1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十九日(土曜日)
午後三時四十五分開会
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委員の移動
本日委員片岡文重君辞任につき、その
補欠として小林孝平君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
理事
左藤 義詮君
西川甚五郎君
小笠原二三男君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
岡崎 真一君
塩見 俊二君
土田國太郎君
廣瀬 久忠君
山本 米治君
大矢 正君
栗山 良夫君
杉山 昌作君
前田 久吉君
政府委員
大蔵政務次官 白井 勇君
大蔵省主計局次
長 佐藤 一郎君
大蔵省主計局法
規局長 小熊 孝次君
大蔵省主税局長 原 純夫君
国税庁長官 北島 武雄君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省銀行局総
務課長 有吉 正君
国税庁間税部長 泉 美之松君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○関税定率法の一部を改正する法律の
一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○酒税法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/0
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001・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) これより委員会を開きます。
議事に入ります前に、委員の異動がありましたので御報告いたします。本日付をもって、委員片岡文重君が辞任され、その補欠として小林孝平君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/1
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002・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。
木内四郎君から、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ありませか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/2
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003・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
つきましては、直ちにその補欠互選を行いたいと存じます。この互選の方法は、成規の手続を省略し、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/3
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004・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 御異議ないと認めます。それでは、私より左藤義詮君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/4
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005・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、以上五葉を便宜一括議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/5
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006・小笠原二三男
○小笠原二三男君 税法の質疑に入るに当って、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、昨日来の経緯がありますので、二、三点お伺いしておきたい。
第一は、衆議院の段階において衆議院大蔵委員会が、社会党並びに自民党共同提案になる付帯決議を付してこの法案を通過せしめる旨を決定し、本会議もまたこれを議決して本院に送付されておるのでありますが、その後、いろいろな情報が伝わって、衆議院におけるいわゆる通例院議と称せられる付帯決議が、政府あるいは自民党においてその執行に食い違いが起るような可能性のあるお話を間々承わったのであります。それ以来、当委員会も、そのあおりを受けて運営の円滑を欠いたということは、まことに遺憾に堪えない事実であったと存じます。そこで、昨日政府側に対しましては、一萬田大蔵大臣のこれは行政上の決裁を要する措置の問題でありまするから、大臣の意思を、いわゆる政府のはっきりした付帯決議に対処する方針を承わる、その結果いかんによって、審議を進めていきたいということを重ねて要望しまして、了承されておったわけであります。これは、党と党との問題なり、党と政府の問題なりを委員会で申し上げるということは、これは筋違いであるかもしれませんが、わが党としましては、けさ国会対策委員会の決定に従って政府、すなわち一萬田大蔵大臣に対して、衆議院の院議を尊重すべき旨を申し入れ、その結果については当委員会において冒頭お伺いしたいということにしてあるのであります。とともに、また自民党に対しましても、院議尊重の共同提案の共同責任の上に立って政府に対して善処方を申し入れしているのであります。で、自民党としましても極力善処したいという旨の返事がありまして今の段階に立ち至っておるのであります。
そこでこの際、お伺いしたいことは、これは他院のことではあるけれども、わが院においても、この種の事例は今後においても起り得ることであって議院の審議権なり、あるいは立法府の行政府に対する権威の上からいっても、この点は問いただしておく必要があると存ずるのであります。従って大蔵大臣は、予算委員会に御出席中で、とうていここに御出席を願えない事情は、われわれも十分承知いたしているのでありますから、従ってこれにかわって白井政務次官でけっこうでありまするから、いわゆる山岸政府としての、この衆議院の院議に対して、酒税法による減税分をどう措置されるのか、院議がどう尊重されるのであるか、その方針を承わっておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/6
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007・白井勇
○政府委員(白井勇君) ただいま小笠原委員から御質問がありました酒税法に関連いたしましてきのう衆議院で付帯決議がついたのでありますが、これは院議でありまするので、われわれとしましては十分尊重いたさなければならぬと思っております。けさほどになりまして、また社会党さんの方から、大蔵大臣あてに申し入れがありました。これも十分尊重しなければならぬ問題だと、こう思います。政府部内におきましては、夕べから慎重検討いたしたのでありますが、原料価格の騰費によります値上げと、減税によります値下げと、これを区分して実施をすることまではできようと思っておりまするが、長い間問題となっておりました値上げを延期をするということは、この際できないという結論に達しましたのでありましてどうかこの点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/7
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008・小笠原二三男
○小笠原二三男君 白井政務次官も、衆議院大蔵委員会における審議の経過を速記録等で御承知になられ、しかも付帯決議を付する際における自民党と社会党との間の話し合いの経過も御承知になられて、そうしてこういう付帯決議ができたという経過を御承知であるならば、今の政府の見解というものは、この院議に沿わないものである、この点は事実明白である、そう存じますが、率直に言うて、衆議院の院議に政府としては沿いかねるということになると思いますが、そう了解してよろしいのか、言をあいまいにしないでお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/8
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009・白井勇
○政府委員(白井勇君) 院議でございますから、どこまでも私どもといたしましては、十分これを尊重して参らなければならぬと思います。ただこれまで申しあげましたように、立法府の仕事でありまする酒税法に関連しましての値下げの問題と、それから行政府のやりまするこの値上げの問題というものは、これは切り離して仕事をいたしたいと、こう考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/9
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010・小笠原二三男
○小笠原二三男君 再三申し上げて恐縮でありますが、この点は従来大臣も、主税局長も、北島長官も、衆議院においてあるいは当委員会においての主税局長等の御答弁にもある通り、この法が施行される四月一日に、原料価格の値上げによる生産者価格というものもめんどうをみ、また減税分の意義も表わすような措置に、同時にこの問題は解決したい、処理したいという方針の明示があるのです。それをいけないとしたのが、衆議院の付帯決議だ、そういう措置がいけないとしたものなんです。従って付帯決議の文字面をそのままごらんになるならば、四月一日の午前八時に値上げを決定し、午後の三時に減税の措置もやったのだ、しかしながらそれは同時だ、そういうことはあり得ないことですが、そういうふうに、行政措置と立法上の執行とを分離したのだ、そういうことで始末できるのだという意味でこの付帯決議ができしておるものではない、この際の減税は、あくまでも大衆負担の軽減という意味において、減税の効果が百パーセントこの小売価格に現われるようにまずもって措置せい、原料価格の値上げ等によるそれらの価格の問題は、時を異にしてこれを決定しろ、こういうことなんです。それを四月一日に、減税はやむを得ないからする、四月二日に値上げをする、あるいは三月三十一日に位上げをして四月一日に減税をする、ともにそういう措置を不可としたのが、この付帯決議なんです。日本人であるならば、この文章をお読みになったら、全くその通りなんです。だから当委員会における理事会でも、これは字づらからするならば、四月一日に減税、そうして切り離す、五月一日に値上げをする、そうして切り離す、そういう措置でも院議尊重になるのだという極端な話もあったが、それはその通りだということをわれわれも認めざるを得なかった、しかしきょうやってれあすまたやる、あるいは同日に両者をやって、そうして立法上の問題は減税だし、行政権限でやることは価格の問題で、その院の意思通りに拘束されない、こういうことで一本立にしたのだと、観念的にはそういう答弁はできるにしても、そういうことは、院議の前においては承認しがたいことなんです。だから私は、端的にお尋ねする、院議を尊重したと言葉で言うことは要りませんから、その措置が衆議院の院議に沿うておると御認識になっているのか、沿わないと御認識になっているのか、明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/10
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011・白井勇
○政府委員(白井勇君) 同じことを繰り返すようでありまするが、院議はどこまでもも尊重しなければならぬとこう思っております。従来事務当局から申し上げておりまするように、昨年の暮れごろにすでに原料高からいたしまして値上げをしなければならない事情にあったわけでありまするが、一方ちょうど緊急対策を施行中でありまして、思う通りにそのこともできないというような立場にありまして、今日に至りましたにでありますが、どこまでも衆議院の院議を尊重しながら、なおかつ行政府の立場をまたそれに合せまして、私たちは措置をいたしますことで何とか御了承を願えるのじゃなかろうかというふうにお願いを申し上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/11
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012・小笠原二三男
○小笠原二三男君 この酒税法の提案説明には、この際、便宜従来懸案になっておる原料価格の値上げに伴う是正をやりたい、そういうことも考えた上で減税という問題を処理したいのだ、そういう意味で減税をしたいのだということはどこにも書いてないのです。そうして立法上の措置は減税だけに限るのだから、減税のことは立法府のいう通りやりました。価格の問題は、これは行政権限だから立法府の意思とはかかわることなしに同じ四月日にやりますのです、こういうことがこの種の法律を提案してきておる趣旨に合致していますか。それは便宜そういう希望や望みや願いというものが行政府内にあることは、もう前々から知っておる。またあっていいことです。しかしそれをまっこうから否定したのが衆議院の院議なんです。同じ行政権限であっても院が満場一致でこういう方向で施行せよという意思をきめたら、それは行政府がそれに従うというそういう慣行がなくて、どうして議院内閣制なりなんていうものは、民主主義というものは、行われるか。それで筋目を立ててやってもらいたいということがわれわれの願いなんです。ただこれ以上あなたに質問をするということは、酒税法のほんとうの内容に立っ入って質疑をするということになりますから、私はこの点については、内容については地目に質疑は保留しておきますが、今政治的な扱いの問題としてだけあんたに説明をしておるのです。そういうことをやりたいということで、便宜そういうこともやりたいということを含みつつそれは提案の理由とはしないで、その法が通ったら通ったとき、うまくしてやるのだ、こういう考えでわれわれをたぶらかして、この酒税法というものを提案したのかどうか、開き直ってお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/12
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013・白井勇
○政府委員(白井勇君) 決して国会の皆さまにそういう失礼な考え方のもとに措置はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/13
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014・小笠原二三男
○小笠原二三男君 今言うようなことで、それでほんとうにわが社会党なら社会党この院議に参画をしておる社会党の言うことをほんとうに尊重したと、間違いないのだといえますか。ほんとうに院議に沿うているといえますか、繰り返し申し上げますが、というのでございますが、あなたは答弁をしていない。院議に沿うておるとか沿うていないとかを聞いておるのだから、イエス、ノーで答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/14
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015・白井勇
○政府委員(白井勇君) 院議をどこまでも尊重いたしましたので、私どもにおきましては、昨日もおそくまでこの問題について十分検討いたしましたし、さらにまたけさほど社会党さんの方から申し出がありましたように、それにつきましても十分その御趣旨をそんたくいたしまして、午前中すっと引き続き協議をいたしましておるのでありまして、その点は一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/15
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016・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私の聞いておることに答弁させて下さい。「はい」、「いいえ」だけでいいのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/16
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017・白井勇
○政府委員(白井勇君) 院議はどこまでも尊重して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/17
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018・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私はそういう言葉で聞いていない。院議に沿うておるか、沿うていないか、イエス、ノーで答えてもらいたい。こういうのです。——白井さん、ちょっと。もっと説明をしますと、見解の相違があろうと何だろうと、そういうことはかまいませんよ。今私は請求しているのじゃないのですから。それで院議に沿うておるならば沿うておるという御答弁があってもよし、沿うていないという御答弁があってもよし、沿うていると言ったから、私は沿うていないじゃないかというふうな重ねた質問はしませんから。もう政府の態度さえ聞けばいいのですから、端的にきちっと答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/18
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019・白井勇
○政府委員(白井勇君) 私の方におきましては、十分慎重考慮いたしまして院議に合いましておこたえを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/19
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020・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それでは私のこの政治的な扱いの、きのうからの継続になっておる問題は、これだけで終っておきます。あとにまた問題が残っておりますから、その点は月曜日にあらためて質疑をしたいと存じます。それで先ほど理事会でお取りきめになったように議事が進められることについては私は異存がありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/20
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021・平林剛
○平林剛君 酒税法に対する質疑は私どもまだ十分にしておりませんから、参議院の大蔵委員会として政府のとった態度が妥当であるかどうかについてはまだわかりません。わかりませんが、大体今のお話をお聞きすると、どうも衆議院の大蔵委員会でつけた付帯決議に対して政府は実質的にこれを尊重しておらない、あるいにそれに沿うた態度をきめておらない。こういうことだけは明らかであります。私どもとしてはそのために重要な所得税法を初め、各関係税法の質疑ができないということはまことに遺憾に存じます。それで今白井政務次官が何と答弁しようと、あなたの態度を衆議院は認めていない。いいですか。衆議院は政府の態度を認めておらないわけですよ。そこで政府はこの衆議院の大蔵委員会並びに本会議で付帯決議になったことに対して、もう少し検討して、これを共同提案をした社会党と自由民主党の党の責任者と十分話をつけて、そうして結論をつけて、この参議院の方の審議に支障のないように配慮してもらいたい。きょう私どもは諸般の事情から考えて、税法の質疑には入りますけれども、問題は解決されておらないわけでありますから、衆議院の党の責任者とよく話し合ってあなたは配慮してもらいたい。それを一つお約束して次の質疑に入っていきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/21
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022・白井勇
○政府委員(白井勇君) その点は了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/22
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023・大矢正
○大矢正君 私は、酒税法の質問をするわけじゃないんですが、酒税法じゃなくてたまたま、最近酒の製造原価の引き上げを行う、それによって必然的に、減税をされるかどうかということを除いて考えてみた場合には、小売価格を引き上げなければならないという結論が出るように聞いておりますが、その、原料価格の値上げによって製造原価が上るという考え方は、一体どういうところから生まれてきてるのかということをお伺いしたい。これは税法じゃありません。現在の段階における製造原価の引き上げという問題について、一応政府の見解を承わっておきたい。それから、その内容についてもこの際明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/23
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024・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 酒類、ことに蒸留酒につきましては、昨年のいもの不作及び日照りの不足のための澱粉率と申しますか、の低下のために、非常に能事が落ち、かつ価格も上ったわけであります。価格の点から申しますと、一昨年のイモは、なまイモでございますが、一貫目二十七円見当でございました、平均いたしまして。それが、昨年のなまイモは一貫百約三十五円ということに相なっております。その他、一般管理費も上っておったわけでありまして、私どもといたしましては、昨年の十二月を期しましてマル公の改訂をやろうといたしておったわけでございますが、先ほど政務次官からもお話しございましたように、せっかく総合緊急対策を施行したばかりでございますし、この際、政治的にマル公——公定価格の引き上げということはいかがかという最高方針の御決定でございまして、ただいままで延びておったわけでございます。
しかし、内容から申しますと、最近の蒸留酒のメーカーは、御承知かとも思いますが、内容は急激に悪化いたしておりまして、無配会社が続出するような傾向にございます。私ども、マル公を守れと言う以上は、そのマル公によってあまりにも無理がしいられるということは、非常に行政的にいかがかと存ずるのでありましてできるだけ早い機会に私どもは公定価格の引き上げをすべきである、というのが事務的な見解でございました。それがただいままで延び延びになっておったわけでございますが、衆議院の大蔵委員会におきまして、各委員の御質問に対しまして大蔵大臣初め主税局長、あるいはまた私からも、酒税法の改正と同時に、酒税の減税による要素の変更と、生産原価の上昇という要素の変更と、からみ合せて一緒に考慮して、マル公を改定していきたい、ということを申しておったわけであります。
まあ清酒につきましても同様な事情があるわけでございましてたとえば米につきましては、酒造米は一石、前のとしが一万二千八百八十円、それが二万二千八百八十円というふうに上っておりますし、それから添加用のアルコールが前年が八八%のものでございますが、一石当り二万七百円でございましたが、今回二万三千円と決定いたしました。そういう点からも種々是正すべき点があるわけでございまして私どもマル公を守れという以上は、どうしてもこのマル公で非常に無理がかかることは行政的に避けたいという考えで値上けが必要と、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/24
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025・大矢正
○大矢正君 大体製造原価の値上りというものをどの程度に見込まれておるのか、その具体的な内容をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/25
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026・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) まず私どもの作業といたしましては、原料費の修正をやるわけです。ただいま申しましたように、清酒については原料米とアルコール価格の値上げとか、副原料の値上げがございます。ブド一糖価格につきましては一貫目百円から百二十四円、約二十四円上っております。それから、、原料用アルコールにつきましては、先ほど申しました主原料の値上り、なまイモ、ほしイモ、米その他、原料価格の変動によりまして相当是正を要する点があるわけでありまして、それから販売管理費等につきましては、燃料費は昨年の四月に比べまして、経済統計月報によりますれば、一〇四%になっております。それから人件費、福利厚生費は、毎月勤労統計によりますれば一〇三%になっております。減価償却も一一〇%、金利も一一〇%と、それぞれ上っております。それに作業度の上昇によるところの修正をいたしまして、最後的に製造原価の価格が出るのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/26
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027・大矢正
○大矢正君 私が質問を特にしたいのは、総体的にどうだということではなくて、それを具体的に展開した場合に、たとえば一升、あるいは一石当りの製造原価の点において、あるいは卸売、小売の諸掛りの点において、具体的にどう展開されるかということをお聞きしている、金額的な数字を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/27
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028・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これは最近の実情に即した、最も実情に即したマル公価格の改訂をやりたいと思いまして、いるいろ資料を集めておりましてただいま申したような数字をはじいておりますが、最終的の決定はまだいたしておりません。まあ最終段階にきつつあるわけでございますが、まだ最終的の決定を見ておりませんので、どうか一つ御容赦願いたいと存じます。ただ減税額ができるだけ消費者価格に及ぶようにという配慮はいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/28
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029・大矢正
○大矢正君 製造原価の引き上げによるところの公定価格の変更というものは、いつから行うという考えですか。先ほどから申しておるように減税をするとか、増税をするとかしないとか、酒の問題についてそういうことは一切抜きにして、製造原価の引き上げが行われ、従って販売価格の引き上げを行うであろうという前提であなたにお聞きしている。そういう政治的に減税が行われ、増税がいつから行われるとかいうことを一切抜きにして、酒の値段と、それから酒の製造価格という面でお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/29
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030・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 先ほども申しましたように、私どもといたしましては、十二月に希望しておったのでありますが、ただいままで延び延びになって参りまして、最近の最も早い機会に実施いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/30
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031・大矢正
○大矢正君 あなたの言われることで多少私はわからない点があるんですが、それは十二月にすでに製造原価の変更、具体的には価格の引き上げを行なって参りたいという考え方があったというお話でありますから、当然そのときには、具体的にどの程度の引き上げを行わなければ現在の段階では製造業者のコストを維持することができないという結論が出ているものと思うわけですが、しかもそれからすでに三ヵ月を経過しているのでありまするから、先ほど来申し上げておりますように、一石ないしは一升当りの製造原価はどの程度引き上げるべきであるかという具体的な数字というものが出ないということはないんじゃないかと思うんですが、長官、ちょっと私は理解できない、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/31
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032・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) この席でございますからはっきり申し上げますが、実は昨年の十二月に公定価格の改正を考えておりましたときには、しょうちゅう、二十五度ものでございますが、それから合成清酒、二級、これにつきましてともに一介当り十円程度の値上げが必要だとこう考えました。ただその後、実は蒸留酒につきましては、価格をできるだけ引き上げないという方針のもとに糖密の緊急輸入を行いました。これが相当その後原価に響いて参っております。それからまたすでに、糖蜜を入れても手おくれな向きもあったわけでありますが、糖蜜が輸入されるというので、これに伴って切りぼしイモが若干下っております。こういう点も考慮いたしますと、ただいま申し上げた昨年の十二月に想定いたしておりましたのよりも、これは原価の上昇は少いと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/32
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033・大矢正
○大矢正君 そうすると、あなたの御意見からいくと、しょうちゅうないしは合成清酒は、製造原価においてあるいはまた販売諸掛りにおいて十円程度引き上げなければならない、一升あたりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/33
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034・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 十二月には、昨年の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/34
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035・大矢正
○大矢正君 それで、そうなって参りますと、合成清酒あるいはしょうちゅう以外の清酒の面を考えてみた場合に、先ほどあなたの御意見の中には、米それ自身の植上りがある。もちろんアルコールの値上りもあるというふうになりますと、清酒、合成清酒ないしはしょうちゅうだけ製造原価が値上りすればよいということじゃなくて、たとえば清酒の中の特級あるいは一級等についても同様な考え方が出てくるんではないかと私は考えるのでありますが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/35
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036・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) その点はまだ微妙な点がございますが、私どもやっぱり率直に原価の値上りは認めなきゃならないんじやないかと思って作業いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/36
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037・大矢正
○大矢正君 そうすると、清酒の特級、一級、それから合成の一級等について考えてみた場合には、減税のあるなしにかかわらず、製造原価は上げなければならないという結論が出て参りますと、具体的には小売価格の面において上昇を来たすという結果が出て参りますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/37
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038・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 率直に申し上げますと、清酒の特級、一級はこの際遠慮してもらう。製造者価格につきましては値上げは考えておりません。三級酒につきましてやっぱり若干製造者価格につきましては上昇を要すのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/38
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039・大矢正
○大矢正君 清酒の特級、一級あるいは合成酒の一級というものは、実際的には今日の段階で製造原価の引き上げを行わなくてもよろしいという根拠は一体どこにあるのか。私はどうも不可解なんでありますが、少くともかりに政府の方針が承認をされて、下級酒の値下げが、減税によるところの値下げが断行された場合には、当然上級酒が売れなくなって、これが下級酒に向けられるということは考えられると思うのでありますが、そうすると、ますます上級酒の立場というものは窮屈になると思うのでありますが、決してこれは、私は上級酒の酒屋を保護するとか、そういう意味で申し上げておるのでなくして、酒税全体の理論として酒の原価の理論として申し上げておるのでありますが、こういう面ではますます特級、一級あるいは合成の一級等についても製造原価を引き上げなければならないという要素が将来において起って参りますし、そのことによって実質的には下級酒だけの値下げじゃなくして、上級酒も値下げをしなければならない。その値下げの分で云々というような立場が生れてくるんじゃないかという気がするんですが、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/39
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040・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 清酒の特級、一級につきましても、実は申しますれば、多少の原価の増があるわけであります。しかしこれはもともと清酒の特級、一級につきましては、原価の格差に比べまして価格の格差が比較的高いのでありましてこの際製造者価格特級及び一級については、これはがまんしてもらうのがよかろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/40
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041・大矢正
○大矢正君 今政府が考えているのは、製造原価の引き上げということだということは大体了承つきましたが、製造原価の引き上げに伴うところの小売価格の引き上げというものをいつごろから実施するというめどを持っておられるのか、その点を再度承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/41
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042・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 私どもはきわめて最近の機会において行いたいと、減税法案が実施されればそれと同時に行いたいと、こういうふうに考えておるわけであります。ただし先ほど政務次官から御答弁のございましたように、立法府の減税による値下げ分、それから原価の高騰による値上げ分ははっきりわかるようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/42
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043・大矢正
○大矢正君 租税特別措置によって、特に二十度しょうちゅうの税率軽減という特例が設けられておりますが、こういうものも製造原価の引き上げという形において製造原価が上げられるという解釈になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/43
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044・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 二十度しょうちゅうにつきましては、原価の高騰は同様な理由がございますので、これを認めなければならぬ状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/44
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045・大矢正
○大矢正君 それから公定価格以外の内容でありますが、果実酒とか雑酒、こういうものについての内容でありますが、これらは実際問題として公定価格ではありませんから、小売価格というものはいかようにもきめられてもよろしいかと思いますが、もし政府がこういうものに対して減税が行われようとする段階において、こういうものは、もし減税が行われたと同様な金額が販売価格の両において下るという見通しがあるかどうか、あるいはまたそういう見通しはないと考えられるか、の点承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/45
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046・泉美之松
○説明員(泉美之松君) この点につきましては、日本洋酒酒造組合という業者の加入しております組合がございまので、その組合を通じまして特に大業者の方からは減税の際におきまして、その減税相当部分を消費者の受益になるように還元いたしますという誓約書を徴しまして、同時に減税法案が実施されましたならば、こういううよ値段にいたしたいと、値段を提出させふしてその価段につきまして検討を加えまして減税が消費者に影響するように行政指導を行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/46
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047・大矢正
○大矢正君 たとえばしょうちゅうを例にとりますと、三十五度から二十度よでの段階において製造原価という心のが具体的に割り出されておりますが、かりに国税庁の長官の理論をかりて言いますと、二十五度を基準にして−円の製造原価引き上げを行いたいと、こういう立場の表明でありますが、これは三十五度の場合も、あるいは二十度の場合も一律に十円の製造原価の円き上げというものを行う考え方ですかどうか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/47
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048・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 先ほど長官からお答え申し上げましたのは、昨年の十二月の際におきましては、一升あたり十円程度上げたいと思ったということでありまして、その後長官がおっしゃいましたように、糖蜜の緊急輸入ということによりまして原価——糖蜜によリましてアルコールを作りますと原価が下ります。糖蜜輸入ということによりましてほしカンショが下ります。トウモロコシの値段も下ります。そういったいろんな原料が安くなった事情がありますので、今回におきましては十円上げるという幅より、かなり狭い幅になる見込みでございます。そういうことでございますが、アルコールの値段が上りますだけに、二十度しょうちゅうには二十度割合、二十五度しょうちゅうにつきましては二千五度の割合、三十五度しょうちゅうにつきましては三十五度の割合で原価が大体その割合に上っていくという、アルコール度数の割合で上っていくという勘定になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/48
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049・大矢正
○大矢正君 話を承わりますと、製造原価の引き上げというものは、可及的すみやかに行われなければならぬという説があるやに承わっておりますが、先ほど来聞いていると、十二月を基準、十二月を基準と、盛んに十二月を固執されるようでありますが、それでは、十二月という言葉は使わないで、ごく最近の製造原価の引き上げというものをどの程度見込まれているのか、この場で明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/49
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050・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 十二月と申しましたのは、なまイモの手配がほとんど済んだ、そうして主たる原料であるなまイモの価格の高騰が明らかに見込まれたときでございまして、ただその後先ほども御答弁申し上げましたように、糖蜜の輸入及びこれに伴うところの切りぼしカンショの値下り等によりまして、若干また見直す必要が生じておるわけでありまして、先ほども申し上げましたように十二月と考えておりましたしょうちゅう二十五度、合成清酒二級一升当り約十円見当の消費者価格の値上りというものは、これは相当大幅に縮まってくるというわけでございますが、まだ最終的には実は決定されておりませんので、大体の見当としてその十二月の考えておったよりも幅は狭いものだ、という程度で御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/50
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051・大矢正
○大矢正君 製造原価を引き上げなければならないといういわゆる考え方は、大体いつごろからお持ちになられたのか。そのことを承わっておきたいと思うのですが……。長い間、製造コストが上ったけれども今日まで抑えてきたので、この辺で製造原価を上げて、小売価格の引き上げをまた行わなければならないという考え方になったのか、それともごく最近に至って製造原価は上げていかなければならないという気持になったのか。まあその二つのいずれであるかをこの際承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/51
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052・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 蒸留酒につきましてはすでに一昨年の六月に値下げいたしたのであります。原料価格の引き下げということで値下げいたしました。ところが、これが相当まあ業者にとっては痛手だったと、こう業者は言っております。そこで昨年の六月から一般工費の高騰等によりまして相当苦しくなっているから原価を改訂してもらいたいという動きがございました。しかし昨年は実はイモの収穫もまだきまっておりませんでしたから、イモの価格がわからないという状況でございましたので、そういうものは私どもはまだ考慮いたさなかったのであります。秋になりまして、はっきりサツマイモの収穫減、これに伴いますところの価格の高騰というものが確定いたしましたので、やはり至急に上げていかなければならないというつもりで作業は十一月の初めごろからやっていたのであります。できれば十二月の一日ごろから実施していきたいというのがその当時の私の偽わらざる気持であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/52
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053・大矢正
○大矢正君 あなたの方から提示された資料を見ますと、ことにそのうちの合成清酒の二級の一升当りの原価等の累年比較というのが提示されておりますけれども、これによりますと、昭和二十九年を頂点といたしまして、販売諸掛りの面におきましても、また製造原価の面におきましても逐年これはコストが低下してきております。これは一体どういうわけなのか、承わっておきたい。
たとえば二十九年の製造原価が百五十四円二十銭になっておりますが、それが三十二年の原価は百四十四円八十銭になっておるわけであります。こういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/53
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054・泉美之松
○説明員(泉美之松君) この点はこの資料で明らかでございますように、原料費の面で三十年の際には六十六円十八銭のが三十一年には五十九円五十八銭になっております。これはなまイモの値段が下ったからでございます。それといま一つはびん代がここにございますように三十五円から三十円に五円下っております。こう言った原価内容の異同に伴って値下りになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/54
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055・大矢正
○大矢正君 私の聞いておるのは、そういう内容はあなたに言われなくてもちゃんとここに出ておるのですから……。その内容を聞いておるのではなくて、原価が下っているのに、なぜその製造原価が高くつくのかということで、製造原価の引き上げを行わなければならぬのかということを聞いておるのです。その内容を聞いておるのではない。
それからいま一つはイモの値段云々ということを言いますけれども、イモの値段だってやはり年によって波があると思う。イモの値段は高い年もあるし、安い年もある。それからイモの値段が上ったからといって即座に製造原価を上げなければならないという理屈はないと思う。その内容を聞いておるのではない。それがイモの原価によって具体的にできているのですから、高い場合もあり安い場合もある。ことしイモが上ったからと言って値上げをするならば、今度来年イモの値段が下ったら、それじゃもう一回製造原価の引き下げを行うのかという議論も出てくるのですよ。長官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/55
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056・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) もちろん原価を構成するものはイモの値段ばかりではございません。ここにございますように燃料費、労務費、工場経費、一般管理費等があるわけでありまして、それらを総合いたしまして原価の改訂の必要ありや否やをなお考えなければならないわけです。従来の例によりますれば、原料が下りましても、下った場合においてそれが他の費目と同一条件であるならば当然下るわけでございますが、ときによりましてあるいは上下いたすので、これを全部総合の上最後的に製造原価を引き上げるやいなやを決定するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/56
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057・大矢正
○大矢正君 製造原価引き上げができるかどうかを決定することはまだきまらないというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/57
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058・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) ちょっと私の申し上げ方が悪かったと思いますが、今言ったような原価構成要素の各費目を検討してそうして総合的に、上げるのがいいかどうかを検討するということを申し上げたのでありますが、今回はすべて総合勘案いたしました結果、製造原価を改訂しなければならない、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/58
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059・栗山良夫
○栗山良夫君 今の問題に関連してお尋ねいたしますが、かりに酒類のマル公をはずした場合は、実際の市販価格というものは、あなた方が今おきめになった価格より上回るようになるとお考えになるのか、あるいはこれと同じ価格でいくか、あるいは値下りをするとお考えになるか、どういう御予想ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/59
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060・泉美之松
○説明員(泉美之松君) この問題はある事態を想定いたしておりますことでございますので、なかなかお答えしにくい問題でございますが、従来の経験からかんがみますと、今原価が高騰している状況でございますから、その原価が高騰している市場のもとにおきまして、マル公を撤廃いたしましたならば、このいい銘柄のもの、名の通っている銘柄のものにつきましては、現在のマル公より上回った値段で売られるだろうと思います。それから現在のマル公のもとにおきましても、名前が通っていない品質の落ちる酒はマル公を下回って売られております。そうした事態はやはり同じように起ってむしろ現在はマル公があるから品質の差異があるにもかかわらず、いいものと悪いものとの格差が少いのでございますが、マル公を撤廃いたしますれば、その格差ははなはだしくなるであろうというふうに想定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/60
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061・栗山良夫
○栗山良夫君 私の申し上げたのは、こういう想定をされるファクターの中に一つ織り込むのが抜けていると思うのです、御答弁の中に……。もしマル公をはずせば完全な自由競争になるのです。そうすると、ただいまのマル公というものは生産原価を一応政府が保証していることになるのです。ところがマル公をはずされれば、生産原価の保証というものはありませんよ。そうして激甚なる競争が起きるでしょう。その銘柄ごとに……。そういう場合に一体どうなるのかというその要素を加味して御答弁にならなければほんとうの意味は出ないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/61
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062・泉美之松
○説明員(泉美之松君) これは御説の通りでございますが、現在しょうちゅう及び合成清酒につきましては市況がはなはだ悪いものでございますので、出荷規制を行なっております。従ってお話のようにそうむちゃくちゃな競争を起すという事態は想定されませんので、今申し上げましたように出荷規制を行なっている前提のもとにおきましては、銘柄の通ったものは現在のマル公より高く売れるでしょうし、そうでないものは低くなる、従ってその問の格差が大きくなるということを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/62
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063・大矢正
○大矢正君 長官に承わりたいのですが、最終的に製造原価の引き上げというものの結論、具体的な数字、そういうものはいつ出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/63
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064・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これは大臣の御決裁を仰がなければならないわけです。また私どもとしては最終的に検討すべき四囲の条件が若干残っております。そういうものを総合した上でできるだけ早く結論を出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/64
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065・大矢正
○大矢正君 政務次官にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/65
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066・白井勇
○政府委員(白井勇君) 今、国税庁長官からお答え申し上げましたように、できるだけ早く処理いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/66
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067・大矢正
○大矢正君 まだ今日の段階で発表できないということは、具体的に数字の計算もできていないという立場からそういうのか。他に政治的な考慮があるために、この政治的な考慮の判断が最終的にできていないので発表できないというのかどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/67
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068・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) もともと公定価格につきましては、実施する前に幾らにするということを申し上げることは実は禁物でございます。これは一般の常識かと存ずるのでございますが、今回の酒類の場合におきましては、なお未確定な要素が若干ありますので、最後的に大臣の決裁を得ておらない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/68
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069・大矢正
○大矢正君 政務次官に承わりたいのですが、政府の原案によりますと、四月一日から減税を行うということで、具体的に金額まで予算の中で提示されておるわけであります。製造原価の引き上げというものと、それから減税の時期というものとは同時になるのか、あるいはまた製造原価の引き上げというものはあとに行われるのか、その点承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/69
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070・白井勇
○政府委員(白井勇君) 先ほども申し上げましたように、院議も十分尊重しなければならぬし、さればとて引き上げの延びておりましたものを延期するというような操作も非常に困難であると思っておりますが、できるだけ院議を尊重いたしまして、また行政の面におきましても差しつかえがないような程度におきましてできるだけ善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/70
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071・大矢正
○大矢正君 税法の問題を質問する前に、きのう国税庁長官にお願いをいたしておきました、岸総理大臣の三十二年度の確定申告の所得の内容をぜひ明かにしてもらいたいと私は申し入れしたのですが、おそらくきょうあなたから提示があると思いまして、その資料を待っておるわけであります。それによって、できるならば税法の審議の前にあなたに二・三点質問があるのですが、それを一つお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/71
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072・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 御質問の点につきましては、直税部長を通じまして、調査さしております。ただ昨晩以来ただいままで酒類の公定価格の問題でごたごたしておるような次第でございましてまだその結果は聞いておらないのですが、多分先ほどの話ではまだ本庁には届いていない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/72
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073・大矢正
○大矢正君 どこの税務署の管轄になっているかしりませんけれども、そう飛行機で行かなければならぬほど遠いところでないと思いますので、そんなに時間がかからない。おそらく税務署管轄は都内だと思います。まさか国税庁長官がその税務署まで行って調べてこなければならぬようなものじゃない。出ているのですから、そのままもってきてここで発表してもらえばいいのです。あなたの御答弁じゃどうも納得できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/73
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074・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) もちろん私が税務署に行って申告書の写しを持ってくるわけに参りませんので、直税部長をして至急その手配をするようにということを申しておったのでございます。ただ昨日お話がありましてから、帰ったのが相当おそい時間でありますので、それもけさからごたごたいたしておりまして、税務署はきょうは土曜日でございますので、あるいはきように届いてないかと思って先ほども直税部長に聞いてみたら、まだ届いておらないようだということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/74
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075・大矢正
○大矢正君 そうするというと、あなたのきのうの御論議では出せるかどうかということはまだはっきり申し上げることができない、こういう御趣旨のようでありましたが、そうすると、出してくれることだけははっきりしてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/75
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076・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これは、私ども個人の所得の御申告が幾らだったかということはできるだけ申し上げない方がいいわけでございますが、私ももちろんその方の御当人のためにはあまりどなたの所得内容についても申し上げない方がいいわけでございますけれども、もし国会の法案の御審議のためにぜひとも必要であるという皆さんの御意見でありますれば、私はもちろん御提示申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/76
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077・大矢正
○大矢正君 どうもおかしいのですが、人の部分であればいやがるものでも何でも新聞にまで出して二千三百万だとかやれ一千万だとかいって出して岸総理のやつだけはこの場で発表できないというあなたの論議はどうも理解できない。あなたはまだ依然として岸総理の所得というものは二百万以下だ。だから二百万以上の分は公示できるのだが、二百万以下だから公示できないという判断をもっておられるのか。どうも昨日来あなたの答弁が一貫してないので、二百万以上の収入は私は絶対あると確信している、年間。そうすれば、これは公示するのが当然であるし、すでに他の部分については新聞にまで堂々と発表しているのに、なぜその部分だけは出せないのか。私は、岸さんのいわゆる所得が二百万以下ということはとうてい考えられないのです。常識ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/77
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078・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) もちろん、確定申告額におきまして二百万以上でありますれば、税法でこれを公示することになっておりますので、そういう方につきましては、御要求がありました場合には私ども申し上げて差しつかえないわけでありまして私、きのうお話しがありましてから思い起したのですが、去年のたしか今ごろの週刊朝日でしたか、岸さんの所得が幾らという御質問がございまして、たしか私の記憶では、もちろん二百万はこしておったように記憶しているわけであります。おそらくことしの御申告も三百万をこしているのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/78
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079・大矢正
○大矢正君 これは内要があまり何ですから、私は深くこのことを申し上げるのは恐縮なんで、この辺でやめますけれども、しかし国税庁長官、あなたは少し誠意がなさ過ぎると思うのです。一担あなたも約束をして出そうという意思を表明されたのですから、それなのにすでにもう一昼夜たっても出せないなんて——こんなものはそれこそ二百万以上であればすでに公示されているのだから、そんなもの出すのは至極簡単でしょう。それを出さないということについてはあなたの誠意を疑うので、そういう態度をとられるならば、私はまたこの間の標準率表とか効率表を持ち出してあなたとここで一戦やらなければならん。いつもあなた、そういう誠意のない態度をとられるので、私は気分をこわしますよ。どうですか。誠意のあるところで三十一日の早朝には必ず出して下さいよ。出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/79
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080・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) どうも私自身は誠意ある男だと思っておりますが、ただいままでの私の言動が御信用いただけないのは、大へん私も心外であるとともに申しわけないと思います。これは税法通り参りますと、二百万以上の確定申告者につきましては、たしか五月一日から、五月十五日までの間公示するということになっておりまして、その規定によって各税務署が公示いたしているわけであります。ですから、正式に申しますと、五月一日から五月十五日までの間でありますれば、税務署に行けばわかる、ただ特に二百万以上の者につきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/80
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081・大矢正
○大矢正君 そういうことを言うからおかしくなる。あなたがそういうことを言われれば、一千万以上の所得者は前から新聞に発表されている。あなた方はそれを意識的に発表されているのですか。それからもう一つは、あなたですから、去年の週刊朝日でもって岸さんの所得が二百万をこえていたというのでしょう。内閣総理大臣になる前に二百万円こえているのでしょう。その後には例の三十万円の年末の餅代事件とかいって、相当国は不景気のようだけれども、御本人の内容はあまりそうでもないようだがそうしてみれば二百万円などではとうていおさまらない。何百万円になっているはずです。あなたがそういうふうに五月一日とか五月十五日だとかいって、理屈をいえばほかの者はどうだということになるのですが、はっきりと誠意のあるところを具体的に示して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/81
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082・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) つべこべ申しまして、またおしかりをこうむりましても何ですが、(「意識的につべこべ言っているのだな」と呼ぶ者あり)先生方のお感じではそういうお感じにとられるのは私も残念でございますが、結局くどくど申しますよりも、率直に税務署から取り寄せまして、必要であれば御提出申し上げます。それとともに、二百万円以下でございましても、もし国会の法案の御審議の必要上、御必要であることでございますれば、私どももちろん提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/82
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083・平林剛
○平林剛君 私は租税特別措置法の一部改正案について、政府当局から第一次の御答弁をお願いしておきます。本質的なことはまた大蔵大臣からお尋ねをいたしたいと思います。
今回の租税特別措置法に対する政府の提案を読みますと、どうも首尾一貫していない。原主税局長よく御承知のように、昭和三十一年の十二月臨時税制調査会では、現在の特別措置のあるために各種の弊害があるから、租税原則の負担の公平と、税制の簡素化に資するため全面的検討を行い、その整理を行うということになっておるのであります。当時の世論も所得税を中心にする大幅な減税を唱えまして、得税特別措置法に対しては、鈍い批判を加え、政府もこれに押されて若干の改正を行なった、はずであります。しかるにその後政府の議会に対するすべての提案は、いずれ審議いたします貯蓄控除制度の創設にいたしましても、輸出所得控除制度の拡充にしても、経済政策遂行の名において、昨年来の世論に逆行しておるし、政府の態度もまた一貫していない、これはどういうわけです。この点を最初にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/83
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084・原純夫
○政府委員(原純夫君) まことにごもっともなお尋ねでございます。事情はこうでございます。昨年の二十六国会でお願いいたしました各種特別措置の整理は、御記憶かとおもいまするが、年度で二百五十億円の増収を結果すると、平年度では実に四百億の増収になる。と申しますことは、昨年の改正の結果、来たるべき昭和三十三年度におきまして、百五十億円収入がふえるということになります。つまりこの大きな特別措置の整理が二年間で行われる——二年間というのはちょっと語弊ありますが、というような形になっております。でお話の本筋である特別措置の整理につきましては、現在においてもまた今後としましても、私どもできるだけ気をつけまして、必要が薄らぎあるいは消滅する場合には、すみやかにこれを整理するというつもりでおります。なお、その間昨年来の国際収支の危機、これを乗り越えるためのいろいろな施策という際、また昭和三十三年度の予算編成に当りましていろいろな重点的な政策を考えられるという際に、それを税制の面で配慮する道があるかないかということを考えますのは、やはりこれまた必要なことでありますので、お話のような特別措置に対する根本的な態度は持するにいたしましても、どうしても必要なものはそのときそのとき軽重を判断して、必要なものは入れて参るという考えでやっております。従いまして整理の方は今後また機会あるごとに検討を深めましてやって参る。輸出所得控除の拡充あるいは輸出振興のための特別措置ということは、やはり昨年また本年の国政を動かしていく上でもやむを得ない必要であるというふうにお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/84
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085・平林剛
○平林剛君 政府の租税特別措置法に対する考え方は、言葉や文字を聞くとその通り私ども納得できるのでありますが、実際は言うこととやることとが一致していない。あなたのお話のように、租税特別措置というものが経済政策を遂行する上には有効な手段であり、その必要性のあるかどうかということも、検討した後に結論をつけるべきでありますけれども、これは別に具体的に審議をいたしますけれども、言行一致していない。租税の特別措置を創設した当時と現在の情勢を比較した場合に、その目的を果したと思われるものについては、ほんとうはあなたの答弁が文字通りその通りの考え方であるならば、今回の提案に当ってもつけ加えてこなければうそじゃないか、そうでなければ、言葉だけは租税特別措置については整理をするといいながら、実際にはやっていない。たとえば私一つの例を申し上げますが、租税特別措置の中にある増資配当免除などはなぜ廃止しないのか。それから、金額はあまり多くありませんけれども、増資登録税軽減の特別措置もなぜ廃止しないのだ。言うこととやることとが一致していない。私は少くとも特別措置の中で適用期限の定めのあるもので特別の事情のない限り適用期限の延長はせないという態度でいくならば、当然今上げた二つのことは今回提案になってしかるべきものだ。いずれ大臣にもお尋ねしますけれども、今日の経済情勢から見ると、政府の経済政策の基本は私は増資奨励の時期であるとは思えない。昭和三十二年の上半期、例の好況が続いたときに増資はかなり行われて私今幾らになっているかわかりませんけれども、すでにその目的は達しているはずだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/85
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086・原純夫
○政府委員(原純夫君) 平林委員、何か私ども差し上げました資料でそういうのが残っておりますと、何か間違いの資料の作り方を……、おかしいのではないかと思いますが、増資配当免税と増資登録税の軽減は、これは昨年の一月一ぱいで廃止いたしました。それで何か数字が残っているとしますれば、廃止いたしましても登録税の方はすぐなくなるわけですが、配当免税の方は昨年の一月末までに増資しました分は、その後二年間配当についてある程度の免税を認めるということになっておりますから、その数字が出ておるのではないか。従いまして制度としては廃止いたしております。その点ちょっと何かで誤解をされておるように思いますので、申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/86
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087・平林剛
○平林剛君 それじゃ、もう一つ、これもお尋ねをしておきますが、重要物産免税について、これも従来から重要物産として指定されますと、そのまま相当の収益を上げて、すでに産業の基礎が確立しておっても、惰性的に免税の恩典を受けておりましてこれは一般の租税負担が重いときにはまことに不公平な措置だという批判があるわけであります。これも私の記憶が違っておるのかもしれませんが、税制調査会でも、石炭とか銅、電気等は重要物産免税の対象から除外せよ、また指定の物品は三年ないし五年の指定期間を設け現在のようにそのままずるずる恩典をむさぼることのないようにしなさい、あるいは免税の特典が過度にならないように一定の限度を設けなさいという結論を出しておるのでありますが、これは実行に移しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/87
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088・原純夫
○政府委員(原純夫君) それは実行に移しております。そうしてその結果といたしまして、前回三十一年度ベースで減税額が年々八十億円程度ということになっておりますのは、今回差し上げております資料におきましては三十億円ということになっております。課税の基礎が御案内の通り非常に広がってきて、おりますから、当時の八十億円、今でいえば百億はるかに越す額でありますが、それをもう三十億をというようなところに押えております。ちなみにただいまお話のありました指定したらいつまでもマンネリズムになるという点も、昨年の改正でなおしまして、今では全部期限がついており、期限が来ればもう放っておけばそのままなくなる。で、また品目につきましても、お話の石炭、電力、銅、いずれも昨年三月をもって廃止いたしまして、それからその他免税するにしてもあまり過度になってはいけない、まあよく言われます東洋レーヨンのナイロンで非常に免税所得が多くなったというようなことに顧みて昨年四月以降は投下した資本の四割まで免税になったら、そのあとは免税やめだというようないろいろな合理化を行なっております。その結果でもなおまだこの制度にはいろいろ問題があると思って冒頭にお話の角度から今後も慎重に検討を続けたいと思っておりますが、調査会で御答申をいただきました線は、ほとんど全部昨年四月に法案改正をお願いをして実施にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/88
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089・平林剛
○平林剛君 まだ残っておる租税特別措置については、近い将来に何か機関を設けて再検討するつもりで、今準備をなさっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/89
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090・原純夫
○政府委員(原純夫君) その通りでございます。先般来、この国会における審議の途中におきましても、総理並びに大蔵大臣から中央、地方合せて税制について根本的な検討を行わなければならぬということを申しておられます。私ども事務当局としてもそれに対応するようなつもりで、いろいろとただいま勉強いたしておるというふうなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/90
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091・平林剛
○平林剛君 たとえば今度の租税特別措置法の中にあります海外支店用設備等の特別償却のことでありますが、この措置の減収額はあまり多額ではありませんけれども、最近の海外支店の設置状況から見ると、乱立の傾向にあるということが言われておるのですね。私はこの一億円程度の租税特別措置法をさらに延長することに対して何も目のかたきにするわけではありませんけれども、政府になるべく租税特別措置法を整理しようという気持があれば、今回は貿易の振興という名目でかなり輸出所得控除の拡充を一方においてやっておるのですから、この程度のものはこの際削るという程度の構想を持っていいのじゃないだろうか、それが私は政府が租税特別措置法については引き続き整理をしていくという考えの一端を表わして 一億円程度で済むのですから、今回あたりはこれを削ってくるような態度をなぜおとりにならなかったのだ、それとも海外支店の乱立の傾向をなお奨励するつもりかというようなことも言いたくなるのでありますが、そんなものはどうしてあなた整理ができなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/91
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092・原純夫
○政府委員(原純夫君) もうおっしやることは非常にごもっともで、私どもも税制の見地から考えます限り、もうおっしゃるような結論にぴったり同感でございます。そういう見地で政府部内でいろいろ議論をいたしました。ただ何分昨年来のこの輸出を振興しなければならぬというのは非常に強いということで、調査会の答申でも、実は期限がきたらやめる部類に入っていたのです。その点は答申は削れということで御指摘いただいて、まことに税としては恐縮しごくでありますけれども、輸出振興の必要が非常に大きい、かつ海外支店については乱立は避けるという意味で、相当通産省の方も一方で押えるという措置をとられる、しかし抑えてふるいにかけた方で、出すところは、やはりいわば日本の海外に出る耳目であって、大事なポストだからそれは見てくれと、こういう強い要望がありました。おっしゃられる気持は、全然私どもはそれは間違っているというようなことを申すのではございませんが、昨年来の輸出ドライブの強い時期にこれをそのまま整理してしまうというのも、全体のバランスから見ていかがかという点、ただいま申し上げました気持で制限は大いにしてもらう、しかし出すものにはやはり応援を強くしていこうというようなことに考えておるという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/92
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093・平林剛
○平林剛君 私は他の輸出所得控除などについてかなり多額の恩典を与えていなければこんなことは言いません。しかし、今回のように、政府の政策の一環として、その方面がかなりの恩典を与えたのですから、金額の少いものは税制の簡素化という意味で、あなたの方はもっと頑張るべきではなかったかと、こういうことだけを申し上げておきます。
あとで質問をする準備のために、次に貯蓄減税に関連をして、若干政府当局の考えをお尋ねしておきますが、貯蓄減税の目的がどこにあるかは、政府当局からいろいろ話を聞いて、一応貯蓄の増強になったら、消費を抑えて輸出に振り向ける、あるいは畜で資金を豊富にして投資を確保するというようなお話だけは承知しております。これが適切なものであるかどうかはまた別の機会に申し上げます。けれども、きょうは、政府の貯蓄目標があるのか、あるならば、その貯蓄目標はどういうふうになっているか、それからもう一つは一般預貯金の残高ですね、私の手元では昭和三十一年の九月の六兆五百五十二億円しかありませんもので、現在の残高について一つ説明をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/93
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094・有吉正
○説明員(有吉正君) 三十二年度の貯蓄目標は、一兆四千億ということになっております。これは貯蓄目標の内容でございますが、一般預金と申しまして、全体の預金から、公金預金、あるいは金融機関の預金、その他政府関係預り金あるいは手元の小切手、手形金額相当額、こういったものを差し引いたものでございまして、いわゆる自主的な貯金とみなされるものをいっておるわけでございます。この一兆四千億が三十二年度の貯蓄目標でございます。これに対しまして合せて申し上げますが、現在いわゆる一兆一千何がしかの達成ということが、大体考えておるところでございます。それから次にこの残高全部でございますが、今申しました貯蓄目標の中には、銀行、それから農協組、相互銀行、信用金庫、こういったような中小金融機関、あるいは郵便局、さらに生命保険等を加えておりまして、これらの全体の合計の残高と申しますものは、三月末におきまして七兆六千七百五十億ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/94
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095・平林剛
○平林剛君 もう一つ、この貯蓄減税でどの程度貯蓄できるかという質問に対して、原さんは衆議院の大蔵委員会で、初年度は千八百億円だ、平年度は二千二百三十億円だと、こういう答弁をなさっておりますけれども、その根拠はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/95
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096・原純夫
○政府委員(原純夫君) 根拠は、こういうふうに考えました。過去の実績から、三十三年度においてあるいは三十四年において、この所得税の納税者がどの程度の貯蓄をするかという数字を出すわけでございます。その納税者のうち半分が、この貯蓄控除制度を使うであろうという仮定を立てましてその半分の人がそういう貯蓄をするであろう額のうちに、従来の型では、定期貯蓄、定期預金は幾らするであろう——一年以上の定期ですね、という。パーセンテージをとりまして、まあ一年以上の定期貯蓄、定期預金をするという部分のある程度がこの利益を受けるのだということで、それをたしか四割でしたか、定期預金の四割がこの貯蓄になるであろう、定期版金で、毎年、普通なら定期にいく分が四割この貯蓄になるであろうということで、毎年の新しい所得の中から、この貯蓄に向う部分を推定いたしました。これが、ただいまお話しの平年度二千二百三十億の大部分であります。それから、それだけじゃつまらない、ネット増というものを期待したい。それから、なお、既往の定期等でありまして、この期間に期限がくるというものは、引き続いて定期あるいは長期の貯蓄になるであろう、これもある程度期待してよろしかろう、その部分を、新たにできる分が、先ほど申しました額の三割、それから、そういう定期の期限がきて延びて参るというのが一割というふうに見まして、先ほどの数字に四割を乗っける。これで、まあ預金系統の額を出したわけでございます。そのほかに、御案内の通り、今回は株式、公社債、それから生命保険というようなものでもよろしいということにしておりすから、それで出ました額に、そういう株式等の形で貯蓄される部分の額を加えると、それはただいま出ました額の二割ということで推定いたしまして、その総合計がお話しの一千二百三十億ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/96
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097・平林剛
○平林剛君 計算の基礎は、いろいろ想定を立ててお話しになったわけでありますけれども、しからば、一年たったあとにおいて果して今お話しになった数字が貯蓄減税のおかげで増強されたとか、されなかったとかいう確認は、何かできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/97
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098・原純夫
○政府委員(原純夫君) 非常にむずかしい問題でありまして、結論として私は、はっきり確認はできるとは申し上げられないと思います。いろいろな推測的な観測はできようと思うし、それは、私どもも努力してやりたいと思いますが、あまりに明確なものは出てこないんじゃなかろうかということをおそれます。なお、この点は貯蓄控除制度の性格にも触れる問題で、私ども、それだけに、この制度がなくてもできる貯蓄が、単純に長い貯蓄になったというだけでは困ると思いまして、御案内の通り、二十万円という限度を暮にぽっと持ってきて、これだけ預けたから、三%減税してくれというような、いかにもほかの貯蓄からの振りかえになるというようなことは避けますように、毎月きまった額を積んでくれ、しかも、六ヵ月は続けてほしいということを原則にして、なお、それを貯蓄組合というような制度でつないで、貯蓄奨励の基本的な態勢を作るというような形で、これをそういう行政的な面に役に立つようにというような配意で制度を作り、また運用いたしたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/98
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099・平林剛
○平林剛君 それじゃ、今、原さんが御説明になった、初年度千八百億、平年度二千二百三十億と、こう言ったって、確認のしようもないものであって、一応貯蓄減税の、どの程度効果があるかということを言われた場合に、腰だめで答えておる程度のもので、そう責任の持てないような数字と、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/99
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100・原純夫
○政府委員(原純夫君) 私は、貯蓄控除が、この控除の制度は、幾らそれによってできたかということは、ぴしっと数字が出ると思っておるのです。それは随時、御報告申し上げます。これはもう源泉徴収の統計をとります場合に、区分して、幾ら減税になった、そうしますと、その額の三分の百としますれば、これは何といいますか、貯蓄額が出るわけですから、それでわかってくる。先ほど申しましたのは、その中で、ほんとうにこの制度がなければ、なかったであろうという貯蓄をチェックするのはむずかしいと言いましたので、総体ははっきりわかるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/100
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101・平林剛
○平林剛君 結局一年たってみて、こういう独創的な、われわれからいえば、大へん批判の強い制度をやってみて、結論がどう出るか、それによって、かなり一年後の議論というものは、また改めた角度からできると思うのでありますが、そういう場合の千八百億円、二千二百三十億円というのは、どうも控え目にいっておるのじゃないかということで、逆なことも言えるわけだが、まあ、これは、また別に議論するときもありますけれども、た、だ、私は、さきの国会でも、銀行利子免税のときに、特に強調しておいたのでありますけれども、今度の貯蓄減税のほんとうのねらいはどこにあるかということは、大へん疑問に思っておるのでありますが、全国の銀行預金調べを一応当ってみたのでありますけれども、現在の全国銀行預金調べでありましても、一千万未満あるいはそれ以上の預金が、令預金高の半額を占めておる。だから、銀行利子免税の恩典を受けておるのは、私に言わせれば、少しせっかちかもしれませんけれども、少数の資本家たちが、より大きく恩典を受けておると、こう見ておるわけであります。そこで、最近一年間にふえた預金の高を調べてみたのでありますが、昭和二十八年は七千二百八十四億、昭和二十九年が七千五百七十二億で、これはいずれも昭和二十七年の八千五百五十四億を下回っておる。そこで、例の三十年、銀行利子免税が政府から提案をされた、この結果、昭和三十年は一兆百二十八億円、昭和三十一年は一兆三千二百七十七億円と、こうふえた事実は認められるのでありますけれども、これは、いわゆる大衆貯蓄が増加したのか、それとも、大法人の、あるいは大きな資本家の人たちの資本が集中したのか、こういうような分析については政府は何か結論を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/101
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102・有吉正
○説明員(有吉正君) 貯蓄の伸びの源泉が何であるかということの御質問でございますが、この点の内容の個々につきまして、なかなかむずかしい問題でございますが、ただ一般的に申しましていわゆる銀行の預金あるいはその他の中小金融機関の預金、こういったようなものに分けて考えてみますと、先ほどの御質問がございました三十年から三十一年にかけましての預金の伸びと申しますものについては、それぞれの機関が相当に伸びておる次第でございます。従いまして銀行のみならず、中小金融機関あるいは農協組織等の預金が伸びておるという事実からしましても、一般的に預金が伸びたと、かように言えるか存ずるわけでございます。ただ三十二年度におきまして、これがこの預金の——先ほど平林委員のお話の数字から申しますと、若干その数字が落ちるのではないかと私ども考えておるのでございますが、これはいわゆる営業性預金と申しますものが減ってきたということの現象でございます。長期性の貯蓄的な預金というものの伸びというものは、やはりある程度伸びてくるというように考えられるわけございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/102
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103・平林剛
○平林剛君 きょうはこの程度にして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/103
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104・栗山良夫
○栗山良夫君 いよいよ税法の審議に入るわけでありますので、二つばかり資料の要求をお願いしておきたいと思います。
一つは主税局長の御関係だと思いますが、過日あなたが関接税の整理統合というか、再検討について考えておるということをおっしゃたのですが、これは国民も非常に関心を持っておることでありますので、今あなたがお考えになっておる——細目は必要ございませんが、ごく大まかな構想というか、項目的な構想、そういうものがありましたならば、ぜひ資料として御提出を願いたいということが第一です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/104
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105・原純夫
○政府委員(原純夫君) 間接税の根本的再検討に関しての資料を整えて出すのはいたします。ただ、ただいまのお話の構想を資料としてというのは、構想となりますと、資料としてでなくて政府の態度——私の個人的なそういう意見というものを今の段階で出すのはいかがかと思います。今やっておりますのは、早く考えを固めるということよりも、関接税は御案内のように非常に議論がむずかしいわけでして、何が何よりもどれだけ担税力に裏打ちされているか、それを今統計的に実証的に検討いたしております。その検討の筋道をおわかりいただくような資料を用意してお目にかけるということにして、構想は、それらが全部新年度においても続けられて全部揃いましたしで政府の案として申しあげたい。ただいま、そういう資料を差し上げるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/105
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106・栗山良夫
○栗山良夫君 そういう資料でもけっこうでございますから、ちょうだいをいたしまして資料に基いてまた御意見をお尋ねする、こういうことにいたしましょう。
それから第二が、まだ実は国税庁の方から最終的な結末をつける資料をちょうだいいたしていないものですから——私も若干了解はいたしておりますが、ちょうだいいたしていないものですから、よくわからないのですが、過日問題になっておる日新製糖事件は、大へん、私は過日ここへ来てあなた方にお尋ねをした言明の内容からいたしまして、遺憾に思っております。それは何かというと、第一点は、ああいう大がかりな脱税行為というものは、決してあの社の個人の作為によって行われたものではない。会社の組織をあげて行われたのではないかという質問をいたしましたのに対して、はっきりそういう明言はございませんでした。ところがその後新聞紙上の報道するところが真実であるとするならば、検察庁は、森永社長の命令によってやはり組織をあげてやっているのだということを報道されております。そういう認識のもとで国税庁が大法人の適正なる所得の把握ができるかどうかということを一つ疑問を持っておる。
第二は、あの膨大な所得が出たのは、いろいろ項目をあげてもらいましたが、さらにこれは委員会の話ではありませんでしたが、あなたの方の係官との応答で話したのでありますが、これは裏話といえば裏話です。あの会社の前身である九州製糖時代からずっと引き続いて相当大量のやみ砂糖の横流しによって所得が生まれているのではないかということを申したときに、そういう事実はないと思うということがございましたが、これまた新聞でやみ砂糖の横流しのことは明かに書かれているのです。そうするというと、われわれとしては、国税庁が大法人について税の正確なる把握をしなくちゃいかぬ、こういうことになっているの外れそれを追及しながら国税庁の態度いかんと言って迫った場合に、これはないか、これはないかと指摘したのに対して、否定的な言葉があって、一方検察当局の手はぐんぐんと私たちの言葉を裏打ちするがごとくに伸びているのですよ。そういうことでは国税庁の税の取り立てに対して信頼を全幅的にするということはちょっと、できなくなる。そこで資料として出していただきたいのは、勤労所得税等は、これは百パーセント課税対象になる。中小企業もこの前ここで大矢、平林議員が追及しましたように、標準率表とかその他あなた方は虎の巻をお持ちになっておうて、相当きびしくおやりになっておる。そこで残された問題は、大法人の税の調査というものはどういう工合におやりになっておるか。特に脱税防止という観点から、どういう工合におやりになっておるのか。国税庁をトップとしたピラミットの全国紬織にわたって、そういう国税庁の組織それから調査の方法それから調査の項目、そういうものをどういう工合におやりになっておるのか、これをぜひ資料としてお聞かせ願いたいと、こう思うのです。国税庁の長官がこれをおやりいただくことと思いますが、それがもし主税局長の方もここへ何か適切なる資料をお出し願えるものがあれば、これまた一つ御提出願いたいと思います。そういうことをして、この際明かにしておきませんと、税というものに対して何だか大法人というのはうまいことをしているのだ、擬装しているのだ、こういう疑惑が国民の中に充満すれば、納税意識というものはますます低下せざるを得ない。あるいは無理に取られれば、これはやはり政府に対しての抵抗になっていく。これはやはりこの際ああいう事件が起きて、刑事的にどんどん発展しているのですから、これを裏打ちする意味においても、主税局なり国税庁は当然国会において明かにせられる義務がある、そういう意味で資料の提出をお願いします。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/106
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107・天坊裕彦
○天坊裕彦君 簡単に申し上げますが、先ほど平林委員から租税措置法の大体原則的な話が出たのですが、それに関連してお聞きするのです。九十二条の航空機の通行税の問題が、これもまた続けるのですが、先ほど原さんは研究するというものの中に入っておるのかどうか、それをお答え願いたい。それからいろいろ個々の問題について原さん自身はいろいろ御意見もおありのようだが、この航空機の通行税の問題についてどういうふうにお考えになっておるか。もとへ返して一般並みにするのか、大体一億くらいだと思うのですが、やめてしまうということになるのか、その辺の御意見があったら一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/107
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108・原純夫
○政府委員(原純夫君) 九十二条の航空機乗客の通行税の問題は、やはり再検討の一項目になる事項だろうと私は思っております。ただそれを今角度をつけて申し上げますことはいかがかという感じがいたしますので、別な機会に申し上げたいというふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/108
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109・天坊裕彦
○天坊裕彦君 ただこれは非常に鉄道と飛行機との関係は不合理だと思うのです。今のままで、おそらく博多までいくのに、飛行機のお客さんは運賃は一万二千円ぐらいですから千二百円ぐらい払っている。ところが汽車で行ってもし特急でも乗って行けばやはり一万二千円ぐらいで、税金は二千円以上かかる。それは非常に私は不合理だと思うのですがね。これはやはり早急に何か解決する方法を講じてもらわなくちゃいかぬと思うのですが、この点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/109
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110・原純夫
○政府委員(原純夫君) 通行税の性質からいいましてもおっしゃる通りだと思うのです。ただまあ特別措置としてしばらくやっているというのは、若干ああいう直接消費税の本質からいって、会社の経営収支に引っぱられたというようなきらいがないでもありません。で、またその経営収支の方も御案内の通り日本航空は非常によくなってきている。もう一社の方はまだ苦しいよう、ですけれど、ただあれをそういう経営収支だけでやってよろしいかどうかということで、私ども根本的に問題があろうというふうに思っておりますが、なお、十分研究した上でありませんと、私軽々に角度をつけて申し上げるのも何でございますから、今おっしゃった点は建前としてもう全然お話の通りだという気持で、なお、十分研究して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814629X02319580329/110
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111・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 残余の質疑は次回に譲り、本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十二分散会
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