1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十五日(火曜日)
午後一時三十七分開会
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委員氏名
地方行政委員
委員長 小林 武治君
理事 大沢 雄一君
理事 小柳 牧衞君
理事 加瀬 完君
理事 鈴木 壽君
伊能繁次郎君
伊能 芳雄君
佐野 廣君
西郷吉之助君
館 哲二君
成田 一郎君
本多 市郎君
占部 秀男君
中田 吉雄君
成瀬 幡治君
三木 治朗君
松澤 兼人君
岸 良一君
森 八三一君
白木義一郎君
大蔵委員
委員長 河野 謙三君
理事 木内 四郎君
理事 西川甚五郎君
理事 小笠原二三男君
理事 平林 剛君
理事 天坊 裕彦君
青木 一男君
岡崎 真一君
木暮武太夫君
左藤 義詮君
塩見 俊二君
土田國太郎君
林田 正治君
廣瀬 久忠君
宮澤 喜一君
山本 米治君
荒木正三郎君
大矢 正君
栗山 良夫君
小林 孝平君
野溝 勝君
杉山 昌作君
前田 久吉君
鮎川 義介君
野坂 参三君
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出席者は左の通り。
地方行政委員
委員長 小林 武治君
理事
大沢 雄一君
小柳 牧衞君
鈴木 壽君
委員
伊能繁次郎君
伊能 芳雄君
西郷吉之助君
佐野 廣君
館 哲二君
成田 一郎君
大蔵委員
委員長 河野 謙三君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
小笠原二三男君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
岡崎 真一君
左藤 義詮君
塩見 俊二君
栗山 良夫君
小林 孝平君
杉山 昌作君
前田 久吉君
政府委員
自治庁財政局長 小林與三次君
大蔵省理財局長 正示啓次郎君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
常任委員会専門
員 木村常次郎君
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本日の会議に付した案件
○公営企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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〔地方行政委員長小林武治君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) これより地方行政、大蔵委員会連合審査会を開きます。前例によりまして、地方行政委員長の私がこの会議を主宰いたします。それでは公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題に供します。これより質疑を行いますが、質疑はなるべく大蔵委員の諸君に優先して許可いたして参りたいと存じますので、その点あらかじめお含みおきを願います。なお答弁者としましては、衆議院の修正点について、衆議院議員吉田重延君が出席されております。また、ただいままでの政府側の出席者は、小林自治庁財政局長、正示大蔵省理財局長、なお中島自治庁政務次官、白井大域政務次官が間もなく出席するはずであります。御質疑のおありの方は順次、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/1
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002・左藤義詮
○左藤義詮君 この法律は衆議院の御修正がございましたので、その点でお伺いしたいのですが、これは自治庁及び大蔵当局に公営企業金融公庫に短期貸付を行わせなければならないような積極的な理由があるかどうかです。両方の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/2
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003・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 公営企業金融公庫の仕事として一時貸付をやるがやらぬかということは、これは法律になるときからいろいろ議論があったりでありますが、現実の実際の状況を見てみますと、公営企業関係の何といいますか、一時借入金と申しますか、そういうものはだんだんふえていく傾倒にあるようでございます。一般会計の方では、一時借入金は漸次地方財政か好転しておりますから減っておりますが、公営企業は企業がだんだんふえていく一方でありますからふえております。三十一年度の年度末の数字を見ましても四十億でございましたが、これは三十二年度の上半期では五十二億ご数字がふえてきております。これは今後ふえていくだろうと思います。そり借り入れ作業を見ますと、政府資金では、五十四億の内訳で十七億、三四%は政府資金を借りておりますが、三十六億、六六%が銀行その他の金融機関から借りております。その借り入れの利率は、それは団体によってずいぶん違いますが、非常に高いものであります。ちょっと考えられぬような数字ですが、日歩四銭とか五銭とかといったようなものも実は見受けられるのでございます。われわれといたしましては、公営企業の運転上、こういう一時の運転資金が要るということは当然考えられますし、そういう場合に資金の不当は、できるだけ安い金で融通してやるということが、公営企業のために一番大切な問題でございますし、一番安いのは政府資金であることは、これは間違いありません。政府資金で百パーセント、カバーできれば問題は事実上起らないと思いますけれども、実際問題といたしましては、なかなか理屈通りにこれはいかぬのか現状でありまして、みな地方団体も、何も高い金を無理して借りたいという気持はないと思いますが、こういう状況にある以上は、もし公営企業金融公庫におきまして資金上余裕があるならば、一時貸付の道を開くということが、公営企業の健全な運営のために役立つ余地がある。これは相当大きい。しかし、これは公営企業金融公庫といたしましては、資金のワクに制限がございますから、それは十分なことはできぬだろうと思いますが、かりにゆとりがあるものならば、金を寝かしておくよりも、むしろ公営企業においてそういう需要がある場合に、道を開いておく方が、公庫といたしましても働きどころの一つでものるし、公営企業にとりましても仕合せな道であるだろう、こういうふうに自治庁としては考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/3
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004・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問に端的にお答え申し上げますと、公庫が短期資金を貸す積極的必要いかんという御質問でございますから、公営企業はそういう必要はないというふうに考えます。この理由は、公営企業金融公庫法、これは昭和三十二年四月二十七日に公布になった法律でございますが、第一条に、はっきりとおきめになっております通りに、「公営企業金融公庫は、公営企業の健全な運営に資するため、特に低利、かつ安定した資金を必要とする地方公共団体の公営企業の地方債につき、」云々という規定がございます。この第一条の規定から申しましても、公営企業金融公庫の分野と申しますものは、地方の公営企業の必要とする資金のうち、いわゆる長期の地方債につきまして低利で安定した資金を供給する、こういうことにあるわけであります。そこで現に旧指定団体、東京とか大阪のような非常に裕福な団体でさえも九分というような非常に高い金を使っておるところを、この公庫が融資をいたしますところの団体につきましては、七分六厘という比較的低利の長期資金を供給いたしておるのであります。そういうためにこの公庫を設けたのであります。
そこで、ただいま自治庁から申し上げましたような短期資金を必要としております部面につきましては、これは直接政府資金をもちまして、一銭八厘という低利で供給するのが本来の建前でございますし、またこれにつきましては、ただいま、いろいろ数字をあげて御説明ございましたが、簡易保険資金なり資金運用部資金というものは、現に私どもの予定しておりますものの六割くらいしか使われておりません。四割くらいは余っておるわけでございます。それはいろいろ事情もございましょうが、私どもといたしましては、先ほどおあげになりました数字を見ましても、年を追うて政府資金の割合が高まっております。この割合を一そう高めまして、短期資金というようなものはそういうルートから供給すべきものと心得ております。そして今おあげになりました市中金融機関というものは、これはビジネスの関係がございまして、預金をしたりいたしますものですから、そこからまた金を借りるというようなことが行われておるようでございますか、これらのことも、本来公共団体の財政を健全化するという見地から申しますと、あまり好ましいことではございませんから、短期資金は、私どもは政府資金でストレートに、間接的なマージンを取らず、従って低利に供給していく、これで事足りると考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/4
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005・左藤義詮
○左藤義詮君 ただ今自治庁のお話では、地方公共団体は現在非常な高利な民間資金を相当に借り入れているということで、この短期資金の貸付も行なった方がいい、こういう御意見ですが、大蔵省の方は、政府資金の預金部なり簡保なりでもう相当余裕があるのだから、どんどんこれを進めていったらいい、こういうお話でございますか、どうもそれがうまく行っていないということは、何か政府資金の貸し出しを特に抑制しているような事実があるのか、あるいは、いわゆる官僚主義でどうも借りにくいというような、何か窓口のスムーズにいかぬ点があるのですか。そんな余裕があるなら、なぜ実際地方の困っているものに政府資金をお回しにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/5
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006・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまも申し上げましたように、たとえばこれは昭和三十二年度におきまする地方公共団体への短期貸付の状況を数字について申し上げますと、貸付ワクといたしましては、運用部資金が七十億円、簡易保険資金が二百億円を予定いたしております。そこでこの全体につきまして四割くらいの余裕が出ております。これはやはり私どもといたしましては、全体として従って資金としては非常に不足しているというふうには考えておりません。ただ、どうしても金を借りに見える場合に、まず簡易保険資金を使っておられるようであります。簡易保険資金の方が比較的近寄りやすいということになっておって、そうして私どもの方の財務局財務部に参られるときには、比較的むずかしいものを持ち込んでおられるようでございます。そこでいろいろこちらとしても、申し上げまして、将来のことをいろいろ御注意申し上げるというふうなことが多いので、つい多少金利が高くてもというようなことで、ほかへ回られるというようなこともあるようでございます。しかしこれはほんとうに、やはり私申し上げたように、地方公共団体の財政健全化の見地から好ましくないところでございますから、私どもは機会あるごとに、出先の第一線の者を集めまして、ほんとうに親身になって公共団体の立場に立って融資を取り計らうように、もとより、それは無条件にどこでも貸すということではございませんが、必要な資金を、しかも当該団体の公営企業の将来のことを考えて、最も効果的に金を貸すように、こういうふうに申し上げているわけでございます。そこで、そういう点についてなお至らぬ点がございますれば、これは政府部内の問題でございますから、自治庁も地方についてはいろいろと第一線からの資料を取っておられるわけでございますから、具体的に部内において十分戒しめ合って参りますれば、多少今日円滑化を欠いているような点がありましても、これを除去することはさして困難なことではない、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/6
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007・左藤義詮
○左藤義詮君 簡保の資金を運用するのを郵政省にやらせるかどうかというので、非常に国会でも問題になったのですが、やってみますと、今のお話でも、簡保の方はなかなかお客さんが多い。どうも財務局に行くと、いろいろなむずかしいことを言って、金を貸すような顔をして、一方ではいろいろ小言ばかり言ってにらむからうまくいかない、こういう点は、今、理財局長も、第一線を督励して、十分国民の大事な貯蓄であるその運用部資金がもっと公営企業の方にスムーズに行くように努力する——実際努力が足らぬからこういう問題が起るのだと思いますが、これは非常に今後の運営において今のお話をもっと実行されるように期待しますとともに、一方、こういうふうに政府資金に非常に余裕があるならば、政府資金よりも高利な公庫に短期貸付を認め、公的機関が重複するようなことになり、いかにも私むだなように思うのでありますが、監督官庁としては、真に地方財政の健全化ということを考えたら、積極的に今申しましたようにいろいろ努力をして、低利な政府資金を、しかも余裕があるというのですから、それを活用させるように指導すべきだと思うのですが、これに対して自治庁並びに大蔵省の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/7
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008・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは全く同感でございまして、できるだけ低利な金を借りさせた方が地方財政のために望ましいのでありまして、そういう御趣旨に沿って積極的にもちろん指導いたしたいと思います。それでありますから、事実上百パーセント問題なくスムーズにいけば、実際問題といたしましては、公庫が動く余地がこれはないのでございますが、現実の問題といたしましては、なかなかそれはそういうわけにも参らぬという実情もございますので、それでまあこういう道もあっていいじゃないか、だから実際問題としてその問題が十分に達せられれば、これは働く余地が事実上なくなるという実際的な結論になるだろう。そういう方向には、われわれといたしましても、できるだけ指導はいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/8
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009・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいま左藤委員の御指摘の点は、まさに私どもは同感に考えております。行政の運営が多少なおいろいろ円滑を欠くような点がございますれば、これは是正して参りたい。そして合理的な、また必要な適当な資金はこれを確保していくように、中央地方を通じまして行政の能率化をはかって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/9
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010・左藤義詮
○左藤義詮君 大蔵省がそういう点に非常な努力をするとしますれば、私はその成果を見た上でいいと思うのでありまして、今すぐに政府資金よりも高利な公庫の短期貸付を認めて、何か公的機関が重複するようなことをすることは、もう少し様子を見てからでいいと思うのですが、これは私の意見ですが、本来、こういう公庫の設置のときの趣旨が、公庫法の第一条にもありますように、低利かつ安定した長期資金の貸付でありまして、それも低利の政府資金の補完的な意味だったと思うのでございますが、その点どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/10
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011・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは、公庫の趣旨は今仰せられました通り、要するに長期かつ安定した資金を出すのが本旨だろうと存じます。それでございますから、そういう仕事をやりながら、しかし実際の運転上一時借り入れの必要もあることも明瞭でございますから、それを補完的にやるということは、それは一向にかまわない。公庫といたしまして、公営企業の健全な発達、運営を最も念願しておるのでございまして、それにつきましては、長期資金の問題もあれば、一時資金の問題もあるのでございまして、そういう長短両方の資金が円滑に入って低利に動くということが基本だろうと思うのでございます。
それからなお、この一時資金の問題につきまして、政府資金が百パーセント動けば問題ないというのは、公営企業だけの問題でございません。一般会計につきましてもそういう問題が現にあるのでございまして、一般会計におきましても、現在見ておりますというと、三十二年度の上期の末では総体で二百三十億ほどの一時借入金を公共団体かやっております。そのうち政府資金にいっておるのが百二十二億で約半分、その五四%です。あとのやはり百七億は、四十六%くらいですが、銀行その他の金融機関にいっております。われわれといたしましても、一般会計ならなおさら安い金で借りさしたい、そういう念願を持っておるのでございますが、この点につきましては、政府資金の方の格別のこれは御配慮を願わぬといかぬとともに、地方団体としても、手軽に借りられるように一つ十分検討していただかなくちゃならぬ問題があろうと思います。要するにそういう総体の数字があるのでございまして、その場合に政府資金が優先的に動くことを一番念願し、しかしながら、なお銀行その他に現実に借りておる以上は、そういうものの振りかえ先の道を開いておくということは、一般会計の問題は公営企業公庫と関係ありませんが、少くとも公営企業につきましては、公営企業公庫としてこれは目的にかなうゆえんじゃないか、こういうふうにわれわれとして考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/11
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012・左藤義詮
○左藤義詮君 今の問題、一般会計との関係について大蔵省の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/12
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013・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) まず第一の点でございますが、御指摘のように第一条の公営企業、先ほど私も読み上げましたが、公営企業の地方債につきましてというふうにお定めになっております。そして第十九条に業務の範囲を、この第一条に掲げる目的を達成するために、地方債の資金の貸付と、または証券の発行による地方債の応募、そして第二項に、前項第一号の場合において、起債の前貸しをいたす——どこまでも起債ということを中心に書いておることが、この現行法の建前になっておるというふうにわれわれは承知をいたしております。従いまして、やはりその点につきましては、先ほどの左藤委員のお話の通りに考えております。
次に地方団体の一般会計を含めまして、政府資金をさらに回すべきである。この点も全く同感でございます。公営企業よりも一そうその点は一般会計についてそういう必要が多いと考えております。現に昭和三十三年度の地方債の計画におきましては、一般会計債は全額政府資金で消化をする建前になっております。これらの点も、われわれとしてはその線に沿いまして考えておる次第でありまして、将来ともに、中央地方を通じまして、この規則資産等については、一そう地方団体とその窓口とが常に緊密な連絡をとることによりまして、必要な資金を必要な時期に流す、こういうふうに持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/13
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014・左藤義詮
○左藤義詮君 もし公営企業金融公庫に短期貸付を行わせるといたしますと、長期貸付と違った資金源が必要になるはずでありますが、公庫は民間の金融機関のように預金は扱っておりませんし、政府資金のような余裕金もないのでございまして、そういう公庫が短期資金をどうして調達せられるのであるか。三十三年度の公庫の資金計画を拝見しましても、長期計画と、これに至る前貸ししか予定しておらないようにわれわれ思われるのですが、無理に短期貸付を行いますと、三つのどちらかに食い込まざるを得ないとわれわれは思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/14
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015・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今お話しの通り、本年度の予算は短期貸付を予定していないのは事実でございます。従いまして、短期貸付をほんとうにやるためには、短期貸付のための特別の資金があった方が望ましいという理屈は、当然成り立ち得ると思うのでありますが、しかし、必ずしもそうでなくても、この公庫の長期資金というものは、常時全くからっぽに運転できるかと申しますと、そこはやはりおのずから時間的のズレというものが事実上生ずるのでございます。そういう場合に、長期資金の目的を十分に充足させながら、なおかつ資金的ゆとりがあれば、その際に一時貸付の需要があれば、そこに活用したらいいじゃないか、こういうことは、私は道としては考えられますし、また公庫としてでも、資金を銀行に遊ばしておくよりも、そういうふうに補完的でありましょうし、全く補助的かもしれませんが、活用した方が、公庫としてでもそれは有用な活用じゃないか。われわれといたしましては、そういう程度にこの問題を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/15
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016・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) このただいまの左藤委員の御指摘は、まさにわれわれと同じようなことでございまして、一私ども同じことを考えております。公庫は本来、先ほど申し上げたように長期の債券をこれを低利に消化するということになるわけであります。そこでこの公庫法の三十条という規定がございまして、こういう特定の場合においては前貸しを認め、その前貸しをする限りにおいて資金繰り上必要な場合には借入れができる、こういうふうな規定を置かれた趣旨もまさにそこにあるというふうに考えておるのであります。そこで、そういう規定をずっと読んで参りますと、公序に短期貸付をいたす資金的余裕があるということは、これはきわめて偶然のことでありまして、これを計画的に考えるということはちょっとむずかしいのではないか。で、金融というものの本来の性質からいいまして、そういうことでは非常にこれは危い。たまたま、そこに余裕があるからその金を貸した。なかなか予定の通りに回収がきかぬということになると焦げつく、これが金融機関の手元の不如意を来たすことになりまして、とかくそこに無理が行われてくるおそれがあるわけであります。そこで、本来この公庫は、さっき申し上げたような長期の安定した低利資金を確保するという使命を国会においてお定めになった法律にうたっておる。その使命の線に沿うて資金の手当がされ、そしてそれに沿うて業務計画が作られておるわけでございますから、それを何ら裏打ちのない方法で業務範囲を拡張するということは、きわめて私は、金融というものの本来の性質から申しまして、非常に危険なことではないかという点を心配をいたしておるわけであります。そこで、だんだんつき詰めていきますと、そういう資金はそれじゃ政府資金を出したらいいじゃないかというところへもし話がきますと、これは今申し上げたように、政府資金をストレートに貸す場合には一銭八厘で出ますが、公庫がコストを入れて貸しますと、どうしても割高になります。そういうことになりますと、地方公共団体の財政を長期にわたって安定化するために、公庫は低利の資金を確保するのだということでスタートした公庫の本来の使命にむしろ逆行するようなことになりまして、やはりそこのところは低利資金はストレートに、何らコストを加算しない金利で使う、こういうことにいたさないと、やはり矛盾してくるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/16
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017・左藤義詮
○左藤義詮君 いろいろお話承わりましたが、どうもこの衆議院の御修正は、おそらく、予算が今衆議院が通過しておるのでございまして、既定予算で短期貸付を行おう、こういう御説明だろうと思うのです。伺いますと……。公庫の現状は、許可された公募債の額について機械的に長期資金を供給する業務でございまして、まあこれは二十五人程度の今の人員でも十分だと思うのでありますが、短期貸付をすることになりますと、おのずから個々の団体、個々の会計について収支の状況を十分検討したり、あるいは金繰りをいろいろ審査しなければ、適正な業務の遂行はできないと思うのであります。しかも、これは短期貸付でございますから、貸し出しとか回収とかいうことが非常にひんぱんに行われる。ロスも出やすいというふうに考えられるのでありますが、この経費の面について、あるいは人員の点について、今の既定予算で短期貸付が果して行われるかどうか、いろいろな困難が出てこないか。経費の面においても資金の面においても、また貸付金利の面からいいましても、これはやはり私は当然に、政府部内において予算編成と関連して十分検討の上で、これはやるか、やらぬかきめるべきものである。今日の既定予算の中では非常な無理が出てくるのであります。その点についての両者の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/17
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018・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは短期貸付をどれだけやるかと、こういう問題にからんでくるのでございますが、公庫のどうせ資金は、出資金十億と公募債の発行額が八十億限度と、これはきまっております。要するにこれが公庫としての活動のこれは限界点でございます。そのワク内において働くという問題でございまして、われわれといたしましては、少くとも地方団体を相手にして働く公庫だけは、最も理想的に経営管理をやってもらいたいというので、非常に人数も少いし、そうした管理的な経費も少くして御無理を願っておるのでございますが、要するに、そのワク内において公庫が働くというだけの私は問題だろうと思うのでございます。それでございますから、特別にこの発行限度額でも大きくしてやるとすれば、それだけ業務量がふえますから、今の陣容で足りるか足らぬかという問題は、私は起り得る可能性はあろうかと思いますけれども、今日の段階におきましては、そういう問題じゃないのでございまして、要するに資金的なズレというものは、起債の許可と、それから公募債の発行の時期と、それから起債を許可しましても、それぞれの団体の事業についての資金の需要と、そういうものとが百パーセントマッチすれば、これはゆとりか全然ないということになりまして、必ずしもそういうわけにいかぬ、現実にゆとりがあり得る。そういう場合に、単に銀行に寝かしておくということは、むしろ公庫としては私は拙策だろうと思います。そういう場合に、銀行に流すよりも、活用する道があれば道によって活用したらいい。そしてそれが特別に、そのために何も公庫として特別な人も要らなければ、特別な金もたくさん要らぬ、そういう事務の運びは、私は十分工夫をやればできる問題でございまして、この改正によって直ちにどうこうという、経費面におきましても、機構面におきましても起ることは考えておらぬ、またそういうふうにするべきものでもない、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/18
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019・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) どうも両方でこう意見を戦わすと非常に苦いのでございますが、実は財政局長は、来年度予算を要求してきたときああいうことを言えば非常にいいのですが、おそらく予算を要求にくるときは、こういう規定か入ったのだから事務費をふやせ、人件費をふやせと、必ずくるのであります。きょうの速記録は私は大事にとっておきまして、来年度の予算要求のときは大臣に見せたいと思いますが、私は今財政局長の言ったようなことを予算の査定のときに申すわけでございます。どうか一つそういうふうにやってくれと……。ところか絶対できない。そういうことをやると、必ず貸付は疎漏になって間違ったことをやるから、どうか必要な人間をふやしてくれ、事務費をふやしてくれ、これは当然のことである。そして私どもとしましても、そういう銀行に預けることと、短期貸付と同じ手数だということは絶対あり得ません。銀行に預ける方は向うから取りにきてでも預かってくれますが、貸し付けるときには、無責任に右から左に貸し付けるということはできるはずはございません。そこでやはり調べなければならぬのでございます。調べるということになると、どうしても事務費、旅費がかかる。人間も増さなければならぬということになりますので、予算がふくれてくるわけでございます。私はそういう意味におきまして、今お話しのありました点は、おそらく三十三年度における予算の増額が困難でありますから、今のようなお話が出ると思いますが、本来はさようではない。また、そういうことでは非常に危ない。およそ資金の貸付というふうなことは、さような疎漏な建前で行われてはよくないのでありまして、これはどこの出資金にいたしましても、また公庫に対するこの債券の発行による資金にいたしましても、全く公けの金でございますから、その金を貸し付けるようなときに、少い人員で事務費も足らずに無理してでも貸し付けるということは許されない。およそ貸し付ける以上は、十分調査をいたしまして、間違いのないところで貸付をしていくという建前でなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/19
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020・小笠原二三男
○小笠原二三男君 議事進行。私らは何も各省各庁の利害を代表してつべこべ聞くためにここへ集まってきているのではないので、衆議院側でこういう修正が通る際に、政府の意見というものはどうであったかということをお聞きしたいのだが、皆さん政府委員で、だれそれ大臣の補佐というようなことではないのですから……。こもごも立って言うことがこもごものことを言っている。それで、われわれに何かこれは仲裁でもせいというのですか。一向何のこれは連合審査だか私不敏にしてわからない。何かこういうことはこの前数年前にやはり突如あって、盛んに口述を聞いたことがあると思うのですがね。この際どなたが政府を代表しているのですか、はっきりしてもらいたい。速記をとって、国会の経費をよけいかけるなんということは、大蔵省だって好まないことだ。はっきりしてもらいたい。どなたの方がレギュラーで、どなたが補佐なんです。委員長しかるべく、勝手なことを言わないで、政府の委員は統一的に言われるようにしてもらわんと、われわれ連合審査はできません。ここは各省の出先機関の仲裁裁定をやるところではないのですから、そういう意味の議事進行をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/20
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021・小林武治
○委員長(小林武治君) これは午前中の地方行政委員会でも同様な問題が起きたのでありますが、政府の意見をわれわれはお聞きしたい。各省のてんでんばらばらの御意見は聞きたくないということを午前中にも申し上げてあります。それで聞くところによりますれば、その問題で何か協議をされておる、こういうふうなことでありまするが、それについて何かお話がございますか、その経過事情につきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/21
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022・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今、大蔵省の政務次官と自治庁の政務次官が、官房長官のところへ行って相談しておられるはずでございます。どういうふうになって、どうなっておるか存じませんか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/22
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023・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/23
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024・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは速記を始めて。
他に御質疑ございませんか。——御発言もないようでありますから、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/24
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025・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
これにて散会いたします。
午後二時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814707X00119580325/25
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