1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月十八日(火曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 町村 金五君
理事 高橋 禎一君 理事 林 博君
理事 福井 盛太君 理事 三田村武夫君
理事 横井 太郎君 理事 猪俣 浩三君
小島 徹三君 世耕 弘一君
徳安 實藏君 長井 源君
横川 重次君 青野 武一君
神近 市子君 佐竹 晴記君
田中幾三郎君 古屋 貞雄君
細田 綱吉君
出席国務大臣
法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
出席政府委員
警 視 監
(警察庁警備部
長) 山口 喜雄君
法務政務次官 横川 信夫君
検 事
(刑事局長) 竹内 壽平君
法務事務官
(矯正局長) 渡部 善信君
法務事務官
(入国管理局
長) 伊關佑二郎君
海上保安庁長官 島居辰次郎君
委員外の出席者
法務事務官
(入国管理局登
録管理官) 豊島 中君
専 門 員 小木 貞一君
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二月十八日
委員武藤運十郎君辞任につき、その補欠として
細田綱吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事長井源君辞任につき、その補欠として三田
村武夫君が理事に当選した。
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二月十七日
証人等の被害についての給付に関する法律案(
内閣提出第六一号)
の審査を本委員会に付託された。
二月十五日
行政不法処分調査に関する陳情書
(第二六五号)
外国人登録指紋登録制改正に関する陳情書
(第三三九号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
小委員会設置に関する件
外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三号)
売春防止法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五〇号)
婦人補導院法案(内閣提出第五一号)
証人等の被害についての給付に関する法律案
(内閣提出第六一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/0
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001・町村金五
○町村委員長 これより会議を開きます。
まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。長井君が理事を辞任せられましたので、理事が一名欠員となっております。理事に三田村武夫君を委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/1
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002・町村金五
○町村委員長 御異議なしと認め、同君を理事に御指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/2
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003・町村金五
○町村委員長 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続きまして質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。長井源君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/3
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004・長井源
○長井委員 けさの新聞で「十七日午後本国送還のため浜松収容所から長崎県大村収容所へ移送中の韓国人二百六人を乗せた列車が名古屋、大阪、姫路の三つの駅で停車の際騒ぎを起し、どさくさにまぎれて十人が逃走した。」という記事がありますが、この事情を一つ御報告願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/4
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005・伊關佑二郎
○伊關政府委員 十七日、昨日の十二時四十分に異常なく浜松を出発いたしておりますが、被護送者は二百五名であります。これに対しまして、浜松の警備官六十三名、警察官四名、本局から二名の職員が参り、六十九名の者がつきまして、特別列車で五両の編成で出発いたしたわけであります。ところが、名古屋に参りまして、この護送指揮官の方から駅側に連絡いたしまして、売店で酒を売らないようにという連絡をいたしましたところ、この連絡が不十分でありまして、タバコも売らないという事態が発生いたしました。タバコを売らぬのはけしからぬといって騒ぎ出しまして、約四十分遅れて名古屋を出発いたしました。そんなことでだいぶ被護送者が興奮しておったものと見えます。次に、大阪に参りましたところ、約三百名くらいの見送り人が来たそうでございます。停車時間が短かいということで騒ぎ始めまして、結局、列車が出ましたときに約十名の者が乗っておらないという事態が発生いたしました。そのうちの五名はすぐに探しまして急行でもって追いかけまして姫路で乗せておりますが、ここで五名が逃亡しております。それから、神戸、姫路を通じましてあと四名がやはり逃亡いたしました。神戸、姫路あたりは、大阪で騒ぎまして興奮しておりましたが、やはり姫路では見送り人が非常に少いといって騒いでおるようであります。そういうことで、汽車は遅れつつ、かつ九名の逃亡者を出しまして、現在博多の駅についております。電話連絡では、博多駅の見送り人が二名か三名しか来ておらないということでまた騒いでおるというところまで今電話の報告が来ておる状況でございます。こうした事態を起しましたことはまことに申しわけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/5
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006・長井源
○長井委員 まことにだらしのない話だと思うのですがね。この韓国人の浜松の収容所は、昨年でしたか、中国人であったか韓国人であったかが係員をなぐったという事件もあり、大村収容所では床の底をくり抜いて脱走を企てたような事件もあったわけでありまして、どれも監督側の方で取締りが不十分であったと思うのでありますが、今度などは、送還されるということがわかっておる人々でありますからして、こういうことが起り得るというようなことはあらかじめわかっておったと言った方がいいので、それにもかかわらずこういう事態を起されまして、こんなことをしておっていいのかどうか、その責任は一体だれが負うのでございますか。法務大臣、どうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/6
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007・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 私も、ただいま局長から経過について御説明申し上げただけの報告を受けておるだけでございますが、まことに遺憾なことができまして……。何分にも大ぜいのことであり、そう普通の犯人護送のようなぎょうぎょうしいこともできかねるような気づかいがあったのかもしれぬと想像いたしますが、いずれにいたしましても、かような事態を引き起しましたことはまことに相すまぬと思います。私どもといたしましては、責任上何とも相すまなく存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/7
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008・長井源
○長井委員 これはわずかな韓国人の送還の問題ではありますけれども、事外国ということになりますと、日本の国の政治にも大へん影響することだと私は思うのです。こんなことをしておったら、いつまでもなめられてしまいます。それで、これは取締りも何もとうていできるものではないと思うのです。今度この法案を出して、六十日で指紋をとるのを今度はとらないということになったのは、私どもの見るところでは、一つの保護、取締りの方針における緩和だと思うのですが、これを一体局長さんはどうお考えになっておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/8
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009・伊關佑二郎
○伊關政府委員 一般的な犯罪の取締りという観点に立ちました場合は確かに緩和になると存じますが、また別の観点に立ちまして、いろいろ貿易の面、文化の面その他を考えました際に、多少の取締り上の不便はあっても、一般的なプラスの面を考えまして、こういう措置をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/9
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010・長井源
○長井委員 そうしますと、これは、他の面というのは、この提案理由の説明のうちで、「最近の諸情勢」と書いておられるようでございますが、「最近の諸情勢にかんがみ」というのはどういうことでありますか。情勢の分析を簡単に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/10
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011・伊關佑二郎
○伊關政府委員 一般的に申しまして、外国人は指紋をとられることはあまり好んでおりません。今度の措置で指紋の押捺からはずれる者が約一万七千名くらいありますが、これは主として短期の商用で貿易関係で入る人たちであります。この人たちが指紋をとられることをいやがっておるというふうな点からしまして、これを緩和しますことは、やはりそうした面で貿易の促進になるという点は確かにあると存じております。また、中共の見本市の問題が昨年からございまして、これも六十日ということで昨年は開けなかったという実情でございますが、これも開くことができます。また、アメリカも一年に全部とっておりましたものを、移民を除きまして一年以内はとらないことになりました。そういうふうな全般的な緩和の情勢もございます。かたがた、最近の情勢と申しますのはそういう点を考慮したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/11
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012・長井源
○長井委員 私は指紋をとるというようなことはいいことではないと思っております。それですから、国際間のいわゆる交通に指紋をとらなければならぬということは、ある場合には遺憾なことだというように思います。しかしながら、日本の現在のような国情におきましては、まだ国交の回復しない国もあり、その他国内の混乱が十分治まっていないときに、第三国人また外国人というのが国内に自由に入り込むことは、これは保護と取締りを要する問題であるので、それでこの法案ができて指紋をとることになったと思う。これはなるべくならば指紋をとらないことがいいことは申すまでもない。しかしながら、国内の在留外国人の保護と取締りに対する情勢が少しも緩和されていないのに、この指紋だけを緩和するということになりますれば、取締り上困ることは明らかであります。それに対する対策を何か考えてこの緩和に当ったものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/12
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013・伊關佑二郎
○伊關政府委員 入管当局といたしましては、指紋の点は主として密入国の防止という点に重点を置き、それを主目的としてとっております。その面ではそれほどの差しつかえはないように考えております。警察の方の一般的な外国人犯罪取締りの面では、やはり廃止いたしますことによって多少不便があるように聞いておりますが、警察当局も、諸般の情勢を考慮して、この程度ならば差しつかえないという意見であるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/13
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014・長井源
○長井委員 警察の御意見を伺っておきますが、今の質問と同じ意味ですが、この指紋を緩和いたしましたについて、取締り、保護に欠けるところができるのじゃないか、これに対する対策を考えておりますか、こういうことでございますが、警察に御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/14
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015・山口喜雄
○山口(喜)政府委員 今回の改正につきましては、純粋の警察の仕事の面から申しますと、延期されます結果、若干の困ることもあり得るかと思います。ただ、短期の滞在者でございますから、直接犯罪と密接な関係を持っておる者はそうたくさんはおらないものと考えております。その他いろいろな事情から申しまして、今回外国人登録法の改正案を提案せられましたことは、ただいま入管の局長がおっしゃいましたように、警察といたしましては、まあやむを得ないもの、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/15
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016・長井源
○長井委員 指紋をとるということは、むしろ外国人が日本へ来た当時にその必要が大きいのではないかと思うのです。一年もたちますといろいろな居住の条件がついて参りますから、犯罪に特に必要だと言えばこれは格別ですが、外国人登録法におけるところの指紋は、犯罪ということのみを目標にしたものではなくて、人別を目標にしてあるものであると私どもは心得ております。そうしますと、これはむしろ一年以内が必要な時期でないか。一年以上になってくれば、特に犯罪者であるとかなんとかいうのは、日本の本国人と同様に、指紋をとるということは問題かもしれませんが、なれてきて日本に一年もおられる人はその必要がむしろ減ってくるんじゃないか。むしろ、日本に来た当時、来てから間もなく一年くらいが必要なんじゃないかとわれわれは思うが、その点は警察としてどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/16
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017・山口喜雄
○山口(喜)政府委員 御指摘になりましたような点も考えられるかと存じますが、私どもといたしましては、今回の改正については、いろいろの事情がございまして、これはやむを得ないというふうに考えております。御指摘の点につきましては、確かにおっしゃるようなこともあろうかと存じます。そういう問題につきましては、われわれとしましては、今後十分に、指紋の採取期間が延長されました面をカバーしますように、実際の活動においてやって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/17
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018・長井源
○長井委員 言外の意味では、このままの方がいいんだけれども、その他の諸情勢があるのでやむなくそういうふうにしたという御意見であります。しかし、今申しますように、取締りに関する情勢自体は私は緩和されておるとは思いません。この点に対する入国管理局それから警察並びに海上保安庁等の三位一体の御協力を希望してやまないものでございます。
これは入国管理局の方の関係だと思うのですが、上陸者の問題なんですが、上陸者の審査手続というか、並びにその審査の方法というもの。大体、船客は別として、船員が相当問題になると思うのです。上陸パスというものを渡して上陸さしておるということですが、そういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/18
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019・伊關佑二郎
○伊關政府委員 船員は船員手帳を持っておりますが、そういう者に限りましてショアー・パス、上陸パスを渡しまして上陸を認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/19
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020・長井源
○長井委員 そのパスを渡して上陸して、それを回収しておるというわけですね。そういう場合に脱走者などはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/20
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021・伊關佑二郎
○伊關政府委員 ないとは申し上げかねると思いますが、特に問題が多い、ことに香港あたりから参ります船には中国人の船員で密入国を企てる者が多い過去の実績もございますので、特に、人手も足りませんので、現在は、香港から参ります船に限りまして、この船をおりるとき、船に戻るとき、一々舷門に警備官を立てましてチェックいたしております。その他の船につきましては、随時パトロールをやるとか、あるいは税関の入口で検査をするというふうにいたしておりますが、目下のところ一番危いと見ております香港ルートについては一々舷門でチェックをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/21
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022・長井源
○長井委員 実際の状況はショアー・パスですか、それには写真も何もついてないので、所持人と名義人とは一致しないかもしれないというような話を聞くが、その通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/22
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023・伊關佑二郎
○伊關政府委員 ショアー・パスには写真はございません。従いまして、今のように問題を起しそうな船が参りました場合は、船の舷門に参りまして、船員手帳を見まして、顔と写真を合せているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/23
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024・長井源
○長井委員 その上陸パスを回収するのは一括回収をしておるという話を聞くが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/24
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025・伊關佑二郎
○伊關政府委員 一括回収している場合もあるかと思います。その船によりまして、この船は危いと見ました場合は個々にやります。また、そうでない場合は一括回収というふうに、船によりまして適宜現地で判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/25
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026・長井源
○長井委員 それが不正入国のルートに多く利用されておる、つまり、ショアー・パスを持って上陸して、それっきりになってしまう、こういうふうなのが相当多数あるように聞いておる。また、長崎で上陸パスをもらって、返すのは横浜で返すのだというようなものもあるというような話を聞くのですが、そういうことは御承知ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/26
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027・伊關佑二郎
○伊關政府委員 ショアー・パスを発行いたしまして、全部回収いたします。それから、船が出ます前は船内の点検をいたしますので、人数は完全に合うわけでございますが、別の者がショアー・パスを使って船に乗っているというふうなことはあり得ることだと思います。そういうことがないように厳重に注意しておりますが、人手が足りませんので、十分なことはできておりません。
それから、長崎から神戸に行くというふうなケースは、特別の許可を得て参るのでありまして、普通にはそういったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/27
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028・長井源
○長井委員 とにかく、あなたはこういうことはあり得るというような不正の道を想定しておいでになるんですから、制度上、方法の上でも機構の上でも、そういう余地がないようにしておきませんと、結局戸締りをせずにどろぼうに入られるようなことになるので、むしろこれはどろぼうに入る人よりも戸締をしていない人の方に責任があるというふうになりますから、これらの点についてなお一そうの御注意をお願いしたい。そうでありませんと、どのような法律が設けてありましても、出入国管理令その他法規もはなはだずさんではございますけれども、その上に取締りが十分でありませんと、せっかくわれわれの意図しているものが実現できないことになりますから、よほど御注意をお願いしておきます。
それから、登録証明書等の偽造の問題でございますが、これは何か対策を考えておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/28
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029・伊關佑二郎
○伊關政府委員 三十年の四月から指紋制度の実施をいたしまして、それ以来というものは登録証明書の再交付の願い出が非常に減っております。これまでは約一万八千くらいございましたが、昨年は六千くらいに減っております。これは指紋押捺が効果を奏したものと思っております。なくしたと申して再交付を願い出る者がありますが、現実になくした者もございましょうが、なくさないでそれを密入国者に譲る、密入国者はそれをもらい受けて書きかえて使っておる、そういう点を予防しますのに、この指紋制度が大きな効果を奏したものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/29
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030・長井源
○長井委員 収容所から仮釈放というのがおりますが、これの審査はどういうふうな方法でおやりになっておりますか。これを仮釈放をするのに適格証明というか、そういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/30
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031・伊關佑二郎
○伊關政府委員 原則としまして、確実な身元引受人があるということ、それから、本人が自費出国する、自分の費用で日本を出る――、主として朝鮮でありますが、韓国に帰るということを本人が申し出て、かつ身元引受人がしっかりしている場合には仮釈放をする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/31
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032・長井源
○長井委員 昨年の暮れに仮釈放をだいぶしたようでございますが、その成績はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/32
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033・伊關佑二郎
○伊關政府委員 ただいまのは日韓協定に基くものでございますか。――あれは別でございまして、今のようなあれと違いまして、今度の日韓間の取りきめに基きまして、刑を終えて強制退去の処分を受け、送還を待っておりました四百七十四名を、国内に協定に基いて仮り放免いたしましたわけであります。それで、四百七十四名のうち、約三百名くらいは親類とか友だちというふうな個人の身元引き受けがございましたので、これに渡しました。そういう個人の身元引き受けのない者は、いろんな事業団体に三々五々渡しまして、全部これは終了いたしました。ところが、この中から最近までに約十名くらい――、まだ報告の来てないものもございますが、まず十名くらいの者はすでに犯罪を犯しております。ただ、それほど悪質な犯罪ではございませんで、まあ窃盗、すり、それから無銭飲食というふうな犯罪を犯して警察につかまっておるというのが十名くらいはすでに出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/33
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034・長井源
○長井委員 一つ前に戻りますが、さっきの登録証明書の偽造に地方の市町村の吏員などが共犯になっておるのがずいぶんたくさんあるようでございますが、それはどういうふうに処置しておいでになりますか。それの予防法です。もう少し詳しく申し上げますと、三十一年の一月から六月までの間に登録証明書を偽造した者が六十二件あるが、このうち四十八件が市町村の公務員との共犯だということを聞いておるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/34
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035・豊島中
○豊島説明員 最近発覚されたものもございますけれども、これはほとんど前の二十七年の切りかえまでの事件が後に発覚されておるのでございまして、最近は非常に減っておりまして、市町村吏員の偽造、不正事項というのはあまりございません。事由といたしましては、脅迫によっておるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/35
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036・長井源
○長井委員 海上保安庁に、最近の密入国、密出国等の状況を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/36
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037・島居辰次郎
○島居政府委員 密入国の状況は、最近は年々増加して参りまして、私の方の検挙件数から申し上げますと、これは暦年でございますが、昭和三十年で、私の方が検挙しただけが総数百四十一人、昭和三十一年が二百五十七人、昭和三十二年が七百三十九人となっておりまして、そのうち、おもなるものは、北鮮、南の韓国合せまして朝鮮関係が一番多いような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/37
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038・長井源
○長井委員 最近集団で来るというようなのがあるという話ですが、これはどういうふうな方法で集団密入国をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/38
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039・島居辰次郎
○島居政府委員 これは主として南鮮からでございまして、小さな五トンないし十トンくらいの船を雇いまして、それで二十人なりあるいは二十五人なりが一団となって、あの玄界灘の穏かなときを見計らって、北九州または裏日本あたりへ上陸してくるような状況でございます。先ほど入国管理局からお話がございましたような大型船で来るというのも香港経由のはありますが、最近の状況といたしましては、集団密入国については私どもで非常に監督、取締りを厳重にいたしましたので、むしろ船員手帳の偽造、こういうので密入国してくる事例が多くなったように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/39
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040・長井源
○長井委員 私どもの聞いているところでは、どうも入国管理局と海上保安庁と警察との連絡が悪いために能率が上らないというふうに聞いておるのでございますが、三者の連絡はどういうふうにやっておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/40
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041・伊關佑二郎
○伊關政府委員 私の方の出先の事務所と申しますものが十二、港が四十八港ございますが、各地いずれも海上保安庁、警察とは毎月定例会議を持ちまして事務連絡をいたしております。また、事件がございますたびに随時連絡はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/41
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042・長井源
○長井委員 せっかく法規がありましても、その連絡などが十分でありませんと目的を達することができません。ことに、在留外国人と申しましても、韓国人は南北を問わず六十万をこえておりますので、特殊の関係があると思います。別に、一般外国人ということのほかに、われわれが従来同胞としておったような立場からも考え、また外国人としての方面からも考え、特殊のこれについての交渉を日韓会談とともに考えてもらいたいと希望いたしておきます。
外務省はおいでになっておりませんか。これは法務大臣でもけっこうですが、一年以上滞在する者は指紋をとるということになっておりますが、外交官でない者は全部とるということになりますか、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/42
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043・伊關佑二郎
○伊關政府委員 外交官、領事官、公務員というものはとりませんが、それ以外は、一年以上滞在する者は全部とるということになっております。外交官、領事官、それから日本の承認した外国政府の公務員並びに国際機関に勤めております、要するに公務員でありますが、それはとりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/43
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044・長井源
○長井委員 そうしますと、これは広い意味にも狭い意味にも考えなければならぬのですけれども、中共の通商代表部というのがあるのですが、こういうのはどういう扱いをされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/44
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045・伊關佑二郎
○伊關政府委員 中共の方から参りますのは、おそらく公用旅券を持ちあるいは外交旅券を持った公務員だと思いますが、日本が承認いたしておりませんので、この日本国政府の承認した外国政府の公務員というあれには該当いたしませんけれども、まあ向うの公務員であるという点で、この規定を準用すると申しますか、拡大解釈すると申しますか、そういうふうなことで解決したらどうかというのが、現在外務省との打ち合せ中の点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/45
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046・長井源
○長井委員 その点についてはまだ政府としてははっきりした見解を持っておいでにならぬと承わってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/46
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047・伊關佑二郎
○伊關政府委員 大体その解決方法しかないのじゃないかというふうに考えておりますが、最終的な結論が出ているとはまだ申し上げかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/47
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048・長井源
○長井委員 いずれにいたしましても、法的の根拠をはっきりしておいてもらいませんと、ほかの例にもなってくることでありますから、もし外交官あるいはまた公務員と目されるような範疇に入り得るかどうか、その点通商代表部の人に対してはっきりした根拠を持った見解を出していただくように希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/48
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049・高橋禎一
○高橋(禎)委員 関連して……。
密入国者とそうでない外国人との犯罪の発生数はどういう割合になっているか、その点をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/49
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050・竹内壽平
○竹内政府委員 お答え申し上げます。ただいま統計をここへ持っておりませんので、明確には答えられないのでございますが、密入国者は潜在的な密入国者というのがございます。そしてそれらの者によりまして犯罪が行われる場合が当然考えられるのでございますが、一応統計に載って参ります密入国者というのは、それとわかりました場合には、強制退去のために収容されるわけでございまして、今お尋ねの点は、犯罪があって取り調べた結果、密入国者であったということがわかった、つまり潜在密入国者であったという場合の取扱いのお尋ねだと思いますが、その点は、一般の外国人との犯罪発生割合というような点につきましては後ほど資料をもって御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/50
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051・高橋禎一
○高橋(禎)委員 もちろん密入国者というのは数が正確には把握できないと思うのですが、潜在密入国者数という大体の見通しがあるのかないのか、おそらくあるのだろうと思うのですが、そういう数を標準にして、密入国者の犯罪は非常に多いとか、あるいは密入国者でない外国人の犯罪とそう大した相違はないのだとか、大体の見当でようございますから、その点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/51
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052・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいまここへお答えする資料を持ち合せておりませんので、後刻調査いたしましてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/52
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053・高橋禎一
○高橋(禎)委員 密入国者の犯罪といいましても、ただ密入国をしたという犯罪、その点に重点を置いて私はお尋ねしておるのではないのであります。そういう人たちが他のいわゆる重大な刑法犯その他を犯す者が非常に多いということを感じておられるかどうか、すなわち、指紋の問題もそういう人たちの検挙に関連してやはり一つの役割を果すのだと思うのですが、そういうことをわれわれはっきり認識しておく必要があると思うのであります。そういう事情でお尋ねしておるわけです。それに対する、これは一つの感じ程度のことかもしれませんけれども、密入国者は非常な悪質な者が多いのだというふうに見られるか、あるいは、単に手続をとらないで密入国をしておる、それにはいろいろ家庭の事情なりその他の事情があってやっておるのだというふうに見られるのか、そこのところをわかっておればはっきりさせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/53
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054・竹内壽平
○竹内政府委員 潜在密入国者は正確にはつかめておりませんが、大体五万くらいあるのではなかろうかということに推定されておるのでございます。その中には、もちろんきわめて悪質な者も含まれておると思うのでございます。その種の事件が二、三にとどまらずに検挙されておるのでございますが、概括的に申しますと、日本に両親がいるとか、あるいは親戚があるとか、日本語だけしか話せないとかいったような、日本との特殊な関係に基きまして、日本にあこがれて入ってくる者も、これまた相当数あるのでございます。全体的に申しますと、むしろそういう種類の者が多いのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/54
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055・高橋禎一
○高橋(禎)委員 いま一点。これは政務次官でも伊關政府委員でもよろしゅうございますが、むしろ外務省関係の方にお尋ねしておく方が適切であろうかと思うのですが、これはやはり国際信義の上から考えましても――ほかにも理由があると思うのですが、外国に密出国するということに関して、各国やり方が違うのじゃないかと思いますが、特に日本に対して密入国の多い国、たとえば韓国のごときは、一体日本に対する密入国あるいは全般的に外国に密出国していく人たちに対して向うの政府としてはどういう考え方を持っておるのか、あるいはどういう対策を講じておるのか、あるいはそのまま放任しておるのか、それらの点についておわかりになっておれば御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/55
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056・伊關佑二郎
○伊關政府委員 私どもが最近韓国側と予備折衝みたいなことをいたしております問題につきまして、韓国側の代表は、韓国としてはできるだけの努力をしてこの密出国を取り締っておるのだということは申しておりますが、何分にも小型の船で出ていくし、取締りが十分にいかないのだ、ただ努力だけはしておるのだということを常々申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/56
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057・小島徹三
○小島委員 ちょっと関連してお尋ねしておきたいのですが、先ほど、長井君の質問に対しまして、伊關政府委員から、外交官であるとか国家公務員のようなものについては指紋をとらない、中共から今度貿易協定か何かで入ってくる人間が公務員であるかどうかについては、まだこれを指紋をとるかとらないかについては今研究中だということをおっしゃいましたが、一体法律でとるときまったものを行政措置でとらないと認めることができるとお考えになっておるのか、それともできないとお考えになっておるのか、その点を一つお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/57
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058・伊關佑二郎
○伊關政府委員 入管令の第四条の一の二、「日本国政府の承認した外国政府又は国際機関の公務を帯びる者」、これに該当するかしないかという問題になってくるわけでございますが、承認はいたしてはおりません。ですから、狭義に解釈しましたならばこれに該当いたしませんが、外国政府の公務員であるという点を考えまして、この規定を準用する、あるいは拡大解釈するというふうな考え方になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/58
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059・小島徹三
○小島委員 それでは、それが外国の公務員であるという解釈をとることについては、外国の証明をとるということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/59
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060・伊關佑二郎
○伊關政府委員 これは、先方が旅券を持って、まず中共の場合ですと香港に参ります。香港の総領事館に旅券を提出いたします。その旅券が公用旅券である、あるいは外交旅券である、そういう場合が多いのであります。その旅券にはっきり向うの地位とか身分というものが書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/60
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061・小島徹三
○小島委員 そうすると、これは承認しない国でも国として認めるということになるわけですね。国の公務員ということになれば、その国は国として認められたということになるわけですか。国として認めないでもかまわないということですか、それとも国として認めるということですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/61
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062・伊關佑二郎
○伊關政府委員 承認していないわけでありますから、国として国交回復するという意味ではございませんで、ただ、公務員であるという点だけを考慮に入れてこの規定を準用していくということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/62
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063・小島徹三
○小島委員 そうすると、国として認めないものの国と申しますか公務員というものが存在するという考えに立つわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/63
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064・伊關佑二郎
○伊關政府委員 承認しておるかどうかということは別問題としまして、国としては存在しておるというふうに――私もあまり専門家でありませんので、その点になりますと外務省の方がいいんじゃないかと思いますが、承認はしていないということは厳然たる事実であります。一つの国というふうに考え得るのかどうか、ちょっと私も自信ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/64
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065・小島徹三
○小島委員 その点をはっきりしておいてもらわぬと困る。一体法律でできているものを単なる行政措置でこれを変える、しかもその解釈は拡張解釈とおっしゃっても、かりに中共のごときは、これを認めておる国もあるから、国だとおっしゃればそれは差しつかえないのですが、かりにどこの国も認めていないような国があって、それの公務員だということで、それも拡張解釈というようなことになってきたときは、事は非常にめんどうだと思う。これは便宜的には現在の段階で行政措置で見て見ぬふりするという実際の問題はあるとしても、行政措置で見て見ぬふりをするぞということをはっきりすれば、大きな問題になってくると思いますから、これは研究中でけっこうです、これから先は研究中にしておいていただきたいと思います。行政措置でこれをやるとおっしゃるならば、私たちは考え方をまた新たにしなければならぬ、こう思うのであります。その点十分注意いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/65
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066・町村金五
○町村委員長 猪俣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/66
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067・猪俣浩三
○猪俣委員 今の伊關局長の答弁は少しあいまいなんです。衆参両院において法務大臣が、はっきり、中国の貿易使節団は指紋をとらない、そういう政府の方針というものを打ち出している。与点の議員の質問にあって、何かあいまいな、まだ考慮中のような印象では――この二十日過ぎには与党の議員を団長とする訪中使節団が出るんじゃありませんか。そんなときに指紋の問題は非常なみやげになるわけです。それを解決して行かなければ取引はできはしません。一体政府の方針はこういう中国との貿易というようなことをどうでもいいと考えているのか。……(「そうじゃない」と呼ぶ者あり)そうじゃないならば――君に聞いているんじゃない。つり込まれるよ。黙っていてくれよ。もうあすあす出発する間ぎわになってあいまいなことを言ってもらっては困る。中国が国であるか国でないかというのは三百代言的な言葉で、小島君には気の毒だが、りっぱな国である。日本はそれと貿易しようというんじゃないですか。今度の訪中使節団と称するものは公けの資格でもって出ていく。国でないものに向って出かけていくなんという解釈は成り立たぬ。政府委員がそんな問題について今あいまいなことを言うのは間違いなんです。もう解決しているはずだ。ここ一週間たつかたたずに出発するじゃないですか。伊關さんは工合が悪いかもしれないが、もう一ぺん法務大臣を呼んできてここではっきり答弁してもらわなければいかぬ。――ちょうど今大臣が来ましたから、質問を初めから繰り返しますが、この二十二日か三日に訪中使節というものが出発することは政府もお認めで、公けの資格で出るはずであります。今小島委員と政府委員との問答に、何かあいまいなやりとりがあった。これは大へんなことだと思うのです。だから、はっきり責任ある閣僚から答弁していただかなければならぬ。あなたは、衆参両院において、今度の通商使節団についてはこの指紋はとらない方針であるということを明確にされた。これは非常なおみやげとして訪中使節団が持って行くはずなんです。それをまた、何か今考慮中だというようなことの政府委員の答弁がありました。これは大へんなことだと思うのです。ですから、あなたの責任において御答弁していただきたいと思うのですが、通商使節団として中国から公けに派遣せられる者に対しては指紋をとらないということが確定しているか、それから、人数にも別に拘泥しないか、それから、中国を国と認めるかどうかというようなことは御遠慮してしかるべき質問じゃないかと思うが、そういう質問も与党のあなたのおひざ元から出ているから、国として認めるのか認めないのか、その御答弁も願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/67
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068・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 ただいまお尋ねのありました関係の方々に対する指紋の問題でございますが、前回、当委員会におきましても、また参議院の法務委員会におきましても、私お答えをいたしております。私は指紋をとらないで済むようにしたいと考えてその方向に向って今せっかく外務省と相談をしている、私の見通しとしては多分とらないで済むようになるであろう、この程度のことを申し上げたつもりでございます。速記録をよく調べませんとはっきりいたしませんが、この前もまだ最終段階には至っておりませんということを申し上げております。私のお答えした心持ちはそうであったのであります。また、事実今外務省と折衝をいたしております。これは、外務省が、香港になるかと思いますが、香港でどういうような査証を出すかということによりましてこちらの扱い方がきまるわけでございまして、今のところ外務省に大よそそういうような査証をしてもらえるだろう、こういうような相談ができつつありますから、そういうことになりますれば、こちらといたしましては指紋をとる必要がなくなるのでございまして、多分今お尋ねのような結論になろうとは思いますけれども、まだ最後の段階まで到達しておらないので、こういうことを事務当局からもお答えしたことと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/68
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069・猪俣浩三
○猪俣委員 そうすると、この訪中使節団というのはたしか二十二日ですかに出発するはずでありますが、それまでに確定しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/69
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070・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 なるべく確定させたいと思って、今後も十分外務省と相談を重ねていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/70
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071・古屋貞雄
○古屋委員 関連して……。
今の法務大臣のおっしゃっているその法律的根拠は、さっき問題になった四条の関係ですか。その点をはっきりしたいという意味の質問があったが、今の希望に沿うようにという大臣の御答弁の法律の根拠はどこの何条文によるかということを一つ明確に御答弁願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/71
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072・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 この法律の解釈につきましては、この前にも申し上げた通りでございまして、元来外交官に対しては指紋をとっておりません。しかし、これは法律の根拠があるわけではなくて、国際慣例においてさような扱いをすることになっておりまするから、法律では明文がなくても、その国際慣例に従ってやっておるわけでございます。今度問題になっておりまする人々の指紋のことでございますが、これは、わが国が承認しておる政府の公務に関係しておる人とか、あるいは国際機関の公務に関係しておる人、これの査証でありますれば当然指紋を免除できます。しかしながら、法の精神を拡張いたしまして、ことに国際慣例に従って免除しておるわけでございますから、その国際慣例の精神を考えまして、外務省でどういう取扱いを与えるかということによりまして、その扱い方によりましてそれが査証に現われるわけでございますが、その査証に対してこの四条の公務関係の規定に準ずる扱いを与えていこう、そういたしますれば指紋免除もできるということになるのでございまして、さような法的の解釈をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/72
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073・古屋貞雄
○古屋委員 そうしますと、外務省の査証の関係において、ただいまの国際慣例に基くものだということになって参りますれば、今の適用で拡張解釈できる、こういう御見解のもとに実行しよう、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/73
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074・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 大体さようでございまして、私どもが、拡張解釈して指紋を免除し得るような扱いを外務省でしていただきたい、これを大体外務省がおそらく承諾をしていただけるのではないかと考えておりますものですから、多分そういうようなことになるであろうということを答えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/74
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075・古屋貞雄
○古屋委員 それでけっこうだと思いますが、二十二日に出かけまして、二十五、六日ごろ、たしか二十五日から会議を進める段取りになっておるようでありますが、その前になるべくおきめを願うように御希望申し上げまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/75
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076・猪俣浩三
○猪俣委員 先般参議院で外務委員会と法務委員会の連合審査をやったはずですが、その席上両省の当事者が出て答弁なさっているのですが、それからすると外務省で何かまだはっきりしない点があるのでしょうか。今の大臣のお言葉だとすべて仮定の上に立っている。外務省がこうしてくれれば自分の方はこうだ、その外務省のこうしてくれるという見通しがつかぬのですか。そこをはっきりしませんと、何しろきょうは十八日ですから、二十二日に出かけるのです。みやげにならぬと思うのです。それはどうなんですか、見通しは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/76
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077・伊關佑二郎
○伊關政府委員 外務省からは事務的な連絡がございますが、まだ最終的に決定したということは申して参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/77
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078・猪俣浩三
○猪俣委員 ただいま大臣は、なるべく指紋などというものは、国際慣例に従って免除したいと言われたが、しかあるべきことだと思う。日本から進んでいる日中貿易のお互いの使節なんで、向うには指紋なんてことはないのです。国際信義から言って、相互主義から言って、向うの者だけとるというばかなことはないはずです。そこで、今二十二日の出発を前にしてまだそういう態度でありますが、これは法務省の方から早く最終決定をせよということを言って迫る必要があるじゃないかと思うのですが、そのお考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/78
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079・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 ただいまの御希望の趣旨は私ども十分了解できますから、そのつもりでなるべく早く最終段階に達しますように外務省に交渉してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/79
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080・町村金五
○町村委員長 他に御質疑はありませんか。――御質疑がなければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。
討論の通告がございませんので、直ちに採決を行います。
外国人登録法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/80
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081・町村金五
○町村委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。
なお、本案についての委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/81
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082・町村金五
○町村委員長 御異議なければ、さよう決定をいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/82
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083・町村金五
○町村委員長 次に、売春防止法の一部を改正する法律案、婦人補導院法案及び証人等の被害についての給付に関する法律案の三案を一括議題といたし、提案理由の説明を聴取いたします。唐澤国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/83
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084・唐澤俊樹
○唐澤国務大臣 売春防止法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。
戦後における世相の混乱と道義の頽廃並びに性道徳の低下によって、売春を行う女子の数が著しく増加し、他面、これに寄生して利益を収奪することを業とする者が増加の傾向にあったことにかんがみ、善良の風俗の維持、保健衛生、女子の基本的人権の確保等の観点からして、第二十四回国会において売春防止法の成立をみるに至ったのであります。当時、国会における同法案の審議に当り、参議院法務委員会において、同法案第五条の罪を犯した女子に対する保安処分の規定を設けること等の決議が行われたことは御承知の通りであります。一方、政府としては、閣議了解のもとに設けられました売春問題対策協議会の昭和三十年九月二日の答申及び同三十一年三月七日総理府に設置されました売春対策審議会の同年四月九日の答申について慎重に検討を続けていたのでありますが、さらに昨年九月十八日売春対策審議会から立法措置に関する適切な意見の具申もありましたので、ここに売春防止法第五条の罪を犯した成年の女子に対する補導処分に関する規定を立案し、売春防止法の一部を改正する法案として提案する運びに至った次第であります。
以下この法律案の要点につき御説明申し上げます。
売春防止法第五条の罪を犯した満二十才以上の女子に対し、その売春の習性を矯正し、社会復帰をはかるために、保安処分としてすでに刑法で認められている保護観察のほかに補導処分なるものを認め、裁判所が自由刑の執行を猶予するとき同時に補導処分の言い渡しをすることができるものといたしております。
補導処分の内容は、婦人補導院に収容して、生活指導等その更生のため必要な補導を行うことといたしております。
婦人補導院への収容期間は六カ月とし、地方更生保護委員会が相当と認めるときは仮退院を許すことができるとともに、仮退院を許された者が順守すべき事項を順守しなかったときは仮退院の取り消しをすることができるものといたしております。
婦人補導院を退院したとき、または仮退院を許された後補導処分の残期間を経過したときは、刑の執行猶予の期間を経過したものとみなすことといたしております。
売春防止法第五条の罪のみについて懲役の言い渡しをし、または刑法第五十四条第一項の規定により売春防止法第五条の罪の刑によって懲役の言い渡しをするときは、刑法第二十五条第二項ただし書きの規定を適用しないこととし、さらに自由刑の執行を猶予して補導処分に付し得ることといたしております。
右に申し述べましたほか、手続上必要な規定を設けております。
最後に、この法律の施行期日についてでありますが、売春防止法の完全実施は来たる昭和三十三年四月一日からでありますので、同日を施行期日とすることにいたしております。
以上が売春防止法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、婦人補導院法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
このたび提案されました売春防止法の一部を改正する法律案によりますと、新たに同法第五条の罪を犯した成人の女子に対して補導処分の言い渡しができることになりますので、これらの補導処分に付せられた婦人を収容補導する施設を必要とするのであります。この法案はその施設たる婦人補導院に関して必要な諸種の事項を規定するものでありまして、この法案によって制度化されます婦人補導院は、申すまでもなく、補導処分に付された者を収容して、これを更生させるために必要な補導を行う施設、つまり矯正施設の一つでありますが、その補導処分が、売春の習性を矯正し完全な社会復帰をはかるためのものであること、在院者が成人の女子であること等の特殊性にかんがみまして、他の矯正施設におけるとは相当異なった特色を有せしめているのであります。
以下この法案の要点につき御説明申し上げます。
婦人補導院は、売春防止法第十七条の規定により補導処分に付せられた者を収容して、これを更生させるために必要な補導を行う国立の施設といたしております。
婦人補導院で行う補導は、規律のある生活のもとで、社会生活に適応させるため、必要な生活指導及び職業の補導を行い、また、その更生の妨げとなる心身の障害に対する医療を行うものといたしております。生活指導は、相談、助言その他の方法により、婦人の自由と尊厳とを自覚させ、家事その他婦人として必要な基礎的教養を授け、その情操を豊かにさせるとともに、他面において勤労の精神を体得するようこれを指導するものといたしております。
補導の実施につきましては、施設みずからがこれを行うばかりでなく、学校、病院、事業所、宗教団体、婦人団体または学識経験者に委嘱し、広く外部の援助を受けられるようにいたしております。
職業の補導につきましては、その制度の趣旨とするところにかんがみまして、本人の更生に十分適応する業種を選ばなければなりませんので、補導を受ける者を施設外の事業所等に通わせることができるようにいたしております。また、職業の補導を受けた者に対しましては、相当の賞与金を与えることができるようにいたしております。
こうした補導を徹底的に行うためには、補導を受ける者の個性、心身の状況、家庭その他の環境等を十分に考慮した上で最もふさわしい方法によらなければならないのでありますが、在院者の処遇については、本人の性格その他入院時及びその後においてしばしば行います多角的な科学的分類調査の結果に基いて、これを適当な級に分けて行い、分類処遇の徹底を期することにいたしております。
右に申し述べましたほか、在院者の処遇に関しましては、補導処分の性質にかんがみまして、適切妥当な諸種の措置を定めることといたしております。
最後に、この法律の施行期日についてでありますが、売春防止法の完全実施は来たる昭和三十三年四月一日からでありますので、補導処分に関する同法の一部改正規定の実施を予想される同日を施行期日とすることにいたしております。
以上が婦人補導院法案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、証人等の被害についての給付に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。近時、各地におきまして、刑事事件、なかんずく暴力関係事件の捜査または審判に関し、証人、参考人またはその近親者等に対する傷害、暴行等の暴力事犯の発生を見ておりますことは、これらの事犯が、直ちに証人、参考人はもとより、一般国民の刑事司法に対する協力観念に重大な悪影響を及ぼすものであります点にかんがみますとき、刑事司法の目的達成上まことに軽視し得ないといわなければなりません。もとより、これが対策といたしましては、まず、この種暴力事犯の防止並びに検挙取締りに万全が期せられるべきことは言うまでもないところでありまして、この点につきましては、近く提案を予定いたしております暴力事犯取締り等のための刑法並びに刑事訴訟法の各一部改正法律案におきまして所要の規定を設けることといたしておりますが、これらの事犯によりまして証人、参考人等に被害が発生いたしました場合には、国におきましてその被害を回復せしめる施策が講じられなければならないと存ずるのであります。この法律案は、この要請に応ずるものといたしまして、刑事事件の証人、参考人またはその近親者が証人または参考人の供述または出頭に関しまして、その身体または生命に害を加えられました場合に、国において療養その他の給付を行うことといたしまして、証人または参考人の供述及び出頭を確保し、もって刑事司法の十全な機能の発揮に資せんとするものであります。
以下この法律案の要点につき御説明申し上げます。
この法律案による給付は、刑事事件の証人または参考人が裁判所、裁判官または捜査機関に対して供述をし、または供述の目的で出頭し、もしくは出頭しようとしたことによりまして、その証人、参考人またはこれらの者の配偶者、直系血族もしくは同居の親族が、その身体または生命に害を加えられましたときに、その被害者に対して行うことといたしております。もっとも、この場合に、証人等と加害者との間に親族関係がありますときなど所定の事由がありますときは給付の全部または一部をしないことができるものといたしております。
この法律案による給付の種類は、負傷または疾病の場合に行う療養給付、障害給付、打ち切り給付または休業給付と、死亡の場合に行う遺族給付と葬祭給付であります。そして、これらの給付の範囲、金額及び支給方法等の細目につきましては、警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律を参酌して政令で定めることといたしております。
この法律案による給付と、他の法令の規定による給付との関係、損害賠償との関係等の細目的な事項につきましても、おおむね前記警察官に協力援助した者に対する災害給付に関する法律と同様、合理的な調整をはかる等所要の規定を設けております。
この法律案による給付を受ける権利の裁定その他給付に関する権限は、法務大臣が行うものと定めておりますが、法務大臣は、この権限を所部の職員に委任することができることといたしております。
以上が証人等の被害についての給付に関する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/84
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085・町村金五
○町村委員長 引き続き逐条説明を聴取いたします。竹内政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/85
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086・竹内壽平
○竹内政府委員 売春防止法の一部を改正する法律案につき各条文につきまして逐条的に御説明を申し上げます。
まず、目次でございますが、目次の改正は新たに補導処分に関する一章が追加されたことに伴う整理でございます。
次に、第一条の目的。本条の改正は、この改正法が第五条に違反した成人の女子に対して補導処分の言い渡しをすることができるようにいたしましたのに対応して、売春防止が補導処分について規定することをも目的とするものであることを明らかにするためでございます。そして、本条によって、補導処分は性行または環境に照らして売春を行うおそれのある者に言い渡されるべきものであることを明らかにいたしたのでございます。
次に、第十六条から第二十二条までの保護更生の規定でございます。現行法第十九条及び第二十二条の改正並びに同第十六条から同第二十二条までの条数の繰り下げは、新たに補導処分に関する規定が追加されたことに伴う整理であります。
次いで、第十六条、刑の執行猶予の特例について御説明申し上げます。この法律は、売春防止法第五条の罪を犯した成人の女子に対し、なるべく実刑の言い渡しを避け、補導処分に付してその更生をはかろうとするものでございますが、刑法第二十五条ノ二の規定によりまして保護観察に付された者が、保護観察の期間中に第五条に違反したときは、刑法第二十五条第二項ただし書きによって懲役刑の執行猶予の言い渡しをすることができません。従って補導処分の言い渡しをすることもできなくなるので、本条は、第五条に違反した者に対して刑法第二十五条第二項ただし書きを適用しないことといたしまして、同条第一項または第二条本文の要件が備わっております場合には、何度でも懲役刑の執行猶予の言い渡しをすることができるようにいたしたものであります。
本条は、成人の女子に限らず、男子及び少年にも適用され、また第五条の罪の共犯者にも適用されるのでございます。本条が刑責を緩和する規定であることにかんがみまして、公平の見地からすべての第五条違反者に適用することといたしたのでございます。なお、本条の適用がありますのは、新たに有罪とされた罪が第五条の罪だけである場合と、第五条と他の罪とについて刑法第五十四条第一項の規定により第五条の罪の刑で処断されるべき場合とでございますが、後者の事例はきわめてまれであろうと考えます。
次は、第十七条、補導処分関係でございます。本条の第一項は補導処分の要件を定めたものでございます。補導処分に付することができますのは、第五条の罪を犯した満二十才以上の女子であって、性行または環境に照らして売春を行うおそれのある者に限られるのでございます。現状から見まして補導処分を考慮する必要のない男子はもちろん、少年の女子にも適用せられないのであります。少年につきましては、成人とは異なった取扱いが必要でありまして、少年法により家庭裁判所において適当な保護措置を講ずることとされているからでございます。
補導処分の言い渡しをすることができますのは、第五条の罪のみについて懲役の言い渡しをする場合に限らず、第五条の罪を含む併合罪または処断上の一罪について、懲役または禁錮の言い渡しをする場合をも含むのでございます。たとえば、第五条の罪と窃盗罪または公務執行妨害罪との併合罪につき、懲役または禁錮の言い渡しをする場合にも、補導処分の言い渡しをすることができるのでございます。
補導処分は、懲役または禁錮の執行を猶予する場合に限って言い渡しをすることができるのでございますが、その趣旨は、なるべく実刑の執行を避け、補導処分によって更生の目的を達しようとするためでございます。
本条第二項は、補導処分に付された者に対する措置を規定するものでございますが、生活指導、職業の補導、医療など、その詳細はすべて婦人補導院法の規定に譲られているのでございます。
第十八条関係、補導処分の期間でございます。本条は補導処分の期間を定めた規定でございます。六カ月という期間は、売春の習性のある者に対しまして、現在少年院等で行われているような職業教育をほどこすのには必ずしも十分でないと思われるのでございますが、第五条の罪に対する法定刑がきわめて軽いことを考慮いたしまして、生活転換の契機を与えるという意味での生活指導を中心に補導を行うことにいたしますならば、その期間内に相当の効果をあげ、その者の社会復帰をはかることができるものと思われるのでございます。
補導処分の期間は、現実に婦人補導院へ収容されたときから起算されるのでございますが、第二十二条の収容状または第二十七条の再収容状による身体拘束等の期間はその中に算入されることになります。
第十九条、保護観察との関係でございます。本条は、補導処分と刑法第二十五条ノ二第一項の規定による保護観察との関係を規定したものでございます。すでに補導処分という強力な保護更生の措置をとる以上、あわせて保護観察に付する必要はないという趣旨でございます。
本条の適用がありますのは、第五条の罪のみを犯した場合及び第五条の罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項の規定により第五条の罪の刑で処断されるべき場合に限られるのでございます。従いまして、第五条の罪と窃盗罪とで懲役に処せられた者に対しましては、補導処分の言い渡しをしても、刑法第二十五条ノ二の第一項に従い、同時に保護観察の言い渡しをすることができるのでございますし、場合によってはその言い渡しをしなければならないことになるのでございます。
次は、第二十条、補導処分の言い渡しでございます。本条は、補導処分の言い渡し手続に関する規定でありまして、執行猶予及び保護観察の言い渡し手続に関する刑事訴訟法第三百三十三条第二項と同じ内容でございます。本条によって補導処分を刑と同時に言い渡すことといたしましたのは、第五条の罪を犯した成人の女子に対する保安処分の第一歩として、できるだけ現行刑事司法体系に即した制度を考えたためでございます。従いまして、捜査から公判を終るまでの手続は、法律的にはすべて通常の刑事裁判におけると同じでございます。
なお、補導処分の言い渡しをする裁判所について法律上の制限はございませんが、簡易裁判所は第五条の罪について懲役刑を言い渡すことができない関係から、事実上は地方裁判所となるであろうというふうに考えるのでございます。
第二十一条、勾留状の効力の点でございます。本条は、補導処分の言い渡しがあった場合における身柄の措置に関する規定でございます。まず、補導処分の言い渡しは、実刑の言い渡しではないけれども、その効果として身柄の収容を伴いますので、刑事訴訟法第三百四十五条の適用を排除して、勾留されている者につきましては勾留状の効力を存置させることにいたしました。しかし、実刑の言い渡しがあった場合と同じ厳格さで身柄の確保をはかるのは、補導処分の性質にそぐわないものと考えられますので、同法第三百四十三条及び第三百四十四条の適用をも排除いたしまして、保釈中の者につきましては保釈が失効いたしませず、また言い渡し後も権利保釈が許されることにいたしておるのでございます。
次は、第二十二条、収容の点でございます。本条は補導処分に付された者を婦人補導院に収容する手続の中で強制手段を用いる場合を規定したものでございます。補導処分の裁判も原則的には検察官の指揮によって執行されるのでございます。刑事訴訟法第四百七十二条の関係でございます。従って、強制力を用いる必要のない場合には、検察官の執行指揮と婦人補導院への任意の出頭によって収容が行われることになります。収容状を発する必要がある場合とは、逃亡のおそれある場合など、裁判の言い渡しを受けた者の任意の行為によっては収容することができないと認められるような場合をいうのでございます。なお、収容状には執行指揮の場合と同じ記載事項及び添付書類が要求されておるので、収容状を発した場合には検察官の執行指揮を要しないことといたしました。また、収容状によって受ける身体の拘束は補導処分の執行そのものではございませんが、設置される婦人補導院の数が少く、収容までにかなりの日数のかかることが予想されますので、その日数を補導処分の期間に算入することにいたしたのでございます。
第二十三条、補導処分の競合の点でございます。本条は、二個以上の補導処分について、その執行を調整し、あまり長い期間にわたって補導処分が行われるのを避ける趣旨の規定でございます。補導処分は六カ月の期間内にその目的を達することができるものとするのがこの法律の建前でございまして、また、あまり長期間にわたりますときは人権尊重の面から見て好ましくないからでございます。同一の女子に対して二個以上の補導処分の裁判が言い渡され、ともに執行可能の状態となるような事例は実際はほとんど生じないでございましょうが、その場合にも本条の適用があります結果、すでに裁判の確定した二つの補導処分のいずれについてもまだ執行が開始せられていない場合、一方の補導処分の執行が開始されれば、他方の補導処分について執行が行われなくても、その日数はすべて他方の補導処分の期間に算入されることにいたしております。また、ある補導処分の執行開始後他の補導処分の裁判が確定しましたときは、その確定日以後における前の補導処分執行の日数は、後の補導処分の期間に算入されまして、算入されなかった期間についてだけ後の補導処分の執行が行われるということになるのでございます。
第二十四条、在院者の環境調整の点でございます。本条は、売春の習性のある女子についてはその環境調整を行うことが特に必要であります点にかんがみまして、保護観察所の長にそのための権限を与えた規定でございます。
第二十五条、仮退院の許可、第二十六条仮退院中の保護観察の点、第二十七条仮退院の取り消し、第二十八条処分の審査、第二十九条予防更生法雑則の準用、第三十条仮退院の効果の各条文について御説明申し上げます。
第二十六条から第三十条までは婦人補導院に収容された者の仮退院に関する規定でございますが、その手続については、性質に反しない限り犯罪者予防更生法の規定を準用することといたしました。ただ、補導処分はその期間が短かいので、在院期間についての制限を設けないで、いつでも仮退院を許すことができるものといたしました。不必要に収容期間が長引かないようにいたしたのでございます。――第二十五条の関係。なお、言うまでもなく、仮退院は、矯正施設に収容された者につきまして、収容中の行状を考慮してかりに退院をさせまして、その社会復帰を容易にする。パロール制度の一種でございますから、事故なく補導処分の残り期間を経過した場合には、その期間中補導処分の執行を受けたのと同一に取り扱われることになります。これが第三十条の点であります。
次に、第三十一条、更生保護の点でございますが、本条は、婦人補導院を退院した者及び前条の規定によって補導処分を受け終ったとされた者につきましても、更生緊急保護法による更生保護の措置を行うことといたした規定でございます。
次は第三十二条、執行猶予期間の短縮の点でございます。婦人補導院から退院した者または仮退院の後補導処分の残り期間を無事に経過した者は、再び売春を行う危険が少くなったと見られるのが通常でございます。また、これらの者に対して、その後も執行猶予の効力を存置して、その取り消しによって刑の執行を受けなければならないような状態に置きますことは、かえって自発的な更生の妨げとなる場合が少くございませんので、本条は、これらの者について執行猶予期間が経過したものとみなし、刑の言い渡しの効力を失わせることといたしたのでございます。なお、本条が適用されますのは、第五条の罪のみを犯した者と第五条の罪と他の罪とについて刑法第五十四条第一項によって第五条の罪の刑で処断された者に限られるのでございます。その他の場合、たとえば窃盗罪と第五条の罪との併合罪につき懲役刑の執行を猶予され補導処分に付された者につきましては適用されない、かように規定しておるのでございます。
第三十三条、補導処分の失効の点でございます。本条は補導処分の言い渡しが失効する場合を規定したものでございますが、補導処分が自由刑及びその執行猶予の言い渡しを前提とすることから生ずる当然の規定でございます。すなわち、補導処分は、前提として自由刑及びその執行猶予の裁判の効力が存続しておりますことを要するものでありますから、執行猶予期間が経過した場合、大赦があった場合など刑の言い渡しが効力を失った場合はもちろんのこと、法定の事由によって執行猶予の言い渡しが取り消されましたときは、補導処分の言い渡しもその効力を失うのでございまして、もはやその執行に着手することも、開始した執行を継続することもできなくなるのでございます。
最後に、附則でございますが、第一項、本項は施行期日に関する規定でありまして、売春防止法第二章の規定と同時に補導処分に関する規定を施行する趣旨でございます。
第二項は、第二十七条による犯罪者予防更生法第四十条の準用に伴いまして、更正緊急保護法第一条に必要な調整を行なったものでございます。
以上をもって逐条説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/86
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087・渡部善信
○渡部(善)政府委員 婦人補導院法案の逐条につきまして御説明を申し上げます。詳細はお手元に配付してありますので、概略を申し上げます。
第一条は婦人補導院の規定でございますが、本条第一項は、売春防止法第五条の罪を犯した満二十才以上の女子であり、性行または環境に照らして売春を行うおそれのある者を収容いたしまして、その更生のために必要な補導を行うことを任務とする矯正施設でございます。
本条第二項は、すべて国立とすることを規定いたしておるのでございます。
第二条は補導の規定でございます。本条第一項は、在院者に対します補導の趣旨及び内容を規定いたしたものでございます。規律ある生活のもとで、社会生活に適応させるために必要な生活指導、職業の補導及び医療を重点的に行うのでございます。生活の指導は、在院者を、一面におきまして健全な婦人として更生させるとともに、他面におきまして社会人として更生させるためのものでございます。職業の補導は、更生のための就職を容易にするためのものでございます。医療につきましては、在院者のうち心身の障害のある者が多いと予想されますので、更正の妨げとなる心身の障害を除去するということを特に重点といたしておるのでございます。
第二項は、生活指導の方法及び指導の趣旨を明らかにした規定でございます。
第三項は、その補導が在院者の各自にふさわしい方法で行われなければならぬことを規定いたしておるのでございます。
第三条は分類処遇の規定でございます。これは、補導の効果をあげるため、また在院者の相互間の悪感化を防止するために必要なわけでございます。この分類処遇は、多角的な科学的調査に基いて最もふさわしい方法をとることにいたしておるのでございます。
第四条は賞与金の規定でございます。本条は職業の補導を受けた者に対する賞与金の制度でございまして、これは、職業の補導を奨励し、これに対する効果的な刺激を与えるという趣旨から、成績の良好な者に対して恩恵的に与えるものでございます。これによりまして、勤労の意欲を植えつけ、自己責任と自尊心を促し、更生資金の一助ともさせたいという趣旨でございます。
第五条は自己労作の規定でございます。本条は在院者が自分の費用で労作を行いまして収入を得る方法を考えたのでございます。これは、在院中に自由な就業の道を開く趣旨でございまして、いわば内職的なもので、特に更生資金の獲得方法として意義のあるものでございます。
第六条は給養でございます。
本条第一項は、在院者の被服、寝具、糧食、飲料等の官給の原則を規定いたしておるのでございます。この官給をいたしますことは、在院者が従来の環境から離れまして補導院での更生の第一歩を踏み出すにつきまして、心機一転させる意味があるのでございます。また、補導院におきます平等処遇、規律をおもんぱかる趣旨にほかならないものでございまして、貸与いたしますものを婦人にふさわしいものとすることについては特に注意いたしたいと思っております。
本条の二項は、できるだけ自由な処遇を与えるという趣旨から、かなり大幅な自弁を許すことを規定いたしたのでございます。
第七条は健康診断の規定でございますが、第一項は、在院者の処遇における健康管理及び医療の重要性にかんがみまして、医師による健康診断を励行することを規定いたしております。
第二項は、健康診断に当りまして、医学的な処置をとる必要がある場合に、これを行うことができる旨を注意的に書いたものでございます。
第八条は面会及び通信の規定でございます。
本条第二項は、在院者の処遇につきまして、今までの悪い環境との遮断ということに重要な意味がありますのにかんがみまして、在院者の面会及び通信につきまして、本人の更生が妨げられ、または婦人補導院が保安上支障を生ずるようなときには必要な制限をすることができるものといたしておるのでございます。それと同時に、他面、在院者の面会及び通信がこのために不当に制限されることのないように、その制限することができる範囲を規定いたしたものでございます。
本条第二項は、婦人補導院の長が在院者の発受する通信の内容の検査を行うことができる場合を慎重にするため、ただそのおそれがあるというばかりでなく、そのように認めるに足るだけの理由が客観的に相当である場合に限られる旨のしぼりをかけた趣旨でございます。
第九条は臨時外出の規定でございます。これは、本人の近親者の死亡その他本人が出向かなければとうてい回復できないような不利益を生ずるような特殊な場合に、人道上の立場から、補導に支障のない限り在院者の一時外出を許す規定でございます。
第十条は、善行のあった場合はこれに賞を与えるという規定でございます。
第十一条は、婦人補導院の規律の保持に反する場合には、これに妥当な範囲の懲戒を加えるという制度を設ける趣旨でございます。
本条第二項は、謹慎案収容の懲戒の執行につきまして、情状によりその執行を猶予する業の運用上の余地を置き弾力性のある執行を期した規定でございます。
第十二条は手当金の規定でございますが、これは、第一項は、職業の補導に際しまして万一災害を受けるようなことがありました場合に見舞金を支給する制度でございます。第二項はその支給の対象者及び時期を規定したものでございます。
第十三条は領置規定でございます。これは、補導院の保安及び規律のために、在院者が所持する物の領置について規定したものでございます。
第二項は、財産権の保障の趣旨から、売却代金を領置しまたは廃棄することができる場合を限定いたしたものでございます。
第十四条は外部の援助の規定でございます。在院者の補導の個別化をはかるためには、婦人補導院だけでは不十分でありますので、広く外部の援助を求めることにいたしたのでございます。
第二項は職業の院外補導の規定でございます。
第三項は、婦人補導院の保安上在院者の分類調査上等で必要な場合に援助を求めることの規定でございます。
第十五条は保護具の規定でございます。
第一項は保護具を使用することができる場合を厳格に規定したものでございます。
第二項は、保護具の使用は原則として婦人補導院の長の事前の許可を受けなければならないことを規定したものでございます。
第三項は保護具の構造を規定したものでございます。
第十六条は連れ戻しの規定でございます。
第一項は、逃走した場合に婦人補導院の職員によりまして逃走後四十八時間以内に連れ戻しをすることを規定したものでございます。
第二項は、逃走後四十八時間を経過いたしました後は連戻収容状によることを規定しておるのでございます。
第三項は、連戻収容状及びその執行につきまして、仮退院の取り消しの場合の再収容状及び当初の収容の場合の収容状に関する規定を準用することの規定でございます。
第十七条は子の保育に関する規定であります。
第一項は、在院者が乳児を携帯いたしておる場合がありますので、やむを得ない場合には婦人補導院内で子を保育することを認めたものでございます。
第二項は、在院期間が短いので、さらに必要のありますときには継続して乳児の保育のできることを規定したものでございます。
第十八条は旅費及び衣類の給与に関する規定でございますが、これは、釈放時の保護の一方法といたしまして、旅費及び衣類の給与の規定を置いたのでございます。
第十九条は死亡者の遺留金品の取扱いの規定でございます。
本条第一項及び第二項は、在院中に死亡した者の遺留金品の遺族への交付を規定したものであります。
第三項は逃走者の遺留金品の処分についての規定でございます。
第二十条は実地監査の規定でございます。監査官による婦人補導院の実地監査を明示いたしたものでございます。
第二十一条は処遇に関する規定でございます。
本条第一項は、婦人補導院処遇規則の根拠を規定したものであります。
第二項は、各婦人補導院処遇細則の根拠を規定したものであります。
附則の第一項は施行期日に関するものでございまして、売春防止法の完全実施の日から施行する旨を明らかにいたしております。
第二項は国家公務員共済組合法の一部改正でございます。本項は婦人補導院の職員が刑務共済組合に属するものとしたことを明らかにいたしております。
第三項は公職選挙法の一部改正でございます。本項は、公職選挙法の不在者投票の理由に婦人補導院に収容中を加えたものでございます。
第四項は精神衛生法の一部改正でございます。本項は、矯正施設の長の精神障害者の通報に関する規定中の矯正施設の定義に婦人補導院を加えたものでございます。
第五項は出入国管理令の一部改正でございます。本項は、退去強制該当者通報及び退去強制と刑事手続との関係に関する規定中に婦人補導院に関する事項を加え、婦人補導院の長の通報義務及び補導処分の先行を規定したものであります。
以上簡単でありますが御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/87
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088・町村金五
○町村委員長 これにて売春防止法の一部を改正する法律案及び婦人補導院法案の逐条説明は終りました。なお、証人等の被害についての給付に関する法律案につきましての逐条説明は、お手元に配付の資料をごらんいただくことにいたしたいと存じます。
ただいまの三案についての質疑は次回にこれを譲ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/88
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089・町村金五
○町村委員長 次に、小委員会設置に関してお諮りいたします。最高裁判所機構改革に関する小委員会を設置することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/89
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090・町村金五
○町村委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
なお、ただいま設置いたしました小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては委員長に第一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/90
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091・町村金五
○町村委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/91
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092・町村金五
○町村委員長 なお、委員各位もすでに御承知の、第二十六国会に本委員会に付託されました最高裁判所機構改革関係法案の審査のため本院より欧米各国に最高裁判所機構改革調査議員団が派遣されたわけでありますが、その調査報告書がすでに議長に提出されております。本報告書とその他参考資料を本委員会の会議録に掲載いたすよう取り計らいたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/92
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093・町村金五
○町村委員長 御異議なければ、さよう取り計らうことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/93
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094・猪俣浩三
○猪俣委員 私はきょうは大阪高等検察庁における検察事務官の執行すべきものを執行しないで釈放したという事件について質問したいと思いましたが、時間の都合上木曜日に譲りたいと思います。ただ、政務次官にお願いがありますことは、木曜日までに調査していただきたいことは、有罪判決、ことに懲役刑です。懲役刑が確定しまして、刑の執行をしなければならぬのを、何らかの事情で執行しないものが全国になんぼあるのであるか、及びその執行しない理由はどこにあるのであるか、この点を明らかにしていただきたい。実は、これは、牧野法務大臣のときに私が質問をいたしましたのは、最高裁判所でも上告は棄却せられて、懲役刑が確定しているにかかわらず、この人間が刑の執行を受けない。そうして、しかも、どうしてそれが発覚したかと申しますと、これは銀座警察の頭目とかいわれる暴力団ですが、これが浅草か何かで同僚の葬式のときに行ったのに仲間でけんかいたしまして射殺をされた。射殺された人間は実は刑務所へ入っておらなければならぬ人間が射殺されたということで、これが問題になった。私は牧野法務大臣に質問したところが、実はいやなことがあるのだが、あまり突っ込まぬでくれ、これは私の方で十分今後調査もするし厳重に徹底的にやるから、そのところ武士の情でちょっと聞かぬでおいてくれ、こういう話でありまして、私も牧野法務大臣とは長い間御懇意に願っている関係もありまして、大臣がそれだけ懇請されるので私もほこをおさめたのですが、そのいやなことというのはどういうのか、いまだにわからぬ。ところが、こういうことが起ってみますと、これはもうほおかぶりできないと思う。いやしくも国家刑罰権に基いて裁判の結果就役しなければならぬ人間が大手を振ってしゃばに出て歩いているというようなことが許されるということに相なりますならば、これはもう国家刑罰権そのものの崩壊であります。長い間手数をかけて、警察、検察庁、裁判、その結果において就役しなければならぬ者が、全然てん然としてしゃばへ出ておるということは、これはお話にならぬことだと思うのです。たまたま大阪高等検察庁にそういうことが起っておる。そうすると、私どもは、いやあなことがあるということを、もっと突っ込んで聞いてみなければならぬ。どうも政治家なんかもそれに関係しておるというような意味にもとれるのです。そういうことを私は徹底的に明らかにしていただきたい。そこで、今申し上げました、こういう刑の言い渡しが確定しているにかかわらず、就役しておらないような者、罰金まで言ったら大へんですから、懲役刑だけでもいいと思うのですが、できたら罰金言い渡しを受けながら完納しておらない者の統計もいただきたいのですけれども、ことにその理由がほしいのであります。場合によりますと、その一つ一つにつきまして調査しなければならぬ、こう思われるので、これは矯正局が刑事局か私はわかりませんが、その意味において政務次官にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/94
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095・町村金五
○町村委員長 本日はこの程度にて散会いたします。
午後零時四十八分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X00519580218/95
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