1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月六日(木曜日)午前十
時五十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 藤田 進君
理事
上原 正吉君
永岡 光治君
委員
後藤 義隆君
近藤 鶴代君
迫水 久常君
田中 啓一君
苫米地義三君
増原 恵吉君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
田畑 金光君
千葉 信君
松本治一郎君
矢嶋 三義君
島村 軍次君
八木 幸吉君
政府委員
行政管理政務次
官 榊原 亨君
行政管理庁行政
管理局長 岡部 史郎君
行政管理庁統計
基準局長 美濃部亮吉君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○統計法等の一部を改正する法律案
(内閣提出)
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001・藤田進
○委員長(藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、統計法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/1
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002・千葉信
○千葉信君 統計官の、官名であるか、それとも官職であるかという問題に関連して、もしそれが官名ということでありますと、たとえば資格、任用条件について、同一他の官名等の場合に比較して、少しく厳格に過ぎるきらいもあるし、もしこれがまた官職ではないという考えであるとすれば、同様に、仕事に対する反対給付というか、待遇条件、給与等の関係について何の考慮もされないという、こういう条件にあるので、この点、どうも前回の御答弁では必ずしも了承できない点を含んでおりましたので、再度御答弁を考慮してもらうようにお願いしておきましたが、一つその点についてまず御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/2
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003・榊原亨
○政府委員(榊原亨君) 前回、千葉先生から二つの点について御質問がございまして、一つは官名にしたらどうか、統計官というようなものは官名でやるべきじゃないかという御意見と、一つは反対給付について考慮すべきだという御意見と思いましたが、それにつきまして、私どもといたしましては、その点も十分考慮すべきでございまするが、ただいままでのところ、統計主事は一応資格要件を今きまった通りやっておりますし、統計官は運営の面において大体統計主事と同じようにこれに準じてやっておりまして、特別の支障はございませんから、この程度のことでいいのではないかという御意見を申し上げ、後段のことにつきましては、これは処遇につきましてはいろいろ考慮すべきであるということを申し上げたわけでございますが、その後いろいろ調べてみますというと、根本的な考え方といたしましては、戦後公務員制度の改正が行われました際に、公務員の中における身分的差異、これはできるだけなくした方がいい、また同時に、職務内容に応じた処遇を確保するという見地から申しましても、官の整理あるいは廃止ということが適当であろうというようなことで、その方針のもとにただいままでやってきているわけであります。従いまして、現在のところ職階法が完全に実行されておりませんので、まだ官吏と雇、用人というような二つの身分地位に分れておりますが、官吏は、法律で特別に定めたものを除くのほかは、御承知の通り、事務官、技官、教官という三つの名前が残されておるわけであります。そこで、今この統計官の問題でございまするが、統計官も特別にここで官名にするということでなしに、やはりこの改正法案でお願いしておりまするように、一つの職名ということが適当ではないか、こういうように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/3
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004・千葉信
○千葉信君 少し御答弁、食い違っている点があると思う。もしこれを職名にするという、まあ一つの官職であるという格好にされるというただいまの御答弁ならば、私はそのまま了承できるのです。私の申し上げているのは、行政管理庁当局の方から、政府の方から出てきましたこの法律案は、統計官なるものは単なる官名であるという考え方で、この点は人事院の方でもそういう了解をしているようでございます。
そこで、私の申し上げるのは、この統計官なる仕事は、名前がどうあろうと、その実態は他の官職と併任するようななまやさしいものではないはずだということです。その資格、任用条件からいいましても、その仕事の重要性からいいましても、これは国家公務員法にいうところのりっぱな一つの官職であります。従って、職階制度に関する法律からいいましても、これは私の見解は完全に官職として一つの職種に入る、そして同時に明確な職級の分数に従うべきだという見解です。そういうことになれば、当然これはその官職に対して正当な待遇条件等も同時に考慮されなければならぬじゃないか。それを、いや、との統計官というのは官名でございます、官職ではございません、こういう考えで、職階制の適用はこれはないものという考え方で、従って同時に、その条件としても何らこれに対して、仕事の度合いがどうあろうと、資格、任用条件がどうあろうと、その条件に応じて当然の待遇をすべき待遇は行われようとしておらない。これも不都合だと。つまり、それは官名であるという解釈から来るそういう政府の見解ですから、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/4
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005・榊原亨
○政府委員(榊原亨君) 今お願いしておりますのは、君名ではなしに職名であるのでございます。それから、この職階制が実行されました暁におきましては、ただいまお話しのように、統計官は統計職種に編入されるべきものという先生の御見解については、私どももさよう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/5
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006・千葉信
○千葉信君 そうなりますと、前の答弁と少し変ってきましたし、人事院当局の見解、それから行政管理庁から人事院当局に連絡のありましたときに人事院が答た了解の仕方は、これは官名であるというそういう了解のもとに、行政管理庁当局に対してこれを了承したという連絡があったはずでございます。そうなりますと、これ、もう一度私の方では人事院当局を呼んでその点明かにしなければならぬという問題が出てくると思いますが、その点は確信をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/6
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007・榊原亨
○政府委員(榊原亨君) 今までのその連絡のいきさつは、私は存じておりませんので、管理局長がおりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/7
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008・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) お答申し上げますが、人事院から連絡の有無という点につきまして、まず申し上げますと、人事院の任用局長の丸尾君から私に電話で連絡がございまして、それにつきまして私の答えておいた点を申し上げますと、任用局長は、この統計官というものは総理府事務官または総理府技官というものに対して併任するような官職ではないと思うがどうか。従って、これは職階法第十条にいう、公けの名称その他組織上与えられる名称と考えてよろしいかということでございますので、私は、その通りで、これは併任とか兼任とかいうような性質のものではない。事務官または技官が、それにプラスして併任すべき官名と考えるべきではない。すなわち、任用局長の申すように、職階法第十条の規定による職名で、従って職階制の建前からいえば、これは一種の職種あるいは官職と考えるべきだということを答えましたが、それによりまして意見の一致を見まして、その点におきましては、別に予盾も意見の違いもございませんし、その趣旨と同一の趣旨で、今政務次官がお答え申し上げておる通りであります。政務次官のお答えは、今千葉委員が仰せられました通り、この統計官というものは官名ではなくて官職であるという御意見につきましても、私ども全く同感に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/8
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009・千葉信
○千葉信君 それならばいいのです。それならば、なぜ今まで、この統計官なるものは独立した官職ではなくて、他の官職に対して併任するものという答弁をされたか。今の答弁からいいますと、前の答弁は完全にその速記録でも食い違っております。この点は取り消されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/9
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010・榊原亨
○政府委員(榊原亨君) 私のこの間から申し上げておりますのは、官名ではなくて職名だということを申し上げておったつもりでございますが、言葉の違い上そういうことではないということでございますれば、これはもう私取り消してけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/10
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011・千葉信
○千葉信君 まあ、どういうお気持で答えられたか知りませんけれども、出ました答というのは、これは官職ではございません、官名でございますと。従いまして、この統計官も統計主審も他の官職に対して併任でございますと。併任でございますから、この併任の仕事に対する反対意見はございません、そういう答弁だから、問題になったのです。そして、これははっきり速記録にもそう出ております。
まあしかし、今、この点については、これは官職であるという御答弁があり、官職ということになりますと、これは御承知のように、職階制に関する法律の適用を受けることになるという問題が残ります。どうもその点についても将来に問題が残って、明確にしなければならぬ部分もこの法律は持っておるようでございます。しかし、まあ私もこれ以上、このこまかな点についてここで質疑を継続しなくても、職階制に関する法律の完全な適用までに、十分この問題を明確にすることができる余裕もあるようですから、どうも必ずしもりっぱな御答弁——完全に私の疑念を晴らしたとは言えませんけれども、大体私はこの程度にして、将来に問題の解決を残したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/11
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012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この前も十六条についてお伺いしたのですが、次官の関係でその意を得なかったのですが、引き続いてこの前の、統計の結果をすみやかに公表しなければならぬ、ただし長官が承認を与えればよろしい、そういうことについてはほとんどないというお答えであった。ほとんどないということは、ごく一部にはあるという意味にもとれるわけですが、そういう事例が今までありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/12
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013・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 今までかつて一度もございません。あるいは将来あり得るかもしれないということを予想して書いてございますけれども、できるだけ避けるべきでございますので、今のところ一つもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/13
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014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今後もしあるとすれば、国の機密事項、そういうことについて公表をどうしてもできない、そういうことを予想してこういう条例ができたと、そういう意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/14
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015・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 国家の秘密かあるいは個人の秘密に関することでございますが、個人の秘密に関することは、おそらく指定統計を承認する際にほとんど承認しないだろうと思われますが、何らかの形で、どうしても個人の秘密にわたることを指定統計で正確に調査しなければならぬという事例が起ってきた場合には、あるいは公表しないということもあり得るかと思いますが、非常にまれな事例で、今までのところは、そういう事例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それから公安関係についての統計を作られておると思うのですが、大体その概要でけっこうなんですが、公安関係についてはどういうような資料の統計をなされるのか、項目だけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/16
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017・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 公安関係では、今は武器の生産関係だけがほとんどすべてでございます。それ以外の公安関係の機密に属するような統計調査というのは、私の記憶する限りございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この武器の生産についてのみとおっしゃるわけですが、これはそうすると、所管は防衛庁関係で、防衛庁自体でやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/18
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019・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 公安関係の統計調査は、報告調整法から除外されておりまして、私たちの方の承認を待たないでできることになっております。それから指定統計関係においては、今申し上げました武器の生産以外にはございません。それでございますから、今の御質問のように、公安関係の調査というのは、防衛庁自体が私の方と関係なくやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、防衛庁で公安関係の統計をやる場合には、統計法の適用を受けないでやるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/20
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021・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 報告調整法施行令の第三条に除外規定がございまして、国家公安委員会 警察法第五条第二項に規定する事務、それから防衛庁 防衛庁設置法に規定する防衛庁の所管事務、こういうものは、統計報告調整法でございますが、これから除外されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それから第一条を見ますと、統計の真実性を確保し、云々。そのためにどのような努力が払われておるか、お伺いしたい。ただ、これを見ますと、第九条で事務の監査を規定しておるわけですね。それと、なお関連して第十九条でいわゆる罰則を規定しておるわけです。罰則とか事務の監査によって統計の真実性を確保するということもできましょうけれども、そのほかに何か具体的に統計の真実性を確保するために努力が払われておるのかどうか、そういう点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/22
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023・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 事務の監査は非常に間接的でございまして、直接的に真実を確保いたします方法は、各省が指定統計調査をします前には、調査の方法、様式、調査票等を私の方に持って参りまして、そうして詳細に検討して、その結果真実性を確保することができるかどうか、国民によけいな負担をかけないかどうか、それから発表の様式において国民の秘密を暴露するようなことはないかどうかということを、厳格に検査いたしまして、なお私たちの方だけで十分に検討し得ないものは、外部の学識経験者の専門家で委員会を作っておりまして、そこに付議をして詳細に検討する次第でございます。
たとえば今年の一月から中小企業総合基本調査というのをやりまして、今まで中小企業に関する統計資料がほとんど欠除しておりますので、それに対しまして非常に詳細な調査をいたしました。これは非常にむずかしい調査でございますから、事前にほぼ一年間ぐらい、有澤廣巳氏を委員長とする委員会を作りまして、そこで非常に練って作り上げました。それから、たとえば一九六〇年に非常に広範囲な農業センサスをいたしますが、これは非常にむずかしい調査でございますので、私たちの局の検討だけでは十分ではないと思いますので、今から東畑先生を委員長とする委員会を作って、これから一年余り練ってゆこうと思っております。そういうふうに、罰則以外に、実施されます前に事前に十分検討するという方法で、真実性を確保することに努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、日本の統計の水準について、それに関連して二、三お伺いしたいんですが、大正の末期から昭和の初めにかけて、日本の統計はまあ大体世界の水準まで行った、そういうふうに記憶しておるわけです。ところが、戦争によって統計とか統計制度が根こそぎに破壊されてしまった。しかしながら、戦後ようやく立ち上って、現在また世界の水準まで行った。そういうふうに一応雑誌などで承知しておるわけですけれども、民間の企業におけるいわゆる統計技術等については、どのような水準になっておるか、まずその点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/24
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025・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 全体の日本の統計の発展については、今の御意見の通りでありまして、官庁統計の水準においては、どこの国に比較いたしましても、あまり負けないと思っております。ことにアジアの国々においては一段抜いて水準が高いので、今年は人口及び農業に関して未開発地域のトレーニング・センターを東京でするということにまでなっております。
今の御質問の民間でございますが、これは残念ながら非常にだめになりました。それは、経済団体が独占禁止法によりまして、強制的に全部を包含するカルテルみたいなものがなくなったんで、それだもんで、団体外の企業が非常にたくさんできてしまって、団体では網羅した数字が非常に取りにくくなった。取りにくくなったというよりも、むしろ取れなくなったんですね。それからカルテルそれ自体の力も非常に弱まりまして、それから進駐軍のいる間にこういう団体は統計調査をしてはいかぬということになりましたもので、その際従来経済団体が取っておりました統計が全部官庁に移ってしまったわけでございます。そうして今もってカルテルが十分力を持ちませんもので、それ以後民間の統計というものは、戦前に比べますと水準が非常に落ちまして、しかし、そのかわり、従来戦前は民間が取っていたものを、ただいまは官庁がかわって取っておりますから、民間の団体としても、官庁の統計を利用することによって、あまり不便を感じないということになっておりますもので、民間団体としても、あまり努力を統計調査に払わないという形になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 統計の数とか技術、こういう点はもちろん大事なことと思いますけれども、さらに大事なことは、統計調査の結果を活用する、こういうことが今一番大事じゃなかろうかと思うのですけれども、こういう点について、日本の状況ではどういう程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/26
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027・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) その点につきましては、私の率直な感じを申しますと、作る方の水準に比べますと、利用する方の水準は低いと言わなければならないと思います。もっともっと活用してほしいという気がいたしますけれども、しかし、それも徐々に利用度は上昇して参りまして、各省が、あるいはいいか悪いかは別として、こぞって白書を作ってその白書には統計を利用する、長期計画を立てる、あるいは統計を基礎にして政策を立てるというふうな風習は、最近非常に上昇してきたように思われます。しかし、まだ利用されないで、あるいは利用すればもっともっと利用できるという統計がたくさん残っている。もっと利用の方は、私たちの方のPRが足りない点もございますし、それから公表の仕方がまずいという点もございますし、これは私の念願でございますけれども、イギリスなりアメリカなりのように、統計書は非常に安い値段で一ヵ所で、政府のプリンティング・オフィスでプリントして、それを一ヵ所で安く販売するというふうなところまでいかなければ、利用も十分にいかないんじゃないかということを考えておりますが、そこまではなかなか参りませんで、利用の方はもっともっと発展すべきであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その点に関連して、先の委員会で矢嶋委員の方から言われた、生活に直結した統計で、わかりやすい平易な図表等を用いた、ああいうふうなものは日常生活に非常に関連が深い、非常に有効なものだと思うのですが、そういう点について相当数出されておるようですが、まだまだ私たちの身の回りを見ても、あまり見受けないようですが、こういう点についてはどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/28
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029・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) その点においては、アメリカなんかに比べますと、これは非常に劣っております。しかしながら、個々的には、文部省とか、国税庁とか、国鉄とか、だんだんとそれはよくなってきておりますけれども、その点につきましては、私たちの方は何も権限と申しますか、そういうことがございませんで、間接的にいろいろと進めるだけでございます。まだまだ十分ではないと思いますけれども、全体の傾向としては、ややこのごろそういう方向に進歩しつつあるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 日本にアメリカの軍政がしかれておったその期間、アメリカの実情に適した統計の作り方を押しつけられて、アジアの実情に適した統計の作り方、そういうものから遠ざかっておったように承知しておるわけですが、現在はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/30
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031・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) それは、まだ全部、日本ないしアジアに適応したふうに変えてしまえないでおります。非常に努力をいたしまして、だんだんと改善しつつありますが、たとえば、その一番いい例が、労働力調査における完全失業とか労働力とかいう概念で、これはどうもアジアその他後進国には適応しない。ああいう完全失業という概念は、潜在失業の多い日本にはどうも適応しないので、失業率が一・五%というふうに非常に低く出ておりますけれども、それをもって日本の雇用の構造がいいというふうには言えないのであります。それからまた、分類でも、産業分類、職業分類なんかも非常に違っております。それで、産業分類とか職業分類というものはずいぶん直りました。それから労働力関係も、いろいろとこまかい点は直して参りましたけれども、まだそれにかわるべき、後進諸国家にとってこれならばというフォームが見つかりませんもので、まだその点においては全部戻ったとは言えないと思いますけれども、極力努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/31
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032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 統計もアメリカ一辺倒ではまことに困ると思うのですが、今お話で大体わかりましたけれども、今後さらにそういうふうにして、アジアの実情に即した統計のあり方が必要だと思うのですが、特にそういう点念願しておるわけです。また次に、国連の統計については現状どうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/32
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033・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 国連の統計につきましては、国連から、FAO、WHO、あるいはそういう外郭団体からも非常に頻繁に資料を要求して参ります。それで、農業関係のFAOとか、保健関係のWHOというふうなところに対しましては、厚生省なり農林省が独自で資料を供給しております。そういうものも、私の方に一応コピーを届けてもらっております。それからそのほかの国連関係のは、私の方が窓口で資料を提供しておりますが、ずいぶん一時はばらばらにそれが提供されまして、向うから来た数字とこっちの数字が、同じ数字が違っているとかいって怒られることもございましたが、今は私の方で数字を調整いたしましてそういうことのないようにしております。国連からはいつでも、国連の統計作成に関する日本の協力は非常にありがたいといって感謝されておりますように、非常に密接な関連をもっていつもやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今のに関連して、外国の統計資料が日本に来ているのは、外務省とか、あるいは日本貿易振興会、こういうものを通って来るわけですか。国連ともむろん関係ありましょうけれども、外務省、日本貿易振興会、こういう所の経由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/34
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035・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 大体は、私の方ないしは統計局及び各省直接に参ります。私の方にも、非常に小さい、エクアドルとか、ああいう国とも資料の直接の交換をしておりますし、それから先日参りました、インドネシヤでございましたか、直接に資料の交換をしたいという申し込みもございますし、外務省を通じてでなく、直接に資料の交換をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/35
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036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは、前に矢嶋委員からの御質問の際お答えがあったと思うのですけれども、七〇五電子計算機ですか、これはアメリカの特許の会社から借りておるというふうにちょっと聞いたのですが、これは事実借り物なんですか、日本の所有じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/36
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037・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) これはまだ入っておりません。入りましたら、昭和三十六年の秋から動き出すことになっております。それで、これはインターナショナル・ビジネス・マシン・カンパニー、IMBといっております会社で、この会社は、大体において貸す方式を原則にしております。それで私たちは、といいますか、統計局は、それを買うという形で予算を請求したのでございますが、大蔵省の方は、借りる、三年間の借りる予算で決定いたしました。しかし、その後専門家に聞きますと、これは借りた方がよかったのだということを申しております。それは一つは、日進月歩でどんどんと進歩いたしますから、一つものを持つよりも、よりよいのができたならばそれを借りかえるという方法があるから、借りた方がいいということ。それから補修が非常に困難なもので、日本で所有してしまうと、とても補修するだけの能力を持てない。借りていればIMBが補修の責任を持つから、かえってその方がいいのじゃないかというような意見を言う方もございます。三十六年からは、今のところ借りる契約でもって動かすことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/37
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038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後に、一点お伺いしますが、二ヵ年間という契約で予算を組んだ、それはいかほどであるか。それから買うとしたら、価格は幾らであるか。この二点だけお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/38
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039・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 買いますと、大体六億ちょっとこえるのでございます。それから、借りますと、一年間借り賃が一億二千万くらいであります。今年の予算は、まだ今年はほとんど払う必要はございませんので、その準備のためにわずかついておりますが、借りますと、一年一億二千万の借り賃ということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/39
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040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうなりますと、これは生命はどのくらいあるのですか。普通に使って、この機械の生命……。もし相当使えるとすれば、借りるということは非常に格高になるわけですね。そういう点は検討はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/40
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041・美濃部亮吉
○政府委員(美濃部亮吉君) 生命と申しますか、これは道徳的摩損と申します、新しい機械がどんどんできますもので、機械的に使えなくなるまでの時期は非常に長いのでございますけれども、新しいいい機械がどんどんできるという危険があるわけです。しかし、私たちは、一億二千万で一年借りますから、六億払いましても、五年たてば買ってしまったのと同じになるから、買った方がいいのじゃないかというので、統計局の予算も買うというのに賛成したのでございますが、やはり一度に六億出すということが非常に予算上障害があるのですか、大蔵省の方で、国勢調査に使うのが主な目的でございますから、国勢調査に使えるだけの期間、二年間借りればいいのだという予算がついたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/41
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042・藤田進
○委員長(藤田進君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/42
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043・藤田進
○委員長(藤田進君) 速記を起して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/43
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044・矢嶋三義
○矢嶋三義君 質疑を打ち切る前に、政府委員の方に御要望を申し上げておきたいと思います。
その一つは、皆さん方の努力で日本の統計も非常に進歩、活用されるようになったわけでございますけれども、特に統計従事者の資質の向上に一そう努力してもらいたい。なお、この統計業務というのは非常に地味な仕事でございますので、これらに従事する職員の待遇については特に私は配慮していただきたい。これが一つと、
第二点といたしましては、最近のわが国の実情というものはやや統計ばやりといいますか、そういう傾向があると思うのです。しかも、それほど的確にして価値のありそうにもない統計を、むやみやたらに振り回すという傾向がある。いわばひとりよがりの統計というものがかなりあるようですから、そういう点については、統計思想の普及等についても注意していただくとともに、特にこの質疑の段階に各委員から指摘されましたように、重複等をできるだけ避けて能率的にりっぱな統計ができるように配慮していただきたい。
それから最後には、これも各委員から質疑のときに指摘されたことですが、せっかく時間的にも経済的にも多くのものを払って得られた統計を、専門家が利用するにとどまらずに、一般国民にもできるだけ利用ができるように、利用させるような配慮を、従来より一そうやっていただきたい。
以上、三点を御要望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/44
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045・八木幸吉
○八木幸吉君 私も簡単に要望を申し上げたいと思います。
第一点は、各省に調査統計の仕事が分散されております。むろん、各省おのおのの必要度はないわけではございませんけれども、できるだけ行政管理庁が中心になって、統計の仕事を中央に集中して、かつ能率化された正確なものを得るというふうに、今後仕向けていただきたい。これが一つ。
それから第二点は、指定統計以外の、いわゆる行政上の必要で各省がお取りになる統計は、民間の方から見れば相当手数、迷惑のあることでありますから、あまり必要度のないものはこの際できるだけやめるということの指導を、やはり統計基準局が中心になっておやりをいただきたい。これが第二
それから第三点は、先ほど基準局長からもちょっとお話がありましたが、各省から出ておる統計の発表のいろいろな印刷物、これを原稿で基準局の方へお集めになって、発表の形式は基準局が中心になっておやりになる。今、政府刊行物のセンターができて、大へんけっこうなことだと思っておりますが、アメリカのガバメント・プリンティング・オフィスといったような、統計基準局で、各種の統計原稿はかりに今の機構のままで各省がお作りになっても、発表の形式はそれにまとめるというふうに指導をしていただきたい。
この三点をこの際要望いたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/45
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046・藤田進
○委員長(藤田進君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、これにて質疑を終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/46
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047・藤田進
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認めます。
それでは、討論もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。
統計法等の一部を改正する法律案令部を問題に供します。本案を内閣提出の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/47
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048・藤田進
○委員長(藤田進君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/48
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049・藤田進
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
それから本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。
多数意見者署名
永岡 光治 増原 恵吉
田畑 金光 八木 幸吉
島村 軍次 千葉 信
矢嶋 三義 松村 秀逸
上原 正吉 近藤 鶴代
後藤 義隆 苫米地義三
伊藤 顕道 迫水 久常発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/49
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050・藤田進
○委員長(藤田進君) ちょっと速記と
めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/50
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051・藤田進
○委員長(藤田進君) 速記を起して下さい。
別に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十六分散会
——————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00819580306/51
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