1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十九日(水曜日)
午後一時三十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事 大沢 雄一君
小柳 牧衞君
久保 等君
委員 西郷吉之助君
佐野 廣君
館 哲二君
成田 一郎君
伊能繁次郎君
鈴木 壽君
成瀬 幡治君
政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警察庁長官官房
長 坂井 時忠君
警察庁刑事部長 中川 董治君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
厚生省児童局長 高田 浩運君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
総理府内閣総理
大臣官房参事官 河上 邦治君
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本日の会議に付した案件
○警察法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) これより委員会を開きます。
前回に引き続き、警察法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のおありの方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/1
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002・成瀬幡治
○成瀬幡治君 警察庁の方から最近における少年非行の傾向及び警察の対策に関する資料等をいただきまして、あるいは新聞紙上等を見まして、非常に青少年の問題がやかましいわけであるわけですが、検察、あるいは警察に御厄介にならない前に、一ついい環境と申しますか、そういうものを作つてやることが必要じゃないか。それには国会で決議になっておる青少年問題協議会ですか、そういうものがあつて、そういうところでいろいろと御努力願つておる、あるいは厚生省、文部省それぞれおやりになっておるようですが、一つ最初に総理府の方にお尋ねしたいと思いますことは、ここで主として取り上げられておつて、そしてどういうような構想と申しますか、理想を描いてやつておいでになるのか。協議会ですから、そこであるいはどんなに、理想論が述べられたり、あるいは対策が述べられておると思いますが、そういうようなことについて、大筋の話が一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/2
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003・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 青少年の非行に関しまして、中央青少年問題協議会の対策を簡単に申し上げてみたいと思います。
この青少年非行防止のためには、御存じの通り、関係の各省庁におきまして努力を傾倒しておるわけでございますが、中央青少年問題協議会におきましては、今日まで青少年の不良化防止に関する個々の対策をそれぞれ講じて参りました。その総合的な不良化防止対策といたしましては、青少年問題協議会の前身でございます青少年問題対策協議会が、衆参両院の御決議を得ました後に、昭和二十四年にこの協議会で策定いたしましたものを現在まで踏襲して参たのでございます。しかしその後、情勢がいろいろ変化して参りまして、また、最近の青少年非行の趨勢に対処しなければならないという議が起きまして、昭和三十二年の十月以来、青少年非行防止のための総合的施策の樹立という題目で現在審議を続行中でございます。で、その審議の中身といたしましては、まあ積極対策と、それから消極的対策と、大体二つの観点に分けまして、生活指導の徹底とか、青少年団体活動の促進であるとか、環境の整備改善、あるいは今度は消極的対策といたしまして、問題青少年の早期発見方法の研究確立、保護の強化、こういうようなテーマに分けまして現在審議いたしましております。
なお本年の二月二十七日、八日の両日に開催いたしました第七回全国青少年問題協議会におきまして、昭和三十三年度の——全国青少年保護育成運動というのを毎年やつておるのでございますが、三十三年度の全国青少年保護育成運動の運動目標の一つに、青少年非行防止対策の強化を取り上げまして、特に社会並びに家庭の関心を高めるということに重点を置きまして、非行防止のための対策を全国運動として展開したい、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/3
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004・成瀬幡治
○成瀬幡治君 積極的あるいは消極的にいろいろと分けてそしておやりになろうというんですが、ここには、関係各省とおつしやいますが、こういうことについて出ておみえになる各省はどこの省ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/4
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005・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 関係は、大体、文部省、厚生省、それから警察庁、それから法務省、最高裁判所、それから農林、建設、これは青年隊の関係がございますんで農林、建設、このような省でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/5
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006・成瀬幡治
○成瀬幡治君 こういうところで、たとえば、積極的に生活指導をやるとか、あるいは団体、クラブ活動をやる、あるいは環境を整備する、こういうことがそこできまりますと、具体的には今度はどこへおろされるわけですか、関係の省へおろされるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/6
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007・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 従来、青少年問題協議会で総理大臣に意見具申をいたします。そうしますと、その内容を大体次官会議で決定をいたしております。次官会議で決定いたしましたら、各省庁におきましては、その趣旨によりまして、その実施のやはり責任がございますので、それによりまして責任を果していただく、こういう段取りになっております。
青少年問題協議会の事務といたしましては、青少年問題の育成、指導、保護、矯正の総合的施策に関しまして、各関係行政機関の連絡調整の機能を持っております。その連絡調整の機能を果すためにそういうことをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/7
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008・成瀬幡治
○成瀬幡治君 厚生省のほうにお尋ねしたいと思いますけれども、厚生省のほうとしては、今言つた青少年問題協議会で申し合されたと申しますか、そこで決定されたことと、それから、関係法律がございますね。たとえば、児童福祉法とかいうようなもつのがございまして、それに基いて種々対策を立てておみえになると思いますが、私がお尋ねしたいのは、環境の整備と申しますか、いい環境を作るというようなことについて主点的な対策を言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/8
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009・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お尋ねのありました児童の不良化防止の問題は、児童福祉法が約十年前から施行されたのでございますが、その当時から児童福祉の上の一つの大きな問題として関心も持たれ、その関係も児童福祉法の中に十分考慮して編成をされておるというような状況でございます。そこで、お話のありました点に関連しまして、二、三現在やつておりますことをお話し申し上げたほうが、御理解に便宜かと思うのでございます。
第一に、いわゆる機構の問題として考えますというと、一番いわば末端に児童委員というものがございます。これは民間のいわば奉仕者でございますが、民生委員と同じ人がなっているわけでございますが、この数が約十二万五千でございます。それから、児童福祉司という、これは児童のケース・ワークをやる人、もちろん、不良化防止の問題を含めてでございますが、そういった役割を持っております専門職が約干人置いてございます。それから、役所といたしましては、御承知の児童相談所がございまして、これが児童のこういった問題についての技術的な、あるいは実際上の行政上の措置的な意味での中心機関になるわけでございまして、これが百二十二カ所でございます。これらを指揮監督いたしますのが県の児童課でございまして、全国に、六県を除きまして、全部児童課が置かれておる状況でございます。
そこで、まず、私どもは、やはり家庭における児童を不良化、その他のものから守るということが第一だと考えるのでございまして、これらにつきましては、特に今申し上げました児童委員等の活動を促しまして、それによってあるいは未然に防止し、あるいは補導をしというような、そういうような措置をとらしておる状況でございます。それで、環境の問題はあとでまたとりまとめて申し上げさしていただきたいと思いますが、不良化の著しくなりました者につきましては、これはまあ警察等も御協力いただいておりますが、あるいは児童福祉司の指導なりあるいは監督に付するとか、あるいはそれでも十分いかない者につきましては、御承知のように、児童福祉施設でございます教護院に入れまして、これでいわゆる教護をする。教護院は、現在五十二カ所ございまして、今年中にあと四、五カ所ふえる予定でございますが、これの収容力は約五千五百でございます。この教護院におきまして十分教護をして外に出す。もちろん、これらの児童の相当悪くなりました者の教護というのは、非常にむずかしい問題でございまして、職員等の非常な苦心と労力によりまして相当に成績を上げておりますけれども、しかし、やはり不成功に終る例も、これも御承知のように免れぬ状況でございます。
それから環境の関係につきましては、児童福祉法に「児童厚生施設」という規定がございまして、その中に「児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、」云々と、そういう施設を設けるように規定されておるのでございます。私ども、これの予算化の問題についてかねがねから非常に努力を払つておつたのでございますけれども、なかなか実を結びませんでしたが、三十三年度の予算におきまして、児童遊園約三千五百万円、二百十カ所、これを全国に作る予算が計上されまして、これが実施の万全を期するために、いろいろ準備を進めておる状況でございます。その他の児童館その他につきましては、従前に引き続きまして努力を継続して参りたいと思います。なお、この予算措置は、そういうような状況でございますけれども、実際には、児童館にしましても、児童遊園にしましても、これは相当数が現存いたしているような状況でございます。
それからなお、児童の健全なる育成につきましては、いわゆる児童に関する文化財の問題がございます。これは、映画でありますとか、出版物でありますとか、そういったもの、これもなかなかむずかしい問題でございまして、行き過ぎてもいけませんし、行きなさ過ぎてもいけないという非常にむずかしい問題でございますが、これにつきましては、やはり児童福祉法におきまして児童福祉審議会というのがございますが、その一つの職分としまして、児童の福祉をはかるために、映画でありますとか、出版物でありますとか、あるいは紙芝居でありますとか、演劇でありますとか、こういったものについて、あるいはいいものを推薦をし、あるいは必要な勧告をするという規定が置かれておりまして、これに基いてこの児童福祉審議会においてこれらの文化財の推薦あるいは勧告を行なっておる状況でございます。
それからなお、直接的には厚生施設ではございませんけれども、御承知のように保育所が現存約九千カ所ございますが、これらの運営につきましても、お話の線に沿いまするように十分心してやっていくように、私ども常々指導いたしておるような状況でございます。
ほかにもいろいろ申し上げたいことがございますけれども、時間をとりましても恐縮でございますから、また質問に応じましてお答えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/9
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010・成瀬幡治
○成瀬幡治君 文部省の方に伺いますが、主として環境の問題に限つて一つ伺いたいわけですが、何か文部省の方で子供が学校から帰ってからの一つの環境、それには今いったように遊び場などの問題もありましようし、もう一つは児童文化財の問題、そういうことについてどういうようなことをやつておるのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/10
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011・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまのお尋ねでございますが、子供の環境の改善あるいは向上という見地からいたしまして、私どもといたしましてはいろいろ考えておるわけでありますが、特に学校教育の面におきましても、当然校外指導としていろいろ子供のことを考えなければなりませんし、また社会教育の面におきましても、そういった点を当然取り上げて考えなければならぬわけでありますが、一応私の所管いたしておりますところの社会教育の面から申し上げますと、とにかく学校の子供の校外生活の指導ということが、学校教育と非常に関連がございまして、大事な点でございますので、従来から児童愛護班の組織ということに力を入れて参っております。これは各府県の教育委員会、社会教育課等を通じまして、児童愛護班の結成を奨励いたして参っておりますが、これも地方によりましてはかなり今までに結成されております。いろいろ指導者が非常に大事でございますが、子供のなるべく自発的な考え方を押し進めて参りまして、そしてその適当な指導者をつけて、児童愛護班というものをうまく校外指導に使つていくような観点からこれをやつております。
それからまた別の観点からいたしまして、やはりこれも非常に指導者が大事でございますが、子供クラブの育成ということもやつております。こういった子供クラブの育成を通じまして、やはりこれも校外指導の一種になろうかと存じますが、現在そういった団体が全国で約七万近くございます。それからまた、このクラブの会員と申しますか、そういったものも延べにいたしますと三百万以上にも上るというような状況でございますが、単にそういった形式上の数でなくて、実際上これがうまくいくということが非常に大事でありますので、これを地方を通じまして、そういう校外指導ということを非常に重点的にやつております。ただ、そういった組織を使うことにいたしましても、今申しました指導者が非常に大事であるとか、あるいはまたそれを利用する場合に、いろいろな教育的な資材を配付するということが非常に大事でありますので、そういった点から、私どもとしましては指導者に必要な資料を配付するとか、あるいはまた青少年団体あるいは婦人団体、あるいはPTA等の団体を通じまして、そういったものに協力してもらうという方法をとつております。同時に今お尋ねの、やはり世間にはいろいろいわゆる不良文化財といったようなものが青少年に悪影響を及ぼしておりますので、特に映画というものが非常に子供にも影響が深いという観点からいたしまして、いい映画を子供になるべく見せて、悪い映画に近寄らせないというような積極的な工夫も必要だと考えますので、そういう映画の選定、その選定映画を各地方々々の子供にも十分見てもらう機会を与えるということが必要であります。また、そんなことを地方にも補助を出してやつておりますが、さらに三十三年度から新しい試みとしまして、東京の一部では現に実施されておりますが、そういった子供たちのためにいい映画を提供する機会を作るために、いわゆる一般の映画館を利用しまして早期興行というものを実施したい。これはたとえば、日曜日等におきまして、一般の映画を上映する前を借り切りまして、団体的に学校の子供あるいはその他の青少年が、教育あるいは文化映画を見る機会を持たしたい。こういうようないろいろな方策を考えながら進めておるわけであります。今申し上げましたのは三十三年度から若干予算を計上して新規にやろうとしておる事業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/11
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012・成瀬幡治
○成瀬幡治君 厚生省の方で児童遊園地に対して今年度初めて三千五百万円取れて、二百五十カ所、こういっておる。これはちょっと計算してみますと、一どころにどれだけいくことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/12
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013・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 児童遊園を作るには土地がやはり一つの基礎になりますけれども、土地を補助の対象にしますことは、これは非常に問題でございますし、一応子供の問題については、やはりその地域社会においてもこれは十分関心を持つのが当然でございますので、土地の上に作ります遊具でありますとか、あるいは便所でありますとか、そういった衛生施設でありますとか、そういったものに補助をするという考え方でございまして、一カ所五十万円、三分の一補助、そういうふうに考ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/13
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014・成瀬幡治
○成瀬幡治君 今、たとえばこの間新聞に大きく、静岡県で大きな児童会館というものを作つておる。それからこれも新聞で見た程度ですが、杉並であるとか、あるいは文京区であるとか、新宿区というようなところには、ぼつぼついろいろなことで子供の会館というものを作る、あるいは東北地方にも各所にできておるところがあるようでございますが、そういうところと、このあなたの方の計画しておいでになる児童会館あるいは児童遊園施設と申しますか、厚生省でいわれる厚生施設ですか、あの四十条との関係はどんなふうになっておるのか。全然無関係なものか、何か関係ございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/14
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015・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) もちろん、大いに関係があるわけでございますが、児童館につきまして、法律では四十条で規定してございます。それの最低基準と申しますか、設備の基準を別に規則を出しておるわけでございます。その中に、設備の基準として、児童館について施設の問題あるいは職員の問題、遊びの指導の問題、これらについての規定を書いてございます。これに従ってやらせるように指導いたしておるわけでございます。もし御必要であれば、あとでこれらの規定については写しを差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/15
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016・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いや、そうじゃなくて、静岡のを見ますと、総工費なんかは四千万円くらいかけて児童館というものを作つておいでになる。そういうものに対して、あなたの方の四十条との関連があつて、たとえば、今いう三分の一の、これは土地じゃないのですから、何かそういうことに対してやつておいでになる例が今まであるのか、全然ないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/16
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017・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 現に児童遊園につきましては、ことしから補助金がありますが、児童館につきましてはいわゆる補助金が今までなかったわけです。で、三十三年度についても残念ながらこれはなかったわけなんです。従って、いわゆる設備を作るについての補助金的な結びつきはこれはございません。ただ、実際に作る場合の設備等につきましては、この法律上の規定がございますから、それに従うのと、それからやはり、児童館の運営等につきましては、これは運営事態が新しい問題でございますので、これらの関係者が集まつてお互いに研究をし、あるいは相談をし合うということが必要でございますので、これらについてはあるいは教育会をやり、あるいは講習会をやるというようなことを努めておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/17
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018・成瀬幡治
○成瀬幡治君 一番欲しい盛り場であるとが、あるいはスラム術のようなところは、また土地がないわけなんですね。それが一番困難だと思う。そういうときに、土地とか建物、遊園地ですから建物は便所になるかもしれませんが、とにかく土地を得ることがその地方では一番大事な問題じゃないかと思う。そういうことに関して全然補助も何もなしで、ただ上に作る遊具、鉄棒やそんなことだろうと思いますが、そういうものについては若干補助金等をこれには出そうというのですが、何かこれで二百五十カ所計画されるというのは、私は必要な所でなく、土地のあいている、そういう所は設けなくても、子供はすでに広場があるから遊んでおれるという所にできてしまつて、一番欲しい所にはできやしないじゃないかと思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/18
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019・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話の点、まことにごもっともだと思います。従いまして、私どもとしては、この予算の実施については、今お話のような線に沿うように、補助の基準等も設けますし、それから補助をやります場合にも十分検討して参りたいと思います。
それから一方、土地の入手につきましては、確かにその盛り場等についてこれを入手するということは、これは非常に困難を伴うわけございまして、従って、これはまあ私どもだけの責任分野でどうこうということよりも、やはり都市計画との関連を考えなくちやなりませんし、建設省の方にもその旨を、十分私どもの趣旨を申し上げて、区画整理等、あるいは都市計画上必ずそういうものを設けていただくように、私どもも申しておりますし、それから向うの方でもその趣旨を了として努めておられるような状況でございます。なお、土地についてその補助金化の問題は、これはやはり本質的に私は考えなくちやならない問題だと思いますし、何しろことしが初めてでございますので、実施状況を見まして、十分一つその線に進みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/19
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020・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしてあなたの方の一つの構想というのですが、場所も二百五十カ所と、いろいろありますが、そういうようなところにいろいろたくさん作つて、ほんとうに子供が、学校と申しますか、一校区に一つというのじやなくて、二カ所ぐらいずつでももう作つていこうじゃないか、そうしてたくさんの子供が、そう遠くまで行かなくても、ほんの自分の家の近くでやっていくというような構想に受け取れるわけですが、これが一番私も好ましいことだと思うのですが、そういうような計画なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/20
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021・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 第一年度と申しますか、三十三年度は二百五十カ所でございますし、この数は、もちろんこれは計画の初めでございますから少いのでございますが、一応これは多多ますます弁ずということは言えると思いますが、まあ一応の考え方としましては、毎年その程度のものを五年間ぐらい作つて参りますと、千カ所以上になるわけでございますが、そうしますと、大体半径一キロちょっと、それから人口にしまして三万足らずというのにまあ一つの児童遊園、もちろん、この数は不足であることは言うまでもありませんが、まず第一次の計画としては、それを一つのめどとして、さらに第二次の問題としては、その上に積み重ねていきたい、一応こういうふうな考え方のもとに、第一年度二百五十カ所、約三千五万円ということになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/21
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022・成瀬幡治
○成瀬幡治君 文部省の方からも触れておいでになりましたが、せつかくこれは、私も十分な経験でなくて悪いんですが、名古屋なんかに小公園を作つたのです。ところが、それが非常に活用されないわけなんです。それはいい指導者がいないからです。いい指導者、しかもそれがいわゆる役所の方でも困難で、やはり民間人の協力を得なくちやならない。そういう点で文部省の社会教育の指導者がいるんだと、こうおっしゃっていると思うのですが、そういう指導者を得るというようなことについて、どういうような、たとえばおっしゃったような民生委員、児童委員を兼ねておる、それが必ずしも適任者だと思わないのです。そういうような点については厚生省と文部省の関係が、まあ頭が二つあるからすうつと二つ通されてしまつては大へんなことになると思うのですが、そういうような場合、県などへ行った場合に、民生局の問題と教育委員会の仕事と、二つになって変なことになるといけないのです。ですから、指導者を置くことと、運営の問題と、まあまだやつていない、これからだとおっしゃるなら、別に問題はないと思いますが、そういうところはどんなふうにしてやってらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/22
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023・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話しのように、場所だけを作ったのではかえって弊害があるという面も、場所によっては出てくるということもありますし、そこで、私どもの方では、児童厚生員という、いわゆる指導者を必ずそれにつけるように指導いたしております。(成瀬幡治君「必ずですか」と述ぶ)「最低基準」に書いてございます。それで、今度の補助の実施につきましても、それが確実に、そういう適当な者が得られるということを一つの条件にいたしたいというふうに考えているのでございます。
なお、これにつきましては、児童厚生員の資格等も規定してございますが、もちろん児童委員が確かにこれは一つの給源になると思います。このうち適当な人を確保すること、それを指導訓練をしていくということが一つのあれだと思います。それから、そのほかにも児童施設関係のいろいろな、保母だとか、その他の考もおりますし、それからそのほかにもまだ適当なボランティアが確保できるように、児童委員等を通じて努力して参りたいと思います。同時に、今後これらの育成につきましては、今後学校を作つてどうこうという性質のものでございませんので、十分一つ今後、地方の組織を通じまして、努力して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/23
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024・成瀬幡治
○成瀬幡治君 文部省はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/24
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025・福田繁
○政府委員(福田繁君) お尋ねでございますが、私どもの方も、児童の指導に当りまして、これは主として年間を通じて、いろいろ開設される場合もありますけれども、たとえば夏休み等の校外指導といった意味で作られる場合が多うございますので、そういった場合には、できるだけ学校の先生を指導者として、お願いするというような建前をとっております。あるいはまた、学校の先生に限らず、各地にあります公民館の職員等で適当な者がおれば、そういう者に臨時にお願しするということもやっております。とにかく、その指導者の選定については、十分責任の持てるような指導者を選ぶようにということを、各地々々の市町村教育委員会で十分注意をして、いい指導者を選んでいることと思いますが、大体、大部分は今申しましたように学校の先生かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/25
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026・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それから児童遊園地は、そうしますと、厚生省の方に伺いますが、必置条件としての指導者というのは、やり方によっては名目的な人でも、とにかく最低基準条件として、そういう指導者がつかないようなところには、遊園地に対する三分の一の補助は出さぬと、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/26
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027・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 「最低基準」に「児童厚生施設には、児童厚生員(児童厚生施設において、児童の遊びを指導する者をいう。以下同じ。)を置かなければならない。」、「児童厚生員は、左の各号の一に該当する者でなければならない。」、従いまして私どもとしては、補助をいたす場合においては、こういうものが入手せられるところ、それからそれがその後引き続いて指導に当られるということ、それらのところを見きわめた上で補助を上げたい、きめたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/27
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028・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それから文化財のことについてお聞きしますと、映画を厚生省の方も児童福祉審議会等にかけて推薦されるということ、文部省の方も推薦される、こう二本立てになっているように今お聞きしたのですが、その間、厚生省と文部省とで十分了解を得られて、両方とも別々のものが出てくるというようなことになるのか、その間はどんなふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/28
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029・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) ただいまの映画等につきましては、児童福祉審議会の権能でございまして、むしろ役人がかれこれするというよりも、それらの学識経験の委員の方々におきめいただいて推薦していただく、そういうふうな仕組みになっておるわけでございます。しかも、その立場というものは、いわゆる児童の福祉をはかるということでございまして、一般的にいう、平たい言葉で言えば一般的な日本文化の向上というような立場というよりも、むしろやはり児童の福祉ということに重点を置いて、その意味からの児童文化というにらみでやるわけでございますから、おのずから帰一するところは同じかもしれませんが、立場が多少、あるいは見方が多少異なる点はあろうかと思いますが、そういうわけで、むしろ役所というよりも、そういう機関の学識経験の方に御選定いただくということと、従いまして、これは行政的に文部省と打ち合せをして、それをあなた方は適当だとお考えになるでしょうが、行政的な立場からどうも困りますというようなことは、実は申し上げないことにいたしておりますので、まあそれぞれの立場においてやつておるのが事実でございますので、しかし大体において、これはものの見方というのはそう食い遣うわけじゃございませんので、非常に円滑に行っておると、私どもは承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/29
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030・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、大体推薦の仕方とか、そういうことはわかりましたが、これについて、たとえば子供にいい映画を与えるというようなことについて積極的なことは厚生省としてはおやりにならないで、むしろ文部省の方でおやりになっているのか、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/30
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031・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 私どもの方としましては、第一には地方にもやはり児童福祉審議会というものがございますし、これで地方的にも同じようなことをやっておるわけでございます。従いまして、その決定等に基きまして、いい映画につきましては、あるいは映画の興行主の団体等と連絡をとりまして、子供に見せる措置を講ずるとか、あるいは子供にとつてよくない映画につきましては、興行主に勧告をして、子供に対しては見せないような措置を講ずるとか、そういうふうな地方の映画業者と申しますか、興行関係者と地方児童福祉審議会、あるいはそれらの仕事を扱っております県の児童関係の方というものとが、十分連係をとりながらやっておりますのと同時に、これは実際は同じ傾向になると思いますが、市町村におきまする母親クラブであるとか何とか、あるいはそういう地域の婦人の組織でありますとか、そういったところに検討を、あるいは児童委員等を通じて呼びかけて、今のような措置を談じておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/31
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032・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私が聞きたいのは、できたものをどういうするというのじゃなくて、映画製作の方々に、むしろこういうふうに子供にいい映画を与えるという、できたものの中からいいものを選び出していくというのじゃなくて、そういうことがもし厚生省なり、あるいは文部省等で積極的に考えられておるかということで、具体的にやられていることがあるなら一つ承わりたい、こういうふうに言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/32
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033・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) たとえばいい映画を作るについて助成金を出すとか、そういう問題も一つの考え方だと思いますけれども、現在のところ、そういうふうな予算もございません。それからなお、製作過程において、いわゆる児童福祉の立場から、審議会の委員等に向うの方から相談がある分については、これは好意的な助言をいたしておりますけれども、あまり積極的に介入するということは、これはまた逆な面考えられますので、こういった文化財の問題は、全般に通ずる一つの問題だと思いますので、よく製作者の立場を考慮しながら、その辺はお互いに慎重にいたして、円滑にやつていきたいというふうな考えのもとに処理しております、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/33
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034・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまの御質問でございますが、まず、映画の文部省でやつておる選定のことをちょっと前に申し上げたいと思います。文部省としては、映画の選定をやつておるのは、教育上価値があるかないかという観点から選定をいたしておりますが、申請さえあれば、その申請に基いて、これは学校の教材として価値がある、ないし一般社会教育として価値がある、こういうような観点からこれを選定するのでございまして、従いまして、厚生省で今おっしゃいましたように、児童福祉という観点からおやりになるのとは、一応やり方は別になっております。ただ、この文部省で選定したいい映画が、とにかく地方で十分利用されるということが望ましいので、私どもとしては、その周知徹底については、各地方に十分その周知方をやっております。同時に、この教材の教育映画につきましては、非常に採算上の問題がございまして、ある本数以上製作しなければ引き合わないというような、せっかくいいものを作りながら引き合わないというような問題がございますので、そういった文部省で選定できるようないい教材映画等ができた場合等におきましては、これは買い上げて、そして地方に希望があればこれを無償で配布するという、こういうような措置を講じております。これは従来も予算に計上してやっておる仕事でございます。そのほか、従来、文部省で教材映画等について企画をして、こういったものが教材として適当であるというようなことが考えられますと、会社にやらせるよりも、こちらで企画してやった方がいいんじゃないかというような場合もなきにしもあらずで、そういった場合には、ごく少数でありますけれども、文部省でこれを企画製作ということもやっております。これも一つの方法かと思いますが、そういった仕事を従来からやっているということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/34
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035・成瀬幡治
○成瀬幡治君 結局、子供の遊び場所を一つ与えてやるということ、いい読み物、いい映画、そういうものを積極的に与えなければならないということは、常識的だと思う。そこで、採算の問題になってきて、文部省としては一つ企画も自分の方でやっておると、それから地方でやるいい映画があれば買い上げて、それを無償で配布すると、あるいは何か聞くところによりますと、早期興行というのですか、そういうものに対して補助金を出していこうということもやられるようですが、これは非常にけっこうだと思うのですが、今この映画などで、実際非常に露骨な映画が出てくるようになったわけです。で、これを禁止だけしても、何才未満は見てはいけないといっても、これはだめなことであるから、採算のべースに乗るようないいものを作った場合には、それは各映画館が何といいますか、六社の間の一つの申し合せがあって、実際問題として興行としてなかなか成り立たないで、ある東映なら東映、そういうところへ売らなければならない、文化映画みたいなものだったら、とても問題にならぬということを聞いたのですが、だから、採算ベースに乗って、そういうものが、いい映面が作られていくというようなことについて、たとえば映画館を早期に活用するというのも私は一つの手だと思います。とともに、保育所を活用していく、あるいは遊園地ができれば、夜こういう所を活用するということはできると思います。こういう点についてとにかく十分私は活用をしてもらいたいとともに、あと、時間ですから、希望として申し上げたい点は、何かいろんなものがありまして、縦にいろんなことができていると思うのです。しかし、末端の方へ行けば、横の連絡というものが実際できていないと思うのです。ですから、県によりますと、民生部でやる仕事と教育委員会あるいは警察というように、縦に分断いたしておる。これを横につなぐというようなことが考えられないものかどうか。そういうようなことについて、青少年問題協議会等で調整はする、こうおっしゃいましても、実質的にはなかなか困難じゃないかと思うわけですが、ですから、そういうものを、何かそこで調節するというようなことについて実際上困難だというけれども、やらなければならぬことと思いますが、そういうようなことについて、もし青少年問題協議会等で議論をし、あるいは厚生省、文部省の中で議論されて、結論めいたもの、こういうものが適当じゃないかという、こういうものがあったらお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/35
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036・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これは私の方よりも、内閣の方からお答えいただいた方があるいは適当かと思いますが、御承知のように、青少年問題協議会は、中央にありますと同時に、地方にございます。これらを中心に、今お話のありましたいろいろな点について、随時連絡をし合いながら、あるいは調整をとりながらやっていくという仕組みに一応なっております。それから、いろんな行事をやります場合におきましても、これはできるだけ両方食い違いないように、それらを中心にし、あるいは役所同士の連絡等によりましてやるようにいたしておりますし、御承知のように、いつも五月には児童福祉週間というものを大々的にやるわけでございますが、これらの準備もいたしておるわけでございます。これも、関係各省一緒になってやるというような仕組みにはいたしております。そういうようなわけで、これは全体しとして、一番未成熟の仕事でございますし、これから伸ばしていかなくちゃなりません仕事でございますので、末端におきましては多少の径庭はあるかと思いますけれども、規則の上においてはみな、児童の福祉あるいは健全育成という立場で、各省とも協力をしてやっておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/36
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037・成瀬幡治
○成瀬幡治君 最後に、私は厚生省のこういう施設がこまかくできることにつきましては詐常に賛成なんですが、そういうものに対して映画をたとえば持っていく、あるいは読み物もそこへ持っていく、あるいは紙芝居も持っていくというようなものが、どこか県にもあっていいのじゃないか、県のどこかが中心になって。たとえば静岡のようなりっぱなものを作った。そうすると、静岡の県内にこういう遊園地と児童館、こういうものが作られていくというような方向が非常に好ましいと思います。ところが、あなたの方ではまだそこまで手が回らずに、一つこういうところを固めようじゃないか、各省のやつを固めようじゃないかということになってきたのですが、これも私、案として申し上げておいて、十分関係各省等と御検討を願って、あまりなわ張り争いにならないように、何か御検討を願いたいと思います。
また、ぜひそういうことにやっていただいて、少くとも警察のあまり厄介にならないような、そういう点で費用はこちらの方にたくさんかけるように、警察の方も今度部局改正があって、少年課というようなものが設けられるそうですが、こういうところは非常に閑散になるような方向に御努力を願いたいということを希望して、質疑を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/37
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038・大沢雄一
○大沢雄一君 私は、児童の福祉、あるいは児童の校外指導に責任を持っておられます厚生省、あるいは文部省の方々のおいでのこの機会に、少し児童の玩具についてお尋ねしたいと思うのですが、青少年の不良化防止の問題に関連して、危険生のある玩具、たとえば弾丸発射の機能は有しないけれども、それに類似する短銃まがいの玩具とか、あるいはまた善良な風俗を害するおそれのある、たとえばどろぼうごっこといいますか、それに使われる手錠というようなああいうょうな玩具、ああうものに関しまして、どういう取締りを警察の方ではなさっておるのか、そういう状況を一つ、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/38
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039・中川董治
○政府委員(中川董治君) ただいまお尋ねの玩具につきましては、刑罰法令としてこれを規制する法規は現行法上ございません。それで、その対策はいろいろこの中央地方の、ただいまお話しの青少年問題協議会とか、児童福祉法によるところの児童福祉審議会とか、こういう機関によって、しいて言うと関係者の自覚と協力と、その勧告等によって処置していく、これが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/39
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040・大沢雄一
○大沢雄一君 そういたしますと、厚生省、文部省の方にお伺いいたしますが、児童福祉審議会なり、あるいは青少年問題対策協議会、こういうところで、先ほど来映画については、児童に教育上あるいは児童の福祉上見せてほしいという映画の推薦をする、あるいはまた見せてほしくない映画について興行者に、何といいますか、一種の勧告をするというようなことも、お話があったようでありますが、今のこの玩具、あるいは不良文化財というのかもしれませんが、こういうものについて、児童福祉審議会で製造あるいは販売する者に、こういうものは作つてほしくないのだ、こういうものは子供に持たしたくないのだ、あるいはまた、校外指導等の関係から、あるいは児童の不良化防止の関係から、そういう何といいますか、一種の規制をするような勧告を青少年問題対策協議会等でおきめになっておることがあるか、実際そういうふうになさつておりますか、そういう点、両方から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/40
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041・中川董治
○政府委員(中川董治君) 今の問題、政府委員からお答え申し上げます前に、ちょっと前のことを申し上げますが、今から三年ほど前に、中央青少年問題協議会で、今御指摘の不良文化財の中で、飛び出しナイフというものがありまして非常に困る、こういうような決議がございましたので、この青少年問題協議会の決定に服しまして、私ども立案いたしまして、当委員会の審議によって法制を作ったという過去の事例はあるのでございますが、これはいろいろなほかの問題等につきましては、今後も関係機関とともに研究したいと思いますのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/41
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042・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話の玩具の問題につきましては、児童福祉法でも児童福祉審議会の権限として、映画、出版物等と並んで、玩具、遊戯等を推薦し、あるいはそれを製作し、興行し、もしくは販売する者に対して必要な勧告をすることができるという規定がございまして、これに基いて推薦、勧告を行う建前になっておるわけでございます。そういう関係で、従前これに手をつけましてやつたこともございますけれども、御承知のように、玩具につきましては、製作の状態、流通の状態、それらが非常に複雑でございまして、いわば変幻自在というような点もございまして、なかなかその実効を上げるということについてむずかしい点がございましたので、最近はちょっと、率直に申し上げると、休んでもう少し研究をしようじゃないかというような段階に入っておるような状況でございますが、ただいまお話のありましたように、この問題について非常にまあ児童の問題、不良化の防止その他について影響するところが大きいことは、もう言うまでもございませんし、まあ状態は状態として取り上げて検討しなければならないと思いますので、今後一つその面に十分研究をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/42
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043・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまお尋ねの玩具の問題でありますが、これは昭和三十年中央青少年問題協議会で答申が出ておりますが、その詳細につきましては、総理府の万からお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/43
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044・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 昭和三十年の五月九日に、中央青少年問題協議会といたしまして、青少年に有害な出版物、映画等対策について、意見具申を総理大臣の方へいたしております。これにつきまして、なお中に玩具を取り上げておるわけでございますが、まあ玩具の製造業者に対しまして規制をするということが非常に困難でありますので、製作上のまあ基準を作つて、そしてこれを管理する自主的な機関を設けるように勧奨するということを、意見具申の中に申しております。
なお、これによりまして、いろいろ、この玩具だけでございませんので、ほかに青少年に有害な出版物、映画等含めまして、現在地方で条例を作つております。まあ青少年保護育成条例といっておりますが、条例を作つております県が十二都府県ございます。おもに中心は、やはり映画とかあるいは広告、宣伝物、これが非常に問題になっておりますので、それが中心になっておりますが、玩具を規定した都道府県はまだございません。ただ神奈川県におきましては、危険物の所持禁止というのを条例の中にうたっておりまして、青少年に対しまして、コルクを発射する空気銃以外の空気銃であるとか、飛び出しナインだとかいったような、人体に危険を及ぼすようなものの器具を製作してはいけないというような規定を設けております、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/44
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045・大沢雄一
○大沢雄一君 ただいま承わりますると、厚生省の方では、児童福祉審議会で従前玩具等について不良玩具を、何といいますか、業者に作らないように勧告するようなことも考えたけれども、現在はまあやつておらないということであります。なおまた、青少年問題対策協議会の方でも、あまり積極均にやつているようなふうにもうかがえないわけでありますが、何らかこれについてもっと警察の方として、現在この玩具で目をつぶすとか、あるいはかんしやく玉等の玩具によってかたわになるとか、まあいろいろな問題も起りまするしいたしまするので、もう少し文化財の面からだけでなく、そういう保安あるいは風俗警察、そういうふうな面から、もう少しこの問題について積極的に踏み込んでいくというようなことを、警察の方ではお考えにならぬでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/45
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046・中川董治
○政府委員(中川董治君) 御意見はまことにごもっともでありまして、われわれの方といたしましても、関係各省のいろいろな行政を大いに期待するとともに、関係各省の行政でできがたい、刑罰法令によって事を規制しなきゃいけない、こういう事情等もあろうかと思いますので、個々の実態をさらに資料を明らかにいたしまして、はっきり刑罰法事で禁止した方がいい、こういう結論が出ましたものにつきましては、そういうことも研究してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/46
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047・大沢雄一
○大沢雄一君 このまあ刑罰法令にふれるようなもの、それについて禁止を考えるということは、まあ当然のことでありまするが、もう少し何かですね、製造販売についてですね、こういうものを規制をしていくというような方途は、何か考えられないもんですか。何かそういう構想はないかどうか、そういう点について一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/47
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048・中川董治
○政府委員(中川董治君) ただいまの点は、関係各省ともよく相談いたしまして、だんだん研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/48
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049・大沢雄一
○大沢雄一君 先ほど申し上げましたように、現在文部省あるいは青少年問題対策協議会でいろいろお骨折りはしておるのでありましようけれども、これによる弊害は非常に新聞等によって、三面等に日々報道される点から見ても、非常に看過しがたいほど多くなっておるんじゃないか。これは一面、この映画、ことにテレビ等の影響等もあると思うのでありまするけれども、事態は決していい方に進んおらない、非常に悪くなっておるように思いまするので、これは一つ関係各省の方でよく検討下さいまして、むしろ何らかの方法でこういうものの製造販売に規制を加えていく。やはり子供の点から考えてみますれば、やはり児童の発育期でありまするから、多少危険性のあるものとか、やはり興味を引くもの、こういうものを子供がほしがるということは、これは押えがたいと思う。従って、やはり根本は製造販売の方に規制を加えていくというところに重点を置いて考えていかなければ、実効はいつになっても上らない。放送法等も改正されまするこの際でありまするので、今警察の方からお答えがありましたように、ぜひ一つ至急にそういう点を検討して、何らかの実効のある対策を考えていただきたい。希望を申し上げて、私はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/49
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050・小柳牧衞
○小柳牧衞君 最近、民主警察の趣旨に沿って、警察と国民の関係が非常に親密になり、信頼が増したということを、いつか拝見いたしました報告によっても、数字的にも証明されておるようなわけでありまして、この点は非常に喜ばしい趨勢だと思うのでありまするが、しかし、なおときどき起りまする個々の事伴につきましては、必ずしもまだ満足することができないのでありまして、先般新潟県に起きました松ノ山の、制服巡査が市民を射殺したというような事件は、これは最も極端な例であると思いまするが、これにつきまして、責任者、関係者、いずれもみな相当懲戒を受けたということは、これはまあ当然なことだと思うのですが、しかし、まあ翻って考えてみまするというと、あえてこういうことを弁議する意味でもないですけれども、その責任者の責任は重大であるけれども、二面そういう事件が起きるということについては、もっと角度を変えて研究すべきものがあるんじゃないか、こう思うのであります。要するに、警察官と国民との間に何かそういうような不祥事件の起る根源が、まだ芟除されていないのだというようにも考えられるのでありまするが、こういう点につきまして、警察当局はどういうお考えを持っておりますか。また、これに対してどうするというような御意見がありまするならば、この際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/50
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051・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 警察の民主化と申しますか、現有の警察官が、国民のための警察として、国民に奉仕する警察でなければならぬという建前のもとに、全国の警察庁が絶えずこの精神に徹するように、日ごろ指導教養を加えて参っておるのでございまして、ただいまお話もありましたように、幸いにいたしまして、年々向上の跡が見られますことは、毎年私どもの方で内閣にお願いして世論調査をやつていただいております結果に徴してもそういうことがございまして、警察官が漸次民主化され、国民の信頼感を増し、親しみを持たれるという率が高まつておるということは、私どもも心から喜んでおる次第であります。しかし、まだ決して理想の城に達しているとは申しがたいのでありまして、今後とも、さらにこの点につきましては努力を積み重ねて参らなければならぬ、かように考えておるのでございます。全国数多い警察官の中に、ときたま非行を起して国民の非難を受けるような事例が、いまだに跡を断たないというような状況でもございますので、今後さらに一そう各警察官が、すべて職責の自覚に徹し、真に民主警察の理念を体得して、国民に奉仕する、信頼をされる警察官になるように、一そう努力精進して参らなければならぬと思っておるのでございまして、私どもも、またそういう立場から、第一線の警察官の指導教養には、一そう力を入れて参りたいと考えております。先般、新潟県に起りました不祥事案について特に御指摘がございましたが、この事件は、全くお話の通り、例外中の例外でございまして、こんなことが再びどこかでまた繰り返されるというようなことは、ゆめゆめないことと思っておりますが、新潟県の松之山村におきまして、若い駐在巡査が、村の方々を、拳銃によって、死者あるいは負傷者を出さしめるといったような結果になりましたことは、何と申しましても、申しわけのないことでございます。この事件の覆起りましたことにつきましては、現地の新潟県警察当局といたしましても、本部長はもとよりのこと、第一線の県下の警察官も、すべて深く反省をし、将来再びこんな間違いを起さないように最善を尽しておるのでございますが、私どももいろいろ報告を聞きまして、いろいろ考えさせられるところがあるのでございまして、たとえばいかにいなかの平穏な村であるとは申しましても、およそ駐在所の巡査というものは、これは社会的に非常に大事な立場に置かれておるということを考えなければならぬのでありまして、従って、駐在所に配置する巡査は、経験豊富な、人間的にも相生練れて、警察官としても相当の経験を積んでおる者ということが必須条件であろうと思うのでございます。問題を起しました警察官は、まだ二十二才という若年者であり、しかも独身者であったというところが一つの大きな問題であろうと思うのでありまして、私ども駐在所の巡査の配置につきましては、絶えずこの点に思いをいたしまして、独身者を駐在所に配置することは、警察としてそういう方針をとらない、必ず妻帯者、妻帯者であつても、家族と別居して、単身赴任するようなことであつては、これはまた独身者と全く同じことになりますから、そうしたことのないように、駐在巡査の配置に当つては、家族持ちであり、かつ、警察官としても相当経験年数を持つた者を配置するようにということをかねがね指導方針といたしておるのでございます。新潟県におきましても、現在の本部長が着任いたしましてから、この点につきましては、私どもの指導方針を体しまして、当持、県下に独身の警察官が駐在所に配置されておる所が十五カ所もあったのに思いをいたしまして、そうしたことを極力早期に解決するようにという通牒を県下の各署長に発しておったのでございます。各署長はそれに基きまして、漸次努力をいたしまして、解決をはかりつつあったのでございますが、不幸にしまして、まだ若干独身の警察官が駐在所に配置されておる所が二、三残っておりましたそのうちの一つであったのでございます。まことに不幸といえば不幸で、本部長のせっかくのそうした着意に基く努力、方針が、末端まで完全に浸透しないうちに、そうした不祥事案が本年の一月に発生をいたしたということでございまして、返す返すも残念なことでございますが、今後そうしたことのないように、これは新潟県のにがい体験でございますが、全国の各都道府県にも、その機会に、あらためて注意を喚起いたしまして、かねがねの方針通り、駐在の巡査の配置については、こうした点も十分念頭に置いて、適正なる配置を行うようにということを、私どもの方としては、重ねて注意をいたしたような次第でございます。今後そうした点につきましては、さらに一そう細心の注意を払い、第一線の本部長諸君の適切なる指導に基いて、こうした不祥事を絶対に再び起さないように、十分自粛自戒して参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/51
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052・小柳牧衞
○小柳牧衞君 警察官の教養コースの制度を拝見いたしますると、一面には、巡査で終る者、あるいはまた一面には、進んで指導者になるという者の教養については、ずいぶんよくやつておると思うのであります。で、おのおの希望を持たして、向上発展の道を常にはかつておるということは、非常に私はけつこうなことと思う。その上、かつてないいけ花、あるいは茶の湯というような、情操の教育に関するようなものもつけ加えて、制度としては、私は非常に完備しておるものと思うんですが、しかし、それでも何かもの足りないような感じをするのは、私はどうも警察精神と申しましょうか、そういうような一つのバック・ボーンとなるものがまだ十分に鍛えられていないんじゃないか。あえて古いことを申し上げるようでありまするけれども、旧憲法時代には、言葉は多少どうかと思いまするけれども、いわゆる陛下の警察という信念に徹しておったこともあるので、そういうように民主警察の精神が透徹しておらぬというところに、制度はりっぱであっても、十分にまだ警察官の誇りなり名誉を自覚して、自重するとか、自負心を持って世に処するという点において欠くるところがあるんじゃないかと思うんですが、警察官の教養について、こういうような面についての御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/52
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053・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 全く御説の通りでございまして、警察官の教養ということは、きわめて大切なことで、私どももそのゆえをもちまして、あらゆる附級の警察官に対しまして、あらゆる機会をとらえ、いろいろな方法を講じまして、教養は反復いたしておるのでございまして、その一々を申し上げるまでもなく、御承知でありましようから、詳細は省略さしていただきますが、すべての警察官が、絶えず日々の仕事を通じて、幹部から一般教養を受けるのみならず、機会を得て、順次交代で学校に入りまして学校教養を受ける、こういうふうにいたしておるのでございまして、警察官の職責の自覚、また、人間的な練成という点にも重きを置きましてもとより教育をいたしておるのでございまして、ただ単に警察官としての職業教育と申しますか、警察の実務に必要な実務的な学科に偏重した教育でなく、むしろ人間として、紳士たる警察官を作り上げる、そういう意味で、先ほどもちょっと御例示になりました情操教育といったようなことも加味いたしまして、教養をいたしておるような次第でございます。いまだ十分その教養が成果を上げないものも数多い中にはございますが、手前みそのようでございますが、年々この教養の効果も上って参っておるというふうに私は考えておるのでございまして、およそ教養というものはこれはきわめてじみな仕事であり、さよう教えたからといって翌日直ちに見違えるようにりっぱになるといったような即効的な教養の仕方というものはないのでございまして、結局は長い時間をかけ、じみに努力を積み重ねていって、長い目で見れは相当人間が錬成されたという結果が出てくるものと思うのでございます。そういう意味におきまして、今日までも努力を積み重ねて参りましたが、いまだに十分でない点もございますので、今後さらに引き続き、じみちな努力を積み重ねて参りまして、御期待に沿うようなりっぱな警察官に仕上げて参りたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/53
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054・小柳牧衞
○小柳牧衞君 警察のいろいろな方面の教養ももちろんありますが、最近科学を取り入れて、ことに犯舞の捜査等に十分科学的にやるということは非常にけっこうなことであつて、さらに一そう科学的の方法で指導することがもちろんこれは第一に必要だしと思うのですが、さればといって、またこの科学なり、物的施設等を使うものは人間であり、心の働きであるということを考えますると、従来よく言われた警察眼であるとか、警察官の勘というようなものもおろそかにしてはいけないのじゃないかという気もするのです。あまり科学的のことのみおぶさるということになりますると、自然人の働きの敏活を欠くというようなおそれがあるのじゃないか、最近都下を驚かした矢野の事件のごとき、いろいろ理由もありましようけれども、大よそ平凡な捜査上の常識からいたしまするというと、いかにもどうも警察勘といいますか、勘が働かなかったというような感じがされるのであります。これはただ偶然に起った一事件かもしれませんが、もしも不幸にして私どもの想像するがごとく、ただ科学の物的施設のみたよるというような精神がだんだん高まりまして、本来の心の働きをおろそかにするというようなことであったとするならば、これは決して喜ぶべきことでないと思うのですが、この点についての御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/54
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055・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 捜査に当る警察官といたしまして、今日最も大切なことは、目的を達すると申しますか、犯人を割り出し、検挙するに急なるのあまり、いわゆる人権の尊重を忘れて人権を侵犯するようなことがあつてはならぬ、従って、そのためには捜査のあり方といたしましては、どこまでも人権尊重の理念に徹しつつ、科学的、合理的な理詰めの捜査でなければならぬということを私ども日ごろ第一線の諸君に要望いたしておるのでございますが、かつての警察の捜査のあり方、いわゆる見込み捜査、多年事件を数多く手がけてきた刑事諸君が非常に勘が働く、その勘によって捜査に着手して、大体これが黒である、犯人であるとおよそ見当をつけたものはほとんど狂いがないということをもって、いわゆる名人芸と申しますか、そういったことを誇りとしておったというような傾向が確かにあったのでございますが、今日のこの民主主義下の国家社会におきましては、先ほど申しました通り、どこまでも人権を尊重しつつ、およそ犯罪ありと思量する場合に、その真実発見のために科学的、合理的に捜査を進めていって真実をつかむという行き方をやはり基本とすべきものであると、かように私は考えておるのでございます。その間に多年の経験による、いわゆる直感というものが役立つことも、これはもとよりございますので、そうしたものをあわせて考えてしかるべきではありましようけれども、基本としましては、どこまでも人権尊重の理念に立つた科学的、合理的な、理詰な納得のいく捜査、こういうものでなければならぬ、かように私は考えまして、第一線の諸君には、そういう意味におきまして、いわゆる捜査の合理化、適正化ということをたえず強調いたしているのでございまして、御例示になりました、先般の刑事が拳銃によって射殺されました、その犯人矢野某の逮捕に数日手間取つたということは、確かに捜査陣といたしましては面目次第もないことでございまして、これは警視庁におきましても、当時の状況を詳細に目下調査をいたしまして、どこに欠陥があったかということについては、将来の反省の資料とすべく、鋭意反省をいたしているのでございます。詳しいことを聞いておりませんから、今ここであの事件について、どこにどういう欠陥があったかということを申し上げることは差し控えたいと思いますが、当時の状況としてあるいは万やむを得なかった面もあるのではないかという気もいたしますが、何にいたしましても、ああした犯人を数日間逮捕し得なかったために、都民の方々に不安な数日を過させたということは、何といたしましても、捜査陣としては黒星であったことは間違いないことでございますが、今後どこにどういう欠陥があったかということは調査の結果に待ちまして、十分貴重な反省材料としたいと考ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/55
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056・小柳牧衞
○小柳牧衞君 あるいは私の質問が御理解なかったかと思うんですが、私は決して科学内のこと、あるいは合理的なことをおろそかにしてもいいという意味じゃなくして、これは一そうよくやらなければならぬが、しかし、科学的のことをやるにしても、合理的のことをやるにしても、やはり一つの人の心の働きである以上は、その心の働きを敏感ならしむるということが必要であって、従って、往々言われる警察眼とか、あるいは警察の勘というようなことも決してこれをどうでもいいというふうに見るべきものではなく、科学なり、合理的のことを十分に価値を発揮するにはそういうような方面の教養も必要じゃないか、また、現在どんなふうにお考えになっているか、こういうことをお尋ねしたわけなんで、専門の方でもよろしゅうございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/56
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057・中川董治
○政府委員(中川董治君) 長官のお答えと結論において一緒なんですけれども、違つた面でお答えいたします。人間は考える動物ですから、こういうふうな勘といいますかね、考えということは大へん重要だと考えます。考えということについてひらめきがなくちやならぬ。ただひらめきだけに依存すると失敗するので、そのひらめきと、それに即応する理論的、合理的なもののバック・アップによってやっていく、こういうふうに考えているのであります。長官が申された意味もその意味でございまして、そのひらめきを中心にして、そのひらめきをだんだん合理的にもっていって犯人逮捕に到達していく、こういうことに相なろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/57
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058・小柳牧衞
○小柳牧衞君 そのひらめきを教養の面から見たらどんなふうに日常取り扱つているのか、そういうような訓練といいますか、そういう点をちょっとお尋ねしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/58
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059・中川董治
○政府委員(中川董治君) 教養の方法といたしましては、いろいろな物的な段取りに従つた捜査もやりますけれども、ひらめきというものはお互いの捜査員の相互啓発がやはりエレベートする方法だと思います。私ども現場におきましても、いろいろなものを心証、物証による合理的な捜査を進めていくわけですけれども、その基盤はやはりひらめきでございますので、そういった点を一ぺんにエレベートはできませんので、その方法としては、関係職員の相互啓発でやる、事件が一段落したときに検討会をやると、甲の捜査員と乙の捜査員が議論をする。そこに捜査課長が議長になっておっていろいろとリードしていくと、私どもも出てそれをじっと見ているわけでありますが、そういうふうにしてひらめきをエレベートしながら、それに即応して合理的にやっていくと、それで、結局合理的捜査というのはひらめきを中心として、そのひらめきを合理化していくと、その合理化する段階においてひらめきが間違ておったらだんだん直していく、こういうことに相なろうかと思うのであります。
それで、お答えといたしましては、総合啓発によって問題をエレベートして参りたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/59
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060・小柳牧衞
○小柳牧衞君 婦人警察官の問題について御所見を承わりたいと思うのですが、婦人が警察官として適当であるかどうかということは相当議論もあったと思うのです。いわゆる良妻賢母主義に教えられた婦人は、果してそういうような職にたえ得るかどうかというようなこともだいぶ研究されたことと思うのですが、婦人警察官の制度が設けられて以来、その後の成績を見まするというと、どうも所期の目的を達し得なかったんじゃないかというようなことも考えられるのでありますが、これらについて、ごく大体のことを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/60
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061・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 戦後、婦人警察官が警視庁初め大府県において若干名採用されまして、ある程度の経験を積んだわけでございますが、今日正確な数字は覚えておりませんが、私の記憶では警視庁初め全国で約十五府県くらいに婦人警察官が現に勤務しておるというふうに承知をいたしております。数字的には三百七十名くらいであったと記憶いたしておりますが、その大半はもとより警視庁でございます。婦人警察官にはいろいろな仕事をしていただいておるわけですが、やはり婦人の特性にかんがみて、男の警察官よりも婦人の警察官の方がより効果的であるような仕事を担当してもらっておるようでございます。たとえば、婦人の被疑者が留置された場合等のこれの臨視、その他の仕事に当るということはもちろんのこと、先ほどいろいろ話題になりました少年の非行防止のための少年補導、こういったものには母親的な、あるいはねえさんとしての気持で接することが非常に効果を上げる場合が多いようでございますので、そういった方面の仕事を担当していただいておるというようなのが全国的な傾向として言えるのではないかと思うのでございますが、中には警視庁等では男の刑事と同じようにすり係の刑事等をやつていただいて相当な成果を上げておる婦人警察官もあるのであります。婦人警察官は、その体質、あるいは婦人独特の性格といいますか、そういう点から男子の警察官と比較して適当でない仕事もありましようけれども、今申し上げましたような、むしろ婦人警察官の活躍に待つた方がより効果的であるという面も確かにあるのでございます。そういう意味で、先ほど申しましたように、全国で数は少数でございますけれども、それぞれに相当な活躍をしていただいておるのでございます。特に本年四月から全面的に施行になります売春防止法の関係の取締り等に当りましても、やはり婦人警察官の活躍を期待される面があるのではないかと、私どもかように考えておるのでございます。しかし、何と申しましても、男子と違いまして、昼夜を通じての過激な勤務というようなことにはやはり適しないというようなこともある関係上、小さい県等におきましては、婦人警察官に期待する面があつても、婦人警察官を採用することはちゅうちょしなければならぬというような制約を受けておる状況もあるようでございます。今後各府県のそれぞれの実情に即しまして、定員その他の関係で許されるところにおいては、婦人警察官をあくまでも活用していくということが考えられるのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/61
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062・小柳牧衞
○小柳牧衞君 婦人警察官の問題は、相当多方面にわたる問題を含んでおると思うのですが、まあ今お話のように、婦人としてのまあ肉体的の特徴もありましようし、また、社会的の立場においての関係等もありますので、一がいに男子と同じように見るということはできないと思うのですが。が、しかし、最近犯罪その他が非常に多方面に非常に複雑になってきたというような場合には、今お話のように、青少年の犯罪、そういう者の補導というようなことについては、また、一つの婦人警察官の働く場も広くなつたというように思われますし、ことにまた、婦人に対する教養が従来と非常に変つてきているので、最近の婦人は従来の婦人とはだいぶ自主的の精神においても違うし、自己の責任において物事を処理するというような点においては非常に進歩してきておると思われますので、そういうような犯罪その他の時代の変化なり、婦人それ自体の教養の変化というように考えまするならば、この際、婦人警察官の問題はさらに一段と検討して、もしそういうようなことが十分に利用する道があるというならば、この問題はもっと大きく取り上げて御研究いただきたいと思うのでありまするが、まあこれは一つの希望であります。
次に、私はこの警察に対する犯罪というような、先ほど申し上げました警察官が犯罪者であるというのじゃなく、警察が被害者であるというような面についてお尋ねいたしたいと思うのですが、これも先ほど申しましたように、警察に対する信頼感とか、あるいはまた、満足感というようなことはだいぶんよくなっておるものと思いまするけれども、一面まあ巡査派出所なりあるいは交番を襲撃するというようなこと、これはまあ別問題、ほとんど問題外の問題でありますけれども、警察官というものをねらって、そうして害を与えるというような傾向が最近どうなっておりまするか。新聞、雑誌等によって想像しますると、そういうのが相当多くなっておるのじゃないかというような気がしまするが、趨勢はどういうふうになっておりますか。もし統計等ありましたら、警察及び警察官の被害というような点をお示し願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/62
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063・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 警察官の受傷者は遺憾ながら若干ふえておるという傾向のもとにあると思います。今手元に数字を持ち合せておりませんので、統計的な数字はまた後はど説明いたしたいと思っておりますが、警察官が襲われるものにいろいろな場合があるのでございますが、取締りを受けた者が警察官に恨みを持って報復の意味において警察官のすきを見てこれに刃向つてくると申しますか、危害を加えるような挙に出るという場合もありますし、最近持に憂慮しなければならぬ点は、警察官の携帯している拳銃ほしさに警察官をやる、まあたとえば交番に道を聞くような格好をして入って参りまして、警察官が地図その他を見て教えようとしているその虚に乗じて、拳銃を奪取しようと試みる、あるいはたまたま警らに出ておる派出所の警察官のいないすきを見て、休憩している者の拳銃を盗み出そうとするとかといったような事例もあるのでございます。これは結局拳銃を盗んでそれを犯罪の用に供しようということにもなりますので、これはきわめて憂慮しなければならぬ傾向であろうかと思うのでございます。数はわずかではございますけれども、そうした一つの新しい傾向があるということがうかがえるのでございます。いずれにいたしましても、警察官はそうしたねらわれる立場にあることをも考えまして、絶えずそうしたことに対する警戒心を怠ることのないように十分配意方、注意を喚起いたしておるのでございますが、また、そうした場合に、かりに取っ組み合いをしてもこれに負けることなく、どこまでも相手を制圧し得るように、心身ともに平素から鍛練をしており、こうした事態に対処するという心がまえも必要でございますので、そうした指導教養も十分やつて参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/63
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064・小柳牧衞
○小柳牧衞君 警察官に害を加えるということか、今お示しのように拳銃をほしいというようなきわめて簡単なことであつても、これを警察全体から見ますというと、非常にこれは重大なことであつて、また、国民が警察に信頼する、いわゆる信頼感というものもまたそこに侵されるというように感ぜられるのでありまするが、そういうようないろいろの原因を研究されまして、警察官があくまでも取締りはするが、国民から恨まれるとかねらわれるとかいうことのないように、また、国民大衆は警察の職責に対して敬意を表する、こういうようないろいろの面からこの問題を研究して、そうして民主警察の本旨に沿うようにしなければならぬと思うのですが、結局のところ、先ほど申しました一方においては、警察官の警察精神というものが徹底することが必要であると同時に、一面には、国民がいわゆる順法精神を徹底するというようなことに帰着するのだと思うのですが、これはきわめて抽象的な話でありまするが、要するに、警察官がねらわれないようにし、ますます国民の信頼を受けるようにすることについて、何か御構想がありましたら承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/64
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065・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 結局は警察の仕事がどういうものであるかということを国民の皆さんに十分認識をしていただき、警察官の職責、使命が何であるかということを十分御理解いただきまして、警察の仕事に協力していただく、こういうことになればまことに仕合せと考えるのでございます。現実には大多数の善良なる国民の方々はそうした御理解、御認識をもって、いつも警察の仕事に御協力をいただいておるのでございますが、例外的に警察の仕事に御理解もなく、また、警察に非常に反抗的なと申しますか、そういった気持を持っておられる国民も少数あります関係上、先ほど来申し上げますような警察官に対する不祥事故も折々発生するのではないか、かように考えるのでございます。従いまして、私どもといたしましては、警察のあり方、警察の活動というものを広く国民の皆さんに認識、理解していただくように、広報活動に大いに努めて参りたい、かように考えておるのでございます。同時にまた、警察官は真に国民に信頼され、期待されるように、また、協力をしていただけるように、警察の日常の執行がそういうふうな方向に具現されなければならぬと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/65
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066・小柳牧衞
○小柳牧衞君 警察官に対する犯罪がだんだん多くなってくることは非常に大きな問題であり、憂うべき趨勢だと思うのですが、この原困については、十分に一つ御研究になって、よって来たるところを考え、その道をふさぐようにしていかなければ、民主警察の前途きわめて遼遠だと言ってよろしいと思うのであります。要するに、私はいろいろの御報告によりまして、警察と国民との関係はだんだんよくなっておるということは、数字的にも証明されておるようでありますが、それであつて、なおかっこういうふうな警察官の犯罪なり、警察官に対する犯罪なりが決してまだ跡を絶たぬということはこれは容易ならぬ問題であり、これを徹底的に是正するとか、またよくするということは容易でないとしても、何かもっと大きな指導精神によって教養を高めるなり、国民に訴えるなりすることが必要じゃないか。よく新聞等において、警察官の善行美事が逸話的に伝えられておる。これは私は悪いとは言わない、けっこうなんです。しかし、そういうようなことは大きな目から見ますというと、きわめて特殊な場合であって、全体としてはもっともっと大きな旗じるしのもとに警察精神を涵養するとかあるいは警察官に対する信頼なり尊敬の念を国民に盛り上らせるというようなことを警察としては十分にお考えになって、それぞれ適切なる方途を講じ、また、関係の役所にも連絡をとって、国民的の一つの世論としてこれを実行に移されることがきわめて望ましいことと思うのですが、自分の希望を述べて、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/66
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067・鈴木壽
○鈴木壽君 青少年問題協議会のことにつきましてお尋ねしたいと思うのですが、これは会長は官房長官でございましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/67
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068・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 昨年八月機構改革がありまして、今松総理府総務長官が会長になっております。総理府所管であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/68
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069・鈴木壽
○鈴木壽君 あるいは今松さんが来ていただけば一番いいのだと思いますが、この機会ですから一つお尋ねしておきたいと思います。法的には、地方の協議会は府県団体のその段階までだと思ったのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/69
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070・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 地方の青少年問題協議会におきましては、都道府県と市町村までは任意設置になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/70
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071・鈴木壽
○鈴木壽君 都道府県も任意設置であったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/71
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072・河上邦治
○説明員(河上邦治君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/72
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073・鈴木壽
○鈴木壽君 そこで問題は、特に府県の段階までは今できておるようでございます。ただ市町村の問題でございますが、任意設置である関係上、私の知る限りでは、狭い見聞でございますけれども、設置されておるところはほとんどないというようなことが言えるのではないかと思うのですが、私は問題はここにあると思うのです。いろいろ協議会におきまして取り上げられる問題は大事な問題であり、ぜひともそれが解決を要すると思われるような問題が取り上げられるわけでございますが、県とか、あるいは中央でこのような協議会等において取り扱われる問題は、今言うように、確かに重要性はあるけれども、地方の実情に必ずしもマッチした取り扱い方がなされないという一つの欠陥があるんじゃないか、たとえば私も実は一年ちょっとばかり地方の県の段階の協議会の副会長というものをやらされた。取り上げる問題は、県内からたくさんの人が集まつてやりますが、ヒロポン対策とか、映画とか、不良読みもの、こういうものが当時は中心になっておった。これは今言ったように、いずれも重要な問題でございますが、地方へ行きますと、映画も見たことがない子供、ヒロポンとは何か、これは地方の子供だけじゃない、おとなだって知らない。不良出版物といっても、これは多少の漫画本とか、雑誌くらいは入っていっているかもしらんけれども、そういうことに日常接しておらぬ子供がたくさんあるということを考えなければいかぬのですが、そうしますと、何かうわずった、地方の実情から離れた、これは大事な、共通問題と言えば、それまででございますけれども、そういう何か高いところにばかり問題の焦点がしぼられて考えられていく、こういうところに私一つの大きな問題があろうと思うのです。そこで私は、かりに法律上では任意設置でもよろしゅうございますから、少くとも市町村の段階まで、これが設置されるような仕組みになって、その土地々々におきますところのいろいろな問題をはっきり把握して、その対策を考えていく、こういう性格の協議会にならないと、何か中央にはりっぱなものがあって、お偉い人たちがこの問題に対する熱心な討議、研究をなさつておるけれども、しかし地方によっては、今言ったようなことで、いわば、どこかの対岸の何か催しものみたような感じしか受け取り方がないんじゃないかと、こう思うのでありますが、少し長くなりましたようなので恐縮ですが、そういうことに対して、どのようにお考えになっておられるのか、この点をまずお聞きしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/73
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074・河上邦治
○説明員(河上邦治君) ただいまの御指摘は、われわれ絶えず注意いたしておるところでございまして、現在、地方青少年問題協議会の設置状況は非常によくなりまして、都道府県四十六はもちろんでございまして、市が二百八十五、三月一日の調査でございます。それから町村が九百四十六置いております。従って市町村の合計が千二百三十一でございまして、市町村の総数に比較いたしまして約三五%設置いたしております。このほか十六郡、東京の三島には青少年問題協議会が設置された状況でございます。
それから協議会倒れになるという御指摘は、われわれも非常に留意しなければならぬ問題でございまして、この問題につきましては、先月の二十七、八日の両日におきまして、全国の地方の青少年問題協議会と中央の青少年問題協議会で全国会議をいたしました。そのときにも、今、先生のおっしゃいました都道府県の末端まで、ぜひこの協議会を置いてくれ、これを任意設置でなくて必置にするようにという要望も出されておりました。最近、青少年問題等が社会の関心を集めまして、非常に活発にやつている県もございます、山梨県のごときは、少年相談員を一千人近く置きまして、末端にまで対策本部を設けて相当の活動もいたしておるように聞いております。よく先生の御注意をお伺いいたしまして、われわれも今後ますますこの問題につきまして努力いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/74
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075・鈴木壽
○鈴木壽君 市町村の段階まで置き得るようにしなければならぬということについて御同意を得たようでございますが、これについては、私、法的に必置制にするというようなことも考えられると思います。あるいはまた法的には任意の設置でいいとしても、やっぱりこれは、置くからには経費が要りますから、経費の面で何かめんどうを見てやるというようなことも考えなければならぬじゃないかと、こういうふうに考えられる。私きわめて最近のことは存じませんが、私の関係しておった当時、この運営費が少いために、年に一ぺんか二へんの会合がある、ときにはブロックの会議がある、協議会があるというような程度でございまして、先ほど私が申し上げましたように、ほんとうに地方にとつての切実な問題であるところのその問題の解決のためには、会合の回数も少ければ、十分協議したり検討したりするそういう機会も少い、こういうことがあるわけなんです。私は経費の問題、先ほどいただきました資料から見ましても、去年よりもことしは約四百万円ばかり減つておる、まあこういうような状態で、何も金をかけたから、必ずしもそれのみによって効果が上るという問題では、もちろんないと思いますけれども、しかし、ある程度の経費の裏づけというものは、私どうしてもなければならぬと思うわけです。法において任意設置であり、経費の面でも何ら見てもらえないとすれば、これはどこの町村だって、そんなにこの問題に対して、必要性はあるいは感じても、足踏みするのじゃないかということが当然予想せられることなんで、経費の面と法の面に、両方から私は市町村における協議会帆の設置、しかも、それが効果的に運営されるようなことを考えて行かなければならぬのじゃないかと思うのですが、この点についてのお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/75
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076・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 御指摘のように、経費は、そこへ差し上げております資料のように、都道府県に対しましてのみ補助金を出しておるわけでございますが、これは青少年問題協議会設置法九条の規定で出しておるわけでございますが、本年は約二割ばかり削減されておるような現状で、はなはだ遺憾に存じておるわけでございます。なお、市町村の協議会に対しましても運営費の補助金を出してくれ、こういう要望がございますので、近々、中央協議会等も開かれますので、これに対しまして、よく先生の御意図も伝えまして、なお、参議院からは荒木先生と横山先生が御出席になっておりますので、いろいろ先生方の御助力もいただきたいと存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/76
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077・鈴木壽
○鈴木壽君 それから問題の取り上げ方でございますが、先ほどもちょっと私触れましたのですが、地方の県の段階におきますところの協議会におきまして、もっと私地方の土地々々における問題を十分検討して、その対策を立てるような、そういう会の運営が考えられなきゃならぬ、こう思うわけなんです。で、大体中央に対して、たとえば金を出せとか、あるいは覚醒剤の問題について、こういう対策を立てろとか、あるいは映画の問題、あるいは不良出版物の問題等に対しての要望はたくさん出ます。出ますが、先ほど私申しましたように、そういうこととは無関係、全然無関係とは言えないにしても、いわば問題にしなくてもいいようなところがたくさんあるような現実なのでございます。ところが、そういうところは一体どういうことが問題になっておるかというと、子供の長欠の問題、これはしかし単に学校だけと言えばそれまでですが、長欠からくる子供の非行ですね、集団的にいろいろなことをやつておる。まあ窃盗みたようなこと、あるいはいろいろなことがあるのです。中には性的な非行までも、これは半ば公然どまでも、言わなくてもやつておる事例が幾つもあるんですよ。そういう問題をどう取り上げて、どう解決されるかというようなことについて、何らの具体的な問題の取り上げ方をしておらないのです。これは今後の協議会の進め方だと思うのですが、出席する人を見ますと、大体お役所の人が三分の一くらい、福祉関係とか、いろいろな県庁のそういうような関係の人とか、あるいは警察関係の方もいます。それから地方の有識者と言いますか、あるいはこの問題について関心を持っておられる方がなっておられるわけですが、これは悪口言うのじゃないが、そういう方々が、ほんとうに現場でどうなっておるかというようなことについて、あまりはっきりしたつかみ方をしておらないのじゃないかと思われる人が出てきて、これはおっしやることはりっぱです。問題の取り上げ方も、大事な問題をもちろん取り上げておりますが、地域にほんとうに必要で、今対策を立てなければならぬというような問題については、むしろ見のがしがちだという、こういう一つの私は欠陥を今露呈しておるのじゃないかと思うのです。現に私、自分の関係しておる間にそういうことを感じましたのですが、そういう点からして、今後の地方におきますところの青少年問題協議会におきますところの運営の仕方については、十分一つこれはあなた方からよく御指導願つて ほんとうに効果のあるようなことにしていただきたいということが一つ。それから今一つは、まあいろいろ中央の方に持ってこられまして、中央協議会におきまして結論を出されて、答申とか、意見や具申も出されます、要望もなされるでございましょう。一体これがどの程度の力を持って、要望したこと、あるいは答申したことが実現されておるかということ、これは私はまた問題があろうと思います。単に答申し、あるいは意見を具申し、要望しただけで問題が解決されるならば、もう戦後十年もたつていますから、とっくに青少年の問題は片がついておらなければいけないと思うのですが、取り上げた問題はたくさんあり、各省庁にいろいろ要望なすつておるでしょうが、それがほんとうに具体的の姿として、いわゆる対策として出てきておらないというのが実情じゃないだろうか、ここに私は中央の協議会の根本的の問題があろうと思います。私は協議会ですから、単に話し合いをして、協議をして結論を出せばいい、答申をすればいいという、それだけであるとするならば、こんな機関は不要だと思います。私は多少、協議会というそういう普通のものの考え方の範囲から出ても、やっぱり青少年問題の解決のための一つの現在におきますところの一番強力な機関だと私は思いますから、そういう意味におきまして、自分たちの答申したこと、あるいは意見を出した事柄が各省庁の施策の中に十分盛られてくるような、そういう一つの機能を果してもらわなければならぬのじゃないだろうか。たとえば定時制の高等学校の問題がしょっちゅう取り上げられております。これはいなかに行けば一番大きな問題の一つでございます。ところが、一体そういうことをあなた方は、あなた方と言うと変でございますが、地方の協議会において問題になって、答申というような形で持って行かれましても、一体、現在までの定時制の教育に対して、どのくらい前進を示しておるかというようなことになりますと、私はこれは少し極端の言い方でございますけれども、ないと言わなければいけないのじゃなかろうか、むしろ、かえって現実では定時制教育というものが、だんだんどっかに置き忘れられて行くような姿になっているのじゃないか、こういうことを私強く考えますので、地方の協議会におきますところの問題の取り上げ方、それが一つと、それから中央におきますところのこの協議会の持つ性格、あるいは私の言ったことが設置の精神なり、趣旨なりから多少ずれるかもしれませんが、もっと私は親身になって、この問題に取り組む以上は、具体的に効果的な一つの対策が生まれるような、そういう強いものでなければならないと思いますが、そういうことにつきまして一つお考えをお聞きしておきたいと思うのです。もしあなたで、まあお答えのできない部面がございましたら、あとで私、今松さんからでも機会を見て、来ていただきたいと思いますが、まあ一つお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/77
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078・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 第一の地方協議会の問題の取り上げ方でございますが、これにつきましては、中央では一応こういう意見、具申等についての方針を流し、同時に、全国大会等におきましては、その年間の運動目標等を示しておりますけれども、これはどこまでも地方を規制するものではございません。たとえば東京都のごときは、不就学長欠児童対策というものを東京都の青少年協議会では取り上げております。それぞれ独自の運動をやるように、その地方の実情に合うようにやるようにという指導をいたしておりますけれども、ただいま先生のおっしやるようなことがあるのは、はなはだ遺憾でございます。
それから第二点の、中央協議会の問題でございますが、これは各種協議会が現在相当数でございますけれども、その中に各行政機関等の連絡調整という機能を持っているのは、この協議会だけでございまして、この問題が果して適切かどうかということに問題があると思いますが、一応、法律的にも連絡調整の機能を持っている。従って、ただ協議会倒れという面よりは、相当もう少し積極的な面があるように承知いたしております。たとえば定時制の問題等につきましても、これは取り上げたのでございますが、勤労青少年教育に関しまして、働く青少年の教育保護対策として取り上げまして、その後、文部省におきましても努力いたしまして、また、わずかではございますが、夜間高校の給食施設が三十一年にはできて参りますし、定時制高校の設備費も、三十二年度よりは三十三年度が約四百万円ばかりふえております。なお、地方自治団体等におきまして定時制高校の寄付金の抑制の問題が出て参りました。そのときにも自治庁に連絡いたしまして、三十二年の十二月十七日付で、自治庁から寄付金の承認の哲定措置という通牒を出してもらって緩和措置をとったのでございます。不十分でございますけれども、本協議会といたしましても努力いたしているわけでございます。なお、一番効果のありましたのは覚醒剤対策でございます。厚生省に覚醒剤対策本部が設置されまして、三十年、三十一年、三十二年の三カ年におきまして、覚醒剤から犯罪を犯す青少年は、ほとんどなくなったというような数字も出ております。せっかくわれわれも平素から熱意をもちまして、それに当つておりますので、その点を一つお認め願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/78
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079・鈴木壽
○鈴木壽君 あなた方に熱意がないとか、何とかということではないのです。これは私は少し言い方が極端で、くそみそに言ったかもしれませんが、意図はそういうつもりじゃないのです。ただ一つ、今お述べになりました定時制の問題にしろ、ヒロポン対策の問題にしろ、多少の効果はあっただろうと思います。しかし事実、地方に行って、農山村に行って見た場合、定時制のあり方というものは、これは四百万円、五百万円の設備費が計上される、されないの問題でなく、非常に困る事態になっております。私はそういうことを実は申し上げたのです。そこで、これは文部省なり、あるいは厚生省なり、その他関係省庁があって、その連絡統制と言いますか、そういうような必要あって総理府に置かれたと思います。その限りにおいては、置く場所は私は適当と思いますが、ただ一つ、これは私、人に文句をつける意味では毛頭ございませんが、一番忙しい、かつては官房長官、今度は総務長官、そういう方々が責任者になって、果してどの程度忙しい方々がこの問題について親身を入れてやつていただけるかというと、私はなかなかむずかしいのではないかと思います。そういうところを実は申し上げたいのですが、これはあるいは差しさわりがあろうかと思いますのでやめますが、ともかくこの動き方につきましては、単なる意見を出したり、答申をしたり、要望をしたりするのでなしに、それが一体どこまで実況されているかどうか確かめて、てこ入れをする、こういう性格を持っていいじゃないか、それをしなければならぬじゃないか、しかし、そうすることが、さっきも言ったように、あるいは協議会の精神にちょっと沿わないことにもなるかもしれませんが、しかし問題の解決には、私はそこまでやはり踏み切ってやつていかなければいけないのではないかと思う。これは法的にはいろいろあるかもしれませんが、私はそこまで十分検討しておりませんが、それだけやはり動いていただかなければ、大事な青少年の問題、しかも緊急を要する問題が幾つもございますから、それの解決にはなかなかならないのではないかということを考えておりましたものですから申し上げたのです。いずれまた、あるいは長官に来ていただくというようなこともあるかもしれませんが、一つこういう意見があったということを、ぜひお伝えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/79
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080・河上邦治
○説明員(河上邦治君) 実はそれにつきまして、青少年問題協議会の職務を、私、総理府の審議室におりますが、審議室で処理されております。御承知の通り、審議室というのは非常に日々いろいろと問題かございまして、これに専心するというわけに参りません。このために事務局を、ちょうど社会保障制度審議会事務局というものがありますように、青少年問題協議会設置法の一部を改正いたしまして、これに事務局を置くという法律案を衆議院の方に先議で上程して提出しておりまして、本日、本会議で多分通過されるのじゃないかと思っております。いずれ来週から参議院の御審議になると思いますが、やはりこういう困難な問題でもありますので、多岐にわたる問題でありまするので、やはり専任の職員がおって、調査審議という面におきましても、十分に検討を加えて行かなければならぬ、また、そういう意味で事務局の法案を提出いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/80
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081・小林武治
○委員長(小林武治君) それでは、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01619580319/81
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