1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月七日(金曜日)
午後一時三十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 重政 庸徳君
理事
柴田 栄君
藤野 繁雄君
鈴木 一君
委員
秋山俊一郎君
佐藤清一郎君
関根 久藏君
田中 啓一君
田中 茂穂君
堀本 宜実君
東 隆君
江田 三郎君
大河原一次君
河合 義一君
北村 暢君
千田 正君
北條 雋八君
政府委員
農林政務次官 瀬戸山三男君
農林省農林経済
局長 安田善一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○開拓融資保証法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○開拓者資金融通法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
開拓融資保証法の一部を改正する法律案(閣法第六号)及び開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(閣法第六五号)、(いずれも内閣提出、衆議院送付)を、一括して議題にいたします。これらの法律案は、昨日衆議院本会議において全会一致をもって可決され、当院に送付、即日当委員会に付託されました、これらの法律案については、去る二月二十七日の委員会において提案理由の説明を聞いたのでありまして、本日は、まず、これらの法律案の内容その他参考事項について、補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/1
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002・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 議題にいたされました開拓二改正法律案につきまして、先般、その提案理由を本名政務次官から申し上げましたが、簡明に、お許しを符まして補足説明を申します。
まず第一に、開拓融資保証法の一部を改正する法律案の方でございますが、昭和二十八年に開拓融資保証法が制定いたされまして、中央及び各都道府県に開拓融資保証協会が設立せられまして、これによりまして、開拓農家の、金融機関に対しまする、特に農協資金でございますが、その債務を保証することといたしました。保証は中央協会が全額再保証をすることになっておるのでございます。そういたしまして、この制度によりまして肥料、飼料等の短期資金及び中小家畜の中期資金か円滑に融通されることをはかって参ったのであります。このうち中期資金は、三十一年の秋より実施をすることになったのでございます。この制度に対しまする開拓農家の加入の増加、または営農の進展に伴いまして、資金の需要も増大いたしまして、さらには本制度によりまして、昭和三十三年度は、中小家畜導入五ヵ年計画の第二年目に当ります。この促進をはかる必要がありますために、今回、中央開拓融資保証協会の出資金等が三億八千百六十二万円でございまするが、開拓農家の要望に応じまして、その需要の進展に備えまして、融資保証ワクの増大をはかりまするために、一般会計より三十三年度は三千万円の増資をいたしたいというのが、本案の事由でございます。この関係は、過般予算の説明でも概略申し上げた通りでございます。なお、中央融資保証協会は、政府からの三十三年度一般会計から三千万円増資をするほかに、三十三年六月末、六月末と中しまするのは、同協会の年度末でございますが、それまでに準備金約一千四百万円ございまするので、そのうちの一千万円を基金に繰り入れる計画でございまして、すでにこのうち六百万円が本年一月末までに繰り入れられておるのでございます。すなわち中央保証協会の準備金からは、一千万円が基金に繰り入れられ、また繰り入れられる予定であるわけでございます。政府追加出資の三千万円の算出基礎を申し上げまするというと、これは前国会で御審議御可決を願いました開拓営農振興臨時措置法の出発に当りまして、中小家畜の導入をはかることにいたしました五ヵ年計画を、私どもは御審議に供しましたのでございますが、三十三年度は、その第二年目でございます。第二年目の三十三年度は導入計画といたしましては、豚を三万八千頭、綿羊を七千六百頭、鶏を十一万羽と予定いたしまして、それに要しまする資金は約一億八千万円でございます。この所要資金に対しまする原資は、農林中金の資金をもって融通させていただくような話がつけてありまするが、これに要する基金は、かねて法律及びこれに基く省令に従ってきめてありまする通り、融資額の六分の一を要しまするので、その大分の一は、すなわち一億八千万円の六分の一でございまするので、三千万円となるわけでございます。これが政府追加出資の算定基礎でございます。なお、中小家畜導入五ヵ年計画によりまする導入総頭数は、豚十九万一千頭、綿羊三万七千頭、鶏五十五万羽でございまして、その所要資金は九億円と見積られるのでありますが、これに要しまする基金は一億五千万円でございまして、これは三十四年度以降になお期待をしておるわけでございます。三十三年度の協会の保証計画といたしましては、三十二年十一月末、中央協会の出資金が三億七千五百六十二万円でございまして、これに、今年六月末までに準備金より基金に繰り入れまする一千万円、このうち本年一月までに六百万円繰り入れ済みでございますが、それと政府追加出資三千万円を加えますというと、本年六月末におきましては、協会の出資金は四億一千五百六十二万円となりまして、その六倍の三十四億九千万円が、三十三年度の保証の限度であるわけでございます。その保証計画の内訳を簡単に申し上げますと、肥料で約十八億円、飼料か一億八千万円、中小家畜で三億六千万円、その他わら工品、農機具、農薬、種苗等の需要資金でございまするが、この分といたしまして九千万円を予定いたしまして、計二十四億九千万円でございます。
以上が、開拓融資保証法の一部改正案の補足説明とさせていただきたいと思っておる分でございます。
その次に、開拓者資金融通法の一部改正をする法律案の提案理由も、また過般、木名政務次官から御説明を申し上げましたが、私から簡明に補足をさせていただきます。
政府は、去る二十六国会におきまして制定されました開拓営農振興臨時措置法等に基きまして、既入植者の営農振興に力を注ぐことにいたしております。これに基きまして三十二年度から準備を進めておりまして、開拓者諸君、その団体等、関係在庁等の御協力も得まして、着々と準備を進めておりますか、この臨時措置法に規定いたしまする営農の基礎が不安定な開拓者というのは、三十一年度までに約一千地区について、不振地区と申しますよりは範囲が広範囲な入植当時の営農数型になお到達することが、所定期間ではむずかしそうな、営農の基礎か固まらない開拓者を広く含んでおるのでございまして、現在の入植者約十五万のうちその約七割、十万四千戸を予定しておるのでございます。臨時措置法ができ、またそれに補足いたしまする自作農資金その他の各種の法律、また開墾建設工事の追加工事、開拓地の土地改良工事等の特別措置に応じまして、この常農基礎がいまだ不安定な開拓者も、自分の営農改善計画と、開拓農家のある開拓地区の振興計画について非常な熱意を示して御尽力を願って、立ち上られつつあるのでございます。御承知の通りと思うのであります。私どもは、同法の御審議に当りまして、御説明申し上げまして御了承を得ましたように、おおむねこの十万四千戸の営農不安定の開拓者に対しましては、今後なお四年間、すなわち昨年度からおおむね五年間をもちまして、入植当初の従来の営農類型で庶幾いたしました目標よりは相当上回りまして、農業所得が年間約三十五万円、こういうところに振興目標を置きまして、そうして各種の施策を、財政難の関係もございまするが、できる限りはかりたいと思っておるのであります。
目下の状況を申し上げまするというと、同法に基きまして開拓営農復興組合か指定をされまして、その組合においては、振興計画の指導と承認が鋭意進められております。特に熱意の盛んな所を中心にいたしまして、開拓関係の団体では全面的にこの計画を早く樹立するように指導されておるのが特徴でございます。結果は、昨年の十二月末におきましては約二割の計画ができまして、都道府県知事の承認を得て、本省に上っておるのでございます。本年の三月末すなわち本年度末の見込みを申し上げますと、開拓者団体の期待をいたしておりまするのは、その対象農家の約五割が計画が立てられまして、県知事の承認を得る見込みとなっておりますが、若干これよりは下回るかという感じもいたしております。いずれにしても、三十三年度は約五万戸についてこの振興計画で適切に立てられることを予定いたしますれば、戸数としては十分だと考えておる次第でございまするか、自余の振興組合となりまするところにつきましては、すなわち十万四千戸から五万戸を引きました残りは、法律に従いまして三十三年度中に計画を立てて施策をその次に移していただくようにいたしておるわけでございます。そうしまして、これらの開拓者が振興計画達成上必要な大家畜並びに畜舎、サイロ等の農業川施設、農機具等を購入、設置するための資本がなお必要でございまするか、入植当初には、現在ございまする営農数型を、三十三年度からは改訂をしたいと思っておりまするが、改訂前の現在の営農類型に従がいましては、規模も小さくて、類型に従いまする補助及び融資も少きに過ぎるという国会の御批判もございまして、現地の事情を私どもも研究をいたしまして、今回の振興組合、振興対象になる開拓者につきましては、十万四千戸に対しまして、五カ年間に一戸平均約十一万円の政府資金を追加投資する計画でございます。この五年間に一戸当り平均約十一万円の追加投資をすることが、この法案の、すなわち開拓者資金融通特別会計法の特別会計によりまする融資の、同融通法の改正法案の趣旨でございます。
このほかに、農林漁業公庫からも約七億円の融資をいたしたいと思っておるのであります。三十三年度でございます。こういうふうにいたしまするというと、昭和三十七年度までに、開拓者資金融通特別会計から融資すべき総資金量は約百十四億となりますが、三十三年度は、このうち五万戸に対しまする分としまして十六億二千五百万円を計上した次第でございまして、この関係は、過般、予算の説明で私から概略を申し上げた次第でございますが、その中身を申し上げますと、これによりまして乳牛は約一万二千頭、役畜を約二千頭、畜舎、サイロ、堆肥舎等を約六千棟、自動耕転機を約三百台購入または設置を予定いたしておるのでございます。一方、貸付金の償還条件でございまするが、これか本改正法律案の関係条文でございまするが、従来は中期資金といたしまして、家畜用のために償還期限を八年、そのうち据置期間を三年と定めてございます。ただ、従来でも、昭和二十八年と九年の連年災害を受けた方に対しましては、原則といたしまして、利率は同様で五分五厘でございますが、償還期限を十二年としている例外がございます。今回は、営農振興臨時措置法の特別措置に応じまして、資金の確保をいたしまするとともに、計画達成上は、右の大家畜及び農業川施設、農機具等の資金の供給に当りましては、開拓者の営農の基礎を早く確立することをも考えまして、全面的にこれを十二年の償還期限に延長したいと思っておるのでございまして、その分の改正法律案を出しておるわけでございます。これらの開拓者に営農の基礎を確立させますれば、戦後いろいろの事情の変化に伴いまして、十五万戸のうち、約十万四千戸が営農安定を欠いておりますものが、従来の営農数型よりある程度修正をせられて、農業所得も増加する目途のもとに、安定に近づいていく、こういうふうに考えておるのでございます。
以上が、簡単な補足説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/2
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003・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ただいまから、これら両法案の審議を行います。まず質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/3
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004・千田正
○千田正君 今、局長の御説明で大体わかりましたが、特に私はお伺いしたいのは、営農振興計画によりまして、各都道府県知事の承認を得て政府に申達していきますところの各組合ですね、これに対して、できるだけ早く貸付の処置をしてもらいたい。それで、私は、先ほどのお話によるというと、今月末までには、相当の組合数と、それに基く戸数か出てくると思いますが、大体現在まで、さっきは昨年末現在の戸数をおっしゃっておられたんですが、二月末あたりまでわかりませんですか、承認して申達してきたものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/4
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005・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 十二月末までで二割でございますが、一月末で三割になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/5
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006・千田正
○千田正君 それで、この計画に基いて、従来より一歩進んだ営農態勢が整えられていきますが、償還条件等が、従来のようにあまりむずかしいというと、せっかく皆さんか立案して開拓者のために考えたのか、速効的効果をなさないでは困るのであって、これに対する問題の一つとして、償還条件ですね、この償環条件に対しては、政府は資金履行の条件として、たとえば生活保護の対象になっているあるいは留守家族、あるいは行方不明者に対する問題等も、相当お考えになっておるわけけであります。改善計画に対して、新たなる緩和策について、何か条件を考えておられるかどうか、その点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/6
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007・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 開拓者の持っておりまする負担の中には、生産的で優良なる債務と申しますか、当然生産的で償還が可能なという性質のものもございますし、個人消費その他特別の事由で、不良の債務もあると思いますが、いろいろあるうちで、開拓者資金の政府特別会計から融資しておるものは、三十一年度末で百三十一億残高がございます。天災法の災害営農資金では三十八億余でございまして、公庫資金としましては十九億余ございます。全体では百八十八億ございます。三十二年度分を加えますと、二百億をこえるわけでございますが、このうちで、御指摘になりました開拓者の中には、生活保証を受けておる者があるが、これに対してはどうか、こういうことでございますが、昨年度の開拓法案についての御審議の際にも出ましたか、私が最近見積っておりまするもの、全国農家で生活保護法の適用を受けておる開拓農家は、約三千五百戸でございます。青森県あたりでは、その一割ぐらいあるようでございますが、この問題に対しましては、熊本の阿蘇等においても例がございますが、耕作農業あるいは家畜を入れた農業に割合従事しないで、他へ賃かせぎに行っておるような、きわめて低調な開拓者もあるのでありますが、特別のそういう離農的な入植者は別といたしまして、営農に今後いそしんで、農業で立っていこうという力がほとんど全部でございまするけれども、生活資金等で非常に困っておる、また営農の進度も進んでおらない、こういう所に対しましては、まず第一に、開拓者資金特別会計につきましては、同法に基き、政府が必要な場合融資をしたのですから、償還はできる限りは必ず償還をしていただいて、また借りていただくというのか条件でございますけれども、必要な場合償還延期の措置をとることができるのでございまして、また過般、国の債権の管理等に関しまする法律が出ましたが、三十二年度中に農地局、特に農地事務局長をしてその開拓者関係の政府資金の償還困難なものに対する償還延期、どうしても償還ができないときはこれを免除する、こういう措置についての管理事務は農地事務局長に委任していただくことに大蔵省と話をきめまして、開拓者側、また開拓者の団体からその申請があるのに応じまして、これをよく調べて、その措置をとるように準備を整えたところでございます。また、開拓者に対しまする融資は、そのほとんど全部が開拓農協を通じて連帯債務の形で出ておりますが、一部その組合員である開拓者が行方不明等になりまするというと、債務を負うたまま連帯債務者であるところの他の開拓農家及び開拓農協が、余分の債務を負うことになるわけでございますが、これに対しましても、政府資金に関しましては、同様の措置をとるようにいたしておるのでございます。またこの延期と、それに続く法に基きまする免除ばかりでなしに、開拓地を開拓者に売り渡しまして、営農は確立していないが、とにかく自作農であるという形になっておりまする対象開拓農家に対しましては、自作農資金のうち三十三年度約五億のワクをもちまして、三十三年度も同様に約五億のワクをもちまして、個人債務で、他の方法ではなかなか処理がむずかしいものに対する長期低利の資金供給による借りかえを考えております。次に災害経営資金でございますが、先ほど申し上げました三十一年度末では三十八億余あると申しましたものでございますが、これは、昨年から一部は、私どもの役所でいえば経済局の金融課でやっておりまする天災法に基く災害経営資金の利子補給と、損失補償並びにその期間延長を考えておりますが、今般は、これを経営改善という名前にすることにいたしまして、天災法の融資から開拓営農振興臨時措置法に基きまする資金の方へ切りかえまして、その利子補給額も昨年が約三千六百万円であったと思いますが、三十三年度は一億二千万円に増加いたしまして、より長期にする、簡単に申しますと、三年ないし五年の償還期限を十年の償還期限の方に切りかえる、そういうふうに措置をいたしております。これは予算の計上及びこの改正法案でありません開拓営農振興法の運用によります措置でございます。農林漁業金融公庫資金十九億の負債に対しましては、政府資金に準ずるものでございますので、開拓者資金特別会計におきまする措置と同様に取扱いをいたしたいと思っておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、負債を緩和するのも、営農を振興して必要な建設工事の追加補助、開墾の進度を高める、営農の高度化を進めるというような形で、経営上からの余裕をもって早く返していただくことの方がより重点でございますので、一方以上申しましたように、債務の条件緩和をいたしまするとともに、営農振興の方をはかって、両々相待って措置をしたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/7
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008・千田正
○千田正君 その両々相待ってやるということはまことにけっこうなんですか、昨年は大体融資の面ですね、開拓資金融資の面は、特別会計などの、開拓者に今まで貸した分か返ってきた、償還してきた金に見合ってまた貸してやるという方法をとつておったのですね。三十三年度はどのくらいの予定をしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/8
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009・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 三十三年度も償還金をもちまして、さらに再融資をする。原資としておりますものか九億八千万円でございますが、償還期限のきておりますものの七割を見込んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/9
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010・千田正
○千田正君 一方においては営農の条件はある程度緩和していきますから、必然的に償還の方も多少おくれることを見越さなければならないのであって、それで償還した七割というのだと、ますます何か貸付営農金額が減るような気がするのですが、返ってきたのにプラス・アルファで貸してやらないというと、なかなか伸びていかないのじゃないか、そういうふうに考えるのですが、返ってくると予定されたもの七〇%ということじゃなく、返ってくると予定したものを一〇〇%くらい貸してやるという親心を持っていただかないというと、伸びていかないのじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/10
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011・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) その点は、全国団体も作っております開拓者の農協連、及び開拓者連盟等ともよくお打ち合せをし、また県庁の係官ともよく研究をいたしましたのですが、千田先生御指摘の分は、従来、返してはまた借り、借りてはまた返し、また借りるというふうにぐるぐる回っておったのは、天災法の短期資金が第一でございますか、その他の措置の分も御指摘のようであったと思いますが、三十一年度の末までの償還計画、償還の実績を見ますると、年度のズレが少しありますか、翌年にかかって償還したものかありますが、昨年度償還期限に到達しておりまするものは、今まで最低が九割でございます。従いまして、開拓者の意向も加え、実績に徴しまして、七割で、確実にそれを見込んでも、新たな融資措置の原資にして確実であるという見通しを大体持っておるのであります。あわせまして開拓者自身もほかの資金を早く返しましても、資金運用部の資金を中心にして政府出資を加えた開拓者資金特別会計の政府資金でございますが、これは返すものは返して、必要なところへ、開拓農家は違う場合もありますが、結局開拓者だけに貸す金でありますから、これは必ず優先的に返すようなふうの仕組みで考えてくれてよろしい、こういう御意向が圧倒的でございましたので、償還条件等の緩和をはかりますれば、原資には事欠かないと、こういうふうに見ておるのであります。なおしかし、それでは安全を期し得られませんので、昨年から始めました自作農資金で割当してありますが、まだ使ってありませんが、三十二年度分五億、三十三年度分五億、計十億を予定しておるわけでございまして、これは五分十五カ年償還でございますので、その分で調節すれば、営農計画もうまく立って、県の承認が得られることの方が僕はむしろおくれるんじゃないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/11
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012・千田正
○千田正君 さっきの御説明のあの自作農創設資金は、三十二年度で五億、三十三年度で同じような金額という御説明がありましたか、今のお話の面も、特別会計からの、いわゆる改正する融通法によって特別会計から貸すのも、七〇%では不足だという私の説について、いろいろ御説明がありましたが、そういう面を調節する意味において、自作農創設資金の方からも出すということですか、十五カ年の十億というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/12
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013・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 自作農資金を特にワクを設定しまして、開拓者に融資しようとしまするのは、個人債務で、いかにもそれがなければ開拓者の立ち直りかよろしくないというものを目標にして貸そうという措置をとることにいたしましたのでありますが、生活及び営農の基礎を固め、また進めていくのに一番むずかしいのはその個人債務、その次は災害資金でございますか、それ以外の生産基本資金と申しますか、開拓者資金は、そのおそれかない、むしろ優良債務に当ると、こう見ておりますので、一番困難なものの方に自作農資金の措置をとりまして、二番目に困難なものの災害資金を、振興法の営農改善資金に切りかえて、利子補給、損失補償を加えますれば、ちょうど先生の御指摘のような気持で措置したということになると考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/13
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014・千田正
○千田正君 そうしますと、三十二年度と三十三年度が大体五億で、その五億ぐらいの貸付の対象となるものは、個人債務、たとえば病気である場合とか、あるいは、災害、たとえばよく開拓地において火事になったり何かそういうこともありますが、そういうようなときの復興資金や何かは、この面から適用して貸してもらえるわけですか。それから、開拓初期の資金の不足の分とか、そういうようなものは、今のお話の五億のワクから借りられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/14
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015・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) その通りでございます。それを用意して待っておりますが、まだ借りにきてくれません。(笑声)これは無理に貸さないのでないのでありますが、営農振興計画を立てて借りてもらいたいと思っておるせいだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/15
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016・千田正
○千田正君 そうしますと、たとえば改善計画に基く面で、各都道府県の知事の承認を得てきたものに対しては、その内容を見て、どんどん貸し付けていく、これは、あんまり複雑化するというと、ちゅうちよ逡巡して、今のような貸したいのだけれどもどうしたのかというようなことで、もたもたしている点があるんですが、手続の上においては、やはり改善計画を実行する上からいっても、できるだけめんどうな手続をとらせないようにして貸してやるということにならないと、立ち上りかおそいのじゃないかと私は思うのですが、都道府県から知事の承認を得て申請してきた場合は、本省としてはできるだけ早くこれを許可してやっていただきたい、こう思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/16
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017・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 私どもも、この一年の経過に徴しまして、そのように思っておるのであります。むしろ開拓者諸君の方か非常にまじめでございまして、計画を立て、それを実行するというための会議や、記入の仕方等、非常に緻密にやられまして、他面、五分の一か三分の一ずつを早くやって、一日でも早く一部でも開拓農家の立て直しの措置が具体化するような方針でなしに、十万四千戸全部を一齊に出発させようという団体としても御無理もない気持を持っておられましたために、若干の時期のおくれがございますが、運用に当りましては、開拓団体の方もできるところから早く措置をとる、関係庁の方も、昨日米関係官の会議をいたしておりまして、全面管理を国がしておるほどの開拓者で、立て直しに当っても特別法を立てましたような開拓地区でございますし、営農の振興及び負債の緩和も政府資金を中心にいたしておることにした状態でございますから、他の場合よりは簡単にできるように指示を与えつつあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/17
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018・千田正
○千田正君 もう一点。開拓地における橋であるとか、あるいは学校の生徒の通うところの道路の修築とか、そういう問題か開拓地にとっては、ある一面においてなかなか重要な施設なんですね。そういう腐朽した橋のかけかえであるとか、あるいは道路の不通だった所の修築であるとか、あるいは共同施設の改善とかいうような問題については、しょっちゅうやっておられると思いますけれども、歩いてみると、五年たってもそういう施設ができておらないという所もわれわれは見ることがあるのですが、そういうことに対しては、今度の予算において十分に盛って、迅速にやっていただけるようになっておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/18
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019・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 開拓者の生活と成長のために、他の国民層との差があることとして一番心配なのは、ちょうど今御指摘の点だと思います。学校であり、電気であり、飲料水であり、あるいは衛生設備であるわけでございますが、これに対しましては、三十三年度におきましても一部流用をすることができる余地がありましたので、五千六百万円余をもちまして、次年度の繰り上げ施行をいたしまして、その対象は、中学校の四棟の増設、電気施設の九十七キロメーターの設置、飲料水の三百五十四カ所でございますが、
〔委員長退席、理事藤野繁雄君着席〕
三十三年度に当りましても、特にこの点に留意をいたしまして、発電や移住施設等において、従来補助がなかったのもつけ加えまするとともに、おおむね古い開拓地には入植当初に予定した程度のものはだんだん完成にほとんど近づくという程度の予算を計上しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/19
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020・柴田栄
○柴田栄君 昨年の四月に開拓営農振興臨時措置法が施行せられましてから、今日までに開拓営農振興組合並びにその組合員に対し益して、開拓者の資金がどの程度貸し付けられておるか、あるいはまた今後貸し付けられる予定は大体どんなお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/20
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021・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 柴田先生の御質問にお答えすることと同じことになるわけでありますが、千田先生にお答え申し上げましたように、この前御可決願いました営農振興法に応じましては、昨年末までに一万二千の振興計画か出てきたわけであります。一月末でその五割増しになっておるわけでございます。年度末に五万くらいになっておりますが、振興計画そのものに応じました措置は、本年度これからと来年度になるわけであります。ところかその振興計画は、債務の償還条件を緩和する分と営農を振興させていく部分と二つございまして、三十二年度端的にまずやるのは、災害資金をより長期に切りかえるその利子初給と、その損失を補償するということになりますので、その他のことは三十二年度必ずしもそれを予定しませんでした。開拓者資金特別会計による政府資金約十九億、その既入植者は八億五千でございますが、災害資金を切りかえるほかは、開拓者資金としては八億五千の貸付を終りつつあるわけであります。三十三年度は、これを十六億二千万円余にしようとしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/21
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022・柴田栄
○柴田栄君 それらの開拓資金というのは、現行の償還期間八年という条件付で大体貸しておられるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/22
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023・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 三十二年度に行いましたのはそうでございます。三十三年度以降は、改正法律案によりまして十二年に延ばしたいと思っておるわけであります。しかし、同じような措置があって、従来から御説明申し上げましたように、一千地区の特に悪い不振地区等は指定しておったわけであります。そこで、この借りかえ措置を考えまして、結局、営農振興組合となりますものに対しましての開拓者資金特別会計の融資は、振興計画が立てられた以後は、一齊に切りかえはできないかと思いますが、初めて貸す三十三年度以降は、本法案が通りますれば十二年償還になりますが、そう時期を延ばさないで全部十二年に借りかえされるというようなふうに持っていきたい、こういうふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/23
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024・柴田栄
○柴田栄君 その十二年に延長になります理由と申しますか、特に十二年を選ばれた理由ということは、どういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/24
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025・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) これは私どもは、ほとんど全部の開拓農家について営農実績調査をしておるのであります。営農実績調査で従来営農類型が悪かった分を修正して、修正した営農類型を適用する、また開拓者の状況を、いろいろありますが、安定、やや安定、不安定、やや不安定というふうに分けてみまするというと、おのずからこの開墾の進度を早めてもらう部分、これに対しましては炭カルの助成とか、道路工事の追加工事とか、その他の建設工事も行いますと同時に、開墾作業費も、期限が切れても入植当初の予定通りは追加補助をしようと、こういうふうにいたしますると、あとは、営農の問題になるわけであります。営農の問題を、家畜、特に大家畜と中小家畜を先ほど申しましたように導入することといたしますと、非常にまれな災害がきたり個人的に非常に個別な事由がない限りは、十二年償還をするとすれば、一年分の償還は、農業収入をもって生活をまかないつつ償還ができると、こういうことでございまして、もう一つの見通しは、二十八年と二十九年の災害時に、特別に国会の御審議を得まして償還年限を十二年とした例がございますので、最近の歴史上一番ひどい災害のところの償還期限まで持っていくのがまあ常識的だろう、それ以上出るのはちょっとひどいだろう、こう思ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/25
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026・柴田栄
○柴田栄君 御説明でわかるわけですか、しかし、十二年ときめられた場合には、最悪の場合でも大体償還可能だというお見込みだと、たとえば非常な、今後といえども非常な災害があり得る、そのためにせっかくの営農計画かまた根底からくすれるというような場合があり得るとすれば、その場合に、一体特例はもう考えておられないと、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/26
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027・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 先ほど申し上げましたように、法律の条文で、開拓者資金は特別の措置を、特別のいい条件を作っているという気持で、きっと償還年限かきめてあったのじゃないかと思うのであります。そこで、八年を十二年にするのでも、法律改正すら要するのであります。普通の場合には、法文で償還期限をきめたのは少いのじゃないかと思うのであります。そこで八年を十二年に延ばしますというと、逆の意味で、他の条文で、必要があって措置できる場合は、償還延期できるという条文がありますから、八年を消して十二年にしてしまえば……。むずかしい条件のときはひとしく償還延期も適用するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/27
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028・柴田栄
○柴田栄君 次に、先ほども御説明されまして、八年の場合は三年間の据置期間というお話しでしたか、十二年の期間を認めた場合の据置期間は、従来通りというお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/28
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029・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/29
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030・柴田栄
○柴田栄君 大体開拓農家に対しまする施策は、ずいぶんいろいろお考えはいただいているが、何か中途半端のような感じがいまだにするわけでございますがね。今後まあ四カ年間に一戸平均十一万円程度の増加の融資ができるのだとおっしゃるか、まあ十一万円程度の融資ということで、大体今までの不振の開拓農家というものが一応浮き上れるという見通しが、実際にあるのでございましょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/30
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031・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 開拓に対する措置が、いささか従来中途半端であったではないか。また、中途半端な意味は、今回の措置で、営農及び生活の確立が、五年以内にできるかという御質問でございますが、私も率直に申し上げましてそう思います。そこで、今後開墾をしまして、入植農家に将来の日本のモデル農家とでもいうものに育ち上ってもらうというようなためには、今後開拓して新規入植の方に対してはどうするかという問題と、それをも考えながら、すでに入植されて土地配分も受けて、従来は営農類型があって、その下に補助と融資が政府できまっておって、十年前後もすでにそこへ入ってもらったという人に対することと、どうしても二つ出てくるのであります。もし可能でありますれば、新規開拓地に新しい大きな営農類型を考えておりますが、新しい大きい営農類型を考えますると、それに応じまして、補助と融資も大きくしたいと思っておるわけでありますが、古い開拓地で入植者がすでにおられる所について、可能でありますれば、土地も再配分しまして、営農のやり方も変えていただきまして、より高度化して、生産基盤も大きくて、農業総収入、農業純収入も大きい農家を作ってもらう方か、むしろ開拓は国としても安上りであるし、日本の農家としても安定したものになると思うのでありますが、不幸にしまして、開拓地には、古い所には土地的な条件、気象的な条件、あるいはすでにとりました措置の条件等がございまして、手直しし得る所はすることにいたしましても、制約かあるので、そこで今回のような措置を考えまして、いろいろ研究しましたが、ひとしく、御配付申し上げたかと思いますか、この新営農類型図表というところでございますが、従来は北海道一、内地四地区の五類型ありましたのが、今回は北海道三類型、内地四類型、七類型に変えまして、新旧の差が右と左に書いてありますが、経営面績を広げること、それは標準的な東北、北関東地区でも、耕地面積だけでも三分の四にする。その上に、西日本の傾斜地以外は、原則として乳牛を三頭以上入れさせる。根釧等においては乳牛が十二頭も考えておる場合がありますが、機械公団等の場合でありますが、まあああいうものでなしに、外国の借金を得ないで、日本の資金と日本の力で、日本流に普遍的にやろうとする類型を今回考えまして、北海道、東北等においては乳牛を五頭ないし七頭北では入れたい。少くとも五頭を入れたい。西でも三頭入れたい。傾斜地では逆に、今度は穀菽農業ばかりでなしに、果樹、イモ類等も考えるようにしておるのでありますが、この営農類型は短期間——従来より半分くらいの短期間に、早く営農が確立するように、機械開墾ができる所は機械開墾を考えて、できない所も相当早く資金と補助金がいくことを考えておりますが、これとにらみ合せまして、すでに入植された人もこれに近づくように考えておるわけでありまして、専門家の手において作物の組み合せとか、土地の利用の方法とか、耕地と畜産とかの関係を考えますと、その組み合せから所要資金が一応出て参ります。物価状況等が非常に変動しませんで、特別な災害と特別の個人的事情か生じませんならば、まあ五年間で農業収入は三十五万円目標というところまではいくと、こういうことを、役所でも、関係団体の方でも農業技術者の研究でも、大体一致したので、こういうふうにしたいと思ったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/31
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032・柴田栄
○柴田栄君 その新しい考え方は非常に妥当だと思いますが、当初から計画して入って、しかも計画もなかなかいかなかった。新しい指導あるいは施策によって新しく入植する人たちは、今お話のごとく、非常に早く計画が完成して、収入、収穫もよく、経営が可能な方向にいくという、非常に時期的なアンバランスかあるために、こういうことを考えられるのは非常に妥当だと思うのですか、そういう場合に、従来の、非常に途中半端だと言えばしかられるかもしれないか、いま少し早い目に力を貸してやればもっと早く確立できたものか、途中半端でほとんどずるずると引きずられているというものに対して、この程度で果して新しい営農類型への切りかえが可能かどうかということに、実はまだ私自身非常に疑問を持っているわけです。まあ十一万円というのは平均だということだから、必要に応じてはもっと相当の幅をもって、計画に従っては資金が利用できるというふうにお考えになっておれば、それは実行に当って差しつかえないかと思うのですが、それらに関しましては、計画に基いては、相当大幅に資金の利用もできるという程度は、お考えになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/32
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033・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 御指摘の問題は二つあると思いますが、すでに入植をされておる方で、まだ不振の要振興開拓者とでもいう言葉を使って先般申し上げたことがありますが、その方を、十方四千戸につきまして、新営農類型のようなスピードと経営内容で、所得も農業所得で家計費はまかたえる、そういうようなふうにできるかできぬかということか一つだと思いますが、これは先ほども申しましたように、率直に申し上げまして、そこまでは不可能なことであります。なぜかと申しますと、開拓地で土地配分をしましてまだ、六割強しか平均では、要振興農家では耕地を開拓しておりませんか、全部開拓しましたとしても、先ほど申しましたように、耕地面積でも三分の四、三割増をしようというには開拓者同士で、隣り同士で食い合うことになるわけであります。従いまして、これはもっぱら営農の高度化の方でいかないといけないわけであります。ただ、土地の再配分をし得る所は、間引きする等でありますが、あるいは離脱した農家を共同に使うか分け合うわけでありますが、こういうものは、三十三年度予算でも、土地再配分の費用も実は予算で計上してございまして、やるつもりでありますが、全面的にできるかどうかというと、以上のようであります。しかし、新たに入植をしていただく方については、道路、水利施設、電気施設等を極力先につけて入っていただいて、機械開墾を、日本の機械によっても小規模の機械開墾でも先にやって、すく翌年は牧草を入れてもらう、その次には乳牛を二頭以上ちゃんと入れる。今までは五年、六年たってからやっと乳牛を一頭入れるような格好になっております。そのかわり飯米かイモかソバ等だけは自給するように、いわゆる穀菽農業の手労働の、家畜なしのもので類型ができておったのでありますが、新類型で新入植者か入られるのは、よほど研究しましても、できそうであります。上北、根釧で実行しました所も、豊年の年に見舞われたこともありますが、うまく育って、所期の通りの成果を上げております。また、別途農林省では官房で、昨年以来、北海道を中心にしました雪寒地帯の平坦部までを含めた、古い農村まで含めた営農類型の研究をして、ある種の成案を得て、予算化しておりますが、これとも照応いたしておりまして、現地の試験機関、あるいは農家そのものを実験農場にした場合においては、大体いいだろうと見ておられますから、これにさらに東北、北九州、さらに西日本の特徴を、簡明な、お示ししたような図表にすれば、日本では標準以上の、現状では許される範囲の一応の適正規模農家、こういうことになると、こういうふうに思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/33
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034・柴田栄
○柴田栄君 昨年におきましては、経験もされ、あるいは調査研究等を進められて、新しい開拓農家の創設についても、相当現状としては十分な施策を講じておられるように私たちも了承しておりますが、従来の古い開拓者はなおさらだと思うのですが、非常に環境の悪い所にただ追い込まれて、途中半端と申しますか、やや途中半端な指導で入って、苦労に苦労を重ねても、いまだに独立できないというような農家と、新しく入植される方たちとの不公平が、だんだん目立ってくるというような感じがしますが、特に隣り合って、私たちも昨年北海道へ参りまして、もう十年近くも入っておられる開拓農家と、パイロット・ファームで理想的の施策を講じておられる開拓農家とが、道を一つ隔てて極端な差異を生じておるということに対して、このまま見ておるという手はないということをつくづく感じてきたわけですが、今日まあ新しい方式で入植を計画されれば、りっぱに農業経営も可能だという見通しがついてきている場合に、しかも北海道あたりでは大体規模的にはそう相違はないと思うのだが、施策の相違で苦労を重ねてもほとんどついていけないというような場合に、せめて融資に関しては、もっと徹底した方法をお考えになるということでないと、開拓政策自身が非常に不公平なものになりはしないかということをつくづく感じてきたわけで、今日せっかく入られても、ついに成功せずに脱落する古い開拓農家等も散見されるわけでございますから、この点に関しましては、さらに一つ徹底的にこの不公平をならして、戦後ややもすれば犠牲的な位置に立たされて、新規入植開拓をされた十五万農家全部とは申しませんか、多数のこれら農家に対しまする施策を、もっと強化していただきたいということを、私は強くお願いを申し上げたいと思っておりますが、それに対しまするお考えを、一応お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/34
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035・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 昨年度からやっております営農振興法の適用による古い開拓地の既入植地の要振興開拓者の立て直しについては、新しい開拓地に対して新しい営農類型で入っていただくものとの間に差が生ずることは、どうしてもやむを得ないと思います。しかしその差を縮めるために、営農高度化の面を入れて、また可能な土地の場合は土地の追加売り渡し、土地の再配分等、その他の措置を講じまして、柴田先生の御意向のように、所要資金を付け加えるのには一そう努力をしたいと思いますが、さらに、昨年度から今年にかけて、農林省がその主張を変えずに、今日もより一そう熱意をもってやることが変更にならないといたしますると、私どもは、変更なくこれをさらに進めるように、柴田先生の御意見のような努力をするつもりでございますが、営農振興法で振興計画を立てることになっておっても立てようがない。立ててもどうも実現性が認められぬ、こういうような農家がきっと出てくると思う。これは家族労力の面からも出てくるし、立地の関係から出てくるし、過去の実績からも出てきます。今後道路、その他の国家投資をする際に、今でも五戸とか十戸とか非常に離れた山奥に、たとえば兵庫の但馬の奥の方に終戦後むしろ隠遁するような格好で入られた開拓地がありますか、そういうような所は、資金の効率から考え直さなければいかぬ。生産物の販売とか、肥料、その他の物の購入の上からも、農業経営がなかなかむずかしい所があると思います。そういう営農振興計画が立たないことが明確になった開拓者に対しましては、農家として今後もやっていくという気持が明らかなお方に対しましては、さらに別途の強力措置をしなければならぬと思っております。これは再移住していただいたり、新しい開拓地に新営農類型で入っていた、だきましたりするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/35
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036・柴田栄
○柴田栄君 大体お考えはよくわかりました。ぜひ一ついろいろの手を講じて、不公平のないように、非常に窮迫している開拓農家に対しましては、新しい考えをもってできるだけ公平に御措置をお願いしたいと思っております。今土地の再分配等を要する部面もたくさんあると思うのですが、北海道の例などを見て参りますと、面積的には十分な余裕があるにもかかわらず、補助の額の低さ、あるいは技術的な指導等の不足等からして、せっかくの面積をほとんど利用しないで、非常に悲境に悩んでおられる、あるいは開墾にいたしましても手開墾、畜力開墾等が依然として残っていて、ぽつぽつとつついておられる。土壌改良等によりまして極端に収穫量が増すというような事実は判明しておりながら、既入植者に対しましては土壌改良の助成、そういった施策か及ばないために、指をくわえているというような事実もあちこちで見せられたわけでございまして、そういう点に関しましては、今日補助を出す方法がないとすれば、それらについてもせめてすでにりっぱな例が隣にあるのですから、それらか実施できるような資金を考えてやっていただくというくらいのことは、当然じゃないかと、私ども考えているわけであります。十分お考えをいただいておると思いますが、もし足りなければ、さらに資金のワクの拡張等も考えて、早く入った者が損したというようなことのないように、万全の措置をとっていただくようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/36
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037・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 従来営農類型をとって、従来通りの形であるということを前提にすると、予算資金等はこまかにありまして、開拓者資金、災害資金、信用保証協会の資金、公庫資金といろいろありましても、開拓が非常にむずかしくて、これで一つの農家を新しい村で、新しい部落で独立成長してもらうということのむずかしさがある、関係者の間にも少し考えが薄かったと思う。それはなぜかといいますと、食糧増産とか、失業対策とかというような感じを多分に持ったせいだと思うけれども、今は安定した農家を早く作るということを、農業政策の重点に置いてもいい時期になっておると思いまするので、これに応じまして、今回の開拓者資金も、単に既入植者に八億余、さらに、八億余増すということばかりでなしに、短期資金を中長期資金に切りかえましたり、その使途をいろいろのものに使えるような用途にいたしております。また、入植当初の約束では、開墾作業費や土壌改良の単作等の補助金が打ち切られるはずであったのを、先国会でやっと打ち切られないで補助をするようにしてもらいました。また、開墾建設工事でも一応不振地区等につきまして休止しましたり、当初の計画通り——当初の計画か非常にあやふやなところか多かったのでありますか——一応完了しておると、その次には補助がなくなるのであります。これを金額補助すべきところは金額補助にし、地区内土地改良工事は、補助を従来ではできなかったのを、やりますよという制度に、今度予算で組んであります。大胆にこれを運用することによりまして、御指摘のことは、むしろ行政官の勇気の問題だと思いますから、適用されます限りは、大胆に予算と勇気を使いまして、一刻も早く、そういう点が改善されるように努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/37
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038・東隆
○東隆君 今、柴田委員が質問した例のパイロット・ファームの関係ですが、おおむねうまくいっておりますが、あの中の道路ですね、一番重点になっておる道路が非常に幅が狭いと思います。おそらく牧草を積んだ馬車がすれ違いかできないような道路になっておるわけです。これは非常に残念なことなんで、今後の計画その他が進められるときには、あの道路はもう少し大きくしていただかなければならぬと、こう思うわけです。これはパイロット・ファームについてのなにですが、先ほど柴田さんか言われる通りに、既入植者の農家との開きが非常に出ておるわけです。そこで、どういうような問題があるかというと、もうすでに新しい方は土地の整地がもう全部できてしまって、酸性土壌なんかもみんな適正に直されて、そうしてまきつけをする、こういうような状態になっておるし、片一方の方では、だいぶ早く入ったにかかわらず、もう家はだいぶみすぼらしくなって、そうして圃場にはまだ木の株が残っておる、こんなような形になっております。従って、まいた作物も、片一方は草が相当はえているにかかわらず、片一方はきれいにできておる、そうして成長も早い、こんなような形かできておるので、これは見本に残しておくのも必要かもしれませんか、私は、これを一つ早く直してしまうことも必要であろうと思います。それで、初め入った者は非常に無理な形で入っておった、これはもうはっきりしているのですから、何もそんなに遠慮する必要はないと思う。それで類型がはっきり定まって、それに適応していないものはもちろん没落して、そうして離農した者もあるのを、強制的にやる場合もありましょうし、それから場合によっては、適正な農家を一つ別な所に移ってもらうというようなこともやっても、適正な規模を与えないと、あの地帯でもって立体的な経営をやって、そうして収入を上げるというようなことは、これは都市との距離が非常に遠かったり、いろいろな関係でもって、容易に立体的な経営をやろうといったって、なかなかできるものじゃない、そういうようなことを考えると、やはり一定の与えられた様式を深めていくよりほかに方法がないのであって、その基本になるのは、やはり経営規模ですね、特に土地の面積、こいつはやはり営農熱型に定められたやつには、これを強行するような形でもってやるべきである、こういうことを考えさせられるわけであります。こいつはもうはっきりした事実なんですから。戦災でもって入ってきた農家、それからその後においては、相当乱暴な入れ方をしております。先ほどお話があったような形で入っておりますから、そいつをこの際はっきり割り切って、そうしてやってもらうのが、かえっていいんじゃないかと、こう思うのです。これ、どうですかね、こういう点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/38
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039・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 東先生の御意見は非常に貴重で、また有力な御意見だと思います。今回の営農類型を改訂して、新規入植者にこれを適用して、営農振興を要する方にはでき得る限り現状をまずもとに置いておいて、今までの状態をもとに置いておいて、営農類型の方に近づける、しかし、それは非常に限度がある、こういう二つの間で、根本的に措置するものについて、私ども農林省としましても、一つは東先生のような意見、一つは私が柴田先生、十田先生に御説明申し上げましたような意見と、二つあったわけでありますが、従来の営農類型で一番欠けていたことは、高冷地農業、畑作農業に適した農業で、一家を安定する経常が成り立つような仕組みということを考えていなかったことと、特に開拓地の適地条件に、経済的立地条件を入れていなかったことが、非常に大きいと思うのであります。気象等はもちろんでございますが。ところが、今後はそれを直すことにいたしますが、従来のところは、何といっても約十五万の一方、一方に営農が確立していない方も十万四千、人の社会が債権債務をもって、でき上っておりますので、東先生のように大胆な、農地でいえば農地改革をやるような程度にまで踏み切れずにいるわけであります。財政当局と話して、予算資金を確保する上においても、それを十分に取るほどの成案を、私どもは持ち得なかったのであります。しかし、先ほども申しましたように、すでに国会でおきめ下さいました営農振興法の適用を、今年度以降、今年度に準ずるより、より強化しなくちゃいけませんが、五年のうちに、営農振興計画を立て直していくことにおいて不可能な分につきましては、これは先ほども申しましたように運用でやる方法があると思いますが、必要ならば法制も整えて、不可能なものをいつまで手を加えても営農確立はしませんから、その措置はその結果を待ってやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/39
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040・東隆
○東隆君 こういう例はとういうふうに扱われますか。離農した農家ですね。その跡地ですね、これは先ほど言ったように隣り近所でもって分ける、こういうお話もありました。しかし、飛び地をこしらえてみても仕方がないし、将来に向っての経営に非常に災いをする、そんなような関係か起きて参りますし、それから離農した農家か出ていくのにある一定の価格でもって売りつけていくというそういうようなことを聞いております。そしてその農家、離農した農家がしょっておるところの借金をある程度開拓農業協同組合全体でもってしょわされておる。こんなような形が今あるんじゃないかと思うのですが、これは離農した者の分まで非常に弱い農家がしょわなきゃならぬ。しかも出ていく農家はある代償をとってそうして出ていっておる。こういうような形が自然の間に行われておるようですが、こういうようなものを何とか合理的に何かやる方法はお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/40
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041・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 非常に重要な点を御指摘と思いますが、従来は離農かありました場合には離農者が出たままにしておいて、御指摘のようにしておったと思います。これが農林省の自然措置だったと思います。昨年度からは大いに反省をいたしまして、考え方も変えると同時に、所要の予算も若干ながら計上しておりますように、新営農類型を打ち出す限りにおいては、古い営農類型もできればそこへ近づくことは何も悪いことではございません。むしろ当然でございますから、土地の再配分を土地についてはする。それがしかし不可能な場合は従来の類型では家畜を入れる類型になっておりません。類型とは政府が援助のもとに家畜を入れるということでございますが、自己調達で借金をして家畜を入れておった方もありますが、それらを考えますと、農業のやり方、作物の組み合せ方も変えられることを指導精神といたしておりますので、離農された方の土地については、その開拓地の共同利用ですね、残った開拓農家の共同利用としての使い方をしてもらうこともあわせて考えおるのでございますが、それは一つの大きな方法を申し上げたのでありますが、営農振興計画は開拓者の中においてよく相談されまして、ことしは九十三名の営農指導員もふやすことにしまして、全国で七百名弱の営農指導員を置くことになりますが、そういう方の指導連絡のもとに、開拓地ごとに相違があるところを計画に入れてもらいまして、それか農地法と開拓地の土地の制度の法律に触れない限りはその計画を承認して援助していこうと思っておるわけです。
第二点になりますが、離農された方が離農に当って土地を売り、農機具その他の物を売り、まあ住宅、農舎はあまり売れないようであります、まあ金にかえる場合もある。家畜を同様にすることもあるようでありますが、この場合は成功検査後でございましたら別ですけれども、営農が確立していない方は成功検査も延長することにいたしておりますので、簡単に他人に土地を譲渡することは認めないのが原則になっております。政府が再買収いたしましてこれを付近の開拓農家の方へ追加売り渡しするか、共同利用するかを本旨にいたしたいと思っておるわけであります。
また、その離農された方に対する開拓者賞金から災害資金その他の資金、ごく個人的な債務は別でございますが、これが先ほど申しましたように、その開拓地の開拓農協、他の開拓者の重荷になってはいけませんので、これも振興計画の中で取り上げていただきまして、まず第一は償還延期をして、最後には免除をする措置がありますが、この場合も残って営農にいそしんでいただく開拓農家の方にかけないで、離農された方の方へ追求するようになっております。新たに中金の資金が保証協会の保証あるいは災害資金の利子補給と損失補償とのもとで講ぜられます場合にも、衆議院でもちょっと問題になりましたが、農林中金にはよく意思の疎通を最近はかりまして、開拓農協連には十数名の中金の指導員が金を貸さない気でなしに、しぼる気でなしに、貸す気で貸していただきたい。理事長も衆議院で言明をされておりましたか、昨年の十二月にはその旨の通牒も中金内部で出ておるはずでありますが、そういうふうにしまして土地の扱いは、申しました通り、債務は離農者については他の人の重荷にならないようにそういうふうにしたいと思っておるわけであります。
なお、先ほど道路のことについてお尋ねがありましたか、農業の機械化、あるいは販売、購買の大量化等に伴いまして、お話のようなこともあるようであります。終戦後私どもは道路を、開拓道路は一級から五級まで分けまして、用途、重要度に応じまして地区開拓計画を作る際にきめておりまして、第一の部類はトラック輸送の往復に、すれ違いに支障のない基準になっておりますが、最近の事態を反映してないおそれもありますから、その場合は個々の開拓地区計画に応じて検討しようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/41
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042・東隆
○東隆君 もう一つ、資金の対象になるのは家畜と、こう書いてありますが、実はですね、北海道の開拓農家では牛よりもまず一番先に馬が必要なんです。馬のない農家なんというのはもう農家じゃないということになっておるのですが、ところが馬に対するところの考え方か実は非常にうまくないのじゃないですかね。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/42
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043・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) まことにうまくないのであります。私どもがうまくなかった点は、簡単に、これをあわててこの表を実は作らせましたんで、御指摘の地帯におきまするのは農耕馬、役牛が第一に入れる類型になっております。
この表、実ははしょりさせまして、古いところとの差を重点に書かせましたんで、従来から入っている農耕馬等は、北海道における農耕馬—耕馬といっております、役畜の馬は当然に開拓者資金でまず第一に営農第一歩から入れるものと、そういうふうに予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/43
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044・田中啓一
○田中啓一君 これまでの開拓関係の法律を駆使して、そうしてこの開拓者の営農をやっていける百姓に、なるべく早くしていこうというような趣旨でこの新営農類型というものを農林省で考えられたことは、非常に私は大きな進歩であると実は思います。で、おそらく、なるべく近い将来に戦後の開拓者だけではなくて、日本全体の農家というものを、こういった計画的にやつていかなければならないことになるであろう。そういうことのためにも、まず一番捨てておけないという開拓者からお始めになっているということは、非常にけっこうだと思うんです。そこで、私はこの類型を立て、この営農計画を推進するわけでありますが、これはやはり今お話しの通り、十五万戸ほどの開拓農家でありますが、それを一体今後五年とか七年とかいう期間に、こういった形態のものに全部するんだ、それにはどれだけ資金が要る、あるいはどれもこれも牛が大事な元手になるようになっておりますが、それは何頭要るんだ、どうして作っていくんだというような私は計画的なものにしまして、そうしてやっていかないと、実は指導員をたくさん置きましても、法律の建前は、この開拓営農振興臨時措置法など、なかなか上手にできておって、相当自発的で創意工夫した、こういうことになっておるのでありますか、この営農類型的な考え方というのは、相当新しいのでありますら、なかなか進まないだろうという気がしてならないんです。従って私の申したいことは、例の経済五ヵ年計画式に年度計画を定めて、そして進むようにしたらどうであろうか、もう私は農業というものは、単なる、こうがよかろう、ああかよかろうというふうな指導方針時代ではなくて、こういうふうにぐんぐん進んでいかないと、とうてい、幾ら白書に書いてぐちをごほしてみたところで、それはいつまでもぐち念仏を唱えておるだけにしかならぬのじゃないか、またこういうことは的確に計画的にやられるということになれば、やはり資金の所要量というものもはっきりして参りますから、予算関係においても、各方面の理解を得ることがだんだん容易になる、今のようなことでは、どうもどうなるんだな、よくなるということなんだけれども、どうよくなるんだというようなことで、実は予算の時期になると、毎度のことながら、はなはだおぼつかない。土地の改良計画などの方はだいぶ私は進んできた、これだけやらなければならぬ所があって、今年はこれだけでやるんだ、今年これだけでやらなければこれだけおくれますぞ、こういうふうにはっきり出せるわけであります。ところが、やはりその上の営農というものがこれだけのことになるんだということでないと、この方も実は説明は不完全になるわけなんであります。でありますから、そういった私の申しましたような気持というものは、相当起きておるかどうか、ことに既存の法律だけでは、あるいは既存の法律そのままでは、今のような計画を進めていくのに、こうやってどこが十二町歩とか、どこは七町歩とか、四町歩とか書いてありますが、うまい工合に入れ得るかどうか、必要なところがあれば、農地法にしろ、あるいは開拓関係の法律にしろ、土地改良法にしろ、直すべきところは直して、やはり計画的に進まなければならぬというようなふうに思いますので、その辺に対する今日の農林省の方の考え方というものを一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/44
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045・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) お話の点は、まだ十分でございませんが、気持が起きておるかどうかの点につきましては、ある程度の計画、プランを素描いたしまして、田中先生が起していらっしゃる程度は起しておるつもりでございます。と申し上げますのは、経済五ヵ年計画の中で、まあ社会党の方もいらっしゃいますので、語弊があるかもしれませんが、政府がこの計画を立てます際に、与党の関係の委員会の御意見も聞いたり、御審議をお願いした経過かございます、土地改良及び開拓、干拓を含めまして、行政投資は二千三百億、事業費は五千億を考えておるのでありますが、そのうちの開拓面積につきましては、大体五年間でおおむね三十万町歩でございます、さらに引き続いて百五万町歩計画を用意し、その次に引き続いて、さらにそれに加える百十万町歩を用意いたしまして、あの長期経済計画につながるものとしましては、その期間はちょっと違いますが、二百五十万町歩を、従来の開拓適地よりは、経済立地も考えた土地において実現したいと思っておるのであります。その経済計画に従いましては、年度別計画はなかなか政府部内ではっきりきまらないところが、実は田中先生の御指摘を受ける点であろうと思いますが、ともかく三十三年度から、むしろ理想ではありませんが、日本の現美的な、望ましき農家のあり方としての新営農を打ち出しまして、最初であるから、三十三年度は二千五百戸の入植農家を予定しておりますが、五カ年間は、平均しまして一カ年五千五百戸入れる計画でその資金計画はできております。またこれを、先般江田先生と農林大臣とのいろいろの御論議、御研究もありましたが、西欧諸国とアジア的な諸国との間では、耕地率等も、農業と他産業との生産性の比較もずいぶん違うようになっておりますが、日本はその中間をねらうべきであろう、中間という言葉が悪ければ、第一次産業と第二次産業は、ともに進んで、その差をあまり開かせないようにしていくべきだろうという考えを持っておりますが、その第一は、何といっても土地条件でございます。この土地条件は、日本の土地三千七百万町歩だとしますと、現在耕地は六百六万町歩しかございませんが、大体県庁等の力も借りて、開拓予定地を今後二百五十万町歩を予定いたしておりますことは、まあイタリア程度と申しますか、それと直接比較はできませんが、現在日本は農用地率が一九・九%でありますが、二五%くらいまで持っていく、そうして他産業との生産性なり、所得で比較しました比率も、もう少し引き上げていくということをねらっているのであります。ところが、人口の増加というのがございますので、また既耕地の農家、農村のことがございますので、この土地改良というのもどうしても重要でございますが、この両者を通じまして、お話のような方向でまず素案を——素描を五ヵ年計画の中に入れまして、それに続いてさらに三十万町歩開墾計画から百五万町歩開墾計画、さらにつけ加える百十万町歩の開墾計画を持っていきたい。その上に立つ営農類型と農業経営、生活の安定は、新営農類型を置くような形に持っていきたいと、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/45
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046・田中啓一
○田中啓一君 御努力のほどはだんだん明らかになって非常にけっこうであります。それでまあ新らしく開墾していく方のことは、割合に私は数字的にまあだんだん明らかになってけっこうだと思うのでありますが、すでに入植をしておる約十五万戸の農家というものを、今後こういった類型を考えて、それぞれの地方の実情に適したような規模並びに内容の農家に仕立て上げよう、こういう御努力がこの新営農類型図表に表われておると思う。これはとにかく非常に、私どもから申しますれば内輪に見た方だと思いますが、その十五万戸をこれに達成——ここまでこぎつけさすには、およそ何年くらいでやる意気込みで、今おられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/46
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047・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 時期をまず申し上げますと、三十三年度から四年間でありますが、内容を次に申し上げますと、先ほど柴田委員及び東委員にお答え申し上げましたように、十五万戸のうちの約三割は、古い農家の水準を抜いて相当いい農家になっておるわけであります。残りの十万四千戸については、まことに貧弱な、今後なお非常な努力を要する農家が多い。それの目標とするものは新営農類型に準じて考えたいのですが、土地条件、その付近の開拓がどうしても人と人、社会と社会、土地と土地との関係等もありまして、十分にできませんので、営農高度化をねらいましていきたいと思っておるわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/47
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048・田中啓一
○田中啓一君 そこのところがね、私どうも食い違いがありはせぬかと思うのですが、やはりこれは地元増反に帰すると思うのですがね。規模から申しますと、やはり相当な規模でなければ、将来りっぱに立っていくようにはこれは百姓はなれっこないわけなんです。一番の悩みは零細農だということです。でありますから、まあ幸いにして農地局長、大いに地元増反ということを考えておられるのですね。そこで、それをやる場合に、私はやはりこの農地法、あるいは開拓関係の法律で、地元増反が強力にできるように措置を講じてやらぬと、やはり農業に使った方が土地の生産性は高く使えるということはわかっておっても、それは他の経営をしておるというようなところにぶつかって、どうにもならない。そこらはなかなか、とても出先の指導員なんかでやれることではないのでありますから、私がぜひ所要の法律の改正をしなきゃなるまいかということを申し上げたのはそこにあるわけなんであります。
まあ私、歩いておる範囲はきわめてわずかでありますけれども、どこへ行ってもぶつかるものは、土地が足らない、それからその土地を……、ということと、それからまだまだ実は開墾はできるのだけれども、とてもくわ一丁ではできない。こういうことで、これはまあ資金が足らぬというか、あるいは資金だけではない、実際は何らかの方法で機械開墾をやるように配慮しなければ、人力だけではできないという技術的の状態でもあろうかと思うのであります。要するにその両面の欠乏なんですね。そういうものを入れてやり、そうして土地はそうやってそこへくっつくように配慮をしてやれば、あとは今度は内容をここにあるようなふうに改善をすれば、りっぱな百姓になる、こういうことでありますから、これが遂行にはどうも私は若干の法律の改正も必要であろうか、こう思いますので、そこらのところはどんな見解でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/48
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049・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 田中先生のおっしゃいます御趣旨は、別に反対もありませんし、その方向へ持っていこうと努力しておりますが、来年度確実に予算を持ち、法制を持って、資金を持って具体的措置するというのはどうかというようになると、先ほども申し上げたようになるわけでありますけれども、多少確かに言葉及び内容の御説明が私は足りませんでした。まず第一には、開拓地でない古い農村でございますが、これは市町村という区域において土地改良計画と、零細な経営面積を持っておるものを、土地の縁、血のつながりの縁等を基にしまして、市町村という公共団体で計画を立てるもとにおいて地元増反をしていただく場合には、新たな補助制度を今回、来年度から開きたいと思って、予算も若干計上してあります。逐年これは拡充すべきもので、いわば土地の経営面積、農家の経営面積に対しまする新農村計画をやっていくべきことだと考えております。その初年度でございますので、まず二百八十町歩について予算を計上しておりますが、補助制度も設けることにいたしておりますが、あわせまして、本年度この開墾を新たにしたところの作物の収入に対して、所得税が減免になります期限が切れますので、別途大蔵省と打合せの上、大蔵委員会に出ておると思いますが、今後も免税制度を続ける法案を提出中でございます。これは自作農維持資金と言っております。原則としては今では農家の零細化、没落を防止する程度のところで一つの制度を持っておりますが、これは既耕地を、小作地でも、自作地でも買う場合の資金を原則に貸すことになっております。長期低利の資金を……。将来農地法の考えをもう少しすっきりできれば、未墾地を個人が、あるいは地方公共団体が獲得して、個人に渡すという方法で未墾地を買って地元増反する場合にも、その資金が供給できる道を開くべきだと思っておりますが、旧地主補償等の、農地補償等の問題がありまして、慎重を期する要があると私どもは認めておりましたので、本年度は自作農資金を増反用の未墾地取得のために供給することは一応差し控えておるのであります。将来その問題の解決に応じましてこれは解決すべきものだと思うのであります。
その次は、開拓地の経営面積の問題でございますが、旧営農類型は営農方式の改善、有畜化その他とともに、農業経営の機械化とともにもっと拡大すべきものだと思っております。今ほぼ適当と思われるところを、農業所得をもって生活費を大体まかなえる、それに一部の災害に備えた農用林、薪炭林を加えた自家労力を賃金化する分も余裕を持つ……それを必ずやらなければ成り立たんのでなしに、余裕としてその分を持つような考えを持ちまして新営農類型を作って今後に適応しようとしておるわけでありますが、今後に適応しようとしておる意味でありましても、従来の開拓地開拓農家の経営に関しましては、新営農類型がむしろ日本で行うべきことであるとして出しておるわけでありますから、付近に未墾地買収をして既入植者に新営農類型までは売り渡すような適地があるとか、離農者があって土地の余裕が出ますとか、すでに政府の自作農創設特別措置特別会計で約四十万町歩の土地がばらばらとしてもおりますが、持っておる点の処分もする気配がございまして、それが使えるならば追加売り渡しと申しますか、それを売ることは考慮中であるわけであります。ただ既入植者に対する措置は、所定の小さい、古い営農類型の農業すらまだ営んでいらっしゃらない開拓者に対してさらに古い営農類型までの開墾を進め、道路をつけ、電気をつけ、土壌改良をして家畜等はもっと入れる、こういうこともそこまでいっていないので、まずそれをやるべきだと、こういうふうに前後をおいておるだけでありまして、それが営農振興計画と、これに対応する政府及び県の措置に応じましては、先生のおっしゃる通り土地的な措置も行うつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/49
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050・堀本宜実
○堀本宜実君 すでに柴田委員あるいはその他の方から御質問があった問題でありますが、私も昨年北海道へ参りまして、機械化開墾の土地と既入植者の道路一つ隔てた比較を見たのでありますが、ただいまそれらについての所信かわかりましたのでありますが、今度の営農類型を新しく作って、政府の融資が予算化されて、新入植者についての処置というものはある程度できたように思うのでありますが、これから政府の資金の追加が新入植者にもありまして、新しく営農計画を立て、振興計画も立てるわけでありましょうか、以前のすでに無計画の立場から入植した人たちのその経営規模の上に追加資金が認められましても、これか果して完全につなぎ合わされていくかどうかということには非常な疑問が私はあると思うのであります。そこでこれらに対しまする、たとえば八年目に三十五万円になるというこの農業所得の目標等が、そういうつなぎ合わせた上に立てられるということから、あまりにも理想的な、飛躍した計画に過ぎるような気がいたします。従いまして、これらの運営に関しましては、どうにか計画がこじつけて立てられるところもありましょうが、全然それでは計画か立たないという農家も出てくると思う。それらに対しましては、簡単な御説明がございましたが、農家としてやっていけないということに対しましては、強力な処置を将来講ずる意思がある、こういうお話なのでありますか、私は新入植者と、既入植者の取扱いのこの段階においては相当の差違がある。今後既入植者の、今まで経営が不完全でありますものには一層の深い考慮を払うべきでないか、強い施策が必要なのではないか、かように思うのであります。これはあらかじめ、先ほど御意見があったのでありまして、重ねて答弁は要求はいたしませんが、どうか強い処置を講じなければならぬという、その考えをすみやかに計画されますように、お願いを申し上げておきたいと思います。
次に、これは去年も振興法が出ましたときに、振興法というものか机上プランでならできるけれども、現実には果して振興法か立ち得るかどうかということに非常にわれわれ疑問を持っておった。現実にこれを取り扱ってみますと、さような方たちが相当私は出てくるであろう、こういうふうに思うのであります。従いまして、いずれの資金におきましても、政府資金が、融資にいたしましても、補助にいたしましても、この振興計画なるものか立たなければその恩典にあずかることができないのであります。従いまして、これらのこの振興法の適用といいますか、運用基準等についての行政上の処置といたしましては、親心でこれを見てやる、処理をしてやるという考えがなければならないと私は思う。そうでなければ予算を一応持ちましても、その予算を適切に運用することができないのではなかろうか、こういうふうな心配をいたしております。その後の経過あるいは将来についての意見を伺いたい。
第三番目に、これはかためて申し上げます。先ほどもこの既入植者が無計画で入ったというこいとを申し上げたのでありますが、現在も、過剰入植というような、これは表現が悪いかもしれませんが、相当、何といいますか、職にあぶれた、どこへでも行っておれというようなつもりで、追い込んだような結果になっているところがあろうかと思うのであります。私の調査によりますると、北海道ですら一町未満のところがある、また他のわれわれの地方におきましても七反未満のものがございます。新規に開墾、開拓をいたしました土地は、主として水田のような熟田、熟畑はございません。新しい土地でございまして、土地改良からやっていかなければならないような営農体系でございますが、そういうようなところは、これは私の表現からいきますならば、過剰入植である、こういうふうに思う。これをそのままうっちゃっておいて、将来一体どうするか、こういう方から先に手をつけて、そうしておのおのおのの入植者が、それぞれ適切な営農ができますように指導いたしますことが最も必要なものではなかろうか、こういう点が忘れられているような気がするのでありますが、これに対しまする意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/50
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051・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 堀本先生の第一点と、第三点は、ほんとうに関係が多いのでやや似ていると思いますが、第一点につきましては、せっかく農林省ばかりでなしに、国会の御審議も経まして、営農振興法かできまして、開拓者団体と御相談を申し上げましても、また地区ごとに全部ではございませんが、当りましても、あの法の運用を今までのわれらの開拓者の最後の手直し機関としてやってみょうという気魄が非常に濃厚でございますので、先ほども申し上げましたように、私は初年度はその何分の一かを類型で分けまして具体的に措置する方がいいんじゃないかという忠告すら申し上げましたが、いやそうじゃなしに、十万四千全部まずやってみようという機運か関係団体総員の気持でございましたので、過剰入植地とか、パイロット機械公団の開拓地、新営農類型による開拓地との間に差があっても、差のあることを強調するとか、五年間たっても成り立たないようなところがないわけではなかろうか、それにまず気をとられて全体の気持に、十万四千戸の立ち直ろうとするお方々の全体の気持に水をさすことは、これは行政といいますか、少くとも私が申し上げることではございませんか、政治の持って行き方ではなかろうと思います。まずそれを第一にやりまして、ますますその措置を強化し、意識を高揚させて、その措置ではだめだという場合のケースのことを研究しながら、そうして第二段にその措置はいかにするかということを考えるべきだという、こういう態度を一応とっているわけです。しかし阿蘇の悪い土壌地帯なんかに開拓農家があるといわれましても、私直接見に行ったんじゃありませんか、農地事務局の係官を派遣させましてもほとんど一年中御主人は営農していらっしゃらない、こういうところも相当全国にわたってあります。このお方々に対しましては、大胆に申しますというと、営農に精進する気があるかないかを確かめて、ない場合には、農業外の転業対策を講ずべきだと思いますが、農業でやっていこうというお方については、一農家といえどもこれを政府は捨てるような気持を起しませんで、別途の対策をとるべきだと思うのでありますが、三十三年度の予算等におきまするところ、これに対していかなる法制を用意してあるかにつきましては、前国会の御審議を得ました法律の適用がまだ十分にできていない第二年目においては、その非常に強力な開拓者中の貧農で立地がきわめて悪い、努力してもできないようなところをいかにするかということは、すぐは立たなかったのであります。これは、おそらくは二年間で振興計画は法律に基いて立てることになっております。だから、二年間たったところで判定して、案を立てるべきだというふうに思うのでありますが、振興法は、そういうふうにやはり国会の御審議があったということでなしに、そう理解して運用するのがいいことだと思っておるのでありますので、今年までの措置をもって十分といたしませんで、さらに中農以上の農家に育てること、貧農対策、気はあっても開拓農家として育ち得ない所に開拓者として入っておるという方々については、それぞれ共通の分もありましょうか、別々に施策を講ずることを来年度の終りまでに立てるべきだと思います。それでお許し願えるんじゃないかと思うのです。
それから第二点でございますが、振興計画が立ちませんと、補助金や資金やその他の建設工事その他の行政措置をとらないのは原則でございまするけれども、しかし原則といいましても、むしろそういうふうでないのか、原則の分かありますが、まず何かと申しますと、災害資金等の負債の条件緩和することでございます。あるいは個人債務等を除いて、明らかに技能者がおって、先ほど御指摘になりましたような、他人の債務を一緒に背負いながら重圧を食って、農協といえども簡単に融資をしない、こういうようなところであります。こういうような分につきましては、別に振興計画の全面認定を要しませんので、その債務か確定すれば、それは三十二年からすでにやっておりますように、続けるつもりでございます。明確に見通しを五年間で、昨年三十二年から五ヵ年で立て直すということの目標のもとに立てるべきこと、それにおいて措置すべきことだ、振興計画が立ったあとでやろうと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/51
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052・堀本宜実
○堀本宜実君 もう一つお伺いすれば、先ほどもお話がございましたように、指導員七百名をもって現地指導をする、営農指導に当らせるということなのでありますが、これはまことにけっこうでありますが、指導員が増長されましたけれども、農地関係の職員か転用されたというようなものも中にはございます。そういう人たちか実際は現地におらないで、県庁やあるいは農地事務所等におって、実際の運営と非常に距離がある、こういうふうに私は考えるのでありますが、そういうことについてはどういう取扱いをされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/52
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053・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 開拓ですか、従来の開拓地は、干拓地の場合を除きましては山の高冷地に比較的多い、残りは、軍用地が転用されたところが多いわけでありますが、大部分は高冷の山地にありますので、今の陣容をもってしましては、開拓営農指導員では、そういう地帯が確かにあるのでございます、これに対しましては、開拓農協にさらにかねての御経験によりまして、御尽力を願いますこと、開拓農協は少し性格が違いました農協かと思います。生産共同体でもあり、政府の行政のようなものを、たとえば政府資金の融資というようなものを開拓者にかわって取り次いで活動して下さるものでもあり、開拓団とでもいうべき性質を持っていらっしゃるのでありますが、どこの開拓農協もできるわけではないので、開拓ということは非常にむずかしいことで、特殊の指導者かおって初めてうまくいっているところも、根釧の中村先生、大山の場合といろいろの場合があって、よくわかるのでありますが、営農指導員の足りませんところは、高度の農業技術については、改良普及食と農事試験場との連携を、また技術会議及び振興局と話をしまして、もっと開拓営農を、ちょうど赤城農林大臣が、一般に畑地振興の努力か農林省はかつて足りなかったじゃないか、こうおっしゃっておりましたり、前提和の井出さんか、積寒地帯の農業振興には力か足りなかったじゃないかと言われておりますことと照応しまして、積寒及び寒冷地帯及び畑作の、あるいは畑地の改良振興につきましての特段の措置をとるのは、まず畑地からやってもらいたい、こういう意味で試験場、普及貝、指導員の連携を具体化するように、月下来年度からできるように打ち合せて、趣旨はそれでいこうということになっておるのであります。またその農協につきましては、金融面、経営面等が多いのでありますか、いわば生産共同体でありまする分も加えまして、上位団体から長期駐在指導員を派遣する予算を計上いたしておりまして、十分ではございませんが、本年度からそれを強化しまして、これかよければその方法でもちまして三十四年度以降において一そう強化をしたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/53
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054・堀本宜実
○堀本宜実君 償還延期についての条件の問題なんでありますが、私は去年、例の振興法がここで審議をされましたときに、すでに貸し付けておりまする不振営農、これについてはモラトリアムのようなもので切り捨ててやるということが最もよい、これはしかし理想でございまして、なかなか困難なことと思うのであります。そこで、この国の債権の管理等に関する法律によりましてこれか延期ができると当局は言われますが、実際にこの処置によって延期をされておりまする例がたくさんございますか。また処理要綱で振興組合については、一時払いか著しく困難な場合には延納を認めるというのでありますが、実態ではそういうような現実の処置をとっておりますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
なおもう一つありますから、続けて最後まで申し上げます。今度自作農の資金が条件が緩和になりまして、自作農資金か開拓者にも貸し付けられるというのでありますが、この自作農資金の貸付は、開拓者がやっておりまする協同組合を通じないで、他のルートから開拓者へ行くように思うておるのでありますが、私の考え方が違うかもしれませんか、これはどうして——もし私の考えておりまするように、たとえば中金でありますとか、あるいは信連でありますとか、一般農協でありますとか、それから開拓者へという、かりにルートであるといたしまするならば、せっかく維持育成強化をはかりつつある開拓者の協同組合を通じてこの自作農創設資金等を貸すようにしてはどうかと思うのでありますが、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/54
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055・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 第一点でございますが、昨年の常会でない国会の災害関係の農林委員会がありました際に、開拓者の災害資金の問題が相当議題になりました。その際は事務当局としてはいささか行き過ぎかと思いましたけれども、必要なことだと思いまして、開拓者の特に災害による債務で営農のスムースな発展を妨げておるものの重圧を緩和することをいささか強調いたしまして、その結果が昔で言う徳政のようなことを考えておるように受け取られて、食言をしたのじゃないかといって、私はおしかりを受けたこともございますが、必ずしも正確に速記録をお読み下さるとそうではないと思いますが、気持は私は開拓者の場合では離農者というものか出たりする場合、離農者が出る前に開拓者は開拓農協を通じて、連帯で金を借りておる。無産者で信用力がない人か金を借りておると、こういう実態がありますから、特別のこのむだな消費に充てたととか、犯罪的なようなことをやって借金をたくさん作っちゃったとか、営農及び通常の生活のために債務を負うたものではない場合は、入植から開拓地の設計、営農指導まで、相当強く政府か指導をしておる場合におきましては、債務を切り捨てることは全くないわけではないと、あるものだと思っており、現在も思っておるわけであります。そういう性質があると思うのであります。その意味におきまして、開拓営農振興法でもその関係条文を入れようと立案いたしましたが、時たまたま一国会前に、国の債権の管理等に関する法律というのができておるから、重複した法律を作らぬように、また多少違っておっても運用でできることはそれでやってもらいたいということか政府全体の中には強うございましたので、これを他の法律に譲ったのであります。しかしその法律の適用は、あくまで当初の精神にのっとりまして、開拓営農振興臨時措置法による計画で明確なもので、第一は履行延期、将来は免除することもあるということで、適用し得るものが確認できればけっこうで、それもそう繁雑に中央で全国分をやるベきではないというので、各ブロックの農地事務局長にその権限を依頼したのでありまするが、目下出ておりまする振興計画によっておおむね一億七千五百万円前後は、さらに検討を要しまするけれども、そういう措置を考慮する対象であると思っておるのであります。そういう段階まで至りまして、従いましてまだこれを具体的に債務を免除してしまう、その前提で履行を延期するということを振興計画に即してやる時期が来ませんでしたので、具体的にやっておることはありません。進行度はその程度まで進んでおります。
そのほかどういうことでございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/55
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056・堀本宜実
○堀本宜実君 それでけっこうなんでありますが、今……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/56
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057・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 自作農資金につきましては、当初、昨年振興法を考えましたときに御審議をいただきましたか、個人債務はいかにもわかりにくいのであり、どういう性質の債務であるかもわかりにくい。ただ一応開拓者を十五万戸調べまして、どのくらいの債務があるかは開拓者団体の御報告に従いまする限りはわかっておりますが、中には案外親戚等から無利子のまあ恩借とでも言うべきものがかなりあります。それから農協から借りましたのでも信用度が薄いので非常に高利なものもあります。兵庫県などで実に高いものもあります。その他肥料商とか、ある意味では高利貸だろうと思いますが、ほんとうの個人の金貸しで借りておられるのも相当あります。一般的に申しまして、営農類型等にいろいろ問題かあったり災害が起きていろいろ問題がありましても、そのつどそれぞれ予算なり法規なり、国会審議なりを経た制度で今までやってきたのであるから、個人債務について政府が直ちに手を伸ばすというのはどうかという意見がまず最初にございましたので、その案を一応見送っておりましたところ、衆議院の農林委員会やこちらの農林委員会で御審議がありまして、個人債務でも、やむを得ない、本人の責めに帰すべからざるもので、今後農家として精進をされようとする開拓者の営農振興の重圧になっているようなものは救うべきであるという御意見が圧倒的に多うございましたから、三十二年度の資金ワクと従来ある制度からいたしまして、活用し得るものは自作農資金だということに認めまして案を提示いたしまして、国会の御了承を願ったのであります。従いまして、自作農資金を使う場合には、自作農資金のルートがあります。簡単に申しますと、農業委員の審査を経ましたり、また、側面的には、自作農貯蓄組合が指導援助をしましたり、融資後は記帳をいたしましたり、営農改善計画をつけたりすることになっておりますが、枝葉末節のことは、事を簡明にいたしまするために省きまして、振興計画をもって、他の場合の自作農資金の供給を受け、また、受けた場合に必要な営農計画と同様と見まして、農業委員の御審査を経ますれば、開拓農協を通じて公庫から開拓者にいくのがいいと、こういうふうに思っておるわけであります。県連を通じなく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/57
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058・堀本宜実
○堀本宜実君 今そういうふうになっていますか。そういうふうにもう処置されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/58
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059・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 振興の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/59
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060・堀本宜実
○堀本宜実君 振興計価は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/60
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061・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 現在は、理解の仕方でありますが、公庫が系統農協に業務を委託しておる場合吉は信連を通ずるようですけれども、あれは公庫の仕事でございまするので、公準から開拓農協、単協にいけばいいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/61
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062・堀本宜実
○堀本宜実君 今の、前段の問題は、やはり、疾病、食傷、災害というのでなしに、個人の負債というか、良質な個人の負債で高利であるものは、やはり一応認めるような処置が願いたい、また、そういうふうにお話がございましたが、けっこうだと思います。実際の運営をそういうふうにしていただきたいと思いますが、今の系統農協を通じるということにつきましては、振興計画が立ち、振興組合というものかありまするならば、地元のさような別な金融機関を通じないでいきまするように、公庫とも了解のつくように御指導を願いたい。希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/62
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063・鈴木一
○鈴木一君 今の問題に関連してですか、現在、自作農の資金は、実際貸している者に対する実際の申し込みは、各県によっても異なると思いますけれども、三倍ぐらいあるんですね。これはもう奪い合いのような状態で、審査もかなり厳重で、なかなか現在の自作農ですら借りられないような状態にあるわけですね。そうすると、担保力も何もない開拓者が、ルートだけは開かれておるけれども、実際これを借りるなんということは、まず不可能じゃないかというような気も、実際の運営の面からして私感ずるわけでありますが、開拓というその特殊な条件からきた借金か大部分であって、町へ行って道楽をしたとかそういうふうなことじゃなくて、営農からくる利益だけではどうしても支払いできなかった病気とか、その他の原因で、こういう個人借金かできたと思うわけでありますが、どうしてもやっぱりこれを救済してやらないことには、直接間接営農の圧迫になるだろうと私は思います。昔の産業組合の場合でも、最初に取り上げたのは、そういう個人的な借金を政府の長期の資金にかえてやって、そしてこれを救済してやったというようなこともありますから、そういう道が開かれておるだけではどうにもならないんで、実際それは可能なようなふうにしなければ、この個人借金というものは永久に消えないものだと私は思います。ですから、今の局長の答弁では実際問題として実行不可能だろうと思いますが、その点、どういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/63
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064・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 第一は、自作農資金のワク及び手続でありますか、需要に対して供給が三分の一くらいだというお話であります。地方によって違いますが、大体そんなようであります。私どもは、二十九年以降、現在の農地事情を続けておりまする限りにおいて、自作農資金全体は二百億要る。幸い、来年度は少額ながら増額いたしまして、年々最近は五割ずつ増しまして、七十五億になるわけであります。本年度は五十億でありましたが、来年度は七十五億。そのうちの五億だけは特別ソクを作りまして自然の流れにまかせないつもりであります。営農振興計画で先ほど申し上げました一億七千余のうちの、なるほどこれは少くともこのぐらいは借りかえすると申しますか、政府資金に準ずる低利長期の資金に切りかえた方がいいと思いまする対象開拓農家には、開拓者資金でもやっておる経験もございますから、営農指導員と県庁、事務局のルートを通じまして政府直接貸付、極端なことを言いますと、割当ではございませんが、割り当てるようなふうにやるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/64
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065・鈴木一
○鈴木一君 個人的な借金というのは、大体どの程度あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/65
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066・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 御報告いただいて農林省でまとめておりますものは、約二十五億であります。しかしそれは全部不良のものではございません。なお、申し添えますと、北海道庁で知事さんが北海道において同種のことを私どもの方へお打ち合せ下すって、自力——自力と申しますか、道自身で開拓者外の農家も含めて高利債の借りかえ措置を条例を使ってやられたことがありますが、実際はうまく動いていなしようでございます。いろいろの事情かありましょうが、開拓者に対しましては、もう少し、事態がはっきりしまするまではただいま申しましたような方法がいいのじゃないかと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/66
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067・鈴木一
○鈴木一君 重ねて申し上げますけれども、何かやっぱり特殊なワクをきちんと定めて、そうしてまた、農民の方の借金の内容も十分検討して、そうして三年なら三年の間に全部これを解消するんだというような計画を立ててやらなければ、これは私永久に消えないものだと思うのですね。そうして、それが、先ほど申し上げたように、直接間接営農そのものに対する、また、開拓農家の精神的ななんに対しても私大きな重圧になるだろうと思うのですよ。ですから、今のような措置だけではとても軌道に乗らない。その証拠には、五億のワクを設けても全然上がってこなかったという実績から見てもそういうことか立証できると思うのでありますが、この借金については、もう一ふんばりはっきりした計画を立てて、二年なら二年、三年なら三年の間に全部解消するんだということをこの新しい新営農類型と並行して実施してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/67
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068・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 私どもか三十二年度から五億ずつ取っておるのは、五年間で五五、二十五億であります。具体的にどこでどういうふうにやろうかという問題も、さっきの問題もありますが、大体この二十五億を振興計画の中で明らかにして整理して全面的にやろうと思っておるのは、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/68
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069・藤野繁雄
○理事(藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/69
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070・藤野繁雄
○理事(藤野繁雄君) 速記始めて。
本日の審議は、この程度にいたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後四時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X01419580307/70
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