1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十一日(火曜日)
午前十時四十三分開会
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委員の異動
三月八日委員西岡ハル君辞任につき、
その補欠として大谷贇雄君を議長にお
いて指名した。
本日委員紅露みつ君辞任につき、その
補欠として西岡ハル君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 阿具根 登君
理事
勝俣 稔君
木島 虎藏君
山下 義信君
中山 福藏君
委員
大谷 贇雄君
草葉 隆圓君
鈴木 万平君
高野 一夫君
西岡 ハル君
横山 フク君
木下 友敬君
藤田藤太郎君
松澤 靖介君
山本 經勝君
竹中 恒夫君
国務大臣
厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
政府委員
厚生省公衆衛生
局環境衛生部長 尾村 偉久君
厚生省社会局長 安田 巌君
厚生省保険局長 高田 正巳君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○身体障害者福祉法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
○社会保障制度に関する調査の件
(厚生年金保険に関する件)
○旅館業法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/0
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001・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 委員会を開きます。
委員の異動を報告いたします。
三月八日付をもって西岡ハル君が辞任され、その補欠として大谷贇雄君が選任されました。三月十一日付をもって紅露みつ君が辞任され、その補欠として西岡ハル君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/1
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002・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/2
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003・堀木鎌三
○国務大臣(堀木鎌三君) ただいま議題となりました身体障害者福祉法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、社会福祉法人の設置する身体障害者更生援護施設で厚生大臣の指定するものに身体障害者の収容を委託できることとすること及び身体障害者福祉法関係事務に対する民生委員の協力義務を明らかにすることをそのおもな内容とするものであります。
まず、改正の第一点は、収容援護を必要とする身体障害者の収容委託についてであります。現在、身体障害者を公費をもって収容している更生援護施設は、国立及び公立に限られているのでありますが、身体障害者によっては、障害の特異性等よりまして、民間篤志事業として豊富な経験を有する社会福祉法人の設置する施設においてその更生援護を行うことが効果的な場合も考えられますので、国立、公立の施設における援護とあわせて、厚生大臣の指定するこれらの施設べも収容を委託できることとして、身体障害者福祉の一そうの向上をはかりたいと考える次第であります。
なお、収容委託に要する費用につきましては、出身地の都道府県または市町村が全額を支弁し、国がその十分の八を負担することとし、さらに委託を受けた施設の便宜を考慮して、施設所在地の都道府県または市町村がこの費用を一時繰りかえ支弁すべき旨の規定を設けております。
改正の第二点は、身体障害者福祉法関係事務に対する民生委員の協力について明文化することであります。身体障害者の更生指導につきましては、福祉事務所を中心とする公的機関の活動とあわせ、地域社会その他民間の協力がきわめて重要でありますので、この改正によりまして、特に民生委員の協力義務を明確にいたしまして、さらに積極的な協力を得ることにより身体障害者の更生援護の円滑化に資したい所存であります。
なお、以上のほか、関係条文の整理等必要な措置を講じました。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/3
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004・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 本案に対する質疑は、次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/4
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005・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/5
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006・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、厚生年金保険に関する件を議題といたします。質疑を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/6
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007・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/7
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008・竹中恒夫
○竹中恒夫君 年金について二、三お伺いしたいのですが、前回の委員会で、山下委員から相当年金問題についての御質問があられ、大臣はそれに対しまして、いろんな配慮の上だろうと思うのですが、隔靴掻痒のような御答弁であられ、私ども大へんその点は、当局のお考えについての内容を十二分に承知もできないし、多少不満な気持を持ったわけですが、その後、その翌日あたりから、新聞に、かなり厚生事務当局の考え方等も出て参りました。私、あの委員会の翌日ああいうような記事が出るくらいであるならば、相当事務当局案としては固まっておられたのにかかわらず、それに対する御説明がなかったという点、私非常に遺憾に思うのですが、いろんな関係上からそうなったとも思うのです。そこで私、それを前提にしてお聞きするわけですが、一体国民年金というものを実施するに当って、もちろん、総理の言われるように、社会保障の二つの柱として、皆保険と国民年金は絶対にやらなけれげならぬということなんですが、国民年金をやる上についての方策がいろいろある。現在七つからあるいろんな制度をばらばらにして、一たん全部解体してやるということは、もちろん好ましいと思うのですが、もとよりこれは、言うべくして行い得ない。あるいは既得権を尊重しなければならないという建前もありましょうし、制度の過渡的の、そういうことについての経過措置のむずかしい点もあると思うのですが、まず理想的のものとしては、全部を解体して、法の前に国民は平等であると同様に、施策の前でも平等であるということが望ましいのであるというお考えのもとに年金を考えておられるのか。いや、やはりそういうことは当然考えるべきであるが、実際はそういうことは考えられないのだ、実施ができないということによって、第二次的の考え方を持っておられるのか。根本的に整理統合なさるような気持があられるのか。あるいはそれはできないが、漸進的にはやるのだというお考えなのか。その点をはっきりお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/8
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009・堀木鎌三
○国務大臣(堀木鎌三君) 私の国民年金に対する構想がはっきりしないじゃないか、それから、何と申しますか、事務当局からかどこからか存じませんが、いろいろ厚生年金について構想らしいものが出るじゃないか、これは、もうはっきり申し上げたいのでありますが、事務当局らしい案も率直に言えばできておりません。事務当局が過去一年間の間におもにやって参りましたのは、基礎資料の収集調査でございます。ただ、最近の情勢、政治情勢及び社会情勢から、この国民年金の早急実現が非常に要望されておる。従来厚生省としましては、比較的、社会保障制度審議会なり、国民年金委員の委嘱を受けたその下働きの基礎資料の収集ということに主力を注いでおったのですが、この情勢を受けまして、むしろ私が事務当局に、ともかくも基礎資料的の調査がすっかり完了してから、具体案にかかるというやり方もあるだろうが、またそれは、非常に慎重な方法でもあるかもしれぬが、最近の政治情勢、社会情勢から見ては、むしろ逆に、調査するのに、従来のような考え方はむろんあったのだ、その考え方に沿うた幾つかの案を頭に描いて、しかも、その案を中心にした基礎資料の整理というものを始めたらどうだということを命じましたので、それに伴ってのいろんな下作業をしていることは事実でございます。しかし、それらの案につきまして、事務当局として発表し得るだけの事務当局の確信あるものもできていない段階であるということが言えるわけであります。つまり、事項に申しますれば、ある局なら局として、まとまった、責任を負えるような案というものはまだできていないのであります。でありますから、私は、それをこの前、事実を事実として申し上げただけなのであります。
もう一つ、私どもが置かれている地位として、御承知の通り五人委員会なり、社会保障制度審議会の手元で非常に審議を急いでいただいている。私自身も、実はこれらの人に対しまして直接お目にかかって、最近の情勢では、この問題の早急解決が要望されている状況だから、ぜひとも従来よりも精力的に御答申を願えないだろうかということをお願いしているのであります。これは、申し上げなくてもおわかりだと思いますが、もう考え方としてはいろいろな考え方が、もうすでに、社会保障制度審議会でも打ち出されているし、それから、五人委員会でもある程度の考え方は打ち出されている。また、その行こうとする傾向も、ほぼ私どもは存じ上げているというような情勢でありますが、率直に言って私が責任ある形でもって、私自身の構想というものを一部でも、これはずいぶん、お前はどう考えるのかということを方々でお聞きになるが、これは当然なことと思いますが、率直に言えば、五人委員会の方も、もうじき出し得る情況である、社会保障制度審議会も、従来は六月ころかと言われておりましたが、やや早まってくるような情勢であります。きょう実は、総理大臣が社会保障制度審議会の会長なり、あるいは年金関係の特別委員長なりにお会いになるということも、この制度の早急実現を希望して、現在までの経過をお聞きしたいということで起って参りましたような次第であります。この際に、だれが言ってもいいようなことを言っても、実はある所でそれを言って、非常に怒られたわけであります。たとえば、醵出制を中心にするのだということは、これはもう、社会保障制度審議会でもすでに打ち出されている。それから、五人委員会の方もすでに打ち出されているというふうな方向であることは確かであります。それから、積立方式を大体中心にして動いておられるということも、これは、大体皆さんが御承知の通りのことを私も了承している。そうかといって、無職出の問題も同時に解決しなければいけないというふうな問題も、大体この方向だけはわかっております。きょうの新聞を見ますと、大内さんの話として、すでに無醵出については幾ら、醵出についてはどれだけ、しかも、無醵出については、大体最低幾らということであります。今お尋ねのポイントは、現在七つくらいですが、その他の問題も出ておりますので、それらの調整をどうするのだという問題もすでに出ております。この際に、私ども一番慎重を期さなければならぬのは、もうこういう状態に入りました以上、私としては、むしろ御答申を早く出していただくことと、厚生当局自身も、調査研究でなしに、これと照合した具体的な案を中心にして、物事を進めて参る事態ではないかというので、私自身も、それについて準備を急がしておりますが、段階としては、今はそういう命令をしたばかりのところでありまして、今どういう案が考えられるかと言われました場合に、従来皆さんがいろいろお考えになっている分以上の考え方は出るはずがないわけであります。また慎しむべきであろうと私は思います。よしあったにしても、慎しむべきであろうし、事実上今の段階はそういう段階であるということを申し上げるよりほかないのではなかろうか。幾らお叱りをこうむっても、大体非常に観念的な、しかも、皆さんが御承知のことを申し上げるよりほかないのではなかろうか。率直に言って、三十二年度と三十三年度を準備段階として大体従来進んで参った。そうすると、今の状態は、まだ準備段階の第一年度でございます。それに、私に具体的な問題で回答を実はお求めになることは、少し無理じゃないか、はなはだ失礼だが、無理じゃないかという気がいたすわけであります。しかし、大体の従来の傾向から見ますと、方向としては、私ども無論醵出制を中心にして参る、しかし、醵出制を中心にして参りますと同時に、無醵出というものもあわせ施行しなければならない。それから、今お尋ねの、従来の軍人恩給、恩給、各種共済組合制度との調整面をどうしようか、これは、国民年金の性質上、私は統合するのがいい、少くとも、何と申しますか、一定の枕になる給与というものは、年金というものは、共通の部面があることが望ましい。これは、国民年金を創設しようとするものの当然の心がまえでなかろうか。しかし、それと同時に、各種共済組合、各種の年金制度というものについて、おのおのの歴史と沿革を持っております。率直に言って、今、閣議でも、すでに郵政省の関係の共済組合年金、公務員の共済組合年金との関連というような問題を論議して参ったような次第ですが、そういうふうに、一つ一つ統合ということ、その問題につきましては、私は相当困難も予想しなければなりませんが、しかし、厚生大臣として、国民年金制度を創設する以上は、なるべく理想的なものを作りたいということを考えてスタートしなければ、初めから困難を予想しながら、そうして初めからむずかしいと思って考える段階ではない。今の段階としては、できるだけ国民年金制度の趣旨に沿った方向で物を考えるという状態であるべきであると、こう私は考えております。従いまして、なるべく各種年金制度を統合した、全国民的な厚生年金制度に持っていきたいということを考えつつ、その間をどう調整するか、結局そういう問題に入って参ります。現在の厚生年金制度自身が、そういう理想から見て、どういう状態にあるかということを考えなければならぬ。それについても、具体的にどういうふうな案を作るかによりまして、また、各種共済組合による年金制度との調整の工合も違って参ります。そういうことをいろいろと実際のところ考えておる段階であって、私はこう考えておりますということを、ここで申し上げるだけの権威のあるものは、私自身にまだでき上っておる段階でないということを申し上げるよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/9
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010・竹中恒夫
○竹中恒夫君 だんだん御答弁を聞いておりますると、理解のいくところがあるのですが、大体年金、国民年金と恩給、あるいは退職年金等、種々同じような目的のものが多数ありまして、なるほど国民年金、それは厚生大臣の所管においてやるべき筋合いでありまするが、同じような性質のものが国の制度にたくさんあるということのために、これは混乱をきたし、あるいは、厚生当局が一つの線を出すについても、各面へのおもんばかり等があって、出しにくいのじゃないかと思うのですが、大体こういう大きな問題は、医療保険と同じように大きな問題は、一つの専門の機関を作って、総合的に、官公吏の方々も、一般の自営の国民も、すべての者がいわゆる年金といいますか、老後に対する対策としての考え方としてやらなければ、徹底したものはできないのじゃないか、そういう構想でスタートしておらないので、今のところ、何か暗中模索のところがあるのではないかと思いますが、今の大臣の御答弁などを聞いておりますと、熟柿主義と申しまするか、自分も考えないことはないが、周囲のいろいろな考え方が固まってきて、そうして実施するというような言い方のように聞えるわけであります。私は、所管大臣としてやはり諮問なさるについては、一応の大臣としての、厚生年金はこうありたいのだという考え方をお持ちになって、今までの調査なさった資料だけでもけっこうですから、お持ちになって、進むべき線を一応示して諮問するということの方が、ちょうど社会保険の医療協議会に幹事案をお出しになったような、ああいう形の方が早く事が進むのじゃないかと思う。また、混乱もしないと思う。今のような状態でありますと、先般の農業共済のようなものが、国民年金実施前に早くやろう、そうして何か特別な、一般国民年金よりもいい条件下に進んでいこう、また、今回郵政方面においても同様なことでいわれ出した。ここ一、二年後の実施を前にして、どんどんそういうものが出てくるということは、やはり厚生当局に周囲のおもんばかりがあったでしょうが、一応の線をはっきりお出しにならないということがこういうことになったのじゃないかというような気がするわけであります。そうした点において、今の農協初めすべてのそういう行き方、郵政共済等の行き方は、大きな意味の国民の老後を考えた制度を確立する上においての逆行的方向であろうと思うのであります。これが先般総理と郵政大臣とあなたの間の話し合いでできたというような、あのときにおいて、もう少し強い抵抗を厚生大臣が示していただければ、郵政関係等の問題は出てこないし、あるいは中小企業者連盟も、生活協同組合等もだんだん出てきておりますが、そうした問題で、われわれ国民全般として、今の年金に対して非常な不安を持ち、一般国民は非常に悪い条件下において何されるということが、裏づけがどんどん出てくることによって感じられるわけであります。そうした点は、一体これからあとわずかの間に、どういうふうな収集といいますか、結論をつけてやられるのかということと、もう一つ、今もおっしゃったように、きょうの新聞に出ているように、午後、総理と厚生大臣の立ち会いで、社会保障制度審議会の会長と特別年金制度委員長とお会いになられるそうでありますが、新聞の予報ですから、よくわかりませんが、記事によりますというと、この特別年金委員会の答申は、従来のような理想的なものでなくして、実施可能の範囲内で答申するつもりである。従って、それを取り上げない、誠意のない政府の態度であるならば、われわれ委員は総辞退するというような形の意思表示までなされているのであります。従来、ああいう各種の委員会で諮問をなさっても、この前申し上げたように、御都合のいいところはおとりになるが、御都合の悪いところはおとりにならないという傾向があるようでありますが、今回の場合のように、実施しやすい、国の財政から見て、これができるという場合において、いろいろな、党と党の関係だとか、あるいは行政官庁同志の、官庁制度の弊害と申しますか、セクショナリズムと申しますか、いろいろなことがあって、従来はできることもできなかったような実態があったわけであります。そういう点についての御所信を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/10
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011・堀木鎌三
○国務大臣(堀木鎌三君) まず、率直に申し上げて、厚生省がしっかりできた案を持っていないから、ああいう情勢に対抗して、力が出ないんじゃないかとおっしゃることは、私はそうだと思います。その点につきまして、すでに郵政省の関係をごらん願っても、すでに、国鉄でありますとか、その他専売公社でありますとかいうようなものは、共済組合制度ができたわけであります。私は、実はそう言っては申しわけになりますが、ともかくも、医療問題でも、竹中さんよく御承知のように、六年間据え置だったんです。ともかくも、私は、厚生大臣に就任いたしましてから、この問題だけは六年間据え置くことは申しわけないから、どうしても自分で解決しようと思っておる。実は、国民皆保険の推進の基礎的諸条件についても、これは下手な例だという御批判も、曲っている例だという御批判もあります。私自身も、曲っているとあるいは存じておりますが、一挙に理想にはなかなか到達できないというので、私としては、精一ぱいその基礎的諸条件の整備というものについての努力を傾注いたしまして、そうすれば、一応今社会保険の内容自身についてのいろいろな整備が必要だ、私はいまだに手直しが必要である、各社会保険について統一した思想のもとにやらなければならぬということは考えております。それから、おもなことは、国民年金制度をするかしないかということが一つの大きな柱として残ってきておるわけであります。従いましてこの問題は、時間をかしていただけば、私は、医療問題と同じように、真剣に取り組んで、何とか国民のためにはかりたい。そして世論にこたえたいという決心で物事を進めているわけであります。むろん、何と申しますか、医療協議会のように、事務当局案を出して、そしてそれについてのいろいろの世論を聞きながら考えていくという方法もございます。しかし、この社会保障制度審議会に年金問題をかけましたり、五人委員会を作って、それがすでに実際において相当の構想を練って、そうしてまさに答申されようとする状況でありまするならば、私はこの際、事務当局案を提示する段階ではないし、今までのすべての進行状況を見ておりますと、まず御答申を受ける。むしろ、御答申を受けた場合に、事務がこれに照応した準備ができ、すみやかに御答申の内容について具体的な案が作成できるような私どもの準備ができるかできないかというところに物事を集中すべきである。まあすべては現実に今日の問題でなくて、経過的に起って参りました段階に一番適応するいい方策はどれかということを考えてやりたいと思っておるわけであります。しかし、それだから、現状をすべて承認の上に立って国民年金制度をすべきかどうかという問題については、先ほどお答え申し上げましたように、厚生大臣としては、なるべく国民年金制度の本旨を貫きたい。初めから妥協的な考え方でもってものをやりたくない。しかし、これに多くの抵抗が予想されることは、過去の事例が示しております。しかし、あえてその障害を排除しながらやって参りたい、こういうふうに考えておりますような次第でございます。決して初めから妥協を考えておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/11
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012・木島虎藏
○木島虎藏君 ちょっとお尋ねしますけれども、農協関係の年金とかいうものが今問題になっておりますが、ああいうようなものがかりにできまして、それからあとで一般的な国民年金制度ができたときには、その間の調整なり、あるいは統合なりというようなことはお考えになっておりますか。その辺のところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/12
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013・堀木鎌三
○国務大臣(堀木鎌三君) その点は、もう、実は両省大臣の間なり、新聞に出ましたように、閣議で申し合せをいたしましたような事態で、これについて、将来年金制度との調整をはかるということに了解はできておるわけであります。ただそれだけ言って、ほんとうは私の責任は済まないわけなんです。どういう国民年金制度を作るかによって調整統合という問題に入って参ります。こういうふうに考えて、その問題についてまだお答えできる段階でない、こういうふうに申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/13
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014・竹中恒夫
○竹中恒夫君 もう一点お伺いしたいんですが、いまの農協の年金の問題なんですが、かりに農業共済組合法が通って、いよいよ年金を実施するという場合において、国民感情の上からいうて、農民をお世話するインテリと申しますか、知識のある、知識階級といわれる、そういう事務職員級のものが先に年金制度の恩典に浴して、たとえわずかでも、国家からの補助金をもらって恩典に浴する、そうして無知な、ほんとうに年金の必要な農民が一年なり二年なりおくれるわけです。これは私は、国民感情の上からいっても、非常にまずい政治だと思うんです。そこで、一年なり二年なりの期間の短縮ということは、当然考えられなければならぬと思うんですが、そういうような点について、何かこの前、総理と農村団体との話し合いのときに話が出たんでしょうか。あるいはそういうことは全然考えずに、ただ職員のことだけ考えられたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/14
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015・堀木鎌三
○国務大臣(堀木鎌三君) 私どもとしては、まさに竹中さんのおっしゃるように考えられる。今の年金制度を創設しておりますところの組合はみんな大組合である、あるいは官吏等であります。結局残されておるのは、今農協と農民の関係をおとりになりましたが、企業者の年金制度につきましても、同じような社会情勢ができておるんじゃなかろうか。これでは私ども申しわけない。で、できるだけ国民年金制度の創設を急がなければならないという決心をいたしたわけであります。しかし、と同時に、これは、竹中さん御承知の上で私をお責めになるんだろうと思うんですが、諸外国の例を見ましても、この制度をしきますのについては、ずいぶん慎重な調査と研究を重ねておるということを考えますと、率直に言って、私が急ぐとここで申し上げること自体が、自分の能力をはからないことかとも思いますが、しかし、今言われましたような、社会におけるアンバランス、ことに、率直に言えば、恵まれた方がすでにできておるという点は、ひとり農民の関係だけではないと私は考えております。従いまして、私ども、政治としては、当然今おっしゃったことに重点を指向してやらなければならぬと思いますので、あえて急いでやりたいと考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/15
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016・阿具根登
○委員長(阿具根登君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/16
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017・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/17
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018・山下義信
○山下義信君 前回この国民年金の問題に関連しまして、私の質疑の最終段階に、厚生年金会館の敷地の買入れの件につきまして、厚生省の報告を求めておきましたんですが、本日資料が配付せられたようでございますので、実はお願いがあるのでありますが、このことにつきましていろいろ承わりたいと思うのでありますが、これは一つ、次の機会にやらしていただきたいと思う。
その前に、実はちょうど高田保険局長が出席でありますので、待っておりました。あなたとの質疑応答がしたいのです。それで、要領を得ないことでも、あるいはあなたの方が要領を得る。そうして実のある御答弁がいただけると思いますから、私は、この際ここで質疑をするのは、何も弁を好むのではない。要領を得ることが必要なんです。むしろあなたの方がいいと思って待っておったのです。ちょうどいい機会でありますから伺うのでありますが、実は厚生年金の積立金のことを明確にしておきたいと思うのであります。これは、今でも現に数千億……、どのくらいになるか、あなたからこれも一つ御説明をわずらわしたいのですが、この数千億になんなんとする厚生年金の積立金をどうするかということが、これが非常に大問題なんです。それで私は、二十分くらいしか時間がありませんから、きょうは一、二について伺うのですが、この現在厚生省の持っている厚生年金の積立金数千億をどうするか、やがて処分をせなければならぬ時が来る。それで、これは一つ、当委員会でもぜひ究明していただきたいと思う。それで私は一、二伺うのですが、主として数字になりますが、まず、厚生年金会館の問題をちょっと聞いておきましよう。
これは、前回の委員会で承わりますと、八億七千万円、約十億に近い金を投じてこの会館を作る。それで、厚生年金特別会計の金でこういう施設をやっていいということが、どこか法律か何かにありますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/18
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019・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 法律にございます。年金保険法の七十九条に「政府は、被保険者、被保険者であった者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」七十九条でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/19
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020・山下義信
○山下義信君 それで、その法規に基いて厚生年金の金を使って、こういう建物を作ってもよろしいと、こう言っている。これは一つの施設ですね。これがどの程度被保険者の福利厚生施設になるのか。会館の設計、内容、運営、いろいろなことを聞かなければわからぬですけれども、まあこれも一つの問題ですが、そういう会館を建ててだれが経営するのか、これを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/20
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021・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 経営は、従来の福祉施設と同じように、厚生団というふうな財団法人を考えております。まだ決定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/21
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022・山下義信
○山下義信君 これはね、本末転倒でね。十億に近い金を投じて一つのものを作るのに、だれが経営するのか、経営主体をきめずにそういう金を使うということは、金の使い方が放漫です。計画が粗雑です。だれが経営するかということは重大です。私はそう思う。ですから、そういうことに金を使って、建設費がかかって、まだその一番肝心の、だれが経営するかということがきまっていないということは、私はこれはいかんと思うのです。それで、厚生省が直営でやるならば、直接その運営に当るならば、そういう措置をとらなきゃならぬでしょう。それから、厚生団という団体にこれを委託経営させるならば、委託経営させるような方法をとらなければならぬ、いずれにしても、厚生省の措置が要るでしょう、こういう施設を持ったら、これは単に何でしょう、健康保険にあるような給付施設や、福利、福祉施設のようなものを作って、そしてああいうものも、実は経営主体その他もあいまいのままですが、そういうものと同じように、いつの間にか物が建って、それで、いつの間にかだれかがこれを経営しているという形では、これはちょっといかぬと私は思う。ですから、場合によりましたらば、あなたの方で方針がきまっておったら、それぞれ所定の手続をしなくちゃならぬのじゃないかと思う。その辺は保険局長、どう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/22
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023・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) もちろん、仰せのように、方針をきちっときめましたならば、所定の手続は必要と存じます。政府が直接経営いたすということも、これはあり得るわけでございますが、施設の性格上、役人がやるにはどうも不経済な経営をやりかねない性格を役人というものは持っておりまするので、むしろしかるべき団体に委託をいたしまして、経営をまかしたい、かような今気持を持っております。しかし、まだ最終的には決定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/23
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024・山下義信
○山下義信君 私はこの際、資料として、従来厚生省が厚生年金病院の管理といいますか、そういうものをやらしており、また今度、厚生年金会館をあるいは委託経営させようとしておるという、この厚生団というものの、これの寄付行為、役員氏名、並びに最近の決算報告書等々、厚生団の全体がよくわかるために必要な資料を一つ次回までに出していただきたい。それとあわせて、この厚生年金会館のあり方等につきましても伺ってみたいと思いますから、そういうふうにお願いをしておきます。
それで、いまの厚生年金積立金の問題ですがね、まずこれは何ですね、本年一月末の現在では、積立金が二千百九十六億八千六百八十二万余円ですか、大体一月末にそういう金額になるようでありますが、本年末になりますと、三十三年度末になると、一体この厚生年金積立金というものは幾らの額になるか。
それからいま一つは、今が三十三年でありますから、三十四年、三十五年、三十六年、三十七年と、一般の給付が開始せられるときの三十七年度には、一体この積立金が幾らになる見通しであるかという点を、まず全体の額から聞いてみましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/24
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025・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) ただいま、三十三年一月末現在では、山下先生が今仰せになりましたように、二千百九十六億何がしになっております。ただしこれは、そのうち積立金が千九百一億程度でございまして、いわゆる余裕金という形で、これはすぐ積立金になるわけでございますが、余裕金という形によって二百九十五億持っております。それで、合計をいたしますと、二千百九十六億ということに相なるわけでございます。これが三十七年に幾らになるかという御質問でございますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/25
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026・山下義信
○山下義信君 三十三年度末を一つ、今年度の最終ですね。三十三年度のおしまいには幾らになるかということを一ぺん言うといて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/26
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027・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 三十九年に大改正をいたしまして、そのときに、この積立金の額を含めての財政計画を立てておるわけでございます。それによりますると、三十三年末が二千五百六十三億余円、それから、三十七年の末が四千五百億ちょうど、はしたが九千万円ほどになっておりますが、大体こういう見通しで財政計画を立てておるわけでございます。実際の推移は、被保険者の数その他によりまして若干狂いがあるかと思いまするが、それらにつきましては、五年ごとのやりかえということが法律に予定されておりまして、三十三年度中にそれらを検討いたしまして、厚生年金保険法の改正を次の国会あたりにお願いをいたしたい、こういう予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/27
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028・山下義信
○山下義信君 さしあたっては、約二千五百億の積立金を持っておる。それから、厚生年金が、一般的に年金の給付が始まるころには約四千五百億、こういうこと、わかりましたが、そこで、昨年はこの厚生年金の積立金の利子が百十六億二千五百万円ですか、百十六億ほどの利子をもろうた。今年は、利子は幾ら入ることになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/28
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029・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) ただいま御指摘になりました百十六億というのが三十二年度でございます。それから、三十三年度の予算見込みにおきましては、百四十八億九千万円ばかりになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/29
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030・山下義信
○山下義信君 さしあたっては二千五百億ほどの年金積立金を持っておる。これが三年ほどすると、五千億に近い積立金になる。それから、今さしあたっては、この金を全部大蔵省に預託して、預金部の資金にされて、その方から利子を去年は百十億余りもらった。ことしはまあ百四十億余りもらうことになっていると、こういう厚生年金積立金の現状なんです。
まだもう一つありますけれどもね。これから伺いますが、まず、こういう金がどうなるかという問題です。この金をどうするかという問題ですね。また、この金を現在厚生省はどうしておるかということなんです。これはもう、昔から問題になっておることであって、今さら新しい問題でも何でもないけれども、しかし、数年以前の、まだ積立金がこれほどに巨額になっていないときと今日とは、同じ問題であっても、これは問題のウエートが違ってくる。いわんや、この厚生年金積立金を、これがこのままの状態でずうっと続いて、あなた方の計算しているように、この積立金方式を使えば、先でこの積立金の利子で年金の支給ができるようにするためには、二兆何千億という積立金までやっていかなければ、積立金方式というものはやっていけないんです。そこで、この積立金は、どこかで何とかこの方式に手をつけていかなきゃならぬことが、そんな遠いときの話をせんでも、もうさしあたって目睫に迫っておる。国民年金制度をどうするかという問題の中には、積立金をどうするかということがすぐくっついてくることなんです。それで、こういうことに対して厚生大臣が何も考えを持っていない、こんなばかげた話は、まじめな所じゃできない、実際のところを言うたらば。しかし、すぐにこういうことに火がついてきて、うしろから追っかけてくる。ですから、現在持っておる二千数百億の厚生年金積立金、これは、まごまごしておるというと、すぐこれが四千億、五千億になってくる。そうして、いつまでも知らぬ顔で、ほおかぶりして、被保険者にどんどんこういう積立金をさせておいて、どこまでするのかということも、もうすでにその方針を明確にせにゃならぬ段階に来ておる。これも、国民年金制度の構想を立てる中の大きな一つの重点です。そういうことに対して、一向考えも何にもないと言われたんでは、これらに関係するわれわれ委員としては黙っておられん、実にこれは。
そういうことよりも……。それじゃ一つずつ聞こう。今度農業共済の組合ができて、これらが脱退するね。この積立金にどういう影響が来ますか。およそその金額を。まだ農兵じゃあまりそう巨額にならぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/30
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031・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) まだ詳細の金額の計算をいたしておりませんが、大体の見込みといたしましては、三十億見当ではないか、それを分けるということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/31
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032・山下義信
○山下義信君 まあ三十億くらいのところは、まだまださほどでないでしょう。
それでは、中政連が考えているような、中小企業の年金を別途にして、現在の加入者が脱退すると、この積立金にはどれだけの額が響いてきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/32
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033・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 中政連の考え方というものは、実はまだ私どもにもはっきりその中身がよくつかめておりません。と申しますのは、表面的には、退職一時金を出すんだということが要綱等には書いてあります。それでありますれば、別に一時金を出すために、そういう年金というようなものを出すというようなことは変な話になりますので、そういうことになりますると、この積立金を分けるとか、あるいは、年金保険から抜けるとかいう問題は起って参らない理屈になるわけであります。同時にまた、それでは先方としては話が、何と申しますか、ねらいがはずれるので、年金をやって、厚生年金から脱退をするというふうなことをも考えておられるようであると、かりにそういうふうなことを仮定して考えますると、これは、被保険者の数等が正確に、該当する者がどの程度になるかという、そのことがまだ正確に把握できませんので、その金額はいくらということは計算をいたしかねまするけれども、非常に多くの部分、まあただいまの積立金の半分以上、五割ないし六割程度のものは持って出るという格好になるだろうと推察をいたします。その被保険者等の数字の予想から申しますると、さように考えております。正確なことはわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/33
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034・山下義信
○山下義信君 私は、農業共済組合の今度の企図が厚生年金にプラス・アルファする考え方だから、いいわいいわという考え方ならば、そういう考え方を通すならば、中政連もこれだけのプラス・アルファの考え方だ。しかし、そういう、厚生年金はたよりにできないから、厚生年金から脱退して、われわれは別個の年金制度を立てるのだということになってきてやるということになると、保険局長ね。かりにそうなった場合にはどうなるかと言うたら、半分、数千億の積立金を持っていかれてしまうのですね。何にも残らぬじゃありませんか。しかも、数年後に四千五百億、三十七年度には約五千億に近い積立金を持っていなければならぬのであって、そういう計画も総くずれになりますし、これからの厚生年金のやり方、また残留したものをいろいろ対象としての、依然として続けていく運営の上にでも、こんな中途でこれだけの積立金を総くずしにして持っていかれてしまったのでは、これは何にもならない。厚生年金は全滅ですよ。ですから、厚生省は、厚生年金を基本的に維持していくのか、厚生年金はつぶして、残ったものをほんのちょっぴりこれを世話していくという建前をとるのかということの重大な関頭に立っているのです。私はそう思う。それから、いつも政府の逃げ口上でありますが、これ以上はもうやらぬ、この農業共済が、これが今度でおしまいでしょう、そんなことを言ったって、当てにならぬのであって、中政連の年金法案が議員立法で出たら、あれは議員がするのであるから、政府が知ったことではないのであるというような逃げ口上をやるのです。私は、これは、厚生年金はこのままでは全滅すると思う。私は、中政連は、中政連の年金制度の構想は捨てぬと思う。これは、厚生年金が危機に瀕し、厚生年金が全滅しようかということは、国民年金制度をどう考えたからといって、この基本的な被用者保険の、厚生年金の根底がゆらいだのでは何にもできない。あなた方がA案、B案、C案、D案を何ぼ作ったからつて、社会保障審議会が何の口説を繰り返したからって、この被用者保険の厚生年金制度を、これをむちゃくちゃにして、この積立金はもうずたずたに切り取りに合っていくということになりますと、やろうたってできない。まあそういうことで、事態は非常に、厚生年金制度に関する限りは、私は危機に瀕しておると思う。これは、一方においては国民年金制度をいろいろ関係者が、審議会や委員会や、あるいはいろいろな案を考えるはいいが、同時に、こういうような危機に対しては、これはもう総力をあげて防衛せねばならぬ問題だと思う。これを防衛せずにおいて、現実にくずれていって、これを見のがしておいて、何の案を考えたからって、何の案を書いたからといって、何にもならぬことなんです。私は、これは議論ですからいたしませんが、そういうことなんです。ですから、事態は明確なんです。今二千五、六百億の積立金がある、実に巨額です。三年後には四千五百億になり、五千億になる。この方式を続けていくかいかぬかということが第一の問題。それから今度は、現実には、この二千五百億の積立金がもうばらばらにぶん取りに合おうとしかけておる、こういうことなんです。しかも、一つの問題としては、この積立金が全部大蔵省の手に握られておる。この積立金を持っておるというのは名前だけであって、厚生省にはない。この金は大蔵省にある。そうして利息をちょっぴり、涙金ほどもらっておる。ですから、三十二年度は百十六億円の利息をもらっておる。そうして三千億円近い金を大蔵省に預けて、そうして三十三年度は、わずかに百四十億円程度のちょっぴりの利息をもろうておる。こういう状態である。こういうことなんです。それだから、厚生年金は、厚生省にある厚生年金会計であるとはいいながら、これは、厚生省ではどうにもならぬ金なんです。こういうことなんです。
そこで、私が伺いますのは、これは問題ですから伺いますのは、さしあたっては、昔から議論されておる厚生年金の還元融資の問題ですね。これが非常に私は不都合だと思うのですね。結局、この二千億に近い金を、これを被保険者のために、被保険者だけとは私は言わぬが、事業主も一緒でいいが、厚生年金関係者のためにこれを活用することができないという現状ですね、これは、昨年も七十五億、しかも、昨年の七十五億のうちの十億はちょっと待てという、今年も同様に七十五億、数年前は、わずかに十億か二十億しか使わせないんですね。こういうことに実は被保険者も不満を感じ、関係者も非常に厚生年金の積立金の運用については非難をしておる。これは、今の段階では、どうしてもこの程度しか還元融資は許しませんか。どういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/34
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035・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 還元融資はこの程度しか許さないかという御質問でございますが、実は私ども、いろいろ財政資金運用計画でございますか、財政投融資のあの計画を決定いたしまするにつきましては、財政当局との間にいろいろ折衝を重ねておるのでございます。御指摘のように、三十二年度、本年度は七十五億ということに一応ワクがきまりましたけれども、十億は繰り延べということになりまして、六十五億でございます。本年度は。来年は七十五億、それに、本年繰り延べた分の五億を解除するということで、実質的には八十億というワクになるわけでございますが、さような程度にしか至っておりません。ただ、われわれといたしましては、先生御指摘のように、この金は、実際に出したものに対して還元融資をするのであるから、従って、他の財政投融資の金の配分等よりは比較的、財政当局といたしましても、私どもの言うことを聞いてくれてはおるわけでございます。しかしながら、決して満足な金額ではございません。
なお、前段に、財政積立金の管理運用の方法につきまして、根本的な先生の御意見が御開陳になりました。実はその点は、厚生年金制度の根本問題の一つでございまして、私どもも、これをただいまどうするかという具体案を持ってはおりませんけれども、このままでいいとは考えておりません。従いまして、来年は、厚生年金保険の制度全般にわたりまして、今の財政計画から、料率から、いろいろ検討いたさなければならない時期に到達をいたしております。従いまして、おそらくただいまの見込みでは、厚生年金保険の方の相当大幅な改正をいたさなければならぬ。その際にこの問題を、ただいま御指摘になりました積立金の運用の問題につきましても、私どもの検討を加えまして、法律的に何らかの措置をとるようなことをしないと、ただ、どちらの方向に、どういうふうに具体的にということになりますと、ただいまのところ、そこまで考えが熟しておらないような段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/35
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036・山下義信
○山下義信君 これは、局長も言われましたから、私も付言しますが、早急に問題を、厚生省として根本的の方針を私は決定する必要があると思う。今のような運営方式をとっておったのでは、これは、厚生年金法の本旨にもとりますし、また、いろいろ関連して各般の……たとえば、国家公務員共済組合法等についての大蔵省と総理府との論争の一点も、運用問題に関連があるのですが、やはり根本的には、私は、きっぱりとした方針を立てて、しかも早くそれを打ち出していくのがいいのではないかと思う。それは根本問題ですから、別途に譲るとしておきまして、さしあたっては、この還元融資の額をできるだけ増額しようということについて、政治的にこれは厚生大臣が、一つの大きな問題として、大蔵大臣に交渉してみたというようなことはないのですか。私は寡聞にして聞かないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/36
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037・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 実はこれは、まだ小さい額の時分には、事務当局同士の話し合い程度で、毎年事務当局が納得する程度の予算の額を計ししておりましたので、あまり問題がなかったのですが、ここ一、二年、本年度のワクがきまりましたとき、また来年度の、今回の財政投融資計画がきまりまする際、ここ一、二年のところでございますが、大臣にもいちいろ御心配を願って、現実に大臣にはお話をいただいて、ワクがふえたというようなこともあるのであります。これは、ただ最近のここ一、二年の状況でございます。その前は、事務当局同士の話し合いで大体ものをきめておった、こういうふうな内部の事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/37
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038・山下義信
○山下義信君 あなたに聞くのはまあ適当でないと思うのですが、私は寡聞にして聞かないのですが、厚生大臣が厚生年金その他の運用について、大蔵大臣と相当強く交渉したということは、寡聞にして聞かないのです。おそらく強くそういうことが大きな問題として取り上げて、ぶつかっていくということをやっていないのだと思う。非常に私は遺憾なんですが、そこで、わずかに七十五億ほどの金を、還元融資と称して、昨年と同じようなことをやる。金額が非常に少い上に、この七十五億のしかも融資する融資先ですね。これは、厚生省を責めるよりは、むしろ大蔵省をたたかなければならぬかもわかりませんが、これは、ほとんど大部分が大企業の融資ですね。こういう状態を保険局長はどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/38
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039・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 形式的には、融資先は地方団体に融資いたしておりまして、地方団体が直接転貸をするというような形式をとっております。それで、その転貸先が、大企業に偏しておるのではないかという御指摘でございますが、確実な回収ということを考えなければなりませんので、そのような取扱いは過去においては多かったのでございますが、最近においては、それでは、大きい事業主のところに働いている被保険者しか均霑しない。そういうことであっては困るんじゃないかということで、何とか小さい事業場の被保険者、事業主等にもこれを均霑させたいと、それを小さい事業場に直接融資すると、事業の盛衰によって回収不能ということになるおそれもございますので、従って、これらの小事業場の事業主、被保険者等の希望がある場合には、公共団体がかわって融資を受けて、そしてたとえば、住宅であれば、小さい事業主とのリンクをして、小さい事業主の被保険者に貸すというふうな方途を講じておるのであります。この方法によって、公共団体というものを通じて、私どもとしてはその方のあれをいたしておるわけでございます。今後も、その方面の小事業場に対して、どういうふうに考えていくかということにつきましては、より一そう研究を加えたい。かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/39
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040・山下義信
○山下義信君 時間を取って恐縮ですから、質疑は端折りますが、これは根本的に検討して、改めて下さい。これは、たとえば住宅の融資でも、三百名以上の事業場でなければ融資しない。それから、今あなたが言ったような、地方公共団体を通ずるのであっても、たとえば市でも、三十万人以上の都市でなければならない。あるいは勤労者の住宅も、組合員三百名以上の会社でなければそういう融資をしない。それから、病院の融資にしても、一千名以上の事業場の病院、診療所でなければ融資をしない。健康保険組合でも、一千名以上の被保険者がある病院、療養所でなければならない。ことにおかしいのは、日赤とか、済生会という名前を掲げて条件にしておるというようなこと、これは、今後は改める必要があると私は思う。それで、これは、そんな中小企業に貸したら、回収が不能だからというようなことを言ったら、中小企業の金融機関というものは皆やめなければならない。一がいにそういうことを言うと、金融機関の、国民金融公庫じゃ、中金じゃ、何じゃという、中小企業対象の金融機関というものは、皆やめなきゃならぬ。こういうことを言うのではないのでありまして、根本的に、これは将来の全般の積立金の運用の基本的な問題もありますが、同時に、その融資先、条件等につきましても考えて、これを改める考えがあるかどうかということをもう一ぺん、念のために聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/40
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041・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) この融資条件につきましては、私どももいろいろ検討を加えて参りたいと存じます。関係各省もあることでございますので、私どもだけの一存で直ちに変更を加えることも、必ずしも容易ではないわけでございますが、十分話し合いをいたしまして、御指摘のような点につきましても十分配慮をしながら、融資、条件の再検討をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/41
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042・山下義信
○山下義信君 私は、資料として要求します。最近三カ年間の厚生年金積立金の融資の申し込みと、それに融資をすることを決定したことの状況がわかるような資料を一つ出していただきたい。
それで、最後にお尋ねしておきたいことは、一体この融資の決定は、どこでするのです。これも将来、これは厚生年金法の改正のときに考えなきゃならぬが、現在はどこでしておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/42
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043・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) これは、厚生省がイニシアチブをとりますが、厚生省、それから大蔵省、それから地方自治庁、この三省協議でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/43
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044・山下義信
○山下義信君 ばく然として、それはようございますがね。あなたの方の、厚生省の所管の中では、一体この融資の決定はどういう方法で、いかなる機関を経てやるのですか。ないのでしょう、こういう機関は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/44
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045・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 私どもの方では、保険局の局議にかけてきめるのでございます。別にそこに、諮問機関とか何とかというものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/45
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046・山下義信
○山下義信君 それで、これはあなたの方の事務だと言えばそれまでのことでありますが、しかし、将来金額も多くなり、いろいろに融資活用を活発に公平にやる、所望の目的に向って善処していくということになれば、この積立金の運用について、何らか公正な機関というものが必要ではないかと私は思う。局議にかけるのは、もろもろしかりでしょう。しかし、こういう融資というような、まあ百億に近い金をだれに貸し付けるかということはね。なかなか相当の金額です。この貸し付けをするということに、それはあやまちはないと思う。あやまちはないと思うけれども、だれが見ても公平無私に、ガラス張りの中で、百五十件の申し込みがあった中に何件決定した、その決定は、こういうわけで決定した、こういう審査をして決定したということが明確になることが私は望ましいと思う。これはね。いわゆる厚生年金財閥じゃないのです。あなたの方は。それで、自分の金でもないのでありますから、これらの運用、貸し付け等につきましては、適当な、しかも被保険者の代表等が加わったような適当な機関がこれにあれば、私は非常にいいんではないかと、こう思う。えてしてそういうことはない。ことに信望の厚い高田局長においては、私は安心するけれども、力の強い者は勝っていく。運動、請託が行われるということはないと思うけれども、あってはいかないのであって、所定の申し込みをすれば、審査会か審議会にかけられて、ガラス張りの中で審査してもらって、そうして貸してもらえる。条件さえ貸付条件に合致すれば貸してもらえるというふうにしておくことが望ましいのではないかと思う。将来こういうような厚生年金の積立金の運用については、基本的な、新たな方法を打ち出していかなきゃならぬが、こういう一部融資の貸付等についての運用についても、適当な方法あるいは機関等を考える必要があると思いますが、局長の所見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/46
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047・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 御趣旨ごもっともと私も存じます。研究をいたしたいと存じます。ただ、たとえば地方起債を認可いたしましたり、いろいろ融資をいたしまする際にも、そういう機関を経てやっておるところもあるかもしれませんけれども、やはり役所の事務としてやっておるところが大部分ではないかというふうに私も考えております。そういう関係と、いま一つは、わが省で、これは一省限りで認めるわけにいかない。相手方が地方でありますれば、やはり自治庁の関係が出て参ります。全部が、先ほど申しましたように、地方団体の転貸というような形をとっております。それから、大蔵省もこれは権限を持ってくる。従って、わが省だけでそういうものを作ってみて、どういうことになるかというふうな点もちょっと心配でございます。しかし、それらの点もあわせまして、御趣旨はごもっともと存じまするので、そういうふうな方向に、何かうまい知恵が出るかどうか、一つ検討いたしてみたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/47
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048・高野一夫
○高野一夫君 関連して。私は、今山下委員の御質疑、御意見、なるほどもっともだと思います。これは、一般の、農林省とかそのほか自治庁あたりで補助金を出すとか、起債のワクを与えるとかというようなものと違いまして、おっしゃる通りに、厚生年金の本質からかんがみまして、これの融資については、特段の審査状況、別な方法があってしかるべきだと考えるので、この点は、私の方からも一つ厚生省に対しまして、何か適確なる審査機関を設けるとか、審査方法についてあらためて研究おきを願いたい。私も、この点について要請をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/48
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049・大谷贇雄
○大谷贇雄君 私、山下委員と御一緒に、フィリピン方面の御遺骨をお迎えをされました銀河丸に行っておりまして、おくれて参ったわけでありますが、すでに御説明があったかと思いますが、この厚生年金会館の敷地を購入されたということでございますが、これは、ここに決算委員長もおられますが、この日本勧業銀行だけが評価したのか。なお、それらにつきましては、この他の機関においても評価をしたのかどうか。その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/49
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050・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 正式に評価をお願いしたのは、勧銀だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/50
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051・大谷贇雄
○大谷贇雄君 私は先般、電電公社等の会計検査院の指摘事項につきまして、大阪へ行ってきたのです。電電公社等におきましては、あるいは請負契約をする場合、あるいは物品購入をする場合、あるいは土地の購入をする場合、建築はもちろん、もう非常な慎重をきわめて、この各業者等に当って、その上でその決定をするというような、まあ非常な、国民の税金をもってまかなう問題につきましては、こまかい心配りをしておられることに、私は非常に感心を実はしたのです。従ってこういうものは、少しでも公正に、安く手に入れろということが大事だと思うのですが、この勧業銀行一つだけにもたれてするということであっては、私はならないのじゃないか。かように思うのですが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/51
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052・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) この土地を購入いたしまするにつきましては、実は相当慎重にやったつもりでございまして、この施設の性格から申しまして、相当な坪数と、それからまた、場所柄等も、足場等も考えなければなりませんので、都内に二、三十カ所程度の候補地を物色いたしまして、実はいろいろ検討を重ねまして、私どもの方で希望をいたしましても、また先方の都合でだめだとか、先方が非常に御希望になりましても、こちらの方がだめだ、どうも調子がよくないというようなことで、実は第一候補、第二候補——数候補をあげまして、だんだんしぼって、諸般の情勢がここに落ちついたわけでございます。で、これを購入いたしまする際に、正式には勧銀一カ所の評価だけでやったのは非常に軽率ではないか、こういう御指摘でございますが、振り返ってみまして、あるいはそういうことも申せるかと存じますが、まあその方では一番専門家の銀行でございまするし、私どもといたしましては、その評価を中心にいたしまして、なお付近の売買価格等も一、二調べましたりいたしまして、これを購入をいたしたようなわけでございます。この金額が、これは、山下先生の御質問に対して資料を提出してございますので、その資料の御説明をかねて御説明いたしたいと存じておりますが、さようなことでございまして、なるほど一カ所だけじゃ不十分じゃないかというおしかりであるとすれば、それはもう少しやった方がよかった。しかし、これを購入いたしまするにつきましては、決してそういいかげんにやったつもりではございません。この点は、一つよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/52
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053・大谷贇雄
○大谷贇雄君 済んだことをかれこれ言うわけではございませんが、今この電電公社等におきましては、きわめて慎重な態度をもって国民の金の支出につきまして配慮もいたしておられますので、今後十分慎重にお取り計らいをいただく方がいいのじゃないかということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/53
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054・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 速記を落して……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/54
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055・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
本件に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/55
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056・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
休憩いたします。
午後零時十五分休憩
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午後二時三十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/56
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057・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 再開いたします。
旅館業法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/57
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058・山本經勝
○山本經勝君 尾村部長にお伺いをいたしたいのですが、この間、前回の委員会で御質問申し上げた中で、旅館従業員の待遇等に関する具体的な資料が集め得られるかどうか、その点、お伺いしておったのですが……。
〔委員長退席、理事木島虎臓君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/58
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059・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 旅館従業員の種類別の数というようなものは、これは、手元にありますのがちょっと古くなっておりますので、これは、年度ごとに最新のものを今集めつつございますが、こういうふうな資料は集まると思います。
それから、この前の御質問にございました、それらの従業員の給与の形がどういうふうになっておるか、これをやはり統計的にまずつかまなければいかぬわけでございますが、これは、官庁関係では、そのような形は現在のところないようでございます。厚生省にもございませんので、この給料の調べは……。実際問題として、旅館の組合が少くともある程度持っているのではないかということで、まだ全国の連合会として同業組合は発足しておりませんが、旧来二つに分れておりました方の幹部と、それから東京都の同業組合の方はすでに発足しておりますので、この方に、この前の委員会の直後、直ちに連絡をとりまして調べましたが、既存のこれに関する資料は、組合自身も持っておらぬという回答でございまして、現在のところは、手持ちの資料は確かにないわけでございますが、これをやるといたしますれば、一番的確なものを得るためには、結局営業許可権を持っております府県の衛生部を通じまして、保健所に特にこれを命じまして、それによって得るしか、官庁側から見た的確なものは得られない。あとは労働関係で、監督署の方でこういう事業場の労働条件等の観点から、これを今度、これは権限をもって収集できるわけでございますから、これをお願いする。これは実際は、こちらからお願いするなり、あるいは労働省自身の労働関係のこれは権限にもなっておりますので、この形で得る。これが客観的につかめる一番正しい資料じゃないか。それで、組合の方にも、むろん集められるだけの資料は要望しておりますが、これはしかし、業者が出すことでございますので、この間からの御質問の趣旨から見ますと、こちらの思う通りの信憑性というものについては、これは官庁のものとあわせませんと、必ずしも的確ではないと思います。そういうルートでこれから調査をすれば、これは集まるかと思いますが、相当時間がかかるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/59
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060・山本經勝
○山本經勝君 今お配りをいただいた、旅館業法第八条関係犯罪の発生状況調というものの中にも、風俗営業取締法の規定に関するものと、それから、刑法第百八十二条の罪、淫行勧誘ですか、それから、婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令九号、こういうような事案が、相当これはあるようでございますが、これで本法によりて営業を停止する、あるいは許可を取り消すというような事態があったのは、件数にしてどれくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/60
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061・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) ただいまお配りいたしました資料は、警察庁からもらいました、昨年の一月から十二月までのこれは送致いたしました総件数でございまして、昨年の旅館業法のこれに関する改正が行われまして、さらに施行まで三月の期間がございまして、詳しいことがきまりまして、実施になったわけでございますが、この期間に換算いたしますと、これが約半分以下、この適用対象になった期間からいいますと、半分以下になるわけでございますが、これに対しまして、現在までに営業停止を具体的に施行しましたもの、これは群馬県の一件と、それから福井県の一件がすでに営業停止の施行済みでございます。それから、現在これは聴聞会に必ずかけないといかぬように法の方もなっておりますが、聴聞会を準備中のものが茨城県では三件、これは、近く聴聞を実施いたしましてやる、こういうことでございます。さらに、聴聞まで行っておりませんが、この違反事件が警察から通告になりまして、本法の適用を計画いたしておりますのが石川県に五件ほど、これがわれわれの方にすでに報告済みのものでございます。
その他は、ちょうどこの法律が実際に施行になりまして、事件が次々と起ってきますと、逐次これを聴聞を計画いたしまして、実施がこれから増加いたしてくるものと思っております。現在のところ、さような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/61
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062・山本經勝
○山本經勝君 むろん、警察庁の刑事部の防犯課で調べられたものなんでしょう。そこで、厚生省が直接これらの事犯の原因その他について究明して調べておられるのだろうと思うのですが、大体尾村部長さんという当局側の立場からいうと、こういう犯罪における原因というのは、どういうことに起因するか。特に風俗営業取締法の規定に違反する、あるいは第一番目に出ている、刑法第百七十四条及び第百七十五条の罪、公然わいせつ及びわいせつ文書頒布、こういったものを含めて、部長さんの方のこういう事犯が起ったことに対する具体的な調査はなさっておらなくても、一応こういうことがありはせぬかという想定もあろうかと思いますが、そこら辺、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/62
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063・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) この御配付いたしました資料のうちで、一番多いのはその一番右側にございます。それぞれの県でやっております。大体この三月末で売春防止法に移行いたしますが、現在のところ、県条例でやっております違反が多いわけでございます。これが一番右側の欄でございます。これは、そこにありますように、場所提供、勧誘、周旋等、売春防止法で今度かかることでございます。それから、従来旅館業法そのものに対象になっておりますのがそれから左の欄でございまして、九号の困惑売春、いわゆる四欄目は困惑売春、困惑さして売春させる。それから五行目が、売春することを契約して売春さすという、これでございます。この契約のものが一番多いわけでございます。これは、今度の実際に具体的な営業停止になりました例を見ましても、いずれもこれに該当するものでございまして、群馬県の場合も、ちょうど今までの赤線と同じような形態で行われたという形。それから、福井県の場合もやはり同様でございます。ただ、福井県の場合には、その中に児童福祉の違反、子供を使ったというもう一つの罪も入っております。さような形でございましてこれは、今度の売春防止法になりましても、一番これは重く、もちろんこれらも今後起り得る可能性がございますので、これは厳重に、かような形で取り締りたい営業の許可の方に十分反映させるということでございます。
あと第一行目と二行目は、これは、旅館を場所といたしまして行われる、たとえば、わい映画といいますか、春映画とか、あるいはそういうふうな春画をそこで頒布する、あるいは淫行を勧誘させるというようなこと、これも今度の対象になりますが、これらはやはり、旅館業につきましては、ああいうような宿泊を目的とする業種でございますので、十分これは監督しないと、危険性が起るということでございますので、これらのことはやはり起り得るものとして、今度の改正が行われますれば、なおさらこれは厳重にやっていく、こういうつもりでございます。ただこれが、実際の旅館の従業員との関連において、やむを得ず行われるというようなことが、先般からの従業員の待遇の問題に起因してお話がございました。この点は、やはりわれわれといたしましても、万々一これが契約して、女中等にかような事犯が起るということであっては、確かに多数の人が愉快な、快適な宿泊の場所に使うという点からいうと、非常に工合が悪いことでございますから、できるだけさような形になりませんように、お話の通り、待遇改善、その前提になります旅館の料金制度、すなわち客と旅館の間で、今いずれも統一的な支払い制度になっておりません。これがもし今、大部分のホテルで行われておりますように、サービス料が一割とか二割というふうになりますと、これははっきりとするのでございますが、ただ、日本式の旅館の場合には、これは、旅館の方がそういうことを希望するという以前に、古来の和式旅館の利用者側のこれは習慣がございまして、やはり茶代制度と、チップをとにかくやる、それで家庭的なサービスを受けてという、旅館宿泊の中にただ衛生設備がよくて、事務的にいい設備の中で寝るというほかに、非常に家庭サービス的な要望が強いので、それに起因いたしまして、なかなかこの料金支払い制度が明確な、統一的な、すっきりしたものにならないという点が一番のもとになりましてこれに引き続きまして、もちろんこういうふうなことに便乗して、搾取的なものも相当あると思いますが。
〔理事木島虎藏君退席、委員長着席〕
実際問題としてこれらの制度が確立しておらぬために、また、給金制度がそれに基いてうまくいかないというのが多いものでございますから、やはりこれは、営業のやり方の健全化ということで、これをまず根本的に直していく、これがぜひ必要かと、こう存じております。そのためには、昨年通過いたしました環境衛生同業組合の必らずやるべき事業の中に示しております八条の四項にこれは規定してございまして、要するに、同業組合は、「組合員に対する衛生施設の維持及び改善向上」これが一つと、「並びに経営の健全化に関する指導」、こういうことがこの組合というものの重要な任務の一つになっておりますので、これを通じまして、いまの経営の健全化という中には、いまの料金制度から始まりまして、客に対するサービスの態様、従って、それから出てきます従業員の適正な待遇の方法、これに重点を置いて指導をしていくのが一番適切ではないか、かように存じております。もちろん、個々の旅館業法に基く常業許可の場合には、環境衛生といいますか、衛生的な基準だけになっておりますけれども、これに若干風俗的なことが入っておりますが、しかし、かような形で、保健所とこれらの旅館とがこれを通じて接触をする。その際に、できるだけ行政指導としては今の健全化の方針、旅館業法の方からのつながりをもちましてもさらに同業組合を育成していく、指導していくという点からも、今後はさような形でこれをまず是正する。それに伴っていろいろ発生しております面をまず規制を求めていく、かように存じております。といいますのが、実際に、先般もお話ございまして、おそまきで申しわけありませんが、直ちに労働省の基準監督局とも十分連絡をとったのでございますが、やはりその場合に、直ちに労働基準法の違反として片っ端から摘発をしたところが、物事はそれだけのことであって、是正はできぬ。いわゆる料金制度というようなものが大前提になる旅館の営業の態様の方を是正しないと、なかなか末梢だけでは直しにくい。もちろん目に余るものは、一罰百戒という意味では、これは当然やる、へきだ、こういうような話し合いでありまして、両々相待たんと、これはうまくいかぬということで、十分この点は、厚生省もそういう意味で責任をもって連絡しつつ、これは指導していきたい、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/63
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064・山本經勝
○山本經勝君 旅館に宿泊をいたしますと、まず、昔は宿帳といった帳面になったのに記載をした。ところが最近は、そうでなくて、いわゆるカード式になっておるように、そういう工合に、この前の環衛法の審議の際にもちょっと申し上げたことですが、個々の宿泊者が自分で記入するそのカードは、一応旅館主が帳場で整理をして、いわゆる届け出もしくはいろいろな問題があった際に、係りの方々が現場について調査をされる際に提示をするというようなことになっているのですが、その場合に、カードを改善しないと、カードをそのままつづったのを見せるというのじゃなくて、一ぺんそのカードから台帳に、番頭なりあるいはまた旅館の主人が書き移して、そしてそれを使っているということで、実際には、たとえば旅館の収益の実態、先に言われた、経営の内容等について立ち入って検査するということは困難でしょうが、しかし、課税の場合には基礎がしっかりつかめないというようなこと。最近聞くところによると、約十数人から二十名前後の従業員を使っておる、中の上クラスの旅館では、一カ月間のチップが二十数万円にも上る。従って、かりに十人従業員がおっても、そのチップで十分その給与がまかなわれる。あるいはまかなってなお余りがある。こういうようなこと、そうしますと、従業員のいわゆる待遇等については、実際上旅館の亭主が負担をせずに済むような実態になっておるようです。そういうような収益を上げておって、しかも課税の際には、税金をうまくごまかしているというようなこともやられておるということを聞いておるのですが、そういう点は、税金にに関する限り大蔵省の所管でもありますから、面接どうこうということはないのですが、少くとも言われたような、営業の適正化、あるいはこの衛生関係の視野から見ても、十分重要な問題である。こういう意味でのいわゆる行政監督や指導は、当然なさると思うのですが、そういう点で、何か改善をする必要があるというお考え方は、厚生省としてお持ちにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/64
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065・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 今の客数の把握、あるいはどういう種類の客がその旅館を利用しているかという把握のために、法できめまして、さらに省令でもこれを受けまして、宿泊人の名簿を作るということになっております。通牒でもさようにいたしておりますが、今のお話のように、カード式につづったのを名簿としてみなすかどうか、これは絶対いかぬというような点に触れまして今まで具体的な指導をいたしておらなかったのでありますが、やはり今のようにいいかげんなカードでございますと、たとえこの法律に基いて必ず保存はしておりましても、検査に行きました場合に、簡単に見分けにくかろうと思いますので、この点はぜひ、常業の大要をつかむには一番大事な標準になるわけでございますので、一番能率の上るような形に整理、保存されるように、これは、われわれの方で検討いたしまして、至急そういう形を指導いたしたいと存じます。やはりこれは、旅館を官庁側が指導するには大事な窓口であろうかと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/65
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066・山本經勝
○山本經勝君 環衛法との関係になるかとも思いますが、いわゆる旅館の経営の実態等をたとえば保健所等から、出先の方から直接立ち入り検査等をされた実例がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/66
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067・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) これはまだ、同業組合が発足して、適正化規定の申請に基きまして、これの判断をするために、実際には具体的にやることが今後は起るかと思いますが、これが少し進みますと、ふだんから定期的に、かような問題を法律の権限に基いて把握いたしておきまして、次々ともし出る適正化規定の場合には、あらかじめ判断の資料がつかめると、かようにいたしたいと存じておりますが、現在のところは、かような立ち入り検査が今度の同業組合法に基きましてできるという形は、これは、もうよく府県も徹底いたしておりまして、いよいよ近くさような形に、この問題は進むかと思いますが、今のところ、すでにそれを終了いたしまして、こちらに報告が参った事例はまだつかんでおりません。ただ、この場合に、実は府県側で、非常にこのために手数を要するので、このための特別な人の用意ということが、先般からやかましく言われまして、来年度の予算も、一応国の委託予算ということも考えたのでございますが、いろいろな事情から、現在のところ、交付税によりましてこれを明白にいたしまして、この環衛関係の実態調査に要する費用、ことに人の数というものがようやく政府部内で話し合いができまして、四月からはこれが配賦になるので、この専門の人間を雇って、今のようなお話が着々と準備できると、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/67
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068・山本經勝
○山本經勝君 かりに、給与等を固定給にすることのために経営が成り立たぬと、こういうような事例があったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/68
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069・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 固定給をやるについては経営が成り立たぬということは、今まで面接なり、あるいは府県を通じましても、今のところ、さようなことを聞いた事例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/69
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070・山本經勝
○山本經勝君 大体聞くところにまりますというと、最低三千円くらいから始まって、四千円、五千円というのが一番多い。画定給がかりにあっても、そういう線で、それに若干のチップの分け前をもらうと、こういうような形ですから、非常に安いのですが、安い形で、しかも病気になりますと、これは普通に医療費を払っていかなければなりませんから、いやになる。そこで続かない。長く一所にとどまっておるということが不可能になって、転々とかわるというような実情も、否定はできぬと思うのですが、こういう状態は、旅館業法から見ても、あるいは環衛法から見ても、改善を要する点だと思う。そういう点について厚生省として具体的な何らかの指導の方法等が考えられておるかどうか、そういう点も一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/70
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071・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 主として同業組合の経営の健全化の筋から指導したいと思いますが、今のある程度の固定給の制度を各旅館が共同してきめるということは、非常にわれわれとしても、適切であり、望ましいと思いますので、さような線で指導したいと思います。私は、従来こういう点は聞いております。個々の旅館がいろいろな形で変革しようといたしましても、そうなりますと、一時いろいろな不利な点が起る、他の旅館に客を奪われるというようなことで、なかなかちゅうちょすると、こういうことでうまくいかぬという点は、しばしば耳にしておりますので、さような点も、今までかようなことを指導するのに非常に難点でございましたが、今度は、同業組合である程度かなりきつくこれは指導できますので、今度こそさような点は共同してやれるということで、うまくいくのではないか、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/71
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072・松澤靖介
○松澤靖介君 関連して、今、料金の規定を設けるというお話を承わったのですが、この料金の規定を設けることについて、私は、二つ考えなければならぬ点があるかと思います。一つは、料金というものが非常に安いものである。昨年問題になりました鳩森の、特殊な旅館形態かもしれませんが、ああいうふうになる場合と、非常に暴利的な高い料金を取るというような、この二つの場合があると考えますが、それについて中庸的におやりになるのか、あるいはまた、組合などに自主的におまかせするのか、そういう点の考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/72
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073・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 今の料金といたしまして、客から取る料金制度の問題かと存じますが、この点は、今度の同業組合の適正化規定の中に、今の料金の問題と、それから営業方法、これはいずれも過度競争があった場合ということになりまして、これをきめまして、申請をいたしますと、審議会を通し、さらに公正委員会と協議いたしまして、その結果適正と認めますと、府県知事がそれを認可すると、こういうことになっております。認可いたしますと、これは、法的にその取りきめが効果を発すると、こういうことになっておりますが、その場合に考えられますのは、過度競争という条件になっておりますので、この適正化規定によって盛られますものは、まずまず最低料金ということが予定されるわけでございます。最高の方は、あまり高くすればお客が来ませんから、むしろダンピングをやって、客だけをとにかく吸収しようというのも、適正な、何とか原価に合う最低のところを共同できめ合って、そこを守って客を分配しようと、しかもその料金は、そう不適正ではない、こういうところがあろうかと思いますので、最高の方は、これは全然予定されないという見込みであります。この同業組合の適正化規定は、ちょうど今浴場にやっておりますような、物統令的な、上を押えるというようなことはないわけでありまして、今のような自主的にダンピングをとどめる、そのダンピングのために、衛生施設もできぬようなむちゃなことを、やるということを共同でとどめよう、こういうところにあるわけでございますので、この点はおそらく避け得るであろうかと、こういうふうに思っております。
それから、先ほど私が申し上げました八条の四号にございます常業の健全化の指導ということになりますと、先ほどから申し上げましたような、チップ制度をあるいは公けにして、宿泊料全体に含めるということによって、今の従業員の待遇も十分計算できて支払える、あるいは従業員の福利厚生ないしはいろいろな待遇問題、こういうようなことを含めてこれは指導する。ただし、これは、法的な抑制力はない状況でございますので、組合があくまで自主的にきめるわけであります。そのきめ方につきましては、行政当局が指導いたしますが、これに違反した場合に、罰金を取るとかいうような条項にはなっておらぬわけであります。さような関係になっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/73
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074・松澤靖介
○松澤靖介君 今のお話、大体わかりますが、ある場所に二つの組合あるいは三つの組合なんて、そういうことがあり得るのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/74
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075・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) これはもう、県を通じまして、旅館業につきましては一組合であります。あとは支部という形で、たとえば市とか、あるいは郡単位、あくまで組合の中の支部という形でございまして、法的にいろいろなことができますのは、県一つであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/75
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076・松澤靖介
○松澤靖介君 一つということでありますと、組合に加入しないで、その旅館業といいますか、そういうことをやることができるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/76
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077・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) これは加入は自由になっております。脱退も自由になっておりますが、同業組合を県で作る場合には、同じ種類のたとえば旅館業でありますと、旅館業の三分の二以上が組合に入りますということで賛意を表しませんと、同業組合ができぬようになっております。従いまして、同業組合ができれば、少くとも全部の三分の二はこれに入る。むろん全部が入っておる業種もございますが、さような形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/77
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078・松澤靖介
○松澤靖介君 いろいろ指導なさる場合において、万遺憾なきようおやりになると思いますが、私の方のある所で、今非常に心配されておるのは、非常に安い料金で、いわゆる去年東京で問題になっておりました鳩森のああいう形態の旅館をまねしてやるような業者が起きつつあるというようなことを聞いておるのですが、そういう点について、どういう取締りの方針といいますか、指導のお考えですか、それをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/78
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079・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) その組合に加入しないもので、今のような非常な低料金で、客だけを何でもかんでも一ぺんにかき集めてしまうというような場合の規制方法でございますが、このようなものが出ますと、いわゆる組合としては過度競争の実情が起ったりいたしまして、このようなことのできぬような適正料金、最低料金の規定を実は作るわけであります。そして申請をしてくるわけであります。その組合の言うことがもっともだということが、公取なり審議会を通じまして、これが出しましたものと官庁側で調べた原価計算の資料とにらみ合せて、適当となりますと、どうしてもそういうものが、そういうふうになったのにかかわらず、改めようとしない場合には、これは法によりまして強制ができるわけであります。これに服従することの強制ができる。いわゆるアウト・サイダー規定と申しまして、これは、手続は非常に慎重になっておりますが、厚生省令でこれができるようになっておりますが、さようなことで、料金の面だけは、実際に過度競争的なはなはだしいものが起れば、組合を通じて変えさせる。それからもう一つ、鳩森式の低料金といいますよりも、一般的な宿泊料をひどくやるというのではなくて、あるいは短時間の利用とか、あるいはアベックに、ほとんど宿泊の目的というよりは、その場所だけを提供する、安く行って数でこなすということでございますと、これは、風俗関係といたしまして、旅館業法の方で取り締られる。それから、売春防止法あるいは風俗営業の方で引っかかるような問題は、それの発動によりましてこれは是正するということになるわけでございます。ただ、昨年改正になりました旅館業法の五条に、そういうふうな風俗を乱すようなおそれのあるものは、旅館が断わっても差しつかえないようになっております。ただ、業者は、それを目的とするのでございますから、断わらんで、むしろ歓迎するかと思いますが、この精神からいいますと、ほかの一般客は断わってはいかん、そういうものは断わってもいいということになっているのは、やはり旅館というのは、さようなことはするものじゃない、こういう精神が通っているわけでございますので、さようなものは極力させぬように、結局は、今の組合が強固になりますと、法律で直ちには違反の事犯にならぬ限り適用はできませんけれども、結局みんなで是正する、かような形に指導する以外にないかと、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/79
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080・松澤靖介
○松澤靖介君 組合を脱退しましても、その組合に従わなければならぬということがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/80
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081・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 脱退いたしますれば、組合の一般的な規約には全然従う必要はありません。ただし、先ほど言いましたように、料金と、それから営業方法について適正化規定がきまり、その適正化規定に違反をしているという場合には、そのはなはだしい事例の場合には、適正化規定に従わせるということのみができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/81
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082・大谷贇雄
○大谷贇雄君 三、四点お尋ねをいたしたいのでありますが、先ほど、旅館の女中さんたちの待遇の問題が出ましたが、あなたの方では、全国の旅館のそういう勤務者の俸給、手当等に関しての御調査がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/82
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083・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) これは、現在までのところ所持いたしてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/83
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084・大谷贇雄
○大谷贇雄君 そうしますると、厚生省としては、そういうような待遇改善というような問題については、一切まだタッチしておらぬ、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/84
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085・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 具体的に今のような調査資料といたしまして特に収集するということでは、今まではタッチしておらなかったわけでございます。ただ今度は、環衛法を運営するには、必ずこれは持たなければならないということになっておりまして、これを持ちませんと、それぞれ中央連合会なりあるいは同業組合なりがいろいろな規定をしようという場合には、その適否について判断ができぬわけでございます。そうなりますと、先般公衆浴場でいたしましたように、人件費を含めまして、一切の原価計算の資料を厚生省なり、また府県の場合には府県庁が握らないと、これの運営ができなくなる。従いまして、今度の環衛法の発足に伴いまして、これらのことを握るように、すでにこれらの調査票の規格もきめまして、地方に流しております。原価計算等をやる場合には、どういう調査内容でやるかというものを流しておるわけでございますので、これらが次々と調査が完了いたしますと、われわれのところに集まりまして、これで、その中の人件費の内容等がわかってくるわけであります。今までのはなかったのでありますが、これからはこれを確実に握れる、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/85
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086・大谷贇雄
○大谷贇雄君 先ほど来の質疑の過程におきまして、旅館の健全なる経営ということに関して、るる御答弁があったわけですが、経営を健全にしていきますためには、その主体たるべきもの、旅館に従事しておる人たちの待遇の問題をあなたの方で調査も今までせずにおいて、一体健全化なんということはできる道理がない。これは私は、はなはだ怠慢だと思う。従ってこれは、一つ今度やりますなんていうような表面的な上っつらの御答弁ではだめです。この問題は、われわれが旅行しましても、家のようなつもりになって、くつろいだ気持になれますのは、その旅館の経営方針であり、また、そこに勤めておられる女中さんたちのサービスがいいかどうか、こういうことにあるので、そのサービスがいいかどうかということは、そのボーイさんなり、あるいは女中さんたちが、腰を落ちつけてそうしてやってくれなさるというところに、われわれは非常な喜びを感ずるし、落ちつきを得て、旅行をしておっても、家に帰ったような心安さを覚えるのであって、その根本は、実に職員の待遇にあるので、これをほったらかしにしておいて、健全化もくそもあったものじゃない。私は、厚生省としてそのことは調べていないなんというのはもっての外であって、私は、これは急速に一つこの処置を願いたいと思うのです。その点、もう一ぺん御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/86
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087・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) これは、申しわけのようになりますが、今の事業場の労働者といたしましての給与制度というものは、やはり労働基準という立場から、これは権限をもってこれらを常に調査し、あるいはまた、握っておらなければならないのは、これを労働関係で法的には義務を負っておるわけであります。従いまして、これらと連絡いたしまして、従来も、われわれの方に資料がもしあれば、これは処置しなければいけないわけでございますが、その点につきましては、まことに申しわけないことでございますが、ただあくまで今の健全な営業を自主的な組合を通じて育成するという面からは、今のお話のように、確かに健全化の中心は、その従業員を、旅館業の健全化の中の一つの重要な項目として、やはり握っておりませんと、これは大きな穴があくわけでございますので、さような意味で、これは十分一つ調査して握っていく、かように存じておるわけでございまして、やはりこれは、両々相待ってわれわれの方ではやらなければいかぬ、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/87
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088・大谷贇雄
○大谷贇雄君 あなた、そのことは労働省だと、そんなふうな役所のセクショナリズムにとらわれたような御発言では、私は了承いたしません。もし労働省が調べておるとするならば、当然あなたの方としては、厚生省としては、その資料を向うからもらって、そうしてあなた方のいろいろな適正なる行政指導の御参考にするということは、これは厚生省としては当然なすべきことである。そういうようなことで釈明をなさることははなはだ遺憾である。どうか一つ、職員の待遇は経営の健全化でなければならぬ、その根本は待遇問題であるという観点から、これは、労働省とも御連絡をとって、ぜひともお願いをいたしたいと思うのです。
それから、サービスの点でありますが、私は、ちょいちょい全国各地へ参って、旅館の御厄介になる。おおむね非常に親切に何して下さるのですが、最近私は大阪で、名前を言うとお気の毒だから奇いませんが、一番大きなホテルです。そこへ泊った。ところが朝、ひげをそるのに、かみそりを貸してくれと言うと、そんなものはありませんと言う。それから、それじゃ済まんけれども買ってきてくれと言うたら、ボーイが、刃だけですよ、刃だけ持ってきたのです。君、これでおれの顔をそれるのか。(笑声)こう言ってやったわけです。ちゃんとしたあれを持ってこなければだめじゃないかと言ったら、しばらくたって来て、それはありませんと、こう言う。そんなべらぼうな話があるものじゃない。こんな大きなホテルで。それから支配人に電話をかけて、一体どういうことだと言うたら、ようやくにして持ってきてくれて、ひげをそった。ところが、あとでクリームをと言ったら、クリームもない、化粧水もないのです。それで、あまりなことに、私がちょっときつくボーイに言ったところが、今度は女の子が自分のものを持つできた。それで私は、この大大阪の、国際観光客をどんどん入れ得べき日本経済の繁栄の大都市の大旅館が、かくのごときサービスだ。これはまるでなっておらぬと言って、これは決算委員会で行ったのですが、私は引き揚げて日本旅館へ行った。そういう事例がある。また、先般私のところで、これは申しわけないが、名古屋のやはり大ホテル、そこで野村吉三郎先生と金森徳次郎先生を泊めた。そうしたら、四つくらい部屋がある、大きな部屋です。これは大したものだなと思った。私もそんなところへ行ったことはない。名古屋におりながら。そこへ行ったところが、野村先生が、こんな不便なところはないと言われた。四つも部屋がある。こっちに応接間がある。こっちに寝台、こっちに何か……、とにかく四つ部屋がある。それで、大き過ぎて不便きわまる。それで、ほんの一時間かそこら、ちょっと休まれただけなんだが、あとから勘定書が来て、一万九千円。そこで私は、支配人に交渉したところが、どうも、金森元国務大臣やら野村閣下がおいでになったので、飛び切り上等の所へあれしましたと言う。まるで問題にならぬ。野村さんから怒られて、こんな不便な所はないと言われた。かくのごときサービスだ。こういうような所があるので、私は、そうでない、中小の旅館の方がサービスがいいものかと思って、実はなるべく大ホテルヘは泊らぬことにしようと、(笑声)こういう気持を持っておる。
そこで、先ほどもお話が出ましたが、私は、大阪でちょいちょい、小さい家庭的な旅館へ泊る。ところが、そこの女中さんが、行くたびたびかわっておる。二月か三月前に五、六人おったのが、一週間ばかり前に行ったら、一人しかおらぬ。一体これはどういうところに原因があるかというと、結局待遇の問題なんです。そこでは、どうも固定給が少くて、それでチップに重点を置いておる。こういうことだろうと思う。そこで、客の方でもそうはたくさん、千円も二千円もチップをやるわけにいかぬ。そんなにやればどうも怪しげなることに思われるから、そんなことはいかない。そういうことですね。固定給を少くして、チップに依頼をしているものですから、どうしても長続きしないという現実なんですね。そういう所もある。従って、これはまた先ほどのお話に関連しまするけれども、健全化というためには、どうしても私は問題を解決しなきゃならぬと思うが、一体そういうような、現実に私は、このごろ中旅館のサービスの点についてあれしてきたんですが、一体御所見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/88
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089・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 今の後者の、固定給制度を極力伸ばしていくということについては、これは、ぜひわれわれも、業界指導につきまして、努力いたしていきたいと思います。そうあるべきだと思いますが、まあ一挙に全部に強制的にするということは、非常に客側との関連もありまして、困難な点もあると思いますが、極力そういう方向に指導したいと存じます。
それから、前者の方となりますと、これはおそらく、ホテルはみんな、給与制度の方はむしろチップ制度でなくて、大体われわれの存じておる範囲では、サービス料は宿泊料金の一割とか二割という勘定書をつけてくるのがある。この方はきわめて、その点からいいますと、労働組合ができてるホテルがございますが、その点はむしろ健全になってると思いますが、今度は、料金に対するサービスの内容となりますと、それはもう全く、何といいますか、旅館のそれぞれの営業の、そんなことでお客が将来たくさんとれるかどうかということを疑うわけでございますが、この点の指導はなかなかむずかしいんでございまして、いわゆる最高料金、統制料金的な物統令でもかけまして、しかもその内容は、これだけそろえにゃいかぬということでもいたしませんと、統制的にやることは非常に困難であるわけでございます。ただまあ、今のように、たとえばホテルの場合にそういうことが頻発いたしますれば、今の旅館同業組合のほかに、別個な立場で、いわゆる協会的なものとして、同種のものが切瑳琢磨するという意味で、ホテル協会的なものがあるわけでございますが、そういうところで、サービスの内容の統一といいますか、改善といいますか、さようなことの指導ででも歩調を合して直していく。不当な、わずか一時間で一万九千円というのは、実際ちょっとわれわれの常識で考えても、旅館指導の宿泊料金とは、全然雲の上のような話でございますが、さような形で旅館指導をしていくとすればしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/89
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090・大谷贇雄
○大谷贇雄君 そこで恨みをのんで、やむを得ぬから、一万九千円払ってきたんですよ。野村先生いわく、わしは、大阪で二千円から千五百円くらいのところで泊るんだが、はあ、驚いたなあと言ってあれされた。それで、支配人にまたあとから電話をかけたら、閣下閣下と言って、閣下扱いをしていて、閣下がおかしな所へ泊れぬと、こう言う。えらいどうも大へんなことで、まるで明治時代の番頭さんに行き会って、こっちはびっくりぎょうてんしちまったわけです。そこで、それらの点についても、やっぱり自主的に業界が今後はやって下さることと思いますし、また、それを期待いたすわけでありますが、そこで、先ほどもお話が出たのでありますが、一体鳩森のあの問題は、どういうふうな処置になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/90
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091・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 鳩森の問題は、その後新たに、ああいう旅館を作るというものは、結論から言いますと、大体あとを断ちました。今度の旅館業の規制によりますと、指定する学校施設の百メートル以内のものは、もし許可をしようとすれば、必ず教育委員会の意見を聞いた上でなければならぬということになっておりますが、今のところ許可したものはありません。しかも、申請したものは、不許可になった事例ばかりでございます。最近は、従って、制限内に建てようというものは出ておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/91
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092・大谷贇雄
○大谷贇雄君 私が一般の新聞のほかにちょいちょい夕刊、内外タイムスとか、そのほか二、三出ておる新聞を実は求める。これはいろんな社会の事情がわかるものですから、求めるわけですが、そうしますと、それらの新聞には、一ぱい旅館が書いてある。これはもう明らかに鳩森、おそらくそっちの方が先輩だと思いますが、そういうような広告が一ぱいある。そこで、先ほども売春防止法に関連をしまして、ここに二つ、福井県と群馬県の例が出ておりますけれども、そういうような事例がますます増加をするおそれがもう非常にたくさんあると思う。それについてどういうようなお考えと、どういうような対策をお持ちになっていらっしゃるかを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/92
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093・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 結局この旅館におきまして、売春防止法の違反事例がある程度増加するかと存じますが、これらはもう、事犯がはっきりいたしますれば、警察庁の通告を受けまして、所期の手続を経て、営業停止ないしは悪質なものは取り消しということは、これは厳格に実施していきたいと、それによりまして、法を甘く考えて、旅館によってうまい味をしめようというものがあとから出てこぬように、この点は、とにかく厳格にやっていきたいと存じております。ただ予防の意味から、旅館業を開きたいというものにつきまして、ただ漠然たる杞憂から、やるのではないかということで、あらかじめこの面からだけ不許可にするということは、これはもう、法の建前からも、やはり営業の自由ということの関連で、これは不適当と存じますので、その場合は、極力、先ほどから申し上げますように、最近は同業組合ができて、東京都同業組合あたりとしばしば接触しておる、そういうものが入ってきて、旅館で事犯が多少起るため、自分はまともにやっておるのに、旅館というものは、そういうものだと思われることを非常におそれておりまして、同業組合が発足してからの組合としての指導は、一番そこにさしあたり大きな指導がある、むろん待遇改善の問題も並行しますが、そこにあるといっておるくらいですから、この点については、やはり同業組合を通じての指導は十分やっていきたいと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/93
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094・大谷贇雄
○大谷贇雄君 そこで、ちょっとこの機会にお尋ねしておきたいのですが、全国に旅館数はどのくらいございましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/94
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095・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 約六万軒ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/95
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096・大谷贇雄
○大谷贇雄君 そこで私は、こういう怪しげなる旅館は、温泉マークの旅館もありますけれども、大部分は、われわれ旅客を非常に厚くしてくれる旅館がほとんどということを喜んでおるので、これは、自主的な旅館の組合ができまして、ますますサービス等の改善をして下さるものだと、固く実は信じておるわけですが、このきわめて優良な旅館等に対しては、これは、表彰とかいうようなことの制度があるのか、さらに、群馬県や福井県の場合は、ここに出ているのはどういうことから発覚したのか、それからまた、あなたの方から書類をちょうだいしますると、取り消しをしたのはほとんどないわけなんですな。なぜもっとそういうような、こちらに出ておる事例の福井県や群馬県の、こういうような、女中八名と契約をして売淫をせしめるというようなところに対しては、わずか三十日間の営業停止処分というようなことでなしに、かくのごときものは、私はやつぱり信賞必罰で、りっぱなものに対してはあくまで天下にこれを表彰をすると同時に、悪質なものに対しては、これはもう信賞必罰の必罰をすべきものだと思うが、それに対する御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/96
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097・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 最初の優良なものの表彰でございますが、これは、現在までもそういう制度、というとおかしゅうございますが、こういう形でやっております。これは、食品衛生の関係のものと、それから環境衛生の関係上、旅館も含みます。旅館とかそういうもので、模範的なものは、それぞれ府県単位でこれを表彰する。さらに、特にいいものは、中央表彰に持っていくという形です。これは、例年そういうものを選びましてやっております。東京でも、昨年は、十月日比谷の公会堂で非常に大きなのをやりまして、さらに優良のものには、厚生大臣の表彰状を出しております。これによりまして、模範的な健全なものをモデルにして、ほかのものがよくなるという形は、これは講じておるわけでございます。
それから、いまのこのいろいろな売春関係の、これだけの資料にありますような事犯があるにかかわらず、まだ数件であるということでございますが、これは、先ほども御説明申し上げましたように、実際にあの改正の旅館業法が県に徹底いたしまして、実施が進行いたしましたのは昨年の秋でございます。猶予期間がございます。それからでございますので、これは一年間の、一月から十二月までの資料しか警察庁からキャッチできませんでしたので、実際にかかりますのは、このうちの半数以下になるわけであります。それが逐次警察庁から、かように送致したゆえをもちまして府県知事に報告がありまして、これに基きまして、中身を審査いたしまして聴聞会を開く、こういう手続で、今ちょうど今年の正月ごろから、これを受けたものが進行中なわけであります。今後は、これが毎月相当数、営業関係としての処理問題がこれから続行するわけであります。今始まったばかりなわけでございます。それから、この取り消しかあるいはどの程度の停止をするか、行政処分の程度の問題でございますが、これは、一応府県知事の聴聞もし、それから今のような事犯の内容も、警察あるいは検察庁から受けた内容で、営業との関連に従いまして判断をまかせておるわけでございますが、これも今まで、新しい事例でございますので、たとえば、医師法とか、ああいうような形でありますと、明治以来いろいろな判例が多数積み重なっておりまして、これによりまして、大体こういうものはこの程度ということもあらかじめわかるわけでございますが、今度は何せ新しいものでございますから、おそらくこれは、私の方の推測でございますが、この福井県の例なんか、相当重度な悪質と思われますが、今まで勅令九号のみでやっておったものなので、とりあえずこれをやりまして、再犯のおそれがあれば、また考え直す、こういうことでやったのではないか。われわれの方から、こういうものはこの程度にせいという、実例がまだないものでありますから、地方に通牒を出しておらないわけでございます。一般的に、府県知事に実例を報告しろと、これがある程度重なりますと、われわれの方から全国にいろいろな代表例が流される、かようなわけで、ちょうどその過渡期でございまして、まことに遺憾な点がございますので、今後すみやかにこれらの報告を整理いたしまして、各県が適切な標準を得られるように取り計らいたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/97
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098・大谷贇雄
○大谷贇雄君 発覚の経緯。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/98
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099・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 発覚の経緯は、これは、あらかじめもう評判になっておったのを、警察の方が内偵をしてつかんだ、両方ともその例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/99
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100・大谷贇雄
○大谷贇雄君 それから、さっき、今度の組合は任意加入であるということですが、まあよく、旅館といいますか、終戦直後宿屋がなくなって、個人の家庭を開放してやるというような、やみ宿なんというものは、全国に相当今日でもありますかどうですか。また、そういうものがあっても、これは仕方がないものかどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/100
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101・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) その営業行為が、明らかに旅館業法でいう旅館の行為に該当しておれば、これは、許可を受けないで、もぐりでやることは、旅館業法の違反になるわけでございまして、これをつかみますれば、旅館業法違反で摘発すべき問題でございます。旅館業法の許可を受けた者のみをもってこの同業組合を作るようになっておりまするので、まずその前の問題になるかと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/101
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102・大谷贇雄
○大谷贇雄君 最後にお尋ねをいたしますが、ここ二、三日前の新聞に伝えられるところによりまするというと、東京の旅館が、全国の学童たちが修学旅行に来る、そういう旅館が一斉に百円値上げをすると、こういうことで、PTAなりそのほかの団体が反対の運動をするというような記事が報道をされておったのでありまするが、これらの点についての様子はどんなふうか、お尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/102
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103・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) これは、昨年の夏以来の問題でございました、新聞紙には最近出ましたが、夏以来、関東団体旅館連盟というのがございまして、ああいう団体客を取り扱う三百軒ほどの旅館が、団体客を取り扱う部分の共通性で、一つの連盟のような形を結んでおるわけで、一般客を泊める場合のことではなくて、それだけにつながって結んでいるわけで、これが今までのようでありますと、待遇も非常にあの料金ではできねし、従って、衛生上も非常に悪い待遇しかできぬと、連盟から出しております趣意書のようなものも、私何べんも読みましたが、その中に、むろん今の従業員の待遇問題まで触れておりまして、さようなことで、妥当な最低の料金はこれだけ要るというので、今度旅行側、いわゆる団体側と交渉を始めたのでございます。その間に文部省も、やはり団体側すなわち学校側の監督の立場から介入をされまして、いろいろあっせんに努めておったようでございまするが、なかなか折り合いがつかず、われわれの聞いておりまするところでは、これは、普通の旅館の場合と違いまして、この間に旅行あっせん業というものがございまして、いわゆる旅行社というふうな、これにいろいろ、ピンからキリまである、これがピンはねをするような部分まで含まれておる。あるいは、団体旅行の引率者の無料サービスというような問題があるというようなことで、非常に両方で議論を戦わせた、結論において、そういうものは控除しても、なおかつ、まともなサービスはできぬということで、うまく話がまとまらんで、一方側で、とにかく申し合せとして、今後これだけは契約するというような形をお互いにきめたようでございます。そこで、具体的にいよいよこの契約が始まるわけでございまするが、この春の旅行シーズンを迎えて、そこでごたごたが起りまして、団体側は、そんなに高くては、子供たちで行かれぬ者が出てくるというので、何とか値を下げて契約をしてくれと、こういうことで今進んでおります。もちろん、公正取引委員会の方でも、ああいう事実が社会に喧伝されますと、これは取り上げざるを得なくなって、調査を初めたと、これは確実でございませんが、さようなふうになっておるということを聞いております。これとわれわれの方の旅館業法との関係でございますが、今の同業組合といたしましては、大体は、一般的な宿泊に関するいろいろな問題ということでございまして、ごく特殊なものを中心にしてということにはなりませんが、しかし、やはり相当数の管内の旅館がさような営業形態を持っておることになりますれば、同業組合のいろいろな取りきめの場合にも、団体の場合にはこうという取りきめがこれから出てくるかと思います。今のところは、まだ同業組合としては取りしげておらぬわけでございますが、当然これを通じまして、われわれの方も、これは県ごとになりますから、いまの関東を通じて一つの団体ということは、同業組合の場合にはないことでございまして、全国か府県かということになりますが、この点非常にむずかしい問題ではございますが、これも当然将来は、やはりわれわれの方からも、適正な原価計算等の内容にやはり団体の場合も出てくる、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/103
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104・大谷贇雄
○大谷贇雄君 そこで、今実際、これは重大な私は問題だと思う。全国の小学校、中学校あるいは高等学校の生徒学童たちが、一度は東京へ来て、このいんしんな都に触れる。そして国会も見学をするということは、なかなか人生行路のうちには、東京へも来れぬ人もありましょう。あるいは京都等へも、九州等へもなかなか行きがたいのですから、修学旅行というものは、非常に私はけっこうなことだと思います。従ってこれは、今日でも、この生活扶助を受けておるような方の子弟を旅行せしめるということは困難で、中には、自分たちが貯金をして、そうして一緒に旅行に行こうという美くしい学童たちの思いやりの深いことも聞いておるわけであります。従って、そういう教育的な観点におきましても、旅館の費用というものは、なるべく低廉にしてあげることがすべて大事な問題だと思うのです。今のあなたのお言葉の中にもあり、また、新聞にも出ております。いわゆるあっせん屋、団体屋等がピンはねをしておるというがごときことは、それがいたいけな学童の負担に持ち込まれるというようなことは、これは、人道上から許すべからざることであって、これらについて、全国のそういう大体団体をお泊めなさる旅館というものはわかっておるが、その旅館等も断わりにくいだろうと思う、お客さんを連れてきてもらうのだから。特に何百人の学童を泊めるのだから、断わりにくいだろうと思うが、従って、旅館としては非常に困っている、頭痛鉢巻の問題だろうと私は思うのだが、そのピンはね状況を、あなたの方では実態をつかんでおられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/104
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105・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) この旅館のあっせん業者の問題は、これは、実際は運輸省の方で、正規の正しいものは登録制度にいたしておりまして、ただそのほかに、おそらくいろいろな、もぐりといいますか、非登録のあっせん業者がいるのではないか、かように存じております。私の方では、今の団体旅行のあっせん業者が全国各地に今どのくらいいるかということは、今のところつまびらかにいたしておりませんが、ただ、今のような話は、旅館側からも私聞いておりますし、それから、学校の方の話も、これは個人的でございますが、さような例にぶつかった学校側の話も聞いております。そういうものは、むしろ旅館側からいってもばからしい話でありまして、委託する団体側もばからしい話で、むろんサービスする側とされる側の直接——そういう介入を除くのが一番大事だろう。その点は、われわれの方といたしましては、衛生設備の問題は、これは、旅館業法上やはりわれわれの方は関与する責任もございますので、さような意味で、学童の衛生がそこなわれぬように、それに措置ができるような費用という意味から、こういうピンはね的なものはわれわれとしてもなるべく介入させぬように、直接契約に応ずるようにというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/105
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106・大谷贇雄
○大谷贇雄君 この問題はどうか一つ、ピンはねをやられれば、衛生状態もどうしてもいかんということになってくる。そのしわは全部学校の生徒、学童に寄せられて、そうしてせっかく、一生に一度とは言いませんけれども、そういう人もある修学旅行に対する、なるべく低廉な費用をもって充実をせしめてやっていただく配慮を、今後おそらくその組合の方におきましてもされることと思いますが、厚生省としても、一つ深甚なる配意をお願いをいたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/106
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107・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私、さっきホテルの問題が出ましたから、ホテルの問題について一言伺っておきたいのですけれども、旅館の問題は別にしまして、日本のホテルというのは、少し高過ぎやせぬかということです。それからもう一つ、外国の旅行者が日本へ来て困るのは、どうも日本はアジア一の工業国であり、欧洲並みに進んでいる国でありながら、もう旅館という問題になってくるとアジア並みじゃと、この感じですね。私も、欧州やアジアの一部を回ってきましたけれども、これはほんとうにアジア並みなんです。ものすごく金を取る。で、会議をやるとか、ちょっと外国から日本に来たって、少ししたホテルへ泊れば、もう十ドル以下で泊れるところはない。これは非常に私は問題だと思うのです。日本の旅館宿泊というのは、朝と晩と食事を提供して泊るというのが普通の日本式の旅館でしょうけれども、ホテルは、欧州に行けば、朝御飯提供して幾らという格好のところが多い。そのほかにパンションという格好で、三食つけてやっておる。これを見てみると非常に安いのですね、欧州は。そうしてたとえば停車場へ降りても、飛行場へ降りても、大体どのクラスに泊るという自分の計画に基いて、ホテルがずっとあるわけですよ、外国に行けば。日本は、そういうホテルという名前がついたら、もう雲の上のような感じで、どのホテルに入ったら安いのか高いのかわからぬ。うっかり入ったらとんでもない。さっき一万九千円という話すら聞きましたが、そういう話があるので、外国の旅行者は——遊びに来る人は別ですよ、金を持っておるから。だけれども、日本に会議に来たり、研究に来たりする人がたくさんあるわけです。非常に困っておるのです。私たちが一番振りで来た外国人にこぼされるのはホテルなんですよ。厚生省は、外国のホテルの営業問題についてどう研究されておるか。日本のホテル業者についてどう指導されておるか。私は、そこのところを聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/107
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108・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 結局日本の洋式ホテルは、大体百軒程度でございますが、これは、全旅館の中では非常に少数ではありますが、今のように、外客との関連では非常な問題がございます。われわれ自身、厚生省関係の外人関係会議等を招集したときに、いつもその点、確かに困るのでありまして、これに比しまして、われわれがアメリカあたりへ行ったときの経験から言うと、非常に安い。すなわち、平均的な月給取りの一口計算、たとえば十ドル程度でございますが、これと比べますと、三ドルぐらいで、日本のわれわれが、外国から来る官庁の役人を案内するホテル、バスつきのホテルに泊ることができる。逆に日本で案内しますと三千円ぐらい、ホテルだけで。すなわち十ドルくらいで、逆になる。ところが、日本の国民の収入からいいますと、平均一ドル半くらいということで、月給の方に直しますると一万五、六千円、さような形で、確かにおかしいので、現実に困っておりますが、これの適正料金というものを何から割り出すかということについて、われわれ今まで実際にはあまり考えておらなくて申わけないのですが、現実にどうも不思議だということは確かでございます。今のところ、ホテル協会というものがございまして、主としてこれは、全部観光旅館になっておったものでありますから、同業組合が結ばれる前は、いわゆる観光局の所管ということで、いろいろな形で融資もあっせんされ、また取締りといいますか、監督指導も主としてそこでやっておる、そういう形でありまして、なぜああいう価格になるだけの原価が要るかということについて、われわれ今までノータッチでありましたが、今後やはり同業組合の中に入れば、もちろんこの中できまって扱えますが、今のわれわれの推測では、府県ごとのホテルの数というのは、多くても東京のように十数軒、ない県も多いわけであります。大阪でも、はっきりとホテルと届け出ているのは、三軒か四軒であります。これが同業組合の中に入ってきまして、この組合の中の一つとして指導を受けるということは、あまり推定できないわけでございまして、結局旅館は、われわれの方からいいますと、旅館業法を通じてやる以外にない。ところが、この旅館業法できめております衛生設備とか諸条件、これは飛び切り上等の条件がそろっておるわけです。結局、いまのサービスと、それから料金とが適正かどうかという、いわゆる営業の問題になりますが、この点が、今同業組合を通じない限り、なかなかわれわれの方がタッチしにくいのであります。しいて言えば、たとえば、適切に言えば、税金の方から入っていただいて、非常にばかもうけがあれば、税金でしぼるとかいう形でやっていただく方が一番いいのでありますが、そういうことでこの点はっきりすると思いますが、この点、われわれも非常におかしいと思っておりながら、具体的な手を打たんのは申しわけないのであります。さような事情にあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/108
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109・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 それで私は、厚生省も、外国の衛生面、適正価格の問題も御研究なさっておると思います。御研究なさっておるかどうか知りませんが、体験上皆さん外国のことはよくわかっておると思います。日本には、旅館があっても、外国人というのは大体、寝台で、ああいう式のものでないとよう泊らんですからね。そうした人が、簡単に日本に来ればホテルで参ってしまう。これは、非常に私は問題だと思うのです。それじゃ固定資産税もたくさんかかっておるかどうかというと、私のちょっと調べたところにおいては、ある府県では、固定資産税を全部免税にしているという措置をとっておるということも聞いておりますし、そういう恩典を受けながら、まあ突き詰めていくと、暴利をむさぼっているという以外に何もない。それが外国人の日本に対する信頼度というか、信用度というか、これは私は、非常に影響があると思うんです。私も、アジアの国で、タイに泊りましたが、それは、二人部屋で、一人十ドルずつ取られたんですが、これには驚いて、何をか言わんという格好でした。アジアの国は、そういう格好で高い。欧州でもアメリカでも非常に安い。それで、簡単に仕事に行っても泊れる。また、パンシォンに泊れば、三食つきで、日本の金にして千円足らずで三食ついている。ちょっと上のホテルでは、日本の金にして千円ですね。三ドルか、せいぜい四ドル近く出せば、もうりっぱなバスつきの部屋があるというのですからね。それはもう、国際共通ですよ、このシステムは。だから、日本も、外国人が泊るのはホテルに限られているといっていいくらいですから、これは一つ、どこが監督行政を持って、適正価格をきめるのか知らないけれども、せんじ詰めれば私は厚生省だと思うんですよ。衛生と適正価格の問題まで入ってきたら、私は、監督行政は厚生省だと思います。だから厚生省は、日本と外国との関係、この点についてうんと研究をして、適正にこれをやってもらわないと、ただ泊った泊らぬだけの問題じゃなしに、国と国との関係にまで影響すると私は思うんです。それで、残念ながらこの表を見ますと、ホテル営業に三十五件も今の問題が出てきているということを見て、最高度の衛生設備で、最高度の法律できまっているとおっしゃるけれども、三十五軒も売春行為で摘発されているということを見ると、ますますもって私は、どうもふに落ちないわけです。これは一つ部長、いずれあとで問題になると思いますが、これはしっかりやってもらいたいと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/109
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110・大谷贇雄
○大谷贇雄君 今お話が出ましたが、これは、観光日本を樹立しなければならない、その点から、やはりホテルというものは非常に大事な問題です。で、私さっき言いましたけれども、さっきの話は極端な例なんです。福岡のホテルなどはりっぱなホテルです。委員長御郷里のホテルはりっぱです。それから、函館のホテルもりっぱで、なかなかサービスもよく、しかも安い。従って、やはり百軒あるというこのホテル協会に対しまして、厚生省として適切なる御処置をおとり願いたいと思うのです。むろん適正なる価格ということは、一般の旅館についても同様なことでありますが、暴利などには絶対にならぬように御指導願いたいということと、それから、ここにホテル営業百軒の中に三十五軒あるんですよ。三分の一、そんなあほうなことはないでしょう。これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/110
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111・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) これは、防犯課に確かめないで申し上げまして、申しわけないんでありますが、今の新しい旅館業法に基くあの分類定義、これのホテル営業としてのものでありまして警察で考えておりますのはああいう分類じゃないのでありまして、名前によったんだろうと思います。ほんとうの意味ですと、半数がそういうようなことになりますので、かようなことは考えられないので、これは確かめてみます。それから、いまのホテルについて、両委員からお話がございましたように、できるだけ適正料金になるように、ことに今お話のように、モデル的なものがありますと、さようなものを手がかりにして、かようなものができているじゃないかということで、指導しやすい。もう一つは、国立公園部を通じまして、確かに厚生省も観光問題の大きな分担を持っておる。ユース・ホステルというものが今度できるというので、あの考えで、やはり最初から洋室であるが、安くサービスするというものができやすいようにやっていきまして、競争さしていく、そうすれば、おのずから是正されるのではないか、かような形の方がいいんではないかと、私見でございますが、さように努力したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/111
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112・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 本案に対する本日の審議は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/112
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113・阿具根登
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十八分散会三月六日本委員会に左の案件を付託された。
一、衛生検査技師法案(衆)(予備審
査のための付託は三月四百)
一、児童福祉法の一部を改正する法
律案(予備審査のための付託は二
月十五日)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814410X01219580311/113
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