1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月二十日(木曜日)
午前十一時三十六分開会
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委員の異動
三月十九日委員吉江勝保君及び竹中勝
男君辞任につき、その補欠として野村
吉三郎君及び岡三郎君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 湯山 勇君
理事
野本 品吉君
松永 忠二君
委員 大野木秀次郎君
下條 康麿君
高野 一夫君
松岡 平市君
三浦 義男君
吉田 萬次君
秋山 長造君
加賀山之雄君
国務大臣
文 部 大 臣 松永 東君
政府委員
文部大臣官房総
務参事官 斎藤 正君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した案件
○本委員会の運営に関する件
○連合審査会開会の件
○教育、文化及び学術に関する調査の
件(航空機の騒音が基地周辺の教育
施設に及ぼす被害の防止に関する要
望決議に関する件)
○国立競技場法案(内閣提出、衆議院
送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/0
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001・湯山勇
○委員長(湯山勇君) これより文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。昨十九日、竹中勝男君及び吉江勝保君が委員を辞任され、その補欠として岡三郎君及び野村吉三郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/1
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002・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 先刻開会いたしました委員長及び理事打合会の経過について御報告いたします。
教職員の勤務評定に関する参考人の出席日時については、委員長において関係者に内交渉し、先方の都合のよい日をもってこれに充てることといたしました。なお、参考人の人選については、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。
道徳教育の時間特設に関する参考人については、本月二十五日または二十七日に呼ぶことを目途として、二十四日理事会を開き、具体的に決定することといたしました。なお、本件に関する参考人の人選についても、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。
次に、科学技術会議設置法案が内閣委員会に本付託となりましたが、本法案については、相当問題がありますので、内閣委員会と連合審査会を開会することに意見の一致を見ました。
本日の日程といたしましては、先日決定に至りませんでした自衛隊航空基地周辺の学校における騒音防止に関する決議案を議題とし、次いで国立競技場法案を審議いたします。質疑が終了すれば、本日本案の採決を行うことになっております。その後時間があれば、学校保健法案及び教育、文化及び学術に関する一般質疑を行う予定であります。
以上の報告の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
〔「異議なしと呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/2
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003・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/3
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004・湯山勇
○委員長(湯山勇君) それではまず、航空機の騒音が基地周辺の教育施設に及ぼす被害の防止に関する要望決議案を議題といたします。
本案につきましては、各会派でだんだん御協議を願いました結果まとまったものであります。便宜、委員長からこれを朗読いたします。
航空機の騒音が基地周辺の教育施設に及ぼす被害の防止に関する要望決議(案)
近時航空機の性能の発達に伴い、その騒音が飛行場周辺に及ぼす被害はますます高まりつつあるが、自衛隊基地周辺の教育施設が蒙る被害の対策は著しく遅延している。
当委員会は、この際政府が航空基地周辺、特に、自衛隊基地隣接地区の教育施設に対して十分な防音設備の施工、校舎の改築移築等を行うため、所要の法的、財政的措置を講じ、以て基地周辺における教育の正常な実施を図るべきことを強く要望するものである。
右決議する。
昭和三十三年三月二十日
参議院文教委員会
以上であります。
お諮りいたします。ただいま朗読いたしました通り、本委員会の決議をすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/4
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005・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。よって、本要望決議案は可決されました。
なお、本決議の自後の取扱いについては、これを委員長に御一任願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/5
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006・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、国立競技場法案を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/6
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007・松永忠二
○松永忠二君 法案の内容について二、三お尋ねをして、アジア競技大会について一つ大臣から御答弁いただきたいと思いますが、法案の第十九条に、業務方法書というような内容が出ておるわけですが、国立競技場を特殊法人とした理由の中には、やはり役所の経営の仕方ではなしに、相当民間の知識も取り入れて、自主的な運営をはかっていくという趣旨であろうと思うわけでありますが、第十九条の中に「業務方法書を作成し、これに文部省令で定める事項を記載しなければならない。」ということが出ておるのですが、この文部省令で定める内容というものは、大体どんなことを考えておられるのか、局長の方から御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/7
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008・福田繁
○政府委員(福田繁君) この十九条の業務方法書に記載すべき事項でございますが、これは通例こういった特殊法人におきましては、大体法律の内容にありますところの業務の内容を書くのが従来の慣例でございます。従って一応私どもの方で予定いたしておりますのは、大体この十八条に掲げておりますところの業務の内容、すなわち言いかえますと、十八条に一号から三号まで書いてありますが、「その設置する体育施設及び附属施設を運営すること。」あるいは二号には「体育に関する内外の資料を収集し、整理し、保存し、及び一般の利用に供すること。」それから三号には「その他その設置する体育施設及び附属施設を利用して、体育の普及振興のため必要な業務を行うこと。」こういった業務の内容を規定いたしますと同時に、業務方法書でございますので、ややそれに、それを具体的に運営する場合の基準とかいうようなことも当然含まれると思いますが、省令の内容としては、業務の内容をなるべく詳細に書いて、そうしてその運営の基準をここできめていきたい、こういうような考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/8
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009・松永忠二
○松永忠二君 この十九条の業務方法書の内容を省令できめるという問題については、今お話しのあったように、十八条で相当の基本的なものが出てきておる、その上に相当こまかいことを業務方法書によってきめられていくし、第二十一条には、事業計画が事業年度開始前に文部大臣の認可を受けなければできないというようなことになると、一体この会長を中心とし理事の間で自主的にあるいは計画的に考えられていく業務内容とか、事業計画の内容というものは、どの程度の一体幅をもっていくのでありますか。ほとんどこの中に業務方法がきめられ、動きのとれないものになっていくような感じがするのですが、こういう点については一体理事会とかで、どの程度の幅というか、業務事業計画の内容の幅をもっていくことができるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/9
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010・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまの御質問でございますが、もちろん、これは特殊法人でございますので、一般の特殊法人におきますと同様に、予算あるいは事業計画、資金計画というものにつきましては、文部大臣の監督を受けるわけでありまして、その点につきましては、他の法人と同様でありますが、ただ、そういった事業の大体大綱なりあるいは収支予算について、財政上の監督を受けるということは当然でありますけれども、今申されましたような、付属の施設、あるいは競技場の全体の施設をいかに運用するかという個々の実施の面につきましては、これはこういった特殊法人でございまして、役員を置き、あるいはまた、専任の職員を置くことでありまするので、そういった運用につきましては、十分自主性のある運用をしてもらいたい、こういうような考え方であるわけであります。従ってその運用の面におきましては、こういった施設が単に役員のみの考え方で運用されることなく、広くやはり体育関係あるいはスポーツ関係の学識経験者の意向というものも反映する必要がありますので、この法律の中には特に評議員会を置きまして、そうして評議員にそういった方々の意向も、そういうスポーツ関係の方もおそらく入ることでしょうが、そういったスポーツ界の意向というものが運用上反映されて、そうして個々の施設なりあるいは全体の施設の運用というものが適正に行われるというようにいたしたいのであります。そういうように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/10
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011・松永忠二
○松永忠二君 では希望するところは、第十九条の業務方法書の省令できめる事項というようなものが非常にこまかくきめられていくということになりますと、実際の特殊法人にしたというような意義も非常に薄れてくるわけです。そういう点については、せっかくできた理事を中心にし、評議員会を中心にして自主的な運営のできるような方向に幅を持っていただきたいと思うのです。第二十一条に「資金計画を作成し、事業年度開始前に文部大臣の認可を受けなければならない。」というようなことが出ておるわけですが、本年度九百九十六万円という維持運営費の補助が出ておるわけでありますが、こういうものはやはり継続的にこの競技場に出していくというような考え方を持っておられるのですか。また、出したものは出資金という形をやはりとるのでありますか、その点を一つお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/11
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012・福田繁
○政府委員(福田繁君) この資金計画でございますが、これは法人としてこれが発足いたしますと、当然に毎年度の事業計画に合せましてそれぞれその資金計画というものを一応考えなければなりませんので、こういう条文を置いたのでありますが、ただいまのお尋ねの九百九十六万円でございましたか、その運営費の補助であります。これは出資ではございません。出資と申しますと、出資はこの最初の四条に書いておりますように、資本金として出資いたしますのは、三十二年度、三十三年度にわたりまして予算上計上されております施設、設備に出資するという建前になっておりまして、この運営費の補助は、これはこれを運営する場合に、この上ってくる収入のみでまかない得ない運営費の不足分を補助するという建前をとっておりますので、今後こういった不足分がある場合には、予想されます場合には、当然にこれは政府で補助を継続しなければならない、かように考えております。また、文部省としてもこの基礎が固まるまでは、そういう方針でいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/12
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013・松永忠二
○松永忠二君 それから第十五条の職員という問題ですが、これについては体育施設の指導員というような職員がこの中に含まれているのか、これは単なるまあ事務的な仕事をするというような職員なのか。こういう点についてはやはり競技場と同時に、この指導員を職員として持つという必要性はこれはもちろんおわかりだと思うのですが、こういう点については、やはりこの職員の中に含まれているのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/13
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014・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは主としてあるいはその法人の会計あるいは庶務、その他一般の業務をやります際のその仕事をやる職員でございます。しかし、こういう競技場等におきましては、御質問の通りに体育の指導員というのを配するのが、私どもは適当だと考えております。従って初年度から十分な指導員を配するということは、あるいは具体的にはなかなか困難かとも存じますけれども、できるだけそういった体育施設、特に水泳プールもありますし、それからバスケット等の設備もあります。各種のスポーツ施設をこれは備えておりますので、できるだけそういった競技の実際の指導なり、相談ができるような職員も十分考えたいと思って目下研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/14
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015・松永忠二
○松永忠二君 少しアジア競技大会についてお尋ねしたいのですが、アジア競技大会の参加国の数、それから参加国の条件というものはどういうふうなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/15
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016・福田繁
○政府委員(福田繁君) アジア大会につきましては、ただいまのところ参加国は二十カ国の予定であります。ただし、まだこの二十カ国の中で具体的に各種目にわたりまして選手を具体的に送るといって返事のあったものは、全部二十カ国に達しておりませんけれども、参加国は一応二十カ国という予定になっております。これはこれに参加いたします資格といたしましては、アジア競技連盟というのがございまして、そのアジア競技連盟に加入しているということが、このアジア競技大会に参加できる資格になっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/16
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017・松永忠二
○松永忠二君 これは衆議院の外務委員会の方で参考人を呼ばれたときに、在日朝鮮人の体育協会の事務局長が出られて、まあ陳述をされておる中に、北鮮の国内オリンピック委員会が参加を要請する、加盟をしたいというようなことの要請があった。それについて、このアジア競技連盟に参加をしていないからというようなことか、そういう意味で参加を要請しても、なかなか参加ができないというようなことの話があったのですが、この問題については、その節にやはり同じような条件にあるネパールとか、あるいはカンボジアについてもそういうような条件があるのに、むしろ、これには積極的な呼びかけが行われているけれども、それについての北鮮の特に希望がいれられないというような点について、不満の意を表明されているわけです。この問題については、一体大臣、こういう問題がありますが、あるいはこういう問題について省内で御討議があって、一応の結論は出ているものなのか、この点を一つお聞かせをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/17
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018・松永東
○国務大臣(松永東君) この問題については、文部省といたしましては、なるべく御承知の通りにスポーツには、界境がないというのが原則だと思っております。それで全部のアジアの各国に参加してもらいたいと思います。いろいろ研究をしてみたいのですが、何といたしましても、アジア競技連盟に加盟いたして北鮮はおりませんので、これはどうにも仕方がないが、しかし、体協の方に一つ相談をして何とか方法をとってもらうというので、会長の東竜太郎君の方に申し出まして、何とかまだ時日もあることだから、方法をとってくれぬか、相談してみてくれぬかということを申し込んで、いろいろ協議しまして、それではこっちも研究しようということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/18
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019・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、そのときのあれによると、アジア大会の事務局の方からネパールとカンボジアには呼びかけがあった。やはり同じような資格の、やはり基準の資格がないところに大会の事務局の方から呼びかけがあった。片方については、そういうふうなことを要請したけれども、それについて積極的なこれに応ずるというようなこともなかったということがいわれておるのでありますが、今のお話しとは少し内容が違うように思うのですが、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/19
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020・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまネパールとカンボジアの話が出たのでございますが、ネパールは、これはアジア競技連盟が設立当初の組織体の中に入りました一国でありまして、アジア競技連盟にはこれは入っております。それからまた、カンボジアにつきましても、これは一九五四年にアジア競技連盟に加盟が認められておるそうでございまして、従って、アジア競技連盟に加盟しております以上は、これは競技連盟の事務局としては参加を要請しなければならないということになるわけでありまして、ただいま大臣から申されましたように、北鮮の問題については、いろいろお話も私ども聞いておりましたので、要するにアジア競技連盟に加盟の手続をとられることが先決問題だと存じておりますが、それにしても、これはもちろん政府でどうするという問題じゃありませんが、アジア競技連盟の役員会なり、しかるべきところで十分相談をして、これを決定してもらいたいということは、先ほど大臣が申されたように東会長の方に申し出をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/20
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021・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、今、大臣が話されたように、スポーツの世界にイデオロギーとか、あるいは境界とかいうものがないので、できるだけたくさんな国々が参加をして、盛大にやっていきたいというような考え方のもとに、東会長の方にこの問題について積極的な参加のでき得るような方策等について研究をしてもらっているというのが現段階でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/21
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022・福田繁
○政府委員(福田繁君) その点につきましては、先ほど申し上げた通りでありますが、ただこの問題につきましては、一九五七年にソフィヤでIOCの総会が開かれまして、その際に、北鮮の問題についてはその総会で話が出まして、その結果、この北鮮の国際的な競技に関する参加資格と申しますか、そういうものについて十分検討しようということになっておりまして、このIOCとしてはまだ北鮮の資格を認めていないわけであります。従ってそういった関係もありまして、なかなかアジア競技連盟としてもIOCの認めていないものを処理することにつきましては、非常に困難を感じておるというのが現状のようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/22
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023・松永忠二
○松永忠二君 その点については、先ほど大臣の答弁をされたように、この問題についてやはり広く参加のでき得るような方法を、いろんな問題もあると思うのですが、やはり積極的にはかっていただいて、そして参加でき得るようなことについて御努力をいただきたいという私は気持を持っておるわけです。この点については大臣どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/23
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024・松永東
○国務大臣(松永東君) 御説の通り何とかしたいと思って、今後も努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/24
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025・松永忠二
○松永忠二君 アジア・オリンピックの大会に参加をするために、日本の出場選手というものが相当な数があるのですが、これは一体どういう準備をされて、このアジアの競技大会に備えられていられるのか。まあ、せっかく招致を、日本の国で行われるわけでありますので、こういう点について十分にやはり成果を上げていただくということは、国民の期待をしておるところだと思うのですが、こういう点についてはどんな準備と経過をもって、近づいてくるこの大会に備えられておるものか、この辺を一つお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/25
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026・福田繁
○政府委員(福田繁君) 日本側の選手団のことでありますが、これはあるいは新聞、ラジオ等で御承知の向きもあると思いますが、せっかくの日本で開催する以上、りっぱな成績を上げたいというのが、各日本の競技団体の意向でありまして、早いところは、この一月の末くらいから強化合宿を続けたり、とにかくこのアジア大会に備えまして、十分な成績を上げ得るように選手の訓練に努めております。まだ競技種目によりましては、正式に選手決定をしていないところもありますが、最近に至りまして、だんだんこのアジア大会の選手をきめている競技団体もございますが、今何と申しますか、まだ四月もあることでありますが、強化合宿の途中にあるものが大部分でございます。とにかくそういった意味におきまして、非常に張り切って練習をしておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/26
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027・松永忠二
○松永忠二君 この国立競技場の施設の問題でありますが、これについてはもちろんアジア・オリンピック大会を控えて、いろいろまあ準備をされて支障ないように進められておると思うのですが、まあ、東京オリンピックの問題については、もうすでに政府とか、国会とか、東京都等で準備委員会を作られて発足されておるわけでありますが、この東京オリンピックというものが招致をされるというようなことも考えられて、この国立競技場というものの設置が進められておるのでありますが、あらためてやはりオリンピックが招致された場合には、この競技場をもってしては非常に不十分であるとかというような問題は出てくるものなのか、その点を一つと、なお、この国立競技場自身についての問題については、まあ特殊法人として進められておるのですが、これはそれに関連をしたこの道路であるとか、あるいは宿泊の施設であるとかいう問題については、一体これとどういう関係をもって計画が進められているのか、その二点を一つお聞かせを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/27
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028・福田繁
○政府委員(福田繁君) お尋ねのように、将来東京にオリンピックが開催されるというようなことになりますと、さらに全体の計画を検討いたさなければなりませんが、この国立競技場につきましては、将来のオリンピック招致ということを頭に置きながら実は計画されたのでありまして、大体オリンピックが招致されますと、主競技場は大体十万人収容する程度の競技場でなければならぬというのが、一般にいわれておりますので、ただいまの競技場では大体七万程度収容できる。従ってあと三万人程度の増加を、施設を拡張しなければならぬというような問題が起きるのであります。そういったものにつきましては、この設計の当初から十分これを検討いたしまして、将来オリンピックが参ります場合には、これをそのまま拡張できるような計画を考えてやったのでございます。なお、このアジア大会の場合におきますこの選手宿舎でございますが、これにつきましては、最初まあオリンピック村というようなものを建設するという考え方もあったのでございますが、費用の点その他いろいろ考えまして、既存のホテル等を借り上げた方が割合に経済的にいくというような考え方もありまして、第一ホテル、それからプリンス・ホテル、一部は日本青年館というようなその大体三つを充当して、今度の大会には支障ないように考えております。
それから道路等の問題でありますが、これは将来オリンピックが招致されるというような場合には、現在の国立競技場の周辺の整備ということがさらに検討されなきゃなりませんので、その点につきましては、道路あるいはパーキング・プレースというようなものを、もっと都市計画の一環として徹底的に研究してそれを実施したいという心組みで、実は先ほどお述べになりました東京オリンピック招致準備委員会というものが結成されて、その中の施設部門におきまして、そういった問題も今後検討されると思います。そういった含みで、いろいろ現在研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/28
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029・松永忠二
○松永忠二君 もう一つお尋ねをしておきますが、大臣にこのスポーツの交歓というものは、国際の親善を進める上に非常に効果の多いものだというふうに考えておるわけで、それで、新聞でも伝えられているように、米ソの文化交流協定というものができておるわけであります。これについてスポーツの関係のことについても相当いろんな項目をあげてこの交歓が考えられておるようであります。それで、この漁業交渉に行かれた平塚氏が帰られたときにも、一部の新聞では、向うからもそういうふうな文化協定の問題が投げかけられたというふうに記事に出ておったわけでありますが、私たち、外交の問題非常にむずかしい問題だと思うけれども、いろんな外交問題が暗礁に乗り上げる中には、やはりその背景として民間の文化交流とか、そういうものの親善関係というものが背景にあるということが、外交問題の解決に非常に効果のあることが多かろうと思うわけです。そういう意味で特にこの日ソの問題等について非常にいろんな面の支障が外交上出ているということを解決する一つとしては、やはりこの特にスポーツの交歓であるとか、あるいは進んで放送文化施設というような問題について積極的にやはり考えていくことが必要だというふうに感ずるわけなんです。こういう問題については、大臣としてはどういうふうにお考えになっておるのか。また、具体的にこういう問題について政府の方でもやはり考えて進められていくというようなことを具体的にやられておられるのかどうか。この点についてお聞かせを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/29
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030・松永東
○国務大臣(松永東君) 松永委員の仰せになったこと、まさにもっともだと思います。
先ほど来私が申し上げております通り文化にも国境がない、スポーツにももちろん国境があっちゃいかん。だからして、お互いこのスポーツを盛んならしめて、そうして各国の人々が一緒に集ってお互いの親善を増していくということは望ましいことだと思うのであります。しかしながら、御承知のような現在の国際状態では、一挙にそれを達成するというわけにはいきませんので、徐々に一つやっていくということにするよりほかないと思います。従ってこの間も藤山外相にも話したのですが、やっぱり徐々にそういうこともおのずから開けていくというように考えておるわけなんで、現に去年あたりも御承知のようにソ連の舞踊家が来まして、そうして相当日本に対して友好親善の上にも役立っておるというふうに考えております。またこちらからも、そうした人を向うへやって、そうして文化の交流、スポーツの交流等をはかった方がいいと思いまして、機会あるごとに私は主張いたしております。しかし、これは時が自然に解決する問題であろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/30
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031・松永忠二
○松永忠二君 まあ趣旨は賛成だけれども、なかなかむずかしい問題があるというお話しなんでありますが、実際には日本とソ連との関係というよりも、米ソの方の関係の方が、むしろむずかしい問題があると思うのですが、そういう米ソの間ですでに調印をされ、米ソの両国民が協調する最善の機会になるというふうに言われておるわけなので、この問題については、やはり文部大臣として広い文化行政の上から言って発言権も相当あろうと思うわけなのです。こういうふうなことについてやはり積極的に推進をしていくというようなことの御努力をいただいていくということが非常に適切ではないか。ただ、民間でお互いの交歓をやっていくということは、もう限度が来ていると思うわけなのです。アメリカとソ連との間には放送の問題とか、あるいは科学協力の問題、芸能の問題等も具体的にあげられて、すでにそれが進められているという状況も聞いておるわけなのであります。こういう点については、やはりもう少し積極的な御工夫をいただきたいという気持を持つわけなのです。これはまあ、外交上なかなかむずかしい問題でありましょうけれども、中共との間にこういうふうな民間の文化協定というものが進められていくということについては、やはり大臣としては適当なことだというふうにお考えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/31
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032・松永東
○国務大臣(松永東君) 御承知の通りです、だんだん、こういうこともやはり自然に時が解決していくと思うのです。もう本年度あたりも御承知のように貿易問題あたり相当進展してきているようですから、私はそう長い間でなく、やはり目的が達せられる、すなわち文化の交流、スポーツの交流あたりもやれるようになる時期が近いうちにくるのではなかろうかというふうに考えているのです。また、機会あるごとに努力していきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/32
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033・松永忠二
○松永忠二君 最後に一つ、初めに戻って、日本とソ連との間の文化協定を結ぶという問題については、あるいは閣議で話があったり、あるいは大臣と外務大臣との間で直接的な話が行われておるのでありますか。ただ、先ほど大臣から言われたように将来進んでいかなければいけない方向として考えているということであるのか、具体的に外務大臣との間にこういう話が進められているのか、あるいは閣議でこういう話が出たことがあるのか、その辺はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/33
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034・松永東
○国務大臣(松永東君) ぶちまけましてお話しいたしますが、正式にそういうことが閣議で持ち出されたりあるいは相談されたりしたことはありません。しかし、大体の個人々々の意見はまあさっき松永委員の仰せられるような考えをみな持っておるわけであります。でありますから、これはやはり適当な機会がくれば必ず、しかもその適当な機会は、久しい将来でなく、長い将来でなく、私は実現するものと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/34
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035・秋山長造
○秋山長造君 今の松永委員の質問に関連してですが、アジア・オリンピックは一体どこが中心になってやるのですか、その主体はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/35
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036・福田繁
○政府委員(福田繁君) これはアジア競技連盟という各国の入った連盟がございまして、それが主体になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/36
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037・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、日本ではどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/37
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038・福田繁
○政府委員(福田繁君) 日本では体協が実際はやっておりますが、国内委員会というのができておりまして、その国内委員会がこのアジア競技連盟の中に加盟しておる、こういう格好になっておりますが、実際は体協であります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/38
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039・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、文部省の方はどういう立場になりますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/39
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040・福田繁
○政府委員(福田繁君) 文部省はこれを後援するという、実際上開催について後援するという立場にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/40
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041・秋山長造
○秋山長造君 その点はきわめて明確なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/41
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042・福田繁
○政府委員(福田繁君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/42
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043・秋山長造
○秋山長造君 そこで、条文についてお尋ねしますが、十一条のところに役員の欠格条項がきめてあるのですが、その二の「政府又は地方公共団体の職員」これについては、附則で十月一日まで適用除外ということになっておるのですが、その理由を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/43
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044・福田繁
○政府委員(福田繁君) この十一条の二号でございますが、政府あるいは地方公共団体の職員が、こういった法人の役員にならない方がいいということは、これは一般の特殊法人と同様に、この特殊法人の自主性を重んずるという立場から考えたことでございます。ところで、実際この五月にアジア大会を開催いたします直前に、これを発足しますとなりますと、今まで各種の準備をいたしております関係上、暫定的にも場合によりましては、政府職員がこの役員を兼ねて、このすべり出しの運営に支障のないようにする必要があるのじゃなかろうか、こういうような観点から、暫定的にこういう措置を一応考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/44
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045・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、一の方の欠格条項はそのまますぐ四月一日からやる、そうして二の方は今後半年間政府の、実際では文部省ですけれども、文部省の職員がこれに当るという形になるわけですが、一と二というのは、これは別に並列的なものであって、上と下の関係ではないと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/45
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046・福田繁
○政府委員(福田繁君) この一号と二号は別に上下の関係はないと存じますが、この趣旨は若干今申し上げましたように、二号の方は監督するような立場の政府側が入ることは、原則的に好ましくないというような趣旨でございます。それから一の方はやはりこういった教育施設につきましては、教育の中立性を保持するという点が大事でございますので、こういった欠格条項が設けられたのでございます。従ってその趣旨は若干違いますけれども、別に上下とか何とかという関係は全くないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 実際の取り運びはどうなさるおつもりなんですか、十月一日までこの国立競技場の役員というのは、どういう人を任命されるおつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/47
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048・福田繁
○政府委員(福田繁君) 具体的にはこれはまだ申し上げる段階に入っていないのでありますが、もちろん、こういった競技場の運営については、スポーツ界の学識経験者というようなものの知識を借りることも必要でございますし、そういった方がお入りになると思いますが、政府側としましては、今までこの出資関係の仕事、あるいは競技場の開設準備をいろいろやっております。そういった職員が暫定的に仕事の便宜上これを兼ねるという場合が起り得ると存じます。そういった例外でございますので、そういう場合を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 この二号のそうすると欠格条項の十月一日までの除外ということは、この国立競技場がすべり出して軌道に乗るまでの純然たる事務的な考慮からなさっておるように承わるのですが、ただ、この間に当面の大きな事業としてアジア・オリンピック大会というものがある。そういたしますと、このアジア・オリンピック大会というものの、実質的にはこれは国立競技場が中心になるわけでありますから、この国立競技場の役員に政府、まあ文部省の職員が当られ、文部省の幹部が当られるということになれば、単なる事務上の必要から、この適用除外をやるんだと言いながら、実際にはもっとこれは大きな目標と、そうして大きな仕事があって、アジア・オリンピック大会というものを形の上では、これはなるほど民間団体の主催で文部省は単にこれをバック・アップするということでありながら、実質的にはこの適用除外をされた文部省の幹部を通じて、やっぱり文部省がこのアジア・オリンピック大会を実質的に主催し、運営するというような形に実はなるのではないかという感じがするのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/49
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050・福田繁
○政府委員(福田繁君) この暫定的に兼務いたしますのは、今御質問の中にありましたように、全く事務的な関係から兼務いたすのでありまして、そのほかには理由はございません。このアジア競技大会の開催の際に、この競技場を使用するわけでありますので、その場所を提供するという関係のみでございます、そのアジア大会との関係は。従ってこのアジア大会の運営につきましては、別に体協あるいは東京都、その他関係者が組織いたしておりますところのアジア競技大会運営委員会というのがございまして、これはまあ官民一緒にやっておるわけでありますが、そういった団体が、実際上のこのアジア大会の運営に当るわけでありまして、政府が当るわけではないことは、この点で御了承いただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 その点はアジア・オリンピック大会が官営といいますか、官庁統制といいますか、そういう形に、形はどうあろうとも、その運営の実際面においてそういう形に流れることのないように、ただいま局長のおっしゃった通りに運ばれるように、私は特に念を押しておきたいと思います。これはいずれ今後オリンピック大会等が誘致された場合にも先例にもなることですから、どうかその点は特に御配慮をお願いしたいと思います。
それからもう一つは、十月一日からはこの十一条一号、二号とも完全に行われることになるわけですが、今後アジア・オリンピック大会と同規模、あるいはそれ以上の世界オリンピックというようなものが招致される場合に、またこの付則の一条に書いてあるような適用除外というようなことが、やはりまあ後援団体ではあるけれども文部省、政府の方と、そして主催団体との間の事務上の連絡等に都合がいいからというようなことで、この付則の一条というようなものがまた復活されてくるというような懸念はないのですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/51
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052・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは、付則のこの規定は先ほど申しました全く事務的な規定でありまして、これはこういった事務的な処理が終りますと、当然にもう兼務はしない方がいいのであります。従って将来オリンピックが招致されるというようなことになりますと、そのアジア大会と同様にオリンピックの組織委員会というものが当然できるわけであります。これは政府のものでなく、もちろん民間の組織でございますが、それによってオリンピックというものは運営され、競技が実行されるわけであります。将来これをさらにまた、そういう付則を改正するというようなことは、もちろん起らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 それから十六条の評議員二十人以内ということが書いてありますが、この評議員の選任の基準といいますか、選任方法というものは、どういうようになっておるのか。この場合、さっきの十一条との関連で、特に国会議員なんかの場合どう考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/53
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054・福田繁
○政府委員(福田繁君) この評議員の選任の基準でございますが、この評議員会としましては、もちろんこの競技場を運営する場合に必要な学識経験、あるいは各界の意見というものが反映されることを望むわけでありまして、従ってそういった面から評議員は選任されると思います。従ってどの分野から何人ということは、もちろん現在のところは申し上げられませんが、相当数やはり体育、スポーツ関係の学識経験者、実際にそういった経験を持っておられる方々が相当数入ると思います。それからまた、それ以外の学識経験者というものも、当然これは期待されるわけでありまして、国会議員等につきましては、これは私から申し上げるのもどうかと思いますけれども、当然にそういう学織経験をお持ちの方は、国会議員であろうと、国会議員でなかろうと、そういうことは問題ではないのではなかろうかと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 それからもう一点お伺いしますが、第十八条の二項に、第一条の目的の達成に支障のない限り、一般の利用に供することができるというように書いてあるのですが、一般の利用というのは、具体的にはどういう、一般アマチュアの団体等に開放するという意味でしょうか。そこらのところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/55
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056・福田繁
○政府委員(福田繁君) この辺の限界は、先ほどのお話しにもありましたように、これからできます競技場の役員等において具体的にきめていただく方が適当だと考え、またそうなると考えておりますが、この競技場を設立いたします趣旨が、この体育施設を利用しまして、体育の普及振興をはかるという目的でありますから、いわばこれは教育施設でございます。しかも、公共的な施設でありますので、そういった教育的な面に利用されるということは望ましいのであります。従って、単に選手の競技あるいは練習ということばかりでなく、一般のアマチュアにももちろんこれは使っていただく、そういった意味で広く健全な行事にこれを利用してもらうというような考え方で、当然進むべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/56
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057・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、立案者の趣旨としては、そういうことで、具体的にどうやるかということは、今後の新役員にまかされている、こういうことですね。そういう場合の使用料等はどうするかということも、それにまかされているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/57
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058・福田繁
○政府委員(福田繁君) この使用料等につきましては、これは大体予算のワクがほぼ一応今年度はきまりますので、そのワク内である程度この使用料も考えられるわけであります。従って役員がきまりまして、あるいは使用規程というようなものができまして、それによってプールを使用する場合にはどういう料金を取るか、あるいは体育館を使用する場合にはどういう料金になるとかいうことを、一々役員がきまりましてから決定されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/58
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059・加賀山之雄
○加賀山之雄君 ちょっと伺いたいのですが、運営には、政府みずからが運営される場合と、それから今回のこの法案のように、特殊法人による場合、それからさらに競技場自体は国営でございますから、これをたとえば体協のような民間団体に委託経営をさせるというような、いろいろ方策はあったと思うのですが、特に今回のように、特殊法人が一番効率的でいいと考えられて立案されたものと思いますが、どういう理由でこの方式を選ばれたか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/59
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060・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御質問のような点につきましては、私どもといたしましても、十分研究いたしまして、こういった特別な公共的施設でありますので、あまり使用あるいは利用の場合に、何と申しますか、言葉は悪いのですが、あまり放従な使用、利用をしても困るというようなことも考えまして、いろいろ団体等に委託する、あるいは公共団体に委託するというようなことも検討いたしたのでありますが、それかといって、政府みずから直営でこれをやりました場合には、従来のいろいろな政府がやっております施設の経営状況を見ましても、割合に弾力性がなくて非常に窮屈な場合が多いのでございます。従ってそういった点からいたしますと、政府で直接経営するよりも、何かもう少し弾力性のある経営をした方がいい。こういうようなことから、こういった公共の施設を利用する場合におきまして、その設置されました趣旨にやはり合致するようなことを考えますと、政府の監督もある程度届き、しかも利用面におきまして多少の弾力性も考えられるというような方法をとるとしますと、こういった特殊法人が最善ではなかろうか、こういうふうに考えたのでありまして、このことにつきましては、内閣に設置されましたスポーツ振興審議会でもいろいろ議論になりまして、結論といたしましては、こういった特殊法人で経営する方がよろしいのだというような答申も得ております。また、文部大臣の諮問機関であります保健体育審議会におきましても同様な結論を得まして、特殊法人でいく方が最善だ、こういうような考え方の答申がなされたのであります。それに従いまして文部省としてはこういう特殊法人を設立することになったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/60
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061・加賀山之雄
○加賀山之雄君 一応ごもっともだと思うのですが、ここに役員の任命から、それから諸監督、報告の義務それから立ち入り検査とか、いろいろのことがあって、特に運営自体についても、国庫補助を得ていかなければやっていけないということになりますと、これは私らの考えでは、むしろ政府が自分でやられる方が簡明率直で、一々これは文部省のごきげんを伺って監督を受けないとできない。かえって自主性を損するというように思うので、私はかえって特殊法人にしたことが、手続だけがやかましくなって動きにくい、非常に自主性に頼れないものになりはしないか、そういう点をおそれるのですが、もう一度その点について大臣のお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/61
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062・松永東
○国務大臣(松永東君) 加賀山さんのお説ごもっともですが、実はこの点もいろいろ研究したのですけれども、どうも役人のやっていることは、役人といっては、はなはだ語弊があるかもしれませんが、積極性がないので、今までの事例を見ますと、どうももう少し、せっかくこうしたりっぱな競技場ができたのですから、これを積極性を持たして、そうしてアマチュアにあまねく使わせるというふうにするのには、やはり役所のものとして役人がこれを差配していくよりも、むしろ特殊法人にやってもらう方がいいのじゃなかろうかということが一般の世論でもありましたし、審議会あたりの答申もそう出てありましたので、なるほどその通りだというので特殊法人にやってもらうということになったわけであります。そうしてまた、一面そうめんどうくさい監督や手続なんかやらんでも、そこはスポーツ精神でやっていけば大したことはなかろうということで、まあ、今度はこれでいくがよかろということに結論が出たのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/62
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063・加賀山之雄
○加賀山之雄君 今までの神宮競技場は一体どういう運営あるいは機構で、そうしてどういうようなことに、これは主なものでよろしいのですが、利用させていたか、その点について局長からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/63
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064・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは神宮競技場の時代は、これは外苑の管理部というのがございまして、野球場、それから競技場その他を一緒にいたしまして神宮競技場の管理をいたしております。もちろん、この神宮競技場は陸上競技等につきましても、非常に由緒ある競技場でございましたので、なるべくこれはスポーツの殿堂として神聖視しておりました関係上、割合に利用範囲は狭かったのではないかと考えております。しかしながら、学校あるいは一般の社会体育等につきましては、ほかに施設もなかった関係もありまして、非常に利用面につきましては広く利用されたというように私どもは見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/64
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065・加賀山之雄
○加賀山之雄君 今度のこの特殊法人による運営によって、先ほど秋山委員から御質問がございましたけれども、非常に窮屈になって、利用の範囲がせばめられ、あるいは使用料が、先ほど予算のワクできめられるということでしたが、使用料がかなり高くなるために、一般に利用が困難になる。従ってこの法案の目的とする体育の普及振興ということにかえって逆行しはしないかというようなおそれはありませんか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/65
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066・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私どもの計画しました一応の予算等におきましては、今まであります各種の体育施設に比べまして、非常に安くこれを利用者に開放したい、こういうような観点から考えておりまして、都の体育館等もすぐ目の前にあるわけであります。それらと比較いたしましても非常に安い料金で一般に開放したい、また非常に大きな施設でありますので、その全体を一ぺんに利用してもらうというような行事もなかなか考えられないのでありますので、部分的にいろいろ利用するという方法も考えなければなりません。そういった面から実情に即した利用方法というものを、この法人の方で考えてもらうように、一応私どもとしては計画いたしているわけであります。なお、そういった計画を立てます場合には、今御質問のありました旧明治神宮外苑競技場等の実際の運営の過去の実績も一応参考にいたしまして、収入等も計算をいたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/66
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067・加賀山之雄
○加賀山之雄君 希望になりますが、努めて官僚的にならないこと、それから安い使用料で心やすく競技場が使えるということが、非常に大事なポイントだろうと思うのです。その点について十分御配慮を願いたいと思うのです。そうしませんと、せっかくこれはオリンピックあるいは今度のアジア・オリンピック等、国家的なあるいは国際的な目的に使う、これはもう問題でありませんが、競技場というものはできるだけ遊ばしておかないで、広く国民に開放して使われるのがいいのでございます。そのためにまた、単にあの競技場ができたことは、オリンピックだけに使うということは、はなはだもったいないことだ、この点について伺いたいと思います。
次に、この運営について国庫補助を行うとなっておりますが、一体どれくらいの運営費の補助を法人に対して考えておられるか。この予算として一億円余の予算があげられておりますが、そのうちこれは施設費が大きな部分だろうと思いますが、運営費としてはどれくらいのものになるのでございますか、その点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/67
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068・福田繁
○政府委員(福田繁君) お手元に資料も差し上げたと存じますが、三十三年度におきましては九百九十万ばかりの運営費の補助を予算上計上いたしております。昭和三十四年度以降におきましては、これは見積りでありますけれども、三十三年度がアジア大会等のために、あるいはまた中の施設が多少三十三年度で完成するものもありますので、そういった面の利用がフルに参りませんので、そういった点で収入を年間を通じて十分見込むわけに参りませんが、三十四年度になりますと、中の施設等も全部完成いたしますし、そういった意味で全体がフルに使えると思います。従って収入の面はそういった点からいたしまして、若干三十三年度よりも増すということは考えられます。しかしながら、大体三十三年度の九百九十万より多くはならないかも存じませんが、ややそれに近いぐらいの補助というものは、三十四年度におきましても必要ではないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/68
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069・加賀山之雄
○加賀山之雄君 収入に対して、運営費の補助というのは大体どれくらいのパーセンテージを見込んでおられるのか。つまりこれは使用料にもよるわけですが、これは安くすれば、収入というものはあまり考えられないので、この法人に対しは、人件費かあるいは修繕費といったものは、ほとんど国庫補助でいかなければ立っていけないのじゃなないかと思うのですが、その辺の割合といいますか、どんなことに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/69
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070・福田繁
○政府委員(福田繁君) 三十三年度の一応の見積りでは、運営費が二千五百九十三万円ぐらいになるという見積りでございます。その中で今申しましたように九百九十六万七千円の国庫補助を見込んでおります。従いまして二千五百九十三万円に対しまして九百九十六万円でありますので、約四〇%でございますか、四〇%の補助というようなことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/70
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071・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/71
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072・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/72
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073・野本品吉
○野本品吉君 多年にわたりまして国民全体に非常に親しまれており、また、国内の体育の普及振興に大きい役割を果して参りました明治神宮の外苑の競技場が、今や面目を一新いたしまして充実した施設、設備をもって新しく発足するために必要なこの法案が落成式を二、三日の後に控えました今日、本委員会を通過成立する運びになりましたことは、おそらく全国民の喜びであり、特にスポーツに関係する者、スポーツに深い関心を持っている人たちの非常に大きいよろこびであると思うのです。
この新しく発足いたします競技場は、国内的に考えれば、体育の普及振興、国際的に考えれば、この競技場を通しての国際間における相互理解、相互親善の関係を進める上において、非常に大きな役割を果さなければならぬものと考えます。私は今後発足されますこの法人が、その人的機構の上におきましても、また、運営の上におきましても、万全を期せられまして、国民全部が期待しております大きな使命の達成に向って進まれるようにということを心から希望いたしまして、自民党を代表いたしまして賛成の意を表明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/73
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074・松永忠二
○松永忠二君 私は日本社会党を代表いたしまして本法案に賛成をいたします。
この際一、二要望を申し上げたいと思うのでありますが、特にこの国立競技場が特殊法人であるというような性格を十分に今後発揮いたしまして、自主的に、積極的にこの運営が行われますように、いたずらに監督を強化することなく、本法案の目的の達成できますように、特に文部省側としても御配慮をいただきたいと思うわけであります。なお、特に役員の選出、評議員の選出等については適正を期して、この運営が完全に参りますように、御配慮をいただきたいと思うわけであります。なお、この競技場の特殊法人に対する出資とか、あるいは運営費等は、今後継続的に支出をされて、この国際競技場が東京オリンピックを迎えるにふさわしいような充実を、今後計画的にされていくように、特に御要望を申し上げて、賛成の意を表するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/74
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075・加賀山之雄
○加賀山之雄君 私はこの法案に賛成をいたします。
ただいま自民党並びに社会党の各委員から述べられましたように、これがアマチュア・スポーツの殿堂として、神宮の中心にこの競技場が完成いたしますことは国民の一人としてきわめてよろこばしいことでございまして、特に今回のこの完成は近く実施されまするアジア・オリンピック競技場として最初に使用されるだけに、一そう輝かしいと感ずるのであります。ただ、私は最近のスポーツの傾向が、どうも特に選手中心、あるいはそれよりさらに走ってプロに向うといった傾向が多分に出ているように思うのでありまして、この点は特にこの法案に直接は関係いたしませんが、文部当局としてもよく御配慮をいただきたい点でございます。この競技場は先ほどの質問で申し述べましたようにぜひとも自主的に、しかもルーズに流れることなく、国民に親しまれて使用効率を上げるということに非常な重点があろうと思うのでございまして、その点にこの法人の運営としては、特に文部省において御鞭達をお願いいたししまして、私の賛成討論とする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/75
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076・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/76
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077・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
国立競技場法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/77
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078・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致であります。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/78
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079・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたします。
それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
多数意見者署名
野本 品吉 三浦 義男
下條 康麿 松岡 平市
大野木秀次郎 吉田 萬次
高野 一夫 加賀山之雄
松永 忠二 秋山 長造発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/79
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080・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/80
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081・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/81
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082・秋山長造
○秋山長造君 資料要求をちょっと政府にしておきたいのですが、新聞によりますと、文部省でも、いよいよ道徳教育の手引き書を作られたようですから、この前、委員長から要求のありました教科課程審議会の答申と、あわせて道徳教育の手引き書、それからまた、これについての文部省の通達等を、一連の資料として速急に配付していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/82
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083・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 教科課程審議会の答申案は、本日ただいま印刷が完了するぐらいで、直ちに御配付いたしたいと思います。なお、道徳教育の手引き書、通達でございますが、通達につきましても、きょう午後、印刷が完了するということを聞いておりますので、でき次第、配付いたすようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/83
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084・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 本日は、これにて散会いたします。
午後十二時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X00919580320/84
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