1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年二月二十日(木曜日)午後
一時三十分開会
—————————————
委員の異動
本日委員伊能繁次郎君辞任につき、そ
の補欠として田中茂穂君を議長におい
て指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 河野 謙三君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
小笠原二三男君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
岡崎 真一君
木暮武太夫君
左藤 義詮君
塩見 俊二君
田中 茂穂君
土田國太郎君
増原 恵吉君
宮澤 喜一君
山本 米治君
大矢 正君
栗山 良夫君
野溝 勝君
杉山 昌作君
前田 久吉君
国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
政府委員
大蔵政務次官 白井 勇君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 村上孝太郎君
国税庁長官 北島 武雄君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
人事院事務総局
事務総長 佐藤 朝生君
—————————————
本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査の件
(租税行政に関する件)
(財政金融一般問題に関する件)
○たばこ専売法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/0
-
001・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより委員会を開きます。
委員の異動がありましたので御報告いたします。
伊能繁次郎君が辞任され、その補欠として田中茂穂君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/1
-
002・河野謙三
○委員長(河野謙三君) まず、租税及び金融等に関する調査を議題とし、租税行政に関する件について質疑を行います。
なお、この際、前回の委員会におきまして委員長から要求いたしておきました資料の取扱いに関する政府側の見解について、説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/2
-
003・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) ただいまの委員長のお話の問題は、所得標準率を委員会に出せるかどうかというお話かと存じまするが、私ども部内でさらにまたいろいろ検討いたしましたのでございますが、大臣の御意見も、これは委員会にもごかんべん願うべき筋合いのものだ、こう申されておりますので、何とぞ一つ御容赦を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/3
-
004・平林剛
○平林剛君 今、国税庁長官から政府の見解か説明されましたけれども、私としてはこれは納得できない。所得税算定の基準となる効率表、標準率表の委員会に対する提出は、むしろ当然のことであって、今のようなお答えでは、われわれとしても引き下るわけにいきません。特に先回私が指摘したように、効率表や標準率表を中心にしているいわゆる秘密行政は、現行税法の建前に反している。自主申告制度と根本的に反するのじゃないだろうか。昨年の議会でも、お知らせ制度を廃止するときに議論をした趣旨でも、こういうことが存在すること自体がむしろおかしいという趣旨は了解されてあるはずだと私は思うのであります。一昨日も指摘したように、効率表、標準率表はむしろ公開すべきである、私はそういう見解を持っているわけであります。すでに、一般新聞にも公開されているし、民間団体でも印刷をして、多くの税理士や団体もこれを承知しているところであります。こういうことでは、これを利用する者としない者との間に、実際の課税に当ってかえって不公平を来たすことになるし、あなたの説明のように、これは元来一般的基準を示したものでありますから、これを中心に使う徴税行政というものは、先般説明かあったより反対の私はかえって不合理な欠陥が生じてくると思うのでありますから、議会の承知しておらないような秘密行政の標本である効率表、標準率表は、やはり議会に提出をすべきだ、大臣の意思で、もう少しこれは一つ提出をすることを待ってもらいたいかのごときことは理由になりませんから、もっと明確に提出をしない理由について説明をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/4
-
005・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) この問題につきましては、一昨日の本委員会におきまして、私るる申し上げたつもりでございますが、ただいま先生のお話の中に、秘密行政ではないかというお話がございました。もともと先般も御説明申しましたように、現行の申告納税制度のもとにおきましては、納税者の方が誠実に記帳して、税法に従って誠実に御申告いただいて納税していただく、これが筋道でございまして、税務署側から原則としてこうだ、ああだといって実は押しつけるべきものではございません。昨年までいたしておりましたお知らせ制度を今回廃止いたしましたのも、税務署側があらかじめこうだといって押しつけるようなことはよろしくないという、いろいろ国会の御議論もございましたし、私どももまことにその通りと存じまして、いわゆるお知らせ制度、積極的に税務署側が文書をもって、あなたの私ともの調査はこうなっておりますということはやめることにいたしたのであります。この標準率表につきましては、ただいま申しましたように、元来やはり納税者の方が誠実に、ありのままに、従って、税法通りに申告していただくのが建前である。これを一般に公開いたしますと、自主申告納税の建前は著しくそがれると思います。やはり申告納税制度を予想する意味においては、これはやはり一般に公開すべきものではない。ことにこの標準率よりもかりに上回る業者の方々は、はなはだ言葉としては申し上げにくいのでありますが、この標準率にあわせて記帳を操作することが可能となるわけであります。それからまた、この標準率よりも実際低く出ている、これはもちろん税務署としては標準率よりも低く出ておっても、実際それであればその通りにするのであります。そういう方法をもって、一般的に税務署では無理に標準率を作って押しつけるのじゃないかという誤解を受けるのでありまして、税務行政の上におきまして弊害が多いのであります。従いまして、大蔵省、これは国税庁になってからではございません。昔から税務行政において、所得標準率は公開すべきものではないということが通念になっているのであります。従いまして、私どもこの標準率を各局で作成いたしまして、書類を配付いたします場合には、一連番号を付して厳重に取扱いをいたしているような次第でございます。従いまして、もしどういうものであるかという格好でございましたら、それはこういう格好でございますということはお知らせするのはいいのでありますが、本年の所得標準率表はこうなっておりますということを、各局ごとに申し上げることは、御容赦願いたい、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/5
-
006・平林剛
○平林剛君 今、公開すると自主申告制度がくずれるなんというお言葉がありましたけれども、私はあべこべだと思うのですよ。効率表や標準率表を秘密にしなければならぬという理由は少しも明瞭じゃない。あなたの説明でも、効率表と標準率表は徴税の重要な資料ではあるけれども、一般的な基準を示すもの、ものさしだけでしょう。効率表は特に青色申告者にかかる事前調査の実績に基いてあなたの方で作り上げた資料にすぎないのであって、これを中心に、あなたの方では、たとえばそのまま納税者に適合するものじゃない。税務署の職員がその効率をそのまま適用するのじゃなくて、経営者の能力であるとか、あるいは地理的条件であるとか、それから得意先の関係等いろいろなことを考慮して、加算減算して、課税の適正をはかるものが内容になっているのでしょう。そうだとすれば、むしろ国民一般に公開をして、明朗な自主申告制度を育成するという方が本来ではないか。これを秘密にしておいて、そうして伝家の宝刀のごとき形で徴税行政を行うから、秘密行政とたたかれ、あるいはどうも税務署がそれを振り回して課税の押しつけをするのだという批判を受けるわけです。むしろ公開をして、そうしてあとは税務署の役人が徴税の能力を発揮して、いろいろな要素を加味して、いわゆる権衡をとっていくというのが税務署の仕事でなくちゃならぬでしょう。だからそういう意味では、私はどうもあなたの自主申告制度をくずすなんということは、われわれを誤らせることになる。むしろ公開して、あなたの方の技術でもっていろいろな要素をファクターしてやる、これが建前じゃなければならんと思うのです。この間も説明を私聞いておるというと、帳簿をつけていない人に対してはひどい誤まりをおかさないような目安にするので、絶対どこにも適用するものであれば別だが、絶対の数字ではないのだから公表しないということもありましたけれども、これなんかも理由にはならん。それから今の説明でも、自主申告をやる人が、この効率表や、標準率表があると、まあこの辺でいいのだというようなことで、かえって脱税をやると言うけれども、税務署の職員は盲じゃないのです。地理的条件であるとか、御意先の関係であるとか、あるいはその人の能力等を考えて査定をすることもできるの・だし、大体自生申告制度というのは、それらのことをいろいろな知識を持っていながら、自主的に申告をするという建前です。そういう意味からいって今の説明では私はどうも納得できない。税務署の徴税の方式が今日秘密行政の印象を国民に与えているというのは、あるいは押しつけ主義に偏しているというのは、この秘密的な、議会にも提出できないような効率表や、標準率表があるから、そういう傾向があるので、むしろ公開するのがほんとうだと思う。もう一度あなたの見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/6
-
007・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 私の見解は、考え方は何度申しましても、一昨日からるる申し上げておることと少しも変りません。元来申しますと、この間も実は大矢先生に申し上げたのでありますが、常業者の方でありますと、たとえば粉一本からどれくらいパンが焼ける、あるいはお米一升からすしがどのくらい握れるというようなことは、ほんとうは一番納税者が御存じです。それからいやしくも商工業者の方でございますれば、これは記帳はあるいはつけ落ちその他はございましょうが、御自分におきましては、昨年どういう売り上げがあったかということがわからないと、実は御商売できないのであります。何も税務署にお聞きになることはないのであります。私どもはそういう意味から申しまして、ほんとうに納税者の方々が御自分でもって誠実に記帳していただいて、正しく税法に従って申告して納めていただく、これがほんとうの申告納税制度の建前であります。ただ残念ながら現在におきましては白色の申告者の方々が営業の方々については半分あります。そして実際に帳簿が備わっていない。まあつけ方もむずかしいわけでございますけれども、そういう場合におきまして調査の一つの資料として、一つの品安として、税官吏が実際に調査した方々の実績を持っているわけであります。そういうことが一つの目安になるわけでありまして、もちろんこれ一つが目安になるわけじゃございませんので、納税者の方々の所得額を推定する場合におきましては、あるいは同業者間の権衡とかあるいはその方の生活状況あるいはまた在庫品のあり直、こういったものをいろいろ検討いたしまして推定するわけであります。その場合に一つの重要な資料としてやるわけでございまして、これはやはり税務署内における事務取り扱いの一つの目安でありまして、納税者に一般的に標準率というものを公開すべき性質のものでないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/7
-
008・平林剛
○平林剛君 税務署の中の目安程度のものであるから公開したって一つも差しつかえないじゃないか、こういうことを言うのですよ。農業所得に対しての標準薬表は一般に公開しているじゃありませんか。農業所得者に対しては米とか、イモとか、サツマイモだとか、あるいは地域別のそれぞれの効率を定めてそれを公開して、あなたの方はむしろそれら農業所得者に対してはスムースに徴税が税務署のてまをかけないでも自主申告ができるような建前にして、その余力を大法人等の審査にむしろ向けるためにこれは公表しているじゃありませんか。なぜ今言った効率炎、標準表だけが公開できないか。しかもこの効率表、標準率表というものは、私どもの承知しているところでは、大体年間所得七十万以下の人だけに対して適用するものと聞いている。税務署の人が一人で年間三百件もあるいはそれ以上も件数を持っているから、手が回りきれない。仕方なくて、勢い効率表あるいは標準率表に頼って、安直にこれを押しつけることになる。年間七十万以下のいわばあまり大して所得のない人に対しては、大ざっぱにこれを課税していくように、むしろこれは公開して、そうしてそれらの人にこういう要領かなということの知識も与えてれ自主申告がどんどん伸びるように、あるいは正しい方向にいくように指導すべきで、その余力はむしろ今までなかなか査定の困難な法人の方に向けるべきが建前じゃないですか。なぜ農業所得に対する効率表だけは公開して、これは公開できないという理由がどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/8
-
009・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 田畑の所得標準率表につきましては、これは昔から税務署におきまして作成いたしまして、市町村あるいは農業団体の長等にお示しいたしまして御批判を仰いできております。これは実はほんとうを申しますと、申告納税制度においては問題もございましょう。しかし農業につきましては、その地域によりましてどの程度の収穫があるということは、これはもうきまっております。それから地域によりましてどの程度の経費がかかるか、これは大体平均的なものでございまして、各人によって大きな変動はないのでございます。しかもかつ農業者の方々は帳簿というものはおつけにならん、またそれだけの暇もないのであります。従ってただいまの税務行政上の取り扱いにおきまして、農民の方々には、大体において同じ地域において同じ作柄の場合においては、一定の所得の率になるのが普通でございますので、その田畑の所得標準率によりまして課税をしてむしろ公平な結果が出るわけでございますので、今まで田畑の所得標準率については、ただいま申しましたように十分地域を分けまして、一反当りの収穫高を計算し、そうしてこれに標準的な経費を計算いたしまして一反当りの所得標準率を出し、これを市町村あるいは農業団体の長等にお示しいたしまして御批判を仰いでいるわけであります。ただこれを営業の方一般に広げるということについては、私どもはやはり疑義がありますので、これは先ほど来るる申し上げました理由によりまして、田畑について公開しているのだから他の一般商工業の方も同じように扱えという御議論は、私どもとしてはいただけないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/9
-
010・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 平林委員の質疑はまだ残っているようでありますけれども、前回の委員会で小笠原委員から人事院総裁の出席を求めておられましたが、総裁は病気のために出席できませんので、その代理として佐藤人事院事務総長、鎌田法制課長、中村職員課長、この三万が見えております。この方々は二時までにどうしても他へ出かけなければならんという前もってのお断りがございましたので、この際、はなはだ恐縮ですけれども、平林さん、もう一点だけ御質疑願いまして、あとは小笠原君の方に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/10
-
011・平林剛
○平林剛君 一つだけ最後に聞いておきますが、これで納得するものじゃありませんよ。秘密保持、秘密にしておかなければならん——きょうはあまり秘密という厳格な言葉は使わなかったけれども、秘密にしておかなければならん、あるいは委員会に提出をすることができない法律的根拠があるならばそれを示してもらいたい。
それからもう一つは、大体効率表、標準率表はすでに民間に流れて印刷をされておりますね。この間も衆議院の大蔵委員会で、税の執行に関する調査委員会のときに参考人が出られまして、あの効率表、標準率表は民間にも一部三千円くらいで販売されている。三月十五日過ぎるというと少し役に立たなくなるから五百円くらい、こういう事実があるじゃありませんか。この事実に対して、じゃこの委員会にも議員の要求にも提出できないような大事なものを、民間で印刷をしている、秘密を漏らした責任は一体だれがとるのですか、大阪国税局の一人の職員がそれを単に人に貸したか貸さないかということだけで刑事事件に問われようとしている、刑事事件に問わなければならぬような重要な秘密が、すでに民間では印刷をされて販売をされている。じゃ最高責任者の国税局長官は秘密漏洩のかどで、これは処分を受けなければならぬという、あなたそれほどの秘密でなさそうだけれども、委員会に提出をすることができないなんというようなことは、ちっとも私の質問に対して答えになっていません。それほどむずかしい、提出できないようなものが民間に流されておる、その責任者はだれだ。また大阪の国税局ではあれでしょう、税務署が八十幾つある中で、七十幾つかの納税協会というものがあって、そのうち十四くらいの納税協会は国税庁の庁舎を借り受けて、電話も使うし、事務所も借りて、そこには国税庁の高級官僚のやめた人がいろいろな幹部になって仕事をしておられる、あるいはここから民間に流されている、印刷されておるところの効率表や標準率表は、ここから漏れたかもしれませんよ。そういうことについては少しもタッチしていない。そうしてこれに対して、秘密があるいはそこから漏れたかもしれないことに対して、あなたの方は少しも手を打っていない。いや手を打っているかもしれませんが、どういう手を打っているか、一つそれも説明してもらいたい。私はこれらのところは証拠がないので、あるいは確証がありませんからなんというような答弁で済ませる問題とは違うと思う。委員会にも提出できないような資料なんだそれが漏れておるとすれば、これはあなたの方の重大な責任になるのです。これは逆説から言えばですね。いかがですか、私は時間もありませんから、一たん、今の答えをちゃんと聞いたら納得するわけじゃありませんが、またあとで国税庁長官でも間に合わなければ、政府の責任者を呼んで聞きたいと思いますから、一つその点を含んでおいていただくことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/11
-
012・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) もうすでに外部に出ているから秘密じゃないじゃないかという御趣旨のことが一点ございます。これは、先般御説明申し上げましたように、この所得標準率表、効率表は、各国税局ごとにみんな新しく作成しておるわけであります。毎年経済状況が違いますと、それによりまして業態の変遷種々さまざまでございまして、その全文につきましてそれぞれ具体的に作成しておるわけであります。既往におきましてこの二、三年一部に漏れた形跡がございますが、そこにおきまして私どもこういうことが漏れてはいかぬというので、国税庁会議におきましても、また国税局会議におきましても、しばしば厳重な注意を与えておったところでございます。私どもはこの秘密の漏洩はまことに困るというようなわけで、職員に対してこういう機密を漏洩しないように、厳に注意を促しておったわけでございます。それが現に不幸にして部内から漏れているということになりますると、私どもはあくまでもその責任を追求しなければならぬという立場にございます。
それから機密保持についてどの程度の注意を払っているかというお尋ねがございましたが、これもただいま申し上げましたように、常に所得標準率表、あるいは効率表というものは、これは機密にすべきであるということは、従来から税務行政の常識でございますから、近年ややもすると漏れる傾向がありますので、これをば国税局長会議等において注意を与えておるのでございますが、各国税局長会議におきましても、この趣旨を体しまして、配付する場合におきましては一通番号を付し、厳に職員の注意を喚起しておるのでございます。ただ実際の取扱いに対しましては、一々これを毎日々々回収するというようなことになりますと、かえって職場が暗くなるわけでありまして私ども秘密の保持は、結局全国の職員の常識に待たなければならぬと考えております。いたずらに職場を暗くするような取締り方はいたしたくないのであります。ただこれが不幸にして、故意に特定の団体に効率表を渡したというような事実がわかりますれば、私どもとしてその人の責任は行政上追求しなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/12
-
013・平林剛
○平林剛君 委員会に提出しちゃいけないという根拠を伺いたい。委員会に提出しちゃいかんという本旨はどこにあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/13
-
014・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) その点について月下所得調査中でございまして私どもといたしましては、ただひたすら懇願している次第でございます。私どもはこのような政府部内におきまして取り扱うのでございますので、何とぞ行政上の立場もおくみ取り願いまして私どもの立場を了承願えるものとして懇願いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/14
-
015・小笠原二三男
○小笠原二三男君 人事院の方からわざわざ御足労を願ってはなはだ恐縮ですが、人事院の国家公務員法に対する行政解釈をお聞きしたいというのでおいで願ったわけであります。
今問題になっております事項は、国家公務員法第百条の条項に触れる問題として票案が起っておるわけなんです。それで国家公務員法で、この公務員の義務として職務上知り得た秘密を漏洩してはならぬという規律を確立し、その裏付として刊事罰を課するという建前になっておるのから見れば、まあ職場規律とか国の利益とか、そういう秩序とか、いろいろ理由があることでございましょうが、罰則が刑事罰である限りは、秘密ということがはっきりしておらなければならぬ、ぐらぐらしておるようなものではいかぬと思います。それでだれがこれこれしかじかは秘密であるということをきめ、またどういう手続をもってそれが決定したものが秘密になるのか、単に常識的に、あるいは伝統的に秘密である。結果がわかった場合に工合が悪いから秘密になったのだということが言われないような筋になっていないと因ると思うのです。それで人事院の方としては、各官庁における秘密というようなものは、どういうふうな手続で決定されたものをこの刑事罰の対象になり得るような秘密と規定しているのかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/15
-
016・佐藤朝生
○説明員(佐藤朝生君) お答えいたします。ただいま小笠原委員から秘密を守る義務につきましてお尋ねがございましたが、この秘密を守る義務につきましては、ただいまお話の通り刑事上の罰もございますし、また懲戒上の罰と申しますか、国家公務員法違反で懲戒上の罰もございます。この秘密というものの範囲と申しますか、定義につきましては、もちろんお話の通り慎重にいたすべきものだと思います。ただ秘密に関しましては、秘密というものの定義と申しますか、というものにつきましては、まあ抽象的に申し上げますと、いろいろの諸般の事情に照しまして 一定の時期におきまして一定の社会に対して秘匿しておくことが必要と認められる事実ということが申し上げられると思いますが、この何が秘密であるかということを認定をされますのは、一応各官庁であります。各官庁において秘密というものを認定されるのがわれわれ人事院といたしましての建前といたしております。各官庁において秘密とされておりますことが一応秘密であると推定されるのが建前であると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/16
-
017・小笠原二三男
○小笠原二三男君 各官庁ということは、それは所轄の長とということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/17
-
018・佐藤朝生
○説明員(佐藤朝生君) さようでございますしその公務員が監督を受けております上町ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/18
-
019・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうすると、一般に大蔵省というような場合に、内局にある課長あたりのところでも、課長が秘密であるとなれば、その課内においてそれは秘密だ、また漏らした場合は刑事罰にも値いすると、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/19
-
020・佐藤朝生
○説明員(佐藤朝生君) その問題につきましては、各官庁のあるいは課長あるいは局長あるいは長官等の一定の権限が、法律あるいは政令あるいはいろいろな法令できまっておりますので、その法令の範囲内でいろいろそういうふうに秘密をおきめになるのだったら、それで合法的な権限であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/20
-
021・小笠原二三男
○小笠原二三男君 たとえば国会で公務員を呼んでその証言を求める。その際に、秘密の事項にわたる証言については、これは所轄の長の許可を受ける。それでなお、許可が受けられない、証言はならぬと言われれば、証言はしないことができる。しかし国会は、またそれを追及していく場合には、これは内閣にまで及んでくる。内閣声明が十日なら十日以内にない限りは証言しなくちゃいかぬというようなことまで規定しておる。そういう点からいろいろ考えてみれば、秘密というものは、所轄の長がそれを証書をさせるさせないをきめるのですから、そうだとすると、課長でも局長でも部長でも秘密は作ることができるというのでなくて、やはり所轄の長が秘密であるということを明らかにしたもの以外には、何か内部的な秘密ということはわかるけれども、そういうあいまいな、秘密事項であるということを、単に目先きで言うた、上司の係長が言うた、課長が言うたからということだけで、その上級機関の長が何も知らないものが、秘密であったということで、事が起れば刑事事件になるというようなことは酷じゃないですか。どうなんです。だれでもその課長でも何でもこれは秘密だということを自分で自由にきめ得る、そして下の者にそれを義務づけるということができる、そういう建前なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/21
-
022・佐藤朝生
○説明員(佐藤朝生君) もちろん所轄庁の長が原則として、秘密というものを指定されるのは原則であると思いますが、法令によりまして、職務権限が委任されているという、ような場合には、その下の下級の者でもやることがあり得ると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/22
-
023・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それは、法律的に明らかになっており、根拠がある場合に限るという意味なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/23
-
024・佐藤朝生
○説明員(佐藤朝生君) 法律またはその委任に基く命令というはっきりした事項がある場合だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/24
-
025・小笠原二三男
○小笠原二三男君 はっきりした事項がある場合……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/25
-
026・佐藤朝生
○説明員(佐藤朝生君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/26
-
027・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/27
-
028・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/28
-
029・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで、今までの人事院で、この種の問題が起って、扱った問題がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/29
-
030・佐藤朝生
○説明員(佐藤朝生君) この問題はちょっと職員課長から御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/30
-
031・小笠原二三男
○小笠原二三男君 職員課長が答弁するならもういいです。私、個人的に聞いてあらためてあれします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/31
-
032・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ただいま大蔵大臣が出席されましたので、本件の質疑はあと回しにいたしまして、直ちにたばこ専売法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
なお、大臣は衆議院の予算の方の関係で一応三十分だけということをお約束してありますので、できるだけその範囲で御質疑が終るようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/32
-
033・平林剛
○平林剛君 きょう大蔵大臣に特に御出席願った趣旨については、事務当局の方から大体お聞になったと思うわけでありますが、念のために私からも若干お話を申し上げます。
先般の委員会で政府から、たばこ専売法の一部を改正する法律案について内容説明がありました。しかるところこの内容は、大蔵委員会において昨年来たばこ専売法を改正するための懇談会を設けられた結論と三つの点において相違しておるわけです。私どもとしては、自由民主党からも在名の議員、社会党からも二名、緑風会、無所属からも一名ずつ出されまして、熱心に検討したわけであります。懇談会の結論は、そういう意味では委員会の結論と本質的に変りがないくらいなものになっておったわけです。私どもの方としては、この懇談会においては、学問的にも、それこそ法文の表現等についても慎重に検討した結果としての結論を出したわけです。先般監理官が参りまして、たとえ政府の役人といえども、学問的にも法文的にも慎重な検討を加えて意見を述べる自由があるはずだという御説明がありましたが、私はそれはあると思いますけれども、しかしわれわれも学問的に法理的にいろいろ研究した結論をもって懇談会を終えておるわけであります。だから本来であれば、政府から提出をされる専売法の改正内容というものは、その懇談会の結論に従って議会に提出をされるのが政党政治の建前でなければならぬ、こう信じておったわけであります。
そこで、それに反したものですから、同僚議員の江田委員から、一体政府は懇談会の結論に対して反した法律案を提出をしたのは、懇談会、ひいては国会に対して挑戦したのかどうか、あるいはそうでないとすれば、懇談会に参加をした七名の議員に対して、法文的にも学理的にも反省を求めておるのかどっちですかという、まあ質問を行なったわけであります。監理官しかおりませんで、監理官の意見があったことは私らよく承知をしておるのでありますけれども、政府がまさか懇談会の結論に対して反省を求めたりあるいは挑戦したとは思いませんけれども、最高責任者としての大蔵大臣に念のためにその点をお伺いをしよう、こういうわけで、きょうの御出席を願ったわけであります。私は繰り返して申し上げますけれども、たばこ専売法改正懇談会の結論というものは、私どもが熱心に討論をした結論であり、われわれ自身としては大体良識をもって議論をし結論を出したと、こういうふうに確信をしておるわけであります。大臣は先ほど申しあげたように、この懇談会の議員の結論に対して、反省を求めるために提案をしたとは思いません。また大臣が専売監理官の意見を重視して、そのまま法律案に出してきたんだとも受け取りたくないわけであります。しかし責任者としてあなたは一体細かいことまで承知をして、そうしてこれを提出されたのか、あるいはまあ大体この辺でよかろうというような意味で提出をされたのか、一つ責任者としてのお考え方をこの際聞いて、今後の私どもの態度をきめたいと思うのであります。大臣から一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/33
-
034・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 参議院のこの大蔵委員会の懇談会でいろいろ御議論ございましてそして御結論を得ましたことは非常にありがたいと存ずる次第でありまして私どもとしてはその結論の趣旨を体しまして、今度の改正法案の条文を書いたのでありますが、まあこれは言葉の点でありまして、ただいまのお誠によりますれば、非常に条文になるようにお言葉も練ってあるということでありますので、そのままいけばこれは一番よかったのであるのだと思いますが、しかしまたこれは私自身立法技術にそれほど詳しいわけではないわけでありますが、立法する人のいろいろの御意見でまあこういうふうに——たとえばこの直ったところは、再生産を確保することを旨として短めるというところが、耕作者が適正な対価を得ることができるように定めも、こういうふうになっておるのですが、これは言葉のいろいろな取り方にもよると思うのですが、耕作者が適止な対格を得られれば私は適当ではないか、こういうふうに実は考えておるわけで、それにはむろん再生産ができなくてはならぬということも当然含まれるでありましょうし、これはいろいろな点……まあ適正な対価というのは範囲が広いので、価格をきめる上においていろいろな条件を考えて——こういうふうな気持から御趣旨を体しまして、立法技術者の意見をいれましてこういう文案にいたしたわけであります。
それから第二の方は、これは私もよく何しませんが、審議会の議を経なければならぬというのを、審議会の意見を聞かなければならぬ、こういう言葉になると私もなかなか可否をどうというわけに参りません。しかしこれはまあ諮問委員会と聞いておりますので、大ていこういう場合は、これも立法技術者の意見でありますが、審議会の意見を徴するとか聞くとかいうのが諮問機関としては普通に使われる言葉だというので、それでよかろう、こういうふうに考えたわけであるのであります。大体私はここの委員会の懇談会の御趣旨は十分体した、こういうふうに考えておるのであります。
なお、委員の人選のことでありますが、これは私はやはり審議会を作って諮問機関として意見を徴するのでありますから、ほんとうに実情がよく反映するような委員の構成にすることにおいては、私は異存が少しもありません。まあどういうふうにするのがいいのか、これは一つ私自身も、まだ実はほんとうに打ち明けて言えば、あまりそういうことは言ってはいけませんが、十分意見を聞かないと、自分ひとりでこういうふうにしたらいいとも言いかねるので、十分皆さん方の意見も聞いて実情を反映するような委員会の構成にしたい、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/34
-
035・平林剛
○平林剛君 私は大臣に他の重要な経済問題その他について質疑もあることですから、このことだけであまり時間をとりたくありませんが、大臣から法律案の内容説明などを私は受けるつもりじゃないんです。大蔵大臣としてはやはり委員会に懇談会というものが設けられて与党、野党の議員が熱心に法律的にも学問的にも研究して出した給論だから、それを尊重するようにしてもらいたい。これはあなたは法律案の提案責任者ですけれども、全部こまかいことまで承知しているとは思いません。この間も監理官は、これは事務次官と政務次官しかいかなかったので、あなたは知らないわけですよ、こまかい点は説明を受けてないんです。政務次官だって、この監理官の方から提案をされたとき頭をひねった、こういう内容を出したら、これはあとで問題になる、自民党からも社会党からも緑風会からも無所属からも議員が出て熱心にいろいろ慎重に出した結論と違うものを出すのはいやだと、しばらく判を押すのを控えたわけですよ。大臣もこまかいことまで御存じないのは私承知しておるんです。だから私が大臣に一つ今後の御善処を願いたいというのは、どうか議会政治のもとにおいては、せっかく作った委員の懇談会の結論は尊重して政府の法律案として提出するような慣例を作ってもらいたい。あなたが政府当局だけの、役人の人だけの意見を尊重するような官僚政治を欲しておられるとは、ちっとも思いません。思いませんが、一つそういう原則だけはやはり議会政治の建前から懇談会の結論というものを尊重してもらいたいということを私は強く要望する。それで懇談会の結論と法律案の内容とがかなり食い違っている点も私きょうお耳に入れたわけでありますが、今後われわれも委員会の審議を通じていろいろ議論は戦わせますけれども、どうか政府においても、この事情をよく検討されて、今後の出方についても一つ善処をしてもらいたい、こういうことをお願いいたすんですが、大臣の一つ御答弁を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/35
-
036・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 与党、野党御一緒で委員会等でおきめになった、これはもう尊重……これは特別なまた事がありますれば政府の立場として御相談申し上げなくちゃならぬ、別にそういうことがない限りこれは尊重いたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/36
-
037・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それでもう端的にお尋ねします。前からの経緯はただいま同僚委員の話した通りであります。大臣の答弁としては、内容としては意思は尊重されているんだと、適正な対価というのは再生産が確保されなければならぬことなんだ、そういうこともあるんだ、あるいはその他の問題でも大体同意見なんだ、ただ法律技術上そういう表現を要するというものは、こういうふうになっているんだ、こういうふうなお考えのようですから、従ってまたただいまも答弁があった通りですから、当委員会としては立法技術士差しつかえがないとなれば、言葉の明確を期するために、当委員会がかねて懇談しておった結論に基いてこの法案を修正するという手続をとる場合にも、大臣としては全面的に御賛成になられることであろう、そう思うわけです。いかがですか、簡単に……。あなたもよく知らないのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/37
-
038・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 特に反対を固守する考えを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/38
-
039・小笠原二三男
○小笠原二三男君 では結論的なことを聞いたのですが、政治的な扱いとして建前からいうならば、前回政府提案になっておるものが審議未了になったということは、時間切れで審議未了になるという場合もありますけれども、法案の内容に異議がある、しかしながら国会として手をつけるよりは政府がみずから出し直して、よりよい法案として政府責任で出してもらいたい、こういう含みがあって審議未了になるという場合もあり、当法律案は野党側からも同種の法律案が出ている関係上、そういうことになった、そういう経緯がありて、当委員会の意思というものは政府に十分伝えてある、それならば政府はそれを受けて実はこういういざこざがないように出すべきものなんです。また出せなかったら出せないということを、同意しがたいなら同意しがたいということを政府として当委員会に明確にすべきなんです。それが委員会側から追及と申しますか、いろいろ問いただされて、そうしてしぶしぶ弁明する、釈明するというような、そういう態度は、行政府として誠意もなければ、委員会に対して責任も感じていない証左であるとさえ私は思うのです。従って予算に関係する法律案は衆議院の先議ですけれども、本委員会の本審査になっているものは他のものも全部とまっているのです。審議に入られないのです、そういういきさつがあるから。大臣はそれは御承知でなかったでしょう。だから大臣に抗議するということは、しょっぱなからやることは僕らは差し控えたい気持ですけれども、そういういきさつがある中外れこの問題が問題となっているのだということを大臣はお考えになったら、今後においてはこの種のことの起り得ないような扱いで本委員会に対しても誠意をもって対処するということが、大臣自身から私は言葉があってよかろうと思う。よかろうと思うのです。それでなければ、私はこの法案などもまだ水防の審査にかかったばかりのところですから、不備であるなら撤回することもできますから、撤回して、当委員会がかねて要望しておる通り字句修正をして再提出してもらいたい。そういうことさえ申し上げたいのだいしかし今こういう状態になっている限り、そういう荒立ったことはしたくない。従って大臣の当委員会に対する答弁いかんにかかわって、他の法案審議についてはわれわれは善処したい、こういうことで大臣にわざわざおいでを願っているわけなんです。従って当委員会が本法案の修正を試みるということについては、同意せられるということをあらかじめ大蔵大臣の意思表明はありましたけれども、この扱いになった事態については、もう一度大臣からも私は御答弁があってしかるべきだろうと思うのです。あとはお尋ねしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/39
-
040・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 実は率直に私申し上げますが、この大蔵委員会の懇談会ですね、いろいろと御審議ございましたことは承知いたしておりますが、しかし委員会としての結論といいますか、きまったものは出ていないように、実はいろいろ御議論があったが、一致した一つの委員会の意見にはなっていない、こういうふうに実は私説明を受けておるわけであります。従いまして、まあそれらのいろいろの御議論をこれはくみ入れて一つ政府の——むろんこれは政府の提案に間違いありませんけれども、こういうふうな案文において出したわけであります。が、しかし委員会において、与党、野党を通じまして、これはこういうふうにすべきだということに相なりますれば、それについてしいて御反対を申し上げない、こういうふうに私は考えておるわけであります。これは私が今まで知っておることをすべて申し上げた提案までの状況であります。(小笠原二三男君「そういうことを言えばまた荒立つよ」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/40
-
041・平林剛
○平林剛君 今大蔵大臣、懇談会の結論は最終的になっていないのじゃないかという認識だったので、その点はやはりあなたが一方的にお聞きになっていたために、今回のような誤まりが出たわけであります。私どもとしては、この委員会において昭和三十二年の十一月五日、当時の委員長の豊田雅孝氏より中間報告を求められまして、そうして杉山議員から、今日までのところ委員の意見の一致したものは次のような諸点でございますというふうに、意見の一致した点についてのみ報告が行われたわけであります。だから、たとえば、再生産を確保しなければならないということも法律的にずいぶん練ってこういう表現にしようということに意見が一致したのです。それから議を得なければならないということも、いろいろな法律の慣例もあるとかないとか議論をしたけれども、それで意見の一致をしてそういうふうにしよう。これも意見の一致を見たのです。ただ構成と委員の割り振りについては若干なお検討しようということはありましたけれども、その他は確実に、法律的の表現まで意見の一致を見た。そういうことが報告をされて、委員長もこの取扱いについては追って相談の上決定をするという発言がされ、その後相談をされた結果、これは政府提案の方がよかろうじゃないか、政府提案の方が無難じゃなかろうかということで、政府提案になったのであります。少くとも私ども意見の一致した点は法律案になると、こう見たわけであります。この点の事実誤認が多少ありますから、もう十分お答えがありましたから、私はこれで……。今後の専売法の審議は軌道に乗ると思いますけれども、念のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/41
-
042・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私も、もうあんたにはあまり言わぬことにさっき言うたんだけどだね。懇談会の意見だから、委員会の一致した意見だから、そういうことでまた扱いが違うやの誤解を受けるような御答弁はなさらぬ方がいいと思う。やはり懇談会は懇談会のままとして、委員会一致の意見なんということで強硬に押していかないところもまた政治的なうまみなんです。あなたの方の立場上ということもあるいは認めているかもしれない。それはね、木へ竹をついだような答弁をすれば、これ何じゃということになるのですからね。いずれまあやむを得ませんなんということでなくて、最初のあなたの平林委員に対する答弁では、その内容の点に触れて、釈明をする場合においては、意見が一致しないということではない、一致しておる、ただ表現上この方がいいというような立法技術上のことがあって、こうなんだということなんですから、従って事情はよくわかりました。当委員会が何らかの措置に出た場合には、大臣も釈然とせられて、一つ法律運用がうまくいくように善処していただきたい。終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/42
-
043・野溝勝
○野溝勝君 大臣が参りましたので二、三お伺いいたします。
最近の経済情勢につきまして、大蔵大臣が先般施政方針の演説の中に大体示されておりましたので、概略はわかっておりますが、なお先日、十三日に衆議院の大蔵委員会におきましても、大臣からの御答弁がありまして、大体わかりました。しかし右委員会のお答えからみると、今日の経済情勢は必ずしも一致しておらぬようであります。特にこの際御所見を聞きたいのは、金融引き締め政策が漸次鎮静してきた、落ちついてきたと見ている。また物資の生産、輸入などについては、それぞれ調整が進められていると述べられている。果してそんな状態に今日進みつつありますか。この点をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/43
-
044・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) お尋ねでございますので、簡単にお答え申し上げますが、昨年の五月から日本の経済の急激な伸び、しかもそれが投資に起因しているということにありましたので、総合的な引き締めの政策をとりましたことは御存じの通りでありまして、その結果、当面国際収支はよくなりましたが、しかし国際収支がよくなったということは、むしろ現象形態でありまして、そういうふうな現象を作り出す原動力は、では一体どういうふうに変化しつつあるかということが大事であります。その後の情勢をみますと、投資も初めは政策的に、たとえば財政投融資について一五%の繰り延べをするという政策的なやり方をやりまして、当初押えていたのでありますが、その後の情勢は、漸次この方針が民間各産業にも浸透するに至りました。従いまして、内外の物資に対する需要も減退をいたしている。そこで拡大した生産については、これを調整をして、いわゆる操短ということも行われた。今日はちょうど生産が調整をされる段階、しかもそれがよほど進んできまして、特に繊維、鉄鋼等を中心といたしまして、物の需給関係がおおむね均衡を得てきた。むろんこのような過程におきましては、会社等においてなかなか困難な事情もあるのであります。あるいはまた雇用関係等においても、問題が一時あろうかとも思うのでありますが、それを経過しますれば、一つの安定した基盤が現出いたしまして、それをもとにして次第に拡大に向っていくと、かように考えて、今ちょうど生産調整がよほど進行した、こういう過程にあるとお考え下さってよかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/44
-
045・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ちょっと野溝委員にお断わりいたしますけれども、きょうは専売法に関する議題になっておりますので、もちろんこれから御質疑を続けていただくことはけっこうでありますが、きょうは特別の扱いで、一般質問でありますから、あらかじめ野溝委員にも御了承を願うと同時に、他の委員にも御了承願いたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/45
-
046・野溝勝
○野溝勝君 ただいまの委員長の発言は、大体平林理事から聞いて承知しておりますので、その含みで御質問いたしたいと思います。
ただいま大蔵大臣からお話がありましたが、生産調節の段階に入っていると言いますけれども、実際は、無政府的だと思うのです。これは計画経済なり、あるいは統制方式をとっているならば、生産調節というものの可能も承知をするのでありますが、実際は、各業界における動きというものは、競争乱雑の動きを示しておると思うのです。大臣自身におきましては、調節方式の観点に立って努力されておると思うのですが、実際上はそういうわけなんです。
そこでもっと具体的にお聞きするのですが、生産調節も、国際収支均衡目標の一環にはなるのでございますが、来年度の輸出目標を見ても蹉跌をきたしはしないかと案ずるものです。三十一億五千万ドル目標としてだからといえば、それまでだが……。現実の国際国内の経済事情(生産調整と輸出)との関係、それは今あなたのおっしゃるような生やさしいものではない。その柱となる貿易の計画予想ですか、それなども順調にいくとみておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/46
-
047・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は大体順調にいく——これにはしかし、やはり国内的な需要を規制するという措置が必要である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/47
-
048・野溝勝
○野溝勝君 ただそれだけの御答弁では、これは評論家が言うことと一つも違わないのです。実際政治の面からみると、国内市場には相当ストックが多くて実際困っておるわけなんです。本日は時間がないから、別にこまかい数字を申し上げません。先般も大阪の方面に行って調べて参りましたが、今日輸出計画なりあるいは輸入計画なりいろいろ立てておるようですが、あなたの考えておるように、生産調節はうまくいっていません。貿易見通しの点からも、なかなかあなたの考えておるようなわけにはいかぬとみておるのです。
さらに、これは理屈になりますが、現在でさえもなかなか思うようにいかない情勢の中で、経済企画庁長官とあなたは、五カ年計画の展望すら示されておる。これもしかし計画だから、私は必ずしも悪いとは言いません。しかしこういう経済事情の客観的把握を正確になし得ず、一般国民にあやまち等を起させるような印象を与えることは遺憾であり、さような施策は非常に危なっかしいものと思うのです。もっと具体的に申しますれば、大体あなたの御意見だと、本年度は三千四百億かの引き揚げの超過があった。だから財界なり経済界は非常に危惧と不安にかられた、来年度はとにかく一応一千数百億かの資金散布をする。だからこれは、ある程度金融はゆるむだろう、こういうあなたのこの間の御説明が出ておるわけですが、実際において、あなたのいわゆる金融のゆるみというのは、財政投融資をされた巨大産業の部分と一部金融面だけがゆるむのであって、実際において全体のすなわち勤労大衆の金融、財政政策からみると、これは普遍妥当性を欠いているのです。ですからびっこの財政金融になると思うのです。で、このような点から、大臣にはこの財政金融のあり方について、あるいは実施にあたり、さような誤解を起さぬよう今後どうやっていこうとするのか、具体的には、たとえば金融がゆるむとする、そのゆるむ対策は、全産業にこれは行き渡るのか、中小企業にはどんな結果になるのか、そういうことについて、あなた自身はわかっておるわけだと思うのです。で、この際、そういう点についてつぶさにお話し願いたい。ざっくばらんにいえば、この方面の金融はこうなる、またこの方面は窮屈かもわからぬ、しかし時期を過ぎれば、こういうふうな動きをするものと思うとかいうことを、一つあなた自身からお答えを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/48
-
049・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は、金融がゆるむということを言う場合には、これは必ず輸出がふえる、貿易において日本の輸出がふえる、この輸出がふえるということによって、日本の金融というものはゆるんでくる、これが根幹。従って輸出が増大するということが基本になります。大体今の財政投融資等その他財政関係から民間に資金を還元する、それはゆるむというよりも、今までどちらかというと、日本銀行の貸し出しによってまかなっておったわけです。それで財政資金がそういうふうに還元されれば、それは日本銀行の方に返金になっていく。市場が正常化していく。言いかえれば短期資金を供給する役目をもっておる日本銀行から金を借りて、それが長期に寝ておる、そうして一方、財政資金等は長期に運用し得る金ですが、これが財政に引き揚げられるという形ですから、それを市場に還元すれば、その金で長期が肩がわりされて、そしてその金が日本銀行に返って日本銀行の金は短期に運用されて、長期に運用された分はそれだけ返金になる。言いかえれば、金融市場が正常化していく。しかしこの金融市場を動かすもとは何かといえば、これは輸出を増大する、輸出を増大すればそこで円資金が民間にずっといく、そして金利も下っていく。どうしてもこの輸出を増大するということは一番大事なことだと思う、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/49
-
050・野溝勝
○野溝勝君 大臣の時間もありますから、あと二点だけ聞いておきたいのですが、あなたの言われる通りやはり輸出を考えて、その見通しの上に立っての金融がゆるむという見解ですが、それならば、政府のとっておる輸出計画というものには非常に欺瞞と矛盾があると思う。欺瞞性があるということは、国際情勢からみても、アメリカ自身におきましても、なかなか容易でない情勢にあるわけです。アメリカなどは御承知のごとく最近におきましてはICBMの関係から、あるいはIRBMの関係から、軍需産業の大転換が起っているわけです。二月号の「世界」におけるオットー・ネーサンというアメリカの経済学者の説などは十分われわれも検討しなければならぬと思っております。私も微力ながらオットー・ネーサン博士のアメリカにおける経済分析を読んで、日本人としても考えさせられた。一体、軍需産業がミサイル中心になってくれば、今までの軍需産業を平和産業に切りかえるということも考えなければならぬ。産業の一大転換をやらなければならぬ。そうすると、アメリカ依存の従来の日本の貿易計画というものは再検討しなければならない。一萬田さん、もっと真剣に考えなければならぬと思うのです。そうなってくると、輸出三十一億五千万ドルの貿易の予想額というものは容易なものでないと思う。そこで中共貿易なり、あるいは東南アジアの貿易なりに全力を上げるかと思うと、政府はその点に対してはなかなか一の足を踏んでおる。最近に至って第四次貿易協定に対する被度を少しはゆるめようという動きを涙したようでございますが、これはけっこうだと思うのです。もっと種極的にそういう点をにらみ合せて努力しないと、日本経済の不振はあげて政府の責任であります。こういう点について一萬田大蔵大臣はもう輸出の振興が予想通りいくならば金融がゆるんでくるという点に関して果して今の貿易計画なり、国際情勢からみて、さような速度に誤まりないというのか、あるいはもう少しこの点について検討を加えて、さらに輸出の増進ということに努力しなければならぬというふうに考えておるかという点が一つ。
それから第二の点は、この輸出をするにしても、今のように出血貿易のやり方はどうかと思うのです。現に肥料貿易などにおきましてもトン当り五ドルもあるいは十ドル近くも日本の国内価格より安くしておる。こういうようなやり方をとっておる。これは一つの例でございます。そのほか電球をみてもほとんど出血貿易なんですね。国内価格よりはずっと安いです。こういうようなことをしたその結果というものは、どこにしわ寄せがいくかというと、これは労働者(低賃金)中小メーカーの倒産にくる。金融の行き諮りにくる。かくなった結果は、日本産業界はどうなるかということは当然大臣もおわかりだと思うのでございますが、こういう点について、今後その貿易が今のような事情から日本国内の産業に及ぼす影響、そういうような場合に対する対案、考え方、これを通産省との間にどう検討されておるか、あるいは経済企画庁との間にどういうように考えておられるか、この二点を聞いておいて私の質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/50
-
051・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) ごく簡単にお答え申しますが、私どももこの輸出の増大ということについて、内外の情勢から決して楽観しておるのではありません。非常な努力が要るということが前提でありまするが、しかし具体的に考えても、日本の輸出がやはりずっと最近まで伸びを続けておるのです。大体今の輸出は、実際の輸出で約二億五千万ドル前後に伸びております。今の信用状が一億一、二千万ドル、それから実際為替で見ると毎月二億五千万ドル、そうすると、これは年間約三十億ドルなります。そうするとあと一億五千万ドルのことでありますが、こういう点につきましては、私はやはり今後の世界の経済の動きを見ておるのでありますが、今アメリカのお話、あるいはミサイル時代のいろいろなお話がありましたが、あるいはさきのこういうふうな原子力関係で大きな産業革命が起る、これはいろいろ問題があります。これは落ちついて十分な見通しで今後に対処していかなければならぬということは申すまでもございませんが、さしあたっては、今アメリカのとっておる政策は、何としても従来の従来のようなアメリカや西ドイツが政策を持続しておると、これは自由国家は私はいかない。貿易も伸びないだろうというのが私の関心事であったのであります。ところがその後におけるアメリカの世界政策を見ると、むしろアメリカは、——こういうことを率直にいうことはどうかと思いますが、私の見たところでは、インフレ的なアメリカ経済の景気をよくするように、そのことはアメリカの物価をやや高目において、そうして外国からの輸入をふやしていこう。こういう政策を今アメリカがとりつつある。そうしてアイゼンハワー自体はあれだけの力とあれだけのブレーンを持っておる。あの責任ある大統領が、アメリカの景気を一つ十分立て直るようにしようということを堂々と宣言をされておる。またきのうでしたか、アメリカが銀行の準備率というものを引き下げました。おそらくこれは数十億ドル信用が膨脹し得る政策をきのうとりました。それから金利は下げつつある。こういうような情勢を見ますと、私はやや今後世界の経済界……そうして最近は海外の援助費をふやすような要請を国会に対して大統領がやっておる。こういうところを見ると、これはわれわれの努力いかんによっては一億、二億のドルの輸出の増加というものはやり得るという確信があります。先ほどいったような数字の基礎におきまして……。
それからもう一つは、従来貿易は厳格に表示されている以上に物は出ておる、日本の貿易、輸出は。ところがある意味において過当競争がありまして安いのです、売値が。そのために物はたくさん出ているにかかわらず、ドル貨はそれほど高く上らぬ。もう少し上るべきものが上らない、こういうような情勢にありました。これは一つにはまあ公取あたりの法規の問題もあるようです。輸出組合等においては輸出プライスというものをきめてやるというものもありますが、私は、輸出の振興、生産の調整、従ってまた価格というものは自由経済においても業者の手にまかせるのがいい。そういうふうに価格が安定していけば輸出ができて、その上に手取りの外貨もふえる、特に戦後を見ると、世界の物価水準に比べて七割くらい、こんなに安くして出す必要はない。私は世界に比べて九%、まあ一〇%安いということであれば十分競争し得ると思うのですが、三〇%の安さで出ておるという状況もあるのでして、こういう点をさや寄せしてくると、今の数量でドルに換算するとずっと多い。こういうことも十分考えられるので、まあ私は一つ希望を持ち、また努力を重ねて輸出を増大するという、これは確信が持てる、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/51
-
052・野溝勝
○野溝勝君 最後に、大蔵大臣が考えておられる方針なり政策なり、一たん発表した以上は自信がないとは言えないでしょうけれども、重大な時期になっておると思う。国際経済事情が非常に大きく変ってくるんですから、特にあなたの言われるような楽観論的なものじゃないと思う。最近関税の問題でさえまだ話はつかぬじゃないですか。アメリカの関税の引き上げ問題、実際これが毎年々々問題になっておる。日本産業の脅威、不安——あなたが絵にかいたぼたもちのような話をされても、なかなかそう簡単にいかないのですよ。この点について意見の相違だと言えばそうなっちまうから、私はこれ以上言いませんが、一つ真剣に世界の動き、この点は考えて、アメリカの経済市場も縮小されておるし、そうして縮小再生産をやっぱり考えておる、アメリカ人はこれらとしては対アメリカ一辺倒的な考え方でなくて、幅広く経済活動されぬと、将来日本の産業なども相当の痛手をこうむってくると思う。そうした点について静かにあなたに考えて……、さらに今後の経済政策をやる上においても十分この点に考慮をおいていただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/52
-
053・栗山良夫
○栗山良夫君 関連して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/53
-
054・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 時間がだいぶ経過しておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/54
-
055・栗山良夫
○栗山良夫君 ただいまの大蔵大臣の輸出振興政策の中で過当競争があるために、相当数量は出ておるんだけれども、ドルの額が望み通りならないということをおっしゃいました。この点はこの前の通常国会だったと思います。が、私は予算委員会の質問の関連として、大蔵委員会であなたと前厄通商産業大臣と御同席を願って、相当基本的に私の所信を述べて、あなたなり前尾通産大臣なりの御意見を伺いました。そして最終的には私の意見に賛成をしていただいたのでありますが、そのときに賛成をしていただいた考え方と、まるで私違うような気がするので重ねて一点お尋ねをしておきたいと思います。で、問題は過当競争が輸出貿易額に対してよろしくない、公正取引委員会あるいは独禁法の修正というところへ進んでいくんでしょうけれども、少くとも僕が今まで勉強し、あるいは事実で見てきた認識から言えば、輸出の数量が伸びて金額が上らないという最大の原因は、政府の貿易政策に重大なる欠陥があるということを私は指摘をいたしました。それはなぜかと申しますと、今まで国際物価にさや寄せをするという、要するに日本の物価は高いんだという宣伝を政府みずから先頭に立って今までずっとやってきたんです。現実に日本の物価の、特に雑貨品、貿易の大宗を占めている雑貨品、繊維等を含めまして雑貨品は高くないんですよ、国際物価と比較いたしまして。それを何を好んで日本の業者なり政府が高いと言うか、そういうことをやるからこそ、外国からは評判が悪くなってしまうし、そしてなおかつたたかれてしまう。この考え方というものを改めなければ、日本の輸出はほんとうに伸びないんだという話を私はいたしまして、賛成がされたのです。それは速記録に残っておりますからごらんいただけばわかりますが、あなたも賛成されたし、前尾通産大臣も賛成された。ところが今のお話を聞いてみますと、そのとき賛成されたことはどっかいってしまって、全然政府の政策には載っていないように私は思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/55
-
056・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は速記録を見なくてはわかりませんが、日本の物の価格、物価一般といいますか、物価といいますと一般になりますが、価格はどの商品も国際価格より安いということは考えておりません。おそらく私は一番頭にあるのは、先ほど申し上げました繊維製品、そのほかのものにおいては国際物価より高い輸出というものは十分ある。そして価格一般とすれば、必ずしも私は国際物価より日本の物価が安いとは言えない、かように考えておるのであります。ただ私は特に今過当競争のことを言いますのは、先ほどから大阪の方の話も出ましたから申したのですが、これは繊維製品です。繊維が特別に生産過剰にありまして、そしておそらく国際水準に比べて七割くらいな、七〇%くらいなところで売りに出ておるというふうに考えております。これはどうしても、あれは新紡とか新々紡が次々にできるという格好で、いかにしても生産 これはまさに私は過剰だと思います。こういうものについてはやはり生産調整が業者自体でできないといかないという考えを私は言っております。従来公取でやっておるのですが、公取は自分で損得をするわけでも何でもない、過剰生産ができて初めて何とか言う。こういうことですから、これはいかぬからやはり損得をする業者自体が、こういう人こそ海外の情勢をよくにらんで、海外の情勢に応じて生産調整をする、それが行き過ぎた場合、公取が出て、社会公益の上からよくないのではないか、こういうふうにするのがいいと、こういうような修正をすべきだと、そうなれば値段もリーズナブルなところでかなり安定するから、輸出した場合も損はない、こういうことを申したと思うのですが、私はそのときも今も考え方において何も変っておりません。あるいは速記録を見ないと、違っておるとすれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/56
-
057・栗山良夫
○栗山良夫君 考えが変っていないと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/57
-
058・河野謙三
○委員長(河野謙三君) この次に……。どうせ、いろいろ質問は終らないですから。——じゃもう一点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/58
-
059・栗山良夫
○栗山良夫君 考えが変っていないとおっしゃったのですが、変っていないとはなはだ残念だと思うのです。私が申し上げたのは、日本の全輸出物価が国際物価より安いということは全然申し上げていないのです。プラント物等は少し高いのです。輸出の半ばを占める雑貨品のようなものははるかに安いということを申し上げているのです。繊維のように混乱状態に入ってしまうと生産調整をやらなければ手はつかぬでしょう、これは私わかります。わかりますが、そういう事態が招来しない前に、繊維というものは国内産業を保護しながら輸出の振興をはかっていかなければならぬ、その方策としてはただいまおっしゃった繊維とか、写真機、ベニヤ板、陶磁器、玩具その他いろんなものがありましょう。こういうもの押しなべてわれわれの調査したところによると、国際物価より安いから、そういうものまでひっくるめてしまって、政府の海外宣伝、国内宣伝として日本の商品は国際物価にさや寄せしなければならぬという、ある意味においてはばかの一つ覚えみたいな宣伝をされると、海外の商人にもつけ込まれるのでよろしくないのではないか、日本の国際物価をもう少し丁寧に商品別に分析をして、良品で廉価と、良質適正価、こういう宣伝を政府が努める、積極的にこの方針転換をやる必要があるのではないか、こういうことを私は力説をして賛成をされたのです。それをわかってもらわなければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/59
-
060・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) それは異論はないのです。私の言うのは、その高いものを下げ、安いものをそんなに安くせぬでもいいような方法、物価全体として国際競争に十分耐え得るものに持っていく、これはそのような考えでは異論はありません。すべてのものが安いから物価をそんなに押えるような政策はどこにも必要がないという意味であってはこれは違うと、こう申したのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/60
-
061・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 大蔵大臣との約束の時間もだいぶ経過しておりますから、大蔵大臣に対する残余の質疑は後日に譲りまして、本日は、これにて散会いたします。
午後三時一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X00519580220/61
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。