1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月一日(火曜日)
午後一時十分開会
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委員長 青山 正一君
理事
大川 光三君
一松 定吉君
棚橋 小虎君
委員
秋山俊一郎君
雨森 常夫君
大谷 瑩潤君
亀田 得治君
藤原 道子君
後藤 文夫君
国務大臣
法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
政府委員
法務政務次官 横川 信夫君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
法務省刑事局参
事官 神谷 尚男君
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本日の会議に付した案件
○刑法の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
○刑事訴訟法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○証人等の被害についての給付に関す
る法律案(内閣送付、予備審査)
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001・青山正一
○委員長(青山正一君) 本日の委員会を開会いたします。
本日は、刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、証人等の被害についての給付に関する法律案、三案を一括して議題といたします。
これより質疑に入りたいと存じますが、刑法の一部を改正する法律案は、あっせん贈収賄罪に関する部分と、暴力取締りに関する部分とからなっておりますので、便宜上、あっせん贈収賄に関する質疑を先に行い、一応終了してから暴力取締りに関する質疑に入りたいと存じます。原則として、この点御了承願いたいと存じます。それでは御質疑の方は御発言下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/1
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002・大川光三
○大川光三君 私は、前回に引き続きまして、今日は、あっせん収賄罪について、以下その本質、法益、主体、客体、目的物等の順によりまして質疑を進めたいと存じます。
まず、あっせん収賄罪の本質について法務大臣にお伺いいたします。
申すまでもなく、一般にわいろ罪の本質につきましては、ローマ法系の主観説、すなわち、公務員自身の廉潔を保護するものであるという説と、ゲルマン法系の客観説、すなわち、公務の適正執行を保護するものであるという説との二元説がございまして、現行わいろ罪はこの二元説の上に立っていると言われまするが、今回新たに提案されておりまする本案のあっせん収賄罪の本質は果して何であるのか、もし二元説の上に立っているといたしまするならば、主観、客観のいずれに重点を置いていられるのでありましょうか、その点をまず伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/2
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003・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) わいろ罪について、ローマ法系の考え方とゲルマン法系の考え方とあるということはお示しの通りでございまして、このたびのあっせん収賄罪も、やはり広い意味におけるわいろ罪、新しい種類ではございまするけれども、広い意味におけるわいろ罪でございまして、ただいま御指摘のありましたように、この二つの思想の上に規定をいたしておるつもりでございまするし、従って、法益等につきましてもそういう考え方から考えられておるわけでございますが、なお、詳細の点につきましては、刑事局長から申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/3
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004・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) わいろ罪の本質につきましては、今お答え申し上げました通り、公務員の廉潔を担保しようという考え方と、公務の公正なる執行を担保しようという二つの考え方がございます。そして諸外国の立法例を見ましても、その二つのいずれか一方に偏して、廉潔のみを目的とした立法例、あるいは公務の公正なる担保のみを目的とした立法例は、近代刑法の立法例にはほとんど見受けられないようでございまして、その両方が実際的な立法例の中に盛り込れておるというのが実情のようでございます。わが国の涜職罪につきましても、その例に漏れませんで、その両方の法益を担保するという趣旨のもとの規定でございます。ただ、あっせん収賄罪につきましても同様に理解されるのでございますが、ただあっせん収賄罪におきましては、本来の涜職罪と違いまして、すなわち、本来の涜職罪は、公務員が、その職務に関して、わいろを収受する行為を罰するのでございますが、あっせん収賄罪の場合におきましては、みずからが職務権限を有しておるものではなくして、職務権限を有する他の公務員に橋渡しをして、その橋渡しをした行為に対する報酬としてわいろを受ける行為でございます。従いまして、従来考えられておりますわいろ罪からは若干幅が広くなっておるわけでございますが、それにいたしましても、公務員という身分をもとといたしておりますことと、それから他の公務、職務権限を有する公務員に不正な行為をさせるようなあっせんをするということで、公務の公正なる執行を危険に陥れるような態様のあっせん行為であります。従いまして、その後段の方を見まするならば、これは公務の公正なる執行に危険を及ぼす行為であります。それから前段の公務員たる身分に基いて金を受けるということになるのでありますからして、公務員の不可買収性と申しますか、公務の廉潔性をそこなう行為でございます。この両方を保護法益としておるわけであります。いずれが重いかという点でございますけれども、私どもとしましては、そのいずれを重しとするかということははっきり申し上げかねるのでございますが、何と申しましても、提案理由の中で大臣から御説明申し上げましたように、今回の立法が、公務員の廉潔、綱紀の粛正というところを主としてねらっておるという趣旨にかんがみまして、公務員の廉潔性を担保するというところに重点を置いておる立法というふうに理解していただいて差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/4
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005・大川光三
○大川光三君 大体わかりましたが、そうしますると、結局公務の適正執行という点と、公務員自身の廉潔保護という、この二つの大きな柱の上に立ってこの法律が立案されたということは一応考えられますが、私はむしろそのいずれを重し、いずれを軽しとするにいたしましても、もし公務員自身の廉潔を保護するということに重点が置かれるのであれば、そのためには、むしろ改正刑法仮案並びに昭和十六年刑法中の改正案ないしは社会党案のように、公務員がその地位を利用し、他の公務員の職務に関してあっせんをしてわいろをとるということが、いわゆる公務員の廉潔を保護するということに忠たるゆえんであると考えておりますが、本案があえてそれを踏襲しなかったのは何ゆえでありますか。このことは、すでに法務大臣から一応の御説明を伺ったのでございまするけれども、いま少しく、詳しくその理由を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/5
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006・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 「公務員その地位を利用し」ということで、御指摘のように、過去の政府案にも、改正刑法仮案にも、また、社会党から提案になっております継続審議中の案につきましても、同様な規定がございますし、弁護士連合会から提案されております案にも、「その地位を利用し」という用語を使っております。それは決して諸外国にもその例のないものではございませんので、「その地位を利用し」ということによりまして、後に出て参ります不法な利益がわいろ性を帯びてくるという考え方に立つのでございまして、それはそれなりに非常に意味のある用語であると考えておるのでございますが、その意味のある用語をあえて採用いたしませんことにいたしました理由は、幾つかあげられると思いますが、その最も大きい理由の一つは、今回の立法におきましては、解釈運用が乱用にわたらないようにいたしますために、特に使用いたします用語、そういうものにつきましては細心な注意を払いまして、従いまして、この新しい概念をここへ持ち来たって、判例が出るまでは解釈がいろいろになるのだというようなことを極力避けたい念願でございまして、そういたしますると、「その地位を利用し」という用語でございますが、わが国の刑法にはそのような用語は使用された例がないのでございまして、しかもその用語につきましては、先年の昭和十六年の国会審議におきまして、いろいろとその不明の個所が追及されたのでございます。まさしくその用語をしさいに検討いたしますると、抽象的にはきわめて明白な概念のように見えますけれども、公務員に対してその地位を利用したかどうかということを具体的に判定いたします場合には、非常にめんどうなわかりにくい内容のものになるおそれがあるのでございます。たとえば友人関係を利用したのであって、公務員の地位を利用したのではないとか、あるいは親戚関係、親子の関係、兄弟の関係を利用したとか、その他郷里の先輩であるというような関係を利用したとか、いろいろと弁解を入れる余地があるのでございます。そのような複雑な解釈が入れられるということは、しょせん解釈運用におきまして疑義を生ずる原因となりますので、そういう用語を避けて、それではそれにかわるべき用語としていかなるものがあるかということからいたしまして、他の公務員に働きかけるその働きかけの態様におきまして、不正の行為をさせ、相当な行為をさせないといったような、何人が見ても公務員としてあるまじき行為をするというところに着眼いたしまして、「その地位を利用し」にかわるに、そのような用語、概念を用いることによって、やはりあっせん収賄もわいろ罪であるということの考え方をはっきりいたさしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/6
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007・大川光三
○大川光三君 次に、あっせん収賄罪によって保護される法益は何かという問題でございますが、これはただいまあっせん収賄罪の本質論において一応明らかにされたことと思いまするけれども、念のために、その法益は何かということを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/7
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008・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 本質論で申し上げましたように、保護する法益は、公務員の廉潔ということと、公務の公正なる執行、これを保護しようとする趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/8
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009・大川光三
○大川光三君 そこで、このあっせん収賄罪の法益が、公務員の廉潔と、公務の適正執行という二つにあり、しかもそのいずれを特に重しとしないという考え方から参りますと、条文の上に多少疑問が起ってくるのでお伺いいたしたいのでありますが、条文によりまする、「不正ノ行為ヲ為サシメ又ハ相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク斡旋ヲ為スコト」というこの相手方の公務員の作為、不作為というものは、必ずしも既遂でなくても、未遂でもこれを罰するのかどうか、言いかえますと、依頼を受けた諸官庁の公務員が不正なことをいたさない、また、相当な行為をなさないというようなことはしない、いわゆるその不正行為が未遂であるという場合でも本罪は成立するかどうかという点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/9
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010・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その点は、不正行為のあっせんが行われておる場合だけでなく、将来そのようなあっせんが行われる場合をも含むのでございます。なお、過去にこのようなあっせんをしたことについて、贈収賄が行われました場合には、あっせんの結果に基きまして、現実に不正行為が行われたかどうかということは、本罪の成立には影響ないというふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/10
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011・大川光三
○大川光三君 そうすると、平たく申しますと、不正の行為をしてくれと、まあ相当な行為をせないでおいてくれということを頼んだ結果においては、現実には不正な行為が行われなかった場合でも、いわゆる「不正ノ行為ヲ為サシメ又ハ相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク斡旋ヲ為ス」という、そのあっせん自身がもう既遂であればいいということになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/11
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012・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) あっせん行為が既遂であることを要するかどうかということでございますが、このあっせんも既遂であることは必要としないと解釈されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/12
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013・大川光三
○大川光三君 そういたしますと、不正の行為は未然に終ったと、あっせん行為もその目的を達しなかったという場合でも犯罪は成立するということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/13
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014・神谷尚男
○説明員(神谷尚男君) その点につきましては、不正の行為をあっせんするということで、すでにわいろが授受されました場合には、その授受されたときに、すでに本罪は既遂となっておりますので、あとでかりにあっせんが行われなくてもその罪に影響はしないということに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/14
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015・大川光三
○大川光三君 そうしますと、事実諸官庁の公務員が不正なことをしなかったということであれば、法益は侵害されていないということになると私は思うのですが、その保護される法益が侵害されていないのに犯罪が成立するということはこれはどういうわけでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/15
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016・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 公務員が他の公務員に働きかけるということでその報酬をもらうということは、本来公務員の不可買収性と申しますか、廉潔という観点から申しますと、好ましくない行為でありまして、かりにその中で、その働きかけが不正の行為をさせるという場合だけが、今回はその処罰の対象にされておりますけれども、それに該当しない場合に処罰からは漏れる場合がございましても、その行為自身は決してよろしい行為ではなくして、やはり公務員の廉潔を害する非難すべき行為であるという前提に立っておるのでございます。従いまして、金を授受していなければこれはもう何でございますが、金を授受いたしました場合に、その授受がある行為を、他の職務権限を有する公務員に対する不正な行為のあっせんということの報酬としてその金が授受されております限り、あっせん行為が未遂に終りましても、従って、あっせんがありませんために本来の職務権限を有する公務員が不正の行為をしたかどうかということに関係なく処罰される、こういうことになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/16
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017・大川光三
○大川光三君 その点が実はわかりにくいのでありまして、もし法益が先ほどから言われまするように、公務の適正執行を担保するという面から考えますと、不正行為が行われなければ、いわゆる公務の適正執行という法益は侵害されていないのであります。にもかかわらず、たとえ事実として不正行為が行われなくても処罰するのだ、犯罪が成立するのだという点がちょっと私には理解しにくいのでありますが、もう一ぺん伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/17
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018・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その点は不正の行為が行われない以上は、公務の公正なる執行という点についてはいささかも心配ないではないかということでございますが、不正な行為をさせるようなあっせんをしようとするために起ってくるわいろ罪でございますので、公務の公正を失わせるおそれのある行為というふうに理解できると思います。そういう意味におきまして、やはり公務の公正を担保するという点からしますならば、そういう危険なる行為だという点からして、保護されるべき行為の一つに公務の公正な執行ということを入れても差しつかえないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/18
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019・大川光三
○大川光三君 そこで、相手方の公務員が不正の行為を事実しなかったということは、一つの未遂という問題がそこに介入してくるような気がいたすのでございまして、相手方の公務員に不正な行為をしてくれといって頼む、しかも現実に不正行為が行われたという場合は、これは処罰するということは明らかであります。しかしながら不正な行為を頼んだが、諸官庁の公務員が不正な行為を実際やらなかったということで、あっせん行為自体は既遂でありますが、あっせんの目的が未遂に終ってしまったというような場合を考えあわせますと、結局不正な行為を現実にやったという場合と、頼んだが不正な行為はしなかったという結果との間には雲泥の差がある。法益侵害という面から見ましても非常な私は差があると、こう考えるのでありまして、不正行為が現実に行われなかった場合と、不正行為が未遂に終ったという場合とを区別して考えておかなければならない。言いかえますると、現実に不正行為が行われなかったならば犯罪は成立しないのか、あるいはそういう場合には未遂としてこれを罰するのだというようなことについてのすっきりした形を整えておく必要はなかろうかと考えるのでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/19
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020・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 御懸念の点は、私どもも十分検討いたしたつもりでございますが、理論といたしましては、不正の行為をしたか、せぬかということが本罪の既遂、未遂を区別するものではなくして、そのような趣旨のもとに報酬として金を受け取ったかどうかということで既遂、未遂の犯罪の区別をすべきものだというふうに考えたのでございます。もっとも、これはある特定事項を依頼して、そのような不正な行為をさせるようなあっせんをしてもらって、そのお礼として金を出す、こういう趣旨の規定でございますので、不正の行為が現実には未遂に終っているというような場合に、果して頼まれたことをやったという報酬として金を出すものであろうか、出さないものであろうか、また、その金額等も大小さまざまになってくるのではなかろうか、そういう点はすべて情状として理解すべきものであろうというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/20
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021・大川光三
○大川光三君 次に、あっせん収賄罪の構成要件に関連して二、三のお尋ねをいたします。
このことにつきましては、すでに本会議並びに前回の委員会で法務大臣から御答弁をいただいておりますので、重複を避けますることと、いま一つは、少しく詳しい事柄を伺いたいというので質問を進めていきたいと存じます。
まず第一には、あっせん収賄罪の主体でありますが、本法案が公務員という身分を有する者を犯罪の主体とするいわゆる身分犯であるということはすでに逐条説明によって明らかにされました。そしてまた、本案でいう公務員とは、いずれも刑法第七条に定義いたしております「官吏、公吏、法令ニ依リ公務ニ従事スル議員、委員其他ノ職員ヲ謂フ」、同時にその他の法令によって公務員と見なされる者をも含むということを明らかにされたのでございますが、その他の法令によって公務員と見なされる者はどういうものがあるのか、これは参考のために、具体的に御説明をわずらわしておきたいと存じます。もし資料がございましたら、資料を御提出いただいたらけっこうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/21
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022・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 法令により公務員とみなされる場合につきましては、後ほど資料をもって提出いたしたいと思いますが、概略を御説明申し上げますと、法令により公務に従事する職員とみなすという規定のございます法律を列挙いたしますると、日本専売公社法、日本国会鉄道法、日本銀行法、弁護士法、刑事訴訟法の二百六十八条第三項の規定でございます。
それから第二の類型に属しますものとして、罰則の適用に関しては、法令により公務に従事する者とみなすという形のものがございます。その中には、さらに四つの形態がございますが、その第一のものは、公庫形態のものでございまして、北海道、東北各開発公庫法でございます。それから中小企業金融公庫法、住宅金融公庫法、国民金融公庫法、農林漁業金融公庫法、公営企業金融公庫法が、いずれもその旨の規定をいたしております。
次の形態は、営団、公団の形態のものでございます。帝都高速度交通営団法、日本道路公団法、森林開発公団法、農地開発機械公団法、愛知用水公団法、日本住宅公団法などでございます。
次に、第三のものとして、公社の形態のものでございます。日本電信電話公社法、原子燃料公社法、この二つでございます。
第四の形態としては、其の他のものでございますが、日本原子力研究所法、日本輸出入銀行法、日本開発銀行法、外国為替及び外国貿易管理法、輸出検査法、日本育英会法、私立学校振興会法、社会福祉事業振興会法、日本学校給食法、経済罰則整備に関する法律、港湾法、以上が現行法で認めております公務員とみなされる規定のあります法律でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/22
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023・大川光三
○大川光三君 その点は、いずれ資料をいただきまして、私どもの審議の参考にいたしたいと存じております。そこで、いわゆる、みなす公務員というものが、本法案の主体になるということはよくわかりましたが、そのほかに、たとえば証券取引法の第二百三条、日本中央競馬会法の三十七条等のわいろ罪の主体には、みなす公務員のほかに一定の団体の役職員もございます。しかもこれらの団体の役職員をわいろ罪の主体と認めまする理由は、当該職務が公共的性質を帯びておりまするために、公務員同様、その職務にある者の廉潔性と職務の公正を保持する必要があるというところから生まれたと思うのでございます。従って、これらの役職員についても、あっせん収賄によって処罰する必要があると考えまするが、果して本法案では、みなす公務員以外の団体の役職員で、しかも、わいろ罪の主体となっておる者に対して、その適用があるかどうかを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/23
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024・神谷尚男
○説明員(神谷尚男君) その点につきましては、結論を先に申し上げますと、たとえば証券取引法の場合などにおきましては、あっせん収賄罪は適用がないということになります。このそれぞれの法律におきまして、贈収賄を特に規定しておりますのは、要するに、その趣旨としますところは、刑法の涜職罪を全部そのままかぶらせるということまでは必要がないという場合であろうと思われるのでありまして、それぞれの役員なりの性格なり、それから、その扱っております仕事の内容なりに応じまして、適当な程度で贈収賄を処罰したらいいのじゃないかという考え方から、特別法として規定されておると理解されるのでありまして、そういう意味におきまして、刑法の涜職罪の全部は規定されておらず、むしろ、その一部だけが規定されておるものが多いとともに、刑の面におきましても、刑法の規定よりも若干軽くされておるようなことになっております。従いまして、もし、それらのものにつきましても、あっせん収賄罪を処罰することが適当であるというような場合におきましては、それぞれの特別法において、さらにこれを規定するということになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/24
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025・大川光三
○大川光三君 御説明よくわかりますが、結局、みなす公務員よりも、団体役職員で最も重要な仕事をしておる人が多いと考えられます。むしろ、この団体の役職員こそ、あっせん収賄罪の主体にすべきであって、みなす公務員を全体、あっせん収賄罪の主体にするということは、本末を転倒しておるというような感じがいたしますが、竹内局長、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/25
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026・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 具体的な場合を申しますと、ただいま大川先生のおっしゃったような事例がないとも言えないと思います。けれども、特別法で規定をいたします趣旨は、先ほど神谷参事官から申しましたように、その役職員の行なっておる職務の内容から、あるものは、単純収賄と贈賄だけを罰することにとどめておるのもありますし、あるものは、範囲を広げておるのでございます。たとえば証券取引法では、単純収賄と贈賄だけを罰しておりますが、船舶安全法を見ますると、単純収賄、贈賄のほかに、枉法収賄を罰しております。それから土地改良法などになりますると、枉法収賄、単純収賄のほかに事後収賄を罰しておるというふうで、各法律によりまして、その間に処罰しようとする範囲、態様を異にいたしておりますが、それは、それぞれの法律の目的に従って立案をして参ったものでございますが、刑法は御承知のように、公務員という身分犯も、もちろん入っておりますが、ひとしく公務員というものに適用される基準の法律でございます。で、その他の一般法の——特別法の従来の規定は、刑法の規定を見ながら、その役職員の職務の公正を担保しよう、あるいは、その職務の廉潔を担保しようという趣旨から生まれてきておりますので、刑法のこのあっせん収賄罪の規定が成立いたしますると、これにならって他の法律におきましても、今後の改正の場合に、そういう規定が設けられる可能性が出てくるものと私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/26
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027・大川光三
○大川光三君 ちょっと私時間的に余裕がなくて、条文をよく調べることができなかったのでございますが、例をあげて伺いますが、たとえば労働委員、農業委員、管財人、弁護士等はあっせん収賄罪の主体となり得るかという点をお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/27
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028・神谷尚男
○説明員(神谷尚男君) 今お尋ねになりました点を、一つ一つにつきまして検討する余裕がなかったのでございますが、委員と申します場合には、この刑法の七条の規定でそのまま公務員となります場合が相当多いと存じます。それから弁護士をおあげになりましたが、弁護士そのものが直ちに公務員であり、あるいは公務員とみなされるということにはならないのでございまして、刑事訴訟法の規定によりまして、検察官の仕事を行う場合がございますが、そういう場合に公務員とみなされるということになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/28
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029・亀田得治
○亀田得治君 あのみなす公務員については、いずれ資料を出されるということでしたから、それを拝見したいと思いますが、この特別刑法で収賄関係の規定を設けておるものですね、これも資料を一ついただきたいと思うのですが、大体幾つくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/29
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030・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) そうたくさんはないと思いますが、読んでみましょうか。会社経理応急措置法、会社更生法、株式会社科学研究所法、金融機関再建整備法、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律、小型自動車競走法、石油資源開発株式会社法、証券取引法、商品取引所法、商法、自転車競技法、船舶安全法、土地改良法、日本海外移住振興株式会社法、日本中央競馬会法、破産法、放送法、保険業法、輸出水産業の振興に関する法律、輸出入取引法、臨時石炭鉱害復旧法、中小企業団体法、大地区画整理法、東北開発株式会社法、それだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/30
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031・亀田得治
○亀田得治君 そうしたら、その資料をお作りになるときに、刑法のどの部分を使っておるかという、簡単な一行でいいですから……。それと刑ですね。どの程度の刑にしておるか付記して一つ資料をお作り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/31
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032・青山正一
○委員長(青山正一君) 先ほど大川君なりあるいは亀田君から申し出のある資料は一つそろえて当委員会に提出願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/32
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033・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/33
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034・大川光三
○大川光三君 次に、請託に関する諸問題についてお伺いします。まず、請託の意義につきましては、すでに逐条説明で、請託とは特定の事実に関する依頼のことをいうというように説明を得ました。大体私ども従来からさように請託の意義を解しているのでございますが、ただ他の法規にいろいろな言葉が使われておりまするので、例をあげて、果してすべてが請託に該当するかどうかという点を伺いたいと思う。
弁護士法の第三条によりますと、「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び訴願、審査の請求、異議の申立等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」とかように定めておりまして、この弁護士法第三条に、いわゆる職務として関係人の依頼または諸官庁の委嘱を受けるということは、ともにいわれる請託に該当するかどうかという点をまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/34
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035・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 請託という用語、その意味する概念は、まあ刑法の涜職罪においてこの請託という用語が使われておりまして、判例等においてもその内容を明らかにされておるのでございますが、そういう概念を離れまして、請託という用語について申しますならば、ただいま御指摘の、他人からある特定事項を頼まれるということは、まあ私どもがこの用語の意味としましては請託ということになると思うのでございますが、それは刑法的な概念としての請託ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/35
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036・大川光三
○大川光三君 同様に公証人法の第一条には、「公証人ハ当事者其ノ他ノ関係人ノ嘱託ニ因リ法律行為」云々というように書かれてあります。また、税理士法第二条には「税理士は、他人の求に応じ、所得税、法人税、相続税」等の「申告、申請、再調査」の代理をする、まあこういうことが書かれておりまして、公証人法にいわれる「嘱託」、あるいは税理士法にいう「他人の求に応じ」ということも裏返せば請託と同意義になるかという問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/36
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037・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 今の御指摘の各用語とも大体同趣旨のものだと思います。現に旧刑法の涜職罪は請託という言葉を使わないで、嘱託という言葉を使っておりますことは御承知の通りだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/37
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038・大川光三
○大川光三君 なお、この請託の意思表示は、明示のものと黙示のものとを含むのだ、こういう御説明を先般いただきました。そこで一つ疑問になりまするのは、議員の身分を有している株式会社の取締役またはその他の会社の代表者が、自分の会社のために本条に該当するようなあっせん行為をして、そうして会社から報酬を取るというような場合、いわば自分の会社のためにその取締代表社員がするのであって、請託という観念は入らぬと思うのでありますが、ただいまの説明のような場合には、果して問題が成立するかどうかという疑問がございますので、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/38
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039・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ただいまの御質問は、非常に事実認定の微妙な問題を含むと思うのでございますが、一般的に解釈論として申し上げますならば、公務員が同時に会社の重役とかあるいは弁護士とかいう業務に携わっておる場合に、その会社の重役あるいは弁護士として、この種の行為に出た場合、それは刑法三十五条の正当な業務行為と見られるのでありまして、そういう場合には、違法性を欠くというふうに理解をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/39
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040・大川光三
○大川光三君 弁護士の場合は、先ほど私が条文を読みましたように、全く本条に該当するような行為をいたすのでありまして、しかもそれは職務であります。他人から依頼を受けて諸官庁に行って、そうして事件を処理する。すなわち、あっせんをする場合もございましょう。示談、円満解決で話をつける場合もある、そしてあとは報酬は堂々ととる。これを弁護士という資格を全然離れてしまって、いわゆる議員たる者が類似のことをやる、これはたちまちあっせん収賄罪にひっかかるということになりまして、その限界の基準をどこに置くかということは、これは一つの事実認定の問題だというて片ずけてしまえばそれまででございますけれども、非常に神経を過敏にものを考えますと、議員である弁護士は本来の仕事はできない、もし検察ファッショというものがあってひっかけようと思えばすぐひっかけられてしまうというような危険があるのでありますが、一体その正当な業務として違法性を阻却される事実行為とあるいはあっせん収賄罪が成立する場合とをどう区別されるかということについてのお考え方を伺っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/40
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041・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 先ほども申しましたように、その解釈は、区別をいたします基準というのは相当部分、事実認定の問題とからむと思うのでございますが、私どもの解釈としましては、弁護士法によってそのあっせん行為をすることが、請託を受けてあっせんするということが業務内容になって、法律的に根拠があるという場合はもちろんでございますが、その他、社会通念に照らしまして、一つの業務だ、その業務行為として見られるという場合には、その業務としてなしたものとして事実認定ができます限りは該当しない。今の三十五条によって違法性を欠除するということに理解をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/41
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042・大川光三
○大川光三君 弁護士の場合はわかりましたが、先ほどお尋ねしました会社の代表者が該当行為をやった場合に、果して本罪が成立するかという問題についてちょっとはっきりしなかったと思いますので、もう少し詳しく伺いたい。言いかえますと、議員である取締役が会社のためによかれとしてこういう他の公務員にものを頼んで、不正な行為をするように頼んで、そして一方では特にその事件についての報酬を受け取る場合もございましょうし、あるいは期末賞与とかいうもので結局報酬に該当するものを受け取る場合もあろうと思うのでありまして、一体会社の代表が会社のためにこういうことをやる場合に、本罪は成立するかしないかということを一応はっきりと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/42
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043・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 一般的に申しますと、該当しないというふうに理解するのでございますが、今の会社の代表者というような方がこのような行為をした場合に、それは頼まれなくても会社の代表者でございますので、自分でさように判断してやったということになりますと、まずこの請託のところで問題が、かりに黙示の請託でありましても、また、明示にせよ、黙示にせよ、他人から頼まれたという形がそこに出てこないのじゃないかという感じがいたします。さらにまた、報酬でございますが、特別にこういうことをやったというのでこの会社の代表者が、一般の給与のほかに何かしかの金をもらうということがあるものであろうが、その点が私どもにはちょっと理解いたしかねるのでございますが、そういうふうな事実認定のところに問題の解決のかぎがあるように思いますが、一般的に申しますと、該当しないというふうに理解いたして支障がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/43
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044・亀田得治
○亀田得治君 大川委員の言っているのは、普通の取締役ですね、こういう場合も含めて質問されていると思う。それでその場合はどうなのですか、普通の平ですね、そうして平生はあまり会社にも出ておらぬ、そういう人がさっきのような行為をした場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/44
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045・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 会社の代表者の場合と大体同じように理解していただいて支障ないと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/45
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046・亀田得治
○亀田得治君 それはどういうのですか、会社の代表者の場合には、会社の重役会で決定すれば、当然それを執行する義務があると思うのです、義務が。あまり出てこないような平取締役も当然それと同じように解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/46
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047・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 微少な事実関係がその前にあるということを、先ほど申し上げたのでございますが、その場合に、平重役も重役会の決議に基いてやるというような場合には、その平重役も重役会の決議の中に加わるのであれば、第三者から頼まれたという形になりますかどうかという問題が一つと、それからそういう場合に、平重役は何か仕事をすると、そのつど報酬を別途もらうものか、役人などにはそういうこともあり得ないわけでございますが、そういうような関係が事実問題としてまずはっきりしませんと、報酬としてわいろを収受しという関係がすぐに構成要件に当てはまるのかどうか、そういう点も問題があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/47
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048・亀田得治
○亀田得治君 問題はこれは当然金の授受が、普通の手当と違った金の授受があった、これが前提になっての質問なんです。だから質問の要点は、金の授受等の問題じゃないので、その立場をどう解釈するかという点が問題点なんです。平取締役であっても当然会社の立場に従って行動すべき人だから、これは請託とかそういう関係がない、こういう解釈になるのか、そこに問題をしぼって、金のことは別にしまして、その点をお聞きしているわけです。これは取締役の一つですね、それもやはり当然会社の方針で行動すべきとみなすのであれば、これは請託の関係はないと思いますが、主体的な条件としては出てこないと思うが、そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/48
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049・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) そういう場合に請託があったことになるかどうかという点の事実問題としての解決よりも、私どもはそのやることが全く私人の行動ではなくして、会社の業務に責任を持っている一人として行動しているわけなんでありまして、そういう事実関係が認められます限り、やはり正当業務行為という点で違法性を欠如するというふうに理解した方がいいのではないかというふうに考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/49
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050・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、監査役も同じことになりますね。それからそういう会社の役職にはついておらないが、相当大きな株主、これも今のような大まかな解釈であれば、同じようなことになるような感じがするのです。監査役と大きな株主、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/50
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051・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 監査役、株主というのは、会社の業務執行機関でないんではございましょうか。そういうふうになりますと、執行するという業務関係が出て参りますのでございましょうか。そういう場合には、なるほど動き出す根拠としては、株主ということが理由でございましょうし、それからまた、監査役ということで執行業務を監査する立場にある人だということは、行為に密接な関係にあるということは言えるのでございますが、行為そのものが業務に基く行為であるということは言えないのではなかろうかというふうに思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/51
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052・亀田得治
○亀田得治君 それは内部的には監査役と取締役は違う。違うが、会社というものを一つとしてみた場合に、そしてまた、会社が会社の都合でともかく君は監査役、あるいは単なる株主だけれども、一つ会社の立場で努力してもらいたいといった場合には、主観的な気持としては、あまり出てこない取締役なんかよりも、むしろその気持になっておる人が相当あると思うのです、内部的に。そういう業務関係の規定が違うからということで、直ちにそんな大きな区別がつけられるかどうか。先ほどの取締役のような者もみんなこれに当てはまるのだというようなことになれば、もちろん私の言ったような者も当てはまることになるでしょう。しかしそれが逃げるのだということになれば、監査役なり大株主にしたって、対外的には会社の立場で動く場合はあるわけですから、私は同じことだと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/52
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053・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) この犯罪は先ほど来申し上げますように、身分犯でございますから、公務員という身分を持った者が、このような行為をすれば当然かぶる。かぶるのでございますけれども、別途そういうような行為をするについての業務に基く別の理由がそこにあります場合には、これは公務員として動いたのではなくて、その業務行為としてやったのであるということが確認できます場合には、違法性を阻却すると申しますか、欠如するという理解の仕方ができるのではないかというふうに考えるのでございまして、監査役はだめで、取締役は違法性を阻却する、こういうふうに一つ一つやって参ります場合には、監査役がその業務遂行と見られるかどうかというところに事実認定の問題になると申しますのはそこのところでございますが、そういうふうに、私の法律の解釈としては理解をしておるつもりなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/53
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054・亀田得治
○亀田得治君 微妙ですから、もう一ぺん確かめておきます。そうすると、事実を検討した上で、取締役の場合にも引っかかる場合があるし、あるいは監査役の場合でも、実体関係が、そこの会社の業務ということで動いておるということが明確な場合には、該当しないということなんですか、結論は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/54
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055・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 取締役でも、あるときは引っかかり、あるときは引っかからないというのは、そういうふうな言い方をされても、あるいは可能だとも思いますが、要するに、取締役が個人としてやったというような場合には、これはもう問題にならないと思うのでございますが、かりに取締役ということでやったとした場合に、会社の代表者でございますれば、これは第三者に対して代表者としてのあれがあるわけでございますが、取締役会で、ある行為を、ある平取締役に委託をする、あるいは委託をするということの決議にみずから加わったというような場合が考えられるわけであります。取締役の方でございますと、執行機関でございますから、そういう業務に携わるということはあるのでございますが、監査役の方でございますと、執行機関ではないわけですから、その点が問題が特に付託をしたというような事実関係があるかどうか、そういう点を確かめて見ないと、問題の解決に資するわけにはいかぬのじゃないか。一般的には監査役ならいけない、取締役ならいいというふうに、一がいにも言えないと思います。そういう点は事実関係によってきまるのじゃなかろうかというふうに思うのでございます。そうしてその結果、業務遂行と見られる場合には、三十五条で業務行為と、こういうふうに解釈をする、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/55
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056・大川光三
○大川光三君 その点ちょっと整理するために伺いたいと思いますが、そういたしますと、取締役会の決議に基いて、代表取締役がその決議の執行としてこういう行為をやったという場合は罪か成立するのですか、しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/56
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057・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その場合には成立しないというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/57
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058・大川光三
○大川光三君 請託に関連しまして、いま一つ伺いたいことは、その請託には他の公務員に不正の行為をなさしめるということにはなっておらぬというふうに考えるのでございますが、先般本会議での御説明では、不正の行為をなさしめるような請託をなしてというような印象を受けたのでございまして、その点、ちょっとはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/58
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059・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 大臣の本会議における御答弁もそういう趣旨ではございませんように私は理解いたしております。この解釈としましては、「請託ヲ受ケ」という概念の中には、不正の行為をあっせんする事項までも含まない、特定の事項について依頼を受け、それを承諾することがここにいう「請託ヲ受ケ」という概念になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/59
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060・大川光三
○大川光三君 次に進みまして、「其職務上」という点について伺いますが、要点は、職務上ということと職務に関してということとは違いがあるのかどうかという問題でおります。現行の収賄罪は職務に関し収賄するということを要件といたしておりまして、しかもその職務に関しということは、一つには法令上の職務に関し、また、二には法令上の職務に密接な関係ある準職務行為に関し、三には、事実上所管する職務行為に関しという三つの場合をいうのが通常の解釈でございますが、しかもこの法案の「職務上」の意義につきましては、職務権限に属する一定の権限と説明されておるのでありますが、両者の関係が多少あいまいでありまするので「職務上」ということと、「職務ニ関シ」ということとにはどういう違いがあるだろうかを明らかにされたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/60
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061・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 「職務上」ということと、「職務ニ関シ」ということにつきましては、これは解釈は同様、同じ意味内容を持つものだというふうにいたしております。ここにそれでは「職務ニ関シ」というふうになぜ書かなかったという点でございますが、これは現行法の百九十七条ノ三でございますが、枉法収賄の規定がございます。これの第二号を見ますると、「公務員又ハ仲裁人其職務上不正ノ行為ヲ為シ」というふうに書いてございまして、これもできるだけすでにきまった概念用語を使うという趣旨からいたしまして、特に異を立てて、「職務ニ関シ」という用語を使わなかったのでございますが、内容は「職務ニ関シ」と同じことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/61
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062・一松定吉
○一松定吉君 他の諸君から伺ったか存じませんが、やはり百九十七条ノ四の冒頭の「公務員」ですね。公務員であり、しかも弁護士である者が請託を受けて、ほかの公務員に対してこういうようなことをさしたというような場合には、報酬として金品を収受しても犯罪にはなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/62
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063・大川光三
○大川光三君 それは今議論をしましたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/63
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064・一松定吉
○一松定吉君 それではよろしい。その点は抜きにします。
そこで「請託」という言葉ですね。この「請託」という言葉は、依頼とか、嘱託とかいうこととは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/64
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065・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 依頼とか嘱託ということと同様の意味を持つのでございますが、刑法の概念といたしましては、ある特定事項についての依頼、請託、こういうふうに「請託」という用語の概念を理解しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/65
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066・一松定吉
○一松定吉君 「請託」の中には、依頼とか嘱託というような意味は含まれておると、こう解釈すればいいのだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/66
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067・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 請託の中には、依頼という意味が含まれておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/67
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068・一松定吉
○一松定吉君 嘱託もね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/68
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069・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/69
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070・一松定吉
○一松定吉君 それから「斡旋ヲ為ス」ということの「斡旋」の言葉の中には、いわゆる要求とか、依頼とか、あるいは周旋とかいうようなことも含まれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/70
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071・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 「斡旋」という用語は、大体周旋というと用語と同じような意味に使っておるようでございます。むしろ、「斡旋」という語の方がシナの言葉で、周旋というのは日本に来てからそういうふうに転化したというふうに言われておりますが、意味、内容は全く同じように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/71
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072・一松定吉
○一松定吉君 それから、職務上不正の行為をなさしめることがいかぬのですからして、職務上正当の行為をなさしめた場合、たとえば、公務員がある仕事をしなければならぬのに、延滞して、握りつぶしておってしない。早くしなければいかぬじゃないかということでやらしたことは、いわゆる正当の要求であり、正当の行為をしたのだ。それがためにその目的を達して、それによって報酬をとったというような場合には、犯罪は成立しないね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/72
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073・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ただいまお尋ねのような場合には犯罪は成立しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/73
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074・一松定吉
○一松定吉君 しない。
それから、公務員がある仕事をすることについて請託をするところの公務員と意見が相違しておる。公務員の方ではこれはこういうふうにした方がいいと思っている。ところが。請託をする方の公務員、この方は、それは君の言うことは間違っておるじゃないか。こういうようにしなければいかぬじゃないかというで、そのいわゆる公務員のやろうとすることが了見が間違ってあることを是正して、請託をする人の考え通りにさしたというような場合には、それはいわゆる不正の行為をしたことでもなく、相当の行為をなさざらしめたことでもないので、これも罪は成立しないね。政府委員(竹内壽平君) お尋ねの場合も、犯罪は成立しないとというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/74
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075・大川光三
○大川光三君 実は条文の順番でみな聞いているんです。この条文の順番に、公務員とは何ぞや、請託とは何ぞや、こういう順番にこれを聞いていたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/75
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076・一松定吉
○一松定吉君 百九十七条ノ四を問題にしているのじゃないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/76
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077・大川光三
○大川光三君 四のうちの条文の、公務員とは何ぞや、請託とは何ぞや、職務上とは何ぞやというふうに、順序を立てて聞いて参りまして、先生御審議になる前にちょっと残っておるところがある、そこで先生おやりになってけっこうですけれども、この点、私あえて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/77
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078・一松定吉
○一松定吉君 じゃ、あなたどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/78
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079・大川光三
○大川光三君 ただいま一松委員からあっせんのことについての御質問がございましたが、それに先だちまして私伺いたいと思うのは、あっせんの手段の態様であります。たとえば、人に頼まれて名刺に、何々君をよろしく頼みますという添え書きをした場合には、不正の行為をなさしめるという依頼がそこに入っておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/79
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080・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ただいま大川委員の御質問は、その名刺の中に不正の行為が入っておるという意味でございますか。それがあっせん行為になるかどうかという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/80
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081・大川光三
○大川光三君 不正のことをあっせんしなければならぬ。ですからそこで何々によろしく頼むというその文句は、きまり文句が、果して不正のことを頼むようにあっせんしたというように解釈されるかどうかという問題なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/81
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082・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) お答え申し上げます。よろしく頼むという文言は、不正な行為のあっせんということにはならないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/82
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083・大川光三
○大川光三君 そういたしますと、われわれは、儀礼上、はなはだ御無理な願いでございますが、特別の御詮議をもってよろしく頼みます、ということをよく書くのですが、これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/83
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084・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 通常書かれます、特別の御詮議とか、いろいろ、よろしく頼みますという文言は、これは紹介文言だと理解される場合が多いと思います。最近のある高裁の判決を見ましても、そのような文言をつけた名刺を渡すということは陳情の糸口を開くのであって、そういうふうにあっせん行為に当らないという判決もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/84
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085・一松定吉
○一松定吉君 例の、先刻、私お尋ねしかけたのですが、大川君からのお話でやめたのですけれども、弁護士である公務員ですね、私は弁護士であって公務員である。その私が、弁護士であって公務員であるときに、弁護士という立場において、ちょうどこの間、吉原の諸君から顧問という名前で自由民主党のある弁護士が依頼を受けて、二十万円、金を受け取ったというのは、弁護士としての報酬であり、報酬契約もあるのだからということで、犯罪にならぬというようなことで、不起訴になったということがあるが、そういうふうに、弁護士であり、代議士である者がこの通りのことをやる。「請託ヲ受ケ他ノ公務員ヲシテ其職務上不正ノ行為ヲ為サシメ」そうして、弁護士としての契約に基いて履行して、報酬をもらった、契約書もあるというような場合には、これは公務員としてしたことでなく、弁護士という資格においてそういう仕事をやったという分には、金を受け取る名目が弁護士であって、実際は代議士としてやったということになるからということで、百九十七条ノ四の適用を受けることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/85
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086・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その点は、先ほども議論をいたしたのでありまするが、弁護士という資格において本件のような行為がなされた場合には、それは弁護士の業務に基く行為でありますので、刑法三十五条の適用がありまして、業務行為として違法性を阻却する——犯罪にならないというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/86
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087・一松定吉
○一松定吉君 そうしてみるというと、結局、弁護士というものは、国会議員でありながら、その国会議員という名前を使わずして弁護士という名前を使うことによって、こういう穴があるわけだね。そういうことの取締りがどうなるか。たとえば山本粂吉君のやったようなことだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/87
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088・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは脱法的に——まあ先生のおっしゃいますのは、混同されておるように思うのでございますが、その前提として、弁護士としてやったか、国会議員としてやったかという事実認定の問題があるわけなんでございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/88
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089・一松定吉
○一松定吉君 弁護士としてやった、弁護士一松定吉という名前でちゃんとそういう契約書を作って、法務省の何の何がしに向って、こういうようなことを一つ頼むから、よろしいと、弁護士という職務において、法務省の何の何がしのところへ行って、君はこういうことをしちゃいかんと、こうしてくれというて職務上の不正の行為をさした、そうしてその目的を達したので、かねて契約してあった通りに、成功すれば二十万円やるという約束をしてあったから、二十万円やるということになると、わいろを収受したというのではなくして、報酬として契約通り二十万円受け取ったということは、これに当てはまらぬことになる。そういう抜け穴があるということはおもしろくないのですが、これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/89
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090・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 抜け穴になるということでございますけれども、私は、その前に、事実認定の問題で解明しなきゃならぬところがあると思いますが、一般的に申しますと、弁護士として、その業務としてやった場合には、抜け穴になりましても、本法は適用されないというふうに理解せざるを得ないと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/90
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091・一松定吉
○一松定吉君 たとえば、死刑の宣告を受けておる者が、死刑の執行を受けなきゃならぬということについて、弁護士である甲が、その執行の命令をする地位にある、たとえば法務大臣のところへ行って、なるだけそれを延ばし延ばしさせる。そうすると、法務大臣は、果して死刑の執行をいつまでにしなきゃならぬという法律上の規定はないんだからして、そうかそうかというて、これを二年延ばし三年延ばし、五年延ばす。延ばすたびごとに、法務大臣にお願いした甲弁護士は金をもらうというようなときはどうなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/91
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092・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その弁護士が国会議員でなくて、純然たる弁護士であって、なおかつ、そういうことができる場合には——その弁護士が、たまたま国会議員という公務員でありましても、それは本法の適用外になると理解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/92
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093・一松定吉
○一松定吉君 私は、そういうところがやはり抜け穴であって、その抜け穴があることを、国民がざる法だとかいうような非難をしておるので、弁護士である人は、そういう抜け穴のあることによって不正の利益を得るという便利はあるけれども、そういうことはしかし、国会議員であり弁護士である者の権威に関するのだから、そういうことをやっちゃいかぬと、良心のある者はやらぬけれども、良心の麻痺しておるような弁護士であり国会議員である者が、往々にしてそういうことをやる場合なきにしもあらず、そういうときにこれを防遏する方法がないのだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/93
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094・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) そういう場合の、まあ抜け穴と申しますか、法の不適用の場合が存するのでございまするが、それは単に業務行為と見られる場合だけでなくて、不正の行為をさせるようなあっせんでない場合ですね、そういう場合に、金を取っても、これまた法の適用を受けないというので、これも抜け穴だと批判をされるのでありますが、そういうものは立案者の立場から申しますと、国会議員のような場合でございますれば、これはまあ政治資金規正法の問題、あるいは選挙の場合ということになりますれば、選挙の法の規制がありますし、さらには、また、国会議員に向けられておりますところの国民的な批判といったようなもの、そういうものによって、まず法律以前の問題として処理するのが相当であって、このような刑罰規定は、余さず漏らさず規定するのは立法政策として策の得たものではない、相当部分が良心の問題、あるいは道徳の問題、そういうもので処理すべきものだというふうに理解しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/94
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095・一松定吉
○一松定吉君 それは、そういうことをする国会議員であり、かつ弁護士である者が、そういうことをすれば、世論の批判を受けて、将来その人の当選だとか、あるいは不利益を招くということのあることは当然であるのみならず、そういう不都合なことをして弁護士協会の制裁を受けるというようなこともあるのは当然だが、私の言うのは、こういうような公務員が他の公務員をしてこういうことをさせるようなことを防遏すべく、この百九十七条ノ四というものを制定する以上は、国会議員であり弁護士である者が、そのいわゆる弁護士という肩書きを利用して、こういうようなことをやった分にはこれこれの刑に処するという、抜け穴のできないようなことはお考えになったのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/95
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096・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) まあお言葉を返すようでございますが、弁護士という肩書きを利用してやったような場合には、事実問題として、それは公務員の行為になる場合が多いのではないかと思いまして、そういう場合には、弁護士の弁護料と申しますか、報酬と申しますか、そういう名義でわいろを収受したという認定を受けざるを得ないと思うのであります。で、この問題は、あまり理論で申しますよりも、やはり事実の認定が公務員の行為と見られるか、弁護士の行為と見られるかというところがきめ手になるわけで、弁護士の行為と見られます限りは、先ほど申しましたように、本法の適用を免かれることはやむを得ないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/96
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097・一松定吉
○一松定吉君 それから「報酬トシテ賄賂ヲ収受シ」とあるこれは、「賄賂ヲ収受シ」という言葉は、現行刑法の中にも「賄賂ヲ収受シ」という言葉を使っておるが、弁護士が報酬を受け取った場合に、それが報酬かわいろであるかどうかわからぬというような場合には、今あなたの弁護士の身分によってやったことかどうかを前提として判定すれば、結論は出るわけだが、「報酬トシテ賄賂ヲ収受シ」というと、いかにも言葉が重なっておるように思われるのだが、あっせんをなすこと、またはなしたることの報酬として金品を収受したとかいうことであるとか、あるいは報酬として金品を収受したとかいうふうに書いた方が抜け穴がなくていいように思えるのだが、これはやっぱり従前の現行法に「賄賂ヲ収受シ」という言葉があるから、それを踏襲した意味において、こういう言葉を用いたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/97
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098・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは漫然とそういう用語を使ったのではございませんで、御承知のように、わいろというものは、公務員の職務に関してもらうところの不法の利益をいうということは、これは学説、判例の一致したところでございますが、本件のあっせん収賄の場合には、職務に関して不法の利益を取るのではなくして、あっせんをしたことについて不法の利益を取るわけでございます。なお、このわいろという概念の中には、職務行為と職務行為の対価の関係に立つ不法の利益というふうに、これまた判例の認めておるところでございます。そこで、御懸念のように、「報酬トシテ賄賂」と、こういうふうにいっているのは、いささか概念がダブっておるのではないかというふうにも見れるのでございますが、わいろの概念が、従来の、本来的な意味のわいろよりも、若干幅が広くなると、広くなってもなおかつ、そのような不法な利益はわいろであるということを、はっきりさせるために、「賄賂」という用語を使用いたしましたことと、そしてそれが、「報酬トシテ」と、それには対価関係がありますので、普通は報酬でございますが、対価関係にありますのは、報酬のみに限りませんで、実費等も対価関係になると思うのでございますが、その普通の職務に関する犯罪でございましたらば、実費という考え方は、あまり入れる余地はないのでございますけれども、あっせんの場合には、あちこち飛び回ったり、いろいろと時間と費用をかける場合がございまして、そういう場合に、実費等は含まないということを、はっきりさせる意味におきまして、「報酬トシテ」ということを明確にしたのであります。そこで、「報酬トシテ賄賂」という用語を使いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/98
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099・一松定吉
○一松定吉君 今お話しのことでわかりましたがね、現行法の百九十七条ノ三の二項、三項ね、これには「行為ヲ為ササリシコトニ関シ賄賂ヲ収受シ」何々に関しわいろを収受しと、報酬という文字は使ってないのだな。そこにあなたの言う「報酬」ということは実費を含まない意味を明らかにするために「報酬」という字を使ったのだとおっしゃるけれども、それは実費は何も「報酬」とは書かなくても、実費は実費で、それは不正の利益にならないのだから、やはりこれは刑法の百九十七条ノ三の二項、三項の「行為ヲ為ササリシコトニ関シ」もしくは「相当ノ行為ヲ為ササリシコトニ関シ賄賂ヲ収受」云々ということの方がいい、「報酬トシテ」という文字を抜かした方がいいように私は思うのだが、やはり書いておかにゃいけないかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/99
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100・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) それは一松先生のおっしゃる通り、書いてなくても実費は含まれないという解釈になると思うのでございますが、これは昭和十六年の国会審議の際に、やはり非常に議論になりました点でございまして、そういう点を明確にしたいと、解釈、運用に疑問の余地がないようにしたいという配慮から、あわせて先ほど申しましたようなわいろを広げていくという意味もありまして、特に入れたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/100
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101・青山正一
○委員長(青山正一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/101
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102・青山正一
○委員長(青山正一君) 速記を始めて。
本日の審査はこの程度にとどめます。
次回は、明後三日、午前十一時三十分より、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約について、外務、法務連合委員会を開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X02219580401/102
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