1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月三十一日(月曜日)
午前十一時十一分開会
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委員の異動
本日委員川口爲之助君及び安井謙君辞
任につき、その補欠として前田佳都男
君及び最上英子君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 竹下 豐次君
理事
石井 桂君
稲浦 鹿藏君
西田 信一君
田中 一君
委員
岩沢 忠恭君
斎藤 昇君
中野 文門君
平井 太郎君
前田佳都男君
武藤 常介君
最上 英子君
内村 清次君
小酒井義男君
戸叶 武君
村上 義一君
森田 義衞君
国務大臣
建 設 大 臣 根本龍太郎君
政府委員
自治庁財政局長 小林與三次君
大蔵省主計局次
長 佐藤 一郎君
大蔵省主計局法
規課長 小熊 孝次君
建設大臣官房長 柴田 達夫君
建設省道路局長 富樫 凱一君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
説明員
大蔵省主計局主
計官 松永 勇君
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本日の会議に付した案件
○道路整備緊急措置法案(内閣提出、
衆議院送付)
○道路法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○日本道路公団法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ただいまより建設委員会を開会いたします。
委員の変更について御報告いたします。本日川口爲之助君、安井謙君が委員を辞任され、その補欠として前田佳都男君、最上英子君が、それぞれ委員に選任されました。
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002・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/2
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003・田中一
○田中一君 建設大臣に伺いますが、世界銀行からの借款は国の保証を必要といたしますけれども、大体どういう程度の保証をするかという点について、一応政府としての考え方は持っておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/3
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004・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) これは愛知用水公団に対する政府保証と大体同様の考えを持って進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/4
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005・田中一
○田中一君 愛知川水公団に対する貸付契約の内容はどの程度までになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/5
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006・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) これは前回お配りいたしました愛知川水公団世銀借款に関する貸付契約及び保証契約というのがございます。これによりまして、これに準じた保証を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/6
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007・田中一
○田中一君 準じた保証を一つ、どういうものか具体的にお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/7
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008・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 保証の内容でございますが、連帯債務につきましては保証人は単に保証人としてではなく、主たる債務者として借入人の債務について期限通り支払うことを無条件に保証する。それから資金の供給でございますが、保証人は借入人の事業資金が不足する場合には、必要な資金を借入人に供給するよう措置することを約束する。それから第三は、借入人の特約及び約束の履行でございますが、保証人は当該計画に関する借入人のあらゆる特約及び約束が履行されるよう措置する、こういう内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/8
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009・田中一
○田中一君 私が記憶しておるところによりますと、これは火力発電に対する借款の場合、これはむろん世界銀行ではございません。ございませんが、物件の担保を必要としているように記憶しておるのですが、将来ともにそういうような危険はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/9
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010・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 担保につきましては、将来の契約の内容に謳われるわけでございますが、担保につきましては、電源開発などにやりましたような担保は行わない考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/10
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011・田中一
○田中一君 もしも政府保証というものは、政府自身がその契約による履行をしない場合には、契約上の条件を履行しない場合には、なおどういう事態が起るというようなことに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/11
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012・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 政府が全部保証いたしますので、お話のようなことは起らないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/12
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013・田中一
○田中一君 有料道路等については、事実上国民が納得の上に料金を支払っておるという場合に、そうした道路の有料として水揚げされる料金を担保にするというようなことは含みにございませんか。同時にまた、そういうことを要求された場合には、政府はどういう態度をとりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/13
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014・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 料金などを担保にすることは含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/14
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015・田中一
○田中一君 今後持たれる契約の上において、そういう料金を最後的には担保にするというふうな条件を示された場合には、政府はどういう態度をとって善処する考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/15
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016・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。先ほど道路局長から御答弁いたしましたように、政府が全面的に保証しておりまするので、道路公団の水揚げを直接に世界銀行が担保とするということはあり得ないと考えておりますが、もしそういうような場合においては、従来の愛知川水公団の例から見ましても、こういうことはおそらくないと思いますし、もしそういう要求がありましても、政府が全面的にこれは保証しているわけでございますから、その必要はないということを明確にいたしまして、さようなことのないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/16
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017・田中一
○田中一君 一応考えておりますところの一億ドルを、年次的にどういう計画を立てて向うと折衝しておるかということです、年度別に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/17
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018・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。本年度については、この前お示しした通りに四十六億円に相当するほどでありまして、あとは全体としては一億ドル程度でございまするが、道路建設の進行に従ってこれは借り入れることでございます。初めから借りておって利子を払うよりも、やはり事業執行上に必要な経費を借りていくということになりまするので、現在のところはまだ具体的にはいっておりませんけれども、最初は四十六億円相当のものをやる、あとは総額としては一億ドル程度のワクで話をして、必要に応じて借り入れていく、こういうふうな構想をもって進んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/18
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019・田中一
○田中一君 一億ドルと申しますと三百六十億円。そういたしますと、これは道路整備五カ年計画の年度内に借り受けようというような折衝をしておるのか、あるいは、ばくとして道路整備のための、いや、道路建設費という名目での交渉をしておるのか。その点はむろん相手方との話し合いにならなければ結論は出ないと思いますけれども、少くとも一億ドル、三百六十億円というものに見合う本年度の交渉は四十六億円ですか、自余のものはこの計画の中に盛り込んで考えておるのか。考えておるならば、それはどの方面にどういうように使うという含みでおるのか、その点を一つ明確に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/19
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020・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 御承知の通り、名神国道は三十七年から供用をする予定でございます。従いまして、五カ年より早くこれは完成しなければならぬと考えておりまして、今後折衝の場合においては、三十三年度分の四十六億のことと同時に、総体として一億ドルの交渉を進めて参るつもりでございます。ただ、借り入れの時期については、先ほど申し上げましたように、工事の進渉に従いまして借り入れる、こういう内容で話を進めて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/20
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021・田中一
○田中一君 われわれ、やはり五カ年計画というものに対して重点的な期待をかけている、という意味から、一応三百六十億円の使い方については、大まかな計画が立っているものと思うのです。そこで、今いう工事の進捗度に伴って借り入れの折衝をするというけれども、おそらくそういうことではそのつどつどの交渉になりますから、そういうことはおそらくしてないと思うのです。三百六十億借りるのだという前提に立って三十七年度開始ということになるならば、それまでの五カ年の間において、もう政府としての工事計画に伴う資金計画は立っているものと思いますから、その点を一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/21
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022・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) お話のように、名神国道につきましては、計画的に実施いたさなければならぬわけでございますが、その計画がまだ実施について確定しているという段階にございません。がしかし、大まかにみまして、資金計画も立てているわけでございますが、これにつきましては、今後の折衝もございますけれども、三十四年度、五年度、六年度と実施いたすわけでございますが、三十五年度が最盛期になるわけでございます。従いまして、三十四年度、三十六年度は百億程度、それから三十五年が残りの百二十億程度というふうに大まかに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/22
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023・田中一
○田中一君 大まかに三百六十億の使途というものを明らかにしなければ、折衝にならぬと思うのですから、それを大まかでけっこうですからお示し願いたい、今ので三百六十億になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/23
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024・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/24
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025・田中一
○田中一君 もう一ぺん言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/25
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026・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 大まかな数字を申し上げたのでございますが、三十三年四十六億、三十四年九十四億、三十五年百二十億、三十六年百億、こういたしますと三百六十億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/26
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027・田中一
○田中一君 これは建設省としての折衝をしているのか、あるいは他の政府機関との折衝になっているのか、同時にまた、その折衝には建設大臣もともにやっているのか、その現在の手続と申しますか、経過を御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/27
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028・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 世銀との折衝の窓口は大蔵省でございます。大蔵省が世銀と折衝をする場合における具体的なデータについては、建設省が公団の計画その他の資料を十分に尊重して、これに基いて大蔵省と協議の上、窓口は一本で大蔵省がやる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/28
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029・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/29
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030・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/30
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031・田中一
○田中一君 小林財政局長にちょっと伺いたいのですが、社会党としては、この法案の採決に先んじて、このような修正案を出したいという心組みでいるのです。
それは、第一に、道路整備緊急措置法案に対しては、第四条を削るのが第一。それから第五条一項中の昭和三十三年度を昭和三十三年度以降五カ年間。それから二分の一というのを三分の二に改めよう。そうして、同条の第二項を削って、同条を第四条にする。こういうような考え方を持っているのですが、これに対しまして自治庁としての計算をいたしますと、これによる地方負担というものはどの程度になるか、一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/31
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032・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今そういうお話しでございますけれども、ちょっと自治庁としての正確な数字は今日持っておりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/32
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033・田中一
○田中一君 むろん地方の負担率を上げよう、こういう考えなんです。これが第一点でございまして、今資料としてお出ししてごらん下すっていますが、道路法に対してはこの一部を改正して、やはり同じように負担率を下げようという考えでおるのです。これはむろん小林さんにはやっぱり資料として出してございますから、十分御検討になったものと思いますが、今の道路整備措置法の、三十四年度以降も三十三年度の負担率でやっていくと、やってほしいというのでありますけれども、では、こういう修正案に対して、道路整備緊急措置法の修正としてのこの考え方に対して、自治庁としての考え方を一つ明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/33
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034・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 道路整備措置法の明年度以降の負担関係がどうなるかというのは、今までもしばしば申し上げた通り、きわめて概数で、計画がきまらぬとよくわからぬのですが、建設省からこの前出されました資料のように六百億前後は違うのじゃないかという概算だけは立てております。しかしこれは具体的の計画がきまらなければ、われわれといたしましてどれだけ影響があるかということは確言いたしかねるのでございます。自治庁といたしましては、明年度法律を作ります、明年度になりますかいつになりますかともかくとして、別に法律で定める際にはそういう補助率で作りたい、作るように自治庁としては主張するつもりであることは事実でございますが、今お話の通り、現行の、今度提案になっておる法律をどうするか、こういうことになれば、私は政府委員といたしまして、政府の基本方針に従って原案通り可決されることを希望する以外には道はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/34
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035・田中一
○田中一君 これはむろん政府委員としてはそうではございましょうが、ただ今御答弁の中にあるように、三十三年度で終るこの措置を、特例を、三十四年度以降四カ年間もこれを主張するという御答弁に対してはまことにわが意を得たものでございます。と同時に、第五条に示されておりますこの修繕の点でありますけれども、これをわれわれ負担率、国庫の負担を三分の二というように改めたい、こういう考えを持っておるのですが、これもやはり自治庁としては、そうして地方財政の現況からみて、多少とも軽減されるならば、これらのところであるという御答弁を伺えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/35
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036・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) この五条の二項の問題は、別の法律で定めることになっております。これは新たな措置として政府で決定になりますから、これは自治庁として、そういう明確な意見なり考えを持っておることは、もうはっきり申し上げます。これは一項は一応現行法できまっておりますから、これにつきまして率を今どうするかということについて私として意見を申し述べるということは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/36
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037・田中一
○田中一君 先般来小林さんのいろいろな答弁を伺っておると、何といっても自分の立場からいっても、地方財政というものはまだほんとうの確立をしていないのだ、従って軽減されるものならば軽減さしてほしいというような意向のように最後の結論としてはわれわれは感じておるのです。従って、今後地方道路税その他の伸びというものを勘案しながら、なおかつ国が重点政策としてこの道路整備を地方に強要するという形になっている以上、やっぱり地方財政全般的安全度はとらなければならぬというお考えだろうと思うのです。そこでわれわれは、維持管理費につきましても、なお国が重点的な政策としてやるとするならば、相当な国の負担をかけなければならぬというように考えておるのですが、その点に対する御意見はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/37
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038・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 私はこの国と地方の負担率の問題につきましては、卒直に申しまして、ただ負担率が高ければいい、何でもかんでも高ければいいというふうな気持は持っておりません。これは全般のそれぞれの仕事の性質等を考えて国と地方の負担区分をきめるべきである、こういうふうな考え方でございます。それで、ただ道路につきましては、少くとも道路整備五カ年計画を実施するに必要なこの現在の負担率の特例につきましては、私はこれは持続さるべきものだということは、もう基本的に考えております。
それから今お話の、この維持、修繕費など、維持、管理費等に対してどうするか、こういう問題につきましては、国が直轄でやる場合には私は国の責任を明確にしてもらいたい、その点はこれは額のいかんにかかわらず、負担区分の本質上当然そうあるべきものだと考えております。ただ、そうでない普通の地方の事業についての補助ということになれば、これは私は国が直轄でやる場合とそれは多少性質が違いまして、それは地方は地方として出すものは応分に出していいじゃないかというような考えは持っております。ただ、まあ一級国道につきましては、一級国道というものの性格が今後変っていくということになれば、それにつきましては、国としてはそれは相当な責任をはっきりさせられるのが筋じゃないだろうか、そういう感じは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/38
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039・田中一
○田中一君 九千億の五カ年計画の中で一千九百億というものは他方の単独事業ということになっております。そこでこの五カ年計画を遂行するに当って、どうしても府県の単独事業というものが関連されて整備されなければ本来の道路整備の目的は達せられない。従って、県負担単独事業というものも相当整備を余儀なくされる点は道路という本来の目的からいって当然だろうと思うのです。そこで、自治庁としても、やはりこの七千百億という五カ年計画に関連する、影響を受ける一千九百億の単独事業というものの負担、工事の進捗と申しますか、あるいは施行と申しますか、そういう点について一応全体の計画が立たざるを得ないと思うのです。それで一応政府としては九千億という大上段からかぶして、これはむろん五カ年計画に入らぬのだといって逃げてはおりますけれども、やはりこの思想というものは、やはり千九百億の地方負担単独事業をも含めたものというものがむろん頭の中にあると思うのです、構想の中にあると思うのです。そこで、その千九百億の単独事業を遂行する力というものは、むろん五カ年計画の具体的な地点が確立しなければ起って参りませんけれども、大体千九百億の府府県単独事業というものはどういう影響を受けるかという点についてむろん自治庁としても考えておられると思うのです。で、自治庁として考えられる、都道府県に対する強要と申しますか、あるいは協力という姿になるか、圧力になるかどちらかの受け方になると思うのですが、それに対する見通しをどう立っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/39
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040・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 私は道路は今いろいろお話の通り、国が手を出すのだけが道路ではない、国も必要なものに手を出してもらわなければいかぬが、国の手の届かない道路が幾らでもあるわけでありまして、この道路に国が手を出すのとバランスをとって整備されなければ道路として役に立たんと、こういう基本的な考え方を持っております。でありますから、道路整備五カ年計画に対応しまして、地方の単独事業というものは当然ある程度確保されなければこれは意味がない、この点は建設省自身もお考えになろうと思いますし、自治庁としても当然そうあるべきものと心得ております。それで一応千九百億という数字が建設省として出されておりまして、われわれとしてはこの程度のものは当然やり得るように、自治庁として地方財政上の財源を今後確保していくことは考えていかなければならない、われわれも確保する覚悟でおります。おそらくはその千九百億だけで一ぱいかと申しますと、私はそうは思わないのでありまして、千九百億は一応この五カ年計画に対応してお考えになる数字であって、それ以外でも一般の道路の維持補修費とかその他の道路関係経費というものは私は相当あろうと思います。そういうものもひっくるめて必要なものは当然財政上確保できるように、地方の財源の総体を確保するとともに、これが道路費に回るように財政計画上なりあるいは交付税の算定上なり、そういうものも当然責任をもって始末をしなくちゃいけない、またそうする考えでおるのでございます。現在のところは千九百億程度のものならば、三十四年度以降におきましても、かりに明年度以降四カ年間で均分にやったといたしましても、今年よりふえる金額が二十三、四億程度だろうと思います、千九百億分だけを考えれば。それでございますから、これは当然私は一般の財政の伸びに応じてこれはやり得ると、こういう見通しをつけておるのでございます。ですから問題は、そうでなしにもっぱら五千六百億の始末の問題がどうなるかということが非常に心配で、これだけで今年より二百億ふえるということは、これは絶対どう考えたってありようのない数字でありまして、この始末だけは新たにこの法律を作るときに筋道を立てなければやりようがないと、こういうことになるだろう、そこのところをわれわれとしては一番憂慮しておるのであります。きまった千九百億の線につきましては、われわれとしては当然引き受けてやらなくちゃならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/40
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041・田中一
○田中一君 土曜日でしたか、自治庁は三十三年度の起債のワクをお示しになりました。で、その中には緊急性あるもの以外は起債は認めないというようにうたっておりますが、むろんこの法律は表題にもおる通り、緊急置措法なんです。これが通過いたしますと当然、土曜日でしたか、自治庁が発表したあの三十三年度の起債のワク内に入るということに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/41
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042・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) この起債につきましては、これは少し考え方が違うのでございまして、自治庁といたしましては、地方債というものは、それぞれの団体の財政運営上起債でまかなうのはやむを得ぬというか、適当だというものについて起債を考えるべきであって、従来は本来一般財源でまかなうべきものを皆起債でやっておった、それが今日の公債費問題を起しまして、にっちもさっちもこれはいかなくなっておるものでございます。それでございますから、一般財源に振りかえるべきものは一般財源が伸びたときには思い切って振りかえてしまう。御承知の通り国は一貫して非公債政策をとってきておるのに、地方だけは借金をするのが当りまえだという顔になっておるところに一つの大きな問題があるのでございまして、今度の道路問題だって地方の見合い分だけ借金をするのは、地方は借金し、国は借金せぬのが当りまえだ、こういう考え方があるところにわれわれとしては非常に意見があるのでございます。それはそれとして地方といたしましては建設事業なら当然借金かといえば、これはまた誤まりでございまして、建設事業としても、ほとんどもう恒常的にここ十年も二十年も続く、そういうものは一般財源に見合ってやらなければ借金の利息ばかりふえてゆくということになって、これは適当でない、ただそれぞれの団体におきまして何といいますか、非常に大きな事業を一時にやらなくちゃいかぬ、非常に波のあるというか、山のでこぼこのある仕事をやる場合には、これを長期にわたって負担を均分化するということはやむを得ない、そういうものは必要であろう。そういうものには起債を認めよう、それだから府県を考えれば大きなダムを作るとか、一度に十数億も二十数億もかかるものは税金でやることはできぬから、これは起債でやるのが当りまえじゃないか。ダムの仕事はずっと続くわけのものではないのでありまして、できてしまえばそれで終るものであります。ところが普通の道路整備というものはこの五カ年計画でとても道路が整備できるはずがないのでございまして、私はやはり十年も二十年もかからなければ日本じゅうの道路はよくなろうとは思いません。そういう恒常的にそれぞれの団体においてやらなくちゃならない仕事は、これは一般財源でやらなかったら借金ばかりふえていっていかん、こういう考えを持っておるのでございます。そういう意味で普通の道路事業とか、普通の河川事業というものは一般財源で始末をしよう。ただそんなら市町村の場合と府県の場合はこれまた多少事情が違いまして、市町村の場合に急に、これが戦災でもあって、あとの都市計画で街路整備などをやらなければならぬ、あるいは特定の大きな橋をつけるとかいうことは、そういうものはあまりないと思いますが、そういうものがあれば、それはその市としてめったにやる仕事じゃないんですから、そういうものにつきましては、市町村の財政と非常に違った異常な仕事を急激にやらなければならぬ場合には起債を認めていいじゃないか、こういう考え方を持っておるのでございまして、起債はあくまでも私はそれぞれの団体の事情に見合って、そうしてほんとうに借金でやむを得ないものに限りたいというのが自治庁の考え方でございます。それでございますから、道路につきまして道路自体は緊急性はもちろん知っておりますが、必要なものはその一般財源でこれを確保するという態勢をとって、これに漫然と借金を重ねてゆくことは適当でない、こういうのがわれわれの考えで、土曜日に発表いたしました起債許可方針、そういう趣旨を前提にしておるのでございます。それでまた今年の起債の額もこれは非常に去年より削っております。一般補助事業で九十億削っておりますが、削ったのはそういう趣旨に出づるのでございまして、今後起債の重点はむしろ市町村に移ってゆく、府県につきましてはダムとか港湾とかいう異常な事業で、しかもめったにない仕事を中心に考える、こういうことで一つ御了承を願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/42
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043・田中一
○田中一君 そういたしますと、今度特別会計に借り受けようという五十二、三億の金です。この資金は結局これをも起債に振りかえないというように考えられておるのか、これだけは当然年度が変れば起債に振りかえるという考えでおるのか、その点の了解はどうついておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/43
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044・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは国の力で借金をせられるという問題で、これは地方の負担は、例の分担金として交付公債でゆきますから、これは普通の直轄事業の交付公債と同じ形で地方では負担する、それは当然一般財源で償還費を地方財政上確保してゆく、こういうことで参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/44
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045・田中一
○田中一君 そうしますと、これは緊急性ある法律だから緊急措置法という表題の提案をされたと思うのですが、三十三年度はこの政府が考えようとしておる五カ年計画の事業に対しては、融資をするのはその程度以外のものはおそらくないだろうというように理解してよろしいんですか。つまり交付公債にかわる政府の借入金ですね、負担に見合う借入金、これは交付公債になるだろうというお話ですが、自治庁の考え方としては緊急性ある事業以外には出さないということを、はっきりとうたっております。従ってこの政府が強要する……まだ地方は同意をしたわけじゃないと思う。この五カ年計画は現に建設省でも策定ができておりませんから、同意をしたものじゃないと思います。従って地方にすれば政府に強要される計画だということになるだろうと思うのです。その際に、地方自治団体としては自分の意思というものはまず政府によって左右されなきゃならぬということになると思うのです。その際一般財源からそれを充てるのだという考え方を持っておりながらもなおできない、できなければ実際完全な道路整備ということにならないわけですね。従って国がやる起点と着点はけっこうですけれども、それに関連する横断するような道路がならなければ、これは完全といえないわけです。従ってそういうものは政府の強要によって余儀なくされということになるわけです。その場合の起債をどうされるかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/45
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046・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) お話よくわかりました。私はそれで、だからほかの公共事業と違って少くとも緊急整備五カ年計画は今仰せの通り、特定の計画に基いて、そうして国の施策として強力にやろう、そういう仕事であるからこそ、国と地方の負担区分というものが私は筋を立てなくちゃいけない、そういうことを主張して、別に法律を定める場合には当然今の補助率を維持しなかったら地方の負担能力に合わないじゃないか、こういうことを申し上げているわけであります。それならその場合に借金でやったらどうか、負担率を下げなくたって借金をさせたらいいじゃないか、こういう議論はやはり私は逆でございまして、借金というのは結局地方の負担で、おまけに利子まで押しつける負担でございますからそれはいかぬ。むしろ借金政策が地方財政を縮めてきた原因でありまして、一般財源で見るべきものは当然一般財源で確保しなくちゃいけない。それでございますから国が強制的にやろうという以上はそれだけ国が責任をはっきりさせて地力の一般財源で受け入れる限度で国というものは負担責任を持つべきであって、あとは地方が地方の一般財政で負担をする、ところで地方に負担をさせるそこの筋を立てる必要がある、こういうのが自治庁としての基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/46
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047・田中一
○田中一君 よくわかりました。そこで第二に伺いたいのは、今あなたの答弁の中で触れておりましたけれども、国が預金部資金から借りるときは六分で借りられる、そしてむろんそれはこの特別会計法から見ますと当然地方の負担する額だけを、見合う額を借りるのだとうたっております。こまかく調べてみますとどうもその借り受ける金というものは明確にどこにも出ていないわけですね。ただ五十や五十一、二億金利を下げて五十二億か三億というのが出ているわけであって、何だかわからぬ。どこを調べましてもそれが明確に出ていない。まあこれは地方が負担する額であろうという推定をわれわれがする以外に方法はないわけなんです。しかし今あなたのお考えで、はっきりわかったのは、それは当然地方が負担する額である、同時にまたそれは交付公債で六分五厘の金利で貸しつける額であるということになりますと、そこにやはり問題になりますような六分と六分五厘の金利の開きがあるわけですね。そしてなおかつ現在まで国から借金をする場合にはその年度は金利がつかない、次年度から金利がつくというように私は了承をしておるのです。ところが今度の法律を見ますと、これはもう借りたときから地方の自治体の意思のいかんにかかわらず先に借りてしまって、お前の方に相談なしに借りるのだから、おれの方は特別会計は六分の利子で借りるのだから六分でお前の方にも認めるから、特にこれは国の緊急施策であるから許してくれというのならばいざ知らず、それが六分五厘となってこれは一般起債の金利と見合って六分になるのでしょうけれども、自治庁としてはやはり五厘の利ざやを特別会計が持つということに対しては賛成しているのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/47
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048・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今度の借り入れの問題につきましては、私はまあそれはいろいろ議論が実はあろうと思います。今仰せの通り五十五億借り入れたときにどこへ金を使うかわからぬじゃないか、こういう問題も一つはあろうと思います。要するに、地方は従来は要するに国が直轄でやられる仕事についての今なら四分の一を負担するだけであって、国の財源は何であるかということは地方の関知した問題じゃないのであります。直轄事業というのは全額国の予算でやるのでありまして、あとから地方の分担を国の一般会計へ入れるという仕組みにすぎないのでございまして、当年度におきましては、何も地方の負担と国の予算とは何の関係もないのであります。これは国が地方へ補助金、負担金を出す場合と違うのでございまして、国が地方へ出す場合は国の補助金ないし負担金プラス地方の財源がその地力の予算になってそれが道路事業になるわけです。国の場合はそうでなしに、従来は要するに国費でやり、あとから地方が負担金を納める仕事と何の結びつきもないのであります。それで今度の場合だってその本旨は変りようがないのでありまして、ただ国の財源に一部金が足りないから借入れてやる、その借り入れの程度をどれくらいにするかというのでおよそ四分の一ぐらいでやったのだ、私はこういうことだろうと思うのでございます。それでありますから、われわれといたしましては、借金を国がせられるということはそれは国の財政上やむを得ないことがあるかもわかりませんが、それならそれで借金に伴う利子負担というものは全くよけいなものですから、その負担は中央と地方が筋を立ててやはり配分すべきじゃないか、それでこれは今後政令の段階で議論をすることになっておりますから、われわれといたしましてはやはり国として筋を立てた利子負担の国と地方との配分をきめるべきであって、いわば勝手に借金をして、お前たちのためだということば理屈にならない。地方のためになれば国のためにもなる。受益の限度から言えば負担率に応じて受益があるわけでありますから、そこは筋を立ててもらいたいというのがわれわれの考えであります。今のこういう利率を今度さらにどうするかという問題がありまして、この利率の問題につきましては、これはまあ交付公債全般について自治庁が実は基本的な意見を持っているのでございます。つまり国の事業について地方の分担金を交付公債でやっておるのであります。これは現に六分五厘の利子を全般的に払っておりますが、これはむしろわれわれの立場から言えば利子を払う必要がないのじゃないか、国は分担金にまで利子をとるということは少し行き過ぎじゃないか、その点は逆に言えば、国が必然負担すべき金をおくれて出したからといって、一々利子をつけて地方に払っているわけではないし、それが今の義務教育にしろ、国民健康保険の負担金にしろ同じ問題で、国と地方との間でお前たち利子をつけろとか、つけないとかいうことは筋がおかしいじゃないか、だから根本的に直轄事業については利子を排除すべきではないかという基本的な考え方を持っておりますが、これは大蔵省との間に意見がまとまっておりません。そこでこの特別会計の場合は、ともかくも有利の借入金ですから、利息のつく金でやるのですから、利息のつく金でやるやつを無利子にしろということは、これは私は地方の立場からいって言い過ぎであろうと思います。一般会計の場合は利息のつかぬ金でありますから、この利息のつかぬ金を地方から利息をとるというのでなければ無理がある、この場合は利息のつく金でありますから、その限度において私は地方に利子を負担させるということは当然だろうと思うのでございます。そういう意味におきまして、六分で金を借り得るならほんとうは六分で返させるというのが当りまえであって、地方の利子の負担で国の事業をやれという形になるということは、国が負担すべき経費を支弁しろという形になるということは、私はこれは必ずしも適当じゃないということは、基本的に考えておるのであります。しかしまあ本年度の予算はそういう前提で組まれておるのでありますから、本年度の予算の執行の問題になれば、予算というものを頭に置かなくちゃならないということは、われわれとしても考えておるのでございますが、今後政令できめ得る限度のものは政令の際に筋を立ててもらいたいというのがわれわれの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/48
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049・田中一
○田中一君 もう一つ、それに関連しますが、そうすると、その年度内に、これはだれが交付公債の借りかえをするかわかりません。わかりませんが、従来は、三十三年度中に十月なら十月に借りたものは、三十四年度の四月から金利がつくようなことになっておると思いますが、それが今度の場合には、三十三年度四月一日に、もし政府が借りようとするならば、その日から利子がつくということになるわけです。これは少くとも、むろんこの財源というものは一般国民大衆から集めた金だから、これに対して金利を払っておるのだということを、金貸しはそう言うんでしょうけれども、事実において、だれが借りるかわからないものを勝手に借りておいて、いつ使うかわからぬというものを借りておいて、その間のものを今日までは、もし計画ができておって直ちに東京都は幾ら幾らの金を使うのだということになれば、それは東京都が負担してもよろしいと思いますが、それがその金を使わない期間までも金利を地方が負担するということはこれは不当ではないか。むろんそれが、たとえば東京都が借りた場合は、金の支出と借り受けとが同時に行われるものならば、東京都はそういうむだな金利を払わなくて済むかもしれませんが、そういう操作が完全にいくかどうかは私は非常に疑問を持っております。そういう点に対しては、自治庁としては満足をしておるのか、あるいは従来通りの、次年度から金利を取る方が正しいのか、この辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/49
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050・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 結局、初年度の問題の利子をどうするかという問題ですが、私は初年度につきましては、初年度の利息というものはだれが負担すべきかということは、私は基本的な理屈があろうと思います。それは、全部国がやるべきじゃないかという理屈は、私は当然に成り立つと思うのでございます。従来の一般会計の負担だって明年度からと、はっきり出ておるのでございまして、その初年度における国の財政の都合で借金をした利息を全部それは地方だから地方持てというような言い分は私は筋が通らぬと思います。全部国が持ってもいいじゃないかという理屈は私は当然成り立つと思うのでございますが、しかし、それは要するに地方のためにも役に立つ仕事自体を伸ばそうというために国が借り入れをしたのであるから、初年度分でも地方の普通の事業費に負担するに見合う部分ぐらいは、これは地方が負担してもやむを得ないのじゃないか、こういうことで、われわれは、初年度の利息につきましては、全部国が持つべきだという理屈も成り立つが、それは事業費の負担部分に応じて、それの四分の一、四分の三、地方に四分の一を負担させることは、これはやむを得ないのじゃないか。われわれは政令の際には、そういう方針でぜひきめてもらいたい、こういうのが私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/50
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051・田中一
○田中一君 大体、原則としては、認めよう、認めるけれども、その負担率の問題は、当然地方が軽減されなければならないということでございますね。
そこで松永さんに伺いますが、昨年の通常国会を通ったダム法案もこのケースだということをあなたは答弁しておりますけれども、われわれは不勉強かどうかしらぬが、そこまで追及しないであれが通ってしまったわけでございます。そこでダム法案がこうこうというようなことは要りませんから、もう少しわれわれにわかるような御説明を願いたいと思うのです。今、自治庁長官の答弁によりますと、大体私がこれから提案して修正をいただこうという案に原則的には同じでございます。非常に意を強うしたわけです。大蔵省としては、初年度不特定な相手に借りかえるという建前のもとにこの五十二億程度の、地方に見合う、地方が負担するものと想定される額の特別会計の借入金に、初年度からどうして利子をつけなければならないかという根拠を伺いたい。それが第一点。それを先に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/51
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052・松永勇
○説明員(松永勇君) その点は再三連合委員会で申し上げたのでございますが、地方の負担すべき分担金というものについての資金を借り入れる、その点は特別会計法十条ではっきりしているわけでございます。その十条に基いて地方が負担するというものの借り入れをいたしてございますので、それに相当するものの利子というものは、当然負担する本体ですね、元本を負担するものが当然それを負担すべきである。これは利子というものが資本主義社会においては当然発生する。この特別会計が借りる以上資金運用部にはどうしても払わなければならない。それをそういうものが負担するのは当然ではなかろうか。従来一般会計におきましては比較的利子の観念が乏しくて、そのために資金の効率的利用という点につきましても、一般の会社その他が行うような非常にシヴィアーな考え方が乏しいのではないかという反省を私たち持っておりますが、この特別会計を作りました際に、その点ははっきりとここに事態が明らかになってきたわけでございます。そういうものは当然地方が負担しなければならないことではないか。もしそうでないと、ダムの場合が例に出ましたが、ダムは御承知のように電気業者と国とそれから地方、この三者の多目的ダムになるわけです。三者が経費を負担し合う。で、今の道路の場合には地方と国だけでありますが、ダムの場合に、現在はこの地方負担金に相当するようなものをダム特別会計で借り入れるということはいたしておりません。電気業者から現金でこの会計に繰り入れさせるという方法をとっております。従って今のやり方によりますと、地方の負担分によって生ずる利子を電気業者にもこれをかけるかどうかという筋道からすれば、それはかけなければならぬ。それからもし、現在はそういたしておりませんが、電気業者の負担する分も国が特別会計において借り入れるということにいたしました場合には、それの利子も、電気業者が負担すべき利子も、国が負担してやるというふうな筋合になるわけです。これもわれわれの常識からいたしまして、電気業者が負担すべきものを国が負担する。納税者にそれを転嫁していくということは妥当でない。それはやはり筋道は本体を借りるものがその利子相当分を負担すべきであるからである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/52
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053・田中一
○田中一君 この三つの法律案、特別会計を含めて、整備法と措置法と道路法と、この三つの法律案に関連して、どこに地方が五十二億の金を借りるのだということを明記してある条項がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/53
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054・松永勇
○説明員(松永勇君) 道路整備特別会計法第十条に地方負担分を借り入れる規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/54
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055・田中一
○田中一君 地方負担分というのは、地方そのものとは私は考えておらない。地方負担分とは、一方的に国が宣言をしていることだと思うのです。むろん借受人がおって、そうしておれはそれを借りたということを了承するならば、お前の借りる分を設定するんだということはあり得るけれども、地方負担分ということは言っておるけれども、地方とは言っておらぬ。地方自治体のどこを指して、何を指しているのか明確になっておらないのです、この法律の方には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/55
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056・松永勇
○説明員(松永勇君) 直轄事業の性格というものを考えてみなければならないと思うのでございますが、まあ従来から直轄事業というのは非常に重要な事業で、国がみずからやる必要がある。それが一地方に限らず全体……まあ国に及ぼす利害の程度、それから技術が非常に高度化されている必要がある。まあいろいろな場合が、これは法律……道路法にもございますし、河川法その他にもございますが、そういう場合には国が直轄で行う。で、そういうものにつきましては、建前としましては地方の一々了承を得ないで国が行うという建前で参っております。こういう建前が実際いいか悪いかという議論につきましてはいろいろ問題はあろうかと思いますが、現在までそういう建前で参っております。で、実際問題といたしましては、直轄で行う場合にも地方との話し合いを建設省とされては十分なさった上で行われておりますので、そういうことから、直轄で行うものにつきましては原則としては実は国の負担率も補助の場合よりも高いというのが実例が多うございます。そういう建前でやっておりますので、どうしてもそこのところを地方の了解を得ないのに国が一方的にツケを押しつけるというのはけしからぬではないかという御意見もあろうかと思いますが、ここは立て方の問題というふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/56
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057・田中一
○田中一君 なかなか持って回って苦しい答弁をしておりますけれども、私が率直に伺うのは、この法律のどこにそれが地方負担分であるというきめつけをしているか。金を借りる者が明確に何者であるかということを説明しているか伺いたいと思うのです。この三つの法律案を通じてどこで地方公共団体であるということをきめておりますかということを伺いたいのです。私の調べた範囲ではございません。そうであろうと想定されるものは感じられますけれども、実際にそれであるというものを私は発見できなかったのです。私は法律に暗いからその発見ができないのでしょうけれども、その点を明らかにしていただきたい。あなたはダムの特別会計と関連して電気業者の例をとっておりますけれども、電気業者の場合には、もはやそこには発電というものは設定されておるのです。だれそれが発電するのだということは設定されておるのです。今度の五年計画というものは、地方に国の重要政策として強制すべき性格を持っておるものなんです。なおかつ、借入金の五十二、三億というものは、的確に、だれが借りる、だれのためにこれを借りてやるのだということは書いておらない。私が調べた範囲ではどこにも発見できません。それを一つ教えていただきたい。私は建設省の説明員の答弁を聞いているのじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/57
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058・松永勇
○説明員(松永勇君) 道路事業を行なった場合に、そのうち地方が幾ばくを負担すべきかということは、事業費が確定され、負担率が確定されておりますれば、当然計算をしますれば地方負担分が幾らであるということは出てくるわけであります。その出て参りましたものを地方財政法の十七条の二、第二項によりまして、地方公共団体に通知するということになっておりますから、金額ははっきりいたします。それと同時に特別会計法案の十条でもこれが「地方負担金の額に相当するものの財源に充てるため必要があるとき」にその金を借り入れる。この十条の規定によって借り入れる金額というものもはっきり明示されて借り入れをなすわけであります。で、そうでなしの、いわゆる一般的な財源の不足を補うための借り入れは、別の条項で借り入れると、かようになるわけでございまして、計算をすればはっきりいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/58
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059・田中一
○田中一君 では、それが地方財政法でそうなっているから、それを援用しているなら援用しているということを当然あなたが前もって説明すべきだと思うのです。同時にまた不特定な地方団体というものをそれは表現しているもの、だと思うのです、現在の場合では。その際に、当然計画ができて、そうして府県との了解のもとに、何々県にはこれだけの事業があってこれだけになるのだから、だから初めて金を借りるのだということから出発する借入金ということになるのだということでよろしゅうございますか。もう一ぺん言いますと、先借りをしないで、事業計画ができ、いよいよその金を使うとき、初めて新潟県なら新潟県と話し合って、お前の方にはこれこれのものをやるのだという了解のもとにその金を借り入れ、支出をするということになるならば、一応金利の問題も、六分五厘というものを何も特別会計に持たないでも、起債に振り向けて、自治庁とあなたの方と協議して認めて、その金は特別会計にそっくり入ってくればいいわけですよ。ただ特別会計に入らないでも、交付公債として認められればその財源に振りかえられるわけですよ。あえて特別会計にその分を入れるということの必要はないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/59
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060・松永勇
○説明員(松永勇君) 地方財政法の十七条の二の第二項によりまして、国はその工事にかかるための負担金の予定額を地方に知らせるということになりますので地方が負担する金額ははっきりする。それじゃその金額のいつからの利子をこれに加えられるかということになるわけでございますが、御承知のように、特別会計には一般会計から国の負担分は繰り入れられる。で、一力地方の負担分はこの会計において資金運用部から借り入れる。こういうことになります。で、その際まあ工期はいつごろから始めるかということが別にきまりまして、その工期の始期からすぐこの特別会計で借り入れる、地方負担分を借り入れるということが行われることもございましょうが、実際問題といたしましては、この国の負担分の金が繰り入れてありますから、まずその金を先に使う、その国の負担分で仕事が進められつつある段階において、金が足りない、その足らなくなった分を資金運用部から借り入れる、かような運用になろうかと思います。ダムの場合にも実際にさようにいたしておりますが、そうしますと実際に借りた日、その日からの分がこの負担金の額に加わったものが負担金となる、かようになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/60
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061・田中一
○田中一君 道路局長に伺います。私はこの特別会計にプールされる資金のうち、地方がその工事の施行を話し合って認め、そうして支払義務が生じたときに、改めて自治庁、大蔵省が話し合ってこの金を借りて投入しても支払いには一向差しつかえないわけです。ましてや今松永さんが言うように、一般会計からくるところの金を前年使っておいて、なるべく地方に金利等の負担をかけないという前提に立つならば、次年度にその金利をかけたらよろしいのです。ところがこの五十二億と考えておりますけれども、この特別会計に借り入れる額の中には、金利がはっきり一億二千七百万という数字が盛り込んである。これを一億二千七百万という金は、いつからの金利を想定して入っておるのですか。これは道路局長に伺うよりも松永さんに伺いましょう。一億二千七百万という金利が盛り込んでございます。これはいつの分を認めて金利と工事費として使おうという考えに立っておるわけですか、どうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/61
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062・松永勇
○説明員(松永勇君) 一年間のうち、まあこの金利に相当するものを過去の経験値から四・八カ月分くらいあれば大体足りるだろうということで予算を組んでおります。これは予算でございますので、実際の工事の状況によってはまた違ってくる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/62
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063・田中一
○田中一君 建設大臣に伺いますが、今自治庁並びに大蔵省と論議をかわしております。そこで実際の施行に当っては、どういう方法をとっていこうとするか。私どもの考えておりますのは五十二億、金利を含めた五十二億というものが、先に借り受けて財源としてここに確保して、そうして四半期ごとに来るところの一般財源というものの投入、これは全部来ますかどうなるかわかりませんが、支払い義務が生じて金を出すというときまで、その地方負担分に見合うところの資金というものの導入、支払いというのはどういう形で行おうとしているのか伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/63
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064・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほど来の道路局長並びに大蔵事務当局から御説明申し上げたことで、大体尽きているとは思いますけれども、この特別会計におきまして一般会計から入るのと、それから地方負担分を一括して処理する。この建前上いろいろそこに、それじゃその一般会計の方はすぐとんと入ってきますけれども、ほかの方はいつ借り入れてやるかということの問題は主として利子負担がある、それでは苛酷だということの観点からこういう問題が非常に議論になってきておるわけでございます。従いまして運営上はできるだけ地方の利子が軽減されるというような方向をもって考慮すべきだと、こういう皆さん方の御意見がありまするので、そうした面において考慮するということであります。法律上そうならなければならないということではございません。法律上は当初すぐにこれは借り入れて一括してやってもこれは法律上違反ではございません。そういう意図のもとに運営するということであります。それでありまするから、これはいつ借りるかということは先ほどお話申し上げた通り、でき得るだけ地方に利子負担がならないように考慮していく、しかも一面においては工事が一貫して中断されることなくやれるというふうなことを具体的に検討いたしまして処置いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/64
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065・田中一
○田中一君 一億七千二百万という金利は、今度借り受ける五十一億幾らですか、ちょっと数字ははっきりわからぬですが、幾らになっておりましたか、道路局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/65
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066・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 今度借り入れますのは五十三億数千万円でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/66
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067・田中一
○田中一君 ちょっと数千万と言わずに、はっきり元金と金利と分けて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/67
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068・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 借り入れます金は元本が五十一億九千五百二十万円、それから利子が一億二千七百七十五万円、合計五十三億二千二百九十五万円を借りるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/68
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069・田中一
○田中一君 そうすると、これを一億二千七百七十五万というものは元金五十一億九千五百二十万円の何日分ぐらいに当るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/69
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070・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) これは四・八カ月分になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/70
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071・田中一
○田中一君 そうしますと、金利は、この地方負担分に見合う資金の運用は、金利を全然見ないでも、操作よろしきを得れば可能であるということになりませんかな。というのは、大体において、支払い義務というものは、通例請負等に出しますと、一カ月や二カ月、三カ月無利子でもって平気で払わぬのが常道なんです。払っておらないです。でき上ってから、なかなか払うもんじゃないんです。だから、四・八カ月ぐらいのものは、あなた方自身が施行者に負担させることばかりでなく、当然この程度のものはもっと軽減されると、操作よろしきを得ればですよ。と私は考えるんです。で、どういう形でこの資金を操作しようとするか。借り入れと支払いの場合、どういう形でするのか、伺いたいと思います。これは、地方にそうした負担をかけさせたくないという点なんです。同時に、現在の起債というものは、次年度に初めて金利がかかるという実態から見ても、そういう操作をしていただきたいと思うんです。だから、実際にどういう方法で行うかということを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/71
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072・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 道路整備特別会計に入ります一般財源と地方負担に見合います借入金と合せまして、事業費としましてこれを配分して実施いたすわけでございます。従いまして、この借りる時期につきましては、一般財源からの繰り入れもありますので、借りる分につきましては、工事の実施に見合うように借りていくわけでございますから、当初から借りるということにはなって参りません。ただ、これだけの借入金がないと予定した事業は執行できないということになるわけでございます。従いまして、借りる時期をあとにするわけでございますが、従来の例を見ますと四・八カ月分ぐらいになりますので、その分の利子を見込んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/72
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073・田中一
○田中一君 それはあなたが説明したいでも、今、前段に説明してわかっております。しかし、これは実際の面においては、支払い義務が生じてから実際金を支払うというまで、時間的な空間というものは、金がなくちゃならぬという時間は少いと思うんです。四・八カ月もかかるとは考えられないんです。ことに、松永主計官は、大部分のものは一般財源でやるんだと、そして、最後にしわ寄せになったものは五十一億九千五百二十万という地方負担分のものを使うようになるんだという説明をしてます。そうして、まあ予算の方は完全に従来第一次五カ年計画で使っておるでしょうけれども、事業量としては大ていへっこんでいる、進捗度が完全に行われてないということですね。それからもう一つ、決算期から見て、大体において先へ延びて支払いが行われるのは、これは事実なんです。だから、四・八カ月なんかという数字を金利としてあげることすら、私は不当ではないかと思うんです。ましてや、当年度に対する金利というものは、従来の交付公債に振りかえるならば、金を払わないでいいんです。翌年度から払えばいいんです。仕事が起きた場合に、特別会計に入れないで、そうして、すぐに交付公債に切りかえて負担すれば、三十四年度から金利の負担——これは六分五厘、現在そうなっておりますから、六分五厘の負担をすればいいんであって、何もその間におけるところの金利を払う必要はないんです。ただ、私がこの特別会計に、一つやむを得ざる措置として賛意を表そうとするのは、大蔵省がなかなか道路のワク——年次的な、全体の財政規模の面から縮小するような傾向があっちゃたまらぬ、そうすると事業が進まないから一応ある程度の、四分の一の財源まではまず確保するという形でもって事業を確実に遂行せんがために設けたという点は、やむを得ない措置として反対すべき筋合いのものではないと思うんです。しかし今のような操作をするならば、いよいよ地方負担分の支払いを発生しようとした場合に、これは今松永主計官も最後になると言いますから、一般財源で仕事をしておって、最後になると思うんです。そういうようになるんじゃないかと言っておりますから、その際に直ちに交付公債に切りかえれば、そうすればその年度の金利は払わずに済むわけなんです。そうして三十四年度事業が完全に行われます。三十四年度からのものは従来通りの金利を払っていけばいいということになる。私はそういうふうに思いますけれども違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/73
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074・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 初年度から利子がつきますが、この利子が実際に払いますのは交付公債で払うわけでございます。従来は一般財源でありましたので利子の負担はなかったわけでありますが、今度は借入金でありますので、その利子を負担いたしますけれども、これは交付公債で翌年度から払うということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/74
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075・田中一
○田中一君 その際に、金利はむろん加算されて払うんでしょう。金利は加算されるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/75
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076・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 交付公債については六分五厘の利子で払います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/76
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077・田中一
○田中一君 ですから私の言うのは、地方の負担分というものが、支払う義務を生じたときには交付公債にしちゃうわけです。そうすれば一向差しつかえないと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/77
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078・松永勇
○説明員(松永勇君) 資金運用部から、この元本五十二億に近い金を借り入れましたものにつきましては、借り入れた日から利子がつくわけであります。その利子は資金運用部に返してやらなければならぬ、その年度に利子を支払わなければならぬ、その利子を支払う金を、結局どこに帰属させるかということでございますので、おっしゃる通り交付公債の金額の中に入れて、その年度に現金で地方から利子相当分を払い込んでこいというわけではございません。それはこの会計でその分を借り入れてあるわけでございます。それで資金運用部にまた返す。で、その交付公債の中には、そういうものの含まれた額が交付公債の額になるわけでございます。その交付公債の利子は翌年の四月一日から利子がつく、かようになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/78
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079・田中一
○田中一君 そこで、この地方負担に見合う金の借り入れも国が強制をしている性格のものだから、さっき小林君が言っているように金利は私は国が持てというんです。従来は一般財源で完成をしているから、そのような措置が、もし本年度の予算でとれないとするならば国が持てというんです。で、なおかつ、何か先ほど小林さんの話を聞きますと、そういう点もまだ決定的なものでなくして、まだ話し合いの余地があるように印象づけられたのですけれども、これは、そういう点はまだ残っておるのですか。負担率の問題、金利負担等の問題もこの法律が通ってしまうと、すっかりはっきりしてしまって話し合いの余地はないということになってくるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/79
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080・松永勇
○説明員(松永勇君) その点につきましては政令で定めることになっておりまして、政令を作る閣議において十分検討されるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/80
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081・田中一
○田中一君 それでは、私はこの政令できめる場合に、今言う相当地方の負担率というものは軽減されるというように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/81
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082・松永勇
○説明員(松永勇君) その問題は私からお答えするのはちょっと適当でないかと思いますが、御趣旨のほどは十分くんで政令を作る際に検討するということに統一見解ができ上っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/82
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083・田中一
○田中一君 建設大臣からその点について一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/83
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084・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) この問題は大へん、再三にわたりまして御論議があり、また諸般の事情を考えまして、政令を定める場合におきましては自治庁の御意見あるいは地方状況、十分考えてやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/84
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085・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ほかに御発言ございませんか。……ほかに御発言もございませんようですから、道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/85
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086・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認めます。
ちょっと速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/86
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087・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 速記を始めて下さい。
この際お諮りいたしますが、田中君から委員長の手元に、道路整備緊急措置法案に対する修正案並びに道路法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されておりますので、両修正案を議題にいたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/87
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088・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認めます。
それでは田中君より修正案の趣旨説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/88
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089・田中一
○田中一君 お手元に配付されておるものと考えますが、道路整備緊急措置法案に対する修正案並びに道路法の一部を改正する法律案に対する修正案を提案いたします。
一応法文を読みます。
道路整備緊急措置法の一部を次の
ように修正する。
第四条を削る。
第五条第一項中「昭和三十三年度」
を「昭和三十三年度以降五箇年間」
に、「二分の一」を「三分の二」に改
め、同条第二項を削り、同条を第四
条とする。
なお本修正案に伴い要する経費は、計画事業量の縮少を来たさないためには、昭和三十三年度において、約一億二千七百万円の国費の増加を要する見込みである。
次に道路法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第五十条の改正規定のうち同条第一項の次に一項を加える部分中「国及び都道府県がそれぞれその二分の一を負担し」を「国がその三分の二を、都道府県がその三分の一を負担し」に改める。
附則第二条を削り、附則第三条を附則第二条とし、以下附則第八条まで順次一条ずつ繰り上げる。
附則第九条中「及び第四条」を削
り、同条を附則第八条とし、附則第十条を附則第九条とする。
本修正案に伴い要する経費は計画事業量の縮少を来たさないためには、昭和三十三年度において、維持その他の管理として約一億七千万円、修繕として約三億五千万円、計約五億二千万円の国費の増加を要する見込みである。
以上が修正案でございます。
次に、まず道路整備緊急措置法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
このたび提出されました道路整備緊急措置法案は、道路整備の緊急性にかんがみ、昭和三十三年度を初年度とする、新しい第二次道路整備五カ年計画を制定するもので、この新五カ年計画は、国及び地方の財源およそ九千億円を要するまことに画期的なものといえるのでありますが、この計画を確実に実施するためには、必要な財源を確保することが根本であり、この法案の趣旨もまたここにあるわけであります。しかして、国の事業施行については当然地方公共団体にその一部を負担させることになっており、また補助事業及び地方の単独事業の計画も当然付随してこの計画の中に入っているわけでありまして、国、地方を通じて総合的な財源を確保調整する必要があり、万一地方財源に欠くるところがあれば、この五カ年計画は画餅にひとしいと言ってもあえて過言ではないのでおります。この法案はなるほど国の財源の確保は考えてあるようでありますが、地方公共団体の負担の割合の点から見れば、昨年の経済状態及び地方財政の将来を考えて、地方財源の確保に疑問を持たざるを得ないのでありまして、このことは政府部内においてすら疑いを持たれているところであります。
以上の点より修正を必要とするところは、まず第一に、第五条は昭和三十三年度についてのみ現行道路整備費の財源等に関する臨時措置法に規定する負担率ないし補助率をそのまま受け継いだにとどまり、昭和三十四年度以降については何ら具体的に定めるところもなく、単に「別に法律で定めるところによる」としているのでありまして、ただに現行の臨時措置法より後退するばかりでなく、この五カ年計画の完全なる実施が危ぶまれるのであって、この際はっきりと昭和三十四年度以降についても、昭和三十三年度と同様にする必要があるのであります。
第二に、第四条は、道路整備特別会計が、資金運用部部から直轄工事の地方負担分として借り入れをなした場合、地方公共団体はそれによって生じた、借り入れをした日の属する会計年度末までのいわゆる未経過利子をも地方の負担とすることを意味しているのであって、これは現行の制度よりさらに百歩をさがって、いたづらに地方負担を過重に陥し入れるものであり、この未経過利子は当然国において負担すべきものであると考えるであります。
第三は、第五条中修繕についてでありますが、この新五カ年計画を実施するに当り、政府は別途道路法の改正により、国道事務配分を根本的に変更して、一級国道の直轄管理まで実施して、道路整備の全きを期そうとする際でありますから、修繕の強化をはかり国の負担率を三分の二程度まで増すことは、当然の措置と考えるのであります。
以上が道路整備緊急措置法案に対する修正案の趣旨でありますが、次に道路法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。
道路法の一部改正案におきましても、道路整備の地方公共団体の負担の割合ないし補助率はきわめて慎重に定められなければならないことはただいま申し上げたとおりでありまして、これに対し修正を必要といたします点は、まず第一に、本法案は一級国道の管理について、現行の都道府県知事が行う建前を改め、新設改築は原則として建設大臣が行い、特に指定した区間については建設大臣が維持管理を行うと、国道事務配分を根本的に変更しながら、その負担割合は旧来の通りを原則としているのはどうしても納得のいかない点でありまして、国の責任でやる以上は国の責任を明らかにすべきであって、第五十条の改正規定の、指定区間内の維持修繕その他の管理に要する費用は、折半などせず、少くとも三分の二程度は国が負担すべきものと考えるのであります。
第三に、付則第二条の、指定区間内の維持その他の管理は昭和三十三年度特に国の負担を二分の一から三分の一と減じているのでありますが、国が管理をするといいながらその経費の三分の二までを地方に押しつけるのでは、どこが直轄管理かと疑問をさえ生じるのでありまして、同様に少くとも三分の二程度は国が負担すべきものと考えるのであります。
なお、その他道路整備緊急措置法案に対する修正案に関連して関係法文の整理を行なっております。
以上が道路法の一部を改正する法律案に対する修正の趣旨でございますが、以上二法案の修正に伴い要する経費は、計画事業量の縮少を来たさないためには、道路整備緊急措置法案に対しては昭和三十三年度において国費約一億二千七百万円の増加、道路法の改正案に対しては、昭和三十三年度において、維持その他の管理で一億七千万円修繕で三億五千万円計五億二千万円の国費の増加の見込みであります。
これらの問題につきましては、当委員会はもとより、地方行政委員会との連合審査の過程におきましても、超党派的に慎重に要望された事項でありますので、この道路行政を遺憾なく推進するため、何とぞ超党派的な立場に立って、この際全会一致をもって御賛成を賜らんことをお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/89
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090・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ただいまの田中君提出の修正案はいずれも予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三により内閣に対し意見を述べる機会を与えなければなりません。よって、ただいまの修正案に対し内閣から意見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/90
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091・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) ただいま御提案になりました道路整備緊急措置法案及び道路法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして意見を申し述べます。
まず道路整備緊急措置法案第四条の削除につきましては、削除の結果として地方負担金に相当する借入金の利子はすべて国が負担せざるを得ないこととなり、特定土地改良事業あるいは特定多目的ダム建設事業の先例に徴しましても、この借入金の性質にかんがみ適当な措置とは思えません。なお同条の政令を定める際におきましては、地方財政の状況を十分に勘案して善処いたしたいと存じております。
次に、同法案第五条の修正につきましては、かねて御説明いたしました通り地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律によりまして、河川、砂防等の事業の国庫負担の割合等を高率にいたしておりまするが、これと軌を一にして道路事業につきましても道路整備費の財源等に関する臨時措置法に基く政令によりまして高率の国庫負担割合等を定めております。しかるにこの臨時特例法は昭和三十三年度までの時限立法でありますので、昭和三十三年度においては高率の負担割合等を踏襲いたすことといたしましたが、昭和三十四年度以降は道路整備の緊急性と地方財政の状況との両面から、公共事業全般の問題の一環として改めて考慮すべきものと考えました結果、「別に法律で定めるところによる。」といたしたのであります。従いまして昭和三十四年度以降も現在の高率の国庫負担割合等を継続すること並びに修繕の国庫負担割合等の限度を三分の二に引き上げることをこの際直ちにきめますことには賛成いたしかねるのであります。
また道路法の一部を改正する法律案の修正につきましても、道路法のごとき恒久法において、その原則的な比率割合を変更することは慎重に検討すべき事柄でありますと同様の趣旨とも関連いたしまして、以上申し上げました通り修正案には賛成いたしかねるのでありまするが、今後におきましては、地方財政の状況を十分に検討いたしまして、不当な財政的圧迫を加えることにならないように慎重に措置いたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/91
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092・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは、ただいまの修正案及び内閣の御意見に対し、質疑のおありの方は御発言を願います。(「なし」と呼ぶ者あり)
ほかに御発言もなければ、田中君提出の修正案並びに内閣の意見に対する質疑は尽きたものと認めて、道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案並びに田中君提出の道路整備緊急措置法案に対する修正案及び道路法の一部を改正する法律案に対する修正案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/92
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093・西田信一
○西田信一君 私はただいま議題となっております道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党を代表して政府原案に賛成し、社会党田中君提出の修正案に反対の意見を申し述べます。
この三つの法律案は、別に提案されておりますところの道路整備特別会計法案とともに、現在わが国の経済発展ト最も重要な課題の一つとなっている輸送力増強に対する諸施策、すなわち道路整備五カ年計画の完全なる実施、高速度自動車国道の財源確保及び幹線道路網たる一級国道の管理態勢の強化の上にきわめて重要なる基本原則を定めたものであります。
さらに今後期待される自動車の飛躍的発達、大型車の出現、行動範囲の伸長等を考えますときに、この諸法案の適正なる運営こそ、将来ますます伸びていく自動車交通に適した道路体系の整備拡充に役立ち、ひいてはわが国産業経済の発展に重要なる役割を果す画期的なものと信ずるのでございます。
つきましては、本法の施行に当り、特に政府に考慮を求めたい点、以下数点を申し上げ、政府の善処を期待してやみません。
その第一点は、本法による道路整備五カ年計画の策定の基本についてであります。本法提案の趣旨説明において建設大臣はそのほぼ構想、規模を明らかにされまして、その事業費総額九千億円であることを示されたのでありますが、五カ年計画の内容はあくまでも工事費額ではなくて、工事事業量をもって示さるべきであると思うのでございます。すなわち現在物価、現在貨幣価値等における九千億円に相当する事業量をその基本内容とせらるるよう措置せられたいのでございます。
その第二点は、五カ年計画策定と地方公共団体との関係についてでございます。道路の整備は産業経済の大動脈として地方産業開発計画との関連はきわめて密接でございまして、地方の意思はつとめて尊重されなければならないと思うのでございます。この意味において道路整備五カ年計画の策定に当りましては、都道府県市町村と地方公共団体の意思要望を十分に取り入れられるように考慮を払い、計画の完璧を期せられるよう適切なる配慮を望みたいという点であります。
その第三点は、五カ年計画樹立に当っての政府部内における権限の調整について遺憾なきを期せられたいということであります。特にここで申し上げておきたいことは、道路緊急整備措置法と北海道開発法との関係についてでございます。国会は北海道開発の重要性にかんがみまして、北海道開発法を制定し、北海道開発計画の調査立案の権限を北海道開発庁長官に付与しておるのでありますが、従って北海道開発庁長官は北海道開発のための道路整備計画をも樹立する権限をも有しておるわけでございまして、この点においては建設大臣と北海道開発庁長官との権限が、競合するおそれが多分にあるわけでございます。この競合を除去しかつ計画の完璧な期するためには、両者の緊密なる協議を必要とするわけでありまして、これを政令によって明らかにすべきであり、建設大臣も本委員会の質疑を通してその意思のあることを明らかにせられましたのでありまして、これは法律的に十分可能と存じまするけれども、万一政令によりがたき場合におきましては、政令と同様の内容を持つところの覚え書交換等の措置によって、その万全を期せられたいということを申し添えておきたいのであります。
以上三点は五カ年計画の策定樹立について述べたのでありますが、次に計画の実施について二、三点申し述べたいと存じます。
すなわち第四点は、五カ年計画の完全実施についてでございます。現行の道路整備費の財源等に関する臨時措置法による実施状況に照らしましても、最も懸念をされますのは、この五カ年計画が完全に実施されるかどうか、完全に消化し得るかどうかという点でございます。いかに計画がりっぱにできましても、これが完全に実施されなくては絵に描いたぼた餅にすぎないのでありまして、この問題は要するに財源の確保に帰着すると思うのでありますが、政府はこの財源確保に万全を期すべきでおります。しこうしていま一つの問題点は、事業量の年度配分の問題でございます。道路整備の主要財源である揮発油税等の収入財源を考慮に入れまして、日本経済の伸びに即応せしめて、その事業量が年次的に上昇カーブを描くことが、常識的な考えとしてはうなずけるのでありますけれども、一面昭和三十三年度予算に現われた第一年次分の予算計上額から見ましても、後年度に急激に上昇カーブを描くような年度配分計画では、事業未消化の危険を多分にはらむものといわなければならないのであります。政府はよろしく特別会計制度の活用についても最善の考慮と努力を払っていただきたい、そうしてつとめて年度別事業量の均分化をはかっていただきたい。かくすることによって、五カ年計画の実施に遺憾なきを期せられたいことを強く要望いたしたいのでございます。
第五点として特に政府に要望いたしたいのは、本委員会においてもきわめて問題になりました、地方負担の過重によって計画の実施に悪影響を及ばすことのないような措置をせられたいという点であります。すなわち国と地方公共団体の財政状況を十分勘案せられまして、都道府県の単独事業の遂行を十分可能ならしめるように配慮せられたい。さらにまた昭和三十四年度以降の道路の改築、修繕に対する国の負担金の割合、補助金の率等につきましては、三十三年度に払われたと同様の考慮を払われまして、地方負担の過重か道路整備の促進を阻害することのないように特別な措置を講ずること、この二点について特に政府の善処を求めたいのでございます。さらにまた主要幹線国道等の整備に当りましては、地方の負担力の強弱によって著しく差別がつく、こういうことの生じないように、府県等に対する特別な財源措置等も考慮せられたいのでございます。
第六点として、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の徹底を期せられたい、こういう点でございます。いわゆる雪寒法が施行されましてわずか一カ年の経験にはすぎませんけれども、その効果は非常に見るべきものがあったのでありますが、なおその徹底を欠いているために、多雪地帯の冬季交通が確保されていないのが現状である、今なおこれらの地帯は半年の長い間半身不随の状態に放置されておることは、雪国出身の根本建設大臣においては十分御承知のことだろうと思うのでございます。その一例を最も雪寒のはなはだしき北海道にとってみましても、国道、地方道、市町村道のうち、国が直接除雪を行なっているものは重要幹線だけであり、わずかに二千キロにすぎない。ところが残るところの国道、地方道、市町村道で除雪を行わないところは四万七十キロに及んでいる、こういう状態で、このような状態に放置されておりまするがために、冬は全く交通途絶の状態と申してもよろしい、北海道の大部分が半年間陸の孤島というような状態では、せっかくの雪寒道路法もこれは泣いてしまうと思うのであります。幸いに今回道路緊急整備措置法が制定されようとしており、雪寒道路事業もこの中に包含されるのでありますから、これら恵まれない雪寒地帯の交通確保については、本委員会の審議の過程におきましても政府側より地方道、市町村道に対しても除雪補助の道を開く、こういう意思のあることを答弁において明らかにされておりますが、どうかこれを確実に実現せられるように特に要望をいたしたいのでございます。
以上六点について特に政府に要望し、その善処を期待いたすものでありますが、次にただいま提案されました道路整備緊急措置法及び道路法の一部を改正する法律案に対する修正案は、その内容を検討いたしまするのに、その一部には考慮すべき点があるとは存じますが、地方財政の推移等につきましても、今後なお検討すべき余地が残されており、今後これらの問題点については、政府に十分検討と善処を期待いたしまして、今直ちに修正いたすことには賛成いたしがたいのでございます。
以上諸点を申し述べまして私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/93
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094・村上義一
○村上義一君 ただいま議題となっております道路整備緊急措置法案ほか二法案につきまして、私は緑風会を代表して政府原案に賛成し、田中委員から御提出になりました修正案に対しましては反対するものであります。
さきに昭和二十九年度を第一年度とする道路整備五カ年計画を樹立して、その第四年まで実施して参ったのでありまするが、道路の現状は産業経済の急速なる発展に伴わず、道路交通の要請に対し相去ること非常に遠い、また先進国の水準にも著しく立ちおくれておることは政府の提案趣旨にも明らかにせられたとこであります。今回政府は道路整備特別会計の設定とともに九千億円の資金を策定して、三十三年度を第一年とする道路整備五カ年計画を新たに樹立して、そうして本法案の提出を見た次第でありまするが、これによりましてわが国経済基盤の強化に資すると同時に、他面交通事故の防止に貢献し、また沿線住宅を、もうもうたる塵埃から防護し得ること少からざるものがあると信ずるのであります。しかしながら本法制定の目的を完遂するためには、なお幾多の問題を包蔵しておると思うのでありまして、すなわち三十四年度以降の国と府県との負担割合及び補助率は追って法律及び政令で定めることになっておりまするが、閣議決定の構想によれば、道路整備費九千億円中、道路公団の有料道路建設費は千五百億円でありまして、また純国費で支弁する金額は半額以下の四千二百億円に過ぎないのであります。この四千二百億円に対する地方の負担額は千四百億円、さらに千九百億円が地方単独事業費となっておるのでありまして、従って地方公共団体は合計三千三百億円を負担することとなるのであります。これに見合うべき地方道路譲与税、軽油引取税の合算額は三十三年度におきまして百九十六億円に過ぎないのであります。もちろん税収額は年々漸増するとしましても五年間におそらく千二、三百億円を上回らないだろうと考えるのでありまして、自然公債、地方債政策をとられることになっておるのであります。従いまして今回の計画は地方公共団体の財政に及ぼす圧力はすこぶる重大であり、ために道路整備の促進を阻害することなきやを憂うるものであります。私は国が今回の改定計画によりまして直轄施行せんとする道路の新設改良を拡大し、また維持修繕につきましてこれを直轄に移すということに踏み切った以上は、それらの工事費も原則として全額を国が負担することが当然でないかと思うのであります。
次に、以上の点と表裏をなす問題でもありまするが、私は道路整備特別会計設置の趣旨がきわめて不徹底であり消極的であることをすこぶる遺憾とするものであります。先年ガソリン税を一キロリットル当り一万八千三百円に値上げした際に、緑風会は年年のガソリン税収額のみをもってその年の道路整備を行わんとする方法は受益者負担主義より見てすこぶる不当なるばかりでなく、かかる方法をもってしては、道路整備事業が遅々として進まないゆえんを力説したのでありまするが、しこうして年々増加するガソリン税二十カ年くらいの税収額を想定して、これを元利償還に充当する建前をもって最初に巨額の整備資金を獲得して、わが国の工事能力を動員し、短期間に遂行するにあらざれば、道路整備の緊急性に対応することは到底不可能であるべきを主張したのであります。また、かくのごとくしまして、初めて受益者負担の精神が実現するゆえんであることを主張したのであります。すなわち、三十一年度ガソリン税収見込額は約五百六十億円でありまするが、年々一割ないし二割ずつ増加するものとしましたなら、これによって少くとも二兆円くらいの資金は保証さるべきはずであります。かかる観点から見まして、今回の道路整備緊急措置の構想がはなはだ消極的であり、不徹底であることを遺憾とするものでありますが、今回提出されました一連の緊急措置は、道路整備を数歩前進せしむるものであることは明瞭でありまするから、私は近き将来に政府の善処、断行を強く要望して、本案原案に賛成する次第であります。
また、田中委員御提出の修正案につきましては、ただいま内閣を代表して、建設大臣より意見の御開陳がありましたが、本修正案は予算に直接関連いたしまして、今はその時期でないと考えまするから、遺憾ながら、この修正案には賛成できない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/94
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095・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/95
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096・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認めます。
それではこれより、道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、田中君提出の道路整備緊急措置法案に対する修正案及び道路法の一部を改正する法律案に対する修正案を問題に供します。田中君提出の両修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/96
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097・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 少数でございます。よって田中君提出の両修正案は否決されました。
それでは次に、道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/97
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098・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 全会一致と認めます。よって道路整備緊急措置法案、道路法の一部を改正する法律案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって、いずれも原案通り可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/98
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099・西田信一
○西田信一君 私はこの際、自民、社会、緑風三派の共同提案にかかる通路整備緊急措置法案に対する付帯決議案を提出いたしたいと思います。
付帯決議案を朗読いたします。
道路整備緊急措置法案に関する
附帯決議
政府は、本道路整備五カ年計画の確実な実施を図るため、道路整備費の財源の確保に遺憾なきを期するとともに、地方財政の実情にかんがみ、将来、次の点を検討し善処すべきである。
一、国と地方公共団体の財政状況を充分勘案して都道府県の単独事業の遂行を可能ならしむるよう配慮すること。
二、昭和三十四年度以降の道路の改築及び修繕に関する国の負担金の割合及び補助金の率については、昭和三十三年度と同様の考慮を払い、地方負担の過重が道路整備の促進を阻害することのなきよう、措置すること。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/99
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100・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 次に、ただいま提案されました自民、社会、緑風三派共同提出にかかる道路整備緊急措置法案に関する付帯決議案を議題といたします。
ただいまの付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/100
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101・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 全会一致と認めます。よって自局、社会、緑風三派共同提出にかかる道路整備緊急措置法案に対する付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/101
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102・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。
それから報告書には賛成者の御署名を付することになっておりまするので、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
斎藤 昇 戸叶 武
前田佳都男 内村 清次
村上 義一 岩沢 忠恭
森田 義衛 小酒井義男
中野 文門 武藤 常介
西田 信一 稲浦 鹿藏
石井 桂 田中 一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/102
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103・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは本日はこれで散会いたします。
午後一時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814149X01919580331/103
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