1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月十三日(木曜日)
午後一時五十八分開議
出席委員
委員長 町村 金五君
理事 高橋 禎一君 理事 長井 源君
理事 林 博君 理事 福井 盛太君
理事 横井 太郎君 理事 猪俣 浩三君
理事 菊地養之輔君
犬養 健君 小林かなえ君
世耕 弘一君 徳安 實藏君
古島 義英君 三田村武夫君
横川 重次君 青野 武一君
神近 市子君 田中幾三郎君
古屋 貞雄君 吉田 賢一君
出席国務大臣
法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
出席政府委員
法務政務次官 横川 信夫君
法務事務官
(入国管理局
長) 伊関佑二郎君
委員外の出席者
専 門 員 小木 貞一君
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二月十三日
委員片山哲君及び神近市子君辞任につき、その
補欠として古屋貞雄君及び多賀谷真稔君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
神近市子君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十三日
売春防止法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五〇号)
婦人補導院法案(内閣提出第五一号)の審査を
本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/0
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001・町村金五
○町村委員長 これより会議を開きます。
外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を行います。
質疑の通告がありますから、これを許します。林博君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/1
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002・林博
○林(博)委員 外国人登録法の一部を改正する法律案につきまして、まずその概括的なことから、主として入国管理局長にお尋ねいたしたいのであります。場合によっては法務大臣に御答弁を願うことがあるかもしれません。
まず現在わが国に在留する外国人の実態についてお尋ねいたしたいのであります。その在留する外国人の国籍別の登録状況がどのようになっておるか、また外国人の指紋押捺状況について、押捺未了の者、また押捺を拒否している者はどのくらいあるのか、またこれらに対する取扱いはどうなっておるのか、この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/2
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003・伊関佑二郎
○伊関政府委員 在留外国人の実態について御説明申し上げます。
総数は六十六万五千おります。そのうちで一番多いのはやはり朝鮮人の六十万でございます。それから中国人の四万五千、引き続きましてアメリカ人が約九千百、それからあとはみなごく少数でございまして、一千名を越しますのは、イギリスの一千六百、ドイツの一千百、カナダの約一千百、こういう程度でございます。
それから、指紋押捺状況でございますが、合計約四十万九千名が押しております。六十六万のうち四十万九千というふうな数字になりますのは、十四才以下の者は押さしておりません。これが一番大きい原因であります。それから、滞在者でも短期の滞在者は押しません。しかし、この数字がこれだけ食い違いますのは、子供が押さないという点であります。
それから、指紋押捺状況について申し上げますと、ただいま未押捺は朝鮮人について二十三名、中国人について一名でございます。これはほとんどが居所不明というふうな状況であります。それから、不押捺と申しますか、在監中とかいうふうなために物理的に押せないという人員はございますが、押せるのに押さぬというのは朝鮮人二十三名、中国人一名でございまして、これは居所不明というのが大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/3
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004・林博
○林(博)委員 これは推定でけっこうですが、登録なしで現在在留しておる者はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/4
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005・伊関佑二郎
○伊関政府委員 登録なしということでございますと、六十日までは登録いたしませんので、通過者とか観光客でございますが、どれくらいということになると非常にむずかしいのでございますが、昨年の通過者は大体六千六百人、観光客が二万四千人というふうな数が出ておりますので、年間を通じて三万人くらいが指紋を押さない、登録もしないで日本に出入りできるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/5
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006・林博
○林(博)委員 次に、諸外国における外国人登録制度並びに指紋押捺の手続についてお伺いいたしたいのであります。
現在指紋をとっておる国と、とっておらない国とがあると思うのでありますが、それらの実情がどうなっておるのか。また、特に昨年の秋、アメリカが指紋押捺規定の緩和をしたという事情があるそうでございますが、それらの点に関して御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/6
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007・伊関佑二郎
○伊関政府委員 ただいま完全な指紋押捺制度を実施しております国は二十一カ国でございます。それから、自分で英語または所定の国語によって自分の名前を署名できない場合に限り指紋を押捺させるという国が九カ国ございます。
それから、アメリカの制度でございますが、これは今度の日本の改正とほとんど同様でございまして、移民を除きまして一年以内の滞在者については指紋を押さないという制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/7
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008・林博
○林(博)委員 今回の改正の中心点は一年未満の在留外国人の指紋を免除しようというところにあると思うのでありますが、この十四条の指紋押捺規定は、本法の成立の昭和二十七年の四月からまる三年間実施を延期したものでありまして、その間、本条を削除して本邦に入国する外国人全部に対して指紋をとることを廃止したらどうかという意見もあったようであります。また、現に、先ほども御説明にあったように、指紋をとっておらない国が相当国あるというお話でありますし、また、今回問題になっております日中貿易の関係で、中共側で通商代表部の設置に関して主張しておるのは、今回の改正になったような指紋押捺義務の免除期間の延長じゃなくて、むしろ指紋押捺に対する全面免除をせよということを主張しておるのではないかと思うのであります。このような指紋押捺の全面免除に対する御意見を法務大臣からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/8
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009・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 中共の通商代表部に関係する指紋の問題は、ただいまお話のようなことかとも存じまするが、御承知のように、従来の六十日の期間を一年に延長することによりまして、相当実際的の効果はあろうかと考えておりますが、それでも一年をこえて滞在する通商代表部の駐在員があると仮定いたしますれば、この一年ではまかない切れないのでございまして、そういう場合におきましては、適当な行政措置を講じて、そうして結果におきましては指紋をとらないでも済むようにいたしたいと考えて、外務当局とも協議をいたしているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/9
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010・林博
○林(博)委員 従来六十日以内の外国人の指紋をとらないことになっているのでありますが、今回の改正で一年以内の者は指紋をとらないということになると、一体該当人員にどのくらいの変動があるものか、またこの一年以内ということにしたその理由は一体どこにあるのか、これらの点について一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/10
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011・伊関佑二郎
○伊関政府委員 従来の統計から推しまして、今回一年にいたしましたために指紋押捺をせずに済む人数は大体一万七千名と踏んでおります。
それから、六十日を一年といたしました理由につきましては、あるいは半年でもいいのではないかという議論もございましょうし、また、二年ではどうか、いろいろ私たちも考えた次第でございますが、私たちの制度といたしまして、一年以上が長期滞在者ということになっております。初め一年以上の期間の資格をもらって入りました者は、その後に犯罪を犯すとか、不正行為をやるとか、あるいは入りましたときの資格が変るというようなことがございません限りは、これを延長して参ります。一年以下は十五日、三十日、六十日、九十日、百八十日というふうにございますが、これは原則として延期いたさない。——もちろん延期いたす場合もございますが、原則としては延期しないという範疇に入っております。そこで、長期は一年以上、一年以下は短期というふうな分類になっておりますので、いろいろ考えまして、その辺が適当ではないかというふうな判断をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/11
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012・林博
○林(博)委員 一昨年の秋ごろから斉に指紋の採取が行われて、先ほども御説明のありましたように、指紋をとられている者は四十万九千名であるというように言われておりますが、一体このように採取せられました指紋がその後どのように活用されているか、どのような実績があったのか、入国管理上、あるいは警察関係、犯罪関係また公安関係等において利用された事例がございましたならば、その事例を承わりたいと存ずるのであります。また、期間を今回の改正のように一年未満に延長することに伴って不良外国人の実態調査が困難になるような事情はないか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/12
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013・伊関佑二郎
○伊関政府委員 指紋を四十万ほどとっておりますが、目下のところ分類ができておりますのは約十五万でございます。従いまして、あとの二十五万というものは直ちに使用し得る状況にまだ至っておりません。
それから、とりました指紋が直接役に立った例、これは警察の方だろうと思いますが、警察庁の警備部長の先般の参議院法務委員会におきまする答弁におきましては、犯人を逮捕しました場合に、本人の同一性を確認するのに指紋があれば非常に便利だというように答弁をいたしました。私の方は、押捺しました指紋自体を使うというよりも、指紋を押捺させるという制度をとりましてから、非常に登録証明書の偽造とか変造とかいうものが減っているという効果があがっていると思います。数字的に申し上げますと、たとえば登録証明書の再交付という申請がございます。これは要するに、いたんだとか、登録証明書を落したから、もう一度出してくれという申請でございますが、それが昭和二十八年に一万八千、二十九年も一万八千、三十年から指紋は取り始めておりますが、一万四千に下っております。三十一年が九千、三十二年が六千、こういうふうにこれが減って参っております。要するに、現実には、実際にはなくさないのになくしたと言いまして、本人は新しいのをもらい、その古いのを密入国者に渡しまして、そして密入国者がその名前をかえるとかあるいは写真を張りかえて使うということが過去において相当行われておった。この指紋制度を採用いたしましてこの数が相当減ったということは、そういう効果は多分にあるように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/13
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014・林博
○林(博)委員 いま一点、今御答弁がなかったと思うのでありますが、この一年未満に延長することによりまして、何か不良外国人の実態把握に困難を来たすというような弊害の部面にないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/14
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015・伊関佑二郎
○伊関政府委員 これも警察の警備部長が答弁いたしておりましたが、警察としますれば今まで通りにとってもらうに越したことはないけれども、しかし一年に延びたからといって著しく犯罪捜査上困るというふうなことは考えないというふうに申しておりました。私の方の入管行政の方からいたしますと、大体指紋を押捺をやりますのは主として不法入国者の発見とか防止という点に重点がございます。その面から見ますと、六十日が一年に延びましても、それほど影響はないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/15
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016・林博
○林(博)委員 最後に一点お尋ねしますが、外国人の登録事務は市町村に委任されておるのでありまして、これは元来その入用な費用というものは国の支出でまかなわるべきものであるというふうに考えるのであります。ところが、実際は所要の経費の大部分を地方公共団体が負担しておるというような実情であるというようなことも聞いておるのであります。その間の事情はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/16
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017・伊関佑二郎
○伊関政府委員 たとえば昭和三十一年の予算で見ますと、補助金は都道府県の実際の経費に対しまして政府の出しましたものが二六・二%、市町村に対しましてはわずかに七%という率にしかなっておりません。この点われわれとしましてはもう少し逐年ずっとふやしていきたいと思っておりますが、予算の方で認められませんので、遺憾ながらこういう実情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/17
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018・林博
○林(博)委員 その点に関しましては当法務委員会に相当各方面から陳情が参っておるようであります。
あと一点お尋ねいたしたいのは、今回のこの登録法の改正によりまして指紋の事務が多少なりとも縮小されることになると思うのであります。それで、予算の面でどの程度の節減をされるかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/18
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019・伊関佑二郎
○伊関政府委員 われわれの計算によりますと、約四十万円くらいの節減になるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/19
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020・横井太郎
○横井委員 ちょっと関連して……。
先ほど林委員の質問に対しまして、法務大臣は、一年以上になった場合には適当な行政措置をとるというお話がございましたが、その適当な行政措置というのはどういうことを意味しておるのか、ちょっと承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/20
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021・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 その点は今外務省と寄り寄り協議中でございますが、御承知のように、外国人登録法におきましては、別段日本国が承認した政府から派遣されておる外交官について指紋をとらないというような規定はないわけでございますが、国際慣例で一種の特権が認められておるわけでございます。それから、その次も、やはり日本国の承認した政府から来ておる公務員、公用に従事する者、こういう者にも一種の特権が与えられておるわけでございまして、その精神を拡張いたしまして、公務員に準ずるものとしてその扱いをしてはどうかというようなことを今研究をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/21
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022・横井太郎
○横井委員 六十日が短かいので一年になった。さればといって、二年ということも想像される。期間的に考えますと、一年でもなお短かいといえば、それじゃもっとということもあるのだが、その行政措置の場合にそういう期間的にはどういうふうに扱われるのでございましょうか。べらぼうに、また一年でも短かいし、もう半年、もう一年ということになりましては、その期間的の問題が私は非常に問題だろうと思うのですが、それはどういうふうに考えられますか、承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/22
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023・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 今のお尋ねでござい
ますが、これがお尋ねにありました日中貿易関係の代表部の人たちのことでございますれば、これはもうその期間を限らずにそういう扱いができるかどうかということを考えておるわけでございまして、そういう代表部の人たちに一年を二年にしてやるとか、あるいは三年、そういうような考え方でなくて考えて今協議をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/23
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024・町村金五
○町村委員長 猪俣浩三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/24
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025・猪俣浩三
○猪俣委員 これは伊関さんにちょっとお尋ねいたしたいのですが、先ほど不法の入国者及び不正者の入国ということがあったわけですが、そこで、その不法の入国というのはどういう状態で、どういう国の人間が多いのであるか。それから、不正者の入国、これは実は当法務委員会で数年前私が質問いたしました問題で、とにかくアメリカのカポネの弟子みたいなのがどんどん入ってきて、出入り自由の状態になっている。当時読売新聞に相当長い間実情が暴露せられたときでありました。それから多少厳重になったようでありますが、そういういかがわしい人物の入国が現在あるとするならば、一体どちらの国の人間がそういうのが多いのであるか。そういう実情についてちょっと御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/25
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026・伊関佑二郎
○伊関政府委員 不法入国につきましてはほとんど朝鮮人でございます。どれくらいの数字になるかということはわれわれとしてもはっきりわかりませんが、われわれが発見しますものが大体月平均百名ぐらいになります。このわれわれの方でわかりません人間がそのほかにどれくらいあるかという点がございます。その他中国人等も多少ございますが、これはごく微々たる数字でございます。
それから、不正と申しますのは、先ほどは、不正入国というよりも、入国しましてからの行動が、入国の際に与えた資格と違ってきたものというふうな意味で申し上げたのでありますが、ただいまのようにいわゆる不良外人というものが入ってくるのもたまにございます。どの国籍が一番多いかという点は、実は数字の準備をいたしておりませんので、ちょっとただいまお答えいたしかねるのでありますが、われわれの方としましては、一度入りまして、そして何らかのいわゆる不良外人と思われるような者につきましてはブラック・リストを作りまして、これを在外公館に配りまして、こういう者は入れないようにというようにいたしておりますが、やはりときどき入り込んでくるのもあるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/26
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027・猪俣浩三
○猪俣委員 この不良外人ですが、日本へ来てばくちをやったり、とにかく日本の経済状態を撹乱するような行為をやったり、ばくち場を経営したりするような者が相当ある。今現状がどうなっているかわかりませんが、中にはもうアメリカならアメリカの人名辞典にちゃんと出て有名になっている人物が四、五年前入ってきておる。そこで、入国を許可する場合には人物の良、不良についてどういうふうな識別をされておるのであるが、どんな取扱いをやっておるのであるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/27
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028・伊関佑二郎
○伊関政府委員 長期に入ります者につきましては、詳細な書類をとりまして、現地限りでは決定いたしませず、在外公館が外務省に送って参りまして、外務省からわれわれに相談がございますので、詳しく調べた上で許可しておりますが、短期間の者で、通過査証とか、十五日間、あるいは観光査証、これらは、こちらから送りましたブラック・リストに載っていない者は現地の公館は簡単に出しております。もちろん出しますときに一応過去に犯罪があったかどうかというふうなことは尋ねることになっておりますけれども、しかし、これは非常に簡単に出しております。それからまた、査証免除の国がございますから、そういう国でございますと、これは自由に入ってこれるというような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/28
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029・猪俣浩三
○猪俣委員 今一つ、大臣でも局長でもよろしゅうございますが、指紋をとるということに対して、東洋人と欧米人との間に感じ方の違いがありましょうか。東洋人は指紋をとられるということは何か犯罪の嫌疑をかけられるような気持を多分に持つのであります。また、沿革から言っても、まず犯罪者に対して指紋をとる、中国あたりも相当そういう思想が濃厚であって、中国では強硬にこの指紋に反対しているのでありますが、欧米人の間にはそういう考え方があるのかないのか、その点御調査があったら御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/29
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030・伊関佑二郎
○伊関政府委員 今まで指紋を押すことに反対いたしましたのは中共とソ連でございます。国民感情としまして、私はソ連のことは存じませんが、中国の人が指紋を押すことをきらうということは十分承知をいたしております。ソ連につきましてもそうであるのか、その点はよくわかりません。しかし、一般的に申しまして、欧米人といえどもやはり指紋を押すということはあまりみな喜ばないようであります。日本人でも、アメリカに参りますのに従来から指紋を押しておりましたが、やはりいやがっておられたようでありますから、どうも指紋をとるというものは全般的にあまり評判のいい制度ではないように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/30
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031・猪俣浩三
○猪俣委員 私は法文をよく研究しておりませんのであれですが、そうすると、日本人が指紋をとられない法制の外国へ行き、そこの国の外国人が日本に来た場合に、やはり相互の契約でそれは指紋をとらぬことになっているのか、あるいはその外国人の本国の法制のいかんにかかわらず、日本では一律に指紋をとるようになっているのですか。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/31
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032・伊関佑二郎
○伊関政府委員 その点は、相互主義には立っておりません。向うでこれをとります場合も、とりません場合も、こちらではとっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/32
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033・猪俣浩三
○猪俣委員 そこで、主なる国の名前をあげてちょっと御説明いただきたいのですが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、この五カ国はみな指紋をとっておりますか、おりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/33
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034・伊関佑二郎
○伊関政府委員 アメリカは、一年以上はとっております。イタリアはとっておりません。イギリスは、署名ができない者から署名のかわりにとっております。ドイツはとっておりません。フランスもとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/34
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035・猪俣浩三
○猪俣委員 そうすると、世界のおもなる文明国においては大体指紋をとっておらぬ。ことにイタリアのごときは、私も去年行ってきたのでありますが、国の財政のほとんど半分は観光客の落す金でまかなわれており、日本と経済状態が非常に似ておる。そういうところではやはり指紋をとっておらぬ。そこで、大きく考えますと、人工衛星の現在におきまして、世界は一つになるという思想が出てきておる今日、あんまり国境を固めるようなあらゆる制度は再検討すべきではなかろうか。いわんや、その外国人の本国で指紋をとっておらぬにかかわらず日本ではとるということは、どうもお互い相互主義の国際間の関係からも穏やかなことではなかろうと思う。
そこで、これは大臣にお尋ねいたします。先ほどの説明でも、指紋をとったためにだいぶ密入国が減ったりあるいはそういう偽造が減ったというようなことですが、これは入っている人間が悪いことをするなら困るけれども、国交が回復しないためにうまく入ってこれない。日本にあこがれて入ってくる者もいるので、そういう密入国者は犯罪性の強い人間ではない。私もたくさん知っております。それですから、私どもがおそれるのは不良外人です。こいつは入れられると困ると思うのですが、その他の者は、ただ国境をあまり固められているために不法入国というような犯罪者になっておりますけれども、本来自然犯ではないのです。そういうことについて、多少便宜があったくらいのことでこういう指紋制度を強化するなり、あるいは長く温存することは将来発展すべき国家の対策としてよいものであるかどうか。私どもは、やつぱりイタリアのように、うんと観光客を吸収して外貨を獲得しなければならぬ。今局長の説明によれば、どこの国も指紋というものにはよい感じを持っておらぬ。指紋をとるために多少よいことがあったといたしましても、私はそんなことをせずに、どんどん来て、また長く滞在してもらう、文明国では大部分指紋をとっておらぬので、日本もこんな制度は廃止したらいいではなかろうかというふうに考えますが、大臣の御意向はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/35
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036・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 指紋につきましては、ただいま御意見のございました通り、大体において相互主義の原則によってやったらいいのではないか、そうすると、先ほどだんだんとあげられました諸国では指紋をとっておらない、わが国人がその国に行った時分にはそういう指紋のうき目を見ないのだ、その相互主義から行けばとらないでもよろしいのではないかという御意見でございまして、なるほど指紋等の問題につきましては相互主義の点も考えなければならぬと思います。それから、日永がこれから世界有数の観光国になろうという際に一種の障害になるという御意見もその通りと思います。ただ、この法律が制定されました当時といたしましては、密入国者の関係その他から見て、どうしてもこういう制度を立てなければならぬ要請がございまして、今日の制度ができておったのでございますが、その後運用いたしてみまして、この規定は先ほど局長から御説明申し上げました通り相当の効果をあげたと考えておりますけれども、その後の情勢の変化にかんがみまして、三カ月というような窮屈な規定は少し緩和した方がよくはないかということで今度一年に延期したわけでございまして、これで実施をいたしてみまして、果してこの成績がどうなりますか、それによりまして判断をしなければならぬこととは思っておりまするけれども、原則論といたしましては、日本の治安さえ許しますならば、お説の通りにいたしていかなければならぬものである、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/36
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037・猪俣浩三
○猪俣委員 今大臣の御趣旨のようだとしますと、とにかく理想としてはないのがいいのだ、しかし、今まで終戦後の日本の実情からこういう指紋の規定のようなものが生まれてきたので、だんだん将来に向ってはこういうものはなくてもいいのだというような御趣旨でありますが、一年とされたのはその妥協的な制度じゃないかと思うのです。石の上にも三年ということがありますが、思い切って三年ぐらいになさる御意思はありませんか。一年なんて歳月というものは非常に早くたってしまいますし、三年ぐらいいれば、またそのときに改めてもとも思われるのですが、もうちょっと延ばす御意向はないでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/37
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038・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 これを一年と限りましたその標準は、先ほど局長から申し上げた通りでございまして、六十日ということでは非常に窮屈を感ずる向きがございますが、一年とまで延期いたしますれば、大部分緩和されると思うのでございます。旅行客その他商用で参っておるような人たちでありましても、一年を過ぎて滞在するというような人は非常に少いのではないかと思うのでございます。ことに近い国々から来ておる人でございますれば、一年滞在すれば、ちょっと用事を持って国にでも帰り、そうしてまた出直して参りますればさらに一年ということになりますから、この一年の延期ということは、たった一年だというふうにお感じになるかもしれませんが、実際上においては相当の効果があるのではないか、かように考えておりまして、今のところは一年ぐらいが一番ほど合いではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/38
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039・猪俣浩三
○猪俣委員 この期間が延ばされないとするならば、もう一つの案は、さっき申しました国際間の相互主義に基いて——体日本人がその国に行っても指紋をとられないのに、その国の人が日本に来て指紋をとられるというようなことは、国際平等の原則にも反するような気がするのであります。元来、指紋なんというものは、私は古い思想であると思う。世界連邦論が出ている今日、お互いに違った国の人だから指紋をとる、その国の犯罪者と同じような取扱いをするということは、夷狄思想だと思うのですよ。根本は夷狄思想です。その国の秩序保持のためにある程度仕方ないかもしれませんが、こんなものは私は将来全廃すべきものだと思うのです。しかし、一足飛びにそこまでいかぬにしても、少くとも国際間の相互主義ぐらいはとることは当然のことじゃありませんか。そうしないと、一種の閉鎖主義みたいになる。しかも世界の文明国の大半がそれをとっておらないのでありますから、そういう制度にしたらどうか。ソ連及び中共には指紋制度がありますかどうか。このソ連、中共に指紋制度があるかないかについては局長、それから国際間の相互主義に基く制度にしたらどうかということに対しては大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/39
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040・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、指紋制度等につきましては、国際間の相互主義ということが一つの考え方だと私は思っておりますが、現行法といたしましては、相互主義にのっとらず、一律一体に六十日とか、今度一年というふうに扱ってきておる現状であります。そこで、この制度を切りかえまして相互主義ということになりますれば、現実の問題といたしましては、それに均霑する国もあり、また全くそれには均霑できないような国もございまして、国際関係の非常に微妙複雑な今日といたしましては、相当慎重に考慮しなければいけない問題だ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/40
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041・伊関佑二郎
○伊関政府委員 ソ連と中共には指紋制度はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/41
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042・猪俣浩三
○猪俣委員 ソ連や中共に指紋制度がないのですから、彼らが日本の指紋制度に対して反対することは当然だと思うのでありますが、私は、こういう指紋制度なんというのは各国がやめた方がいいと思う前提から、結局相互主義までやってみて、自分の国の人が指紋をとられるのがいやだったら、自分の国で指紋をとらぬようにするということで、結局世界に指紋制度がなくなる。だから日本が率先してこの制度をだんだん廃止するように考えたらどうか。廃止できないにしても、相互主義までとったらどうか。政府は近い将来そういう改正案を出すお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/42
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043・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 この指紋制度について相互制度をとる、あるいは最後の理想としては世界中で指紋制度というのをなくするようにその方向に向って進むということはどうかという御意見でございまして、世界の情勢がそういうふうに向って参りますことはまことにけっこうなことと存じますけれども、今の国際関係、またその間に処するわが国の治安の状態等にかんがみまして、この指紋制度を急に相互主義に切りかえるとかあるいはこれを全廃するというような考えは今のところ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/43
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044・町村金五
○町村委員長 古屋貞雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/44
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045・古屋貞雄
○古屋委員 ただいま局長から御答弁があった不法入国者、その中にはいろいろの種類の方がおると思うのです。いわゆる政治的に自分の本国を否認して、本国の政治を快しとせずして日本に来た人、こういうような者があると思うのですが、調査の結果、そういうような区別はわかっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/45
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046・伊関佑二郎
○伊関政府委員 今六十万からおりますので、その中に何人そういう者がおるかということになりますと、私の方もわかっておりませんが、問題になりましたケースで、個々の事件としまして不正入国でわれわれの方に来まして、それで事情を調べました際に、これは政治亡命に近いようなケースだというふうに認められる——政治亡命という範囲の概念が非常に漠といたしておりますが、広く見ましてそういうふうなものに近いような者も多少はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/46
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047・古屋貞雄
○古屋委員 もっと具体的にお尋ねしたいのですが、不法入国は朝鮮の方が一番多いようですが、その中で、朝鮮の自分の本国の政治をいさぎよしとしないで——その理由はたくさんございましょうけれども、一応そういうような考え方で日本に不法入国をした、そういう方があるように心得ておるわけであります。今月の文芸春秋には、鄭という署名入りで、韓国におることをいさぎよしとしない、従って数回にわたって日本に逃げてきた、そうした手記があれに載っておるわけであります。今回あちらへ強制送還をするという人たちについての各個人の調査をされたはずだと思うのです。千数百人の方たちの事由、何がために日本に不法入国をしたかという事由調査をしておるはずでありますが、その中にはどのくらいおりますか、あるいはないかあるか、ありますなら何名くらいおりますか、おそらく調査されておると思うのでございますが、その御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/47
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048・伊関佑二郎
○伊関政府委員 ただいま浜松並びに大村におります者で、いわゆる北鮮系と称します者を除きました中で問題になりますのは、最近の文芸春秋に書きました鄭、あの一人のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/48
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049・古屋貞雄
○古屋委員 なおお尋ねしたいのは、かつて日本人でありました者が、終戦直後ポツダム宣言の受諾によりまして第三国人になった。そういう方たちの中で、一時本国に帰られて、再び日本に帰ることが不能になりましたため、に、いろいろの経済的や何かの事情で日本に不法入国してきた、こういう方がその中にはおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/49
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050・伊関佑二郎
○伊関政府委員 不法入国者のほとんど大部分が、そういう方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/50
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051・古屋貞雄
○古屋委員 特にその中に、未丁年者、生活能力のない者、しかも自分の生活を保護する中心となるべき家族が日本に在住しておる、朝鮮の数年にわたる戦争のために、かつては親戚のお世話になっておったんだけれども、すでにそれらの人もなくなり、あるいは生活上の問題で保護を受けることができない、やむにやまれずに日本に不法入国をいたしたというような方があるやに聞き及ぶのでありますが、そういう未丁年者の不法入国者の数がどのくらいありますか。それから、なお、未丁年者の中でも、生活保護をする尊属親が日本におり、尊属親によって生活を保護されなければならぬというような事情で不法入国をした者がございましたならば、その人数を御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/51
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052・伊関佑二郎
○伊関政府委員 そういうふうな未成年者で両親をたずねて入ってくる者は相当数ございます。ただ、ただいまのところ、この例が何名であるかという数字は持ち合せておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/52
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053・古屋貞雄
○古屋委員 そこで大臣にお尋ねしたいのですが、さような、人道上から考えて、強制送還をすることによって生活の保障が本国で受けられない、しかも、日本におりますならば生活を保障し得る見通しのついたような者については、何らかの人道的立場から、法務大臣のお考えで、在住することができるような規定が日本にはあるやに承わっておるのですが、さような温情のある、人間味のある措置をされるお考えがあるのかどうか、その点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/53
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054・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 ただいま局長からお答え申し上げましたように、いわゆる不法入国者の非常に多くの数が、今御指摘になったような、従来から日本に関係のあった人々でございます。そうして、たまたま朝鮮へ帰っておったということですでに外国人になり、朝鮮へ帰っておったのですから、成規の手続をとらなければ入国ができない。それを密入国したわけでございます。でありますから、一応法律の建前といたしまして、従来から日本に縁のあった者は、そういう法の命ずる成規の手続をとらないで不法入国としても仕方がないのだということになりますと、法規の建前がすっかりくずれますから、どうしても一応は密入国者としてこれを取り扱っていかなければならぬと考えております。しかし、今お話のありましたような、従来から日本に深い関係がある、そうして扶養してくれる人が日本におるというような関係で、非常に年をとった人であるとか、あるいはまだ非常に年の若い生活能力のない者というような者も相当おりますので、これをどういうふうに処置するかということにつきましては、今慎重に考えておりまして、ただ法律一片で処置することもどうか、かように考えて、これは非常に困った問題だと思うて、慎重に今考慮をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/54
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055・古屋貞雄
○古屋委員 非常にけっこうだと思うのですが、世界人権宣言に基きますと、やはり日本におりますそれらの人々が生きる権利、移住の権利というものを持っておるわけなのでありまして、この点は、この世界人権宣言の建前から考えても、十分法務大臣の御配慮を願って、やはり人道的立場からの御配慮を願いたい、かように御要請申し上げます。
なお、もう一つお尋ねしたいのは亡命者の問題でありますが、亡命者についても、従来の世界の慣例から申しますと、亡命者の生命そのものに対する保護は、その亡命者のおりまする国家において保護する、こういうような立場をとられておるのですが、今の鄭という亡命者と認められる方に対する処置については、やはり亡命者として今申し上げたような温情ある生活保護のすべを講じてありましょうかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/55
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056・伊関佑二郎
○伊関政府委員 ただいまのケースにつきましては、本人の名前も本名であるかどうか、やや疑わしい点がありますし、本人の今までのいろいろとわれわれが調べました際の申し立ても矛盾した点もございますので、今もう少し詳しく調べたいと思っております。その調べました上でありませんと、結論が出て参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/56
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057・古屋貞雄
○古屋委員 なお、今大村収容所並びに浜松収容所にいらっしゃる朝鮮の方の中には、これと相似た者がたくさんおるやに承わるのです。と申しますのは、李承晩政権には心服しがたい、帰りたくない、かりに帰りましてもいろいろの圧迫を受けることによって人間的生活ができないというようなおそれを持っております方が、これは北鮮に帰ろうというのでなくして、日本におりたいというような方もあるやに承わるのですが、その方たちに対しましても、さっき法務大臣の仰せられたようなあたたかいお気持で、これをどうするかという御決定を願いたい、かように思っておりまするが、その点についての御配慮だけはいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/57
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058・伊関佑二郎
○伊関政府委員 ただいま大村におります者たち、これはほとんど全部帰りたくないという気持であることは間違いなかろうと思うのであります。みな、正直のところを聞きましたならば、帰りたくない、日本におりたいということになるのだろうと思いますが、また、李承晩政権との関係がどうあるかという問題もありますが、いわゆる政治犯というようなものに該当するようなものは、先ほどの例がどうなるか、それ以外には私の方の調べではございませんし、こちらにおりたいという気持はわかりますが、今回の協定ができておりますので、これらは全部送り帰したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/58
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059・古屋貞雄
○古屋委員 その点は十分お調べを願いまして、万遺憾なき処置をおとり願いたいと思います。
それから、もう一つ、これは外務大臣とも関係がありますが、お尋ねしたいのですが、今回の韓国に送還をいたしまする関係につきまして、北鮮の赤十字から、赤十字の代表を日本に送りたい、そしてお世話をしたい、かような申し出を日本の政府並びに赤十字にされ、赤十字から日本の政府に申し出があるやに承わりまするが、そういう事実がございましたかございませんか、この点を承わりたい。これは一つ大臣にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/59
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060・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、これは北鮮の赤十字から日本の赤十字へそういう申し出があるそうでございまして、そういう申し出があったということを私ども政府へ日本の赤十字から申してきておりますから、承知いたしておりますが、政府へ申し出てきておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/60
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061・古屋貞雄
○古屋委員 一昨年、北鮮にいらっしゃいます同胞四十数名があちらから日本へ帰って参りましたが、そのときは、日本から葛西副社長と、たしか高木君か井上君かが北鮮へ参りまして、こちらへ連れ帰ったわけです。これと同じケースといたしまして、向うから、北鮮に帰りたい者を連れて帰りたい、それがために世話をしたい、かような申し出が政府にたしかあったと思うのですが、北鮮の南日外相の声明書などにはそういうことを書いておりますが、そういうことがないといたしますならば、今後そういう申し出がありましたときは、やはり法務大臣の方ではこれをお迎えして、その世話をされるようなお考えがあるかどうか。これは大臣に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/61
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062・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 まだ先のことでございまして、法務省としては何も意見をきめておりません。そういうことがございますれば、よく外務省とも打ち合せてお答えいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/62
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063・古屋貞雄
○古屋委員 このことは、一九五五年に私ども北鮮に参りまして、あちらにいらっしゃいます同胞の、その待遇の事情もつぶさに見て参りましたし、それから、こちらへ帰って参りましてからも、向うにおりました当時のことについての、満足であったという意思表明をしておるわけです。でありますから、そういう申し出がございましたならば、どうか、われわれの立場といたしましても、何とかお世話をしてもらわなければならぬという、これは道義的に考えましても、相互主義でなくしても——北鮮からたしか四十六名ですか帰って参りました。これはまことにいい待遇を受けて帰ってきたということを当時新聞で発表をしておるわけです。従いまして、今後北鮮の赤十字から、ただいま私が申し上げたような申し出がございましたら、どうかこれに報いるようなおつもりでお迎えをして、連れて帰ってもらう、かようなことに御配慮を願いたいことを法務大臣にも私から御要請申し上げまして、私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/63
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064・町村金五
○町村委員長 この際他に御質疑がなければ、残余の質疑は次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/64
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065・町村金五
○町村委員長 この際発言を求められておりますから、これを許します。古島義英君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/65
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066・古島義英
○古島委員 私はこの間法務大臣が猪俣君にお答えした機密保護に関することで承わりたいと思います。
法務大臣のこの間のお答えには、機密保護法を設けるかどうかということは今せっかく検討中だと言っておりました。その検討中だというのは、今日でも違いはないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/66
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067・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 今もって検討中でございまして、その状況は変っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/67
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068・古島義英
○古島委員 この間のお答えをそのまま今日でも維持いたしておるというならば、現在の公務員法なりあるいはその他こういう取締りの法律があって、大体これで十分だとおぼしめすのであるか、これではとうてい取締りができないということを考えておるのか、それがどっちかわからないから検討をしておるというのか、その検討している範囲を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/68
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069・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 防諜関係の法律は、私が申し上げまするまでもなく、戦争を契機といたしまして非常に変っております。戦前の諸規定はほとんど消滅いたしておるわけでございます。今日この関係の当面の法律といたしましては、いわゆるMSA協定に基く機密保護法、それから駐留軍関係の刑事特別法、この二つがございまして、そのほかは地方公務員法、国家公務員法、電波法というような個別的な法規に秘密保護の規定があるわけでございまして、従来刑法の八十五条でございましたかにありました間諜利敵の罪というような規定が削除されておるわけでございます。今日はさような法制のもとに国家機密を守っておるわけでございますが、これらの法規でもって今日国家機密を守るに十分であるかどうかということにつきまして、その必要ありやいなやを今調査しておるわけでございます。
なお、法務省の立場を申し上げますと、この刑法の関係もございまするから、刑法改正全般の問題の一環といたしまして、この問題は従来から研究をいたしております。それから、法律によって保護さるべき国家機密はどこにあるかと申しますれば、私が申すまでもなく、まず第一に防衛庁関係の機密である。あるいは外務省関係の外交上の機密というようなものでございまして、それらはそれぞれの防衛庁なり外務省において今御研究中のようでございます。ただ一省関係の機密保護ということになりますれば、あるいはその省主管ということになりましょうし、各省にまたがって総合的な防諜法関係ということになりますれば、自然法務省も協議にあずかって、あるいは共管というようなことになりますが、そういうような点一切きまっておりません。法務省は法務省の立場で今その必要ありやいなやを研究しておる、これが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/69
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070・古島義英
○古島委員 公務員法の百条によれば、ただ職員は秘密を漏らしてはならない、退職した後も同じであるということが規定してあるだけで、公務員ならば秘密の漏洩ということが犯罪になるが、この秘密を民間人がただ聞き知ってこれを漏洩したというときには何らの犯罪も成立しない、こうなるのですが、公務員法だけではとうていおさまりがつかないから、公務員外の一般人の方も取り締る必要が起ってくると思う。この点で私は承わりたいのですが、先般、堀江壮一という人、これは日本共産党の関西の幹部でありますが、この幹部の人が、二十五年に、大阪の曽根崎署の問題で、桜橋書店、大阪の出版販売会社、この争議の際に会社の帳簿を持ち出した。そして、書類を持ち出したというので、曽根崎署ではこれを強盗犯人として検挙いたした。そこで、強盗犯人で検挙いたしたが、その後大阪の裁判所で懲役二年六カ月の判決を受けた。控訴、抗告いたしました結果が、昭和二十八年の二月、判決が確定いたしました。二十八年に判決が確定したにもかかわらず、今日まで逮捕せずにおったということはどういうわけでありますか。刑の執行をせずにほうっておいたということはどういうわけでありますか。お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/70
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071・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 まことに申しわけありませんが、私その事件は聞いておりませんから、よく調べました上でお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/71
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072・古島義英
○古島委員 これは非常な重大な問題で、判決の確定したのは二十八年の二月ですよ。これを法務省が知らないはずはない。法務省では警察と共謀しまして、これに尾行をつけて、今年の一月二十日までこれを放任しておいた。こんな重大なことを法務大臣が知らないはずはないのですが、知らないとおっしゃるならば、これはいたし方がない。監視がおるにかかわらず、尾行がついておるにかかわらず、この人がスパイをやっておった。これは法務省も知らぬはずはない。かようなことをやっておって、しかもこの人は東京に来ておる。大阪で判決を受けたが、東京の日本橋の兜町の興信所の調査員になっておるが、それに尾行をつけて各役所に出入りさせておった。出入りをさせた結果どうなりましたか。法務省で知っておる各官庁の相当な人物がこれに巻き込まれて、同様のことをやった。こういうところも、あなたの方ではこの問題について無関心でおったのですが。無関心でおったというならしようがないですが、こういう危険な人物が五年もおって、しかも五年尾行がついておったにもかかわらず、各役所の連中がこれにつり込まれて同様のことをやっておる。そのことについては何らお耳に達してないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/72
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073・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 ただいまのようなことがございますれば、これは十分警戒をしなければならぬことと思います。私はまだ報告を受けておりませんが、おそらく事務当局におきましてはしかるべき考えのもとにしかるべき処置をしておったことと思います。私はまだ承わっておらないのでございまして、よく調査をいたしましてお答えをいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/73
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074・古島義英
○古島委員 局長もこれは知らぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/74
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075・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 実は、きょうは登録法の関係と承知いたしましたものですから、主管局長を伴っておりませんので、よく主管局長に取調べさせましてお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/75
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076・古島義英
○古島委員 機密防衛に関する立法をしなければならぬというならば、こういうことがあるからということくらいは知っておっていいはずだと思う。
そこで、この堀江壮一に関連して、昨年の十二月二十七日に、各役所と家宅を捜索いたしました結果、農林省の農林経済局農業協同組合部組合検査課平野正夫、この人もスパイの仲間に入っておる。それから農林省の農林経済局統計調査部管理課総括係長馬場道夫というのもスパイになっておる。それから経済企画庁総合計画局計画課化学工業担当係長矢島不二男、これもスパイをやっておった。それから大蔵省管財局管理課小林昭治という者、かような大勢の役所の係長あるいは課長というような者が堀江壮一につられてスパイ行為をやっておる。しかもその証拠を検察庁は持っておるわけです。検察庁が千数百通の機密書類を押収し、そうして手元に持っておる。こういう場合において、これだけの大がかりなスパイ行為があるにかかわらず、まだ機密保護法については検討中だと言われる。今これから研究するとかしないとかいう問題ではない。現に一月二十日にこれが検挙されておるのです。一月二十日に検挙されておるならば、現在目睫に迫った緊急なことである。これを取り締まらなければどうにもならぬ、しかも、国際間の関係も、あるいはまた日本の輸入問題についても、すべてこれらが材料を出しておる。この材料がどこに行っておるか。もちろん中共にも行っておればソビエトにも行っておるのです。かような問題は、現に法務省で関係をして検察庁を動かしてこれを検挙しておる以上は、今これから研究して法律をこさえようかこさえまいか考え中だとは何事です。かような問題がある以上は、直ちにこの問題一つをとっても保護法を何とかして作らなければならぬという見地に立つと思うが、この点についての御意見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/76
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077・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 ただいまの御質問の問題は、警察関係におきましても、また従って検察当局においても取調べをいたしておるはずでございます。で、お説の通りこういうようなことがありまするから、今日の防諜関係の法律では不備ではないか、こういう御意見はごもっともだと思うのでございます。ただ、法律を作って、そうしてどうしても守らなければならない国家機密というのはどういうことであるかという根本問題になってくるわけでございまして、各官庁には事務上の関係で官庁の秘密というものがございますけれども、これらの秘密全部を防諜関係で守るべき秘密というふうに考えるわけにはいきません。いわゆる防諜法で保護すべき秘密は国家機密でございまして、まあ戦争中でございましたならば、いろいろ広い範囲の経済上の秘密、資源に関する秘密というようなことが非常に広く法律で守られておったのでございますけれども、今日になりますと、法制をもってこれを守る——守る立場からいいますれば行動の自由を制限するということにもなりますから、この間におきまして、法律を作ってまで守らなければならない国家機密というものはどういうものであるかという、この対象から研究いたさなければならないのでありまして、そういうような関係から考えまして、先ほど御説明のことなどは、こういうことがあるから気をつけなければならぬという一つの警告にはなります。なりますけれども、これ一つをもってすぐに防諜法を制定しなければならぬというふうには考えられぬのでございまして、いろいろとこれはむずかしい関係がございますから、慎重に研究をいたしておる次第でございます。どうぞ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/77
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078・古島義英
○古島委員 詳しいことは係官がおいでになったら聞きますが、かような機密を出して、その機密がどこへ行くかというと、ただいま申したように中共やソビエトに参る。しかも、その中共やソビエトに参るのは何ゆえに参るかというと、日本と相ともに手をつないで日本のためにやっておるアメリカの内部等がすぐこれでわかる。アメリカの内部を探るためには、日本の模様を知って、それを共産党の連中に探らせる。その共産党の連中の種が向うに参っておるのです。これは日本の機密というよりは日本を通じてアメリカの機密を探っておるのです。これを国家公務員法の規定などで取り締るということは、とうていできるはずはありません。しかも防諜法をここで設けるほどの事態になっていないというならば、この堀江壮一をどうやって処罰するか。堀江壮一が先へ立って指導してスパイをやっておる。ほかの者は、国家公務員法の百条があるから、機密を漏らしたらこれでいきましょうが、一年以下の懲役もしくは三万円以下の罰金、これで取締りができますか。国家はそれほど楽なものではない。私は、あなたがお調べになってきて、もしくはよく聞いてきて、それからお答えができるまでこれをやめますが、どうか十分調べてきていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/78
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079・三田村武夫
○三田村委員 この際政府に資料の提出を御要求いたしておきます。法務省は御出席になっておりますが、御出席になっていない他の官庁については委員長にしかるべくお取り計らいをいただきたいと思います。当委員会に付託されることを予想されております重要法案が相当多数あるように存じております。なお、最近世上相当深刻な論議の対象になっておりますいわゆる青少年犯罪の問題でありますが、これらの問題についても、その対策に関していずれ当委員会で慎重にその対策を審議しなければならないこともあると思います。従いまして、それらに関しまして、以下御提出願いたい資料を御要望申し上げておきます。
第一に、青少年犯罪に関する資料でございますが、これは法務省と警察庁別々に調べてお出し願いたい。法務省においては、過去五年間について、二十才未満の者と二十才から二十五才までの者に分けて御調査願いたい。その内容は、検察庁において受理した件数及び人員、これは過去五カ年間を年次別に御調製願いたい。二十六国会の末期に同じような資料の御提出を願いましたが、この資料にさらに一年分を加えて、内容を御検討の上お出し願いたいと思います。年齢別、性別、犯罪の種類別、初犯、再犯の別、処理状況、これは、起訴になった者、不起訴になった者、家裁とか少年鑑別所に渡した者も相当あるようでありますが、その点も調べて御調製願いたいと思います。警察庁においても同様、過去五カ年間について、二十才未満の者と二十才から二十五才までの者、これは全国の警察で取り扱った件数及び人員、年齢別、性別、犯罪の種類別、初犯、再犯の別、処理状況、それから、警察の場合は、検察庁が受理したものと同じようなものもございますが、また違う範囲のものもあるのでありますから、ぜひ一つできるだけ詳しいものを御提出願いたいと思います。処理状況、検察庁または家裁に送った者、単なる補導処分に付した者、警察の取調べだけで帰した者も相当ありましょうから、こういう点もお調べ願いたい。もしできたら、都市におけるものと郡部におけるものと分けていただきたい。傾向が見たいのであります。
それから、凶悪犯、いわゆる殺人、傷害、強窃盗、暴行事犯、こういうものについても、できるだけ具体的な資料がいただきたいのであります。いわゆる性犯罪に関するもの、これも今まで世上注目の焦点となっておるようでありますから、お出し願いたい。
次に、暴力事犯に関する資料であります。これも前国会に資料を出していただきましたが、正直に申しまして、あまり正確でない、十分とも言えない資料もあったように思いますから、この際一つ御調べ願いたい。これも、最近五カ年間の年令別、性別、それから集団暴力事件、個人による暴力事件、特に何々組というような、そういった組織の背景のあるもの、それから、その実態といたしましては、犯罪の種類別、特に最近顕著な傾向について、これは相当新聞にも雑誌にも取り上げられておりますから、こういう点も一つ御調査願いたい。いわゆる輪姦事件、これは当法務委員会で現地調査をいたしました場合にしばしば現地の機関から聞いた事例が相当多数あるのであります。京都でも聞きましたし、名古屋でも聞きました。一週間に二、三件は輪姦事件がある、こういう事例も聞いて参りました。暴力追放と申しますか、やがて当委員会にもそれらに関する法案の提出もあるようでございますから、その間の審査の資料として、ぜひできるだけ詳しいものを具体的な事例について御調製願いたいと思います。
次に、汚職事件に関する資料でありますが、これも、過去五年間、もしできるならば過去十年ぐらいの間の統計がいただきたい。これは検察庁でお調べになるとあると思いますから、お願いいたします。これは公務員の収賄事件の統計、一般公務員と公選による公務員と分けてお調べ願いたい。一般の任命による公務員、この中には国家公務員と地方公務員、地方自治団体の公務員、こういうものもありますから、これも一つお調べ願いたい。公選による公務員、これは国会議員もありますし、都道府県会議員、市町村会議員、これなんかについても、一つごめんどうですが、ぜひお調べ願いたい。
それから、いわゆるあっせん収賄罪、これも当委員会にやがて付託される模様でございますが、法案が出て参りましてから資料の御提出を願っても、なかなか早急に間に合わぬのが従来の例でございますから、ぜひできるだけ詳しい資料を御調製願っておきたいのであります。いわゆるあっせん収賄罪という規定がないために、これはだいぶ悪質だけれども、どうにも手当のしようがなかったというような事例がありましたら、ぜひ具体的な資料の御調製を願っておきたいのであります。
次に、売春防止法施行に関する資料でありますが、いわゆる売春業者の実態を正確につかみたいのであります。世上いう赤線、青線、この業者数と従業者の数であります。これは、警察庁さらに労働省、厚生省共同で資料の御調製を願いたいと思います。すでになくなってしまっておるものもありますが、転廃業をしたからなくなってしまつたのだという形でなくて、従来ありましたもの、これをお調べ願いたいのであります。それから、転廃業の実情、これも新聞や雑誌に伝えられるように、ほとんどことしの一月の終りころまでに従来の赤線業者はやめるというような傾向にあるようでございますが、実際はどうなっているかということを承知いたしたいのであります。それから、業者はやめたが、従業婦、働いておった女は一体どこに行ったんだということが非常に重要な問題になりますから、これもできるだけ一つ詳しい実態調査をお願いいたしたいのであります。
同じ売春防止法関係として、検挙の状況、これは勅令九号違反として検挙した者、これは単純売春です。今度の売春防止法は単純売春は刑罰の対象になっておりませんから、こういったものを将来どう見るかの資料として、ぜひこれもお調べ願いたいと思います。九号の該当者として検挙した者、それから、地方条例も相当ありますが、地方条例として検挙した者。
以上でございますが、ごめんどうでもぜひできるだけ早目に資料を御調製願って御提出願いたいと思います。
委員長、しかるべくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/79
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080・猪俣浩三
○猪俣委員 今の資料の要求について私の方からも付加してお願いがある。
それは、百九十七条の一項、普通収賄罪、これと、二項の請託を受けてやったという加重罪、この比率を知りたい。ですから、百九十七条の一項の犯罪がなんぼで、二項の犯罪がなんぼになっておるか。
それから、百九十七条の二、これは第三者にわいろを提供した場合の犯罪、この犯罪がどのくらいあるか。これは五カ年間のものでもいいと思いますが、今の三田村君の要求の表を作るときにそれを明らかにしていただきたい。
それから、百九十七条の三、「因テ不正ノ行為ヲ為シ又ハ相当ノ行為ヲ為ササルトキハ」、これも普通収賄罪の加重罪になっておりますが、この百九十七条の三の犯罪がなんぼあるか。これと私は百九十七条の一項の普通贈収賄罪の比率を知りたい。
これを一つ御用意いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/80
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081・高橋禎一
○高橋(禎)委員長代理 それでは、法務省の関係は、法務大臣も御出席になっておりますから、三田村委員、猪俣委員の申し出の資料を提出されるようにお願いいたします。
それから、法務省以外の関係当局に対しては委員長の方から提出方を要求いたしておきますから、御了承願います。
本日はこの程度にて散会いたします。
午後三時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00419580213/81
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