1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十四日(金曜日)
午後一時四十五分開会
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委員の異動
三月十一日委員斎藤昇君辞任につき、
その補欠として松野鶴平君を議長にお
いて指名した。
本日委員松野鶴平君辞任につき、その
補欠として斎藤昇君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 青山 正一君
理事
大川 光三君
一松 定吉君
宮城タマヨ君
委員
雨森 常夫君
大谷 瑩潤君
斎藤 昇君
亀田 得治君
藤原 道子君
後藤 文夫君
政府委員
法務政務次官 横川 信夫君
法務省民事局長
心得 平賀 健太君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
参考人
経済団体連合会
事務局長 堀越 禎三君
日本開発銀行理
事 間島 達夫君
東京大学法学部
教授 鈴木 竹雄君
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本日の会議に付した案件
○企業担保法案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/0
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001・青山正一
○委員長(青山正一君) 本日の委員会を開会いたします。
最初に、委員の異動について報告いたします。三月十四日付、松野鶴平君辞任、斎藤昇君選任。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/1
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002・青山正一
○委員長(青山正一君) 企業担保法案を議題といたします。
本日は、去る三月六日の委員会に続きまして、第二回目の参考人の方々から御意見をお伺いいたしたいと存じます。
前回におきましては、現行担保制度、また母法でありまする英国浮動担保制度の専門の方から、あるいはまた金融界、産業界の代表の方々から、この法案をめぐる基本的諸問題につきまして御意見をお伺いいたしたのでございますが、何分、金融取引上画期的な立法でございますし、経済界に与える影響も少からざるものがあることを考えますので、本日は、さらに有価証券及び会社法の権威者の方から、あるいは経済界の代表、開発銀行、中小企業の代表の方々から、この担保制度が円滑に運用されるためには、どのような問題があり、どのようにお考えになっておられるか、十分御意見をお伺いいたしまして、当委員会の審査の資といたしたいと存じます。参考人の方々におかれましては、日ごろ御多忙中にもかかわりませず、当委員会のため御出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
それでは、これより御意見をお伺いいたしたいと存じますが、企業担保法案につきまして、それぞれのお立場から御自由にお話ししていただきたいと存じます。なお、時間の関係もございますので、御一人三十分以内にてお願いいたしたいと存じます。
委員の皆様に申し上げますが、本日の御出席の予定でございました松崎参考人は、急な用務のため、昨夜下阪されましたので中政連からの意見聴取は割愛することにいたします。また、鈴木参考人は、学内用務のため、午後三時に出席されますので、この点御了承願いたいと存じます。
それでは初めに、経済団体連合会事務局長堀越禎三君からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/2
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003・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) 一昨年でございましたか、昭和三十一年の四月の六日に、当参議院の商工委員会に出席を求められまして参考の意見を述べたのでございますが、そのとき日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案が議会にかかっておりまして、それに関して、企業担保法案の今後の取り運びの参考とするためにお前の意見を聞きたいということでまかり出たのでございますが、何を申し上げたということは、皆様御承知でありますので、私は申し上げなくてもいいとは思うのでありますが、一昨年の私が参考人として出ましたように、この本企業担保法案というのは、あたかも日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案、これの期限を延長することに関連して、つまり日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案を期限切れにしては困るから、企業担保法をこれにかわるものとして出すといった、平たく申し上げますと、現在の八幡、富士両製鉄所のために企業担保法を制定するのだといったような考え方が出ておりますことは、非常な誤解であるということを、私はここであらためて申し上げたいのであります。
実は経済団体連合会といたしまして、この問題を提起いたしましたのは約十年前でございます。つまり、二十四年の五月に、われわれといたしましては、社債の普及促進に関する意見を公表いたしました。その中で、企業を社債の担保としてもらいたいという気持がそのときに出ておるのです。しかし、これは表は財団抵当の簡素化——財団担保制度をもっと簡素化してもらいたいという要望でございました。その次は、さらにその簡素化を具体的な要望意見にいたしまして、結局、二十四年の十月に出しました意見が、二十五年にはややこれが具体化されまして、二十七年六月に工場抵当法について改正が行われました。それで、かなりそのときに工場抵当につきましては手続その他が簡素化されたのでありまするが、もうそのときの簡素化は限度一ぱいであるということでありましたので、自来、さらにわれわれといたしましては、この企業担保というものにつきまして研究を進めまして、いろいろ研究いたしておりますうちに、二十八年二月に民事局から具体的な要綱案が発表されました。そして、二十九年の一月にわれわれに内示されたのでございますが、私たちは、この要綱案を中心にいろいろ検討を加えて参りましたが、当時金融界としては、当時の事情からはまだ時期尚早であるという御意見が非常に強かったために、八幡、富士の関連いたしております日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案というのを、さらに三十一年におきまして二年間延長していただいた次第でございます。そのときに、小野委員から御質問がございまして、経済団体連合会というのは金融界も産業界も入っておるのだから、よく話し合って、企業担保法をもっと具体化したらよかろうというお話がございましたので、私はそのときによく話し合いまして、できるだけ早い機会に企業担保法というものの具体案を提示いたしたいと思いますということを申し上げたのでございますが、その後、当経団連といたしましては、専門委員会を設けまして、財界及び金融界とともにいろいろ検討をして参りました。そして、やや具体的な意見を三十二年の六月に発表いたしました次第でございますが、幸いその意見に基きまして、民事局におきまして審議会を設けていただき、検討をしていただいて、この企業担保法というものに具体化いたしましたことは、われわれとしては非常な喜びでございます。
ただ、ここに、産業界と金融界との間にどうしも意見が一致いたしませんでした一つのポイントは、産業界といたしましては、社債のみに限らず、借入金についても、やはり企業担保をつけていただきたいということが強い要望であったのでありますが、何と申しましても、ただいま委員長のお話しになりました通り、日本の担保制度といたしましては、実に画期的な新しい担保制度を取り入れることでもありますので、できるだけ事を慎重に運ぶ必要があるということは、われわれとしても十分理解できますので、私も法務省の審議会の専門部会の一員として出ておりましたが、その点におきましては、金融界の御要望はまことにもっともだと思われましたので、社債のみにとりあえず限りました。そして、この社債に対する企業担保制度というもので、漸次皆さんがなれてこられた暁には、これならば大丈夫だという自信が金融界の方にもつきました場合におきましては、さらにこれを借入金にまで広げていくという第一歩としての、今度の企業担保法というものの具体化をぜひやっていただきたい。その点におきましては、産業界といたしましては、将来を楽しみにいたしまして、この社債のみに限りました企業担保法というものをぜひ今議会において通過成立さしていただきたいということを、その意味におきまして希望いたしておきます。
簡単でございますが、これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/3
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004・青山正一
○委員長(青山正一君) どうもありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/4
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005・青山正一
○委員長(青山正一君) 次に、日本開発銀行理事間島達夫君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/5
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006・間島達夫
○参考人(間島達夫君) ただいま委員長から御紹介いただきました間島達夫であります。
本日は、企業担保法案のことにつきまして何か意見をということで、非常に簡単でございますが、しゃべらしていただきたいと思います。
私、長いこと金融機関に勤めておりまして、いろいろ貸付の仕事、社債発行の仕事をやって参りましたのですが、およそ銀行が金を貸します場合には担保をとるということがまあ一応常識になっておる。特に長い金、たとえば運転資金、設備資金でも長い金につきましては、およそ財団抵当による抵当権をとっておるのが実情であります。ところがこの財団抵当と申しますと、非常に費用と時間と、労力がかかるわけであります。企業にとってはこれはかなり大きな負担、そればかりでなくて、企業が大きくなればなるほど、金融の差し迫った調達ということが、そのために時間の制約でできなくなるというおそれが多分にあるわけであります。かりに社債を発行いたします場合には、大きい会社になりますと一年前、少くとも半年前くらいから財団抵当をやるための財団の組成事務をやらなければならないということでございます。私、長い間その実情をつぶさに見て参りましたので、これが簡素化できたら非常にいいんじゃないか、こういうふうに考えておったわけでありまして、今、堀越さんから御説明のありましたように、産業側としては、非常に長い期間にわたって担保を簡素化してくれという要望があったわけであります。今お話がありましたように、財団抵当法の改正ということが、終戦後、たしか一回か二回か行われたと思います。どうもそれだけではなかなか産業界の要望が満たされないということでございます。一方、金融機関側といたしましても、やはり抵当権をつける手数がなかなかかかるわけでありますから、たとえば、目録をよく見て、また現場に出かけて、そいつを一々照らし合せてみなければならないというような手間がかかること、それから、早く貸してやりたいと思いましても、その時間に行ったときには間に合わないことがあるというようなことからいたしまして、債権の保全ということに欠くることがないならば、担保というものはできるだけ簡素化してもいいんじゃないかというふうに考えておるわけであります。現在すでに皆様御承知と思いますけれども、一般担保の制度、まあ簡単に申しますれば、ゼネラル・モーゲージという言葉を使っておりますが、これが昭和八年に、日本製鉄株式会社法というものの中に一般担保の規定が盛られましてから、それから終戦後におきまして非常にこれは使われておりますが、この一般担保の制度というのは非常に簡単な法律でございまして、一般の先取特権というような法律的性質を持っております。しかも、これは民法の一般の先取特権によるものである。この二カ条の規定しかないのであります。しかも、その簡単な規定によって長いこと運営してきて、何か支障があったかと申しますと、私が経験してきたところでは、まず支障なく、それがうまく運用されてきたと考えておるわけであります。
ところが、このたびそういった一般担保の制度、それを出発点にいたしまして、英法系の浮動担保というものに範をとりまして、企業担保法案ができ上りましたことは、非常に喜ばしいことでありまして、私といたしましては賛意を表する次第であります。ただ、このわが国の法律的基盤、経済基盤から申しますと、これの全面的施行ということにちょっとまだ問題があるのじゃないか。それは金融機関側でも考えておるわけであります。これはなまいきのような申し分でありますけれども、日本の法律制度というものは、大体大陸法系を根幹としておりまして、それに、これはずっと昔からでございますけれども、少しずつ英法系のものを注入してきておりますが、どうもこの英法系というものは、日本人と申しますか、われわれになじめない、親しみにくい。たとえば、信託制度というものが入っておるのですが、なかなか信託というものの実体がつかめない、のみ込みにくいということ、それから終戦後かなり英法系が入ってきまして、まあ申しますならば、今後日本の法体系というものの整備は非常に必要ではないかというふうに考えるわけであります。そういうわけで、これは法律基盤の問題としてまず申し上げておきます。
それから経済基盤でございますが、御承知のように、終戦後十年余を経ておりますが、しかし、いまだもってこの日本の経済基盤が固まったということまでは言えないのじゃないかと思うのでございます。たとえば、金融機関側といたしますと、非常なオーバー・ローンでございます。集まりました金のそれ以上の貸し出しをやっておる。御参考に申し上げますと、昭和十年ごろは、全国銀行の預金の総高がたしか、百億ぐらい——これは昭和九年、十年ごろの記録でございますけれども、そのうちどのくらい貸し出しに回しておったかと申しますと、約六〇%でございます。あとの四〇%は有価証券投資、——そのころは国債がございましたから、国債投資と、かなり今日から考えますと、アメリカの銀行の健全経営に近い経営をしておったわけです。それが戦争というものを経まして、終戦後だんだん堅実になってきましたものの、いまだ創痍がいえないために、そういったオーバー・ローンの形をとらざるを得ないというのが現状でございます。それから、産業側といたしましても、これは逆に申しますと、オーバー・ボローイング、非常に借入金が多い。一番多いのは海運畑あたりだと思うのですけれども、いろいろ設備をやりますにいたしましても、運転資金を回すにいたしましても、おおむね借入金によらなければやっていけないというのが実情でございます。こういう意味から申しますと、非常に経済変動の波を大きく食いやすい、影響されやすい、こういう現状でございますので、先ほど申し上げましたように、この法律の制定ということにつきましては、漸進的立場をとるのがいいんじゃないかとわれわれは考える。この意味におきまして、今度社債に限定した、被担保債権を社債に限定したということは、非常に適当な御措置と私は考えるわけです。
ただここで、こういう憶側をいたしますことは、まことに失礼だと思うのですけれども、この意味は、おそらくさしあたりと、こういうふうに私は考えておるわけであります。私の希望なり、あるいは期待といたしましては、先ほど申し上げましたような、法律基盤の整備、経済基盤の強化というようなことによって、この法律の適用範囲がだんだんに広がっていくということを考えておるわけであります。将来そうなりますことを私は希望し、期待しておるということを重ねて申し上げたいと思います。
最後に、この法案の付則の中に、「被担保債権の特例」という見出しで、開発銀行の債権につきまして特例を設けておられますので、ちょっとこれを敷衍したいと思います。
御承知のように、日本開発銀行は、国の財政資金をいただきまして、これを貸し出ししておる。現在四千三百億ほど貸し出しがございます。そういう金でありますのと、それからもう一つは、非常に長期の金を出して、もう長いものは三十年ぐらいのがございます。短かくても数年というのがございますから、その間に企業が、経済変動によっても影響がかなり大きいものがあるということを考えますと、必ず担保を取るということを建前にしておるわけであります。それから、それは国内の資金でございますが、私どもはそのほかに、世界銀行から外貨資金を借りまして、これを企業に転貸するということをやっておるのであります。従いまして、世界銀行の直接の借り主は開発銀行ということになるわけでありますが、企業に対しましては私の方が貸し主になるわけであります。このものにつきましても、当然、国内資金と同じように、われわれとしては必ず担保を取るという建前をとっておるわけであります。また、世界銀行におきましてもこういう要求をしております。日本のたとえば企業に間接に貸すわけですが、その会社が、日本の国内の金融機関に提供しておる担保と同等のもの、またはそれより優先する担保を出せ、こういう要求をしておるわけであります。こういう点を考えましたのと、それから一方、日本の国内で、かりにこの法律によりまして、企業担保付の社債を出したというようなことがありました場合に、それと、今申し上げました開銀の担保とのバランスの問題と、それからもう一つは、せっかくこういう法律が出て、社債が企業担保権で出される、それを円滑に推進させるためにはということを考えますと、こういう特例を特に設けていただきましたということは、ほんとうにありがたいことだと考えておるわけであります。
以上で私の意見を終らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/6
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007・青山正一
○委員長(青山正一君) どうもありがとうございました。
鈴木参考人はまだお見えになっておられませんので、便宜、ただいま御陳述願った堀越さん、間島さんに対して御質疑がありましたらお願いいたしたいと存じます。
なお、ただいま政府筋から、法務省の平賀民事局長、同じく香川第三課長、通産省から川出企業局第一課長、このお三人の方がお見えになっておられます。後刻、松尾通産省企業局長、磯田大蔵省理財局次長がお見えになるはずであります。
どなたか御質疑のある方はお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/7
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008・大川光三
○大川光三君 ただいま堀越、間島両参考人から、きわめて御懇篤なるお話を伺いまして、私どもといたしましては、非常に利益するところがあったと存ずるのでございますが、なお、そのお話に関連して、数点疑問と思われまする点をお伺いいたしたいのであります。
最初に、堀越さんにお伺いをいたしますが、先ほどのお話では、ともかくもここに企業担保権ができたということについては、過去の経験に顧みて喜ばしいことであるというお話でございました。ところが、すでに企業担保権の設定に関しまして、前に要望意見を出されておりますが、その要望意見と、実際でき上りました本法案との間には、相当なまあ食い違いと申しますか、御希望に沿うていない点もあると思います。そこで、そういう点に関してお伺いいたすのでございますが、まず第一に、御要望事項のうちで、この担保制度の適用については、高度の信用力が前提となるので、適用会社は資本金、または総財産において一定基準以上のものに限るように何らかの規制措置を講ずるべきである、こういう御意見でございました。しかるに、本法案においては、そのことが出されていないのでございますが、その点に関しまして堀越さんの御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/8
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009・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) 要望意見のどの要望意見を御引用になりましたのか、ちょっと伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/9
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010・大川光三
○大川光三君 昭和三十二年六月十七日付御書面のうちの数字の1、適用の範囲についてという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/10
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011・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) これは、この意見は前に出しました要望意見にも出ておるのでございますが、この問題につきましてはいろいろ論議せられました結果、非常にまあ現在、実行上問題点があるので、結局、社債に限るということになったわけでございます。社債に限りまするならば、この点はわれわれとしては、別に限っていただく必要はないということでございますので、矛盾はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/11
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012・大川光三
○大川光三君 その次に同じ要望書の数字の2、企業担保権の効力についてという見出しで、結局、重要な財産の譲渡に対する制限をしなければならぬ。あるいは債権者の同意を要するとか、あるいは同意なくして財産を譲渡した場合には、それが取り消しを裁判所に請求することができるのだというように、企業担保権者の保護をするという建前から、特にあるいは同意であるとか、その他の制限を設けるべしという意見でございましたが、本法案におきましては、これがまた削除されておるのでございますが、この点に関する御意見を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/12
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013・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) この点につきまして、実はきょう、当時の何をちょっと持ってきておりませんので、少し間違うかもしれないと思うのでございますが、実は、私自身としては専門家でございませんので、むしろ政府委員の専門家の方に御質問いただいた方がいいかと思うのでありますが、この問題も、社債に限るということになりますと、非常に観点が変って参ります。当時は非常に、借入金全部に適用していただきたいという財界の意見、その企業側の意見を、金融側の意見と妥協させます点におきましては、企業担保権者の保護の措置が相当講じられなければならぬという観点から、この意見が出てきたわけでございます。社債に限るということになりますと、よほど問題が変って参りますので、非常に著しい相違はないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/13
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014・大川光三
○大川光三君 あるいは御記憶から薄れておると思いますけれども、社債に限定されたということと、しかし、いかに社債だけに限定されましても、その総財産を一体とした担保が、自由に債務者の意思によって譲渡し得るというようなことでは、債権者の保護に欠けるところがあるのじゃないかというので、あるいは、これに対して債権者の同意を必要とする、結局、債権者保護の建前から、私どもはこのことを考えるのでございますが、その点いかがでございましょうか。ごらんの通りに、企業担保権というのは、総財産を一体として一応担保に入れます。しかしながら、その後、債務者が勝手に財産をどんどん処分することもできまするし、その処分したものについては追及をしていく法律上の権利がございません。そこで、その自由気ままに、一たん担保に入れたものを処分ささずに、重要な財産には、処分する前に債権者の同意を得さすべきであるということが御要望の趣旨であったと思うのでございますが、それは2のところに出ておるのでありますが、私どもは、債権者保護という建前から、かりそめにも担保権を設定した総財産を、債務者の自由意思によってどんどん処分するようなことではいけないのだという考えがあるのでございますが、その点に関する御意見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/14
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015・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) 大へん何でございますが、私があまりこの点専門家でないので、十分な御説明ができないと思いますので、後日またよく調べまして——きょう実は専門家を連れてくるべきはずでございましたが、非常な他に用があって連れて参れませんものですから、御回答できかねるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/15
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016・大川光三
○大川光三君 法律論を別にいたしまして、もう一つ伺っておきたいと思いますが、御承知の通りに、この企業担保権のねらいといたしまするところは、費用と手数をなるべく簡潔にしようというところにあると思います。ところが、この企業担保権の設定変更をいたしまするのには、公正証書によらなければならぬという規定がこの法案にございます。しかるに、この公正証書で担保権の設定変更をするということになりますると、それ相当な費用がかかる、そうするとこの法律をこしらえた、手数と費用を省くのだという本来の目的に沿わない点があるというので、これは関西経済連合会の意見として公正証書ではなくても、私署証書でもいいじゃないかと、こういう意見が出されておりますが、経済団体連合会としては、その辺に関していかなる御意見をお持ちになっておりますか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/16
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017・堀越禎三
○参考人(堀越禎三君) 私からお答えしてもよろしゅうございますが、この方に詳しい間島さんの方が適切だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/17
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018・大川光三
○大川光三君 それじゃその公正証書によらねばならぬかどうかという点につきまして、間島さんに御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/18
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019・間島達夫
○参考人(間島達夫君) 私、かわって御説明いたします。
この法律によりますと、企業担保権と申しますのは総財産を押えます。従って、債務者が延滞するとかあるいは破産するとかという事態が起きない限りは、自由自在にその中の物が処分できる。そういう事態が起きたときには、期限の利益を失いまして、そのときの状態におけるままでフィックスするということになるわけでございます。そのフィックスされたものを差し押える、こういうことになるものと考えております。その場合に、そういう事態になるべく早く迅速にそういう手続をいたしませんと、中の物がフィックスしたものより少くなってしまう、それだけ債権者の利益が侵されるということになるわけでございます。そこで、尊びますのは迅速ということであります。
なぜ公正証書にするかと申しますと、それは私の立場で政府委員のあれになって恐縮ですが、公正証書にいたしますと、強制執行の認諾文というものがすぐとれるように条文はなっております。従いまして、債務者がそういう状態に陥ったときには、すぐ公正証書に執行文を得て債務名義がもらえるわけでございまして、それですぐ強制執行ができる。そうでなく私証書でやりますと、一応裁判にかけて請求訴訟を起して、それからやるということになりますと、その間に時間を空費してしまう、その間に悪い債務者の場合にはどんどん中の物を売り払って隠してしまうという事態が起きますので、債権者保護という意味で、どうしても公正証書でやった方がいいと私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/19
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020・大川光三
○大川光三君 お説ごもっともでございますが、先ほど間島さんのお話の中に、現在日本開発銀行の貸付金がたしか四千三百億円と、かように伺いました。そこで、こういう大きな債権に企業担保権を設定する場合に、一々公正証書を作るということになりますと、公正証書の作成手数料というものが非常にたくさんかかるのではないかというように私は考えるのです。今手元に公証人の手数料の規定を持っておらぬのでありますけれども、相当大きなものに私はなると考えますので、経費節約の面から見て、私証書にするのが得なのか、あるいはお説のようにいざとなった場合に公正証書に執行文を得て、いわゆる債務名義を得て迅速に差し押えにかかった方が得かと、こういう問題になる。
そこで、ちょっとそれに関連して民事局長の方に伺いますが、一体公証役場の手数料というものは、証書の何か債権に応じて手数料を払うようになっているのではありませんか。それと、かりに一千億円の公正証書を作る場合にどれほど公証人の手数料が要るかという点がわかりましたら、この機会に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/20
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021・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 公証人の手数料につきましては、公証人手数料規則というのが政令で設けられておりまして、公正証書の場合でありますと、その証書の内容をなしておりますところの法律行為の目的の価額に従って幾らというようにきまっておるわけであります。この手数料規則の二条に規定があるわけでございますが、法律行為の目的の価額が千万円までは三千円、千万円をこえます場合には、三千円に超過額五百万円までごとに五百円を加えるということで、額が多くなりますと、手数料もだんだん減るようにはなっておりますけれども、何億円という債権額になりますと、手数料もかなりの額になるわけであります。ただ、企業担保法案では、公正証書によることを義務的にするわけでありますから、手数料についてはあるいは別途に考えなくてはならぬのじゃないか。これは政令できめることになっておりますので、手数料についてはなお別途に考えたい、こういうふうに私どもとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/21
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022・大川光三
○大川光三君 引き続いて間島さんにお伺いいたしたいのでありますが、実は私どもは日本開発銀行の業務がどういうように運営されておるのかということについての知識が浅いのでございますが、お差しつかえない限りにおいて、日本開発銀行の業務運営の概要についてお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/22
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023・間島達夫
○参考人(間島達夫君) お答え申し上げます。先ほど私が開発銀行のかりに四千三百億と申しましたが、最初にどうしてそんなにたくさんかという御疑問を持たれたと思います。開発銀行は二十六年にできましたが、その前に復興金融金庫というものがありました。これの債権を承継いたしました。それから政府の方で見返り資金の貸付をやっておられました。これも承継いたしました。二十六年発足後の開発銀行になりましてから貸し付けましたものを合せましての話で、さよう御了承を願います。
業務運営の概要でございますが、きわめて簡単に申しますと、御承知のように、毎年政府の予算がきまりますときに、一緒に財政投融資のワクもおきめ願っておりまして、その中で開発銀行は一体幾ら財政資金から翌年度に回すかという規模を大体きめていただくわけであります。それに引き続きまして予算が成立いたします。それから年度が始まるわけでありますが、新しい年度になりますと、政府の方から運用基本方針という方針をちょうだいするわけであります。その中に本年度、たとえば三十三年度にいたしますとどういうものに重点を置いて出すか、こういう基本方針をお示になる。それに従って、それと前にきめております財政投融資のワク内でこれを実行して参る、こういうことでございます。
簡単にその四千三百億を一体どういう方面に貸し出しておるかということを申し上げますと、ただいま資料を用意しておりませんので、もし記憶に違いがありましたらごかんべん願いたいと思いますが、四千三百億のうち電力が約二千二百億、それから海運が千三百億、合計いたしますと三千五百億になります。四千三百億でありますから、大部分が海運と電力、こういうことになるわけであります。あと石炭、鉄鋼、その他機械だとかそういうものでございます。それでよろしゅございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/23
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024・大川光三
○大川光三君 それといま一つ、八幡、富士、両会社との間の転貸契約の内容、どういう現在関係になっておるかを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/24
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025・間島達夫
○参考人(間島達夫君) 今おっしゃいましたのは、八幡と富士でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/25
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026・大川光三
○大川光三君 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/26
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027・間島達夫
○参考人(間島達夫君) 現在、富士製鉄は世界銀行の借り入れをいたしておりません。鉄鋼関係は八幡だけでございます。御参考に、今私の方が世界録行から外貨を借りまして、それをまた転貸しておる先を申し上げますと、電力が中部電力——金額を申し上げましょうか。概数で、円貨で申し上げますが、二十一億。これは昨年の十二月末現在で申し上げております。関西電力、これが六十九億でございます。それから九州電力が三十五億、八幡製鉄が十八億、そのほか金額は小さいんでございますが、川崎製鉄、日本鋼管、トヨタ自動車、石川島重工業、三菱造船。金額を申し上げますと、川崎製鉄が四十九億、鋼管が八億、トヨタ自動車が七億、石川島重工が三億、三菱造船が三億。合計いたしまして、現在二百十八億というものを世銀から借りまして転貸いたしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/27
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028・大川光三
○大川光三君 先ほどのお話の中に、企業担保権を、社債に限定して担保を設定することに賛成だというお話を伺いましたが、しかし、将来日本の経済状況と相待って、長期貸付金にもこれを及ぼすべきかどうか、まあ長期貸付金にこれを及ぼしたときにどういう影響があるだろうかということにつきまして、いま少しく詳しく伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/28
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029・間島達夫
○参考人(間島達夫君) 私は、先ほど社債に限定したことは、さしあたりの意味ということでございます。従いまして、今後法律基盤なり経済基盤が強化整備された場合に、この適用範囲を広げるという意味で貸付金にも及ぼした方がいいのではないかと考えるのです。少くとも長期の金、これは開発銀行だけではなくて、興長銀とか市中銀行も長期のものを出しております。やはりそういうものにもつけた方がいいのではないかということを考えて、申し上げたわけであります。
それでは、そういうものをつけた場合に、どういう影響があるかということでございます。大体現在は社債は財団抵当で出しておりまして、社債は社債権者、一般大衆というものに普及さしております関係上、社債担保というものはなるべく優先させたいということで、社債は、出します場合には、現在非常に優先順位の高い担保をとっております。市中銀行に頼みまして、その順位を譲ってもらいたいということを交渉しまして、これはおおむね成功しておりまして、社債を一番にしてもらって、銀行さんの方は二番あるいは三番でがまんしてもらうということをやっております。今度法案の改正により、やはり企業担保権にも順位がつくということになると、先ほど申し上げましたように、貸付金にもつけるというときは順位の問題が起きてくるということが、一番影響の大きい問題だろうと思います。これは、現在やっておりますように、やはりこれは社債を受諾する銀行との話し合いで、社債に優先順位でやってもらうということを考えております。この程度でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/29
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030・大川光三
○大川光三君 ただいま堀越さん、間島さんから、いろいろ御丁寧な貴重な御説明をいただきまして、ありがとうございました。私自身の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/30
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031・青山正一
○委員長(青山正一君) 御両人に対する御質疑はございませんか。——鈴木参考人がお見えになるまで……。ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/31
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032・青山正一
○委員長(青山正一君) 速記を始めて下さい。
ただいま鈴木参考人がお見えになりましたから、御陳述願うことにいたします。鈴木参考人は東京大学法学部教授で、有価証券、会社法の権威であらせられます。鈴木参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/32
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033・鈴木竹雄
○参考人(鈴木竹雄君) きょうは大学のやむを得ない公務のために遅参をいたしまして、まことに申しわけございません。
企業担保法案について意見を御聴取の趣きでございますが、私は、この法案のもとになりますものが法務省民事局の試案として発表されましたころから、この問題に対しましては格別に深い関心を持っておりました。そしてまた、この法案ができまするまでの間におきましても、あるいは東京商工会議所の商事法規委員会の委員長として、この問題につきまして実業界の意見と学界の意見との調整に当ったこともございますし、また法制審議会の商法部会の委員といたしまして、本法案の作成にも若干関与いたしました者でございます。
私の全般的な意見を申し上げれば、本法案に対しまして賛成しておるわけでございます。
で、この企業担保法というふうなものがなぜ必要になってきたかというふうな問題につきましては、おそらく今までにたびたびお聞きあそばしたことだと存じますので、重ねて申し上げる必要はないかと存じます。おそらくこの法案につきまして一番の問題になります点は、この企業担保法の適用されます対象として株式会社が選ばれ、しかも、その企業担保権をつけることができる債権として、あるいは債務としてと申しましょうか、社債が選ばれておりますということが一つの問題かと存じます。もう一つは、企業担保権の効力といたしまして、それは現に会社に属する総財産について優先弁済権を持つということ、従って、企業担保権を設定いたしましたときに会社の総財産に属するものでありましても、その後会社が処分をいたしますれば、それには企業担保権の効力が及ばないとともに、設定いたしましたときに総財産に属しておりませんものでありましても、その後会社に帰属するに至りますと、それに企業担保権が効力を及ぼすということ、こういうふうなある意味におきましては浮動的な力を持っているにすぎないというところに、一つの問題があろうかと思うのであります。しかし、この今申しました担保権の対象あるいは企業担保法の対象になります範囲というふうなものの限定と、それから今申しました効力というものとは、二つの問題であるとともに、また非常に密接な関連を持ったものであるわけでございます。
まず、効力の方から見て参りますと、今申しましたような形でもって、ある意味で申しますと、担保にとっておる企業というようなものが処分をすれば、その処分されたものは担保権の対象からはずれてしまうということになりますと、非常に心もとないもののようにも思われるのでありまして、それで、担保としての値打があるだろうかということが一つの疑問になってくるわけでございます。この点につきましては、試案あるいはその後の考え方としては、いろいろ考え方が現われてきたのでございますが、しかし、結局こういった企業担保権自体の効力は今申しましたようなものでいいのじゃないか。これに並べて、必要であれば個個の不動産につきまして特別の抵当権を設定するというようなことも、債権者が望めば、できないわけではない。加うるに、債権者と債務者との間の約束によりまして、こういったような財産を処分した場合には、お前に貸してある債権の期限が到来してしまって、そうしてすぐに支払いをしなければならないようになるのだという特約をつけておりますれば、それによって、たとえばそのような特約に反して会社がある財産を処分する、債権者の同意を得ないで処分をしてしまった、そういうような場合には、すぐ期限が到来いたしまして支払いをしなければならないというふうな状態になるわけでございます。その場合に、もし払わないということになりますと、そうすると、担保権の実行という問題になりまして、担保権が実行されますと、この法案の二十条にもありますように、会社の総財産が差し押えられるということになるわけでございます。
従って、今申しましたような形を考えてみますと、結局企業担保権というものは決して弱いものではない。今申しましたような措置を構ずることによりまして、期限の利益を失ったということになり、しかも金を払わないということになりますと、会社全体がストップしてしまうということになるわけであります。この点は、たとえば手形を出しておりますと、ほかの借金については待ってくれ、待ってくれといって、返済を猶予してもらうというようなことが比較的行われやすい。しかし、手形を払わないということになりますと、手形交換所で不渡処分を受けまして、銀行から相手にされないということになる。従って、企業はストップしてしまうようなことが起ってくるのでありますから、何をさておいても、手形は払わなければならないというのと、あたかも相似たところがございまして、企業担保権を払わない、企業担保権についている債務を払わないということになりますと、会社全体がストップしてしまうということが起ってくるわけでございます。そういう点から、何をおいてもこれだけは払わなければならぬという一つの心理的な強制が起って参りますために、企業担保権というものは、見たところの効力とは違った、案外強い効力というものを持っているのじゃないかというふうに思われるわけでございまして、こういう観点から、企業担保権をとっておきまして、そして先ほど申しましたような措置を講じますと、これで相当な強い担保の役割を演ずるのではないかと思うわけであります。
企業担保権と申します場合の企業というふうな問題、土地についての担保権、あるいは建物についての担保権、企業についての担保権と申しますその企業の中身というのは、先ほど申しましたように、いろいろいわれますが、結局、いざといったらば会社全体がストップしてしまうという形においてとられておるのだと考えれば、この企業という名前がついておりますことも非常な意味があるのじゃないかというふうに考えられる次第でございます。
こういうふうな強い企業担保権であるということ、しかも、それを設定いたしますると、そうすると、会社の全財産の上に優先権というものを持つわけになるわけでございます。そういう点から申しますと、一方において債務者から申しますと、変に金を借りてしまったそのときに、企業担保権がついておりますと、自分の営業がとまってしまうというふうな非常に重大な結果が出てこないわけではございません。そういう点を考えますと、金を借りる場合の担保になる担保物は、できるだけ広く、だれにでも認めてやればいいじゃないかというふうにも考えられますけれども、しかし、あまり自分を守る力のないような人にこういうようなものを担保につけるということを認めますると、案外思わざるようなことが起る可能性がありやしないかということが問題になって参るわけでございます。
それとともに、先ほど申しましたような意味で一つ企業担保権をつけますと、その財産について一般の債権者よりも優先権を全財産の上で持つわけなんでございますから、従って、企業担保権をうっかりつけられてしまった場合には、ほかの債権者というものが相当の迷惑を来たすというおそれがあるわけでございます。そこで、資力の少いというような、危険の多いというようなものに企業担保権の設定を許しますと、そうすると、かりに債権者、債務者だけは納得をしてやったとしても、その結果とかく債務者のほかの債権者を害するというふうな結果がなくはないわけでございます。かような点から、先ほど申しました第一の企業担保法の適用になっておりまするものを考えて参りますると、どの個人の商人にも企業担保権の設定を許すというふうなことは相当危険なんじゃないか、やはりこれは株式会社に持っていった方がいいだろう。さらに、株式会社でも、このごろのように非常に小さな株式会社もございます。そういうふうなものに許していいだろうかということになると、非常な危険を感ぜられるわけでございます。そこで、株式会社の方で相当大きな規模の株式会社という形で線を引くことも考えられることでございますが、他方この法案のように企業担保権をつけることができる債権というものは社債に限るのだ、そういうふうにしておきまして、そこで相当基礎のしっかりした会社でなければ社債の発行ができないということから、おのずから制約が出てくるわけなんでございまして、こういうふうなやり方というものは妥当でもあり、また賢明だったんじゃないかというふうに考えられる次第でございます。
一番、法案を作って参ります過程において私自身が問題にいたしました点についての本法案の解決につきまして、私の意見を申し上げた次第でございますが、その他何か御質問に応じて補充さしていただくことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/33
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034・青山正一
○委員長(青山正一君) どうもありがとうございました。
これより鈴木参考人に対する質疑に入りたいと存じます。御質疑のおありの方は、順次、御発言下さい。
なお、先ほどの政府委員のほかに、法務省から横川政務次官、大蔵省から磯田理財局次長がお見えになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/34
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035・大川光三
○大川光三君 鈴木先生に、主として法理論的なことについて二、三お尋ねをいたしたいと存じます。先ほどの御説の中に、企業の中身というものは、いざとなれば会社全財産が、全機能がストップするような状態の内容を持つのが企業であるというように、御説明を伺ったのでありますが、実はその点が私どもにはまだちょっとはっきりしないのでございます。と申しますのは、ごらんの通りに、本法案が企業担保法案、こういうふうに名称をつけられておりますが、その内容はどうかと申しますと、その第一条において総財産を一体として企業担保の目的にするのだ、こういうように説明されておりまして、企業そのものについての定義はこの法案の中には出てきません。そこで、名称は企業担保権と呼ばれておるが、その実態は総財産を一体としてということに解釈せざるを得ない。そこで、一体この企業という概念と総財産を一体としてということはどう違うのだろうかという疑問がございますので、まずこの点をお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/35
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036・鈴木竹雄
○参考人(鈴木竹雄君) ただいまの御質問、大へんむずかしい理論的なことになるわけでございまして、私も十分に御説明できるかどうか存じませんが、商法で、営業譲渡というふうなものの「営業」という言葉がございます。それはもっと大きく申しますと、企業というものがもう一つ上の概念になるわけなのでございます。そういう営業譲渡の営業というふうなものと、それから営業の総財産というようなものとの間にどれだけの違いがあるかということは、いろいろの商法学者が論じておりますが、結局一つ一つの財産が、これが幾ら、これが幾らというふうなものであるのと、これが一つの何か役割を演ずるように、つまり営業の目的を演ずるような形でもって、みなのものがまとまっております場合には、これはたとえば家としてでき上っておりますものなら、百万円の値打がある。それを一つ々々の材木にして売ってしまえば、三十万円の値打しかない。こういうことになるわけで、まとまっているところに一つ一つの財産の持っております以上の価値というものがあるわけです。その上に、そういう営業というものが動いておりますと、お得意先が出てくる、あるいは仕入れ先というふうなものがある。そういうふうなものがやはり、法律上の権利ではないけれども、事実上の価値があるものなんで、そういうものが一体として営業の譲渡というふうなときには売られていくわけなんです。個々の財産を集めた意味での総財産というふうなもの、それがかりに一つ一つの財産がそういう形に置かれているということが総財産だといたしましても、それに財産という名前をつけ得ないような得意先関係というものが加わったような、そういうふうなものが営業であり、もっと大きくいえば企業である、こういうふうなことになるわけでありまして、おそらくはこの企業担保法のでき上ります最初の過程におきましては、そういう企業というふうなものが担保になるのだというふうに考えられていたように思うわけであります。
しかし、その企業というもので、私先ほどお得意先まで入ってというふうに申しましたが、普通いよいよ金が払えないといったような会社を考えてみまするというと、相当事業も左まえになってきているわけでございますから、従って、そういう場合のお得意先というものは、まあどれだけの値打があるのかといったようなことも問題でございましょう。そして、場合によりますれば、今までやっていた仕事では、だれがやったって利益をあげていくことはむずかしい、そういうふうな事業というものはもうだめになってしまっているのだといえば、そういう目的に使うこともできないということになれば、総財産をばらすというほかはないということも起らないでもございませんけれども、しかし、やはり、たとえば工場なら工場としてでき上っている、それを一まとめにして売るのだということ、それが高い値段に売り得るというふうなことが考えられるわけでございますし、また場合によれば、その持っております古い地盤というふうなものが、それを買った人に幸いするというふうなことも出てくれば、よけい高い値段でも買うというようなことが起って参りましょう。そういうところが、企業というものがこの担保権の対象だというふうな考え方をしたわけで、従って、個々の総財産がばらばらでもって担保の対象になっているのじゃなくして、一まとまりとして対象になっているのだ。
しかし、一まとまりになっているということは、それならば、動かないものかというと、もし動かないものならば、企業というものは死んでしまうわけで、少くとも原料を買い、製品に作って、それを売るという形でもって動いているわけです。あるいは古いものは新しいものに機械を買いかえていくというふうなことがあるわけで、そういうことは、企業の本来の姿として、どうしてもなければならないことなのであります。そういう形において、これは売ってもいいが、これは売っちゃいかぬというようなことを分けようということを初め考えたのですが、それはもう分けられないのです。分けようと思うと、法律的な技術も困難でありますし、実際において非常な、当事者の間、あるいはまた、それが処分されました場合における第三者に及ぼす影響というものが大きくなりまして、とうていそういうことはできない。従って、変ることはもう自由に変ってよろしいのだ。しかし、当事者の間の措置としては、先ほど申しましたように、あるいは個別的な担保をとるなり、あるいは契約関係の特約をいたしまして、それで債権者としての保護というものはできる。そうして、いざ勝手に処分をいたします、あるいはそのために期限の利益を喪失するということになりますると、先ほど申しました二十条の規定でもって、裁判所が実行開始決定のときに、総財産を企業担保権者のために差し押えるという宣言がありまして、そこで総財産が差し押えられる。すなわち、そのままの形でもって財産がストップするということイコール営業がとまってしまうということになるんじゃないかと、こういうふうな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/36
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037・大川光三
○大川光三君 詳しい御説明をいだたきまして、ありがとうございました。ところでもう少し具体的にお伺いいたしますが、ただいまの先生の企業に対する概念の御説明を要約いたしまして、いわゆる総財産というのは先取特権の目的になるもの、言いかえますと、強制執行の対象になるものが総財産である、こういうように解釈いたしますことは間違いでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/37
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038・鈴木竹雄
○参考人(鈴木竹雄君) 強制執行の対象——今おっしゃいました、その先取特権というのは非常に、私もそうだと思うのでございます。先取特権というのは、今認められております先取特権とは、法律の規定で認められております法定先取特権でございますが、これは一種の約定先取特権。それで、いわゆる民法的にこれを直して参りますれば、総財産の上の先取特権、それを契約でやっております約定のものだ、こういうふうに考えていいのじゃないかと思います。今のお考え方で大体いいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/38
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039・大川光三
○大川光三君 そこで、もう一つ疑問になりますことは、約定による先取特権の目的と同じであるということになりますと、一体、のれんというものがどういう運命に置かれるかという点でございますが、会社の総財産に対して差し押えをした、必然的に営業がストップするという状態におけるすべての総財産ということに判断しますと、一体、のれんというものはどういうように、この差し押えられたようなときには、他の積極財産とどういうふうに運命を共にするかという問題でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/39
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040・鈴木竹雄
○参考人(鈴木竹雄君) 先ほど、私、ちょっと申し上げましたように、営業を譲渡するという場合には、これはのれんというものが非常に大きな役割を演じます。と申しますのは、譲り渡したい、譲り受けたいというようなこと、つまり企業なり営業なりを一体として買うということは、それは、その営業が相当繁栄しておって、そののれんというものに非常に価値があるということだと思うのであります。従って営業の譲渡の場合の営業なり、あるいは企業というものは、のれんの値打ちというものが非常に多いのに反しまして、ここでは、どうせ債務も払えないというふうな状態で実行の段階に入るということになりますと、そういう会社の場合には、のれんというものがある場合は、ないとは申しませんけれども、営業譲渡におけるように、強い意味はあまり持っていないことが多いのじゃなかろうかという感じを受けるわけであります。
しかしながら、先ほどお話し申し上げましたように、いよいよ実行ということになりますと、そうすると、原則としては、その会社の財産を一まとめにして全部一括して売るわけでございますね。ところが、非常に大会社であって売りにくいという場合には、これを分割して売るというふうな方法もございますが、その場合でも、ある程度まとまったものを売るということになるでございましょう。そういたしますと、たとえば、銀座通りなら銀座通りのかどにある家というもの、建物というものが売りに出るといたしますれば、その場合には、それにくっついております——結局、家自体がそこにあるということから、お客さんが来る、そういう意味でののれんというふうなものは、もちろん、そういう意味でのお得意さんというものはくっついてくるでございましょう。また、この場合に、そこにあるところの——いよいよ問題になったら非常に困る点かもしれませんが、商号というものが、かりにやはり総財産の中に入るのだということになりまして、これが、売るという形をとるといたしますれば、その商号の持っておりますしにせということ、それはやはりそれを買ったものに利益を与えるというような形になるのじゃないか。
つまり、それ自体、のれんだけを分けて売るというような問題は考えていないので、総財産を売るといったら、そこのところにのれんというものが事実上くっついていくであろう。そういう限りにおいて、つまり、のれんが問題になる限りにおいて、くっついていく限りにおいて、それに追随していく、こういうような考え方じゃないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/40
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041・大川光三
○大川光三君 もう一点、今度は、法律的な条文の解釈でございますが、ごらんの通りに、この法案によりますと、企業担保権の得喪または変更を目的とする契約は、公正証書によらなければならないということで、契約成立要件として公正証書を作る、こういうことに規定されております。また、登記については、株式会社の登記簿にその登記をしなければ効力を生じないのだということをきめておりますが、申すまでもなく、民法の建前から申しますと、「物権ノ設定及ヒ移転ハ当事者ノ意思表示ノミニ因リテ其効力ヲ生ス」という、民法に大原則を定めております。しかるに、この特別法において民法の意思表示による契約効力発生を極度に制限いたしまして、公正証書によることを契約成立要件としておるということは、この法案が大へん行き過ぎではないだろうかという考えがあるのでございまして、特に公正証書を契約成立要件としたということについて格別の理由があるのでしょうか。また、民法との関係におきまして行き過ぎではないかという私の疑問に対して、お教えをいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/41
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042・鈴木竹雄
○参考人(鈴木竹雄君) まず、第三条がそうでございます。これを公正証書によって設定変更を目的とする契約をさせることにしておりますことは、お互いの間のただ話し合いだけでできるということにいたしますると、結局明確でない。それは当事者の間で争いが起ることもございましょうが、さらに、先ほど申し上げましたように、とにかく総財産についてごっそりと先取特権を持つということでございますから、ほかの債権者に関する関係でも、ないものをあるようになれ合いでやられては大へん困るというような問題が出てくるわけでございます。そういう意味から明確にするという意味を持っておりますとともに、実行をいたします段階で、公正証書に作ってあればそれによって実行が容易になるというふうなことが、この第三条の公正証書にしたという趣旨だろうと思うのであります。これは、あとの方の点からいえば、ほかのすべての担保権の設定についても強力にしようというためから、公正証書にしたらいいじゃないかということも考えられますが、第一の方の問題で、ことにほかの債権者との関係を考えますると、明確にするという点から公正証書にするということが、特に企業担保権については必要になるのじゃないかという感じを受けるわけであります。
第四条の方でございますが、これは私の専門ではございませんが、民法の学者たちの言っておりますところによりますと、今の民法では、担保権の設定につきまして、それが登記というものをただ対抗要件にしているということを、立法論としてはもう一歩進めた方が妥当なんじゃないかということを考えているようでございます。その線にこれが乗っかっているということは、結果的に見ては言えるわけで、そんならば、民法を直してから民法に照応さしたらいいじゃないかとお考えになるだろうと思いますが、しかし、特に考えられますことは、たとえば昔会社が設立をいたしますときには、設立の登記をいたしますことが対抗要件でございましたのが、昭和十三年の商法の改正のときに、登記というものが効力の発生要件、すなわち会社が設立をいたしますための要件という形に高められたのでございます。それは結局、会社ができる、その会社と取引関係に立つ者が非常に多いということを考えて、つまり学者の言葉で申しますれば、集団的な法律関係ができる。従って、それをできるだけ画一的に処理する方がいいのだ。ある人には対抗でき、ある人には対抗できないという形をとらない方がいいだろう、こういうふうなことから、今のような会社の取扱い方が起ったわけでございますが、これは一つの会社関係における問題で、会社を相手にいたします大ぜいの人たちがいるわけなんでございますから、やはり対抗というふうな関係にいたしまするよりは、このような形で一律にきめちゃった方がいいのじゃないかということが言えるとすれば、民法の方で立法論として唱えられておりますことを一まずここで実現をするというだけの意味にとどまらない、何かプラスしたものが考えられるのじゃないか、こういうふうに私は了解をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/42
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043・大川光三
○大川光三君 どうもありがとうございました。
いま一つだけ先生にお伺いいたしますが、この企業担保権の一つの特徴として、被担保債権に社債が選ばれているというお話でございますが、この社債のほかに、長期貸付金についても企業担保権を設定できるということに将来なるべきかどうかという点についての御意見を、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/43
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044・鈴木竹雄
○参考人(鈴木竹雄君) 私は、実はこの法律ができまする過程におきまして、先ほど申し上げた東京商工会議所の商事法規委員会で考えておりましたときには、株式会社というふうなものを、それをただ株式会社に限るというのは、結局、株式会社の会計の扱い方というふうなものが厳格にやっている、だから安心だろうということで、株式会社を考えるのだろう。しかし、株式会社だからといって必ずしもそうではないとすれば、やはり一番基礎の確実なのは、強制監査の行われておりまするような、いわば一億円以上くらいの会社というふうなことに持っていって、あと被担保債権の方は話し合ったらどうだろうというふうなことを考えておったのでございますが、しかし、結局まあ私の大体の考え方とすれば、実はその中小企業にいたしましたって、できるだけ質ぐさが多い方がいいわけなのでございますから、結局はそういうところにまでだれでも企業担保というものが利用できるような形というものが終局としても考えられるのじゃないか。そういう意味から申しますれば、何も株式会社だけに限る必要はあるまい。有限会社だってよかろうし、合名会社だっていいのじゃないか、個人だっていいのじゃないかということまで最後は来るのじゃないか。また来ても弊害がないような世の中になれば、私は非常にいいのじゃないかというふうに思うわけです。
それとともに、被担保債権の方も、そういう例外を置かないでも、限定的なことをやらないでも、別に弊害のないという形になる。実際この債権には企業担保をつけたいのだといったような、具体的に必要が起る場合はいろいろあるのじゃないかと思います。
そういう意味から申しますれば、いずれはこの企業担保というものの利用できる範囲というものも無制限という形になるのが、これは私は理想だろうと思います。しかし、初めての制度なのでございますから、安心だというところからやろうじゃないかというお考え方は、これは私はもっともだと思うのでございまして、先ほど申し上げましたような形で、一歩々々、とにかく安心だというところからだんだん広げていこうということで、今はその意味では足りない、ある具体的な場合には足りない場合があるかもしれませんけれども、しかし、これならば確実だというところ、そうしてここはどうしても必要だというところ、そこのところをねらって一歩々々だんだん広げていくということが考えられるのじゃないか。
従って、おっしゃいましたように、長期借入金というふうなものにも、できれば広がっていくということも考えられると思いますが、ただ、長期といい、短期といい、その区別ができにくい。短期を重ねて、実は長期のものを短期の形で借りているものもあるわけだといたしますと、それでもちょっとやりにくいという感じも、技術的にするわけでございまして、あるいは長期という形でもってこの次に広がるのか。それともそういうものまで取っ払った形でもって広がっていくのかということは、今後この企業担保権というものが幸いにして法律となって施行されまして、そうしてそれが弊害なく行われ、そうして多くの人々がこれに習熟いたしましたときに、これを拡張し得る社会的な措置、経済的な措置というものはできるのじゃないか、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/44
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045・青山正一
○委員長(青山正一君) 御質疑ございませんか。——ほかに御発言もないようでございますから、これにて終了することにいたしたいと存じます。
参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見など詳細にお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会の審査のため、きわめて有益な御意見を伺いましたことを、厚く御礼申し上げます。
なお、委員諸君に申し上げますが、次回は三月十七日月曜日午後一時より、売春関係二法案の残余の質疑、討論、採決に入りたいと存じます。
それでは、これにて散会いたします。
午後三時二十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X01619580314/45
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