1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月十七日(木曜日)
午前十時五十六分開会
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委員の異動
四月十六日委員石坂豊一君、林田正治
君、黒川武雄君及び堀木鎌三君辞任に
つき、その補欠として宮澤喜一君、塩
見俊二君、小幡治和君及び平島敏夫君
を議長において指名した。
本日委員塩見俊二君及び小幡治和君辞
任につき、その補欠として石坂豊一君
及び黒川武雄君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 宮田 重文君
理事
手島 栄君
松平 勇雄君
山田 節男君
長谷部ひろ君
委員
新谷寅三郎君
前田佳都男君
鈴木 強君
光村 甚助君
横川 正市君
奥 むめお君
政府委員
郵政政務次官 最上 英子君
郵政省電気通信
監理官 松田 英一君
郵政省電気通信
監理官 岩田 敏男君
事務局側
常任委員会専門
員 勝矢 和三君
説明員
日本電信電話公
社総裁 梶井 剛君
日本電信電話公
社副総裁 靱 勉君
日本電信電話公
社業務局長 吉澤 武雄君
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本日の会議に付した案件
○公衆電気通信法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/0
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001・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。
委員の変更について御報告いたします。本日塩見俊二君及び小幡治和君が辞任され、石坂豊一君及び黒川武雄君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/1
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002・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 本日は、まず公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/2
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003・鈴木強
○鈴木強君 きょうは最初の審議でありますから、この法律案の基本的な考え方について、大臣にお尋ねしたかったのでありますが、大臣がお見えになっておりませんのでこれは後に譲りまして、きょうは事務的になるかと存じますが、電電公社の方が見えておりますから、公社の方に質問を申し上げたいと思いますが、今度の公衆電気通信法の一部改正案の内容を見ますと、新しく加入電信と地域団体加入電話の提供条件を、従来試行しておったものを法制化しようと、こういうことだと思うのでありますが、その前提になりまする、特に私問題にしたいのは電信政策でありますが、第二次五カ年計画を見ますと、公社のこの冊子がございますが、三十九ページにやや具体的にサービス面の改善計画というのが載っておるのでありますが、要するに、言わんとするところは、中継機械化をどんどん促進をして、そうして合理化していこう、それと合せて加入電信という制度を広範囲にやっていこう、こういうことだと私思うのでありますが、もっと本質的に、今日の電信というものがどういう状態に置かれており、またこれが今後どういう発展をしていくのか、この基本的な考え方を私はもう少し伺いたいと思うのです。御承知の通り、電信は八十九年近い長い歴史を持っておりまして、この事業が果してきた使命というものは非常に大きかったと思います。今日は、率直に申しまして料金政策その他いろいろな面からの原因があったと思いますが、百二十億程度年間赤字が出ておりまして、この赤字の解消をどうするかということが非常に重大な問題になっておると私思うのであります。ところが、この加入電信の制度を設けられるという趣旨も、そういった赤字政策の中でさらにサービスをよくしようというのでありますから、いろいろ資料等を見ますと加入電信は黒字になるだろう、こういう見通しも公社はお持ちのようでありますが、しかし、現実に試行ということでやっておられるこの期間に、われわれが計算してみましても赤字になっておるのであります。でありますから、必ずしもその黒字を期待するということは、私は困難だと思います。従って、この百二十億の赤字を今公社が中継機械化、夜間集中配達あるいはその請負制度、地域の再編成、いろいろな形において合理化を進めておるようでありますが、そのこと自体がすでに電信サービスを低下させるような原因にもなっておりまして、国民の批判を受けておることも事実であります。ですから私は、何かこの百二十億の赤字をなくするために、無理にいろいろな施策を考えておるのですが、そのこと自体がまた赤字の原因になっておるというように考えられて仕方がない。ですから、公社はどういう電信施策に対して基本的な考え方をお持ちになっておるのか。先般電信合理化委員会というものを持たれて、その一応の結論が出ておることも私たちは了承しております。その結論のうち若干部分は実際に実施に移されているのでありますが、本質的な百二十億の赤字というものをどう解消していくのか。実際われわれが電報一本打っても、公社の直接経営している電報電話局に持っていって打った場合にも百十何円かの赤字になっている。郵政当局に委託をしている電報については百六十七円程度の赤字が出ている、こういう事実があるのでありますが、しかし、利用する人が百十何円の赤字があるということを知らないで利用していると思うのです。こういう点についても、もっと国民に理解をしていただく方法があるのじゃないかと私は思うのですが、この電信政策の今後の基本的な施策について最初に、総裁もお見えになりましたし副総裁もいらっしゃやいますので、どうか一つ、われわれの納得できるような御見解をこの際お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/3
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004・靱勉
○説明員(靱勉君) 電信事業の合理化につきましては、前に御説明申し上げたと存じておりますが、今御指摘のように、確かにこれは各国の大体実態を見ましても、同じでありますが、国内電報におきましては赤字でございます。まあ黒字になっているのは、アメリカの独占電信会社でございまして、これもなかなか経営上問題が多いようでございます。非常に国内電報につきましては、直ちに収支のバランスをとり得るかどうか、これは非常に問題であると思います。イギリスあたりでも、非常に国会を中心としまして電信事業の根本的対策といいますか、そういうものを検討した例もあります。結論としましては、サービスをうんと落すか、あるいは料金をうんと上げなければ収支のバランスがとれないという結論になっております。私ども、この点につきましてただほっとくという観念でなくて、そういう委員会を設けまして、いろいろな面から検討いたしたわけでございますけれども、全部赤字を克服するというのじゃなく、やはり電信の持つ社会的な機能と申しますか、こういうものを考えまして、しかし、そこにむだがあり、あるいはわれわれの努力によりまして合理化できる点があれば、これは当然すべきことであります。そういうような問題を取り上げてみますると、やはり百億の赤字を全部解消するわけにいかぬ。従いまして、合理化委員会の結論としましては、料金についても検討を要するというようなことを結論にいたしているわけであります。公社としても電信電話事業を一体として経営をしておりますし、ともかく電報につきましては、全国いかなる所へも行く、電話が非常にまだ普及発達がおくれている、こういう状況でありますが、やはり電信電話一体として考える事業上、われわれが当然努力して改善しなければならぬ、合理化しなければならぬ点につきましては、これは推進していく、しかし、そのために考え方としましては、やはりサービスを低下せしめるということは極力避ける、むしろ、ただいま申したような合理化の施策によってできるだけコストも少くし、国民の利用には十分役に立てる、こういう観念でやっているので、私ども直ちに赤字だけを対象にして考えるというのではない。ことに、電話と違いまして、やはり記録通信でございます、電気通信の中の記録通信でございますから、これのやはり必要性というものは、当然しっかり確保しなければならぬわけです。そういうような基本的な考え方といたしましては、やはりこれが国民全体に利用されている、全国至る所、津々浦々どこへでも電報が届く、こういう形で、何と申しましても電話とそれから航空郵便、それの板ばさみになっていることは、各国同じような状況なんでございまして、私どもできるだけの合理化を推進し、事業がやはりだんだんと、加入電信にしましても、あるいは専用線の利用ということで新しい部面は開拓しつつあるわけでございます。電信事業としては、これを記録通信として、やはりこれは私ども技術の進歩とともに、これの利用というものにつきましては、われわれは発展させていく、こういう考え方に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/4
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005・鈴木強
○鈴木強君 抽象的でなしにもっと具体的にお聞きしますが、私も質問を端的にします。なるほど百億の赤字がある、この赤字は電信の持つ公共性からして料金値上げ、あるいは合理化等をやって節約をしても赤字を残すだろう、従って、その赤字は料金の引き上げ等を考えなければ埋められない、しかし、それは今日できないので、電話からの収入によってまかなっておる、こういうことになると思うのですが、それでは端的にお尋ねしますが、今日の電信の百億ないし百二十億の赤字というものは、公社としてはそれでいいのだ、そして料金政策等についても適正なものを考えておられるかどうかしりませんが、いずれにしても現在の形でいい、こういうふうにはっきりお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/5
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006・靱勉
○説明員(靱勉君) ただいま申したように、現在でいいとは考えておりません。赤字を完全に解消するということでもって電信事業の改善案を立てるということは、料金の非常な著しい値上げをしなければならぬというような状況で、率直に申しますれば、合理化委員会におきましても、これは考え方として果して適当かどうか疑問に思っておりますが、一応五十億くらいの、半分くらいの赤字を何とか解消できないだろうかという目標を立てておる、この目標もある意味においては疑問があろうかと思いますが、全部を解消するという目標が立てられなかった、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/6
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007・鈴木強
○鈴木強君 その五十億という赤字の解消が、具体的にどういう方法でやられているか私わかりませんが、たとえば中継機械化というような、さっき申し上げたように配達制度の問題とか、あるいは幾つかのいわゆる合理化ということに名をかりてですよ——組合の方ではそう言っているのですが、そういう形でやられておるのですが、それがどうもやや無理な赤字解消になっているのじゃないかと私は心配している。要するに赤字がある、その赤字を何とかして克服しなければならぬということは、これは人間の当然考えるところなんですよ。ですから、できるだけそれをなくそうということはけっこうなんだが、しかし、本質的にある赤字ですから、これを無理をして人員の面あるいはいろいな職員のオーバー・ロードといいますか、締めつけるような格好で赤字をなくするというような方向がやや強く出ているのじゃないかということを私は心配する。そういう合理化によってのみ赤字をなくそうという考え方自体がこれは私は誤まりじゃないかと思う。だから電話からの収入によってこれをまかなっていくという考え方は、料金値上げを認められない限り、やむを得ないでしょう、それならその方法で私はいいと思うのですが、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/7
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008・靱勉
○説明員(靱勉君) 合理化によって非常にどこかにしわ寄せをしておるというような大体お考えのようでありますが、それは一つ一つの、あるいは配達区域の統合とかいろいろございますが、それによって労働を強化したり、無理にしわ寄せするということはないのであります。先ほど申したような基本的な考えで、合理化というものは一方にしわ寄せするというふうな考え方の合理化ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/8
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009・鈴木強
○鈴木強君 そうしますと、五十億の赤字をなくするために努力されているというようですが、具体的にどういう合理化をやって五十億をなくそうとしているのですか、それを一つ、この際いい機会だと思いますので、承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/9
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010・吉澤武雄
○説明員(吉澤武雄君) 副総裁の御説明を補足いたしまして御説明申し上げます。まづ、今の先生の御心配のような、電信事業の将来ということについて私ども非常に悩んでおります。ことに、私直接その方の主管局長といたしまして、現場の電信マンが非常に自分は努力をしているが、依然として宿命的に赤字だ、しかも、将来電信というものはますます縮小されるのじゃないか、従って、将来われわれはどこに行くのか、こういう実情を私どももよく省察できまして、何とか電信の将来も、今の従業員に対して努力しているということを認めつつ、どういうふうに持っていったらいいかということを実は心配いたしておるのであります。そういう意味からして、先ほども副総裁が説明されましたような、社をあげまして、電信事業の合理化をどうするかということを実は常に考えておるのであります。その結論を端的に先ほど表明されたのであります。まず、百億というものは全部赤字だ、これは直ちには無理だ、やはり電信事業というのは世界的に赤字の出ることは宿命でございます。従って、このサービスがそれに伴っていくことになりません。また今御心配のように、従事する職員に労働強化をしいたり、あるいは卑屈な精神をどんどん——あるいはまた心配を起させる、これまたいけませんから、やはり政策として、どの辺まで電信事業というものを合理化するめどを置くべきか、これをはっきりすべきであろうと考えておるのでございます。そこで、その線に沿いまして、実はすでに着々と申しますか、具体的に相当な施策をしておるのであります。これは消極的な面といいますか、要するに合理化によって経費を節減するという面と、積極的に増収をはかる面と、こう端的に申し上げますれば、二つの面において具体的施策を実は立てまして、すでに実行いたしておりますのを申し上げますれば、この経費の節減面において大きく取り上げておりますものは、御存じのような電報の中継の機械化であります。電報事業の根本の赤字の原因は、御案内のごとく、人件費というものにあるのでありますから、従って、人件費をいかに機械化してこれにかえるかということによりまして、中継機械化というものは大きな使命が一つあるのであります。大体六十億の予算をもちまして、全国でこの第二次五カ年計画の終了時に全部中継機械化する予定であります。これによりましてどのくらいの経費が節減できるかと申しますと、約十五、六億の節減ができると、こういうふうに考えております。すでにこの中継機械化をやりまして十四、五局実行いたしまして、その結果、要員の点につきましては、千三百人くらいな要員を節約し得たのであります。従って、この第二次五カ年計画終了時におきましては、約四千名の節減ができるというめどを立てております。しかしこれは、中継機械化は、単に要員の節減だけじゃございませんでして、スピードが、現在の手で送るよりも半分のスピードになるとか、誤謬率が非常に低下いたしまして、正確にして速い電報というような、サービスの充実も当然これによって達成できるものですから、これは中継機械化を予定通り進めていきたい。ただし、これにつきましての配置転換あるいは職務転換につきましては、十分考慮いたしまして、無理のないようにやっていくということはもちろん考えつつやるわけでございます。
それからこの委託問題でございます。特定局におけるところの委託の手数料、この問題も郵政省と時々話し合いを進めておりますが、これは単に電報だけの問題でございません。電話の交換事務に当るところの委託手数料も含めて、合理化の面で今折衝をいたしております。両者話し合いの上でそのような線をだんだんこれから打ち立てていきたいと、こういうふうに考えております。
それからこの電報の着信紙の廃止でございます。これは大したことはございませんけれども、この手数と、それから経費にしましても約一億円くらいな経費になります。これはもうすでに実行しておるのであります。
それから小局経営における、どういうふうにしたらいいかということは、この電報も、小局でございますならば、電話と一緒にできる分もあるのじゃないかというようなところから、小局経営におけるところの電報の合理化というものを当然これを取り上げまして、これは研究中でございます。
それから電報の配達区域の再編成でございます。これは御存じのように、機動力も増しましたり、あるいは電話によって電報を送ることも、当然これはサービスの向上にもなりますればそういうことがいいというので、電報の配達区域の再編成、これによりましてサービスを落さずして電報人員の経費の節減ができる、こういうことも考えております。それから電報を電話で送る、これは先ほど副総裁からも言いましたように、電報と電話と総合的に経営している妙味でございますけれども、技術なり、機械なり、設備というものを、電話の設備を利用いたしまして電報を大いに販売するなり、あるいはサービスをよくする、当然これは考えていくべきでございますから、その点におきましての、電話によりまして電報を送る、これによりますれば、サービスも相当よくなります。かつまた配達要員というものにあまり負担をかけず、あるいは容易に施設もできる、こういうのですでに着々実行に入っております。以上のようなことを勘案いたしまして、大体合理化の線に沿いまして、今日まで十一、二億の実績を、経費合理化を見たわけでございます。
この第二次五カ年計画におきまして、以上の線でどのくらいの合理化をはかり得るか、こういうめどでございますが、加入電信の分はまたあとでお答え申し上げることにしておきますが、これは赤字じゃございません。今の事業でも、サービスを初めてやるときは、どうしても設備その他におきまして赤字を生じますが、いずれこれは黒字に転換するというわれわれは自信がございまして、それも約十億円くらいな黒字が出るだろう、第二次五カ年計画の終了時にはそのくらいのめどをつけております。以上総合いたしましたところ、第二次五カ年計画におきましては、約四十億という合理化の線においての施設による効果を発揮したいという計画のもとに進んでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/10
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011・鈴木強
○鈴木強君 この合理化によって節約する面と、積極的な増収をはかるということでありますが、この積極的な増収をはかるという面が今の御説明になかったのですが、非常に私たち、さっき申し上げたように、一本打っても百十何円の赤字になるという、さっき計算してみたらデータが出ていたのですが、増収してみたところで、結局赤字がふえていくのであって、電報をたくさん打っても、収入の面にはそう響いてこないような気がするのですが、収支全体の面から見ましても、これはわれわれとしまして合理化の面で中継機械化、あるいは委託の手数料の問題とか、幾つかあげられましたけれども、小局の経営の合理化あるいはその配達の夜間の請負ですね、こういったふうな問題についても、いろいろ今日私は問題が起きていると思うのです。で、なるほど公社側の方から見ると、一晩にまあ二通や三通の電報の来る所は常勤者を置かないで、そこらのげた屋のおっさんか何かを月何ぼかの金を出して雇っておいて、そして配達をしてもらうというにとも一つの方法かと思うのですが、こういったことが大体地域的に若干やられるならばわかるのですが、今日おそらく八百くらいですか、全国で電報局のあるのは。その八百局のうち、ほとんどが、ほとんどと言っては語弊があるかもしれませんが、そういう夜間の請負制度を実施していると私聞いているのですが、そういうことは非常に問題があると思いますが、そこにデータがありましたら、夜間の請負配達をやつている状況をちょっとお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/11
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012・吉澤武雄
○説明員(吉澤武雄君) 電報が一通あれば百二十円くらい赤字だ、従って電報を大いに積極的に使ってもらえばもらうほど赤字がふえるのじゃないか、こういうことはよく言われるのでございます。で、私ともの考え方でちょっとこの実際問題を検討いたしますと、その論は多く誤まりがあるのであります。ことに私ども従業員が努力しておりますところの社交電報を今後大いに奨励するということ、たとえば年賀電報あるいは慶祝電報、こういうものにつきましての収支を調べてみた、年賀電報におきまして、実は年々二百三十万通あるのでございます。これの大体の収入が九千万円でございまして、それに対する支出が七千万円くらい、でございますからして、それだけ見ますと実は黒字を生じておる、しかし、一般電報において、先ほど御指摘のように、赤字があるものですから、大したものにはなりませんが、そのようなわけで今後積極的販売におきましても、現在の電信の設備、要員を増加して、利用数を増すということがあるならば、これはやはり赤字の解消に貢献するだろう、こういう観点のもとに電報の利用の増進をはかっております。
次は、先ほどの御質問でございますが、電報配達の請負制度の問題でございますが、現在は御承知のようにこの請負制につきましては、合理化の点と、サービスをあまり低下させないという点で、地域的に実情にかんがみて実施しておるのでございますが、現在の実施局は大体六百局くらいあります。そこで、これには実は私どもも行き過ぎの点がございまして、夜間だけ、あるいは深夜だけの請負というものがほんとうの趣旨でございましたのですが、昼間でも、全部二十四時間請負制にしている所も実はあったのであります。かつまた、一日に千通以上の所も請負をやらんとしておるような所がございます。これはいけないということと、一つは、雇用契約について問題があるのでございます。従って、先ほど来組合と私どもが交渉を持ちまして、組合の主張もよくわかるところは取り入れたい、また公社の事業を中心として経営の合理化の趣旨というものをやはり達成しなければならぬということで、行政的にも行き過ぎを是正していく、また、その実施局につきましても、あまり範囲を広めない、むしろ現在の実施局をやはり請負制をやめまして、全廃ということはこれは私ども困難でありますし、とるべきでございませんが、まず減少してくるという線で本務員を配置する、しかも、勤務時間その他につきましては、かなり負担をかけないでいきたいということで目下組合と私どもは交渉し、話し合いを続けている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/12
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013・鈴木強
○鈴木強君 非常にくどいようですが、どうもさっき業務局長がおっしゃっておるように、電信を扱っている従業員の立場ももちろんでありますが、国全体として赤字政策というものをどう克服していくかということをやはり積極的に考える必要があると私は思います。そこで結局、そういう赤字があるものですから、一般的には国民は知らない、電信のうちに赤字があるそうだが、当然電話と一緒にやっているからそれでいいのだ、こういう考え方を持っていると思いますが、従って、そのしわ寄せがどうしてもそこに働いている従業員のところにくることも事実です。だから、第二次五カ年計画の終りころになると、約四十億の赤字の解消が見込まれる、こういうことですがこの四十億の赤字の解消をするために相当無理な合理化が進んでおると思います。今お話にもありましたように、八百局ある電報局の中で六百局が請負制度によって配達されている、こういうことになるわけでして、これは常識から考えてもおかしい。特に通信の秘密ということもありまして、この点はやはり独立採算ということを度外視して、赤字政策ということを承知してやっておりますから、そういう通信の秘密がかりに多少でも漏洩されるというような危険性のあることを、赤字を克服するためにあえてやっているということになると思う。そういうことは私は非常に問題があろうと思います。だから、赤字があるなら、百億の赤字なら赤字でいい、何か赤字を、サービスをある程度落して、公衆から文句を言われるような配達や夜間従事をやっている、あるいは今言ったような配達請負制度をやってみたりして、何か赤字を解消しなければもうだめなんだというような印象があるのじゃないかということを私は危惧する。あなたの方でおっしゃっているように、当然世界どこを見渡してみても、ウェスタン・ユニオンは最近の経営状況は黒字になっているが、あとは赤字なんですから、なるほどそうでしょう。そうであるならば、私はその赤字は赤字として堂々と認めていけばいいと思うのです。そういうことからいくと、いやそうでもない、何とかその赤字をなくするのだということを、無理な方法を考えている。もっと私の聞きたいのは、それでは合理化委員会で出されているような料金値上げということが、電信電話事業の基本的な考え方からいって必要であるとするならば、これはやはり適正料金というものを考えて諮問したらどうですか。ただ単に、電話から赤字は入れていくのだ、そうして合理化できる分として節約していくのだ、こういう考え方であるように思うのですが、もう一つそこらのところを、要するに料金政策に対して適正化とか、そういう点を考えておられるのですか、おられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/13
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014・靱勉
○説明員(靱勉君) 夜間配達請負の問題は、先ほど業務局長からお答えしたようで、若干行き過ぎの点は是正する、しかしながら、やはり夜間に一日一通か二通という所に職員を置いて三番交代で配達をやるということはやはり非常にある意味においては労働のむだでもあります。そういう点はただ職員の人にしわ寄せをするという、そういうような考え方ではなく、当然私ども常識的に考えても、そういうものについては改善の道をとるべきものだと思います。それから料金について全然触れていないというお話でございますが、公社としましては、目下料金全般におきまして調整を要する問題がございますので、昨年来相当検討を進めております。これは近く、もちろん監督政府機関にも御説明し、また広くいろいろな御意見を聞きたいというので、私ども委員会というようなものを作りまして、むしろ広く一般の御意見も拝聴するということで、慎重にこれは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/14
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015・鈴木強
○鈴木強君 この機会に特に公社に私は意見として申し上げておきたいのですが、私は、なるほど業務局長もおっしゃっているように、電信政策に対して非常に心痛し、いろいろと検討を加えているというお話ですが、われわれがちょっと見ておる目では、公社が最近やられているこの政策を見ていると、なるほど電話というものは非常に利用も多くなりましたし、発展してきておりますから、その方に八〇%、九〇%も力をそがれてしまって、どうかすると電信政策に対して軽んぜらるのではないかという、これは私の感じですよ、感じがするのです。ですから、もう少し電信というものをどうするかということを、これは電気通信事業の二つの大きな柱なのですから、ウエートとして、当然電話がどんどんふえておりますし、機械化も電信と違ったスピードで進んでいるわけですから、力点が八〇%なり九〇%なりかかることは、このことはいいと思うのです。ただかりに一〇%であっても、考え方は基本的にやはり電信電話というものを同じウエートでもって公社のあらゆる機関で討議され、検討されていくということが私は一番大事だと思うのです。こういう点がやや私は欠けておるように思うのです。ですから、もっと公社段階において、真剣に電信事業というものを考えてくれないかという不満が率直に言って現場段階にあるのです。さっき吉沢業務局長もおっしゃったように、ほんとうに長い間電信従業員としてその事業を守ってきた人たちの置かれている立場等からいたしましても、人事管理の面、いろいろな面においてそういうことを私はよく聞くのです。ですからこの点は、おやりになっていればけっこうでありますが、私は電信というものが電話と比べてみて何か後手を引いているような点があるとするならば、この点は一つ十分反省をして、そうして今後積極的にこの赤字はもちろんでありますが、電信政策全体として日本の将来どうあるべきかという態度を私は職員にも示し、また国民にも示して、そうして国民と従業員の協力を得て、とにもかくにも絶対必要なもの、電信政策というものを守り抜いていくという大きな道を掲げてもらいたい。この点、総裁もいらっしゃっておりますから、総裁から一つ所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/15
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016・梶井剛
○説明員(梶井剛君) 私ども電信電話事業を運営していきます立場から考えますと、電信電話事業に対する国民の要望に沿うことをできるだけやりたいという考えでおります。従って、電信電話、これをおのおの別に考えてはおらないのであります。ただ御承知の通り、電話というものが最近においてますます国民の要望が強くなりまして積滞数はふえるということになりますものですからして、勢い予算の大部分が電話事業の方に投ぜられるということは避けられないのです。そうして一方におきましては電信事業というものは、先ほど来説明されております通りに赤字であります。その赤字であるのを電話事業でかばっていくのだというふうな感じを抱かれまするけれども、しかし、電信事業の持つ一つの性格というものをわれわれは考えていかなければならない。それは電話を持っているような人々は多くは大都会の人で、また比較的そういう電話を持つことが必要に迫られ、またそれを持ち得るだけの力のある人が現在持っている。ところが、電報というものはそうではありませんのでして、日本の国民が一人残らずそれを使わなければならない。つまり、貧富ということを問題にしないで、負担力の有無を論ぜず、電報というものはすべての人が使わなくちゃいけない。でありまするからして、電報は赤字であるがゆえに、われわれはその赤字をカバーするだけの料金値上げをしてそしてやっていけばいいじゃないかということは、われわれはちょっと考えられないのであります。つまり、電報は非常に庶民的なものでありまするから、料金はできるなら赤字であっても電話でかばってでもなるべく上げない方がいいと、しかし英国では、電報料金につきましては、しばしば値上げをしております。英国の国民生活が日本よりも高いせいでもあるかもしれません。しかし、私どもは電報に対しては、確かに電報の一通に要する経費が電報料金の約倍以上かかっているという状態でありまするから、いわば実際に必要な経費の半分である。半分の収入しかないという状態でありまするから、これはいわば国民に対して電報というものは、もういかなる場合にでも、数は多く使わないでも、必ず必要なときにはどうしても使わなくちゃいけないという状態であるということを考えて、料金によってこれをかばっていこうという考えはなるべく避けたいと、こう考えております。しかし、一面において、電報というものはこれを二つに分けますと、いわゆるビジネスに使われているところの電報、それから一般の市民の人がいつでも使うところの電報と、こう二つに分れているように感じます。つまり、商事会社であるとか、あるいは製造会社というものがそれぞれ自分の工場とか支店とかに出すところの電報、こういうものは相当の数あるのですが、これはいわば記録通信として——電話の方は記録通信ではありませんから、記録通信としてその意義は持っておるのでありまして、こういうものに対してはむしろ、いわゆる今日始めているところのテレタイプ・エクスチェンジ・サービスを用いる方がいいんじゃなかろうか、そうしますと、テレックス・サービスというのは欧米どこでもやっておりまして、これは電報の利用状況から申しますると採算が黒字になります。ですからして、電報全体として合理化する上からいいますと、テレックス・サービスをやる方が電報全体としては経済的に少しでも赤字が減ってくる。また、さっき電報の機械中継のことにつきましても、これもやはり要するに新しい技術を取り入れることによってそして合理化をしていくというのでありまして、決してこれは労働強化じゃない。そういうふうに考えて参りますると、電報というものは、今日まで過去の五カ年間の経過を見ましても、その増加は電話の増加とは著しく違っております。大体においてフラットな、あまり変化がないという状態になっておるのでありまするから、本来ならば、もしこれをそのままやっていこうというなら、改善も何もしないてやっていけはいいわけでありまするけれども、しかし、電報というものの正確さ及びスピードという両方を向上する必要があるのでありまするから、今の中継機械化ということも、これは当然必要なことであります。また、それによって、現在電報に従事している人が人手が省けるという特徴があるわけであります。でありまするから、できるならわれわれは電報と電話というものをなるべく一緒に扱いたい、従来電報局、電話局というふうに分離しておったのでありまするけれども、電報と電話をなるべく電報電話局にして、そうしてそこにいる人たちが電報も電話も両方ともやれるようにしていきたい、そうして電報の方が人手が省かれてくるならば、その人が電話の方に専念して仕事をしていくというふうにしていく道をちゃんと作っておかなくちゃいけない。だからして、電報に従事している人が自分は終生まあ電報のことをやりたいという御希望はもちろんあると思いまするけれども、しかし、時世がそういうふうにだんだん進んで参るのでありまするから、できるならば、われわれは電報に従事する人も電話のことを覚えてもらって、そうして電話の方の需要がどんどんふえる場合においては、その電話の方にその人が働くようにしていきたい、そういうふうに持っていきませんと。世界的に見ましても電報というものはあまりふえない。従って、料金値上げ以外には赤字の克服の道が根本的にはできない。あとは合理化でやるだけの話です。で、合理化というものは決してわれわれはしわ寄せを従業員の人に持っていこうという意味じゃなくて、むしろむだな労力をなるべくなくそうというにすぎないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/16
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017・鈴木強
○鈴木強君 総裁の考え方はわかりましたが、これはわれわれと考え方の違う点もあるでしょうが、しかし、ちょっと問題になる点もありますから、申し上げておきますが、あなたのおっしゃっているように、この赤字の解消に対して、中継機械化の問題は、まあ、あなたがそこで説くまでもなく、われわれもこれに対して反対すべきものがないのです。だから、これはまあ私は触れていないのですが、要はその赤字を克服するということに頭が行ってしまって、そのために、今業務局長からお話があったような、やや行き過ぎの点が出てきてしまいはしないか、そういうふうにしてまで赤字をなくす必要はないでしょうということを私は申し上げているのです。ですから、今のあなたの論法でいくと、この電話は金持が持っているのだと、電報は貧乏人でも何でも全部使うのだから、今の段階では金持から出していただいて電報の赤字を埋めていくのだと、こういう理論ですが、これも一つの問題がある。それならば電話を敷く人たちは電話料金を下げろという意見が出てきている。ましてや電信の赤字を電話でカバーしていくということがはっきりみんなに理解されたら、私はとんでもないということを言うと思うのです。現に国会における料金値上げの審議の際にもそういう意見は出ておりました。私も当時公述人として出て意見を述べたことがありますが、その際にも電信の赤字を電話で補充していくのはけしからぬ、電話の利用者として納得できないという意見が現にあるのです。私はそのことについては大いに論議があると思います。ですから、そういうことではなくて、むしろあなたのおっしゃるように、出べき赤字なんですから、これは赤字は赤字として欠損金として認めていくという国の政策があってしかるべきだと思う。何も料金値上げをやるべきだというのじゃない。電報の需要者を見ましても、確かに万人が使う電報だとおっしゃいますが、長い間の統計をとって参りますと、八〇%以上が商業電報ですね。率直に見まして「ハハシス」「チチキトク」「ムカエタノム」というような公共的な電報は、もう二〇%もない。これは統計ではっきりしております。ですから、そのことも一つ問題になるでしょう。だがしかし、私はそういう点も考えていくと、ある程度料金の適正化ということをこれは考えなければならぬと思うのですよ。ですから、もう全然そのことについて公社当局が考えないというのかどうなのか。それから今申し上げたように、この赤字というものに対して、まあ電話でやればいいんだ、そういうような考え方で今後行くのかどうかですね。総裁の今おっしゃっているように、電話、電報局を一緒にして、電報をやる際に電話もどんどんやっていくようにすれば、これはある程度理屈は通ると思うのです。電話を使う人たちも、電報を使う人たちも総合的に動いてくれるようになれば、どっちでどういう金を使おうが納得できょうが、なかなか、しかく簡単に、総裁がおっしゃるように、すぱっと簡単にそれがやれるかというと、理屈ではできても、現実問題ではそうはなかなかいかぬ。それも一つの机上の空論になってしまうとすれば、現状の置かれておる赤字を克服するには、公社がもっと手を考え、国民が納得する線を政府が出してしかるべきじゃないか。それならば、公社の百億円の赤字を国が一つみて下さい、こんなものは電話でもってカバーするのはおかしいですよ、そういうような理論に立って予算折衝をしたことがありますか。そこまでいけばこれは大したものですがね。そういうことをやらないでおいて、どうもしわ寄せを従業員に押しつけるような無理な合理化をやってみたり、それから国民に指弾されるようなやり方をしているいうことが、やはり問題になると思う。これは見解の相違になると思いますけれども、まあ一つ料金施策については、もう何も考えないということであれば、私は非常にこれは困るので、もう少し積極的に公社としても考えていただくと同時に、電信、電話というものにほんとうにウエートを置いて一つ検討していただきたいということです。これは具体的に総裁、副総裁は欧米を回わられますときにも、電信電話の実情というものをよく視察されてきておると思うのですが、それではもっとアメリカにおける電信というものがどう運営されておるのか、具体的にそういった専門家を私は一回ぐらいはやって研究するということも一つの方法だと思うのでね。電話の方は何回も出てくるのだが、電信の方はただ一回も出てきたことはない。ですから、各国の事情は総裁、副総裁が知って、そういう連中が行かなくてもわかるというならば、それでも私はいいのですが、いろいろな点から見てどうも電信に対するウエートが若干かけておるのじゃないかという危惧を私は持つのです。そのことは一つ総裁としても、私は質問しているのですから、今後絶対にそういうことのないようにやるという確信ぐらい私は聞いておかないことにはどうも納得できないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/17
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018・梶井剛
○説明員(梶井剛君) 電信電話に対して差別的にものは考えておりません。つまり、両方とも同じ電気通信という考えでありまするから、電信と電話とを別にウエートを分けているわけではありませんが、今申します通りに、電話の方は非常に国民の要望が強い。電信の方の需要というものはさほどふえていないという実情にあるものですから、表面的に見ましてそこに段があるように見えるのですけれども、しかし、電信は電信、電話は電話というものについておのおのを検討し、そうしてそれを改善していく、サービスをよくしていこうという考えのもとにおります。
それからもう一つ、料金問題につきましては、先ほどおっしゃった通りに、ビジネスの電報がかなり多いということは仰せの通りです。従って、これはテレックス・サービスをだんだん増していきまして、そうしてビジネスの電報をそっちの方へもっていきますと、そうすると、残るところのものは一般の人々の使う電報になります。従って、そういう一般の人々の電報料金は、なるべく上げない方がいいのじゃないかという考えを持っているわけであります。またビジネスの方のテレックス・サービスになりますと、これはまあ別の料金になりますから、自然にこの方は欧米の例を徴しましても、みな黒字になっております。従って、その方から多少なり、同じ電報であっても、一般の電報の方を助けることができるようになってくるわけなんです。また、先ほど電話の料金をもって、収入をもって電報の方を助けるのだということを申しているわけでありますが、しかし、これはまあ社会通念としまして、税金というものは、収入の多い人からよけい取りまして、そうして収入の少い人に、まあ平等に社会施設をしていくというのが、これは社会政策の一つの問題であると思います。従って、社会党の方から今のような御質問を伺うと、どうもあの方は保守系の方かしら、私は社会主義的な思想を持っているのじゃないかしらと思うほど、不思議に思うのですが、やはりどこの国でも社会全体として考えまして、いわば富める人からよけい金を出してもらって、そうして貧乏な人を助けていくという意味から言いまして、電報料金というものは、庶民階級のだれでもが使わなくちゃならない、電話はある程度限定された人だけが使うということから考えますると、電話料金でもってある程度電報料金を助けるということ、電報の収入を助けるということは、これは少しもおかしくはないじゃないか。ただし、電報が赤字であるから、従って、政府に向ってその赤字を補てんするように補助金をもらえということでありまするけれども、しかし、政府それ自身も、電信電話というものを一つの公社の中で運営していくようになっておりまするから、従って、全体としての収支の関係を見られるのでありまして、そういうものを区別して、電報は赤字だから補助金を出す、電話は黒字だからして政府が一部その収入を取り上げるということであれば、あるいは理論的には正しいかもしれませんが、出入り同じことになるのであります。従って、結果論としましては、電話の収入によって、電報の赤字をある程度埋めていくこともこれはやむを得ないことじゃないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/18
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019・鈴木強
○鈴木強君 どうも総裁は、私が社会党に籍を置いて質問をしているものですから、少しあなたは口がすべるのじゃないかと思うくらいなことを言うのですが、そういう観念をあなたが持っているからけしからぬのです。何かしら私たちの言うことが、あれは労働組合出身のやつだとか、あれは社会党の代議士だというような先入観をもって聞くとするならば、もう私はここでは質問しません。そういう意識的な、何かしら感情をもって私の質問を聞いて答弁されるなら、もうあなたの答弁は要りません。私は少くとも電信電話の経営というものを考える場合に、現に公聴会においてそういう論を吐いた方もおられるし、私自体としても、一般税金の問題とは違いましてもちろんあなたのおっしゃっているように、確かに電話というものは金持の人が大体使っているのでしまう。しかし、これがだんだんと大衆化されて貧乏人でも電話が引けるようにするのが公社の目的であります。ですから、そういう点から私は申し上げている。やはり電信を使っている人たち、電話を使っている人たち、それぞれの需要者の状況等を見ましても、やはりあなたも認めているように、八〇%くらいまでは商業電報であることも事実であります。ですから必ずしも、それはあなたのおっしゃっているように、これは話を別にして考えた場合に、富める者が貧しい者を助けていくという形になるかどうかも疑問でありますが、そういうことでなしに、税金とこの問題とを同じと考えられて、私が社会党で、あなたは保守党だということを言われるのは心外千万であります。そういう意味で私は言っているわけじゃありません。電信電話の人たちから見れば、なるほど、当然そういうことをおっしゃるのでしょう。当然おっしゃるでしょう。そうだったら、電話料金を下げてもらいたい、こういうことを当然言うだろうと思うんです。そのことを私は申し上げたんです。あまり委員会で、委員長、そういうわれわれの質問に対して、何か作為的にしているというふうに考えられて、社会党の代議士であるからどうだということだったら、私はもう質問を打ち切ります。する必要はありせん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/19
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020・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 鈴木君に申し上げますが、決してそういう意味じゃないと思いますし、その真意はわれわれまた確かめて聞くことができると思うのです。そういうことでなしに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/20
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021・鈴木強
○鈴木強君 私は質問しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/21
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022・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/22
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023・宮田重文
○委員長(宮田重文君) 速記を始めて下さい。
それではこれにて休憩いたしまして、午後一時から再開いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後二時四十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/23
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024・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ただいまより委員会を再開いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/24
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025・山田節男
○山田節男君 午前中の当委員会におきまして、鈴木委員の質問に対し、電電公社梶井総裁の答弁中には不穏当と思える点があると思います。委員長におかれては、これを十分調査されて次回の委員会の劈頭にその適当な措置をとられんことをお願いいたします。
それで一言、私申し上げますが、この不穏当と見られる発言ということは、単なる一議員あるいは一党派に対する答弁でなくて、当委員会全体に対する一つの尊厳を汚すという意味において、私はこの件を特に委員長に強くお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/25
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026・宮田重文
○委員長(宮田重文君) ただいま山田君の御発言の御趣旨に沿うて委員長は善処いたします。
では本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814816X02119580417/26
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