1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年三月二十五日(火曜日)
午前十一時四分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事
大沢 雄一君
小柳 牧衞君
加瀬 完君
鈴木 壽君
委員
伊能繁次郎君
伊能 芳雄君
西郷吉之助君
館 哲二君
成瀬 幡治君
衆議院議員
吉田 重延君
政府委員
自治政務次官 中島 茂喜君
自治庁財政局長 小林與三次君
大蔵政務次官 白井 勇君
大蔵省理財局長 正示啓次郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○公営企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/0
-
001・小林武治
○委員長(小林武治君) これより委員会を開きます。
本日は公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題に供します。
本案は去る十四日、衆議院において修正の上、参議院に送付されたものであります。よってこの際、まず衆議院の修正点について説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/1
-
002・吉田重延
○衆議院議員(吉田重延君) ただいま議題となりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正について、その修正の趣旨を御説明いたします。
昨年、公営企業金融公庫法を制定いたしました際、衆参両院の地方行政委員会においてそれぞれ数項目にわたって付帯決議がなされたのでございます。そのうち一般会計分の地方債は、全額政府資金をもって充てるべきであるという点は、明年度の地方債計画において実現を見ることとなったのであります。また、公庫の出資金の増額及び公庫債の発行限度額の引き上げの点については、その額は十分とはいえませんが、前者については五億円を増額、後者については十億円の引き上げが行われたのでございます。
次に、公庫において既発行公債の低利借りかえを行うべきであるという点と、最近の旧指定債の消化状況が芳ばしくないため、公庫においてこれら旧指定債の引き受けを行うべきであるという要望については、衆議院の委員会における本法律案審議の過程におきまして現在の公庫法の解釈から、これらの地方債で公営企業にかかるものを公庫が引き受けることが可能であるということに政府の意見も一致いたしました。これが委員会で明らかにその見解が発表されたのであります。
そこで、衆議院においては、両院の委員会の付帯決議のうち解決を見ない点で、地方団体からも、また公庫においても強くその実施を要望されている点について修正を加えることといたしたのであります。すなわち、公庫法第十九条の規定を修正し、公庫は、公営企業にかかる一時借入金の資金の貸付を行うことができるものとしたのであります。
公営企業を推進するためには、申すまでもなく長期資金の手当が中心でありますが、反面、年度間の支出に充てるための一時借入金の必要性も多いのであります。最近における地方団体の一時借入金の状況を見ますと、一般会計においてはその需要が減じておりますが、公営企業においては、その事業の伸長に伴い一時借入金の需要が増大して参っております。その傾向が今後ますます強くなるものと考えられます。その借り入れ状況を見ますと、七、八割を地方銀行等の一般民間資金に依存しており、借り入れ金利も、最高は府県におきましては日歩二銭四厘、市町村では実に日歩五銭という高利と相なっておるのでございます。
この一時借り入れ資金は公営企業の工事を促進するため、その他企業運転のため必要な資金でありまして現在は一部は政府資金の措置もなされておるのでございますが、政府資金だけでは事実上全部まかなわれていないのであります。現に公営企業の一時借入金の資金需要に対して昭和三十一年度は一五%、本年度は三四%を充足するにすぎないのであります。従って公営企業に対し、円滑、低利な資金の融通をはかるためには、公庫においてその資金状況の許す限り、政府資金に対する手当を補完する意味で、一時借入金の貸付を行うことができるようにすることが適当であります。また、かくすることによって、公営企業金融公庫は公営企業推進のための金融機関として、その本来の使命を達することができると思うのであります。これは、当委員会の付帯決議の趣旨を実現するゆえんでもあると存ぜられますので、どうか御審議の上、御賛成を願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/2
-
003・小林武治
○委員長(小林武治君) これより質疑に入るのでありますが、その前に、公庫の業務の現状について、便宜政府より説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/3
-
004・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 公営企業金融公庫の概況を説明申し上げます。
公庫は、御承知の通り、去年六月一日に設立されたのでございますが、発足の当時は、ちょうど金融引き締めの措置がとられました際でもありますし、公庫の運営につきまして果して金融機関の十分な協力が得られるかどうか、そういう点につきましても多少の不安がなしとせず、あるいはまた、公庫債の発行が、市場公募と縁故募集の二本建としておったのでございますが、それらの関係がうまくいくかどうか、そういうふうな点もいろいろ気にかかることがあったのでございますが、実際、店を開いてみますというと、いずれもきわめて円滑な運営を見ることができたのでございます。まず、問題の一つの金融引き締めの結果、公営企業債券の発行額をどうするか、こういう問題がありまして当委員会でもずいぶん議論になった問題でございますが、これはほかの公庫と全く性質が違いまして地方債として許可された公募債の消化を引き受けるだけの問題でございますので、公庫債の発行限度額に影響あるべき筋合いのものじゃないのでございまして、総額七十億、この限度は変えることなく、ただ、その内訳におきまして、市場公募が五十億の予定であったのを四十億にし、縁故募集が二十億の予定であったのを三十億にして、市場公募を縁故募集の割り振りだけを変えることにして進めることにいたしたのであります。
両方の消化ともにその後円滑に進んでおるのでございまして、特に、金融機関との関係におきましては、全国の金融機関が相協力をしてその引き受けに当ることになっております。公庫債の発行は、まことに順調な推移をたどってきておるのでございます。縁故募集につきましても、それぞれ府県、市町村の関係しております恩給組合とか、その他の、あるいは市町村職員の共済組合とか、そういった資金面の活用、それから、それぞれの地方団体おきまして、最近財政調整の積立金等がぼつぼつ設けられておるものもありまして、そういう積立金をもちまして公庫債を引き受ける、こういうようなこともございまして、幸いにして順調な推移をたどり、予定通りの消化を完全に終ることができたのでございます。
それから、実際の貸付の面におきましては、これは、公庫設立の本来の使命に考えまして、要するに市町村、府県が借金をするのに苦労するのを、全部苦労をなくして、最も迅速な手続で必要な貸付をやってやる、こういう建前をとっておりますので、この点からいいましても、公庫の方で、非常に少い人数でございますが、きわめて円滑に働いてもらっておりまして、全地方団体の公営企業のために、非常に感謝されておる状況でございます。
それで、大体三十二年度は、御承知の通り七十億でございますが、七十億の公庫債の発行は予定通り終りまして貸付の最終の段階のものが今少し残っておりますが、これも数日中に全部完了いたしまして、計画通りに貸付がおおむね終るものと考えておるのでございます。なお、債券の発行の条件は、御承知の通り、表面利率年七分、発行価額は、額面百円につき九十八円七十五銭、償還期限が七年で、応募者利回りが七分一厘一毛三糸、こういう数字になっておるのでございまして、この発行者利回りは、七分五厘二毛二糸というのでございます。
それで、公庫といたしまして、公共団体に貸す貸付の金利をどうするか、こういう問題が一つの問題点でございますが、これは、大蔵当局と円満な話がつきまして、七分六厘で貸付をやることに決定を見たのでございます。われわれといたしましては、もうできるだけコストを少くして、できましたら公庫債の発行価額そのままで地方公共団体に貸したいというくらいの気持がございまして公庫の方におかれましても、そういう経営上支障のない限りは、きわめて低利に貸すという基本的な考え方でやっておられるのでございます。できましたら、そういう考え方で、公庫の出資金なり、その他の財政的な基礎も固めたいというので、三十三年度予算の場合にいろいろ折衝したのでございますが、これは、十分話がわれわれの希望通りに参っておりませんが、明年度は、御承知の通り、出資金につきまして五億ふやし、それから公庫債の発行限度額を十億ふやしまして八十億、こういうことで三十三年度の仕事を進めて参りたい。
三十三年度の問題は、地方債の公募債の発行の総領の予定が、御承知のように百五十億ということになっております。そこで、公庫で引き受けるものが八十億、七十億が公共団体が自分で、自力でやるわけでございますが、この七十億が、大体従来のいわゆる旧指定債に当る大府県、大都市のものがあるのでございます。そういう旧指定債はそれぞれの団体が引き受け、その他は全部公庫で引き受ける。それですから、当委員会の御決議がありましたが、市町村を優先にやるようにという御指摘もございました。全市町村はもちろんのこと、普通の府県につきましても、少くとも公募に関する限りは、公庫で一手引受をすることが可能になるのでございまして、そういう意味で、公募債につきまして地方団体に苦労させるということは、明年度においては全然ない。こういう状況でございます。
ただ、問題が、旧指定債の扱いをどうするか、そういうものの消化が必ずしも今日円滑に行っておりませんので、これをどうするかという問題があったり、なお、過去の相当高利の公孫債がございまして、これを低利に借りかえてやった方が、公営企業のために非常にいいのでございますが、そうした問題が残されておりますけれども、これは今日、資金のワクが一応八十億ということにきまっておりますので、そのワク内で問題を考えるよりこれはしょうがないのでございます。いずれにいたしましても、公営企業のためになお問題はございますけれども、公庫としては、法律並びに予算できまった限度内においては、いわゆる百パーセントの活躍を願っておると見てよいのじゃないかと存じておるのでございます。
大体この貸付の対象の事業は、これは前に資料でお配りいたしたと思います。詳しいことは申し上げられません。あらゆる種類の公営企業につきまして都道府県市町村への貸付の団体数、貸付額などというものを一応資料でお配りいたしておりますので、それでごらんを願いたいと存ずるのでございます。
簡単でございますが、以上御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/4
-
005・小林武治
○委員長(小林武治君) 本案について、これより質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/5
-
006・加瀬完
○加瀬完君 大蔵省がいらっしておるようでありますから、この修正点について、大蔵省の御見解を先にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/6
-
007・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) それではただいま御説明、また議題となっております衆議院の委員会におきまして、政府提出案に対しまする修正の案がございまするので、これについて大蔵省でどう考えるかという御質問でございますが、これは大蔵省と申しますよりは、政府原案を出しました政府としての一応考え方を申し上げることになろうと思うのであります。
ただいま自治庁の財政局長からお話ございましたように、公庫は昨年度創設されまして以来、非常に順調な業務成績を上げておられることはお話の通りでございます。そこで三十三年度の予算の編成に当りまして政府部内におきましていろいろ相談をいたしました。もとより自治庁といたしましては、それぞれのお立場からいろいろお考えもあったのでございますが、再三折衝の結果、公庫につきましては、ただいまお話の通り新たに五億円出資をするということが第一点。それから第二といたしましては、業務の範囲は、三十三年度起債計画のうちの公営企業の公募債八十億、これを公庫において消化していただく、こういう建前で政府部内で話し合いを完全につけまして、閣議決定の後、国会に提案されましたことは御承知の通りでございます。その結果、法律案は、出資五億円を可能とするごとく政府において立案をいたしました。これを国会に御審議をはかったわけでございます。つきましては、まず第一に、政府としては、今回の三十三年度予算あるいは法律案の提出に当りまして、御修正のようなことを予想いたしておりません。これが第一に申し上ぐべきことかと存じます。
第二点といたしましては、昨年度におきましていろいろこの公庫を設立するに当りまして国会においても御審議がございました。また御議論もございましたことは、われわれも十分承知をいたしておるところであります。しかしながら、これらの点につきましては、地方財政の現状及び将来というふうな点につきまして、政府におきましても十分検討を加えておる次第でございます。まあいわば当面の要請というものと、遠い将来ということとあわせ考えましてそれぞれこの地方公共団体の必要といたしますところの資金をいかにして充足するかという点については、これは軽々に断ずべき事柄ではございませんことは、私からあらためて申し上げるまでもないと思うのであります。すなわち、たとえば、一般会計の歳出はどういう歳入をもって支弁すべきであるか、また公営企業についてどうであるかというふうな点については、それぞれ委員各位は権威を持っておられるわけでございまして、私からあらためて申し上げるまでもないと思います。公営企業の必要とする資金につきまして、どうしてもこういう低利で安定した資金の充足が困難なような団体につきまして、公営企業金融公庫が新たに設立されまして、それぞれの必要な団体について長期のさような資金を確保する、この考え方につきましては、政府としても全面的にこれをバック・アップしておる次第でございます。今お話のように前年——昨年におきましては、御承知のような国際収支の急激な悪化に対処いたしまして金融引き締め措置が講ぜられましたが、この公庫につきましては、お話のように、これを最優先的に考慮して参ったことも御指摘の通りでございます。つきましては、さような本来の使命を達成するべく必要な、さらにこれを拡充していくために必要な措置といたしまして、先ほど申し上げたようなことは、政府部内においても何ら考え方を異にしていないのであります。これに対しまして今回衆議院の委員会で御修正になりましたこの短期の貸付をする。これはいわゆる起債前貸しのための短期貸付は、公庫本来の業務といたしましてこれを法律においてお定めいただいておることは申し上げるまでもないのでございますが、そのほかに一般的な短期融資ということになりますと、これはいろいろと問題があると考えております。
すなわち、まず第一点は、お話にもございましたが、今日、公営企業の短期資金の需要は、まことに相当巨額のものがあるという点については、われわれもこれを承知いたしておりまして、従いまして政府におきましては、簡易保険及び資金運用部資金をもちまして、これが充足に努力をしております。その実績がまだ十分でないという御指摘もございましたが、数字でおあげになりましたように、漸次向上を見ておることも御指摘の通りでございます。これは名実ともに低利の資金でございまするし、しかもそれぞれの当局におきましては、当該団体の需要、これが償還力、あるいは財政、経理の状況等につきまして深甚な関心を払いながら、必要なときに必要な程度においてこの資金を供給するということに努めておる次第でございます。
端的に申し上げまして私どもの方は、ほんとうに必要な資金、また適当な資金ということになりますれば、これを供給する余力というものはまだあるわけでございましてたとえば簡易保険資金のごときは百億というふうな金を用意いたしておりまして、相当いわゆるサービス精神というふうな気持に徹しましてやっております。もとより、役所においてやることは、一方においては財政の健全化ということについての配慮もございまするので、なかなかいわゆる商売一点張りの貸付というふうには参りませんが、これはしかし、先ほど申し上げましたような、長い目で見ての財政の健全化というふうな点から申しますれば、ある意味において若干必要な面もあろうかと思います。そこでわれわれは、大きな方向といたしましては、ぜひとも低利なる財政資金をより豊富に、またより適時適切に疎通をはかることによりまして、公営企業の財政の需要を充足していくということが、大きな方向としてぜひともこれを推進して参らなければならぬというふうに考えておるということが第二点として申し上げなければならぬと思います。
さらに第三点として申しあげるべき点は、なるほど、今日さような政府資金はしかしながら十分でない証拠に、相当市中金融機関から短期の融資を受けておるじゃないかというお話でございますが、これはある意味におきましては、公共団体とこれらの金融機関との間に一種のビジネスの関係があるわけでございまして、団体において余裕のある場合には、これらの金融機関に預託をする、また団体において必要な場合には、これらの金融機関から融資を受けるという相関の関係になっておることは、私からあらためて申し上げるまでもないと思います。しかし、そういうようなことが、果してそのままやっていいかどうか、これまた長期にわたる財政の健全化という点から、私は必ずしも現状をそのまま是認するものじゃございません。これらの点については、常に遠い将来をおもんばかりながら、正しい方向にこれを改善していく余地は大いにあると心得ております。さような意味におきまして、先ほど申し上げましたように、政府資金の比率をさらに高めていく。さらに政府資金の供給のタイムリー、その他につきましても、一そうの工夫をしていく余地は大いにあるというふうに考えておるのでございます。これらの点につきましては、政府部内におきまして一そう緊密な連絡をはかりつつ、さらに合理化の線を進めて参りたい、かように考えておる次第であります。
第四点といたしまして今回の御修正につきまして、これは実は一方において公庫の機能といたしましてあるいは業務の能力といたしましては、短期の貸付ができるということを規定されたのでございますが、しからば、これを裏づけるところの資力、資金なりあるいは予算なりの措置がなされておるかと申しますと、先ほど最初に申し上げましたように、政府の部内におきまして、彼此検討の結果、最終的に五億の出資ということにいたしまして法律案を提案しております。また一方、公庫の予算というものも作られておることでございます。財政投融資計画というものも予算とともに国会に提出されておるわけでございます。これら一連の関係におきまして、法律と予算との関係が相互にそごのあるわけはございません。従いまして今回のような修正は、これを予想いたしませんから、資金的に予算的にその備えはございません。また公庫の法律にあるこの借入金等の規定に照らしましても、今回の短期貸付をいたすに必要なる借り入れをいたすような権能は公庫には認められておらないのでございます。これは、従いまして、一つの何と申しましょうか、一部を御修正になりましたが、さようなことが建前としてそもそもの当初から予想いたしておりませんだけに、きわめて、一つの表現をいたしますれば、変態的な形になっておると申し上げても過言ではないかと思うのでありまして本来、公庫をいかなるものとして育てていくかというふうな基本的な考え方から出発をいたしまして、今回のような御修正というものが、果して適当かどうか、十分御検討を賜わらなければならぬ問題ではないかと考えております。
第五点といたしまして、政府といたしましては、もとより国会が最高の機関として法律をお作りいただくことについては、これは何らわれわれとして、とやかく申し上げる筋合いではございませんが、国会法等の規定の精神から参りましても、今申し上げましたように、直接予算との関係については御議論があろうかと存じますが、広い意味におきまして、予算との関係のきわめて深い、また大きな今回のごとき御修正につきましては、地方公共団体の財政健全化という見地からばかりではなくて、より一そう大きな見地からも、これは国会と行政府が一体となって、十分に深甚なる備えをしてこれらの措置を講じて参らないことには、将来これが地方公共団体の行政のあり方、財政運営のあり方に対しましても、きわめて大きな影響を持つような重大な問題ではないか、われわれは深くこの点につきましては心痛をいたしておるような次第でございます。
以上、簡単でございますが、私どもの見解を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/7
-
008・加瀬完
○加瀬完君 提案者にお伺いいたしますが、今の大蔵省の御見解に対して、提案者の方はどのような御見解をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/8
-
009・吉田重延
○衆議院議員(吉田重延君) 実は提案者といたしましては、前国会で公庫法ができました当時、衆議院、参議院、両地方行政委員会で要望されました付帯決議の趣旨に沿いまして、かねてこのことについては十分な意見、希望なりを申し上げて参ったわけでございまして、予算的措置等につきましても、その範囲、運営は、なかなか困難な事情にあるというような大蔵省のお話ではございますが、私たちといたしましては、余裕のあるときにその一時借り入れを行うというようなことでございまして、余裕のないときは、全然その運営はいたさないということで出発をしていただく、多少にかかわらず、と。とにかく地方公共団体の一時借り入れ資金の融通のために、今回修正をした方が一番適当であるというような見解でいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/9
-
010・加瀬完
○加瀬完君 大蔵省が御指摘になりました第五点の、国会法の精神から見ても、広い意味で予算との関係のあるものは、国会と行政府が一体となって運営については考慮をしなければならない、そうでないと重大な問題が生ずるという意味の御発言があったわけでございますが、国会法で規定されておりますことは、今御指摘のように、広い意味で予算との関係ということでは、これは国会での議院の修正なり、あるいは議員立法なんというものは、行政府のために非常に制約されるということになるわけであります。そういう意味じゃないと思うのです。問題は、この修正案を、今御指摘のように、直接に予算に響きが強く出てくるか、あるいは予算には響きが全然ないとはいえなくとも、そうここで問題にするような大きな関係は起ってこないということなのか、焦点はそこだと思うのですよ。それはそう解してよろしいのですか。で、大蔵省は、この問題が予算の上で非常に大きな響きを生ずるおそれを抱いて御指摘になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/10
-
011・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) この点につきましては、私から一応、これはいろいろ考え方はあろうかと存じますが、きわめて神経質と申しますか、予算が非常に厳正に組まれていくという建前に立って申し上げますと、御承知のように、公庫の予算というものが、政府関係機関といたしまして国会に出されておるわけでございます。その公庫の予算の中におきまして、たとえば一定の事務量を予定いたしましてこの常用経費、たとえば通信費でございますとか消耗品費でございますとか、いろいろ事務費が予定されております。で、ただいま御説明がございましたように、たとえ余裕のある限りと申しましても、それはおそらく資金のことだけおっしゃっておると思うのでございますが、事務費等につきましては、一定の事務量を予定いたしまして組んでおりまするので、本来事務が減る限りはこれらの事務費は節約をされてしかるべきだというふうにも極端に申せば言えると思うのでございます。しかるにもかかわらず、資金の余裕があれば、一つのエキストラの仕事をやるということになればやはり予算を伴う、厳密な意味においてそう申し上げて差しつかえないのじゃなかろうか、こういうふうに考えるのであります。そこで、しかしながら、それについてはいろいろ御議論もございましょうと存じます。おそらく修正をされました側におきましては、今直接予算を出さなくてもいいのだから、予算を伴わないということだと存じますが、さて、こういう一つの機能が新しく設けられますと、今後はその機能を果しますために一定の資金が必要になってくるとか、あるいはその資金の裏づけがある限り、事務につきましてもふえていく。従ってその事務を遂行するための人員も必要となるというふうな意味におきましては、国会法に予算を伴うこととなると——その表現が私はきわめて微妙だと思うのでございますが、予算を伴うこととなるというふうな表現で書かれておりますことを思い合せますと、やや私はそれに近いような修正ではなかろうか、こういうふうなことも一つの解釈として言えるのじゃないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/11
-
012・加瀬完
○加瀬完君 その点、自治庁はどうお考えになりますか。新しい機能が与えられることは、当然新しい事務量が生ずるのだ、そうすれば当然事務量が多くなれば事務費もかさむと、そういう関係では予算を伴ってくるという因果関係が生まれてくると、こういう大蔵省の御見解ですがね、その点について自治庁ではどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/12
-
013・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これはまあ国会法の解釈の問題ですから、ちょっと役所が解釈するのもどうかという気がしますが、われわれの感じは、それは一切の行政は金に関係があるということになれば、関係がないということは私はないと思いますが、これは一時貸付でできるという権能を与えるわけでございまして、それによって別に予算に影響はない。これによって当然来年予算の増額が必然的になるかといえば必然的にならない。予算をふやすかふやさぬかは、別の問題で考慮されてしかるべきだ、こういうふうな感じがいたすのでございます。これは国会法解釈の問題ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/13
-
014・加瀬完
○加瀬完君 先ほどの提案者の御説明では、政府の意見が一致してこれを出されたということでございますので、この修正案が通るまでには、当然一致された政府の御意見が発表になっていると思うのですが、何かこの点、今大蔵省の御見解では、若干提案者の御説明とはかけ離れているようでございますが、この問題で政府が明確な御意見を御発表になっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/14
-
015・吉田重延
○衆議院議員(吉田重延君) 先ほど御説明申し上げたのでございますが、大体、前国会で衆議院、参議院において付帯決議をなされたものでございますが、そのうちで、一時借入金の件だけが政府の一致した御意見の発表がなかったわけでございましてこの点について実は修正をいたしまして御説明の中にもその通り申しあげたつもりでございましたけれども、少し言葉が足りなかったかもしれませんが、あらためてはっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/15
-
016・加瀬完
○加瀬完君 前に返りますが、そういうまあ何といいますか、法文の解釈とか、国会法の精神の考え方ということではなくして、今、具体的に大蔵省が心配しているのは、機能がふえれば事務量もふえる、そうすれば予算も当然かさむ、こういう考え方に立っておられるわけでありますが、自治庁の見たところでは、現在の公庫の運営からすれば、特別新しい一号が入って、一時借入金の機能がふえたところで、そう事務量がそれによって増大して、予算を伴うような事務量が増大するおそれがあるかどうか、そういう点をお話していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/16
-
017・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは私は、特別にそういう必要はないだろうと思っております。要するに公庫の今の活動の限度は、出資金の十億と公庫債の発行限度が八十億、その資金のこれは運用の問題でございまして、この一時貸付のために特別の資金を今度ふやしたわけでも何でもありません。要するに、その長期資金を運用する過程において資金にゆとりがある場合に、もし公共団体にそういう希望があれば、それを一時貸付に使う、こういうだけでございますので、公庫といたしましては、きわめて少い人数ではございますが、私は現状で運用することは十分にできる問題だと考えております。また、今の発行限度額をふやせば格別、そうでないのに、このために公庫の組織を、機構をどうこうする、そういう必要は私はないだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/17
-
018・小林武治
○委員長(小林武治君) 私から念のために伺っておきますが、今は大蔵省なり自治庁の意見を伺っておりますが、この修正について政府として意見を述べる機会を持つつもりであるか、その点お答え願いたいと思います。要するに、政府の意見を述べる機会を持つつもりであるか、その機会を持つつもりはないか、こういうことを伺っておけばいいです。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/18
-
019・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/19
-
020・中島茂喜
○政府委員(中島茂喜君) ただいまの委員長からのお尋ねでございますが、政府の方から積極的に意見を出すというようなことは、今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/20
-
021・加瀬完
○加瀬完君 おかしいじゃないですか。現に議員立法なり、議院の方での修正がされた場合は、当然政府としての見解はこの場で述べられるべきで、さっき提案者の御説明では、政府の意見が一致しているということを前提に御発表になったのです。今になって政府は見解を述べる意思がない。賛成なのか反対なのか、一体そんなあやふやな話はないと思います。政府は御賛成で意見が一致したということでないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/21
-
022・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/22
-
023・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/23
-
024・中島茂喜
○政府委員(中島茂喜君) ただいまの御答弁は非常にまずかったのでございますが、意見を求められますれば、私の方はそれに対する見解はお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/24
-
025・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/25
-
026・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/26
-
027・加瀬完
○加瀬完君 大蔵省の方で御指摘になりました、他の点は、政府資金にまだ余裕がある。それから将来とも財政資金を適宜適時に融通すれば、新しく一時借入金という制度を設けなくても、他でその目的を達する場があるのじゃ、ないかという御指摘だったのですが、現状は政府資金に余力があっても——余力があるということは、結局借りる人もなくて余っておるということとは別に、借りたくてもいろいろな条件がむずかしくて借りられない。そう言って悪ければ、借り辛い条件がまだ若干残っておると思います。それから資金の融通が適宜適時に行われないために、こういったような一時借入金の制度というものが必要じゃないかということも、衆参両院でも付帯決議になって去年出てきたのじゃないかと思います。この点をお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/27
-
028・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) まず御質問の第一点でございますが、これは非常に、私はやはり金融というものの本来の性質から見まして、加瀬委員御指摘のように、悟りたいという方の需要から申しますと、なかなか百パーセントに充足することはむずかしいという事態については、御指摘のように考えております。ただ、一般の私企業なりあるいは私人等の場合と違いまして公共団体がいやしくも公営企業のために必要とする資金ということになりますれば、これは私は筋の通ったものであれば、必ず簡易保険資金あるいは資金運用部資金というようなものが非常に資金ショートしておるということでありますと、今申し上げましたようなことを認めざるを得ないと思うのでありますが、ところが実際は、大体四割くらいは両方で余っておるわけでございます。私ども考えております配分ワクの六割ぐらいがやっと使われておる。しかも現実の姿を申し上げますと、簡易保険がややサービス精神がありまして、何といいますか、窓口が非常に近かったり、近親感をもってやっておられるようであります。借りる方は、簡易保険の方にまず参りまして、そして、そこでなかなかむずかしいということになったものが運用部資金の方に来ております。そこで運用部資金の方が、どうもなかなかかたいことを言って貸さないという御不平をたびたび耳にいたすのでありますが、どうしてもそういうふうになりがちだと思います。そこで、悪いたとえになりますが、少しぐらい金利は高くても、あまり小言をいわずに貸すところがあれば、そこにまず集まる。これは金融の常道じゃないかと思います。とにかく、たやすく貸すところが魅力があることは、万人の認めるところだと思います。しからば、今申しあげましたように、公共団体なり公営企業についてそういうところをたくさんこしらえるのがいいのか、それともほんとうに遠い将来の健全化ということを考えながら、低利の確実な資金をお貸しするということがいいのかという点が、私はやっぱり考えていただかなければならない点である。先ほど自治庁の財政局長が、資金にゆとりのある限り貸すということを言われましたが、私は、財政局長を非常にほかの点では尊敬しておりますが、金融の点では、彼はまだしろうとでありまして、そういう金を借りるからつい無理が出るのであります。金というものは、そういう金を借りちゃいけないのであります。いついつまでには必ず返して、またあとも必要なら、そのとき相談に応ずるというような金を借りないと、これは企業でも何でもうまくいくわけはございません。そのときになったら、ばたばた返さなければならないという金を借りますと、つい無理がいきまして、とかく事業なり、あるいは経営というものの健全化がはかられないのであります。そこのとこるはどうか一つ、私どもの方でも窓口を大きく開いてお待ちしておるのでありますから、かような金は資金運用部なり簡易保険の方にどうぞおいで下さい、こういうふうに申し上げたいわけであります。大体そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/28
-
029・加瀬完
○加瀬完君 原則はそれでいいと思うのです。しかし今、局長のおっしゃるように現実は行われているかというと、そういうわけにはいっておらないと思う。銀行で金を借りた方が低利でいいけれども、高利貸しから金を借りざるを得ないような社会的な条件が現在あると同じように、市町村などでも、大蔵省から筋を通した金を借りる方がいいのがわかっておっても、そういう形でなくて、あなた方の方から言えば筋の通らない、あとで荷物になるような金を借りざるを得ないというようなのが現状だと思う。結局この現状というものを、便宜的な方法だけでもこの場合救済をしていくというために、一時借入金の制度というものをこしらえることが必要じゃないかということが、昨年ですか、この公営企業金融公庫法が初めて上程されましたときにだいぶ論議になった。ですから、将来はあなたのような原則論がその通り行われるように、これは大蔵省でも窓口を開いてもらわなければならない。それまでの間、一応こういう制度を認めてそれで金融関係という立場から見ても、不健全でないという運営の方法に、大蔵省がある程度の行政的な関係をもって指導をするという形で、やがてはあなたがおっしゃるような原則論が通るときには、こんな一時借入金なんていうのは、要らなくなるということになる。それまで一応運営そのものにワクをつけて一応地方が要望するなら、予算関係その他で不健全な性格が現われないということで、お認めになるということも、便宜の方法としては私は筋は通っていると思う。それで問題は、結局窓口を開いているのだけれども来ないのだという見方をするか、あるいは現在の大蔵省の窓口ではちょっと近寄れないのだ、こういう認定をするかという問題になってくると思うのです。私は何も大蔵省を攻撃するわけではありませんが、いろいろ一時借入金や何かの問題がずいぶんつなぎ資金や何かのときに出ます。出て、大蔵省の関係がいらっしゃっても、なかなか地方団体などの要望に沿うて金が出してくれるかということになると、なかなか金を出し渋っているというのが、私たちの受けている現在までの印象です。こうなって参りますと、公営企業金融公庫というものでも使わなければ、まっとうに企業をやるのだから、金融を大蔵省に待つといっても、すなおに大蔵省が貸してくれるかということにまだ私は疑問が残る。それらが解決されれば、大蔵省の御見解にわれわれは賛成します。解決されておらないから、無理にこういうものを認めて、何かつなぎを考えなければならないということになるわけです。これは大蔵省でも一応お認めいただけることじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/29
-
030・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。ただいま加瀬委員が最初に申されましたように、市中でも、とかく正常なる金融機関でなかなか金融の十全なる充足がはかられてない。従って高利貸しとか、あるいはやみ金融とかいうようなことが行われておるという点につきましては、さようでございまして、これは私は、やはり日本の経済がまだいわゆる資本の蓄積が非常に足りない。そこにもって参りまして、経済の競争が非常に激しいのでございますから、とかく過当競争というようなことから金融にも無理が行われておる。それは現実の姿といたしまして、まことに遺憾でございますが、さような事実のあることは御指摘の通りでございます。これにつきましてわれわれといたしましては、従って全体の蓄積をふやしていく、正常な金融の道を開いていくということを第一に考える。第三といたしましては、抵抗の弱い面に重点的に資金を流すということで対処いたしておるわけでございますが、これらもおいおいとよくなっておりますが、まだ完全とはもとより申し上げることはできないのであります。そこで、しかしながら、この公共団体という場合におきまして、私はさようなことがあってはいけない、さようなことがもしあるとすれば、これはもう全く自治庁なり大蔵省なりが怠慢であるとおしかりを受けてしかるべきだと考えます。どうか一つそれらの点につきましては、われわれも及ばずながら努力しておりますが、今国会におきまして、実情を調査いたされました結果を自治庁なり私の方にもどんどんお申しつけいただきましてこういう筋の通った金を融通することを断わっておる、あるいはぐずぐず申していていたずらに時間をかけておるという点がございますれば、かような点はわれわれとして謙虚に一つ御指摘を受けまして、画すべきところは直して参りたいと考えております。
そこで、今、加瀬委員がおっしゃられましたように、それはお前理想を言っておるのだが、経過的に、過渡的にそういう事態に対処して、公庫にそういう機能を認めていいじゃ、ないかという御議論でございますが、これは、実は今回の公庫法の中に、いわゆる資金を調達するために債券を発行いたしまして、それから地方の長期債を引き受ける前に、一定の期間いわゆる起債前貸しということを認める、これが私はやはり今、加瀬委員が強く言われました点に大体こたえているのじゃないか。公庫法の中の何条でございますか、起債前貸しに対応するような場合には短期の借入金をして——第三十条でございますか、この前貸しにこたえることができるということもうたわれておるのは、まさにその趣旨であろうと思うのでありまして、私どもはその点は、これはもう全面的にさようであってよろしいと考えます。ところが、そうではなく、そのほかに少しでも遊んでいる金があったら貸すということをやりますと、ついそこに非常に私は、前貸しの資金を食うとか競合関係が起ってくる、これは非常に危ないことであります。そこで公庫は、先ほどもお話がありましたように、非常に少い人員でやっておりますので、審査能力はもうこれは……。公庫の理事もお見えでございますが、まことに失礼でございますが、幾ら明敏な理事がおりましても、一人をもって百人の仕事はできませんから、つい審査がおろそかになってきて、強い陳情のあるところに短期融資をする。そうして今度は遠いところで、本来前貸しを受けようと思ったところで前貸しは受けられないということがあっては、これはまことに遺憾なことであります。それで、本来かようなことをいたすことが正しいとするならば、まずもってそれに必要な資金手当をして、そうして新しい仕事の道を開くということはわかるのでありますが、そういう手当なしに、余ったら貸すという非常に危ない芸当には、その点にこれは相当深甚なる配慮が望ましい。私どもといたしましては、どこまでも大きな線で、御指摘を受けますれば、お前のところのやり方が悪い、財務部のやり方が悪いとおっしゃれば、それを面していく、簡易保険の貸し方が悪いというなら、これを直していく。それから、先ほど数字をあげてお話がありました、この五%が三〇何%かにだんだんふえてきております。これを私はもっと飛躍的にふやして、そうして高い金利の金は一切借りない。公共団体が短期の資金を必要とするものは、全部低利の政府資金にするのだという原則を強く打ち出していただくことこそ、ほんとうに地方財政を健全化する正しい道だ、こういうふうに信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/30
-
031・加瀬完
○加瀬完君 あなた率直でよろしいですけれども、公庫の事務は能率を上げているか、いろいろの錯誤を犯しているかということまで言及する必要はないと思う。公庫は公庫で、やはり任命された人たちによって運営しているのですから、これは完全な運営ができるという前提に立って話は進んでいっていいと思う。
問題はあなたの御指摘の第四点でありますか、短期貸付を裏づける予算措置がないじゃないか、あれで短期貸付をするのが問題だということが、やはり大蔵省としては一番の問題点だと思うのであります。自治庁の方から配られました一時借入金に関する調というものの毎月末の借入残高平均を見ますと、三十一年は企業会計では四十億でありますのに、三十二年は五十二億四千万と、残高平均がふえております。あなたのおっしゃるような点を留意しながら、こんなに残高平均を余さないで、フルに使っていくというのが公庫の一つの目的だと思うのです。公庫が残高ばかりたくさん余してしまって、貸すべきところに金を貸していないということでは、何のために公庫を作ったか意味がない。そこで公庫の運営者は、当然こんなに残高が多いということは、一時借入金の資金の貸し付けをしても、大蔵省の心配するようなことがなくても運営できるのじゃないかという考え方に立つのは、これは公庫の運営者としては当然だと思う。これは危ないから貸すなというのはおかしな話で、この点どうお考えになりますか。この点は提案者のいろいろ御見解があろうと思いますから、御提案の方、どうなんですか。だんだん残高が多くなっていく、この金をただ遊ばしておいて貸し倒れがなければいいということの運営では、これはどうも法的な性格を持った公庫の通常としては、私はあまり締め過ぎたやり方だと思う。そういうことを御考慮になって大蔵省の御注意のような点は十分注意の上にも注意をして、公庫の運営というものを完全にしていくという前提のもとに、こういう残高をフルに使っていきたい、こういうことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/31
-
032・吉田重延
○衆議院議員(吉田重延君) 公庫の残高についての数字的なことは、私よくわかりませんが、大体余裕が出ました場合に、これをそのまま遊ばせるということもできてくるわけでございまして、その余裕の範囲で貸付は最も厳格と申しますか、かたく、そして事務はできるだけ敏速に簡素にというようなことで一時借り入れの道を開いていただきたい。そういたしますと、先ほど、私たち考えますのに、大蔵省からのいろいろなお話も、預金部の資金が相当余っている、また簡易保険の金も余っているというようなお話を伺っておるわけでございますが、そうしたことによって、私たちはかえってこの政府資金の一時借り入れを利用することが促進されるのじゃないかということも、反面実は考えておるわけでございます。決して公庫が金が月々余り過ぎてそれを持て余しているという意味では実は考えていないわけでございまして、多少にかかわらず、余裕のある金が出ました場合には、それを何とか有効適切に地方団体のために運営をしていただくというような気持で御提案申し上げたわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/32
-
033・加瀬完
○加瀬完君 大蔵省にあらためてお伺いをいたしますけれども、何だか提案者の御説明はどうもはっきりしないのですけれども、問題はあなたの方で御心配なさっておるのは、こういう制度ができて、一時借入金の資金の貸付という制度で放漫に余ったものを貸し出してしまって、回収がつかなくなったり、ほかの方の、結局本目的である公庫の運営というものに支障を来たすということができるのじゃないかということが一番の心配ということだろうと思うのですよ。これは運営の問題であって、法律の性格の問題とはちょっと違う、思うのです。この修正案そのものを平然そうされるだろうという解釈をされることは、少し公庫に対する不信任だと思う。そういうことでなくて、そういうことのない運営ができるかできないかということを私は検討していけばいいと思うのです。その運営について大蔵省が、強く公庫なりあるいは監督の自治庁なりに注文を出し、忠告すべきであって、この法律がそういうふうに修正されたからといって、この法律ですぐ放漫な貸し出しをして資金の回収がつかなくなるというような公庫の運営が当然に生ずるという考え方は、私はちょっと行き過ぎじゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/33
-
034・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 先ほど来の御質問にも私どもはお答えいたさなきゃならぬですので、一緒にお答えりたしたいと思います。
まず第一に、私は先ほどこの公庫の業務の運営についていろいろ言及したかのごとくおとりいただいたのでございますが、そうではございませんで、これらのスタッフが、今日与えられた仕事をやっておるのは実にりっぱにやっておる。これは先ほど財政局長がおっしゃったように私も考えております。ただ、新しい仕事をつけ加えると、聖徳太子のような方でない限り、なかなか手がつけられないのじゃないか、そういうことを申しあげたのでございますから、その点をまず第一に御了解いただきたいと思います。
それから第二に、今、提案者の先生からお答えになりましたようですが、先ほど加瀬委員から、毎月末借り入れ残高平均額という、この自治庁が出された数字を御引用になってのお話ですが、これは公共団体の借り入れ残高平均額ではないかと思うのでありまして、公庫にそういう余裕があるという資料ではないと思います。公庫はおそらくお金が入りますと、年度末には、先ほど債券が若干まだ手続がおくれておるという話がありましたが、百パーセントに消化されますから、大体それはそういう遊んだ金はなくなるはずでございます。
それから第三の点、今の御質問でございますが、私は弊害は、運用の上手あるいは下手、拙劣というふうなことにあるのじゃないかという御質問ですが、これはそうは私は考えておりません。本質的な問題だと思います。公庫が今のように片手間に、と申しましても、私どもは厳密にいえば、起債前貸しをするような金と申さぬと、算術が合わぬと思います。プラス・アルフアがあるわけではございませんから、結局、起債前貸しと競合する金である。この点、そういうやり方でスタートいたしますと、さて窓口を開くと、たとえば八百屋が魚屋を始めても魚がないと、お前のところは魚がないじゃないかということになる。お客がつくと八百屋と魚屋を兼業しなくちゃならぬことになります。それでは、くだものまでくさくなってしまうということを申し上げておるのであります。それでは短期債はどうかというと、御承知のように政府資金は一銭八厘、公庫融資は二銭一厘であります。これはどういうことかと申しますと、公庫がこれから短期融資を始めても、資金の手当がほしいということになって、これは公庫としてはコストに相当するマージンを取って貸すわけでございますから、かりに政府が資金を出しましても、公共団体の方はそれだけ高いマージンのものを借りることになります。これは公庫のためにとらぬところであるということを申し上げておるのであります。で、短期融資が必要ならば、直接に一銭八厘の政府資金をお使い下さいと申し上げておるのです。そして公庫はどこまでも、みずから調達力のないところの公共団体のために、本来ならば、先ほどお話がございました、七分六厘というような金利ではなかなか地方債の消化のできない団体のために、指定地方団体でも九分というような高い金利を払っておる。こういう高い金利を払わないでも長期債を消化できるというメリットを持っておる公庫本来の使命に徹していただきたい。それで一銭八厘の政府資金をストレートで貸しましょう。筋の通る短期資金ならば、必要に応じて貸せるようにしていきましょう、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/34
-
035・加瀬完
○加瀬完君 時間がありませんから、大蔵省に対する質問はこれでやめますけれども、こういう形にいかないから、こういう派生的な問題が出てきておるわけですよ。必要があれば——あなたのお言葉をとるわけではないが、必要があれば、八百屋で魚を並べて、買いにくれば、商売になれば、それはまた成り立つわけでございます。八百屋と魚屋が両立しない方がいいところもある、両立させた方がいいところもあって、これは便宜的なものの考え方で、本質的なものの考え方からいえば、とるかとらないかということになりますが、そうではなくて、大蔵省にいろいろ貸付制度がありますし、政府資金そのものは備えてあるわけですけれども、それがこれは両方に責任があると思いますが、地方団体側もちょっと借りづらいような形で、大蔵省へはちょっと行かぬ。大蔵省の窓口も親切に、因っておる団体まで行っていろいろめんどうを見て貸してやろうというほどのことはやろうたってできない現状にもありますので、そういう関係で、とかく大蔵省と地方団体とのつながりが縁遠くなる、ほんとうのことを言って。そうであってはならないと思います。だから、そうでないように大蔵当局は御努力いただくことはもちろんでありますが、その間、もうそういう原則論が通れば、そういうものは要らなくなるわけですから、あなたのおっしゃるようなことも、そのまま通れば、公庫そのものだってどれほど必要があるかということだって起きるわけです、極端に言うなら。しかし、そうではなくて、公庫というものがあって、これが一つの経常内容に、今言ったような修正案のような内容のものを盛れば、それで地方団体が、一時非常に資金の融通が楽になるというなら、便宜的にはそれを認めるということは、これは大蔵省が御指摘のような、いろいろのそのために地方団体そのものが財政的に困ったり、国と地方を通じての財政計画が非常にそごを来たしたりということでは困りますけれども、そうでない限りは許容されてしかるべきではないか。最後の言葉は意見になりますが、そう思うのです。そういう点で、大蔵省も一つやらしてみて、大蔵省のような見解でこれがもし行われるとするならば、そういう心配はあまりないわけになってくるわけですが、大蔵省が心配しておるのは、あなた方の考えておるような形でおそらく行われないで、地方の要望で一時借り入れだとか、あるいは他の借り入れだとかいうことでいろいろ競合したりなんかすると、公庫そのものが作用をなさなくなってくるのではないかという御心配ですが、そういうことはむろんあるまいということで、やはりこれをお認めになるという考え方が、私は成り立つと思うのです。あとを一つ政府に、こういった地方にとっては非常に大きな問題なんですから、政府の御見解を一つ統一して、これは大蔵省はこう言うけれども、政府としてはこういう工合に考えておるといったような結論を出してお臨みいただきたく思うのです、委員会には。あらためて大蔵省は大蔵省、自治庁は自治庁で、それぞれの立場で御発言をせられて、政府の御見解はと承われば、相談しなければならないということでは困りますので、どうぞ全体の立場で、はっきりした修正案が通って衆議院で参議院まで持ち込まれない前に、今後いろいろこういう問題もありましょうから、一つ政府としての御態度を明確にして委員会に臨まれることを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/35
-
036・小林武治
○委員長(小林武治君) 本件に関する質疑は次回に続行することといたしまして本日はこれにて散会いたします。
午後零時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X01819580325/36
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。