1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月二十一日(月曜日)
午後二時一分開会
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委員の異動
本日委員伊能繁次郎君及び中田吉雄君
辞任につき、その補欠として吉江勝保
君及び秋山長造君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 武治君
理事 大沢 雄一君
小柳 牧衞君
加瀬 完君
鈴木 壽君
委員
伊能 芳雄君
佐野 廣君
西郷吉之助君
館 哲二君
成田 一郎君
本多 市郎君
吉江 勝保君
秋山 長造君
久保 等君
成瀬 幡治君
松澤 兼人君
森 八三一君
白木義一郎君
国務大臣
国 務 大 臣 郡 祐一君
政府委員
自治庁選挙局長 兼子 秀夫君
文部政務次官院
地方行政 臼井 莊一君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
警察庁刑事局長 中川 董治君
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本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・小林武治
○委員長(小林武治君) これより委員会を開きます。
まず、委員の異動を申し上げます。
本日、中田吉雄君が辞任され、秋山長造君が補欠選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/1
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002・小林武治
○委員長(小林武治君) これより本日の議事に入ります。
内閣提出、衆議院送付の公職選挙法の一部を改正する法律案を議題に供します。
前回に引き続き質疑を行います。質疑のおありの方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/2
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003・久保等
○久保等君 昨年の秋ごろ、特に郡長官、参議院の全国区制の廃止問題でいろいろ当時新聞等でも報道せられたことなのですが、非常に急がれて廃止法案等を国会に出されるような準備をされたことも伝えられておったのですが、昨年の情勢ですと、今国会にもぜひ廃止法律案を国会に出そうというおつもりであったようでありますが、このことについてどういうお気持だったのか、今度の国会に出される当初御予定であったのかどうか、特にこの際、当時のお気持なり事情を明らかにして
いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/3
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004・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 昨年の全国区制度を選挙制度調査会で取り上げました際に、その際にも申したのでありますが、選挙制度調査会の新たに委員を任命いたしましたのは昨年の秋でありましたけれども、選挙制度調査会の二十七年に委員を任命いたしましたときからすでに問題となっており、そうして全国区については、一応全国区制度というのを憲法改正に伴いまして選挙法上設けられましたけれども、この問題については、選挙を実施して、さらに状況により十分検討を要するということで、むしろ二十二年からの引き続きの問題であります。従いまして、この際、衆議院の選挙区等については一応答申を得ておるのであります。この次は、今までの約束からいうても、参議院の選挙区を取り上げなければ相ならぬ。従いまして、その間には、当時まして、かなりにたびたび議論を重ねました結果、中間的な考え方をだんだんしばって参りましたので、それでいよいよ結論を出してもいい時期にきたという考え方で、選挙制度調査会に諮問いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/4
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005・久保等
○久保等君 当時、昨年の秋、選挙制度調査会の任期の切れた委員の任命等が行われて、発足をさせられたわけですが、特に早急に結論を得たい、特に、できれば年内に、あるいは今次通常国会に改正法律案が出される、余裕を持って答申を得たいということで諮問をせられたのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/5
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006・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) いつの場合でもそうでありますが、大きい問題を取り上げます調査会は、委員の諸君もきわめて、引き続いて調査に当らなければ相なりませんので、従いまして、なるべく短期間に集中して御検討を願いたい。今までも、一応議論をたびたびやったことであるから、選挙制度調査会でも、こいねがわくは、調査ができておる事柄については、そのおつもりで扱って、そうしてできる限り短かい期間におきめを願う方が、政府としても参考とするのにけっこうであるし、それから調査会をお進めになるのも好都合であろう、このような意味合いであって、決して審議を限ったというわけじゃございませんが、なるべく早くいたそうじゃございませんかというような話は委員長並びに委員の諸君と政府側とにはございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/6
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007・久保等
○久保等君 できれば今国会にでも提案せられるおつもりだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/7
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008・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 適当な案ができますれば、私はこれはなるべく早い方がよろしいと考えておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/8
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009・久保等
○久保等君 現在選挙制度調査会での状況なり見通しというものは、どういう結果になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/9
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010・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 選挙制度調査会は、国会がいよいよ再開後審議に入りましたので、一月に地方議会の選挙区についての答申をいたしましたあと、政府側も調査会に出席がおそらく困難であるし、国会の審議で政府側も出席できない。申さば、国会がきわめて多忙であるという期間だけは、自分たちも、政府側が出てこないために審議が進まなくては困るから、まず地方議会の選挙区など答申をいたしたものであるから、その答申をすみやかに法律として御議決を願い、その後に、政府が調査会に出席できる時期に開こうじやないか、そういうお考えで、ただいま……。当初の予定は、四月になれば、大てい政府側が出席して審議を始められるだろうという心持を、委員長が各委員に諮られまして、そうして矛、の間調査会が休んだという状態でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/10
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011・久保等
○久保等君 そうしますと、現実問題としては、政局が非常に緊迫した情勢になって参っておると思いますが、そういうことから総選挙でも終り、やがてまた特別国会のころにもなるのですが、いずれにしても、六月ごろくらいからでも政府関係者が出席でき得るような状態になれば、また制度調査会の審議が始められるであろうというようなお見通しですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/11
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012・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) おっしゃる通り、総選挙に移って参りますと、その間全く不可能でございますから、総選挙が済んでから、委員長とも打ち合わせまして、そうして委員の諸君も大いに検討しようじゃないか。これは実は初めどういう限度で参議院の選挙区その他について検討を加えようか、まず現在の制度をもとにしてという考え方のもあるし、それから相当ドラスティックに両院の制度というものを変えてみて、そうしたときにはこんな構想ができるかというようなものまで、一体この調査会で検討していいものか、悪いものかというようなことを委員間で議論されました。いや、それは現行の制度となるべく調和をしたということが諮問の趣旨ではあろうけれども、しかし同時に、それだけでは十分な思い切った改革ができなければ、もっと突っ込んだ構想も持ち得るのじゃないかというようなことを委員間で論ぜられました。従いまして、中には非常に忙しい大学の教授などでも、興味を持って当っておられましたので、委員長と相談し、なるべく調査会は早く開くようにいたしたいと思います。しかし仰せの通り、まず六月にならなければそういうこともできないということであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/12
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013・久保等
○久保等君 先ほどの御説明でも、実は参議院の全国区制度の問題については、当初この制度が作られた当時からまあいろいろ議論もあった問題だと、そこで衆議院の選挙制度の問題については、一昨年でしたか、一応答申がなされて、制度調査会としての一応結論は出たと。が、しかし参議院の制度については、いまだかって答申を求めたということもなかったので、そういう関係からしても、参議院の全国区制の問題について昨年諮問をされたという御説明だったのですが、衆議院の小選挙区制度の問題は、しかし一昨年答申を得たものの結末は、まあああいう形で国会にまで出されたが、非常に一般国民の熾烈な批判、あるいは非難といってもいいと思うのですが、そういうことでつぶれてしまったというような経緯になっているわけなんですが、先般総理にもこの委員会に御出席を願って、いろいろ質問をいたしました中で、私ども感じましたことは、なるほど一昨年ああいう選挙制度調査会での答申案は得たけれども、しかし、これから今後の問題として考える場合には、根本的に再検討をしてみなきやならぬじゃないかというお話もありましたし、そういう御答弁からいたしますと、衆議院の小選挙区制度の問題については、これはもうすでに選挙制度調査会で一応の結論を得ているから、まあこれはこれとして、参議院のものについてこれから答申を得たいのだというような御答弁では、ちょっと済まされない問題が、衆議院の小選挙区制度の問題についてはあるのじゃないかという気がするのです。そこでまあ全く新しく……、全く新しくといいますか、もう一回衆議院の選挙制度そのものについての答申を、やはりこの前の経緯からすると求められて、白紙の状態から再出発をする、根本的に検討しようというようなことで、やはり衆議院の選挙制度の問題についても扱っていかれるお気持なのか。それともそうじゃなくて、まああるとは政府の考え方なり、あるいは政府がいろいろ各方面に対する意見聴取なり何なりの方法で考えるとしても、選挙制度調査会そのものにもう再び諮問する必要もないのじゃないかというふうにお考えになっておるのかどうなのか、その点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/13
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014・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 小選挙区をとります場合に、これは一人区、二人区等の組み合せを考えますと、なかなか複雑なものでございまするけれども、選挙制度調査会が答申いたしましたような一人一区にいたしました場合に、その後私どもも検討いたしまして、町村合併のために幾らか状況の変ってきておるのがございます。しかし、それはどこまでも幾らかでございまして、ほとんど選挙区という考え方をいたします場合には、別にそう考え直さにゃいかぬというような部分はないのでございます。ただし、町村合併が起ったから、その部分だけをどこかで検討さしたらとか、その部分を幾らか手直しをしたものをもう一ぺん選挙制度調査会で見させたら、これは私、選挙制度調査会に見てもらって決して悪いとは思いません。思いませんけれども、小選挙区を一体今の政党なり政治家がとろうとするか、とらない方がいいとするか、そこの判断がどちらかにきまれば、小選挙区制そのものというものは、小選挙区の区割そのものは、ほとんどもう変えようがない状態に相なっております。しかも、小選挙区が是であるか否であるかということにつきましては、選挙制度調査会としてはすでに結論を出しておるのでありますから、そういたしますると、残りますところは、選挙制度調査会に若干の町村合併等による手直しを見せるかどうかだけの問題でありまして、その点私は大してこだわりは持っておりません。しかし、選挙制度調査会で頭から衆議院の選挙区をもう一ぺん土台から見直すということは必要のない程度に、この問題は十分な答申を得ておるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/14
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015・久保等
○久保等君 特に、まあ最近における参議院の全国区制度そのものに対するいろいろ意見が活発に出て参っておると思うのですが、そういったような状況の中で考えてみまするのに、これはもちろん、意見にもよって違うわけですが、まあ私別に小選挙区制なり、それから全国区制廃止を賛成だとか反対だとかという問題を全然抜にしての御質問をしているわけですが、衆議院の小選挙区制度の問題と、それから参議院の全国区制度廃止の問題とを関連させて、関連させながらやはり考えるという意見もあるやに見受けられるわけなんです。まあ、特にそうなって参りますると、これは両者全然切り離して検討するということもいささかやはり問題があるのじゃないかという気もいたすわけなんであります。そうだとすると、自治庁長官のただいまの御説明のように、衆議院の選挙制度については一応答申を得た。しかし、まあこの問題は、もちろん参議院の問題云々を考えながら実は当時作られた答申案ではないと思うのです。これはまあ衆議院独自といいますか、衆議院の選挙制度の問題として検討せられたと思うのです。ところが時間的に非常に……、ここ二、三年時間的な関係からいってずれておるというか、時間的な経過等もあって、今度参議院の全国区制等の問題を議論した場合に、やはり衆議院との関連性において、こういった問題を検討しなければならぬという情勢になってくると、やはり私はちょっとその制度そのものに対する検討する立場といいますか、視野というか、そういったものがちょっと違ったような関係も出ておるのじゃないかと思うのです。そうだとすると、衆議院の選挙制度そのものの問題についても、これはまた根本的に考え直してみなければならぬ点があるのじゃないか。まあ結果的に、果してそれが根本的に変ったものになるかならぬかは別としても、参議院の選挙制度、衆議院の選挙制度というものをやはり双者関連させながらこれはやはり検討するということも、時と場合によれば必要じゃないか。特に最近の参議院の全国区制の問題をめぐっての議論なんかを聞いておりますると、そういった関係の点が非常にむしろ重要性を帯びてきているのじゃないかというような気もいたすわけなんです。私はだから、そういう点で恣意的にといっては語弊がありますが、衆議院の選挙制度そのものはそのものとして、切り離したものの答申案はなるほど得ているにいたしましても、今言ったような参議院の選挙制度というようなもののその後における検討の経緯なり状況なりを見てみますると、これまた、やはりもう一度再検討してみる必要もあるのじゃないかというような気がするのですが、そういったようなことは、一切特別に考慮する必要はないというふうにお考えになっておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/15
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016・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 小選挙区制と参議院の全国区制の関連というものは、私は観念的な点での関連はあると思います。すなわち、現在の中選挙区よりも小選挙区になって、自分の一票で一人が当選するかしないかというときには、有権者の判断は——これは理屈でございますよ、実際そうなっておるかどうかということじゃなしに、ただ理屈としては、有権者の判断は、そのときに一番慎重になる、こういうことがいわれております。これに非常に対照的なものは参議院の全国区である。五十人当選するが、定員は五十人あるにもかかわらず、有権者の投票は一人だけにしができない。これは非常に他の四十九人のうちにいい者があっても、それは自分は当選させることができない。他の者が当選させるのだということは、有権者の判断を、何か選挙というものの性格からいうて、十分な判断の機会を与えないものではないか。これは美濃部達吉さんが、全国区をこしらえましたときに言いました議論でございますけれども、そういう点での関連はございます。しかしながら、小選挙区という一人一区制をこしらえますことと、それと関連いたしまして、全国区制があっていいか悪いかということでは、私はその点については関連がない。ただ、上院について全国的な選挙区を置いておるウルグァイですら——ウルグァイに一つ例があるのでありますが、ウルグァイにおいてすら比例代表制を加味しております。その場合に、日本のような有権者の多いところて単純な単記の全国区制をこのまま維持できるかどうかという問題があろうかと思いますが、それと小選挙区との関連は私はないものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/16
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017・久保等
○久保等君 私ここで小選挙区制の問題なりあるいは全国区制の問題についての是非の問題で質疑をしようとは思いません。
そこで次に御質問いたしたい点は、連呼制度の問題について少し御質問したいと思うのですが、現在の法の建前から参りますると、連呼制度は禁止されておるわけなんですが、もちろん、かって連呼制度が非常にはなやかに採用せられておった当時において、いろいろ問題があったこともわれわれ十分に承知しておるのでありますが、今日この連呼制度が禁止をせられておるのですけれども、しかし考えてみると、よく選挙が低調だともいわれたり、特に農村あるいは僻地の方に参れば参るほど選挙的な気分が出ておらないというようなことがよくいわれるのです。今度、選挙法の改正によって運動期間が短縮されたりなどすることとも関連して考えますることは、やはり選挙となって候補者が一番苦労するのは、まず名前が十分に浸透しておらないという新人なんかの場合において、一番苦労があると思うのですが、同時にまた、どうしても名前が知れ渡っておるということが、理屈抜きに非常に選挙に有利だというようなこともあることはいなめない事実と思います。そういう点から参りますると、ある程度連呼といったようなことが十分に選挙気分、といっても単にお祭気分という意味の気分でなくて、やはり選挙に対する一つの熱意を醸成して参る意味からいって、連呼というものもこれは非常に私は一つの利点があると思うのです。それからまた、何といいますか、選挙運動をやらなくても、また選挙運動期間がなくても、著名人であれば、やはり本人の、何といいますか、適当な候補者であるかないかは別として、とにかく有利であるということも、これまたいなめない事実であります。そういう点から参りまして、連呼というものが非常に煩瑣な、あるいはは非常な騒擾の気分をさえ一般に与えるとすると問題があると思うのですが、しかしそうでない限りにおいては、むしろ連呼というものを許した方が適当じゃないかという気がするのです。戦後において連呼のみならず、個々人が、一人一人が、人海戦術とか何とかいわれたように、町の隅から隅まで一人一人が連呼をして歩くというような程度に至っては、これは非常に問題があると思います。しかし、少くとも限られた自動車だけで、その上から、自動車の移動する場合等の連呼は、これは私はむしろ許した方が、ある程度明朗闊達というか、あるいは選挙気分を醸成していくという意味において、むしろ弊害よりもプラスの面が非常に多いのじゃないかという気がするのですが、この制度についてどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/17
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018・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 今、日本の選挙法は、確かに他の国に類のないような制限ばかりを書いてある選挙法で、日本の選挙法というものは制限はかり書いてある。これではフリーでオープンな選挙というものはできっこないじゃないかという、これは外国人の批評であります。私は、そうすることも一つの方法であります。それは明朗闊達になる一つのゆえんで、こうした一つ一つの制限、めんどうな罰則をはずす選挙法というものも、いつか日本においてもできるものだと思っております。私自身の経験から、三十年ばかり選挙法をいじっておりまして、そういう感じもいたすのでありますが、しかし、そこまでいっていないので、そうすると、連呼というのは、何の太郎兵衛ということをいう、何の太郎兵衛はいい人ですよということになると、連呼を認めておったときも、それはいけなかった、演説だ。一体、何の太郎兵衛といえば、今度選挙に立候補したから何の太郎兵衛に投票して下さいということでありましよう。聞く方はそう聞きますが、何の太郎兵衛はりっぱな人だということを言っちゃいけないのです。何の太郎兵衛ということだけは言っていいのです。一体、何のために何の太郎兵衛といっているのか、それじゃ意味がわからない。それでは連呼行為というのは一体どれだけ意味があるか。いわんや久保委員御指摘のように、どうにもだれのことをいうているのか知らぬが、ただやかましい、どなってばかりいるのだ、それでは非常に困るというようなことがいわれるのであります。私は連呼というものがどうにも中途半端なことである。これに意味をつけることは、実は、選挙のときになって何の太郎兵衛といったら、それに投票を入れて下さいよということを頼んでいるのだから、入れて下さいといったら違法になるから、それは略して以心伝心でわかってくれというだけの連呼行為というものは、私はいかにも候補者が有権者に訴えるにしては、何といいますか、みみっちい。連呼行為まで認めるならば、もう聞えるも聞えないにもかかわらず、何の太郎兵衛は社会のために必要な人間だから当選させて下さいといってしまう。そうなったらやかましい。それから演説との区別もつかない。今のように立会演説会、街頭演説会、個人演説会というように演説会というものの種類をきめてしまったら、そうすると、無制限にしゃべる演説はいかぬ。それならば連呼行為はいかぬ。どうも連呼行為というものは、今申しましたような意味で これはひとり私のみならず、連呼行為を廃止いたしましたときの理由は、そうなっていると思います。そういう意味で、私は連呼行為というものは、廃止したものを復活するというのは適当でない。ただし、久保委員のおっしゃるような意味合いでの、私もフリーでオープンな選挙を維持するために、思い切って各制限を取ってしまうというような考え方というものは、直ちには実りませんでも、一つの非常にこれから考えていかなければならぬ点だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/18
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019・久保等
○久保等君 私、だから連呼行為の禁止も、当初これが非常に行き過ぎたというか、全くそうでなくても騒音の非常に多いこの時代に、聞く方の意思いかんにかかわらず、連呼行為ということになれば、それこそ一分一秒も休みなく連呼して回る場合が多いと思うのですが、そういうことで非常に問題になったことは事実だと思うのです。しかしまた、全面的に今のような形にまでしてしまうことが、片方におけるいわゆる利点といいますか、プラスの面もあるわけですから、そういう面と比較検討してみました場合に、今のように完全にこれを禁止してしまう必要があるのかないのか。それからまた事実、こういう規定を設けてあるわけだから、それならばこれはまた完全に守られるのだということでもこれはないと思うのですが、なかなか連呼行為であるのかないのかという判断自体も、具体的な事例については判断がむずかしいと思うのです。そういったようなことになるならば、むしろ今、長官が言われるように、何でもかんでも禁止をしたり、やっちゃいけないのだ、してはならないのだというような窮屈な選挙運動じゃなくて、むしろある程度伸び伸びと少しは大きな声も出してやるような連呼行為というものも認めてもいいのじゃないか。それから一つには、私は何回も選挙運動をやってきた経験の中から、何が何でもやたらに大きな声をしていいのだというような考え方は、選挙運動者にとっても、候補者にとっても、私はだいぶ洗練されてきているんじゃないかという気がするのです。たとえば一つのマイクを例にとってみても、戦後、非常に物資の不足の時代のガーガーいうマイクの時代から、最近はやはり音声効果というようなものも、そういうようなことも考えて、私はやはりマイク一つでも非常に事情が変ってきているんじゃないかというようなこと、それからまた、やたらに駅の前、雑踏あたりで二人も三人もの候補者のトラックが連呼合戦といったようなことが選挙民に与える印象はどうかというようなことについても、やはり経験の中から、そういったようなことは、いたずらにむしろ選挙民の反感を買うのだというようなことについても、一つの私は経験を得てきておると思うのですが、そういう点から参りますると、連呼行為を許したからといって、あながち非常に選挙民に対する、むしろ逆に迷惑をかけるんだというようなことは、私はなくなってきているんじゃないかという気がするわけなんです。そういう点から、たとえば時間的な制限をする。まあ野放図に朝の六時から夜の九時まで一般の街頭演説ができると同じような形にまでこれを許すことが適当でないということであるならば、時間的に制限することも一つの方法であろうと思うのですが、いずれにしても、そういうことで連呼行為の全面的な禁止ということについては考え直してもいいんじゃないかという気がするのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/19
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020・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 選挙いたします側から申しまして、何かどうも遠い距離を自動車を黙って突っ放さざるを得ぬということ、これはもったいないことだ有権者にも何か訴える形がどうだろうか、これはわからぬこともないのですが、根本的には、私は連呼行為というものが、先ほど申しましたような、どうも選挙運動の方法として認めるのに適当なものであろうか。たとえば衆議院の総選挙のとき、私が何がしという人を応援する、まあそのときに、たまたま街頭演説の旗のある所に行けば演説ができるけれども、そうでなくて、私が自分の信頼する人間のために演説をする。この演説が、第三者の活動がなぜしちゃいかぬのだ、しかしそれを今度こうなったら際限がないじゃないかという問題もございますね。しかし、私はむしろ演説というものについて何らか工夫をして、今のあの窮屈な、広い選挙区でやりますときに、街頭演説ということでありながら、考えてみれば、弊害が何も考えられない街頭演説に非常に窮屈な制限を置かざるを得ない、これは一つ考え直してみたらどうであろうか。演説会というもの、しかも演説会は、手軽な街頭で人に聞いてもらえる演説会に何か新しい考え方を加えたらどうかという気持はいたしております。しかし、今後伸していくのはそんなところでありまして、どうでしょう。私もいろいろさらに是非は考えてみますけれども、連呼行為だけ、禁止をいたしました連呼行為をもう一ぺん復活することは、ちよっと私はこれは非常に疑問を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/20
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021・久保等
○久保等君 一体、連呼行為というものの概念ですね。これはまあそれこそのべつまくなしに次から次へと連呼していれば、これは問題がないのですが、ただ、一体何の太郎兵衛という名前を一ぺん呼んだ、それでまたその次に何の太郎兵衛とまた呼んだというものに、一体、時間的なある程度間を置いてしゃべったか、一体それは連呼行為になるのかならないのか。それから地理的に、一町ぐらい行ってしゃべった、これも連呼行為になるのかならないのかということになるとこれは非常に限界がむずかしいと思うのですがね。それで実際問題として、今日いよいよ投票間近くなった、いわゆる追い込み戦という状態になった場合には、まあほとんどこれは連呼行為らしきものが非常に盛んにやられていると思うのですよ。だから私、それならそれでこれも、しかし脱法行為といえば脱法行為だと思うのですが、法は禁止しているが、しかし、さればといって連呼行為を取締るといっても取締りようがないといったようなものを、法の建前はやはりこれは明らかに禁止されているのだといってみたところで、法律効果のないものを規定しておいてもむしろ、これまた制度としておかしなものじゃないかという気がするのです。ですから、それならそれで、投票日の前五日間あるいは四日間、三日間といったような最終的な段階にいった場合に連呼行為を許すとか、いろいろ方法は考えられるのじゃないかと思うのですが、現実の問題として、そういう実情に大体あるのじゃないかと思われるのですが、そういうことなら、むしろ法律はそういった事実の前に、率直に私はそういったことを認め、また禁止しておいたからといって大した法律効果も期待できないなら、むしろ三日間なら三日間、四日間なら四日間、五日間なら五日間、オープンに思う存分むしろ連呼をやってもらうというのにするのも一つの方法じゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/21
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022・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) まあそういう工合にいたすことは、一体どれだけの、確かに騒々しいということはあります。それ以外に一体選挙の公正を害するような弊害があるかどうかということになったら、それはそうまた弊害も予想されますまい。しかし、そうございませんでも、やはり選挙のときには相当にぎやかになるのでございます。これで一たん連呼行為をやめたという選挙運動の法をこしらえましたときに、しかし、これは全体を通じて考えますときに、あるいはそういうことをわざわざしてはならないと書いておくことがどれだけの実績があろうかということについての考え直し方はしてみてよろしかろうと思います。しかし今のところ、どうも積極的に取り上げるだけの理由には私は乏しい、こういう工合に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/22
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023・久保等
○久保等君 それじゃ長官の大体お考え方はわかりました。積極的に反対をする気持でもないが、またそう何といいますか、この制度そのものについて、あまり禁止したものを復活するという気持にもなれないという気持のようですから、今の気持は気持としてお聞きしておいて、次に参りたいと思うのですが、個人演説会の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、現在、個人演説会は六十回以内ということで数回制限が加えられているのですが、これは実際問題として、現在ほとんど六十回程度個人演説会がやられておりまするが、実際の実績はどんなふうな状況になっておりますか、局長の方からでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/23
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024・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 個人演説会の実績は三十二回になっております。平均でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/24
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025・久保等
○久保等君 この三十二回の個人演説会は、御本人の自由でもあるから、これは人によって非常に違うと思いますしすると思うのですが、まあ私は中には六十回やっても、まだまだ余裕があるという候補者も相当いるのじゃないかと思う。つまり自由ですから、何回やらなければならぬということじゃないでしょうが、しかし普通の状態でやろうと思えば、六十回以上十分にやり得ると思うのですが、今の平均から参ると、三十二回程度だということですが、本人からやりたくないということで辞退され、やらなけりや、これはそれでもけっこうだと思うのですが、しかし十分にやり得る余裕があるし、やりたい者も、現行の建前からいくと六十回以上はやれないということになっておるのですが、私は立会演説会の問題なんかについても、この前いろいろ議論がありましたが、実際やろうと思っても、実は立会演説会の場合ですと、相手もあることですしするものですから、勢い結果的にはある候補者の意思によって他の候補者が支配されるという場合もあり得るわけなんですが、そういったことを考え合せると、できるだけこれは演説会等も数多く持たれることは好ましいことだと思うのですが、今度も選挙運動期間が五分の一ばかり短縮せられるというようなこともあるだけに、できる限りいろいろな形の演説会等を数多く持たせるような方向に持っていくことが望ましいんじゃないかと思うのですが、連呼行為の問題も、私どもは、その一つとして、ちょっと今御質問申し上げたのですがその問題は別として、この個人演説会の回数は、もう少しふやした方がいいんじゃないかという気がするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/25
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026・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 個人演説会の回数につきましては、これは都会と地方とによって状況が違うと思います。都会は狭い区域で運動をいたしますので、行動が自由でございますが、一般の地方になりますと、立会演説会の日程等もございまして、相当行動が制約せられるわけでございます。現在、立会演説会は御承知のごとく、施設の公営をやっておりますので、回数をふやしますことによりまして施設の、何と申しますか、占領と申しますか、奪い合いがあるとうい弊害が予想されるわけでございます。そういう点もございまして、演説会をできるだけやるという点におきましては、おっしゃる通りなんでございますが、果して回数をふやすことがいいかどうかというような技術的な点につきましては、十分慎重に考究しなけりゃならぬ問題だと考えます。現在、実績が三十二回という平均でございますので、そういう実績をも考えまして、私どもは、個人演説会の制限回数は現在程度でいいんではなかろうか、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/26
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027・久保等
○久保等君 この六十回をフルに使っておりまする者は、全体のどのくらいのパーセンテージを占めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/27
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028・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 先ほど申しあげましたように、都会の候補者の中に、あるいは六十回程度まで使っておる方があろうかと思いますが、そのパーセンテージがどれくらいかということは、ちょっと、調査いたしておりませんので、わからないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/28
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029・久保等
○久保等君 今の御説明だと、都会、大都会あたりは交通が便でもあるし、また距離的に非常に近い関係から、六十回程度やっておる候補者が非常に多いというお話なんですが、われわれ地方で経験しておりまする経験からいいましても、必ずしも大都会ということでなくても、普通いなかの選挙区等でも、これは、われわれ、むしろ六十回、投票日よりもだいぶ早く六十回の制限を使ってしまって、個人演説会をやろうと思ってもやれないという経験を持っておるのですが、これはもちろん、非常にへんぴな辺陬の地だと、常識的に考えて、そういうことが言えるのですが、しかし、実際問題として、私はこの六十回の制限、この六十回を使い切ってしまっておる実績というものは、ひとり都会のみならず、いなか等でも相当あるんじゃないかと思いますがね。だから、まれに都会等においてはフルに使っておるが、大部分は六十回を使い切れないのだという状態ではないと思うのですが、今、具体的なお話がないので、何ともちょっと申しかねまするが、きわめてまれなケースじゃなくて、相当六十回やっている者がいるんじゃないかというふうに考えるのですがね。もちろん、平均三十二回ということですから、そう四割も五割もということじゃないでしょうが、しかし、やはり相当そういった人たちがいるんじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/29
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030・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 平均三十二回ということになっておりますので、御説のごとく、地方にそういう人がないというわけにはならないと思うわけでございますが、やはり全国的に見ますと、まだ相当、回数に達していない、このように見受けられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/30
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031・加瀬完
○加瀬完君 関連。全国選挙管理委員中央会議の採択事項の中に、今の問題が出ておりまして、三十六として、個人演説会の回数を制限する公選法第百六十四条の二を廃止するというのが採択されておるのです。これは選挙局長もよく御存じたと思うのです。地方の選管から百六十四条の二、すなわち、その六十回という回数の制限は撤廃した方がいいということが出ているということは、それは、みずから好まないで個人演説会をやらない君は別として、六十回以上やる時間もあるし、やる機会もあるのだけれども、やりたくてもやれないのだという実情がたくさんあるということを裏書きしていると思うのですよ、地方においても。で、一昨年こういう問題が決議されているわけですからね。ただ平均だけで、全然個人演説会を好まない者もあるわけですから、ゼロの者もあるわけです。それらの平均をとって、平均が三十何回だから、六十回で十分だという説明には、私はならないと思うのですが、この点も加えて説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/31
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032・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 一昨年でございましたか、選挙管理委員の全国会議におきまして、お説のごとく、議題として提案され、決議されておるのでございますが、あのときの会議の模様は、参会者を三班に分けまして、それぞれ議題に従って御議論を願ったわけでございます。あとからこの御議決になったうち、決定になりましたもののうち、事項を拾ってみますと、研究いたしますと、直ちに採用できないものが相当あるわけでございます。このおそらく採用と決定いたしましたときの気持と申しますか、できるだけ個人演説会をやらした方がいいという判断のもとに決定になったものと想像いたすわけでございますが、先はど申し上げましたように、公営施設の何と申しますか、先に占領すると申しますか、人の個人演説会、公営施設の申し込みをじゃまするとまでは言えないかもしれませんが、結果的にはそういうふうな弊害が、現在の回数におきましてもあるわけでございます。そういうような諸般の状況を考慮して、しからばどうすべきかというようなディスカスが十分されておらないのであります。そういう点につきましては、いろいろあのときの会議で一応採用ということになりました議論を、現実の制度改正に生かします場合には、十分に検討して参る、そのようなつもりで、また、お集まりの委員の方々も、十分研究してくれという趣旨において取り上げておる、このように私ども理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/32
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033・加瀬完
○加瀬完君 事務的とか方法的とかいう問題ではなくて、私は、全国の選管の意見というものと、自治庁の意見というものに、基本的な相違があると思うのです。それは選管の考え方の基本には、あくまでも広報活動といいますか、候補者なり政見なりを十二分に選挙民に知らせる、それに対して積極的な施策を講じたい、こういう立場から、今の個人演説会の回数を制限するのをやめたり、あるいは相当効果を上げておるので、政治討論会というものの回数をふやしたりすることを一奨励しておるわけであります。こういう基本線が貫かれておるかどうかということも、私は問題だと思うのです。
というのは、これは関連質問からはずれますから控えますけれども、選挙運動期間を短縮するとか、あるいは延長するとかいったような問題も、そういうところから考えれば、短縮というものも必ずしも出てこないのです、自治庁の考え方というものは、候補者や政見というものを十二分に知らせる、そういうことを第一目的というふうに考えて、一体改正法に臨んでおるかどうか。こういう基本的な問題で、どうも積極性がないと思うのです。個人演説会とか、あるいは立会演説会とか、あるいは政治討論会、こういう回数を積極的に多くして、一面においては、それによって選挙の啓蒙開発というものにも資する、こういった考え方は、私は薄いように思われるのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/33
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034・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 自治小の考え方と府県選管の考え方とは違うのじゃないかというような御意見でございましたが、これは個々の問題によりまして、私どもは、いろいろと議論をいたすことにいたしておりますので、あるいは、そういう議論におきましては、若干違う面がないとも言えないと思うわけでございます。ただ選挙の管理につきまして、法令を執行していく上におきましては、十分にその解釈の統一をはかる。そういう意味におきましては、これは私ども全国一貫して同一の歩調をとっておるつもりでございます。そのように指導をいたしておるつもりでございます。
なお、有権者に徹底させるということにつきましては、これは選挙の法令の点につきましても、また常時啓発の、いわゆる選挙の浄化というような点につきましても、自治庁、都道府県選管、市町村選管、同じ考え方のもとに推し進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/34
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035・久保等
○久保等君 やはり個人演説会の場合については、私百六十四条の二の一項、回数を六十回以内ということに制限をしておるのですが、しかし、現実は六十回以上やり得る状態にあるところが非常に多いと思うのです。もちろん、それが地理的な条件その他でどうしてもやり得ないといったようなことに原因があるとすれば、いわゆる均衡をとるという意味から、ある程度の低い回数で制限をすることもやむを得ないと思うのですが、ただ問題は、私はやっぱり数が多いか少いかというその理由は、御本人がやっぱりやりたくない、まあやろうと思ったらやり得るのだが、御本人がやりたくないからということでやらないことによって回数が少いのであって、与えられておる地理的な条件なり客観条件なりが、そういう状態に置かれておるから、所によっては非常に少いし、所によっては非常に多いのだということになっておるのじゃないと思います。従って、御本人の意思次第で非常に回数の多いものもあるし、回数の非常に少いものもあるということであれば、これは私はそのアンバランスはそう気にする必要はないと思います。むしろ回数を無制限にしてもいいのじゃないかと思うのですが、しかし無制限にしたところで、今言った施設そのほかでおのずから限界がありますから、そうべらぼうに回数は多くはならない。この今の選挙法を見ますと、ただいまの個人演説会の場合には六十回以内ということで回数に制限があり、片や立会演説会の場合には、これはできるだけ回数を多くしなければならないというような規定だけがあることになっておる。私は、だから立会演説会と個人演説会の両者を比較してみた場合にも、立会演説会と同じような形に片方の個人演説会の方もしていいのじゃないか。それを六十回ということで押えてしまって、しかもどちらが多くやり得る状態にあるかといえば、これはやっぱり個人演説会の方が、共同してやらなければならないことじゃないのですから、やろうと思えばやり得る条件に置かれておるわけです。できるるだけやはり選挙民に政見なり人格、人物といったものを十分にやはり浸透さしていく上からいいますれば、演説会というものは数多く持たれる方が私は好ましいと思うのですが、それを個人演説会の場合をことさらに六十回というふうに制限をしなければならぬという理由もないのじやないか。今、選挙局長の言われるように、いや、施設の実は問題があるので限度があるからというお話なのですが、これは私、できないものはできないので仕方がないと思うのですが、しかし何も法文上、でき得るところ、またやろうと思っている者にもやれないのだというような制限をする必要はないのじやないかというように考えるのですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/35
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036・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 個人演説会の回数につきましては、今回の改正におきましては、その点は触れてないのでございますが、この回数の制限を立会演説会のような立て方にするか、現在のような最高制限の方式でいくかという、考え方の方式の違いはあろうかと思うわけです。現在の最高制限方式でやっておりますことは、やはり施設の公爵をやっておるということが一つの原因ではないかと思うのでありまして、立会演説会の方は、おのずから開催の計画の場合に、選挙管理委員会は、その回数が、どれだけやれといいましても、その数は把握できるわけでありますが、個人演説会になりますと、全くその計画というものは個人の候補者の御計画になるごとでありまして、ただそれに施設の公営をするという制度になっておりますので、同一施設が奪い合いと申しますか、そういうような弊害等も予想されますので、従来そういう議論もあるわけでございます。そういう点がございますので、御意見の点は十分今後研究をいたしたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/36
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037・久保等
○久保等君 この個人演説会と立会演説会とを比較してみると、実績の面では個人演説会の方が回数が 非常に平均回数が少いわけですね。立会演説会の場合には四十何回かだったと思うのですが、そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/37
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038・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会の候補者別の回数は二十七回でございます。個人演説会は三十二回でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/38
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039・久保等
○久保等君 平均二十七回ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/39
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040・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/40
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041・久保等
○久保等君 まあその平均回数はそう大して違わないようですが、私やはり会場の設営その他の問題については、個人演説会の方が設営がしやすいのじゃないかというふうに考えるのです。それで必ずしもかた苦しい設備が整っていなければ不適だ、不向きだというようには考える必要ないと思いますが、これは御本人が、そんなちゃちな狭いところじゃやれない、こういうようなことならば、これは辞退されてもいいと思いますが、何か回数を頭からてんからきめてしまうということは、それが非常に大きい回数であるならばこれはいいと思うのですが、六十回以上やろうと思っているが、実は回数に制限があるためにやれないという場合が、もちろん私は非常に多いと思うのですが、そういう点からいくと、できるだけいろいろな種類の演説会が多数持たれることが好ましいという建前からいけば、百六十四条の二の個人演説会の最高制限のこの問題についても、やはり再検討していくべきじゃないか。それから、今申し上げた立会演説会等の方の規定の仕方と比較いたしましても、何か片方の方はえらく限度をき、ちりきめてしまうというようなことによって制限するという必要性があまりないのじやないか、むしろ立会演説会の方こそある程度限度を、できるだけ多く持てばいいのだという抽象的な規定では、今までの経験から推しても実績はそう上っていない。だから、むしろある程度の回数を、制限じゃなくて、逆に何回程度は持たなければならぬのだというふうにでもむしろ規定をし、それからこっちの個人演説会の場合については、もう少し上の方は取り払って、私は最高制限というようなものは置く必要がないのじゃないかというような気がするのです、まあ今の選挙局長のお話だと、その点については十分つ検討してみたいというお話ですから、特別これ以上申し上げようとは思いませんけれども、ぜひ個人演出会あたりは、そういう現実にあることを考えていただいて、それから先ほどもお話にあったように、全国選挙管理委員会のそういう決議等もある点から考えて、ぜひ一つ最高制限の面をゆるめるような方向に、もう少し多く回数が持てるように、一つぜひ積極的に御検討願いたい、そういうふうに考えます。
それから、次に選挙期日の問題でちょっとお尋ねしたいと思うのですが、非常に常識的なことについてお尋ねしたいと思うのですが、今度やかましくいわれております選挙運動期間が二十五日から二十日間になるということで問題になっておるわけなのですが、法文の上から見ますと、例の第三十一条の第四項になると思うのですが、「総選挙の期日は、少くとも二十五日前に公示しなければならない。」というところを、二十日前に公示しなければならない、こういうように改正しようと思っておるようでありますか、この規定の仕方が、一般の、何といいますか、常識からいくと、いろいろまあ解釈せられておると思うのです。提案趣旨の説明を伺いますると、従来の二十五日間の運動期間を二十日間に縮めるのだというような御説明になっておるのですが、しかしまあこれも、改正法文の正確な理解からすると、ちょっと違ったような御説明になっておると思うのです、というのは、総選挙の期日は、まあ少くとも今度の改正によると、二十日前に公示しなければならぬというふうになるのでしょうが、二十日前に公示するのだが、しかし運動期間は、これが二十日間だろうと二十三日間だろうと、二十五日間であろうと、あるいは一ヵ月であろうと、法の規定の仕方は別にそれはいけないというふうにはなっておらないのです。まあ投票日がかりに二十三日目であってみたところで、あるいは従来通り二十六日目くらいであっても、今度の法律改正に伴って特別に実は実際面では変りがないような運営もしようと思えばできると思うのです。だけども、そうじゃなくて、実際の従来の慣例からいくと、これはまあ二十五日前に公示ということであれば、当然運動期間は、投票日と公示の日を除いて、中二十五日間の選挙運動というものを従来からやってきておるわけですし、それから今度改正した場合には、公示の日と投票日を除いたやはり中二十日間を選挙運動期間として見ていいわけだ。もちろん公示のあった日も、届け出さえすれば直ちに選挙運動がやれるということになるのでしょうが、そういう、実際問題としてはそういう運営の仕方をしてきていると思うのです、普通一般に。今度法律が改正になると、二十日間の選挙運動に実は期間が短縮になるのだといわれると、公示の日も含めて考えて二十日間という理解をする方もあるだろうし、それから今までの慣例からいって、日にちとしては二十一日間にわたって選挙運動ができるのだというふうにも理解をするために、うっかりすると、投票日まで入れて二十日間と理解する人もあると思うのですが、そういう間違った解釈をするのは別としても、この法の建前が、ほんとうに選挙運動期間というものを固定してしまうことが必要だという考え方からするならば、もう少しここのところの規定の仕方に、正確な表現の仕方はできないものかというふうに考えるのですが、いかがでしょう。これは郡長官から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/41
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042・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) これは一番気を使って、少くとも何日前に……、これ一番気を使っている書き方なんです。三十日以内とか、何日までとか、いろいろな書き方がございます。これ、日数の計算は……。しかし、それでもなお久保委員の御指摘のような点はあると思います。あると思いますが、少くとも何日前となれば、選挙の期日からその前の日を一、二、三、四と勘定して、それから何日公示ということに相なるので、読み方としては、私はそれが……。もっとそれは外国の法律みたいに、たとえば図でやっている、あれを日本に取り入れたらいいのかもしれません。絵でかいてしまっておりますけれども、あの式をしておりませんと……。これは私も研究はいたしております。「少くとも」というような言葉が一体正確な言葉かどうか。しかしその点では、御注意のように、正確でなきゃいかぬという点を非常に気にして書いたものであります。でありますけれども、なお御指摘のような点もあろうと思います。従いまして、一番まぎれのないような公示をし、これ一様に、その党派、立場を別にして選挙をいたすのでありますから、それがあとに紛議を起すようなことのないように、従って公示の日と選挙期日の間にはまざれのない日を置くというようなことも今まで考えておりますけれども、理屈は、その法律に書いた読み方は、私はもう固定したものがあると思っております。しかし、おっしゃる通り、そういう点についてはさらに検討はいたします、表現は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/42
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043・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと関連。今の選挙運動期間の問題ですが、一体、政府は運動期間は何を基準に、運動期間をおきめになるのは何を基準にきめられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/43
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044・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 運動期間は、申すまでもなく、候補者が自己の選挙活動をし、また各種の公営をいたします期間でありましてその期間というものが、政党の活動の状況とか、各種の選挙運動手段の進歩等に伴いまして、必要な場合には短縮をいたすということでありまして、選挙運動期間というものは、その間において……。もちろん政党政治活動のような、その前にあるものもございますけれども、最も合法な選挙運動をいたす期間、こういうものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/44
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045・秋山長造
○秋山長造君 まあ常識的には、やはり選挙区の広さというものが、いわゆる一つの基準になるのではないかと思うのだが、もちろん選挙運動のやり方も、昔のようにてくてく歩いてやっていたときと、今のような自動車でスピーディに運ぶ時代とは違いますけれども、しかし何といっても、やはり選挙運動は、これは選挙運動を通じてこの選挙区のすべての選挙民に、できるだけ候補者の人柄なり、あるいはその政見なり何なりを周知徹底して、そして十分批判の材料、判断の材料を与えるというところにねらいがなければいかぬと思いますがね。ですから、いろんな要素はあるだろうけれども、やはり選挙区の広さということが、私は一番主要な基準になるように思うのですけれども、その点はお考えになっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/45
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046・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 広さの点が、おっしゃる通り要素になると思います。従いまして、参議院の選挙運動期間を二十五日にいたしましたが、それなら衆議院も二十日にしなければいかぬのじゃないかということが論ぜられまして、しかし何分にも、もう参議院の選挙が間近になったときに、衆議院の審議をしてもらう期間が少いから、それは参議院で、衆議院の期間を審議してもよろしいけれども、これを成立させるためには、衆議院に非常に短かい期間に議了してもらわなければならない。従って衆議院の選挙のときにその点は見てもらって、地方議会の運動期間は区域に応じて短縮をいたそう。従って、一つの県が衆議院の選挙区であるならば、それを三つにも幾つにも分れている……。衆議院は次の選挙をするまでに、参議院の選挙区と同じはずを合せて短縮いたそうということが、当時の経過でございまして、今日区域に合せましていたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 その運動期間を縮めることの是非については、後ほどさらにご質問したいと思うのですが、いずれにしても、そういたしますと、参議院がまず一番地域的に広くて二十五日ときまったものだから、それに合せて、だんだん五日刻みで、他の選挙運動期間をきめていく、こういうことに機械的になっていると思うのですが、五日刻みに——地方選挙等も含めて申し上げるのですが、五日刻みにきめていくということは、これはどういう根拠で五日刻みにきめているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/47
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048・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) これは五日刻みがどうの、三日刻みかどうの、その刻みには大した理由はございません。もし理屈があれば、実は私ども困るのですが、あなたの言われるように、確かに選挙運動期間に、選挙区というものは、候補者がすべての有権者にわかってもらう。有権者がすべての候補者を判断するものなんだが、さて、参議院の全国区の選挙というものにはそれが不可能なんです。かというて、昔はなるほど、選挙運動期間は事実上六十日も八十日のときもございましたしかし、そうはできぬじゃないか。こういうことで、まあ同じ参議院、これは荒っぽいのでございますが、同じ参議院であるからというので、地方区も全国区も一緒にしてしまった。その辺からどうもぴったり勘定というものができにくくなっちゃてるのです。できにくくなっちゃてるのですがね、参議院の地方区、それから参議院、それから府県議会、こんなものはまあそこに段階がある。しかし五日刻みは非常に理屈はなくて、もし四日刻みにした方が理屈があるというなら、それもあり得ましょう。しかしその間に、いろいろな公営をいたします事柄だの、国会議員ではいたす公営が府県会ではいたしておらない。まあ何と申しますか、府県議会の方は比較的簡単になっておる。そうしたところはもう少し短かくていいじゃないか、こういうきめ方でありまして、そこはなかなか、もし合理的な刻みがあれは、私ども研究いたすべきであり、まあ私ども一つの見当にしておりますのは、外国の立法例なども見ておりまして、これはまあ外国の選挙と日本の選挙とまるっきり違うじゃないかと言ってしまえばそれまででありますが、そういうところはなかなか刻みのつけどころはむずかしいのでありまして、私ども、今のところ大体この刻みが妥当ではなかろうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、まあ五日刻みで地方選挙までずっと縮めていくというのは、まあ特別な根拠はないので、大ざっぱな目分量ということできめているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/49
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050・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 目分量と申しますか、まあ目分量といえば目分量かもしれません。明治二十二年のときに衆議院をこしらえまして、それからいつでございましたか、府県会をきめましたのは、明治二十三年で、二十七年にすぐ変えました。そのころからのずっと刻みで、これは一番初め衆議院を、十日にいたしまして、府県を十四日にいたしたのを二十日に直したというような、いろいろな経過がありました。それが大体十日刻みか五日刻みになっているのです。選挙が始まった時分から見当をつけている、目分量ということかもしれませんね、選挙と選挙の間の差は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 その点は、まあそうすると、そういう沿革上の関係と、それからまあ大体区切りのいいように五日ごとできめているということに了解しますが、外国の例をちょっと局長にお尋ねしたいのですが、外国の選挙というのは、大体期間はどのくらいになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/51
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052・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 私の知っているところを、その間に詳しいことを調べておいてもらって…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 主要な国だけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/53
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054・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 主要な国の例を申しますと、日本のように完全に事前運動というものの大部分を裁判まで、違法のものにしておるのはフランス、これがちょうど二十日で、フランスの場合は、日本のように立候補届出をしたときは、順序できまってくるのではなくして、ぴったり候補者の届出が全部済んで、それから始める、それが二十日です。一番日本に似ておりますのはフランスの二十日、あとは西ドイツ、イギリス、アメリカの大部分の州、これが全部二十日になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、ここ終戦後から今日まで十年余りのことを考えましても、これは国の選挙にしても地方選挙にしても、うんと短かくなっているわけですね。終戦直後の選挙と比べると近ごろは。これはまあ選挙区制はそのままで、しかも期間だけはだんだんだんたん短かくなっていっておるのですが、将来の見通しはどうなんですか。さらにまた、今までのようなことで、さらに五日刻みでないにしても、何日かずつ短かくなっていくということなんです。それとも、もうこの二十日というところがもうぎりぎりの線なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/55
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056・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) これは振り返ってみますと、明治二十年が三十日大正十四年が二十五日、そうしてこのたびが、昭和三十三年が二十日、ですから私はこう思っております。明治の二十二年から大正十四年までの刻み、それから大正十四年から昭和三十三年までの刻み、これからまた、三十年か三十五年たちました時分に、おそらく問題が起るのじゃなかろうか。ですから、私は実を申しますれば、あの参議院の三十一年のときには、かなりの一つの英断をしていると思う。明治から大正、それから大正から今日までの、あのときで二十五日とやったのですね。私はいろいろ、一体参議院というものにただ合せるというのが理屈かどうか、あのときにはやはりかなりの価値判断をしまして、大正の時期にきめたのはかなり縮め得る時期にきたのではないかという考え方でございました。それですから、むしろ参議院でやっておりますが、衆議院を実は合して考えておる。それですから、おそらくは私は、大正の末期から今日までの経過、わが国の交通なり何なりの事情、それを見ながら次の時代に私は考えるべきことだと思っております。従いまして、これは今までの記録を見ましても、もうみだりに変えるべきことは考えられないという種類のものだと、私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/56
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057・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、政府の考え方としては、一応今回の衆議院の選挙運動期間を二十日にきめることで、参議院も衆議院も、地方選挙ももう大体一応一貫した。だから、これで最終的なもので、少くとも相当期間の間は最終的なものだ。だからこれ以上選挙運動期間をいじくることはないというふうに了解してよろしゅございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/57
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058・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 私は、各種選挙が全部三十一年にきまりまして、ただ衆議院と参議院の両院関係で衆議院だけは手をつけずにおいた。これで一応私は選挙運動期間という点では安定したということです。ただ、おっしゃる通りに、その刻みが、町村などは七日になっておりますがね。まあ二十五、二十、十五という刻みをして、しまいのところは七日もありますが、七日というのが一番、日、月、火、水のこの七日でございますね。それで押えておりますが、まあ選挙運動期間はこれで応安定した。むしろ考えますことは、この期間の中にもっと能率的に、もっと有権者と候補者のために親切に考えて、さっきの個人演説会のこともありましたが、私はあのとき六十回ときめましたが、回数だけやらしてくれても、魚屋の家か何かを借りなければできない個人演説会はしょうがないじゃないか。もっと施設の公営をやって、広い学校を使うとかで、もっと施設の公営をやって、役立つ個人演説会をやれと、だから施設の公営をもっと自由にやって、冬候補者に施設を使っていただけるなら、そういうふうに私は考えていただけるなら、そういうような中身をこれは運動期間に盛っていきたいと思っております。その点、私どもはある程度自治庁といたしまして責任を感じましてもっと中身にふさわしいものをいろいろ考えようじゃないか、こういうことは言うております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/58
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059・秋山長造
○秋山長造君 実は運動期間のことをお尋ねするのも、今おっしゃる点を言いたかったのですよ。そういう中身の充実がなしに、ただ期間を五日ずつ縮めるということは、私はやはり選挙権に対する実質的な重大な制限だと思うのですね。ただ投票所に行って札を入れるだけの権利になってしまって。やはり選挙権というものは、これは申すまでもないことですけれども、当然前提として、候補者を十分選挙民が知って、公正に批判できるだけの材料を与えるという余裕を与えなければ、この選挙権の内容は、これはすっからかんになってしまう。今度の場合は、ただ目先に迫った国会解散ということを見越されて、とりあえず期間だけ二十日にしようと、こういうことで早々の間にやられたとしか思えない。やはりその内容といえば、今おっしゃるような点もあるし、大体選挙に金がかかってかなわぬということもあって、そういう弊害をできるだけなくしていくためには、やはりこれはだれが考えても、選挙公営を徹底していくという以外にないと思うのですね。選挙公営にははがきとか何だとかありますけれども、しかし今一番有効な選挙公営の方法というのは、これは立会演説会だと思うのですね。ところが二十日になれば立会演説会の回数は確かにそれだけ私は減ってくると思うのですね。この立会演説についてはどのようにお考えになっているんですか、私は減ると思うのですがね。これを減らさないで、従来の線を維持しておいきになる方針なんすか、またそれが可能だとお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/59
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060・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会の回数は、先ほど申し上げましたように、全国平均して二十七回で、選挙区当りにいたしますと、四十七、八回になっておるわけでございます。二班編成のところがございますので、そういうことになるわけでございますが、現在、立会演説会を全国的に見ますと、九日目ぐらいに開始をいたし、おります。今回の法律改正によって期間の短縮がなされましたが、これをできるだけ早く立会演説会を開始するようにいたしますと、初めの方で一日少くなる。それをうしろの方でカバーするということが考えられるわけでありますので、これは全国的に見ますと、大体立会演説会の計画は実施できるのではないか、このように考えております。また、十五日間一日二回ずつ立会演説会をやるものと仮定いたしますれば、三十回できるわけでございましてそれが十四日立会演説会をやるということになりますれば、二十八回はできる。現在、都会の方面におきまして、立会演説会の回数がもって充実してできるというふうにわれわれが考えておる地区がございます。こういう点は、回数の増加をはかるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/60
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061・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、これはどんな条件の悪いところでも、今、局長のおっしゃるところによりますというと、従来より減るという心配はないというふうに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/61
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062・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 全国的に見ますと、多いところと少いところと、若干その個々の事情によってでこぼこでございます。でございますので、私どもといたしましては、できるだけ個々の選挙区について減らさないように工夫をしろということを言っておりますが、全国的に見ますと、従来の実績を十分下回らないようで措置できるというふうに私ども考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/62
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063・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) その点、参議院のとき三十日であったのを二十五日にしたときに減るだろうという御議論だった。ところが、それがほんのちょっとふえておるのです。それでこれを見ておりますと、たとえば地方の県ではむしろ私は土曜、日曜を書き入れにしていると思うのに、東京なんかは会場等との関係があるのかもしれないが、土曜、日曜を減らしておる。それをもう少しふやそうじゃないか。これは日数のいかんにかかわらず、改善すべき点がかなりございます。ですから私は全体的に見まして、これは必ずしも日数が五日減ったからコンペンセートするためにということよりも、まだまだ立会演説会のやり方につきまして工夫する余地がございますので、ですからこれはむしろふやしていく方向に持っていきたいと思います。具体的な問題は、今度始めるのを早くいたしますと、これは少くとも今までよりは私はよくやっていけるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/63
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064・秋山長造
○秋山長造君 都会地ならば今おっしゃるように能率的にやる余地があるのです。ところが、地方になりますと、やはり五日短縮されると、その五日分立会演説ができなくなるかどうかは知りませんけれども、何日分か立会演説というものはやっぱり制約を受けてくるに違いないと私は思うのですが、たとえば、地方の山あり川ありというような選挙区が全国的にほとんどですが、そういうところでは、今までの実態からいいますと、まず公示があって、そうして各候補者は一斉にスタートして、そうして立合演説が始まるまでにまず選挙区を一回りする。そうして一回りしたところで立会演説が始まっていく、そうして立会演説が済んだあと、今度最後の仕上げに一回りする、それで投票、こうなっておると思うのです。ところが、これはその大多数の選挙区ではやはりその前あとに一回り、選挙区を大ざっぱに一回りしても五日くらいかかるのですね。ところが今度二十日になって五日減りますと、それは選挙区を初め、終りの一回りができにくくなるのです。今までの立会演説会数というものを維持していこうとすれば。そういう点に対する配慮というものが非常に私は不親切になってくるのじゃないかと思う。法律違反すれすれの事前運動を猛烈にやつておる人とか、あるいはもう何回も出てすみずみまで顔の売れている候補者、こういうような人はそれほどこれは影響は受けないかもしれないけれども、しかし、大なり小なり、新人はもちろん影響を受けますが、しかし、現役の相当選挙の回数を重ねた人にしても、機械的にやっぱり五日減ればそういう影響を受ける。それだけやっぱり選挙民に対しは接触するチャンスというものが失われるわけですから、選挙民も不十分な材料をもとにして投票に臨む、選挙民に対して親切さがそれだけ薄らいでくる、こういうことにどうしても私はなると思うのですがね。そういう心配はないと断言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/64
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065・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/65
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066・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/66
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067・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会の回数につきましては、先般の都道府県選挙の書記長の会議におきましても、十分徹底をはかりまして、回数を減らさないような計画を立ててもらいたい、こういう指示をいたしておりますが、府県によりましては、若干地勢等の関係で困難な面があるというような意見もございます。そういうところは、やり得るところにおいて回数をふやすように、平坦地区における市街地に入った場合に回数をふやすというような方法も考えられるのではないか、できるだけそういう工夫によって回数を減らさぬようにしてもらいたいということを指示しておいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/67
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068・秋山長造
○秋山長造君 回数をふやすように、減らさないようにというのは、これは日数ということもありますが、一日についての回数をふやすということも含まれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/68
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069・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 一日に従来一回とかあるいは二回、夜まで入れて二回というような場合に、市街地に入りました場合、夜の回数をふやすそういうようなこともございますし、あるいは日中やらない、従来有権者の集まりが悪くて、日中はやらないというところがあるわけでございます。そういう点においては、日中でありましても、あるいはまた夜間でありましても、できるだけ回数をふやして、できるだけ広く機会を求めて実現をはかる、こういうふうに指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/69
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070・秋山長造
○秋山長造君 夜の立会演説というのはどの程度今まで行われておるのですか。それからまた、今度期間が短縮されたことによって、どの程度見通しとしてふえることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/70
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071・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 小都市でも夜の立会演説会を今までもやっておりますが、中都市ないし大都市になりますと、立会演説会の回数をさらに増加する面があると思うのでありまして、現在大都市ないし中都市の大きいところにおきましては、現在の回数以上に立会の同数を増すことはできない、こういう報告を得ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/71
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072・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 私の方も立会演説会の充実というのは前から考えておることでして、従いまして、何とかいい時期に、大体終戦直後の立会演説会に比べると——立会演説会はあの時分に始まったものですから、それに比べると交通状態なんか変ってきておる。バスで奥の方から出てきて戻れるのだ、それなのに一ぺんやったらこの場所を変えるわけにいかないというので、計画に工夫もしていない。それがだんだんとなれてきた、ともありますから、私の方で選挙管理委員会の委員長を呼びましたり、書記長を呼びましたときに、計画を持ってこさせまして、なるたけ回数を多くできるように、また、今まで開いた場所にこだわらずに、それがあまり有権者に便利な場所でなければ、場所を思い切って変えるようにということで指図しておりますから、これはなかなか信用できぬぞとおっしゃればそれまでですけれども、その点の工夫は何とか私どもでもかなりよくやっておりますし、地方の選管も一生懸命でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/72
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073・秋山長造
○秋山長造君 その点は一応それとして、私は、これは個人的な意見で、極端かもしれませんけれども、二十日ぐらいにするのだったら、全期間を立会演説会に充てるぐらいな英断を振われた方が、かえって二十日に短縮した意味が生きてくるのではないかというふうに思うのですが、そこまで思い切って……。ここらでできぬとしても、近い将来に思い切って立会演説会至上主義でですね、そこまで踏み切られるお気持がないかということ。それから、先ほど長官がおっしゃった、期間は短かくしたけれども、そのかわりに内容的に選挙公営の趣旨を生かして十分充実していきたい、これは個人演説会場等の公営その他を含めて充実していきたいというお話だったのですが、それは一体、ここでは間に合わぬにしても、いつまでにそれを法律改正の形で具体的におやりになるお気持かどうか、その二点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/73
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074・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 前の方は私たびたび申しましたから、局長からお答えいたしますが、あとの内容充実の点ですね。これは必ずしも法律ではなくても、施行令、規則に譲られている部分もありますので、もとは法律にありますけれども、施設の公営などの範囲はもっと拡げていいと思います。たとえば、今度もわずかのことですが、よく運動なさる方から訴えられます電柱へのポスター、これは電力会社に話をして、張ってもよろしいということにしまして、ただ、これはつくづく選挙のことは、なるほど皆さんが神経質になるので、なるべくなら断わろうというところがあるのだろうと思われるのでありまして、ここへ張ってしまったが、工夫が登るときにむいてしまったりしたときは免責にしてくれ、ポスターを気にして登るのでは仕事ができぬから、夜間もあるし、これは免責でよろしいということにしまして、そういう自分の方で責任を負わぬで、そういうことが免責されるならお張りになるということは、選挙という大事なことだから私は一向文句は言いませんというようなことが出てきまして、それで念書を取りかわして、今度の選挙では差しつかえないということにいたしますが、まあ一つ一つ片のつきそうなものは、私は変えていくようにやっておるのですが、なかなか相手のある話で、まとまりませんので、大体公けのもの、学校その他の施設の公営ができまして、これからのは、公けでないものを公営の対象に何とか入れていくようなこと、そんなことなどもやりたいと思いますから、おそらく私は、次にまたその機会がありますようなときには、それからまた、私は今こうやって一生懸命でみんなが、自治庁で手分けしてやっていけば、次の通常国会あたりにはある程度の案というのは私は用意できるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/74
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075・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 運動期間の短縮に伴って立会演説会至上主義と申しますか、もっとそれに中心を置いてやったらどうか、こういう御説でございますが、今回の改正におきましても、公示の日に立会演説会の計画を決定いたすようにいたしております。計画を同時に告示いたすようにいたしておりますので、従来より立会演説の開始がずっと早まります。従来九日目くらいから実施いたしておりましたのが、四日目くらいから実施できるようになっております。
それからいま一つの御議論では、ほかの運動よりも立会演説一本にしぼれ、このような御意見とも拝聴いたしたのでございますが、そういう御意見に対しましては、数年前、完全公営論と申しますか、というような御議論で、衆議院の一部の方が強く主張されたのでございますが、やはり選挙運動期間に、立会演説会だけでなく、ほかの運動方法もやはり十分認めるべきだという御議論があったように承知いたしております。私どもといたしましては、現在の公営の立会演説会の回数をできるだけ増加して、またそれ以外の公営におきましても、今回、はがきとポスターの増加をいたしておるのでございますが、できるだけ各種の運動方法を強化いたしますことによって、立会演説会だけでなく、この運動を広く展開することによって、有権者に徹底をはかる、このような考え方に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/75
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076・松澤兼人
○松澤兼人君 ちょっと関連して。秋山君の御質問で、四日目くらいから立会演説会が開かれる、こういう話でしたが、そうしますと、先ほどもいろいろ議論があったのですが、第一日目、公示があれば、届出が終って、そこからいわゆる街頭演説等の選挙運動が始まるわけですね。それで個人演説会の手続さえ済めば、四日より早くやってかまわない、そうですね。それで、じゃあなたの方のスケジュールを一つ、平均的なものでしょうけれども、教えていただきたいと思うのです。届出期間の締め切りだとか、それから投票は、一日公示ならば二十一日になるとか、二十二日になるとか、大体あなたの方で現在考えておられるようなスケジュールをお知らせ願いたいと思います。公職選挙法によるいろいろの手続ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/76
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077・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 第一日、公示、立会演説会開催計画決定告示、第三日、立会演説の順序決定及び市町村への通知、第四日、ポスターの掲示、第六日、立会演説会開始、第七日、立候補届出期限、同じく選挙公報掲載申請期限、第九日、経歴放送開始、第十一日、政見放送開始、第十二日、候補者氏名掲示の開始、第十五日選挙公報配付開始、それから第二十日、選挙公報配付最終日、第二十一日放送、立会演説終了、第二十二日選挙期日、投票期日、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/77
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078・松澤兼人
○松澤兼人君 そうすると立会演説は第二十一日までやっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/78
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079・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) ただいま申し上げました日程は、第三日に立会演説の順序決定及び市町村への通知というのがございますが、このときにポスターの掲示を始めてもらえますれば、日程が一日ずつ繰り上る、こういう選択を許すという趣旨で指示してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/79
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080・松澤兼人
○松澤兼人君 そこで、秋山君がさっき言ったように、普通選挙は最初二、三日、四、五日自由な個人的な運動ができる期間として、最初やはり二、三日というものは自由な選挙運動をやるというのが常例であったわけです。今度のやつは、やはりそうするとぎりぎりまで立会演説があるから、あとの自由な活動とか何とかいうことは全然できない。そうすると、立会演説それ自体というものは今までよりも回数が減らないということをおっしやるけれども、しかし独自の選挙運動というか、選挙活動というものが、立会演説が変らないということで、選挙期間が短縮になれば、それだけ少くならざるを得ない、こういうことになると思うのですが、その通りなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/80
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081・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) ただいま申し上げました日程は、立会演説会の日数が十六日取ってございます、日二回ということを先ほど申し上げましたが、一日二回で十五日とすれば、三十回ということを申し上げましたが、そういう点は、最後の一日がさらに繰り上げられ、それからポスターの掲示が早くいきますれば、最終日がさらに繰り上げられる、このように私ども指示をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/81
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082・松澤兼人
○松澤兼人君 一日や二日はそれは繰り上げられるかもしれないですけれども、しかし立会演説は必要であるということを、もちろん僕らは口をそろえれば、やはり立会演説の回数をふやさなければならないという立場に立っていますから、それをそういう二十日というワクの中で減らさないということはもちろんいいのですね。いいけれども、全体のワクが二十五日から二十日に減ったということで、自主的、独自的な選挙活動ということを、やはり立会演説会にしばられてしまって、自由にできないということは確かにあると思うのですね。ですから、今までは選挙活動が二十日になったとしても選挙運動には変りがない、あるいは立会演説には変りがない、こう言っておられたのですけれども、実際のスケジュールを立ててみると、さて自由な活動期間というものは全然なくなるか、あるいはあっても初めの方二、三日だけであって、立会演説が始まれば、もうその立会演説に終始して運動計画を立てるより仕方がないというように、だいぶ窮屈になっているということは確かに言えると思うのですね。それだからといって別に責めるわけでも何でもないけれども、その事実だけは認められますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/82
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083・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 先ほど申し上げました日程で、十五日の何と申しますか、立会演説会の日程を組むと仮定いたしますれば、前後六日の自由な運動の日数があるわけでございまして、それでも従来より減るではないか、こういう御意見かと思うわけでございますが、従来よりも白熱的に選挙運動を展開していきますれば、これは大体従来通りの効果が上るのではないかと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/83
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084・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと長官へお尋ねしたいのですが、さっきの私の議論の繰り返しにもなるのですが、どうもこういうことで実質的に内容を充実をしていくのだというお話があったけれども、今発表されたような日程でいきますと、どうしてもやはり五日減れば減っただけのマイナス面というものが非常に大きいわけですね。こういうことになってきますと、今選挙ということか、何といっても私はこの民主主義の一番大きな保障だと思うのですね。この民主主義の一番大きな保障としての選挙というものが、こういうふうに法律的、制度的にだんだんと軽く扱われるという傾向に私はなっていくのではないかと思うのですがね。その点は、私は非常に重要な点だと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/84
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085・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) お話は、松沢委員から出ておりましたが、立会演説会というものをああいう工合に一つの主軸に考えますと、勢い候補者が立会演説会というものを前提にしたそれぞれの有効な行動計画をきめるのだ、こういうことに相なって参ることは、これは一つの勢いだと思います。それで、私はあらゆる面から見て、繰り返して委員会で申し上げましたような理由から、二十日で足りるということになれば、それは一体このほかにどんな公営手段が残っておるだろうか。まだポスターなりはがきのふやし方が少いのだという御議論があるかもしれません。しかしこれはふやすものはどこまでもふやしていきまして、そうしたことが完璧にできるものは期間の短縮ということができないものだろうか。それなれば三十一年度の全体の短縮をいたしましたことがいけなかったということになりますと思います。私はそうは考えません。考えずに、これは進んで参った状況から見まして、そうしてそれから、先ほど申し上げましたように、これからの約一年というものを研究、折衝に充てまするならば、あるものができるだろう、決しておっしやるように、選挙というものに対する国民の関心なり何なりを減らすというようなことは私は全然考えない。むしろものは逆になっておって、これは選挙全体が、この日数の問題などよりも、回を追うに従って、非常に私は国民の関心はふえていく、こういう工合に考えておるのでありまして、御指摘の点と日数の点とはどうも私は直接の関係というものがある事柄のようにも考えないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/85
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086・久保等
○久保等君 関連質問がだんだん長くなりましたが、話をまた私の先ほどの質問に返しまして、質問をいたしたいと思うのですが、先ほどの私の質問に対する長官の御答弁は、いろいろ苦心のある表現に総選挙の期日の表現がなっておるというお話なんですが、しかし、もう少しはっきり規定しても規定ができるのではないかと思うのですが、それは要するに、幅のある考え方でこの三十一条の第四項をきめるのだということでいけば、こういう言葉の表現で、「総選挙の期日は、少くとも二十五日前に公示しなければならない。」のだということで、まあ「少くとも」というような言葉で幅のある規定の仕方でもいいと思うのです。しかし選挙期日という問題は、やはり時の内閣なり、あるいはまた時の政党の意見によってあまり伸縮自在のような規定の仕方は、これまた適当でない。そういう意味では、やはりはっきり選挙運動期間というものが明確に規定されるということが好ましいところです。そういうことを前提にして書くとするならば、私は今までのやってきておる現行の建前からいくと、ここのところ、総選挙の期日は二十六日前に公示しなければならないというようなことに書かれてあれば、中二十五日選挙運動期間が持てるようなことに規定されるんじゃないかと思うのですが、少くとも二十五日前に公示しなければならぬということになって、少くとも多くとももじゃなくて、これが大体二十五日前にいつも公示されているようなことになっていると思うのです。だから、今度の提案御趣旨の説明からいくと、私はやはりここのところが、二十日というものが二十一日、総選挙の期日は二十一日前にまあ公示しなければならないという形にきめられたと同じような形に持つていこう、実質的にはそういうお考えだろうと思うのです。どうもこういう言葉の表現……、日本語のむずかしいものの、しかし、考え方がはっきりして弾力性のあるような形の選挙運動期間というものは置かないのだと、ぴしっとそのものずばりで、はっきりと選挙運動期間にするのだという考え方からするならば、この法文の表現の仕方というものは、もう少しはっきりできるんじゃないかという気がするのですが、ただ沿革上からこういう形にずっと従来からなっておったので、そういう沿革上のことはわかるのですが、しかしそうだとすれば、こういうきめ方をしていれば、あるいは選挙運動期間は二十六日でも七日でも、あるいは三十日でも、この現行法の法文上からいけばできるんですが、しかし運営の仕方は、あるいは従来の慣行は、そう弾力性のある形ではなくて、常に二十五日前と書かれてあればまあ二十五日、何か二十五日の運動期間をとるという考え方で従来終始してきているとすれば、ここらでそういう慣行なり、やってきた今までの経験から、言葉の表現についてもはっきりとした方がいいんじゃないかという気がするので、たとえば、最近新聞なんかのいろいろ報道なんかを見てみましても、今慶二十日間になるのだというようなことで計算してみると、いろいろ日数が、投票日の日数なんかが考えられておるのですが、これなんかも、やっぱり明らかに私は法文なんかの非常にあいまいなというか、むずかしい点からきているのじゃないかと思うんですよ。だから条文を見れば、二十日間なら二十日間、二十一日間なら二十一間、ぴしゃり運動期間がはっきりわかるよりな規定にしておけばいい、理屈は。これだというと、「少くとも」になっているのだから、一体何日になるのか見当がつかない。どうしても選挙期間は三十日間というのだから、私は計算してみると、公示になった日を入れると、一日にでも公示になったとすれば、二十一日あたりが投票日じゃないかという方もいるし、それからまた二十日ぐらいだというふうなことも言われる方があるわけです。こういう点は、やっぱり法制定の場合に、言葉の表現の仕方についてはもう少しはっきりしたらどうかと思うのですがね。提案趣旨を説明される場合の趣旨説明と法文上の改正の仕方とは、そういった点でかなり正確にぴったり一致していないのですが、選挙局長からでもいいのですが、どうですか、その点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/86
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087・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 総選挙の公示の日の規定の仕方の問題でございますが、先ほど長官から御答弁がありましたように、明治からこのような沿革を持って、きておるわけでございまして、その沿革を持って従来行われておるということは、これはもう何と申しますか、あくまで公知の事実と申しますか、そういう普及しておる考え方では、少くとも法律的にはそうであるというふうに考えられるのでございます。ただそうでない一般国民が見た場合に、非常にむずかしい規定であるということはおっしゃる通りでございまするが、今後この規定の仕方をどう変えるべきかということにつきましては、十分研究をいたさなければならぬと思いますが、私どもといたしましては、従来の沿革上のこの書き方を採用していくと申しますか、それを直ちに変えるという考え方は持っておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/87
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088・久保等
○久保等君 現行の、ですからこの選挙運動期間というものは、正確にいえば現在は二十六日間、公示の日を入れて二十六日間、それから今度の改正しようとする「二十日前に公示しなければならない」ということになれば二十一日間、公示の日を含む二十一日間という解釈なり実際の運用をやっておるということになるわけですね。そういうことですね、一つちよっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/88
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089・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) おっしゃるように、一日まあ多いと申しますか、そのような通常をやっておるのでございますが、これはまあ法律の実施の上におきまして、訴訟その他、あやまちのないようにしよというような配慮から、従来そのような通常がなされておる、このように解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/89
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090・小林武治
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/90
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091・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/91
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092・成瀬幡治
○成瀬幡治君 今局長の方から一応スケジュールが出ましたのですが、大体六日から立会演説を始めようじゃないか、わかりますですが、これは最長、最も長くとった場合であって、これを手回しよくやれば一日は繰り上って、五日目から大体やれるところができてくると思う。たとえば、ことしできると思いますが、そういうことはやってもいいわけであって、ですから、できるだけ早くやれと、一応のスケジュールはこうだけれども、早くやって差しつかえない、こういうようなふうに大体あなたの方からの何と申しますか、指令と申しますか、指示はそういうふうに出ておると、よろしゅうございますか、それで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/92
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093・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) ただいまの御説の通りに指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/93
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094・成瀬幡治
○成瀬幡治君 次に、この前のときに資料をお願いしましたが、資料が出て参りましたので、それについてお尋ねしたいと思いますが、最初に、任意制の選挙公営の実施状況ですが、県会で四十六団体が改選団体になった場合に、選挙公報を発行したところは二ヵ所といわれるわけですが、あるいは立会演説会を実施した団体は四ヵと出ておるのですが、これは、あるいは県選管がやったものか、それとも県のときに、ある特定な区なんかがありますですね、市でいうと、区、あるいは市選管か、あるいは町村選管がやったものか、その辺はどこがやっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/94
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095・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 任意制選挙公営の実施状況についての調べをお手元に配付いたしてございますが、この県議会議員の選挙公報あるいは立会演説会の任意制の選挙公営の制度につきましては、県議会議員でございますので県条例で定めております。従いまして、県選管が実施するものでございまして、特に特定のごく一部の地域で、あるいは府県議会議員につきましてある区だけで実施する、そのようなことはないわけでございます、全般的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/95
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096・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、立会演説会を実施した団体は県だということになりますと、これは条例を作って、そこでやっておる。それから選挙公報と合わないところがあるのですが、選挙公報は、立会演説をやろうじゃないかという条例を作ったところは、必ず私は、選挙公報も出そうじゃないかと、こんなふうにまあ条例を作っておるのが普通だと思うのです。ここに食い違いがあるのは、これはなぜでしょうか、それとも条例がないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/96
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097・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) これは立会演説会と選挙公報任意制の制度は、おそらく同一地方団体におきましては、両方採用しておるのが原則と思うのでございます。ここで数字が違っておりますと申しますのは、これは府県議会議員、それから都道府県知事、それから五大市の首長、五大市の市議会議員、この四つの選挙を一日に、いわゆる同時選挙で前回執行いたしております、四月二十三日に。そういう面におきまして五大市及び五大府県におきましては、制度そのものがフルに動かないということがあったわけでございます。そういうような関係で数字の食い違いを来たしておる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/97
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098・成瀬幡治
○成瀬幡治君 こうやってみますと、当局の方からも選挙公営においては、立会演説会が中心であるべきだと、こういうようなことをしばしば承わっておったわけです。任意制にして、おったがゆえに、あまり実施されておらぬと、こういう答えが大体明瞭に出てきたと思うのです。ですから、百五十二条にあります任意制という制度は、法文の上では生きておるけれども、
〔委員長退席、理事大沢雄一君着席〕
自治体においては実際にやっておられぬということになると思います。そこで、この前も主張したように、少くとも、県議会においては立会演説会が、少くとも選挙期間のうちに三べんや四回は行われるように、あるいは五大市長においては、立会演説というものが行われていくというような方向に義務づけていくということが必要ではないかと思いまするけれども、あなたは、この数字を見られて 前の法文にあるからいいのだというのじゃなくて、この数字を見られて、どういうふうに今後やっていかなきゃならないというふうにお考えになっておるのか、見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/98
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099・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 選挙運動手段におきまして、特に公営の立会演説会を重視しなければならないということは、私どもそのように考えておるのでございますが、具体的に、この任意制の選挙公営の制度を義務制に、どこから切りかえていくかというような点につきましては、私どもは、数の非常に多い議会議員というようなものよりも、長の選挙につきまして、これは、そういう点を考慮していくべきではないかというように考えております。現存の県議会議員の選挙におきとまして、これは選挙公報あるいは立会演説会等を制度としておきめになっておるところがあるわけでございますが、その該当の選管におきましては、非常に、何と申しますか、薄氷を踏むような思いで実はやっておるわけでございます。議会で条例をおきめになるときは、やはりこの方がいいという主張と申しますか、考え方のもとに、強い考え方で条例をおきめになるのでございますが、執行いたします選挙管理委員会といたしましては、非常に選挙公報につきましても、選挙区等がふえますと、仕事も、国の選挙と違いまして、膨大になるわけでございます。そういう点におきまして非常に困難を伴っている。そういう点におきまして、私どもは、任意制の選挙公営を義務制に切りかえるというときは、やはり長の選挙について切りかえははかるべきであって、現在、任意制になっております議会議員の選挙公報なり立会演説会というものは、やることはけっこうでありますが、これをやるのに非常に能力というものを考えないというと、かえって選挙無効等の混乱が起るというふうに、該当の府県からそういう意見を聞いておるわけでございます。趣旨はやるべきでございますけれども、やる場合に、周密な計画を立ててやらなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/99
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100・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、まあ、いわゆる市町村長に一つ区切りをつけて、こういうものについては一つ義務制でやっていこう、今はできないけれども、この次にやっていこう、こういうようなお考えと承わっていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/100
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101・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 任意制を義務制に切りかえるかどうかという点は、もちろん、よく検討いたさなければならないわけでございますが、長、議員の選挙を、いずれを先にいたすかということなりますれば、これは私ども、数の点からいいまして、事務機構の能力の点からいいまして、長の方から先に考えなければならぬということを申し上げたのでございます。特に市町村長と申しましてても、これは市の管長の選挙に、改選団体数が百七十二で立会演説会が六十でございます。まだ一般的な形になっておりませんので、義務制に切りかえるということになりますれば、これは、ある程度まで普遍化しておるという、そういう傾向が出なければ、これは法律上の義務として課するのは、時期が早いのではないかというふうに考えるのでございます。町村長におきましては、私ども、選挙の能力からいって、果してそのような考え方をとり得るかどうかという点につきましては、疑問に思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/101
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102・成瀬幡治
○成瀬幡治君 市長が百七十二改選団体があったときに、六十しかやっておらぬ、あるいは五大市でいえば、五つあって、一ぺんもやっておらぬ。だから逆に、市長のときは、二つあったときに一つやっておるわけですね、立会演説。そうしますと、私の方の主張は、こういうものを見ると、表を見ると、少いじゃないか、だから一つ、こういうものは任意であるからといって、法律にそうなっておるからいいといって捨てておかずに、ぜひ公営は推し進めていこうという方向なら、私は任意制をはずして、義務制に法律を改正をしていくという方向でなければならぬと思うのです。ですから、そういうことかどうかといって聞くと、あなたは、それをぼやかしてしまっておる。議員と長とをやる場合には、長をとった、これはわかりました。とするならば、今度は、長をとるとするなら、やるのか、やらないのか、いわゆる任意制を義務制にするか、せぬか、こういうことをお尋ねしておるのですが、それに対して一つ明快に、方向はそういう方向にやる、こうおっしゃっていいのじゃありませんか。何か一般化しておらぬからいかぬと、こうなってきたら、もうやめるようなことが多くなってきたら、それを持って一つやろうじゃないか、そんなら、任意制はずっとやられたらいいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/102
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103・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 五大市の首長の選挙は、たまたま三十年におきましては、改選団体が二でございまして、これは立会演説会を、これは何か特殊な事由でやらなかったのがあったために、こうなっておると思うのでございます。それで、これは五大市長になりますれば、これはもうやはり選管の能力からいっても、やり得ますし、また、やった方がいいのじゃあないか。ただ、一般市の長におきましては、先ほど即しましたように、この数から見ましても、なお十分検討する必要があるのじゃないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/103
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104・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) ちょっと補足しますが、私は、やるならやるで、義務制に持っていったらいいと思うのです。ただ、これがあるのですよ。どうも今回、佐野の問題で、例の補償せぬかというお尋ねがあった。その補償のよしあしは別として、あの補償の問題は別として、それからあの場合に、あれが訴訟になる、それも当然なるべきであるかもしれぬし、どう見たらいいのか知れぬ、ただ、こういうものを義務制にしますと、すぐ選挙の公正を害したとかなんとか言って、ものがひっくり返ってしまったり、だから、よほど土台がはっきりしておらぬと、非常に憶病なんですよ、その市の当局や何かがね。だから、これがある程度法律に書いてあるけれども、ある程度のものだったら、訴訟にもならぬし、何とか自然のルールができて、どこでも選挙というものは動いているんだけれども、法律にちょっとひっかかると、あとになってひっくり返るのが実に多うございまして、だから、これはまた余談を申し上げますけれども、それは昭和二十六年に某市で不在投票をするのを忘れてしまったから、あとでごまかすために焼き捨てたというのがあるんです。そんなのは非常に重くしてもいいですよ。ところが、ほんとうに一生懸命でやっておったんだが、ちょっとしくじれば、そらっとやられるものだから、たとえ五大市であっても気にやむんです。だから、そういうものとの調和で、一体どこまでいったら無効になってしまうのか、どうか、そういうけじめを少しつけてやって、そうしてなるべく、やり得るごとなら義務制にて、責任づけもするが、同時にはっきりするということは私は賛成ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/104
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105・成瀬幡治
○成瀬幡治君 長官の方は、一つ五大市くらいはやろう、この問題になってくると、選管事務局との関係にもなってくると思います。私は、兼子局長の方が、大体五大市はもう一つ義務制に踏み切る、そうして選管事務局の方も一つ五大市には置くと、あるいは都道府県には事務局を置く、こういう方向に踏み切ってこなければいかぬわけです。この資料を見ますと、事務局のあるのは東京都と青森なんです。
〔理事大沢雄一君退席、委員長着席〕
五大市の方は三つ事務局を置いておるようでございますが、こういう点は、この次のときには踏み切って、少くとも五大市の市長選をやり、県会議員の方は困難であるとおっしゃる点は、私にもわかるんですから、一つあまり長官がおっしゃるように、いろいろなことで憶病だとおっしゃるのは私もわかります。しかし私は、越えなければならないこれは線だと思うんです。ですからそういう点は、一つ十分気を配って注意をしてゃっていけば、そういう問題は解決のできる問題だ。ですから一つぜひ義務制に踏み切るようにお願いをしたいと思うんですが、重ねて局長の御答弁を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/105
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106・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) お手元にお配りしております資料にもございますように、五大市でまだ現在事務局がないところがあるような状況でございまして、こういう点は機会あるごとにお願いをしておるわけでございます。自治体でございますので、自治体がおきめになることでございますが、やはり、事務量も相当の量でございますし、私どもはそういうことを希望しておるのでございます。そういう機構が整いました上で、よく選挙管理委員会等の実情も調べ、そういうふうに指導をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/106
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107・久保等
○久保等君 刑事局長がお見えになっておりますので、手元にいただいた資料について若干お尋ねしたいと思います。
選挙違反検挙状況調べが、昭和二十八年の総選挙、昭和三十年の総選挙についていただいておるわけですが、これの起訴せられた数だとか、それからまた、その起訴せられた中で有罪になったものだとかいったようなことの数字もわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/107
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108・中川董治
○説明員(中川董治君) 公訴の提起並びに裁判の状況等につきましては、私どもの管轄外でございますので、私どもの方と関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/108
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109・久保等
○久保等君 ただ選挙違反がまあどういう状況を示しておるか、これは警察庁の刑事局の方においても非常に関心を持っておられる問題で、あなたの万が所管外でわれわれに説明をせられる責任があるかないかは、担当者であるかどうかは別としても、今言われるように、全然所管外の問題だという御答弁じゃちょっとわれわれも取りつく島がないのですが、どういう結果になったのか。これはまあ自治庁の選挙局の方になるのかもしれぬですが、そういったことの御説明を二つどなたからでもけっこうですが、願いたいと思うのですがね。きわめて淡白な説明でもわかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/109
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110・中川董治
○説明員(中川董治君) 私どもは、この選挙犯罪の捜査が適正に行われていく、それに対しては大へん関心がございますので、警察庁におきまして立件いたしました数字等は正確に取るようにいたしておるのでございます。警察で検挙いたしました寡作は、御案内の通りに、法律に基いて検察庁に送致するのですが、検察庁は起訴する、裁判は裁判所において行うのは当然の形でございますがその起訴の関係につきましては、法務省の統計がございますので、私どもの方でいつも見ておるのでございますが、私見ました感じでは、大体選挙違反の犯罪も、他の選挙違反を除く犯罪も、起訴という状況は同じような傾向をたどっているのでございます。詳しい統計は法務省の統計等あるのでございますが、その連絡で私どもいつも見ておりますことからは、選挙違反の越訴の状況も、選挙違反を除く起訴状況も大して変わりないとこう理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/110
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111・久保等
○久保等君 あまりはっきりした御答弁はいただけませんが、わからないことはいたし方ないとして、まあこの両年度の、昭和二十八年と三十年の二つを対比してながめて見ただけでも、非常に選挙違反の検挙数が激増いたしておることはよくうかがえるわけです。買収、利害誘導といった非常に悪質な選挙違反、これも二十八年では一万九百六、それが三十年では二万六千八百九十、戸別訪問についても、二十八年が千二一九件だったものが、三十年では千七百八件、また、文書図画制限の違反等の件数に至っては約四倍くらいふえておるようでありますが、全体のトータルを見てみましても、二十八年が一万二千九百一件に対して、三十年では、一万六百七十九件、約七、八割程度二十八年よりも三十年が多くなっておるような趨勢を示しております。こういう状況から考えてみましても、今回の、さらに総選挙を直前に控えた事前運動等の趨勢も、これまた非常にわれわれも露骨に事前運動等が行われておるようなことを考えますると、選挙違反検挙の数がまた三十年よりもさらにふえるのじゃないかというようなことも危惧されるのですが、現在の状況、これはもう先般もお答えがあったように、具体的な数字等で明確に把握をしておらない状況だそうですし、かりに明確にされておる部分についても、ちょっと公表をできかねるというようなお話もあったのですが、今の状況を考えてみた場合に、この過去の昭和二十八年なり昭和三十年なりとの状況と比べてどうでしょうか。まあ抽象的な質問になるのですけれども、やはり当時よりもふえるおそれがあるように感ぜられますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/111
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112・中川董治
○説明員(中川董治君) まことにむずかしい御質問ですが、私ども選挙違反につきましては、各府県で実際の行為を中心に取り締りをすべきものだと思うのであります。東京で全国をながめて、ことしはこの前より多いとか何とかいうことで、観念的にものを判断するのは誤まりのもとだと思っておりますので、よく選挙がありますと、関係者の方で、今回の選挙違反は多いだろうか、少いだろうかということをお聞きになる場合があるのですが、今回の選挙はこの前の選挙より二割増であるとか三割増であるとかいう観念で考えること自身が、大へんな間違ったことだと思っておるのであります。事実関係は何ものもおそれず、何ものも憎まず、適正に、一党一派に偏しないようにして参りたい。こういうふうに取締りというものは考えるべきで、東京のまん中で考えて全国はどうだということを判断をすること同体が悪影響を来たすと、こういう考えを持っておるのでございます。
それで現在の、やがて行われるであろう総選挙につきましても、私ども警察官といたしましては、ほんとうに適正に厳重に、また常識的にかなって取り締っていきたいと、こう思っておりますので、その結果を今から予告せいというのは、ちょっとこれ困りますので、その点御了承おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/112
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113・久保等
○久保等君 刑事局長なかなか非の打ちどころのないような答弁をされているのですが、もちろん東京で、何といいますか、好ましくない推測等をまじえて、選挙違反等の摘発を行なっていくべきだとか何だとかいうことを申し上げているのじゃないのです ただ実態把握が一体どの程度なされておるかどうかという問題なんです。それで、ある一定の目標をきめて、その目標程度はぜひ一つ選挙違反の摘発をやれということも申し上げておるわけでもないし、執行の面に当っての態度は、まあ今、刑事局長の言われるような態度、きわめてまあ崇高な態度のように承わるので、非常にけっこうなんですが、ただわれわれの考えておるのは、そういう主観を全然まじえないで、現在の一体状況というものは、現実というものがどういう一体状況にあるのか。選挙造反取締りの術に当っておられる刑事局長自体にしても、どういう把握をされておるのか。まあもちろんわからないことをわかったような顔をして御答弁になる必要はないのです。それでおわかりにならなければ、おわかりにならなくてけっこうなんですが、ただ、われわれ、そうは言っても、おそらく警察本庁の方としても、この問題を非常に重要視しているし、また時々刻々の推移等についても、でき得る限りの状況をやはり把握されておるのじゃないかと思うのです。一体、報告をどういう形で、何日に一ぺんか、どういう形で取っておられるかどうか知りませんけれども、おそらく、そういったことについてもでき得る限りの努力はしておられると思う。そういう点から私ども、総選挙直前に控えておる今日、例年よりも非常に激減しておる、非常に好ましい状況であるということならば、非常にけっこうでありますし、それならば、さらにそういう情勢をより強く推進するように、お互いにこれは努力しなきゃならぬ問題だと思いますし、それが、むしろ従来よりも上っておる傾向にあるとするならば、これまた、より一段と大いにお互いに反省もしなきゃならぬだろうし、それからまた、取締り当局は、先ほど刑事局長の言われたような厳正不偏な立場で、十分に一つ公平を失しないように、そうしてまた、何といいますか、厳正にぜひ一つ犯罪の検挙その他の問題について当ってもらいたいというふうに考えるのですが、しかしいずれにしても、現在の状況は、まあなるようになるので、選挙も終ってみた後にこれはまあ出て参るのですという答弁でも、まあちょっとこれ能のないようなことになると思うのです。ですから、主観をまじえないで、現在の状況についての把握がどの程度なされているのかどうか、一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/113
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114・中川董治
○説明員(中川董治君) 御質問の趣旨は、まことに私よくわかるのでございますが、現在の関係を率直に申しますと、次のやがて行われるであろう衆議院の総選挙の選挙についての話だと思うのでありますが、そのことについて、現在は事前運動の違反行為が現在各地で行われておると、こう思うのでございます。その事前運動という点だけを見ますと、一昨日も申し上げましたように、現在、犯罪捜査に関してこれを申しますと、今各府県で立証の資料を集めていると、これが実態でございます。それで、私ども地方まかせで、中央はのほほんとしているという意味じゃ決してございませんので、いろいろとそれが第一線で証拠がまとまりまして、検挙する、検挙するに当りまして、その個々に、あの人が何とか、あの人が何とかといって、そういう選挙干渉的な調査はいたしておりませんけれども、そういうふうにまとまりましたものにつきましては定例に報告がございます。ところがいつの選挙につきましても同様なことが言えるのでありますが、事前に行われる行為、別言すれば、事前運動の罪は、おおむね告示がありまして、告示があって、その届けがあって、そうして候補者というものが確定されるわけですが、そういった段階等におきましては比較的証拠がまとまつてくる、こういうのでございますので、件数の報告は今のところないのでございますが、やがて公示等がございますと、まとまったものからつど、報告が数字として出てくる。それが定例のものを三日置き、五日置きに取っております。そのときになると数字が出てくることも事案でございます。ところが、今はそういうことのない程度の段階で、ですから、きわどい、選挙犯罪になるのか、選挙犯罪にならない下、事前運動にまぎらわしい行為であるか、こういうことがあいまいな形の現状だと思うのです。だから、その現在の状況で、大へん多いか少いかということについては、私ども、国会においてはもちろんですけれども、国会以外の場所におきまして日も、証拠に基かないことはやたらに申すべきことではございませんので、そういうことの証拠を一生懸命収集の最中なものですから、御質問の趣旨はよく理解できるのですが、今の段階においてそれを推定することは好ましくないと申し上げたのでございます。
今度、質問のもとへ戻しまして、現在各府県で、各地方で事前運動の犯罪として立証できるに足る行為があろうと思います。もちろん、ただし犯罪とは立証できないけれども、まあ好ましくない社会活動というものがあるのではないかと思う。そういう好ましくない社会活動というものが、一歩突っ込んでみますと、事前運動の罪になる、こういうことになろうと思いますので、各地方におきましては、現在非常にやっておるのでございますが、選挙管理委員会、それから私どもの中央警察、都道府県警察、検察庁等が相談いたしまして、まぎらわしい行為が多いものですから、そういうことを抑制するということが、公けの機関として必要なことだと思いますので、そういう抑制のための警告、一般的な警告が多いのでございますが、そういう警告等を非常にやっている、こういう現状でございます。それでまあ警告その他、措置に応じていただいて、どしどし一般的な方々が事前運動に関する行為をやめていただけば、少くとも今後の分はなくなっちゃうということになるので、やめていただくことを期待いたしますけれども、今後の推移によって、やめていただけない場合においては、いろいろと今度事件として出てくるものが多くなってくるだろう、こういうことにならざるを得ないと思うのでございます。ただいまの御質問の趣旨、よく了解できるのでございますが、現状が右申し上げましたような通りでございますので、それによって御了承いただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/114
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115・久保等
○久保等君 公式の御説明ということになれば、そういう程度を出ないかと思うのでございますが、ただまあ長い間こういった関係を扱ってこられた衝にある者の目から見れば、具体的な数字で、どうこう言えないにしても、判断としては、大体の判断は私はできると思うのですが、まあしかし、おのずから推測めいた判断になるでしょうしするから、まあそういったことについてあまり追及がましいことはお尋ねはいたしませんが、現在の状況というものは、いずれにしても私は憂うべき状況にあるのではないかと思うのですが、従って、それが実際の選挙違反になるかならぬかは別としても、少くとも今日行われておりますような好ましくない状況、こういったことについては、公明選挙という立場からも非常に考えさせられる面が多いと思うのです。
それで、今度の総選挙に当って、何といっても内閣自体として考えてみれば、汚職追放とか何とかいうことを非常にやかましくいわれている内閣のもとの総選挙だけに、私は自治庁も非常に重大な関心というよりも、むしろ責任を感じておられると思うのですが、この選挙違反の問題なり、あるいは選挙運動の事前運動等の問題について、自治庁長官の方ではどういうふうにお考えになっておられますか。長官に、この選挙違反等の問題に対するお考えを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/115
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116・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 刑事局長が御説明いたしておりますように、選挙違反についての取締りの面での抑制ということは、厳正に執行していくのが当然でありまするし、ただ、この犯罪というのは、何と申しましても、徐々に改善されていっていると私は思います。すでに二十七回も総選挙をいたしておりまするけれども、それはもう当りまえのことでありますけれども、初期の総選挙には必ず流血の惨というものがつきものであります。総選挙には流血の惨があるものだというのが、私どもの幼いときに頭に残っておったことでありますが、今日そういうことは考え得ない。考えられてはもちろん大へんなことでありますが、絶対に考え得ない状態になってきております。そういたしますと、まあこれは外国のことを言うのはおかしいことでありますけれども、とにかく十八世紀のイギリスというものは、選挙区がポケットという名前がついて、選挙区全体が売りものに出ておる、買う者がある。それから二百年たって十九世紀の終りには、選挙違反の影というものは探そうにも見られない。とにかく非常に長いしんぼうがよくなって参りました。私は日本の選挙違反というものは、一つはあまり、これは私のほんの個人的な考え方でありますけれども、あまり取締りがいろいろと多い場合、かえって違反があるんじゃなかろうか。思い切ってはずしてみたらどうか。これは全く私見でありますが、そんなことも考えるくらい、私自身選挙違反というものをなくしていくというのには非常に苦心をいたしております。やはり今のところは厳正な取締りが第一でございましょう。第一でございましょうけれども、長い目で見ていく場合には、次第に悪質犯は減ってきておる。男女平等の普通選挙になりましてから、件数は少くないようでありますけれども、私は、悪質者は次第に減っていく傾向があると思います。これからも、一方では厳正な取締りをし、また一つには立法を十分検討をいたし、その間に全体に、何と申しまするか、公明選挙というものの効果も私は実を結んで参ると思います。しかしこれは私は、まあ余談を申し上げることで、決して問題の焦点をぼかすのではございませんが、私は政党がこの問題というのは実に真剣に取っ組んでいきたい。両政党とも選挙違反を全く許さないというふうな工合に、公明選挙というものを強く推進していくということ、私は案外これが良策に相なるというような気がしております。選挙違反については私どもも思いをひそめますと同時に、これは国会で十分どうしたらこれが予防できるか、絶滅できるかという点を考えていただきたいことのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/116
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117・久保等
○久保等君 今、長官の言われるお話は、なるほど、まあ明治、大正、昭和と、こうながめて、四十年、五十年あるいは六十年とながめてみた立場から言えば、私は確かにそういう点でよくなってきていると思うのです。従って、たとえばまあ暴力的な選挙妨害なんというのは、あるいはまあ暴力を伴った買収、利害誘導、まあそういったような前世紀的な悪質な選挙違反というものは、なるほど影をひそめてきたかと思うのですが、しかし、まあたとえば、私の手元にある二十八年、三十年あたりのごく最近のデータを比較してみると、漸次、漸減をして参りておるとはどうも受け取れないわけであります。まあそういう非常に選挙違反といってもピンからキリまでこれはあると思うのですが、そういう面で暴力的なものといなとに分ければ、確かにそういう面でよくなったと思うのでありますが、しかし、それ以外のものについては、やはり近代的な国家における民主国家における選挙違反としては、非常にまあ悪質と思われるような金銭あるいは供応等の買収事件はむしろやはり多くなってきておる。これを考えると、単に選挙違反の摘発そのものの問題よりも、常時の政治活動に関する啓蒙あるいは宣伝といったようなことが非常に重視されると思うのですが、しかし、こういった面一つをとってみても、予算的なワクその他があるとはいいながら、今のところ十分だとはとうてい言えないのです。
だからよくいわれることなのですが、一昨年あたりの参議院の選挙なんかに対する取扱い等も、国連加盟に伴う恩赦等で無罪放免に全員をしたというようなことも、私は政治道義なり、あるいは選挙そのものに対する扱い方として非常にまずいと思うのです。そういう点から考え合せると、これは一にして簡単に選挙違反の防止の方法というものはないとは思いますが、しかし、少くとも最近にやっておられる政府のそういう選挙運動に対する問題、また汚職の根源であるといわれる不明朗な選挙運動、こういったものに対するやはり処理の仕方というものについて、私は非常に大きな御反省を政府当局に願わなければならぬじゃないかというふうに考えられるわけです。それで、特に第六条に規定せられる=選挙に関する啓発、周知、こういったようなことについても、特にこの際、特にどういうふうにお考えになっておるのか、あわせて一つお考えをお聞きしたいと思いいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/117
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118・小林武治
○委員長(小林武治君) ちよっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/118
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119・小林武治
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/119
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120・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 第六条にいうておりまする、一口に申せば公明選挙、また選挙の粛正ということをいっておる条文だと思います。私は、これはもう常時極力推進いたさなければ相ならぬものと思っております。久保委員御指摘のように、ただいまの予算必ずしも多くございません。これは笑い話でございますが、まず大蔵大臣の啓蒙から始めにゃいかぬなどと、私は部下を激励もし、大蔵大臣にも交渉しておる次第でございますが、費用というものも要ることでございます。しかしながら、何と申しまするか、政府のいたしまするあらゆること、その他の社会活動、政治活動、すべての焦点をいつもここに合せていくということが大事なことだと思います。私自身話し合い等に出ることも考えてもおりまするし、しかし一面では、何と申しますか、ある程度おっしゃるような今までの扱い方の間違っておる点もございましょう。この点はよく警察とも協力いたしまして、六条の趣旨がほんとうに生きるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/120
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121・松澤兼人
○松澤兼人君 ちょっとお尋ねいたしますけれども、私さっきのスケジュールを拝見いたしまして、期間が短かくなっただけは、選挙活動全体としてかなり不自由になってきたということは、確かに言えると思うのです。これは立会演説だけやればいい、もちろん立会演説はわれわれ必要だし、立会演説の回数はふやさなければならないということを言っておるわけではありますけれども、自由な選挙活動の期間というものがかなり、五日少くなっただけは窮屈になっていく、いうことは確かに言えると思うのです。この点はどうなんですか。われわれはそう考えるのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/121
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122・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 先ほど申し上げました日程は、立会演説会を中心に申し上げたわけでございますが、それ以外の選挙運動は、従前の運動期間に比べれば減ったんではないか、自由が減ったんではないかという御指摘でございますが、日にちの関係から、私はそういう御議論もできようかと存じますが、しかしながら、個々の選挙運動の内容につきましては、短期間に能率を上げると申しますか、集中的に行うということが予想されますので、従前、公示から立会演説会に入りますまでの間というものが、全般的に盛り上っておったかどうかということにつきましては、従来必ずしもそうでなかったようにも見受けられるわけでございまして、運動期間の短縮に伴って、形式的には自由な日数というものは御指摘のごとく減らざるを得ないと思うのでございますが、個々の運動につきましては集中的に行われる、このように私ども考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/122
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123・松澤兼人
○松澤兼人君 それはただ政府が、期間が短かくなっただけ集中的にやればいい、おそらくやるだろうという期待であって、実際は初めに四、五日自由な時間があり、おしまいに三、四日自由な時間があるということが、うしろの方が全然なくなったわけです。それですから、多少、一日繰り上げて立会演説が早く終了するということで、一日くらいの余裕は出てくると思うのですけれども、そうかといって立会演説会に出席しないで自由な行動をするということは、われわれとしてはとうてい賛成できませんから、そうすると、立会演説の回数なり場所によって自由な選挙活動ということが制限されるということは、これはもう当然なんだと思うのです。あなたの方でスケジュールを発表されるというこの段階になって、今までに比べて集中的に選挙活動をやれば内容は少しも差しつかえないというようなことをおっしゃる必要はないのじゃないかと思うのです。それで、期間なり全体のワクが小さくなった、しかも立会演説の回数を従前の通りとるということになれば、多少自由な選挙活動が不自由になるだろうというくらいなことは、あなたはこの段階になれば認められても差しつかえはない、こう思うのです。ただ、個人々々の選挙活動が白熱化してくるから今までと変りないのだというようなことは、それは、われわれの立場はそうなんですが、政府の立場は必ずしもそうではないと思いますが、いかがですか。今さらそんなことを隠されてうそを言う必要はないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/123
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124・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) うそを言うつもりはございませんで、なお、われわれの努力を十分いたして最善を尽したいという気持を選挙局長も申しておるのでありまして、確かにいろいろなことを有権者に訴えて、いろいろの方法をとらにゃいかぬ、すべきことはますます多くなってくる際でありますので、個人の自由な活動が幾らか窮屈になりますような点は一つごしんぼう願い、工夫を政党なり候補者の方に十分していただきまして、ほんとうに有権者に徹底するような選挙運動を実施したいものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/124
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125・松澤兼人
○松澤兼人君 大体そういうふうにおっしゃれば、私もこの段階に立って、政府をとっちめてみてどうのこうのということは言いませんけれども、確かに白熱的にやらなければならない、それは、やります。局長がそんなことを言わなくともやら、ざるを得ない。しかし、これは相当苦しい選挙になるということは事実だと思うのです。しかも、ここで初めて問題になるのは、現職の人にとっては、相当名前も売れておりますけれども、新人にとって考えるならば、いよいよそういう点が不自由になるということも言えると思うのです。結局立会演説を中心にして行なっていく、これはけっこうなことですが、それでは立会演説に出ないで、こそこそしてやるという人もやはり相当あるのです。まあ演説の下手な人とか、演説を好まないという人もあるのでしょう。全然といっていいくらい本人が立会演説会に出ないで、欠席したり、あるいは代理人を出したりするようなことは、公正な選挙という点からいえば、これは望ましいことではないと思う。そういうようなことについて、これは個人の自由なんだからしいて干渉するわけにはいかないと思いますけれども、そういうことはなるべく避けて、やっぱり公営の立会演説会というものが一定のスケジュールをもって選挙区を回っておるわけですから、極力、代理人でなくて、疾病以外の事故がない限りは本人が出て政見を発表すべきである。こう思うのですけれども、そういうことの干渉はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/125
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126・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会の参加につきましては、計画を立てます場合に、都道府県選管で政党なり候補者の方々とお打ち合せをいたすわけでございます。ただ、現在立会演説会に全然出ない人があろうかというお話でございますが、やはり東京にとどまって、何と申しますか、党のお仕事をされておる、あるいは全国と遊説と飛び回っておる方々、こういう方々は、立会演説会の全日程に御出席になるということはないわけでございまして、中にはそういうお仕事の関係で選挙区に戻れないという方も若干あるようでございます。私どもといたしましては、立会演説会にはできるだけ御参加を願うような指導は申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/126
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127・松澤兼人
○松澤兼人君 先日、新聞で、ある商店街などで、どうもあまり選挙の演説をここらに来てがんがんやられると、商売にも差しつかえるからということで、騒音防止条例ですか、あるいは必ずしも条例がないにいたしましても、騒音防止という申し合せであって、選挙運動のトラックが入ってくることは申し合せによりお断わりする、こういうような申し合せが行われるということを拝見したのですが、こういうことは、一体騒音防止条例とか、そういう条例があれば、また、その条例と法律とが、どちらが優先するかという問題、それから、条例がない場合、ただ商店街の申し合せによって、選挙の車が入ること、そこで街頭演説会をやるということ、こういうことを申し合せによってお断わりするというようなことは、法律的にどういう効果があるか、こういうことを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/127
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128・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 御指摘のような新聞……。私、新聞記事は選挙に関する限り注意して見ておるのでございますが、ちょっと見落したのでございますが、商店街が候補者の自動車が入ってくることを遠慮してもらいたい、これはどういう権限に基いてそういうことをやれるのか、道路の上を自動車が行くわけでございますので、あるいは自動車からおりてというその辺の問題があろうかと思いますが、ちょっと私どもには考えられないのでございます。ただ、大阪市が御承知のごとく騒音防止条例と申しますか、何か条例を全面的に採用しておるのでございますが、条例のこまかい点はまだ見ておりませんですが、先般大阪の市長さんが上京されましたときに、選挙の演説は当然やらなければならぬし、その点で今後その騒音条例現在静かになったのが、選挙のあとでどう変っていくかという点は若干心配しておるのだ、こんな話はございましたが、私ども、国の基礎となる国会議員の選挙につきまして、若干の、何と申しますか、静を書するということは当然やむを得ないものだと思うわけでございまして、条例の規定が、こまかい点がどうなっておりますか、取り寄せまして研究をいたすつもりでございますけれども、現在のところそのように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/128
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129・松澤兼人
○松澤兼人君 商店街の申し合せというものは、もちろん、今、大阪市のように全市的に騒音防止条例というものが施行されておる場合は、商店街はもちろんその中に入る。しかしそういう条例が全市的に実施されていないところでは、単なる申し合せにすぎないと思います。しかし、十人の候補者があって、そのうち四、五人の者が、商店街にそういう申し合せがあるならば入ることは遠慮しましょう、こういうことになっていって、二、三人の者が、いや、そんなことは法律に何にも根拠がないのだから、行ったってかまわないじゃないか、こういって二、三人の者がそこへ行ってがんがんやったら、少くとも心証をよくすることはない。ほかの者は遠慮しているのに、 あの二、三人、しかも社会党の人が行ってがんがんやるのはけしからぬということにならないとも限らない。これは法律的にいって別にどうということはないと思うのですけれども、そういう場合でも、まあ選挙は二十日間なんだから、多少商売にお差しつかえになるかもしらぬけれども、やかましいかもしらぬが、二十日間なんだから、一つそこのところはごしんぼう願いますということにやりませんと、行った候補者はえらい目にあうと思うが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/129
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130・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) おっしゃる点、私は、そういうことが間々あると思いまするし、選挙管理委員会に十分一つ注意を促そうと思います。と申しますのは、そういうときに、小言をいわれるときに、よく話をあらかじめつけまして、まとまてレジスタンスみたいなことが起りませんうちに、よく話をつけるように、気をつけていてくれる選挙管理委員会……。どうも、あるいは選挙のやり方、選挙管理委員の選び万自身に、何かもう一工夫あるのでございますけれども、割に、法律上きめてあることさえやってくれるのに文句たらたらでございまして、従って、それ以上気をつかってくれるところはないと、私自身もこう感ずるのでございます。選挙管理委員会によってだいぶ違うことがあるようで、従いまして、今の点につきましては、確かに私も松澤委員と同じでありまして、二十日間でありまして、よく人が来て演説するところは、日ごろから商売するのにいい場所なんでございましょうから、この二十日間くらいはしんぼうしてくれぬかと、とめるとか何とかということは、できることでもございませんから、選挙管理委員会なり、あるいは県なり市なりが話し合いをつけまして、そして、なめらかに選挙活動ができまするように、一つ、これは私どもさっそく注意をいたしまして、そして事柄を緩和するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/130
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131・松澤兼人
○松澤兼人君 先ほどの、まあ市条例などで騒音防止条例などというものができている、こういう場合は、今、局長がおっしゃった、十分にその条例の内容等を検討して、こちらの公職選挙法で許されている選挙活動というものは、たとえそういう市の条例があったとしても、そこは適当に一つやっていくという御言明を得られますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/131
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132・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) そのように指導するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/132
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133・松澤兼人
○松澤兼人君 この改正の百二十二条の二の同時選挙の問題でありますが、この中にはまあ二つあるようであります。いずれにいたしましても、たとえば大阪市が来年の春行う選挙は、府県知事、府県会議員、それから市長及び大阪市会議員、この四つの選挙がおそらく同時に行われるのだろうと思うのでありまするが、もちろん、それに参議院もあるいはその前後行われるかもしれません。地方団体の長及び議員が四つ、ほとんど前後して行われると思うのです。そういう場合には、自治庁としては同時選挙を行いたいというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/133
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134・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 同一団体につきましては、これは同時選挙をやる考えでございます。前回の地方選挙におきましては、五大市におきまして、知事、都道府県会議員、それから市長、市会議員、四つの選挙を、同時選挙を行なったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/134
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135・松澤兼人
○松澤兼人君 そうしますと、同一団体は四つのものを同時にやるということはない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/135
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136・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 五大市につきましては、前回、四つの同時選挙をやっておりまするので、次の一般選挙におきましても、前回の、何と申しますか、前例によりまして、おそらく同時選挙が行われることになるのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/136
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137・松澤兼人
○松澤兼人君 これはこの規定を受けてということになりますか、同時選挙の場合は臨時立法をいたしましてやるということになるわけですか。ある一定の期間中に行われる地方団体の選挙については同時に行うという、そういう特別立法でおやりになる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/137
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138・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) これは、全市町村の大体半分くらいが来年の四、五月以降選挙をいたすような時期に相なります。これをまとめていたすかどうかにつきましては、別に法律で御審議を願いまして これはただ、この百二十二条の二は、いつも場所によって、投票、開票が、順序が、甲のところではAが先になる、乙のところではBが先になる。非常に混雑をいたしております。それについての根拠だけを置きましたので、御指摘の、ある時期にありますものを一緒にいたすことにつきましては、別の機会に、従いまして、この国会ではない時期に、そのようにいたすといたしますれば、御審議を願うことでありまして、まだきめておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/138
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139・松澤兼人
○松澤兼人君 たとえば、まあ大阪市の場合に四つの選挙が行われる、その組み合せが、長の場合ですね、府知事と市長と一緒にしたという例もある。それから同一の地方公共団体、知事と府県会議員と一緒にしたという、ともある。どちらの方があなたの方としては適当であるとお考えですか。あなたの方としては、四つの選挙を同時にやるというお考えならば、私の質問は意味をなさないことになりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/139
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140・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 今までの例は、長——知事と、市町村長と、それから都道府県議会議員と市町村の議会議員、この長と議員のグループにくくったものと、団体別にくくった二つのやり方があるわけでございますが、前回は団体別にくくったわけでございます。私どもといたしましては、仕事の執行、それから同時にやります場合の経費の分担というようなこまかい問題もごさいますので、同時選挙にやりましても、一方、また有権者といたしましても、首長と議員を一緒の選ぶということは、その団体としての何と申しますか、親しみと申しますか、そういう意味からいって、選挙の高まりが期待されますので、団体別にくるべきではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/140
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141・松澤兼人
○松澤兼人君 そうすると、団体別といいますと、大阪の場合は府知事と府県議会議員、それから市長と市議会議員というふうにお分けになるお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/141
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142・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) ただいま申し上げましたのは、団体別にくるわけでございますが、五大都市につきましては、前回は都道府県の選挙と同時に執行した前例があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/142
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143・松澤兼人
○松澤兼人君 そうしますと、選挙局長は、来年行われる、たとえば大阪市の場合の四つの選挙の場合には、同日に四つの選挙を行いたいというお考えなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/143
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144・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 先ほど長官からお答えがありましたように、まだその問題につきましては、何と申しますか、考え方をきめているわけではないのでございまして、適当な機会に、成案を得ました上で御審議を願う、こういう考え方でわるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/144
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145・松澤兼人
○松澤兼人君 それでは、御希望を申し上げるのですけれも、 結局、告示の時期を同時にすれば、そうすると選挙の口が違ってくるわけでございますね。それから逆にいって、選挙の期日を同日にすれば、告示の期日を違えなければならぬ、そこで問題は、たとえば大阪市というような場合に、御承知のように、この前いろいろ質問がありまして、市の選管は区の選管を指揮することができるというふうに、地方自治法ですか、地方自治法の施行令を改正して、そういうように直していきたい、こういうようなお話もあったわけであります。われわれとしては、大いに期待をしているわけなのでありますが、そういうふうに、たとえば大阪市の場合を例にとって見ましても、大阪市の選挙というものの下には、その指揮命令を受けて選挙管理の仕事に従事する区の選管というものがある。そういう点を見ますと、その関係は、必ずしも府県と市町村の関係と同一とは考えられませんけれども、指定都市という立場からいいますと、他の一般の市町村の選挙とはやや違った地位にあるというようなことは、おのずからわれわれも考えられると思うのです。そこで、実際にその選挙の術に当る市の選管なり、あるいは区の選管なりの立場からいえば、やはり身近の選挙の方を先にやりたい、こういうような考えも出てくると思うのです。そこで、もし市の選管が同時選挙を行う場合でも、身近な市長及び市議会の議員の選挙を先にやらしてもらいたい、こういう希望があった場合に、ここでは都道府県の選挙管理委員会がそれを決定するわけです。順序は一方的に都道府県選管が決定して……。ところが市の選管としては身近な選挙でありますから、市長及び市議会の議員を先にやってもらいたい、こう考えても、全体からいっては、いや、それはいかぬ、知事及び府議会議員を先にやれと、こういう決定をしたら、事の選管としては、それに対して何らの異議を差しはさむこともできなければ、協議にあずかることもできない、こういうことになって、指定都市の選管、ありながら、他の一般の町村の選管と同じような待遇なり、あるいは権限しか持たないということになりますと、逆にいって、そういう場合に、市の選管の意見というものが、都道府県選管に対して何らかの方法で反映するなり、その意見が都道府県選管で取り上げられるかどうか、取り上げてもらいたいという希望があるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/145
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146・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 今回の法律の改正は、投票、開票を、同時選挙の場合に、順序をいずれを先にすべきかという点につきまして、従来規定がなかったために規定を設けようとするものであります。従来は選管がきめるのか、あるいは投票管理者なり開票管理者なりがきめるのか、はっきりしておらなかったのであります。今回この規定を置くことによりまして、そのことをはっきりさせることが一つと、それからいま一つは、団体の異なるものの同時選挙につきまして、いずれを投、開票を先にするかということをあわせて規定しようとするものであります。これは、従来この点も規定がなかった点でございます。投票と開票の順序につきましては、都道府県選管がそれを決定するということを法律で説いたわけでございますが、実際の問題としては、従来のいろいろのやり方、経験もあるわけでございまして、十分、市の意見を聞きまして、その上で都道府県選管が決定する、こういうふうに指導をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/146
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147・松澤兼人
○松澤兼人君 この法律の条文からいくと、全く一方的に都道府県選管が、どんな大きな市であっても市の選管の意見というものを聞かない、一方的にきめて押しつけるというふうに読めるのですが、指導によって、十分に当該市の選管の意見を聞いて、あるいは尊重してというような指導ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/147
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148・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 選挙事務につきましては、はっきりとそこのところを書く必要がありますので書いたわけでございますが、選挙の事務につきましては、やはり他の事項との関係もございまして、都道府県の選挙と市町村の選挙と車なりましたとき、同時選挙になりました場合には、都道府県選挙管理委員会が定めるところによるということが適当であろうと考えるのであります。今質問の点につきましては、十分に指導をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/148
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149・加瀬完
○加瀬完君 今度の改正案で立会演説会の秩序の保持に関する規定を整備しておりますがこれは選挙の公正を期するという目的ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/149
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150・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 選挙の公正を期する、広くいえばそうでありまして、立会演説会がそう本来の目的を十分達して、有権者がすべての候補者の政見を十分聴取することができることを保障しよう、こういうつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/150
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151・加瀬完
○加瀬完君 基本的な考え方は、選挙の公正という目的を達するためには、他の、たとえば立会演説以外の選挙活動あるいは事前運動、こういうものにも貫いて、選挙の公正というねらいが当然考えられておると了解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/151
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152・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/152
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153・加瀬完
○加瀬完君 そういたしますと、こういう事実が相当事前運動としてあると思うのですね。たとえば「署名運動の禁止」というのが百三十八条の二にございます。「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめまたは得しめない目的をもって選挙人に対し署名運動をすることができない。とありますが、これをそのままではありませんがたとえば時期の市長に推薦をするという意味の署名をとる、あるいは次期の国会議員に推薦をするというふうな署名をとる、これは類推すれば、当然百三十八条の二に違反すと思われることが行われている。あるいは百四十八条の二の違反とも思われる。「新聞紙、雑誌の不法利用等の制限」という規定がございますが、この内容に触れるようなものが、触れるようなものが触れるのじゃないかと疑われるものが相当横行していると思うのです。たとえば、新聞紙の発行にことよせて特殊の人の宣伝をする、あるいは地方雑誌みたいなものを発行いたしまして、それで特定の人の当選を得せしめるような内容を強く盛り出しておる、あるいは特定の者を当選させないような妨害記事をたくさん書いてある、こういうことがほとんど野放しになっているような状態になっておりますが、この点について警察はどのように考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/153
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154・中川董治
○説明員(中川董治君) 報道、評論の自由ですが、これは公職選挙法で保障している。ただし乱用してはならない、こういうふうになっておるわけですが、それで私どもも捜査に当って、気をつけねばならぬ点は、新聞、雑誌の報道の自由は大いに尊重する。報道、評論の範囲において選挙に関する記事があって、もちろん差しつかえない、こういうふうに承知いたしております。それが、たとえば金品等によって公正を害している、その他虚偽の事項を記載し、また、事実を歪曲する等のことで乱用があれば、規制の対象にするということで、こういうことで厳重に取り締って、いるのであります。
それから選挙運動期間になりますと、公職選挙法で報道、評論の自由が認められる新聞、雑誌が、それぞれ明確に把握できますので、これは選挙管理機関の方で交付する確認書によりはっきりいたしますので、そういうものにつきましては報道、評論の自由を尊重をする、それ以外の報道、評論の自由が認められていないものにつきましては、選挙運動にわたります場合については、文書等制限違反として規制している、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/154
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155・加瀬完
○加瀬完君 私が今提示しておりますのは、百三十八条の二の違反で場はないか、四十八条の二の違反ではないかと思われる事実がたくさんにある。これをどう把握しておるかということです。これは自治庁ではどのように把握しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/155
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156・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 百三十八条の二の「署名運動の禁止」の規定に該当する事例が相当行われておる、こういうお話でございますが、そういう事案の具体的内容についてなおよく検討しなければならないと思うわけでありますが、その具体的内容を承知いたしておらないので、これ以上は申し上げられないと思うのでございます。それから報道、評論の自由につきましては、今、中川刑事局長から答弁がありました通り、報道、評論の自由の解釈に関する問題でありまして、これは届出のありました新聞紙誌につきましては、特に乱用するということがない限り自由が認められておるという従来の解釈と相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/156
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157・加瀬完
○加瀬完君 警察庁も自治庁も事前運動の悪質防止ということについてどれだけ熱意があるのか、実態を把握しておるのかということに、私は疑問を持たざるを得ない。これは警察庁からも選挙の事前運動の取締りについての説明というのがありましたがね、これは少くもこの激しい事前運動に、相当公明選挙というものをねらって警察が熱意を持っているという説明とは受け取れない。もし時間があるなら、私は幾らでも例をあげて申し上げますが、時間の制限もありますから数字で申し上げますが、このごろ一応違反として決定された事件というものは、たとえば昭和五年の一が七千五件というものから比べますと、二十七年の選挙では一万四百六十六、二十八年の四月の選挙では千四百十八と減っておる。これは考えようによっては、事前運動が非常に巧妙になったので、選挙期間になって非常に違反と目されるようなことをしなくとも、すでに相済みになっておるというふうに私は考えられると思う。これは公明選挙が非常に徹底して、昭和五年ころから見れば違反事件が少くなったとばかりに、私はうのみにできない実情にあると思うのですよ。公明選挙ということが非常に選管なんかでは強く叫ばれているにもかかわらず、この公明選挙をはなはだ害する事前運動が今度のように激しく行われていることはないと思う。これに全然、警察庁も自治庁も目をおおっているということはどうしても腑に落ちないのです。あなたは一体悪質な事前運動が相当行われているという御認識はあるんですか、ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/157
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158・兼子秀夫
○政府委員(兼子秀夫君) 私ども選挙管理の関係者が集まりまして、二月の八日でございましたか、公明選挙連盟と都道府県選挙管理委員会の連合会の代表者が集まって、これは最近の事前運動は相当ひどい、でありますから、これは政府に強くその措置対策を講ずるように要望しようということがきまりまして、政府といたしましても、それぞれ関係当局に連絡をとりまして、事前運動に対処していこうという方針を決定いたし、よして、地方の機関に対しましても、そのような指導をいたしたのでございます。ただ、私ども選挙管理機関の立場といたしましては、これは刑罰と申しますか、買収とか、そういう汚れた選挙の行われないようにということがまず第一でございまして、そういう点において指導をしておるのでございます。
御指摘の、具体的の個々の事前運動が行われておるのを承知しておるかどうかという点のお尋ねにつきましては、それぞれの選挙管理委員会において承知をしている点もあると思うのでございますが、そういう個々の手品等につきまして、全面的に私どもの方が承知をしておるということには機構上そうなっておらないのでございまして、私どもの方といたしましては、関係機関等の情報により、また新聞等の、何と申しますか、世上の情報によりまして、こういう傾向にあるらしいということに上りまして、それぞれ選挙管理機関等に対しまして指導と督励を加えておる実情でございます。先ほど御指摘の百三十八条の二の規定に違反するおそれのある行為が行われておるという御指摘もございましたが、具体的には私どもまだ承知をいたしておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/158
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159・加瀬完
○加瀬完君 公明選挙が強く叫ばれておるにもかかわらず、今度の法改正のときには、公明選挙を推進するような内容を盛れという選管の要望があるにもかかわらず、今度の改正では、公明選挙という点では、さっきの立会演説の秩序保持以外何も触れておらない。これははなはだ私は熱意に欠けるといわれても仕方がないと思うのです。今度の改正の中で、一体公明選挙を推進するという内容をどれだけ盛ろうとお考えになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/159
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160・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) 今度ささいなことでありますけれども、不在者投票の範囲を広げます点でも、立会演説会の秩序維持にいたしまして、ポスター、はがきも、そういうふうな工合に考えるかもしれませんが、とにかく平等の立場で運動ができる、そうした面ではできる限り便宜を供与して、実は不在者投票を町村単位にいたしますことは、少し不在者投票を広げるのを広げ過ぎたのではないかという気がしないでもないですが、それより有権者の便宜をはかるべきであろうと、こういう考え方に乗り切りまして、それでお話しの公明選挙、それも事前運動等、選挙に関し行われておりますことにつきましては、私は警察はかなり内偵は行き届いておるように思います。よく内偵もできておりますが、なかなかほんとうにそれを取り締るかどうかという段階になりますと、かなりに慎重にならざるを得ないということでやっておるふうでありまして、しかしまだ、届かないところがあるかもしれません。あるかもしれませんが、正しい取締りをするようにという方向では、ずいぶんよくやっているというふうに考えております。しかし、まだまだ私ども熱意の足らぬところはあります。これからもしっかりいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/160
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161・加瀬完
○加瀬完君 しっかりやるとおっしゃられると、それ以上聞かれないけれども、これは前々回の選挙でありますが、刑事部長、特定の候補に警察が捜査の重点を置いたというか、特定の候補だけに捜査を集中させたという事実があります。それから某候補の交友関係を、選挙期間二ヵ月前から刑事なり駐在所の巡査を派遣して、交友関係でどういう人がたずねてきて、選挙についてどういう話をしたかということを内偵、調査しておる事実がある。それから、特定の候補の、まだ候補にならない候補予定者の演説会や会合等に警察官を立ち入らせて、演説の内容、集会者の氏名、その他そこで取りかわされた状況といったようものを調査をさせている事実があります。こういうことを、警察庁の御方針としておやりになっているのか、それから、これからの選挙にもこういうふうな一方向なことをおやりになるのか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/161
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162・中川董治
○説明員(中川董治君) 選挙取締りで、もちろん重要なことなんですが、特定の政党をねらうとか、特定の候補者をねらうということは一切やらない考えであります。ところが、いろいろ各地で犯罪が行われますので、犯罪をいろいろ視察、内偵していない、いると犯罪は検挙できません。すべての犯罪がそうなんですけれども、犯罪を行う多くの人は、なるべく見つからないように犯罪をやるというのが一般常識であります。見つからないようにやる犯罪をだんだん内偵して摘発する、こういうふうに私は相なろうと思うのであります。選挙の場合でも、それ以外の場合でもそうなんですが、われわれ、いつも御批判をいただくのですけれども、多数の運動員の方々はおおむね適正な選挙運動をなさっていらっしゃるわけですが、たとえば不幸にして、運動員の方々であるいは個別訪問をやっていらっしゃる方がある、あるいは買収をやっていらっしゃる方とか、あるいは文書図画の頒布の制限を破っていらっしゃる方がある、こういうことを内偵の結果見つければ、これは検挙いたします。そうすると、見つかった人からいえば、おれだけねらっているのだというふうに思われるのも一つの人情だと思うのであります。ところが、そういうことをやめておりますと、だれも検挙できなくなるわけでありますので、私どもといたしましては、特定の候補者をねらうとか、特定の政党をねらうということはいたしませんけれども、容疑のありそうな事柄につきましてはいろいろ内偵をやります。ただし内偵の方法は、それぞれ関係者の名誉を重んじ、あるいは権利を重んじて、事実活動として大いに内偵する、刑事訴訟法に基いて強制処分をする場合につきましてはそれぞれ法律に定める手続を経て強制処分をする、こういうふうに相なるのであります。法律に基く強制処分につきましては、それぞれ手続を経ますから、これは問題ないのでありますが、法律に基く強制処分以前の段階において、どこかで買収がある、どこかで戸別訪問がある、じっとしておっても見つかりませんから、いろいろ戸別訪問しやすい道路に警察官が立っている、職務質問をする、こういう場合があろうと思います。それからそれ以外の場合でも、事実活動として犯罪を発見するような活動をやるわけでございますが、これは何々候補をねらえとか、何々政党をねらえとかいうような指示は、全国的にはもちろんのこと、府県ごとにもやっておりません。ただし、犯罪がありそうなところ、その他につきまして、事実上の活動としていろいろ捜査員が活動しておる、こういうことは一つ御了承おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/162
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163・加瀬完
○加瀬完君 公平に一般的にそういう捜査が進められるということに私は反対をしたり、抗議をしたりしているわけじゃありません。選挙とは全然関係のない、ただ、やがて候補になるであろう者の交友関係をたどっていって、それでその候補に内偵されておるような者が来たか、あるいはその代理人が来たか、ひどいのになりますと、お前のせがれは何々と交友関係があるので、お前のところへ今度何々の選挙にはやってくれといってせがれから何か来ただろうということを尋ねた、刑事が来て。その上、刑事が来たかどうかということをさらに駐在がまた尋ねておる。で、いずれの候補にもそういうことをやっておるというならば、私は話がわかる。それで、うわさでございますが、バスの中で警察官らしき者が、あれは立候補してもおそらくだめだろう、警察がねらっておって、こんな形で捜査をしておるがということを語るに落ちるというか、隠すより現われるかというか、バスの中で話に出たということすら伝えられるところを見ても、いかにもわれわれ腑に落ちないという感じを持つ。
しかも自民党と社会党と二つ対立をしておるわけでありますが、自民党のたとえば後援会でありますとか、あるいは懇談会でありますとか、そういうところにも警察官が入って、集まった者は何人で、どういうごちそうが出たとか、どういう話し合いがあったかということを調べるし、社会党の会合にはどんなものが出てどういうふうに話し合いが出たか、選挙に触れたか触れないか、事前運動の違反になるかならないかということを捜査するというのはいいけれども、不幸にして、私どもは、特殊な政党に関する会合にだけ警察官が入り込んで、あるいは事前に特殊の人を頼んで、だれが来たかということをあとで報告をしろ、こういうことをやらせられている。こうなってくると、捜査をするのはけっこうですが、もっと公平にやってもらわなければ大いに困るという文句をつけたくなる。これが警察庁の方針でないというならば、そういう地方がありますから、そういうことが、あなたのおっしゃるように厳正な、公平な今度は捜査方針で臨むということを下部に御伝達いただけるのかどうなのか、この点を一つ御返答いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/163
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164・中川董治
○説明員(中川董治君) 私どもは、衆議院において二大政党があってやるということは、公人としてよく知っておりますけれども、選挙違反に関しましては、そういった政党その他が、いずれももちろん知っていますけれども、選挙違反に関する限りにおきましては、政党のいかん、候補者のいかんということによって差別いたしておりません。それから、いかなる選挙の場合もそうでありますが、実質的に厳正公平ということが、選挙取締りの真髄であろうと思いますので、過去も努力しましたが、今後とも厳正公平な取締りが徹底するように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/164
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165・加瀬完
○加瀬完君 長官に伺いますが、都道府県会議員の区割ですがね、一人区から十三人区までありますね。これ、そうなって参りますと、一人区というのを主体にしているのか、あるいは衆議院の例になろうならば、大選挙区というのを主体にしているのか、そういう基準で見るときに、一人から十三人ということをはっきりいたしましたが、基本的な考え方はどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/165
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166・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) これは小選挙区も中選挙区も大選挙区も、そういう土台の考え方を持っておりません。と申しますのは、もしそういう工合にしますと、数個町村を合して、ほどほどのよい選挙の単位をこしらえるわけであります。また、それがある意味では便利な節がございます。しかしながら、そういたしますと、多分に恣意的な要素が入って参ります。かと申しまして、一人しか議員の配当のない市というのがたくさんありまするし、正確な数字は何んでございますが、一千幾つの選挙区のうち、三百くらいが多分一人区になっていると思います。それで今度合区いたしますると、一人区が二人区になるところもございましょうし、飛び地で一人区ができるところもございましょうが、大体三百くらいこの一人区があるのじゃないか、それが幾ら減るかなと思っておりますが。町村を寄せ集めて東にした選挙区というのは、どうもこしらえるときにある意図が入るおそれがある、必ずしもそう思いませんけれども。従いまして、やはり郡市という区域を土台に考えて選挙の区割をしていく。郡市というものを地方の選挙区では主に考える。そのために郡というものが、これ地理的名称でございましょう。地理的名称でございましょうが、それが沿革上動かさずにおりますために、かなりに大小さまざまでございますので、今おっしゃるように定数がいろいろになっております。しかし私は、選挙区の形を何らかの、小選挙区とか大選挙区とかいうことでそろえるよりも、地方議会としては、やはり郡市の区域を、このたびの改正のように、飛び地等は別といたしまして、なお尊重していくという建前をくずさずにおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/166
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167・加瀬完
○加瀬完君 そういう基本的な考え方で参りますと、結局、いわゆる人口定員の五〇尾に満たないものが二十八かありますね、これもですね、地域を尊重するということであれば、やはりこの中の、特にその地域から一人出さなければならないという条件のとろもあると思うのですよ。こういう、たとえば島崎みたいなところは、それは特別にお取り扱いになるという考え方はなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/167
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168・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) これ、もし私の言うことが違っておりましたら、政府委員から訂正いたさせますが、この定数の半数に満たないというものですね、〇・五以下、これは何といたしましても、私はそこに一人を配当いたしましては、今度あまりに定数の人口との比例というものが狂うであろう、これだけは強制合区にいたそう。従いまして、やや地理的にどっかへくっつけにゃいかぬということになるのでありますが、これだけはやはり強制合区にいたそう、しかし任意合区については、でき得る限り各地方々々の実情を尊重しよう。〇・五以下のものにつきましては、全くこれは定数と人口との比例を、まあどっかを限度にしよう、こういうだけの考え方です。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/168
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169・小林武治
○委員長(小林武治君) 委員の異動を御報告いたします。伊能繁次郎君が辞任されまして、吉江勝保君が後任として選ばれました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/169
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170・加瀬完
○加瀬完君 この非常な狭い地域で都道府県会議員一人というところは、地域が狭いだけに、議員の選出方法というものが、自治体の政争を激しくさせるという一つの原因作るということが考えられると思うのです。こういうことは、この区割のときに何か問題にならなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/170
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171・郡祐一
○国務大臣(郡祐一君) まあその政争を激しくするというのの感じですがね。これは私は、地方は国会議員と違いまして、地方と地方との結びつき、これは一方ではある程度やはり尊重したいと思うのですね。そのために、なるほど狭いところでの政争ということがそれはあるかもしれませんがね。しれませんが、どうでございましょう。それはむしろ地方のためにという、ある地方議会らしい結びつきという方で政争が激しくなるというような点については、別途の改善策を講じたらいいのじゃないかと思っております。しかし、よく考えましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/171
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172・加瀬完
○加瀬完君 それはよく考えてもらうことにして、臼井政務次官にいらしていただきましたので、この前、総理が参りましたときに、選挙管理委員会からは、政治教育をもっと重視しなければ公明選挙を期待できないという上申があったわけです。岸内閣の文教政策の上で、公明選挙を期するという意味から、政治教育をどう考えているのだという質問をたしのでありますが、総理でございますから、そう具体的なお答えはいただけなかった。そこで臼井さんに来ていただいてお答えをいただきたいのは、文部省は道徳教育その他を非常に取り上げておりますけれども、一体、この選挙の公明運動とか、あるいはそれらを含めた政治教育というものをどれだけ大きく考えておられるのか、そういう点が非常に稀薄じゃないかという感じがいたしますので、それだけ一点お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/172
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173・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) おもに政治教育をいたすということになりますと、社会教育の面で主として文部省の方でする、こういうことになるのでありますが、ただ、社会教育をするということになりますというと、地方の青年学級とか、それから婦人会あるいは青年団、そういういわゆる社会教育関係団体を通じて、できるだけその公明選挙の趣旨を一つ徹底する、こういうことがよかろうというので、そういう指導を文部省としてはいたしておるわけでございます。特に選挙に、さしあたってそれじゃどういうことをやるというより、平素から一つの政治教育の内部の、それの一環においてやはり公明選挙の運動をするということになるのであります。従って、現在やっておりますることは、できるだけ話し合いでお互いに啓発し合う、そういうことを主にしてやるような方法でやっておるのであります。また、婦人会等、その他社会教育関係団体におきましても、政治問題に対する講演会、あるいは選挙に際しては公明選挙の講演会をやるとか、そのほかいろいろポスターを作るとか、資料を作成するとか、そういうような問題もあるのであります。さらに、あるいは棄権防止をする、こういうことで、一応社会教育の面では、特に選挙に際すればそういう問題等も取り上げるのでありますが、学校におきましては、もちろん教科の内容に入っておりまするし、さらに学校等でもクラスの委員の選挙、こういうようなことで、やはり政治に関連するような面を教育は各自にやっておるわけでございますから、文部省としては、大体そんなような、はなはだ大ざっぱであるかもしれませんが、考え方でやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/173
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174・加瀬完
○加瀬完君 戦争前の教育が正しい公民教育に欠けておった、あるいは正しい政治教育をしなかった。その一つの欠陥が戦争の敗戦という事態を招いた。これが一般に通じた一つの大きな反省だと思う。終戦以後の教育は、少くとも基本的な学校教育は、政治教育なり公民教育なりというものに中心を置かなければならぬ、こういう考え方で進んできたのであります。今、政務次官のお話のように、社会教育ということで学校教育の、悪く言えば片隅に片つけて政治教育、公民教育をやるということで、本筋の学校教育の中で政府が道徳教育を、取り上げるようにして、政治教育なり公民教育というものを取り上げる点について、終戦以来の当時のような熱意というものがだんだんなくなってさめてきたということが言われるだろうと思う。将来もっと学校教育の基本の中においても、正しい公民教育、正しい政治教育というものを大きく取り上げていくという御熱意が文部省はおありになるのかどうか、その点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/174
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175・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 私は、先ほどは主として社会教育の面における政治教育という点について申し上げたのですが、学校の中におきましては、もちろん義務教育の中におきましても、公民としてりっぱな完成をする、りっぱな公民になるということが、やはり教育の目的でありまするので、従って社会科の中においては、もちろん政治の問題、あらゆるそういう方面の問題につきまして、学年に応じてそれぞれ適当に教育をしておる次第でございまして、この点については、私よりむしろ専門家の加瀬先生の方が多分御承知かと思いますけれども、釈迦に説法をするようでありますが、御質問でございますから、一言お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/175
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176・小林武治
○委員長(小林武治君) 本案に対する質疑は、これにて終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/176
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177・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/177
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178・久保等
○久保等君 ただいま議題となっております公職選挙法の一部を改正する法律案に対しまして、私は日本社会党を代表いたしまして反対をいたすものであります。
今回のこの改正案は、最近における町村合併の結果、郡市の区域に著しい変動が生じたために、都道府県会議員の区域画定に調整を加えなければならないという点、また、はがき、ポスターの類について、これを増加しようとしておりまする点、あるいは参議院議員の選挙方法の改正に伴って規定の整備を行うという点、あるいは選挙の管理及び執行等の合理化に関する事項について改正を行うのだという政府の御説明でございますが、特に、私ども、これらの政府の提案の趣旨を伺って、個々の問題についていろいろ意見を異にするものでありまするが、まず、私は、この法律案に対して反対をする第一の理由といたしましては、本公職選挙法の一部を改正する法律案の提出に当って問題にしなければならない点が二つあると思うのであります。
すなわち、その一つは、時期の問題についてであります。すでに天下周知の国会解散が確定化したかの感のありまする今日、特に重要なる本改正案を唐突として国会に提出をして参ったということそのものが、非常にわれわれとしては納得できないのであります。すでに国会解散の声は、昨年あるいは一昨年来、政権の交代等がすでに今日まで三回にわたって行われておりまするが、その間、昭和一院年の秋には保守合同、社会党の統一といったような政党の勢力分野に大きな変化があったわけでありまして、こういう政党の勢力分野に大きな変動があったとき等においては、直ちに国会の解散等がなされて、国民の民意を問うべき私はきわめて絶好の機会であったと思うのでありますが、その後、さらに昨年の石橋内閣から岸内閣に政権の交代がなされておるのであります。それらのいずれの時期におきましても、総選挙が行われなければならない情勢にありながら、今日の岸内閣は、総選挙の時期をずっと引きずって今日に遷延をいたして参ったのでありまするが、本年の一月におきましては、特に総選挙必至の情勢にあったことは、天下周知の事実でありますが、今年の四月以降、昭和三十三年度の予算が通過いたしました後におきましては、全くいかなる名目をもっていたしましても、国会解散回避の理由が見つからないという情勢になっておりまする情勢の中外れ今回この公職選挙法の一部を改正する法律案が、岸内閣の手によって提出をせられましたことにつきましては、国民の世論といたしまして、非常にこの改正案に対する非難が出て参っておりますことも、私が今さら申し上げるまでもないところでありまするが、私は、少くともこういった選挙法に関する法律改正案は、十分に、こういう政局の緊迫した情勢ではないときにおいて論議が戦わされ、そうして公正な審議がなされて法の改正が行われるべきであると思うのでありまして、解散等が行われるという、いわば非常に政局不安定の状態の中で選挙法の改正が強行してなされるというようなことは、好ましくないと思うのでありまして、まあそういう点から今回の選挙法の提出の時期の問題についてまず反対の第一の理由としてあげたいと思うのであります。
次に、選挙法改正の従来の経緯を見てみますると、選挙のありまする直前において、しばしは選挙法の改正が行われておるのでありまするが、これまた、選挙法が、民主主義の今日の時代におきましては、何といっても国民の意思の存するところを選挙を通じて明確にする、いわば非常に重大な行事でありますることを考えまするならば、これまた選挙のつど断片的に、あるいはそのつど改正が行われるといったようなことは、これまた好ましくないところでありまして、戦後におきまして、実に選挙法の改正か十数回といったほどなされておりますることは、まことに選挙法の扱い方そのものが私は軽々に扱われておるという国民の批判に対しましても、これは私は明確な弁解の余地のない問題であると実は考えるわけでありまして、そういう点から考えまして、かかる重要な法律案につきましては、これまた選挙のつどではなくて、長期にわたっての見通しを立てた、しっかりした、改正を行う場合においてはやはり改正を行うべきであると思うのであります。こういう点につきましても、今回の改正案の提出につきましては、まことに遺憾に思うのであります。
次に、私が最も強く反対をいたさなければならない点は、何と申しましても、衆議院議員の選挙運動期間の短縮の問題についてであります。政府の提案趣旨の説明によりますると、昭和三十一年に参議院の選挙運動期間の三十日が二十五日に改正をせられたこととの関連を考え、また、最近における交通機関なり、また宣伝方法の発達等の状況等にかんがみて、選挙期間について、衆議院においても、これまた五日間短縮をしてもけっこうだという説明がなされておるのでありますが、しかしながら、一面から考えますと、少くとも戦後における選挙というものの持つ意義は、戦前における選挙の持つ意義とは違った非常に重要な意義を持っておりますることは申し上げるまでもないところであります。主権在民の新憲法のもとにおける選挙というものが、いかに重要なものであるか、この選挙運動期間こそは、その期間を通じて、候補者は候補者の人格並びに政見等を十分に選挙民の中に浸透して参らなければならないし、また、選挙民は、その間に十分に自分の真に信頼できる候補者を選ばなければならないという非常に重要な期間でありますることを考えまするときに、選挙運動期間が何日間であるかという問題は非常に重大な問題であり、特に期間の短縮の問題は、私は選挙そのものが成功するか、失敗するかの非常に大きな焦点でもあると思うのであります。そういう点から考えまするときに、今回の五日間の期間短縮は、あまりにも大幅な期間短縮となっておるわけでありますし、世にいういわゆる現議員優先であり、新人を締め出す悪法であるとさえいわれておるのでありますが、私はその点について全く同感でございます。むしろ、この二十五日を二十日間にすることにつきましては、私は逆に、参議院の二十五日間が果して妥当であるかどうか、こういった問題について根本的に検討を加えられなければならないとさえ思うのでありまするが、むしろ、参議院議員の選挙運動期間か二十五日に減ったから、衆議院の場合においても五日間短縮するといったような、参議院議員の選挙運動期間との均衡だけを考えまして、今回この期間短縮の改正案が出されて参りましたことに対しまして、まことに機械的と言わざるを得ませんし、また、本質的に申し上げますならば、ただいま申し上げたように、むしろ新憲法下における選挙運動のあり方として、活発なむしろ言論戦をより助長して参る。また、そのことを通じて公明な選挙運動を推進し、むしろこれを推奨して参るという立場から考えますならば、まことに逆行する改悪であると思うのであります。
特に、問題になりました立会演説会の回数が減少するのではないかという私どもの心配に対しまして、自治庁長官を初め、政府当局は、内容的にはむしろ立会演説会等については、これを従来通り確保して参るのだという答弁がなされておるのでありますが、上かし、あるいは立会演説会のみについて考えますならば、ある程度従来の線を下げないで済むかもしれませんが、しかし、その他の面で選挙活動そのものが制限をせられることは、これは必至でありますし、先ほど来のいろいろの御説明を聞いておりましても、そのことは明確に言えると思うのであります。言いかえれば、公明な選挙運動そのものが制限せられ、あるいはまた、言論活動が実質的に制限をせられるという結果になりますることは、これは隠すことのできない事実であります。われわれ従来から選挙公営をむしろ拡大上、発展をさして参らなければならないという立場から考えてみましても、この点まことに納得し得ない、私どもが強く反対をする点であります。
さらに、特に、岸内閣は、今日汚職の追放ということをやかましくいわれておるのでありまするが、汚職の追放の根源は、何といってもまず公明選挙を実現することによって、私は汚職の根源が断たれると思うのであります。そういう意味から考えてみましても、私ども社会党は、実は今回の公職選挙法の一部を改正する法律案に、政府の提出いたしておりまするこの法律案に対しまして、社会党の提案を実はいたしておるのでありまするが、衆議院の審議過程におきまして、社会党の提案として特に考えておりました候補者の後援団体の寄付禁止規定、これは衆議院段階において自民党の提案の形で、政府原案に対しまして修正が加えられたわけであります。この点につきましては、私ども日本社会党が提案をし、また私どもも、このことを心から賛成をいたしておりました者といたしまして、衆議院において修正せられた点につきましては賛意を表するものでありまするが、考えてみますると、今日、総選挙を前にいたしまして、事前運動がきわめて活発でございます。わけても、悪質な事前運動と目せられまする候補者の後援団体の名義による寄付等は、何といたしましても禁止をいたすべきものと考えておるのでありまするが、今度の衆議院における修正案の中にこの点が取り入れられました。しかし私どもは、従来から主張いたしておりますることでありまするけれども、すでに昭和三十一年、二十四国会におきまして提出をいたしておりまする政治資金親正法の一部を改正する法律案、これは、今日、国から財政投融資なり、あるいは補助金、交付金等の交付を受けておりまする地方団体が寄付をすることにつきましては、何といたしましても禁止をする必要があろうと考えておるのでありまするが、本法律案はいまだに衆議院において継続審査になっておるのでありまして、まことにこの点、遺憾に存じ、かつまた、了解に苦しむ点であります。少くとも、汚職の追放を真剣に考え、そしてそのことのためには、公明選挙を強力に推進しなければならない、真にこういうお考えを政府当局が持っておられるとするならば、私は、ただいま申し上げましたような政治資金規正法の一部を改正する法律案につきましては、全面的な賛意が得られてしかるべきであると思うのであります。しかるに、こういった法律案が数国会において継続審査になったまま、いまだにこれが参議院に回付されて参らないという一点をとって考えてみましても、公明選挙に対する政府の熱意のほどがうかがえると思うのであります。総理もよくいわれる、政治のもとを正さなければならない、そうしない限り汚職の根絶を期することが困難であるといわれておりまするが、いわれることはまことにその通りでありまして、もし、そういう真剣な気持をお持ちであるとするならば、私は、ただいま申し上げましたところの政治資金規正法の一部改正案に対しましても、政府の決断、特に自民党諸君の協力をお願いしてやまないものであります。
ただいま申し上げましたような点が、私ども今回の公職選挙法の一部を改正する法律案に対しまして、賛成できない最も大きな点であります。そのほか、細部の点につきましては、私ども、でき得るならば、この立会演説会等の回数につきましても、法文の中にむしろ明確に回数をうけたい、また、今日、立会演説会の回数をでき得る限りふやすという法の建前にかかわらず、どうもあまり成績が上っておらない状況等を考えますならば、大幅にむしろ立会演説会の回数等を法文の中に明確に規定すべきであると考えるのでありますが、これら所要の改正点につきましても、十分な改正が行われておらない点等もあるのであります。私ども今回の公職選挙法の一部を改正する法律案が、まことに総選挙を控えまして、十分なる審査がなされないままに、今日、自民党の諸君の多数によってこの法案が採決に付せられんとすることに対しまして、まことに遺憾に存ずるものであります。
以上、簡単でございますが、反対討論を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/178
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179・小林武治
○委員長(小林武治君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を問題に供します。本案を衆議院送付案通り可決するごとに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/179
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180・小林武治
○委員長(小林武治君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書−の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/180
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181・小林武治
○委員長(小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
それから、報告書には多数、意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた諸君は順次、御署名を願います。
多数意見者署名
大沢 雄一 小柳 牧衞
佐野 廣 西郷吉之助
吉江 勝保 白木義一郎
森 八三一 館 哲二
伊能 芳雄 成田 一郎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/181
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182・小林武治
○委員長(小林武治君) 本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814720X03319580421/182
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