1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十一日(火曜日)
午前十時四十二分開会
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委員の異動
三月七日委員久保等君及び森中守義君
辞任につき、その補欠として三木治朗
君及び松本治一郎君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 宮田 重文君
理事
手島 栄君
松平 勇雄君
山田 節男君
委員
石坂 豊一君
黒川 武雄君
剱木 亨弘君
新谷寅三郎君
前田佳都男君
鈴木 強君
光村 甚助君
横川 正市君
奥 むめお君
国務大臣
郵 政 大 臣 田中 角榮君
政府委員
郵政政務次官 最上 英子君
郵政省郵務局長 板野 學君
郵政省簡易保険
局長 大塚 茂君
郵政省電波監理
局長 濱田 成徳君
事務局側
常任委員会専門
員 勝矢 和三君
説明員
郵政事務次官 小野 吉郎君
参考人
日本放送協会会
長 野村 秀男君
日本放送協会副
会長 小松 茂君
日本放送協会理
事 溝上 銈君
日本放送協会理
事 稲葉 駿作君
日本放送協会理
事 前田 義徳君
日本放送協会企
画局長 春日 由三君
日本放送協会経
理局長 首藤憲太郎君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法第三十七条第二項の規定に基
き、国会の承認を求めるの件(内閣
送付、予備審査)
○郵便切手類売さばき所及び印紙売さ
ばき所に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○簡易生命保険法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/0
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001・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。
委員の変更について御報告いたします。
去る七日久保等君と森中守義君が辞任され、三木治朗君及び松本治一郎君がそれぞれ委員に選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/1
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002・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、本日は、まず放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件について説明を聴取し、続いて、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について質疑を行います。
なお、十三日郵便為替貯金法の一部を改正する法律案につきましては討論、採決を行います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/2
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003・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、参考人についてお諮りいたします。放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件及び日本放送協会昭和三十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を審査するに当り、右二件の審査中、日本放送協会会長野村秀雄君、同副会長小松繁君、理事溝上銈君、理事稲葉駿作君、理事前田義徳君、企画局長春日由三君及び経理局長首藤憲太郎君を参考人として出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/3
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004・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/4
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005・宮田重文
○委員長(宮田重文君) それでは、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題といたします。
まず、郵政大臣より説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/5
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006・最上英子
○政府委員(最上英子君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和三十三年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由と、これらに対する郵政大臣の意見書の提出につきまして御説明申し上げます。
この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条の規定によりまして、国会の承認を受けるため協会から提出され、郵政大臣はこれに意見を付することになっているのであります。
郵政大臣といたしましては、この収支予算、事業計画等につきまして、放送法の趣旨、放送事業の現状、聴取者の要望等、各方面からこれに慎重な検討を加えました結果、お手元にお配りいたしました通りの意見書を付して、国会の御審議をお願いすることになったのであります。
これら収支予算等につきまして、大略御説明いたしますと、昭和三十三年度における事業計画につきましては、その重点をラジオにおいては老朽施設の改善および教育放送の時間増し等番組の充実に、また、テレビジョンにおいてはテレビジョン放送の全国普及のための置局および放送時間増し並びに教育放送の開始等による事業の充実に置いております。
次に、収支予算におきましては、ラジオ関係については、収入、支出ともに総額百三十九億八千八百余万円を予定しております。これを昭和三十二年度に比べますと、総額において、十二億七千六百余万円の増加となっております。総額を資本収支と事業収支に区分しますと、資本収入、支出ともそれぞれ二十四億四千百余万円、事業収入百十五億四千七百余万円、事業支出百十四億六千七百余万円、予備金八千万円となっております。また、テレビジョン関係については、収入、支出ともに総額七十五億七千四百余万円を予定しております。これを昭和三十二年度に比べますと、それぞれ四十六億六千二百余万円の増加となっております。総額を資本収支と事業収支に区分しますと、資本収入三十五億六千七百万円、資本支出三十八億八百万円、事業収入四十億七百余万円、事業支出三十七億千六百余万円、予備金五千万円となっております。
なお、本事業年度の事業計画、収支予算においては、受信料をラジオ及びテレビジョンともに、昭和二十二年度と同額のラジオ月額六十七円、三カ月二百円、テレビジョン月額三百円として、それぞれ計画されております。
次に、資金計画につきましては、本事業計画に基きまして、年度中における資金の出入に関する計画を記載してございます。
以上、これらの計画は、協会の使命に照らし、おおむね適当なものと認められます。
これをもちまして、わたくしの説明をひとまず終りたいと存じます。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/6
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007・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、日本放送協会会長野村秀雄君に御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/7
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008・野村秀男
○参考人(野村秀男君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和三十三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その大綱を御説明いたしたいと存じますが、それに先だちまして本日、このような機会をお与え下さいました御配慮に対しまして、協会を代表しまして厚く御礼申し上げます。
昭和三十三年度の事業計画につきまして御説明いたします前に、現在日本放送協会が当面しております諸問題と、それに対して協会の使命としてなさなければならないと考えております諸施策について述べさせていただきたいと存じます。
まず、ラジオ放送につきましては、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うという協会の目的にかんがみまして、鋭意その普及に努めて参りましたが、この間幸いにして各界の御支援と、放送技術の進歩とによりまして、昭和三十二年度末においては、全国世帯数に対する電波のカバレージは、第一放送は九九・七%、第二放送は九七・〇%となり、また受信契約者総数は有無料合算して約一千四百五十万、普及率八〇・八%に達する見込みでございまして、かねてから御配慮をいただいておりました全国放送網の完成は、あとわずかの地域を残して完了に近づいたわけでございます。
また、昭和二十八年二月に放送を開始いたしましたテレビジョン放送につきましては、昭和三十二年度末において、北は札幌から南は鹿児島まで、全国を縦貫する放送網が一応完成し、国内の主要地域におきましては、おおむねテレビジョンの受信ができるような状態に相なったのであります。現在、放送局数は十五局、受信契約者数は八十万余となり、受信契約者数が百万を突破する日も遠からざるものと期待しておるものでございます。
以上、現在におけるラジオ並びにテレビジョン放送の概況でございますが、協会が公共放送としての使命を達成し、国民文化水準の向上と公共の福祉の増進という国民からの負託に十分こたえるためには、ラジオ、テレビジョンとも、なお多くの果さなければならない任務を負っておるのであります。すなわち、ラジオについては、残された難聴地域を解消してすみやかに中波放送網を完成すること、テレビジョンについては、現在の放送網をでき得るだけ早く全国に及ぼすとともに、教育放送を開設してその全国普及をはかること、国際放送を拡充して文化の交流をはかり、諸外国との親善に寄与し、また、わが国海外貿易の進展に寄与すること、FM放送を開設して、良質、高度の放送を行うこと、番組の面では、ラジオ、テレビジョンとも教育教養放送を一そう充実すること、内外の番組、技術の研究調査、なかんずくカラー・テレビジョンの実験研究等を強化すること等々、各面にわたり量、質ともに複雑多岐にわたっておるのであります。
協会といたしましては、ラジオ、テレビジョンのおのおのについて長期の事業計画を構想いたしまして、これらの任務を達成しようと考えておりますが、その大綱を御説明申し上げます。
まず、ラジオの放送網は、先ほど申し上げました通り、ほぼ完成に近づいておりますが、残された難聴地域を救済するため、この地域に対し新しい放送局の新設、既設放送局の増力、第二放送の増設等の諸施策を講じまして、第一放送網については二年後に一〇〇%、第二放送網については五年後に九八・二%のカバレージに達するよう実施いたしたいと考えております。また、ここ数年来外国電波による混信か国内各所に発生して、これによる国内放送の聴取困難な地域が拡大しておる現状でありますので、この外国電波による混信を防ぐため必要な地域には超大電力放送局を建設して、全国で良質な電波が受信できるよう計画いたしております。
次に、現在まで協会施設につきましては、毎年老朽した部分について取りかえあるいは改善を行なって参りましたが、最近における電波技術の目ざましい進歩と、放送番組の多様化、演出法の発展などに引き比べて、既存の施設は機能的にとうてい新しい番組の要求を満足し得ず、あるいははなはだしく効率の劣るという面が生じてきております。それで今後五カ年間には、老朽した設備の取りかえを行うとともに、機能的に陳腐化した施設や機械についても、新しい技術の導入による近代化を促進して参りたいと思っております。
次に、放送番組の面について申し上げますと、マス・コミュニケーション・メディアとしてのラジオ、テレビジョンが、国民文化に及ぼす影響力の大きなことは、今さらここで申し上げるまでもないことであります。また一方、最近における国内一般の放送番組につきまして、世上に種々批判の声も起っておるのでありますが、協会といたしましては、放送によって国民文化水準の向上と公共の福祉の増進に努めることを、その設立の使命と考えております。
まず、教育放送につきましては、その内容を一そう充実するため、現在の放送時間をさらに延長し、学校放送については小学校から高等学校まで、それぞれの教育の課程に適応した番組を編成することにし、また青少年向き、成人向きの社会教育の番組についても、体系的な奥行きのある影響力の強い番組を編成する考えであります。
また、社会、婦人、農事、産業等の教養放送、迅速正確な報道放送、健全明朗な娯楽放送につきましては、従来からその向上に努力いたしてきたところでありますが、今後においてもさらに一そうその充実をはかり、全体として調和のある番組の編成に努めていく方針であります。
昨年から実験放送を開始いたしましたFM超短波放送につきましては、すみやかに実験の段階を完了して、全国主要地域にその普及の方途を講ずるとともに、番組としましてはその特性を生かした高い水準の音楽、芸術番組や、高度の専門的知識を欲する人々を対象とした学術・教養番組を編成して、ラジオ放送における新しい分野を開拓する計画であります。
次に、国際放送についてでございますが、わが国の国際放送は御承知の通り、戦後昭和二十七年二月に再開しましてから、この二月で満六カ年を経過いたしました、この間当初の五方向、一日五時間、二カ国語使用という微々たる状態から、各方面の御助力によりまして年々規模を拡大し、現在では十五方向、十五時間、十六カ国語使用という状況になっております。しかし、現在における諸外国の海外放送の実施状況と比較いたしましても、決して満足すべき状態と申すことはできません。ことに、わが国の国際的地位が向上して参りました現在、国内の事情を広く海外に紹介して、国際親善に寄与し、また海外貿易の振興に資するため、国際放送の規模をさらに拡大したいと考えております。すなわち、現在の目標といたしましては、従来の放送のほか、アフリカ向け、中米向け、欧州向け等を加え、また放送時間も増加し、五年後において十九方向、四十時間の放送を実施したいと考えております。
次に、研究活動の強化についてでございますが、技術、番組の両分野にわたって研究諸機関を一そう強化し、その研究の成果は協会の事業遂行の上に積極的に役立たせるだけでなく、広く一般に公開してわが国の放送技術、文化各面の発達に寄与したい所存でございます。
次に、テレビジョンの全国普及は協会の当面している最も大きな問題でございますが、協会といたしましては、テレビジョンにつきましても、ラジオと同じように、協会が第一放送、教育放送の二つの全国放送網を建設して、おのおのその特色を発揮させながら運営していくことが絶対に必要であると考えております。最近テレビジョンが飛躍的な普及を遂げるとともに、現在の番組の内容については、世上種々の批判が行われておりますが、その影響力の大きなことを考えますとき、現在の番組の改善をはかると同時に、さらに進んでテレビジョンを教育の手段として活用する道を考えることは、焦眉の急を要する問題であり、公共放送としてのNHKの第一の任務と申さねばなりません。このため協会といたしましては、全力をあげて置局計画を推進し、第一放送については三年後に全国の置局数四十九局、カバレージ約八〇%、教育放送については五年後に同じく置局数四十九局、カバレージ約八〇%に達するよう、置局計画を進めて参る計画であります。
以上、現在協会の当面果さなければならない任務と、その施策について御説明申し上げましたが、次に、その財政面について若干申し上げたいと存じます。
テレビジョンにつきましては、受信契約者の増加によりまして、事業の運営の面はようやく採算を保ち得るようになりましたが、今後二つの放送網を建設するため、多額の外部資金を要することになり、その資金の調達につきましては非常な困難が予想されますので、政府並びに各方面の格段の御援助をお願いする次第であります。
ラジオにつきましては、受信者の普及率が向上するに伴って、毎年の新規増加数は減少してきている状況でありまして、今後受信料の収入増加を期待し得ない状況にあります。協会といたしましては、受信料が国民大衆の負担であることにかんがみまして、従来そその値上げということに極力避け、新規受信者の開発や収納率の向上、あるいは協会内部の事業の合理化、経費の節約等に努めて、事業の運営に当って参りましたが、さきに申し上げましたような諸計画を遂行し、協会の任務を達成するためには、ラジオ受信料を改訂することがどうしても必要になっている状況であります。
しかしながら、現在の社会経済情勢をいろいろと考えました結果、本予算におきましては受信料の改訂を行わないことにいたしました。しかも、先ほどから申し上げて参りましたように、協会としてなすべき事業の拡充は遷延するを許されないものがありますので、昭和三十三年度においては、事業の合理化による経費の節約を一そう強く行うとともに、償還金の繰り延べとか、減価償却費の削減とか、いわば財政上の非常措置を講じまして、三十三年度の計画を次の通り実行することに決意した次第であります。
すなわち、まずラジオの建設計画についてでございますが、長期計画の第一である中波放送網の完成のため、静岡、防府の各三キロワット増力、富山ほか七局の一キロワット増力等、放送局の増力十五局、中継放送局の新設三局、第二放送の増設五局等の工事を予定しております。これが完成いたしました暁は、良聴区域は、第一放送九九・九%、第二放送は九七・六%まで広まる見込みでございます。
FM放送網につきましては、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の各十キロワット局の工事を進める予定でございます。
次に、番組の編成についてでございますが、全国中継網、ローカル放送とも、教育、教養社会放送に重点を置いて、その内容の充実と時間延長をはかり、また、番組審議委員会、企画委員会等を充実して、広く有識者の意見を番組の上に反映させていきたいと存じております。
FM放送につきましては、放送時間を延長して、実験放送をより強化し、従来の第一、第二放送のワク内では実施し得なかった高度の教養、芸術番組を実施して、すみやかに本放送に移行し得るよう、万全の準備を進める方針であります。
国際放送につきましては、放送の規模は現在の通りとし、番組内容の刷新と充実に努めて参りたい所存でございます。
次に、ラジオ受信者の普及の見通しと、その対策について申し上げます。
昭和三十三年一月末現在で契約者総数は千四百四十九万九千六百三十五(有料千三百九十五万五百二十、無料五十四万九千百十五)普及率八〇・七%に達し、今後の新規受信者の開拓が次第に困難になってくることは、先ほど申し上げた通りでございますが、明年度におきましては、従来の普及率の向上の比率などを検討いたしまして、有料契約者において四十二万件の増加を予定いたしました。
この目標を達成いたしますためには、新規契約者の開発を積極的に行うと同時に、雑音障害の防止、受信機改善対策等、受信者に対するサービスの向上に努めて、従来の契約者の中から廃止される方を極力少くして参りたいと考えております。
次に、研究活動につきましては、従来から実施いたしておりましたUHF帯によるもののほか、昨年暮から開始しましたVHF帯のカラー・テレビジョンの実験放送を、より強化し、送信、受信の両面の技術的な研究、各種部品の国産化のための試験等を行なって、実用化に備えることにいたしております。そのほか、従来から継続しております技術面の基礎研究及び応用研究、すなわち受信機並びに受像機の簡易低廉化、放送機器の能率化、音響の研究、テレビジョンの研究等につきましては、一そう力を用いてゆく所存でございます。
次に、テレビジョンについて申し上げます。
明年度の建設予定としましては、三十二年度から継続工事となっております室蘭ほか六局の放送局を完成し、新たに長崎ほか十一局の工事に着手して、そのうち八局は来年度中に完成する予定であります。
このほか、東京、大阪には新たに教育放送局を開設し、その全国放送網への糸口とする計画であります。
テレビジョン放送番組の編成につきましては、公共放送としての協会の特色を十分発揮するよう、教育、教養放送の拡充に重点を置き、また、ラジオとテレビジョンの兼業の妙味を発揮して、両者の有機的な連繋を一そう深め、豊富多彩な番組を編成いたしたいと計画しております。
すなわち、第一放送においては、従来の放送を二時間延長して十時間とし、一般教養放送、家庭で楽しめる明るい芸能放送、劇場・スポーツの中継等を実施し、教育放送においては、放送時間六時間半をもって開始し、学校放送、社会教育放送番組を実施する予定であります。
次に、テレビジョン受信者の普及開発についてでございますが、メーカーその他関係各方面の御努力によりまして、良質な受像機が、しかもずっと低廉な価額で出回るようになり、また、国民所得の向上も反映し、テレビジョンにつきましては、三十二年度も当初の予想以上に受信契約者が増加しております。明年度の予算としましては、置局計画の進展や、受像機の生産見込ともにらみ合せまして、三十二年度を大きく上回る四十八万の純増を予定いたしました。今後の普及対策としましても、受像機の量産による価額の低廉化が特に要望されるところでございまして、関係各方面の御協力を期待する次第でございます。
次に、従業員の待週の問題につきましては、さきの国会におきましても、その改善について努力するよう御決議をいただきましたところであり、協会といたしましても、経営の許す範囲内で、最大の努力を払って参りましたが、職員の素質、学歴、年令、勤続年数等を考慮いたしますと、まだ必ずしも十分とはいえない状況であります。明年度の待遇改善につきましては、従業員側からも強い要求があり、でき得るだけの改善をはかりたいと考え、努力いたしたのでありますが、昭和三十三年度の財政規模では、満足すべき改善を行うことはできなかったのであります。職員の素質の向上と生活の安定が、将来にわたる放送事業発展の基であることを考えますと、職員の給与が十分でないということは当事者としてもまことに不本意ではありますが、今後とも一そうの努力を払って、能率の向上とともに、極力増収、節約をはかって、待遇改善に努めたい所存でございます。
また、資金計画といたしましては、放送設備の建設、改修の資金といたしまして、ラジオにおいて十四億一千五百万円、テレビジョンにおいて三十二億二千万円という多額の借入金を予定しております。先ほども申し上げました通り、この借入金の調達につきまして、政府並びに各方面の御協力、御援助をお願いいたす次第であります。また、ラジオにおきましては、明年度償還期に当る放送債券四億円の償還のために同額の乗りかえ発行を予定しております。
以上、NHKが当面しております諸問題と、昭和三十三年度の事業計画等につきまして申し述べて参りましたが、公共放送として重大な使命をになっておりますNHKの事業運営について、委員各位の格別の御理解をいただきまして、何とぞすみやかに御承認下さいますよう、切にお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/8
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009・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 以上の説明に対する質疑は次回に行うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/9
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010・山田節男
○山田節男君 今の説明に対しての、これは質問というよりかちょっと意見を伺うのですがね、この予算はもちろん最近お作りになったのでしょうがね、御承知のように放送法の一部改正法案が今上程されておるわけです。それによりますと、これは予算的処置としては多くの金じゃないと思いますが、たとえばこの送放受信の技術者の養成であるとか、あるいは放送番組を商業放送に提供する、あるいは番組編成の資料をNHKが要求があったら提供をしなくちゃならぬ、こういう方面についての予算は、今回のこの放送法の改正法案が通過すれば、NHKにまあ新しい任務が課せられる、そういったような、これは金額に少いかもしれませんけれども、これに対する予算措置というものは、この予算計画をお立てになるときには全然考慮に入ってない、そういうものと了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/10
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011・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 向うは衆議院の方で待っているので、質疑は次回に譲るということで今言ってあるのだから、次回にして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/11
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012・山田節男
○山田節男君 ですから質問じゃないですよ、今の説明に関してですね、これは次回でよろしゅうございますから、もしそれに対する予算措置が、追加予算ということ、補正予算ということはないのですから、そこをどうされるかということを、今の会長の説明につけ加えて次の機会でよろしゅうございますから、一つ本委員会に御報告を願いたい。それだけです。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/12
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013・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 次に、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/13
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014・手島栄
○手島栄君 この売さばき手数料の原則的なことをちょっとお伺いしたいんですが、逓減率を用いておりますが、百万円以上のものは今まで手数料がなかったのを今度つけることに改正をされておりますが、その間におきましても逓減率をとっておりますが、政府並びに公企業体のこういうような種類のもので、逓減率をとっておるようなものがほかにありますかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/14
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015・板野學
○政府委員(板野學君) 国鉄の乗車券でございまするが、これはちょっとあるいは御質問の要点にはまっておるかどうかわかりませんが、定期券が百分の四、団体切符につきましては百分の一・八、その他は一・五ということになっております。また、都電の乗車券につきましては、回数券につきましては百分の一・五、乗車券につきましては百分の三、こういうものがまあ例としてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/15
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016・手島栄
○手島栄君 ちょっと今の答えは意味が違うんで、一人の売さばき人がある限度以上を売った場合に、手数料が逓減していくという種類のもので今のはないようですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/16
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017・板野學
○政府委員(板野學君) 仰せの通り、そうではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/17
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018・手島栄
○手島栄君 売さばき人の不安といいますか、不満といいますか、言うことは、商売をやっておって勉強して売ればだんだん手数料の率が下っていくということがどうもわからないということを言っておるのです。それから一般の商取引としても、どんどん仕事が繁栄していけば、もとの方は割合に安くしてもらうことは一般の商業の常態でありますが、こういうふうな逓減率をとったという原則的な考え方、郵政省の答弁を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/18
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019・板野學
○政府委員(板野學君) このような逓減率は、この売さばきの手数料を支払う制度が始まりましてから、というよりも、大体明治四十二年逓信省の所管になりましてから、こういう制度をとっておるわけでございますが、大体まあ売さばきの各段階別の原価というものを一応見まして、現在まではこういうようにきめておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/19
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020・手島栄
○手島栄君 どうもはっきりしないが、私の記憶では、逓減率をとったのは、今の特定局の前の形におきましては、特定局の収入の非常に大きな部分が売さばき手数料によって支払われた。局長の手当とか、その他の経費はあまりたくさん支給しない。ほかにもありますが、切手収入、印紙の売さばき手数料というものが公然とした特定局収入の重要なポイントである。従って、その手数料を無制限に伸しておくと、同じ特定局であっても収入が非常に違ってくる。もう一方不正競争が当時行われた一例をあげますと、富山の薬屋さんが売薬の印紙を張らなければならない、そのためにある時期になると、特定局長その他が遠い所から割引をして売りに歩くという弊害も一応あった。従いまして、特定局の収入を郵便本来の仕事以外に、手数料によって非常に各局ごとに差別をつけるということはおもしろくないということ、半面において不正競争が非常に盛んになってくるから、それも考えなければならぬというので、最高制限をやって、それ以上は手数料を払わない、あるいは逓減率を用いて、たくさん売ったものにもあまりやらないという制度をとったように私は記憶しているのですが、その後特定局の手数料はなくなった。今、純然たる私の仕事をしている売さばき所の収入だけでありまして、前と同じような考え方で、非常に大きな制限を加えて、たくさん仕事をする人の収入を押えていくということがどこまでが正しいか。あまり放任しておくと不正競争が行われるようなことは今でもあると思うんです。その一歩として百万円以上のものについて、今度率は低いが手数料を出すということにされたことは、まあ一進歩だと思いますが、今の他の公企業その他にもあまり例がないというようなことから考えますと、たくさん売ってくれた者に、そう故意に率を下げてしまうという一本調子が、果して今の世の中に合っているかどうかということについて、大きな疑問を持つのです。それだからといって、今急に上げますと、郵政省の歳出も非常に与えて、一時どうということはありませんが、もう少し逓減率を適用するという方針について、郵政省はお考えになる必要があろうかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/20
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021・板野學
○政府委員(板野學君) 現在のところ、この切手売さばき所の人数から申しますと、一万円以下が約七〇%を占めております。ところが、その反対に売さばきの金額からいたしますというと、一万円以上百万円までが約八〇%、こういうような状況でございまして、ただいまお話のございましたように、かりに均一あるいはそれに近いものの料率をここにとりますというと、この一万円以上百万円というようなところの、いわゆる経費が非常に多額にかさむわけでございます。たとえば現在、昭和三十三年度におきましては、大体売さばき所におきまする売さばき金額三百六十三億というふうに予定しておりますが、これが七分平均でもし支払われるということになりますと、約二十五億必要でございまして、現在より約十三億の増加というような財政の面はもちろんございます。しかしながら、ただいま先生のおっしゃいました点につきましても、今後私どもといたしまして、財政の面その他均衡の面等もいろいろ勘案をいたしまして将来考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/21
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022・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ほかにございませんか。(「なし」と呼ぶ者あり)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/22
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023・宮田重文
○委員長(宮田重文君) では次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/23
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024・光村甚助
○光村甚助君 大臣来ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/24
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025・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 今連絡します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/25
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026・光村甚助
○光村甚助君 事務当局でけっこうですよ。大臣はしばしば今度三十万円にこれはやりたいということを言っていたんです。これは衆議院の逓信委員会でもそういう発言をやっているし、われわれに対しても、公式の場所じゃない場合でも、今度三十万円にやりたいということをしばしば言っていたんですが、二十五万円になったいきさつをちょっとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/26
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027・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) お答えを申し上げます。郵政省といたしましては、仰せられますように、当初三十万円に上げたいという線で進んで参ったわけでございますが、いろいろ民間保険との関係等も考慮いたしまして、政府部内で調整の結果、さしあたり二十五万円ということになった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/27
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028・光村甚助
○光村甚助君 民保で発行している何かインシュアランスという雑誌がありますか、それによっても、簡易保険は三十万円くらいは仕方がないだろうということを言っているんですよ。民間保険でも、そうして大臣自体も、郵政省当局も、三十万円から三十五万円ぐらいにしてもらわなければ困ると言っていたんで、三十万円に私たちもなるんだと、こう思った。ところが、わずか一日で、ちょっとの議論をやったかどうか知りませんが、大蔵大臣との折衝でほんとうに簡単に二十五万円にしているんです。それは大臣に聞かなくちゃわからないんですけれども、あまり私は郵政当局の腰が弱過ぎたと思うんです。その点は大臣に聞きますが、詳しくもう少し折衝のいきさつを聞かしてもらいたい。それでは納得できないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/28
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029・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) いろいろ簡易保険の使命から見まして、一般国民大衆、主として中産階級以下の方々の老後の生活安定あるいは死亡の場合の最終の医療費、葬祭費及び遺族の当座の生活資金というようなものを考えますと、やはり三十万円以上が望ましいという計算が出ますので、われわれといたしましては、その線でできることならということで進んで参ったわけでございますが、まあ御承知のように十五万円から二十万円に引き上げましたのもつい昨年の四月でもありますし、というようなこともあり、先ほど申し上げました民間保険との関係等に及ぼす影響というようなこともございまして、さしあたりは二十五万円ということになったわけでございますが、先ほど言いましたように、昨年四月に五万円上ったばかりでまた上げるということから見ますと、われわれとしても、そのまま置くよりは非常にプラスになりますので、さしあたり次はまた次で努力をいたすといたしまして、二十五万円でも上げないよりは非常によろしいということで喜んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/29
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030・光村甚助
○光村甚助君 大臣がこられたのでちょうどいいんですが、衆議院の逓信委員会でも、それからわれわれに対しても、今度保険を三十万円にやるんだと張り切っておったんですね。それが郵政当局の実際信頼を裏切ったり、従業員も非常に期待していたんです、三十万円にしてもらうと。それが簡単に二十五万円になったので、相当私たちはこれに対して不満もあるし、疑惑を持っているんですが、そのいきさつを今局長から聞いたんですけれども、一つあなたから詳しく説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/30
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031・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。私は一番初め郵政に入りまして、初めてでありますから、そのときには一般論として三十五万円に上げようということを考えておりまして、少くとも三十万円以上にしなければいかぬということを申し上げました。これは簡易生命保険の制限ワクばかりでなく、郵便貯金法の改正をしまして、それも三十万円以上にしたいということでありました。私たちが作りましたものは、臨時国会において両法案とも三十五万円に改正しようという省原案を省議できめまして大蔵当局との折衝に入ったわけでありますが、郵便貯金法の改正も実際は通常国会でやろうということを、私も相当押し切って、できるだけ早く上げておくことがいいという考えでありましたので、郵便貯金法は御承知の通り臨時国会に程案をしまして御決議を賜わったわけであります。でありますから、通常国会の劈頭に三十五万というよりも、郵便貯金法と平仄を合せる意味においても三十万円ということで原案を出したのであります。それで私も相当強く固執をいたしておりましたが、今年度はどうしても一つ見送ってもらえないか、しかも、郵政、大蔵両当局としては、この前の国会で二十万円に上げるときに、次の国会では値上げをしないという何か話し合いのようなものがあると、こういうことを言うものですから、しかし、私から見れば、そういう話し合いとか、そういうものよりも国会の付帯決議の方をより重く見なければいかぬので、三十万円に上げるということを強硬に私もがんばったわけでございます。ところが、来年度、すなわち三十四年度になればまた考えられるのだから、何とか今年度は一つ待ってもらいたいということで、いろいろ折衝いたしました結果、ついに二十五万円ということで、足して二で割ったような数字が出て非常に私としては不本意でございますが、このままでもって突っぱっていくと出なくなるというおそれもあるということが一つございましたし、時あたかも三十三年度予算編成の途中でありましたので、これを強行することによって予算の問題が円滑にいかなかったり、特に省名の変更、郵政省の設置法の改正で新しく各種の改正案による予算を盛らなければならぬという問題もありましたので、ついに諸般の情勢を勘案して、やむを得ず二十五万円に折れたというのでありまして、私としては、政治的にもまた個人的な思想からいっても不本意な考えでございますが、時間的にどうしてもこの国会で成立をさせるということで、やむを得ず二十五万円ということになったわけでございます。一切あげて私の政治力の不足と、こういうふうに私自身考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/31
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032・光村甚助
○光村甚助君 政治力の不足で申しわけないと言われたあとはこれは問題にならないわけですけれども、しかし、あれだけ三十万円だと大臣が打ち出していて、従業員もそのように考えていた、私たちも地方を回って、あの大臣なら三十万円くらいやるだろうから三十万円くらい募集しておけと言ったりしておる、そうすると五万円超過になるのはどうしますか。そういうのは全国的には相当あると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/32
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033・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/33
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034・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/34
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035・光村甚助
○光村甚助君 三十万円というのがだいぶ新聞紙上に出だしてから、民間保険あたりからやはり相当反対が出たのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/35
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036・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 私のところへは民間保険の代表者が一回参りました。一回参りましたが、私は明確に三十万円でも安いのだから、これを変更する意思はないということを申し上げてあります。それからもう一つ申し上げますと、郵便貯金や簡易生命保険の制限ワクを引き上げないと、現在の日本の財政状況では民間の金融機関が戦後全く野放しの状況でございますが、経済の浅い日本においては、国家資金が潤沢に集められないということであれば、結局銀行法の改正や日銀法の改正というところにおせおせになるので、私は思想的にはそういうことには賛成できないので、現在の自主的な民間金融の状態をそのままにしておく以上は、制限ワク等、特に国家資金として集まるものを阻害するような条件は緩和をしなければいかぬ、こういう思想でありますから、遺憾ながら賛成はできない、こういうことを明確に答えてありましたので、私は初めから三十五万円案を出しておりますので、保険会社等も郵政大臣のところへいっても話にならないということで、私のところにはそれ以後一切参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/36
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037・光村甚助
○光村甚助君 大臣はそうおっしゃっても、われわれの耳に入るところはやはりそうでないのですね。去年の通常国会でこれが二十万円になり、私が自民党の政調会は金をもらったのじゃないかということを口をすべらして、新谷先生あたりにえらくおこられたことがある。ところが、これが大臣が三十万円、三十五万円を打ち出しておいて二十五万円になったじゃないか。やはりこれは相当民間保険会社から働きかけられて、政治献金でもあったんじゃないかということが相当いわれているのですよ、そういうことはないとおっしゃるだろうけれどもね。そういうことは今度もないのですね、実際に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/37
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038・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 特に綱紀粛正の一枚看板を掲げておる岸内閣でありますから、その与党、内閣等においてさようなことは絶対にないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/38
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039・光村甚助
○光村甚助君 それならばね、もう少し二、三回の折衝をして、どうもやむを得ずに二十五万円になったというなら、これは了解できますが、三十五万円が二十五万円になったというのでは、ほんの一日もかからない間にころっとひっくり返っておる。どうもその点で疑惑の目をもってみる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/39
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040・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) それは一回や一日、二日してひっくり返ったのではありません。率直に申し上げますと、この前に上げるときには、もう当分上げない、少くとも次の国会では上げない、こういうことでやったのでありますから、このたびは賛成しがたい、という非常に明確な発言がありました。私は党にも持ち込みまして、一体このような状況では話にもならないから党は裁定をするようにということを私が党に頼み込んだのであります。そうしましたら、党は一日、二日、大蔵も呼んで十分検討しようということでありました。そうして党から三十万円に上げたいということもたびたび言明をしておるからよくわかるが、貯蓄問題に対して、この国会を契機にして次の一つ抜本的な貯蓄方策を考えなければならぬのだから、民間を刺激をしたり、また大蔵事務当局とのそういう申し合せがあるということならば、どうしても君がやるということならまあ二十五万円ということでどうだ、こういうことでありましたから、三十万円で私が考えておって、まあ三十万円自体でも少い、郵便貯金法の改正をするときに、三十万円にすれば当然三十万円だということで、郵便貯金法で五万円下りているのですから、私が三十万円出したならば通らないのですかということを聞きましたら、今の状態では三十万円を強行すれば相当大蔵、郵政両当局で事務折衝しなければならぬということになるので、大蔵当局は、今国会は見送るということを言っておるのだが、まあその中をとって五万円のませたらどうか、こういうような裁定もありましたので、私はそれならば流れるよりもいいというのと、まあ郵便貯金法を私が通常国会にどうしてもやろうというものを臨時国会でやるときに少し無理をしておりますから、貯金法のうらみが少し来ておるということも考えられますし、私自身が電務局を作ったり、また官房長を作ったり、そういうあとあとのたくさんの問題を控えておりますから、ここは大蔵事務当局と真向対立することも得策でもないし、うまくすれば、国会で修正になるかもしれぬというような考えもざっくばらんに申し上げた。こういう点、まことに申しわけないのですが、そういう意味で政治的な判断で二十五万円で踏み切ろう、こういうことで相当慎重に考えた結果踏み切りましたのでありますから、一日や二日でもってひっくり返ったというようなことはないのでありますから、何とぞ一つ御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/40
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041・光村甚助
○光村甚助君 次官に伺いますが、去年も次官だったのですが、その当時郵政省と大蔵省と二十万円から当分上げないという約束がありましたが、われわれはそういうことを聞いておらないのですが、事務次官にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/41
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042・小野吉郎
○説明員(小野吉郎君) この問題は、御承知の通りいつの場合でも、政府提案としてはなかなか話のまとまらない問題でございます。はっきり上げるとか上げないとかという段階へ行く余地もない、大ていの場合が議員立法で、国会の方で議員立法しようというところへ来てやっと三万とか、五万とかという小刻みで上ってきた経過を持っております。在来の八万から十五万、これはやはりそういうような情勢でで来たわけであります。十五万から二十万に上りました前国会のそれは、大蔵省とは円満に話しがついて、そういった国会方面の要請が出る前に円満に郵政、大蔵間に話しがついて上ったものであります。今回の場合におきましても、そういった話し合いを円満につけて提案の運びに努力をして参ったわけでありますが、大臣も非常にこの方面につきましては強硬に大蔵省側を説得されました。そういう関係で、できれば三十万にしたい、こういうふうな気持で御努力になったのでありますから、大蔵省の方面におきましては、今国会で引き上げに賛成しようという空気は全然なかったと言ってもいいくらいでございまして、それで、そのために簡易保険局としては、昨年の九月ごろから、話がまとまるまで数カ月にわたって折衝をいたしておったのでありますが、この二十五万円の線といえどもなかなかきまらなかったのであります。その辺は、いろいろ政治情勢の勘案その他郵政省関係の諸般の問題とも関連いたしまして、数ヵ月ぶりに、大臣のこの線で二十五万に落ちついたというような経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/42
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043・光村甚助
○光村甚助君 私の聞いておるのはそれじゃないんですよ。大臣は、去年大蔵省と郵政省で、二十万円にしてくれたから当分上げないという申し合せがあったと言う。われわれは国会で審議したときにそういうことは全然聞いてないのです。二十万円でも不満があるから、来年は少し考慮をするから二十万円でしんぼうしてくれという話を前の平井大臣から聞いた。しかし、今の田中大臣は、去年の二十万円のときには、大蔵省と郵政省が当分上げないという申し合せがあったということを大蔵省が申してきておる、こういうことを言っておられる。だから、その当時もあんたは次官をしておったのだから、そういう申し合せにあんたも参画したかということを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/43
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044・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 私も大蔵省側のそういう意見に対して、郵政省と、大蔵省との間で、そういう問題に対して協定及び協議、口頭でも、そういう申し合せをしたのかということを省で聞きまして、そういうことであれば私の言うことが無理だから、それならそれに対して私の方でも相当ものを考えなければいかぬということで、そう省議で発言をしました。ところが、郵政省ではそういう申し合せは絶対にいたしておりませんと、こういうことでありますので、私はすぐに大蔵省に対して、そういう申し合せはない、こういうことを強硬に言いましたところ、まあ長い歴史から見て、円満にまとまったことのないものに対して、大蔵省と郵政省が円満にまとまったのだから、その折衝の過程において、少くとも次の国会には上げないということを、お互いが協定したというわれわれの考えが正しいのですと、こう言って突っ張っているのです。それで、まあ私も大蔵省は商買柄いつでもそういうことを言いますので、この問題は、もう最後に事務当局同士で話がまとまらない場合は閣議裁断でやるからということで、事務当局との話は打ち切ったのです。そうしまして、そういう申し合せがあったかどうかということは別にしまして、私どもの方でも、臨時国会に上げたいということを、私は閣議に発言をしておいたのだから、通常国会の劈頭これを提案するということは絶対固執するということで、そういう申し合せがあった、ないということをせんさくするよりも、少くとも一国会に幾らかずつ上げても前進であると、こういう安易な妥協であったかもわかりませんが、そういう政治的な判断に基いて二十五万円の最終案をきめてしまった、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/44
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045・光村甚助
○光村甚助君 大臣忙しいそうですから、大臣に対する質問だけをもうちょっとやらしてもらいまして、こまかい点は事務当局にお聞きします。運用の利回りですが、民間保険と非常に違うのですが、これでほんとうに民間保険と太刀打ちしてやっていけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/45
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046・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 今まで官業でありますから、利回りはできるだけ低く、こういうふうに考えて運営せられて参りましたが、私は個人的な考えから申し上げますれば、一般的に総体的に日本の利息は高い、だから、これを一般の銀行利息も何もかも全部引き下げなければならぬという利率引き下げ論者であります。しかし、郵政大臣として、いろいろの金利、特に民間の金利等とあわせて考えますときに、ほかの金利が下る傾向にある場合はいいのでありますが、私が就任したときには金利を総体的に引き上げようというようなときでありましたので、そういう情勢下において考えると、簡易生命保険の運用利回りは低きに失する、こういうふうに結論を明確につけているわけであります。しかし、ここに問題がありますの、私はその意味でなぜ高利に回るような運用ができないのかというので、社債の引き受けその他ができるようにしたいという考えでおりました。大体今平均利回りが六分三厘くらいでありますが、少くとも六分五厘くらいには回らなければならない、できれば六分六、七厘に回るのがほんとうじゃないかという、こういうふうに考えておりまして、事務当局でも十分その問題に対しては研究をいたしておるわけであります。しかし、大蔵当局の今まで簡易生命保険及び資金運用の状況を見ますと、だんだん簡易生命保険の運用額が大きくなってきますので、地方還元という意味で、地方に出すというようなものだけではなく、企業、国家機関にも出そう、また出さなければならないというふうに変ってきておるようであります。そういう意味で新しくこのたびは国鉄及び電電公社に新規貸出の道を開いたわけでありますが、私は、その余剰金が相当あるのでありますし、大蔵省に預け入れておる金がまだありますので、これを早急に返してもらって、私は返還要求も正式にいたしておりますが、これを返してもらって、もう少し高利に回るように運用をしたい、できるならば大蔵省が資金運用部の資金で安いものを、安い利回りのものを引き受けて、少くとも六分五厘以上に回るものは簡保で引き受けるべきだ、こういうことを折衝しておったわけであります。だから、将来は簡易生命保険法の改正をもう一ぺん考えて、御審議をわずらわされるならば、運用の対象をもう少し広げたい、こういうふうに私は考えております。ところが、委員会の御意見としては、地方還元が主であるから、何にもかにも皆対象を広げるには反対だという意見が今まではあったようであります。そういう意味でありますので、利回りというものに対しては、もう少し合理的なものにしなければいかぬ、この問題に対して対象だけを広げるということではなく、大蔵省の借りかえの問題もございますので、運用でもう少し両省の間で意見をまとめて高利回りになるように措置をいたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/46
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047・光村甚助
○光村甚助君 資金運用部に集めてある金は五分五厘にしかならないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/47
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048・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/48
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049・光村甚助
○光村甚助君 民間の利回りというものは、二十八年度には一割二、三分です。これじゃ相当の開きがあるでしょう。大臣の言われるように利回りをもっとよくするということと、貸し付ける範囲をもう少しやはりふやしてもらうように、次の国会あたりには出す意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/49
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050・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) これはぜひ出したい。できるならば、この法律案を提案いたしております中に貸出範囲を広げるということを出したいと思いましたが、まだ委員の皆さんの御意見も十分お聞きしておりませんでしたので、次の国会に譲ったわけでありますが、次の国会にはぜひこれを片づけたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/50
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051・光村甚助
○光村甚助君 資金運用部に集めてある金は幾らぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/51
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052・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) いろいろの金がございまして、結局当年度生じました余裕金というのは、一切資金運用部資金に預けておかなければいかぬということになっております。それを別にしまして、二十八年に運用を再開しましたとき以来、ずっと預けっぱなしになっておりますのが、大体七百四十億ぐらいございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/52
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053・光村甚助
○光村甚助君 繰り返すようですけれども、この次の国会には三十万円までの法案を出していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/53
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054・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) この国会で二十五万円の政府原案が通過をいたせば、次の国会に当然、三十万円か、三十五万円が適当かもわかりませんが、いずれにしても三十万円以上を制限金額として改正案を提案をいたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/54
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055・山田節男
○山田節男君 大臣にちょっと関連して。今の簡易保険の最高額の問題ですが、これはもう毎国会に簡易生命保険額の増額の改正が出るわけであります。そうして付帯決議がつけられて、国会の意思としては、低きに失する、もう少し上げろというような付帯決議が、今日まで数回行われているわけであります。今回この案件に関しても、聞くところによると、衆議院の方では付帯決議がつけられて、今日の経済情勢の推移から見て低きに失する、すみやかにこれを上げる措置をとるべきだ、こういうふうな付帯決議があるやに聞いております。今の大臣の、三十五万円から二十五万円になった経過を聞くと、結局田中郵政大臣がいろいろな関係から、大蔵省に頭を屈したというような事情を承わったのであります。少くとも国会の意思が、これでは低い、低過ぎる、こういうことになれば国会の意思と見なければならぬ、それを一行政官庁の大蔵省が二十五万円でいいとかなんとかと言うことは、もう僣越きわまる、国会はこうして、本案件についてはどういう決議をつけるかわかりませんが、少くとも今日まで、そういう国会の意思を全然無視して、所管大臣が要請しても思うように上げない、そこに巷間不明朗なデマが飛ぶわけであります。私はやはり国会の意思は国家の意思、国の意思である、そういうことになれば、一行政官庁が、これをあまりにたてをつくというのは、これはもってのほかだと思うのであります。ですから、私は衆議院において、今回の増額について低きに失するというなら、もし本委員会で三十万円に修正した場合、修正になれば大臣の非常に初めからの御計画にも合うのじゃないか、もう予算を組んでしまったと言われますけれども、国会の意思は国家の意思、国家の意思に官庁が従わなかったということは、そういう前例は民主国家ではないわけであります。そうして本院でもう五万円上げて三十万円にしたとすれば、大臣としては、これは喜んでもらえるのじゃないかと思うのですが、これは与党との関連がありましょうが、低きに失すると思うのでありますが、どうでしょう。その点、率直に速記をとめてもいいですけれども、大臣のお気持を率直に、与党の議員の諸君でも御同感じゃないか、実はこの法案がまた出たのかということで、もし与党諸君の方に三十万円に御賛成があれば、三十万円にわれわれも同調しようということを委員会で実は話したことがある、また、来国会同じようなものを出すということは、郵政大臣の権威においても遺憾ですし、国会の権威から見ても、そういうぶざまな改正案を毎国会出すということは、私は今後絶対やめたいと思うのですが、どうでしょう。大臣、今までいろいろ事情がありましょうけれども、国会の意思を無視した大蔵省の裁定といいましょうか、あなたに無理に、三十五万要求したものを二十五万円に押しつけるということは、われわれ国会議員にとって了承できないのです。この点どうですか。率直に一つ速記をとめられてもよろしゅうございますから、納得のいくようにざっくばらんにお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/55
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056・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/56
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057・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/57
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058・横川正市
○横川正市君 この問題と関連して、二十五万になぜしなければならないか、三十万になぜしなければならないかということと密接な関連があるわけでありますが、これは各地方に最近加入者の会とか、協力会というものができているわけです。それが簡易保険の普及に相当大きな力を発揮して、郵便事業に協力をする献身的な犠牲的な人たちの集まりというものが持たれているわけです。それに対して今までの会合、その他の予算措置その他を見てみますと、去年あたりは一地方十カ所あるわけですが、十カ所が一年一カ所というわけですから、回ってきますのは十年に一度ということになるわけですね。せっかく協力会、加入者の会ができているのに予算がない。それから、そういうようなものの気持はあるけれども、物的な裏づけがないということで、作られたものはそのまま眠っているという状況なんです。私は、これはもっと運用すべきだというふうに思うわけですが、予算的に言っても、たとえば北海道なんかの場合に、現在未組織地域というのは限られた地域で、ほとんど全道的に広がっておりますけれども、去年あたりは約五十万円くらいな金額で、しかも有意義な会を開かれ、おそらく大臣のところへも報告が参っているだろうと思うのですが、これを全国的に毎年一回必ずやれる、こういうようなことで作られている会を活用してもらいたいと思うのでありますが、その点について大臣の意見をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/58
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059・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そのことに対してはお説の通りでありまして、十カ年に一ぺんなんというのだったら全く熱意にこたえないことでありますから、こういう会を作ったら最高度に活用したい。最小限年間一ぺんくらいは当然会合を開き、開くだけではなく、この組織を活用して、これを通じてのPR活動もしたいという意思でございますから、今までのようなことがないように十分活用をし、その効を現わすように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/59
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060・横川正市
○横川正市君 大臣の答弁で満足なんですが、事務当局としてことしの計画はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/60
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061・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) ただいま大臣から仰せられましたように、非常に協力的にやっていただいておりますし、保険の普及につきまして貢献されておりますので、われわれとしても目下予算の使用計画を組みつつあるわけでございますから、できるだけその中にその趣旨を入れていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/61
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062・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 簡易生命保険法の一部改正案に関連しまして、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律に関連することですが、基本的な方針ですから、これはぜひ大臣からお聞きしたいと思います。
昨年の国会でしたか、あなたが就任直後ですね、委員会で貯金の原資の運用について、郵政大臣がもっと権限を持つようにしたいという、きわめてわれわれとしては傾聴すべき発言をされている。これは、私はなかなかむずかしい問題だと思う。しかし、そのお気特だけでもそういう方向で考えられるのが、多数の従業員を擁している郵政省としては当然のことであり、けっこうだと思います。ところが、簡易生命保険なり、郵便年金の積立金については、これは御承知のように、何回もわれわれが両院で決議をして、われわれが議員提案をして法律案を出して、そしてそれがいろいろ問題があって、政府提案になったりしまして今日の法律ができ上っておるわけです、やっと積立金の運用について方針がきまったわけです。ところが、この積立金の運用についての法律の第二条には「積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用する。」ということを明瞭に書いてあるにもかかわらず、現在はこの通り行われておるとお考えになりますか。あるいはそうでなければ、これこそあなたがもっと法律に基いて措置をされなければならん緊急の問題だと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/62
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063・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) お説の通りであります。私もその法律の通りやりたいという考えを持っておりますし、この予算編成に対しても非常に強くそれを主張しておりました。大蔵大臣は、今までの郵政大臣は、こんなことを言わなかったのに、今度の郵政大臣は、まるで法律を片手にやってくる、こういうことでありました。私も予算編成の前に資金運用部資金法及びただいまの法律をたてにとりまして公文書を出しております。事前に法律の趣旨の通り、郵政大臣の承認を得ないで決定をする財政投融資計画には賛成をしない、こういう公文書をぶっつけてやったわけです。ところが、その法律にやはり穴があるのです。その法律は、非常にうまく、郵政大臣が管理をし、運用をすると書いてありましたから、そこだけ読んで相当やってみたのですが、少し勉強が足りなくて、少しさかねじを食ったのは、今の資金運用部資金法に、資金運用審議会にかけてきめなければいかぬということになっておりますが、実際は事務当局でもってきめて、そうしてその決定をしたものを資金運用部資金運用審議会にかける、全く報告だけしかやらない、特にその運用審議会の招集権は大蔵大臣が持っておるのです。法律に明記してある。大蔵大臣がこれを招集す、というところに問題があるのです。そうしてその審議会の議長は大蔵大臣なんです。ところが、大蔵大臣は出なくて、大蔵事務次官が出ていつでもやっておる、こういうことで、その審議会には郵政大臣も大蔵大臣もほとんど出た例がないそうです。私は、このたびは資金運用部資金法の規定に基いて副会長の権限を行使するために私が出席をする、こういうことで、大蔵大臣がおいでにならなければ、私が当然副会長として私が議長を行う、こういうことまで強硬に言って、その法律の趣旨を生かそう、できれば資金運用部資金法も改正をして、郵政、大蔵両大臣が招集をするか、内閣総理大臣が招集をするというふうに法律案を改正してもっと円満にやらなければ、金だけ集めさせられて、運用は大蔵省がやるのだ、この間も本会議で、郵政省は金を集めるところで、貸せるところではありませんというふうな考えでは、どうも私も郵政大臣の職責がうまくいかないということでありますので、この問題は長い歴史を持ちますので、そう簡単に割り切れるとは思いませんが、いずれにしても熱意を持って、もっと合理的に郵政省が運用できるようにしなければならない、そうしないと、もう実際において末端の機構、第一線の諸君は集めるだけで運用ができないということになると、興味というよりも熱意が欠けてくるということになると大へんな問題が起きますので、これは一つ十分折衝をして、もっと合理的な運営ができるように法律改正をしなければならないということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/63
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064・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 御存じですから詳しく申し上げませんが、これは初めての問題じゃないんです。この前、昨年の委員会でしたか、私は大蔵大臣、自治庁長官等を呼びましたが、来られないので、政務次官に来てもらいましてね、両当局に非常になじったことがあるんですよ。一方は権限放棄しているし、一方は権限の逸脱です。ですから、そういう問題を私は……。今、大臣のお話の中で長い歴史があるとおっしゃったが、本来郵政省で、昔の逓信省が運用することについて長い歴史があるんですね。戦争中の臨時措置なんですね。臨時措置を今日までずるずる続けているのが実情なんですね。ですから、大臣は、お気持はよくわかっておられる、われわれと同感だと思うんですがね。方法論としてですね。今お話しになった招集権が大蔵大臣にあるとか何とかいうことのほかに、もっと大切なことがあると思う。私は、この今の資金運用部の審議会というのは、これはほんとうに大きな大綱をきめる審議会である、そういう建前でできていると思うんです。ところが、今まで簡保として、資金運用をしておられる場合には、これはもっと具体的にきめていくわけでしょう。そういうものが今はなくなってしまっているんですね。いかに郵政大臣がやろうと思っても、具体的な計画をどう立てて、どう動かしていくかということについては機構的にも欠けているんです。資金運用部から切り離してしまう、全然別だということは、今の財政状況から見て不可能かもしれません。少くとも関係を持つなら持つで、ある限度にしてもらいたい。そうして郵政大臣がほんとうに地方還元するならする、社会福祉の方にどれだけ出すかというようなことについて、たくさんのやはり関係者の意思を反映した運用計画をお立てになって実行されるには、どうしても人とか、やはり機構的にももっと整備しなければならぬと思うんですね。そういう点を十分研究されて、今の制限額の引き上げの問題も重大な問題ですが、しかしこれをどう有効に国民のために使うか、被保険者のために使うかということがやはりなされなければならない、あるいはもっとそれ以上の重要な問題かもしれない。ですから、至急に次の国会くらいを目ざして、これは今までのいきさつにとらわれないで、あなたの一つここは政治力を発揮して、皆の喜ぶ、納得のできる改正案を至急に御準備願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/64
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065・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/65
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066・奥むめお
○奥むめお君 今いろいろ資金運用部に繰り入れられる郵政関係の貯金あるいは保険金については、大臣の御意見も、新谷さんの御意見、光村さんの御意見を聞いておりましたけれども、私もここに問題があるということを思います。だけれども、私どもから言えば、国の予算の使い方というものについて根本的に問題があるということを指摘したい。同じ内閣の中で、大蔵省がとるのをこちらがとらなくちゃならぬ、ああだ、こうだというようなことは、私は非常に大事な問題で、慎重に大臣は発言してほしいと思います。優先的にあっちこっちというのじゃなくて、国全体の使い方に非常に問題がある、私もそれは認めますけれども、そういうことをよほど慎重な態度で考えて、私どもから言いましたら、労働組合もそれは非常に重要視なさるでしょうけれども、簡易保険あるいは郵便貯金というものは、ほとんどすべての家族が家族総ぐるみで一人一人入っていると思うんです。これはまた勧誘されてきていると思います。だから、あの金は個々の家庭の金だという気持を私たちは持っております。それが集まっている資金運用部資金の使い方というものについては、カード階級に落ちないようにするとか、生活の指導とか、あるいはもっとこう生活の向上するように使う金だというふうに、非常に幅の広い内容を持って、その使い道というものをよほど検討してもらわないと、この問題は非常に関係するところが大きいと思いますから、その点一言申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/66
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067・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/67
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068・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/68
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069・前田佳都男
○前田佳都男君 三十二年度の簡易保険の募集の成績は非常にいいように私は聞いておるのでありますが、三十三年度の目標は大体幾らになっておるかということ、それから、保険金は引き上げられまするけれども、景気が大体横ばいである、あるいは多少下降するかもわからぬ、こういうふうなときに、三十三年度の保険の目標の達成の見込みといいますか、そういうふうな点について、一つ事務当局から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/69
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070・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 来年度の簡易保険の募集目標につきましては、予算の上では、御承知のように、保険料月額十七億円ということになっております。ただ、従来とも予算の上ではさようでございますが、実行目標といいますか、最低目標といいますか、いろいろ募集員の能力のアンバラ等を考えまして、まあ、募集力の弱い人たちにも初めから絶望といいますか、投げてしまわんような目標というものも考えなければいかんというような点を考慮しまして、従来実行目標的なものをきめてきておるわけでございまして、それは、来年度においては十五億円ということにいたしております。ただ本年度の、本年度といいますか、暦年で申します三十二年が十五億四千万円余りの実績をあげておりますので、また、今回保険金の引き上げ等が実現さしていただけますならば、まず十六億五千万円、十七億近くまでいくんじゃなかろうか、また、いくことをわれわれは期待をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/70
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071・前田佳都男
○前田佳都男君 それから、現在簡易保険の保険料が民間保険に比較いたしまして、どの程度に高いのか、どの程度に安いのか。私はまだ詳しいことは知らないんですが、新聞で見ますると、民間保険の保険料を下げようというような動きがあった。しかし、その動きが、何か一部の会社の反対でとまっちまって、民間の生命保険料がそのまま据え置きであるというふうなことが出ております。高率高配主義がいいか、あるいは低率低配主義がいいか、そういうふうなことを保険業界ではいろいろ議論をしておるようでありますが、いずれにしても、保険料というのは、保険契約者のためにできるだけ下げなくちゃいかん、常にそういう心がけを持たなくちゃいかんと思いますが、これについて、一つ事務当局の御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/71
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072・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 保険料の民間保険との比較についての御質問でございますが、大体、保険料の計算基礎としての予定死亡率、それから予定利回りというものについては、ほとんど差はございません。ただ、付加保険料の計算基礎について多少の差がございますんで、その結果が表定保険料に現われまして、大体、今のところでは、民間保険に比べまして簡易保険が少うし低いということになっております。一例で申し上げますと、二十年満期養老に三十才で加入いたしました場合に、簡易保険ですと月額保険料が四百十円になりますが、民間保険ですと四百十七円になるといったその程度の差でございます。ただ、われわれの方でいわゆる長期還付金と申しておりまする確定配当、それから民間が毎年度の運用利回りといいますかから生じた剰余金を配当としてその年度々々できめて配当いたしておりますが、それの現在の配当を比較して、それを保険料から差し引くというような計算をいたしますと、今の民間と簡易保険の運用利回りからいたしますと、遺憾ながら簡易保険の方が少し高くなるというような結果になるわけでございます。ただ、民間の運用利回りがいつまでもこういう高金利を維持するというふうには考えられませんので、だんだん民間の配当も将来は落ちていくというようなことを考えますと、まあそう大きな差はないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/72
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073・前田佳都男
○前田佳都男君 今、保険局長の言われた配当の問題なんですが、民間保険は配当をどんどんしております。将来、配当が下降するというか、配当の率が少くなるというふうな動きがあるかもしれませんけれども、とにかくその配当ということがあるがために自主的の保険料が非常に安くなっておる。しかも、先般の動きでは、保険料を下げようというふうな動きが、一部の会社の反対でやめましたけれども、おそらく近くまた具体化してくるのじゃないか。そういうようなことを考えますると、あれやこれや考えると、どうしてもやはり簡易保険の保険料というようなものをできるだけ低目に低目に持っていくように努力しなくちゃならん。努力しておる姿はよくわかるのでありますが、その点で一つ二つ聞きたいのですが、結局、事業のコストを安くしなけりゃいかん。この事業費は、民間に比較してコストは低いか高いか。おそらく低いだろうと思うのです。この点を一つ伺いたいことと、それから先ほど光村委員からもお話ありました問題、運用の問題でありますが、どうしてもやはり運用の利回りを、民間が九分二厘、民間程度まで上げることはできなくとも、先ほど大臣は六分五厘にしたいというふうな話でありますが、何としても運用の利回りを引き上げなくちゃいかん。それには、運用の対象を拡張するというふうな問題があると思うのであります。あるいは資金運用部の預託金を減らす、そういうような点についていろいろ御努力をされておると思うのでありまするけれども、運用の対象を広げる問題のうちで、昔はたしか株式にも投資をしておったと思うのであります。どんな株でもいいというわけじゃございません。政府関係の会社の株、そういうような株式にも投資をしておったと思うのでありますが、そういうふうな運用の対象を広げる場合に、これは先の問題でありますが、そういうような点までも現在お考えになっておるかどうかという問題、それだけごく簡単にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/73
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074・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 最初に事業費の問題でございますが、これは、収入保険料に対します事業費の比率から申しますと、現在のところ、現在といいますか、三十一年度の決算の数字で申し上げますと、民間保険は事業費率は三五・二%、簡易保険は二三・五%というような数字になっております。そうしますと、だいぶ差があるように見えますが、ただこの民間の三五・二%という中には、新規契約の伸びが簡易保険に比べて非常に多くなっておりますので、結局新契約費というものは非常に高くつくのでございますが、その新契約の割合が非常に多くなっておるという点からきております。従って、その新契約の募集手当だけを差し引いた事業費率だけで比較してみないと、ほんとうに能率的かどうかという点はわからぬわけでございますが、そういう計算をいたしてみますと、現在においては、わずかに一%くらいではありますが、簡易保険の方が低いというような、われわれの計算ではそういうふうな数字が出ております。ただ、これはますます低くすることがわれわれのまた加入者に対する責務でもありますので、といって別に人件費とか、物件費を極端に切り詰めるとか、押えるということでなしに、むしろ高額契約、あるいは長期契約というような付加率の高くなるような契約をたくさん今後取っていくというような積極的なやり方で、この事業費率をだんだん低めていくというふうな努力をわれわれはしていかなければならぬというふうに考えております。
それから運用利回りの問題でございますが、仰せられますように、先ほどからだいぶお話が出ておりまして、まあ事業費率の引き下げもさることながら、やはり加入者の利益をはかる大きなやり方としては、その運用利回りの画期的な向上というのが最も手っとり早く、また余地を残されておるというふうにわれわれも考えますので、今後この方面に、おっしゃられますような運用範囲の拡大、あるいは大蔵省に預けております余裕金を初めからこちらで本格的な運用をするとかいうようなことについては、先ほどから大臣のお話のありましたように、目下関係方面と折衝中でありますので、できるだけ早い機会に案を作りまして皆さんの御期待に沿いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/74
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075・前田佳都男
○前田佳都男君 どうも、簡易生命保険の事業は国営事業である、国が経営しておるのだということばかり頭にまず最初に入ってきまして、やはりお互いが自由意思で入った契約者のための事業だというふうなことが、どうも二の次に考えられておるというような傾向が多いようであります。先ほども新谷委員からもお話がありましたように、ほんとうに一般の国民大衆はほとんどの人が零細なる金を出しておる。これも別に税金として出しておるのではなくて、やはり自由意思によって出しておるのでありますから、国営事業だから利回りは安くていいというような考え方でなくて、そういう考え方はもちろんお持ちになっておりませんけれども、やはり契約者のための利益、契約者の利益という点を十分一つ考えて、事業の運営の方針というものにしていただきたい。これは釈迦に説法で、こういうことを言う必要はないと思いますけれども、一つ御高配願いたいと思います。と同時に、私ちょっとちらっと聞いておるのですが、新しい保険として家族保険というようなものを今、保険局でお考えになっておる、立案中であると、これはまだ先のことだと思いますが、何かそういうふうなことをお考えになっておるかどうか。
それともう一つ、前国会で私、予算総会で郵政大臣に質問いたしましたときに、民間の火災保険の料率が非常に高い。ほんとうに火災保険会社というのは非常にもうけております。もうけて悪いというのではございませんけれども、必要以上に私は高いと思う。その質問をしたあとで火災保険の料率は下りましたけれども、それでもまだ私は高いと思う。そういうふうな盲点といいますか、それをつくために火災共済とかいろいろなそういうものが登場してきておるわけですが、私はこの際郵政省で官営の火災保険をやるべきでなかろうかというようなことを前の予算総会で質問したのでありますが、その点については一つ研究しようというようなことが、これはなかなか摩擦の多いむずかしい問題だろうと思うのでありますが、その後どういうふうにして火災保険の問題は進展しているか、それともこれは、いや、当分やめようというふうにストップになっているかどうか、そういうふうな点を一つ事務的でけっこうでありますから、お伺いをしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/75
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076・大塚茂
○政府委員(大塚茂君) 最初の簡易保険は被保険者の団体であるから、その負託にこたえるような経営を考えなければいかぬという点につきましては、われわれとしてもまことに同感でございまして、そういう気持で経営に当っておる次第でございます。
それから、新種保険として家族保険を研究しているかどうかというようなお話でございますが、これは米国で去年あたりから始めましたので、われわれの方でも今研究はいたしております。まだ具体的に申し上げる段階に至っておりませんが、研究はいたしておるわけでございます。
それから、火災保険の経営を考えているかという問題でございますが、これはおっしゃられますように、確かに民間の火災保険は私も料率が高過ぎはせぬかというふうな気がいたします。しかも、これが都会地に民営の保険は大体片寄りがちだというような欠点もございます。それから、それを補う意味で農業協同組合等の団体が行なっております火災共済は、これは料率は割合低いのでございますが、これはまた地方に非常に片寄って、危険の分散等について多少の懸念があるというような欠点もございます。そういうふうな点もありますので、国営で全国的にこれをもっと低い料率で、しかも危険を広く分散させて経営をするということが考えられる、そういう余地はないことはないというふうに私どもも考えておりますが、まあ、これをやるかやらぬかという点については、目下簡易保険の伸び方、まあ、その方で行き詰まれば、どうしてもそういう方面にまた進出をしなければいかぬというふうな点等も考え合せながら、目下研究をいたしておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/76
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077・手島栄
○手島栄君 きわめて簡単に聞きますが、きょうは簡易保険の根本問題について非常に有益な御質問が出たのでありまして、私は最後に、ただ皆さんのおっしゃった問題について基本的な考え方を郵政省にお聞きしたいと思いますのは、今も前田君からのお話がありましたように、保険契約というものは保険金を受け取る人間に安い料金でなるべく多くの金を支払うということが一番大事なことであります。まあ、たとえばここに今度の法案で廃疾者の保険金の支払いとか、告知義務違反者に還付金を出すというようなことがありましたが、こういうものは保険全体から見ると微々たるもので、一番大事なことは安い保険料でたくさんの保険金を支払う。保険金のほかに長期還付金でもいいのですが、反対給付をたくさんするということが根本にならなければ保険事業というものは栄えない。ところが、今も皆さんの方からお話が出ましたように、簡易保険の創設当時は高い保険料で安い保険金、一番不利な保険をもって立ち上ったのであります。ところが、これは運用その他の宣伝などがうまくいきまして、保険は相当伸びましたが、実質的には簡易保険の安い保険料で高い保険金ということはなかなか実現ができなかった。そのうちに長期還付金がついてやや、一人前とはいえませんが、民間保険よりも不利な保険が成り立ってきております。ところが、積立金が非常に多くなったために、被保険者にたくさん返すということを忘れてしまって、積立金の方に魅力を感じて、大蔵省までよけいなことを言い出して、今のような積立金運用の変態を来たしておるというので、保険全体から見ると、今のままの保険の姿がいいか悪いか、根本的にお考えにならなければならぬ。普通の運用利回りでさえいけば簡易保険はもっとたくさんの長期還付金がつけられるはずです。それを全然関係のない部分で安い低利資金に簡易保険の金を勝手に持っていく。被保険者の利益になるべきものを、国策といいながらほかの連中は勝手に流してしまう。悪く言えばそういう形であります。きょうは、その点についていろいろ御議論が出ましたが、根本的にお考え願いたいことは、簡易保険の被保険者を民間保険よりももっと多く、政府が努力して給付を多くするということを根本概念において、そのためには事業費も切り下げるとか、あるいは運用の方ももう少し利回りをよくするということを、もっと強く簡易保険の立場から進めていただきたいという根本的なお願いを申し上げまして私は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/77
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078・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 別に御発言もなければ郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案は質疑を終了したものと認めてよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/78
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079・宮田重文
○委員長(宮田重文君) なお、簡易生命保険法の一部を改正する法律案については、次回に多少の質問をいたしまして、二、三日に質問を終局し、討論採決をいたすような運びにいたしたいと思います。さよう御了解願います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/79
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080・宮田重文
○委員長(宮田重文君) では、本日の委員会は、これをもって散会いたします。
午後零時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X00819580311/80
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