1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月四日(金曜日)
午後二時二十四分開会
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委員の異動
本日委員野本品吉君、佐野廣君及び大
沢雄一君辞任につき、その補欠として
増原恵吉君、中野文門君及び木村篤太
郎君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 藤田 進君
理事 大谷藤之助君
永岡 光治君
委員
上原 正吉君
木村篤太郎君
剱木 亨弘君
近藤 鶴代君
苫米地義三君
中野 文門君
増原 恵吉君
松岡 平市君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
千葉 信君
田畑 金光君
島村 軍次君
国務大臣
国 務 大 臣 津島 壽一君
政府委員
内閣官房内閣審
議室長兼内閣総
理大臣官房審議
室長 吉田 信邦君
総理府総務副長
官 藤原 節夫君
宮内庁次長 瓜生 順良君
皇室経済主管 高尾 亮一君
防衛庁長官官
房長 門叶 宗雄君
事務局側
参事
(委員部第二課
勤務) 川上 路夫君
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○皇室経済法施行法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/0
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001・藤田進
○委員長(藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。
委員の異動がございましたので、事務当局から報告させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/1
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002・川上路夫
○参事(川上路夫君) 本日、野本品吉君、佐野庸君及び大沢雄一君が辞任されまして、その後任として、増原恵吉君、中野文門君及び木村篤太郎君が、それぞれ選任されました。
以上、御報告申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/2
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003・藤田進
○委員長(藤田進君) まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案、自衛隊法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)を一括して議題といたします。
両案につきましては、さきに提案理由の説明を聴取いたしましたので、本日は、両案の内容について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/3
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004・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) さきに国務大臣から両法案の提案の理由及びその内容の概要について御説明がありましたが、これについて補足説明をいたしたいと存じます。
まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
第一に、定員の改正をいたしました。
自衛官の増員は合計一万七千九百九十七人でありまして、陸上自衛隊につきましては、明年度は特に地区施設隊、ヘリコプター隊、通信部隊、機械化実験隊等の技術を主とする部隊の拡充に努め、また、混成団一、空挺団一、特科大隊一等の新設を予定し、一万人の増員を行うことといたしました。
海上自衛隊につきましては、操縦学校及び整備学校の新設、その他海上自衛隊における教育訓練の充実並びに整備補給等後方業務の拡充のため、千二百九十五人の増員を行うことといたしました。
航空自衛隊につきましては、新設される航空総隊及び航空方面隊の各司令部、輸送航空団、管制教育団等の要員、並びに既存の各航空団、各学校、補給処等の増強のための要員として、六千七百人の増員を行うことといたしました。
自衛官以外の職員につきましても、千二百十九人の増員を見込んでおります。
第二に、防衛庁の内部部局として衛生局を新設することといたしました。自衛隊の隊員の保健衛生及び医療は、自衛隊にとってきわめて重要な問題でありますので、今後、一段と隊員の保健衛生及び医療の充実をはかり、また、病院の運営その他の衛生業務についても、その円滑な運営及び質的な向上をはかるため、この際、これらの事項に関する主管の局を設けたいと考えた次第であります。これによって、従前、人事局が所掌しておりました保健衛生の基本に関する業務と装備局が所掌しておりました衛生資材関係の業務とが、統一的に処理されることとなり、衛生関係の教育訓練、研究調査、病院運営、医官充足対策等に関する諸問題について、今後一そう適切な処理が行われることとなると期待いたしております。
第三に、技術研究所を技術研究本部に改めることといたし致した。自衛隊における装備品等の研究開発の強化のためには、かねて技術研究所の定員を増加し、試験研究用機械器具及び施設を整備する等格段の努力をして参りましたが、この際、根本的に研究開発体制を整備して今後の発展の基盤を作るため、研究開発についての企画、立案、部内業務の総合調整、部外との折衝等を行なって装備品等をまとめ上げる部門と、装備品等についての技術的試験及び調査研究を行う部門とを分離して、それぞれの部門の機能の増強をはかりたいと考え、その名称も、実体にふさわしく技術研究本部に改めることとした次第であります。
第四に、防衛研修所において委託により防衛岸の職員以外の者の教育を実施し、また、防衛大学校において委託により外国人の教育訓練を実施することができることといたしました。これらの規定は、以下において御説明申し上げる自衛隊法の改正規定に対応するものでございまして、自衛隊法の規定により、長官が委託を受けた教育訓練を、それぞれその教育訓練の種類に応じて防衛研修所及び防衛大学校において実施し得ることとするためのものであります。これによって、他省庁の職員等が、防衛研修所における研修を通じて、防衛に関する認識を深める機会を得ることとなり、また、友好諸国との親善関係の増進のため相当と認める場合において、その希望により外国人が防衛大学校において教育訓練を受ける道が開かれたわけでございます。
次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。
第一に、陸上自衛隊の長官直轄部隊として、新たに富山、石川、福井、三重、岐阜及び愛知の各県を警備区域とする第十混成団を設け、陸上防衛力の整備をはかることといたし、その本部は三重県に置くことといたしております。また、航空自衛隊の防空部隊の指揮系統の整備をはかるため、航空集団を航空総隊に改編することといたしております。航空総隊は東京都に置かれる航空総隊司令部並びに北部航空方面隊及び中部航空方面隊から編成されることとなっております。そのほか、航空警戒管制及び航空保安管制関係の運用幹部及び操作員の養成及び補充のために、管制教育団を設置するとともに、航空自衛隊の輸送体制強化のために、飛行隊二から成る輸送航空団を新設することといたしました。管制教育団の本部は宮城県に、輸送航空団の本部は鳥取県に置くことといたしております。
第二に、従前から特定の部外技術者に対しては、他に教育訓練を行う施設がないと認める場合において、委託により、所要の教育訓練を実施して参ったのでございますが、今回防衛庁の付属機関において隊員以外の者について教育訓練を実施することの委託を受けた場合で、自衛隊が教育することが相当と認められるときは、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度で、これを実施することができることとするとともに、これに関連して、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の各種の学校において隊員以外の技術者の教育訓練を実施できるよう規定いたしております。
第三に、消防法について一部を適用除外する規定を設けました。現行消防法の規定中、危険物を貯蔵所、取扱所以外の場所において貯蔵または取扱いをする場合の制限及び夜間において取扱いをする場合の制限に関する規定は、治安出動、災害派遣等自衛隊の行動に際して燃料等の危険物を貯蔵しまたは取り扱う場合においてはその行動の目的と緊急性にかんがみ、また、演習場においてこれらの貯蔵及び取扱いをする場合においても公共の安全に対する危険が一般に認められないという特殊性にかんがみ、これを適用しないことを適当と考えた次第でございます。もっとも、そのような場合においても、人命財産等に対する危害防止に万全を期するため、防衛庁長官が危険物の貯蔵取扱いに関する基準を定める等、必要な措置を講じなければらないことといたしております。
第四に、自衛隊を視察または見学する者に対し、適正な対価で隊員に対すると同一の食事を支給することができることといたしました。これは隊員と食事をともにすることが、隊員の生活に直接接触し、また、隊員と直接話し合うこととなり、国民の宿衛隊に対する認識を高める上にきわめて有効な措置であると考えられるからであります。
最後に、今日なお各地で戦争中遺棄された不発弾その他の火薬類を自衛隊において除去及び処理してほしいという要望もあるので、そのような場合、発見された不発弾等の処理を自衛隊において行い得ることといたしました。
なお、自衛隊法の一部を改正する法律案中第十混成団並びに航空総隊、航空方面隊、輸送航空団及び管制教育団の設置等にかかる部分は、その設置準備のためあらかじめ施行日を規定することが困難でありますので、政令で定める日から施行することといたしております。
以上をもちまして補足説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/4
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005・藤田進
○委員長(藤田進君) それでは、両案につきましては、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/5
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006・藤田進
○委員長(藤田進君) 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行います。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まず、皇室経済法について二、三お伺いしたいと思います。
第八条を見ますと、皇室経済会議について、議員八人で組織するとして、それぞれ特定な人があげられておるわけですが、同じこの第九条を見ますと、「予備議員八人を置く。」という項があります。さらに、第十一条第二項では、大蔵大臣たる議員の予備議員は大蔵事務次官、それから会計検査院長たる議員の予備議員は総理の指定する会計検査院の官吏と、特に二つの職名についてだけ予備議員をここで特定な方を設けておりますけれども、他の方方の予備議員については別に特段のきめがないようです。これはどういうわけですか、まずその点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/7
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008・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) これは、この行政府の関係の大蔵大臣、そういう方はやはりその関係の仕事で加わっておるものですから、それでまあその要務次官をとり、それから会計検査院長もやはり会計検査院の立場で議員に加わっておられますので、その会計検査院の官吏の中から適当な人をその予備議員とする。他の方の議員の関係でありますと、これは議会の方でこの予備議員をお定めになります。ですから、それはその方で、大蔵大臣とか会計検査院なんかとは違うというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 同じく第六条第三項の第四号を見ますと、これは前回矢嶋委員からいろいろ御指摘した点ですが、親王、内親王との差額等について詳しく御質問がありましたので、同じことを繰り返したくありませんので、それは避けるとして、新たにこういう項があるのですが、たとえば第六条第二項第四号で、それぞれ独立の生計を営まない場合には定額の十分の一とあるわけですね。ところが、これをさらに検討いたしますと、たとえばお生まれになってまだ間もない幼児のころも十分の一であるわけですね。また、たとえば学習院大学へ通学なさるとか、そういう年代になっても十分の一。これは私どもの家庭においても、子供は小さい幼児のころと大学へ入るころについては、相当学資等についても差額が出てくると思うわけですね。そういう実質上実情に沿うような面は少しも考慮されていないということが言えると思うのですけれども、この点について次長のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/9
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010・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) これはいろいろこまかく、それぞれのお子さんについて考えますると、その年令とか、またいろいろな事情で、実際に要ります経費は違う場合もありましょうが、しかし、一応積算の基礎としては、同じように十分の一というふうに、一括して簡単に計算できるような数字を出した方がいいというようなことでやっておるわけで、実際の場合には、あるいはある方はたくさんいただく、ある方は少くいただくということはありましょうけれども、なかなかそれは一々調べてということはむずかしいものですから、規則としてはこういう標準をきめておいた方がよかろうということで、こうなっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、皇室典範の第二十二条を見ますと、御承知のように、「天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、十八年とする。」と明確にあるわけですが、なお、これに関連して、民法の第三条を見ますと、「満二十年ヲ以テ成年トス」、これは御承知の通りなんです。そこで、お伺いしたいのは、この成年というのは、言うまでもなく、心身の発達がある一定の基準に達した、そうして能力者になった、そういう意味であろうと思うわけです。ところが、この民法では二十年とし、皇室典範では十八年としておる。結局、新しい憲法下においてこういう矛盾があるということは、いろいろと支障があろうと思うわけで、まずこの点、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/11
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012・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この点は、先日も他の委員会でお話があって、長官からもお答えしているのでありますが、これは、天皇が事故のあります場合に摂政を置かれるという規定があります。その場合には、皇太子が成年に達しておられれば摂政になる、そうでない場合は他の方というふうに規定がありまするが、もし天皇が十八才未満の場合もこれは摂政の関係がありますが、天皇の場合ですと、十八才に達せられるならば摂政を置かれなくともいいので、なるべく摂政を置くような場合を少くするということ、それから摂政になられる方が皇太子の場合も、皇太子があれば、十八才になっておられれば摂政にするというふうにした方がいいので、従来から十八才に達せられるならばそういうようなお役をなさるには差しつかえなかろうというふうに判断されておりますので、そういう関係から民法の方とちょっと違いまするけれども、十八才ならばそういうようなお仕事をなさるにはよかろうということで書いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは衆議院の内閣委員会での御答弁の中に、この十八才にしたということは摂政の問題からということも相当あったと思うのですけれども、ところが、摂政という役は非常に大事なわけですね。それを、まだ心身の発達がある基準に達しないそういう年令であって、なお摂政という大任を負わせるということは、人道上から考えても非常に過酷ではないか、そういうふうに考えられるわけです。この点、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/13
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014・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 十八才に達せられるならば差しつかえなかろうというふうに判断をしておるわけですが、特に現在の憲法では、天皇あるいはその事故ある場合の摂政は、国政を決定される、そういうことをなさるのじゃなくて、儀礼的なことをなさるのですから、そうむずかしくもなかろうというので、十八才になられるならば、現在もそういうようなお仕事をなさるにはもうよかろうという判断であります。むずかしい取引をするというような民法の関係とは、違うというようなふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 皇室の場合は満十八才で、一般国民の場合は二十才でということでありますけれども、皇室の場合ならば十八才でも差しつかえないということはないと思う。特に主権在民の新しい憲法下において、この皇室典範と民法とがかくのごとくはっきりと食い違っておるということは、非常に問題だと思うのですね。こういう点について今後これを調整をはかるという必要を感じておりませんかどうか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/15
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016・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 先ほども申し上げましたように、民法上のいろいろむずかしい取引をするとかいうような、そういうようなものとも違いまするので、十八才になられるならば、相当もう御成長をなさっておるわけですから、差しつかえないのじゃないかというふうに考えておるわけであります。その点は、特にいろいろお仕事なさる場合においては、これは補佐する人もたくさんおりますし、差しつかえないというふうに考えておるわけで、すぐにこれを改正せなきゃいかぬというふうには感じておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、内廷職員について概要の点をちょっとお伺いしたいと思うのですが、内廷費で雇っておられる内廷職員ですね、これは前の説明で大体二十四名と承わっているわけですが、掌典が四名、内掌典が六名、生物学研究所職員四名、それからいわゆる雑仕といいますか、女中のような人が十名、そういうことはわかっておるのですけれども、職種別の給与額が大体どのようになっておるか。もちろん、ここで詳細がお手元になければ後ほどでもけっこうですが、こういう資料がぜひほしいと思うのですが、これは今ございますれば、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/17
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018・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 職種別のこまかい数字はここに持っておりませんですけれども、平均を申しますると、二十四人の内廷職員の一人の年平均額は十九万三千七百五十円でございます。これを一カ月にいたしますると、一万六千百四十六円ということになります。各職種別のは、今ちょっと手元に資料がありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、次回でけっこうですが、職種別の給与額ですね、この職は何名で幾らと、そういうふうに区分して資料を御提出いただきたいと思うのです。
次に、内廷職員で宮内庁から行っておる方はないのですか。この点をお伺いしたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/19
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020・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 宮内庁からというお尋ねは、宮内庁は国家公務員であって、内廷職員と申しますと国家公務員とは画然と違いまするので、内廷職員は天皇によって使用され、給与も内廷費から出ますから、宮内庁の職員ですと国家公務員で、国の公務員で、給与は国から出ますから、その点は画然と分れておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、各宮家で皇族費でいろいろな方を雇っておるわけですが、たとえば侍女とかコック、別邸の管理人、看護婦、こういう方々を雇っておるわけですが、ここでまた、ぜひこういうような資料がほしいと思うのですが、おわかりなら今承わりたいと思います。この職種別の人員、それと給与額、こういうものについて、今先ほどお伺いしたと同様な意味で、各項目別にお伺いしたいと思いますが、お手元にあれば承わりたいし、なければ次回でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/21
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022・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その給与のこまかい点は、ちょっと手元にありませんですけれども、数字は、秩父宮家では七人、高松宮家は五人、三笠宮家は九人、その中には、先ほど申されましたように、侍女ですとか、コックですとか、別邸の管理人、それから女中、それから宮家によりますと研究室の助手、これは三笠さんですが、それから看護婦とか そういうような人を雇っておられるのですけれども、こまかい給与とかそういうものはちょっと手元に持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、お伺いしますが、現在各宮家の職員として宮内庁から行っておる方は、事務官一名とか、運転手一名、そういうように記憶しておるのですが、これはそれだけであって、そのほかにはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/23
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024・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) そのほかにはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、内廷費、皇族費の増額の理由の一つとして、この要旨の中に交際の範囲と内容の拡大ということをあげておられるわけですね。こういう点から内廷費とか皇族費の増額が必要だと、全部ではないが、一部そういう理由としてあげておられるわけですね。そこで、宮廷費の中に交際費というのがあるわけですね。これが三十二年度と三十三年度とを比較いたしますと、前年度よりどのように増額しておるわけですか、これをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/25
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026・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 宮廷費の交際費は、前年度よりたしか減っておると思います。六十万円ですか減っております。昨年度が、交際費で、これは主として皇族さんの関係でありますけれども、いろいろ公けの交際の場がふえてくる。これは、皇族さんの服装あるいはその飾りというようなものが、どうもお粗末だというようなことで、服装をととのえなければならないというようなことで、そういうような関係で、昨年そういうものをととのえられた。一応ととのえまして、臨時費的にあったものを落しまして、三十三年度から経営的にそれをいろいろ取りかえ修理する、または新しく作られるものももちろんありますけれども、臨時費的に、一時に作られたようなので、ふえた分と考えられるのを落したために、交際費が減っておるわけであります。
なお、この皇族費の方で、この服装をととのえられる面がもちろんあると思います。で、公式に宮廷費から出してもいいものでととのえられたことのほかに、大公使とのいろいろなパーティとかレセプションとか、それは必ずお出にならなければならぬという義務的なものではないかもしれませんが、しかしながら、実際はやはり交際上お出になっていくことがお互いの親善を増すことになっておりますので、よくお出になっておりますが、そういうような関係で、いろいろまたととのえられる必要がありますので、公式にととのえられたそれをお使にいなることもありましょうけれども、そのほかにいろいろ準備をなさる、そういうのは皇族費の方の増額をしていただく分として考えていこうというので、お願いをしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/26
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027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今の御説明ですが、一応わかるわけですけれども、しかしながら、交際の範囲と結局内容の拡大ということを理由にして、内廷費、皇族費の増額を要求しておられるわけですね。ところが、宮廷費の中の交際費は逆に前年度より本年度は落しておる、そこが非常に矛盾しておるわけですがね。ただ、昨年の面が臨時費であった、臨時的な支出であったから、そういうようなことになる。一応話がおっつくようでありますけれども、本来の筋からいうと、どうも納得できないと思うのですがね。その点をいま一度、一つ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/27
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028・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 臨時費的な経費は、大蔵省の方でいろいろ予算の査定を受けるわけですから、そういう場合には、臨時的なもので本年も引き続き要らないものならば減らそうというので、そう宮廷費の面では減ってきておるのです。で、しかし、交際される範囲、つまり交際する国の数はだんだんふえております。それから、お互いに呼んだり呼ばれたりというようなこと、あるいは最近は各国からお客に来られる国賓、あるいは国賓まで至らないが大事な客が来られるという数もふえておる。そういう人の接待の仕方、公式のほかになお、いろいろな国に行きますと、そういう国によりますと、どこの国でこういうおもてなしを受けたというようなことがありますと、公式ではないが、私的に芝居に案内されるとか、ちょっと簡単に食事をされるというようなことも、各国とのつき合い上、振り合い上なさらなくてはいけないという面もありますので、そういうのは公式の分ですと宮廷費の方でまかないますけれども、そうでないのは皇族費の方でまかなうということで、従って、皇族費もそういうような交際をなさるための経費もやはりかさばってくる。従って、それの増額の理由としてあげておるわけであります。それだけが理由ではありませんけれども、それも理由としてあげておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/28
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029・伊藤顕道
○伊藤顕道君 来年度の予算を見ますと、東宮御所の新営費として八千三百万が計上されているわけですね。そこで、この際東宮御所の造営計画を一つ、概要でけっこうですが、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/29
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030・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 東宮御所は現在は渋谷の常盤松のかりの住いで、これは元東伏見家であった建物でありますけれども、そこにお住まいになっておりまするが、建物も相当古くなっておりまするのと、また、だんだんいろいろお客が見えるようになり、お客を接待されるにしては部屋も狭いし、どうも十分でない。なお、将来東宮妃をお迎えになれば、なおさら狭いし不適当だということで、この東宮御所の新営を予算でお願いしたわけであります。その場所は大宮御所のありました跡、青山の大宮御所のありました跡のあたりを考えております。
で、現在、この大宮御所というのは貞明皇后さんがお住みになった所ですが、お住みになっていた部屋の中のいい部分の一部は、今、前高松宮さんの屋敷であった所を一部移したのですけれども、もう貞明皇后さんがお使いにならなくなったので、ちょうど今光輸閣の裏にシルク・マンションですか、絹の織物の展示場があります。そこへ払い下げになってそれを移しておりまするから、そのあとは一部残っておりまするけれども、古い建物で、これを壊しまして大体その跡へ建てる。
坪数にしまして、殿下の公けにお使いになる所、並びにお住まいになる所が合せまして約六百坪、それから事務の関係で東宮大夫とか、侍従とか、それから事務官、それから女官、それからコックとか運転手とか、そういういろいろの人の事務室の関係、それから料理を作る料理場の関係の建物、車庫を置きますから車庫の関係、それから冷暖房、控えの間、そういうような事務室並びに付属の施設が約五百坪であります。合せますと約千百坪になります。それくらいの計画で作ろうということで、今年度にはまず設計をやりまして、なおその設計に基いてこの秋ごろから工事にかかり、今年はこの基礎的な工事だけで、来年はさらにその仕上げをして、来年度中にはこれを仕上げるというような計画でおるわけであります。そういう次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/30
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031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 一応わかりますけれども、まだ大事な点が御説明がないのですが、たとえば建坪がどのくらいとか、建築費がどのくらいとか、そういう起工をいつやって、予定はどのくらいで完工か、そういうような大事な点が御説明がないのですが、その点、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/31
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032・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 建築費の関係は、三十三年度は八千三百万ですけれども、なお三十四年度に残りの部分、両方三十三年、三十四年を合せますと二億三千万円の経費というのでありまして、そのうちいわゆる御殿まわり、先ほど申しましたが、皇太子殿下が公けにお客をされたりする公けの部屋、それからお住まいの部屋という、いわゆる御殿まわりが約六百坪で、その経費が一億五千万円。それからこの事務室並びにいろいろ付帯施設、そういうものが約五百坪で、これが五千万円。合せて建築費が二億円になります。あとの三千万円の方は、この敷地の整備とか動力費、ガス水道等、屋外設備に要するような経費、そういうようなものが二千三百万円になります。なお、次に、設計をしたりその他の費用が七百万円、全部合せますと、それが二億三千万円というふうになるわけでありますので、そういう計画で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/32
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033・伊藤顕道
○伊藤顕道君 昨年の十一月五日に、宮内庁の瓜生次長が宮内庁記者団との会見で、こういう点を明らかにしておられるのですね。瓜生次長としては、この際はっきりさせておきたい、そういうことを前置きにして、東宮御所造営計画のいわゆる計画を発表されておるわけであります。それによりますと、ちょっと今の御説明と食い違っておる面があるのですが、この十一月五日に瓜生次長が記者団に発表されたあとに、また変更でもあったのですか。そうでないとすると、だいぶん食い違いがあるのですが……。建築費は、このときには約三億円という発表をしておるわけでございますね。なお、建坪等については千二百坪とか、三十三年四月に設計して九月に着工、そうして三十五年三月に完工と、こういうふうに、はっきりさせておきたいという前置きをもって、こういう発表をしておられる。だから、これは信頼するに足ると思うのですが、今の御説明とはいささか食い違っておるのですが、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/33
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034・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 昨年のその際に、宮内庁側で東宮御所について計画をしておる内容につきまして、どこかからこの記者クラブの方が不正確に聞いておられて、それが一部の新聞に載りましたので、不正確に知っておられることをそのままほうっておきますと、そういうことのようにとられまするから、それで、現在宮内庁の事務として考えておるのはこういうふうであるということを話した方がよかろうというわけで、申したわけであります。その後、さらに予算の編成、折衝等いろいろやって、またいろいろ他の方の意見なども聞きまして、で、その当時よりは幾らか縮小をした案になって固まって、それがきまりまして予算になりました。従って、その当時よりもちょっと面積が狭いのです。それから、予算の総額も減っております。そのときは、まあおおむね考えておるところというので、正直話したのですが、結局、こういうふうにきまったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/34
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035・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ただいまの点は了承いたします。
次に、東宮御所の造営計画と皇太子の御結婚ということは、非常に直結した大事な問題だと思うのです。そこで、お伺いしたいのですが、皇太子の御結婚についてはどのような計画が立てられて、どの程度に御進捗であるか、その点、まずお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/35
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036・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その問題につきましては、現在鋭意適当な東宮妃の候補者というのにつきまして調査をいたし、検討をいたしておりまするけれども、しかしながら、まだ最後のところへ来ておりません。しかし、皇太子殿下もすでに満二十四才にもなられまするので、もう適当な方があれば御結婚になってもいい年令になっておられるのであります。で、今この調査をし、選考をし、検討しておりまするのが、しかときまれば、これは東宮妃におきまりになる。あるいは今年中にもきめられるのじゃないかと思います。
しかしながら、これは相手のあることでございまするから、ある方と皇太子殿下が御結婚になっていいというふうに一応考えましても、この御両人の合意があって、それならよろしいというふうになりませんといけませんので、皇太子殿下がよろしいとおっしゃっても、その女性の方がいけない面もありましょうし、皇太子殿下のお気持はよく聞きながらやっておりますのですが、両者の合意ということが必要ですから、いつまでにどうというようなことを、われわれのようなお世話しているものできめてしまうわけにはいかない。そこらにあいまいなところがあるじゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、事柄の性質上、これはやむを得ないので、その点は御了承得たいと思います。
東宮御所の造営の問題も、御結婚もそう遠くないだろうし、それには今の所でいかぬから、早く作ろうということで、三十三年度、四年度には仕上げようというようなことを計画をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 瓜生次長は、御所の完工前に結婚されるのが常識である、けれども、それまで狭くとも現在の仮御所でごしんぼう願う、こういうように言われたわけですけれども、皇太子御結婚のお話は、昭和二十六年ごろからもう話は出ておると思うのですね。そこで、三十五年にということになると、満二十七才になられるわけですが、そこで、御所完工前に御結婚なさるというのであれば、これを逆算すると、大体この春ごろ御婚約の発表というように一応考えられるわけです。そこで、皇太子妃の選考についてはもう決定しておって、あとは皇族会議の採決を仰ぐ段階に来ておる、そういう、これはほかから、信頼できるかどうかわかりませんけれども、一部そういうことを風聞として承わったわけですが、この点を確かめておきたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/37
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038・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 皇太子妃の選考はまだ終っておりません。もう何か実際は内々きまっているのだけれども、しかしながら、何かの事情でわざわざ発表をおくらしている、皇族会議にかけるのをおくらしているというようにとられる方があるかもしれませんが、実際問題として、まだ選考は終っていないわけであります。従って、先ほど申しましたように、いつだというようなこともはっきり申し上げられないというのでありまして、わざわざ隠しているわけではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/38
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039・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それじゃ、次の問題について二、三お伺いしたいと思いますが、日本国の象徴であり、また日本国民統合の象徴である天皇御一家と国民との関係については、これはどこまでも親愛の情につながらなければならないということは言うまでもないと思う。天皇を初め御一家では、常に国民とともに歩むと、そういう点に努力せられておるにもかかわらず、宮内庁の封建性がこれをはばんでおるというふうに伺っておるわけです。もしそうだとすると、まことに遺憾にたえないわけですが、そこで、この点についての一つ明快なお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/39
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040・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 今ほどのおっしゃいました御意見について、われわれも同じ気持で、現在、国の象徴としておられる天皇並びにその御一家の方と国民との親密な関係というものを、一そう増していく、それによって国民の協力態勢の上にも寄与されていくということは必要だというふうに考え、まあ今までやっておられました行き方等につきましても、いろいろ検討して、改むべき点があれば改むべきであるというふうにしようというので、努力をしておるつもりでございます。
で、しかし、今、天皇のいろいろな御行動を、普通の一般国民の方と同じようにというような御意見も、ときによってあります。銀ぶらでも自由にされたらどうかというような御意見もありますが、しかしながら、現在のところでは、まあまだ一般の大多数の方の御意見がそこまでは考えておられないようでありまするし、そこで、大多数の国民の力がどうあっていただきたいというように考えておられる点がどこらあたりにあるかということも考え、なお、陛下の今までの御生活の実態ともにらみ合して、過去にこだわった、いわゆる封建性と今おっしゃいましたが、そういうふうなことにならないように、徐々に改むべき点は改めていくようにしたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/40
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041・伊藤顕道
○伊藤顕道君 また、たとえば天皇が臨幸せられるような儀式ということを考えてみても、もちろん、儀式ですから、ある程度の規律ということは非常に大事だと思う。しかしながら、ただ規律一点張りでなしに、その規律の中にも非常に一面明るいなごやかな雰囲気というものが、またぜひ必要なことであろうと思うのです。そういう意味合いから、この点に対して宮内庁としてはどういうふうにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/41
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042・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 儀式のやり方、これにつきまして、儀式は一つのやはり形式的な点もあり、それを全然除いては儀式らしくもならない。しかし、その儀式がえらいしゃっちょこばっていて、非常に不自然だということでは、これはいけないと思うのであります。で、このやり方については、大体今やっておりまするのは、従来からの一応の式のいろいろなやり方について、昔の規定がありまするけれども、そういう規定を一応見て、その通りにはやっていないのであります。それを現代的にさらに翻訳をして、そして改めながら、この点はどうもあまり形式ばっているからやめようというふうにやめたりしてやってはおるのでありますが、しかしながら、何だかまだ少しかた苦し過ぎるじゃないかというような御批判を受けておる点も、われわれ承知しておりますので、将来ともその式のたびごとに検討をしながら、時代に即応したようなやり方を考えていかなければいけないというふうには存じ、またそういうふうに研究するつもりでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/42
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043・伊藤顕道
○伊藤顕道君 もし、今お答えになったような点を努力せられておるとすれば、たとえば身近かに行われておる国会の開会式ですね、こういう式一つ例にとってみても、あの国会の開会式では、もちろん厳粛さはあって、その反面非常にかた苦しい面はあろうけれども、明るいなごやかさということはあまり感ぜられないと思うのです。そういう雰囲気の中で、ずいぶん天皇としても御心労も多いと思うのですね、そういうようなことを考えられて。あれではなかなか、親愛の情、国民と天皇一家との心情のつながりということは、たとえば今一つの国会の開会式を例にとっても、親愛の情でつながっておるというふうには受け取れないわけです。この点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/43
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044・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 国会の開会式の例でおっしゃいましたですけれども、国会の開会式のなさり方については、われわれの方からとやかく言っては言い過ぎで、国会がなさる、そこへ天皇陛下が御出席になるという形なものですから、さらに国会の方でこういうふうにしたらいいという御意見でお改めになるということについて、われわれは別にどうということはありませんで、われわれとしては批判をする立場ではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/44
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045・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御指摘までもなく、国会のことは国会でということを私も承知の上でお伺いした。ただ、私たち近ごろの、あちこち、そう儀式に出ておりませんから、国会会の例をとってはこうである、こういうことがほかの儀式でも当然に行われているんじゃないか、そう意味から申し上げたのであって、国会のことを国会で審議するということは、重々承知の上でお伺いしたのです。だから、ほかでもそういうような儀式の際にはどういうふうに考えられておるかと、そういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/45
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046・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) まあ、儀式のやり方につきましては、先ほど一般論を申しましたような精神で、儀式ですからやはり儀式としての体を整えながらも、新しいこの時代の一般の人の気持に合うように考えながらやるということで、いたしておるわけであります。たとえば、新年のとき、これも国会議員の方もおいでになっておりますけれども、ああいうふうなやり方、これも毎年検討しながらやっておるつもりであります。こういうところを改めたらどうかという御意見も、それも検討するのでありますので、今まででいいというふうに、そのまま押し通すという考えではありません。
そのほかの式で、まあ大臣の、認証官の任命式とかというようなもののやり方とかあるいは外交関係の信任状奉呈式とかというようなやり方、こういうようなものにつきましても、常に考えながらやっておるつもりでおります。しかしながら、まあわれわれが不敏で、不十分な点があるかもしれませんが、考えながら、悪い点は改めようということでやっておるつもりではおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/46
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047・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、あのお若い皇太子については、今後やはり国民とのつながり、非常に信愛の情でつながれるというような意味合いから、特に宮内庁の方々に責任があろうと思うわけで、これからの皇室と国民とのつながりという意味合いから、そういうことで、宮内庁の関係の各官の方々が新しい感覚で、十分明るい方向へ行くように、特段の努力が必要であろうと思うわけです。この点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/47
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048・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 皇太子殿下のいろいろの行事のなさり方、それから御行動につきましては、まあ今の陛下が皇太子であられたころの例にはよらないで、やはり今おっしゃったような、新しい時代に即応したなさり方をなさるべきだというので、もとの例というものにそんなにこだわらないで、常に努力しておるつもりであります。まあ最近も、これは警察の方とも打ち合せてそういうふうになりましたが、皇太子殿下が日曜日に皇居に毎週おいでになります。これは両陛下と食事を一緒にされる。あるいは東京ローン・テニス・クラブにテニスに行かれる。そういうふうなごく非公式に出かけられるような場合には、特別に警察で警備員を配置したり、あるいはゴー・ストップを特別にして、車をするすると通すように、車を特別に整理をするというようなことをしないで、普遍の注意で、普通の交通整理をしてもらって、警備員を特に配置しない。もし赤が出れば、そこでとまって待っているというふうになさるというふうに、警察の方とも打ち合せまして、今年に入ってからでございますが、そういうふうに改めていただいた。まあいろいろ工夫はしておるつもりでありますが、今おっしゃいました御趣旨に沿うように、一そう今後も努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/48
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049・永岡光治
○永岡光治君 先ほどの皇太子の御結婚のことにつきまして、伊藤委員から質問されたわけですが、どうもまだ少しはっきりさしていただきたいことがあるわけです。お住まいになる建物は、今予算を計上して、これからお作りになろうということですが、大体の目途はやはりあるのじゃないだろうか。その目途に向って努力する過程で、先ほどあなたから御答弁がありましたが、両者やはり合意しなければ何ともならない問題だということでしたが、相当内々進めておるのじゃないかと思うのですが、大体今まで相当当られておるのだろうと思うのですが、目途はいつごろを大体考えられましてあなたの方で努力されておるのか、その目途を一つ、差しつかえなかったら、お漏らし願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/49
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050・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、その目途、何月というようなことは、なかなかむずかしいのですけれども、できれば今年中には、まあ内定できれば内定したいというふうに考えております。しかし、先ほど申しましたように、これは相手のある問題でございますので、うまくまとまらなければ、また来年になるということもあると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/50
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051・永岡光治
○永岡光治君 相当御折衝なされて、まあ言うならば、写真か実物か知りませんけれども、俗な言葉で言うならば、見合いといいましょうか、そういうものをおやりになったのですか、そこまで行っていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/51
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052・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) いわゆる見合いをなさったということは、別にないわけであります。しかし、調査をいろいろ進めております。写真なんかもいろいろ集めたりしておりますが、そういうような点は、殿下もごらんになったものもあるかもしれません。さようなことはいたしておりますけれども、お見合いがあったかと、それはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/52
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053・永岡光治
○永岡光治君 そういう段取りは、やはりあなたの方でその段取りをつけることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/53
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054・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この方は、結局、宮内庁としてお世話を申すというふうに、まあやる建前になっております。しかし、これはわれわれが段取りをして、それですべてきまるのではありません。段取りはいたしますが、皇太子殿下の御意思が一番大事です。それから、御両親であられる天皇、皇后両陛下の御意向も十分伺わなければなりませんし、そういう面を伺いながら、われわれがお世話を進めていくという立場におるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/54
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055・永岡光治
○永岡光治君 皇太子の気持はどういうことですか。やっぱりあなた方にお漏らしになっておられるのですか。これは国民が非常に関心を持っておりますので、いま少し、差しつかえなければ、お漏らし願いたいと思うのですが……。つまり、何人かごらんになって、非常に進んでおいでになるようなお気持になっておられるのか、まだ全然そういう意思はないのか、その辺のところは、やっぱりあなた方でおわかりだろうと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/55
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056・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 殿下の御意向というのも、まあある程度、新聞、雑誌なんかでは、学友に漏らされた点を書いておりますが、それはそう違わぬと思いまするけれども、しかしながら、やはり結婚の問題になりますと、それじゃこういう条件でこうという、ぴったりそれじゃその通りに行くかというと、実際問題はそうでない場合も、普通の家庭でもよくあるわけでありまして、われわれの親戚なんかでもそういう例を見ております。平生言っておられたのと、かえって違ったタイプの方がよかったりする場合もありますので、従って、われわれの立場では、殿下がどうおっしゃったとかいうようなことを言いますと、いろいろ将来に差しさわりが出来ますので、そういうような点はお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/56
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057・永岡光治
○永岡光治君 大体年内にというような目途のようでございますが、おやりになる、御調査になる対象ですね、いわゆる皇族に限定されておるのですか、それとも、まだもっと範囲を広めて御調査されているわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/57
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058・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この調査の範囲は、元皇族、それから旧華族のみに限らないで、もっと広い範囲で、りっぱなしっかりしたいい家庭のいいお嬢さんであればということで、範囲は相当広い範囲で考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/58
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059・田畑金光
○田畑金光君 それに関連してお尋ねしますが、瓜生次長がかつてこの皇太子の結婚は私事か公事かということで、公事だという、これは公事に属する事項だと、こういうようにお話しになっておりますが、これはどういう理由でそういうことになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/59
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060・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 御結婚、その一般論からいいますと、私事かもしれませんですけれども、皇太子殿下の場合は、まあ憲法にも天皇の地位は世襲だと、こうなっておりますし、御結婚によって世襲の実現が可能になるのでありますし、なお御結婚につきましても皇室会議の議を経るというふうに思っております。特に、われわれが公事と言っても、御結婚そのものというより、御結婚に伴いまして式が行われます。まあ御成婚式とか、あるいはその内部に宮中御宴というような御披露のものが含まれて参ります。そういうような行事の面になりますと、これはやはり公的なもので、単に普通の家庭の結婚の問題と違うというふうにも考えられまするし、そういうようなことでその全部が……。この行事の中にも私的なものもあると思います。ごくお内輪になさる、これは私事でありますが、特に外部に向って披露される宮中御宴のようなところは、これはもう公事だと思います。そういうようなので、この中には私事の部分も含まれまするけれども、全体として見て公的な部分が非常に多い、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/60
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061・田畑金光
○田畑金光君 今のお話を承わりますと、まあ天皇の地位を継ぐ身分と地位を持っておられる、そういう意味においては確かに公的な性格が見られると思いますけれども、ただ、御成婚式をあげるとか、そのお祝いの御宴を催すとか、こういうようなことは、これは皇太子なるがゆえにある行事ではなくて、結婚という事実に即して、皇太子であろうと民間人であろうと、常にそれはあり得ることだと思うのです。そういうことで、これが公的な性格を持つとは言えないと、こう思うのですが、また皇室会議の議を経る、まあ皇室典範に基いて皇太子の御結婚は皇室会議の議を経る、これだけで公的な性格を持つということも、これは今の皇室典範の精神を見ても私は無理があろうと、こう考えるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/61
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062・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 先ほども申し上げましたのですけれども、やはり普通の家庭の場合の結婚の式とか結婚の披露というのとは、やはり皇太子の場合は違うと思います。この披露をなさるのに、じゃ、皇太子さんだけのお立場で好きな人を呼ばれるというのじゃなくて、やはり将来皇太子、また皇太子妃として、いろいろ御行動なさるその関係の必要上、国の面から考えまして、お呼びする範囲にしましても、この国内の、いろいろそういう関係でお呼びすべきものはしておるわけです。また、外国の関係で、あるいはその大公使とか、そういうような人を呼ばれるというように、その呼ばれる範囲についても、やはり国家的な立場で考えて呼ばれるようになると思います。そのほかに、私的に特に親しい学友の方とか、その他親戚の方とかだけ呼ばれるのは、これは別になさっても私的なのですが、国家的な立場でいろいろな方を呼ばれてなさるのが、これは公的なものというふうに考えるのがほんとうだと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/62
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063・田畑金光
○田畑金光君 さようなことは、これは先ほど申し上げたように、皇太子であろうと民間の人であろうと、それはそれぞれの地位に応じて生まれてくる内容の違いだと、こう私は判断するわけです。むしろ、今の憲法のもとにおいては、公的な生活というものと私的な生活というものは、天皇においても皇太子においても、はっきり区別されておると、こう見るわけです。従って、結婚というこういうような問題等は、これは私ごとだと見るのがほんとうではなかろうか、こう考えるわけです。そういう公的な性格が強くあるという見方は、やはり明治憲法のもとにおける天皇、皇太子、あるいは皇室典範、こういう私はものの見方の上に立っておるのではなかろうかと、こう考えるわけです。
そこで、問題になってきますことは、そういう公的な性格を強調しますと、皇太子の御成婚が国家的な行事だ、お祝いだ、こういう意味で、またこれは恩赦の適用等の重要な内容になってくる、こういう問題が起きてこようと思うのです。こういうような点については、どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/63
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064・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 恩赦の問題は私の方の所管じゃありませんので、どうと言う筋ではありませんのですけれども、これは国の特別のお祝いのときとか、あるいは行事の場合も従来行われておりますが、特別の場合に行われますが、これは法務省の方で考えておられますので、私からはちょっと何とも申し上げかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/64
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065・田畑金光
○田畑金光君 あなたの所管であると、私は申し上げておるのではなくして、皇室の善び事、あるいは慶凶事ですか、そういうようなことが直ちに恩赦の適用になっていく、こういうようなことは、瓜生次長の考えておられるような、結婚ということが一つの公事であるという見方から出発しているわけで、そういうような慶事を皇太子の結婚に、悪用と申しては語弊があるかもしれませんが、これを直ちに恩赦の適用にしようという今の政治的な傾向というようなものは、突き詰めてみますと、瓜生次長のようなそういう考え方からまた出発をしている、こうわれわれは見ているわけです。皇室会議の議を経ることが直ちに公事であるというようなことは、これは言えないと思うのですが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/65
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066・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) これはいろいろ見解によると思いまするけれども、一般の結婚でありますると民法——私法によりますが、まあ皇室典範は公法的性質を持っているものというように言われておりますし、皇室典範の規定によって皇室会議の議を経て決定される、なお皇室典範の規定に基いて皇統譜にその場合登録される、御結婚されると。これは普通の区役所に届け出るのとまた違った扱いになっておりますので、これもやはり天皇が国の象徴として、いわゆる憲法上の公けの象徴という立場ばかりでなく、その後継者の関係に関連してくるものですから、そういうような特別な扱いになっておると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/66
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067・田畑金光
○田畑金光君 今、審議しておる皇室経済法の第二条を見ますと、国会の議決を経なければならぬ事項等があるわけです。「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与する」、こういうような場合は、一定の価額以上の場合には国会の議決を経なければならぬ、こういうような規定があるわけです。これは明らかに財産の譲り受けでありますから、別にこれは単なる私法上の法律行為だろうと、こう考えるわけです。国会の議決を経なくちゃならぬ、こういうことになっているわけであります。国会の議決を経るから直ちにこれが公け事だというようなことにはならぬと考えるわけです。そういう点から見ましても、皇室経済会議の議を経るからというような、ただそれだけでは公事と見ることは少し無理がありはせぬかと、こう考えるわけです。また、費用についても、瓜生次長の、何か衆議院でありましたか、答弁等によりますと、費用等も国費で負担をするからこれは公事になるのだ、こういうような御解釈のようでありますが、それもそのような理由になるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/67
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068・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 衆議院のたしか予算分科会だと思いますが、その際に申しましたのは、御結婚の行事の主たる部分は公けの行事と考えられるので、従って、その経費は宮廷費として一応予算に国費をいただくつもりでいると。今のこの予算の中にはまだその経費は入っておりませんが、それはまだ日がきまりませんから入っていないのです、というように申しました。国の予算が出るから公事と認めるというのと逆で、公けの行事だから、従って、国の予算をいただけるものと思うというようなことを申したわけで、もしそうでないとしますと、内廷費でまかなうということになるわけであります。内廷費は定額でありまして、その定額でおやりになるのもあります。これはさきに申しましたように、ごく私的なものであります。しかしながら、国の内外の有力な関係の深い方を国の立場で呼ばれるというようなものは、これはまあ公けの行事だから国の経費で出すのが建前だ、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/68
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069・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、その場合は、宮廷費に入るわけですか、内廷費の増額ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/69
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070・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) それは宮廷費であります。内廷費の増額ではありません。内廷費の方は法律できまっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/70
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071・田畑金光
○田畑金光君 法律でただ定額がきまっているから、内廷費のワク内から出せないだけであって、皇室の経費というものは常に国会の議決を経て国の予算の上に計上する、こういうことになっているわけです。その国会の議決を得る、国の予算に計上する、その意味においては宮廷費も内廷費も同じわけですが、ただ内廷費は予算定額がきまっている、支出の範囲がきまっている、こういうわけで、ただ予算の性格上、結局宮廷費に追加予算を要求せざるを得ぬ、こういうことにすまないだろう、こう考えます。従って、その点からだけ、そういうような面から見ても、これを公け事だと見るのは少し早計だと、こう考えるわけです。国の予算へ計上する、これが公け事だとすれば、天皇あるいは皇室の生活の中には私生活というものがなくなってくるわけであります。これはむしろ、そういうような解釈に立たない方が、今の憲法の建前からいっても妥当であろうと、こう考えますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/71
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072・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その点は、先ほども申しましたように、国の予算でまかなうから公けの行事というふうに考えるのじゃありません。その逆になります。逆は必ずしも真ならずでありまして、今おっしゃる点で、国の予算が出るからそれは公けの行事、そういうふうには考えておらないのであります。
ただ、内廷費の関係は、法律では内廷費は「内廷にあるその他の皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるものとし、」というように、日常の費用と書ていありますから、特別の日常の御生活に必要な経費というふうに書いてありますから、御結婚のために特別に要る費用なんかは、宮廷費というふうに考えております。宮廷費に載るから、必ずそれだから公事だというふうに逆に考えないで、公けの行事だから、宮廷費で予算を組んでいただけるかということなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/72
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073・田畑金光
○田畑金光君 もう一つお尋ねしますが、この間長官にもお尋ねいたしましたけれども、三笠宮の紀元節に関する意見の開陳、表明、これはどういうように次長は考えられますか。
〔委員長退席、理事永岡光治君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/73
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074・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) これは先日、宇佐美長官が申したと同じことであります。学問をなさっておって、学問上いろいろのことを発表される。これは、実際にやっておりますそのこと自体はどうということはありませんけれども、まあ政治的にいろいろ問題になっていることについて御発言になるということは、まあ政治に参画されると。利用する人が出ますから、またそのためにいろいろ弊害が出る。今の紀元節問題だけをお考えになりますと、あなたのお考えのようでいいじゃないかというようにお考えになるかもしれませんが、しかし、他のいろいろ問題があることも考えられます。そういう場合に、皇族さんが発言して政治を引っぱっていかれるということがいいとかいうこうになりますと、やはりまた、国の実際の政治を動かすのに皇族さんが力を持たれるということになりますと、また逆コースになる危険がありまするし、そういうようなことを考え合せますると、やはりまあ天皇、皇族という政治のことには関与されないようにされた方が、これが新しい国の現在の憲法の精神に沿うものだろうと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/74
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075・田畑金光
○田畑金光君 皇族が、意識的にあるいは故意に、政治的な発言をするということについては、次長の考えと私も同感ですけれども、私のお尋ねしているのは、紀元節という問題について、三笠宮が学者として、歴史学者として自分の研究に基いて、学問的な見地に立って一つの見解を発表された、こういうことを一体どう見られるかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/75
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076・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 今、紀元節問題は一つの政治になっておりますので、そういうような問題に関して、議論があり、討論されておる、そういうような問題について発言をされることは、結局、政治に関与されるおそれがあるから、そういうことは控えられる方がほんとうであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/76
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077・田畑金光
○田畑金光君 そういうことになってきますと、たまたま現実の政治問題化しているから、政治的に利用される、悪用される危険性が出ているわけであります。かりに政治的な問題化してしないとすればどうなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/77
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078・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) まあその、かりに政治的問題になっていないという場合というのは、まあたとえば法案が出ているというようなことがない場合というようなことでありまするかどうか……。まあ法律案が出ているかどうかという問題よりも、政治的にいろいろ右するか、左するか、どうするかというようなことに関連するようなことは、まあ現在の皇族としては御遠慮なさるのが建前だろうというふうに考えておるわけであります。単に学術上の関係で、いろいろオリエントの歴史をやっておられて、人類文化の発祥の関係で、いろいろこういうような時代があった、こういうことがあったといっているが、他の記録からいえば違う、こうだとかは、それは純粋な学問上であって、現在のわれわれが生活をしているこの協同体における政治に直接関連し、それに力を加えるというか、どうするという問題じゃありませんから、そういうのはもう自由だと思います。現在われわれが生活をしているその生活を動かしていく政治に直接関連があるようなことは、まあ皇族さんとしては御遠慮なさるのが建前だろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/78
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079・田畑金光
○田畑金光君 オリエントの研究をやられて、それに基いていろいろな見解を述べられる、学者としての説をなされる、それは御自由だと、こうお話しになりますが、
〔理事永岡光治君退席、委員長着席〕
神武天皇の、その二千六百十何年かの昔の建国記念日が、果して古代史から見た場合に事実であるかどうかということも、これは厳然たる歴史的な探究の問題だと思うのです。研究の分野だと思うのです。その歴史学者としての研究の上に立って一つの学説を立てるということ、見解を述べるということは、あなたの先ほどお話しのオリエントの研究云々ということと、全く私は同一の範疇に所属する問題だと、こう考えるわけです。別に今のわれわれの生活が、神武紀元節を明確に認めようと認めなくても、国民生活はこのままずっと健全に行っているわけです。ちっとも国民生活とは関係ない問題であります。私はあなたのお話を聞いていても、どうも三笠宮のあの発言が政治的な云々ということには該当せぬと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/79
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080・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) まあ、その紀元節問題というものは、やはりそれを祝日にするとかしないとかいうことで、国会へ法案も出ておるようですし、それに対する反対、賛成意見もあるようですし、一般国民の間にも賛成、反対の意見が出されております。それはどちらかにどうきまるかということが、やはりその日をどうするかによって、いろいろ国民の今後の生活にもある程度の影響はあろう。影響があるために、いろいろ国会におきまする政治面の方、また思想運動をやっておられる方が取り上げておられます。影響がないのなら、そう取り上げられないわけです。取り上げられているだけに、やはりそれは一つの政治問題である。従って、それについてこの御発言をなさることは、まあ遠慮される方がほんとうだ。何も問題になっていないときに、たとえば神武天皇を研究なさって、それを学会でお話しになるということであれは、これはほんとうの学術的な面だけであります。そうじゃなくて、賛成運動だの反対運動だのといっているときに、そういうような会合に関連して御発言になるということは、これはまあ現在の憲法の建前から、天皇並びに皇族さんのあり方としては、やはりほんとうじゃないのではなかろうか。
これは適当なんだ、ほんとうなんだというふうに考えますると、また、天皇あるいは皇族の方がいろいろ発言をされて、政治を動かしていかれるというようなことは、民主主義の現在の精神に反するのではないか。やはり、もとの天皇制というような一つの力を持って、国を動かしていくというようなことになっていくこともあるのじゃないか。それは、われわれとして現在の憲法の精神を守っていく者としては、やはり適当じゃないじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/80
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081・田畑金光
○田畑金光君 あなたの最後の御心配、私はまた心配する点においては共通なんですが、しかし、あなたの今お話を聞いておりますと、学問の自由とか学者の良心、こういうものは、皇族なるがゆえに、皇族の身分に伴ういろんな制約の前には譲らなくちゃならぬ、こういうことになると承わったわけですが、そういうような解釈でいいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/81
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082・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) そういうふうになると思います。これは三笠宮さんでなくて、普通の学者が言われましても、それほど政治的な響きもない。委員会で取り上げられることもない。それだけに、皇族さんなるがゆえに影響力が大きいのであります。ですから、皇族さんとしては、先ほども申しましたが、現在天皇は象徴の地位におられ、皇位継承の権者である皇族の万方も、天皇と同じように、まあ政治の実権を握られるということ、それに関達して力を持たれるということのない建前になっております。皇族さんという立場におられる以上は、普通の学者の場合よりは、学者以上の、そこに配り慮が必要になるというふうに考えておりますので、今、田畑先生のおっしゃったようなことと同じことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/82
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083・田畑金光
○田畑金光君 私はあなたの見解と異なりますけれども、それはこの程度にとどめますが、そういたしますと、ああいう皇族の発言がいろいろ政治的な影響するところ大きいから、遠慮してもらう、こういうようなことになってきますと、結局、皇族は昔のように、たとえば陸海軍の軍人にしかその職業を選ぶことはできぬ、こういうような一つのしきたりというものに拘束されてくることで、これは憲法で、天皇でも皇族でも人間としての自由、こういうものがりっぱに保障されているはずだと思うわけだが、そういう点から見て、今のような考え方でいきますと、私はむしろ逆な立場から、あなたの先ほど結論に言われたような心配を持つわけです。
そうしますと、何かこういう発言については、適当でないということで、三笠宮に御注意でもなさる、進言でもなさる、そういうふうなことでもなさったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/83
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084・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) これは宮内庁の当局で、宮さんにお会いしたときに、やはりこれは今適当じゃないから御遠慮なさった方がよろしいというふうに、御注意申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/84
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085・田畑金光
○田畑金光君 それは宮内庁の長官ですか、次長の方からお話しになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/85
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086・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) それは宮内庁の長官から話をされました。なお、課長から話したこともあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/86
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087・田畑金光
○田畑金光君 あの問題以後、いろいろ右翼がどうのこうのというわけで騒いでおりましたが、その後の三笠宮の身辺については、どういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/87
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088・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) その後は、特にいわゆる右翼の連中が脅迫的な文書をよこしたり、脅迫的に押しかけてきたりするようなことは、やわらいでおります。特に押しかけてくるというようなことは、全然その気配がありません。従って、一時皇宮警察から身辺護衛のために護衛官が宮邸に泊り込んでお守りしておりましたけれども、それはその空気の険悪なときだけであります。今は普通の状態に帰っております。普通の状態といいますと、だれも宮邸に泊り込んで護衛をするというようなことはしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/88
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089・田畑金光
○田畑金光君 天皇とか皇太子、あるいは皇族ですが、こういう皆さん方の今後の教育の問題、あるいは職業選択の問題、これらの点については、宮内庁当局としてどういうようにお考えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/89
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090・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) この御教育の関係、これはいろいろ人間としての教養を深められるために御勉強なさる、これは一般的な問題です。そのほか、やはり公けの行事なんかによく出られますから、一般の現在の国内情勢とか、国際情勢とかいうものも御勉強になります。それからなお、御趣味として、また御勉強になりたいものを御勉強になる。陛下は御趣味として生物学、皇太子殿下は御趣味としては魚学、魚の方の研究、それから義宮さんは動物学の方を勉強され、この四月から東京大学の動物学研究室に研究生としておいでになることになっております。しかし、これは趣味としてなさるわけで、その御学問としての専門家になるという目標というわけでございませんので、やはり一番大事な点は、現在の国家の体制における皇族としていろいろ御行動なさるのに十分の人間的教養をつけられて、社会的な正しい認識を持たれるという点が主であります。そのほかに、御趣味の学問をやられる、そういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/90
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091・田畑金光
○田畑金光君 そういたしますと、職業選択の自由ということも、皇族なるがゆえに制限されてくる、また、そのように仕向けていっておると、こう見られるわけですが、天皇の御一族としては全部、魚とか、動物とか、生物とか、こういう研究面しか趣味がないということはあり得ないだろうと思うのです。それは要するに、先ほどお話しのように、政治的な問題はできるだけ遠慮してもらう、こういうような点から、結局、学問の研究の選択ということもおのずからそこに制約がなされてくる。また従って、職業選択の自由というものも結局なくなる。むしろほんとうに才能があるなら、たとえば三笠宮が大学の講師をやっておられるように、もう少し天皇のお子様方もその才能に応じて、やはり自分の研究、あるいは自分の勤労で生活をされていく、こういう姿が望ましい今後のあり方ではないかと、こう思うのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/91
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092・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 今、義宮さんが動物の研究をなさり、皇太子殿下は魚の研究をなさる、それを無理にそういうような方面をお勧めしたのかというような点、それは別にこういうものをなさいと言ったのじゃなくて、おのずからの御趣味がどういう点にあるかということをおきめ願って、自然そういうような点に御興味を持たれるから、それじゃおやりになったらというようなことでやったわけであります。
この職業の関係でありますが、これは皇族として成年に達し、いろいろ活動なさるということになれば、公けの公人の立場で活動されるのでありますから、やはり皇族という一つの国家的な機構の中におけるお仕事をやはり持たれる、それが一般にいう一種の職業——言葉は悪いのですけれども、それに当るのじゃないかと思います。いろいろの行事に出席をされたり、お客をされる。また、いろいろな団体なんかの、皇族として総裁をなさる。総裁をなさるというか、特別の立場でなくても、皇族さんということでお勤めになるべきいろいろな仕事が社会にございます。そういうような面で進まれる。それを本流とされ、なお御自分の好きな御趣味のこともなさる。
三笠宮さんの、それじゃ、今主たる点は、学者として、学者を職業としておられるかというと、そうではありませんので、やはり皇族が主たるもので、学者としてのものは御趣味としてやられる。今女子大で講師をなさっておるが、それは講師だけのもので、なおそのほかテレビやラジオや本を書くこともありますけれども、しかし、これはそう大きな仕事ではございません。三笠宮さんについても、やはり普通の学者のそれを専業としておられるというよりも、主たる点は皇族さんであって、なお御趣味としての学問をなさっておるというようにわれわれは見ております。他の皇太子殿下、義宮さんについても、やはり将来も、公人としては皇族としての公人の活動が主たるものになって、なおそのほか御趣味として何かほかに少しやってみよう。それは主たる点ではありませんが、わき役的なお仕事をなさるということは、これは何もそう制約するものでありませんけれども、しかしながら、お仕事をなさる場合においても、先ほど申し上げましたように、何か政治的な関連を持ってくるようなお仕事は、やはり現在の国の憲法の建前からいってお避けになる方がよろしいとは考えますが、義宮さんが将来動物学を研究なさって、これが相当になられて、どこかの大学の講師をなさるというようなことがあっても、これはけっ
こうだと思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/92
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093・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、今の宮内庁の考えておられることは、今後の皇族のあり方というものは、御趣味としてはそれぞれの研究に携わってもらうが、皇族という身分そのものがすでに公的なものを持っておるので、何とかの大会に名代として出席されるとか、あるいはまた、いろいろな大公使の使節のレセプションに出席するとか、そういうようなことが皇族の生活のほとんどである。一種のそれは、国民からいうと、それは一つの職業である、こういうような考え方でおられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/93
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094・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 大体においてそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/94
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095・田畑金光
○田畑金光君 われわれとしては、聞けば聞くほど、どうも瓜生次長の御答弁、あるいは宮内庁の考えておることは、新しい憲法の期待したものと反する方向に進んでおるような印象を強く受けるわけで、この問題はまた今後の機会に、さらに御賛同する機会を持ちたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/95
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096・千葉信
○千葉信君 皇室経済会議の方から出ております内閣総理大臣あての皇室の経済に関する意見書の提出ですが、これを見ますと、単に、経済情勢の推移にかんがみ皇室経済法第四条第一項云云ということで、結論だけがぽつんと出されております。他のそれぞれの法律に基いて出される答申もしくは意見等の場合に、こういうふうに結論だけをぽつんと出している例がないのです。結論はもちろん出されますが、同時に、その結論の出ましたいろいろな条件なり客観的な事実等について、さまざまにその結論を敷衍づける説明がつくのが普通でございます。私は、どうもこの出し方を見ますと、かなり不愉快な印象を受けます。何か事皇室に関することであると、また事雲の上に関することだから、あまり立ち入ってその内容、具体的な事実等について触れたくないという気持、もっとはっきり言えば、こういうおそれ多い関係の問題については、なるべく平民どもあまりこれにさわっちゃいかぬという、そういう考えが根底になっているような印象を私は受ける。これでは、私は、こんな程度の結論だけでは、この結論が内閣を通じて国会に報告をされても、国会としては非常に迷惑なんです。もっとやはりこういうものについては、他のこういう場合におけるやり方のように、もう少し私はこの結論に至る経過等について説明があってしかるべきだと思います。この点について、どうお考えになられてこういう出し方をされておられるのか、この点からまずお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/96
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097・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 皇室経済会議から意見を内閣に出し、内閣から国会にそれを出されるということで、その書類が出ておるわけでありまするが、皇室経済会議の際には、相当いろいろこまかい説明もし、資料もごらんになって、その定額を増額する必要があると認めるという決議をなさった。で、従来もそのものを報告として出してきておられたものですが、今度が初めてではありませんので、まあこれでいいと思って事務的には準備いたしたのであります。で、この中に、要するに、意見として定額の変更することを必要と認めるという、非常に簡単ではありまするが、なお、どうせまた実際問題としてこまかい点は御説明をすることもできるし、結論として必要であるという意見を出されてあるから、従来もそうだから、それでいいのかと思って事務的には出したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/97
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098・千葉信
○千葉信君 まあ、従来そうだったということは私も知っております。しかし、どうもこういう問題を国会でいろいろ検討する立場に立った者の考えとしては、やはりこの点に相当疑問を持たざるを得ない。まあ、そのこまかい内容等については、追ってどうせそのうちに説明できるだろうからということは、私はこれは理由にならぬと思います。特に、こういう意見書を提出することになっている皇室経済法第四条の規定からいいましても、「変更の必要があると認めるときは、これに関する意見を内閣に提出しなければならない。」、次いで、「前項の意見の提出があったときは、内閣は、その内容をなるべく速かに国会に報告しなければならない。」、「内容」という文字があり、そうして前項には「意見」という文字がある。唐突にその意見が出るものではないと思うのです。その意見というのは、後段にあるようにやはりある程度の内容が明らかになることが当然必要だというのが、この条文からも私は出てくると思うのです。ですから、今回はこういう格好で経済会議の方から出たのですから、私はこれを変更しろとは言いません。しかし、少くとも今後はこの意見を出すときには、その意見を出すに至った経過であるとか、その意見の根底をなす説明ぐらいは、私は当然必要だと思う。そうでないと、国会の論議は必ず混乱します、ある程度。その点については十分将来留意をしてもらいたい。
それから、もう一つは、あなたの方から出ておりますこの意見そのものと、今回政府の方から提出されております法律案の案件に伴って出ている提案理由の説明と、食い違っております。片っ方は、「経済情勢の推移にかんがみ」云々ということです。ところが、提案理由の説明によりますと、同じく「経済情勢も変化し」という条件が出ております。しかし、それと同時に、この意見の具申にはなかった内容として、「内廷費につきましては、その間における外国交際の範囲及び内容の拡大、成年に達せられた皇族の諸経費の増大等により、」と、皇室経済会議のこういう変更をしなければならぬという理由以外の理由が、今回の法律提案に当ってその理由となっている。「また、皇族費につきましては、内廷費同様御活動範囲の拡大等により、現定額では所要の経費をまかなうには不足を来たす実情であります」。皇室経済会議として今回こういう変更をしなければならぬというその理由となりましたものと、国会に出されましたこの提案理由の説明によると、変更しなきゃならぬ条件が食い違ってきておる。これではいかぬと思うのです。これでは、さっき私が申し上げたように、国会の審議はある程度影響をこうむらざるを得ないのです、条件が違っておるのですから。単に経済情勢の変動だけの理由という提案理由の説明であれば、これは皇室経済会議の結論に基いてこういう措置をとられようとしておるのだということになる。しかし、これは明らかに食い違っておる。
そこで、私は、この際は時間の関係もありますから、資料の要求にとどめておきます。つまり、この経済会議の結論となりました経済情勢の変動以外の条件等についても、国会としては相当慎重に検討を加えなければなりませんので、もっと具体的に、この提案理由の説明にありますような事実についての資料、たとえば外国の使臣との交際もしくは外国の皇族その他との交際にかかわる経費が、従来と今後とどういう程度にその範囲が拡大されてくるのか。それから、成年に達せられた皇族の諸経費の増大ということは、どういう程度の違いが起ってくるのか。これは皇族費の場合も同様でございます。それから、根本になっております経済情勢の変動、これは私どもは一般的にはわかります。しかし、それでは、そういう経済情勢の変動に伴ってどの程度の皇族費が必要になるのか、もしくはまた、どの程度の内廷費が必要となるのか、審議するための資料です。何に、一体どういう程度に使っておるのか、それはこまかく全部きざんで持ってこいということは、これは少し酷でしょう。もう少しこの問題を、私どもが納得できるように、その審議の資料としてはどうしても必要ですから、以上申し上げた資料を、経済情勢の変動というのは、これは一応は一般的な条件としては私どもわかりますが、その経済情勢の変動云々に伴ってどういう経費が必要となるかという点について、項目別に、どういう経費の使い方をしておるのか、その点の、大まかでけっこうですから、そのお金の使い方、物価の変動によって受ける格差、そういうものと、それから前段の方の外国との交際の範囲の拡大という条件についての、今までの交際の範囲の程度と今後の交際の範囲の程度、それからもう一つの、成年に達せられたという条件で起ってくるその変動についての、どの程度の変化が起るかということについての国会認識をはっきりしなければいけませんので、その資料をできるだけ早くお出しを願いたい。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/98
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099・藤田進
○委員長(藤田進君) できれば、来週火曜日までには出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/99
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100・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) 今ほどの御意見に沿うように、できるだけ早く資料を準備いたしまして、提出いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/100
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101・藤田進
○委員長(藤田進君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/101
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102・藤田進
○委員長(藤田進君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/102
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103・田畑金光
○田畑金光君 それでは、青少年問題協議会設置法に関連いたしまして、資料としてこれ一冊いただきましたが、中央青少年問題協議会の今日までやってきた仕事と内容については、これで大体わかりますけれども、第一条第二項によりますと、「都道府県及び市町村に、附属機関として、それぞれ都道府県青少年問題協議会及び市町村青少年問題協議会を置くことができる。」、こうなっておりますので、都道府県、市町村段階においてどういう活動をやっておるか。ことにこの法文によりますと、全部置かなければならないとはなっていないので、そこで、どういう府県が置いていないのか、どういう府県が置いてあるのか。そうしてそういう府県段階においてのこの協議会はどういう仕事をやってきたのか。それから、全国の市町村段階においても、どの程度これは全国の市町村の中で協議会を置いているか、置いていないか。また、どういう仕事をやってきたか、やってこなかったか。こういうようなことを一つ、中央、地方一貫して見たいと考えますので、なるべく早い機会に、この資料を御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/103
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104・藤田進
○委員長(藤田進君) 他に御発言もなければ本案の質疑は本日はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X02119580404/104
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