1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月十七日(木曜日)
午前十一時三十五分開会
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委員の異動
四月十六日委員大谷藤之助君、有馬英
二君及び高田なほ子君辞任につき、そ
の補欠として上原正吉君、最上英子君
及び小笠原二三男君を議長において指
名した。
本日委員上原正吉君、最上英子君、吉
田法晴君及び小笠原二三男君辞任につ
き、その補欠として大谷贇雄君、田中
啓一君、岡三郎君及び高田なほ子君を
議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 湯山 勇君
理事
野本 品吉君
三浦 義男君
竹中 勝男君
常岡 一郎君
委員
大谷 贇雄君
川村 松助君
下條 康麿君
田中 啓一君
林屋亀次郎君
吉江 勝保君
秋山 長造君
岡 三郎君
高田なほ子君
松永 忠二君
加賀山之雄君
国務大臣
文 部 大 臣 松永 東君
政府委員
文部政務次官 臼井 莊一君
文部大臣官房総
務参事官 齋藤 正君
文部省大学学術
局長 緒方 信一君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
文部省管理局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
法制局側
参 事
(第四部長) 腰原 仁君
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本日の会議に付した案件
○義務教育諸学校施設費国庫負担法案
(内閣提出、衆議院送付)
○理事の辞任及び補欠互選
○議案の撤回に関する件
○日本育英会法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○著作権法の一部を改正する法律案
(野本品吉君外五名発議)
○へき地教育振興法の一部を改正する
法律案(秋山長造君外二十一名発
議)
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001・湯山勇
○委員長(湯山勇君) これより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。昨十六日、大谷藤之助君、有馬英二君、高田なほ子君が辞任され、その補欠として上原正吉君、最上英子君、小笠原二三男君が選任されました。また、本日、小笠原二三男君及び吉田法晴君が辞任され、補欠として高田なほ子君及び岡三郎君が選任されました。以上でございます。
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002・湯山勇
○委員長(湯山勇君) まず、義務教育諸学校施設費国庫負担法案を議題といたします。質疑のある方は順次ご発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/2
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003・松永忠二
○松永忠二君 議事進行についてですがね、この前内藤局長から答弁をいただくという予定になっておった問題ですね、この問題はやはり明確にして、そういつまでだらだらやっていくというのは私はよくないと思う。やはりその資料が出なければ、見解も明確になっているでしょうから、すでになさっていることなんですから、それが今見解が明確でないなどというそんなばかな話はないと思う。見解が明確でなければ、今やっていることを撤回なさればいいと思う。私はとにかく内藤局長に出てきてもらって明確な返事をいただきたいと思うのです。事実上そういうふうにこの前議事を進めてきているのですから…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/3
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004・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 今の松永君にお答えいたします。先回の委員会におきましては、政府側の答弁の内容は一応明確にされておると思います。正しい正しくないは別です。それから、質疑者の意向もはっきりしております。ところが、その答弁と質問との間に相当ズレがありましたので、そういうズレをなくするためには共通な資料を明確に提示して、それで議論しようということに委員長の方で計らいまして、政府側の見解はどの法律のどの条文に基き、かつ学習指導要領のどの部分に基いてそういうふうに言うのか、それを示してそれによって松永委員の方から御追及を願うと、こういうことになっておりました。ところが、本朝まだその資料の御提示がありませんので、それの提示を早急に求めて、出ましたならばそれによってやっていただく、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/4
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005・松永忠二
○松永忠二君 委員長、そういうお話ですがね、そういう資料の提示ということをおっしゃっても、事実上できておるものは法律であり、根拠になるものは学習指導要領で、もうすでにできているのですよ。また、そういうふうなものを、答弁のない質疑の中で明確にしていくということができないという状況の中で、一体実証するということはおかしいと私は思うのです。何もことさらどっかの会場へ行って発言をされたことを資料がないから出せないというようなことはないのであって、そういう資料というものはもうちゃんとあるのです。法律に基き、規則に基き、学習指導要領に基いてやられておるわけです。ただ、それを書くか、書かないかというだけのことであって、それについて、この条項によってこうだというようなことは私はすぐにでも答弁ができるし、この前の一日置いた現在において当然答弁ができると思う。そういうようなことをやはり明確にして、私はこの議事に入っていただきたいと思うんですがね。当然私はそういうことが行われるものだというように考えて理事にも連絡し、議事をそういうふうに進行していただくようにお話をしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/5
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006・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと私からお答え申します。それは、前回の質疑応答が今松永委員のおっしゃったような趣旨でなされたし、委員長としても当然そういうふうになさるべきだと思って質疑応答の経過を見ておりました。ところが、今おっしゃったようなふうに、共通な条文、指導要領の条項に対してなされるのではなくて、松永委員の御質問になるときの指摘する条項と、政府側の言う条項とでは若干食い違いがありました。そこで御納得がいかないので、再三再四お尋ねになったのに対しても、ただ答弁は同じことを繰り返すということに終始いたしましたので、いつまでたっても結論が見られない。そういうとことから、委員長において政府側の答弁はもう少し条文を明示して、それに従ってこういう見解だということを提示する。そうすると、それに対して各委員の方から、これはこうだというような的確な指摘ができる。こいうことを判断して御提案申し上げて御了承願っておるわけであって、その点については、ただ資料の提出が現在までにないということは遺憾ですけれども、これは昇級に提出をさせて、御質疑願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/6
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007・竹中勝男
○竹中勝男君 ちょっと関連ですがね、そういう資料であれば、そんなにむずかしいことないんじゃないですか。なぜ文部省としてはきょうその資料を出さなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/7
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008・松永東
○国務大臣(松永東君) これはたしかけさもうできておるはずです。こういう資料は、私はこの前ちゃんと、きわめて簡単なことなんだから、だからこっちの、すなわち政府の主張ですね、われわれの主張をはっきりするように、一つ明確に文書に書いて、そうして提出したらどうかということで、すでにそうしましょうということになっておる。さっきこの委員会が開かれるということであったものだから、内藤局長を探しておったのですよ。ところが、どこべ行ったかちょっとわからなかったものだから、それだから今提出することができないわけなんで、やがて提出できるようになると思います。もうできておるはずですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/8
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009・竹中勝男
○竹中勝男君 局長がまさかどこか行ってしまったわけじゃないと思うのですが、どこかに生きておられるわけですから一つ、そう遠く本庁あたりへ行ったわけじゃないと思いますから……できておるはずです、そんな簡単な資料ですから。大臣言われる通り、大臣の希望の通り、命令の通り局長はしなくちゃ勤まらぬですからね。一つ委員部で局長を探したらどうです。大体見えるだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/9
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010・野本品吉
○野本品吉君 先日の松永委員と文部当局との質疑応答の状況は、私も心得ておりますが、今はっきりさせたいというお気持も一応はわかるのでありますが、まあ議題として、義務教育に関する施設費に関する法案の審議が正式に提示されておる段階でありますから、その法案の審議にお進めを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/10
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011・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 懸案の事項ですから、一応議事進行に対する発言者の御了承を得て進めたいと思いますので、ちょっとお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/11
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012・松永忠二
○松永忠二君 今の竹中委員からお話のあったような順序で、早急に一つ連絡をとって、一つ本日審議をしていただもようにしていただきたいと思います。その点は、そういう順序を踏むまで…とにかく施設費の審議をすることについて、私は別に異議はございません。ただしかし、なお委員長にでも、私に対する希望としても、やはり懸案の事項であるし、しかもそんなに先ほどお話のあるようにむずかしい問題ではないのですよ、資料の問題は。だから、当然片、つけてやっていくベきだと思うのですよ。先ほど局長が、大臣が言われたような状況であるとするならば、これもまた局長が非常に連絡不十分だと思うのですが、そういう点もよくわかりましたので、早急に今理事の言われたような方向で進められて、その間審議することには異議ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/12
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013・湯山勇
○委員長(湯山勇君) そのように進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/13
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014・高田なほ子
○高田なほ子君 資料要求があります。資料をお出しになるついでに、四月の十二日付では文部省が出しておる教員の服務についてというなにが、通達があるように承知していますけれども、一つこれを出していただきたいと思います。
それから、大臣に、これは立ったついでにお願いするのですが、先回の委員会では、やはり法律を元にした論争であって、別に特段の資料が必要であるように私ども考えていないのです。こういうようなことは、やはりこの前の論争の経過から見ても、次の委員会までには資料というものを求められて、そうして片、つけられるように私はすべきだと思うのです。ところが、きょうはその問題になる御本人もおいでにならない、資料が出ておらない、そうしてこのまま、私どもは国庫負担法を一日も早く上げようという希望を持っておりますから、何も法案審議を長引かせるためにこういうことを申し上げておるのではなくて私の言いたいことは、こういうことで、官僚独善という空気が文部省の中に非常に強いのです。勤務評定の問題にしても、道徳教育の問題にしても、何ですか、文部省の事務官が各都道府県に行ってあふりつけているじゃありませぬか。どんどんと文部省が行政方法を先に進めておる。こういうような法律的な疑義が国会で論争されておるのに、官僚がどんどんと行政的な方法を進めていくというやり方が私はいけないと思うのです。こういう問題だからこそ、一日も早く法律的な解明というものをお互いにして、いわゆる国会の審議を軌道に乗せて、私は、事を進めてもらいたいと思います。大臣よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/14
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015・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 議事を進めます。
では、質疑のある方は順次御発言を願います。
まず、答弁を求めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/15
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016・松永東
○国務大臣(松永東君) 高田委員の御主張は、これは私は当然のことだと思います。何も異議のあろうはずはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/16
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017・岡三郎
○岡三郎君 ただ、そういうことじゃなくて大臣が言われておるのは、資料を出してもらいたいというのは……。(「発言を求めて」と呼ぶ者あり)どうも済みませんでした。
今言われたことは、竹中さんも言っておるように、それから松永さんも言っておると同じことで、高田さんばかり言っておるわけじゃないのです。要するに、この前資料を出してくれというのを、大臣が出てくるときに局長がおらぬ——おらぬときもあるでしょうが、次までにはっきりさしてくれるか、審議をするためにここへ来ておるのだけれども、約束事が常に守られるかどうかということを尋ねています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/17
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018・松永東
○国務大臣(松永東君) その問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/18
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019・岡三郎
○岡三郎君 その問題も入っているのです。それをはっきり言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/19
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020・松永東
○国務大臣(松永東君) それは、実はぎようこの委員会に提出されると私は思っておったのです。ですから、間違いなく、きょうでも提出するような運びをとらせるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/20
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021・岡三郎
○岡三郎君 きょう中に一つ文部省に、局長に連絡をとって出してもらいたいな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/21
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022・湯山勇
○委員長(湯山勇君) それでは質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/22
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023・高田なほ子
○高田なほ子君 この国庫負担法の法律が出されましたことについては、私も大ヘんうれしく思っておりますが、若干疑問のある点がありますからお尋ねします。
第三条の中で、国が負担する経費の種類と、国庫負担の割合を明記してあるわけです。この中で、小学校が不正常授業を解消するための校舎の新築あるいは増築、これに要する経費の三分の一を国が負担することになっておるわけです。先般市町村の合併に伴う学校統合問題等については、相当にやはりこの第三条が適用される部面もあるように拝承するわけです。できるならば、こういう場合は、特に地方の財曲負担というものも大へんであろうと思うし、PTAから、増築やあるいはまた改築等のために寄付を取る、こういうようなやり方が行われてはいけないので、できるだけ地方の負担を軽くするという、いわゆる義務教育の、国が負担する率というものを認めていただかなければならない。ここはできるならば二分の一というふうにした方が大へんいい。もっと私どもはそれより幅の多い方がいいという主張を持っているのですが、そう一がいにはいきませんが、何とかこの三分の一というようなものを二分の一というふうに改めるような意向はないものか、将来これをどういうふうにお考えになっているのか、大蔵省との経過もあると思いますすら、そこらあたりの御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/23
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024・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 第三条第一項第一号、小学校の不正常授業に対する国の負担金の割合の問題でございますが、実は前々回の国会でも当院で御決議をいただきまして私どももその御趣旨にはまことにごもっともである……。思って賛成でございます。文部省といたしましても、およそ義務教育の関係の国庫の負担についてはこれを二分の一にしたいということで実は事務的な予算案を作りまして大蔵省とも長い間折衝いたしたのでございますが、何分この小学校の不正常授業解消に関する補助金は従来とも三分の一でございましたので、本年度の予算のワク等の関係もございまして、三十三年度からこれを引き上げるということはできなかったのでございますが、お話にもございましたように、小学校の校舎についてPTA等から寄付をするというような好ましくない事態もございますし、文部省といたしましてはできるだけ早い機会にその負担率を二分の一にするよう予算を通じての折衝でまず何とか結果を見たいというふうに念願しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/24
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025・高田なほ子
○高田なほ子君 この法律の成立を待つ声が地方に非常に強いし、私どももまたこの地方の御要望というものはよくわかるのであります。大臣にこの点特にお伺いしておきたいことは、本法律の成立を期す私どもは、法律施行に当って特に全国のPTAに施設の、あるいは学校修理、そういうことのためにまだ地方の末端では割当寄付が行われている。けれども、これはかなり合法的に行われているので、PTA総会で十万円なら十万円集めようということになると、皆さんの議決で十万円集めることになるわけですが、結局これは子供のためにだから仕方がないということで御賛成になるのですが、この十万円を割り振るときに三人のお子さんが行っているときには幾ら、一人の子供さんの場合は幾らというような、いわゆる強制的な割当の形がとられている。このことは、やはり地方財政法の第四条の四項に違反する行為ではないかという疑義をもってたびたびこのことは申し上げてきたのでありますが、私は法違反ということを今ここに引き合いに出して責めようとは思わないのですが、少くとも国が責任をもってしなければならない仕事、あるいは地方公共団体が当然義務としてしなければならない仕事、そういう仕事の不足な費用を合法的な形で民間に子供の教育の名をかりて強制的な寄付をやるということは、これは一日も早く改めなければならないので、本法施行に当って大臣としてはPTAの寄付等についてあらためて教育委員会なり何なりお通しになって全国の御注意なり政府の意思というものを明確にする意思というものはお持ちになっておらないかどうか、この点をお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/25
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026・松永東
○国務大臣(松永東君) 実は、今政府委員から述べました通り、文部省といたしましては、全部二分の一負担ということにしてそうしてなるべく地方の負担を軽減し、かつ御指摘になりましたPTA、父兄の負担もなからしむるようにしなければならぬというので努力いたしたのでありますけれども、本年度においてはそのわれわれの目的を達することができなかったわけであります。しかし、右申し上げるような趣旨は今後といえども一つ寸毫も変っておりませんので、来年度の予算あたりにもその趣旨で努力するつもりであるばかりでなく、仰せになりましたそうした脱法行為と申しますか、そうした行為によって今申し上げるようなPTAの負担の増加——父兄負担の増加等はなるべく禁止したいというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/26
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027・高田なほ子
○高田なほ子君 では、具体的にその政府の考え方というものがよくわかるように措置をしていただきたい、こういうふうに考えます。
第二にお尋ねしたいことは、第二号の問題ですが、中学校における不正常授業を解消するための校舎の新築、増築に要する経費の二分の一を国庫負担する、二分の一は地方が負担すると、大へんこれもうれしい限りでございますが、特別教室についてはどういうふうにお考えになっておるか。特別教室にもいろいろ種類があるが、工作室、音楽室、家庭科の室、それからお作法の部屋とかいろいろ特別教室にもあるわけでございますが、この特別教室については、政府としてはどういうふうに計画してお考えになっておるか。現在完全な特別教室を持っている学校と、完全な特別教室を持たない学校は現状はどういうふうになっておるか。その点について、特に特別教室について説明やら、御意見やら、計画やら一緒にして承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/27
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028・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 中学校の不正常授業の関係で新築または増築を行う場合には、御承知のように、この国庫負担金の関係では基準坪数といたしまして中学校の生徒一人当り一・〇八坪ということで計算することにいたしております。これは、私ども実は暫定的な最低基準という名称で呼んでおりますが、それで一応計算いたしますと、普通の規模の学校、たとえば生徒が大体三百人程度の学校で計算をいたしますと、普通の教室のほかに特別教室が主ないし四できるという一応の計算になっております。ですから、最低限度の特別教室は一応とれる。しかし、中学校では御承知のように、普通教育のほかに職業教育も非常に重要な面でございまして、この職業教育を完全に行うのには、三つの特別教室ないし四つの教別教室では十分ではないだろうと私どもも思います。で、従って問題といたしましては、この暫定最低基準の生徒一人当り一・〇八坪を引き上げるという問題があるわけでございます。地方でも一部には、現在の基準が低過ぎるから、それを上げてもらいたいという要望もございますが、しかし、何分御承知のように、現在この最低基準によりましても、実はかなりの不足坪数が全国的にはございますので、私どもといたしましては、この基準は必ずしも完全とは思いませんけれども、とにかく現状で一応不正常授業を解消するということで、ある程度その見通しがつきましたならば、さらに将来物定最低基準と申しますか、さらに高い基準にまで引き上げるようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。一応現状でも最低限度の特別教室はできることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/28
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029・高田なほ子
○高田なほ子君 現在は今御説明のように、最低基準の坪数で計算しても小、中学校合せて約八万余坪にしるようでありますから、最低の基準で不足坪数がないまでに行くためには大体何年度くらいの計画を立てておるのかということが一つ、もう一つは、今回政府は理科教育の振興という非常に強い方針を打ち出してきておるけれども、現在小、中学校合せて八万余坪に上る不足坪数があるという現状では、理科教育振興のための、なかんずく特別教室の設置ということは、これは大へん大切なことであるけれども、それができ得ない、まことに残念でございますが、実験室がないために黒板に実験図を書いて、ここからこういうふうに流れてこういうふうにたまっていくというふうな、いわゆる昔の図示の方法によって理科教育が行われている。これではせっかく理科教育振興ということが打ち出されても、実際には理科教育の振興ということははなはだ困難である。従ってこの不足坪数八万坪の計画に加えて、少くとも政府が打ち出した理科教育振興であるならば、中学校には必ずこの特別教室の中に、理科の実験をするような特別教室というものを設けるというようなことを明確にしながら、この予算の配分等についても私は考慮していかなければならないのではないか。いわゆる教育の基礎、教育の平等な向上は必要でありますが、政府が打ち出した理科教育というからには、それに相応するような財源的な措置、あるいは行政的な措置というものが親切な角度から行われなければならないと思います。理科教育振興と、この不足八万坪に対する今後の計画、どういうふうにこれを調節をつけていかれようとするのか、大へん意地の惑い質問のようでありますが、あまりにも末端の学校の先生方が、お困りのところが多いので、あえてこういう質問をするわけです、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/29
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030・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) お説のように、戦後中学校が発足いたしまして、当初は普通教室にさえ事を欠くといった状況が続いたわけでございます。その後大体十年近くの歳月の経過の間に、現状ではまあこれは相当過大規模の学校がございます。過大規模の学級をかかえている学校もございますが、一応普通教室については大体の整備を見てきている。ことに、本年並びに明年あたりは生徒の数も減る関係ももちろんございますが、かなり教室は従来に比べて余裕が出てくる状況でございますので、私どもといたしましても、特別教室はやはりこの機会に整備するように力を入れて参りたいと思っております。ただ、特別教室を必要とする学科は、ただいま御指摘のありました理科教育、理科の関係以外の芸能関係——工作とか美術の関係、あるいは職業教育の関係もございます。文部省自体が、特に理科だけが重点にあるように取り上げることがいかがかと思いますが、しかし、ただいま御指摘のございました科学技術教育の振興は、やはり義務教育の時代から手をつけなければいかぬという御意見まことにごもっともでございます。私どもといたしましても特別教室を作る場合には、特に理科の実験のための特別教室に重点を置くという御方針については、予算の配分上も十分一つの要素としてそれを取り上げるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/30
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031・高田なほ子
○高田なほ子君 実際問題としては、中学校の生徒、それから小学校の児童等の増減に伴って、若干の教室が、余分のものが出てくる、全くその通りだと思います。問題になるのは、この教室を理科教室にかえる場合の設備費であります。この設備費がないために、先ほど申し上げたPTAの寄付が強要される結果になっている。今度文部省は教材費を二割だけふやしたと言っておりますが、実際問題としては、この教材費二割ふやした中に、学校図書館の費用が大幅に食い込んで、実際面では教材費はふえていない、実際的にふえていない。従って教材費をこの実験室等に改造する場合に振り当てるというようなことも考えられないではないかもしれませぬが、現在でも教材費が足りないのであります。今回もまたふやしていない。これでは、先ほど申し上げた実験、室の完備などということはおよそ父兄の負担に待たなければできないという状態になるので、はなはだ嘆かわしいことでありますが、教室が実験室等に転用される場合の施設費等をどういうふうに文部省ではお考えになっておりますか、この点について一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/31
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032・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 私どもこの法案そのものには、これは御承知のように、施設の建物の関係だけやっておりまして、設備費についてはそれぞれ義務教育費国庫負担法なり、あるいは産振法、あるいは理科教育振興法等の規定によって措置がされるわけであります。もちろん予算といたしましては教材費の関係も十分ではございませんが、昨年よりは幾分ふえておりますので、これをただいまお話のございましたような普通教、室を特別教室に転用するというような、一時にかなりの教材費が要るというような場合には、なかなかそれを一年度の補助金で見るというようなわけには事実上いかぬかと思いますが、しかし、そういったこともきわめて大事なことでございますので、教材費の配分の場合につきましては、十分お尋ねのございましたような御趣旨を取り入れるよう文部省でも研究をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/32
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033・高田なほ子
○高田なほ子君 大臣にお尋ねしますが、今私が質問申し上げたのは非常に大切な点なんです。局長からは、この設備費等はもちろんこの法律の限界ではありませんので、産振法あるいは理科教育振興法等によってこの欠点を補うという御答弁があったのですが、実際問題としては理科教育振興法に要する費用、あるいは産振法を裏づけるための費用、こういうものは前年度の予算と比べてふえてない。こうなって参りますと、せっかく局長が御答弁になっても、実際問題としてはこの理振法あるいは産振法で充実をしていくということがはなはだしく困難になってくるので、どうも局長の理想と現実はあまりにも矛盾し過ぎていることを皆様とともに悲しむ一人なのであります。この点については大臣は、特に科学教育の振興、理科教育の振興をたびたび口にせられている建前もございますので、今後こうした盲点についてどういうふうに御努力をなさっていくつもりか、あらためて御決意を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/33
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034・松永東
○国務大臣(松永東君) 御指摘の点は、非常なその点に盲点のあることはわれわれも自覚いたしております。しかし、何せ三十三年度は完全な予算が理科学振興についても取れなかったことを遺憾といたしておりますが、しかし、この態勢が馴致せられますので三十四年度からずっと私は相当大幅に設備が増大されるというふうに、考えております。従って産振法その他これに関連する設備、機械そういう面も相当獲得することができるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/34
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035・高田なほ子
○高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、第五号についての問題です。第五号は、公立の小学校、中学校を適正規模にするために統合した場合、これに伴って必要となってくる校舎の新築または増築に要する経費の二分の一を国が負担する、二分の一を地方が負担する、こういうような条文です。これもまた私ども大いに賛意を表するものでありますが、ただしかし、市町村の合併に伴う学校の統合問題については過般私は速記をとめて一例を示しました。大まかに言うならば、子供のほんとうの教育を守るという建前で学校統合は行われないと見られるような場合もあり、それは具体的に言うならば、非常に無理な通学距離をあえて強引に村の満場一致の議決、あるいはその関係する教育委員の方々も十分了承しないままに校地が設定された等のこともある場合もある、こういうような場合はやはりこの第五号によって国から二分の一の補助金がくるのだということだけがそこの土地ヘ行くと大きくうたわれるのです。補助金がくる、補助金がくるといってまるで補助金目当てにここへもってきたのかと思うような錯覚を抱かせるような空気がある。しかし、反面この父兄の方ではああいう遠い所に学校を作ってもらってははなはだ困るから、将来何とか子供たちのためにもっと近い所に学校というものをもってきてもらわなければならないというような無理からぬ願いもある。こういう、まあ表現は大へんまずいのですけれども、補助金目当ての学校設置ということはあり得ないのですけれども、こういうような事情もあることもあり得るので、今後この二分の一国が負担する場合に相当の綿密な調査、問題のあるところについては子供のための教育環境、なかんずく通学距離は先般審議会が答申したような案以上に出ておるようなところには、この補助金を交付するということを十分研究してから実施してもらうようにしてほしい。これは希望条件でありますが、私の希望条件に対して文部省側としてはどういう意見を持っておられますか。この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/35
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036・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 町村合併伴う学校の統合の問題でございますが、私どもやはり学校の統合は、ただいま御指摘のございましたように、教育的な見地から子供の教育の効果を十分高めるという見地からこれが行われることが望ましいというふうに考えております。従って、まあ単に財政的な事由とか、あるいはことに政治的な事由からの学校統合、そういう面の非常に強い学校統合は必ずしもいいことではないというふうに考えておりますので、今後はその点につきましては、十分文部省といたしましても、負担金を交付する場合に注意をいたしたいと思います。なお、従来御承知のように、一応統合計画がありまして、これが円満に実施されるという見通しのところに補助金をつけるというふうにしておったわけでございますが、お話のございましたように、実際学校建築を始める場合になりましていろいろ問題が起る、あるいは建物ができたあとで児童、生徒がその学校に登校上ないというような事態も起って参りますので、今回の新しい法案におきましては、この文面にございますように、「統合したことに伴って必要となった校舎」、統合するのでなしに、「統合することに伴って必要となった校舎」というふうに字句を変えております。これは営造物としての学校を九月の大体末まで、九月三十日までに一応町村会の議決を経て統合したという事実が確認されたときにこの交付金を与えるというふうにいたしたいつもりでございます。なお、負担金を交付することにきましては、私どもといたしましは、この校舎の建築ばかりでなく、統そのものも校舎の建築も両方とも円に行われるということを一つの条件いたしておりまして、その条件とい中には、学校の規模もおおむね適正規模、十二学級ないし十八学級になような学校統合であることが望まい、また通学の距離につきましては小学校は大体四キロ程度、中学校あってはおおむね六キロ程度になる校統合が望ましいということを十分県の関係官にも了解してもらってこの仕事を進めたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/36
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037・高田なほ子
○高田なほ子君 次に、第六号の問題一です。これは、危険校舎に対する国の一補助を規定したものですが、中学校方は新、増築の場合には二分の一、一危険校舎の場合は小学、中学とも分の一、こういうことになっております。ここらあたりに私は矛盾があるではないかと思うのです。先ほど第三条で御答弁になったように、将来小校の方も二分の一にしたいという御希望を持っていらっしゃる、特に危険舎は最近の末端の方では老朽の度合を測定する基準を下げて、老朽校舎だんだん、実際はあるのだけれども算の上では老朽校舎を少くするよう方法がとられているようでありますが、私はそういう方法はあまり妥当はないと思うのです。老朽は老朽、険なのは危険、こういうふうに認定方法等についても正確な認定が行わるように私は政府側としては指導するのが妥当ではないかというように考る。そうして危険校舎は、どんどん老齢になり始めますとかなり加速度的に老齢になって参りますので、この国の負担率も、願わくばやはり二分の一、こういうふうな規定を出す方が正しいのではないか、現在では正しいのではないか、こんなふうに考えるわけでありますが、現在の危険校舎の総坪数と、それから今後の建設計画と並びに経費二分の一という私の意見に対して、政府側としてはどういうふうな考えを持っているか。
もう一点は、構造上危険な状態にある建物の範囲の決定に関し必要な危険度の判定基準その他の事項を政令で規定することにしてある、こういうふうに説明が述べられてありますが、この場合の台風通過地域あるいは潤湿地帯における白アリの蝕土等、これらのおそれある地区に対しては、相当危険度の判定基準というものについて、特殊な考慮が払われなければならぬ必要があると考えております。この判定基準について、こういう特殊な地帯に対して、何か政府として特別の考え方を持っておらないかどうか、この点についてお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/37
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038・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) いわゆる老朽危険校舎の国庫負担に関するお尋ねでございますが、これは私ども従来から各府県を通じて全国的に耐久度調査というものを実施してもらっております。ただ、この危険度の認定につきましては、私ども重いといいますか、危険度の高いものをなるべくこれを低く認定するように指導するというようなことはいたしておりません。私ども現一状あるがままのものをそのままいろいろ予算折衝等の資料にいたしておるわけでございまして、決して認定を押えるというようなことは今までも絶対にいたしておらないつもりでございます。補助率の点につきましては、これは私ども、ことに不正常授業等の場合と比較いたしますと、危険校舎の改築の場合には一そう巨額の経費が市町村で要ることになりますので、ことに財政的にあまり豊かでない市町村等では非常に困るわけでございますので、私ども文部省といたしましては、この危険校舎の改築に要する経費は、ことにできるだけ早く二分の一にいたしたいというふうに考えております。なお、これは昨年の秋に全国的に調査を漏れなくいたしました。その結果によりますと、義務制の小、中学校におきましては、基準までの要改築坪数は大体百九十万坪という数字が出ております。それから、幼稚園あるいは高等学校の非義務制におきましては三十一万坪、合せて二百二十一万坪というようなかなり膨大な数字が出ておりますので、これにつきましては、文部省といたしましてもこの数字は、実は昨年の秋の実態調査で初めてわかった数字でございますので、これについては今後やはりはっきりした改築計画を立てて進まなければならぬというふうに考えております。
で、最後にお尋ねのございました蟻害の場合、また災害常襲地帯の危険校舎につきましては、私どもといたしましては、この危険度の判定をいたします資料といたしまして、耐久度調査をいたしますその場合に、たとえば台風につきましては、ことに風圧力というものを構造の計算に入れるようにこの調査表が仕組まれておりますので、一応それで、ことに台風の常襲地帯に対する危険度というものは、一そう高い点が出てくるというように見ております。
また蟻害につきましては、これを腐朽度の判定の基準の中に、その蟻害という項目も入れておりますので、私どもといたしましては、一応まあ遺漏なくやっておるつもりでございますが、今後も十分注意をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/38
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039・高田なほ子
○高田なほ子君 危険度の認定はかなり正確にやっておる、こういう御答弁でありますから、それで了といたします。
ただこの点について、特に大臣にお尋ねしたいことは、貧弱市町村の場合は、この地方の財政難のために危険度が正確に認定されても財政上負担に耐えられないという理由でなかなか危険校舎の復旧が思わしくいかないということもあり得る、これは大へん困ったことであります。で、この場合の起債の特例等については、何か特別な考慮を払われる必要があるのではないか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/39
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040・松永東
○国務大臣(松永東君) 御指摘のような問題は、非常に重要な問題であります。一般に危険校舎と認められるような危険校舎、それに修学児童を収容して教授しているということは、まことに戦慄するような状態だと思います。でありますから、そうした問題は一日も早く解消せんければならぬと念願しておるのであります。これは大体は、先ほど政府委員から申し上げた通り、これは危険校舎だという認定のもとに補助金を出すということになりますと、必ずそうした貧弱町村については、起債が認可になる、交付金が交付されるというふうになっておりまして、必ずそういう面は御心配ないように、解決されると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/40
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041・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、今の大臣の御答弁によると、起債の引き上げ等によってこうした問題は必ず解消すると、こういうふうな御答弁でございますね、よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/41
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042・松永東
○国務大臣(松永東君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/42
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043・高田なほ子
○高田なほ子君 念のためにもう一点伺っておきますが、これはまあこの法律に直接関係がないかと思いますが、もしこの危険校舎が倒壊をして子供に損傷を与えたというような場合、あるいはまた危険校舎、すなわち戸の戸締りが不完全なゆえに、中にどろぼうが入って火をつけたというような場合、これはやはり校長に出火責任が負わせられるような場合があり得る。私はこの校舎の危険度による盗難あるいはそういう錠のこわれた所から入ってきた放火等については、これは単に校長の管理の義務だけを責めるべきものではなくて、当然国自体もその責任の一端を負わなければならないという考え方をかつても今も持っている。従いまして、特にこういう問題に関する学校の災害等に対しては、校長や職員等の一方的な責任だけを負わせることなく、当然こうしたことを起さしめた原因を国自体が持つのだというお考えのもとに善処せられることを、これは要望としてつけ加えておきます。
それからもう一点お伺いしたいことは、第七条の、建築費の時価を参酌して工事費を算定するという規定がございます。この場合は時価にスライドするのか、それとも完全にスライドしないまでも、若干スライドの味をここに含ませるという意味なのか、ここらの法的な解釈を明確にさしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/43
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044・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 一坪当りの建築単価の問題でございますが、これにつきましては、この建築単価は御承知のように、その資材なり労賃なりによって非常に大きく変化するものでございます。従来も特に急激にこの建築の工事費が上りましたような場合には、大蔵省と予算的に折衝をいたしまして建築単価を上げてきた事例もございます。大体文部省といたしましては、時価というものをもちろん基礎におきまして、大蔵省と予算の場合に折衝するということにいたしておるわけでございます。一応その建築単価が予算のときにきまりますと、特に大きな事情の変化のない限りは、そのときの予算の単価によって工事を実施していただくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/44
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045・高田なほ子
○高田なほ子君 この場合スライドすることは大体わかるんですが、今までの経験から考えてみると、文部大臣の主張というものはなかなか通らないんですね、大蔵大臣の方が財布のひもを握っておりますから、いつもひもをくくってしまう。せっかくこの法文に、建築費の時価を参酌して、と書いてあるんですけれども、その参酌というのが大蔵省の財布のひもの参酌になってしまう。これでは本来の意味の建築費の、いわゆる合理的な増額ということが行われないんです。この場合の「協議」というのは、何を協議するのか、協議の内容、協議の権限、これは法的にどれが一体主眼になるのか、財布のひもか、それとも時の建築費の時価が主になるのか、非常にこれは大きな大切な問題でありますので、この点みんなで、この委員会として確認しておきたいと思うので、明確に大臣から御答弁をわずらわしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/45
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046・松永東
○国務大臣(松永東君) ただいま御指摘になりました、この第七条の「文部大臣が大蔵大臣と協議して定める。」これは、協議してみたって財布のひもを握っているのは大蔵大臣じゃから何もならぬ、言いなりほうだいじゃないか、こういうふうなお説のように承わっておりますが、そうでもないんです、実際は。相当やりまして、相当大蔵大臣を動かしたこともある。現に三十三年度の予算も、あの石部金吉を相当説きましたこともある。従って、この協議のうちにも、やっぱりこっちの言うことも聞かせ得る可能性もある。従って、今後はますます一つあなた方の後援も得て強くなって大いに一つ折衝してみたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/46
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047・高田なほ子
○高田なほ子君 大臣が大へんにがんばっていらっしゃることは、ときにはコンクリートのような大蔵大臣を動かすこともあると思う。それはそれとして了承いたします。ただ大蔵省の、失礼な言い分でありますが、下部官僚諸君、教育の実態というものをあまり御存じないらしい、そうして地方にたまに、五年に一ぺんぐらいやってきて、これで実態がわかったというようなことで帰っていくというような風評も聞く。五年に一ぺんぐらい回ってきて、これが老朽校舎だ、これは大へんだというような認識ではとても安心して私どもはおまかせできないような気もする。何とかこの大蔵省の下部官僚に、こういう教育の実態、なかんずく学校の施設の実態というものをよく知らせるために、せっかく文部省が白書などをお作りになるんですから、こういうものでむしろ文部省の講習でもなさったらいかがでしょう。知らせる工夫はないものか、もう少し認識を高める工夫はないものか。これは文部省を責めるのではなくて、教育自体が国全体の問題として考えなきゃならぬ。文部省だけにしょわせるのではなくて、なかんずく教育財政の問題については、大蔵省等の徹底した認識というものがなければ、幾らわれわれがこの文教委員会でがんばってみてもどうにもならないし、大蔵省に十分に知らせる、そして予算も十分に取れるということになれば、内藤さんが言うように、日教組を弾圧する必要はなくなる。そもそも、日教組の運動は、現在の荒廃した教育環境をどういうふうに立て直すか、こういうようなところからいろいろの要求が起ってきている。それを、ただ日教組の運動はけしからぬということで弾圧するのではなくて、もう少し明朗な、健康な、積極的な方途というものが閣僚全体の責任として打ち出されてこそ、初めてお互いがよい慣行の上に乗った労働運動というものが築き上げられていくのではないか。なかんずく、日教組対策にはなはだしく熱心、というよりは執念深いこの政府のやり方に対しては、これを緩和する意味においても、文部大臣の責任において、教育財政確立のために特段の配慮と特段の細心の実行が必要ではないか、こんなふうに考えますが、この点について、大臣の御見解をわずらわしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/47
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048・松永東
○国務大臣(松永東君) この法律は、日教組との関係はありませんよ。ですけれども、御指摘のような、日教組と何もけんかをしようとか、日教組を相手にしてそうして闘争をしようとかいうような考えは持っておりません。ただ、仰せの通り、円満に民主化された教育を施していきたいということを念願といたしております。先ほど仰せの趣旨は、要するに、官僚がいかにもがんこだというような趣旨だと思いますが、しかし、みんなそれは時勢によって官僚もやはり徐々に民主化してきておるように考えております。おそらくは、日を経るに従ってやはり民主化が充実してくるものだと私は確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/48
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049・高田なほ子
○高田なほ子君 これは、大臣を非難して言っているんじゃないんですよ。非難をして私は質問をしているんじゃないんです。ただ、希望意見として、特に教育財政に関係する大蔵官僚に対しては、認識の度を高めるような方法手段というものが並行的に考えられてしかるべきではないかという意見なんです。もちろん、私は、この法律が日教組に関係あるなどとは考えておりません。日教組といっても、これは一人一人の先生の問題ですからね。現場の先生が教室がこわれていたり、危険な校舎におったのでは、やはり非常に心配をされて、この心配が教員組合あたりのいろいろな会合で話し出されるわけでしょう。何とかこの危険度は早くよくならないものだろうか、父兄の負担でなくてよくならないものだろうかというような声が、いろいろの文部省に対する要求となって出てくることは事実なんです。日教組の要求というのは、日教組の中央執行委員会の要求じゃないんです。一人々々の教室にいらっしゃる先生方がこういう問題を…されますから、自然それが集まっていろいろな教育財政の要求の要求になるわけなんです。ですから、決してこれが直接関係あると言っているわけじゃないんですが、こういうことを緩和するためにも、大蔵の関係官僚に親切た御連絡が必要ではないか、こういうことを申し上げておる。どういうふうになさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/49
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050・松永東
○国務大臣(松永東君) 仰せのようにしようと思って、私は、就任以来非常に大蔵省とも折衝を重ねておりまして、大体、このごろは大蔵省の方も教育行政の方も多少は理解してくれておると思っております。今後ますますその理解を高めるように努力していきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/50
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051・高田なほ子
○高田なほ子君 もう一点、今度は鉄筋コンクリートの建築の場合のことなんですが、これはこの法律のどこに該当するか私自分で研究してもわからないのでお尋ねしたいのですが、鉄筋コンクリートの場合には、単価が五万四千でしたか…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/51
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052・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 五万七千九百円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/52
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053・高田なほ子
○高田なほ子君 この単価は、一応最低の単価だというふうに私ども考えておるわけなんです。できるだけ最低の単価の中でおさめたいということは地方でもお考えになる様子でありますが、どうも文部省のいわゆる行政指導の面で、たとえば、ここに百坪の鉄筋コンクリートの校舎を建てたい、こういうような計画がある場合に、六十坪は鉄筋コンクリートの単価で計算をし、残る四十坪は、今度は、配分の都合上からかと思いますけれども、木造建築の単価で補助金が交付されているという事実が各所に見られる。こういう計算をしてやって参りますと、せっかくコンクリート建の最低の基準であるべき五万何がしの金額というものが、木造の建築とくっつけて渡すために、必然的に単価が切り下げられてくるということになっている。切り下げられた場合に、しからば半分だけ木造にして半分だけは鉄筋にするかというと、そういうわけにいかないので、やはり百坪の鉄筋コンクリートを建てるためには、必然的に引き下った単価の不足額というものを地方の財源で負担しなければならなくなるこれはやり方で、単価を引き下げる方法になるのではないか。こういうやり方は望ましくないのであって、この方法を是正するために何とか方法が講じられないものか、これが一つ。
それから各都道府県に対する鉄筋コンクリート建築の計画は、どういうふうに行われているのか。私が質問せんとするところは、昨年度よりは鉄筋コンクリートの配分基準がぐっと下ったように伺っています。たとえば、全校舎の二六%を鉄筋コンクリートに昨年度はした。今年は二〇%きり補助金をくれないということになってくると、これは配分基準が下ったというふうに解釈するよりほかに方法がないのですが、文部省は、鉄筋コンクリート建築に対して将来どういう計画を持っているのか、どうもその辺のことが私に明確にわからないのです。私の質問に明快な御答弁がいただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/53
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054・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 具体的な事例をあげてお尋ねでございますが、確かに特別の特殊の場合に、たとえば、鉄筋で百坪建てたいというところへ、鉄筋の補助金としては六十坪、木造四十坪というようなこともまれにはあるかと思います。これは、御承知のように、鉄筋のワクがまだすべての建築校の御希望を達するだけの余裕もございませんので、できれば本年度はあきらめて来年度に回していただきたいというようなお話し合いになってきます場合に、それでは半分でもいいから何とか鉄筋をくれ、今年はいろいろな事情があるからどうしても建てねばならぬので、というような具体的な話になりまして、私どもといたしますと、実は翌年度に回していただけば百坪まるまる上げられるのだが、というような話をいたしましても、学校の設置者の町村の方で、たってそれでもやりたいというようなことでそういう結果になることがまれにございます。しかし、いずれにいたしましても、それは、ただいまお話のございましたように、実質的には単価を切り下げるということにもなりますし、格好といたしましてもあまりいい格好でもございませんので、今後はできるだけそういうことのないようにいたしたいと思います。
それから構造比率の問題でございますが、まあこれはいろいろの項目によって構造比率が多少違いますが、一般の場合におきましては、昨年は、木造が七五%、それから鉄筋、鉄骨が二五%と、こういう比率でございます。三十三年度におきましては、それをやや高めまして木造が七〇%、それから鉄筋、鉄骨が合せて三〇%ということにいたしておりますので、ただいまお尋ねのように、昨年に比べて鉄筋の割合の比率が府県によって少くなるというようなことはおそらく私どもないと思っております。まあしかし実情として、やはり災害の特に多いような地帯において、あるいは大都市で防火地域の非常に大きいような府県には、実際の配分上鉄筋がよけいいくというようなことはあり得ますけれども、初めから去年より鉄筋の比率が少くなるというようなことはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/54
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055・高田なほ子
○高田なほ子君 特殊な地帯に鉄筋建の配分がよけいいくということは、これはけっこうだと思うのです。しかし、そうではなくて将来どうでしょうか、台風通過地域のようなところには特例を設けてわずか鉄筋三〇%の率では、私どもから考えると低いのですね、ですからこれをにわかに高めることができなければ、特例を設けて、新築する台風地域等の校舎等については鉄筋を割当をするというような方途が別途に講じられていいのではないか、こういうふうに私は考えます。
また、北海道等における厳寒の地方では、これは木造建では燃料費があまりに要り過ぎる、日本の特殊地帯を考えても、まん中の非常に気候のよい所と、それから北海道のような非常にきびしい寒さの所では、おのずから民家の建物の構造もまた変りつつあるわけですね。しかるにもかかわらず、北海道では依然としてやはり木造が多い。こういう厳寒地区には先に申し上げたような特例を設けられて、耐寒建築というものを別途に研究工夫され、かつ予算の配分等についても別途の考慮というものが与えられてしかるべきではないか。特に北海道地方は、れんがの生産等についてはかなり優秀なれんがが安くできるようなところなのです。ですから鉄筋でやろうと、あるいはまたれんがを使ってやろうというような場合に、その地区々々に応じた配慮というものが将来されるのが至当ではないかというふうに考えられますが、特例というものを認められないのか。
それからもう一つは、各県に鉄筋建築の予算を配分する場合、この県財政の規模によって配分率が違うのか、平等に配分されているものか、この点について説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/55
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056・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、構造比率で鉄筋の予算は組まれておるわけでございますが、しかし最近の学校建築の状況から見ますと、鉄筋の希望が非常に強くなって参りました。まあ、例年この鉄筋については奪い合いの状況でございます。私どもといたしましては、お話にもございましたように、台風等がひんぱんに襲って来るような地域については、やはり将来のこともございますので、できるだけまあ鉄筋化するようにいたしたいと思っております。ことに災害がございまして、これの復旧をするような場合には、できるだけ、木造で復旧するということでなしに、やはり鉄筋で復旧するというふうに文部省といたしましても努力をいたしております。
なお、厳寒地等もお話のございますように、やはり鉄筋構造が私どももいいのではなかろうかと思っております。ただ現状では、先ほど申し上げましたように、鉄筋について奪い合いの状況でございますが、その中でも、なるべくやはりそういった地域には鉄筋構造の建物ができるように、なるべく合理性を持たせて配分をいたしたい)思っております。なお、私ども鉄筋を配分する場合、府県の県財政の状況というようなことは特に重くは見ておりません。それよりもやはり各市町村の設置者の、どういう建物をお建てになりたいという設置者の御希望を尊重してやるということにいたしております。もちろん先ほど申しましたように、防火地帯とか、あるいは災害の易い地帯というものにつきましては、できるだけ鉄筋構造を多くするという方針でございます。特にお話がございましたような、県の財政状況を重視するというようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/56
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057・岡三郎
○岡三郎君 時間がありませんので、簡単に質問をいたしたいと思いますが、校舎を建てる場合の敷地の問題ですね、これについてはこの法案は直接関係はないようですが、やはり特に人口が集中してくる大都市ですね、中都市においても特にそうですが、この校舎敷地というものをめぐって相当困窮しておるし、無計画である。こういうことで、つい建てるときに、児童のことよりも購入する単価その他が非常に高くなっておるために遠隔の地に求めたり、あるいは不便な土地に求めたり、もっとひどいところでいえば、これが学校の建物の土地として適当かどうかということを心配されるようなものもあるわけであります。こういう敷地の問題についてどう考えておるか、お考えを聞きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/57
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058・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) お話のございましたように、ことに中都市以上の都市に新たに学校を作りますような場合に、校地の買収でいろいろ困難をしておるということを聞いております。
学校の施設ということを一がいに言いました場合に、やはり建物のほかに敷地も入るわけでございますが、これにつきましては、なお前々国会で当院で御決議もございました。補助または起債の対象にするようにと、こういう御決議があったわけでございますが、文部省といたしましてもいろいろ検討をいたしました結果、まあ自治庁とも折衝をいたしまして三十三年度から新たに学校の校地を求めるような場合には、一定の基準に従って起債の対象にするという措置をいたしたわけでございます。国庫負担の対象にするかどうかという点につきましては、これは御承知のように、土地の問題はその個々の状況によりまして、いろいろ値段等も非常にまちまちでございまして、また一定の基準と申しましても、どの程度まで必要であるかというような基準もそう簡単にはできませんので、私どもといたしましては、しばらくこれは起債の対象ということで、実際上の実施の状況を見たいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/58
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059・岡三郎
○岡三郎君 起債のワクはどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/59
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060・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 自治庁の起債のワクは、義務教育施設分といたしまして百二十億の予算が組まれております。これは御承知のように、建物と土地と合せてでございまして、その中から最も必要なものについて自治庁の方では起債を認める。これは、本年度最初でございますので、テスト・ケースとしてそういう形をとっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/60
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061・岡三郎
○岡三郎君 建物と一緒だというと、またずいぶんこの運用によっては困ると思うんですがね。実質上敷地の分についてどのくらいの想定をしているわけですか、大体は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/61
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062・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 自治庁の方では、本年度はテストケースであるから、実際の要望の調査をしてみないとはっきりわからない、しかし必要最小限度のものはこの百二十億の中から認める措置をとると言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/62
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063・岡三郎
○岡三郎君 従来建物の起債の額は、大体どのくらいになっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/63
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064・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 前年度は建物の起債が百十億でございまして三十三年度は百二十億になっているのでございまして、前年度に比べて十億だけ増加しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/64
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065・岡三郎
○岡三郎君 そうなると、焼石に水といいますか、ちょっと小さいと思うのですね。それで、土地というものが急激に上ったというのは、御承知の通りだと思うのです。それで、何かはかに国庫補助が今一段階としてはむずかしいというが、やはり将来ある程度この補助を考えないと、これは不可抗力によってふえているような認識を持つわけです。というのは、工場なりあるいは住宅がずっと移動していく、そうなるというと、そこにどうしても学校というものを作らねばならぬが、土地が非常に高い、これは後手後手になっているわけだな。だから、もうちょっと土地というものを安く確保するという方法を研究しなけりゃならぬと私は思うんです。だから、その安く確保するために研究するとともに、それに合わして補助を出せばその確率というものは多くなるのじゃないかと思うのだが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/65
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066・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) やはり学校の教育を国家的にいわゆるやるためには、一定の範囲の校地というものが必要でございまして、そのために町村の方で、まあその出費のために非常に苦しむということでありますれば、それに対しまして、国としても応援する態勢を考えなければならぬわけでございます。ただ先ほど申しましたように、この負担の対象とする土地費の範囲の問題とか、あるいは一体どれだけの校地が必要かという算定の基準の問題とか、技術的にいろいろ困難な問題も出てきますので、現在の段階では起債で見てもらう、これは単独起債になりますが、単独起債で見てもらうのが、一応現状ではやむを得ない措置ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/66
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067・岡三郎
○岡三郎君 私は、文部大臣にこの際この問題についてお尋ねしたいんですがね。一般住宅の場合においても、土地の値上りのためにだんだんと遠隔の地に行って、交通機関が混雑しておるということは御存じのことと思うんですが、建物を建てる場合においても、都市計画というものがあって、大体どういう方向に住宅地帯を設定するとか、これはいろいろと計画があると思うんです。そういった場合に、先手を打ってある程度まで土地というものを確保すれば、これは単価がぐっと安く確保されると思うんです。ところが、人間が移ってからどうもこれではいけないというので、分校を設置して、それを本校に直すというようなことをやっているから、土地の値段が三倍も五倍も上ってから確保するような形が出てきておると思う。私は、これは一つの私案ですがね。この法律の中に将来、私は土地の問題を含めてもらいたいという考え方を持っておるのだが、それができない場合に、教育金庫というふうな形のものを作って、そうしてそれが起債という、こういうワクじゃなくて随時これを必要とするならば、ある程度までそれを認めた場合にはこれを貸して、そうしていくような方法をすれば、自治体等も先手が打てると私は思うんです。ところが、今のままだというと、どうしてもこれがおくれて、なかなかまとまった土地を確保することが困難だから、結局いろいろなことをやって、無理に別の方向へ校舎の敷地を求めるということになっておるので、そういうふうな、労働金庫とか、いろんな問題がありますが、教育金庫的なものを私がなぜ考えたかというと、これもちょっと別の問題になるが、学校貯金をしておりますね、児童が。これは親の金ですよ、やはり。ところが、学校貯金というものは、一体どこに使われているかということになると、これが教育的に使われておるということを私は聞いたことがない。いいですか。だから、全国の学童が、自分たちの校舎、自分たちのお友だちのための敷地、こういったものに対してこの貯金が使われるということにならにゃ、私は本来学校における貯金というものに対してやはりいろいろな疑問を持っているわけです。だから、せっかくこういう貯金が推奨されるならば、これが教育効果の上に反映されるというふうなことで、学校貯金こそ、一般の郵便貯金等に預けるが、それをまとめた金としてこれが教育の振興の用に供するような生かし方、こういったものが考究されなければ私はうそじゃないかと日ごろから思っているわけです。それと合わして、国庫の醵出金等によって、教育金庫等を経て、実質的に実情に沿わないような土地の問題、こういうふうな教育上非常に障害になっているような問題の救済策を抜本的に検討してもらいたいと思う。これは文部大臣にちょっと聞きたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/67
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068・松永東
○国務大臣(松永東君) 御説のような問題は、私は研究したことがあるのです。ことに私は、東京都と近郊地帯の首都圏整備法をやりました関係がありましてそうしたときに仰せになりましたような地価の暴騰が、これはもう非常な暴騰をいたした。従って、学校あたりがなかなかあとから、御説のように、住宅が建ってそこが都会化してしまう。それから適当な学校を建てるとしても、運動場をとるとしても、莫大な資金がかかる。それをあらかじめ予定して、そうして一つ何か金庫か何かを設置して、そうしてここでちゃんと確保しておいたらどうか、そうしないというと、あとでそうした公益的の学校施設とかあるいは教育団体のいろいろな関係の土地を求めるときに、とんでもないことになるというので、そういう計画を立てたことがございました。しかし、昨年こっちの方に任官したものですから、その方は縁切れましたけれども、しかし御説のように、なるほどと思いまして、先ほど来考えたのです。幸いに承わりましたので、私の首がどうなろうと、一つ、これからそういう問題についても取っ組み合ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/68
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069・岡三郎
○岡三郎君 今、文相から力強い発言があったわけですが、これは非常に、今後ともますますこういう傾向が増加するので、一つ、国費を軽減する面と、さらに一般の自治体の経費の節約の面というものを考えて、少し融通する金を確保すれば、何とか、まんべんなくとはいかぬけれども、相当心配されておるような部面については手が打てると思う。この点を一つ、十分御考究願いたいと思う。
その次にもう一つは、危険校舎等を改築する、老朽校舎を改築するときに許可がおりるのですね、おりるというと、旧校舎はすぐ取り払わなければならぬということになって、実質的に許可がおりたところの学校が、新しい建物を作るためには、前のものを取り払わなきゃならぬ、これはどうも融通がきかぬし、困る。だから、ごまかすことではないので、新しい校舎を建てるまでその校舎を何とかする方法はないかというので、ずいぶんこの話を聞いたが、この実情は、大臣の方じゃなくて、局長、どういうふうに考えておるか、この点聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/69
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070・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 危険校舎の改築の補助金につきましては、これは御承知のように、現状のまま使っておれば危険であるからというので改築するのでございますから、改築のでき上ったあとでは前の校舎は、こわしていただく、こういうことでやっております。改築する前に取りこわせということは指導しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/70
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071・岡三郎
○岡三郎君 その点は安心しました。ただしかし、係官によるというと、改築に取りかかったならば、前の校舎をすみやかに撤去をするというふうなことを一応聞いたから、これがそうでなかったならば、その点はいいとして次に、小規模の校舎ですね、小規模の危険校舎等を改築する場合に、起債の対象にならぬということを言うのだが、これは、私はけしからぬと思うのですよ。小さな学校、これは小さな自治体ですね、そういうところが一生懸命に危険校舎を改築しようとするのに、補助金がきたが、坪数によっては起債の対象にならぬ、これは私は非常に不合理だと思うのですがね。その点を何とか改善してもらいたいと思います。現行においてはどの程度以下が起債の対象にならないのか、これをちょっと言ってもらいたいと思う。これは、私は非常に不親切だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/71
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072・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 起債につきましては、大体町村の場合は全額、工事費の額が百万円程度以下のものについては起債を認めないというのが自治庁の方針なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/72
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073・岡三郎
○岡三郎君 その点百万円以下でも、貧弱町村になれば改築するために補助金がくるんですよ。補助金がくるんだが、それに伴う起債がない。だから、あるところの一億と、貧弱町村の百万円というものは、どっちが重いかわからぬと私は思うのですよ。だからこの点は、文部省当局を責めるだけではいかぬと思うので、自治庁の方に交渉しなければならぬと思うが、もう少しその点を実情に即して改めてもらうようにお願いしたいと思うのです。小規模なるがゆえに起債の対象にならぬで、大規模なるがゆえに起債の対象になる、こういうことでは、私は実情に即さぬ、特にそういうふうな点について、最近私は気がついたので、この点をお尋ねするわけですが、その点一つ努力してもらいたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/73
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074・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) まあ、この起債の限度のことでございますが、しかし百万円が適当かどうかということになりますと、いろいろ事情があると思います。しかし、いずれどっかで線を引かなければならぬわけでございます。財政の非常に貧乏な市町村の場合に百万円が実情非常にむずかしいということになりますれば、私どもといたしましても自治庁と話し合いをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/74
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075・岡三郎
○岡三郎君 次に、現在横浜の保土ケ谷で小学校の講堂を作るということになっていて、学校で一生懸命に金を父兄から取って積み立てておる。ところが市当局によると、たとえば八百万円なり、一千万円なりの建物を作るのに、その額が積み立たぬと、市の方では許可してくれぬ。それで、大体市の方へそういう努力をした結果、幾ら出してくれるかと聞いてみる……。大体二百万円見当だという。そうしてやらないというと、補助金が取れぬ。こういう形になっておって、非常に学校建築に対する父兄の負担というものが重いということを身にしみてさらに覚えさせられたわけですが、こういうふうな点については、もう少し自治体当局を督励して、そういうことがないようにやはり文部省の方として補助額をふやすとともに、自治体に対する私は指導を考えてもらいたいと思う。そういうことを言うと建たぬ、こういうことで父兄の方は泣き寝入りということよりも、子供のためだからいたし方がないといって、一千万円かかるのを七百万円くらい自分たちで積まなければ、三百万円か、二百万円来ぬ。そういう形で国の方から補助金をもらう。これでは、もう建築することは父兄が主導力を握っている。これでは非常に貧困なる家庭の方は、もう日ごろの子供の経費が非常にかかっている上に、ここまで肩身の狭い思いをしなくては義務教育ができぬのか、こういう声が非常に強くなっているわけです。これは一例、ですが、ぜひともそういう面において自治体の指導とともに、将来二分の一の負担ということを小学校の部面においても確立してもらいたいと思うのです。これは要望意見になりますから、あとで一括して御意見伺いたいと思うのですが、次に建築単価、これは木造の単価は増加しておりますか、前よりも今年は幾らになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/75
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076・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 横浜の事例をおあげになってお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この国費のほかに父兄なりPTAの方から寄付があるということを補助金交付の条件にしておるところはございません。ただ、おそらく中学校の屋体の予算が限られておりますので、県なり、市の当局者がそういった寄付も集まっておるようなところは優先的に見るというようなことを考えておるのではなかろうかと思います。また学校の当局者の方で国の予算だけでなしに寄付金も集めて、自分たちのりっぱな屋体を作りたいという気持からそういった寄付金を集めるということをやっておるのではなかろうかと思いますが、私どもといたしましては、中学校の屋体ばかりでなく、大体義務教育の施設についてPTAにおんぶするというようなことは、あまり好ましいこととは思って去りませんので、私どもといたしましても、県の方へそういったことのないうにできるだけ注意することにいたしたいと思います。
なお、学校建築の単価でございますが、三十三年度の木造の単価は二万八千円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/76
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077・岡三郎
○岡三郎君 私は、その点大臣にお聞きしたいのですが、二万八千円というのは、やはり実情に即していないと思うのです。
もう一点は、建築屋に聞くというと、やはり大きな建物だから単価が守くなるといっても、やはり全体的にいうと、完全なる建物というものを作るには不足だ、それで単価を引き上げてもらいたいという要望が相当あるわけです。
これはもう一つ別の例というと悪い例ですが、前に世田谷等で、新校舎が建築屋の手抜きのためにえらい問題を起したことがある。これはいろいろ問題があっちこっちにあって、あまり単価を安くするというと、手を抜く……。いうこともあると私は思う。入札方法におきましても相当問題があると思う。ですから、ここに補助してこういうふうに恒久立法する上においては、各校舎についての建築指導というものを怠りなくやっておられると思う。しかし実情に即するということになるというと、やはり単価が問題に私はなってくると思う。二万八千円が妥当であるかどうかということについては、私は安過ぎるというふうに考えておる一人です。現実におきまして、一般の住宅公庫の単価等とにらみ合せて、ある程度上げて、それに即応したところの厳格な監督ということをやらぬというと、やはりどこかに疎漏があるのではないかという面を考えているわけですが、この単価の推移、戦後から現在までどの程度どういうふうになっているか簡単に御説明下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/77
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078・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 建築単価の問題でございますが、現在の状況から申しますと、木造二万八千円、鉄筋五万七千九百円、その数字で各府県の方に補助金を配分して工事を実施してもらうわけですが、実際の状況はこれを下回っている工事が非常に多いのであります。たとえば百坪なら百坪の工事をするとなると、百十坪にして坪数で十坪くらいふやしてくれという状況が相当多いのでございます。従って大蔵省といろいろ折衝いたします場合、実情がこれを下回っているということから、交渉がなかなか簡単にいかないというふうな状況でございます。
なお、戦後の推移でございますが、二十八年ごろの数字を申しますと、木造が二万四千円、鉄筋が五万七千円、二十九年が木造二万七千円、鉄筋五万五千円、三十一年が木造二万八千円、鉄筋五万五千円、三十二年は木造二万八千円、鉄筋五万七千九百円。ですから、多少時価に応じまして建築の単価は徐々に上ってきているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/78
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079・岡三郎
○岡三郎君 これで質疑をやめます。総合的に学校の校舎というものが計画的に立てられて、しかもそれが父兄負担にならぬように、特に土地の問題等については緊急の問題として検討願いたいと思います。これには土地の問題は含んでおりません。単価の問題についても今言ったようなことがあるならば、やはり二万八千円では私は少いと思う。それを下回っているということになれば、早く老朽化するということは当然だと思う。ですから、そういうことの考慮というものが十分下部に徹底するように御指導を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/79
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080・竹中勝男
○竹中勝男君 時間ももう一時を過ぎましたし、健康にもよくないし、それからこの義務教育諸学校施設費国庫負担法案は相当重要な問題がたくさん残っておりますので、引き続いてこれは審議する必要があると思います。
そこで一つ、べき地教育振興に関する自民党さんの方の話し合いを一つ促進していただきたいと思います。それができるのを待ちまして、午後は委員会を開いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/80
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081・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記をとめて。
[速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/81
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082・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記を始めて下さい。
暫時休憩いたします。
午後一時十一分休憩
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午後八時十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/82
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083・湯山勇
○委員長(湯山勇君) これより文教委員会を再開いたします。
委員の異動について報告いたします。
本日、上原正吉君及び最上英子君が辞任され、その補欠として大谷贇雄君及び田中啓一君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/83
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084・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 本日、理事吉江勝保君から、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/84
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085・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
この際理事の補欠互選を行います。互選の方法は先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/85
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086・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
それでは、委員長は、理事に三浦義男君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/86
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087・湯山勇
○委員長(湯山勇君) この際お諮りいたしますが、当委員会に付託されておりますべき地教育振興法の一部を改正する法律案について発議者から撤回の申し出がありました。本院規則第二十八条第二項により、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/87
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088・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/88
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089・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 休憩前に引き続き義務教育諸学校施設費国庫負担法案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/89
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090・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/90
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091・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと簡単に二、三点お尋ねしますが、今度の法律は、御説明を聞いておりますと、一体従来の線から実質的にどれだけ前進しておるのかという疑問を持たざるを得ない。なるほどいろいろな臨時的な法律が幾つかあったのが一本にまとまっておりますから、われわれが文部法令なんかをめくる場合に、あっちこっちめくらぬでも一カ所めくれば全部わかる、そういう意味では確かに便利にもなったし、一歩前進には違いないと思うのですが、それ以上に実質的にどれだけ前進になっておるのかということを一つまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/91
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092・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 御指摘のございましたように、従来の学校施設関係の法律は、公立学校施設費国庫負担法、これは必ずしも時限立法というわけではございませんけれども、内容から申しますと、中学校の整理につきましては、義務教育年限の延長に伴うもの及び戦災復旧というようなものがありまして、事柄の性質上ある程度時限的に性格を持っております。それ以外の危険校舎に関する補助法にいたしましても、それから不正常授業に関する補助法にいたしましても、これは法律にもはっきり書いてございますように、臨時立法でございます。今回この臨時的なものを取りまとめまして恒久法に改めたわけでございます。なおこれと同時に、従来の補助法につきましては、義務教育に関する限り国も責任を持つ、設置者と同時に、国も施設についてはっきり共同責任を持つということから今回従来の補助法を負担法に改めておるわけでございます。内容的に申しますと、従来法的の根拠のなかった中学校の屋内運動場、それから小、中学校の学校統合に関する規定を新たに今回の法案に設けましてそういった面で実質的に相当私どもとしましては前進をしておるものと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/92
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093・秋山長造
○秋山長造君 もう一つ、根本の問題をお尋ねしますが、義務教育費ということをまあ一口に言いますが、この義務教育費国庫負担法という法律があるわけです。その義務教育費国庫負担にうたわれておる義務教育費というのに一体この施設費というものが入るのかどうか、その点次官にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/93
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094・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) ただいま御質問ございました義務教育費の国庫負担法に含まれておりますのは、教員の俸給を二分の一国庫で負担するといとことと、もう一つ教材費を二分の一国庫において負担する、この二点にあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/94
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095・秋山長造
○秋山長造君 いや、私の尋ね方が面かったのです。それはもうわかり切っているのですけれども、この義務教育国庫負担法というような場合の義務教育費ですね。なるほど義務教育費国庫負担法には、義務教育費国庫負担法というような名前は書いてあるけれども、ただ給与費と教材費しか入ってないけれども、本年は義務教育費というものにはいわゆる給与費、教材費だけでなしに、施設費もこれは含まるべきものと考えておられるのか、それ)もやはり施設費というものは厳密な意味での義務教育費ではないということを考えておられるのかということをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/95
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096・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) 広い意味におきましてはもとより施設費につきましても義務教育費の一部と、かように考えられるのでありますが、従来はこの点につきまして必ずしもそういうふうに法律上は規定しておりませんでした。そこで、まあ広義の意味における義務教育費の一部に加えたい、こういう意味からいたしまして従来補助……。いうことになっておりましたのを今回負担法と、かように改めたのも広い意味におけるやはり義務教育費であると、かように解釈いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/96
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097・秋山長造
○秋山長造君 その点が私は、えらいばく然としたお尋ねをして恐縮でございますけれども、私は本質的には非常に重要な点だと思うのですね。で、私はやはり広いとか狭いとかいうことでなしに、いやしくも義務教育費という以上は、これは厳密に義務教育費の中にやはり施設費というものは人件費と並んで当然入れてしかるべきものだ、また入らなければうそだと思うのですね。そういう点がはっきり確立していないと、やはり国庫負担法というものがほんとうにこの魂が通ってこないじゃないかと思うのですね。ただ羊頭を掲げて狗肉を売るような法律になってしまってやはりこの義務教育費というものは当然給与費と教材費と施設費、この三位一体で初めて義務教育費というものが成り立つのだという考え方でないと、この義務教育施設費国庫負担ということに私はならぬと思うのですね。むしろ私は現在の義務教育費国庫負担法は給与と教材だけだけれども、こういうような別個の法律でなしに、義務教育費国庫負担法という名前のもとにこの給与費、教材費、施設費、三つを一まとめにした法律というものが私はあるべき姿じゃないかと考えるのです。それに至るまでのいわば暫定的なこれは今回の立法というものは、これは位置づけられるのじゃないかというように考えるのですが、その考え方は正しいのですか、間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/97
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098・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) ただいまの秋山委員のお考えは、われわれ文部省としても考えていることと同一と考えます。ただしかし、従来、終戦後義務教育が三カ年間延長されて、それでなくても約一割以上も義務教育小学校においては戦災を受けたそれの復旧等、いろいろ財政的な負担があるので、一応施設については補助と、こういうことで義務教育の国庫の負担から法律上は除いておったかと思うのでありますが、しかし教育行政の上からはやはり当然施設についても国庫で義務教育については負担すべきものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/98
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099・秋山長造
○秋山長造君 その点はわかりましたが、私の最後の点ですね。これは本来、義務教育費国庫負担法という法律にこれは給与費、教材費、施設費は一本化されるべきものじゃないかという点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/99
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100・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) それも確かにりっぱな御意見だと承知いたしますので、一つ十分参考に拝聴いたしておきまして、将来考えたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/100
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101・秋山長造
○秋山長造君 その点は局長専門的にどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/101
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102・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) この義務教育学校の経費につきましては、いろいろ、設置者が負担するか、あるいは国が応援するかというようなことにつきまして、従来からいろいろ変遷がございました。ただ、その学校の施設費につきましては、これは明治の初め以来設置者が負担するということで今日までずっときたわけでござまいす。で、国が特別の場合に設置者負担主義に対して応援をするという制度をとってきたわけでございます。ただ、こういう制度でありますと、やはり義務教育に対する国のまあ共同責任ということからいいますと、やや欠けるところもありますので、この前の、前々国会での付帯決議の御趣旨もありまして、文部省といたしましても、やはり義務教育に対する国の責任ということを考え、今回のこういった新法案によりまして国の共同責任を明らかにしたい。従ってまあこれは、先ほど政務次官からも、お答え申し上げましたが、一がいに、義務教育費といった場合に、この施設費が入るか入らぬかということになりますと、御意見が分れるところであろうと思います。大体その限界は実定法できめられるものであろうと思っておりますが、私ども広い意味では先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、この施設の関係の経費も一応含めてもいいんじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/102
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103・秋山長造
○秋山長造君 私は、含めてもよかろうというようなことじゃなしに、私はやっぱりそういうあいまいな点があるから、やっぱり今度の法律でも、最初文部省は、あるいは政府は二分の一国庫負担でいくということを大きくアッピールされておったにもかかわらず、今ここに見るように後退してしまったじゃないか、こう思うのです。私は義務教育費は、給与費、教材費、施設費ひっくるめて義務教育費と考えるべきものであり、従って、給与費、教材費について二分の一国庫負担という原則が立つならば、これは当然施設費についても二分の一国庫負担という原則が確立されなければならぬと思うのです。ただ、それがただいまおっしゃるように、沿革的にまず給与費が半額国庫負担になり、それからそれに続いて教材費が半額国庫負担ということになり、そして、この次には当然施設費もおっつけ半額国庫負担ということになるべきものであるが、今、財政的な理由その他で一度にいかないために、暫定的にこういうような二分の二あるいは三分の一というようなことにとどまっておるのであって、これはもう給与費がまずなり、教材費がそれに次ぎ、さらに施設費が近い将来次ぐべきものだ。また、政府としては当然そこにもっていかれるべきものだというふうに考えるのですが、その点はもう少しはっきりお答え願えませぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/103
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104・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) お尋ねのお話の中にもございましたが、この新法案をいろいろ研究いたします過程におきまして義務教育費国庫負担法の中にこの施設関係のものを入れるということについても、確かに文部省といたしましても検討したわけでございます。ただ、教員給与なり、あるいは教材費の関係に比べまして、学校施設の法律の内容からいたしますと、きわめて技術的な要素の多いところもございまして、一がいに義務教育費国庫負担法に入れることができないということから、法律としては別個の法案を御提案申し上げたような次第でございます。観念的には私どもただいまお話のございました点で一致しておると思いますが、大体従来からの沿革もございますし、また国の予算のワク等もございまして、現在ここに御審議を願っているような形になったわけでございます。必ずしも暫定的というわけではございませぬが、たとえば、ただいまお話のございましたような負担率などにつきましては、文部省といたしましても義務教育の施設については当然、できるだけ早い機会に二分の一にすべきものであるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/104
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105・秋山長造
○秋山長造君 その点は観念的というか、原則というか、考え方というか、政府部内ははっきり一致しておるのですか、その点は。どうですか。と申しますのは、なるほど文部大臣の提案説明を読みますと、あるいはまたこの法律の内容を見ると、従来の設置者負担という原則は否定されているわけですね。国と地方とで分担するという原則に変っておるわけですね。ところが、今度の予算折衝の過程なり、あるいはこの法律が形をなすまでの間にいろいろ議論があったと思うのですが、たとえばこの大蔵省あたりの考え方は、やはり施設というものは、これは原則的に地方負担がほんとうだという考え方々必ずしも今日においても捨ててないのじゃないかと思うのですね。それからまた、自治庁あたりはやはり大蔵省と同じように、設置者負担が当りまえだ。むしろ国が負担する、あるいは分担するという考え方は、これは邪道だ。まあせいぜい百歩譲っても、起債くらいでまかなっていくにとどめるべき問題じゃないか。こういう考え方をやはり捨ててないのじゃないかという懸念を持つのですがね。その点は、これはもうこの法律に現われておるように、設置者負担という明治以来、長いこと持ち続けてきたこの歴史的な原則というものは、この法律が出ることによってはっきり規定をされた、そうして国と地方との分担すべきものだという原則が、政府部内において統一した諸原則として確立されたのかどうか、この点を確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/105
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106・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) この法案を御提案申し上げるまでには、大蔵省なり、自治庁にいろいろ御意見がございましたが、政府としてこの法案を御提案申し上げました以上は、当然大蔵省も、自治庁も、この義務教育の施設費については、設置者と並んで国も共同責任をとるべきであるということで意見が一致いたしております。ただ、この補助率が、三分の一のものもあり、二分の一にできなかった点がございますけれども、これは大蔵省といたしましても、予算が許せばできるだけ二分の一にしたいという気持は変らないと思っております。自治庁の関係につきましては、これもこの法案にも出ておりますが、地方財政法の一部を付則で改正いたしております通り、この義務教育の施設費については、国が共同責任を持つということについては、決して意見が異なっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/106
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107・秋山長造
○秋山長造君 それからもう一点だけお尋ねしますが、第三条の関係ですが、一体今度出ております計数基準を定めている法律では、すし詰め教室を小学校については五カ年計画で解消していく、中学校については三カ年計画で解消していくというこの年次計画を描いて立案されているように聞いているのです。ところが、この法律では、たとえば公立小学校の不足校舎の新築、増築だとか、あるいは危険校舎の云々あるいは屋内運動場の云々というように並べられて、負担率だけはきめられておるのですが、そこに何か年次計画というようなものが、一体あるのか、どうか。その点をこの各号について——この第一号に該当するものは、現在何坪であって、そうしてそれを何カ年計画でこの法律によって解消していくのだと、第二号はどれだけあって何カ年計画でやっていくというような具体的数字と、そうしてその計画があればお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/107
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108・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 小、中学校の不正常授業の関係でございますが、これは御承知でございましょうと思いますが、この不正常授業は、必ずしもいわゆる過大規模の学級だけでなしに、二部授業その他、また仮校舎あるいは借用校舎の関係等も入っておりまして、いわゆるすし詰め教室の解消だけではないわけでございます。で、この不正常の関係については、今後の児童並びに生徒の非常に大きな増減がございます。文部省といたしましては、今後新たに三十三年度以降別個の年次計画を樹立して解消して参りたい、大きな原則といたしましては、ただいまお話の中にもございましたように、三年ないし五年の計画で解消するように努力をいたして参りたいと思っております。
それから、中学校の屋内運動場につきましては、これは現在でも、この予算といたしましては、積寒地だけを一応対象として予算が組まれております。ただし、配分に当りましては、積寒地以外の暖地にも配分することを一部認められておりますので、一府県二校ないし三校程度の中学校の屋体を建てておる状況でございますが、全般的にこれを全国共通で建てるということになりますと、現状とはかなり不足の坪数も違って参りますので、そういった点につきましても今後計画を立てたいと思っております。
それから、学校統合につきましては、これは市町村ですでに議決された坪数が大体三十七万坪という数字に上っております。これは昨年の五月一日現在の計画坪数でございまして、これは文部省といたしましては、四カ年程度で解消いたしたいというふうに考えております。
なお、危険校舎につきましては、これも従来は各府県を通じて漏れなく調査をいたしましたのが昨年の暮でございまして、このときの数字によりますと、大体義務制学校では百九十万坪、それから非義務制の学校では三十万坪という数字でございます。これにつきましても、従来は二十九年五月一日現在の危険校舎の坪数は漸進的に解消するということでありましたが、この新しい調査の結果の数字を得られましたので、三十四年度以降この新しい数字を使いまして新たな年次計画を立てたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/108
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109・秋山長造
○秋山長造君 年次計画は、そうすると立ってないわけですね、現在のところ。たとえば六号の危険校舎、ただいまのお話で、この法律に該当する義務教育関係は百九十万坪の危険校舎がある。ところが、これを年次計画で解消していくつもりでその計画を今後考えるということですが、一体、本年度は二十二万五千坪要求されて十五万坪しか認められていない。四十五億の予算要求が十八億に査定を受けているわけですね。そうすると、ことしあたりは義務教育施設、危険校舎の解消を大いにやるのだということで、鳴物入りでやられて、なおこの程度なんですね。一体今後の政治的、経済的な情勢の変動等を考慮に入れて、そうして今後の見通しを考えた場合に、年に十五万坪程度で百九十万坪の危険校舎を年次計画で解消する。そうすると十三年ぐらいかかるわけですね。十二年ですか、十五万坪として十二年かかる。しかも十二年かかっているうちには、現在危険校舎のワクに入らないものが、このあとの十二年間の間にどんどん危険校舎として追加されてくるわけですね。そうすると、これはとても十年や十五年では問題にならぬということに私はなると思うのですね。
そういう点を考えますと、これは、こういう法律を作られることはまことにけっこうで、この現状よりは確かに一歩前進には違いないと思うのですが、何にもそういう大きな危険校舎の百九十万坪という坪数を解消していくという確固たる計画なしに、ただ三分のという負担率だけこの法律に盛られたからといって、現実にはあまり危険校舎の解消ということは進まないのじゃないかというように思うのですがね。まあ、ないよりはあった方がいいのですが、その程度以上のことは期待できないのじゃないですか。もう少し、これだけの画期的な法律を作られ、しかも明治以来の長い設置者負担という原則をここで否定されて、新しく国と地方とが分担するという新しい原則を確立される以上は、やはりもう少しこの短かい期間に強力にこれを解消していくという年次計画が当然この法律の裏づけとしてあってしかるべき、ないかというように考える。しかし、それはまだできていない、これからだというお話ですが、一体あの、政務次官にお尋ねしますがね、これはこの程度のテンポで一体この危険校舎の解消あるいはその他の不正常授業の解消。いうようなものをやっていかれるのですか。それとも、何かもう少しこの法律を作った以上は、もっと抜本的な強力な計画を立てて、それを確実に年を追って、年度を追ってやっていかれるということでなければ、ただばらばらあっちこっちあったものをただ一つにまとめて、そうして法律の名前を変えてみただけに終るというようなことじゃないか。地方は非常に期待しておりまして、これはもう期待しておるのは、ただばらばらのものが一本になったからということじゃなしに、内容は十分徹底して地方の人は読んでいないでしょうけれども、何かとにかくこういう名前の法律ができるからには、これはもう義務教育費国庫負担法と同じくらいな威力を発揮して、非常に地方がよくなるのだろうという期待を持っているのです。そうして毎日全国から集まる陳情とそれから特に電報なんかというものは、これは膨大な費用であると思うのですよ。衆参両院の議員に集まる全国の電報というものはこれは下手やると電報料が回収できないようなことになりますよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/109
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110・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) この点につきましては、秋山委員のお説の通り、文部省としても一番頭を悩ましている点でございまして、ただいま局長からお話のように、一応できるだけすみやかに解消したいというので、メドはおよその見当はつくのでありますが、しかし、何といってもこの裏づけの財政がこれに伴わないというと、いわゆるペーパー・プランになってしまって、この机上の計画だけであれば幾らでも五カ年計画でも、三年計画でも立つのでありますが、やはりその財政がこれに伴わないというと、どうも文部省だけの考えだけでもできかねる点もありますので、しかし従来、先ほど局長からお話しのように設置者が、これは施設については負担すべきものである。こういうことで、いろいろのケースに従って従来補助を出していたというのを、今回この法案が成立いたしますれば、国においで負担するという、こういう先刻来からのお話の負担の意義がここにはっきりいたしまするので、そこで将来文部省としても財政の方を確保する上におきましても、施設についても国が負担するという、こういう原則に従ってこれを確保いたしまして、さらに経済の成長率に従いましてできるだけ文教方面にも予算をもらい、本年は特にいろいろの柱を立てましたし、もう少しこちらの方面にも予算もほしかったのでありまするが、一応予算の点につきましても、またこの法案の内容につきましても三分の一となっておるのを二分の一にできなかったというわけでございまするので、将来は一つ文部省がそういう計画を立てて、それが遂行できるような情勢になり、そうして、これができるような方向に進むことをこいねがっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/110
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111・秋山長造
○秋山長造君 もう時間がないから、その点はさらにはお聞きしませんが、とにかく、この法律の裏づけになる計画を、これは早急にやはり確固たるものを立てられるべきだと思うのですがね。それをこれからやるというお話なんですが、大体いつごろまでにできるのか、ちょっと局長にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/111
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112・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ただいま政務次官からお答え申し上げましたように、校舎整備につきましては、文部省といたしましては、これはできるだけ短期間の年次計画を立てたいと思って——ただ、実際には、私ども、全体の数字を把握してその年次計画を立てましても、予算の規模その他の財政的な制約がございますので、机上の計画に終らないように、強力に財政当局とも折衝いたしまして実行できる整備計画を立てたいと思います。これはまあ、私どもといたしましては、予算の折衝の始まる前にやはり何とか一応の計画を立てたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/112
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113・秋山長造
○秋山長造君 一応の計画というようなことでなしに——一応の計画というのは、毎年予算折衝の前には、紙に印刷して大蔵省に持ち込まれるのだろうと思いますけれども、もう少ししっかりした計画を立てて、これは単に一文部省だけでなしに、やはり政府全体として掲げておられる大きな政策なんですからね。だから、もう少し文部省をこえた規模において一つ確固たる計画を立てて、そしてこれはもう着実に実行さるべきじゃないかと思うのです。それからもう一点だけお伺いしますが、第八条の三項のところに、鉄筋コンクリートの建物のことが書いてあるのですが、一体、何ですか、文部省は、今後学校の建物というものは、あくまで木造を主にしておいきになるおつもりか、それとも、鉄筋を主にしていかれるおつもりであるか、この方針をお伺いしたい。と申しますのが、これはもう当然、一般住宅その他、すべて火災その他等も考慮して、これはもう鉄筋住宅に移行しつつあることはこれは否定できないでしょうね。その場合に、ひとり学校だけは依然として木造が主になっていく、そうしてしかも老朽校舎になって建てかえなければならぬということも多いですが、同時に火災で失われる校舎というものもずいぶんあるのじゃないかと思うのですね、年間を通じて。で、一体この一年の間に、この火災によって失われた坪数というのがどのくらい、あるのか、ちょっと参考に、わかればお知らせ願いたい。同時に、第一の点の、太造を主にしていくのか、鉄筋を主にしていくのかという基本方針を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/113
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114・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 私どもといたしましても、学校の施設につきましては、財政が許せばこれはできるだけ鉄筋構造ないしは鉄骨構造のものがいいというふうに考えております。もちろん木造と鉄筋の間にはいろいろ長短がございますけれども、主として問題は財政の点だと思います。ことにまた、大都市であるとかあるいは災害の比較的、たとえば、台風その他の災害の比較的多い地帯等では特に鉄筋あるいは鉄骨構造のものが必要だと思っておりまして、できるだけこの構造比率につきましても、鉄筋、鉄骨の比率を高めるように年々努力をいたしておる次第でございます。昨年に比べまして、全体の五%程度の鉄筋、鉄骨構造の比率を上げておりますが、将来は、できるだけもっと大幅にそれを上げたいというふうに考えておる次第であります。
なお、公立学校の火災の点でございますが、三十二年度、私どもまだ調査の数字を持っておりませんが、一二十一年度では約四万五千坪の火災があったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/114
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115・秋山長造
○秋山長造君 四万五千坪という火災で失われた坪数というのも膨大なものだと思うのです。実に大きなものだと思うのですが、一体現在木造と鉄筋との割合がどれだけか、それが将来何カ年計画によってその立場を逆転して鉄筋と木造の割合をどれだけにもっていくのだというような計画はあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/115
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116・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) これは三十一年度の調査でございますが、全体の保有坪数が二千八十五万坪、そのうち鉄筋コンクリート構造のものが百出二万坪という数字でございます。なお、現在これを比率的にどうしようという具体的な計画はまだ文部省として立てておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/116
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117・秋山長造
○秋山長造君 その点は何ですか、さっき私が第三条についてお尋ねした危険校舎その他を解消していくための年次計画を早急に立てるというお話だったのですが、その中には当然木造を鉄筋にかえていくという計画が入ってしかるべきと思うのですが、それに含まれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/117
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118・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 老朽危険校舎の解消のためには、やはり施設の構造を鉄筋ないしは鉄骨化することが一番有効じゃないかと文部省も考えております。できるだけ、先ほども申し上げましたように、木造のパーセンテージのものを鉄筋に振りかえるということで予算の要求はしております。昨年度は大体二五%の鉄筋、鉄骨構造のものを本年度は五%だけ引き上げて三〇%にいたしておるわけでございます。もちろん屋内運動場等につきましては、構造上の関係もありまして約四〇%が鉄筋、鉄骨構造になっております。構造比率も私どもといたしましてはできるだけ年々高めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/118
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119・竹中勝男
○竹中勝男君 それでは私は社会党の委員としましてこれは実は党としましては付帯決議にしたいと思っていた重要な諸点でありますが、そうしてこれは文部当局においてはすでに午前中、質疑も大体において御質問を得た諸片でありますが、時間の関係で今夕付勘決議に持ち込むことができませんで、それにかわるものとして私は御質疑を文部当局に対していたしますので、どうぞ積極的な、明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
第一点は、本法第三条には、国は政令で定める限度においてその経費の一部を負担するよう規定されておりますが、同条の各号に該当する新建築、増築、改築については国がその二分の一を負担するように今後改正することについては政府としてはどういうお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/119
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120・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) この点につきましては、もちろん先刻来御論議もありましたように、施設を、国でも施設者とともども負担していくという建前からすれば、御趣旨においてはごもっともでございまして私どももそれは希望するところなんでありまするが、ただ、結局財政の問題が伴いまするために、なかなか一がいに、直ちにそれをいうことに御賛成して、そういたしますと、まあ、こういうわけにも参らないような事情にあることを、一つ御了承いただきたいと思います。もちろん、その点につきましては、できるだけ将来ともに努力はいたしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/120
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121・竹中勝男
○竹中勝男君 将来とも、二分の一を負担するように、将来改正していくという御答弁だというように理解いたします。
それから第二点は、公立の小学校の屋内運動場の新築及び増築に要する経費並びに校地購入費についても、その二分の一を国庫が負担するように、今後努力をされる御意向でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/121
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122・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) この点につきましても、各地からの要望は非常に強いのでございまするが、これも、やはり財政上の理由からいたしましてなかなか困難な問題でございまして、まず敷地をこの中に取り入れるという問題につきましても、ずいぶん熱望はあるのでありまするが、この点についても、まだ、それより先に、たとえば危険校舎等の問題についても、いろいろ先刻来から御論議があると、こういうようなことで、私どもとしてもその点は地方の負担を軽くするという意味においてはいたしたいのでありまするが、この点については、急に、にわかに実現するということは現在の状況ではむずかしいということだけを一つ御承知いただきたいと思います。
なお、第一点の小学校の屋内運動場につきましては、これは私どもとしてもできるだけ一つ努力をいたしていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/122
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123・竹中勝男
○竹中勝男君 二分の一を国庫が負担するということに努力されるということですね、わかりました。
第三点は、政令で定める不正常授業の範囲、それから児童、生徒一人当りの基準坪数、一坪当りの建築単価については、現在の水準をもっと高めて、特別教室などの整備にも努めるというお考えでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/123
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124・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) この不正常の教室につきましては、できるだけすみやかに解消したいということで、従来ともに努力をいたす点でありまするし、なお義務教育のうち小学校につきましては、三十四年度からは児童の減少というようなこともございまするので、それとともに一つできるだけ実現いたしたい、かように考えております。
さらに基準坪数、それから特別教室と、こういうものについて望ましいのでありまするが、なかなか特別教室というところまで至る前に、不正常の解消というような問題もありまするので、にわかにこれを実現するということは、なかなかむずかしいと考えております。なお単価につきましては、今後実情に応じまして、一つ改めるように努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/124
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125・竹中勝男
○竹中勝男君 今の三点につきましては、この上とも政府が十分努力されるように、私ども要望いたしまして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/125
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126・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/126
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127・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/127
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128・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/128
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129・野本品吉
○野本品吉君 私はこの法案に対しまして、自由民主党を代表いたしまして、心から賛成の意を表します。
先ほども、秋山委員からも発言がございましたが、この法案の急速な成立をこいねがいます全国の各地方団体の首長、それからして教育関係者、もっと大きく言えば、全国民が、いかに熱烈にこれを希求しておったかということが、幾千幾万の、われわれに寄せられました陳情書によって明確であります。私は、これら多数の国民、特に教育に関係せられる方々の要望にこたえることのできましたことを、心から喜びといたしたいと存じます。
で、この法案を通覧いたしますときに、二つの点において私は非常に大きな意義を持っていると思います。それは、従来臨時措置法でありましたものが、恒久化されたという点であります。臨時措置法でありましたために、いつどういう都合でこの法律が打ち切られるかということに対しまする一般地方の団体教育関係者は、多大の不安を感じておりまして、必要以上に校舎の改築その他について、これを計画するという事実があったわけでございます。で、この点につきまして、私は恒久立法にしたということは、非常に全国民、全教育関係者に対して、大きな安定感を与えたという点が第一点であります。
第二の点は、従来補助法でありましたものを、負担法に切りかえた点でありまして、これは義務教育に対する国の責任というものが、はっきりとこの法律によって明示された点であります。
この二つの点は、本法案の底を流れる考え方が、非常に今までのそれに比較いたしまして、前進したという点において、大きな意義を認めるものであります。私はこの法案が多数の国民の要望にこたえたことを喜びながら、心から賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/129
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130・高田なほ子
○高田なほ子君 日本社会党を代表いたしまして、本法案に賛成の意見を申し述べます。
私どもも、今回の立法措置が、義務教育の教育水準を向上させるために、必要欠くべからざる施設の整備のために、今日まで各般の措置が、臨時的な立法措置によりましたものが、恒久化せられ、しかも義務教育の水準向上のために、国の責任が本法案において明確にされたということは、いずれも教育に関係ある者のひとしく渇望しておったところでありますだけに、法案の制定を見ることは一歩前進と、こういう建前から賛意を表するわけであります。
しかしながら、本法案においてはまだまだ十分でない部面もありますが、まず第一に、国の負担が小学校の新増設、こういうような場合には国の負担が三分の一と規定されておりますが、私どもといたしましては国がその二分の一を負担して、より国の責任が明確化され、よりすみやかに施設の整備されることを望むものでございます。今日校地の買収問題は、全国至るところではなはだしく大きな問題になっておりますが、遺憾ながらこの法案には校舎の敷地の買収費に対する国の負担ということが明確になっておらないようであります。しかし政府としても、本問題については積極的に今後検討され、積極的に本問題の解決のため片努力せられるよう、質問の過程で明らかになったわけでありますので、一そう校舎敷地買収費の国の負担等については、今後解決のできるように努力したいと思うわけであります。
なお、不正常授業の解決のために、政令で定める基準坪数については、遺憾ながらまだその率が低いわけであります。このことについては、質問の過程でもただしましたが、特別教室、たかんずく理科教育振興、科学教育振興、こういうことを文教政策の大きな柱として打ち出しました以上は、特別教室、理科教室の充実あるいはまた当校保健法に基く児童の保健衛生を守ろための衛生室等の設備が、いずれもそれは基準坪数が向上せられ、実際の教育の面において支障のないような施設がされるように善処されなければならないというふうに考えるわけでございます。
なお、危険校舎、これの改築等についても、三分の一国庫負担ということになっておりますが、当然これは二分の一までに高めることが私ども念願するところであり、政府としてもまたわれわれの念願に対しては同じ意味での賛同を表しておられるわけでありますから、一そう政府部内の意見を統一されて危険校舎改築のために、国はその二分の一を負担するということを明確にしてほしいということを考えるわけであります。
なお、台風通過地域あるいは北海道等の寒冷地帯においては、増築、新築の際には特殊地帯という立場から、永久的に学校が安全であるためには、どうしても鉄筋建築が望まれるわけですが、質問の過程によりましても、新増築の場合に鉄筋建築を要求する声が非常に高いということが言われておるわけでありますが、しかるべく今後の新増築に対しては鉄筋建築が行われるように、単価基準の引き上げ等についても相当の考慮を払う必要があるのではないかと考えられるわけであります。
なお、今日起っている義務教育学校の施設等の問題については、いまだにPTAの寄付が強制的に行われている部面がたくさんあります。このことは国の負担というものが明確になっておらなかったから、こういう欠陥があったのではないかと思うのでありますが、しかし、この法案全体を通してながめても、こうした弊風が一気に排除されるというふうには考えられない。先般の質問の過程で、文部大臣は校舎新増築等にPTAの寄付が表面合法的に見えながら強制的に行われるということは、これは違法であり、従ってかかることのないように十分措置をしたいという言明があったわけでありますが、本法案の成立に当って一そうこの点を留意せられ、PTAの負担が増大せざるよう、特段に行政措置において留意されたいということを私どもは望むわけでございます。
なお、小規模の建築のゆえに起債の対象にならない場合が数々ある、これでは貧弱な市町村の教育施設というものがはなはだしく阻害されるおそれがある場合がある。従って、百万円以下の建築には起債がこないということは、本法律の精神にもとる点もあるのではないかという疑義があるので、こうした法の盲点をついて最も恵まれない地域に法の精神が及ばないという弱点を除外し得るよう、特段に行政措置として御指導賜わりたい。また、こういう事実を防ぎ得るような措置が可及的すみやかに打たれることをわれわれとしては希望するものであります。
以上数点の希望を申し上げまして、本法案が多くの教育を守る者に望まれた一つの明るいともしびとして、心から賛意を表して、賛成申し上げるわけであります。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/130
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131・常岡一郎
○常岡一郎君 私は緑風会を代表いたしまして、この法案に心からの喜びをもって賛成をするものであります。敗戦こんぱいの中から立ち上りまして不正常な教育の姿を見ますときに、胸痛い思いをして長く通って参りましただけに、これが画期的な法律として制定されますことを全国民が待ちかねておりましたので、その点におきましてただ、はなはだ簡単でありますけれども、心から喜んで賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/131
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132・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/132
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133・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。義務教育諸学校施設費国庫負担法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/133
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134・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/134
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135・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/135
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136・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/136
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137・松永忠二
○松永忠二君 少しお尋ねをいたしたいのでありますが、育英会の新しい採用者の人数というものが、ここ数年来どういうふうな状況にあるのか、その点を一つお話しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/137
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138・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 育英奨学生の新規採用者の数でございますが、三十二年度が二十一万六千でございます。三十一年度二十二万六千、三十年度二十二万七千、二十九年度二十一万八千人でございます。……。今ちょっと申し間違えました。新規採用ではございません。採用人員の数を今申し上げました。新規採用の数は、三十二年度が八万一千百七十六人でございます。それから三十一年度が九万一千六十二人、かように相なっております。二年間だけの数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/138
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139・松永忠二
○松永忠二君 それは二十六年度九万六千三百二十八人と、それから二十九年が九万六千三百八十三人、三十年が九万二千五百五十三人、三十一年が九万一千六十二人、三十二年が八万百七十九人、こういうふうになっておると私の方では思うのであります。それで誤まりはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/139
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140・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今私が申し上げましたのは三十一年と三十二年とを申し上げましたが、大体そうなっておるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/140
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141・松永忠二
○松永忠二君 こういうふうに総人員というものについては相当なる数を占めておるわけであります。現実にはこういうふうに新しい採用の人員というのが非常に年々減少してきておる。こういうことについては、新しいこういう法案を一部修正をなさる場合において、こういうこととの関連は一つどういうふうにこれをお考えになっておられるのか。その辺を一つお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/141
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142・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今おあげになりました計数から申しましても、三十二年度は減っております。三十一年度と比較いたしましてだいぶ減っていますけれども、これは特に教育奨学生、教育学部におきまする学生の定数を減少いたしました等の関係もございまして基礎数が減っておりますので、パーセンテージは減らしておりませんけれども、さような点が影響しておるのが一つの理由だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/142
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143・松永忠二
○松永忠二君 それ一は今のお話は、ちょっとこう納得ができないのでありますが、学生の総数というのはそんなに減っておるわけはないですよ。昭和二十六年に比べてみて、一年増し、事実減っているのです。新規採用の生徒の数は、さっき申し上げましたように、昭和二十六年が九万六千三百二十八人で、それからずっと年々新規採用の数は減っているのですよ。新しく、つまり採用されている生徒の数は減っているのですよ。その点があなたの方と違うということになれば、私の申し上げることも違うわけなんですから、その辺をはっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/143
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144・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今の関係でございますが、先ほども申し上げましたように、各年度の貸与者総数は年々ふえております。これは予算もふえておりますので、当然でございますけれども、年々の新規採用は、その前年序の採用者が引き続きまして継続をいたして参りますその継続数と、新規数との関係で、年々若干の異同がございます。先ほど松永委員のおあげになりました数でございますけれども、二十十年が九万六千、二十七年が少し減りまして七万一千、二十八年が九万、二十九年が九万六千、三十年が九万二千、三十一年が九万一千と、かような新組採用になっております。ただいま申しましたように、前年度の継続者数、それが卒業して参りますと、継続者がそれでなくなるわけでございますが、そういう関係からいたしまして、年々の新規採用は若干ずつの異同がある、このような状況でございます。予算は年々増加しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/144
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145・松永忠二
○松永忠二君 それは、予算は還元命もあるので、ふえていくでありましょうが、しかし、新しい採用者が減っていくということになれば、現実には新規採用の者は少くなってきているし、学生総数も御承知のようにことしは千人減っているのじゃないですか、二十七万九千人というような数が、二十七万七千人ですか、それに比べれば、二千人ですが、こういうふうにやはり総数も減ってきている、そういうふうな点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/145
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146・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 三十二年度に減っておりますのは、基礎数といたしまして教員養成の学部の学生の数を四千人余り減らしました。その数が減っておりますから、それに対して教育奨学生の。パーセンテージをかけておりますから、その数が減ったのがこの総数の減少だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/146
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147・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと、こういうことは誤まりでしょうか。育英会法の一部を改正して、こういうふうな保障制度というものを作っていくということについては、これは、決してけっこうでないということは申し上げられないわけです。しかし、現実の状態を見ていくと、新規採用の数も必ずしも、そういうふうに減ってきているというようなことを考えてみたときに、やはり、どうして、一体、育英会の奨学金をもらう生徒の数をふやしていかなければできぬというときに、そういうことに努力の第一点を置かなければならないのじゃないか、もちろん補助の金額を向上させていくというようなことも必要でありましょう。しかし、実際の新規採用の状況等を見たときに、育英会の仕事の重点をどこに置いていかなければならないかというようなことは、どういうふうにお考えになっているのですか。もう少しやはり現実に数をふやしていくということに相当力を入れていくべきじゃないか、そういうことについてはどうなんですか、新規採用の生徒の減少を見たり、あるいはそういう状況を見たときに、まあこれは御承知のように高等学校は三%なんですね。その補助の対象の人数は……。だから育英会の補助、その奨学金というものの重点をどこに置くかということについて、やはりよく目立つ、非常に注目しやすいようなところに金を使っていくのか、それとも地道なところに金を使っていくのかということになってくると、これはやはり考え方が相当開いてきていると思うのです。こういうことについては、あなた方はどういうようなお考えを持っておられるのですか、それをちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/147
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148・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今おっしゃいました点は、今度の特別奨学生の制度の創設によりまして、高等学校におきましては五千人まるまるふえるわけでございます。
でございますから、その点から申しますと、今おっしゃいましたような御趣旨には十分沿う。おっしゃいましたと申しますのは、これをふやすのがまず第一ではないかというふうに承わりましたけれども、その点は五千人が従来の数のほかにふえるわけでございまして、これは相当な改善だろうと存じます。
全体的にどういう点に重きを置いてこれを進めていくかというお話でございますが、私は今お話がございましたように、数をふやすこともこれは一つであると思いますし、あるいはまた金額につきましてもやはりこれをなるべく高めていきたいという考え方、両方でもって従来も予算の獲得等に努力をして参りました。まあ特に終戦後におきましては、経済が非常に変動いたしまして、経済困難——就学が困難と申しまするその層も非常にふえておりますから、なるべく教育の機会均等の趣旨から申しましても、数をふやしていかなければならぬというのは一つの非常に大きな要請だと存じます。それと同時にまた、なるべくなら単価につきましてもこれをふやしていきたい。その両方の趣旨で従来から努力してきております。今度の特別奨学生については、これは特殊の目的を持っておりますけれども、数の点から申しましても、金額の点から申しましても、画期的にこれをふやした、かように申し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/148
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149・松永忠二
○松永忠二君 それじゃお聞きいたしますが、地方でも育英事業をやっているわけなんですね。そういうようなことから、一体地方で出している奨学資金の中で高等学校の占めている。パーセントはどのくらいだというふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/149
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150・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) その地方でやっているというお話は、おそらく地方の公共団体もございますし、それから育英財団等もございまして、それで実施している。それについての御趣旨だと存じますが、これは私の方にも資料が十分でございませんが、団体の数といたしましては、現在六百十七ほどございます。それの対象といたしております学生数は、三十二年の現在でございますけれども、六万九千、かように相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/150
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151・松永忠二
○松永忠二君 私が聞いているのは、そういうふうな育英事業団体が高等学校の生徒にはどのくらい一体従来費用を出しているか、そういうことを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/151
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152・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 単価でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/152
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153・松永忠二
○松永忠二君 そうじゃありません。どのくらいの。パーセントを自分らの金の中から高等学校の生徒の奨学金として出しているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/153
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154・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは団体でやっているところもございますし、やっていないところもございますから、どのくらい出しているということは資料もありませんし、まとまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/154
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155・松永忠二
○松永忠二君 私の調べたところでは、高等学校の生徒に対する奨学金、そのほか母子福祉修学資金とか、孤児奨学金というものを出しているんですね、地方ではいろいろな名目で。その中で高等学校の奨学金というのは、六九五%である。つまり地方の育英団体が出している高等学校に対する生徒の奨学金の割合というものは、それは育英会の奨学金は高等学校に三%しか出しておらないわけなんです、全体でですよ。だから地方ではどういうことになるかといえば、高等学校の生徒の奨学金というものは、相当要望されておるわけです。従って各府県でもって奨学金を出しておるところもあれば、市町村で御承知のように奨学金を出しておるところもある、あるいはその他の民間の団体が出しておるところもある。先ほどからあなたの御説明は、私は何もやることは全部が全部完全なものであるというふうに思っておらないけれども、やはりどこに育英資金の場合の欠陥があるのかというようなことについては、端的によくお話しをなさる方がいいと私は思うのです。金額を高めることも必要でありましょう、いろいろなことも必要だけれども、一体育英資金というものについて、一番抜けておるところはどこだろうというふうにお考えになっておられるのか。私の考えておるところでは、高等学校に三%しかやっていない、大学の一般の生徒は一九三%、大学院に行くに従って多いわけでございますが、地方では、やはり高等学校へ進学する生徒に対する育英資金というものが、非常にやはり要望されている。そういうことが十分にできないので、地方はできるだけの努力を高等学校の生徒の奨学金にしているわけですが、やはりもちろん大学院とか大学の生徒とか、そういうものに対する育英というものも必要だけれども、現状の状況では、やはりもう少し低いところの層に、たくさんの者を対象として、育英資金の貸付ということを行なっていかなければならないのじゃないかということを、私は考えておるわけなんです。あなたの方では、高等学校の生徒に対して地方が奨学金として与えている金高の割合と。いうものは、把握をされておられなければできぬと私は思うのです。中央と。地方で育英の制度というものについては、おのおの努力をしているわけなんですから。そういう点については、あなたの御意見はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/155
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156・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ちょっと今のお話しでございますが、その地方で実施しております奨学生のその。パーセンテージというものは、私はちょっと今おっしゃいましたパーセンテージは、何か特殊なものに対するそういう育英資金を出す、その制度についての。パーセンテージじゃないかと想像いたしますが、育英制度としてやはり一番大きな数を出しておりますのは、日本育英会を通じるこの国の事業としての育英事業だと存じます。これは三%でございますけれども、これは私やはり一番大きな率を占めるものだと存じます。そこで今お話しの、御意見としては、高等学校の段階の数をふやすことが第一じゃないかという御意見でございますが、それもごもっともだと存じます。高等学校の段階におきましても、できる限り三%のワクを広げたいと、従来も私ども努力して参っております。ただ、御参考に申し上げますと、育英奨学生として採用者の希望者に対する率でございますけれども、これは高等学校におきましては、今採用いたしております、これは三十二年度の実績を申し上げますと、希望者がございまして、二七%をとっておるということに相なります。それから大学におきましても、大体二九%ということでございまして高等学校におきましても、大学におきましても、その希望者は大体同じような率がたくさんあるということでございます。いずれの方も、やはりまだ率をふやしていかなければならぬというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/156
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157・松永忠二
○松永忠二君 私申し上げたのは、六九五%を占めているということじゃありませんよ。要するに地方が出している育英資金、育英の奨学金の中で、高等学校の生徒の奨学金に出資している金額の割合が六九五%だと申し上げているのです。そういうふうに、地方では高等学校の生徒に対する育英資金の割合というものが、非常に多いということを言っているのです。そういうことを考えてみたときに、国では金額としてはそれは多いのであります。これは全体の割合からいうと高校生に対する比率が三%であるので、これはやはり少ないじゃないか。そういうふうなことを考えてみたときに、やはり高等学校に対する奨学というものについては、もう少しやはり率を高めていかなければ、地方も、やはりこれと比較して考えてみても、非常にその地方でそういう点を、つまり努力をしているわけです。こういうふうな意味で、やはりそういうところに重点を置いていくべきではないかということを申し上げているのです。現実には、育英事業団体というものを含めた育英資金の中で、日本育英会の占める割合というものはどのくらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/157
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158・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほど上げました資料、同じ資料でございますけれども、三十二年度現在で育英団体が出しております事業費は約十億でございます。で、日本育英会の予算は、これは御承知の通り、国の貸付金が三十三年度四十二億四千四百万円でございますし、それからなお返還金をこれに加えますので、事業費の規模といたしましては四十七億一千四百万円に相なります。こういう比率でございます。それからなお先ほどのお話しでございますが、私御趣旨取り違えましたけれども、育英会の高等学校の学生に対する三%という比率は、学生総数に対しての比率でございます。これは決してこれで十分だというわけじゃございませんけれども、総数に対して三%をとっておるということでございます。先ほどお示しの六十何%という数は、地方の団体において実施している育英会育英資金の支出の中で、高等学校の学生の占める率が六十何%という御趣旨だろうと思いますが、これは割合といたしましては、やはり高等学校の学生の数が一番多く占めておると存じますので、さような比率になって参るのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/158
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159・松永忠二
○松永忠二君 まあ、率の説明はあなたの方からお聞きしないでも、私が出しているのですからね。何も別にあなたの方から比率の御説明をいただかぬでもいいと思います。私は繰り返して申し上げるのは、あなたは高等学校の全体の生徒に対して三%と、それは全体に対して三%なんだ、あなたのおっしゃる……。六九五%というのは、金額、私のは金額です。金額の中の六九五%を占めているということを言っている。それだから地方だから高等学校の生徒には当りまえじゃないかというお話しですが、私どもの考えるのは、さっきのお話しのように、新規採用というものは、そんなにふえているわけではない、現実には。そうしてまた、高等学校の生徒については総体の三%というようなことを考えてみても、やはり相当重点を高等学校下の育英資金に対して相当数をふやしていくというような努力をしていくべきではないか。で、新規採用の数もふえてくるし、それから現実に奨学金をもらう生徒の数も、ことしは特別な事情で減少したとは言いながら、事実上ふえてはおらないわけなんです。そういうことを考えてみたときに、新しい育英会の改正というものも必要だけれども、同時にまた、そういう点についての努力が私は相当必要なものだというふうに考えておるわけです。そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/159
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160・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 御趣旨の通りと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/160
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161・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記をとめて。
[速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/161
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162・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/162
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163・松永忠二
○松永忠二君 それから返還金の問題でありますけれども、御承知のように、育英会の会法には返還金の免除の規定というものがあるわけです。それからまた、政令ではそれについていろいろな規定をしておるようでありますが、大学の卒業生で、義務教育あるいはその他の研究所等ヘ就職するという場合でも、現状では二年が最大だと、実際には各地の教員の需給状況が非常に悪くて二年で採用になるという者も、まあこえている者も相当あると思うのですが、こういうことについて、やはり実情を考えてみて、政令を改めるなりして少し延長していかなければできぬというお考えを持たれておるのか、それともまた、二年ならば十分だとお考えになっておるのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/163
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164・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 大学を出まして義務教育の教員になった者に対しましては、一定の条件がございますけれども、免除の規定が適用されますが、その義務教育教員になるについては、なるまでの期間が卒業後一年と、こういう原則になっております。その点についての御質問であろうかと存じます。一年を、まあ特別の事情がある場合には、二年まで延ばすことができる、こういう政令の規定でございまして、現在では、お話しのあった、卒業しまして二年のうちに教員にならなければ免除の適用がない、かようなことになっております。私は、最近教員養成学部の学生の就職状況がだいぶ悪くなっておりますけれども、しかし、卒業してすぐにはなかなか就職できませんが、年間通じますと、その年の卒業生も大体八〇%くらいは就職をいたしております。そこで、二年間の猶予期間があれば、大体それで私はまかないがつくのじゃないかと、現在ではさように考えております。なお、もしそれで非常に不都合な点がございますならば、改正もいたさなければならぬと考えますけれども、現在ではさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/164
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165・松永忠二
○松永忠二君 今のお話は、実際の調査をなさってのお話しなんですか、大体そうだという押えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/165
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166・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 調査をいたしましての話しであります。年間では大体八五%くらいの就職になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/166
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167・松永忠二
○松永忠二君 まあ、それは調査なさつて年間ではというお話しでありますけれども、同一のものがその次の一生間に採用の状況がどうだかということを調べてみなければわからないと思うのです。現実に私たちの県あたりでも、相当就職の状況は悪くはないのですが、必ずしも二年で、そうきちんと入っておる者ばかりはないわけです。こういう点については、やはりもう心し実情を調べていただいて、現実にそういうような状況の起っておる中で、義務教育なり、教育の研究所等に就職する希望を持っているのですから、そういう者が入れないという現状なんですから、そういう者については、相当な数が出てくるというような者については、一つぜひ配慮していただきたいと思うのです。
それから、この免除の規定の中に、現実には大学院を出て教育の関係あるいは研究所に勤める、あるいは義務教育に就職するというような者については、免除規定があるわけなんです。ところが、高等学校に就職するというような者については、免除規定が全然ないわけなんです。これについてはどんなふうなお考え方を持たれておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/167
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168・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今御指摘の通りでございまして、義務教育の教職員になる者及び大学院を出まして、いわゆる研究職につく者につきましては、免除の規定がございます。高等学校の教員につきましてはございません。これはいろいろ沿革的な関係もございまして、義務教育の先生は、これは昔の師範学校のときには御承知の通り、これは官費で、修学をいたしたわけでございます。つまり給費制度でございまして、それを受け継ぎまして、その免除の規定ができておると存じます。一面また、義務教育に優秀な人を確保したいという趣旨もあると思います。それからなお、研究職につきましては、これは大学院の奨学金でございますと、御承知のように相当金額が多いわけでございまして、六千円または一万円ですから、これを返させることは、事実上非常に負担になりますので、その大学教授やそのほかの職についた場合には免除する、かような規定になっておるわけであります。で、高等学校の先生になった場合にもこれは免除した方がいいのじゃないかという御意見は、これは一つの問題点だと存じております。まあ、将来の問題としましては、私どもも十分検討いたしたいと存じますけれども、このたびは、この法律の改正といたしましては、このたびの新しくできました特別奨学制についての関係だけに法律の改正をとどめておりますので、その点にはまだわたらなかった次第であります。今後は十分検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/168
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169・松永忠二
○松永忠二君 高等学校の教員の就職については、従前とはだいぶ違ってほとんど義務教育とも類似するぐらいな相当な人が現実に就職している。そういうようなこともあってやはり均衡を失しているのではないかというような意見も実はあるわけです。やはりこの問題については、法律を改めるなり政令を改めて、やはり実情に即するような改正をしていくべきではないかと、私たちは思っているわけです。こういう点については、一つ十分やはり御検討をいただいてほんとうに必要なら会同時に提案をしてくるということもあってしかるべきだと思うのです。まあ、出てきている法律については、こういう趣旨には別に私たちは反対ではないけれども、育英会の奨学金としては、もう少し対象の人員をふやすというような点に焦点を置いていくとか、あるいは今の不備なものを改めていくというような点について、十分御努力いただきたいというようなことを考えているわけです。そういう点を御要望申し上げておくわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/169
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170・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 答弁要りませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/170
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171・松永忠二
○松永忠二君 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/171
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172・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/172
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173・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/173
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174・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) ただいま松永委員から、いろいろ御質疑がございましたが、この育英奨学事業につきましては、近く中央教育審議会に諮問いたしまして、そうして一つ全般について検討する予定になっておりますので、ただいま御質疑のいろいろ免除の範囲等につきましても、ただいまのような御意見もございまするので、その際にいろいろ全般について検討いたしたい、かように考えておる次第であります。ちょっと申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/174
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175・秋山長造
○秋山長造君 第一に、簡単にお尋ねいたしますが、今度の特別奨学金は、これはことしが初年度で、そうして高等学校の一年生から学年進行で大学を卒業するまで、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/175
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176・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 考え方としてはその通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/176
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177・秋山長造
○秋山長造君 そうですね。その場合に当然今のような考え方ですから、高等学校を卒業してすぐ大学べ入る、順調に高等学校から大学まで終えるということを前提としておられると思う。ところが、この条件にかなうような学生であっても、現在たとえば東大あたりの入学試験の実情を見ますと、ほとんど浪人が当りまえなんですね。浪人が当りまえなんです。私ちょっと数字がここにあるのですがね、今年の東大の入学志願者は一万二千六十六人、そのうち六三%が浪人、それからこの浪人の中でも五年以上浪人しておるというのが五百七十七人ある。それから今度は合格者がどうかというと、合格者全員で二千七十五人のうち、浪人が千五百三十三人で、実に七四%は浪人なんですね。現役わずかに二六%、五百四十二人にすぎない、こういうことがもう常態になってきておるのですね。そういたしますと、せっかく非常に優秀で、しかも経済的にかわいそうだということで、今年から高等学校の進学保障制度をやってそうして進んでいって、学年進行で、そうして三年後にこれは現役のままで東大あたり入れればいいけれども、これはこの数字でいくと、どんなに優秀でも一年や二年浪人するのは、これはもう当りまえだ。だから高等学校と大学との間に一年か二年かの制度が一つそこへ入ってくるような形になっているのですね。六三三四というのが、六三三それから二か三かが入って、それから四と、これがもう、たとえば予備校なんというものは、東京はもちろんですが、地方の主要な大学なんかのあるところでは、予備校は押すな押すなの盛況です。予備校が学校教育法上の一つの制度のようなものです。そういう場合に、せっかく優秀だからということで高等学校三年まで行って、そうしてそれから一年浪人、二年浪人して、その間学費がなくなる、こうなってくると、浪人対策ということも、これから考えなければならないと思いますが、これではとても、せっかく作っても意味が半減するのじゃないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/177
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178・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) それは御指摘の通りでありまして、三十三年度からは、当面高等学校の生徒だけからこれは始まりますので、三十三年度の問題といたしましては、起って参りませんが、これが大学に進みました場合には、その問題は当然検討しなければならぬ問題になると存じます。そこで、私どもの方としましては、今お話がございましたけれども、大学の入学試験制度とも十分関連させまして、十分一つ検討してみたいと思います。この制度の趣旨は、先ほどお話しのように、今年から始めまして学年進行で上まで進学保障していくという考え方でございまするけれども、しかし、これは一般的のやり方としまして考えて見ましたところは、高等学校に入りますときに、一ぺんそこで優秀性を十分検討いたしまして採用するわけでありますが、それをそのまま大学まで続けて、そのまま奨学生としていくかどうかという問題も、これまた検討を要すると思います。相当将来のことを見越して、今その優秀性を将来まで保障するというようなことは、なかなかむつかしい問題でありますので、少くとも大学に入る段階においてもう一ぺん適当な選考方法をとって、それをふるいにかけるということが必要だろうと存じております。その優秀性を持続する限りにおいては、同じ人が上まで保障される、かようなことになろうと存じます。
今の浪人の問題は非常にむずかしいので、慎重に検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/178
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179・秋山長造
○秋山長造君 これは非常にむずかしい問題で、質問する私にもいい案がないのですけれども、あなたばっかり責めるわけにいかぬけれども、三年後のことを考えると、まことにおかしなことが起るのですね。それで大学を落ちたからというて、決して優秀でないとは言えないわけでしょう。今の場合だったら特に高等学校……(「それは懇談だろう、質問かい」と呼ぶ者あり)いやいや、この点はまあ、これから考えるとおっしゃるけれども、これは何か具体的に今文部省で、こういう問題について進学保障制度の三年後の問題とも関連するが、同時にまた、浪人がこれほど多いので、予備校あるいは高等学校の補習科等が、あたかも一つの公式の制度であるかのごとくこれ常識化しているのですね。こういう事態に対して、具体的に何か御研究になっているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/179
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180・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) ただいま局長の答弁申し上げましたように、今後三年後に起る問題でありまするので、先ほどちょっとつけ加えましたように、これらも中央教育審議会においても十分検討していただきたいと思いますが、なおまた、必ずしも特殊の、というか、官学なり、官立の学校、国立の学校へ入ろうと、こういうようなために、じつはまた浪人もできるのではないか。しかし、もちろん理科系の学校等によりましては、私立でもなかなかむずかしいと思うのでありまするが、そこで、必ずしも特殊の国立学校ばかりでなく、私立でありましても、入れば、これは保障して(「それじゃますます授業料が高くなる」と呼ぶ者あり)ということも考えますし、それから浪人の問題につきましても、その間浪人している者に補習するということも、もともとこの奨学資金は、英才教育でありますので、特にできる者、こういうことで、そして著しく学資に不自由する者ということになっておりますが、そういうような点も、一つ合わせて審議会としてよく御検討いただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/180
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181・秋山長造
○秋山長造君 この浪人の問題は、もっと聞きたいのだけれど、もう時間が、また別な機会に、一つ適当な機会をお願いしたいと思うのですがね。
その次に、さらに今度は大学院の博士課程を終了した浪人の問題ですね。これは一体どうするのですか。ことしも最初の政府の構想では、大体この博士課程に対して給費制度を作るということを言っておられるのですね。それがこういう貸与ということに後退したわけですね。これはやはり財政的な問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/181
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182・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはまあ、給費の問題でございますが、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、従来の育英会でやっております奨学金の、奨学制度は先ほども松永委員からもお話がございましたように、相当広い範囲に教育の機会均等を実現するという趣旨を主としまして、広い範囲に貸していく、こういうことでやってきております。昭和十八年に育英会は始まったのでございますけれども、今日まで三百億に近い金を貸しております。貸しました金を、今後は戻してもらって、それをまた後進のための資金に充てるというような考え方でできておりますので、これに給費の制度を取り入れるということは、よほど慎重に検討を要するだろうと考えます。先ほどもちょっと申しましたように、たとえば師範学校の生徒につきましては、これはいわゆるまあ官費でやっておりました。いわば給費の制度でございます。そういうふうに何か国家的な要請に基く、一つ何か特別な養成制度こういうものに対して、結びつけてであれば、給費制度というものが意味があるのではないか。根拠が出てくるのではないかと思いますけれども、今の制度の上におきまして、貸費のほかに給費をそこに取り入れてくるということは、なかなかむずかしいことでございます。そういうこともございまして、今度は全額貸費にしたわけでございます。ただし、必要なものにつきましては、援助をしていくというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/182
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183・秋山長造
○秋山長造君 もう二、三点ありますから、伺わしていただきたい。大学院の博士課程の終了者が一体どれくらいあって、そのうちの助手とか、講師なんかに就職済みの人、これはどのくらいあるのですか。つまり、差し引いて浪人がどれだけあるということ、それちょっとわかりませんか。(「五%」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/183
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184・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 卒業生は千五百ぐらいでございます。ちょっと今の就職の数は、今すぐにはわかりませんが、調べましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/184
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185・秋山長造
○秋山長造君 きわめてわずかだろうと思います。今五%という話もあっていますが、そういたしますと、せっかく学者の卵を育てるということで大学院へ行って、そうしてその中で、就職する人はわずか、本来の目的の就職をする人はほんのわずかです。あとの人は、一体もう宙ぶらりんで、何にも裏づけがないという形になるのですね。しかも、たとえば一般のそれでは会社あたりに就職しようかというと、大学院の卒業生よりは、やっぱり大学の卒業生の方が優先的に採用されるようなことになって、非常に不利なんです。だから、やっぱり大学院へ行ったのは、学者になるのが本来のあるべき姿だろうと思うのです。ところが、それが就職先がきまるまでの間、浪人している間、経済的に持たないわけでしょう。しかも、それに対しては、奨学制度も何にもないわけです。そういうもので、みすみす学者の有為な卵を腐らしてしまうということになるのではないかと思うのですが、この前、地方大学等の大学教授の年令構成の表を出していただいたのですけれども、不十分な表しかいただけなかったのですがね。地方大学なんかの学者をどんどん補給していかなければならぬ、養成していかなければならぬというようなことも考えてみますと、よほどこの点は、国の方も何か特殊の目的で、すぐ役に立つようなことならともかくですけれども、そうでなければ、なかなか給費制度というようなことも考えられぬというお話しだったけれども、しかし、やっぱり大体学者なんかというのは、あまり目先のすぐ役に立つというような短いものさしで事を運ぶと、とても学者の養成ということはできないじゃないか、その点どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/185
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186・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私先ほど申しましたのは、学者の養成ということも、考えようによっては、私のさっき申しました、ある特定の目的を持ちました養成制度と申してもいいじゃないかと思います。ですから、そういう点につきましては、今後の問題といたしまして研究したいと思います。博士課程を出まして、会社等に就職しようと思えば就職できるかもしれませんけれども、やはり本来学問の研究に志した人でございますから、その志を遂げさせるということが必要だろうと思います。その意味におきまして、今おっしゃった点は、確かに問題点だろうと思います。今後考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/186
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187・秋山長造
○秋山長造君 もう一点でやめます。その点も、あらためてもう少し徹底してお尋ねいたします。もう一点だけお尋ねしますが、けさの新聞によりますと、あなたのところで学術振興財団を作られる、こういう構想が発表になっておるのですがね、こういうことで、大学の研究と、それから産業というものを結びつけていくという構想は、この前、科学技術会議の連合審査のときにも、私ちょっと別な角度からお尋ねしたのですが、やっぱり大学の研究というものを、そういう面からきわめて、俗な言葉で言えば、卑俗な、目先すぐ役に立つというような、きわめて卑俗な研究に持っていきがちなのです。いわばこの大学の研究に、経済界あたり、財界あたりのひもをつける仲立ちをすることになるのじゃないかというように考えるのですが、むしろ、この学術振興財団というようなものをお作りになるならば、もう少し構想をお変えになってこの学者の卵を何とか給費制度とか、奨学制度というようなもので、国ができなければ、民間からも融資の浄財を集めて、そうしてその面から、バツクアップしていくというようなことをお考えになるべきじゃ、ないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/187
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188・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 学術研究財団というものの構想を、私どもこれから検討したいという考えを持っておりますけれども、その内容につきましては、まだ具体的には何もまとまったものじゃございません。今のような御意見も十分一つ承わりまして私そういうものの必要性は十分感じておるわけでございますので、具体的には、これから検討したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/188
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189・秋山長造
○秋山長造君 またあらためて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/189
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190・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 一点だけ私からお尋ねしたいのは、優秀な者で、経済的に修学困難な者を本法の対象とする、そうするとそういう者の中には、当然生活保護の適用者もあると思うのですが、そこで従来は生活保護の対象になった者が高校以上ヘ入ると、生活保護をとめられました。今回の場合は、特別奨学金を受けた場合においても、生活保護を打ち切らないという保障があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/190
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191・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) その点は、厚生省とも話し合いをいたしまして、地方に対しまして厚生省から指導してもらうように話し合いをいたしておりますが、打り切らないことに話し合いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/191
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192・大谷贇雄
○大谷贇雄君 今の秋山委員の浪人の問題、それから博士の浪人の問題、これはきわめて重大な問題ですから、十分一つ御検討をいただきたいと要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/192
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193・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/193
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194・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/194
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195・野本品吉
○野本品吉君 私は自由民主党を代表いたしまして、本案に対しまして施行期日を修正して賛成するものであります。
修正案を朗読いたします。
日本育英会法の一部を改正する法律案に対する修正案
日本育英会法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
付則中「昭和三十三年四月一日」を「公布の日」に改める。
以上であります。
なお、この際一言申し添えたいのでありますが、今度の育英会法の成立によりまして、私は非常に優秀な素質を持ちながらも、貧困なるがゆえに、全生涯を、おうのうと苦悶の中に過ごさなければならない幾多の者たちが、その志を遂げる機会が与えられた、また、秀才の子供を持って、その子供を見ながら、貧困なるがゆえにこれを就学させることのできない両親の悩みというものも、一応解決される明るい道が開かれた、この点におきまして私はこの制度のできますことは、ほんとうに喜びにたえません。
なお、先ほど来いろいろ御意見もありましたけれども、かような子供に対しまして高等学校から大学まで一貫いたしましてこの制度の適用を受けた場合に、一人当りの奨学資金の額は大体五十万円になると思います。私はかような制度を作りました以上は、ぜひこの制度によりまして、将来放っておけば、地中に埋もれたいわゆる金銀珠玉にも比べるようなりっぱな人たちが、その天性の素質を遺憾なく発揮して、日本の産業、経済、教育、文化、あらゆる面においてこれを押し進めていく大きな力となることに、多大の期待をかけるものであります。
私は、全国のかような若者と、かような若者を持つ親たちとともにこの制度の成立、この法案の成立を心から喜ぶ次第でございます。以上申し述べまして重ねて賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/195
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196・松永忠二
○松永忠二君 私は日本社会党を代表して日本育英会法の一部を改正する法律案並びに修正案に賛成をいたします。この法律が目ざしておりますところの趣旨については、まことにけつこうなことであり、賛意を十分に表するものであるが、しかしながら、この実施に当っては、各方面十分検討を要する点が多々あるというふうに考えるわけでありますので、この法律の趣旨の十分実現できますように、今後の措置については十分に御配慮をいただきたいと思うわけであります。なお、育英会の奨学金を受ける者の数をふやし、あるいは質的な向上をはかる等、今後幾多努力を要する点があると思うわけでありますので、こういう点については、格段のやはり御配慮をいただきたいと思うわけであります。
なお、現在の育英会の法律の中にある問題点等も、各方面にあるわけでありますが、先ほど質問等でも指摘をいたしましたように、高等学校に勤務をいたします教員に対する免除規定の問題あるいは母子福祉修学資金とか、孤児奨学生等に対する資金等もこれとはまた、別個に実施されておるのが現状であるわけであります。従ってこういうものも含めた育英資金、奨学生資金問題等については、やはり相当全面的な検討を要するというような問題もあるかと思うわけでありますので、現在中央教育審議会等にも、これに関する諮問等も用意されておるようでありますので、そういうものの答申を得て、この問題についても今後教育の機会均等を実現するという意味において、格段な今後の御配慮と検討を要望して、賛成の意を表したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/196
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197・加賀山之雄
○加賀山之雄君 緑風会を代表しまして、賛成の意を表するものであります。
非常にけっこうな法律と思いますが、ただ、この問題はこの実施の問題にかかっておるようで、特に将来にわたってこれを最も適正に、うまく運用するということが非常に問題である。特に先ほど秋山委員からお話しのあった反面、修学したくてもなかなか修学できない。経済的問題以外に、いわゆる浪人の問題があるのであって、これはもう実に国家の大問題と思うわけでありまして、そういう問題を、もっと深く根底から検討して、この制度がほんとうに生かされて、ほんとうに喜ばれるように運用されることを期待して、賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/197
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198・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか、
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/198
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199・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
これより日本育英会法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、討論中にありました野本君提出の修正案を問題に供します。野本君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
[賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/199
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200・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致であります。よって野本君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
[賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/200
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201・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/201
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202・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
速記とめて下さい。
[速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/202
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203・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記をつけて。
質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/203
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204・高田なほ子
○高田なほ子君 提案者に見解をお尋ねする前に、私はこれは委員会の運営として希望を持ちながら、これから質問しようとするものです。
著作権法の改正は、これは実に重要な、かつ広範な改正でございまして、かなりの研究時間というもの、あるいは審議時間というものが必要とされるわけでありますが、すでに今夕も深夜の十時半を過ぎております。限られた私の質問の時間の中では、とうていこの審議に意を尽すことができ得ない。まことに残念きわまりないのでありますが、置かれました立場上、許された時間の範囲内で若干の質問をするわけでありますが、今後、かかる文部省が十年かかってもなおかつ改正ができ得ないというようなそんな重要な問題を、こういう短時間内に審議するというようなことは、今後研究していただかなければならない。また同時に、イギリスが最近著作権法を改正したわけですが、これにも六年間という長日月を要し、慎重に各方面からの検討を要されたのに、まことに前申し上げましたようなわずかな時間、しかも、かかる深夜にこういう問題が提起されるということについて、はなはだ私は遺憾の意を表したい。今後、委員会のこの種の運営については、事情もあるかもしれませんが、十分一つ御研究わずらわしたい。このように考えるわけであります。
第一に、提案者にお尋ねしたいことは、本著作権法の改正は、事、司法権の問題にからむ重要な改正案であります。私も、当然この海賊版が横行することに対して手をつかねて見ていていいというわけではありません。当然これは司法権の問題でありますから、議員立法として、果して議員がこれに対する十分な責任を負い得るかどうかということについて、遺憾ながら私は多くの疑義を持つ一人なのであります。従ってこの司法権の行使に対する法改正に対して、議員立法としてこれが常識であると考えられたものかどうか、私はこの疑義に対して提案者から十分なる御意見を拝聴したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/204
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205・野本品吉
○野本品吉君 ただいま高田委員から御指摘されました司法権との関係の問題でありますが、実は私どもは、司法権との関係を考慮いたしまして、この法案を提出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/205
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206・高田なほ子
○高田なほ子君 議員立法にいろいろなものがあるかもしれませんが、私は従来司法権の問題に関して議員立法ということについては、相当慎重な考慮が必要ではないか。それは、議員自体が十分な責任を持ち得るかどうかということについては、やはり相当の謙虚な立場が必要である。こんなふうに考えるから申し上げるので、これは時間もありませんから、こうした点にだけ御意見を伺って、以下質問いたします。
文部省に質問いたしますが、十年間研究されたと、前、吉田法晴氏の質問に対して、いろいろの問題があるが、なかなか政府としては改正案を出せなかったと、こう言われる。そうして今度議員立法にゆだねられたのですね。どうして政府はみずからこれの改正に着手されなかったか。その理由を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/206
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207・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまの御質問でございますが、まことに著作権法の改正の問題は、非常に内容多岐にわたりまして、また、重要な問題でございます。従って文部省としては、単に文部省の事務当局においてこれらを研究するということでなく、民間の団体を含めました著作権制度審議会において、従来いろいろ研究して参ったのでございます。しかしながら、この著作権法の改正は、先ほどお述べになりましたように、イギリスの改正におきましても、一回の改正に数年を要したというような事実もございます。そういった意味で、非常に慎重に扱わなければならぬということは、これはもう当然のことでございまして、そういった意味においてなかなか結論を得ないのであります。加えまして、日本の著作権法は、ちょうど終戦後の占領されておりました当時に、日本の入っております著作権法の母法とでも申しますか、ベルヌ関係の条約でございますが、そのベルヌ条約は、ちょうど日本の被占領中にブラッセルにおいて会議がありまして、ブラッセル条約というものが結ばれたのであります。それに対して日本はまだ加入しておりません。そういった意味から、このブラッセル条約に加入いたしますためにも、相当の改正を必要といたします。そういった意味で、いろいろ問題をはらんでいるわけであります。また、最近、御承知のようにラジオ、テレビ等によります放送等の問題がいろいろ進歩して参りましたので、そういった関係から、いわゆる隣接権の問題が起きて参ります。この隣接権の保護という立場から、著作権法をいかに改正するかということが、各国の間で問題になっております。それにつきましても、一、二回国際間の会議もございました。そういった国際間の会議の結論を見きわめなければ、ある程度この改正を行いましても、無意味かということもございます。そういった大きな点から申しますと、そういったブラッセル条約の加入の問題に関連する改正、あるいはまた隣接権保護の立場から、これをいかに改正するかという大きな問題がありますので、それらを今後研究しますには、相当の時日を要するというような点から、文部省といたしましては、改正案を直ちに発表して、改正を実施するという段階に至っていないのであります。
ところで、この海賊版の問題は、最近も新聞等におきましていろいろ出ましたように、国際的にも不信行為としていろいろ非難されております問題でございますので、そういった問題をとらえまして、罰則を強化してこれを緊急に処理する必要がある。こういうような見地から、ここに著作権法の一部を改正する法律案というものが提案されたものとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/207
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208・高田なほ子
○高田なほ子君 そういたしますと、国際的な不信行為に対応するために、今度の議員立法に賛意を表した、こういうことになるわけですが、国際的な不信行為に対しては、これは今始まったことじゃないのです。国際的な条約から見ても、現在のいろいろな諸法規から見ても、当然これは司法権が発動されてしかるべきものを、今日まで政府の怠慢から放置されてきた、こういうふうに幾多の例証をあげて私はここで論及したいのですが、それについての時間がありませんから省略いたします。これは単に文部省の言いのがれであってはなはだ怠慢である、こういうふうに論ぜざるを得ません。
お尋ねしますが、今回の法律は、これは海賊版の一掃のために、主として提案されたものでありますが、隣接権の問題には、この法律は及ばないものか、この点について提案者にお尋ねしたい。海賊版のみにとどまるものか、著作権一般に及ぶところの罰則の強化であるか、つまり隣接権の問題には及ばないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/208
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209・野本品吉
○野本品吉君 隣接権の問題には及んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/209
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210・高田なほ子
○高田なほ子君 及ばないのですね。
次に、文部省の方にお尋ねしますが、著作権の今回の改正に対しても、文部省はいろいろ、著作権制度調査会にかけたように承わっておりますが、漏れ聞くところによると、今回の改正に際して民間の意見を聞くというような立場から、著作権業界の代表者もそこに参会されたそうであります。しかしその参会者に対して、今度こういうふうに改正するのだがどうかと、その場でこの法律の改正原案を渡されて、その場で即答を求められた。従ってそこに出席された代表者は、改正案の全文に目を通しておらないために、これに対する意見を発言する機会がなかった。黙して語らざるものを賛成と称して、民間側もこれに賛成であるというふうに解釈されたやに聞いておりますが、もしこれが真実であるならば、この改正に当ってはやはり手抜かりがあったのじゃないかという非難を免れぬではないか。私の誤解であればいいのですが、この間の真相を、はっきりさしていただきたいと思います。文部省の方から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/210
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211・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまの御質問でございまするが、これは何かの誤解ではなかろうかと私は考えます。私もその会合に出たのでございますが、これは著作権制度の審議会の委員が多数集まりまして、これはほかの議題をもって招集いたしたのでありまするが、しかしながら、たまたま海賊版の問題等罰則強化という問題が出ておりました。これについても非公式の意見をお聞かせ願う、こういう意味においてお諮りしたのでありますが、しかしながらこの問題につきましては、もう前々から著作権制度審議会では関心を持っておりまして、そうして、この海賊版の防止については、とにかく罰則の強化を必要とするというような意見は委員の方々の中にもたくさんあったのであります。従って当日配付いたしましたそういった改正の要綱につきましては、これももちろん説明いたしましたが、その説明でもってもう十分であります。それ以上の説明は何ら加える必要もないくらいに専門家でございますから、十分よくおわかりになっておる方であります。従って十分審議しなかったとかなんとかいうような問題でなく、もうよく論じられた問題でもあり、よく知っておられた問題でございますので、結局非公式の意見でありますけれども、著作権制度審議会では罰則強化は必要だと、こういうような御意見になったのであります。以上が真相でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/211
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212・湯山勇
○委員長(湯山勇君) ちょっと速記めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/212
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213・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/213
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214・高田なほ子
○高田なほ子君 これは、著作権侵害の罪に対して、二年以下の懲役または五万円以下の罰金に改めたというのが、この法案の内容になるわけですが、提案者は、「著作権侵害の罪に対して新たに体刑を設けましたのは、主として前述の海賊版の常習者の発生を防止しようとしたものであります。」と法律案の概要説明に掲げてある。従て、この規定を適用するのは、常習者または累犯、こういうものに限られた適用を主として考えておられるのかこの点を明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/214
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215・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) この法案は、必ずしも常習者のみを罰するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/215
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216・高田なほ子
○高田なほ子君 ただ、この提案者が法律案の概要説明の中で、「主として前述の海賊版の常習者の発生を防止しようとしたものであります。」というので、著作権法三十七条に該当するところの罪に対しては、常習者ということがうたってあるために、私は質問をしておりますが、今の答弁によると、常習者のみに限らない、こういう御答弁であります。そこで文部省にお尋ねいたしますが、やはり、これは国際水準にのっとる罰則規定というものが常識であって国際水準以上に出る罰則というものは、私はこれは必要がないじゃないか、こういう見解を持つのです。諸外国の例を見ますと、やはりこういう罰則規定は、かなり再犯、全部読み上げるといいんですが、時間がありませんから省略しますが、ほとんど、累犯、再犯等、いわゆる常習者こういう強い罰則規定が盛られているようでありますので、提案者のここに提案されたごとくに、常習者の発生を防止する、いわゆる常習者に対する罰則を主に置いたというように、私は実はこの法の解釈をしたかった。文部省は国際的水準において常習者、累犯者、こういう者に対する罰則強化というふうにはおとりになった方がいいのじゃないかと思うのですが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/216
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217・野本品吉
○野本品吉君 こまかいことは、別に文部省の方から御説明があろうと思いますが、主として常習者ということです一から、常習者が押えられるような、初犯の者その他につきましても、常習者でない者に対しても影響力が相当あろうと思います。それから刑罰の適用につきましても、常習者とそれから初犯の者とに対して、量刑の上において軽重の差をつけるということは、これは裁判の常識であろうと私は考えます。
それから諸外国との関係でありますが、私もちょっと見たのでありますが、今、高田委員の仰せられることは、私にも陳情がありました、いわゆるこの法案に対する反対的な立場をとる者からずいぶんありましたが、この法案の罰則規定は強いところ、弱いところもありますが、大体中間をいっていると思うのです。必ずしも罰則というものがきつ過ぎるというようには、私どもは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/217
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218・高田なほ子
○高田なほ子君 法制局の方からちょっと意見を聞きたいのですが、偽作、海賊版は、これは有体物と見るものか、無体物と見るものか、この点の見解。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/218
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219・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) 海賊版と申しますものの実体にもよると思いますが、書物の形態にそれが現われておるとすれば、有体物と考えられる場合が多いだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/219
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220・高田なほ子
○高田なほ子君 有体物となりますと、偽作ということになりますが、偽作の場合には、著作権を侵害する場合はもちろんある。しかしながら、著作権が侵害されたからといって営業権が侵害されない場合もあるし、著作権が侵害されると同時に、営業権が侵害される場合もあると思います。二様あるのじゃないかと思いますが、この辺の見解はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/220
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221・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) 多くの場合は、今、高田委員の仰せられたように、営業を侵害する場合と侵害しない場合があるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/221
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222・高田なほ子
○高田なほ子君 最近のチャタレー夫人の恋人の偽本に関する判決が、先般東京地方裁判所から出ていたようでありますが、この場合は判決の理由として、「不正競争の目的で他人の商号を使用しその発行にかかる書籍と同一内容のものの印刷を完成しその引渡しを受けた以上、不正競争防止法第一条一号にいわゆる他人の商品たることを示す表示と同一又は類似のものを使用し、他人の商品と混同を生ぜしめる行為をしたものに該当すること勿論である。本件において、」云々、こういうふうに書いてありますが、これは偽作として他人の営業を侵犯するおそれがあるものとして判決があったように考えられますが、この点はどうですか。著作権とは別個に営業権を侵害するおそれがあるものとして判決が下ったように考えられますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/222
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223・福田繁
○政府委員(福田繁君) 仰せの通りこの問題はただいまお述べになりました不正競争防止法の第一条の第一号の違反、こういうような立場から判決があったのでありますが、これは、もう当然に不正競争防止法の問題と、同時この「チャタレー夫人の恋人」という、従前出ておりました同一書籍の偽作という点と合せまして、刑法百七十五条のわいせつ文書の頒布、こういう二つの罪名でもって判決があっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/223
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224・高田なほ子
○高田なほ子君 問題になることは、刑法何条かのわいせつの行為というところに入ろうと思いますが、問題になるところは、不正競争防止法によっても、今後、偽作等の問題については取り締り得る判例というものが出されておるわけでありますが、今回の著作権法の改正による罰則強化と、そして、この不正競争防止法による偽作に対する処罰を、これが両方法律が出てくるわけでありますが、今、法制局の見解によると、海賊版は偽作であると言う。偽作であるならば、営業権を侵害するおそれのあるものとして、不正競争防止法で防止し得る可能性がこの判例で出てきている。けれども、一方また、この著作権法の改正によって罰則を適用することもできるわけでありますが、こういうような場合、刑法五十四条等の関連はどういうふうになってくるのですか。疑義があるので、これは法制局の方から尋ねたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/224
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225・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) ただいまお話しの、営業上の利益を害するおそれがある場合、その場合におきましては、一定の犯罪の構成要件に該当する場合におきまして、不正競争防止法の違反で罰せられることがあると思います。従いまして、海賊版なるものがこの要件に該当した場合においてのみ、不正競争防止法違反の罪に問われるものと思いますが、すべての海賊版がこれに問われるかどうかということは、別問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/225
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226・高田なほ子
○高田なほ子君 不正競争防止法でもって押え、また著作権を侵害したという意味でも、今度はこの法律で押えることができましょう。偽作という場合には両方で押えることができるとあなたおっしゃった。二つの法律が一緒に適用する場合は、どちらの法律が優先的に適用されるのかという点、五十四条との関連。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/226
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227・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) ただいまの両方の罪に問われる場合、その場合には四十五条の併合罪か、五十四条の一個の行為にして数個の罪名に触れる、いわゆる観念的競合に該当するか、これにつきましては、直ちにもう少し研究いたしたいと思いますが、四一十五条の併合罪によって罰せられるのではないだろうかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/227
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228・高田なほ子
○高田なほ子君 法制局でもこの点の見解が、はなはだしく不明確であるという点に、若干疑義を持つのでありますが、私もまだこの点について十分な一自分としての研究が得られない、これは至急に御研究いただきたいと思います。
次に、かりに営業権を侵害するおそれがあるという場合には、これは不正競争防止法でもって処断できる、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/228
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229・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) 先ほど申しました不正競争防止法には、いろいろの要件がございますので、それで、先ほどこれに該当する場合はと申したのでございます。ですから、すべてのいわゆる海賊版がこれに該当するかということは一がいに申し上げられない、まれな場合には該当する場合があるであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/229
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230・高田なほ子
○高田なほ子君 次に、輸出入取引法、これは昭和二十七年法律二百九十九号、第二条第一号に、「不正な輸出取引」とは、「仕向国の法令により保護される工業所有権又は著作権を侵害すべき貨物の輸出取引」とある。ここには、また著作権に対する取締り規定が明記されておるようでありますが、これは、私がこの法律で、著作権を守り得ると考えるのは、私の認識の不足であるかどうか、この点についてただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/230
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231・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど、不正競争防止法のお話が出ましたので、それが輸出入取引法と関連があると思いますので、補足さしていただきたいと思いますが、この不正競争防止法は、おあげになりましたように、読んでみますと、第一条には、不正競争行為の禁止というところで、「左ノ各号ノ一二該当スル行為ヲ為ス者アルトキハ之二因リテ営業上ノ利益ヲ害セラルル慮アル者ハ其ノ行為ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得」とありまして、その一号には、「本法施行ノ地域内二於テ広ク認識セラルル他人ノ氏名、商号、商標、商品ノ容器包装其ノ他他人ノ商品タルコトヲ示ス表示ト同一若ハ類似ノモノヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売、拡布若ハ輸出シテ他人ノ商品ト混同ヲ生ゼシムル行為」とありまして、要するに不正競争防止法は、御承知のように、この趣旨から申しますと、日本の国内、地域内において、広く認識せらるる他人の氏名だとか商品、商号というようなものを言っているのであります。従って日本の国内において、だれもが広く知っているという商品に限って、その営業上の取引の安全を保護するというのが建前でございます。従ってそういった第一号に該当するような行為があった場合には、これは当然不正競争防止法によって、この違反として請求があれば罰を受けるわけでありますが、これはあくまでこの営業上の利益を害せられたとして、いわゆる取引の安全を保護する立法でございます。ところで、著作権法は、これは御承知のように、著作者の著作権というものを保護する建前でございますので、その点に関しましては、取引の安全という点を顧慮した法律ではない。従って、たまたま先ほど御引用になりました「チャタレイ夫人の恋人」という本の偽作の問題でございますが、(高田なほ子君「要点だけ答えてくれないかね」と述ぶ)たまたまこの従前小山書店で、昭和二十五年ごろから発行している同一のものをまねて出した問題でございまして、従って不正競争防止法の一条にも該当するということで、判決があったわけでありますが、しかしながら、海賊版一般の場合におきましては、これは御承知のように、外国の最新書を、科学書を輸入してそうしてそれを複製して頒布するというのが通例でございまして、従って海賊版一般から申しますと、この事件はたまたまこれにも該当する場合でございますけれども、この「チャタレィ夫人の恋人」という本のこの判決をもって、直ちに著作権関係の海賊版全部がカバーできるというようなものではない。同様に先ほどおあげになりました、この輸出入取引法でございますが、この第二条は、「不公正なる輸出取引」というような関係の規定を置いているのでございまして、その取引関係の規定と、この著作権の保護という立場は、おのずから別のものだと考えております。そういう点でございますので、誤解のないように補足さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/231
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232・高田なほ子
○高田なほ子君 まだ割り切れないのですが、この「不公正な輸出取引」は「工業所有権又は著作権を侵害すべき貨物の」云々と、やはり著作権という内容が入っていると私は思う。でありますから、不正競業の観念の中には、工業所有権と並んで著作権が入るべきだという観点に私は立っている。これは法制局の見解をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/232
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233・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) ただいまおあげになりました輸出入取引法第二条は、「不公正な輸出取引」とありまして、輸出の場合を言ってるのだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/233
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234・高田なほ子
○高田なほ子君 それでよろしいんですか。輸出の場合だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/234
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235・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) 今おあげになりました二条の、「不公正な輸出取引」とありますから、読みますと、「仕向国の法令により保護される工業所有権又は著作権を侵害すべき貨物の輸出取引」ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/235
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236・高田なほ子
○高田なほ子君 万国工業所有権保護同盟条約加盟国所属の外国人である場合には、日本に営業所があり、住所を有するといなとにかかわらず、これは適用する規定があるじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/236
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237・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) 工業所有権保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ同盟条約によりますれば、この条約の適用せられるのは、主として工業所有権保護のためのものであろうと考えられますので、著作権につきましては、一々条文を今概略見ましたところ入っていないのではなかろうかと考えておりますが、なお調べてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/237
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238・高田なほ子
○高田なほ子君 これも疑義がある点でありますから、法的に司法権の及ぶ範囲の処罰の規定でありますから、相当御研究をわずらわしたいと思います。
続いてお伺いしたいことは、提案者にお尋ねしておきたいのですが、提案理由の第三に、第三十九条に出所不明示の罪に対して百円以下の罰金を定めてありますのを、一万円以下の罰金に改めたことでありますが、この規定は他人の著作物を利用する際に、その出所を明示しなかった場合の罪を定めております。これは当然だと思います。しからばこの出所というのは、一体法的にどういうものを出所というのですか。いろいろこれは場合があると思うのです。出所という字句を法的に明示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/238
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239・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 質問者は、だれに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/239
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240・高田なほ子
○高田なほ子君 法制局の方がいいと思います。提案者にお尋ねした方がいいと思うのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/240
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241・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記とめて。
〔速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/241
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242・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/242
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243・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) お答えいたします。出所を明示すると申しますのは、その記事なり、その文章なりが、原著作者のだれの氏名になっておるか、それはどんな題になっておるか、そういうものが具体的にわかるようにということと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/243
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244・高田なほ子
○高田なほ子君 これはまあ、当然著作者名というふうにこれは明らかに法的にいたしませんと、やはりこれ肝刑罰規定でありますから、目的並びにその刑の及ぶ限界等については、法文の上に私は明記すべきだというふうに考える。同時にこれは映画等の場合片も、脚本家か原作者か何だかわからないですね、レコードの場合は、キングとかビクターとかいう会社も入っているし、それから人の名前も入っていると、なかなか出所というところは聞賭のあるところでありますから、本法の成立に当ってはこれを明確にしていただきたいことを要望します。
次に、これは文部省に尋ねたいのですが、これは罰則規定の強化でありますから、現在の罪刑法定主義に立てば、司法の分野に属するものであると思うのです。これを文部省に一任しておくということについて、やはり私は若干の疑義があるのです。今日まで海賊版を取り締り得なかったということは、やはりこれは司法権の及ぶ範囲が、文部省では不明確な点があったからじゃないか、現行法でも十分取り締れるものを取り締り得なかったというところに、何らかの欠陥があるのじゃないかという疑義を持っておるのです。この点について罪刑法定主義の立場に立った場合に、文部省にだけおまかせしておいていいかという問題についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/244
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245・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん、仰せのように罪刑法定主義でございます
ので、法律に明示してない罰を科する一ということはあり得ないのであります。従ってこの法規に照らしまして実際に行いますのは、裁判所でございます。従って文部省はこれに対して何ら関与するものでもございませんし、また、この著作権の保護につきまして
は、親告罪になっておりますので、著作権を侵害されたとする者が告訴し
て初めてこれが取り上げられるという立場になっておりますので、その間に行政的に文部省が関与するという問題はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/245
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246・高田なほ子
○高田なほ子君 本法は遡及して法の効果を現わす規定がありますか。これは法制局の方にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/246
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247・腰原仁
○法制局参事(腰原仁君) ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/247
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248・高田なほ子
○高田なほ子君 現在までかなり巨満の富を積んだといわれる、いうところの海賊版業者には適用し得ないという結論が法的に出るわけです。
次にお尋ねしたいことは、著作権の効果は、大体三十年と考えておりますが、この著作権の期限の切れたあとの暫定的な法の適用は、どういうふうな形になって行われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/248
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249・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御質問の趣旨がわかりかねますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/249
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250・高田なほ子
○高田なほ子君 じゃもう一ぺん言いましょう。著作権の所有年限が三十年ですね、これは国際法で外国におる者がたまたまこの著作権が日本でもって偽作したときに、向うで切れたという場合に、親告罪で訴える場合にこの間に期間ができてくるわけですね、こういうところの暫定的な処置というものは、どういうふうにきれるものかというのです。これは文部省に聞いても無理だと思うがどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/250
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251・福田繁
○政府委員(福田繁君) この著作権の保護は、御承知のように死後三十年間保護するということになっております。そこで、国際的な問題につきましては、これは万国著作権条約によりまして、お互いに内国民待遇の規定がございます。従ってアメリカならアメリカの国内法でもって保護する限度しか、日本は保護しないという建前になっておりますので、それ以上の暫定措置は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/251
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252・高田なほ子
○高田なほ子君 まだいろいろ疑義が残っておるのですが、どうもただし切れない点もありますが、このくらいでとめておきます。
この両罰規定ですね、これは国際精神から見てもかなり罰科が重い。この両罰規定については、民間でも相当疑義のあるところです。従いまして、提案者はこの両罰規定について、今後どういうふうになさろうとするのか、一応御意見を伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/252
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253・野本品吉
○野本品吉君 この法の実際の効果を上げる上から見て、両罰規定の必要をわれわれは感じたわけです。しかし、いろいろ問題もありますので、この問題の処置については、皆さんの間に御意見もあるようですから、十分御検討願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/253
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254・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/254
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255・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中においてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/255
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256・高田なほ子
○高田なほ子君 私は本法案に対して修正案を提出したいと存ずるのであります。
まず、修正案を朗読いたします。
著作権法の一部を改正する法律案に対する修正案
著作権法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第四十五条の改正規定を次のように改める。
第四十五条を次のように改める。
第四十五条削除
以上であります。
この修正案を提出いたしました理由は、本改正案において著作権侵害の防止を目的とする罰則は、相当強化されており、あえて両罰規定を新設しなくても十分の効果が期待されるのではないかと考えるものであります。従って両罰規定については、なお今後においてわが国の国情、諸制度等を十分勘案し、慎重考慮することとして、この際は削除したいと思うものであります。何とぞ御賛成を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/256
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257・三浦義男
○三浦義男君 私は高田委員より提出の修正案及び修正部分を除く原案に対し、次の付帯決議を付して賛成せんとする者であります。
付帯決議を読み上げます。
「著作権法の一部を改正する法案」附帯決議著作権法は、明治三十二年に制され、爾来、度々所要の改正が行れたが、最近、技術の著しい進歩伴い、著作物の新しい利用手段が拡大され、著作権が十分に保護されない憾みがある。
よって政府は、当面適切な措置講ずるとともに、現行法改正の準備を一層促進し、可及的速かにその面的改正を行うよう特段の努力をすべきである。以上であります。
この決議の趣旨とするところは、レコードの有線放送等、最近技術の進歩により著作物の利用手段が拡大されるに及んで、著作権保護の面においていろいろと問題が起きておりますので、政府においても適切なる措置をされることが必要であります。
さらにまた、本法自体が何分にもあまりに古く制定されたもので、今日の時代に十分適応できない面もありますので、前々から政府において準備をされております本法の全面的改正を、なるべく早く行い得るよう、一そうの努力をしていただきたいというわけであります。
この付帯決議について、何とぞ御賛成を賜わりたいと存じます。
以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/257
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258・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/258
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259・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。
これより著作権法の一部改正案について採決に入ります。
まず、討論中にありました高田君提出の修正案を問題に供します。高田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/259
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260・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致であります。よって高田君提出の修正案は、可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/260
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261・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、修正すべきものと決定いたしまた。
次に、討論中に述べられました三浦君提出の付帯決議案を議題といたします。三浦君提出の付帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/261
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262・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致であります。よって三浦君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/262
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263・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 次に、べき地教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、発議者から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/263
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264・秋山長造
○秋山長造君 ただいま議題となりましたべき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
べき地教育振興法は、憲法に規定まれております教育の機会均等の趣旨にのっとり、僻地における教育を振興する目的をもって、積極的な対策を講ずるため、去る第十九回国会において制定されたのであります。
しかるに、本法施行以来、すでに四カ年になんなんといたしておりますにもかかわらず、僻地におきましては、小規模学校が多数を占めております関係上、依然としてその施設設備の整備は不十分であり、しかも、教職員を確保することも容易でないという現状であります。
さきに、本法成立の際、本院文部委員会は、僻地教育に対する総合的、恒久的振興策を樹立することの付帯決議をいたしておりますが、この決議の趣旨にかんがみ、今回、国の地方公共団体に対する補助の対象を拡大するとともに、へき地学校に勤務する教員及び職員の特殊勤務手当の増額その他の措置を講じて、僻地における教育の振興をはかることが必要であると考えまして、ここにこの改正案を提出いたした次第であります。
改正案の内容のおもな点について申し上げますと、まず第一点は、べき地学校の定義であります。すなわち、現行法におきましては、「交通困難で自然的、経済的、文化的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校をいう。」とあり、交通困難という大前提のもとに、自然的、経済的、文化的僻地性を形成している各要素が、その条件となっておりますので、へき地学校がまず交通の困難性によって決定されている現況でありますが、このことは、必ずしも実態に沿わない点もありますので、僻地性を形成している諸条件と交通条件とを並列させるよう改めたことでございます。
第二点は、市町村の任務としてへき地学校の健康管理及び通学改善につき義務規定を設けるとともに、べき地教育の振興をはかるための事務について都道府県の任務を明確にしたことでございます。
第三点は、べき地学校指定基準を文部省令で定めることとし、新たに、僻地手当支給に関する規定を設けるとともに、その僻地手当手給についての都道府県がよるべき基準を定めたことでございます。
第四点は、市町村が行う事務に要する経費及び都道府県が行う事務のうち、べき地学校に勤務する教員の養成施設に要する経費について、国の補助率を、それぞれ二分の一と明確に規定したことでございます。一
なお、附則におきまして、施行期日を昭和三十四年四月一日とし、本法改正後、都道府県が僻地手当に関する条例を制定するに当っては、従前の特殊勤務手当の月額より低額であるものを生じたときには、受給者に不利益な結果とならぬよう当該条例を定めるように規定いたしました。
以上が、この法案の提案理由とその内容の概要でございます。何とぞすみやかに御審議の上、御賛同賜わりますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/264
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265・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 質疑のある方は、順次御発言願います。別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/265
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266・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 異議ないと認めます。
本法律案は予算を伴う法律案でありますので、国会法第五十七条の三の規定により、この際本法律案に対する内閣の意見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/266
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267・臼井莊一
○政府委員(臼井莊一君) へき地教育の振興につきましては、政府といたしましても従来努力をいたしておりまするし、また、今後とも努力する所存ではございます。
しかしながら本法案につきましては、今後の財政負担の問題を初め、種々の検討すべき問題がございまするので、遺憾ながら、直ちに賛成するということができないことを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/267
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268・湯山勇
○委員長(湯山勇君) これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしお述べ願います。別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/268
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269・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。
べき地教育振興法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/269
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270・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、ただいま議決いたしました四案の本院の規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/270
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271・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、四案を可とされた方は、順次御署名願います。
多数意見者署名
[義務教育諸学校施設費国庫負担法案及び日本育英会法の一部を改正する法律案〕
竹中 勝男 秋山 長造
松永 忠二 高田なほ子
加賀山之雄 常岡 一郎
大谷 贇雄 田中 啓一
川村 松助 林屋亀次郎
三浦 義男 野本 品吉
吉江 勝保
〔著作権法の一部を改正する法律案及びべき地教育振興法の一部を改正する法律案〕
竹中 勝男 秋山 長造
松永 忠二 高田なほ子
加賀山之雄 大谷 贇雄
田中 啓一 川村 松助
林屋亀次郎 三浦 義男
野本 品吉 吉江 勝保発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/271
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272・湯山勇
○委員長(湯山勇君) 本日は、これにて散会いたします。
午後十一時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815077X01819580417/272
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