1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月十日(木曜日)
午前十時四十一分開会
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委員の異動
四月九日委員笹森順造君、佐藤清一郎
君及び関根久藏君辞任につき、その補
欠として柴田栄君、植竹春彦君及び前
田佳都男君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 重政 庸徳君
理事
堀 末治君
藤野 繁雄君
上林 忠次君
委員
秋山俊一郎君
雨森 常夫君
植竹 春彦君
田中 啓一君
仲原 善一君
堀本 宜実君
前田佳都男君
東 隆君
大河原一次君
河合 義一君
北村 暢君
梶原 茂嘉君
千田 正君
北條 雋八君
政府委員
農林政務次官 本名 武君
農林省農林経済
局長 渡部 伍良君
農林省畜産局長 谷垣 專一君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
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本日の会議に付した案件
○酪農振興基金法案(内閣提出、衆議
院送付)
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/0
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001・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
最初に、委員の変更にっいて御報告いたします。
昨日、笹森順造君佐藤清一郎君、及び関根久藏君が辞任され、柴田栄君、植竹春彦君、及び前田佳都男君がそれぞれ選任されました。(「了承」と呼ぶ者あり)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/1
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002・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 酪農振興基金法案を議題にいたします。
質疑を続けます。御質疑の向きは、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/2
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003・東隆
○東隆君 酪農振興基金法案に関連して、私は昨年の五月に、この委員会でもって、農林大臣あるいは官房長官、あるいは公正取引委員会の委員長あてに申し入れをいたしましたが、それの措置のやり方が、農林大臣とそれから公正取引委員会の委員長との連名で、委員長あてにきておりますので、その中に疑問の点がございますから、それに関連をしてお伺いをいたそうと思います。
第一番目の問題は、芦野談話に関連をして、農林省とそれから公正取引委員会でもって妥協をしたところのものがあります。それは、共販の形態には買取販売、無条件委託販売、それから条件付委託販売がある、こういうふうに書いてそうしてその次に、「「芦野談話」で問題とされた条件付委託販売をもって共販の原則とは考えていない。」こう書いてあるわけであります。そこで私は、この買取販売というのは、実のところ申しますと、協同組合で少くとも共同販売をやり、共販体制を確立をし、あるいは共同計算をする、こういう考え方から参りましたときに、委託をするのが、これが協同組合においては原則なんであります。委託をして、そうして販売をする、こういうのが、これが原則なんでありまして、販売の形態のうちで、私はやはり買取販売というのは、実のところ申しますと、原則にすべきでないと、こういうふうに在来は指導をしてきた問題であります。しかし、生乳のような場合には、あらかじめ価格が決定をしておりますから、そのきまった価格で納入をする、こういう形になりますので、見ようによっては買取販売、こういうようなことになって、そのつど清算をする、こういう形ができ上るわけであります。そこで貰取販売という問題が出、それから無条件委託販売、そういうような場合は、これは事後に計算をするということになりますると、買取販売のその形態が、実のところ申しますと、無条件委託販売の形になっておるわけであります。そこで問題になってくるのは、条件付委託販売になって参りますると、これは協同組合の力では条件付ということになりますると、たとえば農産物のような場合には、混合保管であるとか、あるいは差別——等級を分けて保管をするとか、そういうような問題と関連をしてきて、条件ということは、普通の場合には牛鮮食料品とかそういうものについては要らないで、普通倉庫の中に入れたりなんかするような場合に、いろいろな条件をつけます。それで売り先をきめるというようなことは、協同組合においては、これは条件にしないことを原則にしておる。これは個々別々に販売をして、右利に販売をするということを目的にしておりますから、売り先はできるだけいい値段で買ってくれるところに売ってほしいということであって、この条件はつけておらない。だから売り先を条件にきめるなんというようなことはしないのが、これが農畜産物では普通のことなんです、共同販売をやる場合は。ところが、この場合にはどういうふうに持ち出してきておるかというと、条件付ということは、これは売り先をはっきりと明示する、こういうふうに持ち出してきておる。これは協同組合がやる場合におけるところの共販の形態の中では、これは普通はなすべからざるところのものを特別に持ち出してきて、そうして売り先を決定するのを、これを条件付だと、こういうふうに説明をされておるのが公正取引委員会の考え方であるのであろうと思う。そこで、そういうような考え方に今度は農林省が同調をされて、そうしてここの場合にはどういうふうに言っておるかというと、条件付委託販売は原則としないと、こういうふうにまあお逃げになっておるわけです。そこで私は、買取販売、無条件委託販売、こういうようなものをつけ加えて、私なりの説明をいたしておりますが、そういうようなことから考えて、無条件委託販売が、これが協同組合の原則でなければならぬ、しかも共同販売、そうして共同計算、こういうような場合におけるところの、これは基本的な原則でなければならない、こういうように考えておるわけであります。これに対して、実のところ申しますと、ただ一ヵ条あるのは、例の農協法の十九条のただし書きがこれをくつがえすような形になっておるので問題になっておるわけです。私はこの際、農業協同組合を担当される局の方から農業協同組合の共販の形態の原則とすべきものは一体何か、こういうことを一つお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/3
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004・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 昨年問題になりました青森の三八問題に関連い十しまする当委員会からの申し入れに対しましての御報告がおくれましたことを、非常に恐縮に存じておりますが、お手元に資料としてお配りしましたようなものを御報告いたしたわけであります。先ほど御指摘になっておりますいわゆる芦野談話で問題になりましたところの、組合と組合員との関係における販売委託の問題でございますが、これは、あの芦野談話の表現の中に、条作付委託販売が、農協によりまする共販の原則のごとく誤解される向きがございまして、当委員会においてもそれがいろいろと問題なったわけであります。これはここで御報告いたしておりますように、条件付委託販売が共販の原則というものではない、こういうことに両者の意見が一致しておるわけであります。この点に関しまする農林省の見解は、ここで言っておる通りでありまして、法律の解釈問題と、あと農協の運動として、あるいは指導としての問題と、若干その間に幅があってしかるべき問題だと思います。また、農協のいわゆる共販一般の問題につきましても議論があろうかと存じまするが、この販売をいたします際に、指値をするとか、あるいは販売先をきめるとかということは往々あるわけでありまして、特に指値のごとき問題の場合は、通常の共販の場合にも行われておるわけであります。これがもっと共販を担当いたしておりまするものの自由を判断、あるいは市場の状況に応じました対応の態度に余裕を持たせる意味から申しますると、確かに、御指摘のように、無条件委託販売という形が一番しやすい、容易であろうかと思うのでありますが、ただ、これは農民と、そこに販売を委託いたしまする組合との間の信頼関係、あるいは農民のその商品販売に対しまする農協運動としての自覚というような剛題を含めて行われていかなければならない問題でございますので、これを無条件委託販売でなければならないというような形において、上から、何と申しますか、強制約な形のものは、これは農協法の立場から由しますると弊害があるのではないか。商品の性格と、あるいは農協運動の本旨から申しまして、農民——組合員と、組合との間におきまする一つの運動といたしまして、無条件委託販売の形における販売の行われることは、私たちとしても好ましいことであると考えております。また、商品の性格から申しまして、ほかの商品と、ここで問題になっておりまするミルクの場合とは、若干異なる形があろうかと思います。ミルクの場合は、御存じのように、ある一定期間継続した形で販売をいたして参ります。また、ある程度そういう期間は一定したものでなければまずいわけでございます。従いまして、その一定期間契約をいたしまする当初において、それぞれの意思表示が組合員から組合に対してなされることは、これは当然のことかと思いますが、その継続いたしまする一定期間においては、これは混乱のない形におきましてその契約が遂行できるということが望ましいわけであります。おそらく、先ほど御指摘になりましたけれども、販売先の指定という問題は、その場合に、価格の問題がやはり裏づけになっておるかと思います。従いまして、販売先を変えますような場合には、その裏に、価格の問題があるわけでございまするが、農協の販売をいたしておりまする場合に、ある一部について高値の指値を——高値の指値と申しますか、高値で買い集めまして、そうして農協の共販体制をくずそうとする形をとる。これは農協の販売をいたしまする場合に、始終出っくわすところの状況でございます。その一部の高値に釣られるということなく、長い目で見た共販の利益、農民の利益という立場からこの問題は解決しなければならない問題であります。ミルクの場合におきましてももちろん同様であろうかと存じます。そういう意味におきまして、組全員と組合との間における協力、組合員に対しまする農協運動といたしましての啓蒙その他によりまして、組合員の意思を圧迫するという形ではなく、無条件委託販売というものが遂行されますならば、これは望ましい形である、かように私たちは考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/4
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005・東隆
○東隆君 そうすると、無条件委託販売というのが原則で、そうして、買取販売、あるいは条件付委託販売というのは、その原則をモディファイする、その程度に解釈してようござんすか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/5
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006・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) ここで申し上げておりますのは、文字通り条件付委託販売をもって共販の原則とは考えていないのです。この前の芦野談話の表現では、条件付委託販売が、何か共販の原則であるというような誤解を起すような表現があったわけであります。そのことを指摘しているわけであります。もちろん先ほどお答え申し上げましたように、私たちといたしましても、継続的な問題でもあり、あるいは農協の場合に、一部の高値でもってその共販体制をくずそうという動きが、これまでしばしば経験したところで、あります。組合員と組合との間の気持が、農協の理念によってお互いに啓蒙されておりまするならば、無条件委託販売という形において、もっと有利な形で販売ができるだろうと、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/6
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007・東隆
○東隆君 農協の場合における共同販売の形態の中でもって、在来の指導方針その他は、これはもう明らかに買取販売はこれは聞違いだと、特別な場合に賀取販売をすべきである、こういうふうに進めているはずであります。それから、これを頭から押えつけて、無条件委託販売という形をとるのではなくて、農業協同組合が総会の意思によってそういうことの決定をした場合には、これは当然先ほどの考え方と違ってくると思う。それはなぜかというと、先ほど説明をされたときには、顧から押えつけて無条件販売にするのはいけない、条件付でもって組合員が申し出たものに対して、そいつを認めなけりゃならぬというのが、ただし書きの条項によってきめられてくるわけでありますから、そこで問題は、この場合には原則を確立しておかなければ、依然として問題が起きてくるわけなんです。そこで、はっきり農協の側に、農業協同組合の共同販売ということについての原則を確立しておかないと、あの第十九条のただし書きの規定によって常にこういう問題が繰り返されてくるおそれがあると思う。こういうことを心配しておるわけです。そこで、少くとも農業協同組合法の建前からいって、農業協同組合の最高の意思決定機関である総会でもって決定する事項、これを排除するものでないというところが出てこなければならぬ、そのためには、やはり無条件委託販売、こういうことが原則であって、そうして条件付委託販売あるいは買取販売、こういうのは、これはモディファイしたものであるとか、あるいは特別の場合に認められるところの方法である。特に生鮮食料品のようなもので、その日に価格が決定してしまう、あるいは市場にそれを供出しなければならぬ、市場へ出さんければならぬ、あるいは一定の工場にこれを出さんければならぬ、こういうようなことを含めて、無条件委託販売をきめた場合に、それを排除するような、そういうよなことがありますならば、協同組合の決定をした総会の意思というものは、常にこわされる、この場合に共同販売の原則的なやり方というのは、無条件委託販売がこれが原則である、そして買取販売であるとかあるいは条件付販売というのは、これはモディファイしたものであり、特別の場合に認められるところの例外的なやり方なんだ、こういうことがはっきりしなければならぬと思う。この点は、局長は前に農業協同紹介の部長もされておったのですから、この辺のところをはっきりさしていていただけば、今後において法律を改正しなくても、私は十分に推し進めていけると思うのですが……、暫定的には推し進めていけると思うのです。このわれわれのところに参っております申し入れに対する答申によって、ある程度考えることができるが、そいつが常にあやふやのものである、こういうことになりますると、一番心配しておりましたことが、常にやはり動揺する、こういうことになりますので、この点を一つはっきり原則は無条件委託販売が原則であって、条件付販売、あるいは買取販売というのは、これは例外である。これを相当強く言わなければ、今後またこれと同じような問題がたくさん出てくる。私が非常におそれておるのは、これからは乳価の値下げとか、いろいろの問題が起きて参ると思うのですが、そうなればそうなったで、また問題が起きて参りますが、以前のように買いあさりをするというような場合になりますると、落下傘部隊でもって入って、そうしてそこのものが酪農単協というようなものを作って、それを橋頭堡にして、そうしていろいろの紛争を起したり、そういうような問題をやはり農業協同組合の総会の意思——私は、これは協同組合における最高の意思決定機関だろうと思うのですが、そこで決定したものに、ひびを入らせるようなそういうやり方はいかぬと思う。頭から押えつけるのじやなくて、民主的な協同組合が民主的に総会を開いて、そうしてそこで決定したものを最高の意思決定にするのが、これは今の憲法のもとにおいても正しいやり方だろう、こう考えるのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/7
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008・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 法律の解釈の問題と農協運動といたしましての啓蒙、お互いの信頼関係に対する問題と、いろいろあると思います。今までの農協の販売を見ておりますと、指値をいたしてやっておる、あるいは品物によれば買い取りをやっておるというような形のものがかなり多かったことは事実であります。そしてそれが一時は、そういうような形が農民に対して利益を与えるという感じを持たせる場合もあるわけでありますが、そういうものが失敗いたしまして、そういう経験の上に一つの無条件委託販売というような理念ができ上ってきたものと考えております。この問題は、組合員と組合の理事者、組合の販売をやっております者との間の信頼関係、その他によりましてきまることであろうかと思います。法律は、このことに関しましては、無条件委託販売が原則であるというようなことはうたっておりません。ただ、従来の組合運動あるいは組合の共販の種々なる歴史、経験というものから、無条件委託販売という形が望ましいものである、こういうことに相なっていると思います。また、ミルクのようなものにおきましては、一定期間継続して販売が行われるわけでありますので、それはやはりその期間におきましては、共販をいたします組合と、その受け入れをいたしますところの乳業者との間の契約が遂行できるものでなければならないと思います。組合と組合員の関係、組合の総会においてきめましたものが、どういうふうに履行されるか、これは組合内部の専属利用契約で、それに違反した場合は、違反金でありますとか、過怠金でありますとかというような問題が罰則的には行われておりますが、それ以上に、いわゆる組合意識と申しますか、そういう一つの運動といたしまして、お互いの啓蒙によりまして、最も長い目から見て有利な販売が行われる、こういうことに導いていく必要があるのではないか、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/8
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009・東隆
○東隆君 集酪地帯における工場と、それから原料乳を供給する農民との関係は、これはほとんど全部農業協同組合による組織を通して指定地の基幹工場に出す、こういう形になっていると思いますが、その場合に農林省の方では、その指導の基本的原則を、無条件委託販売ということによってやるのが一番いい方法だと、こういうふうに御指導なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/9
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010・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 先ほど来申しておりますように、無条件委託販売ということは、組合員と、組合の販売のその事務に携わっている理事者その他に対しまする信頼関係が問題である。もしも理事者がそれにふさわしくないという形でありますれば、これはまた紹合員としては別個の行動を起さざるを得ない、その信頼関係がありまして、初めてそれを前提として無条件委託販売という形が、販売的に見ましても、また農民の利益を守る上からいきましても、要当なものであろうと考えております。そういう前提がなくて、無条件委託販売が一番いいのだという言い方は、少し当を失したものではないかと考えております。しかし、販売の面から考えてみますと、集酪地域、その他の問題を考えてみますと、先ほど来申し上げておりますような関係で、一定期間というものは、契約の期間としてあるわけでありまして、その間にその契約が履行できないというようなことが組合と組合員との間にありますと、これは不都合が生じると思います。そういう形におきましては、いわゆる無条件委託販売という形が好ましい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/10
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011・東隆
○東隆君 政務次官がおられますからお聞きしますが、この問題はこういう形になっているわけです。酪振法の関係でもって、一つは北海道の雪印乳業が青森の三八地方の問題でもって公正取引委員会の関係で問題になっております。その基本的な問題を解決するためには、酪振法の改正をするか、あるいは農業協同組合法の十九条のただし書きを削除するか、この二つの方法があると、こういう形でもって実は進められてきた、農林省の方もどちらかでもって解決をしなければならない、こういうふうに進んでこられたのでありますが、農業協同組合法の一部改正の場合にもその問題が取り上げられないできた、と同時に、この酪農振興基金法を中心にして酪振法の改正の問題でもって解決をされるかと、こういうふうに考えにおりましたところが、その問題もついにさたやみになりまして、従って、答案をいただいておりますけれども、実のところを申しますと、根本的な解決は、今質問し、お答えをいただいておりますけれども、基本的なものはないわけであります。そこで、やはり農林省は酪振法の改正をやるか、あるいは農協法の改正をやるか、こういう問題が残っておるわけであります。私は、先般この委員会でもって先議になった中央卸売市場関係の問題で、やはりこの問題が生産者である出荷団体の組織の強化という面から考えてみても、農業協同組合法の第十九条のただし書きを取らなければ、りっぱな組総はできない、こういうふうに考えましたので、その点をだいぶ強調いたしたわけであります。従って私の意思は、農協法の第十九条のただし書きを削除することの方が全般の運動として正しい行き方でないか、こういうふうに考えるのでありますが、政府は、この当面の問題を解決するために、どういうような措置をとられるか、今後どういう態度で行かれるか、こういう点をお聞きしたい。次期国会において準備がございますならば、そういうような心組みでいくと、こうお答え願いたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/11
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012・本名武
○政府委員(本名武君) 青森県の三八の件につきましては、これはこの間のお答えの資料の中に書いてあります通り、公取と緊密な連絡をとって解決をいたしたいと思っておりますが、基本的ないわゆる先ほどから御指摘がございました生産者組合並びに会社との取引の正常な、しかも円滑な方法は、やはり法律の制定、改正によってなすべきだという御意見は、一応私ども同感でございますが、ただ問題は、この酪農基金法を提案いたしますにときに、われわれもやはりあわせて略振法の改正を行いたいと意図いたしておりまして、ことに農協法の改正に当りましても第十九条のただし書きの削除の点についても、ぜひこの国会において何らか対策をとりたいと考えておりましたが、諸般の事情によりまして、この国会におはかりすることができなかったわけでありますが、ただ問題は、ただいま御指摘の点につきまして、酪振法によってこれを果すか、農協法の十九条のただし書き以降を削除してこれを果すかということは、相当検討しなければならないものがたくさんあるように思われるわけであります。しかしながら、当而諸般の問題の起きている現段階におきましてゆうちょうなことではいけないと思いますが、この国会も御承知のような状態でありますので、でき得れば次の通常国会には、ぜひ抜本的な方法——この改正をいたしたいと考えております。今申し上げましたように、御指摘の問題を、酪振法で解決するか農業協同組合法で解決するかは、今後一そうその間に十分な検討を重ねていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/12
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013・東隆
○東隆君 政務次官は、酪振法とそれから農協法の改正とどちらにするか、まだきめておらないと、こういうお話でありますが、私は、酪振法を改正をし、あるいは当然酪農振興対策その他各般の問題を進めていかねばならぬと思いますが、酪振法そのものを通して改正をすることは、協同組合そのものの農村における唯一の経済機関である農業協同組合の系統の一番中心になる事業の共同販売事業、これを組織的に強化するのに依然として問題が残ってくると思うのです。それは乳業、牛乳だけじゃないのですから、それで、あとのいろいろな問題が出て参りまして、市場を中心にしても、もうすでに肉の問題がぶつかって参りますし、畜産関係だけでも残る問題が出てくるわけです。そういうような問題を考えてきたときに、やはり協同組合法というものの改正を優位に考えなければならぬ、こう考えておりますが、この点は、いろいろの問題で農林省の方でも相当考え方が変ってきたのじゃないか、それは酪振法だけでは問題にならない。もう少しそれを広範な方面に関係を及ぼすような改正をしなければならぬ、こういうことがおわかりになったのではないか、こう思うのでありますが、この点は、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/13
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014・本名武
○政府委員(本名武君) 先ほどもちょっと触れましたが、実はできればこの国会に間に会わせたいと思いまして、御指摘のように農業生産全般に影響する販売体制を確立するために、まずその基本である農業協同組合法の第十九条の改正によって共販体制を、販売体制を強化しようということに意を注ぎまして検討いたしたことは事実でございます。しかしながら、これは申し上げるまでもなく、生産者と協同組合の当事者の運営の上に一番大きな関連と重要さを持っていると同時に、その運営が一歩誤まりますと、せっかく御趣旨や、われわれの意図したような改正を行いましても、かえって困難あるいは非常な予想しない悪影響のある結果がもたらされはしないかという面も相当検討いたしまして、と同時に、あわせて先ほど申し上げましたように、この国会の特殊事情からしまして、とりあえず急ぐ点だけの改正を先般したわけであります。今日におきましても、御指摘のように、われわれの考えがこの改正に向って逆行したとか、あるいは前進したとかいうことは別といたしまして、この点に対する関心は一そう深めまして、先ほど申し上げましたように、今後一そう慎重に検討いたしまして、でき得るならば、次の国会にお諮りいたしたいという気持を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/14
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015・東隆
○東隆君 公取委員会と、農林省の方は連絡を緊密にして、今後酪農振興に努めることはこれは当然な話であると、こう考えているわけでありますが、先ほど申したように、酪農という限られた正面だけでなく、もっと広範囲な面に協同組合が動いている。こういうような点から、農協法改正について十分なウエートをかけていただきたいと、こう申し沿えておきます。
そこで、私は次に基金法関係に関連をして質問をいたしますが、問題になったのは、例の十九条ただし書きの削除の問題と、それからもう一つは、乳価の安定の問題なんであります。それで乳価の安定の問題は、これは非常に買いあさりをしているような、そういうような情勢のもとにおいては、問題はやはりございますけれども、しかし農民の方はあまりそれに対して問題を起しませんでしたけれども、不景気になって、そうして原料乳の値下りというような傾向が顕著に現われております。通告をして——酪振法からいって通告をして、一定の期間が過ぎますと、それでもって受け入れなければならぬような、そういうような状態になっている。これは一番農民としては、生産をしている物が乳のようなものでありますから、一番困難な状態であります。通告をされると、こういうような問題になるのではないか、私は、どうしても乳価の安定に対して、根本的なことを決定しなければならぬと思うのですが、そういうようなことはお考えになっておりませんか。農林省の方で乳価の安定に対してですね、私は何か基本的なものを考える必要があろうと、こう考えているのですが、この点についてお考えになっておりますか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/15
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016・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 乳価の安定の問題に関しましては、いろいろな方法があろうかと思います。その一つといたしまして、この基金というものを創設しまして、乳価の値下りが起きてきておりますような状況の場合に、そのもとになっておりまする乳製品の措置としまして、乳製品のたな上げ等に必要な資金、こういうようなものを債務保証いたしまして、乳代の支払いがおくれることのないように、また従いまして、急激な値下り等が起きないようにしたい、かように考えておる次第であります。契約をいたしました場合に、酪振法におきまして、一定期間たったあとにはその通告ができるかどうかという問題でありますが、これは面当事者の契約でありますので、契約の当初におきまして、そういう場合にあっせん委員なり何なりに持ち出すというような約束がございますれば、これはあっせん委員という現在の制度を利用できるわけでございます。あるいはまた必要があれば、乳業といいますか、扱っておりますものを農協の組織でやる、あるいは農民の資本参加をいたしました企業形態でミルクの受け入れをして処理をさせるというような格好になりますというと、ミルクを売りまする農民と、受け入れる企業体というものが、両方一心同体の格好に相なって参ります。それも一つの乳価安定の場合の無用の紛擾を防ぐ一つの方法かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/16
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017・東隆
○東隆君 乳価の決定をする委員会等を設けるというのは、これは地方的に行われておるのでありまして、やはり農林省の中に、あるいは外でもようございますけれども、しかし全国的なもの、これを当然考えなければならぬ時期に到達をしているのじゃないか。その理由は、もうすでに会社が乳価の値下げを通告しているというような例もぼつぼつ聞いておるわけであります。これに対して会社側の方では、乳が売れないのですからこれはもう何ともいたし方がない、絶体絶命の場合に入り込んでいる。そういうような場合に、いろいろな形でもって緊急な措置を講ずるということは、これは当然な話なんです。しかしその前に、そういうような事態の起きないようないろいろなことをやらなければならぬと思う。そして乳価の問題については、ある程度原則的なものを確立していく必要があると思う。それは、日本の国は農業を酪農を入れることによって一変しようとしている。今までの耕種農業を中心にやっておったものの中に酪農を入れて、そうして農業を一変しようとしている。これが少くとも日本の今の姿ではないかと思うわけです。そういうふうに非常に重点を置いて進めておるそのやさきに、過剰生産というような形が起きてきている。その結果、原料乳を生産しているところの農家がひどい目にあう。これでは非常な片手落ちになってしまう。何のために酪農振興をやったかわかりませんし、農家にとっては苦しみを増すだけの話で、楽農でなくて苦農になってしまう、こういう言葉がありますけれども、まさにそういうようなことになろうと思います。そこで、それを防ぐために、私はやはり中心として乳価の安定ということが、これが自由主義経済のもとにおいては、これはもう一番根本になろうかと思う。計画生産やそういうようなことはなかなか望めませんから、そこで乳価の安定、こういうところにしぼるべきではないか。そうすると、この乳価の安定を強力なものを作り上げる必要がある。そうして原則を確立し、そうしてそこから生まれてきたものについて、いろいろな対策を立てて未然に混乱を防ぐ、こういうような考え方を当然早急にとらなければならぬ問題ではないかと、こう思っているわけで、単に酪農の振興ばかりを考え、技術的な方面であるとか、あるいは牛を導入するとか、そういうような面もこれはもちろん必要でありますけれども、しかし、消費の面、適正な価格でもって消費者に流していく、こういうような場合においての一番中心のものは、乳価の安定であろうと、こう考えている次第であります。これを一つ政務次官にちょっとお尋ねしますが、そういうことについての考え方を早急にお考えになる意思があるかどうか。私は、できるならば法制化して、そうして予算もそいつにくっつけ、そうして相当な力をもってやるべきじゃないかと、こう考えているのであります。それは普通の農産物は、例の農産物価格安定法でもって考えられておりますが、これは貯蔵がきくのですから、従って問題でないのですけれども、生乳のようなものは貯蔵がきかないのですから、そこで未然にそいつを防ぐ、そういうような態勢を作らなけりゃならぬ。これが欠けているのです。だからこいつについては、精力的に農林省は計画を立ててそうしてやる必要がある、こう考えるわけです。そいつについてどういうお考えでお進みになるか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/17
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018・本名武
○政府委員(本名武君) ただいま御審議をいただいております酪農基金法では、乳価そのものの安定策としては手ぬるい、直接乳価安定に手をつけるべきではなかったかという御意見のようでございますが、実は、私どもも何とか方法を考えまして、乳価そのものに対する価格の安定策、あるいはまた生産の増強策を講じたいと考えておりまして、お言葉があったから今後考えるのではなくして、今日まで考えていたことでございます。ただ問題は、申し上げるまでもなく牛乳は季節的にも非常に需要の量に変化のあるものであり、またさらに御指摘のように、酪農振興に重点を置く今後の農政の上から見ましても、当然この問題を解決しなければならぬ。こういうような事情に置かれておりますやさきに、いろいろな事憤から、的確に乳価そのものに対する処置をするということが直ちにとり得なかったことは、非常に遺憾に思います。ただそのような牛乳の実情下にありまして考えられることは、まず当面の措置として、できるだけなまの牛乳の消費を増大するということ、そのためには学校給食を初め、今後において集団飲用、その他に消費の面を拡大していきたい。さらにまた、乳製品の需要を喚起すると同時に、引き取った原料の加工による滞貨に対して処置をしようということのために、それぞれこの法律によって処置をいたしていきたい。経過の措置といたしましては、すでに御承知の通り、大カン練乳の砂糖消費税の免税措置の撤廃の問題に端を発しまして、滞貨処分に対する予算措置もいたしたわけであります。このようなことをいたしていると同時に、何と申しましても、問題は日本の国内における消費市場がまだ未開発の点がたくさんある。これを一つ、消費を喚起いたしまして、この市場開拓をいたしていかなければならぬ。価格そのものと、流通消費の面に一つ大きな処置をしなければならないということを考えておりまして、とりあえずこの第一歩の処置といたしまして、今度の基金法によって、この流通の円滑化による処置をまずとる半面におきまして、学校給食等のような問題も処置をいたしていきたい、こういうふうに考えております。従いまして、御指摘のような点につきましても、引き続き十分な検討をいたしまして、一日も早くこの乳価の基本的な安定策を講じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/18
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019・東隆
○東隆君 これは昨日も実は質問をいたしたのですが、原料乳を供出をしておるものは、農業協同組合の組織を作っておる。それから受け入れをするところは、協同組合の系統、あるいは会社、そういうようなものが工場を持って受け入れをしておる。こういうような形になっておって、乳価の問題を中心にして、将来というよりか、もう現にむずかしい問題が起きてきておるわけなんであります。私は、単に価格をその委員会で決定をするとか何とかというそういうことよりも、もうすでに紛争が起きつつあるわけです。労使の争いとは全然違いますけれども、しかしこの間に、農民とそれから会社との間に、これは争いが起きょうとしておる。しかし今のままでは、農民が持っておるのは毎日生産される牛乳でありますから、こいつは置いておくわけにもいきません。そんな形で、何らかの形で、工場でもって製品になるとか、その他の形にならんければ貯蔵がきかない。そういうようなものなんです。そこで、その間に農民が強力に主張し得る点を、やはり相当考えていかんけりゃならぬ。牛乳を必ず製品化さなければならぬ、こういう問題一つ考えてみても、単に、今高いからもう買わないのだ、私の方は消費する面じゃないから買わないのだ、こんなことでもってどんどんやられたら、これは大へんなことになる。従って、紛争を解決するためには、相当な強行規定も必要だろうと思う。そんなようないろいろな問題がたくさんあるわけです。乳価の安定ということを中心にして、国が措置しなければならぬところの問題がたくさんあろうと思う。紛争を解決するという問題、それから仲介の労をとるという問題も、これは当然出てこなきゃならぬ問題だ。で、現に埼玉県や、それから都内なんかにもありますが、それはもう通告を発しておる。原料乳でもって一升につき十円も安い値段でもって通告して、もしその値段を聞かなければ、受け入れをいたしませんと、こういうような通告を発しておる例も出てきております。そういうようなものを考えてみると、もうそんなにゆうちょうに、この乳価問題を中心にしての問題を、そう簡単にぶん投げておくわけにいかぬと思う。だから乳を受け入れなければならない、受け入れたものは必ず製造するとか何とかしてやらんけりゃならぬ、そんなような強行規定も考えなきゃならぬような、そういう事態でないかと思う。私は、そういう点を中心にして——もう少し国がこの農家の安定ということを中心にして、基本的なものを考えんけりゃならぬ、こういうことを言っておるわけです。だから、そいつは全国的な規模のもとにおける乳価安定の委員会なら、それでもようございますし、そいつに紛争だの何だのの解決をさせる。いろいろなことをあわせてやる必要もありましょうし、そういうようなものでもって法制化する、そういう点を考える必要があろう、そういうものを早急に考えてしかるべきじゃないか、こういうことを言っておるわけなんです。その点は、私は、そういうことができないまでも、中に入って、そしてできるだけ円満にやるような指導をしておる、こう言っておるけれども、その指導のもとに、もうすでに出ておるのですから、従ってこの東京近郊、そういうような所はもうすでに始めておるのですから、これが次第に地方の方に普及していくのは、これは火を見るよりも明らかなんです。そういう段階に今到達しておるのですから、そこで農林省は、そういう点についてはっきりした態度をとらなければならない。とっただけでも相当今の混乱を防ぐことができると思うのです。そういう計画を一日も早く立てるべきじゃないか、こういう主張なんであります。だからそれに対して十分に考えて、そうして措置をするように努力をしておると、こうお答えになればいいのだけれども、そのほかのいろいろな対策ばかりお考えになっておりますが、そうじゃなくて、またそういうものを組織をして、そうしてその組織で現実に起きておる問題を処理しなければならないようなそういう事態に到達しておる、こう言っておるのですから、その点を考えて、そうしてそういうものを作らなければならない、こういうふうにお答えになる方がいいのじゃないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/19
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020・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 御質問の要旨は、委員会あるいは政府で乳価を決定して、そうしてそれを生産者及び受け入れる乳業者に指示をする、あるいはそれで受け取らせる、こういうことを法制化する意思があるかどうかという、こういう御質問のようにお聞きしました。そういうところまでまだ踏み切る決心はいたしておりません。これは売り買いの問題でございまして、また非常に製品といたしまして、商品といたしまして腐敗しやすい杉のものであります。従いまして、それを強行的にやるという場合を考えてみますというと、それまでにいろいろとそれを受け入れるだけの前提になりますもの、これを検討し、また実施していかなければならぬと思います。結論だけをすぐに出すというわけには参らない、かように考えております。また非常に現在の酪農家の混乱があるようなお話がございましたが、私たちの見るところでは、それほどの混乱はないと思っております。もちろん最近この乳価の値下げにからみまして、あっせん委員会、その他に対しまして紛争処理の申請をしておる県が一、二県ございます。それは従来の仕組みなり、制度の中でそれぞれあっせん、その他の行為が行われるものと期待いたしております。また最近におきまして乳価を十円も引き下げをするというような事態が起っておるということでございまするが、そういうものがありましても、それが全体に対しまして悪影響を及ぼす、全体に対して波及する、こういう事態ではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/20
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021・東隆
○東隆君 畜産局長は非常に安心をされたような状態でございますけれども、農民側にとってみると、そう安心はできぬと思います。たとえば六十石処理する工場で二十石しか売れ行き先がない、四十石は何とも処理のしようがないから、そこで値段をこれだけ下げるのだ、こういう一片の通牒を出してそうしてやりますと、これは農民の方じゃ手をあげてしまう、そういう一つ事例なんですけれども、そういう事例が一つでとどまっておるときには影響はそんなに大きくないのですけれども、これがびまんしていったら大へんなことになる。こういう問題が起きておるのですから、そこで未然に防ぐためにはどういうことをしなければならぬかというと、私は、やはり原料乳を供給する面において紛争中だとか、
〔委員長退席、理事堀末治君着席〕
あるいは経過的に工場でもって受け入れなければならぬ、こういうような規定だとか何だとか、そういう強行規定くらいはこしらえておく、そうして乳価の安定というものに対して、乳価の決定の原則というものをすみやかに確立する必要があろう。そういうふうにしてやると同時に、やはり相当な酪農関係の仕事に調査だとか、そういうような問題を進めていかなければならぬ。たとえば、一応私は、予算だの何だのをもって、相当大きな酪農振興対策を中心にしてそういうものを考えなければならぬのではないか、こう言っておるのであって、安心をされて、そうしてこのままでもってお進みになったら、だいぶ影響してくる所がたくさんあると思いますが、北海道なんか昭和の初めに猛烈な危機の問題が起きて参りまして、そういう事例を持っております。そこで非常にそれをおそれておるのです。牛乳ふろをわかしたり、生乳を腐らしたり、せっかく生産したものをそういう状態に置くのは、はなはだ残念です。それはみな農民にしわ寄せになりますから、それを未然に防ぐために、もっと牛乳のようなものについては、農産物価格支持法のようなものまではいかなくても、別の構想のもとにあれに相当するようなものを法制化する必要があろう、あわせて紛争の解決というような問題を含める必要がある、こういういうことを言っておるのであって、それを今すみやかに立てる時期ではないか、こう言っておるわけです。私はペシミストじゃないけれども、乳価の安定というものについては非常に心配をしております。それで、非常に安心した状態があると思わない。それでそういうふうな考え方がないかと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/21
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022・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 御指摘のように、生産も消費も非常に躍進的にふえておる、これが将来どういうふうに伸びるかということは、確かに問題がありましょうが、ここ当分は、私どもの見るところでは、順調に伸びている。ただ、やはり一時的に不均衡の問題が生ずることは、これは予想して対策を考えなければならぬ、かように思っております。従いまして消費、流通の面におきましては、この基金制度の活用をいたしまして、これに対する補強工作をする、あるいは学校給食というような形におきまして生乳を、あるいは乳製品の形においてこれを一般市場から隔絶した所にさばいていく、こういうようなやり方をやっていったらいかがかと思っております。もちろんこのほかの消費増大の方策は、これは民間がみずからやるべきものと、政府がやるべきものとがあると思いますけれども、消費増大の方策を、これはぜひやらなければならぬと思っております。
さらに農民の立場につきましても、乳製品のもっと積極的な使用ということがあってしかるべきものだろうと考えております。さらに生産費の低減というような問題につきましても、現在のようにこういう市場に深く依存しておる形においては、これははなはだ不健全な経営形態であると考えざるを得ませんので、自給飼料あるいは牧草によります経営形態をもっと突き進めていく必要があると考えます。あるいは流通経済におきましても、使用密度のもう少し向上をはかりまして、あるいは工場における経費の合理化をはかるというような形におきまして、いろいろの策を立て、そうしてこの需要の増大ということを極力はかっていく、かように考えております。こういうような方策をとりますれば、当分、私たちの考えておりますところによれば、それほどの危険な状態があると、かようには考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/22
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023・東隆
○東隆君 一点にしぼりますが、私は、今いろいろ局長が言われたことは、悪いという意味じゃないのです。ただ、その紛争の解決という一点にしぼりますが、裁判所にまかせて紛争を解決をするつもりか、それともそういうものによらないで、そして何かの機関によって解決するつもりか、こういうことなんです。そうすると、やはり牛乳を生産する、生鮮食料品としての牛乳を生産する農家の団体と、それから工場との間におけるところの紛争、これを解決するのに、裁判所に持っていくわけにいかない。だから、そういうものも含めて、何か考える必要があろうと、こう言っておるわけであります。だから、この点について一つ政務次官お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/23
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024・本名武
○政府委員(本名武君) 局長からいろいろ今御指摘のいわゆる終局的に紛争解決をする方法について、私どもが考えていることをそのまま申し上げたわけでありますが、そうでなくて、端的に一つその紛争解決に対する手段を強行しろという御意見のように承わるのでありますが、私どもは法律その他の規定によりまして、いわゆる強行規定を設けて紛争を解決するということの前に、やる仕事があろうと思います。それからまた、紛争が必ず尽きるのであるということを前提にした乳価対策というものも、これは政府としてはとるべきではなくて、紛争は予想されたにいたしましても、その紛争を未然に防ぐ方法をとるべきである。その未然に防ぐ方法は、先ほどから申し上げておりましたようなことを一つ一つやっていくと、それが時間的に非常におそいから、ここで一つ法律でも作って、強行規定でも設けて未然に防ぐ、あるいは当面の紛争を解決すべきじゃないかと、一応お話としてはごもっとものようでにありますが、それらを、いわゆる法律その他の規定によらずして解決し、あるいは未然に防止したいというために、その一つの手段として、学校給食をやり、あるいはまた今回の基金法にたよって生産と加工の間におけるいろいろな紛争を未然に防ぐための金融的な面からの処置を講じて、こういった紛争が起らないようにやったわけでありまして、強行規定によってこれを解決していこういう考えは、今のところ持っておりません。ただ御指摘の通り、私ども、
〔理事堀末治君退席、委員長着席〕
これだけで乳価対策が事足れりとは決して考えておりませんので、今後におきましても御指摘のような、いわゆる乳価に対する直接の対策というものも慎重に検討し、すみやかにこれが実施に移せるような時期を期持して検討しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/24
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025・東隆
○東隆君 乳価戦争という言葉はないけれども、乳価戦というような意味でもってもうすでに新聞だの何だのにどんどん出ておるのですから、従ってこれはそうゆっくりお考えになる筋合いのものではない。未然に防がなければならぬし、これに対して、何回申し上げても私の思うところに落ちて参りませんから、この程度でやめますが……。
次は、例の設備資金の問題なんです。それで、この基金によって中小メーカーまでのものが相当潤沢にいくようです。ところが、酪振法で指定された集酪地帯の基幹工場、そういうようなものに相当出ておるわけです。大きな五大メーカーといいますか、乳業者がですね、出ておりますから、それらの面における金融というものを別途に考えんければならぬ。特に農民に非常に関係のある資本で構成をされておる会社、そういうようなものには、私は、やはり道を開くべきじゃないか、金融公庫からの資金が出るような道を開くべきではないか、こういう考え方を持っておるのです。それで、北海道ではクロバー印が、これが協同組合の出資によってできておる会社と、こういうことで出ておりますので、私は、会社の歴史的なものをながめていくときに、やはり実質的に農民資本によってでき上っておるというような工場に対しては、実は農林漁業金融公庫等から出資をしてしかるべきじゃないか、こう考えておるわけです。もう一つそいつを強言すれば、農林中金が余裕金としてすでに貸し付けておる実績のあるようなところには、私は、金融公庫を開放してもいいのじゃないか、こういう考え方を持っておるわけです。この点について、もうだいぶおそくなっておりますから、端的にお答えをいただければ、私の質問をこれで終ろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/25
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026・本名武
○政府委員(本名武君) 簡単にということでございますが、簡単に申し上げれば、検討いたしまして、ぜひその道をとるようにいたしたいと思っております。実は、今日までにおきましても、公庫あるいは中金から相当の設備資金が出ている会社、組合もあるわけでありまして、今後これが設備の拡充のためには金融の面、特に公庫資金の活用の面に対しても十分検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/26
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027・北村暢
○北村暢君 一点だけ。ここの目的と業務と、それから罰則の関係についてお伺いしたいのですが、この罰則は相当厳重にわいろその他の問題について規定をしておるのでありますが、昨日来の梶原委員の質問に対する局長の答弁を聞いて参りますと、これは正常なものに融資の保証をするのでなくして、まあ過剰になったストックに対しての融資の保証をするのだと、こういうことを言っておるのでありますが、目的を見ましても業務のところを見ましても、その過剰になった分に対しての融資をするのだということが、どこにも出ていないようです。そうしてまた、その過剰になったものであるかどうかという判定をする基準というものが、どこにも出ていないのじゃないか、そうするならば、こういう厳重な罰則を規定していながら、私は、どこを基準にこの罰則を適用するのか、非常に不明確でないかというふうに思われるので、この法律以外に政令その他でもってその基準を示すのかどうなのか、法律でこの条項を適用してその判定をするのかどうなのかという点がはっきりしているのかどうか、その点を一つだけお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/27
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028・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 二十九条業務のところは、衆議院の修正におきましてこういうふうな表現になっております。二十九条一号イのところは「生乳の購入又は処理若しくは加工に要する資金口のところは「イに掲げる資金のほか、乳製品の保管その他乳業の経営に必要な資金」というような表現になっておるわけであります。この業務の内容がかなり広い表現になっております。これは債務保証をいたしまする基金の権限といいますか、この機能の範囲をいっておるわけでありますから、これは広い。あとは、これを運営いたしまするものが、基金の目的に沿いまして運営していくということになって参るわけであります。それで、数年に一度というような過剰が生じましたことに対してのみこれをやろうとは考えていないわけであります。そういう場合、これが一番よく機能を発揮するであろう、そういうことを期待しておるわけであります。その趣旨に応じて、この基金が運営されることを、この法律自体期待をいたしておる。あとは業務方法書その他におきまするものによりまして、そういう趣旨を考える、こういうこことに相なろうかと思います。
なお、罰則がきびし過ぎやしないかということでございますが、この罰則の規制はいろいろございまして、政府の出資しておりますものに対しましての罰則は刑法そのものをむしろ直接適用しておるというような、非常に強い形のものもありますれば、あるいは経済関係罰則の整備に関する法律というのがございますが、これを適用しておるものもございます。で、むしろこの法律の例は、割合、三種の態様をとっております中では、軽い形になっておりまして、そのほかの政府出資団体におきまするものと大体似た例がここに出ておるわけでございます。特に本法だけが罰則がきびしいという筋のものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/28
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029・北村暢
○北村暢君 今御説明がありましたけれども、どうもはっきりしないのは、この目的に沿うてと、五年に一ぺんくらいに起る過剰はもちろんだが、目的に沿うてと、こう言っておるのだが、目的を見ますと、どこにも過剰になったということは書いておらないですね。過剰になったものに対するのでなくして、生乳取引関係の改善であるとか、それから生乳及び乳製品等の価格の安定、こういうようにばく然たる目的になっておって、必ずしも過剰になったものについてだけの、債務に対しての保証だけをするのだと、こういうふうには解釈できないのじゃないか、こういうふうに思いますが、この目的通りの解釈で、従来説明されました過剰になったものに対してだけの融資に対して保証するのだと、こういうことではなくして、もっとこの目的に、そのまま解釈できるものにこの融資がなされて、融資を受けたものに対しての保証というふうに解して差しつかえないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/29
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030・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) これは数年に一度というような不均衡を生じました場合にのみに、これを債務保証をするということの趣旨ではございません。そのようなことは申していなかったと思います。ただ、そういう場合には一番この基金が活躍をする、機能を発揮することが期待されているのだということを申し上げたのでありまして、平常の場合、これはもちろん冬と夏場によって不均衡が生ずるわけでありますが、そういう場合でありますとか、あるいはその他の経営資金あるいは設備資金の一部というようなものが、これの債務保証の対象になっているわけであります。ただ第一条の目的にうたっておりまするように、単にこれは乳業者あるいは生乳の生産者の経営の維持及び安定に要する資金という、その債務を保証するだけと、こういう表現ではございませんで、乳業者と生乳生産者との間の取引関係の改善であるとか、あるいは価格の安定、並びに乳製品の需給の調整というものに資するため、そうして経営の安定維持に必要なものと、こういうことになっておりますので、その頭にかぶせられていることから判定いたしまして、乳価の急落になるような現象を、これをある一定のささえをするのだ、あるいは設備の合理化をやるのだという趣旨になって参ると、私たちは解釈いたしております。従いまして、そういう運営がこの基金の運営として当然行われるのである、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/30
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031・北村暢
○北村暢君 そういうふうな解釈をされているようですけれども、その点については、私は非常に明確じゃないのじゃないか。業務方法書のところを見ましても、そういう点についての判断の仕方に対しての詳しいことを規定するようなことにもなっていないようでありますが、その点をやはり明確にしておかないというと、今後の業務を遂行する上において、その判断の仕方によって、不当な保証をしたかどうかということの明確性というものが失われるのじゃないか。そうすると、基準がないところに罰則がある、こういう強い罰則があるのですから、そういう基準というものがやはり明確になっていないというと、非常に紛争の起る種になるのじゃないか、こういうふうに考えられまするので、この点については、やはり業務方法書なり、あるいは業務の規定なりの中で、やはり相当明確にしておく必要つがあるのじゃないか、こういうふうに思いまするので、これは要望をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/31
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032・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 今御指摘になりましたような点は、業務方法書あるいはその他の方法で、これを運用いたします場合に、当初運営をいたします方針として何かの形にしてきめていく必要があろうかと思っております。ただ罰則のところは、ここにありますように、四十六条でうたっておりますのは、いわゆる不正な行為をやりました場合、わいろを収受したり、またこれを要求し云々というように、ただいま御指摘のところと少し罰則の場合とは違っているのではないか。これはむしろ罰則の場合は、非常に不正なことをやったというような表現になっておりますので、ただいまのところの問題とは、少し違うのではないかと思います。ただ、前半御指摘になっておりまする点、運用方針と申しますか、こういうところは、何かの形で出発当初それぞれの関係者の間で明確にしておく必要があろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/32
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033・大河原一次
○大河原一次君 簡単に御質問申し上げますが、前にあるいは御質問になられておったかどうかわかりませんが、非常に、要点につきましては各委員から質問されているかと思いますので、その点は省略いたしますが、ただ一点きり申し上げたいのは、この資料を見ますると、乳製品の輸入量ですね、この輸入墨がたとえば加糖練乳において、あるいはまた無糖練乳、脱脂、ことにバター等においては年々相当ふえているようであります。そこへいきまして、乳牛の生乳換算にいたしますると、ストックが七十一万石になっておるという、こういう現状でありまするが、私はこのように考えられるのです、このように年々ふえていく輸入製品によって、乳製品の日本のストックに対して、さらに圧迫が過重なものになっておるのではなかろうか。こういうことであるならば、今まで東委員からも再々乳価の安定という問題が取り上げられて、今回出された法律案によって、どれだけ一体酪農農民の上にプラス面があるか。特に乳価の安定ということに対しては、もちろん直接的な配慮にはなっていなくても、間接的なプラスの面はあろうというふうに考えておりますが、しかし一面、乳価の安定を考え、将来の需要を増強せしめるという場合に、このように年々歳々ふえているような輸入製品によってさらに圧迫が過重されていく、このことによって、むしろ乳価の安定というものが保っていけないのではなかろうか、こういうふうに考えられるのですが、この面に対する御見解を一つ賜わりたいと思います。相当ふえております、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/33
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034・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) ちょっと聞き取れなかったのですが、輸入製品でございますか、乳製品でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/34
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035・大河原一次
○大河原一次君 輸入製品です。乳製品の輸入量であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/35
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036・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 輸入量はふえていないと思っておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/36
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037・大河原一次
○大河原一次君 この資料を見ますと、バターなんかは相当ふえていますね。乳製品の輸入量ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/37
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038・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) ちょっとお手元の資料がどういう資料でございますか、ちょっと私はっきりいたしませんが、現在乳製品の輸入は、脱脂粉乳につきましては、これはかなりの量が入っております。これは、贈与あるいは非常に安い価格で学校給食に向けております。あとの乳製品に関しましては、これは現益割当制度にいたしておりまして、ほとんど入っていない状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/38
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039・大河原一次
○大河原一次君 いいです、わかりました。その一点だけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/39
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040・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 ちょっと簡単に希望と質問をしておきたいのでありますが、保証の限度額の問題が非常に重要だと思うのであります。それで、これは必ず業務規程に書くことにもちろんなっておりますけれども、相当明確にしてもらいたいということと、先般来の御答弁によりますると、総額としては全体の出資額の五倍、六億の場合において三十億、それから個々の業者に対する場合は、その業者の出資額の十倍、これは一応いいと思うのであります。ただ十倍を超して保証する場合の基準ですね、これも必ずはっきりしておくことが、この基金の将来のために私は必要であろうと思う。それから今後そのやり方いかんによっては、私、民間出資は出ないと思います。言いかえますと、自分たちは一億出資をして、そうして十倍、十億の保証を受ける。しかし政府分がプラス・アルファで保証されるのであれば、何もそれ以上出資する必要はない。実際上そういうことに必ずなるであろうと思う。従ってその点は、相当初めからはっきりしてかかることが必要であろうと思う。
それから先ほどの北村委員の質問に関連するのですけれども、需給の変動の場合に、これが相当役割を果すということを言っておられるわけです。そもそもこの立法の趣旨もそこにあったのであろうと思うのであります。ところが、一定の出資で押えられるのですから、そういう場合に弾力性というものは全然ない。かりにこれが民間出資五億、政府出資五億とすれば十億となり、限度五十億になったときに、これは法案の目的なり事業の内容から見れば、大体カレントに使われる可能性がある。いざというときは、その必要に応ずる動き力が、この法律ではできない。どこからきておるかというと、出資制度のあの立て方によるんだ、確かに弾力性がない。将来出資の結果を待ってでけっこうですけれども、あの出資の立て方を再検討されるあらかじめお考えが必要であろうとそう思います。これは希望であります。
それから質問でありますけれども、民間出資の初年度の一億ですね、これは局長の解釈は、払い込み済みのものではないということを言われた。私はそれは疑問があります。その解釈は無理であろうという解釈を私は持ちますけれども、それはそれでけっこうだと思う。まあけっこうといいますか、それでいいといたしまして、疑問は、第一年度に全額分割しても払い込むのか、数年度にわたってもいいのか、その点はどうかということと、これも現実の大事な問題と思います。
それから限度を計算する場合において、局長解釈の出資額が限度になるのか、払い込み済み額が限度になるのか、これも大事な問題であると思います。私は、やはり払い込み済み額を押えるべきじゃないかという考え方を持っておるわけです。
それから出資額は登記の対象になると思います。その登記の対象は、局長解釈の出資額なりや払い込み済み額なりや、これは現実の問題と思いますけれども、ちょっと疑問があります。言いかえれば、これはやはり債権者の立場に立てば、相当重要な事柄だと思います。そういう意味合いで、その点だけちょっとお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/40
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041・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 前半御指摘になりました問題は、私たちもそういうことにつきましても議論をいたして参りました。そういう心配はないようにしなければならぬと思っております。付則第七条の解釈に関しましては、昨日私が申し上げました通りの解釈を、実は衆議院で法制局の長官から解釈をいたして、大蔵省当局もそれを衆議院の委員会で是認をいたしております。ただ御指摘のように、払い込み済みの資本と、それから引き受けはしたけれどもまだ未払い込みのもの、これのいわゆる債務保証をいたしまする限度、これはやはり払い込み済みのものに対しましての十倍、こういうのが当然かと思います。しかし未払い込みのものを、これを全然見ないということになりますと、やはりこれは何らかの形において見るべき必要があると、かように考えております。ただ払い込み済みのものと、未払い込みの引き受けした分の間には、当然差異があってしかるべきである、かように実は考えております。
それから登記の問題につきましては、ちょっと私はっきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/41
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042・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 もし払い込み済みの場合と、それから払い込まなくても——申し込んだだけですね、この間に若干の差があるけれども、保証額の対象に、未払い込みの分を保証額の限度の計算に、勘定に入れるということであれば、払い込み済みをする必要はないんですね、実際言いますと。払い込みをする必要はないということと、それから限度を設けた趣旨からいっても意味がない。それから金融機関からいいましても比較的、何といいますか、現実の問題としては一つの不安定がくるわけです。従ってこれはそういう解釈を堅持されるのであれば、それまでですけれども、やはり払い込み済みということに帰って対象にしていくという考え方が私は堅実であろう、こう思いますから、なお一つ御検討を将来お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/42
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043・藤野繁雄
○藤野繁雄君 ごく簡単に評議員会の運営についてお尋ねいたしたいと思っておるのであります。「評議員は、政令で定めるところにより、」ということになっていて、その評議員の数は「十五人」ということになっておるのでありますが、十五人の内容、及び政令の内容、これをまず最初にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/43
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044・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) この内容は、ここにありまするように、「出資者」と、それから「学識経験を有する者」でありまするから、出資者以外のものにおきましての酪農業、あるいは消費流通の問題に経験を有しておられた方、従いまして生産者代表のような、代表というと語弊がありますが、そこらの方面からも発言のできるあるいは消費流通の関係において発言ができる、そういう方を予定をいたしておるわけであります。
政令の事項でございまするが、これは人選をいたしまする大体の区分、先ほど御指摘になっております区分のようなものをここに掲げる必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/44
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045・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから二十七条、「評議員会は、理事長の諮問に応じ、基金の業務の運営に関する重要事項を審議する。」、こういうふうなことが書いてあるのでありますが、この重要事項というのは、第五条の「財務及び会計」に関係がある。「毎事業年度、収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画」、こういうふうなものを諮問されるのであるかどうか。
それから、その次には、第三十五条で、「基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書」、こういうふうなものを作らなくちゃいけない。そうしてこの財務諸表には「決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。」、こういうふうなことになっているのでありますが、予算、事業計画、資金計画及び決算というようなものを出資者に通知される場合、または農林大臣に出される場合においては、前もって評議員会の同意を得られるのであるかどうか、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/45
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046・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) その前段の御質問の点は、評議員会にかけてやっていきたいと、かように考えております。
後ほどの監事の意見その他の問題につきましては、今、これをぜひ当委員会にかけなければならないというふうには考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/46
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047・藤野繁雄
○藤野繁雄君 しかし予算、事業計画、資金計画というものを評議員会にかけて、その結果である決算の問題というようなものを、監事の意見を徴しただけで評議員会の同意を得ないということは……。そんならば、決算というものは重要事項でないのでありますか。この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/47
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048・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) その点につきましては、まだ私たちの方の意見も固めておりません。先ほどの監事の意見につきましては、それを評議員会にかける必要はないと申し上げたわけでございますが、決算報告その他の問題につきましては検討いたしまして——重要点であることは御指摘の通りであります。評議員会にかけることは必要であるかもしれないが、現在のところ、結論に達しておりません。監事の意見はというこを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/48
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049・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それは監事の意見をつけたものを評議員会に出されるのか、こう質問したのです。監事の意見は、農林大臣に出す場合においては、必ずつけなくちゃいけない。監事の意見をつける前に評議員会にかけられるのであるか、監事の意見がついたのを評議員会にかけられるのであるか、どちらが先か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/49
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050・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) 他の評議員会制度にのっとっておりますので、その定義にならいたいと思いますが、評議員の意見を聞いて監事が意見を出すという格好に、必ずしも抱泥しなくてもいいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/50
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051・藤野繁雄
○藤野繁雄君 次には、第三十三条の第二項によって見まするというと、毎年度の「収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画」というものができたらば、これを農林大臣に出すと、こういうふうなことになっている。しかし第二項ではそれを「出資者に通知しなければならない」と、こう書いてある。ただ出資者が通知を受け取ったらば、その受け取ったところの通知に対して、何とか自分の意見を述べる機会があるかどうか。もし述べる機会がないとしたならば、出資者はただこういうふうなものを受け取って出資しているだけであって、自分の意見を述べる機会がないのです。これは総会もなければ、何にもないのだから、出資しておりながら、自分の意見を述べる機会がないということでは、片手落ちじゃ、ないか、こういうふうな点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/51
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052・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) これは出資者が意見を述べることを否定いたしておりません。過当に意見を述べていただいてけっこうでございますが、評議員会、あるいは理事の任命をいたします場合には、出資者の中から相当数の力を予定いたしております。もちろんこれでは間接的なものになろうかと思いますが、そういう形においては、正式に意見が当然表明されるものだと考えておりますが、ただ第三十三条の二項におきましての問題の裏側といたしましては、出資者が意見を表明されることを否定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/52
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053・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから第三十三条、三十五条を読んで見まするというと、三十三条第二項では「出資者に通知」と書いてある。三十五条の第一項には「出資者に送付する」と書いてある。第二項においても「出資者に送付」と書いてある。そうするというと、第三十三条、第三十五条の「通知」と、「送付する」とはどれだけの違いがあるか。その相違の点をお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/53
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054・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) これは前例によりましたあれでありますが、送付ということは、一応郵送その他のことを考えていると思うのであります。通知というのは、これはそういう方法に必ずしもよらないものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/54
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055・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうするというと、送付を受けたところのものには、意見を述べていいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/55
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056・谷垣專一
○政府委員(谷垣專一君) それは、先ほどの送付と通知の問題でありますが、みな一応表になっているものでございますが、厳密に申しますると、三十五条の方は書類ということをはっきり表現いたしております。そういう形から送付という表現をとったと、こう考えている次第であります。それから三十三条の二項の方は、ももろんこれらのものが数字になりまして、表になっているということが前提でございまするが、表現といたしましては、表という表現をいたしておりませんので、通知という広い表現になっております。かように御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/56
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057・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/57
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058・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をつけて。
他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/58
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059・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/59
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060・東隆
○東隆君 私は、本法案に対して賛成をいたします。この際、希望を述べたいと思います。それは、この法律は大カン練乳の砂糖の消費税の免税から端を発して、乳価の安定ということに対する一つの施策であろうと、こう考えるのであります。従って、これは乳価安定に対する対策の一環でありますが、すでに事態は乳価戦を引き起すような状態になっておるのでありまして、私は、これを未然に防ぐために何らかの措置を講じなければならぬのではないか、こう思うのであります。しかもこの点については非常に欠けておる、こう考えますので、政府は、今後乳価戦を引き起すような、こういう事態に対して、紛争を解決するような面についても十分の措置を講ずべきである、こういうふうに考えるわけであります。この点を希望として、私は本案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/60
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061・堀末治
○堀末治君 私は自民党を代表いたしまして、ただいま議案となっておりまする酪農振興基金法案に対して賛成をいたすものでございます。最近、酪農業が急速に発達いたしまして、食生活の上、続いては国民の体質の向上の上に非常に貢献をなしたことは、まことに喜ばしいことでございますが、しかし、急速に発達した企業でありますだけ、まだその基盤が非常に脆弱であります。従いまして、先般来当委員会においてもいろいろ指摘されました通り、いろんなその間に大小企業にトラブルを起しているということは、質疑の間に明らかにされた通りであります。従いまして、政府は、これらの問題にも関連いたしまして、従来の酪農対策を再検討し、酪農経営の合理化、乳価の安定、生産者による生乳の共販体制の確立等、生乳取引の改善、生乳及び乳製品の需要増進並びに乳業の近代化等、酪農振興に関し根本的対策を確立し、これが実施のため必要な法制の整備に努め、かつ財政的及び金融的措置にも遺憾ないように努めることを特に希望いたしまして、私の討論といたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/61
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062・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 私は、緑風会を代表いたしまして、今、上程されておりまする酪農振興基金法案に賛成をするものであります。ただこの際、簡単に希望を申し述べておきたいと思うのでありますが、酪農振興もまた乳価の安定の問題も、その基礎として需要の増進ということがきわめて肝要であろうと思います。こういう意味合いで、本基金の運営の上に消費者の意向を反映するような適当な方法をお考えいただきたいということを希望として申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/62
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063・千田正
○千田正君 ただいま審議されました酪農振興基金法案に賛成いたしますが、先般の質疑の中で私がただしました点、特にこの出資者がとかく従来の関係から見まして、生乳の争奪戦その他において、相当自由競争が激しい今日、また将来それが予想されます場合に、出資者になる乳業者、あるいは中小企業等協同組合の乳業者もしくは生産者に対してコントロール等の独占的な力の及ぶことのないように、基金本来の目的を達成するように、特段の御注意を促したい。そしてこの法案の効果の万全を期されることを特に要望いたしまして、本法案に賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/63
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064・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 他に御発言もないようですから、討論は、終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/64
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065・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。酪農振興基金法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/65
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066・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他、自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/66
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067・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
なお、本法案を可とされた方は、順次御署名を願います。
多数意見者署名
植竹 春彦 堀 末治
田中 啓一 秋山俊一郎
堀本 宜実 千田 正
前田佳都男 仲原 善一
梶原 茂嘉 大河原一次
北條 雋八 藤野 繁雄
東 隆 河合 義一
北村 鴨発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/67
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068・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ここでしばらく休憩して、午後一時半から再開いたします。
午後零時三十七分休憩
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午後二時八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/68
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069・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 委員会を開会いたします。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)を議題にいたします。本法律案につきましては、去る三月四日に提案理由の説明を聞いたのでありまして、本日は、まず本法律案の内容その他参考事項について補足説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/69
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070・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ただいま議題となりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案につきまして、補足説明を申し上げたいと思います。
提案理由の説明で申し上げました通り、法律の改正は三点に尽きるのであります。一点は、出資金の増加、一点は副総裁の設置、もう一つは農産物価格安定法に基く農産物等の買い入れ措置によりまして、畑作改善のために価格支持を行なっておるものの新規用途向けの需要に対して、国家から融資をする道を開く、この三点になっておるのであります。
まず第一点の出資の増加の点でありますが、これは御配付いたしました資料の一ページをごらん願いたいと思います。すなわちその一ページの、出資金及び借入金年度別一覧表というのがございますが、その一の方であります、薄い方の資料であります。その一番右の欄で三十三年度予算、すなわち出資金は、産業投資特別会計から八十億を出資する。そのほかに、資金運用部から三十五億それから簡易生命保険及び郵便年金特別会計から八十億、合計百十五億の借入金をいたす、そういうことでありまして、実際の本年度の貸付計画は、三枚目の表を見ていただきますが、そのほかに回収金等百六十億を見まして、合計三百五十五億円の資金によりまして、三百七十五億の貸付をするということになっております。三枚目の明細を御説明申し上げる前に、一表に返っていただきまして、出資金の増加は、一般会計及び産業投資特別会計で、二十八年度二百十一億を最高といたしまして、二十九年度は九十五億、三十年度は三十一億、三十一年度は十億、三十二年度は七十億ということになっておったのでありますが、三十三年度は前年度より十億をプラスいたしておるのであります。そうして現在までの出資及び借入金の累計を申し上げますと、一番右の欄の一番下の欄、千四百五十一億三千九百万円が今まで公庫に出資金として出され、あるいは借入金として借り入れられておる、こういうふうになっております。その下に六十五億とございますが、これは例の経済基盤強化に関する法律、それによりまして先般来当委員会で御審議いただいておりました非補助小団地等土地改良事業助成基金であります。
そういたしまして、現在どういう残高になっておるかというのをその次のページでごらん願います。農林漁業金融公庫年度別貸付決定実績及び三十一年度末貸付残高一覧表、二枚目の表であります。それの一番右の欄の一番下を見ていただきますと、貸付件数は十一万四千五百八十二件であります。貸付残高は三十一年度末すなわち三十二年の三日二十一日末で一千八十一億八千八百万円、こういうふうになっております。その内訳を申し上げますと、土地改良で残高は四百四十三億六千万円、林業で百六十五億六千三百万円、漁業が九十三億八千七百万円、塩業で六十六億七百万円、共同利用施設で二百九億六千八百万円、農山漁村建設総合事業で四億一千五百万円、自作農維持創設で六十億九千四百万円、開拓で三億六千五百万円、その他で三十四億二千九百万円、合計一千八十一億八千八百万円、こういうふうになっております。その次の表を見ていただきまして、前年度、昭和三十三年度農林漁業金融公庫貸付予定計画表という中で、三十二年度貸付予定額、前年度貸付予定額というのがありますが、ただいまの千八十一億の上に前年度貸付予定額三百五十億が加算され、その上に三十三年度貸付予定額三百七十五億が加算される、こういうふうになっております。三十三年度の貸付予定額は、先般の予算の説明のときにも申し上げましたが、概略申し上げますと、土地改良が千二百一億九千万円、前年度に比べまして二億二千七百万円の増加。林業が三十四億八千百万円、前年度に比べまして千五百万円の増加。漁業が三十八億三千四百万円、前年度に比べまして四億八千六百万円の増加。塩業が十四億円、前年度に比べまして三億減。共同利用施設が二十五億九千五百万円、前年度に比べまして五億二千八百万の減。小団地が二億一千万円、前年度に比べて五千五百万円減。農山漁村建設総合事業が二十七億五千万円、前年度より一億一千五百万円増。主務大臣指定施設が五億円、前年度より一億円減。主務大臣指定災害復旧が二億四千万円、前年度より六千万円減。自作農維持創設が七十五億、前年度より二十五億増。奄美群島復興は前年度通り。開拓は十二億で二億の増。新たに寒冷地農業振興として七億を加えております。予備費は八億でありまして、前年度に比べて約半分にいたしております。そういうふうになっております。この中の産業投資特別会計からの八十億を合計いたしまして資本金を増額する、こういうのが第一の改正点であります。
次に、第二点の公庫の副総裁を置く、こういう点であります。これは先ほどの表でごらん願いますように件数も十一万件になり、貸付残高も一千億をはるかにこえる。こういうふうになったような関係でありまして、事業分量がふえてきましたから、今までは貸付の拡大ということはありましたけれども、今度は債権の管理あるいは償還の確保というような点も事業がどんどんふえてきております。さらに公庫の仕事の件数が多くなるに従って事務も簡素化する、こういうふうな関係で、一定の金額以下はわざわざ委託機関を通じて本所すなわち東京まで上げないで、地方に支店を設置して、そこで一定金額以下のものは処理できるというふうなことをいたしたい、こういうので、これは法律の条項にはすでにあるのでありますが、それの実施として全国に札幌、仙台、東京、福岡に支店を設置いたしたい、こういうふうなことが行われます。さらに、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案に基きまして、六十五億は非補助小団地に対する土地改良事業助成基金として管理を委託されておりますので、そういう点から副総裁一人を置くことといたしておるのであります。これが第二の改正点であります。
第三点は、農産物の販売をさらに有利にいたしますために、加工等について公庫の貸付のワクを広げたい。こういう一つの方向の裏づけといたしまして、農産物価格安定法によりまして価格の支持をいたしておりまする農産物の新規用途を開拓するために、製造または加工に必要な金をこの公庫から貸していこう。すなわちそういう種類の金は農林漁業団体がやる場合は、すでに公庫のいわゆる共同利用施設のワクの中で貸し付けております。現在農産物の加工がだんだん進んで参りまして、協同組合だけでは十分でない。普通の民間会社でもこれをやらした方がいい。しかし開発銀行なり、そのほかの銀行では、電源開発とかあるいは鉄鋼とかそういう大きい金には非常に関心を持っておりますが、農産物の加工のごときめんどうで採算もなかなかむずかしい小規模のものについては、それらの金融機関からの貸し出しが必ずしも十分ではありません。これは農産物の価格安定、農産物の流通改善から見て、開発銀行に持っていっても、一年も二年も査定にかかって、実際に役立たない。そういうものもありますので、そういうものをこの公庫から貸し出していく、こういうふうにいたしたのであります。さしあたりこの条項によって考えておりますのは、結晶ブドウ糖の事業の発展を期する。次に問題になっておりますのは、やはり澱粉の処理から出てくるグルタミン酸ソーダ等そういうものも問題になっております。さしあたりは、結晶ブドウ糖の事業を進捗いたしたい、こういうのであります。大体、五カ年計画で結晶ブドウ糖を三万トン程度まで作りたい。将来は、さらにさらに増加したい。こういうつもりでありますが、ただいまわれわれのもとに出てきております結晶ブドウ糖をやりたいという会社が数社ございますが、それらを考えますと、小規模試験では成功いたしておりますが、大規模の工場——大規模と申しましても日産二十トン程度の工場であります——には、相当まだ苦心を要するというところもございますので、さしあたり三万トン、それに要する資金が約五億内外ということを目標としております。
以上が、改正案の内容に対する補足説明であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/70
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071・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 続いて質疑に入ります。御質疑の向きは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/71
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072・東隆
○東隆君 そこで私は事務所の問題ですが、主たる事務所を東京に置く。従たる事務所は置くことを得と法律では規定されております。今回は三カ所に支所を置かれるようなことになっておりますが、この法律が通過をしたときに、なぜ支所を置かないか、こういうことに対する理由が当時あったわけであります、それは、単に事業分量が少いから置かないという理由でなかったと思うのであります。金融の面においてこの長期低利の資金を融通するものが当時農林中金から実は取り去られて、そうして国でもって独立しているわけであります。そうしてそこで従たる事務所を持つ必要はない。農林中金を利用して金融面をやればいいじゃないか、こういう考え方がこれは非常に強かったのであります。今後においてもそういう面が非常に多いと思いますし、別に従たる事務所をあらためて置く必要はない、こういう考え方を持つのでありますが、この辺の事情を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/72
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073・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 公庫を設置する場合、この金融の分野をどうするかということは、問題になっておりました。公庫は財政資金による長期低利の金を貸す。その当時は系統金融機関も資金が非常に枯渇いたしておりました。とても中期、長期には金を回す余裕はない、そういう状態でありました。しかしながら、系統金融機関といえども短期資金だけでなしに、資金の充実をはかることによって長期低利の金を融通するのが一つの使命になっておりますから、そういうことは、できた暁には、この財政投融資による資金の融通との調整がうまくいくようにならなければならない、こういうことが考えられたのであります。なおかつ御指摘のように、当時においては資金量も少く、かえって公庫において支所を作って直接貸しをするというようなことは不便であって、既存の系統機関なりあるいは県指定の銀行等でやった方が、借覚者のためにも便利である、コストも安くなる、こういうふうな理由で、国会会等の付帯決議等によりまして、当分の間支所を置かない、こういうことになって進行してきているのであります。しかし、先ほど御説明申しましたように、貸付件数十一万件、残高一千数百億円、こういうふうになってきますと、さらにこの措置期間を過ぎて償還期に入ってきている、従って、債権の管理それからもう一つは貸付件数が非常に多くなっておりますが、これは委託機関を通じて流す場合も、三百万円でも、五百万円でも中金の支所あるいは銀行で審査をいたしまして、そこで貸付をやろうとする場合には、公庫の本所に書類を送りまして、そこで最終決定をしてもらって、貸付決定をいたして実行しておったのであります。そういうふうに件数がふえてきますと、特に重要なものだけを東京まで持ってくるごとによって、たとえば貸付一件当り五百万円以下ぐらいなものならば、支所によって、九州なら九州に支所を置くとすれば、そこで最終決定をいたして受託機関を通じて流させた方がいいのじゃないか、こういうことを考えておるのであります。さらに、たとえば今度十八条の二で改正をもくろんでおります、そういうようなものにつきましては、公庫が直接に貸し付けるという道も開く必要があるのじゃないかと、こういうふうな考え方で支所を、支店を設置したい、こういうのであります。支店を設置いたしますけれども、これは今申し上げましたような債権の管理と貸付の簡便、そういうのを念願といたしておるのでありますから、むやみに支所を設置する必要はないのでありまして、ただいま申し上げましたように北海道、東北、東京、九州というふうな四ヵ所になっております。これは大体先ほど御説明で申し上げましたように、公共事業費が一番金額が多いわけであります。件数も多いわけであります。大体農地事務局のブロック別ぐらいまでに支所、支店を置くのが最高限でありまして、それ以上は置く必要はない。しかし現在は、各農地事務局のブロック別まで置く必要はまだない、しかし、先ほど御説明申し上げましたように、毎年貸し付けた金額は三百億以上ふえておりますから、そういう準備をいたしておく必要がある、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/73
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074・東隆
○東隆君 支所に置くことによって、そうすると北海道、東北、東京、九州その四ヵ所でもって、二段階というような形に仕事を進めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/74
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075・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 先ほど御説明申し上げましたように、二段階ではなくして、一件当り五百万円以下の、これは最終的にきめておりませんが、大体五百万円かと思いますが、そういう貸付は今まで九州で貸す場合は九州の中金の支所が審査をいたしまして、これは貸してよろしいということを東京の本所まで書類を送って、それで本所で決定してもらって、支所が貸付をする、中金の支所が受託機関となっていたのを、その書類を九州に支所を置きますれば、九州の支所で最終決定してもらえばそれだけの事務が簡素化する、こういう考えで、二段になるというわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/75
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076・東隆
○東隆君 おそらく将来は各県がまた支所を置いてほしいという非常に強い要望が出てくると思うのですが、将来これをふやすつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/76
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077・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは先ほど御説明申し上げましたように、私はこの方はブロック別ぐらい置けば最高である、それ以上はふやす意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/77
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078・東隆
○東隆君 ブロックというと、八ブロックとか十ブロックとかいろいろございますが、金融の方の今お考えになっているブロックはどの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/78
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079・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは先ほども御説明申し上げましたように、公共事業が非常に大きい金額でありますから、それで、それはたとえば土地改良事業その他公共事業については、県の方針を相当聞いて貸付を実行しなきゃいかぬということになります。そこで、そういう関係からいいますと、農地事務局別、こういう考えでおります。そうしますと農地事務局は九州それから中国、四国、近畿、東海、北陸、東京それから東北、北海道、こういうふうに分れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/79
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080・雨森常夫
○雨森常夫君 今のたとえば五百万円以下のような小さいところは、支所を置けばその支所で取り扱ってしまうという、そういうあれは非常にけっこうだと思いますが、五百万円以上の大口のところでは、やはり今まで通り中金支所を通して、そうして新たにできる支所を通し、そうして本所へ、公庫へくるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/80
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081・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 今の五百万円以下の分を支所で処理するというのは、これは支所が直接中金を経由せずに貸すのではなくて、中金、信連、銀行ですね、——銀行は受託機関になっております。そこで審査して本所の最終決定を得ておりますね、それを東京まで書類を送らぬで支所で決定してしまう、こういう意味であります。それから五百万円以上のものにつきましては、やはり本店に上げる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/81
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082・雨森常夫
○雨森常夫君 さっきお話を承わっておると、十八条の二項ですね、今度新たに……、それは中金を通さないで直接お貸しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/82
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083・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) そういうものは新しい用途で、これは本所の指導が相当必要になってきますから、これは本所で直接貸しをした方がいいのじゃないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/83
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084・雨森常夫
○雨森常夫君 融資そのものは、中金をやはり通すつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/84
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085・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 中金を通さないで、これは新規用途の分は、結局、中金が前に受託機関として貸そうとしても、一々たとえば食糧庁なら食糧庁でやって、中金の研究と二重になるわけであります。従って、そういうものは受託機関を経由せずに、直接貸した方がいいと、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/85
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086・東隆
○東隆君 副総裁を置くという項ですが、私は副総裁を置くことに何も反対をするものではありませんが、新しい資金の用途等に関連をして置く、こういう意味に説明をされたのですが、どうも副総裁の人事は、大蔵省系統の人事になるおそれが非常にあると思うのです。私はこの農林金融公庫に関する限り、やはり農林省系統のもので単に銀行金融というような、金融面のベテランだからというようなだけでなくて、いわゆる事情を十分に知った人に総裁あるいは副総裁の席を与えるべきである、こういう考え方を持っているのですが、どういう点をお考えになっているのか、もし大蔵省系か入るようでしたら、実はあまり賛成ができないのですが、その辺は、お答えができる範囲で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/86
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087・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 新しい用途だけでなしに、やっぱり事業分量がふえる。それからそれに加えて新しい用途に貸す、こういうことで、むしろ新しい用途よりも、公庫の事業分量がふえる、こういうことは理事を増した方がいいだろう、増すなら今副総裁がないから、副総裁を置いたらいい、こういう考え方であります。その任命につきましては、これは従来の慣例等もありますので、私どもの方では御指摘の通り、農林漁業金融は普通の一般市中銀行とは変った性格を持たさなければならない、従って、そういう趣旨で人選がされることと思っております。具体的に大蔵省と農林省代表といいますか、金融機関代表、農林代表、こういうふうなことは、従来の慣例等を参酌してきめられることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/87
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088・東隆
○東隆君 今の問題は局長からお答えができないと思いまするので、この程度にとどめますが、十分考えなければならぬ点だということをつけ加えておきます。
そこで私は、今度は金融の面でありますが、結晶ブドウ糖の工場に対して融資をする、その道を新たに開くのだ、こういうお話であります。私はその場合に、法律をいじらなくても出すことができるような対象のものに融資をすべきじゃないか、それは、農林漁業金融公庫というのは、やはり農業を対象にして出すのですから、従って、ブドウ糖の工場をやるというような場合に、それがたとえば、全販連がその工場の計画をするとか、あるいは都道府県の連合会がブトウ糖の工場の計画をする、そういうような場合には、法律をいじらなくても出せると思います。金融公庫から。それからそれ以外の場合に、かりに商工資本でやる場合には、中小企業金融公庫があるのですから、そちらの方から融資の道を開く、これも私は過法に出せるのじゃないか、こう思うわけであります。そこで、そんなにその金が潤沢だとは思いませんので、そういうような方途を講じてやるべきじゃないか。法律を直してまで商工資本によるものに出す、こういうことになりますると、前の酪農振興基金法において、農業者の資本が中心になっておる酪農会社、そういうようなものに公庫は出せないのですから、そういうようなものに出せいようになっているのに、このものに関する限り出すのだ、こういうわけでその理由として、農産物価格安定法の対象になっておるものを云々と、こうくるわけなのですが、いささかこの金融の系統あるいはその他の考え方からいったときに、やはり協同組合の金融を中心にして出す、そして協同組合が農産加工をやるのだ、こういうような考え方で、そちらの方に融資をするのだ、これならば筋道が十分に立つわけです。それで、商工資本によって作るという場合には、別途の金融の系統があるのですから、しかも国の財政投融資によってできておる公庫があるのですから、そこから出す。こういうふうにはっきりさしておかないと、将来非常にむずかしい問題がどんどん起きてくるのじゃないか。従ってその影響するところは、やはり農村の金融その他の面が、今協同組合系統といってまとまっておるのが、次第にこわれてくる、こういうことが非常におそれられるわけです。私はこの点どうも解せないのですが、もしそういうふうに資金の融通をするというなら、もう少し間口を広げて、農村資本によるところのものに出す、こういうふうに限定をされた方が、まだ公庫としては正当な道を歩いている。これは少し邪道じゃないかと、こう思うのですが、その点御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/88
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089・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 御指摘のように、中小企業金融公庫から、農産物の加工事業の施設資金に金を貸す方途はございます。しかし、一般的にはそれでいいと思いますが、この金は利率も高いし、それから今の運用方針としては、業務方法書で一千万円以下しか貸し付けない、こういうふうになっておるわけであります。従って、この結晶ブドウ糖のような事業で相当の固定設備が要る、たとえば日産二十トンの工場にいたしましても、固定設備が一億前後を要する、これはまあ会社の既存の施設との関係によって違いますが、そういうような状態でありますから、とうてい中小企業金融公庫ではまかなえない、現在の状態では。しからば開発銀行に持っていったらいいじゃないかというのですが、開発銀行に持っていっておるのであります。ところが、開発銀行は電源開発に数百億、あるいは鉄鋼には何十億、造船には何十億、こういうふうな大きなのばかりで、われわれが相当説明いたしましても、この結晶ブドウ糖で一年半かかるぐらいでやっと貸してもいいだろうか、というのが出たくらいでありますが、現実にはそれも最終的にきめてくれないのであります。そういうことでは、この澱粉の処理が日本の農業からいって非常に重大なときに、まごまごしておるわけにはいかぬじゃないか。こういうので、そういう特定の新規産業には、もっと便利に金を貸す方途を開くべきじゃないか。こういう考えをもって打ち出しておるのであります。さらに、そういう農産物ならば、農業協同組合で全部やらしたらいいじゃないか、こういうお話でありますが、農業協同組合の現在の組織なり陣容では、こういう新規用途の産業には、全販連に幾ら話しても、全販連ではそういう能力はないということで、はっきりそっぽを向いておる、こういうような状況であります。これはある程度やむを得ぬじゃないかと思います。全般連の組織なり役員の選出方法なり、あるいは俸給等から考えて、いい技術者を持っているなら別でありますが、非常に何といいますか、新規産業でありますから、スムーズに運転するまでには相当の苦労が要るわけでありまして、こういう大きい金をつき込んで、途中で挫折した例もたくさんありますから、そういうものについてはなかなか慎重である、そうすると、三すくみのような状態で、せっかく澱粉処理の新しい方法が考えられても、その産業が伸びない。従って、協同組合がそういうものをとらえることは、大いに私どもの方では勧奨しておるのでありますが、それだけに頼っておるわけにはいかないのであります。たとえば、食品工業をやっておる人が、澱粉の処理として結晶ブドウ糖を作りたいというような場合には、それならば開発銀行でやれるだけやったらいいじゃないか、というので放っておくわけにもいきませんので、こういうような農産物価格安定法の対象になっておるような、国が特別に重要視しているものについては、この公庫から金を融資いたしまして、少しでも早く農産物の生産の安定に寄与する方途を開くことが必要じゃないか、こういうふうな考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/89
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090・東隆
○東隆君 開発銀行はこれは別でありますが、北海道東北開発公庫というもの、これは、公庫から流れる金は全部、会社系統でなければ流しませせん。それで、会社ならば出すのですけれども、農業関係の資金はこの公庫の資金でまかなう、こういうことを原則にして、農林省とあそことの間には話し合いができていると思います。そこでその点を考えても、その相手方、組織をするもの、資金を必要とするもの、そのものの性格を考えてやらないと、将来問題を起すと思う。農産物を加工するのだから、農業に関係があるのだ、だから農業関係の公庫からどんどん出せと、こんなふうにどんどん変えていかれると、これは相当問題が起きてくると思う。私は、酪農振興基金法では、農民に関係をしている歴史的な過程があるようなところは、これは公庫から出した方がいいのじゃないか、その道を開いた方がいいだろうと、こうは申しましたが、しかし今回の場合は、商業資本だけでできるものに農産物価格安定法の何でもって出す、こういうことになりますと、これはだいぶ性格が違ってくると思うのです。買う者と原料を供給する者との間に、これはだいぶ考え方の開きがある。従ってそういうような場合に、もちろんブドウ糖をこしらえるということは、大きな意味で日本の澱粉の処理の関係もありましょうけれども、しかしまた農林省がお買い上げになっているものを処分するのにも、大へん都合がいいと思いますけれども、しかし金融の系統をはっきりただしっておかないと、農村における金融というものが、いろいろな形になってくると、私は、中小商工業者が金融機関で支離滅裂な系統にあるために非常に痛手を受けている、あれと同じような形が出てくると思う。農村では協同組合でまとまっているから、弱いながら仕事ができていっている。だからその系統を育成していくことにこれ努めなければいかぬのに、別な方面に流れていくような形を作っていけばいくほど、これは農村で原料を生産する面におけるものの立場というものは、だんだん弱くなってくると思う。場合によっては、農林省は、政策的にも、全敗連あるいは都道府県の相当力を持っているところに、ブドウ糖の工場をこしらえさせるように積極的に出ていくべきであり、幾つこしらえられる計画か知りませんけれども、そのうち二つや三つくらい農村関係の団体に作らして、そうして新しい仕事ですから、なおさら保護、育成をしてやる、国が相当バツクをしてやっていくという、そういう態勢のもとに置かれていけば、私はこれは可能だろうと思う。そういうものをやり得ないからというわけで、協同組合によるところの企業が、これはもうできないものだ、こういうふうにやるのは、これは大きな間違いだろうと思うのです。従ってこういうような道を開かずに、かえって協同組合関係のものにはこちらから出すのだ、こういうふうにしておいた方がいいのじゃないか。そうして商業資本によってこしらえられるところの結晶ブドウ糖、これは大いに歓迎をするところだから、それは中小企業金融公庫から出す、これをうんと一つ側面から促進をする、こういう態勢の方が、この農林漁業金融公庫としての正しい行き方じゃないか、私はこういうふうに考えるのです。この点は考え方が少し違うのですが、局長がお答えができなければ、あとでまた農林大臣にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/90
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091・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) その考え方は、ちょっと根本的に違うのでありまして、東委員のお話だと、協同組合が万能の能力を持っているとこういうふうな前提でお話になっておられるのでありますが、これは結晶ブドウ糖のみならずいろんな問題について、農林漁業団体が、いろんなカン詰工場であるとか肉の工場であるとか、こういうことをやろうとして試みる、これには相当の技術が要るわけでありまして、その技術の養成は一年二年ではできないのでありますから、それを長い目で、やはり協同組合の中でもそういう技術者をかかえ、特別の研究所を持つなら持ってやることが、僕は必要じゃないかと思うのです。どこの事業会社でもそういう研究所を持っておりますけれども、長年の蓄積によって、新しい分析、析出の試験からテスト・プラント、パイロットプラント、それから本格的な事業と、こういうふうになっておるのでありますから、この結晶ブドウ糖なんかはまさに化学工業でありまして、非常にむずかしい仕事であります。従って、全販連等でもこれを直接でなしに、全販連が特殊の原料供給契約を結んでいる会社をもとにして研究を進めておりますけれども、それもうまく行っておりません。最近その会社が行き詰った例も出ておるわけであります。ですからそう簡単にはいかないわけであります。そうかといって育成したらいいじゃないかということで、新しくほかの方が出てくるのを、それは中小企業金融公庫なら中小企業金融公庫、開発銀行なら開発銀行にまかしておいたらいいじゃいか、こういうことでありますが、私の方では、それらの機関にも早く金を貸せ、金を貸せということで、先ほど御説明いたしましたようにやっておりますが、ちょうどポケット地帯に入るので、そんなところへ貸さぬでも、もっと金を貸すところは幾らでもあるということで、貸してくれないのです。従ってどうしても協同組合でやる分については、この法律を改正せずに現在でもやれるわけですから、それを何も抑圧するとか無視するとか、こういう考えは毛頭ないのでありますが、それはそれでやっていかなければいかぬけれども限度がある、砂糖会社なら砂糖会社でそういう研究をやっておるもので、開発銀行へ金を憤りにいってもなかなか貸してくれぬというような場合に、やはり農産物の販売の一環として農林漁業金融公庫でこういうものに貸すことが、当面の問題としてはいいのではないか、こういうふうに考えておるのであります。さらにこれに似た例は、たとえば漁船等についてはやはり協同組合だけでなしに、公序から出しております。非常に特殊の例でありますが、塩業等についても公庫から組合でないものに貸しておる、林業等についても、造林に必要な資金として、これは中小企業協同組合あるいは個人に貸す、こういうふうな例があるのでありまして、大原則とその中間の地帯は、どこかでめんどうをみなければならない、こういうので、ちょうどこの農産物の加工等は、具体的の例にあげております結晶ブドウ糖は、その中間のところでありまして、これを早く伸ばすかあるいはしばらく見送るか、これによって、その制度をどうきめたらいいか、こういうふうなところに落ちつくのではないかと思います。現にこの法律を作るときに、そういうものは中小企業金融公庫の領分であると通産省は言いますし、それから開発銀行の領分であると大蔵省は言ったのであります。それならお前らは、僕らの方で一年も二年もかかっていっているのを、少しも研究もせずに見向きもしない、取り上げていない、だからこちらの方に資金のワクをつけて、そうしてこちらから貸せるようにしてくれなければ、農産物の流通改善としての農林省の職責は果せないのじゃないか、こういう交渉経過です。しかし、それを無限に広げますとほかの領分を冒すから、農産物価格安定法で国が特別なめんどうを見ておるものに限る、こういう制限を付しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/91
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092・田中啓一
○田中啓一君 実はその質問の段階で討論をやってしまっては話にならないのですから、そういうつもりはないのでありますけれども、今日農林水産物の流通対策に一大刷新を加えろということは、おそらく天下の世論でありまして、中央卸売市場法についても、本委員会は付帯決議にその趣旨のことを書いたわけです。そこで実は流通といいますけれども、多くは加工を伴っておるのでありまして、しかも今日非常に技術の進歩した時代になってきましたので、高度の実は加工であり、あるいは範疇からいうと化学工業というようなもののの中に入るほどの、つまり米をつくとか麦をつくとかいうようなものではないようなものを経て、農産物が消費者の口に入る、こういう実はことでありまして、私は、その農林水産物の加工流通段階というものは、これは農林省の所管であり、これはもう生産をやる以上は当然その面についても十分の準備をしていかないと、物を作ったがそれはなかなか売れないというようなことで、農産物の安定対策からいいましても、非常に頭を悩まさなければならぬ問題が出てくる。そういう次第でありますから、それらの担当をしておる者は中小企業ありあるいは大企業あり、専門の仕事をしておる者あり、総合的に他の事業を合わせてやっておる者もあるというような実は段階でございまして、しかしそういうことも農業協同組合のやることはもとよりけっこうな話で、農業協同組合がやるについては、すでに農林金融公庫でその道は立っておって、今回でもたとえば北海道の経済連がやるビート工場の設立に対して、いかに経済企画庁が苦心惨たんをして援助、助長をしたかということは、よくだれも知っておること。そういうわけでありまして、農業協同組合に道を閉ざしておるのじゃない、これはできるだけ引っ張り上げていこうということで努力をしておるのでありますが、しかしなかなかそういうものは農業協同組合でやるべきだといったところで、なかなかそう簡単にいかない。私の国でもたった枝肉冷蔵庫一つ建てる話でも、私は経済連の会長やめたらあとのやつはやってくれないというような実は次第であるのであります。そこでまあ一応、農産物価格安定法による、農産物の新規な高度な加工というようなところに限って、ひとり協同組合だけでなく、ほかの組織でやるものでも金融の道をつけるということは、どうも急務ではなかろうか。ただ東さんのおっしゃるように、本来の方の融資が減ってしまってはどうにもならぬということは確かにそうなんでありますから、これはどうしても例の衆議院の付帯決議にもございまするように、農林金融公庫のなるべく長期低利の資金の原資は、どうぞ一つ準備をするように、これは大いに協力をしてもらわなければならぬ。われわれも協力するにやぶさかでないとろだと思うのであります。そういうようなことをなしつつも、どうもやはりこの面はぜひ開拓をしていかなきゃならぬのじゃないかと、こういうふうに私は今お話を伺っておっても思うのでありますが、その辺一つ経済局長どうお考えになっておりますか。先ほどの御答弁にもございましたけれども、なお一つお考えのほどを承わっておければけっこうだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/92
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093・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 今までの農業は第一次生産に主力を集中してきておりまして、しかも終戦後十年間は米麦に重点を置けばことが済む、こういうのであります。どうしてもこの経営規模を拡大いたしますのには、米麦以外の作物にその経営を広げていかなければいかぬ、そうしますと、それの流通改善ということは非常に重要な問題になってくるのであります。ことに作付面積等からいきましても、米麦に次ぐものはカンショ、バレイショ、これが諸外国で、と申してもアメリカでありますが、ケーン・シュガーというようなことになれば、砂糖の輸入を防遏するのみならず、農家の経営が非常に安定するのは当然であります。それがなかなかできない。ようやくにして工業化ができるというこういうふうな段階に到達いたしておるのであります。これがうまくいくことになれば次の果樹とかミルクとか、そういうものを解決せねばいかぬ。その前に一つの大きい問題が解決できる。こういうふうにわれわれは期待しておるのであります。従ってこの能力のあるところからそれを伸ばしていこう、それがとてつもなく農業と関係のないというのじゃなくして、やはり農業の農産物の加工処理の一環としてやる場合には、その主体についてこれは公庫から金を貸すことになりますれば、普通の金融機関が金を貸して、自由にその加工流通の段階で農家を搾取するというふうなことはなかなかできないので、公庫から金を貸すことによって、公庫の監督あるいは農林省の指導監督も相当徴底いたしますから、やはりこの農家の利益を保護することに支障はないと、こういうふうに考えるのであります。現在の段階としてはどうしても道を開くことが当面の急務じゃないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/93
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094・東隆
○東隆君 与党の田中さんだから応援するのは私はいいと思うのですが、このブトウ糖の仕事は、これは今お話しになったように、ケーン・シュガーが入ってくるのを国である程度セーブすれば、これはある程度の採算は立つ仕事なんです。この一点は、国の政策として考えたときに十分に採算が立つように、これはやり得る仕事なんです。それと、この協同組合が農産加工ということをやれなかったら、これはもう農村の生産というものは、もうがた落ちになってしまう。将来農村が根を広げていく方向はやはり農産加工だと、その際に協同組合がなし得ないと、こう言って消極的になるのは、私は非常に残念だと思う。製乳事業なんていうのは、これは北海道ではりっぱに協同組合で仕事をやっておる。ただ戦争だの何だのを契機として、興農公社という会社組織になってしまって、株がオープンになっておるために協同組合に帰ることができなかった。で、製酪事業なんかは、協同組合でけっこうできる仕事なんです。そういうふうにやれるのであって、それからブトウ糖の場合も、これは小規模であるけれども、ほとんど農業資本でやっておる所はないわけではない。結晶ブドウ糖は何もそんなにむずかしい問題じゃない。このブドウ糖の仕事は化学工業だなんといって、そして農村関係の人にはできぬなどということになったら、それこそ大へんなんです。こんな仕事なんというのはきわめて楽な仕事なんです。決してそんなむずかしいものじゃありません。あめをこしらえることがむずかしいというのと同じことです。今の段階においてそんなにむずかしい仕事じゃありません、結晶ブドウ糖は。ただ、その資本をどうして集めるかということが問題なんです。だから私が考えているのは、協同組合に対して国が大きく力を注ぐと、こういう態勢ができれば私はできると思うのです、この仕事は。それの今絶好の機会にある。これは砂糖の輸入と見合して、そして日本の甘味政策というものをはっきり確立をすれば、十分に結晶ブドウ糖というようなものは成り立ち得る。そういうものなんです。だからこの際、農村で生産されるところのものを対象にして、なるべく協同組合によるところの企業でやり得るような態勢にしむけていくのが、私はこの金融公庫の流すところの資金の使命だと思っておる。商工資本の関係はやはりコーオペラチーブでできると、商工業面の中小企業者の協同組合でやはり進めていって、中小企業者が十分にやっていくところの工業として成長していけると思う。そういうような意味で中小企業者の金融公庫を通して流すのである、こういう道もやっぱし必要であると思う。だからその点もあわせ考えて、何か大きなものでなければこういう仕事はできないと、そんなことを考えておったら、今製粉事業は全部商工資本です、資本家によってみんな壟断されている。粉をこしらえることがみんな協同組合でできないのですか。全販連がこれはやれないのですか。
小麦を粉にすることがむずかしいというのですから……、これが今の現実なんです。これは日本の農業政策が間違っておったからです。全販連をただ集荷をするところの機関として、それ以上の仕事はできないものだという考え方が、これが災いしたのです。だから今のものの考え方はもっと、協同組合がせめて自分のところでできる農産物ぐらい加工すると、これぐらいの仕事をやるくらいの、それを大いに金融の面その他で発揮をすると、こういう考え方に立たなかったら、これはもう農村なんというのは発達しません。私は、鉄工業を持ってきてそれに農林漁業金融公庫から金を出せ、というのじゃない。農産物を加工する仕事ぐらい出したらいいじゃないか、こう言っておるのです。だから新しいブドウ糖をこしらえる会社そのものにも、コーオぺラチーブで出せるようにと言ってやれば、そっちの方へどんどん流れてゆくのだから、なおさら協同組合関係でやろうとするものに資金が流れることになる。これは澱粉という一つの例ですよ。まだだいぶやり得ると思う仕事がたくさんあるのです。そういうものはそこで十分に、最後の段階までとは言いません、結晶ブドウ糖だって、こいつはいろいろな方面にみな使われるのですから、最後の段階までとは言いませんが、結晶ブドウ糖ぐらいまでの段階は、私は農村で農村の生産物として工業生産品を出し得ると思う。だからその道を助長するように考えなければならぬ、こういうわけです。ただ澱粉の対策として、農政研究会その他の方面では非常に研究されて、そうして農林省の方に相当圧力をかけている。その結果こういう形が出てきている。その点もよくわかる。しかし国の政策として、砂糖の輸入だの何だのそういうようなものとあわせて考えて、澱粉というものを考えてきたら、これは大きな国の政策の一環になるのですから、それを農村で重点を置いて対象に置くと、こういうときに私はこんなふうな道を開いたらじゃまをすることになると、こう思うわけです。これはだいぶ議論をしましたが、どうも解決しそうにもありませんから、別な機会に私はもう一度お聞きをいたしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/94
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095・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) お話でありますが、ちょっと東委員の質問の中で、製粉、粉にするのだから協同組合が全部やったらいいじゃないかというお話がありましたが、(東隆君「そういうことじゃない」と述ぶ)それでも協同組合が成り立たぬ、そういうところに研究する余地があるのじゃないか。今作っているブドウ糖では、なるほど小さいので作っている者もありますが、それよりももっとロー・コストのもっといい製法を研究しているわけでありますから、これは従来の方法でやれるならいいのでありますが、新しい方法でやっていこうというのですから、これは長年の研究でやっと最近工場までできると、こういうことでありますので、その点はやはり協同組合がやればやれる、こういうことは私どもの方針でありますが、たとえば北海道経済連が今度ビートの工場を作るにいたしましても、もうたちまち工場を作るほどになってきますと、ほかの砂糖会社から技術者を引き抜いてこなければできない。こういうのが実情でありまして、そういうことでなしに、やはり協同組合が加工業を始めるのであれば、それ相当のそういう技術者の養成から始めないといかぬので、お話のように全部やるべきだと、ゾルレンの話はよくわかるのでありますが、現在早急に解決するのには間に合わないのじゃないか、こういうふうに私どもは考えている。従って無制限にそういうふうに何といいますか商工資本でやろう、こういう考え方ではないのであります。一定の制約のもとに新しい用途を開くことによって、農産物の販路を拡大していきたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/95
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096・東隆
○東隆君 その問題は私は、技術者だの何だのということは、赤ん坊ができるはずはないのですから、もちろん養成もしなければなりませんし、よそから引っこ抜きもしなければならない。新しい工場をこしらえるときには、皆そういうことをやるのですから、そういう問題はもうこれ以上やりません。
その次は例の小団地に対する資金のワクが、これは五千五百万円ほど減っているのですね。前年度が二億六千五百万円、それで三十三年度は二億一千万円です。これはどういうことになるのですか。非補助のものに対して三億九千万円の利子補給をすると、こういうことになってですね、このワクがふえてこなければならぬと思うのですが、この小団地のワクがずっとふえてこなければならぬのにかかわらず、前年度よりもぐっと減ってきておるのは、どうも小団地利用云々を口にされて、そして副総裁を置くあるいは支所を開設するというようなのは、これはちょっと解せない筋だと思うのですが、これはミスプリントですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/96
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097・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これはちょっと誤解かあると思いますが、小団地というのは、現在小団地の補助が出ておるわけであります。その小団地の融資の分でありまして、補助の額は、三十三年度には減っておりますから、それに見合って減っておるわけであります。
それから非補助事業というのは、土地改良の中に入っておるわけであります。これは特殊の小団地という補助を出しておりますから、その分に見合う補助残、自己負担分の融資でございます。補助に見合って、それに引きかえ的に計算していただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/97
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098・東隆
○東隆君 そうするとここでは二億二千七百万円増加して、そして小団地の方では五千五百万円滅ってきておるわけですね。三十三年度の農林漁業金融関係の貸付予定計画表。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/98
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099・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは三十二年度、前年度の分としてちょっと御説明申し上げますが、百千九億六千三百万円の内訳ですね。今の表で、この中で耕地の分が百十八億三千八百万になっておりますね。それを分けますと、大体一般補助の残融資が四十二億、非補助のものが五十億で、災害が二十億そして合計百十八億ということになっておるわけであります。それからその小団地の分はこれは三十年度から小団地の補助金ができておりまして、それに見合うものが自己負担分として出ておるわけであります。そこでこの例の基金によって生んでくる利子を減免しようとする対象は、今申し上げた一般非補助の中の一定のものということになるわけであります。ですから今の小団地はここに掲げられております小団地とはちょっと違うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/99
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100・東隆
○東隆君 そうすると昨年に比べて三億九千万円の、六十五億から上ってくる補助利子補給を考えて、そして総額でもって二億二千七百万円とこれだけ土地改良のワクがふえた、こういうことになると、はなはだもってどうも……、金は少いから従って仕事はだいぶ限定をされる、こういうことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/100
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101・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ちょっとそれはお話が違うのでありまして、あの三億何がし、六十五億の基金の利子は、この非補助で今まで五分で貸しておったやつを、三分五厘に利子を軽減するのに基金のやつをやるわけですから、このワクとは直接の関係はないと思います。融資ワクとは直接関係ない。その融資の利子を軽減するためにこれから上る利子でまかなっていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/101
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102・東隆
○東隆君 私どもが説明を受けておるのは、非補助の仕事がそれだけふえてくると、こういうふうに聞いておるのですが、これは私の間違いですかね。プラス・アルファの形でもって仕事がふえてくるのだ、それで前々の仕事よりも減らぬのだ、こいつはプラス・アルファでふえてくるのだ、こういうふうに私どもは聞いておるのです。そうすると、このワクが前年度と同じだということになると、問題は補助金だの何だのの問題じゃないのですよ。そうじゃなくて、金融の面がふえてないのですからね。これではあの六十五億の利子補給の問題はこれは何だか知らぬけれども、少しキツネにつままれたような感じがするのですがね。この数字を見ると、土地改良関係の仕事はあまり前年度とは違いませんです。非補助のものに資金の融資をするのだ、それはプラスになるのだ、そうしてそいつには利子補給をするのだと、こういうふうに聞かされておるわけです。それで私どもはそういうものかなと、こう考えていたわけですけれども、これで見ると資金融通のワクが一つもふえていない。私は、六十五億こいつにプラスになっておれば、なるほどふえたと端的にわかるけれども、そうじゃなくてあれは利子の初給だけだと、しかしその分に対する資金のワクが出てこなければならない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/102
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103・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) それは、おそらくこういうことではないかと思います。一般非補助で、当初の計画では相当要求があるから、大きいワクを、五十億以上のワクを組んでおるけれども、一方では補助の方に待っておる、なかなか補助もこないと。非補助の分で五分の利子ではあまり好ましくないというので、これを三十一年度では五十三億組んで十億少い四十三億しか貸しつけされていないわけです。従ってその五分を三分五厘にすれば、この非補助についても資金の消化が、つまり事業が相当伸びるのじゃなかろうか、こういう趣旨で御説明申し上げたのじゃないかと思います。現実にワクをとっても貸し付けの実行ができていないのです、ここ二、三年。従って利子を下げることによって効果を上げていくことができる、こういう説明であったのではないかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/103
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104・千田正
○千田正君 今の小団地の問題ですがね。たとえば、災害の場合ですね、大きな耕地その他に対する災害に対しては、災害復旧の対象として見ておったものを、災害復旧の対象に入らない小団地は、土地改良によってそれを改良していかなければならない。こういうので、従来の行き方と違った方法を何か考えなければならないのじゃないかということがあったのですか、この表で見ると、小団地の分は非常にワクが、非常にというわけじゃないけれども、昨年度よりも減っておる。これは何か方法がほかにあるのですか。土地改良によって、あるいは災害復旧できない、対象にならない小団地を、いかにして土地改良によって、それを復旧していくかというような問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/104
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105・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは、小団地の項目は三十年度から実施されておるのでありますが、ここに掲げられておるのは補助の残でありまして、御指摘のやつは、それとは別の問題じゃないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/105
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106・千田正
○千田正君 それは、その答えでいいですが、それなら、私の質問しているような、たとえば災害を受けても、災害の復旧の対象にならない小団地は、何によって救っているかということ、何によって救っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/106
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107・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは、この公庫融資の災害復旧でやっております。それは、先ほど申し上げました、今、三十二年度と申し上げましたが、三十三年度の、ここに土地改良がありますが、百二十一億九千万円、そのうちの耕地の中が百二十億一千二百万円になっておりますが、それは、一般が百七億九千五百万円、それから災害が十二億一千七百万円、こういうふうに分れておるのであります。その中から出ることになっております。しかし、このワクも災害の度合いによって彼此融通して、災害が多ければ予備費その他から回す、少ければそれを一般の耕地の方に回す、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/107
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108・千田正
○千田正君 必ずしもこのワクで押えたばかりでなく、かりに不幸にして災害が出て、しかも、その対象になるような小団地が多かった場合には、ある程度は弾力性を持たしてやれるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/108
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109・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) それはその通りでありまして、今年も予備費七億、それでも足りなければ、資金運用部等の借入金を増すことによって、実際上の運営はやっていけるのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/109
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110・東隆
○東隆君 それは今の問題はこういうことじゃないのですか。昨年度においては、資金を借りる者が少かった、そこで今度は利子補給をして、そして貸す部面をふやしていく。こういうのなら私は、計画数字と実数字が違うということから、もし見れば、解釈がつくのですが、私どもが聞いているのは、これによってふやすのだ、非補助のやつをやらないで、それから利子補給して、そして非補助の小団地の仕事をうんとふやしていく、こういう考え方、それをやらなければ、結局国でやっているものと、それから都道府県でやっているもの、それから団体経営でやっているもの、そのつながりが、それがうまくいかないんじゃないか、こういう考え方なんですよ。ね、そうでしょう。そういうふうに私らは聞かされている。だから、もし計画数字が大きくて、昨年は実績がそこまでいっていなかった、非常に少かったから、今度は利子補給してそしてこの程度やるのだ、だがしかし、もしこれでも足りなければ、もっと別な方面から出しましょう、こうもうのなら私は話がわかりますが、そうでなければ、なかなかワクが減っているのですから……。
それからもう一つの小団地の項目が、これははなはだ減ってきておるし、これが非常に冷酷なワクの作り方で、そうして結晶ブドウ糖に流した、こういう点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/110
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111・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 今の直接には、一般非補助の分が、昨年五十五億を六十億に増しております。内訳でありますが、それには出ていないのですが、そこでノミナル五億ふやしております。実質的には昨年も四十億ぐらいの貸付、それが利子を下げることによってふえる、何といいますか効果として、それだけ非補助の分がふえれば、事業がうんと進捗する、こういうことによって、まあ今の計算では、大体三割程度、団体営の事業がそういうことによって伸びるのじゃないか。こういうふうに考えておるのでありますが、そういう効果があると思います。ワクをふやす、それから低利にすることによってふやす、二重に従来に比べてはふえることになっておるわけであります、一般非補助の分が。そうしますと、団体全体としては非常にふえる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/111
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112・東隆
○東隆君 これは、ここで土地改良の勉強をするわけじゃないですけれども、都道府県でやる土地改良、それから団体でやる土地改良、これは補助金があるわけですね。そうして今度、団体でやる場合に、持ち出しのものは八割たしか借りてもいいはずです。そういうものがトータルになったやつが、この上の方の土地改良という方のワクになるのであって、それから小団地というのは積雪寒冷地帯、そういう方の小団地じゃないかと思います。そうすると、今度、利子補給をしてやるやつは補助を伴わないやつですから、補助を伴わないやつに対して利子の補給をする、こういうことになるのですから、だからその分はプラスになって、そうしてふえてくるわけです。だから、ここで土施改良の場合を考えるときに内訳をすると、国のものは別として、都道府県営と団体営の場合に貸し付けられる。そういうものとそれから非補助のものがあると思うのです。そのものと、三つに分れるわけですね。そうして、それのトータルの実績が非常に少なかったから、そこで今度は、非補助の分に対して利子補給をして出す分がどれたけ、こういう計画の数字がここへ内訳が出てくれば、昨年の実績が非常に少なかったから、そこで、非常にここからこれでまかなっていけるのだ、こういうふうに納得さしてくれるなら、話がわかるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/112
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113・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 大体お話の通りでありますが、これは数学的にあとでわかるようにしてお出しいたします。ここに出ておる小団地と混同されるとちょっと工合が悪いので、これは特殊の小団地でありますから、補助金の額に応じてその自己負担分を融資するから、補助金が少なければ当然計算的に少くなる。一般の土地改良の分の中にある部分のことでありますから、内訳を私の方で資料を出していかなければわかりにくいと思いますから、明細を資料で出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/113
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114・千田正
○千田正君 きょうはこの程度でどうですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/114
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115・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 本日は、この程度にいたします。散会いたします。
午後三時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03019580410/115
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