1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十一日(火曜日)
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議事日程 第十三号
昭和三十三年三月十一日
午後一時開議
第一 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第二 政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
第三 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 国立競技場法案(内閣提出)
第五 警察法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
公衆電気通信法の一部を改正する法律案中修正の件(内閣提出)
日本電信電話公社法の一部を改正する法律案中修正の件(内閣提出)
日程第一 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第二 政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
日程第三 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 国立競技場法案(内閣提出)
日程第五 警察法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
昭和三十一年度昭和三十二年度衆議院予備金支出の件(承諾を求めるの件)
放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑
午後二時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/0
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001・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) これより会議を開きます。
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002・杉山元治郎
○議長(杉山元治郎君) お諮りいたします。内閣から、売春対策審議会委員に本院議員神近市子君、同島村一郎君、同世耕弘一君、同中山マサ君、同山下春江君、同吉田賢一君、参議院議員大川光三君、同佐野廣君、同藤原道子君及び同宮城タマヨ君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/2
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003・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
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004・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 次に、内閣から、公衆電気通信法の一部を改正する法律案、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案、右両案に対しそれぞれ修正したいとの申し出があります。両案に対する修正をそれぞれ承諾するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/4
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005・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、承諾するに決しました。
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006・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 日程第一、農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員長中村寅太君。
〔中村寅太君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/6
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007・中村寅太
○中村寅太君 ただいま議題となりました、内閣提出、参議院送付にかかる農業協同組合法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本案は、農業協同組合法に対し二点の改正を行わんとするものであります。まず、第一点は、農業協同組合及び農業協同組合連合会の行う共済事業につき、共済契約者あるいは被共済者たる組合員の利益の保護をはかり、共済事業の健全なる運営を確保いたしますために、現在行政庁の承認を受けた共済規定の定めるところにより積み立てられている責任準備金の積み立て義務を法定するとともに、財産の運用方法についても所要の規制を加える等の措置を講ずることといたしておることであります。第二点は、農業協同組合中央会の行う監査事業についての規定の整備であります。すなわち、監査の実施手続を明確にするとともに、監査事業に対する農業協同組合及び農業協同組合連合会の協力関係を明確化することにいたしております。
本案は二月二十八日参議院より送付され、三月六日審議を行い、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対しましては、共済積立金が農業生産性の向上に直接役立つよう有効適切な運用方針を策定すること、法人税法の適用に当り、建物共済等のために積み立てられる特別危険準備金についても、これを損金に算入すること、農協中央会が行う自治監査及び行政庁の行う検査の内容を充実すること、及び、農協の業務執行体制の刷新、共販事業の充実をはかるため、すみやかに農業協同組合法の抜本的検討に着手すべきである等、数項目の附帯決議を付しましたことを申し添えておきます。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/7
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008・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/8
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009・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/9
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010・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 日程第二、政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/10
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011・床次徳二
○床次徳二君 ただいま議題となりました政府間海事協議機関条約の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
戦後、国際連合のもとに、航空、電気通信、労働等の各分野においてはそれぞれの常設的な専門機関が設立されておりますが、国際的色彩のきわめて強い海運の分野においても、その設立の必要性が痛感せられ、一九四八年にジュネーヴにおいて国際連合海事会議が開催され、本条約が作成されたのであります。
この条約の目的とするところは海事に関する政府間の国際協力を推進するための常設的国際機関を設立するものでありまして、この機関は海運に影響のある技術的事項を検討し、海上の安全を確保するための一そう有効な措置の採用を勧告し、その他政府間の情報交換を容易にすること等を主たる目的としているのであります。
わが国は戦前から有数の海運国でありますので、この国際機関に参加することにより、海運の分野における国際協力に寄与するのみならず、わが国海運の利益の増進、ひいてはわが国通商貿易の発展に資することができると考えられます。
本条約は、二月六日予備審査のため本委員会に付託され、十九日参議院において承認の後衆議院に送付され、同日本委員会に付託されました。よって、本件につき政府側の提案理由の説明を聞き、質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御了承を願います。
かくて、三月六日討論を省略し採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/11
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012・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/12
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013・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/13
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014・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 日程第三、航空法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長赤澤正道君。
〔赤澤正道君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/14
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015・赤澤正道
○赤澤正道君 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、本法案の趣旨を簡単に御説明いたします。現行法は昭和二十七年に制定され、自後数回にわたり一部の改正が行われ、今日に至ったのでありますが、この間航空の発達は目ざましく、また、今後もさらに飛躍的発達を遂げるものと予想されるのであります。この航空界の発展に即応し、かつ、最近における航空機の運航の実情にかんがみまして、現行法に所要の改正を加えようとするものであります。
次に、本法案の内容のおもなる点を申し上げますと、まず第一点は運輸大臣が耐空証明を行う場合の指定事項を追加して、航空機の安全性の強化をはかろうとするのであります。第二点は飛行場及び航空保安施設の管理基準を技術上の基準から保安上の基準に改め、さらに、公共用飛行場につきましてはその設置者が管理規程を定めて運輸大臣の認可を受けることにいたしますとともに、飛行場内における危険行為及び特定区域ヘの立ち入り等を禁止いたしまして、航空の安全の強化並びに飛行場の運営の円滑化をはかろうとするものであります。第三点は定期航空運送事業用の航空機の機長の路線資格について新たに運輸大臣の認定及び定期的審査の制度を設けるとともに、機長は出発前に航空機の運航に必要な事項を確認しなければならないことといたしまして、安全性の向上と機長の責任の明確化を期そうとするのであります。第四点は、飛行場及びその周辺の上空における航行の方法を規制するとともに、運輸大臣は航空機の運航のため必要な情報を航空機乗組員に提供し、また、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を行う者は運輸大臣に事前にその旨を通報しなければならないことといたしまして、航行の安全を確保しようとするのであります。第五点は、航空機の検査技能証明の試験手数料の額の適正化、定義規定並びに罰則の整理を行おうとするものであります。
本法案は去る二月十三日本委員会に付託され、同月十八日政府より提案理由の説明を聴取し、三月四日、六日及び七日、慎重に質疑が行われましたが、その内容は会議録により御承知願います。
かくて、討論を省略し、同月七日採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案通り可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/15
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016・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/16
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017・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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018・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 日程第四、国立競技場法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員長山下榮二君。
〔山下榮二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/18
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019・山下榮二
○山下榮二君 ただいま議題となりました内閣の提出にかかる国立競技場法案につきまして、その要旨及び文教委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。本案の要旨は、国の建設にかかる陸上競技場及びその付属施設を適切かつ効果的に運営するため、特殊法人として国立競技場を設立することを定めておるのでございます。その資本金は政府がただいま旧明治神宮競技場跡に建設中の競技場の施設、設備等の価格の合計額に相当する額を政府の出資とし、政府がこれらのすべてを現物出資することにいたしております。会長、理事長等の役員及び会長の諮問機関たる評議員会の評議員については文部大臣の任命とし、さらに役員の欠格条項等について規定し、業務といたしましては、前に申し上げた競技場の施設及び付属施設の運営、体育に関する内外資料の収集及び一般の利用に供すること等はもちろん、その他、講習会、研究会等体育の普及振興に必要な業務を一行うことを規定し、さらに、その業務の公共性に基き、定款、資金計画等については文部大臣の認可または承認を受けることを要するものと定めるなど、所要の規定を設けております。
本案は去る二月十八日当委員会に付託されまして以来、各委員から諸般にわたって熱心な質疑が行われ、さらに本案に関して参考人を招致して意見を聴取するなど、慎重に審議を重ねて参りましたが、その詳細については会議録によって御承知を願いたいと存じます。
かくて、三月七日に至り質疑を終了、討論を省略して採決の結果、本案は起立総員をもって原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。
右、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/19
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020・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/20
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021・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/21
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022・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 日程第五、警察法等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長矢尾喜三郎君。
〔矢尾喜三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/22
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023・矢尾喜三郎
○矢尾喜三郎君 ただいま議題となりました警察法等の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議の経過及び結果の概要を御報告申し上げます。
この法律案は、警察法及び道路交通取締法について、それぞれその一部を改正しようとするものでありますが、その目的とするところは、現行警察法施行以来三年有半の警察運営の実情と、最近における道路交通の状況その他の情勢の著しい変化に対応せんとするにあり、これがため警察庁及び北海道における警察組織について若干の改編を加えてこれを整備するとともに、全国的な幹線道路における交通の規制の整一をはかる等、交通警察上必要な措置を講ずることを主要な改正点としております。
すなわち、本案の内容は、まず警察法の改正については第一に、警察庁の内部組織を改編し、新たに保安局を設けて防犯、少年、保安、交通及び警らに関する事務を所掌せしめることとし、あわせて従来の部課制を局課議に改め、また、警察庁の地方機関たる管区警察局についても、関東及び近畿管区警察局には現行三部のほか保安部を新設することとし、第二に、北海道警察の組織については、現行の五つの方面本部のうち、道警察本部の所在地を管轄している方面本部を廃止し、この方面の区域を道警察本部の直轄とするとともに、この方面には方面公安委員会を置かないこととし、また、すべての方面警察学校はこれを廃止して、北海道における警察官の教養はすべて道警察学校一本で行うように改め、第三に、移動警察に関する規定を整備するため、二以上の都道府県の区域にわたる特定の道路では、関係都道府県警察の協議して定めたところにより、その道路における事案について、相互に他の管轄区域にも警察官は職権を行使し得ることとし、第四には、道路交通取締法の一部改正に伴い、国家公安委員会の権限に属する事務として、全国的な幹線道路における交通の規制に関することを加えております。また、道路交通取締法の一部改正においては、一級国道その他全国的な幹線道路における交通の規制の整一をはかる必要がある場合は、国家公安委員会は、諸車の最高速度の制限等について都道府県公安委員会に対し指示ができることとしております。
本案は、二月六日本委員会に付託、翌七日正力国務大臣の提案理由の説明があり、自来、慎重審議いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。
三月七日本案に対する質疑を終了、直ちに討論に入り、委員吉田重延君は自由民主党を代表して本案に賛成し、委員川村継義君は日本社会党を代表して本案に反対し、それぞれ意見を述べられました。採決の結果、賛成多数をもって本案は原案通り可決すべきものと決しました。
なお、その際、委員吉田重延君より、自由民主党を代表して、本案に附帯決議を付すべき旨の動議が提出せられ、その趣旨の説明がありました。
採決の結果、これまた賛成多数をもってこれを付すべしと決しました。
附帯決議は次の通りであります。
都道府県警察に要する経費中、国庫支弁金及び補助金の区分について再検討を加え、都道府県警察の自主性を尊重するとともに他面警察官の福利厚生等については政府の責任をも明確にするよう必要な方策を考究すること。
右決議する。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/23
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024・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/24
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025・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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026・山中貞則
○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、昭和三十一年度、昭和三十二年度衆議院予備金支出の件を議題となし、議院運営委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/26
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027・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/27
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028・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
昭和三十一年度、昭和三十二年度衆議院予備金支出の件を議題といたします。議院運営委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事園田直君。
〔園田直吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/28
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029・園田直
○園田直君 ただいま議題に供せられました昭和三十一年度及び昭和三十二年度衆議院予備金支出の件について御説明申し上げます。
今回御承諾をお願いいたしますのは、昭和三十一年十二月二十日から昭和三十二年十二月十九日までに本院で支出した予備金五百八十八万五百円でありまして、その年度所属は、昭和三十一年度二百八十万八千円、昭和三十二年度三百七万二千五百円となっております。
なお、その使途は、在職中死亡されました議員の遺族に贈った弔慰金と、院議をもってその功労を表彰された永年在職議員の肖像画に要した経費であります。
以上の経費はそのつど議院運営委員会の承認を経て支出したのでありますから、御承諾下さいますよう希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/29
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030・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 本件は承諾を与えるに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/30
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031・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、承諾を与えるに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/31
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032・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) この際、内閣提出、放送法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます、郵政大臣田中角榮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/32
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033・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 放送法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
現行放送法が制定されましたのは昭和二十五年五月であります。当時の放送界は日本放送協会の独占の状態でありまして、いわゆる民間放送なるものは一局も存在しなかったのであります。ただ、漸次民間放送局の出現の機運は予見できる情勢でありましたので、放送法は、かかる事態に備えて、民間放送局に対する二、三カ条の条文を設けるほかは、すべて日本放送協会を規律する条文のみより成り立っているのでありまして、いわばこの放送法は日本放送協会法であると申しましても過言ではないのであります。加うるに、当時としては、協会におきましてもラジオ部門のみで、まだテレビジョン放送は皆無でありました。
その後今日に至る八年間における放送関係の科学及び技術の発達並びに電波の利用の増大はきわめて著しいものがございます。なかんずく、新しい事業形態としての民間放送の出現、新しい放送形式としてのテレビジョン放送の出現及び放送局数及び受信者数の顕著な増高により、放送界の事情は一変してしまったのであります。すなわち、放送法制定当時皆無でありました民間放送局は、今日では、ラジオ放送については四十社、九十局、テレビジョン放送については、予備免許中のものを含めて、四十三社、四十五局が出現しております。一方、日本放送協会の放送局も、ラジオ放送については当時約百局であったものが今日では二百局に、テレビジョン放送については三十局近くに増加しております。受信契約者の数も、ラジオ放送については、当時約九百万であったものが、今日では一千五百万になんなんとしている状況であり、テレビジョン放送については、昭和二十八年発足の当初三千未満であったものが昨年末では七十五万に達し、今後三年間には四百万になると予想せられるのであります
かくのごとく、放送界の現状は、現行法制定当時には夢想だになし得なかった状態に成育しているのでありまして、現行放送法をもってしては、とうていこれを規律し得ないのであります。さらに、その放送内容につきましては、社会、経済、外交等国民の生活全般に及んで格段の進歩向上を見、国民のこれに対する関心も非常に増大を来たし、国民教育、国民教養、健全娯楽の各方面について、放送内容の向上、充実を要望する世論は異常に高まりつつあるのであります、特にこの傾向はテレビジョンの発達に伴いまして強烈なものがあります。しかも、今後さらに新しい放送としてFM放送やカラー・テレビジョンが登場し、UHF帯の電波が放送事業に利用されるようになるのも決して遠い将来ではないという情勢になって参っております。
以上述べましたような事情からいたしまして、放送法についても全面的に考え直さなければならない時期が参っているものと認められます。
翻って、現行放送法は、冒頭に申し上げましたように、昭和二十五年に制定された後は、昭和二十七年に議員立法によりテレビジョンの受信料徴収のための改正が行われたほか、何ら改正が行われておらず、昭和二十八年、第十六回国会においても、政府は放送法の一部改正案を提案いたしましたが、審議未了と相なっております。そのとき以来、現行放送法は、進歩発達する放送界の実情に即し得ない点があるとの理由で、国会初め各方面からその改正が問題とされるに至ったのであります。ここにおきまして、政府といたしましても、放送法の改正について、日本放送協会、民間放送連盟などの意見も徴し、臨時放送法審議会に諮問するなど、鋭意努力を傾注して参ったのであります。
私も、このような進歩発達した放送界の現状及び国民の放送に求める要望を勘案いたしまして、昨年十月下旬、日本放送協会並びに民間放送三十六局に予備免許をいたします際、現行法の許容する最大限度において最善の努力をいたしたのでありますが、現行法の予想をはるかに越えた現実の放送界の状況に即応いたしますためには、あまりにも実情に即しない現行法をもってしては、いかにも不十分であると痛感いたし、早急に放送法を改正すべきことを決意し、放送法審議会の答申その他各方面の意見をも十分に検討いたしました結果、次のごとき方針により放送法の一部を改正することにいたしたのでございます。その第一は、放送が国民生活に及ぼす影響力がきわめて重大となってきていることにかんがみ、放送番組の適正を確保するため必要な措置を講ずることであります。この場合、放送の言論機関たる特性を十分に考慮し、ごうも表現の自由を侵すものでないように配意をいたしております。
放送は、申すまでもなく、新聞、雑誌と同じく有力なマス・メディアの一つでありまして、積極的には、日々の国民生活上必須の知識を提供し、国民の資質の向上に資し、国民に健全な慰安娯楽を与え、もって国民生活を豊富にし、国民文化の前進に貢献することができる非常に有力な手段でありまして、条約上の制約を受け、技術的にも限りある貴重な電波の使用を許された特定人は、これを最もよく公共の福祉に適合するように使用する責務を有しているものと考えます。従って、一般送及び教育放送に関して積極的意味における準則を設け、放送事業者の指標としてこれを明定することが、公共の福祉に適合するゆえんであろうと思われます。
他方、放送事業が、ほしいままに、あるいは不注意によって国民の享受すべき放送の恩恵を奪い、あるいは国民に不測の害毒を流すことがないように、何らかの措置が必要であると考えます。この意味で、そのような害毒を防除するための規定が必要であると認め、従来規定されています、放送は公安を害してはならないことと、公平、公正でなければならないという規定のほかに、善良な風俗を害してはならない旨の規定を設けることにしております。
さて、これらの準則を、いかにして表現の自由を侵すことなく実効あらしめるようにするかが最もむずかした問題でありまして、種々工夫いたしました結果、あとで申し上げます放送事業者の放送の準則及び番組審議機関を設けて、放送事業者の自律によって番組の適正をはかる措置を講ずることにいたしました。
方針の第二は、日本放送協会の責務の重大化、業務の増大に対処する必要な措置を講ずることでありまして、協会の公共的性格の明確化、業務範囲の拡張、経営機構の整備、財務能力の拡大について所要の規定を整備しようとするものであります。先にも申しましたように、今日では、放送法制定当時実在しなかった民間放送局群の出現によりまして、放送界は異常なにぎわいと活況を呈しておりますが、この間にあって、もっぱら公共の福祉を目的として設立された法人である協会の負うべき責務がますます重大となっており、協会それ自体の業務の範囲及び業務量が著しく増大している今日、右の措置はきわめて当然のことでございます。この場合、協会が全国を放送区域とする言論機関である点にかんがみ、特に協会の自主性を尊重し、いやしくも言論機関に対する政府の圧力ということが案ぜられるごとき規定を避けております。会長の任免の手続、収支予算等に関する制度、協会の財務の調査等については、各方面の有力な意見があったにもかかわらず、現行に据え置いたのは、右のような配慮からでございます。
方針の第二は、民間放送の増加及び事業者の間の競争の激化による弊害の発生を防ぐために、事業運営の自主性、主体性を確保するための措置を講ずることであります。この場合、その自由な事業活動を阻害しないため、必要最小限の規定にとどめることにいたしております。
以上の方針にのっとり、改正案で規定しているおもなる事項は次の通りであります。
第一は、番組の適正をはかるための措置に関する規定でありまして、これは大体において協会と一般放送事業者に共通なものでございます。
国内放送の放送番組の編集及び放送に当っては、積極的に国民に必要なニュースを提供し、教育、教養に資し、健全な慰安娯楽を提供することによって、国民の生活を豊富にし、その向上に資するようにするとともに、その内容が、現行法の規定する通り、公安を害さず、公正なものであるばかりでなく、新たに善良な風俗を害してはならないこととし、これらの事項を法に明定しようとするものであります。特に教育番組については、これ自体が国民の資質の向上を目的とするものでありますので、明確にその準則を設けております。
これらの法で明定した放送番組の編集及び放送についての準則の実効を確保する方法といたしましては、方針にもはっきり出しております通り、放送が言論機関たる特性にかんがみ、行政権による規制を避けて、次のごとき自律的な方法を採用いたしております。すなわち、放送事業者に自主的な放送番組審議機関の設置を義務づけ、放送事業者はこの番組審議機関に諮問して、その番組編集の基準を作成し、及び、これを公表する義務を負わせ、その事業者は、その番組基準に従って放送番組の編集及び放送をしなければならないものとして、その順守を公衆の批判にまかせようとするものであります。また、その番組審議機関には、放送された番組の批判機関たる任務をも持たせ、彼此相合して番組の適正をはかろうとするものであります。
第二は、日本放送協会の責務の重大化並びに業務の範囲及び業務量の増大に対処するに必要な措置であります。
右の措置の一として、協会の公共的性格を明確にし、その業務の範囲を拡張する措置に関する規定を設けました。
現行放送法は、民間放送についてはきわめてわずかな条文しか規定しておりませんが、わが国の放送は、英国における公共放送一本建及び米国における民間放送一本建の長所を取り入れ、カナダや豪州と同じく、協会と民間放送の二本建をとっております。ただ、前にも述べましたように、現実に民間放送の発足前に制定されたものでありますために、協会が放送界全体において占める地位、特に一般放送事業との関係が必ずしも明らかでありませんので、今回の改正案におきましては、特にこの点を明らかにするため、次のように規定いたしました。すなわち、協会は、ラジオ及びテレビジョンを全国にあまねく普及しなければならない旨及び国際放送を行うものである旨を明定しています。また、現行法では、その業務は協会の放送に限ることに厳格に限定されておりますが、改正案は、この点を拡張して、一般放送事業の進歩発達にも寄与することができるようにいたしてお号ます。すなわち、協会の行うべき研究及び調査の実施に当っては、業務の遂行に支障がない限り、学識経験を有する者及び放送に関係を有する者の意見を尊重するとともに、研究の成果をできる限り一般の利用に供しなければならないこととし、また、放送番組及びその編集上必要な資料を一般放送事業者等の用に供し、委託を受けて放送及びその受信の進歩発達に寄与する調査研究、放送設備の設計その他の技術援助並びに放送に従事する者の養成を行うことができることといたしました。
措置の二として、協会の責務の重大化並びに業務範囲及び業務量の増大に対応して、経営機構の改善をはかるため所要の規定の改正を行いました。すなわち、経営機構については、意思決定機関と業務執行機関の責任と権限を明確にする措置として、経営委員会の任務は、協会の経営方針その他業務運営に関する重要事項を決定することとし、会長を経営委員会の構成員であることをやめて、もっぱら業務を執行する機関としております。また、経営委員会の機能をより高めるために、有為な人材を広く選任することができるように、全国を通じて選出される委員四名を加え、若干ではあるが、選出の条件を緩和し、かつ、委員は従来報酬を受けなかったのを改め、勤務日数に応じ相当の報酬を受けることができるようにしました。また、業務の範囲及び業務量の増大に伴い、理事及び監事を増員することにしております。会長等の役員の任免の方式については、先にも述べましたように、現行の通りといたしております。
措置の三として、財政能力の強化をはかるため、協会の業務の拡大による所要資金の増加に対応して、放送債券の発行限度額を引き上げるとともに、一般放送事業者が放送に対する対価を受けることを禁止することにより、その収入を確保する道を講じました。
なお、収支予算等に関する制度及び受信料に関する制度については、これを改正すべきであるという意見もかなりございますが、今回は現行のままとしましたが、収支予算等について、示度頭初までに国会の承認が得られなかった場合の暫定措置を講じております。
第三は、一般放送事業者の自主性、主体性を確保するため必要な措置であります。
一般放送事業については、先に述べましたごとく、現行法ではきわめてわずかな規定があるのみでございます。一般放送事業に関する規定で最も重要なことは番組の適正をはかるための措置に関するものでございまして、これについては、すでに申し述べた通りでございます。番組の適正をはかるための措置以外の規定としてこの法案で規定しておりますのは、学校向けの教育番組の放送を行う場合の広告の制限並びに放送事業者の自主性及び主体性を確保するための措置であります。
一般放送事業者の自主性及び主体性を確保する措置としては、名義貸し並びに番組協定について、特定の者からのみ放送番組の供給を受けることとなる条項、及び、放送番組の供給を受ける者がその放送番組の放送の拒否または中止を禁止する条項を含むことを禁止する規定を設けました。
なお、そのほかに、事業経営のあり方として、一般放送事業者は受信者から放送の受信の対価を受けてはならない旨規定いたしました。
以上のほか、郵政大臣は、放送法の施行に必要な限度において、日本放送協会及び一般放送事業者に対し、その業務に関し報告をさせることができることといたしました。
今回の改正は、以上述べたところでおわかりのごとく、今日の放送界の実情を直視するとともに、明日の放送の姿をも想定し、これらに対応するため、表現の自由を確保しつつ、かつ、放送番組の適正を期するための自主的規制を中心とした番組の編集及び放送に関する準則並びにこれを確保するための規定を設け、日本放送協会については、その公共的な性格を明らかにし、及び、その活動をより活発にするため所要の改正を行うとともに、一般放送事業についてはその業務の運営に関する若干の規定を設けようとするものでありまして、きわめて現実に即した必要不可欠の改正のみであります。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
━━━━◇━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/33
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034・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) ただいまの趣旨の説明に対し、質疑の通告があります。順次これを許します。
竹内俊吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/34
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035・竹内俊吉
○竹内俊吉君 私は自由民主党を代表して、ただいま上程されました放送法の一部を改正する法律案について、若干の質問をいたさんとするものであります。
第一に、言論の自由と放送事業の関連について岸総理にお尋ねをいたします。言論の自由が民主主義のすべての基本でありますことは、申し上げるまでもありません。従って、この基本にいささかの不安があってもならないのでありますが、今回、政府は、放送法の改正に当って、言論、報道の自由というこの基本的命題とわが国放送事業の現状及び将来について、いかなる認識に立って法の改正をお考えになったかという点であります。NHK、民間放送とも、今日わが国の言論、報道のためにそれぞれ重要な役をになっており、世論を形成する場として、国民大衆との関係は密接不離、たとえば、この国会の模様がその揚からノー・タイムで国民の前に明らかにされておるということを一つ考えてみましても、放送が民主政治の理解と成長のために大きい役割を果しておりますことは明瞭であるのであります。しかも、政府は、最近テレビ放送局を全国にわたって大量に予備免許を与えて、今年から明年にかけて、わが国放送界は一大躍進に向わんとしておる際であります。そのときに当っての放送法改正でありますから、あえて言論、報道の自由を確保するについてお尋ねをいたしたいのであります。
と申し上げますことは、放送事業は御承知の通り、新聞と違って政府の免許事業でありますがために、いろいろの点において政府の行政に直接の関係を持っておる言論、報道機関としては、特別のケースと申し上げてよろしいのであります。それだけに、放送機関における言論、報道の自由を確保するためには、法の上においても、行政の上においても、格別に細心の注意が必要であろうと思うのであります。今回の改正案のねらいは、放送内容の低俗化を防ぎ、その向上を期するという意図にありますことは、ただいまの田中郵政大臣の提案理由にも明らかであります。もとより、放送内容の向上には何人も異論があろうはずはありません。ただ、そのためにどのような手段、方法をとるかが重要な問題で、これを法をもって規制するということは、慎重の上にも慎重でなければなりません。
改正案において最も重要なことは、放送の生命とも言うべきところの番組の編成について規制をいたしておる点であります。この規制は、ただいまの郵政大臣の御説明にもありました通り、法律面では、法文の上では放送事業者の良識にまかせられておる倫理規定でありますことは明瞭であります。その点は、その限りにおいては、心配がないといえば心配はないのであります。先にも述べましたる通り、放送事業は政府の免許事業で、三年ごとに免許の更新を政府の手で行うのでありますから、倫理規定といえども、当局の行政のやり方いかんによっては、この規定は強力な業務規定同様なものとなって、言いかえれば、放送内容向上の名において言論統制あるいは言論報道機関に対する官僚統制が行われる危険が絶無ではないとの批判が、世上一部に行われておるのであります。マス・コミュニケーション・メディアとして今後いよいよ重要な役割を持つ放送において、また、放送法の改正に当って、さような不安がかりにもあってはならないのでありますから、特に放送機関の特殊性にかんがみて、その言論、報道の自由を確保するについて、岸総理の御所信を承わりたいのであります。
次に、郵政大臣にお尋ねをいたします。今回の放送法改正は、五年越しの懸案を実現したという点で、わが国放送界の前進に役立つものとは思いますが、一面、また、つぼをはずれておる改正だとの批判も聞くのであります。
以下、二、三その点についてお尋ねをいたします。
現行放送法は、先ほど郵政大臣から詳しく御説明があったように、昭和二十五年五月に制定されたもので、その当時は、民間放送も、テレビジョンも、短波放送もない。放送といえばNHKのラジオ・オンリーの時代に作られた法律であるのであります。従って、現行法は、日本放送協会の組織を定める条章と放送自体の基本要件を規定した条章とが一本に盛られておるのであります。この現行法が作られてから八年になるわけでありますが、この八年間にわが国放送界は著しく成長し、拡大され、非常な変化を示しておる現状に照らして放送法改正の眼目となるのは、放送基本法と日本放送協会法との二本建に現行法を分離して、合せて民間放送が今日のように拡大され発達した現状に沿うごとく、民間放送の性格をより明確にするとともに、NHKの性格と任務にも、おのずから放送独占時代とは違ったいわゆる公共放送の性格、任務を、この新しい事態に即するがごとく明確にすべきであるとの世評が高かったことは、田中郵政大臣よく御承知のところであります。しかるに、今回の改正は、そのような根本点に触れないで、一部改正に終った理由はどこにあったか、大臣の御所見を承わりたいと思います。
また、改正案の骨子をなしているものは、ただいま御説明がありましたように、NHK、民放に共通した事項として、放送番組については、善良な風俗を害さないこと、報道、教育、教養、娯楽の調和を保つこと、編集基準を設けてこれを公表すること、放送番組審議機関を設けること等、いわゆる番組の編成の内容に言及しておるのであります。かかる一連の措置につきましては、詳しいことはいずれ委員会でお聞きしたいが、この席で明らかにしていただきたいことは、政府はわが国放送の現状をどのように見たか、現在行われておる放送内容をどのように見て、かような改正措置の必要を認めたか、という点であります。要するに、政府の見た放送内容の現状を明らかにして、改正案のよって来たるところをお示し願いたいのであります。
次に、NHKについてお尋ねをしたいと思います。
第一に、ラジオ、テレビの受信料の性格について。現行法によれば、受信料はNHKと受信者との契約による対価支払いということになっております。NHKが放送を独占していた時代はそれでよかったけれども、NHK、民間放送、いずれのダイヤルを回すかということが受信者の自由である今日では、聞いても聞かないでもとられるNHKの受信料は、明らかに、聞いているため見ているための対価ではなくて、受信機設置税に等しいものであろうと思うのであります。今回の改正はこの点に触れていないが、NHKに、より安定と便利を与え、受信者に納得を与えるよう、何らか改正措置をとるべきだったと思いますが、大臣の所見を承わっておきたいと思います。
受信料の問題では、田中郵政大臣は、NHKのラジオ聴取料について、これを値上げする必要があろうと言明をしたことがあります。その後になって値上げが適当でないとの結論に達したようであるが、この間の考え方が変ったのは、これは私はけっこうだとは思いますが、いかなる点で考え方が変ったのか、国民生活に深い関係を持つ事柄でありますから、その経緯をあわせて明らかにしてもらいたいと思います。
NHKの受信料の性格が変ったように、NHKの性格と任務が一そう公共的な度を加えたのであります。この点は先ほど田中郵政大臣の御説明にもありましたが、それについて、田中郵政大臣は、先般、逓信委員会において、NHKは国の放送機関であると率直に言明をされました。現在の条件においてNHKを国の放送機関と限定することについては、多少誤解を招くおそれもあろうと思いますので、この際その真意を伺っておきたいのであります。たといNHKは国の放送機関であるといたしましても、政府の放送機関では断じてないのでありますから、そのけじめは明確を期さなければならない。
国の放送機関的建前をもっと明らかにし、その点を明らかにした上で、政府はもっと積極的にNHKに便利と援助を与えるべきであろうと思うのであります。そうしてこそ、公共放送と民間放送との二本建制度の意義と効果とがより明瞭かつ有効となるのであります。たとえば、現在NHKと民間放送とは同じような放送をしておって、番組はほとんど競合しておるありさまであります。今度の改正は番組の調和を規制しておりますが、各放送局の番組の調和もさることながら、NHKと民間放送との間にダブっておる番組の調和をいかにしてはかるかが、より重大な問題であろうと考えます。この調整をはかって、NHKと民間放送とがそれぞれ特色のある番組によって総合的に国民に放送サービスをすることこそ、国民のものである電波の効率的な利用のゆえんであると思うのでありますが、郵政大臣の御所見を承わりたいと思います。
もう一点、今度の改正で、NHK、民間放送を通じて、郵政大臣は必要の限度において放送事業者に業務の報告をさせることができると規定されております。この点を放送事業に対する官僚統制の突破口のごとく批判する向きもありますので、特にこの真意をお尋ねしておきたいのであります。放送事業は免許事業でありますから、免許更新に当って、政府は事業者自身から資料を求めて判断したいという意図に基く報告要求であるとすれば、おのずから報告内容にも限度があり、この報告要求それ自体がもちろん言論統制でも官僚統制でもありません。ただ、監督強化の意味でこれを道具に使うようなことがもしあるとすれば、免許事業であるだけに、NHKにも民間放送にも不当な威圧を与えるおそれがあるのであります。その点、この業務報告の性格と限度について御答弁を願いたいのであります。
最後に、教育放送について文部大臣並びに郵政大臣にお尋ねをいたします。放送が国民生活に広く深く影響を与え、すでに教育の面においても重要な役割を果しつつありますことは、御承知の通りであります。特に、テレビジョンの普及によって新たなる教育の場が開かれようとしておるのであります。松永文部大臣は、放送を通しての教育、教育放送にどのような御構想を持っておられるか、あるいは御計画を持っておられるか、この教育放送に対する文部大臣の御期待を承わりたいのであります。
郵政大臣には、教育放送の普及計画について、もう一点伺っておきたいと思います。郵政省はさきに二つの教育テレビ局と三つの準教育テレビ局に予備免許を与え、これらの局はおそくも昭和三十五年中には開局を予想されるのでありますが、元来、教育放送は、いなかの学校等、教育機関に恵まれない地方にこそより必要なわけであり、また、一般テレビが普及すればするほど、教育テレビの要請が今後ますます強くなるのもまた当然であります。この国民的要望にこたえていくためには、その対策は今日から用意されていなければなりません。ところが、テレビ・チャンネルにおいて、現行の超短波はすでに御承知の通り限界に達しておりますので、教育放送の普及をはかろうとするためには、必然的に極超短波を利用するとともに、ラジオにおいてはFM放送の利用拡大をはからなければならないと思うのであります。このことはわが国放送事業にさらに新たなる世紀をもたらすところの大きい仕事であるのでありますが、この点について田中郵政大臣はどのような用意を持っておられるか、御構想を承わりたいのであります。
以上、数点にわたってお尋ねいたしましたが、各大臣の明快なる御答弁を期待して、私の質問を終る次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/35
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036・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 竹内君の御質疑に対してお答えいたします。
憲法に保障されておるこの表現の自由を確保するということが民主政治の上におきまして非常に重大な問題であることは、御意見の通りであります。従いまして、これをあくまでも確保して参らなければならぬことは言うを待たないのでありまして、今回の改正に当りましても、特に、その点に関しましては、慎重に検討して、十分な注意と工夫がこらされておるのであります。ただ、御承知のように、放送というものが限られた電波を使用するという見地から、許可事業にも放送事業がなっておりますというようなこの特質から見まして、新聞、雑誌等に対する場合とはやはり異なった面が起ってくるのもまた当然であります。この意味における、この放送の特殊の公共的な立場からの制約が出て、要求されるということも、またこれは当然といわなければならぬと思います。要は、この間にあって、根本的な、民主主義に大事な言論の統制というようなことに堕さないというところを十分に考えなければならぬということだろうと思います。今回の改正におきましても、ごらんの通り、明文で規定しておりますもののほかは、一切放送事業者の自律にゆだねて、適正な運営を期しておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/36
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037・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 竹内さんにお答えいたします。
まず第一点は、放送法の改正に際して三本建か二本建にいうことを考えながら、なぜ一本建としたか、こういう御質問でありますが、私も、初めは、放送法改正に当って、できるならば三本建にしたいという考えを持ったことは、御承知の通りであります。この種の法律に対しては、大体、基本法及び事業法、もう一つは、特殊な公社や特殊な機関に対しては、その機関を律する法律、三本建になっていることは、御承知の通りであります。これは、電気関係においても、鉄道関係におきましても、そういうふうな形態をなしておりますので、できればそういうふうにいたしたいという考えでございましたが、放送法の持つ重要さ、また、放送法というものを、そういうように形式を変えることによって、無用にいじったというふうな感じを出すことは、摩擦を起すことでありますので、このたびの改正では、在来の放送法をそのまま改正を行うことにいたしたわけでございます。
第二には、番組の向上の重点の一つとして番組の問題を考えておるけれども、現在行われておるテレビやラジオの番組に対して、一体いいと思うか悪いと思うか、こういう御意見でありますが、これは、いいという議論と悪いという議論か両方ございます。大体、放送事業者は、だんだんよくなりつつあるのだから、このままで自主的に規律をしていけばいいということをいわれておりますが、新聞、雑誌その他の論評によりますと、一部においては、一億白痴化だ、こういうこともいわれておりますので、私といたしましては、このよしあしの二つの議論の調和をこれから考えなければならないということが、この放送法の改正の大きな焦点になっております。しかし、番組につきましては、最近非常に番組がよくなってきておるという事実も、御承知の通りであります。しかし、一部においてまだ相当な批判もございますので、この批判には十分放送事業者もわれわれも耳を傾けて、りっぱな番組を放送しなければならぬことは、論を待たないわけでございます。そういう意味で番組審議会を法定いたしましたが、この番組審議会に対しては郵政大臣が免許を行なっておるのであるから、番組審議会に対しては、官が干渉しないという程度で相当強化しろという議論と、もう一つは、絶対に自主的な運営にまかすべきものであって、強化をしてはならないという両論がございますので、調和点をとって法律に明定はいたしましたが、業者の全くの自律にまかしてあるということでありますので、現在の状態では、これ以上規律をするといろいろな問題があり、全くないと一億白痴化だといわれるので、まあこの程度が妥当だ、こう考えておるわけでございます。
第三番目は、NHKの公共性をさらに明確にするために、受信料についてはっきりとした明文を置いてはどうかという御意見でございますが、これは、さきに設けられました臨時放送法審議会の答申によりますと、NHKの受信料は法定すべきものである、こういうふうに明確に答申がなされております。私も、できるならば放送法改正に当りまして法定をいたすことがいいという考えでございましたが、これに対してもいろいろな議論がございます。特に、これを法定するということになりますと、いわゆる電波税式なものか、自由契約に基くものかという、受信料そのものに対して明確な線を打ち出さなければならないということで、今度の改正案では裏面からではありますが、逆に、一般放送事業者は、名目のいかんを問わず、受信料を受けることができない、こういうことを規定しましたために、受信料はNHKだけが受ける特権であるということを明確にいたしたわけでございます。これによりまして、国民の受信のための負担の増大を避けるとともに、協会の収入の確保に努めたということを御了承いただきたいと思います。
第四には日本放送協会、すなわちNHKが国家機関だ、こういうことを言ったが、一体どういうことか、間違いだろうが、という非常に御親切な御発言でございますが、私も、もちろん、NHKが政府機関であり国家機関であるという考えは毛頭持っておりません。しかし、国会が、公共の福祉に供するものとして、特に法律によって設けました全国民的な放送機関、こういうのでありますから、広い意味で言うと、国家的な目的を持った機関、こういうことぐらいは言えると思いますが、少くとも、受信料を特別に受ける権利を有しておるだけをもって、政府機関、国家機関というような考えは毛頭持っておりません。しかし、民放とは違って、確かに国民的な、国家的な機関であるということは間違いないと思います。また、そうでないと、国の財政資金をこれに貸すようなことはできなくなるのでありまして、そういう意味から考えても、国民的な機関という方が正しいと思います。
それから、受信料を値上げするようなことを言っておったが、どうして一体上げなかったのか、選挙対策じゃないかというような、ちょっとお話もあったようでありますが、受信料は御承知の通り、現行放送法——改正法でもそうでありますが、郵政大臣——政府が値上げ、値下げをきめるようにはなっておりません。協会が郵政大臣に提出し、大臣はこれに対して意見を付して、自動的に国会の承認を仰ぐことになっております。そういう意味で、政府が、また、郵政大臣が、固有の権限でこれを上げたりなんかできない状態でございます。その意味で、三十三年の予算提出に対して、NHKがどういう案を出してくるかと思っておりましたら、御承知の通り、今日の状態において値上げをすべきではない、こういう考えのもとでありましょう、値上げをしないで、二十二年度の徴収料率をもって三十三年予算を編成いたし、提出され、私の意見を付して、過日国会に御審議をわずらわすべく提案をいたしておるわけでございまして、決して政府の選挙対策などではございませんから、明確にお答え申しておきます。
第六には、NHKに対して業務報告をさせる真意いかん、これが言論統制、干渉の突破口にならないかということでありますが、これは全くそういうことではないのであります。御承知の通り、放送法審議会の答申には、もう郵政省設置法に基いて監督をしておるのでありますから、業務の報告を求められないという規定自身がおかしいのであって、法律でもって報告を求めるばかりではなく、会計に対し監査を行えるように法律に明定すべきであるというふうな、きつい答申が出ておることも、御承知の通りであります。これらの問題を十分考えたのでございますが、新たに監督を強化するのではないという線を明確に打ち出しつつ、合理的なものとするにはどうするかということで、ついに答申案に出ておりました会計監査の規定を削って、報告を求めるというにとどめたのでありますから、新たに監督を強化し、統制の道を開くなどということは絶対にないということを、明確に申し上げておきます。
第七に、NHKと民法との番組の相違と調和に対しての御質問でございましたが、これはざっくばらんに申し上げますと、NHKと民放に対して、聴取料を取れるものと聴取料を禁止せられておるものとの差は番組面に現われてこなければならないことは、常識的に当然であります。でありますから、NHKは、将来は、教育、教養、技術、産業というような、そういうものに重点を置いて番組が進められていくべきであることは当然であります。民間は、逆に、教育、教養ももちろんやってもらわなければならないのでありますが、国民の健全な娯楽をNHKよりも多少多く放送するような番組を組む、こういうことが理想的だと考えられるわけでございます。
第八番目に、最後の問題でございますが、教育放送を普及させるためにどうするか。教育放送に対してはっきりした考えを申し上げますと、教育放送はNHKが行うべきだという考えを明確に持っております。しかし、民間放送は規定がないからといって全然やらないでいいというものではないのであります。公けの波を公けの立場で特殊な人たちが受けて、この波を運営しておるのでありますから、教育、教養に対しても意を用いてもらわなければならない。すなわち、報道、教育、娯楽の三者が調和のとれた番組を放送してもらわなければならぬことは当然であります。しかし、教育番組といいますと、これは大体ペイ・ラインに乗らない、こう見てもいいと思いますので、現在の考え方では、ラジオにおきましてはNHKの第二放送を使って教育番組の放送を行なっております。また、テレビに対しても、現行VHF帯の第二放送を使って教育放送を行うということを、先ほどもお話がございました通り、VHF帯だけではまかなえないので、UHF帯のチャンネル・プランの決定も早急に行なって、これも教育、教養番組を放送できるようなNHKのものを優先的に割当しなければならない、こういう考えでございます。なお、FM放送のチャンネル・プランも早急にこれを決定して、ラジオの中波帯から混信を防ぐ意味において移行するものを除いては当然教育放送にこれが使用せらるべきだと考えておるわけでございます。
以上、八点にわたってお答えを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/37
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038・松永東
○国務大臣(松永東君) 竹内議員の私に対する御質問に対して、きわめて簡単に御答弁いたしたいと存じます。
まず、御質問の要旨は、放送を通じて教育の構想と計画についてどういうふうに考えておるか、こういうような御質問でございます。これに対してお答えをいたしますが、御承知の通り、わが国での放送の教育利用は昭和八年から行なっておりまして、現在では小学校、中学校、高等学校においては、その九〇%以上がラジオ受信施設を持つ状態でございます。また、その教育上の利用も相当程度進んでおることは、御承知の通りでございます。また、テレビジョン放送は昭和二十八年から行われましたが、その教育的利用は現在、聴視可能の地域内における学校、公民館などで実験的な利用が次第に行われるようになっております。昨年、すなわち三十二年の十月現在の調べでは、テレビ受像機所有数が、小中高等学校で一千百四十七校、公民館では百八十六館、こういうふうになっておりますが、なお、文部省におきましては、昭和三十一年度に、農村におけるテレビ放送の教育的利用に関しまして、その効果の実験を実施いたしました。さらに、教育テレビジョン放送につきましてはこれが青少年に及ぼす影響のきわめて甚大なことから、テレビジョンの公共性と教育性を高めるために、郵政当局と緊密に連絡をとって参っております。
以上の点から考えまして、今後、文部省といたしましては公共放送、民間放送を問わず、局側が教育放送内容を充実するために求められますと、必要な資料を提供し、助言を与える等、協力に努めて今日までやって参っております。一方、利用する側への指導及び援助も積極的に促進して参っております。昨年九月、社会教育審議会に対しまして、ラジオ及びテレビジョンの教育的利用方策について諮問を行いましたが、さらに今後教育放送番組の向上について調査研究を強く行なって参りたいと存じておる次第でございます。なお、学校向け教育番組につきましては学校教育上きわめて重要と考えるのでございますから、その内容につきましては学校教育に関する法令の定むる教育課程の基準に準じまして実施いたすつもりでございます。そうして健全な効果を上げるようにいたしたいと存じておる次第でございます。御了承置きをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/38
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039・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 松前重義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/39
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040・松前重義
○松前重義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました放送法の一部を改正する法律案に対して二、三の質問をいたしたいと思います。
その第一は、岸総理大臣に対しまして、放送事業の公共性、先ほど竹内議員から御質問がありました、あの言論の自由の問題に関しまする問題を、他の観点から質問をいたしたいと思うのであります。
申すまでもなく、放送事業は、近代におきまする科学技術の発達とともに、そのマス・コミュニケーションの大きな力を持つに至ったことは、御承知の通りであります。この強大な放送事業の運営に対しまして、世界の各国はこの放送事業の影響力の大きなのに対して、その公共性を付与しなければならない、すなわち、その放送内容が中立性を保たなければならない、これらの点につきまして非常な力を注ぎ、そうして、これが、いやしくも一党一派、あるいはまた少数の勢力によって歪曲されないような態勢を整えておることは、申すまでもないのであります。すなわち、これが国民に与えまする影響の重大なるにかんがみまして、言論の不偏不党、あるいはまた中立性を維持せしめんと努力し、従って、放送の公共性を確保するために、一政党によるところの政府や特殊な勢力等による支配を排除することといたしまして、へんぱな、歪曲された放送によって国民の進むべき方向を惑わしめないための、あらゆる手段を尽しておるのであります。従って、これこそは一部政党によって組織される政府のものであっては絶対にならないのであります。NHK放送の普遍性の上に立ちまして、その言論は絶対の自由を確保し、いやしくもこれに対しまして政府の抑圧、統制が行われてはならないのであります。
一昨年政府が提案を計画いたしました放送法の改正の内容はNHKなる全国的な放送機関に対しまして政府の強力なる統制を加え、そうして、NHKをして政府機関たらしめんとする意図が明らかに見えておったのであります。すなわち、その経営の衝に当りまする理事者の選任におきまして政府の承認を得ること、あるいはまた予算に関し、その予算の使用に関しまして政府の干渉を許すこと、これらを通じて強い官僚統制、いな、政府権力の統制の裏に隠れる政治統制を行わんとしたことは明瞭であったのであります。もしこのような言論統制が行われたといたしますならば、これこそ、戦時中におきまする、あるいは戦争直前におきまする、わが国のNHK放送のごとく、その言論に自由なく、NHKをして一党一派の宣伝機関たらしめ、一党独裁の体制を作る機関たらしめる非常な危険を招来することは当然のことであったのであります。
大東亜戦争の当時、岸総理大臣は東条内閣の商工大臣として、身をもってこのことを実行されたのでありまして、朝な夕なに聞える東条さんの必勝の信念と米英撃滅の放送とは日本をして滅亡の寸前の悲しきに陥れたのであります。しかし、当時、そこには国民の中にも放送当事者にも深刻な苦悩と批判があったことを、あなた方は御承知と思います。そうでありまするから、この一昨年出されましたところの危険きわまる復古調的な強力な言論統制の政府試案に対しまして、世論は猛烈なる反撃を加えたのであります。そうして、この世論の反対によりまして、政府はついに放送法の改正の後退を余儀なくされたのであります。
今回ここに提案されました放送法なるものは骨抜きの法案であるといわれております。しかしながら、政府の意図する放送法改正の目的は一昨年この放送法改正の骨子が発表されたときに示されましたような、政府の思うままになる放送事業、政府の統制下にある放送事業、このような方向に向って将来放送法の改正が行われるか、それとも、他の方法によってこれが監督を行わんとする意図かを見出すことができるのであります。すなわち、政府の出しましたこの放送法案という僧衣の下、お坊さんの衣の下に、よろいが見える、清盛の衣の下に政治支配というよろいがのぞいていることを、私どもは見のがしてはならないのであります。すなわち、政府の本国会において提案いたしておりまする郵政省設置法案なるものの中に、この放送法案との関連性において、重要なる事項が新しく盛られておるのであります。
それはすなわち、電波局の所掌事項の中に、放送事業の監督という、今までにない条項を入れてあるのであります。これこそ、歴然たる——政府が放送事業を直接監督し、先ほど来の、業務報告を求めるとか、あるいはよい放送を出さなければならないとか、こういう点につきまして、この監督を強化せんとする意図にほかならない。すなわち、放送法案は骨抜きにはなったようでありまするが、その監督権なるものを郵政省設置法案の中に転嫁いたしまして、その郵政省設置法案によって監督を強化せんとする意図であると見ることができるのであります。このようにいたしまして、私は、ここにどういうような意図をもってこのように郵政省設置法案の中にこの監督事項を新しく設けられたのであるか、そして、どういうわけで放送法案の中を骨抜きのごとくして、うまいこと衣を着せられたのであるか、この点について、政府の真意、すなわち、岸総理大臣の御意図を伺いたいのであります。
第二に、NHKのテレビ建設資金と、NHKに対する政府の干渉について、田中郵政大臣にお伺いいたしたいと思います。
この法案は骨抜きであるようでありまするけれども、必ずしも骨抜きではない。先ほど衣の下によろいが見えると申しましたそのことはすなわち、田中郵政大臣が、かつて放送料金の値上げを天下に声明されたのであります。いつの間にか、この値上げのことを忘れて——そうして、その値上げによらなければ、民間放送が次々に設置されていきまするのに、NHKの事業が追いつかない、この追いつかないのに対しまして、あるいは資金運用部資金——預金部資金とか、あるいはまた簡易保険の積立金等をこれに回す、こういう方法によりまして、その建設資金をまかなおうと考えておられるようでありまするが、もしもこの資金運用部資金あるいは簡易保険の積立金等がこの方向に回ってくるといたしますならば、そのお金を通じて経理の支配となり、あるいは業務の支配となって、経営にまでもこれが浸透して参る可能性があるのであります。これはすなわち、体のいい監督でありまして、いわゆる郵政省の中の電波局の所掌事項としてありますところの監督事項とともに、やはりNHKに対する政府の干渉あるいは監督が強化せられる一つの手段であると見ることができるのであります。すなわち、料金値上げということを忘れられて、そうして、それを放棄されたそのゆえんのものは一体どこにあるか、NHKの監督を体のいい姿において、裏から監督しようとせられるのではないか、この点につきまして田中郵政大臣の見解を伺いたいと思うのであります。
第三に、これまた郵政大臣にお伺いいたしたいと思いますのは民間テレビの免許と、最近地方におきまするところの言論独裁の傾向について、であります。先般、政府は、テレビ周波数の割当を決定いたしまして、これに従って多数のテレビ局を免許いたしました。すなわち、ある地方において、一つの県において単一の新聞しかない、その単一の新聞が放送事業を経営しておった、ところが、田中郵政大臣はその単一の放送局に対して、民間放送に対してテレビの免許を与えた。いよいよ、ここで、その地方において単一の新聞があったとして——地方紙であります。中央紙でない。この地方紙がテレビとラジオとを経営し、その支配下に置かれまするときにはその地方における言論は完全に独占されることになるのであります。このような免許方針をとってこられた。このテレビの免許を出願いたしました、少数の、ほんのわずかの資本に対しましては、二五%程度のものはその資本参加を許されたところもあるようでありまするけれども、しかしながら、その支配権は依然としてその新聞、ラジオ、テレビの独裁的な姿になっておるのが現状でございます。このような姿において、果して言論の自由が確保できたのであるかどうか。今後の日本の言論界が少数勢力によって支配されていく傾向があるのでありまして、それが今やこの郵政大臣によるところの免許によって起るのでございまして、この言論独裁の傾向に対し、今次の免許はいかなる弊害を及ぼすものであるか、この問題について郵政大臣の御見解を承わりたいと思うのであります。
第四に、民間放送に対する聴取料金の免除の項について、多少こまごました問題ではありますけれども、ここに郵政大臣にお伺いしたいと思います。政府はこの放送法改正案におきまして、NHKの聴取料金の徴収に対しては、これを認めておられる。しかし、民間放送の聴取料金の免除を規定しておるのであります。聴取料金は取らないということであります。これは今後におけるテレビ事業の発展に対して多少の支障を来たすのではないかと思われるのでありまするから、ここにお伺いいたしたいと思います。
外国におきまして、テレビ事業が先に発達いたしましたところでは、民間のテレビ事業の中で受像機を貸してやって、それに金属の貨幣を入れると、ある時間だけテレビが見られる、このような特殊なテレビ放送が今後発達してくることは当然のことであります。UHF放送等がだんだん免許されて参りますれば、このような特殊な放送が当然生まれてくるのでありまして、こういう事業の将来の発展に対しまして、この料金を取ってはいけないと明確に規定することは、このような事業の発展を阻止することになり、NHKとの間に、片方は料金を取り、片方は取らないという、截然たる区画をされたかのごとくに見えまするけれども、放送事業の将来に私は大きな災いを残すのではないかと心配するものであります。この点について郵政大臣の御見解を承わりたいのであります。
その次にお尋ねいたしたいのは番組審議会の運営の問題であります。先ほど来盛んに詳しくお話がありましたように、放送の内容として、豊かで、かつ、よい放送番組ということであります。これをやらなければならないということであります。よい放送番組とは一体何であるか、何が悪いのであるか、これが非常に重要な問題でありまして、先ほど来、あの電波局の中に放送事業の監督なるおそろしい一項が設けられていることと、これらのよい悪いの判定の問題等のごときは、重要なる言論統制の課題であると思うのであります。こういう意味におきまして、この番組審議会の人選あるいはその方向、これらの問題は、日本の将来の言論界にとって重大なる問題であると思うのでございます。わけても、政府が免許いたしました教育放送につきまして、この教育放送なるものと、文部省が最近において主張しておりまするところの道徳教育、あの復古的な、古色蒼然たる道徳教育、この道徳教育と教育放送との間に、そうして番組審議会、そうしてこの電波局によるところの監督の条項、これらの一連の関係、また、よい放送、悪い放送の区別、これらの一連の関係を考えまするときに、ここに、道徳教育の強制、あるいはまた思想的な統制、そうして、思想の自由を認めない、このような方向にこの審議会が運営されるおそれが多分にあり、政府の監督がまたそこに及ぶのではなかろうかと心配するものでありまして、この点につきましては文部大臣と郵政大臣とよりお伺いをいたしたいと思うのであります。最後に、これは総理大臣に特にお伺いいたしたいと思うのでありまするが、それはNHKに対するところの現在の放送法によってさえも相当な監督、強制が行われておるという事実であります。たとえば、現在のごとき放送法のもとにおいてさえも、政府はNHKに対し強い圧力を加え、NHKの放送設備を使って、NHKの運営のもとに、北朝鮮向け及び中共向けの謀略放送を行なっておるのであります。それは、短波による放送はもちろん、東京、大阪の百キロの中波放送設備を動員いたしまして、対共産圏向けのニュース報道による神経戦の一環として、冷たい戦争に参画するところの放送を行なっておるのでありますしかも、この放送周波数は特に中波に重点を置き、毎日午後十一時三十分から翌日の午前一時まで、韓国語と中国語による放送、この謀略放送を行なっておるのであります。この放送は、放送法の第何条によってやられておるのでありましょうか。そうして、また、かくのごとき放送を実施することは、これが共産圏との友好善隣の外交に対し大きな誤解を与えることは、言うまでもないのであります。公共企業体であり、国民の機関でありまするところのNHKの施設を利用してこれを行いますることはいよいよ対外的に誤解を招き、国際的な悪影響を及ぼしますることは、言うまでもありません。漁業協定が難航しておるとき、対ソ問題がだんだん行き詰まりつつありまするとき、中国問題もうまくいかないとき、当面の政府の外交の失敗の原因はこのような重大な政府の権力行使による放送の利用に基いておるということも、過言ではないと思うのであります。政府は、このような冷たい戦争を、みずからNHKを使って実施せしめつつあるのであります。まことにわが国の明日にとりまして危険きわまる姿であるといわなければならないのであります。岸総理大臣はこれらの事実を御存じであるのかどうか。もし御存じなかったとするならば、このような放送法違反を犯してまでも、米国の力に屈して、今後もなおこのような危険な道を歩こうとなさるのかどうか。そうして、対外問題をいよいよ紛糾させようとお考えなのであるかどうか。現行法によってさえも、このようないわゆる圧力によるところの謀略放送さえも行われる今日でありまするから、郵政省設置法の法案の中に放送事業の監督というような一項が入り、放送法というものは骨抜きのようになったようではありますけれども、それを他の政府の権能に求めておる。そういうことになりますならば、この放送事業、言論統制というものはいよいよ強化されるものであると考えなければなりません。この問題につきまして特に岸内閣総理大臣の御答弁を求めまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/40
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041・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 松前君の御質問に対しましてお答えをいたします。
放送及び受信ということが国民生活に重大な影響がある問題でありますことは言うを待たないのでありまして、従いまして、この放送法の改正に当りましても、十分に慎重にすべてを検討いたしまして、この案を出したわけであります。この法案が決定いたしますまでにいろいろの考え方があったことは、先ほど郵政大臣も申し述べた通りでありますが、本改正案を決定して国会に提案するに至りました政府の考えといたしましては、今御意見にもありましたように、放送というものの本質が不偏不党でなければならない、中正なものでなければならない、真実を語るものでなければならない。このことは私ども全く同感でありますし、また、それを保障するために十分に各種の考案をしなければならぬことも、これは言うを待ちません。ただ、先ほどもお答えを申し上げましたように、放送事業というものが限られた電波を利用して行われるという特質から見まして、これを、松前君といえども、野放図な自由放任にしろというお考えでは私はないと思います。要は、その行うところの規制といいますか、こういうことが、できるだけ民主主義の原則に従って自律的に行わるべきものであり、また、それが度を越して大事な言論統制等にならないようにということであろうと思うのであります。その点につきまして、この法案が言論統制を考えておるものでは絶対にないということは、各条文をしさいに御検討いただけば明瞭になると思います。
次に、NHKが北鮮、中共向け等の謀略放送を行なっておるじゃないかというお話でありますが、私は、そういう事実はないと、ここに申し上げます。と申しますのは、御承知のように、現在の安保条約及び行政協定に基いて、日本国とアメリカとの間の契約によって、NHKがその設備を提供して、これの運営に当って、アメリカが放送を行なっておるものがあります。これは内容についてはNHKも日本国も全然タッチしていないものでありまして、私はこのことについて、NHKが、また政府が責任を負うべきものはないと思います。また、この契約を結ぶに当りましては、NHKの本来の業務に支障を来たさない範囲内においてこれが認められておることも、これは松前君も御承知だろうと思います。決して放送法に基いて政府がこういうことを強要しておるものでないということを明確に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/41
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042・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 松前さんにお答えいたします。
第一点は放送法の改正とあわせてこの国会に提案をせられておる郵政省設置法の一部を改正する法律案の中に、NHK及び民放の監督を強化する規定がある、こういうことを言われましたが、そういう改正案は提案いたしておりません。全然監督規定を新しく設けるというようなものではございません。現行法にNHKに関する事項というのがございますから、その次に新たに一般放送事業者に関する事項ということをつけ加える全く事務的なものでありまして、郵政省設置法のどこを見ても、NHK及び一般民間放送業者を監督する規定のないことは明確でありますから、御承知を願います。
それから第二点は、値上げの問題であります。NHKの予算編成に対して郵政大臣は値上げをするということを言ったじゃないか。それをどうして政府資金のようなものにすりかえたのかというお話でございましたが、これは松前さん御承知の通り、現行放送法によって郵政大臣や政府が値上げができるものじゃないのでありまして、私自身が値上げをするというようなことを言明したことはありません。こういうことを申したのであります。三十三年度のNHKの予算編成に対して、現行の三カ月二百円で一体まかなえるのか、三十三年度の予算を組むときに当りまして新しく事業計画をしなければならないのでありますが、財源が不足であるので、郵政大臣は一体その場合どう考えるかということでありましたから、値上げをするというのも一案でありますし、政府が金を貸すというのも一案でありますし、それからNHKが自主的に民間から金を借りるということも一案であります、そういうふうに新しく事業を始め、しかも、一カ月六十七円でまかなえないという場合には、何らかの財政的措置をとらなければならない、こう申したのであって、値上げをしなければならないということは、私は権限がないのでありますから、そういうふうに申し上げたのではないということを、明確に申し上げておきたいと思います。
三十三年分予算案は御承知の一通り、国会に提案をせられておりますが、公共企業料金の値上げを行う時期ではない、こういう経営委員会及びNHKの首脳者の考えによって、三十二年度予算におけるものと同率、すなわち、ラジオにおいては、一カ月六十七円、三カ月二百円という現行料率で変更なく予算を組んで、国会の審議を仰いでおるわけでございます。これが値上げをするか、財政資金、一般資金をもってまかなうこともいけないということをいって値上研をするとすれば、それは国会の力でもってやっていただく以外にないので、ありまして、現行放送法にも明確にそう規定してございますので、政府や郵政大臣が値上げができるものじゃないということだけを申し上げておきます。
それから第三番目には、現行VHF帯においてテレビの免許は失敗じゃなかったかということ、もう一つは地方において新聞がラジオに対して相当な勢力を持っておる、そのラジオ会社がテレビを兼営することによってマス・コミの独占にならないか、こういうお話でございます。これは委員会でも十分御議論があったものでございまして、なるべくというよりも、できるだけマス・コミの独占を排除しなければならぬということは、私が申すまでもないことでございます。でありますから、政府は、昨年十月二十二日において三十四社、三十六局の予備免許を与えるに際しても、この問題を一番重要に考えたわけであります。その意味で、単独免許を行わないで、競願者の合併整理を行なって、御承知の通りマス・コミの独占を排除しようという措置をとり、かつ、その方式が円満に行われるかいなかを確実に認証する時期まで、すなわち、今年三月三十一日まで停止条件付の免許を与えておることも、御承知の通りであります。そういう意味で、いかにこの問題に対して慎重であったかということも、おわかりになっていただけると思いますこの予備免許を与えた民間テレビ局の効力発生の時期も間近でございますこの三月三十一日までの効力停止でございますから、近く確認を行わなければならないわけでございますが、全国的には円満と申し上げられるような状況で進行をいたしておりますので、期限の三月三十一日までには、おおむね予備免許を交付したときの条件が満たされ、円満に確認が行えるということを考えています。
それから、放送番組審議会は、これはお手盛り機関であって、あまり大したことでないじゃないかというような御意見のようでありますが、これは非常にむずかしいところであります。放送法改正の山であります。放送番組の低俗化を防ぎ、そして、国民が喜ぶように、また、国民のためになるような番組を作らなければいかぬ。どれが一体教育に合致し、どれが教養に合致し、どれが娯楽であるかということを、だれが見分けるのかということは、非常にむずかしい問題であります。それを私が見分けたり、岸内閣が見分けたりするということは、これは言論統制のはしりであるというので、それもできない。では全然やらないでいいかという御議論になるようでありますが、全然番組審議会を作らぬでいいということにはならないのであります。少くとも倫理規定を設けまして、法律では番組審議会を作らなければならない、番組審議会の意見を尊重しなければならない、こういう倫理規定を作ることだけでも番組の向上に役立つであろうということは、これは論を待たないのであります。倫理規定さえも必要はないということは、まさに野放し免許であって、私が三十六局に免許を与えた責任者といたしましては、この程度は、最小やむを得ざる措置だと考えておるわけでございます。
それから、NHKと民放の両立免許に対して、民放に対しては一切受信料を取ってはならないということを改正法では規定いたしております。NHKと同じように民放も取っていいじゃないか、どうして一体取らないようにしたのだ、アメリカにおいてはもうすでに有料テレビという問題があるじゃないかという、非常に示唆に富まれた御発言でございますが、これも改正の過程において十分論議した問題でございます。しかし、現在、アメリカも、民間有料テレビの問題は、御承知の通り、これは有線放送によるものであります。無線放送、いわゆる日本の放送法は無線放送による放送を律しておるものでありますから、アメリカといえども、無線放送による有料テレビの問題は起きておりません。この有線の有料テレビの問題も、御承知の通り、もう一週間ばかり前から、アメリカの各州は、全部有料テレビの免許をしてはならないという決議を各州で行なっていることも、御承知だろうと思うのであります。しかし、アメリカと日本と違うことは、先ほども申し上げましたように、NHKと民放と両立するような免許方式をとっておりますので、公共放送であるNHKの性格を明確にし、そうして、民間放送と公共放送との二本建を行うということになりますと、NHK以外の民放は、名目のいかんを問わず、聴取料を取ってはならないと規定することは、より明確である、こういう考えで、民間テレビに対しては聴視料の禁止を規定いたしたわけでございます。
なお、いろいろ詳細につきましては委員会で御質問にお答えし、申し上げたいと思います。
最後に申し上げますことは、先ほども申されたのでありますが、何か放送法が官の統制のはしりというふうにお考えでございますけれども、これは、番組の問題を含めて、学識経験者から成ったところの放送法改正審議会の答申よりも非常に後退した、現在の状態で必要やむを得ざるものだけ規定いたしたのでございまして、これを通していただかないと野放し免許になるおそれがございますので、ぜひ一つお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/42
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043・松永東
○国務大臣(松永東君) きわめて簡単に答弁いたします。私に対する松前議員の御質問について、簡単にお答え申し上げます。
御質問の要旨は、教育放送の内容について、干渉とか、あるいは統制をする意図を持っているのではないか、こういうふうな御質問、これは結論から申し上げますが、絶対にさような意図は持っておりません御承知の通り、放送の教育利用の価値はきわめて高く、従って、学校教育、社会教育の面の利用も近年ますます関心が持たれてきている実情でございます。この利用促進をはかって今日まで参ったのでございますが、放送の内容につきまして、これが充実と向上を望んではおりますけれども、放送法に定めてあります通り、決して干渉するとか統制するとかいうような意図は持っておりません。
さらに、また、御指摘になりました道徳教育については、干渉する考えを持っていないかということでございますが、これも劈頭に申し上げた通り、何ら干渉するとか統制するとかいうような考えは持っておりません。それは放送実施者側が自主的に道徳教育を進めるための番組を編成することは、これはあるでしょう。これからますますやってもらわなければなりません。だが、文部省といたしましては、特に道徳教育のために番組を出すことについて、放送局に対しまして強要したり干渉したりするようなことは、繰り返して申しますが、寸毫も考えておりません。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/43
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044・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/44
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045・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102805254X01419580311/45
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