1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十八日(火曜日)
午前十時四十二分開会
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委員の異動
三月十四日委員林田正治君及び矢嶋三
義君辞任につき、その補欠として松岡
平市君及び吉田法晴君を議長において
指名した。
本日委員榊原亨君辞任につき、その補
欠として高野一夫君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 湯山 勇君
理事
野本 品吉君
吉江 勝保君
松永 忠二君
常岡 一郎君
委員
大野木秀次郎君
川村 松助君
高野 一夫君
林屋亀次郎君
松岡 平市君
三浦 義男君
吉田 萬次君
秋山 長造君
高田なほ子君
大和 与一君
吉田 法晴君
国務大臣
文 部 大 臣 松永 東君
政府委員
文部大臣官房総
務参事官 齋藤 正君
文部省初等中等
教育局長 内藤誉三郎君
文部省大学学術
局長 緒方 信一君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 栄司君
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本日の会議に付した案件
○本委員会の運営に関する件
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○公立の小学校及び中学校の特殊学級
における教育の振興に関する法律案
(松永忠二君外二名発議)
○国立競技場法案(内閣提出、衆議院
送付)
○学校保健法案(内閣提出)
○理事の辞任及び補欠互選
○教育、文化及び学術に関する調査の
件
(教職員の勤務評定に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/0
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001・湯山勇
○委員長(湯山勇君) これより文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。三月十四日、矢嶋三義君及び林田正治君が辞任され、その補欠として、吉田法晴君及び松岡平市君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/1
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002・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 去る十四日開きました委員長及び理事打合会の経過について報告いたします。
教職員の勤務評定に関する参考人の意見聴取については、関係者が年度末で多忙である事情を考慮して来月に持ち越し、なるべく早い機会にこれを行うことといたしました。
道徳教育に関する参考人については、教育課程審議会の答申が行われた直後、審議会委員及び学識経験者、各数名の出席を求めることにいたしました。
科学技術振興に関する参考人については、来月中に行うこととし、なお、具体的な日取りについては、決定を持ち越しました。
区域外入学については、十九日、本会議散会後、麹町中学及び番町小学校を実地調査することとし、必要があればさらに参考人の出席を求めることといたしました。
次に、前回の委員会で取り上げました自衛隊の航空基地周辺の学校における騒音防止については、委員会の決議とすることになりましたが、本件については後ほどお諮りいたします。
また、懸案になっておりました著作権法の改正については、いわゆる海賊版に対する罰則強化について行い、レコードの盗用等については、審議を行なった後、必要があれば付帯決議をつけることといたしました。なお、本件に関する一部改正法案は、各派共同提案とし、便宜上各会派の理事が発議者となることにいたしました。
次に、本日の日程としては、まず本付託になっております国立学校設置法の一部改正法案及び公立の小中学校の特殊学級の振興法案について提案理由の説明を聴取し、ついで国立競技場法案の質疑を行うことといたしました。なお、本案の質疑を終了することができれば、木曜日には採決を行うことになっております。
次に、学校保健法案について、前回に引き続き質疑を行い、午後は、教育、文化及び学術に関する一般質疑を取り上げることになっております。
以上、報告の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/2
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003・秋山長造
○秋山長造君 ただいまの委員長の報告の中で、勤務評定の問題ですが、勤務評定の問題は、この前も私、委員長報告に対して多少の質問をしたんですが、この前たしか今月の三日だったと思います。三日の理事会で、三会派とも一致して、十八日に関係者を呼ぶということをきめておったと思う。それがその後になりまして、何かもやもやした理由で、その十八日という点がぼかされた。その点についてこの前質問をしたんですけれども、私も十分に納得できないままで済んだわけです。ところが今度は、また日にちを延ばす理由が別の理由になってきている。年度末多忙というような理由が出てきた。これは一体延ばすために作り出した私は理由じゃないか、こうまあ邪推かもしれぬけれども、思わざるを得ない。その点がどういうことで年度末多忙ということが突然きょうになって出てきたのかということについての御質問が一つ。
それから、一体そういうことで理事会の申し合せなり、あるいは委員会の運営ということが適当に行われるということは、やはりおもしろくないと思うんです。物事はできるだけきちっと、やはり問題が問題ですから、やっていただきたいと思う。それからこの問題、勤務評定についてのよし悪しの立場は、それはいろいろあります。これは自民党さんは賛成なさるでしょう。私どもはこれは反対の立場ですから、だからこれは議論をやり出せば、どこまででも発展するでしょうけれども、与野党で議論をやるための参考人を呼ぶんじゃないですから、参考人に対していろいろ不審の点を質疑をし、また意見等も交換をして、そうしてわれわれの今後の審議の重要な資料にしたいということですから、これはもり感情的にものを考えないで、私はやはり最初三月三日の理事会できめられた線に立ち帰って、本然の姿に帰って、私は一つものを純粋にきめていただきたい。年度末多忙だから四月に延ばす、四月に入れば、今度は年度始め多忙だから、さらに先へ延ばす、そのうちにもう総選挙が近いから事実上できぬじゃないかというにきまっております。この点は私は非常に不満を持つものです。同時に、非常に不明朗なもりです。委員長におかれて、その点をもう一度はっきりとしておいていただきたい。
それから第二点は、もぐり入学について、麹町中学と番町小学校を現地調査をすることになったようでありますが、その点は私も異存は別にございません。ただ文部大臣にそれに関連してお伺いしたいんですが、この間十三日の委員会の冒頭にこの問題についての文部省の措置いかんということをお尋ねしたときに、文部大臣は二、三日前に通達を出した、こう御答弁なさった、さらに私が内藤局長に同じ席上で確かめたら、内藤局長はきのう出した、だから十二日に出した、こう答弁なさったわけです。そこで新聞等に対する連絡等が十分にできていなかったのじゃないかということを反問したら、きのうの晩出したので、記者クラブがすでに帰っておって記者クラブに連絡するいとまがなかった、こういう話だったのです。ところが、その後私どもの手元に配られたこの通達の日付を見ますと、三月十三日に出しておる。大臣の答弁では二、三日前というのですから、十日か十一日にはもう出ておったことになる。当事者の内藤初中局長の話では、十二日にはこの通達は出ておるはずなんです。ところが、配られたものは十三日付で出ておる。こんな私は委員会を愚弄するようなインチキな、その場のがれの私は御答弁というものは私は不謹慎だと思うのです。その点について一つ大臣の御所見をお伺いしたい点が第一点です。
それから第二点は、そういうことだから当事者の内藤局長でさえきょうの昼、十三日の昼になってやっと出したものを、十三日の昼より前の朝の委員会で私が質問したときにきのう出したと、こう答弁なされた、これは全く人をばかにした答弁なんです。誠意がないのです。同時にそういうようなものの考え方でやっておられるから、もぐり入学が幾らやかましく言ってもなかなかやまんのです。文部大臣自身が、あるいは文部省の当事者自身が、まあ文教委員会でうるさく言うから、通り一ぺんの通知を言いわけ的に出しておけというくらいなことじゃないかと私は思うのですが、この前文部大臣がもう非常にはっきり明確に答弁なさったので、私は文部大臣に対して満腔の敬意を表したのですけれども、あとから出てきたこの日付を見ると、私はこれは文部大臣はこの日付を知らずに、部下がやっておるものとして、あるいは部下からの耳打ちをそのまま信じて私は御答弁になったと思うのです。そういうもぐり入学そのものに対して文部省の当事者の考え方というものがこれほど甘過ぎるということについて大臣の御所見をお伺いしたい。
それからさらに第三点は、とにかく十三日にこの通達を出された、そうしてこの通達は相当世間に、相当というよりも多少の反響はあったようです。またすでに一週間近くたっておりますから、各都道府県の教育委員会には届いておると思います。教育委員会からさらに末端の地教委にもう届いておらなければならない。問題は、この通達の内容は相当行き届いた内容だとは思いますが、これで一体出しつばなしでこのままほうっておかれるのか、それともこの通達を出してどこまで徹底したかということについて、その効果というか、成果というか、事後の事情についての確認をどういうような方法でなさり、さらに今後どういうような恒常的な措置をとっておゆきになるおつもりであるか、その四点について文部大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/3
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004・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 秋山君に私の方からお答え申し上げます。本件に関しましては、理事会でいろいろ討議いたしまして、強い要望もありましたが、ちょうどただいま各府県とも県議会の時期に当っておって教育長及び教育委員長の手が放せないような状態にある、それに続きまして年度内には人事異動がありまして、そういうこととの関連においてやむを得ず延期するということになったのであって、各会派の理事とも年度末越えれば早急にやるということについてはかたい約束ができておりますから、一つ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/4
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005・高田なほ子
○高田なほ子君 それはちょっと了承できないのです。いいですか、勤評のこの理事会の御決定は、それはそれとして、受け取るわけです。しかし私は、前回の委員会であったと思うんですが、理事者側からだけの意見ではなくて、やはり各方面の意見を聞きたいと、こういう問題について委員長の方で善処願いたいということであったわけなんです。今の御報告は、理事者側が学期末で非常に忙しいということは十分了承しますが、その他の問題で善処するということについてはどういうふうに理事会には諮られたか、これは私の趣旨がさっぱり理事会に届いていない。委員長しっかりしてもらわなければ困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/5
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006・湯山勇
○委員長(湯山勇君) お答え申します。この高田委員の御提案は、そういう人たちだけを単独に呼ぶという意味ではなくて、教育委員長、教育長を呼ぶ場合に、そういう人も合せて検討してくれという御要望だったと思います。そこで前回決定されておりました教育長並びに教育委員長がそういう事情であれば、それと切り離して高田君の御要望だけをここでやるということも、まあ委員会の決定の筋からいえばどうかと思われましたので、それと一緒に扱うということにしたわけでござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/6
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007・高田なほ子
○高田なほ子君 それは私……。高田君の御要望ではなくて、高田君がここでもって提案したことを委員会が御承知いただければこれは文教委員会としての問題として取り扱ってもらうのは当りまえだと思う。委員長は、その高田君一個の意見だからというふうにおとりになりますが、そうではなくて、この勤評問題は非常にやっぱり今大きな問題になってきている。そうしてこの問題に世人が注目を集めているときに、少くとも参議院の文教委員会が各方面の世論を聴取される、そういう熱意がやはり超党派的に築かれなければ、勤評問題を中心にして政治介入というほんとうにつまらない問題に私は発展してくるのではないかと、むしろそのことを憂えるんです。だからこの教育問題はいろいろ党派々々で議論はあるでしょう。あろうけれども、少くともこういう大きな問題は超党派的に、できれば一日も早く、各方面の意見も聞き、理事者側の意見も聞いて、そうしてわれわれが確とした考えを持つに至るように措置してもらいたいものなんです。どうして理事者の方がだめだからといって、それでおしまいにしてしまったのか、どうも納得できないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/7
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008・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ただいまのは、高田君の御要望はもちろん全委員において確認したことですけれども、それは単独で第三者といいますか、関係者を呼ぶというんではなくて、理事会の決定は教育委員長及び教育長を呼ぶということに対して、その際それ以外の人をも呼ぶべきだということで取り上げられましたわけでございますから、その点はやはり同じように運ぶという意味で特に教育長及び教育委員長をはずして、その他の人だけということについては論議をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/8
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009・松永忠二
○松永忠二君 今、参考人を呼ぶということについて、まあ三月は学年末で忙しいというような話、四月になったらばというお話があったんですが、新聞あたりで見ても、これはあとからまた午後にお聞きをしたいんですが、文部大臣あたりも四月には規則ができて、そうしてその各府県の教育委員会は規則を作って九月には全国的に実施できるというようなことが言われておる。そうなってくると、四月にもうすでに各府県が実施規則を作るというときに、私たちとしてはこの問題についてこれを作られた、試案を作られた教育委員会の教育長の方々や、あるいは教育委員長の方に十分お聞きをして、そうして各県で実施規則を作る場合の参考にするために、十分にお聞きをしたいと思うわけです。そうなってくると、ただ四月に入ったらばやるということでは、実際には時期を失してしまうと思う。この点については委員長・理事会でどんな話をされて、どんな確認のもとに四月になったらばというようなことを言われたのか、その辺を一つはっきりお聞きをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/9
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010・湯山勇
○委員長(湯山勇君) お答え申し上げます。今おっしゃったようなことをいろいろ検討いたしまして、従来日にちの決定に消極であった会派の理事の方々も、そういう事情であれば四月には、先ほど御報告申し上げましたように、なるべく早い機会にやるということは確認されましたので、そのように運べるものと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/10
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011・松永東
○国務大臣(松永東君) 今の秋山さんの御主張ですが、これはなるほどあなたのお説の通り、十三日でしたか、日は忘れましたが、二、三日前に私は局長に言いつけて、そうしてなるほど秋山さんの御主張、ああいうことがあってはいかぬから、もぐり入学は何とかしなきゃいかぬ、すぐ通達を出すようにということは、局長に話をしておいたわけであります。でありますから、私は出したものと思っておったのですが、しかし考えてみると、局長自身が筆をとって一々出すわけでもないことは御承知の通りですから、やはり一日や二日のズレがあることは、これは決してインチキでもなければ杜漏でもないのです。私はあなたのお説が、なるほどこれはちょうど時期が時期だから、この際に願わくば新聞紙にでも発表してもらって、これを国民に周知せしめて、そうしたあやまちを犯さないように、ちょうど時期がいい時期だからやらなければいかぬと思って、そうして念願しておった。幸いにして新聞社にそれを取り上げていただいて、そうしてああした通知が公表された。新聞の上で報道されましたから、それで私は非常に効果を上げ得ることだと思っております。決して私どもの方では、そうごちゃまかして二日や三日のことを何じゃかんじゃ言うのじゃないんです。しかし役所の仕事は、すでにあなたは御承知の通り、多少やはり一日中二日のズレはあるのです。それでほんとうにあなたの御主張によってそれがここまで、みんな通達をして新聞にまで出してもらった。これで私は効果が上るものと思う。ことに教育の問題ですから、なるほどそうだということは、みんな感得して、私は自粛の実が上り得ると確信しておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/11
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012・秋山長造
○秋山長造君 私の申し上げるのは、大臣のおっしゃることと多少違うことをお聞きしているんです。大臣がもぐり入学の問題について私をごまかしたというようなことを私は申し上げておるのではないのです。これはもう大臣が誠意をもっておやりになっておられることは、これは重々認めて敬意を表しております。ただ私は文書の通達の扱いとして、それはもう役所の仕事が一日や二日おくれるというようなことはこれはあり得ることです。印刷がきょうできると思ってもあすになったりするのですから。それはそれで別個の問題なんです。ただしかし、通達の日付というものは、これは局長通達なら局長が決裁したときが日付になる、何月何日の。だから三月十三日付の通達であるならば、どんなことがあっても三月十三日より前に出ることはないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/12
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013・吉江勝保
○吉江勝保君 決裁となにとは違う。決裁は決裁だ。決裁の日付と通達は違うよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/13
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014・秋山長造
○秋山長造君 吉江さんから助けを出していただいてよくわかりました。そういたしますと、十三日の日付というものは、これは案を、上ってきた案を初中局長が決裁された日付なんです。十三日の日付というのは。そういたしますと、それからさらにこれを印刷に回してすると、さらにそれより発送がおくれるはずなんです。発表もおくれるはずなんです。ところが、十三日の朝私が初中局長に対して、いつ通達を出したかと質問したら、きのう出したと、こうおっしゃった。だからますますずれてくるのです。だから、事務当局としてそういうその場のがれな、それは大臣がそういう日付を一々お知りにならぬのは当然です。それは、そこまでお年を召しておる大臣に、一々日付のことまで覚えておれというようなことまで要求するつもりはありません。当事者の局長が、きのうときようのこと、あるいはあすのことを頭にはっきりなけりゃならぬ。それをこの場にきて、そうして十三日の朝私が質問すると、きのう出した、こう言うのです。きのうのいつ出したかと言うと、きのうの夜出した。夜で記者団がもう帰ってしまって新聞には発表できなかった。ところが、実際に出てきたこの通達の日付はきのうじゃなくて十三日の日付になっておる。十三日の日付の通達がきのうそれは出るはずはない。また事実出てこなかった。だから私がここで質問して、すでにきのう出しましたという初中局長の答弁はあったけれども、実際にはその答弁のあった数時間後の十三日の昼にこれは出ておるのです。だから十三日の日付というのは、これ自身としては正しい。ただ初中局長が、それならそれでその事実を私にはっきり言って下さったらいい。別に何も私は半日や一日のことをどうこう言っておったわけじゃないのですから。だから私の申し上げておるのは、そういうようなわかり切ったことを、ただその場のがれにいいかげんな答弁をされて、そうしてお茶を潤されるという態度がけしからぬというのです。政府委員として。その点はどうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/14
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015・松永東
○国務大臣(松永東君) これは秋山さん、私もよく判をつくときに見るというと、十三日に出すやつを前にちゃんと大臣に伺うというのできますよ。それに判をつく。それがいってから多分文書は出ると思う。ですから、その前にちゃんと決裁はしてあると思う。私はそう思うのです。ですからそこで問題は、秋山さん、決して文部省が誠意を持たぬでもなければずるいのでもないんですよ。ですから、そうしてまたあなたの御主張によって、ちょうど時宜を得た御質問であって、それがやはり天下にあまねく公表されて、新聞あたりも取り扱って実績を上げ得ると思うのです。ですから、その半日や一日のことは、貴重ないろいろな御審議をなさるときですから、まああとの実績にまかしておいていただいて、このくらいなところで一つどうです……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/15
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016・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/16
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017・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/17
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018・大和与一
○大和与一君 かたい約束をしたというのですけれども、それは当てにならぬからちょっと聞くのだけれども、委員長理事打合会におまかせをした場合には、委員会としては大体は承知できるわけです。しかし今度の場合は、どうも私は考えてみると、まあ一般的に四月から勤務評定が相当強く推し進められるということを聞いておるわけです。わが群馬県においてもそうだ。そうすると、いわゆる人事問題のことなんかあるというのだけれども、実際には、悪い言葉でいえば勤務評定についての地方へのやみ取引というか内面指導というか、そういうことをやっているに違いない。そうなると、今ここでわれわれがそれを取り上げて十分意見を聞いて、そして正しい指導をしてやらぬと私は間違いが起るのじゃないかと、こう思うのです。そこで私のお願いは、できれば委員長理事打合会をもう一度やっていただいて、そして四月に適当なとか、早いとかいうようないいかげんなことじゃなくて、もう少しきちんと、一日も早く、できれば一日もこの月にはまるように何とかもう一ぺん折衝いただくという誠意が委員長におありになるか、それを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/18
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019・湯山勇
○委員長(湯山勇君) お答え申し上げます。実は先般、十八日ということを大体決定しておったのも大和君の御意見のような立場できめておったわけです。ところが、それに対して異議が出まして、結局今のようなところで月内にすみやかにやるということについては意見の一致を見ないのです。即応会では残念ながら。そこで、ただいまのような点も考慮して四月の初めならまだ発足してない、そういう時期にやろうということで、それについてはただいま申し上げた通り、来月のなるべく早い時期ということについては誠意をもって各会派の理事とも運んでくれるものと、こういうことが確認されましたので、ただいまのような決定になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/19
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020・高田なほ子
○高田なほ子君 これは文部大臣は、この席上で勤務評定がいよいよ成案を得て実施されるというような段階になれば皆さんともお話をしてというようなお話があったわけなのですが、いろいろいきさつはあるでしょうけれども、もう文部省の手から離れちゃって、それで地方の都道府県教育委員会がはやもう成案を得て四月一日からこれを実際にやっていくのだ、提出する時期等については九月というふうになっているらしいですが、こういう段階になってしまって、何でもできてしまってから人の話を聞いても、これは私は一向つまらぬと思うのですよ。東京都のいろいろ交渉の状態なんかも聞いてみますと、もう四月一日からどうこうというような話も聞いているのですがね。そんなに全部固まってしまってから経過をここで聞いたって何にもならないですよ。そういう経過を聞くつもりであとに延ばしているのだか、そうでなくて、その成案過程でわれわれの意見も、また理事者側のそういう意見も十分に戦わせながら事誤まりなきを期すための一つの参考人としての御意見を聞くというのであれば何も四日にならなくたって、事重大であると考えたならば発表前に私どもが意見を聞けるように措置していただきたい。具体的に言うならば四月ではなくて、問題が重要であるから一日あるいは半日くらいの時間をさけないという私は理由はないと思うのです。このことはだから実施前にこのことが実現できるように取り計らっていただきたいが、この問題について委員長どう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/20
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021・湯山勇
○委員長(湯山勇君) お説の通りで、私ども、特にまあ委員長としては早い機会にというので一応三月の十八日という決定を見たのですけれども、それについては必ずしも各会派の同調が得られなくて、今日のような事態になつておることはまことに遺憾だと思います。しかしながらそうかといって、それじゃこれはもうこのまま見送るかというと、そういう性質のものでもなくて、こういう事態の中でもできるだけただいまのような御趣旨が実現できるようになるべく早い時期にこれを行うということで努力をして参りたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/21
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022・高田なほ子
○高田なほ子君 その、なるべく早い時期というのが私にはわからないのですよ。さっきのお話では、四月ということが出ているから私は食い下っているのですが、四月からもうやるのだと、こういうふうに言っておるのに、やってしまってからここで意見を聞いても何にもならないというんです。だから四月にやるということになればわれわれの意向というものを結局実質的にはまあ見送ってしまって、形だけは公聴会をやったというならば、私は公聴会のほんとうの使命は果されないと思う。だから、これを実施前にやるということに委員長の方から明言していただかなければ、理事打合会の線もぼけてくると私は思うのです。委員長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/22
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023・湯山勇
○委員長(湯山勇君) すでに実施しておるところもありますがね、現在の状態においては。それから四月の初めといっても直ちに四月一日からどうだということでないところもあると思います。これは高田君も御承知のように、文部省が案を決定して全国一斉にやるという性質のものではなくて、各府県のある程度自主的な時期その他についての裁量の余地が残されておりますから、で四月のなるべく早い時期にやれば必ずしもすべてが手おくれになるというものでもない。ことにまあ今きょうあすとか今週中とかということでは各会派の御了解が得られないということで、それではかえってこの四月初めに行うことさえも困難になる。そういう情勢もありましたので、できるだけ御趣旨の生きるような方法で、なるべく早い時期にやるということの決定しかできなかったわけです。非常に遺憾だと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/23
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024・高田なほ子
○高田なほ子君 委員長ばかり責めちゃ悪いんですけれども、どうもそれじゃ納得いかないのです。何となればこの全国教育長の協議会というのがありましたね。全国的な協議の機関で、大体線をもう今そろえてきめておるわけです。この線の実施をまず東京あたりが中心になってやって、東京がやれたら一斉にやろうというようなそういう態勢の中でですよ、各県まちまちだからまあ四月に入ってからでいいというのじゃなくて、今勤務評定を実施しようというそのポイントは、今東京というところに押えておるときに、東京が四月一日という線を出しておるときに、私は四月に入ってからやってもいいという理屈は成り立たないと思う。ですから、そういう情勢の分析というものを、どういうふうにしてわれわれが意見を聞く機会を早く設けるかということについて、もう少し慎重に考えていただきたい。で、なるべく早い時期では私には納得できないので、実施するというその以前に意見を聞くという線だけはここではっきりきめていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/24
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025・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 高田君に申し上げますが、参考人ではなくて証人喚問というようなことであれば、お説のようにこちらから日にちを設定できればして、呼び出すことも可能と思いますけれども、各府県の議会の開会中あるいは年度末準備で忙しいという理由でもって参考人の方で差しつかえるということであれば、何とも今のところいたし方ないじゃないかということも考えられますので、なお御趣旨は十分わかりますから、そういう御趣旨の方も考慮してなるべくすみやかに理事会において協議いたしたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)
それでは、委員長報告の通り運ぶことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/25
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026・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
なおこの際私の方から文部大臣の方へお尋ねいたしたいのは、教育課程審議会の答申が出たように新聞では発表になっておりますが、これが出れば早急に参考人を呼ぶことが理事会において決定をされておりますので、答申があったか、なかったのか。あったとすれば、その答申をすみやかに当委員会に資料としてお配り願いたいと思いますが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/26
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027・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私、担当でございませんので、正確なことを申し上げられませんので、調べましてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/27
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028・松永東
○国務大臣(松永東君) 一昨日でしたか、答申がありました。それでその答申が一昨日ですから、まだこまかくは私読んでおりませんけれども、答申のあったことだけは間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/28
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029・湯山勇
○委員長(湯山勇君) それでは、それを資料としてすみやかにお配り願って、理事会決定通り参考人を呼びたいと思いますから、すみやかにお配り願いたいと思います。
それからもう一点は、新聞紙の伝うるところによりますと、何でも校長、教頭を組合員から除外するということについて自民党の六役会議が決定をして、文部大臣にそのことのいろいろ要請があったということが伝えられております。今ここで校長、教頭を組合員から除外することの内容の当否は別といたしまして、そのことについての話は別にいたしまして、伝えられるところによると、そういう法案を出すことによって国会を混乱に陥れて、これによって解散の手がかりをつかもうというようなことが伝えられております。もしこういうことだとすると、本委員会としてはまことに迷惑千万なことであって、これは将来のこの委員会の運営にも重大な支障があるというように考えますので、その経緯について、内容の問題には触れませんから、そういう経緯について文部大臣から、そういう事実がないのだということならばない、あるのならある、それはどういうことだ、それから伝えられるところでは、文部大臣はそういうやり方については反対だということも伝えられておりますが、そういう点についてはどういうふうになっているか 一応委員会運営の上から大臣にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/29
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030・松永東
○国務大臣(松永東君) この問題については、実は新聞を見てわしも幾日前でしたか、びっくりしたのです。ははあ、そういうことが六役の問題になっているのか、しかもそれが何か総選挙の突破口になる、(秋山長造君「大臣も同席されたのでしょう」と述ぶ)わしは知らない、前のことですから。それでそういう説が新聞に出ておりました。そういうことがあるのかなと思っていた。そうするというと、ちょっと会いたいというので会いました、きのう。会いました中にはいろいろな議論が、たしか六役からそれぞれ意見が出ました。意見が出ましたというけれども、何もまとまった意見じゃないのです。そうしてわしもまたわしの考えている趣旨を述べたことは事実です。しかし、それは何と申しますか、きまった決議とか何とかいうことでも何でもない。党の友人なんというか、六役といっても皆懇意な人、それが集まってどうしたらよかろう、ああしたらよかろうという評議をしただけのことですか、これを、こういう決議でも何でもないのですから、ありましたということもできませんし、さらにだれがどういう主張をしたとかなんとかいうことも言えない話なんです。しかし、結論としては新聞に出ておりました通り、これは重大な問題であるからよく検討しますというのできのうは別れました。わしはこの問題について、会って話をしたのはきのうが初めてであります。でありますからわしも、よく文部省の関係としてはこれは研究せんければならぬ大きな問題だというので別れただけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/30
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031・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 別に大臣がこれについて特にお考えがあるということではございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/31
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032・松永東
○国務大臣(松永東君) もちろん考えはあります。それは考えはありますけれども、その考えはまだまとまっておりません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/32
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033・湯山勇
○委員長(湯山勇君) それでは、自衛隊の航空基地周辺の学校における騒音防止に関する件を議題といたします。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/33
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034・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記を始めて。
本件につきましては、次回に決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/34
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035・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/35
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036・湯山勇
○委員長(湯山勇君) この際委員の異動について御報告申し上げます。
本日、榊原亨君が辞任され、その補欠として高野一夫君が選任されました。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/36
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037・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず、政府の提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/37
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038・松永東
○国務大臣(松永東君) このたび政府から描出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、昭和三十三年度における国立大学の学部及び大学院、国立短期大学並びに大学付置の研究所の新設等について規定するものであります。
まず、国立大学の学部の新設につきましては、東京大学に薬学部を設置し、国立大学における薬学教育の一そうの充実をはかろうとするものであります。
第二は、大学院の新設に関するものでありまして、弘前大学、信州大学及び鳥取大学の三大学に大学院を置き、医学に関する教育研究の進展をはかるために医学研究科を設置することといたしたのであります。
第三に、国立短期大学の新設につきましては、科学技術振興の一環として、中級工業技術者の養成のため久留米工業短期大学を、また貿易従事者等の語学教育に資するため大阪外国語大学短期大学部を設置することといたしました。
第四に、大学付置の研究所の新設等につきましては、近時急速に発達しつつある専門分野の研究の促進をはかるため、まず東京大学の理工学研究所を転換して同大学に新たに航空研究所を、東京工業大学の建築材料研究所及び窯業研究所を統合して同大子に新たに工業材料研究所をそれぞれ設置し、また共同利用の研究施設として大阪大学にたんぱく質研究所を新設することとしたものであります。
以上のほか、このたびの改正に関連して必要な規定の整備を行いました。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/38
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039・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 本案に対する質疑は次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/39
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040・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、公立の小学校及び中学校の特殊学級における教育の振興に関する法律案を議題といたします。まず、発議者から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/40
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041・松永忠二
○松永忠二君 ただいま議題となりました公立の小学校及び中学校の特殊学級における教育の振興に関する法律案につきまして、提案者を代表してその提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
去る第二十四回国会におきまして、参議院文教委員会の提案にかかわる公立養護学校整備特別措置法が成立いたしまして以来、地方公共団体による養護学校の設置が著しく促進され、同法制定の当時、わずかに六校であった養護学校が、昨年五月には二十校に増加いたしました。しかしながら、その収容人員はいまだ千七百一名の少数にとどまり、これを学齢にある特殊児童生徒であって養護学校に就学すべき該当者の推計二十六万余人に比しますれば、まことに微々たる現状と申さねばなりません。さらにまた、昨年五月一日現在の学齢児童生徒のうち、精神薄弱者、肢体不自由者、病弱身体虚弱者の推計は実に百十七万人に達しており、これらのうち、すでに養護学校に就学中の者及び就学猶予者、就学免除者等を除きましても、一般の義務教育諸学校に就学しておりまする特殊学童の数は優に百万人をこえるものと推定されるのでございます。
しかるに、学校教育法第七十五条に規定いたしております義務教育諸学校における特殊学級の設置は、なお遅々として進まず、昭和三十二年度におけるその学級は千四百三十四学級を出でず、その収容人員も二万三千六十九名でありまして、わずかに全国必要数の約二、四%を満たすに過ぎません。従って自余の大部分の特殊学齢児はすべて正常児とともに普通学級に収容され、彼らと同様の一般教育を受けつつある現状でございます。
ひるがえって思いまするに、昭和二十九年の第十九回国会におきましては、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律が成立いたしまする際、本院文部委員会は付帯決議として、「盲者ろう者以外の心身に故障のある者に対する義務教育の現状にかんがみ、これが充実をはかるため、関係法令及び養護学校・特殊学級等の教育施設の整備その他必要な措置を講ずること。」を、全会一致をもって議決いたしておりまするし、衆議院文部委員会におきましても、これと全く同趣旨の付帯決議が付されました。また同年十二月の特殊教育並びにへき地教育振興に関する、中央教育審議会の答申中にも、「養護学校を義務制とする前提として、その設置を進め、これを設置しようとする地方公共団体に対して、国は財政措置を講ずること。特殊学級の設置のため年次計画を立て、これが促進のため必要な教育及び設備につき財政上の措置を講ずること。」が明白に指摘されたのでございます。
すでに述べました通り、養護学校につきましては、特別措置法によってその整備が促進されますのみならず、昨年第二十六回国会においてその義務制実施までの暫定措置として、養護学校における就学を就学義務の履行とみなすことにより、養護学校への就学を容易にするための法律、及び市町村立の養護学校の教職員の身分の取扱等についての関係法令の整備のための法律が、それぞれ改正されましたから、養護学校における教育は漸次充実の機運に向いつつありますけれども、一方特殊学級につきましては、本年度予算の設備費八百万円、昭和三十三年度予算に設備費七百七十六万円と施設費約一千万円が計上されているにすぎません。
このような現状のまま推移いたしますならば、劣弱な心身を持つ特殊児童生徒が、その体力知能に適応しない教育を施されることによってこうむる甚大な不幸は、彼らの生涯を通じて拭い去ることのできない結果を招きますのはむろんのこと、他面一般正常児に対する教育効率の上に及ぼす影響もまた僅少にとどまらないことが容易に察知いたされます。
近時特殊学級設置について社会の関心が次第に高まり、保護者においてもその必要性に対する理解が深まりつつありますことは、まことに喜ぶべき傾向でございまして、中学校の特殊学級におきましては、個々の生徒の能力に適応した職業指導を行うことによって、社会人としての彼らの将来に光明を点じ、着々その成果を上げておりますことも、特に注目すべき事実でございます。
教育基本法にうたわれております教育の機会均等の趣旨を尊重し、真の人間愛に立脚して教育の本質に思いをいたしますならば、これらの特殊学童のためすみやかに特殊学級を設置して、その心身に適合した教育を施しますことが、国家社会に課せられました大きな責務であることを痛感いたします。
以上申し述べました理由によりまして、精神薄弱児、身体不自由児その他心身に故障のある児童または生徒に対する教育の特殊性にかんがみ、国及び地方公共団体が公立の小学校及び中学校の特殊学級における教育を振興するために実施しなければならない諸施策を明らかにし、もってこれらの児童生徒に対する教育の水準の向上をはかることを目的として、ここに本法律案を提出いたした次第でございます。
本法律案の骨子といたしますところは、特殊学級教育の目標及び定義を明らかにし、特殊学級に関し、国及び地方公共団体の任務についての所要の規定を設けたことであります。
すなわち、国は、特殊学級における教育の振興をはかるように努めるとともに、地方公共団体が特殊学級教育の振興をはかるように奨励しなければならないものとし、公立の小学校及び中学校で特殊学級を置くものの設置者に対し、特殊学級教育に必要な施設または設備で政令で定めるものに要する経費の二分の一を、国が補助するものといたしました。ただし付則において、昭和三十三年度に限り、右の経費については、予算の範囲内においてその一部を補助することができる、と読みかえることといたしました。
次に、国及び地方公共団体は、特殊学級教育の特殊性に基き、公立の小学校及び中学校において特殊学級を担任する教員の定員及び待遇について、特別の措置を講じなければならない旨の規定を設けました。
なお、この法律は、昭和三十三年四月一日から施行することといたしてあります。
以上、本法律案の理由並びに内容の概略を申し述べました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願いいたします。
なお、本案を審議していただきますのに非常に参考になるし、大へん特殊学級児童の状態がよくわかりますものが、「小さな芽ばえ」というので四巻の文部省の企画製作したものがあるのでございますが、機会を見て本国会中に委員の方々に御一覧をいただくように一つまたお考えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/41
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042・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/42
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043・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、国立競技場法案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/43
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044・秋山長造
○秋山長造君 ちょっとお尋ねいたしますが、国立競技場という名前ですね、この名前は使用制限を付されていないわけですね、その点はどういう理由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/44
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045・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまお尋ねの名称の使用制限でございますが、これはいろいろ私ども検討いたしたのでございますが、こういう施設について、さらにまた国立競技場といったような名称を使うといったこともほとんどないのではないか、こういうふうなところから一応名称使用制限の規定は法律上設けなかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/45
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046・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと国立競技場というのは、このあとの方に書いてある今の神宮の外苑のあれですね、もうあれだけで、将来は、たとえば東京だけでなしに、あるいは関西の方にもう一個所というようなこはと考えておられないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/46
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047・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまの御質問の趣旨でございますが、この国立競技場という名称は法人につけました特殊法人としての名称でございまして、今建設中の競技場そのものの固有名詞をどうするかという問題は別でございます。従ってただいまのところでは東京の旧明治神宮外苑の跡にできました競技場が一個でございますから、また将来はわかりませんけれども、たとえば別のところにこういった競技場の体育施設ができないとも限りません。そういった場合にはやはり相当な適当な固有名詞は差しつかえなかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/47
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048・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、今問題になっておる国立劇場ですね、国立劇場あたりも大体こういう構想でおやりになるのですか、関連しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/48
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049・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私の担当いたしておる仕事でございませんので、まだその辺は何もわかりませんが、これは今後の研究問題ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/49
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050・秋山長造
○秋山長造君 出資を全額政府出資に限ったのはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/50
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051・福田繁
○政府委員(福田繁君) 一応この方針を、作る場合において、今建設中の国立競技場においては全部政府が責任をもってこれを建設するという建前をとって参りましたので、将来これの整備あるいは拡張という問題が起りましても、いわば政府としてこの競技場の整備などは責任をもってやりたい。こういうような趣旨から一応この法案の趣旨に該当する規定においては出資の、出資財産は政府に限定をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/51
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052・秋山長造
○秋山長造君 今後競技場の経営をやっていく場合に、やはり過去の同じような例からいたしましても、補助金というような問題が出てくる。そういうものは考えておられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/52
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053・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは、ただいまのところ現在建設中の、予算に計上いたしておりますところの金額に相当する施設、設備を政府としては出資する予定になっておりますが、将来またこの競技場をさらに拡充するというような必要のある場合にはそういった施設、設備の出資が必要になってくると思います。
それからさらに、運営費としてかような施設については全く独立採算制でもって収入、支出のバランスがとれるということも考えられませんので、当分の間運営費については、これを国から補助してやる、こういうような考え方で経営の方針といたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/53
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054・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、一応ひとり立ちできるまでの運営費の補助は、やはり国の方でおやりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/54
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055・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは、収入もある程度上げてそして採算のとれるような経営をすることが望ましいのですけれども、こういった施設については十分収入を上げ得るかどうか。これはやってみなければわかりませんが、そういった点で私ども計算としては当分の間運営費がやはり国の補助に頼らなければ十分できないのではないかというようなことも見通されますので、当分の間は国としてはこれに補助金を予算の範囲内で注ぎ込んでいく、こういうような方針で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/55
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056・秋山長造
○秋山長造君 その点はけっこうです。
こういう施設が独立採算制というような方式で必ずしも全うできるものかどうかも疑問であるし、それからまたそういう主義で貫くべきものであるかということにも問題があると思う。けれども、今当然そういうことは予想されて相当補助金を出していかなければならないということを予想されるならば、最初その基本を作るときに、この法律の中にそういう運営費についての補助規定というようなものは、置いておいた方がいいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/56
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057・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御指摘の点はもっともでございますが、補助規定を置きましても、予算の範囲内というような規定になろうかと思います。従って、この法案の中にはそういう規定を置かないで、むしろ一応予算措置によりまして今後の補助を続けていきたい、こういうようなことで大蔵省当局と話し合ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/57
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058・秋山長造
○秋山長造君 単なる予算措置ということでやられるということになると、やはりせっかく国立競技場というこの公けの施設ができても、やはり予算の面からの圧迫によって、そのつど年度年度でですね。国立競技場のこの運営の規模なり、何なりというものが非常に動揺を受ける、こういうおそれが出てくるのじゃないですか。やはりこれは、どうせこういうものを作るときは、最初に相当思い切った、そのときどきの方針によって浮き沈みをしないような、やはり基本的なワクだけはしっかりしたものを作っておいたらいいんじゃないかと、まあ私のしろうと考えですけれども。スポーツが今後ますます盛んになるということは、これはだれしも明らかなことです。そうすると、やはりスポーツに対する補助金というものは、これは形はどうあろうと、とにかくふえていくものだろうと思うし、また体育奨励というようなことから考えても、これはふやさなければならぬと思うのですけれども、予算措置による補助ということにまかせておくと、その点に非常に不安が残るのではないかというふうに思うのです。どうせ法律の条文には予算の範囲内でということで、書いても書かなくてもいいものとおっしゃいますけれども、書いても書かなくてもいいというようなことだが、文部省関係の予算を見るとみんな書いてある、予算の範囲内で補助するということがある。そんなものは要らぬじゃないか、ないよりはまだ補助金があった方が補助金が出やすいのだということで、予算の範囲内ということになる。この場合だって同じことで、これは予算の範囲内でというこの言葉があってもかまわぬと思うのですが、ないよりはその方がまだ国立競技場の運営のためにも、プラスになるのじゃないかというように私はしろうと考えですけれども思うのですが、その点はあわせて他の法律等に多々例のある、そういう文言をこの法律に入れられなかったというのは、やはり独立採算というようなことをどうしても予算の面から強制されてくる、強いられてくるという覚悟をしておられるのが、あるいは独立採算でやるという底意をもっておられるのかどうか、そこらの点をもう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/58
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059・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御指摘の点はまことにごもっともでございますが、実はそういう予算の範囲内で補助をすることができるというような規定は、従来のこういった場合に法律上書いておりますが、今回この国会に提案しました他の法律におきましても、こういった条文を掲げないということに、大体政府部内でそういう統一をいたしましたので、それに関連しまして、これもそういった条文を置かなかったわけであります。従って、今後の経営の方針でございますが、ただいま申し上げましたように、当分の間はこれはどうしても国の補助に依存しなければやっていけないと思っております。しかしながら、こういう法人でやります場合には、ある程度弾力性のある経営もできることでございましょうし、また将来一般の寄付等にもある程度よることもできると思いますので、必ずしも独立採算制を強いるわけではございませんけれども、考え方としては弾力性のある経営をしながら、なお足りない面は国から補助していく、こういうような考え方で進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/59
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060・秋山長造
○秋山長造君 今の御答弁について二点お伺いしますがね、第一点の、予算の範囲内においてという文言は今後使わないということになったということですが、これはもう政府関係のすべての法律案についてそういう原則が確立をされたのですか。そうしてこれは参考のためにこの機会にお尋ねしたいのですが、これはどうせ大蔵省あたりから言い出したことじゃないかと思うのですが、その点もちょっとお伺いしておきたい。
それから第二の点は、弾力性を持つた経営をしていきたいというお話なんですが、一体まだ当分独立採算でもとても無理だという見通しだし、それからまた、必ずしも国立競技場の設立の趣旨からして、独立採算というようなことばかり重きを置くべき筋合いのものでもなかろうじゃないかということでもあり、しかも一面、補助金についての規定はないということであったら、弾力的な経営という面からいえば、むしろ狭められるのじゃないか。やっぱり弾力的な経営によって、できるだけやっていくとおっしゃるが、弾力的な経営という意味は具体的にはどういうことをおさしになって言っておられるのか。私は何か、むしろ補助金の規定があった方が弾力的にやる面ではプラスになるのじゃないかというように思えるのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/60
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061・福田繁
○政府委員(福田繁君) お尋ねの点でございますが、最初の点の補助金の規定を置かなかった理由でございますが、これは従来のものは別といたしまして、今国会に提案いたしましたような特殊法人等の法律案の中には、そういった予算の範囲内で補助することができるというのは一応置かないということになったのでございます。
それから弾力性の問題でございますが、これは御承知と思いますけれども、私どもといたしましては、この競技上の施設を運営いたします場合に、特にこの競技場の施設の特色とでも申しますか、単に陸上のトラック等の施設ばかりでなく、その中に付属施設としましては、水泳プールとか、あるいは屋内体育場とか、あるいは展示室、その他いろいろの付属施設を設けることにいたしておりますので、これらの点については、これは今後ある程度経営の実績を見ませんとはっきりしたことは申し上げられませんが、一応従来のそれらの施設につきましての各種の実績を調べてみますと、かなりそういった面からでも収入は上っているようでございます。従ってそういうものも割合にかたく踏みまして、最低に押えて参りましても、まあ将来の経営いかんによりましては、あまり無理をせずに、収入もかなり見込めるのじゃないか、こういうように考えますので、その辺の弾力性とでも申しますか、そういうことも考えて、今後は運営をしていきたい、こういうような考え方で参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/61
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062・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、結局文部省としては、この補助規定というものは、これは政府の方針によって設けてはおらないけれども、しかし国立競技場に関する限り、将来の見通しにおいても補助規定を設けたと同じような一種の保障ですね、将来の保障というものはこれは確実にある、こういう見通しのもとにやっておられるわけなんですね、その点もう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/62
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063・福田繁
○政府委員(福田繁君) その点でございますが、これはもちろん毎年度の予算によりましてきまっていく問題でありますので、将来の問題としては確約と申しますか、その方針の具体化は予算によってきまっていく、こういうように考えております。しかしながら事務的にはこれは、大蔵省と十分将来の経営等の数字をお互いに検討し合って相談した点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/63
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064・秋山長造
○秋山長造君 きょうはこの程度に……。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/64
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065・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、学校保健法案を議題といたします。
御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/65
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066・高野一夫
○高野一夫君 私の質問は多少専門的にわたるので大臣の御答弁をわずらわす必要はないと思いますから、担当政府委員から御説明をお願いしたいと思います。すでに前回の質疑であるいは各委員から御質疑が出たかもしれませんので、その点があったらばさようにおっしゃって下さればあとで速記録を見ますからけっこうであります。
二、三順を追うて伺ってみたいのでありますが、確かめておきたいわけであります。この法律ができるということについてはすでにおそきに失した観がございまして、全面的に私は賛成でありまして、何とかしてこういうような保健体系ができることを渇望しているわけでありまして、そこで順を追うてお尋ねしますが、まず第二条に、学校において児童、生徒、学生または幼児及び職員の健康診断を行う、その他保健に関する事項について計画を立ててこれを実施しなければならない、こうしてありますが、これは確認しておきたいのでありますが、甲の学校、乙の学校、丙の学校、それぞれに別個に計画を立てて実施する、こういうことになりますか、それともその計画を立てることについては何か県とかあるいは国において総合的に一定の線にまとめていく、こういうようなふうのお考え方でありますか、その点を一応一つ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/66
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067・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 県なりあるいは市町村の教育委員会で統一的な規則を作りまして、それに基きまして各学校で具体的な実施計画を立てるのが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/67
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068・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/68
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069・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/69
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070・高野一夫
○高野一夫君 そういたしますと、各県で一つの条例と申しますか、基準を作るということになりますと、そのまた全国四十六の都道府県の基準になるようなものを文部省から、通達といいますか、全国的な基準みたいなものでも指図されて、こういうような程度な、こういうような内容がよかろう、こういうふうなものを各県に指示されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/70
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071・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん全国というわけでございませんが、特に職員の健康診断あるいは学生、生徒の健康診断の基準、そういうものにつきましては省令その他通牒で指示したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/71
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072・高野一夫
○高野一夫君 よくわかりました。次に、第六条について伺いたいのでありますが、毎学年定期的に学徒の健康診断を行う、これはこの条文ではこうなっておりますが、これは現在すでに実際問題としてはどこでも行われているのじゃないかと思いますが、その実情をちょっと伺いたいのです。あるいは各学校が自発的に、あるいは県の教育委員会等がきめまして、それで義務教育関係、特にそういう方面で健康診断を行なっているのじゃないかと思いますが、行なっているところ、行なっていないところ、大体大よその見当、まあ割合でけっこうでありますから、こまかい数字は要りませんから、現在のこの法律が出ない前の、現在までの実情を大よその程度をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/72
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073・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 本件につきましてはすでに文部省令をもって実施いたしておりますので、小、中学校におきましてはほとんど全部実施いたしております。なお職員については別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/73
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074・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと今の答弁が残っておるのですね。実施状況……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/74
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075・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 実施状況につきましては、これは学校別に多少違いますが、学校は全部身体検査を行一なっております。ただ児童数はそのとき欠席その他の児童がございますので、大体小、中学校で九七、八%でございます。それから疾病の異常の調査、それからその他体重、胸囲等の身体検査の分を合わして行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/75
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076・高野一夫
○高野一夫君 そうすると、第八条によって、今度は毎学年定期に学校の教職員の健康診断を行うということになりますが、これは現在は別に文部省から指示とか省令の中には今まで入っておりませんでしたか、これは新たにこの法律に盛られた条項でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/76
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077・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この件も従来省令で行なっておったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/77
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078・高野一夫
○高野一夫君 そうすると、これが従来省令で行われておったといたしますれば、先ほど第六条におけるがごとく、ほとんどの学校がこれを定期的に行なっておったと、こう考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/78
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079・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 学校の児童及び生徒、教職員につきましては、従来から省令で、ほとんど全部実施しておった、こういうふうに御了解をいただいてけっこうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/79
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080・高野一夫
○高野一夫君 私はその第二項にございまする——最後の方にある、教職員の結核に関する定期診断、これはいかがになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/80
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081・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 結核における健康診断も行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/81
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082・高野一夫
○高野一夫君 ここで私は伺っておきたいのでございますが、われわれよく聞かされる話でございますけれども、学校の教職員、ことに義務教育関係の教職員の中には、非常に結核罹患者が多いということを聞いておったのでございまするが、従来文部省令に従って結核に関する定期診断を行われた結果、現在の教職員について罹患者が果して多いのかどうなのか、それは十分予防措置が講じられていたかどうか、また案外健康診断をやってみたところが、それはそういうようなことはあまりないと、結核の罹患者は比較的少い、こういうようなデータが出ているか、その実情をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/82
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083・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 従来結核における健康診断を実施しておられた関係で、最近は非常に結核が少くなりました。終戦当時は非常に多かったんですが、大体三%ぐらいが結核にかかっておりましたが、最近は一、三%程度に下っておりまして、数といたしまして大体七千人ぐらいが結核の患者でございます。これが休職を受けて治療に専念しておる者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/83
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084・高野一夫
○高野一夫君 その点については、私は別に質問を申し上げるわけではなくて、実情を知りたかったわけでありますからそれでけっこうでありますが、第十条に「健康診断の方法及び技術的基準については、文部省令で定める。」こうなっておりますが、これはどういうようにしてお定めになるわけでありますか、これはまあこの条文からいたしますれば、医学的に診断をする方法なり、いろいろ専門的におきめになることであろうと思いまするけれども、文部省独自でおきめになるわけでありますか、それとも厚生省あたりと相談の上おきめになるのであるか、そういうことは条文に現われておらないが、実際問題としてはどういうような方法で省令をおきめになるお考えであるか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/84
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085・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 第二項に省令についての規定がございますが、この十条のうち、「健康診断の時期及び検査の項目その他健康診断に関し必要な事項は、前項に規定するものを除き、第四条の健康診断に関するもの」は政令で定める、六条及び八条の健康診断については文部省令で定める。こういうふうになっておりますが、特に私どもは学校保健の審議会がございますので、学校保健の審議会にお諮りいたしまして、その項目等については検討したいと考えております。なおこの点につきましては、健康管理の面についての主管省である厚生省とも十分連絡をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/85
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086・高野一夫
○高野一夫君 ただいま御指摘になりました第六条並びに第八条の健康診断が、学徒並びに教職員の健康診断でございますから最も大事であろうと思いますが、これは省令できめられるということになりますので、この点については十分一つ専門的に御検討の上きめていただきたい、こういうことを私は希望を申し上げておきたいと思います。
次にお尋ねしたいことは、第十五条学校保健技師であります。これも一つ確認しておきたいのでございまするが、学校保健技師というのは、学校における保健管理に関する専門的事項について経験のある者、学識のある者、こういうものを学校保健技師に充てると、こうなっておりますが、実際的には、これはどのような種類の人々になることになるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/86
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087・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 具体的には、この「保健管理に関する専門的事項について学識経験がある者」という意味は、学校保健技師を置くことの趣旨から、医者が最も適当であろうとは考えておりますが、そのほかに歯科医、薬剤師等でも、この法案に規定する資格要件を満たせば差しつかえないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/87
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088・高野一夫
○高野一夫君 そういうことがこの中にはっきりしておらないのでありまして、ほかのたとえば、ここにこの保健法に一番関係の深い食品衛生法がある。その中に食品衛生の管理者はこういうものをもって充てるとちゃんとはっきりしてある。それで学校保健管理ということについては、ただばく然と抽象的に、専門的学識経験のある者、こうなっておりますので私は疑問を持ったわけであります。私はそういうふうに考えておるけれども、この条文にはそういうことがはっきりうたってない。学校医、学校歯科医、学校薬剤師が適当であるということは解釈上今聞いたわけでありまして、この条文の中にはない。そういたしますれば、もしもこの条文を拡大解釈いたしまして、そのほかの者で、医学あるいは歯科医学、薬学の専門家以外の者で、何か学校保健管理に専門的学識経験を持った者というようなものがあるかどうかわかりませんが、そういうものがある、医師、歯科医師、薬剤師のほかにある、そういうような場合にはどうなりますか。それは全然この第二項には該当しないとお考えなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/88
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089・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 学校の保健管理に関し、専門的技術的な指導に当り得るという限界がございますので、今御指摘になりました医者及び歯科医、薬剤師以外にはないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/89
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090・高野一夫
○高野一夫君 その点は所管局長の御説明が速記録に残るわけでありますが、これは、しからばもう一度この点について伺いますが、さような解釈のもとに学校保健技師を置かなければならないという文部省側の解釈は全国にお流しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/90
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091・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 当然この法律案が可決されまして、学校保健法が実施された暁におきましては、実施に対する通達を出しますので、その通達の際に、はっきりとこれに対する解釈も流したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/91
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092・高野一夫
○高野一夫君 了承いたしました。
第十六条、学校と、大学以外の学校を区別をして保健管理を行うことになっておりますが、およその見当はわかるのでありますが、こういうように区別をされた基本的な趣旨と申しまするか、お考えをちょっと承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/92
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093・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体大学につきましては、従来から省令ではずしておりましたので、この保健法につきましては、そういうある意味では従来からやっておったものをそのまま踏襲したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/93
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094・高野一夫
○高野一夫君 そうしますと、画期的な保健法ができたわけでありますが、成長期にある学生の保健、健康管理をやる、そうして将来、素質のいい肉体を持った学徒を卒業させる、こういうようなことから考えますれば、義務教育の関係であろうと大学であろうと問わず、この学校の保健管理というものは私は必要なんじゃないかと、こう思うわけです。それができないということは、たとえば経費の都合とか、それともいろいろなほかの都合があって、特に国家としては義務教育の関係だけを主としてやるのであって、大学につきましては野放しにすればいいんだ、これは自発的にやっていただくほかない、こういうような考え方であるのか。今は従来の慣例に従ってこうやったのだと、こういうお考えを聞かしていただいたわけでありますが、こういうような機会に、大学についても、とにかく学習をする、そういう機関全部について学校の保健管理をやらなければならぬと、こういうような問題については、文部省内で何か検討、研究されたことはありませんか、ここに出ておらないが、経過として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/94
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095・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 御指摘のように、もちろん大学でも私どもは学校医、学校歯科医、学校薬剤師を置いた方が適当であると考えておりますが、従来の行きがかりもありまして、今にわかに学校歯科医及び学校薬剤師を必置制にするのはいかがかと思ったのでありまして、もちろん大学にも歯科医なり薬剤師を置くことはけっこうでございます。必置にするのには、まだ時期尚早ではなかろうかと考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/95
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096・高野一夫
○高野一夫君 私は学徒並びに学校の教職員の健康診断、保健管理というものは、小学校から大学に至るまで同様な立場で考えて、文部省は考えてしかるべきじゃないかと考えております。しかしながら、諸般の事情上いろいろな御研究の結果そういうようになった点については、一応は現段階においては了承いたしますけれども、将来においては、とにかく中学まで健康管理をやった、それから先は野放しだと、こういうようなことではせっかくの学校保健法の趣旨を全うするゆえんでないと思いますので、この大学等につきましても十分その必要があるという点について、それをどういうふうに実施面に移すかという点について十分御研究おきを願いたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/96
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097・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 御趣旨よく了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/97
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098・高野一夫
○高野一夫君 あと一、二点伺います。第十九条に保健室というのがある。「健康診断、健康相談、救急処置等を行うため、保健室を設ける」、この保健室というのはどういうふうな設備、どういうふうな基準、あるいはどういうふうな機械器具を置かなければならぬとか、そういうような設備的のことについては何かお考えがきまっているわけでありますか。またその保健室は各学校が、これはやはりこういうような基準で作れという指示を文部省からなさるのだと思いますが、さようでありますか。その点もあわせて御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/98
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099・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 保健室の設備基準につきましては、昭和二十九年に初等中等局長名をもちまして通達を示しているわけであります。この法案の施行に伴いまして、前回の通達を再検討した上で十分参考になる指針を示したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/99
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100・高野一夫
○高野一夫君 それは、各学校に保健室を置くことについて、非常に経費のかかるような内容のものでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/100
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101・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) あまり経費のかからないものにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/101
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102・高野一夫
○高野一夫君 経費のかからない保健室、健康診断、健康相談、救急処置等を行う保健室というものは、今度は逆に考えればきわめて雑駁なあまり役に立たない保健室になるおそれはありませんか、それはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/102
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103・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) お説の通りでございますが、しかしまあこれを義務制にします場合には、あまり金目のかかるものは私かえって困難かと思いますので、実情を見まして逐次基準を引き上げて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/103
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104・高野一夫
○高野一夫君 了承いたしました。どうかこういうような点は、向上するようなふうに将来に向ってお考えおきを願いたいと思います。
次に付則の点でございまするが、付則第二の学校薬剤師は、昭和三十六年の三月までは置かなくてもよろしい、その前には必置制になっている、置かなくてもいいと、この点についてはこの法案が考えられる過程におきまして、われわれ与党の政調会におきまして十分この点についても吟味はいたしたわけでありますが、速記録の上で一応確認をしておきたいと思いますので、かような除外的の規定を置かれた文部省側のお考えを一応承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/104
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105・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいまのところ学校薬剤師につきましては、まだ大体一割程度しか置かれておらないのでございまして、これはもちろん昭和三十一年の調査でございます。そこで、全国小、中、高等学校四万でありますので、今にわかに義務制にいたしますと、非常な混乱が起るかと存じまして、実は三年間の猶予期間を置いたわけでございます。しかしながら、この趣旨は、本法にもございますように、必置制の趣旨は、あくまでも貫かなければならぬと考えておりますので、自治庁と文部省は共同通達をいたしまして、学校薬剤師につきましては、三十六年三月三十一日を待たないで、できるだけすみやかに各学校において置くようにと、こういう共同の通達を出すことに了解をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/105
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106・高野一夫
○高野一夫君 あと二、三分で済みますが、学校医とか、学校歯科医というのはこれは人が対象でありますから、一校について一人とか、二人とか、その一人の学校医、学校歯科医が二枚も、三校も受け持つというのはなかなか容易でないと思います。学校薬剤師の仕事は、文部省でも御承知の通りに、衛生管理の仕事でございますから、その点ではこれは物が対象である。プールの水の試験、換気、採光、あるいは給食の検査をやるので、今月は甲の学校をやり、来月は同じ学校薬剤師が乙の学校へ、その次はまた別な学校をやるということはできるのであります。そこでさようなことを考えますれば、現在この法案におきましても、私は必置制を最初からやるといたしますれば、学校薬剤師は学校医、歯科医と同様に各学校に十分配属することができると私は考えております。一人の学校薬剤師が五校も、十校も持とうと思えば、努力してもらえば十分仕事はできるわけでありますから、時期をずらして……。医師の方は時期をずらすことはできません。これは仕事の本質が違うわけであります。そこで、われわれは最初こういうような除外例が設けられることは好ましくない、こう考えまして、党としても除外例を近くべきじゃない、こういうような結論が党としても出たわけでありますが、最後に文部省と自治庁とのいろいろな妥協、折衝の結果、これができたものと私は了承しておるわけでありますが、そこで、まあ私は与党議員でありますから、この原案はできるだけ手をつけないで通さなければならない、こう考えますけれども、今おっしゃったような昭和三十六年三月末までの間に、実際的には全国の学校に個々に必置制をしがなければならぬということについて、自治庁と文部省が協力して通達を出す、こういうお話でありますが、その点について自治庁はどういうような意味でそれをされるのか。地方の財政措置、そういうことを十分考慮した上でのお考えであったのかどうか、その点をもう一度承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/106
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107・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん自治庁も財政その他十分お考えになった上でできるだけ早く設置するように、こういう趣旨の共同通達を両省で流すことにいたしましたので、私は自治庁も、この点につきましては、快く了承していただいた、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/107
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108・高野一夫
○高野一夫君 私がひそかに聞くところによりますれば、自治庁の意見は、たとえばいなかの農村の学校において、保健管理、健康管理、特に環境衛生的の保健管理というようなものは必要がないじゃないかと暴論を吐く政府委員があると私は思う。従って、きょうは自治庁からその担当の政府委員が出ておられないことがまことに残念、遺憾でありますが、この点について、文部省はこの学校の行政の主管者としてどういうふうにお考えになるか。農村であるから、空気のことも必要ない、水の検査も必要ない、給食のいろいろな検査も必要ない、こういう……。農薬等によって非常に危険な障害が小学校、中学校等においても発生している。また理科実験等においていろいろな爆発その他のことが起っている。こういうような事態は都会、農村をあえて問わないことだと思うのですが、自治庁の政府委員がそういうような議論をされる。こういうことについて文部省は納得がいくと考えられますか、それともそういうような議論は一切まかりならぬ、われわれは承服することができないと、こういうふうにお考えになるか、それを最後に伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/108
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109・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そういう過程において、いろいろ議論の過程でございますので、それぞれ自分たちの考え方を率直に述べ合うことは私はあり得ることだと思う。しかし最終的に、自治庁がそういうお考えをお捨てになったと、私ははっきり了承しているのでもります。学校薬剤師の必要なことは都会もしなかも同じである。三年間の猶予期間を置きましたのは、学校薬剤師の制度が発足後間もないものでありまして、わずかに、まだ一割程度しか普及していない実情から、一ぺんに設置するのは困難かと、かように考えたわけでございまして、学校薬剤師の必要性については、毛頭疑っておらないと思います。またそのつもりで私どもも交渉いたしますので、これは責任をもって私自治庁と共同通達を出すことをお約束いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/109
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110・高野一夫
○高野一夫君 今日は、この辺で私は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/110
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111・高田なほ子
○高田なほ子君 この法律が今度出されましたことについては、まことにけっこうだと思うのですけれども、総体的に見ると、どうも訓示法律のような形で、これを実際に行うためには、相当予算というものが必要になってくると思うのですが、どうも財源的な裏づけというものが計画的に仕組まれていないのじゃないかというような気がしてならないのですが、この保健法が今度提出されて、この法文に盛られている内容というものを完全に充実させるためには、相当長期にわたる計画性というものが、財源措置とともに必要になってくると思うのです。従いましてこの法案提出と同時に、実施上における年次的な計画、こういうものの大要について説明していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/111
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112・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この法案は、これは全面的に実施をいたしますので、実は年次計画とおっしゃる意味がちょっと理解いたしかねましたが、ともかく一番大きな点は、就学時の健康診断でございます。これは従来もある程度行なっておりました。しかし義務教育に入る場合に、まだ実際は入っていないで、入る予定者について、ある程度児童数の七、八割までくらいは実施しておりましたが、このたびこれを義務制にいたしまして、そのために就学予定者一人当り七円を地方財政計画に見込んでいるのであります。大部分の金が地方財政計画でございます。
そこで就学前に身体検査をして、そうして疾病のあるものは早く治療して、きれいなからだで学校へ行って、学習能率を上げて行く。それからなお要保護の児童たちにつきましては、盲学校、ろう学校とか、あるいは養護学校等に進学するように指導するとか、あるいは児童生徒で健康に注意を要するものは、作業を軽くするとか、あるいは勉強を緯度にするとかいうような指導もするわけでございまして、これが第一点でございます。
第二点は、従来からやっておりました健康診断でございます。健康診断につきましては、児童生徒一人当り二十五円を地方財政計画に見込んでおります。これは従来から実施しておった分でございます。で、特に今回はこの実施を法律で義務づけたことと、その実施の結果治療を要するものについては治療をする。特にそのうちの要保護者及び準要保護者、いわゆる生活保護法で言う要保護者、準要保護者につきましては、地方で治療費は全額見てやる。そのうちの半額は国が見る。もちろん準要保護児童につきましては、その二分の一でございますけれども、治療費の補助の点が新しく入った規定でございます。第三点は、教職員の健康診断、これは従来からやっておりましたのをここに新しく法律上制度化したわけでございます。でこれにつきましては国が二分の一を補助するようにいたしたわけでございます。先ほど申しました児童生徒の治療費につきましては、本年度三千万円の予算を計上しておりまして、これは十月から実施でございますから年間は七、八千万に上ると思っておりますが、大体本年度十月からの実施で約三千万ほど国の補助を計上し、同額のものを地方財政計画に見ておるのであります。それから教職員の健康診断につきましては、国の方で七百万円程度、地方財政の方でも同額のものを地方財政計画に見込んでおるわけでございます。その他今後整備されなければならぬものに保健室、その他がございますけれども、一応この法律は法律として私は経過年度を待たないで全面的に実施できると思うのでございます。それから特に学校医、学校歯科医につきましては、これは今まで地方財政計画で三千円程度しか見ておりませんので、この法案の実施と相待ちまして増額いたしまして、七千円を財政計画に見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/112
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113・高田なほ子
○高田なほ子君 それで伺いますが、就学時のさしあたって健康診断の問題になってきますが、これは実際私どもが経験する入学前の児童の健康診断のやり方というものはずいぶん雑駁な姿でありました。その雑駁な姿の原因は一人の学校医に対する診察を受ける子供の数というものと、それからお医者の数というものがまことにうまくないのですね、こういうような、たとえば精密な検査をして、今御説明のようにそれぞれの疾病も十分に見込んであとの始末をつける、こういうことになれば一人のお医者さんに千人も見させるというようなことについてはずいぶん非科学的なやり方ではないかと思いますが、こういうような点について今度具体的にどういうふうにされるのか、もっと具体的に説明していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/113
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114・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 従来からやっておりましたのですが、それをさらに再検討いたしまして今、高田委員の御指摘になったような不十分な点のないようにできるだけ指導いたしまして遺漏のないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/114
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115・高田なほ子
○高田なほ子君 ここで押し問答するわけじゃありませんが、せっかく言われるのですから……、入学する子供たちはまだ小さいのに、診察を受ける場所というものがほとんど火のないような部屋でもって長い時間待たされて診断を受けておるのですね。そういう状態ですから、お医者さんも気の毒だと思って、どんどんもう聴診器をちょいと当てたぐらいの調子で終ってしまう、学校の先生の方も養護教諭のいないところも非常に多いですから、こういうところでは先生はもう大へんな騒ぎで、仰せのようにこの保健法が通ったからといって、さしあたっての就学時の健康診断というものは完全にできないのではないかというような気がすることが一つと、それからもう一つは健康診断、特に就学時の健康診断に際しては知能的な検査も若干しておるようなんです。私はこのことは非常に大切な方面ではないかと思う、肉体的な方面だけではなくて。であるから、就学時の健康診断の中に当然養護学級の問題も計画の中に含まれる性質のものではないかと思いますが、知能的な検査等もこの健康診断の範疇に入るものかどうか。どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/115
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116・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 御指摘のように就学時の健康診断は単に治療をするだけではございませんで、盲学校、ろう学校、養護学校の就学に関する児童も行うわけでございますから、やはり御指摘のような知能テストなりというほどのものではないかと思いますが、ある程度の精神的な作用あるいは動き、こういったものも見る必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/116
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117・高田なほ子
○高田なほ子君 就学時の健康診断については、一人の医師に大体何人くらいの対象人員というものが最も合理的であるというふうに考えておりますか。今のようなありさまでは健康診断の体をなさない、具体的にどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/117
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118・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 一日五十人からせいぜい百人くらいが限度だと言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/118
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119・高田なほ子
○高田なほ子君 限度と言われておる通りに、今度の法律が通れば実施なさるような措置はできておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/119
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120・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) おっしゃるように無理のないように−就学時の健康診断がせっかく法律化されたことでございますから、この点については十分指導して遺漏のなきよう期したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/120
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121・高田なほ子
○高田なほ子君 それではこの問題の質問は次に保留したいと思いますが、学校病といわれるトラホーム、かいせんとか、回虫とかそういうようなものの、少しむずかしいかもしれないが、地方的な傾向があると思うけれども、都会と農村の、大まかでけっこうです
から資料があればちょうだいしたいと思いますが、この次の委員会までに出していただけましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/121
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122・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/122
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123・秋山長造
○秋山長造君 私もついでに資料をお願いしておきたいのですが、それは養護教諭が現在全国に総数が幾らいて、各県別にどれだけいて、普及率は何%程度かというようなことがわかりますか。一覧表でもほしいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/123
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124・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 養護教諭
の各県別表は、これはできるけれども、御指摘の普及率という意味は、各学校一人置くという趣旨でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/124
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125・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/125
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126・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記を始めて下さい。
午前中の質疑はこれにて終了いたします。
暫時休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
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午後二時四十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/126
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127・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 午前に引き続き委員会を開会いたします。
理事竹中勝男君から都合により理事辞任の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/127
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128・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
この際理事の補欠互選を行います。選任の方法は先例により委員長の指名によりたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/128
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129・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
それでは委員長は、理事に松永忠二君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/129
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130・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、教育、文化及び学術に関し質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/130
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131・大和与一
○大和与一君 私は大臣に勤務評定、あるいは文部省からこの前出した通達ですか、そういうことについて少し御質問をいたしたいと思うのですが、まあ初めて文教委員になりましたのであまりよくわからぬから親切に教えてもらいたいと思います。そこでやはり筋道を立ててお尋ねをしたいので、第一は大臣になられてから、総理大臣から教育について、まあ教育行政といいますか、総理大臣と話をされたことがあると思うのですが、一体岸総理大臣は教育を自由と公平というか、そういうまあ原則に立ってどのように文部大臣に御指示があったか。そういう話をしたことはないのか、それを一番初めにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/131
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132・松永東
○国務大臣(松永東君) これは正直に申し上げますと、ズブのしろうとの私を文部大臣に任命するのには教育の方針はどういうふうに考えておるかとか、あるいはどんな抱負を持っておるかというようなことを大体これは聞くのじゃなかろうかと、私は大臣になったことは初めてだからわからんのじゃったのですが、何もそういうことは話がなかった。ですが、多分党内においてもふだんから私の主張しておることを総理がやはり知っておるものだから、それで聞かぬじゃったのじゃろうと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/132
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133・大和与一
○大和与一君 それでは大臣に就任されて、まあ一つか二つの大きな柱だけでいいと思うのですが、大臣の経験はあまりなくても、人間としての達人の境地からいって教育行政をどうやろうというふうに御就任の当時、今でもいいですが、一番大きなかなめだけでいいですからお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/133
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134・松永東
○国務大臣(松永東君) それは多分大和さんも御承知じゃろうと思う。記憶をさぐって下さればわかると思いますが、就任したその日に、新聞記者諸君が、一体文部行政をどうするつもりだ、その抱負経綸を承わりたいというので私を取り巻いて話があったのです。しかし、私は専門家じゃありませんけれども、しかしながら教育についてはこんなふうにせんけりゃならぬということは大体承知いたしておったのであります。その第一が道徳教育をどうしても強化せなけりゃいかぬということが第一。その次は科学技術教育を振興せんけりゃいかんということ。さらに第三は義務教育水準の向上をせなければいかぬ。この三点は何としてでも一つやりあげたいというふうにわしゃ就任のときから計画をしておった。
しかし今申し上げる通り専門家でありませんから、そうした面は、内容については今後研究を重ねてそうして精進したいというふうに考えておったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/134
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135・大和与一
○大和与一君 次には民主主義というものを日本では与えられた民主主義と言われております。それでまあ民主主義の一つの特徴はやはり判断力、批判力というものが国民全体にまあなくちゃいかんと思うのです。そういう意味で民主主義になったけれども、なかなか封建的な昔の間違った考え方が、教育の中にもあるいはその他の面にもたくさんあると思うのです。そういう形の中でまあ日教組なり高教組なりそういう職員団体のあるいは広く言って先生全体が日本の民主主義を逆にさせないための非常な努力貢献をした。こういうふうに私は考えるのですけれども、その点はお認めいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/135
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136・松永東
○国務大臣(松永東君) 仰せの通り、戦前封建思想が織り込まれておったいろいろな政治経済その他の面について、敗戦後これは民主主義に徹せんけりゃならぬということに、これはもう国民同様に覚悟をかためてきたことはもちろんのこと、この教育の面についても何としてでもこれは民主教育を今までとはずっと違ったいき方でいかんけりゃならぬということに、先生初めみんな努力をせられたことは、これはまさにわしゃ承知いたしております。従って日教組の人々も、やはりあれからずっとそうした民主主義教育徹底のために努力を続けてきておられるということは私も承知いたしております。しかし日教組のあの大きな団体のうちには、やはりともすれば民主主義を、同じ民主主義でも少し行き過ぎた民主主義と見られるような行動にあるいは言論にいする人もあります。しかしながら大部分の人々はです。やはり次の時代をになう青少年をりっぱな人格者に育て上げなきゃならぬというので努力を払われておるということは、わしはよく認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/136
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137・大和与一
○大和与一君 私はまだ民主主義はほんとうに成熟をしていないと思っておりますので、ですからその民主主義はどんどん進むというよりも、むしろ封建主義的な形に逆行しない、このために日本の労働運動というものが教員組合を含めて、当時マッカーサーがうんとおだてたんですね。日本の民主主義を進めるために何としても労働運動が一番軸だ、さんざんべたぼめにほめておだてあげたはずです。そのことはやはりこれは、少くとも逆の非民主主義な形にならないように、こういうために教員組合も非常な貢献をした、こういうことをお認めというか、わかっていただけるかというわけです。一部にもちろん少数のそういう人もいるかと思いますが、全体からいってそういう形は間違いないのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/137
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138・松永東
○国務大臣(松永東君) 大体民主主義教育を非常に助長してこられた点も認めます。しかしわれわれの考え方からすると、行き過ぎの点も相当認められる。ですから、これをやはり軌道に乗っけなければいかぬ。従って私どもは、日教組全体が民主主義に徹している最善の組合ということには折紙つけられぬ。さればといって、民主主義教育に助力せられた点も認める、そういうふうに私は考えている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/138
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139・大和与一
○大和与一君 次は、国民の生活の中身ですけれども、労働者を含めて、戦争の直後よりは今少し国民生活はよくなったと、これは一応言えると思うのです。しかし最近の政府の資料を拝見しても、アメリカの賃金でいえば九分の一くらいしかないとか、イギリスと比べても半分くらいしかないとか、二万円くらい給料をとっている先生を含めて、労働者が二週間に十匁くらいのこま切れの肉を食っている状態だ、あるいは娯楽費なんというのは月に百円くらいしか使っていない、こういうことが政府の資料にも書いてあります。そういう生活が、まだまだ働く立場のものが苦しい、こういうことはわかっていただけるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/139
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140・松永東
○国務大臣(松永東君) もちろん苦しいとか、あるいは楽だとかいうことはおのずから程度問題です。程度問題ですけれども、学校に教べんをとっておられる先生方の生活はもっと優遇せんければいかぬ。もっと何とか豊富な、楽な生活になるようにしなければいかぬと考えております。しかしながら御承知のように、日本の現在の財政状態ではそれほど十分というわけにはいきませんので、今日の程度ではまあまあこれでがまんをしてもらうより仕方がないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/140
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141・大和与一
○大和与一君 次は憲法の第二十八条に、労働者は団結、団体交渉、団体行動の権利があることはお認めになっているわけです。それを一体なぜとられたかというと、マッカーサーの書簡によって憲法に違反してまで、占領当時に天皇さんよりも力が強いと言われた占領軍の命令によってとられたわけです。これはやはり本来の姿ではないわけです。民主主義者として、特に大臣としてこれは憲法を守ることが国民全体の先頭に立たなければならぬ、命をはらなければいかぬ、こういう立場に立つとこの憲法二十八条の三つの基本的な権利というものはすみやかに返さなければならぬ、元に返さなければならぬと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/141
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142・松永東
○国務大臣(松永東君) ちょっともう一ぺん……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/142
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143・大和与一
○大和与一君 憲法に団結する力、団体交渉をする力、団体行動する力というものが保障されているわけですね。ほんとうはそれをすべての国民が持っていなければいかぬ。それをとられたのはなぜかというと、日本の政府がやったのではなくて、マッカーサーが力で強引にマッカーサー書簡というものを出してとっちゃったわけです。これは御承知の通りです。それで、ほんとうであればみんなにその力がなくちゃいかぬのだから、特に政府の大臣たる方は、これを一日も早く労働者に、みんなに基本的な権利は平等に与えるように返さなければいかぬ、返したらよかろう、こういうお気持になっていただきたい、なってもらえるのじゃないか。マッカーサー命令があったからとられた。それでなければみんなに与えられて何も差しつかえなかったのじゃないか。このように思うのですが、この点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/143
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144・松永東
○国務大臣(松永東君) ただいまの大和さんの御質問よくわかりました。それはしかし、公務員という特殊な立場にありますから、一般労働者とはやはり区別せんければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/144
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145・大和与一
○大和与一君 もう一つは、主権在民という言葉がありますね。そうすると、日本国民のすべての者は、どんなに政治に目ざめて政治的な活動をしたり、政治的な演説をしたり、あるいは運動をすることは、憲法の趣旨からいって間違いないと思うのです。その点はそれでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/145
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146・松永東
○国務大臣(松永東君) それはお説の通りだと思います。ただ、さればといって何らの制限がないものじゃないと思います。しかしその制限も、憲法におのずから認められた制限でなければいかぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/146
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147・大和与一
○大和与一君 そこで職員団体、労働組合を含めて、その制限というものははっきり書いてあるのですね。主として政治活動、主としてそういう活動をするものは、労働組合として認められぬ。これだけのただし書きがありますけれども、それ以外にはないわけです。そうすると、それを何かちょっと国民の権利として政治的にすべてに生活がつながるわけです。その政治的な考え方なり、動きをすると、すぐにこれは政治活動だと、こういって押えつける傾向が最近政府に強いと思う。こういう点は私は間違いだと思うのだけれども、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/147
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148・松永東
○国務大臣(松永東君) 私はそう押しつけたり、押えつけたりするようなことがあるとは思いませんがね。やっぱり憲法上許されたる範囲内の活動はお互い自由にやっていると思っておりますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/148
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149・大和与一
○大和与一君 次は、国家公務員法という法律がありますね。この法律ができるときに、ちょうど大臣が議長でなかったかと思うのだけれども、昭和二十三年だったと思うのですよ。年末のどさくさのときに、この公務員法という法律は一条の審議もしないで、ちょうど魚屋のせり市みたいに、副議長がぱっと手を上げてから、公務員法と公共企業体等労働関係法という法律が通ったのです。そうすると、この法律は非常にたくさんの欠陥があるというふうに、これは立案者全部言っているわけです。それに対して大臣もそうだとお考えになると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/149
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150・松永東
○国務大臣(松永東君) 私は二十三年はあいにく首になっておりまして、追放を食っておりまして、国会に出て参っておりません。その成立した由来を承知いたしておりませんが、しかしとにかく公務員法としてれっきとして実施せられておりますから、これは正当な法律じゃと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/150
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151・大和与一
○大和与一君 法律は間違っているのじゃなくて、法律の中身にたくさんの欠陥があるということを、これはひとしく立案者も言っている、当時の自民党も含めてですよ。どうもあれは少し無茶だったと、なぜやったかというと、これもマッカーサー書簡によって無理に作られたのだ、だからたくさん欠陥があるということをお認めになっていただけばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/151
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152・松永東
○国務大臣(松永東君) これはひとり公務員法ばかりではなく、あの時分にできた法律、制度、それはもろもろの欠陥がたくさんあるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/152
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153・大和与一
○大和与一君 そうしますと、そういう法律に大きな欠陥があるし、国民生活にもでこぼこがあるし、その中で今回の勤務評定というものをやや強行するという形は、何といっても正しくない、この辺をまず最初に私は言いたいのです。それで今度は、この間松永委員の質問にもちょっと出ておるのですが、この前文部省から出した通達ですね、その通達と、それでは資料というものは、資料の方はほんとうに取っても取らなくてもいいことで、通達の方が強いと思えるのですが、そういう言い方はあると思いますが、一体その通達というものは、規則とか省令とどのくらいの重さ、軽さというか、あるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/153
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154・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 省令は御承知の通り法律命令に基いた規定でございまして、法的拘束力を持っているものでございます。通達は文部大臣の権限において発する行政権の行使の問題でございまして、指導、助言のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/154
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155・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/155
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156・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/156
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157・大和与一
○大和与一君 諸外国における事例を参照する等、ずいぶん勉強したらしいのですが、この事例はどのくらいのことをおやりになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/157
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158・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 欧米のあるいは中共等の事例も十分検討をいたしました。特にドイツあたりでは、非常に完璧な制度ができております。アメリカでは大体大都市に多く行われておりまして、主として悪い者に対する研修、このために使っているようでございます。ドイツにつきましては、相当詳細な勤務評定が、特に西独バイエル市においてはできております。その他各国の事例を一応私どもは検討いたしたわけでございます。大体人事管理を科学的にやるという線から申しますと、何らかそういう措置が必要ではなかろうか、もしそういう勤務評定をやらないとすれば、どういう結果になるかといいますと、やはりあまり勘に頼った人事行政もよくないし、あるいは情実にとらわれた人事行政もよくない思うのです。できるだけ資料は科学的なものがあった方が、人事行政管理上必要ではなかろうかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/158
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159・大和与一
○大和与一君 それはあなたの方で、うまくできているという各国のお話もあるけれども、この本は専門家の学者たちがたくさん書いておりますね。これはなかなかうまくいかぬという話もだいぶあるのですが、いいところだけ取ったと、だいぶアメリカでやっておっても、やはり相当慎重といいますか、なかなかむずかしい問題だからいろいろ困難があると、こういうようなこともだいぶこれに書いてあるのですよ。それからこれを相当短期間に急に検討されて、そうしてそれがいろいろな参考になるというふうに自画自讃されるのだけれども、どうも私はその点は、今言ったくらいでは、諸外国の事例を勉強したということにならぬと思う。よっぽど深い検討した資料でも読んで勉強でもし、これは特に重大な困難な複雑な問題ですから、そういう点を、えらくぎょうぎょうしく書き上げたところに、何かあまりほんとうでないような気がしますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/159
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160・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私ども諸外国における教職員の勤務評定というので、アメリカ、西独バイエル市、それからフランス、ソビエト、中華人民共和国、こういうような国々における勤務評定の実態というものを一応調べまして、そうして私どもは人事管理上科学的なやはり資料が必要であるという見解に到達しました。特に法律でも規定されております。また、国家公務員、地方公務員大体行なっております。教員だけが例外であるとは考えておりませんし、また、国立学校でも、高校学校以下につきましては、昭和二十七年度から実施しておりますので、地方公務員につきましても実施するように指導して参ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/160
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161・大和与一
○大和与一君 そうなりますと、それだけ自由に検討をしていただいておるとすると、言葉はどうか存じませんが、絶対的評定という言い方と、それから相対的評定という言い方があると思います。そうすると純科学的にとことんまで理詰めで追い詰めて、そうしてできたものがかりにあるとすれば、やや絶対的表現に近いと思います。この場合には自信をもってこうだというふうに見ることができると思います。相対的になると、さっきも言ったように、経済条件なり、その他いろいろなことを勘案すると、なかなかこれはそのほかの要素が出てきてどうもりっぱなものとは言えないと思います。そうすると、今おっしゃったことは、絶対的評定という言い方に、まさに適合した寸分狂いのない確信のあるものだ、それでは一体そういうふうにして作ったものを、資料をわれわれに下さったかというと、資料を持ってきていない。私はそういう資料だけでなくて、文部大臣がこの前の国会で、必ず自分の方では考えている、こういうことをおっしゃっておったけれども、実際は作っていない。そうするとそれは教育長協議会、そこで案が何かできたそうだから、それに合わして見せればいいだろう。自分の方にそれだけの自信がありながら、あなた方よりも、よりしろうとの人々のやや同志的に過ぎる案ができたら、それでいいのだということにはならぬと思いますが、その点はどういうつながりを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/161
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162・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 今お話しの点、大体人間の考え方というものは、私ども基本的にはそう変るものではない。そこでいろいろな評定をされる問題になるのですが、実はどういう評定要素があるのかというと、教職員の勤務の実態をいろいろよく把握していく、こういうことになると思うのであります。それで、私どもは国立学校につきましては、すでに昭和二十七年から実施しておったわけであります。その他国家公務員、地方公務員あるいは民間における勤務評定の実情等も見ながら、私どもは検討を進めておったわけであります。そこに先般愛媛県の事件が起きたわけであります。愛媛県の事件を契機に一そうよい勤務評定を作らなければならぬということでございまして、特にこの件は国会においてもいろいろと御質疑がございました、そうしてできるだけ教職員の勤務の実態を把握できるものにふさわしいような勤務評定を作りたい、かように念願して検討を続けて参ったわけでございますが、たまたま昨年の秋になりまして、教育長協議会の方も実はこれは検討しておりまして、文部省で出すよりは、これは私どもの責任であるから、ともかく地方公務員法によりまして、あるいは地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、都道府県が企画立案する責任があるのだから、私どもの手で作るから、文部省はちょっと差し控えてほしいという要望もありました。私どもは教育長協議会の試案の作成を見守っておったわけでございます。で、もちろん私どもの入手できる範囲の資料は、そちらの方に渡しておきました。その結果を見ますと、おおむね私どもは妥当ではなかろうかと考えておるのでございます。で、そういういきさつでございまして、文部省では今でも勤務評定について検討を続けおるわけであります。私どもは一応やってみて、悪ければだんだん改善していくと、こういう努力を積み重ねていかなければならぬかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/162
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163・大和与一
○大和与一君 特に諸外国の例をということを言うから言いたいので、絶対的評定というか、教育長会議の中身を言っているのでなくて、文部省自体で検討されて、これならという一応基準というか、腹がまえというか、そういうものができておったと思うのですよ、発表した、せぬは一応別として。その一体できたものは、もう絶対的評定というか、非常にこれは権威のあるもんだというふうなことを言い切れるのかと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/163
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164・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在の段階で、私どもは諸外国のものや国家公務員、あるいは地方公務員等の、あるいは民間の実情等も勘案されて、まあ私は今のところでは、現状から考えればまあいいんではなかろうかと、もちろん最高の理想とはいかないにしても、現状から考えれば、精一ぱいのところだと、今までのものに比べて、悪いところの欠陥は全部是正してあるように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/164
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165・秋山長造
○秋山長造君 関連して。局長、今のお話しだと、あなたの方で作っておったが、地方教育長協議会の方でこっちにまかしてくれと言われたのでまかしたと、こうおっしゃるのですが、それは一体いつごろのことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/165
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166・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) それはたしか昨年の九月か十月ごろと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/166
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167・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますとね、九月、十月にすでにそういうことでそっちにまかされたのですね、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/167
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168・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 九月、十月ごろに、教育長協議会の第三部会で研究を積んでおったのは、もっと前からであります。私どもは国立学校については、先ほど申しましたように、昭和二十七年度からやっておりますので、それも検討しておりました。そこで、申し出があったのは、私の記憶では、十月か九月か、まあその辺だと思っておりますが、今はっきりした日にちは記憶しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/168
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169・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、勤務評定問題が少くとも国会において、当委員会等で激しく論議の中心になってきたのは、十一月初めの臨時国会前後からです。それで臨時国会中のこの委員会での審議においても、それからまたそれが済んで、十一月中旬から終り、さらに愛媛のあの最終の段階ごろ、あのころにかけては、まだ依然として文部省は、あなたの方は文部省で試案を作って、そしてそれをこの資料として、参考して流すのだということをおっしゃっておったと思う。これは現に私はその当事者でもあるから、よく覚えておるのですがね。十一月の末ごろあたり、まだ大臣にお会いしても、大臣は常にそういう意向を漏らしておられたのですね。そうしますと、ちょっと時期的に今のあなたのお話と、当時のあなたのお話とはこう、時期的に食い違っておると思うのですね。今のあなたのお話しでは、教育長協議会の第三部会では、ずっと早くから研究を積み重ねておって、そうして九月、十月ごろにはほぼ見通しがつきかけておったと、そうしてもうこちらにまかしてほしいと こう言われた。それであなたの方もそれじゃそうしようと、こうなったとおっしゃったでしょう。ところが、そのまかしたということになった後において、依然としてあなたの方では、文部省で試案を作っておると、甲案とか乙案とか、あるいはA案とかB案とか、まあいろいろ言っておりましたが、そういうことでとにかく文部省でやるのだと、で、そういう前提のもとに、そういう説明だからこそ、あの当時臨時国会の終末において、この委員会においてあの決議をしたことを御記憶だろうと思うのです。文部省の試案が最終的に確定をして、そうして全国に流す面前に、これに先だって、この委員会で関係者を呼んで意見を聞くと、そういう委員会の決議が出ているのです。だから、これはあなたのおっしゃるのは私は違うと思うのですよ、故意か善意か知らぬけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/169
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170・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 何か秋山委員の方にも少し誤解があるのじゃないでしょうかね。私どもはたしか十月の二十二日と記憶しておりますが、全国の教育長協議会がありました。それから二十三日に全国の小、中、高等学校の校長会がございました。二十四日に全国の都道府県の教育委員長会議がございました。そこで、正式に都道府県の教育委員長会議では勤務評定は実施するという線にして、それからその案については、教育長協議会にまかせると、こういう最終決定をしておりますので、その前からそういう話はあったはずでございます。で、どうも私はその辺のところがちょっと理解しかねるのですが、明瞭にそのときに二十四日に委員長会議はそういう決定をしているのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/170
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171・秋山長造
○秋山長造君 いや、その点はこれは私のただいまの質問に対するあなたの答弁は重大な食い違いがあります。あなた自身当時おっしゃっておったことと、もう今あなたの方はきわめて気が軽いでしょう。もうやるだけはやって、そうして思う通りのものを教育長協議会の試案という形で、文部省は別個の立場でやらせるというような格好で、まあ万事お手盛りができた。だからきわめて気軽にそういうことをおっしゃっておる。ところが、当時は何でもかでもこれはやらにゃいかぬということで、一生懸命になっておったから、今のようないいかげんな気持じゃなかったですよ、少くともこの委員会におけるあなたの発言はね。だけれどもその点は私はもっと正確に当時の速記録等を調べて、それで正確なことをお尋ねします。
で、まあその点はだから保留しておきますが、いずれにいたしましても、文部省としては、文部省自身で最初は試案を作って全国に流すという方針でやっておったことは間違いない。で、その作業は、これは当時私どもと大臣、それから内藤さん、その他当事者の方々とのしばしばの交渉で、話し合いの過程で大体この十一月の末か十二月の初めごろには、文部省の試案なるものが、最終試案なるものができ上るだろうという見通しだったのです。ですから、おそらく私の想像では文部試案なるものは、もう最終決定的なものがすでに年内にできておったと思うのですね。そうでしょう。で、その文部省の最終試案なるものは、その後すっかり局面が転換して、十一月の二十日に教育長協議会の案が、一応裏はどうか知らぬけれども、表面的には別個な立場で流された。そして文部省もそれを認めたような形で、もうそれでいこうというような形で来ている。だから非常に問題になって注目されて、公表して世論に問えという、文部省の方は問わぬという。そういうことで非常に注目の的になっておった文部試案なるものは、その後一体どうなっているのか。できておるものならば、でき上ったら皆さんにもお見せして、そして御批判を願うつもりだということをしばしばおっしゃっている。その試案なるものがどうなっておるのか、それを一つ資料としてお配りになったらどうか、われわれに。全国に配ってもらっては困る、われわれに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/171
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172・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私どもは御指摘のように前から研究を続けておりまして、大体十月ごろを目標に準備を急いでおったわけでございます。お話しの点で教育長協議会がもしつまずいて出さないというような場合には、私ども文部省側の案を出したいという気持は、最後まで私ども持っておりました。幸いにして十二月二十日に教育長協議会が試案を発表する段階に至りまして、それを教育長協議会としては採択いたしましたから、私ども意見を差し控えたわけでございます。私どもはその後も検討を続けております。しかし、私どもは今この機会にせっかく都道府県教育長協議会の諸君が一生懸命作られた試案に対して、私どもがこの際とやかく申し上げることも差し控えたいと思いますし、また文部省の案についても、今お出しすることは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/172
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173・秋山長造
○秋山長造君 それらの点はさっきの保留した点と関連いたしまして、また、適当な機会に続けてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/173
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174・大和与一
○大和与一君 局長さんは答弁が名人だそうだから、もう少しちゃんと、案が一つあったのだ、案がちゃんとあって、それで今度教育長協議会ですか、そこできめるときにはいろいろ助言をしたのだと、こういうふうに分けて聞いたのですけれども、それはどうなんですか。今のお話を聞くと、いやあるのだけれども今出さぬ、こういうふうに言っているように思うのですが、文部省の案……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/174
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175・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私は先ほどから申し上げておりますように、この問題は、すでに一昨年からの問題で、特にいろいろ愛媛県の問題を契機に、私ども勤務評定のあり方について、いろいろ検討を続けて参ったわけでございます。そこでなるべく早い機会にお示しした方がいいということで、十月ごろまでを目標に、いろいろ私どもの方は内部的に検討を重ねておった、そういうことでございます。そこで教育長協議会の方の第三部会を中心にいろいろと勤務評定の試案について前から御研究になっておった。そこで、私どもは必要な資料の御要求があれば、諸外国の例やあるいは民間の例なり、国立学校の例なり、私どもが集め得る諸般の資料は全部差し上げておりました。こういうことでございまして、私どもの案については、別途に研究を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/175
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176・大和与一
○大和与一君 ですから教育長協議会に参考資料と助言をしたということはわかった。片一方の方は検討していることもわかるけれども、一応あなたの腹案といいますか、そういうものがあったならば、それは当然われわれの資料として出すべきであるし、また、大臣もちゃんと言明して、この次までに作るとか何とか言っております。だからこういうことを言わないで、隠しておいて、それで実際やる方では、教育長協議会の方はきまったから……。こう言っているのでは、どうもその辺案があるのかないのか、たとえば助言するにしても一つの腹がなければ、ただそんな外国の資料見て勝手にせい、こんなことは助言にならない。だからもう少しその点は親切におやりになるのだろうから、そうなると裏づけが要る。そういう裏づけがあるのかないのか、はっきり言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/176
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177・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私どもは教育長協議会が最終的な案をまとめることができなければ、私どもみずからの案をお示ししようと思って検討を続けておった。しかしながら、幸いにして十二月二十日に教育長協議会の試案ができましたので、この際文部省の案をお示しすることは、いたずらに混乱するばかりでございますので、私どもはこの際差し控えたいという気持でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/177
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178・大和与一
○大和与一君 それではお尋ねしますが、教育長協議会というものの性格はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/178
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179・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 教育長協議会の性格とおっしゃる意味は、試案の性格でございますか、何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/179
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180・大和与一
○大和与一君 機関というか、会議の性格、どんな拘束力があるかということも含めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/180
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181・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 教育長協議会は教育長の連絡協議会でございます。ですからここで決定いたしましたら、すぐ各県を拘束するものではございません。しかしながら、そこに出ていった教育長なり教育委員長は、これに賛意を表した以上、道義的な責任はあると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/181
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182・大和与一
○大和与一君 そうすれば決議機関でも何でもない、協議機関だから、そうすればそれを持ち帰っていわゆる申し合せ、こういうふうに考えていいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/182
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183・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/183
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184・大和与一
○大和与一君 そうしますと、申し合せ的な教育長協議会に対して、あなたの方で自分の方の案を言ったりして混乱が起るというのは、どういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/184
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185・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 教育長協議会でも非常に第三部会を中心に何度も何度も会合されて、せっかくできた成案でございまして、私どもの見た範囲では、現在の段階では教職員についてこれはかなり理想的なものだと考えております。私どもの現在の段階では、私はある意味で非常にすぐれた案だとさように考えておりますので、これについてとやかく申し上げることは差し控えたいと、こういう気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/185
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186・大和与一
○大和与一君 そう言うけれども、やはりものさしがなければ、局長さんが幾ら個人で自分の気に入ったとしてもだめなんで、文部省として自分のものさしに当ててみる。教育長協議会の今の取り運び、これを認めることは大体いいと思う、こういうふうになるならばわかるけれども、ものさしを隠しておいて、抽象的にただいいと思うなんて言っていても、これはやはり文教委員会には少し答弁がお粗末ですね。そのものさしがあるのでしょうから、あればそれを出しなさいと言うのです。今からでもいいから すぐに指図して皆さんに渡して、僕らにも勉強さしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/186
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187・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私どもは今申しましたように教育長協議会の試案を、ある意味で一応私どもがけっこうな試案だと考えておりますので、これ以上私どもの案お示しして、かえって混乱を来たすようなことは避けたいという考えでございます。しかも、実施時期を間近に控えておることでございますので、私どもはとやかく申すことは差し控えたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/187
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188・大和与一
○大和与一君 盛んに実施時期を間近に控えておると言うけれども、もしもあなたの勘で教育長協議会のまとめた案が悪くない、こんなことでは文部行政のほんとうの指導ではないと思うのです。単にりっぱなものだというだけじゃなく、自分らも責任を持って同じ気持で推進できる、こういうところにいってなければいけないと思う。しかも、教育長協議会というものは、先ほどいったように申し合せ機関だということになりますと、権威の点からいって、やはり文部省のあなた方の考え方、その腹案といいますか、それがやはり十分に反映をした上でその申し合せができたということで、形の上ではそれが下ってくるなら話はわかるけれども、えらく教育長協議会で遠慮をするというか、拙速で何でもかんでも早くやった方がいいということが頭にこびりついたような言い方をされるから、内容においても私たち信頼がおけない。十分でないじゃないか、もっと検討しなくちゃならぬのではないか、もっと慎重にやらなければならぬ、こういうことを言っておるのは、少しも無理じゃないと思いますが、それを文部省は自分で教育長協議会がきめたからいいじゃないかといって、さわらぬ神にたたりなしという態度は非常によくないと思うが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/188
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189・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私決してさわらぬ神にたたりなしというような気持はございません。教育長協議会の試案を一々ごらんいただきますれば、私は今の段階ではよくできている案だと、かように考えておりますので、批判がましいことは避けたい、こう申し上げたので、具体的に御指摘なされば、お答え申し上げたいと思いますけれども、その選び方、あるいは項目のとり方、それからできるだけ客観性を持たせるために概念統一をいたしております。これは八十数項目にわたって統一してあります。それからさらに正常分配曲線を避けたいというような点、いろいろと過去の勤務評定に対する反省を織り込んで、できるだけよい勤務評定を作るという熱意が明らかに見られると思います。私どもは、現在の都道府県教育委員会がお作りになったこの試案に対しては、けっこうな案だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/189
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190・大和与一
○大和与一君 あなたの方でけっこうな案だと言われるその基本的態度というか、基準、それは一体日本ではそれでは勤務評定はどこが一番最高の水準で検討をし、実行されているか、それを参考にしたでしょうね、当然。その辺をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/190
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191・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはですから先ほど申しましたように、国立学校のものを参考にしましたし、国家公務員のものも参考にされたと思うのであります。あるいは地方公務員のも、民間で行われているのもございます。また諸外国のものもあります。だけれども、日本の国情から考えて、教員という特殊なこの職務の実態を把握して、そしてまとめ上げられたものと思っておるのであります。特に一つの考え方は、この勤務の特殊性と申しますか、実態の上から把握する、それからもう一つは、勤務の態度から把握する、こういうふうに二つの線からこれをとらえて、そしてできるだけ概念統一をしているわけでございます。たとえば、指導力とか教育愛というようなことにしても、これが、各人ばらばらになると非常に評定が違って参りますので、そこで、これを統一するように、学級経営についてはこういうような意味で考えるのだとか、あるいは学校経営についてはこういうふうに考えるのだとか、そういう職務の実態と勤務の態度、この二つの特性を十分考慮して作られたものと思うのであります。私どもは教育界を比較してみますと、結局、国立学校だけが中心でございますので、他の民間のものがそのまますぐ適用になるとは考えておりませんので、現在の段階ではけっこうな案だと、こういうふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/191
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192・大和与一
○大和与一君 その参考にされた内容について、外国のやつは別として、国内で人事院の規則以外に何を参考にされたか、これは具体的に言ってもらわなければ困る。ただ、抽象的に一行や二行言ってもだめなんだから、人事院規則は日本では一番最高の勤務評定に対するやはりお手本だと思う。そうでなくて、それ以外の、岡内ではどういうところのものを参考にしたか、やや具体的に言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/192
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193・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはまあ、私、都道府県教育委員会でどういうものをこまかくされたか詳細に存じませんが、私どもの手元で検討しておりましたのは、諸外国のものと、それから国家公務員、特に今御指摘の人事院規則のもの、国立学校のもの、それから民間の大きな会社、たとえば東芝とか、現にやっておる民間の大きな会社を幾つか選びました。それから地方公務員のものも選びました。そういう事例は全部教育長協議会の方にも差し上げておきましたので、教育長協議会では、これらの事例を十分参考にされたことと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/193
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194・大和与一
○大和与一君 それは、今のところは教育長協議会の話をしているのじゃないですから、文部省の話をしているので、やはり人事院規則を何といっても現在では一番これは内容的にも整備された、形からいっても。これにほとんどまあよりどころを求めて検討をされたし、また、現在では、やはりこれに準拠してやっていくということになるのだと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/194
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195・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん人事院規則を十分参考にしておりますけれども、私どもは現在の人事院規則にも、必ずしも満足いたしておりませんので、その点をよく過去の実績等も反省して、よりよい勤務評定を作っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/195
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196・大和与一
○大和与一君 それはもちろん、これは完全なものでないということはわかるのですけれども、人事院規則は。しかし、そのとき、だから人事院規則以外に地方のいろいろ地方教育委員会なり参考にしたというけれども、それらのものはすでにこれが基準になって、おそらくやはり出ていると思うのです。だから、それをえらい軽く見るような言い方をして、人事院規則は十分の一ぐらい参考にしたので、大したことはないのだという言い方をされると、どうも話しにならぬから、これはやはりあっさりと現在においてはこの規則の基礎を十分主として参考にしてやった、こういうことは言ったって、ちっとも間違いないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/196
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197・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん先ほどからも申し上げているように、人事院規則は十分参考にしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/197
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198・大和与一
○大和与一君 それで今度は、これは県の教育委員会、市町村の教育委員会、文部省ですか、こっちの教育委員会、こういうのはあれですか、それぞれ完全な独立をしている、こういう、ふうに、これは考えてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/198
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199・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 県の教育委員会はそれぞれ独立しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/199
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200・大和与一
○大和与一君 市町村と県と……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/200
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201・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) いや、そこまで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/201
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202・大和与一
○大和与一君 そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/202
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203・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 義務教育諸学校につきまして、御承知の通り地方教育行政の組織並びに運営に関する法律によって、義務教育については、特に県費負担職員については、都道府県の教育委員会が企画して実施は市町村の教育委員会が行うということですから、その意味では完全に別個なものじゃございません。都道府県が全体計画を作って、その計画に基いて市町村が実施するということでございまして、市町村と都道府県が、この件に関しては分れているわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/203
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204・大和与一
○大和与一君 それはあれでしょう。勤務評定についてという意味でしょう、今のは。機関としては当然独立機関でしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/204
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205・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/205
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206・大和与一
○大和与一君 勤務評定については、今言ったようなことが……。そうすると、それは計画と実施とはまるで水と油みたいで、片一方は計画して、あとは紙に書いて流したらそれでいいのだ、こういうものじゃないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/206
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207・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そういうものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/207
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208・大和与一
○大和与一君 ないですね。そうすると、それは計画と実施ということは、これを計画をされ、その実施をするためには、計画がやはり円滑にいくように当然つながっていかなければならない、ある幅をもって。そういう配慮は必ずなさらなければいけないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/208
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209・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん、実施する人の意見というものも都道府県の教育委員会は十分考慮されて一体となって運営されることを、私どもは期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/209
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210・大和与一
○大和与一君 そうしますと、今まで何かそれがどうもうまくいかないので、計画はされた、あとはされたことがずっと紙でいって、その通りやらなければいかぬ、何が何でもやるのだ、こういうふうな格好が過去にどうもあったと思いますが、それが反省できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/210
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211・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは各県が地方の教育委員会とのいかなる協力態勢をとるかという問題だと思います。私どもは県の教育委員会が市町村教育委員会と十分連絡し、提携を密にして勤務評定の実施をしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/211
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212・大和与一
○大和与一君 各県に対して、法律、省令以外に、おたくの方で強制力といいますか、拘束力といいますか、その強さがあるものは何か、あるいはまたあるとすれば、それはどういう順序になっているか、幾つぐらいあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/212
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213・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 各県あるいは市町村の教育委員会は、これは独自の機関でございますので、法律または法律による命令のみが法的拘束力を持っておるわけでございます。文部省はそれ以外に、教育行政上必要な場合には、指導助言をする権限が、これ文部省設置法によって認められているわけでございます。これはあくまでも指導助言でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/213
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214・松永忠二
○松永忠二君 関連して。そうすると、文部省は初め試案を作って、文部省試案に基いて全国一せいに実施をするということを考えておられた。しかしやはり、教育長協議会が試案を作られて、それでもって各地方の教育委員会が実施をする方が、やはりこれは法的にも本筋だろうというふうなお考えを持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/214
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215・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん、文部省は法の執行をする立場でございますので、法が円滑に執行するように絶えず指導助言をする義務が私はあると思っております。しかし、都道府県の連絡協議会である教育長協議会がみずから進んでその責めを果したいという場合には、私どもはその自主的な活動に期待する方がよかろうと思っております。で、それが失敗したような場合には、私どもは進んで助言もし、あるいは指導もする必要があるかと思いますが、本件の場合には、都道府県教育長協議会がみずから試案を作って、みずから実施しようという態勢になっておりますので、文部省は差し控えるごとになっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/215
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216・大和与一
○大和与一君 差し控えるということではなしに、やはり法の建前からいって、その方が正しいやり方だというふうにお考えになっておられるのですか、その方が都合がいいというふうにお考えになっているのか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/216
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217・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 都道府県教育長協議会が自主的にやられる方が、私は民主的だと思っております。文部省はできるだけ最後の機関として、その指導、助言につきましては、必要最小限度にとどめるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/217
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218・松永忠二
○松永忠二君 関連。そうすると、今度は逆で、教育長協議会の試案ができたけれども、やはりこれは法の建前からいって、地方の教育委員会が計画して立案をするということになる。やはり地方の教育委員会が原案を作って、そうしてその地方に即してやっていく方が、それがやはり一番法としては望ましい方法だというふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/218
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219・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはまあどちらが望ましいのか、結局最後は都道府県教育委員会が主体的な責任を持つわけでございますので、その過程において同じような県の事情でございますので、各県が大体共通線をお互にきめておく。もちろん、それは準則でございますから、多少各県の地方の中で、各衆の事情によって幅があり得ると思う。あくまでもこれは一つの教育長協議会の参考試案でございますので、都道府県の教育委員会がみずからの責任において決定するその重要な参考資料と、こういうふうに御了解いただければいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/219
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220・大和与一
○大和与一君 そうなりますと、文部大臣が、この前の国会で、自分の方でも検討中だから、この次の国会に出します。こういうふうに御答弁をされておるのですが、そうすると、今の話を聞くと、あなたの言うように、途中でそういうつもりはあったのだけれども、教育長協議会で一つの案ができたから、まあそれでよかろうということでやめたんだ、黙って控えておるのだ、こういうふうに言うのだけれども、これは言い方によると、文部大臣は国会において食言をするということにもなるのですが、これはそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/220
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221・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは文部大臣としては、できるだけ文部省から試案を示したいということで、一生懸命努力して参ったわけでありますが、せっかく都道府県教育長協議会でみずからの責任においてやりたいというから、そうして自分たちにまかせてほしいという強い希望もございましたので、それで私どもの意見を発表するのを差し控えた、こういう格好でありますから、私は別に食言だとは思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/221
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222・大和与一
○大和与一君 そうすると、そういうことは、一体過去において自分の方でやるということを言いながらやれなくなった、こういう場合はあると思う。そうすると、そういう経過がわれわれ文教委員会に十分に話をされて、こうなっていくのだ、こういうようにみんなに納得をしてもらいながら進めていくということはあり得ると思う。それを今度のように、ほとんどそういうことがなくて抜き打ちというか、やみ打ち的にそういうような格好をとっているように思われるから……。しかも、その基準があるのやらないのやら、あるようにもとれる。どうもそれがはっきりわからない。ほんとうはあるのだろうと思う。それをこっちに言うのがいやだから言わないのだと思う。それだから、今だって出せと言えば出せると思う。それはりっぱなものだと思う。それはもう悪いものだったら出せとは言わない。いい意味において、あなたの方で腹案を持ち、それが教育長協議会の申し合せと大体似たり寄ったりで、自分の方だったらもっと高いものを出すのだけれども、各地方の実情を見たら、このくらいでしょうがないのじゃないか。こういうようなことがあれば、その案を遠慮なく出したらいいんじゃないか。そういう手続上の、簡単なようだが、すべてに影響していくんですよ。今までとってきた各県の勤務評定、その他行なってきたことに関連しているのです。いたずらに混乱して世間様を騒がして、刺激している。こういう状態だから、今からでもおそくないから、案があるなら出してもらいたい。もしも今までの経過をちっとも詳細に言わないで、急に変えたと、こんなことの前例がたくさんあるなら、その点も関連してお答えをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/222
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223・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは決してそういうわけじゃございませんので、文部省は初めから文部省の試案を検討しておったわけなんです。たまたま先ほど申しましたように、教育長協議会がみずからの責任において実施するから、文部大臣は助言を差し控えてほしいという御希望があったので、私どもは差し控えているので、従って私どもはせっかくのこの教育長協議会の試案がけっこうならば、試案が出た今日、文部省の案をお示しして、いたずらに混乱を起すのは避けたいというのが、私どもの気持であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/223
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224・大和与一
○大和与一君 教育長協議会が助言を差し控えてもらいたいということは、どの程度強かったのかわかりませんけれども、私たちが案を見せていただきたいというのと、どっちが一体強いのですかね。申し合せ機関から言われたことと、文教委員会で言われたことと……。申し合せ機関の方が大へんりっぱで、そうして文教委員会の方は適当に聞いておこうと、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/224
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225・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 文教委員会の方が、私どもはもちろん文教委員会の意見も十分尊重しているわけですけれども、文教委員会に私どもは出すということを申し上げていないのです。成案ができましたら出すということを申し上げているので、私どもはまだ成案ができないから、今の段階ではお出しするのを差し控えているわけです。(秋山長造君「いや、それじゃあさっき言ったのと違う。できていると言ったよ」と述ぶ)成案はまだできていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/225
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226・大和与一
○大和与一君 それはいかんよ。さっきはちゃんと、一応あるけれども、今出せないと、こういうふうにおっしゃったんです。議事録を見たらわかるはずだ。それと、こっちのを見せなくちゃならぬ義務はないとおっしゃるけれども、教育長協議会と話をまとめるときに、やはりあなたの方のがなければ、そういうことがまとまるはずがない。助言を待ってくれと二両ってもおかしい。そいつがあるのだったらお出しなさい、今……。それで、もしもまだそれが十分に成案ができていないということになれば、そうだったら、あなた方が教育長協議会の申し合せたものを、いいとも悪いとも正確に判断ができないのじゃないか、これはもう当然のことですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/226
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227・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さっきお尋ねがあったのは、文部省がA案、B案とか、いろいろな案を考えている、それを出したらどうかというお話しだったので、(大和与一君「そうじゃないよ」と述ぶ)それは今のこの段階において、せっかく都道府県教育長協議会でおやりになる段階のときに出すと、かえって混乱すると、こう申し上げたので、私どもは最終的な成案はまだできていないので、その点ははっきり申し上げています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/227
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228・大和与一
○大和与一君 そんなことを言ったって、正常分配曲線がやかましく言われている。それは教育長協議会ではまずいというので取り上げなかったのでしょう。そういうふうに考えておったときがあなたの方にはあるわけですね。それから後毎日々々検討中だと言ってそれは動いている。動いているだろうけれども、教育長協議会で最後的にきめるとき、まとまったときには、あなたの方でも話を聞かれて、それならばまずよかろうというふうになったんだろうと思うんです。今言ったのは詭弁です。議事録を見たらわかるんです。あると言っている。今、出せないと言ったんです。それをもう少し正確に話してもらはないと困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/228
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229・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私が申し上げたのは、あなたがさっきお話しになったのは、途中の案でもいいから、あるなら出せと、こういうことだったので、私どもは成案というのは、まだ、これが文部省の成案でございますというような案はできておりません。ただ途中の案でもいいから出せというお話があったから、それを出すと、いたずらに混乱を招くわけでございますから、この際は差し控えたい、こういう意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/229
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230・大和与一
○大和与一君 大臣を一生懸命心待ちしているのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/230
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231・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/231
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232・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/232
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233・松永忠二
○松永忠二君 議事進行。大臣はまだ見えられないようですし、今の内藤局長の言われたことについても、もう少し速記録を調べてみる必要があるので、きょうは散会をして次回に延ばすように提案します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/233
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234・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00819580318/234
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235・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記を始めて下さい。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時七分散会
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