1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十四日(金曜日)
午前十一時開議
出席委員
委員長 町村 金五君
理事 高橋 禎一君 理事 林 博君
理事 福井 盛太君 理事 三田村武夫君
理事 横井 太郎君 理事 青野 武一君
理事 菊地養之輔君
小島 徹三君 徳安 實藏君
長井 源君 古島 義英君
横川 重次君 佐竹 晴記君
田中幾三郎君 武藤運十郎君
出席政府委員
法務政務次官 横井 信夫君
検 事
(大臣官房調査
課長) 位野木益雄君
委員外の出席者
判 事
(最高裁判所事
務総局民事局
長) 関根 小郷君
専 門 員 小木 貞一君
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本日の会議に付した案件
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第一二四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/0
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001・町村金五
○町村委員長 これより会議を開きます。
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますから、これを許します。林博君。
〔委員長退席、福井(盛)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/1
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002・林博
○林(博)委員 本改正案は執行吏の恩給額を増額しようとするものでありまして、一般公務員の恩給と歩調を合せる必要から提案されたものと考えるのであります。この機会に執行吏制度について質問いたしたいと思います。
まず第一点は、執行吏は裁判所法六十二条によって公務員たる裁判所職員でありますが、この執行吏の定数がないということを聞いておるのであります。現在全国の執行吏の員数はどの程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/2
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003・関根小郷
○関根最高裁判所説明員 現在の日本全国の執行吏の数は約三百四十名おります。最近少しずつふえつつある状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/3
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004・林博
○林(博)委員 この執行吏の任命の方法はどのようにして任命するものであるか、また、その執行吏の前身と申しますか、経歴と申しますか、裁判所書記官あるいは検察事務官等の前歴のある者があると思いますが、その前身がどのようになっておるか、また任命方法はどのようなものであるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/4
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005・関根小郷
○関根最高裁判所説明員 今の林委員のお尋ねですが、任命方法は、裁判所法の六十二条によりまして、地方裁判所が任命いたすことになっております。そういたしまして、任命されまする執行吏の前歴はどうかという問題につきましては、おおむね裁判所の職員のうちの書記官あるいは事務官、それからまれに検察事務官、それから税務署の職員、大体大まかに申し上げまして裁判所の書記官が一番多いようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/5
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006・林博
○林(博)委員 執行吏制度についてはいろいろ改革について議論のあるところだと思うのですが、法制審議会において数年前からいろいろ調査研究されておるということを聞いておるのでありますが、どのような程度に審議が進んでおるのか、またどのような点が問題になっておるのか、この点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/6
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007・位野木益雄
○位野木政府委員 御指摘の通り、執行吏制度につきましては、制度の改善をする必要があるのではないかということから、法制審議会に昭和二十九年に諮問になりまして、それから、強制執行編と執行吏制度の両方を、密接に関係あるものですから、並行して審議することになりまして、強制執行制度部会というものを設けまして、そこで研究いたしておるのであります。そこで、執行吏制度を、広く強制執行の機関をどういうふうな構成にして、権限をどういうふうにするかということも問題になって審議しておるわけですが、御承知のように、執行吏の制度は強制執行編全体と密接な関係がありますので、これだけを切り離してどんどん進めるというわけにもいきませんので、一応議論をしてはまたほかの方に移るというわけで、まだ意見はまとまっておりません。いろんな試案や意見は出ておるのでありますが、最終的な意見はもちろん、中間的にもそれほどまとまった意見はまだできておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/7
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008・林博
○林(博)委員 この問題にからんで、外国における裁判の執行機関、これは日本と相違があると思うのですが、その実情がどういうふうになっておるか、もしおわかりだったらお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/8
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009・位野木益雄
○位野木政府委員 外国の制度につきましては、われわれは実は今までに出ております文献をたよりにして勉強するという程度を出ておらないのであります。しかも、その文献もあまり出ていないのではないかと思っておるのですが、おぼろげながらわれわれが知っておる範囲では、各国によりまして非常に事情がまちまちであるように承知いたしておるのであります。たとえば、選任の方法にいたしましても、任命のところもあれば、あるいは選挙のところもある。あるいは裁判所の職員であるところもあれば、場合によってはもう少し広い範囲の行政官的な職務を持っておる者がやっておるところもある。それから、収入といいますが、報酬、給与の関係におきましても、正規の定額の俸給を受ける仕組みになっておるのと、手数料をもらっておるのと、それから定額の報酬と手数料との混合の制度になっておるというものとか、いろいろ雑多であるようでありまして、必ずしも一様になっておらない。しかも、一国の中でも、たとえばドイツあたりにいたしましても、今申しましたように給与の面では三つの制度が併存しておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/9
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010・林博
○林(博)委員 今、諸外国にも正規の報酬、手数料とか、それが雑多になったものとか、いろいろあるというお話ですが、わが国の執行吏は、俸給はもらわないで、すべて規則に定めた手数料を受けることになっておるわけですが、この手数料が年間十二万二千円に達しないときには国家から補助金が出る、こういうことになっておるわけですが、現在この補助金を受けておる者は一体どのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/10
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011・関根小郷
○関根最高裁判所説明員 大体全体の執行吏の数の三百人あまりのうちの二十分の一と申しますか、約十五名程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/11
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012・林博
○林(博)委員 ただいま十五名程度が補助金を受けておるというお話でありましたが、それでは、手数料の最高を取る者は一体どのくらい取ることになるのでしょうか。東京と地方によって相当の差があると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/12
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013・関根小郷
○関根最高裁判所説明員 執行吏の手数料につきましては、全国非常にまちまちでございまして、大体平均いたしますと、三百四十名ばかりの執行吏の全体の手数料総額が年間で申しまして一億六千万円ばかりでございます。従いまして、一人当り年間約四十九万円、これを一ヵ月にいたしますと五万円弱ということに相なります。これが大体の平均手数料収入でございまして、今お問いがございました、一番収入の多い分はどのぐらいかという仰せに対しましては、これは東京あたりはまあ一番多いのじゃないかと思いますが、大体一人当り年額にいたしまして七十万円を少しこえる程度じゃないか、月にいたしまして大体約六万円。それから、低い方は、これは非常に低うございまして、先ほど申し上げました政府から補助金をもらいますものに入りますが、年間にいたしまして非常に少く六万円、従いまして月に一万円以下ということになります。こういう執行吏につきましては補助金の支給を受けることに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/13
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014・林博
○林(博)委員 補助金の支給を受けて、少いものでも十二万二千円になるとのことでございますが、この十二万二千円の年間の所得ということは、一般公務員のどのくらいの地位に該当するものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/14
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015・位野木益雄
○位野木政府委員 一般の公務員は、最近制度が変りましたので、最近の制度では八等級の六号俸ですか、これに大体当るように考えております。これは改正前の号俸から申しますと五級四号俸というのに該当いたしておったのでございますが、三十二年度の給与改善で切りかえられた結果は今申したようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/15
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016・林博
○林(博)委員 最後にお尋ねいたしますが、執行吏の前歴が裁判所書記官であってかつ恩給受給資格者である場合、執行吏として、就職中、前の資格による恩給を受けているのですかいないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/16
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017・位野木益雄
○位野木政府委員 執行吏は裁判所職員ではございますが、手数料を受けておって俸給を受けないという特別な建前になっております関係上、恩給につきましても昔から一般の公務員とは別建の恩給を受ける、二本建になっておるわけであります。でございますから、執行吏の在職中でございましても、すでに裁判所の書記官あるいは税務署の官吏といったふうな前歴によって恩給を受け得る人は受けておるわけでございまして、停止されていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/17
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018・林博
○林(博)委員 そういたしますと、執行吏を退職した場合は、恩給額の算定はどういうことになるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/18
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019・位野木益雄
○位野木政府委員 これは資料にもございますが、今の国庫補助基準額、これを俸給額と見なして算定することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/19
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020・福井盛太
○福井(盛)委員長代理 高橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/20
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021・高橋禎一
○高橋(禎)委員 ちょっとお尋ねしますが、執行吏の制度については、御存じのようにいろいろ議論があると思うのです。今のままでいいか、あるいはもっと根本的に改正する必要があるのじゃないか、こういうわけですが、あれは、いわば定員とでもいうのですか、その土地でその職務に従う人たちの数というものは大体標準があるのだと思うのですが、そういうことと、それから仕事の内容、それから、今の制度では御承知のように相当弊害もあるというふうな議論もあるわけですが、根本的にこの制度を改正しようというようなお考えかどうか、あるいはまた、それについていろいろ調査しておられるかどうか、調査しておられるのであればその模様等を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/21
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022・位野木益雄
○位野木政府委員 先ほど林委員のお尋ねもありましたので、ちょっと触れておきましたが、今法制審議会に部会を設けまして研究中でございます。やはり制度を根本的に検討しなければいけないのじゃないかというふうな意見もかなりございます。まだ結論は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/22
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023・高橋禎一
○高橋(禎)委員 監督ということについて、制度としてはあるようですが、実際うまくいっておるのですかどうですか。そこはちょっとどうも、われわれ、仕事をしておられる現場というか、そういうところで考えてみますと、いろいろ問題があるように思うのですが、要するに監督についての実情を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/23
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024・位野木益雄
○位野木政府委員 制度の改善の方は私の方で今研究いたしておりますが、実際上の運営につきましては裁判所の方で当っておられますので、裁判所の方からお答えいたした方がよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/24
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025・関根小郷
○関根最高裁判所説明員 今の高橋委員のお問いにつきまして、実は、執行吏の制度に欠陥があるのではないかということにからみまして、かなり執行吏自身につきましていろいろな問題がある——極端に申し上げますと、執行吏が預かっております競売売得金などを横領するなどということがございます。これは非常にまれでございますが、一年にやはり平均して三、四件出て参ります。こういうことをなくさんがために、実は最高裁判所で昭和二十八年に執行吏監督規程という規則を設けまして、執行吏査察制度を設け、そうして各裁判所に査察官というのを設定いたしまして、所長あるいは所長代行の裁判官に査察官になっていただきまして、執行吏の役場に参って査察をして、そうしてその実をあげつつあるわけであります。しかし、根本的に申しまして、やはり何と申しましても手数料制の収入源でございますので、やはり俸給制に切りかえた方がいいのではないかという考えがかなり強いわけでございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/25
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026・高橋禎一
○高橋(禎)委員 今の監督しておられる、いわゆる査察制度を運用しておられる間に、たとえば横領などのような刑事事件が捜査当局の手で発覚した場合は、これはいろいろ処分等もされるのだと思うのですが、そういうような刑事事件が表に出ないで、いわゆる査察制度だけでもって処分をされるとかいう点は事例がありますかどうか、そこを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/26
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027・関根小郷
○関根最高裁判所説明員 今の高橋委員のお問いは、結局懲戒の問題になろうかと思いますか、一年に二、三件ずつあるわけです。これは解任いたす場合もかなりございます。査察の面で刑事事件までに参りませんで懲戒の事例が間々あるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/27
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028・高橋禎一
○高橋(禎)委員 大体どのくらいありますか。要するに、刑事事件にいかないで、査察だけでもって懲戒されるというようなことはやはりあるとおっしゃるのですが、どのくらいあるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/28
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029・関根小郷
○関根最高裁判所説明員 大体平均いたしまして年に一、二件でございます。昭和二十四年から三十年までの間に約十件あったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/29
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030・高橋禎一
○高橋(禎)委員 それでは希望を述べておきますが、なかなか問題があるようでして、刑事事件までにいかない、それから査察による懲戒処分までいっていないもので、しかしまだなかなか問題があるような感じがするのですが、制度を根本的に改正されるまでの間においてはあれの監督ということはさらに徹底してやっていただきたいという気持がいたしますから、その点一つ要望しておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/30
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031・福井盛太
○福井(盛)委員長代理 それでは、ただいま長井委員より発言を求められておりますから、これを許します。長井源君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/31
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032・長井源
○長井委員 きょうは政府の担当の人が来ていないようでございますから、これは委員長にお願いするのですが、けさラジオで聞きますと、大阪市の生野区の中学校の卒業式でございますが、それに生徒が乱暴をするので警察官の応援を求めたという報道があったのでございます。これはいずれにいたしましても中学校の問題で、学校のことでもありますから、文教委員会でこの調査を進められると思うのでございますけれども、少くとも警察官の出動を求めるということは、治安上見のがすことのできない問題でございます。あるいはその地方にそういうふうな空気があるのか、学校の教育の欠陥であるのか、それらのことについては、事が義務教育の中学校の生徒の不穏行動でありますから、これは法務委員会において見のがしておくことができない問題であります。私の開きましたのはけさのラジオのことでございますから、詳細な報告はまだ警察庁の方にも米ていないだろうと思いますけれども、委員長の方から、その詳細な環境並びに事実の報告、なおその前後にやはりそういうふうな事件があったやにも聞いておりますので、もしそういうことがあるならばそれもあわせて御報告を求めておいていただきたいと思います。
なお、もう一つ政府の方に報告を求めたいのは、先般私がここで質問いたしました例の朝鮮人の本国送還に関しまして、浜松の収容所から大村収容所へ移しますときに、二百五名かの人員であったのに対して、特別列車を仕立てまして、六十九人の職員がそれについて乗っていったということでありまして、途中で多少いざこざがあったようでございますが、ともかく十四人脱走をいたしました。その十四人の脱走をした者の本国、あれは北鮮の方であるとは思いますが、わかりますれば、その本国並びに犯罪の前歴、それから今日の再逮捕の状況、あるいは再び収容し得たかどうかという事後の報告、なお、これは私は当時も申しましたが、何ともだらしない話でありますし、そういうやり方でありますとなめられてしまいますので、これはほんとうに綱紀を振粛しなければならないと思います観点から、その脱走されたことがどうも事情やむを得なかったようなことであったのか、あるいはまた不可抗力であったのか、怠慢であったのかということについて、これは一つ責任者の方から一ぺんここで御報告を願いたい。もし怠慢であったというようなことでありますれば、相当の処分をするところまで私は要求したいと思いますので、これはそれに対する当局の処置というふうなことの報告を求めたいと思いますから、委員長からお取り次ぎを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/32
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033・福井盛太
○福井(盛)委員長代理 それでは、ただいまの発言の御趣旨は委員長より関係当局に連絡いたしまして、次回の委員会で答弁を求めることといたします。
それでは、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805206X01419580314/33
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