1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十四日(金曜日)
午後一時五十三分開会
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委員の異動
本日委員吉田法晴君辞任につき、その
補欠として矢嶋三義君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
理事
上原 正吉君
大谷藤之助君
永岡 光治君
委員
後藤 義隆君
近藤 鶴代君
増原 恵吉君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
田畑 金光君
千葉 信君
森中 守義君
島村 軍次君
八木 幸吉君
国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
運 輸 大 臣 中村三之丞君
政府委員
通商産業政務次
官 小笠 公韶君
通商産業大臣官
房長 齋藤 正年君
運輸大臣官房長 朝田 靜夫君
事務局側
参 事
(委員部第二課
勤務) 川上 路夫君
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
説明員
通商産業省通商
局次長 伊藤 繁樹君
特許庁総務部長 鮫島 正蔵君
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本日の会議に付した案件
○運輸省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○農林省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○通商産業省設置法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/0
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001・永岡光治
○理事(永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。
委員長の委託によりまして、本日は、私が委員長の職務を行います。
委員の異動がございましたので、事務局から報告させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/1
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002・川上路夫
○参事(川上路夫君) 御報告いたします。
本日、吉田法晴君が辞任され、後任として矢嶋三義君が選任されました。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/2
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003・永岡光治
○理事(永岡光治君) それでは、これより議事に入ります。
まず、予備審査のため付託された法律案につきまして、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
運輸省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/3
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004・中村三之丞
○国務大臣(中村三之丞君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
今回の改正の要点は、まず第一には、本省の内部部局であります海運局に次長一人を置き、同局の海運調整部を廃止することであります。
現在、海運調整部は、海運局内の一部として、海運局、船舶局、船員局及び港湾局の四局に関連する事務の総合調整事務を所掌しておりますが、これは、昭和二十四年運輸省設置法の施行によりまして、それまでありました海運総局が廃止されましたが、当時わが国海運の再建が焦眉の急務とされていた実情に照らし、相互に緊密な連繋を有する海運、船舶、船員及び港湾に関する事務を総合調整する必要が依然としてありましたため、海運総局の持っておりましたこの機能だけはそのまま海運局に存置する必要ありとして、このような異例と思われる措置をとって参ったのであります。
自来今日まで相当期間を経過いたしまして、わが国海運の再建も、ようやくその緒につくとともに、海運行政についてその後新たな処理を要する問題が次々に起って参りまして、海運局の所掌事務も輻輳の度を加えてきましたので、この際、新事態に対処するため、海運調整部を廃止いたしまして、その所掌事務のうち、海運関係四局の調整事務は、これを大臣官房にゆだねまして、新たに海運局の所掌事務全般につき、局長を補佐して事務処理の能率化をはかるため、海運局に次長一人を置くことといたしたのであります。
次に、改正の第二点は、航空局の監理部及び技術部の所掌事務の一部について再配分を行い、事務運営の適正化をはかったことであります。
すなわち、航空法に基く事務のうち航空従事者に関する証明、航空機乗組員免許、航空従事者の教育養成等の事務は、現在航空局監理部が所掌しておりますが、これらの事務は、きわめて技術的な内容を有しており、航空法施行以来数年の経験に徴し、これらを同局技術部に移すことが妥当であり、また、今回航空局技術部から同局監理部へ移すこととしております飛行場の設置計画、管理に関する事務等も、その内容に照らし、より一層飛行場の管理の適正を期するため、このような措置を講じた次第であります。
さらに、改正の第三点は、原子力の平和利用のため、原子力船の動力装置及びその制御その他原子力船に関する試験研究を行うため、本省の付属機関である運輸技術研究所の支所を茨城県那珂郡東海村にあります原子力研究所の中に置くことであります。
原子力船に関する試験研究は、先進諸国に比し、すでにある程度のおくれがあり、その対策として専門研究機関の設立が各方面から熱望されていたところでありますが、今般予算的措置も講ぜられましたので、最近その施設も整備された日本原子力研究所東海研究所に、運輸技術研究所の支所を置くことといたしたのであります。
右のほか、さきに全面改正いたしました倉庫業法等運輸関係諸法律の改廃に伴い、内部部局の所掌事務について、この機会に規定の整備をはかることといたしました。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/4
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005・永岡光治
○理事(永岡光治君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/5
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006・永岡光治
○理事(永岡光治君) 速記を始めて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/6
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007・永岡光治
○理事(永岡光治君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案について説明を受けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/7
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008・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) ただいま上程されました農林省設置法の一部を改正する法律案の提案の理由を、改正事項の内容とあわせて御説明いたします。
第一に、食糧庁に経理部を設けることであります。御承知の通り、食糧管理特別会計の合理化をはかるため、政府といたしましては、今国会に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を提出し、新たに六勘定を設けて経理の明確化をはかり、この会計の合理化に資するようにいたしたいと考えて、目下御審議をお願いしている次第でありますが、このような措置に対応して、多岐にわたる経理関係事務を統括整理し、食糧管理業務の経理の実態を的確に把握し、その処理に遺憾なからしめるための機構として、食糧庁に経理部を新設しようとするものであります。なおこの改正によって機構人員が膨張することは極力避けることとし、現在総務部に属している主計、経理、監査の三課をそのまま経理部に属させるとともに、その人員の配置も、現在の定員のワク内で措置したいと考えております。
次に、輸出品検査所に、農林省の所掌事務にかかる指定貨物についての指定検査機関が行う検査の指導監督の事務を加えることでありますが、去る第二十六国会におきまして輸出検査法が制定され、本年二月一日より施行になり、これに伴って冷凍水産物、合板、食料カン詰及びびん詰等の輸出品検査を新法に基く民間の指定検査機関に行わせることとなったのでありまして、この機会に検査の実務に通熟している職員を配置した輸出品検査所に指定検査機関の行う検査の指導監督を行わせて、その適正な実施をはかろうとするものであります。
第三の改正点は、現在全国十五カ所に置かれております種畜牧場に、家畜、家きん等の飼養管理及び改良増殖並びに草地の改良に関する調査研究を行う事務を加えることを内容としております。最近の急激な畜産の発展に伴い、家畜、家きん等の飼養管理の改善、草地の改良等の面におきましては、現存の試験研究機関が行なっております基礎的な試験研究の拡充強化と相待って、現実に解決を迫られている問題についてのいわば実用化試験の面をも推進することが必要と考えられますので、このため、多数の家畜を飼養し、用地、設備、技術者のそろっている種畜牧場を活用することが、畜産の発展に寄与するところきわめて大なるものがあると考えて、この改正をいたしたいのであります。
これらの改正にあわせて若干の規定の整備を行なっておりますが、以上がこの法律案の主要な内容及び改正の理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/8
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009・永岡光治
○理事(永岡光治君) それでは、次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。
御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/9
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010・田畑金光
○田畑金光君 昨日、資料の要求をしておきましたが、資料が今手元に届いておりませんので、どうなっておるか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/10
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011・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 御要求のありました資料は、非常にこまかい点がございますので、間に合いませんで、大へん恐縮でございますが、できるだけ早く調製しまして提出するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/11
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012・田畑金光
○田畑金光君 いつごろまでに出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/12
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013・伊藤繁樹
○説明員(伊藤繁樹君) きょうじゅうに間に合わせるように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/13
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014・田畑金光
○田畑金光君 その資料によりまして質問をしたいと思っておりましたが、また資料があらためて出ましたときに、資料に基く質問は行うことにいたしまして、本日は、設置法一部改正法案の提案理由の説明の中に述べられておりまして、あるいは先般来質問も相当になされて参りましたので、重複する面もあるかもしれませんが、最初にお尋ねしたいことは、意匠に関する奨励事務は従来特許庁でやっていたが、最近輸出品の意匠の改善及び外国品の意匠の盗用の防止等、意匠問題が国際的にも国内的にも重要な状況になってきたので、通商局にこれを移した、こういうわけでありますが、過去ずっとこれは特許庁でやってきたと考えておりますが、今までの歴史的な経過というものを最初に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/14
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015・鮫島正蔵
○説明員(鮫島正蔵君) 意匠奨励委員会というものができましたのは一昨年の六月でございます。それまで発明奨励委員会というのが特許庁にございます。これが科学技術庁ができますときに、 この発明奨励委員会というものも、特許庁から科学技術庁の設置法の方に移ったわけでございます。ところが、この発明奨励委員会の中で、意匠の奨励も同時に行うことになっております。そこで、特許庁といたしましては、科学技術庁に移りました事務の残りとしまして、意匠奨励委員会というものを新たに作ったわけであります。
この委員会はその後非常に熱心に開かれ、実はそれまでのところはこの発明奨励委員会は発明関係の奨励に終始しておりまして、意匠についてはいささか活動が足らなかったのでございますが、この委員会が意匠奨励委員会という名前で発足しましてからは、非常に熱心に、時代の要求にも合う点もございまして、非常に熱心に活躍さわるようになりました。なかんずく、この中のグッド・デザイン専門部会というものがございますが、これは現存の日本の意匠というものが程度が低いということ、それからもう一つは、特許庁の仕事が、従来これは権利の設定、意匠権の設定ということが特許庁の仕事、プロパーの仕事であるわけでございます。この意匠権を設定すべきかいなかということを審査するにつきましては、意匠の新規性ということだけに重点を置きまして、それを基準にしまして審査いたしております結果、グッド・デザインを見のがすということもございます。また、グッド・デザインでないものが権利になるということも多いのでございます。そこで特許庁としましては、審査官の頭の中にもこのグッド・デザインというものを入れなければいかぬ。同時に、世間にグッド・デザインの思想を普及しなければいけないということで、このグッド・デザイン専門委員会で、たとえば写真機でございますとか、ミシンでございますとか、それからガラス器具でございますとか、そういうものを従来やっておりまして、グッド・デザインを選定して公表したわけでございます。
しかしながら、これらの事業はもともと、考えて見ますれば、特許庁の権利の設定の事務とは少し違った点もございまして、従いまして、特許庁の中でも、これは意匠課という審査をやっている課でなくて、総務部の方で扱っておるわけでございます。で、この意匠の奨励の事務は、どうしても通産省全体として取り上げてもらいたいということをわれわれは意匠奨励委員会が一昨年の六月できましたときから本省の方に主張しておりまして、今回それが実を結びまして、省全体としてこの問題を取り上げることになりました。こういういきさつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/15
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016・田畑金光
○田畑金光君 その意匠奨励委員会が意匠奨励審議会に移ったということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/16
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017・鮫島正蔵
○説明員(鮫島正蔵君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/17
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018・田畑金光
○田畑金光君 この意匠奨励審議会というのは、この条文によりますと「意匠の奨励に関する事項を調査審議すること。」、ただこれだけになっておるわけですが、どういうような構成で、また今御説明もありましたが、審議会としてこれまで、日本のたとえば輸出産業あるいは国内の産業の新規分野の開拓等に残してきた役割と申しますか、そういうような点を、もう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/18
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019・鮫島正蔵
○説明員(鮫島正蔵君) 意匠奨励委員会はまだ発足して一年半余りでございますので、その活躍によりまして、具体的に意匠の一般の状態がこう変ったということは、はっきりと申し上げるほどになっておりませんけれども、この委員会に出ております委員の方々が、デザイナーといたしまして一流の方々が出ておられます。従って、デザイナーの方々の意見の発表の場所として、特に官庁関係に対する意見の発表の場所として、この意匠奨励委員会がいい場所を提供いたしておるということが言えるのじゃないかと存ずるのでございます。
ただいま申し上げましたグッド・デザインにつきましては、ようやく最近になりまして、グッド・デザイン証紙というものを発行するということが具体的にきまりまして、いわゆるGマークと称するものが、これは新聞には昨年から載せておりますけれども、これをグッド・デザインに直接証紙を貼るということがまだ今までできなかったのでございますが、たぶん来月ごろから実施されると思いますが、商工会議所を通じまして、この奨励委員会が選定したグッド・デザインにつきましてはGマークの証紙を貼る、こういうことになるわけでございます。これが実行されますと、世間の一般の人々も、なるほどこれがグッド・デザインかということを認識し、またこの質につきましては、専門の委員の方々が十分審査した結果でございますので、必ずや一般の大衆の意匠に関する認識を高めることは間違いないと存ずるのでございます。
その上、さらに、これが輸出品として海外に出ます場合に、この今のグッド・デザインの選定の基準は決して日本だけの狭いものでなくて、広い世界的な目で見ていただいておりますので、必ずや海外においていい評判を得るのではないかとわれわれ考えております。
こういうふうにして、意匠奨励委員会の最も活発な仕事は、グッド・デザインの選定だと言えるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/19
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020・田畑金光
○田畑金光君 この意匠の盗用問題で、非常に国際的にも信用を失墜するような事態がしばしば過去に起ったと、こう言われているわけでありますが、これは業者の背徳と申しますか、業者の責任でこういう遺憾な事態が発生したのか、それとも行政当局の手落ち等もあるのか、あるいは法の手続の点において遺憾な点があるのかどうか、これらの事情についてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/20
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021・伊藤繁樹
○説明員(伊藤繁樹君) 業者が意識的に意匠を盗用するという事例も多いわけでございますけれども、根本的には、先般お答え申し上げましたかと思いますが、若干意匠に関する考え方の相違もございまして、日本の法制におきましては意匠は、意匠法によりまして登録されたもの以外につきましは、法律問題としては一応問題にならないという考え方に対しまして、ことにイギリスあたりの考え方におきましては、登録を受けたもののみが尊重さるべきではなくして、新たなる考案である限りそれは事実上尊重さるべきであるという考え方が、日本では想像できないほど強いのでありまして、そこらの観念の相違も若干影響しておるように考えられます。
先般、資料でお出しいたしましたときに書きましたように、これはしかし、いろいろ争っておりましても、国際的な問題でございまして、いろいろ理屈をこねましても、結局非常に海外で評判をそこなうということでは困りますから、政府といたしましては、法令上の盗用意匠につきましては、これを輸出商品に引っかけまして一々検査をするとかという態勢をもとっておるのでございます。意匠盗用は輸出入取引法によりまして、不公正取引として規定いたしております。戒告あるいは輸出停止の措置も行う態勢をとっておるわけでございます。政府の何らかの手落ちでこういう問題があるのではないかという御質問に対しては、そういうことはないように考えております。
しかしながら、なお積極的に、ただ法令上の措置だけでは不十分でございますので、繊維雑貨等の意匠センターにつきまして補助金を出すとかという積極的な助成策によりまして、一方、輸出入取引法によりまして輸出業者に協定を締結させまして、輸出する場合意匠につきましては一々意匠センターに届け出て、その確認を受けた上で輸出する。意匠センターにおきましては、内外の意匠を数多く集めまして、それと照合してそのおそれのないものだけを輸出するという措置をとることにいたしたわけでございます。
このように非常に、四、五年前にはイギリスの業界全体対日本の業界全体として、大きな政治問題にまで意匠問題がなったわけでございますけれども、最近におきましては、先般お答え申し上げましたように、時々そういう個々的な苦情が出る程度でございまして、全業者全体、全業界全体として国際的な問題になるというような、一時のような重大な時期は過ぎ去った、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/21
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022・田畑金光
○田畑金光君 今の御説明によりますと、日本のように意匠法に基いて登録したものに限るという商慣行と申しますか、処理の方法と、イギリスのように新しく考案されたものがすべて適用されるのだというこういう考え方、非常にこれは、まあ成文法あるいは不文律というような、根本的にこう違ってくるわけですが、今の国際的な商取引と申しますか、商慣行としては、どういうような考え方が支配しておるのか、それを一つ御説明願いたいと思いますが、根本的にどうもこう考え方が異なっておる、そういう考え方のもとで激しい今後の国際的ないろいろな取引関係、競争関係を考えた場合、あるいは現在はさほどの問題が起きていないかもしれないが、また将来そういうような事件が再発するようなことも考えられますので、その点はどうお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/22
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023・伊藤繁樹
○説明員(伊藤繁樹君) 先ほどお答え申し上げましたように、理論としてはいろいろ考え方があると思いますけれども、実際問題といたしましては、現実にこの問題で一時非常に国際的な問題を惹起しておったわけでございますので、私の方といたしましては、その紛争を避けるという趣旨で指導して参ったわけでございます。従いまして、現在政府なり業界なりでやっておりますやり方は、意匠権のあるもののみを避けるという行き方でなくて、できるだけ創意工夫を侵さない、他の国の業者が考案した意匠は侵さないでいこうという態勢でいっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/23
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024・田畑金光
○田畑金光君 この間、通商局からいただきました外国意匠の盗用防止措置についてという資料を拝見いたしますと、最近起きました事例があげられておりますが、その中で特に東南アジア向けについては、香港向けが過半数を占めておる、こう書いてあるわけです。これは香港向けが過半数を占めているというのは、集中しているということになるわけでありますが、何か自由貿易港というような関係で、こういうようなことになっておるのか、どういう理由によってこういう事態が発生しているのか、その辺一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/24
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025・伊藤繁樹
○説明員(伊藤繁樹君) これは特別の意味はないと考えますが、東南アジア貿易につきましては、香港を経由して参りますものが相当ございますので、そういう意味で数が多いだけで、特別の意義はないように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/25
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026・田畑金光
○田畑金光君 香港向けの輸出入というのは、一体日本の現在の輸出入貿易関係でどの程度の割合によっているのか。ことにこれは、最近の傾向を見ますと、中共の繊維品等が香港を通って東南アジアへ相当に流れている、あるいは進出している、こういうことを聞いておるわけでありますが、この香港経由の日本の貿易関係というものは、どういうふうな実績を示しておるのか、まず一つその辺から、これを政務次官の方から、非常に詳しいこの道の大家のようでありますので、一つ教えていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/26
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027・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 割合の問題でありますが、日本の輸出が、一九五六年におきましては輸出総額二十五億九千七百万ドルに対しまして、香港向け輸出が一億二千八百六十五万八千ドル、こういうふうな数字になっておりますので、比較的その地位は大きくはないのであります。輸入につきましては、総額三十六億二百五十万ドルばかりでありますが、香港から入りました輸入品は二千三百四万六千ドル、こういうふうな数字になっておりまして、輸出と輸入とのバランスから申しますと、香港貿易におきましては、日本からの輸出が非常に多く占めておる、こういう数字に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/27
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028・田畑金光
○田畑金光君 これは、輸出を見ますと、一億二千八百六十五万ドルですか、一九五六年。しかし、この額から申しますと、現在の中共貿易の額から比較いたしました場合に、これは相当な比率を占めておると言えると思うのです。香港経由の貿易というものが、これは日本の今後の貿易関係から見ました場合に、ふえていく傾向にあるのか、あるいは漸減の傾向にあるのか。これはまあ、香港というルートを通すというのは特殊な問題があると考えるわけですが、その辺の事情はどうなのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/28
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029・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 対香港貿易の将来の伸び方の問題でありますが、私は率直に申しまして、香港の地場消費、あるいは地場生産品の対日輸出というようなものだけを考えますと、それほど大きくはならぬと考えるのであります。それで、ただ日本の商品の輸出につきましては、大陸への経由輸出あるいは東南アジア諸地域への経由輸出ということがございますので、この面が相当大きな分野を占めておるのであります。そこで、今後日本の輸出事情、たとえば中共との問題、あるいはその他東南アジア地域との関係というものの取引がうまく参りまするならば、寄港経由輸出というものは自然に私は少くなる、こういう傾向を持つのではないかと思うのであります。ただそこで気をつけなければなりませんのは、香港が自由港であり、為替操作が非常にやりいいと、こういう問題がありますので、この経由輸出という問題は、その問題から、今後なお相当な位置を占めていくのではないか、こういうふうに私は見ておるのであります。
で、輸入問題につきましては、いろいろな事情がございますが、香港から日本へ輸入がふえてくるということは、私は大きく期待できぬと。結局、たとえば中共なり、あるいは東南アジア諸地域との貿易がはっきりして参りますれば、当然直に来る。そこを経由することによって、それだけシフ価格は高くなるのでありますから、この地場製品以外のものはあまり多く日本へは来ないのではないか、こういうふうな考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/29
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030・田畑金光
○田畑金光君 今、政務次官の御答弁のように、今日まで香港貿易が相当額に上っていたのは、対中共あるいは対東南アジアの問題において、日本の政治的ないろいろな制約から、期待通りの貿易をすることが困難である、そういうような事情が、結局香港経由という形をとったのだろうと思うので、従ってそういう意味におきましては、将来の対香港貿易というものは、それほど大きな期待が持てないとわれわれも判断いたしますけれども、ただいまのお話のように、自由港であるというような点から、為替取引の問題等からこうなっていくと思うのですが、まだまだ香港との関係というものが必要であろうと思うわけでありますが、この対香港貿易関係というものは、これは為替、貿易その他どういう関係——関係と申しますか、どういう工合になっているのか、その他の諸国との取引関係とどういう違いがあるのか、もう少しその辺の事情を詳しく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/30
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031・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 香港は、御承知の通りに、日本のオープン・アカウント決済を認めている地域でございませんで、純粋に輸出入がボンド決済でございます。いわゆるLCを中心にいたしまして、DA、DPというふうな条件で決済をいたしておりますのが、通常の形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/31
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032・田畑金光
○田畑金光君 先ほどもちょっと政務次官のお話の中にありましたが、中共の最近の商品というものが、もう第二次建設にも入って、特に軽工業あるいは雑貨工業、日本の一番お得意として考えられていたような自転車とかミシンとか、こういうようなものも自給し、あるいはそれがすでに東南アジア等に進出しつつあると、こう聞くわけでありますが、この香港経由の貿易というものが相当な量になりつつある。まあ香港は、今のような状況で見ますと、政治的にもそうでありますが、経済的にもやはり中国大陸の一環に、やがては質的にこの数年のうちに変っていくのじゃないか、こういうような見方等もされているわけでありますが、今この中共の進出というものは、香港を舞台にしてどういう方向に進もうとしているのか、進みつつあるのか、その辺一つ、政務次官からお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/32
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033・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 中共生産品が香港を経由して他地域へ伸びていく姿でありますが、この点につきまして私は実は詳しいことを存じません。ただ、新聞あるいは雑誌等に、そういう傾向が強まりつつあるということは言われている。御指摘のような自転車というような軽工業品、軽機械製品が出ているような記事は、出ていることを見たことはありますが、はっきりしたことは私は存じません。
ただ、ほんとうに中共の製品が出ていくといたしますれば、こういう自由港を通じなくて上海なり、あるいは天津、大連というような所を通じて、直に出るということが私は自然の姿だ。そういう点から見ますれば、過渡的に香港を経由して行くということが行われましても、このルートが中心的なルートになって、中共製品が海外へ出ていくというふうには、私どもは想像できぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/33
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034・田畑金光
○田畑金光君 この資料によりますと、この意匠盗用を犯したのは「取扱業者の大部分は、中流以下と思われる。」、こう述べておりますが、中流以下の業者が多いというのは、これはどういう事情によるのか。常識的に判断すると、さもあらんということもうなづけますが、もう少し経済的に、どういうような事情で中流以下の業者が、この意匠の盗用もあえて犯さなければならないのか、この辺をもう少し具体的に御説明願えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/34
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035・伊藤繁樹
○説明員(伊藤繁樹君) いろいろ理由はあると思いますが、根本的には、やはり中小規模の商社におきましては、意匠に関する調査、そういうものを十分研究する余裕がないということが根本原因であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/35
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036・田畑金光
○田畑金光君 数十万をこえる外国の意匠、商標があってこれを侵害しないということ自体に無理があるように感ずるわけでありますが、先ほど来の説明によりますと、意匠センターを設置して登録をする、行政的な検査の名において調査するとか、あるいは輸出入取引法によって取締りを加えるとか、いろいろな御説明もあったわけでありますが、この数十万をこえる外国の意匠、商標を盗用しちゃならぬといっても、実際問題として非常に技術的に困難なような感じもするわけですが、これでもって侵害を完全に阻止することが果して可能なのかどうか、この点一つ、官房長から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/36
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037・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 先ほど来御説明いたしましたように、従来日本の取扱いは、意匠権として正式に登録されているもの以外は侵害は成り立たないという考え方でやってきたのでありますけれども、実際上は、先ほど通商局次長から御説明いたしましたように、そういうことでは通らないということになりまして、これも従来から御説明しましたように、デザイン・センターというものを繊維と雑貨と陶磁器と三つ作りまして、そこに従来しばしば問題になったような、いわば有名なデザインというものは全部登録をするようにいたしました。それから積極的に海外で人気があると申しますか、そういうようなデザインも集めまして、これに登録をする。それから日本の業者が発明したと申しますか、作りましたデザインで有望なものはそれに登録するというような、まあいろんなソースからの有望なデザインというものをまとめて登録をしまして、特にデザインの指定をされて注文されたものを輸出する場合には、必ずそれに問い合せをして、そして重複しないということを確認した上で輸出するようにという指道庁を行なっております。
それからもう一つは、実は海外からの注文に際してデザインを指定してくる例が多いわけでありますが、その場合には、もしそれが模倣その他トラブルを起した場合には、オーダーの責任において処理をしてもらうという条項を、契約書に取りつけるようにという指導もいたしております。
しかし、これはお話のように、非常にデザインというのは、それは考え方によってたとえば陶磁器なら陶磁器だけをとりましても、何十万も何百万も、考えようによってはあるわけでございますから、それを全然一切そういう問題が起らないようにということは、実は非常に困難であります。ただ、今までの盗用の実例では、たとえばこの前イギリスの戴冠式がございましたが、そうしますと、その王冠を入れたデザインでイギリスで非常に、何と申しますか、流行しているデザインがあるといたしますと、それをまねて作れというような注文が多い。また、そういうものをまねて作ると非常に大きな問題になるということでありまして、非常に人気のあると申しますか、流行しておるデザインというものをまねるのでない限り、あまり問題が起らないし、またそういうものでない限り、注文者の方から積極的にこういうものを作ってくれと言ってくることもございませんし、また日本のメーカーも意識的にまねて出すという場合も、そういった人気のあるデザインしかまねるということはないわけでございますので、今のようなやり方で実質的にはその大部分はカバーできるものと思います。しかし、それで理論的に全部を完全に一切そういう問題が起らないようになっておるかと申しますと、そういうことには、今申しましたような関係で、なり得ませんし、またやろうと思っても不可能で、海外のあらゆるデザイン全部を収集することは、これは不可能でありますから、不可能でございますけれども、実質的にはこれで大部分、今のような措置が十分徹底いたしますれば、防止し得るのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/37
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038・田畑金光
○田畑金光君 今のお話の通りだと思いますが、この問題をあまり厳重に業者をしばる、行政指導の面から、あるいは法の発動でしばるということになってきますと、日本の貿易産業等にまたかえって消極的な沈滞化を招くという、どうも危険もなきにしもあらずという感じをいたしますが、この辺の配慮についてはどのように処理されておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/38
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039・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) これは、模倣と申す場合に、どの範囲までが、そのデザインを従来使っております業者のいわば独占的に権利とみなさるべきもので、どの範囲が、特許の言葉で申しますと、公知公用のものかということが、実はしょっちゅう問題になるわけでございまして、たとえばライターのデザインというようなものを例にとりました場合に、たとえば、ダンヒル型の細長い四角なデザインがございますが、こういったものは、ダンヒルが作ったことは間違いないことでありますけれども、もう数十年も使われておりまして、従ってこういうものはダンヒル型そっくりそのままをまねたような形のものが出ましても、それがデザインの盗用とは言えないのじゃないか。しかし、そのダンヒルの例をとりましても、新しい型をだんだん作ってくるようでありまして、これが最近四、五年前にたとえば作って売り出したもので、それが非常に当っておるというようなものをまねて出しますと、それが盗用問題が起る。その辺、一体どこまでが公知公用か、どこまでがその本人の権利を認むべきかということにつきましては、非常にはっきりした基準があるわけではございませんが、具体的の問題が起りました場合には、大てい大公使館、領事館というところを通じまして外国からクレームが来るわけでございますが、その際に政府としてはそれを調べましてこの範囲まではこれは当然公知公用で、模倣問題ではないじゃないかということを先方に言ってやる。それ以外の部分については、これから先の部分は今後まねないように日本政府としては取り締るというようなことを、個々のケースで判定いたしまして回答を出しておりますが、現実問題としては、大体それで、全然新規の新しいものを模倣をやめてくれれば、前の古いものはかまわない。さっき申しましたダンヒルのケースなどでも、結局そういうことで先方のメーカーも了承して解決した。非常に、何と申しますか、アトランダムの、はっきりした線がないのではないかというようなお考えもあるかもしれませんが、実際問題としてはそういうようなことで解決していく以外には、どうも方法がないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/39
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040・田畑金光
○田畑金光君 この繊維とか陶磁器、雑貨について意匠センターが設立され、国内的にはこの機関を通じて盗用防止等をやっておられるわけでありますが、これは最近設立されたわけですか、それとも、今まではこれはどうなっていたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/40
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041・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) これは昭和三十一年、一昨年に設立されたものでございます。繊維の方はちょっと早かったと思いますが、その前年だったかと思いますが、いずれにいたしましても、デザインの盗用問題が非常にやかましくなりましたのは、ここ数年のことでありまして最初は繊維関係に非常に問題が多かったものでございますから、まず繊維の方で銘柄というようなものを政府できめまして輸出承認の際にチェックして出しております。そういうことを通産省でやるということは非常に手数がかかりますし、また十分なことはとてもできませんので、公益法人の意匠センターというものを順次作りまして、そこで政府の方もある程度の援助をいたしまして、そこで資料を整備して、チェックをしていただくということになってきたわけであります。陶磁器とか、雑貨とか、問題が起りますつど、だんだんそういう資料を整備して、今のような形になってきたのでございまして、今後も大体デザインの問題が起りますものは、今申しました三つの業種、もっとも雑貨あたりはまだ集まった資料は比較的限られておりますけれども、しかし、これは問題を起しましたような業種につきましては、だいぶ整備が進んで参りましたので、今後はこの点はだいぶ改善されるものとわれわれは期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/41
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042・田畑金光
○田畑金光君 国内的にはこういう機関の設置によって大いにやってこられたわけであり、これからもまた相当期待もできると思うのですが、外国で現実に、たとえばそういう盗用があって問題を起した、こういうような場合、問題が発生して初めてあわてるというのじゃなくて、明前に、まあこういう海外の経済とか、あるいは日本の商品の進出とか、こういうような点を事前に調査する、把握する、こういうような機関として、通産省あたりからそれぞれ各地に、外国に派遣しておられると思うのですが、それはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/42
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043・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 通産省から大体三十人程度の人間を在外公館に派遣いたしておりますが、これはもっぱら貿易通商協定の関係でございますとか、あるいは一般的な経済調査でございますとか、あるいは貿易業者の指導というようなことをやっておりまして非常に多量に上ります日本の輸出商品について、一々デザインを調べて通報するというほどの能力はございまけん。三十人でございますから、おもな所へ二人くらい、あとは一人くらいずつしか入れておりませんので、とても間に合いませんが、これは別に、先ほど申しました各デザイン・センターから海外の方の、たとえばジェトロのような機関に照会をしまして、その土地で流行しておるデザインというものはできるだけ集めるようにいたしております。それからまた、ジェトロの方も積極的にそういう情報を収集しまして、内地の業者に連絡をして、問題を起さないようにという努力はやっておりまして、こういうものは急に集めるということは非常に困難でございますけれども、逐次そういった資料を整備して将来問題を起す可能性もだんだん少くしていこうというように努力しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/43
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044・田畑金光
○田畑金光君 相手方の、バイヤーの希望というか示唆というか、申し入れ等によって、こういう意匠盗用が起きた事例も相当あった、こう資料には述べておりますが、これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/44
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045・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 先ほど、ちょっと、王冠じるしのデザインのことを申し上げましたが、ちょうどこの前イギリスの戴冠式がありましたときに、戴冠式の模様をデザインにしたものがイギリスで非常に流行したそうであります。そうなりますと、日本で作りますと同じものが非常に安くできますものですから、向うからちゃんとこういうふうに作ってくれという注文をつけまして、日本に注文がある。そうすると、一般の中小メーカーなんかは、それがロンドンで非常に流行しておるのだということを全然知らないものですから、これはいい輸出品が作れるというわけで、黙って作って出す。向うへ出て初めて、それが模倣意匠だということで、非常に問題になっておるというケースが典型的なケースでございます。
それから、ダンヒルのライターの問題がございましたが、これなんかも、向うの業者からダンヒルのモデルを示してきまして、こういうものを作ってくれと、ちゃんと紙に印刷したものが、書いたものがこっちへ回ってきておりまして、われわれが調べましたときにも、そういう刷ったものがありましたけれども、そういうダンヒルを作れば一個何ドルというようなものでございますけれども、日本の中小メーカーに作らせれば、グロス幾らだというように、大体アメリカの十分の一ぐらいの値段で作りますので、そういうものを作らして、まあダンヒルと間違えそうなところに並べて非常に安く売るというようなことで、トラブルを起すわけでございます。
大体今までのケースは、ほとんどそういうようなケースで、先ほどお話がありましたが、要するに、相当その土地で流行して、非常によく売れているというものを、日本に注文すれば何分の一かでできるものですから、先方の悪徳商人だろうと思うのですが、それがそういう注文をよこす。日本の業者は、何も知らないでそれを作って出すと、非常に先方で紛争を起すというようなことであります。従って、先ほど申しましたように、こういうものは大体、ほとんどまあ外国の商人から直接注文があって出すということでございますので、われわれとしては、特に雑貨については流通系統の確立といいますか、従来の取引先をできるだけ集約して整理をしまして、信用の置ける取引先に整理するようにということは、しょっちゅう書っておりますけれども、しかし、新しいバイヤーが来た場合に、それの輸出を高めるというわけにはとても参りません。また、そうでない場合がたくさんあると思いますので、結局先ほど申しましたように、外国からデザインを指定して注文があった場合には、もしトラブルを起したならば注文者が責任を負うというような約款を取りつけるということと、それから、あやしいと思った場合には、必ずデザイン・センターに照会をして、それが抵触しないという確認をした上で輸出するようにという指導を行なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/45
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046・田畑金光
○田畑金光君 まあそういうように、外国のバイヤーが特に注文をして、そうして生産をさした。そして海外の市場に日本のまねた品物が出ていった。そうした場合に、問題が起きたからいろいろこれは奔走を行うわけですが、その際はだれがその損害を負担するのか。結局向うで問題を起した場合に、意匠盗用だとか、こういうようなわけで、流通面で押えられると思うのですが、そういうような場合には、先ほどの御説明によりますと、最近の取引契約では発注者に、バイヤーに責任をとらす、こういうようになっておりますけれども、現実には一体だれが責任を、その損害を負担したのか、負わされたのか、従来の実績を一つ述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/46
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047・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) これはもう当然向うのマーケットに売った者及び生産した者が、私法上の関係で損害を賠償するということになるわけであります。その辺、その関係は、通産省としては直接その面はタッチいたしておりません。大ていの場合に、新しく今後そういうものの製造を取りやめるということ、それから責任者をはっきりさして、特に先方が求償を要求してきた場合に、だれに交渉したらいいかということを明らかにさせる、そこまでは役所の行政措置として、そこまでの準備を、処理はいたしますけれども、それから先、具体的に金銭上の処置になりますと、役所の方から積極的に介入したりあるいは調停したりするという例はありませんで、大きな問題ならば、先方の弁護士や何かが中に入って解決するようでございます。場合によっては、国が中に入って解決するというケースもございますし、今後やむを得ない、あるいは輸出した品物でまだ売れていない部分をたとえば破棄したり送り返したりするというような措置だけで解決するような場合もあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/47
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048・千葉信
○千葉信君 議事進行について。定足数を欠いております。委員長、善処してもらいたいと思います。会議続行不可能です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/48
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049・永岡光治
○理事(永岡光治君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/49
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050・永岡光治
○理事(永岡光治君) 速記を起して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/50
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051・田畑金光
○田畑金光君 資料をお願いしたいと思うのですが、先ほどの政務次官の御答弁で大体わかりましたけれども、香港と日本のこの数年間の輸出入関係の実績というものと、それから現在の香港貿易というものがアジアの諸国の貿易関係に占める地位と申しますか、そういうような点を、一つ調査の上、次の機会に資料として、あるいは次官の方から詳細な御説明をわずらわしたい、こうお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/51
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052・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 資料の第一段は非常に具体的でよくわかるのですが、第二段の御要求の資料は、香港貿易のアジア諸国における地位と申しますと、どういう観点から御説明申し上げたらよろしいのか、一つその点、具体的にお話し下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/52
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053・千葉信
○千葉信君 定足数を欠いている委員会を続行してはいかぬですよ。散会して、非公式にやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/53
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054・永岡光治
○理事(永岡光治君) 今資料要求がありましたので……。あとでそれでは田畑君の方から、委員会が終りましたあとで、通産当局に打ち合せをいたしまして、資料の要求をして下さい。
他に御発言もなければ、本案につきましては、本日はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X01219580314/54
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