1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月七日(金曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 山下 榮二君
理事 伊東 岩男君 理事 高村 坂彦君
理事 坂田 道太君 理事 河野 正君
理事 佐藤觀次郎君
簡牛 凡夫君 清瀬 一郎君
杉浦 武雄君 田中 久雄君
渡海元三郎君 並木 芳雄君
野依 秀市君 濱野 清吾君
山口 好一君 鈴木 義男君
高津 正道君 野原 覺君
平田 ヒデ君 小林 信一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 松永 東君
出席政府委員
文部政務次官 臼井 莊一君
文部事務官
(大臣官房総務
参事官) 齋藤 正君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 内藤譽三郎君
文部事務官
(大学学術局
長) 緒方 信一君
文部事務官
(社会教育局
長) 福田 繁君
委員外の出席者
専 門 員 石井 勗君
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三月七日
委員田中久雄君、川崎秀二君、小川半次君及び
小牧次生君辞任につき、その補欠として北村徳
太郎君、清瀬一郎君、千葉三郎君及び大矢省三
君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員大矢省三君辞任につき、その補欠として小
牧次生君が議長の指名で委員に選任された。
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三月六日
毛筆習字を独立教科として義務教育に採用に関
する請願(大坪保雄君紹介)(第一四四九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国立競技場法案(内閣提出第六八号)
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一一四号)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律案(内閣提出第一一五号)
教職員の勤務評定に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/0
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001・山下榮二
○山下委員長 これより会議を開きます。
まず文教行政に関し調査を進めます。質疑の通告がございますから、これを許します。野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/1
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002・野原覺
○野原委員 文部大臣にお尋ねしたいと思います。この前の国会であったかと思いますが、教員の勤務評定が昨年から問題になりました際、私どもはこれを文教委員会で取り上げまして、文部大臣の御見解なり、文部当局のこれに対する準備等につきまして、お尋ねをしたのであります。その際文部大臣は、これは速記録を読み上げてもよろしゅうございますが、こういうような御答弁をなさっておるのであります。教員の勤務評定ということは、きわめて大事なことであるから、どういうような案でこれを実施するとかいうことは、目下文部省で検討中である。従ってりっぱな案ができたならば、すみやかにこれを下部に流して実施したい、こういう趣旨の内容を持った御答弁をされておるのであります。そこで私どもは、ずっと今日までお尋ねしておりませんけれども、その後文部省で検討されました教職員の勤務評定案というものが検討中であると御答弁なさっておる以上は、あろうかと思いますから、お示しを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/2
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003・松永東
○松永国務大臣 御指摘になりました通り、その当時私は今申されたような答弁をしておるのであります。それはその当時は答弁の通り研究中であったのです。ところが、日は忘れましたけれども、十二月の二十日でしたかに、都道府県の教育長会議において、一つ案を研究しておられました。その案が何でもでき上ったというので新聞等に公表されまして、私の手元にもその案が参りました。そこで、非常に重要な問題でありますために、どうすればいいかと検討を重ねつつあったのでありますが、成案を得ないうちに教育長会議で一つの案ができまして、そうしてこれを他の各教育委員会の方に案として提出する、こういうようにきまったことを聞いております。従って御承知の通り、私の方はこうした問題についてはいわばわき役であります。主導権を持っておりますのは都道府県の教育委員会でありますために、その教育長会議並びに教育委員長会議で、その案をその土地々々の実情に即するように一つやろうというような申し合せがあったということを承わっておりますので、その後私の方では、その案についてはまだ作っておりません。これは作る必要がないから作らなかったわけであります。今もって作っておりません。しかし大体の構想、それはこういうふうにすべきだというような構想は、お互いにねりましたけれども、まだ成案というふうには参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/3
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004・野原覺
○野原委員 大臣は御承知のように、都道府県の教育委員会に対して指導助言の責任を持っておられるのであります。権限と申してもよかろうかと思うのであります。文部大臣は指導助言の立場にあるから、勤務評定というものは自主的に都道府県の教育委員会が制定しなければならないものであるけれども、しかしその基準を示すことは文部大臣の職権でもあり、職責でもある、こういうような考え方で当初臨まれておったに違いない。またそういう御答弁をされていらっしゃるのであります。ところがただいまお開きいたしますと、都道府県の教育委員会が実施するところの勤務評定というものは、全国教育委員会の教育長会議の試案をもってこれに充てるのだ、そういう方向に十二月二十日ごろ切りかえられた、こう申されるわけでございますが、そうなりますと、都道府県教育長会議の試案というものに対して御検討なさっていらっしゃるに違いない。文部省の考え方、文部省がこういうような基準でなければならないというその理想が、今度の教育長会議の試案には十分盛り込まれておる、こうお考えになられて肩がわりされたのかどうか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/4
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005・松永東
○松永国務大臣 これは今御説明申し上げました通り、都道府県教育委員会が主導的の立場に立ってやるのでありまして、私の方から何も命令したり何らするわけではありませんので、あの案についてわれわれもまだ検討すべき点もないでもありませんけれども、しかし主導性を持っておられる都道府県の教育委員会で、これで土地々々の事情に即応するようにやっていこうということで研究を進めておられるということを承わって、まだそのままになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/5
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006・野原覺
○野原委員 あなたの方で基準案を作って流すのだということを言っておられた。ところが教育長会議で試案が出てきたでしょう。だから文部省が考えておる考え方というものは、今度の教育長会議の試案には十分盛られていなければ、これは文教委員会で文部省が基準案を作って流すのだといって発言されておる点から申しましても、やはり基準案検討の作業は続けなければならぬと私は思う。私どもにはそのことを文部省はやりますと約束されておったのです。ところが新聞で見ると、いつの問にか文部省の基準案というものはどこに消えてしまったのか、私どもいまだに杳としてわからぬ状態に置かれておる。だからこれを切りかえられたというのは、教育長会議の試案というものは、これはりっぱなものだ、文部省の考え方というものは十分に入っておる、こうお考えになって切りかえられたかどうかということを言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/6
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007・松永東
○松永国務大臣 切りかえたのではないのです。私の方で一つの案を作ろうということを考えておったことは事実です。しかしながらこれはなかなかむずかしい問題ですから、しかもその土地々々の環境に従って、いろいろ地方の特異性をやはり織り込まなければならぬのじゃないかという考え方もありまして、それで普遍的な案ができずにおった折から、教育長会議でそれを作り上げ、委員長会議でそれを採用するということになりましたので、その内容についてはまだ私どもも十分研究しなければならぬ点もあると考えておりますけれども、しかし一応主導性を持っておる教育長会議並びに教育委員会においてそうした案を作られた以上、全然われわれの意図に反したようなものでもありませんから、そこでその案がどういうふうに各地方地方で成案を得られるかということを、今見ているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/7
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008・野原覺
○野原委員 作業を切りかえたということが悪ければ、その基準案を作成する作業をおやめになられた、とこう訂正してもよろしゅうございます。結局おやめになられたわけはどういうわけかということです。それは教育長会議から試案が出てきたからでしょう。そうすると教育長会議の試案の中に、あなた方が作る場合の基準案に盛り込むべき考え方というものが十分盛られておる、とこう考えられたから、その基準案を作成する作業を文部当局はおやめになったのではないか、私はこう聞いておる。文部大臣の立場を何とか有利にしたいと想って尋ねておるのですから、すなおにお答え願いたい。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/8
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009・松永東
○松永国務大臣 それは有利になろうと不利になろうとありのままを申し上げるのですが、先ほどから申し上げた通りなんです。要するにそうした案が出ましたので、まあまあこれでいければというふうに考えておるだけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/9
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010・野原覺
○野原委員 そうなりますと、文部省が考えておることがそっくりそのまま教育長会議の試案に出るということは常識から考えてもこれはおかしいのですが、やはりどこか違うところがあったに違いないのです。従って教育長会議が試案を作るときに、やはり文部当局はこれに対してサゼスチョンを与えたり、干渉したりされたに違いないと思いますが、これも一つすなおにどの点はこれは考えがおかしいからこういう指導を内藤局長を向けてやらしたとか、あるいは地方課長を向けてやらしたとか、こういうことはすなおにおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/10
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011・松永東
○松永国務大臣 私はすなおにしか言えない男でございますからすなおに申し上げますが、実は何も私は局長に命令したり局長に示唆したりして活動させたことはありません。従って局長がそうした会議に出席せられたことも私は知りません。ただ先ほど来繰り返し申し上げる通り、教育長会議の案ができたというので、その案を見せられたことはあります。しかしその案は全然私の考えと一致しておるとまではいきませんけれども、まあまあ主導性を持っておるところの教育長あたりでこういう案を作られたならそれもけっこうであろう。決してその内容がわれわれと絶対に反対しておる問題ではありませんので、それを見守っておるというだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/11
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012・野原覺
○野原委員 それではその教育長会議の案に御不満の個所はどこなのか、私は他の団体が作ったものがそっくりそのまま、文部当局の考えたことに、この種の膨大な、詳細な内容を持った勤務評定が一致するとは考えられません。だから不満な個所があるに違いないのです。だからその不満な個所はどこなのか。私はここに一応教育長会議の試案を持ってきておりますが、これは都道府県教育長協議会から出されたパンフレットでございます。だからこのどこが、文部当局としては考えなければならぬというような考えがおありに違いない、おっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/12
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013・松永東
○松永国務大臣 その内容が全然相反する内容じゃありませんから、こまかなことをあげ足とって、ああもしたい、こうもしたいということは、なるべく避けた方がいいかと思います。私は先ほど来申し上げた通り、どの程度にやられるかということを見守っておるというだけのことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/13
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014・野原覺
○野原委員 文部大臣は失礼ですけれども、案の内容を私よりもお知りでないと思うのです。これは私はたとい一夜づけとはいいながら、昨晩全部読んだわけですから、どれだけの項目が評定されるかということをお聞きしたら御答弁にお詰まりになるはずです。しかしそういう殺生な質問はしません。そこで内藤局長にお聞きしますが、あなたが当面の所管の責任者でございますが、この内容はあなた方が当初考えておった基準案の考え方がそのまま出ておりますか。それともここはどうだという御意見がありますか。おっしゃって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/14
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015・内藤譽三郎
○内藤政府委員 すでに都道府県教育長協議会で示された案でございますし、私どもは今これについて実施の段階を控えておりますので、とやかく批判がましいことは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/15
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016・野原覺
○野原委員 それでは議論を発展させつつなおお尋ねしたいと思います。去年の夏だったと思いますが、文部省は国立学校の付属小中学校で勤務評定を実施しようというので、その案を流しておるのであります。すでに発表された文部省の基準案なるものと、今回の教職員の勤務評定試案という題目で流されております都道府県教育長協議会の試案とはどういう点が違っておるとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/16
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017・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは国立学校にやった案と全面的に違っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/17
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018・野原覺
○野原委員 その全面的に違っておる個所、それはどういうところですか。その点についてどういうふうな反省を持っておられるか。あなた方すでに流したが、教育長協議会の試案が出て、この試案が妥当だというので黙認をされた。都道府県にこれでもって指導してもよろしいと黙認されておる。文部省の基準案は去年流されており、全面的に違っておって、のほほんとされておるというのはおかしいじゃないか。どういう反省、どういう自己批判をされておるか。その点についてどういう点が全然違っておるか、全面的にというようなあいまいな答弁は私は文部官僚には許しません。文部大臣はこれはやむを得ない。あなたは専門家である。だからして私は国会議員として伺いたいが、全面的に違っておるならばそれは一体どちらが正しいのか。去年流した基準案が正しいと今もって考えるか、それとも教育長協議会が流しておる今度の試案をりっぱなものと考えておるか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/18
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019・内藤譽三郎
○内藤政府委員 都道府県教育長協議会の案は相当弾力性がございます。これは各県の事情によるために、たとえば点数側をとってもいいし、あるいはABCDEという標語をとってもよろしいし、あるいはよい悪いというような五段階をとってもよし、三段階をとってもよい、そういうふうに非常に弾力性のある書き方をしております。いま一つは、正常分配曲線をとっておる。文部省の案はAが一割とかあるいはA、B合せて三割とかいうふうにやっております。それから文部省の方は一応五段階をとっておりますが、都道府県教育長協議会の方は三段階でもよろしい、あるいは五段階でもよろしい、こういうふうに各県の実情に合うように相当弾力性を持たしてある。それから履歴事項のようなことが文部省の案には入っておりません。都道府県の教育長の案には入っております。それから評定要素の項目が相当違っております。文部省の案はたしか五つの項目をとっておったと思いますが、一方は七つないし八つ、二つの系列をとっております。一つは職務の内容と申しますか、学級経営あるいは学校経営、こういうような内容面からとった面、それから態度の方からとっておる、たとえば誠実であるとか教育愛があるとか、この態度の面と職務の内容の面、両方からとっております。文部省の案はこれを一本にしております。こういうふうに非常に個所が違っております。都道府県教育長の方は、これは各県の実情に合うように相当幅のある案でございます。文部省の案は全国一律に流しておりますので、その意味では弾力性がないわけであります。各学校で取捨選択ができるようになっておりません。それから文部省の案はこの前の昭和二十七年にやったものの修正でございますので、昭和二十七年当時と非常な変革を来たしているわけではないのであります。ところが都道府県教育長の試案は、世界各国の例も御参考になったと思いますし、また今までの国立学校のもの、あるいは国家公務員、地方公務員、いろんなものを研究された結果、新しいさら地に作られたのですから、割合従来の行きがかりにこだわりなくおやりになった、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/19
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020・野原覺
○野原委員 そこでどちらが妥当性があるというのか。つまり教職員の勤務評定としてはどちらがいいとお考えになりますか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/20
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021・内藤譽三郎
○内藤政府委員 それぞれ事情が異なっておりますので、私は両方とも妥当だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/21
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022・野原覺
○野原委員 あなた方は五段階式をとられたのですが、国立学校の付属学校に流したものはそうなっておる。あなたも今それはお認めになられた。五段階式というのは、Aに属する者が非常にすぐれている、それからすぐれている、普通、普通よりやや劣る、劣る、こういうように教員を五つの評価でやろう、画一的にこういうやり方をしようとされておる。ところが今度の教育長協議会の試案を見ると、あなたも認められたように、その段階式というものは五段階でも三段階でもよい、たとえば三段階の場合は、A、B、C、よい、普通、悪い、こういうやり方をとっておる。こうした序列、教員をA、B、Cに格づけする、あるいは五つの段階に格づけする、格づけした序列を打ち出しておるという点は、何も違ってはいないのです。あなたは違っておると言うけれども違ってはいない。五段階か三段階の違いがあるだけで、どちらも格づけして序列をきめようという考え方は一緒だ。だから、この考え方は私はよくないと思う。だから、これは違っておるといっても違っていない、これは同じだと私は考える。ただ私が特に問題にしたいのは、あなたも今言われたように、正常分配曲線の問題なんだ。だから、たとえばAが一割、Bが二割、それからCは四割、Dは二割、Eは一割、つまりノーマルな曲線を描かせるように三十人の学校においても教員を格づけするというやり方、このやり方は非常な誤まりを犯しておるというので、今度の教育長協議会試案ではこれだけは削除しておる。これは非常に違う。この点をどうお考えになりますか。あなたはどちらでも妥当だということを言われたが、正常分配曲線をとるべきだ、こう考えてそういう発言をされておるのかどうか、これをあわせてお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/22
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023・内藤譽三郎
○内藤政府委員 国家公務員につきましては、正常分配曲線をとっております。これは人事院規則でも同じでございます。ですから、これをとるにはそれぞれの理由が私はあると思います。特に国立学校のような場合は、大体付属は均等になっておりますから、そう片寄っておるとは思いません。しかし地方の教員の場合になりますと、これは地方の学校差もあるし、いろいろな条件があるので、正常分配曲線をとることがかえって教育上阻害を来たす場合日もあると思いますので、都道府県教育長協議会の試案では正常分配曲線をはずしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/23
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024・野原覺
○野原委員 あなたは人の間いにいいかげんな、なめたような、ごまかしたような答弁をされると事はめんどうになりますよ。ではお聞きしますが、文部省の職員に勤務評定をやっているはずですね、文部省職員の勤務評定の内容はどうなっているか。国立学校の付属学校に流した案との違うところ、同じところ、教員と職員の場合どういう点が違うのか、文部省に例をとってどうなっているかをお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/24
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025・内藤譽三郎
○内藤政府委員 大体同じでございます。違うのは評定要素が違うだけでございまして、中身は同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/25
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026・野原覺
○野原委員 同じというのは、つまり国立学校の付属学校に流してから同じにしたのではないか。これは国立学校付属学校に去年の夏流しているのだがその前に例をとってみると、昭和二十七年——去年七月二十九日ごろ国立学校の付属学校に基準を流そうという段階になった。今度は文部省の職員の勤務評定を変えられた。これは三年前の勤務評定と、去年の勤務評定と、文部省は一番最初の勤務評定を実施してからずっと一貫して同じ内容できているがどうか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/26
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027・内藤譽三郎
○内藤政府委員 文部省の職員も国家公務員でございますので、国家公務員については国立学校付属学校と同じ歩調をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/27
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028・野原覺
○野原委員 だから去年の夏から国立学校の付属学校に実施するようになってから、文部省の職員の勤務評定の内容を国立学校付属学校の教員と同じようにしなくてはならぬ、こういうのでお変えになったことはありませんか。実施されてからずっと今日まで同一内容できているかどうか、明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/28
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029・内藤譽三郎
○内藤政府委員 去年七月に行いましたのは、昭和二十七年以来行なったものについての反省をいたしまして簡素化する、趣旨は簡素化の意味でございます。ですから国立学校も簡素化しましたし、文部省の職員も簡素化したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/29
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030・野原覺
○野原委員 それではお聞きしますが、正常分配曲線の問題で、ここにAという学校があって、そこに職員が三十人いる。それを格づけするのに、非常にすぐれているというのを一割作るというと、劣るというのをこれに対応して一割作らなければならない。すぐれているというのを二割作ると、普通よりやや劣るというのを二割作らなければならない。そうしてまん中の普通というのは四割だ、こういったいわゆるノーマルな正常分配曲線のやり方というものは、これは妥当と思いますか、あなたは現にそのように思っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/30
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031・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは職場にもよりけりだと思います。大体職場が均等な人的構成をしている場合は、正常分配曲線があることがいいのじゃないかと私は思います。そうでないと、評価の仕方がばらばらになります。ただ職場の人的構成が非常に違う場合には、正常分配曲線は必ずしも適当ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/31
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032・野原覺
○野原委員 職場が大体均衡しておる場合はいいじゃないかというけれども、どういうわけでいいのです、どういうわけでいいのじゃないかというと言葉が吐けるか、その根拠を示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/32
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033・内藤譽三郎
○内藤政府委員 たとえばA局とB局あるいはC局があります。この場合の人的構成がほぼ同様な場合には、ある局長が主観によって自分の局はAが五割いるという評価をします、他の局はAに相当する者が一割しかいなかった、こういうふうになりますと非常に混乱が起ると思う。特に特別昇給をするような場合にAを対象にしておりますので、片方は五割を特別昇給の対象にするし、他の局は一割しか対象にしない、こういう不公平が出てくると思います。人事院は現在正常分配曲線をとる方式をやっている。これは国家公務員について全部正常分配曲線をとっている。だから私どもは国家公務員については異論はあるかもしれませんけれども、まあまあ大体いいのじゃなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/33
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034・野原覺
○野原委員 正常分配曲線がいいのじゃなかろうかというお考えを持っておりながら、正常分配曲線は断じていけないという考え方に立って教育長協議会の試案ができておるのをなぜ黙って放任しておるのか。あなたはそういう考えを持っておりながら、正常分配曲線を否定した今度の教育長協議会試案について一言もおっしゃらぬというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/34
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035・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは私先ほどから申し上げておるように、学校差というのが相当あるわけなんです。非常に教員組織のいいところと悪いところが現実にあるわけですから、この場合に正常分配曲線をとるとかえって弊害が起きてくると思うのです。ですから地方教育の場合には正常分配曲線がない方がむしろ地方の教育事情に適合しておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/35
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036・野原覺
○野原委員 だれが聞いてもあいまいだね。あなたはきょう発言されたことを速記ができたらゆっくり頭を冷やして読んでみなさい。追い詰められた人は苦しまぎれに言っておるのだけれども、しかしあなたはこの場をのがれることができても、速記録というものに載った内藤初中局長の見解は教育心理学者、特に勤務評定専門の学者が一生懸命研究されるのですよ。日本の文部省の初等中等教育局長ともあろう者がそういうことを言われちゃ困る。三十人教員がおって、校長が教員を評定する場合に、いやでもおうでもAは一割だ、Eは一割だ、Bは二割だ、Dは二割だ、こういうむちゃくちゃなことはないと思う。私は教育心理学者じゃないから素朴な私の常識で言っておる。こんなむちゃくちゃなことはない。たとえばAならAという学校には非常にすぐれた教員Aが五割おるかもしれぬ。あるいは一番劣る教員Eが六割おるかもしれぬ。それをお前の学校はAは一割にせい、Aを一割作ったら一番べったのEも一割にしろ、こういうような押しつけ方をするから、愛媛におきましても校長先生が音を上げた。こんなことはできません、初めからワクを作ってBは何割だ、Cは何割だ、こういうことをやられたのじゃ私どもは私どもの良心に対して教員を評定することはできない、教員を評定して出せというならば出しましょう、しかしながらこういう正常分配曲線というようなやり方でやられたのじゃ困るということが実は愛媛の場合に出ておる。愛媛はすでに勤務評定が実施されたところなんです。私は当然のことだと思う。これは自民党の方もお考えになればお認め下さると思う。一つの集団を評定する場合に、初めからワクを作ってやるなんというむちゃくちゃなことはない。これが賢明なと申しましょうか、全国の教育長会議で問題になった。だからこのやり方はやめようじゃないか。このやり方は、今日私の読んだ範囲においては勤務評定について専門的な大学の教授、学者というものは正常分配曲線はとるべきでないということを言っております。ところがたとえば日本人全体とか東京都における教員の全体とか、こういう何十万、何百万という場合にずっと統計をとっていくと、大体こういうノーマルなカーブができる。しかしそれは大集団の場合である。大集団における蓋然性という言葉を心理学者は使っておりますが、それを二十人か三十人——十人の学校だってこれをやるというのがあなたの当初の考えだった。十人おる学校に一番いいのが一人だ、そしたら必ず悪いやつを一人作れ、このようなワクがつけられたときに、そこに追い込まれる教員の立場に立って考えてごらんなさい。あまりに官僚的じゃないかね。勤務評定に対する官僚的なこういったやり方を問題にして、今度の教育長協議会の試案は省いておる。これに対していまだにあなたは反省がない。正常分配曲線はいいのだ、こういうことをぬけぬけと答弁されることを文部大臣どう考えますか。私と局長の質疑のやりとりをあなたはどうお考えになる。正常分配曲線というものを、失礼ですけれども今初めてお聞きになったかもしれません。しかしながら十人やそこいらの学校に一番いいやつが一人おったら、一番べったも一人作らなければならいというような窮屈なワクを全国の学校の先生に押しつけて、こういう評定をやれというやり方を安当とお考えになりますか、文部大臣の御見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/36
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037・松永東
○松永国務大臣 私の承わっておるところでは、野原委員の仰せになったように、ちゃんと一番いいのはAクラス、一番下はEクラス、ことごとに当てはめてやるように聞いております。いいのはいい、悪いのは悪いと率直に示す、それを基準にするというふうに私は承わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/37
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038・野原覺
○野原委員 私はいいのが三人おったら、評定はよかったらよかったでいいと思うのです。それを初めからワクをつけて、どこの学校でも一割だ二割だというやり方を押しつけていったところに、当初文部省が流そうとしておった基準案に問題があったし、愛媛県においても校長がこれは困ると非鳴をあげたおもな原因があったわけなんです。この点については、初中局長が率直に、おれは特定の小さな集団ではこういうことはすべきではないという御見解を述べられるだろうと思って質問した。ところがいまだにこれはいいんだ、同じレベルのものはやってもかまわないんだと言う。付属小学校には優秀な教員が集まっているかもしれぬが、優秀な教員が集まっておる付属小学校においてはなおさら申し上げなければならないという見解を持っておる。だからそういう点に対して反省のないことをまことに遺憾に思います。大臣は委員会が終ったら一つ局長を呼んでよく注意していただきたい。
それから文部省では勤務評定をやっておるといいますが、その内容はおいおい見せていただこうと思いますけれども、一体どの範囲から勤務評定をしていますか。部長、局長は文部大臣が勤務評定しておりますか。文部大臣にお尋ねしますが、あなたは内藤局長の勤務評定をやっておりますか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/38
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039・松永東
○松永国務大臣 そういうことは事務次官がやっております。どの局長、どの部長、どの課長をどんなふうにやっているかということは——やっているには違いありませんが、私はよく記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/39
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040・野原覺
○野原委員 全国の教員諸君が、勤務評定を軽率に実施されては困るといって、大会まで開いたりして騒いでおる。全国の先生が騒げば、その背後には一千何百万の子供たちの親がおるわけでございますから、これを問題にしておる。そういう場合に松永さん、あまり冷淡だと思う。うちの官庁の勤務評定はどうなっておるかぐらいは御研究あってしかるべきなんです。内藤局長は勤務評定は受けておりません。それをあなたはどうお考えになりますか。勤務評定を受けてないもんだから、教員に勤務評定をやろうやろうと出ておるのじゃないかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/40
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041・松永東
○松永国務大臣 これはやっぱり事務次官が勤務評定をやっているそうです。今内藤局長が隣で勤務評定を受けておりますと言っております。ですからやっぱり勤務評定は受けておるんだそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/41
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042・野原覺
○野原委員 内藤さんにお尋ねしますが、あなたは受けておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/42
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043・内藤譽三郎
○内藤政府委員 受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/43
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044・野原覺
○野原委員 それはどういう内容で受けておりますか。あなたは査定された勤務評定の結果を事務次官からでも聞いたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/44
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045・内藤譽三郎
○内藤政府委員 私がやっておる分は課長、課長補佐まででありまして、それ以下の職員につきましては大体課長にまかせております。局長、部長は次官がやっていらっしゃいます。様式は文部省職員全部が同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/45
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046・野原覺
○野原委員 一般に中央諸官庁においては、人事院の承諾があれば、部長以上は勤務評定を受けなくてもよいということになっているのを御承知かどうか、内藤局長いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/46
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047・内藤譽三郎
○内藤政府委員 御指摘のような内容のことは人事院規則にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/47
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048・野原覺
○野原委員 文部大臣にお願いしますが、次官が局長以上の評定をどの範囲で、ほんとにやっておるかどうか疑わしいものがある。私は昨日人事院に行って調査をしているのです。私はいいかげんに、知らずに聞いておるのではない。何もかも調べてきて聞いておる。だから、今局長は次官から評定をされておるのか。稻田次官はきょうはここにお見えになっておりませんけれども、教員が校長から評定を受けるように、定期的に、あるいはこういった内容でほんとうに評定をしておるかどうか。文部省では大臣が最高の責任者なんです。あなたは国務大臣であると同時に行政庁の長官です。あなたが、一体それは受けておるのだろうか受けていないのだろうかというようなあいまいな状態に、今日の部局長の評定というものは置かれております。これはいかがですか。もちろん勤務評定の結果というものは公開はできないわけです。公開はできないから、ここに持ってきて内藤局長の勤務評定を見せろと、私は要求できませんが、あなたはそれをごらんになる必要があると思う。あなたの部局長は次官からどういう評定をされておるか。就任以来九カ月になります。一ぺんもごらんになったことはございませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/48
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049・松永東
○松永国務大臣 先ほど来申し上げる通り、勤務評定が省内に実施されておるということは、私も承知しております。しかし一ぺんも問題になったことがありませんので——正直なことを申し上げると、ほかに研究調査することが非常に多いので、省内の勤務評定がどんな程度に、どんなふうにやられておるかということは、研究しておりません。今御指摘になりましたので、一つよく研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/49
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050・野原覺
○野原委員 どうも文部大臣は詳しく御承知でないから、質問しても御答弁ができないかと思いますが、これは人事院規則を読めばわかるのです。本省の部局長それから地方官衙にあっては長、たとえば大蔵省においては造幣局長とか、そういうものは大体勤務評定は受けなくてもよいという規定がある。この規定によって人事院は承諾をしておるのです。文部省だけ、部局長が勤務評定を受けるようにしておるのか。人事院の承諾を求めていないのですか。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/50
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051・松永東
○松永国務大臣 さっき申し上げた通り、よく私の方で研究しておりません。さっそくきょうにでも研究してみたいと思います。どういうふうになっておるかを調査してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/51
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052・野原覺
○野原委員 内藤局長の答弁を要求しますが、大蔵省あるいは自治庁は部局長は評定を受けていない。この法律があるからできるんだから、人事院は承諾しておる。文部省だけこの評定を受けることになっておるのか。率先勤務評定の模範を示すためにそうしておるのか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/52
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053・内藤譽三郎
○内藤政府委員 私は次官や大臣から勤務評定を受けておったわけです。ですから、どういう様式で——今まで私がお答えしたように、一般職員と同じ様式で、勤務評定を受けておると私は思っておりますが、あらためてその点は調査してみたいと思います。と申しますのは、勤務評定の結果を私ども公開されておりませんので、どういう勤務評定を私にしたのか、あるいは次官がどういうふうにされたのか、あるいは大臣がどうされたのかということを、聞いておるわけじゃございませんから、その点は帰って次官によく聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/53
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054・野原覺
○野原委員 あなたは先ほど、勤務評定を受けておると断言しておる。そうして今私が追及したら、受けておるのか受けていないのかわからなくなってきている。全国六十万の教員が、勤務評定をすることを早計にやっては困る。困るのは、自分が点をつけられるから困るのじゃない。一体今日の民主教育をどうするのかと、泣いて訴えている。その泣いて訴えておるのを、強硬にやろうとしておるのはあなただ。あなたみずからがどういう評定を受けているのか、受けていないのか知らぬような状態で、六十万の教員の勤務評定をしようというのは、何事だ、失敬千万な……。それで文部省の初中局長が勤まると思うか。自分が受けているかいないかも知らないで答弁して、しかも今ぼくが六法全書を持ち出して追求すると、うしろから齋藤君に注意を受けて答弁を翻すというような——おのれみずからが勤務評定について実に冷淡だ。おのれを律するに甘いのだ。おのれを律するに甘いのが、教員に対して——ぼくは次から次に二時間も三時間もやる。原稿を持ってきておるから、やるが、ほんとうにつまらない通牒を流して、下部の教員組合、教育委員会、国民全体を混乱さしておるのはあなたじゃないか。何たることか、その答弁は。文部大臣、あなたはこういう答弁を黙ってお見逃しになるのか。文部大臣は国務大臣だから、こういうこまかいことの答弁ができないことは、私も了解する。しかしながら勤務評定を担当しておる者、しかも勤務評定を強硬に実施しようという者が、おのれみずからが一体、評定を受けておると言ってみたり、それは調べてみなければわからないと言ってみたりする。こういうあいまいなことを許すつもりか。私は局長の答弁は要らない。文部大臣の答弁を要求する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/54
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055・松永東
○松永国務大臣 これは勤務評定は受けておるのですよ。受けておるのだけれども、受けておる局長御当人が知らない。知らないはずなんです、次官が勤務評定をしているのだから。次官の帳簿には必ず——どういう評定をしておりますか、評定してあることは間違いない。だけれども、それは評定を受ける局長に、お前さんはこんなふうに評定したぞと、一々相談があったり報告があったりするものじゃない。それで内藤局長は勤務評定を受けておるけれども、どんな内容になっておるかは知らぬ。これは当然のことと思う。でありますから、内藤局長は勤務評定を受けているということは承知しておりますが、その内容がどんなふうであるかということは知らぬ。従って、私が先ほど申し上げた通り、その勤務評定をいたしますのは事務次官でありますから、事務次官によく聞きまして、果してそういうことをやっておるかおらぬかを調べてみたい。さらに、やっておるとすれば、これは秘密なことでしょうから、外には持ち出せないでしょうけれども、私が聞くことは聞けるのですから、そこでよく調べてみたいということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/55
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056・野原覺
○野原委員 あなたは、失礼な言い方ですけれども、御答弁の際によくそらす悪いくせがあります。(笑声)いつもそらそう、そらそうとされておる。しかしあなたが今御答弁なさったことは、私の質問に対する答えになっておりませんし、速記録をごらんいただけばわかります。だから、このことはあらためて問題にいたします。これは人事院に行って調査をすればわかることです。だから、あらためて問題にいたします。
そこで、私は今一応、全国教育長協議会の試案に関連して尋ねてきておりますので、この点のまとめとして申し上げておきたいのは、愛媛において勤務評定が実施された。その場合に正常分配曲線を押しつけられてきた。それから去年の夏、文部省が国立の付属小学校に、これも正常分配曲線で押しつけてきておる。この二つを全国の教育長協議会は非常に反省をされて、私の調査によれば、実はたくさんの点においてこの内容というものは変ってきておるのです。今言った正常分配曲線の割当を作っちゃいかぬとか、各評定要素は、必ずしも点数で評価しなくともよい。人間を何点だ、句点だと、八十何項目に分けて、その点を合計して、この人間は五十点の値打ちしかない、この人間は六十点の値打ちしかないなんて、そんなことが一体できますか。そういうふうなことをしなくてもよいといったような、そういう考え方できておるわけであります。そこで、こういう考え方をあなた方は黙認をされた。作業中だ、基準は文部省が作るんだと言明しておきながら、その後文教委員会には何の話もありません。私がきょう質問したから、初めて、いや、それは教育長協議会から出たからやめたんだ、こういう答弁です。だから、教育長協議会の試案を黙認されておるということは、指導、助言の立場にある文部大臣がこういう試案を認めたことは、教育長協議会が認められたことが正しいとやはりお考えになったことだろうと思う。そうなって参りますと、やはり文部省の責任というものが起ってきます。過般の愛媛におけるあの問題というものは、これは文部省といえども責任があるじゃないか、こういうことを私どもは考えておるわけであります。
そこで次にお尋ねをいたしますが、この前の国会で、文部大臣も内藤初等中等教育局長も、勤務評定は給与の場合の参考資料にするんだ、こういうことを申しておるわけです。そうなって参りますと、正常分配曲線でワクづけされて、いやでもおうでもその学校ではびりけつが一割で、その次に悪いものが二割作られる。それで愛媛の場合には、三割の昇給ストップをしなければ愛媛の財政困難を切り抜けることはできない。教員給与も十分組まれていないから、愛媛の知事は三割ストップということを掲げたのです。その三割ストップにしても、教育委員会がこたえなければならないというので、それではこたえるには、勤務評定をやって正常分配曲線でワクづけしてやろう、こうなってくると、やはり教員にとっては大問題です。こういうむちゃくちゃな乱暴なやり方で三割ストップに代行させられたということになると、大へんなことになるわけであります。そこで勤務評定は一体何のためにやるのか。私どもはここでもう一ぺん考え直さなければならぬときがきたと思う。松永さんは勤務評定については最初は乗り気でなかった。いろいろな問題がある。勤務評定は一体何のためにやるのかということをもう一ぺん考え直して——いろいろ文教委員会でも論議をして、いろいろ経過はありますけれども、もう一度出直して、その目的から、そのやり方から、根本から再検討をしてみようというお気持は文部大臣にございませんか。お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/56
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057・松永東
○松永国務大臣 現在の段階ではもう一ぺん考え直すとかなんとかいうことは考えられません。それはもうすでに主導性を持っております都道府県各委員会、その環境並びに実情に即したやり方をするということを決定してしまって実施に移ろうとしておる折から、わき役であるところのわれわれにはそれをとどめる力もなければ何もありません。しかもそのやっていることは悪質とかなんとかいうことじゃない、正しいことだと思います。ただ私個人をもってすれば、なお不満足な点はありますけれども、やり方については私は正しいやり方だというふうに考えております。従ってこれを今やり直すとがなんとかいうような考えは毛頭持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/57
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058・野原覺
○野原委員 ただいまの御答弁は、失礼ですけれども、まことに詭弁です。とどめる力はないとおっしゃる。しかしながらほんとうに考え直さなければならぬと文部当局がお考えになれば、これをとどめることは決して不可能ではないのです。今日、全国の教育委員会と申しますけれども、全国ことごとくの教育委員会が勤務評定をやらなければならぬとお考えになっておりますか。あなたは、四十六都道府県のうちで、勤務評定はやるべきでない、こう言明しておるところの都道府県知事があることを知っておりますかどうか、尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/58
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059・松永東
○松永国務大臣 でありますから、その土地々々の実情に即してやるべきだ、こういうふうに委員長会議でも決定いたしております。ですから、それに従っていけばいい。そうしてまたこれは、私は全国に必ず実現せられる問題だと思う。その内容は、るる野原委員から仰せになりましたように、あまりこまかなところまで規定しないところもあるでしょうし、もしくはあの案の通りやっていくところもあるでしょうが、しかしそこに相当の融通性を持っておりますから、適当にその地方地方に従って善処されることだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/59
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060・野原覺
○野原委員 まあ、あなたのただいまのお立場としては、もう一ぺん考え直すということを、こういった公開の場所で言えと言ってもなかなか簡単におっしゃらないであろうことくらいは、私も知っておるのです。そのくらいなことは知っておる。しかしながら夜ひそかに一人静かに胸に手を当てて松永さんとしては、悶々の情やるかたなくお悩みになっておることも聞いておるのです。私はあなたを尊敬しますから、あなたは良心的にこの問題では非常に苦しんでおられるということを仄聞しておるのです。
そこであなたにもう一度お尋ねしますが、それはとめることができない、勤務評定をやめさせようにも、もうやめることはできない、走っておるのだ、こう言われる。この勤務評定というものは教育の効果を上げるためにやられるのでしょう。これをやれば教育の効果が上るとお考えになっておるからやられておるのでしょう。今もそう確信しておりますか。確信しておるとすれば、どういうわけで勤務評定をやれば教育の効果が上るのか、その論拠をお教え願いたいのです。私は不敏にしてわからない。どういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/60
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061・松永東
○松永国務大臣 これはもう繰り返し去年から申し上げている通り、教育の効果を上げるためにはやはり勤務評定をやらなければいかぬというように、私は確信しております。ただその内容をどうするかということが問題だ。まあそのこまかなところまで規定する方がよろしいか、あなたがさっき言われた通りきわめて簡素化をして、そうしてやっていく方がよろしいかという点については議論がありましょうけれども、しかし人事問題の適正化をやります上から、これはどうしても勤務評定はやらなければいかぬ。しかも、やらなければいかぬばかりでなく、法律がちゃんと規定しておりますことは、私がるる申し上げるまでもなく御承知の通り。でありますから、その法律に従って、やはりおくれたりといえども教職員についても勤務評定をやらなければいかぬというふうに、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/61
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062・野原覺
○野原委員 私の質問に御答弁願いたいのです。どういうわけで教育の効果が上るのか、論拠を教えてくれと言っている。あなたは教育の効果が上るんだ、こう簡単に言うけれども、じゃあ勤務評定をやれば、こういうわけで上るんだというその論拠を示せと言っておる。これは大臣ができなければ局長でもいい。私は何も大臣を困らせるために言っているのじゃない。実態を明らかにしたいために尋ねておるのですから、これはあなたが御答弁になって、次は内藤局長でも、これは当面の主管者として御答弁下さってけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/62
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063・松永東
○松永国務大臣 それは野原委員が私をいじめようとかなんとかいう下心でやっておらないということは、よく承知しております。実際勤務評定の問題についての正確な真理を突きとめるというお考えでやっておられることも、よく承知いたしております。しかし私は申し上げた通り、勤務評定はどうしてもやらなければならぬ。そのやることによって教職員の成績が上るというふうに考えております。なぜかというと、これは申すまでもなく、精励恪勤、勤めて、一生懸命次代をになうところの子供たちをりっぱな人格者にしようと教べんをとって、ほんとうにおのれを忘れて教職に尽される先生方と、まるきりほったらかしにしておいて、そして教育の面に携わらなかった、寝そべって遊んでおった人を、同列で昇給しろ、同列で昇進しようという、こういう悪平等が許されるはずはない。でありますから、一生懸命勤めた人はどんどん昇進の道を開く、昇給の道を開く。でありますから、だれかしらも言っておりました、信賞必罰と言いますけれども、このやり方は信賞の規定である、必罰じゃない。ですから罰則というものはこの中にはありません。従って私はやはり教育の向上発展のためにはどうしても勤務評定はやった方がよろしいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/63
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064・野原覺
○野原委員 そういうように格づけをして教育の効果、教育の能率を上げるということになれば、悪く格づけされた教員というものを放任する手はなかろうと思う。どうしてこれは救済しますか。お前は零点だ、お前は悪いんだ、こういう勤務評定をされた教員をそのままにほっておけば、教育の効果は上らぬ。教育の能率を増進できない。この点をどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/64
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065・松永東
○松永国務大臣 そうした適格性を持たない先生方は、研修とかあるいはその他の方法で反省をしてもらう、そうして一生懸命努めるようになってもらう、この道があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/65
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066・野原覺
○野原委員 勤務評定の場合どのようにするかということを尋ねておるのです。勤務評定というものは、あなたも御承知のように、点数で評定をするのです。あるいはABCという格づけをやるわけです。文部省の考えによれば、五つの段階で格づけする。教育長協議会は三つ、ABCよい、普通、悪い、こう格づけする。悪いと格づけされた教員は一体どうするつもりかと聞いておるのです。これは考えようによると、正常分配曲線で格づけされた場合は特に問題が出てくるのですが、正常分配曲線をとらない場合でも問題が出てくるのです。ほんとうに神様でない限り、評定主体、評定する者の主観が働くでしょう。よろしいですか、問題はめんどうになってきますよ。評定者の主観というものが働いてくると、こういった段階的な格づけの乱暴なやり方でやると、教師の人格が傷つけれる問題が出てくるのです。あなたは頭から悪い人間は悪い、よい人間はよいのだと言われる。これは抽象的には正しい。間違いではありません。いい教員も悪い教員も一緒くたに月給を上げなくてもよいかもわからない。しかし今日の給与の問題は別です。今日の給与というのは、大学を卒業して一万円しかもらっていない。一万円では洋服が一着できない。私は師範学校を卒業して初任給四十八円もらった。そのときは洋服が二着できた。今日の教員と当時の私が昭和四年に卒業した場合とは、賃金の上でうんと相違がありますよ。そういう場合に、いい教員だと月給を上げるんだという考え方でいくということは、食えない賃金の時代には、決して教員の能率を増進したり教育の効果を上げたりすることにならない。だからして、そういう能率なんということは、場合によっては、考える時期が来たら考えてもいいでしょう。しかしながら食えない時代には、ほんとうにベースをアップしてやるんだという考え方に立たなければ、教員に対する励ましにならないのです。しかもその段階的な乱暴な方法で教員の人格が傷つけられる、これはおそれじゃない。出てくるのですよ。必ず学校に出てくるのです。父兄が見たならば、何だあの校長はおかしいじゃないか。一生懸命うちの子供に教えておるじゃないか、それが校長のえんま帳には二点とつけられたり、一点とつけられたりしておる、こういうことになると、教員の教育に対する意欲、自発的な創造的な意欲、しっかりやろうと、こう思っておる教員をがんと頭から金づちでたたくことになるんじゃないですか。これをどう考えますか。それじゃこの問題をどう救済しますか。こういう場合が出てきたときには、あなたはどうして救済しようと考えておるかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/66
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067・松永東
○松永国務大臣 私はあなたの言われることをあべこべに考えておる。それはさっき例を引いて申し上げた通り、精励恪勤勤めて、一生懸命夜の目も寝ぬようにして教え子を人格者に育て上げようと努力せられる人と、寝そべって遊んでおって、ほとんどろくな教育もせずにほったらかしておる人と、平等一列に昇進し、昇級することこそ励ましになりません。一生懸命やろうという気持が起きません。でありますから、教職員の励ましをするために、やはりそうした勤務評定をやって、どんどんりっぱな先生は上げていく、そうしておくれた人も、おれも一つ今度は認められるように精を出さなければいかぬということが励ましの基盤だ、こういうふうに考えております。だが、今仰せられたように、校長の主観によって上げられるようなことになっては困るというお話、もっともです。であればこそ、町村におけるそれぞれの委員会、さらに最終的には県の教育委員長、県の教育委員あたりが判定をします。すなわち村方あたりにおきましても、町でもそうでありますが、衆目の見るところ、十指の指さすところ、この人はなるほどりっぱな先生だというふうにみんなが認める人をどんどん上げていく、昇進の道を開くということが、私は当然のことだと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/67
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068・野原覺
○野原委員 あなたは、勤務評定というものが間違いなしに正しく、神様のようなものがあって審判ができるという考え方に立っておるのです。私はそう思わないのです。今度の教育長の試案を見ても誤りが出てくるのです。これは人間である限り、ほんとうにふしだらな校長もあるのです。ところが、校長が第一次評定者になってきておりますが、第二次評定者、校長の評定したものを調整するのに、今度は教育長というものが出てくるようです。教育委員会の教育長、しかも地方公務員法によって、その地方教育委員会がこれを実施するということになる関係で、地方教育委員会の教育長が調整しなければならぬということになる。そうなって参りますと、地方教育委員会の教育長——地方教育委員会というものは、校長については評定をする。一般の教員については第二次的な評定、いわゆる調整というものをやる。ところが今日教育長というものは免許状を持っておりません。持たなくてもよいことになっておる。この前の新しい地方教育行政の組織と運営、私どもは反対いたしましたが、あの新しい教育委員会法によれば、市町村の教育委員会教育長は教育委員でもなれることになっておる。ところが市町村の教育委員は魚屋さんもおれば、とうふ屋さんもおれば、呉服屋さんもおる。ほとんど教育のきの字も経験のない人間ばかり。むしろ教育という専門的な職種に立たない人が望ましいとあなた方は主張されておった。私どもは、それはいかぬということを言っておったのだが、あなた方の主張によれば、教育というものを経験しない者がいいのだ。アメリカ軍が当初教育委員会を押しつけたときに、そう言っておった。教員出身者が立候補すると、いろいろな弾圧を加えてきた。そうなればなおさら一体教育委員というものは教育の経験がないのです。そういう人間が校長の評定というものができるとお考えになりますか。まずそれから伺ってみます。道を回って、私はお聞きしますが、そういう人間に校長の評定ができるとあなたはお考えになりますか。その問題はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/68
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069・松永東
○松永国務大臣 私は免許状が教育委員に必要だとは考えません。免許状は、これは教える実力を持っておるかどうかということが免許状になってくるわけです。でありますから、校長さん方が、一生懸命教育に精魂打ち込んでやっておるかどうかということは、これは免許状を持っておらぬでも、その町において、その村において、実際働いておられる人々はよく判定ができると思う。でありますから、これはさっきも申し上げた通り、みな一生懸命やっておる善良な人格者としてたたえられるような校長先生あたりは、その土地の人々がやはり認めております。でありますから、そういう点からいっても、免許状を持たぬでも判定することにはちょっとも差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/69
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070・野原覺
○野原委員 あなたは勤務評定を御存じないでしょう。校長の勤務評定というものは校長の何を評定するのか。校長も評定を受けるのですけれども、その校長の何が評定の対象なのか。どうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/70
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071・松永東
○松永国務大臣 これは申すまでもなく、校長としての責任を負わせられておる仕事をどういうふうにやっておるかという、仕事のしっぷりです。それが対象になるのだと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/71
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072・野原覺
○野原委員 校長の職務を評定するのですね。校長の勤務評定とは何か。大半は学校経営だ。いかに学校を経営するかということを評定するのです。学校経営の経験もない教育の経験もない、見識もない、経験もなければ見識もない、そういう者が校長の学校経営の評定ができるとお考えになりますか。これははっきり聞きたい。これは常識的に考えても、ほんとうに魚屋のおじさんが教育長になっておる。これができるのだから、その者が一体校長の学校経営の評定ができますか。あの校長はあれは何点だ、こういう評定でいいのだと、ただ素朴にこうながめておってどうだというならいいけれども、最後には一つの調整がある。そうしてこれはAだ、BだCだ、こうやる。文部省によれば五段階でやる。乱暴じゃないか。教育の経験のないものが学校経営についてとやかくの評定ができるという考え方は、私はちょっと乱暴じゃないかと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/72
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073・松永東
○松永国務大臣 例示されました米屋さんとか魚屋さんとかおっしゃるけれども、このごろの米屋さんでも魚屋さんでも、みんなそれぞれの見識を持っておって、それぞれ学問もあります。そうしてそれぞれ判断するカも持っておる。しかもそればかりじゃありません。委員長ばかりじゃなく、各委員の意見もやはり参考になるわけですから、そう御指摘のように私は危険はなかろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/73
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074・野原覺
○野原委員 このことは、これはあなた方はやる立場ですから、それは一方的にそういうことを言われるかしれませんけれども、教育の経験のない者が評定できるものじゃないですよ。教員の職務は、児童の教育をつかさどるということになっております。だから教員の勤務評定をする場合には、学校教育法によると、児童の教育についての勤務評定をやるわけです。ところが児童の教育をしたこともない、免許状も持たない者が、免許を持った、適格性を持った教員を評定できるとお考えになることは、とんでもないことです。あなたはできる、こう言い切られれば、それでもいいかもしれませんけれども、それではあまりに文部大臣としての見識が率直に言ってなさ過ぎますよ。教育はそんなあさはかな簡単なものじゃありませんよ。ほんとうに児童に対してどれだけの教授力を持っておるか、感化カを持っておるかというようなことは、その教員のほんとうの生活の中に飛び込んでいって、教員と同じ生活をするくらいの人間じゃないと、不可能なんです。ところが役場におってぶらぶらとして、あれは何だ。ときどき役場へ来た態度がいかぬからこうだ、——もちろん態度というところがあります。あるいはいつもよごれたカラーをはめておるから、不潔だから礼儀を知らぬのだ——礼儀という項目がありますから、どんどん点を引く、そんな乱暴なことで勤務評定をやられると、先ほど私がお尋ねした教育の効果が上らない、教育の能率が上らないということを私は言っておるのです。
そこでもう一つお尋ねします。勤務評定の結果は、本人にお見せになるわけですか、文部省の考えとしては……。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/74
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075・内藤譽三郎
○内藤政府委員 勤務評定の結果については、本人に知らせることは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/75
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076・野原覺
○野原委員 よくない教員をよくしようというので、私は公開しろとは言わないが、公開という考え方は、法律が明らかにとめておる。しかし本人に見せるなとはいっていない。どういうわけで本人にも見せない、そういう考え方を持ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/76
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077・内藤譽三郎
○内藤政府委員 それはもちろん校長さんなり、あるいは上級の職員が、部下職員の指導に当っては十分指導の徹底をはかるわけでございますので、君はかくかくの点がよくないから注意するように、そういう指導はするはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/77
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078・山下榮二
○山下委員長 野原君に申し上げますが、大臣がどうあってもほかへ行かれなければならぬので、時間をさいていただきたい、こう要求されているのですが、あなたの話も相当重大な段階には来ておるようでございますけれどもないようにも思いますし、できれば次の機会にあとを譲ってやっていただくようなことにお願いできないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/78
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079・野原覺
○野原委員 私は皆さんの御要望であれば、そういうふうにしたいと思いますが、実は勤務評定の問題は委員長の御承知のようにきわめて重要な問題で、この国会が始まって以来、いまだに取り上げてこられていないのです。しかも都道府県では二月から実施するとか、三月から実施すると騒いでおります。こういうときに文教委員会がその実態を十分究明しないということは、これは私はちょっとどうかと思う。本日は私は協力いたしますが、その法案の採決後にやはりこの問題をお取り上げ下さるようにお願いしたい。そこで今質問している点だけは一応終っておきます。内藤さん、あなたは先ほど人事委員会の規定、人事院の考え方ということで答弁をされておった。人事院は、評定の結果は当事者に示した方がよいと考えておると思いますか、その本人にも見せるなという考え方をとっておるとお思いですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/79
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080・内藤譽三郎
○内藤政府委員 評定の結果についての指導はしなければならぬと思っております。しかし評定そのものを私は部下職員に見せる必要はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/80
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081・野原覺
○野原委員 見せる必要はないと思いますではなしに、見せる必要はないという立場を人事院はとっておるとお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/81
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082・内藤譽三郎
○内藤政府委員 私どもは人事院のお考えをよく知りませんけれども、私どもとしては見せる必要ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/82
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083・野原覺
○野原委員 教育の能率を上げ、教育の効果を増進したいと思うならば、よくない教員を一日も早く救済しなくちゃいかぬのです。そうして校長がほんとうに自信を持って、お前はこれだ、おれはこう思うと、本人をこっそり呼んで校長も腹を据えてなぜやらぬのか。あいまいにして秘密にしてやられるから、教員は疑心暗鬼なんだ。何だあの校長、今度月給が上らぬところを見ると、おれを二点にしているな、けしからぬやろうだ、こういうことになると、教育の現場は暗くなって、教育の効果は上がらぬ。だからいいですか、教えておきます。人事院の判決集をごらんなさい。あなたは勤務評定を強行しょうというならば、人事院がどういう判決をしているかを見てやりなさい。人事院は評定の結果は当事者に開示した方がよいと判決している。勤務評定というものは人事院規則の一〇一二でやっておりますから、法律でやる限り人事院はこの番人をしているわけです。こういったいろいろな問題については判決で示している。法律で強行する限りには、責任のあるものをやらなくちゃならぬというので、人事院判決集に載っているじゃないか、評定の結果は当事者に開示すべきである。それをあなた知らないでしょう。そういうことを知らないで、勤務評定の結果は当事者に見せないんだ。そうして都合のいいときには人事院の規則を持ち出し、都合が悪ければ人事院の判決なんというものは触れない。触れないんじゃない、知らないのか知りませんが、そういう態度でやられることはいかぬですよ。あまりにも官僚的な押しつけです。今度のやり方は、大体そういう考え方で勤務評定が出たというところに、今日の問題が起っているのです。別の意図があるというので問題が大きくなっている。だからほんとうに教育委員会が校長を自信を持って採点ができる、校長がほんとうに教員の採点ができるならば、本人の前で示したらいいでしょう。みんなの前で公開することはいけない。法律でとめている。僕はこう思うがどうだというくらいやらなければ、切り捨てごめんじゃないですか。おれはこうなった、お前は何点だろうか、こういうようなことで教育がよくなると考えたら、とんでもないことですよ。教員だって人間ですよ。神様じゃないんだ。神様じゃない、人間だから、相手がそういう出方をしたら、やはり憶測感情というものがあって、校長と教員の間がうまくいかない。教員の能率を上げるには、教育の効果を上げるには、教育の条件を整備することが第一、同時に校長と教員の対人関係をうまくやることが必要じゃないか。そういうところに配意がない。ここに問題がある。
委員長、一応私は自民党諸君のお立場もありますから、協力いたしまして、一応法案の採決をして、本日続行して下さるようにお願いしたい。ほんの一割くらいしか入っていないから、ぜひお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/83
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084・内藤譽三郎
○内藤政府委員 何か野原先生誤解じゃないかと思いますが、評定の結果について校長が部下職員を指導するのは当然のことでございまして、それを否定しているわけじゃありません。ただ評定そのものを教師に見せる必要はない、こういうふうに申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/84
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085・山下榮二
○山下委員長 それじゃ野原君の質疑は後刻行なっていただくことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/85
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086・山下榮二
○山下委員長 これより国立競技場法案を議題といたし、審査を進めます。
質疑の通告がございますからこれを許します。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/86
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087・河野正
○河野(正)委員 本日で国立競技場法案が委員会を上るということでございますから、一、二御質問を行なって御所見を承わっておきたいと思います。
御承知のように本法案は体育の普及振興あるいは国民の心身の健全な発達に寄与するということが目的であるわけでございます。従って本法案によってそういった目的に最も効率的に運営されていくかどうかということが、私は最も重要な点ではなかろうかというように考えております。
そこで自後の質問のためにまずお伺いしておきますが、この法案の諸法則によってその最も大きな効率的な運営が行われるというふうにお考えになっておるのかどうか、まずそういった点についてお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/87
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088・松永東
○松永国務大臣 御説の通り、その運営は相当将来性を持った運営ができると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/88
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089・河野正
○河野(正)委員 実はただいまお伺いいたしました理由は、文部大臣も御承知のように、本年五月第三回アジア競技大会が行われる予定でございます。当面いたしまして、まず第三回アジア競技大会が本競技場に当てられる予定でございますが、近くはオリンピックが日本に招致せられるというようなことも承わっておりまするし、今後こういった競技場というものが、国際的に利用されるという面が非常に多いのじゃないかというように私ども考えておるわけでございます。法案をながめてみましても、もちろん国が出資するわけでございますから、従って国がこの競技場に対して一つの指導的な立場をとるということはきわめて私は適切なことだと思いますけれども、しかし法案によりますと、大臣が監督権を持っておるということでございますし、そういった点からながめて参りますと、その運営というものはきわめて官営的な色彩が非常に強いんじゃないかというふうな疑いが強いわけでございます。さきに申し上げますように、今後この競技場というものはしばしば国際的に利用されるということを考えて参りまする場合に、あまりにも官営的な色彩が強いと、かえって国際色が阻害されるのじゃないかというふうな点も私は心配いたすのでございますが、そういった点についてどういったお考えでおられますのか、この点もあわせてお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/89
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090・松永東
○松永国務大臣 御指摘になりましたようなこの経営方法につきましては、民営にまかせますと、民営がいろいろなことを計画したりやったりして結局は監督が十分に行き届かぬという点があります。さらにまた官営にいたしますと、どうも役人を前においては言いにくい話ですが、仕事が伸びません。でありますから、特殊法人を作って、そうしてその特殊法人で思いのまま活躍させて、そうして国の使用するのに支障のない場合には、やはり収益を上げるような手を打つというような点も望まれることであり、従ってその点をやはり国が監督していくということにした方が望ましいのじゃなかろうかというように考えて、こういう法案を出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/90
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091・河野正
○河野(正)委員 大臣から今いろいろと御説明がございましたが、いずれにいたしましても国が出資することでございますし、なおまた今後追加いたします場合におきましても、国が出資しなければならぬということでございますから、一面におきましては国がある程度そういった出資に対しまする一つの監督権を持ちますることは、万やむを得ざる点であるというふうには考えますけれども、しかしながら監督権を持つ、監督というのは、同じようなニューアンスの中にも指導助言というような点もございますが、あまりにも強く監督権を持って参りますと、さっき申し上げますようないろいろな弊害が生まれてくるのではなかろうか、あるいはまたいろいろ業務の中には、講習会あるいは研究会、こういったものを実施することによって、体育の普及振興、あるいは国民の心身の健全な発達に寄与していくというような点が考えられておるのでございまして、そういったような講習会あるいは研究会等を実施するというような場合にも、やはり大臣が監督権を持ち、しかもその大臣というものは、今日政党政治でございます以上は、政党の大臣であるということになりますから、私どもが先ほどから御指摘申し上げますように、同じ監督権でも、その監督権を発動する場合には、きわめて適切なる発動というものが必要ではなかろうかというように考えておるわけでございますので、そういった点につきましては、一つ万遺憾なきを期していただかなければならぬのじゃなかろうかというふうに考えるのでございます。
その点はもちろん意見というようなことでございますが、次に、時間もございませんから、一、二点お伺いいたします。この運営に当りましては、役員というものがきわめて重要な位置を占めるわけでございますが、その中には国務大臣、国会議員、あるいは地方公共団体の議会の議員もしくは地方団体の長あるいは政党の役員等は就任することはできないというような規定もあるのでございます。一見、ながめて参りますとなかなかけっこうなことのようでございますけれども、しかしながら現職ではなくても、たとえば元国会議員であった、あるいは前国会議員であったというようなことになりますと、実質的にはやはり政党ときわめて直接的な関係がある。ただたまたま形式的にそういった議席を占めておらない、あるいは地方公共団体の長という地位にないが、実質的にはそういった傾向は持っているというようなこともあるわけでございまして、必ずしもこういった規定だけでは私はなかなか万全を期せるものではなかろうと思う。そこでちょっとお尋ねしておきます。しからばこういった国務大臣あるいは国会議員あるいは地方公共団体の議会の議員あるいは地方公共団体の長、こういった者が、言葉をかえすと、なぜ就任できないのか、そういった点につきまして若干所見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/91
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092・福田繁
○福田政府委員 お尋ねの役員の欠格条項の問題でございますが、この欠格条項の規定につきましては、大体最近のいろいろの立法例にもございますが、こういう特殊法人につきましては、特に競技場という体育施設の性格からいたしまして、教育施設でございますので従ってその政治的な中立を保つというような意味合いからいたしまして、政党役員あるいは国会議員、地方議会の議員という方々の就任を見合せた方がいいのではないか、こういうような観点から規定いたしております。ただ国務大臣は、これはまた別個の観点からでございまして、国務大臣はこういったものに対して就任しない方が適当である、国務大臣の職務の性質から申しまして、これは欠格条項の中に入れた方が適当であろう、こういうふうに考えたのでございます。先ほど申された前に国会議員であったというような方につきましては、これは何も欠格条項にかかりませんので、政党の役員でなければ適当な方である限りにおいては就任できる、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/92
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093・河野正
○河野(正)委員 ただいまの御説明を承わりますと、しごくごもっともでございます。しかしながらこういう規定そのものが実際に実施されます場合には、政党政治であり、大臣は政党の方々が大臣になられるというようなことでございますと、政治的には一つの中立的な人々でなければ、この運営はかえって支障を来たすというような御説明でございますけれども、しかしながら最高の監督権がございますのは大臣であるというふうな規定でございますし、しかもなお政治的な中立といいながらも、前議員であるとか、あるいは前市長であるとかといったものは適格であるというようなことでありますと、形式的には御説の通りでございますけれども、実質的にはその効果は上げ得ないというようなことになるのでございまして、かえってこういった規定があるということは、ある意味におきましては誤解を生ずるおそれもあるのではなかろうか。もちろん私どもはそういった言葉にとらわれるのではなくて、もっと効率的な運営が行われてくることを期待するがために御質問申し上げておったわけでございますけれども、ややもいたしますると、こういった規定があるがゆえに、がえっていろいろな誤解というものが生ずるおそれもあるのではないかというような点も心配いたしますので、その点に対しまして重ねて、これは大臣から御所見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/93
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094・松永東
○松永国務大臣 政府委員から御説明申し上げました通り、こうした経営については、なるべく世間の見るところの中立を支持していきたいというふうな考え方から、政党勢力あたりがその中に介在することを避けたいという考え方から、かような規定にしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/94
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095・河野正
○河野(正)委員 時間がございませんから、最後に一点御質問を申し上げたいと思いますが、それは、本法案の趣旨はもちろん国立競技場でございますけれども、その性格は国際的な性格を多分に持っておると考えます。従ってその運営につきましては、いろいろさっき申し上げたような杞憂があるわけでございますから、きわめて適切な運営をやっていただかなければならぬということになろうかと思います。
そこで以上申し上げた諸点に対しましては、十分一つ御尊重していただいて、適切な運営をやっていただき、そして所期の目的を達成していただきますことを心から期待して私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/95
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096・山下榮二
○山下委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑は、これにて終局いたします。
これより本案を討論に付します。別に討論の通告もないようでございますので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/96
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097・山下榮二
○山下委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/97
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098・山下榮二
○山下委員長 起立総員。よって本案は全会一致原案の通り可決するに決しました。
なお、本案決議に伴う委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/98
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099・山下榮二
○山下委員長 御異議なしと認めます。さよう取り計らいしたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/99
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100・山下榮二
○山下委員長 先ほどに引き続きまして、文教行政に関する質疑を許します。野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/100
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101・野原覺
○野原委員 大臣並びに局長の御答弁にいろいろ問題がありますが、問題の個所は、いずれ速記を調べて私はその点を質疑し、追究したいと思います。
次にお伺いしたいことは、官立大学の教授に勤務評定をやっておるかということです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/101
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102・内藤譽三郎
○内藤政府委員 官立大学の方は、御承知の通り公務員特例法で管理機関にまかされておりますので、管理機関の判断にまかされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/102
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103・野原覺
○野原委員 それはおかしいのじゃないですか。教職員のは教育委員会の判断にまかされておる。そのものに基準案を流して、官立大学の方は管理機関だ、管理機関に対する指導助言は文部大臣が持っているはず。なぜ官立大学に基準案を示さない、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/103
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104・内藤譽三郎
○内藤政府委員 所管事項でございませんので、所管の局長から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/104
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105・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 補足して御説明申し上げます。教育公務員特例法は、教育公務員に関しまして、大体大学の教授と高等学校以下の先生たちに二つ区分していろいろな規定をいたしております。大学の教授につきましては、これは伝統的な大学自治という観点から、かなりの事項を大学自体の運営にまがしております。従いまして人事の点につきましても、ひとり勤務評定のみならず、進退等に関しましても、大学の管理機関にゆだねておるわけでありますので、文部省といたしましては、別に管理機関のなすことに対しまして、いろいろな案を示すとか——それぞれの実情に応じて勤務評定等も実施されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/105
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106・野原覺
○野原委員 管理機関にゆだねておることはわかる。しかしながら管理機関にゆだねておる反面、高等学校以下の小中学校においては、教育委員会が権限を持っておる。教育委員会は独立の機関であるはず。大学の管理機関以上に、教育委員会は教育行政法上からいえば独立機関になっておる。そのものに対しては基準案をどんどん流すが、大学の方については、官立大学の教授にはそういうものを示さない、そういうことができますかね。そういう差別が……。政務次官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/106
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107・臼井莊一
○臼井政府委員 ただいま担当の者からお答え申し上げましたように、大学では御承知のように、非常に自治権を強く従来の慣例がらもまた法令の土におきましても許しております。高等学校以下におきましては、文部大臣が指導助言、場合によっては法律に反すれば措置要求もできる、こういうことになっておりますので、やはり国立の大学と高等学校以下の条項につきましては、そこにやはりおのずら差別があってしかるべきものだ、かように考えますので、勤務評定につきましても、やはり同様に考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/107
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108・野原覺
○野原委員 大学の自治は知っておりますよ。大学は管理者にまかしておるから何をしようと御自由です、そうはなっていないでしょう。法律はそうはなっていないはずだ。大学の管理者が間違ったことをしたならば、国立の大学に対して文部大臣は権限を持っておるのですよ。官立に対しては……。私立に対してすら発言権を持っておるのですよ。いわんや国の費用で出すのに……。文部大臣のこれは直轄です。教育委員会は独立なんです。
それではあなたにお聞きしますが、大学の場合は自治権があるからというので、何をしようと御自由です、措置要求も何もしない、そういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/108
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109・臼井莊一
○臼井政府委員 もちろんそういうあれではございませんで、法例に反すれば大学に対して措置要求をする場合もあろうかと思いますが、しかし学長等の選挙等で、やはり下の高等学校以下とは相当そこに差異を認めておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/109
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110・野原覺
○野原委員 どういう差異を認めておる、一つ法律に基いて説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/110
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111・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 国立大学につきまして、すべて大学自治にゆだねているというわけではございません。先ほど勤務評定のお話がありましたから、そうお答えしたわけでございます。国立学校について、これは文部大臣が会計上、あるいは大学に配置せられている事務職員その他につきましては、内部職員と同様にそれぞれ国家公務員法あるいは人事院規則等に基いて実施しているわけでございます。ですから勤務評定につきましても、国立大学の事務局の職員につきましては、先ほど先生おあげになりました文部省の内部部局の者にやっていると同じ様式でもって実施しておるのでありますけれども、お話の出ました大学の学長とか教員とかの勤務評定につきましては、教育公務員特例法、これで大学管理機関がみずから行うのだ、こういうことを書いてあるわけでございますし、しかも大学の教授の実態というものはきわめて専門に分れていろいろ教授、研究しているわけでございますから、それに対して現在文部省が事実の範を示す必要はないものと考えそおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/111
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112・野原覺
○野原委員 同じことを蒸し返しますが、循環しないで答弁してもらいたい。管理機関が行なうことはわかっておる。同時に小中校は教育長が行う、これも自明のことなんだ。教育委員会は独立なんだ。管理機関といえどもこれは文部大臣の直轄なんだ。管理機関といえども国立の場合は直轄ですよ。そんなことがわからぬような文部省じゃ困るね。これは直轄だよ。その直轄の管理機関に対して措置要求もしない、基準案も示さないで、独立の教育委員会にだけ基準案を示そうとする。それは一体どういうわけだと言っているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/112
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113・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 国立大学に対して、いろいろな問題について全部大学の自由にまかせていると申し上げたわけではございません。教授の人事上の問題については特例法の精神からいいまして、これは高等学校以下と別の取扱いたする。そうして大学の先生たちの自治にゆだねることが適切であるという趣旨でありますから、これに対して別に指示しなくてもいいんじゃないかということを申し上げたわけでございます。高等学校以下の問題につきましては、国立の場合には文部省がみずから規則を定めて実施をしますし、それから地方公務員たる教職員につきましては、ひとり勤務評定のみならず給与その他各般の問題について文部省の権限として指導しあるいは助言をし、公務員制度が円滑に実施されるように指導すべき責任があるのでございます。その点は先ほど政務次官が申し上げました通り、大学の場合と高等学校の場合言の人事の特殊性に基く差異だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/113
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114・野原覺
○野原委員 どうも答弁になっておらぬ。それでは私は聞くが、官立の大学の教授に勤務評定は行うべきであると考えておるかどうか、行うことが望ましいと考えたことがないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/114
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115・臼井莊一
○臼井政府委員 これは教育公務員特例法の第十二条に規定してあります通り、やはり当然いたすべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/115
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116・野原覺
○野原委員 東京大学の教授はいたすべきものであると文部省は考えておるが、勤務評定をやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/116
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117・緒方信一
○緒方政府委員 これは先ほどからお答え申し上げております通りに、大学の人事につきましては高等学校以下と全然違った原則で行なっております。これは伝統的にもさようでございまして、従いまして私どもとしましては教育公務員特例法の実施が非常に望ましいと思っておりますけれども、一々それを監査するということはやっておりません。従いまして東京大学につきましても画然としたことは私どもよくわかりませんけれども、それぞれ適当な勤務評定が行われておるものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/117
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118・野原覺
○野原委員 勤務評定が東京大学の教授にも官立大学の教授にも望ましいと、大学局長、本気になって考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/118
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119・緒方信一
○緒方政府委員 大学教授の勤務態容あるいは人事の管理方式にはきわめて特殊性がありますので、高等学校以下の教職員と同様な方式による勤務評定は困難だと存じます。しかしながら全体的な考えといたしましては、それはあるべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/119
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120・野原覺
○野原委員 人事院規則一〇一二の第三条第二号を見てもらいたい。「職務と責任の類似するものが著しく少ない官職を占める職員、隔遠の地に所在する官署の長その他勤務評定を実施することが著しく困難と認められる職員」には勤務評定をやらぬでもよいと書いてある。人事院規則の一〇一二の三条二項の「勤務評定を実施することが著しく困難と認められる職員」とはどういう職員をさすと文部省では考えておるか、お聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/120
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121・臼井莊一
○臼井政府委員 大学の学長、教員及び部局長につきましては先ほど申し上げたように当然行うべきものであると考えておりますが、ただいまお話しの人事院規則の第三条第二項によるものがどういうものであるか、文部省として考えたことは私にはありません。また著しく困難なるものがどういうものであるが、人事院がどう考えているかということを調査したこともございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/121
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122・野原覺
○野原委員 勤務評定を強硬に実施しようという文部省が勤務評定に関する人事院規則一〇一二くらいは十分に読んで考えていないはずはないと思う。考えたことがないとは大へんです。こういう状態で勤務評定が強行されるということは、日本の国としては大へんな問題だと思う。考えたことがなければもう一度お聞きします。きょうは人事院総裁を呼んでいないのがきわめて残念であるけれども、非常に複雑な判断力の要る仕事は評定の対象にするのが困難である。かりに文部省の役人さんが机の上で仕事をする場合に、きょうはこれだけ作った、これだけ会計の伝票を整理したという場合ははっきりした成果がわかる。人事院規則の第二条にはそれがうたってある。「勤務評定は、職員が割り当てられた職務と責任を遂行した実績を当該官職の職務遂行の基準に照らして評定し」とある。だから評定の対象というものは、実は遂行する勤務がはっきりと基準によって評定できるものでなければならぬのです。こうなって参りますと、普通の事務は大てい可能かもわからない。私は普通の事務の場合でも勤務評定はあまり望ましくないと思う。その場合だって十分科学的、合理的な、ものを打ち出さなければまずいと思う。ところがこの教育というものは非常に高度な判断力が要る。あの子にはどういう指導をしたらよいか、五十人受け持ったら、この子にはどう指導したらいいかという判断が要る。この子は家庭が貧困だ、この子はどうも盗癖がある、あの子は頭はいいがうそをつく、まずこういう子供の指導というものの立場に立って、教員の教育指導というものは非常に高度な判断力が要る。教育というのは子供の勤務評定をすることなのです。そういう高度な複雑な判断力を持った職務については、勤務評定をやることが望ましくないというのが第三条第二号の精神なんだ。ところがそういうことは一向考えたことがございません。驚いたことには、人事院規則一〇一二も考えたことなくして、全国の六十万の小中校の教員に、教育委員会のしりをたたいて勤務評定を強行させようというこの実態は、きわめて遺憾に思う。初めてこの実態がここで暴露されたと思うのです。
そこで次にお聞きしておきたいことは、国家公務員には人事院がある。都道府県には地方公務員法によって人事委員会がある。そこでこの人事委員会の勤務評定についての権能をどう考えておるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/122
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123・内藤譽三郎
○内藤政府委員 人事委員会は都道府県または市町村に置いてありまして、人事に関する基準あるいはその具体的な事件の処理、こういうことをやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/123
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124・野原覺
○野原委員 その人事委員会が勤務成績の評定について研究の成果を発表する権能を持っております。これは地方公務員法の第八条にずっとうたってあります。「人事委員会又は公平委員会の権限」という見出しで、第八条にずっと十一号にわたって人事委員会の場合をあげておる。これを読んでみると明らかになるように、人事委員会というものは、勤務成績評定制度に関する研究発表ができる権限があるし、それから都道府県の教育委員会並びに都道府県の知事に対して勧告することもできると地方公務員法の四十条の二項にはっきりうたってある。それから考えられることは、この都道府県の人事委員会が、勤務評定が望ましくない、こういう研究発表をし、こういう勧告をした、そういう場合に、その勧告というものは尊重されなければならぬと思うが、どのように文部省は考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/124
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125・内藤譽三郎
○内藤政府委員 人事委員会も法律のもとにあるものですから、法律に違反したことを勧告することは、私は行き過ぎだと思っております。特に地方公務員につきまして勤務評定をしなければならないことは、地方公務員法に定められた通りであります。義務教育職員につきましては、特に地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、都道府県が企画立案いたしまして、市町村が実施する、こういう規定がございますので、この法律違反のことについて人事委員会が勧告することは行き過ぎだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/125
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126・野原覺
○野原委員 抽象的にいって法律違反の勧告ができないことは認める。ところが、人事委員会が、教員の勤務評定について実施することは望ましくない、教育公務員は勤務評定から除外することが至当だというこの勧告は、法律違反ですか。これは大へんなことだ。これは法律違反かね、これは法律違反じゃないだろう。人事委員会は勧告の権限を四十条で与えられておる。四十条で与えられておるこの勧告が何で法律違反だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/126
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127・内藤譽三郎
○内藤政府委員 もしかりに教職員を除外するならば立法措置として行うのが適当なので、人事委員会が、教職員に勤務評定を行うことは適当でないという勧告をすることは、私は行き過ぎだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/127
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128・野原覺
○野原委員 行き過ぎであると思うと言うが、これは断じて行き過ぎじゃない。行き過ぎだと言うのは、あなたは地方教育行政法の四十六条をたてにとっておる。地方教育行政法の四十六条は今あなたが言われたように、これは都道府県が企画して、そして市町村教育委員会が実施するのだ、こうなっておる。あなたはこれを金科玉条視しておられる。ところが一体こういった法律というものは、憲法なり特に教育においては教育基本法というものの精神に沿って法解釈しなければならないのです。しかも勤務評定に関しては人事院規則によって、私がさっき示したように、高度の判断力を要する複雑な仕事、そういうものは除外することができるとうたってある。その人事院規則というものは当然には国家公務員に適用される。しかしながら国家公務員と地方公務員は、これは法の精神からいってその準用ということになっておる。だから勤務評定に関しては、人事院規則の一〇—二というものが準用されるわけです。こういうふうに考えてくると、地方教育行政法の四十六条は、勤務評定が実施に移されるときがきたならば——なぜそう言うかというと、勤務評定をいつ実施せいということは法律にうたっていない。地方教育行政法にも地方公務員法にもうたっていない。だから、実施に移される場合には、都道府県政育委員会は企画、それから市町村教育委員会はこれを実施するんだという権限を明示しておるにとどまっておる。これは権限を明示しておる、権限の分轄を示しておるだけなんですよ。だからして必ず実施しなければならぬということはない。これを実施するに当っては、憲法なり教育基本法というもので考えていかなければならないし、人事院規則で考えていかなければならぬ。こうなってくると、人事委員会が勧告して何ら差しつかえない。人事委員会は法律違反の勧告はできません。しかしながら、何が法律違反だ。人事委員会の権限にうたっておるじゃないか。教員の勤務評定について勧告することができるとうたっておるじゃないか。この条文に基いて人事委員会が勧告して何が法律違反ですか。そんな見解を持っていたらあなたは大へんなことになりますよ。法律にうたってある通り実施して、それは違法であるなんというようなばかなことはない。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/128
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129・内藤譽三郎
○内藤政府委員 国家公務員につきましては国家公務員法で規制され、先ほど御指摘になりました大学等につきましては教育公務員特例法に明示されており、また地方の教職員につきましては地方公務員法に明らかに示されております。ですから教員といえども除外されておるわけではございません。従って私は、勤務評定は教員の場合も当然やるべきものだ、これに対して人事委員会が、やることは適当でないというということは、法律の精神に反すると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/129
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130・野原覺
○野原委員 法律通りやって私は何ら差しつかえないと思う。しかしながらこのことはここで議論をやっても法律解釈の意見にわたって、一日でも済まぬから、これはまたあとでやりましょう。
それでは話を変えて、こういう場合はどうですか。人事委員会は、地方公務員法の第八条の権限、その第八号によると、「職員の研修及び勤務成績の評定に関する総合的企画を行うこと。」とある。そこで大阪の人事委員会は大阪の教員の総合的企画を行う権能権限を与えられておる。だからして、実は基準案を示すのは、文部省は指導の上では指導案を示すかもしれぬけれども、その府県における勤務評定に関してはその府県の人事委員会の権限と考えるが、これは間違いとあなた方は思うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/130
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131・内藤譽三郎
○内藤政府委員 人事委員会は御指摘の通り、地方公務員法に定められた権限事項をやることは差しつかえございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/131
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132・野原覺
○野原委員 地方公務員法の第四十条の第二項に、「人事委員会は、勤務成績の評定に関する計画の立案その他勤務成績の評定に関し必要な事項について任命権者に勧告することができる。」とある。この条文をどう思うか。この条文に基いて人事委員会が勧告するんだ、これでもできないとあなたはおっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/132
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133・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは勤務評定の仕方について企画立案をすることについての勧告なんで、勤務評定をするなという意思をやることじゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/133
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134・野原覺
○野原委員 勤務評定の仕方についての勧告ということに四十条の二項はなるかもしれない。しかしながら人事委員会は人事院規則に基いていろいろ検討した結果、教員の場合は除外すべきだ、こういう判断に達して勧告をした場合に、私は当然これは尊重されなければならぬと思うのです。そこでお聞きしますが、具体的に例をあげて聞くと、これは昭和二十九年の一月であるけれども、教育公務員を勤務評定から除外すべきであるという、青森県の人事委員会が研究を発表しておる。そこで青森県においてはやはりこれが問題になっておる。続いて北海道、岡山、秋田、鹿児島、新潟等々の人事委員会がやはりそういう研究発表をしておる。こういう研究発表というものは、都道府県の教育委員会はこれを尊重しなければならぬと思う。勧告じゃありませんよ。研究発表は権限になっておる。いかが考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/134
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135・臼井莊一
○臼井政府委員 いろいろ研究の御意見等を発表することは自由でございまするが、勤務評定は法によってきめられたことでございますから、これをやるなというような、法に反した御意見に対してこれを尊重する必要はないと考えております。
なおまた先ほど御意見がありました、何が勤務評定が教育の内容についての評定というような御解釈のようでありまするが、勤務評定は教員の勤務の状況を評定するのであります。従って大学におきましても勤務評定をやはりやるという規定さえも、先ほど御指摘の通りにあるわけです。従って勤務評定というものは教員に対してもできるものであり、また法律によって当然やるべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/135
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136・野原覺
○野原委員 なおこの問題はいずれあらためて問題にしたいと思うのであります。
そこで内藤局長にお尋ねいたしますが、あなたは、昭和三十三年の一月二十七日に、各都道府県教育委員会の教育長にあてて、「職員団体の交渉権と勤務評定との関係について」という通達を出しておるのであります。鳥取県の教育委員会からの照会に対する回答をこれに載せておるのであります。その写しをここに持っておりますが、その写しによりますとこう書いてある。「鳥取県教育委員会教育長から勤務評定は勤務条件であり職員団体の交渉事項となるのではないかについて照会があり、別紙のとおり回答したので参考までにお知らせします。」別紙の本文、「地方公務員法第四十条に規定する勤務評定は、同法第二十四条、第四十六条及び第五十二条等に規定する勤務条件ではない。従って勤務評定の立案およびその実施はいずれも地方公務員法第五十五条に規定する職員団体の交渉事項とは解せられない。」そうしてただ書きっぱなしで、何も説明がない。これはどういうわけでこういう文書を出したのか。どういう考え方でこういう見解を立てられたのか、論拠を示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/136
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137・内藤譽三郎
○内藤政府委員 御承知の通り、交渉すべき事項は、御指摘になった地方公務員法に規定されておりまして、給与、勤務時間その他の勤務条件ということになっておるわけであります。従って勤務評定は勤務条件には入らぬという解釈をとっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/137
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138・野原覺
○野原委員 地方公務員法の第五十五条は、「登録を受けた職員団体は、条例で定める条件又は事情の下において、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、……交渉することができる。」とある。勤務評定というものは給与に関係するということは、あなたはたびたび答弁をされておるし、それから文部広報にも出ておる。これは松永さんもそういう答弁をしておる。人事委員会もそういう見解をとっておる。給与並びに人事に関することに影響するのだ、間違いないですか。まずそれからお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/138
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139・内藤譽三郎
○内藤政府委員 勤務評定の結果をいかに利用するかということにつきましては、御指摘の通り、特別昇給とかあるいは昇進の問題、あるいは研修、配置がえ、そういうふうに利用する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/139
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140・野原覺
○野原委員 実例においても、愛媛県においては昇給昇格にこれが百パーセント利用された。それからあなたもただいま確認をしたのです。勤務評定は給与に関係があるわけです。給与というものは、これがどのように規定されるかによって、職員団体を構成する職員は不利益を受けるわけです。不利益を受ける給与や人事に関係のあることが交渉事項でないというのはどういうことなんですか。あなたのただいまの答弁によると、勤務条件ではないのだと、こう突っぱっておる。私も地方公務員法をずっと各章各節見てみた。なるほどこの地方公務員法全体の構成からみると、勤務評定はイコール勤務条件とは解するに困難な点もあるように思う。ところが地方公務員法の第五十五条は、何と書いてあるかというと、「勤務条件に関し」と書いておる。私は専門の学者の意見を二、三尋ねてみた。ところがやはり勤務条件に、イコールならなくても、勤務条件に関しては交渉することができる。勤務評定は勤務条件に関することであるという見解が多いのです。ほとんどです。この「に関し」ということを、あなたはどう解釈しておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/140
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141・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは御指摘の通り、勤務評定がイコール勤務条件ではございません。勤務評定の結果を参考として人事管理を行うものであります。直接に勤務条件ではございませんので、交渉事項ではないという見解をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/141
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142・野原覺
○野原委員 直接勤務条件でないというけれども、勤務条件に関するものである、私はそう思う。法律解釈が双方違いがあれば、最高裁判所というようなばかなことになるかもしれないけれども、しかしながらこれは人事院においても、国家公務員の場合は慣例として認めてきておるのです。人事院は正面切って法解釈ということになると、地方公務員法は私どもの権限でございませんからと、こう逃げる。しかしながら国家公務員の場合は、今日勤務評定に関して国家公務員の官公労の組合がその当該の官省と交渉しておることは慣例なんです。慣習法なんです。これは勤務条件に関しという文理解釈からいっても、法の精神からいっても、この種のものは職員団体の交渉事項にすべきである。しかも慣習法になっておる。これを何らの説明を付さないであなたが流すことは、それは御自由であるかもしれぬけれども、流すなら流すで、もっと詳しい説明を付して流さなければ、下部は混乱する。どう思うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/142
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143・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは勤務条件ではないという私どもの解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/143
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144・野原覺
○野原委員 その点はそういう解釈で突っぱるならば、また次の文教委員会で私はこれを問題にいたします。
そこで最後にお聞きしたいことは、実はある校長がこういう談話を発表しておるのであります。勤務評定について、「何しろ一人々々の教員について、それぞれ八十二項目について」——今度の教育長試案ですね。「八十二項目について評定しなくてはならない。しかもその一つ一つの項目がむずかしくて、評定が容易でない。たとえば基本的生活指導、しつけ、道徳的信条や判断力を育成するために、よく研究し、努力しているかというような一項目について考えても、基本的生活指導はしつけだといっていいかどうかもわからないね。人によっては道徳教育のあり方を、このように考えていない人もいるからね。こんなはっきりしないことで、勤務評定をするのはごめんだね。その上八十二項目では、一項目について一分間ずつ考えても八十二分かかる。ただでさえ忙しいのに、これでは一日に一人やるのさえ大へんだ。職員は三十名だから、土曜、日曜まで入れて評定するだけにまる一カ月はかかる。その上に一人々々のまとめの表を作り、また別に履歴書より詳しい教職歴から家族の一人々々の状況などまで記入したものを作らなくてはならない。よくもまあ机上プランでこんばかげたことをきめたものだ。」こう書いてある。こういうような考え方を、良識のある校長先生が持っておるのです。文部官僚はこんなことはわからない。あなた方にはわからない。そこで私が聞きたいのは、こういう感想に対するあなたの感想を聞くようなばかなことは、僕はしたくないのだが、校長の意に反して市町村教育委員会が評定を行わしめるのだ。校長はできないと言うのです。これは愛媛でもあった。ノーマルな校長にはできない。書けといったって書けない。その校長ができないというものを無理やりに書かせるということは、今日の法律では可能になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/144
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145・内藤譽三郎
○内藤政府委員 ただいま校長の感想をお述べになりましたが、八十二項目というのは、たとえば学級経営というのはどういう意味か、その学級経営のうまくいっているいっていないという場合に、おのおのの判断が非常に異なっては困るので、教室がよく整頓されているとか、あるい実験材料がよく整備されているとか、教材が組織的に配列されているとか、そういう意味の内容を、学級経営なら学級経営の内容を統一するためにきめた項目なんです。たとえば指導力といっても、あるいは教育愛といっても、その内容が皆さんの考え方がまちまちですと、評定の結果がまちまちになるから、大体意思統一をしようというので、先ほどあなたが御指摘になったように、あまり主観的になっては困るというので、なるべく客観性を持たせて意思統一をするために、八十二項目が出ておるわけなんです。ですからむしろその方が客観性があると私は思うのです。しかし実際評定をする場合に、もしその観念ができれば、あとは一瀉千里に評定ができるわけなんです。その頭の地ならしをまず最初にしておくわけなんですから、その点は一々八十二項目を見ながら評定する、こういう意味ではないと思います。
そこでもう一つ、校長が良心的にできないと言ったものをやらせるのはどうかというお尋ねでありますけれども、それなら愛媛県の場合でも、妥結がついたときから全部の校長が出した。不可能なものだったら出せないはずだと思う。あの愛媛県の場合にも全部出したのでありますから、私はでき得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/145
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146・野原覺
○野原委員 愛媛の場合は出したというのは、結果論から来ておる。それはどなたからか発言があったように、権力なんだ。それは手を変え品を変えやったからだ。だから僕が聞いておることに答弁してもらわなければ困るのだ。愛媛の場合というけれども、一般的に校長ができないというものを出せということは、今日の法律ではできないと思うが、できますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/146
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147・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは教育長その他教育委員会のりっぱな人たちが御研究になった成果でありますから、できないものを教育長協議会が作るはずはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/147
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148・野原覺
○野原委員 そういうことは聞いていない。でき上ったものが不満なんだ。教育長の今度の試案に対しても、問題がある。段階的な格づけでノーマルなカーブは、要求しているけれども——教育長協議会はあなたよりもよほど進歩しておる。あなたはそれをお認めにならなければいかぬと思う。しかし最初に戻るけれども、今度の試案にしても八十二項目はなかなか容易でない。あなたは客観的な基準を示したと簡単に言うけれども、その客観的な基準がこの人のどこにあてはまるかということを、一人々々見ていかなければならぬのです。あなたがいかに乱暴な勤務評定を考えておるかということは、一寫手里という言葉を使うことを見てもわかる。人をばかにするなと言いたい。あなたは自分の勤務評定がなされておるかどうかもわからぬようなことで、小中学校の教員の勤務評定については、簡単に赤ん坊の手でもひねるような、そこら辺の路傍の石でも投げるような簡単なことで、教育者の勤務評定をやっておるから、今日教員諸君は非常に憤激しておる。一瀉千里などというのは失言ですよ。取り消しなさい。一瀉千里で勤務評定ができますか。委員長、取り消しを要求する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/148
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149・内藤譽三郎
○内藤政府委員 一瀉千里と申し上げたのが失言なら取り消しますが、その意味は、私どもも勤務評定をやっておりますし、大体心の中でみんな勤務評定ができておる。それを形式的に記録するだけですから、私はふだんから上に立つものは部下職員の勤務評定をしておるのが当りまえだと思う。そういう意味で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/149
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150・野原覺
○野原委員 そこで僕の最初の質問に答弁してもらいたい。校長ができないというのを強制できるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/150
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151・内藤譽三郎
○内藤政府委員 校長ができないという事情があれば、よく教育委員会と協議されてやっていただきたいと思います。私どもはこの勤務評定はできるという考え方なんです。具体的にいたしませんと事情がはっきりしないと思う。今度の勤務評定については、一般にできるかできないかという問題ではない。この勤務評定について校長ができないという御意見は、私は当らないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/151
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152・野原覺
○野原委員 それはそういう勤務評定を強力に実施させよというあなたのお考えです。これを書かなければならぬ立場の校長は大へんです。あなたのような粗雑な考え方で今日子供の教育はやっていけませんよ。一瀉千里とか、簡単にできるとか、校長というものは教員を知っておるはずだから、簡単に帳面につけるだけだとか、あなたはそんなことを言うて、きょうは教職員が来ていないからいいけれども、これを子供の父兄や国民が聞いたら、どんなに怒るかわからない。そんななまやさしい問題じゃない。私は校長が自分の良心に照らしてどうしてもできない、やれないというものは、これは強制できないと思う。憲法第十九条が示しておるじゃないか。思想、良心の自由を保障しておるじゃないか。はっきりしておる。それをあなたは答弁できないのですか。回り回って教育委員会と協議するとかなんとか、とんでもないですよ。それをよく覚えておってもらいたい。
そこで、私はいろいろお尋ねをしたい点もたくさんあるわけですけれども、問題は、第一次評定者に校長がなるということも、これは法的にずいぶん問題があるのです。しかも第二次評定をしろうとの地教委がくろうとの教員を、専門の教育のけの字も知らぬ者が、学校経営がどうのこうのと採点するような、こういう勤務評定は問題があると思う。私はこの大前提に戻って、勤務評定の実施のかぎというよりも、こういうことに法的にずいぶん不備な点がたくさんあるから、これは昨年末本会議でも私は質問の際に申し述べておる。こういうように法的に不備な点があるから、これはもっと頭を冷やして、お互いに教育に関係のある文教委員を中心に、国会においても論議をしなければならぬぞ、あわててはいかぬぞということを、私ども再三社会党の意見として、公的にも私的にも文部大臣に要求してきておるのであります。第一次評定の校長も、これは一体どういう権限で校長が評定をするのか、これも私は議論をすれば一時間、二時間かかると思う。業務命令という形でやらされるのか、それとも職権委任という形をとるのか。私はついでだけれども、これは「校長の職務権限」という文部事務官の波多江さんの本を一ぺん見てみた。ところがこの本の六十三ページに、校長というものは人的管理は含まれないというようなこともはっきり書いてある。こうなるというと、なおさらのこと、文部事務官の書いた本においてすら人的管理が校長にできないとすれば、その校長はやはり地教委から何らかの権限を委任されただろうか、代理の形であろうか、補助執行の形だろうかということが次々と疑問が起ってくる。こういう点をいずれあらためてお伺いしたいと思う。
そこで委員長にお願いします。実は勤務評定に関しては、ほんの序論です。私らはこういう問題を徹底的に究明しなければ、文教委員会の職責はありません。だからしてこれは理事会においても、どうか一つ真剣にこの種の問題を御協議いただいて、文教行政の質問の際に、なお私は本日もたくさんの問題を提示しておりますから、文部当局は虚心に、自分が過去においてやつたからといういきさつにとらわれないで、日本の民主教育を愛する立場に立って考えていただくように、委員長にも文部当局にも、要望いたしまして、本日の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/152
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153・山下榮二
○山下委員長 了承いたしました。追って後日本問題についてはさらに質問を行うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/153
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154・山下榮二
○山下委員長 次に市町村立学校職員給与負担法の不部を改正する法律案を議題となし、その提案の趣旨説明を聴取いたします。臼井政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/154
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155・臼井莊一
○臼井政府委員 今回政府から提出いたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
改正の第一は、都道府県が負担する教職員給与の種類に、新たに通勤手当を加えることであります。これは、別に政府から提出いたしております一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案によりまして、国家公務員に対し、通勤手当が支給されることに伴う改正であります。
改正の第二は、校長に対する管理職手当を同じく都道府県の負担とすることであります。これは、従来大学の学長等に支給されておりました俸給の特別調整額、すなわち管理職手当が、昭和三十三年度から、高等学校以下の校長に対しても、その職務の特殊性に基いて支給されることが予定されていることに伴う改正であります。
改正の第三は、事務職員の意義を明確にする等規定の整備を行うことであります。
以上、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/155
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156・山下榮二
○山下委員長 次に公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案を議題となし、その提案の趣旨説明を聴取いたします。臼井政務次官。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/156
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157・臼井莊一
○臼井政府委員 今回政府から提出いたしました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
国民のひとしく受くべき基礎的な教育としての義務教育につきましては、一定の水準が全国的に維持される必要のあることは、あらためて申し上げるまでもないところであります。しかしながら、現状を見まするに、戦後の学制改革による義務教育の拡充、急激な学齢児童生徒数の増加、さらにはまた近年における地方財政の事情等も影響いたしまして、学級編制基準及び教員定数基準の低下が問題になっておりますことは、まことに遺憾とするところであります。これが改善につきましては、各種の施策の必要なることは申すまでもありませんが、まずその前提として学級編制及び教員定数の標準を明定することが必要と考えられるのでありまして、政府が今回この法律案を提出いたしましたのも、これらの標準を明定し、もって義務教育水準の維持向上に資する趣旨にほかならないのであります。
法律案の内容といたしましては、第一に、学級編制の標準を定めたことであります。現在一学級五十一人以上を収容する学級、いわゆるすし詰め学級は、小中学校を通じ、総学級数の約三分の一に相当する約十四万学級に上るのでありますが、これらの学級における教育につきましては、教師に負担が加わるばかりでなく、児童生徒の指導も困難となるのでありまして、教育効果を向上させる上にいろいろ支障を来たしておるのであります。このような点にかんがみ、学級規模を適正化し、教育効果の向上をはかるため、学校の種類に応じ学級編制の標準を法定するとともに学級編制に関する所要の手続を定めたものであります。
内容の第二は、都道府県ごとの教職員の定数につきまして、その標準を定めたことであります。すなわち、小学校については学級担任を、中学校については教科担任を建前とし、また算定に当っては主として実学級数を基礎として、都道府県ごとに必要な教職員定数の総ワクを定め、教職員配置の適正化をはかることといたしたのであります。
内容の第三は経過措置でありまして、以上の標準を一挙に実施することといたしますと、学校施設の整備その他につきまして急激な負担を伴うこととなりますので、標準に達していない都道府県につきましては、児童生徒数の減少、学校施設の整備等の状況を考慮して暫定的な標準を定め、漸次標準に達するよう経過措置を設けることといたしたのであります。
なお、別に御審議を願っております地方交付税法の一部を改正する法律案におきましては、この法律によって算定される教職員の定数が基準財政需要額算出の測定単位になっておりますのとで、教職員給与費に対する国の財源措置につきましては義務教育費国庫負担制度及び地方交付税制度と両々相待って、一段と整備されることになるのであります。
以上この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/157
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158・山下榮二
○山下委員長 ただいまの趣旨説明に対する補足説明を聴取いたします。内藤政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/158
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159・内藤譽三郎
○内藤政府委員 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案の提案理由につきまして、ただいま御説明がありましたが、私から補足して御説明申し上げます。
まず第一条はこの法律の目的について、公立の義務教育諸学校に関し、学級規模と教職員の配置の適正化をはかり、義務教育水準の維持向上に資する趣旨を明らかにし、第二条はこの法律における義務教育諸学校及び教職員について定義をいたしておりますが、こり教職員の範囲は、市町村立学校職員給与負担法第一条に掲げる教職員の範囲と同様であります。
第三条から第六条までは学級編制の標準に関する規定であります。
第三条は、公立の義務教育諸学校の種類に応じ、一学級に編制すべき児童生徒の数について標準となるべき数を定め、各都道府県ごとのこれらの学校の一学級の児童生徒数の基準は、この数を標準といたしまして都道府県の教育委員会が定めることといたしております。
第四条におきましては、都道府県の教育委員会が学級編制の基準を定めるに当り、法律に定めた標準数に五人を加えた数によろうとする場合等には文部大臣の意見を聞かなければならないことといたしました。これは、特別の事情がない限り標準数を越て学級編制の基準を定めることを制限したい意図によるものであります。また、具体的な学級編制は、学校の設置者である地方公共団体の教育委員会が行うこととし、市町村立の義務教育諸学校の学級編制については、市町村の教育委員会が、毎学年、都道府県の教育委員会の認可を受けなければならないことといたしております。これは従来の取扱いとほぼ同様であります。なお、この法律に定めました学級編制の標準となるべき数につきましては教育上の見地、学級編制の実態等を考慮して規定いたしたのであります。
第七条から第十条までは教職員定数の標準に関する規定であります。これは各都道府県ごとの公立義務教育諸学校に置くべき教職員の総数すなわち教職員の定数につきまして、小学校、中学校並びに盲学校及び聾学校の小学部及び中学部ごとに、その標準となるべき数を定めたものであります。従いまして、休職者及び女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律第四条の規定によって臨時的に任用される者は含まないことといたしております。
なお、これらの教職員の定数は、各学校ごとの配置基準または職種別のワクを示したものではなく、各都道府県ごとの置くべき教職員の総数の標準を示したものであります。従って、各学校ごとの配置は、各都道府県において実情に即して行われるべきものと考えております。また、各条ごとに定められたこれらの数値につきましては、現在各都道府県で行われております教員配当基準等を考慮して定めたものであります。
次に、第十一条といたしまして、文部大臣は、公立の義務教育諸学校に置かれている教職員の総数が教職員定数を著しく下回る都道府県があるときは、あらがじめ、自治庁長官に通知して、教職員の増員について、必要な勧告をすることができることといたしました。これは教職員定数の確保を期する趣旨にほかなりません。
次に附則におきましては、この法律は公布の日から施行することといたしておりますほか、学級編制の標準に関しましては、いわゆるすし詰学級の現況にかんがみ、当分の間、児童生徒数の減少及び学校施設の整備の状況を考慮して、暫定的に標準となるべき数を定め、漸次その改善をはかることといたしました。
また、教職員定数につきましても、公立の小学校または中学校の教職員の現員が標準数に満たない都道府県につきましては、教職員定数に対する充足の程度及び学級数の増加の状況を考慮して暫定的に標準となるべき数を定め、漸次その充足をはかることといたしました。なお、公立小学校の学級編制に当り、一学級の児童数が五十五人をこえる学級がある場合には、当分の間、その学級数に一定数を乗じて得た数を加えた数を標準とすることといたしております。その趣旨は、これらの学級に対しましては、実際上教員数を若干増加して配置する必要があると認められるからであります。
以上がこの法律案の内容の要点であります。何とぞ、十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/159
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160・山下榮二
○山下委員長 両案に対する質疑は追って行うことといたし、本日はこれをもって散会いたします。
午後一時二十三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805077X00819580307/160
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