1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月十七日(木曜日)
午前十時三十一分開会
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委員の異動
本日委員佐藤清一郎君及び清澤俊英君
辞任につき、その補欠として植竹春彦
君長び戸叶武君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 重政 庸徳君
理事
柴田 栄君
藤野 繁雄君
東 隆君
北村 暢君
上林 忠次君
委員
雨森 常夫君
植竹 春彦君
関根 久藏君
田中 啓一君
田中 茂穂君
仲原 善一君
堀 末治君
堀本 宜実君
安部キミ子君
大河原一次君
戸叶 武君
千田 正君
北條 雋八君
政府委員
法制局第三部長 山内 一夫君
大蔵省主計局次
長 佐藤 一郎君
農林政務次官 瀬戸山三男君
農林省農林経済
局長 渡部 伍良君
農林省農地局長 安田善一郎君
農林省振興局長 永野 正二君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
外務参事官 粕谷 孝夫君
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本日の会議に付した案件
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規
定に基き、輸出品検査所の支所の設
置に関し承認を求めるの件(内閣提
出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/0
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001・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
最初に、委員の変更について御報告いたします。
本日、清澤俊英君及び佐藤清一郎君が辞任され、戸叶武君及び植竹春彦岩が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/1
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002・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
ただいまから質疑を続けます。御質疑の向きは、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/2
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003・北村暢
○北村暢君 まず第一点にお伺いしたいのは、農林金融の全般のことについて簡単にお伺いいたしたいと思いますが、農林関係の金融が、農林中金の系統金融と、それから公庫の政策的制度金融と、この二つからできておりますが、従来この金融のあり方について、いろいろ論議をされておるところでございます。まず、この農林中金と信連との二本立の点からいって、中金の支所と信連との関係で、二重の機構があるために、これが資金コストに影響をしてきているということは、意見として出ておるので、何とかここら辺を合理化しなければならないという強い意見も出てきつつある段階におきまして、公庫が今度また四つの支所を設ける、こういうことになっておるようでございますが、農林中金と公庫の末端の金融の調整ということが、かえって四つの支所を設けることによって事務が錯綜する、また、現在の資金の状態からいって、中金と公庫との問に競合を来たすんじゃないかというような心配があると思うんですが、今度の改正によって、どういう意図でこの四つの支所というものを設けようとしておるのか、これらの関係について、まず御説明を願いたい、こういうふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/3
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004・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 農林中金と農林漁業金融公庫の関係は、もうすでに御承知でありますが、配付資料の三ページにそれを分析した表が上っております。図表になっております。これは三十二年の十二月末現在の数字で出しております。借入先は、究極において、農林水産業の事業の改善のためにやるのでありますが、その資金の内訓は、たとえば農業関係におきましては、農協から千九百八十九億、中金、信連から三百八十八億公庫から六百九十六億、銀行から二百九十五億、こういうふうに分れておるのであります。その資金の種類は、大体において、公庫の金はこれは御承知のように固定施設費に限られておる。農林中金系統の金は、大部分が流動資金であります。この表で、農業関係でごらん願いますように、公庫からの金は三千三百七十億のうち六百九十六億、こういうふうになっておるのであります。この農林中金の業務のうち、公庫の受託業務が相当大きくなっておるのでありまして、これはしかし農林中金の仕事と信連の仕事の関係から、数年前に、公庫が農林中金を通じないで、直接信連を通じて公庫の金を出す、こういう方法も開かれたのであります。その関係は、現在の状況で見ますと、三十二年度の状況を見ますと、農中扱いの分が六百八十八億で、それに対して信連の扱い分が二百五十八億、こういうふうな関係になっております。この傾向は、将来逆になって、農中の委託分よりも信連を通す分の方がだんだんふえていく、こういう傾向を持っておるのであります。五カ年後の状況を判断してみますと、農中の委託分の残高よりも、信連扱いの委託分の残高の方が多くなる、こういう予想をしております。そういうふうな関係等もございまして、農中、農林漁業金融公庫、信連、それらの仕事の調整、さらには先般の協同組合法改正のときにちょっと御説明申し上げましたが、農業協同組合言関係で行なっておりまする建物あるいは生命共済の事業は、三十二年度の積立金でも二百億をはるかにこす。この伸び方は、現在までの状況では毎年倍々と、こう伸びてきておりまして、今後の伸びがそういうふうに倍々というふうにいくかどうかということについては、多少の問題があるかもしれませんが、倍にならぬでも、相当ふえるということになると、この金も数年ならずして五百億、あるいは八百億、こういうふうな関係になります。そういたしますと、その金の運用というものもからみまして、農林漁業金融全体についての調整ということは、今これらの団体の問で議論をされております。農林省といたしましても、それについての結論を早急に出す必要がある、こういうので、よりより相談をいたしておるのであります。そういう際に、御指摘の、公庫が支店をなぜ急いで設置するか、こういうことに関係してくると思うのでありますが、御承知のように、農林漁業金融公庫の残高は、三十二年の十二月末現在でも、もうすでに千百六十億をこえておる、貸付件数は十一万件をこえておそる、そういうふうな状況でございまして、だんだん貸付についての償還が滞るとか、あるいは件数がふえるに従って、会計検査院等の指摘の件数もふえてきておる、こういうふうな実情にあるのであります。これらを十分めんどうを見ていかなければならない。そういうのが第一点の、地方にもう少し支店を持ちたいという理由であります。現在どうやっているか。公庫は現在検査役を置きまして、受託機関の費し方について検討し、借り入れ先について調査をいたしております。しかし、これらは一々東京から出向いて行ってやるので、とうてい、件数が、ふえていっているのにつれて、十分目を通すわけにはいきませんから、もう少し人数をふやして、あるいは現地に近いところに人を配置したい、こういう要求があります。
それから第二点は、こういうふうに件数がふえていきますと、今申し上げましたように、農林中金、信連、それから全体の一割余りでありますが、地方の銀行を委託機関にして、これは県が指定している銀行でありますが、そういうものを委託機関として貸付をしておりますけれども、その委託機関が審査をいたしまして、最後は東京の本店に書類を送って、本店の最終決定を得て貸付を実行する、こういうことになっております。これももう公庫の業務を開いて相当の年数になるし、件数もふえてきているのでありますから、全部を中央に上げてくる必要はないのじゃないか。従って、現在のあれでは、一件五百万円以下の賞付については、地方で処理さすようにして、そのために支店を開いたらいいじゃないか、こういうふうな考え方をいたしているのであります。しかしさらに、今度の改正の中にあります十八条の二の農産物価格安定のために新規の用途を開く場合については、これに直接貸しの道も開いたらいいのじゃないか。そういう点は、直接貸しをやるのは、なるべく現地に近い所に支店があった方がいいのじゃないか、こういうことを考えております。
この面接貸しの問題につきましては、当初は、少くとも公共事業等につきまして、一定金額以上のものは公庫が直接貸しをしたいというふうな考え方を持っておったのであります。この点は、既存の受託機関の受託手数料をかせぐ分野をそれだけ狭めることになりますので、目下どういう程度までそういう道を開いたらいいかということを、結論を出しておらないのであります。というのは、中金、信連等との話し合いがついておりませんから一件一千万円以上のものにしたらいいか、あるいは二千万円以上のものにしたらいいかというような点、あるいは一体直接貸しを既存の、従来の委託機関を通じてやっておった種目についてもやったらいいかどうかと、そういう根本的な問題までさらに検討を加えようということで、それらの機関の門で相談進行中でありますので、その点は、もうしばらくして最終的結論を出したいと思っております。
そういうふうないろんな事務を迅速にすると同時に、既存の貸付残高の償還についての管理をよくする、こういう点から支店を設置したいと考えているのであります。
お話しがありますように、それによって、何と言いますか、何段階にも事務がなるということは、私どもは考えておらないのであります。一点は、貸付後の事業の管理、一点は、一定金額以下のものは設置する支店で処理して、わざわざ東京の本店までに書類を上げなくても済むようにいたしたい、こういうふうなところをねらっているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/4
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005・北村暢
○北村暢君 大体その事業はわかりましたが、農林金融の全般について言えることですが、今の公庫の支店の四カ所というものが、四カ所だけで簡単に事務の簡素化ができるとは考えられないし、将来この支店がふえる可能性も出てこないとは言えないのじゃないか。私はそのことは、農林中金の支所等、支店等においては、ほとんど全県にわたってありますし、その資金の通ってきますコースというものが、信連に集まった金が中金を経て、支店から信連、単協と、こういうふうに貸付の順がいく。今、いろいろな特殊農協に対しては、信連は貸し付けることができないで、全部これは支店がやる、あるいは関連産業の融資というものは、すべて支所がやる、肥料であるとか農機具の関連産業はやる、こういうことになっておる。従って、信連に集まったものが中金、支所を経て信連に再びくる、このことは資金コストをもっと簡略化する余地があるということが言われておった、これは先ほど申した通りですが、そういうような状態になりかねないのじゃないか、従って、今の農林中金のあり方というものに対して、ほんとうに農民のための金融の制度になっておるかどうかという点について、はなはだ疑問があるわけでございます。特にその中で、そういう機構の点については、これは根本的に考えてもらわなければならないと思うのですが、もう一つは、やはり資金の使い方でありますが、この資料によりましても、関連産業に対する融資というものが、約半分以上というものが、関連産業にいっておるようでございます、最初の、先ほどの図の一番最後の表を見ましても、農林水産業そのものに対する融資状況、融資の金と、関連産業にいっているものとでは、関連産業にいっておる方が多いような状態になっておる、それからその前のページの二ページですか、二ページの資料によりましても、公庫と中金のところの欄にありますように、公庫におきましても畜産企業に融資されておるもの、これは畜産が非常に大きいわけですが、その関係、それから中金におきましても最後の合計のところにいって、やはり相当部分のものが――中金においては約半々程度になっておるようです。それから公庫においても約一割というものが関係企業に融資されておるというような状態になっておる。さらに最近において資金が消化しきれないで残されるような状況、こういうような状況からいって、ほんとうに農民のための金融になっておるのか、なっていないのかという点について、非常に疑問があるわけでございます。その点の説明を一つお願いしたいのであります。
それから先ほど申しました二ページの表の農林関係のところに畜産企業というのが二十四億融資されておる、この内容がどういうふうに貸されておるのか、一つお答えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/5
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006・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ただいまお話の中で、前の質問にも関連しましてちょっと申し上げたいわけでありますが、大体支所を設置しようといたしておりますのは、北海道、東北、それから東京と九州、こういうふうに置かれますが、昭和三十二年三月三十一日現在のブロック別の貸付残高表を見ますと、件数で申し上げますと、総計が十一万三千七百二十六件である、貸付残高が千八十一億八千八百十六万円、こういうふうになっておりますが、その中で件数では十一万のうち、一万三千九百十四件が北海道でありまして、全額は百三十八億八千万円ということになっております。それから東北は、件数は一万八千七百件、金額は百八十九億、関東では一万七千九百件で百五十五億、それから九州では、二万二千八百件で百六十八億、こういうふうに、このブロックに件数なり金額が非常に集中しておるのであります。従って、さしあたりその件数の多い所に支所を設置いたしまして、あとのブロックの状況は、どうせ貸付残高がどんどんふえていきますから、そのふえるに応じて考えていきたい、こういうふうに考えているのであります。従って、支所を設置するのも、大体この中で多いのは土地改良の件数、金額が多いわけでありますから、農地心筋川洲に置けば足りるのであって、それ以上に支所、支店を設置するという意図は全然持っておりません。
さらに第二点の第二表の御質問でありますが、この表は、ちょうど十二月末の残高で整理いたしておりまするので、ただいま御指摘の農中の総賃出残高中、関係企業の貸出残高が非常に多いじゃないか、こういう御指摘でありますが、これは御承知のように、農中に米の代金が入る年末から春にかけてが、非常に余裕金がふえてきて、毎年その余裕金の扱いに困る、それが四、五年ごろからなくなってきて、そうして関連企業の貸し出し等もそれに応じてうんと減っていく、こういうので、これはちょっと申し上げますと、三十二年の六月の状況を見ますと、関係企業に出しているのは、これはコール等の貸し出しも多少あると思いますが、三十二年の六月現在では三百十一億、こういうふうになっております。その点は、時期別の関係で、中金の資金繰りは非常に変化があるということをお含みおき願いたいと思うのであります。結局お話のように、公庫の金は、財政資金をもとにして長期資金を山岸す、これを受託機関がどういうふうに扱うかということで問題は解決いたすのでありますが、中金と信連との関係等におきましては、御指摘のように信連の実力がだんだんついてきておりますから、現在までの中金と信連のあり方でいいというわけにはいかないと思います。これは御承知の通りに、農林漁業金融は、できるだけ安い金利の金がほしいの正であります。しかし、一方から言うと、これら系統の資金のコストは、他の銀行に比べて金利が安ければ、預けにくる人が減るのは当然であります。その関係の矛盾をいかに調整するかということが今後の大きい課題でありまして、その一つの問題としては、運用コストをできるだけ安くしなければいかぬ。そのためには、御指摘の中金と信連との仕事のあり方について十分考えなければいかぬ。それからこれに関連いたしましても、公庫と受話関係の受託手数料の扱いの問題、そういう問題も考えなければいかぬ。それからさらには、先ほど申し上げました生命共済等の共済資金、これの運用も考えなければいかぬ。さらに、ひいては補助金、あるいはいわゆる制度金融とのにらみ合せを考えなければいかぬ。一方では、預かりはできるだけ農家の方に有利のように預からなければいけないし、貸し出しは、できるだけ安く貸さなければいかぬ、こういう最終の命題があるわけでありますから、それに沿うようにしなければいかぬのであります。これは架空的な問題でありますが、現実的な問題といたしますと、もうすでに中金については、ほとんど各県に支所を設置して、相当の人数をかかえておる。従って、もし仕事の調整をするといたしますれば、この職員の配置転換という問題もできてくるわけでありますから、問題は、観念的に理論で説明するようには簡単にいかないのでありますから、少しひまがかかっても、関係機関で十分その点は譲り合って、農家の要求する低金利の金が融通できるようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/6
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007・北村暢
○北村暢君 そのほか農林関係には、この信用保証機能があるわけです。これを見ましても、農業改良基金制度、あるいは有畜農家創設資金融通制度等、まあ五つ六つあるわけです。それに今度また酪農振興基金制度を追加されたわけです。それで、これらには全部理事長がおり何がおり、非常に機構的にいっても輻湊しておると思うんです。こういうことからいっても、これはただでやるわけじゃなしに、やはり相当な人員も必要なんでありますから、こういう中金の問題、あるいは公庫の問題、これに関連する信用保証の機能の問題、いろいろ勘案いたしまして、農林金融というのは、やはり抜本的な金融そのものの改革というものが必要でないか。これはまあ非常に先ほど来言われているところなんです。従って農林省は、一体この問題について、先ほども局長も言われているように、中金と信連の問題、こういう問題についても、早急に結論を出す必要がある、こういうふうなことも言われておるんですが、一体これらについて、ほんとうに農民のための、いわゆる預け入れるときには高く、借りるときには安いという、この根本的な農民の切なる要望にこたえる金融制度というものに、いつごろこれを改革しようとしているのか、このめどについて私はお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/7
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008・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 私の方では問題を二段に分けております。一段は、先ほど説明いたしたのであります。第三段は、ただいま御指摘のありましたいろいろな信用保証制度の問題であります。この信用保証制度の方は、御承知のように、政府は相当の補助を出しまして、この系統金融なら系統金融が、開拓なら開拓、あるいは養蚕なら養蚕の特殊の目的に従って、円滑に疎通するように、何といいますか、特別に力を入れておるのでありますから、この問題は、私が第一段に申し上げました間有の農林中金なり、信連なり、農林漁業金融公庫のその問題を片づけた後に取り上げたらいいんじゃないか、こういうふうに考えております。しかして、その第一段の問題につきましては、これは私、経済局の案は、来年度の予算には、ぜひ間に合わせたいということで、そういう関係もありますので、お配りした資料等も、相当詳しく問題点を取り上げて作っておるのであります。この問題点に従って、どうするかということを、官庁関係機関の間で、至急進めていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/8
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009・北村暢
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、公庫の貸付計画についてお伺いしたいんですが、この提案理由の説明によりますというと、「重要農林漁業施策に即応して、土地改良事業、林道の整備、漁船の建造等農林漁業の生産力の維持増進及び農林漁業経営の安定に必要な資金の融通を行いますとともに一と、こういうことで、こういう重点施策と、こう言われておるんですが、この公庫の融資計画を見ますというと、土地改良において二億三千七百万前年同期より増加、林道においては一千二百万昨年よりも減っておる。漁船が五億ふえておる。ここで六日にふえているのは、自作農維持創設資金の二十五億、それから寒冷地農業振興の七億、こういうものがふえておるんですが、この説明の内容とこの資金の計画とが、私は一致していないように思う。これは一体どういうことなのか、御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/9
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010・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) この説明は、貸付計画の、何と言いますか、重要項目を、本年度の農林漁業重要施策に即応して掲げておるのであります。御指摘の点は、前年度に比べての点だけを御指摘になっておりますが、私どもの方ではそういう考え方でなしに、三十三年度の貸付予定計画の三百七十五億のうち、どういう項目に重点を置いておるか、こういうことであります。日地改良等は、今年度、特に従来に比して非常なウエートを置いた、こういうことでなしに、土地改良等は、引き続き従来から重点を置いておるのでありますから、それはそれであります。しかし、たとえば自作農等につきましては、これは制度ができまして、まだ数年を出でませんから、金額は、私の方では、むしろ一挙にこの倍もほしい、こういう要求を、出しておりましたけれども、しかし、それはやはり貸付計画、自作農等については、農家の振興計画樹立というふうな関係もありまして、むやみに放漫に貸し付けしますと、結局、農家のためによくないというので、現実の能力というものを見てふやしていく、しかし、それにしてもこの問題は、貸付種目の点でだんだんだんだん重点を置いて、前年に比べて二十五億ふえている、こういうふうに考えておるのであります。それから漁船等については一割五分以上ふやしておるのであります。貸付種目の大きいものから拾っていく、こういうように御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/10
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011・北村暢
○北村暢君 時間があれですから、簡単に答えて下さい。私も簡単に質問いたしますから。
次にお伺いしたいのは、三百七十五億の貸付計画に対して資金計画が三百五十五億になっておるように説明しておりますが、この二十億の差はどうしてどこから出てくるのか、御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/11
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012・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは、結論的に申し上げますと、貸付決定額ですね、これだけ貸している、それから実行額との関係であります。貸付決定と実行とは年々ズレてきておりますから、そのズレを勘案して来年にも多小、二十億程度ふやしてもいいのじゃないか、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/12
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013・北村暢
○北村暢君 それから先ほどの土地改良、前年度に引き続いて重点施策になっているのだ、従って、まあ前年度に比較して若干しかふえていないが、これは重点施策になっているのだ、こうおっしゃられましたけれども、実際は、今度の経済基盤強化のための資金及び特別法人の基金に関する法律案、これが出まして、経済基盤強化のための資金が出るわけです。これは六十五億出まして、その利子によりまして、一分五厘の利子の引き下げをやる、こういうことになっておるわけですが、それによりますと、しばしば説明を聞いておるのですが、従来の補助事業は補助事業として補助金は少くしない、それから今度のこの利子の引き下げによる分について、土地改良の飛躍的な事業量の増大を期するのだ、こういうふうに説明を伺っておったと思うのです。私もまた当然だと考えるのですが、それにしては少い、いわゆる昨年も土地改良の特別会計ができて、そして従来十五年、二十年を要していた事業が促進せられて、五年か七年でもって年期にやる、そういうふうに国営事業が進展して参りますというと、それに沿って県営なり団体営の事業も付随して伸びてこないというと、せっかくの経済的な効果というものが上ってこない、こういうふうに考えられる。そうすれば、補助事業並びに非補助の小団地等の土地改良事業、これについても飛躍的に資金が私は増大しなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、それがここに表われておらないのじゃないかというふうに思うのです。この点について、どのように理解されているのか、一つ御説明を願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/13
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014・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは先だって東委員の御質問にもあったのであります。別に一枚刷りの資料を差し上げてありますが、それを見ていただきたいと思います。「農林漁業金融公庫の土地改良事業貸付計画及びその実績」、これによると、三十一年度、三十二年度、三十三年度、こういうふうに書いてありますが、土地改良は、御承知のように、耕地で一般が補助、非補助、災害でこれが補助、非補助、その他が補助、非補助、こういうふうに分れているのでありまして、補助というのは、補助金が交付される事業の自己負担分に対して、その自己負担分の八割に達するまでの分は、この公庫から融資ができる、こういうことになっています。非補助事業というのは、その補助対象になっていない事業に対する融資、これがたとえば三十二年度のやつを見ていただきますと、非補助事業が五十五億の貸付予定であったのが、三十九億しか要求が出ておりません。従って、貸付決定ができなかった。その残りは、一部は補助事業の自己負担分の融資率を上げるというように使いましたけれども、それでも一般としては、当初予定の九十七億に対して八十九億、約九十億しか貸さなかった、これが災害の方は、災害が少かったからよかったんでありますが、二十億予定しておったのが十億、従って、そういう貸付については、予定百十九億が百二億ということになっているのであります。この残額は、翌年度の貸付の方に回された、一部は自作農その他の方に回すことにいたしております。そういうふうな関係になっているのであります。この中で、今度の経済基盤強化に関する法律によって、六十五億が公庫に特別出資されまして、その資金運用部に対する預託利益で五分の利率が三分五厘になるとすれば、非補助のものを対象にいたしているのでありますから、その分が従来とは変って、うんとふえてくるのじゃないか、従って、三十二年度の、五十五億を六十億に増して、おります。これを去年の実行額三十九億に比べれば実際は二十億ふえる、二十億ふえている、こういうことになっているわけであります。従って、その反射的利益として、補助の分がやはりもっと伸びてくるのじゃないか、こういうふうに考えているのであります。従って全主体としては、従来の耕地の一般事業の実績に比べて相当期待してよろしいのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/14
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015・北村暢
○北村暢君 その問題に関連しまして、六十五億六分の利子で三億九千万、これが一分五厘の利子引き下げのために使われるものですね。それの対象の融資額が三十五億、こういうふうに説明されているわけです。ここでいきますというと、耕地の非補助の分が六十億ですから、六十億のうち三十五億だけがこれの対象になる。そうすると非補助の分のあと三十五億ですか、この分は従来通りの五分の融資、こういうことになるのじゃないかと思うのです。そういうふうにしますと、今、経済局長が申しておるように、非補助の分の利子引き下げによる資金需要が非常に拡大するだろう、それは確かにその通りなんですが、それでまかない切れないものができてくるのじゃないか。従って、まあ私はここの前年度においての予定額と決定額との差以上に今年度は予定をしておかないというと、事業を進める上において支障を来たすのじゃないか。これで資金計画が十分なのかどうかという点に疑問を持っているわけです。従って、まあ今説明がありましたのですが、もう少し的確な説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/15
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016・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 農地局長が見えております、その詳細は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/16
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017・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 六十五億の基金を経済基盤関係の法律に従いまして、公庫に一般会計から出資して、この基金を全部資金軍用部に預託をいたしますと、六分としまして、六十五億では三億九千万の運用益が出るわけであります。その運用の仕方は、過般御説明しまして、北村委員の御指摘の通りであります。また、非補助融資の融資をしまする額は、昨年度五十五億でありましたものに対しまして六十億を計上してあります。原則は五分、土地改良基金で一分五厘を低下いたしますと、それは平均的に見れば三十五億ばかり、残りは二十五億円ばかりの非補助事業に対する融資額になるわけでありますが、一方が三分五厘になり一方が五分になるのはお話の通りであります。それが十分であるかどうかは、三分五厘という金利に、非補助融資土地改良事業を、小団地を含めまして、一般的にするかどうかということになるわけでありますが、他方、金利を引き下げる基金がどれだけ予算を確保できたかどうかということと、二つの関係があるわけです。
あとの方を先に申し上げますと、六十五億をこの基金に充てるということです。従って十分ではございません。最初の方について申し上げますと、三分五厘というのは、いろいろ見方があろうかと思いますが、政府金融でありましても、かなり低い方の利率でありまして、政府関係の金融としましても、通常の金利ではない、いわば言い方に語弊があるかもしれませんが、利子に対する補助、補助を加えて利子を低下するものというような性質もかなりあるんじゃないか。基金が少いことに応じまして、その用途は奨励的に、お勧めしたいことなどの方へ優先させるということで軍用を調節するのが、本年度の予算資金関係からは最もいいことだと思いますが、根本的には十分であるかどうかは、金利の体系とか原資のワクとか等、総合的に、さらに初年度の実効を見ましてから研究をするのが適当だと思う発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/17
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018・北村暢
○北村暢君 ちょっともう一つお聞きしたいのは、そういうふうに六十五億の利子の運用によっての、利子引き下げによる事業量の問題なんですが、農地局としては、土地改良事業が、国営、県営のこの土地改良事業、これを促進することをこの前の国会でやったわけですから、これに関してやはり経済強化をねらうために期間を短縮する、そのために非常に事業量が多くなると思うのですが、それに付随する団体営の土地改良事業、そういうものが付随してこないというと、総合的な土地改良事業そのものが推進しない。従って国、営の土地改良事業が進めば、付随するものはやはり資金もふえなければこの目的に合しないと思うのですが、これによるというと、それほどふえておらないというふうに私は感ずるんだけれども、いろいろ使い残しがあるとか何とかいうことで説明されておるんですが、これで目的が達するほど農地局としては十分と考えておられるのかどうなのか、そこのところを、農地局長に適切に答弁していただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/18
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019・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 農地局長としましては、政府の一部でありますが、農地の、特に土地改良事業が適正に行われて、事業が推進することを、専門的に責任的に行いたいと思っておりますので、その見地から申し上げますと、結論を先に申し上げますと、十分ではないと思います。ただ、公庫に盛られまする資金及びその金利の二点がございますから、資金は補助事業に対しましては、その事業というものを、経済局長がさっき申し上げました点にも即して申し上げますと、この事業ないしはこの事業種類は、補助にする場合は補助だけであると、補助にしない場合は全国的に補助にしないということを考えてはおらないのが三十二年度であります。地区に応じまして、事業に応じまして、そのいずれかないしは両方になることがあると思っておるわけであります。この補助がついておりますものは、御承知のように食糧増産費の補助予算に事業のワクがしばられまして、残りの、これに関係しまする公庫の資金は、補助残の事業費に充てる、地元負担等のために低利の資金を先に貸す、こういうところにあるわけでございまして、資金のその分が十分であるかどうかは、補助金とのからみ合いと融資率によるわけでございます。今申し上げました非補助事業としましては、これはまさに融資率が関係いたしますが、おおむね事業費と照応しましたその事業量そのものであるわけてす。そういう意味におきましては、この両者を通じまして二種類、差がございますけれども、過去の二カ年の実績を見る必要もございますし、あわせまして要土地改良面積と、各種の法律その他に基きまする土地改良計画、もう一つは国営、県営につながりました団体営潅排及び耕地整理ないしは小団地工事というものとの一連のことがございまして、数においても量においても日本の土地改良をさらに進めますように、また着手しました事業につきましては、早期完成をいたしまして、その面からも増産効果を早からしめて、事業の経済効果を農民のものとするという必要がございますので、それらの方向の見地から立ちますと、なお改善の余地が非常に多いと思います。その一助としまして、公庫融資に直接には関係ありませんが、土地改良工事持別会計を三千二年度から作っていただきましたので、さらに今回の土地改良基金で国、県営、団体営等を、一貫施行を早く応成するということになるべく重点を置いて充てるほかは、県営事業の補助予算が、国営事業の進度に沿うていない、少いうらみがあります。さらに、着手しないが土地改良を要するという小規模の土地改良事業、団体営潅排事業とか、耕地整理等ございますが、これは総合的に、逐年成案を得まして、先生の御指摘のように持っていくべきだと思います。ことし全部解決がついておるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/19
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020・北村暢
○北村暢君 もう一点。経済局長に今度お伺いしたいんですが、従来の公庫の融資の利子の面ですね。ここに突発的に出た――今農地局長のおっしゃっているように、二分五厘というのは、いまだかつてないわけです。従って、利子に対するまあ補助的な考え方だと、こう言われるわけですが、しかしながら、全般の金利のつり合いからいって、これは農地局長が政治力があって下げたと言えばそれまでかもしれませんけれども、これは、やっぱり金船のつり合いというものからいって、どういうふうに、経済局ではこの二分五厘というものに対して考えているか。造林の一番低利の資金を見ましても四分、こういうふうになっているわけです。これがまあ一気に一分五厘、五分のものを一分五厘下げるということ、このことが、ほかの林業、漁業、いろいろ種類があるわけですが、ての金利のつり合い関係からいって、どういうふうに将来処置されるのか、ての点について見解を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/20
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021・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 先ほど申し上げましたように、私の方ではできるだけ金利を下げたいと、こういう考えであります。で、公庫の金は、お配りしております資金源の表でごらん願いますように、三十三年度で申し上げますれば、産業投資特別会計から八十億、これが無利子である。あとの、資金軍用都、簡易生命保険あるいは郵便手金特別会計の金は、これは五分五厘の利子がついております。従って、それに、回収金ですね。回収金は、従来の昏睡資金源のプールされた金利である。それを見合いまして、その資金コストの範囲内で処理をしなければいかない。それが、現在、公庫の業務方法書――いや、金利はもう法律で最高がきめられまして、そのうちその一部は、その範囲内で、業務方法書の範囲内の金利で貸し付けられると思います。その全体のコストを見ますと、借入金の利息は、全部を平均いたしますと、三十三年度では、今の資金源からいきますと三分五厘二毛になります。これは前年度に比べますと、産投会計からの出資金がふえましたから、前年は三分七厘七毛であったのが、少し減っております。それから、委託費は、一分五厘七毛、前年度の一分六厘七毛より減っております。それから、事務費は、これは支店の設置ということも考えて計算いたしますと、二厘一毛、昨年は一厘六毛と、ことういうふうになっておりまして、これはふやしております。そのほかに、償却引当金だというものを組まなきゃいかない。これを最小限度に見まして、結局五分五厘五毛という資金コストになっておるのであります。この範囲内で処理をしなけんばいかないのでありまして、御指摘のように四分の金、それから土地改良が今まで五分だったわけですが、一般のものは大体七分五厘、こういうふうになっておりまして、大体これで今のコスト計算でまかなわれておったのであります。土地改良を大いに増進しなければならぬ。農業生産基盤の基礎として土地改良を大いに伸ばさにゃいかぬ。その際に、補助金の額をうんと増す方法と、できるだけ低利の金を、という二つの方法があるわけです。そのあとの低利の金を増すという方に、何といいますか、四百三十六億の金の運用益を回そう、こういうことになっておるわけであります。何といいますか、これは金利を下げる一つの手段として使われておると、こういうふうに考えております。もっと根本的に言えば、一番はっきりしているのは、全部政府の出資でまかなってくれれば、あとは委託手数料と事務費だけで済むわけでありますが、そういうかね合せで出てきておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/21
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022・北村暢
○北村暢君 もう一つ。今の経済局長の答弁の中で、土地改良を促進するために、補助でいくか低利の融資でいくか、それで、まあ低利の融資でいった方がいいということで、三分在庫と、こういうふこうになったように聞えたんですがね。そこのところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/22
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023・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) そうは説関していないのであります。先ほど資料に基いて説明いたしましたように、この非補助の分の伸び方が少いから、それを、伸ばすのには――やはり一つの伸びない理由は、金利が高過ぎるところにあるんじゃないか。それで、その問題を少しでも解決したらいいじゃないか、そういう意味でありまして、補助の分は補助の分でどんどんやっていく、非補助の分は非補助の分でどんどんやっていく、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/23
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024・北村暢
○北村暢君 今のその三分五厘という極端に低い利率について、ほかのバランスから考えて、今までは一般会計からの政府出資金というものが非常に多かったんだけれども、これが昭和二十八年ですか九年ですかに打ち切られまして、あとは資金運用部とか、利子のつく金の方が、公庫に借り入れの方が多くなってきたんですね。そういうような点からすれば、どうしても、公庫の資金がそうべらぼうな低利になるなんということは考えられない。もし、将来において政府の無利子の出資が多くなるならいいんですよ。多くなるなら、この利子が下るということが考えられるんだけれども、そうでなしに、資金運用部等の利子のつく金を借りて、そうして公庫が運用をしていくということになるというと、極端な低利のものというのは考えられないわけです。それで、そういう傾向にあるのに、三分五厘というのは、突如として一分五厘下げた結果になったわけですから、これが今後の公庫全体の利子の運営をしていく面において、どういうような影響が起ってきて、そうして将来そういうものがどんどん出てきても、なおかつ低利にやっていくという自信があるのか。そこら辺のつり合いというものを聞いているのはそこなんであって、私も、将来三分五厘などという農林金融というのは、非常に普通の金融と違うのだから……。低利のものが望ましいわけだ、望ましいのだけれども、そういう非常に楽観した見通しの上に立って、こういう低利のものが今度出てきたということについて、将来とも明るい見通しの上に立ってそういうものが認められておるのかどうか、そこら辺をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/24
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025・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは根本的な問題になってくると思うのです。すなわち農業は、これは主計局がここに来ておりますけれども、どこの国でも農業がほかの産業に比べて、普通の利子が払えるという説を持っている人は、おそらくないだろうと思います。ですから、アメリカだってイギリスだってドイツだって、農業に対して補助金を相当多額に出されておるわけです。しかし、補助でいくか低金利でいくかという問題は、これは、そのときの財政状態なり金利の状態で考えられることだと思う。従って、農業金融に対して金利を安くする努力は、これは農業政策としてはどうしても実現しなければならない問題であろうと思います。従って、私どもの方としては現状よりも悪くなるということは、これは絶対にしちやいかぬ、たとえ一厘でもよくなる方向に持っていく義務がある、こういうふうに考えておるのであります。この最近の金利傾向等を見ると、日銀の公定歩合を引き上げましたのを、それを引き下げたらどうか、こういう問題も出ておりますが、これはそのときの金融情勢で金利の関係が違いますけれども、農業金融公庫の方の長期投資の分は、そのときそのときの金利でやられたのでは、長期計画が立たないわけでありますから、長い目で見て、漸次下げていくというような方向に、絶えざる努力を払うべきである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/25
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026・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ここで、前回の委員会において問題となりました海外農業移住の金融に対する政府の方針について、政府の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/26
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027・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 主計局の佐藤でございます。前回この委員会で海外移作の貸付の条件等につきまして、お話があったそうでございます。私、間接にその内容を伺ったのであります。
そこで、私どもの考え方を申し上げたいと思いますが、率直に申し上げますと、従来、移住会社が移住農民に対して金融の便を与えておるその条件については、必ずしも理想的のものであるとは私どもも考えておりません。従いまして、結論から先に申し上げますと、できるだけ誠意をもってその検討をいたしたい、こういう用意をしております。従来、いろいろと問題がありましたのですが、その根本は、移住会社の運営全体の問題、あるいは移住政策の全体の問題と関連いたしまして移生会社というものが、いわゆる金融的な業務をどの程度やるべきであるかという点が、一つの問題点になっております。また、その中におきましても、しからばそのうちで農業関係の移民に対してどの程度の融資を考えるべきか、こういうような根本問題が横たわっております。もちろん、農業関係の収益というものは、一般的に低いということは明らかでございますからして、私たちとしましては、普通の一般的な企業と十分区別して考える理由がある、こう思っております。ただ、また相手国の一般の金利というような事情も、その際に十分に考える必要があろうと思います。また、農業にいたしましても、その土地の条件によりまして相当に聞きがあるように思われます。従いまして、そういうことを十分検討する必要があろうかと思っております。一番私どもが実は困っている問題は、御承知のように現地の通貨立で融資をいたしますのですが、刻々と向うの為替相場が下ってくるわけであります。従いまして、もちろん移住会社は最低限度の事業会社でありまして、どんどん無制限に融資によって穴を作ってもいいというものでない、やはり一定の採算に乗って、今後永続的に運営していかなければならぬ性格のものでありますからして、相手国の通貨の為替相場が下落いたします結果として、寝ているひまにどんどん損をしていく、こういうようなことは非常に困るわけです。中南米方面におきます為替相場は、現在必すしも安定しているとは言いかねるような状態でございます。そのために、私どもは、いわゆる為替上から生ずるところの損失というものを、いかにしてカバーするかという問題が同時にございます。そのために、現地通貨立の融資というものに対しては、どうしても従来積極的に進み得ないいろいろな条件がございます。現地のやみ金利も、従って現実は非常に高うございます。そういうようなものと比べますというと、移住会社の条件というものは、現在のものが必ずしも悪いとは言えないと思いますが、安定した内地の事情から比較いたしますと、なお検討すべきものがあるというふうにお考えになるのは当然だと思っております。私どもは、一定の前提をおきまして、できるだけその問題を頭にもちろんおきますが、一方において農業移民に対してもできるだけ便宜をはかる必要があるという見地で、最大限に条件を検討したい、こう思っております。なお、御承知のように海外移住会社につきましては、それが持っている原資、すなわち財源でございますが、これは政府の出資と米国の銀行からの借入金でできているわけでありますが、米国の銀行からの借入金の期限が従来短いために、どうしても融資の期限も短いものになっておったわけであります。これらにつきましても、今後、財政投融資の際に、一つこの会社のいき方とあわせまして、移住会社に対する財政投融資の額を、できるだけ検討して参りたい。そしてそういう資金源の方も十分検討した上で、初めて条件の改善が考えられる。大体こういうようなことで、この問題はいろいろむずかしい問題を実は含んでいるわけであります。一々十分検討したい。関係方面である外務省あるいは農林省という方面ともよく御相談を申し上げまして、そうしてこの問題に対処して参りたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/27
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028・東隆
○東隆君 今のお話では、私どもの期待しておったところは一つも満足されておらないのです。委員長どういうふうにお計らいになりますか。(「そんなことではだめだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/28
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029・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) どうもあまりごたごたと並べたのでかえっておわかりにくかったのだろうと思うのですが、外務省とも相談いだしまして、現在の条件をできるだけ改善したい、ただ、具体的に十分のデータがございません。そこで、それを一つ十分に検討して、どの程度に金利をきめるべきかということを、一つこれから十分検討して、できるだけ改善をしたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/29
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030・東隆
○東隆君 私はこの間の委員会で、お答えを願う範囲は、もう少し具体的なものがここに提示をされると、こういうふうな了解の十に進められておったと、こう思うのですが、委員長は、今の程度のものでようございますか、重ねて私は委員長にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/30
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031・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 私は、本日大蔵省から来ていただいたのは、そういう具体的な数字とか何とかという、そういうことを御答弁を願うと思っておらなかった、それから前の委員会でこの問題が出ましたときに、そういうことだと、ただ方向を大蔵省はどう考えておられるかということを明示していただくと、こういうことであったものと考えておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/31
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032・東隆
○東隆君 みんなXYZで、お話しになったことは、これは具体的なものは一つもないわけです。それで、原資が高いということ、原資が短期間でそうして高くなるということは、これはもうわかり切っておる。金利が高いということも、それから期間も短いということも、これもはっきりしている。それから為替の差損ができるということも、これもはっきりしておる。そういうような前提のもとに、移住局長は三分という数字を出されておる。あの話の中に、三分五厘ぐらいにしなければいかぬのじゃないか、こんなお話もされておるのですよ。そこで、私はもっと具体的なものが得られると思って考えておったのですが、大蔵省省の方では、移住局の方と御相談になりましたか。ここでお話しをされるのに、移住局長とお話しをされてここにおいでになりましたか。それとも、ただ大蔵省のお考えを今お述べになったのっですか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/32
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033・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) もちろん移住局の意見は、私どもの方にも十分参っております。ただ、まあ今申し上げましたように、為替差損はわかっておると、原資は期間が短い現状であることもわかっておると、こういうお話でございましたが、そういう点がなかなかむずかしい問題であるということも、また明らかだと思います。そこで私どもとしましても、できるだけこれを改善しなければならぬ、こういう方針を持っておるわけであります。どの程度具体的にするかということは、これは十分データによって見てきめるべき問題だと思っております。外務省においても、まだ必ずしも十分なデータをそろえておるわけではございません。一応の感じを、あるいは移住局長がこの席で申されたかと思います。しかし、それは現在きまったというような問題でもございませんし、そういう点を十分検討したい、全正体の方向としてできるだけ改善するべき方向に持っていきたい、こういう十分な私たちは気持を持っておるからして、今、もちろん具体的にどうという数字を申し上げる段階にはきておりませんけれども、その点は御了解願いたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/33
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034・東隆
○東隆君 私は重ねてお聞きしますが、農林省とそれから外務省と大蔵省と、もちろん最高首悩部でお話し合いをするというようなことにはならぬと思います。私は、そのことは了としますが、しこし、ここに御答弁をされるときに、もう少し具体的なものが出てこないと、非常に審議がしずらくなると思う。私は速記をごらん下さればわかると思いますけれども、もっと具体的な三者の話し合いでもってお答えを願うようになっておるつもりでおります。それで、おそらくお話し合いをしないで、そしてお答えになっておるものだと思いますが、そうでないと、その程度以上に出ないのじゃないかと思いますが、どういう経過になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/34
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035・永野正二
○政府委員(永野正二君) 一昨日お話が出ましてから、実は三省で寄り寄り相談をいたしたのでございますが、移住者の金融につきましては、いろいろ移住者の移住の形によりまして相違がございます。たとえばアマゾン方面の国営の入植地に入るような場合、それからこの間お話の出ました割合に条件のよろしい、あるいはコーヒー園の跡地に入って近郊的な農業を営むというような形とか、あるいはすでに入っております移住者の所に雇われます雇用移民になりまして、その雇用移民が数年の後、自作の土地を得るための資金が要るというふうに、いろいろな形がございます。従いまして、これらのいろいろな営農の条件に伴いまして、それぞれの金利なり償還条件をどうするかということの資料が必要なわけでございます。これにつきましては、なおいろいろ外務省、農林省の方でも大蔵省の方に御相談を申し上げなければならぬ点が残っておるのでございます。従いまして、最終的に、今日移住者の金融については、金利を幾らにする、償還期限は何年にするということを、確定的に申し上げる段階に至っていないというのは、まことに残念でございますが、この点は、こういう事情があるのでございます。要するに、われわれの従来の相談の結果、この際、根本的に移住金融について画期的な改善を加えるという方向で検討を進めるということについては、はっきりした了解ができたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/35
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036・東隆
○東隆君 アマゾン地帯、あるいは雇用移民といいますか、それから都市近郊に移住をする、そういうような場合における条件が非常に違う、こういうようなお話がありますが、もちろん土地価格の問題その他の異同がありますが、しかし、土地を取得する資金というものは長期でなければならぬし、そうして金利は安くなければならぬし、それから相当な額でなければならぬし、いろいろな条件は、これはさまっておることなんです。都市近郊の場合には、非常に額がふえて参りますし、従って、それを支払っていくのには、やはり相当な収益を上げなければならぬ、こんな問題もみんな間連をしてくるわけなんです。だから低下するというめどくらいははっきりして、そうしてどれくらいの長さでもってやるか、そういうような、やはりある程度抽象的でも、はっきりさせぬければ、非常にむずかしいんだ、むずかしいんだといっておやりになったのでは、私、お話を聞いたのでは、何も解決にならぬと思うのです、そうじゃないですか。今お話しになったことは、みんなむずかしいことで、そうしてみんなで一生懸命にやるのだ、それから振興局長の力では、材料がないから、調査をしてやるのだ……、しかし、そういう事情はもうおわりかになっているはずです。そうしてもう事態が非常に困難になってきているのですから、私は、そういう点で、もう少しはっきりさせる必要があると思う。しかし、今の段階でなかなかはっきりさせることができないというのでしたら、私どもは、やはりこの法律を審議するときに、実のところを申しますと、移住者に対する資金を何とかしなければならぬという付帯決議もついているし、何とかして融通ができるような、そういう措置を講じたい、こういう希望があって、いろいろお聞きをしているのですから、そういう点をあわせて一つもう少し政府の態度をはっきりしておく必要があろうと、こう考える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/36
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037・北村暢
○北村暢君 関連して。合、東委員から指描されておりますように、この前の委員会の論議から見まして従来の移住会社のあり方というものは、農業移民的な色彩が非常に薄かった、こういうことを痛切に批判されて、しかも資金が年利率八分、二年据え置きの三年間の償還、これがまあ移住前。現地においては八分の三年ないし六年の償還期間、こういうことになっているのですね。そういうことでは、現実に行なっている内地の農地、あるいはこの農地の造成、その他によるこの国庫からの融資が年七分で、十五年間の償還で五年担え置きと、こういうものと比較して、非常に隔たりがあるわけです。そういうことですから、移住会社の金融そのものが、いろいろな前提条件はあるのでしょうけれども、農業移民に合うような金利なり、償還期間になっておらぬ、農民金融になっておらぬというのが、もうはっきりしていることなのですね。そういう中から、まあこんなものにたよれないと、こういう移住会社なんというものにたよれない、だからもっと抜本的に、せっかく出ていく人のために、国内でもって公庫なり何なりで融資して、もっといい条件の営農のできるような資金にしてやるべきだ、それが今度の公庫法の改正に関連して出てきた問題なんだ。従って、そういうあたたかい気持の移住の農業移民的な金融というものが考えられない限りは、これはちょっと納得しかねるのです。その方向が、何んぼにして、何年据え置きというようなことは言明できない、これはまあ検討中だから言明できないと。それは、その通りだろうと思う。しかしながら、少くともいろろな例というものがあるのですから、そういうものについて、どの程度にする目途でもってそうして努力をするのだというようなことを言われない限り、この問題はちょっと紛糾するのですよ。移住会社のことが抜本的に改革されて、ほんとうに農業移民に適するようなものにならない限りは、これによって改正しようというところまできているのですから、そういう状況というものを勘案して言明をしてもらわないと、ただ単に改良するつもりですとか、というような言明では、にれはしたもしないも同じようなものなのです。先ほどから東委員がしつこく言っているのも、その辺にありますので、しかもそれの大きなネックは大蔵省だと、こう言われている。端的に言って、外務省も折衝はするのだけれども、大蔵省が認めぬと、こう言っているのだから、当の責任者の大蔵省が来たのだから、そこら辺のところ、三者で協議したのなら、はっきり出してもらわないと、ちょっとこれは困るのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/37
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038・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 今の御質問、よく私にも御趣旨はわかります。外務省の立場としましては、まあ私どもいろいろお話をしておるのですが、もちろん安ければ安いほどよろしい、こういう、人体大きな考え方の方向として、そういう方向で話をして当っておるので、大蔵省がネックだとかということでなくて、私どもの方としましては、現実にほかの方とのバランスもとりながら、十分合理的な線をきめたい、こういう考考え方で、今データを集めて、そして検討をしよう、こういうわけであります。
それて、まあ今答弁が非常に抽象的であったというお話でありますが、大蔵省としましては、改善をすると、こう申し上げているのでありますからして、当然責任を持って、できるだけ現状よりもいいものにしたい、こういう点だけは、一つ御信頼願っていいと思うのです。ただ、どの程度のラインにするかという合理的なラインを検討しておる。それではあまりに抽象的だというお話でございましたが、一番手っ取り早いお答えの仕方ですと、たとえば円建の融資、すなわち内地において移住者に対して貸す場合でございますが、これにつきましては、たとえば内地における公庫の融資条件というようなものを十分参考にして、そしてそれと隔たりのっあるようなきめ方はできないと思っております。一方において、もちろん公庫の融資には、それを、その債権を確保するはっきりした条件を同時に備えておるわけでありますから、そういう貸したものが、債権が確保されるという条件さえ具備しておりますれば、同様に、できるだけ公庫と同じような考え方でもって臨んでいって差しつかえないと思います。ただ、現地通貨建になりますと、おっしゃるように、どんどん向うが為替が落ちていくということになりますのと、それから現実にも、ただいまのような条件でも、申込は殺到しておるのであります。まあワクの関係等もございまして、十分ではございませんが、そういう点がありますからして、必ずしも現地通貨建の貸付となりますと、内地と形式上そのまま比較するということは困難なんでありまして、たとえば貸した金の債権にいたしましても、今後、私どもは、できるだけいわゆる組合組織といいますか、そういうものにいたしまして、そして相互保証の道がどんとん開けてくる、そして貸付が円滑に行われるようになるというようなことを望んでおりますが、それには、やはり現地のいわゆる農民のあり方というようなものも同時に十分検討いたしまして、そして融資にたえ得るような基礎を作っていってほしい。
それからまた現実には、そういうふうに通貨が下って参つりますために、やみの金融は現地においては相当高いものになっております。それで、安定した経済界である内地の融資条件と、形式上そのまま同じものであるのがいいかどうかということになりますと、相当これは問題がございます。そういう点を実は十分データも取りたいと思っております。
それからまあ向うにおける農業の収益性、これはずいぶん土地によっても違うと思いますが、そういう点もある程度検討しなければならないということを、実は申し上げたつもりでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、一番比較のしいい内地の場合で申し上げれば、この移住者に対する条件というものが、ほかのものよりも苛酷なことがあってはならぬと思っておりまするからして、できるだけ公庫の条件等を参酌して、そうしてそれに近い線でいきたい、問題は、現地通貨建の融資条件をどうするかという、これは非常にむずかしい問題でございますので、これを十分に検討して参りたい、こういう気持でおります。現実の実際問題といたしましては、私は、重点は、むしろ金利よりも償還期限にあると思っております。金利水準はそれほど高いとは思っておりませんけれども、これも十分検討いたしたいと思いますが問題の重点は、償還の期限が短か過ぎるんじゃないか、農業の融資というものは、こんなものであるべきじゃないというお気持は、私もよくわかります。それには、そのもとになるところの会社の原資というものを、できるだけ長期の金を会社自身がまず持たなければならぬ。それについて、今後一つわれわれもできるだけそういう考え方で臨みたい、こういうことを申し上げたわけでありますから、御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/38
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039・東隆
○東隆君 期限の延長はわかりました。そこで、金利の問題ですが、やみの金利が相当高いだろうから、それであんまり問題じゃないんだろう、こういうお考えですが、公庫の方では最高が七分なんです。それから移住会社で出されておるのは最低が八分以上なんです。そこで、金利の問題は、これは最高と最低が違っているのですから、これはもうてんで問題にならぬ、金利の問題は。それから長期になればなるほど金利を低下してもらわなければ困る、土地のような問題は。そういう関係は、今、期限の問題についてのみお考えを述べられたようですけれども、利率の問題は、これは、もし現地の財界のことが御心配ならば円建でもって貸して、そうして時価にそれを換算して払う、こんなようなことにした方がいいんじゃないか。そういうような関係を考えて、金利を十分に一つ考えていただきたい。これをつけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/39
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040・戸叶武
○戸叶武君 衆議院の農林水産委員会における付帯決議を見てもわかりますように、海外農業移住者に対する国の施策は、はなはだ不満足な状態にある。このことは、今大蔵省側の答弁にいても率直に認めて、それで、これを何とかしなければならぬというのが、移住会社を通じての金融の問題なんかにしぼってきたようなんですが、それには、やはり委員長はこの方向を明示してくれればよろしいというようなお話でしたが、方向を明示するのには、政府のやはり基本的態度というものがはっきりしないでは、方向が明示されてこないので、大蔵省の人の答弁も非常に骨を折っている点が非常にわかるのです。しかし、今政府がこの際画期的な移民政策を樹立し、もって農林、外務両省間の所管事項の再調整をはかるとともに――といっても、そういうように打ち出してきもしない段階にあると思うのですが、問題は、もう少しこの移民問題に対して、外務省、大蔵省、農林省、この問の打ち合せを、もっと十分なされてもらいたいというのが、各委員のやはり要望だと思います。これは、移民問題に農林水産委員会がタッチして以来の基本的な考え方を、政府は、から念仏で聞いている。これは単に外務省と農林省の所管争いだけでなくて、これは戦前からあった問題なのであって、もう一つは、大蔵省が金を出す方に、移民の問題に対して一つも脱出を今こまで使っていないのです。それで、外務省に政治力がなくて、移民々々といっても、予算の裏づけがなくて何ができるのだということで、まことに外務省としては政治力がないので、何とがして国会の方でとにかく力を添えるようにして、大蔵省の方にたきつけてくれ、われわれは外務省の方から、実際野党だけれども、ひそかに頼まれて戦っている。それは予算委各員会においても率直に私たちは言ったけれども、大蔵大臣はびっくりしている。びっくりしているが、外務省は本気になって戦っていない、農林省はこれを応援するすべもない、外務省の非常にお座敷芸でもって移民問題というものは停滞した状態で今日まできているのだが、この今度の三十三年度の予算においてもそうでしょう。日本の移民は、中南米に対して一万人ないし一万四千人くらいの計画ですか、立っている。イタリアは外務省側の資料によっても明らかなように、三十万人の長期移民計画を立てている。そうしてこの外務省予算の移住振興に必要な経費というのは、わずかに九億三千百四十七万四千円しか取られていない。これは一万人の渡航費貸付金であって、その現実的な内容というものは、それに喫するものは六億五千三百二十六万七千円、こんな状態で、裸移民ですよ、日本の移民は。これはみすぼらしい昔の満州移民という時代ならいざ知らず、戦後の日本のように裸移民を海外に送っている国はどこにもない。そういうような問題は、移民というものを非常におざなりに、外務省が外国に物を運ぶような考え方でもって、生きている人間をそこに植えつけていくということで、愛情を持たずして、予算関係の折衝なんかやっているから、こんな裸移民を送り込まなければならない状態になっている。これには、もっと私は今までの長い経験を持っていた農林省なり何なりと、基本的に外務省というものは話し合い、大蔵省にも立ち会ってもらって、ただ金を出すとか出さぬというような形ではなく、日本の今後の移民政策はどうあるべきかという問題を、もっと検討してかからなければ、国策にならぬと思うのです。もうこういう問題が一つもはっきりしていない。ただもに、これは内地のまるで小団地の問題のように、利子の問題はどうのこうのというだけできたのでは、私たちは、末端的な政策としか受け取れない。やはりそういう点を、幾らかでも今までの考え方を変えて、もっと緊密な連絡を外務省なり大蔵省なり、農林省がやって、この移民に対して当面の金融問題に対してもやってみるという態度を明らかにされないで、抽象的なことを言っているから、東君のようにやはりある程度助けなければならない。もっとはっきりしろ、これに対しては今までとにかく具体的に大蔵省はいかなるただ何とかしなければならぬという大蔵大臣の命令でこういうふうな抽象的な答弁をやっているのい、それとも、ほんとうに農林省なり外務省なりと話し合って、そうしてきょうこの委員会に臨んで来ているのか、それを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/40
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041・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 先ほど来お話しになっておりました条件の問題につきましては、申し上げましたように、検討中でございますので、具体的な数字を申し上げる段階にはなっておりません。しかし、たびたび申し上げましたように、私たちはこれを改善する必要があるということを十分認めております。
それから移住政策全体のお話がございまして、これはあるいは外務省からお答えすべきことだと思いますが、大蔵省の立場れら申し上げますと、私ども率直に申し上げまして、必ずしも現在の状況が満足すべきものと思っておりません。しかし、いろいろむずかしい問題があるように感じておりますからして、大蔵省としましても、一つ一つむずかしい問題を片づけていくべきであろうかと思っております。特にただいまの議題に関連のある移住会社の運営の問題等につきましても、深い関心を持っております。どういうふうにしたらば、円滑に運営をして目的を達することができるか、そういう点についても、われわれももっと研究したい、そういう意味で外務省、農林省、大蔵省、そういうような関係のところで、できるだけ近い機会に現地へも一緒に行って十分研究もしたいというようなことまでも、ある程度考えようとしております。まあ今のままでは、移民問題がどっちつかずに身動きならないような状況にあるように私どもも実は感じておりますからして、できるだけこの御希望に沿うように、政府の中で検討したい、また検討ということになるので申しわけありませんが、そういう気持でやっておりますからして、御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/41
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042・粕谷孝夫
○説明員(粕谷孝夫君) ただいま戸叶委員の御指摘になりました点でございますが、あるいは外務省がこれまで移住問題につきまして非常に努力はいたしておるのですが、十分な、決してわれわれも満足しているわけではございません。大いに努力をいたしており、今後も十分に努力をいたしたいと思っております。一時いろいろ農林省関係その他のこともあったかもしれませんが、われわれといたしましては、特に農業移住者が多い関係でございますので、農林省と緊密な連絡をとってやっており、また、大蔵省ともできるだけの連絡をとってやつて、協力一致移住政策というものを進めていきたいというつもりでやっておる次第でございます。ですから、その点一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/42
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043・戸叶武
○戸叶武君 大蔵省の人が言うように、移民関問題にはなかなかむずかしい問題がいろいろあるので、その一つ一つを具体的に片づけていれなければならないでしょうが、一番問題になっているのは移住会社そのものの実体にもっとメスを入れなくちゃならないのです。現地の人は、外務省なり何なりに遠慮があるので、ほんとうのことを言えないで、ほんとうのことはわれわれに言っているのです。ひどいのです。人的な構成でも金の貸し方でも、でたらめなんです。外務省のやる仕事でもって、この事業未関係においては、能力がないのじゃないかと思われるほどでたらめがやられている。そういうところに大蔵省だって金を出し渋るのは当りまえなんです。そういう杉をいいかげんにして隠蔽して、ごまかしていくことができるようなやり方というものが、移民問題を停滞さしている基礎であるし、大体予算要求をやっても大蔵省に削られるのは、そういう弱いしりがあるからです。で、こういう問題は、私たちは当初から心配して、そうして今までいろいろな経験がある農林省側とも、とにかく連絡をとり、それから移民関係に対しても経験のある練達の士を採用して、官吏の古手や飲んだくれやインチキ山師というような者をとにかく動員して行ったのじゃだめということまでも、きびしく口をきわゆてやったのです。言うことを聞きやしないのです。これは、現地に行ってよく検討して調べるということですが、ブラジルあたりから来た人でも、こっちでほんとうのことを言って政府の人に意地悪るされては困るからといって、ほんとうのことを言えないで、われわれに訴えているのです。これはほんとうに私は役人だけを何べんやっても、何をなれ合いの仕事をやってくるか、今までの経験では、わからないのです。それから移民関係のいろいろな古いボスを動員して、幾だびか南米その他に往来をしておっても、つも成果が得られない。私は、こんなことが足踏みをしていると、日本の移民というものは出先の方からくずれて、こじれてしまって、順調な伸び方ができないのじゃないか。この際、私は大蔵省に非常にお願いしたいのは、いずれにしても金は出してもらいたい。金を出すと同時に移住会社や何かの運営、経理の問題、そういうような問題に対しても、所管外と言うかもしれないけれども、何らかの形において、もっと今までのような悪評が立たないような、一つの監視なり監督なり、どういうものがこれを責任を持つかというような点も考えてもらわなくちゃいけない点が一点。
それからもう一つは、やはり金融の問題で、移民は現実において大部分が農業移民である事実に沿うならば、日本内地におけるこの農業政策の線に沿うての農民に対する金融というものが、どういうふうになされているかということがわからないはずはないのです。それとこの移民との間の差別感、ギャップ、こういうよつうなものが平気で今日まで持続さ回ているのは、農業政策と結びついた移民政策というものに何つら考慮が払われていない結果からきているのだと思うのです。そういう関係を、私は、外務省、農林省並びに大蔵省から、おのおの答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/43
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044・粕谷孝夫
○説明員(粕谷孝夫君) まあ会社の運営の問題につきましては、いろいろ問題もあると思っておりますが、われわれとしましても、現地の方も監督を厳重にすると同時に、この点につきましては、今後におきましても一そうの監督を厳重にして、運営をできるだけまあ移住者の気持に沿うようにするため、一生懸命努力をいたしておる次第でございます。この点につきましても、もちろん農業関係の農林省、あるいは特に資金の関係に関係あります大蔵省とは、一そう緊密なる連絡をとっていきたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/44
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045・戸叶武
○戸叶武君 まあ農林省が答弁する前に、外務省にもう一つ注文をつけておきますが、今までこの移住会社の間正題は、われわれも現地に行っていない。で、現地の人の訴えだけではなかなかわからない。少くとも外務省の責任において、今こまで移住会社がいろいろな非難をこうむっているが、どういうところに問題点があるか、どういう問題を起しているか、そういう問題を詳細に、今までの経緯の資料を、私はやはり農林委員会に出してもらいたい。そうでないと、ほんとうに検討ができない。何しろ南米のことなのであって、来ている人も歯に衣を着せたような形で、訴えんとしても、訴えたことを、だれの日から言ったなんていって、外務省のっ連中に意地悪るされたら、現地に帰って困るというような、そういう不中安感もあるような状態なんだが、十分監督するというが、監督する前に、今こまでだらしがなかった移住会社はどういうふうになって、どういうふうな建直しを今やりつつあるということを、一般の人がわかるような形の資料を提供してもらいたい。これは今後に問題が残っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/45
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046・永野正二
○政府委員(永野正二君) 最近の南米方面の事情を考えてみますと、ここ数年、今こ後十年ぐらいの間が、日本の農業移住が先行き伸びていくか、あるいはこれがじり貧になるか、その分れ道になる非常に大事な時期だと考えております。従来、農業移住につきましてのいろいろな外務省との所管の関係の問題等もございましたが、移住に関係いたしますたとえば海外協会のあり方、あるいは移住振興のあり方というようなものも、この関係では一つの大きな問題点であると存じております。私どもといたしましては、従来も努力をいたして参りましたが、今後は一そう、ただいまのような情勢でございますので、これは単に各省の立場だけでなくて、各省を通じた一つの一貫した態度というものを早くきめまして、それに基いておのおのの役所がそれぞれの仕事の分野に応じまして最善を尽すというふうなことにいたしますように、これは農林大臣もそういうふうなお考えをはっきりと私にお示しもございましたような次第でございますので、その意に沿いまして、今後も十分努力いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/46
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047・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) まあ移民政策は外務省、あるいはそれと関連して農業政策の一環としての農業移民については農林省において、十分御検討の上土、立案をせられることと思っておりますが、大蔵省の立場といたしましては、できるだけ一つ御協力を申し上げていきたいと、こう思っております。まあ一つ一つ片づける、いろいろな問題があると思いますが、できるだけ実効の上るような方法になるならば、私たちとしましても、できるだけの御協力を、申し上げたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/47
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048・粕谷孝夫
○説明員(粕谷孝夫君) 少し前の私の答弁を補足さしていただきたいと思います。実は、この会社の経理の問題につきましては、当方におきましても研究してやっております。また、毎年会計検査院の方でも検査があるのでありますが、全然不正というようなことはないということがわかっておるのであります。それから会社の評判が悪いということは、われわれも耳にいたします。また、この点の改善方については、十分努力いたしておるのでありますが、一番問題は、ただいま問題になりましたような会社の業務が進まない、あるいは貸付その他の条件等がきびしいというようなことが、非常に大きい原因の一つではなかったかと思うのでございます。この点につきましては、先ほどから話がありましたように、大蔵財政当局の方も改善に賛成でございますし、農林省の方も十分に御協力を願いまして、大いに今後会社の仕事が進むように努力いたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/48
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049・柴田栄
○柴田栄君 議事進行について。一つ懇談するため、速記を少しとめて………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/49
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050・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記中止。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/50
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051・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/51
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052・東隆
○東隆君 私は、この公庫法の改正に関連して、金融公庫法の第一条と第十八条に関連してお伺いをしようと思うのですが、改正は、第十八条の一として新しい貸付先を決定する事項が入ってきているわけです。それで、この第十八条の二は、これは農林漁川業者に対して資金の融通をする、こういうことになっておらないわけです。で、おそらく農林省が目的としておるところは、産業資本家の構成するところの会社にも融資の道を開こう、こういうことになっておると思うのです。そこで、この農林漁業金融公庫法の第一条の目的から考えて、この業務のところでもってこういうような規定をしておいて、そして農林大臣に権限を与えて、そして金融の道を開くようなやり方ですね、これは法制局としては、こういうようなやり方は、レギュラーなやり方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/52
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053・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) お答え申し上げます。
この十八条の二は、確かにここへ書いてあります通りに、「農産物価格安走法第二条一項に現足する農産物等を原料又は材料として使用する製造又は加工の事業」、それが当該農産物等につきまして新規の用途が開かれる、それで当該農産物等の消費が拡大されると認めら回るものを営む者に対しまして、貸付の業務をいたすことになりまするから、十八条の二で貸付をいたす先は、確かに会社が対象になるとは考えられるのでありますが、第一条の目的、この農林漁業金融公庫の目的は、「農林漁業者に対し」とは書いてありまするが、結局におきまして今この十八条の明文から考えますると、農業の生産力の増強に役に立つという意味で、実質的にはその目的に包含されると思うのでございます。それで、それはレギュラーなやり方かどうかということが御質問の中心点になると思いまするが、実質的な大きな趣旨が変らない限り、これを、実質的に合うような目的を、いわば付帯的に、付随的に各条に書くことは、必ずしもないことではございません。これは非常に質的なものをやりまする場合には、目的の条文の改正をするのが当自然でございまするが、結局、大きな目的に合致しながら、実質的にはその目的に今合致しながら、付帯的にそれを限定的にやるというり場合に、目的条項を変えないで、そのまま書くこともございます。まあ実は法制局でもこの法案が参ったときに、この点一応検討いたしましたのでございまするが、結局、農業の生帝力の増強ということに役立つ、そういう仕事というものは、農林省の仕事として考えられまするし、それで、この農林金融公庫の一条の目的に、実質的には矛盾するものではないと思いましたので、目的各項の方を改正しないでお出し申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/53
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054・東隆
○東隆君 今の答弁は、問題になったが、農林省の方から申し出があったので、生産力の増強、それと実質的には同じことになる。だから、これを法制局としては認めたのだ、こういうお話なんですか。私は、この農林漁業金融公庫法の成立ですね、そのそもそもの大前提です、それをはずして、農林漁業者以外の産業資本家に道を開くことは、これは非常に大きな間違いだろうと思う。こんなことをやっていったら、これはもう片はしからいろいろのものが出て参ります。ことに農産物の価格安定法に規定されているものは、澱粉を使おうとしているわけでしょうけれども、澱粉以外に大豆もありますし、菜種もありますし、いろいろなものかある。今後、私どもはこの中にいろいろなものを入れていこう、こういうことを考えておる。そうすると、それによって、それを、原料にして新規産業をどんどんやられたら、また産業資本、どんどんそっちの方面に出さなければならない。農林大臣に圧力を加えたら、すぐ今度はそっちの方面に出すという道が開かれておる。だから、農林大臣が命令をすべき範囲でないものに道を聞いたのですよ、ここでは。それが法制局としていいですか。私は、第三部長が経済立法、こういう方面でもって非常に明るい人だと思いますが、私は法律をやりませんから常識的な人間だけれども、しかし、ここで目的外のものに出す道を開いて、そうしてそれを農林大臣の委任事項とする。そういうのは大きな間違いだろうと思う。やはり第一条の目的のところに、自作農維持創設資金のこの中に入れて、農産物価格安定法の第二条云々というのはこの目的のところに入れて、そうして限定をしてやれば、あるいは私は多少考えられる面があるけれども、こんな目的外のものに出してやるようなことをやっているし、これを業務でもって規定しておいて、そうして今度は金融公庫の業務方法書でもって、中身は農林大臣がみなきめるのでしょう。そうすると、どういうことになってくるかというと、どんどん別な方向に金が出ていく。そういうものを法制局でもって簡単におきめになるのは、私はおかしいと思う疑問があったという、その疑問の点を一つお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/54
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055・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) その対象は、たしか、字づらからいくと問題になりました点で、実は問題にいたしたわけでございますが、十八条の二に書いてありますのは、「当該事業により当該農産物等につき新規りの用途が開かれ、当該農産物等の消費が拡大されると認められるものを営む者に対し」、こういうふうに限定しておりますので、これが農林政策、農林漁業の生産力の拡大という範囲に入るというように理解されましたので、一条の目的条項を変えなかった、こういうふうに申し上げたと思います。それで、確かにこの対象の先になる会社がどういうふうな経済的性格を持つかということは、一つの問題になりますとは思いますけれども、こういうふうに限定された場合のものに対して資金を貸すということは、農林省所管の公庫でやって少しも差しつかえないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/55
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056・東隆
○東隆君 私は、あなたと問答してもここのところは解決しそうにないですから、この点でそこのところはやめますけれども、レギュラーなやり方ではないですね。目的を改正してやるのが本則じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/56
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057・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 例のないことではございませんこです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/57
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058・東隆
○東隆君 それでは例を一つ教えて下さい。この金融公庫に関連して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/58
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059・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 今ちょっと調べましたところでは、住宅金融公庫法に例がございます。住宅金融公庫の目的は一条に掲げてございますが、この業務の範囲の方で、十七条の八項というのがございまして、そこでは「土地の取得、造成及び譲渡並びに住宅の建設及び譲渡」、こういうのを公庫の業務として入れておるのでございます。これはここに書いてありますように、住宅金融公庫は「住宅の建設に必不要な資金」の融通でございますか、それから保険。そういうふうな一条の目的とするものに、直接文言的にははずれるわけでございまするけれども、実質的には、一条の目的に包括されるというので十七条の八に一号、三号として起してございまするがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/59
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060・東隆
○東隆君 私は住宅金融公庫法をあまり見ませんが、これは貸付先が限定されているのでしょう。これは目的のところで、「農林漁業者に対し、」とその農林漁業者は、農林漁業者の作っている法人にまで、そこは伸ばしてある。ここへ大きく限定をしてあるからこそ、農林漁業金融公庫になっているのですよ。産業、ものをこしらえる会社にそこから資金を出さなくても商工金融公庫があるのですから、そちつらの方からお出しになるのが当りまえじゃないんですか。ほかにないなら別ですよ。どうですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/60
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061・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) それは確かに、その第十八条の二の貸付対象になっているところのものには、ほかの金融機関からも貸せるようにはなっているわけでございまするが、実際上の金融の実態から申しまして、農林中央金庫、その他一般の金融機関が融通をすることを困難とするものでありますれば、そういうものの事業が伸びませんと、結局において、それはこの「農産物価格安定法第二条第一項に規定する農産物等を」生産している農民の方が困る。その生産力が伸びないという関連になっておりますので、第一条の目的には、実質的には会合っている、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/61
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062・東隆
○東隆君 工業生産物に大ていなるんですがね、農産物は……。農産物は原料を供給する産業です。だからその意味において、農産物を原料にして使うものは、みんな農民に関係がある、こういうふうに広義に解釈されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/62
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063・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) まあ非常に広義に解釈されるかというと、そうではないとお答えした方がよろしいと思うのでありまするが、結局、程度の問題と思いますが、「農産物価格安定法第二条第一項に規定する農産物」というものは、これは非常に農炭物においても重要なる農産物だと思いますし、これを生産していく農家にとっては、非常に経済的に利害関係のある農産物区であうと思います。そういう意味で、農産物を加工するものは何でもと、こういうふうに言われますと、それは否定的なお答えをするのが正しいと思いますが、非常に農民にとって関連の深い工業というものは、本法の中に入れてもよろしいと、こういうように申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/63
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064・東隆
○東隆君 農業者に非常に関連が深いと、こういうのですが、法律の条文を解釈すると、生産力の増強なんですよ。いいですか。農産物の価格安定法というのは、これは価格の安定なんです。流通部面なんですよ。いいですか。流通部面を問題にして価格の安定を考えている。いいですか。だから生産力の増強という問題に持っていくためには、間接の間接の形になってくるわけです。だから法律が非常にその間接のことをいろいろにそれも関係がある、関係があるといって伸ばしていったら、それは際限がありませんよ。だから私はこの住宅金融公庫の場合には「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な」云々、こういうふうに害いてある。そして貸付先は国民大衆という広範のものです。事実この住宅金融公庫にしたって、農民の方になかなかいきません。農業者が家を建てようと思っても、制限が加えられてそれはできません。だから貸付先を狭めることは非常におやりになっておる、法律でもって国民大衆という大きなその眼目をかけて貸付先を考えても、狭めることは一生懸命やっておる。これを広げるのですよ。広げていく。この目的からそれて外に広げていくようなやり方です。そうじゃないですか。住宅金融公庫でもってこれは大前提は「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金で」云々と、こう書いてある。これはもう明らかに大きな大衆を前提に置いて、お金がないから、そこでそれに制限を加えて、そしてこうやっているわけです。だからそういう規定にしか取れないわけです、業務の方で規定をする場合は。こっちの場合はそうじゃないのです。農林漁業者をこういうふうにちゃんと、これは相当大きな部面でも、そこへこうやって、そしてその中にできるだけ出していこう、しかし、非常に金がたくさん潤沢でもって使い切れないものなら、これは話は別ですが、どんどん需要があって、そして要る金です。そのときに、今度は農林漁業者以外に対して資金の道を開くなんという、そういうことが、あなたの方は経済関係の立法の方の関係をおやりになっているが、それは理屈にかないますか。私は常識的な人間だから、なんですが、そういうことをやって広げていくと、私は、少しいろいろな問題が関連をしてくると思うが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/64
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065・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 何回も同じことを繰り返して御答弁するようで恐縮なんてすが、私としては、十八条の二というのは非常に間接なというふうに考えないのでございます。農産物の種類がこういうふうになっておりまするし、「当該事業により当該農産物等につき新規の用途が開かれ、当該農産物等の消費が拡大されると認められるものを営む者に対し、」こうなって、まあ農業者に非常に近い関係に立っていると、こういうふうに思っておりますが……。そうでありますから、十八条の二項というのは結局この公庫法の第一条の一項、の精神に適合しておる。それに実質的には含まれていると、こう読んでよろしいのではないか、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/65
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066・東隆
○東隆君 この住宅金融公庫法は、これは例なんですか、この例は、今申し上げたように、さっはり私を満足させない例です。そこで、ほかに何かいい例がございましたならば、お示しを願いたい。私は、金融公庫の資金ももとよりのことであるけれども、農林中金の資金にしても、非常に広げることによって、農村金融の系統が非常に乱れてきている現在、だからせめて国がやっておるものなどを、はっきりと一つしておく必要があるだろう。こういう考え方を持っておるのです。特に必要があるものですから例がございましたならば、そういうことをやったことの……。それでお答えができないようでしたら、これはちょっとあれですから、私はまだほかのことをだいぶ聞くことがございますので、お探しになって、そしてお示しを願いたいと思います。これでは満足しない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/66
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067・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 実際それは現存の金融公庫法で申しますると、非常に厳密に申しますると、農林漁業者に対して一条、一項で書いておる。十八条の力に参りますると、ここで「農業、林業、漁業若しくは地業を営む者又はこれらの者の組織する法人」となっておるが、それて、この条文のくくりは「(以下「農林漁業者」)」というふうにカッコ書きになっておる。(以下「農林漁業者」)というのは、これは私条文を当ってみましたときには、当該条項の七号に「農林漁業者の」という、ここの意味を、この一項の(以下「農林漁業者」)というところで実は抑えておるわけです。そこで、実を申しますと、金融公庫法自体は、この一条で言っておる農林漁業者と十八条の農林漁業者とは、違っておるような建前ででき場ておるわけなんです。そこで、十八条の現行法解釈自体が、その考え方として、一条の一項の農林漁業者からはみ出るということが言える点が、やはりあるのではないかと私は思う。これは制定当時のいろいろな考え方から申しまして、公庫の考え方は、あくまで農林漁業者を中心的にものを考えるのだという考えをとりまして、それで十八条の方で若干のふくらまし方、と申しては語弊がありますが、そういうものを考えてみましたときに、現行法の立場がございますので、それで十八条の二というのもその一条の根本的な目的にふつり合いでも、それに実質的に合うというわけなら、目的条項を改正しなくても、十八条の二として入れた方が、現行法の態勢からいって、ずっとこれが運用されてきました今までのいきさつからいっても、それでよろしいのではないか、こういうふうに判断いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/67
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068・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/68
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069・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/69
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070・東隆
○東隆君 それでは法制局関係をなるべく早く……。
そこで、今お話しになった塩業関係です。これは大蔵省の完全な圧力です。大蔵省が圧力を加えてやって、この中から出しておる、そうではないですか。大蔵省は虚業のような、あまり利益にならないようなものは、農林漁業金融公庫から出しておる。タバコ耕作に関する限りは、これは一指も触れさせません。タバコの方は非常に利益の上っておる仕事であるからね。そこで、大蔵省が圧力を加えて、目的外のところに出しているのですよ、塩業は、いいですか。そのために、塩業に出している例があるから、農林漁業以外のものに出す、こういう今御説明をされたのです。それは説明になりません。私は塩業をやっている人が農業者でもないし、あるいは水産業者がやっておるかもしれない、塩業者という塩業を業としている人でも、ほかの仕事をやって、かえって農林漁業者に近い、そういうような意味で、少しは解釈がつくかもしれないけれども、これを十八条でもって入れて、この法律を非常にあやふやなものにこしらえ上げた。これは、ここに例があるから、もう一つ伸ばしたのだこれは一条でもってちゃんとやっておるわけですが十八条の二を新たに起してそしてやるというのも、非常に疑問があるのです。法律の方は私はこしらえ方についてははなはだなんですわ、そういうなにがありましょう、だから、これはこしらえ方がむちやなんです。私は、大蔵省関係が圧力を加えてこの法律をこしらえておるということが、今度の改正の根本になっていると思う、支店をこしらえることも理事を置くことも。だから、その関係を明らかにしなければならない。あなたはほかに例があるというから、その例をお聞きしたところが、住宅金融公地の関係、しかし、そんななにじゃなくて、この公庫の中に出されたから、私は面接初めからその問題を中心にして大蔵大臣に聞こうと思っていたその事項に触れられたから、あなたに聞きますけれども、これは塩業を持ってきたのは、これは大蔵省の圧力に農林省が屈服しただけの話です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/70
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071・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 大蔵省がどういうふうに考えていたのか、その点は私もよくつまびらかでございませんですが、私が、今度の一部改正の御提案をする際の審査に当りましては、現行法が一応そういう考え方をとっておりますので、十八条の二を入れまする場合には、先ほどから申し上げてわりますように、一条の一項の実質的な目的には包含される、それで、現存の農林漁業金融公庫法を土台として一部改正を考えました場合には、目的条項をむしろいじらない方がいいじゃないかというふうに考えたわけでございまして、その点を今御答弁申し上げておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/71
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072・東隆
○東隆君 私は、法制局の方はザインを中心にしてお考えになり、私の方はゾルレンの立場に立ってやっておる、立法を考えるときに、私どもはこうあるべきであるという考え方からきているのですよ。そこで、前に例があるからといって、議会はよく前例を引用されますけれども、しかし、それは間違っておるのですから、だから許容の範囲があるはずです、だから今回の場合は、これは許容し得べき範囲のものじゃない、許さるべき範囲のものじゃないと思うのてす、この拡張は。そこで、そいつは前例に地業のなにをとられて、十八条の改正でよろしいと、こうやってきて、そうして十八条の二を起されて、そうして新しく設定をさわる、条文を一条起されたことは、相当重視されておるということを意味しておるかもしれませんけれども、私はどうもこれは非常に遺憾です。だから、これは目的にはずれたことを書いて、そうして悪い言葉でいえば、議員をごまかして、そうして農林大臣が特に権限を持って、そして公庫に命じてこういうものに出すような業務方法書を出せ、そうすれば認可をするぞ、こういうことになるわけです。これは非常に重大な私は中身だと思うので、私はこれは法制局の方に、普通のやり方じゃないのだ、特にこれは今回は短期間の間に通すためにこういうことをやったのだ、こういうお考えくらいの返事が出ると私は納得しますが、しかしこれはどうも……。どうです、今後こんなことをやられたら大へんですよ。こんな法制局の方で原案をこしらえられたら大へんですよ。そう思いませんか。はかにあるのですからね、産業資本家の構成するところのものに金を出すところは、金融公庫もあるし、開発銀行もあるし、いろいろなものがある。それらのものは、大蔵省の方が圧力を加えて出さぬというかもしれない。しかし、その道は、私は十分に開くことができると思う。私はもっと端的に言うならば、ここから出る資金は、農林漁業者の構成しているところの法人に出すのが本旨なんです。だからこういう条文は要らないと思う。私はそういう考え方に立っておるのです。だから、この法律を変にいじくられて、金融の系統を乱されれは、大へんな問題になることをおそれるのですから、法制局、農林省の方からいろいろお話があって、そうしてやむを得ず十八条の改正でやりました、こうお答えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/72
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073・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 先ほど先生からゾルレンでやれということ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/73
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074・東隆
○東隆君 いや、そうじゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/74
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075・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 何といいますか、やはりそれぞれの法律、多少いろいろないきさつがございまして、そういうことも立法に当って全然参考にしないわけにもいかない面がありますし、そういう面から考えまして、現行の農林漁業金融公庫法を前提としまして、それに一部改正を加えるという法制上の技術だけから申しますれば、十八条の二は、別に条項を加えないでも入れてもいいというのが私の判断であったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/75
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076・東隆
○東隆君 法制局長官とお話しになりましたか、この中身についてあなたの方……。あなただけの考え方でもってやつられたのか、これはもう法制局長官は、この点について疑問を持たれませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/76
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077・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) むろん私の上司に次長と長官がおるわけでございますから、相談いたしまして、そういうふうに、これはこれでよかろうということで、立案当時も会いましたし、きのう御質疑があるということで、御答弁申し上げる際にも、そういうことで答弁してよかろうということでありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/77
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078・戸叶武
○戸叶武君 関連。この最近のやはり立法技術の中で問題になるのは、農政に対する考え方というものが非常に大きな変化をしつつあるのじゃないかと思うのです。先ほどやはり東君も質問しておりますが、この農作物の価格安定ということは非常に重要でありますが、その安定のためには、やはり農作物を原材料とする製造または加工業というものを育成する、ということも当然必要でありますけれども、それを理由として、この食糧増産に必要な土地改良や何かというものを、どっちかといえばおろそかにして、資金がその方向にだけ流れていくんじゃないかという危険が非常に感ぜられるので、たとえば今問題になっているところの繭糸価格安定法の問題にしてもそうでしょうこの直接養蚕農民の利益を擁護するというよりも、間接擁護の形で、産業資本家を通じて繭糸価格の安定というものをやっていく。それをやるためにはざっと百億円もの金を投げ出して、その一方において、今一番もめているのは酪農振興基金の問題でもありますが、あれは五億円ですか、政府の方で出す。これはやはり繭糸価格安定法のように、業者を通じてやってもらいたいというのが業者側の考え方。それから酪農関係の農協その他の生産農民においては、自分たちに直接渡してもらいたいというので問題が起きているんですが、非常にこれは現われてきた現象面だけをつかまえるのでなくて、政府の農政がこの辺で混迷していると、私はえらいことになると思うのは、今度のこの条項でも、東君がついたように、農民を救済する、農作物の価格を安定するという名目のもとに、資金というものがだんだん農民に直接流れないで、そうして農作物の加工に従事、するようなそういう業者の、商業資本的な方向へ流れる仕組になっている。日本の農業全体が資本主義的な方向に完全にきているならば別だが、そうでないのにもかかわらず切りかえが盛んにされる。補助金はだめだ。それで今度は融資の問題でも、これは日本の農政の大きな転換です。それを見ているのに、直接農民にこの利益を与えられるかというと、そう正でなくて、農民を名として取り上げられている方向にあるんだが、これは単に法制技術士の問題だけじゃないと思いますが、法制技術の問題からいっても、こういうやり方をやると農民は実際犠牲に供せられるんじゃないかと思いますが、これに対するお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/78
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079・山内一夫
○政府委員(山内一夫君) 今の問題は根本的な問題であって、ほとんど私のお答えできないことでありまするけれども、ただ法制的に申しますれば、今の問題は、十八条のみで、最後に貸付の業務を行うことができるということで、何といいますか一条の方の、全五体の本来的な方の融資とは、言葉の上においても、ウエートを若干置いて、その辺の配慮が若干程度はしておるわけでございます。あとの、今、戸叶先生のおっしゃった全体の大きな政策の問題は、ちょっと私からお答えするのはいかがかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/79
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080・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 今、戸叶さんの御質問といいますか、御意見は、農政について非常に重要な問題だと思っております。そこで農政と申しますか、農業政策の基本的な考えに、今お話になりましたような趣旨の意見も相当にあるわけでありますが、現在とっております農政の方向といたしましては、そういう考えでやっておるわけではございません。ただこの農林漁業米金融公庫法の一部改正のうちで、新規用途と申しますか、関連産業について融資の道を開こう、こういうことを具体的に指摘されておると思いますが、なるほど農業政策を実行いたします場合に、直接農民と申しますか、農家の事業に対して助成をすべきで点も相当あるわけであります。政策両について助成等を講じておることは、御承知の通りでありますが、問題は、生産を大いに奨励いたしましても、御承知のように、その流通経済に乗らなければ、直接農民に対する助成の効果が恒久性を持たない、そういう点に農政のっ大きな問題がある。かように考えておるわけでありまして、先ほど糸価安定に対するお話もありましたが、やはり蚕繭についての生産を維持すると同時に、その処理、流通を円滑にしなければ必ず行き詰まりを生ずる、こういうふうな考えをいたしております。今回の農林漁業金融公庫法の一部改正の要点の第三にあげております、関連産業に対する融資の道を開こうというのも、やはり具体的に申し上げると、澱粉等の処理について、やはりそういう第二次加工あるいは第三次加工の両を開いて、そうしてたとえばカンショ、バレイショ等の生産の維持をはからなくちゃならない。こういう考え方でありまして、ただ生産だけについて考えただけでは農政に行き詰まりを生ずる。こういう考え方に立っておるわけでありますから、どうか一つ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/80
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081・戸叶武
○戸叶武君 今このお考え方の、農作物の価格の安定の問題を考慮するためには、流通面を重視しなければならないということもよくわかるんですが、問題は、それによって農業の近代化されていく部分というものが犠牲に供せられているんじゃないか。たとえば共同利用施設あるいは小団地の問題でも、それが非常に減っているというのは、今日における農民の資金というものが不足しているし、それから利子が高いし、そういう形で手が出ない。そういうところに思いやりをやつて、もっと計画性を持ったところの土地改良なり、共同利用施設の拡大なりというものをしなければならない段階にある。それはそれとしてほとんど無視して、価格政策を名として、流通面の拡大なり強化なりということだけをねらっていく、商業主義的な農政の行き万というものは、一歩誤まると非常に生産農民から遊離して、業者とのみ結託していくところの金融政策に転換する危険性が非常にあると思う。これをこの機会を契機として、要するに農業自体がその程度まで高まっていないのに、その方のことはめんどうくさいから放りっぱなしにして、そうしてこの商業資本との結託によって、その方に流れていくという事態が顕著に出てくるんじゃないか。ほかの国におきましても、農業保護政策というものは徹底しております。特に価格政策に重点を置いておりますが、それはそれなりに私は金を出していると思います。それから流通面における問題でもそうです。それはそれなりに金を出しております。そうでなくて、今の政府のやり方というものは、在来の資金なり何なりに食い込んでいってしまって、生産農民の近代化の方向というものの方への流れを抑制してしまって、むしろ違う方向へ持っていくという危険性が非常にあると思うんです。合この御答弁でこのねらいはよくわかりますが、一般が私は危惧している点はそうだと思う。見てごらんなさい。この繭糸価格の問題でも、酪農の問題でもほんとうになっておらぬですよ。農民自体がこれによってどれだけ利益を得るか。業者たけが第一に利益を得て、農民は第二、第三に置かれておるじゃないかという声を、政府はもっと積極的に聞いてもつらわなければ困る。この問題でも私は必すあとで問題が起きると思うのです。それに対して政府はほんとうに農民に二不安を抱かせないような処置がとれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/81
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082・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 今おっしゃるように、政策を簡単にと申しますか、放任しておきますと、御心配のような点があると私どもも承知いたしております。その点は大いに反省をし、気をつけなければならぬという考えをもってやっておるわけであります。
そこで農業保護政策はもちろんとる根本の方針でありますが、少し余談になると思いますけれども、御承知のように、日本の場合言のように非常に広範な農山漁村を控えておる場合と、あるいはイギリスとかアメリカ等のような先進の場合とでは、国家財政全体、あるいは国の成り立ち全体かつら、他の諸産業との比重と申しますか、割合が非常に違うわけであります。従って農業保護政策をとりますけれども、国家財政全般から見ると、あまりにその対象が広大りでありますので、十分なる保護政策がとれないというきらいは、私どももまあ残念に思っておるわけでありますが、これはたとえば四五%ないしは半数と言われております対象でありますので、それに対する保護政策が末端に参りますと十分でないというのは、これはもうだれしも承知いたしておるところでありますが、それは国の人口構成の成り立ち、諸産業との関係の成り立ち、こういうところに日本の農政のそういう意味の難点があるのだ。まあかように考えておりますので、決してこれを今御懸念のようなふうに持っていこう、という考えは全然ありませんということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/82
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083・戸叶武
○戸叶武君 今の私は問題は非常に大きい問題だと思いますが、たとえばイギリスのエコノミストの評論家たちでも、日本の農政における致命的欠陥を、特に日本の経済評論家たちの不見識な点を私はついておると思うのですが、それなんかでも、日本の食糧自給態勢の確立のために、食生活の革命によって輸入を半減し、それから国土開発によって農村の次三男対策をすみやかに立てて、雇用の拡大を行い得ることを見のがしておる、ということを指摘しておりますが、日本の非常にこの経済評論家たちというものが、鉱工業の部門を発達さして、それによって農業の立ちおくれをカバーしていけばいい、というような安易な意見をやっておって、二千億円も日本が輸入しておるところの食糧、これをもっと国内で自給の態勢を確立して、少くとも輸入を半減していかなければならないという方向に対しておろそかにしておるのです。これはもう私は結論的に言いますが、二十七年、二十八年の政府自身の食糧自給計画というものを放棄したときからの日本の農政のゆがんだ姿で、それはその放棄した基本となるものが、財政的な、この政府からの融資を得られないということと、まだ日本の産業もまた特殊方式によって行なっていかなきゃならないという形で、そして棄ててしまったのですが、今度はここに第二の断層が起きてきて、またふたたびこの食糧自給の基本対策というものを、あの二十七年、二十八年にあれだけ独立を前にしてもがきながらも、ついに棄ててしまった日本の農政が、今度はふたたびここの段階にきて、農作物の価格政策の問題と流通面の拡大ということを名として、この生産農民の向上、農業の近代化というものに資金を流さないで、ほかの方へ資金を流すという方向へゆがんできた。これは第二の私は日本の農政のよろめきが、こういう法の中に現われてきていると感ずる。私らは農作物の価格安定には反対しないのです。ほんとうは協力していきたい。流通面の拡大にも協力していきたい。それならそれに必要な金を取るのですよ。ふんだくるのですよ。四割の農民が国の予算のワク内において七・七%の予算に圧縮されて、農民の所得というものが、国の国民所得の中の二〇%にまでも追い詰められているという現実というものは、農業それ自身が近代化されていないからです。近代化されていない根本原因というものは、政府からの資金というものがそこに流し込まれていないことなのです。こういう問題に対する根本的な検討というものは、当然農林省としてはやらなくちゃならないのを、いつも根本的な問題をおろそかにして、現実を名として末梢的なところに逃げ場を求める。しかもその逃げていく先というものはどこに流れていくのかわからないものがあって、本来の農政の骨格というものをくずしていってしまう。この法案だってそうですよ。従ってこれはこれで、表面立っては反対できないでしょうけれども、この中に非常に欺瞞的なものが流れているから、私は非常に憂えるのです。私は政府においてほんとうにそういう御心配はないというだけの確信を持って、これに対して御答弁ができるかどうか、疑いたいと思う。これに対する御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/83
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084・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 先ほども申し上げておりますように、農政のいき方については、安易な考えでありますと、今御心配になられましたような数字にならないとも限らない。そういう点は私どもとしては絶対そういう趨勢になってはならない、という考え方を持っております。ただここで今問題になっておりますようなことは、今日までやや不足しておったところを補おうと、新しい道を開こうという考え方でありまして、農政の根本をそういうふうな方向に導こう、こういうものではないということを断言しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/84
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085・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ここでしばらく休憩して、午後二時半から再開いたします。
午後一時三十八分休憩
―――――・―――――
午後三時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/85
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086・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 委員会を再開いたします。
引き続き農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題にいたします。審議を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/86
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087・東隆
○東隆君 私は農林省へお伺いしますが、農村金融全般に対しての問題は、今年の国会の当初に、実は赤城農林大臣はその問題について相当研究を進める、こういうようなお話でこの農林漁業金融公庫法案、それから農林中金法についても改正の意図があったように聞いております。それから農業協同組合日法の改正、こういうような金融面を中心にしての農村における法案の全主体についての、ある程度改正をする意図があったように私は聞いておりましたが、ところが現われてきたのは農業協同組合法の一部改正、これは金融にはあまり関係がありませんでした。それから農林中金法の改正はさたやみになりました。そうして農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、これを提案した。こんな形になっているので、全日体かつらながめてみますと、農村金融に対しては非常に糊塗的な改正が行われているのが、これが現状であります。そうしてこの法案を通して審議している過程においても、私は農村金融の本筋がだいぶゆがんでいるように思うわけであります。
そこで私は端的に政務次官に伺いますが、農林中央金庫法は大正十二年にできた法律で、その罰則を一つ取り上げてごうんになっても、もう非常に時代おくれな法律であるということは、すぐおわかりになると思います。それで主務大臣は農商務大臣となっており、それから大蔵大臣はいいとして、そういう形になっております。一方農村金融を筋道を立てなければならない、というような方面においては、御承知のように農協系統でやるか、あるいは中央金庫と農協との二段階にするか、あるいは三段階にするか、こういうような問題も非常にたくさんあります。そこで私は端的に言えば、農林中央金庫法を全面的に改正をされる意図があるか、それをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/87
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088・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 農林漁業に関する金融問題については、まあ他の機会にも当委員会でしばしば御意見なり御議論があったわけであります。今お話のように、農林中央金庫に関する制度もだいぶ古い制度でありまして、その後別に農林漁業金融公庫等の制度ができておるわけであります。御承知の通り金融刷度はなかなか関係するところが大きいのでありますから、今お話のように、再検討して改正すべきところは改正しなければならない。あるいは制度として、しばしばお話がありますように、これを統一するかどうかという点も問題になっておるわけでありますが、直ちに改正案を出すところまでいっておりませんけれども、根本的に再検討して正すべきところは正したい、こういう態度をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/88
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089・東隆
○東隆君 私は、公庫法の外にそれるようでありますけれども、農林中央金庫が現在余裕金を非常にたくさん持ち、そして系統金融が三〇%で、七〇%は系統外に融資をされておる。これは別な機会に資料で私は承知をいたしたのでありますが、そういうような不当な金融がなぜ起きてきたか、この区原因を私は農林省が御承知だろうと思いますから、その点を一つお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/89
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090・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ただいまの御指摘の、系統外金融は七〇%、こういうのでありますが、これは先ほど北村委員から資料についての御指摘で御説明いたしましたが、御承知のように農林中金の金融は、系統金融の頂点といたしまして、農産物の販売時期、それから逆に農業の資材の購入時期と、こういうものが違うのでありますから、その時期々々に応じて資金のあり方が違います。従って合こ御指摘のような数字が出る場合が、米の売り上げの盛んな時期には、そういつうことが一時的現象として出てきます。これはあくまでも余裕金の運用でありますから、貯金として預かってきたものをそのまま寝せとくわけにはいきません。どっかに預けておかなければいかぬわけでありますから、そういう現象が出てくるのはやむを得ないと思います。しかしそれかといって、ほかに預けるために系統の中で必要な資金を押える、ということがあってはい小ないつのでありますから、余裕金の運用につきまっしては一一政府で認可をいたしまして、いやしくも本来の貸し出し系統に対する融資が阻害されることのないように、ということを考えておるのであります。従いまして昨年からことしにかけての金融逼迫では、系統外に出しておるものを相当、何といいますか、借り先に言わせればあこぎに引き揚げる、こういうような措置も講じてきておるわけであります。あくまでも農林中金としては系統の金融機関である趣旨をいかさなければならない、そういう立場で農林省は指導しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/90
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091・東隆
○東隆君 区原因は米の出来秋その他に貯金に非常に吸収される、そういうようなことによって余裕金ができる。こういうのでありますが、原因は一つおあげになったのでありますが私は昔の農林中央金庫の前身をよく承知をいたしておるのでありますが、その当時は政府の預金部の資金が、中金を通して流れて参りまして農村に行った。それかつら土地改良関係の耕地整理組合であるとか、あるいは北海道の土功組合であるとか、こういうような方面に対する資金には預金部資金が銀行を通して流れておりまして、中央金庫を通して出なかった。従って今の公共事業関係の資金は銀行を通して流れておった。しかし農村で必要な資金は、ことごとく農林中金を通して流れておる。一部協同組合の傘下にない者に資金の融通をする場合には、これは部内に十人の連帯であるとか、その他の方法で資金の借り受けの主休を作って、そこに銀行が融資をする、こういうような形で二本立てでやっておった。その後農林中金はきわめて発達をして参りました。その結果資金の吸収力も非常に強くなってそして集めていく。農村の金融は短期金融だけでまかない得るものではない、長期資金を入れなければ問題になつらぬことはよく御承知でしょう。そのと長期資金の源泉を全責部農林漁業金融公庫で取り上げられた、それも昭和、この法律のできた二十七年ですか八年、そのころに取り上げられた。その結果農林中金としては短期金融というものだけになってしまいまして、そして長期金融のもとを持っておりませんから、そこで非常にへんぱな金融をする、こういう形になったのであります。その点はお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/91
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092・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ちょっと御質問の趣旨が私にはのみ込めないのでありますが、農林中央金庫なり農業協同なり系統金融は、短期資金のみならず、長期資金をやって悪いということではなしに、その余裕さえあればやるべきで、現にある程度はやっておるわけであります。しかしながらその系統金融機関では先ほどからいろいろ御説明申し上げましたよりうに、預金をもとにしてファンドができておるのでありますから、預金の種類によりまして長期のものであれば低利、ということになりますから限界があるのです。従って系統金融機関だけでは、長期低利の金をやれといっても資金コストからできない。従ってその長期低利の資金を融通するためには別の方からそういうファンドを持ってこなければいかぬ。それが昭和二十六年から特別会計で、その後農林漁業金融公車によって、政府の財政資金をもとにして長期低利のものを融通せしめると、こういうことになっておるのであります。戦争前には農工銀行とかがございまして、そちらの方から出ておつりましたけれども、これは必ずしも長期であったが低利ではない。こういうのでありますが、現在では公庫資金をもとにして、これが系統団体に対しましては、中金なり信連を通じて系統金融機関との、何といいますか協調的な融資によりまして、農業団体の資金の疎通をはかっていく、こういうふうになっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/92
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093・東隆
○東隆君 今局長が説明されたことももちろんですが、それは今の実態ですが、農林中金に余裕金ができ、それが系統外の方に出資をされる、私は系統外に出資をする前に、農村から集めたものは農村に還元をする方がいいのだ、こういう考え方に立つわけです。従って、その金がもし金利が高いならば、利子補給の方法等もある程度考えてもいいのじゃないか、こういうような施策こそほんとうの農村金融の施策ではないか。こういうふうに考えている点と、それから土地改良であるとかその他をやっておるところの土地改良区、そういうようなものは協同組合の系統ではございませんけれども、しかし農林中金を通して資金を融通して一向差しつかえないものじゃないか。それは農林中金法の中にちゃんと貸付の対象になっておりますから、そちらの方に資金の融通をやれば、実際のところを申しますと、公庫においてお考えになっている直接貸しをする相当部分を、農林中金を通して流すことができると、こういうふうに考えるのですが、この点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/93
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094・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 御指摘のように土地改良区は農林中金のメンバーでありますから、現在の公庫から流す土地改良資金は、中金の委託事業として公庫の金を流しております。今度直接貸しをしようという場合には、その土地改良区の金につきまして、当初公庫の方から出ておる案では、総事業量一千万円以上のものについては直接貸しをするようにしたらどうかと、こういうような案が出ておりました。ところが、一千力の総事実費であると、県営あるいは信連を通じて貸しておるものも相当その中へ入るので、それでは既得の権益を侵すことになるから工合が悪いじゃないか、もっと大きり、総事業量一千万円てなしに、一口金額一千万円あるいは二千万円とか、もっと大きい分だけを直接貸しにしたらどうか。従って、総事業量一千万円のようなものを、今こまで中金なり信連を通じて貸しておった部分を、公庫の直接貸しにすることは不当である、こういう意見が出ておるわけです。これは、なるほど私の方でも考えなければいかぬというので、先ほど御説明申し上げましたように今、信連、中金、公庫の間で、それをどういうふうにするかということを協議いたしております。その結論に応じて、漸進的に、改めるべきものは改めたらいいのじゃないか、こういうふうに思っております。
それから最初の御質問の、中金が系統以外に出資をしておるというようなお話でありますが、二つの種類があると思います。たとえば雪印乳業であるとか北海道バターとか、そういうふうな何といいますか、昔は協同組合の出資が大部分で、戦争後の経済の変動によって、組織が必ずしも純粋の協同組合の会社でない、こういうふうな形に現在なっておるのでありますが、そういうところに貸しておるもの、これらは相当長期的なものを、貸しておるのがございます。それから一時、肥料の合理化資金で、肥料会社にある程度設備の合理化のために貸したようなものもございます。しかし、それらは長期と名を打って貸しているものはほとんどございませんで、いつでも中金の金繰りによって圧縮できる、こういうふうになっております。今の乳業関係のやつなんかは、これからどんどん伸ばしてい心なければならない、今圧縮するといってもできないような状態でありますが、たとえば肥料のやつなんかは、昨年五十数億であったのをことしに入れば三十億以下に切ってしまう、ずっと去年の夏がらどんどん回収しております。そういうふうにいたしまして、あくまでも系統外に貸すものは余裕金の運用ということで、一つ一つ整理をしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/94
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095・東隆
○東隆君 肥料のメーカーの方にお出しになっておりますか。私はこの際農林中金の貸付についてお聞きしたいのですが、たとえば雪印乳業であるとか協同乳業、こういうものが長期の設備資金を借りていると思うのですが、そういうようなものは差しつかえない。これは私は農林中金のできたことから考え、余裕金が非常にある、こういうようなことから、系統外ではあるけれども、しかし、農漁民を中心にしたところの資本で組織せられた会社であるということははっきりしておりますから、私はこれは差しつかえないと思いますが、肥料会社ということになりますと、肥料はもちろん農民が使うものであります。しかし、これは相当問題があろうと思う。従って、長期の資金なんか貸すということはべらぼうな活で、それからまた農林中金が、長期低利の資金を肥料会社に出すはずはございませんから、短期にきまっていると思いますけれども、そういう点を考えて、肥料メーカーに出すのは、はなはだ農林中金のやはり違法な、違法というよりか不当なというか、適正ならざる貸付だというふうに考えますが、これは農林大臣の命令でそういうことをおきめになったんでしょうか、肥料関係二法案その他の関係からそういう問題になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/95
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096・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは農産物の販売処理、それから農業生産の必需物資、その両方面の事業について、協同組合その他の農業団体の取り扱い量の確保なりそういうものをいたしますために、担当中金あるいは全購連その他が相談をいたしまして、名目は長期低利の金ではありません。これは九十日とか六カ月の手形の貸しになっております。実質はある程度長くなっても仕方がない、こりういうふうなことで貸しているものもあります。雪印乳業に貸しているのでも、まだ中金の金の残りが六億か五億残っておりますが、これだって長期低利の金ではありません。やはり単名の貸しであります。しかし、それはいずれにいたしましても、農業団体全体の運行を有利にするために、農林中金がそれらの団体と御相談の上にこうやったらいいということで、農林大臣の認可を申請してきましたので、それに基いてわれわれの方で認可して、中金はそれを実行している、こういうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/96
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097・東隆
○東隆君 農業協同組合あるいはクローバ一乳業あるいは八ヶ岳酪農協同株式会社、こういうものは農林漁業金融公庫から資金の融通が出ているわけです。そこで私はあれは正しいと思います。そこで、農林中金からは、今申したものももちろん差しつかえないと思いますし、農林漁業金融公庫資金になると、今問題になっておるのは、それは雪印乳業あるいは協同乳業、こういうものはそれは農林金融公庫から出ております。しかしその資本の構成その他を考えてみますと、これは農林漁業に対し云々の、農林漁業金融公庫法の第一条の目的から見ますと、農林漁業が作ったところの法人と、こう言っても差しつかえない法人です。系統外ではありますけれども、この法人に対して公庫は将来設備資金その他に対して融通することをお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/97
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098・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ただいまお話がありました北海道クローバーとか、そういうのは公庫の金を出しております。それはその資本金が九割以上は協同組合、その他の農業団体のものということにいたしておるのであります。雪印とか協同乳業はその制限に達しません。従って現在のところでは公庫から金を貸しておりません。そのかわりに農林中金の方からめんどうを見てもらっている、こういうのが実情であります。私の方で公庫法の改正あるいは農林中金の改正等に当って、一つの問題点として掲げましたのは、農家あるいは農業協同組合等、長期の取扱契約ができておるものとか、あるいは今九割以上協同組合の出資といっておりますが、それをもっと緩和しまして、過半の出資が農業協同組合であるもの、そういうものにはやはりその公庫の金も利用できるようにしたらいいじゃないかということで、検討を加えてきております。この改正に出ております結晶ブトウ糖に出す際に、その議論もいたしたのであります。結局ブドウ糖の場合には改正案で御承知のように、非常にやかましい制限を加えられまして、特別な法律に基いて価格の支持の行われているものという、しかも新規の用途、こういう制限で大蔵省その他関係方面とも話がついております。私が今申し上げましたように、長期の契約なりあるいはもっと農業団体の持株の少いのを一緒に入れるということになりますと、際限がなくなるおそれがあるというので、この点はさらに検討を加えた上で結論を出すということで、今度の改正には間に合わなかった。これらもしかし農林金融全体の改正に当りましては、どうしてもどっちかに解決しなければならない問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/98
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099・東隆
○東隆君 法律を改正しなくても、公庫の業務方法書を農林大臣が認可をすることによって、可能なものじゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/99
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100・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 私が申し上げましたのは、五割以上の持株を持っているなら、業務方法書の改正でいいじゃないか、という御質問だろうと思いますが、これは先ほどから一条の目的なり、十八条二項の問題に関連して御議論になっていると同じ問題になってくるわけであります。厳密に言いますと、協同組合が持っておつても、それは法律形式上から言えば会社ではない、こういう議論が一方から出てくるわけであります。そこでその限界をどこに置くか。九割以上上ならば、これは明らかに法律上株式会社といっても農業団体とみていいのじゃないか、こういう議論、それでは八割ならどうか、七割ならどうか、こういう議論が出て参れくまして、その限界をどこに置くかという問題であります。これは農林漁業金融公庫、農林中金、いずれ農林大臣だけではいかぬので、大蔵大臣も主務大臣でありますから、これらの協議ができなければいけないわけでありますが、その点は私はお説のようにした万がいいと思っております。やはり協議が必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/100
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101・東隆
○東隆君 合この九割以上という、そのいろいろなことをきめられたのは法律ではなくて、私はその他のところでおきめつになたものだろうと思うのです。従って業務方法書の中において、その会社の成立その他の条件、そういうものを十分にとり上げられますると、私は納得のいくものができると思う。だからそういうような考え方で方法書の検討を加える御意思がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/101
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102・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 繰返し申し上げますように、それがもう議題になっておるのであります。検討いたしておるのであります。できるだけ早い機会に結論を出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/102
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103・東隆
○東隆君 そこで私はなぜそういうことを申すかと申しますと、結晶ブドウ糖の工場に対して融資をするのは、産業資本の方面に口を開くことで、こういうものよりも今申し上げたようなものに融資をする方が筋道である、こういう見地から私は質問問をしておるのでありまするから、その点を十分にお考えおき願いたいと思います。
そこで私は直接貸しの方面は、これは先ほどちょっと申し上げましたが、以前は銀行を通して流しておったものが大部分であります。そこで直接貸しの部分について農林漁業金融公庫が取り上げられて、そしてこの面についておやりになる、こういうことは私は了承をするのであります。しかし農林中央金庫も都道府県連も相当力がついて参っておる。従って相当な部分は直接貸しでなくて、公共事業費関係のものも流し得るのじゃないか。また流すのが一番正しい方法じゃないか、こういうふうに考えるわけであります。政府資金はことごとく農林公庫に集めてしまつて、そしてやるという態勢になりますると、農業金融公庫の機構をますます大きなものにしていかなければできないことになる。私はこれはそう大きくなくてもいいと思う。機構の拡大というのはあまり考えないで、こういうようなネセサリー・イーブルなもの、だからできるだけ簡単に、そして国の意図は十分に到達するようなものとして、そして金融の面については金融機関、それは銀行でなくて農村本来の金融機関を通して資金を流す。こういう態勢を作り上げることが、正しい農村金融のあり方だとこういうふうに考えるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/103
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104・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 御指摘の点はごもっともの点が多々あるのでありますが、私の方で公庫の支所を設けたいというのは直接貸しも一つの項目に入っております。既存の貸し出しの償還の確保。それからいま一つ、東京の本所まで伺いを立てておるのを、地方に支所を置けば地方で一定限度まですぐやれるという、この三つの点から言っておるのでありまして、直接貸しの点は御指摘のように、先ほどからたびたびお答えいたしましたように信連、中金それの既得権益との関係、まだ結論は出ていないわけでございます。それはお話のように何もこれだけ信連なり、中金が実力がついてきたのだから、直接貸しをせぬでもいいじゃないか、こういう御意見もございます。しかし新しい産業に貸すようなものは、かえつてこれは信連にしても中金にしても、もう直接貸ししてもこの先どうなるかわからぬ、こういう心配もないわけではない。それらをどうするかということは今の三者の協議によって結論を出していこう、こういう段階になっておるのであります。従ってこれを何が何でも直接貸しを強行して、農林漁業金融公庫のり独立性を主張する、こういう意図は全然ないのであります。それからさらもっと突き進んこでいきまして、系統金融機関といたしまして、今この信連と中金との関係を、先ほど北村委員が御質問されておつたと思いますが、お答えいたしましたが、公庫の金を、流すにいたしましても、すぐ今の傾向でいけば信連の扱え分がふえてくるのであります。従いまして一体中央金庫それ自身の支所をこんなたくさん置く必要があるのかどうか。その結果、中央金庫のやつている事業を相当程度まで信連に移譲した方がいいのではないか、という意見も出ているわけであります。これはしかし先ほどお答えいたしましたように、純理論的に一応の案を作つても、従来の経緯がありまして人の配置転換でありますとか、新しくいろいろな事業をやる、こういうのとにらみ合せて結論を出さなければいけないのでありまして、これは私の方では関係機関の首脳者ともう下打ち合せをして、ぜひ片づけなければいかぬというのでやつております。具体的な案を早急に持ち寄りまして少くも来年度には間に合わすように、予算なりあるいは法律の改正なり、そういうものも合せて結論を出さなければならない、こういうふうな考えで今準備をしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/104
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105・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をとめて。
午後三時五十四分速記中止
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午後四時十分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/105
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106・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/106
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107・千田正
○千田正君 いろいろな心細部にわたっての点をだいぶ研究されておりますが、これは農林中金のあり方というものが選挙にからんで、農林中金のあるメンバーが選挙に立つた場合ですね、系統機関を動かして不正なる支出をしたという問題が非常な問題になって、先般は会計検査院の検査報告、不当に当る報告として、当参議院の決算委員会の報告にあげられた。それが、前の農林中金の理事長であるところの湯河君と、その不当だとされておるところのある会社の社長との、公聴会における参考人の意見の食い違いがあつて、まだ問題が解決していない。その真相は、かつて参議院に立候補した農林中金の幹部の人の選挙運動等に使われたごとき疑いがあるというのがもっはらの評判なんです。これは一つそういうことで、中金なり金融公庫の金が選挙等に使われたり、その系統機関が、幹部が立候補した場合において、政治的運動をなさるということであるとするならば、この資金が流されることが当を得ない方向へ流れるということは、やはり農林省としては厳重に監督しなきゃならない問題じゃないか、こういう点を痛感するのであります。ということは、私はあえて名をさして言いませんが、私の選挙のときも、農林中金の幹部が相手方に来て、そして猛烈な私に対する反対運動等をなされた。しかし、私は今日まで何も言っていません。言っていませんが、そういうことが、資金を流す場合に、時たまたま選挙等において、それを選挙に有利に使われるがごときことが指導さ、れるというようなことであるならば、私はとんでもない話なんだ。時あたかも衆議院の選挙が目前に追ってりおる今日であります。基金等の問題についてわれわれは慎重に審議しておりますが、そういう問題のないように、十分私は監督する必つ要があるのじゃないか。同時に私は、各県は私は知りませんが、私の県などにおいては信用基金等に対するところの幹部に往々にして政党的な幹部が参加している場合が多い。その場合に、資金が、ほんとうに使われなくてはならないところの、いわゆる農協、単物なら単協の育成強化のまだめに使われすして、選挙目当ての資金として使われるというようなことが、今こまでもあるし、現在もわれわれはそのおそれを十分抱いておる。こういうことのないような方法を、どうしてあなた方が監督していくか、こういうことをここで明言していただきたい。さもなければ、私はいかなる場合においても、これはあくまでも不正な問題は不正な問題とし正て、私は追及しなければならぬ。農林当局の確固たる指導方針をこの際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/107
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108・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ただいま参議院の決算委員会で議題になっておる問題というのは、日本農工事件のことと私は承知いたします。それに関連して、その金が国会議員の立候補に回されたのではないか、こういうふうなことが新聞等で出たことも承知しております。これは、日本農工がその昭和二十四年ごろに発端しておる問題でありまして、その当時の事情を調べてみますと、必ずしも分明でありません。果してその裏にそういうことがあったかどうかと……。それはそれといたしまして、私の方ではいやしくも系統の金なり、農林漁業金融公庫の金なりが、なるほどこれもこの方に、これもあの方にという陳情なり運動は相当ございますけれども、あくまでも農業に必要なものは農業に流すという方針でやらなければならない。現にやってきておるし、今後もやっていこうと思っております。ことに農林中金なり農林漁業金融公庫の役員は政府の任命なり、政府が任官をいたしておるのでありますから、相当きつく私の方でもその点については注意いたしておるのでありまするが、たまたま御指摘の点の場合には、もとの農林中金の副理事長をやつていた人は、日本農工の事件のときにおいての副理事長、その人が立候補している。そういう関係でありまして、はなはだ世間にいろいろな疑いを受けておったことは遺憾でありますが、こういうことは今後絶対にないように十分注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/108
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109・千田正
○千田正君 政府がそういう意見ですから私も了承いたしますが、やはり末端にいくというと、なかなかあなた方のそういう指導が徹底しないときがある。たとえば選挙の事前に資金の配付とか、あるいは資金交付に対するところの取りまとめというふうなものが、選挙運動をかねてや―られる。私は、これはあくまでも選挙違反だというふうに思っておりますけれども、私はそんな小さいことで争おうとは思いませんが、少くともわれわれは、ここで国家の最高機関で立法措置をしたものが、そういう不正な方面の運動費用に、あるいはそういう不正な方向に流れるというようなことは、われわれはここで審議しようと思ってないのであります。でありますから、農林省としては今後もあることですから、この点は十分に取り締ってもらいたい。ややもすればそういう傾向がある。今度も衆議院の選挙も間近でありますから、この問題が必ずしも起きないと私は言い切れないと思います。あなた方はそういうりっぱな精神を持っていても、末端の機関は必ずしもそうでないということを御認識の上で、十分に指導されることを強く要望いたしまして、私は質問終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/109
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110・東隆
○東隆君 次は価格安定ということは、私は結晶ブドウ糖を増産し、澱粉の奨励をはっきりさせるために必要であろう、こう考えるわけであります。この農林漁業金融公庫を通じて資金を流し、そして工場をこしらえるということは、これは結晶ブドウ糖をこしらえるのですからつ、従って澱粉の流通の方面において一つの道を開くことになると思うのです。この点はよくわかるのですが、私は政府がもし澱粉の問題についてお考えになるならば、この金融公庫の資金の融通の面をお考えになる前に、農産物価格安定法の中に結晶ブドウ糖を入れて、そしてこれを買い上げるという考え方を、政府がお持ちになることが、これが一番問題を解決する早道だというふうに考えているわけで、話を聞いておりますると、商工中央金庫の方からも資金の融通がない、そこで農林漁業金融公庫から資金を融通するようになる。こういうふうにも聞かされているわけです。そこで私は政務次官が、もし澱粉の政策、大きくいえば含水炭素全体を考え、ことに砂糖の問題を中心に国が政策を立てるとするならば、その一環として当然農産物価格安定法の中に結晶ブドウ糖を入れてそうして政府が買い上げる、こういうふうな措置をいたしまするならば、産業資本家も安定をするのでありまするから、従って資本を集めて会社をこしらえる、こういうこともできると思うそれから農業関係の団体も、私は結晶ブドウ糖が価格安定をすれば、私は全販連といえども腰を上げてやるようになるだろう。この点については、都道府県連のさる会長なんかに聞いておりますが、政府が買い上げるということを決定するならば、やれないものでもない、こういうふうに現に言っておるわけで、そういうような点から考えて私は、将来澱粉政策というのはこれは、当然農林水産二委員会で大きく取り上げて検討を加えなければならぬ問題であると思いますが、さしずめ非常に関連がありまするので、私が申しました農産物価格安定法をいじった方が私はよかったのじゃないかと、こういうような気がいたします。法制局の方から聞きますと、私はどうもあのお答えでは納得ができなかった。会議以外のところで聞いた話がほんとうではなかったかと、こう思っておる次第であります。従ってこの際、農林政務次官は将来広義の澱粉政策あるいは砂糖政策と、こういうような見地からお考えになるときに、農産物価格安定法についてお考えを進められるお考えがあるか、こういう点を一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/110
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111・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 結論から申し上げますと、今一応目標にしておりますカンショ及びそれについての澱粉の価格維持をはかろうという政策をとっておりますが、それからさらに加工いたしましたたとえば結晶ブドウ糖を買い上げる制度を作ろうということは現在考えておりません。もちろん将来の推移において価格安定をはかる目的が達せられないということになりますれば、そういう措置も講じなくちゃなつらないと思いますけれども、これは御承知の通りに問題は、製品が最終段階まで消費されるということがなければ必ず行き詰ます問題でありますから、砂糖政策あるいはテンサイ糖政策等とかみ合せて結晶ブドウ糖の消費をはかる方策を講じないと、ただ買い上げだけで価格安定が将来恒久的になるとは考えませぬので、現在政府が買い上げて価格維持をはかるということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/111
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112・東隆
○東隆君 価格政策の点でで、納品ブドウ糖のことについてはまだ考えておらないと、こういうお話でありますが、テイサン糖業関係では、今日北海道に工場や会社が、北海道経済、そうついうようなことによって新しく工場ができるようになったもとは、これはてん菜生産振興臨時措置法ですか、その措置法によってそういうような情勢ができたものと私は考えております。その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/112
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113・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) テンサイの奨励のために、テンサイにつきましては政府が必要な場合には政府のきめた価格で買い入れるということをやっております。これはいわば農産物価格安定法の一つのケース、こういうふうに考えております。そこで、先ほどの質問に関連するのでありますが、今度の改正では農産物価格安定法にきめられておる農産物の利用増進をはかる、こういうのであります。農産物価格宏定法ではカンショ、バレインヨ、澱粉を政府が買い上げるということになっておるわけであります。そこで一つのかんぬきを引いておるわけでありますから、今度それを仙って、そのできた製品をもう一ぺん政府が買い上げる、そこまでしなくていいのじゃないか。カンショの買い入れ価格を政府がきめますからつ、そこで一つの澱粉の相場ができるわけでありますから、その相場をもとにして今度は加工する加工費を加算して、そして出てきた値段が、現在の砂糖、結晶ブドウ糖の代用品ということになるわけでございますから、甘味その他から見てバランスのとれた価格で十分可能性があれば、それで価格の維持はできると、こういうふうに考えられるのであります。従って現在私どもの方にやりたいと言ってきておりますのを見ますと、一キログラム当りの加工費が二十六円から四十円というぐらいな今五社ほど出てきておりますが、幅があります、しかし、これらは相互に研究することによって最低のところまで持っていけるはずでありますから、現在の澱粉の価格が千五百五十円見当でありますから、もし加工賃が三十六円でありますれば一斤当りの砂糖の価格を七十二円と見まして、結晶ブドウ糖の価格がそれの七五%ということになりますれば、その程度の澱粉の価格ならばペイしていけるんじゃないか、こういう計算で、すぐ法律で農産物価格安定法による買い入れ品目に入れなくていいじゃないか、そういう考え方であります。しかし、先ほど政務次官がおっしゃられましたように、これは新しい事業でありますからして、そういうふうに指導し、そういうふうに督励していきますけれどもどうしてもだめだということになれば、次の手を考えなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/113
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114・東隆
○東隆君 私はこの問題は、澱粉の消流を中心にして、基本的にはイモを作る農家の経済を私は考える必要があろうと、こういうわけなんでありますが、しかし結晶ブドウ糖としての安定性がなければ工場をこしらえる者はこれはなかなかないと思います。従って結晶ブドウ糖そのものを端的につかむ政策の方がこれが正しい行き方でないか、端的な行き方でないかと、こういうふうに考えるわけであります。この点は、まず政府が買い上げる澱粉価格を基準にして結晶ブドウ糖を作り、そしてそれによってうまくいかなければやるんだと、こういうお話でありますが、しかし砂糖の価格、それから澱粉の価格、それから澱粉から作ったあめその他のものをみんなひっくるめて考えてきたときに、砂糖の輸入の数量、そういうようなものを国の立場においてかげんをすることによって大よその問題がきますんじゃないか。そういうような問題が決定されていくことはこれは明らかなことになっておるのですから、端的に私はやはり結晶ブドウ糖について国が買い上げをするんだと、こういう線を出さなければなかなか工場はできるものではない、こう考えるわけであります。私は公庫から出る資金が、この際、産業資本家によってできる工場によって生産されなくて、やはり農民の作った法人によって工場が成り立っていくのだ、こういう態勢になりますると、資金の投資の上においても、この公庫の資金の流し方の方面においても正しいあり方になる、こういうふうに考えますので、特にこの点は先ほどのお答え以上には進まぬと思いますから、私は強く農産物価格安定法の中に入れるのが私は最も適したやり方である、こういうことを主画するだけにいたします。
その次は支所の問題でありますが、この支所は御承知のように、農林漁業金融公庫法が通過をする場合に、「従たる事務所を置く」と書いてありますが、しかしそれは当分置かないことに決定を見て今日に至ったわけでありますが、先ほどからいろいろお話を聞いて参りますると、まだ事務所を置く段階でない、こういうような気もいたしますし、それから農漁村の金融全般について相当研究を遂げなければならぬような状態になっておるとも考えます。そういうふうに考えたときに、私はもう少しこの従たる事務所を置くことを延期をした方が農村金融の機構、その他を整備される心組みがあるならば、私は今急にやらない方がいい、こういう考えを持つわけでありますが、この点はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/114
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115・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 支所設置の理由につきましては、先ほど来御説明申し上げた通りであります。その設置の理由について貸付件数なり、貸付金額なり、あるいは事務の簡素化等について説明が不十分だ、こういう話でありますが、私の方は事業分量、それから件数等から見てもどうしてももうこの公庫は昭和二十六年に特別会計で始めてから相当年数もたってきております。公庫ができるときに衆議院の付帯決議で、当分の間支所を置くな、こういうことがありますけれども、焦げつき、管理の不良、こういう点で会計検査院なり、行政管理庁からたびたび指摘を受けておりますのでどうしてももう少し管理の面を十分に達成するためには、一々本所の人が地方に出向いていっておったの、では、不十分である、なおかつ先ほど申し上げましたように、相当金額までは支所で処理ができるように、事務がなれてきたからいい、こういうことでさしあたり四ヵ所置きたい、その模様を見まして先ほど申し上げましたように、その他のブロックでは取扱い金額の件数もそれほど多くはありませんから、事業の分量の増に応じて置けばいいのであって、置くとしても、先ほど申し上げましたように農地事務局ブロック以上に置く必要はない、置く意思がございません。さらにそういう点につきましては、農林中金、それから倍速の首脳者と十分御相談をお願いいたしまして、直瀬接貸しに関しましては、これは先ほど来らお話がありますように、関係機関に非常な影響があることであるから、こ回をやるとすれば、ある程度こういう問題はさらに関係機関の間で再検討することにして、支所の設置はこの際、もしそういう直接貸しがなければ、あるいは少なければ、それだけ規模を縮小するということになると思いますが、支所の設置はやむを得ない、こういう結論に到違いたしまして、ぜひとも債権の管理、貸付の簡易化、こういう面から設置いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/115
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116・東隆
○東隆君 同僚の鹿児島から出ている田中さんは全国信用協会の副会長をされているのですが、結局今の農林中金のような大蔵省と農林省の共管のもとにおけるところのものは、これは農村金融という方面においてあまりに銀行的になってそしてコーポレーション・バンクとしてのやり方を果せないことになるのではないかだから一つ全国信用協同組合の連合会を作るべきではないか、こういう考え方をお持ちになっていると思う。そこで、そういうような考え方小ら参りますると、今の農林中金の支所はこりれはもう初めはごく少数でごいざます。しかし、今はもう全国の都道府県に全室部中金の支所ができているわけであります。私は実っはずっと苦のことをよく覚えているの区ですが、実を申し上げますと、北海道は――仙台に中金の支所ができさておつて、そこで北海道の中金関係の仕事を仙台でやっておりました。それで北海道には支所がなかった。その時代にどういうふうなことが起きてきたかと申しますと、北海道で使う金は非常に額が大きいものですから、大りきな額は全部仙台を素通りするわけです。たまたま仙台を通過しなければならぬものは、これは少額のものである。こういうことになりまして、当時私道庁におりましたが、非常に不便を感じました。そのときに笑い話でありますけれども、私が東京に出て中金と折御する場合に、帰りに必ず仙台の支所に寄って下さい、連絡ができないから、一つよくお話を承わてりおかまなければならぬ、こういう話がありました、これは古い話でありますけれども、公庫が支所をこしらえて、そしてどういう問題が起きてくるかというと、今のような問題が起きてくる。私は、今度副総裁を置くことになっておりますが、副総裁を置くよりも、もし支所をこしらえるならば、理事をふやして理事を支所に遣いて、そしててきぱきとそこで仕事をはかどうしていく、こういうようなことをおやりになった方がいいと思います。支所をこしらえて普通の職員を置く、そうするとどういうことになるかというと、今私が申したような事態が起きてくると思う。最初のうちは、こういうような杉でもって少しはできますけれども、やがて全国に皆支所をこしらえる、こういうような杉になった例があるのであります。これは農林中金でありますが、しかし農林中金の支所のある所には必す都道府県の信連があり、そしてこの二つの間に今いろいろむずかしい問題というか、農林中金か資金を正融通するときには必す信連が保証してやるという形において資金を流している。二重、三重になっておって、そうしてその間にピンはねばかりやっている。これらが現実のあり方でありますから、だから公庫はこの際途中のものを排して、直接貸しにしてピンはねをなるべく少くしよう、こういうお考えかもしれませぬが、私は全体として考えてきたときに、今支所を置くことによって、事務所を設定することによって、農林中金が起きたと同じようなことになるおそれがあるのではないか、こういう心配が一つ、と同時に系統金融機関を通さないということになれば、次第に直接貸しがふえてくる、一方的な関係がふえてくる、ますます農村に対する金融機関が三つ、四つ、三本立、四本立というようなことになってくる、こういうような懸念が非常に大きいわけです。この調節をするものがなくなってしまう。私はそういうような関係で、この際はやはり出店を当分置かないで、法律には置くと書いてありますけれども、この際当分置かないで、金正融関係の機構の整備を遂げられた上で必要があれば置く、こういう態度が私は最もいい能度ではないと、こういりふうに考えますが、この点はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/116
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117・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 御心配の点は、私どもも非常に慎重に検討いたしたのであります。ただ、お話の中金が非常に全国の各県に支又所を置いたから、公庫もそれにならって支所を置くのではないか、この点だけはたびたび繰り返しますように、その必っ要がないわけでありますから……しかし今は四カ所予定しておりますが、事業の量がふえてくれば、あるいは農地事務局のブロック別あたりまで置いた方がいいのではないか、それが最高限度であると繰り返して申し上げておるのでありまして、この点も御指摘がありましたが、信連の団体の首脳部、農林中金の首脳部、これらの首脳部の問にそういりう問題を繰り返し検討の上で結論が出ておるのでありまして、中金の支所ができたころとは金融情勢、経済情勢も違うのでありますし、それから一般の農業団体の状況も違うのでありまして、簡単に公庫が勝手に、あるいは農林省が勝手にできるものでもありませんから、その点は御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/117
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118・東隆
○東隆君 中金をできるだけ多く通して、系統金融機関を通しておやりになる、こういう体例をおとりになる方が、金融機構を伺本も立てるよりも私は非常に農民が助かるのっではないかと、こういうふうに考えますが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/118
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119・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは二つの要請が出てくると思います。中間経費を少くするのには、直接貸しがいい、しかし現在は信連、中金、単位組合と、こういう三段階になっておるわけであります。その関係の事務をどう調整しり一だらいいか、それからまた中金なら中金におきましても、あるいは信連におきましても、受託手数料の收入というものは、これはネグレタスできないわけでありまして、その点を一挙になくすつるということはとうていできない。それからまた、もっと逆に積極、的に言えば、お話のように系統機関を受託業務によって強化するように使ったらいい、それには直接貸しを必要の最少限度にとどむべきだ、こういう二つの、両方からの理由があるわけであります。それからさらにもう一点は、中金と信連との関係であります。これも先ほど来たびたびお話に出ておりますが、信連が確立したならば、中金は中金支所を縮小して、むしろ公庫の金も中金を通さずに、信連から直接それぞれの県の団体に流れるようにしたらいいじゃないか、これはある程度その方針が確立いだしまして、中金の分を信連に移譲しまして、先ほど来説明いたします、ように、もう三、四年たちますと、中金経由の分と信連経由の分と、貸し出し残高で見ますと逆になるような予想をしておりますし、その察にそれぞれの機関の事業を現在ある姿、組織から、そういう将来ある姿になるのに職員の配置転換であるとか、事業分野の調整、こういうものを関係者の間で至急決定したい、こういうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/119
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120・東隆
○東隆君 今この理事を配置するというその考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/120
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121・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 私の方では支所の全部に理事を置く必要はないと思います。これは何といいますか、貸付対象はもう法律できめられておりまして、公共事業にいたしましても、共同施設にいたしましても、それぞれ傘下の団体がやることでありまして、協同組合なり痛事組合なり、それらは県庁なり信連、経済連等と密接な連絡をとってやっておられることであります。ただいま現在は、それが百万円までで、五百万円までが全部本省に上ってきておるわけであります。そういうことは普通の場合は不必要なので、地方で、九州なら九州、福岡なら福岡に支店を置けば、もうそこで片づけてしまうのではないか、しかし問題がある場合には、これはやはり慎重を期するべきだと思いますけれども、本省省の方にやるという場合も起ると思いますけれども、それくらいのことは少くとも公庫の金に関しましてはっ相当な目的とワクがあるわけでありますしどんどん地方で解決したら、理事を一々置く必要はない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/121
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122・東隆
○東隆君 私は、直接貸しを多くしなければ、農林金融公庫自体の経費は出てこない、単に経由機関を、通して流すということになりますと、私は公庫、自体の維持をする上、に、私は收入が非常に少いと思う。そこで直接貸しを次第に、ふやしていくというのは、これは公庫を扱う者の人情から、そっちの方を将来だんだんだんだんふやしていくようにやるのではないかということを非常におそれておりますが、こつの点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/122
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123・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 支店を設置する必要は、直接貸しなりあるいはその他の経費の節約によってまかなっていかなければいかぬと思います。またそれが前提にありまして、支所を設置することによって貸付利率を上げるということはできません。これは貸付残高がふえていきますと、一件当りのコストは当然減ってくるのでありますから、何といいますか、それだけの余裕が浮いてきてしかるべしではないかと思います。しかし、私どもの当初の計画では、一定金額以上のものを特定の種目について直後貸しをすることによって、支店設置の費用の一部をまかなうという計算も出てきております。しかし、先ほど来お話しいたしますような、直接貸しの問題が未解決の場合は、その引き当てにしている收入は上りません。従って貸付の管理、それから地方支店にまかす金額の限度、こういうようなものも漸進的にやるわけで、一拳にワクを広げるわけにいかないんです。これは当然御指摘の通りてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/123
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124・東隆
○東隆君 そうすると、貸付の直接貸しが決定をしない間は、主たる事務所を置かないと、こういうふうに理解してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/124
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125・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これはたびたび御説明申し上げますように、既存の貸付の償還の確保、それから日当りの金額の少いものは地方で即決したいと、こう思うのであります。その限度においては支所を投置いたしたい。それですから、直接貸しまではやらないというのではありません。そういうふうに中金、信連、公庫の首脳者の間で話合い合いが進まっているように了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/125
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126・東隆
○東隆君 もう時間がないようですから、副総裁の問題をお聞きしますが、副総裁をなぜ置かなければならないのですか。どうも私は農林中金が大蔵省と共管になって、そして非常な銀行的な経営をやる。そのことによって農山漁村民が非常にこの問題についてあまり感心をしておりません。
それからわれわれは、農林中金の金融機関としての民主化をもう少し進めていかなければならぬと、こういうふうに考えております。農林漁業金融公庫において、払は大蔵省関係が非常に発言力が強くなればなるほど、農出漁村に向かないような金融が行われるのではないか、こういうことをおそれるわけです。しかし、日本の財政投融資を考えたときに、大蔵省が非常に強い力を持っている、従ってこれがいろいろな方面にその片りんをたくさん現わしている。この法律でも端的に副総裁を置くという形でもって大蔵省が進出をするのではないかと、こういう疑いがするのですが、この点はどういうふうな人事が行われるか、局長はお答えできぬだろうと思いますから、政務次官から一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/126
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127・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 私から事務的なことを申し上げまして、あと政務次官にお答えを願いますが、副総裁を必ずしも置かなくても私の方はよかったのであります。ただ、理事は増してもらいたい、それは御承知のように、公庫ができましてからもう数年をたちまして事業分量の残高が三十三年度末では千三百億くらいになると思います。従って、この引き継いだときの数百億の事業分量とは違うわけでありますから、やはり理事の数を増してもらいたい、しかし理事の数を増すとなれば、ほかのこういう公庫の例から見まして必ず副総裁を置きます。今度の国会で中小企業金融公庫がこれと同じように副総裁を置くことになっているようでありますが、ほかの公庫では最初から副総裁を置いたようであります。理事をふやすと同時にそれが副総裁になるということであります。これが事務的な考え方であります。
さらに公庫法第十条では「総裁及び監事は、内閣の承認を得て主務大臣が任命する。」とありまして、今度の改正で副総裁及び理事は、総裁が主務大臣の認可を受けて任命する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/127
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128・東隆
○東隆君 農林省の方では理事をふやす、こういうお考えのところ、商工中金の方で副総裁をふやすからそれにならつて副総裁を置くことに賛成をいたした。私は商工中金の方は、それは各種の銀行その他がみんな銀行局の監督のもとにみんなあるのだろうと思います。従って大蔵省との関連、そんなものを十分に考えなければ私は相当困難な問題がたくさんあろうと心います。そんなような関係から、私は中金の方は副総裁を置かれるのはいいと思いますけれども、農林金融公庫の方には副総裁はあまり適当でない、こういうふうに考えておりますが、そこでこれは置くということになっているようですが、これを置くことを得と解釈するわけには参りませぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/128
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129・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは置くのでありまして、置くことを得ではございません。
それと私はちょっと考えが違うのでありまして、中小企業金融公庫なりほかの方のやつは銀行と関係が深いから総裁、副総裁がおつて、農林省の中のそういう金融機関だけは置かないでもいい――これは私自身が経験したことがあるのでありまして、何かの改正案のときにそういう議論を出して、それじや農林省だけがそんなら小さくやつておつたらいい、こういう笑い話があったのでありますが、やはり一つの金融機関でありますから、何にも農林関係だからということで卑下する必要はなくて、ほかの事業分量からいいましても、中小企業金融公庫なんかよりは大きいのでありますから、当然副総裁を置いていいわけである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/129
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130・東隆
○東隆君 私は、体制を備えるために副総裁を置くという考え方はそれも一つの理屈はあろうと思いますが、実は銀行局長に非常に協同組合による金融がはばめられる場合が非常に多いと思います。それは、銀行とそれから協同組合というものが非常に違う、金融の面について非常に違うのですから、それで私は協同組合金融というものの線をはっきり生かしてもらいたいということ、これがこの農村金融の場合には本筋ではないか、こういうことを考えるわけで、従って農林省よりも金融の面において力を持っておるらしいところの大蔵省が、かりに副総裁の形で申に入っておられるとしても、圧力は非常に強いものになってくる。そして常に銀行というものに対する考え方と同じような考え方でこの農山漁村の金融公庫の運用に対して臨まれると、これは非常に間違つたことになると思う。こういうことを考えるわけです。農山漁村民の意思が、協同組合によって融資をしてもらおう、こういうような場合に、非常に農林省なら、まだ官僚でも話し合いができる筋合いのところを、大蔵省が出てきたのでは、これはもう取っつきようがないような形――平たい言葉で言えば、そういうような態状ができることを非常に私はおそれておりますので、そこでこの問題については、一つそういうことが起らないようなことをお考えになっていると思いますが、そういう点がもしお気づきでありましたら、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/130
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131・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) 副総裁の問題は、まだどういう方面から、だれを、ということは全然考えておりません。まあ総裁の指揮のもとにやるわけでありますから、もちろん農林漁業金融公庫の性格に合つた運用をしてもらう人を、まあ総裁が、大蔵大臣及び農林大臣の承認を得てきめると、こういう順になっているのですから、その点十分気をつけるようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/131
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132・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) それではお約束通り、五時になりましたが……。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/132
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133・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記をつけて。
他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて差しつかえありませぬか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/133
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134・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 質疑は尽きたものと認めます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/134
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135・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)を議題にいたします。
この件については、去る四月一日の委員会において提案理由の説明を聞いたのでありまして、本日は、その他の事項について補足説明を求め、続いて審議に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/135
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136・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 本件に関しましては、提案理由で御説明申し上げましたように、本年二月一日から施行されました輸出検査法に基きまして、検査の円滑な実施をいたしますために、神戸検査所のもとに大阪検査所、門司検査所のもとに鹿児島検査所、この二つの支所を設置することにいたしたいのであります。これはお手元に配付いたしておりますように、大阪の取扱い品目、それから鹿児島の取扱い品目等の資料を出しております。これは現在まではそれぞれ神戸の検査所、それから門司の検査所の出張所としてやつておつたのでありますが、取扱い高の、一方は大阪の貿易港としての事業の角度、それから鹿児島の方は、ほとんどこの大部分が沖縄向けの品目でありまして、沖縄が現在のところ日本の法律下にないために、どうしても検査をいたさなければならない、こういう関係で特殊事情として鹿児島に置きたい、こういうのであります。鹿児島の方はそういうわけでありますから、主として食料品なり、あるいは雑貨、まあそういうものが多いのであります。大阪の方は、これは沖縄だけでなくして、ほとんど全世界に出す品目が多い。特に米国に出します木材、林産物、ラワンのインチ材、合板、そういうものが相当多い額を占めております。
簡単でありますが、補足説明をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/136
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137・北村暢
○北村暢君 本年の二月から強制検査になつたと、こういうところでございますがね。この輸出農産物の検査の今後の考え方ですが、自主検査から強制検査にこれを強化して持っていこうというのか、あるいは民間の検査機構というものを今後拡大していこうとしているのか。国営検査の問題と関連して、今後の方針をちょっとお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/137
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138・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 輸出検査は、理想はやはり強制的、全量検査がいいと思います。しかし非常に品目が多いし、それから量も多いのでありますから、強制検査に移しましても、貿易上フレームの発生とか、あるいは問題がないものは、事務を簡素化するために、抜き取り検査、自治検査、こういうことでいいと思います。そういう点からこれを分離しております。
それからもう一つは、この国営検査が、登録団体検査か、こういうふうな問題でありますが、登録団体の検査は登録団体として相当まとまりまして、そこで手数料によって收支がまかなえるくらいの規模がないと、これはそういうかりに民間の側で団体を組織して、ここに登録をしてくれと言ってもできません。ことに農林水産物につきましては、品目は非常に数万とございまして、それぞれまとまった量になるものは少いのでありますから、私どものところで現在登録団体で検査をさせようというものは、現在カン詰とか、あるいは冷凍水産物、それから合板、水産油脂ですね、それかつらグルタミン酸ソーダ、そういうものが問題になって、これを登録団体でやろう、こういうことになっておりますが、それ以上には登録団体を組織させて、それに強制検査権を与えるということはちょっと不可能じゃないかというので、現在のところそういう考えを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/138
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139・安部キミ子
○安部キミ子君 この今の提出案には、二つの支所を設けると言われますけれども、予算が何も出ていませんが、定員や、予算の説明も何もないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/139
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140・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) こういう表で、輸出品検査所の沿革という表の二枚目――別の資料に出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/140
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141・安部キミ子
○安部キミ子君 それじゃよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/141
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142・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 三十三年度から登録団体に検査権を移譲いたしましたので、それを差し引きまして、三百三人の定員で十分やっていけると、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/142
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143・安部キミ子
○安部キミ子君 今大阪と、それから鹿児島ですが、将来はまたふやされる見通しがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/143
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144・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 現在輸出検査所がありまするのは、小樽、東京、横浜、静岡、名古屋、神戸、岡山、門司、それから長崎とあるわけでありますが、今度は長崎は主としてカン詰でありましたので、これは民間の登録団体に転用いたしましたので、あらためて大阪と鹿児島に支所を設立する、こういうことになったのでありまして、そのほか貿易が盛んになりまして、輸出がふえますれば、そういう港を指定する場合が出てきますつが、当分の間はこれでいけることと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/144
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145・安部キミ子
○安部キミ子君 日中貿易の見通しは今頓挫しておりますけれども、早晩これは円満に解決しなければならない日本の立場としては困ると思うのです。そういうことになれば、日本の貿易の将来は何といっても六億を有する中国の市場というものが重大なわけでありますが、そうなりますと、日中貿易を対象としての今後の検査所ばどういうところに置いたらいいというお見通しでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/145
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146・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは何といいますか、日中貿易、日韓貿易、日ソ貿易、これらが全部関連いたしまして裏日本で相当の個所が貿易が伸びるに従って当然問題になってくると思います。これらはすでにもうある部分では検疫所の方は、現実の問題といたしまして新潟に検疫所を置いておりますが、これで当分できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/146
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147・安部キミ子
○安部キミ子君 次官にお尋ねいたしますが、今、日中貿易がああいう状態にありますけれども、次官としてはあれでいいとお考えになっているとは思わない、何とか手を打たれなければならぬとお思いになっておると思いますが、何か、何といいますか、信念なり、あるいは自分としての今後何とか打開しようと努力するという、そういう心組みでもおありかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/147
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148・瀬戸山三男
○政府委員(瀬戸山三男君) いわゆる中共との日中貿易でありますが、これは政府といたしましては、あるいは総理、外務大臣からお答えいたしておりますように、できるだけ貿易を進めたい、こういう気持を持って努力をいたしておるわけでございます。しかしながら、国際間関係の国際情勢からいたしまして、具体的に申し上げると、中国大陸と台湾の国が国際関係において、それを一つの国と見るか、あるいは二つのと見るかということで、御承知のように議論が分れております。日本の場合においては、今いわゆる台湾政府と申しますか、中華民国を相手として正式に話し合いをいたしている、こういうことでございます。しかしながら、経済問題は全土然別だということでやっておりますが、しかしその国と申しますか、中共なら中共、台湾なら台湾で、それぞれの国の立場がありますので、御承知のようななかなか困難な事態になっております。これは日本といたしましては、あくまでも経済問題は経済問題として貿易を進めなくちゃならぬ、こういう考えをいたして、先般のいわゆる民間協定についてもこれにあえて協力を惜しまないということを声明いたしておるのでありますが、具体的には国旗を掲揚する権利を有するかどうかということは、経済問題からいうと、国旗を掲揚するということはきわめて簡単な問題だと思いますけれども、やはりそれぞれの政府あるいはそれぞれの国の立場から申しますと、これは非常に困難なむずかしい問題である、こういう状況であります。これはあくまでも理解を求めて、いわゆる貿易に支障のないようにいたしたいというのつが私どもの方の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/148
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149・東隆
○東隆君 貿易港が実は北海道に七つありまして、そのうち稚内、根室、留萌、この三港が実は税関を廃止するような運命にこれは最近なっております。そこで、これは、北方との貿易関係なのですが、それが進まないからというので税関を廃止する、こういうことになったのでありますが、これは政府が提案をさてておるわけです。そこで私は輸出をする場合に、釧路、それから函館、小樽、こう三つあるわけですが、何かその出張所、検査所を置くのに限度があるのですか、数量なんか。非常に釧路とそれから函館、小樽はとにかく距離が遠いのですから、それで、もし作るならは三つくらいの所は……これは室蘭ですが、あそこへ作るべきじゃないか。こういうふうな、室蘭と小樽は割合に近いのですが、その他は相当遠いのですから、輸出検査所をもし作るとすれば、何か一定の限度があるのか、そういう点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/149
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150・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは当然そうなのでありまして、一年のうちに輸出船が二はい、三ばい、こういう所には特別の出張所を持つわけにはいきません。しかし、相当の船を出入りのある所には支所のかわりに出張所あるいは分室を設けております。それから、それよりももっと船数の少い場合は支所みずから出張検査をいたしておるようであります。これは要するに、そういう事務所を作っても、一年のうちの大部分がこういう仕事に出るわけにはいかないわけでありますから、少し不便でありますけれども、こういうふうなことでやっております。智易の伸びに従ってだんだん出張所なり分室は作っていく、かようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/150
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151・仲原善一
○仲原善一君 輸出検査所をふやされる点については、非常にわれわれは、まだ少いのじゃないかという立場で実は考えておるわけですが、具体的な例を申し上げて恐縮ですが、たとえば鳥取県で二十世紀をことしは十万箱はかりも輸出するという計画を立てております。ところが、地元の検査でなしに、輸出港の神戸まで持っていって検査してもらうという実態でありはす。ところが、全部合格品ときまっていればいいわけですが、不合桁品が出た場合に値段が非常にたたかれて、国内向けになっても大へん安く売られねばならないという実態が出て参ります。そういう場合に、農民の負担というのは非常に過酷なものでありまして、先ほどちょっと出張検査のお話も出ましだが、そういう場合に、ここに三百三名でございますが、定員は非常にわずかのようでございますけれども、現地まで出残していただいて、これも二、三ヵ所に集積して検査するつもりなんですが、そこまで出張検査をしてもらって、あらかじめ合格という見込みのついまだものを神戸まで持っていく、こういうふうにしていただくと農民が非常に助かるという実態があります。そういう問題について、農林省は出張検査をおやりになる意思があるかどうか、その点の御方針だけを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/151
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152・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは、私の方としても当然のサービスとして考えなければなりませぬ。これは、民間の例等でもうすでに出張検査をやった例がございます。これは、輸出がだんだん恒常化いたしまして、選別、荷作り、こういうものになれてくれば、もちろん神戸でやってもいいわけですが、なれるまではどうしても私の方ではそういう所に職員を出して、そこで指導的に検査をやるべきだ、こういうふうに考えております。御指摘の二十世紀の輸出の量もだんだん伸びてきておりますから、そういう方向で私の方はぜひ実現できるように研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/152
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153・北村暢
○北村暢君 民営の強制検査の中で、一番数量から何からいって多く占めているのは合板なんですが、この合板が小樽なんかには相当あるわけです。それで従来、問題を起しているのもこの合根が非常に多いわけなんですがね。それで、この民営の強制検査に切りかえて従来の品質というものが維持できるのか、そのことがまた海外貿易に対する悪影響というようなことになって現われてくる心配というものがなくてこの民営になったのか、この点が一つ。
それから合板の検査に従出している人が非常に多かったわけです。それでこれが民営になりますと、検査所の職員は一体どういうふうに配置転換されるのか、この点について、二点お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/153
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154・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 第一点は、合板の規格の問題と関関連があるのであります。合根の規格は、規格を統制いたしておりまして、ちょっと変えると規格外品と、こういうことで輸出されるわけです。これは検査の問題だけでなくて、アメリカ等で非常にやかましい問題になっているわけであります。そこで検査日と規格の統制と、検査の前に規格の統制というものを片づけなければならぬということで、それは今林野庁の方でそういう抜け輸出ができないように規格をきめましたから、これに基いて私どもの方でこの登録団体の検査号を指導すれば、従来のようなことが起ってこないのじゃないかと思います。しかし問題のものでありますから、持に注意をして、これは私の方だけでなしに、林野庁の方でもやっておりますから、十分注意をいたしたいと思います。
それから第二の配置転換の問題は、希望者を募りまして、現在のところ五人くらい登録団体の方に行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/154
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155・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/155
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156・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御與議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)
別に御意見もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/156
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157・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
地方自治第百五十六条第六項の規定に基き、輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求める件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/157
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158・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 全日会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって、承認すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/158
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159・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
なお、本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。
多数意見者署名
柴田 栄 堀 末治
関根 久藏 田中 啓一
仲原 善一 堀本 宜實
雨森 常夫 田中 茂穂
上林 忠次 藤野 繁雄
東 隆 北村 暢
安部キミ子 千田 正
大河原一次 北條 雋八発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/159
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160・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 本日は、これにて散会いたします。
午後五時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815007X03419580417/160
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