1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月十一日(火曜日)
午前十時四十一分開会
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委員の異動
十二月二十三日委員川村松助君辞任に
つき、その補欠として剱木亨弘君を議
長において指名した。
一月二十日委員松本治一郎君辞任につ
き、その補欠として森中守義君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 宮田 重文君
理事
手島 栄君
松平 勇雄君
山田 節男君
長谷部ひろ君
委員
石坂 豊一君
剱木 亨弘君
新谷寅三郎君
前田佳都男君
横川 信夫君
鈴木 強君
三木 治朗君
光村 甚助君
横川 正市君
奥 むめお君
国務大臣
郵 政 大 臣 田中 角榮君
政府委員
郵政政務次官 最上 英子君
郵政省電気通信
管理官 松田 英一君
郵政省電気通信
管理官 岩田 敏男君
郵政省監察局長 荒巻伊勢雄君
郵政省郵務局長 板野 學君
郵政省貯金局長 加藤 桂一君
郵政省簡易保険
局長 大塚 茂君
郵政省電波監理
局長 濱田 成徳君
郵政省経理局長 西村 尚治君
事務局側
常任委員会専門
員 勝矢 和之君
説明員
日本電信電話公
社総裁 梶井 剛君
参考人
日本放送協会会
長 野村 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選
○参考人の出席要求に関する件
○郵政事業の運営に関する調査の件
(郵政省所管事項の概況に関する
件)
○電気通信及び電波に関する調査の件
(郵政省所管事項の概況及び日本電
信電話公社事業概況等に関する件)
○郵便為替法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○郵便振替貯金法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○郵便切手類売さばき所及び印紙売さ
ばき所に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○公衆電気通信法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○簡易生命保険法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○派遣委員の報告
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/0
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001・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず、理事の辞任並びに補欠選挙についてお諮りいたします。先般理事鈴木強君より、理由を付して理事を辞任いたしたい旨申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/1
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002・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、これを許可いたします。
次いで、理事の補欠互選を行いますが、先例により、委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/2
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003・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、理事に山田節男君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/3
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004・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、本日の委員会に参考人として日本放送協会会長野村秀雄君の出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/4
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005・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/5
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006・宮田重文
○委員長(宮田重文君) それでは郵政事業の運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を議題といたします。
まず、田中郵政大臣より所管事項の概況について説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/6
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007・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) それでは私から所管事項につきまして、概略御説明申し上げます。
去る十一月に開催されました本委員会におきまして、一応業務につきまして御報告申し上げましたので、本日はその後に生じました当面の重要課題等につきまして御説明申し上げます。
まず、今国会に提出を予定いたしております法律案等について申し上げます。
今国会に提出を予定いたしております法律案はただいまのところ十一件でありますが、このほかに条約が数件ございます。
第一、郵政省設置法の一部を改正する法律案でありますが、そのおもな内容は、現在の郵政省の省名を逓信省に変更し、大臣官房に官房長を置くこと。電気通信監理官を廃止して新たに電務局を置くこと。電波監理局に新たに部制を設けることにいたそうとするもの等であります。
第二は、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、そのおもな内容は、郵便切手類及び印紙の売さばき手数料は、昭和二十九年に定められましたが、その後における売さばきの実情、労賃その他売さばきに要する経費の増加に伴い、これを引き上げ、また、売さばき額の低額なものに対しましても一定の手数料額を保障いたそうとするもの等であります。
第二は、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、この法律案は、郵便葉書及び郵便切手に付する寄付金を受ける団体の範囲を最近の社会的要請に即応させるとともに、寄付金つき郵便葉書、郵便切手の発行手続に関する規定および寄付金の管理ならびに寄付金の使途の適正をはかるのに必要な規定を整備いたそうとするものであります。
第四は、郵便為替法の一部を改正する法律案でありますが、そのおもな内容は、電信為替の利用者の利便をはかるため、為替金を受取人の居宅に送達するとともに、差出人から受取人あての通信文を為替金とともに受取人に送達する制度を設けようとするものであります。
第五は、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案でありますが、そのおもな内容は、加入者及び小切手の所持人の利便をはかるため、小切手の支払いをすみやかにすることができるよう、払い出しの方法を改正いたそうとするものであります。
第六は、簡易生命保険法の一部を改正する法律案でありますが、そのおもな内容は、保険金最高制限額を引き上げようとするものであります。
第七は、公衆電気通信法の一部を改正する法律案でありますが、そのおもな内容は現在、日本電信電話公社では、農山漁村等における電話の普及に資するため、その電話需要の特殊性にかんがみ、低料金で部落電話的な機能を有する地域団体加入電話の制度を設けて、試行サービスとして実施いたしておりますが、これを法定化すること、及び現在、日本電信電話公社並びに国際電信電話株式会社におきまして、試行サービスとして実施しております加入電信を法定化いたそうとするものであります。
第八は、電話加入権質に関する臨時特例法案でありますが、そのおもな内容は、第二十六国会以来懸案となっておりました電話加入権の質権設定につきまして、一定の条件のもとに期限を付して、これを認めることにいたそうとするものであります。
第九は、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案でありますが、そのおもな内容は、日本電信電話公社の監査機能を充実するため、監事制度を設けようとするものであります。
第十は、電波法及び放送法の改正についてでありますが、最近における電波界、放送界の状況は、現行法の制定当時にはとうてい予想もし得なかったほど急速な発展を見、国民生活の上にますます重要な影響を与えつつある情勢でありまして、現行電波法及び放送法は、この情勢に即応し得ない点が生じて参りました。
特に、日本放送協会については、この公共的使命を一そう明確にする必要がありますので、これらの点について所要の改正を加えようとするものであります。
次に、条約関係について申し上げますと、昨年八月、カナダのオツタワにおきまして開催されました万国郵便連合大会議におきまして、わが国の代表が署名調印をいたしました万国郵便条約その他の関係約定を今国会に提出する予定であります。
さらに、日本フイリッピン間小包約定、日本南アフリカ連邦間小包約定及び日本、ビルマ連邦間小包約定の締結及び日本、アメリカ合衆国小包約定の改締の条約案につきましても、今国会に提出する予定で、目下取り運び中であります。
以上が、ただいまのところ、今国会で御審議をいただく予定の法律案等であります。
これらのうち、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、郵便為替法の一部を改正する法律案、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、公衆電気通信法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案の五件につきましては、すでに国会に提出いたし、その他のものにつきましても目下鋭意取り運び中でありまして、これらにつきましてもできうる限り、すみやかに国会に提出いたす所存でございますので、何とぞよろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
次に、特定郵便局制度調査会の答申について申し上げます。
昨年五月二十八日の閣議決定に基いて設置されました特定郵便局制度調査会から、去る一月十四日、諮問に対する答申がありました。その骨子となっている基本的な重要問題点を申し上げますと、第一点は、特定郵便局という制度を存置する。すなわち選考により任用する局長を長とする郵便局を認める。第二点は、特定郵便局長の任用は、政治的圧力や組合運動等の対象とすべきでない。なお、特定郵便局長の政治活動、市町村会議員の兼職は許すべきでない。第三点は、簡易郵便局の受託者の範囲を公益法人、個人にまで広げ、恩給その他国庫金の取扱いを行うことができるようにして、簡易郵便局方式を活用し、郵政財政の負担を軽減し、郵政事業の窓口機関の増設に資する方策をとるべきである、等であります。今後における特定郵便局の運営につきましては、この答申を尊重いたしまして、適切な処置を講ずるよう目下鋭意検討中でありまして、早急何らかの結論を得たいと思っております。
次に、郵政事業のサービス向上と貯蓄の増強に資するため、従来の特定郵便局新設の規模を拡大し、予算に計上の二百局のほか相当膨大な置局を行い得るよう長期計画を樹立することといたし、目下、所要の作業を進めております。
次に、郵政省所管昭和三十三年度予算案について御説明申し上げます。
まず、郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計の予算総額は千六百七億九千七百万円でありまして、前年度の千四百三十五億二千五百万円に比して百七十二億七千二百万円の増加となりますが、その歳出予算の内訳を申し上げますと、郵政省において取り扱う郵便、郵便貯金、簡易生命保険及び電気通信等の諸業務に要する業務費が千百七十六億七千九百万円、収入印紙、失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出額が三百七十七億五千八百万円、公債及び借入金の償還金が一億六千六百万円、予測しがたい経費の支出に充てるための予備費として八億円、郵便局舎等の建設費として四十三億九千四百万円を計上いたしております。
次に、定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における昭和三十三年度の予算定員は二十六万六百七十七人でありまして、前年度に比べ二千六百十五人の増員となりますが、この増員は主として郵政窓口機関の増置、郵政業務量の増加、特定局における電話施設の増加に伴う所要人員ならびに常勤労務者の一部を定員化するに伴うものであります。
次に、歳入予算について申し上げますと、歳入予算総額は歳出予算と同額の千六百七億九千七百万円でありまして、その内容といたしましては、郵政固有業務収入および雑収入が五百六十億一千三百万円、郵便貯金、保険年金、電気通信等の各業務の運営経費に充てるため、他の会計から繰入れられる他会計からの受け入れ収入が六百三十八億八千百万円、郵便局舎等の建設財源に充てるため郵便貯金特別会計、簡易生命保険及郵便年金特別会計の両会計から受ける設備負担金が五億四千五百万円、郵便局舎等の建設財源に充てるための借入金が二十六億円、以上のほか、収入印紙等の売さばきに伴う業務外収入が三百七十七億五千八百万円となっております。
次に、郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに五百三十三億九千百万円でありまして、このうち歳入予算は、郵便貯金の資金を資金運用部に預け入れることによって生ずる利子収入等が四百八十一億八千五百万円、歳出経費の財源に充てるため、資金運用部特別会計から繰り入れを受ける他会計からの受け入れ収入が五十二億六百万円となっております。これに対し歳出予算は、郵便貯金の預入者に対して支払う利子三百五十一億三千三百万円、郵便貯金業務運営のために必要とする経費が百八十二億五千八百万円となっております。簡易生命保険及郵便年余特別会計は、歳入が千三百九十八億三千三百万円で、歳出は四百八十七億二千九百万円を計上いたしており、歳入超過額九百十一億三百万円は法律の定めるところによりまして、積立金として処理することになっており、一般公共貸付の運用原資といたしまして八百五十八億円を確保する予定となっております。
なお、参考までに郵便貯金および簡保年金の資金と、財政投融資資金との関係について申し上げますと、三十三年度の政府財政投融資原資見込額三千五百七十二億円のうちには郵便貯金の資金が一千百五十億円、簡保年金資金が八百五十八億円、合計二千八億円が含まれておりまして、この金額は全投融資原資の五六%を占めている実情でございます。
次に、当省所管一般会計予算案について説明申し上げますと、歳出予算総額は、十七億七千四百万円でありまして、これを前年度予算額十六億四千百万円に比べますと一億三千三百万円の増加となっております。この増加のおもな事項といたしましては、
1 電気通信監理機能の充実に要する経費として四百万円
2 マイクロ散乱波、ミリメートル波等電波技術関係重要施策実施に要する経費として四千六百万円
3 放送局、テレビジョン局等の監督に必要な機器類の整備充実に必要な経費として八百万円
4 定員の増加並びに職員の昇給に必要な経費として八千九百万円
等が主たるものでありまして、他方海外放送交付金の減少千五百万円等がありますので、前述の通り一億三千三百万円の増加となるわけであります。
次に、これらの業務の運営に必要な定員について申し上げますと、本年度予算定員は二千九百五十五人で、前年度予算成立定員二千九百四十二人に比べ十三人の増員となっておりますが、この増員は、電気通信監理機構の拡充強化に伴つて十五人の増員が認められ、ほかに二名を科学技術庁に組みかえたことによるものであります。
次に、昭和三十三年度の日本電信電話公社予算案の概要を申し上げますと、昭和三十三年度は電信電話拡充第二次五カ年計画の初年度に当り、加入者開通二十五万加入、公衆電話増設一万個、市外回線増六十六万キロメートル、電話局建設百五十五局等の施設増によって、電信電話の拡充とサービスの向上を強力に推進いたしますとともに、テレビ中継網の整備にも重点を置きまして次のように編成されております。
損益勘定におきましては、収入は一千六百九十四億円、支出は一千四百二十三億円で、差引二百七十一億円の収支差額を生じますが、これは建設財源及び債務償還に充てられることになっております。
建設勘定におきましては、その総額は七百五十億円でありまして、前年度の六百三十四億円に対し百十六億円の増加となっております。
建設資金の調達は、自己資金を五百八十九億円、外部資金を百六十一億円と予定しておりますが、そのうち自己資金の内訳は、減価償却引当金二百八十六億円、設備負担金十七億円、資産充当五十七億円及び収支差額二百七十一億円から債務償還四十二億円を差し引いたものであります。外部資金の内訳は、加入者及び受益者債券六十七億円、電話設備負担金五十九億円、運用部資金二十億円及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用資金十五億円となっております。また、これに対する支出といたしましては、一般拡張工程に六百九十億円、町村合併に伴う電話サービス改善に三十億円、農山漁村電話普及特別対策に三十億円となっております。
次に、日本放送協会の昭和三十三年度予算案につきましては、日本放送協会におきまして、従来に引き続き目下新会長のもとにおいて成案を急いでおりまして、業務全般について、一そう能率化と合理化をはかりながら、その使命達成をはかるよう考慮し、特に聴取状況の改善、良質放送の実施に留意し、これに必要な諸施設の増設並びに改善を考慮しており、近い機会に国会に提出いたすことができることと存じます。その節はよろしく御審議下さいますようお願いいたします。
以上、まことに簡単でございますが、一応わたくしの報告を終りたいと思います。なお、詳細の点につきましては、御質問をいただきまして、お答え申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/7
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008・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、郵便為替法の一部を改正する法律案、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、公衆電気通信法の一部を改正する法律案、簡易生命保険法の一部を改正する法律案、以上五件を一括して議題といたします。
田中郵政大臣より提案理由を説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/8
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009・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) ただいま議題となりました郵便為替法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、電信為替による送金を迅速化し、その送金とともに通信文を伝達する制度を設けまして、利用者の利便をはかろうとするものであります。
その改正の要点について申し上げますと、第一点は、為替金の払い渡しにつきましては、現在の取扱いによりますと、電信為替証書を発行してこれを受取人に送達し、その電信為替証書と引きかえに郵便局の窓口で現金を払い渡すことになっておりますが、この方法のほかに、差出人及び受取人の利便を考慮いたしまして、差出人の請求がありました場合は、郵便局から為替金の額に相当する現金を書留郵便物として受取人に送達することによりまして為替金の払い渡しをする制度を設けまして、送金の迅速化をはかろうとするものであります。
なお、この取扱いをする電信為替につきましては、その手数や封筒等の調製費を勘案いたしまして、現行の料金のほかに、三十円の付加料金を徴収しようとするものであります。
第二点は、電信為替の差出人から受取人あての慶弔その他送金の目的などを内容とする通信文を電信為替証書または為替金に相当する現金とともに受取人に伝達する制度を設けることによりまして、電信為替のサービスの向上をはかろうとするものであります。
第三点は、通信文の伝達を伴う電信為替の業務の一部を日本電信電話公社に委託することができる道を開き、利用者の利便をはかろうとするものであります。
以上、まことに簡単でありますが、この法律案の提案理由及びその内容の概略を説明申し上げた次第でありますが、何とぞ御審議のうえ、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
第二に、ただいま議題となりました郵便振替貯金法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、郵便振替貯金の小切手払制度につきまして、小切手の呈示があった場合に直ちに支払いをすることができるように取扱い方法を改めますとともに、小切手払いの料金を廃止し、また、簡易払い制度につきまして支払通知書の制限金額を引き上げまして、利用者の利便をはかろうとするものであります。
その改正の要点について申し上げますと、第一点は、小切手の支払いにつきましては、現在の取扱いによりますと、郵便局において、小切手の呈示を受けた際、口座を保管する地方貯金局に支払資金の有無を電報または電話で照会した上、支払いをすることになっておりますが、この方法は支払いまでに時間がかかりますので、これを、加入者との予約によりまして、自動的に小切手の支払いに充てる資金が地方貯金局からあらかじめ郵便局に通知されるようにしておき、郵便局においては、その通知された金額の範囲内で小切手の呈示を受けた際は、ただちに支払いしすることができるように改め、加入者及び小切手の所持人の利便をはかろととするものであります。
第二点は、現在の小切手の支払いにつきましては、自己を受取人に指定して振り出した小切手による場合を除いて、払い出しの料金を徴収するほか、電報または電話による口座現在高の照会の料金を徴収することとされているのでありますが、一般の小切手取引の実情にかんがみまして、これらの料金を廃止して、加入者の要望にこたえようとするものであります。
第三点は、株式配当金の支払いなどに利用されております簡易払いの支払通知書一枚の金額は、現在三万円以下と定められておりますが、この制限額を五万円に引き上げまして、加入者の利便をはかろうとするものであります。
以上、まことに簡単でありますが、この法律案の提案理由及びその内容の概略を説明申し上げました。
第三に、ただいま議題となりました郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、郵便切手類及び印紙の売さばき人に対する売さばき手数料率を改訂し、かつ、買受月額の低い売さばき人に対しても一定額の手数料を保障いたしますとともに、郵政大臣が、郵便切手類及び印紙の売さばきに関する業務の円滑をはかるに必要な事項について売さばき人に対して指示等をすることができるようにいたそうとするものであります。
その改正の要点について御説明申し上げますと、まず売さばき手数料の改訂についてでありますが、現行の売さばき手数料率は、昭和二十九年四月に改正実施されたものでありまして、その後四カ年を経たにすぎないものではありますが、最近における売さばきの実情から見ますと、一般の労賃その他の売さばきに要する経費が若干増加しているものと認められ、また、印紙税法の改正等に伴い百万円を相当上回って売りさばかなければならない売さばき所もあり、これらのものに全く手数料を支払わないこととしておくことは著しく社会通念に反すると認められますので、これら諸種の事情を考慮いたしまして、買受月額一万円以下の金額に対する手数料率百分の六を百分の七に、買受月額一万円をこえる十万円以下の金額に対する手数料率百分の三を百分の四に、買受月額十万円をこえ百万円以下の金額に対する手数料率百分の一を百分の一五に改訂するほか、従来手数料の対象とならなかった買受月額百万円をこえる金額にもその百分の一に相当する額の手数料を支払うことといたそうとするものであります。なお、以上のように売さばき手数料率を引き上げましても、全国八万有余の売さばき人のうち約四八%の者は、買受月額が三千円以下であり、しかも、これらの売さばき人は、農、漁村等割合へんぴな地域において郵便局の補助的施設としての機能を最もよく発揮しているものであるのにかかわらず、その取得手数料の平均額はわずかに百円程度というきわめて些少な額であり、また、あとに申し述べますように新たに売さばき人に対し売さばき業務を行うに必要な指示をすることができることといたします関係上、一定額の保障という意味におきまして三千円以下の買受月額のものに対しましても、買受月額三千円のものとみなして手数料を支払うことといたしております。
次に、売さばき人に対する郵政大臣の指示事項等についてでありますが、これは、郵便局の補助的施設としての売さばき所の機能を十分に果させるため、郵便切手類及び印紙の売さばき業務の円滑を期する上に必要があるときは、郵政大臣は売さばき人の守るべき準則を定め、また、売さばき人に対し売さばき所に設けるべき設備並びに常備すべき郵便切手類及び印紙の種類及び数量について指示することができるようにするとともに、あわせて郵便料金表の掲示を義務づけることといたそうとするものであります。
さらに、従来売さばき所におきましては、現金封筒の売さばきをしていないのでありますが、利用者の利便をはかるため、その売さばきができるようにいたそうとするものであります。
以上でこの法律案の提案理由の説明を終ります。
第四に、公衆電気通信法の一部を改正する法律案について、提案理由の御説明を申し上げます。
この法律案は、現在、日本電信電話公社が試行的に実施しております地域団体加入電話並びに日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社が試行的に実施しております加入電信について、その提供条件等を法定しようとするものであります。
地域団体加入電話は、いわば構内交換電話の内線電話機の設置場所を地域的に拡大したような形態の部落電話的な電話でありまして、電話回線をできる限り共同で利用して原価の切り下げをはかり、農山漁村等における電話需要に適合させ、電話連絡が不便な農山漁村等における電話の普及をはかろうとするものであります。
また、加入電信は、加入電話の電話機のかわりに宅内装置としてテレ・プリンターを置き、電信加入者が直接相手方を呼び出して通信文を送受信することができるようになっているものでありまして、国内におきましては東京ば大阪ば名古屋各地区及びその相互間において、国際通信系にありましては対サンフランシスコ、対アムステルダム、対ハンブルグ間において、試行的に実施しております。
次に、この法律案のおもな内容について申し上げます。
まず、地域団体加入電話は、一般の加入電話と異なる特殊な電話でございますので、その設置地域は、その居住者が社会的経済的に相互に比較的緊密な関係を有し、かつ、電話による連絡が不便な地域であって、公社が郵政大臣の認可を受けて定める基準に適合する地域に限ることといたしております。
また、その加入契約を締結することができるものにつきましても、公社から公衆電気通信役務の提供を受けることを目的とし、かつ、利用の公平、公社に対する代表者の選任等本法で定める事項を含む組合契約を締結して設立した組合に限ることといたしております。
なお、地域団体加入電話の交換設備、電話機等につきましては、構内交換電話の場合と同様、技術基準を定める等必要な措置を講じて、その加入者たる組合がこれを自営することができることといたしております。
また、その料金につきましては、市外通話料は法定料金によりますが、その他の料金は、公社が郵政大臣の認可を受けて定めることといたしております。
その他の公衆電気通信役務の提供条件につきましては、おおむね一般加入電話に準じて取り扱うことといたしております。
次に、加入電信について申し上げます。
加入電信に関する業務は、もっぱら国際通信を行うものにつきましては国際電信電話株式会社が行い、国内通信を主とするものにつきましては日本電信電話公社が行うことになっております。その提供条件につきましては、おおむね加入電話の場合に準じて取り扱うことにしておりますが、次の事項等につきましては加入電話の場合と異なっております。すなわち、加入電信の設備の他人使用につきましては、公社または会社と特に契約をした場合及び公益上特に必要がある場合であって、郵政省令で定める事由がある場合を除き禁止することといたしております。また、加入電信の端末設備の加入者による設置につきましては、公社または会社が業務の遂行上支障がなく、かつ、特に必要があると認められる場合であって、郵政大臣の認可を受けときは、電信加入者がその端末設備を設置することを承認することができることといたしております。また、料金につきましては、公社または会社が郵政大臣の認可を受けて定めることといたしております。
以上が地域団体加入電話及び加入電信についての概要でありますが、なお、これに関連いたしまして、その他若干の修正をすることといたしております。すなわち、公社または会社は、この法律で定める公衆電気通信役務以外の公衆電気通信役務を試行的に提出することができる旨明文の規定をおくこと。公社または会社は、本法で定めた公衆電気通信役務の提供条件以外の提供条件であって、郵政省令で定める重要な事項を内容とする契約約款を定めようとするときは、郵政大臣の認可を要することなどであります。
以上で、この法律案の提案理由の説明を終ります。
第五に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
まず、簡易生命保険の保険金最高制限額の引き上げについて申し上げます。簡易生命保険の保険金最高額は、現在、二十万円に制限されているのでありますが、最近における経済事情の推移等にかんがみますときは、この金額は低きに失し、国民の経済生活の安売をはかり、その福祉を増進することか目的とする制度本来の機能を十分に発揮することができない実情にあるのであります。もともと、簡易生命保険の保険金最高制限額は、本事業創始以来、勤労者階層の老後の生活安定、または被保険者の死亡の場合における医療費、葬祭費及び遺族の当座の生活保障に必要とする金額を基礎として定められているのであります。従いまして、最近における勤労者階層の所得の増加、経済生活の向上等の事情にかんがみますときは、保険金最高制限額はこれを相当程度引き上げなければ、加入者に対する保険的保護を十分にはかることができないのであります。しかしながら他面、民営保険の状況等を考慮いたす必要がありますので、これらを勘案いたしまして、保険金最高制限額を二十五万円に引き上げることにいたそうとするものであります。
次に、告知義務違反により保険契約を解除した場合に還付金の支払をすることについて申し上げます。従来、告知義務違反により保険契約を解除いたしました場合には、契約者側の悪意または重大な過失によるものでありますから、保険金はもとより、還付金の支払もいたしておらないのでありますが、払込保険料のうちから被保険者のために積み立てられている積立金は、加入者の財産ともいうべきものでありますので、告知義務違反により保険契約を解除いたしました場合にも、契約者による保険契約の解除または保険契約の失効等の場合と同様に、積立金はこれを保険金受取人に還付することにいたそうとするものであります。
次に、被保険者が一定の廃疾者になつた場合に保険金の支払をすることについて申し上げます。現在、被保険者が両手、両足もしくは片手および片足を失い、または両眼が失明した場合には、簡易生命保険約款の定めるところにより、将来の保険料の払込を免除しているのでありますが、被保険者が廃疾者となつた場合の精神的、経済的打撃のきわめて大きいことを考えますときは、簡易保険の加入対象たる勤労者階層にとりましては、死亡した場合にも匹敵すべき事情に立ち至るものと考えられるのであります。そこで、従来の保険料払込免除制度をさらに一歩進めて、保険金を支払うこととし、加入者の保険的保護を厚くしようとするものであります。
最後に、昭和三十年における簡易生命保険法の一部改正によりまして、保険金の倍額支払に関する規定中、被保険者が不慮の事故等により傷害を受けた日から死亡の日までの期間が二カ月から三カ月に延長されたのでありますが、この改正規定は、改正法律施行前に効力が発生した保険契約については適用しないこととなっておりますので、改正法律施行前に効力が発生した保険契約につきましても、その改正規定を適用することといたし、改正法律施行後に効力が発生した保険契約との間に取扱いの均衡をはかるようにいたそうとするものであります。
以上、まことに簡単でありますが、この法律案の提案理由及びその内容の概略を説明申し上げた次第でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/9
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010・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ただいま御説明願いました五法案の審査につきましては、次回に行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/10
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011・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、件二件を議題といたします。調査事
日本電信電話公社の事業計画について、梶井総裁より説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/11
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012・梶井剛
○説明員(梶井剛君) 日本電信電話公社の本年度の事業概況につきまして御説明申し上げます。
まず、予算の実施状況でありますが、本年度の建設勘定予算は成立額六百三十四億円と、前年度からの繰越四十五億円とを合計いたしまして、総額六百七十九億円でございますが、工事は年度初頭より順調に進行いたしまして、十一月末までの支出額は四百八十八億円、総額の七二%の推捗を示しております。
現在までに実施いたしましたおもな工程について申し上げますと、サービス工程につきましては、農山漁村電話普及特別対策を含めまして、加入電話十八万七千、公衆電話一万一千七百の増設計画に対し、十一月末には、それぞれ十六万三千及び七千四百の架設を終り、それぞれ八七%及び六三%の進捗を示し、市外電話回線につきましては、約四十七万キロの増設計画に対し三十九万三千キロを増設いたしまして、進捗率は八四%となっております。
基礎工程についてみますと、電話局の建設は百三十局の計画であり、そのうち年度内にサービス開始を予定しているものは六十七局でありますが、十一月末までに四十二局がサービスを開始しております。長距離ケーブルにつきましては、七区間の新設予定に対し、三区間を完成しております。その他、町村合併に伴う電話サービスの改善並びに農山漁村電話普及特別対策につきましても、目下鋭意進捗をはかつております。
以上の結果、十一月末における加入電話の数は約二百五十六万、公衆電話の数は約六万となりました。しかしながら、市内通話のつながる割合を十大都市についてみますと六六%でございまして、そのつながらない原因の大半は、相手方のお話中であり、この面からも電話の不足がサービスの向上をはばんでいることがうかがわれます。また、市外電話回線は三百三十七万三千キロとなり、その内訳は、公衆線三百八万九千キロ、専用線二十八万四千キロでありまして、公衆線のうち四三%が即時回線となっております。
電報につきましては、受け付けてから配達されるまでの平均所要時間は、普通電報で五十四分、至急電報で三十八分であり、間違いの字数も一万字当り、一般電報で一一・七字、照合電報で二・八字と、それぞれすでに戦前を上回っております。
また、加入電信は、三十二年四月より名古屋におきましてもサービスを開始し、東京、大阪を合わせまして十一月現在三百六十五加入となっております。
なお、収入につきましては、おおむね順調な経過をたどつており、予定よりもある程度の増収を見得るものと思われます。
次に、最近の労働情勢について申し上げますと、全電通労組の昨年春の賃金引き上げ要求につきましては、四月十六日仲裁裁定が提示され、これに基く補正予算の成立を待って基準内賃金を四百十円引き上げることとして春季闘争は終了いたしました。その後組合は、九月以降合理化問題、賃金引き上げ問題及び年末手当問題等につき、亜求書を提出し、秋季年末闘争に入りましたが、合理化及び年末手当問題につきましては、団体交渉により十一月八日、基本的事項につきまして了解点に議し、十二月二日に協約、覚書等の仮調印を行い、早期に妥結を見ることができました。合理化問題につきましての妥結の内容は、労働条件、特に要員に関係のある設備計画等については、組合と事前協議を行うこと、機械化等により生ずる剰余人員は、配置転換等をより広く行うことによって吸収し、人員整理等の事態をなるべく到来せしめないようにすることを中心としたものであります。今後第二次五カ年計画の遂行に当りましては、この基本線に沿いまして、誠意をもって事態の解決をはかることによって事業を円滑に運営し、もって国民の与望にこたえて参りたいと考えております。
なお、基本賃金の引き上げにつきましては、年末まで団体交渉を行いましたが、結論を得ず、組合は公共企業体等労働委員会に調停を申請し、現在その手続中であります。
次に、本年度をもちまして、昭和二十八年度から着手いたしました第一次五カ年計画は終了することと相なりましたが、おかげをもちまして、計画に対しておおむね順調な成果を上げ得る見込みであります。すなわち昭和二十七年度末と対比いたしますと、加入電話は五年間に百三万を増し一七倍、公衆電話は四万五千個増で三倍、市外電話は二百万キロを増設して、二・五倍と、それぞれ増加することになります。
しかしながら、このような拡張にもかかわらず、加入電話の需要充足率は依然、わずか三〇%内外にとどまり、市外通話につきましても、大部分は依然として長い待ち合せ時間を要しております。元来第一次五カ年計画は、戦災都市におけるサービスの復興を中心として一計画されたものでありますので、勢い大都市に重点が置かれ、地方都市、農山漁村に対するサービスの改善までは、遺憾ながら十分力が及ばなかったのであります。本来電話サービスは、申し込めばすぐ架設され、その電話から全国至るところの場所と即座に通話ができるというものでなければなりません。もちろん、現状をもってしましては、短時日にこの目標に到達することは困難でありますが、公社といたしましては、今後十五カ年間におおむねこの目標を達成したいと考え、引き続き三十三年度より第二次五カ年計画の実行に着手することといたしました。そのおもなる目標としましては、第一次五カ年計画よりも規模を拡大いたしまして、
一、五カ年間に百三十五万の加入電話を増設し、昭和三十七年度末には加入数を約四百万、電話機数を約六百万とすること。
二、公衆電話を六万五千個増設し、現在の二倍に増加すること。
三、市外回線を四百三十万キロ増設し、県庁所在地、これに準ずる都市相互間及び京浜、京阪神、中京地区等の同一経済圏内並びに同一市町村内の市外通話を即時とすること。
四、市外通話即時化に要する市外回線増設並びにチャンネルプランの決定によって今後増加するテレビ放送中継網の需要にこたえるために、マイクロウエーブ、同軸ケーブル等の市外伝送路の拡充整備をはかること。
五、電報の中継機械化を完了するとともに、加入電信サービスを全国に普及させること。
六、合併市町村並びに無電話部落に対する電話サービスの改善を一応完了すること。等を計画しております。
この計画を実施するための所要資金は約四千百億円に上り、このうち約一千五百億円を外部資金に仰ぐことを予定しておりますが、これの調達につきましては相当の困難が予想されますので、特に皆様の御理解と御援助をお願いする次第でございます。
次に、昭和三十三年度の公社予算案について申し上げます。
三十三年度の予算案はただいま申し述べました第二次五カ年計画の初年度分として編成いたしました。まず、事業収入について申し上げますと、電信収入九十六億円、電話収入一千五百四十八億円を中心といたしまして、合計一千六百九十四億円の見込みでありまして、三十二年度予算に比べ二百二十一億円の増加となります。この収入見積りは、昨年四月から十月までの収入実績を基礎とし、かつ、経済の動向は、…十三年度におきましても現状を維持するものとして算定したものであります。
支出について申しますと、給与総額は五百六十八億円でありまして、前年度に比し四十六億円の増加となっております。物件費は二百四十四億円で前年度に比し十一億円の増加となり、業務委託費は二百十三億円、減価償却費は二百八十六億円で、前年度に比しそれぞれ十六億円及び二十八億円の増加となっております。
以上の結果、収支差額は二百七十一億円となり、前年度に比して九十五億円と相当大幅の増加となっておりますので、これが確保につきましては、格段の努力をいたさねばならないと存じております。
次に建設勘定でありますが、三十三年度は総額七百五十億円でありまして、前年度の六百…十四億円に対し百十六億円の増加となっております。
建設資金の調達は、自己資金を五百八十九億円、外部資金を百六十一億円と予定しておりますが、そのうち自己資金の内訳は減価償却引当金二百八十六億円、設備負担金十七億円、資産充当五十七億円及び収支差額二百七十一億円から債務償還四十二億円を差し引いたものであります。外部資金の内訳は、加入者及び受益者債券六十七億円、電話設備負担金五十九億円、運用部資金二十億円及び簡保資金十五億円となっております。
建設工程について申し上げますと、まずサービス工程でありますが、昭和三十三年度におきましては、農山漁村電話普及特別対策を含めまして、加入電話二十六万二千個、公衆電話一万四千個を増設してサービスの改善をはかることといたしております。市外電話サービスの改善につきましては、第一次五カ年計画中に実施いたしました各地方の中心都市相互間の長距離即時サービスを維持するとともに、三十三年度はこれらの大都市と主要都市との即時サービスを開始することとし、札幌—旭川間、東京から金沢富山浜松熱海間、大阪—高知間、福岡から大分長崎鹿児島間等二四区間の市外通話を即時にいたしたいと考えております。また、横浜—小田原、金沢—富山、神戸、加古川、堺—岸和田等の近接都市間の市外通話を即時化するよう計画いたしております。
次に基礎工程でありますが、三十二年度末におきまして、設備が行き詰まつて電話の増設ができない局は約三百三十局に達しますので、これの対策並びに市外通話の自動即時化をはかるため、三十三年度におきましては前年度より継続の六十三局のはか、九十二局の工事に着手し、合計百五十五の新電話局の建設工事を行いますが、このうち年度内に完成してサービス開始をする局は六十一局の予定であります。
市外伝送路につきましては、市外通話の即時化並びにテレビジョン中継網の拡充をはかるため、同軸ケーブル及無装荷ケーブルを前年度より五区間増の十二区間に布設するとともに、マイクロウエーブにつきましては、前年度からの継続八区間のほか、既設の幹線のルート増設並びに十五区間の新設に着手する計画であります。
なお、電報の中継機械化につきましては、前年度と同様五局を行います。
次に、町村合併に伴う電話サービス改善計画は、前年度に比し十億円増の三十億円をもって実施することとし、二百三十七局の電話局を合併するとともに、市外回線を一万三千六百キロ増設し、同一市町村内の市外通話サービスの改善をはかりたいと考えております。
農山漁村電話普及特別対策につき庄しては、前年度の倍額の三十億円をもって四千個の公衆電話及び一万二千加入の共同電話を設置するとともに、現在試行中であります地域団体加入電話の制度を本実施に移すこととし、約百カ所に設置する予定であります。
以上をもちまして三十三年度予算案の説明を終りますが、次に、今国会におきまして公社関係につきまして日本電信電話公社法の一部を改正する法律案、電話加入権質に関する臨時特例法案並びに公衆電気通信法の一部を改正する法律案が政府より御提出の予定になっておりますが、本法案成立の暁には、実施に当り遺憾ないよういたしたいと存じております。
以上をもちまして説明を終らせていただきますが、この機会にあらためて日ごろの御指導御鞭撻に対しましてお礼申し上げますとともに、今後ともよろしく御援助を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/12
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013・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、新たに日本放送協会会長に就任されました野村秀雄君が出席されておりますので、御紹介申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/13
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014・野村秀雄
○参考人(野村秀雄君) 私は、ただいま委員長より御紹介にあずかった野村秀雄であります。
私は、先月十四日、NHK経営委員会の推薦によりまして同日会長に就件いたしましたが、生来不敏の上に、放—送事業に関して何の経験も持っておりません。果してこの重い、大きな任務を全うし得るかどうか、いわゆる任重くして力足らざることを痛感いたしているものであります。しかし、一たん就任いたしました以上は、私の全力を傾け、最善を尽してこの重い、大きな任務を全うしていきたいと考えております。しかし、これは私一人のよくするところではありません。NHK全職員の一致協力と、また皆様を初め、各方面の御鞭撻と御協力によって初めてなし得ることと存じまするから、どうかこの段よろしく皆様にお願い申し上げる次第であります。
この機会を借用いたしまして放送に関する私の所懐の一端を一言申し上げさしていただいて、皆さんの御批判、御叱正を仰ぎたいと存じます。
NHKは、これまでもそうでありましたが、私はNHKの性格と使命にかんがみまして、中立性を確立し、政治の上にも宗教の上にも偏せず、党せず、公正の道を直進していきたいことを私の信条といたしておるのであります。私は、この信条を堅持しながら電波を通じてあらゆる分野の、あらゆる種類の番組をもって国民に親しまれ、喜ばれ、しかも、それが国民の日常生活に溶け込んで心の慰めとなり、いこいとなり、励ましとなって文化の向上、国民の繁栄、国家の発展に役立てたいと考えて、このために私の微力をささげて最後の御奉公といたしたいと考えております。
どうか皆様におかれても、私の微意の存するところをおくみ取り下さいまして、これまでNHKにお寄せ下さった御厚情、御協力をさらに一そうお与え下さいまして、私を教え導き、励まし、そうして私の責任を果さしていただくように、重ねて懇願いたしましてあいさつにかえたいと存じます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/14
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015・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、先般郵政事業、電信電話事業その他について調査するため、三班の委員派遣を行いましたので、この調査報告を行いたいと思いますが、都合により、本日の会議録に掲載することとし、口頭報告は省略いたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/15
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016・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、さように取り計らいます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/16
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017・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記をつけて。
では、本日は、これをもって散会いたします。
午前十一時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00219580211/17
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