1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月六日(木曜日)
午前十一時四分開会
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委員の異動
一月二十日委員大和与一君辞任につ
き、その補欠として松澤兼人君を議長
において指名した。
一月三十日委員林屋亀次郎君辞任につ
き、その補欠として森田豊壽君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
大沢 雄一君
小柳 牧衞君
加瀬 完君
委員
伊能 芳雄君
西郷吉之助君
館 哲二君
成田 一郎君
本多 市郎君
占部 秀男君
鈴木 壽君
岸 良一君
森 八三一君
白木義一郎君
国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警察庁長官官房
会計課長 後藤田正晴君
警察庁刑事部長 中川 董治君
国家消防本部長 鈴木 琢二君
自治庁長官官房
会計参事官 松島 五郎君
自治庁財政局長 小林與三次君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選
○銃砲刀剣類等所持取締法案(内閣提
出)
○地方行政の改革に関する調査の件
(昭和三十三年度自治庁、警察庁及
び国家消防本部予算に関する件)
○派遣委員の報告
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/0
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、これより委員会を開きます。
まず、委員の異動について報告いたします。
去る一月二十日、大和与一君が辞任せられまして、松澤兼人君が補欠選任せられました。また、三十日には林屋亀次郎君が辞任されまして、森田豊壽君が補欠選任せられました。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。
本日、理事の成瀬君より、書面をもって、理事を辞任いたしたい旨のお申し出がございました。成瀬君の理事の辞任を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/2
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003・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。
なお、この際、引き続き理事の補欠互選を行いたいと存じます。互選は、成規の手続を省略し、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/3
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004・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。理事に久保等君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/4
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005・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、委員会の定例日の件について申し上げておきますが、先般、委員長及び理事打合会におきまして協議いたしました結果、本委員会は、原則として、毎週火、木、金を定例日とすることにいたしました。なお、金曜日の開会につきましては、法律案の審査状況等を勘案いたしまして、委員長において各位に御相談の上、これを開くかどうかきめて参りたい、大体さように申し合せましたので、御承知おき願いたいと存じます。
また、本日の議事でございますが、最初に、去る一月三十一日、本院先議として付託になりました銃砲刀剣類等所持取締法案について提案理由の説明を聴取することとし、次に、昭和三十三年度予算について、自治庁、警察庁、国家消防本部当局から、それぞれ、説明を聴取いたし、最後に、先般行いました委員派遣の報告を伺う、大体かような順序で議事を進めたいと存じますので、あらかじめお含みおき願いたいと存じます。
それでは、まず、銃砲刀剣類等所持取締法案を議題といたします。
政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/5
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006・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) それでは御説明申し上げます。
今回、提出いたしました銃砲刀剣類等所持取締法案につきまして提案の理由及びその内容の概要を説明いたします。
銃砲刀剣類等は、その利用目的も種種あり、中には、社会生活上欠くことのできないものもあるのでありますが、いずれも、人畜を殺傷する機能があり、その意味においては危険でありますので、わが国におきましては、古くから、この所持等について規制してきたのであります。しかも、終戦直後におきましては、連合国の占領行政のもとにおいて、一時は、これを相当広く禁止しておった時期もあったのでありますが、その後、わが国の実情に即するように改正を加え、さらに独立後も、当国会の審議を経て、事態に即して改正を加えて参ったのであります。
ところが、いわゆるちまたの暴力団等において、この現行の規制の間隙に乗じて、銃砲刀剣類を乱用するものも見受けられますので、暴力を排除して、自由にして平穏な社会を実現するに必要な法的措置として、この規制の不備を補いたいと存ずるのであります。また、近く本邦において国際競技が開催される運びにもなっており、これに備えて、現行の規定に改正を加える必要も生じてきましたので、今日施行されております銃砲刀剣類等所持取締令を廃止し、その内容とするところに、右申し述べました趣旨に基く改正を加え、この機会において、銃砲刀剣類等所持取締法の題名のもとに、今日の事態に即して関係規定を整備し、ここに銃砲刀剣類等所持取締法案として提出した次第であります。
すなわち、この法律案の内容とするところを、現行規定を改めた点を中心として申し述べますと、その第一は、許可または登録を受けた銃砲、または刀剣類は、狩猟、有害鳥獣駆除、屠殺、人命救助、漁業、建設業等の用途に供するか、その他、正当な理由がある場合を除いては、これを携帯し、または運搬してはならないこととし、いわゆる暴力団等による銃砲刀剣類の悪用を防止することとしたのであります。
第二は、現行規定のもとにおいては、国際競技の拳銃競技種目に、外国人が適法にこれを所持して参加することができないのでありますが、かくては、国際競技を本邦において開催する趣旨にも沿わないこととなりますので、この国際競技に参加する外国人が、都道府県公安委員会の許可を受けることによって、その拳銃の所持を合法化することといたしたのであります。なお、祭礼等の年中行事に用いる刀剣類、その他の刀剣類で、所持することが一般の風俗、慣習上、やむを得ないと認められるもの及び特殊の試験または研究の用途に供するため必要な銃砲または刀剣類につきましても、都道府県公安委員会の許可を受けることによって所持することができることといたしたのであります。
第三は、所持を禁止されている銃砲または刀剣類を所持して本邦に上陸しようとする者の当該銃砲又は刀剣類の取扱いにつきまして、必要な場合に仮領置することができることとする等、所要の規定を整備いたしたのであります。
第四は、捕鯨用標識銃等販売事業者及びその使用人、並びに文化財保護委員会の承認を受けて刀剣類の製作をする者、捕鯨用標識銃等製造事業者及び輸出のための刀剣類の製作を業とする者等の使用人が、業務のために銃砲または刀剣類を所持する場合は、武器製造事業者等の使用人の場合と同様に、あらかじめ、都道府県公安委員会に届け出ることによって、これらの者の業務のための所持を認めることとする等、今日の実情に即するよう関係規定の整備をはかるとともに、関係条文を、「総則」「銃砲又は刀剣類の所持の許可」、「火なわ式銃砲又は刀剣類の登録」、「雑則」及び「罰則」の五章に類別して必要な整理を行なったのであります。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/6
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007・小林武治
○委員長(小林武治君) 本案に対する詳細説明並びに質疑は、次回に行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/7
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008・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、昭和三十三年度自治庁、警察庁及び国家消防本部関係予算に関する件を議題といたします。
関係当局より、順次、説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/8
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009・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) お手元にお配りいたしました資料によって御説明を申します。横に長いものであります。
地方交付税交付金二千二百四十億九百七十万三千円でございまして、昭和三十二年度に比較いたしまして、三百七十二億三千七百万円余の増と相なっております。このうち、昭和三十二年度は、前年度より繰り越されました額八十六億一千二百七十五万八千円ございますので、これを含めて増減を見ますと、二百八十六億二千四百二十五万九千円の増と相なっております。内訳は、国税三税の収入見込み額七千七百十六億八千二百万円に対しまして二七・五%が二千百二十二億一千二百五十五万円でございます。そのほかに、昭和三十一年度の交付税の精算の結果に伴います分が百十七億九千七百十五万三千円ございまして、合せまして、二千二百四十億九百七十万三千円と相なっております。
次は、新市町村建設促進費でございますが、十五億七千百六十八万七千円でございまして、前年度に比較いたしまして、一億一千二百九十一万二千円の増と相なっております。内訳は、市町村に対します補助金が十四億七千九百六十四万円でございます。この市町村補助金の対象市町村数は七百十でございます。前年は同じく七百十でございますが、そのうち五百十が、二百万円の単価で補助金の対象となり、あとの二百が、前々年度六十万円の補助単価となっておりましたので、それに対します追加分百三十万円を計上したわけでございますが、三十三年度は、全部七百十の町村に対しまして、二百八万四千円平均で計上いたしております。それから、都道府県に対します事務費八千七百八十万九千円は、都道府県の指導費並びに都道府県に置かれております新市町村建設促進審議会の費用に要します経費の補助金でございまして、補助率は前年通り三分の二でございます。その他、自治庁関係の事務費四百二十三万八千円を計上いたしております。
次は、地方財政再建促進費でございますが、九億四千四百九十六万三千円でございまして、前年に比較いたしまして、二億七千五十五万二千円の減と相なっております。この減のおもな理由は、再建債の利子補給金でございますが、再建債の利子補給金につきましては、別に割り書きがしてございますように、前年度よりの繰り越しが二億九千七百二十一万六千円予定をいたされまして、これを翌年度使用いたすことといたしまして、合計いたしますと、昭和三十三年度の利子補給金の所要額十二億一千二十一万六千円と相なります。なお、そのほかに都道府県の指導費に対します委託費二千六百五十九万一千円、自治庁関係の事務費五百一万二千円を計上いたしております。
次は、国有提供施設等所在市町村助成交付金でございますが、前年度五億に対しまして十億円で、五億の増と相なっております。
次は、奄美群島復興事業費でございますが、前年度十二億二千万円に対しまして、十二億三千万円、一千万円の増でございます。
それから、総選挙及び国民審査費十七億四千百八十二万一千円は、衆議院議員の選挙、任期満了に伴います総選挙に要する経費でございまして、この際、あわせて行われます最高裁判所、裁判官の国民審査に要する経費も合せて計上いたしてございます。
公明選挙推進費は一億五千百三万二千円で、前年に比較いたしまして、四千六百三十一万一千円の増と相なっておりますが、これは、衆議院議員選挙が行われますことにもかんがみまして、さらに公明化推進に要します経費を増額計上いたしたものでございます。
それから、その他の経費は、自治庁一般の雑件でございまして、そのうち、人件費は一億四千二百七十八万八千円、その他の庁費関係が九千七百八十六万四千円となっております。なお庁費の分におきまして三百三十七万七千円減っておりますが、これは、前年度において自治大学校寄宿舎設置に対します補助金一千万円が計上されておりました関係で、それを差し引きいたしますと、六百七十万円余の増と相なっております。
そのほかに、産業投資特別会計に計上されております公営企業金融公庫出資金が五億円ございます。
次は、特別会計について御説明申し上げます。
地方交付税交付金は、ただいま御説明申し上げました一般会計よりの繰り入れをそのまま受けまして、これを支出するものでございまして、歳出予算額は、二千二百四十億一千九十六万一千円と相なっております。
それから、入場譲与税譲与金は、百八十三億三千六百万円でございまして、前年度に比較いたしまして、六億二千九百万円の増と相なっております。
それから、地方道路譲与税譲与金は、百三十一億五千三百万円でございまして、前年度に比較いたしまして、十七億八千万円の増と相なっております。
特別とん譲与税譲与金は、六億八千五百万円でございまして、前年度に比較いたしまして、九千九百万円の増と相なっております。
その他、三千四百六十万円は、予備費並びに諸支出金でございます。
簡単でございますが、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/9
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010・小林武治
○委員長(小林武治君) 続いて警察庁後藤田会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/10
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011・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 昭和三十三年度警察庁予算についての大綱の御説明を申し上げます。
昭和三十三年度警察庁予算として計上いたしました額は、百二十七億八千三百余万円であります。警察庁予算に計上されます経費は、国庫で直接支弁する経費と、都道府県警察費に対する国庫の補助金と二本立になっております。
国庫で直接支弁する経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方支分部局自体の通信、鑑識、教養などの施設の維持費、警察活動費、その他、一般事務費のほか、警察法第三十七条第一項の規定に基き、都道府県警察に要する経費のうち、教養、通信、装備、鑑識等、全国的に統轄及び調整をはかる必要のある事務並びに警衛、警備及び国の公安にかかわる犯罪、その他、特殊の犯罪の捜査に要する経費でありまして、九十四億八千二百余万円を計上いたしております。
その内容のおもなものを申し上げますと、第一は、人件費でございますが、二十六億二千九百余万円でありますが、これは、警察庁及びその付属機関並びに地方支分部局の人件費のほか、地方警務官、つまり、都道府県警察に勤務している警視正以上の階級の警察官の人件費であります。なお、この中には今国会に提案されている警察法改正に伴い保安局新設に伴う経費六百万円が含まれております。
第二は、警察教養に必要な経費が四億九千三百余万円計上いたしてございます。この経費は、現有の学校教養施設の維持及び改修に要する経費、学校における教育訓練を行うための教材、その他に必要な経費及び入校生の旅費であります。
第三は、警察装備に必要な経費といたしまして八億二千九百余万円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/11
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012・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/12
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013・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を続けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/13
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014・後藤田正晴
○政府委員(後藤田正晴君) 第三は、警察の装備に必要な経費といたしまして、八億二千九百余万円を計上いたしてございます。これは、警察活動用の車両、舟艇、その他、警察装備品に要する経費でありまして、減耗補充等、現有のものの維持を中心とするものでありますが、昭和三十三年度は、特に警察の機動力を増強するため、老朽車を整理廃車し、これにかえて、パトロール・カー百六十台、捜査用車百八十台を増強する等に要する経費を計上いたしております。
第四は、警察通信に必要な経費といたしまして、二十四億二千百余万円を計上いたしてございます。現有の有線通信施設、無線通信施設の改修及び維持費並びに電話の専用料のほか、県内移動通信いわゆるパトロール・カー用超短波施設を増強し、警察活動の近代化をはかるため、移動局増設吾六十局及び改修八十局並びに固定局増設十九局に要する経費を計上いたしております。
第五は、犯罪鑑識に必要な経費といたしまして、四億一千百余万円であります。これは、現有の指紋、手口、その他の犯罪鑑識施設の維持費、検案解剖委託費及び鑑識活動費を主とするものであります。
第六は、警察活動に要する経費といたしまして、二十二億六千余万円であります。これは、警衛、警備及び国家的な重要犯罪、数都道府県の地域に関係のある犯罪、その他、特殊な犯罪の捜査に必要な経費であります。
第七は、其の他四億三千九百余万円でありますが、犯罪統計に要する経費一千三百余万円のほかは、警察庁及びその付属機関並びに地方支分部局の一般事務費、施設の維持費、連絡旅費などでございます。
次に、都道府県警察費に対する補助金について申し上げます。
都道府県警察費に対する補助金は、警察法第三十七条第三項の規定に基き、都道府県負担となる警察費のうち、人件費、被服費、その他、通常職員設置に伴う、いわゆる職員費以外の経費について、その半額を国庫から補助するものでありまして、三十三億百余万円を計上いたしております。その内容のおもなものを申し上げます。
第一は、警察活動に要する補助金十億九千五百余万円であります。これは一般の犯罪捜査、雑踏警戒、交通取締り、外勤活動、その他、警察活動に必要な経費であります。
第二は、警察装備に要する補助金八億九千二百余万円であります。この経費は、警察用車両の燃料費及び修繕費、自転車の購入及び維持費、交通規制用器材の購入及び維持費などに充当されるものであります。
第三は、警察施設費に対する補助金三億五千六百余万円でありますが、都道府県警察本部、警察署、その他の警察庁舎の新増築及び補修に必要な経費であります。
第四は、都道府県で負担することとなっている警察電話の専用料、その他、警察活動に伴う事務費に対する補助金九億五千五百余万円であります。
昭和三十三年度警察庁予算の内容は以上の通りであります。
なお、このほかに、警察関係の官庁常繕の経費といたしまして、建設省予算に計上いたしております分が六千六百万円でございます。
以上で三十三年度の警察庁予算の概要についての説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/14
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015・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をとめて。
(速記中止)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/15
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016・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。
次に、国家消防本部関係を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/16
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017・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 昭和三十三年度国家消防本部関係予算案の内容を御説明申し上げます。
三十三年度予算総額が、六億三千六十五万一千円となっております。前年度に比較いたしまして、一億二千四百九十八万円の増になっております。
その内容は、第一は、国家消防本部に要する経費でございますが、六千二百二十五万五千円、前年度に比較いたしまして、百五十八万四千円の増になっております。これは、国家消防本部の所掌事務を遂行するための事務的経費及び人件費でありまして、増加の中には、人件費はごくわずか、三名の臨時職員の増額でございます。
第二は、消防施設整備費補助五億五千万円で、前年度に比べまして、一億五千万円の増となっております。これは、消防施設強化促進法に基きまして、国が市町村の消防施設、すなわち、ポンプ、水槽、通信機械、この三種類が主でございますが、これらの消防施設の購入及び設置費に対する三分の一の補助の経費でございます。
三番目は、消防団員公務災害補償責任共済基金に関する補助金でございますが、これは、現在基金の余裕がございますので、事務費に対してだけ八百三十九万六千円の補助費を計上してございます。従いまして前年度に比べまして三千百六十万四千円の減となっております。
第四は、日本消防協会に対する事業の委託費でございます。これは一千万円計上してございまして、前年度に比較して五百万円増となっております。これは、日本消防協会に対して、主として防火宣伝の事業を指定いたしまして委託するための経費でございます。
以上、総計いたしまして、予算総額六億三千六十五万一千円で、前年度に比べて一億二千四百九十八万円の増、こういうことになっております。
以上が国家消防本部三十三年度の予算案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/17
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018・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、自治庁、警察庁並びに国家消防本部の予算の説明につきまして御質疑がございましたならば、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/18
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019・加瀬完
○加瀬完君 自治庁関係を先に伺いますが、この新市町村の建設促進費でありますが、当初の要求額から見ると非常に減っているのです。三十三年度あたりに大幅に力を入れないと、新市町村の建設は非常におくれると思うのです。それが結局減らされたままになっているのは、これでもできるという御見解かどうか、一つ。
その次に、地方財政の再建促進費でありますが、去年から見ると減っていますが、それは、去年の繰り越しがあるからということですけれども、繰り越しがありましても、再建促進というものは、繰り越されておりましても、再建促進が済んだわけではないのですから、それを去年の分をことしに振りかえていって、それでいいかどうかという点。
それから、第三点は、奄美群島の復興事業費でありますが、これは一千万しかふえてない。この前の、法律ができて、一応の年限があったわけですけれども、それではどうにもならないので、結局、延長されたわけです。延長されても、資金関係といいますか、復興予算というものが一年に一千万ぐらいしかふえなくては、事業の促進というものはできないのではないですか、この点、どうお考えになりますか。
それから、四点は、金融公庫の出資金でありますが、国の政策で、地方債なんかが非常に狭められている。その上に、公庫の財源というのはやはり去年と同じような程度、これでは非常に地方では財源のやり繰りに困ると思うのです。一応地方債なんかのワクをつぼめるならば、こういう公庫の出資金なんていうものを相当ふやしていかなければ、バランスがとれないのではないか、そういう点をどのようにお考えになっておられるのかという点。
以上、四点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/19
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020・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 新市町村の関係でございますが、当初の要求は千五百町村分ということで要求をいたしたのでございます。と申しますのは、現在完成をいたしました新市町村が二千四十九ございます。そのほかに段階合併をいたしまして、準完成と言われますのが百九十三ございます。合せますと、大体二千二百四十二、約二千二百でございます。昨年度までに補助の対象といたしました町村数が七百十でございますので、差し引きいたしますと、約千五百の町村が残っているということになるわけでございます。そこで、その千五百の町村をこの三十三年度に一気に解決をいたしたいという考えで千五百町村分を要求いたしたわけでございますが、ただいま御説明申し上げましたように、約その半分の七百五十と相なっております。従いまして、もう一年程度かからなければ、現在、段階合併までを含めまして、一応、何と申しますか、新市町村と称せられるものに対する補助金が一わたり回らないわけでございます。しかし、御承知の通り、新市町村建設促進法は、昭和三十六年度まで有効期間がございますので、その間に、市町村におきましては、新市町村建設計画の調整の問題もなお残っておる面も少くございませんので、それらのテンポとも見合わせまして事業を進めていくのが適当ではないかと考えまして、本年度は一応七百十、これで、前年度までと合せまして約千五百、補助の対象となるわけでございますので、残ります七百程度は、さらに再来年度においてこれを実施いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
それから再建促進費の問題でございますが、私の説明があるいは言葉が足りなかったかと存じますが、実は、昭和三十一年度が実質的に再建の第一年になるわけでございますが、昭和三十一年度におきましては、再建債の発行が年度の当初から行われる予定でございましたけれども、実際の結果は、年度の途中以後に再建債の消化が行われたわけでございます。従いまして、昭和三十一年度の利子補給金も、年度の途中から利子補給が行われたような格好になっておりまして、昭和三十一年度におきましては、予算上、約四億五千万円ばかりの繰り越しを残したのでございます。それを昭和三十二年度に繰り越しまして使用いたしましたが、昭和三十二年度の予算は、昭和三十二年度だけの所要額をそのまま予算に計上いたしましたので、繰り越しました額がまた繰り越されるという結果に相なったわけでございます。その額が、先ほども申し上げましたように二億九千七百万円ございます。そこで、昭和三十三年度、単年度といたしまして、所要の利子補給額が何ほどになるかと申しますと、十二億一千万円ばかりでございます。そこで、この繰り越されました二億九千七百万円を差し引きました九億一千三百万円を今回計上いたしたわけでございまして、これによって再建の促進がおくれるというような事態は起らないものと考えておる次第でございます。
それから、奄美の問題でございますが、奄美の復興事業につきましては、五カ年計画のもとに着々とその仕事を進めておるわけでございますけれども、昭和二十九年度以来、今日までにつきました国庫の事業費が、昭和三十二年度までを含めまして四十一億七千五百万円でございます。それで今回この奄美の実態にかんがみまして、五カ年計画をさらに十カ年計画に引き直しまして、所要の事業量の補正等を行いまして、計画を改訂をいたしたいと考えておるわけでございまして、これに伴う法律案につきましては、いずれ御審議をいただくことと相なろうと思いますが、そういたしますと、改訂をいたしました場合の国庫負担の事業量を百二十一億三千四百万円と押えますと、今までに実施いたしました分を差し引きまして、なお七十九億五千八百万円ばかり残るわけでございます。それを、今度改訂されました計画に基きまして、六カ年計画で実施をいたすといたしますと、一年間に約十三億の事業量を消化して参らなければならないわけでございます。本年度もその目標でもって一応計画を進めて参りたいと考えておるわけでございますが、御承知の通り、これにつきましては、公共事業全般に、いわゆる事業資材費等の値下りに伴います節約率が上っておりますので、事業の量といたしましては、大体十二億三千万円で十三億程度の事業ができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。従いまして、この程度で実施をいたして参りますならば、改訂されました十カ年計画の実施もそうむずかしい問題が残らないというふうに考えておる次第でございます。
なお、金融公庫につきましては、財政局長から、御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/20
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021・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 公庫の出資金のお話がございましたが、われわれといたしましては、来年度の地方債におきましては、もう少し公営企業を伸ばす必要があると思い、相当額を要求いたしておったわけでございます。しかし、御案内の通りのような金融情勢で、総体といたしまして一千億の限度にとどめることに決定になりましたので、それに伴います公募分が百五十億ということになっております。今度は市町村の負担を軽減するために、政府資金もできるだけふやそうと、こういう考えで、一般会計分はもう全部政府資金にいたしまして、公募分の金額は総体的に減っております。それで百五十億になりまして、そのうち、例の大府県等が公募いたしております指定地方債が、それが大半でございまして、差引、一般の府県市町村が発行する公募債の関係を考えますというと、大体、約七十億くらいの限度になろうと思っております。それで、公庫債の発行限度額が八十億にすれば、実際、公庫としての必要な公募債が全部消化できると、こういう前提で八十億ということにいたしたのでございます。その結果、公庫といたしましては、その運転資金に必要なその他の経費等も考えまして、出資金が五億で差しつかえない、八十億を前提にして、出資金五億あれば、大体われわれの考えておりますような運営ができると、こういう前提で五億ということに決定になったのでございます。それでございますから、もっと金の地方債の発行がもう少し許されるものなら、もちろん、それに見合いまして、出資金の方ももっと必要だったろうと思いますが、そういう事情で、今の前提のもとにおいてならば、この程度でがまんするよりしようがない、こういうことに相なったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/21
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022・加瀬完
○加瀬完君 あとは財政計画のときに残して質問をしたいと思いますので、簡単に申し上げますが、奄美群島の復興事業費は、初め十九億計上して、それで十二億にきまったわけです。十九億という当初要求額のときの計画を実施しようとすれば、十二億三千万円ということでは足りないわけです。初めの計画というものを当然縮小しなければならないわけなのだから、この十九億というものを考えたときでも、復興計画が延長されるということは予期しておったであろうのに、結局、自治庁自身が考えている計画が十二億三千万ということで、あと六カ年間にできるのかどうかという点が一つ。
それから、公営企業の金融公庫出資金も、初め二十億という要求額であったというときに、その考え方が、五億に減らされては、ずいぶんそこで食い違いがあるわけです。この点を、もう少し説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/22
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023・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 奄美群島の当初の要求といたしまして、十九億で要求したにもかかわらず、十二億三千万円ということでは、計画がくずれるではないかというお尋ねでございますが、当初要求をいたしました際には、もちろん、十カ年計画に改訂することを前提として考えておったのでございますけれども、ただ、事業の実施をなるべく前の方に持ってきてやるか、あとの方に平均してやるかという問題になるのではないかというふうに考えておるのでございます。私どもといたしましては、事柄の性質上、一日も早く、少しでも早く前進をするようにということを考慮をいたしまして、当初十九億の要求をいたしたわけでございます。なお、この十九億の中には、奄美群島の資金の状況にかんがみまして、奄美群島の開発基金のようなものを設定をいたしたいというような考え方から、これに出資金をさらに加えて、十九億として出していたわけでございます。しかし、この復興基金の問題につきましては、なお研究すべき点も少くございませんので、今後の検討にゆだねることといたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/23
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024・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 公庫の方は、最初、出資金二十億を要求いたしまして、その際公庫債の発行限度額も当初三百億、こういう前提で要求いたしておったのでございますが、それは先ほど申しました通り、公営企業をもっと大幅に伸ばしたい、それがためには公募債のワクをふやしたいという問題が一つと、それから、大府県等のいわゆる旧指定債も公募の対象にした方がよかろう。こういう前提で三百億発行限度額を要求いたしたのでございます。そういたしますというと、それに見合う運転上、ある程度資金がやはりなければ、利子が高くなりますので、それで出資金を二十億、こういう前提だったのでございます。しかしながら、先ほど申しましたような経緯によりまして、公募債の総ワクが百五十億に押えられ、それから旧指定債につきましては従前通り公募の対象にしない、こういう建前にきまりまして、公庫債の発行限度額が八十億ということになりましたので、出資金もそれに見合いまして五億で差しつかえない、こういう結果に相なったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/24
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025・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、本件はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/25
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026・小林武治
○委員長(小林武治君) 次は、派遣委員の報告に関する件を議題にいたします。
本委員会は、去る一月十三日から六日間、財政再建団体の実情並びにその他地方行財政、税制の実情調査のため、山形、福島の両県に委員を派遣いたしましたので、これにより派遣委員の報告を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/26
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027・小柳牧衞
○小柳牧衞君 私は、一月十三日から六日間、鈴木委員とともに、福島、山形、両県下にわたり現地調査を行なって参りましたので、その結果を簡単に御報告いたします。若干個人的の感想も含まれる場合もあろうかと存じますのでこの点、御了解願っておきます。なお、別に、文書によるものを提出いたしますから、適当にお取り計らいを得たいと思います。
今回の調査は、地方行政一般ということではありましたが、予算の編成期といった関係もありまして、特に財政再建の状況を含めての財政関係及び町村合併関係を含めての新市町村建設の状況といった点に重点を置いたのであります。地方制の問題あるいは参議院議員の選挙区の問題等、私どもとしては意見をただしたい重要問題が多数あったのでありますが、右に伴う諸事情で、参考意見を聴取する機会にはあまり恵まれなかったのであります。ただ、国からの補助金等、国の予算がいかに地方に重大な利害関係があるかについてまざまざと見せつけられ、この点についての印象が強いのであります。
また、地方自治ないし地方行財政と申しましても、それは、要するに社会経済の実体を乗せるレールであるということで、産業経済の開発に非常に熱意を入れていることにも注意を引かれたのであります。たとえば、東北開発の財政投融資はほとんど全面的に削除せられたのでありますが、福島県では、未利用で、立ちぐされになっているブナ材を利用するハード・ボードの製造工場の設置に非常に期待していたのでありますが、これも削除ということで失望していたようであります。その他、電力料金の問題、発電県として希望する発電税の問題等、県として何らかの形での解決を望んでいるのも同様の理由によるものと思います。
常磐地方の諸市では、小名浜築港の進捗とにらみ合せ、この地方を一大工業地帯化し、人口二百万を収容するといった構想で事業を進めているようであります。県の総合開発の一環にもなっているようであります。
福島県は、面積は一万三千七百八十一平方キロ、人口が二百九万、山形県は、九千三百二十五平方キロ、人口、百三十五万であります。福島県は、各府県中、面積では全国第三位、人口では第十三位で、山形県においては、昭和二十五年以後人口の増加はなく、二十五年より三十年の間に三千六百九十八人の減となっております。流出人口の多いことによるのであります。福島県、山形県は、御承知のように財政再建団体であります。特に福島県は全国有数の赤字県であったのであります。二十八年度末において実質赤字の額が十四億、インフレ傾向あるいは冷害による経費の増高、公債費の増加、これに見合う財源措置の不足等によると説明されるのでありますが、二十九年度においては給与改訂等のこともありまして、赤字見込額は二十八億内外、節約六億を行い、決算上は、歳入百四十五億、歳出が百六十億、差引十五億の不足、別に事業繰り越し三億、支払い繰り延べ四億、合せて実質赤字二十二億、三十年度には事業繰り越し五億を含めて、実質赤字が二十一億となったのであります。県としては、三十年度より七カ年計画の財政自主再建計画を立て、さらに三十年度以降、三十九年度に至る十カ年間の財政再建団体の指定を得て、再建債十八億六千万円、退職債二憾円によって赤字をたな上げし、現在に至っているのであります。
問題は、国の財源措置との関係における福島県財政のその後の推移あるいは財政再建の状況ということでありますが、総体的に見て、この県の財政は大いに改善されつつあると申してよいと思います。この糸口はすでに三十年度に開かれたと申してよいと思います。皆様の強硬な御主張と御援助により実現した三十年度地方財政の特別措置百六十億、あるいは三十一年度以降の交付税率の引き上げと未開発地域の補正は、赤字のたな上げと相待って著しい効果を現わしているようであります。福島県提出の資料によって、三十年度と三十一年度との義務的経費、その中に占める一般財源の額、さらに別に一般財源総額を計算して、その差額を求めますと、義務的経費の伸びは十八億であるのに対し、その中に占める
一般財源の伸びの額は十二億であり、これに対し、一般財源総額の伸びは、この間十八億と言っておるのであります。一般財源は、県税、交付税、入場譲与税であります。
山形県につきましても、この間の事情はほぼ同様であります。二十九年度の実質赤字額六億四千八百万円、そのうち六億一千九百万円について再建債を希望し、三十一年度より七カ年の再建期間で五億九千万円の融資を受けたのであります。そしてその後の財源措置の好転とあわせ、財政内容は大いに改善に向っているのであります。県提出の資料によりますと、義務的経費の中に占める一般財源の額は、三十年度三十七億、三十二年度四十六億、その差九億であるに対し、一般財源総額は、三十年度四十億、三十二年度は五十六億の見込みで、その差十四億となっているのであります。もっとも、三十二年度における一般財源増加額の中には、増税分一億五千万円、高校授業料引き上げによる増収分四千万円等を含むとのことであります。
両県ともに財政再建は順調に進行いたしておりますが、三十二年度の増収分の使途については、自治庁の指示に対し強い希望を有するようであります。
問題となりました事業税の減税については、福島県は、事業税等の減税により有力財源を失うことがないよう必ずかわり財源で措置するよう希望、山形県は、伝えられる減税案による試算表の提出がありました。個人事業税の基礎控除を二十万円に引き上げる場合、標準税率により七千三百万円の減収、その他法人分一千万円内外であろうとのことでございます。三十二年十一月末現在、個人分の調定額約一億に対する減収見込みの試算であります。
市町村の状況でありますが、福島県においては、二十八年十月一日現在、五市六十五町三百九村、計三百七十九市町村を、県計画は、十二市九十町、計百二に減ずることとし、三十二年四月一日現在では十三市五十四町五十四村、計百二十一市町村となっております。国の計画に対し一〇三%であります。山形県におきましては、二十八年九月末、五市三十町百八十七村、計二百二十二市町村でありましたものが、三十二年八月一日現在、九市二十九町十三村、計五十一市町村で、計画の九九%を進捗したことになっております。新市町村建設の重要性を示すものであり、国の施策に大いに期待するゆえんであります。
市町村の財政再建団体は、福島県において三市二十六町村中、白河市のみは計画以上の赤字が生じ、自治庁直接の所管に指定されたほか、いずれも順調に進んでいるとのことであります。山形県における、再建は六市十一町村、財政再建は順調ですが、赤字原因は、ほとんど全部の団体が関係町村の持ち込み赤字のようであります。
市町村財政の状況も一般的に改善されつつあると見てよろしいと思います。たとえば、福島県下の市町村について言いますと、市町村を通じての不足額、三十年度四億六千七百万円であったものが、三十一年度には黒字一億八千四百万円となっております。三十一年度再建債四億四千一百万円が入っておりますから、この差額がそのまま財政上の余裕ということではありませんが、黒字団体の実質収支の差額は、一億五千九百万円より三億三千七百万円に増加、赤字団体についても、再建債によるたな上げ分のほか、一億五千万円の赤字減とのことであります。しかし、この点については、市町村民税の徴税方式のことを考えておく必要があると思います。福島県では、全市町村が第二方式ただし書きによっており、基準財政収入領の七分の十は、三十一年度六億三千万円であるのに対して、約十三億の市町村民税を収入しているのであります。三十二年度は約十億内外の見込みとのことであります。
市町村を通じての希望は、財政については、投資的建設的支出について必要額の起債を許されることが第一であると言っていることは、この際注意を要すると思います。財政問題は、仕事の内容をあわせて考えなければ意味が少いと思います。
なお、この際、県市町村の要望について、その主要なものを紹介しておきたいと思います。最高責任者の不在ということで、事務的なものが多いようであります。しかし、問題の所在については了解することができるのであります。
福島県から出されたものは、
(一)交付税率一・五の引き上げ。
(二)交付公債を無利子とすること。
(三)公営企業金融公庫につき政府資金の増額、旧指定債の引き受け、既発行債の低利借りかえ。
(四)国庫補助単価、補助率の是正と零細補助金の整理振りかえ。
(五)教育費につき建築費、教材費の補助増額等。
(六)財政再建促進法施行令等十条の二の指定事業の範囲を拡張し、東北開発を促進すること。
(七)自動車取得税を法定普通税とされたい。
福島市からは、
(一)下水行政の一元化。
(二)失業対策の再検討。
(三)公営住宅用土地についての起債の許可。
山形市よりは、投資的経費については、原則として起債を許すこと。特に学校用土地について認めることのほか、所管部課別に詳細な要望の提出がありました。文書報告に譲り、ここには省略いたします。
市町村については、福島県において、
(一) 合併町村における電話、郵便の統一。
(二) 新市町村建設につき補助を増額し、国有林払い下げの促進。
(三) 地方債融資事務の自治庁一元化。
(四) 国の出先機関の一元化と地方団体への委任。
(五) 交付税は普通交付税に努めて算入し、特別交付税の割合を減ずること。
(六) 再建団体の指定事業の中に土地改良、都市計画等を加えること。
(七) 市町村民税につき青色申告の控除を除くこと。
(八) 木材引取税につき営林署が特別徴収を拒否せざるよう指示するこ
と。
山形県町村会の提出意見は、次の諸点にわたるものであります。
(一) 府県制度の改正。
(二) 府県は半官半民とし、広域行政を所管せしめる。
(三) 府県は国の出先機関を統合し、市町村を監督するがごとき制度は廃止する。
(四) 自転車荷車税、木材引取税の廃止反対。
(五) 消防税創設反対。
(六) たばこ消費税繰り入れ率の引き上げ。
(七) 県民税は廃止し、分担制度とする。
(八) 交付税繰り入れ率の引き上げと未開発補正を市町村にも適用。
(九) 零細補助金の廃止。
(十) 新市町村建設補助金は三十八億とすること。
(十一) 町村の財政能力に応ずる公共事業関係起債のワクを確保すること。
以上、要点について御報告申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/27
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028・小林武治
○委員長(小林武治君) ただいまの御発言について何か御質疑がございますか。——別段御発言もなければ、本件はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/28
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029・小林武治
○委員長(小林武治君) 次に、お諮いいたしますが、明日の金曜日、定例日でございますが、これを取りやめて、来週火曜日に本委員会を開くことにし、その際は、銃砲刀剣類等所持取締法案の実質的審議をいたしたいと、かように考えますので、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/29
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030・小林武治
○委員長(小林武治君) さよういたしたいと存じます。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X00219580206/30
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