1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月十三日(木曜日)
午後一時三十二分開会
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委員の異動
本日委員伊能繁次郎君、塩見俊二君、
宮澤喜一君及び小林孝平君辞任につ
き、その補欠として苫米地義三君、苫
米地英俊君、田中茂穂君及び江田三郎
君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 河野 謙三君
理事
西川甚五郎君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
岡崎 真一君
木暮武太夫君
左藤 義詮君
田中 茂穂君
土田國太郎君
苫米地英俊君
増原 恵吉君
山本 米治君
荒木正三郎君
江田 三郎君
大矢 正君
栗山 良夫君
野溝 勝君
杉山 昌作君
鮎川 義介君
政府委員
大蔵政務次官 白井 勇君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 村上孝太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
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本日の会議に付した案件
○製造たばこの定価の決定又は改定に
関する法律の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○日本開発銀行法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○昭和二十八年度から昭和三十二年度
までの各年度における国債整理基金
に充てるべき資金の繰入の特例に関
する法律の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○補助金等の臨時特例等に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
○食糧管理特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○食糧管理特別会計における資金の設
置及びこれに充てるための一般会計
からする繰入金に関する法律案(内
閣送付、予備審査)
○漁船再保険特別会計における特殊保
険及び給与保険の再保険事業につい
て生じた損失をうめるための一般会
計からする繰入金に関する法律案
(内閣送付、予備審査)
○外国為替資金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣送付、予備審
査)
○たばこ専売法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/0
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001・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより委員会を開きます。
議事に入ります前に 前回の委員会散会後理事会におきまして、明十四日金曜日は定例日でありますが、委員会を開かないことに申し合せましたので御了承いただきます。
また本日付をもって委員宮澤喜一君、伊能繁次郎君、小林孝平君、塩見俊二君が辞任され、その補欠として田中茂穂君、苫米地義三君、江田三郎君、苫米地英俊君が委員に選任されましたことを御報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/1
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002・河野謙三
○委員長(河野謙三君) それでは、本日はまず、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案
日本開発銀行法の一部を改正する法律案
昭和二十八年度から昭和三十二年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案
補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案
食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案
漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律案
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案
以上いずれも予備審査の八法案を便宜一括議題として政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/2
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003・白井勇
○政府委員(白井勇君) ただいま議題になりました製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案外七法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
最初に、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、日本専売公社製造たばこの最高価格を定めている価格表の一部を改正するものであります。
その概要を申し上げますと、専売公社におきましては、フィルター付紙巻たばこが世界的な流行を示し、国内においても強い発売の要望がありましたので、この要望にこたえるとともに専売益金の増収をはかるため、昭和三十二年七月一日からフィルター付紙巻たばこ「ホープ」を試製して販売中であり、また新しい需要層を開拓して売れ行きの増進と専売益金の増収をはかるため、同年八月一日からはっかを主とする特殊加香を施した両切紙巻たばこ「みどり」を試製して販売中でありますが、その売れ行き状況はいずれも良好でありますので、今後継続して販売するため、これらを価格表に追加しようとするものであります。
次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されて以来、長期設備資金の融通により、わが国経済の再建及び産業の開発の促進に努めて参っておりますことは、御承知の通りでありまして、今後ともわが国経済基盤の充実強化について、通行の業務活動に期待するところは、きわめて大きいものがあると考えます。
現在、日本開発銀行が行います借り入れ及び債務保証の金額につきましては、法律上自己資本と同類以内ということに制限されておりますが、最近における同行の業務の状況、特に国際復興開発銀行よりの外貨借款の増大等を考慮いたしますと、現行規定では借り入れ及び債務保証の限度額に制約されて、今後の円滑な業務運営に支障を来たすこととなります。従って、この制限を金融機関としての健全性をそこなわない範囲内において緩和することが必要と考えられますが、この点につきましては、すでに日本輸出入銀行について適用いたしておりますところと同様に借入金の限度額を自己資本の二倍といたすとともに、貸付金と債務保証との合計額は、自己資本の額と借入金の限度額との合計額をこえないこととすることが適当と考えられ、これがために日本開発銀行法に所要の改正を行う必要があるのであります。
次に、昭和二十八年度から昭和三十二年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
昭和二十八年度から昭和三十二年度までの各年度におきましては、国債の償還等に充てるための資金の繰り入れの特例といたしまして、国債の元金償還に充てるために一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるべき最低金額は、財政法第六条の規定による前々年度の剰余金の二分の一相当額にとどめ、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定による前年度首における国債総額の一万分の百十六の二分の一相当額の繰入基準は、これを適用しないことといたしております。また、これとともに、日本国有鉄道または日本電信電話公社が日本国有鉄道法施行法第九条または日本電信電話公社法施行法第八条の規定により一般会計に対して負ういわゆる法定債務の償還元利金については、面接、国債整理基金特別会計に繰り入れ、この繰入額に相当する金額については一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れがあったものとみなす特別の措置が講ぜられてきたのでありますが、昭和三十三年度におきましても、国債償還の状況にかんがみ、かつ、経理の簡素化をはかるため、前年度と同様これらの措置を講じようとするものであります。
次に、補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
政府は、国の財政の健全化等の目的から、補助金等の整理合理化につきまして、昭和二十九年度以降予算において所要の措置を講ずるとともに、法的措置を講ずる必要があるものにつきましては、補助金等の臨時特例等に関する法律により、特別の措置を講じてきたのであります。
政府といたしましては、補助金等の整理合理化につきまして、今後もなお調査検討を進めて参る所存でありますが、昭和三十三年度予算の編成に当りましても、この建前から各種補助金等につき検討の結果、同法による特別措置を、昭和三十三年度においても、なお、引き続き講ずることとする必要があると考えられますので、今回、その有効期限を昭和三十四年三月三十一日まで、一年間延長することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
食糧管理特別会計におきましては、従来、食糧管理のためにする食糧、農産物価格安定法に規定する農産物等、飼料需給安定法に規定する飼料、及びてん菜生産振興臨時措置法に規定するテンサイ糖の買い入れ及び売り渡し等、並びに農産物検査法の規定による農産物の検査に関する歳入歳出を一体として経理して参ったのでありますが、これらの経理の内容をさらに明確にするとともに、この会計の運営の健全化をはかるため、今回この法律案を提出した次第であります。
その大要を申し上げますと、第一は、この会計を国内米管理勘定、国内麦管理勘定、輸入食糧管理勘定、農産物等安定勘定、業務勘定及び調整勘定の六勘定に区分することといたしております。これを各勘定について申し上げますと、国内米管理勘定、国内麦管理勘定及び輸入食糧管理勘定においては、国内産米穀、国内産麦及び輸入にかかる主要食糧の買い入れ及び売り渡し等に関する歳入歳出を、農産物等安定勘定においては、農産物価格安定法、飼料需給安定法及びてん菜生産振興臨時措置法に基く農産物等、飼料及びテンサイ糖の買い入れ及び売り渡し等に関する歳入歳出を、業務勘定においては、この会計の事務取扱い及び施設運営、農産物検査等に関する歳入歳出を、調整勘定においては、調整資金に充てるための一般会計からの受け入れ、他勘定における所要資金の借り入れ及び償還並びに他勘定における所要資金の当該勘定への繰り入れ及びこの繰入金の返還金の受け入れに関する歳入歳出を、それぞれ経理することといたしております。
第二は、調整勘定に資金を設け、一般会計からの受入金及び当該勘定における利益の組入金に相当する金額をもってこれに充てることとし、食糧管理特別会計の運営の健全化に資するための措置を講ずることといたしております。
第三は、各勘定の利益及び損失の処理に関する規定であります。すなわち、国内米管理勘定、国内麦管理勘定、輸入食糧管理勘定及び業務勘定の利益または損失は、調整勘定に移して整理することといたしております。なお、この整理をした後に、調整勘定に利益または損失があるときは、利益の額を調整資金に組み入れ、または損失の額を限度として調整資金を減額して整理することができることといたしております。また、農産物等安定勘定の利益または損失は、当該勘定の積立金とし、または積立金を減額し整理することといたしております。
第四は、前述の諸措置に伴いまして必要な規定の整備をはかるとともに、この会計の昭和三十二年度末における資産及び負債の各勘定への帰属並びに昭和三十二年度にこの会計に設けられる資金の承継について、所要の規定を設けることといたしております。
次に、食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、食糧管理特別会計の運営の現状にかんがみまして、この会計に資金を設け、この会計の運営の健全化をはかろうとするものであります。この資金は、一般会計から繰り入れる百五十億円を充てることといたしておりますが、これに必要な予算措置といたしましては、別途、今国会で御審議を願っておりまする昭和三十二年度一般会計予算補正におきまして、一般会計から食糧管理特別会計への繰入金のうちに所要額を計上いたしております。
なお、各年度の損益計算上、利益があるときは、その額を資金に組み入れ、損失があるときは、その額を限度として資金を減額し、その処理をすることができることといたしております。
次に、漁船画保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。
漁船損害補償法の規定による漁船の拿捕、抑留等の事故を保険事故とする特殊保険につきましては、昭和三十一年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、漁船再保険特別会計の特殊保険勘定における再保険金の支払いが著しく増加し、同年度の損益計算上、約四千四百七十万六千円の損失を生じたのであります。また、漁船乗組員給与保険法の規定による漁船の乗組員の抑留を保険事故とする給与保険につきましては、昭和三十一年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、第二十六回国会において成立いたしました漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について免じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律によりまして、とりあえず、昭和三十一年四月一日から昭和三十二年二月末日までの間における損失を埋めるため、一般会計から、この会計の給与保険勘定に九千四百八十万九千円を限度として繰り入れることができることといたしたのでありますが、同年三月においても引き続き保険事故の異常な発生を見、同年度の損益計算上、約九百六十七万八千円の損失を生じ、さらに昭和三十二年四月一日から同年十二月末日までの間におきまして、約七千三百七十七万九千円の損失を生じたのであります。
この法律は、これらの損失を埋めるため、昭和三十三年度におきまして、一般会計から、この会計の特殊保険勘定に四千四百七十万六千円、給与保険勘定に八千三百五十万円を限度として繰り入れることができることとしようとするものであります。
最後に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
本年一月二十日、日本国政府とインドネシア共和国政府との間で調印されました旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本府とインドネシア共和国政府との間の議定書は、この議定書につきましての批准書交換の日または日本国とインドネシヤ共和国との間の平和条約の効力発生の日の、いずれかおそい日に効力を生ずることとなっております。この議定書の効力が発生いたしますと、議定書第二条の規定に基き、日本国がインドネシヤ共和国に対して有する一億七千六百九十一万三千九百五十八アメリカ合衆国ドル四十一セントの額の請求権を放棄することとなりまするが、この請求権を放棄することによりまして、外国為替資金において、この請求権の額をこの法律の施行の日における基準外国為替相場で換算した金額の損失が生ずることとなりまするので、この損失金額を外国為替資金の金額から減額して整理しようとするものであります。
以上、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案外七法律案につきまして、提案の理由を申し上げました。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/3
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004・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ただいま説明を聴取いたしました各法律案についての補足説明並びに質疑は、後日に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/4
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005・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、たばこ専売法の一部を改正する法律案を議題として、大蔵省当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/5
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006・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) たばこ専売法の改正につきまして簡単なる御説明を申し上げます。
この法律案につきましては、昨年夏じゅういろいろ懇談会の席上におきまして、御議論をいただき、かつ御指示も賜わったわけでございまして、詳しく説明する必要はないと思うのでありますが、お手元に配りました資料の新旧対照表によりまして、簡単にこのたび政府が提案いたしました法案の内容につきまして御説明をいたします。
今度提案いたしましたたばこ専売法の一部改正の内容といたしましては、まず第一に価格基準の問額、それから第二に、許可基準、この許可基準に関連しまして奥義の申立制度の問題、それから審議会の問題、大体大きく分けましてこの三つが問題になるわけでございます。
まず第一の価格基準でございますが、お手元にございます新旧対照表の二枚目をまくっていただきますと、そこに第五条の二項として「前項の価格は、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して、耕作者が適正な対価を得ることができるように定めなければならない」と、こういうふうに挿入されております。で、懇談会の席におきましては、この価格基準の後段につきまして、「耕作者が適正な対価を得ることができるように定めなければならない」という言葉を、「再生産を確保することができるように定めなければならない」というふうに表現してはどうかというお説があったわけでございます。今度提案いたしました政府の案に「耕作者が適正な対価を得ることができるように定めなければならない」というふうに書きましたゆえんのものは、これを再生産を確保するために云々と書きますというと、現在の食糧管理法第三条の米価に関する価格基準と全く同様な表現になるわけでございます。ところがタバコという耕作物は、おのずから米という主食でありかつ恒久的に不足しております農作物と同じような表現では私はおかしいと思いますし、また現実の価格算定方式が米価とタバコでは変っております。従って法文上全く同じ字句によって表現するということが適当でないと、こういうふうに政府は考えまして、「耕作者が適正な対価を得ることができるように定めなければならない」と、こういうふうに提案したわけであります。
その次の四項は、その次に第三番目に申し上げますたばこ耕作審議会にタバコの価格をきめる場合には意見を聞かなければならないというふうな規定でございます。順序に従ってこの第四項も次に御説明申し上げますというと、この規定につきましては「その意見を聞かなければならない」というふうな表現が、「議を経なければならない」というふうに書いてはどうかというふうな御意見があったように私は記憶いたしております。諮問機関につきましてその意見を聞かなければならないと書くのがいいか、議を経なければならないと書くのがいいか、いろいろ法文上のテクニックの問題があろうと思いますが、過去の審議会について私もいろいろ調べてみたのでありますが、価格を決定する審議会につきましては、議を経なければならないというふうな表現をとった前例はないようでございます。それからまた諮問機関としての一般的な表現が、その意見を聞かなければならないというふうな法制局筋の御意見もありまして、私の方では「その意見を聞かなければならない」という表現にいたしたわけであります。
それからその次の改正点は、第七条の二項でございます。「第五条第四項の規定は、前項の規定によるたばこの種類及び耕作面積の決定について準用する」、ただいま読み上げました第五条第四項の耕作審議会の意見を聞かなければならないという耕作審議会の審議の対象といたしまして、価格のみならず耕作面積の決定、毎年公社が定めますところの耕作面積の決定というふうな重要な事項についても審議会に諮れ、その意見を聞けということが書いてあるわけでございます。
それからその次は、一枚めくっていただきますと、第九条でございますが、第九条の改正は現行の第九条を二つに分けまして、あとの半分を「九条の二」という独立の条文にいたした点が違っております。で、前半は現行の九条の前半と全く同じでございますので説明を省略さしていただきます。後半の部分を「九条の二」といたしまして、許可の基準という題目をつけまして独立さしたわけでございますが、これが現行の九条の後段と違っております点は、まず第一に、タバコ耕作の許可をいたそうとする場合に、耕作経験の有無ということを許可基準の中に入れたわけでございます。これはタバコ耕作権についていろいろ永年小作権というふうな問題がございまして、そうした御意向を政府の立場から入れる最大限度に表現いたしまして、耕作経験の有無という許可基準を九条の二の中に入れたわけでございます。あとの許可基準は従来消極的な除斥理由であったのを今度は積極的な許可基準にいたしたことと、それから従来の法文では不明確でございましたいわゆる毎年度の公示耕作面積というものと許可面積とを一致させるという規定を「耕作面積の範囲内において」というふうに入れたわけでございます。これによって次に御説明申し上げますところの異議の申立制度と許可基準の規定とがうらはらにうまく調和することになったわけでございます。
次は異議の申立制度でございますが、これは懇談会の御意見通りに「第九条の三」として新しく挿入をいたした規定でございます。一枚めくっていただきますというと、「第九条の三 第八条の規定に基いてした公社の処分について不服のある者は、当該処分のあったことを知った日から二週間以内に、大蔵省令の定めるところにより、不服の事由を記載した書面をもって、公社に対して異議の申立をすることができる。2 公社は、異議の申立に対する決定をしたときは、その理由を附記した書面により、これをその申立をした者に通知しなければならない」、第八条の許可処分によって不許可になった者も、あるいは一部許可処分を受けた者もこの規定によって異議の申し立てが許されるわけでございます。ここに「公社」と書いてございますのは、それぞれの地方の専売局ということでございまして、それによって異議の申し立てに対する決定は書面をもって通知をするという規定でございます。
それから第十条の規定で、第三項に横に線が引いてございますが、これは単に現行の第九条を改正しました結果の条文の整理でございます。
それから第二十六条の二項の「第九条、第九条の二」と書いてございますところも、これも条文の整理でございます。
それから第三番目の問題といたしまして、第二十六条の六に「たばこ耕作審議会」の規定を挿入いたしてございます。「公社の総裁の諮問に応じ、たばこの耕作に関する重要事項を調査審議するため、公社にたばこ耕作審議会を置く。2 審議会は、前項に規定する事項について、公社の総裁に建議することができる。3 審議会は、委員九人以内で組織する。4 委員は、耕作者を代表する者及び学識経験のある者のうちから公社の総裁が委嘱する。5 委員は、非常勤とする。6 前各項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める」、この耕作審議会につきましては懇談会でいろいろ御意見を承わったことと法文上は矛盾いたしておりせん。ただ第四項の耕作者を代表する者が一体幾らの割合であるかということにつきまして、これは法文上には規定いたしてございませんが、われわれ現在考えておりますのは、葉タバコの価格が動くことによりまして、各般に影響する、そのそれぞれの影響を受ける利害関係と申しますか、いろいろな制度上の諸問題を考えていただくためには、ただ単に耕作者だけではなくて、学識経験のある者を任命する必要があると思うのでございますが、その割合は大体耕作者を代表する者に対しまして、学識経験のある者が一対二というふうな割合で考えております。
それから第三十一条の規定でございますが、これも単に九条の先ほど申し上げました許可基準の規定が変りました結果の条文整理でございます。
それから第三十四条の二項に「前項の規定は、日本専売公社法第四十三条の二十三の規定による財政法第三条の規定の準用を妨げるものではない。」二十二とあります現行の規定を二十三というふうに変えておりますが、これは今度の専売法改正の趣旨とは全く違う問題でございまして、昨年日本専売公社法の第四十三条の二十一というのが挿入されましたとき、これは直しておくべきであったのを画してなかったのでございまして、この際訂正させていただくという意味の規定でございます。
それからその第四十三条以降の横線を引っぱってあります規定は、先ほど申し上げましたような第九条の規定が二つに分れた結果、条文の表現をただ単に整理をしただけでございます。
提案いたしております専売法の一部改正案の中身を、昨年夏いろいろ御教示を賜わりましたところとの比較を簡単に申し上げて、補足説明といたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/6
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007・河野謙三
○委員長(河野謙三君) それでは引き続いて質疑を行います。
なお、本日はただいま説明に当られました村上監理官のほかに、説明員として日本専売公社生産部長の西山君、同じく専売公社の生産課長の榎園君が出席しておられますから、御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/7
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008・江田三郎
○江田三郎君 大臣はきょう見えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/8
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009・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 見えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/9
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010・江田三郎
○江田三郎君 そうすると、これはちょっと大臣に聞かんければならぬと思うんですけれども、事務当局に聞いてみたところで意味がないと思うんですが、ちょっと申し上げたいことは、第一にこの専売法の一部改正についてはもう委員の皆さんが御承知のように、前の国会で政府が出して、一ぺんも審議をしないで廃案になったわけです。その後本委員会に正規に懇談会、名前は懇談会ですけれども、各派の代表が参加されたいわば小委員会のようなものでして、そこできまったことは、当時の中心になられました杉山委員の方から本委員会へ正規に御報告をされて、議事録へも載っているわけです。その内容についてはもちろん政府側の方も十分御承知のはずなんでありますが、今度提案をされたものは、懇談会で何回も慎重に審議をしてきめた内容とは相当違うわけです。そこで、一体そういう各派から集まって正規に小委員会、あるいは懇談会といいますか、そういうものでやったものとなぜ違ったものをお出しにならなければならないか、これはもちろん法律案は国会で審議をするわけですが、国会であらかじめ前回からのいきさつがあって、ずっと審議を続けて一つの方向が出たものと違ったものを政府の方で出されるというのは、これは一体政府の方が国会に対して挑戦をしておられるのかどうか。挑戦ということになりますと、これはわれわれとしましても重大に考えなければならぬ。ただ参議院における本委員会の問題ではなくて、全体の法案の審議と関係があるわけであります。また大蔵関係だけについて言いましても、われわれとしても、衆参両院のわが党所属の大蔵委員に連絡をとって、一つの態度をきめていかなければならぬ。あるいは挑戦というようなことは言い過ぎであって、小委員会に参加した者、あるいは委員会に対して政府が、お前たちの方が間違っているのだというので反省をお求めになってきておるのか。それならそれで、われわれの方が反省しなければならぬのか、政府の方が反省しなければならぬのか、これまた軽々しい問題ではないわけであります。
ともかくも、そういういきさつを考えました場合に、この際政府の責任者から、なぜこういうような経過をとってこられたかということを私ははっきりお聞きしなければ、なかなか事務当局を相手に条文の個々の問題についてお尋ねをするというわけにはいかない。そこできょうは残念なことに大臣が見えておりませんから、私は大臣が見えてから、このことをはっきり政府の態度を聞かしてもらって、それから一つ態度をきめていきたいと思います。いろいろこの内容についてはただすべき問題がありますけれども、そういう基本問題がありますから、きょうは答弁は要りません。きょうはあなた方立たぬでもよろしい。私は政府の最高の責任者の答弁を求め、それから次の質問をやりますから、これだけを申し上げるだけで、きょうは答弁はなくてもよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/10
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011・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 大臣は本日衆議院の大蔵委員会の方へ御出席のようでありまして、当委員会としてかねて大臣に出席を本日は求めておりませんでしたので、江田さんの御意見ごもっともと思いますから、次回までに政府当局とよく打ち合せしまして、できるだけ次回には大臣に出席を求めるように善処しますからどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/11
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012・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) ただいま江田先生からおしかりを受けましたけれども、まず第一に、昨年夏私も数回呼ばれまして、いろいろ御教示を賜わったのでございますが、その懇談会の一番結論と申しますか、紙に御意見をまとめられたものを私拝見いたしたのでございますが、それが一体どういう意味を持つのか、それに異なった提案をいたすのが国会に対してはなはだ失礼なことに当るのかどうかということにつきましては、私としましては各般の手を尽して、自民党の方々にもその他の方々にも御相談を申し上げたわけでございます。まあこの席に杉山委員がいらっしゃいますから、杉山委員から参議院側としてどういうお気持で懇談会のいろいろな意見をお示し下さったのか、お聞き願いたいと思いまするけれども、私の方としましては、あの結論は、いろいろ審議をして、参議院側の御意向としてはこういうことの方がいいと思うがどうかというふうな、そういうお教えをいただいたというふうに解しておりまして、それと違った表現を持った法案を出すということが、たとえば国会に挑戦するとか、あるいは反省を求めるとかいうふうな大それた考えは少しも持っておりませんので、その点は一つ御了承を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/12
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013・河野謙三
○委員長(河野謙三君) この問題は本法案について根本問題でございますので、また後日大臣も出席されますし、その前後に一おきましても、十分に検討を別の機会にしたいと思いますから、他の委員の方で御質疑がありましたらどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/13
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014・平林剛
○平林剛君 江田委員が強調されましたように、根本問題については、いずれ機会をあらためて政府の責任者からお尋ねをするつもりでありますけれども、同僚の大蔵委員の諸賢に対しても、この事情を認識していただくために私は若干の質疑をいたします。
私としては、政府がさきの国会に提出をしたたばこ専売法を一たん引っ込めて、そしてあらためてこの委員会に新しい法律案として提出をしてきたことは、今までの政府の態度から見て、一歩前進であるからその点においては了としておるわけであります。しかし、それは政府が一歩前進したのではなくて、今までの専売法が明治三十七年に作られてから、あまりにも古い思想と観念で規定をされておることに対して、新して時代にそぐわなかった、これが各国民の代表として選ばれて大蔵委員会が中心で議論をされた結果、どうも時代に即さないからこの点は直すべきだという最小限度をまとめて、そしてそれを示唆したことが政府の新しい法律の再提出ということになったと見るべきがほんとうだと思うのであります。今、江田委員が指摘されたように、私は政府が、たばこ専売法の改正懇談会として本委員会が設けた委員会の結論を忠実に法律案として提出しなかったということは、これは政党政治の根本問題になりますから、私からも特に遺憾の意を表しておきたい。
今、私どもが議論しようとしておりますのは、政府から提案理由の説明がありましたように、三つの点で違っておるわけであります。一つは葉タバコの収納価格決定の基準を、われわれとしては再生産を確保しなければならないと結論をしたのであります。ところが耕作者が適正な対価を得ることができるようにきめるという程度で置きかえてしまっているということが一つ、もう一つは、たばこ耕作審議会は葉タバコの価格と耕作面積の決定についてその議を経なければならない、われわれは結論をつけたのでありますけれども、これを総裁はたばこ審議会にはかり、その意見を聞かなければならぬと、諮問機関的なにおいを濃くしてしまっている、これが第二の点です。それから第三は、たばこ耕作審議会の委員の構成について懇談会の結論は、耕作者を代表するものは半数程度にする、およその意見がまとまったのに対して、これが今の説明では一対二である、すなわち三分の一である、こういうような説明がしてある。
私どもは、さきの国会に社会党の専売法改正を出しましたことを中心に、懇談会でいろいろ多岐にわたって法律案としてまとめること以外にも、たくさん今後改善すべき点をまとめたのでありますけれども、この提出された法律案を見るというと、そういう行政的な措置で改善すべき点も今後すこぶるあいまいなものにされていくというおそれを感ずるのであります。たばこ専売法が明治三十七年にでき上って以来大きな改正がなかっただけに、これは行政に移された場合に、多分今度の提出法案と同じような、もっとひどいことになりはしないかという疑いをますます一般の国民に与える結果になると思うので、私はその点について、同僚委員においても十分検討していただきたい。特に今、政府の説明はこれは委員会に挑戦をしているものではないと、こう言うのでありますが、私は委員外の発言だからあまり問題にしたくはないけれども、ときどき村上監理官は、たばこ専売法の改正について、今参議院においては大蔵委員会でこういうような結論がまとまっているけれども、おれの案はこういうふうになる、私の案はこうだというようなことを口にせられたことを私は聞いておるのです。今でも参議院の大蔵委員会の各委員が、あの夏の間一生懸命に議論をして、再生産を確保しなければならないということに結論が一致したのに対し、言葉じりをとらえるわけではありませんが、私はこれはおかしいと思うというような発言をされた。絶えずそういう点にあなたの独善的な考え方が法律案として浮び出ているような感じを受け取るのであります。こういう点はあなたはいろいろな手続を済ましたと、こう言うけれども、やはりそのにおいが法律案に出てきておるということを私は強く指摘しておくのであります。
そこで、こまかい法律案についてもいろいろ入りたいのだけれども、どうもきょうは根本的な問題がありますから、私もきょうはこれ以上進めませんが、適当な機会にこの問題点については皆さんとともに、やっぱり大蔵委員会懇談会の権威にかけても必要な是正が必要だということを強調しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/14
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015・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 答弁は要りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/15
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016・平林剛
○平林剛君 要りません。答弁は求めていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/16
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017・田中茂穂
○田中茂穂君 私は本格的な審議につきましては、先ほど委員長のお話のように次の機会にすることにいたしまして、この機会に私は監理官にちょっとお伺いいたしたい点があるのであります。といいますのは、別な観点から私が申し上げたいことは、先ほど来お話がありましたように、閉会中において相当この改正案の内容について審議を私どもいたしたわけであります。それに私も自民党の方から参画いたしたわけでございますが、先ほど監理官のお答えの中で、自民党の方にもよく連絡をとってあるというようなお話があったようでありますが、私は詳細な連絡は受けておりません。そこでお聞きしたいのは、閉会中の懇談会でいろいろ論議されたことは、大蔵省のどの辺まで報告をされておるのか、この法案が提案されるに至りましたにつきましては、おそらく大臣も決裁され、省議で決定いたしたろうと思うのです。しかしながら、あの懇談会の論議の内容があなたから局長まででとどまっているのか、あるいはその上まで行っているのか、あるいは大臣まで懇談会の論議の内容が行っているのか、その辺を一つこの機会にお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/17
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018・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) まあとやかく私ども弁解いたしませんが、ただいまの御質問にお答えしますというと、もちろんこの法案を提出いたしまするについては、閣議にはかりますが、従ってその決裁文書は大臣まで参ります。ただ書類を回すだけでなくて、その内容となっておりまする重要な事項については、もちろん口頭その他で御説明を申し上げるわけでございますが、そういう意味における法案に付随する説明は、私は次官まで申し上げておりまして、それからおそらくその内容について次官がまた取捨選択されて大臣にお出しになるのだろうと思いますが、私の方としましては、できるだけの措置はとっております。
それから先ほど懇談会の意見はこうだが、おれはこう思うということを私が発言しているということのお話が平林委員からございましたけれども、私はあの懇談会におけるいろいろの御意見をまとめられた文書がもはや何らの学問的対象にも、あるいはいろいろな法案の法文上の対象にも、もはや議論を許さないものであるというふうには考えておりません。私がある筋から聞きましたのは、あの意見につきましても、実は最終的な結論にまだなっていないのだというふうなことを伺いましたので、私としましては、参議院の懇談会でいろいろ御検討なすった精神を生かすために、私の立場からベストを尽して、法案を考えればこういうことになるのじゃなかろうかということを研究し、御意見を申し上げておるわけでございまして、それをすべて、まあお前なまいきだと、こうおっしゃればまた別でございますが、私自身も私自身の立場からベストを尽したいという気持でやっておるわけでございまして、そういう意味におけるいろいろな研究の結果を発表することは一つお許しになっていただきたい、こういうふうにお願いするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/18
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019・田中茂穂
○田中茂穂君 もう一回私は確認しておきたいと思うのでありますが、今のお答えの中で、この改正案の内容について上司まで報告してある、それに付随して口頭で懇談会の内容等も申し上げておいた、こういうお答えのようでございますが、これは非常に重大な問題に今後なろうかと思いまするので、もう一回確認しておきたいことは、あの閉会中の数回のこれに対する懇談会の検討の内容がどこまではっきり上司まで行っておるか、もう一回その点だけお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/19
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020・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) 事務次官、政務次官まで行っております。政務次官はあの書類を取り寄せられて、いろいろ私にも御質問になっております。だからあそこまでは行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/20
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021・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他にも御質問あると思いますが、先ほどお断わりいたしましたように、根本問題をまず片づけなければなりませんので、この法案につきましての審議は次回に譲りたいと、かように思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/21
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022・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御質疑がなければ、本案の質疑は本日は一応この程度にとどめまして、次回は来たる十八日火曜日、午後一時から開会することとして、本日はこれで閉じたいと思います。
午後二時二十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00319580213/22
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