある。非常に含みのあるといいますか、書いてある条文の文字はどうか知りませんが、ニュアンスから、これは額を五億円以上の額とするように努力するというふうな意味にもとれるわけです。だから、四年、最初の一年加えて五年たってもしなくてもいいというふうにもとれるわけです。これは大蔵省の条文の慣用からいって、どういうわけなんですか。というのは前の条文には「六億円を下るものであってはならない。」こういう強いというが決定的な文言を使ってある。ところがその次は「増加するものとする。」こういって五億円以上の額とするように極力努力するというふうにとれるのだが、しなくてもいいんですか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/54
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055・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 七条と八条で非常に寛厳があるように、この表現からそういうお感じをお受けになることはごもっともでございます。しかし大蔵省の今のこれに対する解釈といたしましては、「その資本金を増加するものとする。」増加することができるとは書いてございません。従いまして基金としては当然この間に少くとも五億円のもを増加しなければならないというような気持でおります。御承知のように、するものとするというときには、せねばならぬというほど強くはございませんが、するものというときには、大体するのだという断定的な気持で使っている場合が多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/55
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056・細田綱吉
○細田委員 するものとするというのだから、行政措置あるいは行政的な一つの方向としては、おっしゃる通りですが、条文のニュアンスからいうと、どうしてもできないのだからしなかったんだということも可能の余地があると思いますが、この条文はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/56
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057・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 これは法制局長官の方の御答弁かもしれませんが、御承知のように法律にもいろいろ種類がございます。その条文通りいたしませんときには罰則を受けるものがございますし、それから罰則のない場合もございます。しかし同じように義務であることにほ変りはない。しかも一方に罰則のある場合もあり、またない場合もいろろあると思います。この場合におきましても、いわゆる行政の見地からいいますると、これは法律上義務ということに読めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/57
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058・細田綱吉
○細田委員 「増加するものとする。」ということは、行政上の立場から見て、法律上の義務であるということは確かです。しかし行政上の義務でやったのだけれどもできなかったからというふうに読むことは、この条文からいって出てくるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/58
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059・谷垣專一
○谷垣政府委員 農林省の方で作りましたものでありますから、ちょっとつけ加えて私からお答えいたします。第八条のこの書き方は、「増加するものとする。」ということで、ただいま主計局次長の力からお答えしましたことと同様のことでありますが、これによりまして基金に関係しております当事者、理事長、役員はもちろんでありますが、監督いたしております者も、この五年間に五億にいたしまする、少くとも義務を負うわけでございます。それに対する罰則は御存じの通りございません。またそれだけの努力をいたしましてできなかった場合ということは、この条文では実は予測をいたしておりません。大いに努力をし、それに達成をする義務があるんだということであります。もしもその努力が不十分であり、そういう十分なる責任を果せないという場合には、その基金の役員は努力不十分ということでおしかりを受け、あるいは農林大臣から解任をされるということもあるやも存じません。つまりそういう意味のものであろうかと解します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/59
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060・細田綱吉
○細田委員 そうすると、これは資本を増加しなければならぬと書いてはない。「増加するものとす。」こう書いてある。前条の用語と明らかに違うから、これは行政上の責任を負って解任を受けるし、謹賀も受けるかもしれないが、そういう余地はこの条文には残っておる、こういうことでございますね。——よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/60
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061・中村寅太
○中村委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ連合審査会はこれにて散会いたします。
午後四時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805034X00119580331/61
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