1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十八日(火曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
三月十四日委員伊能繁次郎君辞任につ
き、その補欠として林田正治君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 河野 謙三君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
小笠原二三男君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
木暮武太夫君
左藤 義詮君
塩見 俊二君
土田國太郎君
宮澤 喜一君
山本 米治君
荒木正三郎君
栗山 良夫君
小林 孝平君
野溝 勝君
杉山 昌作君
政府委員
大蔵政務次官 白井 勇君
大蔵省主税局長 原 純夫君
大蔵省主計局法
規課長 小熊 孝次君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省理財局国
庫課長 堀口 定義君
外務省アジア局
第一課長 菅沼 潔君
水産庁漁政部長 新澤 寧君
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本日の会議に付した案件
○製造たばこの定価の決定又は改定に
関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○昭和二十八年度から昭和三十二年度
までの各年度における国債整理基金
に充てるべき資金の繰入の特例に関
する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○漁船再保険・特別会計における特殊
保険及び給与保険の再保険事業につ
いて生じた損失をうめるための一般
会計からする繰入金に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/0
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001・河野謙三
○委員長(河野謙三君) これより委員会を開きます。
委員の異動がありましたので御報告いたします。
去る十四日付をもって、伊能繁次郎君が辞任され、その補欠として林田正治君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/1
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002・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、前回の委員会におきましてすでに質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/2
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003・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決しました。
なお、諸般の手続等は、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/3
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004・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よってさよう決しました。
それから委員会の報告書に多数意見者の署名を付すことになっておりますので、本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/4
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005・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、昭和二十八年度から昭和三十二年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑のある方は、順次、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/5
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006・平林剛
○平林剛君 この法律案についてこまかい説明がありませんね、もう少し現在の国債の状況あるいは整理の進み工合等につきまして概括でけっこうでありますから御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/6
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007・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) お答えいたします。三十二年度の十二月末現在において、国債借り入れ資金の現在額が五千八百十九億ございます。そのうち内国債関係が三千九百七十五億、それから外国債関係が八百十九億、借入金が千二十四億、内訳になっております。このうち、一般会計分が総額におきまして五千百八十六億ございます。それから特別会計が六百三十三億ございます。この国債の償還の方法につきましては、ただいま国債整理基金特別会計法によりまして、万分の百十六の三分の一の償還をするということになっておりますが、この規定のほかに財政法の第六条の規定によりまして、新規純剰余金の二分の一を下らざる金額を国債整理基金特別会計の償還に充てる、こういうことになっておるのでありますが、剰余金も相当の額に達していますので、この法案におきまして万分の百十六の三分の一というものを適用除外いたしまして、そうして剰余金の二分の一でとどめよう、こういうことにする法案でございますが、これは新規純剰余金が今後どの程度出て参るかという問題につきましては、なかなか予想もつきかねるわけでございますので、実は毎年々々このように延ばして、そうして御審議を願っておる次第でございますが、本年度の予算によりますと、国債整理基金特別会計におきまして、一般会計から四百三十六億三千万円を入れまして、そして国債償還の財源に充てる、それから国有鉄道におきまして十二億、日本電信電話公社におきまして二十二億、計四百七十億が元本の償還に充てられる、こういうことになるわけでございますが、これは元本額でございまして、さらに利子、割引料につきましては、そのほかに二百九十四億というものを入れることになります。それからそのほかに事務取扱費等が入るわけでございまして、総体の歳入額といたしましては、国債整理基金特別会計の歳入といたしましては四千百八十八億、こういうことになるわけでございます。非常にその金額が大きいのは、これは食管関係でございまして、食管会計が三千十四億、こういう大きな額を占めておりますが、その他外為資金、その他特別会計関係の国債の整理関係もこの会計では含みますので、ただいま申しましたように四千百八十八億というような金額になるわりでございます。
一応以上の説明にとどめまして、御質疑がございましたらお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/7
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008・平林剛
○平林剛君 総額五千八百十九億、大まかの御説明がありましたけれども、もっとこまかいことを私ども知りたいわけであります。内国債の内容、外国債の内容、借入金の内容・・、ここで御説明してもなかなか私どもわかりにくいから、わかる程度に御説明を願って、あとは資料で一つ出してもらいたい。
それからもう一つは、一体これだけの内国債、外国債の返還は総合的にどんなふうにして返していくのか、今返していく方法については、制度についてはわかりますけれども、どのくらいで全部終るものなのか、そういう全般的な構想について、何か政府として一貫した考えを持っているのか、どうか、これについて一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/8
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009・堀口定義
○説明員(堀口定義君) 御説明いたします。さっき申しましたように三十二年十二月末現在で内国債の三千九百七十五億と、それから外国債の八百十九億とございますが、これをただいま御質問のような趣旨から見まして、一体今後の借りかえが可能なものと、借りかえしにくいものと一応分けてみますと、そのうちたとえば日本銀行の持っておるもののように借りかえできるようなもの、これが約二千百億程度ございます。それからそのほかに国際復興開発銀行通貨代用国庫債券その他引揚者国債であるとか、遺族国庫債券というようなもので借りかえのできにくいものは、ただいま千八百七十四億ばかりございます。それから外国債につきましては現存の状況から見ますと、大体借りかえはむずかしいのではないだろうかというふうに見ておりますので、このようなものにつきましては、借りかえのむずかしい内国債の約千八百億、それから外国債の八百億を入れまして二千六、七百億程度は借りかえがなかなかむずかしいということですから、これについては少くとも将来先の法律によりまして万分の百十六の三分の一とか、あるいは剰余金の二分の一というものによりまして逐次返していくわけであります。
それから償還のいつ終るかというような問題ですが、これは遺族国債とか、引揚者国債のように、十年間で元利金を償還するというようなものは十年で終りますが、借りかえ可能なものにつきましては、一応期限ということはちょっと考えられないわけでございます。その他のものにつきましては、外国債につきましては三十六年、八年ごろが大きな山で、あとは逐次減少していきますので、大体ここ十年ぐらいが借りかえがむずかしいものに対しての償還が、比較的負担が多くなってくる時期であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/9
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010・平林剛
○平林剛君 きょうはこの程度で質問を終えておきますが、先ほど私がお願いした資料についてあとで御提出を願いたいということを要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/10
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011・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がもうないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
昭和二十八年度から昭和三十二年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特列に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/11
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012・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等は先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/12
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013・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よってさよう決しました。
それから本委員会の報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますので、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名西川甚五郎 小笠原二三男 平林剛天坊裕彦 左藤義詮 木暮武太夫 塩見俊二 土田國太郎 山本米治 荒木正三郎 栗山良夫 小林孝平 野溝勝杉山昌作
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/13
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014・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 次に、漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として質疑を行います。御意見のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/14
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015・野溝勝
○野溝勝君 きょうは当局はどなたがお見えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/15
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016・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 水産庁の漁政部長・・・。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/16
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017・野溝勝
○野溝勝君 韓国漁船に関係したことも関連してお伺いしたいのですが、こういう点については、外務省のアジア局長ないしはその関係局も一つ呼ばっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/17
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018・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ただいま外務省の方に関係者の出席を求めておりますが、あいにく日韓会談関係のいろいろ会議を開いておりまして、即時にここに出席ができないということでありますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/18
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019・野溝勝
○野溝勝君 局長でなければ、関係した、アジア関係の課長、その方にも来るようにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/19
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020・河野謙三
○委員長(河野謙三君) ただいま連絡しておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/20
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021・野溝勝
○野溝勝君 それではさっそくですが、この漁船再保険、一般会計から繰り入れに関する法律案ですが、この法律案の趣旨を見ますると、漁船損害補償法の規定による漁船の拿捕、抑留等の事故を保険事故とする特殊保険については、昭和三十一年度において保険事故が異常に発生したため、漁船再保険特別会計の特殊保険勘定における再保険金の支払いが著しく増加し、同年度の損益計算上、約四千四百七十万六千円の損失を生じたのである、こういうことがこの理由説明の中に記録されておるのですが、この再保険が今後ますますふえると見ておるのでございますが、今回に限って、特に四千四百七十万六千円ということに限ってありますが、当局といたしましては、一般会計からの繰り入れが本年度はこの限度で大体解決し得るものという見通しに立たれておるのですか、どうですか。お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/21
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022・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) お答えいたします。この法案は二つの目的がございまして、まず第一が特殊保険勘定の損失の分でございます。この四千四百七十万円という金額は、これは三十一年度におけるところの損失を埋めるためのものでございまして、三十二年度に損失が生じた場合におきましては、これはまだ三十二年度の決算をいたしておりませんので、実情がわかりませんので、その結果によって措置をいたしたいと思います。
それから給与保険勘定でございますが、給与保険勘定につきましては、三十一年度の損失の若干分と、それから三十二年の十二月までの損失につきまして、八千三百五十万円繰り入れることにいたしていますが、この給与保険勘定におきまして、将来もまた損失が生じたという場合におきましては、その時期を見計らいまして、それぞれ財政上の措置を考える、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/22
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023・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、漁船再保険特別会計の方は、これは特殊保険ですが、この方の勘定は、昭和三十一年、それから今お伺いしたいと思っておりましたところ、当局の方から給与保険の御説明がありましたので、私はさっそくお伺いするのですが、この給与保険の方の勘定は、これは昭和三十一年、三十二年を含んでおるのですが、これは何か理由があるのですか、この点を一つお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/23
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024・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) お答えいたします。特殊保険勘定の方は船体保険でございますので、これが委付されると、これは特別会計の方の所有物になりまして、それの処分代金というものが入るのであります。従いまして、それの処分代金との差引で損益が出て参るという関係がありますので、従来もその年度の決算が済みましてから、損失を見るというような関係になっております。それから給与保険の方は、そういう委付というような問題がございません。なるべく予算編成期までの、近い時期までの損失を一応一定の時期で打ち切りまして、そうしてその間の損益を計算いたしまして、損を見まして、そうして繰り入れる、こういうような形をとってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/24
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025・野溝勝
○野溝勝君 かような保険事務の二重取扱いをやるというと、会計上混乱を起すようなことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/25
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026・小熊孝次
○政府委員(小熊孝次君) 従来も大体そういう考え方でやっておりまして、別に混乱を起すというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/26
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027・野溝勝
○野溝勝君 ここに示されている漁船の拿捕抑留の事故等の頻発ということにつきましては、これはどこをおもに対象とされているのでございますか。特に漁船再保険に必要の生じた地域並びに船舶、漁船の数量等々を一つこの際大体でよろしゅうございますから、お知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/27
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028・新澤寧
○説明員(新澤寧君) これはどこの海域ということを限っておりませんで、こうした拿捕による損害が生じた場合に、それをてん補するという目的で法律ができているわけでございます。現在までに実際に拿捕抑留が起りましたのは、韓国関係、それからソ連関係、中共関係、こう三つの国の海に近いところで事件が起きております。実際の問題といたしまして、保険の対象となりまして保険の支払いをいたしましたのは、韓国関係とソ連関係でございます。現在までにそれぞれ保険の対象となりました件数は、保険に入ったものだけの関係でございますが、拿捕の総数ではございませんが、ソ連関係におきまして五十五隻、百十四人、それから韓国関係で六十四隻、五百八十九名ということになっております。拿捕の総数は、ソ連関係で六百六十一隻、五千九百七人、韓国関係で二百四十七隻、三千百五十二人というのが総数でございますが、そのうち先ほど申し上げましたようなものが保険によって損害を補てんされる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/28
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029・野溝勝
○野溝勝君 今の御説明によりますと、相当数量漁船が拿捕されが保険に入っている場合、保険金を支払わなければならぬということなんですが、拿捕されたことによって政府が特別会計をもって再保険までしているわけでございまして、国の財政支出ということになるのですが、こうしたようなことに対して、外交上に対し、農林省当局としては、外務省との間にこれらの問題の解決並びに善後処置等について何か打ち合せたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/29
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030・新澤寧
○説明員(新澤寧君) ただいま申し上げましたように、拿捕の件数は非常に多くはなっておりますが、これは関係国によりまして、いろいろ理由は異なっているようであります。もちろんわが国から遠く離れたところで起った事件でありますので、それぞれについてはっきり拿捕の理由等を確認するまでに至っておりませんけれども、しかし国によりまして、いろいろ拿捕の理由は違っているようでございます。特に現在問題となっておりますのは、いわゆる李ライン関係の拿捕の問題でございます。これにつきましては李ラインが設定されましてから二十七年以降、この問題につきましては、この李ラインの撤廃の問題をめぐりまして、外務当局を通じて先方に申し入れをしておるわけでございますが、現在まだその解決を見ておりません。そこで現実の問題といたしましては、こうした一方的にせよ、引かれたライン付近におきまして拿捕事件が発生するということでははなはだ困った事態になりますので、外交的に解決をはかることはもとより、実際上の問題として拿捕の危険が起らないようにということにつきましての、この付近における警備あるいは漁船の保護等につきましては、海上保安庁とも連絡をとりまして、十分手を尽しておるわけでございますが、しかしなかなか範囲の広い等のために、往々にしてまだ拿捕事件が跡を断たないということは、はなはだ遺憾に存じておるわけでございますが、そうしたことで外交上の手続を通じての善後措置、それから実際上のそういう事件の起らないための予防措置、保護なり警備なりについて現在努力しておるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/30
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031・野溝勝
○野溝勝君 今お話のありましたごとく、李承晩ラインとかいうことで一方的な解釈によって日本の漁船並びに関係産業は非常な迷惑をこうむっておるのでございますが、一体今もその迷惑を認めておられるようでありますが、一体漁船損害補償法というものが昭和二十七年に制定されたのでありますが、その当初李ラインとの関係をにらみ合せて、この漁船損害補償法などをお作りになられたのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/31
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032・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 経過的に申し上げますと、昭和三十六年ごろから中共周辺とか韓国周辺にこういう拿捕件数が非常に頻発して参りました。そのために当初はまず何といいますか、行政的な措置としまして当時できておりました漁船保険法の範囲内で漁船保険組合の定款でこれに対する措置ができるようなやり方をいたしておりましたが、その後なおそうしたことが頻発いたしますために、後に漁船保険法の改正をいたし、拿捕につきましても法律上当然補てんのできるような改正をいたし、さらにおっしゃいました通り漁船保除法が漁船損害補償法にかわりますときに、当時の改正規定をそのまま踏襲いたしましてやったわけでございまして、確かにそうした事件の頻発に対処するために、こうした法制的な措置がとられたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/32
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033・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、当然李ラインによる損害の比重といいましょうか、ウェートが大きくなるというような見通しで保険法を損害補償法というものに改訂して当然拿捕されるということの大体見通しにおいて作ったという御意見なんですが、それならばなぜさような一体李ラインによる日本の財政支出の大きくなった点で、農林当局は特に外務省等に強く交渉いたしまして、この解決を早くはかろうとしないのか、アジア局長なり外務省の関係者がまだ来ておりませんから、あまり詳しくは質問をいたしませんが、全く李ライン設定以来の日本の損害というものは物心両面から莫大なものであると思うのでありまして、特に李ラインなどは李承晩というよりは占領政策当初のマッカーサー・ラインとでもいうべきものでありまして、マッカーサーの占領政策の遺物いわば李ラインというものを黙認した形になっておる。だからこれは日韓交渉ということよりは、アメリカに向ってこの間の経緯並びに反省方について協力をむしろ要請すべきものであると思いますが、一体そういうことに対して農林当局はどう考えられておられたんですか。これは、全額の問題よりは国の独立または国の損害から合せますと、莫大なものになっておるんでございますが、かようなことを暗に黙認してゆくということになりますならば、これは李ラインを承認してゆくということになるのであります。こういうことに対して当局はどう解決しようと考えておるか、漁政部長からお聞きしたいんです。あなたは最近就任以来新しいんでございますから、無理な質問かもわかりませんが、無理だといっても、当局でございますから、こういうことを聞かざるを得ない。率直に一つ・・・。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/33
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034・新澤寧
○説明員(新澤寧君) お話の通り李ラインの国際法上の問題につきましては、確かにわが国として容認できない問題でございますので、この設定されて以来、外務当局を通じて韓国に対しては数次にわたって折衝を続けているわけなんでありまして、また拿捕事件の起りましたたびに、その違法なことを抗議の申し入れをしておるわけでございます。極力外務当局を通じましてこの問題の解決をはかっていただくように努力をしておるわけでございますが、なかなか事態が進展しておらないことははなはだ残念でございますが、国際法上の問題に関連しまして、もちろんわが国としては、これが正当な線でない、従ってそれを侵犯したことによる拿捕が正当な国際法上の権利に暴いた拿捕ではないという見解をとっておりますので、将来外交交渉の結果いかんによりましては、そうした国際法上の違法に基く賠償問題も何らかの形で起ることになろうかと思いますけれども、水産庁の立場といたしましては、その国際的な外交問題の解決を待っておりましては、漁業者としては漁業の再生産に入ることができませんので、急速に漁業の再生産に着手し得る資金の得られるような措置を講じなければならないというような考えから、この保険法ができておるわけでございます。これは漁業者と保険組合あるいはこれの再保険をしております国との関係の保険関係でございますが、もちろんそのほかに国際的な問題としての対韓国との賠償問題というものは残るかと思いますが、それとは別途に急速に解決をする方法として、国内的な措置として、こういう方途がとられたわけであります。外交的な問題につきましては、ただいまおっしゃいましたようなことを私どもも常々感じておるのでございまして、事あるごとに外務省を通じて、解決の促進をはかるようにお願いをしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/34
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035・野溝勝
○野溝勝君 それでは外交上の問題などにつきましては、いずれ外務当局の方が参ってからお伺いすることにいたしまして、これは後刻いたします。先ほど御説明の中に漁船がこの保険対象となるということなんですが、用具はどうなるのでございますか。漁具とか用具の問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/35
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036・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 保険の対象といたしましては、船体と——船体が原則でございますが、契約者が特約を結びますれば 搭載しております漁具は保険の対象になり得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/36
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037・野溝勝
○野溝勝君 先日私が鳥取県、島根県に参った際に、特に島根県の漁業関係者並びに県当局から御意見を聞いたのでございますが、実に島根県のごときは李ラインができて以来、まことに経済的な収奪といいましょうか、圧迫を受けまして、特に漁業産業が中心なところなんでございますから、漁船の拿捕——漁船が拿捕されるだけでなくて、網から用具から漁具一切をみな持って行つちまう、こういうようなわけで、この島根県における県経済、財政は非常に窮迫をしておるという訴えがございました。特に最近におきましては、日韓交渉の結果、漁夫はまあぼつぼつ帰還しておるのでありますけれども、大事な船と用具などは一つも帰って来ない。で、保険に入っておるからというけれども、なかなか今御説明のようなわけに現金がすぐ支払われるというようなわけにも至っておらぬし、そこへもってきて、保険に入っておらぬのもあるというようなことで、まことに困っておるという訴えがございました。先日この問題につきまして、農林水産委員会で私にかわって質問をしていただいたのでございますが、その際にアジア局長の御答弁によりますると、保険に入っておらない漁船であっても拿捕されたもの及び漁具、用具等に対する補償は、日韓の交渉において解決をするつもりであるけれども、もし解決不可能の場合は、国において何とか考える用意があるという意見を発表されたようでございますが、その点に関し、農林当局の方は、具体的にそれらの問題について話し合いをしたことがありますか、その間の事情を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/37
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038・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 先ほどちょっと申し上げましたように、この拿捕事件に伴いましたいろいろな法律関係は二つあると思います。一つは国際的な関係で韓国に対するそうした今おっしゃつたような請求権の問題と、それから現在ございますこの漁船損害補償法に基きます保険関係による保険金の支払い問題と、こう二つあるわけでございますが、保険の関係の方は申し上げるまでもないことと存じます。韓国に対する損害賠償の請求権の問題は今お話の通り、アジア局長もそういうお答えをしているとすれば、その通りであろうかと思うわけでございます。われわれとしましては、李ラインというものが、国際法上正当なラインであるというふうには認めていないわけでありますから、これの侵犯が直ちに国際法上韓国によって拿捕し得る権利が生じているという見解をとっておらないわけでございます。そうしますと、それが国際的に確認されるといたしますれば、わが国から韓国に対しての拿捕に基く損害賠償請求が当然に発生しているわけでありますから、それによる賠償ということが将来の問題として起り得るものというふうに考えられるわけでございます。それができなかった場合にどうするかという問題につきましては、まだ私どもとしては突込んだ研究はいたしておらないわけでございます。と申しますのは、現在の立場といたしましては、そうした国際的に正当な権限をもって拿捕が行われているのじゃない、従って韓国に対する損害賠償請求権があるという見解をまだとっておりますので、従いましてそれが実現できなかった場合には、というところまで考えをいたしておらないわけでございまするが、それは将来の日韓交渉なり、あるいはその他の国際的にこのラインについての正当性いかんについてのはっきりした見解が確立いたしました以降の問題として、いろいろな研究すべき問題、あるいは国として措置すべき問題が出て来ようかというように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/38
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039・野溝勝
○野溝勝君 ごていねいなお答えでございまして、大体前文はわかったような気がいたしますが、所管がちょっと——あなたを無視するというわけじゃございませんが、どうも外務当局の責任ある御答弁も一緒に聞いておかないというと納得ができませんので、後日の機会に外務当局の見解を聞きたいと思いますので、委員長にこの点了解していただきたいと思います。
最後に一つ私は申し上げておきたいのは、この李ラインができて以来、島根県の被害の状態でございますが、特に農林当局には御調査済みのことと思いますが、農林当局の方としては、船体を中心に考えられておりますのでまことに困るという御意見がございました。ざっくばらんに県の関係諸君からの話によりますると、直接損害が拿捕隻数五隻でありまして、うち船体が三百二十万円、それから機関が二百十万円、合わせまして、設備一切——これには無線や方探やそれから電探その他を加えて、これが約五百万円、それから漁具、たとえば漁網、手網、それらが四百万円、一隻四百万円、これが五隻分で二千万円、計五千百五十万円、これだけの表だって損を得ておる、そのほかに漁獲が拿捕されたためにめっきり減り、それで結局五年続いたので、これは五百万円に年数をかけて、それから四統ということはどういうのか、専門的な言葉でございまするが、四統それにかけるというと一千万円の損失を受けていると言うのです。それから五百万円——五百万円とは一統当りの年間漁獲順位だそうです。こういうように被害を受けておる。それから、そのほかに中間漁区として入漁船の十九統の漁獲利益が非常に減っちゃった。それから、それが二百万円に、専門的の言葉で十九統かけて、それで六カ年間でありますから二億二千八百万円、こういう数字が出ている。だから全部を合せますと三千九百五十万円、この五年間の間に島根県としては水産業においての損失を招いた。こういうわけなのでございます。こういう点は、農林当局としては、先ほど言った通り船体という保険対象のもののみを考えられておるらしいのでございますが、全体の水産経済の影響というものは李ライン設定以来まことに目に余るものがあるわけでございまして、これは漁政部長といたしましては、単に保険の問題だけでなくて、全体を通して漁政上から総覧して、そういう点に対し即刻に漁政政策などについても私は勘案する必要がある。ただ単に保険事業というだけでなくて、弱少水産業の融資政策等の問題についてこの際積極的に考える必要がありはせぬか。特に農林漁業金融公庫などについても積極的に、私は保険にかかわらず、こういうような点について簡易の融資政策を講ずる必要がありはせぬかと思うが、こういう方面に対して農林当局としてはどういうふうな処置をとったか。またとろうとしておるのか。どういう考えを持っておるのか。この際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/39
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040・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 確かに、今お話ございましたように、李ラインが設定されまして、李ライン周辺あるいはそれの内側に非常にいい漁場があるわけでございまして、従来裏日本の各漁業者は非常にその辺の漁場に大きな依存度を持っていたわけでございますが、それが、李ラインが引かれまして以来、操業区域が非常に限定されたことによっての、目に見えないと申しますか、操業範囲を縮少されたことによる漁獲の減少というものは当然あろうかと思っておるわけでございます。ぜひ、そういう意味におきましても、従前通り日本の漁業者が従前の漁場で自由に漁業できるような状態に早くなりますことを私ども念願いたしまして、ひたすら外交折衝の好転を願っているわけでございます。
一方、こうした漁区の狭くなりましたことによりまして、操業範囲の縮小、従いまして島根県だけではございませんで、この付近の諸県が、非常に漁業上狭いところで多くの船がひしめき合って操業するような事態になっておりますので、これは漁業経常の上から考えますと、何か打開の道を考えなければならないわけでございます。最近東シナ海の方には新しい漁場が、有望な漁場が発見されて参りましたので、一部の漁船をこちらの方へ転換させるというようなことも考えまして、操業の広さに見合った漁船をもって操業する。それによって一船当りの経営が安定いたしますようにはからなければならないということで、今申し上げたような漁場の転換ということも考えております。また沿岸におきます増殖に関しますいろいろな措置をやりまして、この方面におきます——沿岸におきます漁獲高の増収をはかるというようなことから、漁業経営の安定と申しますか、を大いにはかって参りたいということで、これらにつきましては、だんだんに予算も増して参りまして、三十三年度以降はそういうものに対しまして相当の助成もすることができるようになろうかというふうに考えております。それらいろいろな手を尽しまして、当面漁場の狭くなりました業者にとってもできるだけ経営の安定の期し得られますような種々な政策を講じて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/40
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041・野溝勝
○野溝勝君 まあ漁政部長の答弁は抽象的で、具体的なお答えがないのですが、私もこれ以上は言いませんが、今私が具体的に示した通り、島根県の人は非常に経済的に不安で、この間も漁民大会を開いたような状態ですから、とりあえず一応、全体がそうだというのじゃなくて、やはり一応、こういう具体的な資料もきておるわけなんですから、当局は至急島根県の実情実態調査を、特に李ラインができて以来一番あそこが被害を受けておるのですから、実態調査を一つして、その対策を至急立てられることを私は特に希望しておきます。だから至急あんたの方では調査員を派遣して下さい。答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/41
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042・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 答弁ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/42
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043・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 確かに李ラインの影響をこうむりまして、島根県初め山陰、九州等の諸県は非常に困難を来たしていると思っております。まあ島根県について特に御指摘があったわけでございますが、中間漁区の問題等、具体的に御指摘がありました、その通りと思っております。なお、実情を十分に調査した上で着々手を打って参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/43
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044・小笠原二三男
○小笠原二三男君 この船体の特殊保険並びに漁船乗組員給与保険、これは現状としては拿捕されることを予想して加盟しておるのが全部であって、その他の場合を考えて一般的にこれに入っておるというような組合員はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/44
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045・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 現在のこの漁船損害補償法の仕組みといたしましては、御承知の通り普通保険と特殊保険とございまして、普通保険につきましては、一般海難の場合の損害てん補を目的としておるわけでございまして、それに加えまして、特に拿捕の危険の多い海域において操業する方々が、普通保険ではそうした特殊の場合の、拿捕等によります損害の補てんができませんので、さらにそれに加えまして、いわば一般の民間の保険におきます戦争保険の特約のような形で、それに似たような形で、普通保険に加えまして特殊保険に入っているわけでございます。損害保険法の原則は、一般海難に対処するための法律としてできておるわけでありまして、実際に加入者の大部分は普通保険を目的として入っておるわけでありまして、特に危険の多い海域の漁業者の方々が特殊保険を利用している、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/45
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046・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうすると、特殊保険というのは拿捕だけのことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/46
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047・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 主として拿捕でございます。捕獲、拿捕、抑留されまして、三十日間解放されなかった場合に適用される、こういうことになるわけでございます。原因は、それが具体的な保険のてん補の場合のあれでございますが、一般保険は普通の海難の場合でございますが、特殊保険は、戦争、変乱等、これに準ずる場合におきまして、そういうような、今申し上げたような事故が発生した場合にてん補の対象になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/47
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048・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうしますと、これは、政府としては奨励しているのですか。全く任意に自由にやっておるのですか。加入するように奨励しておりますか。放任しておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/48
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049・新澤寧
○説明員(新澤寧君) こうした危険の多い海域に操業する業者に対しましては、極力入るように勧奨いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/49
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050・小笠原二三男
○小笠原二三男君 先ほども計数を聞いた場合には、危険海域で拿捕されたもののうち、この保険に加入しておるものが少いように聞いておったのですが、もうほとんど全部入っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/50
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051・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 先ほど申しましたのですが、実際の問題としまして、拿捕の件数に比較いたしまして、保険に入っておりまして、保険によって、その損害のてん補を受けたものの数は、非常に少いのでございます。実際問題として、加入は必ずしもそれほど多くはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/51
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052・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そういう、危険を予想される海域に出漁する漁業者が、加入しがたい根本的な原因と申しますか、理由と申しますか、それは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/52
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053・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 何といいますか、実際上の問題としまして、いろいろな理由があろうかと思いますが、非常に気をつけて操業しておれば、拿捕の危険をあえて冒さなくてもいいのだというふうな気分もあるのではないかという感じもいたします。人によりますと、保険料を云々する方もありますが、私どもは、実は、それほど保険料が、この加入の障害になっておるというふうな感じは持っておりません。むしろ心理的に、まさかというような気分が、これに対する準備をねらせている結果になっておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/53
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054・小笠原二三男
○小笠原二三男君 水産当局は極力奨励しているにもかかわらず、出てくる結果は必ずしもこの法が目的としているというところを果さない点がある。何を極力努力してきているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/54
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055・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 一方におきましては、できるだけ拿捕の危険のあるような海域に近ずかないようにということをいたしておりますが、しかし往々にしてライン外というふうに考えられる場所でも拿捕が起りますので、そうした海域で操業するものにつきましては、十分な準備をするようにという以外に、趣旨を申し上げて、準備を怠らないようにということで、指導によるほかないわけでございますが、ともかくもそうした手を尽しまして、万全の準備を備えて出漁するようにということを言っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/55
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056・小笠原二三男
○小笠原二三男君 たとえば対韓国の問題でいいますと、将来においては、日韓交渉において、この損害を補償させるよう追求してゆくのだ、これは将来の問題ですが、実際問題としては漁船は拿捕された、乗組員は抑留せられた、留任家族は困る、漁業者もまた経営が成り立たぬ、政府何とかせい、こういうような状態、一方政府の方はそれまでの過渡的な実際問題を処置するやり方として、この特殊保険を奨励して、そういう点のないようにということで、一般会計から国民の税金まで特別会計に繰り込んで、これが損害を最小限度に食いとめようと、こうしている。そういう施策と実態とが合わないということになれば、これはどうも困ったことではないかと思われるのですね。で、これは一例としてですが、そういう海域に出漁するというものについて、何か半強制的にでも加入させるというような方途はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/56
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057・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 確かに拿捕の危険がまだまだ絶えないわけでございますから、実際その危険に対処するような手段を講じなければならないわけでございますけれども、保険でございますので、できるだけその趣旨を理解して入るということに努めるが、強制的に入らせることもどうかということにつきましては、ちょっとまだ考えるべき点があるのではないかということで、これを強制的な制度にするということまでは、まだ実は考えておりません。もっぱら指導によって、十分趣旨を理解してもらうということに努めなけばならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/57
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058・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私も今一例として、どういうお答えになるか、まあ人が悪いけれどもためしにだね、言ってみたのです。それで、それは問題があるということは、多分あるだろうと思う。あるならあるで、そういう道を避けて、なおしかも所期の目的を達成するという方途は、どうしておとりになるかということなんです。あまりに懸隔があり過ぎる、拿捕件数と、この加入しているその中の件数というものは。これではこの法はさっぱり生かされない。なるほど国民の税金は損しないで済むものかもしらぬですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/58
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059・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 先ほど来お話がございましたように、確かに事故の起りました割合に、それに対して保険に入っておったものの数が少いわけでございます。できるだけ勧奨によって入るようにするということに努めておりますが、最近もう一つ、具体的な措置といたしましては、従来保険期間を、一応四ケ月を一期といたしまして、保険に入ってもらうというふうに措置をいたしておりましたが、保険期間が長くなりますと、それに応じまして掛金も高くなるということでございますので、それが一つの障害になっておろうかと考えられます。またかたがた実際にこの方面に出漁をいたしております業者方面の要望もございましたので、今般これを二カ月でもよろしい、二カ月の期間で加入をすることもできるということにいたしたわけであります。そういたしますと、出漁期間がそう長くない業種につきましては、今までよりも半分の保険料を支払うことによって、ともかくも出漁期間におきまする損害に対する何らかの補償が得られるわけでございますので、それによりまして、いささかでも加入が促進されるのではないかというふうに期待をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/59
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060・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 野溝委員に申し上げます。ただいま外務省からアジア局第一課長の菅沼君が説明員として出席されましたが、先ほどの御質問に対しましても小笠原委員の質問が済みましたら、御質疑を続けていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/60
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061・小笠原二三男
○小笠原二三男君 では、具体的にお尋ねしますが、四カ月が三カ月になると、保険料は半分だと、こういうのですから、まあ四カ月の場合でもようございましょう。四カ月の場合で例をとってお尋ねしますが、四カ月の場合、どの程度のトン数の船体になれば、どれくらいの保険料ですか。しかも、事故が起ったとき、支払われる金額は幾らになるのですか。しかも、それは新船を建造するとなると、その資金のどの程度までそれはカバーするようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/61
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062・新澤寧
○説明員(新澤寧君) ちょつと今のお答えに直接は合わないので、恐縮でございますが、保険料率といたしましては、一カ月当り百円について二十七銭八厘三毛という率でございます。補てんする価額は、これは船体の古さによって違って参りますので、そのときの船体の評価額が保険につけ得る最高限度でございます。ですから、当時の現在価格に見合ったものまでは保険をつけることができるわけでございますから、そうするとしますれば、失った価格は、これによって返ってくるということになるわけでございます。もちろん新船を作ります場合は、そうした現在価格が返ってくるだけでは新船を作るには資金的に不足をするわけでございますが、金融面の措置につきましては、こうした拿捕等によって船体を失って新たに船を作らなくちゃならないものにつきましては、農林公庫等においての融資につきましては優先的な取扱いをしております。公庫におきましては、最高新造価額の六割まで融資できるわけになっておりますので、保険金と融資とを見合いますれば、保険に入っております限りにおきましては、新しい船を作って可出漁ができるというふうに考えてもよろしいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/62
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063・小笠原二三男
○小笠原二三男君 百円について二十七銭八厘というのは、一般に他のこれに類似の損害保険に比べますと、金額としては高いのですか安いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/63
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064・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 民間保険でも契約をすれば同じように保険に入れるわけでございます。これはだいぶ安くなっていると思っております。ほぼ民間ベースから考えますれば、二分の一程度の料率ではないだろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/64
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065・小笠原二三男
○小笠原二三男君 次に給与保険ですが、これはこの保険に加盟いたしますというと、金額はそれぞれ契約によるでしょうが、一カ月分もらうのですか、それとも続けてもらっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/65
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066・新澤寧
○説明員(新澤寧君) これは帰って参りますまで引き続き支払うことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/66
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067・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうすると、これも保険料としては非常に安いものになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/67
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068・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 先ほど申し上げました二十七銭八厘三毛という数字は、船体だけでございますので、給与保険の方は、一カ月百円につきまして一円六十一銭七厘、これは別の保険料率が定まっております。これは拿捕されるまで保険料は支払う、拿捕されてから保険金の支払いをする、こういうことになるわけでございますが、ただし、抑留されてから帰還するまでの期間引き続き支払うことになりますが、現在のところは、最高六年四カ月以内、六年四カ月を過ぎますと打ち切られるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/68
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069・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで今までの実例としましては、雇い主が支払っている給料額より下回った給付を受けるような契約になっているのが多いのですか、同等額ですか、あるいはそれ以上というのですか、実例としてはどれが多いのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/69
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070・新澤寧
○説明員(新澤寧君) これはいろいろケースが異なっておりますが、実際にもらっております実給料よりも保険の加入の対象となっている給与額が上回って加入しているという例は見当らないようであります。ほとんどが実際の給与よりも若干下回っているというような実情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/70
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071・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それから抑留された漁夫は、他のいかなる給付をも受け得るようなものに加入できないといいますか、加入しないようになっているのですか、たとえば、抑留されれば実際失業みたいなものですが、失業保険などというものはかけてもおらぬだろうし、支払いもしない、片方で払えば片方では払わぬ、こんなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/71
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072・新澤寧
○説明員(新澤寧君) この保険に入っております多くのものは、三十トン以上の船になることが多いと思いますので、当然船員保険に入っていると思います。しかし、実際上の給付が船員保険の場合の職から離れたものというふうにみなしがたいということで、船員保険法による救済ができがたいということがこの給与保険のできた理由になっているわけでございますから、ダブることはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/72
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073・小笠原二三男
○小笠原二三男君 ああそうですか、けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/73
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074・野溝勝
○野溝勝君 第一課長菅沼さんに一つお伺いしたいと思います。先ほどの漁船再保険特別会計に関連してお伺いする。最近特に李ラインの影響によって漁船が拿捕されたり、あるいは損傷を受けるものが多いということなんです。結局、問題は、李ラインが争点になってくるわけなんですが、先日、島根県へ参りましたところ、この李ラインを理由による韓国からの圧迫に、非常に悲憤憤慨しておったのです。ただいまこの法案解義に関連して、実情を訴えておるのです。ところが、この法案は大体保険の問題が中心になるのです。しかし、保険に入っていない漁船あるいは用具——漁具ですね、こうした物件は、拿捕されれば、漁船はじめ漁具一切みなとられてしまうそうです。こういうような状態で、島根県の経済などは非常な影響を来たしているわけなんです。これについて、この間、農林水産委員会で特にこの問題に対する補償といいまするか、対策について外務当局の見解、農林当局の見解を聞かれたのですが、その際に、外務省のアジア局長の答弁によると、漁船並びにそうした被害に対しては、日韓交渉の過程において努力するつもりである、万が一おもしろくいかない場合は、国において善処する考えがあるというようなことを答えられたようでございますが、きょうはそれに関連して、今、漁政部長の見解を聞いたのですけれども、漁政部長も、アジア局長の答弁はよく聞いておらないが、さような方向に努力してもらうように自分としても努力するつもりであるという答えなんですが、アジア局としては、どういう見解を持っておられるか、この際、詳細に一つ答えていただきたいと思うのです。むしろ、専門課長のあなたから答えてもらった方が具体的でよいと思うのです。一つそういう点でお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/74
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075・菅沼潔
○説明員(菅沼潔君) お答え申し上げます。漁船の拿捕につきましては、拿捕のありますたびごとに、外務省から厳重な抗議を、口上書をもって申し入れております。最近は、そのつど、韓国代表部のものを呼びまして、アジア局長ないしアジア局次長から口頭で抗議を申し入れておるわけでございますが、この抗議の趣旨は、要するに、李承晩ラインというものは国際的に何ら確立された根拠のないものである、従って、公海上において安全に平和的に漁業に従事しておる日本の漁船を拿捕、連行し、しかも、漁民を抑留するということは、はなはだ遺憾なところであるということを述べまして、漁船の即時返還及び漁民の返還を要求すると同時に、これによって生じました損害に対する補償の要求を留保するということを申し入れてある次第でございます。従いまして、韓国に現在つかまっております日本の漁船が約百三十六隻であると記憶をいたしておりますが、これらの漁船につきましても、そのつど、損失に対する補償請求権というものを留保しておる形になっておりまして、今後開かれます日韓会談におきましても、アジア局長から御説明申し上げました通り、損失の補償というものをわが方としては十分に主張いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/75
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076・野溝勝
○野溝勝君 そこで、よくおわかりだと思うのですが、この漁船損害保険法が改正されて、漁船損害補償法となったのですが、これは昭和二十七年三月三十一日法律第二十八号、この第三条の内容は、ほとんど李ラインを対象にして作ったように思うのです。全くばかばかしい。李ラインを認めないと言っておりながら、現実には認めてきておるわけなんです。認めてこなければ、どうするのか、こういうことです。結局、外務省がだらしがないと思います。あなたから一つ上司に話していただきたいと思います。一体、あんなものは、日本占領当時勝手にマッカーサーが承認してやったようなものですよ。それを依然として李承晩は踏襲しておるでしょう。そうして、われ世に勝てりという状態です。日米安全保障条約は何ら日本のために役立っていない保障条約だと思うのです。ですから、きょうは外交論議じゃありませんから、それは省略いたしますが、特に外務当局は、このことをしっかり考えてもらわぬと困るのですね。これは日本としても、人民としても迷惑至極です。この戦争、変乱、その他政令できめる——大体、変乱ということは、李承晩ラインによるところの、幾多問題の起ることを意味するものと思うのですが、それを、階にこの被害を承認してかからなければならぬというようなことは、まことに情ないことだと思うのです。こういう点について外務当局は積極的にこの解決に乗り出して努力されることは当然ですが、同時に、かような経緯にかんがみて、アメリカ側とも何かこの問題について話し合ったことがありますか。また、今後努力を続けるつもりでありますか。こういうような点について、一つ御所見を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/76
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077・菅沼潔
○説明員(菅沼潔君) ただいまお話のございました、マッカーサー・ラインを踏襲したということでございますが、まあ時期的に見ますと、李ラインは昭和二十七年一月に、李承晩宣言によって引かれたものでございますし、マッカーサー・ラインの方は御承知のように、一九四五年の十一月三日に、いわゆる連合国最高司令官が日本を占領管理する必要上、数多く出されました指令の一つとして発出されておるものでございます。マッカーサー・ラインは御承知のように、受持の日本の占領管理の必要上、日本の操業地域もしくは漁掛地域というものを制限するという趣旨において引かれたものでございまして、昭和二十七年四月に、平和条約の発効と同時に消滅をしておるという事実があるわけでございます。このマッカーサー・ラインについては、もっぱら連合国最高司令官と日本政府との間の関係だけでありまして、いかなる第三国に対しても、特別な権利もしくは義務を与えるものでないことは、きわめて明らかであります。その意味におきましては、直接の関連は李承晩ラインとはないというふうに、われわれの方は考えております。それからクラーク・ラインというものがもう一つございますが、これは一九五三年九月二十五日に引かれたものでございまして、もっぱら朝鮮における動乱を考慮して防衛上の必要から引かれたものでございます。そこで李ラインというものはマッカーサー・ラインないしクラーク・ラインと直接の関連はないわけでございますが、今先生のおっしゃいましたような、李ラインというものを承認できないことはもとよりでございまして、外務当局としましても今後とも一そうの努力を払いまして、あらゆる機会を通じましてこの不当な、公海の自由を制限する李ラインを撤廃せしめるように一段と努力いたしたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/77
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078・野溝勝
○野溝勝君 今課長さんのお話しになった点はわかっておる、ただ一応二十七年に条約とともに消滅になったといえども、戦後における操業管理の方針というものが一応規定されたのでございますから、そこで結局それを李承晩が逆用したというか利用したわけですから、その点だけは事実ではないか、それを申したのでありまして、その間の事情については今課長の見解については私もわかっております。そこで今課長さんは、非常に努力されるというのでありますが、今日でさえも日韓の交渉がなかなか容易でない事態にあるわけでして、今の経過説明ではアメリカは具体的に責任はない、消滅したということにはなっておりますが、韓国では李ラインを放棄していません。日韓が依然こうした問題で紛糾を重ねておることは、アメリカ側としても、日本の安心保障を、確立するという意味で、日米安全保障条約ができておるならば、善処すべきものだと思うがどうかと、こういう意味なんです。そういう点について努力する意思があるかどうかということを一つ課長にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/78
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079・菅沼潔
○説明員(菅沼潔君) 今御質問のございました日米の安全保障条約との関連に立って、アメリカ側として努力をするということも、はなはだ傾聴すべき意見であると思いますが、まあ李承晩ラインの問題は、韓国側が沿岸に近接した公海の地域に一種の沿岸国としての漁業管轄権を持っておる、あるいは主権を行使できるというような主張をしておるわけでございまして、わが方としましては、そういう主張はとうてい認められないのだということを反駁しておるわけでございます。でございますので、まあ本質的には、これは沿岸国の漁業管轄権ないし公海漁業に関する両国間の法律的見解が根本的に違っておるという点が、まあ基本的な問題であるというふうに考えております。従って従来の日韓間の全面会談におきましても、第一次、第二次、第三次の会談においても、これが議論されましたし、今後も全面会談において、漁業問題として扱われるということになっておりますので、わが方としてはできるだけ平和的な手段によりまして、科学的な基礎に立った漁業資源の保存並びに漁業紛争の防止という見地に立って、円満に平和的に解決をいたしたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/79
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080・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御質疑は・・・。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/80
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081・小笠原二三男
○小笠原二三男君 ちょっと取り残したのでいま一つ漁政部長にお聞きします。この給与保険についてでありますが、現状ではそういう危険海域に出漁する漁夫は、使用者に対して保険を契約してもらわなければ出漁しないというような意思を示して、保険契約を結ぶように使用者に迫るというような、そういう実例はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/81
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082・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 実例につきましてはつまびらかにしておらないのでございますが、制度といたしましては、乗組員の二分の一以上から事業主に対して加入の申し出があった場合に、事業主は必ず入らなければならないという義務が制度上課せられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/82
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083・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私はそういう法が漁夫を守る建前で立法、規定しておるにもかかわらず、実際上それが行われておらぬということは、漁業における雇用関係が近代化されておらない。そのために二分の一であろうともそういう組織的な要求をするということが、事故がなかったあとの自分の職業の安定その他に対して大きな影響を与える、そういうようなことから、やはり事業家に対して頭が上らない、従ってそういう点からも要求し得ないというような実情にもあるものがあるであろうと想定されるのですね。こういう点からも政府としてそれぞれ漁夫の生活を守るという建前から、特殊な指導と申しますか、そういうことを行う考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/83
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084・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 先ほどのお答えで実情をつまびらかにしておらないと申し上げたのでありますが、実際にあの近海に出漁いたしますものは、非常に大型の船もございますと同時に、非常に小さい船がたくさんございまして、なかなか一般ごとの実情をつかみ得ないので、はなはだ申しわけないと思っておりますが、実際上の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、こうした半ば強制加入の義務のようなものが制度上ございますが、それはともかくといたしまして、実際上漁夫が後雇の憂いのないように出漁できますようにするためには、どうしても危険海域に出漁いたしますものは保険を十分に利用するということが必要でございますので、私どもも極力県なりそれぞれの漁船保険組合を通じまして加入をはかるようにというふうに指導しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/84
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085・小笠原二三男
○小笠原二三男君 まあ実情はよくわかりましたが、少くともそれぞれ乗組員の保険加入という点については、やはり使用者と乗組員との従来の関係等があって、なかなか容易でない実態にあるであろうと思われるのですが、やはりこの法が生かされるように、水産庁でも十分関係地方当局、団体等に対して強力な指導を与えられて、不幸な目にあった留任家族の生活が非常に困難な状態になるということを避けるようにほんとうに努力していただきたい。その結果によっては、またいつかどういうふうに措置せられたか、お考えなり、したことについてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/85
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086・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑もないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/86
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087・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等は先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/87
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088・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よってさよう決しました。
それから、委員会の報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名 木内四郎 西川甚五郎 小笠原二三男平林剛 天坊裕彦 左藤義詮 塩見俊二 土田國太郎 山本米治 栗山良夫野溝勝 杉山昌作発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/88
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089・河野謙三
○委員長(河野謙三君) 暫次休憩いたします。
午後零時二十二分散会
〔休憩後開会にいたらなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X01519580318/89
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