1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月七日(金曜日)
午後一時二十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 青山 正一君
理事
大川 光三君
一松 定吉君
棚橋 小虎君
宮城タマヨ君
委員
秋山俊一郎君
大谷 瑩潤君
斎藤 昇君
赤松 常子君
藤原 道子君
国務大臣
法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
政府委員
総理府総務副長
官 藤原 節夫君
警察庁刑事部長 中川 董治君
法務政務次官 横川 信夫君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
法務省矯正局長 渡部 善信君
法務省保護局長 福原 忠男君
厚生省公衆衛生
局環境衛生部長 尾村 偉久君
厚生省社会局長 安田 嚴君
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最高裁判所長官
代理者
(刑事局長) 江里口清雄君
最高裁判所長官
代理者
(家庭局長) 菰淵 鋭夫君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
法務省刑事局総
務課長 横井 大三君
労働省労働基準
局監督課長 鈴木 健二君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会開会の件
○恩赦法の一部を改正する法律案(高
瀬荘太郎君外四名発議)(第二十七
回国会継続)
○売春防止法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○婦人補導院法案(内閣提出、衆議院
送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/0
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001・青山正一
○委員長(青山正一君) 開会いたします。
初めに連合審査会についてお諮りいたします。企業担保法案につきまして、商工委員会との連合審査会を開会することにいたしたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/1
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002・青山正一
○委員長(青山正一君) 御異議ないと認めます。それでは、法務商工委員会連合審査会は、来たる三月十三日、木曜日、午後一時三十分に開会いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/2
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003・青山正一
○委員長(青山正一君) 次に、恩赦法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、恩赦のあり方、ないし恩赦制度の基本問題について若干の検討を行いたいと存じます。近時、皇太子の御成婚を見越した恩赦についての思惑が相当に行われておりますが、われわれといたしましては、法の安定性を守るためにも、また、恩赦の与える社会的影響力のきわめて大なるものある点にかんがみましても、この際、恩赦の公正を期するため、恩赦のあり方について検討を行なっていきたいと考えた次第であります。この問題をめぐりまして、法務大臣から、恩赦令について基本的御見解をお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/3
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004・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 恩赦の問題はきわめて重大でございまして、私がここで事新しく申し上げまするまでもなく、すでに裁判の手続によって、あるいは刑が確定し、あるいは法の命ずるところによって捜査中のもの、あるいは刑事被疑事件で訴訟係属中のもの、こういうようなものを引っくるめまして、そうして一切これを免除するというようなことにもなることでございまして、ある意味においては、行政権をもって司法あるいは立法の措置に対する例外的の措置をするような結果になりまするから、これはきわめて重大と考えるのでございます。ことに先ほど委員長のお言葉のうちにありましたように、近時、皇太子の御成婚の際に相当大幅に恩赦が行われるだろうということを見越しまして、そして今年、来年が選挙の年といわれている。その選挙の事前運動を手放しでやっておる。いずれ許されるというような見通しで、自由自在な事前運動をやっているというような風評を聞くのでありまして、まことに遺憾千万のことと考えているわけでありまして、こういう事前運動につきましては、法の許す限りにおきまして、検察当局、警察当局において十分捜査を進めまして、それを取り締りたいと考えておりますが、この皇太子御成婚の際における恩赦のことは、もとより将来に属することでありまして今どうこうということを明言することははばかる次第でございますが、前例から見ましても、今上陛下、皇太子の当時、恩赦が行われたのでございますが、これはきわめて限局された範囲での勅令減刑でございます。過般の国連恩赦のような大赦令が出ているわけではございません。大赦令によって既決、未決あるいは捜査中のもの一切の事件が免除されるような、そういう広範囲のものではなかったのでございます。前例をこの際申し上げまして、私どもといたしましては、恩赦のことはきわめて慎重にやらなければいけない、こう考えておりますことを、この際申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/4
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005・青山正一
○委員長(青山正一君) 御質疑のある方は御発言下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/5
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006・大川光三
○大川光三君 ただいま法務大臣から恩赦の根本的な考え方についての御意見を伺ったのでありますが、それに関連いたしまして伺いたいと思いますことは、お言葉にもございました通りに、大赦というようなものは、これは軽々に行うべきものではないと、私どもも考えております。しかもこの恩赦というふうなものは、裁判所のなす裁判に対しての一つの変更を加えるという意味から申しまして、特に私はその法の尊厳と裁判の神聖を維持するという点から考えて、恩赦というものは士として個別恩赦に中心を置くべきものではないかと考えるのでございますが、その点に関する法務大臣の御見解を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/6
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007・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) ただいまの御意見にありました通り、恩赦はどこまでも慎重にやらなければいけないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/7
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008・大川光三
○大川光三君 申すまでもなく、恩赦は、沿革的には君主の恩恵をその出発点といたしておるのでございますが、今日ではむしろ法の画一性に基く欠陥の矯正及び有罪の言い渡しを受けた者に対する刑事政策的な裁判の変更等がその目的とされておるのでございますが、これをいま少しく掘り下げて考えてみますると、私はこれらの目的はひとり恩赦によってのみ達するのではなくて、むしろ裁判の画一性に基く欠陥の矯正ということには、根本である法そのものを是正してかからなければならないのではないかと、かように考えるのでありますが、この点に関する大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/8
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009・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 恩赦制度の基本観念に関するお考え、まことにごもっともと存じます。過去におきましては、君主の特性と申しまするか、さような基本観念から出発いたしました恩赦でありましょうけれども、今日におきましては、どこまでも今お言葉にありましたような法律または裁判の画一性というようなことに対する行政措置による是正というような意味合いにその理由を求めなければならぬことも考えております。しかし、さらに進んでそういうような行政措置による是正というようなこと以上に、法律そのものにさかのぼってこれをいかに処置するかという根本制度についての問題を考えなければならぬというような点も全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/9
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010・大川光三
○大川光三君 先ほどお言葉にもございましたように、皇太子殿下の御成婚の恩赦を見越してのいろいろ選挙違反等の犯罪が行われておるということは、まことに私どもといたしましても遺憾千万にたえないのであります。それに関しまして先例をあげての御説明がございましたが、私は、これはひとり先例にとらわれることなく、現状に即し、また、現在の社会情勢に照らして恩赦というものは決定すべきものであるし、今皇太子御成婚に関していかなる恩赦を行うべきであるというようなことは論議すべき限りでないと存じておるのでありますが、ただ先例がこうであるからということでなしに、もっと慎重に御考慮すべきものかと考えるのでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/10
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011・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 御意見の通りでございまして、皇太子御成婚のことはまだ将来に属することでございまして、そのときの責任者が、そのときの社会情勢、各般の事情を勘案して御決定になることと思いますから、その意味におきまして、私は、これを明言することを御遠慮申し上げたような次第でございます。ただそれでは、今日盛んに事前運動なりが行われておるこの情勢に対してどう思うかというその感想といたしまして、過去においてはかような実例になっておるということを参考までに申し上げた次第でございます。御承知のように、この恩赦制度が始められましてから、たとえば大赦令というような大規模の恩赦はほとんど明治、大正、昭和を通じてまれにすら行われなかったのでございますが、御承知のように、終戦後は国家の激動期でございまして、国家の運命に関する重大な事件が次々とありましたために、そういうような事態に大赦令が相次いで出たような情勢でございますけれども、過去においては、大赦令というようなものはまれな事例に属しておったのであります。将来のことは今申し上げましたように、明言することは私どもとしては遠慮すべきことだと思います。ただ過去の事例を御参考のために申し上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/11
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012・大川光三
○大川光三君 世上伝えられております選挙違反が公然と行われるということについては、先ほど大臣も法の許す範囲で厳重にこれを取り締るということでありますが、特に私は現在の選挙違反事犯というものに対しては、将来の恩赦などを考慮に入れず、現実の犯罪として厳重なる取締りを希望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/12
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013・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) ただいま御注意のありました通りに考えておりまして、将来恩赦によって許されるかどうかというようなこととは別問題といたしまして、とにかく事前運動として法規に反するものは厳重に取り締って参りたい。特に今年は、私の申し上げまするまでもなく、選挙の年といわれておりまして、かりに衆議院の例をとってみましても、この四月、五月おそくとも九月、十月にはあるということを予想できますので、およそ選挙というものが具体化してきておりますから、これを目ざしてやる事前運動につきましては、厳重な取締りをしなければならない、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/13
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014・藤原道子
○藤原道子君 ちょっとその点について。そういうものがあったらというお答えでございますが、実に最近目にあまる行為が行われておりますけれども、現認いたしておりまするが、当局におかれては、こうした事態をどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/14
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015・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 実はこの事前運動の取締りでございますが、これはたとえば、単なる政治運動、あるいは政見発表、あるいは国会報告というようなことでは、実質的に事前運動であり、またそのつもりでやっておりましても、刑法の方で処断するには、簡単にこれを検挙するというわけには参りません。それでありますから、結局次の選挙を目ざしてそして票を集めるということのために明らかな運動がありますれば、これは検察当局としてはこれを十分処断いたしております。たしか最近の例で、地方に行われました衆議院の補欠選挙でも事前運動を訴追いたしておる事件もございますが、これは訴追技術の上では非常にむずかしい問題でございまして、ただ自分が政見を発表する、政治を語る、国会の情勢を報告するというようなことで、実質的には選挙運動になりますけれども、それだけでございまするとすぐこれを訴追するというような証拠としては不十分でございますから、この点は検察当局、警察当局においては非常に苦心いたしておりますけれども、いやしくも法に違反し、それを証明するだけの証拠がございますれば仮借することなく手続をとるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/15
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016・藤原道子
○藤原道子君 私は、国会議員が国会の動きとか、国会報告をするのは、その人が立候補するとかしないとかにかかわらず、当然の義務だと思います。そういうこまかいことでなくて、明らかに何々会というものを作って、会費は十円あるいは五十円くらいで、そして方々へ招待してそこでおみやげまで持たせて帰す、こういう悪質なのがずいぶんある。こういうことを私たちは言っているので、さらに法定選挙費用がきまっておりますけれども、選挙のときには何十倍という金を使っている。これは公然の秘密になって、ちっともそれに手が入らないのです。みな法律を法律として正しく取り締っていかないからそういうことがだんだん拡大してくるのだと思うのです。だからこれらの取締りに対して、非常に遺憾な点が多いので、あなたは、人格者である法務大臣が、その際ぴしゃっとしたところを見せてほしい。そういうことについてあなたの御所見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/16
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017・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 考え方の方向といたしましては全く御同感でございます。私どもも、しばしばあるいは講演会というような名前によって人を集める。そしていろいろ酒食の供応もある。名義だけの会費を取って、そして事実は、大部分はだれかが負担するというような場合が多いというようなことで、これらは事前運動なのではないかというような疑いをもっておるわけでございますけれども、なかなかこれが将来の選挙に備えて、票を得るための運動であるかどうか。選挙の告示がありまして、そして候補者がきまってそれから先でございますれば、もう疑い濃厚でございますから、これは手を入れることができますけれども、事前においてだれそれのために票を入れてくれ、この次の選挙に有利に働いてくれというようなことをなかなか明示しておりません。ですから、そういう際に手を入れることができるかどうかという点が捜査技術上非常にむずかしいところでございまして、一方におきましては人権を尊重し、人の自由や人権をじゅうりんしては、これは非常な問題になりますから、人の自由、人権を尊重しながら、しかし、罪あるところは法によってこれを訴追する、これが警察技術、検察技術のむずかしいところでございまして、考え方の方向としては、今藤原委員の御指摘になったように私も考えて、どこまでもこれを追及していきたい、かように考えて、このごろも検察官の会同で十分それを申しておることでございます。また、技術的にそこがむずかしいところがございまして、ことに選挙の際の制限額の超過というようなことは、今のお言葉にもありました通り、みんなが公然の秘密として言っているようなことでございまして、これを徹底的に選挙制限額にまで圧縮しないことには、公明な選挙はできない、かように考えておりますけれども、これを検察技術としてそこまで圧縮してやろうということが実際問題として非常にむずかしい、しかし、どこまでもそういうような考え方で取締りに臨まなければならぬ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/17
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018・藤原道子
○藤原道子君 非常に世間でこの問題についてはいろいろな世論があるわけで、これは御承知だろうと思うのです。従って、これは今度の恩赦の中に、この前、選挙違反が適用になりましたね、そのときに検察庁の方ではばかばかしい、憎まれて骨を折ってせっかく検挙しても、恩赦で全部だめになってしまった。だから今度なんかやる必要はないのだというようなことで、取り締る手が非常に何といいますか、消極的というか、放棄しているようなきらいがあるのじゃないかということが世間で言われておりますので、この恩赦の適用範囲ということについては非常に重大だと思うのです。従って、私どもは世論にこたえて、選挙違反などをこの中に包含すべきでないというふうな意見を持つ者でございますが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/18
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019・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 今日、将来の選挙違反、恩赦を予想してそうして選挙違反が手放しで行われている、この状況はまことに私は苦々しいことだと思っております。先ほども申し上げました通り、それが恩赦でどういう処置を受けるかということは別といたしまして、現にそれが事前運動として法に触れておりますならば、厳重にこれを処置して参りたいと考えております。ただ、将来、皇太子御成婚のあった場合に、いかなる恩赦が行われるかというような、恩赦が行われるかどうか、また、行われるとしてどういう範囲の恩赦が行われるかというようなことは、先ほど大川委員の御発言にお答え申し上げました通り、何分にも将来のことでございまして、そのときの責任者がそのときの情勢を見て、そうして御判定になることと思うのでございます。ただ、今日私といたしましては、将来の恩赦によって罪が許されるだろうというようなことを見越して、そうして手放しの事前運動が行われるといたしますれば、それはまことに苦々しいということで、将来のことは別として、それが法に触れる場合には断固としてこれを処置する、かように考えておるという私の考えだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/19
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020・藤原道子
○藤原道子君 ところが、断固として処置するといっても、恩赦になって、この前ばかばかしい目をあなたの部下は味わっているのです。そういうあなたの言動が非常に大きな影響があるということを私は心配しているのです。一生懸命骨を折ってやっとつかまえて、そうして今度恩赦でパーになっちゃう。これじゃ、やるあなたの部下が熱意を欠くのは当りまえだと思う。だから法務大臣としては、もっときぜんたるお考えがあってしかるべきだと思う。私はこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/20
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021・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 重ねて申すようでありますけれども、きぜんたる態度を御要求になりましたが、私といたしましては、法の許す範囲内におきましては、どこまでも徹底的に検察の仕事を進めていきたい、かように考えております。ただ、過去の事例において、せっかく苦心をして捜査検挙したものが全部許されてしまったということに対する検察当局の仕事に当った者の間に失望があるというようなことは、これは想像にかたくありません。しかしながら、そうだからといって、これからこの方の検察事務について熱意を欠くというようなことでありますると、これはまた重大な問題でありまするから、それは十分検察当局を督励いたしまして、そういうことのないようにいたしていきたいと考えております。要するに私といたしましては、法の許す限度におきまして仮借することなく、捜査、検挙をいたすような根本方針をもちまして検察当局に臨んでおるということだけをこの際明らかに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/21
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022・藤原道子
○藤原道子君 法務大臣としては、この選挙違反をこの中に包含しない方が好もしいとか何かぐらいなことは一言えないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/22
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023・大川光三
○大川光三君 議事進行。ただいま藤原委員からのお尋ねもございましたが、私先に発言いたしましたように、恩赦は法の尊厳と裁判の神聖とを維持するというこの線で考えるべきだということを伺い、その意見も伺ったのであります。しかし、ここでその恩赦の、来たるべき恩赦の内容を発表される場所でもなければ、その時期でもないと私は考えまするので、恩赦はよろしくそのときどきに直面して、こういう内閣の権限と責任で行うべきものであって、あらかじめその内意を漏らされるものではないという見解でございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/23
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024・藤原道子
○藤原道子君 今私は大川さんの言われたことはわかるのです。わかるのですけれども、非常に悪い方へ悪い方へ行く空気が伝えられておりますので、法務大臣の決意ぐらいは聞きたいというつもりだったのです。あなたのおっしゃることは、法理的にはそれが正しい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/24
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025・青山正一
○委員長(青山正一君) 法務大臣は二時から予算委員会に出なければならぬ関係上、一松さんにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/25
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026・一松定吉
○一松定吉君 今の恩赦の問題ですが、今藤原さんと大川さんの意見が食い違っているようですが、私は、自分が法律家として、大川君の御意見が正しいと思うのです。それは、なるほど恩赦を見越して選挙違反をやるというようなことは、それは悪質です。ところが、これは選挙違反に限りませんよ。恩赦を見越して強盗をやる、恩赦を見越して詐欺をやる、恩赦を見越してわいせつ行為をやる、それは恩赦を見越してやったのだから、同じ趣旨において、これらの者は恩赦に浴せぬという態度を取るなら、これは趣旨が一貫していますよ。しかし、恩赦を見越してやるということを選挙違反だけに限って、お前方は恩赦を見越してやったのだから、これは恩赦の恩典に浴しないのだということをやるということは、これは筋が通りません。それはもう藤原さんの意見も聞きましょうが、恩赦を見越して私がわいせつ行為をやったらどうなりますか。(笑声)恩赦を見越して窃盗をやったらどうなりますか。恩赦を見越して詐欺をやったらどうなりますか。同じことです。のみならず、この恩赦は、いわゆる憲法第七条によって規定してあるところの天皇の大権行為であって、御承知の通りに、いわゆる助言と承認によってやるものだ。それを今法務大臣が、これは恩赦をあらかじめやらぬのだというようなことは、この憲法の規定からしても、法務大臣としてはそういうことは言えないのじゃないか。今ここではね。憲法第七条の規定で、内閣の助言と承認によって、天皇が第七条の六の大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除、もしくは復権の認証をするということなんですから、それを法務大臣に、あなたの意見をここで言えというようなことは、これは私は少し無理だと思う。法律家でないあなたにそんなことを言うのは失礼だけれども、(藤原道子君「いや、いいですよ」と述ぶ)だからこれは法務大臣のお答えがいいと思うのであるが、ただ藤原さんその他の言う、あなたの言う、恩赦を見越してやるというような悪質な者に対しては、私はこの恩赦のうちの、第七条の第六項の大赦というものは、もう全部やるのだ。これは悪質であろうと、何であろうと、皆やるが、今度は特赦ということになると、個人々々の一人々々についてその犯罪の是非を検討して、これは一松のやり方は悪いから、これは恩赦はやらぬ、藤原という昔のやり方はいいから恩赦にしよう、同じ選挙違反でもこういうふうにやれるのですから、そういうふうな処置をやれば、これは今の世の中の非難はのがれることができようと思うが、あの牧野君が選挙違反を全部をやってしまったということが非難になったのだから、そういうことに十分の御注意を願って法務大臣のお考えのように、慎重にお取り扱い相なるがよろしいということは、私も大川君と同じ意見でございますから、私の意見だけを申し上げて今法務大臣のおっしゃることが、今私の申し上げた七条の六の大赦、特赦、減刑、このうちの特赦とか大赦ということについて、個人々々の犯罪関係で、適当な処置をおとりになるということの法務大臣の御意見ならば、法務大臣も発表はできようと思うが、恩赦をお前はやるかやらぬか、(藤原道子君「いや、そこまで言っていない」と述ぶ)その点については私は藤原さんと少し意見を違えておりますから、法務大臣のこの点に対するいま一度の御発言の上に、御退場願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/26
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027・藤原道子
○藤原道子君 ちょっとその前に。私は確かに一松さんの言うように、正しい点もあるし、正しくない点もある。私は選挙違反はわいせつ行為や、強盗、窃盗と違う。強盗、窃盗は大赦があるとか、恩赦があるとかないとか考えてやっているのじゃない。ところが、今の選挙違反のときには、それを見越して違反しているというところに相違点がある。私は法律家でないからわかりませんが、常識的に判断すると、そこに私は相違点があるわね。そういう考え方です。で、大臣がここで何も恩赦をやるとか、やらないと言うことは必要ございませんよ。けれども、天皇が御自身でおやりになるのではなくて内閣の助言によって行われる。従って、これをやるかやらないかは、あなか方の方に重大な責任がある。私の解釈はこういう考えで、ただその点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/27
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028・一松定吉
○一松定吉君 委員長、ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/28
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029・青山正一
○委員長(青山正一君) 法務大臣に対する質疑だけにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/29
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030・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) やはり同一趣旨のことを繰り返してお答えすることに相なるのでございますが、皇太子御成婚の際に、果して恩赦が行われるかどうか、まあかりに行われるとしてその範囲はどうかというようなことにつきましては、先ほど大川委員からの御発言に、私が共感であると申し上げた通りでございまして、まだ先のことでございますから、私の個人の考えを今ここで申し上げるということは、これは御遠慮すべきだろう。そのときの責任者がそのときの考えによって助言、承認、こういうことをすべきだと考えております。
ただ、私の基本の考えといたしましては、恩赦ということは、裁判の手続、あるいは法律の命じておるその手続に対して非常な例外措置をすることでございますから、慎しんでやらなければいけない。ことに恩赦のうちでも、大赦令のごときものは、非常な総括的なこれは免除でございますから、特に注意をしてやらなければいけない。かような基本の考えに立っておるということだけを申し上げるにとどめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/30
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031・青山正一
○委員長(青山正一君) この問題はこの程度にとどめます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/31
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032・青山正一
○委員長(青山正一君) 次に、売春防止法の一部を改正する法律案、婦人補導院法案を一括議題といたします。両案は、昨六日、本付託となっておりますから、この際申し添えておきます。
前回に引き続き、質疑を続行いたします。御質疑の方は御発言を願います。なお、当席には、横川法務政務次官、竹内法務省刑事局長、渡部矯正局長、福原保護局長、尾村公衆衛生局環境衛生部長、藤原総理府総務副長官、こういった方々がお見えになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/32
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033・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 法務大臣お急ぎのところでございますけれども、きょうは二点だけについてお尋ね申したいと思っております。
今度の売春防止法の一部を改正する法律案の一番盲点としておりますところは、申すまでもなく、この単純売春が許されているということなんでございますが、それにつきまして、法務大臣の御意見を伺いたいのでございます。この単純売春が許されて、これからは、まあ道路では売春は行われない建前になっておりますが、一歩家の中へ入れば、その単純売春はこの売春法からのがれている。そこで、私は、これから一番問題になることは性病の問題ではないか。この点についてどういう御処置がございますでしょうか、どうでしょうか。特に私が心配しておりますのは、この家庭に性病が非常に入っていくおそれがあるという点なんでございます。でこの点はゆゆしいことで、私どももだいぶこの単純売春の問題につきましては、審議会でも研究もし、議論もして参りましたのでございますが、結果はやっぱり世界とともに単純売春は許されることになっておりますが、この非常に重大な点について、まだ一度も法務大臣の御意見を伺ったことがございませんから、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/33
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034・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) 売春を禁止して、そうしてわが国の社会史上にも今度画期的な変革を持ち来たすわけでございますが、これはこの面ではまことにけっこうでございますけれども、その半面、そのために性病が蔓延するというようなことになりますと、国民体位の向上の上からいきまして、これはまたゆゆしき問題であると考えるのでございまして、この公娼制度が許されておりましたこの長い間におきましても、日本は公娼国と言われて、国辱であるという観点から、公娼より、同じそういうものを認めるとしても、大目に認めた私娼がよくないか。それからまた、公娼のような集娼よりは、散娼がよくないかというような議論がしばしば日本でも研究されたわけでございますけれども、ただその際いつも問題になりましたのは、この性病の蔓延でございまして、これを私娼にし、散娼にしたならば、この性病の蔓延の関係におきまして、おそるべき弊害があるというようなことで、公娼はいかにも国辱であるけれども、どうもこの点が心配だからというようなことで続いてきたようなふうに私は考えております。この点は、公娼廃止のこの売春防止の新しい法律を作る際にも非常に心配されたことでございまして、これは御承知のように、まあ主として厚生省で担当いたしておることでございまするので、たとえば、今度赤線、青線地帯の婦女子を解放するという際にも、この性病予防については国費をもって相当の措置をとるようでございます。しかし、そういう集団的の場合は処置をとるのに簡単でございまするけれども、散らばって後になお、散娼として隠れてそういうことが行われておるという場合に、どうしてこの点の清掃作業をするかということが非常にむずかしい問題でございまして、この点は、厚生省でとくと研究いたしておるようでございますが、厚生委員会でも問題になっているようでございます。非常に厚生大臣も心配をいたしております。
一応の考えを申し上げましたが、あるいはその点につきましては、厚生省の側から出席をいただきまして、そうして詳しく今日やっておること、また、将来考えておることの御説明をいただいた方がよろしいかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/34
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035・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 性病の予防につきましては、今日厚生省の方からも御出席あるはずでございますから、後ほどこまかい点について伺いたいと思いますが、ただ単純売春につきまして法務大臣の御意見が伺いたい。単純売春の取扱いについて、そうしてこれはもうやむを得ないからこのままの様子が進む、あるいはこれはもっと研究して純潔という点について、もっと何かの方法を研究しなければならぬとお考えになっておりますか。あるいは今の法律通りに単純売春を野放しにしていらっしゃろうという御意見でしょうか。そこを伺わしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/35
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036・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) この点は、売春防止法制定当時に非常な議論になったところでございまして、結局において、現行法のような結論に落ち着いたわけでございまするけれども、よく考えてみますると、単純売春というものが野放しになっておって、そうして果して真に売春防止の目的を達し得るかどうかということについては非常な疑問があると思いまするから、将来単純売春に対してどういう法的措置をとるかということにつきましては十分研究しなければならぬと思いまするけれども、しかしまた、一つには、この売春防止というような社会的の重大問題を、ただ法律で、こういうことをやれば処罰するぞということを書いただけでは、とうていこれはその目的を達しないと思うのでございます。そこで、私は現行法が一応正しいと考えております。何分にも長い間なれてきておりましたことを画期的にここで変革しようというのでございますからして、まず現行法程度で法律で処置をする、そのほかはあるいは社会道徳とか、あるいはいろいろの貧乏追放のための経済施策とか、いろいろのことをあわせ行いまして、そうしてその結果を見まして、その上でまだ法律が足りない、もう少し法律で強く取り締った方がいいというような情勢がございますれば、その際にはまた立法措置を考えなければならない、とりあえずはまず、法のあるままを忠実に実行いたしてみまして、その成績によって第二段の措置を考えなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/36
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037・青山正一
○委員長(青山正一君) 先ほどの政府委員のほかに、最高裁から菰淵家庭局長、江里口刑事局長、労働省から鈴木労働基準局監督課長、三人のお方がお見えになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/37
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038・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今最後に大臣がお触れになった点について、私も第二点としてお伺いしたと思っていた点と合致しておりますが、これはこういう法律が作っただけで、この法の威力で売春行為を日本全体から追放しようといってもとうていできないことで、それよりももっと大事なことは、私は、これは教育によって、根本的に教育問題で長くかかっても解決しなければならないのじゃないかということをいつも思っているのでございます。
そこで、私は大臣に伺いたいことは、一体この性教育あるいは純潔教育、性道徳の問題といったようなことは、これはむしろ法務省の問題というよりも、この文部、厚生、労働、その各省が一致して私は当っていただかなければ絶対にこれは解決はむずかしいだろう。たとえ遅々として進むことを予期しながらでも、これはむずかしいことだろうと思う。そこで私伺いたいのは、一体そういう点について、その点私総理大臣に伺う方がほんとうのようにも考えますけれども、きょうは法務大臣に伺うのでございますが、一体内閣で今までそういう研究あるいは各大臣、ことに担当大臣と思われる大臣がお話し合いでもなさったことがございましょうか、どうでございましょうか。今申しました教育問題はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/38
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039・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) この売春防止法の目的を完全に達成いたしますためには、今御意見のありました通り、根本は教育であろうと考えております。この関係のある婦女子が人間としてのとうとき、尊厳に目ざめましたならば、いかに経済的の必要がございましてもこの面に走ることが相当制約を受けると思いますから、根本はもう教育と考えております。さらに厚生省の方面におきまして保護更生の道を講じて、そうしてかような世界へ入っていく婦女を救うということが第二段に大切なことでございましてそれでもかなわずに、ついに罪を犯すような者がありましたときに、やむを得ず私どもの方で、いわゆるこの法律上のいろいろな手続をとるのでございますが、ここまで参りますれば、もうすでに末であろうと考えるのでございまして、根本はどこまでも厚生省、労働省、さらに掘り下げれば文部省の仕事にもならなければならないと考えております。この点について何か相談したことがあるかということでございますが、文部大臣まで交えての会合はございません。これは閣議においていろいろ相談をいたしております。昨年来、さしずめこの売春防止法完全実施を前に控えまして、そうして私ども関係閣僚、厚生、労働、大蔵に私などが集まりまして、一体どうしてこれを根本的に解決するかということの会合をしばしばいたしておりますし、私が申し上げるまでもなく、売春対策の審議会は今内閣に置かれておりまして、ここで総合的にこの問題を研究し、その解決策を立てていく、こういう建前をとっていることは、もう御存じの通りでございます。今後も、こういうような内閣の総合政策でこの問題を解決していくというような考え方を持って参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/39
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040・赤松常子
○赤松常子君 関連、この前の法務委員会でも、この点は私はお尋ねしたと思うのでございますけれども、今大臣のおっしゃいましたように、ほんとうにこれは大きな社会の大改革でございますから、一省々々でこれを単に対処していくということでは足りないのでございます。今法務大臣おっしゃいましたように、内閣に売春対策審議会がございますが、これを何らかの改正を加えて、もっと幅広くですね。各省に呼びかけてそうしていろいろな角度から総合的にこの売春防止法をより実効あらしめるようにしていく、そういう機関の必要ということをこの前に私、竹内刑事局長かにお尋ねしたと思うのでございますけれども、今、売春対策審議会のその改組、これを私本格的に取り上げて、起るであろういろいろな犯罪、それから性病の予防の対策をすべきではないか、あるいは文部省を初めとして全国の婦人会、PTA、あるいは各種民主団体に呼びかけて、こういう法律の普及徹底ということをはかるべきではないか、民主的な教育の徹底をはかるべきではないかと、そういう常設的な対策を立てる機関というものがほしいと思うのでございます。いかがでございましょうか、ちょっと御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/40
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041・藤原節夫
○政府委員(藤原節夫君) 売春対策審議会のことについての御質問でございますので、私からお答えを申し上げますが、おっしゃいますように、売春対策はいよいよさらに強力に実施しなければならぬ段階になっております。従いまして、この総合対策を一そう能率を上げなければならぬということもおっしゃる通りでございます。で、売春対策審議会をさらに拡充するということについてどうかというお話でございますが、この売春対策審議会そのものは、売春対策についてあらゆる面で調査をし、研究をし、審議をするという非常に広い権限を持っておるものでありまして、従来もこの法律の制定、あるいは今日に至りますまでの段階においていろいろと御活動は願っておりますが、さらにこれをもっと強力に、あるいは今おっしゃいますようなほとんど常設的な機関のような働きをさせたいという点につきましては同感でございます。ただ、審議会の委員の方々に毎日お集まり願って毎日御相談願うというわけにも参りませんが、重要な事項につきましてはひんぱんに会合もいたしますし、また、この下部機構といたしまして、関係各省の責任者が幹事会を形成しておりまして、これは常に連絡をとりまして総合対策を立て、これを実施する、実施の面は何と申しましてもそれぞれ各省の主管になっておりますので、ただそれがちぐはぐになりませんようにいたし、また、能率が阻害されませんように絶えずこの幹事会並びに事務機構といたしましては内閣の官房の審議室が当りまして、遺憾なきを期しておるようなわけであります。御趣旨の点は全く同感でありまして、そういう御趣旨に沿うような運用をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/41
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042・青山正一
○委員長(青山正一君) 大臣に対する質問はなるべく早くするように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/42
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043・赤松常子
○赤松常子君 ではまたそちら様にもう少し申しますけれども、今おっしゃいましたような御趣旨、よくわかりましたが、それを推進するにもやはり法務省当局が中心になってそういう常設機関の設置、あるいは予算を伴うものと思いますが、そういう推進を一つ法務省が中心になっておやりいただきたいと、私、締めくくりの意味で法務大臣にもう一度要望申し上げ、御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/43
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044・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) この問題はまあだんだんと御意見のありました通り、もう社会的の非常な変革でございまして、単なる一片の法律で解決できるもんではございません。従いましてこの大問題に取り組むのはこれから、四月一日からこの大問題と取り組むわけでございまして、法を完全に実施してみまして、そしてどういう結果が出るかということは、何分にも初めての経験でございますから、おそらく行政に当っておるものも予測しないような事態も起るかもしれません。また、熱心に御提唱になりました皆様方も予想されなかったようないろいろの現象が現われるかと思います。従いすして、われわれといたしましては、これらの法実施の上に現われてきたいろいろの事象を参考にいたしまして、そうして関係各省が集まって十分検討し、その結果をあるいは予算に表わすと、最後にはまた法律の改正問題にもなるかもしれませんが、とにかく四月一日から法の完全実施をいたしてみまして、それからそれがどういうように現われるかということについて熱心にこれを研究をいたしまして、調査していきたいと考えております。
所管の問題について法務省が中心になっていくというお話もございますけれども、これはまあそれぞれ各省間の権限がございまして、厚生省とされましては厚生省としてまた重大な役割を持っておりますし、そのほかの省にも関係がございまして、そういうような関係で、結局において各省を総合する意味で内閣で幹事役をとっていただくことは、これはもう当然と思うのでございますが、それにいたしましても、その一員である法務省といたしまして、どこまでもこれは熱心に研究していかなければならない重大問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/44
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045・青山正一
○委員長(青山正一君) 法務大臣に対する御質疑どなたかございますか。
竹内刑事局長も予算がありまして出ましたので、そのかわりといたしまして刑事局から横井総務課長がお見えになっております。また、ただいま厚生省の安田社会局長もお見えになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/45
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046・赤松常子
○赤松常子君 総理府の方にちょっとお尋ねしたいのでございますが、この前からずっとございました売春対策審議会というものの機構及びその運営は、ほぼ存じてはおりますけれども、常任の事務官というものがないように伺っているのでございます。で、こういうことでは、私どもの今要望いたしておりますことは、非常に手抜かりで十分遂行できないと思うのでございますけれども、今までの売春対策審議会はまあ売春防止法を作るということがおもな目的だったのでございますけれど、今度の私どもの要望いたしておりますことは、もっともっと幅広く、先ほどまあ法務大臣も調査とおっしゃったのですけれども、私どもは非常にそれでは手ぬるいと思っておりますし、一段高いところからこの売春防止法の実施上のいろいろな現象、いろいろなその動きというものを把握しまして、そうして常に各省に向って――この名前はどうなりましょうか、審議会といたしましょう。それが常に各省に警告を発し、あるいは問題のポイントを示唆してこの法律の完全に生きるようにしていく、そういう力、権限と申しましょうか、運営と申しましょうか、そういうものに願いたいのであります。従来の審議会程度では不十分だというわれわれの考えでございます。この従来の審議会の運営というものをちょっと御説明願い、さらにわれわれの要望するところと、どういうふうに発展させていくべきか、私ども考えたいと思うのでございまして、その辺のところをちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/46
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047・藤原節夫
○政府委員(藤原節夫君) 今日までの売春対策審議会の運用につきましては、おっしゃいますように、確かに委員は常勤ではございません。まあ非常勤ということになっております。委員の中に衆参両院からお願いしておる方方と、それから学識経験者のほかに、関係各省の官庁の職員、私どもも委員になっておるわけでございますが、法務省、厚生省等からもそれぞれ次官あるいは局長が参加しておるようなわけでございます。その下に先ほど申し上げました関係各省の大体局長級をもって幹事会を組織しておる。これは常時連絡をとっておるわけであります。そうしてその庶務を内閣の審議室、これは専任の担当者をきめまして、参事官がおりまして、これが常時庶務をとり、連絡をしておるわけでございます。内閣審議室というものの機能そのものが御承知のように、各省間の連絡調整という総合機能を持っておるところでありまして、そこがそういうふうに庶務をやります。さらに各省からの局長級の幹事をもって幹事会を組織し、その上に審議会の運営がなされておる、こういう形になっております。
それから調査だけでは不十分じゃないかという御趣旨でございますが、売春対策について調査をし、審議をするということになっておりますが、これは諮問に応じて答申をするほかに、委員会自体が自主的に売春対策に関する意見をまとめまして、これを総理大臣及び関係各大臣に具申をするという道も開いておりまして、今日までにしばしば有意義な意見の具申も行われたわけでございます。今後法律の全面実施に当りまして、いろいろな問題についてこれはこうあるべきだ、内閣としてこうあるべきじゃないか、あるいは厚生省はこうあるべきじゃないか、法務省はこういう点についてどうかというような点、それぞれ御相談の上、意見を具申していただくような道があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/47
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048・赤松常子
○赤松常子君 従来の委員の方々、ここにもいらっしゃいまして、非常に御活躍はいただいておるわけでございますが、こういう委員の方々にさらに各省あるいは学識経験者、民間の方の幅広い分野から出ていただくというような、委員の補充と申しましょうか、そういうことも私考えられていいと思うのでございますし、それから今おっしゃいますように、他に一つの机でもおありになるのでありましょうか、兼任でだれかやっていらっしゃるのでしょうか、専任の方がおいでになるのでしょうか、そういう機構をもっと充実する必要がありはしないか、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/48
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049・藤原節夫
○政府委員(藤原節夫君) 委員の点につきましては、ただいま委員は二十五人ということになっておりまして衆議院議員が六人、参議院議員が四人、それから民間有識者が九人、関係行政機関の職員が五人、それからもう一人最高裁判所の事務次長、こういうものが職責で委員になることになっております。それから先ほど申し上げました幹事の方は、関係のある各官庁の局長クラスがずらっと並んでおりますが、これは二十人以内ということになっております。
そこで今の専任の問題でございますが、この庶務を取りまとめておりますのは、先ほど申しました内閣の審議室の担任参事官がおるのでございますが、まるまる専任というわけには定員の関係上できませんので、多少ほかの仕事もやっておりますが、ほとんどこの仕事を大きな持ち分として今従事しておるわけであります。おっしゃいますように、さらにこれを積極的に運用するためには、そういう事務機構あるいは管理の機構を充実するということは望ましいことだと思っております。ただ今日の定員をもってすると、そういう状況で大体遺憾なく運営しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/49
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050・赤松常子
○赤松常子君 私ここに出ていらっしゃいます委員の方々とも今までの御経験をよくお伺いいたしまして、結局は委員の方の御発意ということがこういうことをより発展させる大きな力になることでもあると思うのでございまして、従来の委員の方々ともよく御相談もしたいと思っておりますが、どうぞ今申し上げますように、機構の改革もできるだけの範囲でやっていただく、それから事務をなさっていらっしゃる方もできるだけ専任にやっていただけるというように、そちらでも許せる範囲でこの充実、発展のためにお考え願いたい、こう思う次第でございます。またこのことにつきましては、委員の方々ともよく御相談申し上げて、お尋ねもし、御要望もしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/50
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051・青山正一
○委員長(青山正一君) 藤原さん、ちょっとお伺いしたいと思いますが、先ほど御発表の審議会の委員の中に、最高裁はどういう資格の方が委員になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/51
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052・藤原節夫
○政府委員(藤原節夫君) 最高裁は事務次長でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/52
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053・青山正一
○委員長(青山正一君) 事務次長は今欠員じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/53
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054・藤原節夫
○政府委員(藤原節夫君) 欠員でございまして今、一人委員が欠員になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/54
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055・青山正一
○委員長(青山正一君) そういう際には今どなたがおやりになるのですか、最高裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/55
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056・藤原節夫
○政府委員(藤原節夫君) これは委員としては欠員のままになっておりまして、幹事の方に最高裁は事務総局刑事局長及び家庭局長が幹事に入っておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/56
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057・青山正一
○委員長(青山正一君) じゃ私がお聞きするのは、委員の中に――この前最高裁と法務省との間にいろいろ意見の食い違いがあったのも、たとえば最高裁から選ばれておる委員が事務次長で、その次長が欠員であるというようなことになるとすれば、最高裁の言い分が全然委員会には反映しないというような面もあるじゃないかと思うのですが、そういう点はどういうふうに御解決なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/57
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058・藤原節夫
○政府委員(藤原節夫君) これは委員としては欠員になっておりますが、委員会の運営自体、その審議の内容自体の下相談すべてこの幹事会が関与するわけでございますから、委員が欠員になっておるために全然連絡がとれないということはないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/58
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059・青山正一
○委員長(青山正一君) ただ、委員としての発言力とそれから幹事としての発言力というのは会議を左右する上において非常に違うだろうと思うのです。そういう点にどうも私たち多少の疑問があるわけなんですが、その点一つ是正していただくように、特にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/59
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060・一松定吉
○一松定吉君 例の補導院法の補導の方法等について少しだけお尋ねしまして、そうして政府の御答弁をお願いしたいので、私はこの前も申し上げましたように、こういうような犯罪によって罰せられておるところの婦人を補導するということは非常にけっこうであるが、問題は補導の仕方、すなわち、今藤原さんや赤松さんもしくは宮城さんの言われるように、教育的な補導でなければならぬ。それをやるについて、今度の補導院法案を見ると教育をするということも表には出ておるけれども、その実、一室に拘禁をしておいてそうして自由を拘束して強制的にそういうようないわゆる補導ということをやるというようなことがこの規定の上に現われておる。その点について一つ腹蔵ない質問をしてみたいのでありますが、第一、補導するという婦人が執行猶予の言い渡しを受けてその期間そのままであれば外部に出て自由な行動ができ、そうして保護観察に付されたならば保護観察だけで、あとは自分の身体は自由である。しかるにこの執行猶予の言い渡しを受けた者がいわゆる補導処分を受けるということになってくると自由を拘束される。すなわち、補導院に収容せられて、そうして面会、外出時間、文書の授受等が自由にできないというようなことは、これはちょうど拘置所に入れられておる被疑者に対すると同じような取扱いになっておるということを私は、はなはだおもしろくないように思うのであります。あるいは連戻収容状なんかといって、これは一つの令状ですよ、自由を拘束するための令状、あるいは場合によりまして謹慎室に入れて謹慎をせしめる。おそらくその謹慎室に入れて謹慎せしむるというのは、一室に入れていわゆる自由を拘束して、そうして正座でもさせて、そうしてその人の謹慎ということで反省を求めるということになるのですが、これは全く未決勾留の拘置所に入れてやっておるというのと同じようなやり方ではないか、こういうようなことをやっておるということが、果してこの補導という目的を達するかどうか、こういうような点についても一つ遠慮なく、なぜこういうことをしなければならぬかという理由を説明をしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/60
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061・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) お答え申し上げます。
今度の補導処分は仰せのごとく、拘禁する矯正の処分であるわけでございます。と申しますのは、今度のこの手続が刑事手続で行われ、そして執行猶予にさせられました者が補導処分を受けることに相なっておるのでございます。かような趣旨から考えまして、執行猶予の従来の観念から考えますと、執行猶予になった者は裁判の言い渡しと同時にその身柄の拘禁を解かれる、さような処分であったものが、この補導処分というものを付せられるがために、従来ならば執行執予でそのまま帰された者が、収容処分を受けるということになりますと、いかにも何か過酷な処分であるかのような感を受けるのでございます。この点につきまして、私考えますのに、この執行猶予の処分と申しますのは、申すまでもなく、これは刑の執行猶予されるわけでございます。この刑の執行猶予されます者につきましては、本人の犯状、情状等を裁判の際考慮せられまして、本人の更生の望みが確然と認められる、再びかような間違いはしでかさないということが保証せられました場合に、この刑を執行するまでもないというところから、この刑の執行が猶予せられることに相なるわけでございます。今度のこの五条違反の対象者につきましても、かようにうちへ帰すことによりまして、本人が検挙せられ裁判を受けることによりまして翻然と悟り、ほんとうにかような間違いを再びしでかすことのないということが明らかになりました場合には、これはもちろん従来の裁判と同様に、執行猶予の処分に付せられまして自宅に帰され、そうして更生の道をたどる処分が付せられることと存ずるのでございます。しかしながら、この本人をただうちへ帰す、従来の環境に帰すことにいたしましても、再びかような間違いをしでかすという担保がどうしても得られぬという場合にはどうなるかと申しますと、先般の刑法の改正によりまして、この保護観察処分というものをうしろだてといたしまして、この保護観察に付することによりまして、本人が再び罪を犯すおそれがないというこの担保が得られましたときには、この刑法の本規定によりまして保護観察に付することによりまして、刑の執行猶予せられる処分が行われることに相なるわけでございます。しかしながら、今度のこの五条違反につきましては、この保護観察によりましても、まだ本人の更生の予期ができない、まだそれだけでは再び犯罪を犯すおそれが十二分に看取されるというような場合には、従来の法制でございましたならば、やはり実刑にいかざるを得ないと私は考えるのでございます。しかしながら、今度のこの補導処分が行われることによりまして、従来ならば刑務所に行かなければならなかった人たちに対しまして、今度はさらに強力な国家の収容施設に入れまして、そうしてそれを矯正教育を施すことによりまして、本人の将来に対する更生が望まれるという場合には、この場合には、さらにこの執行猶予の範囲が広くされまして、さような人に対しましてはさらに刑の執行を猶予しまして、そうしてその補導処分によって本人の更生を期していこうという道が開かれたことに相なるわけでございます。従いまして、この執行猶予の範囲が従来の観念からいたしますると、非常に五条違反の対象者に対しましては広く適用せられることに相なるわけでございます。従いまして、本来うちへ帰してもすぐさま更生を予期せられるような人たちに対しましては、かような補導処分は行わるべき性質のものではないのでございます。従いまして、従来のような執行猶予の対象者にはかような補導処分は行われないのでありまして、従来の観念からいたしますと、刑務所に行って実刑に課せられなければならないような人たちが、この補導処分をせられることによりまして、執行猶予の恩典を受け、そうして将来の更生の道が開かれるということに相なるわけでございまして、この点はこの五条違反に対しまする対象者に非常に大きな更生の機会を与えられる非常な利益の処分がここに開けたことになるわけでございまして、この意味におきまして、この補導処分が非常に大きな画期的な制度だということがいわれると好ずるわけでございます。ただ、ただいま申しますように、本人をそのままにいたしましては更生を期し得られない、また、もとの売春行為に陥るおそれのある人たちがここに入れられるわけでございます。従いまして、そのままに本人の自由な状態に置きましては、その目的が達せられない。従いまして、その人たちをこの補導院に一応とめまして、そうしてこれに矯正教育を施していかなければならないわけでございます。従いまして、その本人たちを矯正教育の線に乗せていくために、やむを得ず本人の自由を拘束せざるを得ないのでございまして、その矯正教育を施すに必要な処分として、この自由の拘束ということが行われるわけでございます。しかしながら、この補導処分はただいま申しまするごとく、本人の更生を期するための矯正教育を目的といたすものでございまして、決して本人をどこまでも社会から隔離するということが目的ではないわけでございます。矯正教育効果をあげるために、やむを得ず行うわけでございますので、本人がその気持が落ちつきまして、矯正教育の線に乗っていく段階になりましたならば、この身柄を拘束する――自由を拘束する必要はなくなるわけで、従いまして、さような段階になりますれば、なるべく本人たちを自由な立場に置きましてそうして、より一そうこの教育効果をあげていこうということのねらいを持っておるわけでございます。従いまして、この収容の六カ月の期間が進むに従いまして、本人の拘束の程度はだんだん緩和せられまして、場合によりましては、十四条にも規定がございまするが、外部への職業補導のために通勤を許すというふうなことも取り入れまして、できるだけ期間の進むに従いまして開放的な処遇をして、教育効果をあげていこうというのが本処分のねらいに相なっておるわけでございます。従いまして、刑の執行猶予の本旨というものとは決して背馳するものではなく、また、本人の補導処分の進むに従いまして、拘置所とは異なりまして、自由な処遇を大いに取り入れていこうというのがこの法案の骨子でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/61
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062・一松定吉
○一松定吉君 大体よくわかりましたがね。そうすると、あなたの今の御説明によると、売淫行為をして罪に問われた第五条の違反者は、あまり実刑を課さなくても、将来改俊の情が顕著に認められるような者は、執行猶予を言い渡して、補導処分をしない。どうもこれは少しく監視しなければ改俊の情が認められないで、また、再び罪を犯すようなおそれのあるという者に対しては、実刑を課しては気の毒だから、執行猶予を言い渡して、そうして補導院に入れて補導して、改過遷善の実をあげたいと、こういう趣旨で申されたのであります。それならば、そういう点が、この売春法の第十七条に明らかにこれが認められているといいのだけれども、第十七条の規定は、「第五条の罪を犯した満二十才以上の女子に対して、同条の罪又は同条の罪と他の罪とに係る懲役又は禁錮につきその執行を猶予するときは、その者を補導処分に付することができる。」とあって、改過遷善の実のあるような者でも、すぐに補導処分に付することができるような概括的な規定に十七条はなっているのだね、これは。今あなたのお説のように、どうも、煮ても焼いても食えないような者は実刑を課してもいいけれども、実刑を課してもつまらないから、執行猶予を言い渡して補導処分をするということはよくわかります。それが十七条の規定に見えないから、もしそういう御趣旨であるならば、そういう趣旨のことを、運用に当る人に十分頭の中に打ち込んでいただくような、何か規則とか何とかというものをこしらえて、もしくは裁判官の参考になるような方法でも作って、ごく軽いような者であれば、これは執行猶予を言い渡しをして、そうして監視の規定も援用しない。そうでない者は、昔の監視の規定のようなことをして行動を監視して、そうでない者は補導処分をする。補導処分にするのは、どうしても煮ても焼いても食えないような者で、どうしても煮ても焼いても食えなくて、補導処分にしてもだめだという者に対しては、やむを得ず実刑を課するというような三段階か、四段階かに分けて運用のできるような方法を一つ考えてもらいたい。そういうようにしないと、あなたの御説明だけでは、裁判官が必ずしもその通りするかどうかはわからぬので、その点を一つ明らかにして、この運用の誤まりなからしめるようにしていただきたいということを私は御注意申し上げておきます。
その次に一つ、謹慎室に入れて反省させるということは、こういうことは具体的にこういうような方法をするのだ、一室に監禁して正座せしめて、そうして全く自由を拘束してしまうというようなことでなくて、改過遷善の実をあげるように、どうする、こうするというように、具体的にやはりきめていただいて、謹慎室に入れて処置する具体的な方法を一つ明らかにしておいていただきたいということを希望しておきます。
それから、のみならず、私はこの補導院法の全体を見ると、どうも拘禁性が非常に強いのだね。これの運用についてはわれわれはよほど心配をしておるのですからして、こういうことを一つ緩和して、刑務所や拘置所に留置しておるというのじゃなくて、ほんとうにこれは教育のためにやむを得ずしておるのだというような運用のできるように、緩和するような解釈か何かを一つ出して誤まりなからしめるようにしていただきたいということを特につけ加えておきます。
最後に、ただ一つ第七条のいわゆる身体検査ですね。これは過般申し上げたような方法に一つ考えてやっていただきたい。これには血液検査と尿の検査だけでは目的を達せぬというような学説も近ごろあることを聞きましたが、もうこれは、やはり血液と尿の検査をやらなければいけない場合もありましょうが、できるならそういうような方法で、一つ局部の検査なんかやめてもらうようにして下さい。この点についても一つ御考慮を願いたい。
最後に、死亡者の遺留金品を、遺族の請求があれば交付するとあるが、請求がなければ交付せぬというように法文解釈上からは見えるが、請求があってもなくても、死亡者があって、その死亡者の遺留金品があったならば、その遺族を探して遺品を還付できるような方法をとるのがよかろうと思いますが、その点も一つ御考慮を願いたいと思います。
私はこれだけのことを希望を付して申し上げておきますが、何かこれに対して御意見があれば承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/62
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063・横井大三
○説明員(横井大三君) ただいまの、最初に仰せられました執行猶予だけで足りる者、あるいはどうしても実刑にいかなければならない者、あるいは補導処分が適当と思われる者というようなものの区別につきましては、ただいまお話しの通り、われわれとしましても、検察側におきまして十分留意いたしまして、全国の検察庁がただいまの御趣旨に沿うような運用をいたしますように、全国に趣旨が徹底するように計らいたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/63
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064・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) ただいま一松委員の御指摘の点につきましては、われわれといたしましても、運用上十分注意してやらなければならないことでございまして、実はまだこれには細目、処遇の規則を定めるのでございます。その処遇規則を定める際に、ただいま仰せの御趣旨を十二分に取り入れまして、間違いのない運営をいたすようにいたしたいと思っております。
なお、この謹慎室の点でございますが、われわれもこの点非常に、一番大事なことは時期だと思っております。間違いをしでかしまして、そうして本人に反省を促す際、これが私はこの矯正教育の一番重要な時期だと思っております。この時期にほんとうに親身に、いろいろとその事情を聞き、そうして本人の反省を促すことが、これは矯正を促すための一番大切な時期であり、これを見のがしてはとうてい更生というものを期し得られないと思っております。この点は十二分に御趣旨を体しまして、この謹慎、懲罰の実施ということについてはやりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/64
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065・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 矯正局長にお伺い申します。今日、私は局長に対していたしたい質問はたくさんございますけれども、その前に、先ほどから一松委員の問答の際に、補導院に悪質な者を入れるということがございましたが、一体悪質な者というのは何でございましょうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/65
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066・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) これは結局売春の常習性の高度な者ということにならざるを得ないと存ずるわけでございます。それも何べんも、いろいろと今まで許されました人が出ております。それにあらゆる手段を講じ、まあ一番最初はこの厚生省の更生保護の線にのって本人の更生を促すことになると私は思います。それでもその目的を達せられない、さらに保護監視の手段を講じ、本人の更生を促す、それでもまだ本人の売春の常習性をぬぐい去ることができない、こういうふうな人たちが結局この線に上ってくる人たちではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/66
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067・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そういたしますと、悪質という者は売春の常習者であって手をかえ、品をかえやって見ても、また行うという者をもって悪質というようにおっしゃるのでございますね。ところが、私が過去十年間、売春婦と取っ組みましていろいろ全国的に調査しましたことから申しますというと、ほんとうに、昔から吉原へ出る女は少し、まあ昔の言葉なら、ばかだ、つまり知能指数が低いと申しましょうか、そういう者であると言われておりますが、もちろん私はそういう者がいると思っております。それ以外に仕事もないし、興味もないし、楽しみもないといったような女は残念ながら私は確かにあると思っております。けれども、今日もう手をかえ品をかえやってみても、出ていくという中には、私は大部分と言いたい、もうたくさん子供を連れ、親を連れ、ことに戦争で傷ついたような家庭はもう何をしても生活ができないといったような、いわゆるあの手この手で救いの手を伸べましても届かないといったような者が、残念ながら一たんこの売春業に入ってみますというと、これ以上いい収入はない。ここに行くよりほかにないという実にやむを得ず初めはやったところの女性が私はたくさんあると思っております。そうしてその中には子供を連れておりますお母さん方がたくさんおりますことを思いますというと、私はこの売春の悪質の者を、つまり先ほどから御説明なさるような者を補導院に入れるといったら一体その家族はどうすればいいのであろう、私はこの点は幾ら言っても出てくる、仕事はする、かせぐといったようなものの、もしも私の言葉が過言かもしれませんけれどもお許しをいただけるなら、それは気の毒なお母さん方が多い。そのときにあなた方はそういう者を、たびたび町に出てくる、たびたびかせぐからこれは悪質と思って補導院に入れようとなさるのですか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/67
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068・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) これは具体的な事案につきましては、あらゆる角度から検討せられましてその判断が行われなければならないと思っております。で、あるいはただいま仰せのような場合、どうしても補導院に入れなければならないような事案もあるいは出てくるのではなかろうかと思われます。これはただいま仰せのごとく、さような人たちに対しまして尽すべき手段はいろいろあると思います。あると思いますが、その手段によりまして目的を達せられることならば、私はそれで目的を達するように指導していくべきだと思うのでございますが、ただいま申し上げますように、さようなほかの手段ではどうしても目的を達し得られない場合が起ってきました場合には、補導処分もまたやむを得ないのではなかろうかというふうに考えるのでございますが、しかしながら、その場合にいかにしていくか、それならば子供たちの処遇をどうしていくかという大きな問題にぶつかるわけでございますが、これはこの際におきましては、ほんとうにあらゆる角度からの施策の手を伸ばしていかなければならないのではないかと思います。あるいはさような人たちを私も宮城委員のお気持と同様に入れたくはありません。入れたくはございませんが、どうしても入れなければならないような場合がもしも起って参りました場合には、さような子供たちの処置につきましては十分厚生省で、あるいは託児、児童の収容所とか、まあ設備も充実して参っておりますので、あらゆる角度からさような救いの手は差し伸べられて、そして本人の更生をあらゆる角度から確実にしていくように施策が講ぜられなければならないものだと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/68
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069・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 この点につきまして、悪質という言葉をお使いになりましたが、これをもう少し私は研究していただきたいと思っております。
それから今の問題と引き続きまして、この十七条にもございますけれども、「在院者の子で一才に満たないものについて、やむを得ない理由があるときは、これを適当な保護者又は児童福祉施設に引き渡すまでの間、婦人補導院内で保育させることができる。」私はよく申しますけれども、一生のうちで、一番感受性の強いのは一才半前後だと、これは外国の学者が言っていることで、日本で言われていることじゃございませんけれども、とにかく感受性の強いという一才前後のものを母親がやむにやまれない生活苦のために、つまり子供を連れてもうともに親子心中するよりほかない、それよりも売春という道があるではないかと教えられて売春窟に行ったというような母親も実際あるのです。そういうものに対して、一才前後の一番大事な時期に、それでも補導院に連れていかなければならないか、この点に何かお考えはないでしょうか。私どもの審議会でも幾分問題になりましたけれども、法務省はこの法案を作るについて何か一体議論がありましたでしょうか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/69
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070・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 第十七条の保育の規定でございますが、御設例のような場合には、なるべくかような対象者に対しまして、この補導院へ送るというようなことはやるべきものではなかろうかと思います。思いますが、しかし、ただいまも申し上げますように、ほかの処置であるとどうしてもその目的を達することができない。何べんも何んべんもどうしてもやって来る。そうしてそれはほかの手段ではどうしても更生が期し得られないという場合には、さような婦人を補導処分の対象としてやむを得ずこれは送るような場合もあり得るのではなかろうか。その場合に、それでは子供の処置をどうするかという場合に、これもお説のごとくに、さような収容施設で子供を養うということは望ましいことではございません。望ましいことではございませんが、ほかに手段がありません場合には、やはりこの子供を養育せざるを得ないわけでございます。さようなやむを得ない措置の、どうにもこうにも手段のほかに考えられないときが起り得ることを予測いたしまして、この規定を置いたわけでございます。その点御了承のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/70
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071・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 くどいようでございますが、私は今度のこの法律が実施されまして、実際町でうろうろして、しかもそれはつかまるというようなのは、悪い言葉だけれども、ばかのような女であろう。そうでなかったら、いなかからひょっと出てきて法律も何も知らない、手当されておることも知らない人たちがうろうろしてつかまるのだと私は思う。この子供を連れましたお母さんというような、しかも一才前後の子供を連れたというようなお母さんが出るというのは、ほんとうに生活苦のために私はもうやむにやまれないで出て行くものだと思っております。そういうものを補導院に入れる、子供も補導院に入れて、そのために実に子供の一生涯を棒に振るようなことはこの際許されないことと私は思います。どうぞもう少し、売春婦の実態をあなた方の方で研究していただきたい。生活できれば、こんな子供を置いてお母さんが町に働きに出るというようなことは絶対にないと私は思う。しかし、背に腹がかえられない場合は仕方がない。私どもはその手を打たなければなりません。それは私は補導院に入れることではないと思います。その点は何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/71
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072・横井大三
○説明員(横井大三君) いかなる場合に補導院へ入れるかという御質問がございまして、悪質という言葉を矯正局長がお使いになりました。悪質という言葉は、はなはだ考え方によりましてはいろいろにとれる言葉でございまして、あるいはこの場合に適当な言葉でなかったかと存じますが、要するに、売春の原因というのは非常に複雑でございまして、今宮城先生のおっしゃいましたような、もうほかの生活手段がなくなってやむを得ず生活のために売春をやる、街頭に出るという者が数多くあると、しかもそれらの者が子供をかかえ、あるいは病気の主人をかかえておる、親をかかえておるという者が非常に多いということもわれわれ存じております。従いまして、もし単純に、単純といっては語弊がございますが、生活苦のための売春、何らか生活上の援護を与えれば売春行為に当る心配がない、こういうものにつきましては、われわれはかりにこれらの人が捜査線上に浮び上りまして、検察庁に参りましても、できるだけ刑事手続による措置でなく、検察官の手元におきまして起訴猶予にいたしまして、そして厚生省なりその他の援護の手にまかせたいというのがわれわれの希望でございますので、ただいま仰せられましたような、ぎりぎりの線の者につきましては、多分全国の検察庁におきまして、あえて起訴して補導処分を求めるという方法をとらずに、経済的な援護の手によって救うと、こういう方向に参ることと信じております。ただ、万が一そういう者が出ました場合のことを考えられまして、この補導院法には、こういう異例の規定が置いてあると思うのでございますが、われわれの望みといたしましては、こういう規定の働かないことを念願しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/72
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073・青山正一
○委員長(青山正一君) 安田社会局長は、予算委員会からも出席要求がありますので、三時二十分までにこれは退出しなければならないので、安田社会局長に対する質疑は一つ先にお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/73
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074・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それでは矯正局長への質問はあとにいたしまして、安田局長にちょっとお願いいたします。先ほど法務大臣にちょっと質問いたしたのでございますが、単純売春が許されたというような、これはまあ長い間すったもんだやってとうとうこういうことになったのでございますけれども、それについて、私はまあ就職口がなくなるということは、実際世界的に見ても必要なことでやむを得ない、そこで単純売春が盛んに起ってくる、そうすると一番問題になることは、私は性病の広がってくるということだろうと思っております。それについて、ことしの厚生省の予算もはなはだ貧弱なことでございまして、まあその予算内でいろいろやっていただきたいという注文をつけることも心苦しいのでございますけれども、一体性病予防、非常に私はこれは家庭に入ったら大へんだと思うし、また、家庭に入る率が多いと思う。それでそういう点について 一体厚生省はどういう手当をしようと、三十三年度の御計画にございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/74
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075・安田嚴
○政府委員(安田嚴君) 担任の公衆衛生局長の方の仕事でございますけれども、私からかわってお話しをいたしますると、大体明年度は六千万円ばかりの予算を組んでおるわけでございます。三十二年度におきましては、宮城先生御承知のように、転廃業いたします者を、やめる直前に検診をいたしましてそして全部、もし性病を持っておりましたならば、それを無料でなおすという処置をとっておるわけでございます。そうすることによりまして、その売春婦が社会に帰りまして、そういった病気をまき散らすということを防ぎたいという趣旨でございます。愛知県等を例にとりますというと、約二千二百五十名ばかりの売春婦につき検査をして、大体一八%が病気を持っておる、そのうち一四%が梅毒で、四%が淋病であるというような数字が出ております。なお、梅毒につきましては、晩期の梅毒につきましては、その後引き続いて治療を加えております者が七十名ばかりあるという数字を承知いたしております。これがとりあえずの対策でございます。
それから明年度に入りましては、一般的な性病対策をやる以外に方法はないわけでございますので、できるだけ健康診断につきまして、これを励行するようにするということ、それから医師の届出、それから接触者調査――コンタクト・トレーシング、これをやっていく、あとは思想の普及徹底ということでございます。いずれにいたしましても非常にむずかしいことでございます。今後のやはり性病対策は治療ということを中心にしていかなければならない。それにはできるだけ ほんとうでございますと、外国のように、ただでどんどん見てやるということが必要でございますけれども、金の出せる者は出しても、出せない者に対しては少い費用で診療するというような仕組みを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/75
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076・青山正一
○委員長(青山正一君) 皆さんに申し上げたいと思いますが、警察庁の中川刑事部長もこちらにお見えになっておりますが、三時半までに退出しなければならないということですから、御両人に対する御質問は、一つ三時半までに終了するようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/76
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077・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私が聞きましたところによりますと、無料検診は二月一ぱいでもう打ち切りになっておるというようなことでございましたが、その点いかがでございましょうか。まだ引き続いて最後までやって下さるんでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/77
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078・安田嚴
○政府委員(安田嚴君) これはやめる前に、ちょうどいいときにやらないと、あまり早くやりましてまた商売をされるのに、検査をしてなおしてもしようがありませんから、そういう時期が非常にむずかしいわけでございまして、きょうも実は東京のことにつきまして新聞に出ておりましたけれども、時期を逸したために一部の者は検査を受けないで廃業したのではないかということが出ておりますが、そういうしくじりもあるようでございますから、なおそういった今度の売春婦の転廃業につきましては、まだ予算はあると思いますので、そういったことを保健所、相談所に言って出ますならば、まだなおす余地はあると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/78
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079・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 いつかも私は御質問申し上げたかと思いますけれども、別に外国のまねをした方がいいとは思っておりませんが、外国のドラッグ・ストアに行けば、みんな無料というのではありませんけれども、ちょっとああいったように、名前を聞くでもなく、根掘り葉掘り聞かれないでも、しかもできる人は別として、できない人は無料で取り扱ってやるというようなこと、これは当分仕方がございませんから、厚生省も親心を出して一つおやり下さるようなことをお考え願いたいと、この前も私は申し上げたのでございますが、そういう点について、何かその後研究なさっておりましょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/79
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080・安田嚴
○政府委員(安田嚴君) これは結局予算の問題でございますし、それからもう一つは、国費の負担率の問題になるわけでございます。一応こういった予算はすべて地方庁が計上いたしまして、それに対して国が補助をするというような格好になっておるわけでございます。先ほどの無料検診の補助は風が八割補助いたしまして、そうして二割を府県が負担するということでございますので、こういうのは割に負担しやすいわけでございまして、そういう形にいたしまして、できるだけ無料というところに持っていきたいのでございますが、いろいろな事情でまだそこに至っておりません。また帰りまして、関係の方へよく先生の御趣旨を伝えておくようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/80
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081・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私といたしましては、先ほどからたびたび申しますように、今度は家庭に性病が入ると思っております。このことはもう大へん心配なことなんでございます。というて、男子の方を侮辱するような言い方になるといけませんが、なかなかこれは単純売春が許されております以上は、これは私は残念ながら今までよりもよほど売春問題はむずかしくなると思っております、残念ながら。そうして性病の問題も今までよりももっともっと私は悪い状態になるというように心配いたしております。一つ厚生省の方でもよく御相談の上で、特別の処置をして下さいますようお願いをいたしまして、私はきょうはあなたに対する質問はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/81
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082・安田嚴
○政府委員(安田嚴君) 私はその辺のことよくわからないのでございますけれども、専門家のお話によりますというと、性病の約七割というものは売春婦から感染をするんだそうでございます。そこで、いわゆる公娼制度、今までの赤線と、それから今お話のように、今後どういう事態になりますか知りませんけれども、散娼と申しますか、街娼と申しますか、そういうものと比較いたしますと、やはり接触回数というものが一つのそういったものを考えるときのデータになるわけでございます。それはやはり赤線なり、公娼制度の方がずっと多いということを申しております。そういう意味から言いますというと、それほど心配しなくてもいいんじゃないか、従来のそれでは公娼制度では、絶対に性病が防がれておったかというとそういうわけでもございませんし、それから先ほど申し上げましたように、今までは性病がほとんどないと言っておりましたけれども、案外調べてみるとあるというふうなことでございますし、赤線従業婦につきましても。でありますから、そういったことの接触回数なりそういった事実から考えまして、専門家の者はそれほど心配いたしておりませんけれども、しかし何と申しましても、国民としては大きな問題でございますので、御趣旨の点は十分申し伝えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/82
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083・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今心配なのは街娼だとおっしゃいましたのですが、先ほどからも申しましたように、私は街娼はあまりおそれない。よくよくのばかか、そしていなか出のわからない者がその辺をうろつくので、大体みな家の中に引っこむと思う、それが私はおそろしい。それで単純売春を許したということ自体が私は非常な問題を残していると思いますが、そのために家の中にうじゃうじゃいて、そこに男が引っぱられなければいいんですが、この問題はなかなか絶えない。そこで私はこの集娼窟があったものよりもおそろしくなるのじゃないかということを心配しているわけなんでございます。でございますから、街娼ということよりも、私は隠れてつまり単純売春の業者がおそろしいということを、ちょっと私の心配をつけ加えて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/83
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084・赤松常子
○赤松常子君 安田局長に私は御要望申しておきたいのでございます。売春法が実施されまして、心配の第一点は、今宮城委員がおっしゃいましたように、性病問題だと思います。現在、この社会に性病の蔓延率の資料がさまざまなところから出ております。厚生省からも出ております。また、業者からも出ております。それから地方の病院からも出ているデータがございますが、どうも数字がまちまちなんでございます。われわれはどれを信じていいかわからない。もちろん業者の発表はできるだけ多く数字を作るでございましょう。公娼制度があるから、性病が検診によって予防できると言いたいために、多く書くこともうなずけないわけではございません。私どもは、政府の発表を一番信じたいと思うのでございますけれども、さまざまな発表の結論が非常に数字が違う。でございますので、どうぞ権威ある厚生省がこういう数字の正確さを期していただき、十分納得のいくような、そういう調査を今後たびたび提供していただきたい。これを私はちょっと御要望申し上げておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/84
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085・安田嚴
○政府委員(安田嚴君) 性病の統計は、現在性病予防法でこれは医師が届出の義務があるわけでございますから、全部届け出るとは思いませんけれども、それ以外に現在は、公けの資料としても値打のある数字はないわけでございます。これは毎年作っておりまして、実績を見ますというと、大体過去十年、終戦後におきまして非常に性病が減っております、これは主として治療法の発達だと思うのでありますけれども、そういう資料はございます。ただ先ほどからも申し上げるように、届出ということが励行されてない点もございますから、ほんとうの数字の調べようはございませんけれども、一応一つの傾向はわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/85
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086・赤松常子
○赤松常子君 それもおっしゃる通りよくわかっておりますけれども、あまりに違うデータもときどき私どもは見るものですから、まあその点政府の方を信じたいと思うのでございますけれども、たびたびそういう点を今後正確にお願いしたいという要望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/86
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087・青山正一
○委員長(青山正一君) 社会局長お引き取り下さい。
中川警察庁刑事部長に対する御質疑、赤松さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/87
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088・赤松常子
○赤松常子君 一、二私はちょっとお尋ね申したいし、御決意もお聞きしたいと思うのでございます。それは売春防止法が実施されまして陰に陽に一番影響を受けるのは旅館だと思うのです。そこに働いていられる従業員、女子従業員、女中さんだと思うわけです。すでに私も各地に参りましてそれとなく聞いてみますと、果してそういう事実が現われている。つまり私があなたにお願いしたいことは、売春防止法が実施されるということを、その法律の内容を旅館従業員に周知徹底させていただきたい。これはやはり地方の警察が担当だと思うのであります。で、この間私上山温泉に参りまして、たまたま従業員の集まりをいたしたのでありまして、幸いいい会合であるから、上山警察に二、三日前にお願いいたしまして、そういう会合に出て、売春防止法の内容を詳しく説明していただきたい、こういうことをお願いしておいたのでございますけれども、どうもとうとう忙しいからというだけの口実で出席できなかったのであります。もちろん旅館の企業を通じまして業者には組合がありまして、それは一応集まりを持つとか、いろいろな指令が通達されるとか、そういう便宜はあるのでございますけれども、従業員にはまだ組織がないものですから、これを通達する、あるいは集まりを持つということが十分でないのでございます。まあ、これはだんだん従業員組合もできている傾向ではありますけれども、まだ微微たるものです。私のあなたにお願いしたいことは、ほんとうに旅館従業員に対し、旅館業主はもちろんでございますけれども、全国の旅館従業員に十分警察から周知徹底し、指導していただけるようにしていただきたい。これがどうも私二、三参りましたところでは、まだ不十分のように思うのでございます。そういうことがどういうふうにはかられておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/88
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089・中川董治
○政府委員(中川董治君) 売春防止法というのはまことに大きな重要な法律なものですから、役所の側におきましても、関係の役所が協力していろいろなことをやろうじゃないか、こういうふうに相なっておるわけでございます。建前といたしましては、第一線では、取締りの関係の方は警察、そして保護の関係は厚生省の出先機関、啓蒙宣伝というのは主として労働省の出先機関、こういうふうに一つ手分けをいたしまして、こういう大きな法律を普及して参りたい、こういう趣旨に相なっているわけでございます。そこでこういう趣旨でございますから、それをうまくやるために、都道府県に売春防止対策本部というものを設けまして、これは知事さんのところにそういう機関がございまして、そこで周知徹底のためにいろいろなことをやっているわけであります。それに警察も協力しておりまして、実はお話の点も聞きまして調べてみましたところ、その山形県におきましても、山形県知事のもとに売春対策本部がございまして、そこで講習計画を持っておって、そこに警察も参画してやっているのでございます。お尋ねのような事件は確かにあったようでございます。たまたまそのときは、ああいう警察でございますから人数も小いものですから、ちょうどほかに事件がありまして、忙しいから出られなかった、そういうことを申しまして売春防止本部の講習計画があってそれに警察官も参画するから、できればそこに出てもらいたいという旨を主催者の方に話したような形でございます。私どもも大体そういうふうに手分けしてやっておりまして、警察も協力したいと思いますけれども、知事さんのところの機関を中心にして普及していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/89
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090・赤松常子
○赤松常子君 ただいま売春対策推進本部のございますことをおっしゃっていただきまして、大へんこれが熱心におやりになっていられるところもございます。それも一、二よく存じておりますが、また現に行って見ますと、まだ半身不随でほんとうにやっていらっしゃらないところも二、三あるのでございます。これは厚生省に本部があるようでございますけれども、このことも私もう少し注意を喚起したいとは思っているわけでございますけれども、直接取締りということがすぐに出てくるわけなんでございますから、これを実施いたしますと、ですからやはり環境衛生法の問題も大事でございますけれども、これを取り締るということがすぐに起きてくる関係上、やはり警察がこの問題に対してよほど犯罪の起きないように、これを踏みはずす人のないようにという意味で、一応責任をもってやっていただくのも大事ではないか、こう思っているわけなんです。やはり警察庁としては推進本部の方におまかせになっていらしゃるわけなんでございましょうか。警察の方としては、特にそういう点の第一線の注意を喚起をなさったのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/90
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091・中川董治
○政府委員(中川董治君) いろいろ警察ももちろん協力した方がいいと思いますけれども、一応こういう大きな仕事でございますから、みんな警察がやっておるとどこかに手抜かりがございますので、啓蒙宣伝というような点では、労働省の婦人少年局で大へん熱心にやっていただいておるわけなんでありますので、労働省の婦人少年局、地方におきましては出先機関、そういうものを総合いたしまして、国の機関も含めましてそういう機構がございますので、そういう機構の活用化を期待いたしまして、警察でもできるだけ協力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/91
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092・赤松常子
○赤松常子君 どうぞこれはほんとうによくいくように私ども念願しているわけでございますから、たまたまそういう事例があるものでありますから、ちょっとそういう注意を申しあげたわけでございます。
それからもう一つ、先だって福島県に行きました。そこで、これは風評であってほしいと思うことを聞いたのでございます。私が事実調査したわけではございません。福島県で、いろいろ警察官の異動がございますそうでございます。そこに警察署長としては退職一歩手前にいらっしゃるところの、飯坂温泉だそうでありますが、そこの署長が相当年輩もいっていらっしゃる、また、裏も表もよく知っていらっしゃいますそういう方が、飯坂温泉のやはり業者に大へん便宜を与えておる。これは私風評であってほしいと思うのでございますが、それでこの売春防止法が実施されるに当りまして、やはり女子従業員、女中さん方にほんとうにこれがよくわかって、そして起るであろう危険をはね返すようにしてもらいたいのですけれども、逆に裏も表もよく知っていらっしゃるその署長さんが、業者側にこういう法律の抜け穴を教えておいでになる。これは私は調査したことではないことですから、これは旅館の方から聞いたことでございます。そういうことが私はあってはならないと思うのであります。風評としても私は非常に心外なんでありますが、こういうことに対しまして、どうぞ署長、警察署と、それから業者とがぐるになってこの法律の抜け穴を研究するということがないようにお願いしたい。ちょっと私聞いて参りましたものですから、もちろん当てにならないと思うのでございますが、その辺のことを一応ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/92
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093・青山正一
○委員長(青山正一君) 刑事部長に御調査を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/93
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094・中川董治
○政府委員(中川董治君) 取締りに当る警察官に、そういうことがあってはいかぬことはもちろんでございますが、そういう疑いを受けることのないように、周知徹底をはかって参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/94
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095・青山正一
○委員長(青山正一君) 中川刑事部長に対する御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/95
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096・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 中川さんにちょっと伺いますが、警視庁初め全国の警察署において、今度売春防止法の完全実施がされますについて、何か教育機関でもお設けになるようなことはございませんか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/96
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097・中川董治
○政府委員(中川董治君) 警察官の教養につきましては、
〔委員長退席、理事大川光三君着席〕
私どもといたしまして特に力をいたしておりまして、いろいろ教養施設等も警察組織上相当持っております。そのうちでそれを活用いたしまして教養徹底をはかることが一つ、ことに売春防止法の取締りに専従する職員がございますので、そういう専従職員につきましては、中央でも地方でも警察学校その他の施設を利用いたしまして、教養を、過去においてもいたしましたが、今後もやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/97
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098・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 その専従する職員というのはどういうものをもってお当てになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/98
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099・中川董治
○政府委員(中川董治君) 私どもこの専従職員の選定に当りましては、売春防止法の趣旨を理解し、さらに適当な人ということになるのですけれども、たとえば年令の点もあまりに若いのはどうかと思います。婦人警察官というのは全国でごく少数しかいないのでございますけれども、三百七十二人しかいないのでございますけれども、婦人警察官という方々の活用も考えたい。それから男子が相当多いのですけれども、男子の職員につきましても年令の点、それから経験の点、ことに売春防止法が、この一部改正法案でも出ておりますように、保護、補導という精神で貫かれますので、ことに売春防止法の関係につきましてはそういう点も考えまして、宮城先生のよくおっしゃいますように、母親の気持で対するのに向くような人を選んで、そうしてその精神をよく教養して徹底して参りたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/99
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100・棚橋小虎
○棚橋小虎君 法務省の方にお伺いいたしますが、この補導処分が保安処分の一種であるということは承知しております。また、少年法によりまして、家庭裁判所が犯罪を犯した少年に言い渡す保護観察の制度、あるいは教護院または教護施設に送致する、少年院に送致する、こういうことも一つの保安処分であると思いますが、しかし、売春婦に対する補導処分というものと、こういう少年犯罪者に対する保安処分、これは同じく名前はいずれも保安処分でありますけれども、その本質が違っておると思うのであります。この間に差異があると思います。少年犯に対する保安処分というのは、結局少年であるけれども犯罪者である。少年犯罪者である。少くとも犯罪者の卵である。それに対する保安処分というのは、そのまま犯罪者を矯正してそうして社会生活に適合するようにそいつを直す、こういうことを目的としておるのがこの少年犯に対する保安処分だと思う。ところが、売春婦に対する補導処分とい今ものは、保安処分の一種ではあるけれども、その目的は結局売春の誘惑を再びしないように、そういうことを再びさせないようにするというのが目的でありまして、そのためにはその売春婦の性格とか、あるいは肉体的な条件、あるいは社会的な条件を整えてやらなくちゃいけないから、そのために補導処分に付してその性格を改造させる、こういうのが目的であるとしますと、なるほど売春防止法という法律ができればこの売春の誘惑をするということも一つの犯罪的の行為には違いありません。ありませんけれども、一般の少年犯に対するのと、それからこの売春婦に対するのとは、同じ保安処分であるけれども、性質が違うものであるし、その間に大きな差異があると思うのであります。ところが、それを一緒くたにして、少年犯罪者に対する保安処分もそれから売春婦に対する補導処分も同じように扱おうとするところに、先ほどから一松委員から、あるいは宮城委員なりが心配しておられる点がある。売春婦に対する補導処分は苛酷でないか、やり方を変えなくちゃいけないのじゃないかといって心配しておられるところは私はそこにあると思う。この点について、法務省のお考えはこの二つの保安処分というものを全く同一に取り扱おうとしておられるのではないか、そこに誤まりと申してはどうか知りませんが、われわれちょっと受け入れがたいところが何かあるだろうと思うのでありますが、この点はどうお考えになりますか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/100
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101・横井大三
○説明員(横井大三君) われわれが今まで補導処分は保安処分である、こう申しておりました。保安処分であるという点では、少年法の保護処分と同じである、こういうふうに申し上げて参りましたが、これは刑と区別する意味で申し上げたのでございまして同じ保安処分の中におきましてもいろいろな種類があるという御意見は全くその通りでございます。現に、刑法仮案におきまして、保安処分という一つの処分の中に四つの処分を認めておりまして、それぞれ要件を異にし、それぞれ処遇を異にする、こういう形になっております。元来保安処分というのは、その人々に応ずる処遇をする、そうしてその犯罪原因を除去して社会復帰を早くならしめる、こういうことがねらいでございまして、犯罪原因は各種各様でございますし、それが性格的なものであることもございましょうし、社会的な原因であることもございましょう。それらに応じて処遇を変えていく、つまり教育するということ、教育刑ということ、これが保安処分のねらいでございます。刑法の刑が比較的一般的性質を持ちまして、ある行為があればすべての人に一応その道義的非難をするというのと違いまして、個々的である、そういう意味におきまして、少年に対する保護処分とそれから売春婦に対する補導処分たる保安処分、これはおのずからこの対象が違いますものですから、その処遇も違ってくる、内容も違ってくる、こういうことに相なろうかと思います。ただ、刑とは、保安処分であるという意味で一線を画しておる、こういうことで、実は今まで補導処分は保安処分であって、その意味では少年の保護処分と同じである、こういうふうに申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/101
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102・棚橋小虎
○棚橋小虎君 そういうふうにお考えになって、はっきりしておるといたしますれば、この補導院に収容されておるところの婦人に対する取扱い、その処遇の方法を補導院法に規定されておりますけれども、この処遇の方法などのうちには、ずいぶんそういうお考えからすれば行き過ぎではないか、こう思われるところがあるわけなんです。たとえば、時によってはその婦人に対して保護具といいますか、そういうものをつけて身体の自由を拘束する、そういうことは、結局私は、根本において少年犯罪者等に対する保安処分というものと、この売春婦に対する保安処分というものと一緒くたにしておるからそういうことが起ってくるのではないか。もしただいまおっしゃったように根本においてそういう区別をはっきりしておいでになるとすれば、こういう処遇の方法などは不適当であろう、こういうふうに思うのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/102
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103・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) この保護具の規定でございますが、これはわれわれといたしましてもかような保護具は使いたくないのでございまして、なるべくかようなものを使わずしてその目的を達したいということを念願いたすのでございます。しかしながら、この補導処分を受けます対象者の中には、先刻来いろいろお話しのありましたごとく、精神薄弱者等の割合の占める率が相当多いのでございます。さような精神薄弱者あるいは精神病質者というふうな、相当精神面におきまして支障のある人が相当数に上るように思われるのでございます。これは今まで売春の経験を持った者とか、いろいろわれわれの線上に上っできております者に対しまする統計の結果がさように現われておるのでございまして、かような人たちが補導処分を受けることになるのではなかろうかということの公算が非常に大きいのでございます。で、かような人たちが、順調に参りますと、さようなこともないのでございますけれども、何らかの周期的なあるいは生理的な原因からも起り得るところでございますけれども、非常に心悸が高進して手のつけられないような状態に陥る場合があるのでございまして、さような場合、自傷行為をする者もありますし、また、他人に対しまして暴行傷害にまで及ぶような事案もこれまでわれわれとしては経験いたしておるところでございます。しかし、さような場合に、一体これをどういうふうにして防止していくかということが大きな問題でございまして、先だっても実は売春対策審議会で、厚生省関係の施設を経営なすっていらっしゃる方の御発言だったのでございますが、厚生省の、任意に申し出てきたかような売春の経験を持った女の人たちも、自分でその更生の意欲を持ってその施設に行っておりながら、さようにときにあばれる者がある。あばれてどうにもこうにもしようがなくて、警察に申し出てそして縄でぐるぐる巻きにして連れて行ったというふうな事案があるのだ、こういうふうなときに一体どうしたらいいのか、施設の人は非常に困るんだということを述懐しておいでになったのでございますが、かような例が起らないことをわれわれは望むのでございますけれども、起った場合にどうしたらいいか、その対策としてかような保護具の規定を置いたわけでございます。決してこれは使いたくないのでございますが、さような場合にやむを得ずこれを使うような場合があるのじゃないか、そのときの対策としてこの規定を置いたわけでございまして、これを乱用することは絶対にわれわれとしては望むところではなく、また、法文自体からもさようなことを厳に戒めておるわけでございます。従いまして、これはやはり矯正教育の目的を達するためにやむを得ず行う処置でございまして、これあるがゆえに刑務所と一緒だ、拘禁性が非常に強いのだということにはならないと私は考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/103
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104・棚橋小虎
○棚橋小虎君 ただいまおっしゃったような場合があることも私ども想像ができないことはないのでございますが、しかし、そういうことを法律の院にきめて条文に示してあるということは、結局補導院というものを刑務所と同じようなものにすることになるのでありますし、それから収容される人からいいましても、補導院に入るということは、何か刑務所に入るというような感じを与える、また、世間一般から見ましても、補導院というものは何か刑務所と同じような印象を与えるということになりますならば、補導院をせっかく作って婦人を善導しようという目的に反することになるのじゃないか、こう私は考えるのでありますが、その点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/104
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105・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) われわれといたしましては、さように思われないように今後の運営をやっていかなければならないと思っております。これは結局運営が、さような暗い運営の方法になりましたならば、規定がどうありましょうとも、結局は刑務所と一緒じゃないかという非難を受けることになると思うのでございまして、われ上れといたしましては、さような非難を受けないような明るい明るい施設に今後運営をしていきたいということを目途として今後の運営をやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/105
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106・赤松常子
○赤松常子君 私、渡部局長にちょっとお伺いしたいのであります。いろいろ逐条的にまた時間をかけてお伺いしたいと思っておりますが、私まず、根本的にこの六カ月という期間は、非常にいろいろ考えましても疑問があるわけでございます。で、こまかいことは抜きにいたしますが、どういうところからこの六カ月という線が出たのでございましょうか。たとえば予算の点から出たのでしょうか、あるいはいわゆる六カ月ぐらいあれば心身ともに健全になるという線がどういうふうに科学的に考慮されて出たのでございましょうか、矯正局長にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/106
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107・横井大三
○説明員(横井大三君) この六カ月がどういう理由からこうなったかと、こういう御質問でございますが、実は保安処分ということについてのいろいろなものの考え方、これがまだわが国におきましては、少年の場合は別といたしまして、成人の場合につきまして十分統一的なところに至っておらないところからくるものと思いますが、われわれが立案をいたしております間におきまして、六カ月では短かすぎる、いやしくも補導をする以上二年なりあるいは三年なり、とにかくその目的を達するに十分な期間補導院へ入れておくべきだと、こういう意見がございました。ところが、一面売春防止法第五条の犯罪の法定刑は六カ月である、悪質なものは実刑にいく、ところが、補導院に入れて矯正教育をしようという者が、実は一番たちの悪い実刑にいく者よりも長い期間、自由の拘束を受けるというのはおかしいじゃないかという考え方、これは六カ月をもって短かいとしない、つまりこれでいいという意見、あるいはこれでも長すぎるという意見に立つ考え方でございます。で、徹底した補導処分を保安処分であるという考え方からいきますと、本来はもっと長くあるべきものであります。そこまでいくには、なお相当われわれの意見の統一を要する、そこで現在の法定刑が六カ月であるというところから、まずもって六カ月で発足しよう、なお、今後の運用によりましてもっと研究して参りたいというところから、いろいろな考えを総合した結果、最終的にこの六カ月という線に落ちついたのでございまして、見方によりましてはまことに短かい期間でございます。それは今後の研究によりましてなお検討して参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/107
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108・赤松常子
○赤松常子君 今のお言葉で、実績を見ていって、そうしてまたこの期間は改正の余地を残していらっしゃるお考えなんでございますね、わかりました。
引き続いて、私、実は三十二条でございますけれども、実は昨日あなた様御出席だったと聞いております国民売春対策委員会でいろいろこの御研究があって、その結論といたしまして、その六カ月とからみ合う問題が論議されたと聞いておるわけでございます。これでは一応六カ月済みましたその人がそれだけ勤めれば執行猶予は取り消される、ところが、六カ月ぐらいでほんとうに直って下さればいいのでございますけれども、それ以後やはり期間が短かいためにもっと置こうと思っても置けない、けれども六カ月済んだから出ていかなければならない、それと同時に、執行猶予はつけられないということになりますと、まだ十分直っていない人が再びまたそういう行為をしたといたしますと、また、最初から繰り返してこういうことを通過する、連れてゆかれる、こういうことになるのでございますが、これはほんとうにむずかしいことなんですが、一応私どもが六カ月は短かいという立場に立っておるものでございますから、やはりこの執行猶予ということがあっていいのではないか。その間退院してもずっとしばらく見て行くという期間があってもいいのではないか、こういうように考えております。しかし、この説明では、そういうことのない方が自主的に立ち直って行くように思われるというので、執行猶予がつけられていないということになっていると思いますが、非常に私むずかしいからみ合いだと思います。私どもが今申しますように、六カ月が短かいという立場に立ってもう少しあたたかく見て上げる期間がほしい、こう思っているのですが、ここのところの御解釈をちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/108
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109・横井大三
○説明員(横井大三君) まことに適切な御質問なんでございますが、確かに売春対策審議会におきまするときの案におきましては、退院後六カ月間はまだ執行猶予期間を残しておくという考え方に立った答申が出ております。それも確かに一つの考え方なんでございます。どこら辺で切るかという問題になるわけでありまして、この案におきましては、いやしくも六カ月補導院に入れて、そうしてできるだけその期間を利用して生活指導なり、さらに進んで職業補導までやった、それで無事退院したということなんだから、それを考えてそのあとまで執行猶予のひもをつけておくよりは、社会にそのまま自由に出した方がいいのではないか。それは理屈の上で申しますと、補導院の収容ということが結局刑の執行にかわるという形をとるわけであります。で初めは刑にかえて補導処分をせよという考えがございましたが、それはとれないということになりまして、執行猶予に補導処分を付するということになったのでございまするが、こういう形にいたしますと、結局刑の執行にかえて補導院に収容するという形になるので、まあ理屈としても十分立ち得る理屈である、両々相待ちまして一応この線で切ったわけでございます。しかしながら、これもまた、運用の実績を見ませんとわからないのでございますが、考え方によりましては、補導院におります間は行儀よくしておりましても、一たんそこから社会へ出ますると、その期間が、出た当座が非常に重要なんだから、やはり執行猶予をつけておいた方がよろしい、こういうお考えもあるいは運用の上において正しいということが証明されてくるときがあろうかと思いますが、そういうようなことになりました場合は、われわれもさらにこの三十二条を考え直しましてそれに沿うような案を考えてみたい、こういうように考えております。いずれにしても、今回の補導処分の立法はいろいろの議論のありまするところを取りあえず四月一日を目途といたしまして応急に立法化いたしましたものでございますから、いろいろな点において不備の点が予想されますので、この四月一日からの運用の実績によりまして修正して参りたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/109
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110・赤松常子
○赤松常子君 今のお言葉で、やはり根本的にこの法に対する考えが違っていることがよりはっきりいたしたのでございますが、今おっしゃいますように、この補導院に収容されておる間が刑にかわることに考えた、こういうふうにおっしゃっております。私どもはあくまでこれは教育を主としたその期間であるようにしたいと思うのでございまして、非常にそこが法に対する根本的な考え方が違ってくるわけでございます。私どもは、今おっしゃいますように、やってみないことにはわからないといえばそれまでのことでございますが、できるだけほんとうに心身ともに教育的に愛情を持ってすなおに立ち直ってもらうということをわれわれは貫きたいのでございますから、できるだけ心あたたかく、できるだけ長い期間あたたかく見てあげていただきたい、こういうふうに思っている立場でございますので、やはり将来、その実績にかんがみて、この辺のことを弾力性を持って考えていただきたいと、こう思うのでございます。
もう一つ、三十三条でございますけれども、これは大赦の場合には、一切自由に解放されるということになっておるのでございますが、やはり教育を主とした、人間の成長を末長く見ていくというわれわれの立場から言えば、大赦があれば一切パーになってしまって手から離れるということが、この罪の意識ということを罰するというよりも、今申しましたように、私どもの立場が違うのでございますから、こういう大赦の場合などは、ちょっとこれでは、私どもは、何かもうそれでおしまいというふうに、責任のがれのようにも考えられるわけでございますが、この点についてちょっとお考えを聞かして下さいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/110
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111・横井大三
○説明員(横井大三君) 今の御質問にお答えいたします前に、先ほど私が、補導処分として補導院に収容されていることによって刑の執行にかわるという言葉を申し上げたために、補導処分の執行と刑の執行と同じように考えているのではないかといったような御質問がございましたが、そういう意味ではございませんので、刑の執行をいたしませんで補導処分をいたすと、こういうことなんでございますから、それから直ちに補導処分による収容と刑の執行と同じように考えているという考えでは毛頭ございませんので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
ただいまの三十三条の問題でございますが、御質問の御趣旨は、刑の言い渡しがその効力を失なったとき、たとえば恩赦があったような場合に、刑の言い渡しが効力を失うから、それについている補導処分も効力を失なってしまうのではないか、それは補導処分の性質上おかしいではないか、こういう御質問と承わりました。確かに、補導処分自体が恩赦によって効力を失うということは、補導処分それだけについて見ますと、そういうように考えられます。しかしながら、最初から申し上げておりますように、刑の執行猶予に付加して補導処分を言い渡すと、それは刑事手続に乗せる以上、この応急の場合の立法としてはやむを得なかったと、こういう説明をいたして参ったのでございますが、基礎が、この刑の言い渡し執行猶予というものに付加して補導処分をいたします以上、もとになります刑自体に何らかの理由がございましてその言い渡しが効力を失いますと、基礎がなくなりますので、自然補導処分の方も理屈の上でなくなってくるという形にならざるを得なかったわけであります。われわれとして、決してこれは本意ではございませんが、ただいま申し上げましたような立法のためにそういう結果になる。将来刑と離して独立の保安処分を言い渡すというようなことになりますというと、そういう問題は起って参らないのでございます。応急的な立法の結果、ただいま 申し上げましたような刑に付加して言い渡すということの結果出てくるやむを得ざる効果と、こういうふうにお考え願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/111
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112・赤松常子
○赤松常子君 よくわかりましたが、どうぞわれわれの意図している立場、また、この法律が意図している立場、これはあくまで、人間を作りかえていく、あるいはよりよく育てていくということを貫かなければならないのでございますから、それに沿うた法律であるべきであって、法律上の建前が、理屈がこうであるからということにならないように、将来この点も、生きた人間を扱うそれに沿うた改正をお考えおき願いたいとお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/112
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113・斎藤昇
○斎藤昇君 ただいま、大赦で補導処分がなくなるというのは、刑に付属した処分だから当然そうなるので、やむを得ないのだということでございましたが、それはそういった構成上やむを得ないと、こういうものではなくて、やはりむしろ補導処分も犯罪性をなくしていくという一つの刑事政策上から出たものでありまするから、従って、大赦というものは、これは何といいますか、刑罰に対しても、あるいは犯罪性をなくするという補導処分に対しても、同様にあるべきで、補導処分だからこの大赦というものはしない方がいいとか、そういう性質のものではなかろうと私は思うのですけれども、一体大赦という制度のございますることは、これは何といいますか、これはまあ考え方の相違もあるかもしれませんが、大赦というものは、いわゆる犯罪処分に対する一つの恩典であると同時に、この大赦によってまた改過遷善をさせるという意味を持っておるからこれが行われているのではないかと、かように思うのでありますが、ただいまの政府委員の御所見は、やはりお述べになった通りでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/113
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114・横井大三
○説明員(横井大三君) 私の申し上げ方があるいは悪かったかと思いますが、たとえば少年の保護処分というのがございますが、これは保安処分でございます。これは犯罪を契機として保護処分をやられますこともございますし、虞犯の場合に保護処分をやられることもございます。いずれにしましても、これは保護処分でございます。犯罪を契機として行われる保護処分につきましては、犯罪自体は大赦によりまして今後起訴するようなことはないわけですが、保護処分自体はそのまま残るわけでございます。それは、犯罪についての刑の言い渡しをいたしませんで、保護処分だけをいたすという形になっておるわけであります。ところが、この補導処分におきましては、通常の刑事手続に乗せまして、犯罪を契機として刑の言い渡しをいたしますと同時に、補導処分をいたします。従いまして、補導処分と刑の言い渡し、公訴権の行使というもの、刑罰権の発動というものが不可分の関係になっております。そこで、大赦がありますというと、刑の言い渡しは効力を失いますものですから、不可分の関係にあります補導処分の方も勢い言い渡しの効力を失う。しかし、立法の方法といたしまして、補導処分だけを言い渡すということも、これは立法政策として可能であります。ちょうど少年法の保安処分がそれに当るわけでございます。従いまして、大赦は一般に犯罪について将来責任を問わないということは、少年の場合におきましても、売春婦の場合におきましても、同じでございまして、それは一律に刑罰権を消滅せしめます。
〔理事大川光三君退席、委員長着席〕
しかしながら、過去に行われたある処分の効力に大赦がどういう影響を及ぼすかということは、刑の言い渡しと密接不可分の言い渡しになっております補導処分につきましては、大赦の影響が及ぶけれども、少年の場合のような刑の言い渡しと関係なしに行われます保安処分につきましては、大赦の刑罰権の消滅ということが影響を及ぼさないという形になるわけでございまして、御趣旨の、すべての犯罪について大赦は一律に及ぶのだという点につきましては、全く同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/114
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115・斎藤昇
○斎藤昇君 私ちょっと奇異に感じまするのは、この補導処分を大赦によってなくしてしまうということは実際上妥当でないのだけれども、しかし、刑の言い渡しの形式をとっているからやむを得ないのだ、法律構成上やむを得ないのだ、こういうように伺うわけです。妥当でないものなら妥当なように私は法律を作るべきではなかろうかと思う。私は、やはりこういう場合に大赦が及ぶのは実質上も妥当だ、こういう説明がつき得るのじゃありませんかと、こう伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/115
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116・横井大三
○説明員(横井大三君) 実質上妥当か、やむを得ないかということになるわけでございますが、こういう構成をとる以上妥当だと申し上げてもよろしいわけでございまして、問題は法律構成の問題になるわけでございますが、ただ補導処分は教育であると、その者のために考えている処分だというようなことから考えますと、確かに少年法的な扱い方が保安処分にぴったりしておるというような意見は十分考えられる。その意見に立ちますというと、三十三条はおかしいじゃないかというような御意見も出て参るわけでありまして、その御意見に対しまして私がお答えしたのでありますが、ただいまのような法律構成になっておりますと、大赦がありますと当然補導処分がなくなるのは当りまえである、こういうふうに申し上げてよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/116
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117・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 法律論的に申しますと、恩赦法の規定によりますと、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権、こうなっておりますが、復権の方はしばらくおきまして、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除、これはいずれも刑罰に関するものでございます。保安処分である補導処分は刑罰ではございませんので、理論的には当然に、大赦、特赦に乗せなければならぬかどうかという点は別として、乗らないわけなんでございます。ですから、乗せるべきだという御意見と、乗せてはまずいんじゃないかという御意見とがあるわけでございますが、この売春防止法の今回の改正に関します限りは、刑罰と抱き合せの関係になっておりますので、刑罰について恩赦がありますためにその刑が消えてしまう場合には、抱き合せになっております補導処分の根拠となっておるものが消えますので、この際はもう消えるように取り扱うのが一番いいという法律上の取扱いにしたわけでございます。そういうふうな場合に、赤松先生のおっしゃったような趣旨でどうだろうかという点につきましては、これは運用の問題でございますけれども、この恩赦で消えてなくなるのを機会にしてさらにまた、これを更生の機会にするという扱い方も私は考えていいんじゃないか、こういうふうに思うのでございまして、これはまあ斎藤先生の御意見、赤松先生の御意見、それぞれ私は立ち得ると思いますが、この法律に関します限りは、抱き合せになっておりますので、恩赦になって刑が消える場合には保安処分も消えるという取扱いをいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/117
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118・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 ちょっと、あまりくどいようでございますけれども、刑事局長の御意見まだ一ぺんも聞かないようですが、今度できます補導院の問題ですが、そこに入ります者は、あなたは非常に悪質な者が入るだろうというようなおつもりでございますか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/118
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119・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その前提として申し上げなければならぬと思いますが、補導処分を設けますために、五条違反の成年の婦女子が――売春婦がぞろぞろと補導院に入るんじゃないだろうかということが考えられるわけですが、それによってだから今までの執行猶予になって野放しになる人が矯正を伴う収容にぞろぞろ入っていくということは、少し過重なる重荷を与えることになりやせぬかという御懸念もまた同時に出てくるのでございますが、なるほど法文の上からは補導処分ということを高く掲げますので、いかにもそういう感じがいたすのでございますが、私、前にも申し上げたかと思いますが、五条違反の罪というのは、まあいわば軽犯罪的な軽い罪なんであります。こういう人たちが重刑になるという場合は、それ自体おわかりのように、相当程度の悪質と申じますか、たび重なってきておると申しますか、とにかく一回ちょっと出た、町でつかまったというような者が入るのではないことは、そのことからも御推察がつくと思いますが、若干統計的に見ましても、この統計はごく最近のもので申し上げますと、昨年の一月から六月末までの半年の統計を拾ってみますると、勧誘及び類似行為で受理されましたものが約四千ばかりございます。そのうちで公判請求になりましたのが百十四人ございます。その他は、罰金とか起訴猶予とかになっておるわけでございます。ところが、勧誘及び類似行為というのは、各都道府県の売春条例によるのでございますが、この売春条例は四十幾つございます。その中で、今の売春防止法の五条と同じように懲役または罰金の刑罰のついておりますのは、半数以下でございます。罰金と拘留でございますね、こういう刑罰になっておるのが三十幾つであります。従って、非常に略式の、つまり公判請求をしないで、罰金でまかなわれるものが非常に多くなって統計が出ておりますが、これは売春条例がそういう刑罰を規定しておりますためにこういう結果が出ておるのだと思います。いずれにしても、それはそれとして、求公判のものが売春防止法と違って少いのですから、この数字が少くなっておりますが、とにもかくにも、四千人の送致件数の中で百人そこそこというのが求公判になっておる。この求公判になっておりますのは、おそらく検事としましては、回数もたび重なっておりますので、これはとても起訴猶予にして保護更生ということでは間に合わないと、何とかこれは収容して習性をため直さなければならぬというような意図に出ておるものと思われます。この中で百十四人がどういう形で裁判されておるかということは、必ずしもこれはぴったりと合わないのですが、同期間に裁判されておるのを見ますると、百十四人の中で懲役刑に処せられたのが三人でございまして、その三人が全部執行猶予であります。こういう実情が出ておるのであります。こういう数字は、非常に小さい数字でございますが、売春防止法が動き出しますと、この数字は動いてくると思います。動いてはきますが、大筋として、補導処分になりますものは、求公判になって、懲役刑が言い渡されて、かつ執行猶予になる場合でございますので、まず求公判になるものがどのくらいの数に上るかということによって判断するよりほかないわけであります。そういたしますと、私の感じといたしましては、非常に運用の問題を密接な関係があると思います。この運用とイニシアチブをとります検察官が、この法律の趣旨をよく理解して、その趣旨にのっとった運用をするかどうかによって、この売春防止法特に補導処分の関係は著しく違った形に運用されるおそれがある。そこで、この点が非常に大事なことだと思いますが、おそらくはこの五条違反の罪というものは、大部分のものがこの保護更生ということを裏づけとして起訴猶予処分になるのではないかと思います。それから今まで罰金でまかなわれておったとか何とかいうもので、これが相当数求公判という形になると思います。求公判を受けましたもので、まあ裁判所によっては罰金を言い渡す場合ももちろん絶無ではないと思いますが、その中で、まあ在宅さしてもいいというときには、保護観察付の言い渡しを受ける場合が相当ある。さらに実刑に持っていかなきゃならぬと検察官が思う者、これまでだったらそう思う者も、補導処分という制度がございますので、補導処分にそれらが入っていくということで、まあこの起訴猶予が、保護観察か補導処分かということで、まあこれを原則としまして、運用されるように私ども検察官に要望せざるを得ないというふうに私は考えておるのでございます。そういうふうに考えて参りますと、補導処分を受けます者の数は、そう多いものではなかろうというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/119
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120・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私もあなたと同じ見方で……、今は全国的に起訴された者は三人とおっしゃったですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/120
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121・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 三人は執行猶予になりました者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/121
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122・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 実刑を課された者はないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/122
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123・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/123
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124・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そうすると、全国的に言って三人が執行猶予になっているというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/124
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125・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/125
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126・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そうですね。そうすると、今度の補導院に入る者の数は少いだろうというお見込みのようですが、私も同じことを考えております。
そこで、繰り返し言うようですけれども、今度渡部矯正局長に伺いたいのですが、第二条によりますというと、生活指導、職業補導ということがございますが、その内容を少し説明していただきたい。生活補導とは一体何をやるのか。職業補導を六カ月何をしようと思っていらっしゃるか。それを一つお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/126
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127・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 非常にむずかしいことでございます。この補導の内容を生活指導と職業補導と医療とこの三本立にいたしたのでございますが、この生活指導と申しますのは、これは世間一般で言われておりますけれども、なかなか内容を盛っていくということは、口に言うことは割合やすいのでございますけれども、実際問題として、いかにしてこれを身につけさせるかということは非常にむずかしいことだと私考えるのでございます。で、この生活指導は、結局かような補導処分を受けます婦人たちの従来の生活から考えてみまして、まず生活の建て直しをやっていかなければならないというのが根本の問題だと私は考えるのでございます。そこで、この第二条の第一項に書いてあるのでございますが、まず規律ある生活というものを身につけさしていこうということがまず初歩の、第一段に考えていかなければならないことだと思っておるのでございます。こういうふうな婦人たちは、何と申しますか、生活様式が全く普通の人たちとはペキュリアーになっておる。昼間は寝ておって、夜中になって働き出すというような生活でございます。かような女性が、われわれの少年院その他でも指導を受けるのでございますが、かようなときにかような女たちの申しますのは、朝起きてそして朝の空気に触れたとき、その朝の空気のすがすがしさをほんとうに味わわされた。これまでは朝がこんなにすがすがしいものであるということを、全然思いも及ばなかったということを述懐しているのでございますが、私はまずこの補導院での出発点は、そこからいくべきではなかろうかと考えているのでございます。そこで、これは第二項に書いてありますが「生活指導は、相談、助言その他の方法により、」婦人の自主的な方法でこれをやっていこうというのがねらいでございます。御承知のごとく、ここに入って参りますのは少年ではなくて、二十才をこした成人でございます。従って、ただ説教だけしておりましても、とても効果は上らないと存ずるわけでございましてときどき機会をとらえまして、そしてこの相談、助言の方法によって、自主的に婦人たちを指導していくというような方向でもっていきたい。そしてそれは結局は、婦人の自由と尊厳とを自覚させていくということ、そして婦人としての基本的な教養を授けていく、まあ言葉で表わしますと、さようなことになると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/127
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128・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 朝のすがすがしい空気をまあ吸わせる癖をつけるのもいいですけれども、朝早く起して何させようということを思っていらっしゃるのですか。私は生活指導はそこから始まると思うのです。ただ起きてすがすがしい空気だなということを味わったって仕方がない。もっと具体的におっしゃって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/128
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129・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) ただいま申しましたごとく、婦人としての基礎的な教養を授けていく、と申しましても私ども、起きましてもただ吸っているだけではない。これは家事万端、すべてを婦人たちの手で清掃から居室の整え方、そしてあるいは炊事も、身の回りのほんとうの身近なところから、本人たちにさような習慣を、新しくつけていこうというところがねらいでございます。
なお、この職業の補導でございますが、この職業の補導も六カ月という期間から考えていきますと、なかなか徹底はしにくいのでございます。一つ職業を覚えさせようとしますと、どうしても一年くらいの期間を要するのでございます。たとえば理容の職業を身につけさせようということにいたしましても、資格を持たせるためにはどうしても一年の期間が要るわけでございますが、かようにほんとうに職業の本格的な補導をやっていこうとしますと、六カ月ではなかなか実施がむずかしいのでございます。そこでわれわれといたしましては、この職業の補導に当りましては、まず本人たちに勤労意欲というものを持たしていく、働くということの楽しさというものを体得さしていこうというふうに考えております。あるいは園芸もさせることもありますし、また、ただいま申しましたごとく、みずから炊事をさしていくというふうなこともさしていく。そして婦人たちの、これは生活指導になるかもわかりませんが、針の持ち方一つからでも教えていかなければならない、かように考えております。
なお、生活のことにつきましては、なるべく短期間に本人たちの身につくような業種を選んでいきたいというふうに考えておるのでありまして、私はよくそのことは存じませんが、伺うところによりますと、編みもの等は割合短期間に身につく。ことに機械編みとかいうふうなものは割合早く身につくということも聞いております。あるいはこれは最近はどうかわかりませんが、九重織とか何とかいうふうないろいろなものも簡単に、そして割合短期間に覚えることができるということを聞いておるのでございまして、そのようなどういう職業を補導していくかということにつきましては、今後も御婦人方、団体の方々、その他の方からいろいろお知恵を拝借しまして、そして短期間に効果の上るような業種を選び、それを実施さしていきたいというふうに考えております。なお、この六カ月の期間が非常に短かいのでございましてなかなか効果を上げにくいのでございます。従いまして、補導院を出ましてからあとの指導というものが非常に大事になっていくと思うのでございます。ことに収容施設、こちらを出ましてすぐさま元の古巣に帰っていかなければならないということになりましては、とんでもないことになるわけでございましてさような場合、厚生省の行なっておられまする厚生保護の線に乗せましてその仕上げをしていくというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/129
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130・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 施設におきまして、食事の用意はだれがするのでしょう。それから着物はだれが縫いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/130
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131・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) これは教官の指導によりまして、在院生にやらしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/131
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132・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 炊事をする者をお雇いになってやるのですか。それとも全部、もちろん指導者はございましょうけれども、なくちゃならないと思いますが、彼女らは朝早く起きて、おしりを端折って御飯をたき、おみそ汁をたくというような仕組みでしょうか。その点はどうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/132
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133・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) さようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/133
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134・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そこで、私らは生活指導ということを、幾らえらい局長でも、大臣でも、男の方がお机の上でお考えになりますと、この法案に出ている通りのことをおっしゃってなさるんじゃないかと思って大へん心配しております。法案は法案でいいんですけれども、実際の面におきまして生活指導、ことにこの間も、仙台の青葉少年院の院長が言っておられましたように、あそこでまかないをやらしておる。近所の管区の職員二十数人のまかないをやらさしてみて、その結果が非常にいいということをここで証言なさっていらっしゃいました。そのことについて私あとでよく聞きましたところが、来たての少年たちは、ことに売春婦の経験のある者は、絶対に働くことはきらう。なぜかというと、私ら一晩かせげば大てい五千円くらいかせげる。あわせの着物を一枚縫えば三百円だ。一晩かせげば、三百円の十枚分でも二十枚分でも代金は取れるから、こんなばからしい裁縫をしたり、ままたきをするようなばかなことをしないと言って、絶対に言うことを聞かなかったという少年がいるという話です。私は、少年院に行く――これはもちろん売春だけで少年院に送られたのじゃございませんけれども、売春の経験をして、ぬれ手でアワのつかみ取りの金を取っておりました者は、皆そこを考えると思います。そういう者に対して女の生活指導ということは、これは私は並み大ていのことじゃないと思います。そこで朝早く起きて、おしり端折りになって台所で御飯をたけ、台所の掃除をせいというようなことを指導するという、それがまず指導の最初だろうかと思っております。そして普通の家でしたらいろいろな副業をやっていかなくちゃならない。そういうことの指導ももちろんしなければならない。そこで職業補導と生活指導というものを表裏一体にからみ合せて、いわゆる女の生活を確立していかなければならない問題で、これは、私は大へん大事だ、大事な項目ですから、これはもう少し時間をかけましていろいろ私は伺ってみたいと思っておりますが、きょうはこれくらいにいたします。だけれども、いよいよ補導院に着手なさるにつきましては、建物のこともありますが、職員の人選ということについて、どうしても女の生活のわかっている者、そうして手をこまねいて女中を使っている人、そういう経験者でなくて、子供を育て台所の苦労もし、ほんとうに女の生活を身につけた者をもって、一つ生活指導に当てるような職員の編成をしていただきたいということを私はお願いしまして、きょうは、私の質問はこれだけにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/134
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135・大川光三
○大川光三君 先ほど宮城委員の御質問のうちに、実際五条違反で体刑を受けるという例は、先例に徴してきわめて少いということを、数字を示して御説明をいただいたのでありますが、一体この売春防止法が四月一日から完全実施されるとして、いよいよ補導処分によって補導院に収容されるという時期は一体いつごろになるだろうかという問題でございます。私の判断いたしますところでは、判決で補導処分が言い渡されるまでに、少くとも五階段くらいある、こう考えるのであります。たとえば、まず最初には起訴猶予ということが考えられる。そうして起訴猶予の者に対して今度再犯があれば、これはおそらく罰金刑でまず処断される。しかもその罰金刑は前例に徴しますと三回、五回、罰金刑をかけられたという例があるのでありまして、二段階ではまず、罰金、そうして第三段階で体刑に対して執行猶予、第四段階で体刑に対して執行猶予に対する保護観察、そうして第五段で、体刑に対する執行猶予並びに補導処分、第六段で実刑、こういう段階を経るだろうと私は思うのであります。そういたしますと、実際この法の完全実施によって、直ちに補導処分によって収容されて補導院に入るということはちょっと想像がつかぬのでありますけれども、いろいろ実施になると、実際に補導院に被告人が収容されるというのはいつごろの時期になるだろうかということを一つ伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/135
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136・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その点は、なかなか予測しがたいむずかしい問題だと私も考えます。ただ仰せのように、起訴猶予、罰金、罰金の執行猶予というのもございますが、さらに実刑の執行猶予、執行猶予付保護観察、執行猶予付補導処分、さらに実刑と、こう段階的にはたくさんございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、補導処分というものが保安処分でありまして、売春婦の実質的意味における保護更生をはかる矯正手段でございます。これにどの程度の価値を認めてこれを推進するかということは、まあかかってこの法案のもとにおきましては検察官の責任というふうに感じるのでございまして、私も確かに直ちに補導処分の判決が出てくるとは思いません。時期的にズレが起ることはこれはもう想像するにかたくないのでありますが、それでは何カ月後にそういうことになるかということはこれはなかなか申し上げかねるのでございます。その裏づけになるとは必ずしも思いませんが、ここに統計がございますので申し上げますと、これは昨年の一月一日から八月三十一日までの八カ月間の東京地検で取り扱いました売春婦の実態調査でございますが、この間に二千四百三十人が検挙されておりますが、その初犯として見られるのが千六十人でございます。それから二回ないし五回の検挙を受けておりますのが千百十九人、六回から十回までの検挙を受けた者が百七十九人、十一回以上が七十二人、こういうことになっておりまして、二回ないし五回というのが初犯よりも多いというところはかなり注目すべき状態と思うのでございます。これらの実態をよく検討いたしまして取扱い処理等につきましても、この法の趣旨をよく体しまして方針を考慮いたしたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/136
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137・大川光三
○大川光三君 この機会に、前回私が補導処分の取り消しをなぜ認めないかという質問をいたしましたに対しまして、当局の方から、たとえば成年の女子という意味で五条違反で処断した者が、年令が成年に達していなかったというような場合に、ぜひ補導処分の取り消しをやらなければいかぬ。しかるに補導処分の取り消しがないではないかという趣旨の質問でございましたが、これに対しまして、それは非常上告の理由となるからそれによって救われるのだという御答弁を受けたのであります。ところがよく調べてみますると、設例のような年令の誤認は非常上告の理由にはならないという判例があるのでございまして、このことはたまたま私が在野法曹であります立場から、ぜひ当時の御答弁に対する御見解を再び伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/137
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138・横井大三
○説明員(横井大三君) 年令の誤認が非常上告の対象にならないというのは確かにそういうことになっております。先般申し上げました私の御説明は大へんその点不十分でございました。法令違背のつまり誤まった裁判がありました場合には、再審あるいは非常上告というようなごく大ざっぱなつもりで申し上げまして、お尋ねの年令誤認というふうにしぼって参りますと、その中の非常上告というのは現在では判例上許されないということになっております。実は裁判所がかりに年令を誤認いたしました判決をいたしました場合には、通常の場合は上訴審によって是正を求める。これが普通の場合でありまして、両当事者とも気がつかない、裁判所も気がつかないというような、ごくまれな場合にそういうような事例が起るわけであります。で、年令の誤認は非常上告の対象にならないという事例につきましては、これはすでに判例が出ておりますので、裁判所の方としましては確立したものになるのでございますが、この点につきましては、実は刑事訴訟法一般の問題といたしまして、相当学者の間に議論のある点でございます。かつてはこの点は非常上告の対象になるという考えが有力でございました。最高裁判所になりましてから、その点は非常上告の対象にならない。一体事実と法律とはどこで区別するかというような問題とからみまして、実は学説上非常にむずかしい問題があるわけでございます。われわれも救済手続のうちの非常上告につきましては、この問題以外にもいろいろ問題がございますので、刑事訴訟法の改正につきましては、一つの大きな問題として考えていかなければならないと、こういうふうに存じております。ただ現在のところ、上訴方法がない。非常上告では救済できない。われわれといたしましては、できるだけ上訴の方法によって、普通の上訴によって解決したい。万が一そういう事例が出ますと、判決が確定しておりまして救済方法がないという結果になるわけでございます。その点も何か救済せよという御意見もごもっともと思いますが、これは非常上告一般の問題にもなりますので、あわせて検討して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/138
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139・大川光三
○大川光三君 そういたしますと、ただいまの御説明ではっきりいたしましたが、前回の私の質問に対する御答弁での非常上告ができると、その点だけは御訂正になることになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/139
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140・赤松常子
○赤松常子君 時間もだいぶん過ぎましたので、簡単に一、二お伺いいたしますが、売春防止法が実施されまして、たびたび申し上げますように、陰に陽に影響を受けます旅館及び旅館に働いておられる女子従業員の方々の問題がいろいろな姿でまた問題になってくると思うわけでございますが、私も最近あちらこちらの旅館及び温泉の旅館に実情調査に参りまして、非常に憂慮すべきことがたくさんございますことをつかんで参りましたが、この環境衛生の方では、旅館に対してどういう御指導をしておいでになるでしょうか。単にこの旅館の衛生という点でしょうか、そこの従業員の健康問題、そういうことまで一応衛生に入ると思うのでございますが、それはどういうふうにやっておいででございましょうか。どの程度にこの旅館業法の正しい施行を見ていらっしゃるのでございましょうか。一応伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/140
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141・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) ただいまの旅館並びに旅館の特に女子従業員の指導の問題でございますが、ただいまのところ、旅館業法に基きましては、昨年の五月まではあくまで衛生上の構造設備並びに衛生上のこれらの設備の運用というところに範囲がとどまっておりまして、従いまして、業態がもうけすぎるとかあるいは従業員をどうするというようなことは全然これは触れていなかった。もっぱらさような従業員等あるいはその他の旅館主等の健康問題いわゆる衛生問題とは別個の立場で接客業者としての健康診断、こういう問題が別に結核予防法なり、あるいは性病予防法なり、いろいろなそれぞれの法律で、これはほかの職業と同じように入り得るものは入る。これは特に、理容業の方でありますが、かような形であったわけであります。ただ昨年の五月の旅館業法の改正に際しましては、風俗の問題を営業許可にからませまして、それらの違反等があると、営業許可を取り消すと、あるいは停止すると、こういうことに改正になったわけであります。それで今まで進んできておりまして、ことにその原因となるものが、今度は四月から売春防止法の違反があればということになりまして、今、本国会に改正案を提案して御審議中でございますが、さような形になっておりますので、今の旅館業法の建前からは今のところ出てこないのであります。しいて、もしこういう営業に関するものは、営業の許認可からその営業の運行一切を一つの法律で規制するということになりますれば、さようなことはできると思いますが、これは一つ旅館のみならず、理容にいたしましても、いろいろな衛生法律がございますが、それらと全然同じ趣旨でかような規定を入れるもの、そこでわれわれ考えておりますのは、幸いなことに、われわれの方で扱っております環境衛生の営業につきましては、別個に昨年同業組合を作らせるという環境営業の適正化法が通過いたしまして、それぞれ県一本の強力な組合を作らせて、自主的に営業を改善していくと、こういうことになりましたので、現在組合がどしどしと発足しておりますが、これに向いましてわれわれが指導する。そういたしますと、従業員の待遇等も含めまして、営業方法の改善についても、組合を通じてある程度法の裏づけで指導、監督ができると、かようなふうになりまして、これがまだ十分効果を上げておりません。中央の連合会も近くできるそうでございますが、まだ県の半数くらいに旅館組合ができた程度でございます。理容等はもうすでに全国でできておりまして、中央連合会ができて、今指導を始めておりますが、これを今四月からの売春防止法の実施とも並行いたしまして期待をいたしておりまして、こちらで指導をする。
なお、従業員の、ことに旅館の従業員が、ああいう環境でございますので、他の職業以上に待遇が悪いということになりますと、衛生問題はもとより、売春行為にどうしても片寄りやすい。これによって収入を得るということが、ちょうどネコにカツオぶしみたいな形になりやすい職業でございますので、どうしても待遇を安定しなければいけないということでございます。これはまあああいう従業員としましては、被用者の立場で、労働基準法の適用に基きまして、労働省の関係でこれはある程度規制されるわけでございますが、ただ長い習慣でチップ制度、あるいは茶代制度になっておりまして、固定して一体女中の収入は何であるかというのが非常につかみにくい、これが一番難点でございます。これの方もやはりまず解決しなければいかぬと思いまして、今の営業方法の改善についての組合の共同動作ということを指導を始めるつもりで着手をしたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/141
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142・赤松常子
○赤松常子君 まあようようそういう点に目をおつけになったということを伺いまして、ほんとうに私はおそいと思うのでございます。で、労働契約であるとか、賃金であるとか、休日であるとかということは、またあとから基準監督の関係の方に伺いたいと思うのでございますが、今あなたのおっしゃる、営業全体のその秩序を立てるというのでしょうか、非常に私は大事な点だと思うのであります。私聞いて参りましたところでは、大体お客のゆかた、寝巻を洗うそういう石けん、これも女中持ち――ほとんど女中持ちでございましたし、それからひどいのになりますと、ほうき、それからぞうきん、バケツ、これも女中持ちのところが七割くらいあるのです。それで私どもが、なぜこれを――営業するために必要な道具なのであるから、営業主、旅館業主がこれを持たないかということを一々聞いてみるのでございますけれども、女中さん方はこう申します、一応私どもはそういうことを申し出ましだ。けれども、旅館業主の言うのには、旅館の方から買ってやると、みんなが粗末に使って一本のほうきでも半年しか持たない、それで、お前たち自分で買いなさい、自分で買ったら自分のものだと思って、これを一年くらい長く大事に使うだろうと、こういうふうなことで、その旅館を経営していくすべての道具、石けん、こういうものまで女中持ちというところが、七割、八割なのでございます。こういうところから、どうしても収入は少いし、それから今あなたのおっしゃったように、固定給のあるところについても、今の労働基準監督局から出たこの調査、これも私非常に実情とは違うと思うのでありまして、固定給もほとんどない、その上に、今言ったような道具まで買わされる、それからまた、少し旅館が広いと掃除が行き届かない、それで雇い人をせぬと掃除が行き届かない、そうするとその雇った人の給料まで女中がみな払っている、こういうふうに二重、三重に、固定給もない上に、営業に必要な経費まで払わされている、で、ひどいのになりますと、お客がお払いをしないので、そうして集金に行けというわけで取りに行きます、そうすると、その取りに行く交通費及び、昼になると食事も外でせねばならぬ、そういう集金費まで全部自分持ち、ひどいのになりますと、お客が市外電話をおかけになった――内緒でおかけになったのですね、それもみなその当番の女中持ち、こういうふうにほんとうに何もかも女中持ち、女中持ちということで、非常にその収入が少いわけでございます。そういうところから、今あなたの心配なさる、私も心配しております風俗の壊乱の方に回っていかざるを得ないわけでございます。で、こういうところを、今あなたのおっしゃる営業全体の、何と言いますか、こまかい規定をお作り下さって、こういうことは旅館が持つべきだ、こういうことは女中さんに負担させちゃいけないということまでの規定というものがないところに、今言ったようなまことにひどい、それこそ苛酷な搾取の状態が続けられていると思うのでございますが、こういう実情を御存じでございますでしょうか。こういうことまで今度の法律に含めていただけるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/142
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143・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 東京の実情はある程度存じておりますが、ただ旅館業法の改正の方に、今の旅館に関する一切のことを盛り込むという建前は、衛生立法ということで進んでおりまして、たとえば今のように枕カバー女中持ちにいたしましても、旅館持ちにいたしましても、非常に不潔にする、いわゆる伝染病その他のおそれがあるという部面には、これは現在でも条例できめているように法律がなっておりまして、これは指導が不足ならば十分指導いたすわけでございます。その営業全体に関する、今の労働基準法に適用される問題まで切り離して、こちらへダブってかけて……、それで旅館を見にいくのは、保健所の、主として衛生職員でございますが、この中で一切がわかるようにするということは、現在のところ、これらの営業をそれぞれ分担してやっておるわけでございますが、これからはちょっと今直ちにそうしたいということは申し上げかねます。これはやはりいろいろな営業関係全部そういうふうにする建前に踏み切りませんと、ある特定のものだけさような形にするということは困難かと存じますので、これは現行法でも、労働省なり、あるいは資金面等でございますと、それの方の所管もございますが、さようなところと十分協力をし合って――さような点はわれわれの方で一番発見しやすいのでございます。旅館の衛生管理のチャンスに発見できるという点を十分に通告を出してそれぞれ持っておるところの権限を発動していただいて総合的にやりたい、かようにするのが一番今のところ適当かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/143
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144・赤松常子
○赤松常子君 現実にもそういうことが行われておるのでございますが、こういう点に対して、労働省の方にちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/144
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145・鈴木健二
○説明員(鈴木健二君) そういう事柄が一部に行われておるということは承知いたしておるわけでございまするけれども、固定給が少くて歩合給が非常に多い。あるいはお客さんが器物を破損した場合にはそれはその担当した女中持ちだ、あるいは洗たくの場合の石けんを女中持ちでやらすというようなことは直接基準法違反にならないので、従って、われわれといたしましては、そういった基準法の問題以前の問題がこの業界にはたくさんあるという観点から、先ほど厚生省の方がおっしゃいました厚生省の業者の団体を通ずる指導と相待ちまして、まず基準法を施行する以前の基盤そのものを確立していきたい。それから、そういう基盤を確立すると同時に、基準法に定められた違法状態というものを段階的に是正していきたい。こういうような考えをもっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/145
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146・赤松常子
○赤松常子君 もちろん基準法に違反することは見のがすわけにいかないと思うのでありますけれども、それ以前の指導というのでございましょうか、まず調査の実態を把握するということはどちらでしていただけるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/146
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147・尾村偉久
○政府委員(尾村偉久君) 先ほども申し上げましたように、現在東京は比較的早く同業組合が発足いたしましたので、現在同業組合に、まず傘下の組合員の今の営業を含めまして実態をまず把握するようにということで組合員に調査いたさしております。そういうことがわかりますと、大体問題になっておる今の雇用の制度がどうなっているか今度初めてつかめるわけであります。今まではそれが実際にどの官庁の権限でもつかまえられなかったものでございますから、さような形でつかめれば、今労働省からもお話がありましたように、日本のお客側にも原因があったのでございますが、チップによりまして快適な宿泊を求めるというようないろいろ間違った考えもございます。すなわち、快適な旅館宿泊を目的とするといっておりますけれども、この快適の内容が衛生的にきちんと設備が整っていればいいのか、あるいは日本人といたしまして家庭的な雰囲気まで個々の従業員なり旅館業者に求めるかという点が、まだ日本間を持っておりますので、日本式の旅館ではまだ割り切れておりません。とにかくわれわれの方では、これをホテル式にサービス料一割あるいは二割を機械的に取るということが一番はっきりするのでございます。それをいたしますと、大部分の旅館主のみならず、それの顧客側からも非常な反対を受ける。旅館に行っても、独身のアパートにいるのと同じようなのではなくて、旅館へ行けばちょうど主婦を持っている主人が泊りにいったときと同じ状況を期待するような気分が非常に横溢しておるのです。従いまして、それに対してただ機械的にということは非常に難点がございます。そこの調整を日本式旅館の場合に、はからないと、必ずしも利用者側の日本人の感情にまだ合わぬという点がございますので、さような点も尊重しながら、その中で従業員の待遇が非常に前世紀的な形になっているところを直せるかというところを考えていきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/147
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148・赤松常子
○赤松常子君 私大へん時間がおそくなって気がせいておりますが、このことについてもう少し尾村部長さんにもいろいろお話申し、また、お聞き申したいと思うのでございますが、きょうは時間もございませんからこの辺にいたしておきます。
次に鈴木さんにお尋ねいたしますが、これの調査は大へんきれいではございますけれども、実際これが行われていない点があるのでございます。たとえば休日については、休日の定めある事業所は八七%である。大部分が休日の規定をもってはおるけれども、実際は行われていないという、これは文字とその多くの実態というものがほとんど違うわけなんでございますから、私はこの調査の御報告は少し信頼できないのであります。まあこういうこともちょっと申し上げておきたいのでございますが、今繰り返して申し上げますように、雇用制度の全然できていない、二十年間勤めていても何らそこに正式な雇用契約が結ばれていないから、あすにでも出て行けと言われればそれきりだというような場合も私聞いております。二十年でもこうなんですから、それ以下は推して知るべしだと思います。それから固定給もありません。休日もうたわれておるだけで実際には行われておりません。こういう実に近代以前の状態で働いておる従業員が約三十万人もいるのでありますが、この人々の労働条件の監督というものが実にこれはまだまだ不十分だと思うのであります。なぜこういうことがほってあったかということは、その実情がつかめないから、その実情をつかむというその努力が足りないから、こういうところを私は強く御反省願いたいと思いますし、この問題をこれからほんとうに本格的に取り上げていって、売春防止法の実施とともにこういう所に流れ込む、そういうことが予想されることなんでありますので、この面からも売春防止法のできた後の犯罪あるいは害毒というものを防ぐその態勢を早く確立していただきたいと、こう思うわけであります。まだまだこれは聞きたいのでありますけれども、時間がないのでまことに残念でございます。まだこの質問は保留しておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/148
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149・大川光三
○大川光三君 この際資料の請求をしておきたいと思います。先ほど竹内刑事局長から御説明がありました第五条相当の事案の違反で、今日まで条例で検挙された件数、また、処罰された件数並びにその処罰の内容等の統計表の提出をお願いいたしたいと思います。
いま一つ問題になっておりまする保護具の現物を当委員会に御提出を願いまして、できれば実験をしてお示しを願いたいと思います。
統計並びにその保護具は、できますれば、次回の十日の委員会に御提出をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/149
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150・青山正一
○委員長(青山正一君) 刑事局長並びに矯正局長に申し上げます。ただいま大川委員から、保護具を現物資料として提示されたいとの要求がございました。また、統計書類を要求されましたのですが、十日の委員会にぜひ御提出下さるように要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/150
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151・赤松常子
○赤松常子君 私の先ほどの質問に対する答弁が残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/151
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152・鈴木健二
○説明員(鈴木健二君) さいぜんおっしゃいましたような監督官が出向きまして一々法の違反を摘発して処罰するということもこういう労働条件を上げるためのもちろん有効な手段だと思いますが、先ほど申し上げましたように、業界全体の空気といたしまして、基準法以前の状態にある場面が相当にありますから、単に監督官が参りまして事犯を摘発するというだけでは根本的な問題の解決にはならないと思うわけであります。でわれわれはそうした監督とあわせまして、今申しましたような違反の原因態様に応じて、何と申しますか、段階的に違反が是正されていくという方法を業界指導その他を通じて一方でやりながら、特に悪質な者につきましては、万全な態度をもって摘発したい、こういう方向でいきたいというように思っております。先般も申し上げましたように、一月二十九日付をもちまして積極的に指導監督に当るようという通牒を出したような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/152
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153・青山正一
○委員長(青山正一君) 両案についての本日の質疑はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。
午後五時一分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01419580307/153
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