1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月二十二日(火曜日)午
前十時三十六分開会
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委員の異動
本日委員小幡治和君、前田佳都男君、
大和与一君、高田なほ子君及び椿繁夫
君辞任につき、その補欠として佐野廣
君、井上知治、赤松常子君、清澤俊英
君及び山口重彦君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 青山 正一君
理事
大川 光三君
一松 定吉君
棚橋 小虎君
宮城タマヨ君
委員
秋山俊一郎君
雨森 常夫君
大谷 瑩潤君
小林 英三君
佐野 廣君
安井 謙君
赤松 常子君
亀田 得治君
後藤 文夫君
辻 武壽君
国務大臣
法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警察庁刑事局長 中川 董治君
警察庁警備局長 山口 喜雄君
法務政務次官 横川 信夫君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○刑法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○刑事訴訟法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○証人等の被害についての給付に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/0
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001・青山正一
○委員長(青山正一君) 本日の委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告申し上げます。二十二日付、小幡治和君辞任、佐野廣君選任。前田佳都男君辞任、井上知治君選任。大和与一君辞任、赤松常子君選任。高田なほ子君辞任、清澤俊英君選任、椿繁夫君辞任、山口重彦君選任。以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/1
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002・青山正一
○委員長(青山正一君) これより刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、証人等の被害についての給付に関する法律案を一括して議題といたします。
三案全部について保留された事項等について、質疑を行います。御質疑の方は、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/2
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003・亀田得治
○亀田得治君 刑事訴訟法の八十九条の五号の問題についてまずお伺いしておきますが、従来「充分な理由」というふうになっていたために、検察官自体が五号をあまり利用したがらない。そうして四号などで裁判所に対して意見を出すといったようなことなどが相当あったのではないか。やはり五号そのものともっと取っ組んで「充分な理由」をやはり疎明するように努力するというふうな点に相当欠けているんじゃないかというふうな気持もしておるのですが、ともかくこの前の昭和二十八年の法律改正で、八十九条第五号というものが付加されたわけですが、まあそのときにも「充分な理由」か「相当な理由」かというような意味で、相当議論をやったわけですね。しかし、議論をした結果、権利保釈の制度を危くしてはいけない。そういうふうな観点もありまして、そうしてまあ「充分な理由」を検討の結果、そういうふうになったわけですが、それをまあ今五年間くらいの経験ですぐ改めるというには、やはりよほどの理由がないと私はいけないと思う。そうしなければどうしてもまかなえないというような事情ですね。で幸い今度は刑法の改正ができますると、いわゆるお礼参りというものは処罰されるわけですが、そういう処罰規定も設けられるわけですし、あるいはもう一つは、この刑事訴訟法の九十三条の三項ですね、保釈条件をいろいろ裁判がきめる、そういうふうなことについても、これは裁判所がきめることですけれども、検察官としても、当然そういう意見を出していいじゃないかと思うんです。そういうものを出すようにして、そうして適当な保釈条件をつけておけば、やはりその条件に拘束されて、条件違反の場合には、すぐ取り消されるというふうな心配もあるから、行動も慎しむということにもなるでしょうし、ともかく、ほかのいろいろ条文等も活用しますれば、すぐこの改正をしなくても、何とかまかなえるのではないか、もう少しそういう立場で努力してみてもいいのではないかという感じを持っているんです。しかし、まあその辺の経験ということになりますと、これは検察官自体でないと、なかなかわからぬ点もあるでしょうが、ともかくこういう改正規定ができまして、検察官がそれを安易に使う、また、裁判所もそれに引きずられるということになりますと、ともかく原則として、取調べは任意捜査が原則だという大原則がやはり大きくくずれていく、一つ一つの事案そのものには、こういうふうに改正されたためによかったという点もあるでしょうが、全体として、任意捜査か強制捜査かという点の考え方が、非常に変っていくおそれがあるわけですね。その辺のことをどういうふうにお考えになっておるか、やむを得ずやるのであって、そういう権利保釈の制度そのものを、根本的に動揺させるようなことは、もちろん考えていないのかどうか、その辺のところを一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/3
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004・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 八十九条の五号の関係につきまして、ただいまお言葉にもございましたように、この規定をさらに強化することによりまして、権利保釈の制度に一つの制限を加えることに相なりますので、この点、法制審議会の席上におきましても、弁護士側から、まあこのこと自体は悪くはないことであろうけれども、このことが、ひいて権利保釈制度を、あしたに一城、ゆうべに一城というふうに、堀をうずめていって、最後にはその権利保釈制度そのものを否定し去るような結果になることをおそれるんだという御議論もございました。その点は、私どもも意のあるところはよくわかるのでございまして、政府当局として、この権利保釈の事由を拡大することによって、保釈制度そのものを否定し去ろうなどという考えは、むろん持っておりませんし、それからまた、この条件を逐次強化することによって、この運用が狭められていくというようなことになってはいけない、そういう点は私どもも十分配慮いたしております。ことに御指摘のように、この五号は、昭和二十八年に改正になったあと、新たに設けられた規定でございまして、この規定のほかに、もう一つ制限規定を設けようというのではないのでございますが、せっかく二十八年に設けられたこの規定の運用状況を見ますると、「充分な理由」としてありますために、ほとんど目的を果さない、動かないというのがこの現状でございます。検事がこの規定を活用しないんじゃないかという御疑念でございますが、これはもう五号はずいぶん主張をし、疎明もしたのでございますが、もともと現在勾留されております者が保釈をされたならば、お礼参りをするであろうということの十分な理由を証明するということは、これはもうなかなかむずかしいことでございます。おそらく私どもが想像いたしますのに、獄中から子分に対する手紙か何かによりまして、お礼参りをするというようなことがうかがわれるという、何か特殊な偶然な機会でもない限り、この「充分な理由」ということは疎明し得ない、客観的な被告人の経歴だとか、今取調べを受けようとしておる罪質だとか、子分との関係、今までの暴力に関する前歴、こういったようなものを証明しただけでは、これは「相当な理由」には当るかもしれませんが、「充分な理由」には当らないというふうにはねられておるのでございまして、その点がほとんど実用できないというところに、捜査官、特に検察官の悩みがあるわけでございます。しこうして、それでは、そうして釈放になりました者がお礼参りをしていないかというと、また、現実の問題として、お礼参りがあるのでございます。で、そのお礼参りの煩にたえないというようなところが、結局人権の、この権利保釈の制度と暴力との板ばさみに立ちまして、法制審議会の刑事法部会におきましても、その点で議論をいたしました結果、結局被告人の人権の保障もさることであるけれども、暴力事犯の被告人が、検挙後、間もなく保釈出所して、そのために善良な一般市民が不安を抱いて、特に被害者その他事件の審判に必要な知識を有する者が、後難をおそれて、証人として出頭または供述することをちゅうちょするという実情にあることは、これはもう刑事司法の目的達成という観点から見て、ゆゆしい問題であり、社会一般の世論も、暴力事犯の被告人の権利保釈を制限することを強く望んでおるという趣旨の意見も出まして、結局はこれは「充分な理由」を「相当な理由」に改めても、この規定の活用をはかるべきであるという結論に相なったのでございますが、同時に、御注意を喚起いたしておきたいことば、この「充分な理由」と「相当な理由」の差異でございますが、緊急逮捕のあった場合におきましては、御承知のように、十分な理由を疎明しなければなりませんが、通常逮捕の場合においては、相当な理由でもいいけれども、「相当な理由」と「充分な理由」の差異は、結局程度の差であるというふうに見て、「充分な理由」を幅を広げていって、「相当な理由」に近づけるというような運用が、もし裁判所側において行われますならば、これはゆゆしき問題であって、両者の間に的確な線を引くということは、なかなかむずかしいでありましょうけれども、なお、両者は混同して運用してはならぬという、この趣旨からいたしますると、やはりここのところは「相当な理由」に改めましても、「相当」と「充分」の区別をはっきりとして置くということが、刑事訴訟法上必要であるというまた見方もありまして、結局これは権利保釈の制度をくずす趣旨でないということと、それから今申しましたような、実際上の必要という点、それから「充分」と「相当」との解釈に明確な線を引いて考えていくという、この三点に重きを置きまして、改正が相当であるというような意見にもなったような次第でございまして、今御懸念のような点は、万々ないというふうに私どもは確信いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/4
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005・亀田得治
○亀田得治君 まあ提案者の立場は一応了解しますが、ともかくこういう改正を提案しようというふうにお考えになったその範囲から逸脱しないような一つ運用を、ぜひこれは気をつけてお願いしたいと思います。
それから、次に被告人退廷の問題でありますが、この点に関して二つだけ大事な点としてお聞きしておきますが、一つは、憲法三十七条の二項との関係、これは一つ自信を持って憲法違反ではないというふうにお答え願えるのかどうか、お答え願えるとしたら、その根拠はどういうふうにお立てになっておるのか、確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/5
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006・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) この点が憲法三十七条第二項に、十分な機会を与えるという、この「充分」というものに、果して被告人を退廷させて、証人尋問をします場合に当るかどうかという点が、憲法の問題としてまあ私ども議論をいたしたのでございますが、責任をもって答えられるかという点につきましては、法制審議会の意見もよく聞きました上のお答えといたしまして、責任をもって、これは憲法違反にならないというふうに解釈をいたしておるのでございます。で、その理由といたしますのは、十分な機会を与える、十分な機会という点でございますけれども、なるほど、被告人を退廷せしめて、その不在の間に証人尋問をするのでございますから、その意味においては十分とは言えないかもしれませんが、現刑事訴訟法のもとにおきましては、被告人の弁護人というものが、ほとんど被告人の全利益を代表してその席におるものでございまして、その弁護人が在廷しておるということが、まず第一の理由として、そういう場合だけに限って退廷をさせることができるといたしておる点が第一点。それから証人尋問の終った後、さらに被告人に尋問の要旨を告げまして、さらに尋問の機会を与える。最後にこの尋問の機会を与えるということがこの規定のもとに保障されておる。こういう点からいたしまして、憲法違反にはならないという、まあ確信を持っておるのでございます。
なお、先般も申し上げましたように、この点に関する判例は、そういう意味から申しますならば、被告人がいないところで、ことに勾留されております被告の場合には、被告人の面前でなくて、証人尋問をすることも、決して憲法第三十七条二項に違反するものでない趣旨の判例を示しております。この判例は幾つかございます。ございますが、まあその判例等から申しますと、本法の規定はもっと憲法の趣旨をくんだ規定でございまして、判例の趣旨といい、この規定の組み立て方といい、そのいずれの点から見ましても、憲法違反の御懸念はさらにないものと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/6
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007・亀田得治
○亀田得治君 憲法違反の御懸念がさらにないとおっしゃるわけですが、これはまあ私は相当あると思うのです。
第二点としてお聞きしたいと思っているのは、果してこういうやり方で必ず真相がつかめるのかどうか。まあつかめる場合もあるが、つかめない場合もあるのではないかという疑問を持っているのです。いい場合もあるし、悪い場合もある。いい場合は憲法違反にならぬでしょう。まあその問題はちょっとおきますが、ともかく十分な機会を与えるという立場から見ても、実際の法廷の状況ということを頭に描いて考えますと、なるほど、従来の判例があるからよろしいのだとかというふうなことは、必ずしも私は、なかなか言えない点があろうと思うのです。そういう立場から、実際上の問題をちょっとお聞きしたいのですが、真相が果してつかめるのかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/7
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008・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その点がきわめて大事な点でございます。形式的には、私どもは先ほど申し上げましたように、憲法違反にならぬと確信いたしておりますが、それでは実質的に、こういう制度を設けることが裁判に貢献するかどうかという点でございますが、御承知のように、ただいまの裁判は公判中心主義と申しますか、直接審理主義と申しますか、とにかく被告人のいないところで作った検事調書のようなものは、一定の条件のもとにおいてのみ証拠に供し得るのであって、原則として公判廷で直接尋問によって証拠を検出するというのが建前でございます。ところが公判廷において証人が威圧を感じて思うように述べられない、あるいは供述に、心にもない供述をしておるということがわかりますれば、刑事訴訟法第三百二十一条一項二号の規定によりまして、検事調書がその場合に出し得るのでございますが、そうしてもしその裁判が、検事調書によって裁判をされるというようなことになりますならば、憲法三十七条二項の趣旨からは遠くなっていくのでありまして、できるだけ公判において証言が利用されるという形をとるのが、私は新刑事訴訟法の趣旨であろうと思うのでございます。ただ、今のような状態で、威圧を感じて、おろおろして十分言えないというような状況を放任しておきます限りは、どうしても被告人のいないところで作られた調書をどうしても裁判資料によけい出さなければならぬという結果になるのでございまして、そういう面から申しますと、まず公判廷で自由に証言ができる、そういう道を開いておくことが、新刑事訴訟法の趣旨に適合するのだという考えを持っておるのでございます。そういう意味からいたしまして、なるべく公判廷で証言をするというふうに追い込むような制度が望ましいのでございます。その場合に、追い込む以上は、自由に述べるように保障する道が開かれなければならぬ、こういう観点からいたしまして、私はこの制度は、きわめて今後の新刑訴のもとにおける公判運営に寄与すること大であるというふうに考えるのでございます。その意味からいたしまして、実質的にも、保障される道であろうというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/8
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009・亀田得治
○亀田得治君 たとえば威圧を感じて、被告人の面前でなかなか言い渋っておる人がある。で、なかなかすらすら言わない。私は、やはりそういう状態そのものをやはり裁判官が十分見ているということも必要だと思うのですね。だから、こういう規定が設けられると、ややもすると裁判官はやはりうるさいと思って、すぐ被告人を出してしまう。そういうことじゃなしに、やはり相当困難があっても、証人にしゃべってもらうように、裁判長が訴訟指揮を上手にやる。それがやはり大事なんでね。むずかしいことですよ。しかし、むずかしいことだが、私はそういうことのできない人は、大体裁判長というものに適しないと思うのですよ。そこが大事なところなんですから、そうして多少言い渋っておってもその青い渋る片言隻句の中から、やはりこの真相をむしろつかんで、両者の関係というものをつかんでいくということも、これはできるわけなんです。
それからできるだけやはり一方証人の立場も、こういう問題については遠慮しないで、やはり裁判に協力してもらう。こういう面の努力も必要でしょう。そうしませんと、たとえば場合によっては、この被告人をやっつけてやろうというふうな証人も中には出てくるかもしれないのです。ところが、そういうことさらに白々しいうそを言うて被告人をやっつけたいと思う人は、やはり被告人がいてはじゃまになる。で、裁判長に対して、どうもこの人がおると、言いにくいからといったようなことになりますと、この威圧ということを、裁判長が非常に注意して解釈してくれればいいのですが、まあそういうことで証人が言い渋っていると、じゃ被告人は外へ出ておれ、こういうふうなことになると、今度は逆の面からのやはり弊害もこれは出てくる。これは対立しておる労使間の問題とか、あるいは対立しておる暴力団のけんかとか、そんな場合には、私は予想されることだと思うのです。だからこれは被告人がおれば、うそをついて被告人をやっつけてやろうと思っても、そんなことはそれこそ言い渋ってできない。その方がまたうまみがあっていいわけだ。だから、この被告人と証人というものはこれはもう一体のものであって、裁判としては、もう被告人を裁判しておるのに、本人に重大な証言があるときに本人がおらない、こんなことは、まるで的のないところで何かわいわいほかのものだけが騒いでおるような感じで、漫画みたいなものです、言うてみれば。私はどういうことがあっても、この現在の刑事訴訟法の建前から言うならば、被告人、証人というものは一つの場にいて、そうして裁判長の前で、対決してもいいのです、場合によっては。対決なら対決、そこを上手にやっていくのが裁判官の役目であって、こんな規定を設けたら、めんどうくさいと思うと、裁判官はじきに被告人を退廷させるようなことをする、はなはだ私はまずいじゃないかと思うのです。裁判長の訓練にもならないですよ、こういう規定は。
それともう一つ心配になるのは、先ほどの御説明では、退廷させて、そうしてあとから入ってきたら、その証人がどういうことを言うたかということを被告人に裁判長が告げて、そうしてそれに対して被告人が聞きたいことがあったら聞く、こういうようにしてあるから憲法の規定には違反しない、あるいは弁護人もちゃんとおるのだからと、こういうわけですが、まあ弁護人は、そういう事実関係を知っておる証人が来ておるときに、弁護人がいても、本人が、あいつはああいうことを言う、これはけしからぬ、本人が気づくほど弁護人は気がつくものじゃない、微妙な事実関係になれば。だから弁護人がいたって、ほんとうにこんなものは代理にもならないですよ。そういう場合の弁護人は、主としてやはり法律問題について被告人をかばっていくということになるのであって、これはあなたも御異議ないところだと思う。だから、弁護人がおるから十分だとはおっしゃるわけではないでしょうが、これはやはりはなはだ欠ける。
それともう一つは、要旨を告げて、聞きたいことがあれば言いなさいと言うと言うけれども、証人が言うたことを裁判長が繰り返して言えるものじゃないですよ。ことに長い微妙な証言なんかになったら、そんなことはとても言えるものじゃない。言うたってそのニュアンスが非常に大事なのですから、だからその要旨の告げ方が悪ければ、今度弁護人から、それはさっきの証人の言うたことと違うじゃないかと異議が出るだろうし、告げ方のよしあしによって、どうも裁判長公平を欠いておるとか、これは無用な混乱が起る。だから私は、なまのままで、幾ら困難があつても証人と被告人というものは一緒に置いておく、で、裁判長としては、それをじっと横から客観的にこう見守っていく、これでなければいかぬのでね。現在はまあこういう規定がありませんけれども、ほかの刑事訴訟法の規定で非常に困難な場合にはやっておりますね、退廷などのことはやっておりますが、まあ正面からそんな退廷させるような規定はない。私は、そんなことはやっぱり例外的な措置だ、訴訟指揮上のね。そういうことにしておいてもらって、正面からこういうことを堂々ときめるのはもう少し研究の余地があるのじゃないか。もう少し、もう二、三年でも、もう少し研究をして、その上でやっても別に今の裁判が動かぬというわけじゃないわけですからね、と思うんですがね。まあ大体定員がおそろいになって、もう採決に入る時間のようですからやめますが、まあ、一つその辺のところをざっくばらんにお答え願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/9
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010・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ただいま亀田委員から、運用の問題についていろいろ御意見がございました。運用の問題につきましては、仰せの通り、私どもも可能な限り、被告人の面前において証人尋問が行われることが望ましいのでございます。で、それでもなおかつどうにもしようがないというような場合の一つの制度として考えます場合には、こういう制度を置いておく必要があろうというふうに考えるのでございまして、運用につきましては、全く御意見の通りでございます。また、その運用においてやすきに流れるようなことがありましては、これは裁判官として困ることなんでございます。その点は、十分裁判所においても留意されるところと考えます。
なお、申し添えておきますが、旧刑訴の三百三十九条にはこの規定と同趣旨の、退廷を命ずることができる規定があったのでございますが、その運用状況を見ますると、退廷をそれによって命じた場合というのは非常に少かったようでございます。旧刑訴のもとにおいてさえもそうでありまして、いわんや新刑訴のもとにおきましては、かような運用はきわめてまれな場合しか起らないであろうというふうに考えておるのでございます。法制審議会におきましても、裁判所側の委員から、きわめてまれな場合しかそういう場合は起らぬであろうというようなことであり、かつ、その判断は、裁判官の判断によるものでございますので、ひとまず裁判官におまかせして、制度論としては、こういう制度を設けておく方がいいだろうということに結論として相なったような次第でございまして、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/10
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011・青山正一
○委員長(青山正一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/11
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012・青山正一
○委員長(青山正一君) 速記を起して。
ほかに御発言もないようでございますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/12
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013・青山正一
○委員長(青山正一君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/13
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014・青山正一
○委員長(青山正一君) 次に、亀田得治君、一松定吉君から、刑法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されておりますので、本修正案を議題といたします。
修正案提出者から趣旨説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/14
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015・亀田得治
○亀田得治君 それでは私が代表いたしまして、刑法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたしたいと思います。
最初に修正案文を朗読いたします。 刑法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第二百六十三条に一項を加える改正規定及び第二百六十四条を削る改正規定を削る。
若干修正案の趣旨の説明をいたしたいと存じます。三つの点について申し上げたいと存じますが、第一点は、一般論の立場から申したいと思います。
いわゆる毀棄罪は、個人利益の侵害であり、しかも非常に軽微な侵害であることが多いのであります。しかもそういう現象は、社会にはあちらこちら、非常にたくさん常時発生しておるものであります。従って、その被害者の申し出を待って初めて国家権力が動いてもよいのではないか。むしろそうしなければ、事実上国自体としても取り扱いかねるのではないか。こういうことで毀棄罪というものが親告罪になり、また、このことは世界各国とも大体そういう考え方をとっております。若干例外はあるようでございますが、ほとんどの国ではそういう考え方で毀棄罪を親告罪にしておる。こういうわけですから、私はそういう法制上認められた世界的な通念、そういうものを今、日本で特に変えなければならないという、若干の提案者の言い分はもちろんわかるわけですが、もっと視野を広げて考えますと、そこまでの重大な理由ではなかろうというふうに考えておるのであります。
それから第二点は労働問題に関してでありますが、刑法の二百五十九条あるいは二百六十一条を非親告罪にしますると、資本家と労働者間の団体交渉などの際に、だれかが偶然的に起した毀棄、損壊の行為というものに対しても、これらの法条が直ちに適用され、そうしてまあ悪くいたしますると、緊急逮捕の対象にまでされ、そうして結果的には、第三者から見て非常に不公平という感じを与えるような争議に対する弾圧に悪用される、そういうおそれが私ども出てくると思うのであります。もしそういうふうなことが若干でも起きますと、そのストライキは一そう深刻化する、そうして争議終了後においても両者間で無用な摩擦が残る、こういうことはまあ私ども避けなければならないと思うのでありまして、いやそういうふうな悪用は絶対ないというふうにまあ御説明も受けてはいるのでありまするが、従来の私どもの経験からいたしまして、遺憾ながらやはりそういう危惧も残すのではないかというふうに感じている次第であります。
それから第三点といたしましては、暴力団の問題でありますが、そうしてまた提案者といたしましては、この点に最大の理由を置いて御説明をされたわけでありますが、暴力団を取り締るためには、必ずしも今直ちに刑法二百五十九条、あるいは二百六十一条の罪を非親告罪にしなくても、現在の刑法、あるいは暴力行為等処罰ニ関スル法律、あるいは今回の刑法、刑事訴訟法の改正で、そういう暴力団に対する措置が今までよりさらにやりやすくなるわけでありまするが、まあそういうふうな法規を厳正に一つ検察当局が適用されていかれれば、大体まかない得るのではないかというふうに思います。もちろん親告罪にしたのと、せぬのとでは、多少の不便は免れないということは私もわかりますが、まあその点は、今後一つ警察が一そう努力する、一般の告訴精神といったようなことを涵養するように努力するとか、あるいは警察自体としても、暴力団との関係等をもっとすっきりするよう努力してもらうということによって、その辺の多少の不便は一つ補ってもらうようにしてもらいたいと思います。
まあ以上のようなわけで、刑法の改正ということはきわめて重大な問題でありまして、ともかくいろいろな疑問を残したまま刑法改正を押し切っていくということは、事柄の性質上はなはだ適当ではなかろうと思います。そういう意味で、親告毀棄罪を、非親告罪にするということは、現在の段階では多少早計ではないか、まだ検討の余地が多分に残されている、こういうふうな感じを持つ次第であります。
以上のような理由に基きまして、この修正案を出したのでありまして、委員各位の御了承を得たいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/15
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016・青山正一
○委員長(青山正一君) ただいまの修正案に対し、別に御発言もなければ、これより刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、証人等の被害についての給付に関する法律案、刑法の一部を改正する法律案に対する修正案を一括して討論を行います。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/16
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017・亀田得治
○亀田得治君 私は、刑法の一部を改正する法律案に対する修正部分を除きまして、三案全部に賛成をいたします。修正案はもちろん賛成でありますが、その修正部分を除く点につきまして、若干意見を述べておきたいと思います。
まず、刑法百五条ノ二の点でありますが、これはいわゆる暴力団のお礼参りを取り締るためのものでありますが、これを乱用されますと、たとえば、労働組合の幹部が争議中に起きた刑事事件の調査をする行動、あるいは弁護士や新聞記者などが資料収集のためにする活動まで制約されるおそれがあるのでございますが、提案者は、かかる行動にはもちろん適用されるものではないという御説明をされておりまするので、私どもとしても一応その説明を信頼して了承いたしたいと存じます。
それから次に、百八十条の二項でありますが、これによりましていわゆる輪姦罪が非親告罪にされたわけでありますが、ただ、被害者から特に本件は公けにしてくれるな、こういう積極的な申し出があった場合には、その被害者の意思を尊重するような運用を考慮すべきものではないかと思います。この点についても、刑事局長よりその趣旨には賛成であるという趣旨の答弁がありましたから、これは今後の運用上十分気をつけてもらいたいという希望をこの際述べておく次第であります。
それから百九十七条ノ四の、いわゆるあっせん収賄罪の規定でありますが、構成要件が非常にしぼられ過ぎでいる、こういう非難があります。あるいはまた、刑期の問題でありますが、これも質疑の過程で私もお尋ねしましたが、その質疑を通じてみましても非常に刑期が軽過ぎる、こういう感じがいたします。あるいは法文の中にある「請託」とか、「公務員」、そういうものについての法文解釈上の疑義が必ずしも完全には解消しておらない、あるいは第三者供賄罪の規定がない、以上のようないろいろのこれは不満はございまするけれども、質疑中に岸総理を初め、政府側の方からいろいろ今後の意思表示等がありましたので、私としては、政府の今後の善処を期待して、この点にも賛成をいたします。
それから二百八条ノ二の持凶器集合罪の点でありますが、この点についても「財産」あるいは「凶器」というような点の概念のはなはだあいまいの点もありますが、労働運動をこれは目標としたものではなく、先般の別府事件のような暴力団同士のけんか、こういうものに対処しようとするものであるからという政府側の御答弁を一応了解いたしまして、この点についても賛成をいたします。
それからなお、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、簡単に申し上げたいと存じます。
刑事訴訟法の改正については、こういう規定ができたからといって、いやしくも検察官や裁判官が安易に流れて、そうしてみだりに保釈を制限したり、被告人を退廷させるごときことのないように、十分これは一つ注意をしてもらいたいと思うのであります。で、保釈自身の問題は、これは検察官も初めから相当関与してくる問題であり、あるいは被告人退廷の問題等につきましても、これは裁判所のやることであるから、検察官には関係がないようでありますが、実際の法廷の現場というものは、やはり検察官側からそういうふうな意見が出て、そうして裁判所もそういうふうな措置をとるというふうなことが多いのでありまして、私はそういう意味で、これは単に裁判官だけでなく、検察側においてこそ、十分これらの規定の運用について、御注意を一つしていただきたいと思うのであります。ともかくこの刑事訴訟法の一部改正、これも刑法改正と同じように、暴力団のお礼参りとかそういったようなことから、これが作られてきたものであるというのであれば、これらの規定が拡張されて、そうして一般市民がそのために不当な扱いを受ける、ひいては権利保釈制度、あるいは憲法三十七条の二項の精神、こういうものが破壊されるというふうなことのないように、この際希望を申し上げまして、刑訴の一部改正にも私は賛成をいたします。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/17
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018・大川光三
○大川光三君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました刑法の一部を改正する法律案のうち、修正部分を除く政府原案ほか二法案に対して、賛成をいたします。
汚職、暴力の追放は、貧乏追放とともに、わが党年来の主張であります。今回政府提案の刑法の一部を改正する法律案において、あっせん収賄罪を新設し、暴力取締り関係としては、いわゆるお礼参りを処罰する規定を設け、さらに持凶器集合罪を新設し、また、輪姦的形態をもってする強姦、強制わいせつ罪等を非親告罪に改めるとともに、これに呼応いたしまして、刑事訴訟法については、お礼参りの権利保釈の制限、被告人の退席処置を講ずることなどの一部改正をなし、さらに、刑事事件の証人もしくは参考人、またはその近親者に対して、被害を補償するための給付に関する法律を新設することといたされましたが、これらはいずれもわれわれの主張をいれたものと存じまして、賛意を表するにやぶさかではありません。ただ汚職、暴力追放の目的達成のためには、法規の上にはいまだに満たされないものがあると存じますから、政府におかれましては、この法律案の成立をもって満足することなく、さらに必要なる法的処置を検討あらんことをこいねがいまして、賛成の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/18
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019・青山正一
○委員長(青山正一君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決を行います。
まず、刑法の一部を改正する法律案に対する修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/19
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020・青山正一
○委員長(青山正一君) 全会一致でございます。よって亀田、一松両君提出の修正案は可決せられました。
次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた刑法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に、賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/20
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021・青山正一
○委員長(青山正一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。
次に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/21
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022・青山正一
○委員長(青山正一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、証人等の被害についての給付に関する法律案を問題に供します。
本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/22
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023・青山正一
○委員長(青山正一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/23
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024・大川光三
○大川光三君 私は、この際、刑法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党及び日本社会党の共同提案にかかる付帯決議を付すべしとの動議をまず提出します。
よって私は、その附帯決議案の提案理由を説明いたします。
まず、本決議案を朗読いたします。
刑法の一部を改正する法律案附帯決議
本改正案の趣旨並びに経緯にかんがみ、政府は、特に暴力関係の罰則(第百五条ノ二、第二百八条ノ二)の運用にあたっては、殊更に労働運動を抑圧することのないように、警察活動の行過ぎを深く戒しめ、また斡旋贈収賄罪については、政治活動を阻害しないように、その運用に留意するとともに、将来第三者供賄の処罰について検討すべきである。
右決議する。
ただいまの附帯決議案のうち、暴力関係の罰則としてカッコ入りで示しました第百五条ノ二は、すなわち今回新たに設けられまするお礼参り禁止に関する罰則規定でございますが、この罰則規定の内容を検討いたしますと、「自己若クハ他人ノ刑事被告事件ノ捜査若クハ審判ニ必要ナル知識ヲ有スト認メラルル者又ハ其親族ニ対シ当該事件ニ関シ故ナク面会ヲ強請シ又ハ強談威迫ノ行為ヲ為シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス」かように定められている法規でございまして、この法規の解釈に当って、あるいはこれが乱用されますると労働運動を抑圧するような懸念なしとは考えられません。
また、第二に申しました第二百八条ノ二の規定は、持凶器集合罪に関する規定でございまして、この持凶器集合罪の運用に当りましても、労働運動、大衆運動を抑圧する懸念がないかという疑念がございまするので、これらの法運用に当りましては、警察活動の行き過ぎを深く戒め、あくまでも基本的人権を尊重いたしまするとともに、あっせん贈収賄罪につきましては、政治活動を阻害しないように御留意をいただきたいという趣旨でございます。
その他、決議案自体の文言を御賢察賜わりまして、本決議案に御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/24
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025・青山正一
○委員長(青山正一君) ただいま大川委員から提出の、刑法の一部を改正する法律案についての附帯決議案を議題といたします。
本附帯決議案を、刑法の一部を改正する法律案について当委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/25
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026・青山正一
○委員長(青山正一君) 全会一致でございます。よって本附帯決議案は、当委員会の決議とすることに決しました。
なお、本院規則百四条による本会議における口頭報告の内容、七十二条により議長に提出する報告書、事後の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/26
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027・青山正一
○委員長(青山正一君) 御異議ないと認めます。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、三案を可とされた方は、それぞれ順次御署名を願います。
多数意見者署名
大川 光三 一松 定吉
棚橋 小虎 宮城タマヨ
秋山俊一郎 雨森 常夫
大谷 瑩潤 小林 英三
佐野 廣 安井 謙
赤松 常子 亀田 得治
後藤 文夫 辻 武壽発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/27
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028・青山正一
○委員長(青山正一君) なお、先刻いたしました刑法の一部を改正する法律案の附帯決議につきまして、法務大臣から所信をお述べ願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/28
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029・唐澤俊樹
○国務大臣(唐澤俊樹君) ただいま御決定に相なりました附帯決議につきましては、政府も全く同感でございまして、将来その御趣旨を尊重して参りたいと考えております。
附帯決議のうちで、暴力関係の罰則の運用に当っては、ことさらに労働運動を抑圧することのないように、警察活動の行き過ぎを戒めなければならないという点、また、あっせん収賄罪については、政治活動を阻害しないように、その運用に留意しなければならないという点、この二点につきましては、立案当時にも全く同様の考えを持ちまして、用語等につきまして十分注意を払ったつもりでございまするが、法律となりました暁におきましては、その運用には、御趣旨に沿うように十分注意をいたして参りたいと思います。
それから第三者供賄に関して、新たに罰則規定を置く必要があるかどうかという点につきましても、将来十分慎重に、また、熱心に検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/29
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030・青山正一
○委員長(青山正一君) それでは次会は、明二十三日、午前十時、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、恩赦法の一部改正、請願全部を議題といたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815206X03319580422/30
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