1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月二日(水曜日)
午前十時五十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 重政 庸徳君
理事
柴田 栄君
藤野 繁雄君
清澤 俊英君
鈴木 一君
上林 忠次君
委員
秋山俊一郎君
佐藤清一郎君
関根 久藏君
田中 啓一君
田中 茂穂君
仲原 善一料
堀 末治君
堀本 宜実君
安部キミ子君
東 隆君
大河原一次君
河合 義一君
梶原 茂嘉君
千田 正君
北條 雋八君
政府委員
法制局第三部長 山内 一夫君
農林政務次官 瀬戸山三男君
農林省農地局長 安田善一郎君
林野庁長官 石谷 憲男君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
説明員
林野庁林政部林
政課長 家治 清一君
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本日の会議に付した案件
○分収造林特別措置法案(内閣提出)
○農林水産政策に関する調査の件
(経済基盤強化基金と農業に関する
件)
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001・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
分収造林特別措置法案を議題にいたします。
質疑を続けます。御質疑の向きは、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/1
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002・千田正
○千田正君 きのう、この問題で、梶原委員は梶原委員の御研究の立場について聞いておられたようでありますが、私も、この点だけを政府側に御説明をいただきたいと思うのは、民法第二百五十六条、共有物の分割請求という面に、第二項に、「此契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ス」という条文があるのですが、今度の分収法は、五十年の長きにわたる問題で、これとの関連は、農林当局は、この分収法ができれば、それによってこの問題の排除はできるのだ、ある程度これは押えていけるのだという御解釈のようですが、その点は間違いがないのですか。今度の法律ができることによって、この民法の規定はある程度別個に考えて、この分収法の効果が十分に発揮できる、かような観点に立っておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/2
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003・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) ただいまのお尋ねは、民法第二百五十六条に、共有者は共有物の分割をいつでも請求することができる、ただし、当事者の契約によって、五年をこえない期間内、いわゆる五年以内においては、分割の請求はできないのだ、こういう契約をすることができる、こういうふうになっておるが、今度のこの分収造林特別措置法の第三条との関係はどうか、こういうふうな御趣旨だと思います。そこで、民法二百五十六条につきましては、昨日の当委員会において見解を申し上げておったのでありますが、重ねて申し上げて、まことに失礼でありますけれども、御承知の通りに、所有権は原則として単独であるべきものである、こういう建前を民法はとつております。そこで、たまたま共有物件についても、従って民法のとの規定によりまして、いつでも単独の所有権になり得るように、分割を請求することができるのだ、しかしその例外として、五年間以内においては、分割を請求できないのだという当事者の約束があればいい、こういうふうな、一応原則に対して例外をただし書きによって規定しておる、こういうように解釈しております。そこで昨日、今御審議を願っております法律案の第三条について、私どもの方の見解を一応申し述べておきましたが、その後この民法との関係、契約自由の原則、こういう問題との関係を政府部内の専門家が協議いたしまして、解釈を統一いたしました。昨日私がお答えいたしましたのを、ある程度訂正をこの際さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/3
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004・千田正
○千田正君 その訂正は、梶原議員が来まして、なおおそらく疑義をおただしになると思いますが、そのとき統一した御見解を表明していただいて、梶原委員も聞き、また私もお聞きするかもしれませんけれども、そのとき一括しておやりになった方が重複を避けるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。その方がいいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/4
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005・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) それじゃ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/5
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006・千田正
○千田正君 それでは、ただいま政務次官から、農林省としての見解を十分統一して御表明になるそうでありますから、梶原委員が見えましたら、同じような問題が出るかもしれませんし、あるいは別個の考えでお聞きするかもしれませんので、重複を避ける意味からいきまして、統一した見解をそのとき一緒に御表明願いたいと思います。
ただ一点、さらにお伺いしますが、この法律が出たことによって、一応疑義がないという御見解のようでありますが、この共有に関する問題が将来何かの形で起きた場合においては、結局、あとからできた特別立法が優先するということになりますが、さような見解に立たれておりますかどうか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/6
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007・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 特別立法でありますから、もちろん優先するわけでありますが、具体的にどういう点についてでありますか。その点、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/7
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008・千田正
○千田正君 たとえば、これは長い期間なのでありまして、われわれがおそらくこの世にいないような時代に、この問題を中心にして紛糾が起ることもあり得ると思います。五十年という長き間において、世の変遷あるいはいろいろな変遷があるが、そのときまで思いをいたすのはとても容易じゃありませんが、少くともここ五年や十年の間にいろいろな紛糾が、今でさえも部落林あるいは個人の所有林等をめぐりまして、場合によっては入会権の問題、場合によっては権利の争奪、あるいは所有者の死亡によって財産権の分割等におけるところのいろいろな紛争が今でも起きておるし、過去においても起きておる。将来も続くだろうということをわれわれは考えます。そのとき、ある場合においては、民法の基本法に基いて訴訟などが繰り返されることがあり得る。ことに現在の民法においては、過去の民法と違って、遺産相続等に関するところの問題も、一子相続というわけにはいかなくなってきた。そういう問題をからめて、いろいろな民法上の問題からの訴訟等が提起されるおそれも私は含んでおると存じます。この場合において、やはりいずれがほんとうの個人としての権利を尊重するゆえんかということを考えましたときに、いたずらに紛糾を起すこと々避けることをわれわれは考えなければならぬ、立法に際しまして。ですから、ただいま次官の御見解の、特別立法が優先するという意味からいって、必ずしもそれで押していけるかどうかということをわれわれは考えるのです。その点は、今のおそらく政務次官のお考えからいけば、そういう問題は起りっこないというお考えを持っておられるのでしょうが、私どもから見ますと、現在でも起りつつあるところのいろいろな財産権の争奪とか、遺産相続であるとか、あるいは入会権の問題とかいうものは、相当こうした問題にからんで起きてくるおそれがある。それにおいて、この分収法の成立によって、そういうことは一切排除できるかどうかという観点を一つ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/8
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009・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 具体的の問題でなければ、一般原則をお答えするほかにありませんが、昨日も当委員会においてお答えいたしましたように、この法律に規定がないものは、他の一般の関係法律、特に民法の規定が適用される、こういうように解釈いたしておりますが、今お話しになりましたうちで、たとえば相続の問題、相続については、御承知のように、現在の相続法では、分割の問題が出ておるわけでありますが、ただ、この分収造林契約によりまして共有になっておる、こういう場合に、先ほど私は御説明いたすつもりでありましたが、それはあとに譲りまして、分収造林契約によるいわゆる分収権を相続した場合、その相続人は、この特別法の規定による分収権を相続いたしておるのでありますから、その規定に従った権利を数人の相続人が共同で相続をする、従って、特別に分収契約において規定がない法律は、非常にこのろいろいろ申し上げたような方向に進んでいくおそれが多分にある。その点は、私は非常に問題があると思う。地主と、それから造林者と、それから費用負担者と、こういう三つこしらえておるんです。この法律の表面はどういうことかというと、地主と造林者でもって分けることをこれは建前にしておる。ところが、中身になってくると、どういうようになってくるかというと、地主と費用負担者でもって分収をやるということになる。それで、造林者は、これは何になるかというと、単なる造林の仕事をする人になってしまう。だから、昨日私が非常に疑問とした点、すなわち、そこでもって実際に仕事をする人は、賃金の収入だけしか得ないことになる。そうすると、賃金の収入を得た人は、それっきりでもってこの計算をされてしまうんです。そこで、賃金のために投資した、その金は蓄積されて、そうして分け前をするときの基本になってくるわけです。だから、この分収造林のやり方は、どこに中心があるかというと、造林者が自主的な立場でもって、分け前をとるためにやるところの行為というものが、これは実のところを言って非常にはばまれている。だから、そういう点をはっきりしていかないと、きのう私が心配したことがここにはっきり出てくるわけです。その点は、どういうふうにお考えになっておりますか。政務次官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/9
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010・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 問題は、分収造林契約によって、その人たちの造林いたしましたいわゆる林木というものは、これは、御承知の通り、共有になるわけであります。その共有物に対する持ち分と申しますか、利益の限度というものは、その人たちのその造林に対する貢献の度合いによって、分収造林契約の当初においてきめるわけでありますから、その度合いによって、その利益の配分を、できました樹木から受ける、こういう建前になっておるわけであります。具体的な問題についてどういう契約がされるかということは、これはまあいろいろあると思います。そこで、土地を持っておって、それを造林する実力がない。あるいはその資金を持ってそして造林をしよう、そうしていわゆる土地所有者との間に、二者間の分収造林契約をする。これが多くの場合じゃないかと思いますが、これはまあやってみなければ、簡単には申し上げられないと思います。
それからもう一つは、造林に非常に経験があって、しかし資金がないで、土地所有者のほかにもう一つ、資金的に可能な人とが加わって、今お話の場合のように、三者の分収造林契約をする。こういう場合ももちろんあり得る。従って、これを予想いたしてここに規定いたしております。そういうことでありますから、必ずしも賃金を取るだけというようなことではない。これはもう、その分収権の割合については、今日までしばしば長官その他から御説明申し上げたように、割合をきめておかなければ分収造林契約になりません。立木については、いわゆる造林者もこれは所有権があるわけでありますから、それによって分ける。ただ単に日当と申しますか、あるいは苗木を植える等の費用をもらって、それでもう済むのだというようなことで、その立木に対する所有権がないのであれば、これは分収造林契約者にはなりませんから、それはもう全然別だと、こういうように考えられるわけであります。繰り返して申し上げては失礼でありますが、結局、この分収造林の樹木に対する貢献の度合いによってその配分に差異がある。これはやむを得ないことである、こういうように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/10
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011・東隆
○東隆君 私の考えておることは、立木に対しての持ち分を持っておるということは、これはわかるのですが、私は、計算をするときに、非常に費用負担者の方に歩がいいと、こういうおそれが多分にある、こういうことと、それからもう一つ突っ込んで申しますると、この契約の当事者の中に、国が造林に対して助成金をかりに出すとしたら、その助成金は一体だれの持ち分になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/11
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012・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) その点は、昨日長官からだったか、御説明いたしたと思いまするが、助成金は、これは国費を出しておるわけでありますから、それは三者の中の貢献ということにならない。従って、分収の持ち分の割業については、助成金の点は含まれないと、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/12
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013・東隆
○東隆君 その助成金を造林者に与える方法は考えられないのですか。造林者に助成金を出す。造林をするという者に助成金を出すのだ、こういうことになりますと。造林者そのものは、国家の助成金に相当する部分だけが実は持ち分の算定のときに基本になる。ところが、それを資金を出す者の方にかりに出したりなんかすると、契約なんか、これは変なものになってしまう。だから、補助金は造林者に出すのだと、こういうことになりますれば、これは、按分する場合に、その持ち分の計算をするときの基本は相当できてくるわけです。そうでないと、費用を、出した方は蓄積されていると一応見られる。しかし、労力を提供した者は、これは結局その場限りで計算されてしまって、これは計算の基本にはなりません。だから、分配したりなんかするときの契約の有効な働きをどういうふうにするかというような場合は考えたときに、国の補助金、これは造林者にいくのだ、地主にいくのじゃない、資本を出す人の方にいくのじゃない、造林者の方にいくのだ、この線をはっきりさせておけば、これは多少計算ができましょう。しかしそれが、造林者と資本を出す者が同じのときは、これは問題じゃありませんけれども、分れましたときには、これは、造林をする者に国の助成がいくのだ、こういう考え方にいかなければ、それを計算外におくということになれば、これは私は、さっき言ったような問題になってくると思います。国が慫慂しているのは、造林者に対して補助をするのだ、こういう考え方になれば、将来において蓄積された立木が大きくなっていったときに効果は、これはもちろん分配をするときには、そういうようなものを基本に、契約も相当造林者に力強い形でもって契約が結ばれますけれども、そうでないと、非常に弱くなってしまいます。それから地元に一つも来ません。だから、それだけのことを考えてもらってやれば、この法律はだいぶ生きてくると思うのですが、もしそいつをやらないで、補助金は除いてしまうのだ、こういう考え方で契約というものを取り結ぶ場合に、造林者というようなものは、持ち分を自分の基本になるところの主張するものはほとんどないのじゃないか。そういう考え方があると思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/13
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014・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 従来普通にやりました分収造林は、御承知のように、土地所有者と造林者の間の二者契約でやるということが一般的に行われてきておったわけであります、その場合におきまして、やはりこの補助金の交付の建前は、あくまでも造林者に交付するという建前をとっておるわけでございまして、その補助金に見合う自己負担分のできます者につきましては、これは明らかに、いわゆる全額費用を負担しての造林者になるので、そういう場合には、もちろん二者契約でやるということになるかと思うのであります。従いまして、昨日来の御質疑の要点は、そのように、地元の者が名実ともに造林者になるように一つ仕向けていく必要があるだろう、こういう御質問の趣旨であろうかと思うわけでありますが、その場合におきまして、やはり自己負担をしなきゃならぬ資金の調達がなかなかできないと、それを一体融資でやったらいいじゃないかというような考え方のようでございましたが、これは確かに考えられる問題でございますが、現在の農林漁業の金融公庫の融資条件では、決していわゆる助成的な融資にならない。利率が比較的高い、特別な融資ではありますけれども、林業の融資といたしましては、利率が比較的高い、償還期間が割合に早いということで、なかなかやりにくいので、むしろそれは原則的には考えない、こういうことを申し上げたように思うわけであります。しかしながら、今後の問題といたしましては、自己負担分の調達を融資に待つということの可能なような融資条件の資金というものをもちろん研究いたしまして、もちろん、できるだけ地元の人間が名実ともに造林者になるような措置を講じていくということは、確かに重要なことであると思います。ところが、この段階におきましては、造林資金を何とか調達するということはできるにかかわらず、現地にそれを実行する機関を持たないというようなことがあり得るわけであります。そういう場合に、初めて三者契約の分収造林というものが行われてくるということでございまして、そういう場合に、特別な造林機関というものを造林者というものについて考えたらいいじゃないかという実は議論もないわけじゃないのです。私どもといたしましては、できるだけやはり、造林のコストも安く上るということ考えますというと、既存のものを考えるということになりますと、たとえば、都道府県でありますとか、あるいは森林組合連合会、あるいは農協、こういうようなものを造林者といたしまして、実際の造林の仕事をやり、さらにその後の保育、管理の仕事に当てる、こういうことにいたす場合があり得る。むしろ現実的には、そういう問題が要請されているわけです。
そこで、一体そういうものを、造林者に補助金だけはやったらどうかということでございまするが、やはり分収割合をきめます建前というものは、明らかに自分たちが負担したものに対する割合によって分収割合というものは決定すべきじゃないかと、こういう趣旨のもとに、一応補助金は分収割合を計算いたしまする費用の対象からは除いてある、こういう運用を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/14
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015・東隆
○東隆君 金融の問題で、非常に金融の対象にならぬようなお話ですけれども、農林漁業金融公庫の業務方法書をごらん下されば、一番目のところに、造林に必要な資金と、こうやって公庫は道を開いているわけです。そして貸付けの相手方は、林業の場合には、森林組合連合会、農業協同組合、林業を営む者、こういうように一応掲げて、そうして道を開いております。償還期限は二十年以内、五年以内の据え置きと、こういうふうに道は開いてある。そこで、この分収造林に限って、この金融公庫の仕事が使えない。使えないことによってどういう結果が起きてくるかというと、他動資金によってまかなうのだ、こういう場合に、資本に人がついてくるわけです。そのついてくる人が結局契約の当事者になる。従って、立木の分け前がどこへいくか、帰属がどこにいくかという問題が起きてくる。そこで、明らかに造林者であるところの地元の森林組合そのものになるような形で、資本にひもがついて、そしてそれが契約の当事者にならないように、あくまでそれを防いで、そして造林者を契約の当事者、こういう形を原則にしてもらいたい。それをやるためには、よそから入ってくる資金にはひもがつかないで、できるだけ地元の者が造林者になって、その者が自分の資本でもってやっていくのだ。それには国の助成金も造林者に出せるのだから、造林者に出して、そして造林者の自己の計算でもって土地を借りて、子してそこに造林をしていく。そして子の成果を山持ちと造林者とで分けるのだ、こういう考え方を、これを根本に置いておかないと、これは非常に変なものになる。だから、金融ということは非常に困難な問題かもしれないけれども、その金融の道をやらないと、助成金だけでもっておっぱなすのだ。そうすると、誰が金融するかといえば、これはやはり将来において、そこのものを自分たちの製造の原料にする、そういうふうな人たちが、おそらくは自己の採算でもって、将来の採算も考えて、そして資本を出す。そしてそれが、造林業者の方では単に賃金というような形でもって、あるいはそういうふうな形でもって支払われてしまって、そうして造林業者そのものの分け前にならない、こういう問題が出てくる。これはもう明らかなことだと思うそういうことをおうっぴらに国家が勧める方がいいか。国家はやはり山村の発達を考えて、そして国家がやるような方法でもって、この分収造林の措置法を生かすとするならば、やはり金融の道を開いて、そして金融さえあれば十分に造林者としてやり得るのだ、こういう体制のものを生かしていくことを考えていかなければ、この法律は、まるである特定の者のために特別に作った法規、こういうふうに解釈されてもいたし方がないことになる、こう私は考えるわけです。この点は、私は十分に考えていただかないと、この法律は、大へん今の点が中心になると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/15
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016・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) その点は、昨日もお答えをいたしたのでありますが、御承知のように、考え方も——もちろん全然そういうばかな話はない、こういう考えは持っておりませんが、この法律を制定しようという考え方の基本は、今お説のように、農林漁業金融公庫から造林についても資金を出しているわけです。従って、これを活用して、荒廃地に植栽して造林をするという制度は、現在あるわけでありますけれども、しかし、そういう資金についても、もちろん限度があるわけでありますから、それが及ばないところに、なおかつ別途の方法をもって、荒廃地をできるだけ造林しよう、それに道を作ろうというのがこの法律でありますので、今のようなお話で全部それができるということになれば、これはあまり意味がないという、逆の結論になるという考え方で、そういう足らないところを、遊休資金と言うと、まことに言い過ぎかも知れませんけれども、国土の保全あるいは森林の造成という面に回して、なおかつ採算がとれる道をあけて、そして森林の育成に資しよう。昨日も申しましたように、一つの補完的な役割を果そうというのがこの法律のねらいでありますので、今お話のありましたようなことは、これはもちろんできるだけ、金融公庫の今の制度の資金をふやすということについては、これは努力をしなければなりませんが、これは、御承知の通り、各般の資金が要るわけでありますから、造林だけに多くの資金を回すということは、実際問題としてそう簡単ではございません。従って現行の制度に足らないところを、なお他の資金を吸収してこの道を開こう、こういうねらいでありますので、補う制度だ。こういうふうに一つ御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/16
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017・清澤俊英
○清澤俊英君 この法案の一条の四号、「一定の割合により、当該契約に係る造林による収益を分収すること」、この分収の形式は、造林のでき上ったものを売り払って、その代金をこれこれの比率に分けるという方法もありましょう。あるいは植林の終った際に、地域に分けて、これをだれの取り分とか、こういうような分け方も、いろいろ考えられますが、ここでいわれる収益の分収という意味合いについては別に定めなく、契約当事者間の自由な契約にまかされるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/17
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018・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) お話のように、最終的な収益を金で分けるという方法もありますし、現地につきまして立木のままで地域に分けるというやり方もある。それは、当事者間の話し合いによりまして、契約の中に明示する、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/18
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019・清澤俊英
○清澤俊英君 そうしますと、これは昨日の質問で、堀本さんが言われておりますが、ちょっと質問で非常に疑義をただされておるが、かりに立木を分けたというような場合、非常なそこに……五十年先ですから、あるいは災害を受けて、もらった場所が全滅したとか、あるいは天候の、風害等によって倒壊したというようなものが起きて、問題を起しやせぬか。せっかくのものが、そこを分けてもらった人は絶対にそれが取れないというものが出やしないかというあれがありますが、そういう懸念はなのでしょうか。自由契約ですから、それはかまわぬでしょうけれども、そういうことは想定できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/19
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020・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 今の御質問の要旨は、現物によって分けた場合に、これは金にかえてしまえば別でありますが、そのまま維持しておるときに、災害等によって、ある一方の当事者が分けた分について壊滅した、こういう場合のことだと思うのですが、それはまあ、個人の財産が災害によって壊滅したというときのことでありまして、当事者の危険負担はやむを得ないのじゃないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/20
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021・清澤俊英
○清澤俊英君 そういうことを言っておるのじゃないのです。一応地域を定めて造林をやるでしょう。そこで、立木を分けて、植えたものを分けてしまうのです、そういう契約をしたとき、それが五十年の間に、成育しないうちに、これが旱魃によって植えた木が全部全滅してしまう。そうすると、その場所を分けてもらった人は、これはどれをもらうかわかりません。費用負担者がその場所を取るか、地主が取るか、造林者が取るか、それはわかりません。そういった場合、非常に一つの均衡を破ったものがそこに出はせぬか、こういうことです。そういう分け方をもししましたならば、そういう災害等にすぐ追いかけて……これは、次にお伺いしようと思っていたのですが、追いかけてこれをまた造林するまでの第三号にいう義務を費用負担者が持つのかどうかということによって非常な問題が出てくるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/21
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022・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) お話の点は、分けた後のことであろうと思うのでありますが、分けた後になれば、自分の財産でありますから、その危険負担はその人がする。ただ、契約によって、そういうときはどうするというようなきめがあれば、その契約によってやるわけであります。契約に従ってそれをするわけでありますが、そういうきめがなくて、ここからここはそれじゃ造林者、そこからこっちはいわゆる土地所有者、こういうふうに分けたとしますれば、そのどちらかの一方が災害等によって損害をこうむったときには、特別に当事者間の契約がなければ、それはその人の危険の負担はやむを得ない、こういうふうに解釈いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/22
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023・清澤俊英
○清澤俊英君 それで、今度は第三号に戻りますが、費用負担の限度というものも、これは負担契約の、自由契約の限度内にきめられて、そうして今申しましたような一応の造林をやっていった。それが災害もしくは旱魃等によって、ほとんどその目的を達することができないような問題ができ上ってくる。こういうような場合に、費用負担者というものは、一応の契約ですから、あとは知らぬ、こういう建前を取るか。そうしていきまして、わずかの部分だけが残りまして、それは共有だから分けます、こういうものができたら、これはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/23
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024・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) この分収造林契約によりまして造林いたしたものは、御承知の通りに、二当事者あるいは三当事者の共有物であります。一つのものを三人あるいは二人で所有しておるわけでありますから、そのうちの全部もしくは一部が壊滅してなくなったというときには、全部がその損害を負担する。従って、一部残りましたときに、それをどう分けるかということは、その点についての契約によって配分をする、こういうふうになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/24
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025・清澤俊英
○清澤俊英君 そうすると、この法律を作って、荒廃地を造林していくという目的が、場合によっては消滅することがあるのですね。これは、極端の例を言いますと、百町歩のうちかりに十町歩残った、九十町歩が全部いろいろな事故によって壊滅した。ところが、三十年後あるいは五十年後に、いよいよ伐採しようとしたときに、十町歩しか成育していない、あとの九十町歩は、荒廃をそのままにして、契約によって投げておかなければならない、こういうふうなときには、この法律があるために、かえって不公平になる。こういうことが考えられるが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/25
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026・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) この法律の趣旨に従いまして、真剣に造林をするという当事者の気持でありますれば、潰滅したら、さらにそのあとにやるべきものだと思いますが、それをも当事者間でやらないということになれば、どうもやむを得ないものである。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/26
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027・清澤俊英
○清澤俊英君 大体申し上げることは済みましたが、私は、少くとも法案にこれから書き込むというわけにいきませんでしょうけれども、契約に対する内容の要綱くらいは一応お作りになって、そうしたいろいろなことを、契約当日において予想せられるものを万全に指導して、そうして、片寄った何のないような、損得のないような、あるいは実際の法の目的を阻害するような場合を想定して、一つ御指導をお願いしたい。こう思っております。そういう方法は考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/27
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028・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 分収造林特別措置法におきましては、確かに一貫した分収造林の推進の方策が明確にないうらみがあるわけでございまして、私どもといたしましては、この推進要綱を設けまして、ただいまお話のございました通りに、この法律に基きます契約の内容等につきましては、とにかく必要事項を網羅いたしまして、将来紛争のもとになるようなことをあらかじめ十分防ぐというような内容を整備したものを示して、指導をいたしたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/28
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029・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 私は、ごく簡単に質問いたしますから、簡単に答弁してもらいたいのです。
まず、造林を促進するというこの法律案でありますが、実際に促進できるかどうかという疑問を持っておるのですが、一体一町歩に対してどのくらいの助成金を出すのですか、金額にして。場所によって違うでしょうが、幾らくらい出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/29
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030・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これは、新値費に対しまして、国の負担が三割、都道府県の一部負担が一割でありまして、大体補助金としまして、一町歩平均一万一千円くらいになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/30
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031・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 一町歩ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/31
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032・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/32
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033・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 現在地所によって、また場所によって違いましょうが、一町歩の造林に対して、通常平均どのくらいかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/33
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034・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これは、御説のように、場所によりまして非常に違うといううことでございますが、大体平均いたしまして、三万一、二千円くらいかかることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/34
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035・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 大体五十万町歩というようなきのうの長官のお話でありますが、この五十万町歩の分布状況はどういうふうになっておりますか。各府県によって相当に私は違うと思うのですが、これは、急に資料を出してくれと言っても間に合わんと思いますから、あとでけっこうでありますから、その資料をお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/35
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036・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これは、資料をもって明確にいたしたいと思いますが、一応、東北地方に相当ございますのと、それから、西日本におきましては、高知、島根、宮崎、こういう方面に相当程度にあるようでございますが、全国的にもちろん分布をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/36
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037・安部キミ子
○安部キミ子君 この法律ができて、三者を考えた場合に、たとえば、土地所有者と費用負担者と造林者の三者を考えたときに、一番強いのはだれかということを考えるわけです。そうしますと、結局は造林社である土地を持たない、あるいは資本を持たない人が一番弱い。こういうふうに考えていきますと、最初に契約を結びましても、五十年先あるいは三十年先というふうな約束をしておっても、この造林者の中には、あるいは日雇いの労働者みたいな人も含まれていることがあり得ると思うわけなんですが、人生は長いものでありますから、この三者の中で、その土地にいつかなくて、あるいはよそへ行かなければならぬとかというふうになって、自分の意図に反してその土地を逃げる。そうして自然消滅の形で造林者がそこの権利を失うというふうなこともあり得るのじゃないかと思いますが、そういうときには、この契約はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/37
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038・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) この三者契約の場合において、一番弱いのが造林者ではないかというようなお話でございますが、私どもは、造林者は地上権を持っておるわけでございますので、必ずしも弱くないというように考えるわけでございますが、ただ問題は、一番の問題といたしましては、分収の割合をきめます場合におきまして、従来はとかく、二者契約の場合におきましても、三者契約の場合におきましても、その地方の慣習なり、あるいは力関係等によって分収割合がきまってくる。要するに、分収割合のきめ方によりまして、最後の成果の分け前がきまってくるということになるのでございますから、分収割合のきめ方というものは、これはあくまで公正妥当なものでなければならない、こういうことに相なろうかと思うのであります。従いまして、この法律によりまして、分収割合というものはこういう因子をもとにしてきめるべきものであるということを明確に指導いたしまして、そういった方法によってきめられた分収割合を契約内容に明らかにする、こういうことでやっていくことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/38
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039・安部キミ子
○安部キミ子君 もう一点。今かりに、造林者が地上権を持っておるといいましても、日雇い労働者を使って造林させる場合だってあると思うのですよ。一時的には賃金をもらいましょう。もらいましょうが、そういう生活の根底の浅い人たちは、その土地に五十年先住みつくということよりも、場合によっては、生活をしていくために、よそへ逃げていかにゃならぬということだってあり得る。この三者を考えたときには、たとえば、土地所有者というふうなものは、土地は登記してありますから、その親が死んでも子供にいく。それから、費用負担者は、それぞれの資本を持っておったりしますから、まあ常識で考えても、そうその土地から離れるということはないわけですね。そうしますと、造林者が一番弱いわけで、ことに今、例をもってしますれば、日雇い労働者などは、私のところでも、山に造林しますときは、日雇い労働者を使うわけですよね。そういう人たちは、賃金をもらったら、いつまでもその土地に住みつかなくて、またよそへ逃げていくという、浮き足立った生活をしているわけですね。そうしますと、こういう契約だ何だといいますが、そういう、自分の生活がゆらぐようなときになると、あわただしく不本意ながらその土地を去って行くことがあるわけですよ。それで、契約の放棄について、その始末を十分して、そうして自分たちの権利を十分得て、その土地を去るというふうなことができればよろしいですけれども、うまくこの三者の間で話し合いがつかなくて、どうかすると大へんややこしいことになるので、まあ五十年先、三十年先という契約だからというので、そういうものを放棄する。自分の意思としては放棄する意思ではなくても、まあめんどうくさいからというので、そのままその土地を去るというふうなことだってあるわけなんですがね。そういうふうなことになって、もし五十年なり三十年なり先で、その人がいなかったときには、その権利というものはどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/39
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040・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) お話の通りに、人生は、なかなかそう簡単なものじゃありませんから、いろいろ変化が相当長年月の間にはあると思います。しかし、今お話のような場合には、これは申し上げるまでもないことでありますが、もしこの分収造林契約によって権利の所有者になりますれば、いなくなったからその権利はない、その場所にいなくなつたからその権利はなくなるということではないのであります。どこにおられても、生きておる以上はこの権利はあるわけです。しかしながら、造林者でありますから、もし今のお話のように、造林者でありますれば、やはり造林そのものについて管理をする責任があるわけであります。それだけは果さなくちゃならない。権利としてはもう——御承知のように、山林は、ものによって違いますけれども、少くとも十年あるいは十四、五年たちますれば、それほど管理の手当は要らないのでありますけれども、しかし、間伐等によって育成する仕事はあるわけであります。御承知のように、どこかほかに移転されたから権利はなくなる、そういうことではありません。もし死なれたら、相続人がその権利を承継する、こういうふうになるものであると解釈します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/40
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041・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 一応ここで、前回の委員会において梶原委員の質問から問題になりました、政府の検討を求めておきました事項について、政府の見解を求めます。
なお、御質疑の向きは、引き続いて質疑していただきますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/41
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042・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 昨日の委員会におきまして、梶原委員からの御質疑のうちに、民法の二百五十六条の規定を排除いたしております第三条、ただいま議題となっております分収造林措置法の第三条の規定との関係について御質疑がありました。その際、私の方では、梶原委員の御解釈のような点も考えられるということを申し上げながら、二百五十六条の規定を排除する意味は、かりに、それでは当事者の契約によって、合意によって分割し得るということを定めた場合に、なおかつこれによって排除するのか、こういう御趣旨の御質問に対して、そういう立案の趣旨でありますということを申し上げましたが、民法の契約自由の原則、この民法のその他の規定等、問題はそう簡単でありませんので、法制局その他関係の専門家と協議をいたしまして、将来に疑義を残さないために、さらにきょう政府の見解を申し上げておきますが、昨日の私の答えを率直にきょう訂正をいたします。といいますのは、第三条は、分収造林契約は、一方的に破棄はできないという趣旨に解釈をいたしました。もし当事者の任意の協議、いわゆる契約によって、将来この分収共有を分割するというような合意がありますれば、それを排除するという意味ではない。これは、民法の契約の自由の原則に従って、当事者の契約に待つようにしておりますから、そういうふうに政府の解釈を統一いたしておりますので、あらためてこの際お答えをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/42
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043・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 私といたしましては、昨日質問いたしました点は、ただいまの御答弁で了解できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/43
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044・千田正
○千田正君 関連して。この法律を出す以上は、従来よりもプラス何物かが政府の施策のうちになければ、こういう特別立法した意味はないと思う。助成その他補助という点においては、従来もあったわけですから、こういう法律を出す以上は、これに基く効果を現わすために、さらに補助の率を増すとか、あるいはその肥培管理等に対して、農林省の指導が十分に行き届くような方法を考えるとか、あるいは租税の減免等に関する問題とか、そういうようなことが相伴っていかなければ、この法律の効果が薄いと思いますので、これに対する農林省の見解を、一応この法律を施行する上においては、こういう特別な考えがあるのだということを表明していただかなければ、特別立法した意義がないと思いますが、その点について、次官並びに長官のお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/44
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045・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) この法律で目的といたしておりますのは、先ほど他の質疑に付随してお答えいたしましたように、現在造林については、融資あるいは補助の制度を設けてやっておりますが、それでもなおかつ、今まで長官から申し上げましたような面積あるいは地方において、なかなか荒廃地を造林によって埋め合せるということができない事情にある。これを、この特別の法律によって、できるだけいわゆる分収造林によって進めようじゃないかと、これが一つの構想であります。そこで、今お話のように、何かそれを促進するものがなければならないじゃないかということでありますが、それについては、昨日も申し上げましたように、こまかい点は事務当局からお答えいたさせますが、第一に、この分収造林契約によるものについては、所得税、税の面において、ただ普通に造林をするという場合、この契約による以外の場合よりも税の面において有利な取扱いをする。これが主たる点であろうかと思います。それから特例としては、今分割の点については申し上げましたが、地方自治法によって、公共団体等の場合は長期の契約ができませんので——できないと言うとおかしいのでありますが、住民投票とかなんとかいうむずかしい手続を経ることが必要になっておりますが、そういうむずかしい手続を排除する。そういうところがこれによるまあ有利と申しますか、特例だと、こういうふうに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/45
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046・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 関連。今、千田委員から出たことは、私はもっともであると考えますが、この法律によってせっかく造林を促進しても、補助金目当てで造林するものも中にはあるでありましょうし、ことに日本人というものは、共同的な財産管理というものはきわめて不得手なんだ。従って、造林をした後の、植栽をしてからの肥培管理というものは、きわめてルーズになりがちであります。しかも、下草採算なんていうことは、これはもう毎年怠っては相ならぬ。下草に抵抗できるまでの間は、毎年相当の費用がかかるわけです。そういう場合に、三者契約にしても、二者契約にしても、これがほんとうに手入れが十分でないと、せっかくの造林も目的を達し得ない、こういうことになるわけです。そこで、せっかく補助金を出しても、やりっぱなしというようなことでは、私は何にもならぬと思うのです。この法律では、別段監督規定もなければ、何の規定もないわけです。その後における農林省の——いかにしてこれが十分な管理監督をするかということが、大切な事柄でなければならぬと思うのですが、これに対して、林野庁長官はどういうふうに考えておられますか。明確に一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/46
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047・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これはあくまでも、当事者間の契約に基きまして、それぞれの義務を忠実に履行して参るということに相ならなければならない性格のものでございますので、従いまして、たとえば都道府県知事があっせんをいたすような場合におきましても、あくまでもその能力のある者という判定を十分にいたして、あっせんをする必要がある、かように考えているわけでございます。もちろん、長い期間にわたっての問題でございますから、必ずしも契約の内容通りの実施ができかねるというような場合も実はなくはないと、かように考えておるわけでございますが、それが、たとえば費用負担の面につきまして、途中からの変った事情によって、どうしてもできないのだというような、やむを得ざる事情に遭遇した場合におきましては、適当なる第三者に対しまして、その持分を譲り渡すというようなことについても、当然指導上の問題として考えていかなければならないというように考えておるわけでございます。私どもといたしましては、努めて、本法に基きまして行われました契約につきましては、これを都道府県知事に届出をさせまして、それらの問題についての適切なる指導を常時行なって参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/47
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048・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 それは指導をするのですか、しないのですか。その管理等について、するのかしないのか、はっきり言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/48
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049・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これは、指導をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/49
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050・堀本宜実
○堀本宜実君 この法案は、すでに時間もかけて相当質疑が行われたのでありますが、山林資源の培養あるいは治山治水の確立、山村労働の消化等、法案としては、私は根本的にはよいと思うのでありますが、先ほどからの質疑で大体よくわかりましたが、しかし、その中で、分収造林施行契約の内容を一体どうするかという問題がまだ残っておりますが、しかし、この施行契約の内容を確立いたしまして、しかも、それは相互の、第三者であろうと、代位者の契約であろうとも、公正な立場で施業案を組み、すなわち目論見書というようなものを組んで、こういう計画によってこの造林を遂行するのだという基礎を、利害関係のない立場から、よく施業案を組んで明確にすること、あるいはそれに付随いたします問題といたしましては、内容にいろいろあると思います。たとえば補植の問題、下刈りの問題、管理あるいは育成の問題等も含めた指導要綱の確立というものが指導の中になければならない、こういうふうに思います。
あわせて、私はきのうも申し上げましたように、長い間でございますので、紛争がかなり起ってくると思われます。たとえば、土地を提供いたしておりまするものは、土地の面積においても変りがない、五十年間というもの、公租、公課においてもおそらく変りがない支出を土地提供者はするであろうと思うのであります。ところが、最終の利益でありまするその分収については、その管理のいかんによりまして、分収の成績が異なって参ります。従いまして、その間における管理の不十分な結果は、その分収、最後の利益に影響を持つわけであります。そういう場合に、いずれがその苦情を解決し、公正なる将来の——たとえば四と六とにその分収歩率が分れておりましても、その管理が不十分なときには、それがまた三あるいは七にならないとも限りませんが、そういうような契約の内容にまで立ち至ってその苦情を処理することの手続等が、これには書いてございません。従いまして、今後私は、精密な、しかも的確な、この分収造林を施行いたしまする契約内容というものを作って、指導要綱といたしまして、そうして地方長官等がその指導に当るための万全の用意をされることが必要だと思うのであります。そういうことがこの法案の中に抜けておるということが、この問題を大きく左右する問題だと思いますので、最後に、この問題を政府はどういうふうに将来取扱うかということについてお聞きをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/50
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051・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) お話の通り、非常に長い期間にわたる契約でもございまするし、当初から、その契約の内容につきまして、十分なるものを具備いたさせる必要があるというように考えておりまするので、指導いたしまする場合の基準を設けまして、進めて参るという必要も絶対にあろうかと思うわけでございます。それらの問題を中心にいたしまして、この分収造林の事業を進めて参りまする上の一連の扱いについての要綱案を目下鋭意検討中であるわけでございますが、本委員会におきまして承わりました御意見等も十分に考慮いたしまして、至急にこれをまとめ上げたい、でき上りました場合におきましては、すみやかにお目にかけるようにいたしたいと、かように考えておりますので、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/51
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052・北條雋八
○北條雋八君 今のお話に関連しまして、ちょっと伺いたい。この法案が実施されますと、直ちに昭和七十年までに五十万町歩という造林が始ますわけであります。その場合に、地方長官としまして、その土地を一々調査しなければならぬ。それにつきましては、森林法で、民有林の施業案というものがすでに全部できておるのか、おらないのか、それを一点伺いたい。また、できておるとすれば、そのうちに含まれておる対象地に対しまして、造林の樹種などが指定されておるそうです。その指定されておる樹種に対して、その契約者が、ヒノキの指定のときには、もっと期間の短い針葉樹、また松が指定してあった場合に、それよりもっと回収率の早いクヌギを植えたいといったようなことで、その指定の案と違った場合にはどういうふうになりますか。むろんこれは、契約当事者の意思を尊重されると思いますけれども、その点をちょっと一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/52
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053・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 森林法に基きまして、御承知のように、森林計画というものが編成をされておるわけでございまして、これは、昭和二十七年からの五ヵ年計画に基きまして、一応計画の編成は一巡をいたしておるわけでございまして、三十二年度以降第二次の編成と申しますか、一循環を経過いたしました以降の再編成をいたしておるという段階でございます。この調査の中には、もちろん造林地域の拡大等を含めまして、その期間中に造林を要しまする対象地域というようなものは調査をいたしておるわけでございます。しかしながら、この計画に基きまして少くとも拘束力を持ちますような内容のものは、伐採につきましての許容限度と、造林につきにましての造林義務の問題でございまして、その他につきましては、一応指導事項としてこれを明示しているということでございまするので、あくまでも適地適木で、この契約当事者間の話し合いによって樹種等も十分に選ばれるというように相なるものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/53
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054・北條雋八
○北條雋八君 そうすると、その場合には、施業案で指定した樹種でなくとも、当事者間の自由にまかせるということに相なりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/54
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055・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 対象になりますものは、いずれも民有林でございますが、民有林の森林計画の場合におきましては、造林すべき樹種というものを計画の上で指定はいたしておらぬのでございますので、一応この地方の目標にしてはこういうものがよかろうという程度の指導目標を与えておるということでございまするから、一向差しつかえないのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/55
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056・北條雋八
○北條雋八君 次に私は、第三条に関連しまして、念のためにちょっと伺いたいのでございます。この共有林の分割請求の制限ということにつきましては、森林法の百八十六条にございます、「森林の共有者は、民法第二百五十六条第一項の規定にかかわらず、その共有に係る森林の分割を請求することができない。但し、各共有者の持分の価額に従いその過半数をもって分割の請求をすることを妨げない。」という法文があるのでありますが、これは、森林についての共有者の分割請求に関することなんでありますが、これは、森林というものは分ければ、御承知の通り、立木と林地になるわけであります。この第三条の規定がなくても、これによって今度の法案の目的が達するようにちょっと考えたのでありますが、この点について、どうしてこれは、この分割請求について、立木だけについてはできないのか、効力がないのか、その点を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/56
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057・家治清一
○説明員(家治清一君) お答え申し上げます。立案の途中におきましても、先生の御指摘のような点が検討されたのでございますが、お話のように、その森林法の規定は、いわゆる森林についての共有関係を予定した規定でございます。それで、この法律案によりまするのは、土地について、あるいは地上権について共有関係がなくて、むしろ立木だけの共有関係のことを取り扱おうとしたのでございますので、その意味では、やはり民法を直接引っぱって、ある程度排除の規定を設けなきゃならない、こういうように結論が出たのでございます。それからなお、森林法で、たとえば立木だけ適用することで間に合うじゃないかという点は、今申し上げたように、一緒になっておるということが一つと、それからもう一つは、二分の一以上の請求があったら、これは分割の請求を妨げない、こう書いてあるのでございますが、これはやはり、一応各当事者が相当長期にわたって分割請求をしないということを契約できる余地がまああるようでもございますが、それをもっと明確にするというようなことで、やはり民法を引っぱって、除外規定を設けた方がいいという結論が出ましたので、現在のような内容になった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/57
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058・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 簡単に二点だけ伺いたいのであります。一点は、あるいはこれまでの質疑に出たと思いますけれども、公庫なり銀行なり、農業協同組合なり、正規の金融機関の資金というものは直接これに及ばない、こういうふうに解釈していいかどうか。
それから第二点は、地方公共団体の問題でありますが、今回の改正によって、その団体の住民の投票というものが一応排除されたことになるわけであります。御承知のように、先年来町村の合併等で、相当部落なり町村における従来の部落有林等のあり方について、変化が起りつつあるように思われるのであります。日本の山林の基礎が、やはり部落有林とか、そういうところに大きな重要性があったと思う。今回の改正によってこの改正自体をどうこう言うわけではありませんけれども、相当変りつつあるところに、この改正によって一つ拍車がかかる感じがするのであります。今後町村なり部落の造林のあり方響について、やはり格段な指導方針といいますか、これがあつてしかるべきじゃないかと思いますけれども、今回のこの改正に関連して、何らか御用意があるかどうか。
以上二点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/58
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059・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 前段の問題でございますが、この公庫の資金が造林者に対しまして、まあ私どもといたしましては、分収造林の場合におきまして、むしろ補助金の交付をいたすことに対しましては、これを運用上、自己負担分の融資については、できるだけ援助する考え方でいきたい、こういうことを申し上げたのでございますが、もちろん先ほどの御質疑にもありましたように、現在その道は開かれておるわけでございますが、この法案を制定いたしました趣旨そのものにおきましても、できるだけ自己資金あるいは外部資金というものを造林事業の上にプラスして考えて参りたいというような趣旨からいたしまして、できるだけ補助金対象になりましたものは、融資についてはこれを遠慮してもらうような指導方針で参りたいというようなことを実は考えておるわけでございます。それともう一つは、実は昨日の質疑の中にもお答え申し上げたのでありまするが、現在造林に対しまする助成手段といたし、ましては、補助金の交付と長期の融資の二段の問題があるわけでございますが、この循環経営のできますよらな林業者ないしは他の広い採算の中で林業経営そのものを取扱つて参ることのできますような法人といったようなものにつきましては、従来からも補助金交付の道が閉ざされておつたわけではなかったのでございますけれども、実は、これは融資によってやつてもらう指導をしてきたわけでございます。あわせて、現在のこの再造林に対します補助金の場合におきましても、循環経営のできます林業者に対しましては、これを補助金交付の対象にいたさないという予算上の内容に実はいたしておるわけでございまして、むしろこういった公庫の融資等は、そういうところに優先的に回すということを考えて、運用上の問題としてそういうように取りはからつて参りたいということを実は御説明申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/59
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060・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 実は、ちょっと私の前段の質問の趣旨がそうじゃないのであります。金融機関が直接この分収造林のこの条項によりまする費用負担者という形において、たとえば農業協同組合なりが、直接その資金が入り得るか、それは入り得ないのであろうということをお聞きしたのであります。間接にはもちろん、その造林者なりあるいはその個人なりに造林の資金は、これはいろいろ行くと思いますけれども、正規の金融機関が、これが直接その資金をここに投入するといいますか、こういうことは解釈上あり得ないと考えていいのか、こういう質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/60
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061・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) たとえば、公庫が直接の費用負担者になり得るかどうかという問題であろうかと思いまするが、分収造林の費用負担者にはなり得ないし、規定上もできないように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/61
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062・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 それは、公庫だけじやなしに、農業協同組合なり銀行、すべてそうだと理解していいのですね。わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/62
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063・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 二点の問題でございまするが、お話のように、町村合併等の促進によりまして、従来のいわゆる部落有林といったようなものの扱い方がさまざまに変動しておる状況は、お話の通りでございます。従いまして、今後こういった対象に対しまして、分収造林を進めて参るというような場合におきましては、当然その成り行き等につきましての研究も十分遂げて参る必要があろうかと、かように考えるわけでございますが、昨日もお答え申し上げたのでございまするけれども、一体その中には、きわめて粗放な土地利用のままにまかされておるというようなものもずいぶんございますので、そういう現象から見ますというと、この対象になるものが相当程度あるようにも考えられますけれども、権利関係が非常に複雑しておるといったような実態から考えまして、私どもといたしましては、利用者が全部同意をしたものというものにつきまして、しかも、さらに今後の土地利用区分上の問題等につきましても、十分研究を遂げた上で、その対象に考えて参りたい。今後この問題を推進して参りまする上におきましては、少くとも公有林や部落有林というものに対しましては、それらの土地をどのように利用するかといったような、総合的な見地からの利用計画といったものが先行いたしまして、その後に、この種の問題を進めて参るという、特別な配慮をいたすべきであろうかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/63
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064・大河原一次
○大河原一次君 大体分収造林の対象になる土地というものはどういうものかということを想定いたしますと、大体やはり公有林だと私は思うのです。先ほど次官は、荒廃の地に分収造林を行うというようなことを言われておりまするが、これは、二者契約の場合であったらそういう可能性もあると思うのですが、三者契約、いわゆる費用負担者というものが入る、いわゆる三者構成による契約が結ばれたという場合において、荒廃の地に造林をするというが、実際には、そういう荒廃の地というものは、相当人里離れた奥地であろうと思うのです。こういった場合に、いわゆる費用負担者というものを入れた三者契約によるものが結ばれた場合において、林道も開設されておらないというような、そういう不便な奥地に対して、十分な造林が行われるかどうかということについては、非常に疑問を持つのですが、こういう場合に、三者契約のもとにこういうことが契約されるかどうかということをちょつとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/64
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065・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) もちろん、お話の通りでございまして、私どもといたしまするというと、この分収造林事業をさらに推進をいたして参ろうという対象地域につきましては、従来の造林地を切りまして再造林をするというようなものは、その対象におおむね考えておらぬわけでございまして、あくまでも造林地域を今後にわたりまして拡大をするという、対象地の中でこれを選んで参るということでございます。従いまして、お説のように、大体この中間地帯にそういう山が多いという現実でございます。しかも、それを所有の主体から見ますると、公有林並びに部落有林といったようなものが約半分、私有林に属しますものが約半分というような見通しであるわけでございまするが、おおむね公有林、部落有林は多く荒れているという現状からいたしまして、政務次官の御答弁のような表現になつたと思うのでございますが、そこで、一応林道が開設されまして、現在の天然成林が伐出をされるということに伴いまして、新しくこの事業が進められて参るというように御了解をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/65
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066・大河原一次
○大河原一次君 私、なぜこういう御質問を申し上げるかというと、昨日も申し上げたように、今長官は、土地の利用の区分を明確にしたいということを言われているから、そういう点では、僕は一応了承するのですが、なぜこういう質問を申し上げるかということになると、昨日も言つたように、いわゆる将来あるいはまた現在において開墾可能地のようなところが、そういう点が結局この分収造林によって、奥地の方は、肝心にやらなければならない、そういう造林地はあと回しにしてしまつて、そうして最も手近に便利であるところの、しかもそれが開墾可能地であるというようなところにどんどんこういうことをやられて、しかも、三十年、五十年という長きにわたって部落住民がこれによって大いなる不便を与えられる、圧迫されるということを心配したがゆえに、こういう御質問をしたわけです。たとえば、現在開拓農ですか、入植された方が非常にまだ過小農であつて、もっと部落の増反をしなければならない、幸いに、近所においては、まだ増反可能の所がある。たとえば、何といいますか、部落共有林の払い下げということも考えているし、あるいはまた、国有林寺の払い下げとかしてもらえば、しかも、自分の現在持っている土地に隣接した所、そういう所に対して開放、何といいますか、共有林の払い下げということを切実に叫んでいるのです。そういう実際切実に感じているそういう増反可能地まで、こういう分収造林によって侵されてしまつて、いわゆる増反もできないということがあったのでは困るのではなかろうか、こういう点を考えたので、御質問したわけなんですが、こういう点について再度一つ、これは、農林次官の方からこういう点について、土地利用の区分といもものを明確に、契約する当時に当つてできるかどうかということの可能性について、一つ次次官の方からお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/66
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067・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 昨日もお答えいたしたのでありますが、今お説のように、農耕地として利用する土地と、造林地として活用する土地との問題は、錯綜する場合があると思います。しかし、御説のように、日本の農耕地は非常に不足をいたしておりますから、農耕地として活用できるものは、それを優先的にやるべきものだという考え方を持っております。でありますから、この分収造林についても、その他の林野の問題についても、その調整をはかることに努めなければならない、当然のことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/67
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068・大河原一次
○大河原一次君 最後に一点だけですが、こういうことはどうですか、分収造林というものがなされまして、その場合に、そういう所に部落住民の方々が入って採草を行う、あるいはまた何かで、たきぎをとるというような、そういう場合に、これはこの中に立ち入ることができるのでありますか。もしそういうことができないとすると、五十年、三十年もあれば、結局、分収造林地であるからということで、五十年も三十年もそこに分収造林地として設定された場合に、立ち入りができないということになつたら、非常に部落住民の方が不便を感ずるのじゃなかろうかという点を考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/68
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069・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) その点は、これはその地方の慣習であるとか、あるいは約束によってきまる問題であると思います。現在そういう習慣をやつておる土地に分収造林をするときには、そういう話し合いがつかないと、この計画はなかなか進まないのじゃないか、実際問題としてそういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/69
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070・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/70
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071・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をつけて。
他に御定言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/71
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072・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/72
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073・千田正
○千田正君 私は、この問題については、非常に次官並びに長官が言っておる通り、十分に足らざるところを補なって、日本の林野行政の永遠の一つの基盤を確立したいという意味において賛成をいたしますが、ただ長きにわたる問題でありまするので、その間の監理あるいは指導という面において、農林省は特段の力をいたさなければこの法の目的は達成されない、かように考えますので、特にこの点を要請をいたしまして私は賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/73
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074・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/74
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075・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/75
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076・東隆
○東隆君 それでは、本法案に賛成をいたすことにいたしますが、私は次のような意見を持っておりますので、この際意見を申し述べます。
一つは、契約に当つて土地利用の区分、これは非常に問題になることが多いと思うのであります。ことに分収造林をやるような地帯において、将来における農耕あるいはその他の関係と、また酪農その他の伸展に伴なって、増反の問題であるとかそういうような問題と関連をする問題がございますので、従って、この方面については、地元民との関連において、十分に計画的に進められることが必要だと、こう考えるわけであります。
さらに分収造林のやり方によっては、山村の開発というような方面に、非常に効果を発揮することにはならないで、かえつて山村の開発を阻止するような、そういう形が現われると思います。そこで、地元住民の圧迫にならないのみならず、地元住民が分収造林の成果を十分に持ち得るような形でもって、これを進めていただきたいと、こういうことであります。
その次には、分収契約の指導その他についてほ、契約の要綱、そういうようなものが、私は当然示されてしかるべきものであると、こう考えるのでありますが、そういうようなものが示されておりません。従って、この契約を締結するというような際に当つて、非常にいろいろな形が現われてくると思うのであります。従って、長い間のことでありますから、それを十分に見通されて、そして法律の施行に当つては、農林省は懇切丁寧に、その契約のいろいろな要綱、そういうようなものをお示し願う必要がある、こういうことであります。
それから、これは長い間の実は契約になりますし、従って、紛争その他が相当起るおそれがあります。そこで、先ほど申し上げた点とあわせて、紛争を未然に防ぐような措置、そういうようなものについて、格段の一つ措置を講ぜられる必要がある、こう考えるわけであります。
以上のような四つの点を、私は意見として、社会党を代表して賛成をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/76
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077・柴田栄
○柴田栄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本法案に賛成するものでありまするが、ただいまもお話のありました通りに、本法案は、極端に申せば、支障を排除し、やりやすくするという骨だけの法律のような感じがするのでございます。これを運営をいたしまするための措置等に、今後十分なる手配をいたされないと、今、東委員も仰せられましたように、長きにわたりまする契約期間中に、いろいろな問題が起るという懸念が十分にいたされるのでございます。それらの点に関しましては、遺憾のないような指導の措置を講ぜられるべきであるということを特に申し添えたいのでございます。
さらに、この特別措置法によりまして、分収造林を促進いたしまする一助といたしまして、税法の特別な措置というものは、促進する大きな理由の一つにもなろうと想われるのでございます。それらの点が、別に措置するということで、本法には特別な規定がないのでございます。これまた、的確な安定した措置を、政府として十分におとりをいただきまして、契約当事者が安心して、積極的に分収造林を行い得るという措置に、遺憾のないような方法をとられたいということを特に申し添えまして、賛成をいたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/77
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078・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 緑風会を代表しまして、本案に賛成するものであります。この際、希望を申し上げておきたいと思います。
一つは、本分収造林関係と課税の問題であります。税金の問題は、造林に関連いたしましては、きわめて大事な問題であります。本案においては、その関係が必ずしも明確ではないのであります。適当の方法によって、課税の適正を期し得るように、格段の考慮を願いたい。
それから本案は、申すまでもなく、関係当事者その他の権利関係に、長年にわたって関連と影響を持つおけでありまするから、その権利関係の紛淆等の生じないように、慎重なる配慮か望ましいと思うのであります。
以上、希望を申し上げまして、賛意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/78
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079・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 他に御意見もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/79
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080・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
分収造林特別措置法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/80
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081・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/81
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082・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお、本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。
多数意見者署名
柴田 栄 堀 末治
関根 久藏 仲原 善一
秋山俊一郎 田中 茂穂
堀本 宜実 佐藤清一郎
上林 忠次 梶原 茂嘉
千田 正 藤野 繁雄
清澤 俊英 東 隆
河合 義一 安部キミ子
大河原一次 田中 啓一
北條 雋八発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/82
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083・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ここで、しばらく休憩して、午後は三時から開会いたします。
午後零時四十七分休憩
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午後三時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/83
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084・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 委員会を開会いたします。
経済基盤強化資金と農業に関する件を議題にし、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案を問題にいたします。この点に関し前回に引き続いて質疑を行います。御質疑の向きは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/84
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085・東隆
○東隆君 経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案は、これは大蔵委員会の方で審議をされておりましたので、こちらの方では関係の土地改良に関連をした事項、この問題について農林省の方から詳細に一つ説明を聞きたいと、こう考えるのですが、委員長の方でお取り計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/85
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086・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 東委員の御要求に対しまして申し上げます。経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律のうち、農林漁業金融公庫に設置いたします非補助小団地等土地改良事業助成基金について御説明を申し上げる次第でございます。この基金の原資は、国庫余裕金の財政上の処理からきまするところの、いわゆるたな上げ資金といっておりまする、四百三十六億のうちの六十五億円でございます。これを一般会計かう農林漁業金融公庫に出資をしまして、そこにおける特別の基金勘定を設けまして基金にする、こういうことでございます。その六十五億は昨日大蔵省の関係官から説明を申し上げましたように、資金運用部に預けることに限定をしております。そうしまして、当然預かりますと、預かり方によりまするか、七年以上預けることにしますれば六分の利子を見てよろしいことになりまするので、運用益が出るわけであります。その運用益は昨日申し上げた通りでございます。そうしましてこの基金は六十五億に関する限りは取りくずさないという法律案になっておるわけであります。運用益はこれを使うわけでございますが、そのときどきに出て参りまする運用益を全部使わない場合はその運用益の残りをまた資金運用部に預ることになっております。それによってまた運用益が出るわけでございますが、それも資金運用部に使う。預けることに限定をいたしまして、しかし六十五億だけはくずさないけれども、それ以上の額は賃金運用部に預かつておつても使用、利用する、そういうことになっております。その点は、きのう大蔵省の関係官が説明をしたと考えております。何に使うかということでございますが、北村委員からの御質問等にも関係を持ってくるわけでございます。土地改良事業の小規模なものに事業の推進に使おうと考えておるのであります。どんなものであるかと言いますと、従来一般に言ってきました団体営海潮排水事業、耕地整備事業といっておりまするけれども、中を分けますと耕地整備事業は区画整理事業、暗渠排水の事業、索道、農道というようなものでございますが、予算事項となっておりまする耕地整備事業のことでございます。耕地整備事業も念のため申し添えますると、団体営事業と御了解願ってけつこうだと思います。土地改良区、農業協同組合、あるいは任意の数人、数十人集まりまする共同施行の団体でございます。予算面を申し上げますと、この団体営漕概排水事業の補助金及び耕地整備の補助金なり両者を合しまして三十三年度は約三十八億ございます。三十二年度におきましてもほぼ同様でございます。予算面では七千二百万円ほど三十三年度の方が対前年増加になっております。増加になっております反面その中に一億二千二百万円の非補助事業を指導する指導費も入れてありますんで、ほとんど対前年比事業量が同じでありますが、いわば補助金の額として五千万円分くらい少いとも言い得るのであります。そういう事業に対してこれが非補助の、補助金をもらわないで融資によりまして事業の資金を作りまして事業をして参るという場合に、従来よりも利子を低下する措置をとりたいというのが土地改良事業助成基金の運用益を使いまして、公庫の非補助事業の事業のために融資をする資金の金利の低下に充てようというのであります。一応この土地改良事業助成基金を別にいたしますと、農林漁業公庫には非補助によりまする、非補助の公庫融資によりまする事業のワクがございましてこれはかねてあるわけでありますが、三十二年度は五十五億予定がございましたが、三十三年度の公庫の予算ではこれを六十億に増しております。この団体営灌排事業と耕地整備事業と別の見方から申し上げますと、どういうところにこういう事業があるかということでございますが、申し上げるまでもないかと思いますが、御承知の積寒法とか特殊土壌地帯の畑地農業振興法、海岸砂地の農業振興法その他普通に言っておりまする特殊農業地帯の農業振興法によって計画がございまして、計画を補助事業とし、またそれに並行して別途非補助の公庫の融資によりまする融資事業を行なって参りました。この特殊農業立法の計画も一応立っております計画面積が、日本の耕地にどのくらいあるかと申しますと七—八割の間にある。特殊農業立法で計画が立っておりまする、法律に基く計画による要土地改良小規模事業が、団体営灌排事業、耕地整備事業が、日本の耕地全体に網をかけているわけですが、たくさんの特殊立法ができましたものですから、全耕地の七割と八割の間くらいで、そのほかに一般の地域があるわけです。特殊立法の適用がない地域があるわけです。特殊立法はその法律が適用になる、計画が適用になる地域を指定しているかうそういうことになる。そういうところに団体営灌排事業と耕地整備事業の計画があつて、年々申請が出て参りまして、補助金の予算の範囲内で採択しておりますが、その進捗度はいずれも、この特殊農業地帯の農業振興法は施行期間五年で出発いたしまして、特殊土壌その他の法律は一年違います。事業の進捗が悪いので、この関係特殊立法はいずれも施行期間を当初の同一の年間だけ延長をしております。五年をさうに五年延長するというふうになっているわけであります。積寒法は今後四年において行う、その他は今後五年において行うというふうになっているわけであります。その計画に基きましての事業進捗度は、積寒法に基きまする地域指定の分が一番進んでおりますが、おしなべまして三割くらいのところであります。畑地振興法とか、特殊土壌とか等はもっと少い。積寒法関係はもう少し進捗度がいいのでありますが、その関係のことはきのうも申し上げたつもりであります。申し上げたことは農林省で目下つかんでおります要土地改良面積について、その特殊農業立法の各立法の計画面積は半分以下くらいに立っております。その計画の進捗度、事業実施の進捗度はおしなべて三割くらいのところであります。こういうことをきのう申し上げました。その特殊立法地域と、それが適用にならぬ一般の地域を通じまして、まだ計画以外の計画が立って面積量以外の団体営事業があるわけであります。別の角度からもう一つ申し上げますと、こういう小規模の農家の田畑に近い団体営灌排事業及び耕地整備事業は、国営、県営両者、または国営につながる、県営につながるという、一つまたは二つの上位の基幹工事、国営、県営のような基幹的な工事につながりまして、その効果を発揮するように団体営事業があるわけでございます。これは、水路で一つ例を考えて下さいますとよくわかるわけでございます。国営工事から県営水路に行き、団体営水路に行って田畑に行くということになります。あるいは区画整理をまじえて田畑に行くということになるわけであります。そこで団体営事業が国県営に直接関連する場合と単独にある場合があるわけでございます。特殊農業地帯の農業振興法の計画のものは、国県営事業につながり、その効果を発揮する末端の団体営事業もありますが、単独の団体営事業の方がウエートは大きくあります。さらにそのほかに新農村建設の予算の中に小団地補助工事というのがございまして、これはいろいろな工事を小規模に行うことができる補助金でございますが、二億二千万円ばかりあったと思うのであります。それにはおのおの今までの制度では採択の条件がございまして、第一には県営の漕排水事業を採択します場合に、予算等の関係もございまして、末端の、ほんとうは採択してもいいのですが、予算の関係から末端を整理いたしまして団体営などに落したりなどして、地方の要望した予算の調整等をやって参った分が一つございます。そういう背景、情勢下におきまして、今回の制度はこの運用をいかにするかということについて以下申し上げます。従いまして、目下持っておりまする農林省のこの基金の運用方針ということになるわけでありまして、法文上の問題その他ではございません。実施上の運営方針でございます。補助金との関係も昨日御論議があったような次第でございます。その間を含みまして方針を申し上げますと、初め二つ申し上げるのは、どう考えてこんなふうな運用をしたかということを申し上げるのでございますが、第一に、非補助小団地等土地改良事業助成基金を設ける場合には、団体営灌排事業及び耕地整備事業に対しまする国の補助金、補助金予算が三十三年度を含めて最近ずっと必ずしも農業なり、土地改良事業の立場から見ます場合、また特殊農業地帯の諸立法に基きまする計画と、その事業の進捗度とを勘案いたしまするというと、この補助予算が必ずしも十分ではないとまず考えるのであります。もっと早く事業を採択し、スピードを上げて事業をして、農民負担との関係が調魅せられればいい現状ではないかと考えまして、この現状を改善するためにこの基金を使ったらいいではないかと思うのでありますが、しかし補助事業との均衡も考えて実施することが必要であろうと考えております。
第二には、第一に申し上げましたことからいたしまして、農林省といたしましては団体営灌排事業、耕地整備事業及び小団地補助事業といっておりまするもの、この事業を総合的に補助して、年度ごとには予算ワクが限定がありまする補助金と、ワクが限定してありましてもやや豊富な、かねてより豊富な農林漁業公庫の非補助融資の資金額、この両者を考えまして、非補助事業であって融資による事業であるが、公庫資金である低利の融資でありますれば、従来は五分としてきめられ、今回もこの基金のことを考えなければ、五分の金利であるとして予定されておりまする事業が、もしこの基金の利用によりまして、金利を適切に下げますれば、この金利低減の措置と補助予算とあわせまして、事業の総合的な推進をはかるのは望ましいことではないかと思っておるのでありまして、先ほど申し上げました団体営灌排事業、耕地整備事業、小団地補助事業の要する事業量の現状からいたしまして、補助予算は今後まだ相当の間減らすべきものではないと考えておるのであります。計画面積のみならず、計画外の土地改良を要する事業としましてそう考えておるのであります。そこで、補助事業の事業量を削減する意図に基かないで、補助事業と非補助の低利融資事業とを両者並行させて、これをできるだけ効果が発揮しやすいところに使いまして、事業採択が少い、または国県営、団体営の事業が重なるところは、事業着手から完成までに非常に多くの年月を経ている趨勢を考えまして、これに一歩でも前進、改善ができればいいと思っておる。以上が考え方の基礎でございます。そこで、補助予算と、もう一つ土地改良基金に基く利子の低下の措置、これは非補助事業でございますが、この二つにつきまして、さてそれではどういう気持、方針でおるかということになりますから、それを申し上げたいと思います。
まず第一に補助事業でございますが、この点は昨日触れましたのでございますが、繰り返して申し上げますと、補助予算を使つて最近数カ年事業を採択し、事業を進捗させておる現状を、全国平均的に見ますと、大体採択した事業は、平均三年ぐらいかかっておることになります。一年でできる所もあり、四年かかる所もございますが、平均的に見まするというと、三年ぐらいかかっております。従って三十二年度が、平均でいえば三年とか四年の、最終事業年度に当りますものでなければ、それ以降採択になりましたものは残事業があるわけでございます。だから、前年度からすでに補助事業として採択してある残りの事業がありますものは、それを補助をすることによってそのまま続けていこう、それはまず第一に優先させることだろうと考えておるわけであります。そういたしますると、新規事業はどうであるかということになりますが、三十三年度以降の新規事業、特に三十三年度の新規事業でございますが、その採択に当りましては、補助率でありますとか、工事種類に応じまする事業費、建設費、単位当りの建設費の度合い、あるいは生産性というようなことからいたしまして、農民負担というものが出るわけであります。端的に申し上げますと、この事業を行いまするというと、補助があって、残りは負担するわけで、負担の場合と融資を償還する場合とありますが、全部一単位ごとに事業を実施いたしますると、総計で農民負担は幾らだということが出るわけであります。あるいは総計の償還が年々幾らか、それを総額で一年一反歩当りでも、一年一町歩当りでも現わすことができるわけであります。そういうようなことを農民負担の気持と考えまして、農民負担にも考慮を払いながら、そしてまた一方、従来山手の地帯などは、この立地条件、団地のまとまり方等によりまして、とかく補助事業の採択がおくれておる二十町歩以上とかというところに一事業ができるように、まとまりが少い場合は自然そうなっておつたのでありますが、そんなような所とか、また先ほど申し上げました特殊な農業地帯の地域指定でありまして、そこに単独、団体営事業があり、灌排事業があり、耕地整備事業がある、こういうような所の単葉遂行率は、先ほど申し上げましたような遅々たるものでございまするから、そういう単独施行の団体営があるような地域に、本年度ある補助予算を、重点を置いて使いまして、その他も補助金のワクがある限りにおいては、申請に応じて、適切と思うものをずっと採択していくことは従前通りでございますが、何かやや優先するようなものと、一般は比較的後順位なものとがある。これは例年のことでございますが、そういうふうに一つ目安を置いたらどらかと考えております。
以上申し上げました山手地帯とか、進捗度がおそい特殊農業立法地帯の単独施行の団体営の地域とかに重点を置きますが、以上のようでありますから、国営、県営事業のこれにつながった、直接関連をしました団体営事業、こういうものにつきましてはそれじゃどうするかということがありますが、これも補助予算の対象には当然なることである。特にこの事業は、ポンプとか、ため池とか、水の取入口とか、あるいは先ほど申し上げました県営の末端を整理して、団体営でやらざるを得ないような所がありますが、そういうような基幹工事は重要でもあり、工事を請負に出した方が、技術的その他で適当らしいと一般の今の現状もありますので、基幹工事は経費もかかるという事情もあります。そういう工事は重要であり、請負仕事で行われるのが最近の一般であり、建設費がかかる。そういう所は補助として緊要であろうから、そういうものを補助対象の優先部分に置いたらどうだろうか。簡単に言いますと、国県営関連でも、工事種類に応じて、以上のように、補助が緊要なるものは補助の対象にしたらどうか、その他は水路その他ありますが、水路で補助が緊要のものがありますが、まあ水路を新設する場合と、補修等を考えますというと、多少の負担の差とか、経費の差とか、増産効果を発揮する場合は、何が早いかということもあるので、それらは考えたらどうだろうか、勘案する事項の中で、運用の適正を期したらどろだろうかと思っておるのでございます。
以上が補助事業についての運営の方針的な考えでございまして、これは簡明には昨日申し上げました。
次は、土地改良基金に基く利子の低減、非補助融資事業をどういうふうに考えておるかということでございますが、これも目下の農林省の運用方針案でございますが、これはもちろん非補助融資事業でございますし、補助事業としましても、これは地元の土地改良法に基く手続をとった申請が基礎でございます。また必要性を勘案することは、補助と利子の低減をはかる制度を運営するところでもよく考えるべきことだと思いますが、まず金利につきましては、土地改良基金の運用をいたさなければ、農林漁業金融公庫法に基いて、その予算に基いて五分と、三十三年度は六十億の資金ワクと、こういうものになるわけでありますが、これを一分五厘利子を低下いたしまして、三分五厘にしますと、昨日重政委員長から、どのくらいの補助に当るかということ等も御質疑がございましたが、六十五億の土地改良基金の元の資金、それから生み出されます、預金部の金利六分と、また基金の六十五億は取りくずさないで運営する。合せまして団体営耕地整備事業に対する融資は、十五年償還というのが従来公庫の償還年限でございました。十五年以内ということになっておりますが、据置期間が別途三年でございます。その従来からの、現行制度を当てはめますと、この基金も十五年くらいで——貸したものは十五年で償還されますから、十五年前後のところで最初に貸したものは回収がついていって、またその次に使えるというふうに運営をいたしていきますれば、土地改良基金の原資六十五億は取りくずさない。運用益を利子の軽減に充てて、非補助事業に使っていくということに使えることになるわけでございますので、まあそういうことからしますというと、資金運用部の金利六分と……六十五億から見ますと、まあ三分五厘くらい——一分五厘補給くらいがいいのじゃないか、やむを得ないのじゃないか。もっと低ければ低い方がいいだろうということもありますが、従来五分であったことも考えなくもやいけないし、災害の場合の公庫融資が、災害復旧に関しまして三分五厘というのがありますが、天災法ですか、天災法に三分五厘というのがありますが、あとは従前利子補給などに三分五厘があった以外は、政府の金融でも三分五厘というのは例がありませんので、まあこのくらいにしたら、事業量があると相当いけるだろうと予定しているわけであります。
金利の点は以上の通りであります。金利を下げれば下げるほど事業量は減る。上げれば事業量を増すという関係にあるわけであります。その低利融資事業でございますが、これはやはり補助事業との関係、均衡を考えるもの重要なことであろう。それはどんなものにお勧めして使つていただいて、事業の進捗という目的を果すかということから当然考えるべきことだと思うのであります。そこで目下土地改良事業の進捗度合いがおそいし、事業着手から、農民の田畑のところへ効果の発生が非常に長くかかることが見通されますようなものは、三分五厘でやろうという申請と応諾とがございまするならば、望ましいと考えまして、この基金に基く利子の低下は次の事業に……それに割合ウエートを置いて使ったらいかがだろうかと考えているのであります。
繰り返して簡明に申し上げますと、基金による利子低下の対象は、第一には、国営または県営事業の地域内において、直接関連する団体営事業で、新規に着手するものと思っております。
またその次に何が適当であろうかと、まあ考えた結果でありますが、急傾斜や、地すべり地帯などは、補助率や、取扱いも御承知の通り違いますので、そんな地帯は補助事業を優先させるようなふうにして、その地帯以外の、一般の客土とか、農道というような耕地整備事業で三分五厘でやろうという方については、優先的に融資をつけたらどうだろう、非補助融資事業として、仕事をしていただくのに、事業進捗の建前で、事業効果の早期完成上の意義も感ぜられて、それではやってみようという地帯には、事業主体には、融資をつけたらどうだろうと考えておるのであります。
この場合に、補助事業でありますると、補助率、補助金ワクとの関係からいたしまして、事業を採択して、一単位の団体営事業が平均全国では三年くらいという工事期間を今要しておりますが、三分五厘とのかね合いをもちまして、もう少し融資額を多くしまして、まあ三年の場合ならば二年でできるとかいうような事業進捗を——中で全部できるかどうかわかりませんが、そういうことを考えて、融資額の増加、その事業の工事完成が早いこと、そういうことを勘案して運用するといいのじゃないかと思っておる次第であります。
第三番に、この土地改良基金の利子低下を適用しようと思っておりますものは、補助の対象にはなっておりません二十町歩以下の小団地事業、農道は千メートル以下の農道というもの、以上に関連するものは、この三分五厘のこの利子低下非補助融資事業が適用になるように運営したい。補助の対象になっておらぬそういうものも運用したい。小団地事業でありますが、そういうふうに考えておるのであります。
それだけかという——一、二、三のそれだけかという点になりますと、もっと適切なものがありますれば、何もそれに限定するものではないと考えておる次第でございます。
さらに昭和三十二年までに、まあ融資によりまするところの事業が行われてきましたが、このうち高い金利で自由的にやられたところもありますので、優先的におすすめしたいと思っておりまする三分五厘適用の非補助融資があるようなところと同じようなものでありましたら、償還の残が残っておりまするものにつきまして、三分五厘まで利子を軽減したらどうだろうか。済んだところの事業に——非補助の融資事業であって、済んだ事業で、五分とか、農協賃金等の一割とかいうので使われたところで、国県営の関連事業とか、客土、農道事業とか、小団地事業とか、こういうところは資金ワクもございますが、三分五厘まで低下する措置も、均衡、公平という立場から、そういうできる限り、資金ワクがある限りやったらどうだろう、こういうふうに考えておるのであります。
以上が基金運用の農林省の目下の案でございまして、なお御審議をいただきまして、適切なことがありましたら、私どもの考え方が適当でありませんでしたら、その間をよく調整して、本年度運営に当りたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/86
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087・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 二、三ちょっとお伺いしたいりでありますが、第一は、今度のこの新しい基金制度といいますか、資金制度、これは国庫余裕金の特殊な事情に基き、一時たな上げ式な考え方で、若干のひもをつけて生まれたものだと承知しておるのであります。従って公庫に預けるといいますか、持っていく六十五億の分、この基金というものは、暫定的なものか、恒久的なものかの問題であります。その要綱を見ますると、資金の設置について、「政府は、将来におけるわが国の経済基盤の強化に必要な経費に充てる財源の一部を確保するため」に一般会計から二百二十一億の投資をする、そうして資金を設置ずる、資金の使用としては、「資金は、将来における道路の整備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧又は帝業投資特別会計への繰入に要する経費の財源に充てるため」云々と、こうあるのであります。
〔委員長退席、理研清澤俊英君着席〕
将来事情の変化でそちらの方に持っていく場合があるのか、これはこれとして続けていくのか、その点がお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/87
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088・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 農林省といたしましては、三十年度予算と、この法律案でございますが、法律に基きまして設置し運営いたしまする六十五億の農林漁業公庫の土地改良事業助成基金につきましては、それは長く続けていくものと思っております。従って基金を切りくずしてより多くの運用をするということでなしに、六十五億の基金の運用益を使用しまして事業をいたしまして、その基金運用が十五年前後で回転しておって恒久性をもたす、そういうことを考えておるのであります。もし将来のことを、かように申し上げてはいけないかと思いますが、一つの考えを私どもの方から申し上げさしていただきまするというと、三十三年度あるいはこれにつながる適切な期間これを運用しまして、非常に需要が多い、補助金との関係は先ほども申しましたが、両方両存で、補助を減らす、補助による事業量を減らすものではないという考えには立っております。今立っておりますが、基金をもっと増して五分融資という、従来もある、三十三年度も土地改良基金を運用しなければ五分の金利である融資事業との関係で基金を増して事業量を多くするとかいうことも起るかと思いますが、今はそこまでの見通しを持つていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/88
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089・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 この問題はまあ何といいますか、出発以来必ずしもはっきりしておらない性格のものだと思うのでありまして、農林省御当局がさように考えられることはそれはそれとして私はごもっともである、それから補助とそれから融資の関係でありますが、この三分五厘の比較的低利で融資をされる対象の事業は、先ほどいろいろお話があったのでありますけれども、公庫の本年度、三十三年度の六十億ですね、それにその資金が対象になる、こう考えていいですね、その一資金の一部と……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/89
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090・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) その通りでございます。あわせまして、先ほど私の説明が少し間違って申し上げたかと思いますが、申請があったり申請をしておすすめして御討議の上三分五厘の公庫融資で非補助の事業として事業を推進したいということがあればやっていただくわけですが、主として私どもの気持としては、重点的と申しますか、そういう、こういう事業ならば重点的に資金ワクがあるから使っていただいたらと思っておりますと申し上げました、一、二、三の事業、三つの対象事業を一応申し上げましたが、これに均衡を持ったような、過去の三十二年度までに事業が行われた、それが非補助の融資事業で行れた、こういうものについても、今後との均衡をとって、金利の高いものは三分五厘に金利を下げることによって使いたいと申し上げましたが、その中でやはり対象は、その場合公庫の資金についてやるのがいいのでございまして、農協の資金を借りてやった場合はちょっとできないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/90
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091・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 今度の六十五億の基金から出る財源ですね。その分で、三十三年度の公庫の計画の六十億、六十億融資分ですね。全部三分五厘の計算で出し穫る計算になるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/91
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092・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 公庫の融資は、業務規程によりますと、団体営灌排事業で融資率八割、耕地整理で七割くらいになっております。七割のはずでございますが、年々地域また事業ごとに多少の差がある場合がありますが、そういうことがあると同時に、御質問のこの六十五億の資金運用部の預金利子六分と見ますというと、公庫の本来予定してある五分、それから一分五厘下げるわけですから、融資額に対して利子を下げる、そこにワクが出てくるわけです。それが六十億できるかどうかということをお聞きになっていると思います。全部はできません。従いまして、三分五厘で、奨励的に運用をする利子を低下する場合と五分のままでいく場合とができるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/92
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093・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 それは、どのくらいの割合になりましょうか。六十億のうち三分五厘の低金利で出す資金量といいますか、事業量といいますか、どれほどの割合になりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/93
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094・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) これは昨日も申し上げたのでが、長期償還をする公庫資金でございますので、融資事業でございますので、最初少しだんだん多くなって、あと十五年前後のところで自転していくことを考えまして、そうして一応試案を作りますと三十三年度は融資額が二十五億くらい、先ほど申しあげました公庫融資の融資率と申しますか、灌排は八割、耕地整備が七割くらいが業務規程に出ておりますが、それを考えて、二十五億でかりに灌排事業ばかりですと、その八分の十だけ事業量があるわけでございますが、融資額としては二十五億、二年目は三十二億、三年目以降はずっと三十九億六千五百万円、約四十億、そういうことであれば、公庫の資金ワクは別として、基金が自転していくだろう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/94
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095・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 最後に一点だけですが、全然同じような性質の事業に、現在五分の金利で融資されて動いている、ところが、これが発足すれば同じような性質の事業であって、片方は安くなります。
こういう二種類ができる。その二つのうちの性質に何か差があれば、これは理由は立つわけですけれも、おそらく現在公庫の行なっている融資の対象分と、今度多少同じようなあれでいく今回のが三分五厘、こういうことになりますと、相当何といいますか、不公平な事態が起つてくるわけですね。従って、常識的に考えますと、現在公庫から五分の金を借りて仕事をしておるものがまずこの低金利の分に借りかえをするといいますか、振りかえをしていくということが考え得るわけなんです。その仕事は完了しておつて、あと年度償還していく分は振りかえを考えてもいいんじゃないかという御趣旨のお話でありましたけれども、それだけじゃなくて、何といいますか、従来の分が当然に一つ借りかえを要請してくるという事態が起りはしないかということが一つと、それから結局六十億なり、六十五億の公庫のワクが事業量すべてを決定するのであつて、今度の措置というものは、金利を安くするという点だけに意味合いがあつて、事業量を拡充するとか、そういうところには及ぶものじゃないというふうに理解していいのですね、その点たけ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/95
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096・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 非常に要点を含んだ御質問だと思いますが、第一の、すでに済んだところで融資を受けてやった事業はみな借りかえを申し出て、またそれをやる方が公平ではないかという点でございますが、土地改良基金の六十五億円のワクから生じまする運用益のワクがございますので、どれだけ金利を下げるかということと、事業量、言いかえますと、公庫の融資ワク、事業量の引き当てになる融資のワクでございますが、これとの関係は先ほど申し上げた通りでありますが、かりに四分五厘としますと、もっとたくさんの資金に当てはまる。四分五厘がどのくらいの価値があるだろうかということは現行の五分との比較をすると一応の何かの意見は出るわけであります。ただいま農林省が持っておりまする運用方針は、効果がわからないほど少しだけ金利を下げて広範囲にやるのは、せっかくできた基金のワクがありましても、むしろ積極的意義が少かろうと考えまして、三分前後のところを、せめて幾ら悪くても三分五厘、大臣はほかの委員会で少くとも四分以下とお答えになっておるそうでありますが、そう考えたのであります。また、たまたまもちましてもっと基金ワクは大きく要求しましたが、六十五億に落ちつきましたので、六十五億は今後もなくなりませんが、ふえることはあつても、減ることはないという建前で制度を考えていきたいと思いますが、その関係からしましてこれを三分五厘といたしますと、先ほど申しましたように、公庫の非補助融資ワク六十億円のらち初年度は約二十五億円分、将来は公庫の非補助融資ワク何億円のうち毎年約四十億円ということになります。従って公庫の融資ワクの中金利五分のものとして残るわけです。この基金の運用により金利を低下する事業は、団体営灌排事業、耕地整備、小団地事業の各種にわたりますが、その中にはたくさんの工事種類や事業地域があるわけでありますが、低金利公庫融資を漫然とどれにも当てはまるようにいたさないで、特に事業進捗をした方が農業の立場からも、事業の負担を受ける農民からもいいと思われるものにしぼってやった方がいいんじゃないか。しぼればその他は全くいかぬということはないと思いますが、これは申請と受け入れとの同意に基きますから、一、二、三というようなふうにしぼりますと、過去の、ほかの金利で事業をしました償還残の事業が、少くとも同じような事業と、適用について同等になると、そこらの公平で、六十五億というワクからくる制約からしてもやむを得ないのじゃないか、そうして公平も保ったらどうだろう、そうしてその立場から集中重点を置いて利子を低下する事業というのはしぼつたらいいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。
第二点は、申し上げました中に第二点の御質問もお答え申し上げたような気がいたしますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/96
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097・重政庸徳
○重政庸徳君 今、梶原委員から御質問があったが、きわめてその点では重要な点だろうと思うのです。今度の融資で事業を遂行するという方式は、事業進捗を期し得るといろ意味においてきわめて積極的な政策を帯びておると私は考えるのでありますが、そういう意味においてきわめてこれは、ほんとうに新しい、積極的な意味において重要ないい政策だ、こういうふうに考える。局長の御説明にありましたが、救済にも、これを利子の軽減のために充てる、こういうことですから、あえてそれはいかぬとは申しませんけれども、これはほんの特殊なものを考えていただかねば、この基金制度を設けた意味が非常に減殺してくる。これは非常に大きなワクならもちろんいいのですけれども、わずか二十五億くらいなワクで、これは立ちどころに消化され、希望が殺到してくる、年も二、三年たつと殺到してくるのではないかと私は考えるのです。
土地改良は、御承知のように国営あるいはその次の県営、それから今の問題の団体営事業というところまでやつて初めて土地改良が完了するのです。その意味からいくと、そういう仕事をずっと順次施行してきた地区は、相当負担が過弔になるのだと私は考えておるのです。そういう意味において今度の低利資金の使い道は新事業に対して重点的に優先的に貸しつけるべきであると思うのですが、その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/97
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098・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 三十三年度から土地改良基金を新たに設けていくということに関しまして、主として考えといたしますると、重政先生のおっしゃる通り三十三年度の新規事業につきましては、また継続事業でも残事業に当るところの新規の団体営事業とか、特殊地帯農業振興関係法の計画がある地帯の単独団体営事業であつて新規のものに重点を置くのがほんとうだろうと思います。そうでありますが、やはり今までやりましたかなり大きな国営工事に県営事業がつき、国体事業が補助の予算額が足りないので、農民の自主的な気持で非補助で事業を推進しようと積極的にされましたもの、ことし以降同様の条件がある所は三分五厘にする。過去において自分たちが不満であるが努力したというのは、あまり差がありますと、やはり人間で感情が出てくるから、公平を、万全を期するために令部片づけるわけにいきませんが、やはりある程度公平をはかった方がいいというのが具体的にあるのです。だから地区ごとに考えて、すでに済んだ非補助事業には適用しないでおきまして、新規事業の申請とか、やってみようというお方がまだ初年度でわかりませんから、その様子を見ましてから、それを使つてしまえばそれでなしになるわけですが、余つた場合のようなふうにして、優先順位、後順位というような考えで、捨てずに扱うのがいいのじゃないか、事態の推移を見て、審議の模様も頭に入れまして、一年運営させていただきたい。二年以降もっとしつかりした制度にしたい。その際には団体営が土地改良基金ばかりでなしに、土地改良工事特別会計から、一般会計の国営から、県営の予算のあり方、そのものもあるいは継続費とか、ほかの制度とかを考えて、補完をすべき点が多い土地改良制度でございまするから、それらとこうあわせて考えていきたいと思っております。
それから思い出しましたが、先ほど失礼しまして、第二点お梶原委員の御質問の点がございますが、融資ワクが全部使われた場合は、公庫の融資ワクですが、補助金を全部使った事業と、非補助の公庫の融資ワクを全部使った事業は、事業量としては一定でありまして、進捗とか事業拡大とかということは起りません。しかしながら、最近公庫としてワクを予定しましても、非補助融資事業は全部使われておらぬのでございます。五十五億の場合約四十億でございますが、十五億余りまして、災害等のつなぎ資金等に使っておりますが、そういう観点が一つ、それから水路等を補修するような場合は、かなり五分融資もありますが、五分といろ一率では不可能な、もう少し金利を下げれば融資を使えてみんな可能になり得るというところがございますので、ワクの意味でなく、実質上の意味においての事業進捗はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/98
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099・重政庸徳
○重政庸徳君 それから、もう一点きわめて重要な問題ですが、局長は御税明のときにきわめてすらすらとおっしゃったんです。この県営事業を、あるいは国営事業の末端整理を予算の都合で云々と、こう言われた。私はこの問題は非常に重要な問題だろうと思う。今の農民の負担の点からいってもきわめて重要な問題だ。それから、あるいは大蔵省の要請によってそれにお答えになったんかもしれぬと思うのですが、事実は、たとえていえば、県営事業をとっていいますと、農林省には県営はどういう限度までは県営に該当する、国営事業は末端の面積が幾らまでは国営に該当すると、こういう厳たる規則があるのですか。これを予算の都合で末端を整理して、ここまでは民営に、ここまでは国営と認める、あるいはここまでは県営と認めるということは、これはちょっと行き過ぎではないかと思う。しかも、すでに認可してこれをこの範囲において県営として仕事を施行せい、工肝を施行せい、こう認可したものまで予算の都合で末端を何ぼ削りなざい。これは、農民の方では役所の言われることだからやむを得ない。きわめて不満だ。不満だけれどもが、それを削られねば、今少い割当をなお少く、あと回しに延ばされるといろ懸念があるから、泣く泣くそれに私は答えていくような情勢ではないかと思う。これはきわめて私は、大蔵省がどう言われようと、そういうことに迎合していくべきものではない、こう思っておるのであります。しかも、この範囲において県営で国は施行するという認可を出した以上は、県もそれに対して二割とかあるいは二割五分とかの助成をするということを県会でやはり決議して決定しておるのでございます。そこを切られて何でやっていただくのか、あるいは団体営に落されるかというようなことになってくると、整理されてもどうしても地元はやらなければならない。そういうことになると、補助率の低い補助でやるということになりますと、ますます農民の過重は増してくるんですから、だからもしそういうことがありますれば、私はこれはもとに返してもらいたい、それからまた返さねばならぬ、こういうように思うんですがね、一つその点の御見解を承わつておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/99
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100・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) その御質問の点についてすらすら申し上げましたのは、軽く扱っている意味で申し上げたのではございません。
また第二に、県営の末端整理は補助金を握っておる官庁が権力的に押しつけて行うものではないのであります。大蔵省との間に過去において、予算のワクと、補助金を申請される供給と需要との関係の現実問題を調整することで従来があったとは聞いておりますが、最近はその点留意しまして地元の方から、それでも早くもっと事業を伸ばしていきたいと、あるいは採択してくれということで、農林省が農民負担を考えながら押されて、愛情が余り過ぎてそういうようになっておるところがちょっとあると思います。今後はいかにするかということについて申し上げまするというと、県営の末端を、とり得るものを整理する方針で、数多くとるよりは、採択するものをいい事業を採択して、その採択した事業をより進捗させるとともに、農民負担は、今の補助率——農民負担程度からいいまして、負担が増さないことで考えていく方がいいと思っております。これは農産物の物価事情、農家経済の状況、農家の経営の規模の状況から見ても出てくると思っておりますが、もう一つは特殊の団体営事業というものに補助率の違った、もう少し現在より補助率の高いものを設けるのも方法かと思っておるのでございます。政府の予算案を折衝し作成する過程においては成功いたしませんでした。と申しますのは、現状、ポンプは団体営灌排事業でも補助率五割で、その他の部分は一般に四割でございますが、そういうようなところなどは、工事種類について考えて、もっとほかの基幹工事、すなわちポンプ以外の基幹工事をも五割に引き上げる。五割というのは、国の負担のみつでありますが、そうすれば県営灌排事業に対する国の負担率が同様となります。もっとも県負担がございませんから、農民負担は一般県営の場合より多いことになりますが。あるいは県営末端の整理のようなのが、この申請者と補助金の交付をいたしまする役所側との間の同意のもとに円滑に行われますれば、今よりは、特殊団体営、高率補助のものが一つ制度としてあるのが、何か実情に合う点もあるかと思われる。しかしそんなことより県営の予算をたくさん、一年がまんしてもとりたい。国営負担継続費制度をとりたい、新制度を作りたいとかいうこともありますので、先ほど申し上げましたような土地改良事業を、農民負担を考慮しながら事業を推進する総合的な制度を今後なお作っていかなくてはいかぬ、その中で片づけることがいいじゃないかと考えておる次第であります。重政先生のおっしゃる点は、運用に当りましては一つとくと留意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/100
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101・重政庸徳
○重政庸徳君 今、最後に申しました、局長そこまで御承知ないかもわからぬと思うのですが、一度国が県営として事業分量を審査して決定したものが事業の調整に名をかりてその資格を消滅するということは、これはまあはなはだ因ることであつて、それにかわる団体営、名前は違っても特殊なものとして県営と同じ補助を与えるということになれば、国としては同じということになりますけれどもが、前申し上げましたような県では、県営事業に対してはこれだけの二割なり、県によつたら二割五分、あるいは三割というような助成をするという県の規則がある。それによって県会の決議によってちゃんときまつておるのですから、場合によつたら県営を移されて団体営事業ということになれば、県の、県費の助成というものがはずれてしまうということが起きぬもんでもない。それでこの点は、もしそういう方法で団体営という名目で救済するという方式をおとりになる場合においては、一つこれは特殊なものだから、県の方ともよく連絡して、県営としての一つ決議をしておるのですから——二割五分やるという——だからその事業は名前が変つても、一つ県費は出すというような話し合いといいますか、県とよく御相談になって、そうして農民の負担を増さないように一応そういう規則があつて、それに該当すべきもの、あるいはまたそういう方式によって認可を得ておるものもあるというのですから、その点一つ十分御調査になっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/101
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102・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) せっかくの御指導的な御意見ですから、お答えを申し上げますが、御発言の向きは全く同意見であります。運用において御指摘のような点が過去においていささかそれこそ軽く扱ったことが例がないわけではないかと思いますが、自今注意をしてお説のようにやろうと思います。この県営末端整理事業は、御承知のように再建団体になっておる赤字団体の県についての起債ワクから生じたことから
〔理事情潔俊英君退席、委員長着席〕
端を発したのでありますから、今のようなことでかりに特殊団体を設けました場合も県費負担をすることの同意等を加えて行おうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/102
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103・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) この件は、この程度にいたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X02519580402/103
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