1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十五日(火曜日)
午前十一時二分開会
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委員の異動
本日委員竹中勝男君辞任につき、その
補欠として岡三郎君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 近藤 信一君
理事
青柳 秀夫君
古池 信三君
阿部 竹松君
相馬 助治君
委員
大谷 贇雄君
小澤久太郎君
小幡 治和君
小滝 彬君
小西 英雄君
西川彌平治君
高橋進太郎君
海野 三朗君
岡 三郎君
島 清君
椿 繁夫君
豊田 雅孝君
大竹平八郎君
衆議院議員
科学技術振興対
策特別委員長 齋藤 憲三君
前田 正男君
政府委員
科学技術政務次
官 吉田 萬次君
科学技術庁長官
官房長 原田 久君
科学技術庁企画
調整局長 鈴江 康平君
通商産業政務次
官 白浜 仁吉君
通商産業大臣官
房長 齋藤 正年君
通商産業省軽工
業局長 森 誓夫君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○理化学研究所法案(内閣提出、衆議
院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○合成ゴム製造事業特別措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/0
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001・阿部竹松
○理事(阿部竹松君) これより商工委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告申し上げます。
本日竹中勝男君が辞任され、岡三郎君がその後任として選任されました。御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/1
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002・阿部竹松
○理事(阿部竹松君) 先ほど委員長及び理事打合せ会において協議しました結果、本日は午前中、まず理化学研究所法案を審査いたしまして、政府側から内容の説明、衆議院側から修正点の説明をお聞きいたしまして、午後は劈頭に小倉炭鉱の災害問題について質疑を行い、そのあとで合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案を審査したいと思いますので、その点御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/2
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003・阿部竹松
○理事(阿部竹松君) まず、理化学研究所法案を議題といたします。本法案の内容について、御説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/3
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004・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) 理化学研究所法案につきまして、概要を申し上げさせていただきますが、理化学研究所法案を提案いたしました理由につきましては、先般提案理由で申し上げましたように、従来の科学研究所はもっとも財団法人の理化学研究所でございましたが、戦後これを株式会社組織に改めたのでございます。しかしながら、この研究所は従来財団法人の研究所でございまして、いわゆる営利目的を主といたしまする株式会社の運営といたしましては、研究の内容並びに研究者の素質からいいましても、きわめて不適当であるということがはっきりいたしました。しかも、当研究所のねらっておりますことは、大学におきまする基礎研究とは違うのでありますが、しかしながら、一般の産業界の研究とも違いまして、その中間の結びつきに重点を置くというような考え方でございますと、いわゆる営利だけを目的とするような株式会社の組織としては不適当であるということがはっきりいたしたのでございます。そしてそういった関係で株式会社組織を改めまして、そういった特殊法人の組織にいたしたわけでございますが、なお、そういった基礎研究とそれから応用研究の結びつきというような点につきましては、わが国の研究機関におきましても、各方面において、あまり行われてない分野でございますので、こういったところを国としても重点的にやる必要があるということから、これに対しまして特段の政府の援助と申しますか、出資をいたしまして、それを強化するという必要に迫られたわけでございます。従いまして、今回この従来の株式会社科学研究所を特殊法人の理化学研究所に改めまして、政府の出資金を、半ば以上常に出すということにいたしまして、資金的にもそれを強化いたしまして、そういった国の必要とする研究に重点を置いて仕事をさせたいというわけでございます。なお、それに付帯いたしまして、新しい任務といたしまして、新技術の開発という業務をこの理研の任務として加えたわけでございます。こういった新技術の開発業務につきましては、後刻申し上げさせていただきますが、株式会社組織というよりはやはり国家的な目的を持つものでございますので、特殊法人組織の研究所の方が適当であるとそういった理由もございまして、今回特殊法人に改めたわけでございます。
そして法案の第一条から、要点について簡単に御説明させていただきたいと思いますが、第一条は、理化学研究所の目的を書いてございますが、ここにございますように、理化学研究所は、科学技術に関する試験研究を総合的に行うということが書いてございます。この研究所の特色といたしましては、従来のほかの研究所とだいぶ違いますことは、総合的に研究を実施するということが大きな特徴でございます。総合的と申しますのは、先ほど申し上げましたような大学の基礎研究に次ぐ研究の目的を持ちまして、それをさらに応用的に発展させるという研究、並びにそれを一貫いたしまして必要な応用化試験あるいは工業化試験を行うというような二つの面におきます総合的な研究を行わせると同時に、また、特定の研究につきましても、現在の研究というか、各般の技術を要するわけでございますが、それを一つの問題につきましても、あるいは化学、あるいは電気、あるいは金属といったような各般の、各分野の研究者がおりまして、それを総合的にその研究目的にチーム・ワークをとりまして、実施していくというような総合的という意味もあるのでございまして、縦並びに横、そういったような関係から、総合的に一つの研究テーマを完成していくというねらいがあるわけでございます。
それからそのあとにございます「新技術の開発を効率的に実施」するというのがございますが、これはわが国におきまして、国産技術というものが、相当生まれておるわけでございます。これらがやはり工業所有権も得られておるのでございますが、しかしながら、なかなか日本におきましては、それが工業化されないという事態もございます。と申しますのは、やはり日本の技術というのは、幾分諸外国に比べまして、後進的でございますので、何といいましても企業界におきましては、外国の技術に頼るという傾向が非常に強いわけでございまして、国産の技術がございましても、やはりそれは利用しにくい、むしろ、外国においてすでに企業化されておりまする技術を買い入れまして、それによって事業を行うという傾向が非常に強いわけでございますので、こういった状態を脱皮いたしまして、国産技術を企業化せしめるという任務をこれに負わしたわけでございます。この方法については、さらにあとから申し上げたいと思いますが、そういうことをねらいまして、この新しい研究所、理化学研究所の任務にいたしたわけでございます。
それから第二条におきまして「新技術」という定義が書いてございますが、ここにありますように「国民経済上重要な科学技術に関する試験研究の成果」でございまして、まだこれが「企業化されていない」、要するに、国産技術でありまして、しかも企業化されていない重要な研究でございます。そういうようなものを取り上げたい。
それからここにあります「開発」という定義がございますが、これはこういった「試験研究成果を企業的規模において実施」させる、今までわが国におきましても工業化試験というようなものもあったわけでございますが、しかし、それは応用研究をさらに大規模においてやるという程度でございますが、先ほど申し上げましたように、その程度では、まだまだ日本の産業界においては日本の技術を使いにくい。これが少くとも企業の採算規模において十分それがやれるかどうかということをやらせる、そういうことをやりまして、それが非常に成功いたしますれば、それを企業といたしまして企業家にその企業を譲る。しかも、将来はそのロイヤリティをもらいまして、事業によって得ました利益のうちからロイヤリティとしてそれを回収していくというわけでございます。ちょうど外国の技術を買いましてロイヤリティを払うと同じような状態を、この機会において行わしめたいというわけでございます。
それから第三条は、法人ということでございますが、特に問題はございません。
それから第四条も、大したことはないのでございますが、第五条にいきまして、これは「研究所の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。」と書いてございますが、大体ただいまのところ本年度末におきまして現在の株式会社科研は政府資金が三億五千万円ございます。出資金が三億五千万円ございまして、そのほかは民間から出資されております金が大体四億八百万円ございます。多少まだ十日ばかり時日がございますから、出資金の増額が多少あるかと思います。大体のところはその程度でございまして、そういうものを合せまして七億以上の資本金に本年度末にはなるわけでございますが、これらが新しい研究所の資本金になる。それからそのほかにさらに来年度政府から出資を予定しておりまする資金三億三千万円ございますが、それと、それからなおそのほかに民間から出資を予定しておりまするそういうものも入りました金が、この新しい理研の資本金になるわけでございます。
それから第五条の第四項でございますが、先ほど申し上げましたように、「政府の出資額は、常時、研究所の資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。」ということでございまして、まず研究所に対しましては、政府が大いに資本を出して、事業の安定をはかるという意思を、ここに示したわけでございます。しかしながら、実際問題といたしましても、来年度から、民間の出資が現在ではなかなか得にくい状態でございますので、事実上まあ二分の一以上になるということも考えられるわけであります。
それからその他第五項といたしまして、第五項には「政府は、研究所に出資するときは、土地又は建物その他の土地の定着物をもって出資の目的とすることができる。」ということでございますが、これは従来は政府の出資金は予算に計上されました金額だけであったわけでございますが、今後は土地建物についても政府から出資をできるようにいたしたいというわけでございます。
その他六項、七項はあまり問題ないかと思います。
第六条におきまして「研究所は、出資に対し出資証券を発行する。」というのでございまして、これは従来の株主が新しい出資者になってもらうわけでございますが、それを勘案いたしまして出資証券を発行する。出資証券は記名式でありまして、私ども有価証券であるというふうに解釈しているわけでございます。
第七条は、定款でございますが、これはまあ大体例文でございます。それからまあ第七条の第二項でありますが、定款の変更は、政府の承認を得ることになっておるわけでございます。
それからあとは、第九条は名称の使用制限でございまして、「研究所でない者は、理化学研究所という名称を用いてはならない。」ということでございます。
それから十条につきましても、大体組織法人の例文でありまして、こういった法人の不法行為能力とか、名前とか、あるいは住所の変更等については、民法を準用するというわけでございます。
第二章に入りまして役員及び職員でございますが、第十一条には、役員が規定してございますが、「理事長一人、副理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内」ということにいたしたわけでございまして、現在株式会社の、科研におきましては役員七名、取締役七名監査役二名でございまして、数におきましては従来と同じでございます。それから理事長、副理事長、理事等の仕事は第十二条にそれぞれ書いてございます。
役員の任命につきましては、第十三条におきまして、理事と監事は総理大臣が任命するわけでございます。「副理事長及び理事は、理事長の意見を聞いて、内閣総理大臣が任命する」という規定がございます。
十四条は、役員の任期でございます。
それから十五条の役員の欠格条項でございますが、これは一号から四号までございまして、私どもの所管いたしておりまする原子力委員会、あるいは国の原子燃料公社等と同じ条文でございますが、この点につきましては、衆議院の方で御修正になった点でございます。十五条の第一項第二号でございますが、この点は衆議院の御説明があるかと思います。
第十六条も、これも例文でございます。
第十七条、役員の兼職禁止でございますが、これも大体例文でございまして「役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」という制限規定を設けております。
第十八条、十九条、二十条等も例文でございます。
〔理事阿部竹松君退席、委員長着席〕
それから二十一条に秘密保持の義務が規定してございます。これは「役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用してはならない。」という規定がございます。その理化学研究所はやはり新しい技術を開発して参ります関係上、そういった技術が工業所有権にならないうちに、外に漏れるということがありましても、その研究成果の運用上非常にまずい点が生じます。また、外部の委託研究等を受ける制度もございます。あるいはまた、新技術を開発するという面もございますのですが、そういった場合に、その技術上取得しました問題を、外部に漏らされましては、運営上非常に困るという点がございますので、特にこの規定を置いた次第でございます。
第二十二条は、一般的な例文でございますが、役職員が刑法上の涜職罪あるいは公文書偽造の罪ということを犯してはならないという規定でございます。
それから次に、第三章にわたりまして開発委員会でございますが、この研究所に開発委員会を置くということになっております。これは新技術開発という新しい任務をいたしますときに、その業務が特殊なものでございますので、こういった開発委員会を置きまして、十分御審議を願った上で、その事業を遂行していきたいというわけでございます。
その委員会の審議事項といたしまして二十四条にあるわけでございますが、すなわち、「開発をすべき新技術の選定に関する事項」あるいは二号といたしまして、「新技術の開発を委託する企業の選定に関する事項」及び「新技術の開発に関する実施計画に関する事項」、「四、開発実施計画の実施の結果の成否の認定に関する事項」、「五、新技術の開発の成果を実施させる企業の選定及び実施条件に関する事項」というのがございます。ここで概略、新技術の開発の方式を申し上げさしていただきたいと思うのでございいますが、先ほど申し上げましたように、新しい国産技術であってしかも重要なものが、企業界において使われないものが多々ございますのですが、そういったようなものを、企業家に、わが国におきましてそれを企業化させるというやり方といたしまして、まずそういった技術を十分調査いたすわけでございます。こういったような技術は、まあ大学あるいは国立研究機関、あるいは財団法人等の研究所においていろいろ研究成果がありましても、使われないものがいろいろございます。それから、民間の会社におきまする研究成果は、これはまあ大体それぞれの会社が、自分の意欲でもってやられる場合が多いのでございますので、あまり残されたものはないと思うのでございますけれども、主としてそういった公共的な機関におきまする研究成果と申しますものは、何といいましても、企業界との結びつきが悪い。自分の会社でやりましたものとは違いまして悪いわけでございまして、残されておるそういうものを、そのうちから重要なものを選びまして、これを開発するということをきめるわけでございますが、そのやり方といたしましてはこの理研自体が工場を作り、そこで、企業化を行うというわけではございませんで、そういうことをいたしますれば、これは設備等においてもきりがないからでございまして、そういった技術を適当な企業家に委託いたしまして、そこで、最小規模の採算のとれる企業をやってもらうわけでございます。技術的には十分検討してもらって、これは大丈夫だろうというものをそういったものに委託をいたしまして、それに対しまする資金は、これを理研から支出するわけでございます。それで、実施を委託しまして、それがうまくいきました場合には、それはその企業家に引き取ってもらうわけでありまして、成功いたしましたものは引き取ってもらい、なお、その残余の設備等については、価額がございますから、それは買い取ってもらうということでございます。でございますから、成功いたしますればその施設は企業として非常に役立つわけでございまするので、そのまま企業として成り立ち得る。そして、失敗いたしますれば、これは理研の負担になるわけでございます。で、企業といたしまして、漸次収益を見て参りますれば、収益の何%かは、ロイヤリティといたしまして、この機関に支払いをしてもらうわけでございます。従いまして、こういった幾つかのテーマを実施いたしまして、それがうまくいきますれば、ロイヤリティ収入が相当期待できるわけでございまするので、従って、その中でたまには不成功のものがございましても、これをカバーできるといったような、相互扶助の関係がそこに生ずるわけでございます。その場合に、工業所有権がございまするが、特許権につきましては、これは理研に帰属するようにいたすわけでございまして、すなわち、技術の成果は理研のものであり、それを使う者は各企業家であって、それに対するロイヤリティを払ってもらうその場合に、特定の、委託しました企業家のみがその技術を実施するというわけではございませんので、そのほかにもその技術を使いたいというところがございますれば、それをやはり使ってもらって、同じくこのロイヤリティを払ってもらうというやり方でございます。この方式につきましては、海外におきましても、イギリスにおいて公社組織でやっておりまして、約八年程度経過してございますが、当初は赤字でございましたけれども、漸次好転して参りまして、近く赤字が解消するだろうという見通しを持っておりますし、アメリカにおいては民間会社の組織でやっておりますが、これは収益をただいま見ております。カナダにおきましても、ほぼ同様な機構をもちましてやっておるわけでありまするが、これも成功しております。こういうような各国の例もあるわけでございまするが、私どもも、ぜひ新しいこういったやり方をやりまして、わが国の国産技術が企業界に導入されるということを期待しているわけでございます。これらの問題につきましては、やはり相当の権威者の御意見を聞きまして、あやまちなきを期したいというような意味をもちまして、この開発委員会を設けまして、これらの問題については、委員会の議を経なければならないということを二十四条に規定しているわけでございます。これらの委員のことにつきましては、第二十五条にございますように、委員会は、委員十人以内及び理事長をもって組織することになっております。委員会には、委員長その他いろいろの規定が書いてございますが、特段の問題はないかと思います。
第二十六条の委員の任命でございますが、これには「科学技術に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」ということになっておりまして、任期は、二十七条にございますように、二年でございます。
第四章に入りまして、第二十九条でございます。これは研究所の目的を達成するための業務ということになっておりますが、第一号は「科学技術に関する試験研究を行うこと。」科学技術に関する試験研究という字は、非常に大きく、範囲が広いようでございますが、先ほど申し上げたように、まあ大学の基礎研究を除きまして、それ以外の研究、つまり基礎的な分野から工業化の分野まで一貫して研究も行いますし、あるいは各方面の研究者を網羅しまして研究に取り組むというような、いろいろのやり方がございますけれども、科学技術に関する試験研究、広い意味においての試験研究が行われることができるようにしたい。
第二号におきましては、先ほど申し上げましたような「企業化が著しく困難な新技術について企業に委託して開発を行うこと。」ほかの企業者が自身でやりたいというようなものにつきましては、何らこの研究所は注意する必要はないのでございますが、せっかくいい国産技術がありながら企業化されないというものにつきましては、別にこういう国家的な事業を行いたいと思うわけでございます。
第三号は、前二号の成果の普及の問題でございまして、これも当然新しい技術成果を普及いたしまして、各方面に使ってもらうようにいたします。また試験研究の成果も同様に各方面に使ってもらうようにいたしたいと思います。
第四号は「新技術の開発について企業にあっせんすること。」ということがございます。これは第二号との関係がございますが、第二号の方は、委託をして、そして企業化が著しく困難な新技術につきましては、資金を出しまして企業に委託して開発を行うわけでございますが、第四号の方は、せっかくの新技術が知られていないという場合がございますので、それをまず知らせる。企業界に紹介をいたしまして、それだけで、利用企業家と発明者との間におきまして、工業所有権の実施契約ができますれば、それでけっこうでございますので、そういった事業も理研が行いたい。そうやることによって、それでもどうしてもせっかくのいい技術でありますけれども、企業家が乗り出さないという場合におきまして、第二号の方式による開発方式をとるわけでございます。
第五号といたしましては「前各号の業務に附帯する業務」これはいろいろ調査の問題とか、試験の問題、性能試験というような問題もございます。そういった試験もできることになっております。
第六号といたしまして、「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務」というのがございますが、これはまあ試作品等におきます研究、この試験の試作品で、あまり外部においては生産されないようなもの、現在も生産あるいは販売もいたしておりますが、そういったような業務をいたすことができるようになっておるわけでございまして、ただいま科研の現在やっておりますのでは、御承知のような放射線の線量計といったようなものがございますが、そういったものを科研の研究成果を製品化いたしておるような次第でございます。
で、なお第二項にございますように、第六号の事業は、これは民間の業界の仕事とある程度競合する点もございますので、これはあまり民間とそういうことのないようにという意味におきまして、内閣総理大臣の認可を受けて、認可のもとにやり得るようにいたしておる次第でございます。
それから業務の方法でございますが、業務を開始する場合に、業務方法書を作成いたしまして総理大臣の認可を受けるということでございます。
第三十一条は、開発実施計画の認可でございまして、先ほど申し上げました新技術の開発の実施計画につきましては、やはり総理大臣の承認を要する事項といたしております。
それから第五章でありますが、三十三条に事業計画、資金計画等、これにつきましてやはり政府の、総理大臣の承認を受けるという事項にいたしておる次第でございます。
それから決算の三十四条、三十五条、三十六条等は、いずれも同じでございまして、別にないかと思います。
三十七条も、原子力研究所その他と同じでございますが、ただ、三十七条で御説明さしていただくことは第三項でございまして、これも大体原子力研究所と同じでございますが、出資金に対しましては利益金が生じました場合には配分ができることがあるわけでございますが、そのときに千分の五十に、ここにありますような民間出資に対しまする優先配当という規定でございまして、その割合等につきましては、ここに書いてございますけれども、大体原子力研究所にあわせまして作成いたしたわけでございます。
それから三十八条でございますが、借入金の問題につきましては、これは内閣総理大臣の認可を得ました場合にのみ、借り入れができるという規定でございます。
それから三十九条余裕金の運用、その他四十条、四十一条は制限及び委任でございます。
それから第六章の監督規定でございますが、四十二条にございますように、内閣総理大臣が監督することになっておりまして、その他四十三条等につきましても、同様でございます。
それから第七章雑則でございますが、これは第四十四条に解散の規定がありますが、解散につきましては附則にまたうたっておるわけでございます。
第四十五条は、これは総理大臣の権限を科学技術庁長官に委任いたしまする事項でございます。
それから第四十六条には、関係大臣との協議というのがございまして、大体事業計画あるいは資金計画等につきましては、大蔵大臣と協議することになっております。それから第二項におきましては、新技術を開発いたしまする場合には、その物資を生産いたしまする所管大臣と協議をするということの規定をしておるわけでありまして、これは当然新技術の開発というものは、それぞれの産業行政との密接な関係がございますので、特に各省大臣との関係を規定しておるわけでございます。
それから第八章は罰則でございまして、これも大体原子力研究所その他とあわせておるわけでございまして、特に御説明はないかと思います。
それから次に二十五ページの附則に入りまして、施行期日が第一条に書いでございます。それでこの法律の第一条にございますが、「公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」というのでございまして、これは研究所設立予想の日から施行するわけでございますが、従来の経験からいたしまして、従来の経験といいますのは、財団法人が株式会社に切りかわる、また、株式会社の科学研究所が法律によりまする科学研究所に改組いたしました場合の経験、そういうことを考えてみますると、この切りかえの手続に要しまする日数が五月程度かかるのでございます。それはいろいろ資産の評価等がございますので、そういった事情を考えますと五カ月程度かかるのじゃないか、六カ月以内には、新しい特殊法人の理化学研究所ができるだろうということを予想いたしまして、公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内ということにいたしておるわけでございます。
それから研究所の設立につきまして第二条に書いてありますが、これはいずれも設立委員会を設けるというような趣旨の規定が書いてございまして、それによって新しい研究所の準備を行うということになっておる次第でございます。
それから第三条は、株式会社科学研究所の出資、解散の規定でございまして、これは従来はやはり株式会社でございますので、第三条にございますように株主総会の決議を経まして、研究所に対してその営業の全部を出資することができるということにいたすわけでございます。現在株主の大体の意向を伺っておるわけでございますが、いずれも、この新しい特殊法人の設立につきましては、賛意を表しておりまして、自分の今まで持っております株式を、今度の研究所に切りかえることにつきましては、ほとんど異存がないということを聞いております。その点第二項、第三項等におきまして規定しておるわけでございますので、特に第三項におきましては株式会社科学研究所は、第一項の規定により出資をする場合には、研究所の成立のときに解散するのである、その一切の権利及び義務は研究所に承継されるということでございまするので、まあ権利義務の関係においては、あまり御迷惑をかけることはないというふうに考えております。
それから評価審査会等が第四条に書いてございますが、これも特段の規定ではございません。
それから経過規定その他特に申し上げることはございませんが、ただ、第九条に登録税法の一部改正の点がここに出してございますが、これは登録税法は原子力研究所と同じように免税されるという措置が、これによって規定されるわけでございます。
それから地方税法の一部改正でございますが、第十条の地方税法の一部を次のように改正するという法律で、日本原子力研究所の次に理化学研究所の名前を入れるわけでございます。この内容は、いわゆる不動産取得税がこれによって免税になるということでございます。
その他第十一条は、従来の株式会社科学研究所を理化学研究所に改めたわけでございます。租税特別措置法におきましては、株式会社科学研究所というものがなくなったわけでございまして、それが落ちるわけでございます。
以上で、はなはだ簡単でございましたけれども、大体の御説明を終らしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/4
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005・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 次に、衆議院における修正点について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/5
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006・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) ここにわれわれの衆議院の科学技術特別委員会の委員長の齋藤憲三君の出席がございますところを、私が修正案の提出者でありますので、趣旨説明をいたします。
この修正案は、第十五条の役員の欠格条項の第二に、「政党の役員」というのがありますが、これを修正いたしまして削ったのでございます。
この修正案は、自由民主党に日本社会党の共同提案でありまして、衆議院におきましては、委員会もまた本会議も、満場一致で通過いたしたような次第でございます。
その修正案の提案理由といたしましては、この理化学研究所の役員というものは、あまり政党的に片寄った行動をしては困る、こういう意味でこの法案に入っておったのじゃないかと思うのでありますけれども、本来科学技術の研究をするこういうふうな問題は、超党派的にこれは日本の国家的な立場からやるべきものでありまして、当然この役員に任命されるような方は、そういうふうな考え方でおられますし、また、そういう適任者を総理大臣その他任命されると思うのでありまして、従いましてわざわざ欠格条項にする必要はないのでありまして、自然、私どもといたしましては適任者が選ばれると思います。また、現在の政治情勢から見まして、二大政党の対立いたしました時代に、ほとんど有力な方たちは政党の役員になっておられる。こういうふうなことでございまして、健全な政党政治を発展する上から見ましても、私は個人としての固有の権利、こういう意味におきましては、やはり政治活動というものは認めなければならぬのじゃないかと思うのであります。ただし、この理化学研究所の役員という立場におきましては、当然研究というようなものは超党派的にまたやるべきものでありまして、当然政治的な片寄った行動はとらるべきでない、こういうふうに考えておりまして、そういう点において広い範囲において適格者を役員に任命できる、また、健全な政党政治を発展させると、こういうような点からも、また個人の権利というような点からも、欠格条項を除いたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/6
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007・近藤信一
○委員長(近藤信一君) それでは本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/7
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008・海野三朗
○海野三朗君 私はこのたびのこの法案は、まことに時宜に適したものであると存じますが、この法案の忘れてはならない重要なることが見落されておるように思われますから、この点についてお伺いをいたしたいのであります。第一条に、「理化学研究所は、科学技術に関する試験研究を総合的に行い、」とありまするが、科学技術としましたのはどういうわけでありますか、これは科学の基礎研究に重きを置いていない、技術の応用に重きを置いておるということがうかがわれるのでありますが、かつての理研において第一国会のときに、この株式会社法案が出ました、その際に私はるる述べたのでありますが、この基礎研究をないがしろにしておっては技術が生まれてこない。それで基礎研究に力を入れてやらなければならない。仁科博士はサイクロトロンを作る際にも、あまたの抵抗があって、そんな基礎研究はやる必要がないという議論と戦って、そうしてあのサイクロトロンを作った。ところが、そのサイクロトロンは何であるかといえば、今日の核分裂と融合に関係のある基礎になる装置である。そういうものが技術には直接関係なかった、その当時は。ところが、その基礎研究からして今日の驚くべき技術の発展が生まれてきておるので、この基礎研究こそ、最も大事でありまするから、科学技術に関する試験研究とありますのは、どうなのですか、科学に関する研究を総合的に行いというのが、ほんとうではありませんか、またずっと読んでみますと、「並びにこれらの試験研究及び新技術の開発」ということをうたっておりますが、新技術の開発も、それのみを言っちゃいけないのである、新技術の開発こそは、基礎研究から生まれてくるものである。その基礎研究をないがしろにしておりまするから、今日諸外国から技術をならって、まねてやっておるような日本の現状である。私はこの第一条の理化学研究所の目的、この法案についてのこの条文が条文からして私は不備であると存じますが、御当局の御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/8
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009・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) ここに書いてございます科学技術というのは、先ほど申し上げましたように、かなり広い範囲にわたっておるわけでございます。従いまして、この科学技術の中には基礎研究も入っておりますし、それから基礎研究をさらに発展いたしまして、応用的に試験研究をする場合も入っております。ほかに工業試験も入るということでございます。従いまして、ここにあります科学技術という意味は、技術という方に重点を置いて、基礎研究に重点を置かないという意味ではございません。ただ申し上げたいことは、いわゆる大学の基礎研究とは多少趣きを異にするということを申し上げたいのでございますが、大学におきまする、大学はたくさんございますが、そこにおきまする研究は、いわゆる目的を定めない自由なる研究でございます。基礎研究でございます。こちらの方の理化学研究所におきましては、そういった基礎研究ももちろんもとにいたすわけでございますが、それらの研究を、さらにもう一歩新しい国内の技術と申しますか、国産技術を生むという方向に目的を持ちましたそういったもとになるいわゆる目的基礎研究と申しますか、そういった研究に重点が置かれることになるだろうと思います。従来理化学研究所、昔の理化学研究所のときにおきましても、そういった研究が主体であったように聞いておるわけでごいます。それはもちろん、大学の基礎研究と両々相待ちまして国の科学技術を進めて参ったのでございますが、私どももその行き方は踏襲すべきじゃなかろうかというふうに考えております。しかしながら、必ずしもその目的を基礎研究にばかり限定するということもございませんで、いわゆる科研として従来から格式のありましたような基礎研究は、それはやはり伸ばすべきだろうという考えでございますので、これはかなり広い意味というふうに御解釈願いたいと思いますし、また、研究いたしましてもいわゆる民間会社のやりまするような産業的な研究ということは、むしろここではねらいではございませんで、そういったところでやれない、また大学でやれない、大学とその間を結びつける目的基礎研究というところに、まず重点を置かるべきであろうと存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/9
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010・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 前田衆議院議員は御都合で長くここにおれないので、修正点の質問がありましたならば、それからお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/10
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011・相馬助治
○相馬助治君 それでは委員長のお話しによって前田代議士に一点お尋ねしたいと思うのです。この衆議院における修正は、かなり新聞等に取り上げられて、あるいは修正者の意図した以上に反響が大きく、ある種の新聞は漫画まで書いて、落選代議士がみんなこの役員になるかのごとき話にまで伝わったことは、御承知の通りだと思うのです、そこで、一点この修正に至るまでの経緯で伺いたいことは、御承知の通りに、今政党内閣で与党の政策審議会というものも、相当にこの立案した精神というものが、政府部内に滲透もしておるはずであるのにもかかわらず、与党内部から強い意思が出て、こういう修正がされるくらいならば、もともと法案を政府が提出する自体において、欠格条項からこの二号というものは外して出したならば、あんな騒ぎがなかったとすら思うわけなんです。そこで、その点は一体法案作成の過程においてどうなっていたのか、衆議院に出てから、与党内部においてこのことに気づいて修正すべしというような意見が台頭して修正する段階になったのか。この修正論の起きた直接の動機は何なのか。これらについて経緯でけっこうでございまするから、一応参考に承わっておきたい思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/11
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012・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) 今のお話しの点は、まことにごもっともな点でありまして、実はこの法案を党といたしまして審議しますときにも、いろいろと問題があったんでありますが、これは一応ほかの例文の中にも、ほかの、たとえば原子力研究所などの例文等にもなっておるというようなことと、まあ法制局がそういうことを政府として提案するときに、従来の例文でやってくれという意見もあったそうであります。しかし、実はそれ以外に、政党の役員が欠格条項になるという問題が、いろいろ今回の提案になる法案にありまして、われわれの党におきましても、実は総務会でこの問題が相当一般論として討議されましていろいろと調べてみましたところ、終戦直後に司令部の命令であったんじゃないかと、実は誤解をしておったんでありますが、その終戦直後の法案に入ってないものがほとんどでありまして、入っているものがごくわずかしかない。そうして昭和二十六年ごろから入っておるようになってきておるというふうな例がありまして、これはいろいろと政党の政治の発展というような問題から考えて、特に二大政党時代になって根本的に再検討すべきじゃないか、こういうふうなわれわれの方の党から議論が出ました。これはまた、日本社会党においても同じような御意見が出て参りまして、要するに新聞なんかでは、落選代議士ということが書いてありますが、われわれはそういうふうなことは考えておりません。ただ、任命者がお考えになるわけでありますが、また、そういうようなことは、御承知の通り政党の役員というものは、何も辞退ができないというものではありませんから、いつでもやめて入ろうと思えば入れないことはないのでありまして、そんな意味のものとは違うのでありまして、われわれといたしましては、健全な政党政治というものが今後発展していかなければならないし、それはまた、中央から地方まで発展していくべきであるし、同時に、個人の固有の権利であるし、われわれはそういう点から考えまして、この役員の本質的なものは超党派的なものでありますから、こういうものは欠格条項から省いてもいいのではないか。こういうことにきまったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/12
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013・相馬助治
○相馬助治君 それまでの経緯はわかりましたが、同じような目的を持つ研究所、あるいは公団のようなもので、当然国家的な観点から超党派的に扱われるべき内容を持つもので、この役員の欠格条項に政党役員を入れて、すでに立法化されているものがあるわけです。従って今度この法律で政党役員を欠格条項から削ったという衆議院の委員会の意思というものは、さかのぼってできている法律についても、同じような性格のものについては、ゆくゆくは、役員の欠格条項に政党役員というものを削ろうとする積極的な意思を含めて修正され、修正案が出ておりますか。それとも今のところは、そこまでは考えていない。ともかく今度の法律については、さしあたりこの欠格条項については、原案を修正するのだという程度なのですか。その辺について差しつかえなくば与党内部の政調会その他における論議があったならば、それを加えて一つ率直に参考に承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/13
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014・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) これは与党だけでありませんで、野党の方たちとも一緒に議院運営委員会においてもそういう話し合いが出ましたり、その他設置法関係を担当しております衆議院の内閣委員会におきましても、その意見が与野党ともに出まして、そこでこの法案に伴いまして、当然現在提案になっておりました科学技術会議というものがございますけれども、これは同様の趣旨で、衆議院はやはり満場一致で修正いたしております。そのほか、今度の国会に提案になってるものでは、間に合いましたものは、たとえば酪農の資金なんかの法案だったと思いますが、これは提案までに間に合いましたので、たしか削って提案さしております。そういうような点で、今後のものはこういう趣旨のもので、特別のものは困りますけれども、大体法案の内容から見まして、当然超党派的にやるべきようなものは、あるいは公務員法が適用されるとかいうようなものは、当然除いていったらいいじゃないか。こう思っておるのでありますが、将来の問題については、実は私たちも党において十分相談をいたして、現在のものは同様の趣旨でやっていきたいと思いますけれども、過去にでき上ったものについては、よく党においても相談をいたしたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/14
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015・海野三朗
○海野三朗君 ただいまも私申し上げましたように、この理化学研究所法案は、まことにけっこうな法案ではありますが、政府当局といたしましては、……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/15
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016・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 海野君、前田君に対する質問を先に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/16
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017・海野三朗
○海野三朗君 それでは、この衆議院の方で付帯決議のところの第三の「本研究所における研究部門と開発部門との運営に当っては、」云々とありますが、ここで研究部門というのは、私は基礎部門であると解釈をいたしました。開発部門というのは、応用の方面であると考えたのでありますが、ここで両方衝突しないようによろしくやれということは、当然のことであるのでありますが、一体どちらに重きを置いていらっしゃるのか。それをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/17
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018・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) この付帯決議は、これも私の方といたしまして参加して作ったのでありますが、ここにおきます研究部門というものは、第一条にあります「試験研究を総合的に行い、」といり方の分であります。それはさっきも政府側からも説明のありました通り、基礎研究も応用研究も、あるいは工業化研究も広い意味で入ったものでありまして、この開発部門というのは、ただいままでは、別に新技術の開発をやるという方面として新技術の開発の方面は、実は予算的にも一応別に一緒の予算になっておりますけれども、内容を分けております。それでことしは八千万円でしたか、そういうふうに分けて、これは御承知の通り、将来回転資金に運用していきたい資金でございますから、そういう意味で会計を取扱い上別にしたらどうか、この研究部門というものには、今お話しの基礎研究から全部入った研究と、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/18
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019・海野三朗
○海野三朗君 ただいまのは、どちらの方に重点をお置きになっておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/19
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020・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) これは理化学研究所の設立の問題にあると思うのでありますが、その科学技術というものの試験研究を行うというときに、実は科学技術というものは、発展の仕方について、総合的にやるについては、基礎研究から出発してやっていかなければいけないのじゃないか。わが国は実は大学では基礎研究を別にやっておりますけれども、一般的な研究所においては、基礎研究から応用研究、工業化研究というものを総合的にやっておるところはない。そこで、理化学研究所というものは、そういうふうな性格を与えなければいけないのじゃないか。こういうことで、実は昔から科学研究所がやっておりましたような内容を踏襲するものとして、名前を理化学研究所、こういうふうに改めましてやっておるわけであります。従いまして科学研究をやっていくためには、もちろん基礎研究に十分力を注ぎ、また応用研究、工業化研究についても総合的にやるというところに、この研究所の特徴があるのじゃないかとわれわれは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/20
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021・海野三朗
○海野三朗君 前田さんにもう一つお伺いいたしたい。研究というのは、科学者が研究をしていくというものは、世の中のためになるとかならないとかいうことを考えてやっておるのでは、ほんとうの研究にはなりません。研究の大道は、まっしぐらに進まなければならない。ところが、応用というものは、それから出てきた枝葉でありまして、その枝葉が応用になるので、研究はあくまでも基礎という研究を進んでいかなければならないと、こう思うが、衆議院の方ではどういうふうにお考えになっておりますか。私はその根本の考えを一つ伺いたい。それの御所見を伺っておけば、大体あとの方がわかってきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/21
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022・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) どうも御質問はなかなか……この法案自体の問題になると考えますけれども、われわれにはただ衆議院側で付帯決議をつけました趣旨から、今の基礎研究の問題については、十分私たちといたしましてはやってもらいたい、そういうふうな考え方でつけておるのでありまして、特に付帯決議の第一項第二項に書いてあります通り、基礎的な研究を十分にやるために、単に無計画的にやるのじゃなしに、やはり相当思い切った予算をつけてもらいたい、こういうのが第一項に書いてあります。それから第二項にも書いてあります通り、その基礎研究をやっていくについては、当然大学その他の研究機関と十分な連絡をしなければ、基礎研究もやれないんじゃないか、こういうふうなことも付帯決議に書いてあるのでありまして、私たちは、この理化学研究所は普通の研究所と違って、基礎研究に相当力を注いで、しかし、基礎研究だけでは役に立ちませんから、それなら大学と同じでありますから、それを応用研究し、それをまた工業化研究するというふうに、総合的にやるというふうにしてありますから、こういうふうに考えてこの付帯決議をしたわけりであます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/22
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023・海野三朗
○海野三朗君 この修正されました政党の役員云々のことでありますが、この、研究の世界から申し上げますると、政党政派もなし、眼中に国家もないのである。研究というものは、科学の世界においては、ただ人類というものがありまするが、この、国家とか、あるいは派閥とか、そういうふうなことは考えられないのが原則であります。そこで、この政党の役員を除外さたれということは、私は当然こうあらなければならないと思いまするが、今日までの経過を見ますると、科学というものをゆがめてきた傾向があるんです。政党の役員が入りますと、たとえば戦争前におけるような状態、戦争へ戦争へと引きずっていった、こういうふうなことがありましたがために、私は、今日までは、この政党の役員というのはいけないと思っていたんでありますが、ほんとうの意味から申し上げましたならば、政党に関係ないのである、この科学技術に対しましては。そこで、この条項をお抜きになって、果してそういうふうな人を物色なさるのは、どういう機関で物色なさるか、これを伺っておきたいと思う。どういう部門で物色なさるか。これは、在来のようないわゆる政界のボスの、あれではとんでもないことになってしまう。昔のように、また繰り返すことになるおそれがなしとしない。そこで私は、これを省きなさった御決意は那辺にあるのであるか、それを一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/23
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024・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) これは、先ほども海野委員からお話しがありました通り科学技術というものは国家的に、超党派的にやるべき問題でありますから、本来、政党的な行動を、片寄った行動を役員の方がやられる性質のものではないのでありまして、当然政党の役員というのは欠格条項から省くのが当然であると思いますが、同時に役員が個人的に、健全な政治が発展していく時代において、固有の権利としての政治活動というものが全然できない、これもまた私はおかしいんじゃないか、こう思うのであります。それでやはり政党の役員というようなものにつきましても、これを選ばれる方が、任命される方が十分にお考えになりまして、今の、国家的に、超党派的に科学技術というものを進めていかなきゃならぬ、そういうふうな適任者をお選びになると思うのでありますが、その任命の仕方は、政府側の方から答弁があると思いますけれども、この法案にも書いてあります通り、内閣総理大臣が任命されるのでありまして、これは政府側の任命でありまして、政党の方には関係のない事項だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/24
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025・海野三朗
○海野三朗君 同じ方であっても、あなたのような党色、この方面にかけてはさらに党色のない方であればけっこうだと思うのでありますが、多くは党のみを考えておるような人では困るから、それを選出する場合には、どういうふうにして選び、そうして総理大臣が任命することになるんでありますか、そういうことちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/25
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026・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) それは、政府側の方の任命のことでありますから、政府側の方から答弁があると思いますけれども、政府が任命されることでありますから、政党とは関係なしに、政府がどういう手続をおやりになるかしれませんけれども、総理大臣がいろんな意見を聞いて、そして任命されるんじゃないかと、こう私考えておりますが、政党とは全然関係ないことだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/26
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027・海野三朗
○海野三朗君 政府側の説明を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/27
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028・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) この理化学研究所の役員の選考につきましては、現在まで決定を見ておりませんですが、これはいずれ、総理大臣任命ということになりましても、科学技術庁長官がそれを補佐する任務がございますので、科学技術庁長官の方において、ただいまいろいろ御研究中でございます。ただ、私どもの承わっておりますところによりますと、やはり研究所というものはほかの機関と非常に、先生がおっしゃったように性格が非常に違うものでございますから、その第一の要件としては、研究というものについて深い理解のある方、そういうことをまず年頭に置いております。従いまして、そういう方を選出するにつきましては、やはり斯界の権威者の御意見を十分聞かれまして、その上で御判断されるようになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/28
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029・岡三郎
○岡三郎君 私もこれは一般的に、今までの立法によっては政党の役員というものを一応省くというのが、大体の慣例のような形できた、これも進駐軍の関係の問題ではないという説明があったが、今後の措置として、一般的にこういうものから政党の役員というものをチェックするのはおかしいという考え方で、こういうふうな、この修正の本質的なものをそういうところから出発したと、こう伺ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/29
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030・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/30
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031・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、まあ現実に社会党政権というものは来ないんだから(笑声)自民党でいう政党の役員というのは、大体どこまでが範疇に入るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/31
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032・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) これは私たちも委員会で審議しますときに聞いたのでありますけれども、法制局の意見では、やはり本部から地方の役員まで、これは社会党、自民党、みんなでありますけれども、一応政党の役員という以上は、地方の役員まで入るんじゃないか、こういうことでございまして、そうなってきますと、あまりにそういうことを除くということになりますと、選考範囲というものが狭まってきますし、また、適材も得られませんし、本来ここに来られる方は、研究所の内部において、そういう政治的な片寄った行動をされようとする方が来られるわけではないのでありまして、ただし個人としは、私は健全な政党政治が発達していけば地方におきましても、やはり有力な方は、たとえ学者であろうと、やはり学者だから、大学の教授だから政党に関係しないんだと、そういうようなことでは、健全な政党政治というものは発達していかないんじゃないか。やはり大学の先生としての一応の意見を述べられるなら述べられるとして、やはり政党人としては政党のことで活動していただかなければならぬのじゃないか、こういうような点で、これを除くということはおかしいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/32
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033・岡三郎
○岡三郎君 あるべき姿として、今政党政治下におけるこういう時代において、政党の役員を省くことはおかしい、あるべき姿として、現実の姿として政党の役員というものが今後あらゆる機関に入っていくということになると、官僚と政党の役員とがかわっただけで、別に新しくなったわけじゃないという意見があるわけですけれども、別の方向から考えると、比較的ラフに政党の役員というものを入れよう、それが便宜主義的になって、あるべき姿という形よりも便宜主義的になって、新聞等がやや誇張して書いたように、まあしょうがない、あれの持って行き場がないから、ちょっと理研の理事に置いておこうという形にちょいちょいなってくると困るということが、今問題として指摘されていることじゃないかと思う。そういう点については、ここでどうこう言い張ってもしようがありませんから、運用の面として、やはりそういうことがないような方向で、はっきりとこの修正案というものが出されたということにしておかないと、運用上工合が悪いんじゃないかということが指摘されたわけです。これは私の意見として申し上げますが、この点について遺漏なく、法の運用に当って政党としていかなければならぬと思うのですが、その点もう一ぺんはっきりしておいて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/33
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034・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) 将来のあり方としては御賛成願えるが、便宜的に、ということにつきましては、実は便宜的にということを新聞なんかで攻撃してある点から言うと、実はおかしいのでありまして、政党の役員というものは永久的なものでなく、どうしても政党の役についておる人間をこの中に入れなければならぬと思うので、政党の役員なんかすぐやめさして、便宜的に入れようとすればすぐ入ることも、政党の役員でもその日に届を出して役員よさしてもらって入れる。便宜的にいけば、こんなものはついておりましても、何も便宜的に任命していけば一つも欠格条項に入っておっても差しつかえないことであって、自分がその間だけこれをやっておって、政党の役員やめておって、そうしてまた任命解除されて、たとえばこの間から新聞に出ております落選代議士なんか役員やめておって、自分が立候補するときにやめて役員になればいいのでありまして、そういう便宜的な問題ではなしに、これはやはり将来の政党のあり方というものにつきまして、超党派的にやっていくものについては、役員の方は役員の立場において、研究所の中においては国家的に超党派的にやっていただかなければならぬ。個人としては政党活動というものは私はできるのじゃないか、こういうふうな考え方で今後やっていかなければならぬのじゃないか。それからまた同時に、総理大臣等が任命される場合におきまして、政府が学識経験者の方の御意見を聞いて任命されると思うのでありますけれども、この研究所の中にそういう政治活動を持ち込むというような方は、当然任命に私はならないと思いますし、また、そういうことは当然世間の批判も受けることでありますし、特に研究所の性質上から見ても、もし、研究所の中において、内部でそういうふうな政治活動をされたら、世間の批判がやかましくて、それはとても役員としては私はおられないのじゃないかと思います。だから、役員として内部で、研究所の内部へ政治活動を持ち込むということは、もしおやりになれば、それは外部の批判でとてもできませんし、また、そういうふうな傾向のある人は私は政府は任命されないと確信しているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/34
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035・岡三郎
○岡三郎君 そこで、ちょっと最後に念のために言っておきますが、これは総理大臣の任命ですね。これは国会の承認は受けないんでしょう、受けないのですね。私は念のために言えば、ほんとうは国会の承認を受けるという形でこれを、というのは、兼職も禁止して、非常に重要に考えているわけです。兼職も禁止しているわけですね。そうなるというと、総理大臣がちょこっと任命するのじゃなくて、やはり国の、国会の承認を受けるというふうにしておけば、国会においてこれを十分検討するということになり得ると思うのだが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/35
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036・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) これは政府側の方のことだと思うのですけれども、実際は特殊法人でございますから、政府が監督することになっておりますので、政府の要するに任命ということになっていると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/36
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037・豊田雅孝
○豊田雅孝君 第十五条の一号と二号のバランスについてお尋ねしたいと思うのです。
第二号を削ることについては、いろいろ伺ったのでありますが、第一号の方には、国会議員、それから地方公共団体の議会議員等まで欠格条項になっているのであります。これは政党の役員でありますが、たまたま落選しておっても、なかなか政党役員で議員以上に実力を持っている人も実はあり得るわけなんであります。そういう点から、国会議員、さらに地方公共団体の議会議員まで除くという趣旨からいくと、一号と二号のバランスをどういうふうにごらんになっているか、その点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/37
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038・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) それは、国会議員とかこういう議員の方は特別職の公務員でありまして、そうして特別の任務を持っておられる。また、政党の役員というのは、先ほどちょっと申し上げましたように、やめようと思ったら、その日に届出だけでも簡単にやめられるものでありまして、国会議員とか地方の議員の方は、選挙民に対する公約的な立場もあって、そう簡単におやめになることはできないものだ、いわゆる便宜的ないろいろな欠格条項の問題、将来のあり方ではなしに、便宜的な問題から見ても、政党の役員なんかは欠格条項に書いておきましても、なろうと思ったらすぐなれるわけです。そういう意味で、非常に現在の国会議員の方と政党の役員というものは、だいぶ違うのじゃないかと思います。ただ、私たちはそういうふうな便宜的な問題ではなしに、将来の今後の政治政派のあり方というものから考えて、やはり幾ら研究をされる方であろうと、大学の象牙の塔におられる方であろうと、やはりこういう健全な政党政治になれば、政治活動というものは、私は個人の立場ではやっていただかなければならぬ、こういう点で政党の役員ということは欠格条項から省いた、こう思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/38
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039・豊田雅孝
○豊田雅孝君 この議会関係の議員でも、やめようと思えば簡単にやめられるわけですが、そういう地方議会の議員などになれば、一そうそういう関係もあると思うので、そういう点から考えるというと、この特殊法人の役員となる場合において、一方公務員、それからそれに準ずるような者まで除いておるという趣旨からいうというと、政党政治がいよいよ確立せられ、そうして政党というものが強力になればなるほど、このバランスからいうというと、やはり政党役員というものも欠格条項になっておっていいじゃないか。むしろ、政党の非常に強固になっていく将来を考えた場合には、それでいいのじゃないか。そうして一応なるときには、お話しの通り、やめてなろうと思えばそれはなれるのですから、だから、しいて、この際一号と二号との関係があるにかかわらず、二号だけを取るということが非常に目について、一号の趣旨と合致しないというそしりを受けやしないかというふうに考えるのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/39
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040・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) この一号の方は、こういうふうに選挙された、あるいは職員の方は任命されたという特定の方でありまして、二号の方は、いわゆる中央から地方に至るまで広い範囲のものであって、これは任命されるときの問題じゃなしに、任命されましてからも、政治的な活動というものは私は個人の立場ではおやりいただいていいのじゃないか、自分の職務の立場で研究所の中へ政治活動を持ち込むということは、これはもちろん法律の趣旨から、研究所の設立の目的からいっても困ると思うのでありますけれども、だから今のお話しの点は、一号と二号というものは、そういう点で明瞭に違うことになりまして、一号の方は特定の方々が欠格である、二号の方の意味は、役員になっている方も政治的なこれから活動というものは十分に個人の立場でおやり願って、研究所の中へ持ち込むということは、国家的に超党派的にやるべきことでありますから、持ち込むべきじゃないと思いますけれども、個人としては政治活動が十分できる、こういう意味のものでありまして、この一号の方は、ここの役員になっていながら、続けてこういうふうに議員とかあるいは職員を続けてやっていくということは、私は当然できないのじゃないか。役員になっておられたら、議員とか公共団体の職員というものを続けてやっていかれることはできないと思いますが、政治活動というものは、役員になっておられても、私はやっていかれるのじゃないか、そういう意味で、除いた方がいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/40
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041・豊田雅孝
○豊田雅孝君 削除しようというお立場からは、一号と二号とは非常に違うのだというふうな議論をせられるのは、これは当然だと思うのですが、この原案を作成した当時の考え方からいうというと、一号と二号との間には、やはり一号に準ずる考え方があり得るというので入っておったと思うのですね。そこにおいて見解が全く違うのでありますので、これは理屈のつけようで、それぞれあると思うのです。問題は、結局政党役員でありましても、先ほど申します通り、現在の議員以上に活動する人もあるし、また非常に繁忙な人もある、党のためには、どちらかというと議員じゃないが、役員として非常に尽しておる、また、それだけに忙しいという人もあり得るわけなんでありまして、結局は人によるということになろうと思うのでありますが、そういう点について、将来第二号を、初めはあったんだが、それを削ったのだ、それならそれなりの運用について、よほどの留意をする必要があるのじゃないか、こういう点を特に申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/41
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042・近藤信一
○委員長(近藤信一君) もう時間だからどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/42
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043・海野三朗
○海野三朗君 関連してちょっと伺いたい。今ね、この公務員とありますが、これは大学教授ははいれるのですか、はいれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/43
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044・鈴江康平
○政府委員(鈴江康平君) 公務員の中に……国立大学の教官は、はいれないと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/44
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045・島清
○島清君 私は今この削除された理由について、るる前田さんからお聞きしたわけでありまして、そして了承するものではございます。しかしながら、これは政党政治の発達のために云々というふうに非常に技術面だけからごらんになった削除の理由であったように思いまするが、私は憲法を拡大解釈をする方でございまするので、当然にこういったようなもろもろの項目の中に、政党の役員が欠格条件としてあげられるということについては、非常に疑問を持ってきたものの一人でありまするが、私は憲法の精神から、政党員なるがゆえに憲法の精神の基本的人権を制限されて、こういう役職につくことができないということについて、私はこれは不都合だと思っておったのでありまするが、こういつたような説明がなかったようでございますが、こういつたような国民としての基本的な人権に立ってこういうようなものを削除された、といったような趣旨が含まれたかどうかということについて説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/45
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046・前田正男
○衆議院議員(前田正男君) これは先ほどの説明で説明が抜けたと思うのでありますけれども、実は先ほど私は衆議院の方で説明いたしました提案したときの理由にも、個人の固有の権利というものを非常に侵害することになるのじゃないか、こういうことを実は衆議院で申しておりまして、今のお話しの憲法の基本的人権というものに私たちは影響を与えるのじゃないか、そこでやはりこういうふうな政党の役員というものを、当然研究所の中の役員というのは、本質的に政治的な構想を出すべきものでないとかいうようなものとか、あるいは先ほど申しました科学技術会議の議員のような特別職のような形になるような方とか、そういったような者は政党の役員であるということだけで欠格をするというようなことは、もうお話しの通り憲法の基本的な人権に私は影響してくるのじゃないか。実は私たちもそういう意味で、私がちょっと言葉が十分でないのですが、個人の固有の権利ということを申し上げて衆議院でも説明しておるようなわけでありまして、その点は全然私どもも同感であります。従って将来のあり方について、こういう問題については十分検討していきたいと、こういうように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/46
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047・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 午前中は、この程度にして政府側に対する質疑は後日に譲り、休憩したいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/47
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048・近藤信一
○委員長(近藤信一君) それではこれより暫時休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
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午後二時二十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/48
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049・近藤信一
○委員長(近藤信一君) これより委員会を開会いたします。
まず、参考人の出席要求に関する件について、お諮りいたします。
日本貿易振興会法案及び中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案等の審査のため、参考人を呼んで意見を聴取したいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/49
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050・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めます。
参考人の人選、日時その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/50
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051・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/51
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052・近藤信一
○委員長(近藤信一君) それでは、次に合成ゴム製造事業特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/52
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053・海野三朗
○海野三朗君 合成ゴムは、今日まで輸入されておりますのは、どれくらい輸入されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/53
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054・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 三十二年度につきまして、正確に数字がありませんので、申し上げられませんが、SBR、これは普通の天然ゴムと類似した性質を持つ合成ゴムであります。これが八千トンであります。そのほかに、非常に特殊な性質を持つ特殊合成ゴムと呼ばれているものが、五千七百、計一万三千七百トンの輸入があったと考えられます。これは一部推定が入るわけであります。それで三十一年度は、おおむね一万トン前後ではないかということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/54
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055・海野三朗
○海野三朗君 そうしますと、来年度、再来年度に対しましては、どれくらいこの輸入を防遏できるお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/55
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056・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これまで申し上げましたように、日本合成ゴム株式会社が生産を開始いたしまするのは、昭和三十四年の秋でございます。そうしてこれが能力四万五千トンをフルに操業いたしますのは、昭和三十七年ということになっております。従って、今回のこの会社の設立及び運営によりまして、合成ゴムの輸入が防遏されますのは、昭和三十七年度において最も明瞭に見られるのでございます。そういうことで、一応数字の経緯を申し上げますると、大体昭和三十三年度は二万二千トン程度の輸入が見込まれております。昭和三十四年度になりまして、若干国産を見ることになりまして、輸入量が一万五千トン程度に若干の減少を示します。で、昭和三十七年度について申し上げますと、このころになりますと国産の合成ゴムが五万三千五百トン程度になるわけでございます。日本合成ゴム会社の生産量が四万五千トンでありまするし、特殊合成ゴムの生産が別途八千五百トンほどございますので、合計五万三千五百トンになります。需要も同時にふえますが、しかし差し引き要輸入量が七千五百トンということになります。これはいわゆるSBRは一トンもございませんで、特殊合成ゴムばかりでございます。七千五百トンという輸入必要量は、今後普通の合成ゴムは大体昭和三十五年以降は輸入量がなくなるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/56
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057・海野三朗
○海野三朗君 年々のゴムの需要の増加率は、何%くらいにお見込みになっているのですか、三十二年度から三十三年度、三十四年度、三十五年度まで年々。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/57
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058・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) おおむね対前年比五、六%の増というふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/58
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059・海野三朗
○海野三朗君 そうしますと、三十七年度は五万三千五百トンというお見通しであるが、そのときの国内の需要も同様五万三千五百トンくらいのお見込みなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/59
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060・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 国産量が五万三千五百トンでございまして、輸入量が七千五百トンということでございまするので、合成ゴムだけについて申しますると、需要が六万一千トンということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/60
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061・海野三朗
○海野三朗君 そのときの生産費、つまりそれは競争をやっていく、いけるというお見込みなんですか、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/61
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062・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この会社の設備は、大体国際水準に達しておる設備でございまして、西独等でやっておるのと同じ規模、すなわち年産四万五千トンというものでございます。従いまして生産費も、大体国際競争の十分できるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/62
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063・海野三朗
○海野三朗君 そうしますと、この十億の投資があって、つまり株をみな集めてやった結果、何年ごろから商売が成り立つお見込みなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/63
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064・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 昭和三十四年度から操業を開始いたしまして、昭和三十七年度からフル操業に入ります。従って昭和三十七年度で利益が上るわけでございますが、ただ、それまでの間の赤字の累積を解消することにこれは使われます。従って昭和三十八年度からまず通常の配当が可能になるように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/64
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065・海野三朗
○海野三朗君 そうしますと、それまでは財政投融資の利息というものはないわけですね。無利息でこれを融資、投資したということになりますか、それまでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/65
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066・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これは出資でございますので、当然利息は要らないということでございます。ただし、別途開銀融資等もございまして、これはいわゆる特別金利というもので、なるべく低い金利でやっていくということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/66
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067・海野三朗
○海野三朗君 つまり株を持つことになるのでございましょうが、そうすると、それまでは配当なんぞはできないわけですか、できるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/67
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068・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これは配当は昭和三十八年度までは期待できない株でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/68
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069・海野三朗
○海野三朗君 そうしますと、それまではつまり十億の金は無利子で貸したということになりますね、結果において。無利子で貸した、ところが、国民金融公庫とか、商工中金とかから零細業者が五万、十万の金を借りて、それに利息は容赦なしにきちんきちんと取っておる。しかるに、大口で何億という金を無利子で四、五年間の間貸すという結果とならびあわせて考えるときに、あまりにも不公平だというふうに私は思うのですが、どうなんですか、その点は。それは幾ら国家のためであるからといっても、商工中金から金を借りておる業者も、やはり国家のために働いておるのであって、そうすると一方では、わずかな金を借りるのに対して利息は容赦なしに取っておるが、大会社のことに関しては株を持って、つまり配当がなくても、四、五年貸そうというこの態度は私はどうかと思うのですが、あなたはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/69
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070・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 新規の産業で、しかも国家的に非常に重要な事業につきまして、これを国内で興すためには、まず開銀融資等で市中融資がつきやすいような姿に持っていく、こういう手段をとっているのでございますが、この合成ゴムの国産化につきましては、もう少し経理上の負担が大きくて、そういう開銀融資一本ではこの事が興り得ない、従ってそれ以上もっと国の方の、多い、こういう国の一部出資という姿をとらざるを得なかったのであります。こうしないと、この事業は国内には興り得ないという事情があったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/70
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071・海野三朗
○海野三朗君 それは国家のためにこの業が興らなければ困るというお話し、それはそうかもしれませんが、そうして今度もうけが上るころになると、その株を開放してしまう、政府の出資でなく、民間でこれをその株をみな買ってしまう、こういうようなあり方は、今日までわが日本においては過去何十年の間行われてきたことであって、どうもこの商工中金が小者に金を貸してその業を助けてきたというのとちょっと違って、幾ら国家的な事業であるからといっても、これは莫大なる金を投じて株を持っていって、もうけるときになってきたならば、それはするっと知らざる間に政府が手放しにしてしまうというあり方は、私はどうかと考えるのであるが、あなたはどういうふうにお考えになりますか、将来これがもうけが上るときにおいて、やはり政府がそのときの株を持っておるというならば、これはわかった話しである。しかしながら、いつの間にかこれが民間に肩がわりしてしまう、今日までも私は名前をあげないでおるけれども、通産省が今までこの株を持って、そうして民間の会社を助けて、そうしてするっといつの間にか肩がわりをして、ぼろいもうけをしている今日の日本の大会社がたくさんあるではないか。こういうあり方に対してあなたはどうお考えになるのですか、放していいとお考えですか、私はその株はやはり政府が放さないであくまでもいかなければならないのじゃないかと、こう思うのですが、どうなんですか、その辺は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/71
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072・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この事業は操業開始後四、五年が経理上非常に苦しい時期であって、それ以後は大体普通の民間企業としてやっていける性質の事業で、いわば暫定的な国策会社と申しますか、そういう性質のものでございます。従ってその四、五年たって後は、やはり普通の民間企業と同じような経営でやらしていく方が、むしろ、その事業の発展上有効であろうというふうに考えるのでございますが、これはまた違った見方もできるでございましょう。そこに至りますると、見解の相違になって参りまするが、まあ、われわれといたしましては、なるべく国があまり深い干渉をしていくよりは、むしろ、普通の民間企業と同じ立場に置いた方が今後の発展がやりやすいであろうというふうに考えておるわけでございます。
それからなお株の処分の場合も、国が出資によってまるまるそういう金利と申しますか、配当と申しますか、それに相当する収益を放棄してしまうということが少し不適当である。従って、これは政府が株を処分する場合には相当な収益になるような価格で売るように配慮をいたすべきじゃないかというふうに考えるのでございます。おそらくこの会社が一割二分程度の配当ができるようになりまするならば、株価も相当上ってくるというふうに予想されます。従ってそういう意味ではおそらくある程度の利益が得られるものだというふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/72
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073・海野三朗
○海野三朗君 私がお伺いしている点には、どうもぴんとこないのでありますが、私は簡単に申し上げますと、つまり国家が株を持って、そうしてその仕事が一本立ちになれるようにしてやった。そうしてもうけが上るようになってから一割二分なり、あるいは株価がどんどん値打が出てくると言うけれども、これをもう一つ考えるならば、それまでつまり国家のお金をそこに使っておる。その恩恵にあずかったのは、その仕事をやっておる会社のものだけが恩恵にあずかっておる。それならば今日商工中金とかそういう方面の金を貸す場合は、容赦なしに利息を取っておるが、四、五年くらい無利息で貸しておいてもいいじゃないか。何も合成ゴムばかりが国家の重要なる産業ではない。あらゆる業者がみんな国家のために働いているわけであります。どうもそこが私は不公平なように思う。大衆の立場から考えるというと、小さいものは容赦なしに利息を取っている。一歩もかんべんしないんだ。しかし大企業はこういうふうにやって、そのもうけが上るまで、そのままにしてあるというようなあり方が間違っておるのではないか。こまい者をいじめて、大きな者が一本立ちになるようにするという、こういう方法はどうかと私は考える。その点をもう一度、あなたのはっきりした御説明を伺いたいことが一つと。それからこの合成ゴムの法案を編み出したのは一体どこが編み出したのですか。それを伺いたい。こういうことをよくも考えてくれた。(笑声)これは熱心な人がある。いずれもこの株主のメンバーをずっと見るというと、いかにもよく作り上げたものだと、そう思うのですが、この前は私はこの法案が通るときにおいては何の気なしにするっと通しましたけれども、よくよく考えてみると、株主名簿をしさいに点検いたしますと、こういうふうな連中がいろいろ考えてでっち上げたんじゃないかというふうに私は思うので、その辺はどうなんですか。あなた御自身の、つまり通産省自身の考えでなくて、どうもこういうふうなことを進めていった源はどこにあるか、それを私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/73
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074・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 最初の点でございますが、何度も申し上げまするように、普通政府が事業を育成するにしても、これはコマーシャル・ベースで育成していくのであって、金を貸せば金利を取るといういき方でいくというのが原則でございます。その点では中小企業と大企業と区別すべきではないのでございまして、現にまあ大企業の関係でも、これは開銀融資だけでいろいろ新規の事業を育成していくということをやっておるわけであります。ただ、合成ゴムの場合は、どういうふうに計算をしてみましても、開銀融資だけではこの事業はなかなか興すことがむずかしい。初めのもうけのないところから金利をずっと払っていっておりますると、それだけ自立する時期がおそくなってくる。従ってそんな種類の事業には民間の資金もまた集まりにくいということで事業が興るめどがつかなかったわけであります。そこでまあ、政府としてのやむなくそれ以上まあ一方、恩恵の多いような、こういう国のまあ開銀を通じてでございますが、国の資金を出資するという形をとらざるを得なかったのでございます。従って別にこれは中小企業と区別した扱いをするというのではございませんで、むしろ事業の性質が普通のこういう事業べースでは、まあ事業の性質上事業を興すことができないようなものであるというところに、取扱いの違った原因があろうと存ずるのであります。それからこの法案は、まあ政府と民間と両方でいろいろ相談した結果、こういう案に落ちついてきたのでございますが、特にまあ、ゴム業界というのは、中小企業者がほとんど大部分を占めているようなわけでございまして、そういう方面からもこういう案のまあ提唱といいますか、あるいは同調といいますか、お互いにまあ話し合いがそういう格好にまとまってきたということになったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/74
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075・海野三朗
○海野三朗君 今のそのこまい者にはその利息を取って、大きい者には怪しいやり方をやっておいて、そうしてそれが合成ゴムが一本立ちになったとき云々と言われても、そういうことは不公平じゃないかと私は思うというのであります。不公平なあり方じゃないか、十五億の金をしかも四、五年据え置いて、そうしてそのうち事業ができ上ったら、今度は利息を取るというような、至って親切なことであるが、その親切を商工中金とか、こものの方にも応用したらどうですか。四、五年据え置いて、そうしてそれか利息を取るというようなふうにでもおやりになるのが、ほんとうじゃないか、公平じゃないかということを私は聞いているんです。その点について、あなたはどうお考えになりますか。ただ、政府当局のそのおざなりの答弁ではだめですよ、信念を聞きたいのです。あなたの信念を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/75
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076・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これは中小企業金融一般の問題でございますので、私の立場としてお答えするのは不適当かと存ずるのでございますが、中小企業と、大企業たるとを問わず、そういうふうな扱いをしなければ興らないような事業に対しては、そういう扱いはいたすべきである、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/76
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077・海野三朗
○海野三朗君 しからば、こものの方の仕事はどうなんですか。こものの方の仕事はどうなんですか。私はこういうことだけに力を注ぐということ自体がおかしいのじゃないか。このことについては、私は政務次官にお伺いいたしたい。どうなんですか。私は同じことじゃないかと思う。大企業でも、小企業でも、いずれもみな国家のために働いているんですよ。大企業ばかりが国策だとかなんとかいうことは当らない。小さい者もみな国策のために働いているのであります。たとえばこのライターのようなこういうものでも、月に三億円以上の輸出をアメリカに対してやっている。ライターですね、こういうふうなこものもひとしく国家のためになっているじゃないですか。それだから合成ゴムばかりが国策の線に沿っているということは言われないのじゃないか。そこにおいて私は不公平があると申すのです。その小さい者に金を貸すときは、十万円や二十万円という金を貸すときには容赦なしに利息はしぼり上げる。そうしてそれが払えなくなれば、どうこうということまで政府が考えているかどうか知らぬけれども、大企業の方はどうでしょう。四、五年間は十億の金を据え置いて、もうけが上らなくてもやむを得ないというような、このあり方は、こういうふうな大企業、いわゆるボスとでも申しましょうか、ボス達が寄ってこういうあれを作り上げて、そうして国民の金をこの方面に使って、そうして事業が成功したというときにおいて、政府が株を放すというようなことは、つまり法の盲点を突いてうまく国民の金を使ったという結果になるのである。私はそのことについて伺っているんです。不公平ではありませんかというのです。商工中金もそういう方面の利息も四、五年据え置いて無利息にしておいて、それからその商売が成り立つようになってから取ったらいいじゃないか、こういうことを私は伺っている。これは不公平じゃないかと私は言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/77
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078・白浜仁吉
○政府委員(白浜仁吉君) お答えいたします。今回のこの法案について、すでに何回も御審議をいただきましたので、局長からお聞き取り願ったと思うのでありますが、ただいまの御質問の考え方と申しますか、中小企業に対してあまりにも酷ではないかというふうな御意見のようでありますが、どうしても興さなければならない国の事業であります関係上、こうした方法をとらなければならなかったわけでありますが、この内容をごらんになっていただければ、はっきりいたします通りに、この中に入っておりますいわゆる株主の方々も、中小のゴム業者が全般的に入っていただいておりますということを考えていただければ、御了解できると思うのでありますが、財政が許しますれば、おっしゃられる通り、私どもも全体の政府金融をこうした方向に持っていきたいと考えておるのでありますが、御承知の通り、なかなかそのことは理想でありまして、現実にできないという苦しい立場にあることを、御了解願いたいと思うのであります。今回のこの法案につきまして、通過さしていただきますれば、すでに前国会において付帯決議にもあります通り、できるだけ中小ゴム業者が助かるように、低価格で供給できるようにということで、私ども今後運営を指導していきたい、こういうふうに考えておりますので、御了承をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/78
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079・島清
○島清君 関連して。これはあるいはわが党の社会党のどなたかから質問があったかと思いまするけれども、あったといたしまするならば、速記録を拝見すればよろしゅうございますけれども、今海野委員の御質問と関連をいたしまして、非常に私ども不思議に思っておりますることは、
〔委員長退席、理事阿部竹松君着席〕
海野委員の御発言の中には、日本の財閥史をひもといてみまするというと、国家が事業を興しておいて、そうして事業がもうかるようになりますると、二足三文で民間に払い下げられておる。そうして、いつとはなしに豊作年の豚のように肥え太って財閥を形成しておる、これが私は財閥史だと思うのであります。そこで、森さんの御説明を承わっておりまするというと、非常にもうかる、もうかってそして配当もやれるようになるのだ、こういうふうな説明でございまするので、私なども、もうかるような仕事でありまするならば、これはたかが二十億や三十億の金が集らないはずはないはずだ。これほど森さんが言われるようにもうかる仕事であるならば、何も政府が出資しなくてもちゃんとできるのではないか、これが私は海野委員の第一番の疑問点だと思うのであります。私などもそういう疑問を持つ一人でございます。もうかることであるならば、これはゴム業界の諸君が、十億やそこらの政府の出資を仰がなくても、ちゃんとみずからおやりになるのではないか。開銀の融資のあっせんをしてもらえば、おやりになるのではないか。しかしながら、もうかるということは、これは椿委員から御質問もあったかと思いまするけれども、一応こういったような特別の会社組織にしておいて、独占価格を作って、ちゃんともうかるようにしておいて、そうしてもうかった暁には、今海野委員の心配されるように、民間の方に払い下げていく、こういうようなねらいではなかろうか、こういうことを私たちは思うわけであります。もし、これが自由に競争させておいて、国際相場といわれますけれども、国際価格で、新しい事業を興していって、そしてこれがもうかるか損するかわからない。この不安があるので、そこで国家の力によってこの不安を除去しながら、そうしていずれはまたもうかっていくような形にしておいて、もうかったときには、これを民間の方に払い下げていく、これが私は非常に重大なねらいだと思うのです。
〔理事阿部竹松君退席、委員長着席〕
そこで私は、こういう意味において、今、海野委員が繰り返し質問をされておった点については、そういうことはないのだということを明確に御説明を願わなければならないと思うのでありまするが、さらにそれと関連をいたしまして、その数字を出しておられまするところの価格でございまするが、これは一体、国際価格ということを今おっしゃっておられますけれども、この国際価格というものは、国際条約に基くところの国際価格でもないでございましょうしするから、これはやはり変動があるものと見なければならないと思うのです。この変動をどういうふうにごらんになって、そうしてこれがもうかるのだということをおっしゃりまするところの理由にしておられるかということを、まずはっきりしていただきたい。今海野委員の御質問に関連をいたしまして私が申し上げたことと、さらにその価格ですね。この問題についての先をどういうふうに見ておられるか、さらにこの価格の算定というものは、四、五年の間、今年なら今年を基準にして変動はしないものというふうな前提のもとに価格を形成しておられるかどうか。こういう点を御説明していただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/79
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080・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この会社が必ず大へんもうかる会社であるかどうかということは、これは非常にむずかしい問題だと思います。私がこれまで申し上げたことは、それほど太鼓判を押したような絶対間違いないというような意味のことではございませんで、可能性から申し上げておるのであります。民間の資金が当然こんな事業なら集まるではないかというお話でございまするけれども、巨額の出資をしまして、それが四、五年は少くとも全然塩づけ状態になる、こういうことがまず普通の投資家にはたえられることであるかどうか。私はまあ非常にこれはたえられないことであるというふうに考えます。そうして、四、五年待った末に、それが一応はもうかる計算にはなるが、国際情勢の変動によっては必ずしもその保障はない。そういうふうな危険を冒して民間の投資家は出資をしなければならないわけであります。従って、これは、現在順調に動いておる事業に投資をするというようなものとはわけが違いまして、まあ、非常に危険性の多い投資であるということは、普通の投資家の感覚からいいますと言えることだと存じます。そういう意味で、どうしても政府が突っかい棒をして、早く採算のとれる時期が来るように配慮をいたす必要があったわけでございます。
それから、政府の持っておる株は、これは競争入札で一応原則として処分をしていくわけでございます。特定の一部の者にこの株が帰属するということはございません。一般の国民にこれは配分されていくことになるのでございまするので、特別の方面にこれが集中される、特別の利益に帰属するということは、その政府持株については言えないことだと存じます。
それから、もうかるかもからないかの算定の基礎になりまするこの会社の製品の価格を、いかにしてきめたかという問題でございますが、将来の物価の変動につきましては、国内のことも、あるいは世界的なものも、予測することは冒険であろうと存じまするが、われわれは、この会社の製品が一応キログラム当り二百二十円くらいで販売できると、そうすればある程度の利潤があると見ておりまするが、この価格は最近の、過去二年くらいの合成ゴムの輸入価格とほぼひとしい程度のものでございます。さらにまた、天然ゴムと比べますと、天然ゴムは月によって相当変動がございまするが、そのならしたところを比べますると、若干低いところにあるという程度のものでございまして、従って、この程度の価格で販売できるという自信があれば、大体国際競争にはたえ得ると考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/80
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081・海野三朗
○海野三朗君 先ほど私申しましたように、これは何べん質問してもはっきりした御回答がないようでありますが、私は重ねてもう一度これを申し上げたいと思うのです。今までの大会社、名前を言うとあれだけれども、私はちゃんと握っていますよ。日本の大財閥というものは、国民の金をちょろまかして、うまく無利息で利用して、そうして大きくなってきた財閥じゃないか。あるセメント会社のごときはそうだ。はっきり私は知っている。過去十年間の通産省の歴史をひもといて見ますとわかる。しからば、私はそういうようなあり方はいけないということを申したのでありますが、ただいま次官からのお話しでは何とも仕方がない。ここまで来たのだとおっしゃる。私はそういうふうに、それは人によって見るところが違うからいたし方がない、見解の相違であるかもしれないけれども、つまり、国民の金を、十億、二十億という金をほとんど無利息にひとしいような使わせ方をしておいて、そうして企業を興して、企業がもうかるようになってしまったならば、それをきっと買い上げてしまう。そういうことは、はなはだもって私は国民に対して済まないことであると思う。それでありますから、商工中金とか、小ものに対する親切がないじゃないですか。私はそれをはっきり伺いたい。それからまた、今、次官のお話しでは、それは理想であるとおっしゃったけれども、政治は理想に近づくものではありませんか。理想を旗じるしとして、一歩でもこれに近づかなければならない。私はそれに近づけるために委員会があるのだと思います。私はそういう点をはっきりもう一度伺いたいし、今、局長のお話しで非常に危惧の念があるというが、そういう危惧の念があるのに、莫大な融資をやるというのはこれはおかしいじゃないか。私はそう思うのですがね。十億の金を使うところは何ぼでもある。都市及び衛生に関する問題にしたってそうであるし、使わなければならない方面があるのに、こういう方面に財政投融資をやるということは、私はどうも納得がいかないのでありますが、局長としては当然できないとおっしゃる。将来これだけの金を出したならば、政府が出したのだから、政府の役人であったあなた方が、将来落ちのびていくための会社を作っておくというなら、これはまた話が違いますよ。それを落ちのびていきもしないでぽかんと民間にまかすというのは、あまりにも常識で考えられない。小ものをいじめておって、大きい者を助けるというようなあり方、それは国家のためだから、公共事業だからというふうに説明なさるけれども、いかなる小さな会社でも国のために働いていない会社はありません、ただ一つでも。どうなんですか。私は一歩でもそれは理想に向って近づいていかなければならないのじゃないだろうか。危惧の念、怪しいような会社になぜ投資なさるのですか。これが将来望みがあるならば、ひとりでにその金というものは集まってこなければならないのである。その点はどうなんですか。局長と次官から私はお話を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/81
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082・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 将来の収益を期待しておりまして、それも相当四、五年先の収益を期待しておりまして、それが世界情勢によって左右されるおそれがあるという意味で、危険がある事業でございます。しかしながら、一方、需給の関係から見ますると、この程度の規模の事業であれば、もちろん成功の可能性がある、こういう性質のものでございまして、全然だめな事業であるとか、あるいはもうかって仕方のない事業であるとか、どちらにもこれは割り切ることのできない事業であると考えます。そういう意味で、この事業に国が出資をいたしますことは、全然無利益な、むだな金を出資しているのだというふうに判定をいたすこともできないというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/82
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083・海野三朗
○海野三朗君 その怪しいところのものに出されるというのが、おかしいじゃないか。そのほかに、国家的の事業であるならば、たとえばコンニャクでもそうだ、全部輸入しておる。雑豆でもそうだ。そういうふうなものに対しては、会社を組織して輸入を防遏するというものがほかにないですか。この合成ゴム以外にたくさんあるだろうと思いますが、どうですか。そういう方面の一つ考えもつけ加えて伺いたいし、局長、どうなんですか。国家のためにやらなければならない事業が、この合成ゴムばかりでなしに、もっとほかにたくさんあるはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/83
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084・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 私は軽工業局長でございまして、他の業種のことについて、責任を持ったお答えはできませんが、しかし通産省全体として、今後輸入防遏のためにいろいろ起すベき新規の事業というものついては、一応開銀の融資ということでいろいろやっておるわけであります。化学工業の部門でも、石油化学とか、あるいは合成繊維、そういうものがございます。そのほか鉄鋼とか、石炭とか、いろいろな品目がございまするが、大体そういうものは普通の開銀融資で事業を確立していくことが可能であるという見方をとっておるわけでございます。そうして、こういう開銀融資では、まだ事業を興すことはできない、もう一歩進んだ助成をしないと無理だ、そうして線に上ったのが、この合成ゴムの事業でございまして、通産省といたしましては、この事業が一番、民間にまかしておいたのでは、確立することの困難な事業であるという認定をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/84
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085・椿繁夫
○椿繁夫君 それでは、ちょっと今の海野委員の御発言に関連してですが、この会社に国の十億の投資を行なって、五年後に企業ベースに乗るようになれば、この出資を引き上げる、こういう構想でこの会社の発足をみるわけでありますが、私は独占禁止法との関連について一点だけお聞きしておきたいのですが、局長から御説明のように、昭和三十八年になってこのゴムが五万三千トンばかりこの会社によって生産されるようになる。しかも、この会社は、政府の出資を引き上げました後は、現在のゴム関係の業者だけの出資会社になり、その場合に、この会社の製品を売り惜しむことによって、市場の調整なり、価格の操作ができるようになる会社に私は変貌すると思うのです。その際に、一つの会社の事業のやり方によって、この国のゴムの原料なり、あるいは最終製品等の価格操作や市場調整が自由にできるようになることを、私はおそれるのですが、それは現在の独禁法の禁ずるところであると思います。やがて、この会社が企業ベースに乗るころには、独占禁止法の改正は当然行われるものという想定の上に、この法案を御提案になっておるのかどうか。この一点、一つお開きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/85
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086・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この会社の株主がどういう分野のものであるかということについて申し上げますが、政府が株を持っている時代には、政府の持株が四割、ゴム業界が四割、それから各工業界が二割と、こういうことですが、政府の持株を処分いたしますると、これが一般の国民に分散されるわけです。従って、事業家であるゴム業界が持ちますのは四割ということになります。もっとも、分散されるものの一部がゴム業界に入って、四割よりちょっとこえることがあるかもしれませんが、大体そういうことで、そう大部分を占めるということではございません。
それから、この事業家が、自分に都合のいいように、製品の価格あるいは販売量を操作するであろうということですが、これは実は、株主ゴム業者は、ここの製品の需要家でございますので、むしろ最も安く買おうとして、会社の収益の上らないような結果になる運営になるおそれがあるわけです。従って、ゴム業界が自分に都合のいいようにこの会社を運営いたしまするにしても、製品が高くなるとか、そういうことはあり得ない。むしろ、会社の利益が少くなるようなことになるおそれがあるわけでございます。そういう意味で、われわれとしては、この会社の製品が、そう需要家にとって不利益なものになるとは思えないんです。価格が非常に高くなるとか、あるいは売り惜しみをするとか、そういうことはまずないと思ってます。しかし、万一そういうことがあるといたしまするならば、この前も御答弁申し上げたのでありますが、この会社が一応運営を開始いたしましても、その一方、ゴムの、合成ゴムの輸入はAA制を継続する、また関税は賦課しない、こういう原則で一応いう建前にいたしておりまするので、そちらからの牽制もありまして、この会社が独善の弊に陥るということは、独占の弊を発揮するということは、おそらくありません。しかし、まあこういう点は、会社が動き始めましてから、政府としても十分監視をしていきたいとは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/86
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087・椿繁夫
○椿繁夫君 局長は善意に御解釈になっておりますけれども、今お話しのようなことですと、あるいは価格が安過ぎはせぬかという心配があるということでありますが、合成ゴムだけでゴム業界がもってるわけじゃございません。依然として天然ゴムの輸入も続くわけであります。そういう際に、この会社が一次製品を市場へ出しますのを調整することによって、全体の市場の価格操作というものは、これはできるわけであります。価格操作に必ず役立つのでありまして、そういうことが私は、現在の独占禁止法との関係がどうだろうかということを実は心配をいたしております。
で、今お話しの、政府の十億の出資は、五年後に引き上げる際には、現在の株主に一部いくかもしれないけれども、大部分は公売に付するのであるから、必ずしもゴム業界だけの手に入るのではないのだから、そういう心配はないということでありますが、そういう政府の出資株は、現在の株主には譲渡しないというような、何かきめがあるんですか、これから作ろうとして今のような御発言があったのですか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/87
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088・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 政府株を処分する場所の詳細な要領につきましては、まだ何らわれわれ腹案は持っておりません。その処分する時期の一般情勢がつかめないと、そういうものは作れないと思いますので。私が申し上げましたのは、一応競売入札に付する、その結果落札された方に、現在の株主があるかもしれない、こういう意味で申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/88
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089・椿繁夫
○椿繁夫君 私はこの会社の出資者が、現にゴム産業に関係しておる会社が大小を問わず全部出資者になっておるのでありますれば、私の申し上げたような心配は、一部緩和されるのでありまするけれども、先般の御説明では、その全部ではないわけで、一部漏れておるということもございました。それからもう一つ気になりますのは、この会社が最終製品のものを作ることも、事業計画の中にあるという御説明がありましたが、これは現に中小、あるいは零細、この規模の大小はありますけれども、最終製品をいろいろやっておるものがあるんです。それと競合するような最終製品を、この会社が製造品目の中に、あるいは今後の事業計画の中に織り込むことによって、小さな既存業社の職を取り上げてしまう。民業の圧迫になるような危険がないのか、そういうことについての考慮をなさっておるかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/89
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090・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) ゴム業界全員の出資ではないではないかというお話しですが、これはゴム工業会という業界の全部を網羅した団体で、個別的にその出資を勧誘していったわけです。ところが、昨年の秋は御承知のように緊急総合対策実施下で非常に金詰まりが激しかったために、資力に乏しいものはこれに応ずることができなかったということで、出資者にはなっていないのでありますが、そういう意味である程度以上資力のある者、もちろん、これは中小企業者でございますが、そういう者が出資をいたしておりまして、全体の中で出資者が百二、三十社あったと思いますが、出ておりますが、まず、これはしかし、ゴム業界全体を代表しておるものであるというように見ていいと思います。
それから役員でございますが、この役員は、大体その地区別にゴム業界の団体の代表者が役員になってきているわけです。これはつまり、その地区の中小ゴム業者のすべてのものを代表していると見ていいと思うんです。個人としての代表であるのではなくして、その地域のゴム業者全体の代表者ということでございますので、そういうふうなことで、この会社がゴム業界の一部の者の利益のために動くということは、これは全くあり得ないとわれわれは考えております。
それから、この会社の作る製品でありますが、この前私が申し上げましたのは、ちょっと誤解を招いたと思いますが、最終製品という言葉に対して、最終製品を作るのかということに対して、私はそうですと申し上げましたが、この最終製品というのは、ゴム製品の最終製品、つまりゴムぐつとか、タイヤとか、そういうものを意味しておるのではないのでありまして、御質問はあるいはそうだったかもしれませんが、私はそういう意味で最終製品という言葉を使ったのではございませんで、これは原料たるゴムそのものなんでございます。そうしてタイヤ、はきもの、そういうゴムを使ったゴム加工品である最終製品は、この会社では作らないのであります。単に原料なのであります。そうして原料を作るにすぎませんので、従来のゴムの加工業者の職を奪うということは、これは全くあり得ないということになるのでございます。そういう意味で、この会社はゴム工業界の利益、一部のために運営されるとか、あるいはゴム業界の民業を圧迫するとかいうようなことは毛頭ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/90
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091・海野三朗
○海野三朗君 局長からの説明で、いろいろゴム工業の必要なることは十分わかりました。わかりましたが、先ほどから申しておりまする中小企業者に対する融資とこれを比較してみると、非常にえこひいきがある、そういうことを申したのです。それに対するはっきりした責任ある御答弁をいただきたい。それは何であるかというと、これが五、六年後においてはもうかるという予定でありますが、五、六年後において損をしてしまった際における考えと、それから今度はもうかってきたときの考え、そのときには政府としてはどういうふうにするのだということも、はっきり責任ある御答弁を伺っておくのでなければ、何をもって国民にまみえることができましょうか。国家のお金を、これはただ単に、自分のふところの金を出すのじゃない。国の予算から出す、痛くもかゆくもないというような考えではならないのである。やはり、将来これがもうかったときにはどういうふうにしていくというところのはっきりした御決意を私は伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/91
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092・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この会社がもうけましたときには、できるだけ株を高い価格で売りまして、国の資金が、国として見ましても、有効に使われたという結果になるようにいたすべきだと考えております。また、この会社が損をいたすというときには、もうかるまで国としては株の処分ができないということになるわけでございますが、政府としても、そういう事態になりましたときには、世界経済の影響にもよるのでございましょうが、政府としても、できるだけ早くこの会社が採算ベースに乗るように、さらにまた努力をいたしていきたいというふうに存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/92
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093・阿部竹松
○阿部竹松君 二点ほどお伺いいたしますが、実は本法案は昨年の二十六国会の五月の十七日ですか、法案が二十ほどたまりまして、一日に五件か六件ずつ法案を可決したときで、どさくさまぎれで、ろくな審議もしなかったので、満場一致で当委員会で決定されたのですが、その申し子みたいなものですから、どうも常識的に見て、この法案に反対するというわけにはいかないということになろうと思いますが、ただ、さいぜん海野委員の質問に対して、森局長の御答弁は、三十八年にならなければ製品が出ないようなお話がございましたね。しかし昨年、当時の軽工業局長は齋藤正年さんだと思うのですが、齋藤さんとか、水田通産大臣からお聞きした三万トンできるという話は、まだまだ早いはずなんですね。あなたは議事録をお読みになったかどうかわかりませんけれども、一年前の話と今の話と非常に違う。これはどうなんですか、一年前はそういう計画でなかったけれども、実際やってみたところが違ってしまった、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/93
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094・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これは私からも再三申し上げましたように、製品が出始めるのは来年の年末でございます。つまり操業開始は来年の秋からでございます。ただ、操業開始をいたしましても、四、五年はフル操業できない。正確にいうと、四年でありますか、フル操業ができない。従って、赤字経営である。それから、四年目から四万五千トン、フル操業になりまして、操業開始後四年後フル操業になります。そして五年目から黒字に転ずる、黒字といいますか、採算可能な状態になる、こういうことを申し上げたわけでございます。つまり三十八年から配当開始、配当可能の状態に入るということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/94
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095・阿部竹松
○阿部竹松君 その配当可能な年数が、三万トン出るということは、当時は三十八年では絶対にございません。それはあとでお調べになって、あなたのお話と、一年前の話と全然違うということは、あなた自身お認めになっていただきたいと思います。
それからもう一つ、当時若干しか論議しませんでしたから、深い話はございませんでしたが、その当時こういう話がございました。それは、海野委員も若干触れておりましたが、お役人の古手などがそこへいってもらっては困る、あるいは、ゴム会社の大ボスがこれにタッチしてゴム界をリードするようなことがあってはいけぬというような、それぞれ各委員から意見が出ておりました。しかし、その結論は、日本のゴム業界を左右する、握っているとまでいわれているブリヂストンの石橋さんが片手間に代表取締役になっているのです。そうしますと、当然ゴム会社が全部お作りになった製品を、自分の工場へてんでんばらばらに勝手に安く入手することになるから、永久不変、膨大な利益などあがってこないということになって、当時われわれが論議したことが一向盛り込まれておらぬ。こういうことなんですが、あなたは当時責任者ではなかったのですが、これは次官どうですか、われわれがあの発言をしたことは全然盛り込まれておらぬ、政府の金をただ十億円使って、そうして今度ゴム会社の親分が仕事の片手間にこれをやって、おかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/95
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096・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 石橋さんが社長になっておられますが、これはこの会社に対して一番深い関心を持っておりまするゴム業界の代表として入っているのでございます。現に石橋さんはゴム工業会の会長でございますが、そういう意味でゴム業界からだれか代表的な人物を出すとすれば、今のゴム工業会の会長でありまする石橋さんが出ざるを得ない、こういうふうに存ずるのであります。そういう意味で、別にこの会社がゴム業界のボスによって運営せられるということはないと、われわれは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/96
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097・阿部竹松
○阿部竹松君 局長がそういう御答弁をしても、日本合成ゴム株式会社から出てきたこれを見ると、全部ゴム会社ばかり集まっているでしょう。当時のわれわれが賛成したときは、一つの国策会社と同じようなものである。であるから、現在のゴム会社が一方的にやるから、そういうことではいかぬ、従って、政府が採算とれるまで金を出して、そうして市場のゴム製品を安くするのだということでわれわれが賛成したのです。そうしたら一切がっさい、これ見たらゴム会社でない人、一人もおらない、こういうべらぼうな話がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/97
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098・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この前役員の経歴と申しますか、そういうものについて一通り申し上げたのであります。ゴム業界は三分の二程度です。その他の三分の一の役員と申しますのは、化学工業界とか、あるいは石油精製業界、こういうふうなものでありまするが、その他開銀の関係の代表者というようなことで、ゴム業界が役員のすべてを占めている、こういう状態ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/98
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099・阿部竹松
○阿部竹松君 局長のおっしゃるこの前というのは、いつを指して言うのですか、私はこの第一回目の法案がここで審議されるときに、そういう論議、あなた方の答弁がそういうことではございません、こういうことで、それでよろしいということで賛成したのですよ。われわれはつんぼ桟敷におかれて全然ごまかされたということですか。あなたのこの前というのは、この前の本法、昨年の二十六国会の末期に通ったときにそうおっしゃったという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/99
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100・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 今国会の前回の審議という意味でございまして、つまり前の国会のときには、まだ役員というものはだれそれときまっているわけではございません。役員が具体的にきまったものにつきまして、その経歴を御説明申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/100
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101・阿部竹松
○阿部竹松君 ですから、そのときは役員がきまっておらぬから、こうこういうことで、われわれは注文をつけて、あなた方の方も了承したわけです。これは十二月の九日に、昨年の十二月九日に正式に発足したのですから、ですから、七月にできたか、八月にできたか、九月にできたか、僕は知りませんよ。その前に、こういうことであってはいけませんよということを、われわれが論議をやったのです。しかし、その主張が全然いれられない。ゴム会社が、とにかくブリヂストンの石橋さんから始まって愛知ゴム会社など、ゴム会社ばかりに金を使わせてやるということは、穏当でないと思うのですが、それで正しいとお思いになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/101
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102・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 全部というお話しでございますが、全部がゴム会社の出身のものではないのでございます。三分の二でございます。ゴム会社のは。残りの三分の一はゴム業界以外のもの、すなわち石油精製業界、あるいは石油化学業界、そういうところから出ているわけでございまして、別に、そういうゴム業界以外の勢力が入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/102
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103・阿部竹松
○阿部竹松君 ですから、そうすると、重油が余って困るから、こういうゴム会社をこしらえようということになった。そうですから、その石油会社とゴム会社が集まって、結局合成ゴムとなったのでしょうから、あなたの答弁を聞いておると。まあ、それはそれで、あなたを責めてもしようがありませんからいいですが、もう一つは、政府が出資を引き上げて、その株を肩がわりするときに、この定款によると、あれなんですか、全然、現在持っている以外の人にやると、こういうことになるのですか。やはり強い者勝ちで、ゴム会社が、政府が肩がわりするときに、現在、今の二千株を持っている人が二千五百株、一万五千株を持っている人が二万株にならぬとも限りません。今、こちらの質問に対して、あなたの答弁では、そう感じられるのです。しかし、それをどこで、そういうふうにならぬような方法を講じられておりますか。これは、あなたのきわめて常識的な判断ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/103
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104・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 政府の持ち株は、いわゆる国有財産でございます。従って、これの処分は、国有財産を処分する一般原則に従う必要があるわけでございます。そういたしますと、現在の規定によりますと、そういうものは、原則は競争入札ということになっております。それで、そういう意味で、競争入札をやりまするから、別に現在株主であるから、これに売るとか売らないとかいう、そういうことは関係ないというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/104
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105・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすれば、やはりあれですね。政府の国有財産処分法によって、石橋さんが全部株を持つ、こういう場合もあり得るわけですね、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/105
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106・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) そのときになってみないとわかりませんが、もしも、そういうふうなことがあるならば、競争入札という原則を修正しまして、随意契約ということで、その弊害を防止するということも考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/106
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107・阿部竹松
○阿部竹松君 ここでだけの適当な答弁をしてもらっては困りますよ、速記録に載りますからね。それからもう一つお伺いしたいのは、さいぜん若干申し上げましたけれども、ゴム会社が、全部株主ですから、製品を安く自分の会社へ、これは法人格が違いますから、自分の会社といえども、売買契約が成立しますですね。そういう場合に、安く自分の会社へ譲り受けて売買する、こういうことになりますると、永久に赤字であるか、あるいは黒字であるか、あるいはまた、一定のレベルで損得ゼロというようなことに、永久になるという危険性もございますね、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/107
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108・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) ゴム業者としても、その会社が普通の配当ができないで、株価が非常に低いということになりますれば、そういうことはなるべく避けるようになるだろうと思いますが、さらにゴム業界以外の株主も相当範囲占めておりまするし、また、重役も三分の一くらいは、ゴム業界以外のものでございます。従って、まあ、この会社がただ製品を安く売ることに専念して、普通の配当もできないというような事態は、極力避けられるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/108
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109・阿部竹松
○阿部竹松君 局長の御答弁は、きわめて常識的な御答弁ですが、資本主義社会というものは、局長が答弁されるような、甘いものじゃないのです。あなたの御答弁の通り、世の中がゆくのであれば、これはきわめて楽天主義になるのですが、そんなものじゃ絶対ございません。あなたとまた来年けんかしなければならぬということになったら、まことに困ることになるのですが、しかし、ただ、こういうことを私は非常に心配するわけであります。ゴム会社が一方的に実権を握ります。三分の一入っておるから違うと言っても、多数決だったら、三分の二の方が絶対勝つ。日本社会党と自民党さんと同じで、われわれが何ぼ騒いでも、三分の二の自民党さんが言われたら、幾らわれわれが騒いでもしようがない。三分の一の意見が通りますと言っても、通りようがない。そういうでたらめな答弁でなく、悪いものなら悪いということを、こういう危険性があるということを、ざっくばらんに言っていただかぬと、これも大丈夫、あれも大丈夫ということで、安心感をわれわれに抱かせては困る。
そこで、最後にお伺いしたいのですが、政府出資を肩がわりするときの国有財産の処分方法は、今お伺いしましたが、そのときには、一切、政府と何らつながりがない一商社になってしまうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/109
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110・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) お話しの通りでございます。しかし、政府としては、この会社がまあ、りっぱに運営せられるとは思いますけれども、万一、われわれの期待するような運営をやらないような場合には、同一製品の輸入が自由でございます。合成ゴムの輸入によりまして、これは大体今後もAA制でゆくことにしておりますが、そうして、また無税でございますが、そういう制度は続けていきますので、まず会社は、国際水準に近づくために、今後も努力をせざるを得ない状態に置かれると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/110
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111・島清
○島清君 この前私が、最終製品をお作りになりますかということをお尋ねをいたしましたときに、そうだというようにお答えをされたのでありますが、きょうは御訂正のようでございました。そこで、私がそれを聞きました文書によりますると、ゴム会社の目的の(イ)(ロ)(ハ)の(イ)の字を書いてある、「合成ゴムの製造及び販売」と書いてある。(ロ)の方に「合成ゴムの原料の製造及び販売」、(ロ)の方はお答えがありましたが、原料の製造、販売ですが、(イ)の方は製造及び販売、こういう工合に最終商品の製造を思わしめるような表現の形態をとっておるので、私は、こういう文書を指摘しないで、最終商品をお作りになるかどうかと聞いたのですが、この(イ)と(ロ)の関係は、どういうわけでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/111
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112・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) ここにありまする「合成ゴムの原料」と申しますのは、合成ゴムになりまする一歩手前のもので、ブタジェンと呼んでおるものがございます。それの製造、販売ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/112
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113・島清
○島清君 それからその「合成ゴムの製造及び販売」というのは、どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/113
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114・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これは字の通りでございまして、原料として使われまする合成ゴムの製造と販売ということで、タイヤとか、そういうものは、ゴム加工品という範疇に入るわけでございます。ここでは、そういうものは全然意味していないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/114
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115・島清
○島清君 森さんの御説明を伺っておりますというと、非常に苦しいところが了解できます。それは、国家のために合成ゴムの事業を興さなければならない。そこで、これは事業的な採算がとれるかどうか、見通しがつかないから、事業家がやろうとしないから、国家がそれを助成をしていかなければならない、そこで国家が投資をする、開発銀行の資金のあっせんをする、まあこういうことです。そうしますというと、事業を興さなければならないが、まるまる損をして国家が投資をするということになりまするというと、国会の法律として成立を見ることは、これはできない、反対されますから。そこで、まあ投資をしてももうかるであろう、五年目あたりから一割二分の配当が保証されるから、十億の投資をしても、それから開銀の方の融資をあっせんしてもよろしいのじゃないか、というふうにさらに裏づけをいたしまして、この法案をお通しになろうとする、その苦しい立場は私は了解をいたします。そこで、私たちがここで考えなければならないことは、合成ゴムを興そうとされますところの原料は、石油だということを承わっております。ところが、あなたたちの方の説明を承わっておりますというと、石油は何か国内から水のように出てきて、これを使えば、いつでも天然ゴムに打ち勝てるような事業が成り立つのだというふうに印象を受けるような御説明を承わっておるのでありますが、石油はこれは申し上げるまでもなくして百パーセント近い輸入品でございますので、この輸入品に依存をして事業をお興しになって、そうして今ここで数字にあげられておるような、いわゆるもうかるというようなこの根拠はどこにあるかということを、私は関連の質問の中でお尋ねを申し上げたわけでございました。そこで、森さんの説明は十分に国際競争にたえていくのだというふうな抽象的な説明でございましたが、今の説明の前提といたしましては、石油が輸入品であるということと、さらにその石油を握っておりまする海外資本といいますか、国内資本というものが、非常に強く日本の事業界を支配しておるということなんであります。そこで、なるほど持ち株というものは、金額にいたしますというと少いのかもしれませんけれども、しかしながら、この合成ゴムの死命を握っておりますのは石油である、その石油の支配力というものは、外国資本の方が非常に強いということ、こういうようなものを考慮の中に入れられて、そうして価格の問題等について、十分に国際競争にたえていけるのだというふうな、はっきりしたところの確信を持つ御答弁をされたのかどうか。こういったようなものを十分に考慮に入れられて、そうして今御説明をいただいたような結果であったかどうかということについて、くどいようでございまするが、御説明をわずらわしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/115
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116・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 化学工業は一般に装置工業と言われておりまして、装置に一番金がかかるわけであります。その設備の償却費というものが、生産費の中に占める割合が多いのであります。そういう意味で、日本で合成ゴムの事業を興すといたしますと、やはり世界水準の規模のものを作らなければいけないということが考えの出発点でございます。そういう意味で、今回この計画されております日本合成ゴム会社の規模は、年産四万五千トンということで、これはちょうど西独がやっておるのとぴったり一致しておりますが、イギリスのよりはちょっと少い程度で、まず世界的な水準の規模でございます。そしてまあ、原料はこういう国際価格で入手できます原油の国産品でございますし、また技術は、これはアメリカの技術を導入してやるということで、大体すべての点で国際水準並みにやっていけるという要素がそろっているわけでございます。そういう意味で、まずこの製品は国際競争にたえ得るものであるというふうに考えておるのでありまするが、なお、私の方としては、いろいろこまかい原価計算をやったわけです。これは役所がやったわけでございませんで、現在の会社でいろいろな企業に非常な経験のある方々が計算されたわけですが、その結果やはり大体一キログラム当り二百二十円でいって、まあ普通の配当ができる程度の収益が上がるだろうという見通しが立ったのでございますが、この二百二十円という数字は、大体アメリカ等の製品を日本に持ってきたときの価格とほぼ一致しておるという状態でございます。なお、この前に質問があったのでございまするが、原料になりまするガスは、石油精製の過程においてできまする一種の廃ガスといっていいようなものでございます。従ってこれは従来は家庭燃料等に使われていたようなものなんでございます。そういう意味であまり高いものではございません。大体そのガスだけについていいますると、全体の生産費の一割四、五分程度の金高になりますが、これはそのほかにいろいろなスチレンとかその他を加えまして、原料費は全体で大体半分程度、生産費の五制程度を占めることになりますが、こういう程度のものでございまして、石油の価格がこの製品の価格に占める割合というのは、非常に少いのでございます。まあ一、二割程度のものでございます。そういうわけでこの会社が石油の価格の変動の影響というものもそうひどく受けるものではない、また、この使いまする原油の総量は、四万五千トン作るのに、大体九万トンくらいのガスが要るのでありますが、今日本で使っておりまする原油総量は一千万トン程度でございまして、きわめてわずかな割合でございまして、原油の業界のいろいろな変動の影響を受けることは、比較的少いものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/116
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117・島清
○島清君 それはわかりましたが、やはり政府といたしましては、十億の投資をなさいまして、そうして五年目からは一割二分の配当をしなければならないということを、こういうふうに計画をしておられるわけでありまするから、その計画がくずれるということはやはり望まないでしょうから、この計画を実効あらしめるために努力をされるわけでしょうね。そうすると努力をされるということになりますというと、それが国際価格のいかんにかかわらずこれは保証するんだ、保証するということになりまするというと、国家権力によってその商品価格が作られてゆく、こういうふうになると思うのですが、これは当然の道行きだと思うんですね、こういうことについてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/117
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118・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この会社がフル操業をするまでには、今後数年かかるわけですが、しかし、そういう育成の過程におきましても、別途合成ゴムの輸入をAA制といたしまして、自由に外国の合成ゴムが入り得る状態にしておきたいと思うのでございます。国家権力によって、この会社の製品の価格等を不当に高くするというようなことは避けてゆきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/118
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119・島清
○島清君 さっきの原油の問題でございますが国産原油をお使いになる、こういうことでございましたね、そうしますと、それは微々たるものといえども、この原料に対しては十分に確保がなされていなければならないと思うんですよ。その原油に対しては帝石も株を持っておるとは思うのですが、私はまだ見ておりませんが、かりにその原油の確保という問題は、これは何か長期に契約をして原油を確保する、こういったような構想でもあるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/119
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120・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この合成ゴムの原料になります廃ガスは、別に国産石油だけから取るというものではございません。輸入原油から取るものがむしろ大部分を占めると思います。なお、この廃ガスの供給確保の問題としましては、この工場を四日市へ作るわけですが、四日市にあります二つの石油精製会社、それから一つの石油化学工場、この三つの工場から出ます廃ガスが、大体大部分をまかなうことができるわけでございまして、それ以外の地域の石油精製業者に期待するのは、きわめてわずかでございます。そういうわけで、この事業に必要な廃ガスの確保については、量的には心配はないと思っております。なおまた、廃ガスの取得については、いろんな条件をきめなければいけないのですが、そういうことについてこれから円滑にいかせるために、四日市にあります三つの原料供給工場の代表は、この会社の重役として入っておるというのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/120
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121・島清
○島清君 会社が民間に切りかえられる場合、政府の持ち株が民間に放出されるときのことを、いろいろ椿委員も阿部委員も聞いておったのでありますが、森さんの答弁は、過去の歴史を無視した御答弁だと思うのです。過去の歴史は、たとえば九電力の分割にいたしましても、ないしは帝石の持ち株の処分にいたしましても、全部が関係者の方に株は放出されているのです。ですから、一般国民に公開入札をされて、一般国民の手に株が渡っていったのだというようなことは、過去のこういったような国有会社ですか、国策会社が民間会社に切りかえられる場合においては、残念ながら森さんの御答弁とは全く相反したような形において切りかえられているのです。ですからこれはもし、御答弁の通りであるとすれば、非常に甘いようでありまするから、何か一つそれに対しては特別の処置を、これからやはりお考えにならなければ、今あなたがおっしゃったようなことは確保できないと私は思うのです。この点についてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/121
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122・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 最近のこういう実例について申し上げたいと思いますが、国際電信電話株式会社という会社の株を、やはり政府が持っていたのでありますが、その民間への売り渡しにつきまして、昭和二十九年、あるいは三十一年ともに例がございますが、これは競争入札でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/122
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123・島清
○島清君 それは私のいうのは、結論的にいって、要するに関係者の方に株が取得される率の方が非常に大きいということなんです。そこで、今あなたが指摘されたもの、あれは例外中の例外で、そうして一般公開入札をして、そこでだれがその株を取得されたかということは、調査してみなければわからないと思うのですが、われわれの知る範囲内においては、関係者の方が全部といってもいいほど政府の放出株を取得しているという事実があるということなんです。この事実に基いて、この会社がいわゆる独占事業にもなるであろうし、さらには、これは政府の出資会社だからといって、ゴムの関係者の、他のゴム会社から食い物にされるという二つの面があるのです。この二つの面を、二つの変ったところから指摘をしておるわけなんです。そこで、これがゴム関係の方に株が流れないのだという保証が、今おっしゃってるところからは出てこないのではないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/123
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124・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) この政府の持ち株は、国有財産のうちのいわゆる普通財産というものでございまして、競争入札に付するというのが原則でございます。従って最近の事例としては、ただいま申し上げましたような国際電信電話株式会社のように競争入札によって処分していくということが、原則になると考えるのであります。そうしてこの株がゴム業界に絶対に取得させないようにする保証がないではないかという点については、あるいはまことにそのお説の通りであると思います。まあ、一応競争入札という原則で処理するからには、どこに行こうと、これは普通の取引でございますので、国がどこに行くかということについて規制をするということはできないと存じます。しかしまた、この方法をとることによって、何か非常な弊害が予想される場合、大量にゴム業界にいくというふうな、そういうことが予想される場合には、例外的な方法でありまする随意契約ということによって、そういう弊害を防止するように努めなければならないというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/124
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125・島清
○島清君 もう一点、森さん非常におおこりになったような答弁のようですが、ここで事業というものは、今の岸内閣といたしましては、企業の自由を原則にしておるわけです。その企業の自由の原則にのっとらないで、国策会社みたいなものを作ろうとする場合に、椿委員、阿部委員から、あるいはこういう面でこの会社が食い物にされる危険性が想像されるのじゃないかということを一面指摘されたということと、それから独占事業形態をとる危険性があるのじゃないかということが、指摘されておるわけです。そこで、そういうものが両方の面から指摘された場合には、両方の面こそ、そういうことはあり得ないのだという保証がなければ、この法律案というものは法律として成立することができない、こういうことをわれわれとして言わざるを得ないわけです。たとえば国の持っておりますところの株券というものは、普通財産であるとするならば、その普通財産が公入札に付さなければならぬという動かすことのできない原則とするのであるとするならば、この法律を通すと同時に、この動かすことのできない原則に対して例外的なことを、この事業を盛り育てていくというためには、その例外というものも当然考えなければならぬということは、私は法案を作成するものの善良なるところの意思でなければならぬ、私はそう思うのですが、この点についてはどうですか。しかもまた、普通財産というものは、必ずしも何も公入札に付さなければならぬというようなことは、今大蔵省の国有財産は決してそうはしていないでしょう。例外だって幾らでもある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/125
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126・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 会計法によりますると、国有財産の普通財産は、競争入札によって処分するということが原則でありますが、しかしまた必要がある場合には、随意契約によって処分することができるという規定があるわけであります。従って普通でいいますると、競争入札で処分することになるわけでありますが、しかし、そういう方法によった場合、この会社の育成上非常に支障があるということが明瞭に言える場合には、随意契約によってその売り渡しの相手方の選択をしなければならないと存じます。そういう意味で両方の方法を合せて考えて、この政府所有の株の処分に当っては、会社の将来に暗影を投じないようにしなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/126
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127・島清
○島清君 僕は森さんにちょっと原則的なことをお聞きするのですが、これはあるいは政務次官からでもいいのですが、一体岸内閣は、企業の自由を原則にして、そうして自民党内閣、吉田内閣の時代ですが、そのときにいわゆる今の電力を九分割したわけです。九分割いたしまして、そこで需給のバランスがどうもまずいというので、今はやはり再々編成だとか、あるいは広域運営と、こういうことに変らざるを得ない状態になってきているわけなんですね。しかも、それを、企業の自由を原則とするところの自民党と、さらにその内閣において、こういったようないわゆる統制会社といいましょうか、国策会社みたいなものを作ろうというのだからして、これは作りたい、しかしながら株が流れる場合には、そういったようなあるいは独占資本化する形は避けなければならぬのじゃないか、こういうような質問をした場合に対しては、今のような形においては、独占化される危険があるのだからして、そういうことが起らないようにするところの対処というものが、当然にこの法案を作成するときに私は考え出されなければならないと思うのです。この事態が、岸内閣のもとにおいては変則的ですよ。その変則的なものを作ろうとする場合、そうしてその原則として起り得るのじゃないかという場合に、原則論ばかりとっていたのでは、この原則論であるならば、この会社は不必要だということになりはしませんか、原則論であるとするならば、どういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/127
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128・小滝彬
○小滝彬君 ちょっと関連して今の答弁の前に。今の森君の答弁で、原則論があったけれども、私の記憶するところでは、随契の中には、縁故者に対する随契の相手方は何とかと書いてあるはずなんだけれども、縁故のある方に対しては、特別の随契をすることができるようになっているのではないか。そうすると、ある特定の会社なりが、株主の中で非常に多数の株を取得しようとする場合は、その随契によってそれを抑制することができる、そういう手段は十分講じ得るのであって、現在の財政法によっても、島さんのおっしゃるような目的を達し得るように取り計らえると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/128
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129・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) 随意契約を行える場合を会計法では列挙してございますが、そういう場合に随意契約で国有財産の処分ができるわけですが、これは規定を詳細に見ますると、相当弾力的な運用ができるようになっておりまするので、この合成ゴム会社の運営に将来不利益を与えるというようなおそれがある場合には、競争入札でなく、随意契約でありますれば、相手の選択ができまするので、そういう弊害が除去できるというふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/129
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130・島清
○島清君 それは前の防衛庁長官のサゼスションがあったようですが、(笑声)何も僕らは防衛庁の委員会に来ているわけじゃない。そこでわれわれがかりに、この法案を通す場合でも、そういう危惧を感じて、そういうようなものが起らないようにというて、未然に、かりに付帯決議をつけるという場合に、たとえば森君なら森君が、ああいうような形式一点張りのことを言っていたのでは、これはちょっと質疑応答の過程からして、結論を出す場合にも出しにくいと思うのですよ。そこで私たちは、そういう危険が考えられる場合には、しかじかかようかようでこういうふうな危険のないように将来を取り計らいましようということであれば、それはりっぱな答弁になるのです。ところが、それは、競争入札だとか、随契だとか、あるいは随契にもいろいろあるわけだ。だからそういう趣旨に沿って、そういうことがないように取り計らいたいというならば、それは随契の中の答弁になるかもしれないけれども、どういうことでやりたいのですか、縁故者に払い下げたいというのですか、それとも一般の、そういうことにならぬように随契をやりたいというのですか、一体どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/130
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131・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これは、この株の処分に当りましては、特定の者に多数の株が集中して、会社の運営が壟断されるというようなおそれのないように、できるだけ分散をして譲渡されることを希望いたすわけであります。われわれとしても、そういうふうに努力いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/131
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132・海野三朗
○海野三朗君 今の、政府の株を買う場合に、いずれこの会社の重役の人たちが、まず案を立てるでありましょう。そういうことではいけないので、そういう際に、通産省が十分監督をしてやるという御決意があるのかどうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/132
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133・森誓夫
○政府委員(森誓夫君) これは政府の持株でございまして、その処分計画につきましては、会社の首脳部が参画することはないと思います。大蔵省がその計画を作るのでございます。通産省としても、大蔵省とよく協議をいたしまして、この株の処分が、将来の会社の運営に不利益を与えないように十分打ち合せをいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/133
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134・海野三朗
○海野三朗君 ところが、私はさっきから再三伺っておるのでありますが、これができ上った際においては、いずれこれは普通の民間会社になっちゃうのですよ。国策会社だなんて今考える人があるかもしらぬけれども、これはでき上ったときには、政府が金を出して、一本立ちでよちよち歩けるようになったら、それはただ単に一民間会社にすぎないのです。そういうものに政府が出資する場合においては、もう少し政府がはっきりした監督権を持たなければならぬ、私はそれを言うのです。商工中金あたりで金を小さな業者に貸してやる場合には、利息を容赦なく取っておきながら、こういう大企業に対しての投資をするということ自体が、単に一会社じゃないか、単に民間会社じゃないか。それに政府が助太刀をする、政府が投資するというようなことに対しては、投資するならば投資してもいい、それが国家のためになるのならば。しかしながら、それはもう少しはっきりした監督といいますか、今の、たとえば株をやる場合において、この株でみると、ブリヂストン・タイヤが一番よけい株を持っている、いずれ将来はブリヂストン・タイヤがこの株を買い占めるでありましよう。そうすると、それはモノボライズすることになる。単に一会社を助けるために、国の資本を投資したということになって、その結果から見ると、はなはだ感心できないあり方ではないか、こういうことに対しては、はっきりした政府当局の御決意と、納得がいく説明を私は望んでおるのであります。今日のセメント会社にしても、あるいは帝国石油にしても、どうなんですか。一体ああいう会社のことはよく御存じのはずである。それでもしこれが、将来そろばんが合わない際には、合成ゴム株式会社でもお立てになるお考えか、ちょうど石油の帝石が立ち行かなくなったので、あれを救うために、石油資源会社を作った、それと同じように合成ゴム株式会社でもおやりになるお考えか、どうなんです。そうしてそれに対してははっきりした御決意、国民の納得のいく説明を私は望んでいるのである。これもけっこうなんですよ、この法案もけっこうなんだけれども、どうもその点については納得いたしかねる。今の株のことにしてもそうであるし、そうして今度は、政府の株を買い上げるときには、どういうふうにして、株主だけに配付しないで、これを一般に広めるようにするとか何とかしないというと、これは単に石橋会社を助けたということになってしまう。(笑声)結果からいうとそういうことになる。ところが、御答弁を聞いておりますというと、当座限りの答弁をしていなさる。そうなんですよ、今までの法案でも、私は昔のことを言うては、なんだけれども、すべてそうだ。たとえばセメント会社にしても、肥料会社にしてもそうだ。当時の委員会をただちょろまかしてさえいけばいいというお考えではいけないということを申すのである。国民の納得のいくものでなければならぬ。この財産というものは国民の金である。これを単に一私設会社のために使うということは、私は何をもって国民にまみえるかという、それを私は言うんです。私はその点を再三再四伺っておるのでありまするが、局長は言を左右にして、少しもその要点に触れていない、ごまかしておる。私は率直に申します。私はそれではいけないんじゃないか、委員会として、私はあくまでもそれが納得のいく説明をしてもらいたい。納得のいく説明とは何であるか。政府が出した以上は、これだけの責任を持ちますということをはっきり伺わなければならないと私は存ずる。私はほんとうに私の良心に問うて聞いておるんです。何もこの法案を押しつぶそうとする考えもなければ、じゃましようとする考えも私は毛頭持っていない。国家のためになるならば、私はあげて賛成をいたしますよ。しかしながら、今日までのあまたの大財閥とでも申しますか、見ておりますと、はなはだ納得のしかねることばかりありますので、今の株の払い下げについても、島委員が言っておるのは、その点なんである。納得ある説明をさえしていただければ私はいいのであります。その点はいかがでしょうか。私は、単なる一私設会社、私の会社に対して、政府が十億の金を貸す。それが四、五年据え置いてしまって、無利息だ、まるで。そんなことであってはいけないんじゃないか。中小商工業者に対しては、寸分の仮借なしに金を取ってるじゃないか。こういう点については、納得のいく説明を私はお願いしたい、こういうことを伺っておるんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/134
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135・阿部竹松
○阿部竹松君 議事進行について。速記とめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/135
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136・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/136
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137・近藤信一
○委員長(近藤信一君) それでは速記を起して。
本法案については、さらに次回、明後二十七日午前十時より審議することにして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814461X01219580325/137
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