1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月七日(金曜日)
午前十時三十分開議
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議事日程 第十一号
昭和三十三年三月七日
午前十時開議
第一 恩給法等の一部を改正する
法律案(趣旨説明)
第二 水防法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
(委員長報
告)
第三 国庫出納金等端数計算法の
一部を改正する法律案(内閣提
出) (委員長報
告)
第四 統計法等の一部を改正する
法律案(内閣提出)(委員長報
告)
第五 狩猟法の一部を改正する法
律案(内閣提出) (委員長報
告)
第六 農業協同組合整備特別措置
法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
(委員長報
告)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、恩給法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。今松総理府総務長官。
〔政府委員今松治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/2
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003・今松治郎
○政府委員(今松治郎君) 恩給法等の一部を改正する法律案につきましてその趣旨を御説明申し上げます心
戦後における退職公務員、すなわち軍人、文官及びその遺族に対する恩給上の処遇につきましては、いわゆる軍人恩給の廃止ないしは復活、あるいは給与ベースの改訂に伴う恩給年額の増額等、戦前には見られなかった消長と変遷を経てきたものでありましていろいろと検討を要するものが残されておる状態にあったのであります。
そこで、昨年六月、臨時恩給等調査会を設置し、御検討をお願いいたしました次第でありまするが、調査会においては、慎重審議した結果を、昨年十一月十五日、政府に報告されたのであります。
政府は、今回、この報告をもととしつつ、戦後処理の重要課題でもあり、かつまた恩給法それ自体における懸案でもあった戦没軍人遺族並びに戦傷病者の処遇の改善と老令退職公務員の処遇の向上に重点をおいて問題の総合的解決をはかろうとする竜のであります。
その第一点は、国家財政その他諸般の状況を考慮して、これがために急激なる財政負担をきたさぬよう、四ヵ年にまたがる漸進的な計画のもとに所期の目的を達成しようとする点であります。
第二点は、その実施の緩急順序において、戦没軍人遺族、重傷病者、高年令者を先にした点であります。
第三点は、処遇改善の対象を六十才以上の老令者、寡婦、遺児、傷病者としたことであります。
第四点は、上に薄く下に厚くするという精神に立脚し、重点を下級者に置いたことであります。すなわち、仮定俸給の引き上げにつき強い制度を設けて、上級者の引上率を抑制いたしますとともに、傷病恩給におきましては階級制を撤廃することにいたしたのであります。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次、発言を許します。大谷贇雄君。
〔大谷贇雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/4
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005・大谷贇雄
○大谷贇雄君 私は自由民主党を代表いたしましてただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、岸総理初め、関係閣僚に対しまして若干の質疑を行わんとするものであります。
昨年来、懸案となっておりましたいわゆる不均衡是正のための現行恩給法の改正の問題は、三十三年度予算編成に当りまして幾多の議論がかわされ、紆余曲折を経て参りましたが、岸総理の果敢なる裁断によりまして三百億の増額が決定いたし、今や実施されんとするに至りましたことは、総理が戦後の処理について深い配慮を示されたものといたしまして心からなる敬意を表しまするとともに、喜びにたえないところでございます。(拍手)
今回の増額は、申すまでもなく、その大部分が戦没遺家族への公務扶助料であり、傷痍軍人に対しまする恩給措置であり、老令者への配意でありまして国家としてとるべき当然の義務行為であります。世上、いわゆる軍人恩給という名のもとに、旧職業軍人のみを対象としたもののごとく歪曲して伝えられておるがごとき問題では断じてないのでございます。一片の令状によって招集をされ、あたらその命を国家に捧げられた殉国の若人たちに対し、国民が心からなる敬弔の意を表することは、同胞として当然の責務ではありませんか。あるいはまた、砲煙弾雨をくぐって傷つき倒れ、病める人々に対して、一掬、感謝の真心をいたしますることは、これまた人間の道として当然過ぎることではございませんか。(拍手)しかるに、そのことたる、国家財政の乏しきにおいて今まで果し得なかったことにつきまして、私ども国民はさびしく、悲しい思いを胸に持ち続けて参ったものでありました。今回、とにもかくにも三百億円の増額案が定まりましてここに恩給是正のことが成らんといたしますることは、もってお互い同胞といたしまして、その義務の一半を果し得るものとしてやや心の安らぎを覚える次第でございます。
しかるに、日本社会党の諸君は、去る三日、三十三年度予算案が衆議院を通過するに際しまして声明を発して「一般会計歳出面で、防衛費、軍人恩給支出など、非生産的出費が増額されている云々」と発言されておりまするが、これは全く解し得ないところでございます。われらにかわって命を捧げられたる殉国、愛国の英魂に対しましては、私は冒濱であり、英霊の面影を胸に抱きしめて憂愁の目々を送っておられる年老いたる父母や、つえ柱と頼む夫をなくして悲嘆のどん底に沈む未亡人たち、さらには残されたる遺児たちに対しましては、あまりにも惻隠の情薄い発言ではないかと思うのでございます。(拍手)人はパンのみにて生くるにあらず、不生産的、片づけてしまうがごとき唯物史観的論議には、断じて同調できざるところでございます。しかもなお、「旧軍人恩給に対する社会党の態度」なる声明の冒頭におきまして、三十三年度予算原案において保守党政府は、再軍備を目的とする旧軍人恩給の増額を決定したと宣しておりますが、保守党たるわが自由民主党は、断じて再軍備を策するものではないのであります。私どもは世界の恒久平和を念じ、福祉国家の建設のために、国家の再建に、しし営々として努めておるものであることを、はっきりと申し上ぐるものであります。政府は、今般の恩給是正による増額が、悲しむべき大戦の戦後処理であり、国に殉じ、傷つける人々への国家補償であることを、この際、確信をもって天下に示すべきものであると思うが、総理の所信を鮮明せられたいと思うのでございます。
次にこの改正法案におきましては、いわゆる上に薄く、下に厚い方針をとっておりますことは、きわめてその措置妥当なるもので、世論もうなずくものと信ずるのであります。しかしながら、今日、生活保護法によります生活扶助を見ましても、標準世帯一世帯に対しまして全国平均は約十一万円、六大都市におきましては、約十二万五千円でありますることを考えるとき、遺家族への扶助料が増額されても、五万三千二百円でありますことは、決して多額とは言い得ないと存ずるのでございます。政府は、今回の恩給是正をもって、その事果せりと考えておるのかいないのか、この際承わっておきたいと思うのでございます。
第三に、傷病恩給についてこれを見まするときに、階級差をなくし、介護手当を出し、家族加給を支給することになりましたことは、大いに賛意を表するものでありますが、公務扶助料との比較におきまして、これを見まする場合に、傷病恩給は全体として少額の感が深いのであります。すなわち、昭和三十年、三十一年の公務扶助料、普通恩給増額の際にも、この恩給のみは据え置かれたものでございましてきわめてその点不均衡の感があることはいなめぬと思うのでございます。さらに、間差の問題について見ましても、医学的見地からせずしてただ予算圧縮の手段としてその引下げが行われておるというような点があるのでありますが、この点、政府の所信を伺っておきたいと思うのでございます。さらに、臨時恩給調査会の報告にも述べられておる問題といたしまして傷病恩給が外形症状に重点を置いて、内部疾患軽視の傾きがあると、一致せる意見として答申をしております。が、これに対する処置、その対策はいかがでありますか、お伺いをいたしたい。傷病者の中には、両手両足なく、全く生活能力のない一項症の人たちや、あるいは四肢自由ならざる人々が多いのでありますが、政府は、金銭上のみならず、あるいは職業補導の面におきましてあるいは子弟の進学等の面におきまして、深い思いやりの措置を、総合的立場に立ってせられたいと思うのでありますが、その所信を伺いたいのであります。
第四には、白紙をもって国家の要請にこたえました軍属、準軍属あるいは動員学徒や徴用工員に対しまする援護措置は、今回の予算措置において、手厚い措置がなされておるとは言いがたいと思うのであります。私は戦争中、学徒や女子挺身隊までも徴用する暴挙に対しまして、徹底的に反対をいたしたものであります。日露戦争の際に、明治天皇様は、「軍国多事の際といえども、教育のことはおろそかにすべからず」と仰せになって一日も学業を放擲すべきでないとせられたのであります。しかるに、先の大戦におきましては、軍閥は、いたいけなる生徒学童までもかげ出したのであります。私は、自分の主宰をしておりました学園の数千の子弟の徴用されることに、徹底的に反対をしまして学園を工場化して学業を続けましたが、軍は私を忌避して四十六歳の私自身を召集をしてしまったのです。その間にわが学徒たちは、ついに工場に動員をされていたいけな女子の学生たちの数十名は、相次ぐ空襲に、工場のれんがの下に爆死をしたのであります。これらの幼きみたま、これらの父母、私は、今にしてまぶたの中に、そのおとめ子たちのありし姿をほうふつとして浮べ、心を痛ましめておるものでございます。政府は、三百億の配分を公平に、細心な心配りの上に立って措置すべきものであると思うが、いかがでありますか。
第五には、今回の改正法案におきまして、四ヵ年後の満額実施をいたしまする場合に、文武官の恩給予算というものが一千二百億をこえることとなるのでございますが、この巨大予算が国家財政に与える影響は、相当なものがあると思うのでありますが、政府当局は、この点についていかなる考えを持っておられるか、お伺いをいたしたいのでございます。
もちろんわが国力が、ししとして、うまざる国民の努力によりまして、ますます伸長発展をするものと確信をいたしまするがゆえに、経済規模も財政規模も、ますます大きくなることと思いまするから、私は、わが党の年来の主張であり、すでに調査に乗り出しておりまする国民年金制度の実現も、その日の近いことを七国民諸君とともに待望いたしておる次第でありますが、その場合、恩給制度との並立におきまして、将来のわが国財政の状態におきましていかにその点を予測をし、その可能性を確信しておられるかをお伺いをいたしたいのでございます。
私は、友党社会党が、過日発表をせられました、従来の恩給についての考え方を打ち破って、国民年金制度に切りかえて行こうという意図は、意見として尊重いたしまするが、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスの各国においても、ソ連においてさえも、軍人恩給を社会保障のワク外に置いて実施をしておる点から考えましても、恩給制度の合理化には、極力努力を払わなければなりませんが、制度そのものは存続せしむべきものと信ずるのでございます。従って恩給制度と国民年金制度と並立して行くことが妥当と思いまするが、政府は、将来恩給制度を是正する意図があるかどうか、この機会に所信を伺っておきたいのであります。
最後に、友党社会党の方々は、旧軍人恩給に対しまして、その基本的態度として、終戦によって消滅をした旧陸海軍の制度の部分的な復活であり、再軍備政策の一環としての性格を強く持っておるものとして今回の恩給予算をけなしつけてまた、無原則的な恩給費の増額は一切許されないときめつけておられるのでありますが、しからば、あくまで御反対になったらよろしいと思う。ところが社会党案は、公務扶助料について年額五万四千円に満たないものについては、すべて五万四千円まで引き上げるとおっしゃっていらっしゃるのを見ると、わが党政府よりも少々多くなっておるのは、一体どういうことでありましょうか。再軍備政策の一環ならば、それもおやめになってはいかがなものかと私は思うのでございます。まさにこれは、フグは食いたし、命は惜ししのたぐいで、票はほしいし、面子もほしいということになりはしないかと、ひそかに私は思うのでございます。さらに、旧軍人恩給を交付債券で補償することによって打ち切ろうとなさっておられるらしいのでありまするが、この点につきましては、憲法第二十九条による財産権を侵害しないかどうか、憲法を守るという社会党さんが、憲法違反を犯すような疑いを持つようなことにならぬかどうか、これは政府当局の明快なる回答を待つことにいたしまして私の質疑を終ることといたします。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/5
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006・岸信介
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
今回の改正に関連して恩給の制度は、一つの国家補償の意味を持ったものではないかという御質問でございま士。言うまでもなく、恩給の制度は、国家が公務員の長年の勤務に対し、また、その公務上の死亡やその他の場合におきまして、国家が特に使用主としてこれらの公務員に対して償いをするという性質を持っておることは、言うを待たないのであります。私はその意味において今回の改正につきましては、御承知のように、恩給等の臨時に設けました審議会においての答申を求めてその線を大綱として今回の改正案を提出いたしたわけであります。従来、この問題に関しましては、文官との間に不均衡があるとか、あるいは今おあげになりましたように、戦傷病者に対する補償の点が十分にいっておらないとか、いろいろの問題を含んでおったのでありますが、それらを是正する趣旨をもって改正案を提出したわけであります。
次に、今度の案は、一部においては、軍人恩給というふうな、職業軍人に対する恩給を非常に増額しておるような間違った印象を与えておる向きがありますけれども、これを内容的に御検討いただくならば、きわめて明白なごとく、死亡者、特に兵の階級に属しておった人の死亡者の遺家族に対する公務扶助料を中心とし、戦傷病者に対する従来の待遇が十分でなかったのに対するこれの是正、これを中心として行われておるということは、きわめて明瞭であります。特に、生きておる軍人に対しまするこのベース・アップ等の関係は、将官には全然これを行なっておりませんし、佐官には非常に薄く、尉官にも薄く、主として兵長以下の、下士官以下の者に重くやっておることは、内容を御検討下さればきわめて明白であると思います。
傷病者に対する恩給が、これで十分であるかという点の御質問でございましたが、従来この点において遺憾な点がありましたので、今回は各項目に従いまして相当な増額をし、特に重症者に対しましては介護手当というものを新たに置きましてこれに対する援護なり、あるいは手当を十分にいたす内容を持っております。しかし同時一に、御意見にもありましたように、こういう経済的のことだけではなくしてさらに、あるいは就職の点であるとか、あるいは職業補導の点であるとか、あるいは家族に対する一般的の取扱いの問題等について総合的にあたたかい手を差し伸べるべきではないかというお考えに対しましては、政府としても全然同様に考えております。
学徒の動員に関しまして、その犠牲に対する関係におきましては、援護法等におきまして今回の案におきましても、相当にこれに対する処置を考えております。
最後に、国民年金との関係につきましては、わが党としては、社会保障制度の大きな柱として、全国民を対象とする国民年金の制度を政党の重要政策として掲げております。従って政府は、これを一日も早く実現するために、あらゆる慎重なる調査を進めております。しこうしてこれと恩給との関係でありますが、恩給は、先ほど申し上げましたように、政府が公務員との関係においていわゆる使用主としてその使用者である公務員の長年の勤務なり、あるいはその死亡とか、病気とかの場合において特別にこれに対するいろいろな償いをするという意味を持っておるのでありまして、従って、国民年金ができましても、そういう点について国家が特別に考えて行かなければならぬ部分は、当然考えて参りたいと考えております。
また、社会党の案に対して、これが憲法違反ではないかという御質問でございました。私ども社会党の案をよく詳細にまだ検討いたしておりませんけれども、しかし、この一時金でもってこの年金をやるという場合において、もしもこの両者の関係が等価値である、同じ価値のものであるということが証明されれば、私は財産権の侵害にはならぬと思います。しかし、それが等価値であるかどうかというような点に関しましては、私、まだ社会党の案を詳細に研究をいたしておりませんので、お答え申し上げることができません。(拍手)
〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/6
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007・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 今回の軍人等の恩給増額の財政に対する負担の問題でありますが、今回の軍人恩給の増額によりまして、平年度三百億であります。これが財政に大きな負担となりますことは、これはもう申すまでもありません。しかしながら、先ほどからいろいろと御説明がありましたような理由で、これはぜひともやらなくてはならぬということでありますので、今回実行することにいたしたのでありますが、しかしながら、この三百億につきましては、四ヵ年の期間でやります。その間、日本の経済の伸びというものも相当期待ができるのでありますから、これは私は、財政負担にはむろんなりまするが、特に財政上、これが実行に困難を来たすということはないと期待をいたしておる。なおこの恩給は、三十六年になりますれば、これがピークでありますが、その以降は毎年減少をいたす関係であります。そうでありますから、私は、これは私の所存でありまするけれども、恩給法内における増額は、もう今回で一つ、これでおしまいといたしまして今後は国民年金の方向において処理をして行くということに努力をいたすことによりまして、国民年金の実現にも支障がなくして行けるだろうと、かように考えております。(拍手)
〔国務大臣堀木鎌三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/7
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008・堀木鎌三
○国務大臣(堀木鎌三君) 私に対しては援護法の関係について御質問でございます。軍属に対する遺族年金、傷害年金等の増額につきましては、恩給法の総額とにらみ合して決定したものでありますが、遺族年金について兵と比して幾分低目に定まったということは、この勤務の性質上やむを得ないのではなかろうかと思うのであります。またこの際、新たに準軍属に対する傷害年金及び遺族給与金等を支給する制度を設けたのでございまして、援護法の改正の分を平年度に考えてみますと、二十八億七千万円くらいになります。ほぼ一割近くになるのでありまして、むろん御本人なり、遺族の心情から考えますときには、はなはだ少いとお思いになるだろうと思うのでありますが、総額に対してすでに一割近くであり、他方、また戦争の犠牲者というものは、直接間接にも国民に多数あるということを考えあわせますと、こういう点で適当ではなかろうかと、こう考えておるような次第でございます。(拍手)
〔政府委員今松治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/8
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009・今松治郎
○政府委員(今松治郎君) 総理の御答弁で大体尽きておりまするが、傷病恩給者の内部疾患の問題についてお答えを申し上げます。
従来、内部疾患の裁定におきましては、非常に厳格に過ぎる点もあったように考えられますので、近く総理府内に、閣議決定に基く専門調査会を設けまして間差の是正をはかりたいと、こういうような構想を持っております。近く発足する見込みであります。これと同時に、同じ傷病者でありましても、婦人の方々は、顔などに負傷された場合に、男子と異なった、精神的の感じに異なるものがありますので、そういうものも考えてこの調査会において間差の決定の裁定を検討してみたい、こういうように考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/9
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010・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 永岡光治君。
〔永岡光治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/10
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011・永岡光治
○永岡光治君 私は、ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案に対しまして特に重要と思われる問題点について日本社会党を代表いたしまして岸総理並びに関係各大臣に質問を試みんとするものであります。
そもそもわが国の恩給制度は、明治八年の軍人恩給に端を発しまして、同十七年文官恩給に及び、その後何回かの改正が行われまして、大正十二年の恩給法として集大成を見たものであります。その後におきましても、その時代の政策的要請、特に軍事的要請並びに財政的要請を多分に反映いたしまして、多彩な改正を続けて参ったのでありますが、これを要するに、大東亜戦争終結に至るまでの恩給制度の本質的な性格は、天皇の軍人、天皇の官吏としての恩典と言いましょうか、恩賜と言いましょうか、多分に論功行賞的な要素を含んでいたものであることは論を待たないところであります。従いまして規定の中には恩給受給権は、公務員が長年公務に従事して老令となり、あるいは傷を受け、病を得、または死亡してその経済取得能力を減損した者に、国が使用者としてこれを補うものであるという定義にはなっておりまするが、その実体は、軍人官僚万能時代の特権的色彩が強く感じられるのであります。(拍手)今日は、新憲法のもと、主権在民、民主国家となったのであります。昔の天皇の官吏は、今日におきましては、国民全体に奉仕する公務員になったのであります。従いまして従来の恩給制度も、新しい角度から再検討さるべきであったのでありまするが、旧態依然たるままで今日に至っております。のみならず、終戦後間もなく、昭和二十一年の二月廃止されました軍人恩給が、昭和二十八年八月復活するに及びましてすでに新時代から抹殺されたはずの旧軍人の階級差さえが、そのままの形で復活するに至っては、まことに奇異の感を抱かざるを得ないのであります。あわせて大東亜戦争という国家総力戦の形態から生じた数知れぬ戦争犠牲者、その救済のために、戦傷病者戦没者遺家族等援護法という法律を別に作りまして恩給法によっては救われない、これら数多くの国家公務に基く戦争犠牲者に、あたたかい手を差し伸べて援護上の国の責任を果さなければならなかった恩給法の、あまりにも特権的な不備を私は思い起していただきたいと思うのであります。
今日、軍人恩給の増額は、世論の前にきびしい批判の対象になっておりまするが、その原因は、すでに昭和二十八年、旧態依然たるままの軍人恩給復活の姿の中にあったのであります。政府及び与党は、昨年の国会におきまして、戦後十数年にわたり、なお幾多未解決の問題を持つ戦争公務の犠牲者の処遇を中心に、独自の恩給法、援護法等の改正の計画を用意したのでありまするが、ついに、みずから行き詰まりを来たしましてやむなく政府の諮問機関設置という、こそくな手段に逃避せざるを得なかったのであります。かくいたしまして政府は、総理府に臨時恩給等調査会を設けまして、その答申を求めるに至ったのであります。臨時恩給等調査会は、約半歳にわたり、延べ三十七回に及ぶ慎重なる審議を重ね、その結論を答申したのでありまするが、政府は、その答申をすら御都合主義で勝手に取捨選択をいたしまして、今日議題となっておりまするように改正法案を提出して参ったのであります。
以下、数点にわたって質問をいたしますが、その第一は、前に述べましたように、今日、軍人恩給の増額は、国民の前にきびしい批判の対象になっておりまするが、一口に軍人恩給と申しましても、その中には、赤紙応召によって有無を言わさず、戦地にかり出され、無謀なる戦争の犠牲となって戦死された方々の遺族で、生活の支柱をなくした方々がきわめて多いのでありますが、このお気の毒な遺族に支給される公務扶助料、これは俗に遺族扶助料と言っておりまするが、この遺族扶助料も、恩給法というワクの中に規定されております。しかし、この公務扶助料あるいは傷病恩給等は、実体は社会保障の概念の中に入るべきものと考えるのでありまして軍人恩給を批判する国民も、これら遺族の援護には同情ある理解を寄せるものと思っております。従いまして恩給法の中から公務扶助料あるいは傷病恩給等を分離いたしまして援護法で規定されておるものと合わせまして別な法律を作る必要があるのではないかと思うのでありますが、総理はいかように考えておりますか。国民の批判と遺族の要望との間を、右に左によろめいて、信念をもって正しく世論にこたえようとしない岸総理の態度では、いよいよ混乱を増すばかりでありまするが、総理の答弁をお願いをいたします。
質問の第二は、公務扶助料の階級差についてであります。改正法案によりますと、公務扶助料の金額は、兵の場合は年額五万三千二百円、下士官の場合は階級の上るごとに年額五万三千三百円、五万三千四百円となり、少尉の場合で五万三千五百円と相なっております。階級差を縮小しようとした努力の跡は見えまするけれども、階級差の観念から抜け切らないのは一体どういうわけでありましょうか。ここにも岸総理の煮え切らない態度がうかがわれるのであります。すなわち、今申しましたように、下級者の場合は、年額にいたしまして百円、月額に直しますと八円三十三銭となるのであります。この八円三十三銭の値段は、あめ玉一個の値段であるかもしれません。ことによったら、こんぺい糖一個の値段になるかもしらんと思うのであります。昔、兵隊さんの階級では、星の数によって階級が区別されておりました。従いましてこの星はこんぺい糖に当ると思うのでありますが、この戦死した遺族の方々にも、こんぺい糖の値段の差をつけなければならぬと考えておるのか、この点はきわめて私たちの不満とするところであります。私も既得権尊重の精神をむげに否定するものではありません。しかし、こうした改正の機会にこそ、下級者の階級差を撤廃する努力を、なぜなさらなかったのでありましょうか。特に赤紙一枚で、国家の意思のままに強制的に召集されまして、ついに戦死された方々にまで階級差を認めることは、わが党としては絶対に反対するのであります。かつての上官としましても、なくなられた部下の遺族の処遇が、階級差によって等差をつけられているということを、必ずや悲しまれておると私は信じて疑いません。新しい民主主義国家の政治におきまして旧軍人の階級がそのままの形で生かされ、わけて戦死者の遺族にまで差等をつけようとする今回の改正案の精神を、絶対に了承することができないのであります。
一昨年十二年、ソ連地区から舞鶴に帰られました後宮元大将は、一般の兵士と同様の作業服で上陸いたしたそうでありますが、その際、出迎えの諸君の質問に答えて帰還に当り、ソ連当局から、将校には別に新しい背広服を贈ることを申し出られたそうでありますが、戦後十年以上も極寒の地におきまして労苦をともにした裸一つのお互い同士に、昔の階級差を思い起させるような服装を受けるに忍びない、こういうことでお断わりしたと言われたそうでありますが、労苦の中から生み出されました人生観は、往年の将軍において、かくのごとく民主主義の精神に自然になりきったのであります。なぜ階級差にこだわるのか、岸総理の御答弁を願います。
第三の質問は、公務扶助料の倍率についてであります。聞くところによりますと、軍人遺家族の公務扶助料の倍率について政府与党内部において議論百出いたしまして、ついに結論を得ることができませず、岸総理の裁断によって三十五・五割と決定されたと承知いたしております。これは文官の特別公務の場合における倍率四十割と、普通公務の場合における倍率三十三割との平均に近い数字のようでありますが、いかなる根拠に基いて決定されたものか、お尋ねいたしたいのであります。もとより、文官と武官の恩給上の比較論は、複雑な要素をたくさん内蔵しておることは御承知の通りであります。たとえば、文官は任官しましてから十七年の勤続年数をもって恩給の受給権を生ずるのでありますが、軍人のそれは准士官以上は十三年、下士官以下は十二年ということなっております。また、恩給納金は、武官には特別の時期以外は、義務づけられてはいなかったのであります。その他数え上げれば、まだいろいろと相違するところはあるでありましょうが、臨時恩給等調査会は、論議の末、右の事情を考慮いたしまして、文武官を通じ統一した倍率を要望いたしたのであります。あいまいな根拠で倍率を決定したとなりますれば、今後さらに問題を残すおそれなしとしないのであります。岸総理は、この調査会の倍率統一の要望をいかに理解したか、明確にお答えいただきたいと思うのであります。
なお、これと関連いたしましてたとえば、文官の中でも、台湾等の生蕃事件で殉職をいたしました特別公務の巡査の公務扶助料が二万円台であります。また、普通公務の扶助料が一万円台になっておりますが、これらは軍人の公務扶助料と比較しまして著しい低額となっておりますが、この際、いかに調整して救済しようとしておるのか、あわせてお答えをお願いいたします。また、文官の制度上の欠陥によりまして著しく低位にあります恩給、あるいは公務扶助料は、いかに調整、是正されるか、このことも、さらにあわせて御答弁をいただきたいと思います。
第四の質問は、傷病恩給についてであります。傷痍軍人優先の方針は、わが党今日まで強く主張してきたところでありますが、今回提出をされました政府案も、このわが党の主張をいれまして、形の上では、いわゆる傷病恩給の階級差をなくす等、相当の改善を見ておるのでありまするが、ただ、この階級差の撤廃も、兵の階級、つまり低い線に統一されているところに、まだ若干問題が残されておると思うのであります。すなわち、国のため手足を失い、半身不随になった者の恩給が、困っていない上級将校の公務扶助料より少いという点についてどのように考えておるのか、この点もお尋ねをいたしたいと思うであります。また、旧来の傷病恩給は、外形の症状に重点を置いて障害の度合いを判定いたしておりました傾向が強いのでありますが、兵器の進歩と大東亜戦争のごとく、戦争規模の拡大、さらに医学の進歩、こういうことに伴いまして単に外形の症状のみでは実情に沿わない現象が出て参りました。すなわち、手足がなくなって行動の自由を欠くのと同様に、重度の内部疾患で寝たきりのままの、全く行動の自由を欠く傷病者も多数いるのであります。従いまして、これら重度の内部疾患による傷病者に対しましても、新しい観点から特に考慮する必要があると思いますが、この点どのように考えられておりますか、今松長官の御答弁を承わりたいと思うのであります。
第五の質問は、恩給法や援護法による遺族扶助料から取り残された戦争犠牲者に対する措置についてであります。申すまでもなく、大東亜戦争は、昔の戦争と異なり、大規模な、戦地、内地を問わず、国をあげてのいわゆる総力戦態勢のもとに戦われたのでありますが、戦争犠牲者でありましても、軍人、軍属あるいは準軍人、準軍属等は、一応その救済措置は講ぜられております。しかし、右のような身分を持たないが、事実上戦闘業務に協力させられた者で、戦争犠牲者になった者、特に広島、長崎の原爆の被害者が相当数おりますが、岸総理は、これらの人々に対し、いかなる措置を講じようとしているのでありますか、そのお考えを承わりたいのであります。(拍手)第六の質問は、国民年金制度との関連についてであります。国民年金制度は、今日、近代国家の常識となっております。国民全体といたしましても、ひとしくその実現を切望いたしております。岸内閣も、三悪追放の一つといたしまして、貧乏追放を国民の前に公約しているところであります。これを追放する施策の大きな、しかも急務の一つとして国民年金制度の確立は、これまた論を待たないところであります。従いまして今回のごとき大幅改正の際に、恩給法、援護法等も、広い意味での社会保障の見地からの考慮が十分払わるべきではなかったか。現に、恩給法にも若年停止規定があります。あるいはまた、公務扶助料受給者に対するところの家族加給制度もあります。夫帰還公務員恩給等も考えられております。こうして漸進的に、これら一連の社会保障的な考えが採用されつつあるのでありますが、このような見地から、わが党は、職業軍人を中心とする軍人恩給の中から、公務扶助料及び傷病年金を分離いたしまして、別個の法律とし、これらの人々には、いわゆる軍人恩給に対する批判や、恩給亡国論の対象の外にあるものといたしまして処遇することを考えております。また、所得の低い下級者の公務扶助料を、将来、国民年金制度に移行し得る体制をも考慮いたしましてわが党の無拠出一般国民年金額であります三万六千円の五割増しの五万四千円とし、そうして下級階級差をも撤廃いたしまして、即時全額実施をはかることにいたしておるのであります。さらに、原則といたしましては、軍人恩給は、平均余命率を考慮いたしました公債による打ち切り補償制度を考えておるのであります。しこうして、比較的所得の少い者には、その生活を守るために、直接現金による支給をはかるとか、あるいは生業資金等、一時に多額の現金を必要とする者には、公債全額の買い上げをはかる、こういうように、実情に即した現金化の措置を講ずる反面、高額の所得を有する者には、応急の場合を除き、均等償還でがまんをしていただく、こういうことを考えておるのであります。こうして当面の財政負担をできるだけ軽減いたしまして、全国民の年金制度への移行に役立たしめようとしているのであります。今日、全国には六十才以上の老人が八百万人おると言われております。六十五才以上の老人に限定いたしましても五耳万人以上を数えております。身体障害者が百万人いるのであります。母子世帯におきましては五十七万と言われております。合わせまして約七百万に及ぶ者が、今すぐにでも社会保障制度によるあたたかい手を差上伸べてもらうことを待望しているのであります。わが党は、これらの要望にこたえまして、今月末、すなわち三月末に、国民年金法案を今国会に提案することになっておりますが、その際には、どうぞ皆さんの御協力をいただきたいと思うのであります。岸総理は、恩給を含めまして各種年金制度の国民年金制への移行に共感せられておるのでありますが、今後、国民年金制度実施に当り、今回提案されておる恩給制度とを、どう調整されて行こうとするのか、お答えを承わりたいと思うのであります。
第七の質問は、公務員の共済年金制度についてであります。公務員の諸君が、みずから進んで恩給制度をやめて新しい保険システムによる共済年金制度への移行に踏み切り、その実現に向って政府を鞭撻しているのが今日の実情であります。恩給という、あたたかいからの中から、みずから抜け出しまして、あえて共済年金制度に踏み切った公務員諸君の涙ぐましいまでの決意に、私は敬意を表するものであります。恩給制度に対し、とかくの世論の批判のある今日、政府はこの際、公務員の共済年金制度を今国会において実施すべきと思うが、総理の所信はどうか、お尋ねをいたしたいのであります。
最後に、恩給受給者に対する金融についてお尋ねをいたします。今日、恩給や公務扶助料の受給者が、証書を担保にいたしまして金を借りております金融機関は、労働金庫もありますが、おおむね国民金融公庫に限られております。しかし、これらの機関は、全国分布の状況がきわめて少く、また、貸出手続等もきわめて煩瑣であります。そのために、実情に沿わないために、恩給や扶助料の受給者は、高利貸しのえじきになっているのであります。わずかな公務扶助料も、巧妙なる高利貸しの搾取の対象となって利子の穴埋めに追われているというのが、全国に非常に多い例となって現われております。かくては、せっかくの遺族援助の国家の意思は烏有に帰してしまうのであります。これらの恩給や扶助料受給者に対しまして比較的低利かつ簡便なる金融機関として、たとえば労働金庫を利用するとか、あるいはまた、これら受給者と関係の深い、全国に非常にたくさんの機関を擁しております郵便局等が、その役割を果す必要があるのではないかと思うのでありますが、そのような考えがあるかどうか、郵政大臣にお尋ねいたします。
以上で、私の質問を終りますが、答弁不十分の場合は再質問をいたしますので、はっきりと、かつ具体的に親切にお答えをいただきます。
以上をもって、私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/11
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012・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 永岡君の御質問に対しまして、お答えを申し上げま
す。
第一点は、この恩給法中の、いわゆる遺族扶助料や、あるいは援護法によるもの等は、社会保障的の見地から、これを別個に立法したらどうだという御主張であったと思います。言うまでもなく、先ほどもお答え申し上げましたように、恩給制度というものは、相当長い沿革のもとにできておる法制でございまして、ただいま永岡議員は、これは国家の特殊の特権的な意義を持っておるというふうに御解釈になっておるようでありますが、これは私は間違っておると思うので、やはり国が使用主として公務員の長年の忠実な勤務に対し、その老令に達した場合において、または病気や死亡した場合において、生活能力の減退を年金の方法によって補って、その生活を保障するという趣旨でできておることは、きわめて明白でございまして、こういう特殊の使用関係というものがあります以上は、その中には、やはり社会保障的な、社会政策的な意義を持っておる部分がありましても、やはりその制度としてこれを改正し、これを完備して行くということが、私は適当であると、かように考えます。
第二は、階級差を設けることはよくないじゃないかというお言葉でありました。今度の改正におきましても、上に薄く下に厚くという考えをとっております。また、傷病年金の恩給の問題につきましては、階級差を撤廃をいたしております。それならば、全部これをやめたらどうかというお考えであります。言うまでもなく、先ほど申しました恩給法の根本の考え方から申しますというと、使われておるところの公務員がやめるとか、あるいは死亡するとか、病気になるという場合において、やはりそのときに国が与えておった待遇を基礎として、いろいろなことを算出するという建前を根本にとっております。私は、そのとっておることについても、やはりこの恩給法が、先ほど申しておるように、国と公務員との特別の使用関係に基き、国が使用主としての責任を果すということから申しますというと、その勤務の長さにより、また、その勤めたことの内容によって待遇がきまっておる、それを標準とするということにも私は意味があると思います。しかし、それがあまりにも、それだけにとらわれますというと、現代の一般の思想から申しましても、また、その恩給が一面持っておる社会保障的な、社会政策的な意義から噂しましても適当でありませんので、その差をできるだけ縮めるような措置を今回の改正でとったわけであります。
第三は、倍率を三五・五にした理由いかんという御質問でありました。これは御承知の通り、従来、文官と軍人との間における扶助料の算出の倍率の基礎が違っておりました、この不均衡を直せということが一般の要望でもあり、また、臨時恩給等調査会の御趣旨もそこにあったと思うのであります。そこで、今回ベース・アップをいたしまして、一万二千円のベースを一万五千円にいたしました。しこうして文官と軍人との関係におきまして、従来ほぼ同じようなところにある者が、一方は五万三千二百円でありますか、それに対して三万五千幾らというふうな差があったわけであります。これを今回一万五千円のベース・アップにいたし、三五・五に引き上げますというと、これが五万三千二百円になりまして、文官の従来もらっておるものとの間の不均衡が是正されることになるのであります。こういう意味において三五・五を採用したわけであります。
次に、下級の警官において非常にその恩給の上において不均衡があるというお話であります。これに対しましても、今回の改正におきまして適当な措置を講じております。
次に、傷病恩給の問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたような趣旨におきまして、私どもは、やはりこれに対する措置が従来不十分であったということに顧みて各項の者に五割ないし八割の増額をするとともに、特に二項症以上の重症者に対して、介護費として二万四千円つけるというような措置を講じたわけであります。
次に、原爆の場合の被害者についてはどうだというお尋ねでありましたが、これは御承知のように、健康診断と医療費について特別の法律が出て、これによって措置をいたしておるわけであります。
それから、国民年金との関係でございますが、国民年金は、私はしばしば申し上げておるように、政府といたしましても、これをできるだけ早く実施したいという考えでもって研究調査をいたしておりますが、近く社会保障間度審議会においても、その答申を出される運びになっておりますので、これらを基礎にいたしまして、一日も早く全国民を対象とする国民年金を実現したいと考えております。
その際に、恩給制度や、あるいは各種の年金との調整をどうするかというお尋ねでございますが、恩給の問題は、先ほど申したような特殊の意味がありますし、また各種の年金につきましても、それぞれ特殊な意味がありまして、国民年金制度を立てた場合において、すべてこれを一本に包括してしまうということは、これはなかなか私は困難であろうと思います。しかし、趣旨から申しまして、その特殊なものに付加されるところの年金がある程度存するということは、これはやむを得ないことであろうと思います。しかし、いずれにしても、その調整の方法、具体的の内容につきましては、先ほど申しましたように、今調査研究をいたしておりますし、社会保障制度調査会の答申等もにらみ合せて十分な調整をいたしたい、かように考えております。
最後に、公務員の共済年金の制度を本国会に提案するかという御質問であります。私はこの恩給制度の根本につきましても、いろいろ検討をすべきものがあり、また、共済組合制度によって、共済年金の方法によってやって行くという考え方も、一部に相当強く出ておるということから見まして、政府としても真剣に、まじめに今検討をいたしております。その成案を得ますれば、今回の国会にも提案したいと考えております。(拍手)
〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/12
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013・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま質問のほとんど全部を総理大臣が御答弁なさって、私から特に御答弁する項目も残されていないようであります。ただ、恩給、公務扶助料の受給者の低利金融のことですが、これは特に指名がなかったのでありますが、これは私、関係が深いので、一応御答弁を申し上げたいと思います。
これを郵便局等で手軽に扱わしたらどうかという御意見であったと思います。一応ごもっともなことで、研究に値するとも思うのでありますが、また一面、あまり恩給なんかが担保に入れやすいということも、恩給者の必ずしも利益を保護するとも言えません点がありますし、局時にまた、郵便局は預金を扱うことばかりが専門でありまして、零細な預金を扱っておりますのが、これが貸し出しをやるということについては、慎重な考慮を必要といたします。そういうようなところから、私は現行の制度で、御趣旨に沿うように一つ、いろいろと改善を加えて行くというのが、一番よろしかろうと考えている次第であります。(拍手)
〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/13
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014・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) お答え申し上げます。
恩給及び公務扶助料の受給者は、御承知の通り二百二十万人でありまして、大体借り入れを必要とする者は、おおむね二十万人程度でございます。一千億の中で、理想的な金融の道がつけば借りたいというものが百五十億程度であります。現在は、御承知の通り、恩給法第十一条の規定によりまして、担保及び譲渡を禁止いたしております。同条の規定で、国民金融公庫だけが担保を取ることができるようになっておりますが、国民金融公庫のこれに対する資金は、おおむね現在九十億ございますから、要求の半分ぐらいにしか満たないわけであります。その半分ぐらいが、永岡さんからの御質問がございましたように、高利に流れておるということであります。高利に流れるということになると、恩給法そのものの精神にも非常に逆行することでありますから、これに対しては何らかの方法を考えなければいかぬということは間違いないと思います。郵便局の窓口を使うということに対しては、相当強い要求も陳情も多年ございますが、現在これらを解決するために、どういう方法をとるかということでありますが、従来の恩給金庫を復活したいという案と、社会党さんは、労働金庫を恩給法の中に入れてやりたいというような案がございますが、私は、郵便局を使うべきだという考えを持っております。今、大蔵大臣からもお話がございましたが、郵政省設置法の一部改正及び恩給法の改正をやれば、これらの道が開けるのでありますので、関係当局と十分調整をいたしましてできるだけ円満に金融の道を開くというふうに考えておるわけであります。(拍手)
〔政府委員今松治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/14
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015・今松治郎
○政府委員(今松治郎君) ただいまの御質問のうちに、傷病者年金の中で、内部疾患について非常に遺憾な点があるのじゃないかというようなお話でございました。先ほど大谷議員の御貸問にお答えをしましたように、この点は、永岡議員のおっしゃる通りの点が相当あると考えます。従いまして先ほどもお答えいたしましたが、私どものただいまの構想といたしましては、近きうちに総理府内に、こういう疾患の症状等差の調査会、こういうものを作りまして、専門の方に委員をお願いして、その御意見によって、この等差の変更についてやって行きたい、こういうふうに考えておりますので、御趣旨に沿うような方向に近い将来にやるつもりでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/16
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017・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二、水防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員長竹下豐次君。
〔竹下豐次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/17
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018・竹下豐次
○竹下豐次君 ただいま議題となりました水防法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、水防制度の実情にかんがみ、水防管理団体を強化し、その活発な活動に資するため、現行の水防法に所要の改正を行うものであります。
その内容のおもなる点を申し上げますと、第一に、水防に関する市町村の一般的責任を明らかにいたしております。現行法は、水防管理団体として、水害予防組合、市町村組合及び市町村の三団体を認め、これら三者に重複することなく、それぞれの区域の水防責任を課しておりますが、市町村が水防に関する一般的責任を有するという当然の趣旨が必ずしも明確に規定されておりませんので、本法において、これを明定するとともに、水防事務組合及び水害予防組合の存する区域については、従来通り市町村の水防責任を免除いたしております。
第二に、水防事務組合の設立について特例を設けております。現行法においても、水防に関する事務を共同に処理する市町村組合は認められているのでありますが、本法においては、地形の状況等によって、市町村が単独で水防責任を果すことが著しく困難、または不適当と認められる場合には、これを設けなければならぬことといたしております。
第三に、水害予防組合の区域について、これにかおる水防事務組合が設けられる場合、水害予防組合の廃止に関し、水害予防組合法の特例を設けるとともに、水害予防組合の有する水防用財産及びこれに伴う負債は、関係水防事務組合または市町村に引き継ぐことといたしております。
第四に、水防事務組合の議会の議員の選挙について特例を設けております。組合の議員は、組合規約の定めるところにより、関係市町村の議会において、当該市町村議会議員の被選挙権者で、水防に関する学識経験があり、かつ熱意があると認められる者のうちから選挙することといたしておりますが、数市町村にわたる水防上の特別の利害を調整する必要があると認められる場合においては、組合規約の定めるところにより、前述の資格を具備する者について、当該市町村の長が推薦した者のうちから選挙できることといたし、この数は、それぞれの市町村の議会で選挙すべき組合議員の定数の二分の一をこえてはならないことといたしております。なお、関係市町村の組合議員の定数及び組合経費の分賦については、組合の行う事業による受益の割合、防護すべき施設の延長の割合を勘案して定めることといたしております。
当委員会におけるおもなる質疑応答の要旨を申し述べますと、第一に、水防事務組合の議員の推薦選挙制は、市町村長の不当な政治力が介入するおそれはないか、また、市町村議会の議決権との調和をいかにするかとの質問に対し、推薦者のうちから議会が選挙する道が開かれており、かつ、この推薦者数は推薦選挙される議員定数を上回るようにし、いやしくも議会の議決権行使を無視することがないように措置する旨、答弁がありました。第二に、水防事務組合不参加市町村に対する処置いかんとの質問に対しては、当然設置すべき場合であるにもかかわらず、これを設けない市町村に対しては、地方自治法第二百四十六条の二の規定により、事務の違法不当処理に対する総理大臣の監督権を行使するとの答弁がありました。その他、水防事務組合における関係市町村の議員定数及び経費の分賦を定める基準となる受益及び防護施設の内容、現在の水防管理団体の実情、水防事務組合及び水害予防組合に水防責任を明定しなかった理由、水防活動の範囲等について質疑が行われたのでありますが、詳細は会議録に譲ることといたします。
かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して坂本委員から、「本法案は水防制度の強化をはかるものであり、水害国たるわが国にとって適当な措置と認めて賛成するが、ただ、水防事務組合の議員の推薦選挙制度については、市町村長の専断による非民主的運営が行われることなく、真に地元住民の利害を正確に反映するよう行政指導されたい」との発言があり、次いで、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/19
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/20
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021・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第三、国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長河野謙三君。
〔河野謙三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/21
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022・河野謙三
○河野謙三君 ただいま議題となりました国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
現在、国及び公社等の収入金及び支払金は、会計事務の簡素化のために、国庫出納金等端数計算法の規定によりましてその端数を整理することとなっておりますが、その端数整理が受け払いの段階でなされることになっておりますために、債権または債務の金額と一致せず、事務処理上、簡素化の目的を十分に達し得ない欠陥があったのであります。
本案は、この欠陥を改めるとともに、民間の取引慣行にもかんがみまして、債権債務の金額自体について端数を整理せしめることとし、その方法についても、従来の一円未満四捨五入を改めて、一円未満は全額切り捨てることとする等の改正をしようとするものであります。
なお、この際、会計事務の全画的な簡素化をはかるために、一般会計及び特別会計の決算上の剰余金、資金の金額等で、従来から端数金額のあるものについても、一円未満の切り捨ての端数整理をする措置をあわせて講じようとするものであります。
委員会の審議におきましては、民間、特に金融機関等では、どのように端数整理をしているのか、この改正によって通貨、特に一円貨を軽視する風潮を惹起しはしないか。通貨価値が安定したと考えられる今日、新しい通貨単位を設定するという意味で、百分の一に切り下げるデノミネーションを行うべきであると考えるがどうか等の諸点について質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終り、討論、採決の結果、本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/22
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023・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/23
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024・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/24
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025・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第四、統計法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長藤田進君。
〔藤田進君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/25
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026・藤田進
○藤田進君 ただいま議題となりました統計法等の一部を改正する法律案につきまして内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
まず、本法律案の改正の要点を申し上げますと、その第一点は、現在、統計官の資格要件につきましては、何ら規定された法規がないため、今回、その資格要件を統計主事と同じものとするよう、これを統計法の上で規定したこと。その第二点は、統計法及び統計報告調整法において行政管理庁長官の権限の一部を統計基準局長に委任することができるという規定がありますが、第二十六国会において、国家行政組織法の一部を改正する法律が成立した際に、統計基準部長の名が統計基準局長と改められましたのにかかわらず、その点が修正漏れになっておりますので、この際、これを改めようとすること、以上二点であります。
内閣委員会は、前後四回、委員会を開き、その間、石井行政管理庁長官、その他関係政府委員の出席を求めまして本法律案の審議に当りましたが、その審議におきまして統計官の資格要件に関連する各種の問題、現在、各省で実施されておる統計の現状と、その統計の普及及び利用の状況、現在、官庁統計が各省庁等に広く分散して実施されておるが、統計の分散化と集中化との是非の点、統計の能率化、機械化の点等につきまして、関係政府委員との間に質疑応答が重ねられ、最後に、矢嶋、八木両委員より、今後の統計行政の運営について、それぞれ要望が述べられましたが、その詳細につきましては、委員会会議録に譲りたいと思います。
昨日の委員会におきまして、質疑を終り、討論を省略し、直ちに本法律案につき採決に入りましたところ、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/26
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027・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/27
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028・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/28
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029・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第五、狩猟法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第六、農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/29
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030・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長重政庸徳君。
〔重政庸徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/30
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031・重政庸徳
○重政庸徳君 ただいま議題となりました農林関係の二つの法律案について農林水産委員会における審議の経過及び結果を報告いたします。
まず、狩猟法の一部を改正する法律案について申し上げます。
有益鳥獣の保護及び狩猟の適正をはかるため、かねて現行法の改正が提唱されており、政府また、農林省に野生鳥獣審議会を設置してこれに諮問する等、研究を進め、ここにこの改正法律案が提出せられたのであります。
その内容は、従来行われてきた空気銃による狩猟の登録制を免許制に改め、免許の欠格条項を従来の乙種の場合と同様とし、なお、免許に当っては、申請者の狩猟に関する知識を判定の要件とすること。狩猟知識の普及向上のため講習会制度を設けること。法令違反者に対する免許取り消しの規定を設けること。猟区設定者たる国または地方公共団体は、必要に応じ、その維持管理事務の一部を特定の者に委託することができることとすること。狩猟に対する取締りのため、法令に違反して捕獲した鳥獣の譲渡及び譲り受けの禁止を特定の加工品にも及ぼし、また、鳥獣等の販売業者からも必要な報告を徴することができることとすること。狩猟法令違反の罪について司法警察員として職務を行う者を、都道府県の吏員のうちから指名できることとし、従来よりその範囲を拡大すること。農林省に鳥獣審議会を置き、権限に属せしめられた事項の処理及び鳥獣保護及び狩猟に関する主要な事項を調査審議すること等が、そのおもなものであります。
委員会におきましては、まず、農林当局から提案の理由並びに法律案の内容等について説明を聞き、続いて質疑に入り、農林省、林野庁、通商産業省及び警察庁当局に対して現行狩猟法の目的、野生鳥獣の消長とその影響、野生鳥獣の利害、功罪、野生鳥獣保護の意義とその対策、有害鳥獣の被害とその対策、狩猟の意義とその対策、農林省に設けられた野生鳥獣審議会の構成とその審議内容、空気銃の猟具としての適否、今回の法律改正で空気銃による狩猟を規制することの当否及びその影響、銃器の取扱いに関し狩猟法と銃砲刀剣類等所持取締法との関係、狩猟取締りの強化とその方法、狩猟免許の手続、鳥獣審議会委員の人選方針、猟区の維持管理及び講習会の運用方法、違反取締りの実施方法等の事項について究明され、特に島議員から、商工委員の立場において空気銃による狩猟の規制の強化が、空気銃の製造及び輸出並びにこれら関係業者に及ぼす影響と、その対策等について委員外発言が行われたのでありまして、これらの内容については会議録に譲ることを御了承いただきたいのであります。
かくして質疑を終り、討論に入り、北村委員から日本社会党を、また、上林委員から緑風会を代表してそれぞれ意見を付して賛成が述べられ、他に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
経営の特に不振な農業協同組合についてその整備を促進するため、過ぐる第二十四回国会において農業協同組合整備特別措置法が制定されたのであります。しかしてこの法律によって整備を行おうとする組合が、整備計画を立てなければならない期限及び都道府県知事が組合の合併について協議すべき旨を勧告することができる期限は、いずれも本年三月三十一日までとなっております。ところが従来の経過及び組合の現状を見ますと、特別措置法の適用が必要と認められる組合がなお若干残されており、しかしてこれらの組合について右の期限までに所要の措置をとることは困難でありますので、この際、この期限をそれぞれ一ヵ年延長しようとするのが、この法律案が提案せられた理由並びにその内容であります。
委員会におきましては、まず、農林当局から提案の理由、経営不振組合の状況、整備特別措置実施の経過及び今後の見通し等について説明を聞き、質疑に入り、農業協同組合のあり方、これが整備の目標並びに政府におけるその指導方針、組合不振の原因とその対策、組合の規模及び組織の現況並びにその当否、組合役員のあり方、特に兼職状況とその弊害、特殊農協と総合農協とのあり方、農村金融と組合金融との関係並びにそのあり方、組合合併の現状とその指導方針、組合振興のための組合員の責任態勢の確立、組合の預貯金の安全性の確保及び組合資産の再評価とその当否、駐在指導員制度の効果とその拡充、整備特別措置法成立当時における委員会の付帯決議に対する政府の措置及びその当否等が問題になり、また、期限を一ヵ年延長しても、なお整備の目的を達成し得ない組合に対する政府の抜本的対策が要望されたのでありましてこれが内容は会議録に譲ることを御了承いただきます。
かくて質疑を終り、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定されました。
右、報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/31
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032・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/32
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033・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01219580307/33
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